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特表2023-521138凍結保存された生体材料を保護するための衝撃吸収容器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-23
(54)【発明の名称】凍結保存された生体材料を保護するための衝撃吸収容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/02 20060101AFI20230516BHJP
【FI】
B65D81/02 100
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022561611
(86)(22)【出願日】2021-04-07
(85)【翻訳文提出日】2022-12-05
(86)【国際出願番号】 US2021026215
(87)【国際公開番号】W WO2021207381
(87)【国際公開日】2021-10-14
(31)【優先権主張番号】16/843,514
(32)【優先日】2020-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519421983
【氏名又は名称】バイオライフ・ソリューションズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BioLife Solutions, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【弁理士】
【氏名又は名称】徳山 英浩
(72)【発明者】
【氏名】マコーミック,ブルース
【テーマコード(参考)】
3E066
【Fターム(参考)】
3E066AA03
3E066AA08
3E066AA12
3E066BA01
3E066CA01
3E066CA11
3E066JA03
3E066JA21
3E066NA60
(57)【要約】
低温で凍結された生体材料を保護するための衝撃吸収容器は、外側ケースを含む。前記外側ケースは、第1外側パネルおよび第2外側パネルを含み、前記第1外側パネルおよび前記第2外側パネルは、閉位置と開位置との間で互いに相対的に移動可能であり、前記第1外側パネルおよび前記第2外側パネルは、前記閉位置において収納空間を画定し、前記第1外側パネルは前記収納空間に面した第1側面を有し、前記第2外側パネルは前記収納空間に面した第1側面を有し、前記第1外側パネルおよび前記第2外側パネルを前記開位置に移動させると前記収納空間へアクセスする開口部が形成もしくは拡大される。前記第1外側パネルの第1側面上には、第1泡沫パネルがあり、前記第2外側パネルの第1側面上には、第2泡沫パネルがある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
低温で凍結された生体材料を保護するための衝撃吸収容器であって、
第1外側パネルおよび第2外側パネルを含む外側ケースであって、前記第1外側パネルおよび前記第2外側パネルは、閉位置と開位置との間で互いに相対的に移動可能であり、前記第1外側パネルおよび前記第2外側パネルは、前記閉位置において収納空間を画定し、前記第1外側パネルは前記収納空間に面した第1側面を有し、前記第2外側パネルは前記収納空間に面した第1側面を有し、前記第1外側パネルおよび前記第2外側パネルを前記開位置に移動させると前記収納空間にアクセスする開口部が形成または拡大される外側ケースと、
前記第1外側パネルの第1側面上に設けられた第1泡沫パネルと、
前記第2外側パネルの第1側面上に設けられた第2泡沫パネルと、を備えている衝撃吸収容器。
【請求項2】
前記第1泡沫パネルおよび前記第2泡沫パネルは、網状の泡沫を含む請求項1に記載の衝撃吸収容器。
【請求項3】
前記外側ケースは金属製である請求項1に記載の衝撃吸収容器。
【請求項4】
前記外側ケースは剛性を有する請求項1に記載の衝撃吸収容器。
【請求項5】
前記第1外側パネルおよび前記第2外側パネルは、前記閉位置において互いに略平行である請求項1に記載の衝撃吸収容器。
【請求項6】
前記外側パネルは、前記第1外側パネルを前記第2外側パネルに対して回動させる回動ジョイントを含む請求項1に記載の衝撃吸収容器。
【請求項7】
前記外側ケース、前記第1泡沫パネル、および前記第2泡沫パネルは、生体流体の袋を均一に圧縮するように構成およびサイズ設定されている請求項1記載の衝撃吸収容器。
【請求項8】
前記外側ケースは、前記第1パネルと前記第2パネルとを前記閉位置にロックするロック要素を含む請求項1に記載の衝撃吸収容器。
【請求項9】
前記第1泡沫パネルを少なくとも部分的に囲むポーチをさらに備えている請求項1に記載の衝撃吸収容器。
【請求項10】
前記ポーチは、前記第1外側パネルに固定され、
前記第1泡沫パネルは、前記ポーチと前記第1外側パネルとの間にある請求項9に記載の衝撃吸収容器。
【請求項11】
前記ポーチは親水性材料を含む請求項9に記載の衝撃吸収容器。
【請求項12】
前記第1泡沫パネルに隣接する液体吸収ライナーをさらに備えている請求項1に記載の衝撃吸収容器。
【請求項13】
前記第1パネルと前記第2パネルとを接続する第3泡沫パネルをさらに備えている請求項1に記載の衝撃吸収容器。
【請求項14】
前記閉位置の前記外側ケースは、三次元平行六面体形状であり、長さ、幅、および厚さを有し、
前記第1外側パネルおよび前記第2外側パネルはそれぞれ、前記長さと前記幅とによって定義されるそれぞれの平面上に配置され、前記長さおよび前記幅は前記厚さより大きい請求項1に記載の衝撃吸収容器。
【請求項15】
前記第1泡沫パネルは、前記第2泡沫パネルに接続されている請求項1に記載の衝撃吸収容器。
【請求項16】
生体流体の凍結袋を保管または輸送するための衝撃吸収容器であって、
内部容積を画定し、生体流体の袋を前記内部容積に挿入または前記内部容積から取り出すための閉鎖可能開口部を有する外側ケースであって、前記外側ケースは開位置および閉位置を有し、前記外側ケースは前記閉位置において長さ、幅、および厚さを有し、前記長さおよび前記幅は前記厚さより大きく、前記閉鎖可能開口部は前記厚さより大きく開くように構成される前記外側ケースと、
前記内部容積の少なくとも2つの対向する周辺側面上に設けられた泡沫ダンパーと、を備えている衝撃吸収容器。
【請求項17】
前記泡沫ダンパーは網状である請求項16に記載の衝撃吸収容器。
【請求項18】
前記泡沫ダンパーは、内部に面する表面を有し、
前記衝撃吸収容器は、前記内部に面する表面に隣接するライナーをさらに備える請求項16に記載の衝撃吸収容器。
【請求項19】
前記ライナーは、前記泡沫ダンパーを挿入または除去するための密閉可能開口部を含む請求項18に記載の衝撃吸収容器。
【請求項20】
前記泡沫ダンパーは、内部に面する表面を有し、
前記衝撃吸収容器は、前記内部に面する表面に隣接する液体吸収層をさらに備える請求項16に記載の衝撃吸収容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体材料の保存および輸送の分野に関し、より詳細には、凍結保存された生体材料を保護するための衝撃吸収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
(関連技術の説明)
医薬品、ワクチン、細胞、及び遺伝子治療、並びに人工組織製品を含む殆ど又は全ての生物由来の材料は、生存の確保、生体外保存期間中の回復、および生体外保存期間後の通常の生物学的状態への復帰を試みるために、様々な期間の低温保存の対象となる。現在の方法は、様々な断熱輸送容器と様々な処方の生物保存媒体を展開している。例えば、血液または他の生体流体を保管および輸送する1つの方法は、変形可能な熱可塑性樹脂製の袋に流体を包含し、それから、硬い、典型的には金属製のカセットに配置されることを含む。カセットは、袋を保護するだけでなく、低温の冷凍庫にプラスチック袋を整理して保管する機能を提供する。典型的には、カセットは、生体流体を均一に広げ、凍結および/または解凍の均一な速度を促進するために、最小限の余分なスペースでプラスチック袋を保持する大きさになっている。
【0003】
保管容器の材料や生体材料を含む一部の材料を低温(例:摂氏-196度以下)まで凍結させると、材料が脆くなり、輸送中に通常遭遇する衝撃による損傷を受けやすくなる可能性がある。上記の例で述べたように、生体流体を包含している熱可塑性樹脂の袋は、凍結すると脆くなる可能性がある。生体流体の熱可塑性樹脂の袋を包含している上記の複数の冷凍カセットは、輸送中に低温を維持するためにドライベイパーシッパー内に固定することができる。ドライベイパーシッパーが受ける衝撃および振動は、複数のカセットと内部のプラスチック袋とに伝わり、プラスチック袋の1つまたは複数が破損し、生体流体が壊滅的に失われる可能性がある。細胞治療および遺伝子治療の製品の場合、失われた流体は、非常に高額な費用をかけて1人の患者のために作られた救命材料であった可能性がある。
【発明の概要】
【0004】
衝撃吸収容器は、そうでなければ低温で保管および/または輸送されている材料やその中に包含された生体材料が損傷する原因となる物理的な力を吸収、緩和、または減衰させることによって、低温で凍結された生体材料を保護する。
【0005】
一実施形態では、低温で凍結された生体材料を保護するための衝撃吸収容器は、第1外側パネルおよび第2外側パネルを含み、前記第1外側パネルおよび前記第2外側パネルは、閉位置と開位置との間で互いに相対的に移動可能であり、前記第1外側パネルおよび前記第2外側パネルは、互いに略平行であり、前記閉位置において収納空間を画定し、前記第1外側パネルは、前記収納空間に面した第1側面を有し、前記第2外側パネルは、前記収納空間に面した第1側面を有し、前記第1外側パネルおよび前記第2外側パネルを前記開位置に移動させると前記収納空間にアクセスする開口部が形成または拡大される外側ケースと、前記第1外側パネルの第1側面上に設けられた第1泡沫パネルと、前記第2外側パネルの第1側面上に設けられた第2泡沫パネルと、を含む。
【0006】
別の実施形態では、生体流体の凍結袋を保管または輸送するための衝撃吸収容器は、内部容積を画定し、生体流体の袋を前記内部容積に挿入または前記内部容積から取り出すための閉鎖可能開口部を有する外側ケースであって、前記外側ケースは開位置および閉位置を有し、前記外側ケースは前記閉位置において長さ、幅、および厚さを有し、前記長さおよび前記幅は前記厚さより大きく、前記閉鎖可能開口部は前記厚さより大きく開くように構成される前記外側ケースと、前記内部容積の少なくとも2つの対向する周辺側面上に設けられた泡沫ダンパーと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、一実施形態に係る閉位置にある衝撃吸収容器の等角図を示す。
図2図2は、開位置にある図1の衝撃吸収容器の等角図を示す。
図3図3は、追加的に生体流体の袋を包含している図1の衝撃吸収容器の断面図を示す。
図4図4は、泡沫材料の構造の単層を示す。
図5図5は、一実施形態に係る泡沫パネルを示す。
図6図6は、一実施形態に係る泡沫パネルを示す。
図7図7は、一実施形態に係る衝撃吸収容器の断面図を示す。
図8図8は、密閉可能開口部を有する内側ライナーを示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の説明では、その一部を形成する添付図面が参照され、図面には、本教示が実施され得る特定の例示的な実施形態が例示として示されている。これらの実施形態は、当業者が本教示を実施できるように十分に詳細に記述されており、本教示の範囲から逸脱することなく、他の実施形態を利用してもよく、変更を加えてもよいことが理解されよう。従って、以下の説明は単なる例示に過ぎない。
【0009】
本明細書で使用される用語は、特定の例示的な実施形態を説明することのみを目的としており、限定することを意図するものではない。本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明らかにそうでないことを示さない限り、複数形も含むことを意図し得る。用語「備える」、「備えている」、「含む」、および「有する」は包括的であり、したがって、記載された特徴、整数、ステップ、動作、要素、および/またはコンポーネントの存在を特定するが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、コンポーネント、および/またはそれらのグループの存在または追加を排除するものではない。本明細書に記述された方法ステップ、プロセス、および動作は、実行順序として具体的に特定されない限り、論じられ又は図示された特定の順序でそれらの実行を必ずしも必要とするものと解釈されるものではない。追加の又は代替のステップを採用してもよいことも理解されたい。
【0010】
ある要素または層が、別の要素または層に対して「上に」、「係合する」、「接続される」、または「結合される」と言及される場合、それは、他の要素または層に対して直接に、係合、接続、または結合されてもよく、または介在する要素または層が存在してもよい。対照的に、ある要素が別の要素または層に「直接」、「直接係合」、「直接接続」、「直接結合」されていると言及される場合、介在する要素または層が存在しなくてもよい。要素間の関係を記述するために使用される他の言葉は、同様に解釈されるべきである(例えば、「間」と「直接の間」、「隣接する」と「直接隣接する」など)。本明細書で使用される場合、用語「および/または」は、関連する列挙された項目の1つまたは複数の任意のおよび全ての組合せを含む。
【0011】
図に示すようにある要素または特徴と別の要素または特徴との関係を記述するために、「内側」、「外側」、「下に」、「下の」、「低」、「上に」、「上の」などのような空間的に相対的な用語が、説明を容易にするために本明細書で使用される場合がある。空間的に相対的な用語は、図に描かれた方向以外に、使用時または動作時の装置の異なる方向を含むことを意図している場合がある。例えば、図中の装置を裏返すと、他の要素または特徴の「下」または「下方」と記述された要素は、他の要素または特徴の「上」に向きを変えることになる。したがって、例示的な用語「下」は、上と下の両方の方向を含むことができる。装置は、他の方向(90度回転または他の方向)に向けられてもよく、本明細書で使用される空間的に相対的な記述は、それに応じて解釈される。
【0012】
「弾性変形」という用語は、材料の寸法の可逆的変化であると理解され、材料に力が加えられていないときには材料は第1の寸法のセットを持ち、材料に力が加えられると材料は第2の寸法のセットに移行し、力が加わらなくなったときには材料は元の寸法のセットに戻る。そのような変形は、空間的寸法の変化およびその組み合わせ(例えば、体積、断面形状、および直径の変化)を含むが、これらに限定されず、張力下での圧縮および/または伸張を含むがこれらに限定されない力から生じる可能性がある。
【0013】
上述したように、衝撃吸収容器は、そうでなければ低温で保管および/または輸送されている材料やその中の生体材料容器が損傷する原因となる物理的な力を吸収、緩和、または減衰させることによって、低温で凍結された生体材料を保護する。図1は、一実施形態に係る閉位置にある衝撃吸収容器10の等角図を示す。図2は、開位置にある衝撃吸収容器10の等角図を示す。図3は、追加的に生体流体の袋11を包含している衝撃吸収容器10の断面図を示す。図1図2、および図3を参照すると、衝撃吸収容器10は、生体材料を保管するための内部容積14または収納空間を画定する外側ケース12を含む。例えば、生体流体の袋11(図3参照)は、衝撃吸収容器10が開位置にあるときに内部容積14を占めるように配置され、衝撃吸収容器10が閉位置にあるときに内部容積14に包含されて保護されることが可能である。外側ケース12は、多くの金属またはプラスチックのように、剛性、硬度、および耐久性を有し得る。
【0014】
外側ケース12は、様々な生体材料または生体材料容器の収容に対応するために、様々な形状にすることができる。描かれた実施形態は、閉位置において、長さL、幅W、厚さTの三次元平行六面体のような形状をしている。描かれた実施形態では、長さLおよび幅Wは、厚さTよりも大きい。長さL、幅W、および厚さTのそれぞれの値は、内部容積14内に包含される生体材料および/または生体材料容器に応じて変化し得る。
【0015】
外側ケース12は、閉位置で略平行になることができる第1パネル16および第2パネル18を含んでいてもよく、および/またはそれぞれが内部容積14に面するそれぞれの内側側面22、24を含んでいてもよい。「略平行」とは、平行から10度以内の任意の度数、例えば、プラスマイナス0.1度、プラスマイナス1度、プラスマイナス2度、プラスマイナス2.5度、プラスマイナス5度などを意味していてもよい。第1パネル16および第2パネル18は、開口部20を形成するために、閉位置と開位置との間で互いに相対的に移動可能である。第1パネル16と第2パネル18の相対移動は、第1パネル16が第2パネル18に回動可能に接続される回動ジョイント26によって、または他の現在知られている又は将来開発される手段によって実現することができる。いくつかの実施形態では、例えば、第1パネル16は、第2パネル18から完全に分離することができる。第1パネル16および第2パネル18は、生体材料、または生体材料容器(図示せず)を内部容積14の中に入れたり取り出したりできるように、必要に応じて、開口部20を拡大するように移動させることが可能である。いくつかの実施形態では、開口部20は、少なくとも厚さTよりも大きい量を開くように構成されている。生体流体の袋の場合、開口部20は袋を平らに置くのに十分な大きさに開くことが有益である。
【0016】
外側ケース12は、第1パネル16に回動可能に取り付けられた留め具27などの固定要素を含んでいてもよい。留め具27は、第1パネル16および第2パネル18を閉位置に保持するための締結位置と、第1パネル16および第2パネル18を開位置に移動させることを可能にする非締結位置とに回動可能である。他の現在知られている、あるいは将来開発される締結手段またはロック手段も同様に利用することができる。
【0017】
また、衝撃吸収容器10は、第1パネル16の内側側面22上に設けられた第1泡沫パネル28と、第2パネル18の内側側面24上に設けられた第2泡沫パネル30とを含む。本明細書で以下にさらに説明するように、第1泡沫パネル28および第2泡沫パネル30は、衝撃吸収容器10に加えられた物理的な力を吸収、消散、または減衰させるダンパー、すなわち衝撃吸収体である。そうでなければ、物理的な力は、生体材料容器(図示せず)および/またはそこに包含される生体材料に伝達されるであろう。図4は、第1泡沫パネル28および第2泡沫パネル30の作製に使用することができる泡沫材料32の構造の単層を示す。図4に示すように、第1泡沫パネル28および第2泡沫パネル30の泡沫は、線状の境界またはエッジ38によって分けられた多面体セル窓または面36を有する気泡またはセル34を有することができる。泡沫の密度は、1インチ当たりの孔数(「PPI」)で測定することができる。一実施形態において、第1泡沫パネル28および第2泡沫パネル30は、10~40PPI(1センチメートル当たり約3.94~15.75個の孔)の範囲内の密度を有する。
【0018】
いくつかの実施形態では、第1泡沫パネル28および第2泡沫パネル30の泡沫は、網状の泡沫であり得るか、または網状の泡沫を含み得る。網状の泡沫は、非常に多孔質で低密度の固体の泡沫である。網状の泡沫は、無傷のセル(気泡)34または多面体セル窓(面)36を、たとえあったとしても、ほとんど有していない。網状の泡沫では、セル窓36が接する線状の境界(エッジ)38のみが残り、多面体のセル窓36は欠落している。網状の泡沫の固体成分は、ポリウレタンのような有機ポリマー、セラミック、金属などであり得る。
【0019】
雰囲気温度では、泡沫パネル28、30は柔軟で変形可能であり得、その場合、泡沫パネル28、30は、低温で凍結された生体材料または低温で凍結された生体材料の容器(図3の生体流体の袋11など)の周りに順応することができる。衝撃吸収容器10の使用中、低温で凍結された生体材料および/または低温で凍結された生体材料の容器は、外側ケース12の開口部20を通って内部容積14の中に迅速に配置される。泡沫パネル28、30は、未凍結であるか又は雰囲気温度では、生体材料容器(図3の生体流体の袋11など)の形状に変形することができ、泡沫パネル28、30が急速に低温凍結することにより、急速に硬くなることができる。泡沫パネル28、30の温度が摂氏0度などの特定の温度を下回ると、材料は硬くなる。硬い材料は脆さを増している。網状泡沫の低密度構造では、さらに脆くなる。凍結した脆い状態では、泡沫パネル28、30は、衝撃または振動中に、気泡面36での、または網状泡沫の場合は気泡のエッジ38での小さな破砕に耐える。これらの破砕は、衝撃または振動の力を吸収または減衰させ、それによって、内部容積14内の生体材料容器および/またはその中の生体材料への力の伝達を減衰または排除する。一般に、非網状の泡沫の面36は、単なる網状の泡沫のエッジ38よりも破断する前に大きな力に耐えることができる。したがって、網状の泡沫はより低い力の衝撃吸収を提供することができ、非網状の泡沫はより高い力の衝撃吸収を提供することができる。
【0020】
図2および図3を参照すると、内部容積14の両側にある泡沫パネル28、30は、生体材料容器の全側面上で衝撃保護および吸収を提供するために、生体材料容器(例えば、図3の生体流体の袋11)の幅および長さよりも大きい幅W1および長さL1を有するサイズにすることができるが、泡沫パネル28、30は、生体材料容器よりも短い幅W1および/または長さL1を有することも可能である。さらに、泡沫パネル28、30は、外側ケース12によって外側に拡張または移動する能力を抑制されているため、泡沫パネルに対する生体材料容器の移動を減少または防止するのに十分な力で生体材料容器に対して内側に押すための厚さT1の大きさとすることができる。さらに、泡沫パネル28、30の幅W1および/または長さL1が、図3に示すように、内部容積14に包含された生体材料容器または生体材料の幅または長さよりも大きい場合、泡沫パネル28、30による生体材料容器または生体材料への圧縮の結果として、生体材料容器または生体材料は泡沫パネルの厚さT1内に圧入され、窪んでいない余分な幅W1または長さL1は、生体材料パネルまたは生体材料が長さL1および幅W1によって定義される平面内で内部空洞14外へ滑り落ちないように保持する。
【0021】
図3に描かれているように、内部容積14に生体流体が包含されている場合、泡沫パネル28、30による圧縮は、生体流体の均一な厚さを容易にし、解凍工程中における生体流体の均一な解凍がさらに容易となる。
【0022】
泡沫パネル28、30の厚さT1は、内部空洞14内に様々な大きさの生体材料容器または生体材料を保管する能力を有しながら、外側ケース12の標準または均一な寸法を維持するために必要に応じて所定の値とすることができる。言い換えると、外側ケース12の大きさを標準化することができ、泡沫パネル28、30の大きさ(主に厚さT1)を変化させて、様々な大きさの生体材料容器または生体材料を内部空洞14内に収容することができる。
【0023】
図5は、第1泡沫パネル28が第3泡沫パネル54によって第2泡沫パネル30に接続されている泡沫パネルの実施形態を示す。図6に示すように、第1泡沫パネル28および/または第2泡沫パネル30を直接接続することもできる。図1および図2に示す外側ケース12の実施形態では、第3泡沫パネル54、および/または第1泡沫パネル28と第2泡沫パネル28との接続部は、ジョイント26に隣接して配置されることが意図されている。
【0024】
さらに、衝撃吸収容器10は、内側ライナーおよび/または液体吸収ライナーを含んでいてもよい。図7は、図1~3と同様に外側ケース12と泡沫パネル28、30とを含み、さらに第1内側ライナー66、第2内側ライナー68、第1液体吸収ライナー70、および第2液体吸収ライナー72を含む衝撃吸収容器60の断面を示す。内側ライナー66、68は、内部空洞14内にあり、それぞれ、泡沫パネル28、30のそれぞれの1つを外側ケース12に対して所定の位置に保持するように構成されている。図示の実施形態では、内側ライナー66、68はそれぞれ、外側ケース12と一体化されるか、または外側ケース12に固定され、泡沫パネル28、30のそれぞれの1つを囲むポケットまたはポーチを形成している。いくつかの実施形態では、各内側ライナー66、68は、外側ケース12に取り付けられず、代わりにそれぞれの泡沫パネル28、30の4つの側面の周りを包み込み、それぞれの泡沫パネル28、30と泡沫パネル28、30のそれぞれの内側表面22、24との間に延びている。いくつかの実施形態では、内側ライナー66、68は、泡沫パネル28、30のそれぞれの1つを完全に囲むが、他の実施形態では、内側ライナー66、68はそれぞれ、泡沫パネル28、30のそれぞれの1つのある量を囲み、それぞれの泡沫パネル28、30を単に外側ケース12に対しての位置に保持するだけである。内側ライナー66、68はまた、泡沫パネル28、30の破損したエッジを保持して、破損したエッジを寄せ集め、泡沫の破片が生体材料容器(例えば、図3に示す生体流体の袋)を覆うことを減少または防止することができる。より開いた内側ライナー66、68は、泡沫パネル28、30の取り外し及び交換を容易にし、衝撃吸収容器60の再使用を容易にすることができる。より囲んだ内側ライナー66、68は、破損した破片のより良い収集と保持を容易にすることができる。いくつかの実施形態では、各内側ライナー66、68は、泡沫パネル28、30のそれぞれの1つを完全に囲むことができる。これらの実施形態のいくつかでは、内側ライナー66、68はそれぞれ、泡沫パネル28、30の完全な囲い込みを可能にする一方で、泡沫パネル28、30の取り外し及び交換も可能にする密封可能または再密封可能な開口部を含んでいてもよい。図8は、密封可能な開口部72を有する内側ライナー70を示し、この実施形態では、ジッパー74で開閉されるが、現在知られている又は将来開発される任意の開閉機構が利用され得る。内側ライナー70は、泡沫パネル28、30のいずれか一方を完全に囲むことができる。
【0025】
図7の液体吸収ライナー70、72は、泡沫パネル28、30のそれぞれの1つの内表面に隣接して、それぞれの泡沫パネル28、30と内側ライナー66、68のそれぞれの1つとの間に配置される。このように、液体吸収ライナー70、72は、泡沫パネル28、30とともに、内側ライナー66のそれぞれの1つによって所定の位置に保持される。液体吸収ライナー70、72は、液体を吸収して保持するのに適した任意の材料とすることができる。液体吸収ライナー70、72は、いくつかの実施形態において、少なくとも部分的に、感染性物質の出荷のための規制要件を満たすため又はヒト検体を免除するために含まれる。いくつかの実施形態では、液体吸収ライナー70、72は、生体材料容器(例えば、図3に示す生体流体の袋)内に包含される液体の容量を完全に吸収するのに十分な体積および吸収能力を有するように構成されている。図3に示す生体流体の袋は、例えば、25mLから250mLを包含できるが、生体材料容器は任意の所望の容量を有することができ、液体吸収ライナー70、72、泡沫パネル28、30、内側ライナー66、68、および外側ケース12は、全てそれに応じた大きさとすることができる。いくつかの実施形態では、液体吸収ライナー70、72として、1つ以上のペーパータオルで十分であり得る。内側ライナー66、68によって画定されるポケットまたはポーチの外の液体が液体吸収ライナー70、72に到達できるように、内側ライナー66、68は、液体水または液体窒素などの液体を通すのに十分な多孔性を有する親水性材料で構成することが可能である。例えば、軽量で不織布のポリエステルが適している。
【0026】
本明細書に記載された本発明の実施形態は、本発明の原理の適用を単に例示するものであることを理解されたい。本明細書において説明された実施形態の詳細への言及は、それ自体が本発明の本質とみなされる特徴を列挙している特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】