(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-24
(54)【発明の名称】摩擦プレート群および回転ダンパ
(51)【国際特許分類】
F16D 13/26 20060101AFI20230517BHJP
F16F 7/06 20060101ALI20230517BHJP
【FI】
F16D13/26
F16F7/06
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022540602
(86)(22)【出願日】2020-02-18
(85)【翻訳文提出日】2022-06-29
(86)【国際出願番号】 CN2020075682
(87)【国際公開番号】W WO2021138967
(87)【国際公開日】2021-07-15
(31)【優先権主張番号】202010013698.6
(32)【優先日】2020-01-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520258297
【氏名又は名称】太倉▲カ▼蘭平汽車零部件有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】呉敏
【テーマコード(参考)】
3J056
3J066
【Fターム(参考)】
3J056AA31
3J056AA37
3J056AA59
3J056BB31
3J056CA04
3J056CC14
3J056CC33
3J056GA12
3J066AA03
3J066CA03
3J066CB07
(57)【要約】
本発明は、摩擦プレート群および回転ダンパに関する。摩擦プレート群は、調整可能な軸方向高さを有するように配置される。本発明における摩擦プレート群は、軸方向高さが可変であり、前後回転中に高さが異なり、従って、前後回転中に第1受動摩擦プレートと第2受動摩擦プレートとで摩擦力が異なるので、異なる減衰を生じさせることができる。このような回転ダンパをトランクテールゲートに使用すると、モータの前後回転時の負荷が異なるため、モータの性能に対する要求が低くなり、コストを低減できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
摩擦プレート群が、調整可能な軸方向高さを有するように配置されていることを特徴とする摩擦プレート群。
【請求項2】
前記摩擦プレート群は、前後に回転可能に配置され、前記摩擦プレート群は、選択された角度だけ回転される前と後で異なる高さを有するように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の摩擦プレート群。
【請求項3】
前記摩擦プレート群は、第1摩擦プレートと第2摩擦プレートとを含み、前記第1摩擦プレートと前記第2摩擦プレートとは、軸方向に配置され、前記第1摩擦プレートと前記第2摩擦プレートとは、相対的に回転可能であり、選択された角度だけの相対的な回転の前と後で異なる高さを有するように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の摩擦プレート群。
【請求項4】
前記第1摩擦プレートと前記第2摩擦プレートとの相対的な回転中に、前記第1摩擦プレートと前記第2摩擦プレートとが互いに当接し、かつ、前記第1摩擦プレートと前記第2摩擦プレートとが互いに軸方向に相対的に移動するように配置されていることを特徴とする請求項3に記載の摩擦プレート群。
【請求項5】
前記第1摩擦プレートおよび前記第2摩擦プレートの少なくとも一方は、前後に回転可能に配置されており、前記第1摩擦プレートおよび前記第2摩擦プレートの少なくとも一方が前方に回転し、後方に回転可能な場合には、前記摩擦プレート群が異なる軸方向高さを有するように配置されていることを特徴とする請求項3に記載の摩擦プレート群。
【請求項6】
前記第1摩擦プレートは第1摩擦プレート本体を含み、前記第2摩擦プレートは第2摩擦プレート本体を含み、前記第1摩擦プレートと前記第2摩擦プレートとの相対的な回転中に、前記第1摩擦プレートと前記第2摩擦プレートとが互いに当接し、前記第1摩擦プレート本体と前記第2摩擦プレート本体とが互いに軸方向に相対的に移動するように配置されていることを特徴とする請求項3に記載の摩擦プレート群。
【請求項7】
前記第1摩擦プレートは第1当接面を有し、前記第2摩擦プレートは第2当接面を有し、前記第1当接面は前記第2当接面と接触し、前記第1当接面および前記第2当接面の少なくとも一方は周方向に変化する高さを有することを特徴とする請求項3に記載の摩擦プレート群。
【請求項8】
前記第1摩擦プレートは、第1摩擦プレート本体と第1当接面とを含み、前記第1当接面は、前記第1摩擦プレート本体から少なくとも一部が軸方向に突出し、前記第1当接面は、前記第1摩擦プレート本体から軸方向に異なる高さだけ突出した少なくとも2箇所を有することを特徴とする請求項7に記載の摩擦プレート群。
【請求項9】
前記第1当接面は前記周方向に平滑に延びていることを特徴とする請求項8に記載の摩擦プレート群。
【請求項10】
前記第1当接面は前記周方向に傾斜面であることを特徴とする請求項8に記載の摩擦プレート群。
【請求項11】
前記第1摩擦プレート本体には、さらに、少なくとも2つの第1バンプが設けられており、前記第1バンプの2つが、前記周方向で前記第1当接面の2面に配置され、前記第1バンプは、前記第1摩擦プレート本体および前記第1当接面から軸方向に突出していることを特徴とする請求項7に記載の摩擦プレート群。
【請求項12】
前記第2摩擦プレートは、第2摩擦プレート本体を備え、前記第2摩擦プレート本体には、第2バンプが設けられ、前記第2バンプは、前記第2摩擦プレート本体から軸方向に突出しており、前記第2バンプのそれぞれの一端の端面は、前記第2当接面であり、前記第2バンプのそれぞれは、2つの第1バンプの間に位置し、前記第1バンプは、前記第1摩擦プレート本体と前記第2摩擦プレート本体とが同期回転するように、前記周方向に前記第2バンプをブロックすることを特徴とする請求項11に記載の摩擦プレート群。
【請求項13】
前記第1当接面は前記周方向に複数設けられ、前記第2当接面は複数設けられ、第2当接面の各々は前記第1当接面の一つと協働することを特徴とする請求項7に記載の摩擦プレート群。
【請求項14】
前記摩擦プレート群は、前記第1摩擦プレートと前記第2摩擦プレートとの相対的な回転角を制限する制限構造をさらに有することを特徴とする請求項3から請求項7のいずれか一項に記載の摩擦プレート群。
【請求項15】
前記制限構造は、第1バンプと第2バンプとを備え、前記第1バンプの数は、周方向に間隔を置いて配置され2つ以上であり、前記第2バンプは、前記第1バンプの2つの間に挟まれ、前記第1バンプの2つの間で前記周方向に移動可能であり、前記第1バンプの2つは、前記第2バンプの前記回転角を制限するために、前記第2バンプをブロックし、前記第1バンプおよび前記第2バンプの一方は、前記第1摩擦プレートに配置され、他方は、前記第2摩擦プレートに配置されることを特徴とする請求項1に記載の摩擦プレート群。
【請求項16】
前記第1摩擦プレートおよび前記第2摩擦プレートの一方には段差が設けられ、他方は前記段差の上方に嵌合されることを特徴とする請求項1に記載の摩擦プレート群。
【請求項17】
前記第2摩擦プレートは、第2摩擦プレート本体と前記段差を含み、前記段差は、前記第1摩擦プレート本体から軸方向に突出し、前記第1摩擦プレートは、前記第1摩擦プレート本体と前記段差を貫通する第2貫通孔が設けられることを特徴とする請求項16に記載の摩擦プレート群。
【請求項18】
前記段差には内歯が設けられており、前記内歯は、駆動軸と協働して前記第1摩擦プレートを前記駆動軸に連結するために用いられることを特徴とする請求項17に記載の摩擦プレート群。
【請求項19】
請求項1~18のいずれか1項に記載の摩擦プレート群と、
第1受動摩擦プレートと第2受動摩擦プレートと、を備え、
軸方向において、前記第1受動摩擦プレートと前記第2受動摩擦プレートは、それぞれ、前記摩擦プレートの2つの面に配置され、前記第1受動摩擦プレートは、前記第1摩擦プレートと接触し、前記第2受動摩擦プレートは、前記第2摩擦プレートと接触する回転ダンパ。
【請求項20】
ハウジングと、弾性要素と、固定リングとをさらに備え、前記ハウジングは、管状の空洞部を備え、前記弾性要素と前記第2受動摩擦プレートと前記摩擦プレートと前記第1受動摩擦プレートと前記固定リングは、前記管状の空洞部の内側に軸方向に順次配置され、前記固定リングは、前記ハウジングに接続され、前記弾性要素と前記第1受動摩擦プレートと前記摩擦プレートと前記第2受動摩擦プレートを、前記管状の空洞部の内側に制限することを特徴とする請求項19に記載の回転ダンパ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、摩擦プレート群および回転ダンパに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、電気テールゲート技術は、既存の乗用車、特にSUVやMPVモデルのトランクテールゲートの最新技術である。運転者又は乗客は、テールゲートを開閉する装置を制御するために、車両のテールゲートのオンオフボタンを押すか、車両のキーを遠隔制御するか、又はテールゲートの対応する領域にある手又は任意の物体による検知操作を行うことができる。電動テールゲートにはインテリジェントな挟み込み防止、ハイトメモリなどの機能もある。電動テールゲートは、便利な操作性、強い実用性などの利点により、レンジローバーエボク、レンジローバーシリーズ、フォードクーガ、ボルボXC70など、Cクラスの高級車やBクラス車に幅広く採用されている。
【0003】
電気テールゲートの主要な機能を実現するために、ピンチ防止ストリップ、自動吸引ロック、ECU及び電動ポールを設ける必要がある。電動ポールの往復運動をECUで制御し、自動吸引ロックのアシストと組み合わせることで、電動テールゲートの安定した緩やかな開閉を実現している。さらに、トランクテールゲートは、ドアを手動で閉じたとき、どのような開口角度でもホバリングできることが要求されるため、電動ポールにも高い要求が投入される。既存の技術は、一般に、システムの抵抗およびゲートの重力を克服するために、電動ポール内の電気モータのみに依存している。しかし、実際の用途では、電動モータはテールゲートを任意の角度、特に斜面、積雪荷重等でホバリングできることを保証できない。あるいは、システムに油圧ダンパを付加的に設けるが、油圧ダンパのダンピング効果は、周囲温度の変化に影響され、テールゲートのホバリングに影響を及ぼす。油圧ダンパの液密性は保証が難しく、油漏れが発生すると、システムの安定性に影響を及ぼす。油圧ダンパは、製造コストが高く、大量生産を達成するのが難しい。
【0004】
従来技術では、テールゲートのホバリングを実現するために回転ダンパが設けられているが、既存の回転ダンパは、次のような技術的課題を有している。すなわち、テールゲートのホバリングを任意の角度で実現するための自動車の電動テールゲートのポール内のダンパは、前進及び後退の回転中に実質的に同一の減衰値を生じ、その結果、電気モータは、開閉中にテールゲートを駆動するときに一方向に比較的大きな負荷を有する。電気モータの大きな負荷は、電気モータに高い要求を与える。また、いくつかの特別な部品を使用する必要がある。実際の使用においては、開閉時にトランクテールゲートを駆動する際に、電動モータが同じ負荷を持つ必要はない。したがって、既存の回転ダンパは、トランクテールゲートの開閉時にモータに同じ負荷を与え、無駄になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的の1つは、従来技術における欠点を克服するために、前後回転において異なる減衰値を有する摩擦プレート群と回転ダンパとを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するために、以下の技術な的解決手段によって実施される。
前記摩擦プレート群が、調整可能な軸方向高さを有するように配置されていることを特徴とする摩擦プレート群。
【0007】
本発明の一実施形態によれば、摩擦プレート群は、前後に回転可能に配置され、摩擦プレート群は、選択された角度だけ回転される前と後で異なる高さを有するように配置される。
【0008】
本発明の一実施形態によれば、第1摩擦プレートと第2摩擦プレートとを含み、第1摩擦プレートと第2摩擦プレートとは、軸方向に配置され、第1摩擦プレートと第2摩擦プレートとは、相対的に回転可能であり、選択された角度だけの相対的な回転の前と後で異なる高さを有するように配置されている。
【0009】
本発明の一実施の形態によれば、第1摩擦プレートと第2摩擦プレートとの相対的な回転中に、第1摩擦プレートと第2摩擦プレートとが互いに当接し、かつ、第1摩擦プレートと第2摩擦プレートとが互いに軸方向に相対的に移動するように配置されている。
【0010】
本発明の一実施形態によれば、第1の摩擦プレートおよび第2の摩擦プレートの少なくとも一方は、前後に回転可能に配置されており、第1の摩擦プレートおよび第2の摩擦プレートの少なくとも一方が前方に回転し、後方に回転可能な場合には、摩擦プレート群が異なる軸方向高さ軸高を有するように2つの摩擦プレート群が相互に作用するように配置されている。
【0011】
本発明の一実施形態によれば、第1摩擦プレートは第1摩擦プレート本体を含み、第2摩擦プレートは第2摩擦プレート本体を含み、第1摩擦プレートと第2摩擦プレートとの相対的な回転中に、第1摩擦プレートと第2摩擦プレートとが互いに当接し、第1摩擦プレート本体と第2摩擦プレート本体とが互いに軸方向に相対的に移動するように配置されている。
【0012】
本発明の一実施形態によれば、第1摩擦プレートは第1当接面を有し、第2摩擦プレートは第2当接面を有し、第1当接面は第2当接面と接触し、第1当接面および第2当接面の少なくとも一方は周方向に変化する高さを有する。
【0013】
本発明の一実施形態によれば、第1摩擦プレートは、第1摩擦プレート本体と第1当接面とを含み、第1当接面は、第1摩擦プレート本体から少なくとも一部が軸方向に突出し、第1当接面は、第1摩擦プレート本体から軸方向に異なる高さだけ突出した少なくとも2箇所を有する。
【0014】
本発明の一実施形態によれば、第1当接面は、第1摩擦プレート本体から周方向に徐々に突出する。
【0015】
本発明の一実施形態によれば、第1当接面は周方向に平滑に延びている。
【0016】
本発明の一実施形態によれば、第1当接面は、周方向の傾斜面である。
【0017】
本発明の一実施形態によれば、第1摩擦プレート本体には、第1摩擦プレート本体を軸方向に貫通する第1の貫通孔が設けられており、第1貫通孔の片側には第1バンプおよび第1当接面が放射状に配置されている。
【0018】
本発明の一実施形態によれば、第1摩擦プレート本体には、さらに、少なくとも2つの第1バンプが設けられており、第1バンプの2つが、周方向で第1当接面の2面に配置され、第1バンプは、第1摩擦プレート本体および第1当接面から軸方向に突出している。
【0019】
本発明の一実施形態によれば、第2摩擦プレートは、第2摩擦プレート本体を備え、第2摩擦プレート本体には、第2バンプが設けられ、第2バンプは、第2摩擦プレート本体から軸方向に突出しており、第2バンプのそれぞれの一端の端面は、第2当接面であり、第2バンプのそれぞれは、2つの第1バンプの間に位置し、第1バンプは、第1摩擦プレート本体と第2摩擦プレート本体とが同期回転するように、周方向に第2バンプをブロックする。
【0020】
本発明の一実施形態によれば、第1当接面は周方向に複数設けられ、第2当接面は複数設けられ、第2当接面の各々は第1当接面の一つと協働する。
【0021】
本発明の一実施形態によれば、摩擦プレート群は、第1摩擦プレートと第2摩擦プレートとの相対的な回転角を制限する制限構造をさらに有する。
【0022】
本発明の一実施の形態によれば、制限構造は、第1バンプと第2バンプとを備え、第1バンプの数は、周方向に間隔を置いて配置され2つ以上であり、第2バンプは、第1バンプの2つの間に挟まれ、第1バンプの2つの間で周方向に移動可能であり、第1バンプの2つは、第2バンプの回転角を制限するために、第2バンプをブロックし、第1バンプおよび第2バンプの一方は、第1摩擦プレートに配置され、他方は、第2摩擦プレートに配置される。
【0023】
本発明の一実施の形態によれば、第1摩擦プレートおよび第2摩擦プレートの一方には段差が設けられ、他方は段差の上方に嵌合される。
【0024】
本発明の一実施形態によれば、第2摩擦プレートは、第2摩擦プレート本体と段差を含み、段差は、第1摩擦プレート本体から軸方向に突出し、第1摩擦プレートは、第1摩擦プレート本体と段差を貫通する第2貫通孔が設けられる。
【0025】
本発明の一実施形態によれば、段差には内歯が設けられており、内歯は、駆動軸と協働して第1摩擦プレートを駆動軸に連結するために用いられる。摩擦プレート群と、第1受動摩擦プレートと第2受動摩擦プレートと、を備え、軸方向において、第1受動摩擦プレートと第2受動摩擦プレートは、それぞれ、摩擦プレートの2つの面に配置され、第1受動摩擦プレートは、第1摩擦プレートと接触し、第2受動摩擦プレートは、第2摩擦プレートと接触する。
【0026】
本発明の一実施形態によれば、回転ダンパは、ハウジングと、弾性要素と、固定リングとをさらに備え、ハウジングは、管状の空洞部を備え、弾性要素と第2受動摩擦プレートと摩擦プレートと第1受動摩擦プレートと固定リングは、管状の空洞部の内側に軸方向に順次配置され、固定リングは、ハウジングに接続され、弾性要素と第1受動摩擦プレートと摩擦プレートと第2受動摩擦プレートを、管状の空洞部の内側に制限する。
【0027】
本発明における摩擦プレート群は、軸方向高さが可変であり、前後回転中に高さが異なり、従って、前後回転中に第1受動摩擦プレートと第2受動摩擦プレートとで摩擦力が異なるので、異なる減衰を生じさせることができる。このような回転ダンパをトランクテールゲートに使用すると、モータの前後回転時の負荷が異なるため、モータの性能に対する要求が低くなり、コストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の実施例1の回転ダンパの構造と使用状態の概略図である。
【
図2】
図1の回転ダンパの構造と使用状態を別の角度から見た模式図である。
【
図3】本発明の実施例1の回転ダンパの構造と使用状態の分解図である。
【
図4】本発明の実施形態1の摩擦プレート群の構造の概略分解図である。
【
図5】
図4の摩擦プレート群の構造を別の角度から見た模式図である。
【
図6】本発明の実施例1の第1摩擦プレートの構造の概略図である。
【
図7】本発明の実施例1の第2摩擦プレートの構造の概略図である。
【
図8】本発明の実施例1の摩擦プレート群の異なる軸方向高さの比較の概略図である。
【
図9】本発明の実施例2の回転ダンパの構造の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
(実施形態1)
図1~
図3に示すように、回転ダンパ100は、ハウジング110と、弾性要素120と、第1受動摩擦プレート131と、摩擦プレート群140と、第2受動摩擦プレート132と、第2固定リング160とを備えている。ハウジング110は、円管の形状をしており、管状の空洞部111を備えている。ハウジング110にはガイドスロット112が設けられており、ガイドスロット112は軸方向に延びている。ガイドスロット112は、管状の空洞部111と連通している。複数のガイドスロット112は、周方向に設けられており、その具体的な数は、実際の条件に応じて決定することができる。図に示す例では、ガイドスロット112の数は5である。ハウジング110の内壁にはブロック壁113が設けられている。ブロック壁113はハウジング110の内壁から突出する。ブロック壁113は、弾性要素120をブロック、当接、支持するために使用される。ブロック壁113は、弾性要素120の構造に従って決定することができる。図示の例では、ブロック壁113は円形の形成で周方向に設けられており、ブロック壁113は円環状である。本実施の形態では、ハウジング110は、一体成形された部品である。
【0030】
図3に示すように、管状の空洞部111の内部には、第1固定リング170、弾性要素120、第1受動摩擦プレート131、摩擦プレート群140、第2受動摩擦プレート132、第2固定リング160が順次軸方向に配置されている。第1固定リング170及び第2固定リング160は、それぞれ最も外側の2つに配置されてハウジング110に固定的に連結されており、第1固定リング170及び第2固定リング160は、弾性要素120、第1受動摩擦プレート131、摩擦プレート群140及び第2受動摩擦プレート132を管状の空洞部111の内部で共に制限している。弾性要素120は、弾性力を提供するために管状の空洞部111の内側に配置される。弾性要素120は、波形ばね、円板ばね、円筒ばね、またはワイヤばねであってもよい。図に示す例では、弾性要素120は波形バネである。弾性要素120は、第2固定リング170に支持されている。第1受動摩擦プレート131および第2受動摩擦プレート132は、摩擦プレート群140の2つの軸方向両側に軸方向に配置され、それぞれ摩擦プレート群140と接触している。
【0031】
図4から
図8に示すように、摩擦プレート群140は、第1摩擦プレート141と第2摩擦プレート151とを含む。第1摩擦プレート141は、第1の摩擦プレート本体142と第1当接面143とを備える。第1摩擦プレート本体142は環状であり、第1貫通孔144を有する。第1当接面143は、第1貫通孔144の径方向側に配置される。第1当接面143は第1摩擦プレート本体142から軸方向に突出する。周方向において、第1当接面143は、第1摩擦プレート本体142から異なる高さだけ軸方向に突出する少なくとも2つの位置を有する。本発明の好ましい解によれば、第1当接面143は、周方向に徐々に変化するように配置される。より好ましくは、第1当接面143は周方向に平滑に延びる。図に示す例では、第1当接面143は、周方向の傾斜面である。本実施の形態では、第1当接面143は、周方向の各位置において異なる高さだけ第1摩擦プレート本体142から突出している。同図に示すように、第1摩擦プレート本体142から第1位置148が突出する高さは、第1摩擦プレート本体142から第2位置149が突出する高さよりも小さい。複数の第1当接面143が設けられ、複数の第1当接面143は周方向に離間している。第1当接面143は、第2当接面157と協働するために使用される。第1当接面143の特定の数は、第1摩擦プレート141と第2摩擦プレート151との安定した相対的な接続に応じて決定される。図に示す例では、3つの第1当接面143が設けられており、これらは周方向に離間している。第1摩擦プレート本体142には、少なくとも2つの第1バンプ146が設けられている。周方向において、第1当接面143のいずれかの側部には、1つの第1バンプ146が設けられている。第1バンプ146は、第1摩擦プレート本体142および第1当接面143から軸方向に突出する。径方向において、第1バンプ146は、第1貫通孔144の片側に位置している。本発明によれば、第1バンプ146は、第1の当接面143のうちの少なくとも1つの2つの側面に設けられる。図に示す好ましい例では、合計3つの第1バンプ146が設けられている。3つの第1バンプ146は、第1当接面143のそれぞれが、その周方向の2つの側面に第1バンプ146を備えるように、周方向に配置される。
【0032】
第2摩擦プレート151は第2摩擦プレート本体152を備える。第2摩擦プレート本体152には段差154が設けられている。段差154は第2摩擦プレート本体152から軸方向に突出する。第2貫通孔153が第2摩擦プレート本体152および段差154を貫通している。すなわち、第2摩擦プレート本体152は環状であり、段差154は円管状である。段差154の内壁には内歯155が設けられている。内歯155は、駆動軸(図示せず)と協働して、2つが連結されるように第2摩擦プレート151と駆動軸とを連結し、駆動軸が第2摩擦プレート151を駆動して前後に回転させることができるようになっている。第2バンプ156は、段差154の径方向の片側に設けられている。第2バンプ156は第2の摩擦プレート本体152から軸方向に突出する。第2摩擦プレート本体151から離れた各第2バンプ156の一端の端面は、第2当接面157である。第2バンプ156は複数であり、周方向に配置されている。第2バンプ156の数は、第1当接面143の数に従って決定される。各第2バンプ156の第2当接面157は、第1当接面143のうちの1つに当接する。
【0033】
第1摩擦プレート141および第2摩擦プレート151は、軸方向高さを調整可能な状態で摩擦プレート群140を形成する。組み立ての際には、第2摩擦プレート本体152の段差154が第1貫通孔144の中に入り、第2摩擦プレート本体152が段差144に嵌め込まれる。第2バンプ156の第2当接面157は、第1当接面143に当接し、両者は互いに接触している。第1摩擦プレート本体142および第2摩擦プレート本体152は相対的に回転することができる。第2摩擦プレート本体152による第2バンプ156の回転中に、第1バンプ146は、第2バンプ156の回転角を制限することができる周方向に第2バンプ156をブロックし、これは、第1摩擦プレート141と第2摩擦プレート151との相対的な回転角を規定することができ;第1摩擦プレート本体142と第2摩擦プレート本体152とを同期回転させることもできる。
【0034】
摩擦プレート群140が使用され、第1摩擦プレート141および第2摩擦プレート151が相対的に回転すると、第2当接面157は、第1当接面143を周方向に移動する。第1当接面143が第1摩擦プレート本体141から周方向に突出する高さは異なるため、第2当接面157が第1当接面143の異なる位置に当接すると、第1摩擦プレート本体142と第2摩擦プレート本体152の軸方向相対位置が異なり、摩擦プレート群140の軸方向高さが変化する。
図8に示すように、左側の摩擦プレート群140と右側の摩擦プレート群140は、一方から他方へと、第1摩擦プレート141と第2摩擦プレート142とがある角度だけ相対的に回転した2つの状態となっている。左側の摩擦プレート群140において、第2バンプ156の第2当接面157は第1位置148に当接し、摩擦プレート群140の軸方向高さはH1である。右側の摩擦プレート群140において、第2バンプ156の第2当接面157は第2位置149に当接し、摩擦プレート群140の軸方向高さはH2である。第1摩擦プレート本体142から第1の位置148が突出する高さは、第2位置149が第1摩擦プレート本体142から突出する高さよりも小さいため、H2はH1よりも大きい。第1摩擦プレート141および第2摩擦プレート151が相対的に前方または後方に回転するとき、第2バンプ156の第2当接面157は、第1位置148から第2位置149へ、または第2の位置149から第1位置148へ移動することができる。従って、摩擦プレート群140の軸方向高さは、H1とH2との間で切り換えることができる。3つの第1バンプ146の間隔は、第2バンプ156の移動距離を画定し、また、第1摩擦プレート141と第2摩擦プレート151の相対的な回転角を画定する。この角度は、実際の要件に従って事前に設定することができる。
【0035】
第1受動摩擦プレート131は環状であり、その外周壁に第1隆起段差133が設けられている。第1隆起段差133の数は複数であり、第1隆起段差133の各々は、ガイドスロット112の1つに挿入される。第1隆起段差133は、第1受動摩擦プレート131から径方向に突出する。第2受動摩擦プレート132は環状であり、その外周壁に第2隆起段差134が設けられている。第2隆起段差134は、第2受動摩擦プレート132から径方向に突出する。第2隆起段差134の数は複数であり、第2隆起段差134の各々は、ガイドスロット112の1つに挿入される。
【0036】
本発明における回転ダンパ100が使用される場合、弾性要素120は、第1受動摩擦プレート131とブロック壁113との間にクランプされる。第1受動摩擦プレート131の第2隆起段差133は、ガイドスロット112にあり、ガイドスロット112に沿って軸方向に移動することができる。第1受動摩擦プレート131は弾性要素120に接触している。第1摩擦プレート141および第2摩擦プレート151は摩擦プレート群140を形成する。第1受動摩擦プレート131は第2摩擦プレート本体152に接触し、第1受動摩擦プレート131は第1摩擦プレート本体142に接触している。第2受動摩擦プレート132は、第1摩擦プレート141と第2固定リング160との間に位置し、第2隆起段差134はガイドスロット112に位置し、ガイドスロット112に沿って軸方向に移動できる。第1固定リング170及び第2固定リング160は、駆動軸を超えて嵌合されてハウジング110に固定連結され、弾性要素120、第2受動摩擦プレート132、摩擦プレート群140及び第1受動摩擦プレート131は、管状の空洞部111の内部に制限されている。弾性要素120は、弾性力を発生させるために予め圧縮され、これにより、第2受動摩擦プレート132および第1受動摩擦プレート131の両方が摩擦プレート群140と密着することが可能になる。
【0037】
回転ダンパ100は、駆動軸200の上方に嵌合され、第2摩擦プレート151は、段差154に設けられた内歯155によって駆動軸200に係合される。駆動軸200は、第2摩擦プレート151を前後に回転駆動することができる。前方と後方は、時計回り方向と反時計回り方向の2つの反対方向を指す。
【0038】
駆動軸200が第2摩擦プレート151を前後に回転駆動すると、摩擦プレート群140の軸方向高さが変化する。摩擦プレート群140の軸方向高さが異なると、第1受動摩擦プレート131と第2受動摩擦プレート132との摩擦力が異なる。摩擦プレート群140の軸方向高さが大きいほど、第1受動摩擦プレート131および第2受動摩擦プレート132との摩擦力が大きくなり、したがって、生成される減衰が大きくなる。摩擦プレート群140の軸方向高さが小さいほど、第1受動摩擦プレート131および第2受動摩擦プレート132との摩擦力は小さくなり、したがって、生成される減衰は小さくなる。
【0039】
(実施形態2)
図9に示されるように、この実施形態は、弾性要素120の数が2である点で実施形態1と異なる。第2固定リング160と第2受動摩擦プレート132との間に1つの弾性要素120が加わり、この弾性要素120が第2固定リング160と第1受動摩擦プレート131によって圧搾されて弾性力を有するように変形する。
【0040】
実施形態2の解決手段において、第1受動摩擦プレート131とブロック壁113との間の弾性要素120も省略することができ、第2受動摩擦プレート132と第2固定リング160との間の弾性要素120のみが残る。
【0041】
本発明における摩擦プレート群は、軸方向高さが可変であり、前後回転中に高さが異なり、従って、前後回転中に第1受動摩擦プレートと第2受動摩擦プレートとで摩擦力が異なるので、異なる減衰を生じさせることができる。このような回転ダンパをトランクテールゲートに使用すると、モータの前後回転時の負荷が異なるため、モータの性能に対する要求が低くなり、コストを低減できる。
【0042】
上記の説明は、本発明の好ましい実施態様にのみ関連するが、本発明の保護の範囲を限定することを意図したものではなく、本発明の精神の範囲内であれば、いかなる改造、同等の交換又は改良等も、本発明の特許請求範囲の範囲内に収まるものとする。
【国際調査報告】