(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-24
(54)【発明の名称】3D印刷用のシリコーンベースの熱可塑性材料
(51)【国際特許分類】
C08G 18/61 20060101AFI20230517BHJP
B33Y 70/00 20200101ALI20230517BHJP
【FI】
C08G18/61
B33Y70/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022561084
(86)(22)【出願日】2021-04-02
(85)【翻訳文提出日】2022-12-05
(86)【国際出願番号】 EP2021058789
(87)【国際公開番号】W WO2021204720
(87)【国際公開日】2021-10-14
(32)【優先日】2020-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515023350
【氏名又は名称】セットアップ パフォーマンス エスエーエス
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(72)【発明者】
【氏名】ジメネス,ジェローム
(72)【発明者】
【氏名】デム,フロリアン ア
(72)【発明者】
【氏名】モレ,トマ ベ
(72)【発明者】
【氏名】ロシェット,ジャン
【テーマコード(参考)】
4J034
【Fターム(参考)】
4J034BA03
4J034BA07
4J034DA03
4J034DB01
4J034DB04
4J034DB07
4J034DM01
4J034DM06
4J034HA01
4J034HA07
4J034HC03
4J034JA01
4J034KA01
4J034KB02
4J034KC16
4J034KC17
4J034KD02
4J034QB03
4J034QD04
(57)【要約】
本発明は、オルガノシロキサンブロックコポリマーの総質量に対して少なくとも90質量%のシリコーン含量を有するポリウレア又はポリウレタンオルガノポリシロキサンブロックコポリマーの調製方法に関するものである。本発明はさらに、この方法によって得られたポリウレア又はポリウレタンオルガノポリシロキサンブロックコポリマー、及び付加技術による3D物品の製造方法におけるその使用方法に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコーン含量が、オルガノシロキサンブロックコポリマーの総質量に対して少なくとも90質量%である、ポリウレア又はポリウレタンオルガノポリシロキサンブロックコポリマー(I)の調製方法であって、以下の工程:
1) 以下の化合物:
a) 式(A):
【化1】
の長鎖ヒドロキシル又はアミノ二官能化ポリシロキサン、
b) 式(B):
【化2】
の短鎖ヒドロキシル又はアミノ二官能化ポリシロキサンである鎖延長剤、
c) 式(C):
【化3】
の少なくとも1つのジイソシアネート、
d) 任意に式(D):
【化4】
のヒドロキシル又はアミノ単官能ポリシロキサンである分岐剤、
e) 及び触媒(E)、
を提供する工程、
2) Nbモルの式(B)の鎖延長剤、Ncモルの式(C)の少なくとも1つのジイソシアネート、及び任意にNdモルの式(D)の分岐剤を、Naモルの式(A)の長鎖ヒドロキシル又はアミノ二官能化ポリシロキサンに加える工程
を含み、
式中、
- -Q-、-T-及び-X-は、同一又は異なり、そして最終的にはそのうちの1つ以上の-CH
2-が-O-で置換される(C1~C20)アルキレン基を表し、又は(C6~C22)アリーレン基を表し、
- -M、-W及び-Zは、同一又は異なり、そして-OH又は-NHR’を表し、-R’は-H、(C1~C10)アルキル基、又は(C6~22)アリール基を表し、
- -Uは、最終的にはそのうちの1つ以上の-CH
2-が-O-で置換される(C1~C20)アルキル基であり、又は(C6~C22)アリール基を表し、
- -Y-は、(C1~C36)アルキレン基、(C6~C13)アリーレン基、又はオルガノポリシロキサンを表し、
- -R1、-R2及び-R3は、同一又は異なり、そして最終的に1つ以上の-F及び/又は-Clで置換される(C1~C20)アルキル基を表し、
- aは、30~1000の範囲の整数であり、
- bは、2~15の範囲の整数であり、
- cは、10~200の範囲の整数であり、
- dは、10~200の範囲の整数であり、
- 比率a/bは、2~200の範囲であり、
- モル比Nb/(Na+Nb+Nd)は、5%~60%の範囲であり、
- モル比Nc/(Na+Nb+Nc+Nd)は、45~55%の範囲であり、
- モル比Nd/(Na+Nd)は、0~20%の範囲であり、そして
- 硬質セグメント比は、1~94%の範囲であり、硬質セグメント比は、HS=(Nb*Mb+Nc*Mc)/(Na*Ma+Nb*Mb+Nc*Mc+Nd*Md)で定義され、Ma、Mb、Mc及びMdは、それぞれ式(A)、(B)、(C)及び(D)の化合物の分子量を表す、
方法。
【請求項2】
-R1、-R2及び-R3が、同一又は異なり、そして(C1~C10)アルキル基、及び特に、最終的に-F及び/又は-Clで置換されるメチル基を表す、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
-Q-、-T-及び-X-が、同一又は異なり、そして(C1~C10)アルキレン基を表す、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
-M、-W及び-Zが、同一であり、そして好ましくは-NHR’を表し、-R’が好ましくは-Hを表す、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
-Y-が、(C3~C13)アルキレンを表す、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
式(C)のジイソシアネートを1つだけ使用する、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
式(C)の少なくとも1つのジイソシアネートが、式(A)、(B)及び存在する場合(D)の化合物と比較して化学量論的割合で存在し、これが化学量論的指数比Icの値が1に等しいことを意味し、化学量論的指数比が、Ic=2Nc/(2Na+2Nb+Nd)によって定義される、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
少なくとも1つのジイソシアネート(C)が、式(A)、(B)及び存在する場合(D)の化合物と比較して非化学量論的割合で存在し、これが化学量論的指数比Icの値が1とは異なり、そして特に1を上回ることを意味し、化学量論的指数比が、Ic=2Nc/(2Na+2Nb+Nd)によって定義され、そして好ましくはジイソシアネート(C)が、1<Ic≦1.10であるように過剰で存在する、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
触媒(E)が、銅ベースの触媒、ジルコニウムベースの触媒、スズベースの触媒及びチタンベースの触媒の中から選ばれる、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
反応を化学反応器中で行う、請求項1から9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
式(A)の長鎖ポリシロキサンを、溶媒、又は溶媒の混合物に溶解させ、その後に式(B)の鎖延長剤、式(C)の少なくとも1つのジイソシアネート、任意に式(D)の分岐剤、及び触媒(E)を加える、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
式(B)の鎖延長剤、式(C)の少なくとも1つのジイソシアネート、存在する場合は式(D)の分岐剤、及び触媒(E)を、式(A)の長鎖ポリシロキサンに同時に加える、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
式(B)の鎖延長剤、式(C)の少なくとも1つのジイソシアネート、存在する場合は式(D)の分岐剤、及び触媒(E)を、任意の順序で、式(A)のポリシロキサンに次々に加える、請求項10から11に記載の方法。
【請求項14】
反応を、押出機、好ましくは二軸押出機内で行い、そして触媒(E)を前記押出機の第1の加熱ゾーンに導入する、請求項1から9に記載の方法。
【請求項15】
式(A)のポリシロキサン、式(B)の鎖延長剤、式(C)の少なくとも1つのジイソシアネート、存在する場合は式(D)の分岐剤、及び触媒(E)が、すべて前記押出機の第1の加熱ゾーンに導入される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
式(A)のポリシロキサンが前記押出機の第1の加熱ゾーンに導入され、そして式(B)の鎖延長剤、式(C)の少なくとも1つのジイソシアネート、存在する場合は式(D)の分岐剤、及び触媒(E)の少なくとも1つが、押出機の第2の加熱ゾーン又は後続の加熱ゾーンに導入される、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか1項に記載の方法によって得られたポリウレア又はポリウレタンオルガノポリシロキサンブロックコポリマー(I)。
【請求項18】
0~60ショアAの範囲の硬度を有する、請求項17に記載のポリウレア又はポリウレタンオルガノポリシロキサンブロックコポリマー(I)。
【請求項19】
少なくとも200%及び好ましくは少なくとも500%の破断伸びを有する、請求項17又は18に記載のポリウレア又はポリウレタンオルガノポリシロキサンブロックコポリマー(I)。
【請求項20】
70~140℃の範囲の溶融温度を有する、請求項17から19のいずれか1項に記載のポリウレア又はポリウレタンオルガノポリシロキサンブロックコポリマー(I)。
【請求項21】
2.16kg下120℃で1~100cm
3.10分
-1の範囲のメルトフローインデックスを有する、請求項17から20のいずれか1項に記載のポリウレア又はポリウレタンオルガノポリシロキサンブロックコポリマー(I)。
【請求項22】
請求項17から21のいずれか1項に記載のポリウレア又はポリウレタンオルガノポリシロキサンブロックコポリマー(I)を用いた、付加技術による3D物品の製造方法。
【請求項23】
前記3D物品が、溶融フィラメント製造プリンタ、シリンジ押出プリンタ、液滴堆積プリンタ、選択的レーザー焼結プリンタ、選択的レーザー溶融プリンタ、及び材料ジェットプリンタから選択される3Dプリンタで製造されたものである、請求項22に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリウレア又はポリウレタンオルガノポリシロキサンブロックコポリマーの調製、及び得られたポリウレア又はポリウレタンオルガノポリシロキサンブロックコポリマーを、付加技術による3D物品の製造のために使用する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
オーダーメイドの低コスト3D物品の製造を可能とする3次元(3D)印刷技術の出現により、ここ数年は転換期を迎えている。このような技術を用いて、3D物品は1層ずつ製造される。この目的のため、上流のコンピュータ支援設計ソフトウェア(CAD)により、得ようとする3次元物品の3次元構造は、薄片に分割される。次いで、3D物品全体が製造されるまで、材料の連続した薄片又は層を積層することにより、3D物品が作製される。つまり、以下の2進系列を繰り返し行うことで、薄片が1つずつ層の形態で生成される:
- 所望の物品を製造するために必要な材料の層を堆積させる工程、次いで
- 前記層を凝集させ、そして前記層を、予め定められたパターンに従って先行する層(当該層が存在する場合に)に結合させる工程。
【0003】
このように3次元物品は、互いに結合させた基本層(elementary layer)を重ねることで構成されている。
【0004】
従来の3D印刷プロセスは、特定の種類の材料に制限されている。これらの材料は、耐熱性(すなわち、付加プロセス中の加熱で分解が生じない)、耐湿性、耐放射線性及び耐候性があり、固化時間が遅く、且つ適切な粘度を有するべきである。重要なことは、崩壊しない満足な機械的強度を有する3D物品を製造するために、薄片又は層が互いに接着することである。理想的には、材料は低い溶融温度と適切な粘度も有するべきである。材料の粘性が高すぎる場合、3Dプリンタにできることを考慮すると、ダイを通して押し出すのに必要な圧力が高すぎる。一方で、材料が流動的すぎると、溶融強度が不足するので、最後に堆積させた層が前の層の上ですぐに崩れる。
【0005】
機械的特性、及びより具体的には硬度に関して、従来の材料は、70よりも高いショアA硬度を有している場合、硬質とみなされる。より低い硬度、典型的にはショアA60未満、又はさらに40未満の材料が求められている。
【0006】
熱可塑性シリコーンは多様な分野で広く使われているが、3D印刷可能な材料の分野ではほとんど使われていない。興味深いのは、これらが熱、放射線及び天候に対する良好な安定性を有することである。さらに、これは比較的低温でも弾性の特性を維持し、そして非常に小さい表面張力及び柔らかい感触が特徴である。しかし、その加工性は通常、付加技術に用いるには不十分である。
【0007】
特許出願WO2017/044735には、3Dプリンタで熱可塑性シリコーン組成物(複数可)を使用して3D物品を形成する方法が記載されている。開示された熱可塑性シリコーン組成物は、シリコーンを他の成分と組み合わせて含む。使用された熱可塑性シリコーン組成物の硬度、又はその安定性に関する情報は提供されていない。典型的には、例示された熱可塑性シリコーン組成物の種類について、硬度は中程度であって、付加技術及び特に解剖模型の印刷に使用するには十分な低さではないことがある。一方で、3D印刷プロセスでは、高温で材料の流れを最適化するため、且つ機械的安定性が保持できるよう層の堆積後に3D物品が崩壊しないことを保証するため、中程度の粘度が要求される。多成分組成物の使用は安定性の問題を引き起こす場合もある。
【0008】
従って、付加プロセスにおいて使用される熱可塑性シリコーンを提供する必要性がある。有利には、そのような熱可塑性シリコーンは、上述の特徴(耐熱性、耐湿性、耐放射線性、耐候性、遅い固化時間、適切な粘度、薄片同士の接着)に加えて、低い硬度及び低い溶融温度を有するべきである。さらに、付加技術に使用される改善された特性を有する材料を提供する必要性が常にある。
【0009】
この目的のため、熱可塑性シリコーンの性質を、付加製造技術に適応したレオロジーを有するように調整するべきである。従って本出願人は、この技術分野に適応する熱可塑性シリコーンブロックコポリマーを特定するための研究プログラムを実施した。
【0010】
ポリウレタン及びポリウレアは、その高い機械的強度、弾性、耐摩耗性及び加工の容易さから、広く用いられている。従って本出願人は、良好な機械的特性、シリコーンと比較して改善された加工性を有すると同時にポリマーの有益な特性を維持する、ポリウレタン及びポリウレアオルガノポリシロキサンブロックコポリマーを探した。
【0011】
文献US6355759には、少なくとも1つのポリイソシアネートと少なくとも1つのポリアミンから調製されるポリジオルガノシロキサンポリウレアセグメント化コポリマーが記載されている。ポリアミンは、少なくとも1つのポリジオルガノシロキサンジアミンか、又は少なくとも1つのポリジオルガノシロキサンジアミンと少なくとも1つの有機ポリアミンとの混合物であってよい。これらのコポリマーの付加プロセスにおける使用は記載されていない。
【0012】
文献US2019/0276630には、触媒の存在下でポリジメチルシロキサンオリゴマー及びイソシアネートを反応させることによって得られるポリシロキサンベースのエアロゲルが記載されている。これらのエアロゲルは、3D印刷プロセスで使用することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特許出願WO2017/044735
【特許文献2】文献US6355759
【特許文献3】文献US2019/0276630
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
この文脈の中で出願人は、これが特定のポリウレア又はポリウレタンオルガノポリシロキサンブロックコポリマーにより達成されることを見出した。そして、特許請求する発明は、これらのポリウレア又はポリウレタンオルガノポリシロキサンブロックコポリマーと、その調製の方法と、付加技術による3D物品の製造の方法における、特に解剖模型の製造における、それらの使用方法とに関するものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
具体的には、本発明は、シリコーン含量が、オルガノシロキサンブロックコポリマーの総質量に対して少なくとも90質量%である、ポリウレア又はポリウレタンオルガノポリシロキサンブロックコポリマーの調製方法に関するものであり、該方法は、以下の工程:
1) 以下の化合物:
a) 式A:
【化1】
の長鎖ヒドロキシル又はアミノ二官能化ポリシロキサン、
b) 式B:
【化2】
の短鎖ヒドロキシル又はアミノ二官能化ポリシロキサンである鎖延長剤、
c) 式C:
【化3】
の少なくとも1つのジイソシアネート、
d) 任意に式D:
【化4】
のヒドロキシル又はアミノ単官能ポリシロキサンである分岐剤、
e) 及び触媒E、
を提供する工程、
2) Nbモルの式B)の鎖延長剤、Ncモルの式Cの少なくとも1つのジイソシアネート、及び任意にNdモルの式Dの分岐剤を、Naモルの式Aの長鎖ヒドロキシル又はアミノ二官能化ポリシロキサンに加える工程
を含み、
式中、
- -Q-、-T-及び-X-は、同一又は異なり、そして最終的にはそのうちの1つ以上の-CH
2-が-O-で置換される(C1~C20)アルキレン基を表し、又は(C6~C22)アリーレン基を表し、
- -M、-W及び-Zは、同一又は異なり、そして-OH又は-NHR’を表し、-R’は-H、(C1~C10)アルキル基、又は(C6~22)アリール基を表し、
- -Uは、最終的にはそのうちの1つ以上の-CH
2-が-O-で置換される(C1~C20)アルキル基であり、又は(C6~C22)アリール基を表し、
- -Y-は、(C1~C36)アルキレン基、又は(C6~C13)アリーレン基、又はオルガノポリシロキサンを表し、
- -R1、-R2及び-R3は、同一又は異なり、そして最終的に1つ以上の-F及び/又は-Clで置換される(C1~C20)アルキル基を表し、
- aは、30~1000の範囲の整数であり、
- bは、2~15の範囲の整数であり、
- cは、10~200の範囲の整数であり、
- dは、10~200の範囲の整数であり、
- 比率a/bは、2~200の範囲であり、
- モル比Nb/(Na+Nb+Nd)は、5%~60%の範囲であり、
- モル比Nc/(Na+Nb+Nc+Nd)は、45~55%の範囲であり、
- モル比Nd/(Na+Nd)は、0~20%の範囲であり、そして
- 硬質セグメント比は、1~94%の範囲であり、硬質セグメント比は、HS=(Nb*Mb+Nc*Mc)/(Na*Ma+Nb*Mb+Nc*Mc+Nd*Md)で定義され、Ma、Mb、Mc及びMdは、それぞれ式A、B、C及びDの化合物の分子量を表す。
【0016】
本発明による製造方法は、有利には、以下の特徴のうちの1つ以上をさらに有する:
- -R1、-R2及び-R3は、同一又は異なり、そして(C1~C10)アルキル基、及び特に、最終的に-F及び/又は-Clで置換されるメチル基を表す、
- -Q-、-T-及び-X-は、同一又は異なり、そして(C1~C10)アルキレン基を表す、
- -M、-W及び-Zは、同一であり、そして好ましくは-NHR’を表し、-R’は好ましくは-Hを表す、
- -Y-は、(C3~C13)アルキレンを表す、
- 式Cのジイソシアネートは、1つだけ使用される、
- 式Cの少なくとも1つのジイソシアネートは、式A、B及び存在する場合Dの化合物と比較して化学量論的割合で存在し、これは化学量論的指数比Icの値が1に等しいことを意味し、化学量論的指数比は、Ic=2Nc/(2Na+2Nb+Nd)によって定義される、
- 少なくとも1つのジイソシアネートCは、式A、B及び存在する場合Dの化合物と比較して非化学量論的割合で存在し、これは化学量論的指数比Icの値が1とは異なり、そして特に1を上回ることを意味し、化学量論的指数比は、Ic=2Nc/(2Na+2Nb+Nd)によって定義され、そして好ましくはジイソシアネートCは、1<Ic≦1.10であるように過剰で存在する、
- 触媒Eは、銅ベースの触媒、ジルコニウムベースの触媒、スズベースの触媒及びチタンベースの触媒の中から選ばれる、
- 反応は化学反応器中で行われる、
- 反応が化学反応器中で行われる場合、式Aの長鎖ポリシロキサンを、溶媒、又は溶媒の混合物に溶解させ、その後に式Bの鎖延長剤、式Cの少なくとも1つのジイソシアネート、任意に式Dの分岐剤、及び触媒Eを加える、
- 反応が化学反応器中で行われる場合、式Bの鎖延長剤、式Cの少なくとも1つのジイソシアネート、存在する場合は式Dの分岐剤、及び触媒Eを、式Aの長鎖ポリシロキサンに同時に加える、
- 反応が化学反応器中で行われる場合、式Bの鎖延長剤、式Cの少なくとも1つのジイソシアネート、存在する場合は式Dの分岐剤、及び触媒Eを、次々に式Aのポリシロキサンに任意の順序で加える、
- 反応は押出機、好ましくは二軸押出機内で行われ、そして触媒Eが押出機の第1の加熱ゾーンに導入される、
- 反応が押出機内で行われる場合、式Aのポリシロキサン、式Bの鎖延長剤、式Cの少なくとも1つのジイソシアネート、存在する場合は式Dの分岐剤、及び触媒Eが、すべて押出機の第1の加熱ゾーンに導入される、
- 反応が押出機内で行われる場合、式Aのポリシロキサンは押出機の第1の加熱ゾーンに導入され、そして式Bの鎖延長剤、式Cの少なくとも1つのジイソシアネート、存在する場合は式Dの分岐剤、及び触媒Eの少なくとも1つは、押出機の第2の加熱ゾーン又は後続の加熱ゾーンに導入される。
【0017】
本発明はさらに、本発明による製造方法によって得られたポリウレア又はポリウレタンオルガノポリシロキサンブロックコポリマーに関するものである。本発明によるポリウレア又はポリウレタンオルガノポリシロキサンブロックコポリマーは、有利には以下の特徴のうちの1つ以上を有する:
- このようなポリウレア又はポリウレタンオルガノポリシロキサンブロックコポリマーIは、0~60ショアAの範囲にわたる硬度を有する、
- ポリウレア又はポリウレタンオルガノポリシロキサンブロックコポリマーIは、少なくとも200%、及び好ましくは少なくとも500%の破断伸びを有する、
- ポリウレア又はポリウレタンオルガノポリシロキサンブロックコポリマーIは、70~140℃の範囲の溶融温度を有する、
- ポリウレア又はポリウレタンオルガノポリシロキサンブロックコポリマーIは、2.16kg下120℃で1~100cm3.10分-1の範囲のメルトフローインデックスを有する。
【0018】
本発明はまた、本発明によるポリウレア又はポリウレタンオルガノポリシロキサンブロックコポリマーを用いた付加技術による3D物品の製造方法に関する。有利なことに、このような物品は、溶融フィラメント製造プリンタ、液滴堆積プリンタ、選択的レーザー焼結プリンタ、選択的レーザー溶融プリンタ、材料ジェットプリンタ及びシリンジ押出プリンタから選択される3Dプリンタで製造される。
【0019】
最後に、本発明は、本発明による製造の方法により得られた3D物品に関する。本発明の文脈において、印刷物は様々な分野で、特に医学分野で、例えば解剖模型の印刷に使用してよい。解剖模型として使用するためには、印刷物は滑らかで、十分に硬いが硬すぎず、そして有利には半透明でなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、シリコーンベースのポリウレアコポリマーCP1.2で印刷された耳の模型を示す。
【
図2】
図2は、シリコーンベースのポリウレアコポリマーCP1.2で印刷された耳の模型を示す。
【
図3】
図3は、コポリマーCP1.4で印刷されたダンベルを示す。
【
図4】
図4は、コポリマーCP1.4で印刷されたダンベルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明によるポリウレア又はポリウレタンオルガノポリシロキサンブロックコポリマーの製造方法
第1の側面によれば、本発明は、ポリウレア又はポリウレタンオルガノポリシロキサンブロックコポリマーI(以下、CPと略す)の調製方法に関する。このCPは、長鎖ヒドロキシル又はアミノ二官能化ポリシロキサン、短鎖ヒドロキシル又はアミノ二官能化ポリシロキサンである鎖延長剤、少なくとも1つのジイソシアネート、任意にヒドロキシル又はアミノ単官能ポリシロキサンである分岐剤、及び触媒の反応によって、調製される。
【0022】
- 長鎖ヒドロキシル又はアミノ二官能化ポリシロキサン
本発明によれば、長鎖ヒドロキシル又はアミノ二官能化ポリシロキサンは、式A:
【化5】
(式中、
- -Q-は、最終的にはそのうちの1つ以上の-CH
2-が-O-で置換される(C1~C20)アルキレン基を表し、又は(C6~C22)アリーレン基を表し、
- -Wは、-OH又は-NHR’を表し、-R’は-H、(C1~C10)アルキル基、又は(C6~22)アリール基を表し、
- -R1は、最終的に1つ以上の-F及び/又は-Clで置換される(C1~C20)アルキル基を表し、そして
- aは、30~1000の範囲の整数である)
のものである。
【0023】
「アルキレン」とは、2価のアルキル基を意味する。他に指定のない限り、アルキル基は分岐状又は直鎖状であってよい。
【0024】
「アリーレン」とは、2価のアリール基を意味する。
【0025】
「アリール」とは、他に指定のない限り、少なくとも1つの芳香環を含む単環、二環又は多環の不飽和(insaturated)炭化水素化5~24員環を意味する。フェニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントレニル及びシンナミルは、アリール基の例である。
【0026】
有利には、-Wは-NHR’を表す。この実施形態によれば、-R’は、好ましくは、-H、(C1~C10)アルキル基、及び(C6~18)アリール基の中から、より好ましくは-H、(C1~C6)アルキル基、及び(C6~10)アリール基の中から、そしてさらにより好ましくは、-H、(C1~C6)アルキル基、及びC6-アリール基の中から選ばれる。特に好ましい実施形態において、-R’は、-H、及び(C1~C6)アルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル及びヘキシルの中から選ばれる。特定の実施形態において、-Wは-NH2を表す。
【0027】
好ましくないが、-Wは-OHを表すこともある。
【0028】
有利には、-Q-は、最終的にはそのうちの1つ以上の-CH2-が-O-で置換される(C1~C10)アルキレン基を表し、又は(C6~C18)アリーレン基、より好ましくは最終的にはそのうちの1つ以上の-CH2-が-O-で置換される(C1~C10)アルキレン基、又は(C6~C10)アリーレン基、及びさらにより好ましくは最終的にはそのうちの1つ以上の-CH2-が-O-で置換される(C1~C10)アルキレン基を表し、又はC6-アリーレン基を表す。特に好ましい-Q-基は、(C1~C10)アルキレン基、好ましくは(C2~C10)アルキレン基、さらにより好ましくは最終的にはそのうちの1つ以上の-CH2-が-O-で置換される(C2~C6)アルキレン基である。好ましい実施形態において、-Q-の-CH2-は、-O-で置換されない。好ましい-Q基の例として、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン及びヘキシレン、及び特にプロピレンが挙げられる。
【0029】
有利には、-R1は、最終的に1つ以上の-F及び/又は-Clで置換される(C1~C10)アルキル基、好ましくは最終的に1つ以上の-F及び/又は-Clで置換される(C1~C6)アルキル基を表す。好ましくは、-R1は、如何なる-F及び/又は-Clでも置換されない。特に好ましい-R1基の例は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル及びヘキシル基、及び特にメチルである。
【0030】
有利には、aは、30~1000、好ましくは30~700、さらにより好ましくは30~400、及びさらにより好ましくは30~150の範囲の整数である。
【0031】
特定の実施形態において、-Wは、-NHR’を表し、-R’は上で定義した通りであり、そして-Q-は、最終的にはそのうちの1つ以上の-CH2-が-O-で置換される(C1~C10)アルキレン基を表し、又は(C6~C18)アリーレン基を表す。
【0032】
特定の実施形態において、-Wは、-NHR’を表し、-R’は-H、(C1~C10)アルキル基、又は(C6~18)アリール基を表し、そして-Q-は、最終的にはそのうちの1つ以上の-CH2-が-O-で置換される(C1~C10)アルキレン基を表す。
【0033】
特定の実施形態において、-Wは、-NHR’を表し、-R’は-H、(C1~C6)アルキル基、又はC6-アリール基を表し、そして-Q-は、(C2~C10)アルキレン基を表す。
【0034】
特定の実施形態において、-Wは-NH2を表し、そして-Q-は(C2~C6)アルキレン基を表す。
【0035】
特定の実施形態において、-R1は、最終的に1つ以上の-F及び/又は-Clで置換される(C1~C10)アルキル基を表し、-Wは、-NHR’を表し、-R’は上で定義した通りであり、そして-Q-は、最終的にはそのうちの1つ以上の-CH2-が-O-で置換される(C1~C10)アルキレン基を表し、又は(C6~C18)アリーレン基を表す。
【0036】
特定の実施形態において、-R1は、最終的に1つ以上の-F及び/又は-Clで置換される(C1~C6)アルキル基を表し、-Wは、-NHR’を表し、-R’は-H、(C1~C10)アルキル基、又は(C6~18)アリール基を表し、そして-Q-は、最終的にはそのうちの1つ以上の-CH2-が-O-で置換される(C2~C10)アルキレン基を表す。
【0037】
特定の実施形態において、-R1は、(C1~C6)アルキル基を表し、-Wは、-NHR’を表し、-R’は-H、(C1~C6)アルキル基、又はC6-アリール基を表し、そして-Q-は、(C2~C10)アルキレン基を表す。
【0038】
特定の実施形態において、-R1はメチル基を表し、-Wは-NH2を表し、そして-Q-は(C2~C6)アルキレン基を表す。
【0039】
特定の実施形態において、-R1は、最終的に1つ以上の-F及び/又は-Clで置換される(C1~C10)アルキル基を表し、-Wは、-NHR’を表し、-R’は上で定義した通りであり、そして-Q-は、最終的にはそのうちの1つ以上の-CH2-が-O-で置換される(C1~C10)アルキレン基を表し、又は(C6~C18)アリーレン基を表し、そしてaは30~1000、好ましくは30~700の範囲の整数である。
【0040】
特に好ましい実施形態において、-R1はメチル基を表し、-Wは-NH2を表し、-Q-は(C2~C6)アルキレン基を表し、そしてaは30~150の範囲の整数である。
【0041】
本発明の文脈において使用してよい式Aの長鎖ヒドロキシル又はアミノ二官能化ポリシロキサンの例として、ビスアミノプロピル末端ポリジメチルシロキサン、例えばSiltech社から販売されているSilmer NH Di-50が挙げられる。
【0042】
- 鎖延長剤
本発明によれば、鎖延長剤は、式B:
【化6】
の短鎖ヒドロキシル又はアミノ二官能化ポリシロキサンであり、
式中、
- -X-は、最終的にはそのうちの1つ以上の-CH
2-が-O-で置換される(C1~C20)アルキレン基を表し、又は(C6~C22)アリーレン基を表し、
- -Mは、-OH又は-NHR’を表し、-R’は-H、(C1~C10)アルキル基、又は(C6~22)アリール基を表し、
- -R2は、最終的に1つ以上の-F及び/又は-Clで置換される(C1~C20)アルキル基を表し、
- bは、2~15の範囲の整数である。
【0043】
有利には、-X-は、最終的にはそのうちの1つ以上の-CH2-が-O-で置換される(C1~C10)アルキレン基を表し、又は(C6~C18)アリーレン基、より好ましくは最終的にはそのうちの1つ以上の-CH2-が-O-で置換される(C1~C10)アルキレン基、又は(C6~C10)アリーレン基、及びさらにより好ましくは最終的にはそのうちの1つ以上の-CH2-が-O-で置換される(C1~C10)アルキレン基を表し、又はC6-アリーレン基を表す。特に好ましい-X-基は、(C1~C10)アルキレン基、より好ましくは(C2~C10)アルキレン基、さらにより好ましくは(C2~C6)アルキレン基であり、最終的にはそのうちの1つ以上の-CH2-が-O-で置換される。好ましい実施形態において、-X-の-CH2-は、-O-で置換されない。好ましい-X基の例として、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン及びヘキシレン、及び特にプロピレンが挙げられる。
【0044】
有利には、-Mは-NHR’を表す。この実施形態によれば、-R’は、好ましくは、-H、(C1~C10)アルキル基、又は(C6~18)アリール基の中から、より好ましくは-H、(C1~C6)アルキル基、又は(C6~10)アリール基の中から、及びさらにより好ましくは-H、(C1~C6)アルキル基、又はC6-アリール基の中から選ばれる。特に好ましい実施形態において、-R’は、-H、及び(C1~C6)アルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル及びヘキシルの中から選ばれる。特定の実施形態において、-Mは、-NH2を表す。
【0045】
有利には、-R2は、最終的に1つ以上の-F及び/又は-Clで置換される(C1~C10)アルキル基、好ましくは最終的に1つ以上の-F及び/又は-Clで置換される(C1~C6)アルキル基を表す。好ましくは、-R2は、如何なる-F及び/又は-Clでも置換されない。特に好ましい-R2基の例は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル及びヘキシル基、及び特にメチルである。
【0046】
有利には、bは、4~15、及び好ましくは4~10の範囲の整数を表す。
【0047】
特定の実施形態において、-Mは、-NHR’を表し、-R’は上で定義した通りであり、そして-X-は、最終的にはそのうちの1つ以上の-CH2-が-O-で置換される(C1~C10)アルキレン基を表し、又は(C6~C18)アリーレン基を表す。
【0048】
特定の実施形態において、-Mは、-NHR’を表し、-R’は-H、(C1~C10)アルキル基、又は(C6~18)アリール基を表し、そして-X-は、最終的にはそのうちの1つ以上の-CH2-が-O-で置換される(C1~C10)アルキレン基を表す。
【0049】
特定の実施形態において、-Mは、-NHR’を表し、-R’は-H、(C1~C6)アルキル基、又はC6-アリール基を表し、そして-X-は、(C2~C10)アルキレン基を表す。
【0050】
特定の実施形態において、-Mは、-NH2を表し、そして-X-は、(C2~C6)アルキレン基を表す。
【0051】
特定の実施形態において、-R2は、最終的に-F及び/又は-Clで置換される(C1~C10)アルキル基を表し、-Mは、-NHR’を表し、-R’は上で定義した通りであり、そして-X-は、最終的にはそのうちの1つ以上の-CH2-が-O-で置換される(C1~C10)アルキレン基を表し、又は(C6~C18)アリーレン基を表す。
【0052】
特定の実施形態において、-R2は、最終的に-F及び/又は-Clで置換される(C1~C6)アルキル基を表し、-Mは、-NHR’を表し、-R’は-H、(C1~C10)アルキル基、又は(C6~18)アリール基を表し、そして-X-は、最終的にはそのうちの1つ以上の-CH2-が-O-で置換される(C2~C10)アルキレン基を表す。
【0053】
特定の実施形態において、-R2は、(C1~C6)アルキル基を表し、-Mは、-NHR’を表し、-R’は-H、(C1~C6)アルキル基、又はC6-アリール基を表し、そして-X-は、(C2~C10)アルキレン基を表す。
【0054】
特定の実施形態において、-R2は、メチル基を表し、-Mは、-NH2を表し、そして-X-は、(C2~C6)アルキレン基を表す。
【0055】
特定の実施形態において、-R2は、最終的に-F及び/又は-Clで置換される(C1~C10)アルキル基を表し、-Mは、-NHR’を表し、-R’は上で定義した通りであり、-X-は、最終的にはそのうちの1つ以上の-CH2-が-O-で置換される(C1~C10)アルキレン基を表し、又は(C6~C18)アリーレン基を表し、そしてbは4~15の範囲の整数である。
【0056】
特に好ましい実施形態において、-R2は、(C1~C6)アルキル基を表し、-Mは、-NHR’を表し、-R’は-H、(C1~C6)アルキル基、又はC6-アリール基を表し、-X-は、(C2~C10)アルキレン基を表し、そしてbは、4~10の範囲の整数である。
【0057】
本発明の文脈において使用してよい鎖延長剤の例として、ビスアミノプロピル末端ポリジメチルシロキサン、例えばSiltech社から販売されているSilmer NH Di-8が挙げられる。
【0058】
- ジイソシアネート
本発明によれば、使用してよいジイソシアネート(複数可)は、式C:
【化7】
(式中、-Y-は、(C1~C36)アルキレン基、(C6~C13)アリーレン基を表し、又はオルガノポリシロキサンを表す)
のものである。
【0059】
-Y-がオルガノポリシロキサンを表す場合、これは式F:
【化8】
(式中、
- -P-は、最終的にはそのうちの1つ以上の-CH
2-が-O-で置換される(C1~C20)アルキレン基を表し、又は(C6~C22)アリーレン基を表し、
- -Ra及び-Rbは、同一又は異なり、そして最終的に1つ以上の-F及び/又は-Clで置換される(C1~C20)アルキル基を各々表し、
- nは4~50の範囲の整数である)
のものであってよい。
【0060】
有利には、-P-は、最終的にはそのうちの1つ以上の-CH2-が-O-で置換される(C1~C10)アルキレン基を表し、又は(C6~C18)アリーレン基、より好ましくは最終的にはそのうちの1つ以上の-CH2-が-O-で置換される(C1~C10)アルキレン基、又は(C6~C10)アリーレン基、及びさらにより好ましくは最終的にはそのうちの1つ以上の-CH2-が-O-で置換される(C1~C10)アルキレン基を表し、又はC6-アリーレン基を表す。特に好ましい-P-基は、(C2~C10)アルキレン基、好ましくは(C2~C6)アルキレン基であり、最終的にはそのうちの1つ以上の-CH2-が-O-で置換される。好ましい実施形態において、-P-の-CH2-は、-O-で置換されない。好ましい-P基の例として、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン及びヘキシレン、及び特に-(CH2)3-が挙げられる。
【0061】
有利には、-Ra及び-Rbは、同一又は異なり、そして最終的に1つ以上の-F及び/又は-Clで置換される(C1~C10)アルキル基、好ましくは最終的に1つ以上の-F及び/又は-Clで置換される(C1~C6)アルキル基を各々表す。好ましくは、-Ra及び-Rbは、如何なる-F及び/又は-Clでも置換されない。特に好ましい-Ra及び-Rb基の例は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル及びヘキシル基、及び特にメチル基である。好ましくは、-Ra及び-Rbは同一である。
【0062】
好ましくは、nは6~30の範囲の整数である。
【0063】
特定の実施形態において、-P-は、最終的にはそのうちの1つ以上の-CH2-が-O-で置換される(C1~C10)アルキレン基を表し、又は(C6~C18)アリーレン基を表し、そして-Ra及び-Rbは、同一又は異なり、そして両方とも最終的に1つ以上の-F及び/又は-Clで置換される(C1~C10)アルキル基を表す。
【0064】
特定の実施形態において、-P-は、最終的にはそのうちの1つ以上の-CH2-が-O-で置換される(C1~C10)アルキレン基を表し、又はC6アリーレン基を表し、そして-Ra及び-Rbは、同一又は異なり、そして両方とも最終的に1つ以上の-F及び/又は-Clで置換される(C1~C6)アルキル基を表す。
【0065】
好ましい実施形態において、-P-は、(C2~C10)アルキレン基、好ましくは(C2~C6)アルキレン基を表し、そして-Ra及び-Rbは、同一又は異なり、そして両方とも(C1~C6)アルキル基を表す。
【0066】
特に好ましい実施形態において、-P-は、プロピレン基を表し、そして-Ra及び-Rbは、両方ともメチルを表す。
【0067】
式Cのジイソシアネートは、脂肪族又は芳香族ジイソシアネートでよい。
【0068】
脂肪族ジイソシアネートの例として、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート、テトラメチレン1,4-ジイソシアネート、ジメリルジイソシアネート及びメチレンジシクロヘキシル4,4’-ジイソシアネートが挙げられる。特に好ましい脂肪族ジイソシアネートは、ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネートである。
【0069】
芳香族ジイソシアネートの例として、メチレンジフェニル4,4’-ジイソシアネート、2,4-トルエンジイソシアネート、2,5-トルエンジイソシアネート、2,6-トルエンジイソシアネート、m-フェニレンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、m-キシレンジイソシアネート、テトラメチルm-キシレンジイソシアネート、ナフタレン1,5-ジイソシアネート、又はこれらのイソシアネートの混合物が挙げられる。
【0070】
好ましい実施形態において、式Cのジイソシアネートは脂肪族ジイソシアネートである。この実施形態によれば、-Y-は好ましくは(C2~C36)アルキレン、好ましくは如何なる-Cl及び/又は-Fでも置換されていない(C2~C20)アルキレン、及びさらにより好ましくは(C3~C13)アルキレンを表す。
【0071】
市販されている化合物の例として、Bayer AG社、ドイツのDESMODUR(登録商標)シリーズ(H、I、M、T、W、)のジイソシアネートが挙げられる。
【0072】
- 分岐剤
本発明によれば、分岐剤は、式D:
【化9】
(式中、
- -T-は、最終的にはそのうちの1つ以上の-CH
2-が-O-で置換される(C1~C20)アルキレン基を表し、又は(C6~C22)アリーレン基を表し、
- -Zは、-OH又は-NHR’を表し、-R’は-H、(C1~C10)アルキル基、又は(C6~22)アリール基を表し、
- -Uは、最終的にはそのうちの1つ以上の-CH
2-が-O-で置換される(C1~C20)アルキル基であり、又は(C6~C22)アリール基を表し、
- -R3は、最終的に1つ以上の-F及び/又は-Clで置換される(C1~C20)アルキル基を表し、
- cは、10~200の範囲の整数であり、そして
- dは、10~200の範囲の整数である)
のヒドロキシル又はアミノ単官能ポリシロキサンである。
【0073】
有利には、-T-は、最終的にはそのうちの1つ以上の-CH2-が-O-で置換される(C1~C10)アルキレン基を表し、又は(C6~C18)アリーレン基、より好ましくは最終的にはそのうちの1つ以上の-CH2-が-O-で置換される(C1~C10)アルキレン基、又は(C6~C10)アリーレン基、及びさらにより好ましくは最終的にはそのうちの1つ以上の-CH2-が-O-で置換される(C1~C10)アルキレン基を表し、又はC6-アリーレン基を表す。特に好ましい-T-基は、(C1~C10)アルキレン基、より好ましくは(C2~C10)アルキレン基、さらにより好ましくは(C2~C6)アルキレン基であり、最終的にはそのうちの1つ以上の-CH2-が-O-で置換される。好ましい実施形態において、-T-の-CH2-は、-O-で置換されない。好ましい-T-基の例として、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン及びヘキシレン、及び特にエチレンが挙げられる。
【0074】
有利には、-Zは-NHR’を表す。この実施形態によれば、-R’は、好ましくは、-H、(C1~C10)アルキル基、又は(C6~18)アリール基の中から、より好ましくは-H、(C1~C6)アルキル基、又は(C6~10)アリール基の中から、及びさらにより好ましくは-H、(C1~C6)アルキル基、又はC6-アリール基の中から選ばれる。特に好ましい実施形態において、-R’は、-H、及び(C1~C6)アルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル及びヘキシルの中から選ばれる。特定の実施形態において、-Zは、-NH2を表す。
【0075】
有利には、-R3は、最終的に1つ以上の-F及び/又は-Clで置換される(C1~C10)アルキル基、好ましくは最終的に1つ以上の-F及び/又は-Clで置換される(C1~C6)アルキル基を表す。好ましくは、-R3は、如何なる-F及び/又は-Clでも置換されない。特に好ましい-R3基の例は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル及びヘキシル基、及び特にメチルである。
【0076】
有利には、-Uは、最終的にはそのうちの1つ以上の-CH2-が-O-で置換される(C1~C10)アルキル基を表し、又は(C6~C18)アリール基を表す。好ましくは、-Uは、最終的にはそのうちの1つ以上の-CH2-が-O-で置換される(C1~C6)アルキル基を表し、又は(C6~C10)アリール基を表す。さらにより好ましくは、-Uは、(C1~C6)アルキル基を表し、又はC6-アリール基を表す。特に好ましい-U基の例として、フェニル、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、フェニルオキシ、メチルオキシ、エチルオキシ、プロピルオキシ、ブチルオキシ、ペンチルオキシ、及びヘキシルオキシ基、及び特に、エチルオキシ、プロピルオキシが挙げられる。
【0077】
有利には、cは10~150、好ましくは50~150、及びさらにより好ましくは50~120の範囲の整数を表す。
【0078】
有利には、dは10~150、好ましくは50~150、及びさらにより好ましくは50~120の範囲の整数を表す。
【0079】
特定の実施形態において、c及びdの両方が10~150、及び好ましくは50~120の範囲の整数を表す。
【0080】
特定の実施形態において、-Zは、-NHR’を表し、-R’は上で定義した通りであり、そして-T-は、最終的にはそのうちの1つ以上の-CH2-が-O-で置換される(C1~C10)アルキレン基を表し、又は(C6~C18)アリーレン基を表す。
【0081】
特定の実施形態において、-Zは、-NHR’を表し、-R’は-H、(C1~C10)アルキル基、又は(C6~18)アリール基を表し、そして-T-は、最終的にはそのうちの1つ以上の-CH2-が-O-で置換される(C2~C10)アルキレン基を表す。
【0082】
特定の実施形態において、-Zは、-NHR’を表し、-R’は-H、(C1~C6)アルキル基、又はC6-アリール基を表し、そして-T-は、(C2~C10)アルキレン基を表す。
【0083】
特定の実施形態において、-Zは-NH2を表し、そして-T-は(C2~C6)アルキレン基を表す。
【0084】
特定の実施形態において、-R3は、最終的に1つ以上の-F及び/又は-Clで置換される(C1~C10)アルキル基を表し、-Zは、-NHR’を表し、-R’は上で定義した通りであり、そして-U-は、最終的にはそのうちの1つ以上の-CH2-が-O-で置換される(C1~C10)アルキル基を表し、又は(C6~C18)アリール基を表し、又は(C6~C18)アリール基を表し、そして-T-は、最終的にはそのうちの1つ以上の-CH2-が-O-で置換される(C1~C10)アルキレン基を表し、又は(C6~C18)アリーレン基を表す。
【0085】
特定の実施形態において、-R3は、最終的に1つ以上の-F及び/又は-Clで置換される(C1~C6)アルキル基を表し、-Zは、-NHR’を表し、-R’は-H、(C1~C10)アルキル基、又は(C6~18)アリール基を表し、-Uは、最終的にはそのうちの1つ以上の-CH2-が-O-で置換される(C1~C6)アルキル基を表し、又は(C6~C10)アリール基を表し、そして-T-は、最終的にはそのうちの1つ以上の-CH2-が-O-で置換される(C2~C10)アルキレン基を表す。
【0086】
特定の実施形態において、-R3は(C1~C6)アルキル基を表し、-Zは-NHR’を表し、-R’は-H、(C1~C6)アルキル基、又はC6-アリール基を表し、そして-T-は(C2~C10)アルキレン基を表す。
【0087】
特定の実施形態において、-R3はメチル基を表し、-Zは-NH2を表し、-Uは(C1~C6)アルキル基を表し、又はC6-アリール基を表し、そして-T-は(C2~C6)アルキレン基を表す。
【0088】
好ましい実施形態において、-R3は、最終的に-F及び/又は-Clで置換される(C1~C10)アルキル基を表し、-Zは、-NHR’を表し、-R’は上で定義した通りであり、-Uは、最終的にはそのうちの1つ以上の-CH2-が-O-で置換される(C1~C10)アルキル基を表し、又は(C6~C18)アリール基を表し、そして-T-は、最終的にはそのうちの1つ以上の-CH2-が-O-で置換される(C1~C10)アルキレン基を表し、又は(C6~C18)アリーレン基を表し、c及びdは、両方とも50~150の範囲の整数である。
【0089】
特に好ましい実施形態において、-R3はメチル基を表し、-Zは-NH2を表し、-Uは(C1~C6)アルキル基を表し、又はC6-アリール基を表し、そして-T-は(C2~C6)アルキレン基を表し、c及びdは、両方とも50~120の範囲の整数である。
【0090】
特定の分岐剤として、分岐モノアミノエチル官能性ポリジメチルシロキサンが挙げられる。
【0091】
- 触媒
本発明によれば、CPは触媒Eを用いて合成される。
【0092】
好適な触媒は、有機金属化合物、例えばスズベース、チタンベース、銅ベース又はジルコニウムベースの化合物である。特に、好適な触媒は、ジアルキルスズ誘導体、アルキルチタン誘導体、エステルジルコニウム誘導体及びケト銅誘導体の中から選んでよい。
【0093】
第1の実施形態によれば、触媒Eはスズベースの触媒である。本発明による方法で使用されるスズベースの触媒の例として、トリブチルスズメタノレート、ジラウレートジブチルスズ、オクトエートジブチルスズ、及びジアルキルスズジカルボキシレートが挙げられる。
【0094】
第2の実施形態によれば、触媒Eは、チタンベースの触媒、例えばテトラ-n-ブチルチタネート、チタン(トリエタノールアミナト)イソプロポキシド、及びチタン2-エチルヘキシルオキシドである。
【0095】
第3の実施形態によれば、触媒Eは、銅ベースの触媒、例えばβ-ジケトエステル、及びβ-ジケナト銅錯体である。
【0096】
第3の実施形態によれば、触媒Eは、ジルコニウムベースの触媒、例えばテトラキス(2,4-ペンタンジオネート)ジルコニウム、モノアルコレートジルコニウム、及びジルコニウムアセチルアセトネートである。
【0097】
- 好ましい実施形態
或る実施形態によれば、
- -Q-、-T-及び-X-は、同一又は異なり、そして最終的にはそのうちの1つ以上の-CH2-が-O-で置換される(C1~C10)アルキレン基を表し、又は(C6~C18)アリーレン基を表し、
- -M、-W及び-Zは、同一又は異なり、そして-NHR’を表し、-R’は-H、(C1~C10)アルキル基、又は(C6~22)アリール基を表し、
- -Uは、最終的にはそのうちの1つ以上の-CH2-が-O-で置換される(C1~C10)アルキル基であり、又は(C6~C18)アリール基を表し、
- -Y-は、(C2~C36)アルキレンを表し、
- -R1、-R2及び-R3は、同一又は異なり、そして最終的に1つ以上の-F及び/又は-Clで置換される(C1~C10)アルキル基を表し、
- aは、30~1000の範囲の整数であり、
- bは、2~15の範囲の整数であり、
- cは、10~200の範囲の整数であり、
- dは、10~200の範囲の整数であり、
- 比率a/bは、2~200の範囲である。
【0098】
別の実施形態によれば、
- -Q-、-T-及び-X-は、同一又は異なり、そして最終的にはそのうちの1つ以上の-CH2-が-O-で置換される(C2~C10)アルキレン基を表し、又は(C6~C18)アリーレン基を表し、
- -M、-W及び-Zは、同一又は異なり、そして-NHR’を表し、-R’は-H、(C1~C10)アルキル基、又は(C6~18)アリール基を表し、
- -Uは、最終的にはそのうちの1つ以上の-CH2-が-O-で置換される(C1~C6)アルキル基であり、又は(C6~C10)アリール基を表し、
- -Y-は、(C2~C20)アルキレンを表し、
- -R1、-R2及び-R3は、同一又は異なり、そして最終的に1つ以上の-F及び/又は-Clで置換される(C1~C6)アルキル基を表し、
- aは、30~700の範囲の整数であり、
- bは、4~15の範囲の整数であり、
- cは、10~150の範囲の整数であり、
- dは、10~150の範囲の整数であり、
- 比率a/bは、2~100の範囲である。
【0099】
別の実施形態によれば、
- -Q-、-T-及び-X-は、同一又は異なり、そして(C2~C10)アルキレン基を表し、又は(C6~C10)アリーレン基を表し、
- -M、-W及び-Zは、同一又は異なり、そして-NHR’を表し、-R’は-H、(C1~C6)アルキル基、又はC6-アリール基、及び好ましくは-Hを表し、
- -Uは、(C1~C6)アルキル基であり、
- -Y-は、(C3~C13)アルキレンを表し、
- -R1、-R2及び-R3は、同一又は異なり、そして(C1~C6)アルキル基を表し、
- aは、30~400の範囲の整数であり、
- bは、4~10の範囲の整数であり、
- cは、50~150の範囲の整数であり、
- dは、50~150の範囲の整数であり、
- 比率a/bは、3~40の範囲である。
【0100】
有利には、比率a/bは、2~200、好ましくは2~100、より好ましくは3~40、及びさらにより好ましくは6~15の範囲である。
【0101】
有利には、-R1、-R2及び-R3は同一であり、そして好ましくは(C1~C6)アルキル基を表す。
【0102】
有利には、-Q-、-T-及び-X-は同一であり、そして好ましくは(C2~C10)アルキレン基を表す。
【0103】
有利には、-M、-W及び-Zは同一であり、そして好ましくはNH2を表す。
【0104】
別の実施形態によれば、
- -Q-、-T-及び-X-は、同一又は異なり、そして(C2~C6)アルキレン基を表し、又はC6-アリール基を表し、
- -M、-W及び-Zは、同一又は異なり、そして-NHR’を表し、-R’は-H、(C1~C6)アルキル基、及び好ましくは-Hを表し、
- -Uは、(C1~C6)アルキル基であり、
- -Y-は、(C3~C13)アルキレンを表し、
- -R1、-R2及び-R3は、同一又は異なり、そして(C1~C6)アルキル基を表し、
- aは、30~150の範囲の整数であり、
- bは、4~10の範囲の整数であり、
- cは、50~120の範囲の整数であり、
- dは、50~120の範囲の整数であり、
- 比率a/bは、6~15の範囲である。
【0105】
- 反応条件
好ましい実施形態によれば、本発明による製造方法において、1つのジイソシアネートのみを使用する。好ましくはないが、1つより多いジイソシアネート、例えば2つ又は3つのジイソシアネートを使用してよい。この最新の実施形態において、ジイソシアネートは全て同時に、又は段階的に導入してよい。
【0106】
本発明の文脈において、Na、Nb、Nc、及びNdはそれぞれ、式Aの長鎖ヒドロキシル又はアミノ二官能化ポリシロキサン、式Bの鎖延長剤、式Cの少なくとも1つのジイソシアネート、及び式Dの分岐剤のモル数を表す。
【0107】
有利には、モル比Nb/(Na+Nb+Nd)は、5%~60%、好ましくは15%~45%、さらにより好ましくは20%~30%の範囲である。
【0108】
有利には、モル比Nc/(Na+Nb+Nc+Nd)は、45%~55%、好ましくは48~53%、及びさらにより好ましくは49%~52%の範囲である。
【0109】
有利には、モル比Nd/(Na+Nd)は、0~20%、好ましくは0%~5%の範囲である。
【0110】
触媒濃度は、典型的には5~300質量ppm、及び好ましくは5~200質量ppmの範囲である。
【0111】
第1の実施形態によれば、ヒドロキシル及び/又はアミノ官能基を含有する試薬(式A、B及び存在する場合はDの化合物)及びジイソシアネート(複数可)(式Cの化合物)を、化学量論的割合で使用する。換言すれば、化学量論的指数比Icは、1に等しい。有利なことに、この実施形態によれば、高分子量のCPが達成される。
【0112】
本発明の文脈において、化学量論的指数比は、Ic=2Nc/(2Na+2Nb+Nd)によって定義される。
【0113】
そうでない場合は、試薬の1つ以上を過剰に使用することが可能である。
【0114】
第2の実施形態によれば、少なくとも1つのジイソシアネートを過剰に使用する。この実施形態によれば、指数比Icは1を超え、そして特に1を超え且つ1.1以下である。この実施形態によれば、得られるCPは分岐コポリマーとなる。
【0115】
第3の実施形態によれば、式Dの分岐剤を過剰に導入してよい。過剰な分岐剤は分岐CPをもたらし、そしてその機械的性質を改善する。
【0116】
好ましくは、式Dの分岐剤が存在する場合、指数比Icは1に等しい。
【0117】
本発明によるCPは、溶媒又は溶媒の混合物中の溶液中で調製してよく、又は溶媒なしで調製してよい。溶媒は、使用される場合、不活性でなければならない。本発明の文脈において使用される溶媒の例は、m-キシレン、THF(テトラヒドロフラン)、DMSO(ジメチルスルホキシド)、クロロホルム、TBAF(テトラブチルアンモニウムフルオリド)、及びPMA(プロピレングリコールメチルエーテルアセテート)である。
【0118】
好ましい実施形態において、反応は溶媒なしで行う。
【0119】
調製に溶媒を使用するしないにかかわらず、反応混合物は均一でなければならない。
【0120】
より良い再現性のために、CPは好ましくは、水分なしで、且つ不活性ガス下、通常は窒素、アルゴン又はそれらの混合物の下で調製される。そうでない場合、混合時間が短い(例えば15分以下)ときは、あらかじめ乾燥させた試薬を制御されていない雰囲気下で一緒に混合してよい。形成されたCPは、好ましくは、真空又は不活性ガス下で硬化させる。
【0121】
本発明によるCPの製造方法は、20~80℃の範囲の温度で行うことができる。
【0122】
本発明によるCPの製造方法は、典型的には、温度に応じて5~240分の反応時間を有する。
【0123】
本発明によるCPの製造方法は、以下に詳述するように、押出機又は反応器内で行ってよい。
【0124】
- 押出機内における調製
第1の実施形態によれば、CPは、反応性押出によって調製される。その場合、二軸の共回転(corotative)押出機を使用することが好ましい。
【0125】
典型的には、押出機の長さは、少なくとも40L/Dである(Lは軸のミリメートル単位の長さ、及びDはミリメートル単位のその直径である)。押出機の長さは必要なだけ長くすることができ、そして合理的な収率を達成するために、当業者が確定できる。収率は、メルトフローインデックスが100cm3.10分-1(2.16kg下120℃で測定)より低い、好ましくは50cm3.10分-1より低い、及びさらにより好ましくは30cm3.10分-1よりも低い場合に、妥当とみなされる。
【0126】
有利には、押出機の長さは80L/Dである。
【0127】
第1の実施形態によれば、全ての試薬を、押出機の第1の加熱ゾーンに同時に導入する。
【0128】
第2の実施形態によれば、全ての試薬を同時に押出機内に導入しない。有利には、この実施形態によれば、添加順序の選択により、重合反応を制御することができる。例えば、式Aの長鎖ヒドロキシル又はアミノ二官能化ポリシロキサンを、式Cの少なくとも1つのジイソシアネートと予備重合させた後、式Bの鎖延長剤を添加することが可能である。ジイソシアネート(複数可)は、押出機の第1の加熱ゾーンに部分的に導入し、次いでさらなる加熱ゾーンで反応混合物に再び注ぐこともできる。あらゆる場合において、式Aの長鎖ヒドロキシル又はアミノ二官能化ポリシロキサンは、第1の加熱ゾーンに導入される。
【0129】
ダイの外では、形成されたCPをペレット化するか、又はバッチで回収することができる。
【0130】
- 反応器内における調製
第2の実施形態によれば、CPは、反応器内でバッチ合成によって調製する。
【0131】
この実施形態によれば、CPを押出機内で調製する場合で上記に詳述したのと同様に、全ての試薬を反応器内に同時に、又は段階的に導入する。
【0132】
コポリマー
本発明はさらに、本発明による調製の方法により得られたCPに関するものである。
【0133】
本発明によるCPは、鎖延長剤として式Bの短鎖ヒドロキシル又はアミノ二官能化ポリシロキサンを使用することにより、高いシリコーン含量を有する。
【0134】
本発明の意味において、シリコーン含量は、CPの総質量に対する(Si(R)2O)(式中、Rは、存在する場合はR1、R2、R3、Ra及びRbを表す)の質量による含量によって定義される。
【0135】
本発明の文脈において、シリコーン含量は、少なくとも90%、好ましくは少なくとも92%、及びさらにより好ましくは少なくとも95%のものである。特定の実施形態において、シリコーン含量は、92%~99%、好ましくは95%~98%の範囲である。この高いシリコーン含量により、低い硬度、良好な安定性及び低い粘度を有する一方で、良好な機械的特性を維持するCPを実現することができる。
【0136】
このような高いシリコーン含量を有するために、硬質セグメント比は、1~94%、好ましくは5~50%、及びさらにより好ましくは8~20%の範囲である。
【0137】
本発明の文脈において、硬質セグメント比は、HS=(Nb*Mb+Nc*Mc)/(Na*Ma+Nb*Mb+Nc*Mc+Nd*Md)により定義され、Ma、Mb、Mc及びMdは、式A、B、C及びDの化合物の分子量をそれぞれ表す。
【0138】
硬質セグメントの形成は、式Aの長鎖二官能ポリシロキサンと式Bの短鎖二官能ポリシロキサンの割合を調整することによって達成してよい。換言すれば、比率a/bは、2~200、好ましくは2~100、より好ましくは3~40、及びさらにより好ましくは6~15の範囲である。本発明の文脈において、短いセグメントは、適切な硬質セグメントを作成するために、鎖延長剤としてみなすことができるよう、最大で15個のシロキサン繰り返し単位を有する(換言すれば、bは15以下である)。
【0139】
有利には、本発明によるCPは、好ましくは60ショアA未満、より好ましくは50ショアA未満、及びさらにより好ましくは1~40ショアAの範囲の低い硬度を有する。本発明の文脈において、硬度はショアAデュロメータで測定する。
【0140】
式Bのシロキサンベースの鎖延長剤を使用すると、相分離の発生を示さない、ガラス製の透明なCPを得ることができる(不透明な最終生成品をもたらす炭化水素化された鎖延長剤で観察されるものとは対照的である)。換言すれば、CPは半透明である。
【0141】
有利には、本発明によるCPは、ほとんど結晶性を有しない。
【0142】
本発明によるCPの数平均分子量は、典型的には50,000~200,000g.モル-1、及び80,000~150,000g.mol-1のものである。
【0143】
本発明によるCPは、高い破断伸びを備えた弾性挙動を有する。有利には、CPは、200%を超える、及び好ましくは500%を超える破断伸びを有する。本発明の文脈において、破断時ひずみは、引張試験により50mm.分-1の速さで測定され、そして破断伸びは、NF ISO527規格に準拠して決定される。
【0144】
有利には、本発明によるCPの溶融温度は、CPがFDM式プリンタで使用されるように140℃未満である。典型的には、CPの溶融温度は、70~140℃の範囲である。本発明の文脈において、溶融温度は、DSC(加熱傾斜(ramp):10℃.分-1)により測定される。
【0145】
本発明によるCPは、1~100、及び好ましくは2~30cm3.10分-1(2.16kg下120℃で測定)の範囲のメルトフローインデックスを呈するので、射出成形、押出成形により、又は押出式の付加製造プロセスによっても処理することができる。本発明の文脈において、メルトフローインデックスは、NF ISO1133規格に準拠して測定される。
【0146】
3次元物品の製造の方法
本発明はさらに、付加技術による3次元物品の製造の方法に関する。
【0147】
本発明によるブロックコポリマーIは、付加プロセスにおいて単独の材料として使用される。換言すれば、ブロックコポリマーIは、付加プロセスで使用される場合は組成物中に存在せず、単独成分として印刷される。
【0148】
有利な実施形態によれば、付加技術は、特に、溶融フィラメント製造プリンタ、選択的レーザー焼結プリンタ、選択的レーザー溶融プリンタ、材料ジェットプリンタ、シリンジ押出プリンタ、及び例えばAPFプロセス(ARBURG Plastic Freeformingプロセス)を用いた液滴堆積プリンタから選択される3Dプリンタにより、実行される。溶融フィラメント製造プリンタを用いる場合、供給装置として、熱可塑性フィラメント供給装置、シリンジポンプ押出機、又はホッパー/スクリューペレット搬送システムが使用される。
【0149】
付加技術は当業者に公知であるので、ここではこれ以上詳しく説明しない。
【0150】
最後に、本発明は、本発明によるCPから作られた、又は本発明による3D物品の製造の方法によって得られた、3D物品に関するものでもある。得られた3D物品は、様々な用途、特に解剖模型などの医療用途に使用してよい。
【0151】
本発明の文脈において、「3D印刷された物品」(又は「3次元印刷された物品」又は「3D物品」)とは、3D印刷システム、例えば熱可塑性フィラメント供給装置、シリンジポンプ押出機又はホッパー/スクリューペレット搬送システムを供給装置として用いる溶融フィラメント製造プリンタ、及び例えばAPFプロセス(ARBURG Plastic Freeformingプロセス)を用いる液滴堆積プリンタなどによって構築される物品を指す。
【実施例】
【0152】
以下の実施例において、溶融温度(Tm)は示差走査熱量計(DSC)により、加熱及び冷却傾斜10℃.分-1で測定した。破断時応力(σb)及び破断時ひずみ(εb)は、引張試験により、50mm.分-1の速さで測定した。メルトボリュームフローレート(MVR)はメルトフローインデックス(MFI)測定装置で、そして硬度はショアAデュロメータで測定した。
【0153】
実施例1:反応器内での合成
- CP1.1~CP1.3
80℃に加熱した20Lの連続撹拌槽反応器に、2700gのビスアミノプロピル末端ポリジメチルシロキサン(Silmer NH Di-50、モル質量4244g.モル-1、Siltech社から販売)を充填した。その後続いて、139gの室温の1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(Desmodur H、モル質量168g.モル-1、Covestro社から販売)を、シロキサンに滴下して添加した。混合物を80℃で2分間撹拌し、次いで162gのビスアミノプロピル末端ポリジメチルシロキサン(Silmer NH Di-8、モル質量840g.モル-1、Siltech社から販売)を、80℃で反応混合物に添加した。次に、混合物を80℃でさらに2分間攪拌し、そしてプラスチック容器中に滴下した。最後に混合物を、真空下80℃で2時間硬化させ、CP1.1を得た。
【0154】
CP1.2について、CP1.1と同じ手順を使用したが、ここでは、216質量ppm(1.02×10-3モル、618モルppm)の室温のジブチルスズジラウレート(DABCO T12N、モル質量632g.モル-1、Air Products社から販売)触媒を官能化PDMSに加えて混合し、その後ジイソシアネートを加えた。
【0155】
CP1.3について、CP1.1と同じ手順を使用したが、ここでは、192質量ppm(1.02×10-3モル、618モルppm)の室温のチタン2-エチルヘキシルオキシド(Tyzor TOT、モル質量564g.モル-1、Dorf Ketal社から販売)触媒を(CP1.2のDABCO T12Nの代わりに)官能化PDMSに加えて混合し、その後ジイソシアネートを加えた。
【0156】
冷却により、硬質セグメント比が10.0%であり、その機械的特性及び熱的特性が表1に記載のものであるガラス透明ポリウレアポリジメチルシロキサンブロックコポリマーが得られた。シリコーン含量(Si(R)2O)は、95質量%よりも多かった。
【0157】
【表1】
* 非常に広く且つ低強度の溶融が50~100℃の範囲で観察できたが、それにもかかわらずMVR測定は120℃で良好な溶融を示した。
【0158】
CP1.1、CP1.2及びCP1.3で得られた結果から、触媒を使用しないと、得られたブロックコポリマーは固体ポリマーとみなすことができず、標準的な圧力及び温度環境下で依然として流動能を有する粘弾性材料としてしかみなされないことがわかった。従って触媒の添加は、ポリウレアオルガノポリシロキサンブロックコポリマーを反応器内で80℃で合成する場合、高分子量及び良好な機械特性を得るために必要であった。
【0159】
- CP1.4~CP1.6
80℃に加熱した20Lの連続撹拌槽反応器に、2550gのビスアミノプロピル末端ポリジメチルシロキサン(Silmer NH Di-50、モル質量4244g.モル-1、Siltech社から販売)及び150g(5質量%)の分岐モノアミノエチル官能性ポリジメチルシロキサン(Bluesil FLD21643、モル質量7619g.モル-1、Elkem社から販売)から構成される混合物を充填した。その後続いて、136gの室温の1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(Desmodur H、モル質量168g.モル-1、Covestro社から販売)を混合物に添加した。混合物を2分間80℃で撹拌し、そして次に164gのビスアミノプロピル末端ポリジメチルシロキサン(Silmer NH Di-8、モル質量840g.モル-1、Siltech社から販売)を80℃で混合物に添加した。次いで混合物を80℃でさらに2分間攪拌し、プラスチック容器内に滴下した。最後に混合物を、真空下80℃で2時間硬化させ、CP1.4を得た。
【0160】
CP1.5について、CP1.4と同じ手順を使用したが、ここでは、216質量ppm(1.02×10-3モル、630モルppm)の室温のジブチルスズジラウレート(DABCO T12N、モル質量632g.モル-1、Air Products社から販売)触媒を官能化PDMSに加えて混合し、その後ジイソシアネートを加えた。
【0161】
CP1.6について、CP1.4と同じ手順を使用したが、ここでは、192質量ppm(1.02×10-3モル、630モルppm)の室温のチタン2-エチルヘキシルオキシド(Tyzor TOT、モル質量564g.モル-1、Dorf Ketal社から販売)触媒を(CP1.5のDABCO T12Nの代わりに)官能化PDMSに加えて混合し、その後ジイソシアネートを加えた。
【0162】
冷却により、硬質セグメント比が10.0%であり、その機械的特性及び熱的特性が表2に記載のものであるガラス透明ポリジメチルシロキサン/ポリウレアブロックコポリマーが得られた。シリコーン含量(Si(R)2O)は、95質量%よりも多かった。
【0163】
【表2】
* 非常に広く且つ低強度の溶融が50~100℃の範囲で観察できたが、それにもかかわらずMVR測定は120℃で良好な溶融を示した。
【0164】
CP1.4~CP1.6で得られた結果は、分岐コポリマーの影響力(interest)を示している。これらの実施例では、分岐は分岐剤を添加することによって達成された。これらの実施例はまた、チタンベースの触媒が、これらの分岐コポリマーに対して、スズベースの触媒よりも効率的であることを際立たせた。触媒を使用しない場合、材料は依然として固体ポリマーとはみなすことができず、標準的な圧力及び温度環境下で流動するのに留意することが重要である。
【0165】
- CP1.7~CP1.11
80℃に加熱した20Lの連続撹拌槽反応器に、2700gのビスアミノプロピル末端ポリジメチルシロキサン(Silmer NH Di-50、モル質量4244g.モル-1、Siltech社から販売)を充填した。その後続いて、147gの室温の1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(Desmodur H、モル質量168g.モル-1、Covestro社から販売)を、シロキサンに滴下して添加した。混合物を80℃で2分間撹拌し、次いで152gのビスアミノプロピル末端ポリジメチルシロキサン(Silmer NH Di-8、モル質量840g.モル-1、Siltech社から販売)を、80℃で反応混合物に添加した。次に、混合物を80℃でさらに2分間攪拌し、そしてプラスチック容器中に滴下した。最後に混合物を、真空下80℃で2時間硬化させ、CP1.7を得た。
【0166】
CP1.8について、CP1.7と同じ手順を使用したが、ここでは、216質量ppm(1.02×10-3モル、605モルppm)の室温のジブチルスズジラウレート(DABCO T12N、モル質量632g.モル-1、Air Products社から販売)触媒を官能化PDMSに加えて混合し、その後ジイソシアネートを加えた。
【0167】
CP1.9について、CP1.7と同じ手順を使用したが、ここでは、86質量ppm(1.02×10-3モル、605モルppm)の室温のチタン(トリエタノールアミナト)イソプロポキシド(Tyzor TE、モル質量253g.モル-1、Dorf Ketal社から販売)触媒を(CP1.8のDABCO T12Nの代わりに)官能化PDMSに加えて混合し、その後ジイソシアネートを加えた。
【0168】
CP1.10について、CP1.7と同じ手順を使用したが、ここでは、193質量ppm(1.02×10-3モル、605モルppm)の室温のチタン2-エチルヘキシルオキシド(Tyzor TOT、モル質量564g.モル-1、Dorf Ketal社から販売)触媒を(CP1.8のDABCO T12Nの代わりに)官能化PDMSに加えて混合し、その後ジイソシアネートを加えた。
【0169】
CP1.11について、CP1.7と同じ手順を使用したが、ここでは、116質量ppm(1.02×10-3モル、605モルppm)の室温のテトラ-n-ブチルチタネート(TnBT、モル質量340g.モル-1、Catalytic Technologies社から販売)触媒を(CP1.8のDABCO T12Nの代わりに)官能化PDMSに加えて混合し、その後ジイソシアネートを加えた。
【0170】
冷却により、硬質セグメント画分が10.0%であり、その機械的特性及び熱的特性が以下の表3に記載のものであるガラス透明ポリジメチルシロキサンポリウレアブロックコポリマーが得られた。シリコーン含量(Si(R)2O)は、95質量%よりも多かった。
【0171】
【表3】
* 非常に広く且つ低強度の溶融が50~100℃の範囲で観察できたが、それにもかかわらずMVR測定は120℃で良好な溶融を示した。
【0172】
CP1.7~CP1.11で得られた結果は、分岐コポリマーの影響力を示している。これらの実施例では、分岐は過剰なジイソシアネートの添加によって達成され、従ってコポリマー上のビウレット形成によって側枝が形成された。これらの実施例はまた、チタンベースの触媒が、これらのコポリマーに対して、スズベースの触媒よりも効率的であることを際立たせた。触媒を使用しない場合、材料は依然として固体ポリマーとはみなすことができず、標準的な圧力及び温度環境下で流動するのに留意することが重要である。
【0173】
実施例2:押出機内における合成
- CP2.1~CP2.3
CP2.1を調製するために、80L/D26mmの共回転二軸押出機(TSA Industrial社、15の加熱ゾーン及び温度制御ダイを備える)に、3600gのビスアミノプロピル末端ポリジメチルシロキサン(Silmer NH Di-50、モル質量4244g.モル-1、Siltech社から販売)及び214gのビスアミノプロピル末端ポリジメチルシロキサン(Silmer NH Di-8、モル質量840g.モル-1、Siltech社から販売)から構成される混合物を、60℃で3814g.h-1の流量で、第1の加熱ゾーンに計量供給した。
【0174】
第2の加熱ゾーンにおいて、室温の1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(Desmodur H、モル質量168g.モル-1、Covestro社から販売)を、186g.h-1の流量で滴下して添加した。
【0175】
加熱ゾーンの温度プロファイルは、表4に詳述するようにプログラムされていた。
【0176】
【0177】
回転速度は250RPMであった。
【0178】
CP2.2について、CP2.1と同じ手順を使用したが、ここでは、216質量ppm(1.37×10-3モル、617モルppm)の室温のジブチルスズジラウレート(DABCO T12N、モル質量632g.モル-1、Air Products社から販売)触媒を、第1の加熱ゾーンに計量供給した官能化PDMS混合物に加えて混合した。
【0179】
CP2.3について、CP2.1と同じ手順を使用したが、ここでは、192質量ppm(1.37×10-3モル、617モルppm)の室温のチタン2-エチルヘキシルオキシド(Tyzor TOT、モル質量564g.モル-1、Dorf Ketal社から販売)触媒を(CP2.2のDABCO T12Nの代わりに)第1の加熱ゾーンに計量供給した官能化PDMS混合物に加えて混合した。
【0180】
押出機のダイで取り出された材料は、硬質セグメント比が10.0%であり、以下の表5に記載の特性を有するポリジメチルシロキサン/ポリウレアブロックコポリマーであった。全ての最終的なブロックコポリマーは、95質量%よりも多いシリコーン(Si(R)2O)含量を有していた。
【0181】
【表5】
* 非常に広く且つ低強度の溶融が50~100℃の範囲で観察できたが、それにもかかわらずMVR測定は120℃で良好な溶融を示した。
【0182】
CP2.1~CP2.3で得られた結果から、触媒を使用しないと、得られたブロックコポリマーは固体ポリマーとみなすことができず、標準的な圧力及び温度環境下で依然として流動能を有する粘弾性材料としてしかみなされないことがわかった。従って触媒の添加は、オルガノポリシロキサンポリウレアブロックコポリマーを反応器内で合成する場合、高分子量及び良好な機械特性を得るために必要であった。
【0183】
- CP2.4~CP2.6
CP2.4を調製するために、80L/D26mmの共回転二軸押出機(TSA Industrial社、15の加熱ゾーン及び温度制御ダイを備える)に、3400gのビスアミノプロピル末端ポリジメチルシロキサン(Silmer NH Di-50、モル質量4244g.モル-1、Siltech社から販売)、218gのビスアミノプロピル末端ポリジメチルシロキサン(Silmer NH Di-8、モル質量840g.モル-1、Siltech社から販売)、及び200g(5質量%)の分岐モノアミノエチル官能性ポリジメチルシロキサン(Bluesil FLD21643、モル質量7619g.モル-1、Elkem社から販売)の混合物を、60℃で3818g.h-1の流量で、第1の加熱ゾーンに計量供給した。
【0184】
第2の加熱ゾーンにおいて、室温の1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(Desmodur H、モル質量168g.モル-1、Covestro社から販売)を181g.h-1の流速で滴下して添加した。
【0185】
加熱ゾーンの温度プロファイルは、表6に詳述するようにプログラムされていた。
【0186】
【0187】
回転速度は250RPMであった。
【0188】
CP2.5について、CP2.4と同じ手順を使用したが、ここでは、216質量ppm(1.37×10-3モル、630モルppm)の室温のジブチルスズジラウレート(DABCO T12N、モル質量632g.モル-1、Air Products社から販売)触媒を、第1の加熱ゾーンに計量供給した官能化PDMS混合物に加えて混合した。
【0189】
CP2.6について、CP2.4と同じ手順を使用したが、ここでは、193質量ppm(1.37×10-3モル、630モルppm)の室温のチタン2-エチルヘキシルオキシド(Tyzor TOT、モル質量564g.モル-1、Dorf Ketal社から販売)触媒を(CP2.5のDABCO T12Nの代わりに)第1の加熱ゾーンに計量供給した官能化PDMS混合物に加えて混合した。
【0190】
押出機のダイで取り出された材料は、硬質セグメント比が10.0%であり、以下の表7に記載の特性を有するポリジメチルシロキサン/ポリウレアブロックコポリマーであった。全ての最終生成品は、95質量%よりも多いシリコーン含量(Si(R)2O)を有していた。
【0191】
【表7】
* 非常に広く且つ低強度の溶融が50~100℃の範囲で観察できたが、それにもかかわらずMVR測定は120℃で良好な溶融を示した。
【0192】
CP2.4~CP2.6で得られた結果は、分岐コポリマーの影響力を示している。これらの実施例では、分岐は分岐剤を添加することによって達成された。これらの実施例はまた、チタンベースの触媒が、これらのブロックコポリマーに対して、スズベースの触媒よりも効率的であることを際立たせた。触媒を使用しない場合、材料は固体ポリマーとはみなすことができず、標準的な圧力及び温度環境下で流動するのに留意することが重要である。
【0193】
- CP2.7~CP2.11
CP2.7を調製するために、80L/D26mmの共回転二軸押出機(TSA Industrial社、15の加熱ゾーン及び温度制御ダイを備える)に、3600gのビスアミノプロピル末端ポリジメチルシロキサン(Silmer NH Di-50、モル質量4244g.モル-1、Siltech社から販売)、205gのビスアミノプロピル末端ポリジメチルシロキサン(Silmer NH Di-8、モル質量840g.モル-1、Siltech社から販売)から構成される混合物を、60℃で3805g.h-1の流量で、第1の加熱ゾーンに計量供給した。
【0194】
第2の加熱ゾーンにおいて、室温の1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(Desmodur H、モル質量168g.モル-1、Covestro社から販売)を、197g.h-1の流量で滴下して添加した。
【0195】
加熱ゾーンの温度プロファイルは、表8に詳述するようにプログラムされていた。
【0196】
【0197】
回転速度は250RPMであった。
【0198】
CP2.8について、CP2.7と同じ手順を使用したが、ここでは、216質量ppm(1.37×10-3モル、602モルppm)の室温のジブチルスズジラウレート(DABCO T12N、モル質量632g.モル-1、Air Products社から販売)を、第1の加熱ゾーンに計量供給した官能化PDMS混合物に加えて混合した。
【0199】
CP2.9について、CP2.7と同じ手順を使用したが、ここでは、86質量ppm(1.37×10-3モル、602モルppm)の室温のチタン(トリエタノールアミナト)イソプロポキシド(Tyzor TE、モル質量253g.モル-1、Dorf Ketal社から販売)触媒を(CP2.8のDABCO T12Nの代わりに)第1の加熱ゾーンに計量供給した官能化PDMS混合物に加えて混合した。
【0200】
CP2.10について、CP2.7と同じ手順を使用したが、ここでは、192質量ppm(1.37×10-3モル、602モルppm)の室温のチタン2-エチルヘキシルオキシド(Tyzor TOT、モル質量564g.モル-1、Dorf Ketal社から販売)触媒を(CP2.8のDABCO T12Nの代わりに)第1の加熱ゾーンに計量供給した官能化PDMSに加えて混合した。
【0201】
CP2.11について、CP2.7と同じ手順を使用したが、ここでは、116質量ppm(1.37×10-3モル、602モルppm)の室温のテトラ-n-ブチルチタネート(TnBT、モル質量340g.モル-1、Catalytic Technologies社から販売)触媒を(CP2.8のDABCO T12Nの代わりに)第1の加熱ゾーンに計量供給した官能化PDMS混合物に加えて混合した。
【0202】
押出機のダイで取り出された材料は、硬質セグメント比が10.0%であり、以下の表9に記載の特性を有するポリジメチルシロキサン/ポリウレアブロックコポリマーであった。全ての最終生成品は、95質量%よりも多いシリコーン含量(Si(R)2O)を有していた。
【0203】
【表9】
* 非常に広く且つ低強度の溶融が50~100℃の範囲で観察できたが、それにもかかわらずMVR測定は120℃で良好な溶融を示した。
【0204】
CP2.7~CP2.11で得られた結果は、分岐コポリマーの影響力を示している。これらの実施例では、分岐は過剰なジイソシアネートの添加によって達成され、従ってコポリマー上のビウレット形成によって側枝が形成されている。これらの実施例はまた、チタンベースの触媒が、これらのコポリマーに対して、スズベースの触媒よりも効率的であることを際立たせた。触媒を使用しない場合、材料は依然として固体ポリマーとはみなすことができず、標準的な圧力及び温度環境下で流動するのに留意することが重要である。
【0205】
結論
先に記載した全ての実施例について、シリコーンベースのウレタン-ウレアコポリマーは、95質量%よりも多いシリコーン含量を有していた。最小の破断ひずみは210%より高く、そして680%という高い最大の破断ひずみを達成することができた。全ての異なるサンプルの硬度は、0~38ショアAの範囲であった。
【0206】
使用した全ての反応物の量を、以下の表10にまとめる。
【0207】
【0208】
先に定義したように、配合に使用した全てのポリシロキサン成分に関する式Bの鎖延長剤のパーセンテージでのモル比は、Nb/(Na+Nb+Nd)である。
【0209】
配合に使用した全ての成分に関する式Cのジイソシアネートのパーセンテージでのモル比は、Nc/(Na+Nb+Nc+Nd)である。
【0210】
全ての長鎖ポリシロキサン成分に関する式Dの分岐剤のパーセンテージでのモル比は、Nd/(Na+Nd)である。
【0211】
以下の表11は、例示したブロックコポリマーのこれら全ての比率をまとめたものである。
【0212】
【0213】
実施例3:CP1.2の3D印刷
CP1.2を、FDM式の3Dプリンタで、後述する印刷条件で印刷した。
材料
3DプリンタCosmed333、XYデカルトZデカップリング(TOBECA社、仏)を使用した:
・ 移動限界:10μm、
・ 印刷容量:300*300*300mm、
・ 外部環境の制御なし、
・ 沈殿の種類:Ultimus V圧力コントローラーによる1~7バールの空気圧式(Nordson EFD社、米国)、
・ Syringe Optimum(Nordson EFD社、米国)10cm3、標準ピストン及びキャップ(Nordson EFD社、米国)付き及び40μm金属針(FISNAR社、米国)。
【0214】
プリンタの用意
シリコーンベースのポリウレタン-ポリウレアコポリマーを用いた供給カートリッジの用意:
・ 材料のペレットをシリンジの3/4充填した、
・ プランジャーとストッパーでシリンジを閉じた、
・ 溶融温度Tmより高い温度で4時間生成物を溶融及び熱安定化させた。
【0215】
3D印刷
以下の特徴を使用した:
・ 印刷用ソフトウェア:Repetier Host、
・ スライスソフトウェア:Slic3r、
・ 印刷高さ:400μm、
・ 印刷幅:400μm、
・ 印刷速度:5mm.s-1、
・ 真空変位速度:50mm.s-1、
・ 印刷温度:95℃、
・ 堆積圧力:1~7バール(配合による)、好ましくは4~6バール。
【0216】
CP1.2を用いて、耳の模型を印刷した(
図1及び
図2)。シリコーンベースのウレタン-ウレアコポリマーは粘性の熱可塑性材料であったので、物体のはみ出し部分にも支持体印刷なしで印刷を行った。
【0217】
実施例4:CP1.4の3D印刷
CP1.4を、液滴堆積型3Dプリンタにより、後述する印刷条件で印刷した。
【0218】
材料
3DプリンタArburg Freeformer200-3Xバージョン2/3:
・ 吐出ユニット:2、
・ X、Y、Zの移動、
・ 印刷チャンバ寸法:15×25×0.1~40cm、
・ 有効印刷面:200cm
2。
3D印刷
・ フーパー30℃-120℃-130℃-140℃(ノズル)、
・ チャンバ温度:60℃、
・ 層厚250μm、
・ 印刷速さ20mm/s。
CP1.4で、いくつかのダンベルを印刷した(
図3及び
図4)。
【国際調査報告】