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特表2023-521356in situハイブリダイゼーションによって標的核酸を検出する方法及びそのキット
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-24
(54)【発明の名称】in situハイブリダイゼーションによって標的核酸を検出する方法及びそのキット
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/6841 20180101AFI20230517BHJP
   C12Q 1/6806 20180101ALI20230517BHJP
   C12Q 1/6813 20180101ALI20230517BHJP
   C12Q 1/02 20060101ALI20230517BHJP
   C12N 15/113 20100101ALN20230517BHJP
【FI】
C12Q1/6841 Z
C12Q1/6806 Z
C12Q1/6813 Z
C12Q1/02
C12N15/113 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022561088
(86)(22)【出願日】2021-04-05
(85)【翻訳文提出日】2022-11-16
(86)【国際出願番号】 US2021025749
(87)【国際公開番号】W WO2021207062
(87)【国際公開日】2021-10-14
(31)【優先権主張番号】63/006,600
(32)【優先日】2020-04-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】521361338
【氏名又は名称】アドヴァンスド セル ダイアグノスティクス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】マタ,ミゲル エンジェル
(72)【発明者】
【氏名】サハジャン,アパルナ
(72)【発明者】
【氏名】マ,シャオ-ジュン
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ビンチン
(72)【発明者】
【氏名】ワン,リ
(72)【発明者】
【氏名】ワン,リ-チョン
【テーマコード(参考)】
4B063
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QA13
4B063QA19
4B063QQ02
4B063QQ42
4B063QQ52
4B063QR32
4B063QR55
4B063QS10
4B063QS34
4B063QX01
(57)【要約】
細胞中の標的核酸、例えば、スモールノンコーディングRNA(sncRNA)、マイクロRNA(miRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、PIWI-interacting RNA(piRNA)、またはアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)分子などを検出する方法であって、初めの固定工程の後であり、in situハイブリダイゼーション前のアルデヒド含有固定液を用いた後固定工程を含む、方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
in situハイブリダイゼーション用の生体試料を調製する方法であって、
i.薬剤で前記生体試料を固定することを含む第1の固定工程と、
ii.前記第1の固定工程の後であり、前記in situハイブリダイゼーション前の、アルデヒド含有固定液で前記生体試料を固定することを含む後固定工程と、を含む、前記方法。
【請求項2】
前記in situハイブリダイゼーションが、RNA in situハイブリダイゼーションまたはDNA in situハイブリダイゼーションである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記in situハイブリダイゼーションが、前記生体試料において、100以下のヌクレオチドを含む核酸を検出する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記RNA in situハイブリダイゼーションが、50未満のヌクレオチドを含むRNAを検出する、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記RNA in situハイブリダイゼーションが、15~40のヌクレオチドを含むRNAを検出する、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記RNA in situハイブリダイゼーションが、スモールノンコーディングRNA(sncRNA)を検出する、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記RNA in situハイブリダイゼーションまたは前記DNA in situハイブリダイゼーションが、マイクロRNA(miRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、PIWI-interacting RNA(piRNA)またはアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)分子を検出し、前記RNA in situハイブリダイゼーションまたは前記DNA in situハイブリダイゼーションが、内因性または外因性の核酸を検出する、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記生体試料が組織検体である、または組織検体に由来する、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記生体試料が血液試料である、または血液試料に由来する、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記生体試料が細胞学的試料である、または細胞学的試料に由来する、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記生体試料が、培養細胞またはエクソソームを含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の固定工程における前記薬剤が、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、メタノール、エタノール、及びアセトンからなる群から選択される、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記後固定工程における前記アルデヒド含有固定液が、ホルムアルデヒドまたはグルタルアルデヒドを含む、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記アルデヒド含有固定液が、約5%~約50%のホルムアルデヒドを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記アルデヒド含有固定液が、約12%未満のホルムアルデヒドを含み、前記後固定工程が、前記アルデヒド含有固定液で前記生体試料を、約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、または18時間を超えて固定することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記アルデヒド含有固定液が少なくとも約12%のホルムアルデヒドを含み、前記後固定工程が、前記アルデヒド含有固定液で前記生体試料を約2時間固定することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記アルデヒド含有固定液が約12%~約37%のホルムアルデヒドを含み、前記後固定工程が、前記アルデヒド含有固定液で前記生体試料を約2時間固定することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記後固定工程の前記アルデヒド含有固定液が、ホルムアルデヒドまたはグルタルアルデヒドに加えて追加の薬剤を含む、請求項13~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
細胞中の標的核酸を検出する方法であって、
(i)請求項1~18のいずれか1項に記載の方法によって生体試料を調製することと、
(ii)前記標的核酸にハイブリダイズできる1つ以上の標的プローブ(複数可)の少なくとも1セットを提供することと、
(iii)前記1つ以上の標的プローブ(複数可)のセットにハイブリダイズできる、シグナル生成複合体を提供することであって、前記シグナル生成複合体が、前記1つ以上の標的プローブ(複数可)のセットにハイブリダイズできる核酸成分、及び標識プローブを含む、前記提供することと、
(iv)前記標的核酸を前記1つ以上の標的プローブ(複数可)のセットにハイブリダイズすることと、
(v)前記シグナル生成複合体を前記1つ以上の標的プローブ(複数可)のセットに捕捉し、それによって前記シグナル生成複合体を前記標的核酸に捕捉することと、を含む、前記方法。
【請求項20】
前記標的プローブ(複数可)のそれぞれが、標的(T)セクションと標識(L)セクションとを備え、前記Tセクションは前記標的核酸上のセクションに相補的な核酸配列であり、前記Lセクションは前記シグナル生成複合体の前記核酸成分上のセクションに相補的な核酸配列であり、前記1つ以上の標的プローブ(複数可)の前記Tセクションは前記標的核酸の非重複領域に相補的であり、前記1つ以上の標的プローブ(複数可)の前記Lセクションは前記生成複合体の前記核酸成分の非重複領域に相補的である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記標的核酸が、100未満のヌクレオチドを含む、請求項19~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記標的核酸が、50未満のヌクレオチドを含むRNAである、請求項19~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記標的核酸が、15~40のヌクレオチドを含むRNAである、請求項19~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記標的核酸が、スモールノンコーディングRNA(sncRNA)である、請求項19~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記標的核酸が、マイクロRNA(miRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、PIWI-interacting RNA(piRNA)、またはアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)分子であり、任意に前記RNA in situハイブリダイゼーションまたは前記DNA in situハイブリダイゼーションが、内因性または外因性の核酸を検出するためのものである、請求項19~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
組織または細胞型を識別するのに用いられる、請求項1~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
発生段階を決定するのに用いられる、請求項1~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
成人組織の特性決定に用いられる、請求項1~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
1つ以上の変性した低分子RNAの発現、または病原体由来の低分子RNAの存在に基づき、疾患または障害を診断するのに用いられる、請求項1~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
低分子RNAベースの治療の有効性を監視、または決定するために用いられる、請求項1~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
標的核酸のin situ検出のために、あらかじめ固定した試料中に前記標的核酸を保存する方法であって、前記標的核酸にハイブリダイズする1つ以上のプローブのセットを用いたin situハイブリダイゼーション検出アッセイ実施の前に、前記試料にアルデヒド含有固定液を適用することを含み、前記標的核酸が100未満のヌクレオチドを含む、前記方法。
【請求項32】
あらかじめ固定した試料における標的核酸のin situ検出方法であって、
(i)前記試料にアルデヒド含有固定液を適用することと、
(ii)前記標的核酸にハイブリダイズする1つ以上のプローブのセットを用いたin situハイブリダイゼーション検出アッセイを実施することと、を含み、
前記標的核酸が100未満のヌクレオチドを含む、前記方法。
【請求項33】
前記試料が組織検体である、または組織検体に由来する、請求項31または請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記試料が血液試料である、または血液試料に由来する、請求項31または請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記試料が細胞学的試料である、または細胞学的試料に由来する、請求項31または請求項32に記載の方法。
【請求項36】
前記試料が、培養細胞またはエクソソームを含む、請求項31または請求項32に記載の方法。
【請求項37】
前記後固定工程の前記アルデヒド含有固定液が、ホルムアルデヒドまたはグルタルアルデヒドを含む、請求項31~36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
前記アルデヒド含有固定液が、約5%~約50%のホルムアルデヒドを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記アルデヒド含有固定液が、約12%未満のホルムアルデヒドを含み、前記後固定工程が、前記アルデヒド含有固定液で前記試料を、約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、または18時間を超えて固定することを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
前記アルデヒド含有固定液が少なくとも約12%のホルムアルデヒドを含み、前記後固定工程が、前記アルデヒド含有固定液で前記試料を約2時間固定することを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項41】
前記アルデヒド含有固定液が約12%~約37%のホルムアルデヒドを含み、前記後固定工程が、前記アルデヒド含有固定液で前記試料を約2時間固定することを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項42】
前記後固定工程の前記アルデヒド含有固定液が、ホルムアルデヒドまたはグルタルアルデヒドに加えて追加の薬剤を含む、請求項37~41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
前記プローブのセットが、前記標的核酸にハイブリダイズできる1つ以上の標的プローブ(複数可)を含み、前記方法が、
(a)前記1つ以上の標的プローブ(複数可)のセットにハイブリダイズできる、シグナル生成複合体を提供することであって、前記シグナル生成複合体が、前記1つ以上の標的プローブ(複数可)のセットにハイブリダイズできる核酸成分、及び標識プローブを含む、前記提供することと、
(b)前記標的核酸を前記1つ以上の標的プローブ(複数可)のセットにハイブリダイズすることと、
(c)前記シグナル生成複合体を前記1つ以上の標的プローブ(複数可)のセットに捕捉し、それによって前記シグナル生成複合体を前記標的核酸に捕捉することと、をさらに含む、請求項31~42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
前記標的プローブ(複数可)のそれぞれが、標的(T)セクションと標識(L)セクションとを備え、前記Tセクションは前記標的核酸上のセクションに相補的な核酸配列であり、前記Lセクションは前記シグナル生成複合体の前記核酸成分上のセクションに相補的な核酸配列であり、前記1つ以上の標的プローブ(複数可)の前記Tセクションは前記標的核酸の非重複領域に相補的であり、前記1つ以上の標的プローブ(複数可)の前記Lセクションは前記生成複合体の前記核酸成分の非重複領域に相補的である、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
細胞中の標的核酸のin situ検出のためのキットであって、
(i)前記細胞を含む生体試料を固定する薬剤と、
(ii)前記生体試料を固定するアルデヒド含有固定液と、
(iii)in situハイブリダイゼーションを実施する薬剤と、
(iv)前記アルデヒド含有固定液が、要素(i)の前記薬剤の後に使用されることを示す取扱い説明書と、を含む、前記キット。
【請求項46】
前記要素(i)の前記薬剤が、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、メタノール、エタノール、及びアセトンからなる群から選択される、請求項45に記載のキット。
【請求項47】
前記アルデヒド含有固定液が、ホルムアルデヒドまたはグルタルアルデヒドからなる群から選択される、請求項45に記載のキット。
【請求項48】
前記アルデヒド含有固定液が、約5%~約50%のホルムアルデヒドを含む、請求項47に記載のキット。
【請求項49】
前記アルデヒド含有固定液が、少なくとも約12%のホルムアルデヒドを含む、請求項47に記載のキット。
【請求項50】
前記アルデヒド含有固定液が、約12%~約37%のホルムアルデヒドを含む、請求項47に記載のキット。
【請求項51】
後固定工程の前記アルデヒド含有固定液が、ホルムアルデヒドまたはグルタルアルデヒドに加えて追加の剤を含む、請求項47~50のいずれか1項に記載のキット。
【請求項52】
in situハイブリダイゼーションを実施する前記薬剤が、前記標的核酸にハイブリダイズできる1つ以上の標的プローブ(複数可)の少なくとも1セットと、前記1つ以上の標的プローブ(複数可)のセットにハイブリダイズできるシグナル生成複合体と、を含み、前記シグナル生成複合体が、前記1つ以上の標的プローブ(複数可)のセットにハイブリダイズできる核酸成分、及び標識プローブを含む、請求項45~51のいずれか1項に記載のキット。
【請求項53】
前記標的プローブ(複数可)のそれぞれが、標的(T)セクションと標識(L)セクションとを備え、前記Tセクションは前記標的核酸上のセクションに相補的な核酸配列であり、前記Lセクションは前記シグナル生成複合体の前記核酸成分上のセクションに相補的な核酸配列であり、前記1つ以上の標的プローブ(複数可)の前記Tセクションは前記標的核酸の非重複領域に相補的であり、前記1つ以上の標的プローブ(複数可)の前記Lセクションは前記生成複合体の前記核酸成分の非重複領域に相補的である、請求項52に記載のキット。
【請求項54】
生体試料を得るためのツールをさらに含む、請求項45~53のいずれか1項に記載のキット。
【請求項55】
前記生体試料が組織検体である、または組織検体に由来する、請求項54に記載のキット。
【請求項56】
前記生体試料が血液試料である、または血液試料に由来する、請求項54に記載のキット。
【請求項57】
前記生体試料が細胞学的試料である、または細胞学的試料に由来する、請求項54に記載のキット。
【請求項58】
前記生体試料が、培養細胞またはエクソソームを含む、請求項54に記載のキット。
【請求項59】
前記標的核酸が、100未満のヌクレオチドを含む、請求項45~58のいずれか1項に記載のキット。
【請求項60】
前記標的核酸が、50未満のヌクレオチドを含むRNAである、請求項45~58のいずれか1項に記載のキット。
【請求項61】
前記標的核酸が、15~40のヌクレオチドを含むRNAである、請求項45~58のいずれか1項に記載のキット。
【請求項62】
前記標的核酸が、スモールノンコーディングRNA(sncRNA)である、請求項45~58のいずれか1項に記載のキット。
【請求項63】
前記標的核酸が、マイクロRNA(miRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、PIWI-interacting RNA(piRNA)、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)分子であり、前記RNA in situハイブリダイゼーションまたは前記DNA in situハイブリダイゼーションが、内因性または外因性の核酸を検出する、請求項45~58のいずれか1項に記載のキット。
【請求項64】
組織または細胞型を識別するのに用いられる、請求項45~63のいずれか1項に記載のキット。
【請求項65】
発生段階を決定するのに用いられる、請求項45~63のいずれか1項に記載のキット。
【請求項66】
成人組織の特性決定に用いられる、請求項45~63のいずれか1項に記載のキット。
【請求項67】
1つ以上の変性した低分子RNAの発現、または病原体由来の低分子RNAの存在に基づき、疾患または障害を診断するのに用いられる、請求項45~63のいずれか1項に記載のキット。
【請求項68】
低分子RNAベースの治療の有効性を監視、または決定するために用いられる、請求項45~63のいずれか1項に記載のキット。
【請求項69】
請求項1~18、または31のいずれか1項に記載の方法によって調製される、生体試料。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔技術分野〕
いくつかの実施形態において、非限定的に、スモールノンコーディングRNA(sncRNA)、マイクロRNA(miRNA)、PIWI-interacting RNA(piRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)またはアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)分子などを検出するための、in situハイブリダイゼーション用の生体試料を調製する方法が、本明細書にて提供される。さらに、細胞中の標的核酸を検出する方法が提供される。また、本明細書では、特定の実施形態において、上記方法を実施するためのキット及び上記方法によって調製する生体試料が提供される。
【0002】
〔背景技術〕
in situハイブリダイゼーション(ISH)は、組織学的切片内の核酸の特定セグメントを、精密に検出することを可能にする技術である。ISHの根底にある原理は、組織学的検体中に核酸が適切に保存されている場合、レポーター分子が結合されている相補的な核酸鎖を適用することで、保存された核酸を検出できるというものである。標的核酸は、デオキシリボ核酸(DNA)またはリボ核酸(RNA)であり得る。
【0003】
細胞内には異なる種類のRNA、すなわち(i)ポリペプチドのアミノ酸配列をコードするメッセンジャーRNA(mRNA)、(ii)翻訳中にアミノ酸をリボソームに導くトランスファーRNA(tRNA)、(iii)mRNAを翻訳する細胞小器官であるリボソームを構成するリボソームRNA(rRNA)、及び(iv)様々なRNAプロセシングに関与するsncRNA、などが存在する。特に、sncRNA、miRNA、siRNA、piRNA及びASOは、研究、診断及び医薬品開発において重要性が高い(例えば、Hanna et al.,Frontiers in Genetics,10,1-6,2019、Watts et al.,Journal of Pathology,226(2),365-379,2012参照)。RNA ISH技術によって測定されるような、組織微小環境内でのRNA、特に低分子RNAの改善された検出感度を示す方法が必要である。
【0004】
多様な生物過程における低分子核酸の極めて重要な役割にもかかわらず、これらの種の検出には問題がある。組織病理学のための組織検体の保存は、化学的固定液を使用したタンパク質及び核酸の架橋に依存している。この固定戦略は、長鎖メッセンジャーRNA(mRNA)種を検出するための、現在のRNA ISH技術への適合性を有する。しかしながら、この手法は、低分子核酸を不適切に架橋することで、組織からこれらの種を発散及び分散させることにつながり、ISHアッセイによる検出の低下という結果をもたらす。したがって、ISHによってより広範囲の核酸分子を検出するための、新規の組成物及び方法が必要とされている。
【0005】
〔発明の概要〕
一態様では、本明細書において、in situハイブリダイゼーション用の生体試料を調製する方法であって、i.薬剤で生体試料を固定することを含む第1の固定工程と、ii.第1の固定工程の後であり、in situハイブリダイゼーション前の、アルデヒド含有固定液で生体試料を固定することを含む後固定工程と、を含む方法が提供される。
【0006】
いくつかの実施形態では、本方法は、RNAのin situハイブリダイゼーション用の生体試料を調製するのに使用できる。いくつかの実施形態では、本方法は、DNAのin situハイブリダイゼーション用の生体試料を調製するのに使用できる。
【0007】
いくつかの実施形態では、本開示のin situハイブリダイゼーション法は、100未満のヌクレオチドを含む核酸を検出するのに使用できる。いくつかの実施形態では、RNAのin situハイブリダイゼーション法は、50未満のヌクレオチドを含むRNAを検出するのに使用できる。いくつかの実施形態では、RNAのin situハイブリダイゼーション法は、15~40のヌクレオチドを含むRNAを検出するのに使用できる。
【0008】
いくつかの実施形態では、本開示のRNA in situハイブリダイゼーション法は、スモールノンコーディングRNA(sncRNA)を検出するのに使用できる。いくつかの実施形態では、RNA in situハイブリダイゼーション法は、マイクロRNA(miRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)またはPIWI interacting RNA(piRNA)、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)分子を検出するのに使用できる。いくつかの実施形態では、RNA in situハイブリダイゼーション法は、内因性RNAを検出するのに使用できる。いくつかの実施形態では、RNA in situハイブリダイゼーション法は、外因性RNAを検出するのに使用できる。
【0009】
いくつかの実施形態では、生体試料は組織検体である、または組織検体に由来する。その他の実施形態では、生体試料は血液試料である、または血液試料に由来する。その他の実施形態では、生体試料は細胞学的試料である、または細胞学的試料に由来する。その他の実施形態では、生体試料は培養細胞である。その他の実施形態では、生体試料はエクソソームである。
【0010】
いくつかの実施形態では、第1の固定工程における薬剤は、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、アルコール(メタノール、エタノール)、及びアセトンからなる群から選択される。
【0011】
その他の実施形態では、後固定工程におけるアルデヒド含有固定液は、ホルムアルデヒドまたはグルタルアルデヒドからなる群から選択される。
【0012】
いくつかの実施形態では、アルデヒド含有固定液は、約5%~約50%のホルムアルデヒドを含む。特定の実施形態では、アルデヒド含有固定液は、約12%未満のホルムアルデヒドを含む。いくつかの実施形態では、後固定工程は、アルデヒド含有固定液で生体試料を、約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、または18時間を超えて固定することを含む。
【0013】
特定の実施形態では、アルデヒド含有固定液は少なくとも約12%のホルムアルデヒドを含み、後固定工程はアルデヒド含有固定液で生体試料を約2時間固定することを含む。特定の実施形態では、アルデヒド含有固定液は約12%~約37%のホルムアルデヒドを含み、後固定工程はアルデヒド含有固定液で生体試料を約2時間固定することを含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、生体試料は上記の方法に従って調製される。
【0015】
別の態様では、本開示の実施形態は、細胞中の標的核酸を検出する方法であって、(i)生体試料を調製することと、(ii)上記標的核酸にハイブリダイズできる1つ以上の標的プローブ(複数可)の少なくとも1セットを提供することと、(iii)上記1つ以上の標的プローブ(複数可)のセットにハイブリダイズできる、シグナル生成複合体を提供することであって、上記シグナル生成複合体が、上記1つ以上の標的プローブ(複数可)のセットにハイブリダイズできる核酸成分、及び標識プローブを含む、提供することと、(iv)上記標的核酸を、上記1つ以上の標的プローブ(複数可)のセットにハイブリダイズすることと、(v)シグナル生成複合体を上記1つ以上の標的プローブ(複数可)のセットに捕捉し、それによってシグナル生成複合体を上記標的核酸に捕捉することと、を含む方法を包含する。
【0016】
特定の実施形態では、各標的プローブ(複数可)は、標的(T)セクション、及び標識(L)セクションを含む。いくつかの実施形態では、Tセクションは標的核酸上のセクションに相補的な核酸配列であり、Lセクションはシグナル生成複合体の核酸成分上のセクションに相補的な核酸配列である。別の特定の実施形態では、1つ以上の標的プローブ(複数可)のTセクションは、標的核酸の非重複領域に相補的であり、1つ以上の標的プローブ(複数可)のLセクションは、生成複合体の核酸成分の非重複領域に相補的である。
【0017】
いくつかの実施形態では、標的核酸は約100未満のヌクレオチドを含む。その他の実施形態では、標的核酸は、約50未満のヌクレオチドを含むRNAである。その他の実施形態では、標的核酸は、約15~約40のヌクレオチドを含むRNAである。
【0018】
いくつかの実施形態では、標的核酸はsncRNAである。いくつかの実施形態では、標的核酸は、miRNA、siRNA、piRNAまたはASOである。いくつかの実施形態では、標的核酸は内因性の核酸である。その他の実施形態では、標的核酸は外因性の核酸である。
【0019】
いくつかの実施形態では、本方法は、組織または細胞型を識別するのに使用される。その他の実施形態では、本方法は、発生段階を決定するのに使用される。その他の実施形態では、本方法は、成人組織の特性決定に使用される。その他の実施形態では、本方法は、1つ以上の変性した低分子RNAの発現、または病原体由来の低分子RNAの存在に基づき、疾患または障害を診断するのに使用される。その他の実施形態では、本方法は、低分子RNAまたはオリゴヌクレオチドベースの治療の有効性を監視する、または決定するのに使用される。
【0020】
別の態様では、本開示の実施形態は、標的核酸のin situ検出のために、あらかじめ固定した試料中に標的核酸を保存する方法であって、上記標的核酸にハイブリダイズする1つ以上のプローブのセットを用いたin situハイブリダイゼーション検出アッセイ実施の前に、上記試料にアルデヒド含有固定液を適用すること、を含む方法を包含する。
【0021】
別の態様では、本明細書において、あらかじめ固定した試料中の標的核酸のin situ検出方法であって、(i)試料にアルデヒド含有固定液を適用することと、(ii)上記標的核酸にハイブリダイズする1つ以上のプローブのセットを用いたin situハイブリダイゼーション検出アッセイを実施することと、を含む検出方法が提供される。
【0022】
いくつかの実施形態では、標的核酸は約100未満のヌクレオチドを含む。その他の実施形態では、標的核酸は、約50未満のヌクレオチドを含むRNAである。その他の実施形態では、標的核酸は、約15~約40のヌクレオチドを含むRNAである。
【0023】
いくつかの実施形態では、生体試料は組織検体である、または組織検体に由来する。その他の実施形態では、生体試料は血液試料である、または血液試料に由来する。その他の実施形態では、生体試料は細胞学的試料である、または細胞学的試料に由来する。その他の実施形態では、生体試料は培養細胞である。その他の実施形態では、生体試料はエクソソームである。
【0024】
その他の実施形態では、後固定工程におけるアルデヒド含有固定液は、ホルムアルデヒドまたはグルタルアルデヒドを含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、アルデヒド含有固定液は、約5%~約50%のホルムアルデヒドを含む。特定の実施形態では、アルデヒド含有固定液は、約12%未満のホルムアルデヒドを含み、後固定工程は、アルデヒド含有固定液で生体試料を、約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、または18時間を超えて固定することを含む。特定の実施形態では、アルデヒド含有固定液は少なくとも約12%のホルムアルデヒドを含み、後固定工程はアルデヒド含有固定液で生体試料を約2時間固定することを含む。特定の実施形態では、アルデヒド含有固定液は約12%~約37%のホルムアルデヒドを含み、後固定工程はアルデヒド含有固定液で生体試料を約2時間固定することを含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、プローブのセットは、上記標的核酸にハイブリダイズできる1つ以上の標的プローブ(複数可)を含み、また本方法は、(a)上記1つ以上の標的プローブ(複数可)のセットにハイブリダイズできる、シグナル生成複合体を提供することであって、上記シグナル生成複合体が、上記1つ以上の標的プローブ(複数可)のセットにハイブリダイズできる核酸成分、及び標識プローブを含む、提供することと、(b)上記標的核酸を、上記1つ以上の標的プローブ(複数可)のセットにハイブリダイズすることと、(c)シグナル生成複合体を上記1つ以上の標的プローブ(複数可)のセットに捕捉し、それによってシグナル生成複合体を上記標的核酸に捕捉することと、をさらに含む。
【0027】
いくつかの実施形態では、標的プローブ(複数可)のそれぞれは、標的(T)セクション及び標識(L)セクションを含む。特定の実施形態では、Tセクションは標的核酸上のセクションに相補的な核酸配列であり、Lセクションはシグナル生成複合体の核酸成分上のセクションに相補的な核酸配列である。特定の実施形態では、1つ以上の標的プローブ(複数可)のTセクションは、標的核酸の非重複領域に相補的であり、1つ以上の標的プローブ(複数可)のLセクションは、生成複合体の核酸成分の非重複領域に相補的である。
【0028】
別の態様では、細胞中の標的核酸のin situ検出のためのキットは、(i)細胞を含む生体試料を固定する薬剤と、(ii)生体試料を固定するアルデヒド含有固定液と、(iii)in situハイブリダイゼーションを実施する薬剤と、(iv)アルデヒド含有固定液が、要素(i)の薬剤の後に使用されることを示す取扱い説明書と、を含む。いくつかの実施形態では、細胞中の標的核酸をin situ検出するためのキットは、生体試料を固定するアルデヒド含有固定液と、in situハイブリダイゼーションを実施する薬剤と、を含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、要素(i)の薬剤は、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、アルコール(メタノール、エタノール)、及びアセトンからなる群から選択される。その他の実施形態では、アルデヒド含有固定液は、ホルムアルデヒドまたはグルタルアルデヒドを含む。
【0030】
いくつかの実施形態では、アルデヒド含有固定液は、約5%~約50%のホルムアルデヒドを含む。特定の実施形態では、アルデヒド含有固定液は、少なくとも約12%のホルムアルデヒドを含む。特定の実施形態では、アルデヒド含有固定液は、約12%~約37%のホルムアルデヒドを含む。
【0031】
いくつかの実施形態では、in situハイブリダイゼーションを実施する薬剤は、上記標的核酸にハイブリダイズできる1つ以上の標的プローブ(複数可)の少なくとも1セットと、上記1つ以上の標的プローブ(複数可)のセットにハイブリダイズできるシグナル生成複合体と、を含む。特定の実施形態では、上記シグナル生成複合体は、上記1つ以上の標的プローブ(複数可)のセットにハイブリダイズできる核酸成分、及び標識プローブを含む。
【0032】
いくつかの実施形態では、標的プローブ(複数可)のそれぞれは、標的(T)セクション及び標識(L)セクションを含む。特定の実施形態では、Tセクションは標的核酸上のセクションに相補的な核酸配列であり、Lセクションはシグナル生成複合体の核酸成分上のセクションに相補的な核酸配列である。特定の実施形態では、1つ以上の標的プローブ(複数可)のTセクションは、標的核酸の非重複領域に相補的であり、1つ以上の標的プローブ(複数可)のLセクションは、生成複合体の核酸成分の非重複領域に相補的である。
【0033】
いくつかの実施形態では、本キットは、生体試料を得るためのツールをさらに含む。特定の実施形態では、生体試料は組織検体である、または組織検体に由来する。特定の実施形態では、生体試料は血液試料である、または血液試料に由来する。特定の実施形態では、生体試料は細胞学的試料である、または細胞学的試料に由来する。特定の実施形態では、生体試料は培養細胞である。特定の実施形態では、生体試料はエクソソームである。
【0034】
いくつかの実施形態では、標的核酸は約100未満のヌクレオチドを含む。その他の実施形態では、標的核酸は、50未満のヌクレオチドを含むRNAである。その他の実施形態では、標的核酸は、約15~約40のヌクレオチドを含むRNAである。いくつかの実施形態では、標的核酸はsncRNAである。その他の実施形態では、標的核酸は、miRNA、siRNA、piRNAまたはASOである。その他の実施形態では、標的核酸は内因性または外因性である。
【0035】
いくつかの実施形態では、本キットは、組織または細胞型を識別するのに使用される。その他の実施形態では、本キットは、発生段階を決定するのに使用される。その他の実施形態では、本キットは、成人組織の特性決定に使用される。その他の実施形態では、本キットは、1つ以上の変性した低分子RNAの発現、または病原体由来の低分子RNAの存在に基づき、疾患または障害を診断するのに使用される。その他の実施形態では、本方法は、低分子RNAベースの治療の有効性を監視する、または決定するのに使用される。
【0036】
〔図面の簡単な説明〕
図1]標準的なRNA ISHワークフローにおける、後固定工程の組み込みを示す。標準的なRNA ISHワークフローに存在しない後固定工程は、二重囲みボックスでラベルをつけている。
【0037】
図2A]12%に等しい、またはより高いホルムアルデヒドを用いた後固定によって、miRNA喪失が最小限となり、RNAscope(登録商標)ISHによる検出感度が向上したことを示す。マウスのホルマリン固定パラフィン包埋組織切片を未処理にした、または12%~37%の範囲の濃度のホルムアルデヒドで後固定した。RNAscope(登録商標)2.5 High Definition(HD)-Red Assayを使用して、ホルマリン固定パラフィン包埋組織処理用の確立された条件に従って、2種のmiRNAを検出した。ISHシグナルは斑点として現れ、ヘマトキシリンは個々の細胞核を染色する。後固定工程後の、心臓に豊富に発現するmiR-1a-3pの検出を示す図である。
【0038】
図2B]12%に等しい、またはより高いホルムアルデヒドを用いた後固定によって、miRNA喪失が最小限となり、RNAscope(登録商標)ISHによる検出感度が向上したことを示す。マウスのホルマリン固定パラフィン包埋組織切片を未処理にした、または12%~37%の範囲の濃度のホルムアルデヒドで後固定した。RNAscope(登録商標)2.5 High Definition(HD)-Red Assayを使用して、ホルマリン固定パラフィン包埋組織処理用の確立された条件に従って、2種のmiRNAを検出した。ISHシグナルは斑点として現れ、ヘマトキシリンは個々の細胞核を染色する。脳に豊富に発現するmiR-132-3pの検出を示す図である。
【0039】
図3A]約4%のホルムアルデヒド含有量を有する、10%中性緩衝ホルマリン(NBF)を用いた後固定によって、miRNA喪失が最小限となり、RNAscope(登録商標)ISHによる検出感度が向上したことを示す。マウスのホルマリン固定パラフィン包埋組織切片を未処理にした、または10%NBFで後固定した。RNAscope(登録商標)2.5 High Definition(HD)-Red Assayを使用して、ホルマリン固定パラフィン包埋組織処理用の確立された条件に従って、複数種のmiRNAを検出した。ISHシグナルは斑点として現れ、ヘマトキシリンは個々の細胞核を染色する。後固定工程後の、心臓に豊富に発現するmiR-1a-3pの検出を示す図である。
【0040】
図3B]約4%のホルムアルデヒド含有量を有する、10%中性緩衝ホルマリン(NBF)を用いた後固定によって、miRNA喪失が最小限となり、RNAscope(登録商標)ISHによる検出感度が向上したことを示す。マウスのホルマリン固定パラフィン包埋組織切片を未処理にした、または10%NBFで後固定した。RNAscope(登録商標)2.5 High Definition(HD)-Red Assayを使用して、ホルマリン固定パラフィン包埋組織処理用の確立された条件に従って、複数種のmiRNAを検出した。ISHシグナルは斑点として現れ、ヘマトキシリンは個々の細胞核を染色する。後固定工程後の、脳に豊富に発現するmiR-132-3pの検出を示す図である。
【0041】
図3C]約4%のホルムアルデヒド含有量を有する、10%中性緩衝ホルマリン(NBF)を用いた後固定によって、miRNA喪失が最小限となり、RNAscope(登録商標)ISHによる検出感度が向上したことを示す。マウスのホルマリン固定パラフィン包埋組織切片を未処理にした、または10%NBFで後固定した。RNAscope(登録商標)2.5 High Definition(HD)-Red Assayを使用して、ホルマリン固定パラフィン包埋組織処理用の確立された条件に従って、複数種のmiRNAを検出した。ISHシグナルは斑点として現れ、ヘマトキシリンは個々の細胞核を染色する。後固定工程後の、肝臓に豊富に発現するmiR-122-5pの検出を示す図である。
【0042】
図3D]約4%のホルムアルデヒド含有量を有する、10%中性緩衝ホルマリン(NBF)を用いた後固定によって、miRNA喪失が最小限となり、RNAscope(登録商標)ISHによる検出感度が向上したことを示す。マウスのホルマリン固定パラフィン包埋組織切片を未処理にした、または10%NBFで後固定した。RNAscope(登録商標)2.5 High Definition(HD)-Red Assayを使用して、ホルマリン固定パラフィン包埋組織処理用の確立された条件に従って、複数種のmiRNAを検出した。ISHシグナルは斑点として現れ、ヘマトキシリンは個々の細胞核を染色する。後固定工程後の、偏在して発現するlet-7の検出を示す図である。
【0043】
図4A]後固定ワークフローが、長鎖RNA種の検出への完全な適合性があったことを示す。ヒト及びマウスのホルマリン固定パラフィン包埋組織を未処理とした、または10%NBFによって後固定し、図1に概説した汎用ISHワークフローを用いて処理を続けた。ヒト皮膚A431細胞において、RNAscope(登録商標)2.5 High Definition(HD)-Red Assayを使用して、ヒトTATAボックス結合タンパク質(TBP)mRNAを検出したことを示す図である。
【0044】
図4B]後固定ワークフローが、長鎖RNA種の検出への完全な適合性があったことを示す。ヒト及びマウスのホルマリン固定パラフィン包埋組織を未処理とした、または10%NBFによって後固定し、図1に概説した汎用ISHワークフローを用いて処理を続けた。マウスの腸試料での、マウスポリメラーゼRNA IIポリペプチドA(POLR2A)mRNAの検出を示す図である。
【0045】
図4C]後固定ワークフローが、長鎖RNA種の検出への完全な適合性があったことを示す。ヒト及びマウスのホルマリン固定パラフィン包埋組織を未処理とした、または10%NBFによって後固定し、図1に概説した汎用ISHワークフローを用いて処理を続けた。脳組織での、マウスポリメラーゼRNA IIポリペプチドA(POLR2A)mRNAの検出を示す図である。
【0046】
〔発明を実施するための形態〕
本明細書において提供される方法は、一部には、第1の固定工程の後であるが、in situハイブリダイゼーションの前に行う後固定工程により、低分子標的核酸、例えば生体試料中の低分子RNA種のより良好な保持が得られ、そして標的核酸、例えば低分子RNA種の検出感度が改善され、さらにこの方法が長鎖核酸種、例えば長鎖RNA種への完全な適合性を有していた、という予想外の発見に基づいている。本明細書で提供される方法は、天然の組織微小環境において低分子核酸分子を保存し、より高い検出感度を提供する。喪失を最小化するために、あらかじめ固定した生物検体をアルデヒド含有固定液を用いて後固定し、その後、試料をISHアッセイ(図1参照)のために処理し、それによって確実に生体試料内での低分子核酸の保存を行う。この実用的かつ信頼性が高い戦略は、標準的なISHアッセイへの完全な適合性があり(図2図3及び図4参照)、低分子核酸の検出感度を高め、sncRNA、miRNA、siRNA、piRNA及びASOなどの標的核酸の空間的識別を可能とする。
【0047】
5.1 定義
本明細書で使用される場合、用語「固定」または「固定すること」は、in situハイブリダイゼーション工程において生体試料を固定することに関するとき、例えば、自己分解または腐敗による崩壊から生体試料を守る手順を意味する。この手順は、あらゆる進行中の生化学反応を停止させ、さらに処理した組織の機械的強度または安定性を向上させ得る。
【0048】
本明細書で使用される場合、用語「1つ以上」とは、例えば、1つ以上、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上、9つ以上、10個以上、20個以上、30個以上、40個以上、50個以上、または特定の用途のために所望の場合、より大きな数を意味する。
【0049】
本明細書で使用される用語「検出する」とは、通常、任意の形態の測定を意味し、ある成分が存在するかどうかの決定を含む。この用語には、定量的及び/または定性的決定が含まれる。
【0050】
用語「核酸」及び「ポリヌクレオチド」は、本明細書において、ヌクレオチド(例えば、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチド)で構成される任意の長さの高分子、または2つの天然に存在する核酸が配列特異的にハイブリダイズするのと同様に、天然に存在する核酸と配列特異的にハイブリダイズすることができる、合成的に生成される化合物、例えば、ワトソン・クリック塩基対相互作用に関与し得る化合物を指す目的で同義的に使用される。用語「複数の塩基」(または「塩基」)は、ポリヌクレオチド配列との関係で本明細書で使用される場合、「複数のヌクレオチド」(または「ヌクレオチド」)、すなわち、ポリヌクレオチドのモノマーサブユニットと同義である。用語「ヌクレオシド」及び「ヌクレオチド」は、既知のプリン塩基及びピリミジン塩基を含有する部分のみならず、修飾された他の複素環式塩基を含有する部分も包含することが意図される。このような修飾には、メチル化プリンもしくはメチル化ピリミジン、アシル化プリンもしくはアシル化ピリミジン、アルキル化リボース、または他の複素環が含まれる。さらに、用語「ヌクレオシド」及び「ヌクレオチド」は、従来のリボース糖及びデオキシリボース糖を含有する部分のみならず、他の糖を含有する部分も包含する。修飾ヌクレオシドまたはヌクレオチドはまた、糖部分に対する修飾を含み、例えば、ヒドロキシル基のうちの1つ以上がハロゲン原子または脂肪族基で置き換えられているか、エーテルまたはアミンなどに官能化されている。「類似体」は、模倣体、誘導体である、類似の構造を有する、または他の同様の用語として文献で認識されている構造的特徴を有する分子を指し、例えば、非天然ヌクレオチドが組み込まれたポリヌクレオチド、ヌクレオチド模倣体(2’-修飾ヌクレオシドなど)、ペプチド核酸、オリゴマーヌクレオシドホスホネート、及び置換基(保護基または連結部分など)が付加されている任意のポリヌクレオチドを含む。
【0051】
「相補的」という用語は、ポリヌクレオチドの配列に基づく、ポリヌクレオチド間の特異的な結合を指す。本明細書で使用される場合、第1のポリヌクレオチドと第2のポリヌクレオチドは、ストリンジェントな条件でのハイブリダイゼーションアッセイにおいて、互いに結合し合う場合、例えば、ハイブリダイゼーションアッセイにおいて、所定のレベルまたは検出可能なレベルのシグナルを生成する場合、相補的である。ポリヌクレオチドの部分は、従来の塩基対形成規則(例えば、AはT(またはU)と対になり、GはCと対になる)に従う場合、互いに相補的であるが、ミスマッチ、挿入、または欠失された配列の小さな領域(例えば、約3塩基未満)が存在してもよい。
【0052】
本明細書で使用される用語「試料」は、関心対象である1種以上の成分を含有する物質または物質の混合物に関するものである。用語「試料」は、「生体試料」を包含し、生体試料は、生物学的対象から得られた試料、例えばin vivoまたはin situで得た、到達した、もしくは採取した生物組織または流体由来の試料などを意味する。生体試料として同じく、前がん細胞、がん細胞、前がん組織、またはがん組織を含有する生物学的対象の領域由来の試料を含む。このような試料は、哺乳動物から分離した器官、組織、細胞及びエクソソームであることができるが、これらに限定されない。例示的な生体試料としては、細胞溶解液、細胞培養物、細胞株、組織、口腔組織、胃腸組織、器官、細胞小器官、生体液、血液試料、尿試料、皮膚試料などが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい生体試料としては、全血、部分精製血液、PBMC、組織生検体などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0053】
本明細書で使用される「プローブ」という用語は、特定の標的のmRNA配列に向けられた捕捉物質を指す。したがって、プローブのセットの各プローブは、それぞれの標的mRNA配列を有する。いくつかの実施形態では、本明細書において提供されるプローブは、「核酸プローブ」または「オリゴヌクレオチドプローブ」であり、これらは相補的配列を有する標的核酸、例えば本明細書において提供されるmRNAバイオマーカーと、通常、水素結合の形成による相補的塩基対形成を通じて結合できる核酸を指す。本明細書で使用される場合、プローブは、天然塩基(例えば、A、G、CまたはT)または修飾塩基(7-デアザグアノシン、イノシンなど)を含み得る。加えて、プローブ内の塩基は、ハイブリダイゼーションに干渉しない限り、ホスホジエステル結合以外の結合によって連結されていてもよい。プローブは、タグ、例えば発色団、発光団(lumiphore)、または色素体で、直接または間接的に標識されることができる。プローブの有無についてアッセイすることによって、目的の標的mRNAバイオマーカーの有無を検出することができる。
【0054】
本明細書で使用される場合、用語「アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)分子」または「ASO」は、メッセンジャーRNAと相互作用して標的遺伝子の翻訳を防ぐ、短い、1本鎖の分子を意味する。
【0055】
本明細書で使用される場合、用語「内因性」は、生体内から生じる物質を意味する。本明細書で使用される場合、用語「外因性」は、生体外から生じる物質を意味する。
【0056】
本開示及び特許請求の範囲において使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」には、文脈によってそうでない旨が明確に示されない限り、複数の指示対象が含まれる。
【0057】
実施形態が、用語「含む(comprising)」とともに本明細書に記載される場合、それ以外の、「からなる(consisting of)」及び/または「から本質的になる(consisting essentially of)」という観点から記載された、類似の実施形態もまた提供されると理解される。また、実施形態が「から本質的になる(consisting essentially of)」という表現とともに本明細書に記載される場合、それ以外の、「からなる(consisting of)」という観点から記載された、類似の実施形態もまた提供されると理解される。
【0058】
「AとBの間(between A and B)」または「A-B間(between A-B)」などの表現において用いられる用語「の間(between)」は、A及びBを包含する範囲を示す。
【0059】
本明細書における「A及び/またはB」のような表現において用いられるような用語「及び/または」は、A及びB、AまたはB、Aのみ、ならびにBのみ、を含むと意図される。同様に、「A、B及び/またはC」のような表現において用いられるような用語「及び/または」は、次の各具体例:A、B及びC;A、B、またはC;AまたはC;AまたはB;BまたはC;A及びC;A及びB;B及びC;Aのみ;Bのみ;ならびにCのみ、を包含すると意図される。
【0060】
5.2 in situハイブリダイゼーションのための後固定
固定は、生体試料を、例えば自己分解または腐敗による崩壊から保存するために広く使用される。固定は、あらゆる進行中の生化学反応を停止させ、処理した組織の力学的強度または安定性を向上させ得る。しかし、標準的な固定工程では、生体試料中の核酸、DNAまたはRNAの質が損なわれることが多いと、長年にわたって知られている。臨床の世界における分子検査の使用増加に伴い、このような制約は、これらの検査の利用をいたずらに制限している可能性がある。したがって、この点に関して、組織構造中のDNA及びRNAの検出を最適化する必要がある。
【0061】
RNA種、特に低分子RNAの目録を作る試みは、マイクロアレイ、定量ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)、及びシークエンシング手法に大きく依存している。これらの方法によってバルクの発現レベルを得られる一方で、特定のmiRNAに関する詳細な空間的発現情報は、その過程で失われてしまう。このことは、組織または細胞型固有の発現様式に基づいてmiRNAを検出し、目録を作る必要性を強調している。関心対象である遺伝子の発現を、細胞の微小環境内で視覚化するのに一般に使用される方法が、in situハイブリダイゼーション(ISH)である。メッセンジャーRNA(mRNA)を検出するためには、多くのISH法を利用できる一方で、低分子核酸の検出には、その発現を再現性高く検出し、定量化するための問題が残っている。
【0062】
10%のホルマリンを使用する従来の組織固定法は、mRNAなどの長鎖の核酸種にとっては最適な保存をもたらすが、miRNA、siRNA、piRNA、及びASOなどの低分子核酸種の固定には不十分である。近年、架橋剤であるホルムアルデヒド、続いて化学的固定液1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)を利用して、組織学的試料からmiRNAの喪失を防ぐ固定手法が導入され、ハプテン標識プローブ及び比色抗体に基づくRNA ISHによって視覚化するとき、組織微小環境内のmiRNAが保持される結果となった(Pena et al.,Nature Methods,6(2),139-141,2010)。この戦略は有用であるが、いくつかの課題を呈する。第1に、EDCとの架橋プロセスはpHに非常に敏感であり、それによって様々なmiRNA保持プロファイルができ、アッセイごとに潜在的なばらつきが増加することとなる。第2に、試薬が不安定であるため、EDCは新しく調製され、安定化剤と混合することで固定液特性を維持している(Renwick,et al.,The Journal of Clinical Investigation,123(6),2694-2702,2013)。それゆえ、これらの制約のために、低分子RNA種を検出するためのこれらの方法の実用的な適用、特に大規模なプロジェクトにおける適用が妨げられている。したがって、ISHアッセイでの低分子核酸の喪失を最小化し、低分子核酸の検出感度を向上させるより実用的かつ安定な方法が必要である。
【0063】
したがって、本開示の実施形態は、生体試料内に低分子核酸分子を保存するための、確立されたISHアッセイへの完全な適合性がある、汎用性及び信頼性が高い方法を包含する。核酸種の保持は、ISHの前に、あらかじめ固定した生体試料をアルデヒド含有固定液に曝露することによって達成される。この戦略によって、不安定な化学化合物を調製する必要性が排除され、組織内に核酸を保持するための信頼性が高い手法が提供され、検出感度の向上につながる。
【0064】
本開示の方法は、あらかじめ固定した試料に、アルデヒド含有固定液を適用することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書において、標的核酸のin situ検出のために、あらかじめ固定した試料中に標的核酸を保存する方法であって、標的核酸にハイブリダイズする1つ以上のプローブのセットを用いたin situハイブリダイゼーション検出アッセイ実施の前に、試料にアルデヒド含有固定液を適用すること、を含む方法が提供される。
【0065】
いくつかの実施形態では、試料は、固定液(複数可)を用いた化学的固定によってあらかじめ固定した。いくつかの実施形態では、試料は、固定液(複数可)中に生体試料を浸漬することによって、固定液(複数可)を用いて生体試料を灌流することによって、または生体試料に蒸気状の固定液(複数可)を適用することによってあらかじめ固定した。その他の実施形態では、試料は、物理的な固定、例えば加熱、マイクロ波への曝露、凍結保存または凍結乾燥によってあらかじめ固定した。
【0066】
いくつかの実施形態では、試料は、凝固性の固定液(複数可)によってあらかじめ固定した。その他の実施形態では、試料は、非凝固性の固定液(複数可)によってあらかじめ固定した。いくつかの実施形態では、生体試料から水分を除去する変性特性を有する固定液(複数可)によって、試料をあらかじめ固定した。その他の実施形態では、生体試料の分子間に化学的結合を形成する、架橋性の固定液(複数可)によって、試料をあらかじめ固定した。いくつかの実施形態では、添加剤である固定液(複数可)によって、試料をあらかじめ固定した(すなわち、固定液(複数可)は、組織学的プロトコルの後続の工程において処理される、生体試料の一部となる)。その他の実施形態では、添加剤でない固定液(複数可)によって、試料をあらかじめ固定した(すなわち、固定液(複数可)は、一旦固定が実行され完了すると、組織学的プロトコルの後続の工程において生体試料から除去されることになる)。
【0067】
一実施形態では、エタノールによって試料をあらかじめ固定した。一実施形態では、メタノールによって試料をあらかじめ固定した。一実施形態では、アセトンによって試料をあらかじめ固定した。一実施形態では、酢酸によって試料をあらかじめ固定した。一実施形態では、塩化亜鉛によって試料をあらかじめ固定した。一実施形態では、硫酸亜鉛によって試料をあらかじめ固定した。一実施形態では、ピクリン酸によって試料をあらかじめ固定した。一実施形態では、ホルムアルデヒドによって試料をあらかじめ固定した。一実施形態では、グルタルアルデヒドによって試料をあらかじめ固定した。一実施形態では、四酸化オスミウムによって試料をあらかじめ固定した。いくつかの特定の実施形態では、カルボジイミドによって試料をあらかじめ固定した。いくつかの特定の実施形態では、ジイミドエステルによって試料をあらかじめ固定した。一実施形態では、クロロ-s-トリアジド(塩化シアヌル)によって試料をあらかじめ固定した。いくつかの特定の実施形態では、ジイソシアネートによって試料をあらかじめ固定した。一実施形態では、ジエチルピロカルボネート(DPC)によって試料をあらかじめ固定した。いくつかの特定の実施形態では、マレイミドによって試料をあらかじめ固定した。一実施形態では、ベンゾキノンによって試料をあらかじめ固定した。一実施形態では、塩化水銀によって試料をあらかじめ固定した。一実施形態では、二クロム酸カリウムによって試料をあらかじめ固定した。一実施形態では、過マンガン酸カリウムによって試料をあらかじめ固定した。一実施形態では、クロム酸によって試料をあらかじめ固定した。
【0068】
一実施形態では、ピクリン酸、ホルムアルデヒド、及び酢酸の溶液であるBouin固定液によって、試料をあらかじめ固定した。一実施形態では、エタノール及び酢酸の溶液であるClarke固定液によって、試料をあらかじめ固定した。一実施形態では、エタノール、クロロホルム、及び酢酸の溶液であるCarnoy固定液によって、試料をあらかじめ固定した。一実施形態では、ホルムアルデヒド及びグルタルアルデヒドの混合物溶液によって、試料をあらかじめ固定した。一実施形態では、エタノール、酢酸、及びホルムアルデヒドの溶液であるFAAによって、試料をあらかじめ固定した。一実施形態では、パラホルムアルデヒド、Lリジン、及びINaOの溶液である過ヨウ素酸-リジン-パラホルムアルデヒド(PLP)によって、試料をあらかじめ固定した。一実施形態では、リン酸緩衝ホルマリン(PBF)によって、試料をあらかじめ固定した。一実施形態では、ホルムアルデヒド及び塩化カルシウムの溶液であるホルマール・カルシウムによって、試料をあらかじめ固定した。一実施形態では、ホルムアルデヒド及び塩化ナトリウムの溶液であるホルマール・生理食塩水液によって、試料をあらかじめ固定した。一実施形態では、ホルムアルデヒド及び硫酸亜鉛の溶液である亜鉛ホルマリンによって、試料をあらかじめ固定した。一実施形態では、塩化水銀、二クロム酸カリウム、及び氷酢酸の溶液であるZenker固定液によって、試料をあらかじめ固定した。一実施形態では、ホルムアルデヒド、二クロム酸カリウム、硫酸ナトリウム、及び塩化水銀の溶液であるHelly固定液によって、試料をあらかじめ固定した。一実施形態では、B-5固定液、c塩化水銀(c mercuric chloride)及び酢酸ナトリウムによって、試料をあらかじめ固定した。一実施形態では、ホルムアルデヒド、酢酸銅、ピクリン酸、及び酢酸の溶液であるHollande固定液によって、試料をあらかじめ固定した。一実施形態では、ホルムアルデヒド、エタノール、ピクリン酸、及び氷酢酸の溶液であるGendre溶液によって、試料をあらかじめ固定した。一実施形態では、メタノール、クロロホルム、及び氷酢酸の溶液であるMethacarn固定液によって、試料をあらかじめ固定した。一実施形態では、ホルムアルデヒド、エタノール、及び酢酸カルシウムの溶液であるアルコール・ホルマリンによって、試料をあらかじめ固定した。一実施形態では、ホルムアルデヒド、氷酢酸、及びエタノールの溶液であるホルモール酢酸アルコールによって、試料をあらかじめ固定した。
【0069】
いくつかの実施形態では、エタノール、メタノール、アセトン、酢酸、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、ピクリン酸、四酸化オスミウム、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、カルボジイミド、ジイミドエステル、クロロ-s-トリアジド(塩化シアヌル)、ジイソシアネート、ジエチルピロカルボネート(DPC)、マレイミド、ベンゾキノン、塩化水銀、二クロム酸カリウム、過マンガン酸カリウム及びクロム酸を含む一覧から選択される、2、3、4、または5種以上の固定液の混合物溶液によって、試料をあらかじめ固定した。
【0070】
いくつかの実施形態では、同時ではないが、逐次的に適用される2種以上の固定液によって、試料をあらかじめ固定した。2種以上の固定液は、エタノール、メタノール、アセトン、酢酸、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、ピクリン酸、四酸化オスミウム、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、カルボジイミド、ジイミドエステル、クロロ-s-トリアジド(塩化シアヌル)、ジイソシアネート、ジエチルピロカルボネート(DPC)、マレイミド、ベンゾキノン、塩化水銀、二クロム酸カリウム、過マンガン酸カリウム及びクロム酸を含む一覧から選択される。
【0071】
いくつかの実施形態では、核酸を保存するのに好適な固定液(複数可)によって、試料をあらかじめ固定した。一実施形態では、固定液は、FineFix(Kothmaier et al.,Arch.Pathol.Lab.Med.135:744-752,2011参照)である。一実施形態では、固定液は、Glyo-fix(Lykidis et al.,Nucleic Acids Res.35:e85,2007参照)である。一実施形態では、固定液は、Histochoice(Vince et al.,Anal.Cell.Pathol.15:119-129,1997参照)である。一実施形態では、固定液は、HOPE(Kothmaier et al.,Arch.Pathol.Lab.Med.135:744-752,2011参照)である。一実施形態では、固定液は、Neo-Fix(Paavilainen et al.,Histochem.Cytochem.:Official J.Histochem.Soc.58:237-246,2010参照)である。一実施形態では、固定液は、PAXgene Tissue System(Nietner et al.,Int.J.Pathol.461:259-269,2012参照)である。一実施形態では、固定液は、RCL2(van Essen et al.,Clin.Pathol.63:1090-1094,2010参照)である。一実施形態では、固定液は、Streck’s Tissue Fixative(Burns et al.,Histochem.Cytochem.57:257-264,2009参照)である。一実施形態では、固定液は、UMFIX(Nadji et al.,Appl.Immunohistochem.Mol.Morphol.13:277-282,2005参照)である。一実施形態では、固定液は、Z7(Lykidis et al.,Nucleic Acids Res.35:e85,2007参照)である。一実施形態では、固定液は、ZBF(Paavilainen et al.,Histochem.Cytochem.:Official J.Histochem.Soc.58:237-246,2010参照)である。
【0072】
本明細書にて提供される、in situハイブリダイゼーション用の生体試料を調製する方法は、in situハイブリダイゼーションの前に、あらかじめ固定した試料に、アルデヒド含有固定液(複数可)を適用することを含む。一実施形態では、アルデヒド含有固定液はホルムアルデヒドを含む。一実施形態では、アルデヒド含有固定液はグルタルアルデヒドを含む。一実施形態では、アルデヒド含有固定液は、ピクリン酸、ホルムアルデヒド、及び酢酸の溶液である、Bouin固定液を含む。一実施形態では、アルデヒド含有固定液は、ホルムアルデヒド及びグルタルアルデヒドの混合物を含む。一実施形態では、アルデヒド含有固定液は、エタノール、酢酸、及びホルムアルデヒドの溶液である、FAAを含む。一実施形態では、アルデヒド含有固定液は、パラホルムアルデヒド、Lリジン及びINaOの溶液である、過ヨウ素酸-リジン-パラホルムアルデヒド(PLP)を含む。一実施形態では、アルデヒド含有固定液は、リン酸緩衝ホルマリン(PBF)を含む。一実施形態では、アルデヒド含有固定液は、ホルムアルデヒド及び塩化カルシウムの溶液である、ホルマール・カルシウムを含む。一実施形態では、アルデヒド含有固定液は、ホルムアルデヒド及び塩化ナトリウムの溶液である、ホルマール生理食塩水液を含む。一実施形態では、アルデヒド含有固定液は、ホルムアルデヒド及び硫酸亜鉛の溶液である、亜鉛ホルマリンを含む。一実施形態では、アルデヒド含有固定液は、ホルムアルデヒド、二クロム酸カリウム、硫酸ナトリウム、及び塩化水銀の溶液である、Helly固定液を含む。一実施形態では、アルデヒド含有固定液は、ホルムアルデヒド、酢酸銅、ピクリン酸、及び酢酸の溶液である、Hollande固定液を含む。一実施形態では、アルデヒド含有固定液は、ホルムアルデヒド、エタノール、ピクリン酸、及び氷酢酸の溶液である、Gendre溶液を含む。一実施形態では、アルデヒド含有固定液は、ホルムアルデヒド、エタノール、及び酢酸カルシウムの溶液である、アルコール・ホルマリンを含む。一実施形態では、アルデヒド含有固定液は、ホルムアルデヒド、氷酢酸、及びエタノールの溶液である、ホルモール酢酸アルコールを含む。一実施形態では、アルデヒド含有固定液は固定液の混合物を含み、混合物の少なくとも1種の固定液は、ホルムアルデヒドまたはグルタルアルデヒドである。一実施形態では、アルデヒド含有固定液は、同時に使用されないが逐次的に使用される固定液を含み、少なくとも1種の固定液は、ホルムアルデヒドまたはグルタルアルデヒドである。
【0073】
いくつかの実施形態では、アルデヒド含有固定液は、約5%~約50%のホルムアルデヒドを含む。いくつかの実施形態では、アルデヒド含有固定液は、約10%~約40%のホルムアルデヒドを含む。いくつかの実施形態では、アルデヒド含有固定液は、約12%~約37%のホルムアルデヒドを含む。
【0074】
いくつかの実施形態では、アルデヒド含有固定液は、約5%のホルムアルデヒドを含む。いくつかの実施形態では、アルデヒド含有固定液は、約6%のホルムアルデヒドを含む。いくつかの実施形態では、アルデヒド含有固定液は、約7%のホルムアルデヒドを含む。いくつかの実施形態では、アルデヒド含有固定液は、約8%のホルムアルデヒドを含む。いくつかの実施形態では、アルデヒド含有固定液は、約9%のホルムアルデヒドを含む。いくつかの実施形態では、アルデヒド含有固定液は、約10%のホルムアルデヒドを含む。いくつかの実施形態では、アルデヒド含有固定液は、約11%のホルムアルデヒドを含む。いくつかの実施形態では、アルデヒド含有固定液は、約12%のホルムアルデヒドを含む。いくつかの実施形態では、アルデヒド含有固定液は、約13%のホルムアルデヒドを含む。いくつかの実施形態では、アルデヒド含有固定液は、約14%のホルムアルデヒドを含む。いくつかの実施形態では、アルデヒド含有固定液は、約15%のホルムアルデヒドを含む。いくつかの実施形態では、アルデヒド含有固定液は、約16%のホルムアルデヒドを含む。いくつかの実施形態では、アルデヒド含有固定液は、約17%のホルムアルデヒドを含む。いくつかの実施形態では、アルデヒド含有固定液は、約18%のホルムアルデヒドを含む。いくつかの実施形態では、アルデヒド含有固定液は、約19%のホルムアルデヒドを含む。いくつかの実施形態では、アルデヒド含有固定液は、約20%のホルムアルデヒドを含む。いくつかの実施形態では、アルデヒド含有固定液は、約30%のホルムアルデヒドを含む。いくつかの実施形態では、アルデヒド含有固定液は、約35%のホルムアルデヒドを含む。いくつかの実施形態では、アルデヒド含有固定液は、約40%のホルムアルデヒドを含む。いくつかの実施形態では、アルデヒド含有固定液は、約50%のホルムアルデヒドを含む。
【0075】
いくつかの実施形態では、試料は、アルデヒド含有固定液で約2時間~約30時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、アルデヒド含有固定液で約2時間~約25時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、アルデヒド含有固定液で約2時間~約20時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、アルデヒド含有固定液で約2時間~約18時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、アルデヒド含有固定液で約2時間~約15時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、アルデヒド含有固定液で約2時間~約10時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、アルデヒド含有固定液で約2時間~約5時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、アルデヒド含有固定液で約2時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、アルデヒド含有固定液で約3時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、アルデヒド含有固定液で約4時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、アルデヒド含有固定液で約5時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、アルデヒド含有固定液で約6時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、アルデヒド含有固定液で約7時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、アルデヒド含有固定液で約8時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、アルデヒド含有固定液で約9時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、アルデヒド含有固定液で約10時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、アルデヒド含有固定液で約11時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、アルデヒド含有固定液で約12時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、アルデヒド含有固定液で約13時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、アルデヒド含有固定液で約14時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、アルデヒド含有固定液で約15時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、アルデヒド含有固定液で約16時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、アルデヒド含有固定液で約17時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、アルデヒド含有固定液で約18時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、アルデヒド含有固定液で約19時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、アルデヒド含有固定液で約20時間処理する。
【0076】
いくつかの実施形態では、試料は、ホルムアルデヒドで約2時間~約30時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、ホルムアルデヒドで約2時間~約25時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、ホルムアルデヒドで約2時間~約20時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、ホルムアルデヒドで約2時間~約18時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、ホルムアルデヒドで約2時間~約15時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、ホルムアルデヒドで約2時間~約10時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、ホルムアルデヒドで約2時間~約5時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、ホルムアルデヒドで約2時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、ホルムアルデヒドで約3時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、ホルムアルデヒドで約4時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、ホルムアルデヒドで約5時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、ホルムアルデヒドで約6時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、ホルムアルデヒドで約7時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、ホルムアルデヒドで約8時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、ホルムアルデヒドで約9時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、ホルムアルデヒドで約10時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、ホルムアルデヒドで約11時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、ホルムアルデヒドで約12時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、ホルムアルデヒドで約13時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、ホルムアルデヒドで約14時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、ホルムアルデヒドで約15時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、ホルムアルデヒドで約16時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、ホルムアルデヒドで約17時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、ホルムアルデヒドで約18時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、ホルムアルデヒドで約19時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、ホルムアルデヒドで約20時間処理する。
【0077】
いくつかの特定の実施形態では、試料は、約12%未満のホルムアルデヒドを含むアルデヒド含有固定液で、約15時間を超えて処理する。いくつかの特定の実施形態では、試料は、約12%未満のホルムアルデヒドを含むアルデヒド含有固定液で、約18時間処理する。いくつかの特定の実施形態では、試料は、約12%未満のホルムアルデヒドを含むアルデヒド含有固定液で、約19時間処理する。いくつかの特定の実施形態では、試料は、約12%未満のホルムアルデヒドを含むアルデヒド含有固定液で、約20時間処理する。いくつかの特定の実施形態では、試料は、約12%未満のホルムアルデヒドを含むアルデヒド含有固定液で、約25時間処理する。
【0078】
その他の特定の実施形態では、試料は、約12%以上のホルムアルデヒドを含むアルデヒド含有固定液で、約10時間未満処理する。その他の特定の実施形態では、試料は、約12%以上のホルムアルデヒドを含むアルデヒド含有固定液で、約10時間処理する。その他の特定の実施形態では、試料は、約12%以上のホルムアルデヒドを含むアルデヒド含有固定液で、約9時間処理する。その他の特定の実施形態では、試料は、約12%以上のホルムアルデヒドを含むアルデヒド含有固定液で、約8時間処理する。その他の特定の実施形態では、試料は、約12%以上のホルムアルデヒドを含むアルデヒド含有固定液で、約7時間処理する。その他の特定の実施形態では、試料は、約12%以上のホルムアルデヒドを含むアルデヒド含有固定液で、約6時間処理する。その他の特定の実施形態では、試料は、約12%以上のホルムアルデヒドを含むアルデヒド含有固定液で、約5時間処理する。その他の特定の実施形態では、試料は、約12%以上のホルムアルデヒドを含むアルデヒド含有固定液で、約4時間処理する。その他の特定の実施形態では、試料は、約12%以上のホルムアルデヒドを含むアルデヒド含有固定液で、約3時間処理する。その他の特定の実施形態では、試料は、約12%以上のホルムアルデヒドを含むアルデヒド含有固定液で、約2時間処理する。
【0079】
いくつかの特定の実施形態では、アルデヒド含有固定液は、pH約6の緩衝液中にある。いくつかの特定の実施形態では、アルデヒド含有固定液は、pH約6.5の緩衝液中にある。いくつかの特定の実施形態では、アルデヒド含有固定液は、pH約7の緩衝液中にある。いくつかの特定の実施形態では、アルデヒド含有固定液は、pH約7.5の緩衝液中にある。いくつかの特定の実施形態では、アルデヒド含有固定液は、pH約8の緩衝液中にある。いくつかの特定の実施形態では、アルデヒド含有固定液は、pH約8.5の緩衝液中にある。いくつかの特定の実施形態では、アルデヒド含有固定液は、pH約9の緩衝液中にある。
【0080】
いくつかの実施形態では、固定は、約4~50℃の温度で実施する。いくつかの実施形態では、固定は、約4℃の温度で実施する。いくつかの実施形態では、固定は、約10℃の温度で実施する。いくつかの実施形態では、固定は、約20℃の温度で実施する。いくつかの実施形態では、固定は、約25℃の温度で実施する。いくつかの実施形態では、固定は、約30℃の温度で実施する。いくつかの実施形態では、固定は、約40℃の温度で実施する。いくつかの実施形態では、固定は、約50℃の温度で実施する。いくつかの実施形態では、固定は、周囲温度で実施する。
【0081】
特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、あらかじめ固定した試料をアルデヒド含有固定液で処理することを含み、アルデヒド含有固定液はpH約6の等張緩衝液中にあり、アルデヒド含有固定液のアルデヒドのパーセンテージは約12%に等しい、またはより高く、固定は約4℃の温度で実施する。一実施形態では、固定は約1時間続く。一実施形態では、固定は約1.5時間続く。一実施形態では、固定は約2時間続く。一実施形態では、固定は約2.5時間続く。一実施形態では、固定は約3時間続く。一実施形態では、固定は約3.5時間続く。一実施形態では、固定は約4時間続く。
【0082】
特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、あらかじめ固定した試料をアルデヒド含有固定液で処理することを含み、アルデヒド含有固定液はpH約7の等張緩衝液中にあり、アルデヒド含有固定液のアルデヒドのパーセンテージは約12%に等しい、またはより高く、固定は約4℃の温度で実施する。一実施形態では、固定は約1時間続く。一実施形態では、固定は約1.5時間続く。一実施形態では、固定は約2時間続く。一実施形態では、固定は約2.5時間続く。一実施形態では、固定は約3時間続く。一実施形態では、固定は約3.5時間続く。一実施形態では、固定は約4時間続く。
【0083】
特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、あらかじめ固定した試料をアルデヒド含有固定液で処理することを含み、アルデヒド含有固定液はpH約8の等張緩衝液中にあり、アルデヒド含有固定液のアルデヒドのパーセンテージは約12%に等しい、またはより高く、固定は約4℃の温度で実施する。一実施形態では、固定は約1時間続く。一実施形態では、固定は約1.5時間続く。一実施形態では、固定は約2時間続く。一実施形態では、固定は約2.5時間続く。一実施形態では、固定は約3時間続く。一実施形態では、固定は約3.5時間続く。一実施形態では、固定は約4時間続く。
【0084】
特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、あらかじめ固定した試料をアルデヒド含有固定液で処理することを含み、アルデヒド含有固定液はpH約6の等張緩衝液中にあり、アルデヒド含有固定液のアルデヒドのパーセンテージは約12%に等しい、またはより高く、固定は周囲温度で実施する。一実施形態では、固定は約1時間続く。一実施形態では、固定は約1.5時間続く。一実施形態では、固定は約2時間続く。一実施形態では、固定は約2.5時間続く。一実施形態では、固定は約3時間続く。一実施形態では、固定は約3.5時間続く。一実施形態では、固定は約4時間続く。
【0085】
特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、あらかじめ固定した試料をアルデヒド含有固定液で処理することを含み、アルデヒド含有固定液はpH約7の等張緩衝液中にあり、アルデヒド含有固定液のアルデヒドのパーセンテージは約12%に等しい、またはより高く、固定は周囲温度で実施する。一実施形態では、固定は約1時間続く。一実施形態では、固定は約1.5時間続く。一実施形態では、固定は約2時間続く。一実施形態では、固定は約2.5時間続く。一実施形態では、固定は約3時間続く。一実施形態では、固定は約3.5時間続く。一実施形態では、固定は約4時間続く。
【0086】
特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、あらかじめ固定した試料をアルデヒド含有固定液で処理することを含み、アルデヒド含有固定液はpH約8の等張緩衝液中にあり、アルデヒド含有固定液のアルデヒドのパーセンテージは約12%に等しい、またはより高く、固定は周囲温度で実施する。一実施形態では、固定は約1時間続く。一実施形態では、固定は約1.5時間続く。一実施形態では、固定は約2時間続く。一実施形態では、固定は約2.5時間続く。一実施形態では、固定は約3時間続く。一実施形態では、固定は約3.5時間続く。一実施形態では、固定は約4時間続く。
【0087】
特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、あらかじめ固定した試料をアルデヒド含有固定液で処理することを含み、アルデヒド含有固定液はpH約6の等張緩衝液中にあり、アルデヒド含有固定液のアルデヒドのパーセンテージは約12%に等しい、またはより高く、固定は約50℃の温度で実施する。一実施形態では、固定は約1時間続く。一実施形態では、固定は約1.5時間続く。一実施形態では、固定は約2時間続く。一実施形態では、固定は約2.5時間続く。一実施形態では、固定は約3時間続く。一実施形態では、固定は約3.5時間続く。一実施形態では、固定は約4時間続く。
【0088】
特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、あらかじめ固定した試料をアルデヒド含有固定液で処理することを含み、アルデヒド含有固定液はpH約7の等張緩衝液中にあり、アルデヒド含有固定液のアルデヒドのパーセンテージは約12%に等しい、またはより高く、固定は約50℃の温度で実施する。一実施形態では、固定は約1時間続く。一実施形態では、固定は約1.5時間続く。一実施形態では、固定は約2時間続く。一実施形態では、固定は約2.5時間続く。一実施形態では、固定は約3時間続く。一実施形態では、固定は約3.5時間続く。一実施形態では、固定は約4時間続く。
【0089】
特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、あらかじめ固定した試料をアルデヒド含有固定液で処理することを含み、アルデヒド含有固定液はpH約8の等張緩衝液中にあり、アルデヒド含有固定液のアルデヒドのパーセンテージは約12%に等しい、またはより高く、固定は約50℃の温度で実施する。一実施形態では、固定は約1時間続く。一実施形態では、固定は約1.5時間続く。一実施形態では、固定は約2時間続く。一実施形態では、固定は約2.5時間続く。一実施形態では、固定は約3時間続く。一実施形態では、固定は約3.5時間続く。一実施形態では、固定は約4時間続く。
【0090】
特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、あらかじめ固定した試料をアルデヒド含有固定液で処理することを含み、アルデヒド含有固定液はpH約6の等張緩衝液中にあり、アルデヒド含有固定液のアルデヒドのパーセンテージは約12%未満であり、固定は約4℃の温度で実施する。一実施形態では、固定は約2時間続く。一実施形態では、固定は約3時間続く。一実施形態では、固定は約4時間続く。一実施形態では、固定は約5時間続く。一実施形態では、固定は約6時間続く。一実施形態では、固定は約7時間続く。一実施形態では、固定は約8時間続く。一実施形態では、固定は約9時間続く。一実施形態では、固定は約10時間続く。一実施形態では、固定は約11時間続く。一実施形態では、固定は約12時間続く。一実施形態では、固定は約13時間続く。一実施形態では、固定は約14時間続く。一実施形態では、固定は約15時間続く。一実施形態では、固定は約16時間続く。一実施形態では、固定は約16時間続く。一実施形態では、固定は約17時間続く。一実施形態では、固定は約18時間続く。一実施形態では、固定は約24時間続く。一実施形態では、固定は約36時間続く。一実施形態では、固定は約48時間続く。
【0091】
特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、あらかじめ固定した試料をアルデヒド含有固定液で処理することを含み、アルデヒド含有固定液はpH約7の等張緩衝液中にあり、アルデヒド含有固定液のアルデヒドのパーセンテージは約12%未満であり、固定は約4℃の温度で実施する。一実施形態では、固定は約2時間続く。一実施形態では、固定は約3時間続く。一実施形態では、固定は約4時間続く。一実施形態では、固定は約5時間続く。一実施形態では、固定は約6時間続く。一実施形態では、固定は約7時間続く。一実施形態では、固定は約8時間続く。一実施形態では、固定は約9時間続く。一実施形態では、固定は約10時間続く。一実施形態では、固定は約11時間続く。一実施形態では、固定は約12時間続く。一実施形態では、固定は約13時間続く。一実施形態では、固定は約14時間続く。一実施形態では、固定は約15時間続く。一実施形態では、固定は約16時間続く。一実施形態では、固定は約16時間続く。一実施形態では、固定は約17時間続く。一実施形態では、固定は約18時間続く。一実施形態では、固定は約24時間続く。一実施形態では、固定は約36時間続く。一実施形態では、固定は約48時間続く。
【0092】
特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、あらかじめ固定した試料をアルデヒド含有固定液で処理することを含み、アルデヒド含有固定液はpH約8の等張緩衝液中にあり、アルデヒド含有固定液のアルデヒドのパーセンテージは約12%未満であり、固定は約4℃の温度で実施する。一実施形態では、固定は約2時間続く。一実施形態では、固定は約3時間続く。一実施形態では、固定は約4時間続く。一実施形態では、固定は約5時間続く。一実施形態では、固定は約6時間続く。一実施形態では、固定は約7時間続く。一実施形態では、固定は約8時間続く。一実施形態では、固定は約9時間続く。一実施形態では、固定は約10時間続く。一実施形態では、固定は約11時間続く。一実施形態では、固定は約12時間続く。一実施形態では、固定は約13時間続く。一実施形態では、固定は約14時間続く。一実施形態では、固定は約15時間続く。一実施形態では、固定は約16時間続く。一実施形態では、固定は約16時間続く。一実施形態では、固定は約17時間続く。一実施形態では、固定は約18時間続く。一実施形態では、固定は約24時間続く。一実施形態では、固定は約36時間続く。一実施形態では、固定は約48時間続く。
【0093】
特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、あらかじめ固定した試料をアルデヒド含有固定液で処理することを含み、アルデヒド含有固定液はpH約6の等張緩衝液中にあり、アルデヒド含有固定液のアルデヒドのパーセンテージは約12%未満であり、固定は周囲温度で実施する。一実施形態では、固定は約2時間続く。一実施形態では、固定は約3時間続く。一実施形態では、固定は約4時間続く。一実施形態では、固定は約5時間続く。一実施形態では、固定は約6時間続く。一実施形態では、固定は約7時間続く。一実施形態では、固定は約8時間続く。一実施形態では、固定は約9時間続く。一実施形態では、固定は約10時間続く。一実施形態では、固定は約11時間続く。一実施形態では、固定は約12時間続く。一実施形態では、固定は約13時間続く。一実施形態では、固定は約14時間続く。一実施形態では、固定は約15時間続く。一実施形態では、固定は約16時間続く。一実施形態では、固定は約16時間続く。一実施形態では、固定は約17時間続く。一実施形態では、固定は約18時間続く。一実施形態では、固定は約24時間続く。一実施形態では、固定は約36時間続く。一実施形態では、固定は約48時間続く。
【0094】
特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、あらかじめ固定した試料をアルデヒド含有固定液で処理することを含み、アルデヒド含有固定液はpH約7の等張緩衝液中にあり、アルデヒド含有固定液のアルデヒドのパーセンテージは約12%未満であり、固定は周囲温度で実施する。一実施形態では、固定は約2時間続く。一実施形態では、固定は約3時間続く。一実施形態では、固定は約4時間続く。一実施形態では、固定は約5時間続く。一実施形態では、固定は約6時間続く。一実施形態では、固定は約7時間続く。一実施形態では、固定は約8時間続く。一実施形態では、固定は約9時間続く。一実施形態では、固定は約10時間続く。一実施形態では、固定は約11時間続く。一実施形態では、固定は約12時間続く。一実施形態では、固定は約13時間続く。一実施形態では、固定は約14時間続く。一実施形態では、固定は約15時間続く。一実施形態では、固定は約16時間続く。一実施形態では、固定は約16時間続く。一実施形態では、固定は約17時間続く。一実施形態では、固定は約18時間続く。一実施形態では、固定は約24時間続く。一実施形態では、固定は約36時間続く。一実施形態では、固定は約48時間続く。
【0095】
特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、あらかじめ固定した試料をアルデヒド含有固定液で処理することを含み、アルデヒド含有固定液はpH約8の等張緩衝液中にあり、アルデヒド含有固定液のアルデヒドのパーセンテージは約12%未満であり、固定は周囲温度で実施する。一実施形態では、固定は約2時間続く。一実施形態では、固定は約3時間続く。一実施形態では、固定は約4時間続く。一実施形態では、固定は約5時間続く。一実施形態では、固定は約6時間続く。一実施形態では、固定は約7時間続く。一実施形態では、固定は約8時間続く。一実施形態では、固定は約9時間続く。一実施形態では、固定は約10時間続く。一実施形態では、固定は約11時間続く。一実施形態では、固定は約12時間続く。一実施形態では、固定は約13時間続く。一実施形態では、固定は約14時間続く。一実施形態では、固定は約15時間続く。一実施形態では、固定は約16時間続く。一実施形態では、固定は約16時間続く。一実施形態では、固定は約17時間続く。一実施形態では、固定は約18時間続く。一実施形態では、固定は約24時間続く。一実施形態では、固定は約36時間続く。一実施形態では、固定は約48時間続く。
【0096】
特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、あらかじめ固定した試料をアルデヒド含有固定液で処理することを含み、アルデヒド含有固定液はpH約6の等張緩衝液中にあり、アルデヒド含有固定液のアルデヒドのパーセンテージは約12%未満であり、固定は約50℃の温度で実施する。一実施形態では、固定は約2時間続く。一実施形態では、固定は約3時間続く。一実施形態では、固定は約4時間続く。一実施形態では、固定は約5時間続く。一実施形態では、固定は約6時間続く。一実施形態では、固定は約7時間続く。一実施形態では、固定は約8時間続く。一実施形態では、固定は約9時間続く。一実施形態では、固定は約10時間続く。一実施形態では、固定は約11時間続く。一実施形態では、固定は約12時間続く。一実施形態では、固定は約13時間続く。一実施形態では、固定は約14時間続く。一実施形態では、固定は約15時間続く。一実施形態では、固定は約16時間続く。一実施形態では、固定は約16時間続く。一実施形態では、固定は約17時間続く。一実施形態では、固定は約18時間続く。一実施形態では、固定は約24時間続く。一実施形態では、固定は約36時間続く。一実施形態では、固定は約48時間続く。
【0097】
特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、あらかじめ固定した試料をアルデヒド含有固定液で処理することを含み、アルデヒド含有固定液はpH約7の等張緩衝液中にあり、アルデヒド含有固定液のアルデヒドのパーセンテージは約12%未満であり、固定は約50℃の温度で実施する。一実施形態では、固定は約2時間続く。一実施形態では、固定は約3時間続く。一実施形態では、固定は約4時間続く。一実施形態では、固定は約5時間続く。一実施形態では、固定は約6時間続く。一実施形態では、固定は約7時間続く。一実施形態では、固定は約8時間続く。一実施形態では、固定は約9時間続く。一実施形態では、固定は約10時間続く。一実施形態では、固定は約11時間続く。一実施形態では、固定は約12時間続く。一実施形態では、固定は約13時間続く。一実施形態では、固定は約14時間続く。一実施形態では、固定は約15時間続く。一実施形態では、固定は約16時間続く。一実施形態では、固定は約16時間続く。一実施形態では、固定は約17時間続く。一実施形態では、固定は約18時間続く。一実施形態では、固定は約24時間続く。一実施形態では、固定は約36時間続く。一実施形態では、固定は約48時間続く。
【0098】
特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、あらかじめ固定した試料をアルデヒド含有固定液で処理することを含み、アルデヒド含有固定液はpH約8の等張緩衝液中にあり、アルデヒド含有固定液のアルデヒドのパーセンテージは約12%未満であり、固定は約50℃の温度で実施する。一実施形態では、固定は約2時間続く。一実施形態では、固定は約3時間続く。一実施形態では、固定は約4時間続く。一実施形態では、固定は約5時間続く。一実施形態では、固定は約6時間続く。一実施形態では、固定は約7時間続く。一実施形態では、固定は約8時間続く。一実施形態では、固定は約9時間続く。一実施形態では、固定は約10時間続く。一実施形態では、固定は約11時間続く。一実施形態では、固定は約12時間続く。一実施形態では、固定は約13時間続く。一実施形態では、固定は約14時間続く。一実施形態では、固定は約15時間続く。一実施形態では、固定は約16時間続く。一実施形態では、固定は約16時間続く。一実施形態では、固定は約17時間続く。一実施形態では、固定は約18時間続く。一実施形態では、固定は約24時間続く。一実施形態では、固定は約36時間続く。一実施形態では、固定は約48時間続く。
【0099】
特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、あらかじめ固定した試料を、中性または中性に近いpHの等張緩衝液中で、約12%に等しい、またはより高いホルムアルデヒドで処理することを含み、固定は周囲温度で実施する。一実施形態では、固定は約0.5時間続く。一実施形態では、固定は約1時間続く。一実施形態では、固定は約1.5時間続く。一実施形態では、固定は約2時間続く。一実施形態では、固定は約2.5時間続く。一実施形態では、固定は約3時間続く。一実施形態では、固定は約3.5時間続く。
【0100】
特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、あらかじめ固定した試料を、中性または中性に近いpHの等張緩衝液中で、約12%未満のホルムアルデヒドで処理することを含み、固定は周囲温度で実施する。一実施形態では、固定は約12時間続く。一実施形態では、固定は約14時間続く。一実施形態では、固定は約16時間続く。一実施形態では、固定は約18時間続く。一実施形態では、固定は約20時間続く。一実施形態では、固定は約22時間続く。一実施形態では、固定は約24時間続く。
【0101】
特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、あらかじめ固定した試料を、リン酸緩衝食塩水中で、約12%のホルムアルデヒドで処理することを含み、固定は周囲温度で実施する。一実施形態では、固定は約1時間続く。一実施形態では、固定は約1.5時間続く。一実施形態では、固定は約2時間続く。一実施形態では、固定は約2.5時間続く。一実施形態では、固定は約3時間続く。一実施形態では、固定は約3.5時間続く。
【0102】
特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、あらかじめ固定した試料を、リン酸緩衝食塩水中で、約24%のホルムアルデヒドで処理することを含み、固定は周囲温度で実施する。一実施形態では、固定は約1時間続く。一実施形態では、固定は約1.5時間続く。一実施形態では、固定は約2時間続く。一実施形態では、固定は約2.5時間続く。一実施形態では、固定は約3時間続く。一実施形態では、固定は約3.5時間続く。
【0103】
特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、あらかじめ固定した試料を、リン酸緩衝食塩水中で、約37%のホルムアルデヒドで処理することを含み、固定は周囲温度で実施する。一実施形態では、固定は約1時間続く。一実施形態では、固定は約1.5時間続く。一実施形態では、固定は約2時間続く。一実施形態では、固定は約2.5時間続く。一実施形態では、固定は約3時間続く。一実施形態では、固定は約3.5時間続く。
【0104】
特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、あらかじめ固定した試料を約10%中性緩衝ホルマリンで処理することを含み、固定は周囲温度で実施する。一実施形態では、固定は約12時間続く。一実施形態では、固定は約14時間続く。一実施形態では、固定は約16時間続く。一実施形態では、固定は約18時間続く。一実施形態では、固定は約20時間続く。一実施形態では、固定は約22時間続く。一実施形態では、固定は約24時間続く。
【0105】
その他の実施形態では、本明細書において、in situハイブリダイゼーション用の生体試料を調製する方法であって、薬剤で生体試料を固定することを含む第1の固定工程と、第1の固定工程の後であり、in situハイブリダイゼーション前に、アルデヒド含有固定液で生体試料を固定することを含む後固定工程と、を含む方法が提供される。
【0106】
いくつかの実施形態では、第1の固定工程は物理的固定である。一実施形態では、第1の固定工程は加熱である。一実施形態では、第1の固定工程はマイクロ波への曝露である。一実施形態では、第1の固定工程は凍結保存または凍結乾燥である。その他の実施形態では、第1の固定工程は、固定液(複数可)を用いた化学的固定である。いくつかの実施形態では、第1の固定工程は、固定液(複数可)中に生体試料を浸漬することによる化学的固定である。いくつかの実施形態では、第1の固定工程は、固定液(複数可)を用いて生体試料を灌流することによる化学的固定である。いくつかの実施形態では、第1の固定工程は、蒸気状の固定液(複数可)を生体試料に適用することによる化学的固定である。
【0107】
いくつかの実施形態では、第1の固定工程は、凝固性の固定液(複数可)を用いた化学的固定である。その他の実施形態では、第1の固定工程は、非凝固性の固定液(複数可)を用いた化学的固定である。いくつかの実施形態では、第1の固定工程は、生体試料から水分を除去する変性特性を有する固定液(複数可)を用いた化学的固定である。その他の実施形態では、第1の固定工程は、生体試料の分子間に化学的結合を形成する、架橋性の固定液(複数可)を用いた化学的固定である。いくつかの実施形態では、第1の固定工程は、添加剤である固定液(複数可)を用いた化学的固定である(すなわち、固定液(複数可)は、組織学的プロトコルの後続の工程において処理される、生体試料の一部となる)。その他の実施形態では、第1の固定工程は、添加剤でない固定液(複数可)を用いた化学的固定である(すなわち、固定液(複数可)は、一旦固定が実行され完了すると、組織学的プロトコルの後続の工程において生体試料から除去されることになる)。
【0108】
一実施形態では、第1の固定工程は、エタノールによる化学的固定である。一実施形態では、第1の固定工程は、メタノールによる化学的固定である。一実施形態では、第1の固定工程は、アセトンによる化学的固定である。一実施形態では、第1の固定工程は、酢酸による化学的固定である。一実施形態では、第1の固定工程は、塩化亜鉛による化学的固定である。一実施形態では、第1の固定工程は、硫酸亜鉛による化学的固定である。一実施形態では、第1の固定工程は、ピクリン酸による化学的固定である。一実施形態では、第1の固定工程は、ホルムアルデヒドによる化学的固定である。一実施形態では、第1の固定工程は、グルタルアルデヒドによる化学的固定である。一実施形態では、第1の固定工程は、四酸化オスミウムによる化学的固定である。いくつかの実施形態では、第1の固定工程は、カルボジイミドによる化学的固定である。いくつかの実施形態では、第1の固定工程は、ジイミドエステルによる化学的固定である。一実施形態では、第1の固定工程は、クロロ-s-トリアジド(塩化シアヌル)による化学的固定である。いくつかの実施形態では、第1の固定工程は、ジイソシアネートによる化学的固定である。一実施形態では、第1の固定工程は、ジエチルピロカルボネート(DPC)による化学的固定である。いくつかの実施形態では、第1の固定工程は、マレイミドによる化学的固定である。一実施形態では、第1の固定工程は、ベンゾキノンによる化学的固定である。一実施形態では、第1の固定工程は、塩化水銀による化学的固定である。一実施形態では、第1の固定工程は、二クロム酸カリウムによる化学的固定である。一実施形態では、第1の固定工程は、過マンガン酸カリウムによる化学的固定である。一実施形態では、第1の固定工程は、クロム酸による化学的固定である。
【0109】
一実施形態では、第1の固定工程は、ピクリン酸、ホルムアルデヒド、及び酢酸の溶液であるBouin固定液による化学的固定である。一実施形態では、第1の固定工程は、エタノール及び酢酸の溶液であるClarke固定液による化学的固定である。一実施形態では、第1の固定工程は、エタノール、クロロホルム、及び酢酸の溶液であるCarnoy固定液による化学的固定である。一実施形態では、第1の固定工程は、ホルムアルデヒド及びグルタルアルデヒドの混合物溶液による化学的固定である。一実施形態では、第1の固定工程は、エタノール、酢酸、及びホルムアルデヒドの溶液であるFAAによる化学的固定である。一実施形態では、第1の固定工程は、パラホルムアルデヒド、Lリジン、及びINaOの溶液である過ヨウ素酸-リジン-パラホルムアルデヒド(PLP)による化学的固定である。一実施形態では、第1の固定工程は、リン酸緩衝ホルマリン(PBF)による化学的固定である。一実施形態では、第1の固定工程は、ホルムアルデヒド及び塩化カルシウムの溶液であるホルマール・カルシウムによる化学的固定である。一実施形態では、第1の固定工程は、ホルムアルデヒド及び塩化ナトリウムの溶液であるホルマール生理食塩水液による化学的固定である。一実施形態では、第1の固定工程は、ホルムアルデヒド及び硫酸亜鉛の溶液である、亜鉛ホルマリンによる化学的固定である。一実施形態では、第1の固定工程は、塩化水銀、二クロム酸カリウム、及び氷酢酸の溶液であるZenker固定液による化学的固定である。一実施形態では、第1の固定工程は、ホルムアルデヒド、二クロム酸カリウム、硫酸ナトリウム、及び塩化水銀の溶液であるHelly固定液による化学的固定である。一実施形態では、第1の固定工程は、B-5固定液、c塩化水銀(c mercuric chlorid)及び酢酸ナトリウムによる化学的固定である。一実施形態では、第1の固定工程は、ホルムアルデヒド、酢酸銅、ピクリン酸、及び酢酸の溶液である、Hollande固定液による化学的固定である。一実施形態では、第1の固定工程は、ホルムアルデヒド、エタノール、ピクリン酸、及び氷酢酸の溶液である、Gendre溶液による化学的固定である。一実施形態では、第1の固定工程は、メタノール、クロロホルム、及び氷酢酸の溶液であるMethacarn固定液による化学的固定である。一実施形態では、第1の固定工程は、ホルムアルデヒド、エタノール、及び酢酸カルシウムの溶液であるアルコール・ホルマリンによる化学的固定である。一実施形態では、第1の固定工程は、ホルムアルデヒド、氷酢酸、及びエタノールの溶液であるホルモール酢酸アルコールによる化学的固定である。
【0110】
いくつかの実施形態では、第1の固定工程は、エタノール、メタノール、アセトン、酢酸、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、ピクリン酸、四酸化オスミウム、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、カルボジイミド、ジイミドエステル、クロロ-s-トリアジド(塩化シアヌル)、ジイソシアネート、ジエチルピロカルボネート(DPC)、マレイミド、ベンゾキノン、塩化水銀、二クロム酸カリウム、過マンガン酸カリウム及びクロム酸を含む一覧から選択される、2、3、4、または5種以上の固定液の混合物溶液による化学的固定である。
【0111】
いくつかの実施形態では、第1の固定工程は、同時ではないが、逐次的に適用される2種以上の固定液による化学的固定である。2種以上の固定液は、エタノール、メタノール、アセトン、酢酸、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、ピクリン酸、四酸化オスミウム、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、カルボジイミド、ジイミドエステル、クロロ-s-トリアジド(塩化シアヌル)、ジイソシアネート、ジエチルピロカルボネート(DPC)、マレイミド、ベンゾキノン、塩化水銀、二クロム酸カリウム、過マンガン酸カリウム及びクロム酸を含む一覧から選択される。
【0112】
いくつかの実施形態では、第1の固定工程は、核酸を保存するのに好適な固定液(複数可)による化学的固定である。一実施形態では、第1の固定工程は、FineFix(Kothmaier et al.,Arch.Pathol.Lab.Med.135:744-752,2011参照)による化学的固定である。一実施形態では、第1の固定工程は、Glyo-fix(Lykidis et al.,Nucleic Acids Res.35:e85,2007参照)による化学的固定である。一実施形態では、第1の固定工程は、Histochoice(Vince et al.,Anal.Cell.Pathol.15:119-129,1997参照)による化学的固定である。一実施形態では、第1の固定工程は、HOPE(Kothmaier et al.,Arch.Pathol.Lab.Med.135:744-752,2011参照)による化学的固定である。一実施形態では、第1の固定工程は、Neo-Fix(Paavilainen et al.,Histochem.Cytochem.:Official J.Histochem.Soc.58:237-246,2010参照)による化学的固定である。一実施形態では、第1の固定工程は、PAXgene Tissue System(Nietner et al.,Int.J.Pathol.461:259-269,2012参照)による化学的固定である。一実施形態では、第1の固定工程は、RCL2(van Essen et al.,Clin.Pathol.63:1090-1094,2010参照)による化学的固定である。一実施形態では、第1の固定工程は、Streck’s Tissue Fixative(Burns et al.,Histochem.Cytochem.57:257-264,2009参照)による化学的固定である。一実施形態では、第1の固定工程は、UMFIX(Nadji et al.,Appl.Immunohistochem.Mol.Morphol.13:277-282,2005参照)による化学的固定である。一実施形態では、第1の固定工程は、Z7(Lykidis et al.,Nucleic Acids Res.35:e85,2007参照)による化学的固定である。一実施形態では、第1の固定工程は、ZBF(Paavilainen et al.,Histochem.Cytochem.:Official J.Histochem.Soc.58:237-246,2010参照)による化学的固定である。
【0113】
特定の実施形態では、本明細書で提供されるin situハイブリダイゼーション用の生体試料を調製する方法は、第1の固定工程の後であり、in situハイブリダイゼーション前の、アルデヒド含有固定液(複数可)による後固定工程を含む。一実施形態では、後固定工程は、ホルムアルデヒドによる化学的固定である。一実施形態では、後固定工程は、グルタルアルデヒドによる化学的固定である。一実施形態では、後固定工程は、ピクリン酸、ホルムアルデヒド、及び酢酸の溶液であるBouin固定液による化学的固定である。一実施形態では、後固定工程は、ホルムアルデヒド及びグルタルアルデヒドの混合物による化学的固定である。一実施形態では、後固定工程は、エタノール、酢酸、及びホルムアルデヒドの溶液であるFAAによる化学的固定である。一実施形態では、後固定工程は、パラホルムアルデヒド、Lリジン、及びINaOの溶液である過ヨウ素酸-リジン-パラホルムアルデヒド(PLP)による化学的固定である。一実施形態では、後固定工程は、リン酸緩衝ホルマリン(PBF)による化学的固定である。一実施形態では、後固定工程は、ホルムアルデヒド及び塩化カルシウムの溶液であるホルマール・カルシウムによる化学的固定である。一実施形態では、後固定工程は、ホルムアルデヒド及び塩化ナトリウムの溶液であるホルマール生理食塩水液による化学的固定である。一実施形態では、後固定工程は、ホルムアルデヒド及び硫酸亜鉛の溶液である、亜鉛ホルマリンによる化学的固定である。一実施形態では、後固定工程は、ホルムアルデヒド、二クロム酸カリウム、硫酸ナトリウム、及び塩化水銀の溶液であるHelly固定液による化学的固定である。一実施形態では、後固定工程は、ホルムアルデヒド、酢酸銅、ピクリン酸、及び酢酸の溶液である、Hollande固定液による化学的固定である。一実施形態では、後固定工程は、ホルムアルデヒド、エタノール、ピクリン酸、及び氷酢酸の溶液である、Gendre溶液による化学的固定である。一実施形態では、後固定工程は、ホルムアルデヒド、エタノール、及び酢酸カルシウムの溶液であるアルコール・ホルマリンによる化学的固定である。一実施形態では、後固定工程は、ホルムアルデヒド、氷酢酸、及びエタノールの溶液であるホルモール酢酸アルコールによる化学的固定である。一実施形態では、後固定工程は、固定液の混合物による化学的固定であり、混合物の少なくとも1種の固定液は、ホルムアルデヒドまたはグルタルアルデヒドである。一実施形態では、後固定工程は、同時に使用されないが逐次的に使用される固定液であり、少なくとも1種の固定液は、ホルムアルデヒドまたはグルタルアルデヒドである、固定液による化学的固定である。
【0114】
いくつかの実施形態では、アルデヒド含有固定液は、ホルムアルデヒドを含む。その他の実施形態では、アルデヒド含有固定液は、グルタルアルデヒドを含む。
【0115】
いくつかの実施形態では、アルデヒド含有固定液は、約5%~約50%のホルムアルデヒドを含む。いくつかの実施形態では、アルデヒド含有固定液は、約10%~約40%のホルムアルデヒドを含む。いくつかの実施形態では、アルデヒド含有固定液は、約12%~約37%のホルムアルデヒドを含む。
【0116】
いくつかの実施形態では、アルデヒド含有固定液は、約5%のホルムアルデヒドを含む。いくつかの実施形態では、アルデヒド含有固定液は、約6%のホルムアルデヒドを含む。いくつかの実施形態では、アルデヒド含有固定液は、約7%のホルムアルデヒドを含む。いくつかの実施形態では、アルデヒド含有固定液は、約8%のホルムアルデヒドを含む。いくつかの実施形態では、アルデヒド含有固定液は、約9%のホルムアルデヒドを含む。いくつかの実施形態では、アルデヒド含有固定液は、約10%のホルムアルデヒドを含む。いくつかの実施形態では、アルデヒド含有固定液は、約11%のホルムアルデヒドを含む。いくつかの実施形態では、アルデヒド含有固定液は、約12%のホルムアルデヒドを含む。いくつかの実施形態では、アルデヒド含有固定液は、約13%のホルムアルデヒドを含む。いくつかの実施形態では、アルデヒド含有固定液は、約14%のホルムアルデヒドを含む。いくつかの実施形態では、アルデヒド含有固定液は、約15%のホルムアルデヒドを含む。いくつかの実施形態では、アルデヒド含有固定液は、約16%のホルムアルデヒドを含む。いくつかの実施形態では、アルデヒド含有固定液は、約17%のホルムアルデヒドを含む。いくつかの実施形態では、アルデヒド含有固定液は、約18%のホルムアルデヒドを含む。いくつかの実施形態では、アルデヒド含有固定液は、約19%のホルムアルデヒドを含む。いくつかの実施形態では、アルデヒド含有固定液は、約20%のホルムアルデヒドを含む。いくつかの実施形態では、アルデヒド含有固定液は、約30%のホルムアルデヒドを含む。いくつかの実施形態では、アルデヒド含有固定液は、約35%のホルムアルデヒドを含む。いくつかの実施形態では、アルデヒド含有固定液は、約40%のホルムアルデヒドを含む。いくつかの実施形態では、アルデヒド含有固定液は、約50%のホルムアルデヒドを含む。
【0117】
いくつかの実施形態では、試料は、後固定工程において、アルデヒド含有固定液で約2時間~約30時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、後固定工程において、アルデヒド含有固定液で約2時間~約25時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、後固定工程において、アルデヒド含有固定液で約2時間~約20時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、後固定工程において、アルデヒド含有固定液で約2時間~約18時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、後固定工程において、アルデヒド含有固定液で約2時間~約15時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、後固定工程において、アルデヒド含有固定液で約2時間~約10時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、後固定工程において、アルデヒド含有固定液で約2時間~約5時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、後固定工程において、アルデヒド含有固定液で約2時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、後固定工程において、アルデヒド含有固定液で約3時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、後固定工程において、アルデヒド含有固定液で約4時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、後固定工程において、アルデヒド含有固定液で約5時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、後固定工程において、アルデヒド含有固定液で約6時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、後固定工程において、アルデヒド含有固定液で約7時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、後固定工程において、アルデヒド含有固定液で約8時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、後固定工程において、アルデヒド含有固定液で約9時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、後固定工程において、アルデヒド含有固定液で約10時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、後固定工程において、アルデヒド含有固定液で約11時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、後固定工程において、アルデヒド含有固定液で約12時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、後固定工程において、アルデヒド含有固定液で約13時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、後固定工程において、アルデヒド含有固定液で約14時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、後固定工程において、アルデヒド含有固定液で約15時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、後固定工程において、アルデヒド含有固定液で約16時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、後固定工程において、アルデヒド含有固定液で約17時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、後固定工程において、アルデヒド含有固定液で約18時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、後固定工程において、アルデヒド含有固定液で約19時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、後固定工程において、アルデヒド含有固定液で約20時間処理する。
【0118】
いくつかの実施形態では、試料は、後固定工程において、ホルムアルデヒドで約2時間~約30時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、後固定工程において、ホルムアルデヒドで約2時間~約25時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、後固定工程において、ホルムアルデヒドで約2時間~約20時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、後固定工程において、ホルムアルデヒドで約2時間~約18時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、後固定工程において、ホルムアルデヒドで約2時間~約15時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、後固定工程において、ホルムアルデヒドで約2時間~約10時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、後固定工程において、ホルムアルデヒドで約2時間~約5時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、後固定工程において、ホルムアルデヒドで約2時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、後固定工程において、ホルムアルデヒドで約3時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、後固定工程において、ホルムアルデヒドで約4時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、後固定工程において、ホルムアルデヒドで約5時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、後固定工程において、ホルムアルデヒドで約6時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、後固定工程において、ホルムアルデヒドで約7時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、後固定工程において、ホルムアルデヒドで約8時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、後固定工程において、ホルムアルデヒドで約9時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、後固定工程において、ホルムアルデヒドで約10時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、後固定工程において、ホルムアルデヒドで約11時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、後固定工程において、ホルムアルデヒドで約12時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、後固定工程において、ホルムアルデヒドで約13時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、後固定工程において、ホルムアルデヒドで約14時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、後固定工程において、ホルムアルデヒドで約15時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、後固定工程において、ホルムアルデヒドで約16時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、後固定工程において、ホルムアルデヒドで約17時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、後固定工程において、ホルムアルデヒドで約18時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、後固定工程において、ホルムアルデヒドで約19時間処理する。いくつかの実施形態では、試料は、後固定工程において、ホルムアルデヒドで約20時間処理する。
【0119】
いくつかの特定の実施形態では、試料は、後固定工程において、約12%未満のホルムアルデヒドを含むアルデヒド含有固定液で、15時間を超えて処理する。いくつかの特定の実施形態では、試料は、後固定工程において、約12%未満のホルムアルデヒドを含むアルデヒド含有固定液で、約18時間処理する。いくつかの特定の実施形態では、試料は、後固定工程において、約12%未満のホルムアルデヒドを含むアルデヒド含有固定液で、約19時間処理する。いくつかの特定の実施形態では、試料は、後固定工程において、約12%未満のホルムアルデヒドを含むアルデヒド含有固定液で、約20時間処理する。いくつかの特定の実施形態では、試料は、後固定工程において、約12%未満のホルムアルデヒドを含むアルデヒド含有固定液で、約25時間処理する。
【0120】
その他の特定の実施形態では、試料は、後固定工程において、約12%以上のホルムアルデヒドを含むアルデヒド含有固定液で、10時間未満処理する。その他の特定の実施形態では、試料は、後固定工程において、約12%以上のホルムアルデヒドを含むアルデヒド含有固定液で、約10時間処理する。その他の特定の実施形態では、試料は、後固定工程において、約12%以上のホルムアルデヒドを含むアルデヒド含有固定液で、約9時間処理する。その他の特定の実施形態では、試料は、後固定工程において、約12%以上のホルムアルデヒドを含むアルデヒド含有固定液で、約8時間処理する。その他の特定の実施形態では、試料は、後固定工程において、約12%以上のホルムアルデヒドを含むアルデヒド含有固定液で、約7時間処理する。その他の特定の実施形態では、試料は、後固定工程において、約12%以上のホルムアルデヒドを含むアルデヒド含有固定液で、約6時間処理する。その他の特定の実施形態では、試料は、後固定工程において、約12%以上のホルムアルデヒドを含むアルデヒド含有固定液で、約5時間処理する。その他の特定の実施形態では、試料は、後固定工程において、約12%以上のホルムアルデヒドを含むアルデヒド含有固定液で、約4時間処理する。その他の特定の実施形態では、試料は、後固定工程において、約12%以上のホルムアルデヒドを含むアルデヒド含有固定液で、約3時間処理する。その他の特定の実施形態では、試料は、後固定工程において、約12%以上のホルムアルデヒドを含むアルデヒド含有固定液で、約2時間処理する。
【0121】
いくつかの特定の実施形態では、アルデヒド含有固定液は、pH約6の緩衝液中にある。いくつかの特定の実施形態では、アルデヒド含有固定液は、pH約6.5の緩衝液中にある。いくつかの特定の実施形態では、アルデヒド含有固定液は、pH約7の緩衝液中にある。いくつかの特定の実施形態では、アルデヒド含有固定液は、pH約7.5の緩衝液中にある。いくつかの特定の実施形態では、アルデヒド含有固定液は、pH約8の緩衝液中にある。いくつかの特定の実施形態では、アルデヒド含有固定液は、pH約8.5の緩衝液中にある。いくつかの特定の実施形態では、アルデヒド含有固定液は、pH約9の緩衝液中にある。
【0122】
いくつかの実施形態では、後固定工程は、約4~50℃の温度で実施する。いくつかの実施形態では、後固定工程は、約4℃の温度で実施する。いくつかの実施形態では、後固定工程は、約10℃の温度で実施する。いくつかの実施形態では、後固定工程は、約20℃の温度で実施する。いくつかの実施形態では、後固定工程は、約25℃の温度で実施する。いくつかの実施形態では、後固定工程は、約30℃の温度で実施する。いくつかの実施形態では、後固定工程は、約40℃の温度で実施する。いくつかの実施形態では、後固定工程は、約50℃の温度で実施する。いくつかの実施形態では、後固定工程は、周囲温度で実施する。
【0123】
特定の実施形態では、本明細書にて提供されるin situハイブリダイゼーション用の生体試料を調製する方法は、アルデヒド含有固定液による後固定工程を含み、アルデヒド含有固定液はpH約6の等張緩衝液中にあり、アルデヒド含有固定液のアルデヒドのパーセンテージは約12%に等しい、またはより高く、後固定工程は約4℃の温度で実施する。一実施形態では、後固定工程は約1時間続く。一実施形態では、後固定工程は約1.5時間続く。一実施形態では、後固定工程は約2時間続く。一実施形態では、後固定工程は約2.5時間続く。一実施形態では、後固定工程は約3時間続く。一実施形態では、後固定工程は約3.5時間続く。一実施形態では、後固定工程は約4時間続く。
【0124】
特定の実施形態では、本明細書にて提供されるin situハイブリダイゼーション用の生体試料を調製する方法は、アルデヒド含有固定液による後固定工程を含み、アルデヒド含有固定液はpH約7の等張緩衝液中にあり、アルデヒド含有固定液のアルデヒドのパーセンテージは約12%に等しい、またはより高く、後固定工程は約4℃の温度で実施する。一実施形態では、後固定工程は約1時間続く。一実施形態では、後固定工程は約1.5時間続く。一実施形態では、後固定工程は約2時間続く。一実施形態では、後固定工程は約2.5時間続く。一実施形態では、後固定工程は約3時間続く。一実施形態では、後固定工程は約3.5時間続く。一実施形態では、後固定工程は約4時間続く。
【0125】
特定の実施形態では、本明細書にて提供されるin situハイブリダイゼーション用の生体試料を調製する方法は、アルデヒド含有固定液による後固定工程を含み、アルデヒド含有固定液はpH約8の等張緩衝液中にあり、アルデヒド含有固定液のアルデヒドのパーセンテージは約12%に等しい、またはより高く、後固定工程は約4℃の温度で実施する。一実施形態では、後固定工程は約1時間続く。一実施形態では、後固定工程は約1.5時間続く。一実施形態では、後固定工程は約2時間続く。一実施形態では、後固定工程は約2.5時間続く。一実施形態では、後固定工程は約3時間続く。一実施形態では、後固定工程は約3.5時間続く。一実施形態では、後固定工程は約4時間続く。
【0126】
特定の実施形態では、本明細書にて提供されるin situハイブリダイゼーション用の生体試料を調製する方法は、アルデヒド含有固定液による後固定工程を含み、アルデヒド含有固定液はpH約6の等張緩衝液中にあり、アルデヒド含有固定液のアルデヒドのパーセンテージは約12%に等しい、またはより高く、後固定工程は周囲温度で実施する。一実施形態では、後固定工程は約1時間続く。一実施形態では、後固定工程は約1.5時間続く。一実施形態では、後固定工程は約2時間続く。一実施形態では、後固定工程は約2.5時間続く。一実施形態では、後固定工程は約3時間続く。一実施形態では、後固定工程は約3.5時間続く。一実施形態では、後固定工程は約4時間続く。
【0127】
特定の実施形態では、本明細書にて提供されるin situハイブリダイゼーション用の生体試料を調製する方法は、アルデヒド含有固定液による後固定工程を含み、アルデヒド含有固定液はpH約7の等張緩衝液中にあり、アルデヒド含有固定液のアルデヒドのパーセンテージは約12%に等しい、またはより高く、後固定工程は周囲温度で実施する。一実施形態では、後固定工程は約1時間続く。一実施形態では、後固定工程は約1.5時間続く。一実施形態では、後固定工程は約2時間続く。一実施形態では、後固定工程は約2.5時間続く。一実施形態では、後固定工程は約3時間続く。一実施形態では、後固定工程は約3.5時間続く。一実施形態では、後固定工程は約4時間続く。
【0128】
特定の実施形態では、本明細書にて提供されるin situハイブリダイゼーション用の生体試料を調製する方法は、アルデヒド含有固定液による後固定工程を含み、アルデヒド含有固定液はpH約8の等張緩衝液中にあり、アルデヒド含有固定液のアルデヒドのパーセンテージは約12%に等しい、またはより高く、後固定工程は周囲温度で実施する。一実施形態では、後固定工程は約1時間続く。一実施形態では、後固定工程は約1.5時間続く。一実施形態では、後固定工程は約2時間続く。一実施形態では、後固定工程は約2.5時間続く。一実施形態では、後固定工程は約3時間続く。一実施形態では、後固定工程は約3.5時間続く。一実施形態では、後固定工程は約4時間続く。
【0129】
特定の実施形態では、本明細書にて提供されるin situハイブリダイゼーション用の生体試料を調製する方法は、アルデヒド含有固定液による後固定工程を含み、アルデヒド含有固定液はpH約6の等張緩衝液中にあり、アルデヒド含有固定液のアルデヒドのパーセンテージは約12%に等しい、またはより高く、後固定工程は約50℃の温度で実施する。一実施形態では、後固定工程は約1時間続く。一実施形態では、後固定工程は約1.5時間続く。一実施形態では、後固定工程は約2時間続く。一実施形態では、後固定工程は約2.5時間続く。一実施形態では、後固定工程は約3時間続く。一実施形態では、後固定工程は約3.5時間続く。一実施形態では、後固定工程は約4時間続く。
【0130】
特定の実施形態では、本明細書にて提供されるin situハイブリダイゼーション用の生体試料を調製する方法は、アルデヒド含有固定液による後固定工程を含み、アルデヒド含有固定液はpH約7の等張緩衝液中にあり、アルデヒド含有固定液のアルデヒドのパーセンテージは約12%に等しい、またはより高く、後固定工程は約50℃の温度で実施する。一実施形態では、後固定工程は約1時間続く。一実施形態では、後固定工程は約1.5時間続く。一実施形態では、後固定工程は約2時間続く。一実施形態では、後固定工程は約2.5時間続く。一実施形態では、後固定工程は約3時間続く。一実施形態では、後固定工程は約3.5時間続く。一実施形態では、後固定工程は約4時間続く。
【0131】
特定の実施形態では、本明細書にて提供されるin situハイブリダイゼーション用の生体試料を調製する方法は、アルデヒド含有固定液による後固定工程を含み、アルデヒド含有固定液はpH約8の等張緩衝液中にあり、アルデヒド含有固定液のアルデヒドのパーセンテージは約12%に等しい、またはより高く、後固定工程は約50℃の温度で実施する。一実施形態では、後固定工程は約1時間続く。一実施形態では、後固定工程は約1.5時間続く。一実施形態では、後固定工程は約2時間続く。一実施形態では、後固定工程は約2.5時間続く。一実施形態では、後固定工程は約3時間続く。一実施形態では、後固定工程は約3.5時間続く。一実施形態では、後固定工程は約4時間続く。
【0132】
特定の実施形態では、本明細書にて提供されるin situハイブリダイゼーション用の生体試料を調製する方法は、アルデヒド含有固定液による後固定工程を含み、アルデヒド含有固定液はpH約6の等張緩衝液中にあり、アルデヒド含有固定液のアルデヒドのパーセンテージは約12%未満であり、後固定工程は約4℃の温度で実施する。一実施形態では、後固定工程は約2時間続く。一実施形態では、後固定工程は約3時間続く。一実施形態では、後固定工程は約4時間続く。一実施形態では、後固定工程は約5時間続く。一実施形態では、後固定工程は約6時間続く。一実施形態では、後固定工程は約7時間続く。一実施形態では、後固定工程は約8時間続く。一実施形態では、後固定工程は約9時間続く。一実施形態では、後固定工程は約10時間続く。一実施形態では、後固定工程は約11時間続く。一実施形態では、後固定工程は約12時間続く。一実施形態では、後固定工程は約13時間続く。一実施形態では、後固定工程は約14時間続く。一実施形態では、後固定工程は約15時間続く。一実施形態では、後固定工程は約16時間続く。一実施形態では、後固定工程は約16時間続く。一実施形態では、後固定工程は約17時間続く。一実施形態では、後固定工程は約18時間続く。一実施形態では、後固定工程は約24時間続く。一実施形態では、後固定工程は約36時間続く。一実施形態では、後固定工程は約48時間続く。
【0133】
特定の実施形態では、本明細書にて提供されるin situハイブリダイゼーション用の生体試料を調製する方法は、アルデヒド含有固定液による後固定工程を含み、アルデヒド含有固定液はpH約7の等張緩衝液中にあり、アルデヒド含有固定液のアルデヒドのパーセンテージは約12%未満であり、後固定工程は約4℃の温度で実施する。一実施形態では、後固定工程は約2時間続く。一実施形態では、後固定工程は約3時間続く。一実施形態では、後固定工程は約4時間続く。一実施形態では、後固定工程は約5時間続く。一実施形態では、後固定工程は約6時間続く。一実施形態では、後固定工程は約7時間続く。一実施形態では、後固定工程は約8時間続く。一実施形態では、後固定工程は約9時間続く。一実施形態では、後固定工程は約10時間続く。一実施形態では、後固定工程は約11時間続く。一実施形態では、後固定工程は約12時間続く。一実施形態では、後固定工程は約13時間続く。一実施形態では、後固定工程は約14時間続く。一実施形態では、後固定工程は約15時間続く。一実施形態では、後固定工程は約16時間続く。一実施形態では、後固定工程は約16時間続く。一実施形態では、後固定工程は約17時間続く。一実施形態では、後固定工程は約18時間続く。一実施形態では、後固定工程は約24時間続く。一実施形態では、後固定工程は約36時間続く。一実施形態では、後固定工程は約48時間続く。
【0134】
特定の実施形態では、本明細書にて提供されるin situハイブリダイゼーション用の生体試料を調製する方法は、アルデヒド含有固定液による後固定工程を含み、アルデヒド含有固定液はpH約8の等張緩衝液中にあり、アルデヒド含有固定液のアルデヒドのパーセンテージは約12%未満であり、後固定工程は約4℃の温度で実施する。一実施形態では、後固定工程は約2時間続く。一実施形態では、後固定工程は約3時間続く。一実施形態では、後固定工程は約4時間続く。一実施形態では、後固定工程は約5時間続く。一実施形態では、後固定工程は約6時間続く。一実施形態では、後固定工程は約7時間続く。一実施形態では、後固定工程は約8時間続く。一実施形態では、後固定工程は約9時間続く。一実施形態では、後固定工程は約10時間続く。一実施形態では、後固定工程は約11時間続く。一実施形態では、後固定工程は約12時間続く。一実施形態では、後固定工程は約13時間続く。一実施形態では、後固定工程は約14時間続く。一実施形態では、後固定工程は約15時間続く。一実施形態では、後固定工程は約16時間続く。一実施形態では、後固定工程は約16時間続く。一実施形態では、後固定工程は約17時間続く。一実施形態では、後固定工程は約18時間続く。一実施形態では、後固定工程は約24時間続く。一実施形態では、後固定工程は約36時間続く。一実施形態では、後固定工程は約48時間続く。
【0135】
特定の実施形態では、本明細書にて提供されるin situハイブリダイゼーション用の生体試料を調製する方法は、アルデヒド含有固定液による後固定工程を含み、アルデヒド含有固定液はpH約6の等張緩衝液中にあり、アルデヒド含有固定液のアルデヒドのパーセンテージは約12%未満であり、後固定工程は周囲温度で実施する。一実施形態では、後固定工程は約2時間続く。一実施形態では、後固定工程は約3時間続く。一実施形態では、後固定工程は約4時間続く。一実施形態では、後固定工程は約5時間続く。一実施形態では、後固定工程は約6時間続く。一実施形態では、後固定工程は約7時間続く。一実施形態では、後固定工程は約8時間続く。一実施形態では、後固定工程は約9時間続く。一実施形態では、後固定工程は約10時間続く。一実施形態では、後固定工程は約11時間続く。一実施形態では、後固定工程は約12時間続く。一実施形態では、後固定工程は約13時間続く。一実施形態では、後固定工程は約14時間続く。一実施形態では、後固定工程は約15時間続く。一実施形態では、後固定工程は約16時間続く。一実施形態では、後固定工程は約16時間続く。一実施形態では、後固定工程は約17時間続く。一実施形態では、後固定工程は約18時間続く。一実施形態では、後固定工程は約24時間続く。一実施形態では、後固定工程は約36時間続く。一実施形態では、後固定工程は約48時間続く。
【0136】
特定の実施形態では、本明細書にて提供されるin situハイブリダイゼーション用の生体試料を調製する方法は、アルデヒド含有固定液による後固定工程を含み、アルデヒド含有固定液はpH約7の等張緩衝液中にあり、アルデヒド含有固定液のアルデヒドのパーセンテージは約12%未満であり、後固定工程は周囲温度で実施する。一実施形態では、後固定工程は約2時間続く。一実施形態では、後固定工程は約3時間続く。一実施形態では、後固定工程は約4時間続く。一実施形態では、後固定工程は約5時間続く。一実施形態では、後固定工程は約6時間続く。一実施形態では、後固定工程は約7時間続く。一実施形態では、後固定工程は約8時間続く。一実施形態では、後固定工程は約9時間続く。一実施形態では、後固定工程は約10時間続く。一実施形態では、後固定工程は約11時間続く。一実施形態では、後固定工程は約12時間続く。一実施形態では、後固定工程は約13時間続く。一実施形態では、後固定工程は約14時間続く。一実施形態では、後固定工程は約15時間続く。一実施形態では、後固定工程は約16時間続く。一実施形態では、後固定工程は約16時間続く。一実施形態では、後固定工程は約17時間続く。一実施形態では、後固定工程は約18時間続く。一実施形態では、後固定工程は約24時間続く。一実施形態では、後固定工程は約36時間続く。一実施形態では、後固定工程は約48時間続く。
【0137】
特定の実施形態では、本明細書にて提供されるin situハイブリダイゼーション用の生体試料を調製する方法は、アルデヒド含有固定液による後固定工程を含み、アルデヒド含有固定液はpH約8の等張緩衝液中にあり、アルデヒド含有固定液のアルデヒドのパーセンテージは約12%未満であり、後固定工程は周囲温度で実施する。一実施形態では、後固定工程は約2時間続く。一実施形態では、後固定工程は約3時間続く。一実施形態では、後固定工程は約4時間続く。一実施形態では、後固定工程は約5時間続く。一実施形態では、後固定工程は約6時間続く。一実施形態では、後固定工程は約7時間続く。一実施形態では、後固定工程は約8時間続く。一実施形態では、後固定工程は約9時間続く。一実施形態では、後固定工程は約10時間続く。一実施形態では、後固定工程は約11時間続く。一実施形態では、後固定工程は約12時間続く。一実施形態では、後固定工程は約13時間続く。一実施形態では、後固定工程は約14時間続く。一実施形態では、後固定工程は約15時間続く。一実施形態では、後固定工程は約16時間続く。一実施形態では、後固定工程は約16時間続く。一実施形態では、後固定工程は約17時間続く。一実施形態では、後固定工程は約18時間続く。一実施形態では、後固定工程は約24時間続く。一実施形態では、後固定工程は約36時間続く。一実施形態では、後固定工程は約48時間続く。
【0138】
特定の実施形態では、本明細書にて提供されるin situハイブリダイゼーション用の生体試料を調製する方法は、アルデヒド含有固定液による後固定工程を含み、アルデヒド含有固定液はpH約6の等張緩衝液中にあり、アルデヒド含有固定液のアルデヒドのパーセンテージは約12%未満であり、後固定工程は約50℃の温度で実施する。一実施形態では、後固定工程は約2時間続く。一実施形態では、後固定工程は約3時間続く。一実施形態では、後固定工程は約4時間続く。一実施形態では、後固定工程は約5時間続く。一実施形態では、後固定工程は約6時間続く。一実施形態では、後固定工程は約7時間続く。一実施形態では、後固定工程は約8時間続く。一実施形態では、後固定工程は約9時間続く。一実施形態では、後固定工程は約10時間続く。一実施形態では、後固定工程は約11時間続く。一実施形態では、後固定工程は約12時間続く。一実施形態では、後固定工程は約13時間続く。一実施形態では、後固定工程は約14時間続く。一実施形態では、後固定工程は約15時間続く。一実施形態では、後固定工程は約16時間続く。一実施形態では、後固定工程は約16時間続く。一実施形態では、後固定工程は約17時間続く。一実施形態では、後固定工程は約18時間続く。一実施形態では、後固定工程は約24時間続く。一実施形態では、後固定工程は約36時間続く。一実施形態では、後固定工程は約48時間続く。
【0139】
特定の実施形態では、本明細書にて提供されるin situハイブリダイゼーション用の生体試料を調製する方法は、アルデヒド含有固定液による後固定工程を含み、アルデヒド含有固定液はpH約7の等張緩衝液中にあり、アルデヒド含有固定液のアルデヒドのパーセンテージは約12%未満であり、後固定工程は約50℃の温度で実施する。一実施形態では、後固定工程は約2時間続く。一実施形態では、後固定工程は約3時間続く。一実施形態では、後固定工程は約4時間続く。一実施形態では、後固定工程は約5時間続く。一実施形態では、後固定工程は約6時間続く。一実施形態では、後固定工程は約7時間続く。一実施形態では、後固定工程は約8時間続く。一実施形態では、後固定工程は約9時間続く。一実施形態では、後固定工程は約10時間続く。一実施形態では、後固定工程は約11時間続く。一実施形態では、後固定工程は約12時間続く。一実施形態では、後固定工程は約13時間続く。一実施形態では、後固定工程は約14時間続く。一実施形態では、後固定工程は約15時間続く。一実施形態では、後固定工程は約16時間続く。一実施形態では、後固定工程は約16時間続く。一実施形態では、後固定工程は約17時間続く。一実施形態では、後固定工程は約18時間続く。一実施形態では、後固定工程は約24時間続く。一実施形態では、後固定工程は約36時間続く。一実施形態では、後固定工程は約48時間続く。
【0140】
特定の実施形態では、本明細書にて提供されるin situハイブリダイゼーション用の生体試料を調製する方法は、アルデヒド含有固定液による後固定工程を含み、アルデヒド含有固定液はpH約8の等張緩衝液中にあり、アルデヒド含有固定液のアルデヒドのパーセンテージは約12%未満であり、後固定工程は約50℃の温度で実施する。一実施形態では、後固定工程は約2時間続く。一実施形態では、後固定工程は約3時間続く。一実施形態では、後固定工程は約4時間続く。一実施形態では、後固定工程は約5時間続く。一実施形態では、後固定工程は約6時間続く。一実施形態では、後固定工程は約7時間続く。一実施形態では、後固定工程は約8時間続く。一実施形態では、後固定工程は約9時間続く。一実施形態では、後固定工程は約10時間続く。一実施形態では、後固定工程は約11時間続く。一実施形態では、後固定工程は約12時間続く。一実施形態では、後固定工程は約13時間続く。一実施形態では、後固定工程は約14時間続く。一実施形態では、後固定工程は約15時間続く。一実施形態では、後固定工程は約16時間続く。一実施形態では、後固定工程は約16時間続く。一実施形態では、後固定工程は約17時間続く。一実施形態では、後固定工程は約18時間続く。一実施形態では、後固定工程は約24時間続く。一実施形態では、後固定工程は約36時間続く。一実施形態では、後固定工程は約48時間続く。
【0141】
特定の実施形態では、本明細書にて提供されるin situハイブリダイゼーション用の生体試料を調製する方法は、中性または中性に近いpHの等張緩衝液中での、約12%に等しい、またはより高いホルムアルデヒドによる後固定工程を含み、後固定工程は周囲温度で実施する。一実施形態では、後固定工程は約0.5時間続く。一実施形態では、後固定工程は約1時間続く。一実施形態では、後固定工程は約1.5時間続く。一実施形態では、後固定工程は約2時間続く。一実施形態では、後固定工程は約2.5時間続く。一実施形態では、後固定工程は約3時間続く。一実施形態では、後固定工程は約3.5時間続く。
【0142】
特定の実施形態では、本明細書にて提供されるin situハイブリダイゼーション用の生体試料を調製する方法は、中性または中性に近いpHの等張緩衝液中での、約12%未満のホルムアルデヒドによる後固定工程を含み、後固定工程は周囲温度で実施する。一実施形態では、後固定工程は約12時間続く。一実施形態では、後固定工程は約14時間続く。一実施形態では、後固定工程は約16時間続く。一実施形態では、後固定工程は約18時間続く。一実施形態では、後固定工程は約20時間続く。一実施形態では、後固定工程は約22時間続く。一実施形態では、後固定工程は約24時間続く。
【0143】
特定の実施形態では、本明細書にて提供されるin situハイブリダイゼーション用の生体試料を調製する方法は、リン酸緩衝食塩水中での、約12%のホルムアルデヒドによる後固定工程を含み、後固定工程は周囲温度で実施する。一実施形態では、後固定工程は約1時間続く。一実施形態では、後固定工程は約1.5時間続く。一実施形態では、後固定工程は約2時間続く。一実施形態では、後固定工程は約2.5時間続く。一実施形態では、後固定工程は約3時間続く。一実施形態では、後固定工程は約3.5時間続く。
【0144】
特定の実施形態では、本明細書にて提供されるin situハイブリダイゼーション用の生体試料を調製する方法は、リン酸緩衝食塩水中での、約24%のホルムアルデヒドによる後固定工程を含み、後固定工程は周囲温度で実施する。一実施形態では、後固定工程は約1時間続く。一実施形態では、後固定工程は約1.5時間続く。一実施形態では、後固定工程は約2時間続く。一実施形態では、後固定工程は約2.5時間続く。一実施形態では、後固定工程は約3時間続く。一実施形態では、後固定工程は約3.5時間続く。
【0145】
特定の実施形態では、本明細書にて提供されるin situハイブリダイゼーション用の生体試料を調製する方法は、リン酸緩衝食塩水中での、約37%のホルムアルデヒドによる後固定工程を含み、後固定工程は周囲温度で実施する。一実施形態では、後固定工程は約1時間続く。一実施形態では、後固定工程は約1.5時間続く。一実施形態では、後固定工程は約2時間続く。一実施形態では、後固定工程は約2.5時間続く。一実施形態では、後固定工程は約3時間続く。一実施形態では、後固定工程は約3.5時間続く。
【0146】
特定の実施形態では、本明細書にて提供されるin situハイブリダイゼーション用の生体試料を調製する方法は、10%中性緩衝ホルマリンによる後固定工程を含み、後固定工程は周囲温度で実施する。一実施形態では、後固定工程は約12時間続く。一実施形態では、後固定工程は約14時間続く。一実施形態では、後固定工程は約16時間続く。一実施形態では、後固定工程は約18時間続く。一実施形態では、後固定工程は約20時間続く。一実施形態では、後固定工程は約22時間続く。一実施形態では、後固定工程は約24時間続く。
【0147】
本明細書で提供される各種方法のいくつかの実施形態では、試料は、in situハイブリダイゼーション用に調製した。いくつかの実施形態では、in situハイブリダイゼーションは、100未満のヌクレオチドを含む標的核酸を検出するためのものである。いくつかの実施形態では、標的核酸は15~100のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、標的核酸は15~80のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、標的核酸は15~60のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、標的核酸は15~50のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、標的核酸は15~40のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、標的核酸は90未満のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、標的核酸は80未満のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、標的核酸は70未満のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、標的核酸は60未満のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、標的核酸は50未満のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、標的核酸は40未満のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、標的核酸は30未満のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、標的核酸は20未満のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、標的核酸は16未満のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、in situハイブリダイゼーションは、DNAを検出するためのものである。いくつかの実施形態では、in situハイブリダイゼーションは、RNAを検出するためのものである。また、本明細書に提供される方法を使用して、より長い核酸、例えば100、200、300、500または1,000以上のヌクレオチドを含む核酸を検出することもできる。
【0148】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される生体試料を調製する方法は、RNAのin situハイブリダイゼーション用である。いくつかの実施形態では、in situハイブリダイゼーション用の生体試料を調製する方法は、低分子RNA種を検出するためのものである。一実施形態では、検出するRNAのヌクレオチドは、100未満である。一実施形態では、検出するRNAのヌクレオチドは、50未満である。一実施形態では、検出するRNAのヌクレオチドは、40未満である。一実施形態では、検出するRNAのヌクレオチドは、10~40である。一実施形態では、検出するRNAのヌクレオチドは、15~40である。一実施形態では、検出するRNAのヌクレオチドは、30~40である。
【0149】
一実施形態では、本方法は、sncRNAを検出するためのものである。一実施形態では、本方法は、miRNAを検出するためのものである。一実施形態では、本方法は、siRNAを検出するためのものである。一実施形態では、本方法は、piRNAを検出するためのものである。一実施形態では、本方法は、内因性のRNAを検出するためのものである。別の実施形態では、本方法は、外因性のRNAを検出するためのものである。sncRNAは、疾患医療処置の有益な治療として、臨床的に関連するモデル系で遺伝子発現を効率的に調節する能力を有することが明らかになっている(Watts et al.,Journal of Pathology,226(2),365-379,2012、Schoch et al.,Neuron Review,94,1056-1070,2017)。miRNAは、天然に存在する低分子(約22ヌクレオチド)制御性RNA(regulatory RNA)であり、全ての多細胞生物、単細胞の藻類、及びいくつかのウイルス中に存在する(Molnar et al.,Nature,447(7148),2007、Bartel,Cell,173,20-51,2018)。現在に至るまで、動物、植物及びウイルスからの15,000種を超えるmiRNAが登録され(www.mirbase.org)、多くが組織、細胞型、及び細胞状態に特異的な様式で発現した。miRNA発現の制御不全は、重篤な状態、例えば神経障害、不妊症、免疫不全またはがんをもたらし得る。
【0150】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、天然に存在する低分子核酸を検出するためのものである。天然に存在する低分子核酸は、転写及びRNAプロセシングから翻訳に至るまでの極めて重要かつ多様な細胞機能を担う。これらのRNAの共通の特性は、15~40の範囲のヌクレオチド長という大きさである。その他の実施形態では、本明細書で提供される方法は、合成の低分子核酸を検出するためのものである。
【0151】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるin situハイブリダイゼーション用の生体試料を調製する方法は、様々な起源の生体試料を含む。一実施形態では、生体試料は組織検体である、または組織検体に由来する。一実施形態では、生体試料は血液試料である、または血液試料に由来する。一実施形態では、生体試料は細胞学的試料である、または細胞学的試料に由来する。一実施形態では、生体試料は培養細胞である。別の実施形態では、生体試料はエクソソームである。
【0152】
組織検体としては、例えば、組織生検試料が挙げられる。血液試料としては、例えば、診断目的で採取した血液試料が挙げられる。血液試料の場合、血液塗抹標本におけるように、血液を直接解析でき、あるいは、血液を処理して、例えば、赤血球細胞の溶解、PBMCまたは白血球の単離、標的細胞の単離などを行って、本開示の方法によって解析される試料中の細胞が、血液試料中に存在するように、または血液試料から抽出されるようにできる。同様に、組織検体の処理を行うことができ、例えば、組織検体を細かく切断し、物理的または酵素的に処理して、組織を破壊して、個々の細胞または細胞クラスターの状態にすることができる。加えて、望ましい場合には、細胞学的試料を処理して、細胞を単離するか、または細胞クラスターを破壊することができる。したがって、当該技術分野において周知の方法を用いて、組織、血液、及び細胞学的試料を入手及び処理することができる。本開示の方法は、病態を示すバイオマーカーである核酸標的の有無に基づき、病的細胞の有無を確認する診断用途で用いることができる。
【0153】
本明細書で提供される方法を用いて標的核酸を検出する際には、いずれかの数の好適な細胞を使用できることが、当業者には理解される。本明細書で提供される方法で用いる試料は概して、生体試料または組織試料である。このような試料は、生体対象から得ることができ、個体または何らかの他の生体物質源(生検体、剖検体または鑑定物質など)から採取される生体組織または体液由来の試料を含む。生体試料には、前がん細胞、がん細胞、前がん組織もしくはがん組織を含むか、またはその細胞もしくは組織を含む疑いのある、生体対象の領域から得た試料、例えば組織生検体(細針吸引物、血液試料または細胞学的検体が挙げられる)も含まれる。このような試料は、哺乳動物のような生物から単離した器官、組織、組織断片、細胞及び/またはエクソソームであることができるが、これらに限定されない。例示的な生体試料としては、細胞培養物(初代細胞培養物を含む)、細胞株、組織、器官、細胞小器官、生体液などが挙げられるが、これらに限定されない。追加の生体試料としては、皮膚試料、組織生検体(細針吸引物を含む)、細胞学的試料、便、体液(血液及び/または血清の試料、唾液、精液を含む)などが挙げられるが、これらに限定されない。このような試料は、医学または獣医学における診断目的で用いることができる。
【0154】
本明細書で提供される方法による解析用の細胞学的試料を採取することは、当該技術分野において周知である(例えば、Dey,“Cytology Sample Procurement,Fixation and Processing”in Basic and Advanced Laboratory Techniques in Histopathology and Cytology pp.121-132,Springer,Singapore(2018)、“Non-Gynecological Cytology Practice Guideline”American Society of Cytopathology,Adopted by the ASC executive board March 2,2004参照)。
【0155】
例えば、子宮頸部組織の解析用に、試料(組織生検体及び細胞学的試料を含む)を処理する方法は、当該技術分野において周知である(例えば、Cecil Textbook of Medicine,Bennett and Plum,eds.,20th ed.,WB Saunders,Philadelphia(1996)、Colposcopy and Treatment of Cervical Intraepithelial Neoplasia:A Beginner’s Manual,Sellors and Sankaranarayanan,eds.,International Agency for Research on Cancer,Lyon,France(2003)、Kalaf and Cooper,J.Clin.Pathol.60:449-455(2007)、Brown and Trimble,Best Pract.Res.Clin.Obstet.Gynaecol.26:233-242(2012)、Waxman et al.,Obstet.Gynecol.120:1465-1471(2012)、Cervical Cytology Practice Guidelines TOC,Approved by the American Society of Cytopathology(ASC)Executive Board,November 10,2000参照)。
【0156】
特定の実施形態では、試料は、組織検体であるか、または組織検体に由来するものである。いくつかの実施形態では、組織検体は、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)である。いくつかの実施形態では、組織検体は新鮮凍結である。いくつかの実施形態では、組織検体は、ホルマリン以外の固定液によって調製される。いくつかの実施形態では、ホルマリン以外の固定液は、エタノール、メタノール、Bouin固定液、B5、及びI.B.Fからなる群から選択される。その他の特定の実施形態では、試料は、血液試料である、または血液試料に由来する。さらに別の特定の実施形態では、試料は、細胞学的試料である、または細胞学的試料に由来するものである。
【0157】
5.3 標的核酸の検出方法
別の態様では、本明細書において、細胞中の標的核酸を検出する方法であって、例えば、上記のセクション5.2に記載されているように、本明細書において提供される方法に従って、生体試料を調製することと、標的核酸にハイブリダイズする1つ以上のプローブのセットを用いてin situハイブリダイゼーション検出アッセイを実行することと、を含む方法が提供される。
【0158】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される、あらかじめ固定した試料において標的核酸をin situ検出する方法は、アルデヒド含有固定液を試料に適用することと、標的核酸にハイブリダイズする1つ以上のプローブのセットを用いたin situハイブリダイゼーション検出アッセイを実行することと、を含む。
【0159】
いくつかの実施形態では、in situハイブリダイゼーションは、DNAを検出するためのものである。いくつかの実施形態では、in situハイブリダイゼーションは、RNAを検出するためのものである。
【0160】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、比較的短い核酸を検出する。例えば、いくつかの実施形態では、in situハイブリダイゼーションは、100未満のヌクレオチドを含む標的核酸を検出するためのものである。いくつかの実施形態では、標的核酸は15~100のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、標的核酸は15~80のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、標的核酸は15~60のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、標的核酸は15~50のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、標的核酸は15~40のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、標的核酸は90未満のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、標的核酸は80未満のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、標的核酸は70未満のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、標的核酸は60未満のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、標的核酸は50未満のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、標的核酸は40未満のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、標的核酸は30未満のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、標的核酸は20未満のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、標的核酸は16未満のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、in situハイブリダイゼーションは、低分子RNA種を検出するためのものである。一実施形態では、検出するRNAのヌクレオチドは、100未満である。一実施形態では、検出するRNAのヌクレオチドは、50未満である。一実施形態では、検出するRNAのヌクレオチドは、40未満である。一実施形態では、検出するRNAのヌクレオチドは、10~40である。一実施形態では、検出するRNAのヌクレオチドは、15~40である。一実施形態では、検出するRNAのヌクレオチドは、30~40である。一実施形態では、本方法は、sncRNAを検出するためのものである。一実施形態では、本方法は、miRNAを検出するためのものである。一実施形態では、本方法は、siRNAを検出するためのものである。一実施形態では、本方法は、piRNAを検出するためのものである。一実施形態では、本方法は、ASOを検出するためのものである。一実施形態では、本方法は、内因性のRNAを検出するためのものである。一実施形態では、本方法は、外因性のRNAを検出するためのものである。
【0161】
また、本明細書に提供される方法を使用して、比較的長い核酸、例えば100、200、300、500、または1,000以上のヌクレオチドを含む核酸を検出することもできる。
【0162】
核酸のin situ検出方法は、当業者には周知である(例えば、US2008/0038725、US2009/0081688、Hicks et al.,J.Mol.Histol.35:595-601(2004)参照)。本明細書で使用される場合、「in situハイブリダイゼーション」または「ISH」とは、直接または間接的に標識した相補的なDNA鎖またはRNA鎖(プローブなど)を用いて、試料、具体的には、組織または細胞の一部または切片(in situ)における所定の核酸に結合して、その核酸の位置を特定するタイプのハイブリダイゼーションを指す。そのプローブの種類は、2本鎖DNA(dsDNA)、1本鎖DNA(ssDNA)、1本鎖相補的RNA(sscRNA)、メッセンジャーRNA(mRNA)、マイクロRNA(miRNA)、リボソームRNA、ミトコンドリアRNA、及び/または合成オリゴヌクレオチドであることができる。
【0163】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるin situハイブリダイゼーションは、上記標的核酸にハイブリダイズできる1つ以上の標的プローブ(複数可)を少なくとも1セット提供することと、上記1つ以上の標的プローブ(複数可)のセットにハイブリダイズできる、シグナル生成複合体を提供することであって、上記シグナル生成複合体が、上記1つ以上の標的プローブ(複数可)のセットにハイブリダイズできる核酸成分、及び標識プローブを含む、提供することと、上記標的核酸を、上記1つ以上の標的プローブ(複数可)のセットにハイブリダイズすることと、シグナル生成複合体を上記1つ以上の標的プローブ(複数可)のセットに捕捉し、それによってシグナル生成複合体を上記標的核酸に捕捉することと、を含む。
【0164】
いくつかの実施形態では、1つ以上の標的プローブ(複数可)の各セットは、単一のプローブを含む。その他の実施形態では、1つ以上の標的プローブ(複数可)の各セットは、2つのプローブを含む。さらにその他の実施形態では、1つ以上の標的プローブ(複数可)の各セットは、3つ以上のプローブを含む。
【0165】
いくつかの実施形態では、標的プローブの各セットが、単一の標的プローブを含む場合、単一の標的プローブが標的核酸に結合するときに、シグナル生成複合体が形成される。その他の実施形態では、標的プローブの各セットが2つの標的プローブを含む場合、標的プローブ対の両方のメンバーが標的核酸に結合するときに、シグナル生成複合体が形成される。
【0166】
いくつかの特定の実施形態では、本明細書で使用されるRNA ISHは、例えば、米国特許第7,709,198号、同第8,604,182号、及び同第8,951,726号により詳細に記載されている、RNAscope(登録商標)である。具体的には、RNAscope(登録商標)に関しては、特別に設計されたオリゴヌクレオチドプローブを、分枝状のDNA様シグナル生成複合体と組み合わせて用いて、標準的な明視野顕微鏡の下、単分子の感度で、1キロベースほどの小ささのRNAを確実に検出することが記載されている(Anderson et al.,J.Cell.Biochem.117(10):2201-2208(2016)、Wang et al.,J.Mol.Diagn.14(1):22-29(2012))。
【0167】
いくつかの実施形態では、各標的プローブは標的(T)セクションと標識(L)セクションとを備え、Tセクションは標的核酸上のセクションに相補的な核酸配列であり、Lセクションはシグナル生成複合体の核酸成分上のセクションに相補的な核酸配列であり、1つ以上の標的プローブ(複数可)のTセクションは標的核酸の非重複領域に相補的であり、1つ以上の標的プローブ(複数可)のLセクションは生成複合体の核酸成分の非重複領域に相補的である。
【0168】
いくつかの実施形態では、1つ以上の標的プローブ(複数可)1セットを使用して、標的核酸を検出する。その他の実施形態では、1つ以上の標的プローブ(複数可)2セット以上を使用して、標的核酸を検出する。いくつかの実施形態では、1つ以上の標的プローブ(複数可)2セットを使用して、標的核酸を検出する。いくつかの実施形態では、1つ以上の標的プローブ(複数可)3セットを使用して、標的核酸を検出する。いくつかの実施形態では、1つ以上の標的プローブ(複数可)4セットを使用して、標的核酸を検出する。いくつかの実施形態では、1つ以上の標的プローブ(複数可)5セットを使用して、標的核酸を検出する。いくつかの実施形態では、1つ以上の標的プローブ(複数可)6セットを使用して、標的核酸を検出する。いくつかの実施形態では、1つ以上の標的プローブ(複数可)7セットを使用して、標的核酸を検出する。いくつかの実施形態では、1つ以上の標的プローブ(複数可)8セットを使用して、標的核酸を検出する。いくつかの実施形態では、1つ以上の標的プローブ(複数可)9セットを使用して、標的核酸を検出する。いくつかの実施形態では、1つ以上の標的プローブ(複数可)10セットを使用して、標的核酸を検出する。いくつかの実施形態では、1つ以上の標的プローブ(複数可)11セット以上を使用して、標的核酸を検出する。いくつかの実施形態では、1つ以上の標的プローブ(複数可)16セット以上を使用して、標的核酸を検出する。いくつかの実施形態では、1つ以上の標的プローブ(複数可)21セット以上を使用して、標的核酸を検出する。いくつかの実施形態では、1つ以上の標的プローブ(複数可)31セット以上を使用して、標的核酸を検出する。
【0169】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、複数の核酸標的を検出するためのものである。いくつかの実施形態では、複数の核酸標的は全て、100未満のヌクレオチドを含む。その他の実施形態では、核酸標的の一部は100未満のヌクレオチドを含み、一方でその他の標的は100を超えるヌクレオチドを含む。
【0170】
本明細書で使用される場合、「標的プローブ」は、標的核酸にハイブリダイゼーションして、標識プローブまたはシグナル生成複合体(SGC)の成分をその標的核酸に捕捉または結合させることができるポリヌクレオチドである。標的プローブは、標識プローブに直接ハイブリダイゼーションできるか、または標識プローブに逐次にハイブリダイゼーションする1つ以上の核酸にハイブリダイゼーションでき、例えば、標的プローブは、SGCにおける増幅剤、プレ増幅剤またはプレ-プレ増幅剤にハイブリダイゼーションできる。すなわち、標的プローブは、標的核酸のポリヌクレオチド配列と相補的である第1のポリヌクレオチド配列と、標識プローブ、増幅剤、プレ増幅剤、またはプレ-プレ増幅剤などのポリヌクレオチド配列と相補的である第2のポリヌクレオチド配列とを含む。標的プローブは概して1本鎖であり、上記の相補的配列が、対応する標的核酸、標識プローブ、増幅剤、プレ増幅剤またはプレ-プレ増幅剤とハイブリダイゼーションするのに利用可能なようになっている。いくつかの実施形態では、標的プローブは、対として供給される。
【0171】
本明細書で使用される場合、「標識プローブ」という用語は、標的分子に直接または間接的に、概ね間接的に結合して、標的を検出可能にする物体を指す。標識プローブ(または「LP」)は、直接または間接的に検出可能なシグナルを供給する標識を1つ以上含む、典型的には1本鎖のポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドである核酸結合部分を含む。その標識が、そのポリヌクレオチドに共有結合していることもできるし、またはそのポリヌクレオチドが、その標識に結合するように構成されていることもできる。例えば、ビオチン化ポリヌクレオチドは、ストレプトアビジン結合標識と結合できる。標識プローブは例えば、標的核酸に直接ハイブリダイゼーションできる。概して、標識プローブは、標的核酸に逐次にハイブリダイゼーションしている核酸、または標的核酸にハイブリダイゼーションしている1つ以上の他の核酸にハイブリダイゼーションできる。すなわち、標識プローブは、標的核酸のポリヌクレオチド配列、特に、標的核酸の一部分と相補的であるポリヌクレオチド配列を含むことができる。あるいは、標識プローブは、増幅剤、プレ増幅剤、またはSGCにおけるプレ-プレ増幅剤におけるポリヌクレオチド配列と相補的であるポリヌクレオチド配列を少なくとも1つ含むことができる。
【0172】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるSGCは、このような増幅剤、プレ増幅剤、及び/またはプレ-プレ増幅剤に関して、追加の説明を含む。
【0173】
本明細書で使用される場合、「増幅剤」は、複数の標識プローブにハイブリダイゼーションできる分子、典型的にはポリヌクレオチドである。典型的には、増幅剤は、複数の同一の標識プローブにハイブリダイゼーションする。増幅剤は、標的核酸、標的プローブ対の少なくとも1つの標的プローブ、標的プローブ対の両方の標的プローブ、または標的プローブに結合した核酸(増幅剤、プレ増幅剤もしくはプレ-プレ増幅剤など)にハイブリダイゼーションすることもできる。例えば、増幅剤は、少なくとも1つの標的プローブ及び複数の標識プローブ、またはプレ増幅剤及び複数の標識プローブにハイブリダイゼーションできる。増幅剤は例えば、直鎖状、フォーク状、櫛状または分岐状の核酸であることができる。全てのポリヌクレオチドについて本明細書で記載されているように、増幅剤は、修飾ヌクレオチド及び/または非標準的なヌクレオチド間結合、ならびに標準的なデオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド及び/またはホスホジエステル結合を含むことができる。好適な増幅剤は例えば、米国特許第5,635,352号、同第5,124,246号、同第5,710,264号、同第5,849,481号、及び同第7,709,198号、ならびに米国公開第2008/0038725号及び同第2009/0081688号に記載されており、これらはそれぞれ、参照により援用される。
【0174】
本明細書で使用される場合、「プレ増幅剤」は、1つ以上の標的プローブと1つ以上の増幅剤の間の中間結合成分としての役割を果たす分子、典型的にはポリヌクレオチドである。典型的には、プレ増幅剤は、1つ以上の標的プローブ及び複数の増幅剤に同時にハイブリダイゼーションする。例示的なプレ増幅剤は例えば、米国特許第5,635,352号、同第5,681,697号及び同第7,709,198号、ならびに米国公開第2008/0038725号、同第2009/0081688号及び同第2017/0101672号に記載されており、これらはそれぞれ、参照により援用される。
【0175】
本明細書で使用される場合、「プレ-プレ増幅剤」は、1つ以上の標的プローブと1つ以上のプレ増幅剤の間の中間結合成分としての役割を果たす分子、典型的にはポリヌクレオチドである。典型的には、プレ-プレ増幅剤は、1つ以上の標的プローブ及び複数のプレ増幅剤に同時にハイブリダイゼーションする。例示的なプレ-プレ増幅剤は例えば、2017/0101672に記載されており、これは、参照により援用される。
【0176】
標識は典型的には、RNAのin situハイブリダイゼーションで、標的核酸を検出するために使用される。本明細書で使用される場合、「標識」とは、分子の検出を促す部分である。一般的な標識には、蛍光標識、発光標識、光散乱標識、及び/または比色標識が含まれる。好適な標識としては、酵素、ならびに蛍光部分及び発色部分、また放射性核種、基質、補因子、阻害剤、化学発光部分、磁性粒子、希土類金属、金属同位体などが挙げられる。特定の実施形態では、標識は、酵素である。例示的な酵素標識としては、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、アルカリホスファターゼ(AP)、β-ガラクトシダーゼ、及びグルコースオキシダーゼなど、ならびに各種プロテアーゼが挙げられるが、これらに限定されない。他の標識としては、フルオロフォア及びジニトロフェニル(DNP)などが挙げられるが、これらに限定されない。標識は、例えば、Hermanson,Bioconjugate Techniques,Academic Press,San Diego(1996)、ならびに米国特許第3,817,837号、同第3,850,752号、同第3,939,350号、同第3,996,345号、同第4,277,437号、同第4,275,149号及び同第4,366,241号に記載されているように、当業者には周知である。検出可能な酵素/基質の組み合わせ(Pierce,Rockford IL、Santa Cruz Biotechnology,Dallas TX、Life Technologies,Carlsbad CA)を含め、多くの標識が市販されており、本開示の方法及びアッセイで使用できる。本開示の特定の実施形態では、酵素は、発色基質または蛍光基質を利用して、本明細書に記載されているように、検出可能なシグナルを生成できる。例示的な標識は、本明細書に記載されている。
【0177】
酵素活性標識または非酵素標識が、それぞれ検出できるものである限りは、いずれの数の酵素標識または非酵素標識も使用できる。本酵素は、それによって検出可能なシグナルを生成し、そのシグナルを利用して、標的核酸を検出できる。特に有用である検出可能なシグナルは、発色シグナルまたは蛍光シグナルである。したがって、標識として用いるのに特に有用な酵素には、発色基質または蛍光基質が利用可能である酵素が含まれる。このような発色基質または蛍光基質を酵素反応によって容易に検出可能な発色生成物または蛍光生成物に変換し、この生成物は、顕微鏡法または分光法を用いて、容易に検出及び/または定量できる。このような酵素は、当業者に周知であり、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、グルコースオキシダーゼなどが挙げられるが、これらに限定されない(Hermanson,Bioconjugate Techniques,Academic Press,San Diego(1996)参照)。周知の発色基質または蛍光基質を有する他の酵素には、様々なペプチダーゼが含まれ、その発色ペプチド基質または蛍光ペプチド基質を用いて、タンパク質切断反応を検出できる。発色基質及び蛍光基質の利用は、細菌の診断でも周知であり、α-ガラクトシダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、β-グルクロニダーゼ、6-ホスホ-β-D-ガラクトシド6-ホスホガラクトヒドロラーゼ、β-グルコシダーゼ、α-グルコシダーゼ、アミラーゼ、ノイラミニダーゼ、エステラーゼ、及びリパーゼなどの利用が挙げられるが、これらに限らず(Manafi et al.,Microbiol.Rev.55:335-348(1991))、既知の発色基質または蛍光基質を有するこのような酵素は、本明細書で提供される方法で用いるのに容易に適合させることができる。
【0178】
検出可能なシグナルを生成させるための様々な発色基質または蛍光基質は、当業者に周知であり、市販されている。検出可能なシグナルを生成させるのに利用できる例示的な基質としては、西洋ワサビペルオキシダーゼに対する3,3’-ジアミノベンジジン(DAB)、3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン(TMB)、クロロナフトール(4-CN)(4-クロロ-1-ナフトール)、2,2’-アジノ-ビス(3-エチルベンゾチアゾリン-6-スルホン酸)(ABTS)、o-フェニレンジアミン二塩酸塩(OPD)、及び3-アミノ-9-エチルカルバゾール(AEC)、アルカリホスファターゼに対する5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-1-リン酸(BCIP)、ニトロブルーテトラゾリウム(NBT)、Fast Red(Fast Red TR/AS-MX)、及びp-ニトロフェニルリン酸(PNPP)、β-ガラクトシダーゼに対する1-メチル-3-インドリル-β-D-ガラクトピラノシド及び2-メトキシ-4-(2-ニトロビニル)フェニルβ-D-ガラクトピラノシド、ならびにβ-グルコシダーゼに対する2-メトキシ-4-(2-ニトロビニル)フェニルβ-D-グルコピラノシドなどが挙げられるが、これらに限定されない。例示的な蛍光基質としては、アルカリホスファターゼに対する4-(トリフルオロメチル)ウンベリフェリルリン酸、ホスファターゼに対する4-メチルウンベリフェリルリン酸ビス(2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール)、4-メチルウンベリフェリルリン酸ビス(シクロヘキシルアンモニウム)及び4-メチルウンベリフェリルリン酸、西洋ワサビペルオキシダーゼに対するQuantaBlu(商標)及びQuintolet、β-ガラクトシダーゼに対する4-メチルウンベリフェリルβ-D-ガラクトピラノシド、フルオレセインジ(β-D-ガラクトピラノシド)及びナフトフルオレセインジ-(β-D-ガラクトピラノシド)、β-グルコシダーゼに対する3-アセチルウンベリフェリルβ-D-グルコピラノシド及び4-メチルウンベリフェリル-β-D-グルコピラノシド、ならびにα-ガラクトシダーゼに対する4-メチルウンベリフェリル-α-D-ガラクトピラノシドが挙げられるが、これらに限定されない。検出可能なシグナルを生成させる例示的な酵素及び基質は例えば、米国公開第2012/0100540号にも記載されている。発色基質または蛍光基質を含む様々な検出可能な酵素基質は、周知であり、市販されている(Pierce,Rockford IL、Santa Cruz Biotechnology,Dallas TX、Invitrogen,Carlsbad CA、42 Life Science、Biocare)。概して、基質は、標的核酸の部位で沈着する沈殿物を形成する生成物に変換される。その他の例示的な基質としては、HRP-Green(42 Life Science)、Betazoid DAB、Cardassian DAB、Romulin AEC、Bajoran Purple、Vina Green、Deep Space Black(商標)、Warp Red(商標)、Biocare製のVulcan Fast Red及びFerangi Blue(Concord CA;biocare.net/products/detection/chromogens)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0179】
検出可能な標識として適する例示的な希土類金属及び金属同位体としては、141Pr、142Nd、143Nd、144Nd、145Nd、146Nd、147Sm、148Nd、149Sm、150Nd、151Eu、152Sm、153Eu、154Sm、155Gd、156Gd、158Gd、159Tb、160Gd、161Dy、162Dy、163Dy、164Dy、165Ho、166Er、167Er、168Er、169Tm、170Er、171Yb、172Yb、173Yb、174Yb、175Lu、及び176Ybのようなランタニド(III)同位体が挙げられるが、これらに限定されない。金属同位体は、例えば、飛行時間型質量分析(TOF-MS)(例えば、FluidigmのHelios及びHyperionシステム、fluidigm.com/systems;South San Francisco,CA)を用いて検出できる。
【0180】
ビオチン-アビジン(またはビオチン-ストレプトアビジン)は、それらの2つの分子の相互の親和性が非常に高いとともに、1つのアビジン/ストレプトアビジン分子が4つのビオチン分子と結合できるという知見に基づく、周知のシグナル増幅システムである。抗体は、免疫組織化学法及びISHでのシグナル増幅に広く用いられている。チラミドシグナル増幅(TSA)は、ペルオキシダーゼ活性によって、多数のハプテン化チラミド分子が沈着することに基づいている。チラミンは、フェノール化合物である。固定化された西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)は、少量の過酸化水素の存在下で、標識基質を、極めて反応性の高い短命な中間体に変換する。続いて、活性化した基質分子は、ペルオキシダーゼ結合部位またはペルオキシダーゼ結合部位の近くで、電子の豊富なタンパク質部分(チロシンなど)と非常に速やかに反応して、その部分に共有結合する。この方法で、チラミドにコンジュゲートした多くのハプテン分子をハイブリダイゼーション部位で、in situに導入できる。その後、沈着したチラミド-ハプテン分子を直接または間接的に可視化できる。このような検出システムは例えば、米国公開第2012/0100540号にさらに詳細に記載されている。
【0181】
本明細書に記載されている実施形態では、酵素を利用して、適切な発色基質または蛍光基質を用いる検出可能なシグナルを生成できる。あるいは、標識プローブは、その標識プローブの核酸部分に直接結合された検出可能な標識を有することができることが理解される。例示的な検出可能な標識は、当業者に周知であり、発色標識または蛍光標識が挙げられるが、これらに限定されない(Hermanson,Bioconjugate Techniques,Academic Press,San Diego(1996)参照)。例示的な、標識として有用なフルオロフォアとしては、ローダミン誘導体、例えばテトラメチルローダミン、ローダミンB、ローダミン6G、スルホローダミンB、Texas Red(スルホローダミン101)、ローダミン110、及びそれらの誘導体、例えばテトラメチルローダミン-5-(または6)、リサミンローダミンBなど;7-ニトロベンズ-2-オキサ-1,3-ジアゾール(NBD);フルオレセイン及びその誘導体;ナフタレン、例えばダンシル(5-ジメチルアミノナフタレン-1-スルホニル);クマリン誘導体、例えば7-アミノ-4-メチルクマリン-3-酢酸(AMCA)、7-ジエチルアミノ-3-[(4’-(ヨードアセチル)アミノ)フェニル]-4-メチルクマリン(DCIA)、Alexa蛍光色素(Molecular Probes)など;4,4-ジフルオロ-4-ボラ-3a,4a-ジアザ-s-インダセン(BODIPY(商標))及びその誘導体(Molecular Probes;Eugene,OR);ピレン及びスルホン化ピレン、例えばCascade Blue(商標)及びその誘導体、例えば8-メトキシピレン-1,3,6-トリスルホン酸など;ピリジルオキサゾール誘導体及びダポキシル(dapoxyl)誘導体(Molecular Probes);Lucifer Yellow(3,6-ジスルホネート-4-アミノ-ナフタルイミド)及びその誘導体;CyDye(商標)蛍光色素(Amersham/GE Healthcare Life Sciences;Piscataway NJ)、ATTO 390、DyLight 395XL、ATTO 425、ATTO 465、ATTO 488、ATTO 490LS、ATTO 495、ATTO 514、ATTO 520、ATTO 532、ATTO Rho6G、ATTO 542、ATTO 550、ATTO 565、ATTO Rho3B、ATTO Rho11、ATTO Rho12、ATTO Thio12、ATTO Rho101、ATTO 590、ATTO 594、ATTO Rho13、ATTO 610、ATTO 620、ATTO Rho14、ATTO 633、ATTO 643、ATTO 647、ATTO 647N、ATTO 655、ATTO Oxa12、ATTO 665、ATTO 680、ATTO 700、ATTO 725、ATTO 740、Cyan 500 NHS-Ester(ATTO-TECH,Siegen,Germany)などが挙げられるが、これらに限定されない。例示的な発色団としては、フェノールフタレイン、マラカイトグリーン、芳香族ニトロ化合物(ニトロフェニルなど)、ジアゾ色素、ダブシル(4-ジメチルアミノアゾベンゼン-4’-スルホニル)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0182】
本明細書で開示されているように、本明細書で提供される方法は、複数の標的核酸の同時検出に利用できる。フルオロフォアを標識として用いる場合には、複数の標的核酸の検出に用いるフルオロフォアは、標的核酸の同時検出の場合に、各フルオロフォアが識別可能であるとともに、フルオロフォアを蛍光顕微鏡で同時に検出できるように選択する。このようなフルオロフォアは、標的核酸の別個の標識を同時に検出できるように、発光線のスペクトルが分離されるように選択する。本開示の方法で用いるのに適する識別可能なフルオロフォアを選択する方法は、当該技術分野において周知である(例えば、Johnson and Spence,“Molecular Probes Handbook,a Guide to Fluorescent Probes and Labeling Technologies,”11th ed.,Life Technologies(2010)を参照されたい)。
【0183】
顕微鏡、サイトメトリー(例えば、マスサイトメトリー、飛行時間法によるサイトメトリー(CyTOF)、フローサイトメトリー)または分光法のような周知の方法を用いて、それぞれの標的核酸と関連する検出可能な発色シグナル、蛍光シグナルまたは金属シグナルを可視化できる。概して、同じ試料中の核酸標的の検出に、1種類の計器を使用できるように、同じアッセイで、それぞれ異なる標識を使用する場合には、特定のアッセイに合わせて、発色基質もしくは蛍光基質、または発色標識もしくは蛍光標識、あるいは希土類金属同位体のいずれかを使用する。
【0184】
本明細書で開示されているように、標識は、標識が任意に切断可能となるように設計できる。本明細書で使用される場合、切断可能な標識とは、例えば、標的核酸を標識及び検出する2回目以降のラウンドで、同じ標識を使用するために、標識を除去できるように、標識プローブに結合またはコンジュゲートされている標識を指す。概して、標識は、切断可能である化学リンカーによって、標識プローブにコンジュゲートされている。標識が切断可能となるように、標識を標識プローブにコンジュゲートする方法は、当業者に周知である(例えば、Hermanson,Bioconjugate Techniques,Academic Press,San Diego(1996)、Daniel et al.,BioTechniques 24(3):484-489(1998)参照)。オリゴヌクレオチドを標識する具体的システムの1つは、FastTag(商標)システムである(上記のDaniel et al.,1998、Vector Laboratories,Burlinghame CA)。様々な切断可能な部分をリンカーに含めて、標識を標識プローブから切断されるようにできる。このような切断可能な部分は、化学的、光化学的または酵素的に切断できる基を含む。切断可能な化学リンカーは、還元によって切断できるジスルフィド、過ヨウ素酸塩によって切断できるグリコールまたはジオール、亜ジチオン酸塩によって切断できるジアゾ結合、ヒドロキシルアミンによって切断できるエステル、塩基によって切断できるスルホンなどのような切断可能な化学的部分を含むことができる(上記のHermanson,1996参照)。特に有用である切断可能なリンカーの1つは、ジスルフィド結合を還元することによって切断できるジスルフィド結合を含むリンカーである。別の実施形態では、リンカーは、酵素によって切断するための部位を含むことができる。例えば、リンカーは、タンパク質切断部位を含むことができる。概して、このような切断部位は、配列特異的なプロテアーゼに対するものである。このようなプロテアーゼとしては、ヒトライノウイルス3Cプロテアーゼ(切断部位:LEVLFQ/GP)、エンテロキナーゼ(切断部位:DDDDK/)、第X因子(切断部位:IEGR/)、タバコエッチウイルスプロテアーゼ(切断部位:ENLYFQ/G)及びトロンビン(切断部位:LVPR/GS)が挙げられる(例えばOxford Genetics,Oxford,UK参照)が、これらに限定されない。別の切断可能な部分は例えば、ウラシル-DNAグリコシラーゼ(UNG)によって切断できるウラシル-DNA(ウラシルを含むDNA)であることができる(例えば、Sidorenko et al.,FEBS Lett.582(3):410-404(2008)参照)。
【0185】
切断可能な標識は、その標識を切断し、その標識を標識プローブから解離する目的で、化学的な薬剤のような薬剤または光を適用することによって除去することができる。上で論じたように、化学的な切断に有用な切断剤としては、還元剤、過ヨウ素酸、亜ジチオン酸塩、ヒドロキシルアミン、及び塩基などが挙げられるが、これらに限定されない(上記のHermanson,1996参照)。ジスルフィド結合を含むリンカーを切断するのに有用な方法の1つは、トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)を利用することである(Moffitt et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 113:11046-11051(2016)参照)。一実施形態では、標識を標識プローブから切断する薬剤として、TCEPを使用する。
【0186】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される細胞中の標的核酸を検出する方法は、標的プローブ(複数可)のハイブリダイゼーションの前に前処理工程を含む。いくつかの実施形態では、前処理工程はブロッキング工程を含み、その工程で特定のブロッキング剤(複数可)を適用して細胞の特定の内因性成分をブロックし、それによってアッセイのバックグラウンドを低減させる。例えば、後工程で西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)を検出酵素として使用する場合、過酸化水素がブロッキング剤である。過酸化水素を添加して、試料中の内因性HRP活性を不活性化し、それによってアッセイのバックグラウンドを低減させる。特定の実施形態では、このブロッキング工程は、脱パラフィン直後の、前処理の第1の工程として追加される。いくつかの実施形態では、前処理工程はエピトープ抗原賦活化工程を含み、特定のエピトープ抗原賦活化バッファー(複数可)を添加して、標的核酸を露出させることができる。いくつかの実施形態では、エピトープ抗原賦活化工程は、試料を加熱することを含む。いくつかの実施形態では、エピトープ抗原賦活化工程は、試料を50℃~100℃に加熱することを含む。一実施形態では、エピトープ抗原賦活化工程は、試料を約88℃に加熱することを含む。いくつかの実施形態では、前処理工程は、細胞中の核酸標的を保持し、標的プローブ(複数可)、シグナル生成複合体などが細胞に入ることを許容する透過化処理工程を含む。いくつかの実施形態では、透過化処理工程は、プロテアーゼによる消化を含む。界面活性剤(例えば、Triton X-100またはSDS)及びProteinase Kもまた、固定した細胞の透過性を高めるのに使用することができる。通常、Triton X-100またはSDSを用いる界面活性剤処理は、脂質を抽出して細胞膜を透過させるために、頻繁に使用される。Proteinase Kは、広範囲のpHにわたって活性であり、容易に不活性化されない、非特異的プロテアーゼである。Proteinase Kは、標的mRNAを取り囲むタンパク質を消化するのに用いられる。処理の最適な濃度及び持続時間は、当該技術分野において周知のように、実験に基づいて決定できる。続いて、細胞の洗浄工程を行い、前処理工程の任意の工程で生成された溶解物質を除去することができる。いくつかの実施形態では、試料はホルマリン固定パラフィン包埋組織中にあり、パラフィンを除去するとき、脱パラフィン工程が必要である。
【0187】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される細胞中の標的核酸を検出する方法は、特定のタイミングで、後固定工程を含む。一実施形態では、後固定工程は、(i)第1の固定工程の後であり、(ii)標的核酸にハイブリダイズできる、1つ以上の標的プローブ(複数可)の少なくとも1セットを適用する前である。一実施形態では、後固定工程は、(i)第1の固定工程の後であり、(ii)直前の段落に記載される前処理工程の前である。一実施形態では、後固定工程は、(i)第1の固定工程の後であり、(ii)直前の段落に記載されるブロッキング工程の前である。一実施形態では、後固定工程は、(i)第1の固定工程の後であり、(ii)直前の段落に記載されるエピトープ抗原賦活化工程の前である。一実施形態では、後固定工程は、(i)第1の固定工程の後であり、(ii)直前の段落に記載される透過化処理工程の前である。一実施形態では、後固定工程は、(i)脱パラフィン工程の後であり、(ii)標的核酸にハイブリダイズできる、1つ以上の標的プローブ(複数可)の少なくとも1セットを適用する前である。一実施形態では、後固定工程は、(i)脱パラフィン工程の後であり、(ii)直前の段落に記載される前処理工程の前である。一実施形態では、後固定工程は、(i)脱パラフィン工程の後であり、(ii)直前の段落に記載されるブロッキング工程の前である。一実施形態では、後固定工程は、(i)脱パラフィン工程の後であり、(ii)直前の段落に記載されるエピトープ抗原賦活化工程の前である。一実施形態では、後固定工程は、(i)脱パラフィン工程の後であり、(ii)直前の段落に記載される透過化処理工程の前である。
【0188】
本明細書において提供される方法は、研究及び診断におけるいくつかの適用を有する(Hanna et al.,Frontiers in Genetics,10,1-6,2019、Watts et al.,Journal of Pathology,226(2),365-379,2012)。本明細書において提供される方法は、天然の状況でのsncRNA、miRNA、siRNA、piRNA、及びASOなどの低分子核酸、ならびに様々な健康の過程及び疾患の過程が関与する、これらの低分子核酸が関連する遺伝子制御ネットワークについての理解を向上させ得る。
【0189】
いくつかの実施形態では、本明細書において提供される方法は、時間的及び空間的分解能によって低分子RNAを検出できる。一実施形態では、本明細書において提供される方法は、組織及び細胞型の識別に使用できる。一実施形態では、本明細書において提供される方法は、発生の異なる段階の識別に使用できる。一実施形態では、本明細書において提供される方法は、成人組織の特性決定に使用できる。
【0190】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、変性した低分子RNAの発現、または病原体由来の低分子RNAの存在を検出するのに使用できる。一実施形態では、本明細書で提供される方法は、疾患または障害を診断するのに使用できる。一実施形態では、本明細書で提供される方法は、病原体を診断するのに使用できる。
【0191】
いくつかの実施形態では、本明細書において提供される方法は、低分子RNAベースの治療の有効性を監視するためのものである。一実施形態では、本明細書において提供される方法は、siRNAベースの治療の有効性を監視するためのものである。一実施形態では、本明細書において提供される方法は、ASOベースの治療の有効性を監視するためのものである。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される方法は、低分子RNAベースの治療の有効性を決定するためのものである。一実施形態では、本明細書において提供される方法は、siRNAベースの治療の有効性を決定するためのものである。一実施形態では、本明細書において提供される方法は、ASOベースの治療の有効性を決定するためのものである。
【0192】
特定の実施形態では、疾患モデルへのsiRNAの送達に続いて、siRNAの存在を検出するために本方法を使用できる。特定の実施形態では、疾患モデルへのsiRNAの送達に続いて、siRNAを局在化させるために本方法を使用できる。特定の実施形態では、疾患モデルへのsiRNAの送達に続いて、siRNAを定量化するために本方法を使用できる。特定の実施形態では、疾患モデルへのsiRNAの送達に続いて、siRNAが標的とするRNAを定量化するために本方法を使用できる。
【0193】
特定の実施形態では、疾患モデルへのASOの送達に続いて、ASOの存在を検出するために本方法を使用できる。特定の実施形態では、疾患モデルへのASOの送達に続いて、ASOを局在化させるために本方法を使用できる。特定の実施形態では、疾患モデルへのASOの送達に続いて、ASOを定量化するために本方法を使用できる。特定の実施形態では、疾患モデルへのASOの送達に続いて、ASOが標的とするRNAを定量化するために本方法を使用できる。
【0194】
5.4 標的核酸のin situ検出用のキット
また別の態様では、本明細書において、本明細書に記載の各種方法を実行するためのキットが提供される。
【0195】
いくつかの実施形態では、本明細書において、細胞中の標的核酸のin situ検出のためのキットであって、(i)細胞を含む生体試料を固定する薬剤と、(ii)生体試料を固定するアルデヒド含有固定液と、(iii)in situハイブリダイゼーションを実施する薬剤と、(iv)アルデヒド含有固定液が、要素(i)の薬剤の後に使用されることを示す取扱い説明書と、を含むキットが提供される。
【0196】
その他の実施形態では、本明細書において、細胞中の標的核酸のin situ検出のためのキットであって、(i)あらかじめ固定した、細胞を含む生体試料を固定するアルデヒド含有固定液と、(ii)in situハイブリダイゼーションを実施する薬剤と、を含むキットが提供される。
【0197】
一実施形態では、キット中の生体試料を固定するために使用する薬剤は、エタノールである。一実施形態では、キット中の生体試料を固定するために使用する薬剤は、メタノールである。一実施形態では、キット中の生体試料を固定するために使用する薬剤は、アセトンである。一実施形態では、キット中の生体試料を固定するために使用する薬剤は、酢酸である。一実施形態では、キット中の生体試料を固定するために使用する薬剤は、塩化亜鉛である。一実施形態では、キット中の生体試料を固定するために使用する薬剤は、硫化亜鉛である。一実施形態では、キット中の生体試料を固定するために使用する薬剤は、ピクリン酸である。一実施形態では、キット中の生体試料を固定するために使用する薬剤は、ホルムアルデヒドである。一実施形態では、キット中の生体試料を固定するために使用する薬剤は、グルタルアルデヒドである。一実施形態では、キット中の生体試料を固定するために使用する薬剤は、四酸化オスミウムである。いくつかの特定の実施形態では、キット中の生体試料を固定するために使用する薬剤は、1種のカルボジイミドである。いくつかの特定の実施形態では、キット中の生体試料を固定するために使用する薬剤は、1種のジイミドエステルである。一実施形態では、キット中の生体試料を固定するために使用する薬剤は、クロロ-s-トリアジド(塩化シアヌル)である。いくつかの特定の実施形態では、キット中の生体試料を固定するために使用する薬剤は、1種のジイソシアネートである。一実施形態では、キット中の生体試料を固定するために使用する薬剤は、ジエチルピロカルボネート(DPC)である。いくつかの特定の実施形態では、キット中の生体試料を固定するために使用する薬剤は、1種のマレイミドである。一実施形態では、キット中の生体試料を固定するために使用する薬剤は、ベンゾキノンである。一実施形態では、キット中の生体試料を固定するために使用する薬剤は、塩化水銀である。一実施形態では、キット中の生体試料を固定するために使用する薬剤は、二クロム酸カリウムである。一実施形態では、キット中の生体試料を固定するために使用する薬剤は、過マンガン酸カリウムである。一実施形態では、キット中の生体試料を固定するために使用する薬剤は、クロム酸である。
【0198】
一実施形態では、キット中の生体試料を固定するために使用する薬剤は、ピクリン酸、ホルムアルデヒド、及び酢酸の溶液であるBouin固定液である。一実施形態では、キット中の生体試料を固定するために使用する薬剤は、エタノール及び酢酸の溶液であるClarke固定液である。一実施形態では、キット中の生体試料を固定するために使用する薬剤は、エタノール、クロロホルム、及び酢酸の溶液であるCarnoy固定液である。一実施形態では、キット中の生体試料を固定するために使用する薬剤は、ホルムアルデヒド及びグルタルアルデヒドの混合物溶液である。一実施形態では、キット中の生体試料を固定するために使用する薬剤は、エタノール、酢酸、及びホルムアルデヒドの溶液であるFAAである。一実施形態では、キット中の生体試料を固定するために使用する薬剤は、パラホルムアルデヒド、Lリジン、及びINaOの溶液である、過ヨウ素酸-リジン-パラホルムアルデヒド(PLP)である。一実施形態では、キット中の生体試料を固定するために使用する薬剤は、リン酸緩衝ホルマリン(PBF)である。一実施形態では、キット中の生体試料を固定するために使用する薬剤は、ホルムアルデヒド及び塩化カルシウムの溶液であるホルマール・カルシウムである。一実施形態では、キット中の生体試料を固定するために使用する薬剤は、ホルムアルデヒド及び塩化ナトリウムの溶液であるホルマール生理食塩水液である。一実施形態では、キット中の生体試料を固定するために使用する薬剤は、ホルムアルデヒド及び硫酸亜鉛の溶液である亜鉛ホルマリンである。一実施形態では、キット中の生体試料を固定するために使用する薬剤は、塩化水銀、二クロム酸カリウム、及び氷酢酸の溶液であるZenker固定液である。一実施形態では、キット中の生体試料を固定するために使用する薬剤は、ホルムアルデヒド、二クロム酸カリウム、硫酸ナトリウム、及び塩化水銀の溶液であるHelly固定液である。一実施形態では、キット中の生体試料を固定するために使用する薬剤は、B-5固定液、c塩化水銀(c mercuric chlorid)及び酢酸ナトリウムである。一実施形態では、キット中の生体試料を固定するために使用する薬剤は、ホルムアルデヒド、酢酸銅、ピクリン酸、及び酢酸の溶液であるHollande固定液である。一実施形態では、キット中の生体試料を固定するために使用する薬剤は、ホルムアルデヒド、エタノール、ピクリン酸、及び氷酢酸の溶液であるGendre溶液である。一実施形態では、キット中の生体試料を固定するために使用する薬剤は、メタノール、クロロホルム、及び氷酢酸の溶液であるMethacarn固定液である。一実施形態では、キット中の生体試料を固定するために使用する薬剤は、ホルムアルデヒド、エタノール、及び酢酸カルシウムの溶液であるアルコール・ホルマリンである。一実施形態では、キット中の生体試料を固定するために使用する薬剤は、ホルムアルデヒド、氷酢酸、及びエタノールの溶液であるホルモール酢酸アルコールである。
【0199】
いくつかの実施形態では、キット中の生体試料を固定するために使用する薬剤は、エタノール、メタノール、アセトン、酢酸、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、ピクリン酸、四酸化オスミウム、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、カルボジイミド、ジイミドエステル、クロロ-s-トリアジド(塩化シアヌル)、ジイソシアネート、ジエチルピロカルボネート(DPC)、マレイミド、ベンゾキノン、塩化水銀、二クロム酸カリウム、過マンガン酸カリウム、及びクロム酸を含む一覧から選択される、2、3、4、または5種以上の固定液の混合物溶液である。
【0200】
いくつかの実施形態では、キット中の生体試料を固定するために使用する薬剤は、同時ではないが、逐次的に適用される2種以上の固定液であり、2種以上の固定液は、エタノール、メタノール、アセトン、酢酸、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、ピクリン酸、四酸化オスミウム、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、カルボジイミド、ジイミドエステル、クロロ-s-トリアジド(塩化シアヌル)、ジイソシアネート、ジエチルピロカルボネート(DPC)、マレイミド、ベンゾキノン、塩化水銀、二クロム酸カリウム、過マンガン酸カリウム、及びクロム酸を含む一覧から選択される。
【0201】
いくつかの実施形態では、キット中の生体試料を固定するために使用する薬剤は、核酸を保存するのに好適な固定液(複数可)である。一実施形態では、固定液は、FineFix(Kothmaier et al.,Arch.Pathol.Lab.Med.135:744-752,2011参照)である。一実施形態では、固定液は、Glyo-fix(Lykidis et al.,Nucleic Acids Res.35:e85,2007参照)である。一実施形態では、固定液は、Histochoice(Vince et al.,Anal.Cell.Pathol.15:119-129,1997参照)である。一実施形態では、固定液は、HOPE(Kothmaier et al.,Arch.Pathol.Lab.Med.135:744-752,2011参照)である。一実施形態では、固定液は、Neo-Fix(Paavilainen et al.,Histochem.Cytochem.:Official J.Histochem.Soc.58:237-246,2010参照)である。一実施形態では、固定液は、PAXgene Tissue System(Nietner et al.,Int.J.Pathol.461:259-269,2012参照)である。一実施形態では、固定液は、RCL2(van Essen et al.,Clin.Pathol.63:1090-1094,2010参照)である。一実施形態では、固定液は、Streck’s Tissue Fixative(Burns et al.,Histochem.Cytochem.57:257-264,2009参照)である。一実施形態では、固定液は、UMFIX(Nadji et al.,Appl.Immunohistochem.Mol.Morphol.13:277-282,2005参照)である。一実施形態では、固定液は、Z7(Lykidis et al.,Nucleic Acids Res.35:e85,2007参照)である。一実施形態では、固定液は、ZBF(Paavilainen et al.,Histochem.Cytochem.:Official J.Histochem.Soc.58:237-246,2010参照)である。
【0202】
本明細書で提供されるキットは、アルデヒド含有固定液を含む。一実施形態では、キット中のアルデヒド含有固定液は、ホルムアルデヒドである。一実施形態では、キット中のアルデヒド含有固定液は、グルタルアルデヒドである。一実施形態では、キット中のアルデヒド含有固定液は、ピクリン酸、ホルムアルデヒド、及び酢酸の溶液である、Bouin固定液である。一実施形態では、キット中のアルデヒド含有固定液は、ホルムアルデヒド及びグルタルアルデヒドの混合物である。一実施形態では、キット中のアルデヒド含有固定液は、エタノール、酢酸、及びホルムアルデヒドの溶液である、FAAである。一実施形態では、キット中のアルデヒド含有固定液は、パラホルムアルデヒド、Lリジン、及びINaOの溶液である、過ヨウ素酸-リジン-パラホルムアルデヒド(PLP)である。一実施形態では、キット中のアルデヒド含有固定液は、リン酸緩衝ホルマリン(PBF)である。一実施形態では、キット中のアルデヒド含有固定液は、ホルムアルデヒド及び塩化カルシウムの溶液である、ホルマール・カルシウムである。一実施形態では、キット中のアルデヒド含有固定液は、ホルムアルデヒド及び塩化ナトリウムの溶液である、ホルマール生理食塩水液である。一実施形態では、キット中のアルデヒド含有固定液は、ホルムアルデヒド及び硫酸亜鉛の溶液である、亜鉛ホルマリンである。一実施形態では、キット中のアルデヒド含有固定液は、ホルムアルデヒド、二クロム酸カリウム、硫酸ナトリウム、及び塩化水銀の溶液である、Helly固定液である。一実施形態では、キット中のアルデヒド含有固定液は、ホルムアルデヒド、酢酸銅、ピクリン酸、及び酢酸の溶液である、Hollande固定液である。一実施形態では、キット中のアルデヒド含有固定液は、ホルムアルデヒド、エタノール、ピクリン酸、及び氷酢酸の溶液である、Gendre溶液である。一実施形態では、キット中のアルデヒド含有固定液は、ホルムアルデヒド、エタノール、及び酢酸カルシウムの溶液である、アルコール・ホルマリンである。一実施形態では、キット中のアルデヒド含有固定液は、ホルムアルデヒド、氷酢酸、及びエタノールの溶液である、ホルモール酢酸アルコールである。一実施形態では、キット中のアルデヒド含有固定液は固定液の混合物であり、混合物の少なくとも1種の固定液は、ホルムアルデヒドまたはグルタルアルデヒドである。一実施形態では、キット中のアルデヒド含有固定液は、同時に使用されないが逐次的に使用される固定液であり、少なくとも1種の固定液は、ホルムアルデヒドまたはグルタルアルデヒドである。
【0203】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるキット中のアルデヒド含有固定液は、約5%~約50%のホルムアルデヒドを含む。その他の実施形態では、アルデヒド含有固定液は、約10%~約40%のホルムアルデヒドを含む。さらにその他の実施形態では、アルデヒド含有固定液は、約12%~約37%のホルムアルデヒドを含む。
【0204】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるキット中のアルデヒド含有固定液は、様々な濃度のホルムアルデヒドを含む。一実施形態では、アルデヒド含有固定液は、約5%のホルムアルデヒドを含む。一実施形態では、アルデヒド含有固定液は、約6%のホルムアルデヒドを含む。一実施形態では、アルデヒド含有固定液は、約7%のホルムアルデヒドを含む。一実施形態では、アルデヒド含有固定液は、約8%のホルムアルデヒドを含む。一実施形態では、アルデヒド含有固定液は、約9%のホルムアルデヒドを含む。一実施形態では、アルデヒド含有固定液は、約10%のホルムアルデヒドを含む。一実施形態では、アルデヒド含有固定液は、約11%のホルムアルデヒドを含む。一実施形態では、アルデヒド含有固定液は、約12%のホルムアルデヒドを含む。一実施形態では、アルデヒド含有固定液は、約13%のホルムアルデヒドを含む。一実施形態では、アルデヒド含有固定液は、約14%のホルムアルデヒドを含む。一実施形態では、アルデヒド含有固定液は、約15%のホルムアルデヒドを含む。一実施形態では、アルデヒド含有固定液は、約16%のホルムアルデヒドを含む。一実施形態では、アルデヒド含有固定液は、約17%のホルムアルデヒドを含む。一実施形態では、アルデヒド含有固定液は、約18%のホルムアルデヒドを含む。一実施形態では、アルデヒド含有固定液は、約19%のホルムアルデヒドを含む。一実施形態では、アルデヒド含有固定液は、約20%のホルムアルデヒドを含む。一実施形態では、アルデヒド含有固定液は、約30%のホルムアルデヒドを含む。一実施形態では、アルデヒド含有固定液は、約35%のホルムアルデヒドを含む。一実施形態では、アルデヒド含有固定液は、約40%のホルムアルデヒドを含む。一実施形態では、アルデヒド含有固定液は、約50%のホルムアルデヒドを含む。
【0205】
いくつかの実施形態では、本キットは、対象から生体試料を得るためのツールをさらに含む。特定の実施形態では、生体試料は組織検体である、または組織検体に由来する。特定の実施形態では、生体試料は血液試料である、または血液試料に由来する。特定の実施形態では、生体試料は細胞学的試料である、または細胞学的試料に由来する。
【0206】
いくつかの実施形態では、標的核酸はDNAである。いくつかの実施形態では、標的核酸はRNAである。いくつかの実施形態では、標的核酸は長鎖RNAである。いくつかの実施形態では、標的核酸は短鎖RNAである。いくつかの実施形態では、標的核酸は、100未満のヌクレオチドを含むRNAである。その他の実施形態では、標的核酸は、50未満のヌクレオチドを含むRNAである。その他の実施形態では、標的核酸は、15~40のヌクレオチドを含むRNAである。いくつかの実施形態では、標的核酸はsncRNAである。その他の実施形態では、標的核酸は、miRNA、siRNA、piRNAまたはASOである。さらに他の実施形態では、標的核酸は、内因性RNAまたは外因性RNAである。
【0207】
特定の実施形態では、本明細書において提供されるキットは、例えば、米国特許第7,709,198号、同第8,604,182号、及び同第8,951,726号により詳細に記載されている、RNAscope(登録商標)を実行するための薬剤を含む。いくつかの実施形態では、本キットは、標的核酸にハイブリダイズできる1つ以上の標的プローブ(複数可)の少なくとも1セットと、上記1つ以上の標的プローブ(複数可)のセットにハイブリダイズできるシグナル生成複合体とを含み、上記シグナル生成複合体は、標識プローブ、及び上記1つ以上の標的プローブ(複数可)のセットにハイブリダイズできる核酸成分を含む。
【0208】
いくつかの実施形態では、標的プローブ(複数可)は、標的(T)セクションと標識(L)セクションとを備え、Tセクションは標的核酸上のセクションに相補的な核酸配列であり、Lセクションはシグナル生成複合体の核酸成分上のセクションに相補的な核酸配列であり、1つ以上の標的プローブ(複数可)のTセクションは標的核酸の非重複領域に相補的であり、1つ以上の標的プローブ(複数可)のLセクションは生成複合体の核酸成分の非重複領域に相補的である。
【0209】
いくつかの実施形態では、本キットは、上記のセクション5.3に記載されるようなシグナル生成複合体をさらに含み、この複合体は標識プローブ、増幅剤、プレ増幅剤、及び/またはプレ-プレ増幅剤を含み得る。
【0210】
いくつかの実施形態では、本キットは、ハイブリダイゼーションの準備のために試料を処理する固定剤及び薬剤、ならびに試料を洗浄するための薬剤など、RNA ISHを実行するためのその他の薬剤または材料をさらに含む。
【0211】
本キットは、本キットの構成成分を収容する物理構造を意味する「梱包材料」をさらに含んでもよい。梱包材料は、構成成分を無菌的に維持することができ、そのような目的のために通常用いられる材料で製造することができる(例えば紙、波形繊維、ガラス、プラスチック、ホイル、アンプル、バイアル、管など)。
【0212】
本明細書において提供されるキットは、ラベルまたは挿入紙を含むことができる。ラベルまたは挿入紙は、キット構成成分が使用される目的となり得る状態、障害、疾患、または症状についての情報を含む。ラベルまたは挿入紙は、臨床医または対象が、方法、治療プロトコル、または治療レジメンにおいて、キット構成成分のうちの1つ以上を使用するための取扱い説明書を含み得る。いくつかの実施形態では、本キットは、組織及び細胞型の識別に使用できる。いくつかの実施形態では、本キットは、発生の異なる段階の識別に使用できる。いくつかの実施形態では、本キットは、がんの臨床バイオマーカーの検出に使用できる。いくつかの実施形態では、本キットは、1つ以上の変性した低分子RNAの発現、または病原体由来の低分子RNAの存在に基づき、疾患または障害を診断するのに使用できる。いくつかの実施形態では、本キットは、成人組織の特性決定に使用できる。いくつかの実施形態では、本キットは、病原体診断用の臨床バイオマーカーの検出に使用できる。いくつかの実施形態では、本キットは、低分子RNAベースの治療の検出及び特性決定に使用できる。いくつかの実施形態では、本キットは、低分子RNAベースの治療の初期の有効性確認のために使用できる。いくつかの実施形態では、本キットは、低分子RNAベースの治療の有効性を監視し続けるために使用できる。いくつかの実施形態では、本キットは、低分子RNAベースの治療の有効性を決定するために使用できる。いくつかの実施形態では、本キットは、siRNAの存在の検出、局在化及び定量化に使用できる。いくつかの実施形態では、本キットは、ASO分子の存在の検出、局在化及び定量化に使用できる。いくつかの実施形態では、本キットは、病原体由来の低分子RNAの検出及び識別のために使用できる。
【0213】
〔実施例〕
以下は、研究に用いられる各種方法及び材料の記載であり、本発明をどのように作製及び使用するかの完全な開示及び説明を当業者に提供するように提示され、本発明者が自身の発明とみなすものの範囲を限定することを意図しておらず、また下記の実験が実施されたものであり、実施され得る実験の全てであると示すことを意図していない。現在形で書かれた例示的な記載は、必ずしも実行されたというわけではなく、むしろ、これらの記載を実行して、本開示の教示に関連するデータなどを作成することができると理解すべきである。使用される数値(例えば、量、パーセンテージなど)に対する正確さを確保する努力がなされているが、いくつかの実験誤差及びばらつきが考慮されるべきである。
【0214】
6.1 標準的なRNA ISHワークフローにおける、低分子核酸保存のための後固定戦略の組み込み
従来通りに保存された生物検体は標準的な脱パラフィン工程に従っており、パラフィンワックスを溶解させるために試料を加熱し、続いて一連のキシレン及びエタノール洗浄を行い、全てのワックスの痕跡を除去する。この工程では、低分子核酸の喪失につながる。試料の前処理及びハイブリダイゼーション/洗浄工程の間の、拡散による喪失を最小限にするために、試料の前処理の前に、アルデヒド含有固定液を用いて、最低2時間、周囲温度にて検体を後固定する。2時間未満の時間、後固定した試料では、これらの核酸種の最小限の保持を観察した。最適な保持は、採用した固定液に応じて2~18時間の後固定の間に観察した。約12%に等しい、またはより高い濃度のホルムアルデヒドで後固定した生物検体は、短時間(2時間)の固定液への曝露のみを必要とし、一方で約12%未満の濃度のホルムアルデヒド、例えば10%中性緩衝ホルマリン(NBF)では、より長時間(18時間)の処理を必要とした。後固定ワークフローに従った試料は、試料の前処理、標的プローブハイブリダイゼーション、及び検出を含む、概説される汎用ISHワークフローの後続の工程と、完全な適合性を有する。
【0215】
6.2 miRNA検出のための、12%に等しい、またはより高い濃度のホルムアルデヒドによる後固定
ホルムアルデヒドによる後固定によって、miRNAの喪失が最小限となり、RNAscope(登録商標)ISHによる検出感度が向上する。マウスのホルマリン固定パラフィン包埋組織切片を未処理にした、または1X PBS中で調製した約12%~約37%の範囲の濃度のホルムアルデヒドで、周囲温度にて2時間、後固定した。約12%に等しい、またはより高い濃度のホルムアルデヒドで、2時間後固定したときに、miRNAの保持が最大化するという結果になる。RNAscope(登録商標)2.5 High Definition(HD)-Red Assayを使用して、ホルマリン固定パラフィン包埋組織処理用の確立された条件に従って、特定のmiRNAを検出した。ISHシグナルは斑点として現れ、ヘマトキシリンは個々の細胞核を染色する。図2Aに示すとおり、後固定処理の後に、心臓に豊富に発現するmiR-1a-3pを検出した。図2Bに示すとおり、後固定処理の後に、脳に豊富に発現するmiR-132-3pを検出した。後固定の不存在下では、miRNAは組織から拡散して検出不可能であり、心臓及び脳組織において斑点が見られないことが証拠となっている。これに対して、後固定した組織内では斑点の形成が観察され、本明細書において、本開示の有効性を示している。ホルムアルデヒドの濃度を12%から37%に高めても、組織全体に同様の斑点の数が観察されたように、miRNA検出感度にさらなる利点は観察されなかった。
【0216】
6.3 miRNA検出のための、10%NBFによる後固定
マウスのホルマリン固定パラフィン包埋組織切片を未処理とした、または蒸留水及び中性pHのためのリン酸ナトリウム中で調製した最も一般的に使用されている約4%のホルムアルデヒド含有量を有するアルデヒド含有固定液である10%NBFによって、周囲温度で18時間、後固定した。インキュベーション時間が短いと、組織でのmiRNA保持は最適状態に及ばないという結果になる。RNAscope(登録商標)2.5 High Definition(HD)-Red Assayによって、ホルマリン固定パラフィン包埋組織処理用の確立された条件に従って、心臓に豊富に発現するmiR-1a-3p(図3A)、脳に豊富に発現するmiR-132-3p(図3B)、肝臓に豊富に発現するmiR-122-5p(図3C)及び偏在的に発現するlet-7(図3D)を検出した。ISHアッセイに後固定工程を組み込むと、未処理のままにした組織と比較して、低分子核酸の優れた検出感度(斑点形成として示される)が得られる。
【0217】
6.4 長鎖RNA種の検出のための、ホルムアルデヒドによる後固定
後固定ワークフローは、長鎖RNA種の検出に完全な適合性があることが示されている。ヒト及びマウスのホルマリン固定パラフィン包埋組織を未処理とした、または10%NBFによって後固定し、図1に概説した汎用ISHワークフローを用いて処理を続けた。図4Aに示すとおり、未処理であった、またはNBFの後固定を行ったヒト皮膚A431細胞において、RNAscope(登録商標)2.5 High Definition(HD)-Red Assayを使用して、ヒトTATAボックス結合タンパク質(TBP)mRNAを検出した。RNAscope(登録商標)2.5 High Definition(HD)-Red Assayを使用して、マウスの腸組織(図4B)及び脳組織(図4C)のそれぞれにおいて、マウスポリメラーゼRNA IIポリペプチドA(POLR2A)mRNAを検出した。未処理の組織と後固定した組織で長鎖RNA種の類似した検出感度を観察した。これは低分子RNA種は、この代替的なISHワークフローから好ましく利益を得られるが、長鎖RNA種の検出は、この代替的なISHワークフローによって損なわれるわけではないことを示唆している。
【0218】
前述から、具体的な実施形態を例示の目的で本明細書に記載してきたが、本明細書で提供されるものの趣旨及び範囲を逸脱することなく、種々の変更がなされ得ることを理解されたい。上記に言及される全ての参考文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【図面の簡単な説明】
【0219】
図1】標準的なRNA ISHワークフローにおける、後固定工程の組み込みを示す。標準的なRNA ISHワークフローに存在しない後固定工程は、二重囲みボックスでラベルをつけている。
図2A】12%に等しい、またはより高いホルムアルデヒドを用いた後固定によって、miRNA喪失が最小限となり、RNAscope(登録商標)ISHによる検出感度が向上したことを示す。マウスのホルマリン固定パラフィン包埋組織切片を未処理にした、または12%~37%の範囲の濃度のホルムアルデヒドで後固定した。RNAscope(登録商標)2.5 High Definition(HD)-Red Assayを使用して、ホルマリン固定パラフィン包埋組織処理用の確立された条件に従って、2種のmiRNAを検出した。ISHシグナルは斑点として現れ、ヘマトキシリンは個々の細胞核を染色する。後固定工程後の、心臓に豊富に発現するmiR-1a-3pの検出を示す図である。
図2B】12%に等しい、またはより高いホルムアルデヒドを用いた後固定によって、miRNA喪失が最小限となり、RNAscope(登録商標)ISHによる検出感度が向上したことを示す。マウスのホルマリン固定パラフィン包埋組織切片を未処理にした、または12%~37%の範囲の濃度のホルムアルデヒドで後固定した。RNAscope(登録商標)2.5 High Definition(HD)-Red Assayを使用して、ホルマリン固定パラフィン包埋組織処理用の確立された条件に従って、2種のmiRNAを検出した。ISHシグナルは斑点として現れ、ヘマトキシリンは個々の細胞核を染色する。脳に豊富に発現するmiR-132-3pの検出を示す図である。
図3A】約4%のホルムアルデヒド含有量を有する、10%中性緩衝ホルマリン(NBF)を用いた後固定によって、miRNA喪失が最小限となり、RNAscope(登録商標)ISHによる検出感度が向上したことを示す。マウスのホルマリン固定パラフィン包埋組織切片を未処理にした、または10%NBFで後固定した。RNAscope(登録商標)2.5 High Definition(HD)-Red Assayを使用して、ホルマリン固定パラフィン包埋組織処理用の確立された条件に従って、複数種のmiRNAを検出した。ISHシグナルは斑点として現れ、ヘマトキシリンは個々の細胞核を染色する。後固定工程後の、心臓に豊富に発現するmiR-1a-3pの検出を示す図である。
図3B】約4%のホルムアルデヒド含有量を有する、10%中性緩衝ホルマリン(NBF)を用いた後固定によって、miRNA喪失が最小限となり、RNAscope(登録商標)ISHによる検出感度が向上したことを示す。マウスのホルマリン固定パラフィン包埋組織切片を未処理にした、または10%NBFで後固定した。RNAscope(登録商標)2.5 High Definition(HD)-Red Assayを使用して、ホルマリン固定パラフィン包埋組織処理用の確立された条件に従って、複数種のmiRNAを検出した。ISHシグナルは斑点として現れ、ヘマトキシリンは個々の細胞核を染色する。後固定工程後の、脳に豊富に発現するmiR-132-3pの検出を示す図である。
図3C】約4%のホルムアルデヒド含有量を有する、10%中性緩衝ホルマリン(NBF)を用いた後固定によって、miRNA喪失が最小限となり、RNAscope(登録商標)ISHによる検出感度が向上したことを示す。マウスのホルマリン固定パラフィン包埋組織切片を未処理にした、または10%NBFで後固定した。RNAscope(登録商標)2.5 High Definition(HD)-Red Assayを使用して、ホルマリン固定パラフィン包埋組織処理用の確立された条件に従って、複数種のmiRNAを検出した。ISHシグナルは斑点として現れ、ヘマトキシリンは個々の細胞核を染色する。後固定工程後の、肝臓に豊富に発現するmiR-122-5pの検出を示す図である。
図3D】約4%のホルムアルデヒド含有量を有する、10%中性緩衝ホルマリン(NBF)を用いた後固定によって、miRNA喪失が最小限となり、RNAscope(登録商標)ISHによる検出感度が向上したことを示す。マウスのホルマリン固定パラフィン包埋組織切片を未処理にした、または10%NBFで後固定した。RNAscope(登録商標)2.5 High Definition(HD)-Red Assayを使用して、ホルマリン固定パラフィン包埋組織処理用の確立された条件に従って、複数種のmiRNAを検出した。ISHシグナルは斑点として現れ、ヘマトキシリンは個々の細胞核を染色する。後固定工程後の、偏在して発現するlet-7の検出を示す図である。
図4A】後固定ワークフローが、長鎖RNA種の検出への完全な適合性があったことを示す。ヒト及びマウスのホルマリン固定パラフィン包埋組織を未処理とした、または10%NBFによって後固定し、図1に概説した汎用ISHワークフローを用いて処理を続けた。ヒト皮膚A431細胞において、RNAscope(登録商標)2.5 High Definition(HD)-Red Assayを使用して、ヒトTATAボックス結合タンパク質(TBP)mRNAを検出したことを示す図である。
図4B】後固定ワークフローが、長鎖RNA種の検出への完全な適合性があったことを示す。ヒト及びマウスのホルマリン固定パラフィン包埋組織を未処理とした、または10%NBFによって後固定し、図1に概説した汎用ISHワークフローを用いて処理を続けた。マウスの腸試料での、マウスポリメラーゼRNA IIポリペプチドA(POLR2A)mRNAの検出を示す図である。
図4C】後固定ワークフローが、長鎖RNA種の検出への完全な適合性があったことを示す。ヒト及びマウスのホルマリン固定パラフィン包埋組織を未処理とした、または10%NBFによって後固定し、図1に概説した汎用ISHワークフローを用いて処理を続けた。脳組織での、マウスポリメラーゼRNA IIポリペプチドA(POLR2A)mRNAの検出を示す図である。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図4C
【国際調査報告】