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特表2023-521375巻取り機の巻取りリボルバを回転制御する方法ならびに巻取り機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-24
(54)【発明の名称】巻取り機の巻取りリボルバを回転制御する方法ならびに巻取り機
(51)【国際特許分類】
   B65H 67/04 20060101AFI20230517BHJP
【FI】
B65H67/04 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022561473
(86)(22)【出願日】2021-04-09
(85)【翻訳文提出日】2022-11-07
(86)【国際出願番号】 EP2021059282
(87)【国際公開番号】W WO2021204993
(87)【国際公開日】2021-10-14
(31)【優先権主張番号】102020002266.9
(32)【優先日】2020-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】307031976
【氏名又は名称】エーリコン テクスティル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Oerlikon Textile GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Leverkuser Strasse 65, D-42897 Remscheid, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】パトリック ベルナー
【テーマコード(参考)】
3F112
【Fターム(参考)】
3F112AA06
3F112BA03
3F112EB01
3F112FA05
3F112FA09
(57)【要約】
本発明は、巻取り機の巻取りリボルバ(1)を回転制御する方法と、回転可能に支承された巻取りリボルバ(1)に設けられた、突出する2つの巻取りスピンドル(3.1,3.2)を有する巻取り機とに関する。巻取りリボルバ(1)は、チェーン駆動装置(10)を介して駆動され、これによって、巻取りスピンドル(3.1,3.2)は、糸パッケージを巻成するための巻取り領域と、糸パッケージを取り出すための交換領域とへ交互に案内される。巻取りリボルバ(1)の角度位置を特定するために、チェーン駆動装置(10)の、巻取りリボルバ(1)に取り付けられたチェーンホイール(10.1)の歯(16)が検出される。このためにはセンサ装置(14)が、チェーン駆動装置(10)内で対応配置されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
糸パッケージを連続的に巻成するための突出した2つの巻取りスピンドルを支持している、巻取り機の巻取りリボルバを回転制御する方法であって、前記巻取りリボルバをチェーン駆動装置により機械フレーム内で回転させ、前記巻取りスピンドルを、前記巻取りリボルバの回転によって、前記糸パッケージを巻成するための巻取り領域と、前記糸パッケージを取り出すための交換領域とへ交互に案内し、前記巻取りリボルバの1つの角度位置を、前記チェーン駆動装置の、前記巻取りリボルバに取り付けられたチェーンホイールの歯を検出することにより特定する、方法。
【請求項2】
前記チェーンホイールの前記歯の歯先を、誘導式の近接センサにより検出する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記チェーンホイールの前記歯間の歯溝の領域において、付加的に前記チェーンホイールの角速度に基づいて回転角度(φ)を求める、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記チェーン駆動装置の駆動モータの回転数(n)および前記駆動モータと前記チェーンホイールとの間の、前記チェーン駆動装置の減速比(i)に基づいて、前記チェーンホイールの前記角速度(ω)を求める、請求項3記載の方法。
【請求項5】
【数1】
に基づいて計算される数学的な関係に基づいて前記回転角度(φ)を計算し、ここで、φは初期角度であり、ωは前記駆動モータの角速度である、請求項3または4記載の方法。
【請求項6】
前記巻取りリボルバのゼロ位置を特定するために、前記巻取りスピンドルをプロセスの開始前に、前記交換領域内の、切換え突起により検出される交換位置へと交互に案内し、前記チェーンホイールの周面に設けられた検出可能なマークによって付加的に前記ゼロ位置を特定するための信号を生成する、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記チェーンホイールの前記周面に設けられた前記マークが、前記近接センサにより検出可能である、請求項6記載の方法。
【請求項8】
回転可能な巻取りリボルバ(1)に支承された少なくとも1つの巻取りスピンドル(3.1,3.2)と、前記巻取りリボルバ(1)を駆動するためのチェーン駆動装置(10)と、前記巻取りリボルバ(1)の角度位置検出のためのセンサ装置(14)とを備えた、糸(5)を巻成して糸パッケージ(6)を形成するための巻取り機であって、
前記センサ装置(14)は、前記チェーン駆動装置(10)のチェーンホイール(10.1)の周面に設けられた歯(16)を検出することができるように構成されており、前記チェーンホイール(10.1)が前記巻取りリボルバ(1)に取り付けられていることを特徴とする、巻取り機。
【請求項9】
前記センサ装置(14)が誘導式の近接センサ(14.1)を有しており、該近接センサ(14.1)により、前記チェーンホイール(10.1)に設けられた前記歯(16)の歯先(16.1)が検出可能である、請求項8記載の巻取り機。
【請求項10】
機械制御装置(13)が、前記センサ装置(14)と、前記チェーン駆動装置(10)の制御ユニット(10.5)とに接続されており、前記機械制御装置(13)が、前記チェーンホイール(10.1)の角速度および前記チェーンホイール(10.1)の回転角度を特定するための少なくとも1つの計算モジュール(15)を有している、請求項8または9記載の巻取り機。
【請求項11】
前記チェーンホイール(10.1)が、チェーン(10.2)および駆動ホイール(10.3)により駆動可能であり、該駆動ホイール(10.3)に駆動モータ(10.4)が対応配置されており、前記駆動モータ(10.4)と前記チェーンホイール(10.1)との間の減速比(i)が一定である、請求項8から10までのいずれか1項記載の巻取り機。
【請求項12】
前記巻取りリボルバ(1)が、互いに180°ずらして配置された2つの切換え突起(17.1,17.2)を有しており、該切換え突起(17.1,17.2)が、前記巻取りリボルバ(1)の交換位置を特定する突起センサ(14.2)と協働する、請求項8から11までのいずれか1項記載の巻取り機。
【請求項13】
前記チェーンホイール(10.1)が、前記周面に、互いに180°ずらして形成された互いに異なる2つのマーク(18.1,18.2)を有しており、該マーク(18.1,18.2)が、前記近接センサ(14.1)により検出可能である、請求項12記載の巻取り機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻取り機の巻取りリボルバを回転制御する方法ならびに請求項8の上位概念部に記載の糸を巻成して糸パッケージを形成する巻取り機に関する。
【背景技術】
【0002】
巻取り機の巻取りリボルバを回転制御するための冒頭で述べた形式の方法ならびに冒頭で述べた形式の巻取り機は、独国特許出願公開第102010022193号明細書に基づいて公知である。
【0003】
溶融紡糸プロセスにおいて、糸は、保管のためにプロセスの最後に巻成して糸パッケージを形成する。その際に糸は、できるだけ連続的に巻成されて糸パッケージを形成する必要があるが、これには、1つの糸パッケージの制限された糸量に基づいて、特別な巻取り機を必要とする。このような巻取り機は、180°ずらして配置された2つの巻取りスピンドルを有している。これらの巻取りスピンドルは、巻取りリボルバに保持されている。巻取りリボルバは、機械フレーム内で回転可能に支承され、かつ回転駆動装置に連結されている。したがって、巻取りスピンドルを巻取り領域と交換領域とに交互に案内することができ、巻取りスピンドルおよび巻成すべき糸パッケージ間での糸引取りまたは引渡しが自動化されて行われる。これにより、上流側に配置された溶融紡糸プロセスを連続的に実施することができる。
【0004】
しかし、このような巻取り機では、巻取りリボルバが、巻取りスピンドルの位置決めのために、かつ特に糸パッケージを巻成するために、機械フレーム内で定義された角度位置をとることが必要である。したがって、巻取りリボルバの位置を位置センサにより検出することが十分に知られている。位置センサとして、巻取りリボルバの各角度位置に直接に比例する測定信号を生成するレゾルバが通常使用されている。しかし、このようなレゾルバは極めて故障しやすいので、冒頭で述べた形式の方法および冒頭で述べた形式の巻取り機は、その使用が避けられている。
【0005】
巻取り機の巻取りリボルバを制御する冒頭で述べた形式の方法ならびに冒頭で述べた形式の巻取り機では、巻取りリボルバの角度位置が、間隔測定により検出される。したがって、巻取りリボルバは、機械フレームに設けられた間隔センサと協働する、循環する間隔輪郭を有している。したがって、巻取りリボルバの各角度位置に定義された間隔が割り当てられ、この間隔は、間隔センサを介して検出され、ひいては特定可能である。しかし、間隔輪郭は、製造時の極めて高い公差精度と、間隔センサとの協働する際の組込み状況に関する高い公差要求とを必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の課題は、巻取りリボルバの角度位置をできるだけ簡単な形式で特定することができる、巻取り機の巻取りリボルバを回転制御する方法ならびに巻取り機を提供することである。
【0007】
本発明の別の目的は、可能であれば既存の装置を巻取りリボルバの角度特定のために利用可能にし、これにより巻取りリボルバを回転制御する方法および巻取り機を改良することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、本発明によれば、請求項1に記載の特徴を備えた方法ならびに請求項8に記載の特徴を備えた巻取り機によって解決される。
【0009】
本発明の有利な改良形は、それぞれの従属請求項に記載された特徴および特徴の組み合わせにより定義されている。
【0010】
本発明は、巻取りリボルバの角度位置が直接に検出可能であるという特別な利点を有している。このために、チェーン駆動装置の、巻取りリボルバに取り付けられたチェーンホイールの歯が検出される。したがって、チェーンホイールの各歯に、巻取りリボルバにおける固定の角度位置が割当て可能である。したがって、チェーンホイールの選択されたサイズと、チェーンホイールの周面に設けられた歯の個数とによって、極めて正確な角度検出が可能である。
【0011】
このために、巻取り機はセンサ装置を有しており、このセンサ装置は、チェーン駆動装置のチェーンホイールの周面に設けられた歯を検出することができるように構成されており、チェーンホイールが巻取りリボルバに取り付けられている。チェーンホイールと巻取りリボルバとの間の固定的な対応配置によって、運転中、同一のままの一定に求められる角度位置が保証されている。
【0012】
チェーンホイールの周面に設けられた歯を検出するために、チェーンホイールの歯の歯先が、二値信号を生成する誘導式の近接センサにより検出される、本発明の改良形が実証されている。したがって、チェーンホイールの回転時に、それぞれの歯が、規定された角度位置に割り当てられていてよい一義的な信号を発生させることが達成される。
【0013】
チェーンホイールの全周にわたって、歯の数に依存せずに、定義された角度位置へと駆動制御しかつ制御された角度位置を特定することができるように、チェーンホイールの歯間の歯溝の領域において、付加的にチェーンホイールの角速度に基づいて回転角度の時間的な変化を特定する方法変化形が特に有利である。たとえば、角速度が、回転角度の時間的な変化を表すことは十分に知られている。したがって、チェーンホイールの角速度は、有利には、歯溝間の回転角度を特定することができるように利用される。
【0014】
このために、巻取り機は機械制御装置を有しており、機械制御装置は、センサ装置と、チェーン駆動装置の制御ユニットとに接続されている。機械制御装置は、チェーンホイールの角速度およびチェーンホイールの回転角度を特定するための少なくとも1つの計算モジュールを有している。したがって、有利には、センサ装置のセンサ信号と、チェーン駆動装置の回転数情報とを、巻取りリボルバの正確な角度位置を特定するために利用することができる。
【0015】
チェーンホイールの角速度の特定は、好適には、チェーン駆動装置の駆動モータの回転数および駆動モータとチェーンホイールとの間の、チェーン駆動装置の減速比に基づいて、チェーンホイールの角速度を求める、方法変化形に従って実施される。したがって、駆動モータの回転数情報を、歯間の歯溝の最中に回転角度φを特定するために直接に利用することができる。
【0016】
このために、チェーンホイールは、チェーンおよび駆動ホイールにより駆動可能に構成されており、駆動ホイールに駆動モータが対応配置されており、駆動モータとチェーンホイールとの間の減速比が一定である。これによって、チェーンホイールの角速度と駆動モータの角速度との間で減速比によって規定された依存関係が決定される。
【0017】
チェーンホイールの各歯が巻取りリボルバの1つの角度位置に対応しているので、各歯溝に対して、回転角度φは、好適には以下の数式を用いた数学的な関係に基づいて計算される。
【0018】
【数1】
【0019】
ここで、φは駆動モータの開始角度であり、ωは駆動モータの角速度である。チェーン駆動装置の減速比は、iで示されている。ここで、角速度の明示的な時間依存性は、たとえばランプ、スタートまたはストップ時に生じるような回転数変化が完全に許容されていることを明確に示している。
【0020】
機械フレーム内において巻取りリボルバの位置が検知され、かつ定義された角度位置が特定可能であるように、巻取りリボルバのゼロ位置を特定するために、巻取りスピンドルをプロセス開始前に、交換領域内の、切換え突起により検出される交換位置へと交互に案内し、チェーンホイールの周面に設けられた検出可能なマークにより付加的なゼロ位置を特定するための信号を生成する方法変化形が特に有利である。したがって、このような巻取り機では、糸パッケージがそれぞれの巻取りスピンドルから取り出される交換位置は、機械フレーム内で位置固定されていることが通常である。したがって、両巻取りスピンドルのために切換え突起によって交互に検出可能なこれらの交換位置を、基準走行の際に、チェーンホイールに設けられた付加的なマークによってゼロ位置を規定するために利用することができる。
【0021】
このために、巻取りリボルバは、互いに180°ずらして配置された2つの切換え突起を有しており、これらの切換え突起が、巻取りリボルバの交換位置を特定する突起センサと協働する、本発明に係る巻取り機の改良形が特に有利である。したがって、それぞれ位置決めされた巻取りスピンドルにおいて糸パッケージを取り出すための交換位置が自動化されて可能である。なぜならば、巻取りスピンドルはこの状況中に、付加的にロックされる巻取りリボルバにより保持されているからである。
【0022】
チェーンホイールの周面に設けられたマークが近接センサによって検出可能である本発明の改良形が特に有利である。したがって、たとえばチェーンホイールの周面に設けられた歯の高さが、近接センサの個別の信号を生成するために利用される。次いで、これらの信号は、対応するソフトウェアを使用して角度ゼロ位置を特定することができる。
【0023】
このために、チェーンホイールは、周面に、互いに180°ずらして形成された互いに異なる2つのマークを有している。これらのマークは、近接センサによって検出可能である。したがって、ゼロ位置を特定するために付加的なセンサは不要である。
【0024】
巻取り機の巻取りリボルバを制御する本発明に係る方法をさらに説明するために、以下に、添付の図面を参照しながら、本発明に係る巻取り機の実施例を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明に係る巻取り機の1つの実施例を概略的に示す正面図である。
図2図1に示した実施例を概略的に示す側面図である。
図3】時間に依存する回転角度を概略的に示すグラフである。
図4図2に示した実施例を概略的に示す背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1および図2には、本発明に係る巻取り機の第1の実施例が複数の視点で概略的に示されている。この実施例は、図1では正面図で示されており、図2では側面図で示されている。したがって、両図のうちの一方の図に明確に関連付けしない限り、以下の記載は両図に対するものである。
【0027】
本発明に係る巻取り機の実施例は、回転可能に支承された巻取りリボルバ1を有している。この巻取りリボルバ1は、機械フレーム2の回転軸受9内に保持されている。巻取りリボルバ1はチェーン駆動装置10に接続されており、チェーン駆動装置10によって、巻取りリボルバ1は矢印方向に回転するように駆動可能である。
【0028】
巻取りリボルバ1は、互いに180°の角度だけずらして配置された2つの巻取りスピンドル3.1,3.2を支持している。巻取りスピンドル3.1,3.2は、巻取りリボルバ1に突出するように保持されていて、それぞれスピンドル駆動装置4.1,4.2に接続されている。巻取りスピンドル3.1,3.2は、巻取りリボルバ1の回転によって交互に巻取り領域と交換領域とへ案内される。巻取り領域において、複数の糸5が、平行に巻成して糸パッケージ6を形成する。これらの糸パッケージ6は、駆動される巻取りスピンドル3.1に保持されている。図1および図2に示されているようなこの状況において、巻取りスピンドル3.1または巻取りスピンドル3.2は、糸5を巻き取るために押圧ローラ8および綾振り装置11と協働する。このために、押圧ローラ8は、ローラ保持体12により機械フレーム1において可動であるように保持される。巻取りスピンドル3.2は、図示された運転状況では交換領域に位置しており、かつ、新しいパッケージを巻成することができるようにするために2つの巻管7を支持している。
【0029】
図1および図2に図示された実施例は、2本の糸5を平行に巻成して糸パッケージ6を形成するために、全部で2つの巻取り箇所を有している。巻取り箇所の個数は、例示的である。基本的に、このような巻取り機は、たとえば10本、12本、それどころか16本の糸を平行に巻成して糸パッケージを形成するために、多数の巻取り箇所を有している。対応して、巻取りスピンドル3.1,3.2は、長く突出するように巻取りリボルバ1に保持されている。
【0030】
糸5を巻成して糸パッケージ6を形成する間に、かつパッケージが完全に巻成された後に巻取りスピンドル3.1,3.2間でのスピンドル交換を開始するために、巻取りリボルバ1はチェーン駆動装置10によって駆動される。図2における図面から分かるように、このために、チェーン駆動装置10がチェーンホイール10.1を有している。このチェーンホイール10.1は、巻取りリボルバ1に取り付けられている。本実施例では、チェーンホイール10.1は、巻取りリボルバ1の周面に配置されている。チェーンホイール10.1は、駆動ホイール10.3によって駆動される駆動チェーン10.2に巻き掛けられている。駆動ホイール10.3は、巻取りリボルバ1の下に配置されていて、駆動モータ10.4に接続されている。駆動モータ10.4には、制御ユニット10.5が対応配置されている。制御ユニット10.5は、機械制御装置13に接続されている。機械制御装置13は、図面に示したスピンドル駆動装置4.1,4.2と、綾振り装置の、図面に詳細に示していない駆動装置とにも同様に接続されている。
【0031】
駆動チェーン10.2の巻掛け領域の外側では、チェーンホイール10.1にセンサ装置14が対応配置されている。センサ装置14は、本実施例では誘導式の近接センサ14.1によって構成されている。近接センサ14.1は、信号線路を介して機械制御装置13の計算モジュール15に接続されている。計算モジュール15は、第2の信号線路を介してチェーン駆動装置10の制御ユニット10.5に接続されている。
【0032】
近接センサ14.1は、チェーンホイール10.1の周面に設けられた各歯16に関して歯先16.1が検出可能であるように、チェーンホイール10.1の周囲に配置されている。近接センサ14.1は、二値信号を生成し、これにより計算モジュール15には、チェーンホイール10.1の各歯に関して、巻取りリボルバ1の位置に関する角度情報が与えられる。
【0033】
巻取りリボルバを回転制御するために、運転中に、チェーンホイール10.1の回転運動中に1つの規定された角度位置を設定するために、近接センサ14.1におけるチェーンホイール10.1の各歯16に関してセンサ信号が発せられ、計算モジュール15に供給される。ここで、初期角度φが特定される。したがって、チェーンホイール10.1に設けられた複数の歯のそれぞれに、1ピッチだけ変化した初期角度(φ01,φ02,φ03等)が割り当てられる。したがって、巻取りリボルバ1の角度位置は、チェーンホイール10.1の各歯16に関して正確に定義されている。
【0034】
センサ装置14の機能を説明するために、図3に、時間に関連した回転角度φを示すグラフが概略的に示されている。破線は、巻取りリボルバの回転中の回転角度φの通常の変化経過を示している。階段曲線は、近接センサ14.1の処理されたセンサ信号を示しており、各歯16は、巻取りリボルバ1の正確な角度位置を表している。これに関して、歯によって引き起こされたセンサ信号が、角度φ01およびφ02で例示的に示されている。時間軸上に概略的にプロットされている歯溝の最中、センサ信号は一定である。この段階では、チェーン駆動装置の回転数情報が付加的に使用される。この歯溝は、図3では参照符号Zによって図示されている。
【0035】
巻取りリボルバの運転時に、チェーンホイール10.1は、回転角度φの時間的な変化に対応する角速度で運動させられる。チェーン10.2、駆動ホイール10.3および駆動モータ10.4を含む、チェーンホイール10.1を駆動するためのパワートレーンは、固定かつ一定の減速比を有している。したがって、減速比iを用いて、ωで示されるチェーンホイールの角速度が、駆動モータ10.3の角速度ω、ひいては駆動モータの回転数nから特定される。これに関して以下の関係式が成り立つ。
【0036】
ω=i×ω
ω=π×n/30
【0037】
チェーンホイールの角速度ωに基づいて、今、各初期角度に関して、角速度に基づいて各時点で占められる回転角度が求められる。このために、以下の数学的な関係式が使用される。
【0038】
【数2】
【0039】
ここで、明示的な時間依存性ω(t)は、たとえばランプ、スタートまたはストップ時に生じ得るような回転数変化が完全に許容されることを明確に示している。初期角度φとして、歯溝への到達前にセンサ装置14によって特定されているそれぞれの角度が使用される。したがって、数学的な関数を用いて、巻取りリボルバ1の角度位置が計算モジュール15によって特定され、機械制御装置13に供給される。これにより、機械制御装置13は、巻取りリボルバ1を、チェーン駆動装置10によって、チェーンホイール10.1の歯溝の領域においても正確に制御することができる。
【0040】
センサ装置14により検出されたチェーンホイール10.1の歯を特定の角度位置に割り当てることができるようにするために、回転角度の絶対的なゼロ値が予め規定されていることが必要となる。このために好適には、本発明に係る巻取り機の、図4に図示した実施例が使用される。図4には、巻取りリボルバ1のパワートレーンを備えた巻取り機の背面図が概略的に示されている。図4に示した実施例は、その他の点では図1および図2に示した実施例と同一であるので、ここでは差異のみを説明する。
【0041】
図4に図示した実施例では、巻取りリボルバ1に、互いに180°ずらして配置された2つの切換え突起17.1,17.2が配置されている。切換え突起17.1,17.2は、巻取りスピンドル3.1,3.2に対応配置されていて、交換領域内における巻取りリボルバ1の交換位置を定義している。巻取りスピンドル3.1,3.2の交換位置は、最後まで巻成された糸パッケージが巻取りスピンドルから引き出される位置である。この位置は、センサ装置14の突起センサ14.2により特定される。突起センサ14.2は、切換え突起17.1,17.2と協働し、これにより、各切換え突起17.1,17.2が突起センサ14.2にあるように巻取りリボルバ1が回動した場合に、チェーン駆動装置10が停止される。巻取りリボルバ1は、付加的に交換位置において位置固定することができる。
【0042】
互いに180°ずらして形成されたこの切換え突起17.1,17.2を、ゼロ角度を規定するための基準走行のために利用するために、チェーンホイール10.1は、互いに180°ずらして形成されたそれぞれ2つのマークを有しており、これらのマークは、互いに異なる特徴を有している。本実施例では、マークのうちの一方のマーク18.1は、チェーンホイール10.1の周面に設けられた短縮された2つの歯16により形成されている。180°ずらして構成された第2のマーク18.2は、短縮された唯一の歯16によってチェーンホイール10.1に形成されている。短縮された歯16は、近接センサ14.1の信号変化をもたらし、この信号変化は、計算モジュール内における基準化を可能にする。これによって、0°および180°の基準を構成することができる。
【0043】
したがって、プロセス開始前に、オペレータによって巻取りスピンドル3.1,3.2がそれぞれ交換位置へと導かれる。チェーンホイール10.1に設けられたマーク18.1,18.2が近接センサ14.1を通過する。したがって、たとえばマーク18.1に、角度0°が割り当てられる。したがって、180°だけずらして配置されたマーク18.2は、角度180°に割り当てられる。これにより、巻取りリボルバの位置、ひいては角度位置が既知となり、一定の歯列ピッチに基づいてチェーンホイール10の歯のそれぞれに適用することができる。
【0044】
本発明は、運転中の巻取りリボルバの角度位置を検出し、巻取りリボルバの制御に利用することができるように、故障のない堅牢な測定システムに基づいている。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】