(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-24
(54)【発明の名称】凍結保存された生体材料を保護するための衝撃吸収装置
(51)【国際特許分類】
A01N 1/02 20060101AFI20230517BHJP
【FI】
A01N1/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022561519
(86)(22)【出願日】2021-04-07
(85)【翻訳文提出日】2022-11-29
(86)【国際出願番号】 US2021026213
(87)【国際公開番号】W WO2021207379
(87)【国際公開日】2021-10-14
(32)【優先日】2020-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519421983
【氏名又は名称】バイオライフ・ソリューションズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BioLife Solutions, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100113170
【氏名又は名称】稲葉 和久
(72)【発明者】
【氏名】マコーミック,ブルース
【テーマコード(参考)】
4H011
【Fターム(参考)】
4H011CA01
4H011CB04
4H011CB06
4H011CC01
4H011DB01
4H011DG16
(57)【要約】
低温冷凍された生体材料を保護するための衝撃吸収装置は、外側スリーブと発泡スリーブを含んでいる。外側スリーブは、内部容積を規定し、内部容積に生物学的材料容器を通すように構成された開口部を有する。発泡スリーブは内部容積にあり、開口部と内部空洞を有している。発泡スリーブの開口部と外側スリーブの開口部を一致させ、生物材料容器を内部空洞に通過させる。別の実施形態では、衝撃吸収装置は、第1の層と、発泡層と、発泡層を保持するライナー層とを含む。発泡層の第1の側面は、第1の層の第2の側面に隣接しており、かつ、その側面と向き合っている。ライナー層の第1の面は、発泡層の第2の面に隣接し、かつ、対向している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部容積を規定し、内部容積に生物学的材料容器を通すように構成された開口部を有する外側スリーブと、
内部容積内の発泡スリーブであって、発泡スリーブは開口部と内部キャビティを有し、発泡スリーブの開口部は、内部キャビティに生物材料容器を通すために外側スリーブの開口部と整列している、発泡スリーブと、
を備えた、 低温冷凍された生体材料を保護するための衝撃吸収装置。
【請求項2】
前記発泡スリーブは、網目状発泡体を含む、請求項1に記載の衝撃吸収装置。
【請求項3】
前記外側スリーブは、薄くて柔軟な材料で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の衝撃吸収装置。
【請求項4】
発泡スリーブが外側スリーブの内側に並んでいることを特徴とする請求項1に記載の衝撃吸収装置。
【請求項5】
前記外側スリーブおよび前記発泡スリーブは、前記生体物質容器を圧縮するように構成およびサイズ設定されている、請求項1に記載の衝撃吸収装置。
【請求項6】
前記外側スリーブは、密閉可能なフラップを含む、請求項1に記載の衝撃吸収装置。
【請求項7】
生体材料を収容する生体材料容器は、カセットを含む、請求項1に記載の衝撃吸収装置。
【請求項8】
生体材料が液体である、請求項1に記載の衝撃吸収装置。
【請求項9】
前記発泡スリーブの内面に隣接する液体吸収ライナーをさらに備える、請求項1に記載の衝撃吸収装置。
【請求項10】
前記外側スリーブは、前記発泡スリーブを包む内側ポーチを含む、請求項1に記載の衝撃吸収装置。
【請求項11】
発泡スリーブが内部空洞を完全に包囲していることを特徴とする請求項1記載の衝撃吸収装置。
【請求項12】
発泡スリーブが内部空洞を部分的にしか包囲していない、請求項1に記載の衝撃吸収装置。
【請求項13】
前記内部空洞と前記発泡スリーブとの間に親水性ライナーをさらに備える、請求項1に記載の衝撃吸収装置。
【請求項14】
第1の面および第2の面を有する第1の層と、
第1の側面および第2の側面を有する発泡層であって、該発泡層の第1の側面は、該第1の層の第2の側面に隣接し、かつ、該第2の側面と向き合っている、発泡層と、
発泡層を保持するライナー層であって、ライナー層は第1の側面と第2の側面を有し、ライナー層の第1の側面は発泡層の第2の側面に隣接し、かつ対向している、ライナー層と、
を備えた、低温冷凍された生体材料を保護するための衝撃吸収装置。
【請求項15】
前記発泡層は、網目状である、請求項14に記載の衝撃吸収装置。
【請求項16】
前記発泡層と前記ライナー層との間にあり、第1の側面と第2の側面とを有する液体吸収層をさらに備え、前記液体吸収層の第1の側面は、前記発泡層の第2の側面に隣接し、かつこれに面する、請求項14に記載の衝撃吸収装置。
【請求項17】
第1層は環状であり、内部容積を画定し、第1層の第1面は外側に面し、ライナー層の第2面は内側に面し、内部容積内に内部キャビティを画定し、内部キャビティは挿入された生物材料貯蔵容器を受け入れるように構成されている、請求項14に記載の衝撃吸収デバイス。
【請求項18】
前記第1層は、挿入された生物材料貯蔵容器を受け入れるために開かれ、挿入された生物材料貯蔵容器を固定するために閉じられるように構成された開口要素を含む、請求項14に記載の衝撃吸収デバイス。
【請求項19】
前記開口要素は、密封可能、開閉可能、および再密封可能なフラップである、請求項18に記載の衝撃吸収装置。
【請求項20】
請求項14に記載の衝撃吸収装置において、直方体の形状を有することを特徴とする衝撃吸収装置。
【請求項21】
内部容積を規定し、内部容積に生物学的材料容器を通すように構成された開口部を有する外側スリーブと、
前記内部容積に挿入および除去されるように構成された複数の発泡パネルであって、各発泡パネルの少なくとも大部分がパネル封入ライナーで封入されている、発泡パネルと、
を備えた、低温冷凍された生体材料を保護するための衝撃吸収装置。
【請求項22】
前記発泡パネルが連結されていることを特徴とする請求項21に記載の衝撃吸収装置。
【請求項23】
各発泡パネルが、別個のパネル封入ライナーで別個に完全に封入されている、請求項21に記載の衝撃吸収装置。
【請求項24】
各発泡パネルが、パネル包囲ライナー内の液体吸収ライナーに隣接している、請求項21に記載の衝撃吸収装置。
【請求項25】
外側スリーブは、対向する壁に折り畳まれるように構成された上部フラップを含み、上部フラップは第1のタブおよび第2のタブを有し、第1のタブおよび第2のタブは上部フラップの反対側の端部から延び、上部フラップが対向する壁に折り畳まれるときに自由な状態を保つように構成されている請求項21の衝撃吸収装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体材料の保存および輸送の分野に関し、より詳細には、凍結保存された生体材料を保護するための衝撃吸収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬品、ワクチン、細胞・遺伝子治療、人工組織製品など、ほとんどあるいはすべての生体由来材料は、生存、生体外保存期間中の回復、生体外保存期間後の通常の生体機能への復帰を確実にするために、様々な期間の低体温保存に供される。現在の方法は、様々な断熱輸送容器と様々な処方の生体保存媒体を使用している。血液などの生体液を保存・運搬する方法として、変形可能な熱可塑性樹脂製の袋に入れた後、硬い金属製のカセットに入れる方法がある。カセットは、低温冷凍庫でポリ袋を整理して保管する機能と、ポリ袋を保護する機能を提供する。通常、カセットは、生体液を均一に広げ、凍結や融解の速度を均一にするために、プラスチックバッグを余分なスペースなく収納できる大きさになっている。
【0003】
保管容器材料や生体材料を含む一部の材料を極低温(例:-196℃以下)まで凍結すると、材料がもろくなり、輸送中に発生する衝撃による損傷を受けやすくなる。上記の例で述べたように、生体液を入れた熱可塑性樹脂の袋は、凍結すると脆くなることがある。生体液の入った熱可塑性袋を入れた上述の冷凍カセットを複数個、ドライベーパーシッパー内に固定し、輸送中の低温を維持できる。ドライベーパーが受ける衝撃や振動は、複数のカセットや中のプラスチック袋に伝わり、プラスチック袋の1つ以上が破れ、生物学的液体が壊滅的に失われる可能性がある。細胞治療や遺伝子治療の製品の場合、失われた液体は、非常に高い金銭的コストをかけて一人の患者のために作られた救命材料であったかもしれない。
【発明の概要】
【0004】
衝撃吸収装置は、低温冷凍された生物試料に加わる物理的な力を吸収、緩和、減衰させることにより、生物試料を保護する装置であり、低温貯蔵・輸送材料の破損の原因となる。
【0005】
一実施形態において、衝撃吸収装置は、内部容積を規定し、内部容積に生物学的材料容器を通すように構成された開口を有する外側スリーブ;及び内部容積内の発泡スリーブを含み、発泡スリーブは開口及び内部キャビティを有し、発泡スリーブの開口が、内部キャビティに生物学的材料容器を通すために外側スリーブの開口に整列されている。
【0006】
別の実施形態では、衝撃吸収装置は、第1の側面および第2の側面を有する第1の層と、第1の側面および第2の側面を有する発泡層であって、発泡層の第1の側面は、第1の層の第2の側面に隣接し、面している、発泡層と、発泡層を保持するライナー層であって、ライナー層は、第1の側面および第2の側面を有し、ライナー層の第1の側面は、発泡層の第2の側面に隣接し、面している、ライナー層と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施の形態に係る衝撃吸収装置を示す等角図である。
【
図2】一実施の形態に係る衝撃吸収装置の等角図である。
【
図3】実施の形態に係る衝撃吸収装置の等角図である。
【
図4】
図1の衝撃吸収装置のA-Aに沿った断面を示す図である。
【
図5】
図1の衝撃吸収装置のB-Bに沿った断面を示す図である。
【
図6】
図6は、発泡材料の単層構造の一例を示す図である。
【
図7】
図1の衝撃吸収装置の開放端図であり、発泡スリーブが連続した一体物である。
【
図8】発泡スリーブが分離片を含む衝撃吸収装置の一実施の形態の開放端図である。
【
図9】外側スリーブから発泡スリーブ、内側ライナー、および液体吸収ライナーを透視した衝撃吸収装置の一実施の形態の側面図である。
【
図10】外側スリーブの代替の実施の形態を含む衝撃吸収装置の別の実施の形態を示す。
【
図11】
図10の外側スリーブの開口部を閉じるための折り畳み式閉鎖要素の折り畳みを説明する図である。
【
図12】
図10の外側スリーブの開口部を閉じるための折り畳み式閉鎖要素の折り畳みを説明する図である。
【
図13】
図10の外側スリーブの開口部を閉じるための折り畳み式閉鎖要素の折り畳みを説明する図である。
【
図14】
図10の衝撃吸収装置のハンドルを示し、ハンドルは使用のために位置決めされている。
【
図15】
図10の外側スリーブにおける発泡スリーブの代替実施形態の側面図であり、外側スリーブは、複数の発泡パネルを含む発泡スリーブを示すために部分的に切り離されている。
【
図16】
図15のライナーの1つによって全体が囲まれた
図15の発泡パネルの1つを示す部分切断図である。
【発明を実施するための実施形態】
【0008】
以下の説明において、その一部を構成する添付図面を参照し、その図面には、本開示が実施され得る特定の例示的な実施形態が例示的に示されている。これらの実施形態は、当業者が本開示を実践できるように十分に詳細に説明されており、他の実施形態を利用してもよく、本開示の範囲から逸脱することなく変更を加えてもよいことが理解されよう。従って、以下の説明は単なる例示に過ぎない。
【0009】
本明細書で使用される用語は、特定の例示的な実施形態を説明するためのものであり、限定することを意図するものではない。本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈上明らかにそうでない場合を除き、複数形も含むことが意図される場合がある。用語「comprise」、「comprising」、「including」、および「having」は包括的であり、したがって、記載された特徴、整数、ステップ、操作、要素、および/または成分の存在を特定するが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、操作、要素、成分、および/またはそれらの群の存在または付加を排除するものではない。本書に記載された方法ステップ、プロセス、および操作は、実行順序として具体的に特定されない限り、議論または図示された特定の順序でそれらの実行を必ずしも要求するものと解釈されるものではない。また、追加的または代替的なステップを採用してもよいことが理解される。
【0010】
ある要素または層が、他の要素または層に対して「上にある」、「係合する」、「接続される」または「結合される」と言及される場合、他の要素または層に対して直接的に、係合、接続または結合されてもよく、介在する要素または層が存在してもよい。一方、ある要素が他の要素や層上に「直接」、「直接係合」、「直接接続」、「直接結合」されていると言及される場合、介在する要素や層が存在しないこともある。要素間の関係を表すために使用されるその他の言葉も同様に解釈されるべきである(例:「between:間」対「directly between:直接間」、「adjacent:隣接」対「directly adjacent:直接隣接」等)。本明細書で使用される場合、用語「および/または」は、関連する列挙された項目の1つまたは複数の任意のおよびすべての組合せを含む。
【0011】
本明細書では、説明を容易にするために、「内側」、「外側」、「下」、「下」、「上」、「上」などの空間的相対用語が、図に示されるように、ある要素または特徴の別の要素または特徴に対する関係を説明するために使用される場合がある。空間的に相対的な用語は、図に描かれた方向以外に、使用時または動作時の装置の異なる方向を包含することを意図している場合がある。例えば、図中の装置を裏返すと、他の要素や特徴の「下」または「下」と説明された要素は、他の要素や特徴の「上」に向きを変えることになる。したがって、例示した用語「下」は、上と下の両方の向きを包含できる。デバイスは、他の方向(90度回転した状態や他の方向)でもよく、本書で使用される空間的に相対的な記述子は、それに応じて解釈される。
【0012】
「弾性変形」という用語は、材料の寸法が可逆的に変化することを意味し、材料に力が加わっていないときには材料は第1の寸法のセットを持ち、材料に力が加わったときには材料は第2の寸法のセットに移行し、力が加わらなくなったときには材料は元の寸法のセットに移行するものと理解される。このような変形は、空間的寸法の変化およびその組み合わせ(例えば、体積、断面形状および直径の変化)を含むがこれらに限定されず、圧縮の力および/または張力下の伸張を含むがこれらに限定されない力から生じることができる。
【0013】
上述したように、衝撃吸収装置は、低温貯蔵および/または輸送材料が損傷する原因となる物理的な力を吸収、減衰、または減衰させることにより、低温冷凍生体材料を保護する。
図1は、衝撃吸収装置10を示す等角図である。
図1に見られるように、衝撃吸収装置10は、外側スリーブ12を含む。外側スリーブ12は、高密度ポリエチレン繊維または他の同様に強く、薄く、柔軟な材料から作ることができる。デュポン社のタイベック(登録商標)は、紙のようなフラッシュスパン高密度ポリエチレン繊維で、0.5~10μmの無方向性繊維(プレキシフィラメント)を最初に紡いだ後、熱と圧力で結合させた、バインダーを使わない材料である。外側スリーブ12は、生物学的流体(例えば、血液)の低温冷凍バッグを保管するための特定の金属カセットの形状に対応するように、三次元平行六面体として示されているが、他の低温貯蔵および輸送容器に一致する他の形状が考えられている。外側スリーブ12の外形寸法は、乾燥蒸気輸送容器などの中に均一に収まるように規格化できる。
【0014】
外側スリーブ12は、生物学的材料容器(例えば、カセット、図示せず)を内部容積16に通すように構成された開口部14を有し得る。フラップ18などの固定要素は、開口部14を閉鎖し、そこに生体物質容器を固定するために、開口部14の上に閉鎖および/または密封できる。現在知られているまたは将来開発される任意の締結要素を使用して、フラップ18を閉鎖または密封し、またはいくつかの実施形態では再閉鎖または再密封でき、例えば、フックおよびループ、接着剤、ボタン、ジッパー、クリップ、磁石、およびスナップが挙げられるが、これらに限定されるものではない。即席の実施形態では、締結要素は、フラップ18上の感圧接着剤22であり、フラップ18を外側スリーブ12の別の部分の外面に封止できる。フラップ18と開口部14は、
図2に示されるように、
図1に示される向きからフラップ18を垂直に回転させるなどして、代替的に位置決めされ得る。
図3は他の例を示しており、フラップ18は外側スリーブ12の最大側を引き開いている。開口部14は、生物学的保存容器を挿入および保持できるように任意の実用的な方法で構成でき、現在知られているまたは将来開発される生物材料容器を保持する任意の固定要素を使用して開口部14を閉鎖または密閉できる。
【0015】
図4は、
図1の衝撃吸収装置10の断面を示す図であり、
図5は、衝撃吸収装置10の垂直方向の断面を示す図である。発泡スリーブ26が外側スリーブ12の内部容積16内にあり、発泡スリーブ26の外部側28が外側スリーブ12の内部側27に面し、発泡スリーブ26の開口部29が外側スリーブ12の開口部14と整合するように外側スリーブ12の内部側27に重ねられ又は裏打ちされている。発泡スリーブ26は、衝撃吸収装置10に加えられた物理的な力を吸収、消散、および/または減衰させる第一の衝撃吸収または減衰材料として作用し、さもなければ生物材料容器30および/またはそこに含まれる生物材料(図示せず)に伝達されることになる。
【0016】
図6は、発泡スリーブ26の製造に用いることができる発泡材料32の構造を単層で示したものである。
図4に示すように、発泡スリーブ26の発泡体は、線状の境界またはエッジ38によって分けられた多面体セル窓または面36を有する気泡またはセル34を有してもよい。発泡材料32の密度は、1インチあたりの孔数(「PPI」)で測定できる。実施の形態において、発泡スリーブ26は、10~40PPI(1センチメートル当たり約3.94~15.75個の孔)の範囲内の密度を有する。
【0017】
いくつかの実施の形態において、発泡スリーブ26の発泡体は、網目状の発泡体であり得るか、または網目状の発泡体を含み得る。網状発泡体は、非常に多孔質で低密度の固体発泡体である。網目状発泡体は、無傷(intact)のセル(気泡)34や多面体のセル窓(面)36が、あったとしても、ほとんどない。網目状発泡体では、セル窓36が接する線状の境界(エッジ)38のみが残り、多面体のセル窓36は欠落している。網目状発泡体の固形成分は、ポリウレタンなどの有機ポリマー、セラミック、金属などの場合がある。
【0018】
周囲温度にあるとき、発泡スリーブ26は柔軟で変形可能であってもよく、その場合、発泡スリーブ26は、極低温で凍結した生物材料または生物材料の極低温凍結容器(生物材料容器30など)の周りに適合できる。衝撃吸収容器10の使用中、低温冷凍生物材料および/または低温冷凍生物材料の容器は、外側スリーブ12の開口部14を通って、発泡スリーブ26の開口部29から発泡スリーブ26の内部容積39に素早く配置できる。未凍結または常温である発泡スリーブ26は、生体材料容器30の形状に合わせて変形でき、発泡スリーブが速やかに極低温で凍結すると、速やかに硬質化することが可能である。発泡スリーブ26の温度がある温度、例えば0℃以下になると、材料は硬くなる。硬い素材は脆さが増す。網目状の低密度の発泡体であればなおさらである。凍結した脆い状態では、発泡スリーブ26は、衝撃や振動の際に、面36及び/又は縁部38、又は網状発泡体の場合には縁部38だけの小さな破断に耐えることができる。これらの破断は、衝撃または振動の力を吸収または減衰させ、それによって、内部容積39および/またはその中の生物学的材料に力の伝達を減衰させるかまたはなくす。一般に、非網目状発泡体の面36は、網目状発泡体の単なる縁38よりも破断する前に大きな力に耐えることができる。したがって、網目状発泡体はより低い力の衝撃を吸収し、非網目状発泡体はより高い力の衝撃を吸収できる。
【0019】
発泡スリーブ26は、生物学的材料容器30をぴったりと保持するように意図された内部空洞39を、1つの連続した片で、または複数の片で完全に包囲でき;または発泡スリーブ26は、内部空洞39の対向する側に分離した片を含むことができる。衝撃吸収装置10および衝撃吸収装置40の開放端図である
図7および
図8は、それぞれ、連続した単一ピースとしての発泡スリーブ26、および内部空洞48の対向する側の分離ピース44、46としての発泡スリーブ42を図示している。
図7の実施形態では、図示の発泡スリーブ42の分離片44,46は、生体材料容器30の全周にわたって一方向に衝撃保護および吸収を行うために生体材料容器30の幅よりも大きい幅Wを有するが、分離片44,46は生体材料容器30よりも短い幅Wも有することが可能である。さらに、分離片44、46は、外側スリーブ12によって外側に膨張または移動する能力を拘束されているので、分離片44、46に対する生体材料容器30の移動を減少または防止するのに十分な力で生体材料容器30に対して内側に押圧できる。分離片44、46はそれぞれ、生体材料容器30によって圧縮される厚さTのための変形性を有する範囲を有でき、生体材料容器30の幅または長さを超える発泡スリーブ42の任意の超過幅Wまたは長さL(
図4参照)が、生体材料容器30に対して圧縮される発泡スリーブ42の領域より大きな厚さTを有するようにできる。余剰分W又は長さL(
図4参照)は、発泡スリーブ42を生体材料容器30の周囲に囲い込むように作用する。
図8の上面図において、生体材料容器30の一部は、それに応じて、発泡スリーブ42の背後に隠されている。点線で示したのは、この隠されている部分である。
【0020】
同様に、
図7の実施形態では、発泡スリーブ26の各壁は、生体材料容器30によって圧縮される厚さT1のための変形性を有し、生体材料容器30の幅または長さを超える発泡スリーブ26の任意の超過幅Wまたは長さL(
図4参照)が、生体材料容器30に対して圧縮される発泡スリーブ26の領域より大きな厚さT1を有するように、その範囲の厚さを有してもよい。余剰分Wまたは長さLは、生体材料容器30の周囲で発泡スリーブ26の壁を囲むように作用する。
図7の上面図において、生体材料容器30の一部は、それに応じて、発泡体スリーブ26の背後に隠されている。点線で示したのは、この隠されている部分である。
【0021】
異なるサイズの生物材料容器30を収容しながら外側スリーブ12の外形寸法を標準化するために、発泡スリーブ26、42の総厚みT2を変化させることができる。
周囲温度にあるとき、発泡スリーブ26は柔軟で変形可能である。衝撃吸収装置10の使用中、生物学的流体の低温冷凍バッグを封入した低温冷凍生物学的材料容器30は、外側スリーブ12の開口14から、発泡スリーブ26の開口29を通って、内部キャビティ32に素早く入れられる。未凍結または常温である発泡スリーブ26は、生体材料容器30の形状に合わせて変形でき、発泡スリーブが速やかに低温凍結することにより、速やかに硬質化できる。発泡スリーブ26の温度が0℃以下になると、素材が硬くなる。硬い素材は脆くなり、網目状の低密度の発泡体ではなおさらである。凍結した脆い状態では、発泡スリーブ26は、衝撃や振動の際に、気泡面、網状発泡体の場合は気泡縁部やストランドに小さな破断が発生しても耐えることができる。これらの破断は、生体材料容器30およびその中の熱可塑性樹脂製の袋に力を伝達することなく、衝撃や振動の力を吸収または減衰させるものである。このようにして、衝撃や振動のエネルギーが放散され、生体物質容器30やその内容物への衝撃の伝達が減衰または防止される。
【0022】
さらに、衝撃吸収装置10は、内側ライナー及び/又は液体吸収ライナーを含むことができる。
図9は、外側スリーブ62を通して、外側スリーブ12と発泡スリーブ26と同様または同一の発泡スリーブ64を見て、さらに内側ライナー66と液体吸収ライナー68を見る衝撃吸収装置60を図示している。内側ライナー66は、発泡スリーブ64の内部空洞65内にあり、発泡スリーブ64を外側スリーブ62に対して定位置に保持するように構成されている。図示の実施形態では、内側ライナー66は、外側スリーブ62の内側面63と一体化され、又はそれに固定され、発泡スリーブ64を囲むポケット又はポーチである。いくつかの実施形態では、内側ライナー66は、発泡スリーブ64を完全に包囲し、他の実施形態では、内側ライナー66は、外側スリーブ62に対して発泡スリーブ64を単に所定の位置に保持するために発泡スリーブ64の全体を包囲している。また、内側ライナー66は、発泡スリーブ64の切れたストランドを保持し、切れたストランドを回収して、その破片が生体材料容器(
図9に図示せず)を覆うのを低減または防止できる。より開放的な内側ライナー66は、衝撃吸収装置60の再使用を容易にするために、発泡スリーブ64の取り外し及び交換を容易にし得る。より包囲的な内側ライナー66は、壊れた破片のより良い収集と保持を促進し得る。内側ライナー66が発泡スリーブ64を完全に囲む
図9に描かれた実施形態では、内側ライナー66は、発泡スリーブ64の完全な囲みを可能にしながら、発泡スリーブ64の取り外し及び交換を可能にするために密封可能又は再密封可能な開口70を含んでいる。開口部70は、例えば、任意の適切な、現在知られている又は将来開発される締結手段を用いて、内側ライナー66の端部71を外側スリーブ62の内側面63に締結することによって、閉じることができる。
【0023】
図8における液体吸収ライナー68は、発泡スリーブ64の内面に隣接して配置されており、そのため、内側ライナー66によっても保持されている。液体吸収ライナー68は、液体を吸収し保持するのに適した任意の材料とできる。液体吸収ライナー68は、いくつかの実施の形態において、少なくとも部分的に、感染性物質又は適用免除されたヒト検体の出荷のための規制要件を満たすために含まれる。いくつかの実施形態では、液体吸収ライナー68は、生体材料容器(
図9には示されていない)内に含まれる液体の体積を完全に吸収するのに十分な体積と吸収能力を有するように構成されている。一実施形態では、生物学的材料容器は、例えば25mL~250mLの生物学的流体を含むことができる生物学的流体の袋を含むか、またはそれを含むことができる。いくつかの実施形態では、液体吸収ライナー68は、1つ以上のペーパータオルで十分であり得る。内側ライナー66によって画定されたポケットまたは袋の外の液体が液体吸収ライナー68に到達するように、内側ライナー66は、液体の水または液体窒素などの液体が通過するのに十分な多孔性を有する親水性材料で構成することが可能である。例えば、軽量なポリエステルの不織布が適していると考えられる。
【0024】
図10は、外側スリーブ82の代替実施形態を含む衝撃吸収装置80の別の実施形態の等角図である。外側スリーブ82は、生物学的材料容器88を挿入した後に開口部86を閉鎖し密閉するための折り畳み可能な閉鎖要素84を含んでいる。折り畳み可能な閉鎖要素84は、中央部分91と、第1の側壁98上の側部タブ92とを有する上部フラップ90を含む。折り畳み式閉鎖要素84はまた、それぞれが隣接し、第1の側壁98に直接接続された第2の側壁100および第3の側壁を含み、第2の側壁100および第3の側壁102は互いに対向している。第4の側壁104は、第1の側壁98に対向し、第2の側壁100および第3の側壁102に直接接続されている。
【0025】
図11~
図13は、折り畳み式閉塞要素84の動作を、
図11から
図13まで段階的に説明する図である。
図11~
図13に見られるように、第2の側壁100および第3の側壁102は、第1の側壁98および第4の側壁104が一緒に押されるように曲げられるかまたは折り畳まれることができる。第1の側壁98と第4の側壁104が一緒に押されると、トップフラップ90の中央部分91は、折りたたみ可能な閉鎖要素84の残りの部分に折り込まれ、次に、折りたたみ可能な閉鎖要素84の残りの部分は、トップフラップ90の中央部分91の周りを包むように複数回折り込まれることができる。その後、サイドタブ92は、折り畳まれ、包まれた中央部分91の上に内側に折り込まれ、任意の既知の接着剤またはファスナーによって接着されることができる。
トップフラップ90の中央部分91、及び/又は、第1側壁98及び/又は第4側壁104の他の部分は、第1側壁98を第4側壁104に接着及び/又はシールするための接着剤を含むことが可能である。第1、第2、第3、及び第4の側壁98、100、102、104は、
図10に示すように、曲げ及び/又は折り畳みにおいてユーザを補助又は案内するために予め折り畳むことが可能である。
【0026】
図14は、折り畳み可能な閉鎖要素84の基部108で第1の側壁98及び第4の側壁104に取り付けられたハンドル106を示す。ハンドル106は、ユーザが衝撃吸収装置80を運ぶことができるように、閉じた開口部86及び折り畳まれた閉鎖要素84の上で基部108から回転させることができる。
【0027】
図15は、外側スリーブ82内の発泡スリーブ110の代替実施形態の側面図であり、外側スリーブ82は、発泡スリーブ110を明らかにするために部分的に切り離されている。発泡スリーブ110は、それぞれが別個のパネル封入ライナー114に封入された複数の発泡パネル112(
図16参照)を含む。発泡パネル112およびライナー114は、開口部86を有する側を除く外側スリーブ82のすべての内面側に設けられている。開口部86を有する側は、生物材料容器(
図15には示されていない)が外側スリーブ82に挿入された後、他の発泡パネル112およびライナー114が挿入された後、かつ、折り返し可能な閉鎖要素84が折られて開口部86を閉じる前に、発泡パネル112およびライナー114で覆うことも可能である。発泡パネル112、および対応するライナー114は、所望に応じてサイズおよび配置を変えることができる。
【0028】
図16は、パネル囲いライナー114の1つによって全体が囲まれた発泡パネル112の1つを示し、パネル囲いライナー114の一部が切り取られて内部の発泡パネル112が見えている。パネル封入ライナー114は、発泡パネル112の周囲を半分に折り曲げたシートで、折り曲げていない3つの縁の周囲を固定またはシールして、シーム116を形成している。液体吸収ライナー68(
図15には示されていない)も、他の実施形態に関して示し、説明したように、各発泡パネル112に隣接して含まれることが可能である。パネル囲いライナー114は、他の実施形態に関して説明した内側ライナー66と同様に、発泡パネル112の壊れたストランドを保持して、壊れたストランドを集め、破片が生物材料容器を覆うことを低減または防止することもできる。パネル封入ライナー114は、発泡パネル112の取り外しおよび交換も可能にしつつ、発泡スリーブ64の完全な封入を可能にするために、封入解除または再封入可能であることもできる。パネル囲みライナー114の外部の液体がパネル囲みライナー114内の液体吸収ライナー68に到達するように、パネル囲みライナー114を、液体水や液体窒素などの液体を通過させるのに十分な空隙率を有する親水性材料で構成することが可能である。例えば、軽量なポリエステルの不織布が適していると考えられる。
【0029】
本明細書に記載された本発明の実施形態は、本発明の原理の適用を例示するに過ぎないことが理解される。本明細書において、図示された実施形態の詳細を参照することは、それ自体が本発明の本質とみなされる特徴を記載する特許請求の範囲の範囲を限定することを意図するものではない。
【国際調査報告】