(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-24
(54)【発明の名称】第2の光学部を支持する安定したIOL基部設計を有するマルチパートIOL
(51)【国際特許分類】
A61F 2/16 20060101AFI20230517BHJP
【FI】
A61F2/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022561558
(86)(22)【出願日】2021-04-15
(85)【翻訳文提出日】2022-10-07
(86)【国際出願番号】 IB2021053136
(87)【国際公開番号】W WO2021209955
(87)【国際公開日】2021-10-21
(32)【優先日】2020-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】319008904
【氏名又は名称】アルコン インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100227835
【氏名又は名称】小川 剛孝
(72)【発明者】
【氏名】ラザ シャー
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ エム.スコット
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA25
4C097BB01
4C097CC01
4C097CC12
4C097SA02
4C097SA03
(57)【要約】
単一レンズ眼内レンズ(IOL)として機能するための第1の光学部を支持するように構成され、且つ二重光学部IOLとして機能するための第2の光学部を支持するように構成されたIOL。基部は、基本屈折力を提供するための第1の光学部を備える。基部の前縁にある凹部が、第2の光学部の半径方向延長部を配置するように構成される。凹部のジオメトリは、基部に対する第2の光学部の回転を防止するために、且つ光軸に対する第2の光学部の傾斜を防止するために、半径方向延長部に確実に結合するように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部部品であって、
第1の光学部と、
後縁と、
少なくとも1つの凹部を画定する前縁と
を備える、基部部品と、
第2の光学部の光学領域から周縁に延びる少なくとも1つの半径方向延長部を備える第2の光学部であって、前記半径方向延長部が、前記基部に前記第2の光学部を結合するために前記少なくとも1つの凹部内に嵌合するように適合される、第2の光学部と
を備える、マルチパート眼内レンズ(IOL)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの半径方向延長部が、該半径方向延長部が前記少なくとも1つの凹部の側壁間に嵌合し、且つ前記少なくとも1つの凹部の前面の上部に載るように、前記少なくとも1つの凹部と連結するように適合される、請求項1に記載のマルチパートIOL。
【請求項3】
前記少なくとも1つの半径方向延長部がドッグボーン状のジオメトリを有する、請求項2に記載のマルチパートIOL。
【請求項4】
前記第1の光学部が基本屈折力矯正を提供する、請求項1に記載のマルチパートIOL。
【請求項5】
前記第2の光学部が近方視力矯正を提供する、請求項4に記載のマルチパートIOL。
【請求項6】
前記第2の光学部が、固定焦点距離光学部、非球面光学部、トーリック光学部、又は電気光学部のうちの1つを含む、請求項5に記載のマルチパートIOL。
【請求項7】
前記前縁の外面と前記後縁の外面とが凹状の構造体を形成する、請求項1に記載のマルチパートIOL。
【請求項8】
前記少なくとも1つの半径方向延長部が電子部品を備える、請求項1に記載のマルチパートIOL。
【請求項9】
前記少なくとも1つの半径方向延長部がハプティック部を備える、請求項1に記載のマルチパートIOL。
【請求項10】
前記前縁の前面と前記後縁の後面とが、少なくとも3.5ミリメートルの半径方向距離において少なくとも0.7ミリメートルの基部の高さを画定する、請求項1に記載のマルチパートIOL。
【請求項11】
前記基部の高さが、少なくとも4.1ミリメートルの半径方向距離において少なくとも1.1ミリメートルである、請求項10に記載のマルチパートIOL。
【請求項12】
前記第1の光学部が前面と後面とを備え、
前記第2の光学部が前面と後面とを備え、
前記第1の光学部の前記前縁と前記第2の光学部の前記後面との間の距離が少なくとも0.25ミリメートルである、請求項1に記載のマルチパートIOL。
【請求項13】
前記第1の光学部の前記前面と前記第2の光学部の前記後面との間の前記距離が少なくとも0.5ミリメートルである、請求項12に記載のマルチパートIOL。
【請求項14】
前記基部が1つ又は複数の受台を備え、
前記第2の光学部が前記1つ又は複数の受台上に着座する、請求項1に記載のマルチパートIOL。
【請求項15】
前記前縁が2つ以上の凹部を備え、
前記第2の光学部が前記2つ以上の凹部に配置された2つ以上の半径方向延長部を備え、
前記第2の光学部が前記2つ以上の半径方向延長部上に着座する、請求項1に記載のマルチパートIOL。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本出願は、発明者がJames M.Scott及びRaza Shahである、2020年4月16日に出願された「STABLE IOL BASE DESIGN TO SUPPORT SECOND OPTIC」と題する米国仮特許出願第63/010,745号明細書の優先権の利益を主張するものであり、同仮特許出願は、あたかも本明細書に十分且つ完全に記載されているかのように、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般に、眼内レンズ(intraocular lens、IOL)の分野に関し、より詳細には、第1の光学部を備え、マルチパート光学系の一部として第2の光学部を支持することができる基部に関する。
【背景技術】
【0003】
ヒトの眼は、角膜と呼ばれる透明な外側部分を通して光を透過させ、水晶体によって網膜上に像を結ぶことにより視覚をもたらすように機能する。結ばれる像の質は、眼のサイズ及び形状、並びに角膜及び水晶体の透明度を含む多くの因子に依存する。
【0004】
年齢又は疾病によって水晶体の透明度が低下する(例えば、曇る)と、網膜に伝達され得る光が少なくなるため、視力が低下する。眼の水晶体のこの欠陥は、医学的には白内障として知られている。この症状に対する一般に認められた治療は、手術によって水晶体嚢から水晶体を除去し、人工眼内レンズ(IOL)を水晶体嚢に挿入することである。米国では、白内障水晶体の大半は、超音波水晶体乳化術と呼ばれる手術法によって除去される。この処置では、水晶体嚢の前側に開口部を作り(嚢切開)、薄い超音波水晶体乳化吸引用切除チップを病変水晶体内に挿入し、超音波で振動させる。振動する切除チップによって、水晶体が液化又は乳化し、それによって水晶体が水晶体嚢から吸い出され得る。病変水晶体は、除去後、IOLに置き換えられる。
【0005】
いくつかの従来のIOLは、単一焦点距離IOLであり、他は多焦点IOLである。単一焦点距離IOLは、単一の焦点距離、すなわち単一の屈折力を有する。眼/IOLから焦点距離だけ離れた所にある物体には焦点が合い、それよりも近くにある物体や遠くにある物体には焦点が合わなくなり得る。焦点距離にある物体にのみ完全に焦点が合うが、被写界深度内(焦点距離の特定の距離内)にある物体にも、物体に焦点が合っていると患者が見なすのに許容できる程度には焦点が合う。一方、多焦点IOLは、少なくとも2つの焦点距離を有する。例えば、二焦点IOLは、2つの範囲における合焦を改善するために2つの焦点距離を有し、2つの範囲とは、より長い焦点距離に対応する遠方焦点、及びより短い焦点距離に対応する近方焦点である。これにより、患者の遠方視力と近方視力とが改善され得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に開示されるマルチパート眼内レンズ(IOL)の実施形態は、基部が、視力矯正を提供する第1の光学部を支持し得るだけではなく、付加的な視力矯正を提供する第2の光学部もまた支持し得ることを特徴とする。
【0007】
基部は、連続した後縁と不連続な前縁とを備える。不連続部分は、第2の光学部の半径方向延長部を支持するための少なくとも1つの凹部を画定する。
【0008】
マルチパートIOLは、基部に第2の光学部を連結させる独自のジオメトリを有する。実施形態は、第2の光学部を後で追加できるようにし、且つ第1の光学部とは独立に第2の光学部を取り外しできるようにすることによって、患者に利益をもたらす。第2の光学部は、近方調節のための自動焦点合わせが可能な電気光学レンズ、トーリックIOL、又は高屈折力のニーズ(例えば、30D超)のための付加的な単焦点レンズ又は多焦点レンズとすることができる。
【0009】
実施形態は、執刀医によって水晶体嚢において組み立て及び分解され得る基部及び2つの光学部から構成される安定した光学ユニットを作成するという課題を克服する。マルチパートIOLは、断面積を最小化して、完全なIOLの場合に必要とされる切開部よりも切開部を小さくすることができる。連結するジオメトリを有するマルチパートIOLによって、水晶体嚢において、ミスアライメント、偏心、回転、又は傾斜を防止しながら容易に組み立て及び分解を行うことができる。
【0010】
前後方向の高さが大きいマルチパートIOLは、水晶体嚢に周方向の力をかける。
【0011】
更に、2つの光学部間に分離距離を有するマルチパートIOLは、レンズ内混濁(intralenticular opacification、ILO)を低下させ得る。低いILO成績は、IOLの高さ、基部の形状、前縁及び後縁がかける機械的な力、第1の光学部と第2の光学部との分離、並びに基部及びIOLを通る房水の流量の増加を含むがこれらに限定されないメカニズムのうちのいずれか1つ又は組み合わせに部分的に起因し得る。
【0012】
本開示及びその利点をより完全に理解するために、ここで、添付の図面と併せて読まれるべき以下の説明を参照する。図面では、同様の参照番号は同様の特徴を示す。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、2つの光学部を支持する基部設計を備えるIOLの切り欠き斜視図を示す。
【
図2】
図2は、連続した後縁と一対の凹部が形成された不連続な前縁とを有する基部によって支持された第1の光学部の斜視図を示す。
【
図3】
図3は、基部が第1の光学部及び第2の光学部を支持し、基部の前縁上の凹部に半径方向延長部が配置されている状態にあるIOLの斜視図を示す。
【
図4】
図4は、直線状の半径方向延長部が基部の外側に延びている状態にあるIOLの上面図を示す。
【
図5】
図5は、半径方向延長部がドッグボーン形状に形成され、基部の外側に延びている状態にあるIOLの一部分の拡大上面図を示す。
【
図6】
図6は、第2の光学部を支持するための受台が基部に形成された状態にあるIOLの分解斜視図を示す。
【
図7】
図7は、後縁にある凹部と前縁にある凹部とを含む不連続部分を後縁及び前縁に有する基部の斜視図を示す。
【
図8】
図8は、調節可能な第2の光学部が半径方向延長部上に着座している状態にあるIOLの切り欠き側面図を示す。
【
図9】
図9は、調節可能な第2の光学部が基部と一体の構造体上に着座している状態にあるIOLの切り欠き側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
ここで、添付の図面に示される本開示の例について詳細に述べる。可能な限り、同じ又は同様の部品を参照するために、同じ参照番号が図面全体を通して用いられる。以下の説明において、「約(about)」、「略(substantially)」、「約(approximately)」などの相対的な用語は、他の変形形態が示されていない限り、数値又は他の記載された値において±10%の変動が可能であることを示すために使用される。
【0015】
例示的な実施形態は、IOL及びコンタクトレンズなどの眼用デバイスに関する。以下の説明は、当業者が本発明を製造及び使用することが可能となるように提示され、特許出願及びその必要条件に関連して提供される。本明細書に記載される例示的な実施形態並びに一般的な原理及び特徴に対する様々な修正は、容易に明らかになる。例示的な実施形態は、特定の実施において提供される特定の方法及びシステムに関して主に記載される。しかしながら、方法及びシステムは、他の実施においても実質的に動作する。「例示的な実施形態」、「一実施形態」、及び「別の実施形態」などの語句は、同じ又は異なる実施形態だけでなく、複数の実施形態を指す場合もある。実施形態は、特定の構成要素を有するシステム及び/又はデバイスに関して説明される。しかしながら、システム及び/又はデバイスは、示されたものよりも多い又は少ない構成要素を備えることができ、本発明の範囲から逸脱することなく構成要素の構成及び種類の変形がなされ得る。また、例示的な実施形態は、特定のステップを有する特定の方法に関連して説明される。しかしながら、方法及びシステムは、例示的な実施形態と矛盾しない、異なるステップ及び/又は追加のステップ並びに異なる順序のステップを有する他の方法についても実質的に動作する。よって、本発明は、示された実施形態に限定されることは意図されていないが、本明細書に記載された原理及び特徴と矛盾しない最も広い範囲が与えられることになる。
【0016】
I.マルチパートIOL-概要
図1は、第1の光学部14が第2の光学部16の後方に配置された状態にある、基部12を備えるマルチパート眼内レンズ(IOL)10の切り欠き斜視図を示す。
図1に示すように、第1の光学部14は、基部12と一体に形成され、第2の光学部16は、基部12に結合するための1つ又は複数の半径方向延長部18を備え、このことについてはより詳細に後述する。
【0017】
図1に示すように、第1の光学部14は、ある曲率半径を有する前面14aとある曲率半径を有する後面14bとによって画定された厚さを有して形成される。第1の光学部14は、基本屈折力、非点収差補正、及び/又は他の視力矯正を提供するように選択されてもよい。第1の光学部14は、非球面光学部及び/又はトロイダル光学部であってもよく、前面14aと後面14bとに同じ曲率を有しても、又は異なる曲率を有してもよい。第1の光学部14は、単焦点光学部、拡張焦点深度光学部、又は多焦点光学部であってもよく、簡略化のために詳細に図示又は説明していない他の特性(例えば、ブルーライトフィルタリング)を含んでもよい。
【0018】
マルチパートIOL10では、第2の光学部16が、第1の光学部14の上方、前方、又は上部の上にピギーバック挿入されるように、基部12に取り外し可能に結合されてもよい。第2の光学部16は、付加的な基本屈折力を提供してもよいし、近方視力の調節を提供してもよいし、又は他の眼の症状のための矯正を提供してもよい。1つ又は複数の半径方向延長部18が、基部12に対する第2の光学部16の回転又は傾斜を防止してもよい。
【0019】
更に
図1から分かるように、IOL10は、第2の光学部16の後面16bが第1の光学部14の前面14aから分離されるように構成され、このことについてはより詳細に後述する。
【0020】
II.単一レンズIOL又はマルチパートIOLで使用するための第1の光学部を備えた基部
図2は、単一レンズIOL10として水晶体嚢に植え込むための第1の光学部14を有する基部12の斜視図を示す。基部12は、第1の光学部14と結合するように構成された連続した後縁20と、不連続な前縁22とを備える。
【0021】
後縁20は、水晶体上皮細胞(lens epithelial cell、LEC)の移動を防止するように、及び/又は水晶体嚢の前方領域若しくは後方領域において第1の光学部14を付勢するように形状を定められてもよい。基部12はまた、挿入時に、眼の後嚢の表面上に連続した環を形成し、後嚢混濁(posterior capsular opacification、PCO)を減少させる、又は防止するために水晶体嚢が開いた構成を維持しながら、水晶体嚢に周方向の力をかけてもよい。基部12のジオメトリはまた、IOL10の部分から前嚢を上昇及び/又は分離させるように適合されてもよい。例えば、基部12の周縁の周囲にある前縁22の形状及び/又は高さは、前嚢を支持したり、前嚢がIOL10の部分の上又は周囲に圧縮され得る程度を低減したりするのに有効であり得る。よって、いくつかの実施形態では、後縁20及び前縁22の両方が、IOL10が眼に挿入されたときに、IOL10の部分から水晶体嚢を分離するようにサイズを定められ、構成されてもよい。1つ又は複数のハプティック部(図示せず)が、基部12の前縁22又は後縁20に結合されてもよい。
【0022】
前縁22と後縁20とは、直線又は曲線であり得る断面プロファイルを有する周面28を中心として配置され、且つ周面28によって接続されてもよい。いくつかの実施形態では、前縁22及び後縁20の一方又は両方が、前後方向に沿って延びる部分を備えてもよく、この部分が周面28を形成してもよい。
図2に示すように、前縁22と後縁20とは凹状の周面28を形成する。他の実施形態では、前縁22と後縁20とは凸状の周面28を形成してもよい。弾性材料から形成され、凹状又は凸状の周面28を有する基部12によって、基部12が、患者の快適さを改善するために水晶体嚢に適合することができ、水晶体嚢に機械的な力をかけることができるようにしてもよく、このことについては後述する。
【0023】
第1の光学部14は、シリコーン、ハイドロゲル、アクリル、Alcon AcrySof(登録商標)、及びAlcon Clareon(登録商標)のうちの1つ又は複数を含むがこれらに限定されない様々な光学材料で作られてもよい。第1の光学部14は、単一の曲率半径によって定義される対称な円板として形成されてもよい。いくつかの実施形態では、第1の光学部14は、第1の軸に沿った第1の曲率半径と第2の軸に沿った第2の曲率半径とを有して非対称に形成される。他の実施形態では、第1の光学部14は、特定の眼の症状のために構成される。前面14a又は後面14bの曲率半径は、第1の光学部14の直径にわたって定義されてもよいし、又は第1の光学部14の直径よりも小さい直径について定義されてもよい。基部12は、第1の光学部14と後縁20との間に開口部26を備えて房水が基部12を通って流れ得るように構成されてもよい。
【0024】
いくつかの実施形態では、第1の光学部14に結合された基部12は、IOL10が単一の光学部14を有し、単一レンズIOLアセンブリとして機能するように、水晶体嚢における小さな切開部を介して挿入されてもよい。また、基部12の設計、及び第2の光学部16とは別に基部12を挿入できることにより、植え込みに必要な切開部のサイズを最小化することが可能になり得る。基部12は、手術中にプローブ(例えば、シンスキーフック)がアクセスできるようにするための特徴(図示せず)を備えて、このことにより、基部12をより容易に操作できるようにしてもよい。
【0025】
引き続き
図2を参照すると、基部12は、第2の光学部16を支持するように適合された前縁22を備える。特に、前縁22は、1つ又は複数の凹部24を画定する1つ又は不連続部分を備える。前縁22に形成された1つ又は複数の凹部24は、本明細書のように第2の光学部16の半径方向延長部18と連結するようにサイズ及び形状を定められてもよい。いくつかの例では、1つ又は複数の凹部24は、前縁22におけるノッチ、窪み、又は切り欠きを含む。前縁22は基部12の最も前にある特徴であってもよく、1つ又は複数の凹部24は、基部12の最も前にある表面(例えば、前縁22の前面)が不連続であるように前縁22よりも後方にある表面を画定してもよい。更に、1つ又は複数の凹部24が、基部12の最も前にある構造体の最外周(例えば、前縁22の最外周)が不連続であるように前縁22に配置されてもよい。したがって、前縁22における不連続部分は、半径方向及び/又は前後方向における、他の本来連続した表面又は特徴からの逸脱であってもよい。これらの例及び他の例において、1つ又は複数の凹部24によって画定される不連続部分は、前縁22と同じ曲率半径を有してもよい。
【0026】
III.2つの光学部を備えたマルチパートIOL
図3は、第2の光学部16が基部12に取り外し可能に結合された状態にあるIOL10の斜視図を示す。IOL10は、特定の患者の1つ又は複数の症状に対処するためにIOL10をカスタマイズするための第2の光学部16を備えてもよい。
図3に示すように、第2の光学部16は、前縁22が光学部16を囲むように、前縁22の内径よりも小さい外径を有してもよい。いくつかの例では、第2の光学部16は、IOL10が眼に挿入されて組み立てられたときに房水がIOL10を通って流れることができるように、前縁22の内径よりも十分に小さいサイズの直径を備える。IOL10の第2の光学部16は、1つ又は複数の半径方向延長部18を更に備え、半径方向延長部18は、IOL10が組み立てられたときに第2の光学部16の半径方向延長部18が1つ又は複数の凹部24の前方を向く面の前方に載る、及び/又は接触して配置されるように、基部12の前縁22の凹部24を通って延びる、その上に載る、及び/又はその中に着座するようにサイズ及び形状が定められてもよい。また、第1の光学部14と後縁20との間にある開口部26と、周面28などの前縁22及び後縁20のうちの1つ又は複数にある開口部30とを備えた基部12によって、房水がIOL10を通って流れることができる。房水がIOL10を通って流れることができることにより、IOL10におけるレンズ内混濁(ILO)の度合が低下し得る。
【0027】
IV.マルチパートIOLが半径方向延長部の異なるジオメトリを支持するように構成される
図4は、第2の光学部16が異なるジオメトリを有する半径方向延長部18を有する状態にあるIOL10の実施形態の上面図を示し、
図5は部分上面図を示す。いくつかの実施形態では、光学部16の1つ又は複数の半径方向延長部18(及び半径方向延長部18に対応する基部12における1つ又は複数の凹部24)のそれぞれが、同じジオメトリ及び/又は寸法を有してもよい。他の実施形態では、光学部16の半径方向延長部18(及び半径方向延長部18に対応する基部12における1つ又は複数の凹部24)が、基部12に1つの向きでしか第2の光学部16を配置できないように異なるジオメトリ及び/又は寸法を有してもよい。図示の例では、1つ又は複数の半径方向延長部18のそれぞれが、基部12に対する第2の光学部16の回転、傾斜、及び/又は偏心を防止するために、1つ又は複数の凹部24の側面に接触するか、凹部24と連結するように構成される。半径方向延長部18のうちの1つ又は複数が、IOL10が組み立てられたときに基部12の外周(これは例えば前縁22又は後縁20の外周によって画定されてもよい)を越えて半径方向に延びてもよい。第2の光学部16の特定の実施形態は、直径方向に反対側にある2つの半径方向延長部18を備える。第2の光学部16の特定の実施形態は、1つの半径方向延長部18のみを備えてもよい。いくつかの実施形態では、半径方向延長部18は、第2の光学部16又はIOL10を安定化又は位置決めするためのハプティック部(図示せず)を備えてもよい。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の半径方向延長部18が、調節を提供できる又は他の仕方で患者の視力の改善を支援する電子部品を備えてもよい。
【0028】
図4を参照すると、基部12における1つ又は複数の凹部24が、平行な側面と略平坦な前方を向く面とを有するように構成されてもよい。また、1つ又は複数の半径方向延長部18の相補的なジオメトリが、凹部24内での確実な配置を容易にするために、平行な側面と略平坦な後面とを有するように構成されてもよい。
【0029】
図5を参照すると、基部12における1つ又は複数の凹部24が、所与の凹部24の各側面32間の距離が半径方向に変化するように、平行ではない(例えば、角度付きの又は曲線の)側面32を有して構成されてもよい。
図5の例では、第2の光学部16が、延長部18の各側面31が(曲線又は直線であり得る)半径方向最外周面33で接続された凸状の曲線によって特徴付けられるドッグボーン状のジオメトリを有する半径方向延長部18を備える。
図5の例示的な実施形態では、凹部24は、それに応じて、半径方向延長部18の凸状の側面を受け入れ、それと連結するようにサイズ及び形状が定められた凹状に湾曲したサイズ32を備える。他の例では、半径方向延長部18及び凹部24が、第2の光学部16を基部12に固定し安定させるための他の相補的なジオメトリ又は形状を有してもよい。いくつかの実施形態では、半径方向延長部18が、組み立てられたときに、半径方向及び/又は前後方向で半径方向最外周面33が基部12の前縁22の外周と略同一平面となるように構成されてもよい。そのような実施形態では、1つ又は複数の半径方向延長部18は、組み立てられた構成において基部12の周囲よりも外側に延びなくてもよいし、それを超えなくてもよい。更に、ドッグボーン形状を有する半径方向延長部18は、他のジオメトリを有する他の凹部24に配置されてもよい。
【0030】
V.様々な光学部を支持するための基部構造を有するマルチパートIOL
基部12は、様々なタイプの第2の光学部16を支持するように構成される。
図6は、第1の光学部14を備えた基部12と、基部12に結合するように配置された第2の光学部16とを備えたIOL10の一実施形態の分解斜視図を示す。前縁22は、第2の光学部16の1つ又は複数の半径方向延長部18を受け入れるための1つ又は複数の凹部24を備える。
図6に示すように、基部12の実施形態はまた、1つ又は複数の受台34を備えてもよい。受台34が、第2の光学部16のための付加的な安定及び支持を提供してもよい。前縁22が、第2の光学部16を着座させるための前面を有して形成されてもよい。前縁22、凹部24、及び受台34の前面のうちの1つ又は複数が、基部12内での第1のトピック14に対する第2の光学部16の回転、偏心、傾斜、及び/又はミスアライメントを防止することを含み、第2の光学部16を支持するように構成される。
【0031】
基部12は、様々なタイプの第2の光学部16を支持するように構成される。
図6に示す第2の光学部16は、完全な(遠方から近方までの)視力矯正が可能な電気光学レンズを含んでもよく、1つ又は複数の半径方向延長部18は、第2の光学部16を制御するように適合された電気活性部品(例えば、1つ又は複数のプロセッサ、センサ、及び/又はバッテリ若しくは他の電源)を収容する密閉された電子ハウジングを備える。例えば、第2の光学部16は、近方から遠方までの連続的な視力調節を提供するために、自動焦点合わせが可能な電気光学レンズであってもよい。他の例では、第2の光学部16は、単焦点レンズ、非球面レンズ、トーリックレンズ、多焦点レンズ、拡張焦点深度レンズ、及び/又は他の調節式レンズを含み得る。複数の光学部を使用することにより、IOL10は、患者の特定の眼の症状に合わせてIOL10をカスタマイズできる。いくつかの場合では、IOL10のモジュール式構成によって、視力のカスタマイズを改善することができる。例えば、遠方視のための基本屈折力矯正を提供するために、基部12が最初の手術で植え込まれてもよい。その後(例えば、治癒及び眼内におけるレンズ位置の固定のための十分な時間の後)、患者の視力を矯正又は強化するために第2の光学部16が選択されて植え込まれてもよい。例えば、屈折矯正が不成功である場合、遠方の視力を矯正するための屈折力を加減するために、第2の光学部16が植え込まれてもよい。他の例では、非点収差、球面収差、若しくは色収差を補正するため、中間視力及び/若しくは近方視力のための多焦点若しくは拡張焦点深度を提供するため、並びに/又は視界改善のための調節を提供するために、第2の光学部16が追加されてもよい。それぞれの場合において、第2の光学部16の光学的な性能及び特性は、第1の光学部14の光学的な性能及び特性と相補的であり、特定の患者における第1の光学部14の実際の性能が、第2の光学部16を選択する際に考慮されてもよい。或いは、IOL10は、最初に2つの光学部を植え込まれてもよく、そして第2の光学部16が取り外され、所望により、その後の処置で異なる第2の光学部16に置き換えられてもよい。凹部24はまた、ハプティック部(図示せず)を受け入れるように構成されてもよい。
【0032】
引き続き
図6を参照すると、基部12は、外周面28で後縁20に結合された前縁22を備え、
図6に示す前縁22、後縁20、及び周面28の断面プロファイルは、凹状の構造体である。基部12は、前縁22又は後縁20に開口部30を備えてもよく、開口部30によって、基部12が眼に挿入されたときに房水が基部12を通って流れることができる。IOL10を通って房水が流れることを可能にする基部12及び開口部30の断面プロファイルは、特定のタイプの第2の光学部16に基づいてもよい。
【0033】
次に
図7を参照すると、代替的な基部12が、第1の光学部14を支持し、第2の光学部16(図示せず)などの付加的な光学部を支持するように形成されてもよい。眼の症状又は第2の光学部16の構造に基づいて、代替的な設計が必要であってもよい。例えば、患者は、より連続した表面を有する基部12から利益を得てもよく、第2の光学部16は、1つ又は複数の半径方向延長部18の厚さを増加させる付加的な電子部品から利益を得てもよい。
図7は、IOL10の斜視図を示し、IOL10では、基部12が、不連続な後縁20と不連続な前縁22とを有して形成され、後縁20上の不連続部分と前縁22上の不連続部分とが凹部24を形成している。
図7に示す基部12は、後縁20と一体の第1の光学部14を有して形成されてもよい。前縁22が第1の断面プロファイルを有してもよく、後縁20が第2のプロファイルを有してもよい。前縁22及び後縁20のそれぞれが、凹状、凸状、直線状、又は角度付きの断面プロファイルを有してもよい。
【0034】
VI.マルチパートIOLは患者に不快感を与えることなくより大きな高さを有する
図8及び
図9を参照すると、IOL10は、患者の快適性に影響を与えることなく、より大きな高さで形成されてもよい。
図8に示すように、第2の光学部16は、第2の光学部16が前縁22から間隙(D
Gap)だけ分離されるように、半径方向延長部18上に着座している。
図8におけるIOL10の全高(H
Total)は、第2の光学部16の厚さ(T
Optic-2)に、第2の光学部16と基部12との間の隔たり(D
Gap)と、基部12の高さ(H
Base)とを加えたものに基づいて算出されてもよい。
図8を参照すると、第2の光学部の前面16aは、IOL10の混濁度を下げるように構成されてもよい。第2の光学部の前面16aは、半径方向距離(R
1)及び(R
2)において1つ又は複数の角度付きの移行部分36を備え、半径方向距離(R
3)において角度付きの縁部38を備えるように構成されてもよい。
【0035】
図9に見られるように、別の実施形態では、第2の光学部16の後面16bが、第2の光学部16の後面16bと前縁22との間にまだいくらかのクリアランス(D
GAP)があるように、基部12と一体の受台40上に着座してもよい。また、
図9に示すように、第1の光学部14が後縁20の後面を越えてより大きな距離を延びるように、第1の光学部14の後面14bが大きな曲率半径を有してもよい。別の実施形態(図示せず)では、第2の光学部16が、第2の光学部16と前縁22との間に間隙が存在しないように、前縁22の前面上に着座してもよい。したがって、
図9におけるIOL10の全高(H
Total)は、第2の光学部16の厚さ(T
Optic-2)に、基部12の高さ(H
Base)と、後縁20を越えて延びる第1の光学部14の厚さ(D
Optic-1)とを加えたものに基づいて算出されてもよい。
【0036】
図8及び
図9から分かるように、IOL10の全高は、基部12の高さ(H
Base)に依存し得る(これは、前縁22の高さ(H
A)に後縁20の高さ(H
P)を加えたものに依存し得る)。また、IOL10の全高は、第1の光学部14及び第2の光学部16のうちの1つ又は複数の厚さに依存してもよく、これは、それぞれ、第1の光学部14の後面14b及び第2の光学部16の前面16aの曲率半径に依存してもよい。IOL10の全高はまた、基部12と第2の光学部16との間の間隙(D
GAP)に依存してもよく、これは、凹部24の深さ(D
R)及び半径方向延長部18の厚さ(T
RE)に依存してもよい。いくつかの実施形態では、IOL10の全高(H
Total)は、1.0ミリメートルより大きく3.2ミリメートルより小さい範囲にある高さであってもよい。
【0037】
いくつかの実施形態では、IOL10は、眼に刺激を与えることを回避しつつ、前水晶体嚢と後水晶体嚢との間の分離を維持する、直径に対する高さの比率で構成されてもよい。高さは、材料の弾性率に依存して変わり得る。例えば、本開示で指定される選択された高さ寸法は、疎水性及び親水性アクリルIOLの弾性率に基づき得る。低弾性シリコーンのような軟IOL材料は、より大きい高さを有し得るが、眼に刺激を与えない。IOL10のいくつかの実施形態では、IOL10の高さが、IOL10の外側の半径方向距離、すなわち周縁部において特定の範囲内にあることが特に重要である場合がある。より具体的には、IOL10に沿った外側の半径方向距離における基部12の高さ(HBase)は、基部12の高さ(HBase)が、特定の高さの閾値未満に留まりながら、前嚢と後嚢との分離を維持するための剛性及び支持の両方を提供するために十分に大きくなるような寸法範囲内であるべきである。特定の閾値を超える高さは、前嚢や後嚢に望ましくない力をもたらし、その結果、水晶体嚢及び眼に刺激を与えたり、又はその他の望ましくない副作用を引き起こしたりし得る。
【0038】
例えば、いくつかの実施形態では、IOL10の中心点又は光軸から基部12の外周又は周囲に向かって約3.5ミリメートルより大きい半径方向距離では、いくつかの半径方向距離では上で定義されたIOL10の全高(HTotal)であり得るIOL10の高さが約1.3ミリメートルを超えないことが重要であり得る。いくつかの実施形態では、約3.5ミリメートルより大きい半径方向距離に対するIOL10の高さが、0.7ミリメートル~1.2ミリメートルの範囲にあることが好ましい場合がある。しかしながら、いくつかの実施形態では、IOL10は、IOL10の中心点、すなわち光学軸から3.5ミリメートル未満である半径方向距離については1.3ミリメートルより大きい、いくつかの半径方向距離については全高(HTotal)であり得る高さを有してもよい。
【0039】
いくつかの実施形態では、
図8及び
図9に示すように、基部12の直径(D)は、7.6ミリメートル~8.6ミリメートルの範囲、又は場合によっては8.0ミリメートル~8.2ミリメートルの範囲にあってもよく、これは、第2の光学部16の1つ又は複数の半径方向延長部18を除いて、第2の光学部16の直径より大きくてもよい。よって、いくつかの実施形態では、IOL10の中心点又は光学軸から3.5ミリメートルより大きいいくつかの半径方向距離におけるIOL10の高さは、基部12の高さ(H
Base)のみ、又は場合によっては基部12の高さ(H
Base)に半径方向延長部18の厚さ(T
RE)の一部を加えたものを含んでもよい。したがって、基部12の高さ(H
Base)、又は基部12の高さ(H
Base)に半径方向延長部18の厚さ(T
RE)の一部を加えた高さは、1.3ミリメートルを超えないものとする、又はより具体的には、0.7ミリメートル~1.2ミリメートルの範囲にあってよい。高さの範囲及び直径の範囲などの例示的な寸法は、
図8及び
図9に関連して説明したものに加えて、他の実施形態にも適用されてもよい。
【0040】
VII.ILOを抑制するための光学部の分離
また、
図8及び
図9に見られるように、IOLアセンブリ10の実施形態は、第1の光学部14と第2の光学部16との間の分離を維持するように構成され、これにより、レンズ内混濁(ILO)が低減又は抑制され得る。
【0041】
図8を参照すると、第1の光学部14の前面14aが第2の光学部16の後面16bから凹部24の深さ(D
R)及び半径方向延長部18の厚さ(T
RE)に基づいて分離されるように、第2の光学部16が凹部24に着座した半径方向延長部18によって支持されてもよい。
【0042】
図9を参照すると、後縁20が第1の光学部14に結合されてもよく、後縁20における第1の光学部14の位置と前縁22の高さとに基づいて、第1の光学部14の前面14aが第2の光学部16の後面16bから分離されるように、基部12が高さ(H
Base)を有してもよい。第1の光学部14と第2の光学部16との間の分離を維持することにより、房水がIOL10を通って流れることができ、これによりIOL10におけるレンズ内混濁(ILO)の度合が低下し得る。2つの光学部の間の分離距離は、光学部を製造するために使用される材料に依存し得る。例えば、AcrySof(登録商標)材料などの疎水性アクリルIOL材料では、分離(間隙)が重要になり得る。疎水性アクリルIOL材料で形成されたIOL10の実施形態は、0.25ミリメートル~0.75ミリメートルの範囲にある距離だけ第1の光学部14から第2の光学部16を分離するように構成されてもよい。より具体的には、いくつかの実施形態では、第2の光学部16の後面16bは、第1の光学部14の前面14aから0.25ミリメートル~0.75ミリメートルの範囲にある距離だけ分離されてもよい。2つの光学部の間の距離は、2つの光学部の材質が異なれば、それほど重要でない場合もある。例えば、一方の光学部がシリコーンであり、他方がAcrySof(登録商標)材料である場合、第1の光学部14が第2の光学部16に触れてもよい。
【0043】
第1の光学部14と第2の光学部16との間の分離距離は、第1の光学部14の前面14aの曲率半径、又は第2の光学部16の後面16bの曲率半径のいずれか又は両方に依存してもよい。第1の光学部14の前面14a又は第2の光学部16の後面16bのいずれかが曲率半径が小さいと分離距離が小さくなる傾向があり、第1の光学部14の前面14a又は第2の光学部16の後面16bのいずれかが曲率半径が大きいと分離距離が大きくなる傾向がある。
【0044】
VIII.マルチパートIOLの送達/植え込み
第1の光学部14を備えた基部12と第2の光学部16とを備えるマルチパートIOL10は、様々な外科的技法を用いて植え込まれてもよい。マルチパートIOL10は、角膜切開部を通して、嚢切開部を通して、水晶体嚢内に挿入されたインジェクタ(別名、インサータ又はデリバリーチューブ)を使用して、水晶体嚢内に基部12を丸めた構成又は折り畳んだ構成で送達することによって最初に植え込まれてもよい。
【0045】
基部12は、インジェクタから出され、展開可能にされてもよい。優しく操作することにより、基部12のハプティック部(図示せず)は、水晶体嚢の内側赤道部に係合してもよく、嚢切開部の中心に基部12を配置してもよい。後縁20の開口部26及びリム開口部30は、基部12の取り扱いを容易にし得る。
【0046】
いくつかの実施形態では、第1の光学部14は、基部12を植え込むことにより第1の光学部14が配置されるように、基部12と一体である。他の実施形態では、第1の光学部14は、基部12とは別個に形成される。これらの実施形態では、第1の光学部14はまた、インジェクタを使用してその遠位先端を基部12に隣接して配置することにより、丸めた構成又は折り畳まれた構成で送達され得る。第1の光学部14は、インジェクタから出され、展開可能にされてもよい。優しく操作することにより、第1の光学部14は嚢切開部に対して中心に配置され得る。第1の光学部14は、水晶体嚢への挿入を容易にするため、水晶体嚢から第1の光学部14を取り外すため、及び基部12に対して第1の光学部14を位置合わせするのを助けるための特徴(図示せず)を有してもよい。第1の光学部14が水晶体嚢に送達されて展開されると、第1の光学部14は、基部12の後縁20に第1の光学部14を着座させて基部12に接続されてもよい。
【0047】
第1の光学部14が基部12に接続されると、第2の光学部16はまた、インジェクタを使用してその遠位先端を基部12に隣接して配置することにより、丸めた構成又は折り畳まれた構成で送達され得る。第2の光学部16は、インジェクタから出され、展開可能にされてもよい。優しく操作することにより、第2の光学部16は嚢切開部に対して中心に配置され得る。第2の光学部16は、水晶体嚢への挿入を容易にするため、及び基部12に対して第2の光学部16を位置合わせするのを助けるための特徴(図示せず)を有してもよい。第2の光学部16が水晶体嚢に送達されて展開されると、第2の光学部16は、基部12に接続されてもよく、このことは、前縁22又は前縁22の内面上にある受台34上に第2の光学部16の後面16bを着座させることと、前縁22上の凹部24に半径方向延長部18を配置することとの1つ又は複数を含んでもよい。
【0048】
必要に応じて、基部12、第1の光学部14、及び第2の光学部16を備えるIOL10は、上述したステップを概ね逆にすることによって取り外されてもよい。プローブ又は類似のデバイスが、マルチパートIOL10を収容した水晶体嚢に入ってもよい。優しく操作することにより、第2の光学部16と基部12とが切り離されるように、第2の光学部16が持ち上げられてもよい。プローブは、第2の光学部16及び基部12のうちの1つ又は複数を取り外してもよい。第1の光学部14と基部12とが別体として形成される場合は、第1の光学部14と基部12とが切り離されるように、第1の光学部14が持ち上げられてもよい。プローブは、第1の光学部14及び基部12のうちの1つ又は複数を取り外してもよい。
【0049】
第1の光学部を支持するための基部を備え、第1の光学部から離れた第2の光学部を更に支持することができるマルチパート眼内レンズ(IOL)を説明してきた。示された例示的な実施形態にしたがって装置、システム、及び方法を説明してきたが、実施形態に対する変形形態が存在し得ること、また任意の変形形態が、上記の装置、システム、及び方法の趣旨及び範囲内にあることが当業者には容易に認識されるはずである。したがって、添付の特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、多くの修正形態が当業者によってなされ得る。
【国際調査報告】