(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-24
(54)【発明の名称】LSD用量同定
(51)【国際特許分類】
A61K 45/00 20060101AFI20230517BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20230517BHJP
A61K 31/4745 20060101ALI20230517BHJP
A61K 31/4045 20060101ALI20230517BHJP
A61K 31/137 20060101ALI20230517BHJP
A61P 25/06 20060101ALI20230517BHJP
A61P 25/04 20060101ALI20230517BHJP
A61P 25/22 20060101ALI20230517BHJP
A61P 25/24 20060101ALI20230517BHJP
A61P 25/30 20060101ALI20230517BHJP
【FI】
A61K45/00
A61P25/00
A61K31/4745
A61K31/4045
A61K31/137
A61P25/06
A61P25/04
A61P25/22
A61P25/24
A61P25/30
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022562159
(86)(22)【出願日】2021-04-08
(85)【翻訳文提出日】2022-12-08
(86)【国際出願番号】 US2021026426
(87)【国際公開番号】W WO2021211358
(87)【国際公開日】2021-10-21
(32)【優先日】2020-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-07-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522340934
【氏名又は名称】ユニヴェルシテートスピタル バーゼル
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】リヒティ,マティアス エマニュエル
(72)【発明者】
【氏名】ホルツ,フリーデリケ ソフィー
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C084AA17
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4C084NA06
4C084NA07
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4C084ZA022
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4C086ZC39
4C206AA01
4C206AA02
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4C206KA01
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4C206NA05
4C206NA06
4C206NA07
4C206ZA02
4C206ZA05
4C206ZA12
4C206ZA18
4C206ZC39
(57)【要約】
マイクロ用量、ミニ用量、サイケデリック用量、好作用用量、自我崩壊用量又は心血管安全用量の用量でサイケデリック剤を投与することと、よりポジティブな長期アウトカムに関連することが知られる最大ポジティブ自覚急性作用を生じさせることと、ネガティブ急性作用を最小化することとにより、サイケデリック剤を投与して患者を処置する方法。マイクロ用量、ミニ用量、サイケデリック用量、好作用用量、自我崩壊用量又は心血管安全用量の用量のサイケデリック剤を個体に投与することと、個体においてポジティブ急性作用及びネガティブ急性作用を決定することと、個体においてネガティブ急性作用よりも多くのポジティブ急性作用を提供するように用量を調整することとにより、個体のためのサイケデリック剤の用量を決定する方法。精神病態を処置するか又は治療を提供する方法。臨床トライアルでサイケデリック剤の治療用量を規定する方法。LSDによる処置後に鬱状態に関して個体をモニターする方法。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サイケデリック剤を投与して患者を処置する方法であって、
マイクロ用量、ミニ用量、サイケデリック用量、好作用用量、自我崩壊用量及び心血管安全用量からなる群から選択される用量でサイケデリック剤を投与する工程と、
よりポジティブな長期アウトカムに関連することが知られる最大ポジティブ自覚急性作用を生じさせる工程と
を含む方法。
【請求項2】
悪い薬物作用、不安、恐怖、不安自我崩壊の増加した等級又は急性被害妄想、パニック状態及びそれらの組合せからなる群から選択されるネガティブ急性作用を最小化する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記患者は、鬱状態、不安及び嗜癖からなる群から選択される病態について処置されている、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ポジティブ自覚急性作用は、良い薬物作用、薬物嗜好、ウェルビーイング、大洋感、連帯経験、霊的経験、至福状態、洞察力、神秘的タイプの経験、ポジティブ経験サイケデリック作用、自我崩壊側面及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記サイケデリック剤は、LSD、シロシビン、メスカリン、ジメチルトリプタミン(DMT)、2,5-ジメトキシ-4-ヨードアンフェタミン(DOI)、2,5-ジメトキシ-4-ブロモアンフェタミン(DOB)、それらの塩、それらの酒石酸塩、それらのアナログ及びそれらのホモログからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記用量は、1~20μgのマイクロ用量である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記用量は、21~29μgのミニ用量である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記用量は、30μg超のサイケデリック用量である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記用量は、30~100μgの好作用用量である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記用量は、100μg超の自我崩壊用量である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記用量は、50~200μgの心血管安全用量である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
個体のためのサイケデリック剤の用量を決定する方法であって、
マイクロ用量、ミニ用量、サイケデリック用量、好作用用量、自我崩壊用量及び心血管安全用量からなる群から選択される用量のサイケデリック剤を個体に投与する工程と、
前記個体においてポジティブ急性作用及びネガティブ急性作用を決定する工程と、
前記個体においてネガティブ急性作用よりも多くのポジティブ急性作用を提供するように前記用量を調整する工程と
を含む方法。
【請求項13】
前記個体は、健常であり、及び前記方法は、非健常個体のための用量を予測する工程をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
長期投与及び用量スケジュールを決定する工程をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記サイケデリック剤は、LSD、シロシビン、メスカリン、ジメチルトリプタミン(DMT)、2,5-ジメトキシ-4-ヨードアンフェタミン(DOI)、2,5-ジメトキシ-4-ブロモアンフェタミン(DOB)、それらの塩、それらの酒石酸塩、それらのアナログ及びそれらのホモログからなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記ポジティブ急性作用は、良い薬物作用、薬物嗜好、ウェルビーイング、大洋感、連帯経験、霊的経験、至福状態、洞察力、神秘的タイプの経験、ポジティブ経験サイケデリック作用、自我崩壊側面及びそれらの組合せからなる群から選択され、前記ネガティブ作用は、悪い薬物作用、不安、恐怖、不安自我崩壊の増加した等級又は急性被害妄想、パニック状態及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記用量は、1~20μgのマイクロ用量である、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記用量は、21~29μgのミニ用量である、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記用量は、30μg超のサイケデリック用量である、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
前記用量は、30~100μgの好作用用量である、請求項12に記載の方法。
【請求項21】
前記用量は、100μg超の自我崩壊用量である、請求項12に記載の方法。
【請求項22】
前記用量は、50~200μgの心血管安全用量である、請求項12に記載の方法。
【請求項23】
臨床トライアルでサイケデリック剤の治療用量を規定する方法であって、
マイクロ用量、ミニ用量、サイケデリック用量、好作用用量、自我崩壊用量及び心血管安全用量からなる群から選択される用量のサイケデリック剤を第1相試験で健常個体に投与する工程と、
前記個体においてポジティブ急性作用及びネガティブ急性作用を決定する工程と、
前記個体においてネガティブ急性作用よりも多くのポジティブ急性作用を提供するように前記用量を調整する工程と、
患者において、前記調整された用量を第2相又は第3相試験に使用する工程と
を含む方法。
【請求項24】
前記サイケデリック剤は、LSD、シロシビン、メスカリン、ジメチルトリプタミン(DMT)、2,5-ジメトキシ-4-ヨードアンフェタミン(DOI)、2,5-ジメトキシ-4-ブロモアンフェタミン(DOB)、それらの塩、それらの酒石酸塩、それらのアナログ及びそれらのホモログからなる群から選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記ポジティブ急性作用は、良い薬物作用、薬物嗜好、ウェルビーイング、大洋感、連帯経験、霊的経験、至福状態、洞察力、神秘的タイプの経験、ポジティブ経験サイケデリック作用、自我崩壊側面及びそれらの組合せからなる群から選択され、前記ネガティブ作用は、悪い薬物作用、不安、恐怖、不安自我崩壊の増加した等級又は急性被害妄想、パニック状態及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記用量は、1~20μgのマイクロ用量である、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
前記用量は、21~29μgのミニ用量である、請求項23に記載の方法。
【請求項28】
前記用量は、30μg超のサイケデリック用量である、請求項23に記載の方法。
【請求項29】
前記用量は、30~100μgの好作用用量である、請求項23に記載の方法。
【請求項30】
前記用量は、100μg超の自我崩壊用量である、請求項23に記載の方法。
【請求項31】
前記用量は、50~200μgの心血管安全用量である、請求項23に記載の方法。
【請求項32】
個体において精神病態を処置する方法であって、
1~20μgのマイクロ用量のサイケデリック剤を前記個体に投与する工程と、
精神病態を処置する工程と
を含む方法。
【請求項33】
前記精神病態は、鬱状態、不安、認知症及び注意欠陥多動性障害からなる群から選択される、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記投与する工程は、1日1回、2日に1回及び3~7日に1回からなる群から選択される時点で実施される、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記サイケデリック剤は、LSD、シロシビン、メスカリン、ジメチルトリプタミン(DMT)、2,5-ジメトキシ-4-ヨードアンフェタミン(DOI)、2,5-ジメトキシ-4-ブロモアンフェタミン(DOB)、それらの塩、それらの酒石酸塩、それらのアナログ及びそれらのホモログからなる群から選択される、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
治療の方法であって、
30~100μgの好作用用量のサイケデリック剤を個体に投与する工程と、
精神科患者においてよりポジティブな長期反応に関連することが知られるポジティブ急性薬物作用を誘発する工程と
を含む方法。
【請求項37】
前記個体は、鬱状態、不安、物質使用障害、嗜癖、パーソナリティー障害、摂食障害、心的外傷後ストレス障害、強迫性障害、疼痛障害、片頭痛、群発頭痛及び緩和ケアを必要とするものからなる群から選択される病態を有する、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記サイケデリック剤は、LSD、シロシビン、メスカリン、ジメチルトリプタミン(DMT)、2,5-ジメトキシ-4-ヨードアンフェタミン(DOI)、2,5-ジメトキシ-4-ブロモアンフェタミン(DOB)、それらの塩、それらの酒石酸塩、それらのアナログ及びそれらのホモログからなる群から選択される、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
前記ポジティブ急性作用は、良い薬物作用、薬物嗜好、ウェルビーイング、大洋感、連帯経験、霊的経験、至福状態、洞察力、神秘的タイプの経験、ポジティブ経験サイケデリック作用、自我崩壊側面及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項36に記載の方法。
【請求項40】
治療の方法であって、
100μg超の規定の自我崩壊用量のサイケデリック剤を個体に投与する工程と、
自我崩壊を提供する工程と
を含む方法。
【請求項41】
前記サイケデリック剤は、LSD、シロシビン、メスカリン、ジメチルトリプタミン(DMT)、2,5-ジメトキシ-4-ヨードアンフェタミン(DOI)、2,5-ジメトキシ-4-ブロモアンフェタミン(DOB)、それらの塩、それらの酒石酸塩、それらのアナログ及びそれらのホモログからなる群から選択される、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記個体は、重篤疼痛障害、癌、緩和ケアを必要とするもの及びパーソナリティー障害からなる群から選択される病態を有する、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
前記自我崩壊を提供する工程は、前記個体が疼痛から解放されることを可能にすることと、前記個体が体性疼痛及びその身体の存在感を実感しないことを可能にすることと、前記個体がその身体からの離脱感を感じることを可能にすることとからなる群から選択される工程をさらに含む、請求項40に記載の方法。
【請求項44】
LSDによる処置後に鬱状態に関して個体をモニターする方法であって、
LSD処置前及び後に前記個体において脳由来神経栄養因子(BDNF)のレベルを測定する工程と、
BDNFが増加した場合に前記個体がLSD処置に反応したかを決定する工程と
を含む方法。
【請求項45】
前記測定する工程は、前記個体から血液サンプルを採取し、及びBDNFについて免疫アッセイを実施する工程をさらに含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
測定された前記BDNFのレベルに基づいてLSDの用量を調整する工程をさらに含む、請求項44に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
1.技術分野
本発明は、医学的病態の処置で特異的自覚薬物作用を生じるリゼルグ酸ジエチルアミドの用量範囲を同定するための組成物及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2.背景技術
リゼルグ酸ジエチルアミド(LSD)は、気晴らし目的及び個人的目的のために広く使用されているプロトタイプ的幻覚発現剤である(Krebs & Johansen, 2013)。加えて、LSDは、実験的研究(Carhart-Harris et al., 2016b、Dolder et al., 2016、Liechti, 2017、Preller et al., 2017、Schmid et al., 2015)及び精神科患者の処置(Gasser et al., 2014、Gasser et al., 2015)のための使用が増えている。しかしながら、特異的反応を誘発するLSDの適正投与は、問題である。
【0003】
LSDは、気晴らしのために広く使用されているが、LSDは、分析アイデンティティー情報の欠如した単位において、明確な用量均一性を伴わない非規定量において及び他の精神活性化合物の存在可能性に関する情報なしに違法に製造され、販売されているため、特異的な所望の治療作用を生じるのに必要とされる用量は、LSDの経験的先行使用から確認できない。LSDは、研究での使用が増えており、研究者は、使用用量を刊行物で報告してきたとはいえ、実際に投与された用量の証拠は、ほとんど欠如していた。
【0004】
薬物作用を生じるように使用される正確な用量を知ることは、きわめて重要である。正確な用量単位の製造及び評価は、本発明の一部ではなく、また最近取り扱われてきているが(Holze et al., 2019)、特異的作用を生じる用量を規定することは、本発明の前提条件であり、また用量決定の問題は、違法LSD使用の報告及びLSDを用いる研究の両方で非規定用量の使用により部分的に悪化しているため、この側面を提示する。
【0005】
最近の臨床研究で主に使用されるLSD製剤は、長期安定性を有しておらず、したがって、実際にヒトに投与された用量は、これらの試験ではより低い可能性があったか又は少なくとも不明確であった(Barrett et al., 2018、Dolder et al., 2016、Kraehenmann et al., 2017a、Kraehenmann et al., 2017b、Preller et al., 2018、Preller et al., 2017、Preller et al., 2019、Schmid et al., 2015)。具体的には、十分な試験継続期間を超えるより長期の安定性データは、いくつかの以前の試験で使用されたカプセル剤では入手不能であった(Dolder et al., 2016、Dolder et al., 2017、Kraehenmann et al., 2017b、Liechti et al., 2017、Mueller et al., 2018、Mueller et al., 2017a、Mueller et al., 2017b、Preller et al., 2017、Schmid et al., 2015、Schmid&Liechti, 2018、Schmidt et al., 2017)。さらに、2つの100μgカプセル剤の形態での200μg用量の投与後、血漿中にiso-LSDが検出されたことから(Steuer et al., 2017)、LSDのこの不活性分解生成物は、場合により、その使用時点でカプセル剤中にすでに存在していたことが示唆される(ただし、血漿サンプル中での形成可能性を完全には排除できない)。21及び9.2ng×h/mlのLSD及びiso-LSDの血漿中AUC24値(Steuer et al., 2017)から、平均でLSDの30%は、カプセル剤中で不活性iso-LSDに異性化されている可能性があることが示唆される。そのため、LSDの実際の投与用量は、指示された100及び200μgではなく、それぞれ70及び140μgLSD塩基であった可能性がある。100及び200μg用量を使用した以前の試験でのAUC∞値は、より後の試験で使用された確認済み96μgLSD用量に基づいて(Holze et al., 2019)及び類似の生物学的利用能を仮定して、それぞれ予想された値の61%及び76%であった。最終的に、試験終了の数年後に実施された4つの古い未使用LSDカプセル剤の分析試験がLSD含量の顕著な低減を示したことから(LSD残量=22±7μg)、この形態のLSDのより長期の安定性が欠如していること及び使用された実際のLSD用量が試験期間中に指示されたよりもすでに低くなっていた可能性があることが示唆される。とりわけ、単一カプセル剤での15%、さらに25%の含量減少は、カプセル剤の製剤時に確定された含量均一性に依然として適合可能であろう。まとめると、様々な品質管理測定の結果、分析知見(薬動学的データを含む(Holze et al., 2019))及び様々な製剤の臨床作用(Dolder et al., 2017)に基づいて、以前の試験では、実際には、およそ80及び175μgのLSD酒石酸塩に対応するおよそ60~70(100ではない)μg及び140~150(200ではない)μgのLSD塩基を使用した可能性が高い。
【0006】
他の考慮点は、以前の試験で報告されたLSDの用量がそれほど精密でないか、又は身体内でのLSDの実際の暴露を反映していないことである。これは、LSDへの暴露の客観的測定値(すなわち血漿中濃度)が欠如していたこと及び溶液の生物学的利用能が未知であることから、生理食塩水中の75μg疎水性LSD塩基の静脈内投与を用いた最近の試験で注目すべき点である(Carhart-Harris et al., 2016a、Carhart-Harris et al., 2015、Carhart-Harris et al., 2016b、Kaelen et al., 2015、Tagliazucchi et al., 2016)。75μgの静脈内LSDに対する臨床反応は、以前の試験で使用された経口100μg用量と有意差がなかったことから(Carhart-Harris et al., 2016a、Liechti, 2017、Liechti et al., 2017)、60~70μgLSD塩基の経口投与に匹敵する類似の暴露であることが間接的に示唆される。
【0007】
上記のデータに照らして、以前に使用されたLSD用量に関する科学的公開データでさえも、医学的処置のための安全効能用量の選択の指針を与えるのに十分に適正ではない。
【0008】
用量探索試験で投与された精密LSD用量を知ることに加えて、投与に関して妥当な主張を行うためには、同一の試験内において、好ましくは同一のヒト対象に異なる用量を投与する必要がある。例えば、公開された以前の試験では、100及び200μg用量のLSDの作用に関する報告がなされた(Dolder et al., 2016)。しかしながら、異なる用量のLSDに関するこのデータは、異なる集団で異なる試験で生成されたものであり、妥当な用量-反応評価になっていない。加えて、ほとんどの試験では、相対的に高用量のみが試験されたにすぎず(経口100又は200μg)、他の少数の試験では、極低用量のLSD酒石酸塩が試験されているが(6.5、13及び26μg(Bershad et al., 2020、Bershad et al., 2019)又は5、10及び20μg(Family et al., 2020、Yanakieva et al., 2019))、試験内でより大きい用量範囲をカバーするデータが欠測している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
LSD投与の分析及び医学的処置でLSDを正確に投与する方法が依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明の概要
本発明は、マイクロ用量、ミニ用量、サイケデリック用量、好作用用量、自我崩壊用量又は心血管安全用量の用量でサイケデリック剤を投与することと、よりポジティブな長期アウトカムに関連することが知られる最大ポジティブ自覚急性作用を生じさせることと、ネガティブ急性作用を最小化することとにより、サイケデリック剤を投与して患者を処置する方法を提供する。
【0011】
本発明は、マイクロ用量、ミニ用量、サイケデリック用量、好作用用量、自我崩壊用量又は心血管安全用量の用量のサイケデリック剤を個体に投与することと、個体においてポジティブ急性作用及びネガティブ急性作用を決定することと、個体においてネガティブ急性作用よりも多くのポジティブ急性作用を提供するように用量を調整することとにより、個体のためのサイケデリック剤の用量を決定する方法も提供する。
【0012】
本発明は、1~20μgのマイクロ用量のサイケデリック剤(好ましくはLSD)を個体に投与して精神病態を処置することにより、個体において精神病態を処置する方法を提供する。
【0013】
本発明は、30~100μgの好作用用量のサイケデリック剤(好ましくはLSD)を個体に投与して、精神科患者においてよりポジティブな長期反応に関連することが知られるポジティブ急性薬物作用を誘発することによる治療の方法を提供する。
【0014】
本発明は、100μg超の規定の自我崩壊用量のサイケデリック剤(好ましくはLSD)を個体に投与して自我崩壊を提供することによる治療の方法も提供する。
【0015】
本発明は、第1相試験でマイクロ用量、ミニ用量、サイケデリック用量、好作用用量、自我崩壊用量又は心血管安全用量の用量のサイケデリック剤を健常者に投与することと、個体においてポジティブ急性作用及びネガティブ急性作用を決定することと、個体においてネガティブ急性作用よりも多くのポジティブ急性作用を提供するように用量を調整することと、患者において第2相又は第3相試験のために調整された用量を使用することとにより、臨床トライアルでサイケデリック剤の治療用量を規定する方法を提供する。
【0016】
本発明は、個体においてLSD処置前及び後に脳由来神経栄養因子(BDNF)のレベルを測定して、BDNFが増加した場合に個体が処置に反応したかを決定することにより、LSDによる処置後に鬱状態に関して個体をモニターする方法も提供する。
【0017】
図面の説明
本発明の他の利点は、添付図面との関連で考えて下記の詳細な説明を参照することでよりよく理解されるようになるため、簡単に認識される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1A】いずれかの薬物作用対時間のグラフである。
【
図3】LSD単独、LSD+ケタンセリン及びプラセボの急性作用の比較表である。
【
図8】コンパートメントモデリングに基づくLSDに対する薬動学的パラメーターの表である。
【
図9A】25、50、100及び200μgでの血漿中LSD濃度-時間曲線のグラフである。
【
図9B】「いずれかの薬物作用」に関する視覚的アナログスケール等級(0~100%)でのLSD作用-時間曲線を示す。
【
図9C】「良い薬物作用」に関する視覚的アナログスケール等級(0~100%)でのLSD作用-時間曲線を示す。
【
図9D】「悪い薬物作用」に関する視覚的アナログスケール等級(0~100%)でのLSD作用-時間曲線を示す。
【
図9E】「自我崩壊」に関する視覚的アナログスケール等級(0~100%)でのLSD作用-時間曲線を示す。
【
図11】ノンコンパートメント解析に基づくLSDに対する薬動学的パラメーターの表である。
【
図12】ノンコンパートメント解析に基づくO-H-LSDに対する薬動学的パラメーターの表である。
【
図14】各セッション後及び試験後の薬物同定の表である。
【
図15】BDNF血漿中濃度対時間のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
発明の詳細な説明
本発明は、医学的病態の処置を促進する規定の自覚薬物作用を生じる特異的用量のサイケデリック剤、例えばLSD(リゼルグ酸ジエチルアミド)の使用に関する。確定長期安定性(単回用量単位)及び高含有量均一性を有する経口LSD溶液を用いて、本発明の根底をなすデータを作成した。
【0020】
LSDは、不安、鬱状態、嗜癖、パーソナリティー障害などをはじめとする多くの適応症に対して、典型的には急性精神活性用量で、精神療法を支援するために使用可能であり、また他の障害、例えば群発頭痛、片頭痛などを処置ためにも使用可能である(Hintzen & Passie, 2010、Liechti, 2017、Nichols, 2016、Passie et al., 2008)。LSDの急性自覚作用は、ほとんどのヒトでほぼポジティブである(Carhart-Harris et al., 2016a、Dolder et al., 2016、Dolder et al., 2017、Holze et al., 2019、Schmid et al., 2015)。しかしながら、おそらく使用LSD用量、LSD使用者のパーソナリティー特性、状況(環境)及び他の因子に依存して、多くのヒトにおいてLSDのネガティブ自覚作用(不安)も存在する。急性ネガティブ心理的作用のリスクは、ヒトにおけるサイケデリック物質の使用の主要問題である。LSD支援精神療法で生じる不安は、患者及び処置医師の両方にとって重大な問題になるおそれがある。患者にとってきわめて悲惨であることに加えて、急性不安は、鬱状態を有する患者において非有利長期アウトカムに関連付けられてきた(Roseman et al., 2017)。さらに、サイケデリック支援療法時の不安反応は、追加のスーパービジョン、セラピストのより大きい関与、遷延セッション及び急性心理的並びに薬理学的介入を必要とし得る。そのため、主な安全性懸念は、身体的有害作用ではなく心理的有害作用に関する(Nichols, 2016、Nichols & Grob, 2018)。いくつかの試験では、よりポジティブな経験がサイケデリック剤のより大きい長期治療作用の予測因子となることが示されたため、サイケデリック剤に対する全体的ポジティブ急性反応の誘発は、きわめて重要である(Garcia-Romeu et al., 2015、Griffiths et al., 2016、Ross et al., 2016)。健常対象でも、LSDをはじめとするサイケデリック剤に対するポジティブ急性反応は、ウェルビーイングに及ぼすよりポジティブな長期作用に関連することが示されている(Griffiths et al., 2008、Schmid&Liechti, 2018)。
【0021】
中程度の予期不安は、薬物作用の発症の開始時に共通する(Studerus et al., 2012)。16名の健常ヒトにおける試験では、0.2mgのLSDの投与後、2名の対象において顕著な不安が観察された。この不安は、思考制御喪失、肉体離脱及び自己喪失の恐怖に関連し(Schmid et al., 2015)、同様にシロシビンに対しても記載された(Hasler et al., 2004)。高用量の0.2mgのLSD後に16名中9名の対象(56%)及び中程度の0.1mg用量のLSD後に24名中3名の対象(12.5%)において、悪い薬物作用(薬物投与後のいずれかの時点で0~100%スケールで50%以上)が確認された(Dolder et al., 2017)。同様に、他の一研究では、0.1mgのLSDの投与後に24名中7名の対象(29%)において一過性の悪い薬物作用が報告された(Holze et al., 2019)。これらのネガティブ自覚薬物作用は、一過性であり、及びすべて他の時点又は類似の時点で良い薬物作用も報告した対象において発生したが、ネガティブ反応は、問題である。ネガティブ薬物作用に対処する一解決策は、サイケデリック剤の用量を低減することであるが、こうすると少なくとも部分的に所望の薬物作用も低減するであろう。他の一可能性は、より長い期間にわたりより低用量を与えることにより、数日間/数週間にわたり高用量を広げることが可能なことである。
【0022】
本発明は、精神医学的又は他の医学的状況でサイケデリック剤を使用するときに急性不安の状態を回避するために使用可能であり、また本発明は、具体的には、依然として所望の良い薬物作用を生じさせつつ、不安を誘発する可能性の低い用量の同定を可能にする。
【0023】
一般に、本発明は、マイクロ用量、ミニ用量、サイケデリック用量、好作用用量、自我崩壊用量、心血管安全用量などの以下に規定される特異的用量でサイケデリック剤(例えば、LSD又はその塩)を投与することと、よりポジティブな長期アウトカムに関連することが知られる最大ポジティブ自覚急性作用を生じさせることと、ネガティブ急性作用を最小化することとにより、サイケデリック剤を投与して患者を処置する方法を提供する。ある用量に対して規定される特異的急性作用及び規定用量のサイケデリック剤に対する特異的適応症を有して、規定用量のサイケデリック剤を投与可能である。本発明の全体的目的は、サイケデリック剤に対するポジティブ/ネガティブ急性自覚作用反応を改善することである。この目標に向けて、本方法は、サイケデリック医薬のいずれの適応症にも使用可能であり、典型的には、鬱状態、不安及び嗜癖(これらに限定されるものではないが)をはじめとする精神医学的障害など、サイケデリック剤使用後のポジティブ経験が長期作用を予測する適応症に適用される。
【0024】
本明細書で用いられる「ポジティブ急性作用」とは、主に「良い薬物作用」の主観的等級の増加を意味し、また「薬物嗜好」、「ウェルビーイング」、「大洋感」、「連帯経験」、「霊的経験」、「至福状態」、「洞察力」、いずれかの「神秘的タイプの経験」及びポジティブ経験「サイケデリック作用」並びに不安を伴わない経験をした場合の「自我崩壊側面」の等級も含み得る。
【0025】
本明細書で用いられる「ネガティブ急性作用」とは、主に「悪い薬物作用」及び「不安」及び「恐怖」の主観的等級を意味し、また、「不安自我崩壊」の等級の増加又は急性被害妄想若しくは他者により観察される不安パニック状態の記述を追加的に含み得る。
【0026】
急性サイケデリック状態を誘発する用量が有効であり得る。LSDでは、用量は、ポジティブ作用を生じるのに十分な程度に高くし得るが(>25μgLSD塩基)、LSDのポジティブ/ネガティブ自覚作用プロファイルを改善するように最適化することも可能である(<200μg塩基)。LSDの血漿中濃度は、用量の増加に比例して増加する。LSDは、プラセボと比較して有意な「いずれかの薬物作用」を生じる25μg用量から始めて用量依存主観的反応を生じる。
【0027】
ポジティブ薬物作用を誘発するために、LSD用量は25~100μgである。用量<25μgは、少なすぎて意味のある急性ポジティブ薬物作用を生じることができない。LSD用量を増加させるとポジティブ自覚作用に関して100μg用量でシーリング作用を達成し、100及び200μgLSD用量間に良い薬物作用に関して有意差はない。そのため、用量>100μgは、主に良い自覚薬物作用を誘発すべき場合には高すぎる。良い薬物作用は、100μg超の用量では増加しない。100μg超のLSDの用量では自我崩壊及び不安のみが増加する。LSD反応の発症までの時間は減少し、消失までの時間は増加するため、LSD用量の増加に伴って長い作用持続時間をもたらす。
【0028】
200μg用量のLSDは、100μg用量よりも有意に大きい自我崩壊及び大きい不安自我崩壊を生じる。200μg用量のLSDは、有意な不安を誘発する(ただし、100μg用量では誘発しない)。そのため、100~150μg超の用量は、目標が自我崩壊の経験を誘発することである場合に有用であるが、かかる経験は、より低用量と比較してより多くの不安も伴う用量でのみ生じる。100μg~200μgの用量は、高用量として主観的に同定されるが、確信をもって互いに区別できない。100及び200μgLSDの用量は、不安の他に類似の有害作用を誘発する。
【0029】
下記のより特異的な用量範囲を本発明の方法で使用可能である。
【0030】
「マイクロ用量」は、プラセボと比較して識別可能な急性自覚薬物作用を生じるサイケデリック剤の用量であり、(Kuypers et al., 2019)に準じる。LSDのマイクロ用量は、1~20μgである。かかる用量は、自覚急性作用を有していないが、ヒトにおいて治療作用を有し得る。
【0031】
「ミニ用量」は、LSD又は他のサイケデリック剤の21~29μgの用量である。LSDのミニ用量は、プラセボに対して急性自覚薬物作用により主観的に区別される最小用量を表し、実験試験で25μgの用量として適正に同定されるか、又はわずかにより高用量の50μgLSDとして誤用される。
【0032】
「サイケデリック用量」は、LSD又は他のサイケデリック剤の30μg超の用量である。
【0033】
「好作用用量」は、LSD又は他のサイケデリック剤の30~100μgの用量である。
【0034】
「自我崩壊用量」は、LSD又は他のサイケデリック剤の100μg超の用量である。ほとんどすべての良い作用及び悪い作用は、より高用量での自我崩壊及び不安の増加を除いて、100μg及び200μgの用量で同一である。自我崩壊が所望のアウトカムである場合、100μgの使用が多くの場合より良好な用量であろう。なぜなら、より低用量の100μgで不安の増加という悪い作用を伴うことなく同一の良い作用を得ることが可能であるからである。疾患を処置するために自我崩壊を必要とする場合(以下でさらに説明される通り)、たとえ不安が増加しても200μg用量が必要とされる。
【0035】
「心血管安全用量」は、単にLSD又は他のサイケデリック剤の50~200μgの中程度心刺激用量の用量である。LSDの心血管有害作用は、用量<50μgでは不在であり、200μgまでの用量では最小限である。LSDは、50μg以上の用量では血圧並びに100及び200μgでは心拍数を中程度にただし有意に増加させるにすぎない。
【0036】
本発明の方法で使用されるサイケデリック剤は、限定されるものではないが、LSD、シロシビン、メスカリン、ジメチルトリプタミン(DMT)、2,5-ジメトキシ-4-ヨードアンフェタミン(DOI)、2,5-ジメトキシ-4-ブロモアンフェタミン(DOB)、それらの塩、それから酒石酸塩、それらのアナログ又はそれらのホモログであり得る。
【0037】
本発明の化合物は、個別患者の臨床病態、投与部位及び方法、投与スケジューリング、患者の年齢、性別、体重及び医師に公知の他の因子を考慮に入れて、適正医療規範に準拠して投与及び処方される。本明細書の目的での薬学的「有効量」は、当技術分野で公知の考慮事項により決定される。量は、限定されるものではないが、改善された生存率若しくはより迅速な回復又は症状及び当業者により適切な尺度として選択される他の指標の改善若しくは排除を含めて、改善を達成するのに有効でなければならない。
【0038】
本発明の方法では、本発明の化合物は、各種の方式で投与可能である。それは、化合物として投与可能であるとともに、単独で又は薬学的に許容可能な担体、希釈剤、佐剤及び媒質との組合せで活性成分として投与可能であることに留意すべきである。化合物は、静脈内、筋肉内及び鼻内投与を含めて、経口、経皮、皮下又は非経口投与が可能である。処置される患者は、温血動物、特定的には人を含む哺乳動物である。薬学的に許容可能な担体、希釈剤、佐剤及び媒質並びに植込み担体は、一般に、本発明の活性成分と反応しないイナートな非毒性固形若しくは液状充填剤、希釈剤又はカプセル化材料を意味する。
【0039】
用量は、単回用量又は複数回用量又は数時間にわたる持続用量であり得る。
【0040】
本発明の化合物を非経口投与するとき、それは一般に単位投与量の注射用製剤(溶液剤、サスペンジョン剤、エマルジョン剤)として製剤化されるであろう。注射に好適な医薬製剤としては、無菌水性溶液剤又はディスパージョン剤及び無菌注射用溶液又はディスパージョンに再構成される無菌粉末剤が挙げられる。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液状ポリエチレングリコールなど)、好適なそれらの混合物及び植物油を含有する溶媒又は分散媒体であり得る。
【0041】
適正な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用、ディスパージョン剤の場合には所要の粒子サイズの維持及び界面活性剤の使用により維持可能である。非水性媒質、例えばメンジツ油、ゴマ油、オリーブ油、ダイズ油、トウモロコシ油、ヒマワリ油又はピーナッツ油及びエステル、例えばイソプロピルミリステートも化合物組成物用の溶媒系として使用され得る。加えて、抗微生物保存剤、抗酸化剤、キレート化剤及び緩衝剤を含めて、組成物の安定性、無菌性及び等張性を増強する各種の添加剤を添加可能である。微生物作用の予防は、各種の抗細菌剤及び抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸などにより確保可能である。多くの場合、等張化剤、例えば糖、塩化ナトリウムなどを含むことが望ましいであろう。注射用医薬製剤の長期にわたる吸収は、吸収を遅延する作用剤、例えばアルミニウムモノステアレート及びゼラチンの使用により引き起こすことが可能である。しかしながら、本発明によれば、使用されるいずれの媒質、希釈剤又は添加剤も、化合物と適合可能でなければならないであろう。
【0042】
無菌注射用溶液剤は、所望により、他の各種の成分と共に所要量の適切な溶媒に本発明の実施に利用される化合物を組み込むことにより調製可能である。
【0043】
本発明の薬理学的製剤は、いずれかの適合可能な担体、例えば各種の媒質、佐剤、添加剤及び希釈剤を含有する注射用製剤として患者に投与可能であるか、又は本発明に利用される化合物は、遅放性皮下インプラント又は標的送達システム、例えばモノクローナル抗体、ベクター送達、イオン泳動、ポリマーマトリックス、リポソーム及びマイクロスフェアの形態で患者に非経口投与可能である。本発明に有用な送達システムの例は、米国特許第5,225,182号、同第5,169,383号、同第5,167,616号、同第4,959,217号、同第4,925,678号、同第4,487,603号、同第4,486,194号、同第4,447,233号、同第4,447,224号、同第4,439,196号及び同第4,475,196号に含まれる。多くの他のかかるインプラント、送達システム及びモジュールは、当業者に周知である。
【0044】
本発明は、マイクロ用量、ミニ用量、サイケデリック用量、好作用用量、自我崩壊用量又は心血管安全用量の用量のサイケデリック剤を投与することと、個体においてポジティブ急性作用及びネガティブ急性作用を決定することと、個体においてネガティブ急性作用よりも多くのポジティブ急性作用を提供するように用量を調整することとにより、個体のためのサイケデリック剤の用量を決定する方法も提供する。個体は、健常であり得るとともに、本方法は、非健常個体のための用量を予測するために使用可能である。本方法は、長期投与及び用量スケジュールを決定するために使用可能である。例えば、最初に、「良い薬物作用」用量を使用し、続いて、対象又は患者を物質の作用に付した後で「自我崩壊」用量を使用するように選択し得る。加えて、臨床トライアルのための用量探索は、困難であるとともに時間とお金がかかる。健常対象において既に第1相試験にある患者に使用される用量を規定するために方法が利用可能であれば、かなり容易になり、及び費用効果的になり、及び迅速になるであろう。患者における長期アウトカムの確定予測因子としてネガティブ作用を上回るポジティブ急性作用に焦点を絞って健常対象において急性作用を評価することは、患者集団において将来の第2相及び第3相試験のための用量探索を大きく促進可能である。したがって、本方法は、臨床トライアルのための用量の予測及び決定に使用可能である。
【0045】
上記に規定される特異的用量に関連する方法も提供される。
【0046】
本発明は、マイクロ用量のサイケデリック剤(好ましくはLSD)を個体に投与して精神病態を処置することにより、個体において精神病態を処置する方法を提供する。精神病態は、限定されるものではないが、鬱状態、不安、認知症又は注意欠陥多動性障害であり得る。マイクロ用量のLSDは、関連急性サイケデリック薬物作用を伴うことなくLSDの遷延繰返し投与(例えば、1日1回、2日に1回、3~7日に1回)で病態の改善を誘発する。
【0047】
本発明は、好作用用量のサイケデリック剤(好ましくはLSD)を個体に投与して、精神科患者においてよりポジティブな長期反応に関連することが知られるポジティブ急性薬物作用を誘発することによる治療の方法を提供する。本方法は、鬱状態、不安、物質使用障害、他の嗜癖、パーソナリティー障害、摂食障害、心的外傷後ストレス障害、強迫性障害、各種の疼痛障害、片頭痛、群発頭痛及び緩和ケアをはじめとする各種の医学的病態の処置に使用可能である。
【0048】
本発明は、自我崩壊用量のサイケデリック剤(好ましくはLSD)を個体に投与して自我崩壊を提供することによる治療の方法も提供する。本方法は、より低い好作用用量のLSD又は他のサイケデリック剤を経験しており、及びより強力な自我崩壊経験を目指すが、この状態に対処するときに大きい不安を経験するリスクに対する準備ができている個体に適する。経験としての自我崩壊は、この経験時に疼痛から解放されること又は少なくとも体性疼痛を実感しないこと及び身体存在感又は体外離脱感を目標として、いくつかの適応症、すなわち重篤疼痛障害、癌及び/又は緩和ケアの個体において治療的であり得る。自我崩壊は、パーソナリティー障害(自己愛性パーソナリティー障害)をはじめとする他の障害時又は精神医学的適応症により必要とされる場合、治療経験にもなり得る。
【0049】
以下の実施例では、LSD(D-リゼルグ酸ジエチルアミド塩基、高性能液体クロマトグラフィー純度>99%、Lipomed AG, Arlesheim, Switzerland)は、単回経口用量で投与された。各用量のLSDは、GMPに準拠して1mlの96%エタノール中の経口投与される溶液剤として製剤化され(バッチBZ17-2、25μg及び100μgバイアル)、4℃の暗所でアルゴン予充填バイアルに入れて遊離状態で貯蔵された。25μg及び100μg製剤の厳密な分析確認LSD含量(平均±SD)は、それぞれ製造後に98.65±1.57μg(n=9)及び25.68±0.57μg(n=9)であった。試験期間よりも長い期間にわたる製剤の安定性は、まったく同様に製造された前のバッチ(バッチBZ16)で確定された。溶液を4℃で貯蔵したとき、活性LSDから不活性iso-LSDへの異性化が少し起こり、4、6、12、18及び24ヵ月間後、それぞれ0.1%、0.1%、1.3%、3.2%及び3.6%のiso-LSD含量(初期LSD含量に対する%)になった。他の分解生成物は、存在しなかった。室温で貯蔵したバイアルは、2、4、6、12及び24ヵ月後、それぞれ0%、3.1%、3.4%、6.7%及び9.5%のより高いiso-LSD含量を有していた。本試験で使用された100μgLSD用量は、結晶水を含むおよそ125μg用量のLSD酒石酸塩に対応すると思われる。これは、気晴らし用に違法に得て使用されたとき(すなわちブロッター形態)又は他の最近の試験で使用されたとき(Bershad et al., 2019、Yanakieva et al., 2019)、使用の可能性のより高いLSDの形態である。
【0050】
本発明は、同一試験内で投与され、及びすべての用量が同一の対象に投与されて、対象間比較の大きい変動を加えることなく対象内用量比較を可能にした、25、50、100及び200μgのLSD用量の作用に関するデータも含む。それにより、健常対象において特異的作用を生じるLSD用量を規定可能であった。重要なこととして、健常対象におけるLSDの急性作用は、患者におけるものに匹敵し(Liechti et al., 2017)、患者及びかかる急性反応が望まれる規定の医学的病態において類似の反応を仮定することが可能である。そのため、本データ及びイノベーションに基づいて投与提案が行われる。さらに、これまで、どの単回用量のLSDで自覚作用が顕在化するか、明確でなかった。急性自覚作用を生じない用量は、典型的には「マイクロ用量」といわれ、急性認知障害を生じないが、気分及び認知に対して持続作用を及ぼし得る(Hutten et al., 2019)。しかしながら、大きいLSD用量に関して、マイクロ用量対高サイケデリック用量に対する用量レベルは規定されておらず、カットオフは不明で議論されている(Kuypers et al., 2019)。そのため、本発明は、支援データで規定用量のLSDの使用に基づいてマイクロ用量及びカットオフも規定する。
【0051】
実施例で下記の条件が観測された。1)本発明は、LSDの投与時に存在する1名の患者のみからなる特異的状況に基づき、2名以上の者が投与され用量-反応作用が異なり得るグループ状況を含まない。2)処置される者又は患者は、LSDの投与前に急性心理的苦痛がない。3)この者は、精神病(統合失調症)の増加したリスクを有していない。4)この者は、他の精神活性物質の急性影響下にない。5)用量は、LSD塩基用量及び即時放出製剤を対象とする。6)LSD塩用量は、LSD塩基用量に変換する必要があり得る(125μgLSD酒石酸塩は、本明細書で参照として使用される100μgLSD塩基に対応する)。7)この者は、大きい騒音から保護された制御された静かな環境で快適安静状態にあり、他の者(1~3名のスーパーバイザー/セラピストを除く)は、好適な音楽を再生してアイシェードを着用しているか又は眼を閉じている。サイケデリック剤は、神経再生を誘発可能である(Ly et al., 2018)。血漿中脳由来神経栄養因子(BDNF)レベルは、神経形成に対する可能なバイオマーカーである(Haile et al., 2014)。より高いBDNFレベルは、アヤワスカの投与後、より低い鬱状態等級に関連した(de Almeida et al., 2019)。
【0052】
本発明は、個体においてLSD処置前及び後にBDNFのレベルを測定して、BDNFが増加した場合に個体がLSD処置に反応したかを決定することにより、LSDによる処置後に鬱状態の反応に関して個体をモニターする方法も提供する。BDNFは、脳及び周辺部で見出された成長因子であり、存在するニューロンの生存を支援し、新しいニューロン及びシナプスの成長及び分化を促進し、学習及び記憶に重要である。BDNFは、網膜、腎臓、唾液、前立腺、運動ニューロン及び骨格筋にも見出すことが可能である。BDNFは、細胞表面上のTkrB及びLNGFRレセプターに結合して、他のニューロトランスミッターレセプターをモジュレートすることが可能である。ストレス及びストレスホルモンコルチコステロンへの暴露は、BDNFの発現を減少可能であり、海馬の萎縮を引き起こして鬱状態をもたらし得る。個体における低レベルのBDNFは、より高い鬱状態に関連し得るとともに、より高いレベルのBDNFは、より低い鬱状態及び処置に対する反応に関連し得る。実施例2は、BDNFに関するさらなる詳細を提供する。BDNFは、個体から血液サンプルを採取し、ELISA又は他の免疫アッセイを実施することにより測定可能である。次いで、LSDの投与は、検出されたBDNFのレベルに基づいて個体に対してより少ない副作用を提供するように調整可能である。
【0053】
下記の実験例を参照することにより本発明をさらに詳細に説明する。これらの実施例は、例示目的のみで提供されており、とくに明記されていない限り、限定を意図するものではない。そのため、本発明は、決して下記の実施例に限定されると解釈されるべきではなく、本明細書に提供される教示の結果として明らかになるいかなる変形形態もすべて包含すると解釈されるべきである。
【実施例】
【0054】
実施例1
この試験は、Holze, et al.(Holze et al., 2021)にも示された。下記の主要知見が観測された。LSDは、プラセボと比較して有意な「いずれかの薬物作用」を生じた25μg用量から始めて用量依存主観的反応を呈した。LSD用量を増加させるとほとんどのスケール(とくにポジティブ自覚作用を参照するもの)で100μg用量においてシーリング作用を達成し、典型的には100及び200μgLSD用量間に有意差はなかった。200μg用量は、100μg用量よりもVASで有意により大きい自我崩壊、5D-ASCでより大きい不安自我崩壊及びより大きい主観的ネガティブナディア作用を生じた。200μgLSD用量は、5D-ASC及びAMRSで有意な不安を誘発したが、100μgLSD用量は誘発しなかった。そのため、100μg超のLSDの用量では自我崩壊及び不安のみが増加した。LSDは、50μg以上の用量では血圧並びに100及び200μgでは心拍数を中程度にただし有意に増加させたにすぎない(
図3、6A~6C)。100及び200μgの用量のLSDは、プラセボと比較してLCで有害作用を増加させた。血漿中LSD濃度は用量増加に比例して増加したが、LSDの良い薬物作用は100μgでシーリング作用を示し、一方、200μgでは100μgと比較してより高い悪い薬物作用及びより大きい自我崩壊が報告された。LSD反応の発症までの時間は減少し、消失までの時間は増加したため、LSD用量の増加に伴って長い作用持続時間をもたらした。100μg~200μgの用量は、高用量として主観的に同定されたが、互いに区別できなかった。25μgの用量のLSDは、プラセボから区別され、ほとんどの参加者により適正に同定されたか又は50μgLSDとして同定された。
【0055】
材料及び方法
試験設計:試験は、二重盲検プラセボ対照クロスオーバー設計を使用し、6つの実験試験セッションで1)プラセボ、2)25μg、3)50μg、4)100μg、5)200μgLSD、及び6)ケタンセリン(40mg)後に200μgLSDに対する反応を調べた。セッション間のウォッシュアウト期間は、少なくとも10日間であった。試験は、ClinicalTrials.gov(NCT03321136)に登録された。
【0056】
参加者:16名の健常対象(8名の男性及び8名の女性、平均年齢±SD:29±6.4歳、範囲:25~52歳)。25歳よりも若かった参加者は、試験への参加から除外した。追加の除外基準は次の通りであった。年齢>65歳、妊娠(スクリーニング時及び各試験セッション前の尿妊娠試験)、主要精神医学的障害の個人歴又は家族歴(一等親血縁者)(熟練精神科医による精神障害の診断及び統計マニュアルに対する半構造化臨床面接、第4版、I軸疾患(Semi-structured Clinical Interview for Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, 4th edition, Axis I disorders)による評価)、試験医薬に干渉可能な医薬の使用(例えば、抗鬱剤、抗精神病剤、鎮静剤)、慢性又は急性身体的疾病(異常身体検査、心電図又は血液学的及び化学的血液分析)、喫煙(>10シガレット/日)、違法薬物使用>10回の生涯有病率(Δ9-テトラヒドロカンナビノールを除く)、過去2ヵ月以内の違法薬物使用及び試験期間中の違法薬物使用(尿薬物試験により決定された)。
【0057】
試験薬物:LSD(D-リゼルグ酸ジエチルアミド塩基、高性能液体クロマトグラフィー純度>99%、Lipomed AG, Arlesheim, Switzerland)は、1mLの96%エタノール中に100(Holze et al., 2019)又は25μgLSDを含有する単位で経口溶液剤として投与された。そのため、対象は、セッション:1)プラセボ/プラセボ、2)25μgLSD/プラセボ、3)25μgLSD/25μgLSD、4)100μgLSD/プラセボ、5)100μgLSD/100μgLSD、6)100μgLSD/100μgLSDごとに2mLのLSD溶液及び/又はプラセボ(96%エタノール)を摂取した。ケタンセリンは、市販薬剤(KETENSIN(登録商標), Janssen)として得て、盲検化を保証するために不透明カプセルでカプセル化された。プラセボは、マンニトールが充填された同一不透明カプセルからなるものであった。そのため、処置に対する盲検化は、それぞれプラセボとしてマンニトール及びエタノールが充填された同一カプセル及びバイアルを用いて、ダブルダミー法により保証された。各セッションの終了時及び試験終了時、参加者は、それらの処置割当てをレトロスペクティブに推測するように要求された。
【0058】
試験手順:試験は、スクリーニング、6つの25時間試験セッション及び試験終了診察を含んでいた。セッションは、静かな標準的病室で行われた。1名の研究対象及び1名の治験医のみが、試験セッション時に存在した。試験セッションは7:45AMに始まった。次いで、対象はベースライン測定を受けた。ケタンセリン(40mg)又はプラセボは8:00AMに投与された。LSD又はプラセボは、9:00AMに投与された。アウトカム尺度は24時間にわたり繰返し評価された。標準化された昼食及び夕食がそれぞれ1:30PM及び6:00PMに供給された。対象は、1:00AMまで治験医による定常的スーパービジョン下にあった。そのため、対象は、薬物投与後の最初の16時間にわたり決して一人にはならず、治験医は、24時間まで対象の隣の部屋に居た。対象は、翌日9:15AMに家に送られた。
【0059】
自覚薬物作用:LSD投与の1時間前並びに0、0.5、1、1.5、2、2.5、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、16及び24時間後に視覚的アナログスケール(VAS)を用いて自覚作用を繰返し評価した。VASは、「いずれかの薬物作用」、「良い薬物作用」、「悪い薬物作用」、「薬物嗜好」、「薬物ハイ」、「刺激」、「恐怖」、「自我崩壊」、「時間知覚」及び「集中」を含んでいた(Hysek et al., 2014)。VASは、100mm水平線(0~100%)として表され、左側の「まったくなし」から右側の「きわめて大きい」までマークされる。「集中」及び「時間知覚」に対するVASは、2方向であった(±50%)。集中に対して、左側(-50)の「まったくなし」から中間(0)の「普通」及び右側(+50)の「きわめて大きい」まで、並びに「時間知覚」に対して、「遅い」(-50)及び「速い」(+50)でマークされる。薬物により誘発された覚醒意識変容をレトロスペクティブに等級付けするために、LSD投与の24時間後に5D-ASCスケール(Dittrich, 1998、Studerus et al., 2010)を適用した。神秘的経験は、43アイテム及びより新しい30アイテムMEQ(MEQ43(Griffiths et al., 2006)及びMEQ30(Barrett et al., 2015))を含む意識アンケートの100アイテム状態(SOCQ)(Griffiths et al., 2006)のドイツ語版(Liechti et al., 2017)を用いて評価された。薬物投与の1時間前並びに3、6、9、12及び24時間後、60アイテム従属的気分等級スケール(AMRS)(Janke & Debus, 1978)を適用した。
【0060】
自律神経系作用、有害作用及びエンドクリン作用:既に詳述されているように薬物投与の1時間前並びに0、0.5、1、1.5、2.5、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、16及び24時間後、血圧、心拍数及び鼓室体温度を繰返し測定した(Hysek et al., 2010)。薬物投与の1時間前並びに12及び24時間後、66アイテム愁訴リストを用いて有害作用を系統的に評価した(Zerssen, 1976)。このスケールは、合計有害作用スコアを生成し、身体的及び全身的不快感を確実に測定する。
【0061】
血漿中薬物濃度:LSD投与の1時間前並びに0、0.5、1、2、3、4、6、8、10、12、14、16及び24時間後、リチウムヘパリンチューブ中に血液を採取した。ただちに血液サンプルを遠心分離し、続いて分析まで-80℃で血漿を貯蔵した。以前に詳細に記載されているように、検証超高性能液体クロマトグラフィータンデム質量分析法を用いてLSD及びO-H-LSDの血漿中濃度を決定した(Holze et al., 2019)。
【0062】
薬動学的分析及び薬動学的-薬力学的モデリング:以前に詳細に記載されているように(Holze et al., 2019)、1次入力、1次除去及び無遅延時間を用いて1コンパートメントモデルにより、薬動学的パラメーターを推定したPhoenix WinNonlin 6.4(Certara, Princeton, NJ, USA)。
【0063】
データ解析:ピーク(Emax及び/又はEmin)又はベースラインからのピーク変化(ΔEmax)値を繰返し測定で決定した。次いで、Statistica 12ソフトウェア(StatSoft, Tulsa, OK, USA)を用いて薬物を対象内因子として繰返し測定分散分析(ANOVA)により値を解析し、続いてテューキー事後比較を行った。有意性の基準はp<0.05であった。
【0064】
結果
自覚薬物作用:VAS及びAMRSで自覚作用対時間をそれぞれ
図1A~1I及び
図2A~2Fに示す。LSD又はプラセボをt=0時間で投与した。LSDは、100μg用量まで用量依存の良い薬物作用を誘発した。200μgLSD用量は、100μg用量と比較して、自我崩壊をさらに増加させたが、良い薬物作用も薬物嗜好も、LSDに関連しない。データは、16名の対象において平均±SEM%最大値として表される。対応するピーク反応及び統計は、
図3に提示される。心及び神秘的タイプの作用の変容は、それぞれ
図4A~4C及び
図5に示され、統計は、
図3に示される。プラセボに対する等級は、可視化するには低すぎるため、ここでは表されなかった。LSDは、プラセボと比較して有意な「いずれかの薬物作用」を生じた25μg用量から始めて用量依存主観的反応を呈した(P<0.05)。LSD用量を増加させるとほとんどのスケール(とくにポジティブ自覚作用を参照するもの)で100μg用量においてシーリング作用を達成し、典型的には100及び200μgLSD用量間に有意差はなかった(
図1A~1I、4A~4C及び5)。しかしながら、200μg用量は、100μg用量よりも、VASで有意に大きい自我崩壊(
図1A~1I)、5D-ASCで大きい不安自我崩壊(
図4A~4C)及び大きい主観的ネガティブナディア作用(
図5)を生じた(すべてP<0.05)。一貫して、200μgLSD用量のみは、5D-ASC(
図4A~4C)及びAMRS(
図2A~2F)で有意な不安を誘発したが、100μgは誘発しなかった(両方ともP<0.01)。そのため、100μg超のLSDの用量では自我崩壊及び不安のみが増加した。
【0065】
心血管作用、自律神経系作用、有害作用及びエンドクリン作用:自律神経系作用対時間及びそれぞれのピーク効果は、それぞれ
図6A~6D及び
図3に示される。多くの場合、報告された有害作用は、
図7に提示される。LSDは、50μg以上の用量では血圧並びに100及び200μgでは心拍数を中程度に、ただし有意に増加させたにすぎない(
図6A~6D)。LSDは、体温に影響を及ぼさなかった。100及び200μg用量のLSDは、プラセボ及びすべての他の条件と比較して、LCで合計急性(0~12時間)有害作用スコアを増加させた。重篤有害イベントは、観測されなかった。
【0066】
薬動学:
図8は、LSDの薬動学的パラメーターを示す。モデル予測LSD濃度及び作用対時間は、
図9A~9Eに示される。LSDの血漿中濃度は、用量の増加に比例して増加した(
図9A~9E)。
図9Aは、25、50、100及び200μgでの血漿中LSD濃度-時間曲線を示す。
図9B~9Eは、(
図9B)「いずれかの薬物作用」、(
図9C)「良い薬物作用」、(
図9D)「悪い薬物作用」及び(
図9E)「自我崩壊」に関する視覚的アナログスケール等級(0~100%)でのLSD作用-時間曲線を示す。LSD投与は、LSDの血漿中濃度の用量比例的増加をもたらしたが、その主観的な良い薬物作用は、200μg用量と比較して100ではより大きいポジティブ作用を伴うことなくシーリングを達成する。これとは対照的に、悪い薬物作用及び自我崩壊は、100μgLSD用量と比較して200μgではさらに増加することから、100μgを超えるLSD用量は、より大きい良い薬物作用を生じないが、より多くの自我崩壊及び不安を生じることが示唆された。データは、t=0hでの25、50,100及び200μgLSD又はプラセボの投与後の16名の対象における平均±SEMとして表される。ラインは、薬動学的-薬力学的モデルに基づく個別予測の平均を表す。LSDのいずれかの及び良い薬物作用は、100μgでシーリング作用を示し、一方、より高い悪い薬物作用及びより大きい自我崩壊は、100μgと比較して200μgで報告された(
図9A~9E)。LSD反応の発症までの時間は減少し、消失までの時間は増加したため、LSD用量の増加に伴って長い作用持続時間をもたらした(
図9A~9E及び
図10)。ノンコンパートメント解析に基づく薬動学的パラメーターは、
図11及び
図12に示される。PK-PD連結モデルに対するパラメーターは、
図13にまとめられる。
【0067】
盲検化:参加者のLSD用量条件のレトロスペクティブ同定に関するデータは、
図14に示される。一般に、100μg~200μg用量は、高用量として同定されたが、区別できなかった。25μg用量のLSDは、プラセボから区別され、ほとんどの参加者により適正に同定されたか又は50μgLSDとして同定された。
【0068】
実施例2
サイケデリック剤は、神経再生を誘発可能であり(Ly et al., 2018)、LSDは、ニューロン可塑性を増強する。血漿中脳由来神経栄養因子(BDNF)レベルは、神経形成に対する可能なバイオマーカーである(Haile et al., 2014)。より高いBDNFレベルは、アヤワスカの投与後、より低い鬱状態等級に関連した(de Almeida et al., 2019)。
【0069】
ベースライン及び薬物投与の6、12及び24時間後、Biosensis Mature BDNF Rapid ELISA Kit(Thebarton, Australia)(Akimoto et al., 2019)を用いて血漿中BDNFレベルを測定した。
図15は、200μgLSDがプラセボと比較してBDNF血漿中濃度を有意に増加させ6時間でピークを有することを示す。加えて、より低用量のLSD後又はLSDと併用されたケタンセリン後、血漿中BDNFの非有意増加が見られた。BDNFレベルは200μgの最高LSD用量で最も高いが、25μgなどのより低い用量は100μgと同様により高い用量とオーバーラップする。言い換えると、より低用量又はマイクロ用量は、100μgのより高いサイケデリック用量と同程度の作用を有し得る。ケタンセリンは、LSD前に与えられたとき、5-HT2aレセプターでLSD副作用をブロックするが、BDNFレベルは上昇する。BDNF作用は、幻覚経験に関連する5-HT2aレセプターをブロックすることにより排除されない。BDNFは、LSDの抗鬱作用に対する可能なマーカーとして使用可能である。
【0070】
ケタンセリンは、LSDと共に使用可能であり、サイケデリック反応をブロックしても、BDNF増加の維持に基づいて依然として抗鬱長期利益を可能にする。
【0071】
本願全体を通して、米国特許をはじめとする各種の刊行物は、著者及び年号並びに特許番号により参照される。刊行物に対する全引用は、以下に列挙される。これらの刊行物及び特許の開示は、本発明が関連する技術分野の現状をより詳細に説明するために、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0072】
本発明は、例示的に記載されており、用いられている用語は、限定ではなく、説明語の性質を有することが意図されるものと理解されるべきである。
【0073】
明らかに、以上の教示に照らして本発明の多くの修正形態及び変更形態が可能である。したがって、具体的に記載された以外にも、添付の特許請求の範囲内で本発明を実施可能であるものと理解されるべきである。
【0074】
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