(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-24
(54)【発明の名称】超音波誘導によるフリーハンドでの生検針及び/又は焼灼針の挿入のための針ガイド
(51)【国際特許分類】
A61B 8/12 20060101AFI20230517BHJP
【FI】
A61B8/12
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022562694
(86)(22)【出願日】2020-04-16
(85)【翻訳文提出日】2022-11-29
(86)【国際出願番号】 IB2020053628
(87)【国際公開番号】W WO2021209794
(87)【国際公開日】2021-10-21
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522401626
【氏名又は名称】ビーケイ・メディカル・エイピーエス
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100151286
【氏名又は名称】澤木 亮一
(72)【発明者】
【氏名】ホールデンスガード ロッセン,ラスマス
(72)【発明者】
【氏名】スヴァンベルグ ニールセン,トーベン
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601EE11
4C601FE07
4C601FF03
4C601FF04
4C601FF11
4C601GB03
(57)【要約】
器具ガイド(334)が超音波撮像プローブ(304)に取り付け可能であって、針を誘導する。器具ガイドは、長さ(404)、幅(406)、及び高さ(408)と、当該器具ガイドを超音波撮像プローブに結合するように構成された結合器(336)と、超音波誘導による処置のために針の配置を誘導するように構成された単一の細長い針ガイド・スロット(410)とを含んでいる。もう一つの例では、器具ガイドは、結合器(336)を介してプローブに取り付けられる。また、方法が、針ガイドを超音波撮像プローブに取り付けるステップであって、針ガイドは、超音波誘導による針配置処置中に針の配置を誘導するように構成された単一の細長い針ガイド・スロットを含んでいる、取り付けるステップと、着目組織に対してプローブを配置するステップと、針ガイドを用いて着目組織に針を配置するステップとを含んでいる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波撮像プローブ(304)に取り付け可能であり、針を誘導する器具ガイド(334)であって、
長さ(404)、幅(406)、及び高さ(408)と、
当該器具ガイドを前記超音波撮像プローブに結合するように構成された結合器(336)と、
超音波誘導による処置のために前記針の配置を誘導するように構成された単一の細長い針ガイド・スロット(410)と
を備えた器具ガイド(334)。
【請求項2】
前記単一の細長いスロットは、矢状面画像平面における前記針の自由な平面内移動を可能にする、請求項1に記載の器具ガイド。
【請求項3】
前記単一の細長いスロットは、前記矢状面画像平面における前記針の平面外移動を制限する、請求項2に記載の器具ガイド。
【請求項4】
間に非ゼロ間隙を設けた前記高さに沿った相対向する内壁(436及び438)と、
間に非ゼロ間隙を設けた前記長さに沿った相対向する内壁(440及び442)と
を含んでおり、
前記幅に沿った壁は含んでおらず、
前記各内壁が前記単一の細長い針ガイド・スロットを形成する、請求項1から請求項3の何れか1項に記載の器具ガイド。
【請求項5】
当該器具ガイドは、
前記結合器に結合された第一の端(806)、及び
反対側の第二の端(808)
を含む第一の脚(802)と、
第一の端(812)及び
反対側の第二の端(814)
を含む第二の脚(804)と、
前記第一の脚の前記反対側の第二の端を前記第二の脚の前記第一の端に結合する軸受(810)と
を含んでおり、
前記軸受は、前記第一及び第二の脚が、当該第一の脚の前記第一の端が当該第二の脚の前記反対側の第二の端に物理的に接触するような第一の位置と、当該第一の脚の前記第一の端が当該第二の脚の前記反対側の第二の端から非ゼロの距離だけ分離されているような少なくとも一つの他の位置との間で、XY平面において互いに対して回転することを可能にするように構成されている、請求項1から請求項4の何れか1項に記載の器具ガイド。
【請求項6】
当該器具ガイドは、
前記結合器に結合された第一の端、及び
陥凹(1004)付きの反対側の第二の端
を含む第一の脚と、
突起(1002)付きの第一の端、及び
反対側の第二の端
を含む第二の脚と
を含んでおり、
前記陥凹は前記突起を収容するように構成されており、前記第一及び第二の脚は、前記突起が前記陥凹内に位置しているときには合わせて固定され、前記第一及び第二の脚は、前記突起が前記陥凹内に位置していないときには分離可能である、請求項1から請求項4の何れか1項に記載の器具ガイド。
【請求項7】
前記結合器に結合された第一の端、及び
ファスナ(1202)付きの反対側の第二の端
を含む第一の脚と、
相補的なファスナ(1204)付きの第一の端、及び
反対側の第二の端
を含む第二の脚と
を含んでおり、
前記第一及び第二の脚は、前記ファスナ及び前記相補的なファスナが係合されているときには合わせて固定され、前記第一及び第二の脚は、前記ファスナ及び前記相補的なファスナが係合されていないときには分離可能である、請求項1から請求項4の何れか1項に記載の器具ガイド。
【請求項8】
前記結合器に結合された第一の端、及び
鉤(1402)付きの反対側の第二の端
を含む第一の脚と、
第一の端及び
反対側の第二の端
を含む第二の脚と
を含んでおり、
前記第一及び第二の脚は、前記鉤が前記反対側の第二の端の背面(1404)にスナップ嵌合されているときには合わせて固定され、前記第一及び第二の脚は、前記鉤が前記反対側の第二の端の前記背面にスナップ嵌合されていないときには分離可能である、請求項1から請求項4の何れか1項に記載の器具ガイド。
【請求項9】
超音波撮像プローブ
をさらに含んでおり、該超音波撮像プローブは、
当該プローブの矢状面において画像平面を生成するように構成された素子(316)
を含むトランスデューサ・アレイ(314)
を含んでいる、請求項1から請求項8の何れか1項に記載の器具ガイド。
【請求項10】
超音波撮像プローブと、
長さ、幅、及び高さを有する器具ガイドと
を備えたシステム(302)であって、
前記超音波撮像プローブは、
当該プローブの矢状面において画像平面を生成し、これにより矢状面画像平面を生成するように構成された素子
を含むトランスデューサ・アレイ
を含んでおり、
前記器具ガイドは、
当該器具ガイドを前記超音波撮像プローブに結合するように構成された結合器と、
超音波誘導による処置のために針の配置を誘導するように構成された単一の細長い針ガイド・スロットと
を含んでいる、システム(302)。
【請求項11】
前記単一の細長いスロットは、前記矢状面画像平面における前記針の自由な平面内移動を可能にする、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記単一の細長いスロットは、前記矢状面画像平面における前記針の平面外移動を制限する、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記器具ガイドは、
間に非ゼロ間隙を設けた前記高さに沿った相対向する内壁と、
間に非ゼロ間隙を設けた前記長さに沿った相対向する内壁と
を含んでおり、
前記幅に沿った内壁は含んでおらず、
前記各内壁により画定される空洞が、前記単一の細長い針ガイド・スロットである、請求項10から請求項12の何れか1項に記載のシステム。
【請求項14】
前記器具ガイドは、
前記結合器に結合された第一の端、及び
反対側の第二の端
を含む第一の脚と、
第一の端及び
反対側の第二の端
を含む第二の脚と、
前記第一の脚の前記反対側の第二の端を前記第二の脚の前記第一の端に結合する軸受と
を含んでおり、
前記軸受は、前記第一及び第二の脚が、当該第一の脚の前記第一の端が当該第二の脚の前記反対側の第二の端に物理的に接触するような第一の位置と、当該第一の脚の前記第一の端が当該第二の脚の前記反対側の第二の端から非ゼロの距離だけ分離されているような少なくとも一つの他の位置との間で、XY平面において互いに対して回転することを可能にするように構成されている、請求項10から請求項12の何れか1項に記載のシステム。
【請求項15】
前記器具ガイドは、
前記結合器に結合された第一の端、及び
陥凹付きの反対側の第二の端
を含む第一の脚と、
突起付きの第一の端、及び
反対側の第二の端
を含む第二の脚と
を含んでおり、
前記陥凹は前記突起を収容するように構成されており、前記第一及び第二の脚は、前記突起が前記陥凹内に位置しているときには合わせて固定され、前記第一及び第二の脚は、前記突起が前記陥凹内に位置していないときには分離可能である、請求項10から請求項12の何れか1項に記載のシステム。
【請求項16】
前記結合器に結合された第一の端、及び
ファスナ付きの反対側の第二の端
を含む第一の脚と、
相補的なファスナ付きの第一の端、及び
反対側の第二の端
を含む第二の脚と
を含んでおり、
前記第一及び第二の脚は、前記ファスナ及び前記相補的なファスナが係合されているときには合わせて固定され、前記第一及び第二の脚は、前記ファスナ及び前記相補的なファスナが係合されていないときには分離可能である、請求項10から請求項12の何れか1項に記載のシステム。
【請求項17】
前記結合器に結合された第一の端、及び
鉤付きの反対側の第二の端
を含む第一の脚と、
第一の端及び
反対側の第二の端
を含む第二の脚と
を含んでおり、
前記第一及び第二の脚は、前記鉤が前記反対側の第二の端の背面にスナップ嵌合されているときには合わせて固定され、前記第一及び第二の脚は、前記鉤が前記反対側の第二の端の前記背面にスナップ嵌合されていないときには分離可能である、請求項10から請求項12の何れか1項に記載のシステム。
【請求項18】
針ガイドを超音波撮像プローブに取り付けるステップであって、前記針ガイドは、超音波誘導による針配置処置中に針の配置を誘導するように構成された単一の細長い針ガイド・スロットを含んでいる、取り付けるステップと、
着目組織に対して前記プローブを配置するステップと、
前記針ガイドを用いて前記着目組織に針を配置するステップと
を備えた方法。
【請求項19】
前記針は生検針又は焼灼針である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記針ガイドを開くステップと、
前記超音波撮像プローブから前記針ガイドを取り外すステップと、
前記配置された針により処置を行なうステップと
をさらに含んでおり、
前記針は焼灼針である、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下は一般的には、超音波に関し、さらに具体的には、超音波誘導によるフリーハンドでの生検針及び/又は焼灼針の挿入のための針ガイドに関する。以下はまた、他の器具の誘導にも適用可能である。
【背景技術】
【0002】
超音波撮像は、検査を受けている対象物又は被検体の内部の特性について有用な情報を提供してきた。かかる撮像は、経直腸式超音波誘導によるフリーハンドでの経会陰式の生検針及び焼灼針の挿入を含む。かかる処置のために、針ガイドを超音波プローブに取り付け、針ガイドは生検針又は焼灼針を誘導するための幾つかの別個の通路を含んでいる。
図1は、直腸内プローブ102に取り付けられた従来技術の針ガイド100の一例の等角図を示し、
図2は、針ガイド100及び直腸内プローブ102の背後から見た104針ガイド100及び直腸内プローブ102の図を示す。
【0003】
プローブ102は、第一の端108と、第一の端108に対向する第二の端110(すなわち反対側の第二の端110)とを有する把手106を含んでいる。プローブ102はさらに、プローブ102と信号及び/又はデータを授受する第一の端に位置するケーブル112を含んでいる。プローブ102はさらに、把手104の上面116において第一及び第二の相対向する端108と110との間に位置する制御部114を含んでいる。プローブ102はさらに、第一の端120と、第一の端120に対向する第二の端122(すなわち反対側の第二の端122)とを有する細長い管状シャフト118を含んでいる。細長い管状シャフト118の第一の端120は把手106の反対側の第二の端110に結合されている。
【0004】
プローブ102はさらに、細長い管状シャフト118の反対側の第二の端122に配設された音響窓124を含んでいる。音響窓は、プローブ102の長軸126を部分的に下って細長い管状シャフト118の第一の端120へ向かって延在している。プローブ102はさらに、音響窓124の下方で細長い管状シャフト118の内部に格納されて画像平面126を形成するように構成されたトランスデューサ・アレイ(不図示)を含んでいる。長軸126はZ軸に沿って延在しており、ここでXY平面は軸横断面を表わし、ZY平面は矢状面を表わし、XZ平面は冠状面を表わす。
【0005】
針ガイド100は、針ガイド100をプローブ102に着脱自在に取り付けるように構成された締結具128を含んでいる。針ガイド100はさらに、正のY軸方向に締結具128から遠ざかるように延在する部材130を含んでいる。部材130は、一連の個別の通路1321、…、132Nを含んでおり、ここでNは正の整数である(本書ではまとめて通路132と呼ぶ)。個別の通路132は、間に予め決められた間隔(例えば5ミリメートル[5mm])を設けた状態で正のY軸方向に互いの上に静的に配置されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
針ガイド100の場合には、医師は、個別の通路132の静的な位置によって画定される経路に制約される。残念ながら、医師は、通路132を通って着目組織(例えば前立腺の何らかの部分)へ至る生検針経路の1又は複数を阻止する障害物(例えば恥骨弓又は石灰化)に遭遇する場合がある。かかる状況では、医師は、針ガイド100を取り外して、経験に頼って針ガイド100なしで針を自由に移動させ且つ/又は角度を変えざるを得ない場合がある。結果として、生検中に血管及び尿路等のような解剖学的構造が誤って穿刺されて、患者に害を及ぼす可能性がある。
【0007】
加えて、医師は、例えば障害物を回避するように針の経路を再配置するために、超音波プローブを結局移動させ且つ/又は回転させることになる場合がある。しかしながら、これにより組織(例えば前立腺検査における前立腺)が超音波プローブとの物理的接触から力を受けて変形し、これにより、検査時に取得される超音波画像と、磁気共鳴(MR)及び/又は計算機式断層写真法(CT)画像のような術前画像との合成が損なわれて、変形のせいで超音波画像での組織が術前画像での構造と位置が揃わなくなる場合がある。また焼灼針の挿入も、通路142を通した焼灼針経路を阻止するような障害物と遭遇する場合がある。加えて、焼灼針の挿入については、背面に突起した形状を有する焼灼針による焼灼針の挿入の後には、突起した形状が通路142を通って摺動しなくなるため針ガイド100を取り外すことができなくなる。医師が、針ガイド100に邪魔されずに焼灼処置を行ないたければ、医師は針ガイド100なしで焼灼針を配置して、経験に頼って焼灼針を慎重に挿入しなければならない.
【0008】
以上を鑑みて、少なくとも超音波誘導によるフリーハンドでの経会陰式の生検針及び/又は経直腸式の焼灼針の挿入のための改良型針ガイドが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本出願の観点は、上記及び他の問題を扱う。
【0010】
一観点では、システムが、長さ、幅、及び高さを有する器具ガイドと、器具ガイドを超音波撮像プローブに結合するように構成された結合器と、超音波誘導による処置のために針の配置を誘導するように構成された単一の細長い針ガイド・スロットとを含んでいる。
【0011】
もう一つの観点では、システムが、超音波撮像プローブを含んでおり、このプローブは、当該プローブの矢状面において画像平面を生成し、これにより矢状面画像平面を生成するように構成された素子を含むトランスデューサ・アレイを備えている。システムはさらに、長さ、幅、及び高さを有する器具ガイドと、器具ガイドを超音波撮像プローブに結合するように構成された結合器と、超音波誘導による処置のために針の配置を誘導するように構成された単一の細長い針ガイド・スロットとを含んでいる。
【0012】
さらにもう一つの観点では、方法が、針ガイドを超音波撮像プローブに取り付けるステップを含んでおり、針ガイドは、超音波誘導による針配置処置中に針の配置を誘導するように構成された単一の細長い針ガイド・スロットを含んでいる。方法はさらに、着目組織に対してプローブを配置するステップを含んでいる。方法はさらに、針ガイドを用いて着目組織に針を配置するステップを含んでいる。
【0013】
当業者は、以下の記載を読解すると本出願のさらに他の観点を認められよう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本出願は、添付図面の図によって例として非限定的に図示説明される。図面では、類似の参照符号は類似の要素を示す。
【0015】
【
図1】間に所与の間隔を設けた複数の予め決められた個別の静的な通路を含む従来技術の針ガイドが超音波プローブに装着されている様子を示す等角図である。
【
図2】超音波プローブ及び針ガイドの背面からの線図である。
【
図3】本書の実施形態による超音波コンソール、超音波プローブ、器具ガイド、及び結合器を含むシステムの線図である。
【
図4】本書の実施形態による器具ガイドの線図であって、細長い針ガイド・スロットを設けた様子を示す器具ガイドの線図である。
【
図5】本書の実施形態による
図4の器具ガイドの線図であって、細長い針ガイド・スロットの内壁を示す図である。
【
図6】本書の実施形態による
図4及び
図5の器具ガイド及びプローブを上から下に見て針経路を示す線図である。
【
図7】本書の実施形態による
図4及び
図5の器具ガイド及びプローブの側面から見て針経路を示す線図である。
【
図8】本書の実施形態による第一及び第二の脚が合わさった状態の器具ガイドの変形を示す線図である。
【
図9】本書の実施形態による第一及び第二の脚が分離された状態の
図8の変形を示す線図である。
【
図10】本書の実施形態による第一及び第二の脚が合わさった状態の器具ガイドのもう一つの変形を示す線図である。
【
図11】本書の実施形態による第一及び第二の脚が分離された状態の
図10の変形を示す線図である。
【
図12】本書の実施形態による第一及び第二の脚が合わさった状態の器具ガイドのさらにもう一つの変形を示す線図である。
【
図13】本書の実施形態による第一及び第二の脚が分離された状態の
図12の変形を示す線図である。
【
図14】本書の実施形態による第一及び第二の脚が合わさった状態の器具ガイドのさらにもう一つの変形を示す線図である。
【
図15】本書の実施形態による第一及び第二の脚が分離された状態の
図14の変形を示す線図である。
【
図16】本書の実施形態による方法を示す図である。
【
図17】本書の実施形態によるもう一つの方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図3は、超音波イメージング・システム/スキャナのようなイメージング・システム302の一例を示す。イメージング・システム302は、プローブ304と、コンソール306とを含んでおり、適当な相補型ハードウェア(例えば図示のようなケーブル・コネクタ308及び310とケーブル312等)及び/又は無線インタフェイス(不図示)を介して互いに繋がっている。
【0017】
プローブ304は、1又は複数のトランスデューサ素子316を有するトランスデューサ・アレイ314を含んでいる。1又は複数のトランスデューサ素子316は、1D若しくは2D、線形、曲線、及び/又は他の形状として、また完全充填で又は疎らに配置されている等のアレイとして構成されている。素子316は、励起電気パルスを超音波圧力場へ変換し、また反射した受信超音波圧力場(エコー)を電気的(例えば無線周波数(RF))エコー信号へ変換するように構成されている。プローブ304は、少なくとも経会陰式及び/又は経直腸式の超音波誘導による処置用に構成されている。かかるプローブの一例は、
図1のプローブ102である。本書では他のプローブも思料される。
【0018】
コンソール306は、励起電気パルスを発生するように構成された送波回路(TX)318と、RF信号を処理する、例えばRF信号を増幅し、ディジタル化し、且つ/又は他の方法で処理するように構成された受波回路(RX)320とを含んでいる。コンソール306はさらに、送受波動作のために、例えばTX318とRX320とを電気的に接続したり電気的に切断したりすることによりTX318とRX320との間を切り換えるように構成されたスイッチ(SW)322を含んでいる。代替的な実施形態では、TX318及びRX320は各々、自身のスイッチに接続される。
【0019】
コンソール306はさらに、RX320からの信号を処理するように構成されたエコー・プロセッサ324を含んでいる。例えば、一例では、エコー・プロセッサ324は、信号をビーム形成(例えば遅延加算)して、データの走査線から成る走査面を構築するように構成されている。エコー・プロセッサ324は、1D及び/又は2Dプローブからのデータを2D、3D及び/又は4D応用向けに処理することができる。エコー・プロセッサ324は、中央処理ユニット(CPU)、グラフィックス処理ユニット(GPU)、及びマイクロプロセッサ等のようなハードウェア・プロセッサによって具現化され得る。
【0020】
コンソール306はさらに、エコー・プロセッサ324の出力を表示器328の座標系へ走査変換するように構成されたスキャン・コンバータ326を含んでおり、表示器328は走査変換後のデータを画像として表示する。一例では、走査変換は、信号の垂直走査周波数及び/又は水平走査周波数を表示器328に基づいて変化させることを含んでいる。スキャン・コンバータ326は、アナログ走査変換手法及び/又はディジタル走査変換手法を用いるように構成され得る。一例では、画像は矢状面の画像である。
【0021】
コンソール306はさらに、1又は複数の入力装置(例えばボタン、タッチ・パッド、及びタッチ・スクリーン等)、及び1又は複数の出力装置(例えば表示画面、及びスピーカ等)を含むユーザ・インタフェイス330を含んでいる。コンソール306はさらに、プローブ304、送波回路318、受波回路320、スイッチ322、エコー・プロセッサ324、スキャン・コンバータ326、表示器328、ユーザ・インタフェイス330、及び/又はイメージング・システム302の1若しくは複数の他の構成要素の1又は複数を制御するように構成された制御器332を含んでいる。
【0022】
図示の実施形態では、イメージング・システム302は、例えば生検針及び焼灼針等を誘導するための針ガイドのような器具保持器334と共に用いられる。このようなものとして、一例では、器具保持器334を用いて、生検針を対象物又は被検体の内部の目標領域まで誘導する。もう一つの例では、器具保持器334を用いて、焼灼針を対象物又は被検体の内部の目標領域まで誘導する。結合器336が、器具保持器334とプローブ304とを結合している。結合器136の一例は、
図1及び
図2の締結具である。本書では針ガイドをプローブに取り付ける他の公知の結合器も思料される。
【0023】
後に詳細に説明するように、一例では、器具保持器334は、平面外移動を制限しつつ超音波矢状面画像平面の内部(平面内)で生検針及び/又は焼灼針を自由に移動させることを可能にする。一例では、このことは、誘導のための特徴として閉じた細長いスロットを用いることにより達成される。かかるスロットは、予め決められた間隔の静的な通路位置のため針ガイドの一つの通路の経路において障害物(例えば恥骨弓又は石灰化)に遭遇する、或いは針ガイドが全くない状態で針を挿入せざるを得ず、組織に穿刺して害を及ぼす可能性を生む、といった短所を軽減する。
【0024】
また後に詳細に説明するように、もう一つの実施形態では、器具保持器334は、焼灼処置のための焼灼針配置の後にプローブ304から取り外され得るように構成される。一例では、このことは、細長いスロットが配置中には閉じたスロットとなり、次いで配置後には開くように構成されて、焼灼針を所定の位置に留めたまま器具保持器334を取り外すことができるようにした構成を通じて達成される。このことは加えて、処置器具保持器334を所定の位置に留めたまま焼灼を行なわなければならなかったり、器具保持器334がない状態でフリーハンドで針配置を行なわなければならなかったり、且つ/又はフリーハンドでの誘導によって多数の焼灼針を追加しなければならなかったりすることを軽減する。
【0025】
図4及び
図5は、結合器336を介してプローブ304の小部分402に結合された器具保持器334の非限定的な例の等角図を示す。ここでもプローブ304の例は
図1及び
図2のプローブ102を含んでいる。本実施形態では、小部分402は、
図1における把手104の部分に対応している。
図4及び
図5は同等であるが、
図5は、
図4に示す視点からの外から全てが見える訳ではない内壁の線を示すために、付加的な点線400を含んでいる点が異なる。分かり易くするために、各々の参照番号は
図4又は
図5の一方にのみ示されており、両方には示されていない。
【0026】
この例では、器具保持器334は矩形角柱形状であり、長さ404は5mmから50mmの範囲、幅406は0.7176mmよりも大きく2.108mmよりも大きい(例えば0.75mmから2.2mm)XmmからYmmの範囲、高さ408は3mmから65mmの範囲にある。単一の細長いスロット410が、幅406の全体にわたり第一の側面412から第二の側面414まで延在しており、各々の側面において開口416及び418を形成している。単一の細長いスロット410は側面420、422、424、及び426によって、それぞれ内壁436、438、440、及び442によって完全に包囲されている。本実施形態では、単一の細長いスロット410も矩形角柱形状である。本書では他の形状の器具保持器334及び/又は単一の細長いスロット410(円弧形、円形、曲線形、及び不規則形状等の側面を含む)、長さ404、幅406、並びに高さ408等も思料される。本実施形態では、他にスロットは存在しない.
【0027】
スロット410の長さ444は、スロット410が幅406を完全に貫通して延在しているので、長さ404と同じである。スロット410の幅446は、0.7176mmから2.108mmの範囲にある(例えば22ゲージから14ゲージの針を収納するため)。スロット410の高さ448は50mmから70mmの範囲にある。長さ444、幅446、及び高さ448は、生検針及び/又は焼灼針を第一の側面412から第二の側面414まで通過させると共に、平面外に移動しないようにしながら平面内を自由に移動し得るようにするようなものとする。
図6は、ガイド100が経路602、604、606、及び608を幅446に沿って限定していることをプローブ102の頂部116から示し、
図7は、高さ448に沿ったフリーハンド経路702、704、706、及び708をプローブ102の側面から示す。
【0028】
図8及び
図9は、器具保持器334の変形を背面104から線図で示す。この変形によれば、器具保持器334は、第一の脚802及び第二の脚804を含んでいる。第一の脚802の第一の端806が結合器336に結合されている。第一の脚802の反対側の第二の端808が軸受810に結合されている。第二の脚804の第一の端812も軸受810に結合されている。第二の脚804の反対側の第二の端814は何れの構成要素にも結合されていない。軸受810は、第一及び第二の脚802及び804がXY平面において互いに対して回転することを可能にするように構成されている。
【0029】
図8は、第一の脚802が第二の脚802へ向けて回転して、第二の脚804の反対側の第二の端814が第一の脚802の第一の端806と物理的に接触し、閉じたスロット410を形成する様子を示す。この位置では、第二の脚804の反対側の第二の端814と第一の脚802の第一の端806との間の角度αはゼロ(0)である。
図9は、第一の脚802が第二の脚802から遠ざかるように約45度回転して、第二の脚804の反対側の第二の端814が第一の脚802の第一の端806から非ゼロの距離816だけ分離された様子を示す。
【0030】
図8及び
図9は約45度の回転を示すが、他の実施形態では、最大回転はさらに大きくても小さくてもよい。例えば一例では、最大回転は45度よりも小さい。もう一つの例では、最大回転は90度である。もう一つの例では、最大回転は180度である。もう一つの例では、最大回転は270度である。もう一つの例では、最大回転は270度よりも大きく、例えば第二の脚804の反対側の第二の端814が第一の脚802の第一の端806又は結合器336に物理的に接触する。
【0031】
回転は一般的には、器具ガイド334を用いた焼灼針の配置の後に、焼灼針を用いて焼灼処置を行ない得るように所定の位置に焼灼針を残したまま器具ガイド334を取り外すことを可能にする間隙を距離816が設けるのに十分なだけ、第二の脚804の反対側の第二の端814が回転し得るようなものとする。軸受810の非限定的な例は蝶番である。適当な蝶番の例としては、ばね付き蝶番、隠れ蝶番(barrel hinge)、ピボット蝶番、及び/又は上述のような回転を可能にする他の蝶番が挙げられる。
【0032】
図10及び
図11は、器具保持器334のもう一つの変形を背面104から線図で示す。この変形によれば、第二の脚804の端812及び端814が突起1002を含んでおり、第一の脚802の端808及び814が陥凹1004を含んでいる。各々の突起1002は、摺動して及び陥凹1004の一つに出入りするように構成されている。陥凹1004に摺動して入っているときには、突起1002は第二の脚802に係合して第一及び第二の脚802及び804を合わせて固定する。陥凹1004から摺動して出ているときには、突起1002は第二の脚802との係合を外れて、第二の脚804は第一の脚から遠ざかって移動することができる。
【0033】
同様に、上記により、焼灼針の配置の後に、焼灼針を用いて焼灼処置を行ない得るように焼灼針を残したまま器具ガイド334を取り外すことが可能になる。本書では突起及び陥凹の他の構成も思料される。加えて、
図10及び
図11は、二組又は二対の突起及び陥凹1002及び1004を示す。もう一つの実施形態では、器具ガイド334は一対のみの突起及び陥凹1002及び1004を含む。もう一つの実施形態では、器具ガイド334は二対よりも多い突起及び陥凹1002及び1004を含む。
【0034】
図12及び
図13は、器具保持器334のもう一つの変形を背面端104から線図で示す。この変形によれば、端806及び808、並びに端812端814はそれぞれ、相補的なファスナ1202及び1204を含んでおり、これらのファスナ1202及び1204は、合わせて咬合されると係合し、また引き離されると係合が外れる。適当なファスナの実例としては、フック・ループ型、フック・パイル型、タッチ型、及び/又は他のファスナが挙げられる。一つの具体的なファスナは、VELCRO(登録商標)ブランドのファスナであり、このファスナは、米国ニュー・ハンプシャー州マンチェスターに本社を置くVelcro Companiesの製品である。本書では他のファスナも思料される。
【0035】
同様に、焼灼針の配置の後に、相補的なファスナ1202及び1204を分離すると、焼灼針を用いて焼灼処置を行ない得るように焼灼針を残したまま器具ガイド334を取り外すことが可能になる。本書では他の構成も思料される。加えて、
図12及び
図13は、二組又は二対のファスナ1202及び1204を示す。もう一つの実施形態では、器具ガイド334は一対のみのファスナ1202及び1204を含む。もう一つの実施形態では、器具ガイド334は二対よりも多いファスナ1202及び1204を含む。
【0036】
図14及び
図15は、器具保持器334のもう一つの変形を背面端104から線図で示す。この変形によれば、第二の脚804の端812及び端814が鉤1402を含んでいる。鉤1402の各々がそれぞれ、第一の脚802の第一及び第二の端806及び808を抱き込んでスナップ嵌合し、これにより鉤1402を第一の脚802の背面1404に係合させるように構成されている。スナップ嵌合されると、鉤1402は第二の脚802と係合して、第一及び第二の脚802及び804を合わせて固定する。解除されると、鉤1402は第二の脚802との係合を外れて、第二の脚804は第一の脚802から遠ざかって移動することができる。
【0037】
同様に、これにより、焼灼針の配置の後に、焼灼針を用いて焼灼処置を行ない得るように焼灼針を残したまま器具ガイド334を取り外すことが可能になる。本書では他の構成の鉤1402も思料される。加えて、
図14及び
図15は二組の鉤1402を示す。もう一つの実施形態では、器具ガイド334は一つのみの鉤1402を含む。もう一つの実施形態では、器具ガイド334は二つよりも多い鉤1402を含む。
【0038】
【0039】
ブロック1602では、本書に記載されているようにして且つ/又は他の方法で、器具ガイド334をプローブ304に取り付ける。
【0040】
ブロック1604では、着目組織を撮像するようにプローブ304を配置する。
【0041】
ブロック1606では、本書に記載されているようにして且つ/又は他の方法で、器具ガイド334を用いて着目組織に器具を配置する。
【0042】
次いで、器具を用いて処置を行なう。一旦、処置が完了したらプローブ303を取り外すことができる。
【0043】
【0044】
ブロック1702では、本書に記載されているようにして且つ/又は他の方法で、器具ガイド334をプローブ304に取り付ける。
【0045】
ブロック1704では、着目組織を撮像するようにプローブ304を配置する。
【0046】
ブロック1706では、器具ガイド334を用いて着目組織に少なくとも一つの焼灼針を配置する。
【0047】
ブロック1708では、本書に記載されているようにして且つ/又は他の方法で、器具ガイド334の第一及び第二の脚802及び804を分離させる。
【0048】
ブロック1710では、本書に記載されているようにして且つ/又は他の方法で、少なくとも器具ガイド334を取り外す。
【0049】
次いで、少なくとも一つの焼灼針によって焼灼処置を行なう。一旦、処置が完了したら、プローブ303を取り外すことができる。
【0050】
本出願は、様々な実施形態に関して記載されている。本出願を読めば読者には改変及び変形が想到されよう。発明は、特許請求の範囲及びその均等構成の範囲内にある限りのものを含めてかかる全ての改変及び変形を含むと解釈されるものとする。
【符号の説明】
【0051】
100 針ガイド
102 直腸内プローブ
104 背後からの視線
106 把手
108 プローブ102の第一の端
110 プローブ102の第二の端
112 ケーブル
114 制御部
116 把手106の上面
118 管状シャフト
120 管状シャフト118の第一の端
122 管状シャフト118の第二の端
124 音響窓
126(右) プローブ102の長軸
126(左) 画像平面
128 締結具
130 部材
132 通路
1321 第一の通路
132N 第Nの通路
302 イメージング・システム
308、310 ケーブル・コネクタ
312 ケーブル
334 器具保持器(器具ガイド)
336 結合器
400 内壁を示す点線
402 プローブ304の小部分
404 器具保持器334の長さ
406 器具保持器334の幅
408 器具保持器334の高さ
410 スロット
412 第一の側面
414 第二の側面
416、418 開口
420、422、424、426 側面
436、438、440、442 内壁
444 スロット410の長さ
446 スロット410の幅
448 スロット410の高さ
602、604、606、608 経路
702、704、706、708 フリーハンド経路
802 第一の脚
804 第二の脚
806 第一の脚802の第一の端
808 第一の脚802の第二の端
810 軸受
812 第二の脚804の第一の端
814 第二の脚804の第二の端
816 非ゼロの距離
1002 突起
1004 陥凹
1202、1204 ファスナ
1402 鉤
1404 第一の脚802の背面
【国際調査報告】