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特表2023-521449血糖応答を判定するための改善された方法
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  • 特表-血糖応答を判定するための改善された方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-24
(54)【発明の名称】血糖応答を判定するための改善された方法
(51)【国際特許分類】
   G16H 20/00 20180101AFI20230517BHJP
【FI】
G16H20/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022562762
(86)(22)【出願日】2021-04-16
(85)【翻訳文提出日】2022-11-01
(86)【国際出願番号】 EP2021059992
(87)【国際公開番号】W WO2021209630
(87)【国際公開日】2021-10-21
(31)【優先権主張番号】20170160.4
(32)【優先日】2020-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522402232
【氏名又は名称】パーフード ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トウェステン,クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】シュレーダー,トールステン
(72)【発明者】
【氏名】レイトー,フィン マーリン
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA15
(57)【要約】
本発明は、血中グルコース曲線におけるベースラインを決定するための方法、少なくとも1つの影響因子に対する個人の血糖応答を決定するための方法、個人の栄養型を予測するための方法、少なくとも1つの影響因子に対する個人の血糖応答を予測するための方法、個人についてのパーソナライズされたライフスタイル推奨を決定するための方法、ならびにパーソナライズされた食事の組成を決定するための方法、およびその調製のための方法に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血糖曲線におけるベースラインを決定するための方法であって、
a)影響因子処理ベースラインを有する個人の血糖曲線を含むトレーニングデータを提供するステップ、
b)ステップa)において提供される前記トレーニングデータを機械学習手順に対して提供して、血糖曲線におけるベースラインの自動決定のためのトレーニングされたアルゴリズムを取得するステップ、
c)前記トレーニングされたアルゴリズムを血糖曲線に対して適用することによって、血糖曲線におけるベースラインを決定するステップ、
を有し、
ステップa)において提供される前記トレーニングデータにおける個人の前記血糖曲線における前記影響因子処理ベースラインは、前記少なくとも1つの影響因子が存在しないとき得られたであろう前記血糖曲線の進行からの、前記血糖曲線の進行の逸脱の原因となる、前記少なくとも1つの影響因子に関する情報に基づいて設定されたベースラインであり、
前記少なくとも1つの影響因子は、個人の血糖値に対して影響を及ぼすのに適した外因性または内因性因子である、
方法。
【請求項2】
ステップa)において提供される前記トレーニングデータは、少なくとも10、好ましくは少なくとも50、好ましくは少なくとも100、好ましくは少なくとも250、好ましくは少なくとも500、好ましくは少なくとも750、好ましくは少なくとも1000ペアの、少なくとも1つの影響因子に応答する血糖曲線を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記機械学習手順は教師あり機械学習手順である、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
ステップc)における前記血糖曲線は、少なくとも1つの影響因子に応答する個人の血糖曲線である、請求項1から3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記方法はさらに、
d)前記トレーニングされたアルゴリズムによって決定されたベースラインを有する少なくとも1つの影響因子に応答する前記個人の前記血糖曲線を分析するステップ、
e)前記少なくとも1つの影響因子に対する前記個人の前記血糖応答を決定するステップ、
を有する、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記方法はさらに、
f)栄養型分類モデルを使用して、データベース内の前記少なくとも1つの影響因子に対する異なる個人の血糖応答のグループに対して、前記少なくとも1つの影響因子に対する前記個人の前記血糖応答を割り当てるステップ、
g)前記少なくとも1つの影響因子に対する前記個人の前記少なくとも1つの血糖応答に基づいて、前記個人の栄養型を出力するステップ、
を有する、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記方法はさらに、
i)少なくとも1つの影響因子に関するデータを提供するステップ、
ii)少なくとも1つの影響因子に関する前記データを、異なる影響因子に対する前記個人の血糖応答を含むデータベース内の少なくとも1つの血糖応答に対して割り当てるステップ、
iii)前記少なくとも1つの影響因子に対する前記個人の予測血糖応答を出力するステップ、
を有する、請求項5記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの影響因子は、食物摂取、身体活動、精神活動、ストレス、健康状態、投薬、睡眠、またはそれらの組み合わせから選択される、請求項1から7のいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記方法はさらに、
aa)前記個人に対して影響を及ぼす少なくとも1つの影響因子に関するデータを提供するステップ、
bb)異なる影響因子に対する前記個人の血糖応答を含むデータベースにおいて、前記個人に対して影響を及ぼす少なくとも1つの影響因子に関するデータを、少なくとも1つの血糖応答に対して割り当てるステップ、
cc)ステップbb)のデータベースにおいて、前記個人に対して影響を及ぼす前記少なくとも1つの影響因子に対する前記個人の前記血糖応答に基づいて、前記個人のためのパーソナライズされたライフスタイル推奨を計算するステップ、
dd)前記個人のためのパーソナライズされたライフスタイルの推奨を出力するステップ、
を有する、請求項5記載の方法。
【請求項10】
前記方法はパーソナライズされた食事の組成を決定するための方法であり、
ステップcc)において、ステップbb)で提供される前記データベース内の前記個人に対して影響を及ぼす前記少なくとも1つの影響因子に対する前記個人の前記血糖応答に基づき、パーソナライズされた食事の前記組成が計算され、
ステップdd)において、パーソナライズされた食事の前記組成が出力される、
請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記方法はさらに、ステップcc)において決定された前記組成を有する前記パーソナライズされた食事の成分を調製するステップee)を有する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
デジタルコンピュータの内部メモリに直接ロード可能なコンピュータプログラム製品であって、ソフトウェアコード部分を有し、コンピュータが前記プログラムを実行すると、前記コンピュータに請求項1から9のいずれか1項記載の方法を実施させる、コンピュータプログラム製品。
【請求項13】
コンピュータによって実行されると、請求項1から9のいずれか1項記載の方法をコンピュータに実行させるソフトウェアコード部分を有する、コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項14】
・ユーザインターフェースを表示する表示ユニット、
・入力ユニット、
・メモリユニット、
・処理ユニット、
を備える装置であって、
前記メモリユニットは、請求項12記載のコンピュータプログラム製品を含む、
装置。
【請求項15】
前記装置はモバイルデバイスであり、特に、電池式ワイヤレスモバイルデバイスである、請求項14記載の装置。
【請求項16】
血糖関連疾患および/または障害の治療に使用するための、請求項11記載の方法によって得られるパーソナライズされた食事。
【請求項17】
前記血糖関連疾患および/または障害は、
1型糖尿病(DMT1)、2型糖尿病(DMT2)、妊娠糖尿病、高血糖症、メタボリックシンドローム、心血管疾患、耐糖能異常、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、片頭痛、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、癌、座瘡、アトピー性皮膚炎、乾癬、酒さ、心房細動、異脂肪血症、HIV、動脈性高血圧症、糖尿病前症、肥満、脳/認知機能障害、アルツハイマー病、うつ病、軟骨損傷、パーキンソン病、リウマチ性疾患、慢性炎症、
を含むグループから選択される、
請求項16記載の使パーソナライズされた食事。
【請求項18】
妊娠の誘導、月経周期の調節、体重減少、抗加齢、または、月経の問題および閉経の症状の治療および/または予防において、請求項11記載の方法によって得られるパーソナライズされた食事を使用する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血中グルコース曲線におけるベースラインを決定するための方法、少なくとも1つの影響因子に対する個人の血糖応答を判定するための方法、個人の栄養型を予測するための方法、少なくとも1つの影響因子に対する個人の血糖応答を予測するための方法、個人についてのパーソナライズされたライフスタイル推奨を決定するための方法、ならびにパーソナライズされた食事の組成を決定するための方法、およびその調製のための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
食後血糖反応(PPGR)は、ヒトの代謝的健康にとって、および2型糖尿病(DMT2)などの血糖関連疾患の予防および治療にとって重要な因子である。PPGRおよびヒトの健康に対する様々な食品の影響を理解するために、多くの研究が実施されてきた。高血糖栄養は血中グルコースレベルの急速な増加をもたらし、それに応答して、グルコースを細胞に吸収しそれをグリコーゲンに変換するために、血流中へのインスリンの広範な分泌をもたらす。グルコースおよびインスリンレベルにおけるそのような過剰なピークから生じる問題は、インスリンセクレチンに応答して血流からグルコースが吸収され、それに関連して、原則として十分な量のエネルギーが既に消費されているのに血中グルコースレベルの低下が空腹感を誘発することである。飢餓感は通常、反復的な食物摂取をもたらし、これは、多くの場合、個人の1日のエネルギー必要量を超えるエネルギー摂取をもたらし、徐々に体重が増加する。これとは別に、高血糖栄養に応答する長期間にわたるインスリンの頻繁かつ過剰な分泌は、細胞表面上のインスリン受容体のダウンレギュレーションおよびインスリン抵抗性をもたらし得る。インスリン抵抗性の結果として、慢性的に増加した血中グルコースレベルが観察され、様々な血中グルコース関連疾患および障害をもたらす。今日、低血糖栄養および血糖値の過度のピーク回避により、特定の慢性疾患を発症するリスクを低減し、DMT2、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、片頭痛、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)などの多数の疾患および障害の治療において有益であると考えられている。
【0003】
最近の研究では、ある食品の摂取に応答する血糖レベルは個人自身に大きく依存することが明らかになった。具体的な食品製品に対する応答に関して一般的に述べることはできない(Ridauraら、Gut microbiota from twins discordant for obesity modulate metabolism in mice、2013年、Science、Vol.341;Zeeviら、Glycemic Responses、2015年、Cell、Vol.163(5))。特定の食品などの異なる影響因子に対する血糖応答は、異なる個人間でかなり変化し得る。単一の個人内でさえ、血糖応答は日中、全身の健康状態、および薬物療法などの様々な態様に依存するが、これらに限定されない。個人の血糖応答を判定するためには、現在のところ、特定の食品の消費または身体活動などの特定の影響因子に応答して、可能性のあるさらなる干渉影響因子を考慮して、血糖曲線の正確でパーソナライズされた測定を必要とする。血糖応答の分析および調査は、連続的な血糖センサと、ライフスタイルの様々な態様の日記を備えるアプリとを使用することによって達成することができる。例えば、身体活動、食物摂取、健康、症状、疼痛、投薬、排卵または睡眠を記録するためのアプリである。そのような情報に基づいて、パーソナライズ生活習慣推奨、特にパーソナライズ低血糖食に対する推奨を決定して、個人の健康を維持もしくは改善し、または血糖関連疾患および/または障害を治療および/または予防することが可能である。
【0004】
現在、実際の血糖応答を計算するための標準は曲線下面積(AUC)計算に基づいており、これは、広く使用されている血糖指数(GI)の決定にも使用されている(Jenkins et al、Metabolic effects of low-glycemic-index diet、1987、American Journal of Clinical Nutrition、Vol.46(6))。PPGRの異なる食品との同等性は、計算方法の標準化を必要とする。様々な研究において、AUCを決定するための異なる方法およびその変形が比較されている(Potteigerら、A comparison of methods for analyzing glucose and insulin areas under the curve following nine months of exercise in overweight adults、2002年、Int J. Obes. Relat. Metab. Disord.,、Vol.26(1); Schnellら、Role of Continuous Glucose Monitoring in Clinical Trials: Recommendations on Reporting、2017年、Diabetes Technol. Ther.、Vol.19(7))。これらの研究によれば、増分AUC(iAUC)は、血糖曲線の分析のためのゴールドスタンダードとして提案されている。血中グルコースベースラインは、AUCの計算の基礎として使用される初期血中グルコースレベルを表す。AUCを正確かつ信頼できるように決定することは、ベースラインを設定する方法に大きく依存することを想像するのは容易である。これは、多くの場合、困難で過小評価された課題であり、特に、1日の過程において、食物摂取、身体活動および精神活動、投薬、ストレス、疾患の進行または睡眠パターンなどの影響因子に応答して、個人の血糖レベルの強い変動がしばしば観察され、血糖レベルに影響を及ぼす異なる因子が時間的に重複することが多い。
【0005】
血糖曲線のベースラインの決定のために、通常、夜の最後の時間のグルコースレベル、午前中の空腹時血糖、最初に決定されたグルコース値、または日中の中央グルコースレベルのうちいずれかが使用される(Zeeviら、Personalized Nutrition by a Prediction of Glycemic Responses、2015年、Cell、Vol.163(5)); Brounsら、2005年、Glycaemic index methodology、Nutrition Research Reviews、Vol.18、145~171ページ)。夜の最後の数時間におけるグルコースレベルの使用は、様々な欠点を伴う。血糖値は睡眠の量および質によって影響され、測定精度は睡眠位置に依存して悪影響を受けることが多い。朝の空腹時血糖も、睡眠の質および量によって変化する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
先行技術における血糖曲線のためのベースラインを決定および設定するための方法は、特定の時点における個人の特定の血糖レベルに基づくか、または特定の時間間隔で測定された血糖レベルの平均または中央値を計算するなどのような数学的計算に基づく。しかしながら、これらの方法は特定の外因性および内因性の影響因子、特に、特定の影響因子の性質、持続時間および程度、所与の時間間隔における個人の血糖曲線の進行の原因となるもの、特に、2つ以上の影響因子が個人の血糖曲線の進行に影響を及ぼす場合を特に考慮していない。したがって、従来技術で使用されるような血糖ベースラインを決定するための方法は、血糖ベースラインを正確に設定するためのロバストな値を提供せず、したがって、特定の食品の摂取および/または他の影響因子に対して個人の血糖応答を正確かつ信頼できるように判定することができない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は独立請求項の主題によって、特に、血中グルコース曲線のベースラインを決定するための改良された方法、特に、血中グルコース曲線のベースラインを決定するための改良されたコンピュータ実施方法を提供することによって、先行技術の欠点を克服する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明による血糖曲線のベースラインを決定する方法の個々のステップのフローチャートを示す。
図2】本発明による、少なくとも1つの影響因子に対する個人の血糖応答を決定するための方法の個々のステップのフローチャートを示す。
図3】本発明による、少なくとも1つの影響因子に対する個人の血糖応答を予測するための方法の個々のステップのフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、血中グルコース曲線におけるベースラインを決定するための方法に関し、同方法は以下を有する:
a)影響因子処理ベースラインを含む個人の血糖曲線を有するトレーニングデータを提供するステップ、
b)ステップa)において提供されるトレーニングデータを機械学習手順に対して提供して、血糖曲線におけるベースラインの自動決定のためのトレーニングされたアルゴリズムを取得するステップ、
c)トレーニングされたアルゴリズムを血糖曲線に対して適用することによって血糖曲線のベースラインを決定するステップ。
【0010】
したがって、本発明は特に、影響因子処理ベースラインを含むトレーニングデータを用いてトレーニングされたアルゴリズムを使用することによって、血糖曲線におけるベースラインを正確かつ確実に決定する方法に関する。したがって、ステップa)で提供されるトレーニングデータは個人の血糖曲線を含み、トレーニングデータの血糖曲線の各々は、個人に影響を及ぼす少なくとも1つの影響因子と、少なくとも1つの影響因子に応答する個人の血糖曲線の対応する進行とを考慮して設定されたベースラインを含む。好ましくは、トレーニングデータの血糖曲線における影響因子処理ベースラインの各々は、少なくとも1つの影響因子が存在しなければ得られたであろう血糖曲線の進行からの、実際の血糖曲線の進行の偏差の原因となる少なくとも1つの因子を考慮して、具体的に決定されている。したがって、トレーニングデータの血糖曲線における影響因子処理ベースラインは、単に特定の時間における個人の血糖レベルの決定に基づくものではなく、または所定の期間中に監視された血糖レベルの平均化の結果を構成するものではない。影響因子処理ベースラインは、少なくとも1つの影響因子がない場合に得られるであろう血糖曲線進行からの実際の血糖曲線進行の逸脱の原因となる少なくとも1つの影響因子に関する情報、特に、少なくとも1つの影響因子がない場合に得られるであろう血糖曲線進行からの実際の血糖曲線進行の逸脱の原因となる少なくとも1つの影響因子の性質、持続時間および程度に関する情報に基づいて、個々に設定される。したがって、好ましい実施形態において、影響因子処理ベースラインは少なくとも1つの影響因子の効果を個人の血糖曲線の進行に割り当てることによって、および少なくとも1つの影響因子によって影響を受けない対応するベースラインを設定することによって得られたベースラインである。本発明によれば、トレーニングデータの血糖曲線の影響因子処理ベースラインは単に数学的に決定されているわけではなく、特に、特定の時間に測定された血糖値のみに基づいて、または測定された血糖値の平均化のみに基づいて決定されているわけではない。好ましくは、影響因子処理ベースラインは数学的に決定されていないベースラインであり、特に、特定の時間に測定された血糖レベルに基づいて、または測定された血糖レベルの平均に基づいて決定されている。特に好ましい実施形態において、血糖曲線の影響因子処理ベースラインは専門家の知識に基づいて決定されており、特に、資格のある専門家、好ましくは栄養士、栄養科学者、および/または医師によって決定されている。別の好ましい実施形態において、影響因子処理ベースラインは、特に栄養士、栄養科学者、および/または医師から選択される、少なくとも2人の異なる資格のある専門家によって決定されるベースラインである。本発明のさらに好ましい実施形態において、血糖曲線の影響因子処理ベースラインは、血糖曲線におけるベースラインの正確な進行に関する独立したまたは新たな意見を与えることができる対象または対象物によって決定されている。好ましくは、血糖曲線の影響因子処理ベースラインは人間またはコンピュータによって決定されている。好ましくは、影響因子処理ベースラインは人間またはコンピュータによって、特に有資格専門家、好ましくは栄養士、栄養科学者および/または医師によって、血糖曲線の進行に対する少なくとも1つの影響因子の効果に依存して、特に、少なくとも1つの影響因子がないとき得られたであろう血糖曲線進行からの実際の血糖曲線進行の逸脱の原因となる少なくとも1つの影響因子に関する情報に依存して、決定されている。本発明によれば、トレーニングデータはアルゴリズムが訓練される過程で機械学習手順に対して供され、これは個人の血糖曲線におけるベースラインを自動的に決定することができる。このようにして得られるトレーニングされたアルゴリズムは、個人の血糖曲線における特定のパターンの認識に基づく。特に、トレーニングされたアルゴリズムは、少なくとも1つの影響因子に応答して個人の血糖曲線の特定の進行の原因となる正確なベースラインを決定する。この正確な決定のための能力は、機械学習手順において使用されるトレーニングデータ、特に、個人に影響を及ぼす少なくとも1つの影響因子を考慮して設定されたベースラインを含む個人の血糖曲線に基づく。本発明による方法の次のステップにおいて、トレーニングされたアルゴリズムは自動的に決定されたベースラインを含む血糖曲線を得るために、血糖ベースラインを含まない個人の血糖曲線に対して適用される。トレーニングされたアルゴリズムによって自動的に決定されたベースラインを含む個人の血糖曲線に基づいて、個人の血糖応答を正確かつ確実に計算することが可能である。血糖応答の決定は先行技術で使用されるようなベースラインの決定方法に関連する欠点を有さず、これは特に、夜の最後の時間のグルコースレベル、朝の空腹時血糖、最初に決定されたグルコース値、またはグルコースレベルの毎日の中央値に基づいてベースラインを計算することによる。このようにして、個人の血糖応答はより高い精度で、特に、2つ以上の影響因子が血糖値に影響を及ぼす場合であっても、決定することができる。
【0011】
本発明の好ましい実施形態において、ステップa)で提供されるトレーニングデータは、影響因子処理ベースラインを含む個人の長期間血糖曲線を有し、個人の血糖曲線は以下についてのものである:少なくとも1分、好ましくは少なくとも5分、好ましくは少なくとも10分、好ましくは少なくとも20分、好ましくは少なくとも30分、好ましくは少なくとも40分、好ましくは少なくとも50分、好ましくは少なくとも1時間、好ましくは少なくとも2時間、好ましくは少なくとも3時間、好ましくは少なくとも4時間、好ましくは少なくとも5時間、好ましくは少なくとも6時間、好ましくは少なくとも7時間、好ましくは少なくとも8時間、好ましくは少なくとも9時間、好ましくは少なくとも10時間、好ましくは少なくとも11時間、好ましくは少なくとも12時間、好ましくは少なくとも13時間、好ましくは少なくとも14時間、好ましくは少なくとも15時間、好ましくは少なくとも16時間、好ましくは少なくとも17時間、好ましくは少なくとも18時間、好ましくは少なくとも19時間、好ましくは少なくとも20時間、好ましくは少なくとも21時間、好ましくは少なくとも22時間、好ましくは少なくとも23時間、好ましくは少なくとも24時間。
【0012】
特に好ましくは、ステップa)で提供されるトレーニングデータは、影響因子処理ベースラインを含む個人の全日血糖曲線を含む。
【0013】
好ましくは、ステップa)において提供されるトレーニングデータは、影響因子処理ベースラインを含む少なくとも1つの影響因子に応答する個人の血糖曲線を含む。本発明の特に好ましい実施形態において、ステップa)で提供されるトレーニングデータは、個人の長期血糖曲線、特に個人の全日血糖曲線を含み、影響因子処理ベースラインと、影響因子処理ベースラインを含む少なくとも1つの影響因子に応答する個人の血糖曲線とを含む。
【0014】
好ましくは、トレーニングデータの標的変数は、a)影響因子処理ベースライン(特にエキスパートセットベースライン)を有する少なくとも1つの影響因子に応答した個人の血糖曲線、およびb)少なくとも1つの影響因子に応答した個人の血糖曲線についてベースラインを確実に設定することができる信頼度である。
【0015】
本発明の好ましい実施形態において、トレーニングデータの入力変数は、以下から導出される特徴である:a)測定された生グルコース値、b)それぞれの時間枠について個人によって提供される少なくとも1つの影響因子に関する情報、およびc)以下から特に選択される少なくとも1つの個人固有の影響因子に関する情報:個人の年齢、個人の性別、個人の体重、個人の身長、個人のボディマスインデックス(BMI)、腰部対股関節比、体温、基礎代謝率、腸微生物叢組成、個人のメタボローム組成、個人のゲノムおよび/または個人の睡眠行動、特に毎日の睡眠時間および起床時間。
【0016】
本発明のさらに好ましい実施形態において、ステップb)で得られた血糖曲線におけるベースラインの自動決定のためのトレーニングされたアルゴリズムは、検証データに基づいてステップb1)で評価される。好ましくは検証データは、個人の長期血糖曲線、特に個人の全日血糖曲線を含み、影響因子処理ベースラインおよび/または影響因子処理ベースラインを含む少なくとも1つの影響因子に応答する個人の血糖曲線を含む。
【0017】
本発明の好ましい実施形態において、ステップa)で提供されるトレーニングデータは、個人の少なくとも10、好ましくは少なくとも50、好ましくは少なくとも100、好ましくは少なくとも250、好ましくは少なくとも500、好ましくは少なくとも750、好ましくは少なくとも1000、好ましくは少なくとも2500、好ましくは少なくとも5000、好ましくは少なくとも7500、好ましくは少なくとも10000、好ましくは少なくとも25000、好ましくは少なくとも50000の血糖曲線、特に個人の血糖曲線のペアを含む。
【0018】
本発明の好ましい実施形態において、ステップb1)で使用される検証データは、個人の少なくとも10個、好ましくは少なくとも50個、好ましくは少なくとも100個、好ましくは少なくとも250個、好ましくは少なくとも500個、好ましくは少なくとも750個、好ましくは少なくとも1000個、好ましくは少なくとも2500個、好ましくは少なくとも5000個、好ましくは少なくとも7500個、好ましくは少なくとも10000個、好ましくは少なくとも25000個、好ましくは少なくとも50000個の血糖曲線を含む。
【0019】
さらに好ましい実施形態において、機械学習手順は教師あり機械学習である。
【0020】
特に好ましい実施形態において、機械学習手順は、以下からなる群から選択されるアルゴリズムに基づく:線形回帰、ロジスティック回帰、サポートベクトルマシン、決定木、ランダムフォレスト、K最近傍(kNN)、K-meansクラスタリング、単純ベイズ、主成分分析(PCA)、超疎線形整数モデル(SLIM)、ニューラルネットワーク、勾配ブーストツリー回帰。
【0021】
本発明の特に好ましい実施形態において、ステップc)における血中グルコースのベースラインの決定は、ステップb)で得られたトレーニングされたアルゴリズムを、ベースラインを含まない個人の血中グルコース曲線に対して実行することによって実施される。
【0022】
本発明の特に好ましい実施形態において、トレーニングされたアルゴリズムによって決定されるベースラインは、全日ベースライン、特に、1日の間に観察される個人の血糖曲線のベースラインである。さらに好ましい実施形態において、トレーニングされたアルゴリズムによって決定されるベースラインは、全日ベースラインではない。
【0023】
好ましくは、トレーニングされたアルゴリズムによって決定されるベースラインは、特定の時間間隔に関するベースラインであり、例えば30分、好ましくは45分、好ましくは1時間、好ましくは2時間、好ましくは3時間、好ましくは4時間、好ましくは5時間、好ましくは6時間、好ましくは7時間、好ましくは8時間、好ましくは9時間、好ましくは10時間、好ましくは11時間、好ましくは12時間、好ましくは13時間、好ましくは14時間、好ましくは15時間、好ましくは16時間、好ましくは17時間、好ましくは18時間、好ましくは19時間、好ましくは20時間、好ましくは21時間、好ましくは22時間、好ましくは23時間、好ましくは24時間、好ましくは起床時刻から着床時刻、好ましくは着床時刻から起床時刻までの時間間隔である。
【0024】
本発明の別の好ましい実施形態において、トレーニングされたアルゴリズムによって決定されるベースラインは、特定の影響因子に応答する血糖曲線のベースラインであり、例えば特定の食事摂取後または身体運動後の30分後、好ましくは45分後、好ましくは1時間後、好ましくは2時間後、好ましくは3時間後、好ましくは4時間後、好ましくは5時間後に観察される血糖曲線のベースラインである。
【0025】
本考案の別の好ましい実施形態によれば、ステップc)において、トレーニングされたアルゴリズムは自動的に決定されたベースラインの質を判定し、特に決定係数(R2)を決定する。
【0026】
好ましくは、トレーニングされたアルゴリズムは、自動的に決定された全日ベースラインの質をさらに判定し、特に、全日ベースラインについての決定係数(R2)を判定する。
【0027】
さらに好ましい実施形態において、トレーニングされたアルゴリズムは、特定の時間間隔に関して自動的に決定されたベースラインの質を判定し、特に、特定の時間間隔に関してベースラインの決定係数(R2)を判定する。
【0028】
本発明の別の好ましい実施形態において、トレーニングされたアルゴリズムは、特定の影響因子の30分後、好ましくは45分後、好ましくは1時間後、好ましくは2時間後、好ましくは3時間後、好ましくは4時間後に観察される血糖曲線のベースラインなどのような、特定の影響因子に応答する血糖曲線の自動的に決定されたベースラインの質を判定し、特に、特定の影響因子に応答する血糖曲線のベースラインの決定係数(R2)を判定する。
【0029】
好ましくは、ステップc)において決定される血糖曲線におけるベースラインの決定係数(R2)、好ましくは特定の時間間隔に関するベースライン、好ましくは特定の影響因子に応じた血糖曲線に関するベースラインは、少なくとも0.8、好ましくは少なくとも0.81、好ましくは少なくとも0.82、好ましくは少なくとも0.83、好ましくは少なくとも0.84、好ましくは少なくとも0.85、好ましくは少なくとも0.86、好ましくは少なくとも0.87、好ましくは少なくとも0.88、好ましくは少なくとも0.89、好ましくは少なくとも0.9、好ましくは少なくとも0.91、好ましくは少なくとも0.92、好ましくは少なくとも0.93、好ましくは少なくとも0.94、好ましくは少なくとも0.95、好ましくは少なくとも0.96、好ましくは少なくとも0.97、好ましくは少なくとも0.98、好ましくは少なくとも0.99である。
【0030】
さらに好ましい実施形態において、ステップc)で決定される血糖曲線におけるベースラインの決定係数(R2)、好ましくは全日ベースライン、好ましくは特定の時間間隔に関するベースライン、好ましくは特定の影響係数に応じた血糖曲線のベースラインは、0.8~1、好ましくは0.85~1、好ましくは0.9~1、好ましくは0.95~1である。
【0031】
本発明の好ましい実施形態において、ステップc)における血糖曲線、特に、トレーニングされたアルゴリズムを適用することによってベースラインが決定される血糖曲線は、少なくとも1つの影響因子に応答する個人の血糖曲線である。
【0032】
本発明のさらなる実施形態において、血糖曲線におけるベースラインを決定するための方法はさらに以下を有する:d)トレーニングされたアルゴリズムによって決定されたベースラインを有する少なくとも1つの影響因子に応答する個人の血糖曲線を分析するステップ;e)少なくとも1つの影響因子に対する個人の血糖応答を決定するステップ。本発明のこの特定の実施形態によれば、血糖曲線におけるベースラインを決定するための方法はステップa)、b)、c)、d)、およびe)を含み、少なくとも1つの影響因子に対する個人の血糖応答を決定する方法である。
【0033】
本発明はさらに、少なくとも1つの影響因子に対する個人の血糖応答を決定するための方法、特に、少なくとも1つの影響因子に対する個人の血糖応答を決定するためのコンピュータ実施方法であって、以下を有する:
aa)少なくとも1つの影響因子に応答する個人の少なくとも1つの血糖曲線を提供するステップ、
bb)ステップaa)において提供された少なくとも1つの血糖曲線上で本発明による血糖曲線のベースラインを決定する方法の、ステップb)において得られたトレーニングされたアルゴリズムを適用して、自動的に決定されたベースラインを有する個人の少なくとも1つの血糖曲線を得るステップ、
cc)ステップbb)において得られた少なくとも1つの血糖曲線を分析して、少なくとも1つの影響因子に対する個人の血糖応答を決定するステップ。
【0034】
したがって、本発明による、少なくとも1つの影響因子に対する個人の血糖応答を決定するための方法は、ステップaa)において、少なくとも1つの影響因子に応答する個人の少なくとも1つの血糖曲線を提供することを含む。後続のステップbb)において、本発明による血糖曲線のベースラインを決定するための方法のステップb)において得られたトレーニングされたアルゴリズムは、ステップaa)において提供された少なくとも1つの影響因子に応答する個人の少なくとも1つの血糖曲線に対して適用され、自動的に決定されたベースラインを有する個人の少なくとも1つの血糖曲線を得る。最後に、少なくとも1つの影響因子に対する個人の血糖応答を決定するための方法のステップcc)において、ステップbb)で得られた少なくとも1つの血糖曲線を分析して、少なくとも1つの影響因子に対する個人の血糖応答を決定する。
【0035】
本発明の特に好ましい実施形態において、ステップe)またはcc)における血糖応答の決定は、曲線下面積(AUC)、特に曲線下面積増加(iAUC)の計算に基づいており、特に自動的に決定された血糖ベースラインを考慮する。
【0036】
本発明の好ましい実施形態において、ステップe)またはcc)における血糖応答の決定は、少なくとも1つの影響因子に応答して自動的に決定された血糖ベースラインからの血糖曲線の最大偏差に基づき、特に、少なくとも1つの影響因子に応答して自動的に決定された血糖ベースラインに対する血糖レベルの最大増加の計算に基づく。本発明の特に好ましい実施形態において、ステップe)またはcc)における血糖応答の決定は、自動的に決定された血糖ベースラインに対する、特に本発明による血糖曲線のベースラインを決定するための方法によって決定された血糖ベースラインに対する、血糖濃度の食後ピークの計算に基づく。
【0037】
本発明のさらに好ましい実施形態において、ステップe)またはcc)における血糖応答の決定は、少なくとも1つの影響因子に応答した血糖曲線の数学的逸脱を計算することに基づき、特に少なくとも1つの影響因子に応答した血糖曲線の勾配を計算することに基づき、特に少なくとも1つの影響因子に応答した血糖曲線の勾配の最急下降または上昇を計算することに基づく。
【0038】
本発明の好ましい実施形態において、個人の血中グルコースレベルは、好ましくは絶えず測定され、特に血糖センサを使用することによって測定される。血糖センサとして、任意の適切なデバイスを使用することができる。好ましくは、血糖センサはDexcom G6、Freestyle Libre、または同様のデバイスなどのような、連続グルコースモニタリング(CGM)センサである。
【0039】
好ましくは、個人に影響を及ぼす少なくとも1つの影響因子に対する個人の血糖応答は、少なくとも1つの影響因子に関連するデータに対してリンクしており、好ましくは生活様式の様々な態様において提供されるデータに対してリンクしており、特に、日中、睡眠の持続時間、個人の年齢、個人の性別、個人の体重、個人の身長、身体のボディマスインデックス(BMI)、腰部対股関節比、体温、基礎代謝速度、個人の腸管における微生物叢組成、個人のメタボローム組成、個人のゲノム、身体活動のタイプ、身体活動の持続時間、精神活動のタイプ、精神活動の持続時間、食物のタイプ、食物組成、食物の量、食物消費の時間、健康状態、薬物のタイプ、および/または薬物の投薬量についての情報である。
【0040】
本発明のさらに好ましい実施形態において、個人の血中グルコースレベルは、好ましくは血中グルコースセンサ、特に連続グルコースモニタリング(CGM)センサを使用することによって、所定の期間にわたって測定され、好ましくは絶えず測定される。
【0041】
好ましくは、所定期間中において個人に影響を及ぼす少なくとも1つの影響因子に対する個人の各血糖応答は、少なくとも1つの影響因子に関連するデータに対してリンクしており、好ましくは生活様式の様々な態様において提供されるデータに対してリンクしており、特に、日中、睡眠期間、個人の年齢、個人の性別、個人の体重、個人の身長、身体のボディマスインデックス(BMI)、腰部対股関節比、体温、基礎代謝速度、個人の腸管における微生物叢組成、個人のメタボローム組成、個人のゲノム、身体活動のタイプ、身体活動の持続時間、精神活動のタイプ、精神活動の持続時間、食物のタイプ、食物組成、食物の量、食物消費の時間、健康状態、薬物のタイプ、および/または薬物の投薬量についての情報である。
【0042】
好ましい実施形態において、個人の血中グルコースレベルは、30秒、好ましくは1分、好ましくは2分、好ましくは3分、好ましくは4分、好ましくは5分、好ましくは6分、好ましくは7分、好ましくは8分、好ましくは9分、好ましくは10分、好ましくは15分の間隔で測定される。
【0043】
好ましくは、個人の血糖値は、少なくとも15分毎、好ましくは少なくとも10分毎、好ましくは少なくとも9分毎、好ましくは少なくとも8分毎、好ましくは少なくとも7分毎、好ましくは少なくとも6分毎、好ましくは5分毎、好ましくは4分毎、好ましくは3分毎、好ましくは2分毎、好ましくは1分毎、好ましくは30秒毎に測定される。
【0044】
本発明のさらに好ましい実施形態において、所定の期間は、少なくとも1日、好ましくは少なくとも2日、好ましくは少なくとも3日、好ましくは少なくとも4日、好ましくは少なくとも5日、好ましくは少なくとも6日、好ましくは少なくとも7日、好ましくは少なくとも8日、好ましくは少なくとも9日、好ましくは少なくとも10日、好ましくは少なくとも11日、好ましくは少なくとも12日、好ましくは少なくとも13日、好ましくは少なくとも14日、好ましくは少なくとも3週、好ましくは少なくとも4週、好ましくは少なくとも1ヶ月、好ましくは少なくとも2ヶ月、好ましくは少なくとも3ヶ月、好ましくは少なくとも4ヶ月、好ましくは少なくとも6ヶ月、好ましくは少なくとも8ヶ月、好ましくは少なくとも10ヶ月、好ましくは少なくとも12ヶ月である。
【0045】
本発明のさらに好ましい実施形態において、ステップe)またはcc)で決定された少なくとも1つの影響因子に対する個人の血糖応答は、異なる影響因子に対する個人の血糖応答を含むデータベースに含まれ、好ましくは異なる影響因子に対する異なる個人の血糖応答を含むデータベースに含まれ、特に異なる影響因子に対する同じ栄養型に分類された異なる個人の血糖応答を含むデータベースに含まれる。
【0046】
本発明の特定の実施形態において、ステップd)およびe)に加えて、血糖曲線におけるベースラインを決定するための方法は以下を有する:ステップf)栄養型分類モデルを使用して、データベース内の少なくとも1つの影響因子に対する異なる個人の血糖応答の群に対して、少なくとも1つの影響因子に対する個人の血糖応答を割り当てるステップ;ステップg)少なくとも1つの影響因子に対する個人の少なくとも1つの血糖応答に基づいて個人の栄養型を出力するステップ。本発明のこの特定の実施形態によれば、血糖曲線におけるベースラインを決定するための方法はステップa)、b)、c)、d)、e)、f)およびg)を含み、個人の栄養型を予測するための方法である。
【0047】
本発明はさらに、個人の栄養型を予測するための方法に関し、特に、個人の栄養型を予測するためのコンピュータ実施方法であって以下を有する:
i)本発明の少なくとも1つの影響因子に対する個人の血糖応答を決定するための方法によって得られた少なくとも1つの影響因子に対する個人の少なくとも1つの血糖応答を提供するステップ、
ii)栄養型分類モデルを使用して、データベース内の少なくとも1つの影響因子に対する異なる個人の血糖応答のグループに対して、少なくとも1つの影響因子に対する個人の血糖応答を割り当てるステップ、
iii)少なくとも1つの影響因子に対する個人の少なくとも1つの血糖応答に基づいて、個人の栄養型を出力するステップ。
【0048】
本発明によれば、データベース内の少なくとも1つの影響因子に対する異なる個人の血糖応答のグループは、異なる栄養型に対応する。
【0049】
本発明の好ましい実施形態において、ステップf)またはii)のデータベース内の少なくとも1つの影響因子に対する異なる固体の血糖応答群内における、少なくとも1つの影響因子に対する血糖応答、特にAUC、好ましくはiAUC、自動的に決定された血糖ベースラインに対する血糖レベルの最大増加、および/または少なくとも1つの影響因子に応答した血糖曲線の傾きは、互いに最大で40%、好ましくは最大で35%、好ましくは最大で30%、好ましくは最大で25%、好ましくは最大で20%、好ましくは最大で18%、好ましくは最大で16%、好ましくは最大で15%、好ましくは最大で14%、好ましくは最大で13%、好ましくは最大で12%、好ましくは最大で11%、好ましくは最大で10%、好ましくは最大で9%、好ましくは最大で8%、好ましくは最大で7%、好ましくは最大で6%変化する 最大で5%、好ましくは最大で4%、好ましくは最大で3%、好ましくは最大で2%、好ましくは最大で2%、好ましくは最大で1%、異なる。
【0050】
本発明のさらに好ましい実施形態において、ステップf)またはi)における少なくとも1つの影響因子に対する個人の少なくとも1つの血糖応答は、食物摂取に関するデータ、特に、消費される食物の種類、組成、および量に関するデータに対してリンクされる。好ましくは、ステップf)またはi)における少なくとも1つの影響因子に対する個人の少なくとも1つの血糖応答は、少なくとも1つのさらなる影響因子に関するデータ、特に少なくとも1つの個人特異的影響因子に関するデータに対してリンクされる。
【0051】
本発明の特に好ましい実施形態において、ステップd)およびe)に加えて、血糖曲線におけるベースラインを決定するための方法はさらに以下を有する:i)少なくとも1つの影響因子に関するデータを提供するステップ;ii)異なる影響因子に対する個人の血糖応答を含むデータベースにおいて、少なくとも1つの影響因子に関するデータを少なくとも1つの血糖応答に対して割り当てるステップ;iii)少なくとも1つの影響因子に対する個人の予測血糖応答を出力するステップ。本発明のこの特定の実施形態によれば、血糖曲線におけるベースラインを決定するための方法はステップa)、b)、c)、d)、e)、i)、ii)およびiii)を含み、少なくとも1つの影響因子に対する個人の血糖応答を予測するための方法である。
【0052】
本発明はまた、少なくとも1つの影響因子に対する個人の血糖応答を予測するための方法、特に、少なくとも1つの影響因子に対する個人の血糖応答を予測するためのコンピュータ実施方法であって、以下を有する:
x)少なくとも1つの影響因子に関するデータを提供するステップ、
y)異なる影響因子に対する個人の血糖応答を含むデータベースにおいて、少なくとも1つの影響因子に関するデータを少なくとも1つの血糖応答に対して割り当て、好ましくは、異なる影響因子に対する異なる個人の血糖応答を含み、特に、異なる影響因子に対する同じ栄養型に分類された異なる個人の血糖応答を含み、本発明による少なくとも1つの影響因子に対する個人の血糖応答を決定するための方法によって得られる、ステップ、
z)少なくとも1つの影響因子に対する個人の予測血糖応答を出力するステップ。
【0053】
少なくとも1つの影響因子に対する個人の血糖応答を予測するための方法におけるステップi)またはステップx)において、問題となっている少なくとも1つの影響因子に関するデータが提供される。好ましくはこのデータは、日中、睡眠の持続時間、個人の年齢、個人の性別、個人の体重、個人の身長、個人のボディマスインデックス(BMI)、ウエスト対ヒップ比、体温、基礎代謝速度、個人の腸管における微生物叢組成、個人のメタボローム組成、個人のゲノム、身体活動のタイプ、身体活動の持続時間、精神活動のタイプ、精神活動の持続時間、食物のタイプ、食物の組成、食物の量、食物消費の時間、健康状態、薬物のタイプおよび/または薬物の投薬量に関する情報を含む。後続のステップii)またはy)において、このデータは異なる影響因子に対する個人の血糖応答を含むデータベースにおいて少なくとも1つの血糖応答に対して割り当てられ、好ましくは異なる影響因子に対する異なる個人の血糖応答を含み、特に、異なる影響因子に対する同じ栄養型に分類された異なる個人の血糖応答を含み、特に、データベースにおける血糖応答は本発明による少なくとも1つの影響因子に対する個人の血糖応答を決定するための方法によって得られ、したがって、自動的に決定されたベースラインを有する個人の血糖曲線に基づいて決定されている。少なくとも1つの影響因子に対する個人の特定の血糖応答、好ましくは少なくとも1つの影響因子に対する異なる個人の特定の血糖応答、特に、少なくとも1つの影響因子に対する同じ栄養型に分類される異なる個人の特定の血糖応答に対する、少なくとも1つの影響因子に対する個人の少なくとも1つの影響因子に関するデータの割り当てに基づいて、少なくとも1つの影響因子に対する個人の血糖応答の予測が実施され、個人に対して示される。予測される血糖応答は、単一の影響因子の影響、特に、程度および持続時間、または個人の血糖レベルに対する様々な影響因子の組み合わせを、個人が推定することを可能にする。このようにして、個人は例えば、血中グルコースレベルの増加の程度および持続時間に対する、所与の時間における特定の食物の消費の影響を推定することができる。
【0054】
データベースが少なくとも1つの問題の影響因子に対する個人の血糖応答を含まない場合、好ましくは少なくとも1つの問題の影響因子に対する個人の血糖応答、または少なくとも1つの問題の影響因子に対する異なる個人の血糖応答、特に、少なくとも1つの問題の影響因子に対する同じ栄養型に分類された異なる個人の血糖応答を含まない場合、少なくとも1つの影響因子に対する個人の血糖応答に対するデータの割り当て、好ましくは少なくとも1つの影響因子に対する異なる個人の血糖応答、特に、少なくとも1つの影響因子に対する同じ栄養型に分類された異なる個人の血糖応答、が実施され、少なくとも1つの影響因子は、ステップi)またはx)において提供される少なくとも1つの影響因子に関連するデータに基づいて、問題の少なくとも1つの影響因子と同等である。特に好ましい実施形態において、同等の影響因子は、当業者が当該の少なくとも1つの影響因子と最も共通していると考えるであろう影響因子である。この特定の実施形態によれば、問題の影響因子に関するデータは、200グラムのジャガイモが午後5時に摂取されたという情報を含むことが考えられる。しかしながら、データベースは例えば、午後6時の250グラムのジャガイモの摂取に対する個人の血糖応答、好ましくは異なる個人の血糖応答、特に同じ栄養型に分類される異なる個人の血糖応答を含む。データベースが少なくとも1つの問題の影響因子に対する個人の血糖応答、好ましくは異なる個人の血糖応答、特に同じ栄養型に分類される異なる個人の血糖応答を含まず、そのうちの対応する少なくとも1つの影響因子が少なくとも1つの問題の影響因子により近く、特に、少なくとも1つの問題の影響因子とより共通している場合、個人の、好ましくは異なる個人の、特に、同じ栄養型に分類される異なる個人の、データベース内の特定の血糖応答は、少なくとも1つの問題の影響因子に対する個人の血糖応答の予測のために、特に、午後5時における200グラムのジャガイモの摂取に対する個人の血糖応答の予測のために使用される。
【0055】
本発明の好ましい実施形態では、データベース内の異なる影響因子に対する異なる個人の血糖応答が、個人の特定の栄養型に対して割り当てられる。この特定の実施形態によれば、データベースは、同じ栄養型に対して割り当てられた異なる個人の血糖応答のグループを含む。
【0056】
本発明の好ましい実施形態において、ステップii)またはy)のデータベースは、本発明による少なくとも1つの影響因子に対する個人の血糖応答を決定するための方法によって得られる、異なる影響因子に対する異なる個人の血糖応答、特に、異なる影響因子に対する同じ栄養型に分類された異なる個人の血糖応答を含む。
【0057】
したがって、ステップii)またはy)のデータベースは、異なる影響因子に対する個人の血糖応答および/または異なる影響因子に対する異なる個人の血糖応答、特に、異なる影響因子に対する同じ栄養型に分類された異なる個人の血糖応答を備えることができる。
【0058】
本発明のさらに好ましい実施形態において、ステップii)またはy)のデータベースは、異なる影響因子に対する個人の血糖応答および/または異なる影響因子に対する異なる個人の血糖応答、特に、異なる影響因子に対する同じ栄養型に分類された異なる個人の血糖応答からなる。
【0059】
本発明の特に好ましい実施形態において、異なる影響因子に対する個人の血糖応答および/または異なる影響因子に対する異なる個人の血糖応答、特に、ステップii)またはy)のデータベースにおける異なる影響因子に対する同じ栄養型に分類された異なる個人の血糖応答はそれぞれ、少なくとも1つの影響因子に関するデータに対してリンクされ、特に、日中、睡眠持続時間、個人の年齢、個人の性別、個人の体重、個人の身長、個人のボディマスインデックス(BMI)、胴体対股関節比、体温、基礎代謝速度、個人の腸管における微生物叢組成、個人のメタボローム組成、身体活動のタイプ、身体活動の持続時間、精神活動のタイプ、精神活動の持続時間、食物のタイプ、食物組成、食物の量、食物消費の時間、健康状態、薬物のタイプおよび/または薬物の投与量に関する情報を含むデータに対してリンクされる。
【0060】
本発明の好ましい実施形態において、ステップii)またはy)のデータベースにおける異なる影響因子に対する異なる個人の血糖応答は、少なくとも2つの栄養型、好ましくは少なくとも3つの栄養型、好ましくは少なくとも4つの栄養型、好ましくは少なくとも5つの栄養型、好ましくは少なくとも6つの栄養型、好ましくは少なくとも7つの栄養型、好ましくは少なくとも8つの栄養型、好ましくは少なくとも9つの栄養型、好ましくは少なくとも10の栄養型、好ましくは少なくとも15の栄養型、好ましくは少なくとも20の栄養型に対して割り当てられる。
【0061】
本発明の特に好ましい実施形態において、ステップii)またはy)の前のステップi1)またはx1)において、個人は特に本発明による個人の栄養型を予測するための方法によって、栄養型分類モデルに基づいて特定の栄養型に分類される。
【0062】
好ましくは、ステップi1)またはx1)において、個人は栄養型分類モデルに基づいて特定の栄養型に対して分類され、特に、本発明による個人の栄養型を予測するための方法によって分類され、ステップii)またはy)のデータベースにおける少なくとも1つの影響因子に対する異なる個人の同等な血糖応答の群に対して、少なくとも1つの影響因子に対する個人の少なくとも1つの血糖応答を割り当てる。
【0063】
さらなる好ましい実施形態では、ステップi1)またはx1)において、個人は栄養型分類モデルに基づいて特定の栄養型に分類され、特に、本発明による個人の栄養型を予測するための方法によって分類され、少なくとも1つの個人特有の影響因子に関するデータを、少なくとも1つの同一の個人特有の影響因子、好ましくは少なくとも2つの同一の個人特有の影響因子、好ましくは少なくとも3つの同一の個人特有の影響因子、好ましくは少なくとも3つの同一の個人特有の影響因子、好ましくは少なくとも4つの同一の個人特有の影響因子、好ましくは少なくとも5つの同一の個人特有の影響因子を有する個人に対して割り当てる。
【0064】
本発明の特に好ましい実施形態では、ステップi1)またはx1)において、個人は栄養型分類モデルに基づいて特定の栄養型に分類され、特に、本発明による個人の栄養型を予測するための方法によって分類され、少なくとも1つの個人特有の影響因子に関するデータを、少なくとも1つの同等の個人特有の影響因子、好ましくは少なくとも2つの同等の個人特有の影響因子、好ましくは少なくとも3つの同等の個人特有の影響因子、好ましくは少なくとも3つの同等の個人特有の影響因子、好ましくは少なくとも4つの同等の個人特有の影響因子、好ましくは少なくとも5つの同等の個人特有の影響因子を有する個人に対して割り当てる。
【0065】
本発明のさらに好ましい実施形態において、栄養型分類モデルは機械学習手順によって、好ましくは教師あり機械学習手順によって、好ましくは教師なし機械学習手順によって取得される。
【0066】
好ましくは、機械学習手順は、線形回帰、ロジスティック回帰、サポートベクトルマシン、決定木、ランダムフォレスト、K最近傍(kNN)、K-meansクラスタリング、単純ベイズ、主成分分析(PCA)、超疎線形整数モデル(SLIM)、ニューラルネットワーク、勾配ブーストツリー回帰からなる群から選択されるアルゴリズムに基づく。
【0067】
好ましくは、少なくとも1つの影響因子に対する異なる個人の同等な血糖応答、特に少なくとも1つの影響因子に対する同じ栄養型に分類された異なる固体の同等な血糖応答は、少なくとも1つの影響因子に対する個人の血糖応答に対して、少なくとも50%の同一性、好ましくは少なくとも55%の同一性、好ましくは少なくとも60%の同一性、好ましくは少なくとも65%の同一性、好ましくは少なくとも70%の同一性、好ましくは少なくとも75%の同一性、好ましくは少なくとも80%の同一性、好ましくは少なくとも85%の同一性、好ましくは少なくとも90%の同一性、好ましくは少なくとも91%の同一性、好ましくは少なくとも92%の同一性、好ましくは少なくとも93%の同一性、好ましくは少なくとも94%の同一性、好ましくは少なくとも95%の同一性、好ましくは少なくとも96%の同一性、好ましくは少なくとも97%の同一性、好ましくは少なくとも98%の同一性、好ましくは少なくとも99%の同一性、好ましくは少なくとも99.5%の同一性を有する。
【0068】
本発明の特に好ましい実施形態では、ステップii)またはy)において、ステップi)またはx)で提供される少なくとも1つの影響因子に関するデータは、異なる影響因子に対する異なる個人の血糖応答を含むデータベース、特に、異なる影響因子に対する同じ栄養型に分類される異なる個人の血糖応答を含むデータベース、特に、本発明による少なくとも1つの影響因子に対する個人の血糖応答を決定するための方法によって得られるデータベースにおいて、少なくとも1つの血糖応答に対して割り当てられる。
【0069】
さらなる好ましい実施形態において、ステップii)またはy)におけるデータベースは、特定の影響因子に対する個人の血糖応答を用いて、特に、本発明による少なくとも1つの影響因子に対する個人の血糖応答を決定するための方法によって決定されるものを用いて、拡張され、好ましくは連続的に拡張される。
【0070】
好ましくは、ステップii)またはy)におけるデータベースは、特定の影響因子に対する異なる個人の血糖応答を用いて、特に、特定の影響因子に対する同じ栄養型に分類された異なる個人の血糖応答を用いて、特に、本発明による少なくとも1つの影響因子に対する個人の血糖応答を決定するための方法によって決定される血糖応答を用いて、拡張され、好ましくは連続的に拡張される。
【0071】
本発明の好ましい実施形態において、少なくとも1つの影響因子は、食物摂取、身体活動、精神活動、投薬、睡眠、またはそれらの組み合わせから選択される。
【0072】
本発明のさらに好ましい実施形態において、ステップi)またはx)で提供される少なくとも1つの影響因子に関するデータは、日中、睡眠の持続時間、個人の年齢、個人の性別、個人の体重、個人の身長、胴体対股関節比、体温、基礎代謝率、個人の腸管における微生物叢組成、個人のメタボローム組成、個人のゲノム、身体活動のタイプ、身体活動の持続時間、精神活動のタイプ、精神活動の持続時間、食物のタイプ、食物組成、食物の量、食物消費の時間、健康状態、薬物のタイプおよび/または投薬量についての情報を含む。
【0073】
本発明の好ましい実施形態において、食物摂取に関するデータは、日中、睡眠の持続時間、個人の年齢、個人の性別、個人の体重、個人の身長、個人のボディマスインデックス(BMI)、ウエスト対ヒップ比、体温、基礎代謝速度、個人の腸管における微生物叢組成、個人のメタボローム組成、個人のゲノム、身体活動のタイプ、身体活動の持続時間、精神活動のタイプ、精神活動の持続時間、食物のタイプ、食物組成、食物の量、食物消費の時間、健康状態、薬物のタイプおよび/または薬物の投薬量に関する情報を含む。
【0074】
本発明のさらに好ましい実施形態において、身体活動に関するデータは、日中、睡眠の持続時間、個人の年齢、個人の性別、個人の体重、個人の身長、身体のボディマスインデックス(BMI)、腰対股関節比、体温、基礎代謝速度、個人の腸管における微生物叢組成、個人のメタボローム組成、個人のゲノム、身体活動のタイプ、身体活動の持続時間、精神活動のタイプ、精神活動の持続時間、健康状態、投薬のタイプおよび/または投薬量に関する情報を含む。
【0075】
本発明の好ましい実施形態において、精神活動に関するデータは、日中、睡眠の持続時間、個人の年齢、個人の性別、個人の体重、個人の身長、身体のボディマスインデックス(BMI)、腰対股関節比、体温、基礎代謝速度、個人の腸管における微生物叢組成、個人のメタボローム組成、個人のゲノム、身体活動のタイプ、身体活動の持続時間、精神活動のタイプ、精神活動の持続時間、健康状態、投薬のタイプおよび/または投薬量に関する情報を含む。
【0076】
本発明のさらに好ましい実施形態において、投薬に関するデータは、日中、睡眠の持続時間、個人の年齢、個人の性別、個人の体重、個人の身長、身体のボディマスインデックス(BMI)、腰部対股関節比、体温、基礎代謝速度、個人の腸管における微生物叢組成、個人のメタボローム組成、個人のゲノム、身体活動のタイプ、身体活動の持続時間、精神活動のタイプ、精神活動の持続時間、健康状態、投薬のタイプおよび/または投薬の投薬量に関する情報を含む。
【0077】
本発明のさらに好ましい実施形態において、睡眠に関するデータは、日中、睡眠の持続時間、個人の年齢、個人の性別、個人の体重、個人の身長、個人のボディマスインデックス(BMI)、腰部対股関節比、体温、基礎代謝速度、個人の腸管における微生物叢組成、メタボローム組成、個人のゲノム、健康状態、投薬のタイプおよび/または投薬量に関する情報を含む。
【0078】
本発明の好ましい実施形態において、データベースは、異なる影響因子に対する個人の血糖応答を、少なくとも10、好ましくは少なくとも50、好ましくは少なくとも100、好ましくは少なくとも250、好ましくは少なくとも500、好ましくは少なくとも750、好ましくは少なくとも1000、好ましくは少なくとも2000、好ましくは少なくとも3000、好ましくは少なくとも4000、好ましくは少なくとも5000、好ましくは少なくとも7500、好ましくは少なくとも10000、好ましくは少なくとも25000、好ましくは少なくとも50000、好ましくは少なくとも100000含む。
【0079】
本発明のさらなる好ましい実施形態において、データベースは、異なる影響因子に対する異なる個人の血糖応答、特に、異なる影響因子に対する同じ栄養型に分類された異なる個人の血糖応答を、少なくとも10、好ましくは少なくとも50、好ましくは少なくとも100、好ましくは少なくとも250、好ましくは少なくとも500、好ましくは少なくとも750、好ましくは少なくとも1000、好ましくは少なくとも2000、好ましくは少なくとも3000、好ましくは少なくとも4000、好ましくは少なくとも5000、好ましくは少なくとも7500、好ましくは少なくとも10000、好ましくは少なくとも25000、好ましくは少なくとも50000、好ましくは少なくとも100000含む。
【0080】
好ましくは、データベースは、少なくとも2つの異なる影響因子、好ましくは少なくとも3つの異なる影響因子、好ましくは少なくとも4つの異なる影響因子、好ましくは少なくとも5つの異なる影響因子、好ましくは少なくとも6つの異なる影響因子、好ましくは少なくとも7つの異なる影響因子、好ましくは少なくとも8つの異なる影響因子、好ましくは少なくとも9つの異なる影響因子、好ましくは少なくとも10の異なる影響因子、好ましくは少なくとも15の異なる影響因子、好ましくは少なくとも20の異なる影響因子、好ましくは少なくとも25の異なる影響因子、好ましくは少なくとも30の異なる影響因子、好ましくは少なくとも35の異なる影響因子、好ましくは少なくとも40の異なる影響因子、好ましくは少なくとも45の異なる影響因子、好ましくは少なくとも50の異なる影響因子、好ましくは少なくとも75の異なる影響因子、好ましくは少なくとも100を含む 異なる影響因子、好ましくは少なくとも150の異なる影響因子、好ましくは少なくとも200の異なる影響因子、好ましくは少なくとも250の異なる影響因子、好ましくは少なくとも500の異なる影響因子、好ましくは少なくとも1000の異なる影響因子、好ましくは少なくとも2000の異なる影響因子に対する、個人の血糖応答、好ましくは異なる個人の血糖応答、特に、同じ栄養型に分類される異なる個人の血糖応答を含む。
【0081】
本発明のさらに好ましい実施形態において、異なる影響因子に対する個人の血糖応答を含むデータベース、好ましくは異なる影響因子に対する異なる個人の血糖応答を含むデータベース、特に、異なる影響因子に対する同じ栄養型に分類された異なる個人の血糖応答を含むデータベースは局所的に記憶され、特に、コンピュータ可読記憶媒体に記憶される。
【0082】
本発明の別の好ましい実施形態において、異なる影響因子に対する個人の血糖応答を含むデータベース、好ましくは異なる影響因子に対する異なる個人の血糖応答を含むデータベース、特に異なる影響因子に対する同じ栄養型に分類された異なる個人の血糖応答を含むデータベースはグローバルに記憶され、特にサーバに記憶される。
【0083】
本発明の好ましい実施形態では、ステップi)またはx)において提供される少なくとも1つの影響因子に関するデータの、異なる影響因子に対する個人の血糖応答を含むデータベースにおける少なくとも1つの血糖応答、好ましくは異なる影響因子に対する異なる個人の血糖応答を含むデータベースにおける少なくとも1つの血糖応答、特に異なる影響因子に対する同じ栄養型に分類された異なる個人の血糖応答を含むデータベースにおける少なくとも1つの血糖応答に対する割り当ては、ステップii)またはy)において、血糖応答分類モデル、好ましくは機械学習手順によって得られる血糖応答分類モデルによって実行される。
【0084】
好ましくは、機械学習手順は教師なし機械学習手順である。本発明のさらなる実施形態において、機械学習手順は教師あり機械学習手順である。
【0085】
好ましくは、機械学習手順は、線形回帰、ロジスティック回帰、サポートベクトルマシン、決定木、ランダムフォレスト、K最近傍(kNN)、K-meansクラスタリング、単純ベイズ、主成分分析(PCA)、超疎線形整数モデル(SLIM)、ニューラルネットワーク、勾配ブーストツリー回帰からなる群から選択されるアルゴリズムに基づく。
【0086】
本発明の好ましい実施形態において、血糖曲線におけるベースラインを決定するための方法は、ステップd)およびe)に加えて以下を有する:aa)個人に影響を及ぼす少なくとも1つの影響因子に関するデータを提供するステップ;bb)異なる影響因子に対する個人の血糖応答を含むデータベースにおいて、個人に影響を及ぼす少なくとも1つの影響因子に関するデータを少なくとも1つの血糖応答に対して割り当てるステップ;cc)ステップbb)のデータベースにおける個人に影響を及ぼす少なくとも1つの影響因子に対する個人の血糖応答に基づいて、個人に対するパーソナライズされたライフスタイル推奨を計算するステップ;dd)個人に対するパーソナライズされたライフスタイル推奨を出力するステップ。本発明のこの特定の実施形態によれば、血中グルコース曲線におけるベースラインを決定するための方法はステップa)、b)、c)、d)、e)、aa)、bb)、cc)、およびdd)を含み、個人のパーソナライズされたライフスタイル推奨を決定するための方法である。
【0087】
特に好ましい実施形態において、ステップbb)のデータベースは、異なる影響因子に対する異なる個人の血糖応答、特に、異なる影響因子に対する同じ栄養型に分類された異なる個人の血糖応答を含み、特に、本発明による少なくとも1つの影響因子に対する個人の血糖応答を決定するための方法によって決定される。
【0088】
本発明はさらに、個人のためのパーソナライズされたライフスタイル推奨を決定するための方法、特に、個人のためのパーソナライズされたライフスタイル推奨を決定するためのコンピュータ実施方法に関し、この方法は以下を有する:
i)異なる影響因子に対する個人の血糖応答を含むデータベース、好ましくは異なる影響因子に対する異なる個人の血糖応答を含むデータベース、特に、異なる影響因子に対する同じ栄養型に分類された異なる個人の血糖応答を含むデータベースを提供し、本発明による少なくとも1つの影響因子に対する個人の血糖応答を決定する方法によって決定されるステップ、
ii)個人に影響を及ぼす少なくとも1つの影響因子に関するデータを提供するステップ、
iii)ステップi)において提供されるデータベースにおける個人に影響を及ぼす少なくとも1つの影響因子に対する個人の血糖応答に基づいて、好ましくはステップi)において提供されるデータベースにおける個人に影響を及ぼす少なくとも1つの影響因子に対する異なる個人の血糖応答に基づいて、特に、ステップi)において提供されるデータベースにおける個人に影響を及ぼす少なくとも1つの影響因子に対する同じ栄養型に分類される異なる個人の血糖応答に基づいて、個人についてのパーソナライズされた生活様式推奨を計算するステップ、
iv)個人のためのパーソナライズされた生活スタイルの推奨を出力するステップ。
【0089】
パーソナライズされたライフスタイル推奨を決定するための方法は、個人の血中グルコースレベルの過剰な変動またはピークを回避するために、特に、インスリンおよび他のホルモンまたはホルモン活性生体分子および小分子、例えば(神経)ペプチド、糖類、脂質、脂肪酸、神経伝達物質、代謝産物、または核酸の過剰な変動またはピークに関連する、個人の血中グルコース曲線における過剰なピークの発生を回避するために、行動推奨を個人に対して提供することを可能にする。本発明の好ましい実施形態において、パーソナライズされたライフスタイル推奨は生活の様々な態様を包含し、例えば栄養行動、身体活動、および睡眠行動などであるが、これらに限定されない。本発明の特定の好ましい実施形態において、パーソナライズライフスタイル推奨は、パーソナライズ食事、パーソナライズトレーニングプラン、パーソナライズ薬剤プラン、パーソナライズ睡眠推奨、および/またはパーソナライズ精神運動(例えば、メディテーション)からなる群から選択される。パーソナライズされたライフスタイル推奨、特に、本発明による方法によって決定されるパーソナライズされたライフスタイル推奨は、特定の影響因子に対する異なる個人の血糖応答がかなり変化し得るという事実を考慮する。したがって、ステップdd)またはiv)で得られたパーソナライズライフスタイル推奨は、好ましくは個人の健康を維持もしくは改善するため、および/または、血糖関連疾患および/または障害を治療および/または予防するために、個人の血糖レベルにおける過剰な変動またはピークを回避するための行動推奨を、個人に対して提供する。
【0090】
本発明の好ましい実施形態において、個人のパーソナライズ生活習慣推奨を決定するための方法は、パーソナライズ食事の組成を決定するための方法であり、同方法のステップcc)において、ステップbb)で提供されるデータベースにおける個人に影響を及ぼす少なくとも1つの影響因子に対する個人の血糖応答に基づくパーソナライズ食事の組成が計算され、ステップdd)においてパーソナライズ食事の組成が出力される。本発明のこの特定の実施形態によれば、血糖曲線におけるベースラインを決定するための方法はステップa)、b)、c)、d)、e)、aa)、bb)、cc)、およびdd)を含み、パーソナライズされた食事の組成を決定するための方法である。
【0091】
本発明のさらに好ましい実施形態において、パーソナライズされたライフスタイル推奨を決定するための方法は、パーソナライズされた食事の組成を決定するための方法である。前記特定の実施形態によれば、前記方法は以下を有する:
i)異なる影響因子に対する個人の血糖応答を含むデータベース、好ましくは異なる影響因子に対する異なる個人の血糖応答を含むデータベース、特に、異なる影響因子に対する同じ栄養型に分類された異なる個人の血糖応答を含むデータベースを提供し、本発明による少なくとも1つの影響因子に対する個人の血糖応答を決定する方法によって決定されるステップ、
ii)個人に影響を及ぼす少なくとも1つの影響因子に関するデータを提供するステップ、
iii)ステップi)において提供されるデータベース内の個人に影響を及ぼす少なくとも1つの影響因子に対する個人の血糖応答に基づいて、好ましくは、ステップi)において提供されるデータベース内の個人に影響を及ぼす少なくとも1つの影響因子に対する、異なる個人の血糖応答に基づいて、特に、ステップi)において提供されるデータベース内の個人に影響を及ぼす少なくとも1つの影響因子に対する、同じ栄養型に分類される異なる個人の血糖応答に基づいて、パーソナライズされた食事の組成を計算するステップ、
iv)パーソナライズされた食事の組成を出力するステップ。
【0092】
最も好ましくは、パーソナライズされた食事の組成を決定するための方法は、低血糖栄養のための食事推奨を、特に血糖関連疾患および/または障害の治療および/または予防に使用するためのパーソナライズされた食事を、個人に提供する。
【0093】
特に好ましい実施形態において、パーソナライズされた食事の少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つ、好ましくは少なくとも4つ、好ましくは少なくとも5つの異なる組成物の選択が、ステップdd)またはiv)において提供される。
【0094】
好ましくは、パーソナライズされた食事は、少なくとも1食、好ましくは少なくとも2食、好ましくは少なくとも3食を含む。本発明はさらに、デジタルコンピュータの内部メモリに直接ロード可能なコンピュータプログラム製品に関し、コンピュータによってプログラムが実行されたときに、本発明による少なくとも1つの方法をコンピュータに実施させるソフトウェアコード部分を有し、特に、i)本発明による少なくとも1つの影響因子に応じて血糖曲線におけるベースラインを決定するための方法、ii)本発明による少なくとも1つの影響因子に対する個人の血糖応答を決定するための方法、iii)本発明による個人の栄養型を予測するための方法、iv)本発明による少なくとも1つの影響因子に対する個人の血糖応答を予測するための方法、および/またはv)本発明による個人に対するパーソナライズされた生活様式の推奨を決定するための方法、特に、本発明によるパーソナライズされた食事の組成を決定するための方法である。
【0095】
本発明はさらに、コンピュータによって実行されると、コンピュータに、本発明による方法のうちの少なくとも1つを実行させるソフトウェアコード部分を含むコンピュータ可読記憶媒体に関し、特に、i)本発明による少なくとも1つの影響因子に応答して血糖曲線のベースラインを決定するための方法、ii)本発明による少なくとも1つの影響因子に対する個人の血糖応答を決定するための方法、iii)本発明による個人の栄養型を予測するための方法、iv)本発明による少なくとも1つの影響因子に対する個人の血糖応答を予測するための方法、および/またはv)本発明による個人のパーソナライズライフスタイル推奨を決定するための方法、特に、本発明によるパーソナライズ食事の組成を決定するための方法に関する。
【0096】
本発明はさらに、以下を備える装置に関する:
・ユーザインターフェースを表示する表示ユニット、
・入力ユニット、
・メモリユニット、
・処理ユニット、
メモリユニットは本発明に係るコンピュータプログラム製品を備え、特に、コンピュータプログラム製品はソフトウェアコード部分を備え、プログラムが処理ユニットによって実行されると、本発明による方法のうちの少なくとも1つを実施し、特に、i)本発明による少なくとも1つの影響因子に応じて血糖曲線のベースラインを決定する方法、ii)本発明による少なくとも1つの影響因子に対する個人の血糖応答を決定する方法、iii)個人の栄養型を予測する方法、iv)本発明による少なくとも1つの影響因子に対する個人の血糖応答を予測する方法、および/またはv)本発明による個人のパーソナライズライフスタイル推奨を決定する方法、特に本発明によるパーソナライズ食事の組成を決定する方法である。
【0097】
本発明の好ましい実施形態において、デバイスは、モバイルデバイス、特に電池式ワイヤレスモバイルデバイスである。好ましくはモバイルデバイス、特に電池式ワイヤレスモバイルデバイスは、タブレットコンピュータ、スマートフォン、スマートウォッチ、およびフィットネストラッキングデバイスからなる群から選択される。
【0098】
本発明のさらなる好ましい実施形態において、デバイス、好ましくはモバイルデバイス、特にバッテリ駆動ワイヤレスモバイルデバイスは、サーバへの接続、特にワイヤレス接続を確立することができ、そのサーバ上に、データベース、特に、異なる影響因子に対する個人の血糖応答を含むデータベース、好ましくは異なる影響因子に対する異なる個人の血糖応答を含むデータベース、特に、異なる影響因子に対する同じ栄養型に分類された異なる個人の血糖応答を含むデータベースが記憶される。
【0099】
好ましくは、デバイス、好ましくはモバイルデバイス、特に電池式ワイヤレスモバイルデバイスは、少なくとも1つの影響因子に応答して個人の血糖応答、特に、本発明による少なくとも1つの影響因子に対する個人の血糖応答を決定するための方法によって決定された個人の血糖応答を、異なる影響因子に対する個人の血糖応答を含むデータベース、好ましくは異なる影響因子に対する異なる個人の血糖応答を含むデータベース、特に、異なる影響因子に対する同じ栄養型に分類された異なる個人の血糖応答を含むデータベースを、サーバに記憶することができる。
【0100】
したがって、本発明の特に好ましい実施形態では、デバイス、好ましくはモバイルデバイス、特に電池式ワイヤレスモバイルデバイスは、異なる影響因子に対する個人の血糖応答を含むデータベース、好ましくは異なる影響因子に対する異なる個人の血糖応答を含むデータベース、特に、異なる影響因子に対する同じ栄養型に分類された異なる個人の血糖応答を含むデータベースにアクセスし、編集することができ、データベースはグローバルにサーバに記憶される。
【0101】
本発明のさらに好ましい実施形態において、デバイス、好ましくはデスクトップデバイスまたはモバイルデバイス、特に電池式ワイヤレスモバイルデバイスは、異なる影響因子に対する個人の血糖応答を含むデータベース、好ましくは異なる影響因子に対する異なる個人の血糖応答を含むデータベース、特に、異なる影響因子に対する同じ栄養型に分類された異なる個人の血糖応答を含むデータベースにアクセスし、編集することができ、データベースはデバイスのメモリユニットにローカルに記憶される。
【0102】
本発明の特に好ましい実施形態において、血糖曲線におけるベースラインを決定するための方法は、ステップd)およびe)に加えて以下を有する:aa)個人に影響を及ぼす少なくとも1つの影響因子に関するデータを提供するステップ;bb)異なる影響因子に対する個人の血糖応答を含むデータベースにおいて、個人に影響を及ぼす少なくとも1つの影響因子に関するデータを少なくとも1つの血糖応答に対して割り当てるステップ;cc)ステップbb)において提供されたデータベースにおける個人に影響を及ぼす少なくとも1つの影響因子に対する個人の血糖応答に基づいて、パーソナライズされた食事の組成を計算するステップ;dd)パーソナライズされた食事の組成を出力するステップ;ee)ステップcc)において計算された組成を有するパーソナライズされた食事の成分を準備するステップ。本発明のこの特定の実施形態によれば、血糖曲線におけるベースラインを決定するための方法はステップa)、b)、c)、d)、e)、aa)、bb)、cc)、dd)およびee)を含み、パーソナライズされた食事を調製するための方法である。
【0103】
本発明はまた、パーソナライズされた食事を調製するための方法にも関し、同方法は以下のステップを含む:
xx)本発明によるパーソナライズされた食事の組成を決定するための方法によって、パーソナライズされた食事の組成を決定するステップ、
yy)ステップxx)において決定された組成を有するパーソナライズされた食事の成分を調製するステップ。
【0104】
本発明はさらに、本発明による方法、特に本発明による方法のステップee)によって、またはパーソナライズされた食事を調製するための方法によって得られるパーソナライズされた食事に関し、パーソナライズされた食事は、血糖関連疾患および/または障害の治療に使用するためのものである。
【0105】
本発明の好ましい実施形態において、血糖関連疾患および/または障害は、1型糖尿病(DMT1)、2型糖尿病(DMT2)、妊娠糖尿病、高血糖症、メタボリックシンドローム、心血管疾患、耐糖能異常、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、片頭痛、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、癌、座瘡、アトピー性皮膚炎、乾癬、酒さ、心房細動、異脂肪血症、HIV、動脈性高血圧症、前糖尿病、肥満、脳/認知機能障害、アルツハイマー病、鬱病、更年期の症状、月経調節不全、軟骨損傷、パーキンソン病、リウマチ性疾患、慢性炎症からなる群から選択される。
【0106】
本発明はまた、本発明による方法によって、特に本発明による方法のステップee)において、または本発明によるパーソナライズされた食事を調製するための方法によって、妊娠の誘導、月経周期の調節、体重減少、抗加齢、または月経の問題および閉経の症状の治療および/または予防において得られるパーソナライズされた食事の使用に関する。
【0107】
本発明の好ましい実施形態において、異なる影響因子に対する個人の血糖応答を含むデータベース、好ましくは異なる影響因子に対する異なる個人の血糖応答を含むデータベース、特に、異なる影響因子に対する同じ栄養型に分類された異なる個人の血糖応答を含むデータベースは、自動的に設定されたベースラインに基づいて、特に、本発明による血糖曲線におけるベースラインを決定するための方法を使用して設定されたベースラインに基づいて決定された血糖応答を含むデータベースである。好ましくは、データベースは、数学的にのみ決定された、特に特定の時間に測定された血中グルコースレベルに基づいてのみ決定された、または測定された血中グルコースレベルの平均化に基づいてのみ決定されたベースラインに基づく血糖応答を含まない。さらなる好ましい実施形態において、データベースは、数学的に決定された、特に特定の時間に測定された血糖レベルに基づいて決定された、または測定された血糖レベルの平均に基づいた、ベースラインに基づく血糖応答を含まない。
【0108】
本発明のさらに好ましい実施形態において、ステップa)、b)、c)、d)およびe)で決定された少なくとも1つの影響因子に対する個人の血糖応答は、ステップe)の後に、異なる影響因子に対する個人の血糖応答を含むデータベースに導入され、好ましくはデータベースは異なる影響因子に対する異なる個人の血糖応答を含み、特にデータベースは異なる影響因子に対する同じ栄養型に分類された異なる個人の血糖応答を含む。本発明のこの実施形態によれば、本方法は、ステップe)で決定された少なくとも1つの影響因子に対する個人の血糖応答を、異なる影響因子に対する個人の血糖応答を含むデータベース、好ましくは異なる影響因子に対する異なる個人の血糖応答を含むデータベース、特に異なる影響因子に対する同じ栄養型に分類された異なる個人の血糖応答を含むデータベースに対して導入するステップe2)を含む。
【0109】
好ましくは、ステップa)、b)、c)、d)およびe)で決定された少なくとも1つの影響因子に対する個人の血糖応答は、ステップf)、ii)および/またはbb)の前に、好ましくはステップf)の前に、好ましくはステップii)の前に、好ましくはステップbb)の前に、異なる影響因子に対する個人の血糖応答を含むデータベース、好ましくは異なる影響因子に対する異なる個人の血糖応答を含むデータベース、特に、異なる影響因子に対する異なる同じ栄養型に分類された個人の血糖応答を含むデータベースに対して、導入される。したがって、ステップf)、ii)および/またはbb)、好ましくはステップf)、好ましくはステップii)、好ましくはステップbb)で使用されるデータベースは、好ましくはステップa)、b)、c)、d)、およびe)で決定された少なくとも1つの影響因子に対する個人の血糖応答を含み、特に、トレーニングされたアルゴリズムによって決定されたベースラインを有する少なくとも1つの影響因子に応答して個人の血糖曲線に基づいて決定され、特に、本発明による血糖曲線のベースラインを決定する方法によって決定される。本発明のこの実施形態によれば、本方法はステップf1)、ii1)および/またはbb1)、好ましくはステップf1)、好ましくはステップii1)、好ましくはステップbb1)を含み、このステップは、ステップe)で決定された少なくとも1つの影響因子に対する個人の血糖応答を、異なる影響因子に対する個人の血糖応答を含むデータベース、好ましくは異なる影響因子に対する異なる個人の血糖応答を含むデータベース、特に異なる影響因子に対する同じ栄養型に分類された異なる個人の血糖応答を含むデータベースへ導入し、ステップf1)、ii1)および/またはbb1)、好ましくはステップf1)、好ましくはステップii1)、好ましくはステップbb1)は、ステップf)、ii)および/またはbb)の前に、好ましくはステップf)の前に、好ましくはステップii)の前に、好ましくはステップbb)の前に、実施される。
【0110】
本発明の文脈において、「血糖曲線(血中グルコース曲線)」という用語は、時間依存的な態様における血中のグルコース濃度を指す。特に、「血糖曲線」は、座標系(x軸:時間、y軸:グルコースレベル)において通常示される様々な時点で測定された血中グルコースレベルのプロットである。用語「血中グルコースレベル」は、所与の時間における血中グルコース濃度を表す。本発明の文脈において、用語「血中グルコース応答」は、「血糖応答」とも呼ばれ、個人の血糖ベースラインを考慮して、少なくとも1つの特定の影響因子に応答した血糖曲線の時間依存的進行を示す。「血糖応答」は、好ましくは少なくとも1つの特定の影響因子に対して割り当て可能な血糖曲線の正確な時間依存性の進行および程度に関する情報を包含する。特に好ましい実施形態において、「血糖応答」は、曲線下面積(AUC)、特に、血中グルコースベースラインによって区分される曲線下増加面積(iAUC)、自動的に決定された血中グルコースベースラインに対する血中グルコースレベルの最大増加、または血中グルコース曲線の傾き、特に、少なくとも1つの影響因子に応答した血中グルコース曲線の最急下降または上昇に対応する。
【0111】
本発明の文脈において、用語「影響因子」は、個人の血糖レベルに影響を及ぼすのに適した、特に個人の血糖応答を誘発するのに適した、任意の外因性および内因性因子に関する。本発明の文脈において使用される「個人特異的影響因子」という用語は、個人の年齢、個人の性別、個人の体重、個人の身長、個人のボディマスインデックス(BMI)、腰部対股関節比、体温、基礎代謝速度、腸内微生物叢組成、個人のメタボローム組成、個人のゲノム、個人の睡眠行動、特に毎日の睡眠時間および起床時間などのような、血糖レベルに影響を及ぼすのに適した個人の特定の内因性因子に関するが、これらに限定されない。
【0112】
用語「アルゴリズム」は、特定のタスクを実行するための、明確に定義されたコンピュータ実装可能命令のシーケンスを示す。
【0113】
本発明の文脈において、「栄養型分類モデル」という表現は、個人を特定の栄養型に分類する分類モデルを示す。
【0114】
本発明の文脈において使用される表現「血糖応答分類モデル」は、少なくとも1つの影響因子に関するデータを、異なる影響因子に対する個人の血糖応答を含むデータベースにおける少なくとも1つの血糖応答に対して割り当てる分類モデルに関し、好ましくは、異なる影響因子に対する異なる個人の血糖応答、特に、異なる影響因子に対する同じ栄養型に分類された異なる個人の血糖応答を含む。
【0115】
本発明の文脈において、用語「栄養型」は、特定の影響因子に対する同等の血糖応答を特徴とする、定義された個人群、特に同等の代謝を特徴とする個人群を示す。好ましくは、特定の「栄養型」の個人は、類似の遺伝子型を特徴とし、後成的に類似し、および/または腸内微生物叢の類似の組成を有する。
【0116】
本発明の文脈において、「影響因子処理ベースラインを有する血糖曲線」という表現は、少なくとも1つの影響因子が存在しないとき得られたであろう血糖曲線進行からの血糖曲線進行の逸脱の原因である少なくとも1つの影響因子を考慮して決定された、ベースラインを含む血糖曲線を意味し、特に、少なくとも1つの影響因子が存在しないとき得られたであろう血糖曲線進行からの血糖曲線進行の逸脱の原因である少なくとも1つの影響因子に依存する。特に、「影響因子処理ベースライン」は、先行技術の血糖曲線ベースラインとは対照的に、好ましくは特定の時間における個人の血糖レベルの決定に単純に基づくものではなく、または所定の期間中にモニタリングされた血糖レベルの平均化の結果を構成するが、好ましくは少なくとも1つの影響因子の非存在下で得られたであろう血糖曲線進行からの血糖曲線進行の逸脱の原因となる少なくとも1つの影響因子に関する情報、特に、少なくとも1つの影響因子の非存在下で得られたであろう血糖曲線進行からの血糖曲線進行の逸脱の原因となる少なくとも1つの影響因子の性質、持続時間および程度に基づいて、個別に設定される。好ましくは、影響因子処理ベースラインは、少なくとも1つの影響因子の効果を個人の血糖曲線の進行に割り当てることによって、および少なくとも1つの影響因子によって影響を受けない対応するベースラインを設定することによって得られたベースラインである。本発明による「影響因子処理ベースライン」はベースラインであり、これは、単に数学的に決定されるのではなく、特に、特定の時間に測定された血糖レベルのみに基づいて、または測定された血糖レベルの平均化にのみ基づいて決定されるのではない。特に好ましくは、本発明による「影響因子処理ベースライン」は単に数学的に決定されるものではないベースラインであり、特に、単に特定の時間に測定された血糖値に基づいて、または単に測定された血糖値の平均に基づいて決定されるものではないベースラインである。好ましくは、「影響因子処理ベースライン」は、専門家の知識に基づいて決定されたベースラインであり、特に、有資格の専門家、好ましくは栄養士、栄養科学者、および/または医師によって決定されたベースラインである。さらに好ましい実施形態において、「影響因子処理ベースライン」は、特に栄養士、栄養科学者および/または医師から選択される、少なくとも2人の異なる資格のある専門家によって決定されるベースラインである。本発明のさらに好ましい実施形態において、血糖曲線の「影響因子処理ベースライン」は、血糖曲線におけるベースラインの正確な進行に関する独立したまたは新しい意見を与えることができる対象者または対象物によって決定されている。好ましくは、血糖曲線の「影響因子処理ベースライン」は、人間またはコンピュータによって決定されている。好ましくは、「影響因子処理ベースライン」は、人間またはコンピュータによって、特に有資格専門家、好ましくは栄養士、栄養科学者および/または医師によって、血糖曲線の進行に対する少なくとも1つの影響因子の効果に依存して、特に、少なくとも1つの影響因子の非存在下で得られたであろう血糖曲線進行からの血糖曲線進行の逸脱の原因となる少なくとも1つの影響因子に関する情報に依存して決定されている。本発明によれば、専門知識に基づいて、特に人間の専門知識に基づいて、血糖曲線におけるベースラインの分析および/または決定、特に非数学的分析および/または決定をすることは、本発明の一部ではない。本発明による方法は、以前に決定された、特に単に数学的に決定されたものではなく、好ましくは数学的に決定されていない「影響因子処理ベースライン」を含む個人の血糖曲線を含むトレーニングデータの使用に基づいており、これらのトレーニングデータは、機械学習手順を用いることによって自動化されたベースライン決定のためのアルゴリズムをトレーニングするために使用される。
【0117】
本発明の文脈において、「食物」および「食品」という用語は、特定の果物、野菜、肉、魚などの任意の生および調製された食用製品、ならびにパン、朝食用食事、パスタ、サラダ、ソース、飲料、菓子、キャンディなどのこれらとは異なる生および調製された食用製品の組み合わせを包含する。これらの用語はさらに、少なくとも1つの微量栄養素または多量栄養素、ならびに微量栄養素と多量栄養素の組み合わせに関する。
【0118】
本発明の文脈において、用語「パーソナライズされた」は、個人特異的適応に関し、特に、特定の個人に影響を及ぼす外因性および内因性因子を考慮した個人特異的適応に関する。したがって、本発明の文脈において使用される「パーソナライズされた食事」という用語は、個人に影響を及ぼす外因性および内因性因子を考慮して特定の個人に特異的に適合された栄養に関する。
【0119】
「パーソナライズされたライフスタイル推奨」という用語は、個人の生活の方法またはスタイル、特に個人の行動に対する、調整された推奨に関連する。本発明の文脈において、この用語は生活の様々な態様を包含し、例えば栄養行動、身体活動、および睡眠行動などであるが、これらに限定されない。本発明による「パーソナライズされたライフスタイル推奨」は特に、個人の血糖値の過度の変動またはピークを回避することを目的とする。
【0120】
本発明の文脈において、「パーソナライズされた食事の組成を決定する」という表現は、パーソナライズされた食事を構成する化合物の決定/予測に関し、特に、個別の栄養化合物に対する個人の特定の血糖応答に合わせた個人の栄養に関する。したがって、パーソナライズされた食事の組成の決定は、個人の特定の血糖応答に依拠して、食事の成分などの個人の栄養の成分を編集することを可能にするのに役立つ。本発明による方法によって決定される組成物を有するパーソナライズされた食事は、食事の摂取に応答した個人のグルコースおよびインスリンレベルの過剰な変動またはピークを回避することを可能にする。したがって、「パーソナライズされた食事の組成を決定する」という表現は、所与の食事の化学分析に向けられているのではなく、個人のグルコースおよびインスリンレベルの過剰な変動またはピークをもたらさない個人の食事の組成の決定/予測に向けられているものである。
【0121】
「パーソナライズされた食事」という用語は、パーソナライズされた単一の食事だけでなく、好ましくは1日、1週間、または1ヶ月の間に摂取される様々なパーソナライズ食事の推奨も包含する。この用語はさらに、微量栄養素および多量栄養素のパーソナライズされた組成物に関する。
【0122】
本発明の文脈において、用語「コンピュータ可読記憶媒体」は、任意の機械可読媒体、特に、ある場所から別の場所へのコンピュータプログラムの転送を容易にする任意の媒体を含むコンピュータ記憶媒体および通信媒体を含む。記憶媒体は、コンピュータによってアクセスされ、読み取られることができる任意の利用可能な媒体である。限定ではなく例として、そのようなコンピュータ可読媒体は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読取専用メモリ(ROM)、電気的消去可能プログラマブル読取専用メモリ(EEPROM)、または他の光ディスク記憶装置、半導体メモリ、磁気ディスク記憶装置、または、命令またはデータ構造の形態で所望のプログラムコードを搬送または記憶するために使用され、コンピュータによってアクセスできる任意の他の媒体を含む。また、接続をコンピュータ可読媒体と呼ぶこともできる。たとえば、ソフトウェアが同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、デジタル加入者回線(DSL)、または赤外線、無線、およびマイクロ波などのワイヤレス技術を使用して、ウェブサイト、サーバ、または他のリモートソースから送信される場合、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、または赤外線、無線、およびマイクロ波などのワイヤレス技術は、媒体の定義に含まれる。本明細書で使用されるディスク(disk)およびディスク(disc)は、コンパクトディスク(CD)、レーザディスク、光ディスク、デジタル多用途ディスク(DVD)、フロッピーディスクおよびブルーレイディスクを含み、ディスク(disk)は通常、データを磁気的に再生し、ディスク(disc)はデータをレーザで光学的に再生する。
【0123】
本発明の文脈において、用語「a」は、「1つ」または「1つ以上」の意味を含む。
【0124】
本発明の文脈において、「備える(comprising)」という用語は好ましくは「含む(containing)」または「有する(including)」という意味を有し、さらなる要素の存在を排除することなく、具体的に特定された要素を含む意味を有する。しかしながら、好ましい実施形態において、用語「備える」が「から本質的になる」という意味を有すると理解され、さらなる好ましい実施形態では「からなる」という意味を有すると理解される。
【0125】
本発明の更に好ましい実施形態は、以下の側面およびサブクレームの対象となる。
【0126】
態様1:血糖曲線におけるベースラインを決定するための方法であって、前記方法は以下を含む:
a)影響因子処理ベースラインを有する個人の血糖曲線を含むトレーニングデータを提供するステップ、
b)ステップa)において提供されるトレーニングデータを機械学習手順に対して供して、血糖曲線におけるベースラインの自動決定のためのトレーニングされたアルゴリズムを取得するステップ、
c)トレーニングされたアルゴリズムを応答における血糖曲線に対して適用することによって血糖曲線のベースラインを決定するステップ。
【0127】
態様2:ステップa)において提供されるトレーニングデータは、少なくとも1つの影響因子に応答する、少なくとも10、好ましくは少なくとも50、好ましくは少なくとも100、好ましくは少なくとも250、好ましくは少なくとも500、好ましくは少なくとも750、好ましくは少なくとも1000ペアの血糖曲線を含む、態様1に記載の方法。
【0128】
態様3:前記機械学習手順は教師あり機械学習手順である、前述の態様のいずれか1つに記載の方法。
【0129】
態様4:少なくとも1つの影響因子に対する個人の血糖応答を決定するための方法であって以下を有する:
aa)少なくとも1つの影響因子に応答する個人の少なくとも1つの血糖曲線を提供するステップ、
bb)ステップa)で提供される少なくとも1つの血糖曲線に対して、態様1~3のいずれかに記載の方法のステップb)で得られたトレーニングされたアルゴリズムを適用して、自動的に決定されたベースラインを有する個人の少なくとも1つの血糖曲線を得るステップ、
cc)ステップbb)で得られた少なくとも1つの血糖曲線を分析して、少なくとも1つの影響因子に対する個人の血糖応答を決定するステップ。
【0130】
態様5:個人の栄養型を予測するための方法であって、前記方法は以下を有する:
i)態様4に記載の方法によって得られた少なくとも1つの影響因子に対する個人の少なくとも1つの血糖応答を提供するステップ、
ii)栄養型分類モデルを使用して、データベース内の少なくとも1つの影響因子に対する異なる個人の血糖応答のグループに対して、少なくとも1つの影響因子に対する個人の血糖応答を割り当てるステップ、
iii)少なくとも1つの影響因子に対する個人の少なくとも1つの血糖応答に基づいて、個人の栄養型を出力するステップ。
【0131】
態様6:少なくとも1つの影響因子に対する個人の血糖応答を予測するための方法であって以下を有する:
x)少なくとも1つの影響因子に関するデータを提供するステップ、
y)態様4に記載の方法によって得られた異なる影響因子に対する個人の血糖応答を含むデータベースにおいて、少なくとも1つの影響因子に関するデータを少なくとも1つの血糖応答に対して割り当てるステップ、
z)少なくとも1つの影響因子に対する個人の予測血糖応答を出力するステップ。
【0132】
態様7:少なくとも1つの影響因子は、食物摂取、身体活動、精神活動、ストレス、健康状態、投薬、睡眠、またはそれらの組み合わせから選択される、前述の態様のいずれか1つに記載の方法。
【0133】
態様8:デジタルコンピュータの内部メモリに直接ロード可能なコンピュータプログラム製品であって、ソフトウェアコード部分を備え、前記プログラムがコンピュータによって実行されると、前記コンピュータに、i)態様1~3のいずれか1つに記載の方法、ii)態様4に記載の方法、iii)態様5に記載の方法、iv)態様6に記載の方法、および/またはv)態様12に記載の方法を実行させる、コンピュータプログラム製品。
【0134】
態様9:コンピュータによって実行されると、前記コンピュータに、i)態様1から3のいずれか1つに記載の方法、ii)態様4に記載の方法、iii)態様5に記載の方法、iv)態様6に記載の方法、および/またはv)態様12に記載の方法を実行させるソフトウェアコード部分を含む、コンピュータ可読記憶媒体。
【0135】
態様10:以下を備えるデバイス:
・ユーザインターフェースを表示する表示ユニット、
・入力ユニット、
・メモリユニット、
・処理ユニット、
前記メモリユニットは、態様8によるコンピュータプログラム製品を備える。
【0136】
態様11:前記デバイスはモバイルデバイスであり、特に、バッテリ駆動ワイヤレスモバイルデバイスである、態様10に記載のデバイス。
【0137】
態様12:個人のためのパーソナライズされたライフスタイル推奨を決定するための方法であって以下を有する:
i)態様4に記載の方法によって決定された異なる影響因子に対する個人の血糖応答を含むデータベースを提供するステップ、
ii)個人に影響を及ぼす少なくとも1つの影響因子に関するデータを提供するステップ、
iii)ステップi)において提供されるデータベースにおいて、個人に影響を及ぼす少なくとも1つの影響因子に対する個人の血糖応答に基づいて、個人のためのパーソナライズされたライフスタイル推奨を計算するステップ、
iv)個人のためのパーソナライズされた生活スタイルの推奨を出力するステップ。
【0138】
態様13:請求項12に記載の方法であって、前記方法はパーソナライズされた食事の組成を決定するための方法であり、ステップiii)において、ステップi)で提供されたデータベースにおける、前記個人に影響を及ぼす少なくとも1つの影響因子に対する前記個人の血糖応答に基づくパーソナライズされた食事の組成が計算され、ステップiv)において、パーソナライズされた食事の組成が出力される、方法。
【0139】
態様14:パーソナライズされた食事を調製するための方法であって、以下を有する:
xx)態様13に記載の方法に従って、パーソナライズされた食事の組成を決定するステップ、
yy)ステップxx)において決定された組成を有するパーソナライズされた食事の成分を調製するステップ。
【0140】
態様15:血糖関連疾患および/または障害の治療に使用するための、態様14の方法によって得られるパーソナライズされた食事。
【0141】
態様16:血糖関連疾患および/または障害は、1型糖尿病(DMT1)、2型糖尿病(DMT2)、妊娠糖尿病、高血糖、メタボリックシンドローム、心血管疾患、耐糖能異常、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、片頭痛、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、癌、座瘡、アトピー性皮膚炎、乾癬、酒さ、心房細動、異脂肪血症、HIV、動脈性高血圧症、糖尿病前症、肥満、脳/認知機能障害、アルツハイマー病、うつ病、軟骨損傷、パーキンソン病、リウマチ性疾患、慢性炎症からなる群から選択される、態様14に記載のパーソナライズ食事。
【0142】
態様17:妊娠の誘発、月経周期の調節、体重減少、抗加齢、または月経の問題および閉経の症状の治療および/または予防における、態様14の方法によって得られるパーソナライズされた食事の使用。本発明は、以下の実施例および図面によってさらに説明される。
例1:
血糖ベースラインを決定するためのアルゴリズムのトレーニング。
1.トレーニングデータ
血糖ベースラインの決定のためのアルゴリズムをトレーニングするために、以下のデータが使用される:
・ターゲット変数:
o1日について専門家が設定したベースライン(mg/dL)
oその日のすべての食事の評価についてベースラインを確実に設定し使用できる確信度(0~100%)
・入力変数は、以下から導出される特徴である:
oグルコース測定値
o参加者が同じ時間枠で実施したアプリエントリ
oデジタル既往歴
データは、前述のソースについて集約され、評価のためにSQLデータベースに格納される。
1.1 ベースライン:
十分な(>8時間)現在のグルコース測定値を有する各日について、測定されたグルコース値をプロットし(x軸:時間、y軸:グルコースレベル)、ウェブベースのツールを介して栄養専門家に提示する。このツールにより以下が可能となる:
・現在表示されている日のベースラインとして水平線を設定する。次いで、この横線のy軸上のグルコースレベルが保存され、この日の食事評価のために使用される:
・日ベースラインの代わりに、使用される食事固有のベースラインを設定する:
・測定誤差に起因して、1日または1回の食事のデータが無効である旨をマークする。
【0143】
栄養学の専門家は、栄養士、栄養学の科学者、または医師としての資格が与えられている。毎日、2人の専門家によって評価される。専門家の合意が5mg/dl以内であれば、ベースラインの平均値を用いる。そうでない場合、第3専門家がこの日を評価し、不一致を解決しようと試みる。3人の専門家が1つのベースラインについて合意できる場合、この値が使用される。それ以外の場合、無効としてマークされ、アルゴリズムのトレーニングには使用されない。
1.2 グルコースデータ:
Dexcom G6、Freestyle Libre、または類似のデバイスなどのようなCGM センサーを使用した14日間の測定期間内の1日(00:00~23:59) のデータは、未加工の入力として機能する。日々の値に基づいて、記述統計および食事特有の特徴が計算される。
【0144】
以下の特徴は、1日のグルコース値から算出される:
・フーリエ変換の最初の3つ記述子。他の変換(例えば、ラプラス変換)に由来する特徴を使用することもできる:
・食事/活動なし(+2時間)または睡眠なし、および起床前3時間の全日の平均、最大値および最小値。
【0145】
以下は、食事を摂取した後の2時間ウインドウから算出される:
・推定食事特異ベースラインの平均;
・食事特異ベースラインのこれらの推定値は、多項式補間、テイラー級数、または、食後グルコース応答の数学的モデルに基づくベイズ法によるデータ同化などのような他の曲線フィッティング法によって得られたy切片から、近似される。
1.3 ログに記録されたエントリ:
測定期間中、参加者は、食事、身体活動、服用した薬物、毎日の睡眠時間および起床時間を積極的に記録することを奨励される。これらのエントリから、以下の特徴が計算される:
・食事によって摂取され、身体活動によって燃やされるカロリーの数と毎日の分布
・前日の18時以降に食事から摂取され、スポーツで燃やされたカロリーの総量
・評価された日の前夜からの睡眠の質と睡眠時間
・起きてから最初の食事までの時間
・その日のログに記録された活動から得られたMET-min数
・その日の睡眠なしの、活動または食事+2時間の分数
・血糖値に影響することがわかっている薬を服用したかどうか。
1.4 既往歴:
プログラムの開始時に、ユーザはアプリでデジタル既往歴を入力し、生理機能に関する情報を提供する。以下の特徴は、既往歴によって提供されるか、または既往歴から計算される:
・年齢
・性別
・ボディマスインデックス(BMI)
・ウエストヒップ比
・通常の睡眠時間(通常の就寝時間と起床時間)
・基礎代謝率。
1.5 データセットサイズ:
エキスパートセットベースラインを有する個人の71432個の血糖曲線が、前処理後の最終アルゴリズムの訓練のために使用された。これらのベースラインには、プログラムの4880回のラン、すなわち、14日の参加者の測定期間(血糖センサの交換が必要なときはより長い)について注釈を付けた。
【0146】
合計で、1食当たりのベースラインを有する28454食および105892日間のベースラインによって割り当てられた日ベースラインを有する458531食が、生データセットとして使用される。
2. モデルトレーニング
2.1 アルゴリズムの選択
ランダムフォレストまたは勾配ブーストツリー回帰などの機械学習アルゴリズムを使用して、グルコースデータ、記録されたエントリ、および既往歴から導出された入力特徴に基づいて、ターゲット変数(日ベースライン)を予測する。
2.2 選択
ハイパーパラメータチューニングのための格子探索およびモデル特徴の様々なサブセットにわたって反復するような技術が、最終モデルを選択するために使用され、テスト、トレーニングおよび検証セットへのデータセットの分割を実行した後の注釈付きベースラインとの予測値の一致のための決定係数(R2スコア)を最適化する。最終R2は0.91であった。
例2:
トレーニングされたアルゴリズムの適用
新しい顧客ごとに、トレーニングされたアルゴリズムは日ベースラインを決定し、この決定の確実性(すなわち、この日が無効としてマークされず、食事固有のベースラインを必要としない確率)を計算する。
【0147】
トレーニングされたアルゴリズムによって決定された各ベースラインは、AUC計算による血糖応答の決定に使用される前に、品質管理メカニズムとして承認されることができる(「ベースライン」を参照)。代替の実施形態において、AUC計算に使用する前に、低い確実性を有するベースラインのみが承認される。
例3:
個人の血糖応答の決定
食事の摂取に対する個人の血糖応答は、食事開始後2時間以内のグルコース曲線の最大値と血糖ベースラインとの差を計算することによって、例1のトレーニングされたアルゴリズムが決定した血糖ベースラインを含む血糖曲線に基づいて決定された。
【0148】
iAUCは、食事開始後2時間以内の血糖曲線と血糖ベースラインとの間の曲線下面積として計算することができる。
【0149】
勾配は、食事開始後2時間以内のグルコース曲線の最急降下として計算することができる。
例4:
栄養型の決定
個人の栄養型は、特定の食品に対する血糖応答から計算される。例えば、白パン/全粒パンの栄養型について、個人は異なる日に、しかしその日の同じ時間に、白パンおよび全粒パンを食べる。両方の食事は、同量の炭水化物を含有するようなサイズとなっている。次いで、全粒パンに対して有意に低い血糖応答を有する個人は、全粒パンタイプとしてラベル付けされる。
図:
図1は、本発明による血糖曲線のベースラインを決定する方法の個々のステップのフローチャートを示す。最初に、アルゴリズムは、影響因子処理ベースラインを有する個人の血糖曲線を含むトレーニングデータに基づいて、血糖曲線のベースラインを自動的に決定するようにトレーニングされる。その後、トレーニングされたアルゴリズムは個人の血糖曲線に対して適用され、自動的に決定されたベースラインを有する血糖曲線を得る。
【0150】
図2は、本発明による、少なくとも1つの影響因子に対する個人の血糖応答を決定するための方法の個々のステップのフローチャートを示す。本方法の第1のステップでは、少なくとも1つの影響因子に応答する個人の少なくとも1つの血糖曲線が提供される。続いて、本発明による少なくとも1つの影響因子に応答する血糖曲線のベースラインを決定するための方法によって得られたトレーニングされたアルゴリズムは、自動的に決定されたベースラインを有する血糖曲線を得るために、個人の少なくとも1つの血糖曲線に対して適用される。最後に、自動的に決定されたベースラインを有する得られた血糖曲線を分析して、少なくとも1つの影響因子に対する個人の血糖応答を決定する。これは、AUC、特にiAUCを計算することによって(A;灰色の陰影)、自動的に決定された血糖ベースラインに対する血糖レベルの最大増加を決定することによって(B)、または血糖曲線の勾配を決定することによって(C)、実施される。
【0151】
図3は、本発明による、少なくとも1つの影響因子に対する個人の血糖応答を予測するための方法の個々のステップのフローチャートを示す。本方法によれば、少なくとも1つの影響因子に関するデータが提供され、異なる影響因子に対する個人の血糖応答を含むデータベースにおいて少なくとも1つの血糖応答に割り当てられ、好ましくは、異なる影響因子に対する異なる個人の血糖応答を含み、特に、異なる影響因子に対する同じ栄養型に分類された異なる個人の血糖応答を含み、データベース内の血糖応答の各々が本発明による少なくとも1つの影響因子に対する個人の血糖応答を決定するための方法によって取得され、その結果、自動的に決定されたベースラインを有する。続いて、データベース内の少なくとも1つの血糖応答への割り当てに基づいて、問題となっている少なくとも1つの影響因子に対する血糖応答の予測が提供される。図3は、データベースにおける血糖応答がAUC、特にiAUC(灰色の陰影)を計算することによって決定された本発明の実施形態を例示する。同様に、自動的に決定された血中グルコースベースラインに対する血中グルコースレベルの最大増加を決定すること、または血中グルコース曲線の勾配を決定することなど、データベースにおける血糖応答を決定するための他の方法もまた、本発明の範囲内である。
図1
図2
図3
【国際調査報告】