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  • 特表-ヒト免疫不全ウイルス複製の阻害剤 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-24
(54)【発明の名称】ヒト免疫不全ウイルス複製の阻害剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/517 20060101AFI20230517BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20230517BHJP
   A61P 31/18 20060101ALI20230517BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20230517BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20230517BHJP
   A61K 47/14 20170101ALI20230517BHJP
   A61K 47/20 20060101ALI20230517BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20230517BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20230517BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20230517BHJP
【FI】
A61K31/517
A61K31/519
A61P31/18
A61K47/10
A61K47/22
A61K47/14
A61K47/20
A61K47/26
A61K47/02
A61K9/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022562796
(86)(22)【出願日】2021-04-13
(85)【翻訳文提出日】2022-12-14
(86)【国際出願番号】 IB2021053046
(87)【国際公開番号】W WO2021209900
(87)【国際公開日】2021-10-21
(31)【優先権主張番号】63/010,196
(32)【優先日】2020-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/013,576
(32)【優先日】2020-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520218040
【氏名又は名称】ビーブ、ヘルスケア、ユーケー、(ナンバー5)、リミテッド
【氏名又は名称原語表記】VIIV HEALTHCARE UK (NO.5) LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100172557
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 啓靖
(72)【発明者】
【氏名】エリック、ピー、ギリス
(72)【発明者】
【氏名】カイル、イー.パーセラ
(72)【発明者】
【氏名】ゴータム、ダルワディ
(72)【発明者】
【氏名】ドーン、ディー.パーカー
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA11
4C076BB16
4C076CC35
4C076DD23
4C076DD30
4C076DD37
4C076DD38
4C076DD47
4C076DD57
4C076DD59
4C076DD60
4C076EE23
4C076FF15
4C076FF68
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC46
4C086CB09
4C086GA07
4C086GA08
4C086GA16
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA16
4C086MA44
4C086MA66
4C086NA02
4C086ZC55
(57)【要約】
式Ia、式Ib、式Ic若しくは式Id:
【化1】
の化合物又はその薬学的に許容可能な塩を含む医薬組成物が記載される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Ia、式Ib、式Ic若しくは式Id:
【化1】
の化合物又はその薬学的に許容可能な塩と、水、アルコール、ポリエチレングリコール(PEG)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、乳酸エチル、プロピレングリコール、グリコフロール及びジメチルスルホキシド(DMSO)からなる群から選択される溶媒又は希釈剤とを含む医薬組成物。
【請求項2】
ポリソルベート20、ポリソルベート80、ポロキサマー188、ポロキサマー207、ポロキサマー338、塩化ナトリウム及び水酸化ナトリウムからなる群から選択される添加剤をさらに含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
溶液である、請求項1又は2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
懸濁液である、請求項1又は2に記載の医薬組成物。
【請求項5】
水を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
ポリエチレングリコール(PEG)を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
PEGの平均分子量が約300(PEG300)である、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
エタノールを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
ポロキサマー188を含む、請求項2~8のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
水酸化ナトリウムを含む、請求項2~9のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記溶媒又は希釈剤の少なくとも90重量%が、水及びPEG300である、請求項2~10のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記添加剤の少なくとも90重量%が、ポロキサマー188である、請求項2~11のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記水が、前記医薬組成物中に8~20重量%で存在し、前記PEG300が、前記医薬組成物中に60~85重量%で存在する、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記水が、前記医薬組成物中に8~12重量%で存在し、前記PEG300が、前記医薬組成物中に63~70重量%で存在する、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
式Ia、式Ib、式Ic若しくは式Idの化合物又はその薬学的に許容可能な塩が、式Ia、式Ib、式Ic又は式Idの遊離化合物の重量基準で、50~500mg/mLの濃度で前記医薬組成物中に存在する、請求項1~14のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項16】
式Ia、式Ib、式Ic若しくは式Idの化合物又はその薬学的に許容可能な塩が、式Ia、式Ib、式Ic又は式Idの遊離化合物の重量基準で、225~275mg/mLの濃度で前記医薬組成物中に存在する、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項17】
式Ia、式Ib、式Ic若しくは式Idの化合物又はその薬学的に許容可能な塩が、式Ia、式Ib、式Ic又は式Idの遊離化合物の重量基準で、275~300mg/mLの濃度で前記医薬組成物中に存在する、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項18】
式Ia、式Ib、式Ic若しくは式Idの化合物又はその薬学的に許容可能な塩が、式Ia、式Ib、式Ic又は式Idの遊離化合物の重量基準で、350~425mg/mLの濃度で前記医薬組成物中に存在する、請求項15に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬組成物、及びHIV感染症の治療においてこれらの組成物を使用するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
後天性免疫不全症候群(AIDS)は、HIVによる感染の結果である。HIVは世界の主要な公衆衛生問題であり続けている。2015年には、推定3,670万人がHIVとともに生きており(180万人の子供を含む)、世界のHIV罹患率(global HIV prevalence)は0.8%である。この数の大部分は、低中所得国に住んでいる。同じ年に、110万人がエイズ関連疾患で死亡した。
【0003】
HIV感染者に対する現在の療法は、承認された抗レトロウイルス薬の組み合わせで構成されている。現在、単剤、固定用量の組み合わせ、又は単一錠剤のレジメン(後者の2種は、2~4種の承認された薬剤を含む)のいずれかとして、4ダース近くの薬物がHIV感染症に対して承認されている。これらの薬剤は、ウイルス酵素、又はウイルス複製サイクル中のウイルスタンパク質の機能のいずれかを標的とする、いくつかの異なるクラスに属している。したがって、薬剤は、核酸系逆転写酵素阻害剤(NRTI)、非核酸系逆転写酵素阻害剤(NNRTI)、プロテアーゼ阻害剤(PI)、インテグラーゼ鎖転移阻害剤(INSTI)又は侵入阻害剤(そのうちの1種の薬剤はマラビロクであり、宿主CCR5タンパク質を標的とする一方、別の薬剤はエンフビルチドであり、ウイルスgp160タンパク質のgp41領域を標的とするペプチドである)のいずれかとして分類される。加えて、薬物動態エンハンサー(コビシスタット又はリトナビル)を、ブーストを必要とする抗レトロウイルス剤(ARV)と組み合わせて使用することができる。
【0004】
薬剤及び複合薬からなる医療装備にもかかわらず、新しい抗レトロウイルス薬の医学的必要性が依然として存在する。高いウイルス不均質性、薬物関連毒性、忍容性問題及び付着性不良はすべて、処置失敗につながる可能性があり、クラス全体からの1種若しくは2種以上の抗レトロウイルス剤又はさらに複数の薬物に対する耐性を付与する変異を有するウイルスを選択する結果となり得る(Beyrer, C., Pozniak A. HIV drug resistance - an emerging threat to epidemic control. N. Engl. J. Med. 2017, 377, 1605-1607; Gupta, R. K., Gregson J., et al. HIV-1 drug resistance before initiation or re-initiation of first-line antiretroviral therapy in low-income and middle-income countries: a systematic review and meta-regression analysis. Lancet Infect. Dis. 2017, 18, 346-355; Zazzi, M., Hu, H., Prosperi, M. The global burden of HIV-1 drug resistance in the past 20 years. PeerJ. 2018, DOI 10.7717/peerj.4848)。結果として、より摂取しやすく、耐性の発現に対して高い遺伝的障壁を有し、現在の薬剤よりも安全性が向上した新しい薬物が必要とされている。この多数の選択肢において、好ましい抗レトロウイルス療法(ART)の一部として使用され得る新規の作用機序(MOA)は、現在の薬剤に耐性のウイルスに対して有効なはずであるので、なお果たすべき主要な役割を有し得る。
【0005】
特定の治療可能性を有する化合物が、現在、当技術分野において記載されており、Blair, Wade S. et.al. Antimicrobial Agents and Chemotherapy (2009), 53(12), 5080-5087, Blair、Wade S. et al. PLoS Pathogens (2010), 6(12), e1001220、Thenin-Houssier, Suzie; Valente, Susana T. Current HIV Research, 2016, 14, 270-282並びに以下の番号のPCT特許出願:WO2012065062、WO2013006738、WO2013006792、WO2014110296、WO2014110297、WO2014110298、WO2014134566、WO2015130964、WO2015130966、WO2016033243、WO2018035359、WO2018203235、WO2019161017及びWO2019161280に記載されている。
【0006】
当技術分野において現在必要とされている化合物は、新規であり且つHIVの処置において有用であるさらなる化合物である。加えて、これらの化合物は、例えば、それらの作用機序、結合性、阻害効力、標的選択性、溶解度、安全性プロファイル、バイオアベイラビリティ及び/又は投与頻度の低減のうちの1又は2以上に関して、医薬用途に関する利点を提供すべきである。これらの化合物を利用する新しい製剤及び処置方法もまた、必要とされている。特定の化合物の製剤は、WO2020/018459に開示されている。
【発明の概要】
【0007】
簡潔には、一態様において、本発明は、式Ia、式Ib、式Ic若しくは式Id:
【化1】
の化合物又はその薬学的に許容可能な塩と、水、アルコール、ポリエチレングリコール(PEG)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、乳酸エチル、プロピレングリコール、グリコフロール及びジメチルスルホキシド(DMSO)からなる群から選択される溶媒又は希釈剤とを含む医薬組成物を開示する。
【0008】
別の態様において、本発明は、本発明の化合物又は塩を投与することを含む、ヒトにおけるHIV感染症を処置する方法を開示する。
【0009】
別の態様において、本発明は、療法に使用するための、本発明の化合物又は塩を開示する。
【0010】
別の態様において、本発明は、ヒトにおけるHIV感染症の処置に使用するための、本発明の化合物又は塩を開示する。
【0011】
別の態様において、本発明は、ヒトにおけるHIV感染症の処置のための医薬の製造における、本発明の化合物又は塩の使用を開示する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、以下に説明するPK実験の概要を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
一態様において、本発明の医薬組成物は、ポリソルベート20、ポリソルベート80、ポロキサマー188、ポロキサマー207、ポロキサマー338、塩化ナトリウム及び水酸化ナトリウムからなる群から選択される添加剤をさらに含む。
【0014】
一態様において、本発明の医薬組成物は溶液である。
【0015】
一態様において、本発明の医薬組成物は懸濁液である。
【0016】
一態様において、本発明の医薬組成物は水を含む。
【0017】
一態様において、本発明の医薬組成物はポリエチレングリコール(PEG)を含む。
【0018】
一態様において、本発明の医薬組成物はポリエチレングリコール(PEG)を含み、PEGの平均分子量は約300(PEG300)である。
【0019】
一態様において、本発明の医薬組成物はエタノールを含む。
【0020】
一態様において、本発明の医薬組成物は乳酸エチルを含む。
【0021】
一態様において、本発明の医薬組成物はポロキサマー188を含む。
【0022】
一態様において、本発明の医薬組成物は水酸化ナトリウムを含む。
【0023】
一態様において、本発明の医薬組成物は、溶媒又は希釈剤の少なくとも90重量%が水及びPEG300である医薬組成物である。
【0024】
一態様において、本発明の医薬組成物は、添加剤の少なくとも90重量%がポロキサマー188である医薬組成物である。
【0025】
一態様において、本発明の医薬組成物は、水が組成物中に8~20重量%で存在し、PEG300が組成物中に60~85重量%で存在する医薬組成物である。
【0026】
一態様において、本発明の医薬組成物は、水が組成物中に8~12重量%で存在し、PEG300が組成物中に63~70重量%で存在する医薬組成物である。
【0027】
一態様において、本発明の医薬組成物は、式Ia、式Ib、式Ic若しくは式Idの化合物又はその薬学的に許容可能な塩が、式Ia、式Ib、式Ic又は式Idの遊離化合物の重量基準で、50~500mg/mLの濃度で組成物中に存在する医薬組成物である。本明細書を通して、式Ia、式Ib、式Ic若しくは式Idの化合物又はその薬学的に許容可能な塩の濃度への言及は、式Ia、式Ib、式Ic又は式Idの遊離化合物を基準とした濃度を常に指し、それらの塩を基準とした濃度ではない。
【0028】
一態様において、本発明の医薬組成物は、式Ia、式Ib、式Ic若しくは式Idの化合物又はその薬学的に許容可能な塩が、225~275mg/mLの濃度で組成物中に存在する医薬組成物である。
【0029】
一態様において、本発明の医薬組成物は、式Ia、式Ib、式Ic若しくは式Idの化合物又はその薬学的に許容可能な塩が、275~350mg/mLの濃度で組成物中に存在する医薬組成物である。
【0030】
一態様において、本発明の医薬組成物は、式Ia、式Ib、式Ic若しくは式Idの化合物又はその薬学的に許容可能な塩が、350~425mg/mLの濃度で組成物中に存在する医薬組成物である。
【0031】
一態様において、本発明の医薬組成物は、式Ia、式Ib、式Ic若しくは式Idの化合物又はその薬学的に許容可能な塩の結晶形態(crystalline form)から作製される。別の態様において、本発明の医薬組成物は、式Ia、式Ib、式Ic若しくは式Idの化合物又はその薬学的に許容可能な塩の結晶形態の懸濁液である。
【0032】
一態様において、本発明の医薬組成物は、式Ia、式Ib、式Ic若しくは式Idの化合物又はその薬学的に許容可能な塩の非晶質形態(amorphous form)から作製される。別の態様において、非晶質形態は凍結乾燥粉末である。別の態様において、本発明の医薬組成物は、非晶質形態の懸濁液である。
【0033】
別の態様において、製剤は水を含む。別の態様において、製剤はグリコフロールを含む。別の態様において、製剤はN-メチル-2-ピロリドン(NMP)を含む。別の態様において、製剤はジメチルスルホキシド(DMSO)を含む。別の態様において、製剤はアルコールを含む。別の態様において、製剤はエタノールを含む。別の態様において、製剤は生理食塩水を含む。別の態様において、製剤はポリエチレングリコール(PEG)を含み、その化学式は一般にH-(O-CH-CH-OHと表され得る。別の態様において、製剤は、平均分子量が約100であるPEG(PEG100)を含む。別の態様において、製剤は、平均分子量が約200であるPEG(PEG200)を含む。別の態様において、製剤は、平均分子量が約300であるPEG(PEG300)を含む。別の態様において、製剤は、平均分子量が約400であるPEG(PEG400)を含む。別の態様において、製剤は、平均分子量が約500であるPEG(PEG500)を含む。別の態様において、製剤は、平均分子量が約600であるPEG(PEG600)を含む。別の態様において、製剤は、アルキル基によって「キャップ」されたPEGを含み、その結果、PEGの式は、一般にアルキル-(O-CH-CH-O-アルキルと表され得る。別の態様において、製剤の50w/w%超を構成する成分は水以外である。製剤の60w/w%超を構成する成分は水以外である。製剤の70w/w%超を構成する成分は水以外である。製剤の80w/w%超を構成する成分は水以外である。製剤の85w/w%超を構成する成分は水以外である。製剤の90w/w%超を構成する成分は水以外である。別の態様において、製剤は水及びPEG200を含む。別の態様において、製剤は水及びPEG300を含む。
【0034】
一態様において、本発明の医薬組成物は、式Ia、式Ib、式Ic若しくは式Idの化合物又はその薬学的に許容可能な塩と、可溶化添加剤とを含む。別の態様において、可溶化添加剤はポリソルベートである。別の態様において、可溶化添加剤はポリソルベート20である。別の態様において、可溶化添加剤はポリソルベート80である。別の態様において、可溶化添加剤はポロキサマーである。別の態様において、可溶化添加剤はポロキサマー188(P188)である。別の態様において、可溶化添加剤はポロキサマー207である。別の態様において、可溶化添加剤はポロキサマー338(P338)である。別の態様において、可溶化添加剤はドキュセートナトリウムである。別の態様において、可溶化添加剤はポリエチレングリコール3350(PEG3350)である。別の態様において、可溶化添加剤は脂肪酸である。別の態様において、可溶化添加剤は、8~12個の炭素を含む脂肪酸である。別の態様において、可溶化添加剤は、8個の炭素(C8)を含む脂肪酸である。別の態様において、可溶化添加剤は、12個の炭素(C12)を含む脂肪酸である。別の態様において、可溶化添加剤は製剤の5w/w%未満である。別の態様において、可溶化添加剤は製剤の約5w/w%未満である。別の態様において、可溶化添加剤は製剤の約4w/w%未満である。別の態様において、可溶化添加剤は製剤の約3w/w%未満である。別の態様において、可溶化添加剤、製剤の約2w/w%未満である。別の態様において、可溶化添加剤は製剤の約1w/w%未満である。別の態様において、可溶化添加剤は製剤の約0.5w/w%未満である。別の態様において、可溶化添加剤は製剤の約0.25w/w%未満である。
【0035】
一態様において、本発明の医薬組成物は、ポロキサマー188及びC8脂肪酸を含む。別の態様において、ポロキサマー188及びC8脂肪酸の比率は約3:1である。別の態様において、ポロキサマー188の濃度は製剤の約3w/w%であり、C8脂肪酸の濃度は製剤の約1w/w%である。
【0036】
一態様において、本発明の医薬組成物は、ポロキサマー188及びC12脂肪酸を含む。別の態様において、ポロキサマー188及びC12脂肪酸の比率は約6:1である。別の態様において、ポロキサマー188の濃度は製剤の約3w/w%であり、C12脂肪酸の濃度は製剤の約0.5w/w%である。
【0037】
一態様において、本発明の医薬組成物は、ポロキサマー338及びC8脂肪酸を含む。別の態様において、ポロキサマー338及びC8脂肪酸の比率は約3:1である。別の態様において、ポロキサマー338の濃度は製剤の約3w/w%であり、C8脂肪酸の濃度は製剤の約1w/w%である。
【0038】
一態様において、本発明の医薬組成物は、ポロキサマー338及びC12脂肪酸を含む。別の態様において、ポロキサマー338及びC12脂肪酸の比率は約6:1である。別の態様において、ポロキサマー338の濃度は製剤の約3w/w%であり、C12脂肪酸の濃度は製剤の約0.5w/w%である。
【0039】
一態様において、本発明の医薬組成物は、ドキュセートナトリウム及びC8脂肪酸を含む。別の態様において、ドキュセートナトリウム及びC8脂肪酸の比率は約3:1である。別の態様において、ドキュセートナトリウムの濃度は製剤の約3w/w%であり、C8脂肪酸の濃度は製剤の約1w/w%である。
【0040】
一態様において、本発明の医薬組成物は、ドキュセートナトリウム及びC12脂肪酸を含む。別の態様において、ドキュセートナトリウム及びC12脂肪酸の比率は約6:1である。別の態様において、ドキュセートナトリウムの濃度は製剤の約3w/w%であり、C12脂肪酸の濃度は製剤の約0.5w/w%である。
【0041】
一態様において、本発明の医薬組成物はキレート剤を含む。別の態様において、キレート剤はNa-EDTAである。別の態様において、Na-EDTAは製剤の0.01~0.05w/w%で存在する。
【0042】
一態様において、本発明の医薬組成物は抗酸化剤を含む。別の態様において、抗酸化剤はL-メチオニンである。別の態様において、抗酸化剤はビタミンEである。別の態様において、抗酸化剤は製剤の0.01~0.10w/w%で存在する。
【0043】
一態様において、本発明の医薬組成物は酸を含む。別の態様において、酸はエタンスルホン酸である。別の態様において、エタンスルホン酸の濃度は、1~10mMである。別の態様において、エタンスルホン酸の濃度は、4.8~5.2mMである。別の態様において、酸はメタンスルホン酸である。別の態様において、メタンスルホン酸の濃度は、1~10mMである。別の態様において、メタンスルホン酸の濃度は、4.8~5.2mMである。
【0044】
一態様において、本発明の医薬組成物は塩基を含む。別の態様において、塩基は無機塩基である。別の態様において、塩基は有機塩基である。別の態様において、塩基の陰イオンは、OH(水酸化物)である。別の態様において、塩基の陰イオンは、OEt(エトキシド)である。別の態様において、塩基の陰イオンは、OAc(アセテート)である。別の態様において、塩基の陽イオンは、Na(ナトリウム)である。別の態様において、塩基の陽イオンは、K(カリウム)である。別の態様において、塩基の陽イオンはコリンである。別の態様において、塩基は酢酸ナトリウムである。別の態様において、塩基は水酸化ナトリウムである。別の態様において、塩基はナトリウムエトキシドである。別の態様において、塩基は水酸化コリンである。別の態様において、本発明の医薬組成物は、式Ia、式Ib、式Ic又は式Idの化合物に対して0.1~1.5モル当量の塩基を含む。別の態様において、本発明の医薬組成物は、式Ia、式Ibの化合物に対して0.7~1.2モル当量の塩基を含む。別の態様において、本発明の医薬組成物は、式Ia、式Ibの化合物に対して0.7~1.0モル当量の塩基を含む。別の態様において、本発明の医薬組成物は、式Ia、式Ibの化合物に対して1.0~1.2モル当量の塩基を含む。別の態様において、本発明の医薬組成物は、ほぼ等モル当量の塩基及び式Ia、式Ib、式Ic又は式Idの化合物を含む。
【0045】
一態様において、本発明の医薬組成物は緩衝液を含む。別の態様において、緩衝液は酢酸緩衝液である。別の態様において、緩衝液のpHは4.0~7.4である。別の態様において、緩衝液のpHは4.0~5.5である。別の態様において、緩衝液のpHは4.8~5.2である。別の態様において、緩衝液の濃度は1~10mMである。別の態様において、緩衝液の濃度は4.8~5.2mMである。
【0046】
一態様において、本発明の医薬組成物は、50~500mg/mLの式Ia、式Ib、式Ic若しくは式Idの化合物又はその薬学的に許容可能な塩を含む。別の態様において、本発明の医薬組成物は、約50mg/mLの式Ia、式Ib、式Ic若しくは式Idの化合物又はその薬学的に許容可能な塩を含む。別の態様において、本発明の医薬組成物は、約100mg/mLの式Ia、式Ib、式Ic若しくは式Idの化合物又はその薬学的に許容可能な塩を含む。別の態様において、本発明の医薬組成物は、約150mg/mLの式Ia、式Ib、式Ic若しくは式Idの化合物又はその薬学的に許容可能な塩を含む。別の態様において、本発明の医薬組成物は、約200mg/mLの式Ia、式Ib、式Ic若しくは式Idの化合物又はその薬学的に許容可能な塩を含む。別の態様において、本発明の医薬組成物は、約250mg/mLの式Ia、式Ib、式Ic若しくは式Idの化合物又はその薬学的に許容可能な塩を含む。別の態様において、本発明の医薬組成物は、約300mg/mLの式Ia、式Ib、式Ic若しくは式Idの化合物又はその薬学的に許容可能な塩を含む。別の態様において、本発明の医薬組成物は、約350mg/mLの式Ia、式Ib、式Ic若しくは式Idの化合物又はその薬学的に許容可能な塩を含む。別の態様において、本発明の医薬組成物は、約400mg/mLの式Ia、式Ib、式Ic若しくは式Idの化合物又はその薬学的に許容可能な塩を含む。別の態様において、本発明の医薬組成物は、約450mg/mLの式Ia、式Ib、式Ic若しくは式Idの化合物又はその薬学的に許容可能な塩を含む。別の態様において、本発明の医薬組成物は、約500mg/mLの式Ia、式Ib、式Ic若しくは式Idの化合物又はその薬学的に許容可能な塩を含む。
【0047】
一態様において、本発明の医薬組成物は、式Ia、式Ib、式Ic若しくは式Idの化合物又はその薬学的に許容可能な塩と、水と、PEG300と、0~3種の追加の添加剤とを含む。
【0048】
一態様において、本発明の医薬組成物は、式Ia、式Ib、式Ic若しくは式Idの化合物又はその薬学的に許容可能な塩と、水と、PEG200と、0~3種の追加の添加剤とを含む。
【0049】
一態様において、本発明の医薬組成物は、式Ia、式Ib、式Ic若しくは式Idの化合物又はその薬学的に許容可能な塩と、ポロキサマーP338と、酢酸緩衝液とを含む。別の態様において、式Ia、式Ib、式Ic若しくは式Idの化合物又はその薬学的に許容可能な塩の濃度は、280~320mg/mLである。別の態様において、ポロキサマーP338の濃度は、3~5w/w%である。別の態様において、酢酸緩衝液のpHは4.8~5.2である。別の態様において、酢酸緩衝液の濃度は4.8~5.2mMである。
【0050】
一態様において、本発明の医薬組成物は、式Ia、式Ib、式Ic若しくは式Idの化合物又はその薬学的に許容可能な塩と、ポロキサマーP338と、エタンスルホン酸と、酢酸緩衝液とを含む。別の態様において、式Ia、式Ib、式Ic若しくは式Idの化合物又はその薬学的に許容可能な塩の濃度は、280~320mg/mLである。別の態様において、ポロキサマーP338の濃度は、3~5w/w%である。別の態様において、エタンスルホン酸の濃度は、4.8~5.2mMである。別の態様において、酢酸緩衝液のpHは4.8~5.2である。別の態様において、酢酸緩衝液の濃度は4.8~5.2mMである。
【0051】
一態様において、本発明の医薬組成物は、式Ia、式Ib、式Ic若しくは式Idの化合物又はその薬学的に許容可能な塩と、ポロキサマーP338と、C8~C12脂肪酸と、酢酸緩衝液とを含む。別の態様において、式Ia、式Ib、式Ic若しくは式Idの化合物又はその薬学的に許容可能な塩の濃度は、280~320mg/mLである。別の態様において、ポロキサマーP338の濃度は、3~5w/w%である。別の態様において、脂肪酸の濃度は、0.5~1w/w%である。別の態様において、酢酸緩衝液のpHは4.8~5.2である。別の態様において、酢酸緩衝液の濃度は4.8~5.2mMである。
【0052】
一態様において、本発明の医薬組成物は、式Ia、式Ib、式Ic若しくは式Idの化合物又はその薬学的に許容可能な塩と、ドキュセートナトリウムと、酢酸緩衝液とを含む。別の態様において、式Ia、式Ib、式Ic若しくは式Idの化合物又はその薬学的に許容可能な塩の濃度は、280~320mg/mLである。別の態様において、ドキュセートナトリウムの濃度は、1~2w/w%である。別の態様において、酢酸緩衝液のpHは4.8~5.2である。別の態様において、酢酸緩衝液の濃度は4.8~5.2mMである。
【0053】
一態様において、本発明は、医薬組成物であって、医薬組成物は、溶液であり、且つ、フィルターを通過させることによって無菌にされた医薬組成物を開示する。
【0054】
本発明の塩は薬学的に許容可能である。そのような塩は、酸付加塩又は塩基付加塩であり得る。適切な薬学的に許容可能な塩の概説については、例えば、Berge et al, J. Pharm, Sci., 66, 1-19, 1977を参照されたい。
【0055】
代表的な薬学的に許容可能な酸付加塩としては、限定するものではないが、4-アセトアミド安息香酸塩、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩(ベシル酸塩)、安息香酸塩、重硫酸塩、重酒石酸塩、酪酸塩、エデト酸カルシウム、樟脳酸塩、カンファースルホン酸塩(カンシル酸塩)、カプリン酸塩(デカン酸塩)、カプロン酸塩(ヘキサン酸塩)、カプリル酸塩(オクタン酸塩)、桂皮酸塩、クエン酸塩、シクラミン酸塩、ジグルコン酸塩、2,5-ジヒドロキシ安息香酸塩、ジコハク酸塩、ドデシル硫酸塩(エストール酸塩)、エデト酸塩(エチレンジアミン四酢酸塩)、エストール酸塩(ラウリル硫酸塩)、エタン-1,2-ジスルホン酸塩(エジシル酸塩)、エタンスルホン酸塩(エシル酸塩)、ギ酸塩、フマル酸塩、ガラクタル酸塩(ムチン酸塩)、ゲンチジン酸塩(2,5-ジヒドロキシ安息香酸塩)、グルコヘプトン酸塩(グルセプト酸塩)、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、グルタミン酸塩、グルタル酸塩、グリセロリン酸塩、グリコール酸塩、ヘキシルレゾルシン酸塩、馬尿酸塩、ヒドラバミン(N,N’-ジ(デヒドロアビエチル)-エチレンジアミン)、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヨウ化水素酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、イソ酪酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩(メシル酸塩)、メチル硫酸塩、ムチン酸塩、ナフタレン-1,5-ジスルホン酸塩(ナパジシル酸塩)、ナフタレン-2-スルホン酸塩(ナプシル酸塩)、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、p-アミノベンゼンスルホン酸塩、p-アミノサリチル酸塩、パモ酸塩(エンボン酸塩)、パントテン酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、フェニル酢酸塩、フェニルエチルバルビタール酸塩、リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、プロピオン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩(トシル酸塩)、ピログルタミン酸塩、ピルビン酸塩、サリチル酸塩、セバシン酸塩、ステアリン酸塩、スバセチン酸塩、コハク酸塩、スルファミン酸塩、硫酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩(8-クロロテオフィリナート)、チオシアン酸塩、トリエチオジド、ウンデカン酸塩、ウンデシレン酸塩及び吉草酸塩が挙げられる。
【0056】
代表的な薬学的に許容可能な塩基付加塩としては、限定するものではないが、アルミニウム、2-アミノ-2-(ヒドロキシメチル)-1,3-プロパンジオール(TRIS、トロメタミン)、アルギニン、ベネタミン(N-ベンジルフェネチルアミン)、ベンザチン(N,N’-ジベンジルエチレンジアミン)、ビス-(2-ヒドロキシエチル)アミン、ビスマス、カルシウム、クロロプロカイン、コリン、クレミゾール(1-p-クロロベンジル-2-ピロリルジン-1’-イルメチルベンズイミダゾール)、シクロヘキシルアミン、ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、ジエチルトリアミン、ジメチルアミン、ジメチルエタノールアミン、ドーパミン、エタノールアミン、エチレンジアミン、L-ヒスチジン、鉄、イソキノリン、レピジン、リチウム、リシン、マグネシウム、メグルミン(N-メチルグルカミン)、ピペラジン、ピペリジン、カリウム、プロカイン、キニーネ、キノリン、ナトリウム、ストロンチウム、t-ブチルアミン、及び亜鉛が挙げられる。
【0057】
特に好ましい塩はナトリウム塩である。別の特に好ましい塩はカリウム塩である。
【0058】
一実施形態において、本発明の組成物は、薬学的に許容可能な添加剤をさらに含む。本発明の方法において、好ましい投与経路は、皮下又は筋肉内に送達するための経口及び注射による投与である。したがって、好ましい医薬組成物には、経口投与に適した組成物(例えば、錠剤)及び皮下又は筋肉内注射に適した組成物が含まれる。
【0059】
別の態様において、本発明は、ヒトにおけるHIV感染を予防するか又は感染のリスクを低減する方法であって、本発明の医薬組成物を投与することを含む、方法を開示する。暴露前予防(又はPrEP:pre-exposure prophylaxis)は、HIV感染のリスクがある人々が、HIV感染の可能性を下げるために毎日薬を服用する場合である。PrEPは、感染のリスクを低減するのに効果的であることが示されている。
【0060】
本発明の化合物及び塩は、それらの生物学的標的としてHIVキャプシドを有すると考えられており、したがって、それらの作用機序は、HIVキャプシドの機能を1又は2以上の方法で変更することである。
【0061】
本発明の化合物及び塩は、単独で、又はその他の治療薬と組み合わせて使用することができる。したがって、本発明による併用療法は、本発明の少なくとも1種の化合物又は塩の投与、及びHIV感染症の処置に有用であり得るその他の少なくとも1種の薬剤の投与を含む。本発明の化合物又は塩、及びその他の薬剤は、単一の医薬組成物に一緒に調合され、投与されてもよいし、或いは、別個に調合され、投与され得る。別個に調合され、投与される場合には、同時に又は任意の順序で順次に投与され得る。適切なその他の薬剤には、例えば、アバカビル、アタザナビル、ビクテグラビル、カボテグラビル、ダルナビル、デラビルジン、ジダノシン、ジデオキシイノシン、ドルテグラビル、ドラビリン、エファビレンツ、エルビテグラビル、エムトリシタビン、エタビリン(etavirine)、フォサンプレナビル、ホステムサビル、インジナビル、スラトラビル(slatravir)、ラミブジン、ロピナビル、マラビロク、ネルフィナビル、ネビラピン、ラルテグラビル、リルピベリン(rilpiverine)、リトナビル、サキナビル、スタブジン、チプラナビル、テノホビル、テノホビルアラフェナミド、テノホビルジソプロキシルフマル酸塩、ザルシタビン及びジドブジンが含まれる。好ましい薬剤には、例えば、イスラトラビル、ラミブジン、ホステムサビル及びカボテグラビルが含まれる。特に好ましい薬剤には、例えば、ドルテグラビル、ビクテグラビル、ラミブジン、ホステムサビル及びカボテグラビルが含まれる。
【実施例
【0062】
ビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-オールの調製
【0063】
【化2】
【0064】
雰囲気下、0~5℃で、シクロペント-3-エノール(130g、1545mmol)のDCM撹拌溶液に、ジエチル亜鉛のヘキサン溶液(1.0M、3091mL、3091mmol)を3時間かけて滴下した。0℃で、溶液に、ジヨードメタン(249mL、3091mmol)のDCM(300mL)溶液を1時間かけて滴下した。反応混合物を27℃まで加温すると、白色沈殿物の形成が観察された。混合物を16時間撹拌した。反応の進行をTLC(SiO、20%EtOAc/pet、Rf=0.3、UVインアクティブ(UV-inactive)、PMAアクティブ(PMA-active))によりモニターした。反応混合物を飽和NHCl水溶液(1.5L)の慎重な添加によりクエンチした。混合物を、セライトパッドを通じて濾過した。水層をDCM(2×1L)で抽出した。合わせた有機層を無水NaSOで乾燥させ、濾過し、次いで、減圧下で濃縮して、粗製のビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-オールを赤色の液体(180g)として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ = 4.41 - 4.35 (m, 1H), 2.18 - 2.05 (m, 2H), 1.73 (d, J = 13.9 Hz, 2H), 1.35 - 1.25 (m, 2H), 1.21 - 1.14 (m, 1H), 0.57 - 0.43 (m, 2H). GCMS: m/z = 98.1).
【0065】
ビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-オンの調製
【0066】
【化3】
【0067】
雰囲気下、0℃で、ビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-オール(210g、2054mmol)のDCM(5000mL)撹拌溶液に、デス-マーチンペルヨージナン(954g、225mmol)を少量ずつ加えた。混合物を27℃まで加温し、次いで、16時間撹拌した。反応の進行をTLC(SiO、20%アセトン/Hex、Rf=0.3、UVインアクティブ、PMAアクティブ)によりモニターした。反応混合物を、セライトパッドを通じて濾過し、濾液をNaOH水溶液(1N、8×1L)で洗浄した。合わせた水相をDCM(5×1L)で抽出した。合わせた有機層を無水NaSOで乾燥させ、濾過し、次いで、減圧下(浴温度:20℃)で濃縮して、粗製のビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-オンを褐色の液体として得た。液体を70℃での下方蒸留によりさらに精製して、ビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-オンを淡黄色の粘性液体(125g、62%)として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ = 2.61 - 2.54 (m, 2H), 2.17 - 2.12 (m, 2H), 1.54 - 1.46 (m, 2H), 0.92 - 0.86 (m, 1H), -0.01 - -0.08 (m, 1H); GCMS: M/Z = 96.1.
【0068】
2-(2,2-ジフルオロアセチル)ビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-オンの調製
【0069】
【化4】
【0070】
雰囲気下、-78℃で、ビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-オン(125g、1274mmol)のTHF(1500mL)撹拌溶液に、LDA(2.0MのTHF溶液、0.701L、1402mmol)を加えた。溶液を-78℃で1時間撹拌した。溶液に、-78℃の温度を維持しながらジフルオロ酢酸エチル(174g、1402mmol)のTHF(300mL)溶液を30分間かけてゆっくりと加えた。反応混合物を27℃まで加温し、次いで、1時間撹拌した。反応の進行をTLC(SiO、20%アセトン/ヘキサン、Rf=0.3、UVアクティブ)によりモニターした。反応混合物をHCl水溶液(1N、2000mL)の添加によりクエンチした。混合物を30分間撹拌し、次いで、EtOAc(3×1000mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(1000mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、濾過した。濾液を減圧下で濃縮して、2-(2,2-ジフルオロアセチル)ビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-オンを淡黄色の粘性液体(180g、71%)として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ = 6.18 (t, J = 54.8 Hz, 1H), 2.70 - 2.62 (m, 1H), 2.35 (d, J = 19.4 Hz, 1H), 2.14 (br s, 1H), 1.26 - 1.21 (m, 1H), 1.04-1.03 (m, 1H), 0.22-0.21 (m, 1H), LCMS: M/Z = 173.17).
【0071】
エチル2-(3-(ジフルオロメチル)-3b,4,4a,5-テトラヒドロ-1H-シクロプロパ[3,4]シクロペンタ[1,2-c]ピラゾール-1-イル)アセテートの調製
【0072】
【化5】
【0073】
雰囲気下、27℃で、2-(2,2-ジフルオロアセチル)ビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-オン(180g、910mmol)のエタノール(2L)撹拌溶液に、エチル2-ヒドラジニルアセテート塩酸塩(422g、2729mmol)、次いで、硫酸(20mL、375mmol)を加えた。混合物を30分間撹拌し、次いで、100℃に加熱し、16時間撹拌した。反応の進行をTLC(SiO、20%アセトン/ヘキサン、Rf=0.3、UVアクティブ(UV-active))によりモニターした。反応混合物を減圧下で濃縮した。残留物をEtOAc(2000mL)に溶解させ、水(2×1L)、ブライン(1.0L)で洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、濾過し、次いで、減圧下で濃縮した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(pet.:アセトン 100:0→98:2)に供して、エチル2-(3-(ジフルオロメチル)-3b,4,4a,5-テトラヒドロ-1H-シクロプロパ[3,4]シクロペンタ[1,2-c]ピラゾール-1-イル)アセテートをオフホワイトの固体(110g、46%)として得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ = 6.86 (t, J = 54.8 Hz, 1H), 4.93 (s, 2H), 4.14 (q, J = 7.2 Hz, 2H), 2.88 - 2.79 (m, 1H), 2.76 - 2.68 (m, 1H), 2.14 - 2.04 (m, 2H), 1.19 (t, J = 7.2 Hz, 3H), 1.10 - 1.03 (m, 1H), 0.14 (q, J = 4.3 Hz, 1H).
【0074】
エチル2-(3-(ジフルオロメチル)-5-オキソ-3b,4,4a,5-テトラヒドロ-1H-シクロプロパ[3,4]シクロペンタ[1,2-c]ピラゾール-1-イル)アセテートの調製
【0075】
【化6】
【0076】
0℃で、エチル2-(3-(ジフルオロメチル)-3b,4,4a,5-テトラヒドロ-1H-シクロプロパ[3,4]シクロペンタ[1,2-c]ピラゾール-1-イル)アセテート(110g、422mmol)及びセライト(395g)のシクロヘキサン(3.5L)撹拌溶液に、二クロム酸ピリジニウム(794g、2110mmol)を少量ずつ加えた。窒素雰囲気下、混合物に、tert-ブチルヒドロペルオキシド(355mL、2130mmol)を10分間かけて滴下した。反応混合物を27℃まで加温し、次いで、その温度で48時間撹拌した。反応の進行をTLC(SiO、30%アセトン/pet、Rf=0.4、UVアクティブ)によりモニターした。反応混合物を濾過し、濾過ケーキをEtOAc(1000mL)で抽出した。濾液を飽和Na水溶液(2×500mL)、飽和FeSO水溶液(300mL)、次いで、ブライン(500mL)で洗浄した。有機層を無水NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、粗製の表題化合物(150g)を得た。
【0077】
エチル2-(3-(ジフルオロメチル)-4,4a-ジヒドロスピロ[シクロプロパ[3,4]シクロペンタ[1,2-c]ピラゾール-5,2’-[1,3]ジチオラン]-1(3bH)-イル)アセテートの調製
【0078】
【化7】
【0079】
窒素雰囲気下、27℃で、エチル2-(3-(ジフルオロメチル)-5-オキソ-3b,4,4a,5-テトラヒドロ-1H-シクロプロパ[3,4]シクロペンタ[1,2-c]ピラゾール-1-イル)アセテート(75g、269mmol)のDCM(1500mL)撹拌溶液に、エタン-1,2-ジチオール(43.0mL、511mmol)を加え、次いで、三フッ化ホウ素酢酸(72.6mL、511mmol)を加えた。溶液を16時間撹拌した。反応の進行をTLC(SiO、20%アセトン/Pet、Rf=0.35、UVアクティブ)によりモニターした。完了後、反応混合物を0℃に冷却し、飽和NaHCO水溶液(500mL)の添加によりクエンチした。混合物をDCM(2×1000mL)で抽出した。合わせた有機物をブライン(1000mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、褐色の液体を得た。この物質をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(Pet.:EtOAc 95:5→90:10)に供して、エチル2-(3-(ジフルオロメチル)-4,4a-ジヒドロスピロ[シクロプロパ[3,4]シクロペンタ[1,2-c]ピラゾール-5,2’-[1,3]ジチオラン]-1(3bH)-イル)アセテートをオフホワイトの固体(80g、74%)として得た。1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ = 6.61 (t, J = 55.2 Hz, 1H), 5.00 - 4.85 (m, 2H), 4.29 - 4.19 (m, 2H), 3.55 - 3.46 (m, 4H), 2.63 - 2.53 (m, 1H), 2.49 - 2.38 (m, 1H), 1.30 - 1.24 (m, 4H), 0.65 - 0.60 (m, 1H). LCMS M+H = 346.9.
【0080】
エチル2-(3-(ジフルオロメチル)-5,5-ジフルオロ-3b,4,4a,5-テトラヒドロ-1H-シクロプロパ[3,4]シクロペンタ[1,2-c]ピラゾール-1-イル)アセテートの調製
【0081】
【化8】
【0082】
雰囲気下、-70℃で、1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルイミダゾリジン-2,4-ジオン(26.3g、92mmol)のDCM(20mL)撹拌溶液に、HF-ピリジン(2.460g、24.83mmol)を加えた。溶液を30分間撹拌した。溶液に、エチル2-(3-(ジフルオロメチル)-4,4a-ジヒドロスピロ[シクロプロパ[3,4]シクロペンタ[1,2-c]ピラゾール-5,2’-1,3]ジチオラン]-1(3bH)-イル)アセテート(10g、25mmol)のDCM(20mL)溶液を加えた。反応混合物を-40℃まで加温し、次いで、その温度で1時間撹拌した。反応の進行をTLC(SiO、30% EtOAc/Pet、Rf=0.3、UVインアクティブ)によりモニターした。反応混合物を飽和NaHCO水溶液(200mL)の添加によりクエンチした。混合物を室温まで加温し、次いで、EtOAc(2×100mL)で抽出した。合わせた有機物をブライン(50mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、褐色の固体を得た。この物質をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(Pet.:EtOAc 100:0→75-25)に供して、エチル2-(3-(ジフルオロメチル)-5,5-ジフルオロ-3b,4,4a,5-テトラヒドロ-1H-シクロプロパ[3,4]シクロペンタ[1,2-c]ピラゾール-1-イル)アセテートを淡黄色の固体(8.5g、91%)として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ = 6.62 (t, J = 55.2 Hz, 1H), 4.82 (s, 2H), 4.30 - 4.18 (m, 2H), 2.51 - 2.37 (m, 2H), 1.42 - 1.35 (m, 1H), 1.31 - 1.23 (m, 3H), 1.14 - 1.08 (m, 1H). LCMS M+H = 293.07.
【0083】
2-(3-(ジフルオロメチル)-5,5-ジフルオロ-3b,4,4a,5-テトラヒドロ-1H-シクロプロパ[3,4]シクロペンタ[1,2-c]ピラゾール-1-イル)酢酸の調製
【0084】
【化9】
【0085】
雰囲気下、0℃で、エチル2-(3-(ジフルオロメチル)-5,5-ジフルオロ-3b,4,4a,5-テトラヒドロ-1H-シクロプロパ[3,4]シクロペンタ[1,2-c]ピラゾール-1-イル)アセテート(15g、50mmol)のTHF(17mL)及びMeOH(66mL)の撹拌溶液に、LiOH(1.788g、74.7mmol)の水(66mL)溶液を加えた。反応混合物を27℃まで加温し、次いで、その温度で3時間撹拌した。反応の進行をTLC(SiO、5%MeOH/DCM、Rf=0.2、UVアクティブ)によりモニターした。完了後、反応混合物を減圧下で濃縮し、水(50mL)で希釈し、EtOAc(2×250mL)で洗浄して、不純物を除去した。水層を、HCl水溶液(1M)を使用してpH2~3に調整し、次いで、EtOAc(3×1000mL)で抽出した。合わせた有機物を無水NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、2-(3-(ジフルオロメチル)-5,5-ジフルオロ-3b,4,4a,5-テトラヒドロ-1H-シクロプロパ[3,4]シクロペンタ[1,2-c]ピラゾール-1-イル)酢酸をオフホワイトの固体(14g、98%)として得た。
LCMS M+H = 265.15.
【0086】
得られた2-((3bS,4aR)-3-(ジフルオロメチル)-5,5-ジフルオロ-3b,4,4a,5-テトラヒドロ-1H-シクロプロパ[3,4]シクロペンタ[1,2-c]ピラゾール-1-イル)酢酸及び2-((3bR,4aS)-3-(ジフルオロメチル)-5,5-ジフルオロ-3b,4,4a,5-テトラヒドロ-1H-シクロプロパ[3,4]シクロペンタ[1,2-c]ピラゾール-1-イル)酢酸の分離
【0087】
【化10】
【0088】
2-(3-(ジフルオロメチル)-5,5-ジフルオロ-3b,4,4a,5-テトラヒドロ-1H-シクロプロパ[3,4]シクロペンタ[1,2-c]ピラゾール-1-イル)酢酸(5.5g)をイソプロパノール(20mL)に溶解させた。溶液を以下のとおり、SFCキラル分離に少量ずつ供した:機器=Thar 80;カラム=Chiralpak IC 30×250mm、5ミクロン;溶媒A=超臨界CO;溶媒B=0.5%イソプロピルアミン含有イソプロパノール(v/v);溶離液組成=70%A:30%B;流速=65g/分;背圧=100bar;温度=30℃;注入体積=2.5mL;検出=220nm。2-((3bS,4aR)-3-(ジフルオロメチル)-5,5-ジフルオロ-3b,4,4a,5-テトラヒドロ-1H-シクロプロパ[3,4]シクロペンタ[1,2-c]ピラゾール-1-イル)酢酸を、7.5分~14分で溶出するピークとして回収し、2-((3bR,4aS)-3-(ジフルオロメチル)-5,5-ジフルオロ-3b,4,4a,5-テトラヒドロ-1H-シクロプロパ[3,4]シクロペンタ[1,2-c]ピラゾール-1-イル)酢酸を、2.7分~5.8分で溶出するピークとして回収した。それぞれのエナンチオマーについて、得られた溶液を減圧下で濃縮し、得られた固体をEtOAcに溶解させ、次いで、クエン酸水溶液(1M)、続いて水、続いてブラインで2回洗浄した。有機溶液をNaSOで乾燥させ、濾過し、次いで、真空下で濃縮して、分離したエナンチオマーを回収率80~90%で得た。
【0089】
N-(7-アミノ-4-クロロ-1-メチル-1H-インダゾール-3-イル)-N-(4-メトキシベンジル)メタンスルホンアミドの調製
【0090】
【化11】
【0091】
合成スキーム
【0092】
【化12】
【0093】
工程1:2,6-ジクロロ-3-ニトロベンズアルデヒドの調製
【0094】
【化13】
【0095】
0~5℃の丸底フラスコ中の硫酸(HSO)(5.63L、4.5V)溶液に、2,6-ジクロロベンズアルデヒド(1.25kg、7.10mol、1.0当量)を15℃未満で少しずつ加えた。反応物を0~5℃で30分間撹拌した。新たに調製したニトロ化混合物の溶液[0℃で濃HSO(0.425L、0.34V)及び70% HNO(0.85kg、13.49mol、1.30当量)から調製]を、上記の反応混合物に10℃未満で加えた[注:わずかに発熱反応(3~6℃)であり、そのため、低温での添加が好ましい]。反応混合物を5~10℃で2~3時間撹拌した。反応の完了後(TLCでモニター)、25℃未満で、氷冷水(18.75L、15V)でクエンチした。次いで、反応物を室温まで加温し、2時間撹拌した。固体を濾過により単離し、次いで、水(2.5L、2.0V)で洗浄した。真空濾過を60~90分間維持することにより、固体からバルク残留水を除去した。粗湿固体を最初に空気雰囲気下で乾燥させた。次いで、50~55℃の熱風オーブンで10~12時間(含水率が5.0%以下になるまで)、乾燥させた表題生成物である2,6-ジクロロ-3-ニトロベンズアルデヒド(1.44kg、92%収率)を黄色の固体として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 10. 44 (s, 1H), 7.88 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.56 (d, J = 8.8 Hz, 1H).
【0096】
工程2:2,6-ジクロロ-3-ニトロベンゾニトリルの調製
【0097】
【化14】
【0098】
(工程-2a)
丸底フラスコ中のDMSO(5.9L、5.0V)溶液に、2,6-ジクロロ-3-ニトロベンズアルデヒド(1.17kg、5.31mol、1.0当量)を室温で加えた。室温で30分間撹拌した後、塩酸ヒドロキシルアミン(0.63kg、9.04mol、1.70当量)を加え、反応物を室温で3時間撹拌した。反応の完了後(TLCでモニター)、温度を30℃未満に維持するのに十分な速度で加える氷冷水(18.0L、15.0V)の添加により、反応物をクエンチした(観察:水添加時に形成された固体)。反応物を室温で60~90分間撹拌した。固体を濾過により単離し、水(2.5L、2.0V)で洗浄し、次いで、アセトン及びヘキサンの混合物(6.0L、1:1の比率)で洗浄した。真空濾過を60~90分間維持することにより、固体からバルク残留水を除去した。湿った固体を先ず風乾し、次いで、50~55℃の熱風オーブンで10~12時間(水分含有量が1.0%以下になるまで)最終乾燥させて、乾燥した標的生成物である2,6-ジクロロ-3-ニトロベンズアルデヒドオキシム(1.22kg、92%収率)をオフホワイトの固体として得た。粗生成物(2,6-ジクロロ-3-ニトロベンゾニトリルを10~20%含む)を、さらに精製することなく次の工程に直接使用した。
【0099】
(工程-2b)
0~5℃で、粗オキシム(上記の調製物、1.13kg、4.80mol、1.0当量)のDCM(9.04L、8.0V)撹拌溶液に、トリエチルアミン(「TEA」、1.02kg、10.09mol、2.1当量)を加えた。5分間撹拌した後、メタンスルホニルクロリド(0.60kg、5.29mol、1.1当量)を15℃でゆっくりと加えた(観察:添加中に発熱が認められた)。次いで、反応物を室温で30~45分間撹拌した。反応の完了後(反応の進行はTLCでモニターされた。移動相:20%酢酸エチルのヘキサン溶液)、反応物を水(6.78L、6.0V)で希釈し、有機層を分離し、水層をDCM(3.4L、3.0V)で抽出した。合わせた有機層をブライン(5.65L、5.0V)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、真空下で濃縮した。得られた粗固体を、室温でヘキサン(4.50L、4.0V)によりトリチュレーションした。湿った物質を50~55℃の熱風オーブンで5~6時間乾燥させて、乾燥生成物である2,6-ジクロロ-3-ニトロベンゾニトリル(0.95kg、91%収率)を黄色の固体として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 8.07 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 7.63 (d, J = 8.8 Hz, 1H).
【0100】
工程3:4-クロロ-7-ニトロ-1H-インダゾール-3-アミンの調製
【0101】
【化15】
【0102】
15~20℃で、2,6-ジクロロ-3-ニトロベンゾニトリル(750.0g、3.45mol、1.0当量)のエタノール(7.5L、10.0V)撹拌溶液に、反応物を25℃未満に維持しながら、ヒドラジン水和物(519.0g、10.36mol、3.0当量)をゆっくりと加えた(観察:添加によりわずかに発熱し、添加すると固体形成が始まる)。反応混合物の温度をゆっくりと室温に上げ、次いで、混合物を3時間撹拌した(観察:この時間の間に固体量が増加する)。反応の完了後(TLCでモニター)、混合物を水(7.5L、10.0V)で希釈し、さらに室温で1時間撹拌した。固体を濾過により単離し、次いで、水(2.25L、3.0V)で洗浄した。湿った固体を、アセトン(1.875L、2.5V)及びヘキサン(1.875L、2.5V)の1:1の比率の混合物で洗浄した。真空濾過を60~90分間維持することにより、固体からバルク残留水を除去した。最後に、湿った固体を50℃の熱風オーブンで7~8時間(水分含有量が1.5%未満になるまで)乾燥させて、乾燥生成物である4-クロロ-7-ニトロ-1H-インダゾール-3-アミン(549.0g、75%収率)を赤レンガ色の固体として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 10.36 (bs, 1H), 8.20 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.07 (d, J = 8.40 Hz, 1H), 4.73 (bs, 2H).
【0103】
工程4:4-クロロ-1-メチル-7-ニトロ-1H-インダゾール-3-アミンの調製
【0104】
【化16】
【0105】
5~10℃で、4-クロロ-7-ニトロ-1H-インダゾール-3-アミン(500g、0.42mol、1.0当量)のDMF(5.0L、10.0V)撹拌溶液に、反応物を10℃未満に維持しながら、炭酸セシウム(CsCO)(1.91kg、5.88mol、2.5当量)をゆっくりと加えた。5~10分間撹拌した後、反応物を10℃未満に維持しながら硫酸ジメチル(326.3g、2.59mol、1.1当量)を加えた(注:より好ましい位置選択性を得るには、ゆっくりと加えることが好ましい)。次いで、反応温度をゆっくりと室温まで上げ、同じ温度でさらに2時間撹拌を続けた。反応の完了後(TLCでモニター)、氷冷水(15.0L、30.0V)の添加により反応物をクエンチし、得られた混合物を室温で6~8時間撹拌した。固体を濾過により単離し、次いで、水(1.5L、3.0V)で洗浄した。湿った固体をIPA(1.5L、3.0V)、次いで、ヘキサン(1.0L、2.0V)で洗浄した。真空濾過を60~90分間維持することにより、固体からバルク残留水を除去した。湿った固体を50℃の熱風オーブンで7~8時間(水分含有量が1.0%未満になるまで)乾燥させた。単離された物質、4-クロロ-1-メチル-7-ニトロ-1H-インダゾール-3-アミン(319.0g、60%収率)を、さらに精製することなく次の工程で使用した。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.97 (d, J = 8.32 Hz, 1H), 6.97 (d, J = 8.24 Hz, 1H), 4.63 (bs, 2H), 3.96 (s, 3H).
【0106】
工程5:N-(4-クロロ-1-メチル-7-ニトロ-1H-インダゾール-3-イル)メタンスルホンアミドの調製
【0107】
【化17】
【0108】
(工程5a)
0~5℃で、4-クロロ-1-メチル-7-ニトロ-1H-インダゾール-3-アミン(625.0g、2.76mol、1.0当量)のDCM(6.25L、10.0V)溶液に、トリエチルアミン(TEA)(837.0g、8.27mol、3.0当量)を加え、次いで、4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)(20.60g、0.165mol、0.06当量)を加えた。反応物を5~10分間撹拌し、次いで、反応物を10℃未満に維持しながら、メタンスルホニルクロリド(MsCl)(790.0g、6.89mol、2.5当量)をゆっくりと加えた。反応混合物を室温まで加温し、次いで、1.5~2.0時間撹拌した。反応の完了後(TLCでモニター)、混合物を水(6.25L、10.0V)で希釈し、次いで、室温で15分間撹拌した。有機層を分離し、水層をDCM(6.25L、10.0V)で抽出した。合わせた有機層をブライン(1.25L、2.0V)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濃縮して粗固体を得た。固体を室温でヘキサン(1.25L、2.0V)によりトリチュレーションして、中間体であるN-(4-クロロ-1-メチル-7-ニトロ-1H-インダゾール-3-イル)-N-(メチルスルホニル)メタンスルホンアミドを得、次の工程で直接使用した。
【0109】
(ii)
室温で、N-(4-クロロ-1-メチル-7-ニトロ-1H-インダゾール-3-イル)-N-(メチルスルホニル)メタンスルホンアミド(上記で調製)のエタノール(10.5L、20.0V)撹拌溶液に、ゆっくりと5% NaOH水溶液(4.38L、7.0V)を加えた[注:滴下漏斗を介してゆっくりと添加することが好ましい]。反応物を同じ温度で3時間撹拌した。反応の完了後(TLCでモニター)[TLC分析用のサンプル調製:約1.0mLのサンプルを2.0N HCl水溶液でpH2~3になるまで酸性化し、酢酸エチルで抽出し、有機層をTLCで分析する]、反応物を0~5℃に冷却した。反応温度を10℃未満に維持しながら、2.0N HCl水溶液(3.13L、5.0V)の添加により、pHを2~3に調整した[注:沈殿はHClの添加時に生じ、撹拌により増加した]。反応混合物を室温まで加温し、次いで、1.5~2.0時間撹拌した。得られた固体を濾過により単離し、次いで、水(1.25L、2.0V)で洗浄し、次いで、ヘキサン(1.25L、2.0V)で洗浄した。真空濾過を60~90分間維持することにより、固体からバルク残留水を除去した。湿った物質を50℃の熱風オーブンで6~7時間(水分含有量が1.0%未満になるまで)乾燥させて、乾燥生成物N-(4-クロロ-1-メチル-7-ニトロ-1H-インダゾール-3-イル)メタンスルホンアミド(640.0g、76%)を黄色の固体として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 8.05 (d, J = 8.32 Hz, 1H), 7.32 (bs, 1H), 7.17 (d, J = 8.28 Hz, 1H), 4.15 (s, 3H), 3.45 (s, 3H).
【0110】
工程6:N-(4-クロロ-1-メチル-7-ニトロ-1H-インダゾール-3-イル)-N-(4-メトキシベンジル)メタンスルホンアミドの調製
【0111】
【化18】
【0112】
室温で、N-(4-クロロ-1-メチル-7-ニトロ-1H-インダゾール-3-イル)メタンスルホンアミド(635.0g、2.08mol、1.0当量)及び1-(クロロメチル)-4-メトキシベンゼン(359.0g、2.30mol、1.1当量)のDMF(6.35L、10.0V)溶液に、炭酸カリウム(374.7g、2.70mol、1.3当量)を加えた。反応混合物を80~90℃に加熱し、その温度で3時間維持した。反応の完了後(TLCでモニター)、混合物を氷冷水(19.05L、30.0V)に注いだ[注:生成物が沈殿する際の凝集を避けるために、激しく撹拌しながらゆっくりとクエンチすることが好ましい]。得られた固体を濾過により単離し、水(1.90L、3.0V)で洗浄し、次いで、固体をヘキサン(1.27L、2.0V)で洗浄した。真空濾過を60~90分間維持することにより、固体からバルク残留水を除去した。単離した固体を酢酸エチル(12.7L、20.0V)に溶解させ、炭(63.5g)を加えた。混合物を60~70℃に加熱し、次いで、その温度で30~45分間撹拌した。まだ熱いうちに(40~50℃)、セライトパッドを通じて混合物を濾過し、次いで、セライトパッドを酢酸エチル(3.17L、5.0V)で抽出した。合わせた濾液を減圧下、50℃未満で濃縮乾固に供した。酢酸エチル(0.635L、1.0V)を室温で固体に加えた。得られた固体懸濁液を30分間撹拌した。固体を濾過により単離し、次いで、ヘキサン(1.27L、2.0V)で洗浄した。真空濾過を45~60分間維持することにより、固体から残留水を除去して、生成物N-(4-クロロ-1-メチル-7-ニトロ-1H-インダゾール-3-イル)-N-(4-メトキシベンジル)メタンスルホンアミド(705.0g、80%収率)を黄色の固体として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.99 (d, J = 8.24 Hz, 1H), 7.27 (d, J = 8.68 Hz, 2H), 7.19 (d, J = 8.24 Hz, 1H), 6.80 (d, J = 8.44 Hz, 2H), 4.95-4.76 (m, 2H), 4.17 (s, 3H), 3.76 (s, 3H), 3.01 (s, 3H).
【0113】
工程7:N-(7-アミノ-4-クロロ-1-メチル-1H-インダゾール-3-イル)-N-(4-メトキシベンジル)メタンスルホンアミドの調製
【0114】
【化19】
【0115】
室温で、亜鉛粉末(540.0g、8.23mol、10.0当量)の、THF(3.50L、10.0V)及び水(7.0L、20.0V)混合液の撹拌懸濁液に、塩化アンモニウム(NHCl)(449.0g、8.23mol、10.0当量)を加えた。混合物に、N-(4-クロロ-1-メチル-7-ニトロ-1H-インダゾール-3-イル)-N-(4-メトキシベンジル)メタンスルホンアミド(350g、0.823mol、1.0当量)のTHF(7.0L、20.0V)溶液を加えた。反応混合物を室温で3~4時間撹拌した。反応の完了後(インプロセスTLC/HPLCでモニター)、混合物を酢酸エチル(3.5L、10.0V)及び水(1.12L、2.5V)で希釈した。混合物を15分間撹拌した。反応物を酢酸エチル(1.75L、5.0V)で洗浄するセライトベッドのパッドを通じて濾過した。二相性濾液を回収し、相を分離した。水層を酢酸エチル(3.50L、10.0V)で抽出した。合わせた有機層をブライン(3.50L、10V)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、次いで、真空下で濃縮して、粗固体を得た。粗生成物にMTBE(3.25L、10V)を加え、懸濁液を室温で30分間撹拌した。固体を濾過により単離した。真空濾過を30~45分間維持することにより、固体からバルク残留水を除去した。湿った生成物を熱風オーブン(50℃)で2時間乾燥させて、表題生成物N-(7-アミノ-4-クロロ-1-メチル-1H-インダゾール-3-イル)-N-(4-メトキシベンジル)メタンスルホンアミド(276.0g、85%収率)をオフホワイトの固体として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.29-7.26 (m, 2H), 6.86-6.79 (m, 2H), 6.42 (d, J = 7.80 Hz, 1H), 4.99-4.70 (m, 2H), 4.25 (s, 3H), 3.77 (s, 5H), 2.98 (s, 3H).
【0116】
2-アミノ-4-(6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)安息香酸の調製
【0117】
【化20】
【0118】
合成スキーム
【0119】
【化21】
【0120】
工程1:4-ブロモ-2-ニトロ安息香酸メチルの調製
【0121】
4-ブロモ-2-ニトロ安息香酸(500g、2032mmol)のメタノール(2000mL)撹拌溶液に、硫酸(500mL、9381mmol)を0℃で加えた。溶液を70℃で4時間撹拌した。反応の進行をTLC(SiO、30%EtOAc/Pet.Rf=0.3)でモニターした。反応終了後、反応塊を室温まで冷却し、次いで、減圧下で濃縮してメタノールを除去した。得られた残留物を水(1000mL)に注ぎ、無水炭酸ナトリウムの添加によりpHをpH9に調整した。混合物を酢酸エチル(2×1000mL)で抽出した。組み合わせた有機物を水(500mL)、次いで、ブライン溶液(500mL)で洗浄した。有機層を無水NaSOで乾燥させ、濾過し、次いで、減圧下で濃縮して、4-ブロモ-2-ニトロ安息香酸メチル(520g、94%)をオフホワイトの固体として得た。1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ = 8.04-7.99 (m, 1H), 7.85-7.78 (m, 1H), 7.66 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 3.92 (s, 3H). LCMS Purity = 95.2%. 生成物をさらに精製することなく次の工程に直接使用した。
【0122】
工程2:2-アミノ-4-ブロモ安息香酸メチルの調製
亜鉛粉末(704g、10.8mol)の水(2000mL)撹拌溶液に、窒素雰囲気下、0℃で、4-ブロモ-2-ニトロ安息香酸メチル(400g、1538mmol)のテトラヒドロフラン(THF)(4000mL)溶液をゆっくりと加え、次いで、酢酸(1057mL、18.5mol)をゆっくりと加えた。反応混合物を27℃で4時間撹拌した。反応の進行をTLC(SiO、20% EtOAc/Pet. Rf=0.4)でモニターした。完了次第、反応混合物をセライトパッドを通じて濾過し、セライトパッドをEtOAc(2000mL)で抽出した。合わせた濾液を減圧下で濃縮した。得られた残留物を水(3000mL)で希釈し、EtOAc(2×4000mL)で抽出した。合わせた有機物を飽和NaCO溶液(2×3000mL)、次いで、ブライン(2×2000mL)で洗浄した。有機層を無水NaSOで乾燥させ、濾過し、次いで、減圧下で濃縮して、2-アミノ-4-ブロモ安息香酸メチル(350g、94%)をオフホワイトの固体として得た。1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ = 7.76-7.65 (m, 1H), 6.84 (d, J = 1.9 Hz, 1H), 6.78-6.72 (m, 1H), 5.91-5.63 (m, 2H), 3.86 (s, 3H). LCMS Purity = 95.0%. 生成物をさらに精製することなく次の工程に直接使用した。
【0123】
工程3:2-アミノ-4-(6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)安息香酸メチルの調製
【0124】
【化22】
【0125】
2-アミノ-4-ブロモ安息香酸メチル(350g、1521mmol)の1,4-ジオキサン(7000mL)撹拌溶液に、ビス(ピナコール)ジボラン(522g、2054mmol)及び酢酸カリウム(597g、6085mmol)を加えた。反応混合物にNガスを10分間バブリングすることによって、反応混合物を脱気した。反応混合物にPdCl(dppf)(78g、106mmol)を加えた。混合物を90℃で4時間撹拌した。反応の進行をTLCでモニターした。反応が完了次第、混合物を室温まで冷却した。混合物に、2-クロロ-6-(トリフルオロメチル)ピリジン(359g、1978mmol)、三塩基性リン酸カリウム(1130g、5325mmol)及び水(1190mL)を加えた。混合物を窒素ガスバブリングにより10分間脱気した。混合物にPdCl(dppf)(78g、106mmol)を加えた。反応混合物を60℃で16時間撹拌した。反応の進行をTLC(SiO、20% EtOAc/Pet. Rf=0.4)でモニターした。完了次第、反応混合物をセライトを通じて濾過し、次いで、セライトパッドを酢酸エチル(2000mL)で抽出した。合わせた濾液を減圧下で濃縮して、粗生成物(550g)を褐色の液体として得た。5~30% EtOAc/Petで溶出するシリカゲルクロマトグラフィーにより、この物質を精製した。所望の生成物を含む画分をプールし、減圧下で濃縮した。単離した物質をn-ペンタン(2200mL)で洗浄し、固体を濾過により回収し、次いで、真空下で乾燥させて、2-アミノ-4-(6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)安息香酸メチル(380g、83%)をオフホワイトの固体として得た。1H NMR (CHLOROFORM-d) δ: 7.99 (d, J=8.3 Hz, 1H), 7.92-7.98 (m, 2H), 7.67 (dd, J=6.9, 1.5 Hz, 1H), 7.49 (d, J=1.5 Hz, 1H), 7.27 (dd, J=8.3, 1.8 Hz, 1H), 5.90 (br s, 2H), 3.93 (s, 3H). LCMS Purity = 98.25%.
【0126】
工程4:2-アミノ-4-(6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)安息香酸の調製
窒素雰囲気下、0℃で、2-アミノ-4-(6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)安息香酸メチル(650g、2194mmol)のテトラヒドロフラン(THF)(5000mL)及び水(2167mL)の撹拌溶液に、水酸化リチウム一水和物(369g、8776mmol)を加えた。反応混合物を70℃で16時間撹拌した。反応の進行をTLC(SiO、50% EtOAc/Pet. Rf=0.4)でモニターした。完了次第、反応混合物を減圧下で濃縮し、次いで、得られた残留物を水(5000mL)に溶解させ、3N HCl(3000mL)を加えてpH4に酸性化した。得られた沈殿物を濾取し、水(4000mL)、次いで、n-ヘキサン(5000mL)で洗浄し、次いで、乾燥させて、2-アミノ-4-(6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)安息香酸(581g、93%)をオフホワイトの固体として得た。1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ = 8.18 (d, J = 4.0 Hz, 2H), 7.92-7.88 (m, 1H), 7.84 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 7.54 (d, J = 1.7 Hz, 1H), 7.22 (d, J = 8.4, 1.8 Hz, 1H). LCMS Purity = 99.62%.
【0127】
実施例1:N-((S)-1-((3P)-3-(4-クロロ-1-メチル-3-(メチルスルホンアミド)-1H-インダゾール-7-イル)-4-オキソ-7-(6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)-3,4-ジヒドロキナゾリン-2-イル)-2-(3,5-ジフルオロフェニル)エチル)-2-((3bS,4aR)-3-(ジフルオロメチル)-5,5-ジフルオロ-3b,4,4a,5-テトラヒドロ-1H-シクロプロパ[3,4]シクロペンタ[1,2-c]ピラゾール-1-イル)アセトアミドの調製
【0128】
【化23】
【0129】
合成スキーム
【0130】
【化24】
【0131】
工程1:tert-ブチル(S)-(1-(3-(4-クロロ-3-(N-(4-メトキシベンジル)メチルスルホンアミド)-1-メチル-1H-インダゾール-7-イル)-4-オキソ-7-(6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)-3,4-ジヒドロキナゾリン-2-イル)-2-(3,5-ジフルオロフェニル)エチル)カルバメートの調製
窒素雰囲気下、27℃で、(S)-2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-3-(3,5-ジフルオロフェニル)プロパン酸(91g、301mmol)及び2-アミノ-4-(6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)安息香酸(94g、332mmol)のアセトニトリル(3.8L)撹拌溶液に、ピリジン(0.059L、724mmol)を加えた。得られた混合物を-9℃に10分間冷却し、次いで、2,4,6-トリプロピル-1,3,5,2,4,6-トリオキサトリホスフィナン2,4,6-トリオキシド(「T3P」、50重量% EtOAc溶液、0.888L、1507mmol)を10分かけて滴下した。溶液をN雰囲気下、-9℃で2.1時間撹拌した。-9℃の溶液に、N-(7-アミノ-4-クロロ-1-メチル-1H-インダゾール-3-イル)-N-(4-メトキシベンジル)メタンスルホンアミド(120g、301mmol)を加えた。次いで、溶液を-5℃まで加温し、1時間撹拌しながらその温度に維持した。次いで、反応塊を27℃までゆっくりと加温し、次いで、その温度で16時間撹拌した。反応の進行をTLC(SiO、50% EtOAc/Pet. Rf=0.5)でモニターした。完了次第、反応混合物を減圧下で濃縮し、得られた残留物をEtOAc(5000mL)に溶解させ、次いで、1N NaOH溶液(2000mL)、次いで、ブライン(1000mL)で洗浄した。有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、次いで、減圧下で濃縮して、粗生成物を得、30~35%EtOAc/Petで溶出するシリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。所望の生成物を含む画分をプールし、減圧下で濃縮して、tert-ブチル(S)-(1-(3-(4-クロロ-3-(N-(4-メトキシベンジル)メチルスルホンアミド)-1-メチル-1H-インダゾール-7-イル)-4-オキソ-7-(6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)-3,4-ジヒドロキナゾリン-2-イル)-2-(3,5-ジフルオロフェニル)エチル)カルバメート(252g、88%、オフホワイトの固体)をホモキラルアトロプ異性体(ジアステレオマー)の混合物として得た。
【0132】
工程2:(S)-N-((6P)-7-(2-(1-アミノ-2-(3,5-ジフルオロフェニル)エチル)-4-オキソ-7-(6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)キナゾリン-3(4H)-イル)-4-クロロ-1-メチル-1H-インダゾール-3-イル)メタンスルホンアミド
27℃で、tert-ブチル(S)-(1-(3-(4-クロロ-3-(N-(4-メトキシベンジル)メチルスルホンアミド)-1-メチル-1H-インダゾール-7-イル)-4-オキソ-7-(6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)-3,4-ジヒドロキナゾリン-2-イル)-2-(3,5-ジフルオロフェニル)エチル)カルバメート(純度97%、252g、264mmol)のTFA(815mL、10.6mol)撹拌溶液に、トリフルオロメタンスルホン酸(70.4mL、793mmol)を加えた。溶液を窒素雰囲気下で2時間撹拌した。反応の進行をTLC(SiO、50% EtOAc/Pet. Rf=0.2)でモニターした。完了次第、穏やかな窒素ガス流の下で揮発性物質を除去した。残留物をEtOAc(5000mL)に溶解させ、次いで、1N NaOH溶液(2000mL)、次いで、ブライン(1500mL)で洗浄した。有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、次いで、減圧下で濃縮して、粗生成物を得、5~15%MeOHのDCM溶液で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。所望の生成物を含む画分をプールし、減圧下で濃縮して、(S)-N-(7-(2-(1-アミノ-2-(3,5-ジフルオロフェニル)エチル)-4-オキソ-7-(6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)キナゾリン-3(4H)-イル)-4-クロロ-1-メチル-1H-インダゾール-3-イル)メタンスルホンアミド(180g、95%、オフホワイトの固体)をホモキラルアトロプ異性体(ジアステレオマー)の混合物として得た。この物質をメタノール:アセトニトリル(40:60、3000mL)に溶解させ、次いで、以下の方法を使用する分取SFC(カラム=(R,R)Welk-01、30×250mm、5μ、溶離液=CO:メタノール(1:1);流速=90.0g/分;背圧=120.0bar;検出=254nm(UV);スタック時間=8.8分;インジェクションあたりの投入量=700mg)によって精製した。SFC分離により2つのピークが生成され、別個に回収した。メジャーピーク(2番目に溶出するピーク)を減圧下で濃縮して、(S)-N-((6P)-7-(2-(1-アミノ-2-(3,5-ジフルオロフェニル)エチル)-4-オキソ-7-(6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)キナゾリン-3(4H)-イル)-4-クロロ-1-メチル-1H-インダゾール-3-イル)メタンスルホンアミド(100g、54%)をオフホワイトの固体として得た。生成物は単一の立体異性体である。1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ = 8.64-8.55 (m, 2H), 8.44-8.25 (m, 3H), 8.01 (d, J = 7.7 Hz, 1H), 7.42-7.31 (m, 2H), 7.07-6.95 (m, 1H), 6.76 (dd, J = 2.0, 8.5 Hz, 2H), 3.70 (s, 3H), 3.59 (dd, J = 4.8, 8.2 Hz, 1H), 3.35 (br d, J = 4.8 Hz, 1H), 3.17 (d, J = 5.1 Hz, 3H), 2.92-2.83 (m, 1H). LCMS Purity = 99%.
【0133】
工程3:N-((S)-1-((3P)-3-(4-クロロ-1-メチル-3-(メチルスルホンアミド)-1H-インダゾール-7-イル)-4-オキソ-7-(6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)-3,4-ジヒドロキナゾリン-2-イル)-2-(3,5-ジフルオロフェニル)エチル)-2-((3bS,4aR)-3-(ジフルオロメチル)-5,5-ジフルオロ-3b,4,4a,5-テトラヒドロ-1H-シクロプロパ[3,4]シクロペンタ[1,2-c]ピラゾール-1-イル)アセトアミドの調製
27℃で、(S)-N-((6P)-7-(2-(1-アミノ-2-(3,5-ジフルオロフェニル)エチル)-4-オキソ-7-(6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)キナゾリン-3(4H)-イル)-4-クロロ-1-メチル-1H-インダゾール-3-イル)メタンスルホンアミド(45g、63.9mmol)のDMF(450mL)撹拌溶液に、2-((3bS,4aR)-3-(ジフルオロメチル)-5,5-ジフルオロ-3b,4,4a,5-テトラヒドロ-1H-シクロプロパ[3,4]シクロペンタ[1,2-c]ピラゾール-1-イル)酢酸(20.26g、77mmol)、次いで、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド塩酸塩(「EDC-HCl」、14.70g、77mmol)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(「HOBt水和物」、11.75g、77mmol)及びN-メチルモルホリン(28.1mL、256mmol)を加えた。反応塊を27℃で24時間撹拌した。反応の進行をTLC(SiO、50% EtOAc/Pet. Rf=0.5)でモニターした。完了次第、反応塊を氷水(1.5L)で希釈し、得られた沈殿物を濾過により回収し、次いで、真空下で乾燥させて、粗生成物(59g)をオフホワイトの固体として得た。この粗生成物を、同じスケールで手順を繰り返すことによって生成された粗生成物の別のバッチ(61g)とブレンドする。合わせて120gの粗生成物を、20~40% EtOAc/Petで溶出するシリカゲルクロマトグラフィーによって精製した。所望の生成物を含む画分をプールし、減圧下で濃縮して、精製生成物を得た。乳鉢及び乳棒を使用して化合物を粉砕し、次いで、微細な固体を50℃のオーブン内に約2時間保持することにより、微量のEtOAc残留物を除去した。EtOAc含有量が4000ppm未満に減少するまで、この粉砕及び加熱のプロセスをさらに4回繰り返して、N-((S)-1-((3P)-3-(4-クロロ-1-メチル-3-(メチルスルホンアミド)-1H-インダゾール-7-イル)-4-オキソ-7-(6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)-3,4-ジヒドロキナゾリン-2-イル)-2-(3,5-ジフルオロフェニル)エチル)-2-((3bS,4aR)-3-(ジフルオロメチル)-5,5-ジフルオロ-3b,4,4a,5-テトラヒドロ-1H-シクロプロパ[3,4]シクロペンタ[1,2-c]ピラゾール-1-イル)アセトアミド(85.7g、79%)をオフホワイトの固体として得た。1H NMR (acetone-d6) δ: 8.60 (t, J=1.0 Hz, 1H), 8.58 (s, 1H), 8.48 (d, J=8.0 Hz, 1H), 8.39 (d, J=0.9 Hz, 2H), 8.32 (t, J=7.9 Hz, 1H), 8.16 (d, J=8.6 Hz, 1H), 7.95-7.99 (m, 1H), 7.49 (d, J=7.7 Hz, 1H), 7.37 (d, J=8.0 Hz, 1H), 6.86 (tt, J=9.3, 2.3 Hz, 1H), 6.70-6.76 (m, 2H), 6.77 (t, J=54.7 Hz, 1H), 4.93 (td, J=9.0, 4.6 Hz, 1H), 4.63-4.74 (m, 2H), 3.69 (s, 3H), 3.55 (dd, J=14.2, 4.6 Hz, 1H), 3.28 (s, 3H), 3.15 (dd, J=14.2, 9.4 Hz, 1H), 2.42-2.51 (m, 2H), 1.37-1.43 (m, 1H), 0.95-1.00 (m, 1H).LCMS分析方法:カラム:Acquity BEH C18、2.1×50mm、1.7μm粒子;溶媒A=0.1%ギ酸水溶液;溶媒B=0.1%ギ酸のアセトニトリル溶液;流速=0.6mL/分;勾配{時点(分)/時点での%B(%)}=0/3、0.4/3、7.5/98、9.5/98、9.6/3、10/3;カラム温度=35℃。LCMS結果:保持時間=5.57分;観測されたイオン=949.98(M+H);LCMS純度=99.4%。
【0134】
実施例1の命名:
上記で調製した実施例1の化合物は、軸性キラリティーを含むホモキラル物質である。軸性キラリティーは、IUPACゴールドブック(doi:10.1351/goldbook.A00547)に詳述されるO/M命名法を使用して説明され得る。しかしながら、現時点では、P/M命名法を含む化学名を生成可能なソフトウェアツールの数は限られており、この命名法を使用して化学名を分子の構造表現に変換するためのオプションはさらに限られている。したがって、明確性及び利便性のために、実施例1のいくつかの名称を以下に示す。
【0135】
ChemDraw Professional 16(P/M命名法なし)によって生成された実施例1の名称は、以下のとおりである。
N-((S)-1-(3-(4-クロロ-1-メチル-3-(メチルスルホンアミド)-1H-インダゾール-7-イル)-4-オキソ-7-(6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)-3,4-ジヒドロキナゾリン-2-イル)-2-(3,5-ジフルオロフェニル)エチル)-2-((3bS,4aR)-3-(ジフルオロメチル)-5,5-ジフルオロ-3b,4,4a,5-テトラヒドロ-1H-シクロプロパ[3,4]シクロペンタ[1,2-c]ピラゾール-1-イル)アセトアミド
【0136】
JChem for Excel(P/M命名法を含む)によって生成された実施例1の化学名は、以下のとおりである。
N-[(1S)-1-[3-(4-クロロ-3-メタンスルホンアミド-1-メチル-1H-インダゾール-7-イル)-4-オキソ-7-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]-3,4-ジヒドロキナゾリン-2-イル]-2-(3,5-ジフルオロフェニル)エチル]-2-[(2S,4R)-9-(ジフルオロメチル)-5,5-ジフルオロ-7,8-ジアザトリシクロ[4.3.0.0]ノナ-1(6),8-ジエン-7-イル]アセトアミド
【0137】
手動でP/M命名法を追加してChemDraw Professional 16によって生成された実施例1の化学名は以下のとおりである。
N-((S)-1-((3P)-3-(4-クロロ-1-メチル-3-(メチルスルホンアミド)-1H-インダゾール-7-イル)-4-オキソ-7-(6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)-3,4-ジヒドロキナゾリン-2-イル)-2-(3,5-ジフルオロフェニル)エチル)-2-((3bS,4aR)-3-(ジフルオロメチル)-5,5-ジフルオロ-3b,4,4a,5-テトラヒドロ-1H-シクロプロパ[3,4]シクロペンタ[1,2-c]ピラゾール-1-イル)アセトアミド
【0138】
2-アミノ-4-(4-(ジフルオロメチル)ピリミジン-2-イル)安息香酸の調製
【化25】
【0139】
合成スキーム
【0140】
【化26】
【0141】
工程1:2-アミノ-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)安息香酸メチルの調製
アルゴン下で、2-アミノ-4-ブロモ安息香酸メチル(10g、43.5mmol)、4,4,4’,4’,5,5,5’,5’-オクタメチル-2,2’-ビ(1,3,2-ジオキサボロラン)(11.04g、43.5mmol)、PdCl(dppf)(1.590g、2.173mmol)及び酢酸カリウム(12.80g、130mmol)の1,4-ジオキサン(100 mL)混合液を、97℃で2時間加熱した。混合物を室温まで冷却し、次いで、DCMで希釈した。有機層を水、次いで、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(330g カラム、5~30% EtOAc:Hex)により精製して、生成物2-アミノ-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)安息香酸メチル(9.2g、76%)を黄色の固体として得た。1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ ppm 7.86 (d, J=8.05 Hz, 1 H), 7.14 (s, 1 H), 7.06 (dd, J=7.90, 1.04 Hz, 1 H), 5.67 (br s, 2 H), 3.89 (s, 3 H), 1.37 (s, 12 H).
【0142】
工程2:2-アミノ-4-(4-(ジフルオロメチル)ピリミジン-2-イル)安息香酸メチルの調製
丸底フラスコ内で、2-アミノ-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)安息香酸メチル(14.8g、53.4mmol)、2-クロロ-4-(ジフルオロメチル)ピリミジン(8.79g、53.4mmol)、PdCl(キサントホス)(2.019g、2.67mmol)及び炭酸カリウム(22.14g、160mmol)を合わせた。フラスコをゴム隔膜で密閉し、フラスコに1,4-ジオキサン(200mL)及び水(50.0mL)を加えた。次いで、フラスコをアルゴンで再充填した(真空引き、次いで、アルゴンで再充填を3回)。混合物を60℃で3.5時間撹拌した。混合物を室温まで冷却し、揮発性有機物を減圧下で除去して、水性混合物を得た。スラリーをEtOAc(300mL)に取り、次いで、水(400mL)でさらに希釈した。混合物を混合し、次いで、セライトパッドを通じて濾過して、不溶性物質を除去した。次いで、有機層を分離し、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残留物を最小限量のEtOAc(100mL)に取り、次いで、セライトと混合し、減圧下で濃縮して、自由流動性の粉末を得た。この粉末を3等分し、各部分を(95:5 水:MeCN + 0.1%ギ酸):(95:5 MeCN:水 + 0.1%ギ酸) 25:75→0:100で溶出する逆相クロマトグラフィー(415g RediSep Gold C18カラム)に供した。所望の生成物を含む画分をプールし、減圧下で部分的に濃縮して、水性混合物を得た。スラリーをEtOAcと合わせ、5N NaOH水溶液を加えることにより水層をわずかに塩基性(pH8)にした。混合物を混合し、次いで、有機層を単離し、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、減圧下で濃縮して、生成物2-アミノ-4-(4-(ジフルオロメチル)ピリミジン-2-イル)安息香酸メチル(10.2g、68%)を暗黄色の固体として得た。1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ ppm 9.02 (br d, J=4.77 Hz, 1 H), 8.01 (d, J=8.34 Hz, 1 H), 7.86 (s, 1 H), 7.76 (br d, J=8.35 Hz, 1 H), 7.55 (br d, J=4.77 Hz, 1 H), 6.52 - 6.78 (m, 1 H), 5.88 (br s, 2 H), 3.94 (s, 3 H).LCMS方法G:保持時間=2.66分;観測されたイオン=321.1(M+MeCN)。
【0143】
工程3:2-アミノ-4-(4-(ジフルオロメチル)ピリミジン-2-イル)安息香酸の調製
2-アミノ-4-(4-(ジフルオロメチル)ピリミジン-2-イル)安息香酸メチル(12g、43.0mmol)のメタノール(50mL)及びTHF(50.0mL)溶液に、5N 水酸化ナトリウム水溶液(25.8mL、129mmol)を加え、次いで、混合物を60℃で1時間撹拌すると、LCMS分析は反応が完了したことを示した。混合物を室温まで冷却し、次いで、混合物に1M HCl水溶液(129mL、129mmol)を加えた。濃黄色のスラリーに、EtOAc(250mL)及び水(150mL)を加えると、黄色のスラリーが部分的に溶解し、有機層は濁っていたが、水層は均一に見えた。有機層をブラインで洗浄した。有機層は、濁ったままであった。有機層を分離し、濁った混合物が透明な黄色の溶液になるまで加熱した。溶液をMgSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、生成物2-アミノ-4-(4-(ジフルオロメチル)ピリミジン-2-イル)安息香酸(11.3g、99%)を黄色の固体として得た。1H NMR (500 MHz, CD3OD) δ ppm 9.06 (d, J=5.07 Hz, 1 H), 7.96 (d, J=8.35 Hz, 1 H), 7.93 (d, J=1.19 Hz, 1 H), 7.67 (dd, J=8.49, 1.64 Hz, 1 H), 7.64 (d, J=5.07 Hz, 1 H), 6.66 - 6.91 (m, 1 H).LCMS方法G:保持時間=2.14分;観測されたイオン=307.0(M+MeCN)
【0144】
2-アミノ-4-(4-(ジフルオロメチル)ピリミジン-2-イル)安息香酸の別の調製
【0145】
【化27】
【0146】
合成スキーム
【0147】
【化28】
【0148】
4-ブロモ-2-ニトロ安息香酸メチルの調製
WO2005037796及びJ. Am. Chem. Soc., 2018, 140 (33), 10553-10561に報告された手順に従って、この化合物を200gスケールで調製した。
【0149】
工程1:4-シアノ-2-ニトロ安息香酸メチルの調製
窒素下、27℃で、4-ブロモ-2-ニトロ安息香酸メチル(340g、1307mmol)のDMF(3000mL)撹拌溶液に、シアン化銅(I)(234g、2615mmol)を加えた。次いで、反応混合物を150℃で5時間撹拌した。反応の進行をTLC(SiO、20% EtOAc/Pet.、Rf=0.6、UVアクティブ)でモニターした。完了次第、反応混合物を27℃まで冷却した。反応混合物をEtOAc(5000mL)に注ぎ、得られた混合物を5%エチレンジアミン水溶液(5000mL)で洗浄し、銅塩を除去した。次いで、有機溶液を氷冷水(3×3000mL)、次いで、氷冷ブライン(3000mL)で洗浄した。有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、4-シアノ-2-ニトロ安息香酸メチルを褐色の固体(280g、83%)として得た。生成物をさらに精製することなく次の工程に直接使用した。1HNMR (400 MHz, CDCl3) δ = 8.37 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 7.97 (dd, J = 7.9, 1.6 Hz, 1H), 7.87 (d, J = 7.9 Hz, 1H), 3.97 (s, 3H).
注:ろ過の必要性を回避するために、ワークアッププロセス(work-up process)をさらに最適化した。反応混合物をEtOAc(5000mL)に注ぎ、得られた混合物を5%エチレンジアミン水溶液(5000mL)で洗浄して、銅塩を除去した。次いで、有機溶液を氷冷水(3×3000mL)、次いで、氷冷ブライン(3000mL)で洗浄した。残りのプロセスは、上記と同じである。
【0150】
工程2:4-カルバムイミドイル-2-ニトロ安息香酸メチル塩酸塩の調製
窒素下、4-シアノ-2-ニトロ安息香酸メチル(280g、1358mmol)のMeOH(4000mL)撹拌溶液に、ナトリウムメトキシド(44.0g、815mmol)を加え、次いで、反応混合物を27℃で16時間撹拌した。反応混合物に塩化アンモニウム(72.6g、1358mmol)を加え、次いで、反応混合物を27℃で18時間撹拌した。反応の進行をTLC(SiO、80% EtOAc/Pet.、Rf=0.1、UVアクティブ)でモニターした。完了次第、反応混合物を濾過し、濾過ケーキを10% MeOHのDCM溶液(3×1000mL)で抽出した。合わせた濾液を減圧下で濃縮して、粗生成物をゴム状固体として得た。この物質をEtOAc(1000mL)でトリチュレーションして、4-カルバムイミドイル-2-ニトロ安息香酸メチル塩酸塩を黄色の固体(250g、56%)として得た。生成物をさらに精製することなく次の工程に直接使用した。1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ = 9.01 (br s, 3H), 8.50 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 8.23 (dd, J = 7.9, 1.6 Hz, 1H), 8.08 (d, J = 7.9 Hz, 1H), 3.91 (s, 3H). LCMS purity = 79%.
【0151】
(E)-4-エトキシ-1,1-ジフルオロブタ-3-エン-2-オンの調製
【0152】
【化29】
【0153】
0℃で、2,2-ジフルオロ酢酸無水物(179mL、1436mmol)のDCM(1250mL)撹拌溶液に、ピリジン(128mL、1580mmol)及びエトキシエテン(165mL、1724mmol)の混合物を1時間かけて滴下した。反応混合物を27℃まで加温し、次いで、12時間撹拌した。反応混合物を氷冷水(1000mL)を加えることによりクエンチした。有機層を分離し、飽和NaHCO水溶液(1000mL)、次いで、ブライン(1000mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過した。濾液を減圧下で慎重に濃縮して(圧力:100mbar以上;浴温度:25℃以下)、(E)-4-エトキシ-1,1-ジフルオロブタ-3-エン-2-オンを褐色の液体(180g、80%)として得た。粗化合物をさらに精製することなく次の工程に直接使用した。1HNMR (400 MHz, CDCl3) δ = 7.84 (d, J = 12.4 Hz, 1H), 5.89-5.63 (m, 2H), 4.06 (q, J = 7.0 Hz, 2H), 1.39 (t, J = 7.0 Hz, 3H). GC-MS purity = 95%.
【0154】
工程3:4-(4-(ジフルオロメチル)ピリミジン-2-イル)-2-ニトロ安息香酸メチルの調製
窒素雰囲気下、27℃で、5Lのオートクレーブフラスコ中のメチル4-カルバムイミドイル-2-ニトロベンゾエート(200g、708mmol)のEtOH(2000mL)撹拌溶液に、(E)-4-エトキシ-1,1-ジフルオロブタ-3-エン-2-オン(159g、1062mmol)、次いで、トリエチルアミン(296mL、2124mmol)を加えた。反応混合物を80℃で16時間撹拌した。反応の進行をTLC(SiO、20% EtOAc/Pet.、Rf=0.5、UVアクティブ)でモニターした。反応混合物を濾過し、濾液を減圧下で濃縮して、4-(4-(ジフルオロメチル)ピリミジン-2-イル)-2-ニトロ安息香酸メチルを褐色液体(220g、58%)として得た。生成物をさらに精製することなく次の工程に直接使用した。1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ = 9.07-9.00 (m, 1H), 8.80 (dd, J = 7.9, 1.6 Hz, 1H), 7.88 (d, J = 7.9 Hz, 1H), 7.78-7.56 (m, 1H), 7.62 (d, J = 4.8 Hz, 1H), 6.65 (t, J = 54.8 Hz, 1H), 3.96 (s, 3H). HPLC Purity: 58%.
【0155】
工程4:2-アミノ-4-(4-(ジフルオロメチル)ピリミジン-2-イル)安息香酸メチルの調製
27℃で、4-(4-(ジフルオロメチル)ピリミジン-2-イル)-2-ニトロ安息香酸メチル(220g、711mmol)のEtOH(2150mL)及び水(215mL)撹拌溶液に、アンモニウムクロリド(190g、3557mmol)、次いで、鉄(199g、3557mmol)を加えた。反応混合物を80℃で16時間撹拌した。反応の進行をTLC(SiO、20% EtOAc/Pet.、Rf=0.4、UVアクティブ)でモニターした。完了次第、反応混合物を熱いうちにセライトパッドを通じて濾過し、次いで、セライトパッドをEtOAc(4×500mL)で抽出した。合わせた濾液を減圧下で濃縮して、2-アミノ-4-(4-(ジフルオロメチル)ピリミジン-2-イル)安息香酸メチルを黄色の固体(230g、64%)として得た。生成物をさらに精製することなく次の工程に直接使用した。1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ = 8.99 (d, J = 4.8 Hz, 1H), 7.98 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 7.83 (s, 1H), 7.73 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.52 (d, J = 4.8 Hz, 1H), 6.61 (t, J = 54.8 Hz, 1H), 3.91 (s, 3H). LCMS purity = 56%.
【0156】
工程5:2-アミノ-4-(4-(ジフルオロメチル)ピリミジン-2-イル)安息香酸の調製
27℃で、2-アミノ-4-(4-(ジフルオロメチル)ピリミジン-2-イル)安息香酸メチル(230g、461mmol)のTHF(2300mL)、MeOH(575mL)及び水(192mL)の撹拌溶液に、LiOH(66.3g、2767mmol)を加えた。反応混合物を50℃で16時間撹拌した。反応の進行をTLC(SiO、40% EtOAc/Pet.、Rf=0.1、UVアクティブ)でモニターした。完了次第、反応混合物を27℃まで冷却し、次いで、減圧下で濃縮した。粗残留物を水(1000mL)に溶解させ、EtOAc(2×250mL)で洗浄した。水層を1N HCl水溶液でpH約6に酸性化した。沈殿した固体を濾過により回収し、水(500mL)、次いで、n-ペンタン(500mL)で洗浄し、次いで、乾燥させて、2-アミノ-4-(4-(ジフルオロメチル)ピリミジン-2-イル)安息香酸メチルを黄色の固体(80g、63%))として得た。1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ = 9.15 (d, J = 4.8 Hz, 1H), 7.87-7.84 (m, 2H), 7.74 (d, J = 4.8 Hz, 1H), 7.53 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.06 (t, J = 54.2 Hz, 1H). LCMS purity = 96%.
【0157】
実施例2:N-((S)-1-((3P)-3-(4-クロロ-1-メチル-3-(メチルスルホンアミド)-1H-インダゾール-7-イル)-7-(4-(ジフルオロメチル)ピリミジン-2-イル)-4-オキソ-3,4-ジヒドロキナゾリン-2-イル)-2-(3,5-ジフルオロフェニル)エチル)-2-((3bS,4aR)-3-(ジフルオロメチル)-5,5-ジフルオロ-3b,4,4a,5-テトラヒドロ-1H-シクロプロパ[3,4]シクロペンタ[1,2-c]ピラゾール-1-イル)アセトアミドの調製
【0158】
【化30】
【0159】
合成スキーム
【0160】
【化31】
【0161】
工程1:tert-ブチル(S)-(1-(3-(4-クロロ-3-(N-(4-メトキシベンジル)メチルスルホンアミド)-1-メチル-1H-インダゾール-7-イル)-7-(4-(ジフルオロメチル)ピリミジン-2-イル)-4-オキソ-3,4-ジヒドロキナゾリン-2-イル)-2-(3,5-ジフルオロフェニル)エチル)カルバメートの調製
(S)-2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-3-(3,5-ジフルオロフェニル)プロパン酸(76g、253mmol)及び2-アミノ-4-(4-(ジフルオロメチル)ピリミジン-2-イル)安息香酸(73.9g、279mmol)のアセトニトリル(2.1L)撹拌溶液に、ピリジン(0.049L、608mmol)を加え、反応混合物を-5℃まで冷却し、同じ温度で10分間撹拌した。次いで、-5℃の反応混合物に、T3P(50%のEtOAc溶液、0.754L、1266mmol)をゆっくりと加えた。混合物を-5℃で20分間撹拌し、次いで、27℃に加温し、次いで、2時間撹拌した。反応混合物に、N-(7-アミノ-4-クロロ-1-メチル-1H-インダゾール-3-イル)-N-(4-メトキシベンジル)メタンスルホンアミド(100g、253mmol)を27℃で一度に加え、混合物を18時間撹拌した。反応の進行をTLC(SiO、40% EtOAc/Pet.、Rf=0.4、UVアクティブ)でモニターした。反応混合物を減圧下で濃縮してアセトニトリルを除去し、次いで、EtOAc(1000mL)で希釈し、水(2000mL)で洗浄した。有機層を分離し、飽和NaSO水溶液(3×500mL)、次いで、ブライン(500mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、粗生成物を褐色のゴム状液体として得た。これを、30~40% EtOAc/Pet.で溶出するシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーにより精製した。所望の生成物を含む画分を回収し、減圧下で濃縮して、tert-ブチル(S)-(1-(3-(4-クロロ-3-(N-(4-メトキシベンジル)メチルスルホンアミド)-1-メチル-1H-インダゾール-7-イル)-7-(4-(ジフルオロメチル)ピリミジン-2-イル)-4-オキソ-3,4-ジヒドロキナゾリン-2-イル)-2-(3,5-ジフルオロフェニル)エチル)カルバメート(180g、78%、黄色の固体)をホモキラルアトロプ異性体(ジアステレオマー)の混合物として得た。
【0162】
工程2:(S)-N-((6P)-7-(2-(1-アミノ-2-(3,5-ジフルオロフェニル)エチル)-7-(4-(ジフルオロメチル)ピリミジン-2-イル)-4-オキソキナゾリン-3(4H)-イル)-4-クロロ-1-メチル-1H-インダゾール-3-イル)メタンスルホンアミドの調製
雰囲気下、27℃で、tert-ブチル(S)-(1-(3-(4-クロロ-3-(N-(4-メトキシベンジル)メチルスルホンアミド)-1-メチル-1H-インダゾール-7-イル)-7-(4-(ジフルオロメチル)ピリミジン-2-イル)-4-オキソ-3,4-ジヒドロキナゾリン-2-イル)-2-(3,5-ジフルオロフェニル)エチル)カルバメート(110g、121mmol)のDCM(500mL)撹拌溶液に、TFA(374mL、4849mmol)を加え、溶液を10分間撹拌した。溶液にトリフルオロメタンスルホン酸(32.3mL、364mmol)を加え、溶液を27℃で1時間撹拌した。反応の進行をTLC(SiO、50% EtOAc/Pet.、Rf=0.2)でモニターした。揮発物を穏やかな窒素ガス流の下で除去した。得られた残留物をEtOAc(1500mL)に溶解させ、次いで、1M NaOH水溶液(2×750mL)、次いで、ブライン(750mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、粗生成物をオフホワイトの固体として得た。80~98% EtOAc/Pet.で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーにより、この物質を精製した。所望の生成物を含む画分を回収し、減圧下で濃縮して、(S)-N-(7-(2-(1-アミノ-2-(3,5-ジフルオロフェニル)エチル)-7-(4-(ジフルオロメチル)ピリミジン-2-イル)-4-オキソキナゾリン-3(4H)-イル)-4-クロロ-1-メチル-1H-インダゾール-3-イル)メタンスルホンアミドを黄色の固体(65g、74%)として得た。この生成物は、ホモキラルアトロプ異性体(ジアステレオマー)の混合物である。上記の手順をさらに4回繰り返して、合計310gの(S)-N-(7-(2-(1-アミノ-2-(3,5-ジフルオロフェニル)エチル)-7-(4-(ジフルオロメチル)ピリミジン-2-イル)-4-オキソキナゾリン-3(4H)-イル)-4-クロロ-1-メチル-1H-インダゾール-3-イル)メタンスルホンアミドを得、これをDCM:MeCN(30:70、3055mL)に溶解させた。次いで、以下の方法を使用する分取SFC(カラム=(R,R)Welk-01、30×250mm、5μ、溶離液=CO:メタノール(1:1);流速=90.0g/分;背圧=120.0bar;検出=254nm(UV);スタック時間=16.0分;インジェクションあたりの投入量=800mg)によって精製した。分離により2つのピークが生成された。メジャーピーク(2番目に溶出)を回収し、減圧下で濃縮して、(S)-N-((6P)-7-(2-(1-アミノ-2-(3,5-ジフルオロフェニル)エチル)-7-(4-(ジフルオロメチル)ピリミジン-2-イル)-4-オキソキナゾリン-3(4H)-イル)-4-クロロ-1-メチル-1H-インダゾール-3-イル)メタンスルホンアミドを黄色の固体(170g、51%)として得た。生成物は単一の立体異性体である。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ = 9.16-9.07 (m, 1H), 9.01-8.95 (m, 1H), 8.71-8.62 (m, 1H), 8.46-8.37 (m, 1H), 7.68-7.61 (m, 1H), 7.11 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 6.86-6.55 (m, 2H), 6.54-6.45 (m, 3H), 3.79-3.74 (m, 3H), 3.71-3.63 (m, 1H), 3.44-3.33 (m, 4H), 2.94-2.83 (m, 1H). LCMS Purity = 94%.
【0163】
工程3:N-((S)-1-((3P)-3-(4-クロロ-1-メチル-3-(メチルスルホンアミド)-1H-インダゾール-7-イル)-7-(4-(ジフルオロメチル)ピリミジン-2-イル)-4-オキソ-3,4-ジヒドロキナゾリン-2-イル)-2-(3,5-ジフルオロフェニル)エチル)-2-((3bS,4aR)-3-(ジフルオロメチル)-5,5-ジフルオロ-3b,4,4a,5-テトラヒドロ-1H-シクロプロパ[3,4]シクロペンタ[1,2-c]ピラゾール-1-イル)アセトアミドの調製
27℃で、(S)-N-((6P)-7-(2-(1-アミノ-2-(3,5-ジフルオロフェニル)エチル)-7-(4-(ジフルオロメチル)ピリミジン-2-イル)-4-オキソキナゾリン-3(4H)-イル)-4-クロロ-1-メチル-1H-インダゾール-3-イル)メタンスルホンアミド(50g、61.9mmol)、2-((3bS,4aR)-3-(ジフルオロメチル)-5,5-ジフルオロ-3b,4,4a,5-テトラヒドロ-1H-シクロプロパ[3,4]シクロペンタ[1,2-c]ピラゾール-1-イル)酢酸(16.34g、61.9mmol)及び1-ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(「HOBt水和物」、3.79g、24.74mmol)のDMF(500mL)溶液に、N-メチルモルホリン(13.60mL、124mmol)及びN-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド塩酸塩(21.34g、111mmol)を加えた。反応混合物を27℃で16時間撹拌した。反応の進行をTLC(SiO、50% EtOAc/Pet.、Rf=0.5、UVアクティブ)でモニターした。反応混合物を氷冷水(7L)で希釈し、次いで、30分間撹拌した。沈殿した固体を濾過により回収し、次いで、真空下で乾燥させて、粗化合物をオフホワイトの固体(75g)として得た。LCMS純度=60%。上記の手順をさらに3回繰り返して、合計185gの粗N-((S)-1-((3P)-3-(4-クロロ-1-メチル-3-(メチルスルホンアミド)-1H-インダゾール-7-イル)-7-(4-(ジフルオロメチル)ピリミジン-2-イル)-4-オキソ-3,4-ジヒドロキナゾリン-2-イル)-2-(3,5-ジフルオロフェニル)エチル)-2-((3bS,4aR)-3-(ジフルオロメチル)-5,5-ジフルオロ-3b,4,4a,5-テトラヒドロ-1H-シクロプロパ[3,4]シクロペンタ[1,2-c]ピラゾール-1-イル)アセトアミドを得、これらをブレンドし、次いで、30~40% EtOAc/Pet.で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーで精製した。所望の生成物を含む画分を回収し、減圧下で濃縮して、所望の生成物をオフホワイトの固体(100g、LCMS純度:97%)として得た。この物質をイソプロパノール(1000mL、10V)に懸濁し、70℃で30分間加熱し、次いで、16時間かけて27℃までゆっくりと冷却して、結晶性生成物を得た。得られた固体を濾過により回収し、次いで、真空下で乾燥させて、N-((S)-1-((3P)-3-(4-クロロ-1-メチル-3-(メチルスルホンアミド)-1H-インダゾール-7-イル)-7-(4-(ジフルオロメチル)ピリミジン-2-イル)-4-オキソ-3,4-ジヒドロキナゾリン-2-イル)-2-(3,5-ジフルオロフェニル)エチル)-2-((3bS,4aR)-3-(ジフルオロメチル)-5,5-ジフルオロ-3b,4,4a,5-テトラヒドロ-1H-シクロプロパ[3,4]シクロペンタ[1,2-c]ピラゾール-1-イル)アセトアミドをオフホワイトの固体(80g、79%)として得た。1H NMR (acetone-d6) δ: 9.27 (d, J=5.1 Hz, 1H), 8.89 (d, J=1.8 Hz, 1H), 8.69 (dd, J=8.3, 1.8 Hz, 1H), 8.57 (br s, 1H), 8.39 (d, J=8.3 Hz, 1H), 8.12 (d, J=8.9 Hz, 1H), 7.84 (d, J=5.1 Hz, 1H), 7.51 (d, J=7.7 Hz, 1H), 7.37 (d, J=8.0 Hz, 1H), 7.03 (t, J=54.4 Hz, 1H), 6.86 (tt, J=9.2, 2.4 Hz, 1H), 6.70-6.76 (m, 2H), 6.78 (t, J=54.7 Hz, 1H), 4.93 (td, J=9.0, 4.6 Hz, 1H), 4.65-4.76 (m, 2H), 3.69 (s, 3H), 3.56 (dd, J=14.2, 4.6 Hz, 1H), 3.27 (s, 3H), 3.15 (dd, J=14.3, 9.2 Hz, 1H), 2.42-2.53 (m, 2H), 1.37-1.44 (m, 1H), 0.95-1.00 (m, 1H).LCMS方法:カラム=Acquity BEH C18、2.1×50mm、1.7μm 粒子;溶媒A=0.1%ギ酸水溶液;溶媒B=0.1%ギ酸のアセトニトリル溶液;流速=0.6mL/分;勾配{時点(分)/時点での%B(%)}=0/3、0.4/3、3.2/98、3.8/98、4.2/3、4.5/3;カラム温度=35℃。LCMS結果:保持時間=2.73分;観測されたイオン=933.09(M+H);純度=99%。
【0164】
実施例2の命名:
上記で調製した実施例2の化合物は、軸性キラリティーを含むホモキラル物質である。軸性キラリティーは、IUPACゴールドブック(doi:10.1351/goldbook.A00547)に詳述されるO/M命名法を使用して説明され得る。しかしながら、現時点では、P/M命名法を含む化学名を生成可能なソフトウェアツールの数は限られており、この命名法を使用して化学名を分子の構造表現に変換するためのオプションはさらに限られている。したがって、明確性及び利便性のために、実施例2のいくつかの名称を以下に示す。
【0165】
ChemDraw Professional 16(P/M命名法なし)によって生成された実施例2の名称は、以下のとおりである。
N-((S)-1-(3-(4-クロロ-1-メチル-3-(メチルスルホンアミド)-1H-インダゾール-7-イル)-7-(4-(ジフルオロメチル)ピリミジン-2-イル)-4-オキソ-3,4-ジヒドロキナゾリン-2-イル)-2-(3,5-ジフルオロフェニル)エチル)-2-((3bS,4aR)-3-(ジフルオロメチル)-5,5-ジフルオロ-3b,4,4a,5-テトラヒドロ-1H-シクロプロパ[3,4]シクロペンタ[1,2-c]ピラゾール-1-イル)アセトアミド
【0166】
JChem for Excel(P/M命名法を含む)によって生成された実施例2の化学名は、以下のとおりである。
N-[(1S)-1-[(3P)-3-(4-クロロ-3-メタンスルホンアミド-1-メチル-1H-インダゾール-7-イル)-7-[4-(ジフルオロメチル)ピリミジン-2-イル]-4-オキソ-3,4-ジヒドロキナゾリン-2-イル]-2-(3,5-ジフルオロフェニル)エチル]-2-[(2S,4R)-9-(ジフルオロメチル)-5,5-ジフルオロ-7,8-ジアザトリシクロ[4.3.0.0]ノナ-1(6),8-ジエン-7-イル]アセトアミド
【0167】
手動でP/M命名法を追加してChemDraw Professional 16によって生成された実施例2の化学名は以下のとおりである。
N-((S)-1-((3P)-3-(4-クロロ-1-メチル-3-(メチルスルホンアミド)-1H-インダゾール-7-イル)-7-(4-(ジフルオロメチル)ピリミジン-2-イル)-4-オキソ-3,4-ジヒドロキナゾリン-2-イル)-2-(3,5-ジフルオロフェニル)エチル)-2-((3bS,4aR)-3-(ジフルオロメチル)-5,5-ジフルオロ-3b,4,4a,5-テトラヒドロ-1H-シクロプロパ[3,4]シクロペンタ[1,2-c]ピラゾール-1-イル)アセトアミド
【0168】
3,3-ジフルオロブタン-1-オールの調製
【0169】
【化32】
【0170】
合成スキーム
【化33】
【0171】
工程1:3-オキソブチルベンゾエートの調製
【0172】
【化34】
【0173】
窒素雰囲気下、-70℃で、ベンゾイルクロリド(0.396L、3405mmol)のDCM(1L)撹拌溶液に、ピリジン(470mL)を1時間かけて滴下した。同じ温度で30分間撹拌した後、4-ヒドロキシブタン-2-オン(250.0g、2837mmol)のDCM(500mL)溶液を1時間かけて滴下した。反応混合物を26℃まで加温し、次いで、16時間撹拌した。反応の進行をTLC(SiO、30% EtOAc/Pet. Rf=0.4)でモニターした。完了次第、反応混合物を水(2×1000mL)、1N HCl(2×500mL)、次いで、飽和NaHCO溶液(2×500mL)で洗浄した。有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、3-オキソブチルベンゾエートを淡黄色の液体として得た(400g、収率=69%)。1H NMR (400 MHz, CHLOROFORM-d) δ = 8.05 - 7.94 (m, 2H), 7.60 - 7.51 (m, 1H), 7.47 - 7.36 (m, 2H), 4.65 - 4.54 (t, 2H), 2.97 - 2.84 (t, 2H), 2.28 - 2.13 (s, 3H). HPLC purity = 94.1%.
【0174】
工程2:3,3-ジフルオロブチルベンゾエートの調製
【0175】
【化35】
【0176】
窒素雰囲気下、0℃で、3-オキソブチルベンゾエート(90g、427mmol)のジクロロメタン(700mL)撹拌溶液に、DAST(677mL、5125mmol)を1時間かけて滴下した。反応混合物を26℃まで加温し、16時間撹拌した。
反応の進行をTLC(SiO、20% EtOAc/Pet. Rf=0.6)でモニターした。完了したら、反応混合物をDCM(500mL)で希釈し、冷飽和NaHCO(1L)水溶液にゆっくりと注いだ。有機層を分離し、ブライン溶液(400mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、粗化合物(95g)を黄色の液体として得た。この物質をシリカゲル(100~200メッシュ)を使用するカラムクロマトグラフィーにより精製し、0~5%EtOAcのpet.溶液で溶出した。生成物を含む画分を回収し、減圧下で濃縮して、3,3-ジフルオロブチルベンゾエート(60g、収率=59%)を褐色の液体として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ = 8.06 - 8.01 (m, 2H), 7.60 - 7.54 (m, 1H), 7.48 - 7.40 (m, 2H), 4.54 - 4.48 (t, 2H), 2.43 - 2.29 (m, 2H), 1.77 - 1.64 (m, 3H). LCMS purity = 89.74%; m/z = 215.33.
【0177】
工程3:3,3-ジフルオロブタン-1-オールの調製
【0178】
【化36】
【0179】
窒素雰囲気下、0℃で、3,3-ジフルオロブチルベンゾエート(100g、467mmol)のTHF(800mL)撹拌溶液に、水酸化リチウム一水和物(137g、3268mmol)の水(800mL)溶液を加えた。反応混合物を26℃まで加温し、次いで、16時間撹拌した。反応の進行をTLC(SiO、20% EtOAc/Pet. Rf=0.6、KMnOアクティブ)でモニターした。完了次第、反応混合物をジエチルエーテル(400mL)で希釈した。有機層を分離し、水層をジエチルエーテル(300mL)で再抽出した。合わせた有機物をブライン(200mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して(揮発性生成物、浴温度=25℃)、粗化合物を黒色の液体として得た。この物質をジエチルエーテル(100mL)で希釈し、炭で処理した。混合物をセライトのパッドを通じて濾過した。セライトパッドをジエチルエーテル(200mL)で抽出した。合わせた濾液を減圧下で濃縮して(揮発性生成物、浴温度=25℃)、3,3-ジフルオロブタン-1-オール(40g、収率=71%)を淡黄色の液体として得た。1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ = 3.87 (t, J = 6.1 Hz, 2H), 2.22 - 2.07 (m, 2H), 1.73 - 1.57 (m, 3H). GCMS Purity = 91.3%; m/z = 110.0.
【0180】
2-アミノ-6-(ベンジルオキシ)ニコチン酸の調製
【化37】
【0181】
合成スキーム
【化38】
【0182】
工程1:2-アミノ-6-(ベンジルオキシ)ニコチン酸の調製
【0183】
【化39】
【0184】
雰囲気下、26℃で、2-アミノ-6-クロロニコチン酸(200g、1159mmol)のベンジルアルコール(1400mL、13464mmol)撹拌溶液に、カリウムtert-ブトキシド(390g、3477mmol)を加えた。反応混合物を120℃まで加熱し、その温度で16時間撹拌した。反応の進行をTLC(SiO、10% MeOHのDCM溶液、Rf=0.5)でモニターした。完了次第、反応混合物を水(3L)で希釈し、ジエチルエーテル(2×1000mL)で抽出した。有機層を分離し、クエン酸水溶液(0.5M)を使用して水層をpH4に酸性化した。沈殿した固体を濾過により回収し、次いで、減圧下で乾燥させて、2-アミノ-6-(ベンジルオキシ)ニコチン酸(220g、収率=72%)をオフホワイトの固体として得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ = 12.56 - 12.32 (m, 1H), 7.97 - 7.91 (m, 1H), 7.52 - 7.41 (m, 2H), 7.38 - 7.11 (m, 5H), 6.03 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 5.39 - 5.31 (m, 2H). LCMS Purity = 93%; m/z = 245.29 (M+H).
【0185】
工程2:2-アミノ-6-(ベンジルオキシ)ニコチン酸メチルの調製
【0186】
【化40】
【0187】
雰囲気下、26℃で、2-アミノ-6-(ベンジルオキシ)ニコチン酸(220g、901mmol)のDMF(2.5L)撹拌溶液に、炭酸カリウム(373g、2702mmol)及びヨードメタン(0.282L、4504mmol)をゆっくりと加えた。反応混合物を27℃で16時間撹拌した。反応の進行をTLC(SiO、40% EtOAc/Pet.、Rf=0.6)でモニターした。完了次第、反応混合物を水(5L)で希釈した。沈殿した固体を濾過によって単離し、次いで、真空下で乾燥させて、2-アミノ-6-(ベンジルオキシ)ニコチン酸メチル(220g、収率=92%)をオフホワイトの固体として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ = 8.00 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.42-7.40 (m, 2H), 7.39-7.35 (m, 2H), 7.34-7.31 (m, 1H), 6.01 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 5.33 (s, 2H), 3.84 (s, 3H). LCMS Purity = 97%, m/z = 259.30 (M+H).
【0188】
工程3:2-アミノ-6-ヒドロキシニコチン酸メチルの調製
【0189】
【化41】
【0190】
雰囲気下、26℃で、2-アミノ-6-(ベンジルオキシ)ニコチン酸メチル(50g、190mmol)のDCM(500mL)撹拌溶液に、TFA(800mL)及びトリフルオロメタンスルホン酸(25mL、282mmol)をゆっくりと加えた。反応混合物を26℃で16時間撹拌した。反応の進行をTLC(SiO、EtOAc、Rf=0.2)でモニターした。完了次第、揮発性物質を真空下で除去して、粗生成物を得た。この物質をジエチルエーテル(3×1000mL)でトリチュレーションし、次いで、沈殿した固体を濾過により単離した。固体に水(2L)を加え、次いで、混合物を5時間撹拌した。固体を濾過により回収し、水で洗浄した。固体を真空下で乾燥させて、2-アミノ-6-ヒドロキシニコチン酸メチル(25g、収率=78%)をオフホワイトの固体として得た。1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ = 10.92-10.76 (m, 1H), 7.65 (d, J = 9.5 Hz, 1H), 7.43-6.87 (m, 2H), 5.51 (d, J = 9.5 Hz, 1H), 3.69 (s, 3H). LCMS Purity = 99.32%; m/z = 169.32 (M+H).生成物中にTFA及びトリフルオロメタンスルホン酸が存在しないことを、19F-NMRによって確認した。生成物をさらに精製することなく次の工程に直接使用した。
【0191】
工程4:2-アミノ-6-(3,3-ジフルオロブトキシ)ニコチン酸メチルの調製
【0192】
【化42】
【0193】
雰囲気下、0℃で、2-アミノ-6-ヒドロキシニコチン酸メチル(25g、147mmol)のTHF(375mL)撹拌溶液に、トリフェニルホスフィン(77g、294mmol)を加え、次いで、DIAD(57.2mL、294mmol)を滴下した。反応混合物を0℃で15分間撹拌し、次いで、混合物に3,3-ジフルオロブタン-1-オール(25.3g、221mmol)のTHF(125mL)溶液を0℃で滴下した。反応混合物を27℃にし、次いで、5時間撹拌した。反応の進行をTLC(SiO、EtOAc、Rf=0.5)でモニターした。完了次第、反応混合物を減圧下で濃縮して、粗生成物を得た。この物質をMTBE:pet.(1:1、1L)に撹拌した。混合物を濾過し、フィルターパッドをMTBE:pet.(1:1、4×200mL)で抽出した。合わせた濾液を減圧下で濃縮して、淡黄色のゴム状固体を得た。シリカゲル(100~200メッシュ)を使用するカラムクロマトグラフィーによりこの物質を精製し、10~20% EtOAcのpet.溶液で溶出した。生成物を含む画分を回収し、減圧下で濃縮して、2-アミノ-6-(3,3-ジフルオロブトキシ)ニコチン酸メチル(20g、収率=48%)を淡黄色の液体として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ = 8.05 - 7.95 (m, 1H), 6.02 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 4.45 (t, J = 6.8 Hz, 2H), 3.80 (s, 3H), 2.40 - 2.22 (m, 2H), 1.68 (t, J = 18.6 Hz, 3H). LCMS purity = 91.1%, m/z = 261.25 (M+H).
【0194】
工程5:2-アミノ-6-(3,3-ジフルオロブトキシ)ニコチン酸の調製
【0195】
【化43】
【0196】
26℃で、2-アミノ-6-(3,3-ジフルオロブトキシ)ニコチン酸メチル(5.7g、20.81mmol)のTHF(120mL)及びメタノール(30mL)の撹拌溶液に、LiOH(2.491g、104mmol)の水(30mL)溶液を加えた。反応混合物を70℃まで加熱し、その温度で16時間撹拌した。反応の進行をTLC(SiO、50% EtOAc/Pet Rf=0.2)でモニターした。完了次第、反応混合物を減圧下で濃縮した。得られた残留物を水(60mL)に溶解させ、1N HClを使用してpH4に酸性化した。混合物を酢酸エチル(3×100mL)で抽出した。合わせた有機物をブライン(100mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮して、2-アミノ-6-(3,3-ジフルオロブトキシ)ニコチン酸(4.6g、収率=87%)を褐色固体として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ = 11.66 - 10.84 (m, 1H), 8.12 - 7.97 (m, 1H), 6.07 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 4.52 - 4.36 (m, 2H), 2.41 - 2.28 (m, 2H), 1.68 (t, J = 18.6 Hz, 3H). LCMS Purity = 97.68%, m/z = 247.24 (M+H).
【0197】
実施例3:N-((S)-1-((3P)-3-(4-クロロ-1-メチル-3-(メチルスルホンアミド)-1H-インダゾール-7-イル)-7-(3,3-ジフルオロブトキシ)-4-オキソ-3,4-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-2-イル)-2-(3,5-ジフルオロフェニル)エチル)-2-((3bS,4aR)-3-(ジフルオロメチル)-5,5-ジフルオロ-3b,4,4a,5-テトラヒドロ-1H-シクロプロパ[3,4]シクロペンタ[1,2-c]ピラゾール-1-イル)アセトアミドの調製
【0198】
【化44】
【0199】
合成スキーム
【化45】
【0200】
工程1:tert-ブチル(S)-(1-(3-(4-クロロ-3-(N-(4-メトキシベンジル)メチルスルホンアミド)-1-メチル-1H-インダゾール-7-イル)-7-(3,3-ジフルオロブトキシ)-4-オキソ-3,4-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-2-イル)-2-(3,5-ジフルオロフェニル)エチル)カルバメートの調製
【0201】
【化46】
【0202】
雰囲気下、-25℃で、(S)-2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-3-(3,5-ジフルオロフェニル)プロパン酸(50g、166mmol)及び2-アミノ-6-(3,3-ジフルオロブトキシ)ニコチン酸(41.3g、166mmol)のアセトニトリル(1000mL)撹拌溶液に、ピリジン(47.0mL、581mmol)を加えた。得られた混合物に、2,4,6-トリプロピル-1,3,5,2,4,6-トリオキサトリホスフィナン2,4,6-トリオキシド(「T3P」、50重量% EtOAc溶液、494mL、830mmol)を15分かけて滴下した。溶液を13℃まで加温し、次いで、5時間撹拌した。13℃の溶液に、N-(7-アミノ-4-クロロ-1-メチル-1H-インダゾール-3-イル)-N-(4-メトキシベンジル)メタンスルホンアミド(62.3g、158mmol)を加えた。次いで、反応塊を27℃までゆっくりと加温し、次いで、その温度で48時間撹拌した。反応の進行をTLC(SiO、50% EtOAc/Pet.、Rf=0.4)でモニターした。完了次第、反応混合物を減圧下で濃縮し、残留物を飽和NaHCO水溶液(1000mL)に0℃で滴下した。白色の沈殿物が形成され、これを真空濾過によって回収した。単離された固体を水(2L)で洗浄した。ほとんどの残留水が固体から除去されるまで真空濾過を維持した。次いで、固体をDCM(2L)に溶解させた。溶液をNaSOで乾燥させ、濾過し、次いで、減圧下で濃縮して、粗生成物を得た。50-65% EtOAcのPet溶液で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーによって、この物質を精製した。所望の生成物を含む画分をプールし、減圧下で濃縮して、tert-ブチル(S)-(1-(3-(4-クロロ-3-(N-(4-メトキシベンジル)メチルスルホンアミド)-1-メチル-1H-インダゾール-7-イル)-7-(3,3-ジフルオロブトキシ)-4-オキソ-3,4-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-2-イル)-2-(3,5-ジフルオロフェニル)エチル)カルバメート(50g、収率=31%)を黄色の泡状固体として得た。上記手順を同じスケールでさらに7回繰り返して、合計592gの生成物を生成した。合わせた生成物(592g)をMeOH(1L)に溶解させた。溶液をn-ヘキサン(6L)で希釈した。オフホワイトの固体が沈殿し、次いで、懸濁液を20分間撹拌した。固体を真空濾過により回収しつつ、濾液を確保した。固体を真空下で乾燥させて、tert-ブチル(S)-(1-(3-(4-クロロ-3-(N-(4-メトキシベンジル)メチルスルホンアミド)-1-メチル-1H-インダゾール-7-イル)-7-(3,3-ジフルオロブトキシ)-4-オキソ-3,4-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-2-イル)-2-(3,5-ジフルオロフェニル)エチル)カルバメート(300g、収率=48%)をオフホワイトの固体として得た。この生成物は、ホモキラルアトロプ異性体(ジアステレオマー)の混合物である。LCMS分析方法:カラム=X Bridge BEH C18(50mm×4.6mm、2.5μm粒子);移動相A=5mM重炭酸アンモニウム;移動相B=アセトニトリル;勾配プロファイル(時間(分)/%B)=0/5、0.5/5、1.5/15、7/98、9/98、9.5/5、10/5;カラム温度=35℃;流速=1.3mL/分。LCMSの結果:保持時間=6.20分。観測されたイオン=888.09(M+H);LCMS純度=95%。注:確保した濾液を濃縮し、真空下で乾燥させて、生成物(120g、淡黄色の固体)を得て、これもまた上記の生成物とは別個で下流の化学で使用した。
【0203】
工程2:(S)-N-((6P)-7-(2-(1-アミノ-2-(3,5-ジフルオロフェニル)エチル)-7-(3,3-ジフルオロブトキシ)-4-オキソピリド[2,3-d]ピリミジン-3(4H)-イル)-4-クロロ-1-メチル-1H-インダゾール-3-イル)メタンスルホンアミドの調製
【0204】
【化47】
【0205】
tert-ブチル(S)-(1-(3-(4-クロロ-3-(N-(4-メトキシベンジル)メチルスルホンアミド)-1-メチル-1H-インダゾール-7-イル)-7-(3,3-ジフルオロブトキシ)-4-オキソ-3,4-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-2-イル)-2-(3,5-ジフルオロフェニル)エチル)カルバメート(純度95%、300g、321mmol)のDCM(3000mL)撹拌溶液に、トリフルオロ酢酸(TFA)(900mL)、次いで、トリフルオロメタンスルホン酸(158mL、1782mmol)を0℃で加えた。溶液を27℃まで加温し、次いで、窒素雰囲気下で2時間撹拌した。反応の進行をTLC(SiO、80% EtOAc/Pet. Rf=0.3)でモニターした。完了次第、穏やかな窒素ガス流の下で揮発性物質を除去した。残留物を0℃で飽和NaHCO溶液(1000mL)に加えた。固体のNaHCOを加えることにより、溶液のpHを約8に調整した。混合物をEtOAc(5×1000mL)で抽出した。合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、次いで、減圧下で濃縮して、粗生成物を得た。5~10% MeOHのDCM溶液で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーによって、この物質を精製した。所望の生成物を含む画分をプールし、減圧下で濃縮して、(S)-N-(7-(2-(1-アミノ-2-(3,5-ジフルオロフェニル)エチル)-7-(3,3)-ジフルオロブトキシ)-4-オキソピリド[2,3-d]ピリミジン-3(4H)-イル)-4-クロロ-1-メチル-1H-インダゾール-3-イル)メタンスルホンアミド(211g、褐色の泡状固体)をホモキラルアトロプ異性体の混合物(ジアステレオマー、LCMSでメジャー:79%、マイナー:10%)として得た。この物質をメタノール:アセトニトリル(80:20、1800mL)に溶解させ、以下の方法を使用する分取SFC(カラム=(R,R)WHELK-01(30×250mm、5μm粒子)、溶離液=CO:MeOH(60:40);流速=90g/分;背圧=100bar;検出=214nm(UV);スタック時間=15.5分;インジェクションあたりの投入量=1.125グラム)によって精製した。純粋なメジャーピークを回収し、減圧下で濃縮して、(S)-N-((6P)-7-(2-(1-アミノ-2-(3,5-ジフルオロフェニル)エチル)-7-(3,3-ジフルオロブトキシ)-4-オキソピリド[2,3-d]ピリミジン-3(4H)-イル)-4-クロロ-1-メチル-1H-インダゾール-3-イル)メタンスルホンアミド(151g、収量=69%)を褐色の固体として得た。生成物は単一の立体異性体である。1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ: 8.41 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 7.39 (dd, J = 22.4, 7.9 Hz, 2H), 7.05 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 7.03-6.98 (m, 1H), 6.72 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 4.66-4.63 (m, 2H), 3.67 (s, 3H), 3.54-3.50 (m, 1H), 3.28-3.23 (m, 1H), 3.21 (s, 3H), 2.88-2.82 (m, 1H), 2.56-2.52 (m, 1H), 2.47-2.44 (m, 1H), 1.73 (t, J = 19.0 Hz, 3H);LCMSの方法:カラム=Acquity BEH C18(50mm×2.1mm、1.7μm粒子);移動相A=0.1%ギ酸水溶液;移動相B=0.1%ギ酸のMeCN溶液。勾配プロファイル(時間(分)/%B):0/3、0.4/3、3.2/98、3.8/98、4.2/3、4.5/3;カラム温度=35℃;流速:0.6mL/分。LCMSの結果:保持時間=1.93分;観測されたイオン=668.05(M+H);HPLC Purity = 98%; Chiral HPLC Purity = 96.9%.
【0206】
工程3:N-((S)-1-((3P)-3-(4-クロロ-1-メチル-3-(メチルスルホンアミド)-1H-インダゾール-7-イル)-7-(3,3-ジフルオロブトキシ)-4-オキソ-3,4-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-2-イル)-2-(3,5-ジフルオロフェニル)エチル)-2-((3bS,4aR)-3-(ジフルオロメチル)-5,5-ジフルオロ-3b,4,4a,5-テトラヒドロ-1H-シクロプロパ[3,4]シクロペンタ[1,2-c]ピラゾール-1-イル)アセトアミドの調製
【0207】
【化48】
【0208】
27℃で、(S)-N-((6P)-7-(2-(1-アミノ-2-(3,5-ジフルオロフェニル)エチル)-7-(3,3-ジフルオロブトキシ)-4-オキソピリド[2,3-d]ピリミジン-3(4H)-イル)-4-クロロ-1-メチル-1H-インダゾール-3-イル)メタンスルホンアミド(50g、74.1mmol)のDMF(500mL)撹拌溶液に、2-((3bS,4aR)-3-(ジフルオロメチル)-5,5-ジフルオロ-3b,4,4a,5-テトラヒドロ-1H-シクロプロパ[3,4]シクロペンタ[1,2-c]ピラゾール-1-イル)酢酸(21.75g、82mmol)、次いで、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド塩酸塩(「EDC-HCl」、18.47g、96mmol)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(「HOBt水和物」、13.62g、89mmol)及びN-メチルモルホリン(65.2mL、593mmol)を加えた。反応塊を27℃で16時間撹拌した。反応の進行をTLC(SiO、50% EtOAc/Pet.、Rf=0.5)でモニターした。完了次第、反応塊を氷水(1L)で希釈し、得られた沈殿物を濾過により回収し、次いで、真空下で乾燥させて、粗生成物(77g)をオフホワイトの固体として得た。この粗生成物を、同じスケールで手順を繰り返すことによって生成された粗生成物の2つの追加のバッチとブレンドした。合わせて、227gの粗生成物を、40~50% EtOAcのPet溶液で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。所望の生成物を含む画分をプールし、減圧下で濃縮して、精製された生成物(180g)を得た。この精製された生成物を、同様に調製された生成物の追加のバッチ(25g)とブレンドした。精製された生成物の一部(150g)を、以下の方法を使用する逆相クロマトグラフィー(カラム=RediSep 275 g、HP C18(CV 243mL、150mL/分);移動相A=水:MeCN:TFA(950:50:1);移動相B=水:MeCN:TFA(50:950:1);勾配プロファイル(時間(分)/%B)=3/10、6/20、9/30、12/40、15/50、18/60、42/70(化合物が溶出し始める)、52/80、57/100;流速80mL/分;カラム温度=26℃;投入量=毎回5g)によってバッチ式(30×5g)でさらに精製した。純粋な生成物を含む画分をプールし、減圧下で濃縮して、アセトニトリル成分を除去した。水溶液を飽和NaHCOを加えることにより塩基性にし、次いで、EtOAc(3×500mL)で抽出した。合わせた有機物を無水NaSOで乾燥させ、次いで、濾過した。濾液を減圧下で濃縮して、所望の生成物(102g)をオフホワイトの固体として得た。この物質をEtOAc(200mL)に溶解させ、次いで、溶液をn-ヘキサン(1L)で希釈した。得られた沈殿物を27℃で2時間撹拌し、次いで、濾過により回収した。固体を真空下で乾燥させた。乳鉢及び乳棒を使用して化合物を粉砕し、次いで、微細な固体を50℃のオーブン内に約2時間保持することにより、微量の溶媒残留物を除去した。すべての微量溶媒が除去されるまで(NMRによって分析)、この粉砕及び加熱のプロセスを繰り返して(約4~5回)、N-((S)-1-((3P)-3-(4-クロロ-1-メチル-3-(メチルスルホンアミド)-1H-インダゾール-7-イル)-7-(3,3-ジフルオロブトキシ)-4-オキソ-3,4-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-2-イル)-2-(3,5-ジフルオロフェニル)エチル)-2-((3bS,4aR)-3-(ジフルオロメチル)-5,5-ジフルオロ-3b,4,4a,5-テトラヒドロ-1H-シクロプロパ[3,4]シクロペンタ[1,2-c]ピラゾール-1-イル)アセトアミドをオフホワイトの固体として得た(88.7g、収率=87%)。1H-NMR (DMSO-d6) δ: 9.86 (s, 1H), 9.45 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 8.44 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 7.77 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 7.48 (d, J = 7.4 Hz, 1H), 7.09 (d, J = 8.7 Hz, 2H), 7.07-6.77 (m, 1H), 6.65 (d, J = 6.2 Hz, 2H), 4.70 (d, J = 16.7 Hz, 1H), 4.65 (t, J = 6.3 Hz, 2H), 4.55 (d, J = 16.7 Hz, 1H), 4.51-4.45 (m, 1H), 3.50 (s, 3H), 3.42-3.37 (m, 1H), 3.18 (s, 3H), 3.06-3.00 (m, 1H), 2.56-2.52 (m, 2H), 2.47-2.42 (m, 2H), 1.73 (t, J = 19.2 Hz, 3H), 1.38-1.32 (m, 1H), 0.85-0.81 (m, 1H);LCMS方法:カラム=Acquity BEH C18(50mm×2.1mm、1.7μm粒子)、移動相A=0.1%ギ酸水溶液;移動相B=0.1%ギ酸のMeCN溶液;勾配プロファイル(時間(分)/%B)=0/3、0.4/3、7.5/98、9.5/98、9.6/3、10/3;カラム温度=35℃;流速=0.6mL/分。LCMS結果:保持時間=5.05分;観測されたイオン=913.97(M+H);HPLC純度=99.5%;キラルHPLC純度=99.5%。
【0209】
実施例3の命名:
上記で調製した実施例3の化合物は、軸性キラリティーを含むホモキラル物質である。軸性キラリティーは、IUPACゴールドブック(doi:10.1351/goldbook.A00547)に詳述されるO/M命名法を使用して説明され得る。しかしながら、現時点では、P/M命名法を含む化学名を生成可能なソフトウェアツールの数は限られており、この命名法を使用して化学名を分子の構造表現に変換するためのオプションはさらに限られている。したがって、明確性及び利便性のために、実施例3のいくつかの名称を以下に示す。
【0210】
ChemDraw Professional 16(P/M命名法なし)によって生成された実施例3の名称は、以下のとおりである。
N-((S)-1-(3-(4-クロロ-1-メチル-3-(メチルスルホンアミド)-1H-インダゾール-7-イル)-7-(3,3-ジフルオロブトキシ)-4-オキソ-3,4-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-2-イル)-2-(3,5-ジフルオロフェニル)エチル)-2-((3bS,4aR)-3-(ジフルオロメチル)-5,5-ジフルオロ-3b,4,4a,5-テトラヒドロ-1H-シクロプロパ[3,4]シクロペンタ[1,2-c]ピラゾール-1-イル)アセトアミド
【0211】
JChem for Excel(P/M命名法を含む)によって生成された実施例3の化学名は、以下のとおりである。
N-[(1S)-1-[(3P)-3-(4-クロロ-3-メタンスルホンアミド-1-メチル-1H-インダゾール-7-イル)-7-(3,3-ジフルオロブトキシ)-4-オキソ-3H,4H-ピリド[2,3-d]ピリミジン-2-イル]-2-(3,5-ジフルオロフェニル)エチル]-2-[(2S,4R)-9-(ジフルオロメチル)-5,5-ジフルオロ-7,8-ジアザトリシクロ[4.3.0.0]ノナ-1(6),8-ジエン-7-イル]アセトアミド
【0212】
手動でP/M命名法を追加してChemDraw Professional 16によって生成された実施例3の化学名は以下のとおりである。
N-((S)-1-((3P)-3-(4-クロロ-1-メチル-3-(メチルスルホンアミド)-1H-インダゾール-7-イル)-7-(3,3-ジフルオロブトキシ)-4-オキソ-3,4-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-2-イル)-2-(3,5-ジフルオロフェニル)エチル)-2-((3bS,4aR)-3-(ジフルオロメチル)-5,5-ジフルオロ-3b,4,4a,5-テトラヒドロ-1H-シクロプロパ[3,4]シクロペンタ[1,2-c]ピラゾール-1-イル)アセトアミド
【0213】
N-[(6P)-7-{2-[(1S)-1-アミノ-2-(3,5-ジフルオロフェニル)エチル]-7-ヒドロキシ-4-オキソ-3H,4H-ピリド[2,3-d]ピリミジン-3-イル}-4-クロロ-1-メチル-1H-インダゾール-3-イル]-N-[(4-メトキシフェニル)メチル]メタンスルホンアミドの調製
【0214】
スキーム
【0215】
【化49】
【0216】
工程1:
-25℃で、(S)-2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-3-(3,5-ジフルオロフェニル)プロパン酸(5.49g、18.23mmol)及び2-アミノ-6-(ベンジルオキシ)ニコチン酸(4.45g、18.23mmol)のアセトニトリル(92mL)懸濁液(黄色の溶液)に、ピリジン(9.83mL、122mmol)、次いで、2,4,6-トリプロピル-1,3,5,2,4,6-トリオキサトリホスフィナン2,4,6-トリオキシド(「T3P」、45.2mL、76mmol)を加えた。反応混合物(TPを加えた後に透明な溶液になった)を-25℃から10℃で4.5時間かけて撹拌し、次いで、N-(7-アミノ-4-クロロ-1-メチル-1H-インダゾール-3-イル)-N-(4-メトキシベンジル)メタンスルホンアミド(6g、15.19mmol)を加え、混合物を室温に加温しながら18時間撹拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、1N NaOH、次いで、水、次いで0.5Mクエン酸、次いで、水で洗浄し、次いで、NaSOで乾燥させ、真空中で濃縮した。15CVの0~60%酢酸エチルのヘキサン溶液を使用し、次いで、10CVの60% EtOAcで保持するシリカ(330g RediSep Goldカラム)により、得られた残留物を精製した。所望の画分をプールし、濃縮して、tert-ブチルN-[(1S)-1-[(3P,3P)-7-(ベンジルオキシ)-3-(4-クロロ-3-{N-[(4-メトキシフェニル)メチル]メタンスルホンアミド}-1-メチル-1H-インダゾール-7-イル)-4-オキソ-3H,4H-ピリド[2,3-d]ピリミジン-2-イル]-2-(3,5-ジフルオロフェニル)エチル]カルバメート(メジャー)及びtert-ブチルN-[(1S)-1-[(3M,3M)-7-(ベンジルオキシ)-3-(4-クロロ-3-{N-[(4-メトキシフェニル)メチル]メタンスルホンアミド}-1-メチル-1H-インダゾール-7-イル)-4-オキソ-3H,4H-ピリド[2,3-d]ピリミジン-2-イル]-2-(3,5-ジフルオロフェニル)エチル]カルバメート(マイナー)の混合物を淡黄色の固体(8.1g、9.14mmol、収率60.1%)を得た。LC/MS: m/z = 886.25 [M+1]+.
【0217】
工程2:
TFA(21.1mL、274mmol)をtert-ブチル(S)-(1-(7-(ベンジルオキシ)-3-(4-クロロ-3-(N-(4-メトキシベンジル)メチルスルホンアミド)-1-メチル-1H-インダゾール-7-イル)-4-オキソ-3,4-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-2-イル)-2-(3,5-ジフルオロフェニル)エチル)カルバメート(工程1からの生成物、8.1g、9.14mmol)のジクロロメタン(45.7mL)を溶液に加えた。混合物を室温で2時間撹拌した。得られた淡黄色の溶液を濃縮した。残留物を酢酸エチルに取り、次いで、1N NaOHで3回洗浄し、次いで、NaSOで乾燥させ、真空中で濃縮して油状の残留物を得た。勾配法(溶媒A:溶媒B 65:35→0:100(2CV)、次いで、0:100(9CV);溶媒A=ヘキサン;溶媒B=9:9:2 ヘキサン:酢酸エチル:MeOH)によるシリカゲル(330g RediSep Goldカラム)で残留物を精製した。最初に溶出する異性体(メジャー)を回収し、真空中で濃縮して、N-[(6P)-7-{2-[(1S)-1-アミノ-2-(3,5-ジフルオロフェニル)エチル]-7-ヒドロキシ-4-オキソ-3H,4H-ピリド[2,3-d]ピリミジン-3-イル}-4-クロロ-1-メチル-1H-インダゾール-3-イル]-N-[(4-メトキシフェニル)メチル]メタンスルホンアミド(4.1g、5.89mmol、収率64.5%)を得た。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 7.86 - 7.98 (m, 1 H) 7.15 - 7.37 (m, 4 H) 6.97 - 7.06 (m, 1 H) 6.70 - 6.89 (m, 4 H) 6.40 - 6.48 (m, 1 H) 4.70 - 4.88 (m, 2 H) 3.41 - 3.81 (m, 7 H) 3.20 - 3.28 (m, 1 H) 3.08 - 3.12 (m, 3 H) 2.71 - 2.79 (m, 1 H) 1.69 - 2.00 (m, 2 H). LC/MS: m/z = 696.20 [M+1]+.
【0218】
N-((S)-1-((3P)-3-(4-クロロ-3-(N-(4-メトキシベンジル)メチルスルホンアミド)-1-メチル-1H-インダゾール-7-イル)-7-ヒドロキシ-4-オキソ-3,4-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-2-イル)-2-(3,5-ジフルオロフェニル)エチル)-2-((3bS,4aR)-3-(ジフルオロメチル)-5,5-ジフルオロ-3b,4,4a,5-テトラヒドロ-1H-シクロプロパ[3,4]シクロペンタ[1,2-c]ピラゾール-1-イル)アセトアミドの調製
【0219】
【化50】
【0220】
N-[(6P)-7-{2-[(1S)-1-アミノ-2-(3,5-ジフルオロフェニル)エチル]-7-ヒドロキシ-4-オキソ-3H,4H-ピリド[2,3-d]ピリミジン-3-イル}-4-クロロ-1-メチル-1H-インダゾール-3-イル]-N-[(4-メトキシフェニル)メチル]メタンスルホンアミド(0.926g、1.330mmol)のDMF(13mL)撹拌溶液に、2-((3bS,4aR)-3-(ジフルオロメチル)-5,5-ジフルオロ-3b,4,4a,5-テトラヒドロ-1H-シクロプロパ[3,4]シクロペンタ[1,2-c]ピラゾール-1-イル)酢酸(0.351g、1.330mmol)、2-(3H-[1,2,3]トリアゾロ[4,5-b]ピリジン-3-イル)-1,1,3,3-テトラメチルイソウロニウムヘキサフルオロホスフェート(V)(「HATU」、0.531g、1.397mmol)及びDIPEA(0.581mL、3.33mmol)を加えた。反応混合物を2時間撹拌し、次いで、反応混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。合わせたEtOAc抽出物をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、真空中で濃縮した。10~100%酢酸エチルのヘキサン溶液を使用するシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーにより、粗生成物を精製して、N-((S)-1-((3P)-3-(4-クロロ-3-(N-(4-メトキシベンジル)メチルスルホンアミド)-1-メチル-1H-インダゾール-7-イル)-7-ヒドロキシ-4-オキソ-3,4-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-2-イル)-2-(3,5-ジフルオロフェニル)エチル)-2-((3bS,4aR)-3-(ジフルオロメチル)-5,5-ジフルオロ-3b,4,4a,5-テトラヒドロ-1H-シクロプロパ[3,4]シクロペンタ[1,2-c]ピラゾール-1-イル)アセトアミド(1.1g、88%)をオフホワイトの泡状固体として得た。LC/MS: m/z = 942.25 [M+1]+.
【0221】
実施例4:N-((S)-1-((3P)-3-(4-クロロ-1-メチル-3-(メチルスルホンアミド)-1H-インダゾール-7-イル)-4-オキソ-7)-(3,3,3-トリフルオロプロポキシ)-3,4-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-2-イル)-2-(3,5-ジフルオロフェニル)エチル)-2-((3bS,4aR)-3-(ジフルオロメチル)-5,5-ジフルオロ-3b,4,4a,5-テトラヒドロ-1H-シクロプロパ[3,4]シクロペンタ[1,2-c]ピラゾール-1-イル)アセトアミドの調製
【0222】
【化51】
【0223】
ジイソプロピル(E)-ジアゼン-1,2-ジカルボキシレート(「DIAD」、0.125mL、0.637mmol)のTHF(0.2mL)溶液を、N-(1-((3P)-3)-(4-クロロ-3-(N-(4-メトキシベンジル)メチルスルホンアミド)-1-メチル-1H-インダゾール-7-イル)-7-ヒドロキシ-4-オキソ-3,4-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-2-イル)-2-(3,5-ジフルオロフェニル)エチル)-2-((3bS,4aR)-3-(ジフルオロメチル)-5,5-ジフルオロ-3b,4,4a,5-テトラヒドロ-1H-シクロプロパ[3,4]シクロペンタ[1,2-c]ピラゾール-1-イル)アセトアミド(0.2g、0.212mmol)、3,3,3-トリフルオロプロパン-1-オール(0.073g、0.637mmol)及びトリフェニルホスフィン(0.178g、0.679mmol)のテトラヒドロフラン(2.1mL)混合物に室温で滴下した。反応混合物を室温で18時間撹拌し、次いで、真空中で濃縮した。15CVの0~60%酢酸エチルのヘキサン溶液勾配を使用し、次いで、5CVの60%酢酸エチルのヘキサン溶液で保持するシリカゲル(24g RediSep Goldカラム)で、残留物を精製した。純粋な生成物を含む画分をプールし、濃縮して黄色の固体を得た。この固体をDCM(1mL):TFA(0.5mL)に取り、溶液を0℃まで冷却し、この溶液にトリフルオロメタンスルホン酸(0.057mL、0.637mmol)を加えた。混合物を1時間撹拌し、次いで、真空中で濃縮した。残留物を酢酸エチルに取り、1N NaOHで洗浄し、0.5Mクエン酸で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。20CVの0~60%酢酸エチルのヘキサン溶液、次いで、10CVの60%酢酸エチルを使用するシリカゲルクロマトグラフィー(24g RediSep Goldカラム)に、残留物を供した。純粋な生成物を含む画分をプールし、次いで、真空中で濃縮して、N-(1-((6P)-3-(4-クロロ-1-メチル-3-(メチルスルホンアミド)-1H-インダゾール-7-イル)-4-オキソ-7-(3,3,3-トリフルオロプロポキシ)-3,4-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-2-イル)-2-(3,5-ジフルオロフェニル)エチル)-2-((3bS,4aR)-3-(ジフルオロメチル)-5,5-ジフルオロ-3b,4,4a,5-テトラヒドロ-1H-シクロプロパ[3,4]シクロペンタ[1,2-c]ピラゾール-1-イル)アセトアミド(0.078g、0.081mmol、収率38.0%)を褐色の固体として得た。1H NMR (500 MHz, METHANOL-d4) δ ppm 8.46 - 8.53 (m, 1 H) 7.28 - 7.34 (m, 1 H) 7.19 - 7.24 (m, 1 H) 7.03 - 7.09 (m, 1 H) 6.53 - 6.81 (m, 4 H) 4.80 (dd, J=5.96, 2.98 Hz, 3 H) 4.49 - 4.62 (m, 2 H) 3.58 - 3.62 (m, 3 H) 3.40 - 3.49 (m, 1 H) 3.22 - 3.24 (m, 3 H) 3.06 - 3.14 (m, 1 H) 2.80 - 2.89 (m, 2 H) 2.37 - 2.44 (m, 2 H) 1.32 - 1.37 (m, 1 H) 0.96 - 1.01 (m, 1 H).LCMS分析方法:カラム=Acquity UPLC BEH C18、2.1×100mm、1.7μm粒子;注入量=5.00μL;流速=0.80mL/分;溶媒A=95:5 水:MeCN (0.1%v/vギ酸を含む);溶媒B=5:95 水:MeCN (0.1%v/vギ酸を含む);溶出プロファイル=開始%B:0、終了%B:100、グラジエント時間:3.5分、次いで、100%Bで1分間保持;検出波長1=220nm、検出波長2=254nm。LCMS保持時間=3.097分;m/z=918.05[M+1]
【0224】
上記で調製した実施例3の化合物は、軸性キラリティーを含むホモキラル物質である。軸性キラリティーは、IUPACゴールドブック(doi:10.1351/goldbook.A00547)に詳述されるO/M命名法を使用して説明され得る。しかしながら、現時点では、P/M命名法を含む化学名を生成可能なソフトウェアツールの数は限られており、この命名法を使用して化学名を分子の構造表現に変換するためのオプションはさらに限られている。したがって、明確性及び利便性のために、実施例3のいくつかの名称を以下に示す。
【0225】
ChemDraw Professional 16(P/M命名法なし)によって生成された実施例3の名称は、以下のとおりである。
N-((S)-1-(-3-(4-クロロ-1-メチル-3-(メチルスルホンアミド)-1H-インダゾール-7-イル)-4-オキソ-7)-(3,3,3-トリフルオロプロポキシ)-3,4-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-2-イル)-2-(3,5-ジフルオロフェニル)エチル)-2-((3bS,4aR)-3-(ジフルオロメチル)-5,5-ジフルオロ-3b,4,4a,5-テトラヒドロ-1H-シクロプロパ[3,4]シクロペンタ[1,2-c]ピラゾール-1-イル)アセトアミド
【0226】
JChem for Excel(P/M命名法を含む)によって生成された実施例3の化学名は、以下のとおりである。
N-[(1S)-1-[(3P,3P)-3-(4-クロロ-3-メタンスルホンアミド-1-メチル-1H-インダゾール-7-イル)-4-オキソ-7-(3,3,3-トリフルオロプロポキシ)-3H,4H-ピリド[2,3-d]ピリミジン-2-イル]-2-(3,5-ジフルオロフェニル)エチル]-2-[(2S,4R)-9-(ジフルオロメチル)-5,5-ジフルオロ-7,8-ジアザトリシクロ[4.3.0.0]ノナ-1(6),8-ジエン-7-イル]アセトアミド
【0227】
手動でP/M命名法を追加してChemDraw Professional 16によって生成された実施例3の化学名は以下のとおりである。
N-((S)-1-((3P)-3-(4-クロロ-1-メチル-3-(メチルスルホンアミド)-1H-インダゾール-7-イル)-4-オキソ-7)-(3,3,3-トリフルオロプロポキシ)-3,4-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-2-イル)-2-(3,5-ジフルオロフェニル)エチル)-2-((3bS,4aR)-3-(ジフルオロメチル)-5,5-ジフルオロ-3b,4,4a,5-テトラヒドロ-1H-シクロプロパ[3,4]シクロペンタ[1,2-c]ピラゾール-1-イル)アセトアミド
【0228】
生物学的方法
HIV細胞培養アッセイ
MT-2細胞、293T細胞及びNL4-3ウイルスのプロウイルスDNAクローンを、NIHのAIDS研究及び標準試薬プログラム(NIH AIDS Research and Reference Reagent Program)から入手した。MT-2細胞を、10%の熱非働化ウシ胎児血清(FBS)、100mg/mLのペニシリンG及び最大100ユニット/mLのストレプトマイシンを補充したRPMI1640培地中で増殖させた。293T細胞を、10%の熱不活性化FBS、100mg/mLのペニシリンG及び最大100mg/mLのストレプトマイシンを補充したDMEM培地中で増殖させた。nef遺伝子の一部分をウミシイタケルシフェラーゼ遺伝子に置き換えた組換えNL4-3プロウイルスクローンを使用して、これらの研究において使用する参照ウイルスを作製した。Mirus Bio LLC(Madison、WI)製のTransit-293トランスフェクション試薬を使用する、293T細胞への組換えNL4-3プロウイルスクローンのトランスフェクションにより、組換えウイルスを調製した。2~3日後に上清を回収し、ルシフェラーゼ酵素活性をマーカーとして使用してルシフェラーゼ酵素活性を測定することにより、存在するウイルス量をMT-2細胞において力価測定した。ルシフェラーゼは、Promega(Madison、WI)製のEnduRen Live Cell Substrateを使用して定量した。段階希釈された化合物の存在下において組換えウイルスに4~5日間感染させたMT-2細胞でルシフェラーゼ活性を測定することによって、組換えウイルスに対する化合物の抗ウイルス活性を定量化した。
【0229】
(Fa)=1/[1+(ED50/薬物濃度)m]であるメジアン効果式(median effect equation)の指数形式を使用することにより、50%有効濃度(EC50)を算出した(Johnson VA, Byington RT. Infectivity Assay. In Techniques in HIV Research. ed. Aldovini A, Walker BD. 71-76. New York: Stockton Press.1990)。阻害パーセント=1/[1+(EC50/薬物濃度)m](式中、mは濃度応答曲線の傾きを反映するパラメータである)であるメジアン効果式の指数形式を使用することにより、50%阻害濃度(EC50)を算出した。
【0230】
化合物細胞毒性及び対応するCC50値は、非感染細胞を使用したこと以外は抗ウイルスアッセイに記載のプロトコールと同じプロトコールを使用して決定した。細胞毒性は、XTT(2,3-ビス[2-メトキシ-4-ニトロ-5-スルホフェニル]-2H-テトラゾリウム-5-カルボキシアニリド分子内塩)に基づく比色アッセイ(Sigma-Aldrich、St Louis、Mo)を使用することにより、非感染MT-2細胞において4日目に評価した。
【0231】
【表1】
【0232】
皮下in vivo実験における薬物動態パラメータの測定手順(製剤A)
実施例1(320mg)を装入した20mLバイアルに、PEG300(0.906mL)を加えた。混合物をソニケーションして、透明な溶液を得た。この溶液に水(0.160mL)を加えて、わずかに濁った溶液を得た。混合物を5分間ソニケーションして透明な溶液を得た。得られた溶液は「製剤A」であり、溶液の濃度は、21.3w/w%の実施例1、68.1w/w%のPEG300、10.6w/w%の水である。
【0233】
「製剤A」を0.167mL/kgの用量で皮下注射としてウィスターハンラットに投与した。血液サンプルは、投与後0.5時間、1時間、3時間、5時間、7時間、24時間、48時間、72時間及び6日、8日、12日、15日、19日、22日、26日、29日、33日、36日、40日、43日、47日、50日、54日、57日、61日に回収された。血液サンプルをKEDTAチューブに回収し、1500~2000×gで遠心分離して血漿を得た。LC-MS/MSによる分析まで、血漿サンプルを-80℃で保存した。すべてのin vitroサンプルを、MDS Sciex API 4000 トリプル四重極LC-MS/MSシステムに注入した。使用した分析カラムは、室温に維持されたPhenomenex Kinetex(登録商標)2.6μm PS(C18、2.1mm×50mm、2.6μm)であった。移動相Aは、0.1%(v/v)ギ酸のMilliQ 精製水溶液で構成されていた。移動相Bは、0.1%(v/v)ギ酸のアセトニトリル溶液で構成されていた。流速は0.70mL/分であった。勾配は、移動層Bを35%で0.5分間保持し、次いで、1.5分間かけて35%から98%まで直線的に増加させ、98%で0.5分間維持し、35%で0.5分間維持した。PK実験の結果を表1及び図1に示す。
【0234】
【表2】
【0235】
本開示は上述の例示的な実施例に限定されず、実施例はあらゆる点において限定的ではなく例示的とみなされるべきであり、参照は上述の実施例よりもむしろ添付の特許請求の範囲に対して行われ、したがって、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内にあるすべての変更が包含されることが意図される。
図1
【国際調査報告】