IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ボスティク エス.アー.の特許一覧 ▶ セントレ・ナショナル・デ・ラ・レシェルシェ・サイエンティフィークの特許一覧 ▶ ユニヴェルシテ・ドゥ・ボルドーの特許一覧 ▶ アンスティチュ ポリテクニーク ドゥ ボルドーの特許一覧

特表2023-521464少なくとも1種のラジカル重合性化合物を重合する方法
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-24
(54)【発明の名称】少なくとも1種のラジカル重合性化合物を重合する方法
(51)【国際特許分類】
   C08F 4/52 20060101AFI20230517BHJP
   C08F 12/00 20060101ALI20230517BHJP
   C08F 20/00 20060101ALI20230517BHJP
【FI】
C08F4/52
C08F12/00
C08F20/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022562805
(86)(22)【出願日】2021-04-07
(85)【翻訳文提出日】2022-12-14
(86)【国際出願番号】 FR2021050612
(87)【国際公開番号】W WO2021209699
(87)【国際公開日】2021-10-21
(31)【優先権主張番号】2003811
(32)【優先日】2020-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501305888
【氏名又は名称】ボスティク エス アー
(71)【出願人】
【識別番号】500531141
【氏名又は名称】セントレ・ナショナル・デ・ラ・レシェルシェ・サイエンティフィーク
(71)【出願人】
【識別番号】514058706
【氏名又は名称】ユニヴェルシテ・ドゥ・ボルドー
(71)【出願人】
【識別番号】513277212
【氏名又は名称】アンスティチュ ポリテクニーク ドゥ ボルドー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】デルガード, マリヌ
(72)【発明者】
【氏名】ミショー, ギョーム
(72)【発明者】
【氏名】コリン, ボリ
(72)【発明者】
【氏名】シモン, フレデリク
(72)【発明者】
【氏名】フーカイ, ステファーヌ
(72)【発明者】
【氏名】プショール, マチュー
【テーマコード(参考)】
4J015
4J100
【Fターム(参考)】
4J015DA14
4J100AB02P
4J100AB03P
4J100AJ02P
4J100AL03P
4J100AL04P
4J100AL05P
4J100AL08P
4J100AL09P
4J100AL10P
4J100AL62P
4J100AL66P
4J100AL67P
4J100AM02P
4J100AM15P
4J100AM17P
4J100AM19P
4J100AM21P
4J100BA02P
4J100BA03P
4J100BA04P
4J100BA05P
4J100BA07P
4J100BA14P
4J100BA15P
4J100BA29P
4J100BC07P
4J100BC12P
4J100BC43P
4J100BC45P
4J100BC75P
4J100CA01
4J100FA03
4J100JA00
(57)【要約】
本発明は、少なくとも1個のエチレン結合を含む少なくとも1種のラジカル重合性化合物を、ボランBH3-アミン錯体およびアルケンの存在下で重合する方法に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1個のエチレン結合を含む少なくとも1種のラジカル重合性化合物を重合する方法であって、
ボランBH-アミン錯体をアルケン化合物と接触させて、反応媒体を得る工程;および
少なくとも1個のエチレン結合を含む少なくとも1種のラジカル重合性化合物を含む組成物を、得られた反応媒体と接触させる工程
を含み、
前記アルケン化合物が、
-1- 一般式[化学式1]のアルケン化合物
[R11は、直鎖または分岐状のアルキル基、アリールアルキル基、シクロアルキル基、-OR12基、-SR12基および-SiR131415基から選択される、3~31個の炭素原子を含む基を表し;
12は、直鎖または分岐状のアルキル基、アリールアルキル基、シクロアルキル基、アシル基から選択され;
13、R14、R15は、直鎖または分岐状のアルキル基、アリール基、シクロアルキル基またはアルコキシ基から互いに独立して選択される]、
-2- 一般式[化学式2]のアルキレン化合物
[R11は、直鎖または分岐状のアルキル基、アリールアルキル基、シクロアルキル基、-OR12基、-SR12基および-SiR131415基から選択される、3~31個の炭素原子を含む基を表し;
12は、直鎖または分岐状のアルキル基、アリールアルキル基、シクロアルキル基またはアシル基から選択され;
13、R14、R15は、直鎖または分岐状のアルキル基、アリール基、シクロアルキル基またはアルコキシ基から互いに独立して選択される]、および/または
-3- 一般式[化学式3]のアルケン化合物
[Xは、酸素原子、硫黄原子、または架橋を形成する二価の-CH-ラジカルであり;
nは、2~10の整数であり、
17およびR18は、水素原子、1~10個の炭素原子を含む直鎖もしくは分岐状のアルキル基、1~10個の炭素原子を含む直鎖もしくは分岐状のアルケン基、または環を有する架橋を形成する二価の-CH-ラジカルを互いに独立して表す]
から選択される、方法。
【請求項2】
アミンが、ジイソプロピルアミン、N-メチルジイソプロピルアミン、N-エチルジイソプロピルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N-メチルジシクロヘキシルアミン、N-エチルジシクロヘキシルアミン、ジ-sec-ブチルアミン、ジ-tert-ブチルアミン、1,1,1,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン、N-メチル-1,1,1,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン、N-エチル-1,1,1,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン、2,6-ジメチルピペリジン、N-メチル-2,6-ジメチルピペリジン、N-エチル-2,6-ジメチルピペリジン、7-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、N-エチル-7-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、1-アザビシクロ[2.2.2]オクタンおよびこれらの組合せから選択される、請求項1に記載の重合方法。
【請求項3】
ラジカル重合性化合物が、スチレンモノマー、アクリル系モノマー、メタクリル系モノマーおよびこれらの組合せから選択され;
優先的には、ラジカル重合性化合物が、アクリレート、アクリル酸、アクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリレート、メタクリル酸、メタクリルアミド、メタクリロニトリルおよびこれらの組合せから選択される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
アルケン化合物が、デセン、オクテン、アリルトリメチルシラン、tert-ブチルビニルエーテル、4-ブロモ-1-ブテン、ビニルトリメトキシシランおよびビニルトリエトキシシランから選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
ボランBH-アミン錯体およびアルケン化合物が、1:1~1:20、優先的には1:3~1:10のモル比で添加される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
ラジカル重合性化合物が、組成物に対して10質量%~99質量%、優先的には30質量%~95質量%の含有量を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
ボランとアミンを脱錯化するための薬剤の非存在下で、優先的にはイソシアネート化合物の非存在下で行われる、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
ボランBH-アミン錯体をアルケン化合物と接触させた後に、加熱工程をさらに含み;優先的には、加熱工程が、20~60℃、非常に優先的には35~55℃の温度で行われる、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
反応媒体を少なくとも1種の重合性化合物を含む組成物と接触させた後に、加熱工程をさらに含み;優先的には、加熱工程が、20~100℃、非常に優先的には35~85℃の温度で行われる、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1個のエチレン結合を含む少なくとも1種のラジカル重合性化合物を、ボランBH-アミン錯体およびアルケンの存在下で重合する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ラジカル重合は、重合性モノマーの多様性、その実施の容易さおよび使用される合成方法の多様性(バルク、乳化、溶液、懸濁)に起因して、産業上最も多く利用される重合方法の1つを構成する。
【0003】
エチレン結合を含む化合物のラジカル重合のための有機ボランの使用は、先行技術で公知である。しかし、有機ボランの不安定かつ自然発火性の性質に起因して、酸化分解を回避するために、有機ボランはアミンと錯化されなければならない。場合によっては、有機ボランとアミンを錯化したにもかかわらず、有機ボラン-アミン錯体の反応性が高いため、その取扱いおよび操作の安全性に関連する危険性が引き続き生じる。
【0004】
一般的に、重合の開始前には、重合の開始のために酸化剤など(過酸化物など)の化合物の存在が必要である。しかし、これらの種類の化合物はまた反応性高く、重合中のその使用が危険になる可能性がある。
【0005】
文献US2,973,337は、ボラザンの種類の触媒を使用した1個または複数のエチレン結合を含む不飽和化合物の重合について記載している。
【0006】
文献US6,632,908は、金属、プラスチックまたはガラス基材を、同じ性質または異なる性質の基材、例えば低エネルギー表面を有する基材に接着させるのに使用される、(メタ)アクリル系組成物に関する。本文献に記載される(メタ)アクリル系組成物は、(メタ)アクリル系化合物、ならびに有機金属化合物、過酸化物化合物、アジリジンに基づく化合物および酸官能基を有する化合物を含む開始剤系を含む。
【0007】
文献US3,236,823は、有機ボラン-アミン錯体を使用する1個または複数のエチレン結合を含む不飽和化合物の重合について記載している。
【0008】
したがって、ラジカル重合性化合物を効率的に重合する方法であって、重合に使用される化合物が危険な試薬の使用を回避することによって安全に使用されることを可能にする、方法を提供するための真の必要性が存在する。したがって、試薬または得られた化合物の移行の問題を提示しない重合方法を提供するための真の必要性が存在する。したがって、特定の開始剤、例えば酸素阻害を示す過酸化物開始剤、自然発火性であり、イソシアネートまたは無水コハク酸化合物などの脱錯化剤の存在を必要とする有機ボラン-アミン錯体の種類の開始剤の使用に関連した欠点がない、重合方法を提供するための真の必要性が存在する。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、第1に、少なくとも1個のエチレン結合を含む少なくとも1種のラジカル重合性化合物を重合する方法であって、
ボランBH-アミン錯体をアルケン化合物と接触させて、反応媒体を得る工程;および
少なくとも1個のエチレン結合を含む少なくとも1種のラジカル重合性化合物を含む組成物を、得られた反応媒体と接触させる工程
を含み、
前記アルケン化合物が、
-1- 一般式[化学式1]のアルケン化合物
[R11は、直鎖または分岐状のアルキル基、アリールアルキル基、シクロアルキル基、-OR12基、-SR12基および-SiR131415基から選択される、3~31個の炭素原子を含む基を表し;
12は、直鎖または分岐状のアルキル基、アリールアルキル基、シクロアルキル基、アシル基または-COR16基から選択され;
13、R14、R15は、直鎖または分岐状のアルキル基、アリール基、シクロアルキル基またはアルコキシ基から互いに独立して選択される]、
-2- 一般式[化学式2]のアルキレン化合物
[R11は、直鎖または分岐状のアルキル基、アリールアルキル基、シクロアルキル基、-OR12基、-SR12基および-SiR131415基から選択される、3~31個の炭素原子を含む基を表し;
12は、直鎖または分岐状のアルキル基、アリールアルキル基、シクロアルキル基またはアシル基から選択され;
13、R14、R15は、直鎖または分岐状のアルキル基、アリール基、シクロアルキル基またはアルコキシ基から互いに独立して選択される]、および/または
-3- 一般式[化学式3]のアルケン化合物
[Xは、酸素原子、硫黄原子、または架橋を形成する二価の-CH-ラジカルであり;
nは、2~10の整数であり;
17およびR18は、水素原子、1~10個の炭素原子を含む直鎖もしくは分岐状のアルキル基、1~10個の炭素原子を含む直鎖もしくは分岐状のアルケン基、または環を有する架橋を形成する二価の-CH-ラジカルを互いに独立して表す]
から選択される、方法に関する。
【0010】
一部の実施形態では、アミンは、ジイソプロピルアミン、N-メチルジイソプロピルアミン、N-エチルジイソプロピルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N-メチルジシクロヘキシルアミン、N-エチルジシクロヘキシルアミン、ジ-sec-ブチルアミン、ジ-tert-ブチルアミン、1,1,1,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン、N-メチル-1,1,1,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン、N-エチル-1,1,1,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン、2,6-ジメチルピペリジン、N-メチル-2,6-ジメチルピペリジン、N-エチル-2,6-ジメチルピペリジン、7-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、N-エチル-7-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、1-アザビシクロ[2.2.2]オクタンおよびこれらの組合せから選択される。
【0011】
一部の実施形態では、ラジカル重合性化合物は、スチレンモノマー、アクリル系モノマー、メタクリル系モノマーおよびこれらの組合せから選択され;優先的には、ラジカル重合性化合物は、アクリレート、アクリル酸、アクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリレート、メタクリル酸、メタクリルアミド、メタクリロニトリルおよびこれらの組合せから選択される。
【0012】
一部の実施形態では、アルケン化合物は、デセン、オクテン、アリルトリメチルシラン、tert-ブチルビニルエーテル、4-ブロモ-1-ブテン、ビニルトリメトキシシランおよびビニルトリエトキシシランから選択される。
【0013】
一部の実施形態では、ボランBH-アミン錯体およびアルケン化合物は、1:1~1:20、優先的には1:3~1:10のモル比で添加される。
【0014】
一部の実施形態では、ラジカル重合性化合物は、組成物に対して10質量%~99質量%、優先的には30質量%~95質量%の含有量を有する。
【0015】
一部の実施形態では、前記方法は、ボランとアミンを脱錯化するための薬剤の非存在下で、優先的にはイソシアネート化合物の非存在下で行われる。
【0016】
一部の実施形態では、前記方法は、ボランBH-アミン錯体をアルケン化合物と接触させた後に加熱工程をさらに含み;優先的には、加熱工程は、20~60℃、非常に優先的には35~55℃の温度で行われる。
【0017】
一部の実施形態では、方法は、反応媒体を少なくとも1種の重合性化合物を含む組成物と接触させた後に加熱工程をさらに含み;優先的には、加熱工程は、20~100℃、非常に優先的には35~85℃の温度で行われる。
【0018】
本発明は、上記で表された必要性を満たす。本発明は、より詳細には、ラジカル重合性化合物を効率的に重合する方法であって、重合に使用される化合物が危険な試薬の使用を回避することによって安全に使用されることを可能にする、方法を提供する。
【0019】
これは、ボラン-アミン(すなわちBH-アミン)錯体を含む組成物をアルケン化合物と接触させて、反応媒体を得、次いで得られた反応媒体を少なくとも1個のエチレン結合を含む少なくとも1種のラジカル重合性化合物と接触させることを含む方法によって達成される。ボラン-アミン錯体およびアルケン化合物を含む組成物は、自然発火性かつ不安定な市販の有機ボラン錯体の使用を回避することができる。さらに、ボラン-アミン錯体が有機ボラン-アミン錯体より安定かつ反応性が低いため、重合性組成物の反応性を良好に制御し、方法の安全性に関連する危険性を制限することができる。さらに、ボラン-アミン錯体は、市販の有機ボラン-アミン錯体より安定かつ自然発火性が低く、それにより重合性組成物の反応性を良好に制御し、方法の安全性に関連する危険性を制限することができ、危険な生成物の取扱いが制限される。
【0020】
さらに、本発明による方法はまた、ボラン(BH)とアミンを脱錯化するために従来的に使用される脱錯化剤などの反応性化合物を使用せずに、エチレン結合を含むモノマーの重合を可能にする。これにより、重合方法を容易かつ簡略化することができる。
【0021】
本発明による重合方法は、重合性化合物の迅速かつ効率的な重合を可能にする。
【発明を実施するための形態】
【0022】
ここで、以下に続く記載でより詳細に、かつ非限定的な様態で本発明を説明する。
【0023】
ボラン-アミン錯体
系統的命名法によると「ボラン」または「三水素化ホウ素」という用語は、式「BH」を有する分子を意味すると理解される。
【0024】
ボランは反応性の高い分子であるため、ボランの良好な貯蔵を確実にするためにアミンと錯化する必要がある。
【0025】
アミンは、モノアミン(単一のアミン基を含む)またはポリアミン(1個より多くのアミン基、例えば2、3もしくは4個のアミン基を含む)であってもよい。主鎖を含むポリアミンの場合、アミン基は主鎖の末端に存在してもよく、および/または主鎖に沿って側基もしくはペンダント基の形態で存在してもよい。
【0026】
好ましくは、アミンは、モノアミンである。
【0027】
アミンがモノアミンである場合、第一級、第二級または第三級モノアミンから選択されてもよい。
【0028】
特定の実施形態によると、モノアミンは、一般式[化学式4]
[R、RおよびRは、水素原子、シリル基、1~20個の炭素原子を含み、場合により酸素、硫黄および窒素から選択される1個もしくは複数のヘテロ原子を含む基を互いに独立して表し、この基は、直鎖もしくは分岐状であり、飽和もしくは不飽和であり、アルキル基、シクロアルキル基、アリールアルキル基もしくはアリール基から選択されるか、またはR、RおよびRのうちの少なくとも2個は、シクロアルキル基の一部を形成する]のものであってもよい。例として、R、RおよびRは、独立してメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、無置換であるか、またはアルキル(アルキルアリール)もしくはシクロアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン、ニトロ基およびアシル基などの1個または複数の基で置換されているフェニル基、無置換であるか、またはアルキルもしくはシクロアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン、ニトロ基およびアシル基などの1個または複数の基で置換されているナフチル基、無置換であるか、またはアルキルもしくはシクロアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン、ニトロ基およびアシル基などの1個または複数の基で置換されているヘテロアリール基であってもよい。ヘテロアリール基の例として、ピリジン、ピロールおよびカルバゾールを挙げることができる。代替的に、R、RおよびRのうちの2つは、環、例えばピロリジン、ピペリジン、モルホリン、チオモルホリンまたはこれらの高級ホモログのうちの1つの一部を形成してもよい。
【0029】
さらに代替的に、R、RおよびRのうちの少なくとも2個は、例えば1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン(またはキヌクリジン)、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(またはDABCO)および7-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタンなどの複数の環の一部を形成してもよい。
【0030】
特定の実施形態によると、R、RおよびRは、シリル基から独立して選択されてもよい。例えば、このシリル基は、1~10個の炭素原子、好ましくは1~5個の炭素原子、より好ましくは1~3個の炭素原子を有する3個の炭素に基づく基によって置換されているケイ素原子を含んでもよく、直鎖または分岐状である。これらの3個の基は、アルキル基、シクロアルキル基、アリールアルキル基およびアリール基から独立して選択されてもよい。好ましくは、これらの基はアルキル基およびさらにより好ましくはメチル基である。
【0031】
さらに、特定の実施形態によると、R、RおよびRのうちの2個は、アルキル基であってもよく、R、RおよびRの3個目は水素原子であってもよい。この種類の一例は1,1,1,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン(またはHMDS)である。
【0032】
特定の実施形態によると、R、RおよびRは同一であってもよい。
【0033】
他の実施形態によると、R、RおよびRは互いに異なってもよい。
【0034】
特定の実施形態によると、R、RおよびRのうちの少なくとも2つは同一である。
【0035】
特定の実施形態によると、R、RおよびRのうちの少なくとも1つは水素である。
【0036】
他の実施形態によると、R、RおよびRはいずれも水素ではない。
【0037】
好ましい実施形態によると、式[化学式4]のモノアミンが第一級アミンである場合、モノアミンはtert-ブチルアミンであってもよい。
【0038】
好ましい実施形態によると、式[化学式4]のモノアミンが第二級アミンである場合、モノアミンはジイソプロピルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジ-sec-ブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジ-tert-ブチルアミン、1,1,1,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン、2,6-ジメチルピペリジンまたは7-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタンおよび好ましくはジイソプロピルアミンであってもよい。
【0039】
好ましい実施形態によると、式[化学式4]のモノアミンが第三級アミンである場合、モノアミンはN-メチルジイソプロピルアミン、N-エチルジイソプロピルアミン、N-メチルジシクロヘキシルアミン、N-エチルジシクロヘキシルアミン、N-メチル-2,6-ジメチルピペリジン、N-エチル-2,6-ジメチルピペリジン、1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン(またはキヌクリジン)、N-メチル-1,1,1,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン、N-エチル-1,1,1,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン、N-メチル-7-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタンまたはN-エチル-7-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタンであってもよい。より好ましくはN-メチルジイソプロピルアミン、N-エチルジイソプロピルアミン、N-メチルジシクロヘキシルアミン、N-エチルジシクロヘキシルアミンまたはN-メチル-2,6-ジメチルピペリジンであってもよい。
【0040】
他の実施形態によると、モノアミンは、ポリエーテルアミン、すなわち複数のエーテル官能基を含むアミンであってもよい。
【0041】
好ましい実施形態によると、モノアミンは第一級ポリエーテルアミンである。
【0042】
他の実施形態によると、モノアミンは第二級または第三級ポリエーテルアミンである。
【0043】
したがって、ポリエーテルアミンであるモノアミンの場合、モノアミンは、一般式[化学式5]:
[R、RおよびR10は、水素原子または1~10個の炭素原子を含む基を互いに独立して表し、この基は、直鎖または分岐状であり、飽和または不飽和であり、アルキル基、シクロアルキル基、アリールアルキル基またはアリール基から選択され;
およびRiiは、水素原子または1~20個の炭素原子を含む基を互いに独立して表し、この基は、直鎖または分岐状であり、飽和または不飽和であり、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはアリールアルキル基から選択され;
t、xおよびyは、0~90、優先的には0~70、非常に優先的には0~50、より優先的には0~30の整数を互いに独立して表す]
のものであってもよい。
【0044】
、RおよびR10は、水素原子および1~10個の炭素原子を含む基を独立して表してもよい。この基は、直鎖または分岐状であってもよく、飽和または不飽和であってもよい。好ましくは、R、RおよびR10は、1~10個の炭素原子、好ましくは1~7個、より好ましくは1~3個の炭素原子を含む直鎖または分岐状の基を独立して表す。
【0045】
特定の実施形態によると、Rは、アルキル基、シクロアルキル基、アリールアルキル基、アリール基またはアルキルアリール基から選択されてもよく、アルキル、シクロアルキル、アリールアルキル、アリールおよびアルキルアリール基は上述の通りである。
【0046】
好ましくは、Rは、好ましくは1~7個の炭素原子、好ましくは1~3個の炭素原子を含むアルキル基である。
【0047】
特定の実施形態によると、Rは、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基から選択されてもよく、これらの基は上述の通りである。
【0048】
好ましくは、Rは、アルキル基、特に1~2個の炭素原子を含む基である。より好ましくは、Rは、メチル基およびエチル基から選択される。
【0049】
特定の実施形態によると、R10は、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基から選択されてもよく、アルキル、シクロアルキルおよびアリール基は上述の通りである。好ましくは、R10は、好ましくはアルキル基、特に1~2個の炭素原子を含む基である。より好ましくは、R10はメチル基およびエチル基から選択される。
【0050】
特定の好ましい実施形態によると、R、RおよびR10は同一であってもよい。
【0051】
他の実施形態によると、R、RおよびR10は互いに異なってもよい。
【0052】
好ましい実施形態によると、RおよびR10は互いに異なってもよい。例えば、RおよびR10のうちの1つはエチル基であってもよく、RおよびR10のうちの他方はメチル基であってもよい。
【0053】
好ましい実施形態によると、R、RおよびR10のうちの少なくとも1つはメチル基である。
【0054】
およびRiiは、水素原子または1~20個の炭素原子を含む基を独立して表してもよい。この基は、直鎖または分岐状であってもよく、飽和または不飽和であってもよい。
【0055】
特定の実施形態によると、RおよびRiiは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、またはアリールアルキル基から独立して選択されてもよい。例として、RおよびRiiは、独立してメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、tert-ブチル基、イソブチル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アルキルフェニルなどのアリール基によって置換されているアルキル基、無置換であるか、またはアルキルもしくはシクロアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン、ニトロ基およびカルボニル基などの1個または複数の基で置換されているフェニル基、無置換であるか、またはアルキルもしくはシクロアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン、ニトロ基およびカルボニル基などの1個または複数の基で置換されているナフチル基、無置換であるか、またはアルキルもしくはシクロアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン、ニトロ基およびアシル基などの1個または複数の基で置換されているヘテロアリール基であってもよい。ヘテロアリール基の例として、ピリジン、ピロールおよびカルバゾールを挙げることができる。代替的に、RおよびRiiは、環、例えばピロリジン、ピペリジン、モルホリン、チオモルホリンまたはこれらの高級ホモログのうちの1つの一部を形成してもよい。
【0056】
特定の好ましい実施形態によると、RおよびRiiはいずれも水素原子である。この場合、モノアミンは第一級ポリエーテルアミンである。
【0057】
他の実施形態によると、RおよびRiiのうちの少なくとも1つは、1~20個の炭素原子を含む基である。この場合、モノアミンは第二級ポリエーテルアミンである。
【0058】
他の実施形態によると、RおよびRiiの両方は、独立して1~20個の炭素原子を含む基である。この場合、モノアミンは第三級ポリエーテルアミンである。
【0059】
特定の実施形態によると、t、xおよびyは、0~90、優先的には0~70、優先的には0~50、さらにより優先的には0~30の数を独立して表してもよい。したがって、t、xおよびyは、0~10、または10~20;または20~30;または30~40;または40~50;または50~60;または60~70;または70~80;または80~90の数を独立して表してもよい。
【0060】
tが0以外である場合、数tは、式[化学式5]のモノアミン中に存在する、基R10によって置換されているエトキシ基(好ましくは、R10がメチルである場合はプロポキシ基、またはR10がエチルである場合はブトキシ基)の数を表す。
【0061】
数tは、整数であってもなくてもよい。例えば、異なるアルキレンオキシドの混合物が使用される場合、tは、基R10によって置換されているエトキシ基の平均エトキシル化度(好ましくは、R10がメチルである場合は平均プロポキシル化度、またはR10がエチルである場合は平均ブトキシル化度)に対応する。
【0062】
xが0以外である場合、数xは、式[化学式5]のモノアミン中に存在するエトキシ基の数を表す。
【0063】
数xは、整数であってもなくてもよい。例えば、異なるアルキレンオキシドの混合物が使用される場合、xは平均エトキシル化度に対応する。
【0064】
yが0以外である場合、数yは、式[化学式5]のモノアミン中に存在する、基Rによって置換されているエトキシ基(好ましくは、Rがメチルである場合はプロポキシ基、またはRがエチルである場合はブトキシ基)の数を表す。
【0065】
数yは、整数であってもなくてもよい。例えば、異なるアルキレンオキシドの混合物が使用される場合、yは、基Rによって置換されているエトキシ基の平均エトキシル化度(好ましくは、Rがメチルである場合は平均プロポキシル化度、またはRがエチルである場合は平均ブトキシル化度)に対応する。
【0066】
tおよびyが0以外である場合、t+yの和は、式[化学式5]のアミン中に存在する、基RおよびR10によって置換されているエトキシ基(好ましくは、RおよびR10がメチルである場合はプロポキシ基、またはRおよびR10がエチルである場合はブトキシ基)の数を表す。
【0067】
特定の実施形態によると、tが0に等しい場合、yは0以外である。
【0068】
他の実施形態によると、yが0に等しい場合、tは0以外である。
【0069】
さらに他の実施形態によると、特にRおよびR10が異なる場合、tおよびyはいずれも0以外である。
【0070】
特定の実施形態によると、yおよび/またはtが0に等しい場合、xは0以外である。
【0071】
他の実施形態によると、xが0に等しい場合、yおよび/またはtは0以外である。
【0072】
式[化学式5]のモノアミンは、200~5500g/mol、好ましくは500~2500g/molの分子量を有してもよい。例えば、式[化学式5]のモノアミンは、200~500g/mol;または500~750g/mol;または750~1000g/mol;または1000~1250g/mol;または1250~1500g/mol;または1500~1750g/mol;または1750~2000g/mol;または2000~2250g/mol;または2250~2500g/mol;または2500~2750g/mol;または2750~3000g/mol;または3000~3250g/mol;または3250~3500g/mol;または3500~3750g/mol;または3750~4000g/mol;または4000~4250g/mol;または4250~4500g/mol;または4500~4750g/mol;または4750~5000g/mol;または5000~5250g/mol;または5250~5500g/molの分子量を有してもよい。
【0073】
この種類のポリエーテルアミンは、例えば名称Jeffamine MシリーズでHuntsmanによって販売されている。
【0074】
アミンがポリアミンである場合、第一級および/または第二級および/または第三級ポリアミンから選択されてもよい。好ましくは、ポリアミンは第一級ポリアミンである、すなわちそのアミン基のすべてが第一級アミン基である。より好ましくは、ポリアミンはジアミンである。しかし、ポリエチレンイミン(PEI)などの2個より多くのアミン基(例えば、3個または4個)を含むポリアミンが使用されてもよい。
【0075】
特定の実施形態によると、ポリアミンは、一般式[化学式6]:
[Rは、2~60個の炭素原子、優先的には2~40個の炭素原子を含み、場合により酸素および硫黄から選択される1個または複数のヘテロ原子を含む二価の基を表し、この基は直鎖または分岐状であり、飽和または不飽和であり、二価のアルキルラジカル、二価のシクロアルキルラジカル、二価のアリールアルキルラジカルまたは二価のアリールラジカルから選択され;
、Rii、RiiiおよびRivは、水素原子または1~20個の炭素原子を含む基を互いに独立して表し、この基は直鎖または分岐状であり、飽和または不飽和であり、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはアリールアルキル基から選択される]
のものであってもよい。
【0076】
は、2~60個の炭素原子、好ましくは2~40個の炭素原子、より好ましくは2~15個の炭素原子を含む二価の基を表してもよい。
【0077】
は、直鎖または分岐状であってもよく、環式または脂環式であってもよく、飽和または不飽和であってもよい。
【0078】
は、酸素原子、硫黄原子、窒素原子またはハロゲンなどの1個または複数のヘテロ原子を含んでもよい。好ましくは、単一のヘテロ原子がR中に存在してもよい。
【0079】
さらに、Rは、二価のアルキルラジカル、二価のシクロアルキルラジカル、二価の脂環式ラジカル、二価のアリールアルキルラジカルまたは二価のアリールラジカルから選択されてもよい。好ましくは、Rはアルキル基である。
【0080】
およびRiiは、上記で詳述された通りである。
【0081】
iiiおよびRivは、水素原子または1~20個の炭素原子を含む基を独立して表してもよい。この基は、直鎖または分岐状であってもよく、飽和または不飽和であってもよい。
【0082】
特定の実施形態によると、RiiiおよびRivは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはアリールアルキル基から独立して選択されてもよい。例として、RiiiおよびRivは、独立してメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、tert-ブチル基、イソブチル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アルキルフェニルなどのアリール基によって置換されているアルキル基、無置換であるか、またはアルキルもしくはシクロアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン、ニトロ基およびアシル基などの1個または複数の基で置換されているフェニル基、無置換であるか、またはアルキルもしくはシクロアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン、ニトロ基およびアシル基などの1個または複数の基で置換されているナフチル基、無置換であるか、またはアルキルもしくはシクロアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン、ニトロ基およびアシル基などの1個または複数の基で置換されているヘテロアリール基であってもよい。ヘテロアリール基の例として、ピリジン、ピロールおよびカルバゾールを挙げることができる。代替的に、RiiiおよびRivは、環、例えばピロリジン、ピペリジン、モルホリン、チオモルホリンまたはこれらの高級ホモログのうちの1つの一部を形成してもよい。
【0083】
特定の好ましい実施形態によると、RおよびRiiならびに/またはRiiiおよびRivは、すべて水素原子である。
【0084】
他の実施形態によると、RおよびRiiのうちの少なくとも1つならびに/またはRiiiおよびRivのうちの少なくとも1つは、1~20個の炭素原子を含む基である。
【0085】
他の実施形態によると、RおよびRiiの両方ならびに/またはRiiiおよびRivの両方は、独立して1~20個の炭素原子を含む基である。
【0086】
好ましい実施形態によると、式[化学式6]のポリアミンは、エチレンジアミン、1,3-プロパンジアミン、1,5-ペンタンジアミン、1,6-ヘキサンジアミン、1,12-ドデカンジアミン、2-メチル-1,5-ペンタンジアミン、3-メチル-1,5-ペンタンジアミン、イソホロンジアミン、4,4’-メチレンジアニリン、2-メチルベンゼン-1,4-ジアミン、ジエチレントリアミン、4,6-ジエチル-2-メチルベンゼン-1,3-ジアミン、4,4’-メチレンジシクロヘキサンアミン、2,4,6-トリメチル-1,3-フェニレンジアミン、およびナフタレン-1,8-ジアミンから選択されてもよい。
【0087】
より好ましくは、式[化学式6]のポリアミンは、エチレンジアミンおよび1,3-プロパンジアミンから選択されてもよく、好ましくは式[化学式6]のポリアミンは、1,3-プロパンジアミンである。
【0088】
他の実施形態によると、ポリアミンは、2個のアミン基、好ましくは第一級アミン基を含むポリエーテルアミンであってもよい。代替的に、ポリアミンは、2個のアミン基を含む第二級または第三級ポリアミンであってもよい。
【0089】
したがって、2個のアミン基を含むポリエーテルアミンである場合、ポリアミンは、一般式[化学式7]:
[R、RおよびRは、1~10個の炭素原子を含む基を互いに独立して表し、この基は直鎖または分岐状であり、飽和または不飽和であり、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基から選択され;
、Rii、RiiiおよびRivは、水素原子または1~20個の炭素原子を含む基を互いに独立して表し、この基は直鎖または分岐状であり、飽和または不飽和であり、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはアリールアルキル基から選択され;
v、wおよびzは、0~90、好ましくは0~70の数を互いに独立して表す]
のものであってもよい。
【0090】
、RおよびRは、1~10個の炭素原子、好ましくは1~6個の炭素原子、より好ましくは1~2個の炭素原子を含む基を独立して表してもよい。これらの基は、直鎖または分岐状であってもよく、飽和または不飽和であってもよい。
【0091】
、RおよびRは、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基から独立して選択されてもよく、これらの基は上述の通りである。好ましくは、R、RおよびRのうちの少なくとも1つはアルキル基、より好ましくはメチル基またはエチル基である。
【0092】
特定の好ましい実施形態によると、R、RおよびRは同一であってもよい。
【0093】
他の実施形態によると、R、RおよびRは互いに異なってもよい。
【0094】
好ましい実施形態によると、R、RおよびRのうちの少なくとも1つはメチル基であり、好ましくはR、RおよびRはメチル基である。
【0095】
好ましい実施形態によると、RおよびRは互いに異なってもよい。
【0096】
他の実施形態によると、RおよびRのうちの少なくとも1個はメチル基であり、RおよびRの他方はエチル基である。
【0097】
、Rii、RiiiおよびRivは、上記で詳述された通りである。
【0098】
特定の好ましい実施形態によると、RおよびRiiならびに/またはRiiiおよびRivは、すべて水素原子である。
【0099】
他の実施形態によると、RおよびRiiのうちの少なくとも1つならびに/またはRiiiおよびRivのうちの少なくとも1つは、1~20個の炭素原子を含む基である。
【0100】
他の実施形態によると、RおよびRiiの両方ならびに/またはRiiiおよびRivの両方は、独立して1~20個の炭素原子を含む基である。
【0101】
特定の実施形態によると、v、wおよびzは、0~90、優先的には0~70の数を独立して表してもよい。したがって、v、wおよびzは、0~10、または10~20;または20~30;または30~40;または40~50;または50~60;または60~70;または70~80;または80~90の数を独立して表してもよい。
【0102】
特定の実施形態によると、zは0に等しく、vは0以外である。
【0103】
他の実施形態によると、zは0以外であり、vは0に等しい。
【0104】
また他の実施形態によると、zおよびvはいずれも0以外である。
【0105】
zおよびvが0以外である場合、z+vの和は、式[化学式7]のポリアミン中に存在する、置換されているエトキシ基(好ましくはプロポキシ基またはブトキシ基)の数を表す。
【0106】
z+vの和は、整数であってもなくてもよい。例えば、異なるアルキレンオキシドの混合物が使用される場合、z+vは、RおよびRによって置換されているエトキシ基の平均エトキシル化度(好ましくはプロポキシル化度またはブトキシル化度)に対応する。
【0107】
vが0に等しい場合、数zは、式[化学式7]のポリアミン中に存在する、Rによって置換されているエトキシ基(好ましくは、Rがメチルである場合はプロポキシ基、またはRがエチルである場合はブトキシ基)の数を表す。
【0108】
zが0に等しい場合、数vは、式[化学式7]のポリアミン中に存在する、Rによって置換されているエトキシ基(好ましくは、Rがメチルである場合はプロポキシ基、またはRがエチルである場合はブトキシ基)の数を表す。
【0109】
数zおよびvは、整数であってもなくてもよい。
【0110】
数wは、ポリアミン中に存在するエトキシ基の数を表す。
【0111】
数wは、整数であってもなくてもよい。例えば、異なる分子の混合物が使用される場合、wは平均エトキシル化度に対応する。
【0112】
特定の実施形態によると、vおよびwは0であってもよい。この種類のポリエーテルアミンは、例えば名称Jeffamine DシリーズおよびJeffamine SDシリーズでHuntsmanによって販売されている。
【0113】
他の実施形態によると、wは0に等しくてもよいが、vは0より大きい。
【0114】
他の実施形態によると、vおよびwは0より大きくてもよい。この種類のポリエーテルアミンは、例えば名称Jeffamine EDシリーズでHuntsmanによって販売されている。
【0115】
式[化学式7]のポリエーテルアミンは、100~5000g/mol、好ましくは200~4000g/mol、好ましくは200~2000g/mol、好ましくは200~1000g/molの分子量を有してもよい。例えば、式[化学式7]のポリエーテルアミンは、100~500g/mol;または500~750g/mol;または750~1000g/mol;または1000~1250g/mol;または1250~1500g/mol;または1500~1750g/mol;または1750~2000g/mol;または2000~2250g/mol;または2250~2500g/mol;または2500~2750g/mol;または2750~3000g/mol;または3000~3250g/mol;または3250~3500g/mol;または3500~3750g/mol;または3750~4000g/mol;または4000~4250g/mol;または4250~4500g/mol;または4500~4750g/mol;または4750~5000g/molの分子量を有してもよい。
【0116】
他の実施形態によると、2個のアミン基を含むポリエーテルアミンは、一般式[化学式8]:
[R、Rii、RiiiおよびRivは、水素原子または1~20個の炭素原子を含む基を互いに独立して表し、この基は直鎖または分岐状であり、飽和または不飽和であり、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはアリールアルキル基から選択され;
aおよびbは、1~20、優先的には2~11の整数を互いに独立して表す]
のものであってもよい。
【0117】
、Rii、RiiiおよびRivは上述の通りである。
【0118】
特定の好ましい実施形態によると、RおよびRiiならびに/またはRiiiおよびRivは、すべて水素原子である。
【0119】
他の実施形態によると、RおよびRiiのうちの少なくとも1つならびに/またはRiiiおよびRivのうちの少なくとも1つは、1~20個の炭素原子を含む基である。
【0120】
他の実施形態によると、RおよびRiiの両方ならびに/またはRiiiおよびRivの両方は、独立して1~20個の炭素原子を含む基である。
【0121】
特定の実施形態によると、aおよびbは、1~20、好ましくは2~11の数を独立して表してもよい。
【0122】
特定の好ましい実施形態によると、aおよびbは同一である。好ましくは、aおよびbは2または3に等しい。
【0123】
他の実施形態によると、aおよびbは異なる。この場合、aおよびbのうちの少なくとも1つは、好ましくは2または3に等しい。
【0124】
式[化学式8]のポリエーテルアミンは、150~1500g/mol、好ましくは150~1000g/mol、好ましくは150~500g/molの分子量を有してもよい。例えば、式(V)のポリエーテルアミンは、150~160g/mol;または160~170g/mol;または170~180g/mol;または180~190g/mol;または190~200g/mol;または200~300g/mol;または300~400g/mol;または400~500g/mol;または500~600g/mol;または600~700g/mol;または700~800g/mol;または800~900g/mol;または900~1000g/mol;または1000~1100g/mol;または1100~1200g/mol;または1200~1300g/mol;または1300~1400g/mol;または1400~1500g/molの分子量を有してもよい。
【0125】
(式(V))のこの種類のポリエーテルアミンは、例えば、名称Jeffamine EDRシリーズでHuntsmanによって販売されている。
【0126】
他の実施形態によると、ポリアミンは、3個のアミン基を含む第一級ポリエーテルアミンであってもよい。代替的に、ポリアミンは、3個のアミン基を含む第二級または第三級ポリアミンであってもよい。
【0127】
したがって、3個のアミン基を含むポリエーテルアミンである場合、ポリアミンは、一般式[化学式9]:
[R 、R 、R 、R 、R 、R およびR は、1~10個の炭素原子を含む基を互いに独立して表し、この基は直鎖または分岐状であり、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基から選択され;
Rは、水素原子または1~10個の炭素原子を含む基を表し、この基は直鎖または分岐状であり、飽和または不飽和であり、アルキル基、シクロアルキル基、アリールアルキル基またはアリール基から選択され;
、Rii、RiiiおよびRivは、水素原子または1~20個の炭素原子を含む基を互いに独立して表し、この基は直鎖または分岐状であり、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはアリールアルキル基から選択され;
nは0~30、優先的には0または1に等しい整数を表し;
+z+z、v+v+vおよびw+w+wの和は0~90、優先的には0~70、非常に優先的には0~50、より優先的には0~30の整数を互いに独立して表す]
のものであってもよい。
【0128】
、R 、R 、R 、R 、R およびR は、1~10個の炭素原子、好ましくは1~6個の炭素原子、より好ましくは1~2個の炭素原子を含む基を独立して表してもよい。これらの基は、直鎖または分岐状であってもよく、飽和または不飽和であってもよい。
【0129】
、R 、R 、R 、R 、R およびR は、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基から独立して選択されてもよく、これらの基は上述の通りである。好ましくは、R 、R 、R 、R 、R 、R およびR のうちの少なくとも1つは、アルキル基である。より好ましくは、R 、R 、R 、R 、R 、R およびR は、メチル基またはエチル基から選択される。
【0130】
特定の好ましい実施形態によると、R 、R 、R 、R 、R 、R およびR は同一であってもよく、例えば、これらはすべてメチル基である。
【0131】
他の実施形態によると、R 、R 、R 、R 、R 、R およびR は、互いに異なってもよい。
【0132】
特定の実施形態によると、R は、R および/またはR とは異なる。
【0133】
特定の実施形態によると、R は、R および/またはR とは異なる。
【0134】
好ましい実施形態によると、R 、R のうちの少なくとも1つ、および/またはR 、R のうちの少なくとも1つ、および/またはR 、R のうちの少なくとも1つはメチル基であり、R 、R および/またはR 、R および/またはR 、R の他方はエチル基である。
【0135】
Rは、水素原子または1~10個の炭素原子、好ましくは1~3個の炭素原子を含む基を表してもよい。この基は、直鎖または分岐状であってもよい。
【0136】
特定の実施形態によると、Rは、アルキル基、シクロアルキル基、アリールアルキル基、またはアリール基から選択されてもよく、アルキル、シクロアルキル、アリールアルキルおよびアリール基は上述の通りである。
【0137】
Rが1~10個の炭素原子を含む基である場合、Rは好ましくは、好ましくは1~3個の炭素原子、好ましくは1~2個の炭素原子を含む、アルキル基である。
【0138】
特定の実施形態によると、Rは水素原子である。
【0139】
他の実施形態によると、Rはエチル基である。
【0140】
、Rii、RiiiおよびRivもまた、上記で詳述された通りである。
【0141】
特定の実施形態によると、z、zおよびzは、0~80、好ましくは0~70の数を表してもよい。例えば、z、zおよびzは、0~5;または5~10;または10~15;または15~20;または20~25;または25~30;または30~35;または35~40;または40~45;または45~50;または50~55;または55~60;または60~65;または65~70;または70~75;または75~80であってもよい。数z、zおよびzは、整数であってもなくてもよい。
【0142】
特定の実施形態によると、w、wおよびwは、0~50、好ましくは0~40の数を表してもよい。例えば、w、wおよびwは、0~5;または5~10;または10~15;または15~20;または20~25;または25~30;または30~35;または35~40であってもよい。数w、wおよびwは、整数であってもなくてもよい。
【0143】
特定の実施形態によると、v、vおよびvは、0~20、好ましくは0~10の数を表してもよい。例えば、v、vおよびvは、0~2;または2~4;または4~6;または6~8;または8~10;または10~12;または12~14;または14~16;または16~18;または18~20であってもよい。数v、vおよびvは、整数であってもなくてもよい。
【0144】
特定の実施形態によると、z、zおよびzのうちの少なくとも1つは、0以外である。
【0145】
特定の実施形態によると、v、vおよびvのうちの少なくとも1つは、0以外である。
【0146】
他の実施形態によると、z、zおよびzのうちの少なくとも1つは0以外であり、v、vおよびvは0に等しい。
【0147】
特定の実施形態によると、w、wおよびwのうちの少なくとも1つは、0以外である。
【0148】
他の実施形態によると、w、wおよびwのうちの少なくとも1つは0に等しく、好ましくはw、wおよびwのうちの少なくとも2つ、好ましくはw、wおよびwの3つすべてが0に等しい。
【0149】
特定の実施形態によると、vおよびzのうちの少なくとも1つは0に等しく、かつ/またはvおよびzのうちの少なくとも1つは0に等しく、かつ/またはvおよびzのうちの少なくとも1つは0に等しい。
【0150】
好ましい実施形態によると、vおよびzのうちの少なくとも1つは0に等しく、かつ/またはvおよびzのうちの少なくとも1つは0に等しく、かつ/またはvおよびzのうちの少なくとも1つは0に等しく、かつw、wおよびwのうちの少なくとも1つは0に等しく、好ましくはw、wおよびwのうちの少なくとも2つ、好ましくはw、wおよびwの3つすべてが0に等しい。
【0151】
+w+wの和は、式[化学式9]のポリアミン中に存在するエトキシ基の数を表す。
【0152】
+v+v+z+z+zの和は、式[化学式9]のポリアミン中に存在する、R 、R 、R 、R 、R およびR によって置換されているエトキシ基(好ましくはプロポキシ基またはブトキシ基)の数を表す。
【0153】
+v+v+z+z+zの和は、整数であってもなくてもよい。例えば、異なるアルキレンオキシドの混合物が使用される場合、この和は、R 、R 、R 、R 、R およびR によって置換されているエトキシ基の平均エトキシル化度(好ましくはプロポキシル化度および/またはブトキシル化度)に対応する。
【0154】
+z+zの和、v+v+vの和およびw+w+wの和は、0~90、優先的には0~70、優先的には0~50、さらにより優先的には0~30の数を独立して表してもよい。したがって、この数は、0~10;または10~20;または20~30;または30~40;または40~50;または50~60;または60~70;または70~80;または80~90であってもよい。
【0155】
特定の実施形態によると、w、w、w、z、zおよびzが0に等しい場合、v+v+vは、2~90、好ましくは4~90であってもよい。例えば、この和は、2~5;または5~10;または10~20;または20~30;または30~40;または40~50;または50~60;または60もしくは70;または70~80;または80~90であってもよい。
【0156】
数nは、0~30、好ましくは1~20、より好ましくは1~10の数を表してもよい。例えば、nは0~5;または5~10;または10~15;または15~20;または20~25;または25~30であってもよい。
【0157】
特定の好ましい実施形態によると、nは0または1であってもよい。
【0158】
式[化学式9]のポリエーテルアミンは、300~6000g/mol、好ましくは300~5000g/mol、好ましくは300~4000g/mol、好ましくは300~3000g/molの分子量を有してもよい。例えば、式[化学式9]のポリエーテルアミンは、300~500g/mol;または500~750g/mol;または750~1000g/mol;または1000~1250g/mol;または1250~1500g/mol;または1500~1750g/mol;または1750~2000g/mol;または2000~2250g/mol;または2250~2500g/mol;または2500~2750g/mol;または2750~3000g/mol;または3000~3250g/mol;または3250~3500g/mol;または3500~3750g/mol;または3750~4000g/mol;または4000~4250g/mol;または4250~4500g/mol;または4500~4750g/mol;または4750~5000g/mol;または5000~5250g/mol;または5250~5500g/mol;または5500~5750g/mol;または5750~6000g/molの分子量を有してもよい。
【0159】
式[化学式9]のこの種類のポリエーテルアミンは、例えば、名称Jeffamine TシリーズおよびJeffamine STシリーズでHuntsmanによって販売されている。
【0160】
上記の式のすべてにおいて、添え字t、x、y、v、w、z、v、wおよびzを有する基は、分子に隣接してもしなくてもよい。例えば、エトキシ基は、同じ鎖に沿ってプロポキシおよび/またはブトキシ基とランダムに(特定の統計的分配に従って)交互になっていてもよい。
【0161】
代替的に、本発明の文脈で使用されてもよい他の種類のポリアミンは、ポリエチレンイミン(またはポリアジリジン)、つまりアミン基およびビラジカル「-CHCH-」基から構成される反復単位を含むポリマーである。これらのポリアミンは、直鎖、分岐状またはデンドリマーであってもよい。例として、テトラエチレンペンタミン、EPOMIN SP012、さらにBASFから販売される名称Lupasol(登録商標)(特にLupasol(登録商標)FG)のポリエチレンイミンが挙げられる。
【0162】
本発明によると、ボランはアミンと錯体を形成することができ、ボランのアミンに対するモル比は、0.1~10、優先的には0.5~5、非常に優先的には0.5~2である。この比は、特に0.1~0.5;または0.5~1;または1~2;または2~4;または4~5または5~6;または6~8;または8~10であってもよい。例えば、モノアミンが含まれる場合、この比は、好ましくはおよそ1である。しかし、ジアミンが含まれる場合、この比は、好ましくはおよそ2である。
【0163】
ボラン-アミン錯体は、ラジカル重合性化合物の合計質量に対して0.01質量%~25質量%、好ましくは0.1質量%~10質量%の含有量で使用されてもよい。この含有量は、特に0.01%~0.1%;または0.1%~1%;または1%~2%;または2%~3%;または3%~4%;または4%~5%;または5%~6%;または6%~7%;または7%~8%;または8%~9%;または9%~10%;または10%~11%;または11%~12%;または12%~13%;または13%~14%;または14%~15%;または15%~16%;または16%~17%;または17%~18%;または18%~19%;または19%~20%;または20%~25%であってもよい。より詳細には、ボラン-アミン錯体の含有量は、完全な反応を可能にするのに十分でなければならない。
【0164】
好ましい実施形態によると、ボラン-アミン錯体は、参照により組み込まれる2009年3月30日に出願された特許出願EP2189463A1に記載される方法に従って、またはP. Veeraraghavan Ramachandranら(「Amine-boranes bearing borane-incompatible functionalities: application to selective amine protection and surface functionalization」、Chem. Commun.、2016、52、11885)による論文に記載される方法に従って、例えば上述のアミンと、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウムまたは水素化ホウ素リチウムなどの水素化ホウ素化合物を反応させることによって調製されてもよい。この反応は、特に、硫酸、メタスルホン酸、塩酸、硝酸、ホウ酸などの無機酸などの酸の存在下で、好ましくは硫酸の存在下で行われてもよい。
【0165】
アルケン化合物
以下に示されるアルケン化合物は、有機ボランを含む反応媒体を得るために上述のボランBH-アミン錯体と混合される。「有機ボラン」という用語は、ヒドロホウ素化反応によって少なくとも1個の炭素原子に結合された少なくとも1個のホウ素原子を含む化合物を意味すると理解される。したがって、ボランBH-アミン錯体およびアルケン化合物は、1:1~1:20;優先的には1:3~1:10のモル比で混合されてもよい。例えば、ボランBH-アミン錯体およびアルケン化合物は、1:1~1:5;または1:5~1:10;または1:10~1:15;または1:15~1:20のモル比で存在してもよい。
【0166】
特定の実施形態によると、アルケン化合物は、一般式[化学式1]:
のものであってもよい。
【0167】
11は、3~31個の炭素原子を含む基を表す。この基は、直鎖または分岐状であってもよい。さらに、この基は、アルキル基、シクロアルキル基、フェニルアルキル基などのアリールアルキル基、-OR12基、-SR基12または-SiR131415基から選択されてもよい。
【0168】
11がアルキル基を表す場合、この基は、ヘテロ原子を欠いていてもよい。言い換えれば、アルキル基は、炭素原子および水素原子からなっていてもよい。この基は、例えばn-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、(直鎖、環式または分岐状)ペンチル基、(直鎖、環式または分岐状)ヘキシル基、(直鎖、環式または分岐状)ヘプチル基、(直鎖、環式または分岐状)オクチル基、(直鎖、環式または分岐状)ノニル基、(直鎖、環式または分岐状)デシル基、(直鎖、環式または分岐状)ウンデシル基、(直鎖、環式または分岐状)ドデシル基、(直鎖、環式または分岐状)トリデシル基、(直鎖、環式または分岐状)テトラデシル基、(直鎖、環式または分岐状)ペンタデシル基、(直鎖、環式または分岐状)ヘキサデシル基、(直鎖、環式または分岐状)ヘプタデシル基、(直鎖、環式または分岐状)オクタデシル基、(直鎖、環式または分岐状)ノナデシル基、(直鎖、環式または分岐状)エイコサニル基、(直鎖、環式または分岐状)ヘンイコサニル基、(直鎖、環式または分岐状)ドコサニル基またはこれらの混合物、例えばINEOS OLIGOMERSから入手可能な直鎖および分岐状のC20~24αオレフィンもしくは商品参照名LINEALENEでIDEMITSU KOSANから入手可能な直鎖αオレフィンであってもよい。
【0169】
代替的に、R11がアルキル基を表す場合、この基は、少なくとも1個のヘテロ原子、特に酸素原子および/もしくは硫黄原子および/もしくはケイ素原子、ならびに/またはフッ素、塩素、臭素およびヨウ素原子から選択されるハロゲンを含んでもよい。例えば、この基は、ヘテロ原子基を末端基としてまたは二価の基(すなわち、2個のアルキル基の間のアルキル鎖に存在する)としてまたは側基としてアルキル鎖上に含む直鎖アルキル鎖であってもよい。この場合、アルケン化合物は、以下の式のうちの1つを有してもよい:
【0170】
一般式[化学式10]
式[化学式10]中、mは1~9であってもよく、R19は、1~22個の炭素原子を含む基であってもよく、この基は、場合により直鎖または分岐状である。R19は、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基またはシクロアルキル基であってもよく、これらの基は以下に記載される通りである。
【0171】
アリール基は、例えばフェニル基、置換フェニル基(以下のアルキルアリールを参照のこと)またはピリジン、ピロールもしくはカルバゾールなどのヘテロアリール基であってもよい。アルキル、アルキルアリールおよびシクロアルキル基は、以下に記載される通りである。
【0172】
一般式[化学式11]
式[化学式11]中、rは1~9であってもよく、oは1~340であってもよく、R20は、水素原子または1~6個の炭素原子を含む基であってもよく、この基は、場合により直鎖または分岐状である。R21は、1~22個の炭素原子を含む基であってもよく、この基は、直鎖、環式または分岐状である。R21は、アルキル基、シクロアルキル基、アルキルアリール基またはアリール基であってもよく、これらの基は上述の通りである。
【0173】
一般式[化学式12]
式[化学式12]中、pは1~8であってもよく、R22は、1~22個の炭素原子を含む基であってもよく、この基は、場合により直鎖または分岐状である。R22は、アルキル基、シクロアルキル基、アリールアルキル基またはアリール基であってもよく、これらの基は上述の通りである。
【0174】
一般式[化学式13]
式[化学式13]中、qは1~9であってもよく、R13、R14およびR15基は、直鎖または分岐状のアルキル基、シクロアルキル基、アリールアルキル基、アリール基またはアルコキシ基から互いに独立して選択されてもよい。これらの基は、1~20個、好ましくは1~10個、より好ましくは1~5個の炭素原子を含んでもよく、これらの基は、(互いに独立して)直鎖または分岐状の基であってもよい。
【0175】
特定の実施形態によると、R13、R14およびR15のうちの少なくとも1個、好ましくはR13、R14およびR15のうちの少なくとも2個、より好ましくは3個のR13、R14およびR15基は、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基またはブトキシ基などのアルコキシ基である。
【0176】
他の実施形態によると、R13、R14およびR15のうちの少なくとも1個、好ましくはR13、R14およびR15のうちの少なくとも2個、より好ましくは3個のR13、R14およびR15基は、例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基またはtert-ブチル基などのアルキル基である。
【0177】
一般式[化学式14]
式[化学式14]中、rは上述の通りであってもよく、sは2~11個の炭素原子であってもよく、R13、R14およびR15基は、上述の通りであってもよい。特定の実施形態によると、R13、R14およびR15のうちの少なくとも1個、好ましくはR13、R14およびR15のうちの少なくとも2個、より好ましくは3個のR13、R14およびR15基は、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基またはブトキシ基などのアルコキシ基である。
【0178】
他の実施形態によると、R13、R14およびR15のうちの少なくとも1個、好ましくはR13、R14およびR15のうちの少なくとも2個、より好ましくは3個のR13、R14およびR15基は、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基またはtert-ブチル基などのアルキル基である。
【0179】
一般式[化学式15]
式[化学式15]中、kは3~30であってもよく、Halは、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素原子から選択されるハロゲンであってもよい。好ましくは、ハロゲンは臭素である。
【0180】
他の実施形態によると、R13、R14およびR15のうちの少なくとも1個、好ましくはR13、R14およびR15のうちの少なくとも2個、より好ましくは3個のR13、R14およびR15基は、例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、tert-ブチル基またはイソブチル基などのアルキル基である。
【0181】
11がアリールアルキル基である場合、この基は、1個または複数のアリール基で置換されているアルキル基であってもよく、これらの基は、フラニル基またはフェニル基などの4~10個、好ましくは4~6個の炭素原子を含むアリール基である。
【0182】
11がシクロアルキル基を表す場合、この基は、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基またはシクロヘキシル基であってもよい。この基はまた、1個または複数の基で置換されているシクロアルキルであってもよく、これらの基は好ましくは、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基またはtert-ブチル基などの1~10個、好ましくは1~5個の炭素原子を含むアルキル基である。
【0183】
11が-OR12基を表す場合、R12基は、直鎖または分岐状のアルキル基(3~30個の炭素原子を含む)、シクロアルキル基、アリールアルキル基またはアシル基から選択される。
【0184】
アリールアルキル基は上述の通りである。
【0185】
シクロアルキル基は上述の通りである。
【0186】
他の実施形態によると、R12基は、1個または複数のヘテロ原子、好ましくは酸素原子を含んでもよい。したがって、R12基は、-COOR16基などのアシル基を含んでもよい。この場合、R16は、直鎖または分岐状のアルキル基、シクロアルキル基またはアリールアルキル基から選択されてもよい。
【0187】
11が-SR12基を表す場合、R12基は、直鎖、環式または分岐状のアルキル基(3~30個の炭素原子を含む)、シクロアルキル基、アリールアルキル基、アルキルアリール基またはアシル基から選択される。
【0188】
12基は上述の通りである。
【0189】
最後にR11が-SiR131415基を表す場合、R13、R14およびR15基は上述の通りであってもよい。
【0190】
特定の実施形態によると、R13、R14およびR15のうちの少なくとも1個、好ましくはR13、R14およびR15のうちの少なくとも2個、より好ましくは3個のR13、R14およびR15基は、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基またはブトキシ基などのアルコキシ基である。
【0191】
他の実施形態によると、R13、R14およびR15のうちの少なくとも1個、好ましくはR13、R14およびR15のうちの少なくとも2個、より好ましくは3個のR13、R14およびR15基は、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基またはtert-ブチル基などのアルキル基である。
【0192】
好ましい実施形態によると、式[化学式1]のアルケン化合物は、オクテン、デセン、ビニルシクロヘキサン、ビニルベンゼン、ビニルトルエン、ビニルシラン、ビニルトリメトキシシランおよびビニルトリエトキシシランなどのビニルアルコキシシラン、1-(ビニルオキシ)プロパン、1-(ビニルオキシ)ドデカン、1-(ビニルオキシ)オクタデカン、(ビニルオキシ)シクロヘキサン、1-(ビニルオキシ)ブタン、1-(ビニルオキシ)イソブタン、tert-ブチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル、硫化フェニルビニル、ビニルメタクリレート、酢酸ビニルまたはビニルエステル(例えば、HexionからのビニルエステルVeova)を含んでもよい。
【0193】
特定の実施形態によると、アルケン化合物は、一般式[化学式2]:
のものであってもよい。
【0194】
11は上述の通りである。
【0195】
好ましい実施形態によると、式[化学式2]のアルケン化合物は、アリルフェニルエーテル、アリルフェニルチオエーテル、アリルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、メチル2-((アリルオキシ)メチル)アクリレートおよびアリルトリメチルシランを含んでもよい。
【0196】
特定の実施形態によると、アルケン化合物は、一般式[化学式3]:
のものであってもよい。
【0197】
この式[化学式3]中、Xは酸素原子、硫黄原子、または架橋を形成する二価の-CH-ラジカルである。
【0198】
さらに、nは2~10の整数である。好ましくは、nは2~8である。
【0199】
特定の実施形態によると、式[化学式3]のアルケン化合物は、その環に1個だけでなく複数の二重結合、例えば2または3個の二重結合を含む。
【0200】
特定の実施形態によると、nは2であり、Xは架橋を形成する二価の-CH-ラジカルである。この場合、式[化学式3]のアルケン化合物は、ノルボルネンの構造を有する。
【0201】
17およびR18基は、水素原子、1~10個の炭素原子を含む直鎖もしくは分岐状のアルキル基、1~10個の炭素原子を含む直鎖もしくは分岐状のアルケン基、または環を有する架橋を形成する二価の-CH-ラジカルを互いに独立して表す。
【0202】
特定の実施形態によると、R17およびR18のうちの少なくとも1個は、2~8個の炭素原子を有する直鎖アルキル基を表す。
【0203】
特定の実施形態によると、R17およびR18のうちの少なくとも1個は、1~5個の炭素原子を有する直鎖アルケン基を表す。
【0204】
特定の実施形態によると、R17およびR18のうちの少なくとも1個は、水素原子を表す。代替的に、R17とR18の両方が、水素原子を表す。
【0205】
式[化学式3]の好ましいアルケン化合物は、2,3-ジヒドロフラン、3,4-ジヒドロ-2H-ピラン、2,3,4,5-テトラヒドロオキセピンまたは3,4,5,6-テトラヒドロ-2H-オキソシンであってもよい。
【0206】
好ましい実施形態によると、アルケン化合物は、オクテン、デセン、アリルトリメチルシラン、ビニルトリメトキシシランおよびビニルトリエトキシシランから選択されてもよい。
【0207】
特定の実施形態によると、単一のアルケン化合物は、ボランBH-アミン錯体と混合される。
【0208】
代替的に、1種より多くのアルケン化合物、例えば2または3または4または5種のアルケン化合物が、ボランBH-アミン錯体と混合されてもよい。
【0209】
アルケン化合物は、ラジカル重合性化合物の合計重量に対して0.01質量%~95質量%、好ましくは0.01質量%~25質量%、より好ましくは0.1質量%~10質量%の含有量で使用される。この含有量は、特に0.01%~0.1%;または0.1%~1%;または1%~5%;または5%~10%;または10%~15%;または15%~20%;または20%~25%;または25%~30%;または30%~35%;または35%~40%;または40%~45%;または45%~50%;または50%~55%;または55%~60%;または60%~65%;または65%~70%;または70%~75%;または75%~80%;または80%~85%;または85%~90%;または90%~95%であってもよい。
【0210】
アルケン化合物が、20℃~30℃、好ましくは23℃~25℃の温度範囲で液体であることがさらに好ましい。
【0211】
ラジカル重合性化合物
重合されるであろう組成物(重合される組成物)は、少なくとも1個のエチレン結合を含む少なくとも1種のラジカル重合性化合物を含む。「ラジカル重合」は、活性種としてラジカルを含む鎖重合である。ラジカル重合は、開始、生長、停止および連鎖移動反応を含む。したがって、反応媒体中に存在するボランは、重合性化合物の重合を開始して、ポリマーまたはポリマーネットワークを形成することができる。
【0212】
ラジカル重合性化合物は、任意のモノマー、オリゴマーまたはポリマー、およびこれらの混合物を含んでもよく、オレフィン不飽和を含み、ラジカル経路によって重合可能である。例えば、ラジカル重合性化合物は、スチレンモノマー、アクリル系モノマーおよびメタクリル系モノマーから選択されてもよい。これらはスチレンおよびα-メチルスチレン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリル酸アミド(またはアクリルアミド)、メタクリル酸アミド(またはメタクリルアミド)、アクリル酸エステル(またはアクリレート)およびメタクリル酸エステル(またはメタクリレート)などのアクリル系およびメタクリル系モノマーまたはオリゴマーを含んでもよい。
【0213】
好ましい実施形態によると、ラジカル重合性化合物は、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリレートおよびメタクリレートなどのアクリル系またはメタクリル系モノマーである。
【0214】
ラジカル重合性化合物は、例えばアクリル酸、メタクリル酸、アクリレートモノマー、メタクリレートモノマーおよびこれらの混合物から選択されてもよく、アクリル酸エステル(アクリレート)およびメタクリル酸エステル(メタクリレート)のアルキル基は、好ましくは1~22個の炭素原子を含み、飽和または不飽和であり、直鎖、分岐状または環式であり、場合により少なくとも1個のヘテロ原子(O、S)または1個のエステル官能基(-COO-)を含み;アルキル基は、好ましくは1~12個の炭素原子を含み、直鎖、分岐状または環式である。
【0215】
有利には、ラジカル重合性化合物は、アルキルおよびシクロアルキルアクリレートならびにメタクリレート、例えばアクリル酸、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n-プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、アリルアクリレート、n-ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、t-ブチルアクリレート、n-ヘキシルアクリレート、n-オクチルアクリレート、イソオクチルアクリレート(Sartomerによって販売されるSR440)、2-エチルヘキシルアクリレート、n-デシルアクリレート、イソデシルアクリレート(Sartomerによって販売されるSR395)、ラウリルアクリレート(Sartomerによって販売されるSR335)、トリデシルアクリレート(Sartomerによって販売されるSR489)、C12~C14アルキルアクリレート(Sartomerによって販売されるSR336)、n-オクタデシルアクリレート(Sartomerによって販売されるSR484)、C16~C18アルキルアクリレート(Sartomerによって販売されるSR257C)、シクロヘキシルアクリレート、t-ブチルヘキシルアクリレート(Sartomerによって販売されるSR217)、3,3,5-トリメチルシクロヘキシルアクリレート(Sartomerによって販売されるSR420)、イソボルニルアクリレート(Sartomerによって販売されるSR506D)、メタクリル酸、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n-プロピルメタクリレート、アリルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、t-ブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、n-ヘキシルメタクリレート、n-オクチルメタクリレート、イソオクチルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、n-デシルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、n-ドデシルメタクリレート、トリデシルメタクリレートおよびこれらの混合物から選択されてもよい。特に好ましい化合物は、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレートおよび2-エチルヘキシルメタクリレートである。
【0216】
さらに、ラジカル重合性化合物は、ヘテロ原子を含むアクリレートおよびメタクリレート、つまりエステルのアルコール部分の基に炭素または水素でない原子を少なくとも1個含有する(エステル基自体の原子を考慮に入れずに)アクリレートおよびメタクリレートから選択されてもよい。好ましくは、原子は酸素である。したがって、ラジカル重合性化合物は、テトラヒドロフルフリルアクリレート(Sartomerによって販売されるSR285)、テトラヒドロフルフリルメタクリレート(Sartomerによって販売されるSR203H)、グリシジルアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-および3-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-メトキシエチルアクリレート、2-エトキシエチルアクリレート、2-および3-エトキシプロピルアクリレート、2-(2-エトキシエトキシ)エチルアクリレート(Sartomerによって販売されるSR256)、メトキシポリエチレングリコールアクリレート(好ましくは2~8個の(エトキシ)反復単位を含む)、ポリプロピレングリコールアクリレート(好ましくは2~8個の(プロポキシ)反復単位を含む)、ポリカプロラクトンアクリレート(Sartomerによって販売されるSR495B)、2-フェノキシエチルアクリレート(Sartomerによって販売されるSR339C)、2-[2-[2-(2-フェノキシエトキシ)エトキシ]エトキシ]エチルアクリレート(Sartomerによって販売されるSR410)、2-[2-[2-(2-ノニルフェノキシエトキシ)エトキシ]エトキシ]エチルアクリレート(Sartomerによって販売されるSR504D)、環式トリメチロールプロパンホルマルアクリレート(Sartomerによって販売されるSR531)、環式グリセロールホルマルアクリレート、2-[2-[2-(2-ドデシルオキシエトキシ)エトキシ]エトキシ]エチルアクリレート(Sartomerによって販売されるSR9075)、グリシジルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-および3-ヒドロキシプロピルメタクリレート、2-メトキシエチルメタクリレート、2-エトキシエチルメタクリレート、2-および3-エトキシプロピルメタクリレート、2-(2-エトキシエトキシ)エチルメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(好ましくは2~8個(エトキシ)の反復単位を含む)、ポリエチレングリコールメタクリレート(好ましくは2~8個(エトキシ)の反復単位を含む)、ポリプロピレングリコールメタクリレート(好ましくは2~8個(プロポキシ)の反復単位を含む)、環式トリメチロールプロパンホルマルメタクリレート、環式グリセロールホルマルメタクリレート(Evonikによって販売されるVisiomer(登録商標)Glyfoma)、ならびにこれらの混合物から選択されてもよい。エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチルプロパン、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、およびペンタプロピレンのアクリレートおよびメタクリレートも使用可能である。特に好ましい化合物は、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、ポリカプロラクトンアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレートおよびポリカプロラクトンメタクリレートである。
【0217】
ジアクリレートおよびジメタクリレート化合物も本発明の文脈内で使用可能である。そのような化合物として、エチレングリコールジアクリレート、1,3-ブチレングリコールジアクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(Sartomerによって販売されるSR238)、3-メチル-1,5-ペンタンジオールジアクリレート(Sartomerによって販売されるSR341)、シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,10-デカンジオールジアクリレート(Sartomerによって販売されるSR595)、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(Sartomerによって販売されるSR833S)、エステルジオールジアクリレート(Sartomerによって販売されるSR606A)、アルコキシル化脂肪族ジアクリレート、例えばジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート(Sartomerによって販売されるSR272)、ジプロピレングリコールジアクリレート(Sartomerによって販売されるSR508)、トリプロピレングリコールジアクリレート(Sartomerによって販売されるSR306)、テトラエチレングリコールジアクリレート(Sartomerによって販売されるSR268G)、エトキシル化および/またはプロポキシル化シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、エトキシル化および/またはプロポキシル化ヘキサンジオールジアクリレート、エトキシル化および/またはプロポキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート、カプロラクトン変性ネオペンチルグリコールヒドロキシピバレートジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、エトキシル化(3)ビスフェノールAジアクリレート(Sartomerによって販売されるSR349)、エトキシル化(10)ビスフェノールAジアクリレート(Sartomerによって販売されるSR602)、エトキシル化(30)ビスフェノールAジアクリレート、エトキシル化(40)ビスフェノールAジアクリレート、ポリエチレングリコール(200)ジアクリレート(Sartomerによって販売されるSR259)、ポリエチレングリコール(400)ジアクリレート(Sartomerによって販売されるSR344)、ポリエチレングリコール(600)ジアクリレート(Sartomerによって販売されるSR610)、プロポキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3-ブチレングリコールジメタクリレート、1,4-ブタンジオールジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、3-メチル-1,5-ペンタンジオールジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールモノアクリレートモノメタクリレート、シクロヘキサンジメタノールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート、アルコキシル化脂肪族メタクリレート、例えばトリエチレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、エトキシル化および/またはプロポキシル化シクロヘキサンジメタノールジメタクリレート、エトキシル化および/またはプロポキシル化ヘキサンジオールジメタクリレート、エトキシル化および/またはプロポキシル化ネオペンチルグリコールジメタクリレート、カプロラクトン変性ネオペンチルグリコールヒドロキシピバレートジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、エトキシル化(10)ビスフェノールAジメタクリレート、エトキシル化(3)ビスフェノールAジメタクリレート、エトキシル化(30)ビスフェノールAジメタクリレート、エトキシル化(40)ビスフェノールAジメタクリレート、ポリエチレングリコール(200)ジメタクリレート、ポリエチレングリコール(400)ジメタクリレート、ポリエチレングリコール(600)ジメタクリレート、エトキシル化および/またはプロポキシル化ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ならびにこれらの混合物が挙げられる。
【0218】
トリアクリレートおよびトリメタクリレート化合物も本発明の文脈内で使用可能である。そのような化合物として、グリセロールトリメタクリレート、グリセロールトリアクリレート、エトキシル化および/またはプロポキシル化グリセロールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート(Sartomerによって販売されるSR351)、エトキシル化および/またはプロポキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート(Sartomerによって販売されるSR444D)、エトキシル化および/またはプロポキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、およびトリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート(Sartomerによって販売されるSR368)、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリメタクリレート、エトキシル化および/またはプロポキシル化グリセロールトリメタクリレート、エトキシル化および/またはプロポキシル化トリメチロールプロパントリメタクリレート、ならびにペンタエリスリトールトリメタクリレートが挙げられる。
【0219】
3個より多くのアクリレートまたはメタクリレート基を含む化合物、例えばペンタエリスリトールテトラアクリレート(Sartomerによって販売されるSR295)、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート(Sartomerによって販売されるSR355)、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(Sartomerによって販売されるSR399)、エトキシル化および/またはプロポキシル化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ならびにエトキシル化および/またはプロポキシル化ペンタエリスリトールテトラメタクリレートも使用可能である。
【0220】
さらに、ラジカル重合性化合物は、アクリル系およびメタクリル系オリゴマー、例えばウレタンアクリレートおよびウレタンメタクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエステルメタクリレート、ポリブタジエンアクリレート(Sartomerによって販売されるSR307)およびポリブタジエンメタクリレートから選択されてもよい。このカテゴリーで好ましい化合物は、例えばSartomerによって販売されるCN1963、CN1964、CN992、CN981、CN9001、CN9002、CN9012、CN9200、CN964A85、CN965、CN966H90、CN991、CN9245S、CN998B80、CN9210、CN9276、CN9209、PRO21596、CN9014NS、CN9800、CN9400、CN9167、CN9170A86、CN9761およびCN9165Aである。
【0221】
本発明の文脈内で使用可能なラジカル重合性化合物はまた、アクリルアミドおよびメタクリルアミドを含んでもよい。例えば、これらのモノマーは、アクリルアミド、メタクリルアミド、N-(ヒドロキシメチル)アクリルアミド、N-(ヒドロキシエチル)アクリルアミド、N-(イソブトキシメチル)アクリルアミド、N-(3-メトキシプロピル)アクリルアミド、N-[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N,N’-メチレンジメタクリルアミド、N,N’-メチレンジアクリルアミド、N,N’-(1,2-ジヒドロキシエチレン)ビスメタクリルアミドおよびN,N’-(1,2-ジヒドロキシエチレン)ビスアクリルアミドから、さらにアクリルもしくはメタクリル酸(またはこの酸の塩化アシル)の、第一級および/または第二級(ポリ)アミン、例えば1,3-ジアミノプロパン、N,N’-ジメチル-1,3-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン、ポリアミドアミンおよびポリオキシアルキレンポリアミンとの反応後に形成されるアクリルアミドおよびメタクリルアミドから選択されてもよい。
【0222】
ある特定の実施形態によると、単一のラジカル重合性化合物は、重合される組成物に存在する。
【0223】
他の実施形態によると、複数のラジカル重合性化合物は、重合される組成物に存在する。
【0224】
ラジカル重合性化合物は、組成物の合計質量に対して10質量%~100質量%、好ましくは30質量%~95質量%の含有量で組成物に存在してもよい。この含有量は、例えば10%~15%;または15%~20%;または20%~25%;または25%~30%;または30%~35%;または35%~40%;または40%~45%;または45%~50%;または50%~55%;または55%~60%;または60%~65%;または65%~70%;または70%~75%;または75%~80%;または80%~85%;または85%~90%;または90%~95%;または95%~100%であってもよい。
【0225】
重合方法
本発明による重合方法は、
ボラン-アミン錯体を対照的に記載されるアルケン化合物と接触させて、反応混合物を得る工程;および
対照的に記載される少なくとも1個のエチレン結合を含む少なくとも1種のラジカル重合性化合物を含む組成物を、得られた反応媒体と接触させる工程
を含む。
【0226】
ラジカル重合性化合物の他に、組成物はまた、充填剤または染料、溶媒または可塑剤、UVまたは熱安定剤、吸湿剤、蛍光材料および移動剤から選択される1種または複数の添加剤を含んでもよい。
【0227】
充填剤は、タルク、マイカ、カオリン、ベントナイト、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化鉄、硫酸バリウム、普通角閃石、角閃石、クリソタイル、カーボンブラック、炭素繊維、ヒュームドまたは熱分解法シリカ、分子ふるい、炭酸カルシウム、ウォラストナイト、ガラスビーズ、ガラス繊維およびこれらの組合せから選択されてもよい。充填剤はまた、ナノ充填剤、例えばカーボンナノファイバー、カーボンナノチューブなどを含んでもよい。
【0228】
可塑剤に関しては、ポリマー合成産業の当業者に公知の可塑剤から選択されてもよい。例えば、フタレート、ポリオールエステル(例えば、Perstorpによって販売されるペンタエリスリトールテトラバレレートなど)、エポキシ化油、フェノールのアルキルスルホン酸エステル(Lanxessによって販売される製品Mesamoll(登録商標))およびこれらの混合物に基づく可塑剤が挙げられてもよい。
【0229】
溶媒は、ポリマー合成産業の当業者に公知のものから選択されてもよい。例えば、テトラヒドロフラン(THF)、ヘキサン、アセトニトリル、DMSO、さらにはエタノールが挙げられてもよい。
【0230】
UV安定剤は、ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノン、「ヒンダード」アミン、例えばブチル化ヒドロキシトルエン、4-メトキシフェノール、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、およびこれらの混合物から選択されてもよい。例えば、BASFによって販売される製品Tinuvin(登録商標)328またはTinuvin(商標)770を挙げることができる。
【0231】
光学増白剤は、例えば2,5-チオフェンジイルビス(5-tert-ブチル-1,3-ベンゾキサゾール)(Uvitex(登録商標)OB)であってもよい。
【0232】
移動剤は、1,8-ジメルカプト-3,6-ジオキサオクタン(DMDO)、n-ドデシルメルカプタン(NDM)またはn-オクチルメルカプタン(NOM)から選択されてもよい。
【0233】
これらの剤は、最終ポリマーのモル質量を制御することができる。
【0234】
添加剤は、組成物の合計質量に対して0.01質量%~5質量%、好ましくは0.01質量%~3質量%の含有量で組成物に存在してもよい。したがって、添加剤は、特に0.01質量%~0.1質量%;または0.1質量%~0.5質量%;または0.5質量%~1質量%;または1質量%~2.5質量%;または2.5質量%~5質量%;または5質量%~10質量%;または10質量%~15質量%;または15質量%~20質量%;または20質量%~25質量%;または25質量%~30質量%の含有量で組成物に存在してもよい。
【0235】
ボラン-アミン錯体およびアルケン化合物を含む組成物からの反応媒体の調製は、20~60℃、好ましくは35~55℃の範囲の温度でのボラン-アミン(BH-アミン)錯体およびアルケン化合物の簡単な混合によって行われてもよい。したがって、この温度は、特に1分~24時間に及んでもよい期間20~25℃;または25~30℃;または30~35℃;または35~40℃;または40~45℃;または45~50℃;または50~55℃;または55~60℃であってもよい。
【0236】
得られた反応媒体は、重合される組成物(少なくとも1個のエチレン結合を含む少なくとも1種のラジカル重合性化合物を含む組成物)に導入されてもよい。ボラン-アミン錯体/アルケン混合物を重合される組成物と接触させることは、例えば簡単な混合によって行われてもよい。この混合は、例えば常温で行われてもよい。
【0237】
反応媒体を重合される組成物に導入し、反応媒体を重合される組成物と接触させる工程後、本発明による方法は、得られた混合物を加熱し、重合性化合物の重合を容易にする工程を含んでもよい。特定の実施形態によると、加熱は、20~100℃;好ましくは35~85℃の温度で行われてもよい。したがって、この温度は、特に20~25℃;または25~30℃;または30~35℃;または35~40℃;または40~45℃;または45~50℃;または50~55℃;または55~60℃;または60~65℃;または65~70℃;または70~75℃;または75~80℃;または80~85℃;または85~90℃;または90~95℃;または95~100℃であってもよい。
【0238】
好ましい実施形態によると、本発明による重合方法は、ボランとアミンを脱錯化するための脱錯化剤の非存在下で行われる。「脱錯化剤」という用語は、ボラン-アミン錯体中に存在するアミンと反応してボランを遊離することができる化合物を意味すると理解される。例えば、脱錯化剤は、イソシアネート、ルイス酸、カルボン酸、鉱酸、ホスホン酸、スルホン酸、塩化アシル、無水物、アルデヒド、1,3-ジカルボニル化合物およびエポキシドであってもよい。
【0239】
好ましくは、本発明による重合方法は、イソシアネート化合物の非存在下で行われる。
【0240】
ラジカル重合性化合物の重合は、15分~3日間、好ましくは30分~2日間の継続時間を有してもよい。
【0241】
本発明による重合方法は、1000~2000000g/mol、好ましくは1000~500000g/mol、好ましくは1000~250000g/molの数平均分子量を有するポリマーを得ることができる。数平均分子量は、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)によって測定されてもよい。
【0242】
したがって、本発明は、ラジカル経路による少なくとも1種のラジカル重合性化合物(上述の通り)、および上述の通りに得られるアルケン/ボラン-アミン(BH-アミン)錯体組成物を含む重合性組成物を提供する。この組成物は、ボランとアミンを脱錯化するための脱錯化剤を欠いている。言い換えれば、重合性組成物は、ラジカル重合性化合物を含む上述の組成物およびアルケン/ボラン-アミン錯体組成物を含み、重合性組成物は、ラジカル重合性化合物を含む上述の重合される組成物とアルケン/ボラン-アミン錯体組成物を混合することによって形成されてもよい。
【実施例
【0243】
以下に続く実施例は、本発明を限定することなく例示する。
【0244】
実施例1
この実施例では、様々なアルケン化合物を、ボラン-アミン錯体およびアルケン化合物を含む反応媒体を使用するメチルメタクリレートの重合に使用する。重合を、60℃で100%のメチルメタクリレートを含む組成物から、メチルメタクリレートの質量に対してモル含有量1%のボランアミン錯体を使用して行う。使用されるアミンは、N-エチルジイソプロピルアミンである。より詳細には、最初に、ボラン-N-エチルジイソプロピルアミン錯体を、アルケン化合物と常温で混合し、得られた反応媒体を、60℃に加熱する前にメタクリル系モノマーを含む組成物と混合する。
【0245】
以下の表は、反応媒体(反応1~5)を得るために使用される様々なアルケン化合物を含む。
【0246】
「反応時間」という用語は、重合性化合物が反応媒体と混合された時点からポリマーが形成された時点までの重合の継続時間を意味すると理解される(形成されたポリマーは、固体状態であるが、反応媒体と重合性化合物との初期混合物は液体状態である)。
【0247】
本発明による方法は、様々なアルケンを使用して効率的にメタクリル系ポリマーを合成することができることが観察される。
【0248】
実施例2
次に、本発明の方法によるスチレンの重合を研究する。以下の表は、反応媒体(反応6~10)を得るために使用される様々なアルケン化合物を含む。上述の通り、重合を、1%の有機ボラン-アミン錯体を使用して60℃の温度で行う。
【0249】
本発明による方法は、様々なボラン-アミン錯体を使用して効率的にスチレンポリマーを合成することができることが観察される。
【国際調査報告】