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特表2023-521465ICOS抗体とPD-L1抗体TGF-β-受容体融合タンパク質とに基づく癌の併用治療
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-24
(54)【発明の名称】ICOS抗体とPD-L1抗体TGF-β-受容体融合タンパク質とに基づく癌の併用治療
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20230517BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230517BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230517BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20230517BHJP
   A61K 45/06 20060101ALI20230517BHJP
   A61K 38/17 20060101ALI20230517BHJP
   A61K 47/64 20170101ALI20230517BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20230517BHJP
   A61K 47/65 20170101ALI20230517BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20230517BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20230517BHJP
【FI】
A61K39/395 N
A61P43/00 121
A61P35/00
A61P35/02
A61K45/06
A61K38/17
A61K47/64
A61K47/68
A61K47/65
C12N15/13
C07K16/28
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022562809
(86)(22)【出願日】2021-04-12
(85)【翻訳文提出日】2022-12-13
(86)【国際出願番号】 EP2021059378
(87)【国際公開番号】W WO2021209358
(87)【国際公開日】2021-10-21
(31)【優先権主張番号】63/009,580
(32)【優先日】2020-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/037,797
(32)【優先日】2020-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513032275
【氏名又は名称】グラクソスミスクライン、インテレクチュアル、プロパティー、ディベロップメント、リミテッド
【氏名又は名称原語表記】GLAXOSMITHKLINE INTELLECTUAL PROPERTY DEVELOPMENT LIMITED
(71)【出願人】
【識別番号】522403011
【氏名又は名称】アレス、トレイディング、ソシエテ、アノニム
【氏名又は名称原語表記】Ares Trading S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100172557
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 啓靖
(72)【発明者】
【氏名】マーク、エス.バラス
(72)【発明者】
【氏名】キャサリン、イー.エリス
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン、ハーシュフェルド
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076AA95
4C076BB13
4C076CC27
4C076CC41
4C076DD23
4C076DD23D
4C076DD26
4C076DD26Z
4C076EE41
4C076EE59
4C076FF11
4C084AA22
4C084AA23
4C084BA41
4C084BA44
4C084CA18
4C084CA53
4C084DB63
4C084MA02
4C084NA05
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZB271
4C084ZB272
4C084ZC751
4C085AA14
4C085BB36
4C085CC23
4C085EE03
4C085GG02
4C085GG03
4C085GG04
4C085GG05
4C085GG08
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA42
4H045DA76
4H045EA28
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、癌を治療する方法であって、ICOS結合タンパク質、PD-1阻害剤及びTGF-β阻害剤の組合せを含む方法に関する。特に本発明は、ICOS結合タンパク質(例えば、抗ICOS抗体)と、プログラム細胞死リガンド1(PD-L1)又はプログラム細胞死1(PD-1)阻害剤及びトランスフォーミング増殖因子-β(TGF-β)を標的とする融合タンパク質(例えば、抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質、例えば、抗PD-L1抗体と、ヒトTGFβRII又はTGF-βに結合可能なフラグメントとを含む抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質)とに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
癌の治療における使用のための、ICOS結合タンパク質、PD-1阻害剤及びTGF-β阻害剤を含む組合せ。
【請求項2】
前記TGF-β阻害剤がTGFβRである、請求項1に記載の使用のための組合せ。
【請求項3】
癌の治療における使用のための、
(i)ICOS結合タンパク質、及び
(ii)PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド
を含む組合せ。
【請求項4】
前記PD-1阻害剤が、PD-1結合タンパク質又はPD-L1結合タンパク質である、請求項1~3のいずれか一項に記載の使用のための組合せ。
【請求項5】
癌の治療における使用のための、
(i)ICOS結合タンパク質、及び
(ii)抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質
を含む組合せ。
【請求項6】
前記抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質が、
(a)ヒトTGFβRII又はTGF-βに結合可能なそのフラグメント、及び
(b)抗PD-L1抗体若しくはその抗原結合フラグメント、又は抗PD-1抗体若しくはその抗原結合フラグメント
を含む、請求項5に記載の使用のための組合せ。
【請求項7】
前記ICOS結合タンパク質が、配列番号1のCDRH1、配列番号2のCDRH2及び配列番号3のCDRH3を含む重鎖アミノ酸配列と、配列番号4のCDRL1、配列番号5のCDRL2及び配列番号6のCDRL3を含む軽鎖アミノ酸配列とを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の使用のための組合せ。
【請求項8】
前記ICOS結合タンパク質が、配列番号7のアミノ酸配列に対して少なくとも約90%同一である重鎖可変領域(V)及び/又は配列番号8のアミノ酸配列に対して少なくとも約90%同一である軽鎖可変領域(V)を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の使用のための組合せ。
【請求項9】
前記ICOS結合タンパク質が、配列番号7のアミノ酸配列を含むVと、配列番号8のアミノ酸配列を含むVとを含む、請求項8に記載の使用のための組合せ。
【請求項10】
前記ICOS結合タンパク質が、配列番号9のアミノ酸配列に対して少なくとも約90%同一である重鎖アミノ酸配列及び/又は配列番号10のアミノ酸配列に対して少なくとも約90%同一である軽鎖アミノ酸配列を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の使用のための組合せ。
【請求項11】
前記ICOS結合タンパク質が、配列番号9の重鎖アミノ酸配列と、配列番号10の軽鎖アミノ酸配列とを含む、請求項10に記載の使用のための組合せ。
【請求項12】
前記PD-1阻害剤、前記抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質又は前記抗PD-L1抗体若しくはその抗原結合フラグメントが、配列番号13のCDRH1、配列番号14のCDRH2及び配列番号15のCDRH3を含む重鎖アミノ酸配列と、配列番号16のCDRL1、配列番号17のCDRL2及び配列番号18のCDRL3を含む軽鎖アミノ酸配列とを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の使用のための組合せ。
【請求項13】
前記PD-1阻害剤、前記抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質又は前記抗PD-L1抗体若しくはその抗原結合フラグメントが、配列番号19のアミノ酸配列に対して少なくとも約90%同一である重鎖可変領域(V)及び/又は配列番号20のアミノ酸配列に対して少なくとも約90%同一である軽鎖可変領域(V)を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の使用のための組合せ。
【請求項14】
前記PD-1阻害剤、前記抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質又は前記抗PD-L1抗体若しくはその抗原結合フラグメントが、配列番号19のアミノ酸配列を含むVと、配列番号20のアミノ酸配列を含むVとを含む、請求項13に記載の使用のための組合せ。
【請求項15】
前記PD-1阻害剤、前記抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質又は前記抗PD-L1抗体が、配列番号21のアミノ酸配列に対して少なくとも約90%同一である重鎖アミノ酸配列及び/又は配列番号22のアミノ酸配列に対して少なくとも約90%同一である軽鎖アミノ酸配列を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の使用のための組合せ。
【請求項16】
前記PD-1阻害剤、前記抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質又は前記抗PD-L1抗体が、配列番号21の重鎖アミノ酸配列と、配列番号22の軽鎖アミノ酸配列とを含む、請求項15に記載の使用のための組合せ。
【請求項17】
前記TGFβRが、配列番号26のアミノ酸配列に対して少なくとも約90%同一である配列を含む、請求項2~16のいずれか一項に記載の使用のための組合せ。
【請求項18】
前記抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質における、前記抗PD-L1抗体又はその抗原結合フラグメントと、前記ヒトTGFβRIIとが、リンカーによって接続されている、請求項6~17のいずれか一項に記載の使用のための組合せ。
【請求項19】
前記リンカーが、配列番号30のアミノ酸配列を含む、請求項18に記載の使用のための組合せ。
【請求項20】
癌の治療における使用のための、ICOS結合タンパク質及び抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質を含む組合せであって、
前記ICOS結合タンパク質が、配列番号1のCDRH1、配列番号2のCDRH2及び配列番号3のCDRH3を含む重鎖アミノ酸配列と、配列番号4のCDRL1、配列番号5のCDRL2及び配列番号6のCDRL3を含む軽鎖アミノ酸配列とを含み、
前記抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質が、(i)配列番号13のCDRH1、配列番号14のCDRH2及び配列番号15のCDRH3を含む重鎖アミノ酸配列と、配列番号16のCDRL1、配列番号17のCDRL2及び配列番号18のCDRL3を含む軽鎖アミノ酸配列とを含む抗PD-L1抗体又はその抗原結合フラグメントと、(ii)ヒトTGFβRII又はTGF-βに結合可能なそのフラグメントとを含む、前記組合せ。
【請求項21】
癌の治療における使用のための、ICOS結合タンパク質及び抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質を含む組合せであって、
前記ICOS結合タンパク質が、配列番号9のアミノ酸配列に対して少なくとも約90%同一である重鎖アミノ酸配列と、配列番号10のアミノ酸配列に対して少なくとも約90%同一である軽鎖アミノ酸配列とを含み、
前記抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質が、配列番号21のアミノ酸配列に対して少なくとも約90%同一である重鎖アミノ酸配列と、配列番号22のアミノ酸配列に対して少なくとも約90%同一である軽鎖アミノ酸配列とを含む、前記組合せ。
【請求項22】
前記ICOS結合タンパク質が、モノクローナル抗体又はその抗原結合フラグメントである、請求項1~21のいずれか一項に記載の使用のための組合せ。
【請求項23】
前記ICOS結合タンパク質が、IgG4モノクローナル抗体である、請求項1~22のいずれか一項に記載の使用のための組合せ。
【請求項24】
前記抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質が、IgG1モノクローナル抗体である抗PD-1抗体である、請求項5~23のいずれか一項に記載の使用のための組合せ。
【請求項25】
ヒトの癌の治療における、請求項1~24のいずれか一項に記載の使用のための組合せ。
【請求項26】
前記癌が、虫垂癌、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌、食道癌、卵管癌、胃癌、神経膠腫(例えば、小児脳幹部グリオーマ)、頭頸部癌(特に頭頸部扁平上皮癌及び中咽頭癌)、白血病(特に急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病)、肺癌(特に非小細胞肺癌)、リンパ腫(特にホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫)、黒色腫、中皮腫(特に悪性胸膜中皮腫)、メルケル細胞癌、神経芽細胞腫、口腔癌、骨肉腫、卵巣癌、前立腺癌、腎癌、唾液腺腫瘍、肉腫(特にユーイング肉腫又は横紋筋肉腫)、扁平上皮癌、軟部肉腫、胸腺腫、甲状腺癌、尿路上皮癌、子宮癌、膣癌、外陰癌及びウィルムス腫瘍から選択される、請求項1~25のいずれか一項に記載の使用のための組合せ。
【請求項27】
前記癌が、子宮頸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌、頭頸部癌(特に頭頸部扁平上皮癌及び中咽頭癌)、肺癌(特に非小細胞肺癌)、リンパ腫(特に非ホジキンリンパ腫)、中皮腫、黒色腫、口腔癌、甲状腺癌、尿路上皮癌及び子宮癌から選択される、請求項26に記載の使用のための組合せ。
【請求項28】
前記癌が、頭頸部癌(特に頭頸部扁平上皮癌及び中咽頭癌)、肺癌(特に非小細胞肺癌)、尿路上皮癌、黒色腫及び子宮頸癌から選択される、請求項27に記載の使用のための組合せ。
【請求項29】
同時使用又は逐次使用のための、請求項1~28のいずれか一項に記載の使用のための組合せ。
【請求項30】
前記ICOS結合タンパク質が、最初に投与される、請求項29に記載の使用のための組合せ。
【請求項31】
ヒトにおいて癌の治療に使用するためのICOS結合タンパク質であって、
前記ICOS結合タンパク質が、抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質と組み合わされて投与され、
前記ICOS結合タンパク質が、配列番号1のCDRH1、配列番号2のCDRH2及び配列番号3のCDRH3を含む重鎖アミノ酸配列と、配列番号4のCDRL1、配列番号5のCDRL2及び配列番号6のCDRL3を含む軽鎖アミノ酸とを含み、
前記抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質が、(i)配列番号13のCDRH1と、配列番号14のCDRH2と、配列番号15のCDRH3と、配列番号16のCDRL1、配列番号17のCDRL2及び配列番号18のCDRL3を含む軽鎖アミノ酸配列とを含む抗PD-L1抗体又はその抗原結合フラグメントと、(ii)ヒトTGFβRII又はTGF-βに結合可能なそのフラグメントとを含む、前記ICOS結合タンパク質。
【請求項32】
癌の治療に使用するための抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質であって、
前記抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質が、ICOS結合タンパク質と組み合わされて投与され、
前記抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質が、(i)配列番号13のCDRH1、配列番号14のCDRH2及び配列番号15のCDRH3を含む重鎖アミノ酸配列と、配列番号16のCDRL1、配列番号17のCDRL2及び配列番号18のCDRL3を含む軽鎖アミノ酸配列とを含む抗PD-L1抗体又はその抗原結合フラグメントと、(ii)ヒトTGFβRII又はTGF-βに結合可能なそのフラグメントとを含み、
前記ICOS結合タンパク質が、配列番号1のCDRH1と、配列番号2のCDRH2と、配列番号3のCDRH3と、配列番号4のCDRL1、配列番号5のCDRL2及び配列番号6のCDRL3を含む軽鎖アミノ酸配列とを含む、前記抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質。
【請求項33】
それを必要とする対象において癌を治療する方法であって、治療有効量のICOS結合タンパク質、PD-1阻害剤及びTGF-β阻害剤を前記対象に投与することを含む、前記方法。
【請求項34】
前記TGF-β阻害剤がTGFβRである、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
それを必要とする対象において癌を治療する方法であって、
治療有効量の組合せを前記対象に投与することを含み、
前記組合せが、(i)ICOS結合タンパク質及び(ii)PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドを含む、前記方法。
【請求項36】
前記PD-1阻害剤が、PD-1結合タンパク質又はPD-L1結合タンパク質である、請求項33~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
それを必要とする対象において癌を治療する方法であって、
治療有効量の組合せを前記対象に投与することを含み、
前記組合せが、(i)ICOS結合タンパク質及び(ii)抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質を含む、前記方法。
【請求項38】
前記抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質が、
(a)ヒトTGFβRII又はTGF-βに結合可能なそのフラグメント、及び
(b)抗PD-L1抗体若しくはその抗原結合フラグメント、又は抗PD-1抗体若しくはその抗原結合フラグメント
を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記ICOS結合タンパク質が、配列番号7のアミノ酸配列に対して少なくとも約90%同一である重鎖可変領域(V)及び/又は配列番号8のアミノ酸配列に対して少なくとも約90%同一である軽鎖可変領域(V)を含む、請求項33~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記ICOS結合タンパク質が、配列番号7のアミノ酸配列を含むVと、配列番号8のアミノ酸配列を含むVとを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記ICOS結合タンパク質が、配列番号9のアミノ酸配列に対して少なくとも約90%同一である重鎖アミノ酸配列及び/又は配列番号10のアミノ酸配列に対して少なくとも約90%同一である軽鎖アミノ酸配列を含む、請求項33~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記ICOS結合タンパク質が、配列番号9の重鎖アミノ酸配列と、配列番号10の軽鎖アミノ酸配列とを含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記PD-1阻害剤、前記抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質又は前記抗PD-L1抗体若しくはその抗原結合フラグメントが、配列番号19のアミノ酸配列に対して少なくとも約90%同一である重鎖可変領域(V)及び/又は配列番号20のアミノ酸配列に対して少なくとも約90%同一である軽鎖可変領域(V)を含む、請求項33~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記PD-1阻害剤、前記抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質又は前記抗PD-L1抗体若しくはその抗原結合フラグメントが、配列番号19のアミノ酸配列を含むVと、配列番号20のアミノ酸配列を含むVとを含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記PD-1阻害剤、前記抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質又は前記抗PD-L1抗体が、配列番号21のアミノ酸配列に対して少なくとも約90%同一である重鎖アミノ酸配列及び/又は配列番号22のアミノ酸配列に対して少なくとも約90%同一である軽鎖アミノ酸配列を含む、請求項33~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記PD-1阻害剤、前記抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質又は前記抗PD-L1抗体が、配列番号21の重鎖アミノ酸配列と、配列番号22の軽鎖アミノ酸配列とを含む、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記ヒトTGFβRIIが、配列番号26のアミノ酸配列に対して少なくとも約90%同一である配列を含む、請求項34~46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質における、前記抗PD-L1抗体又はその抗原結合フラグメントと、前記ヒトTGFβRIIとが、リンカーによって接続されている、請求項38~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記リンカーが、配列番号30のアミノ酸配列を含む、請求項48に記載の使用のための方法。
【請求項50】
それを必要とする対象において癌を治療する方法であって、
治療有効量の組合せを前記対象に投与することを含み、
前記組合せが、ICOS結合タンパク質及び抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質を含み、
前記ICOS結合タンパク質が、配列番号1のCDRH1、配列番号2のCDRH2及び配列番号3のCDRH3を含む重鎖アミノ酸配列と、配列番号4のCDRL1、配列番号5のCDRL2及び配列番号6のCDRL3を含む軽鎖アミノ酸配列とを含み、
前記抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質が、(i)配列番号13のCDRH1、配列番号14のCDRH2及び配列番号15のCDRH3を含む重鎖アミノ酸配列と、配列番号16のCDRL1、配列番号17のCDRL2及び配列番号18のCDRL3を含む軽鎖アミノ酸配列とを含む抗PD-L1抗体又はその抗原結合フラグメントと、(ii)ヒトTGFβRII又はTGF-βに結合可能なそのフラグメントとを含む、前記方法。
【請求項51】
前記ICOS結合タンパク質が、モノクローナル抗体又はその抗原結合フラグメントである、請求項33~50のいずれか一項に方法。
【請求項52】
前記ICOS結合タンパク質が、IgG4モノクローナル抗体である、請求項33~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質が、IgG1モノクローナル抗体である抗PD-1抗体である、請求項37~52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記対象がヒトである、請求項33~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記癌が、虫垂癌、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌、食道癌、卵管癌、胃癌、神経膠腫(例えば、小児脳幹部グリオーマ)、頭頸部癌(特に頭頸部扁平上皮癌及び中咽頭癌)、白血病(特に急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病)、肺癌(特に非小細胞肺癌)、リンパ腫(特にホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫)、中皮腫(特に悪性胸膜中皮腫)、黒色腫、メルケル細胞癌、神経芽細胞腫、口腔癌、骨肉腫、卵巣癌、前立腺癌、腎癌、唾液腺腫瘍、肉腫(特にユーイング肉腫又は横紋筋肉腫)、扁平上皮癌、軟部肉腫、胸腺腫、甲状腺癌、尿路上皮癌、子宮癌、膣癌、外陰癌及びウィルムス腫瘍から選択される、請求項33~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記癌が、子宮頸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌、頭頸部癌(特に頭頸部扁平上皮癌及び中咽頭癌)、肺癌(特に非小細胞肺癌)、リンパ腫(特に非ホジキンリンパ腫)、中皮腫、黒色腫、口腔癌、甲状腺癌、尿路上皮癌及び子宮癌から選択される、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記癌が、頭頸部癌(特に頭頸部扁平上皮癌及び中咽頭癌)、肺癌(特に非小細胞肺癌)、尿路上皮癌、黒色腫及び子宮頸癌から選択される、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記ICOS結合タンパク質及び前記抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質が、同時投与される、請求項37~57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記ICOS結合タンパク質及び前記抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質が、逐次投与される、請求項37~58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記ICOS結合タンパク質が、最初に投与される、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記ICOS結合タンパク質が、約0.08mg~約240mgの用量で投与される、請求項33~60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
前記ICOS結合タンパク質が、8mg、24mg、48mg、80mg、160mg又は240mgの用量で投与される、請求項33~61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
前記ICOS結合タンパク質が、3週間ごとに約24mg若しくは約80mgの用量で、又は6週間ごとに約48mg若しくは約160mgの用量で投与される、請求項33~62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
前記抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質が、約500mg~約3000mgの用量で投与される、請求項37~63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
前記抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質が、1200mg又は2400mgの用量で投与される、請求項37~64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
前記抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質が、3週間ごとに約2400mgの用量で投与される、請求項37~65のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
前記抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質が、2週間ごとに約1200mgの用量で投与される、請求項37~64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
癌の治療に使用するための医薬の製造におけるICOS結合タンパク質の使用であって、
前記医薬が、抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質と組み合わされて投与され、
前記ICOS結合タンパク質が、配列番号1のCDRH1、配列番号2のCDRH2及び配列番号3のCDRH3を含む重鎖アミノ酸配列と、配列番号4のCDRL1、配列番号5のCDRL2及び配列番号6のCDRL3を含む軽鎖アミノ酸とを含み、
前記抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質が、(i)配列番号13のCDRH1、配列番号14のCDRH2及び配列番号15のCDRH3を含む重鎖アミノ酸配列と、配列番号16のCDRL1、配列番号17のCDRL2及び配列番号18のCDRL3を含む軽鎖アミノ酸配列とを含む抗PD-L1抗体又はその抗原結合フラグメントと、(ii)ヒトTGFβRII又はTGF-βに結合可能なそのフラグメントとを含む、前記使用。
【請求項69】
癌の治療に使用するための医薬の製造における抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質の使用であって、
前記医薬が、ICOS結合タンパク質と組み合わされて投与され、
前記抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質が、(i)配列番号13のCDRH1、配列番号14のCDRH2及び配列番号15のCDRH3を含む重鎖アミノ酸配列と、配列番号16のCDRL1、配列番号17のCDRL2及び配列番号18のCDRL3を含む軽鎖アミノ酸配列とを含む抗PD-L1抗体又はその抗原結合フラグメントと、(ii)ヒトTGFβRII又はTGF-βに結合可能なそのフラグメントとを含み、
前記ICOS結合タンパク質が、配列番号1のCDRH1と、配列番号2のCDRH2と、配列番号3のCDRH3と、配列番号4のCDRL1、配列番号5のCDRL2及び配列番号6のCDRL3を含む軽鎖アミノ酸配列とを含む、前記使用。
【請求項70】
以下の構成要素:
(i)ICOS結合タンパク質;
(ii)PD-1阻害剤;
(iii)TGF-β阻害剤;並びに
(iv)ヒトの癌の治療において、(i)、(ii)及び(iii)を組み合わせて使用するための説明書
を含むキット。
【請求項71】
前記TGF-β阻害剤がTGFβRである、請求項70に記載のキット。
【請求項72】
以下の構成要素:
(i)ICOS結合タンパク質;
(ii)PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド;並びに
(iii)ヒトの癌の治療において、(i)及び(ii)を組み合わせて使用するための説明書
を含むキット。
【請求項73】
前記PD-1阻害剤が、PD-1結合タンパク質又はPD-L1結合タンパク質である、請求項70~72のいずれか一項に記載のキット。
【請求項74】
以下の構成要素:
(i)ICOS結合タンパク質;
(ii)抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質;並びに
(iii)ヒトの癌の治療において、(i)及び(ii)を組み合わせて使用するための説明書
を含むキット。
【請求項75】
前記抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質が、
(a)ヒトTGFβRII又はTGF-βに結合可能なそのフラグメント、及び
(b)抗PD-L1抗体若しくはその抗原結合フラグメント、又は抗PD-1抗体若しくはその抗原結合フラグメント
を含む、請求項74に記載のキット。
【請求項76】
以下の構成要素:
(i)配列番号1のCDRH1、配列番号2のCDRH2及び配列番号3のCDRH3を含む重鎖アミノ酸配列と、配列番号4のCDRL1、配列番号5のCDRL2及び配列番号6のCDRL3を含む軽鎖アミノ酸とを含むICOS結合タンパク質;
(ii)(a)配列番号13のCDRH1、配列番号14のCDRH2及び配列番号15のCDRH3を含む重鎖アミノ酸配列と、配列番号16のCDRL1、配列番号17のCDRL2及び配列番号18のCDRL3を含む軽鎖アミノ酸配列とを含む抗PD-L1抗体又はその抗原結合フラグメントと、(b)ヒトTGFβRII又はTGF-βに結合可能なそのフラグメントとを含む抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質;並びに
(iii)ヒトの癌の治療において、(i)及び(ii)を組み合わせて使用するための説明書
を含むキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
配列表
本出願は、ASCII形式で電子的に提出された配列表を含み、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。2020年6月11日に作成された上記のASCIIコピーは、PB66869_WO_Sequence_Listing.txtという名前で、サイズは50.9キロバイトである。
【0002】
発明の分野
本発明は、哺乳動物において癌を治療する方法及びそのような治療に有用な組合せに関する。特に、本発明は、誘導性T細胞補助刺激因子(ICOS:Inducible T-cell COStimulator)結合タンパク質、プログラム細胞死1(PD-1)阻害剤及びトランスフォーミング増殖因子-β(TGF-β)阻害剤の組合せに関する。
【背景技術】
【0003】
過剰増殖性疾患、例えば、癌の効果的な治療は、腫瘍学分野における継続的な目標である。一般に、癌は、細胞分裂、分化及びアポトーシス細胞死を制御する正常なプロセスの調節解除に起因し、無制限の成長、局所増殖及び全身転移の可能性がある悪性細胞の増殖を特徴とする。正常なプロセスの調節解除には、シグナル伝達経路の異常と、正常な細胞に見られるものとは異なる要因への反応とが含まれる。
【0004】
免疫療法は、過剰増殖性疾患を治療するための1つのアプローチである。様々な種類の癌免疫療法の開発において科学者及び臨床医が遭遇した主なハードルは、腫瘍退縮につながる強力な抗腫瘍反応を開始するために、自己抗原(癌)に対する寛容を壊すことであった。腫瘍を標的とする低分子及び高分子性薬剤の従来の開発とは異なり、癌免疫療法は、とりわけ、エフェクター細胞の記憶プールを生成する可能性のある免疫系の細胞を標的にして、より持続的な効果を誘発し、再発を最小限に抑え得る。
【0005】
癌治療には近年の多くの進展があるが、癌の影響を被る個人に対するより効果的な及び/又は増強された治療の必要が依然として存在する。抗腫瘍免疫を増強するための併用療法アプローチに関する本明細書の方法は、この必要性に取り組むものである。
【発明の概要】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、癌の治療における使用のための、ICOS結合タンパク質、PD-1阻害剤及びTGF-β阻害剤を含む組合せが提供される。
【0007】
本発明の第2の態様によれば、癌の治療における使用のための、
(i)ICOS結合タンパク質、及び
(ii)PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド
を含む組合せが提供される。
【0008】
本発明の別の態様によれば、癌の治療における使用のための、
(i)ICOS結合タンパク質、及び
(ii)抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質
を含む組合せが提供される。
【0009】
本発明のさらなる態様によれば、癌の治療における使用のための、ICOS結合タンパク質及び抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質を含む組合せであって、
前記ICOS結合タンパク質が、配列番号1のCDRH1、配列番号2のCDRH2及び配列番号3のCDRH3を含む重鎖アミノ酸配列と、配列番号4のCDRL1、配列番号5のCDRL2及び配列番号6のCDRL3を含む軽鎖アミノ酸配列とを含み、
前記抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質が、(i)配列番号13のCDRH1、配列番号14のCDRH2及び配列番号15のCDRH3を含む重鎖アミノ酸配列と、配列番号16のCDRL1、配列番号17のCDRL2及び配列番号18のCDRL3を含む軽鎖アミノ酸配列とを含むPD-L1結合タンパク質と、(ii)ヒトTGFβRII又はTGF-βに結合可能なそのフラグメントとを含む、前記組合せが提供される。
【0010】
本発明のさらなる態様によれば、癌の治療における使用のための、ICOS結合タンパク質及び抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質を含む組合せであって、
前記ICOS結合タンパク質が、配列番号9のアミノ酸配列に対して少なくとも約90%同一である重鎖アミノ酸配列と、配列番号10のアミノ酸配列に対して少なくとも約90%同一である軽鎖アミノ酸配列とを含み、
前記抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質が、配列番号21のアミノ酸配列に対して少なくとも約90%同一である重鎖アミノ酸配列と、配列番号22のアミノ酸配列に対して少なくとも約90%同一である軽鎖アミノ酸配列とを含む、前記組合せが提供される。
【0011】
本発明のさらなる態様によれば、ヒトにおいて癌の治療に使用するためのICOS結合タンパク質であって、
前記ICOS結合タンパク質が、抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質と組み合わされて投与され、
前記ICOS結合タンパク質が、配列番号1のCDRH1、配列番号2のCDRH2及び配列番号3のCDRH3を含む重鎖アミノ酸配列と、配列番号4のCDRL1、配列番号5のCDRL2及び配列番号6のCDRL3を含む軽鎖アミノ酸とを含み、
前記抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質が、(i)配列番号13のCDRH1と、配列番号14のCDRH2と、配列番号15のCDRH3と、配列番号16のCDRL1、配列番号17のCDRL2及び配列番号18のCDRL3を含む軽鎖アミノ酸配列とを含むPD-L1結合タンパク質と、(ii)ヒトTGFβRII又はTGF-βに結合可能なそのフラグメントとを含む、前記ICOS結合タンパク質が提供される。
【0012】
本発明のさらなる態様によれば、癌の治療に使用するための抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質であって、
前記抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質が、ICOS結合タンパク質と組み合わされて投与され、
前記抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質が、(i)配列番号13のCDRH1、配列番号14のCDRH2及び配列番号15のCDRH3を含む重鎖アミノ酸配列と、配列番号16のCDRL1、配列番号17のCDRL2及び配列番号18のCDRL3を含む軽鎖アミノ酸配列とを含むPD-L1結合タンパク質と、(ii)ヒトTGFβRII又はTGF-βに結合可能なそのフラグメントとを含み、
前記ICOS結合タンパク質が、配列番号1のCDRH1と、配列番号2のCDRH2と、配列番号3のCDRH3と、配列番号4のCDRL1、配列番号5のCDRL2及び配列番号6のCDRL3を含む軽鎖アミノ酸配列とを含む、前記抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質が提供される。
【0013】
本発明のさらなる態様によれば、それを必要とする対象において癌を治療する方法であって、治療有効量のICOS結合タンパク質、PD-1阻害剤及びTGF-β阻害剤を前記対象に投与することを含む、前記方法が提供される。
【0014】
本発明のさらなる態様によれば、それを必要とする対象において癌を治療する方法であって、治療有効量の組合せを前記対象に投与することを含み、前記組合せが、(i)ICOS結合タンパク質及び(ii)PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドを含む、前記方法が提供される。
【0015】
本発明のさらなる態様によれば、それを必要とする対象において癌を治療する方法であって、治療有効量の組合せを前記対象に投与することを含み、前記組合せが、(i)ICOS結合タンパク質及び(ii)抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質を含む、前記方法が提供される。
【0016】
本発明のさらなる態様によれば、それを必要とする対象において癌を治療する方法であって、
治療有効量の組合せを前記対象に投与することを含み、
前記組合せが、ICOS結合タンパク質及び抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質を含み、
前記ICOS結合タンパク質が、配列番号1のCDRH1、配列番号2のCDRH2及び配列番号3のCDRH3を含む重鎖アミノ酸配列と、配列番号4のCDRL1、配列番号5のCDRL2及び配列番号6のCDRL3を含む軽鎖アミノ酸配列とを含み、
前記抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質が、(i)配列番号13のCDRH1、配列番号14のCDRH2及び配列番号15のCDRH3を含む重鎖アミノ酸配列と、配列番号16のCDRL1、配列番号17のCDRL2及び配列番号18のCDRL3を含む軽鎖アミノ酸配列とを含むPD-L1結合タンパク質と、(ii)ヒトTGFβRII又はTGF-βに結合可能なそのフラグメントとを含む、前記方法が提供される。
【0017】
本発明のさらなる態様によれば、癌の治療に使用するための医薬の製造におけるICOS結合タンパク質の使用であって、
前記医薬が、抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質と組み合わされて投与され、
前記ICOS結合タンパク質が、配列番号1のCDRH1、配列番号2のCDRH2及び配列番号3のCDRH3を含む重鎖アミノ酸配列と、配列番号4のCDRL1、配列番号5のCDRL2及び配列番号6のCDRL3を含む軽鎖アミノ酸とを含み、
前記抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質が、(i)配列番号13のCDRH1、配列番号14のCDRH2及び配列番号15のCDRH3を含む重鎖アミノ酸配列と、配列番号16のCDRL1、配列番号17のCDRL2及び配列番号18のCDRL3を含む軽鎖アミノ酸配列とを含むPD-L1結合タンパク質と、(ii)ヒトTGFβRII又はTGF-βに結合可能なそのフラグメントとを含む、前記使用が提供される。
【0018】
本発明のさらなる態様によれば、癌の治療に使用するための医薬の製造における抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質の使用であって、
前記医薬が、ICOS結合タンパク質と組み合わされて投与され、
前記抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質が、(i)配列番号13のCDRH1、配列番号14のCDRH2及び配列番号15のCDRH3を含む重鎖アミノ酸配列と、配列番号16のCDRL1、配列番号17のCDRL2及び配列番号18のCDRL3を含む軽鎖アミノ酸配列とを含むPD-L1結合タンパク質と、(ii)ヒトTGFβRII又はTGF-βに結合可能なそのフラグメントとを含み、
前記ICOS結合タンパク質が、配列番号1のCDRH1と、配列番号2のCDRH2と、配列番号3のCDRH3と、配列番号4のCDRL1、配列番号5のCDRL2及び配列番号6のCDRL3を含む軽鎖アミノ酸配列とを含む、前記使用が提供される。
【0019】
本発明の一態様によれば、(i)ICOS結合タンパク質;(ii)PD-1阻害剤;(iii)TGF-β阻害剤を含み、選択的に(iv)ヒトの癌の治療において、(i)、(ii)及び(iii)を組み合わせて使用するための説明書を含むキットが提供される。
【0020】
本発明の別の態様によれば、(i)ICOS結合タンパク質;(ii)PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドを含み、選択的に(iii)ヒトの癌の治療において、(i)及び(ii)を組み合わせて使用するための説明書を含むキットが提供される。
【0021】
本発明の別の態様によれば、(i)ICOS結合タンパク質;(ii)抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質を含み、選択的に(iii)ヒトの癌の治療において、(i)及び(ii)を組み合わせて使用するための説明書を含むキットが提供される。
【0022】
本発明のさらなる態様によれば、(i)配列番号1のCDRH1、配列番号2のCDRH2及び配列番号3のCDRH3を含む重鎖アミノ酸配列と、配列番号4のCDRL1、配列番号5のCDRL2及び配列番号6のCDRL3を含む軽鎖アミノ酸とを含むICOS結合タンパク質;(ii)(a)配列番号13のCDRH1、配列番号14のCDRH2及び配列番号15のCDRH3を含む重鎖アミノ酸配列と、配列番号16のCDRL1、配列番号17のCDRL2及び配列番号18のCDRL3を含む軽鎖アミノ酸配列とを含むPD-L1結合タンパク質と、(b)ヒトTGFβRII又はTGF-βに結合可能なそのフラグメントとを含む抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質;及び(iii)ヒトの癌の治療において、(i)及び(ii)を組み合わせて使用するための説明書を含むキットが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1A図1Aは、54.6μgのM7824と組み合わせた抗ICOS治療についての、腫瘍体積の増大及び生存曲線を示す、マウス同系腫瘍モデル(EMT-6)におけるin vivo有効性試験の結果を示す図である。
図1B図1Bは、164μgのM7824と組み合わせた抗ICOS治療についての、腫瘍体積の増大及び生存曲線を示す、マウス同系腫瘍モデル(EMT-6)におけるin vivo有効性試験の結果を示す図である。
図1C図1Cは、492μgのM7824と組み合わせた抗ICOS治療についての、腫瘍体積の増大及び生存曲線を示す、マウス同系腫瘍モデル(EMT-6)におけるin vivo有効性試験の結果を示す図である。
図2図2は、実施例2に記載される試験デザインの概要を示す図である。
図3図3は、改変毒性確率区間(mTPI:Modified Toxicity Probability Interval)用量決定規則を示す図である。列は、ある用量水準で処置された対象の数を示し、行は、対応する、DLT(用量制限毒性)を受けた対象の数を示す。表中の項目は、用量設定(すなわちE、S及びD)であり、それぞれ増量、同一用量での維持、減量を表す。さらに、決定Uは、その用量水準は毒性が高いため許容されず、試験のさらなる検討から除外されるべきであることを示す。
図4A図4Aは、実施例2に記載の安全性、実験室、有効性、試験治療手順のための時間及び事象を示す表である。図4Aの表は、評価ウィンドウ並びに評価及び手順の順序をまとめたものである。
図4B図4Bは、実施例2に記載の安全性、実験室、有効性、試験治療手順のための時間及び事象を示す表である。図4Bの表は、評価ウィンドウ並びに評価及び手順の順序をまとめたものである。
図5A図5Aは、実施例2に記載の薬物動態、免疫原性、バイオマーカー評価のための時間及び事象を示す表である。図5Aの表は、評価ウィンドウ並びに評価及び手順の順序をまとめたものである。
図5B図5Bは、実施例2に記載の薬物動態、免疫原性、バイオマーカー評価のための時間及び事象を示す表である。図5Bの表は、評価ウィンドウ並びに評価及び手順の順序をまとめたものである。
図6図6は、実施例2に記載の患者報告転帰評価の時間及び事象を示す表である。この表は、評価ウィンドウ並びに評価及び手順の順序をまとめたものである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
定義
「抗原結合タンパク質(ABP)」は、抗体又は抗体と同様に機能する遺伝子操作された分子を含め、抗原と結合するタンパク質を意味する。このような別の抗体形式としては、トリアボディ、テトラボディ、ミニ抗体及びミニボディが含まれる。ABPはまた、このような抗体又はその他の分子の抗原結合フラグメントも含む。さらに、ABPは、適当な軽鎖と対合される場合には、全長抗体、(Fab’)フラグメント、Fabフラグメント、二重特異性若しくは二重パラトープ分子又はその等価物(例えば、scFv、ビボディ、トリボディ、テトラボディ、TANDAB等)の形式とされた本発明のV領域を含んでもよい。ABPは、IgG1、IgG2、IgG3若しくはIgG4;又はIgM;IgA、IgE若しくはIgD又はその改変バリアントである抗体を含み得る。抗体重鎖の定常ドメインは相応に選択することができる。軽鎖定常ドメインは、κ又はλ定常ドメインであり得る。ABPはまた、抗原結合領域と非免疫グロブリン領域を含むWO86/01533に記載のタイプのキメラ抗体であってもよい。「ABP」、「抗原結合タンパク質」、「結合タンパク質」、「抗原結合薬」及び「結合薬」という用語は、本明細書において交換可能に使用される。例えば、ICOS結合タンパク質、PD-L1結合タンパク質及びPD-1結合タンパク質が本明細書に開示される。
【0025】
「抗原結合部位」は、抗原と特異的に結合することができる抗原結合タンパク質の部位を指し、これは、単一の可変ドメインであり得るか、又は標準的な抗体に見られるV/Vドメインの対であり得る。単鎖Fv(scFv)ドメインもまた抗原結合部位を提供することができる。
【0026】
「抗体」という用語は、免疫グロブリン様ドメイン(例えば、IgG、IgM、IgA、IgD又はIgE)を有する分子を指すために最も広い意味で本明細書で使用され、モノクローナル抗体、組換え抗体、ポリクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)及びヘテロコンジュゲート抗体;単一可変ドメイン(例えば、V、VHH、V、ドメイン抗体(DAB))、抗原結合抗体フラグメント、Fab、F(ab’)、Fv、ジスルフィド連結Fv(disulphide linked Fv)、単鎖Fv、ジスルフィド連結scFv(disulphide-linked scFv)、ダイアボディ、TANDAB等、及び上述のいずれかの改変バージョン(代替の「抗体」形式の概要については、例えば、Holliger and Hudson, Nature Biotechnology, 2005, Vol 23, No. 9, 1126-1136参照)を含む。
【0027】
「キメラ抗体」とは、アクセプター抗体に由来する軽鎖及び重鎖の定常領域と関連して、ドナー抗体に由来する天然に存在する可変領域(軽鎖及び重鎖)を含む、操作された抗体のタイプを指す。
【0028】
「ヒト化抗体」は、非ヒトドナー免疫グロブリン由来のそのCDRを有し、その分子の残りの免疫グロブリン由来部分は1種又は2種以上のヒト免疫グロブリンに由来する、操作された抗体のタイプを指す。加えて、フレームワーク支持残基(framework support residue)は、結合親和性を保存するように変更されてもよい(例えば、Queen et al. Proc. Natl Acad Sci USA, 86:10029-10032 (1989), Hodgson et al. Bio/Technology, 9:421 (1991)参照)。適切なヒトアクセプター抗体は、従来のデータベース、例えば、KABATデータベース、Los Alamosデータベース及びSwiss Proteinデータベースから、ドナー抗体のヌクレオチド配列及びアミノ酸配列との相同性によって選択されたものであり得る。ドナー抗体のフレームワーク領域との相同性(アミノ酸に基づく)により特徴付けられたヒト抗体は、ドナーCDRの挿入のための重鎖定常領域及び/又は重鎖可変フレームワーク領域を提供するために好適であり得る。軽鎖定常又は可変フレームワーク領域を供与し得る適切なアクセプター抗体も同様に選択できる。アクセプター抗体重鎖及び軽鎖は同じアクセプター抗体に起源する必要はないことに留意すべきである。先行技術文献には、そのようなヒト化抗体を作製するいくつかの方法が記載されている(例えば、EP-A-0239400及びEP-A-054951参照)。
【0029】
「完全ヒト抗体」という用語は、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列に由来する可変領域及び定常領域(存在する場合)を有する抗体を含む。本発明のヒト配列抗体は、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列によってコードされていないアミノ酸残基(例えば、in vitroでランダム若しくは部位特異的変異誘発により、またはin vivoで体細胞変異により導入された変異)を含んでよい。完全ヒト抗体は、最終的にヒト起源であるポリヌクレオチドによってのみコードされたアミノ酸配列又はそのような配列と同一のアミノ酸配列を含む。本明細書で意味する場合、トランスジェニックマウスで産生された、マウスゲノムに挿入されたヒト免疫グロブリンコードDNAによりコードされた抗体は、最終的にヒト起源であるDNAによりコードされていることから、完全ヒト抗体である。この場合、ヒト免疫グロブリンをコードするDNAは、マウス内で再構成されてよく(抗体をコードするために)、体細胞突然変異を生じてもよい。マウス内でこのような変化を受けた、元はヒトDNAによりコードされた抗体は、本明細書で意味する場合、完全ヒト抗体である。このようなトランスジェニックマウスの使用は、ヒト抗原に対して完全ヒト抗体を選択することを可能とする。当技術分野で理解されるように、完全ヒト抗体は、ヒト生殖細胞系DNA配列を含む抗体の生成のためにヒトDNAライブラリーをファージに挿入するファージディスプレー技術を使用して作製され得る。
【0030】
本明細書において互換的に使用される用語、全長(full)抗体、完全長(whole)抗体又はインタクトな(intact)抗体は、分子量がおよそ150,000ダルトンである、ヘテロテトラマー糖タンパク質を指す。インタクトな抗体は、ジスルフィド共有結合によって連結された、2つの同一の重鎖(HC)及び2つの同一の軽鎖(LC)から構成される。このH構造は、折り畳まれて、2つの抗原結合フラグメント(「Fab」フラグメントとして知られる)と、「Fc」結晶化可能フラグメントとを含む、3つの機能ドメインを形成する。Fabフラグメントは、アミノ末端の可変ドメイン(可変重(V)又は可変軽(V))と、カルボキシル末端の定常ドメイン(CH1(重)及びCL(軽))から構成される。Fcフラグメントは、対になるCH2及びCH3領域の二量体化によって形成される、2つのドメインから構成される。Fcは、免疫細胞上の受容体に結合することによって、又はC1q(古典的な補体経路の第1成分)と結合することによって、エフェクター機能を誘発し得る。抗体の5種のクラス(IgM、IgA、IgG、IgE及びIgD)は、それぞれμ、α、γ、ε及びδと呼ばれる、異なる重鎖アミノ酸配列によって規定され、各重鎖は、κ又はλ軽鎖のいずれかと対になり得る。血清中の抗体の大部分は、IgGクラスに属し、ヒトIgGには、IgG1、IgG2、IgG3及びIgG4という4種のアイソタイプが存在し、それらの配列は、主にヒンジ領域において相異している。
【0031】
完全ヒト抗体は、様々な方法を使用して、例えば、ヒト抗体のレパートリーを生産することができる酵母ベースのライブラリー又はトランスジェニック動物(例えば、マウス)を使用して取得され得る。目的の抗原に結合するヒト抗体をその表面に提示する酵母は、FACS(蛍光活性化セルソーティング)ベースの方法を使用することにより、或いは、標識抗原を使用してビーズで捕捉することにより選択され得る。ヒト免疫グロブリン遺伝子を発現するように改変されたトランスジェニック動物を目的の抗原で免疫し、次いで、B細胞選別技術を使用して単離された抗原特異的ヒト抗体を得ることができる。次いで、これらの技術を使用して生成されたヒト抗体は、望ましい特性、例えば、親和性、開発可能性及び選択性について特徴付けられ得る。
【0032】
代替的な抗体形式には、抗原結合タンパク質の1又は2以上のCDRが、好適な非免疫グロブリンタンパク質足場又は骨格上に配置された別の足場、例えば、アフィボディ、SpA足場、LDL受容体クラスAドメイン、アビマー(例えば、米国特許出願公開第2005/0053973号、同第2005/0089932号、同第2005/0164301号参照)又はEGFドメインも含まれる。
【0033】
「ドメイン」という用語は、ポリペプチドの残りの部分とは無関係にその三次構造を保持する折り畳まれたポリペプチド構造を指す。一般に、ドメインはポリペプチドの別個の機能的特性に寄与している。多くの場合、タンパク質の残りの部分及び/又はドメインの機能を失うことなく、ドメインを追加、除去又はその他のポリペプチドに転移することができる。
【0034】
「単一可変ドメイン」という用語は、抗体可変ドメインに特有な配列を含む、折り畳まれたポリペプチドドメインを指す。したがって、「単一可変ドメイン」には、完全抗体可変ドメイン(例えば、V、VHH及びV)及び改変された抗体可変ドメイン(例えば、1又は2以上のループが、抗体可変ドメインに特有ではない配列によって置換されている抗体可変ドメイン)、トランケートされている抗体可変ドメイン、又はN若しくはC末端の伸長を含んでいる抗体可変ドメイン、並びに少なくとも全長ドメインの結合活性及び特異性を保持する可変ドメインの折り畳まれたフラグメントが含まれる。単一可変ドメインは、異なる可変領域又はドメインとは独立して抗原又はエピトープと結合することができる。「ドメイン抗体」又は「DAB」は、「単一可変ドメイン」と同じであるとみなされ得る。単一可変ドメインは、ヒト単一可変ドメインであり得るが、さらに、その他の種由来の単一可変ドメイン、例えば、齧歯類、テンジクザメ科及びラクダ科のVHH DABも含む。ラクダ科のVHHは、ラクダ、ラマ、アルパカ、ヒトコブラクダ及びグアナコを含む種由来の免疫グロブリン単一可変領域ポリペプチドであり、天然に軽鎖を欠いている重鎖抗体を産生する。このようなVHHドメインは、当該技術分野において利用可能な標準的な技術によってヒト化され得、このようなドメインは、「単一可変ドメイン」であるとみなされる。本明細書で使用される場合、Vはラクダ科のVHHドメインを含む。
【0035】
「V」及び「V」という用語は、抗原結合タンパク質の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域をそれぞれ指すために本明細書で使用される。
【0036】
「CDR」は、抗原結合タンパク質の相補性決定領域アミノ酸配列として定義される。これらは、免疫グロブリン重鎖及び軽鎖の超可変領域である。免疫グロブリンの可変部分には3つの重鎖CDRと3つの軽鎖CDR(又はCDR領域)が存在する。したがって、本明細書で使用される「CDR」は、3つすべての重鎖CDR、3つすべての軽鎖CDR、すべての重鎖及び軽鎖CDR、又は少なくとも2つのCDRを指す。
【0037】
本明細書を通して、可変ドメイン配列中のアミノ酸残基、及び全長の抗原結合配列内の可変ドメイン領域中のアミノ酸残基、例えば、抗体重鎖配列又は抗体軽鎖配列内ののアミノ酸残基は、Kabat番号付け規則に従って番号付けされる。同様に、実施例で使用される「CDR」、「CDRL1」、「CDRL2」、「CDRL3」、「CDRH1」、「CDRH2」、「CDRH3」という用語は、Kabat番号付け規則に従う。さらなる情報については、Kabat et al. Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed., U.S. Department of Health and Human Services, National Institutes of Health (1991)を参照。
【0038】
可変ドメイン配列及び全長の抗体配列中のアミノ酸残基についての別の番号付け規則が存在することは、当業者には自明である。CDR配列についての別の番号付け規則も存在し、例えば、Chothia et al. (1989) Nature 342: 877-883に提示されている番号付け規則である。抗原結合タンパク質の構造及びタンパク質フォールディングは、その他の残基がCDR配列の一部とみなされることを意味し、当業者にはそのように理解される。
【0039】
当業者が利用可能なCDR配列のその他の番号付け規則には、「AbM」法(バース大学)及び「Contact」法(ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン)が含まれる。AbM(バース大学)及びContact(ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン)。Kabat、Chothia、AbM及びcontact法のうち少なくとも2つを使用して最小オーバーラッピング領域(minimum overlapping region)を決定して、「最小結合単位(minimum binding unit)」を得ることができる。最小結合単位は、CDRの一部分であり得る。
【0040】
CDR又は最小結合単位は、少なくとも1個のアミノ酸の置換、欠失又は付加によって改変され得、バリアント抗原結合タンパク質は、非改変タンパク質、例えば、配列番号7及び配列番号8を含む抗体の生物学的特徴を実質的に保持する。
【0041】
CDR又は最小結合単位は、少なくとも1個のアミノ酸の置換、欠失又は付加によって改変され得、バリアント抗原結合タンパク質は、非改変タンパク質、例えば、配列番号7及び配列番号8を含む抗体の生物学的特徴を実質的に保持する。CDR H1、H2、H3、L1、L2、L3の各々は、単独で、又は任意の順列又は組合せで任意のその他のCDRと組み合わせて改変され得ることが理解される。一実施形態において、CDRは、最大3個のアミノ酸、例えば1個又は2個のアミノ酸、例えば1個のアミノ酸の置換、欠失又は付加によって改変される。典型的には、改変は置換、特に保存的置換(本明細書では直接的な同等物(direct equivalent)とも呼ばれる)であり、例えば以下の表1に示される。
【0042】
【表1】
【0043】
クエリーアミノ酸配列と対象アミノ酸配列との間の「同一性パーセント」は、パーセンテージで表される「同一性」値であり、配列全体のペアワイズアラインメントを適切なアルゴリズム/ソフトウェア、例えば、BLASTP、FASTA、ClustalW、MUSCLE、MAFFT、EMBOSS Needle、T-Coffee及びDNASTAR Lasergeneを使用して実行した後に、クエリー配列の全体配列に対して、適切なアルゴリズム又はソフトウェア、例えば、BLASTP、FASTA、DNASTAR Lasergene、GeneDoc、Bioedit、EMBOSS needle又はEMBOSS infoalignを使用して計算される。重要なこととして、クエリーアミノ酸配列は本明細書の1又は2以上の請求項で特定されるアミノ酸配列により記載され得る。
【0044】
クエリー配列は、対象配列と100%同一であり得るか、又は%同一性が100%未満であるように、対象配列と比較して特定の整数個までのアミノ酸又はヌクレオチドの変化を含み得る。例えば、クエリー配列は、対象配列に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも又は少なくとも99%同一である。そのような変更には、少なくとも1個のアミノ酸の欠失、置換(保存的及び非保存的置換を含む)又は挿入が含まれ、この変更は、クエリー配列のアミノ末端位置又はカルボキシ末端位置で起こり得、或いは、それらの末端位置の間の、クエリ配列内のアミノ酸若しくはヌクレオチド間に個別に散在する任意の場所、又はクエリ配列内の1若しくは2以上の連続した群に散在する任意の場所で起こり得る。
【0045】
%同一性は、CDRを含むクエリ配列の全長にわたって決定され得る。或いは、%同一性は、CDRの1又は2以上又はすべてを除外することができる。例えば、すべてのCDRが対象配列と100%同一であり、%同一性の変動は、クエリ配列の残りの部分、例えば、フレームワーク配列に存在し、したがって、CDR配列は固定され、インタクトである。
【0046】
バリアント配列は、非改変タンパク質の生物学的特徴、例えば、ICOSに対するアンタゴニスト性を実質的に保持する。
【0047】
抗原結合フラグメントは、非抗体タンパク質足場上の1又は2以上のCDRの配置によって提供されてもよい。本明細書で使用される「タンパク質足場(Protein Scaffold)」は、免疫グロブリン(Ig)足場、例えば、IgG足場を含むが、これらに限定されない。これは、4本鎖抗体又は2本鎖抗体であってもよく、抗体のFc領域のみから構成されていてもよく、或いは抗体由来の1又は2以上の定常領域(この定常領域はヒト又は霊長類由来であってもよい)を含んでいてもよく、或いはヒト及び霊長類の定常領域の人工キメラであってもよい。
【0048】
タンパク質足場は、Ig足場、例えば、IgG又はIgA足場であってもよい。IgG足場は、抗体のドメイン(すなわち、CH1、CH2、CH3、V、V)の一部又は全部を含んでいてもよい。抗原結合タンパク質は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4又はIgG4PEから選択されるIgG足場を含んでいてもよい。例えば、足場は、IgG1であってもよい。足場は、抗体のFc領域からなるか、又はそれを含んでいてもよく、或いは、その一部であってもよい。
【0049】
抗体のサブクラスにより、二次的エフェクター機能、例えば、補体活性化又はFc受容体(FcR)結合及び抗体依存性細胞傷害(ADCC)が部分的に決定される(Huber et al. Nature 229(5284): 419-20 (1971); Brunhouse et al. Mol Immunol 16(11): 907-17 (1979))。特定の用途にとって最適なタイプの抗体を特定する際に、抗体のエフェクター機能が考慮されてもよい。例えば、hIgG1抗体は、比較的長い半減期を有し、補体の固定時に非常に有効であり、FcγRI及びFcγRIIの両方に結合する。一方、ヒトIgG4抗体は、半減期が短く、補体を固定せず、FcRへの親和性も低い。IgG4のFc領域におけるセリン228をプロリン(S228P)に置換すると、hIgG4で観察される不均一性が減少し、血清半減期が長くなる(Kabat et al. “Sequences of proteins of immunological interest” 5.sup.th Edition (1991); Angal et al. Mol Immunol 30(1): 105-8 (1993))。ロイシン235をグルタミン酸に置換する第2の変異(L235E)により、残存するFcR結合活性及び補体結合活性が消失する(Alegre et al. J Immunol 148(11): 3461-8 (1992))。hIgG4アミノ酸の番号付けは、EU番号付けの文献から得られる:Edelman et al. Proc. Natl. Acad. USA, 63, 78-85 (1969). PMID: 5257969。
【0050】
「ドナー抗体」という用語は、その可変領域のアミノ酸配列、CDR又はその他の機能的フラグメント又はそれらの類似体を、第1の免疫グロブリンパートナーに提供する抗体を指す。したがって、ドナーは、ドナー抗体の抗原特異性及び中和活性特性を有する改変された免疫グロブリンコード領域及びその結果として発現された改変抗体を提供する。
【0051】
「アクセプター抗体」という用語は、ドナー抗体に対して異種であり、その重鎖及び/又は軽鎖フレームワーク領域且つ/或いはその重鎖及び/又は軽鎖定常領域をコードするアミノ酸配列のすべて(又は任意の部分)を、第1の免疫グロブリンパートナーに提供する抗体を意味する。ヒト抗体は、アクセプター抗体であり得る。
【0052】
親和性は、「結合親和性」とも呼ばれ、単一の結合部位での結合の強度である。すなわち、親和性は、ある分子、例えば、本発明の抗原結合タンパク質と、別の分子、例えば、その標的抗原との単一の結合部位での結合の強度である。抗原結合タンパク質とその標的との結合親和性は、平衡法(例えば、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)又はラジオイムノアッセイ(RIA))、又は速度論(例えば、BIACORE分析)によって決定することができる。
【0053】
アビディティは、機能的親和性とも呼ばれ、複数の相互作用部位における結合の累積強度である。例えば、2分子(又はそれ以上(例えば、二重特異性又は多重特異性分子の場合))の複数部位における互いに対する結合の合計強度であり、例えば、相互作用価を考慮する。
【0054】
本明細書で使用される「免疫調節物質」又は「免疫調節剤」は、免疫系に作用する任意の物質、例えば、モノクローナル抗体を指す。いくつかの実施形態において、免疫調節物質又は免疫調節剤は、免疫系のある側面を上方制御する。免疫調節物質は、癌の治療のための抗新生物剤として使用され得る。例えば、免疫調節物質には、抗PD-1抗体(例えば、オプジーボ/ニボルマブ、キートルーダ/ペムブロリズマブ、リブタヨ/セミプリマブ)、抗PD-L1抗体(例えば、バベンチオ/アベルマブ、イミフィンジ/デュルバルマブ、テセントリク/アテゾリズマブ)及び抗ICOS抗体が含まれるが、これらに限定されない。
【0055】
本明細書で使用される場合、「アゴニスト」という用語は、補助シグナル伝達受容体と接触した際に、(1)その受容体を刺激又は活性化すること、(2)その受容体の活性、機能若しくは存在を増強、増大若しくは促進、誘導若しくは延長すること、及び/又は(3)その受容体の発現を増強、増大、促進又は誘導することのうち1又は2以上を生じる、限定されるものではないが抗体を含む抗原結合タンパク質を意味する。アゴニスト活性は、当技術分野で公知の様々なアッセイ、例えば、これらに限定されないが、細胞シグナル伝達、細胞増殖、免疫細胞活性化マーカー、サイトカイン産生の測定によってin vitroで測定され得る。アゴニスト活性はまた、サロゲートエンドポイントを測定する様々なアッセイ、例えば、これらに限定されないが、T細胞増殖又はサイトカイン産生の測定によってin vivoで測定され得る。一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、アゴニスト性ICOS結合タンパク質である。
【0056】
「TGF-β受容体」(TGFβR)及び「TGF-β受容体I」(TGFβRI又はTGFβR1と略される)又は「TGF-β受容体II」(TGFβRII又はTGFβR2と略される)という用語は、当技術分野で周知である。本開示の目的のために、そのような受容体への言及は、全長受容体及びTGF-βに結合することができるフラグメントを含む。好ましくは、それは、受容体の細胞外ドメイン又は細胞外ドメインのTGF-βに結合可能なフラグメントである。
【0057】
「TGF-β阻害剤」という用語は、TGF-βとTGF-β受容体との間の相互作用を阻害し、それによってTGF-βの活性を阻害する分子を指す。この状況における阻害は、完全又は100%である必要はない。代わりに、阻害とは、TGF-βとTGF-β受容体(TGFβR)との間の結合を低減する、減少させる又は抑制すること、及び/又はTGF-β受容体/TGF-βの活性を介したシグナル伝達を低減する、減少させる又は抑制することを意味する。TGF-β阻害剤は、TGF-β又はTGF-β受容体に結合し得る。好ましくは、TGF-β阻害剤はTGF-βに結合する。TGF-β阻害剤は、好ましくはポリペプチド又はタンパク質である。TGF-β阻害剤の例には、本明細書に記載される抗PD-L1/TGFβトラップ及び抗PD-1/TGFβトラップ、並びに可溶性TGF-β受容体及びその他のTGF-β結合タンパク質が含まれる。
【0058】
「PD-1阻害剤」という用語は、PD-1と、そのリガンド(例えば、PD-L1又はPD-L2)の少なくとも1種との間の相互作用を阻害し、それによってPD-1の活性を阻害する分子を指す。この状況における阻害は、完全又は100%である必要はない。代わりに、阻害とは、PD-1と1種若しくは2種以上のそのリガンドとの間の結合を低減する、減少させる又は抑制すること、及び/又はPD-1受容体/PD-1の活性を介したシグナル伝達を低減する、減少させる又は抑制することを意味する。好ましい実施形態において、PD-1阻害剤は、PD-1とPD-L1との間の相互作用を阻害する。PD-1阻害剤は、PD-1又はそのリガンドの1種に結合し得る。好ましくは、PD-1阻害剤はPD-L1に結合する。PD-1阻害剤は、好ましくはポリペプチド又はタンパク質である。PD-1阻害剤の例には、PD-L1結合タンパク質、PD-1結合タンパク質、抗PD-L1/TGFβトラップ、抗PD-1/TGFβトラップ、抗PD-1抗体(例えば、オプジーボ/ニボルマブ、キートルーダ/ペムブロリズマブ、リブタヨ/セミプリマブ)及び抗PD-L1抗体(例えば、バベンチオ/アベルマブ、イミフィンジ/デュルバルマブ、テセントリク/アテゾリズマブ)を含む。
【0059】
ICOS結合タンパク質の例は、例えば、フェラジリマブ、37A10S713、ボプラテリマブ/JTX-2011、ICOS.33 IgG1f S267E、STIM003及び XENP23104を含む。
【0060】
「融合タンパク質」という用語は当技術分野でよく理解されており、本明細書に記載される「PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド」という用語には、IgG:TGFβR融合タンパク質、例えば、抗PD-1(IgG):TGFβR融合タンパク質又は抗PD-L1(IgG):TGFβR融合タンパク質を含むことが理解される。IgG:TGFβR融合タンパク質は、TGF-β受容体に融合しているIgG抗体(好ましくはモノクローナル抗体、好ましくはホモ二量体形態)又はその抗原結合である。抗PD-L1(IgG1):TGFβRII融合タンパク質という名称は、TGF-β受容体II、好ましくはその細胞外ドメインのTGF-βに結合可能なフラグメントに融合している抗PD-L1 IgG1抗体又はその抗原結合フラグメントを示す。抗PD-1(IgG1):TGFβRII融合タンパク質という名称は、TGF-β受容体II、好ましくはその細胞外ドメインのTGF-βに結合可能なフラグメントに融合している抗PD-1 IgG1抗体又はその抗原結合フラグメントを示す。抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質という名称は、TGF-β受容体II、好ましくはその細胞外ドメインのTGF-βに結合可能なフラグメントに融合している抗PD-1 IgG抗体若しくはその抗原結合フラグメント又は抗PD-L1 IgG抗体又はその抗原結合フラグメントを示す。
【0061】
「ビントラフスプアルファ(bintrafusp alfa)」は、M7824としても知られ、当技術分野でよく理解されている。ビントラフスプアルファは、抗PD-L1(IgG1):TGFβRII融合タンパク質であり、CAS登録番号1918149-01-5において記載されている。これはまた、WO2015/118175においても記載されており、Lan et al (Lan et al, “Enhanced preclinical antitumor activity of M7824, a bifunctional fusion protein simultaneously targeting PD-L1 and TGF-β”, Sci. Transl. Med. 10, 2018, p.1-15)においてさらに詳述されている。特に、ビントラフスプアルファは、ヒトTGF-β受容体II(TGFβRII)の細胞外ドメインに融合している、ヒトPD-L1に対する全長ヒトIgG1モノクローナル抗体である。したがって、ビントラフスプアルファは、PD-L1経路及びTGF-β経路を同時に遮断する二機能性融合タンパク質である。特に、WO2015/118175には、ビントラフスプアルファについて、その実施例1(34頁)において「抗PD-L1/TGFβ Trapは、抗PD-L1抗体-TGFβ受容体II融合タンパク質である。この分子の軽鎖は抗PD-L1抗体の軽鎖(配列番号1)と同一である。この分子の重鎖(配列番号3)は、可動性(GlySer)Glyリンカー(配列番号11)を介して可溶性TGFβ受容体II(配列番号10)のN末端に遺伝子融合した抗PD-L1抗体の重鎖(配列番号2)を含む融合タンパク質である。融合接合部において、抗体重鎖のC末端リジン残基をアラニンに突然変異させて、タンパク質分解切断を低減した。」の通り記載されている(ビントラフスプアルファは、この文章では「抗PD-L1/TGFβ Trap」と呼ばれる)。
【0062】
本明細書における「抗PD-L1/TGFβトラップ」という用語は、1)PD-L1に結合し、PD-1とPD-L1との間の相互作用に拮抗することができる抗体又はその抗原結合フラグメントと、2)TGF-βに結合し、TGF-βとTGFβRIIとの間の相互作用に拮抗することができるTGFβRII又はTGFβRIIのフラグメントとを含む融合分子を指す。特定の実施形態において、抗PD-L1/TGFβトラップは、WO2015/118175又はWO2018/205985に記載されている融合分子の1つである。例えば、抗PD-L1/TGFβトラップは、WO2015/118175の配列番号1の軽鎖及び配列番号3の重鎖を含み得る。一実施形態において、抗PD-L1/TGFβトラップはビントラフスプアルファである。別の実施形態において、抗PD-L1/TGFβトラップは、WO2018/205985の表2に列挙された構築物の1つ、、例えば、その構築物9又は15である。その他の実施形態において、WO2018/205985の配列番号11の重鎖配列及び配列番号12の軽鎖配列を有する抗体は、連結配列(GS)G(xは4~5である)を介して、WO2018/205985の配列番号14又は配列番号15のTGFβRII細胞外ドメイン配列に融合されている。別の実施形態において、抗PD-L1/TGFβトラップはSHR1701である。さらなる実施形態において、抗PD-L1/TGFβトラップは、WO2020/006509に記載されている融合分子の1つである。好ましい実施形態において、抗PD-L1/TGFβトラップは、WO2020/006509に記載されているBi-PLB-1、Bi-PLB-2又はBi-PLB-1.2である。好ましい実施形態において、抗PD-L1/TGFβトラップは、WO2020/006509に記載されているBi-PLB-1.2である。好ましい実施形態において、抗PD-L1/TGFβトラップは、WO2020/006509に記載されている配列番号128及び配列番号95を含む。
【0063】
「抗PD-1/TGFβトラップ」という用語は、1)PD-1に結合し、PD-1とPD-L1との間の相互作用及び/又はPD-1とPD-L2との間の相互作用に拮抗することができる抗体又はその抗原結合フラグメントと、2)TGF-βに結合し、TGF-βとTGFβRIIとの間の相互作用に拮抗することができるTGFβRII又はTGFβRIIのフラグメントとを含む融合分子を指す。特定の実施形態において、抗PD-1/TGFβトラップは、WO2020/014285に記載されているPD-1及びTGF-βの両方に結合する融合分子の1つであり、例えば、その図4に示される融合分子、実施例1に記載される融合分子(例えば、表2~9で特定される融合分子)又は表16に特定される融合分子であり、特に、その配列番号15又は配列番号296に対して少なくとも90%同一である配列と、配列番号16、配列番号143、配列番号144、配列番号145、配列番号294又は配列番号295に対して少なくとも90%同一である配列とを含む融合タンパク質である。一実施形態において、抗PD-1/TGFβトラップは、WO2020/014285の配列番号15及び配列番号16を含む。一実施形態において、抗PD-1/TGFβトラップは、WO2020/014285の配列番号15及び配列番号143を含む。一実施形態において、抗PD-1/TGFβトラップは、WO2020/014285の配列番号15及び配列番号144を含む。一実施形態において、抗PD-1/TGFβトラップは、WO2020/014285の配列番号15及び配列番号145を含む。一実施形態において、抗PD-1/TGFβトラップは、WO2020/014285の配列番号15及び配列番号294を含む。一実施形態において、抗PD-1/TGFβトラップは、WO2020/014285の配列番号15及び配列番号295を含む。一実施形態において、抗PD-1/TGFβトラップは、WO2020/014285の配列番号296及び配列番号16を含む。一実施形態において、抗PD-1/TGFβトラップは、WO2020/014285の配列番号296及び配列番号143を含む。一実施形態において、抗PD-1/TGFβトラップは、WO2020/014285の配列番号296及び配列番号144を含む。一実施形態において、抗PD-1/TGFβトラップは、WO2020/014285の配列番号296及び配列番号145を含む。一実施形態において、抗PD-1/TGFβトラップは、WO2020/014285の配列番号296及び配列番号294を含む。一実施形態において、抗PD-1/TGFβトラップは、WO2020/014285の配列番号296及び配列番号295を含む。さらなる実施形態において、抗PD-1/TGFβトラップは、WO2020/006509に記載されている融合分子の1つである。好ましい実施形態において、抗PD-1/TGFβトラップは、WO2020/006509に記載されているBi-PB-1、Bi-PB-2又はBi-PB-1.2である。好ましい実施形態において、抗PD-1/TGFβトラップは、WO2020/006509に記載されているBi-PB-1.2である。好ましい実施形態において、抗PD-1/TGFβトラップは、WO2020/006509に記載されている配列番号108及び配列番号93を含む。
【0064】
「単離された」とは、分子、例えば、抗原結合タンパク質又は核酸が、天然で見られる環境から取り出されることを意味する。例えば、分子は、天然に通常存在する物質から精製され得る。例えば、サンプル中の分子の質量は、総質量の95%であり得る。
【0065】
本明細書で使用される「発現ベクター」という用語は、目的の核酸配列がペプチド鎖、例えば、タンパク質として発現する細胞(例えば、真核細胞若しくは原核細胞)又は無細胞発現系に、目的の核酸を導入するために使用することができる単離された核酸を意味する。このような発現ベクターは、例えば、目的の核酸を含む、コスミド、プラスミド、ウイルス配列、トランスポゾン及び線状核酸であり得る。発現ベクターが細胞又は無細胞発現系(例えば、網状赤血球溶解液)に導入されると、目的の核酸によってコードされるタンパク質が、転写/翻訳機構によって生産される。本開示の範囲内にある発現ベクターは、真核生物又は原核生物の発現に必要なエレメントを備え、ウイルスプロモーター駆動ベクター(例えば、CMVプロモーター駆動ベクター、例えば、pcDNA3.1、pCEP4及びそれらの誘導体)、バキュロウイルス発現ベクター、ショウジョウバエ発現ベクター及び哺乳類遺伝子プロモーター(例えば、ヒトIg遺伝子プロモーター)によって駆動する発現ベクターを含む。その他の例には、原核生物発現ベクター、例えば、T7プロモーター駆動ベクター(例えば、pET41)、ラクトースプロモーター駆動ベクター及びアラビノース遺伝子プロモーター駆動ベクターが含まれる。当業者であれば、その他の多くの適切な発現ベクター及び発現系を認識する。
【0066】
本明細書で使用される「組換え宿主細胞」という用語は、細胞への導入前に単離された目的の核酸配列を含む細胞を意味する。例えば、目的の核酸配列は、発現ベクター中に存在していてもよい。細胞は原核生物又は真核生物であってもよい。真核細胞の例としては、哺乳類細胞、例えば、COS-1細胞、COS-7細胞、HEK293細胞、BHK21細胞、CHO細胞、BSC-1細胞、HepG2細胞、653細胞、SP2/0細胞、NS0細胞、293細胞、HeLa細胞、黒色腫細胞、リンパ腫細胞又はそれらの任意の誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。最も好ましくは、真核細胞は、HEK293細胞、NS0細胞、SP2/0細胞又はCHO細胞である。大腸菌は、典型的な原核細胞である。本開示による組換え細胞は、トランスフェクション、細胞融合、不死化又は当技術分野において周知のその他の方法により生成されてもよい。細胞にトランスフェクトされた目的の核酸配列(例えば、発現ベクター)は、細胞外染色体であり得、或いは、細胞の染色体に安定に組み込まれ得る。
【0067】
本明細書で使用される場合、「有効用量」という用語は、例えば研究者又は臨床医によって求められている、組織、系、動物又はヒトの生物学的又は医学的応答を誘発する薬物又は医薬品の用量を意味する。さらに、「治療有効用量」という用語は、そのような用量を受けていない対応する対象と比較して、疾患、障害若しくは副作用の改善された治療、治癒、予防若しくは改善をもたらす用量又は疾患若しくは障害の進行速度の低下をもたらす用量を意味する。この用語はまた、正常な生理学的機能を増強するのに有効な用量をその範囲内に含む。治療有効用量及び治療レジメンは、一般に経験的に決定され、患者の年齢、患者の体重、患者の健康状態、及び治療される疾患又は障害等の要因に依存し得る。そのような要因は担当医の管理範囲内である。
【0068】
本明細書で示されるいずれのタイプの範囲は、記載された特定の範囲内のすべての値及び特定の範囲の端点付近の値を含む。
【0069】
組合せ
本発明は、ICOS結合タンパク質、PD-1阻害剤及びTGF-β阻害剤を含む組合せに関する。特に、本発明は、癌の治療、特にヒトにおいて癌の治療に使用するための、ICOS結合タンパク質と、PD-1阻害剤及びTGFβRを含むポリペプチド、例えば、IgG:TGFβR融合タンパク質とを提供する。いくつかの実施形態において、PD-1阻害剤は、PD-1結合タンパク質又はPD-L1結合タンパク質である。したがって、いくつかの実施形態において、IgG:TGFβR融合タンパク質は、抗PD-L1(IgG):TGFβRII融合タンパク質である。一実施形態において、IgG:TGFβR融合タンパク質は、配列番号22及び配列番号23を含む。一実施形態において、IgG:TGFβR融合タンパク質はビントラフスプアルファである。一実施形態において、IgG:TGFβR融合タンパク質はSHR1701である。一実施形態において、IgG:TGFβR融合タンパク質は、好ましくは、WO2020/006509に記載されているIgG:TGFβR融合タンパク質である。いくつかの実施形態において、IgG:TGFβR融合タンパク質は、抗PD-1(IgG1):TGFβRII融合タンパク質であり、好ましくは、WO2020/014285又はWO2020/006509に記載されている抗PD-1(IgG1):TGFβRII融合タンパク質である。
【0070】
したがって、本発明の第1の態様によれば、癌の治療に使用するためのICOS結合タンパク質、PD-1阻害剤及びTGF-β阻害剤を含む組合せが提供される。
【0071】
一実施形態において、投与は、ICOS結合タンパク質、次いで、PD-1阻害剤、次いで、TGF-β阻害剤の順序であり得る。別の実施形態において、投与は、ICOS結合タンパク質、次いで、TGF-β阻害剤、次いで、PD-1阻害剤の順序であり得る。別の実施形態において、投与は、PD-1阻害剤、次いで、ICOS結合タンパク質、次いで、TGF-β阻害剤の順序であり得る。別の実施形態において、投与は、PD-1阻害剤、次いで、TGF-β阻害剤、次いで、ICOS結合タンパク質の順序であり得る。別の実施形態において、投与は、TGF-β阻害剤、次いで、ICOS結合タンパク質、次いで、PD-1阻害剤の順序であり得る。別の実施形態において、投与は、TGF-β阻害剤、次いで、PD-1阻害剤、次いで、ICOS結合タンパク質の順序であり得る。
【0072】
さらなる態様では、癌の治療における使用のための、(i)ICOS結合タンパク質及び(ii)PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドを含む組合せが提供される。一実施形態において、PD-1阻害剤はPD-1結合タンパク質である。別の実施形態において、PD-1阻害剤はPD-L1結合タンパク質である。
【0073】
一実施形態において、投与は、ICOS結合タンパク質、次いで、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドの順序であり得る。別の実施形態において、投与は、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド、次いで、ICOS結合タンパク質の順序であり得る。
【0074】
さらなる態様では、癌の治療における使用のための(i)ICOS結合タンパク質、及び(ii)抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質を含む組合せが提供される。したがって、いくつかの実施形態において、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドは、(IgG):TGFβR融合タンパク質である。いくつかの実施形態において、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドは、抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質、例えば、抗PD-L1(IgG):TGFβR融合タンパク質又は抗PD-1(IgG):TGFβR融合タンパク質である。いくつかの実施形態において、IgG:TGFβR融合タンパク質は、抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質、例えば、抗PD-L1(IgG):TGFβR融合タンパク質又は抗PD-1(IgG):TGFβR融合タンパク質である。一実施形態において、IgG:TGFβR融合タンパク質は、(a)ヒトTGFβRII又はTGF-βに結合可能なそのフラグメント;及び(b)抗PD-L1抗体若しくはその抗原結合フラグメント、又は抗PD-1抗体若しくはその抗原結合フラグメントを含む。
【0075】
いくつかの実施形態において、抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、(a)ヒトTGFβRII又はTGF-βに結合可能なそのフラグメント;及び(b)抗PD-L1抗体若しくはその抗原結合フラグメント、又は抗PD-1抗体若しくはその抗原結合フラグメントを含む。一実施形態において、抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、(a)ヒトTGFβRII又はTGF-βに結合可能なそのフラグメント;及び(b)抗PD-L1抗体若しくはその抗原結合フラグメントを含み、抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、抗PD-L1(IgG):TGFβR融合タンパク質である。別の実施形態において、抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、(a)ヒトTGFβRII又はTGF-βに結合可能なそのフラグメント;及び(b)抗PD-1抗体若しくはその抗原結合フラグメントを含み、抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、抗PD-1(IgG):TGFβR融合タンパク質である。
【0076】
一実施形態において、投与は、ICOS結合タンパク質、次いで、抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質の順序であり得る。別の実施形態において、投与は、抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質、次いで、ICOS結合タンパク質の順序であり得る。
【0077】
一実施形態において、投与は、ICOS結合タンパク質、次いで、抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質の順序であり得る。別の実施形態において、投与は、抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質、次いで、ICOS結合タンパク質の順序であり得る。
【0078】
さらなる態様において、癌の治療における使用のための、ICOS結合タンパク質及び抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質を含む組合せであって、ICOS結合タンパク質が、配列番号1のCDRH1、配列番号2のCDRH2及び配列番号3のCDRH3を含む重鎖アミノ酸配列と、配列番号4のCDRL1、配列番号5のCDRL2及び配列番号6のCDRL3を含む軽鎖アミノ酸配列とを含み、抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質が、(i)配列番号13のCDRH1、配列番号14のCDRH2及び配列番号15のCDRH3を含む重鎖アミノ酸配列と、配列番号16のCDRL1、配列番号17のCDRL2及び配列番号18のCDRL3を含む軽鎖アミノ酸配列とを含むPD-L1結合タンパク質と、(ii)ヒトTGFβRII又はTGF-βに結合可能なそのフラグメントとを含む、組合せが提供される。
【0079】
別の態様において、癌の治療における使用のための、ICOS結合タンパク質及び抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質を含む組合せであって、ICOS結合タンパク質が、配列番号9のアミノ酸配列に対して少なくとも約90%同一である重鎖アミノ酸配列と、配列番号10のアミノ酸配列に対して少なくとも約90%同一である軽鎖アミノ酸配列とを含み、抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質が、(i)配列番号21のアミノ酸配列に対して少なくとも約90%同一である重鎖アミノ酸配列と、配列番号22のアミノ酸配列に対して少なくとも約90%同一である軽鎖アミノ酸配列とを含むPD-L1結合タンパク質と、(ii)ヒトTGFβRII又はTGF-βに結合可能なそのフラグメントとを含む、組合せが提供される。
【0080】
別の態様において、癌の治療における使用のための、ICOS結合タンパク質及び抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質を含む組合せであって、ICOS結合タンパク質が、配列番号9のアミノ酸配列に対して少なくとも約90%同一である重鎖アミノ酸配列と、配列番号10のアミノ酸配列に対して少なくとも約90%同一である軽鎖アミノ酸配列とを含み、抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質が、配列番号21のアミノ酸配列に対して少なくとも約90%同一である重鎖アミノ酸配列と、配列番号22のアミノ酸配列に対して少なくとも約90%同一である軽鎖アミノ酸配列とを含む、組合せが提供される。
【0081】
別の態様において、ヒトにおいて癌の治療に使用するためのICOS結合タンパク質であって、ICOS結合タンパク質が、抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質と組み合わされて投与され、ICOS結合タンパク質が、配列番号1のCDRH1、配列番号2のCDRH2及び配列番号3のCDRH3を含む重鎖アミノ酸配列と、配列番号4のCDRL1、配列番号5のCDRL2及び配列番号6のCDRL3を含む軽鎖アミノ酸とを含み、抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質が、(i)配列番号13のCDRH1と、配列番号14のCDRH2と、配列番号15のCDRH3と、配列番号16のCDRL1、配列番号17のCDRL2及び配列番号18のCDRL3を含む軽鎖アミノ酸配列とを含むPD-L1結合タンパク質と、(ii)ヒトTGFβRII又はTGF-βに結合可能なそのフラグメントとを含む、ICOS結合タンパク質が提供される。
【0082】
別の態様において、癌の治療に使用するための抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質であって、抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質が、ICOS結合タンパク質と組み合わされて投与され、抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質が、(i)配列番号13のCDRH1、配列番号14のCDRH2及び配列番号15のCDRH3を含む重鎖アミノ酸配列と、配列番号16のCDRL1、配列番号17のCDRL2及び配列番号18のCDRL3を含む軽鎖アミノ酸配列とを含むPD-L1結合タンパク質と、(ii)ヒトTGFβRII又はTGF-βに結合可能なそのフラグメントとを含み、ICOS結合タンパク質が、配列番号1のCDRH1、配列番号2のCDRH2及び配列番号3のCDRH3を含む重鎖アミノ酸配列と、配列番号4のCDRL1、配列番号5のCDRL2及び配列番号6のCDRL3を含む軽鎖アミノ酸配列とを含む、抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質が提供される。
【0083】
本明細書に記載される本発明の「組合せ」という用語は、少なくとも2種の治療剤(すなわち、抗原結合タンパク質又は阻害剤)を指す。「組合せ」への言及は、2種の治療剤が同時に(すなわち、同時に)(concurrently (i.e. simultaneously))又は逐次に投与される実施形態を含むことが理解される。したがって、本発明の組合せの別個の治療剤及びそのような治療剤を含む医薬組成物は、一緒に又は別個に投与され得る。別個に投与される場合、これは同時に又は任意の順序で逐次に(同じ又は異なる投与経路によって)行ってもよい。好ましい実施形態において、ICOS結合タンパク質は、最初に投与される。このような逐次投与は、時間的に近い場合もあれば、時間的に離れている場合もある。本発明の治療剤又はその薬学的に許容可能な塩及び追加の治療有効成分の用量と、投与の相対的なタイミングは、所望の併用治療効果を達成するために選択される。
【0084】
本発明の組合せの投与は、単一の治療剤単独の別個の投与と比較した場合に、それらの組合せが以下の特性:i)最も活性の高い単剤よりも大きな抗癌作用、ii)相乗的若しくは極めて相乗的な抗癌活性、iii)副作用プロファイルの低減とともに、抗癌活性の増強を示す投与プロトコル、iv)毒性作用プロファイルの低減、v)治療域の増大、及び/又はvi)治療剤の一方若しくは両方のバイオアベイラビリティの増大の改善のうちの1又は2以上をもたらし得るという点で別個の治療剤よりも有利であり得る。
【0085】
一実施形態において、組合せにおける各結合タンパク質は、その固有の医薬組成物として個々に処方され、これらの医薬組成物のそれぞれが癌を治療するために投与される。本実施形態において、これらの医薬組成物のそれぞれは、同じ又は異なる担体、希釈剤又は賦形剤を有し得る。例えば、一実施形態において、第1の医薬組成物は、ICOS結合タンパク質を含み、第2の医薬組成物は、抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質を含み、第1及び第2の医薬組成物は両方とも癌を治療するために投与される。
【0086】
一実施形態において、組合せにおける各結合タンパク質は、一緒に単一の医薬組成物に調合され、癌を治療するために投与される。例えば、一実施形態において、単一の医薬組成物は、ICOS結合タンパク質及び抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質の両方を含み、癌を治療するために単一の医薬組成物として投与される。
【0087】
ICOSに結合する抗原結合タンパク質及び抗体
本発明の態様又は実施形態のいずれかにおけるICOSに対する薬剤は、ICOSに特異的に結合するモノクローナル抗体(mAb)又はその抗原結合フラグメントを含む。いくつかの実施形態において、ICOSに対するmAbは、ヒトICOSに特異的に結合する。一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、モノクローナル抗体又はその抗原結合フラグメントである。mAbは、ヒト抗体、ヒト化抗体又はキメラ抗体であり得、ヒト定常領域を含み得る。ヒト定常領域は、IgG1、IgG2、IgG3及びIgG4定常領域からなる群から選択され、好ましい実施形態において、ヒト定常領域は、IgG1又はIgG4定常領域である。抗原結合フラグメントは、Fab、Fab’-SH、F(ab’)2、scFv及びFvフラグメントからなる群から選択され得る。
【0088】
本明細書で使用される「ICOS」は、任意の誘導性T細胞補助刺激タンパク質を意味する。ICOSの別称には、AILIM;CD278;CVID1、JTT-1、JTT-2、MGC39850又は8F4が含まれる。ICOSは、活性化T細胞で発現されるCD28スーパーファミリー補助刺激分子である。この遺伝子によりコードされるタンパク質は、CD28及びCTLA-4細胞表面受容体ファミリーに属する。このタンパク質はホモ二量体を形成し、細胞間シグナル伝達、免疫応答及び細胞増殖制御に重要な役割を果たす。ヒトICOS(アイソフーム2)(受託番号:UniProtKB-Q9Y6W8-2)のアミノ酸配列を配列番号11として以下に示す。
【0089】
MKSGLWYFFLFCLRIKVLTGEINGSANYEMFIFHNGGVQILCKYPDIVQQFKMQLLKGGQILCDLTKTKGSGNTVSIKSLKFCHSQLSNNSVSFFLYNLDHSHANYYFCNLSIFDPPPFKVTLTGGYLHIYESQLCCQLKFWLPIGCAAFVVVCILGCILICWLTKKM(配列番号11)
【0090】
ヒトICOS(アイソフォーム1)(受託番号:UniProtKB-Q9Y6W8-1)のアミノ酸配列を配列番号12として以下に示す。
【0091】
MKSGLWYFFLFCLRIKVLTGEINGSANYEMFIFHNGGVQILCKYPDIVQQFKMQLLKGGQILCDLTKTKGSGNTVSIKSLKFCHSQLSNNSVSFFLYNLDHSHANYYFCNLSIFDPPPFKVTLTGGYLHIYESQLCCQLKFWLPIGCAAFVVVCILGCILICWLTKKKYSSSVHDPNGEYMFMRAVNTAKKSRLTDVTL(配列番号12)
【0092】
ICOSの活性化は、ICOS-L(B7RP-1/B7-H2)による結合を介して生じる。B7-1又はB7-2(CD28及びCTLA4のリガンド)のいずれも、ICOSと結合せず、ICOSを活性化しない。しかしながら、ICOS-Lは、CD28及びCTLA-4のいずれにも弱く結合することが示されている(Yao et al. “B7-H2 is a costimulatory ligand for CD28 in human”, Immunity, 34(5); 729-40 (2011))。ICOSの発現は、T細胞に限定されていると考えられている。ICOSの発現レベルは、T細胞のサブセット及びT細胞の活性化状態が異なれば異なる。ICOSの発現は、休止中のTH17、T濾胞性ヘルパー(TFH)及び制御性T(Treg)細胞で示されているが、CD28とは異なり、ナイーブT1及びT2エフェクターT細胞集団での発現は高くない(Paulos et al. “The inducible costimulator (ICOS) is critical for the development of human Th17 cells”, Sci Transl Med, 2(55); 55ra78 (2010))。ICOSの発現は、TCRの会合を介した活性化の後にCD4+及びCD8+エフェクターT細胞において強く誘導される(Wakamatsu et al. “Convergent and divergent effects of costimulatory molecules in conventional and regulatory CD4+ T cells”, Proc Natl Acad Sci USA, 110(3); 1023-8 (2013))。ICOS受容体を介した補助刺激シグナル伝達は、同時にTCR活性化シグナルを受けているT細胞のみに起こる(Sharpe AH and Freeman GJ. “The B7-CD28 Superfamily”, Nat. Rev Immunol, 2(2); 116-26 (2002))。活性化された抗原特異的T細胞において、ICOSは、T1及びT2の両方のサイトカイン、例えば、IFN-γ、TNF-α、IL-10、IL-4、IL-13及びその他の産生を調節する。ICOSはまた、CD28よりも程度は小さくとも、エフェクターT細胞の増殖も刺激する(Sharpe AH and Freeman GJ. “The B7-CD28 Superfamily”, Nat. Rev Immunol, 2(2); 116-26 (2002))。
【0093】
「ICOSに対する薬剤」とは、ICOSに結合し得る任意の化学的な化合物又は生体分子を意味する。いくつかの実施形態において、ICOSに対する薬剤は、ICOS結合タンパク質である。その他のいくつかの実施形態において、ICOSに対する薬剤は、ICOSアゴニストである。いくつかの実施形態において、ICOS結合タンパク質は、アゴニスト性ICOS結合タンパク質である。
【0094】
本明細書で使用される「ICOS結合タンパク質」という用語は、ICOSに結合するタンパク質(例えば、抗体)若しくはその抗体結合フラグメント、又はICOSに結合することができる抗体と同様に機能する操作された分子を指す。一実施形態において抗体はモノクローナル抗体である。いくつかの場合において、ICOSはヒトICOSである。「ICOS結合タンパク質」という用語は、「ICOS結合薬」、「ICOS抗原結合タンパク質」又は「ICOS抗原結合薬」と交換可能に使用され得る。したがって、当技術分野で理解されるように、抗ICOS抗体及び/又はICOS抗原結合タンパク質は、ICOS結合タンパク質とみなされる。この定義には、天然の同族リガンド又は受容体は含まれない。ICOS結合タンパク質、特に抗ICOS抗体への言及には、抗原結合部分又はそのフラグメントが含まれる。本明細書で使用される場合、ICOS結合タンパク質の「抗原結合部分」は、抗原結合抗体フラグメントを含むがこれに限定されない、ICOSに結合することができるICOS結合タンパク質の部分を含む。
【0095】
一実施形態において、本発明のICOS結合タンパク質は、以下のCDR:
CDRH1:DYAMH(配列番号1)
CDRH2:LISIYSDHTNYNQKFQG(配列番号2)
CDRH3:NNYGNYGWYFDV(配列番号3)
CDRL1:SASSSVSYMH(配列番号4)
CDRL2:DTSKLAS(配列番号5)
CDRL3:FQGSGYPYT(配列番号6)
のいずれか1つ又は組合せを含む。
【0096】
一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、配列番号1に記載のアミノ酸配列に対して1個又は2個のアミノ酸変化(「CDRバリアント」)を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1(「CDRH1」)を含む。
【0097】
一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、配列番号2に記載のアミノ酸配列に対して5個以下、例えば、4個以下、3個以下、2個以下又は1個のアミノ酸変化(「CDRバリアント」)を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2(「CDRH2」)を含む。さらなる実施形態において、CDRH2は、配列番号2に記載のアミノ酸配列に対して1個又は2個のアミノ酸変化を有するアミノ酸配列を含む。
【0098】
一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、配列番号3に記載のアミノ酸配列に対して1個又は2個のアミノ酸変化(「CDRバリアント」)を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3(「CDRH3」)を含む。
【0099】
一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、配列番号4に記載のアミノ酸配列に対して3個以下、例えば、1個又は2個のアミノ酸変化(「CDRバリアント」)を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1(「CDRL1」)を含む。
【0100】
一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、配列番号5に記載のアミノ酸配列に対して1個又は2個のアミノ酸変化(「CDRバリアント」)を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2(「CDRL2」)を含む。
【0101】
一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、配列番号6に記載のアミノ酸配列に対して3個以下、例えば、1個又は2個のアミノ酸変化(「CDRバリアント」)を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3(「CDRL3」)を含む。
【0102】
一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、配列番号1に記載のアミノ酸配列に対して最大1個のアミノ酸変化を有するアミノ酸配列を含むCDRH1;配列番号2に記載のアミノ酸配列に対して最大5個のアミノ酸変化を有するアミノ酸配列を含むCDRH2;配列番号3に記載のアミノ酸配列に対して最大1個のアミノ酸変化を有するアミノ酸配列を含むCDRH3;配列番号4に記載のアミノ酸配列に対して最大3個のアミノ酸変化を有するアミノ酸配列を含むCDRL1;配列番号5に記載のアミノ酸配列に対して最大1個のアミノ酸変化を有するアミノ酸配列を含むCDRL2;及び/又は配列番号6に記載のアミノ酸配列に対して最大3個のアミノ酸変化を有するアミノ酸配列を含むCDRL3を含む。
【0103】
本発明の一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、配列番号7に記載のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域にCDRH1(配列番号1)、CDRH2(配列番号2)及びCDRH3(配列番号3)を含む。配列番号7に記載のヒト化重鎖可変領域を含む本発明のICOS結合タンパク質を「H2」と呼称する。いくつかの実施形態において、本発明の抗ICOS抗体は、配列番号7に対して少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖可変領域を含む。好適には、本発明のICOS結合タンパク質は、配列番号7に対して約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%又は約100%の配列同一性を有する重鎖可変領域を含み得る。
【0104】
ヒト化重鎖(V)可変領域(H2):
【0105】
【化1】
【0106】
一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、配列番号7に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%又は少なくとも約100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(「V」)を含む。一実施形態において、Vは、配列番号7に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも1個のアミノ酸変化、例えば、配列番号7に記載のアミノ酸配列に対して1~5個、例えば1~3個、特に最大2個のアミノ酸変化を有するアミノ酸配列を含む。
【0107】
本発明の一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、配列番号8に記載のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域にCDRL1(配列番号4)、CDRL2(配列番号5)及びCDRL3(配列番号6)を含む。配列番号8に記載のヒト化軽鎖可変領域を含む本発明のICOS結合タンパク質は、「L5」として指定されている。したがって、配列番号7の重鎖可変領域及び配列番号8の軽鎖可変領域を含む本発明のICOS結合タンパク質を、本明細書においてH2L5と呼称する場合がある。
【0108】
いくつかの実施形態において、本発明のICOS結合タンパク質は、配列番号8に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖可変領域を含む。好適には、本発明のICOS結合タンパク質は、配列番号8に対して約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%又は約100%の配列同一性を有する軽鎖可変領域を含み得る。
【0109】
ヒト化軽鎖(V)可変領域(L5):
【0110】
【化2】
【0111】
一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、配列番号8に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%又は少なくとも約100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(「V」)を含む。一実施形態において、Vは、配列番号8に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも1個のアミノ酸変化、例えば、配列番号8に記載のアミノ酸配列に対して1~5個、例えば1~3個、特に最大2個のアミノ酸変化を有するアミノ酸配列を含む。
【0112】
一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、配列番号7に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むVドメイン及び/又は配列番号8に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むVドメインを含み、ICOS結合タンパク質は、ヒトICOSに特異的に結合する。一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、配列番号7に記載のアミノ酸配列を有するVと、配列番号8に記載のアミノ酸配列を有するVとを含む。
【0113】
一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、配列番号7のアミノ酸配列を含むVと、配列番号8のアミノ酸配列を含むVとを含む。
【0114】
一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、配列番号7に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%又は少なくとも約100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVと、配列番号8に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%又は少なくとも約100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVとを含む。
【0115】
一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、配列番号9に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又は少なくとも100%の配列同一性を有する重鎖(HC)アミノ酸配列を含むヒト化モノクローナル抗体である。
【0116】
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYTFTDYAMHWVRQAPGQGLEWMGLISIYSDHTNYNQKFQGRVTITADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCGRNNYGNYGWYFDVWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEFEGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK(配列番号9)
【0117】
一実施形態において、HCは、配列番号9に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも1個のアミノ酸変化、例えば、配列番号9に記載のアミノ酸配列に対して1~10個、例えば1~7個、特に最大6個のアミノ酸変化を有するアミノ酸配列を含む。さらなる実施形態において、HCは、配列番号9に記載のアミノ酸配列に対して、1個、2個、3個、4個、5個、6個又は7個のアミノ酸変化を含む。
【0118】
一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、配列番号10に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又は少なくとも100%の配列同一性を有する軽鎖(LC)アミノ酸配列を含むヒト化モノクローナル抗体である。
【0119】
EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCSASSSVSYMHWYQQKPGQAPRLLIYDTSKLASGIPARFSGSGSGTDYTLTISSLEPEDFAVYYCFQGSGYPYTFGQGTKLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号10)
【0120】
一実施形態において、LCは、配列番号10に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも1個のアミノ酸変化、例えば、配列番号10に記載のアミノ酸配列に対して1~10個、例えば1~5個、特に最大3個のアミノ酸変化を有するアミノ酸配列を含む。さらなる実施形態において、LCは、配列番号10に記載のアミノ酸配列に対して、1個、2個又は3個のアミノ酸変化を含む。
【0121】
一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、配列番号9に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%又は少なくとも約100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むHCと、配列番号10に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%又は少なくとも約100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むLCとを含む。したがって、この抗体は、配列番号9の重鎖アミノ酸配列に対して少なくとも約90%同一である重鎖及び/又は配列番号10の軽鎖アミノ酸配列に対して少なくとも約90%同一である軽鎖を有する抗体である。
【0122】
一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、配列番号9のアミノ酸配列に対して少なくとも約90%同一である重鎖アミノ酸配列及び/又は配列番号10のアミノ酸配列に対して少なくとも約90%同一である軽鎖アミノ酸配列を含む。
【0123】
一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、配列番号9の重鎖配列と、配列番号10の軽鎖配列とを含む。
【0124】
一実施形態において、ADCC及び/又は補体活性化機能若しくはエフェクター機能が低下した重鎖定常領域を含むICOS結合タンパク質が提供される。そのような一実施形態において、重鎖定常領域は、IgG2若しくはIgG4アイソタイプの天然に無効化された定常領域又は変異IgG1定常領域を含み得る。
【0125】
一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、アミノ酸置換S228P及びL235E又はその機能的同等物を含むIgG4 Fc領域を含む。一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、S229P及びL236E置換を含むIgG4 Fc領域を含む。そのような実施形態は、IgG4PEという表示を有する場合がある。したがって、重鎖可変領域H2及び軽鎖可変領域L5並びにIgG4PE Fc領域を有するICOS結合タンパク質を、H2L5 IgG4PE又は同義的にH2L5 hIgG4PEと呼称する場合がある。
【0126】
一実施形態において、ICOS結合タンパク質はフェラジリマブである。一実施形態において、ICOS結合タンパク質はH2L5である。一実施形態において、ICOS結合タンパク質はH2L5 hIgG4PEである。H2L5 hIgG4PEは、配列番号1~6に示されるCDR配列を含み、それぞれ配列番号7及び配列番号8に示される可変重鎖配列及び可変軽鎖配列を含み、それぞれ配列番号9及び配列番号10に示される重鎖配列及び軽鎖配列を含む。
【0127】
ICOSに対する抗体及び疾患の治療に使用する方法は、例えば、WO2012/131004、US2011/0243929及びUS2016/0215059に記載されている。US2016/0215059は、参照により本明細書に組み込まれる。ヒトICOSに対するアゴニスト活性を有するマウス抗体のCDRは、PCT/EP2012/055735(WO2012/131004)に示されている。ICOSに対する抗体はまた、WO2008/137915、WO2010/056804、EP1374902、EP1374901及びEP1125585にも記載されている。ICOSに対するアゴニスト抗体又はアゴニスト性ICOS結合タンパク質は、WO2012/13004、WO2014/033327、WO2016/120789、US2016/0215059及びUS2016/0304610に記載されている。US2016/0304610における例示的な抗体には、37A10S713が含まれる。37A10S713の配列を配列番号31~38として以下に示す。
【0128】
37A10S713 V CDR1:GFTFSDYWMD(配列番号31)
37A10S713 V CDR2:NIDEDGSITEYSPFVKG(配列番号32)
37A10S713 V CDR3:WGRFGFDS(配列番号33)
37A10S713 V CDR1:KSSQSLLSGSFNYLT(配列番号34)
37A10S713 V CDR2:YASTRHT(配列番号35)
37A10S713 V CDR3:HHHYNAPPT(配列番号36)
【0129】
37A10S713 重鎖可変領域:
【0130】
【化3】
【0131】
37A10S713 軽鎖可変領域:
【0132】
【化4】
【0133】
一実施形態において、ICOS結合タンパク質はボプラテリマブである。一実施形態において、ICOS結合タンパク質はJTX-2011である。
【0134】
US2018/0289790における例示的な抗体には、ICOS.33 IgG1f S267Eが含まれる。ICOS.33 IgG1f S267Eの配列を配列番号39~40として以下に示す。
【0135】
ICOS.33 IgGlf S267E 重鎖可変ドメイン:
EVQLVESGGGLVKPGGSLRLSCAASGFTFSDYFMHWVRQAPGKGLEWVGVIDTKSFNYATYYSDLVKGRFTISRDDSKNTLYLQMNSLKTEDTAVYYCTATIAVPYYFDYWGQGTLVTVSS(配列番号39)
【0136】
ICOS.33 IgGlf S267E 軽鎖可変ドメイン:
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCQASQDISNYLSWYQQKPGKAPKLLIYYTNLLAEGVPSRFSGSGSGTDFTFTISSLQPEDIATYYCQQYYNYRTFGPGTKVDIK(配列番号40)
【0137】
一実施形態において、ICOS結合タンパク質はBMS-986226である。
【0138】
WO2018/029474における例示的な抗体には、STIM003が含まれる。STIM003の配列を配列番号41~42として以下に示す。
【0139】
STIM003 重鎖可変ドメイン:
EVQLVESGGGVVRPGGSLRLSCVASGVTFDDYGMSWVRQAPGKGLEWVSGINWNGGDTDYSDSVKGRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTALYYCARDFYGSGSYYHVPFDYWGQGILVTVSS(配列番号41)
【0140】
STIM003 軽鎖可変ドメイン:
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASQSVSRSYLAWYQQKRGQAPRLLIYGASSRATGIPDRFSGDGSGTDFTLSISRLEPEDFAVYYCHQYDMSPFTFGPGTKVDIK(配列番号42)
【0141】
一実施形態において、ICOS結合タンパク質はKY-1044である。
【0142】
WO2018/045110における例示的な抗体には、XENP23104が含まれる。XENP23104のICOS結合Fab側([ICOS]_H0.66_L0)の配列を配列番号43~50として以下に示す。
【0143】
XENP23104[ICOS]_H0.66_L0 重鎖可変ドメイン:
【0144】
【化5】
【0145】
XENP23104[ICOS]_H0.66_L0 V CDR1:
GYYMH(配列番号44)
【0146】
XENP23104[ICOS]_H0.66_L0 V CDR2:
WINPHSGETIYAQKFQG(配列番号45)
【0147】
XENP23104[ICOS]_H0.66_L0 V CDR3:
TYYYDTSGYYHDAFDV(配列番号46)
【0148】
XENP23104 [ICOS]_H0.66_L0 軽鎖可変ドメイン:
【0149】
【化6】
【0150】
XENP23104[ICOS]_H0.66_L0 V CDR1:
RASQGISRLLA(配列番号48)
【0151】
XENP23104[ICOS]_H0.66_L0 V CDR1:
RASQGISRLLA(配列番号49)
【0152】
XENP23104[ICOS]_H0.66_L0 V CDR3:
QQANSFPWT(配列番号50)
【0153】
本明細書で使用される場合、「ICOS-L」及び「ICOSリガンド」は、交換可能に使用され、ヒトICOSの膜結合型天然リガンドを指す。ICOSリガンドは、ヒトにおいてICOSLG遺伝子によりコードされるタンパク質である。ICOSLGはまた、CD275(分化抗原群275)とも呼称されている。ICOS-Lの別称には、B7RP-1及びB7-H2が含まれる。
【0154】
IgG:TGFβR 融合タンパク質
本発明は、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド、例えば、抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質、好ましくは、抗PD-L1(IgG1):TGFβRII融合タンパク質又は抗PD-1(IgG1):TGFβRII融合タンパク質を含む組合せに関する。
【0155】
本発明は、PD-1阻害剤(例えば、PD-1又はPD-L1に結合する抗体又はその抗原結合フラグメント)と、TGFβR又はTGF-βに結合可能なそのフラグメントとを含むポリペプチド(例えば、ヒトTGFβRII又はTGF-βに結合可能なそのフラグメント、例えば、可溶性フラグメント)を含む組合せを特徴とする。
【0156】
したがって、本発明は、(a)ヒトTGFβRII又はTGFβに結合可能なそのフラグメント(例えば、可溶性フラグメント);及び(b)PD-L1に結合する抗体又はその抗原結合フラグメント(例えば、本明細書に記載のPD-L1抗体又は抗体フラグメントのいずれか)を含む融合タンパク質を含む組合せを特徴とする。
【0157】
本発明の態様又は実施形態のいずれかにおけるポリペプチド及び融合タンパク質は、好ましくは、PD-1阻害剤(例えば、PD-1結合タンパク質)に係留されている(tethered)可溶性サイトカイン受容体であるTGFβRを含む。いくつかの実施形態において、TGFβRはTGFβRII(TGFβR2とも呼ばれる)である。いくつかの実施形態において、PD-1阻害剤は、PD-L1結合タンパク質(例えば、PD-L1に特異的に結合するモノクローナル抗体(mAb)又はその抗原結合フラグメント)である。その他の実施形態において、PD-1阻害剤は、PD-1結合タンパク質(例えば、PD-1に特異的に結合するモノクローナル抗体(mAb)又はその抗原結合フラグメント)である。一実施形態では、PD-L1又はPD-1結合タンパク質は、モノクローナル抗体又はその抗原結合フラグメントである。いくつかの実施形態において、mAbは、ヒトPD-L1又はPD-1に特異的に結合する。mAbは、ヒト抗体、ヒト化抗体又はキメラ抗体であり得、ヒト定常領域を含み得る。ヒト定常領域は、IgG1、IgG2、IgG3及びIgG4定常領域からなる群から選択され、好ましい実施形態において、ヒト定常領域は、IgG1又はIgG4定常領域である。さらなる実施形態において、PD-L1又はPD-1結合タンパク質は、免疫グロブリンG4(IgG4)モノクローナル抗体、特にIgG4ヒト化モノクローナル抗体である。抗原結合フラグメントは、Fab、Fab’-SH、F(ab’)2、scFv及びFvフラグメントからなる群から選択され得る。
【0158】
プログラム細胞死I(PD-1)/PD-L1軸は、腫瘍免疫回避の重要なメカニズムである。抗原を慢性的に感知するエフェクターT細胞は、PD-1発現によって特徴付けられる疲弊した表現型(腫瘍細胞がPD-L1を上方制御することによって関与する状態)となる。さらに、腫瘍微小環境において、骨髄細胞、マクロファージ、実質細胞及びT細胞がPD-L1を上方制御する。この軸を遮断すると、これらのT細胞のエフェクター機能が回復する。抗PD-L1/TGFβトラップは、TGF-β(1、2及び3のアイソフォーム)にも結合する。TGF-βは、細胞、例えば、アポトーシスを起こした好中球、骨髄由来サプレッサー細胞、T細胞及び腫瘍細胞によって腫瘍微小環境で生産される抑制性サイトカインである。可溶性TGFβRIIによるTGF-βの阻害は、CD8+T細胞の抗腫瘍効果の増加が関係する形で悪性中皮腫を減少させた。活性化CD4+T細胞及びTreg細胞によって生産されるTGF-β1の欠如は、腫瘍増殖を阻害し、マウスを自然発生的な癌から保護することが示されている。したがって、TGF-βは腫瘍免疫回避に重要であると考えられている。
【0159】
TGF-βは、正常な上皮細胞に対して上皮細胞ホメオスタシスの制御因子として機能して成長阻害効果を有し、発癌初期の腫瘍抑制因子として作用する。腫瘍が悪性に進行するにつれて、腫瘍に対するTGF-βの成長阻害効果は、1又は2以上のTGF-β経路シグナル伝達コンポーネントの変異又は発癌性の再プログラミングによって消失する。TGF-β阻害に対する感受性が消失すると、腫瘍は高レベルのTGF-βを生産し続け、これが腫瘍の増殖を促進する。TGF-βサイトカインは、腫瘍ステージに相関して、様々な癌種で過剰発現している。腫瘍微小環境内の多くの種類の細胞、例えば、腫瘍細胞自体、未熟骨髄細胞、制御性T細胞及び間質線維芽細胞が、TGF-βを生産し、これらの細胞は、細胞外マトリックスにTGF-βの大きなリザーバーを集合的に生成する。TGF-βシグナル伝達は、転移を促進し、血管新生を刺激し、抗腫瘍自然免疫及び抗腫瘍獲得免疫を抑制することにより、腫瘍の進行に寄与する。広範な免疫抑制因子として、TGF-βは活性化細胞傷害性T細胞及びNK細胞のエフェクター機能を直接的に下方制御し、ナイーブCD4+T細胞からの免疫抑制性の制御性T細胞(Treg)表現型への分化を強力に誘導する。さらに、TGF-βは、マクロファージ及び好中球を、免疫抑制性サイトカインの生産に関わる創傷治癒表現型に極性化させる。治療戦略として、TGF-β活性の中和は、効果的な抗腫瘍免疫を回復させ、転移を阻止し、血管新生を阻害することにより、腫瘍増殖を制御する可能性を有する。
【0160】
これらの経路、PD-1又はPD-L1、及びTGF-βを組み合わせることは、抗腫瘍アプローチとして魅力的である。PD-1及びTGF-βの同時遮断は、炎症誘発性サイトカインを回復させることができる。抗PD-L1/TGFβトラップは、例えば、完全ヒトIgG1抗PD-L1抗体の各重鎖のC末端に、グリシン/セリンリンカーを介して共有結合したヒトTGF-β受容体TGFβRIIの細胞外ドメインを含む。応答が明らかであるが、効果のサイズを増強する余地があるPD-1/PD-LIクラスの新たな状況を考えると、相補的な免疫調節ステップを同時標的化することで腫瘍応答が改善されることが想定される。TGF-β-1、2及び3を標的とするモノクローナル抗体である同様のTGF標的薬であるフレソリムマブは、黒色腫を有する対象において第I相試験で腫瘍応答の初期の証拠を示した。
【0161】
本明細書で使用される場合、「PD-L1に対する薬剤」又は「PDL1に対する薬剤」は、PD-L1に結合し得る任意の化学的な化合物又は生体分子を意味する。いくつかの実施形態において、PD-L1に対する薬剤は、PD-L1結合タンパク質である。
【0162】
本明細書で使用される「PD-L1結合タンパク質」又は「PD-L1結合タンパク質」という用語は、PD-L1に結合することができる抗体及びその他のタンパク質コンストラクト、例えば、ドメインを指す。いくつかの場合において、PD-L1はヒトPD-L1である。「PD-L1結合タンパク質」という用語は、「PD-L1結合薬」、「PD-L1抗原結合タンパク質」又は「PD-L1抗原結合薬」と交換可能に使用され得る。したがって、当技術分野で理解されるように、抗PD-L1抗体及び/又はPD-L1抗原結合タンパク質は、PD-L1結合タンパク質とみなされる。この定義には、天然の同族リガンドは含まれない。PD-L1結合タンパク質への言及には、抗原結合部分又はそのフラグメントが含まれる。本明細書で使用される場合、PD-L1結合タンパク質の「抗原結合部分」は、抗原結合抗体フラグメントを含むがこれに限定されない、PD-L1に結合することができるPD-L1結合タンパク質の部分を含む。
【0163】
本明細書で使用される場合、「PD-1に対する薬剤」又は「PD1に対する薬剤」は、PD-1に結合し得る任意の化学的な化合物又は生体分子を意味する。いくつかの実施形態において、PD-1に対する薬剤は、PDL1結合タンパク質である。
【0164】
本明細書で使用される「PD-1結合タンパク質」又は「PD1結合タンパク質」という用語は、PD-1に結合することができる抗体及びその他のタンパク質コンストラクト、例えば、ドメインを指す。いくつかの場合において、PD-1はヒトPD-1である。「PD-1結合タンパク質」という用語は、「PD-1結合薬」、「PD-1抗原結合タンパク質」又は「PD-1抗原結合薬」と交換可能に使用され得る。したがって、当技術分野で理解されるように、抗PD-1抗体及び/又はPD-1抗原結合タンパク質は、PD-1結合タンパク質とみなされる。この定義には、天然の同族リガンドは含まれない。PD-1結合タンパク質への言及には、抗原結合部分又はそのフラグメントが含まれる。本明細書で使用される場合、PD-1結合タンパク質の「抗原結合部分」は、抗原結合抗体フラグメントを含むがこれに限定されない、PD-1に結合することができるPD-1結合タンパク質の部分を含む。
【0165】
一実施形態において、本発明のPD-L1結合タンパク質は、以下のCDR:
CDRH1:SYIMM(配列番号13)
CDRH2:SIYPSGGITFYADTVKG(配列番号14)
CDRH3:IKLGTVTTVDY(配列番号15)
CDRL1:TGTSSDVGGYNYVS(配列番号16)
CDRL2:DVSNRPS(配列番号17)
CDRL3:SSYTSSSTRV(配列番号18)
のいずれか1つ又は組合せを含む。
【0166】
一実施形態において、PD-L1結合タンパク質は、配列番号13に記載のアミノ酸配列に対して1個又は2個のアミノ酸変化(「CDRバリアント」)を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1(「CDRH1」)を含む。
【0167】
一実施形態において、PD-L1結合タンパク質は、配列番号14に記載のアミノ酸配列に対して5個以下、例えば、4個以下、3個以下、2個以下又は1個のアミノ酸変化(「CDRバリアント」)を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2(「CDRH2」)を含む。さらなる実施形態において、CDRH2は、配列番号14に記載のアミノ酸配列に対して1個又は2個のアミノ酸変化を有するアミノ酸配列を含む。
【0168】
一実施形態において、PD-L1結合タンパク質は、配列番号15に記載のアミノ酸配列に対して1個又は2個のアミノ酸変化(「CDRバリアント」)を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3(「CDRH3」)を含む。
【0169】
一実施形態において、PD-L1結合タンパク質は、配列番号16に記載のアミノ酸配列に対して3個以下、例えば、1個又は2個のアミノ酸変化(「CDRバリアント」)を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1(「CDRL1」)を含む。
【0170】
一実施形態において、PD-L1結合タンパク質は、配列番号17に記載のアミノ酸配列に対して1個又は2個のアミノ酸変化(「CDRバリアント」)を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2(「CDRL2」)を含む。
【0171】
一実施形態において、PD-L1結合タンパク質は、配列番号18に記載のアミノ酸配列に対して3個以下、例えば、1個又は2個のアミノ酸変化(「CDRバリアント」)を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3(「CDRL3」)を含む。特定の実施形態において、CDRL3は、配列番号18に記載のアミノ酸配列に対して1個のアミノ酸変化を有するアミノ酸配列を含む。
【0172】
一実施形態において、PD-L1結合タンパク質は、配列番号13に記載のアミノ酸配列に対して最大1個のアミノ酸変化を有するアミノ酸配列を含むCDRH1;配列番号14に記載のアミノ酸配列に対して最大5個のアミノ酸変化を有するアミノ酸配列を含むCDRH2;配列番号15に記載のアミノ酸配列に対して最大1個のアミノ酸変化を有するアミノ酸配列を含むCDRH3;配列番号16に記載のアミノ酸配列に対して最大3個のアミノ酸変化を有するアミノ酸配列を含むCDRL1;配列番号17に記載のアミノ酸配列に対して最大1個のアミノ酸変化を有するアミノ酸配列を含むCDRL2;及び/又は配列番号18に記載のアミノ酸配列に対して最大3個のアミノ酸変化を有するアミノ酸配列を含むCDRL3を含む。
【0173】
本発明の一実施形態において、PD-L1結合タンパク質は、配列番号19に記載のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域にCDRH1(配列番号13)、CDRH2(配列番号14)及びCDRH3(配列番号15)を含む。いくつかの実施形態において、本発明のPD-L1結合タンパク質は、配列番号19に対して少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖可変領域を含む。好適には、本発明のPD-L1結合タンパク質は、配列番号19に対して約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%又は約100%の配列同一性を有する重鎖可変領域を含み得る。
【0174】
PD-L1重鎖(V)可変領域:
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYIMMWVRQAPGKGLEWVSSIYPSGGITFYADTVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARIKLGTVTTVDYWGQGTLVTVSS(配列番号19)
【0175】
一実施形態において、PD-L1結合タンパク質は、配列番号19に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%又は少なくとも約100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(「V」)を含む。一実施形態において、Vは、配列番号19に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも1個のアミノ酸変化、例えば、配列番号19に記載のアミノ酸配列に対して1~5個、例えば1~3個、特に最大2個のアミノ酸変化を有するアミノ酸配列を含む。
【0176】
本発明の一実施形態において、PD-L1結合タンパク質は、配列番号20に記載のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域にCDRL1(配列番号16)、CDRL2(配列番号17)及びCDRL3(配列番号18)を含む。一実施形態において、本発明のPD-L1結合タンパク質は、配列番号19の重鎖可変領域と、配列番号20の軽鎖可変領域とを含む。
【0177】
いくつかの実施形態において、本発明のPD-L1結合タンパク質は、配列番号20に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖可変領域を含む。好適には、本発明のPD-L1結合タンパク質は、配列番号20に対して約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%又は約100%の配列同一性を有する軽鎖可変領域を含み得る。
【0178】
PD-L1軽鎖(V)可変領域:
QSALTQPASVSGSPGQSITISCTGTSSDVGGYNYVSWYQQHPGKAPKLMIYDVSNRPSGVSNRFSGSKSGNTASLTISGLQAEDEADYYCSSYTSSSTRVFGTGTKVTVL(配列番号20)
【0179】
一実施形態において、PD-L1結合タンパク質は、配列番号20に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%又は少なくとも約100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(「V」)を含む。一実施形態において、Vは、配列番号20に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも1個のアミノ酸変化、例えば、配列番号20に記載のアミノ酸配列に対して1~5個、例えば1~3個、特に最大2個のアミノ酸変化を有するアミノ酸配列を含む。
【0180】
一実施形態において、PD-L1結合タンパク質は、配列番号19に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%又は少なくとも約100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVと、配列番号20に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%又は少なくとも約100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVとを含む。一実施形態において、PD-L1結合タンパク質は、配列番号19のアミノ酸配列に対して少なくとも約90%同一であるV及び/又は配列番号20のアミノ酸配列に対して少なくとも約90%同一であるVを含む。
【0181】
一実施形態において、PD-L1結合タンパク質は、配列番号19に記載のアミノ酸配列を有するVと、配列番号20に記載のアミノ酸配列を有するVとを含む。
【0182】
一実施形態において、PD-L1結合タンパク質は、配列番号21に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又は少なくとも100%の配列同一性を有する重鎖(HC)アミノ酸配列を含むモノクローナル抗体である。
【0183】
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYIMMWVRQAPGKGLEWVSSIYPSGGITFYADTVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARIKLGTVTTVDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPG(配列番号21)
【0184】
一実施形態において、HCは、配列番号21に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも1個のアミノ酸変化、例えば、配列番号21に記載のアミノ酸配列に対して1~10個、例えば1~7個、特に最大6個のアミノ酸変化を有するアミノ酸配列を含む。さらなる実施形態において、HCは、配列番号21に記載のアミノ酸配列に対して、1個、2個、3個、4個、5個、6個又は7個のアミノ酸変化を含む。
【0185】
一実施形態において、PD-L1結合タンパク質は、配列番号22に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又は少なくとも100%の配列同一性を有する軽鎖(LC)アミノ酸配列を含むモノクローナル抗体である。
【0186】
QSALTQPASVSGSPGQSITISCTGTSSDVGGYNYVSWYQQHPGKAPKLMIYDVSNRPSGVSNRFSGSKSGNTASLTISGLQAEDEADYYCSSYTSSSTRVFGTGTKVTVLGQPKANPTVTLFPPSSEELQANKATLVCLISDFYPGAVTVAWKADGSPVKAGVETTKPSKQSNNKYAASSYLSLTPEQWKSHRSYSCQVTHEGSTVEKTVAPTECS(配列番号22)
【0187】
一実施形態において、LCは、配列番号22に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも1個のアミノ酸変化、例えば、配列番号22に記載のアミノ酸配列に対して1~10個、例えば1~5個、特に最大3個のアミノ酸変化を有するアミノ酸配列を含む。さらなる実施形態において、LCは、配列番号22に記載のアミノ酸配列に対して、1個、2個又は3個のアミノ酸変化を含む。
【0188】
一実施形態において、PD-L1結合タンパク質は、配列番号21に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%又は少なくとも約100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むHCと、配列番号22に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%又は少なくとも約100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むLCとを含む。したがって、この抗体は、配列番号21の重鎖アミノ酸配列に対して少なくとも約90%同一である重鎖及び/又は配列番号22の軽鎖アミノ酸配列に対して少なくとも約90%同一である軽鎖を有する抗体である。
【0189】
一実施形態において、PD-L1結合タンパク質は、配列番号21のアミノ酸配列に対して少なくとも約90%同一である重鎖アミノ酸配列及び/又は配列番号22のアミノ酸配列に対して少なくとも約90%同一である軽鎖アミノ酸配列を含む。
【0190】
一実施形態において、PD-L1結合タンパク質は、配列番号21の重鎖配列と配列番号22の軽鎖配列とを含む。
【0191】
したがって、いくつかの実施形態において、PD-1阻害剤は、PD-L1結合タンパク質、例えば、抗PD-L1抗体である。
【0192】
PD-L1は、B7ファミリーのメンバーであり、多くの細胞種、例えば、APC及び活性化T細胞で発現している(Yamazaki et al. (2002) J. Immunol. 169:5538)。PD-L1は、PD-1及びB7-1の両方に結合する。PD-L1によるT細胞発現B7-1の結合及びB7-1によるT細胞発現PD-L1の結合の両方が、T細胞阻害をもたらす(Butte et al. (2007) Immunity 27:111)。その他のB7ファミリーのメンバーと同様に、PD-L1もまた、T細胞に補助刺激シグナルを提供することができるという証拠も存在する(Subudhi et al. (2004) J. Clin. Invest. 113:694; Tamura et al. (2001) Blood 97:1809)。PD-1のリガンドであるPD-L1(ヒトPD-L1 cDNAは、EMBL/GenBank Acc.No.AF233516により示される塩基配列から構成され、マウスPD-L1 cDNAは、NM.sub.--021893により示される塩基配列から構成される。)は、いわゆる抗原提示細胞(APC)、例えば、活性化単球及び樹状細胞に発現している(Journal of Experimental Medicine (2000), vol. 19, issue 7, p 1027-1034)。これらの細胞は、様々な免疫誘導シグナルをTリンパ球に誘導する相互作用分子を提示し、PD-L1は、PD-1による阻害シグナルを誘導するこれらの分子の1つである。PD-L1リガンド刺激により、PD-1発現Tリンパ球の活性化(細胞増殖及び様々なサイトカイン産生誘導)が抑制されることが明らかになっている。PD-L1の発現は、免疫担当細胞だけでなく、ある種の腫瘍細胞株(単球性白血病由来細胞株、マスト細胞由来細胞株、肝癌由来細胞株、神経芽細胞由来細胞株、乳癌由来細胞株)でも確認されている(Nature Immunology (2001), vol. 2, issue 3, p. 261-267)。
【0193】
抗PD-L1抗体及びその作製方法は、当技術分野で知られている。PD-L1に対するそのような抗体は、ポリクローナル若しくはモノクローナル抗体、及び/又は組換え抗体、及び/又はヒト化抗体、及び/又は完全ヒト抗体であり得る。PD-L1抗体は、癌治療のための免疫調節剤として開発中である。
【0194】
PD-L1抗体は、米国特許第9,212,224号、第8,779,108号、第8,552,154号、第8,383,796号及び第8,217,149号、米国特許公開番号第2011/02808707号、WO2013/079174及びWO2013/019906に記載されている。PD-L1(CD274又はB7-H1とも呼ばれる)に対するさらなる例示的な抗体及び使用方法は、米国特許第8,168,179号、第7,943,743号及び第7,595,048号、WO2014/055897、WO2013/019906及びWO2010/077634に記載されている。本発明の治療方法、医薬及び使用において有用な特定の抗ヒトPD-L1モノクローナル抗体には、MPDL3280A、BMS-936559、MEDI4736、MSB0010718Cが含まれる。
【0195】
アテゾリズマブは、テセントリクとして市販されている完全ヒト化モノクローナル抗PD-L1抗体である。アテゾリズマブは、一部の局所進行性又は転移性尿路上皮癌の治療に適応される。アテゾリズマブは、PD-L1とPD-1及びCD80との相互作用を遮断する。アベルマブは、バベンチオとして市販されている抗PD-L1抗体である。
【0196】
デュルバルマブ(以前はMEDI4736として知られていた)は、PD-L1に対するヒトモノクローナル抗体である。デュルバルマブは、PD-L1とPD-1及びCD80との相互作用を遮断する。デュルバルマブはイミフィンジとして市販されている。
【0197】
PD-L1(CD274又はB7-H1とも呼ばれる)に対する抗体及び使用方法は、米国特許第7,943,743号、第8,383,796号、第8,168,179号及び第7,595,048号、US2013/0034559及 WO2014/055897に記載されている。PD-L1抗体は、癌治療のための免疫調節剤として開発中です。
【0198】
融合タンパク質において使用され得るさらなる例示的な抗PD-L1抗体は、米国特許出願公開US2010/0203056に記載されている。一実施形態において、PD-L1結合タンパク質はMPDL3280Aである。MPDL3280Aの配列は、配列番号27~28として以下に示される。
【0199】
MPDL3280A重鎖可変ドメイン:
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSDSWIHWVRQAPGKGLEWVAWISPYGGSTYYADSVKGRFTISADTSKNTAYLQMNSLRAEDTAVYYCARRHWPGGFDYWGQGTLVTVSS(配列番号27)
【0200】
MPDL3280A軽鎖可変ドメイン:
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDVSTAVAWYQQKPGKAPKLLIYSASFLYSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQYLYHPATFGQGTKVEIKR(配列番号28)
【0201】
一実施形態において、PD-L1結合タンパク質はYW243.55S70である。YW243.55S70の重鎖可変ドメインの配列は、配列番号29として以下に示されている。
【0202】
YW243.55S70 重鎖可変ドメイン:
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSDSWIHWVRQAPGKGLEWVAWISPYGGSTYYADSVKGRFTISADTSKNTAYLQMNSLRAEDTAVYYCARRHWPGGFDYWGQGTLVTVSA(配列番号:29)
【0203】
IgG:TGFβR融合タンパク質又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質のTGFβRは、好ましくはTGFβRI又はTGFβRIIであり、より好ましくはTGFβRIIである。いくつかの実施形態において、それはそれぞれIgG:TGFβRII融合タンパク質又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質であり、IgGは8.5~9.5のpIを有し、TGFβRIIは4.6~5.4のpIを有する。いくつかの実施形態において、それは、抗PD-L1(IgG):TGFβRII融合タンパク質、例えば、抗PD-L1(IgG1):TGFβRII又は抗PD-L1(IgG4):TGFβRIIである。最も好ましくは、それは抗PD-L1(IgG1):TGFβRIIである。
【0204】
TGFβRIIは、TGFβRIIの可溶性細胞外ドメイン又はTGF-βに結合可能なそのフラグメントであり得る。好ましくは、TGFβRIIは、TGFβRIIの細胞質ドメインを欠く。いくつかの実施形態において、TGFβRIIは、野生型ヒトTGF-β受容体2型アイソフォームA配列(例えば、NCBI参照配列(RefSeq)アクセッション番号NP_001020018(配列番号24)のアミノ酸配列)又は野生型ヒトTGF-β受容体2型アイソフォームB配列(例えば、NCBI RefSeqアクセッション番号NP_003233(配列番号25)のアミノ酸配列)に対応する。
【0205】
好ましくは、TGFβRIIは、配列番号26に対応する配列又はTGF-βに結合可能なそのフラグメントを含むか、又はそれらからなる。例えば、TGFβRIIは、配列番号26の全長配列に対応し得る。
【0206】
IPPHVQKSVNNDMIVTDNNGAVKFPQLCKFCDVRFSTCDNQKSCMSNCSITSICEKPQEVCVAVWRKNDENITLETVCHDPKLPYHDFILEDAASPKCIMKEKKKPGETFFMCSCSSDECNDNIIFSEEYNTSNPD(配列番号:26)
【0207】
或いは、N末端欠失を有していてもよい。例えば、配列番号26のN末端のアミノ酸1~26、例えば、最もN末端のアミノ酸の14~21又は14~26を欠失させてもよい。いくつかの実施形態において、配列番号26のN末端の14、19又は21アミノ酸が欠失している。
【0208】
好ましくは、TGFβRIIは、配列番号26のアミノ酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性、少なくとも90%の配列同一性又は少なくとも95%の配列同一性を有する。
【0209】
いくつかの実施形態において、TGFβRIIは、25を超えるアミノ酸が配列番号26と異ならないアミノ酸配列を有する。
【0210】
いくつかの実施形態において、抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質におけるTGFβRは、ビントラフスプアルファにおけるTGFβRのアミノ酸配列と90%以上の配列同一性、例えば、92%以上の配列同一性、95%以上の配列同一性、99%以上の配列同一性又は100%の配列同一性を有する。好ましくは、抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質におけるTGFβRは、ビントラフスプアルファにおけるTGFβRに対して50個以下、40個以下又は25個以下のアミノ酸残基が異なるアミノ酸配列を有する。抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質におけるTGFβRは、好ましくは100~160アミノ酸残基、より好ましくは110~140アミノ酸残基を有する。いくつかの実施形態において、TGFβRにおけるアミノ酸配列は、ビントラフスプアルファにおけるTGFβRの位置1~136に対応する配列、ビントラフスプアルファにおけるTGFβRの位置20~136、及びビントラフスプアルファにおけるTGFβRの位置22~136に対応する配列からなる群から選択される。
【0211】
いくつかの実施形態において、抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質におけるTGFβRは、ビントラフスプアルファにおけるTGFβRのアミノ酸配列と98%以上の配列同一性を有し、抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質におけるCH3ドメインは、ビントラフスプアルファにおけるCH3ドメインのアミノ酸配列と92%以上の配列同一性を有する。いくつかの実施形態において、抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質におけるTGFβRは、ビントラフスプアルファにおけるTGFβRのアミノ酸配列に対して25個以下のアミノ酸残基が異なるアミノ酸配列を有し、抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質におけるCH3ドメインは、ビントラフスプアルファにおけるCH3ドメインのアミノ酸配列に対して4個以下のアミノ酸残基が異なるアミノ酸配列を有する。
【0212】
いくつかの実施形態において、抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、IgGとTGFβRとの間にリンカーを含み、このリンカーは、好ましくは、5~50個のアミノ酸残基、10~30個のアミノ酸残基又は20~27個のアミノ酸残基を含む。好ましくは、そのようなリンカーは、最大で2つの異なる種類のアミノ酸残基を含む。いくつかの実施形態において、リンカーは、グリシンアミノ酸残基及び/又はセリンアミノ酸残基を含む。いくつかの実施形態において、そのようなリンカーは、式(GlySer)Gly(式中、xは1~6の整数であり、yは2~7の整数である。)によって定義される。好ましくは、xは4である。好ましくは、yは4又は5である。いくつかの実施形態において、リンカーは式(GlySer)Gly(式中、xは4であり、yは4又は5のいずれかである)によって定義される。いくつかの実施形態において、リンカーは、配列番号30のアミノ酸配列を含む。
【0213】
抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、好ましくは、抗PD-(L)1(IgG):TGFβRII融合タンパク質であり、その抗PD-(L)1(IgG):TGFβRII融合タンパク質は、そのN末端でIgG抗体のC末端に、場合によりリンカーを介して、融合したTGFβRIIを含む。したがって、一実施形態において、融合タンパク質は、配列番号23に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又は少なくとも100%の配列同一性を有するHCアミノ酸配列を含む。
【0214】
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYIMMWVRQAPGKGLEWVSSIYPSGGITFYADTVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARIKLGTVTTVDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGAGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGIPPHVQKSVNNDMIVTDNNGAVKFPQLCKFCDVRFSTCDNQKSCMSNCSITSICEKPQEVCVAVWRKNDENITLETVCHDPKLPYHDFILEDAASPKCIMKEKKKPGETFFMCSCSSDECNDNIIFSEEYNTSNPD(配列番号:23)
【0215】
したがって、一実施形態において、融合タンパク質は、配列番号23のアミノ酸配列を含み得る。
【0216】
一実施形態において、HCは、配列番号23に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも1個のアミノ酸変化、例えば、配列番号23に記載のアミノ酸配列に対して1~10個、例えば1~7個、特に最大6個のアミノ酸変化を有するアミノ酸配列を含む。さらなる実施形態において、HCは、配列番号23に記載のアミノ酸配列に対して、1個、2個、3個、4個、5個、6個又は7個のアミノ酸変化を含む。
【0217】
一実施形態において、融合タンパク質は、配列番号23に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%又は少なくとも約100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むHCと、配列番号22に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%又は少なくとも約100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むLCとを含む。
【0218】
一実施形態において、融合タンパク質は、配列番号23のアミノ酸配列に対して少なくとも約90%同一である重鎖アミノ酸配列及び/又は配列番号22のアミノ酸配列に対して少なくとも約90%同一である軽鎖アミノ酸配列を含む。
【0219】
一実施形態において、融合タンパク質は、配列番号23の重鎖配列と配列番号22の軽鎖配列とを含む。
【0220】
融合タンパク質は、本明細書に記載のHC及びLCを含んでもよく、そのLCは、HCと組み合わされると、PD-L1に結合する抗原結合部位を形成する。したがって、一実施形態において、融合タンパク質は、(a)それぞれが配列番号23のアミノ酸配列からなるアミノ酸配列を有する2個のポリペプチド(すなわち、2個のHC)と、(b)それぞれが配列番号22のアミノ酸配列からなるアミノ酸配列を有する2個のさらなるポリペプチド(すなわち、2個のLC)とをを含み得る。
【0221】
いくつかの実施形態において、IgG:TGFβR融合タンパク質は、WO2015/118175又はWO2018/205985に記載されたIgG:TGFβR融合タンパク質の1つである。例えば、IgG:TGFβR融合タンパク質は、WO2015/118175の配列番号1の軽鎖及び配列番号3の重鎖を含み得る。別の実施形態において、IgG:TGFβR融合タンパク質は、WO2018/205985の表2に記載された構築物の1つ、例えば、その構築物9又は15である。
【0222】
一実施形態において、IgG:TGFβR融合タンパク質は、
・ビントラフスプアルファにおけるTGFβRのアミノ酸配列と95%以上の配列同一性を有するTGFβR、
・ビントラフスプアルファにおけるCH3ドメインのアミノ酸配列と92%以上の配列同一性を有するCH3ドメイン、
・ビントラフスプアルファにおけるCHIドメインのアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有するCHIドメイン、及び
・ビントラフスプアルファにおけるCH2ドメインのアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有するCH2ドメイン
を特徴とする。
【0223】
一実施形態において、IgG:TGFβR融合タンパク質は、
・ビントラフスプアルファにおけるTGFβRのアミノ酸配列に対して25個以下のアミノ酸残基が異なるアミノ酸配列を有するTGFβR、
・ビントラフスプアルファにおけるCH3ドメインのアミノ酸配列に対して4個以下のアミノ酸残基が異なるアミノ酸配列を有するCH3ドメイン、
・ビントラフスプアルファにおけるCH1ドメインのアミノ酸配列に対して7個以下のアミノ酸残基が異なるアミノ酸配列を有するCH1ドメイン、及び
・ビントラフスプアルファにおけるCH2ドメインのアミノ酸配列に対して8個以下のアミノ酸残基が異なるアミノ酸配列を有するCH2ドメイン
を特徴とする。
【0224】
治療方法
本明細書に記載の阻害剤及び抗原結合タンパク質はまた、治療方法にも使用され得る。本明細書における治療への言及は、確立された状態の治療を指すことを当業者は理解する。しかしながら、本発明の組成物はまた、状態に応じて、特定の疾患の予防にも有用であり得る。本明細書に記載の阻害剤及び抗原結合タンパク質は、治療、防止又は予防処置に有効な量で使用され得る。本明細書に記載の阻害剤及び抗原結合タンパク質の治療有効量は、疾患の1又は2以上の症状を改善又は軽減する、或いは疾患を予防又は治癒するのに有効な量である。
【0225】
一態様では、それを必要とするヒトにおいて癌を治療する方法であって、この方法が、ICOS結合タンパク質をヒトに投与することを含む方法が提供される。別の態様では、癌の治療に使用するためのICOS結合タンパク質が提供される。さらなる態様では、癌を治療するための医薬の製造におけるICOS結合タンパク質の使用が提供される。ICOS結合タンパク質を含む医薬キットが開示される。
【0226】
一態様では、それを必要とするヒトにおいて癌を治療する方法が提供され、この方法は、PD-1阻害剤をヒトに投与することを含む。別の態様では、癌の治療に使用するためのPD-1阻害剤が提供される。さらなる態様では、癌を治療するための医薬の製造におけるPD-1阻害剤の使用が提供される。PD-1阻害剤を含む医薬キットが開示される。
【0227】
一態様では、それを必要とするヒトにおいて癌を治療する方法が提供され、この方法は、TGF-β阻害剤をヒトに投与することを含む。別の態様では、癌の治療に使用するためのTGF-β阻害剤が提供される。さらなる態様では、癌を治療するための医薬の製造におけるTGF-β阻害剤の使用が提供される。TGF-β阻害剤を含む医薬キットが開示される。
【0228】
一態様では、それを必要とするヒトにおいて癌を治療する方法が提供され、この方法は、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドをヒトに投与することを含む。別の態様では、癌の治療に使用するためのPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドが提供される。さらなる態様では、癌を治療するための医薬の製造におけるPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドの使用が提供される。PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドを含む医薬キットが開示される。
【0229】
さらなる態様では、それを必要とするヒトにおいて癌を治療する方法が提供され、この方法は、抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質をヒトに投与することを含む。別の態様では、癌の治療に使用するための抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質が提供される。さらなる態様では、癌を治療するための医薬の製造における抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質の使用が提供される。抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質を含む医薬キットが開示される。
【0230】
一実施形態において、阻害剤/ポリペプチド/融合タンパク質/結合タンパク質は同時に/同時に(simultaneously/concurrently)投与される。別の実施形態において、阻害剤/ポリペプチド/融合タンパク質/結合タンパク質は逐次に投与される(例えば、第1のレジメンは、第2のレジメンの任意の用量の投与前に投与される)。
【0231】
一態様では、それを必要とするヒトにおいて癌を治療する方法が提供され、この方法は、ICOS結合タンパク質と、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドとをヒトに投与することを含む。さらなる態様では、癌の治療において同時に又は逐次に使用するためのICOS結合タンパク質と、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドとが提供される。別の態様では、癌の治療に使用するためのICOS結合タンパク質が提供され、ICOS結合タンパク質は、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドと同時に又は逐次に投与される。一態様では、癌を治療するための医薬の製造におけるICOS結合タンパク質の使用が提供され、ICOS結合タンパク質は、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドと同時に又は逐次に投与される。別の態様では、ICOS結合タンパク質と、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドとを含む医薬キットが提供される。
【0232】
一態様では、それを必要とするヒトにおいて癌を治療する方法が提供され、この方法は、ICOS結合タンパク質と、抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質とをヒトに投与することを含む。さらなる態様では、癌の治療において同時に又は逐次に使用するためのICOS結合タンパク質と、抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質とが提供される。別の態様では、癌の治療に使用するためのICOS結合タンパク質が提供され、ICOS結合タンパク質は、抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質と同時に又は逐次に投与される。一態様では、癌を治療するための医薬の製造におけるICOS結合タンパク質の使用が提供され、ICOS結合タンパク質は、抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質と同時に又は逐次に投与される。別の態様では、ICOS結合タンパク質と、抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質とを含む医薬キットが提供される。
【0233】
一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、配列番号7に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むVドメイン及び/又は配列番号8に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むVドメインを含み、ICOS結合タンパク質は、ヒトICOSに特異的に結合する。一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、配列番号1に記載のCDRH1;配列番号2に記載のCDRH2;配列番号3に記載のCDRH3;配列番号4に記載のCDRL1;配列番号5に記載のCDRL2及び/又は配列番号6に記載のCDRL3或いは各CDRの直接的な同等物の1又は2以上を含み、直接的な同等物は上記CDRにおいて2個以下のアミノ酸置換(no more than two amino acid substitutions)を有する。一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、配列番号1、配列番号2及び配列番号3のうちの1又は2以上を含む重鎖可変領域を含み、ここで、ICOS結合タンパク質は、配列番号4、配列番号5及び配列番号6のうちの1又は2以上を含む軽鎖可変領域を含む。一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、配列番号1、配列番号2及び配列番号3を含む重鎖可変領域を含み、ここで、ICOS結合タンパク質は、配列番号4、配列番号5及び配列番号6を含む軽鎖可変領域を含む。一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、配列番号7に記載のアミノ酸配列を含むVドメインと、配列番号8に記載のアミノ酸配列を含むVドメインとを含む。一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、配列番号9に記載のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号10に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む。
【0234】
一実施形態において、PD-1阻害剤は、PD-L1結合タンパク質である。一実施形態において、PD-L1結合タンパク質は、配列番号19に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むVドメイン及び/又は配列番号20に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むVドメインを含み、PD-L1結合タンパク質は、ヒトPD-L1に特異的に結合する。一実施形態において、PD-L1結合タンパク質は、配列番号13に記載のCDRH1;配列番号14に記載のCDRH2;配列番号15に記載のCDRH3;配列番号16に記載のCDRL1;配列番号17に記載のCDRL2及び/又は配列番号18に記載のCDRL3或いは各CDRの直接的な同等物の1又は2以上を含み、直接的な同等物は上記CDRにおいて2個以下のアミノ酸置換を有する。一実施形態において、PD-L1結合タンパク質は、配列番号13、配列番号14及び配列番号15のうちの1又は2以上を含む重鎖可変領域を含み、ここで、PD-L1結合タンパク質は、配列番号16、配列番号17及び配列番号18のうちの1又は2以上を含む軽鎖可変領域を含む。一実施形態において、PD-L1結合タンパク質は、配列番号13、配列番号14及び配列番号15を含む重鎖可変領域を含み、ここで、PD-L1結合タンパク質は、配列番号16、配列番号17及び配列番号18を含む軽鎖可変領域を含む。一実施形態において、PD-L1結合タンパク質は、配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むVドメインと、配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むVドメインとを含む。一実施形態において、PD-L1結合タンパク質は、配列番号21に記載のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号22に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む。
【0235】
一実施形態において、抗PD-L1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、配列番号19に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むVドメイン及び/又は配列番号20に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むVドメインを含み、抗PD-L1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、ヒトPD-L1に特異的に結合する。一実施形態において、抗PD-L1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、配列番号13に記載のCDRH1;配列番号14に記載のCDRH2;配列番号15に記載のCDRH3;配列番号16に記載のCDRL1;配列番号17に記載のCDRL2及び/又は配列番号18に記載のCDRL3或いは各CDRの直接的な同等物の1又は2以上を含み、直接的な同等物は上記CDRにおいて2個以下のアミノ酸置換を有する。一実施形態において、抗PD-L1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、配列番号13、配列番号14及び配列番号15のうちの1又は2以上を含む重鎖可変領域を含み、ここで、PD-L1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、配列番号16、配列番号17及び配列番号18のうちの1又は2以上を含む軽鎖可変領域を含む。一実施形態において、抗PD-L1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、配列番号13、配列番号14及び配列番号15を含む重鎖可変領域を含み、ここで、PD-L1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、配列番号16、配列番号17及び配列番号18を含む軽鎖可変領域を含む。一実施形態において、抗PD-L1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むVドメインと、配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むVドメインとを含む。一実施形態において、抗PD-L1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、配列番号21に記載のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号22に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む。一実施形態において、抗PD-L1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、ヒトTGFβRII又はTGF-βに結合可能なそのフラグメントを含む。さらなる実施形態において、抗PD-L1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、配列番号23に記載のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号22に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む。
【0236】
用量
一態様において、この方法は、治療有効量の本明細書に記載の組合せ(例えば、ICOS結合タンパク質と、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドとを含む組合せ、又はICOS結合タンパク質と、抗PD-L1(IgG):TGFβR融合タンパク質とを含む組合せ)を、それを必要とする対象に投与することを含む。
【0237】
いくつかの実施形態において、ICOS結合タンパク質の治療有効用量は、約0.01~1000mgの用量(例えば、約0.01mgの用量;約0.08mgの用量、約0.1mgの用量;約0.24mgの用量;約0.8mgの用量;約1mgの用量;約2.4mgの用量;約7.2mgの用量;約8mgの用量;約10mgの用量;約20mgの用量;約24mgの用量;約30mgの用量;約40mgの用量;約48mgの用量;約50mgの用量;約60mgの用量;約70mgの用量;約72mgの用量;約80mgの用量;約90mgの用量;約100mgの用量;約160mgの用量;約200mgの用量;約240mgの用量;約300mgの用量;約320mgの用量;約400mgの用量;約480mgの用量;約500mgの用量;約600mgの用量;約700mgの用量;約720mgの用量;約800mgの用量;約900mgの用量;又は約1000mgの用量)である。
【0238】
いくつかの実施形態において、ICOS結合タンパク質の治療有効用量は、約0.001mg/kg~約10mg/kgの用量である。いくつかの実施形態において、治療有効用量は約0.001mg/kgである。いくつかの実施形態において、治療有効用量は約0.003mg/kgである。いくつかの実施形態において、治療有効用量は約0.01mg/kgである。いくつかの実施形態において、治療有効用量は約0.03mg/kgである。いくつかの実施形態において、治療有効用量は約0.1mg/kgである。いくつかの実施形態において、治療有効用量は約0.3mg/kgである。いくつかの実施形態において、治療有効用量は約0.6mg/kgである。いくつかの実施形態において、治療有効用量は約1mg/kgである。いくつかの実施形態において、治療有効用量は約2mg/kgである。いくつかの実施形態において、治療有効用量は約3mg/kgである。いくつかの実施形態において、治療有効用量は約4mg/kg、約5mg/kg、約6mg/kg、約7mg/kg、約8mg/kg、約9mg/kg又は10mg/kgである。いくつかの実施形態において、治療有効用量は約500mgの用量である。いくつかの実施形態において、治療有効用量は約800mgである。いくつかの実施形態において、治療有効用量は約1000mgである。
【0239】
いくつかの実施形態において、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドの治療有効用量は、約0.01~3000mgの用量(例えば、約0.01mgの用量;約0.08mgの用量;約0.1mgの用量;約0.24mgの用量;約0.8mgの用量;約1mgの用量;約2.4mgの用量;約8mgの用量;約10mgの用量;約20mgの用量;約24mgの用量;約30mgの用量;約40mgの用量;約48mgの用量;約50mgの用量;約60mgの用量;約70mgの用量;約80mgの用量;約90mgの用量;約100mgの用量;約160mgの用量;約200mgの用量;約240mgの用量;約300mgの用量;約400mgの用量;約500mgの用量;約600mgの用量;約700mgの用量;約800mgの用量;約900mgの用量;約1000mgの用量;約1100mgの用量;約1200mgの用量;約1300mgの用量;約1400mgの用量;約1500mgの用量;約1600mgの用量;約1700mgの用量;約1800mgの用量;約1900mgの用量;約2000mgの用量;約2100mgの用量;約2200mgの用量;約2300mgの用量;約2400mgの用量;約2500mgの用量;約2600mgの用量;約2700mgの用量;約2800mgの用量;約2900mgの用量;又は約3000mgの用量)である。いくつかの実施形態において、治療有効用量は約0.001mg/kgである。いくつかの実施形態において、治療有効用量は約0.003mg/kgである。いくつかの実施形態において、治療有効用量は約0.01mg/kgである。いくつかの実施形態において、治療有効用量は約0.03mg/kgである。いくつかの実施形態において、治療有効用量は約0.1mg/kgである。いくつかの実施形態において、治療有効用量は約0.3mg/kgである。いくつかの実施形態において、治療有効用量は約1mg/kgである。いくつかの実施形態において、治療有効用量は約2mg/kgである。いくつかの実施形態において、治療有効用量は約3mg/kgである。いくつかの実施形態において、治療有効用量は約10mg/kgである。いくつかの実施形態において、治療有効用量は約30mg/kgである。いくつかの実施形態において、治療有効用量は約500mgの用量である。いくつかの実施形態において、治療有効用量は約1200mgである。いくつかの実施形態において、治療有効用量は約2400mgである。
【0240】
いくつかの実施形態において、抗PD-L1(IgG):TGFβR融合タンパク質の治療有効用量は、約0.01~3000mgの用量(例えば、約0.01mgの用量;約0.08mgの用量;約0.1mgの用量;約0.24mgの用量;約0.8mgの用量;約1mgの用量;約2.4mgの用量;約8mgの用量;約10mgの用量;約20mgの用量;約24mgの用量;約30mgの用量;約40mgの用量;約48mgの用量;約50mgの用量;約60mgの用量;約70mgの用量;約80mgの用量;約90mgの用量;約100mgの用量;約160mgの用量;約200mgの用量;約240mgの用量;約300mgの用量;約400mgの用量;約500mgの用量;約600mgの用量;約700mgの用量;約800mgの用量;約900mgの用量;約1000mgの用量;約1100mgの用量;約1200mgの用量;約1300mgの用量;約1400mgの用量;約1500mgの用量;約1600mgの用量;約1700mgの用量;約1800mgの用量;約1900mgの用量;約2000mgの用量;約2100mgの用量;約2200mgの用量;約2300mgの用量;約2400mgの用量;約2500mgの用量;約2600mgの用量;約2700mgの用量;約2800mgの用量;約2900mgの用量;又は約3000mgの用量)である。いくつかの実施形態において、治療有効用量は約0.001mg/kgである。いくつかの実施形態において、治療有効用量は約0.003mg/kgである。いくつかの実施形態において、治療有効用量は約0.01mg/kgである。いくつかの実施形態において、治療有効用量は約0.03mg/kgである。いくつかの実施形態において、治療有効用量は約0.1mg/kgである。いくつかの実施形態において、治療有効用量は約0.3mg/kgである。いくつかの実施形態において、治療有効用量は約1mg/kgである。いくつかの実施形態において、治療有効用量は約2mg/kgである。いくつかの実施形態において、治療有効用量は約3mg/kgである。いくつかの実施形態において、治療有効用量は約10mg/kgである。いくつかの実施形態において、治療有効用量は約30mg/kgである。いくつかの実施形態において、治療有効用量は約500mgの用量である。いくつかの実施形態において、治療有効用量は約1200mgである。いくつかの実施形態において、治療有効用量は約2400mgである。
【0241】
一実施形態において、組合せは、2~6週間(例えば、2週間、3週間又は4週間、特に3週間)ごとに1回投与される。一実施形態において、組合せは、2週間ごとに1回投与される。一実施形態において、組合せは、3週間ごとに1回投与される。一実施形態において、組合せは、6週間ごとに1回投与される。一実施形態において、組合せは、2~6回の投与サイクル(例えば、最初の3回、4回又は5回の投与サイクル、特に最初の4回の投与サイクル)の間、3週間ごとに1回投与される。
【0242】
必要に応じて、(治療用の)組合せの有効な1日量は、1日を通して適切な間隔(interval)で別個に投与される2回、3回、4回、5回、6回又はそれ以上の用量として、場合により単位剤形で、投与され得る。医薬製剤は、単位用量あたり所定量の有効成分を含有する単位用量形態で提供され得る。当業者に知られているように、用量あたりの有効成分の量は、治療される状態、投与経路、並びに患者の年齢、体重及び状態に依存する。投与を容易にし、投与量を均一にするために、非経口組成物を投与単位形態で調合することが特に有利である。本明細書で使用される投与単位形態は、治療される哺乳動物対象、特にヒト対象のための単位投薬として適した物理的に別個の単位を指す。各単位は、必要な薬学的担体と関連して所望の治療効果を生み出すように計算された所定量の有効化合物を含む。
【0243】
本開示は、癌を治療する方法であって、組合せ中の阻害剤/結合タンパク質/ポリペプチド/融合タンパク質の一方又は両方(又はそれ以上)を、第1の期間に第1の間隔において第1の用量で治療を必要とする患者に投与することと、組合せ中の結合タンパク質の一方又は両方(又はそれ以上)を、第2の期間に第2の間隔において第2の用量で患者に投与することとを含む方法を提供する。第1の期間と第2の期間との間に、組合せ中のの阻害剤/結合タンパク質/ポリペプチド/融合タンパク質の一方又は両方(又はそれ以上)が患者に投与されない休止期間(rest period)が存在してもよい。いくつかの実施形態では、第1の期間と第2の期間との間に休止期間が存在する。いくつかの実施形態において、休止期間は1日~30日である。いくつかの実施形態において、休止期間は、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、22日、23日、24日、25日、26日、27日、28日、29日、30日又は31日である。いくつかの実施形態において、休止期間は、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、9週間、10週間、11週間、12週間、13週間、14週間又は15週間である。
【0244】
阻害剤/結合タンパク質/PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド/融合タンパク質に関して、いくつかの実施形態において、第1の用量と第2の用量とは同じである。いくつかの実施形態において、第1の用量と第2の用量とは1200mgである。いくつかの実施形態において、第1の用量と第2の用量とは2400mgである。いくつかの実施形態において、第1の用量と第2の用量とは異なる。いくつかの実施形態において、第1の用量は約1200mgであり、第2の用量は約2400mgである。いくつかの実施形態において、第1の用量は約2400mgであり、第2の用量は約1200mgである。
【0245】
いくつかの実施形態において、第1の間隔と第2の間隔とは同じである。いくつかの実施形態において、第1の間隔と第2の間隔とは、2週間ごとに1回である。いくつかの実施形態において、第1の間隔と第2の間隔とは、3週間ごとに1回である。いくつかの実施形態において、第1の間隔と第2の間隔とは、6週間ごとに1回である。いくつかの実施形態において、第1の間隔と第2の間隔とは異なる。いくつかの実施形態において、第1の間隔は2週間ごとに1回であり、第2の間隔は3週間ごとに1回である。いくつかの実施形態において、第1の間隔は3週間ごとに1回であり、第2の間隔は6週間ごとに1回である。
【0246】
ICOS結合タンパク質(例えば、抗ICOS抗体、アゴニスト性抗ICOS抗体、H2L5、H2L5 hIgG4PE、フェラジリマブ)に関して、いくつかの実施形態において、第1の間隔と第2の間隔とは同じである。いくつかの実施形態において、第1の間隔は3週間ごとに1回であり、第2の間隔は3週間ごとに1回である。いくつかの実施形態において、組合せは、第1の期間である2~6回の投与サイクル(例えば、第1の3回、4回又は5回の投与サイクル、特に第1の4回の投与サイクル)に、3週間ごとに1回、24mgの第1の用量で投与され、療法が中止されるまで(例えば、疾患の進行、有害事象、又は医師の判断により)、3週間ごとに1回、80mgの第2の用量で投与される。いくつかの実施形態において、組合せは、第1の3回の投与サイクルに、3週間ごとに1回、24mgの第1の用量で投与され、療法が中止されるまで(例えば、疾患の進行、有害事象、又は医師の判断により)、3週間又はそれ以上ごとに1回、80mgの第2の用量で投与される。いくつかの実施形態において、組合せは、第1の4回の投与サイクルに、3週間ごとに1回、24mgの第1の用量で投与され、療法が中止されるまで(例えば、疾患の進行、有害事象、又は医師の判断により)、3週間又はそれ以上ごとに1回、80mgの第2の用量で投与される。いくつかの実施形態において、組合せは、第1の5回の投与サイクルに、3週間ごとに1回、24mgの第1の用量で投与され、療法が中止されるまで(例えば、疾患の進行、有害事象、又は医師の判断により)、3週間又はそれ以上ごとに1回、80mgの第2の用量で投与される。
【0247】
阻害剤/結合タンパク質/PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド/融合タンパク質に関して、いくつかの実施形態において、第1の用量と第2の用量とは異なる。いくつかの実施形態において、第1の間隔は2週間ごとに1回であり、第2の間隔は3週間ごとに1回である。いくつかの実施形態において、組合せは、第1の期間である2~6回の投与サイクル(例えば、第1の3回、4回又は5回の投与サイクル、特に第1の4回の投与サイクル)に、2週間ごとに1回、1200mgの第1の用量で投与され、療法が中止されるまで(例えば、疾患の進行、有害事象、又は医師の判断により)、3週間ごとに1回、2400mgの第2の用量で投与される。いくつかの実施形態において、組合せは、第1の3回の投与サイクルに、2週間ごとに1回、1200mgの第1の用量で投与され、療法が中止されるまで(例えば、疾患の進行、有害事象、又は医師の判断により)、3週間又はそれ以上ごとに1回、2400mgの第2の用量で投与される。いくつかの実施形態において、組合せは、第1の4回の投与サイクルに、2週間ごとに1回、1200mgの第1の用量で投与され、療法が中止されるまで(例えば、疾患の進行、有害事象、又は医師の判断により)、3週間又はそれ以上ごとに1回、2400mgの第2の用量で投与される。いくつかの実施形態において、組合せは、第1の5回の投与サイクルに、2週間ごとに1回、1200mgの第1の用量で投与され、療法が中止されるまで(例えば、疾患の進行、有害事象、又は医師の判断により)、3週間又はそれ以上ごとに1回、2400mgの第2の用量で投与される。
【0248】
いくつかの実施形態において、組合せは、1週間に1回(Q1W)、2週間ごとに1回(Q2W)、3週間ごとに1回(Q3W)、4週間ごとに1回(Q4W)、5週間ごとに1回(Q5W)又は6週間ごとに1回(Q6W)の投与間隔(又は治療サイクル)で投与される。いくつかの実施形態において、組合せは、1週間に1回(Q1W)の投与間隔(又は治療サイクル)で投与される。いくつかの実施形態において、組合せは、2週間ごとに1回(Q2W)の投与間隔(又は治療サイクル)で投与される。いくつかの実施形態において、組合せは、3週間ごとに1回(Q3W)の投与間隔(又は治療サイクル)で投与される。いくつかの実施形態において、組合せは、4週間ごとに1回(Q4W)の投与間隔(又は治療サイクル)で投与される。いくつかの実施形態において、組合せは、5週間ごとに1回(Q5W)の投与間隔(又は治療サイクル)で投与される。いくつかの実施形態において、組合せは、6週間ごとに1回(Q6W)の投与間隔(又は治療サイクル)で投与される。いくつかの実施形態において、組合せは、少なくとも約2週間、少なくとも約3週間、少なくとも約4週間、少なくとも約5週間、少なくとも約6週間、少なくとも約7週間、少なくとも約8週間、少なくとも約9週間、少なくとも約10週間、少なくとも約11週間、少なくとも約12週間、少なくとも約13週間、少なくとも約14週間、少なくとも約15週間、少なくとも約16週間、少なくとも約17週間、少なくとも約18週間、少なくとも約19週間、少なくとも約20週間又はそれ以上の期間投与される。いくつかの実施形態において、組合せは、治療サイクルの初日、又は治療サイクルの初日から1日、2日若しくは3日以内に投与される。
【0249】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の組合せは、患者のために臨床的利益をもたらすことが実証された投薬レジメンに従って投与される。いくつかの実施形態において、臨床的利益は、安定(「SD:stable disease」)、部分奏効(「PR:partial response」)及び/又は完全奏効(「CR:complete response」)である。いくつかの実施形態において、臨床的利益は安定(「SD」)である。いくつかの実施形態において、臨床的利益は部分奏効(「PR」)である。いくつかの実施形態において、臨床的利益は完全奏効(「CR」)である。いくつかの実施形態において、PR又はCRは、固形がんの治療効果判定(RECIST:Response Evaluation Criteria in Solid Tumors)に従って決定される。いくつかの実施形態において、組合せは、臨床的利益を維持するために長期間投与される。
【0250】
一態様では、ヒトにおいて癌を治療する方法が提供され、この方法は、ICOS結合タンパク質(又はその抗原結合部分)を約0.08mg~約240mgの用量でヒトに投与する工程と、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドとをヒトに投与する工程とを含む。一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、0.08mg、0.24mg、0.8mg、2.4mg、8mg、24mg、48mg、80mg、160mg又は240mg、特に24mg、48mg、80mg又は160mgの用量で投与される。一態様では、ヒトにおいて癌を治療する方法が提供され、この方法は、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドを約500mg~約3000mgの用量でヒトに投与する工程と、ヒトICOS結合タンパク質(又はその抗原結合部分)をヒトに投与する工程とを含む。一実施形態において、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドは、2400mgの用量で投与される。一実施形態において、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドは、1200mgの用量で投与される。一実施形態では、ヒトにおいて癌を治療する方法が提供され、この方法は、ICOS結合タンパク質を約0.08mg~約240mgの用量でヒトに投与する工程と、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドを約500mg~約3000mgの用量でヒトに投与する工程とを含む。別の実施形態において、ICOS結合タンパク質は、24mg、48mg、80mg、160mg又は240mgの用量で投与され、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドは、1200mg又は2400mgの用量で投与される。別の実施形態において、ICOS結合タンパク質は、24mg、48mg、80mg、160mg又は240mgの用量で投与され、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドは、2400mgの用量で投与される。別の実施形態において、ICOS結合タンパク質は、24mg、48mg、80mg、160mg又は240mgの用量で投与され、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドは、1200mgの用量で投与される。
【0251】
一態様では、ヒトにおいて癌を治療する方法が提供され、この方法は、ICOS結合タンパク質(又はその抗原結合部分)を約0.08mg~約240mgの用量でヒトに投与する工程と、抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質をヒトに投与する工程とを含む。一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、0.08mg、0.24mg、0.8mg、2.4mg、8mg、24mg、48mg、80mg、160mg又は240mg、特に24mg、48mg、80mg又は160mgの用量で投与される。一態様では、ヒトにおいて癌を治療する方法が提供され、この方法は、抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質を約500mg~約3000mgの用量でヒトに投与する工程と、ヒトICOS結合タンパク質(又はその抗原結合部分)をヒトに投与する工程とを含む。一実施形態において、抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、2400mgの用量で投与される。一実施形態において、抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、1200mgの用量で投与される。一実施形態では、ヒトにおいて癌を治療する方法が提供され、この方法は、ICOS結合タンパク質を約0.08mg~約240mgの用量でヒトに投与する工程と、抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質を約500mg~約3000mgの用量でヒトに投与する工程とを含む。別の実施形態において、ICOS結合タンパク質は、24mg、48mg、80mg、160mg又は240mgの用量で投与され、抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、1200mg又は2400mgの用量で投与される。別の実施形態において、ICOS結合タンパク質は、24mg、48mg、80mg、160mg又は240mgの用量で投与され、抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、2400mgの用量で投与される。別の実施形態において、ICOS結合タンパク質は、24mg、48mg、80mg、160mg又は240mgの用量で投与され、抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、1200mgの用量で投与される。
【0252】
一態様では、癌の治療において同時(すなわち同時)又は逐次に使用するためのICOS結合タンパク質及びPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドが提供され、ICOS結合タンパク質は約0.08mg~約240mgの用量で投与される。一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、8mg、24mg、48mg、80mg、160mg又は240mgの用量で投与される。一態様では、癌の治療において同時(すなわち同時)又は逐次に使用するためのICOS結合タンパク質及びPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドが提供され、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドは、約500mg~約3000mgの用量で投与される。一実施形態において、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドは、2400mgの用量で投与される。一実施形態において、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドは、1200mgの用量で投与される。
【0253】
一態様では、癌の治療において同時(すなわち同時)又は逐次に使用するためのICOS結合タンパク質及び抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質が提供され、ICOS結合タンパク質は約0.08mg~約240mgの用量で投与される。一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、8mg、24mg、48mg、80mg、160mg又は240mgの用量で投与される。一態様では、癌の治療において同時(すなわち同時)又は逐次に使用するためのICOS結合タンパク質及び抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質が提供され、抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、約500mg~約3000mgの用量で投与される。一実施形態において、抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、2400mgの用量で投与される。一実施形態において、抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、1200mgの用量で投与される。
【0254】
一実施形態では、癌の治療において同時又は逐次に使用するためのICOS結合タンパク質及びPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドが提供され、ICOS結合タンパク質は約0.08mg~約240mgの用量で投与され、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドは約500mg~約3000mgの用量で投与される。別の実施形態において、ICOS結合タンパク質は24mg、48mg、80mg又は160mgの用量で投与され、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドは2400mgの用量で投与される。別の実施形態において、ICOS結合タンパク質は24mg、48mg、80mg又は160mgの用量で投与され、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドは1200mgの用量で投与される。
【0255】
一実施形態では、癌の治療において同時又は逐次に使用するためのICOS結合タンパク質及び抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質が提供され、ICOS結合タンパク質は約0.08mg~約240mgの用量で投与され、抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は約500mg~約3000mgの用量で投与される。別の実施形態において、ICOS結合タンパク質は24mg、48mg、80mg又は160mgの用量で投与され、抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は2400mgの用量で投与される。別の実施形態において、ICOS結合タンパク質は24mg、48mg、80mg又は160mgの用量で投与され、抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は1200mgの用量で投与される。
【0256】
別の態様では、癌の治療において使用するためのICOS結合タンパク質が提供され、ICOS結合タンパク質は、約0.08mg~約240mgの用量で投与され、且つ、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドと同時に(すなわち同時に)又は逐次に投与される。一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、8mg、24mg、48mg、80mg、160mg又は240mgの用量で投与される。別の態様では、癌の治療において使用するためのPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドが提供され、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドは、約500mg~約3000mgの用量で投与され、且つ、ICOS結合タンパク質と同時に(すなわち同時に)又は逐次に投与される。一実施形態において、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドは、2400mgの用量で投与される。一実施形態において、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドは、1200mgの用量で投与される。一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、約0.08mg~約240mgの用量で投与され、且つ、約500mg~約3000mgの用量のPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドと同時に又は逐次に投与される。別の実施形態において、ICOS結合タンパク質は、24mg、48mg、80mg又は160mgの用量で投与され、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドは、2400mgの用量で投与される。別の実施形態において、ICOS結合タンパク質は、24mg、48mg、80mg又は160mgの用量で投与され、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドは、1200mgの用量で投与される。
【0257】
別の態様では、癌の治療において使用するためのICOS結合タンパク質が提供され、ICOS結合タンパク質は、約0.08mg~約240mgの用量で投与され、且つ、抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質と同時に(すなわち同時に)又は逐次に投与される。一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、8mg、24mg、48mg、80mg、160mg又は240mgの用量で投与される。別の態様では、癌の治療において使用するための抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質が提供され、抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、約500mg~約3000mgの用量で投与され、且つ、ICOS結合タンパク質と同時に(すなわち同時に)又は逐次に投与される。一実施形態において、抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、2400mgの用量で投与される。一実施形態において、抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、1200mgの用量で投与される。一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、約0.08mg~約240mgの用量で投与され、且つ、約500mg~約3000mgの用量の抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質と同時に又は逐次に投与される。別の実施形態において、ICOS結合タンパク質は、24mg、48mg、80mg又は160mgの用量で投与され、抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、2400mgの用量で投与される。別の実施形態において、ICOS結合タンパク質は、24mg、48mg、80mg又は160mgの用量で投与され、抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、1200mgの用量で投与される。
【0258】
別の態様では、癌を治療するための医薬の製造におけるICOS結合タンパク質の使用が提供され、ICOS結合タンパク質は、約0.08mg~約240mgの用量で投与され、且つ、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドと同時に又は逐次に投与される。一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、8mg、24mg、48mg、80mg、160mg又は240mgの用量で投与される。別の態様では、癌を治療するための医薬の製造におけるPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドの使用が提供され、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドは、約500mg~約3000mgの用量で投与され、且つ、ICOS結合タンパク質と同時に又は逐次に投与される。一実施形態において、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドは、2400mgの用量で投与される。一実施形態において、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドは、1200mgの用量で投与される。一実施形態では、癌を治療するための医薬の製造におけるICOS結合タンパク質の使用が提供され、ICOS結合タンパク質は、約0.08mg~約240mgの用量で投与され、且つ、約500mg~約3000mgの用量のPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドと同時に又は逐次に投与される。別の実施形態において、ICOS結合タンパク質は、24mg、48mg、80mg又は160mgの用量で投与され、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドは、2400mgの用量で投与される。別の実施形態において、ICOS結合タンパク質は、24mg、48mg、80mg又は160mgの用量で投与され、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドは、1200mgの用量で投与される。
【0259】
別の態様では、癌を治療するための医薬の製造におけるICOS結合タンパク質の使用が提供され、ICOS結合タンパク質は、約0.08mg~約240mgの用量で投与され、且つ、抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質と同時に又は逐次に投与される。一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、8mg、24mg、48mg、80mg、160mg又は240mgの用量で投与される。別の態様では、癌を治療するための医薬の製造における抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質の使用が提供され、抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、約500mg~約3000mgの用量で投与され、且つ、ICOS結合タンパク質と同時に又は逐次に投与される。一実施形態において、抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、2400mgの用量で投与される。一実施形態において、抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、1200mgの用量で投与される。一実施形態では、癌を治療するための医薬の製造におけるICOS結合タンパク質の使用が提供され、ICOS結合タンパク質は、約0.08mg~約240mgの用量で投与され、且つ、約500mg~約3000mgの用量の抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質と同時に又は逐次に投与される。別の実施形態において、ICOS結合タンパク質は、24mg、48mg、80mg又は160mgの用量で投与され、抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、2400mgの用量で投与される。別の実施形態において、ICOS結合タンパク質は、24mg、48mg、80mg又は160mgの用量で投与され、抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、1200mgの用量で投与される。
【0260】
一態様では、約0.08mg~約240mgのICOS結合タンパク質と、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドとを含む医薬キットが提供される。さらなる実施形態において、医薬キットは、約24mg、約48mg、約80mg又は約160mgのICOS結合タンパク質を含む。一実施形態において、医薬キットは、約500mg~約3000mgのPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドを含む。さらなる実施形態において、医薬キットは、約2400mgのPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドを含む。さらなる実施形態において、医薬キットは、約1200mgのPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドを含む。一実施形態において、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドはビントラフスプアルファである。
【0261】
一態様では、約500mg~約3000mgのPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドと、ICOS結合タンパク質とを含む医薬キットが提供される。一実施形態において、医薬キットは、約0.08mg~約240mgのICOS結合タンパク質を含む。さらなる実施形態において、医薬キットは、約8mg、約24mg又は約48mgのICOS結合タンパク質を含む。さらなる実施形態において、医薬キットは、約80mg又は約160mgのICOS結合タンパク質を含む。
【0262】
一実施形態において、医薬キットは、10mg/mLの濃度のICOS結合タンパク質を含む。一実施形態において、医薬キットは、約20mg/mL~約125mg/mLの濃度のPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドを含む。さらなる実施形態において、医薬キットは、20mg/mL~50mg/mLの濃度のPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドを含む。一実施形態において、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドは10mg/mLの濃度である。一実施形態において、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドは20mg/mLの濃度である。一実施形態において、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドは30mg/mLの濃度である。一実施形態において、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドは40mg/mLの濃度である。別の実施形態において、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドは50mg/mLの濃度である。
【0263】
一態様では、約0.08mg~約240mgのICOS結合タンパク質と、抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質とを含む医薬キットが提供される。さらなる実施形態において、医薬キットは、約24mg、約48mg、約80mg又は約160mgのICOS結合タンパク質を含む。一実施形態において、医薬キットは、約500mg~約3000mgの抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質を含む。さらなる実施形態において、医薬キットは、約2400mgの抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質を含む。さらなる実施形態において、医薬キットは、約1200mgの抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質を含む。一実施形態において、抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質はビントラフスプアルファである。
【0264】
一態様では、約500mg~約3000mgの抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質と、ICOS結合タンパク質とを含む医薬キットが提供される。一実施形態において、医薬キットは、約0.08mg~約240mgのICOS結合タンパク質を含む。さらなる実施形態において、医薬キットは、約8mg、約24mg又は約48mgのICOS結合タンパク質を含む。さらなる実施形態において、医薬キットは、約80mg又は約160mgのICOS結合タンパク質を含む。
【0265】
一実施形態において、医薬キットは、10mg/mLの濃度のICOS結合タンパク質を含む。一実施形態において、医薬キットは、約20mg/mL~約125mg/mLの濃度の抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質を含む。さらなる実施形態において、医薬キットは、20mg/mL~50mg/mLの濃度の抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質を含む。一実施形態において、抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は10mg/mLの濃度である。一実施形態において、抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は20mg/mLの濃度である。一実施形態において、抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は30mg/mLの濃度である。一実施形態において、抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は40mg/mLの濃度である。別の実施形態において、抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は50mg/mLの濃度である。
【0266】
別の態様では、10mg/mLの濃度のICOS結合タンパク質を含む医薬製剤が提供される。別の態様では、約20mg/mL~約125mg/mLの濃度のPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドを含む医薬製剤が提供される。さらなる実施形態において、医薬製剤は、20mg/mL~50mg/mLの濃度のPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドを含む。一実施形態において、PD-1結合タンパク質は20mg/mLの濃度である。。一実施形態において、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドは10mg/mLの濃度である。一実施形態において、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドは20mg/mLの濃度である。一実施形態において、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドは30mg/mLの濃度である。一実施形態において、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドは40mg/mLの濃度である。別の実施形態において、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドは50mg/mLの濃度である。したがって、一実施形態において、医薬製剤は、10mg/mLの濃度のICOS結合タンパク質と、約20mg/mL~約125mg/mLの濃度のPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドとを含む。さらなる実施形態において、医薬製剤は、10mg/mLの濃度のICOS結合タンパク質と、20mg/mL~50mg/mLの濃度のPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドとを含む。一実施形態において、医薬製剤は、10mg/mLの濃度のICOS結合タンパク質と、10mg/mLの濃度のPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドとを含む。一実施形態において、医薬製剤は、10mg/mLの濃度のICOS結合タンパク質と、20mg/mLの濃度のPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドとを含む。一実施形態において、医薬製剤は、10mg/mLの濃度のICOS結合タンパク質と、30mg/mLの濃度のPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドとを含む。一実施形態において、医薬製剤は、10mg/mLの濃度のICOS結合タンパク質と、40mg/mLの濃度のPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドとを含む。別の実施形態において、医薬製剤は、10mg/mLの濃度のICOS結合タンパク質と、50mg/mLの濃度のPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドとを含む。
【0267】
別の態様では、10mg/mLの濃度のICOS結合タンパク質を含む医薬製剤が提供される。別の態様では、約20mg/mL~約125mg/mLの濃度の抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質を含む医薬製剤が提供される。さらなる実施形態において、医薬製剤は、20mg/mL~50mg/mLの濃度の抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質を含む。一実施形態において、PD-1結合タンパク質は20mg/mLの濃度である。。一実施形態において、抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は10mg/mLの濃度である。一実施形態において、抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は20mg/mLの濃度である。一実施形態において、抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は30mg/mLの濃度である。一実施形態において、抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は40mg/mLの濃度である。別の実施形態において、抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は50mg/mLの濃度である。したがって、一実施形態において、医薬製剤は、10mg/mLの濃度のICOS結合タンパク質と、約20mg/mL~約125mg/mLの濃度の抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質とを含む。さらなる実施形態において、医薬製剤は、10mg/mLの濃度のICOS結合タンパク質と、20mg/mL~50mg/mLの濃度の抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質とを含む。一実施形態において、医薬製剤は、10mg/mLの濃度のICOS結合タンパク質と、10mg/mLの濃度の抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質とを含む。一実施形態において、医薬製剤は、10mg/mLの濃度のICOS結合タンパク質と、20mg/mLの濃度の抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質とを含む。一実施形態において、医薬製剤は、10mg/mLの濃度のICOS結合タンパク質と、30mg/mLの濃度の抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質とを含む。一実施形態において、医薬製剤は、10mg/mLの濃度のICOS結合タンパク質と、40mg/mLの濃度の抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質とを含む。別の実施形態において、医薬製剤は、10mg/mLの濃度のICOS結合タンパク質と、50mg/mLの濃度の抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質とを含む。
【0268】
いくつかの実施形態において、ICOS結合タンパク質は、約0.08~800mgの用量(例えば、約0.08mgの用量、約0.24mgの用量;約0.8mgの用量;約2.4mgの用量;約8mgの用量;約16mgの用量;約24mgの用量;約32mgの用量;約40mgの用量;約48mgの用量;約56mgの用量;約64mgの用量;約72mgの用量;約80mgの用量;約88mgの用量;約96mgの用量;約100mgの用量;約160mgの用量;約200mgの用量;約240mgの用量;約300mgの用量;約400mgの用量;約500mgの用量;約600mgの用量;約700mgの用量;又は約800mgの用量)で投与される。いくつかの実施形態において、ICOS結合タンパク質は、約0.08~240mgの用量で投与される。さらなる実施形態において、ICOS結合タンパク質は、約0.001~10mg/kgの用量(例えば、約0.001mg/kgの用量、約0.003mg/kgの用量、約0.01mg/kgの用量、約0.03mg/kgの用量、約0.1mg/kgの用量、約0.3mg/kgの用量、約0.6mg/kgの用量、約1.0mg/kgの用量、約2.0mg/kgの用量、約3.0mg/kgの用量、約6mg/kgの用量又は約10mg/kgの用量)で投与される。いくつかの実施形態において、ICOS結合タンパク質は、約0.001~3mg/kgの用量で投与される。いくつかの実施形態において、ICOS結合タンパク質は、約0.3mg/kgの用量で投与される。いくつかの実施形態において、ICOS結合タンパク質は、約1mg/kgの用量で投与される。いくつかの実施形態において、ICOS結合タンパク質は、約3mg/kgの用量で投与される。いくつかの実施形態において、ICOS結合タンパク質は、約24mgの用量で投与される。いくつかの実施形態において、ICOS結合タンパク質は、約48mgの用量で投与される。いくつかの実施形態において、ICOS結合タンパク質は、約72mgの用量で投与される。いくつかの実施形態において、ICOS結合タンパク質は、約80mgの用量で投与される。いくつかの実施形態において、ICOS結合タンパク質は、約96mgの用量で投与される。いくつかの実施形態において、ICOS結合タンパク質は、約120mgの用量で投与される。いくつかの実施形態において、ICOS結合タンパク質は、約148mgの用量で投与される。いくつかの実施形態において、ICOS結合タンパク質は、約160mgの用量で投与される。いくつかの実施形態において、ICOS結合タンパク質は、約240mgの用量で投与される。いくつかの実施形態において、ICOS結合タンパク質は、約320mgの用量で投与される。いくつかの実施形態において、ICOS結合タンパク質は、約480mgの用量で投与される。
【0269】
一実施形態において、ICOS結合タンパク質の用量は、約0.08mg~約800mgである。別の実施形態において、ICOS結合タンパク質の用量は、約0.8mg~約240mgである。
【0270】
別の実施形態において、ICOS結合タンパク質の用量は、約8mg~約80mgである。別の実施形態において、ICOS結合タンパク質の用量は、約0.08mg、約0.24mg、約0.48mg、約0.8mg、約1.6mg、約2.4mg、約8mg、約24mg、約48mg、約80mg、約160mg又は約240mgである。一実施形態において、ICOS結合タンパク質の用量は、約24mg、約48mg、約80mg又は約160mgである。一実施形態において、ICOS結合タンパク質の用量は、少なくとも約24mgである。一実施形態において、ICOS結合タンパク質の用量は、少なくとも約48mgである。
【0271】
一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、2~6週間(例えば、2週間、3週間又は4週間、特に3週間)ごとに1回投与される。一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、2~6回の投与サイクル(例えば、第1の3回、4回又は5回の投与サイクル、特に第1の4回の投与サイクル)で3週間ごとに1回投与される。
【0272】
一実施形態において、ICOS結合タンパク質はボプラテリマブである。一実施形態において、ボプラテリマブは、0.03mg/kg、0.1mg/kg又は0.3mg/kgで投与される。一実施形態において、ボプラテリマブは3週間ごとに投与される。別の実施形態において、ボプラテリマブの投与量及び投与間隔はパルス投与(pulsatile)である。
【0273】
いくつかの実施形態において、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドは、約500~3000mgの用量(例えば、約500mgの用量;約600mgの用量;約700mgの用量;約800mgの用量;約900mgの用量;約1000mgの用量;約1100mgの用量;約1200mgの用量;約1300mgの用量;約1400mgの用量;約1500mgの用量;約1600mgの用量;約1700mgの用量;約1800mgの用量;約1900mgの用量;約2000mgの用量;約2100mgの用量;約2200mgの用量;約2300mgの用量;約2400mgの用量;約2500mgの用量;約2600mgの用量;約2700mgの用量;約2800mgの用量;約2900mgの用量;又は約3000mgの用量)で投与される。いくつかの実施形態において、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドは、約12.5mg/kgの用量で投与される。いくつかの実施形態において、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドは、約15mg/kgの用量で投与される。いくつかの実施形態において、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドは、約30mg/kgの用量で投与される。いくつかの実施形態において、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドは、約1000mgの用量で投与される。いくつかの実施形態において、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドは、約1200mgの用量で投与される。いくつかの実施形態において、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドは、約2400mgの用量で投与される。
【0274】
一実施形態において、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドは、2~6週間(例えば、2週間、3週間又は4週間、特に2週間又は3週間)ごとに1回投与される。一実施形態において、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドは、2~6回の投与サイクル(例えば、第1の3回、4回又は5回の投与サイクル、特に第1の4回の投与サイクル)で2週間ごとに1回投与される。一実施形態において、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドは、2~6回の投与サイクル(例えば、第1の3回、4回又は5回の投与サイクル、特に第1の4回の投与サイクル)で3週間ごとに1回投与される。
【0275】
いくつかの実施形態において、抗PD-L1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、約500~3000mgの用量(例えば、約500mgの用量;約600mgの用量;約700mgの用量;約800mgの用量;約900mgの用量;約1000mgの用量;約1100mgの用量;約1200mgの用量;約1300mgの用量;約1400mgの用量;約1500mgの用量;約1600mgの用量;約1700mgの用量;約1800mgの用量;約1900mgの用量;約2000mgの用量;約2100mgの用量;約2200mgの用量;約2300mgの用量;約2400mgの用量;約2500mgの用量;約2600mgの用量;約2700mgの用量;約2800mgの用量;約2900mgの用量;又は約3000mgの用量)で投与される。いくつかの実施形態において、抗PD-L1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、約12.5mg/kgの用量で投与される。いくつかの実施形態において、抗PD-L1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、約15mg/kgの用量で投与される。いくつかの実施形態において、抗PD-L1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、約30mg/kgの用量で投与される。いくつかの実施形態において、抗PD-L1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、約1000mgの用量で投与される。いくつかの実施形態において、抗PD-L1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、約1200mgの用量で投与される。いくつかの実施形態において、抗PD-L1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、約2400mgの用量で投与される。
【0276】
一実施形態において、抗PD-L1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、2~6週間(例えば、2週間、3週間又は4週間、特に2週間又は3週間)ごとに1回投与される。一実施形態において、抗PD-L1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、2~6回の投与サイクル(例えば、第1の3回、4回又は5回の投与サイクル、特に第1の4回の投与サイクル)で2週間ごとに1回投与される。一実施形態において、抗PD-L1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、2~6回の投与サイクル(例えば、第1の3回、4回又は5回の投与サイクル、特に第1の4回の投与サイクル)で3週間ごとに1回投与される。
【0277】
一実施形態において、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドは、2週間ごとに1200mgの用量で投与される。一実施形態において、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドは、2週間ごとに15mg/kgの用量で投与される。一実施形態において、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドは、3週間ごとに2400mgの用量で投与される。一実施形態において、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドは、3週間ごとに30mg/kgの用量で投与される。
【0278】
一実施形態において、抗PD-L1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、2週間ごとに1200mgの用量で投与される。一実施形態において、抗PD-L1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、2週間ごとに15mg/kgの用量で投与される。一実施形態において、抗PD-L1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、3週間ごとに2400mgの用量で投与される。一実施形態において、抗PD-L1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、3週間ごとに30mg/kgの用量で投与される。
【0279】
一実施形態において、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド、又は抗PD-L1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、ビントラフスプアルファである。一実施形態において、ビントラフスプアルファは、2週間ごとに1200mgの用量で投与される。一実施形態において、ビントラフスプアルファは、2週間ごとに15mg/kgの用量で投与される。一実施形態において、ビントラフスプアルファは、3週間ごとに2400mgの用量で投与される。一実施形態において、ビントラフスプアルファは、3週間ごとに30mg/kgの用量で投与される。
【0280】
80kgの典型的な体重の中央値を想定して、固定用量を試験してもよい。
【0281】
治療用モノクローナル抗体は、多くの場合、体の大きさを基準にして投与される。これにより、薬物曝露における対象間の変動性が減少するという概念があるためである。しかしながら、PKパラメータの体重依存性は、モノクローナル抗体の曝露において観察された変動性を常に説明するわけではない(Zhao et al. Annals of Oncology. (2017) 28:2002-2008)。実施例で示される試験における体重基準の用量対固定用量の利点は、集団PKモデリング(population PK modelling)及びシミュレーションの成果(simulation effort)を通じて評価された。予備的な集団PKモデル(preliminary population PK model)は、単剤療法の用量漸増から開発された(最大1mg/kgの用量のデータ;n=19人の対象)。
【0282】
シミュレーションにおける体重分布を考慮することによって、シミュレーションが実行され、シミュレーションは、予備的なデータセットにおいて観察された分布に基づいていた。5パーセンタイルの体重(40~47kg)において、定常状態のAUC(0-)の中央値が70~100%増加した。これらの増加よりも高いH2L5 IgG4PE曝露は、3mg/kgの用量レジメンを使用した現在の第1相試験において評価されている。95パーセンタイルの体重(107~118kg)において、曝露の最小限の低下とともに適切な受容体占有率(RO:receptor occupancy)を示す80kgの曝露の中央値と比較して、定常状態のAUC(0-)の中央値が23~32%減少した。同様の結果が、定常状態のCmaxと、体重基準の用量及び固定用量の間のトラフ濃度とについて予想される。
【0283】
全体として、これらの予備的な集団PKシミュレーションは、固定用量を使用すると、体重基準の用量と同様の範囲の暴露になることを示す。固定用量はまた、投与エラーの減少、薬物廃棄の減少、調製時間の短縮、及び投与の容易さの改善という利点をもたらす。したがって、参照体重80kgに基づく固定用量への切り替えは合理的且つ適切である。
【0284】
mg/kgが使用される場合、これはmg/体重のkgであることを理解すべきである。一実施形態において、ICOS結合タンパク質の用量は、約0.001mg/kg~約3.0mg/kgである。別の実施形態において、ICOS結合タンパク質の用量は、約0.001mg/kg、約0.003mg/kg、約0.01mg/kg、約0.03mg/kg、約0.1mg/kg、約0.3mg/kg、約1.0mg/kg、約3.0mg/kg又は約10mg/kgである。一実施形態において、ICOS結合タンパク質の用量は、約0.3mg/kgである。別の実施形態において、ICOS結合タンパク質の用量は、少なくとも3.0mg/kgである。一実施形態において、ICOS結合タンパク質の用量は、約0.001mg/kg~約10mg/kgである。一実施形態において、ICOS結合タンパク質の用量は、約0.1mg/kg~約1.0mg/kgである。一実施形態において、ICOS結合タンパク質の用量は、約0.1mg/kgである。一実施形態において、ICOS結合タンパク質の用量は、少なくとも0.1mg/kgである。別の実施形態において、ICOS結合タンパク質の用量は、約0.3mg/kgである。別の実施形態において、ICOS結合タンパク質の用量は、約1mg/kgである。一実施形態において、ICOS結合タンパク質の用量は、約3mg/kgである。一実施形態において、80kgの典型的な体重の中央値を想定して、固定用量のICOS結合タンパク質を投与することができる。
【0285】
一実施形態において、ICOS結合タンパク質の用量は、治療レジメン中に増量される。一実施形態において、約0.001mg/kg、約0.003mg/kg、約0.01mg/kg、約0.03mg/kg、約0.1mg/kg、約0.3mg/kg、約1.0mg/kgの初期用量は、約0.003mg/kg、約0.01mg/kg、約0.03mg/kg、約0.1mg/kg、約0.3mg/kg、約1.0mg/kg、約3.0mg/kg又は少なくとも3.0mg/kgに増量される。一実施形態において、0.1mg/kgの初期用量は1mg/kgに増量される。一実施形態において、0.3mg/kgの初期用量は1mg/kgに増量される。一実施形態において、0.6mg/kgの初期用量は2mg/kgに増量される。
【0286】
一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、0.1mg/kg×3用量で投与され、次いで、1mg/kgで投与される。一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、約0.001mg/kg、約0.003mg/kg、約0.01mg/kg、約0.03mg/kg、約0.1mg/kg、約0.3mg/kg、約1.0mg/kg又は約3.0mg/kgで投与され、次いで、約0.01mg/kg、約0.03mg/kg、約0.1mg/kg、約0.3mg/kg、約1.0mg/kg、約3.0mg/kg又は約10mg/kgに増量される。
【0287】
一実施形態において、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドの用量は、約6.25mg/kg~約37.5mg/kgである。別の実施形態において、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドの用量は、約6.25mg/kg、約12.5mg/kg、約15mg/kg、約18.75mg/kg、約25.0mg/kg、約30mg/kg又は約37.5mg/kgである。別の実施形態において、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドの用量は少なくとも6.25mg/kgである。一実施形態において、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドの用量は、約15mg/kg~約30mg/kgである。一実施形態において、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドの用量は約30mg/kgである。一実施形態において、80kgの典型的な体重の中央値を想定して、固定用量のPD-1結合タンパク質を投与することができる。
【0288】
一実施形態において、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドの用量は、治療レジメン中に増量される。一実施形態において、約15mg/kgの初期用量は約30mg/kgに増量される。
【0289】
一実施形態において、抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質の用量は、約6.25mg/kg~約37.5mg/kgである。別の実施形態において、抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質の用量は、約6.25mg/kg、約12.5mg/kg、約15mg/kg、約18.75mg/kg、約25.0mg/kg、約30mg/kg又は約37.5mg/kgである。別の実施形態において、抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質の用量は少なくとも6.25mg/kgである。一実施形態において、抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質の用量は、約15mg/kg~約30mg/kgである。一実施形態において、抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質の用量は約30mg/kgである。一実施形態において、80kgの典型的な体重の中央値を想定して、固定用量のPD-1結合タンパク質を投与することができる。
【0290】
一実施形態において、抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質の用量は、治療レジメン中に増量される。一実施形態において、約15mg/kgの初期用量は約30mg/kgに増量される。
【0291】
一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、22日、23日、24日、25日、26日、27日、28日、29日、30日、31日、32日、33日、34日、35日、36日、37日、38日、39日、40日、41日又は42日ごとに1回投与される。一実施形態において、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド、又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、22日、23日、24日、25日、26日、27日、28日、29日、30日、31日、32日、33日、34日、35日、36日、37日、38日、39日、40日、41日又は42日ごとに1回投与される。
【0292】
一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、1週間ごとに1回、2週間ごとに1回、3週間ごとに1回、4週間ごとに1回、5週間ごとに1回又は6週間ごとに1回投与される。一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、3週間ごとに1回投与される。一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、6週間ごとに1回投与される。一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、疾患が進行するまで、3週間ごとに1回又は6週間ごとに1回投与される。一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、3週間に1回で35サイクル投与される。
【0293】
一実施形態において、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドは、1週間ごとに1回、2週間ごとに1回、3週間ごとに1回、4週間ごとに1回、5週間ごとに1回又は6週間ごとに1回投与される。一実施形態において、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドは、3週間ごとに1回投与される。一実施形態において、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドは、6週間ごとに1回投与される。一実施形態において、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドは、疾患が進行するまで、3週間ごとに1回又は6週間ごとに1回投与される。一実施形態において、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドは、3週間に1回で35サイクル投与される。
【0294】
一実施形態において、抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、1週間ごとに1回、2週間ごとに1回、3週間ごとに1回、4週間ごとに1回、5週間ごとに1回又は6週間ごとに1回投与される。一実施形態において、抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、3週間ごとに1回投与される。一実施形態において、抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、6週間ごとに1回投与される。一実施形態において、抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、疾患が進行するまで、3週間ごとに1回又は6週間ごとに1回投与される。一実施形態において、抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、3週間に1回で35サイクル投与される。
【0295】
一実施形態において、ICOS結合タンパク質、及び/又は、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド、若しくは抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、3サイクル、4サイクル、5サイクル、6サイクル、7サイクル、8サイクル、9サイクル、10サイクル、11サイクル、12サイクル、13サイクル、14サイクル、15サイクル、16サイクル、17サイクル、18サイクル、19サイクル、20サイクル、21サイクル、22サイクル、23サイクル、24サイクル、25サイクル、26サイクル、27サイクル、28サイクル、29サイクル、30サイクル、31サイクル、32サイクル、33サイクル、34サイクル、35サイクル、36サイクル、37サイクル、38サイクル、39サイクル又は40サイクルまで2週間ごとに投与される。一実施形態において、ICOS結合タンパク質、及び/又は、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド、若しくは抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、35サイクルまで2週間ごとに投与される。一実施形態において、ICOS結合タンパク質、及び/又は、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド、若しくは抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、3サイクル、4サイクル、5サイクル、6サイクル、7サイクル、8サイクル、9サイクル、10サイクル、11サイクル、12サイクル、13サイクル、14サイクル、15サイクル、16サイクル、17サイクル、18サイクル、19サイクル、20サイクル、21サイクル、22サイクル、23サイクル、24サイクル、25サイクル、26サイクル、27サイクル、28サイクル、29サイクル、30サイクル、31サイクル、32サイクル、33サイクル、34サイクル、35サイクル、36サイクル、37サイクル、38サイクル、39サイクル又は40サイクルまで3週間ごとに投与される。一実施形態において、ICOS結合タンパク質、及び/又は、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド、若しくは抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、35サイクルまで3週間ごとに投与される。一実施形態において、ICOS結合タンパク質、及び/又は、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド、若しくは抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、3サイクル、4サイクル、5サイクル、6サイクル、7サイクル、8サイクル、9サイクル、10サイクル、11サイクル、12サイクル、13サイクル、14サイクル、15サイクル、16サイクル、17サイクル、18サイクル、19サイクル、20サイクル、21サイクル、22サイクル、23サイクル、24サイクル、25サイクル、26サイクル、27サイクル、28サイクル、29サイクル、30サイクル、31サイクル、32サイクル、33サイクル、34サイクル、35サイクル、36サイクル、37サイクル、38サイクル、39サイクル又は40サイクルまで6週間ごとに投与される。一実施形態において、ICOS結合タンパク質、及び/又は、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド、若しくは抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、35サイクルまで6週間ごとに投与される。
【0296】
本明細書に開示される組合せの別個の構成要素は、任意の好都合な経路によって、別個の形態又は組み合わされた形態(例えば、医薬製剤としての形態)のいずれかで投与され得る。
【0297】
一部の治療剤(例えば、結合タンパク質)の場合、適切な経路には、経口、直腸、経鼻、局所(頬及び舌下を含む)、膣及び非経口(皮下、筋肉内、静脈内、皮内、髄腔内及び硬膜外を含む)を含む。好ましい経路は、例えば、組合せの受容者の状態及び治療される癌によって変化し得ることが理解される。投与される薬剤のそれぞれが同じ又は異なる経路によって投与されてもよく、治療剤が一緒又は別個の医薬組成物に調合されてもよいことも理解される。
【0298】
一実施形態において、本発明の組合せの1種又は2種以上の結合薬は、静脈内投与される。さらなる実施形態において、本発明の組合せの1種又は2種以上の結合薬は、静脈内注入によって投与される。別の実施形態において、本発明の組合せの1種又は2種以上の結合薬は、腫瘍内投与される。別の実施形態において、本発明の組合せの1種又は2種以上の結合薬は、経口投与される。別の実施形態において、本発明の組合せの1種又は2種以上の結合薬は、全身投与、例えば、静脈内投与され、本発明の組合せの1種又は2種以上のその他の結合薬は、腫瘍内投与される。別の実施形態において、本発明の組合せの治療薬はすべて全身投与、例えば、静脈内投与される。別の実施形態において、本発明の組合せの治療薬はすべて腫瘍内投与される。実施形態のいずれかにおいて、例えば、この段落において、本発明の治療薬は、1又は2以上の医薬組成物として投与され得る。
【0299】
一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、静脈内(IV)注入によって投与される。一実施形態において、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドは、IV注入によって投与される。一実施形態において、抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、IV注入によって投与される。
【0300】
一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、約0.08mg、約0.24mg、約0.48mg、約0.8mg、約1.6mg、約2.4mg、約8.0mg、約24mg、約8mg、約48mg、約80mg、約160mg又は約240mgの用量でIV注入により3週間ごとに投与される。一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、24mg又は80mgの用量でIV注入により3週間ごとに投与される。一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、0.3mg/kg又は1mg/kgの用量でIV注入により3週間ごとに投与される。一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、約8mg、約24mg、約48mg、約80mg、約160mg又は約240mgの用量でIV注入により6週間ごとに投与される。一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、48mg又は160mgの用量でIV注入により6週間ごとに投与される。一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、0.6mg/kg又は2mg/kgの用量でIV注入により6週間ごとに投与される。
【0301】
一実施形態において、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドは、約500mg、約700mg、約1000mg、約1200mg、約1500mg、約1800mg、約2000mg、約2400mg、約2600mg、約3000mgの用量でIV注入により2週間ごとに投与される。一実施形態において、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドは、2週間ごとにIV注入により1200mgの用量で投与される。一実施形態において、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドは、2週間ごとにIV注入により約15mg/kgの用量で投与される。一実施形態において、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドは、約500mg、約700mg、約1000mg、約1200mg、約1500mg、約1800mg、約2000mg、約2400mg、約2600mg、約3000mgの用量でIV注入により3週間ごとに投与される。一実施形態において、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドは、3週間ごとにIV注入により2400mgの用量で投与される。一実施形態において、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドは、3週間ごとにIV注入により約30mg/kgの用量で投与される。一実施形態において、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドは、約1000mg、約1400mg、約2000mg、約2400mg、約3000mg、約3600mg、約4000mg、約4800mg、約5200mg、約6000mgの用量でIV注入により6週間ごとに投与される。一実施形態において、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドは、6週間ごとにIV注入により4800mgの用量で投与される。一実施形態において、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドは、6週間ごとにIV注入により約60mg/kgの用量で投与される。
【0302】
一実施形態において、抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、約500mg、約700mg、約1000mg、約1200mg、約1500mg、約1800mg、約2000mg、約2400mg、約2600mg、約3000mgの用量でIV注入により2週間ごとに投与される。一実施形態において、抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、2週間ごとにIV注入により1200mgの用量で投与される。一実施形態において、抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、2週間ごとにIV注入により約15mg/kgの用量で投与される。一実施形態において、抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、約500mg、約700mg、約1000mg、約1200mg、約1500mg、約1800mg、約2000mg、約2400mg、約2600mg、約3000mgの用量でIV注入により3週間ごとに投与される。一実施形態において、抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、3週間ごとにIV注入により2400mgの用量で投与される。一実施形態において、抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、3週間ごとにIV注入により約30mg/kgの用量で投与される。一実施形態において、抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、約1000mg、約1400mg、約2000mg、約2400mg、約3000mg、約3600mg、約4000mg、約4800mg、約5200mg、約6000mgの用量でIV注入により6週間ごとに投与される。一実施形態において、抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、6週間ごとにIV注入により4800mgの用量で投与される。一実施形態において、抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、6週間ごとにIV注入により約60mg/kgの用量で投与される。
【0303】
一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、3週間ごとにIV注入によって0.3mg/kgの用量で投与され、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、2週間ごとにIV注入によって1200mgの用量で投与される。一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、3週間ごとにIV注入によって0.3mg/kgの用量で投与され、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、2週間ごとにIV注入によって15mg/kgの用量で投与される。一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、3週間ごとにIV注入によって24mgの用量で投与され、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、2週間ごとにIV注入によって1200mgの用量で投与される。一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、3週間ごとにIV注入によって24mgの用量で投与され、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、2週間ごとにIV注入によって15mg/kgの用量で投与される。一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、3週間ごとにIV注入によって80mgの用量で投与され、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、2週間ごとにIV注入によって1200mgの用量で投与される。一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、3週間ごとにIV注入によって80mgの用量で投与され、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、2週間ごとにIV注入によって15mg/kgの用量で投与される。
【0304】
一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、3週間ごとにIV注入によって0.3mg/kgの用量で投与され、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、3週間ごとにIV注入によって2400mgの用量で投与される。一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、3週間ごとにIV注入によって0.3mg/kgの用量で投与され、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、3週間ごとにIV注入によって30mg/kgの用量で投与される。一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、3週間ごとにIV注入によって24mgの用量で投与され、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、3週間ごとにIV注入によって2400mgの用量で投与される。一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、3週間ごとにIV注入によって24mgの用量で投与され、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、3週間ごとにIV注入によって30mg/kgの用量で投与される。一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、3週間ごとにIV注入によって80mgの用量で投与され、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、3週間ごとにIV注入によって2400mgの用量で投与される。一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、3週間ごとにIV注入によって80mgの用量で投与され、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、3週間ごとにIV注入によって30mg/kgの用量で投与される。
【0305】
一実施形態において、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、2週間ごとに1回投与される。一実施形態において、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質はビントラフスプアルファである。一実施形態において、1200mgのビントラフスプアルファが2週間ごとにIV注入により投与される。一実施形態において、15mg/kgのビントラフスプアルファが2週間ごとにIV注入により投与される。一実施形態において、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、3週間ごとに1回投与される。一実施形態において、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質はビントラフスプアルファである。一実施形態において、2400mgのビントラフスプアルファが3週間ごとにIV注入により投与される。一実施形態において、30mg/kgのビントラフスプアルファが3週間ごとにIV注入により投与される。
【0306】
いくつかの実施形態では、患者に、最初に単剤療法レジメンとしてICOS結合タンパク質を投与し、次いで、併用療法レジメンとしてPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質とともにICOS結合タンパク質を投与する。いくつかの実施形態では、患者に、最初に単剤療法レジメンとしてPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質を投与し、次いで、併用療法レジメンとしてPD-1結合タンパク質とともにICOS結合タンパク質を投与する。
【0307】
いくつかの実施形態では、患者に、最初に単剤療法レジメンとして約0.08mg~約800mgの用量のICOS結合タンパク質を投与し、次いで、併用療法レジメンとして500mg~3000mgの用量のPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質とともに約0.08mg~約800mgの用量のICOS結合タンパク質を投与する。一実施形態では、患者に、最初に単剤療法レジメンとして約8mg、約24mg、約48mg、約80mg、約160mg又は約240mgの用量のICOS結合タンパク質を投与し、次いで、併用療法レジメンとして500mg~3000mgの用量のPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質とともに約8mg、約24mg、約48mg、約80mg、約160mg又は約240mgの用量のICOS結合タンパク質を投与する。一実施形態では、患者に、最初に単剤療法レジメンとして24mgの用量のICOS結合タンパク質を投与し、次いで、併用療法レジメンとして2400mgの用量のPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質とともに24mgの用量のICOS結合タンパク質を投与する。一実施形態では、患者に、最初に単剤療法レジメンとして80mgの用量のICOS結合タンパク質を投与し、次いで、併用療法レジメンとして2400mgの用量のPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質とともに80mgの用量のICOS結合タンパク質を投与する。
【0308】
さらなる実施形態では、患者に、最初に単剤療法レジメンとして24mgの用量のICOS結合タンパク質を1サイクル、2サイクル、3サイクル、4サイクル、5サイクル、6サイクル、7サイクル、8サイクル、9サイクル、10サイクル、11サイクル、12サイクル、13サイクル又は14サイクルまで3週間ごとに投与し、次いで、併用療法レジメンとして2400mgの用量のPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質とともに24mgの用量のICOS結合タンパク質を1サイクル、2サイクル、3サイクル、4サイクル、5サイクル、6サイクル、7サイクル、8サイクル、9サイクル、10サイクル、11サイクル、12サイクル、13サイクル又は14サイクルまで3週間ごとに投与する。さらなる実施形態では、患者に、最初に単剤療法レジメンとして80mgの用量のICOS結合タンパク質を1サイクル、2サイクル、3サイクル、4サイクル、5サイクル、6サイクル、7サイクル、8サイクル、9サイクル、10サイクル、11サイクル、12サイクル、13サイクル又は14サイクルまで3週間ごとに投与し、次いで、併用療法レジメンとして2400mgの用量のPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質とともに80mgの用量のICOS結合タンパク質を1サイクル、2サイクル、3サイクル、4サイクル、5サイクル、6サイクル、7サイクル、8サイクル、9サイクル、10サイクル、11サイクル、12サイクル、13サイクル又は14サイクルまで3週間ごとに投与する。
【0309】
さらなる実施形態では、患者に、最初に単剤療法レジメンとして24mgの用量のICOS結合タンパク質を1サイクル、2サイクル、3サイクル、4サイクル、5サイクル、6サイクル、7サイクル、8サイクル、9サイクル、10サイクル、11サイクル、12サイクル、13サイクル又は14サイクルまで3週間ごとに投与し、次いで、併用療法レジメンとして2週間ごとの1200mgの用量のPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質とともに3週間ごとの24mgの用量のICOS結合タンパク質を1サイクル、2サイクル、3サイクル、4サイクル、5サイクル、6サイクル、7サイクル、8サイクル、9サイクル、10サイクル、11サイクル、12サイクル、13サイクル又は14サイクルまで投与する。さらなる実施形態では、患者に、最初に単剤療法レジメンとして80mgの用量のICOS結合タンパク質を1サイクル、2サイクル、3サイクル、4サイクル、5サイクル、6サイクル、7サイクル、8サイクル、9サイクル、10サイクル、11サイクル、12サイクル、13サイクル又は14サイクルまで3週間ごとに投与し、次いで、併用療法レジメンとして2週間ごとの1200mgの用量のPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質とともに3週間ごとの80mgの用量のICOS結合タンパク質を1サイクル、2サイクル、3サイクル、4サイクル、5サイクル、6サイクル、7サイクル、8サイクル、9サイクル、10サイクル、11サイクル、12サイクル、13サイクル又は14サイクルまで投与する。
【0310】
いくつかの実施形態では、患者に、最初に単剤療法レジメンとして約0.001mg/kg~約10mg/kgの用量のICOS結合タンパク質を投与し、次いで、併用療法レジメンとして6.25mg/kg~37.5mg/kgの用量のPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質とともに約0.001mg/kg~約10mg/kgの用量のICOS結合タンパク質を投与する。一実施形態では、患者に、最初に単剤療法レジメンとして0.3mg/kgの用量のICOS結合タンパク質を投与し、次いで、併用療法レジメンとして30mg/kgの用量のPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質とともに0.3mg/kgの用量のICOS結合タンパク質を投与する。一実施形態では、患者に、最初に単剤療法レジメンとして1mg/kgの用量のICOS結合タンパク質を投与し、次いで、併用療法レジメンとして30mg/kgの用量のPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質とともに1mg/kgの用量のICOS結合タンパク質を投与する。一実施形態では、患者に、最初に単剤療法レジメンとして0.3mg/kgの用量のICOS結合タンパク質を投与し、次いで、併用療法レジメンとして15mg/kgの用量のPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質とともに0.3mg/kgの用量のICOS結合タンパク質を投与する。一実施形態では、患者に、最初に単剤療法レジメンとして1mg/kgの用量のICOS結合タンパク質を投与し、次いで、併用療法レジメンとして15mg/kgの用量のPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質とともに1mg/kgの用量のICOS結合タンパク質を投与する。
【0311】
さらなる実施形態では、患者に、最初に単剤療法レジメンとして0.3mg/kgの用量のICOS結合タンパク質を1サイクル、2サイクル、3サイクル、4サイクル、5サイクル、6サイクル、7サイクル、8サイクル、9サイクル、10サイクル、11サイクル、12サイクル、13サイクル又は14サイクルまで3週間ごとに投与し、次いで、併用療法レジメンとして30mg/kgの用量のPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質とともに0.3mg/kgの用量のICOS結合タンパク質を1サイクル、2サイクル、3サイクル、4サイクル、5サイクル、6サイクル、7サイクル、8サイクル、9サイクル、10サイクル、11サイクル、12サイクル、13サイクル又は14サイクルまで3週間ごとに投与する。さらなる実施形態では、患者に、最初に単剤療法レジメンとして1mg/kgの用量のICOS結合タンパク質を1サイクル、2サイクル、3サイクル、4サイクル、5サイクル、6サイクル、7サイクル、8サイクル、9サイクル、10サイクル、11サイクル、12サイクル、13サイクル又は14サイクルまで3週間ごとに投与し、次いで、併用療法レジメンとして30mg/kgの用量のPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質とともに1mg/kgの用量のICOS結合タンパク質を1サイクル、2サイクル、3サイクル、4サイクル、5サイクル、6サイクル、7サイクル、8サイクル、9サイクル、10サイクル、11サイクル、12サイクル、13サイクル又は14サイクルまで3週間ごとに投与する。
【0312】
さらなる実施形態では、患者に、最初に単剤療法レジメンとして0.3mg/kgの用量のICOS結合タンパク質を1サイクル、2サイクル、3サイクル、4サイクル、5サイクル、6サイクル、7サイクル、8サイクル、9サイクル、10サイクル、11サイクル、12サイクル、13サイクル又は14サイクルまで3週間ごとに投与し、次いで、併用療法レジメンとして2週間ごとの15mg/kgの用量のPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質とともに3週間ごとの0.3mg/kgの用量のICOS結合タンパク質を1サイクル、2サイクル、3サイクル、4サイクル、5サイクル、6サイクル、7サイクル、8サイクル、9サイクル、10サイクル、11サイクル、12サイクル、13サイクル又は14サイクルまで投与する。さらなる実施形態では、患者に、最初に単剤療法レジメンとして1mg/kgの用量のICOS結合タンパク質を1サイクル、2サイクル、3サイクル、4サイクル、5サイクル、6サイクル、7サイクル、8サイクル、9サイクル、10サイクル、11サイクル、12サイクル、13サイクル又は14サイクルまで3週間ごとに投与し、次いで、併用療法レジメンとして2週間ごとの15mg/kgの用量のPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質とともに3週間ごとの1mg/kgの用量のICOS結合タンパク質を1サイクル、2サイクル、3サイクル、4サイクル、5サイクル、6サイクル、7サイクル、8サイクル、9サイクル、10サイクル、11サイクル、12サイクル、13サイクル又は14サイクルまで投与する。
【0313】
いくつかの実施形態では、患者に、最初に単剤療法レジメンとして500mg~3000mgの用量のPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質を投与し、次いで、併用療法レジメンとして約0.08mg~約800mgの用量のICOS結合タンパク質とともに500mg~3000mgの用量のPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質を投与する。一実施形態では、患者に、最初に500mg~3000mgの用量のPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質を投与し、次いで、併用療法レジメンとして約8mg、約24mg、約48mg、約80mg、約160mg又は約240mgの用量のICOS結合タンパク質とともに500mg~3000mgの用量のPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質を投与する。一実施形態では、患者に、最初に1200mgの用量のPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質を投与し、次いで、併用療法レジメンとして24mgの用量のICOS結合タンパク質とともに1200mgの用量のPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質を投与する。一実施形態では、患者に、最初に1200mgの用量のPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質を投与し、次いで、併用療法レジメンとして80mgの用量のICOS結合タンパク質とともに1200mgの用量のPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質を投与する。一実施形態では、患者に、最初に1200mgの用量のPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質を投与し、次いで、併用療法レジメンとして24mgの用量のICOS結合タンパク質とともに2400mgの用量のPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質を投与する。一実施形態では、患者に、最初に1200mgの用量のPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質を投与し、次いで、併用療法レジメンとして80mgの用量のICOS結合タンパク質とともに2400mgの用量のPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質を投与する。一実施形態では、患者に、最初に2400mgの用量のPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質を投与し、次いで、併用療法レジメンとして24mgの用量のICOS結合タンパク質とともに2400mgの用量のPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質を投与する。一実施形態では、患者に、最初に2400mgの用量のPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質を投与し、次いで、併用療法レジメンとして80mgの用量のICOS結合タンパク質とともに2400mgの用量のPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質を投与する。
【0314】
さらなる実施形態では、患者に、最初に単剤療法レジメンとして1200mgの用量のPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質を1サイクル、2サイクル、3サイクル、4サイクル、5サイクル、6サイクル、7サイクル、8サイクル、9サイクル、10サイクル、11サイクル、12サイクル、13サイクル又は14サイクルまで2週間ごとに投与し、次いで、併用療法レジメンとして24mgの用量のICOS結合タンパク質とともに2400mgの用量のPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質を1サイクル、2サイクル、3サイクル、4サイクル、5サイクル、6サイクル、7サイクル、8サイクル、9サイクル、10サイクル、11サイクル、12サイクル、13サイクル又は14サイクルまで3週間ごとに投与する。さらなる実施形態では、患者に、最初に単剤療法レジメンとして1200mgの用量のPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質を1サイクル、2サイクル、3サイクル、4サイクル、5サイクル、6サイクル、7サイクル、8サイクル、9サイクル、10サイクル、11サイクル、12サイクル、13サイクル又は14サイクルまで2週間ごとに投与し、次いで、併用療法レジメンとして80mgの用量のICOS結合タンパク質とともに2400mgの用量のPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質を1サイクル、2サイクル、3サイクル、4サイクル、5サイクル、6サイクル、7サイクル、8サイクル、9サイクル、10サイクル、11サイクル、12サイクル、13サイクル又は14サイクルまで3週間ごとに投与する。さらなる実施形態では、患者に、最初に単剤療法レジメンとして2400mgの用量のPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質を1サイクル、2サイクル、3サイクル、4サイクル、5サイクル、6サイクル、7サイクル、8サイクル、9サイクル、10サイクル、11サイクル、12サイクル、13サイクル又は14サイクルまで3週間ごとに投与し、次いで、併用療法レジメンとして24mgの用量のICOS結合タンパク質とともに2400mgの用量のPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質を1サイクル、2サイクル、3サイクル、4サイクル、5サイクル、6サイクル、7サイクル、8サイクル、9サイクル、10サイクル、11サイクル、12サイクル、13サイクル又は14サイクルまで3週間ごとに投与する。さらなる実施形態では、患者に、最初に単剤療法レジメンとして2400mgの用量のPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質を1サイクル、2サイクル、3サイクル、4サイクル、5サイクル、6サイクル、7サイクル、8サイクル、9サイクル、10サイクル、11サイクル、12サイクル、13サイクル又は14サイクルまで3週間ごとに投与し、次いで、併用療法レジメンとして80mgの用量のICOS結合タンパク質とともに2400mgの用量のPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質を1サイクル、2サイクル、3サイクル、4サイクル、5サイクル、6サイクル、7サイクル、8サイクル、9サイクル、10サイクル、11サイクル、12サイクル、13サイクル又は14サイクルまで3週間ごとに投与する。
【0315】
いくつかの実施形態では、患者に、最初に単剤療法レジメンとして6.25mg/kg~37.5mg/kgの用量のPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質を投与し、次いで、併用療法レジメンとして約0.001mg/kg~約10mg/kgの用量のICOS結合タンパク質とともに6.25mg/kg~37.5mg/kgの用量のPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質を投与する。一実施形態では、患者に、最初に単剤療法レジメンとして15mg/kgの用量のPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質を投与し、次いで、併用療法レジメンとして0.3mg/kgの用量のICOS結合タンパク質とともに15mg/kgの用量のPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質を投与する。一実施形態では、患者に、最初に単剤療法レジメンとして15mg/kgの用量のPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質を投与し、次いで、併用療法レジメンとして1mg/kgの用量のICOS結合タンパク質とともに15mg/kgの用量のPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質を投与する。一実施形態では、患者に、最初に単剤療法レジメンとして30mg/kgの用量のPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質を投与し、次いで、併用療法レジメンとして0.3mg/kgの用量のICOS結合タンパク質とともに30mg/kgの用量のPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質を投与する。一実施形態では、患者に、最初に単剤療法レジメンとして30mg/kgの用量のPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質を投与し、次いで、併用療法レジメンとして1mg/kgの用量のICOS結合タンパク質とともに30mg/kgの用量のPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質を投与する。
【0316】
さらなる実施形態では、患者に、最初に単剤療法レジメンとして15mg/kgの用量のPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質を1サイクル、2サイクル、3サイクル、4サイクル、5サイクル、6サイクル、7サイクル、8サイクル、9サイクル、10サイクル、11サイクル、12サイクル、13サイクル又は14サイクルまで2週間ごとに投与し、次いで、併用療法レジメンとして0.3mg/kgの用量のICOS結合タンパク質とともに30mg/kgの用量のPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質を1サイクル、2サイクル、3サイクル、4サイクル、5サイクル、6サイクル、7サイクル、8サイクル、9サイクル、10サイクル、11サイクル、12サイクル、13サイクル又は14サイクルまで3週間ごとに投与する。さらなる実施形態では、患者に、最初に単剤療法レジメンとして15mg/kgの用量のPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質を1サイクル、2サイクル、3サイクル、4サイクル、5サイクル、6サイクル、7サイクル、8サイクル、9サイクル、10サイクル、11サイクル、12サイクル、13サイクル又は14サイクルまで2週間ごとに投与し、次いで、併用療法レジメンとして1mg/kgの用量のICOS結合タンパク質とともに30mg/kgの用量のPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質を1サイクル、2サイクル、3サイクル、4サイクル、5サイクル、6サイクル、7サイクル、8サイクル、9サイクル、10サイクル、11サイクル、12サイクル、13サイクル又は14サイクルまで3週間ごとに投与する。さらなる実施形態では、患者に、最初に単剤療法レジメンとして30mg/kgの用量のPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質を1サイクル、2サイクル、3サイクル、4サイクル、5サイクル、6サイクル、7サイクル、8サイクル、9サイクル、10サイクル、11サイクル、12サイクル、13サイクル又は14サイクルまで3週間ごとに投与し、次いで、併用療法レジメンとして0.3mg/kgの用量のICOS結合タンパク質とともに30mg/kgの用量のPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質を1サイクル、2サイクル、3サイクル、4サイクル、5サイクル、6サイクル、7サイクル、8サイクル、9サイクル、10サイクル、11サイクル、12サイクル、13サイクル又は14サイクルまで3週間ごとに投与する。さらなる実施形態では、患者に、最初に単剤療法レジメンとして30mg/kgの用量のPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質を1サイクル、2サイクル、3サイクル、4サイクル、5サイクル、6サイクル、7サイクル、8サイクル、9サイクル、10サイクル、11サイクル、12サイクル、13サイクル又は14サイクルまで3週間ごとに投与し、次いで、併用療法レジメンとして1mg/kgの用量のICOS結合タンパク質とともに30mg/kgの用量のPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質を1サイクル、2サイクル、3サイクル、4サイクル、5サイクル、6サイクル、7サイクル、8サイクル、9サイクル、10サイクル、11サイクル、12サイクル、13サイクル又は14サイクルまで3週間ごとに投与する。
【0317】
単剤療法としてのICOS結合タンパク質及び/又はPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質の患者への最初の投与と、本明細書に記載の併用療法としてのICOS結合タンパク質及び/又はPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質の投与との間には、ある期間、例えば、規定されたサイクル数の無治療又は無投与を行ってもよいことが理解される。例えば、単剤療法による最初の投与の後、患者は、3週間、6週間又は12週間の1サイクル又は2サイクルの間、治療を受けず、その後、本明細書に記載の併用療法を受けてもよい。したがって、一実施形態では、最初に、本明細書に記載の単剤療法としてICOS結合タンパク質が患者に投与され、次いで、3週間、6週間又は12週間の1サイクル又は2サイクルの間、治療が行われず、その後、患者に、本明細書に記載の併用療法としてPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質とともにICOS結合タンパク質が投与される。一実施形態では、最初に、本明細書に記載の単剤療法としてPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質が患者に投与され、次いで、3週間、6週間又は12週間の1サイクル又は2サイクルの間、治療が行われず、その後、患者に、本明細書に記載の併用療法としてICOS結合タンパク質とともにPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質が投与される。
【0318】
一態様では、それを必要とするヒトにおいて癌を治療する方法が提供され、この方法は、ICOS結合タンパク質を約0.08mg~約240mgの用量でヒトに投与する工程と、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質をヒトに投与する工程とを含み、ICOS結合タンパク質は、配列番号7に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むVドメイン及び/又は配列番号8に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むVドメインを含み、ICOS結合タンパク質は、ヒトICOSに特異的に結合する。一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、約24mg~約160mgの用量で投与され、ICOS結合タンパク質は、配列番号7に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むVドメイン及び/又は配列番号8に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むVドメインを含み、ICOS結合タンパク質は、ヒトICOSに特異的に結合する。一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、24mg、48mg、80mg又は160mgの用量で投与される。一実施形態において、ICOS結合タンパク質は24mg、48mg、80mg又は160mgの用量で投与され、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は1200mgの用量で投与される。別の実施形態において、ICOS結合タンパク質は24mg、48mg、80mg又は160mgの用量で投与され、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は2400mgの用量で投与される。一実施形態において、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質はビントラフスプアルファである。一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、配列番号1に記載のCDRH1;配列番号2に記載のCDRH2;配列番号3に記載のCDRH3;配列番号4に記載のCDRL1;配列番号5に記載のCDRL2及び/又は配列番号6に記載のCDRL3或いは各CDRの直接的な同等物の1又は2以上を含み、直接的な同等物は上記CDRにおいて2個以下のアミノ酸置換を有する。一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、配列番号1、配列番号2及び配列番号3のうちの1又は2以上を含む重鎖可変領域を含み、ここで、ICOS結合タンパク質は、配列番号4、配列番号5及び配列番号6のうちの1又は2以上を含む軽鎖可変領域を含む。一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、配列番号1、配列番号2及び配列番号3を含む重鎖可変領域を含み、ここで、ICOS結合タンパク質は、配列番号4、配列番号5及び配列番号6を含む軽鎖可変領域を含む。一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、配列番号7に記載のアミノ酸配列を含むVドメインと、配列番号8に記載のアミノ酸配列を含むVドメインとを含む。一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、配列番号9に記載のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号10に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む。
【0319】
一態様では、それを必要とするヒトにおいて癌を治療する方法が提供され、この方法は、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質を約500mg~約3000mgの用量でヒトに投与する工程と、ICOS結合タンパク質をヒトに投与する工程とを含み、PD-1阻害剤又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、配列番号19に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むVドメイン及び/又は配列番号20に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むVドメインを含み、PD-1阻害剤又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、ヒトPD-L1に特異的に結合する。一実施形態において、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、約1200mgの用量で投与され、PD-1阻害剤又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、配列番号19に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むVドメイン及び/又は配列番号20に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むVドメインを含み、PD-1阻害剤又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、ヒトPD-L1に特異的に結合する。別の実施形態において、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、約2400mgの用量で投与され、PD-1阻害剤又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、配列番号19に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むVドメイン及び/又は配列番号20に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むVドメインを含み、PD-1阻害剤又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、ヒトPD-L1に特異的に結合する。別の実施形態において、ICOS結合タンパク質は24mg、48mg、80mg又は160mgの用量で投与され、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、約1200mgの用量で投与される。別の実施形態において、ICOS結合タンパク質は24mg、48mg、80mg又は160mgの用量で投与され、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、約2400mgの用量で投与される。一実施形態において、PD-1阻害剤又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、配列番号13に記載のCDRH1;配列番号14に記載のCDRH2;配列番号15に記載のCDRH3;配列番号16に記載のCDRL1;配列番号17に記載のCDRL2及び/又は配列番号18に記載のCDRL3或いは各CDRの直接的な同等物の1又は2以上を含み、直接的な同等物は上記CDRにおいて2個以下のアミノ酸置換を有する。一実施形態において、PD-1阻害剤又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、配列番号13、配列番号14及び配列番号15のうちの1又は2以上を含む重鎖可変領域を含み、ここで、PD-1阻害剤又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、配列番号16、配列番号17及び配列番号18のうちの1又は2以上を含む軽鎖可変領域を含む。一実施形態において、PD-1阻害剤又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、配列番号13、配列番号14及び配列番号15を含む重鎖可変領域を含み、ここでPD-1阻害剤又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、配列番号16、配列番号17及び配列番号18を含む軽鎖可変領域を含む。一実施形態において、PD-1阻害剤又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むVドメインと、配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むVドメインとを含む。一実施形態において、PD-1阻害剤又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、配列番号21に記載のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号22に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む。一実施形態において、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質はヒトTGFβRII又はTGF-βに結合可能なそのフラグメントとを含む。一実施形態において、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質はビントラフスプアルファである。
【0320】
一態様では、癌の治療において同時又は逐次に使用するための、ICOS結合タンパク質及びPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質が提供され、ICOS結合タンパク質は約0.08mg~約240mgの用量で投与され、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は約500mg~約3000mgの用量で投与され、ICOS結合タンパク質は、配列番号7に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むVドメイン及び/又は配列番号8に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むVドメインを含み、ICOS結合タンパク質は、ヒトICOSに特異的に結合する。一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、約24mg~約160mgの用量で投与され、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は約1200mgの用量で投与され、ICOS結合タンパク質は、配列番号7に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むVドメイン及び/又は配列番号8に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むVドメインを含み、ICOS結合タンパク質は、ヒトICOSに特異的に結合する。別の実施形態において、ICOS結合タンパク質は、約24mg~約160mgの用量で投与され、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は約2400mgの用量で投与され、ICOS結合タンパク質は、配列番号7に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むVドメイン及び/又は配列番号8に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むVドメインを含み、ICOS結合タンパク質は、ヒトICOSに特異的に結合する。一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、24mg、48mg、80mg又は160mgの用量で投与される。一実施形態において、ICOS結合タンパク質は24mg、48mg、80mg又は160mgの用量で投与され、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は1200mgの用量で投与される。別の実施形態において、ICOS結合タンパク質は24mg、48mg、80mg又は160mgの用量で投与され、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は2400mgの用量で投与される。一実施形態において、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質はビントラフスプアルファである。一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、配列番号1に記載のCDRH1;配列番号2に記載のCDRH2;配列番号3に記載のCDRH3;配列番号4に記載のCDRL1;配列番号5に記載のCDRL2及び/又は配列番号6に記載のCDRL3或いは各CDRの直接的な同等物の1又は2以上を含み、直接的な同等物は上記CDRにおいて2個以下のアミノ酸置換を有する。一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、配列番号1、配列番号2及び配列番号3のうちの1又は2以上を含む重鎖可変領域を含み、ここで、ICOS結合タンパク質は、配列番号4、配列番号5及び配列番号6のうちの1又は2以上を含む軽鎖可変領域を含む。一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、配列番号1、配列番号2及び配列番号3を含む重鎖可変領域を含み、ここで、ICOS結合タンパク質は、配列番号4、配列番号5及び配列番号6を含む軽鎖可変領域を含む。一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、配列番号7に記載のアミノ酸配列を含むVドメインと、配列番号8に記載のアミノ酸配列を含むVドメインとを含む。一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、配列番号9に記載のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号10に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む。
【0321】
一態様では、癌の治療において同時又は逐次に使用するための、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質及びICOS結合タンパク質が提供され、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質を約500mg~約3000mgの用量でヒトに投与する工程と、ICOS結合タンパク質を約0.08mg~約240mgの用量でヒトに投与する工程とを含み、PD-1阻害剤又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、配列番号19に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むVドメイン及び/又は配列番号20に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むVドメインを含み、PD-1阻害剤又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、ヒトPD-L1に特異的に結合する。一実施形態において、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、約1200mgの用量で投与され、ICOS結合タンパク質は、約8mg~約160mgの用量でヒトに投与され、PD-1阻害剤又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、配列番号19に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むVドメイン及び/又は配列番号20に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むVドメインを含み、PD-1阻害剤又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、ヒトPD-L1に特異的に結合する。一実施形態において、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、約2400mgの用量で投与され、、ICOS結合タンパク質は、約8mg~約160mgの用量でヒトに投与され、PD-1阻害剤又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、配列番号19に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むVドメイン及び/又は配列番号20に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むVドメインを含み、PD-1阻害剤又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、ヒトPD-L1に特異的に結合する。一実施形態において、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、約1200mgの用量で投与される。一実施形態において、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、約2400mgの用量で投与される。別の実施形態において、ICOS結合タンパク質は24mg、48mg、80mg又は160mgの用量で投与され、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、約1200mgの用量で投与される。別の実施形態において、ICOS結合タンパク質は24mg、48mg、80mg又は160mgの用量で投与され、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、約2400mgの用量で投与される。一実施形態において、PD-1阻害剤又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、配列番号13に記載のCDRH1;配列番号14に記載のCDRH2;配列番号15に記載のCDRH3;配列番号16に記載のCDRL1;配列番号17に記載のCDRL2及び/又は配列番号18に記載のCDRL3或いは各CDRの直接的な同等物の1又は2以上を含み、直接的な同等物は上記CDRにおいて2個以下のアミノ酸置換を有する。一実施形態において、PD-1阻害剤又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、配列番号13、配列番号14及び配列番号15のうちの1又は2以上を含む重鎖可変領域を含み、ここで、PD-1阻害剤又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、配列番号16、配列番号17及び配列番号18のうちの1又は2以上を含む軽鎖可変領域を含む。一実施形態において、PD-1阻害剤又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、配列番号13、配列番号14及び配列番号15を含む重鎖可変領域を含み、ここでPD-1阻害剤又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、配列番号16、配列番号17及び配列番号18を含む軽鎖可変領域を含む。一実施形態において、PD-1阻害剤又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むVドメインと、配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むVドメインとを含む。一実施形態において、PD-1阻害剤又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、配列番号21に記載のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号22に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む。一実施形態において、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質はヒトTGFβRII又はTGF-βに結合可能なそのフラグメントとを含む。一実施形態において、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質はビントラフスプアルファである。
【0322】
一態様では、癌の治療に使用するためのICOS結合タンパク質が提供され、ICOS結合タンパク質は、約0.08mg~約240mgの用量でヒトに投与され、且つ、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質と同時に又は逐次に投与され、ICOS結合タンパク質は、配列番号7に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むVHドメイン及び/又は配列番号8に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むVLドメインを含み、ICOS結合タンパク質は、ヒトICOSに特異的に結合する。一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、約24mg~約160mgの用量で投与され、且つ、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質と同時に又は逐次に投与され、ICOS結合タンパク質は、配列番号7に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むVHドメイン及び/又は配列番号8に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むVLドメインを含み、ICOS結合タンパク質は、ヒトICOSに特異的に結合する。一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、24mg、48mg、80mg又は160mgの用量で投与される。別の実施形態において、ICOS結合タンパク質は24mg、48mg、80mg又は160mgの用量で投与され、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は1200mgの用量で投与される。一実施形態において、ICOS結合タンパク質は24mg、48mg、80mg又は160mgの用量で投与される。別の実施形態において、ICOS結合タンパク質は24mg、48mg、80mg又は160mgの用量で投与され、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は2400mgの用量で投与される。一実施形態において、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質はビントラフスプアルファである。一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、配列番号1に記載のCDRH1;配列番号2に記載のCDRH2;配列番号3に記載のCDRH3;配列番号4に記載のCDRL1;配列番号5に記載のCDRL2及び/又は配列番号6に記載のCDRL3或いは各CDRの直接的な同等物の1又は2以上を含み、直接的な同等物は上記CDRにおいて2個以下のアミノ酸置換を有する。一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、配列番号1、配列番号2及び配列番号3のうちの1又は2以上を含む重鎖可変領域を含み、ここで、ICOS結合タンパク質は、配列番号4、配列番号5及び配列番号6のうちの1又は2以上を含む軽鎖可変領域を含む。一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、配列番号1、配列番号2及び配列番号3を含む重鎖可変領域を含み、ここで、ICOS結合タンパク質は、配列番号4、配列番号5及び配列番号6を含む軽鎖可変領域を含む。一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、配列番号7に記載のアミノ酸配列を含むVHドメインと、配列番号8に記載のアミノ酸配列を含むVLドメインとを含む。一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、配列番号9に記載のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号10に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む。
【0323】
別の態様では、癌の治療に使用するための、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質が提供され、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、約500mg~約3000mgの用量でヒトに投与され、且つ、ICOS結合タンパク質と同時に又は逐次に投与され、PD-1阻害剤又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、配列番号19に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むVドメイン及び/又は配列番号20に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むVドメインを含み、PD-1阻害剤又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、ヒトPD-L1に特異的に結合する。一実施形態において、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、約1200mgの用量で投与され、且つ、ICOS結合タンパク質とともに投与され、PD-1阻害剤又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、配列番号19に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むVドメイン及び/又は配列番号20に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むVドメインを含み、PD-1阻害剤又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、ヒトPD-L1に特異的に結合する。。一実施形態において、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、約2400mgの用量で投与され、且つ、ICOS結合タンパク質とともに投与され、PD-1阻害剤又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、配列番号19に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むVドメイン及び/又は配列番号20に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むVドメインを含み、PD-1阻害剤又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、ヒトPD-L1に特異的に結合する。一実施形態において、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、約1200mgの用量で投与される。一実施形態において、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、約2400mgの用量で投与される。別の実施形態において、ICOS結合タンパク質は24mg、48mg、80mg又は160mgの用量で投与され、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、約1200mgの用量で投与される。別の実施形態において、ICOS結合タンパク質は24mg、48mg、80mg又は160mgの用量で投与され、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、約2400mgの用量で投与される。一実施形態において、PD-1阻害剤又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、配列番号13に記載のCDRH1;配列番号14に記載のCDRH2;配列番号15に記載のCDRH3;配列番号16に記載のCDRL1;配列番号17に記載のCDRL2及び/又は配列番号18に記載のCDRL3或いは各CDRの直接的な同等物の1又は2以上を含み、直接的な同等物は上記CDRにおいて2個以下のアミノ酸置換を有する。一実施形態において、PD-1阻害剤又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、配列番号13、配列番号14及び配列番号15のうちの1又は2以上を含む重鎖可変領域を含み、ここで、PD-1阻害剤又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、配列番号16、配列番号17及び配列番号18のうちの1又は2以上を含む軽鎖可変領域を含む。一実施形態において、PD-1阻害剤又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、配列番号13、配列番号14及び配列番号15を含む重鎖可変領域を含み、ここでPD-1阻害剤又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、配列番号16、配列番号17及び配列番号18を含む軽鎖可変領域を含む。一実施形態において、PD-1阻害剤又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むVドメインと、配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むVドメインとを含む。一実施形態において、PD-1阻害剤又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβRタンパク質は、配列番号21に記載のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号22に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む。一実施形態において、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質はヒトTGFβRII又はTGF-βに結合可能なそのフラグメントとを含む。一実施形態において、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質はビントラフスプアルファである。
【0324】
別の態様では、癌を治療するための医薬の製造におけるICOS結合タンパク質の使用が提供され、ICOS結合タンパク質は、約0.08mg~約240mgの用量でヒトに投与され、且つ、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質と同時に又は逐次に投与され、ICOS結合タンパク質は、配列番号7に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むVHドメイン及び/又は配列番号8に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むVLドメインを含み、ICOS結合タンパク質は、ヒトICOSに特異的に結合する。一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、約24mg~約160mgの用量で投与され、且つ、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質と同時に又は逐次に投与され、ICOS結合タンパク質は、配列番号7に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むVHドメイン及び/又は配列番号8に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むVLドメインを含み、ICOS結合タンパク質は、ヒトICOSに特異的に結合する。一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、24mg、48mg、80mg又は160mgの用量で投与される。一実施形態において、ICOS結合タンパク質は24mg、48mg、80mg又は160mgの用量で投与され、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は1200mgの用量で投与される。一実施形態において、ICOS結合タンパク質は24mg、48mg、80mg又は160mgの用量で投与され、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は2400mgの用量で投与される。一実施形態において、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質はビントラフスプアルファである。一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、配列番号1に記載のCDRH1;配列番号2に記載のCDRH2;配列番号3に記載のCDRH3;配列番号4に記載のCDRL1;配列番号5に記載のCDRL2及び/又は配列番号6に記載のCDRL3或いは各CDRの直接的な同等物の1又は2以上を含み、直接的な同等物は上記CDRにおいて2個以下のアミノ酸置換を有する。一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、配列番号1、配列番号2及び配列番号3のうちの1又は2以上を含む重鎖可変領域を含み、ここで、ICOS結合タンパク質は、配列番号4、配列番号5及び配列番号6のうちの1又は2以上を含む軽鎖可変領域を含む。一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、配列番号1、配列番号2及び配列番号3を含む重鎖可変領域を含み、ここで、ICOS結合タンパク質は、配列番号4、配列番号5及び配列番号6を含む軽鎖可変領域を含む。一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、配列番号7に記載のアミノ酸配列を含むVHドメインと、配列番号8に記載のアミノ酸配列を含むVLドメインとを含む。一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、配列番号9に記載のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号10に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む。
【0325】
別の態様では、癌を治療するための医薬の製造におけるPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質の使用が提供され、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、約500mg~約3000mgの用量でヒトに投与され、且つ、ICOS結合タンパク質と同時に又は逐次に投与され、PD-1阻害剤又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、配列番号19に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むVドメイン及び/又は配列番号20に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むVドメインを含み、PD-1阻害剤又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、ヒトPD-L1に特異的に結合する。一実施形態において、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、約1200mgの用量で投与され、且つ、ICOS結合タンパク質とともに投与され、PD-1阻害剤又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、配列番号19に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むVドメイン及び/又は配列番号20に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むVドメインを含み、PD-1阻害剤又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、ヒトPD-L1に特異的に結合する。。一実施形態において、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、約2400mgの用量で投与され、且つ、ICOS結合タンパク質とともに投与され、PD-1阻害剤又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、配列番号19に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むVドメイン及び/又は配列番号20に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むVドメインを含み、PD-1阻害剤又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、ヒトPD-L1に特異的に結合する。一実施形態において、ICOS結合タンパク質は24mg、48mg、80mg又は160mgの用量で投与され、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、約1200mgの用量で投与される。一実施形態において、ICOS結合タンパク質は24mg、48mg、80mg又は160mgの用量で投与され、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、約2400mgの用量で投与される。一実施形態において、PD-1阻害剤又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、配列番号13に記載のCDRH1;配列番号14に記載のCDRH2;配列番号15に記載のCDRH3;配列番号16に記載のCDRL1;配列番号17に記載のCDRL2及び/又は配列番号18に記載のCDRL3或いは各CDRの直接的な同等物の1又は2以上を含み、直接的な同等物は上記CDRにおいて2個以下のアミノ酸置換を有する。一実施形態において、PD-1阻害剤又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、配列番号13、配列番号14及び配列番号15のうちの1又は2以上を含む重鎖可変領域を含み、ここで、PD-1阻害剤又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、配列番号16、配列番号17及び配列番号18のうちの1又は2以上を含む軽鎖可変領域を含む。一実施形態において、PD-1阻害剤又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、配列番号13、配列番号14及び配列番号15を含む重鎖可変領域を含み、ここでPD-1阻害剤又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、配列番号16、配列番号17及び配列番号18を含む軽鎖可変領域を含む。一実施形態において、PD-1阻害剤又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むVドメインと、配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むVドメインとを含む。一実施形態において、PD-1阻害剤又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、配列番号21に記載のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号22に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む。一実施形態において、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質はヒトTGFβRII又はTGF-βに結合可能なそのフラグメントとを含む。一実施形態において、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質はビントラフスプアルファである。
【0326】
一態様では、約0.08mg~約240mgのICOS結合タンパク質と、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質とを含む医薬キットが提供され、ICOS結合タンパク質は、配列番号7に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むVドメイン及び/又は配列番号8に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むVドメインを含み、ICOS結合タンパク質は、ヒトICOSに特異的に結合する。一実施形態において、キットは、24mg、48mg、80mg又は160mgのICOS結合タンパク質を含む。一実施形態において、キットは、約500mg~約3000mgのPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質を含む。一実施形態において、キットは、1200mgのPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質を含む。一実施形態において、キットは、2400mgのPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質を含む。別の実施形態において、キットは、24mg、48mg、80mg又は160mgのICOS結合タンパク質と、1200mgのPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質とを含む。別の実施形態において、キットは、24mg、48mg、80mg又は160mgのICOS結合タンパク質と、2400mgのPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質とを含む。一実施形態において、2400mgのPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質はビントラフスプアルファである。一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、配列番号1に記載のCDRH1;配列番号2に記載のCDRH2;配列番号3に記載のCDRH3;配列番号4に記載のCDRL1;配列番号5に記載のCDRL2及び/又は配列番号6に記載のCDRL3或いは各CDRの直接的な同等物の1又は2以上を含み、直接的な同等物は上記CDRにおいて2個以下のアミノ酸置換を有する。一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、配列番号1、配列番号2及び配列番号3のうちの1又は2以上を含む重鎖可変領域を含み、ここで、ICOS結合タンパク質は、配列番号4、配列番号5及び配列番号6のうちの1又は2以上を含む軽鎖可変領域を含む。一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、配列番号1、配列番号2及び配列番号3を含む重鎖可変領域を含み、ここで、ICOS結合タンパク質は、配列番号4、配列番号5及び配列番号6を含む軽鎖可変領域を含む。一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、配列番号7に記載のアミノ酸配列を含むVドメインと、配列番号8に記載のアミノ酸配列を含むVドメインとを含む。一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、配列番号9に記載のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号10に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む。
【0327】
一態様では、約500mg~約3000mgのPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質と、ICOS結合タンパク質とを含む医薬キットが提供され、PD-1阻害剤又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、配列番号19に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むVドメイン及び/又は配列番号20に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むVドメインを含み、PD-1阻害剤又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、ヒトPD-L1に特異的に結合する。一実施形態において、キットは、約0.08mg~約240mgのICOS結合タンパク質を含む。一実施形態において、キットは、24mg、48mg、80mg又は160mgのICOS結合タンパク質を含む。一実施形態において、キットは、1200mgのPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質を含む。一実施形態において、キットは、2400mgのPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質を含む。別の実施形態において、キットは、24mg、48mg、80mg又は160mgのICOS結合タンパク質と、1200mgのPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質とを含む。別の実施形態において、24mg、48mg、80mg又は160mgのICOS結合タンパク質と、2400mgのPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質とを含む。一実施形態において、PD-1阻害剤又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、配列番号13に記載のCDRH1;配列番号14に記載のCDRH2;配列番号15に記載のCDRH3;配列番号16に記載のCDRL1;配列番号17に記載のCDRL2及び/又は配列番号18に記載のCDRL3或いは各CDRの直接的な同等物の1又は2以上を含み、直接的な同等物は上記CDRにおいて2個以下のアミノ酸置換を有する。一実施形態において、PD-1阻害剤又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、配列番号13、配列番号14及び配列番号15のうちの1又は2以上を含む重鎖可変領域を含み、ここで、PD-1阻害剤又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、配列番号16、配列番号17及び配列番号18のうちの1又は2以上を含む軽鎖可変領域を含む。一実施形態において、PD-1阻害剤又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、配列番号13、配列番号14及び配列番号15を含む重鎖可変領域を含み、ここでPD-1阻害剤又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、配列番号16、配列番号17及び配列番号18を含む軽鎖可変領域を含む。一実施形態において、PD-1阻害剤又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むVドメインと、配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むVドメインとを含む。一実施形態において、PD-1阻害剤又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、配列番号21に記載のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号22に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む。一実施形態において、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質はヒトTGFβRII又はTGF-βに結合可能なそのフラグメントとを含む。一実施形態において、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質はビントラフスプアルファである。
【0328】
一態様では、癌を治療する方法が提供され、この方法は、ICOS結合タンパク質の血漿中濃度の中央値が最初の投与後少なくとも7日間、100μg/mL~0.1μg/mLである用量で、ICOS結合タンパク質を対象(例えば、ヒト)に投与することを含む。
【0329】
一態様では、癌の治療に使用するためのICOS結合タンパク質が提供され、ICOS結合タンパク質は、ICOS結合タンパク質の血漿中濃度の中央値が最初の投与後少なくとも7日間、100μg/mL~0.1μg/mLである用量で投与される。
【0330】
別の態様では、癌を治療するための医薬の製造におけるICOS結合タンパク質の使用が提供され、ICOS結合タンパク質は、ICOS結合タンパク質の血漿中濃度の中央値が最初の投与後少なくとも7日間、100μg/mL~0.1μg/mLである用量で投与される。
【0331】
一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、ICOS結合タンパク質の血漿中濃度の中央値が最初の投与後少なくとも1日、2.5日、4.5日、7日、14日又は21日間、100μg/mL、10μg/mL、1μg/mL又は0.1μg/mL以上、10μg/mL、1μg/mL又0.1μg/mL以下である用量で投与される。
【0332】
一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、ICOS結合タンパク質の血漿中濃度の中央値が最初の投与後少なくとも1日、2日、2.5日、3日、4日、4.5日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日又は21日間、100μg/mL以上、90μg/mL以上、80μg/mL以上、70μg/mL以上、60μg/mL以上、50μg/mL以上、40μg/mL以上、30μg/mL以上、20μg/mL以上、10μg/mL以上、9μg/mL以上、8μg/mL以上、7μg/mL以上、6μg/mL以上、5μg/mL以上、4μg/mL以上、3μg/mL以上、2μg/mL以上、1μg/mL以上、0.9μg/mL以上、0.8μg/mL以上、0.7μg/mL以上、0.6μg/mL以上、0.5μg/mL以上、0.4μg/mL以上、0.3μg/mL以上又は0.2μg/mL以上、且つ、90μg/mL以下、80μg/mL以下、70μg/mL以下、60μg/mL以下、50μg/mL以下、40μg/mL以下、30μg/mL以下、20μg/mL以下、10μg/mL以下、9μg/mL以下、8μg/mL以下、7μg/mL以下、6μg/mL以下、5μg/mL以下、4μg/mL以下、3μg/mL以下、2μg/mL以下、1μg/mL以下、0.9μg/mL以下、0.8μg/mL以下、0.7μg/mL以下、0.6μg/mL以下、0.5μg/mL以下、0.4μg/mL以下、0.3μg/mL以下、0.2μg/mL以下又は0.1μg/mL以下である用量で投与される。
【0333】
一実施形態では、ICOS結合タンパク質の中央値血漿濃度が最初の投与から21日後に10μg/mL~1μg/mLである用量で、ヒトにICOS結合タンパク質を投与する。一実施形態では、ICOS結合タンパク質の中央値血漿濃度が最初の投与から21日後に10μg/mL~0.1μg/mLである用量で、ヒトにICOS結合タンパク質を投与する。
【0334】
一実施形態では、ICOS結合タンパク質の中央値血漿濃度が最初の投与から21日後に100μg/mL~1μg/mLである用量で、ヒトにICOS結合タンパク質を投与する。一実施形態では、ICOS結合タンパク質の中央値血漿濃度が最初の投与から21日後に100μg/mL~10μg/mLである用量で、ヒトにICOS結合タンパク質を投与する。
【0335】
一態様では、癌を治療する方法が提供され、この方法は、対象におけるICOS受容体飽和度又は占有率(ICOS receptor saturation or occupancy)が最初の投与後少なくとも7日間、約50%又はそれ以上である用量で、ICOS結合タンパク質を対象(例えば、ヒト)に投与することを含む。
【0336】
一態様では、癌の治療に使用するためのICOS結合タンパク質が提供され、ICOS結合タンパク質は、対象におけるICOS受容体飽和度又は占有率が最初の投与後少なくとも7日間、約50%又はそれ以上である用量で、対象(例えば、ヒト)に投与される。
【0337】
別の態様では、癌を治療するための医薬の製造におけるICOS結合タンパク質の使用が提供され、ICOS結合タンパク質は、ヒトにおけるICOS受容体飽和度又は占有率が最初の投与後少なくとも7日間、約50%又はそれ以上である用量で、ヒトに投与される。
【0338】
一実施形態において、ヒトにおけるICOS受容体飽和度又は占有率が最初の投与後少なくとも1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日又は21日間、約50%若しくはそれ以上、約55%若しくはそれ以上、約60%若しくはそれ以上、約65%若しくはそれ以上、約70%若しくはそれ以上、約75%若しくはそれ以上、約80%若しくはそれ以上、約85%若しくはそれ以上、約90%若しくはそれ以上又は約95%若しくはそれ以上である用量で、ヒトにICOS結合タンパク質を投与する。
【0339】
一態様では、癌を治療する方法が提供され、この方法は、末梢CD4又はCD8T細胞受容体占有率が最初の投与後少なくとも7日間、50%又はそれ以上である用量で、対象(例えば、ヒト)にICOS結合タンパク質を投与することを含む。
【0340】
一態様では、癌の治療に使用するためのICOS結合タンパク質が提供され、ICOS結合タンパク質は、末梢CD4又はCD8T細胞受容体占有率が最初の投与後少なくとも7日間、50%又はそれ以上である用量でヒトに投与される。
【0341】
別の態様では、癌を治療するための医薬の製造におけるICOS結合タンパク質の使用が提供され、ICOS結合タンパク質は、末梢CD4又はCD8T細胞受容体占有率が最初の投与後少なくとも7日間、50%又はそれ以上である用量でヒトに投与される。
【0342】
ピークCD4受容体占有率(RO)は、ICOS結合タンパク質の最大血漿濃度に対応する。ピークCD8受容体占有率(RO)は、ICOS結合タンパク質の最大血漿濃度に対応する。
【0343】
一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、末梢CD4又はCD8T細胞受容体占有率が最初の投与後少なくとも1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日又は21日間、約50%若しくはそれ以上、約55%若しくはそれ以上、約60%若しくはそれ以上、約65%若しくはそれ以上、約70%若しくはそれ以上、約75%若しくはそれ以上、約80%若しくはそれ以上、約85%若しくはそれ以上、約90%若しくはそれ以上又は約95%若しくはそれ以上である用量で投与される。
【0344】
一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、末梢CD4又はCD8T細胞受容体占有率が最初の投与後少なくとも21日間、約60%又はそれ以上である用量で投与される。一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、末梢CD4又はCD8T細胞受容体占有率が最初の投与後少なくとも21日間、約70%又はそれ以上である用量で投与される。一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、末梢CD4又はCD8T細胞受容体占有率が最初の投与後少なくとも21日間、約80%又はそれ以上である用量で投与される。一実施形態において、ICOS結合タンパク質は、末梢CD4又はCD8T細胞受容体占有率が最初の投与後少なくとも21日間、約90%又はそれ以上である用量で投与される。
【0345】
一態様では、ICOS結合タンパク質を含む医薬組成物が提供され、この組成物は、単回投与後に、ICOS結合タンパク質の37mg/mL×日~255mg/mL×日の曲線下面積(AUC)値を提供する。一実施形態において、この組成物は、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質をさらに提供する。一実施形態において、この組成物は、単回投与後に、ICOS結合タンパク質の62mg/mL×日~220mg/mL×日のAUC値を提供する。
【0346】
一実施形態では、ジテルペノイド、例えば、パクリタキセル、ナブパクリタキセル又はドセタキセル;ビンカアルカロイド、例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチン又はビノレルビン;白金配位錯体、例えば、シスプラチン又はカルボプラチン;ナイトロジェンマスタード、例えば、シクロホスファミド、メルファラン又はクロラムブシル;スルホン酸アルキル、例えば、ブスルファン;ニトロソ尿素、例えば、カルムスチン;トリアゼン、例えば、ダカルバジン;アクチノマイシン、例えば、ダクチノマイシン;アントロサイクリン、例えば、ダウノルビシン又はドキソルビシン;ブレオマイシン;エピポドフィロトキシン、例えば、エトポシド又はテニポシド;代謝拮抗性抗新生物薬、例えば、フルオロウラシル、ペメトレキセド、メトトレキサート、シタラビン、メルカプトプリン、チオグアニン又はゲムシタビン;メトトレキサート;カンプトテシン、例えば、イリノテカン又はトポテカン;リツキシマブ;オファツムマブ;トラスツズマブ;セツキシマブ;ベキサロテン;ソラフェニブ;erbB阻害剤、例えば、ラパチニブ、エルロチニブ又はゲフィチニブ;ペルツズマブ;イピリムマブ;トレメリムマブ;ニボルマブ;ペンブロリズマブ;FOLFOX;カペシタビン;フォルフィリ;ベバシズマブ;アテゾリズマブ;セリクレルマブ;オビヌツズマブ;又はそれらの任意の組合せが、ICOS結合タンパク質、及び/又は、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質と同時に又は逐次にさらに投与される。
【0347】
一実施形態において、化学療法は、ICOS結合タンパク質、及び/又は、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質と同時に又は逐次にさらに投与される。一実施形態において、化学療法は、ICOS結合タンパク質;及びPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質と同時に又は逐次にさらに投与される。一実施形態において、化学療法は、白金に基づく化学療法である。一実施形態において、化学療法は、白金に基づく化学療法及びフルオロウラシルである。一実施形態において、白金に基づく化学療法は、パクリタキセル、ナブパクリタキセルドセタキセル、シスプラチン、カルボプラチン、又はそれらの任意の組合せである。一実施形態において、白金に基づく化学療法は、フルオロウラシル、シスプラチン、カルボプラチン又はそれらの任意の組合せである。一実施形態において、化学療法は、シスプラチン又はカルボプラチンと、ペメトレキセド、パクリタキセル、ゲムシタビン又はフルオロウラシルのいずれかとのプラチナダブレットである。一実施形態において、化学療法は、ICOS結合タンパク質、及び、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質と同時に又は逐次に、PD-1阻害剤/PD-1結合タンパク質/PD-L1結合タンパク質ナイーブ患者にさらに投与される。
【0348】
一実施形態では、ICOS結合タンパク質;PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質;及び化学療法を3週間ごとに6サイクル投与し、次いで、ICOS結合タンパク質、及び、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質を3週間ごとに35サイクル投与する。
【0349】
一実施形態では、ICOS結合タンパク質;及びPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質を、PD-L1陽性患者に同時に又は逐次に投与する。
【0350】
一実施形態において、放射線療法は、ICOS結合タンパク質及び/又はPD-1阻害剤及び/又はTGF-β阻害剤(例えば、TGFβR)と同時に又は逐次にさらに投与される。一実施形態において、放射線療法は、ICOS結合タンパク質及び/又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβRと同時に又は逐次にさらに投与される。いくつかの実施形態において、放射線療法は、全身性放射線療法(systemic radiation therapy)、外部ビーム放射線療法(external beam radiation therapy)、画像誘導放射線治療、トモセラピー、定位放射線手術、体幹部定位放射線治療及び陽子線治療からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、放射線療法は、外部ビーム放射線療法、内部放射線療法(小線源治療)又は全身性放射線療法を含む。例えば、Amini et al., Radiat Oncol. “Stereotactic body radiation therapy (SBRT) for lung cancer patients previously treated with conventional radiotherapy: a review” 9:210 (2014);Baker et al., Radiat Oncol. “A critical review of recent developments in radiotherapy for non-small cell lung cancer” 11(1):115 (2016); Ko et al., Clin Cancer Res “The Integration of Radiotherapy with Immunotherapy for the Treatment of Non-Small Cell Lung Cancer” (24) (23) 5792-5806;及びYamoah et al., Int J Radiat Oncol Biol Phys “Radiotherapy Intensification for Solid Tumors: A Systematic Review of Randomized Trials” 93(4): 737-745 (2015)を参照。
【0351】
いくつかの実施形態において、放射線療法は外部ビーム放射線療法を含み、外部ビーム放射線療法は強度変調放射線治療(IMRT)、画像誘導放射線試料(IGRT)、トモセラピー、定位放射線手術、体幹部定位放射線療法、陽子線治療又はその他の荷電粒子ビームを含む。
【0352】
いくつかの実施形態において、放射線療法は体幹部定位放射線療法を含む。
【0353】

本発明の組合せ及び方法は、癌の治療において使用され得る。
【0354】
「治療する」という用語及びその文法的変形は、本明細書で使用する場合、治療的療法を意味する。特定の病態に関して治療は、(1)その病態の生物学的発現の1又は2以上の状態を改善又はその1又は2以上の状態の重症度を低減すること、(2)(a)その病態につながる若しくはその病態の原因である生物学的カスケードの1又は2以上の点、若しくは(b)その病態の生物学的発現の1又は2以上に干渉すること、(3)その病態又はその治療に関連する症状、兆候、影響又は副作用の1又は2以上を緩和すること、(4)その病態若しくはその病態の生物学的発現の1又は2以上の進行を緩徐化すること、及び/又は(5)寛解の期間に追加の治療なしに、その発現に関して寛解状態であると見なされる期間、その病態の生物学的発現の1又は2以上を排除する若しくは検出不能なレベルにまで軽減することにより、その病態若しくはその病態の生物学的発現の1又は2以上を治癒させることを意味する。当業者は、特定の疾患又は病態に関して寛解と見なされる期間を理解するであろう。予防的療法もまた企図される療法である。当業者は、「予防」が絶対的な用語でないことを認識するであろう。医学では、「予防」は、ある病態若しくはその生物学的発現の尤度若しくは重篤度を実質的に減らすため、又はこのような病態若しくはその生物学的発現の発生を遅延させるための薬物の予防的投与を意味すると理解される。予防的療法は、例えば、対象が癌の強い家族歴を有する場合又は対象が発癌物質に曝されていた場合等、対象に癌を発症する高いリスクがあると見なされる場合に適当である。
【0355】
本明細書で使用される「癌」、「新生物」、「悪性腫瘍」、及び「腫瘍」という用語は、交換可能に使用され、単数形又は複数形のいずれかで、宿主生物にとって病的となる悪性形質転換を受けた細胞を指す。原発性癌細胞は、十分に確立された技術、特に、組織検査によって非癌細胞から容易に特定することができる。癌細胞の定義は、本明細書で使用する場合、原発性癌細胞だけでなく、癌細胞祖先に由来するいずれの細胞も含む。これには転移癌細胞、並びに癌細胞に由来するin vitro培養物及び細胞株が含まれる。通常固形腫瘍として発現する癌のタイプに関して、「臨床的に検出可能な」腫瘍は、例えば、コンピューター断層撮影(CT)スキャン、磁気共鳴画像法(MRI)X線、超音波又は触診等の手法による腫瘍塊に基づいて検出可能なもの、及び/又は患者から取得可能なサンプル中での1又は2以上の癌特異的抗原の発現のために検出可能なものである。
【0356】
一態様では、本発明は、癌の治療又は癌の重症度を軽減する方法に関する。一実施形態において、癌は、脳癌、神経膠芽細胞腫、神経膠腫(例えば、小児脳幹部グリオーマ)バナヤン・ゾナナ症候群、カウデン病、レルミット・デュクロ病、乳癌(例えば、炎症性乳癌)、ウィルムス腫瘍、上衣腫、髄芽細胞腫、心臓腫瘍、結腸癌、結腸直腸癌、頭頸部癌(例えば、頭頸部の扁平上皮癌、口の癌(例えば、口腔癌)、唾液腺癌、頬癌、咽頭癌、中咽頭癌、上咽頭癌、下咽頭癌、喉頭癌)、眼癌(例えば、網膜芽細胞腫)、肺癌(例えば、非小細胞肺癌、小細胞癌)、肝臓癌(例えば、肝細胞癌)、皮膚癌(例えば、基底細胞癌、メルケル細胞癌、扁平上皮癌)、メラノーマ、卵巣癌、膵臓癌、胆管癌、胆嚢癌、前立腺癌、肉腫(例えば、軟部肉腫、ユーイング肉腫、カポジ肉腫、横紋筋肉腫)、骨癌、骨肉腫、骨巨細胞腫、甲状腺癌、副甲状腺癌、胸腺腫、血液癌(血液癌は、白血病、リンパ腫又は骨髄腫に広く分類され得、例えば、リンパ芽球性T細胞性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、有毛細胞白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性好中球性白血病、急性リンパ芽球性T細胞性白血病、形質細胞腫、免疫芽球性大細胞白血病、マントル細胞白血病、多発性骨髄腫巨核芽球性白血病、多発性骨髄腫、急性巨核球性白血病、前骨髄球性白血病、赤白血病、悪性リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、リンパ芽球性T細胞性リンパ腫、バーキットリンパ腫及び濾胞性リンパ腫を含む)、神経芽細胞腫、下垂体腫瘍、副腎皮質癌、肛門癌(例えば、直腸癌)、膀胱癌、尿路上皮癌、尿道癌、膣癌、外陰癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、子宮癌、卵管癌、腎癌(例えば、腎臓癌、例えば、腎細胞癌)、中皮腫(例えば、悪性胸膜中皮腫)、食道癌(例えば、食道扁平上皮癌)、胃癌(例えば、胃癌)、消化管カルチノイド腫瘍、GIST(消化管間質性腫瘍)、虫垂癌、陰茎癌、精巣癌及び胚細胞腫瘍から選択される。
【0357】
一実施形態において、癌はマイクロサテライト不安定性(MSI)を示す。マイクロサテライト不安定性(「MSI」)は、特定の細胞(例えば、腫瘍細胞)のDNAにおけるマイクロサテライト(DNAの短い反復配列)の反復数が、遺伝的に受け継がれたDNAに含まれる反復数と異なる変化であるか、又はその変化を含む。マイクロサテライト不安定性は、欠陥のあるDNAミスマッチ修復(MMR)系のために複製関連エラーを修復することができないことから生じる。この不全はゲノム全体にわたって、しかしながら特にマイクロサテライトとして知られる反復DNAの領域でミスマッチ変異の持続を可能とし、変異荷重の増大に至る。MSI-Hを特徴とする少なくとも一部の腫瘍は特定の抗PD-1剤に対する応答が改善されていることが実証されている(Le et al. (2015) N. Engl. J. Med. 372(26):2509-2520; Westdorp et al. (2016) Cancer Immunol. Immunother. 65(10): 1249-1259)。
【0358】
いくつかの実施形態において、癌は、高いマイクロサテライト不安定性のマイクロサテライト不安定性状態(例えば、MSI-H状態)を有する。いくつかの実施形態において、癌は、低いマイクロサテライト不安定性のマイクロサテライト不安定状態(例えば、MSI-L状態)を有する。いくつかの実施形態において、癌は、マイクロサテライト安定性のマイクロサテライト不安定状態(例えば、MSS状態)を有する。いくつかの実施形態において、マイクロサテライト不安定状態は、次世代シークエンシング(NGS)に基づくアッセイ、免疫組織化学(IHC)に基づくアッセイ、及び/又はPCRに基づくアッセイによって評価される。いくつかの実施形態において、マイクロサテライト不安定性は、NGSにより検出される。いくつかの実施形態において、マイクロサテライト不安定性は、IHCにより検出される。いくつかの実施形態において、マイクロサテライト不安定性は、PCRにより検出される。
【0359】
いくつかの実施形態において、癌は、高い腫瘍変異負荷(TMB)と関連する。いくつかの実施形態において、癌は高TMB及びMSI-Hに関連する。いくつかの実施形態において、癌は、高TMBとMSI-L又はMSSとに関連する。いくつかの実施形態において、癌は、高TMBに関連する子宮内膜癌である。いくつかの関連する実施形態において、子宮内膜癌は高TMB及びMSI-Hに関連する。いくつかの関連する実施形態において、子宮内膜癌は、高いTMBとMSI-L又はMSSとに関連する。
【0360】
いくつかの実施形態において、癌は、ミスマッチ修復欠損(dMMR)癌である。マイクロサテライト不安定性は、欠陥のあるDNAミスマッチ修復(MMR)系のために複製関連エラーを修復することができないことから生じる場合がある。この不全はゲノム全体にわたって、しかしながら特にマイクロサテライトとして知られる反復DNAの領域でミスマッチ変異の持続を可能とし、変異荷重の増大に至る。これらは、特定の治療剤に対する応答が改善され得る。
【0361】
いくつかの実施形態において、癌は、高頻度変異癌である。いくつかの実施形態において、癌は、ポリメラーゼε(POLE)に変異を有する。いくつかの実施形態において、癌は、ポリメラーゼδ(POLD)に変異を有する。
【0362】
いくつかの実施形態において、癌は子宮内膜癌(例えば、MSI-H又はMSS/MSI-L子宮内膜癌)である。いくつかの実施形態において、癌は、POLE又はPOLDに変異を含むMSI-H癌(例えば、POLE又はPOLDに変異を含むMSI-H非子宮内膜癌)である。
【0363】
いくつかの実施形態において、癌は進行癌である。いくつかの実施形態において、癌は転移性癌である。いくつかの実施形態において、癌は再発性癌(例えば、再発性婦人科癌、例えば、再発性上皮卵巣癌、再発性卵管癌、再発性の原発性腹膜癌又は再発性子宮内膜癌)である。一実施形態において、癌は再発性又は進行性である。
【0364】
一実施形態において、癌は、虫垂癌、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌、食道癌(特に、食道扁平上皮癌)、卵管癌、胃癌、神経膠腫(例えば、小児脳幹部グリオーマ)、頭頸部癌(特に頭頸部扁平上皮癌及び中咽頭癌)、白血病(特に急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病)、肺癌(特に非小細胞肺癌)、リンパ腫(特にホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫)、黒色腫、中皮腫(特に悪性胸膜中皮腫)、メルケル細胞癌、神経芽細胞腫、口腔癌、骨肉腫、卵巣癌、前立腺癌、腎癌、唾液腺腫瘍、肉腫(特にユーイング肉腫又は横紋筋肉腫)、扁平上皮癌、軟部肉腫、胸腺腫、甲状腺癌、尿路上皮癌、子宮癌、膣癌、外陰癌及びウィルムス腫瘍から選択される。さらなる実施形態において、癌は、虫垂癌、膀胱癌、子宮頸癌、結腸直腸癌、食道癌、頭頸部癌、黒色腫、中皮腫、非小細胞肺癌、前立腺癌及び尿路上皮癌から選択される。さらなる実施形態において、癌は、子宮頸癌、子宮内膜癌、頭頸部癌(特に頭頸部扁平上皮癌及び中咽頭癌)、肺癌(特に非小細胞肺癌)、リンパ腫(特に非ホジキンリンパ腫)、黒色腫、口腔癌、甲状腺癌、尿路上皮癌及び子宮癌から選択される。別の実施形態において、癌は、頭頸部癌(特に頭頸部扁平上皮癌及び中咽頭癌)、肺癌(特に非小細胞肺癌)、尿路上皮癌、黒色腫又は子宮頸癌から選択される。
【0365】
一実施形態において、ヒトは固形腫瘍を有する。一実施形態において、固形腫瘍は進行性固形腫瘍である。一実施形態において、癌は、頭頸部癌、頭頸部の扁平上皮癌(SCCHN又はHNSCC)、胃癌、黒色腫、腎細胞癌(RCC)、食道癌、非小細胞肺癌、前立腺癌、結腸直腸癌、卵巣癌及び膵臓癌から選択される。一実施形態において、癌は、結腸直腸癌、子宮頸癌、膀胱癌、尿路上皮癌、頭頸部癌、黒色腫、中皮腫、非小細胞肺癌、前立腺癌、食道癌及び食道扁平上皮癌からなる群から選択される。一態様において、ヒトは、以下の癌:SCCHN、結腸直腸癌、食道癌、子宮頸癌、膀胱癌、乳癌、頭頸部癌、卵巣癌、黒色腫、腎細胞癌(RCC)、食道扁平上皮癌、非小細胞肺癌腫、中皮腫(例えば、悪性胸膜中皮腫)及び前立腺癌のうちの1又は2以上を有する。
【0366】
別の態様において、ヒトは、液性腫瘍、例えば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、多発性骨髄腫、慢性リンパ芽球性白血病、濾胞性リンパ腫、急性骨髄性白血病及び慢性骨髄性白血病を有する。
【0367】
一実施形態において、癌は頭頸部癌である。一実施形態において、癌はHNSCCである。扁平上皮癌は、扁平上皮細胞と呼ばれる特定の細胞から発生する癌である。扁平上皮細胞は、皮膚の外層と粘膜とに見られる。粘膜は、体腔(例えば、気道及び腸)を覆う湿性の組織(moist tissue)である。頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)は、口、鼻及び喉の粘膜に発生する。HNSCCは、SCCHN及び頭頸部の扁平上皮癌としても知られている。
【0368】
HNSCCは、口(口腔)、口に近い喉の中央部(中咽頭)、鼻の後ろの空間(鼻腔及び副鼻腔)、鼻腔に近い喉の上部(鼻咽頭)、ボイスボックス(voicebox)(喉頭)又は喉頭近くの喉の下部(下咽頭)に発生し得る。癌は、場所によっては、口及び喉における異常な斑点若しくは開いた傷(潰瘍);口の中の異常な出血若しくは痛み;解消されない鼻づまり;喉の痛み;耳の痛み;嚥下時の痛み若しくは嚥下困難;声のかすれ;呼吸困難;又はリンパ節の拡大を引き起こす。
【0369】
HNSCCは、体のその他の部分、例えば、リンパ節、肺又は肝臓に転移する場合がある。
【0370】
喫煙及びアルコール消費は、HNSCCの発症の2つの最も重要な危険因子であり、危険性へのそれらの寄与は相乗的である。加えて、ヒトパピローマウイルス(HPV)、特に、HPV-16は、現在十分に確立された独立した危険因子である。HNSCCを有する患者は、比較的不良な予後を有する。再発性/転移性(R/M)HNSCCは、ヒトパピローマウイルス(HPV)状態にかかわらずとりわけ厳しく、現時点で、当技術分野において利用可能である効果的な治療選択肢はほとんどない。HPV陰性HNSCCは、HPV陽性HNSCCに対するそれぞれ9~18%及び5~12%の比率と比較して、標準治療後の19~35%の局所領域での再発率及び14~22%の遠隔の転移率と関連する。R/M疾患を有する患者に関する全生存期間中央値は、一次化学療法の背景において10~13か月、及び二次背景において6か月である。現時点での標準治療は、セツキシマブの有無での白金に基づく二重化学療法である。二次標準治療選択肢には、セツキシマブ、メトトレキサート及びタキサンが含まれる。これら化学療法剤のすべては重大な副作用と関連し、患者の10~13%のみが治療に応答する。既存の全身療法からのHNSCC退縮は一時的であり、寿命の有意な増加を加えず、ほとんどすべての患者は彼らの悪性腫瘍に屈する。
【0371】
一実施形態において、癌は頭頸部癌である。一実施形態において、癌は頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)である。一実施形態において、癌は、再発性/転移性(R/M)HNSCCである。一実施形態において、癌は、再発性/難治性(R/R)HNSCCである。一実施形態において、癌は、HPV陰性又はHPV陽性HNSCCである。一実施形態において、癌は、局所進行性HNSCCである。一実施形態において、癌は、PD-L1 CPS(組合せ陽性スコア:Combined Positive Score)陽性(CPS≧1)患者における(R/M)HNSCCである。組合せ陽性スコアは、FDAにより承認された試験によって判定されるとおりである。PD-L1 CPSとは、PD-L1染色細胞(腫瘍細胞、リンパ球、マクロファージ)を生存腫瘍細胞の総数で割り、100を掛けた数である。一実施形態において、PD-L1 CPSは、PharmDx 22C3を使用して判定される。一実施形態において、癌は、PD-1結合タンパク質/PD-L1結合タンパク質処置を受けた患者、又はPD-1結合タンパク質/PD-L1結合タンパク質未処置の患者におけるHNSCCである。
【0372】
一実施形態において、頭頸部癌は、中咽頭癌である。一実施形態において、頭頸部癌は、口腔癌(すなわち、口の癌)である。
【0373】
一実施形態において、癌は、肺癌である。いくつかの実施形態において、肺癌は、肺の扁平上皮癌である。いくつかの実施形態において、肺癌は、小細胞肺癌(SCLC)である。いくつかの実施形態において、肺癌は、非小細胞肺癌(NSCLC)、例えば、扁平上皮NSCLCである。いくつかの実施形態において、肺癌は、ALK転座肺癌(例えば、ALK転座NSCLC)である。いくつかの実施形態において、癌は、ALK転座が特定されたNSCLCである。いくつかの実施形態において、肺癌は、EGFR変異肺癌(例えば、EGFR変異NSCLC)。いくつかの実施形態において、癌は、EGFR変異が特定されたNSCLCである。
【0374】
一実施形態において、癌は黒色腫である。いくつかの実施形態において、黒色腫は進行性黒色腫である。いくつかの実施形態において、黒色腫は転移性黒色腫である。いくつかの実施形態において、黒色腫は、MSI-H黒色腫である。いくつかの実施形態において、黒色腫はMSS黒色腫である。いくつかの実施形態において、黒色腫は、POLE変異型黒色腫である。いくつかの実施形態において、黒色腫は、POLD変異型黒色腫である。いくつかの実施形態において、黒色腫は高TMB黒色腫である。
【0375】
一実施形態において、癌は、結腸直腸癌である。いくつかの実施形態において、結腸直腸癌は、進行性結腸直腸癌である。いくつかの実施形態において、結腸直腸癌は、転移性結腸直腸癌である。いくつかの実施形態において、結腸直腸癌は、MSI-H結腸直腸癌である。いくつかの実施形態において、結腸直腸癌はMSS結腸直腸癌である。いくつかの実施形態において、結腸直腸癌はPOLE変異型結腸直腸癌である。いくつかの実施形態において、結腸直腸癌は、POLD変異型結腸直腸癌である。いくつかの実施形態において、結腸直腸癌は高TMB結腸直腸癌である。
【0376】
いくつかの実施形態において、癌は、婦人科癌(すなわち、女性生殖器系の癌(例えば、卵巣癌、卵管癌、子宮頸癌、膣癌、外陰癌、子宮癌又は原発性腹膜癌)又は乳癌)である。いくつかの実施形態において、女性生殖器系の癌には、卵巣癌、卵管の癌、腹膜癌及び乳癌が含まれるが、これらに限定されない。
【0377】
いくつかの実施形態において、癌は、卵巣癌(例えば、漿液性又は明細胞卵巣癌)である。いくつかの実施形態において、癌は、卵管癌(例えば、漿液性又は明細胞卵管癌)である。いくつかの実施形態において、癌は、原発性腹膜癌(例えば、漿液性又は明細胞原発性腹膜癌)である。
【0378】
いくつかの実施形態において、卵巣癌は、上皮癌である。上皮癌は、卵巣癌の85%~90%を占める。歴史的には卵巣の表面から生じると見なされているが、新たな証拠は、少なくとも一部の卵巣癌が卵管部分の特定の細胞から生じることを示唆する。卵管は、女性の卵巣と子宮をつなぐ小さな管であり、これらも女性生殖系の一部である。正常な女性生殖系では、2本の卵管があり、子宮の各側に1本が位置する。卵管から生じる癌細胞は、早期に卵巣の表面に移行し得る。「卵巣癌」という用語は、多くの場合、卵巣、卵管及び腹膜と呼ばれる腹腔の内面から生じる上皮癌を表すために用いられる。いくつかの実施形態において、癌は、生殖細胞腫瘍であるか、又はそれを含む。生殖細胞腫瘍は、卵巣の卵産生細胞に生じる卵巣癌の一種である。いくつかの実施形態において、癌は、間質腫瘍であるか、又はそれを含む。間質腫瘍は、卵巣を一緒に保持する結合組織の細胞に生じ、この結合組織は時にはエストロゲンと呼ばれる女性ホルモンを生成する組織である。いくつかの実施形態において、癌は、顆粒膜細胞腫瘍であるか、又はそれを含む。顆粒膜細胞腫瘍は、エストロゲンを分泌し、診断時に不正膣出血を生じていることがある。いくつかの実施形態において、婦人科癌は、相同組換え修復欠陥/相同修復欠陥(「HRD」)変異及び/又はBRCA1/2変異を伴う。いくつかの実施形態において、婦人科癌は、白金感受性である。いくつかの実施形態において、婦人科癌は、白金に基づく療法に奏効している。いくつかの実施形態において、婦人科癌は、白金に基づく療法に対して耐性を発達させている。いくつかの実施形態において、婦人科癌は、白金に基づく療法に一度、部分奏効又は完全奏効(例えば、最後の白金に基づく療法又は最後から2番目の白金に基づく療法に対する部分奏効又は完全奏効)を示している。いくつかの実施形態において、婦人科癌は、白金に基づく療法に現在耐性がある。
【0379】
いくつかの実施形態において、癌は、乳癌である。通常、乳癌は、小葉として知られる泌乳腺の細胞から又は乳管から生じる。多くはないが、乳癌は間質組織から生じる場合もある。これらには、乳房の脂肪性及び線維性の結合組織が含まれる。乳癌細胞は経時的に、転移として知られるプロセスで、近傍組織、例えば、腋窩リンパ節又は肺に浸潤し得る。乳癌のステージ、腫瘍のサイズ及びその増殖速度はすべて、提供される治療の種類を決定する因子である。治療選択肢としては、腫瘍を除去するための手術、薬物治療(例えば、化学療法及びホルモン療法)、放射線療法及び免疫療法が含まれる。予後及び生存率は幅広く異なり、5年相対生存率は存在する乳癌の種類によって98%から23%まで異なる。乳癌は、世界で2番目に多い癌であり、2012年ではおよそ170万の新症例があり、癌による死因の第5位であり、およそ521,000人の死亡例がある。これらの症例のうちおよそ15%が、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体(PR)又はHER2を発現しないトリプルネガティブである。いくつかの実施形態において、トリプルネガティブ乳癌(TNBC)は、エストロゲン受容体発現陰性(細胞の<1%)、プロゲステロン受容体発現陰性(細胞の<1%)、及びHER2陰性である乳癌細胞として特徴付けられる。
【0380】
いくつかの実施形態において、癌は、エストロゲン受容体(ER)陽性乳癌、ER陰性乳癌、PR陽性乳癌、PR陰性乳癌、HER2陽性乳癌、HER2陰性乳癌、BRCA1/2陽性乳癌、BRCA1/2陰性癌又はTNBCである。いくつかの実施形態において、乳癌は、転移性乳癌である。いくつかの実施形態において、乳癌は、進行性乳癌である。いくつかの実施形態において、癌は、ステージII、ステージIII又はステージIV乳癌である。いくつかの実施形態において、癌は、ステージIV乳癌である。いくつかの実施形態において、乳癌はトリプルネガティブ乳癌である。
【0381】
一実施形態において、癌は、子宮内膜癌である。子宮内膜癌は、年間100,000人あたり10~20人を占める女性生殖管の最も多い癌である。世界の子宮内膜癌(EC)の年間新症例数は、約32万5千人と推計される。さらに、ECは、閉経後の女性に最も多い癌である。子宮内膜癌症例の約53%が先進国に見られる。2015年に、米国ではおよそ55,000症例のECが診断され、ECに使用するために現在承認されている標的療法はない。1L及び2L状況で、進行性EC及び再発性ECの生存率を改善する薬剤及び投与レジメンの必要がある。2016年に、米国では、およそ10,170人がECから死に至ると予想される。最も多い組織学的形態は類内膜腺癌であり、診断症例の約75~80%に相当する。その他の組織学的形態としては、子宮乳頭状漿液性(10%未満)、明細胞4%、粘液性1%、扁平上皮1%未満及び混合型約10%が含まれる。
【0382】
病因的観点から、ECは2種の異なるタイプ、いわゆる、I型及びII型に分けられる。I型腫瘍は、低悪性度であり、エストロゲン関連類内膜癌(EEC)であり、II型は非類内膜(NEEC)(主として、漿液性及び明細胞)癌である。世界保健機関は、ECの病理学的分類を更新し、ECには9種の異なるサブタイプを認識しているが、EEC及び漿液性癌(SC)が症例の大部分を占める。EECは、周閉経期の患者に見られるエストロゲン関連癌であり、前駆病変(子宮内膜の肥厚/類内膜上皮内新生物)が先行する。微視的には、低悪性度EEC(EEC1~2)は、増殖性の子宮内膜にいくらか類似する管状腺を含み、腺と篩状構造の融合を伴った構造的複雑性を有する。高悪性度EECは、充実型の増殖パターンを示す。対照的に、SCは、高エストロゲン症が存在しない閉経後の患者に見られる。顕微鏡では、SCは、腫瘍細胞の顕著な重層化を伴う厚い、線維性の又は水腫状の乳頭突起、細胞の出芽、及び大きな好酸性の細胞質を有する未分化細胞を示す。大多数のEECは、低悪性度腫瘍(グレード1及び2)であり、子宮に制限されている場合には良好な予後を伴う。グレード3 EEC(EEC3)は、高頻度のリンパ節転移を伴う侵襲性腫瘍である。SCは、極めて侵襲性が高く、エストロゲン刺激に無関係で、主として高齢女性に見られる。EEC3及びSCは、高悪性度腫瘍と見なされる。SC及びEEC3は、1988~2001年のsurveillance,epidemiology and End Results(SEER)プログラムデータを用いて比較されている。それらはそれぞれECの10%及び15%に相当し、それぞれ癌による死亡の39%及び27%を占める。子宮内膜癌はまた、4つの分子サブグループ:(1)超変異/POLE変異体;(2)高頻度変異MSI+(例えば、MSI-H又はMSI-L);(3)低コピー数/マイクロサテライト安定(MSS);及び(4)高コピー数/漿液型様に分類することができる。症例のおよそ28%がMSI-highである(Murali, Lancet Oncol. (2014))。いくつかの実施形態において、患者は、2L子宮内膜癌のミスマッチ修復欠陥サブセットを有する。いくつかの実施形態において、子宮内膜癌は、転移性子宮内膜癌である。いくつかの実施形態において、患者は、MSS子宮内膜癌を有する。いくつかの実施形態において、患者は、MSI-H子宮内膜癌を有する。
【0383】
一実施形態において、癌は、子宮頸癌である。いくつかの実施形態において、子宮頸癌は、進行性子宮頸癌である。いくつかの実施形態において、子宮頸癌は、転移性子宮頸癌である。いくつかの実施形態において、子宮頸癌は、MSI-H子宮頸癌である。いくつかの実施形態において、子宮頸癌はMSS子宮頸癌である。いくつかの実施形態において、子宮頸癌はPOLE変異型子宮頸癌である。いくつかの実施形態において、子宮頸癌は、POLD変異型子宮頸癌である。いくつかの実施形態において、子宮頸癌は高TMB子宮頸癌である。
【0384】
一実施形態において、癌は、子宮癌である。いくつかの実施形態において、子宮癌は、進行性子宮癌である。いくつかの実施形態において、子宮癌は、転移性子宮癌である。いくつかの実施形態において、子宮癌は、MSI-H子宮癌である。いくつかの実施形態において、子宮癌はMSS子宮癌である。いくつかの実施形態において、子宮癌はPOLE変異型子宮癌である。いくつかの実施形態において、子宮癌は、POLD変異型子宮癌である。いくつかの実施形態において、子宮癌は高TMB子宮癌である。
【0385】
一実施形態において、癌は、尿路上皮癌である。いくつかの実施形態において、尿路上皮癌は、進行性尿路上皮癌である。いくつかの実施形態において、尿路上皮癌は、転移性尿路上皮癌である。いくつかの実施形態において、尿路上皮癌は、MSI-H尿路上皮癌である。いくつかの実施形態において、尿路上皮癌はMSS尿路上皮癌である。いくつかの実施形態において、尿路上皮癌はPOLE変異型尿路上皮癌である。いくつかの実施形態において、尿路上皮癌は、POLD変異型尿路上皮癌である。いくつかの実施形態において、尿路上皮癌は高TMB尿路上皮癌である。
【0386】
一実施形態において、癌は、甲状腺癌である。いくつかの実施形態において、甲状腺癌は、進行性甲状腺癌である。いくつかの実施形態において、甲状腺癌は、転移性甲状腺癌である。いくつかの実施形態において、甲状腺癌は、MSI-H甲状腺癌である。いくつかの実施形態において、甲状腺癌はMSS甲状腺癌である。いくつかの実施形態において、甲状腺癌はPOLE変異型甲状腺癌である。いくつかの実施形態において、甲状腺癌は、POLD変異型甲状腺癌である。いくつかの実施形態において、甲状腺癌は高TMB甲状腺癌である。
【0387】
腫瘍は、造血性(hematopoietic)(又は血液性(hematologic)又は血液学的(hematological)又は血液関連性(blood-related))癌、例えば、血液細胞又は免疫細胞に由来する癌であり得、これらは「液性腫瘍」と呼ばれる場合もある。血液性腫瘍に基づく臨床状態の具体例には、白血病、例えば、慢性骨髄性白血病、急性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病及び急性リンパ性白血病;形質細胞悪性腫瘍、例えば、多発性骨髄腫、意義不明(又は未知又は不明確)の単クローン性免疫グロブリン血症(MGUS:monoclonal gammopathy of undetermined (or unknown or unclear) significance)及びワルデンストレームマクログロブリン血症;リンパ腫、例えば、非ホジキンリンパ腫及びホジキンリンパ腫等が含まれる。
【0388】
癌は、異常な数の芽球又は望ましくない細胞増殖が存在する癌、又はリンパ性悪性腫瘍及び骨髄性悪性腫瘍の両方を含む血液学的癌と診断される癌のいずれかの癌であり得る。骨髄性悪性腫瘍には、急性骨髄性(myeloid)(又は骨髄性(myelocytic)又は骨髄性(myelogenous)又は骨髄芽球性(myeloblastic))白血病(未分化又は分化)、急性前骨髄性(又は前骨髄性又は前骨髄性又は前骨髄芽球性)白血病、急性骨髄単球性(又は骨髄単芽球性)白血病、急性単球性(又は単芽球性)白血病、赤白血病及び巨核球性(又は巨核芽球性)白血病が含まれるが、これらに限定されない。これらの白血病は、まとめて急性骨髄性(又は骨髄性又は骨髄性)白血病と呼ばれることがある。骨髄性悪性腫瘍には、慢性骨髄性(又は骨髄性又は骨髄性)白血病(CML)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、本態性血小板血症(又は血小板増加症)及び真性赤血球増加症(PCV)を含むがこれらに限定されない骨髄増殖性疾患(MPD)も含まれる。骨髄性悪性腫瘍には、不応性貧血(RA)、芽球増加を伴う不応性貧血(RAEB)及び移行期の芽球増加を伴う不応性貧血(RAEBT)と呼ばれることもある骨髄異形成(又は骨髄異形成症候群又はMDS);並びに原発性骨髄線維症を伴う又は伴わない骨髄線維症(MFS)も含む。
【0389】
一実施形態において、癌は、非ホジキンリンパ腫である。造血性癌はまた、リンパ性悪性腫瘍を含み、リンパ節、脾臓、骨髄、末梢血及び/又はリンパ節外部位に影響を与え得る。リンパ性癌には、B細胞悪性腫瘍が含まれ、これにはB細胞性非ホジキンリンパ腫(B-NHL)が含まれるが、これらに限定されない。B-NHLは、インドレント(又は低悪性度)、中悪性度(又はアグレッシブ)又は高悪性度(高度アグレッシブ)の場合がある。インドレントB細胞リンパ腫には、濾胞性リンパ腫(FL);小リンパ球性リンパ腫(SLL);辺縁帯リンパ腫(MZL)、例えば、結節性MZL、節外性MZL、脾臓MZL及び有毛リンパ球を伴う脾臓MZL;リンパ形質細胞性リンパ腫(LPL);及び粘膜関連リンパ組織(MALT又は節外性辺縁帯)リンパ腫が含まれる。中悪性度B-NHLには、白血病の関与を伴う又は伴わないマントル細胞リンパ腫(MCL);びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL);濾胞性大細胞(又は悪性度3又は悪性度3B)リンパ腫;及び原発性縦隔リンパ腫(PML)が含まれる。高悪性度B-NHLには、バーキットリンパ腫(BL)、バーキット様リンパ腫、小型非切れ込み核細胞性リンパ腫(SNCCL)及びリンパ芽球性リンパ腫が含まれる。その他のB-NHLには、免疫芽球性リンパ腫(又は免疫細胞腫)、原発性滲出液リンパ腫、HIV関連(又はAIDS関連)リンパ腫及び移植後リンパ増殖性疾患(PTLD)又は移植後のリンパ腫が含まれる。B細胞悪性腫瘍には、慢性リンパ性白血病(CLL)、前リンパ球性白血病(PLL)、ワルデンストロームマクログロブリン血症(WM)、有毛細胞白血病(HCL)、大顆粒リンパ球性(LGL)白血病、急性リンパ性(又はリンパ球性又はリンパ芽球性)白血病及びキャッスルマン病も含まれるが、これらに限定されない。NHLには、T細胞性非ホジキンリンパ腫(T-NHL)も含まれる場合があり、これには、非特定型(NOS)T細胞性非ホジキンリンパ腫、末梢T細胞性リンパ腫(PTCL)、未分化大細胞型リンパ腫(ALCL)、血管免疫芽球性リンパ節症(AILD)、鼻のナチュラルキラー(NK)細胞性/T細胞性リンパ腫、ガンマ/デルタリンパ腫、皮膚T細胞性リンパ腫、菌状息肉腫及びセザリー症候群が含まれるが、これらに限定されない。
【0390】
造血性癌には、ホジキンリンパ腫(又はホジキン病)、例えば、古典的ホジキンリンパ腫、結節硬化型ホジキンリンパ腫、混合細胞型ホジキンリンパ腫、リンパ球優位型(LP)ホジキンリンパ腫、結節性LPホジキンリンパ腫及びリンパ球減少型ホジキンリンパ腫も含まれる。造血性癌には、形質細胞疾患又は形質細胞癌、例えば、多発性骨髄腫(MM)(くすぶり型MMを含む)、意義不明(又は不明又は不明)の単クローン性免疫グロブリン血症(MGUS)、形質細胞腫(骨、髄外)、リンパ形質細胞性リンパ腫(LPL)、ワルデンストロームマクログロブリン血症、形質細胞白血病及び原発性アミロイドーシス(AL)も含まれる。造血性癌には、さらなる造血細胞、例えば、多形核白血球(又は好中球)、好塩基球、好酸球、樹状細胞、血小板、赤血球及びナチュラルキラー細胞のその他の癌も含まれ得る。本明細書において「造血細胞組織」と呼ばれる造血細胞を含む組織には、骨髄;末梢血;胸腺;末梢リンパ組織、例えば、脾臓、リンパ節、粘膜(例えば、扁桃腺、パイエル板及び虫垂)関連リンパ組織(例えば、消化管関連リンパ組織)及びその他の粘膜(例えば、気管支内層)関連リンパ組織が含まれる。
【0391】
一実施形態において、治療は、HNSCCの一次又は二次治療である。一実施形態において、治療は、再発性/転移性HNSCCの一次又は二次治療である。一実施形態において、治療は、再発性/転移性(1L R/M)HNSCCの一次治療である。一実施形態において、治療は、PD-L1 CPS(組合せ陽性スコア)陽性(CPS≧1)患者における1L R/M HNSCCの一次治療である。一実施形態において、治療は、再発性/転移性(2L R/M)HNSCCの二次治療である。
【0392】
一実施形態において、治療は、PD-1/PD-L1ナイーブHNSCCの一次治療、二次治療、三次治療、四次治療又は五次治療である。一実施形態において、治療は、PD-1/PD-L1処置を受けたHNSCCの一次治療、二次治療、三次治療、四次治療又は五次治療である。
【0393】
いくつかの実施形態において、癌の治療は癌の一次治療である。一実施形態において、癌の治療は癌の二次治療である。いくつかの実施形態において、治療は癌の三次治療である。いくつかの実施形態において、治療は癌の四次治療である。いくつかの実施形態において、治療は癌の五次治療である。いくつかの実施形態において、癌の二次治療、三次治療、四次治療又は五次治療に対する先行治療は、放射線療法、化学療法、外科手術又は放射線化学療法のうちの1又は2以上を含む。
【0394】
一実施形態において、先行治療は、ジテルペノイド、例えば、パクリタキセル、ナブパクリタキセル又はドセタキセル;ビンカアルカロイド、例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチン又はビノレルビン;白金配位錯体、例えば、シスプラチン又はカルボプラチン;ナイトロジェンマスタード、例えば、シクロホスファミド、メルファラン又はクロラムブシル;スルホン酸アルキル、例えば、ブスルファン;ニトロソ尿素、例えば、カルムスチン;トリアゼン、例えば、ダカルバジン;アクチノマイシン、例えば、ダクチノマイシン;アントロサイクリン、例えば、ダウノルビシン又はドキソルビシン;ブレオマイシン;エピポドフィロトキシン、例えば、エトポシド又はテニポシド;代謝拮抗性抗新生物薬、例えば、フルオロウラシル、メトトレキサート、シタラビン、メルカプトプリン、チオグアニン又はゲムシタビン;メトトレキサート;カンプトテシン、例えば、イリノテカン又はトポテカン;リツキシマブ;オファツムマブ;トラスツズマブ;セツキシマブ;ベキサロテン;ソラフェニブ;erbB阻害剤、例えば、ラパチニブ、エルロチニブ又はゲフィチニブ;ペルツズマブ;イピリムマブ;ニボルマブ;FOLFOX;カペシタビン;フォルフィリ;ベバシズマブ;アテゾリズマブ;セリクレルマブ;オビヌツズマブ;又はそれらの任意の組合せによる治療を含む。一実施形態において、癌の二次治療、三次治療、四次治療又は五次治療に対する先行治療は、イピリムマブ及びニボルマブを含む。一実施形態において、癌の二次治療、三次治療、四次治療又は五次治療に対する先行治療は、FOLFOX、カペシタビン、フォルフィリ/ベバシズマブ及びアテゾリズマブ/セリクレルマブを含む。一実施形態において、癌の二次治療、三次治療、四次治療又は五次治療に対する先行治療は、カルボプラチン/ナブパクリタキセルを含む。一実施形態において、癌の二次治療、三次治療、四次治療又は五次治療に対する先行治療は、ニボルマブ及び電気化学療法を含む。一実施形態において、癌の二次治療、三次治療、四次治療又は五次治療に対する先行治療は、放射線療法、シスプラチン及びカルボプラチン/パクリタキセルを含む。
【0395】
一実施形態において、治療は、頭頸部癌(特に、頭頸部扁平上皮癌及び中咽頭癌)の一次又は二次治療である。一実施形態において、治療は、再発性/転移性HNSCCの一次又は二次治療である。一実施形態において、治療は、再発性/転移性(1L R/M)HNSCCの一次治療である。一実施形態において、治療は、PD-L1 CPS(組合せ陽性スコア)陽性(CPS≧1)患者における1L R/M HNSCCの一次治療である。一実施形態において、治療は、再発性/転移性(2L R/M)HNSCCの二次治療である。
【0396】
一実施形態において、治療は、PD-1/PD-L1ナイーブHNSCCの一次治療、二次治療、三次治療、四次治療又は五次治療である。一実施形態において、治療は、PD-1/PD-L1処置を受けたHNSCCの一次治療、二次治療、三次治療、四次治療又は五次治療である。
【0397】
いくつかの実施形態において、治療は、治療前のレベル(例えば、ベースラインレベル)と比較して、腫瘍浸潤リンパ球(細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞及びNK細胞を含む)の増加、T細胞の増加、グランザイムB+細胞の増加、増殖性腫瘍細胞の低下及び活性化T細胞の増加のうちの1又は2以上をもたらす。活性化T細胞は、OX40及びヒト白血球抗原DRのより高い発現によって観察され得る。いくつかの実施形態において、治療は、治療前のレベル(例えば、ベースラインレベル)と比較して、PD-1/PD-L1の上方制御をもたらす。
【0398】
一実施形態において、本発明の方法は、少なくとも1種の新生物剤又は癌アジュバントをヒトに投与する工程をさらに含む。本発明の方法はまた、癌治療のその他の治療的方法とともに使用され得る。
【0399】
典型的には、治療される腫瘍、例えば、感受性腫瘍に対して活性を有する任意の抗新生物剤又は癌アジュバントは、本発明における癌の治療において共投与され得る。そのような薬剤の例は、Cancer Principles and Practice of Oncology by V.T. Devita, T.S. Lawrence, and S.A. Rosenberg (editors), 10th edition (December 5, 2014), Lippincott Williams & Wilkins Publishersに見出され得る。
【0400】
一実施形態において、ヒトは、1又は2以上の異なる癌治療モダリティにより以前に治療されている。いくつかの実施形態において、癌患者集団中の少なくとも一部の患者は、1又は2以上の療法、例えば、手術、放射線療法、化学療法又は免疫療法により以前に治療されている。いくつかの実施形態において、癌患者集団中の少なくとも一部の患者は、以前に化学療法(例えば、白金に基づく化学療法)により治療されている。例えば、2ラインの癌治療を受けた患者は、2L 癌患者(例えば、2L NSCLC患者)として特定され得る。いくつかの実施形態において、患者は、2ライン又は3ライン以上の癌治療を受けている(例えば、2L+癌患者、例えば、2L+子宮内膜癌患者)。いくつかの実施形態において、患者は、抗体療法、例えば、抗PD-1療法により以前に治療されたことがない。いくつかの実施形態において、患者は、少なくとも1ラインの癌治療を以前に受けた患者である(例えば、少なくとも1ライン又は少なくとも2ラインの癌治療を以前に受けた患者)。いくつかの実施形態において、患者は、転移性癌にする少なくとも1ラインの治療を以前に受けた患者である(例えば、転移性癌に対する1ライン又は2ラインの治療を以前に受けた患者)。いくつかの実施形態においた、対象は、PD-1を阻害する薬剤による治療に耐性がある。いくつかの実施形態において、対象は、PD-1を阻害する薬剤による治療に難治性である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、PD-1を阻害する薬剤による治療に対して対象を感作する(sensitize)。
【0401】
癌の治療方法についての実施形態は、それが投与量、治療レジメン並びに当該投与量及び治療レジメンの効果に関する限りにおいて、癌の治療に使用するためのICOS結合タンパク質、及び/又はPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド及び抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質、或いは、癌を治療するための医薬の製造におけるICOS結合タンパク質、及び/又はPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド及び抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質の使用についての実施形態としても受け取られ得、且つその逆としても受け取られ得ることに留意されたい。癌の治療の方法、癌の治療に使用するためのICOS結合タンパク質、及び/又はPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド及び抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質、或いは癌を治療するための医薬の製造におけるICOS結合タンパク質、及び/又はPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド及び抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質の使用についての実施形態はまた、それが投与量、治療レジメン並びに当該投与量及び治療レジメンの効果に関する限りにおいて、医薬組成物、医薬製剤又は医薬キットについての実施形態としても受け取られ得ることに留意されたい。
【0402】
医薬組成物/投与経路/投与量
本明細書に記載の抗原結合タンパク質は、本明細書に記載のヒト疾患の治療に使用するための医薬組成物に組み込まれ得る。一実施形態において、医薬組成物は、1種又は2種以上の薬学的に許容可能な担体及び/又は賦形剤と組み合わされた抗原結合タンパク質を含む。
【0403】
このような組成物は、許容可能な製薬実務によって知られ、要求されるような、薬学的に許容可能な担体を含む。
【0404】
医薬組成物は、注射又は持続注入によって投与され得る(例として、静脈内、腹腔内、皮内、皮下、筋肉内、眼内及び門脈内投与を含むが、これらに限定されない)。一実施形態において、組成物は静脈内投与に適している。医薬組成物は、局所投与(皮膚上、吸入、鼻腔内又は眼投与を含むが、これらに限定されない)又は経腸投与(経口、膣又は直腸投与を含むが、これらに限定されない)に適し得る。
【0405】
医薬組成物は、その他の医薬とともに及び/又は使用説明書とともに抗原結合タンパク質を含むキットに含められ得る。便宜上、キットは、使用説明書とともに所定量の試薬を含んでもよい。キットはまた、医薬組成物の投与に使用されるデバイスを含み得る。
【0406】
「個体」、「対象」及び「患者」という用語は、本明細書では交換可能に使用される。一実施形態において、対象は動物である。別の実施形態において、対象は、哺乳動物、例えば、霊長類、例えば、マーモセット又はサルである。別の実施形態において、対象はヒト(すなわち、ヒト患者)である。「対象」は、治療を必要とする任意の患者、例えば癌の治療を必要とする患者を含むように広く定義される。癌の治療を必要とする対象には、さまざまな段階の患者、例えば、新たに診断された患者、再発した患者、難治性の患者、進行性疾患の患者、寛解した患者等が含まれ得る。癌の治療を必要とする対象には、幹細胞移植を受けた患者、又は移植に不適格であると考えられる患者も含まれる。
【0407】
対象を事前にスクリーニングして、本明細書に記載の組合せによる治療のために対象を選択することができる。一実施形態では、本明細書に記載の組合せによる治療の前に、対象からのサンプルをPD-L1の発現について試験する。
【0408】
キット
一態様において、本発明は、(i)ICOS結合タンパク質;(ii)PD-1阻害剤;(iii)TGF-β阻害剤を含み、選択的に(iv)ヒトの癌の治療において、(i)、(ii)及び(iii)を組み合わせて使用するための説明書を含むキットを提供する。
【0409】
別の態様において、本発明は、(i)ICOS結合タンパク質;(ii)PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチドを含み、選択的に(iii)ヒトの癌の治療において、(i)及び(ii)を組み合わせて使用するための説明書を含むキットを提供する。
【0410】
さらなる態様において、本発明は、(i)ICOS結合タンパク質;(ii)抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質を含み、選択的に(iii)ヒトの癌の治療において、(i)及び(ii)を組み合わせて使用するための説明書を含むキットを提供する。
【0411】
いくつかの態様において、本発明は、(i)配列番号1のCDRH1、配列番号2のCDRH2及び配列番号3のCDRH3を含む重鎖アミノ酸配列と、配列番号4のCDRL1、配列番号5のCDRL2及び配列番号6のCDRL3を含む軽鎖アミノ酸とを含むICOS結合タンパク質;(ii)(a)配列番号13のCDRH1、配列番号14のCDRH2及び配列番号15のCDRH3を含む重鎖アミノ酸配列と、配列番号16のCDRL1、配列番号17のCDRL2及び配列番号18のCDRL3を含む軽鎖アミノ酸配列とを含むPD-L1結合タンパク質と、(b)ヒトTGFβRII又はTGF-βに結合可能なそのフラグメントとを含む抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質;及び(iii)ヒトの癌の治療において、(i)及び(ii)を組み合わせて使用するための説明書を含むキットを提供する。
【0412】
いくつかの態様において、キットは癌の治療に使用するためのキットである。
【0413】
いくつかの実施形態において、ICOS結合タンパク質;及びPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、それぞれ、1種又は2種以上の薬学的に許容可能な担体を含むそれ自体の医薬組成物に別個に調合される。
【0414】
いくつかの態様において、本発明は、(i)配列番号1のCDRH1、配列番号2のCDRH2及び配列番号3のCDRH3を含む重鎖アミノ酸配列と、配列番号4のCDRL1、配列番号5のCDRL2及び配列番号6のCDRL3を含む軽鎖アミノ酸とを含むICOS結合タンパク質;(ii)抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質と組み合わせた場合の癌の治療に使用するための説明書を含む、癌の治療に使用するためのキットを提供する。
【0415】
いくつかの態様において、本発明は、(i)(a)配列番号13のCDRH1、配列番号14のCDRH2及び配列番号15のCDRH3を含む重鎖アミノ酸配列と、配列番号16のCDRL1、配列番号17のCDRL2及び配列番号18のCDRL3を含む軽鎖アミノ酸配列とを含むPD-L1結合タンパク質と、(b)ヒトTGFβRII又はTGF-βに結合可能なそのフラグメントとを含む抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質;(ii)ICOS結合タンパク質と組み合わせた場合の癌の治療に使用するための説明書を含む、癌の治療に使用するためのキットを提供する。
【0416】
一実施形態において、癌の治療に使用するためのキットは、
(i)10mg/mLの濃度のICOS結合タンパク質と
(ii)約20mg/mL~約125mg/mL、例えば、約20mg/mL~約50mg/mL、特に、10mg/mL、20mg/mL、30mg/mL、40mg/mL又は50mg/mLの濃度のPD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質
を含む。
【0417】
上記すべてのキットの態様のうちのいくつかの実施形態において、PD-1阻害剤は、PD-1結合タンパク質又はPD-L1結合タンパク質である。上記のキットの態様のうちのさらなる実施形態において、抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質は、(a)ヒトTGFβRII又はTGF-βに結合可能なそのフラグメント;及び(b)抗PD-L1抗体若しくはその抗原結合フラグメント、又は抗PD-1抗体若しくはその抗原結合フラグメントを含む。
【0418】
上記すべてのキットの態様のうちの特定の実施形態において、ICOS結合タンパク質はフェラジリマブである。上記すべてのキットの態様のうちの特定の実施形態において、PD-1阻害剤とTGFβRとを含むポリペプチド又は抗PD-(L)1(IgG):TGFβR融合タンパク質はビントラフスプアルファである。
【実施例
【0419】
実施例1.EMT6マウス固形腫瘍モデルにおける抗ICOSアゴニスト抗体とM7824(PD-L1-TGFβRIIトラップ)の併用の評価
1.1 動物
6週齢の雌BALB/cマウス(BALB/cAnNHsd)をEnvigo社から購入した。すべての動物は、拘束、飼育、外科的処置、飼料と水分の調節及び獣医学的ケアに関する実験動物のケア・利用ガイドの推奨に従った施設で維持した。
【0420】
1.2 細胞株の培養
EMT6マウス乳癌細胞株はAmerican Type Culture Collection(ATCC,CRL-2755)から購入し、CELLSTAR Tissue Culture Flasks(Greiner Bio-one、パート#660175)にて37℃、5%CO2で培養した(HERAcell Vios 160i、ThermoScientific、S/N 419756)。細胞は、将来の使用のために、LNの気相で膨張させ、分注し、凍結保存した。細胞原株は、Charles River Laboratory(PCRマウス病原体パネル)により、マウス病原体に対して陰性であることを確認した。1つのアリコートを解凍し、腫瘍の接種前にさらに3回継代培養を行った。
【0421】
1.3 腫瘍の接種
接種に使用した細胞は、対数期(増殖期)に採取し、1倍冷PBSに再懸濁させた。各マウスに1×10EMT6細胞(0.1mL細胞懸濁液)を右側腹部に皮下(S.C.)注射した。
【0422】
1.4 測定
マイクロチップ検出を用いてマウスを識別した(S.C.注射、BMDS、Cat# IMI-500)。腫瘍体積はデジタルノギスで測定し、体重は天秤(Meterlo Toledo)を用いて測定した。測定データはStudy Director Software Package(Studylog Systems version 4.2、サウスサンフランシスコ、CA、USA)を用いて収集した。腫瘍体積は下式を用いて算出した。
腫瘍体積(mm)=0.52×l×w(ここで、w=腫瘍のmm単位での幅、l=長さ)。
【0423】
1.5 無作為化
治療開始前に、StudyLogソフトウエアの層別サンプリング法を用いて、マウスを個々の群(腫瘍接種後約7日目、腫瘍サイズ100~150mm)に無作為化した。群間の腫瘍サイズの分布が均等になるように統計解析(ANOVA)を行った(P値>0.99)。
【0424】
1.6 試験薬及び処置
抗体は、滅菌した1倍PBSで所望の濃度に希釈した(可能であれば100μL)。使用した抗体は以下の通りである:マウスIgG1アイソタイプ対照(mIgG1、Bioxcell、Cat#BE0083);抗ICOSマウスIgG1(Absolute antibody、Cat#AB00814-1.1);ヒトIgG1アイソタイプコントロール(hIgG1、Merck KGaA、ロット#PPB-1336);抗PD-L1(Merck KGaA、ロット#PPB-6677);TGF-β阻害のみに使用したTGFβRII-トラップ対照(hIgG1トラップ、Merck KGaA、ロット#PPB-1684);及びM7824(PD-L1-TGFβRII-トラップ、Merck KGaA、ロット#PPB-5827)。
【0425】
最初の投与は、試験0日とした。担癌マウスに、試験デザイン表に要約された治療計画に従って投与した。
【0426】
1.7 観察及び評価項目
マウスにおいて、腫瘍の成長及び治療が、運動性、食物及び水の消費、体重の増/減、又は他のいずれかの異常などの行動に及ぼす影響を確認した。観察されたすべての臨床兆候及び死亡率を記録した。腫瘍サイズ及び体重を週に2~3回測定し、腫瘍が所定の評価項目(腫瘍体積2500mm、潰瘍化、体重減少20%以上)に達した際又は試験終了時のどちらか早いほうで個々の動物を安楽死させた。
【0427】
1.8 統計解析
腫瘍成長のトレンド
トレンドモデルは線形混合モデルである。治療時間のトレンドは、自由度2、3、又は4の自然スプラインとしてモデル化される。治療が持つ体積データが半分以下となる日があれば、最後のそのような日以降に記録された体積は、トレンドモデル化には無視される。このアプローチは、体積測定の主要な期間に焦点を当て、少数の遅い測定がトレンド分析に影響を与えることを避けるのに役立つ。
【0428】
補正AUC
腫瘍量の(時間で)積分した測定値を腫瘍量の調査日数に関して補正したもの。補正AUCをノンパラメトリックANOVA(順位に関するANOVA)により分析した後、偽発見率(FDR)多重度補正により分析する。有意性はFDR<=0.05と定義される。
【0429】
カプラン・マイヤー(KM)生存分析
この方法は、ある時点における異なる治療群の生存確率を推定するために実施する。エンドポイントまでの時間の中央値とそれに対応する95%信頼区間が報告される。次に、KM生存曲線が任意の2群間で統計的に異なるかどうかをログランク検定で検定する。p値は、FDR(偽発見率)法を用いて多重度に関して補正する。有意性は、FDR<=0.05と定義される。R解析ソフトウエアを使用する。
【0430】
1.9 試験デザイン1-結果
実験は、表2にまとめた試験デザイン1を用いて実施し、結果を図1に示した。
【0431】
【表2】
【0432】
ここで、統計解析にFDRのp値を用いた。腫瘍体積と無腫瘍生存曲線の結果を図1に示す。ICOS抗体単独では、中等度の腫瘍増殖阻害(TGI)と無腫瘍生存期間の延長が認められた(第9群50%、第10群40%、第11群30%)。統計学的に有意ではなかったが、イソタイプ対照と比較して、腫瘍増殖遅延と全生存期間の改善の傾向が観察された。抗PD-L1の抗腫瘍効果は緩やかで、アイソタイプ対照と比較して無腫瘍生存期間が20%延長した(第2群)。
【0433】
M7824は供試した3種類の用量(54.6μg、164μg、及び492μg)による処置はいずれも腫瘍成長を遅らせたり、生存期間を統計的に有意に改善したりすることはなかったが、TGFβRII-トラップ対照(TGF-β阻害のみ)に対して、高用量M7824(492μg、5群及び12群、30%)療法でTGI及び無腫瘍生存期間の延長の傾向と観察された。
【0434】
注目すべきは、抗ICOS抗体と164μgのM7824の併用により抗腫瘍効果が向上し、ICOS又は抗PD-L1単剤療法と比較して無腫瘍生存期間が30%延長されたことである。しかしながら、おそらく試験規模のために、いずれの併用療法群においても、抗ICOS又は抗PD-L1単剤療法と比較して統計的有意差には達しなかった。これらの所見を確認し、併用効果の基礎にあるメカニズムを明らかにするためには、さらなる有効性及び薬力学的(PD)試験が必要とされる。
【0435】
M7824はヒト抗体であるため、抗薬物抗体(ADA)を回避する試みとして、すべての用量(3用量)のM7824を最初の試験週(0、2、5日目)内に投与した。本試験では治療関連死は認められなかった。概略を示した投与戦略により、M7824及びICOS抗体は、一貫した体重増加に示されるように、良好な忍容性を示した。
【0436】
1.10 試験デザイン2-結果
表3にまとめた別の試験デザイン(試験デザイン2)を用いて、上述と同じ方法でさらなる実験を行った。
【0437】
【表3】
【0438】
ICOS抗体単独(1μg及び10μg;それぞれ第9群、第8群)は、腫瘍増殖阻害(TGI)及び無腫瘍生存期間の延長(1μg:50%、10μg:20%)を示した。ICOS抗体単独(100μg;第7群)は、抗腫瘍効果を示さなかった。100μgのICOS抗体が有効でなかったことは、本発明者らの他のin vivo研究(示されていない)と一致し、ICOS抗体のアゴニスト活性を反映している。通常、標的に対するアゴニストはベル型の曲線反応を示し、このことは、ICOS抗体の用量が低い場合又は高い場合(0.1μg、0.01μg、100μg、200μg)に低い効果を示す、今回及び本発明者らの他のin vivo試験にも反映されている。
【0439】
アイソタイプ対照(第4群)に対して抗PD-L1抗体(第3群)には20%の無腫瘍生存期間の延長が観察された。
【0440】
164μgのM7824処置(第5群、第6群)の抗腫瘍効果が見られ、アイソタイプ対照(第4群)に対して無腫瘍生存期間が10%延長し、抗PDL1抗体単独(第3群)と比較して10%減少した。
【0441】
TGFβRII-トラップ対照(TGFβ阻害のみ、第4群)の10%に対し、100μgのICOS抗体と164μgのM7824(10群)、及び10μgのICOS抗体と164μgのM7824(第11群)でそれぞれ50%と40%と、TGI及び腫瘍自由生存率の増加の傾向が観察された。しかしながら、ICOS抗体(1μg)とM7824の併用(第12群)は、ICOS単独と比較して、さらなる利益を示さなかった。
【0442】
M7824はヒト抗体であるため、抗薬物抗体(ADA)を回避する試みとして、すべての用量(3用量)のM7824を最初の試験週内(0、2、5日目)に投与した。本試験では治療関連死は認められなかった。概略を示した投与戦略により、M7824及びICOS抗体は、一貫した体重増加に示されるように、良好な忍容性を示した。
【0443】
実施例2 併用療法ヒト臨床試験プロトコールの開発
H2L5 hIgG4PEは、様々な組織型の癌の治療を目的とした抗ICOS受容体アゴニスト抗体である。H2L5 hIgG4PEは、配列番号1~6に示されるCDR配列、それぞれ配列番号7及び配列番号8に示される可変重鎖及び可変軽鎖配列、並びにそれぞれ配列番号9及び配列番号10に示される重鎖及び軽鎖配列を含む。これは腫瘍免疫を誘導又は調節する薬剤との併用において活性となると思われる。ビントラフスプアルファ併用に関連する試験デザインを図2にまとめている。
【0444】
2.1 試験デザイン
H2L5 hIgG4PEは、ビントラフスプアルファとの併用で試験する。本試験では、24mg及び80mg用量のH2L5 hIgG4PE Q3W及びビントラフスプアルファ2400mg用量Q3Wで検討する。
【0445】
評価するこれらの組合せは、登録された再発及び/又は難治性固形癌患者で検討する。各コホートには約25名の被験者を登録する。
【0446】
用量拡大段階では、独立した腫瘍型モデリングによるベイズ適応設計を実施する。
【0447】
2.1.1 H2L5 hIgG4PEとビントラフスプアルファとの併用
併用コホートでは、それぞれ25名の被験者の各コホート内で、24mg(用量水準1)又は80mg(用量水準2)の2種類の用量のH2L5 hIgG4PEを、用量水準ごとに固定用量レジメンで併用パートナーとともに試験する用量漸増段階を設ける。ビントラフスプアルファ併用療法は、2400mgのQ3W 静脈内投与の固定用量スケジュールで始める。
【0448】
各コホートの目標は、生検サンプルに基づく組織レベルの分析を含む安全性及び薬力学データの組合せに基づいて、推奨される第2相用量(RP2D)を決定することにある。RP2Dが決定された後でも、それらの検討を裏付けるデータが得られた場合には、別の計画又は用量を検討することがある。
【0449】
合計25名の各コホートには、最初の用量水準で3名の被験者を登録する。この3名の被験者に用量制限毒性(DLT)が認められない場合、治験責任医師と用量漸増の協議を行う。3名の被験者にDLTが認められた場合には、コホートを6名に増やす。6名の被験者でさらにDLTが認められない場合、治験責任医師と用量漸増の協議を行う。2回目のDLTが認められた場合には、H2L5 hIgG4PEの用量は、0.1mg/kgを潜在的目標として、研究チームと治験責任医師との協議で決定されたより低用量に漸減する。用量漸増計画を表4にまとめる。
【0450】
用量決定規則は、毒性確率区間(mTPI)法に従い、図3にコホート内で見られたDLTに基づく用量設定アクションの漸増決定を示す。H2L5 hIgG4PE併用療法のRP2Dの決定にあたっては、安全性、忍容性、PK、薬力学的指標、及び抗腫瘍活性が考慮される。
【0451】
各コホートは25名に制限されているため、PK/薬力学段階の登録数は25名から用量漸増に登録された被験者数を差し引いた数となる。例えば、2つの用量水準にそれぞれ合計3名の被験者が登録されている場合、用量漸増段階の被験者総数は6人となる。25名から6名を差し引くと、最大で19名の被験者がPK/薬力学的段階に登録されることになる。別のシナリオとして、用量漸増に登録された被験者層数が1つの用量水準で3名、第2の用量水準で6名であり、用量漸増の合計は9名となり、PK/薬力学的段階に登録される被験者は最大16名となる。
【0452】
【表4】
【0453】
開始用量コホートにおける併用用量が忍容できない場合、より低用量のH2L5 hIgG4PEが評価され得る。
【0454】
組織レベルでの用量を検証するためのPK/薬力学データを作成するために、その用量での安全性クリアの後に、一方又は両方の用量水準で追加の被験者を登録することができる。PK/薬力学データは、ベースライン時及び試験開始6週目に評価可能な組織サンプルが得られるかどうかによる。これまでの経験に基づき、評価不能又は入手不能の組織サンプルを考慮して、解析に必要なサンプルより多くの被験者を登録する必要がある。抗腫瘍活性は薬力学的な結果であるため、PK/薬力学的段階にあるすべての被験者は抗薬物抗体(ADA)コホートにも含まれ、固形癌における画像及び免疫関連応答評価基準(irRECIST:imaging and immune-related Response Evaluation Criteria in Solid Tumors)基準に基づいて抗腫瘍活性が評価される。
【0455】
本試験の用量漸増/安全性ランイン段階における試験集団は、以下のタイプの進行/再発固形腫瘍を有する成人である:膀胱/尿路上皮癌、子宮頸癌、大腸癌(虫垂癌を含む)、扁平上皮組織型の食道癌、頭頸部癌、黒色腫、悪性胸膜中皮腫、非小細胞肺癌、及び前立腺癌。各コホートは、前述のリストから選択された1つの特定の腫瘍タイプを有する被験者をいつでも登録することができ、又は以前の治療歴(すなわち抗PD-1/L1療法)、特定の分子/遺伝子変化を示す腫瘍(すなわちPD-L1発現)、又は病理学(すなわち扁平)などの追加の特徴に基づいて、被験者を登録してもよい。
【0456】
2.1.2 用量制限毒性
すべての毒性の重症度は、National Cancer Institute-Common Terminology Criteria for Adverse Events(NCI-CTCAE)(バージョン4.0)[NCI,2010]を用いて評定する。DLT観察期間は28日間で、H2L5 hIgG4PEが被験者に最初に投与された日に開始する。
【0457】
DLTは、表5に示す基準のうち少なくとも1つを満たし、28日のDLT観察期間中に臨床的に関連し、試験治療に起因する(おそらく、又は可能性として)と治験責任医師が判断した有害事象(AE)と定義される。試験下の基礎疾患に関連すると考えられるAEは、DLTとは定義されない。
【0458】
【表5】
【0459】
被験者がDLT観察期間中にDLTを経験した場合、その被験者は、毒性が試験治療中止基準を満たさない限り、治験依頼者による承認後、同一用量又は低用量で投与を再開することができる。
【0460】
2.1.3 被験者内の用量漸増
被験者が治療から28日に薬物関連のグレード2以上のAE又は重症度を問わない重度有害事象(SAE)の発生なく、少なくとも1サイクルの治療を完了していれば、場合によって被験者内の用量漸増を考慮することができる。治療開始6週目の生検が必須であった拡大段階では、被験者内漸増の承認にはこの生検の取得も必要とされる。さらに、次の高用量水準では、すべての被験者が最大耐量(MTD)に到達していない状態でDLT観察期間を完了していなければならない。被験者は、最高クリア用量まで用量漸増が可能である。個々の被験者が、被験者内の各用量漸増段階において上記の基準を満たす限り、複数回の用量漸増を行うことができる。
【0461】
2.1.4 用量拡大段階
安全性、PK、薬力学的活性及び予備的臨床活性に関する追加データを収集するために、用量漸増段階の任意の用量水準/用量を選択して拡大することができる。
【0462】
各拡張コホートには、図2に示すように単一の腫瘍型によって定義された被験者、又は免疫チェックポイント阻害剤による治療の既往、分子/遺伝子変化(MSI-H/dMMR)、又は病理学的特徴などの他の特徴によって特徴付けられた被験者が含まれる。被験者は、PD-1/L1治療歴(すなわち、ナイーブ又は既往;最良応答)により層別化することができる。
【0463】
運営委員会は、本試験に関して利用可能なデータを総合的に検討して、いずれの拡大コホートについても用量水準の適応に関する情報を得る。
【0464】
2.1.4.1. PK/薬力学的用量拡大コホート
安全性、PK、薬力学的活性及び予備的有効性に関する追加データを収集するために、用量拡大段階で登録される予定の3名の被験者を超えて、任意の用量水準を拡大することができる。被験者は、既にクリアされた用量水準でのみ登録することができる。PK/薬力学的コホートに登録された被験者は、必要なPK/薬力学的手順が完了した時点で、より高いクリア用量水準(すなわち、MTDを超えない)に用量漸増を行うことができる。併用薬の生物学的至適用量を決定する上で重要なパラメーター(すなわち、安全性、忍容性、及び有効性)を十分に検討するために、各PK/薬力学的用量拡大コホートにモデルに基づくデザインを採用することができる。
【0465】
2.1.5 試験治療及び期間
本試験の各部分及び各相には、スクリーニング期間、治療期間、及び追跡調査期間が含まれる。すべての基準を満たし、本試験に登録された被験者では、H2L5 hIgG4PEによる最長治療期間は、2年、35サイクルまでと思われる。安全性評価のための最長追跡期間は、試験治療の最終投与日から90日間とする。生存率及びその後の抗癌治療に関する予想最長追跡期間は、試験治療の最終投与日から2年間とする。完全奏効(CR)に到達したために(追加要件について2.2.3節を参照)試験治療を中止した被験者については、進行を追跡調査する(これらの評価頻度の詳細については2.2.3節を参照)。
【0466】
ビントラフスプアルファコホートに加わった被験者には、H2L5 hIgG4PE 24mg又は80mg(固定用量は表6参照)をビントラフスプアルファと併用し、2400mg Q3WのIV注入として投与する。
【0467】
2.1.6 用量の妥当性検討
2.1.6.1 ビントラフスプアルファにおけるH2L5 hIgG4PEの開始用量
24mg及び80mgのH2L5 hIgG4PE用量は、0.3m/kg(~24mg)で開始する21日間の投与サイクルでCD4及びCD8T細胞に高い受容体占有率を示し、1mg/kg(~80mg)の用量水準では、ほぼ完全な受容体飽和が見られた、末梢における予備的なICOS受容体占有薬力学予備解析に基づいて選択されたものである。これまでの臨床及び非臨床データに基づけば、重複する毒性は予想されない。また、確立された薬理学に基づいて、薬物-薬物相互作用は予想されない。
【0468】
2.1.6.2 H2L5 hIgG4PE投与頻度
選択パートナー薬剤は3週間よりも低頻度で投与される可能性があるため、別の延長投与計画で、Q3Wの選択肢を超えて、患者及び臨床医にさらなる利便性と柔軟性が提供される。そこで、H2L5 hIgG4PEを6週間に1回投与する計画(Q6W)を、特にPD-1/L1ナイーブHNSCC患者を対象とした無作為化計画最適化コホートで検討する。最初のQ6W計画の検討では、Q3W HNSCC用量無作為化コホートにおけるそれぞれのQ3Wレジメン(0.3mg/kg及び1mg/kg)に対応する累積曝露量と合致するように48mg及び160mgの2用量が選択される。予備的なPKシミュレーションによると、H2L5 hIgG4PEの用量と投与間隔を2倍にすると(例えば、0.3mg/kg Q3Wから48mg Q6Wへ)、注入終了時Cmaxが約2倍になり、サイクル終了時トラフ濃度がわずかに低下する(定常状態で約43%)、同様の累積AUCになると予測される。160mg Q6Wの典型的なCmaxは、Q3Wレジメンで確立された閾値未満に維持される。
【0469】
2.1.6.3 H2L5 hIgG4PEの固定用量比
ビントラフスプアルファの用量漸増では、典型的な体重中央値を80kgと仮定して、固定用量を試験することができる。
【0470】
予備的な集団PKシミュレーションによると、固定用量を使用した場合、体重に基づく投与と同様の曝露範囲が得られることが示される。また、固定用量には、投与ミスの低減、薬剤浪費の低減、準備時間の短縮、及び投与の改善のしやすさといった利点がある。従って、基準体重80kgに基づく固定用量への切り替えは合理的かつ適切である。
【0471】
80kgの体重を用いたH2L5 hIgG4PE用量水準の固定用量換算値を表6に示す。
【0472】
【表6】
【0473】
2.1.6.4 ビントラフスプアルファ(抗PD-L1-TGFβトラップ)用量比
本試験でのM7824(ビントラフスプアルファ)の用量は、3週間ごとに1回の静脈内注入として投与される2400mgである。H2L5 IgG4PEが3週間ごとに投与されるので、利便性とコンプライアンスのためにはM7824も同じ間隔であることが好ましい。
【0474】
2.2 試験集団の登録及び休薬基準
2.2.1 登録基準
被験者が本試験に参加するためには、以下の基準をすべて満たす必要がある。
1.署名入りの文書によるインフォームド・コンセントが可能であること
2.18歳以上(同意取得時)の男性又は女性。
3.局所進行性/転移性又は再発/難治性と診断された浸潤性悪性腫瘍の組織学的又は細胞学的記録があり、以下の腫瘍型のいずれかであること。
・上部及び下部尿路の膀胱/尿路上皮癌
・子宮頸部癌
・大腸癌(虫垂を含む)
・食道扁平上皮癌
・頭頸部癌
・黒色腫
・MPM
・NSCLC
・前立腺癌
・MSI-H/dMMR腫瘍
・HPV陽性又はEBV陽性腫瘍
4.特定の腫瘍型に対する標準治療後に進行した疾患、又は標準治療が有効でない、忍容されないことが証明された、若しくは不適切と考えられる疾患、又はさらなる標準治療が存在しない場合。
・標準治療と治験療法の両方を含む、進行疾患に対する前治療が5系統を超えてはならない。
・抗PD-1/L1療法の既往がある場合は、以下の要件を満たしていなければならない。
・完全奏効[CR]、部分奏効[PR]、安定[SD]に達し、その後PD 1/L1療法下にありながら病勢進行が認められた者。
・承認された(いずれかの規制当局による)PD-1/L1阻害剤を少なくとも2回投与されたことがある。
・PD-1/L1阻害剤の最終投与から18週間以内にRECIST v1.1により定義されるような病勢進行が確認された者。病勢進行の最初の証拠は、PDが最初に記録された日から4週間以内に2回目の評価によって確認されること(確認スキャンは、本試験のベースライン適格性スキャンとなる可能性がある)。
5.最初の診断から試験登録までの間に保存腫瘍組織が得られ、保存組織が得られない場合は、病変の進行がない限り、被験者に安全な方法で、過去に放射線照射を受けていない病変の新鮮腫瘍生検が必要である。
6.治療前及び治療中の生検を受けることに同意し、PK/薬力学、用量無作為化HNSCC、黒色腫用量拡大及びバイオマーカーコホートで必要とされる生検に適応できる疾患であること。
7.RECISTバージョン1.1により測定可能な疾患(2.6節参照)。X線画像又は写真による評価で測定不可能な触知可能な病変を、唯一の測定可能な病変として利用することはできない。スクリーニング時に生検を受けた測定可能病変は、GSKの同意がない限り、標的/指標病変として追跡することはできない。
8.米国東海岸癌臨床試験グループ(ECOG)パフォーマンスステータス(PS)0-1(2.7節参照)。
9.余命が少なくとも12週間あること。
10.表7に定義されるように十分な臓器機能があること。
【0475】
【表7】
【0476】
11.Fridericiaの式により心拍数で補正したQT時間(QTcF)<450ミリ秒又は脚ブロックのある被験者についてはQTcF<480ミリ秒。QTcFは、機械で読み取られた、又は手動で過大に読み取られたQT間隔をFridericiaの式に従って心拍数で補正したものである。
12.女性被験者の参加資格は、妊娠しておらず(生殖可能な女性の血清β-ヒト絨毛性ゴナドトロピン[β-hCG]検査陰性により確認される)、授乳中でない場合、又は以下の条件の少なくとも1つに該当する場合。
a)非生殖可能な女性は以下のように定義される。
・以下のいずれかに該当する閉経前の女性:卵管結紮の記録、追跡調査により両側卵管閉塞が確認された子宮鏡下卵管閉塞術の記録、子宮摘出、両側卵管切除の記録
・12か月間の自然無月経と定義される閉経後。ホルモン補充療法(HRT)中の女性で、閉経状態が疑われる場合、試験期間中にHRTの継続を希望する場合は、効果の高い避妊法の1つを使用する必要がある。そうでない場合は、試験登録前に閉経後の状態の確認を可能とするために、HRTを中止しなければならない。
b)生殖可能であり、試験薬初回投与30日前から試験治療最終投与120日後まで効果の高い避妊法に従うことに同意すること。
13.妊娠の可能性のある女性パートナーのいる男性被験者は、治験治療初回投与時から治験治療最終投与120日後まで効果の高い避妊法使用することに同意しなければならない。
14.ウイルス陽性の拡大コホートのみ現地の検査室により判定されたヒトパピローマウイルス(HPV)/エプスタイン・バー(EBV)陽性腫瘍の記録。
15.MSI-H/dMMR併用拡大コホートにおいてのみ、現地の検査室により判定されたMSI-H又はdMMR陽性腫瘍の記録。
16.HNSCC PD-L1 CPS<1コホートの中央検査室検査によるFDA承認PD-L1 IHC 22C3 pharmDxアッセイを使用したPD-L1 CPS<1。利用可能であれば、現地検査室のFDA承認PD-L1 IHC 22C3 pharmDxアッセイからの試験結果の記録は、中央検査室の検査結果に代えて受け取ることができる。
17.併用試験のPK/PDコホートへの登録のため、中央検査によりベンタナPD-L1(SP263)IHCアッセイを用いて定義されたPD-L1発現。
【0477】
2.2.2 除外基準
被験者は、以下の基準のいずれかに該当する場合、本試験に参加することができない。
1.以下の治療の既往がある。
・30日以内又は薬物の半減期の5倍以内のいずれか短い方の抗癌療法。事前の抗癌剤の最終投与から試験薬の初回投与まで、少なくとも14日間を経過していなければならない。
・放射線治療の既往:少なくとも1つの非照射の測定可能病変がRECISTバージョン1.1に従う評価のために利用可能である場合、又は単独の測定可能病変に放射線照射が行われ、客観的進行が記録されている場合は許容される。骨転移に対する四肢へのあらゆる目的の使用の放射線照射については、試験薬開始前に少なくとも2週間、胸部、脳又は内臓への放射線照射については4週間のウォッシュアウトが要される。
・30日以内又は治験品の半減期の5倍以内(どちらか短い方)の治験療法。治験薬の最終投与から試験薬の初回投与までに、少なくとも14日を経過していなければならない。
2.同種若しくは自家骨髄移植、又はその他の固形臓器移植の既往。
3.以下のものを含む既往抗癌治療による毒性。
・既往免疫療法に関連すると考えられるグレード3以上の毒性で、治療中止に至ったもの。
・グレード1以上に解消しなかった既往治療に関連する毒性(脱毛症、補充療法で管理されている内分泌障害、及び末梢神経障害(グレード2以下でなければならない)以外)。
4.過去2年以内に侵襲性悪性腫瘍、又は試験対象疾患以外の侵襲性悪性腫瘍の既往がある(以下に記載する場合を除く)。
・他の侵襲性悪性腫瘍で、確定的な治療を受け、2年以上無病であり、治験責任医師及びGSKメディカルモニターが、目下の対象としている悪性腫瘍に対する本治療の効果の評価に影響を与えないと判断したものは、本臨床試験に含めることができる。
・治癒的治療を受けた黒色腫以外の皮膚癌。
5.中枢神経系(CNS)転移。ただし、以下の例外を除く。
・CNS転移が既に治療された無症候性であり、試験薬の初回投与の少なくとも14日前にステロイドを必要としない被験者。注:癌性髄膜炎又はレプト髄膜転移を有する被験者は、臨床的に安定していても除外される。
6.H2L5 hIgG4PEの初回投与前14日以内に血液製剤(血小板又は赤血球を含む)の輸血又はコロニー刺激因子(顆粒球コロニー刺激因子[G-CSF]、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、遺伝子組換えエリスロポエチンを含む)の移注を受けた者。
7.試験治療の初回投与前4週間以内の大手術。また、被験者は試験治療を開始する前に、手術(大手術又は小手術)及び/又はその合併症から完全に回復していなければならない。
8.過去2年以内に全身的治療を必要とした活動性の自己免疫疾患(例えば、疾患修飾剤、コルチコステロイド又は免疫抑制剤を使用したもの)。注:補充療法(例えば、副腎又は下垂体機能不全に対するサイロキシン又は生理的コルチコステロイド補充療法など)は、全身的治療形態とは見なされない。
9.試験治療の初回投与前7日以内に、全身性免疫抑制剤の使用を必要とする合併症。内分泌疾患治療のための生理的用量のコルチコステロイド、又は局所、吸入、又は経鼻コルチコステロイドを含む全身吸収が最小限のステロイドは、被験者が安定した用量を受けていれば継続することができる。
10.全身治療を必要とする活動性感染症、既知のヒト免疫不全ウイルス感染症、又はB型肝炎活動性感染症若しくはC型肝炎活動性感染症の陽性判定(詳細については図5参照)。
11.現在、活動性の肝疾患又は胆道疾患がある(ただし、ギルバート症候群又は無症候性胆石、肝転移、又はその他治験責任医師の評価による安定慢性肝疾患は除く)。注:安定慢性肝疾患とは、一般的に腹水、脳症、凝固障害、低アルブミン血症、食道若しくは胃静脈瘤、持続性黄疸、又は肝硬変がないことと定義するものとする。
12.急性憩室炎、炎症性腸疾患、腹腔内膿瘍、又は手術を必要とする消化管閉塞の最近の既往歴(過去6か月以内)。
13.試験治療の初回投与前4週間以内に、何らかの生ワクチンを受けた者。
14.試験治療開始から4週間以内にアレルゲン減感作療法の既往。
15.モノクローナル抗体又は製剤に使用される成分を含む検討下の化学療法に対する重篤な過敏症の既往歴。
16.以下のいずれかを含む心臓異常の既往又は証拠。
・最近(過去6か月以内)の制御不能な重篤な不整脈、又は2度(II型)若しくは3度の房室ブロックを含む臨床的に重大な心電図異常の既往歴。
・登録前の過去6か月以内の心筋症、心筋梗塞、急性冠症候群(不安定狭心症を含む)、冠動脈形成術、ステント留置術、又はバイパスグラフト術。
・ニューヨーク心臓協会の機能分類システムで定義された鬱血性心不全(クラスII、III、又はIV)。
・最近(過去6か月以内)の症候性心膜炎の既往歴。
17.特発性肺線維症、肺炎(過去の肺炎については、治療にステロイドを必要とした場合のみ除外)、間質性肺疾患、又は組織性肺炎の既往歴(現在及び過去)。注:過去の放射線治療に関連する放射線治療後の肺の変化、及び/又は治療を必要としない無症候性放射線誘発性肺炎は、治験責任医師及びメディカルモニターが合意すれば許容される場合がある。
18.最近(6か月以内)の制御不能の無症候性腹水又は胸水の既往歴。
19.出血素因又は最近の大出血事象の既往(この除外基準は、ビントラフスプアルファ併用コホートに登録された被験者に適用)。
20.被験者の安全、インフォームド・コンセントの取得、又は試験手順の遵守を妨げる可能性のある重篤及び/又は不安定な既往症、精神疾患、又はその他の状態。
21.治験に直接関与する試験施設又は治験依頼者スタッフである近親者(例えば、配偶者、親/法定後見人、兄弟又は子供)がいる。ただし、IRBの有望な承認(議長又は被指名人)が特定の被験者についてこの基準の除外が認められる場合はこの限りではない。
【0478】
2.2.3 休薬/中止基準
被験者は、該当する場合、次の事象の1つが早期に発生しない限り、予定された期間、試験治療を受けるものとする:疾患の進行(irRECISTにより判定)、死亡、若しくは肝化学の中止基準を満たすことを含む許容できない毒性(2.2.3.1節参照)、又は2.2.3.2節に定義されるような他の基準を満たす。毒性により輸液が21日以上遅れた被験者は、治療継続を支持する強力な証拠があると治験責任医師及び治験依頼者/メディカルモニターが合意しない限り、試験薬の中止を検討するべきである。
【0479】
毒性により所与の治療併用の一方の薬剤の永久的な中止を必要とする登録被験者は、残りの薬剤による治療の継続が治験責任医師及び治験依頼者/メディカルモニターによって合意されない限り、その併用療法の両方の薬剤を永久的に中止しなければならない。
【0480】
さらに、以下の理由のいずれかにより、試験治療を永久的に中止する場合がある。
a.プロトコールからの離脱
b.被験者又は代理人の要請
c.治験責任医師の判断
d.被験者が追跡調査から外れた場合
e.試験の中止又は終了
【0481】
中止の主な理由は、被験者の医療記録及び電子症例報告書(eCRF)に記録されなければならない。
【0482】
被験者が毒性により自発的に治療を中止する場合、eCRFに永久中止の主たる理由として「有害事象」と記録される。
【0483】
被験者が試験治療を永久に中止した場合、その被験者の再治療は許容されない。
【0484】
治療中止時の来院(TDV)で必要とされる評価は、試験薬の永久中止の決定から30日以内で、その後の抗癌療法の開始前に完了しなければならない。
【0485】
何らかの理由で試験治療を(早期に又は永久的に)中断したすべての被験者には、治療中断時及び治療後追跡調査時に安全性評価を行う。
【0486】
CR又はPRの被験者には、最初の画像診断がCR又はPRを示した後、少なくとも4週間は画像診断で反応を確認する必要がある。
【0487】
RECIST 1.1に基づく完全奏効が確認され、少なくとも24週間の試験治療を受け、最初のCRが宣言された日から少なくとも2回の治療を受けた被験者については、試験治療の早期中止(試験治療の早期中止はそれ自体で永久的な中止とはならない)を考慮することができ、これらの被験者は、12週間の頻度で疾患評価を受ける。これらの被験者は、病勢進行時に試験治療を再開することができ、この再治療は第2コースと定義される。さらに、RECISTv1.1によりSD、PR、又はCRが確認された被験者が35サイクルの試験治療を完了し、病勢進行又は非忍容性などの他の理由ではなくこの理由で試験治療を中止した場合には、12週間の頻度で疾患評価を受け、これらの被験者は、病勢進行時に試験治療の第2コースを受けることが可能である。なお、被験者が試験治療の第2コースに適格となるには、以下の要件をすべて満たさなければならない。
・試験治療の初回コースの中止の後、RECIST1.1により治験責任医師が判断した放射線学的病勢進行が認められること。
・試験治療最終投与後、後続の/新たな抗癌治療が行われていない。
・登録基準に挙げられた安全性パラメーターのすべてを満たし、除外基準に挙げられた安全性パラメーターを満たさない。
・試験がなお継続中である。
【0488】
治療を再開する場合、被験者は評価を再開する必要があり、さらに、限定的なPK及び免疫原性サンプリングが必要となる。
【0489】
何らかの理由で試験治療を永久に中止したすべての被験者には、死亡、全試験若しくは治験依頼者によるコホートの終了まで、又は被験者が2年間追跡調査されるまで、12週間ごとに生存率及び新しい抗癌療法(放射線療法を含む)について追跡調査を行う。被験者が追跡調査中に診療所に出向くことができない、又は出向く意思がない場合、生存率を評価するための連絡は別の通信手段(例えば、電話、電子メールなど)で行うことができる。
【0490】
病勢進行又は同意撤回以外の理由で試験治療を永久に中止したすべての被験者には、病勢進行又は抗癌療法開始のいずれか早い時点まで追跡調査を行う。
【0491】
2.2.3.1 肝化学的停止基準
肝化学的停止基準及び監視強化基準は、被験者の安全性を確保し、肝臓イベントの病因を評価するために設計されている(食品医薬品局(FDA)の市販前臨床肝安全性ガイダンスに沿ったもの)。
【0492】
表8の基準のいずれかに該当する場合、すべての試験薬を中止しなければならない。
【0493】
【表8】
【0494】
2.2.3.2 臨床的悪化に対する中止規定
免疫療法剤の抗腫瘍効果を十分に評価するためには、RECIST1.1ガイドラインで定義された明らかな進行が認められる被験者には、irRECISTガイドラインで示された少なくとも4週間後の次の画像評価で進行が確認されるまで治療を継続できることが合理的である。しかしながら、これらの考慮は、被験者が臨床的に悪化しており、試験治療を継続しても利益を得る見込みがないという臨床的判断と釣り合うものでなければならない。
【0495】
治験責任医師の見解として、病勢進行に起因し、試験治療を継続しても回復する見込みがない、又は支持療法(例えば、ビスフォスフォネート及び/又は骨指向性放射線療法、胸腔穿刺、浸出液貯留に対する穿刺)で管理される臨床事象の後に増悪が起こったと評価された場合、試験治療を中止すべきである。治験責任医師の見解として、臨床的利益の欠如を示す可能性のある事象の例としては、限定するものではないが、以下のものが挙げられる。
・ECOG PSのベースラインから少なくとも2ポイントの悪化
・以下により定義された骨関連事象:癌関与領域の病理学的骨折、骨に対する癌関連手術及び/又は脊髄若しくは神経根の圧迫。
・新たなCNS転移の発生
・新規抗悪性腫瘍療法の開始が、そのような臨床的事象の記録がない場合でも、被験者にとって有益であると判断されたあらゆる状況。
【0496】
2.2.4 被験者及び試験の完了
ビントラフスプアルファ及び試験の用量漸増段階については、被験者がスクリーニング評価を完了し、少なくとも2回の試験治療を受けるか、又は1回受けたがDLTを経験し、28日間のDLT観察期間に観察を受け、治療中止のための来院及び安全性に関する追跡調査の来院を完了するか、又は試験治療を受けているか、若しくは試験治療後の安全性に関する追跡調査期間に死亡した場合、試験完了と見なされる。
【0497】
2.3 試験治療
2.3.1 治験薬とその他の試験治療
ビントラフスプアルファ(表9参照)は、治験責任医師又は治験分担医師の医学的管理のもと、H2L5 hIgG4PE注入終了後少なくとも30分、1時間以内に開始して被験者に静脈内投与する。
【0498】
すべての被験者は、最初の2回の試験治療投与の来院時には、最後に投与された試験薬の注入後少なくとも1.5時間、試験施設に観察下で止まる必要がある。その後の治験薬投与の来院では、注入関連反応を受けた被験者については、注入後の観察時間を少なくとも1.5時間とすべきであり、注入関連を受けなかった被験者の場合、これらの被験者は、少なくとも30分間、又は治験責任医師の判断若しくは施設のガイドラインに従って、治験薬の注入後に試験施設に観察下で留まるべきである。
【0499】
治験責任医師又は治験分担医師が投与する薬剤については、投与時に治験薬投与者以外の治験施設スタッフが治験薬の用量と被験者が本人であるかを確認する。試験薬投与の具体的な時間(例えば、初回投与の曜日、各投与日の時間)は、PKサンプリン時点、試験来院手順、及び注入後観察の時間間隔を考慮すべきである。管理上の理由(例えば、休日に注入を予定する)に限り、治療予定日の前後72時間まで注入を行うことができる。
【0500】
【表9】
【0501】
2.3.2 治療の割り付け
本試験に登録された被験者は、オープンラベル方式で、登録受付中の併用治療コホートに従って、併用治療に割り付けられる。他の拡大コホートでは、H2L5 hIgG4PEの複数の用量水準を調査する場合があり、実施される場合、このコホートの被験者は選択された用量水準に無作為に割り付けられる。
【0502】
2.3.3 盲検化
本試験は非盲検試験である。
【0503】
2.3.4 併用薬及び非薬物療法
被験者は、試験治療の初回投与から試験治療の中止まで、新規の薬剤を開始する前に治験担当医に報告するよう指示される。試験中に服用された非処方薬及び漢方薬を含む、許可された併用薬はeCRFに記録される。報告の最低要件は、薬物名、用量、投与日、投薬の理由である。
【0504】
2.3.4.1 許可される投薬及び非薬物療法
選択的な緩和手術又は放射線照射は、GSKメディカルモニターと相談の上、場合によって許容されることがある。
【0505】
示されているように、以下の薬物療法が許容される。
a.ビスフォスフォネート及び核因子κBリガンド(RANKL)阻害剤(例えば、デノスマブ)の受容体活性剤であり、被験者はH2L5 hIgG4PEの初回投与を受ける前に少なくとも4週間安定用量にあったことが必要である。骨転移の証拠又は既往のない被験者への予防的使用は、骨粗鬆症の治療を除いて認められない。
b.成長因子:成長因子の誘導は、毒性管理のための臨床適応及び治験責任医師及びGSKメディカルモニターの同意がなければ、試験治療の最初の4週間は許容されない。
c.ステロイド:ステロイドを要する既往症のある被験者は、H2L5 hIgG4PEの初回投与前少なくとも28日間安定用量にあった場合に、最大10mgのプレドニゾン相当の服用を継続することができ、さらなる要件については2.2.2節の除外基準9を参照のこと。化学療法の前投薬に使用されるステロイドは許容される。
【0506】
2.3.4.2. 禁止されている薬物及び非薬物療法
以下の薬剤は、試験治療の初回投与前(具体的な時間的要件については2.2.2節を参照のこと)及び本試験の治療中は禁止されている。
a.限定するものではないが、化学療法、免疫療法、生物療法、ホルモン療法(生理的補充以外)、手術及び放射線療法(2.3.4.1節に記載の緩和的介入以外)を含む抗癌療法(本試験で使用されるもの以外)。
b.本試験で言及されているもの以外の治験薬。
c.インフルエンザ鼻腔内ワクチンなどの生ワクチン。
【0507】
2.4 試験評価及び手順
本節では、予定された各試験評価の手順及びパラメーターを列挙する。各評価の正確な時機は、図4及び図5の時間及び事象表に挙げられている。
【0508】
以下の点に注意する必要がある。
・評価が同じ公称時刻に予定されている場合、評価は以下の順序で行うべきである。
1.12誘導心電図
2.バイタルサイン
3.採血(例えば、PK採血)。注:評価の時機は、正確な公称時刻に採血が行われるようにすること。
・安全性評価、薬物動態評価、薬力学/バイオマーカー評価又はその他の評価を含む、予定されている試験評価の時機及び回数は、適切なモニタリングを確保するために、新たなデータに基づいて試験期間中に変更可能である(例えば、血漿濃度のピーク時に近いデータを取得するため)。
・試験治療の最初の4回の投与では、500mLを超えない血液を採取する。
【0509】
2.4.1 スクリーニング及び重要なベースライン評価
以下の人口統計学的パラメーターを収集する:生年、性別、人種及び民族。
【0510】
2.2.1節及び2.2.2節に列挙されている登録/除外基準に関連する、心血管病歴/リスク因子を含む病歴が評価される。
【0511】
病歴及び病状の一部として、内科的、外科的及び放射線治療を含む治療歴、初診日、初診時の病期、組織型、腫瘍遺伝子/ゲノム特性、腫瘍ウイルスの状態及び現在の疾患部位を含む疾患特性を採取し、ベースライン病変評価に必要なスクリーニング検査前に行われた画像検査のスキャンが要求される場合がある。既往全身療法に対する最良の反応を含む、既往抗癌療法(例えば、全身療法及び放射線療法)に関する詳細は、少なくとも2つの既往療法系統に関して記録する(可能な場合)。
【0512】
HNSCC PD L1 CPS<1コホートへの登録のためのPD-1/L1治療歴のないHNSCCを有する被験者のスクリーニングに限り、現地検査機関の検査によるPD-L1 IHC 22C3 pharmDxアッセイを用いたPD-L1タンパク質の発現、利用できない場合は、中央検査機関での検査。評価可能なCPSスコアが適格性に要される。CPSの適格性要件については2.2.1節を参照。
【0513】
H2L5 hIgG4PE初回投与前30日以内に必要なベースライン病変の評価には以下が含まれる。
・胸部、腹部、及び骨盤の造影剤を使用したコンピューター断層撮影(CT)スキャン
・頭頸部癌の被験者には、頭頸部領域CT/磁気共鳴画像法(MRI)が要される
・触知/視認可能な病変に対する臨床的な疾患評価
・スクリーニング前に存在する被験者の基礎疾患によって示されるその他の部位
【0514】
注:CTスキャンが望ましいが、特に造影剤に対するアレルギーのためにCTスキャンが禁忌である被験者には、ベースラインの疾患評価の代替方法としてMRIを使用してもよい。ただし、直接比較が容易なようにベースラインの状態を記録するために使用した方法が試験治療中に一貫して使用されていること。フルオロデオキシグルコース陽電子放射断層撮影法(FDG-PET)/CTの使用については、RECISTバージョン1.1ガイドラインを参照(Eisenhauer et al. Eur J Cancer. 2009; 45:228-247)。
【0515】
対象病変及び非対象病変のベースライン記録については、2.4.2節を参照のこと。
【0516】
ベースライン時に必要な安全性及び検査室評価には以下のものが含まれる。
・身体検査
・パフォーマンスステータス
・バイタルサイン
・併用薬
・スクリーニングから試験後の追跡調査まで記録
・少なくとも、薬剤名、投与経路、用量及び投与頻度を開始日及び中止日とともに記録する
・心電図
・心エコー図又はMUGA
・検査室評価
【0517】
スクリーニング時及び治験治療開始前に必要な評価のさらなる詳細については、図4及び図5の「時機及び事象の表」を参照のこと。
【0518】
2.4.2 抗癌活性の評価
RECISTバージョン1.1ガイドラインは、スクリーニング時の全腫瘍負荷の決定のため、標的病変と非標的病変の選択のため、及び試験期間中の疾患評価において使用される(Eisenhauer, 2009)。
【0519】
RECISTバージョン1.1ガイドラインに示されるように、
・短軸が10mm未満のリンパ節は非病的リンパ節と見なし、記録も追跡も行う必要はない。
・短軸が15mm未満、10mm以上の病的リンパ節は非測定可能と見なす。
・短軸が15mm以上の病的リンパ節は測定可能と見なし,標的病変として選択することができるが、他の適切な標的病変が利用可能であれば、リンパ節は標的病変として選択すべきではない。
・すべての関与臓器を代表して1臓器につき最大2個、合計5個までの測定可能な病変が標的病変として同定し、ベースライン時に記録及び測定するべきである。これらの病変は、その大きさ(最長直径を有する病変)と正確な反復測定(画像技術によるか、臨床的に)に適するかどうかに基づいて選択されるべきである。
注:嚢胞性転移に相当する嚢胞病変は、他の適切な標的病変が利用可能である場合には、標的病変として選択しないこと。
注:過去に放射線照射を受け、照射後の進行が確認されていない測定可能病変は、標的病変とみなさないこと。
・CT又はMRIで評価可能な溶解性骨病変又は軟部組織成分が確認できる溶解性-再生性混合病変は,測定可能と見なすことができる。骨スキャン、FDG-PETスキャン、又はX線は、骨病変を測定するための適切な画像診断技術とは見なされない。
・その他の病変(又は疾患部位)はすべて非標的として識別し、ベースライン時に記録しなければならない。非標的病変は臓器ごとに分類される。これらの病変の測定は必須ではないが、それぞれの病変の有無は追跡期間中に記録しなければならない。
【0520】
疾患評価法には、画像診断(例えば、CTスキャン、MRI、骨スキャン)及び身体検査(触知可能な/表在性の病変の場合、示された通り)が含まれる場合がある。
【0521】
2.4.1節に示すように、ベースライン疾患評価はH2L5 hIgG4PE初回投与前30日以内に完了しなければならない。治療中の疾患評価は、54週目まで9週間ごとに実施する。54週目以降は12週ごとに、その後は試験治療中止時に病勢評価を行う。ベースライン後の各評価では、ベースライン時のスキャンで確認された疾患部位(すべての標的病変及び非標的病変)の評価を要する。ベースライン後の各評価では、胸部、腹部及び骨盤の造影剤を用いたCTスキャン、又は禁忌の場合はMRI検査を要する。ベースライン時とそれ以降の評価の比較可能性を確保するため、奏効を評価する際には同じ評価法及び同じ技術を使用する。
【0522】
ベースライン後の評価については、予定を柔軟に変更できるように±7日の時間枠を設ける。最後のX線評価が、被験者の治験治療中止の9週間以上前、又は54週目以降であれば12週までに行われた場合、病勢評価を受けかければならない。
【0523】
RECISTバージョン1.1ガイドラインによる病勢進行が認められた被験者は、irRECISTガイドラインにより病勢進行を確認するために、病勢進行が宣言された日から少なくとも4週間後に確認病勢評価を受ける必要がある。
【0524】
疾患が奏効(CR又はPR)した被験者は、奏効が示された評価日から少なくとも4週間後に確認病勢評価を実施する必要がある。治験責任医師の判断により、より高頻度で病勢評価を実施することができる。CRが確認され、早期試験治療中止の条件(2.2.3節参照)を満たした被験者には、進行するまで12週間ごとに一定の頻度で病勢評価を実施する。病勢が進行し、治験責任医師とGSKメディカルモニターが協議した後の試験治療を再開する場合は、進行が示唆された画像スキャンをベースラインスキャンとして用いる。
【0525】
来院レベルの奏効及び治療に基づく決定には、2.6節に記載されているようなirRECISTガイドラインを組み込む。
【0526】
2.4.3 身体検査
完全な身体検査には、最低限、循環器系、呼吸器系、消化器系及び神経系の評価が含まれる。身長(スクリーニングのみ)及び体重も測定し、記録する。
【0527】
簡易身体検査には、最低限、皮膚、肺、心血管系及び腹部(肝臓及び脾臓)の評価が含まれる。ビントラフスプアルファ併用コホートでは、全皮膚表面及び粘膜(眼、鼻、口腔咽頭、性器、肛門周囲)を特に評価する完全な皮膚検査が要される。
【0528】
治験責任医師は、過去の重篤な疾患に関連する臨床徴候に特別な注意を払う必要がある。
【0529】
2.4.4 パフォーマンスステータス
パフォーマンスステータスは、2.7節に記載されているようにECOGスケールを用いて評価する。
【0530】
2.4.5 バイタルサイン
バイタルサインは、5分間の安静後に半腹臥位で測定し、体温、収縮期・拡張期血圧、及び脈拍数を含む。最初の測定値が異常であった場合、血圧及び/又は脈拍を3回測定し、最初の測定値を除外し、2回目と3回目の平均を測定値とし、eCRFに記録しなければならない。
【0531】
バイタルサインは、被験者の臨床状態によって必要とされる場合には、より高頻度で測定する。
【0532】
バイタルサインを複数回測定した日は、臨床的な指示がない限り、体温を繰り返し測定する必要はない。
【0533】
被験者が発熱した場合、発熱管理ガイドラインに従って管理する。
【0534】
2.4.6 心電図
12誘導心電図は、心拍数を自動的に計算し、PR、QRS、QT及びQTcF間隔を測定するECG機を用いて取得し、QTcFの手動計算も許容する。
【0535】
2.4.7 心エコー図検査
心エコー図は、試験参加資格を得る目的で、心駆出率及び心臓弁の形態を評価するためにベースライン時に実施する。臨床的に必要とされる場合には、追加の心エコー検査が実施されることがある。心エコーの評価には、左室駆出率(LVEF)及び右側と左側の両方の弁膜症病変の評価を含める必要がある。LVEFの評価では、ECHOの代わりに(使用できない場合)MUGAを使用することができ、その後の評価では、同じ方法を使用すべきである。
【0536】
2.4.8 バイオマーカー/薬力学的マーカー
2.4.8.1 血液バイオマーカー
血液サンプルを採取し、H2L5 hIgG4PEのICOS受容体との結合を評価するためにフローサイトメトリーにより分析する。
【0537】
T細胞、B細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞の数、並びにT細胞のサブセット、T細胞の活性化及び増殖の状態を、同じ血液サンプルでフローサイトメトリーにより同時に評価する。血液サンプルはPBMC及び血漿の分離のために採取する。血漿及び血清サンプルは、T細胞の活性化に関連する循環可溶性因子の分析に使用され、アッセイの利用可能性にもよるが、可溶性ICOS又は可溶性ICOS-薬物複合体の分析に利用される場合もある。分析される循環因子としては、限定するものではないが、IFNγ、TNFα、IL-2、IL-4、IL-6、IL-10、IL-8、IL-13、IL-12p70、IL-21、及びケモカイン、並びに腫瘍抗原、自己抗原又はウイルス抗原に対する抗体の存在が挙げられる。血漿サンプルで、免疫活性化の新規マーカー又はH2L5 hIgG4PEの単剤処置又は併用処置に対する応答について、無細胞DNA(cfDNA)又はエクソソーム(リボ核酸[RNA])の分析も行うことができる。
【0538】
全血から単離したPBMCは、限定するものではないが、骨髄由来抑制細胞を含み得る免疫調節集団などのさらなる細胞のフローサイトメトリー、その後の機能分析、T細胞レパートリーの評価、それらの臨床奏効との関係及びH2L5 hIgG4PEによる治療に対する奏効の変化のために保存及び保管する。PBMCの機能状態は、限定するものではないが、IFNγ、IL-2、IL-10、TNFα、グランザイムB、PD-1、TIM3及びCD107aを含み得るサイトカインの発現に関して分析してもよい。PBMCはまた、免疫関連シグネチャーの治療関連変化を決定するために、ゲノム(デオキシリボ核酸[DNA])及び遺伝子発現(RNA又はタンパク質)の変化に関して評価してもよい。
【0539】
2.4.8.2 腫瘍組織
保存腫瘍組織、並びに治療前及び治療中の新鮮な生検を採取する。薬力学/PKコホートでは新鮮な生検サンプルが必要とされる。HNSCC PD1/L1治療を受けたことのないPD-L1 CPS<1及びHNSCC Q6W拡張コホートでは、スクリーニング時のベースライン腫瘍組織(保存物又は生検)及び6週目の治療中新鮮生検が必要とされる。
【0540】
スクリーニング(保存物又は新鮮物)及び治療中6週目の生検サンプルが必要とされ、ビントラフスプアルファの併用試験のPK/薬力学的コホートに登録された被験者では必須である。
【0541】
さらに、以下に指定するコホートでは、以下のスクリーニング検査を評価する。
・HNSCC PD-L1 CPS<1コホートへの塘路の場合にのみPD-L1 IHC 22C3 pharmDxアッセイ。
・ビントラフスプアルファ併用試験の拡大コホートへの登録の場合には、Ventana PD-L1(SP263)IHCアッセイ。
【0542】
また、スクリーニング時及び治療中に採取した腫瘍組織は、抗腫瘍応答を理解するために、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)及びその他の免疫細胞上の表現型及び機能的免疫細胞マーカー、並びに腫瘍細胞上の免疫シグナル伝達マーカーの発現について、IHC、多重免疫蛍光技術又はその他の潜在的方法によって評価する(限定するものではないが、PDL-1、ICOS、TIM-3、NY-ESO、TGF-βを含む)。さらに、可能であれば、進行時に得られた腫瘍組織についても同様の分析を行う。さらに、腫瘍組織は、T細胞受容体の多様性(TCRの多様性)を評価するために配列決定し、また、応答と相関するDNA/RNA/タンパク質の変化についても評価することができる。
【0543】
2.5 統計的考察及びデータ解析
2.5.1 用量漸増
H2L5 hIgG4PEをビントラフスプアルファの併用で投与した場合の安全性及び忍容性を、適応mTPIアプローチ(図3に示す)を用いて評価する。mTPIデザインは、毒性確率区間法を拡張したものであり、単純なベータ二項階層モデルを採用している(Ji et al. Clin Trials. 2010; 7:653-663)。決定規則は、毒性の観点から、過小投与、適正投与、過剰投与に対応する3つの区間の単位確率質量(UPM)を計算することに基づく。具体的には,過小投与区間を(0,pT-ε1),過剰投与区間を(pT+ε2,1),及び適正投与区間を(pT-ε1,pT+ε2)と定義し,ここで、ε1とε2は真の標的毒性の周囲の不確実性を考慮して0.05といった小さな分数としている。感度解析は、mTPIデザインはε値の指定に対してロバストであることが示された(Ji, 2010)。さらに、ε1とε2は医師の選好性と疾患の性質を反映させるために異なる値を取ることができる。治療選択肢が少ない進行疾患では、高い毒性率を許容できると考え、ε2>ε1の指定を含む。進行度の低い疾患では、2つのε値は同じか、ε1>ε2とすることができる。3つの投与間隔は、3つの異なる用量漸増の決定と関連している。過小投与は用量漸増(E)に相当し、過剰投与は用量漸減(D)に相当し、適正投与は現用量にとどまること(S)に相当する。ある間隔と確率分布が与えられれば、その間隔のUPMは、その間隔の確率を間隔の長さで割ったものと定義される。mTPIデザインは、3つの投与間隔のUPMを計算し、最大のUPMを持つものは、対応する用量設定を意味する。この設定により、以降の被験者に使用する用量水準が決定される。例えば,過小投与区間が最大のUPMを示した場合,漸増を行うという決定Eが実行され,次のコホート被験者は次に高い用量水準で治療される。分析によれば,UPMに基づく決定は,その後の期待される損失を最小化するという点で最適であることが示された(Ji, 2010)。mTPIデザインでは、最低用量がMTDを超えるか、又はあらかじめ指定された最大サンプル数に達した時点で試験は終了する。
【0544】
2.5.2 用量拡大
拡大コホートでは、コホート内の1つの用量/用量水準で最低10名の被験者が登録された後、観察された奏効の数並びにその他の利用可能な日付が無益性解析に使用される。
【0545】
データが許す限り、H2L5 hIgG4PE単独投与の臨床活性は、探索的分析としてベイズ階層モデリングアプローチを用いて評価することもできる。このデザインでは、I型及びII型両方の誤り率の制約のもと、その試験で臨床活性の頻繁なモニターを可能とする(Berry,2013)。
【0546】
2.5.3 サンプルサイズに関して考慮すべき点
H2L5 hIgG4PEとビントラフスプアルファとの併用療法の用量漸増/安全性ランインを完了するために(図2参照)、約241名の被験者が登録されると推定される。H2L5 hIgG4PEの試験用量は、mTPIデザインを指針とする。
【0547】
H2L5 hIgG4PEとビントラフスプアルファとの併用療法(mTPIデザインを指針とする)の用量漸増段階を考慮し、4種類の異なるシナリオで平均サンプルサイズと各用量をMTDとして選択する割合を決定するシミュレーションを行った。用量レベルでの上限を6名(次の用量で既に6名となった場合は試験の動員を中止する)として3名のコホートサイズを使用し、用量漸増時の最大サンプルサイズは12名、さらなる検討のためにRP2D時では15名とした。事後確率が目標毒性確率を95%上回る場合には,早期終了の安全規則を採用した。FACTSバージョン6.1ソフトウエアで動作特性を導き出すために、1000のシミュレーション試験が使用された。4つのシナリオの下でのシミュレーション臨床試験の平均サンプルサイズは、それぞれ9.1、9.3、8.9及び8.0であり、それぞれの組合せで被験者は合計約25人であった。
【0548】
シナリオの詳細を表10に示す。表中の用量の組合せは、本試験で使用されると予測される用量の組合せを予め選択したものである。
【0549】
【表10】
【0550】
拡大段階では、1又は2以上のコホートのサンプルサイズは、1コホート当たり約30 名を目標とすることができる。サンプルサイズが増加する条件は、腫瘍の種類に応じて決定された帰無仮説/代替仮説の中間解析からの結果に依存する。
【0551】
各腫瘍適応拡大コホートについて、最小限の被験者で任意の用量水準における有効性データが得られた後に中間解析が実施され(2.5.5節参照);各疾患コホート及び用量について個別の決定が行われる。本試験は、異なる用量及び対象集団における奏効率の分布についてより良い推定を行うため、計画された最大サンプルサイズまで登録を継続する場合がある。
【0552】
本試験は、有効性のために早期に中止するのではなく、成功の予測確率が10%以下である場合に無益性を評価するように設計される。無益性を評価するためのI型誤り率、検出力、及び予測確率は、最小と最大のサンプルサイズ、無益性停止率、及び最適化基準を帰無仮説下でのサンプルサイズを最小化するとして記述することから決定された。平均奏効率が目標奏効率と等しい、非常に弱い情報量の事前分布を仮定する。よって、奏効率の予測確率は主にデータによって駆動される。すべてのコホートに対する詳細な決定基準は、2.5.5節に記載されている。
【0553】
PD-1/L1併用療法を受けた拡大コホートでは、各コホート10名で開始し、各コホートで最大30名のサンプルサイズとすると、このデザインでは全体のタイプI誤り率(α)5%となる。全奏効率(ORR)10%の帰無仮説の下では、このデザインの予想サンプルサイズは各コホート当たり15名であり、早期終了(PET)の確率は、評価対象10名で35%、評価対象20名で80%である。対立仮説では、真の奏効率が30%の場合、成功確率は83%であり、デザインの予想サンプルサイズは合計28名で、PETは10名で3%、20名で13%である。
【0554】
HNSCC、PD-L1<50%のNSCLC、膀胱/尿路上皮がん、子宮頸癌、及びウイルス陽性癌を含むPD-1/L1ナイーブ併用拡大コホートでは、各コホート10名で開始し、各コホートの最大サンプルサイズを30名とすると、このデザインでは全体のI型誤り率(α)9.8%となる。ORRが20%という帰無仮説の下では、このデザインの予想サンプルサイズはコホート当たり16名であり、早期終了の確率(PET)は、評価対象10名で38%、評価対象20名で72%である。対立仮説の下では、真の奏効率が40%の場合、成功確率は83%であり、デザインの予想サンプルサイズは合計28名であり、PETは評価対象10名で5%、評価対象20名で12%である。
【0555】
バイオマーカー陽性コホートでは、12名の被験者で開始し、最大40名のサンプルサイズとすると、全体のI型誤り率(α)が4%となる。ORRが10%という帰無仮説の下では、デザインの予想サンプルサイズは26名であり、PETは評価対象12名で28%、評価対象30名で55%となる。対立仮説の下では、真の奏効率が25%の場合、検出力は80%であり、デザインの予想サンプルサイズは合計39名、PETは評価対象12名で3%、評価対象30名で5%である。バイオマーカー陰性群も同様に、最大40名のサンプルサイズを許容し、バイオマーカー陽性群に準じて登録/無益性を追跡する。
【0556】
PD-L1≧50%のNSCLC及びMSI-H/dMMR癌を含むPD-1/L1ナイーブ併用拡大コホートでは、各コホート10名で開始し、各コホートで最大30名のサンプルサイズとすると、このデザインでは全体のI型誤り率(α)は7.9%となる。ORRが30%という帰無仮説の下では、このデザインの予想サンプルサイズは各コホート当たり19名であり、早期終了の確率(PET)は評価対象10名で15%、評価対象20名で55%である。対立仮説の下では、真の奏効率が50%の場合、成功確率は80%であり、デザインの予想サンプルサイズは合計29名、PETは評価対象10名で1.0%、評価対象20名で6.2%である。
【0557】
2.5.4 データ解析-xAnalysis集団
全治療集団は、H2L5 hIgG4PEを少なくとも1回投与したすべての被験者と定義される。安全性及び抗癌活性は、この解析集団に基づいて評価される。
【0558】
薬物動態集団は、全治療集団のうち、PKサンプルを取得し解析したすべての被験者と定義される。
【0559】
薬力学集団は、全治療対象集団のうち、治療前及び治療中の対になる評価可能な腫瘍生検、又は治療前及び治療中の血液検体を取得し、バイオマーカーを解析した被験者と定義される。
【0560】
2.5.5 中間解析
本試験の用量漸増段階で得られたデータを用いた正式な中間解析は実施しない。各用量水準が完了した後、利用可能な安全性データ及びPK/薬力学的データを再検証する。この再検証は、2.5.1節に記載された規則を用いて、用量水準への増量を決定する裏付けとなる。用量拡大コホートでは、最初の中間解析の後、少なくとも1つの用量拡大コホートにおいて、利用可能な未確認の全奏効データのある最低10名の被験者にもとづいて、有効性及び安全性の継続的な評価を実施する。
【0561】
2.5.6 薬物動態解析
ビントラフスプアルファ(M7824)の濃度測定には、バリーデートされた分析法を使用する。データが許容すれば、以下の薬物動態パラメーターを、ノンコンパートメント法を用いて決定し、限定されるものではないが、以下のものが挙げられる。
・最大観測血漿中濃度(Cmax)
・Cmaxまでの時間(tmax)
・Cmin
・血漿濃度-時間曲線下面積(AUC(0-t)、AUC(0-∞)、及びAUC(0-τ))
・見かけの終末相消失速度定数(λz)(単回投与)
・見かけの終末相半減期(t1/2)
・親薬物の全身クリアランス(CL)
【0562】
2.6 疾患、病勢進行及び奏効基準の評価に関するガイドライン-RECISTバージョン1.1から適合
2.6.1 評価のガイドライン
病変の評価には、該当する場合は造影剤の使用を含め、試験中同じ診断法を使用しなければならない。造影剤は画像取得ガイドラインに従って使用しなければならない。
【0563】
すべての測定は、定規又はノギスを用いてミリメートル(mm)単位で行い、記録しなければならない。
【0564】
超音波検査は、病勢評価には適さない。超音波検査で新たな病変が確認された場合、CT又はMRIによる確認が必要である。
【0565】
フルオロデオキシグルコース(FDG)-PETは、一般に疾患の継続的な評価には適さない。しかしながら、FDG-PETは、陽性FDG-PETスキャンがCT/MRIに存在する新しい病変部位と相関する場合、又はベースラインのFDG-PETが新しい病変部位に対して以前に陰性であった場合に、新しい病変部位を確認するのに有用であることがある。FDG-PETはまた、被覆率がすべての可能性のある骨部位の調査を可能とし、且つ、FDG-PETがすべての評価で実施される限り、標準的な骨スキャンの代わりに使用することができる。
【0566】
PET/CTを実施した場合、CTコンポーネントは、必要な解剖学的範囲及び所定の造影剤の使用を含む診断学的品質で実施した場合のみ、標準的な奏効評価に使用することができる。評価方法はeCRFにCTと記載しなければならない。
【0567】
臨床検査
臨床的に検出された病変は、表在性のもの(例えば、皮膚結節)のみ測定可能であると見なされる。皮膚病変の場合、病変の大きさを測る定規/ノギスを含むカラー写真による記録が必要である。
【0568】
CT及びMRI
5mm連続切片の造影CTが推奨される。測定可能なベースライン病変の最小サイズは切片厚の2倍でなければならず、切片厚が5mmの場合、最小病変サイズは10mmである。MRIも使用可能であるが、使用する場合は、疾患の種類と部位を評価するために走査シーケンスの技術仕様を最適化し、同じ画像診断を用いて同じ解剖学的平面で病変を計測しなければならない。可能な限り、同じスキャナーを使用するべきである。
【0569】
X線
一般に、X線は病変の定義が困難であるため、標的病変の測定に使用すべきではない。胸部X線検査では、病変が明確に定義され、含気肺に囲まれていれば測定可能であると考えられるが、も胸部CTの方が胸部X線よりも望ましい。
【0570】
脳スキャン
脳スキャンが必要な場合は、造影MRIの方が造影CTよりも望ましい。
【0571】
2.6.2 疾病の評価に関するガイドライン
測定可能と非測定可能の定義は以下の通りである。
【0572】
測定可能な病変
少なくとも1つの寸法(最長寸法)が正確に測定できる非結節性病変。
・スライス厚が5mm以下の場合、MRI又はCTで10mm以上。スライス厚が5mmを超える場合、測定可能な病変の最小サイズはスライス厚の少なくとも2倍でなければならない(例えば、スライス厚が10mmの場合、測定可能な病変は20mm以上でなければならない)。
・臨床検査又は医療用写真によるノギス/定規測定が10mm以上
・胸部X線で20mm以上
・さらに、CT又はMRI(スライス厚は5mm以下であることを推奨)で評価した場合、短軸が15mm以上であれば、そのリンパ節は病理学的に腫大しており測定可能であると見なすことができる。ベースライン時及び追跡時には、短軸のみを測定する。
【0573】
測定不能病変
測定可能と見なすには小さすぎる病変(最長径10mm未満、又は短軸が10mm以上15mm未満の病的リンパ節)、並びに本当に測定不可能な病変(身体検査により確認される腹部腫瘤/腹部臓器腫大で再現性画像技術で測定不可能なレプト髄膜疾患、腹水、胸水又は心嚢水、炎症性乳疾患、皮膚又は肺のリンパ節転移を含む)を含むその他のすべての病変。
【0574】
測定可能な疾患
少なくとも1つの測定可能な病変の存在。放射線又は写真による評価で測定不可能な触知可能な病変は、唯一の測定可能な病変として利用することはできない。
【0575】
非測定可能な唯一の病変
非測定可能な病変のみの存在。注:非測定可能病変のみの疾患は、プロトコールで許容されない。
【0576】
2.6.3 免疫関連RECIST奏効基準
標的病変の評価を表11にまとめる。
【0577】
【表11】
【0578】
2.6.3.1 測定可能な総腫瘍量に基づく腫瘍応答
RECIST v1.1に基づく改変RECIST及び免疫関連RECIST[Wolchok et al. Clin Cancer Res 2009;15(23): 7412-20; Nishino et al. Clin Cancer Res. 2013; 19:3936-3943]では、初期標的(「指標」)及び測定可能な新規病変が考慮される。ベースラインの腫瘍評価では,すべての標的病変(合計最大5病変,すべての関与臓器を代表する臓器当たり最大2病変)の測定面における直径の合計を算出する。
【0579】
注:直径の合計に病的リンパ節が含まれる場合は、そのリンパ節の短軸を合計に加える。短軸とは、リンパ節又は結節塊の最長径に直交する最長径である。その後の各腫瘍評価で、ベースラインの標的病変の直径の合計と、測定可能な新規結節及び非結節病変(10mm以上)の直径の合計を、1臓器につき最大2つの新規病変まで合計して、総腫瘍量とする。
腫瘍量=標的病変の直径の合計+測定可能な新規病変の直径の合計
【0580】
2.6.3.2 免疫関連RECIST基準を用いた各時点の奏効評価
評価時点ごとの腫瘍量の変化率は、従来の病変と、出現した場合、新規の測定可能な病変の両方の大きさと増殖速度を表す。各腫瘍評価において、指標病変と測定可能な新規病変における奏効は、腫瘍量の変化に基づいて定義される(irPDを除外した後)。腫瘍量の減少は、ベースライン測定値(すなわち、スクリーニング時のすべての標的病変の直径の合計)に対する相対的な評価でなければならない。
【0581】
2.6.3.3 非標的病変の評価
非標的病変の奏効評価に関する定義は以下の通りである。
・完全奏効(CR)。すべての非標的病変の消失。ベースライン時に病変部位として同定されたすべてのリンパ節が非病的であること(例えば、短軸10mm未満)。
・非CR/非PD:1以上の非標的病変又はベースライン時に病変部位と同定されたリンパ節が短軸10mm以上の持続。
・進行(PD):既存の非標的病変の明らかな進行。
・非適用(NA)。ベースライン時に非標的病変がない。
・評価不能(NE):前述の4つの定義のいずれかに分類できない。
【0582】
注:測定可能な疾患が存在する場合、非標的疾患のみに基づく進行は、標的疾患にSD又はPRが存在しても、全体的な腫瘍量が治療中止に値するほど十分に増加しているというような実質的悪化を必要とする。さらに、評価スケジュールに基づく時点で評価されない非標的病変の部位は、奏効判定から除外されるべきである(例えば、非標的奏効は「評価不能」である必要はない)。
【0583】
2.6.3.4 新規病変
疾患の進行を示す新規悪性腫瘍は、明確でなければならない。ベースライン時にスキャンしていない解剖学的部位に追跡調査中に確認された病変は新規病変と見なす。
【0584】
不明確な新規病変には追跡調査を継続しなければならない。治験責任医師の判断により、次回予定されている評価まで治療を継続することができる。次回の評価で、新規病変が明確と判断された場合、進行が宣言されることになる。
【0585】
2.6.3.5 全奏効の評価
表12は、ベースライン時に測定可能な疾患を有する被験者について、新規病変の出現を伴う又は伴わない標的病変と非標的病変において、あらゆる可能な組合せの奏効を考慮した個々の病勢評価時点における全奏効を示したものである。
【0586】
【表12】
【0587】
2.6.3.6 最良全奏効の評価
最良全奏効は、治療開始から病勢進行/再発までに記録された最良の奏効であり、各時点における治験責任医師の奏効評価に基づきGSKがプログラムにより決定する。
【0588】
SDのステータスを割り付けるには、追跡疾病評価が、RAPに定義された最低日数の間隔で、初回投与後に少なくとも1回SD基準を満たしていなければならない。
【0589】
SDの最短時間を満たさない場合、最良の奏効はその後の評価によって決まる。例えば、SDの評価後にPDの評価を行い、SDが最小時間の要件を満たさない場合、最良の奏効はPDとなる。あるいは、SDの評価後、最小時間の基準を満たさずに追跡調査を逸した被験者は、評価不能と見なされる。
【0590】
2.6.3.7 確認基準
PR又はCRと判定するためには、奏効の基準を最初に満たした後、4週間(28日)以内に確定病勢評価を行わなければならない。
【0591】
2.7 ECOGパフォーマンスステータス
概要を表13に示す。
【0592】
【表13】
【0593】
2.8 臨床上重要な事象
これらは、臨床上重要と考えられる選択された事象であり、それらは非重篤な有害事象又はSAEである。臨床上重要な事象は、特に注意すべき有害事象(AESI:Adverse Events of Special Interest)とは異なり、AESIは、免疫学的病因が疑われる有害事象と定義される。最近報告された他の免疫調節療法による治療後のこのような有害事象には、大腸炎、ブドウ膜炎、肝炎、肺炎、下痢、内分泌障害及び特異的皮膚毒性、並びにその他の免疫が介在する可能性がある事象が含まれる。
【0594】
試験治療の初回用量の投与で始まり試験治療中止後30日までの間、治験薬との関連性の有無を問わず、あらゆるECI、又はECIの追跡調査を治験依頼者に報告しなければならない。ECIには以下が含まれる。
1.臨床症状又は臨床検査結果異常を伴わない治験薬の過大投与は、5日以内に報告すること。
2.アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)又はアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)の検査値が正常上限の3倍以上、及び総ビリルビン検査値が正常上限の2倍以上であると同時に、プロトコール指定の検査室試験又は予定外の検査室試験によって決定された場合に、アルカリホスファターゼ検査値が正常上限の2倍未満であること。このECIは24時間以内に報告しなければならない。これらの基準は、入手可能な規制ガイダンス文書に基づくものである。この基準の目的は、基礎病因のために追加評価を必要とする可能性のある肝臓検査異常の閾値を規定することである。
3.曝露歴並びに臨床兆候及び症状に基づいて疑われる場合であれ、曝露歴並びに臨床兆候及び症状との関連で臨床検査により確認された場合であれCOVID-19コロナウイルスに感染していること。報告は、WHO及びGSKのガイドラインに従う。
【0595】
2.9 遺伝子研究
2.9.1 遺伝学的研究の目的及び解析
遺伝子研究の目的は、遺伝子変異体間の関係を調査することである。
・H2L5 hIgG4PE、本研究で検討される他の免疫療法又は併用薬を含む薬物に対する応答。
・癌に対する感受性、重症度、進行度及び関連する状態。
【0596】
遺伝学的データは、試験実施中又は試験終了後に作成することができる。遺伝学的評価には、着目する候補遺伝子アプローチ、及び/又はゲノム全体にわたる多数の遺伝的変異体の検査(全ゲノム解析)を含み得る。遺伝学的解析は、試験で収集されたデータを利用し、上記で着目した目的を理解することに限定される。これらの研究目的を調査するために、複数の臨床試験から得られたデータを用いて解析が行われる場合もある。
【0597】
適切な記述的及び/又は統計的解析方法が用いられる。計画された解析の詳細な説明は、解析の開始に先立ち、報告及び解析計画(RAP)の文書に示される。計画された解析及び遺伝学的調査の結果は、臨床RAP及び試験報告書の一部として、又は該当する場合には、別の遺伝学的RAP及び報告書として報告される。
【0598】
2.9.2 試験集団
この研究に登録された被験者は、遺伝子研究に参加することができる。同種骨髄移植を受けた被験者は、遺伝学的研究から除外しなければならない。
【0599】
2.9.3 試験評価及び手順
遺伝学的研究の成功の鍵となる要素は、臨床試験中のサンプルの収集である。先験的な仮説が特定されていない場合でも、サンプルを収集することで、将来的に遺伝子解析を行い、疾患及び薬物応答の変動を理解するのに役立つ可能性がある。
【0600】
DNA抽出のために6mLの血液サンプルを採取する。血液サンプルは、被験者が無作為化され、遺伝子研究に対するインフォームド・コンセントを提出した後のベースライン訪問時に採取する。遺伝子サンプルの採取と輸送に関する指示は、検査マニュアルに記載されている。血液サンプルから得られたDNAには、サンプルの完全性を確認するために品質管理分析を行うことがある。サンプルの品質に関して懸念がある場合、そのサンプルは破棄されることがある。血液サンプルは、元のサンプルを利用できないために複製サンプルが必要とされる場合を除き、1回採取する。
【0601】
遺伝子サンプルには、研究の他のサンプル及びデータへのラベル付けに使用されるのと同じ研究固有の番号の付いたラベルが付けられる(又は「コード化」される)。この番号により、治験責任医師又は施設スタッフが被験者を追跡又は関連付けることができる。コード化されたサンプルには、個人識別情報(氏名又は社会保障番号など)は付加されない。
【0602】
サンプルは安全に保管され、最後の被験者が研究を完了した後最長15年間保管され得るが、GSKはサンプルをより早く破棄することができる。GSK又はGSKの協力者(例えば、他の研究者)は、このプロトコール及びインフォームド・コンセント・フォームに記載された目的のために限り、本試験から収集されたサンプルを使用できる。
【0603】
2.10 予備的結果
4名の黒色腫患者に24mgのH2L5 hIgG4PE Q3Wと2400mgのビントラフスプアルファ Q3Wを投与した。3か月後、2名は進行性疾患、2名は部分奏効を示した。4名とも28日間の用量制限毒性期間をクリアした。
【0604】
配列表
【表14-1】
【表14-2】
【表14-3】
【表14-4】
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
【配列表】
2023521465000001.app
【国際調査報告】