(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-24
(54)【発明の名称】駆動ユニット
(51)【国際特許分類】
H02N 2/04 20060101AFI20230517BHJP
【FI】
H02N2/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022562825
(86)(22)【出願日】2021-04-15
(85)【翻訳文提出日】2022-12-08
(86)【国際出願番号】 EP2021059801
(87)【国際公開番号】W WO2021209559
(87)【国際公開日】2021-10-21
(32)【優先日】2020-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505060288
【氏名又は名称】ミニスイス・ソシエテ・アノニム
【氏名又は名称原語表記】MINISWYS S.A.
【住所又は居所原語表記】Quai du Bas 31a, Biel / Bienne Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホースリー,ラファエル
(72)【発明者】
【氏名】ローテン,マキシム
【テーマコード(参考)】
5H681
【Fターム(参考)】
5H681AA19
5H681BB02
5H681BB13
5H681DD23
5H681EE07
5H681EE10
(57)【要約】
圧電駆動ユニットは、能動要素(1)に対して受動要素(4)を駆動するように構成され、能動要素(1)は、各々が基準面(28)に平行に延在し、アーム(21、22)の振動運動によって運動可能な接触要素(31、32)で終わる2つのアーム(21、22)を有する共振器(2)を備え、それによって受動要素(4)を駆動する。アーム(21、22)の各々は、アームの外側端に、他方のアームに向かって内向きに延在する突出部を備え、アーム(21、22)のうちの少なくとも一方において、アームの外側端に配置されたそれぞれの接触要素(31、32)は、他方のアームから離れて外向きに延在する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
能動要素(1)に対して受動要素(4)を駆動するための駆動ユニットであって、前記能動要素(1)は、
共振器(2)と、前記共振器(2)内の振動を励起するための少なくとも1つの励起手段(23)と
を備え、
前記共振器(2)は、前記共振器(2)の接続領域(20)から前記接続領域(20)の同じ側に延在する少なくとも2つのアーム(21、22)を備え、
前記共振器(2)および前記アーム(21、22)は、基準面(28)に平行に延在し、
前記アーム(21、22)の各々は、前記アームの外側端に接触要素(31、32)を備え、
前記接触要素(31、32)は、前記アーム(21、22)の振動運動によって運動可能であり、
前記受動要素(4)は、これらの振動運動によって前記能動要素(1)に対して駆動および移動されるように配置され、
前記受動要素(4)は接触エリア(41、42)を備え、各接触エリア(41、42)は、前記接触要素(31、32)のそれぞれ1つと接触するように配置され、
前記アーム(21、22)の各々は、前記アームの前記外側端に、第1の方向に延在する突出部(33、34)を備え、前記第1の方向は、他方のアームに向かう内向き、または前記他方のアームから離れる外向きであり、
前記アーム(21、22)の少なくとも1つにおいて、前記アームの外側端に配置された前記それぞれの接触要素(31、32)は第2の方向に延在し、前記第2の方向は前記第1の方向とは反対である、
ことを特徴とする、駆動ユニット。
【請求項2】
前記アーム(21、22)の両方において、前記アームの外側端に配置された前記それぞれの接触要素(31、32)は前記第2の方向に延在する、請求項1に記載の駆動ユニット。
【請求項3】
前記アーム(21、22)の各々について、前記基準面に垂直な軸の周りの回転に関する前記アームの剛性は、前記それぞれの突出部(33、34)および任意選択的に前記それぞれの接触要素(31、32)をも備える前記アームの端部の内側にある前記アームの箇所で最小値を有する、先行する請求項のいずれか1項に記載の駆動ユニット。
【請求項4】
前記共振器(2)は平坦な材料片から成形され、前記突出部(33、34)および任意選択的に前記接触要素(31、32)を備える前記アームの端部は、ネッキング(35)によって前記アームの残りの部分から分離される、請求項3に記載の駆動ユニット。
【請求項5】
前記第1のアーム(21)は、前記外側端の反対側の部分に、第2のアーム(22)から離れて外向きに延在する第1のさらなる接触要素(38)を備え、
前記第2のアーム(22)は、前記外側端の反対側の部分に、前記第1のアーム(21)から離れて外向きに延在する第2のさらなる接触要素(39)を備える、先行する請求項のいずれか1項に記載の駆動ユニット。
【請求項6】
能動要素(1)に対して受動要素(4)を駆動するための駆動ユニットであって、前記能動要素(1)は、
共振器(2)と、前記共振器(2)内の振動を励起するための少なくとも1つの励起手段(23)と
を備え、
前記共振器(2)は、前記共振器(2)の接続領域(20)から前記接続領域(20)の同じ側に延在する第1のアーム(21、22)の対を備え、
前記共振器(2)および前記アーム(21、22)は、基準面(28)に平行に延在し、
前記アーム(21、22)の各々は、前記アームの外側端に接触要素(31、32)を備え、
前記接触要素(31、32)は、前記アーム(21、22)の振動運動によって運動可能であり、
前記受動要素(4)は、これらの振動運動によって前記能動要素(1)に対して駆動および移動されるように配置され、
前記受動要素(4)は接触エリア(41、42)を備え、各接触エリア(41、42)は、前記接触要素(31、32)のそれぞれ1つと接触するように配置され、
前記共振器(2)は、前記共振器(2)の前記接続領域(20)から前記第1のアーム(21、22)の対とは反対方向に延在する第2のアーム(21a、22a)の対を備える、
ことを特徴とする、駆動ユニット。
【請求項7】
前記第1のアーム(21、22)の対の前記アームの各々は、前記アームの前記外側端に、他方のアームに向かって内向きに延在する突出部(33、34)を備え、
前記第1のアーム(21、22)の対の前記アームのうちの少なくとも一方において、前記アームの外側端に配置された前記それぞれの接触要素(31、32)は、前記他方のアームから離れて外向きに延在する、請求項6に記載の駆動ユニット。
【請求項8】
前記第2のアーム(21a、22a)の対の前記アームの各々は、前記アームの前記外側端に、他方のアームに向かって内向きに延在する突出部(33、34)を備え、
前記第2のアーム(21a、22a)の対の前記アームのうちの少なくとも一方において、前記アームの外側端に配置された前記それぞれの接触要素(31、32)は、前記他方のアームから離れて外向きに延在する、請求項6または7に記載の駆動ユニット。
【請求項9】
前記第2のアーム(21a、22a)の対の前記アームの各々は、前記アームの前記外側端に、他方のアームに向かって内向きに延在する突出部(33、34)を備え、
前記第2のアーム(21a、22a)の対の前記アームのうちの少なくとも一方において、前記アームの外側端に配置された前記それぞれの接触要素(31a、32a)は、内向きに延在する前記それぞれの突出部の一部である、請求項6または7または8に記載の駆動ユニット。
【請求項10】
前記第1のアームの対および第2のアームの対の形状は、互いに実質的に鏡像である、請求項6から9のいずれか1項に記載の駆動ユニット。
【請求項11】
能動要素(1)に対して受動要素(4)を駆動するための駆動ユニットであって、前記能動要素(1)は、
共振器(2)と、前記共振器(2)内の振動を励起するための少なくとも1つの励起手段(23)と
を備え、
前記共振器(2)は、前記共振器(2)の接続領域(20)から前記接続領域(20)の同じ側に延在する少なくとも2つのアーム(21、22)を備え、
前記共振器(2)および前記アーム(21、22)は、基準面(28)に平行に延在し、
前記アーム(21、22)の各々は、前記アームの外側端に接触要素(31、32)を備え、前記接触要素(31、32)は他方のアームから離れて外向きに面し、
前記接触要素(31、32)は、前記アーム(21、22)の振動運動によって運動可能であり、
前記受動要素(4)は、これらの振動運動によって前記能動要素(1)に対して駆動および移動されるように配置され、
前記受動要素(4)は接触エリア(41、42)を備え、各接触エリア(41、42)は、前記接触要素(31、32)のそれぞれ1つと接触するように配置され、
前記共振器(2)は平坦な材料片から成形され、
前記アーム(21、22)の各々と前記接続領域(20)との間に取付けネッキング(36)が存在する、
ことを特徴とする、駆動ユニット。
【請求項12】
前記アーム(21、22)の各々は、前記取付けネッキング(36)から、前記それぞれの接触要素(31、32)を有する前記それぞれの外側端に向かって共振器軸(24)に平行な第1の方向に延在する能動部(21c、22c)と、前記第1の方向とは反対の第2の方向に延在する釣合い錘部(21d、22d)とを備える、請求項11に記載の駆動ユニット。
【請求項13】
前記アーム(21、22)の各々について、前記釣合い錘部(21d、22d)において、および前記釣合い錘部(21d、22d)に接合されている前記能動部(21c、22c)において、前記基準面に垂直な軸の周りの回転に関する前記アームの剛性は、前記取付けネッキング(36)においてよりも小さい、請求項11から12のいずれか1項に記載の駆動ユニット。
【請求項14】
前記アームが前記それぞれの接触要素(31、32)に向かって外向きに曲げられるネッキングまでの前記ネッキングを含まない能動部(21c、22c)において、前記剛性は、前記取付けネッキング(36)においてよりも小さい、請求項13に記載の駆動ユニット。
【請求項15】
前記励起手段(23)は、少なくとも前記取付けネッキング(36)ならびに前記釣合い錘部(21d、22d)の一部および前記能動部(21c、22c)の一部を覆う、請求項11から14のいずれか1項に記載の駆動ユニット。
【請求項16】
前記励起手段(23)は、前記取付けネッキング(36)を形成する前記共振器(2)内の切欠き領域を覆う、請求項15に記載の駆動ユニット。
【請求項17】
能動要素(1)に対して受動要素(4)を駆動するための駆動ユニットであって、前記能動要素(1)は、
共振器(2)と、前記共振器(2)内の振動を励起するための少なくとも1つの励起手段(23)と
を備え、
前記共振器(2)は、前記共振器(2)の接続領域(20)から前記接続領域(20)の同じ側に延在する少なくとも2つのアーム(21、22)を備え、
前記共振器(2)および前記アーム(21、22)は、基準面(28)に平行に延在し、
前記アーム(21、22)の各々は、前記アームの外側端に接触要素(31、32)を備え、
前記接触要素(31、32)は、前記アーム(21、22)の振動運動によって運動可能であり、
前記受動要素(4)は、これらの振動運動によって前記能動要素(1)に対して駆動および移動されるように配置され、
前記受動要素(4)は接触エリア(41、42)を備え、各接触エリア(41、42)は、前記接触要素(31、32)のそれぞれ1つと接触するように配置され、
前記共振器(2)は平坦な材料片から成形され、
前記励起手段(23)によって覆われた領域において、前記共振器(2)は穴または開口(37)を備える、
ことを特徴とする、駆動ユニット。
【請求項18】
前記共振器(2)は、両方とも前記基準面(28)に平行な第1の表面および対向する第2の表面を備え、1つの励起手段(23)が前記第1の表面に配置され、任意選択的に別の励起手段(23)が前記第2の表面に配置される、先行する請求項のいずれか1項に記載の駆動ユニット。
【請求項19】
前記受動要素(4)は直線運動軸(26)に沿って並進するように配置され、前記直線運動軸(26)は、前記基準面(28)に平行であり、特に前記共振器軸(24)にも平行である、先行する請求項のいずれか1項に記載の駆動ユニット。
【請求項20】
前記受動要素(4)は回転運動軸(29)の周りに回転するように配置され、前記回転運動軸(29)は、前記基準面(28)に平行であり、特に共振器軸(24)に垂直でもある、請求項1から18のいずれか1項に記載の駆動ユニット。
【請求項21】
摩耗抑制要素が前記接触エリア(41、42、41a、42a)内で前記受動要素(4)上に配置される、先行する請求項のいずれか1項に記載の駆動ユニット。
【請求項22】
前記摩耗抑制部は、前記受動要素(4)の周囲領域よりも硬度が高い材料で作られるか、または前記受動要素の材料の硬化処理によって作成される、請求項21に記載の駆動ユニット。
【請求項23】
前記摩耗抑制部はセラミック材料で作られる、請求項21から22のいずれか1項に記載の駆動ユニット。
【請求項24】
前記接触要素(31、32)は各々、平坦領域を備える、先行する請求項のいずれか1項に記載の駆動ユニット。
【請求項25】
共振器長が、前記アーム(21、22)の端からそれらの釣合い錘部の対向する端までの前記共振器軸(24)に沿った前記共振器の寸法として定義され、前記基準面(28)に射影された各平坦領域の延長(d)は、前記共振器長の10分の1と100分の1の間、特に前記共振器長の20分の1と80分の1の間である、請求項24に記載の駆動ユニット。
【請求項26】
前記共振器(2)の長さは、3~5ミリメートル、特に4ミリメートルであり、前記平坦領域の前記延長(d)は、0.05ミリメートル~0.15ミリメートル、特に0.08ミリメートル~0.12ミリメートル、特に0.1ミリメートルである、請求項25に記載の駆動ユニット。
【請求項27】
前記共振器(2)および/または前記受動要素(4)の表面は、高精度振動仕上げまたは化学研磨で処理される、先行する請求項のいずれか1項に記載の駆動ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動駆動装置の分野に関する。本発明は、対応する独立請求項のプリアンブルに記載されている駆動ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
国際公開第0141228A1号に基づく米国特許第6768245B1号は、圧電要素および接触要素を備える駆動要素が弾性的に懸架され、接触要素を介して、圧電要素によってさらなる本体または受動要素を駆動するために振動させられる圧電モータを開示している。
【0003】
米国特許第7429812B1号は、共振器の同じ側から延在するように配置された少なくとも2つのアームを備える、共振器を有する圧電駆動ユニットを開示している。接触要素は、アームの外側端に配置され、アーム対の振動運動によって一緒にまたは離間して運動することができ、これにより、共振器を担持する能動要素に対する受動要素の相対運動を達成することができる。受動要素自体を弾性にすることができる。代替的または追加的に、受動要素は、アーム対に対して弾性的に支持することができる。これらの手段は、2つのアームによって加えられる振動運動および結果として生じる力を効率的に伝達すること、および/または部品の不完全な整列を補償することを可能にする。一実施形態では、アームの外側端の接触要素は外側を向き、受動要素は互いに対向する2つの表面を備え、その間で共振器が運動するように構成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
駆動装置のサイズを小さく保ちながら、受動要素と能動要素との間の広範囲の相対運動を可能にする直線駆動装置を提供する必要がある。より具体的には、必要性は、駆動装置を非常に狭い空間に配置することであり得る。
【課題を解決するための手段】
【0005】
これらの目的は、特許請求の範囲に記載の駆動ユニットによって達成される。
第1の態様によれば、駆動ユニットは、能動要素に対して受動要素を駆動するためのものであって、能動要素は、
共振器と、共振器内の振動を励起するための少なくとも1つの励起手段と
を備え、
共振器は、共振器の接続領域から接続領域の同じ側に延在する少なくとも2つのアームを備え、
共振器およびアームは、基準面に平行に延在し、
アームの各々は、アームの外側端に接触要素を備え、
接触要素は、アームの振動運動によって運動可能であり、
受動要素は、これらの振動運動によって能動要素に対して駆動および移動されるように配置され、
受動要素は接触エリアを備え、各接触エリアは、接触要素のそれぞれ1つと接触するように配置され、
アームの各々は、アームの外側端に、第1の方向に延在する突出部を備え、第1の方向は、他方のアームに向かう内向き、または他方のアームから離れる外向きであり、
アームの少なくとも1つにおいて、アームの外側端に配置されたそれぞれの接触要素は第2の方向に延在し、第2の方向は前記第1の方向とは反対である。
【0006】
言い換えれば、第1の代替形態によれば、2つのアームの突出部が他方のアームに向かって内向きに延在する場合、アームの少なくとも1つにおけるアームの外側端に配置された接触要素は、他方のアームから離れて外向きに延在する。
【0007】
また、第2の代替形態によれば、2つのアームの突出部が他方のアームから離れて外向きに延在する場合、アームの少なくとも1つにおけるアームの外側端に配置された接触要素は、他方のアームに向かって内向きに延在する。
【0008】
実施形態では、アームの両方において、アームの外側端に配置されたそれぞれの接触要素は、他方のアームから離れて外向きに延在する。
【0009】
アームの長さに沿った剛性のこのような軌道は、平坦な材料片からアームを成形することによって、および基準面内で測定されたアームの幅を調整することにより剛性を制御することによって、達成することができる。したがって、突出部および任意選択的に接触要素を備えるアームの端部は、ネッキングによってアームの残りの部分から分離することができる。
【0010】
特に、突出部は、共振器軸に向かう方向に延在し、接触要素は、共振器軸から離れる方向に延在するか、またはその逆である。
【0011】
実施形態では、アームの各々について、基準面に垂直な軸の周りの回転に関するアームの剛性は、それぞれの突出部および任意選択的にそれぞれの接触要素をも備えるアームの端部の内側にあるアームの箇所で最小値を有する。
【0012】
これにより、剛性が低い箇所でアームが屈曲することによって、突出部を有する端部が振動しやすくなる。
【0013】
実施形態では、共振器は平坦な材料片から成形され、突出部および任意選択的に接触要素を備えるアームの端部は、ネッキングによってアームの残りの部分から分離される。
【0014】
ネッキングは、基準面に見られるアームの幅が局所的に最小の値を有するアームの長さに沿った箇所として定義することができる。すなわち、アームの長さに沿って見たときのネッキング前後のアームの幅は、局所的最小値よりも大きい。
【0015】
ネッキングは、アームの外縁、すなわち、共振器軸から最も遠い縁部に関して定義することができるが、定義してはならず、外縁上の点は、ネッキング以外の領域で共振器軸からより遠く、外縁の距離は、ネッキングで局所的に最小値を有する。
【0016】
実施形態では、第1のアームは、外側端の反対側の部分に、第2のアームから離れて外向きに延在する第1のさらなる接触要素を備え、
第2のアームは、外側端の反対側の部分に、第1のアームから離れて外向きに延在する第2のさらなる接触要素を備える。
【0017】
第2の態様によれば、駆動ユニットは、能動要素に対して受動要素を駆動するためのものであって、能動要素は、
共振器と、共振器内の振動を励起するための少なくとも1つの励起手段と
を備え、
共振器は、共振器の接続領域から接続領域の同じ側に延在する第1のアームの対を備え、
共振器およびアームは、基準面に平行に延在し、
アームの各々は、アームの外側端に接触要素を備え、
接触要素は、アームの振動運動によって運動可能であり、
受動要素は、これらの振動運動によって能動要素に対して駆動および移動されるように配置され、
受動要素は接触エリアを備え、各接触エリアは、接触要素のそれぞれ1つと接触するように配置され、
共振器は、共振器の接続領域から第1のアームの対とは反対方向に延在する第2のアームの対を備える。
【0018】
実施形態では、第1のアームの対のアームの各々は、アームの外側端に、他方のアームに向かって内向きに延在する突出部を備え、
第1のアームの対のアームのうちの少なくとも一方において、アームの外側端に配置されたそれぞれの接触要素は、他方のアームから離れて外向きに延在する。
【0019】
実施形態では、第2のアームの対のアームの各々は、アームの外側端に、他方のアームに向かって内向きに延在する突出部を備え、
第2のアームの対のアームのうちの少なくとも一方において、アームの外側端に配置されたそれぞれの接触要素は、他方のアームから離れて外向きに延在する。
【0020】
実施形態では、第2のアームの対のアームの各々は、アームの外側端に、他方のアームに向かって内向きに延在する突出部を備え、
第2のアームの対のアームのうちの少なくとも一方において、アームの外側端に配置されたそれぞれの接触要素は、内向きに延在するそれぞれの突出部の一部である。
【0021】
実施形態では、第1のアームの対および第2のアームの対の形状は、互いに実質的に鏡像である。
【0022】
第3の態様によれば、駆動ユニットは、能動要素に対して受動要素を駆動するためのものであって、能動要素は、
共振器と、共振器内の振動を励起するための少なくとも1つの励起手段と
を備え、
共振器は、共振器の接続領域から接続領域の同じ側に延在する少なくとも2つのアームを備え、
共振器およびアームは、基準面に平行に延在し、
アームの各々は、アームの外側端に接触要素を備え、接触要素は他方のアームから離れて外向きに面し、
接触要素は、アームの振動運動によって運動可能であり、
受動要素は、これらの振動運動によって能動要素に対して駆動および移動されるように配置され、
受動要素は接触エリアを備え、各接触エリアは、接触要素のそれぞれ1つと接触するように配置され、
共振器は平坦な材料片から成形され、
アームの各々と接続領域との間に取付けネッキングが存在する。
【0023】
実施形態では、アームの各々は、取付けネッキングから、それぞれの接触要素を有するそれぞれの外側端に向かって共振器軸に平行な第1の方向に延在する能動部と、第1の方向とは反対の第2の方向に延在する釣合い錘部とを備える。
【0024】
実施形態では、アームの各々について、釣合い錘部において、および釣合い錘部に接合されている能動部において、基準面に垂直な軸の周りの回転に関するアームの剛性は、取付けネッキングにおいてよりも小さい。
【0025】
実施形態では、アームがそれぞれの接触要素に向かって外向きに曲げられるネッキングまでの前記ネッキングを含まない能動部において、剛性は、取付けネッキングにおいてよりも小さい。
【0026】
実施形態では、励起手段は、少なくとも取付けネッキングならびに釣合い錘部の一部および能動部の一部を覆う。
【0027】
実施形態では、励起手段は、取付けネッキングを形成する共振器内の切欠き領域を覆う。
【0028】
第4の態様によれば、駆動ユニットは、能動要素に対して受動要素を駆動するためのものであって、能動要素は、
共振器と、共振器内の振動を励起するための少なくとも1つの励起手段と
を備え、
共振器は、共振器の接続領域から接続領域の同じ側に延在する少なくとも2つのアームを備え、
共振器およびアームは、基準面に平行に延在し、
アームの各々は、アームの外側端に接触要素を備え、
接触要素は、アームの振動運動によって運動可能であり、
受動要素は、これらの振動運動によって能動要素に対して駆動および移動されるように配置され、
受動要素は接触エリアを備え、各接触エリアは、接触要素のそれぞれ1つと接触するように配置され、
共振器は平坦な材料片から成形され、
励起手段によって覆われた領域において、共振器は穴または開口を備える。
【0029】
これにより、共振器の剛性が低下し、機械的損失を低減することができる。
第4の態様による特徴は、前述の態様の各々の特徴と組み合わせることができる。
【0030】
すべての態様によるすべての実施形態について、以下が当てはまる可能性がある。
接続領域から延在する各アームは、アームの近位端で接続領域に接続されていると言うことができ、その接触要素はアームの遠位端に配置されている。アームが延在する方向は、共振器軸に対応する。励起手段を備え、アームを備えない共振器は、例えば基準面への射影で見たときに、共振器軸に関して鏡面対称であり得る。アームを含む共振器は、共振器軸に関して実質的に鏡面対称であり得る。
【0031】
共振器軸に関して、一般に、以下の1つまたは複数が該当し得る。
・接続領域は、共振器が基部に取り付けられ、共振器軸上に位置する少なくとも1つの固定または支持エリアを備え、および/または
・基準面に垂直な方向に見た共振器軸は、励起手段の中心を通過し、および/または
・共振器軸は、振動振幅が最も低い共振器および/または励起手段の領域にある。
【0032】
アームの振動運動は、接触要素を互いに向かっておよび互いに離れるように運動させることができ、これは、各接触要素がほぼ楕円状の経路に沿って運動する結果であり得る。各経路の運動は、(共振器の平面で見て)時計回りまたは反時計回りであることができ、楕円面の主軸の向きは変化し得る。運動方向および向きは、励起手段の励起周波数を調整することによって制御することができる。励起手段は、典型的には圧電要素である。そのような駆動装置のさらなる詳細は、最初に引用した米国特許第768245B1号および米国特許第429812B1号に記載されている。楕円状運動は、非常に扁平な楕円に対応することができ、それにより、ほぼ直線的または完全に直線的な前後運動にも対応することができる。そのような場合、この前後運動の向きは、受動要素が駆動される方法を決定する。特に、運動の向きは、運動の振幅と組み合わせて、駆動力にも影響する。
【0033】
接触要素(能動要素の一部)は、接触エリアにおいて接触体(受動要素の一部)に接触する。駆動装置が振動していないとき、すなわち、励起手段が励起されていないとき、駆動装置は、能動要素の接触要素と受動要素の接触エリアとの間にプレストレス力が存在するように構成されている場合があり得る。プレストレスに関連する接触力は、存在する場合、部品が接触する接触面にほぼ垂直であり、特に接触エリア内の接触面に垂直であり、特にその接平面に垂直である。そのような接触力またはプレストレス力の全体が接触面に垂直であってもよく、またはそのような力は、法線に対してある角度であって、力のベクトル成分のみが接触面に垂直であってもよい。
【0034】
接触しているとは、振動アームが断続的に接触し、接触体上のそれぞれのエリアから離れるように移動するため、駆動ユニットの動作中に断続的に接触していることを意味し得ることが理解される。
【0035】
実施形態では、能動要素の共振器は一体に製造される。例えば、それは単一片のシート材料から、例えば金属シートから製造される。
【0036】
実施形態では、共振器は、両方とも基準面に平行な第1の表面および対向する第2の表面を備え、1つの励起手段が第1の表面に配置され、任意選択的に別の励起手段が第2の表面に配置される。
【0037】
典型的には、受動要素は直線運動軸に沿って並進するように配置され、直線運動軸は、基準面に平行であり、特に共振器軸にも平行である。
【0038】
実施形態では、受動要素は回転運動軸の周りに回転するように配置され、回転運動軸は、基準面に平行であり、特に共振器軸に垂直でもある。
【0039】
駆動ユニットを動作させるための方法では、励起手段に異なる周波数で電圧が供給され、それにより、周波数に応じてアームおよび接触領域の異なる運動パターンが生成される。異なる運動パターンは、能動要素に対する受動要素のサスペンションによって規定される自由度に従って、受動要素を直線的に運動させる。サスペンションは、例えば、すべり軸受またはころ軸受に基づくことができる。
【0040】
本明細書を通して、部品が単一のシート材料片、例えば金属シートから製造される場合、これは、切断またはスタンピングまたはエッチングなどの減法的プロセス、ならびに選択的レーザ溶融、電子ビーム溶融または直接金属レーザ焼結などの加法的プロセスによって行うことができる。
【0041】
実施形態では、摩耗抑制要素が接触エリア内で受動要素上に配置される。
実施形態では、摩耗抑制部は、受動要素の周囲領域よりも硬度が高い材料で作られるか、または受動要素の材料の硬化処理によって作成される。
【0042】
実施形態では、摩耗抑制部はセラミック材料で作られる。
実施形態では、接触要素は各々平坦領域を備える。
【0043】
実施形態では、共振器長が、アームの端からそれらの釣合い錘部の対向する端までの共振器軸に沿った共振器の寸法として定義され、基準面に射影された各平坦領域の延長は、共振器長の10分の1と100分の1の間、特に共振器長の20分の1と80分の1の間である。
【0044】
実施形態では、共振器の長さは、3~5ミリメートル、特に4ミリメートルであり、平坦領域の延長は、0.05ミリメートル~0.15ミリメートル、特に0.08ミリメートル~0.12ミリメートル、特に0.1ミリメートルである。
【0045】
実施形態では、共振器および/または受動要素の表面は、高精度振動仕上げまたは化学研磨で処理される。
【0046】
さらなる実施形態は、従属する特許請求項から明らかである。
本発明の主題は、以下のことを概略的に示す添付の図面に示されている例示的な実施形態を参照して、以下の本文でより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【
図1】従来技術による駆動ユニットの要素を示す図である。
【
図2】内向きに延在する突出部および外向きに延在する接触要素を有する直線駆動ユニットを示す図である。
【
図3a】内向きに延在する突出部および外向きに延在する接触要素を有する直線駆動ユニットを示す図である。
【
図3b】内向きに延在する突出部および外向きに延在する接触要素を有する直線駆動ユニットを示す図である。
【
図4】内向きに延在する突出部および外向きに延在する接触要素を有する直線駆動ユニットを示す図である。
【
図5】内向きに延在する突出部および外向きに延在する接触要素を有する直線駆動ユニットを示す図である。
【
図6】同じ接続領域から反対方向に延在する第1のアームの対と第2のアームの対とを有する直線駆動ユニットを示す図である。
【
図7】同じ接続領域から反対方向に延在する第1のアームの対と第2のアームの対とを有する直線駆動ユニットを示す図である。
【
図8】同じ接続領域から反対方向に延在する第1のアームの対と第2のアームの対とを有する直線駆動ユニットを示す図である。
【
図9】共振器が開口を備える直線駆動ユニットを示す図である。
【
図10】共振器アームが弾性的に懸架された直線駆動ユニットを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
原則として、同一の部品には、図中で同じ参照符号が付されている。
図1は、能動要素1および受動要素4を有する従来技術の駆動ユニットの要素を分解図で概略的に示す。能動要素1は、共振器2または共振器プレート2と、2つの励起手段23とを備える。共振器2の接続領域20から、第1のアーム21および第2のアーム22が、共振器軸24に対応する同じ方向に延在する。共振器2およびアーム21、22は、基準面28に平行に延在する。各アームの端部には、受動要素4の第1の接触エリア41および第2の接触エリア42に接触することによって受動要素4に接触して受動要素4を運動させるように設計された、それぞれの第1の接触要素31および第2の接触要素32がある。これらの接触エリアは、必ずしも運動する受動要素4に対して固定された関係にあるとは限らず、むしろ、受動要素4が回転運動軸25(
図1)を中心に回転するか、または能動要素1に対して(他の実施形態では)並進するときに、接触領域31、32が受動要素4に現在接触している箇所である。
【0049】
上述の米国特許第7429812B1号で説明されているように、圧電要素とすることができる励起手段23を駆動する電圧発生器の励起周波数を変えることができ、周波数に応じてアームの機械的振動の異なるモードが生成される。例えば、あるモードでは、接触領域31、32は、基準面への射影で見て、両方とも時計回りに回転し、別のモードでは、両方とも反時計回りに回転し、別のモードでは、一方が時計回りに回転し他方が反時計回りに回転する。別の例として、あるモードでは、接触領域31、32は第1の角度で前後に運動し、別のモードでは、第2の角度で前後に運動する。受動要素のサスペンション、すなわち回転式または直線式または複合回転直線式に応じて、受動要素はそれに応じて運動する。
【0050】
以下の実施形態は、同じ基本原理に従って動作する。特に明記しない限り、これまでに説明した要素は、存在する場合、本質的に同じ機能を有する。しかしながら、アーム21、22は、直線駆動の運動に適合されている。共振器2に対する励起手段23の箇所は、共振器2の片側または両側に取り付けられた励起手段23の輪郭に対応する長方形によって概略的に表される。
【0051】
図2~
図5は、内向きに延在する突出部33、34および外向きに延在する接触要素を有する直線駆動ユニットを示す。第1のアーム21は、第2のアーム22の方向に第1の突出部33または突起を備える。共振器軸24に関して本質的に第1のアーム21の鏡像である第2のアーム22は、第1のアーム21の方向に第2の突出部34を備える。したがって、両方の突出部33、34は、共振器軸24に向かって、すなわち駆動装置の内側に向かって延在する。
【0052】
第1のアーム21は、第2のアーム22から離れて、すなわち第1の突出部33が延在する方向とは反対の方向に突出する第1の接触要素31を備える。同様に、第2のアーム22は、第1のアーム21から離れて、第2の突出部34が延在する方向に突出する第2の接触要素32を備える。したがって、両方の接触要素31、32は、共振器軸24から離れるように、すなわち駆動装置の外側に向かって延在する。ここで、それらは受動要素4のそれぞれの第1の接触エリア41および第2の接触エリア42と接触する。
【0053】
受動要素4要素は、能動要素1に対して移動可能な2つの直線ガイドに対応する2つの長方形によって概略的に表されている。受動要素4の2つの側の2つのガイドは、破線によって概略的に表されるように、機械的に接続されている。機械的接続は、剛性であってもよく、または弾性であってもよく、その場合、第1の接触エリア41および第2の接触エリア42を介して第1の接触要素31および第2の接触要素32に作用するプレストレスを生成する構成の一部であってもよい。
【0054】
第1の突出部33および第2の突出部34は、対応するネッキング35によってそれぞれの第1のアーム21および第2のアーム22の残りの部分に連結されている。このネッキング35は、それぞれのアームに沿った屈曲的により弱い領域に対応する。すなわち、基準面28に垂直な軸の周りの曲げに対するアームの剛性は、ネッキング35では他の場所よりも低い。動作中、アームが振動しているとき、各突出部は、それぞれのネッキング35の周りの小さな回転を含む振動運動を示すことができる。これにより、同じ端またはそれぞれのアームに配置されたそれぞれの接触要素の対応する運動をもたらすことができる。
【0055】
共振器2は、共振器が基部(図示せず)に取り付けられる少なくとも1つまたは複数の固定または支持エリア27を備えることができる。固定エリア27は、典型的には、共振器軸24上に位置する。それらは、典型的には、かなりの程度まで振動せず、基部に取り付けられる。固定エリア27は、共振器の電気的接続ならびに基部(図示せず)上でのその組立てを容易にするために、27aおよび27bなどの追加の突出部を特徴とすることができる。
【0056】
図3aおよび
図3bは、一方では、固定エリア27が
図2の形状とは異なる形状であるさらなる実施形態を示し、突出部33、34および接触要素31、32の上述の運動も示す。それらの運動は、ネッキング付近の動きとともに、二重矢印によって表される。
図3aは、単頭矢印によって表される、受動要素4を左に押す第1の励起周波数での振動および運動のモードを示す。
図3bは、受動要素4を右に押す第2の周波数での振動および運動のモードを示す。各矢印の端には、対応する材料点がいつ前記矢印の方向に変位されるかが示されている。材料点が時間tで、対応する矢印の方向の極限位置に対応するある箇所にある場合、反対方向の極限位置は、時間tpで示される半周期後に達成される。tとtpとの間の時間差は1/2fであり、fは第1の周波数(
図3a)または第2の周波数(
図3b)である。
【0057】
図4は、先の図と同様の駆動装置を示しているが、共振器2が開口または穴37を備えている点が異なる。これらは、共振器2の機械的剛性を低減する働きをし、これにより、より低い電気機械的損失および/またはより低い電圧で共振器2を駆動することが可能になり得る。
【0058】
この図はまた、基準面28における接触要素31の平坦部の延長dを示す。延長は、共振器長に関連することができ、共振器長は、アーム21、22の端からそれらの釣合い錘部(存在する場合)の対向する端までの、共振器軸24に沿った共振器の寸法として定義される。言い換えれば、共振器長は、固定または支持エリア27なしで、共振器軸24に沿った方向における共振器2のサイズである。平坦領域の延長dは、基準面28上に射影された平坦領域の射影上で測定される。
【0059】
図5は、第1のアーム21が、外側端の反対側の部分に、第2のアーム22から離れて外向きに延在する第1のさらなる接触要素38を備え、第2のアーム22が、外側端の反対側の部分に、第1のアーム21から離れて外向きに延在する第2のさらなる接触要素39を備える実施形態を示す。これらの部分の長さは、さらなる接触要素38、39が、第1および第2の励起周波数の両方について、受動要素4と接触する表面に対して本質的に直角に運動するように選択することができる。この方向は二重矢印で示されている。この場合、さらなる接触要素38、39は駆動力に寄与しない。しかしながら、それらは、駆動装置が励起されていないときに保持力または制動力に寄与することができる。これは、共振器2に作用する受動要素4の2つの対向する面の間にプレストレス力が存在する場合に特に当てはまる。
【0060】
これらの部分の長さはまた、それぞれ第1、第2の励起周波数に対するさらなる接触要素38、39が、接触要素31、32の角度と同様の角度で表面に対して運動するように選択することができる。この場合、さらなる接触要素38、39は駆動力に寄与する。
【0061】
アームの外側端の反対側の部分は、釣合い錘部分であると考えることができる。実施形態では、それらは、励起手段23から共振器軸24に平行な方向に、それぞれのアームの半分未満または3分の1未満または4分の1未満または5分の1未満延在する。
【0062】
図6~
図8は、同じ接続領域から反対方向に延在する第1のアームの対と第2のアームの対とを有する直線駆動ユニットを示す。各対は、接続領域20および励起手段23に関して、互いに鏡映対称に配置される。これらの実施形態では、基準面28内の能動要素1と受動要素4との間の相対的な位置および向きは、受動要素4の接触エリア41、42、41a、42aを介して完全に決定することができる。
【0063】
図6の実施形態では、両方のアームの対の接触要素31、32、31a、32aは、互いに、および同じ対の反対側のアームに向けられ、受動要素4は、それぞれの対の接触要素の間に配置される。
【0064】
図7の実施形態では、両方のアームの対の接触要素31、32、31a、32aは、互いに、および同じ対の反対側のアームに向けられ、受動要素4の接触面または接触エリア41、42、41a、42aは、それぞれの対の接触要素の外側に配置され、内向きに面している。
【0065】
第1のアームの対および第2のアームの対の形状が互いに実質的に鏡像である
図6および
図7の実施形態では、2対のアームの運動も対称的であり、したがって、能動要素1は、2対のアームによって駆動される受動要素4の別個の部分を押すか、またはそれらを共振器軸24の方向に互いに向かって引っ張る力を及ぼす。したがって、これらの別個の部分間の接続は、弾性であることができ、および/または直線ジョイントを含むことができ、別個の部分が共振器軸24の方向に互いに対して運動することを可能にする。これらの別個の部分の各々において、第1のアームの対の対向する第1および第2の接触エリア41、42と第2のアームの対の41a,42aとの間の機械的接続は、特にそれぞれの対のアーム間にプレストレス力を発生させるために、弾性であり得る。
【0066】
図8の実施形態では、第1のアーム21、22の対の接触要素31、32は、互いに、および同じ対の反対側のアームから離れるように向けられ、第2のアーム21a、22aの対の接触要素31a、32aは、互いに、および同じ対の反対側のアームに向かうように向けられる。したがって、第1のアームの対および第2のアームの対の形状は、第1のアームの対の接触要素が外向きに延在することを除いて、互いに実質的に鏡像である。2対のアームによって駆動される受動要素4の部分は、アームの本質的に対称的な運動によって同じ方向に駆動される。これは、駆動周波数の1つに対する駆動力の方向を示すブロック矢印によって示されている。同じ振動モードの場合、
図8の実施形態では、それらは同じ方向を指し、
図7の実施形態では反対方向を指す。
【0067】
図9は、
図4の文脈で既に提示されているように、共振器が開口または開口37を備える直線駆動ユニットを示す。この実施形態では、接触要素31、32および突出部33、34の両方が内向きに面している。
【0068】
図10は、共振器アーム21、22が、各それぞれのアームを接続領域20に連結する取付けネッキング36によって弾性的に懸架されている直線駆動ユニットを示す。基準面28に垂直な軸の周りの回転に関するねじり強度は、ほとんどのアームに沿ったものよりも小さい。結果として、各アームの釣合い錘部21d、22dを含むアーム全体は、接続領域20および励起手段23に対して振動することができる。これにより、アームの長さを短くすることができ、ひいては、第1の接触エリア41と第2の接触エリア42との間の距離を短くすることができる。
【0069】
図11は、受動要素4が回転軸29の周りに回転するように配置された回転駆動ユニットを示す。軸は、共振器軸24に垂直であり、基準面28に平行である。そのような構成は、本明細書に提示される実施形態のいずれかと組み合わせて実施することができ、1つまたは複数の回転受動要素4が対応する直線運動受動要素4に取って代わる。接触要素31、32が外向きに面する実施形態では、受動要素4は、回転軸29に沿って互いに離間した2つの回転ディスクまたはリング、またはディスクまたはリングの部分のみを備えることができる。第1の接触エリア41および第2の接触エリア42は、ディスクまたはリング(またはその部分)の内向きに面した表面上に位置する。他の実施形態では、接触要素31、32は内向きに面している。2対のアームを有する実施形態と組み合わせて、各々が2対のアームのうちの1つによって駆動される2つの回転受動要素4が存在することができる。
【0070】
本発明を本実施形態で説明したが、本発明はそれに限定されず、特許請求の範囲内で他の方法で様々に具体化および実施することができることは明確に理解される。
【国際調査報告】