(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-24
(54)【発明の名称】層及びナノワイヤから形成されるハイブリッド構造を含む発光ダイオード
(51)【国際特許分類】
H01L 33/04 20100101AFI20230517BHJP
H01L 33/38 20100101ALI20230517BHJP
H01L 33/32 20100101ALI20230517BHJP
H01L 21/28 20060101ALI20230517BHJP
H01L 29/41 20060101ALI20230517BHJP
【FI】
H01L33/04
H01L33/38
H01L33/32
H01L21/28 301B
H01L21/28 301
H01L29/44 P
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022562844
(86)(22)【出願日】2021-04-09
(85)【翻訳文提出日】2022-12-13
(86)【国際出願番号】 FR2021050630
(87)【国際公開番号】W WO2021209702
(87)【国際公開日】2021-10-21
(32)【優先日】2020-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502124444
【氏名又は名称】コミッサリア ア レネルジー アトミーク エ オ ゼネルジ ザルタナテイヴ
(71)【出願人】
【識別番号】506316557
【氏名又は名称】サントル ナショナル ドゥ ラ ルシェルシュ シアンティフィック
(71)【出願人】
【識別番号】516065504
【氏名又は名称】ユニヴェルシテ グルノーブル アルプ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ブリュノ・ドーダン
(72)【発明者】
【氏名】グウェノレ・ジャコパン
(72)【発明者】
【氏名】ジュリアン・ペルノ
【テーマコード(参考)】
4M104
5F241
【Fターム(参考)】
4M104AA04
4M104AA07
4M104BB36
4M104CC01
4M104FF11
4M104FF26
4M104GG04
4M104HH20
5F241AA25
5F241CA04
5F241CA05
5F241CA40
5F241CA52
5F241CA66
5F241CA74
5F241CA88
(57)【要約】
本発明は、少なくとも以下を含む発光ダイオード(100)に関する:
・nドープAlX1Ga(1-X1-Y1)InY1N(X1>0およびX1+Y1≦1)の第1の層(106)、
・pドープAlX2Ga(1-X2-Y2)InY2N(X2>0およびX2+Y2≦1)の第2の層(108)、
・第1の層および第2の層(106、108)の間に配置され、少なくとも1つの多重量子井戸発光構造(112、114)を含む活性領域、
・第2の層(108)上に配置された、インジウム原子およびマグネシウム原子でpドープされたAlNに基づくナノワイヤ(122)、
・ナノワイヤ(122)と接触するオーミック接触層(124)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも以下を含む発光ダイオード(100):
・nドープAl
X1Ga
(1-X1-Y1)In
Y1N(X1>0およびX1+Y1≦1)の第1の層(106)、
・pドープAl
X2Ga
(1-X2-Y2)In
Y2N(X2>0およびX2+Y2≦1)の第2の層(108)、
・第1の層および第2の層(106、108)の間に配置され、少なくとも1つの多重量子井戸発光構造(112、114)を含む活性領域(110)、
・第2の層(108)上に配置された、インジウム原子およびマグネシウム原子でpドープされたAlNに基づくナノワイヤ(122)、
・ナノワイヤ(122)と接触するオーミック接触層(124)。
【請求項2】
ナノワイヤ(122)の横側面を覆い、オーミック接触層(124)がその上に配置される誘電体層(123)をさらに含む、請求項1に記載の発光ダイオード(100)。
【請求項3】
オーミック接触層(124)が、ナノワイヤ(122)の横側面および/またはナノワイヤの上部を覆う、請求項1に記載の発光ダイオード(100)。
【請求項4】
オーミック接触層(124)が、ダイヤモンドを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の発光ダイオード(100)。
【請求項5】
ナノワイヤ(122)中のインジウムの原子濃度は、約10
17から10
21原子/cm
3の間であり、および/またはナノワイヤ(122)中のマグネシウムの原子濃度は、約10
18から10
21原子/cm
3の間である、請求項1から4のいずれか一項に記載の発光ダイオード(100)。
【請求項6】
第2の層(108)の厚さの少なくとも一部がエッチングされ、ナノワイヤ(122)がその上に配置されるピラー(125)を形成している、請求項1から5のいずれか一項に記載の発光ダイオード(100)。
【請求項7】
多重量子井戸発光構造(112、114)が、Al
X3Ga
(1-X3)Nを含み、X3が約0から1の間である、請求項1から6のいずれか一項に記載の発光ダイオード(100)。
【請求項8】
第1の層(106)が、活性領域(110)と第3の層(116)との間に配置されるように、意図的にドープされていないAl
X4Ga
(1-X4-Y4)In
Y4N(X4>0およびX4+Y4≦1)の第3の層(116)をさらに含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の発光ダイオード(100)。
【請求項9】
第2の層(108)との界面におけるナノワイヤ(122)の横方向の寸法が、オーミック接触層(124)との界面におけるものよりも小さい、請求項1から8のいずれか一項に記載の発光ダイオード(100)。
【請求項10】
発光ダイオード(100)を製造する方法であって、少なくとも以下を含む方法:
・nドープされたAl
X1Ga
(1-X1-Y1)In
Y1N(X1>0およびX1+Y1≦1)の第1の層(106)を生成するステップ、
・第1の層(106)上に配置され、少なくとも1つの多重量子井戸発光構造(112、114)を含む活性領域(110)を生成するステップ、
・活性領域(110)上に、pドープされたAl
X2Ga
(1-X2-Y2)In
Y2N(X2>0およびX2+Y2≦1)の第2の層(108)を生成するステップ、
・第2の層(108)上に、インジウム原子およびマグネシウム原子でpドープされたAlNに基づくナノワイヤ(122)を生成するステップ、
・ナノワイヤ(122)と接触して配置されたオーミック接触層(124)を生成するステップ。
【請求項11】
第1の層(106)、活性領域(110)および第2の層(108)が、MOCVD型の堆積によって生成され、ナノワイヤ(122)が、分子線エピタキシーによって生成される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
オーミック接触層(124)が、分子線エピタキシーによって、または真空蒸着によって、または陰極スパッタリングによって、または化学気相堆積によって生成される、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
ナノワイヤ(122)の生成が、以下のステップの実施を含む、請求項10から12のいずれか一項に記載の方法:
・第2の層(108)上に、生成が意図されるナノワイヤ(122)の数および配置に対応する数および配置の開口部(128)が通過するハードマスク(130)を生成するステップ、
・ハードマスク(130)が配置される第2の層(108)の面上で、ハードマスク(130)の開口部(128)からエピタキシーによってナノワイヤ(122)を生成するステップ。
【請求項14】
ナノワイヤ(122)の生成が、以下のステップの実施を含む、請求項10から12のいずれか一項に記載の方法:
・第2の層(108)の厚さの少なくとも一部で、ナノワイヤ(122)の生成が意図される側の第2の層(108)の面からエッチングが実行され、その数および配置が生成が意図されるナノワイヤ(122)の数および配置に対応するピラー(125)を形成するステップ、
・第2の層(108)に形成されたピラー(125)上でのエピタキシーによってナノワイヤ(122)を生成するステップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオードまたはLED(「Light-Emitting Diodes」)の分野に関する。有利には、本発明は、紫外(UV)範囲、特に約200nmから350nmの間に含まれる波長範囲の光を放出するLEDの製造に適用される。
【背景技術】
【0002】
紫外発光の分野では、水銀を使用しない発光方法を見出す必要がある。この問題を解決するのが、AlN及びGaNの合金で構成されたLEDである。
【0003】
UV範囲で発光する半導体ヘテロ構造に基づくLEDは、様々な組成を有するAlGaNを含む層のスタックからなる。
図1は、そのようなLED10の構造を概略的に示す。LED10は、nドープAlGaNを含む第1の層12と、pドープAlGaNを含む第2の層14とによって形成されるpn接合を含む。LED10はまた、層12と14との間に、LED10の発光領域を形成し、光子の放出を生じる電子と正孔の再結合が起こる量子井戸を含む活性領域16を含む。活性領域16は、意図的にドープされていない、または真性のAlGaNを含む。LED10はまた、第2の層14上に、高濃度pドープGaNの層18と、層18上に配置され、例えばNi-Au合金を含む導電層20とを含む。これらの層は、MOCVD(「Metal Organic Chemical Vapour Deposition(有機金属化学気相堆積)」、または有機金属前駆体からの化学気相堆積)によって形成される。
【0004】
活性領域16の半導体の組成は、LED10によって放出されることが意図されている波長に応じて選択される。UV範囲で放出するために、活性領域16は、Xが0≦X≦1であるようなAlXGa(1-X)Nを含む。第1の層12は、nドープされたAlY1Ga(1-Y1)Nを含み、第2の層14は、pドープされたAlY2Ga(1-Y2)Nを含み、Y1>XおよびY2>Xである。
【0005】
理想的には、層12および14をAlNで作成すること(すなわち、Y1=1およびY2=1となるように作成すること)で、LED10の作製を単純化することが可能になるだろう。しかしながら、第2の層14をpドープされたAlNとすることは問題を提起する。なぜなら、LED10の適切な動作のために十分かつ必要な電気伝導を保証するのに十分な大きさのp型ドーピングレベルを有するAlNを得ることを可能にする技術的解決策がないからである。したがって、層12および14は、現在、Y1<1およびY2<1となるように作られている。
【0006】
さらに、UV範囲、例えば300nm以下の範囲の重要な波長に到達するために、層12および14は高濃度のアルミニウム(例えば約60%を超える)を含まなければならず、これは層14のpドーピングを実施するための問題を提起する。
【0007】
最後に、LED10の層14の側で実施しなければならない電流の注入は、考慮すべき別の重要な制約である。
【0008】
これらの問題は、厚さが数十ナノメートルであり、層14と20との間の遷移を確実にすることを可能にする、高濃度にpドープされたGaNの層18の存在により現在解決されている。しかし、この層18による活性領域16から発光される(特に、約350nm未満の波長に対して)UV放射の吸収により、LED10の有効性は制限される。特に、約250nmから260nmの間に含まれる波長を放射し、殺菌用途に使用されるLEDは、高濃度pドープGaN層18によって放射される放射線の一部を吸収することによって本質的にその有効性が低下する。
【0009】
さらに、層20の堆積は、電流線の良好な横方向分布を保証し、LED10の層14の側への電流注入を最適化するために必要であるが、LED10の発光効率をさらに低下させる原因となる。なぜなら、この層20は、活性領域16から放射されるUV光の一部を吸収するためである。
【0010】
A-M Siladieらによる刊行物Nano Letters 2019 19(12),8357-8364「Mg and In Codoped p-type AlN Nanowires for pn Juntion Realization」は、AlNナノワイヤを含むpn接合の実現を提案しており、マグネシウム原子の使用により、大幅なpドーピングを実施することが可能である。このようなナノワイヤは、シリコン基板上での成長によって生成される。これらのナノワイヤはまた、その上部にpドープGaNを含む。ナノワイヤは、ナノワイヤのpドープGaN部分の上に堆積され、オーミック接触として使用されるITO(酸化インジウムスズ)層で覆われる。このようなpn接合を使用してUV LEDを製造し、それがナノワイヤで作成される場合、ITOオーミック接触層を有して製造されたこのLEDは最適なものではないだろう。なぜなら、ナノワイヤの間にITOが存在し得るため、ナノワイヤのnドープ部分とpドープ部分との間で短絡が発生する可能性があるからである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Nano Letters 2019 19(12),8357-8364
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、LEDの上部に形成されたオーミック接触層に起因する短絡の発生をその構造により回避する発光ダイオードを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
このために、本発明は、少なくとも以下を含む発光ダイオードを提案する:
・nドープAlX1Ga(1-X1-Y1)InY1N(X1>0およびX1+Y1≦1)の第1の層、
・pドープAlX2Ga(1-X2-Y2)InY2N(X2>0およびX2+Y2≦1)の第2の層、
・第1の層および第2の層の間に配置され、少なくとも1つの多重量子井戸発光構造を含む活性領域、
・第2の層上に配置された、インジウム原子およびマグネシウム原子でpドープされたAlNに基づくナノワイヤ、
・ナノワイヤと接触するオーミック接触層。
【0014】
したがって、そのようなLEDは、層のスタックと、この層のスタック上に配置されたpドープされたAlN系ナノワイヤとから形成されたハイブリッド構造を含む。このような構造では、LEDの上部に形成されたオーミック接触層に起因する短絡が回避される。なぜなら、このオーミック接触層の材料は、第2層の存在により、ナノワイヤおよび第1層の材料の両方と接触することはできない。
【0015】
本発明によって提供される別の利点は、ナノワイヤの組織化されたアレイの生成によりハイブリッド構造が光子の抽出を改善することができる発光ダイオード(またはLED)の製造である。
【0016】
さらに、第2の層に配置された、インジウム原子およびマグネシウム原子でpドープされたAlNに基づくナノワイヤにより、電流線の良好な横方向分布を確保し、LEDのpドープ層側への電流注入を最適化することが可能になり、一方でLEDのこの側での光吸収を制限する。
【0017】
活性領域の多重量子井戸構造は、2つのバリア層の間に配置された発光層からそれぞれが形成される量子ドットの1つまたは複数の層に対応することができる。
【0018】
本明細書全体を通して、「AlNに基づくナノワイヤ」という表現は、AlNに加えて、0から30%の間で含まれる少なくとも1つの他の材料のモル分率を含み得るナノワイヤを示す。この材料またはこれらの他の材料は、例えば、GaN、InNまたはBNに対応する。この他の材料がInNに対応する場合、AlN系ナノワイヤに存在するInNのモル分率は、好ましくは20%以下である。有利なことに、この材料またはこれらの材料に関係なく、AlN系ナノワイヤに存在する材料のモル分率は、好ましくは5%以下である。「AlN系ナノワイヤ」という表現は、AlNナノワイヤ、すなわち、AlN以外の材料を含まないナノワイヤの場合も包含する。
【0019】
第1の実施形態では、LEDは、ナノワイヤの横側面を覆い、オーミック接触層がその上に配置される誘電体層をさらに含むことができる。
【0020】
第2の実施形態では、オーミック接触層は、ナノワイヤの横側面および/またはナノワイヤの上部を覆うことができる。オーミック接触層がナノワイヤの横側面を覆う場合、ナノワイヤはオーミック接触層内に配置することができる。この構成は、オーミック接触層とナノワイヤとの間の接触面がより重要であり、これは電流線の横方向分布およびLEDのpドープ層側への電流注入を改善するので、有利である。
【0021】
有利なことに、オーミック接触層はダイヤモンドを含むことができる。
【0022】
ナノワイヤ中のインジウムの原子濃度は、約1017から1021原子/cm3の間で構成することができ、および/またはナノワイヤ中のマグネシウムの原子濃度は、約1018から1021原子/cm3の間で構成することができる。
【0023】
第2の層の厚さの少なくとも一部がエッチングされてよく、ナノワイヤがその上に配置され得るピラーを形成し得る。
【0024】
多重量子井戸発光構造は、AlX3Ga(1-X3)Nを含むことができ、X3は約0から1の間、または0から0.9の間である。X3が1である場合、LEDの構造は、200nmに等しい波長で発光を実行するのに有利であり得るpn接合の構造に対応する。
【0025】
発光ダイオードは、第1の層が活性領域と第3の層との間に配置されるように、意図的にドープされていないAlX4Ga(1-X4-Y4)InY4N(X4>0およびX4+Y4≦1)の第3の層をさらに含むことができる。
【0026】
第2の層との界面におけるナノワイヤの横方向の寸法は、オーミック接触層との界面におけるものよりも小さいものであり得る。
【0027】
ナノワイヤはそれぞれ、円筒形状、または代替的に、例えば円錐台形状などの別の形状を有することができる。上部に大きな寸法の断面を有する円錐台形状のナノワイヤは、オーミック接触層の堆積を促進することができる。
【0028】
本発明は、発光ダイオードを製造する方法にも関し、少なくとも以下を含む:
・nドープされたAlX1Ga(1-X1-Y1)InY1N(X1>0およびX1+Y1≦1)の第1の層を生成するステップ、
・第1の層上に配置され、少なくとも1つの多重量子井戸発光構造を含む活性領域を生成するステップ、
・活性領域上に、pドープされたAlX2Ga(1-X2-Y2)InY2N(X2>0およびX2+Y2≦1)の第2の層を生成するステップ、
・第2の層上に、インジウム原子およびマグネシウム原子でpドープされたAlNに基づくナノワイヤを生成するステップ、
・ナノワイヤと接触して配置されたオーミック接触層を生成するステップ。
【0029】
第1の層、活性領域および第2の層は、MOCVD型の堆積によって生成することができ、ナノワイヤは、分子線エピタキシーによって生成することができる。
【0030】
オーミック接触層は、例えば、分子線エピタキシーによって、真空蒸着によって、陰極スパッタリングによって、化学気相堆積(CVD)によって生成することができる。
【0031】
1つの特定の構成によれば、ナノワイヤの生成は、以下のステップの実施を含み得る:
・第2の層上に、生成が意図されるナノワイヤの数および配置に対応する数および配置の開口部が通過するハードマスクを生成するステップ、
・ハードマスクが配置される第2の層の面上で、ハードマスクの開口部からエピタキシーによってナノワイヤを生成するステップ。
【0032】
別の特定の構成によれば、ナノワイヤの生成は、以下のステップの実施を含み得る:
・第2の層の厚さの少なくとも一部で、ナノワイヤの生成が意図される側の第2の層の面からエッチングが実行され、その数および配置が生成が意図されるナノワイヤの数および配置に対応するピラーを形成するステップ、
・第2の層に形成されたピラー上でのエピタキシーによってナノワイヤを生成するステップ。
【0033】
本発明は、添付の図面を参照して、例示のみを目的とし、限定するものではない例示的な実施形態の説明を読むことにより、よりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】UV範囲で発光する先行技術のLEDを示す。
【
図2】異なる実施形態による、本発明の目的である材料層およびナノワイヤを含むハイブリッド構造LEDを示す図である。
【
図3】異なる実施形態による、本発明の目的である材料層およびナノワイヤを含むハイブリッド構造LEDを示す図である。
【
図4】異なる実施形態による、本発明の目的である材料層およびナノワイヤを含むハイブリッド構造LEDを示す図である。
【
図5】異なる実施形態による、本発明の目的である材料層およびナノワイヤを含むハイブリッド構造LEDを示す図である。
【
図6】本発明の目的である、材料の層およびナノワイヤを含むハイブリッド構造LEDを製造する第1の方法のステップを示す図である。
【
図7】本発明の目的である、材料の層およびナノワイヤを含むハイブリッド構造LEDを製造する第1の方法のステップを示す図である。
【
図8】本発明の目的である、材料の層およびナノワイヤを含むハイブリッド構造LEDを製造する第1の方法のステップを示す図である。
【
図9】本発明の目的である、材料の層およびナノワイヤを含むハイブリッド構造LEDを製造する第1の方法のステップを示す図である。
【
図10】本発明の主題である、材料の層およびナノワイヤを含むハイブリッド構造LEDを製造するための第2の方法のステップを示す図である。
【
図11】本発明の主題である、材料の層およびナノワイヤを含むハイブリッド構造LEDを製造するための第2の方法のステップを示す図である。
【
図12】本発明の主題である、材料の層およびナノワイヤを含むハイブリッド構造LEDを製造するための第2の方法のステップを示す図である。
【
図13】本発明の主題である、材料の層およびナノワイヤを含むハイブリッド構造LEDを製造するための第2の方法のステップを示す図である。
【
図14】本発明の主題である、材料の層およびナノワイヤを含むハイブリッド構造LEDを製造するための第2の方法のステップを示す図である。
【0035】
以下に記載される様々な図の同一、類似、または同等の部分には、ある図から別の図への移行を容易にするために同じ参照番号を付けている。
【0036】
図を読みやすくするために、図に示されている様々な部分は、必ずしも一定の縮尺で描かれているわけではない。
【0037】
様々な可能性(変形および実施形態)は、相互に排他的ではなく、互いに組み合わせることができると理解されなければならない。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下に説明する
図2は、第1の実施形態による、材料およびナノワイヤの層から形成されたハイブリッド構造LED100を示す。
【0039】
以下の説明では、用語「厚さ」は、Z軸に平行な寸法、すなわち、LED100の様々な層の積層方向に平行な寸法を示すために使用される。
【0040】
LED100は、基板102を含む。この第1の実施形態では、基板102は、例えばサファイアを含む。例えばシリコンなどの半導体材料を含む、他のタイプの基板が使用されてもよい。この基板102の厚さは、例えば数百ミクロンに等しい。
【0041】
LED100はまた、基板102上に配置されたバッファ層104を含む。バッファ層104はAlNを含む。バッファ層104の厚さは、例えば、約0.5から3ミクロンの間である。
【0042】
LED100は、nドープAlX1Ga(1-X1-Y1)InY1Nの第1の層106を含み、ここでX1>0およびX1+Y1≦1である。好ましくは、X1の値は、約0.7から0.8の間であり、Y1の値は、約0から0.1の間である。有利には、Y1の値はゼロであり、これは、第1の層106の半導体がAlGaNであることを意味する。第1の層106の厚さは、例えば1μmに等しいか、または約0.5μmから5μmの間である。
【0043】
例示的な実施形態によれば、第1の層106の半導体のn型ドーピングは、この半導体の堆積中に、シリコン原子を第1の層106の半導体に組み込むことによって得られる。第1の層106の半導体中のドーパントの濃度は、例えば、1017原子/cm3から1019原子/cm3の間である。
【0044】
LED100は、pドープ半導体の第2の層108も含む。第2の層108の半導体は、pドープされたAlX2Ga(1-X2-Y2)InY2Nに対応し、ここでX2>0およびX2+Y2≦1である。有利には、第2の層108の半導体は、X2=X1およびY2=0である。X2=1であることも可能であり、有利である。第2の層108の半導体におけるドーパントの濃度は、例えば、約1018原子/cm3から1021原子/cm3の間である。第2の層108の厚さは、例えば1μmに等しく、より一般的には約0.2μmから1μmの間である。
【0045】
LED100はまた、第1の層106と第2の層108との間に配置される活性領域110を含む。この活性領域110は、光が放出されることが意図される多重量子井戸発光構造を含む。この発光構造は、それぞれが2つのバリア層114の間に配置された1つ以上の発光層112を含む。
【0046】
発光層112は、例えばAlX3Ga(1-X3)Nに対応する半導体を含み、ここでX3はX3<X2であり、X1及びX3は好ましくは0から0.9の間である。この半導体は、意図的にドープされていない(または真性)であり、すなわち、LED100の製造中に、ドーピング原子を半導体に導入するステップを施していない。この半導体に存在する残留ドーピング原子の濃度は、例えば、約1015から1017原子/cm3である。発光層112のそれぞれの厚さは、例えば、約1から10nmの間である。
【0047】
有利には、X3の値は、活性領域110の発光層112から放出される光の波長がUV範囲、特に約210nmから340nmの間、より具体的にはUV-C(すなわち、210nmから280nmの間)に属するように選択され、これは0.7<X3<1となるようなX3に対応する。X3が0から1の間であることも可能であり、X3=1の場合、LEDの構造は、200nmに等しい波長で発光を行うのに有利である。
【0048】
バリア層114はまた、例えばAlNまたはAlXGa1-XN(X>X3、好ましくはX3+0.1に等しい)に対応する半導体を含む。発光層112の半導体として、バリア層114の半導体は意図的にドープされていない。バリア層114のそれぞれの厚さは、例えば、約1nmから10nmの間である。
【0049】
活性領域110の厚さは、例えば100nmに等しく、より一般的には約100nmから300nmの間である。
【0050】
図2に見られるLED100に対応する例示的な実施形態では、LED100はまた、第1の層106が活性領域110と第3の層116との間に配置されるように、第3の層116を含む。この第3の層116は、例えば、意図的にドープされていないAl
X4Ga
(1-X4-Y4)In
Y4Nを含み、ここでX4>0およびX4+Y4≦1である。好ましくは、X4の値は約0.3から0.7の間であり、Y4の値は約0から0.1の間である。第3の層116の組成が、第1の層106の組成と同一であること、またはX4が例えばX1-0.1に等しいことも可能である。第3の層116の厚さは、例えば、約500nmから2ミクロンの間である。第3の層116に存在する残留ドーパントの濃度は、例えば、約5.10
15から5.10
16ドーパント/cm
3の間である。
【0051】
或いは、LED100が第3の層116を含まないことも可能である。
【0052】
図2に示される特定の例示的な実施形態では、LED100はまた、第1の層106と活性領域110との間に配置された、意図的にドープされていないAlGaNの層118を含み、その厚さは例えば20nmに等しいか、または約10nmから30nmの間であり、ならびに第2の層108と活性領域110との間に配置され、第2の層108における電子の過剰を回避し、活性領域110における電荷キャリアの再結合を促進する電子ブロッキング層として使用される意図的にドープされていないAlGaNの層120を含み、その厚さが例えば20nmに等しいか、または約10nmと30nmとの間である。或いは、LED100は、層118を含まなくてもよい。
【0053】
LED100はまた、第2の層108上に形成されたpドープされたAlN系ナノワイヤ122を含む。これらのナノワイヤ122の幾何学的特徴は、例えば、直径が50nmから100nmの間であり、密度が1cm2あたり1010の範囲であり、ワイヤの中心間の間隔が100nmから200nmの間であり、高さは例えば100nmから1ミクロンの間である。
【0054】
ナノワイヤ122におけるpドープレベルが有意になるように、すなわち約1020原子/cm3を超えるようにするために、ナノワイヤ122の材料はインジウム原子およびマグネシウム原子でドープされる。ナノワイヤ122中のインジウムの原子濃度は、例えば、約1017から1021原子/cm3の間であり、ナノワイヤ122中のマグネシウムの原子濃度は、例えば、約1018から1021原子/cm3の間である。本明細書に記載のLED100に適用可能なそのようなドーピングの他の特徴は、A-M Siladieらによる刊行物「Mg and In Codoped p-type AlN Nanowires for pn Junction Realization」、Nano Letters 2019 19(12)、8357-8364に記載されている。
【0055】
LED100はまた、ナノワイヤ122の周りに形成され、例えばSiO2を含む誘電体層123を含む。誘電体層123は、ナノワイヤ122がその上部から電気的に接続できるように、ナノワイヤ122の上部を覆わない。
【0056】
最後に、LED100は、ナノワイヤ122の上部に配置され、これらのナノワイヤ122に電気的に接続されたオーミック接触層124を含む。このオーミック接触層124は、例えばITOまたは有利にはダイヤモンドなど、導電性であり、LED100によって放射されることを意図された波長に対して透明である少なくとも1つの材料を含む。
【0057】
以下に説明する
図3は、第2の実施形態による、材料の層およびナノワイヤを含むハイブリッド構造LED100を示す。
【0058】
前述の第1の実施形態によるLED100と比較して、この第2の実施形態によるLED100は、ナノワイヤ122の上部を覆い、かつナノワイヤ122の横側面を覆うことによって、第2の層108上のナノワイヤ122間に堆積されるオーミック接触層124を含む。このようなオーミック接触層124は、例えば、ナノワイヤ122が配置される第2の層108の表面に対して垂直にこの層の材料を堆積することによって得られる。このようなオーミック接触層124は、オーミック接触層124とナノワイヤ122との間の接触面が第1の実施形態よりも大きいので有利である。この第2の実施形態では、LED100は誘電体層123を含まない。
【0059】
以下に説明する
図4は、第3の実施形態による、材料の層およびナノワイヤを含むハイブリッド構造LED100を示す。
【0060】
前述の第1および第2の実施形態によるLED100に対して、この第3の実施形態によるLED100の第2の層108は、ナノワイヤ122の製造が意図されている側の第2の層108の面から、その厚さの一部にわたってエッチングされる。製造されるナノワイヤ122の数および配置に対応する数および配置を有するピラー125またはカラムが、第2の層108のエッチングされた部分に形成される。
図4の例では、ピラー125はそれぞれ、ピラー125がエッチングされた第2の層108の面に平行な平面(平面(X,Y)に平行な平面)において、円形または楕円形である断面を有する。或いは、ピラー125のこれらの断面は、様々な形状、例えば多角形であってもよい。円形断面のピラー125の場合、各ピラー125の断面の直径は、例えば、約50nmから100nmの間である。多角形断面のピラー125の場合、各ピラー125の断面の最大対角線は、例えば、約50nmから100nmの間である。各ピラー125の高さ(Z軸に沿った寸法であり、LED100の様々な層の積層方向に対応する)は、例えば、約300nmから500nmの間である。
【0061】
ナノワイヤ122はピラー125上に生成される。誘電体層123は、ナノワイヤ122およびピラー125の周囲に形成され、ナノワイヤ122の上部を覆わない。オーミック接触層124は、ナノワイヤ122の上部に配置され、これらのナノワイヤ122に電気的に接続され、ナノワイヤ122間に位置する誘電体層123の部分上にも置かれている。
【0062】
以下に説明する
図5は、第4の実施形態による、材料の層およびナノワイヤを含むハイブリッド構造LED100を示す。
【0063】
第3の実施形態と同様に、この第4の実施形態によるLED100は、第2の層108の厚さの一部に形成されたピラー125を含み、これらのピラー125上にナノワイヤ122が形成される。この第4の実施形態では、オーミック接触層124は、ナノワイヤ122の上部を覆い、また、ナノワイヤ122およびピラー125の横側面を覆うことによって、第2の層108のエッチングされていない部分上の、ナノワイヤ122の間およびピラー125の間にも配置される。
【0064】
この実施形態の代替として、オーミック接触層124は、ナノワイヤ122の上部を覆わなくてもよい。この場合、オーミック接触層124は、ナノワイヤ122およびピラー125の横側面のみを覆う。
【0065】
別の実施形態によれば、誘電体層123は、ピラー125の横側面のみを覆うことができ、この場合、オーミック接触層124は、ナノワイヤ122の横側面、および場合によってはナノワイヤ122の上部を覆う。例えば、ピラー125の高さの一部分にわたってのみピラー125の横側面を覆う誘電体層123と、ピラー125の残りの高さにわたってピラー125の横側面を覆い、ナノワイヤ122の横側面も覆うオーミック接触層124とを有することによる、またそれとは別に、ピラー125の横側面を覆い、ナノワイヤ122の高さの一部分にわたってナノワイヤ122の横側面を覆う誘電体層123と、ナノワイヤ122の残りの高さにわたってナノワイヤ122の横側面を覆うオーミック接触層124とを有することによる、変形が可能である。すべての場合において、オーミック接触層124は、ナノワイヤ122の上部を覆っていてよく、または覆っていなくてもよい。
【0066】
前述の第1、第2、第3、および第4の実施形態の代わりに、第2の層108との界面におけるナノワイヤ122の横方向の寸法は、オーミック接触層124との界面におけるものよりも小さくてよい。この変形例では、ナノワイヤ122は、第2の層108と接触するナノワイヤ122の表面が、その上部におけるナノワイヤ122の表面よりも小さくなるように、実質的に切断された円錐形状を有する。
【0067】
LED100を製造するための第1の方法は、
図6から9に関連して以下に説明される。
【0068】
図6に示されるように、LED100の様々な層は、基板102から、連続堆積によって生成され、これらの堆積は有利にはMOCVD型である。このようなMOCVD堆積中に、半導体を堆積するために使用される構成要素は、有機金属前駆体、例えば、アルミニウム源として使用されるトリメチルアルミニウムまたはトリエチルアルミニウム、窒素源として使用されるアンモニア、インジウム源として使用されるトリメチルインジウムまたはトリエチルインジウム、および任意にガリウム源として使用されるトリメチルガリウムまたはトリエチルガリウムである。
【0069】
第2の層108を生成した後、ハードマスクの製造が意図される層126が、第2の層108上に堆積される(
図7を参照)。この層126は、例えば、SiNまたはグラフェンまたはTiNを含む。
【0070】
次に、リソグラフィおよびエッチングステップを実施して、層126を通して、製造が意図されるナノワイヤ122の数および配置に対応する数および配置を有する開口部128を形成し、こうして、ナノワイヤ122の成長に使用されるハードマスク130を形成する(
図8参照)。
【0071】
ナノワイヤ122を形成するために、ハードマスク130の開口部128から有利には分子ビームによるエピタキシーが実行される(
図9)。インジウム原子およびマグネシウム原子によるナノワイヤ122の材料のドーピングは、それらの成長と同時に実施される。このようなドーピングの実施の詳細は、A-M Siladieらによる刊行物「Mg and In Codoped p-type AlN Nanowires for pn Junction Realization」、Nano Letters 2019 19(12)、8357-8364に記載されている。
【0072】
LED100は、第1の実施形態について前述したように(
図2を参照)、最初に誘電体層123を製造し、次にオーミック接触層124を製造するか、または第2の実施形態について前述したように(
図3を参照)、オーミック接触層124を製造することによって、完成する。両方の場合において、ハードマスク130は保持されてよく、または誘電体層123またはオーミック接触層124の製造の前に除去されてもよい。ハードマスク130は、LED100によって放出されたUV光の吸収を回避するために除去されることが好ましい。
【0073】
誘電体層123は、例えばスピンコーティングによって生成される。オーミック接触層124は、例えば、分子線エピタキシーによって、真空蒸着によって、陰極スパッタリングによって、または化学蒸着によって生成される。
【0074】
LED100を製造するための第2の方法は、
図10から14に関連して以下に説明される。
【0075】
図6から
図8に関連して前述したLED100を製造するための第1の方法のステップが最初に実施される。これらのステップは
図10から12に示される。
【0076】
次いで、ハードマスク130を使用して、第2の層108の厚さの一部において、ナノワイヤ122の製造が意図される側(これは、ハードマスク130が作製される第2の層108の面に対応する)の第2の層108の面から、開口部128の数および配置に対応する数および配置のピラー125をエッチングする。その後、ハードマスク130が除去される(
図13参照)。
【0077】
ピラー125の上部にナノワイヤ122を成長させるために、有利には分子ビームによるエピタキシーが実施される(
図14)。インジウム原子およびマグネシウム原子によるナノワイヤ122の材料のドーピングは、第1の製造方法で前述したものと同様に、それらの成長と同時に実施される。
【0078】
LED100は、第3の実施形態について前述したように(
図4を参照)、最初に誘電体層123を生成し、次にオーミック接触層124を生成するか、または第4の実施形態について前述したように(
図5を参照)、オーミック接触層124を生成することによって完成する。
【0079】
さらに、上述の様々な製造方法では、ナノワイヤ122は、第2の層108との界面における横方向の寸法がその上部における横方向の寸法よりも小さくなるように製造され得る。このようなナノワイヤを形成するための実施の詳細は、A-M Siladieらによる刊行物「Mg and In Coposed p-type AlN Nanowires for pn Junction Realization」、Nano Letters 2019 19(12)、8357-8364に記載されている。
【0080】
上述の製造方法では、ナノワイヤ122は、LED100の他の層を製造するために使用される装置とは異なる装置で製造される。1つの装置から他の装置への移動、例えば、LED100の層を生成するために使用されるMOCVD堆積装置からナノワイヤ122を生成するために使用されるMBEエピタキシー装置への移動を容易にするために、MOCVD堆積装置からそれを取り出す前に、MOCVD堆積によって生成された構造上に、例えばGaNに基づく保護層を堆積することが可能である。構造がMBEエピタキシー装置に入ると、保護層は除去され、ナノワイヤ122が生成される。
【符号の説明】
【0081】
100 発光ダイオード
106 第1の層
108 第2の層
110 活性領域
112、114 多重量子井戸発光構造
116 第3の層
122 ナノワイヤ
123 誘電体層
124 オーミック接触層
125 ピラー
128 開口部
130 ハードマスク
【国際調査報告】