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▶ サン−ゴバン セラミックス アンド プラスティクス,インコーポレイティドの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-24
(54)【発明の名称】イオン伝導性層およびその形成方法
(51)【国際特許分類】
   H01B 1/06 20060101AFI20230517BHJP
   C08J 9/30 20060101ALI20230517BHJP
   H01M 10/0562 20100101ALI20230517BHJP
   H01M 4/38 20060101ALI20230517BHJP
   H01M 4/134 20100101ALI20230517BHJP
【FI】
H01B1/06 A
C08J9/30 CER
C08J9/30 CEZ
H01M10/0562
H01M4/38 Z
H01M4/134
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022563204
(86)(22)【出願日】2021-04-23
(85)【翻訳文提出日】2022-10-18
(86)【国際出願番号】 US2021028950
(87)【国際公開番号】W WO2021217075
(87)【国際公開日】2021-10-28
(31)【優先権主張番号】63/014,260
(32)【優先日】2020-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】593150863
【氏名又は名称】サン-ゴバン セラミックス アンド プラスティクス,インコーポレイティド
【氏名又は名称原語表記】SAINT-GOBAIN CERAMICS AND PLASTICS, INC.
【住所又は居所原語表記】One New Bond Street, Worcester, MA 01615, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高木 裕登
(72)【発明者】
【氏名】リー、チュアンピン
(72)【発明者】
【氏名】ワン、ルオファン
(72)【発明者】
【氏名】マッガーン、マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ウスペンスキー、ウラジミール
(72)【発明者】
【氏名】フラマンク、ジェレミー
【テーマコード(参考)】
4F074
5G301
5H029
5H050
【Fターム(参考)】
4F074AA36
4F074AA64
4F074AA91
4F074AA95
4F074AC13
4F074AC35
4F074AD11
4F074AG01
4F074AG02
4F074AG08
4F074BA39
4F074BB10
4F074CB52
4F074CC04Y
4F074CC06Y
4F074CC10X
4F074CC22X
4F074DA49
5G301CA16
5G301CD01
5H029AJ06
5H029AL12
5H029AM12
5H029EJ01
5H029EJ12
5H029HJ00
5H029HJ01
5H029HJ02
5H029HJ06
5H029HJ07
5H050AA12
5H050BA16
5H050BA17
5H050CA01
5H050CA08
5H050CA09
5H050CB03
5H050CB08
5H050CB12
5H050DA09
5H050DA13
5H050EA23
5H050HA00
5H050HA01
5H050HA02
5H050HA06
5H050HA07
(57)【要約】
固体イオン伝導性層は、発泡マトリックスと、吸湿性材料を含む電解質材料とを含むことができる。実施形態において、電解質材料は、ハロゲン化物系材料、硫化物系材料、又はそれらの任意の組合せを含むことができる。別の実施形態では、固体イオン伝導性層は、固体イオン伝導性層の総体積に対して少なくとも30vol%の総空隙率を含むことができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハロゲン化物系材料を含む電解質材料を含む発泡マトリックスを含む、固体イオン伝導性層。
【請求項2】
発泡マトリックスが有機材料を含み、有機材料の含有量が固体イオン伝導性層の総体積に対して0.5vol%以上、50vol%以下である、請求項1に記載の固体イオン伝導性層。
【請求項3】
発泡マトリックスがシロキサンを含むポリマーを含む、請求項1に記載の固体イオン伝導性層。
【請求項4】
発泡マトリックス内に埋め込まれた白金を含む、請求項3記載の固体イオン伝導性層。
【請求項5】
発泡マトリックスがポリジメチルシロキサンを含む、請求項1に記載の固体イオン伝導性層。
【請求項6】
発泡マトリックスの全重量に対して、少なくとも10ppmから最大1wt.%のPtを含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の固体イオン伝導性層。
【請求項7】
発泡マトリックスが、ポリマーを含む有機材料を含み、ポリマーが、最大10のHLB数、最大20%の反応性値、またはそれらの組み合わせを有する、請求項1に記載の固体イオン伝導性層。
【請求項8】
発泡マトリックスが、エポキシ、ポリウレタン、ポリ(エチレン)、ポリ(エチレンオキシド)、またはそれらの組み合わせを含むポリマーを含む有機材料を含む、請求項1、2、および7のいずれか1項に記載の固体イオン伝導性層。
【請求項9】
発泡マトリックスがポリ塩化ビニルを含む、請求項1、2、7のいずれか1項に記載の固体イオン伝導性層。
【請求項10】
固体イオン伝導性層の総体積に対して、30vol%以上95vol%以下の総空隙率を有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の固体イオン伝導性層。
【請求項11】
発泡マトリックスが、少なくとも0.1ミクロンから最大50ミクロンの平均孔径を有する細孔を含む空隙率を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の固体イオン伝導性層。
【請求項12】
前記ハロゲン化物系材料は、式M3-δ(Mek+3-δ+k*fで表され、-3≦δ<3、0≦f≦1、kはMeの原子価、2≦k<6、MはLiを含むアルカリ金属元素を含む、MeはMと異なる金属元素を含む、Xはハロゲンを含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の固体イオン伝導性層。
【請求項13】
電解質材料が、ハロゲン化物と複合化させたハロゲン化アンモニウムを含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の固体イオン伝導性層。
【請求項14】
ポリマーが、ビニル終端ポリジメチルシロキサン、ヒドリド官能性シロキサン、メチルヒドロシロキサン-ジメチルシロキサンコポリマー、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の固体イオン伝導性層。
【請求項15】
発泡マトリックス中に分散されたリチウム金属をさらに含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の固体イオン伝導性層。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
以下、イオン伝導性層およびその形成方法、特に、固体イオン伝導性層およびその形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術の説明
固体リチウム電池は、リチウム金属負極の実現により、従来のリチウムイオン電池に比べてエネルギー密度が高く、充電時間が短く、安全性への懸念が少ないと期待されている。固体電解質は、リチウム金属負極の性能向上に役立つことが実証されている。
【0003】
業界では、性能を向上させた固体電池の需要が続いている。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図面の簡単な説明
本開示は、添付図面を参照することによって、よりよく理解され、その多数の特徴および利点が当業者に明らかにされ得る。
【0005】
図1図1は、本明細書の実施形態に係るイオン伝導性層の断面を示す説明図を含む。
図2図2は、本明細書の別の実施形態に係るイオン伝導性層の断面図を含む。
図3図3は、本明細書の別の実施形態に係るイオン伝導性層の断面図を含む。
図4図4は、本明細書の別の実施形態による多層構造の断面説明図を含む。
図5図5は、本明細書の別の実施形態による多層構造の断面説明図を含む。
図6図6は、本明細書の一実施形態による多層構造の断面図を含む。
図7図7は、本明細書の一実施形態に係る処理の説明図を含む。
図8図8A図8Dは、グリーン層を形成する工程を示す説明図である。
図9図9は、本明細書の別の実施形態に従った処理の説明図を含む。
【0006】
当業者は、図中の要素は、単純化及び明確化のために図示されており、必ずしも縮尺通りに描かれていないことを理解する。例えば、図中のいくつかの要素の寸法は、本発明の実施形態の理解を向上させるために、他の要素に対して誇張され得る。異なる図面における同じ参照符号の使用は、類似または同一の項目を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
好ましい実施形態の詳細な説明
図と組み合わせた以下の説明は、本明細書に開示される教示の理解を助けるために提供される。以下の議論は、本教示の特定の実装及び実施形態に焦点を当てる。この焦点は、教示を説明するのを助けるために提供され、教示の範囲または適用性を制限するものとして解釈されるべきではない。
【0008】
本明細書で使用される場合、用語「含む」、「含み」、「包含する」、「有する」、「有し」、またはそれらの他の変形は、非排他的な包含をカバーすることを意図している。例えば、特徴のリストを含むプロセス、方法、物品、または装置は、必ずしもそれらの特徴のみに限定されるわけではなく、明示的にリストされていない他の特徴またはそのようなプロセス、方法、物品、または装置に固有の特徴を含むことが可能である。さらに、明示的に反対を表明しない限り、「または」は包括的な「または」を指し、排他的な「または」を指さない。例えば、条件AまたはBは、以下のいずれか1つによって満たされる。Aは真(または存在)であり、Bは偽(または存在しない)、Aは偽(または存在しない)であり、Bは真(または存在)、AおよびBの両方が真(または存在)である。
【0009】
「1つ」または「1個」の使用は、本明細書に記載される要素および構成要素を説明するために採用される。これは、単に便宜上、および本発明の範囲の一般的な感覚を与えるために行われるものである。本明細書は、そうでないことが明らかでない限り、1つまたは少なくとも1つを含むように読まれるべきであり、単数形は複数形も含み、またはその逆もまた然りである。
【0010】
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、この発明が属する技術分野における通常の技術者が一般的に理解するのと同じ意味を有する。材料、方法、および例は、例示に過ぎず、限定することを意図していない。
【0011】
本明細書の実施形態は、イオン伝導性材料を含む固体イオン伝導性層に関する。実施形態において、イオン伝導性材料は、電解質材料であってもよい。電解質材料は、吸湿性材料を含むことができる。特定の実施形態では、電解質材料は、固体リチウムイオン電池などの固体電池の用途に適したバルクイオン伝導度を有する硫化物系又はハロゲン化物系電解質材料を含むことができる。特定の実施形態において、固体イオン伝導性層は、電解質材料を含む発泡マトリックスなどの空隙率構造を含むことができる。実施形態において、イオン伝導性層は、負極又は正極活物質などの電子伝導性材料をさらに含む複合層とすることができる。さらなる実施形態において、イオン伝導性層は、電気化学デバイスの構成要素とすることができる。例えば、イオン伝導性層は、陽極、陰極、又はそれらのいかなる組み合わせを含む複合層に形成することができる。特定の実施形態では、電気化学デバイスは、固体リチウムイオン電池を含むことができる。
【0012】
実施形態は、さらに、固体イオン伝導性層を形成する方法に関する。この方法は、典型的には吸湿性であるハロゲン化物ベースまたは硫化物ベースの電解質材料を含む空隙率構造の形成を可能にすることができる。この方法は、さらに、固体電池の用途に適するように、制御された多孔性(空隙率)及び/又は固体イオン伝導性層の厚さを形成することを可能にし得る。
【0013】
実施形態において、固体イオン伝導性層は、電解質材料を含む発泡マトリックスを含むことができる。一態様では、電解質材料は、発泡マトリックスに埋め込むことができる。さらなる態様において、電解質材料は、吸湿性材料を含むことができる。例示的な吸湿性電解質材料は、ハロゲン化物系材料、硫化物系材料、またはそれらの任意の組合せを含むことができる。別の態様において、発泡マトリックスは、吸湿性電解質材料を含むことができる。
【0014】
一実施形態において、発泡マトリックスは、複合金属ハロゲン化物を含むハロゲン化物系電解質材料を含むことができる。ある態様において、複合金属ハロゲン化物は、M3-δ(Mek+3-δ+k*f(式I)で表すことができ、ここで、-3≦δ<3;0≦f≦1;kはMeの原子価;および2≦k<6である。特定の態様において、複合金属ハロゲン化物は、M3-δMek+3-δ+k(式II)で表すことができ、ここで、-0.95≦δ≦0.95である。
【0015】
Mは、Li、Na、Rb、Cs、K、またはそれらのいかなる組み合わせを含むアルカリ金属元素を含むことができる。Meは、2価の元素、3価の元素、4価の元素、5価の元素、6価の元素、またはこれらのいかなる組み合わせを含むことができる。Meが元素の組み合わせである場合、kは元素の合計原子価の平均値であり得る。例えば、Meが3価の元素をxモル、4価の元素をyモル含む場合、k=(3x+4y)/(x+y)である。Meが3価の元素と4価の元素を等モル量含む例では、k=3.5である。より特定の例では、kは3または4または5であってもよい。Xは、ハロゲンを含むことができる。例では、Xは、ハロゲンに加えて、アニオン基を含むことができる。そのようなアニオン基は、アミド(-NH)、水酸化物(-OH)、-BF、-BH(水素化ホウ素)、またはそれらの組み合わせを含むことができる。アニオン基は、不純物またはドーパントとして含まれることができる。特定の例では、Xは、1つ以上のハロゲン、または1つ以上のハロゲンとアニオン基の組合せを含むことができる。
【0016】
特定の例では、MはLiを含むことができる。ある例では、Mは、Liおよび別のアルカリ金属元素を含むことができる。別の例では、Mは、Liを含むことができる。別の例では、Mは、Li、Na、Cs、Rb、及びKのうちの少なくとも1つから成ることができる。特定の例では、Mは、Li、並びにCs及びNaのうちの少なくとも1つから成ることができる。
【0017】
Meのさらなる例は、Mg、Ca、Sr、及び/又はBaなどのアルカリ土類元素、Znなどの第12族元素、又はそれらの任意の組合せを含むことができる。本開示で指摘された元素群に関して、2018年12月1日に公開されたIUPAC元素周期表を参照する。
【0018】
別の例では、Meは、1つ以上の3価の元素を含むことができる。例えば、Meは、In及び/又はAlなどの13族元素、3族元素、Sc、Y、及び/又はランタノイドなどの希土類元素、又はそれらの任意の組合せを含むことが可能である。さらに別の例では、Meは、4族元素(すなわち、Zrおよび/またはHf)などの1つまたは複数の4価の元素、Sn、5族元素(すなわち、Nb、および/またはTa)などの1つまたは複数の5価の元素、Bi、またはこれらのいかなる組み合わせを含むことが可能である。特定の例では、Meは、Y、Sc、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Tm、Gd、Tb、Dy、Ho、Lu、またはそれらのいかなる組み合わせなどの、希土類元素を含むことが可能である。
【0019】
特定の態様において、ハロゲン化物系材料は、(Li1-dNa)LiREX(式III)を含むことができ、ここで、REは1以上の希土類元素であり、0≦d<1である。REの特定の例は、Y、Gd、Er、またはそれらの組み合わせを含むことができる。例えば、REはYを含むことができ、別の特定の例では、REはYと少なくとも1つの他の希土類元素を含むことができる。
【0020】
別の特定の態様において、ハロゲン化物系材料は、LiRE1-Z(式IV)を含んでもよく、ここで、0<Z≦1、REはY以外の1つまたは複数の希土類元素である。
【0021】
ハロゲン化物系電解質材料の特定の例としては、Li3YBr6, Li3YCl6, Li3(Al, Ga, In)X6, (Li0.5,Na0.5)2LiYCl6, Li3YBr6, Li2.5Y0.5Zr0.5Cl6, Li3Y0.95Sm0.05Br3Cl3, Li3Y0.9Sm0.1Br3Cl3, Li3YBr3Cl3, Li3Y0.9Er0.1Br3Cl3, Li3Y0.9Lu0.1Br3Cl3, Li3Y0.9Tb0.1Br3Cl3, Li3Y0.95Bi0.05Br6, Li3Y0.9Dy0.1Br3Cl3, Li3Y0.9Eu0.1Br3Cl3, Li3.1Y0.9Ba0.1Br6, Li2.8Y0.9Ta0.1Br2Cl2I2, Li3.2Y0.9Sr0.2Br6, LiCsCl2, Li3YCl3Br3など、またはそのいかなる組み合わせが挙げられる。
【0022】
別の特定の態様において、ハロゲン化物系電解質材料は、NHCl、NHBr、またはそれらの組み合わせなどのハロゲン化アンモニウムを含むことができる。特定の態様において、ハロゲン化アンモニウムは、複合金属ハロゲン化物中に存在するドーパントまたは不純物であってもよい。
【0023】
別の実施形態では、吸湿性材料は、反ペロブスカイト結晶構造を有するハロゲン化リチウム、オキシハロゲン化リチウム、ハロゲン化水酸化リチウム、またはそれらの組合せを含むことができる。例えば、吸湿性材料は、Li3-xx/2OA1-zA’、ここでAおよびA’はF、Cl、Br、またはIなどのAサイトハロゲンである。特定の例は、Li3OCl, Li3OBr, Li3O(Cl, Br) (例えば、Li3OCl0.5Br0.5), Li2OHX (例えば、Li2OHCl 及び Li2OHBr)等を挙げることができる。
【0024】
別の態様では、電解質材料は、硫化物系材料を含むことができる。硫化物系材料は、非晶質相、結晶相、またはそれらの任意の組合せを含むことができる。硫化物系材料の特定の例としては、下記のものを含むことができるが、それらに限定されない:xLi2S-yP2S5 (LPS), 例えば 0.67Li2S-0.33P2S5, 80Li2S-20P2S5, 75Li2S-25P2S5, 70Li2S-30P2S5, など, Li2S-X, ここで、Xは下記の少なくとも1つの硫化物を指す:SiS2, GeS2, 及び B2S3, 例えば 0.50Li2S-0.50GeS2, LiI-Li2S-SiS2, 例えば 0.40LiI-0.36Li2S-0.24SiS2 など, 0.05Li4SiO4-0.57Li2S-0.38SiS2, Li3PO4-Li2S-SiS2, 例えば 0.01Li3PO4-0.63Li2S-0.36SiS2など, LiI-Li2S-B2S3, 例えば 0.44LiI-0.30Li2S-0.26B2S3 など, LiI-Li2S-P2S5, 例えば 0.45LiI-0.37Li2S-0.18P2S5 など, a-Li3PS4, LGPS (例えば, Li10GeP2S12), LPSCl (例えば, Li6PS5Cl), LPSBr (例えば, Li6PS5Br), LSPSCl (例えば, Li9.54Si1.74P1.44S11.7Cl0.3), Li10.35[Sn0.27Si1.08]P1.65S12またはそれらの任意の組合せ。
【0025】
別の実施形態では、電解質材料は、固体イオン伝導性材料の改良された性能の形成を促進することができる特定のバルクイオン伝導度を有することができる。一態様において、電解質材料は、少なくとも0.1mS/cm、0.5mS/cm、1mS/cm、少なくとも1.5mS/cm、または少なくとも2mS/cmのバルクイオン伝導度を有することができる。別の態様では、電解質材料は、バルクイオン伝導度が、最大50mS/cm、最大45mS/cm、最大40mS/cm、最大40mS/cm,最大35mS/cm、最大30mS/cm、最大29mS/cm、最大25mS/cm、最大20mS/cm、最大15mS/cm、最大10mS/cm、最大5mS/cm、最大3mS/cm、2mS/cm、または1mS/cmの範囲である。さらに、電解質材料は、本明細書に記された最小値及び最大値のいずれかを含む範囲内のバルクイオン伝導度を有することができる。本明細書に記載されるように、バルクイオン伝導度は、23℃で測定される。
【0026】
さらなる実施形態において、固体イオン伝導性層は、固体イオン伝導性層の改善された形成及び特性及び/又は性能を容易にすることができる電解質材料の特定の含有量を含むことができる。一態様では、固体イオン伝導性層は、固体イオン伝導性層の総体積に対して少なくとも5vol%の電解質材料、例えば、イオン伝導性層の総体積に対して少なくとも7vol%、少なくとも9vol%、少なくとも10vol%、少なくとも12vol%、少なくとも15vol%、少なくとも17vol%、少なくとも19vol%、少なくとも20vol%、少なくとも25vol%、少なくとも27vol%、又は少なくとも30vol%を含むことができる。別の態様では、固体イオン伝導性層は、固体イオン伝導性層の総体積に対して、電解質材料の最大70vol%、例えば、最大68vol%、最大65vol%、最大60vol%、最大58vol%、最大55vol%、最大50vol%を含むことができる。固体イオン伝導性層の総体積に対して、最大48vol%、最大45vol%、最大42vol%、最大40vol%、最大38vol%、最大35vol%、最大30vol%、最大28vol%、最大25vol%、最大20vol%、最大15vol%、最大10vol%、または最大5vol%である。別の態様では、電解質材料は、本明細書で指摘した最小及び最大のパーセントのいずれかを含む範囲の含有量であり得る。例えば、固体イオン伝導性層は、固体イオン伝導性層の総体積に対して、20vol%~40vol%の電解質材料を含むことができる。
【0027】
実施形態において、固体イオン伝導性層は、固体イオン伝導性層の改善された形成及び改善された性能を容易にすることができる有機材料を含むことができる。例えば、有機材料は、改善された特性を有する固体イオン伝導性層の形成を促進することができる。特性は、細孔特性、厚さ、イオン伝導度、電極活物質の濡れ性、化学的及び物理的適合性、柔軟性、化学的安定性、電気化学的安定性、機械的強度、弾性、可塑性、柔らかさ、又はそれらの任意の組合せを含むことができる。例示的な細孔特性は、空隙率、平均細孔径、細孔形状、細孔配向、アスペクト比、細孔径分布、表面積、またはそれらの任意の組合せを含み得る。
【0028】
ある態様において、有機材料は、イオン伝導性層の形成過程、固体イオン伝導性層が適用される操作条件、またはその両方において、電解質材料に対する反応性が最小限または皆無であってもよい。例えば、固体イオン伝導性材料を形成する過程において、有機材料は、電解質材料の組成、イオン伝導度、電子伝導度、電気化学的安定性、またはその両方にほとんど悪影響を及ぼさないようにしてもよい。
【0029】
特定の態様において、有機材料は、固体イオン伝導性層の改善された形成及び改善された特性を促進することができる特定の反応性値を有することができる。一例では、有機材料は、最大18%、最大15%、最大12%、又は最大10%など、最大20%又は20%未満の反応性値を有することができる。さらなる例では、有機材料は、最大9%、最大8%、最大7%、最大6%、最大5%、最大4%、最大3%、または最大2%のような、10%未満の反応度値を有することができる。別の例では、有機材料は、少なくとも0.01%、少なくとも0.1%、少なくとも0.2%、少なくとも0.3%、少なくとも0.5%、少なくとも0.8%、または少なくとも1%のように、0%または0%を超える反応度数を有することが可能である。さらに、反応性値は、本明細書に記された最小及び最大パーセンテージのいずれかを含む範囲とすることができる。例えば、有機材料は、最大で2%までの反応度値を有することができる。特定の実施態様において、有機材料は、LiYBrを含むハロゲン化物系材料、または層状結晶構造、より詳細には単斜晶系結晶構造などのLiYBrと同様の結晶構造を含むハロゲン化物系材料に対して20%未満の反応性値を有することが可能である。別の特定の実施態様では、有機材料は、LiYClを含むハロゲン化物系材料、またはLiYClと同様の結晶構造、例えば六方晶系または三角晶系の結晶構造を含むハロゲン化物系材料に対して10%未満の反応度を有することができる。
【0030】
反応性値は、以下のように決定することができる。イオン伝導性材料に対する有機材料の反応性値は、固体のイオン伝導性材料と有機材料とを10:90の重量%比で混合し、混合物を不活性雰囲気中で100℃以下、例えば20℃~60℃に少なくとも12時間、最大24時間保つことによって試験することができる。X線回折分析を行い、イオン伝導性材料の特徴的なピークの変化や、試験前後での他のピークの変化など、XRDパターンの変化を検出することができる。例えば、変化としては、特性ピークの消失、特性ピークの強度の変化、固体イオン伝導性材料の特定の不純物や分解・分解生成物の特性ピークの強度の変化、またはそれらの組み合わせなどを挙げることができる。
【0031】
有機材料の反応性値は、以下のように試験して決定することができる。有機材料とイオン伝導性材料は、イオン伝導性材料と有機材料の合計重量に対して、イオン伝導性材料の各々が30重量%であり、ポリマーが70重量%である、70:30の重量%比で混合することができる。また、固体イオン伝導性層の形成に有機材料の無機触媒を利用し、触媒と有機材料の混合物の反応性値を試験するために、有機材料の代わりに触媒と有機材料の混合物を利用しても良い。この混合物は、XRD分析を行うために、カプトンフィルム窓付きの気密性の高いサンプルホルダーに封入することができる。試験全体は、HO含有量<1ppmの乾燥環境で行うことができる。XRD分析は、X線回折装置を用いて、25~80度2シータ、7.5℃のステップサイズおよび120秒率のステップ継続時間で実施することができる。
【0032】
有機材料の反応度は、乾燥固体材料のXRDパターンに基づいて、RV=[B/A]×100%の式で求めることができ、ここで、Aは固体イオン伝導性材料の特性ピークの強度を示し、Bは固体イオン伝導性材料の代表分解生成物の特性ピークの強度を示している。代表的な分解生成物は、リチウムとイオン伝導性材料の主要アニオン原子を含む2元系であってもよい。例えば、ハロゲン化リチウムは、本明細書の実施形態に係るハロゲン化物系材料の代表的な分解生成物とすることができる。したがって、Aをハロゲン化物系材料の特性ピークとすることができ、Bをハロゲン化リチウムの特性ピークとすることができる。図18を参照すると、AおよびBは、LiYBrを用いた有機材料の反応性値を試験するためのXRDパターンを、元のLiYBrのXRDパターンと比較して示す。LiYBrの特性XRDピークは通常31度~32.2度の2シータ間で現れ、LiBrの特性ピークが27.9~28.5度2の間で現れている。LiYClの特性ピークは40.5度から41.5度の2シータ間、LiClは34.5度から35.5度の2シータ間にある。有機材料とイオン伝導性材料の混合物のXRDパターンがイオン伝導性材料の特性ピークを含まない場合、有機材料の反応性値は不定と判定することができる。
【0033】
場合によっては、元のイオン伝導性材料のXRDパターンは、代表的な分解生成物の特徴的なピークを含んでいてもよい。例えば、ハロゲン化物系材料は、不純物としてハロゲン化リチウムを含んでいてもよい。そのような場合、元のイオン伝導性材料のXRDパターンを参照して、RIを決定してもよい。ここで、RI=[b/a]×100%、bは分解生成物の特性ピークの強度、aはイオン伝導性材料の特性ピークの強度を示す。有機材料の反応性値(RV)は、RV=RIDS-RI、式中、RIDS=[B/A]×100%、Bは混合物中の分解生成物の特性ピークの強度、Aは混合物中のイオン伝導性物質の特性ピークの強度で求めることができる。
【0034】
ある態様において、有機材料は、固体イオン伝導性層の改善された形成及び改善された特性を促進し得る特定の水分吸収率(以下「MAR」と称する)を有することができる。一例では、有機材料は、最大1.0wt.%、例えば最大0.8wt.%、最大0.5wt.%、最大0.3wt.%、又は最大0.1wt.%などのMARを有することができる。別の例では、有機材料は0wt.%、少なくとも0.01wt.%、または少なくとも0.03wt.%のMARを有することができる。さらなる例では、有機材料は、本明細書に記された最小及び最大パーセントのいずれかを含む範囲内のMARを有することができる。例えば、有機材料は、最大0.3wt.%のMARを有することができる。
【0035】
MARは、以下のように試験して決定することができる。所定の寸法を有する有機材料の試験片を蒸留水中に置くか、または23℃もしくは100℃の湿った空気(すなわち、相対湿度50%)に24時間曝すことができる。吸湿率は、式、MAR=[(WAE-WBE)/WBE]×100%で求めることができ、ここで、WBEは乾燥した試料の重量、WAEは水または湿度の高い空気にさらす前の試料の重量とする。試料をオーブンで乾燥させた後、デシケーターに入れて冷却することができる。BEまた、ASTM D570 や ISO 62に従ってMARを測定することもできる。
【0036】
ある態様において、有機材料は、疎水性部分、親油性部分、又はそれらの組み合わせを有することができる。特定の態様において、有機材料は、固体イオン伝導性層の改善された形成及び改善された特性を促進することができる特定の親水性-親油性バランス(以下「HLB」と称する)値を有することができる。一例において、有機材料は、最大10、例えば最大9.6、最大9、最大8.8、最大8.2、最大7.6、最大7.3、最大7、最大6.6、最大6、最大5.6、最大5、最大4.8、最大4.2、最大4、最大3.8、最大3.3、最大3、最大2.6、最大2.2、最大2、最大1.5、最大1、最大0.5、または最大0.1別の例では、有機材料は0以上のHLB値、例えば少なくとも0.001、少なくとも0.005、少なくとも0.01、少なくとも0.05、少なくとも0.08または少なくとも0.1などを持つことができる。さらなる例では、有機材料は、本明細書に記された最小値および最大値のいずれかを含む範囲内のHLB値を有することができる。例えば、有機材料は、最大4までのHLBを有することができる。
【0037】
HLB値は、式、HLB=20×M/Mを使用してGriffinの数学的方法に従って決定することができ、ここでMは有機材料の親水性部分の分子質量であり、Mは有機材料全体の分子質量である。理解を助けるために、0から20のHLBの例示的な尺度を用いると、HLB値0は完全に親油性/疎水性の分子に対応し、値20は完全に親水性/疎水性の分子に対応することができる。
【0038】
例示的な親水性基としては、N(第3級アミン)、-COOH(カルボキシル)、-O-(エーテル)、-OH(ヒドロキシル)、-COO-(エステル)、C=O(カルボニル)、またはそれらの任意の組合せが挙げられ得る。例示的な親油性基としては、-C≡N(ニトリル)、-CH(メチル)、=CH(メチレン)、-CH-、-CH=、-C(フェニル基)、-F(フルオロ基)、-Cl(クロロ基)、またはこれらのいかなる組み合わせが挙げられ得る。
【0039】
実施形態では、有機材料は、固体イオン伝導性層の改善された形成、特性、及び/又は性能を促進することができる特定の誘電率を有することができる。一態様において、有機材料は、最大35、例えば最大33、最大31、最大29、最大26、最大23、最大20、最大19、最大17、最大15、最大13、最大12、最大11、最大10などの誘電率を有することができる。別の態様では、有機材料は、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、または少なくとも5のような、少なくとも0.5の誘電率を有してよい。さらに、有機材料は、本明細書で指摘した最小値及び最大値のいずれかを含む範囲の誘電率を含んでもよい。
【0040】
特定の実施形態では、有機材料は、特定のHLB値、特定の反応性値、特定の誘電率、またはそれらのいかなる組み合わせを含んでもよい。一態様では、有機材料は、0というHLB値、最大20%という反応性値、最大35という誘電率、またはそれらのいかなる組み合わせを有する溶媒材料を含んでもよい。特定の態様において、有機材料は、0というHLB値、20%未満という反応性値、および最大でも12という誘電率を含む溶媒を含んでもよい。有機溶媒のより具体的な例は、ヘプタン、シクロヘキサン、ジブロモメタン、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、またはそれらの任意の組合せを含むことができる。
【0041】
さらなる態様において、有機材料は、特定のHLB値、特定の反応性値、又はそれらのいかなる組み合わせを含むバインダー材料を含んでもよい。例えば、有機バインダー材料は、10未満のHLB値及び20%未満の反応性値を含んでもよい。別の例では、有機バインダー材料は、10未満のHLB値および10%未満の反応性値を含んでもよい。有機バインダーのより具体的な例としては、水素化ニトリルブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、ポリイソブチレン、ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリ(アクリロニトリル)、パラフィンワックス、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ(エチレンオキシド)、ポリビニルピロリドン、ポリ(メタクリル酸メチル)またはそれらの任意の組合せを含むことができる。
【0042】
ある態様において、有機材料は、熱硬化性ポリマー、熱可塑性ポリマー、またはそれらのいかなる組み合わせなどのポリマーを含むことができる。
【0043】
有機材料の例としては、パラフィンワックス、ポリイソブチレン、ポリビニルピロリドン、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリエチレングリコール、カンフェン、尿素、ポリ(アクリロニトリル)の1つ以上を含むことができる。ポリエチレンカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(プロピレンオキシド)、ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリ(ジメチルシロキサン)、ポリ[ビス(メトキシエトキシエトキシド)-フォスファゼン]、ポリプロピレングリコール、ポリカプロラクトン。およびポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリ(アクリル酸メチル)、ポリ(フッ化ビニリデン)-コ-ヘキサフルオロプロピレン、ポリ(アクリロニトリル-コ-ブタジエン)、ポリ(スチレンブタジエン-スチレン)、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンなどがある。スチレンブタジエンゴム、水素化ニトリルブタジエンゴム、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリ(エチレンオキシド)、ポリスチレン、ポリウレタン、またはこれらのいかなる組み合わせである。
【0044】
別の例では、有機材料は、ポリ(プロピレンオキシド)、ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリ(ジメチルシロキサン)、ポリ[ビス(メトキシエトキシ)-ホスファゼン]、ポリプロピレングリコール、ポリカプロラクトン、及びポリ(トリメチレンカーボネイト)、ポリ(メチルアクリレート)を含む群から選ばれる1又は複数のポリマーを含みうる。ポリ(フッ化ビニリデン)-コ-ヘキサフルオロプロピレン、ポリ(アクリロニトリル-コ-ブタジエン)、ポリ(スチレン-ブタジエン-スチレン)、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン、水素化ニトリルブタジエンゴム、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリ(エチレンオキシド)、ポリスチレン、スチレンブタジエンゴムおよびポリウレタンなどである。
【0045】
特定の例では、有機材料は、ポリウレタン、エポキシ、またはそれらの組み合わせを含むポリマーで構成することができる。別の特定の例では、有機材料は、シロキサンを含むポリマーを含むことができる。別の特定の例では、固体イオン伝導性層は、ポリシロキサンを含むことができる。例えば、固体イオン伝導性層は、シリコーン系ポリマーを含むことができる。別の例では、固体イオン伝導性層は、シリコーンを含む発泡マトリックスを含むことができる。
【0046】
実施形態において、イオン伝導性層は、イオン伝導性層の改善された形成及び性能を促進することができる有機材料の特定の含有量を含むことができる。例えば、イオン伝導性層は、イオン伝導性層の総体積に対して少なくとも1vol%の有機材料、例えば、少なくとも2vol%、少なくとも3vol%、少なくとも4vol%、少なくとも5vol%、少なくとも10vol%、少なくとも15vol%、少なくとも20vol%、少なくとも25vol%、少なくとも30vol%、又は少なくとも35vol%、を含むことができる。別の例では、イオン伝導性層は、イオン伝導性層の総体積に対して最大50vol%の有機材料を含んでもよく、例えば、イオン伝導性層の総体積に対して最大48vol%、最大45vol%、最大40vol%、最大36vol%、最大30vol%、最大25vol%、最大20vol%、最大15vol%、最大10vol%、最大8vol%、最大7vol%、最大6vol%、又は最大5vol%であってよい。さらに、有機材料の含有量は、本明細書で指摘した最小及び最大の割合のいずれかを含む範囲であってもよい。例えば、イオン伝導性層は、イオン伝導性層の総体積に対して、少なくとも5vol%、最大でも15vol%の有機材料を含むことができる。
【0047】
さらなる実施形態では、イオン伝導性層は、電解質材料の含有量と有機材料の含有量との特定の比率を含むことができる。一態様において、イオン伝導性層は、V:Vの比率を含むことができ、Vは、固体イオン伝導性層の総体積に対する有機材料の体積%であり、Vは、固体イオン伝導性層の総体積に対する電解質材料の体積%である。一例では、V:Vの比は、少なくとも0.5、少なくとも1、少なくとも1.2、少なくとも1.5、少なくとも2、少なくとも2.5、または少なくとも3であることができる。別の例では、V:Vの比は、最大15、最大12、最大10、最大9、最大8、最大7、最大6、最大5、最大4、最大3、または最大2であり得る。例えば、V:Vは少なくとも2.5かつ最大12であることが可能である。さらなる例では、V:Vの比率は、本明細書で指摘した最小値および最大値のいずれかを含む範囲にすることができる。
【0048】
特定の実施形態では、固体イオン伝導性層は、発泡システムの反応生成物であり得るポリマーを含むことができる。例示的な発泡系は、有機前駆体、架橋剤、及び発泡剤を含むことができる。ある実施態様では、発泡系は、触媒を含むことができる。さらなる実施態様において、発泡系は、ベース樹脂、可塑剤、及び発泡剤を含むことができる。ある態様において、発泡システムの各成分は疎水性であり得る。別の態様において、発泡システムの各成分は、本明細書の実施形態に記されたHBL値、本明細書の実施形態に記されたMAR、本明細書の実施形態に記された反応値、又はそれらの任意の組合せを有することができる。
【0049】
実施形態において、固体イオン伝導性層は、シロキサンを含むポリマーを含むことができる。特定の態様において、固体イオン伝導性層はシリコーンを含むことができる。特定の態様において、固体イオン伝導性層は、シリコーンを含むポリマー、架橋剤、触媒、及び発泡剤を含む発泡系から生じた発泡マトリックスを含むことができる。シリコーンの例は、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ビニル末端PDMS、ヒドリド官能性シロキサン、メチルヒドロシロキサン・ジメチルシロキサンコポリマー、又はそれらの任意の組合せを含むことができる。特定の例では、固体イオン伝導性材料は、シリコーン材料のための触媒を含むことができる。触媒は、金属のような無機材料を含むことができる。触媒の特定の例は、不活性金属を含むことができる。触媒の別の特定の例は、白金、白金複合、またはそれらの任意の組合せを含むことができる。特定の実施態様において、触媒は、キシレンなどの溶媒材料中であってもよい。特定の実施態様において、触媒は、キシレン中の白金の複合を含むことができる。実施態様において、固体イオン伝導性層は、PDMS-co-PHMSのような架橋剤を含むことができる。発泡剤は、一官能性又は二官能性シラノール、又はベンジルアルコールを含むことができる。特定の実施態様では、固体イオン伝導性層は、シリコーンを含むポリマー、架橋剤、触媒、及び発泡剤を含む発泡システムから生じた発泡マトリックスを含むことができる。
【0050】
特定の実施形態において、固体イオン伝導性層は、イオン伝導性層の改善された形成及び性能を促進することができるシロキサンを含むポリマーの特定の含有量を含むことができる。例えば、イオン伝導性層は、イオン伝導性層の総重量に対して少なくとも1wt%のシロキサンを含むポリマー、例えば、イオン伝導性層の総重量に対して少なくとも2wt%、少なくとも5wt%、少なくとも7wt%、少なくとも9wt%、少なくとも12wt%、少なくとも15wt%、少なくとも20wt%、少なくとも25wt%、少なくとも30wt%又は少なくとも35wt%、含むことができる。別の例では、イオン伝導性層は、イオン伝導性層の総重量に対して、シロキサンを含むポリマーを最大70wt.%、例えば、最大60wt.%、最大55wt.%、最大50wt.%含むことができる。また、イオン伝導性層の総重量に対するシロキサンを含むポリマーの含有量は、最大60wt.%、最大55wt.%、最大50wt.%、最大48wt.%、最大45wt.%、最大40wt.%、最大35wt.%、最大28wt.%、最大25wt.%、最大20wt.%、最大15wt.%、最大12wt.%、あるいは最大10wt.%が好ましいと考えられる。さらに、シロキサンを含むポリマーの含有量は、本明細書で指摘した最小及び最大のパーセントのいずれかを含む範囲であってもよい。
【0051】
より特定の実施態様では、固体イオン伝導性層は、発泡マトリックスの総重量に対して少なくとも10ppm、少なくとも20ppm、少なくとも30ppm、又は少なくとも50ppmのPtなどの触媒の特定の含有量を含んでもよい。より特定の実施態様では、発泡マトリックスの総重量に対して50ppmより大きい、または100ppmより大きい、例えば、発泡マトリックスの総重量に対して少なくとも150ppm、少なくとも200ppm、少なくとも250ppm、少なくとも300ppm、少なくとも350ppm、少なくとも400ppm、少なくとも500ppm、または少なくとも600ppmであってもよい。代替的または付加的に、固体イオン伝導性層は、固体イオン伝導性層の総重量に対して、最大1wt.%のPtなどの触媒の特定の含有量、例えば、最大0.9wt.%、最大0.7wt.%、最大0.6wt.%、最大0.5wt.%、最大0.4wt.%、最大0.3wt.%、最大0.2wt.%、最大0.1wt.%、発泡マトリックスの全重量に対して最大900ppm、最大800ppm、最大700ppm、最大600ppm、最大500ppm、または最大400ppmであった。さらに、固体イオン伝導性層は、本明細書で指摘した最小値および最大値のいずれかを含む範囲において、Ptなどの触媒の含有量を含んでもよい。
【0052】
特定の態様において、固体イオン伝導性層は、ポリ塩化ビニルを含むことができる。より詳細には、発泡マトリックスは、ポリ塩化ビニル、可塑剤、及び発泡剤を含む発泡系の反応生成物であってもよい。特定の実施態様において、可塑剤はジイソノニルフタレート(DINP)を含むことができ、発泡剤はアゾジカーボンアミドを含むことができる。
【0053】
特定の態様において、固体イオン伝導性層は、疎水性ポリオール、最大4のHBL値を有する架橋剤、及び発泡剤を含む発泡システムの反応生成物であり得るポリウレタンを含むことができる。架橋剤の例としては、イソシアネート370、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート、疎水性ポリイソシアネート、メチレンジフェニルジイソシアネート、またはそれらの任意の組合せを含むことができる。発泡剤の例としては、シクロペンタン、ペンタン、イソペンタン、又はこれらのいかなる組み合わせを挙げることができる。疎水性ポリオールの例としては、Dow社のVORAPELTM D3201およびVORAPELTMT5001、ならびにBASF社のSOVERMOL(登録商標)750およびSOVERMOL(登録商標)818の商業呼称による疎水性ポリオールを挙げることができる。
【0054】
特定の実施形態において、固体イオン伝導性層は、イオン伝導性層の改善された形成及び性能を促進することができるポリウレタンの特定の含有量を含むことができる。例えば、イオン伝導性層は、イオン伝導性層の総体積に対して少なくとも1vol%のポリウレタン、例えば、少なくとも2vol%、少なくとも5vol%、少なくとも7vol%、少なくとも10vol%、少なくとも15vol%、少なくとも20vol%、少なくとも25vol%、少なくとも28vol%、少なくとも30vol%、又は少なくとも35vol%のポリウレタンを含有することができる。別の例では、イオン伝導性層は、イオン伝導性層の総体積に対して、最大30vol%のポリウレタンを含んでよく、例えば、イオン伝導性層の総体積に対して、最大50vol%、最大48vol%、最大45vol%、最大42vol%、最大40vol%、最大38vol%、または最大35vol%であってよい。さらに、ポリウレタンの含有量は、本明細書で指摘した最小及び最大の割合のいずれかを含む範囲であってもよい。例えば、イオン伝導性層は、イオン伝導性層の総体積に対して、少なくとも5vol%、最大で45vol%のポリウレタンを含むことができる。
【0055】
特定の態様において、発泡マトリックスは、V:VPUの特定の比率を含むことができ、VPUは発泡マトリックスの総体積に対するポリウレタンの体積パーセントであり、Vは発泡マトリックスの総体積に対する電解質材料の体積パーセンテージである。一例において、V:VPUの比は、少なくとも1.2、例えば少なくとも1.5、少なくとも2、少なくとも2.2、少なくとも2.5、少なくとも2.7、少なくとも3、少なくとも3.3、または少なくとも3.5とすることができる。別の例では、V:VPUの比は、最大15、最大12、最大10、最大9.5、最大9、最大8.5、最大8、最大7.5、最大7、最大6.5であり得る。5、最大6、最大5.5、最大4.5、最大4、最大3.5、最大3、最大2.5または最大2。例えば、V:VPUの比率は少なくとも2.5で、最大1であり得る。さらなる例では、V:VPUの比は、本明細書に記した最小値および最大値のいずれかを含む範囲にすることができる。
【0056】
別の態様では、固体イオン伝導性層は、エポキシを含むポリマーを含むことができる。特定の態様において、ポリマーは、疎水性エポキシ樹脂と架橋剤との発泡反応から形成されたエポキシを含むことができる。エポキシ樹脂の例としては、トリスヒドロキシルフェニルエタン、レゾルシノールジグリシジルエーテル、水素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、変性ビスフェノールAジグリシジルエーテル、フェノールノボラックエポキシ、またはそれらの任意の組合せを含むことができる。別の例では、DerTM 331の商業的呼称のエポキシが使用されてもよい。別の例では、VanticoからのAraldite(登録商標)キャスティングシステムCY 221を使用することができる。架橋剤の一例は、アミンまたはチオールを含むことができる。硬化剤の具体例としては、Ancamine(登録商標)1922A、Capcure(登録商標)3-800、又はGabepro(登録商標)800を使用することができる。発泡剤の具体例としては、ペンタンなどを挙げることができる。
【0057】
特定の実施形態では、固体イオン伝導性層は、イオン伝導性層の改善された形成及び性能を促進することができるエポキシの特定の含有量を含むことができる。例えば、イオン伝導性層は、イオン伝導性層の総体積に対して少なくとも1vol%のエポキシ、例えば、少なくとも2vol%、少なくとも3vol%、少なくとも4vol%、少なくとも5vol%、少なくとも7vol%、少なくとも10vol%、少なくとも15vol%、少なくとも20vol%、少なくとも25vol%、少なくとも30vol%、又は少なくとも35vol%、を含むことができる。別の例では、イオン伝導性層は、イオン伝導性層の総体積に対して最大50vol%のエポキシ、例えば、イオン伝導性層の総体積に対して最大48vol%、最大45vol%、最大40vol%、最大35vol%、最大28vol%、最大25vol%、最大20vol%、最大15vol%、最大12vol%、最大10vol%、最大8vol%、又は最大5vol%を含んでいても良い。さらに、エポキシの含有量は、本明細書で指摘した最小及び最大の割合のいずれかを含む範囲であってよい。例えば、イオン伝導性層は、イオン伝導性層の総体積に対して、少なくとも5vol%、最大で45vol%のエポキシを含むことができる。
【0058】
特定の態様において、発泡マトリックスは、V:VEPの特定の比率を含むことができ、VEPは発泡マトリックスの総体積に対するエポキシの体積パーセントであり、Vは発泡マトリックスの総体積に対する電解質材料の体積パーセンテージである。一例では、V:VEPの比は、少なくとも1.2、例えば少なくとも1.5、少なくとも2、少なくとも2.2、少なくとも2.5、少なくとも2.7、少なくとも3、少なくとも3.3、または少なくとも3.5とすることができる。別の例では、V:VEPの比は、最大15、最大12、最大10、最大9.5、最大9、最大8.5、最大8、最大7.5、最大7、最大6.5、最大6、最大5.5、最大5、最大4.5、または最大4でありうる。さらなる例で、V:VEPの比は、ここで指摘した最小および最大値のいずれかを含む範囲であってよい。例えば、V:VEPは、少なくとも2.5であり、最大で12であり得る。
【0059】
ある態様では、有機材料は発泡マトリックスに含まれることができる。さらなる態様において、電解質材料は、有機材料中に分散させることができる。
【0060】
実施形態において、イオン伝導性層は、有機材料中に分散されたリチウム塩を含むことができる。リチウム塩は、イオン伝導性層のイオン伝導性の向上を促進し得る。リチウム塩の例としては、LiPF6, LiClO4, LiBF4, LiAsF6, LiTf, LiSA, LiFSI, LiTFSI, LiBETI, LiCTFSI, LiBOB, LiTDI, LiPDI, LiDCTA, LiB(CN)4, LiPF6, LiBF4, LiSbF6, LiAsF6, LiSO3CF3, LiN(SO2CF3)2, LiN(SO2C2F5)2, LiN(SO2CF3)(SO2C4F9), LiC(SO2CF3)3又はそれらの組み合わせを含むことができるが、それらに限られるものではない。
【0061】
実施形態において、イオン伝導性層は、特定の平均孔径、D10、D50、及び/又はD90などの特定の細孔径分布、特定の細孔形状、特定の長さ、特定の幅、特定の平均縦横比、特定の細孔分布、特定の多孔度、特定の開放多孔度、特定の閉鎖多孔度又はそれらのいかなる組み合わせなど(ただしこれだけに限らない)1又は複数の細孔の特性を含むことが可能である。イオン伝導性層の1つ以上の他の特徴と組み合わせた1つ以上の特定の細孔特性は、イオン伝導性層の形成と性能を向上させることが期待される。
【0062】
実施形態において、固体イオン伝導性層は、閉じた細孔、相互接続された孔などの開いた孔、又はそれらのいかなる組み合わせを含む複数の細孔を含むことができる。別の実施形態では、固体イオン伝導性層は、固体イオン伝導性層の改善された形成及び性能を促進することができる特定の総空隙率を含むことができる。一態様において、固体イオン伝導性層は、固体イオン伝導性層の総体積に対して、少なくとも20vol%、例えば、少なくとも30vol%、少なくとも40vol%、少なくとも50vol%、少なくとも60vol%、少なくとも70vol%又は少なくとも80vol%の全空隙率を含むことができる。別の態様では、固体イオン伝導性層は、最大95vol%、例えば最大90vol%、最大85vol%、最大80vol%、最大75vol%、最大70vol%、最大65%、最大60%、最大55%、または最大50%の全空隙率を含むことができる。さらに、固体イオン伝導性層は、本明細書で指摘した最小及び最大のパーセントのいずれかを含む範囲の全空隙率を含むことができる。
【0063】
さらなる実施形態では、固体イオン伝導性層は、固体イオン伝導性層の性能向上を促進し得る特定の平均細孔径を含むことができる。例えば、平均細孔径は、最大50ミクロン、最大45ミクロン、最大40ミクロン、最大35ミクロン、最大30ミクロン、最大25ミクロン、最大20ミクロン、最大17.5ミクロン、最大15ミクロン、最大12.5ミクロン、最大10ミクロン、最大7.5ミクロン又は最大5ミクロンであり得る。別の例では、平均細孔径は、少なくとも0.1ミクロン、少なくとも0.3ミクロン、少なくとも0.5ミクロン、少なくとも0.7ミクロン、少なくとも1ミクロン、少なくとも1.5ミクロン、少なくとも2ミクロン、少なくとも2.5ミクロン、少なくとも3ミクロン、少なくとも5ミクロン、少なくとも7.5ミクロン、少なくとも10ミクロン、少なくとも12.5ミクロン、少なくとも15ミクロン、少なくとも17.5ミクロン、少なくとも20ミクロンの空隙率である。さらなる例では、平均細孔径は、本明細書に記された最小値及び最大値のいずれかを含むことができる。
【0064】
別の実施形態では、固体イオン伝導性層は、平均細孔径の±30%以内、又は±25%以内、又は±20%以内、又は±15%以内、又は±10%以内、又は±5%以内の細孔径を有する細孔の少なくとも50%を含むことができる。別の例では、平均孔径の±30%以内、または±25%以内、または±20%以内、または±15%以内、または±10%以内、または±5%以内の細孔径を有する細孔が少なくとも60%である。さらなる例では、平均孔径の±30%以内、または±25%以内、または±20%以内、または±15%以内、または±10%以内、または±5%以内の細孔径を有する細孔の少なくとも70%、例えば、少なくとも80%、または少なくとも90%が、平均孔径の±25%以内、または±20%以内、または±10%以内、または±5%以内の細孔径を有する。
【0065】
さらなる実施形態において、固体イオン伝導性層は、開放細孔を含むことができる特定の空隙率を含むことができる。一態様では、全空隙率の少なくとも5%が開いていることができ、全空隙率の少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、又は少なくとも90%が開いていることがある。例えば、細孔の大部分は、開放型空隙率を含むことができる。例えば、全空隙率の少なくとも60%は、全空隙率の少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%など、開放された細孔を含むことができる。特定の例では、空隙率の95%または本質的に全ての細孔が開放細孔であり得る。別の態様では、全空隙率の最大95%が開放細孔であり得、最大90%、最大85%、最大80%、最大75%、最大70%、最大65%、最大50%、最大45%、最大40%、最大35%、最大30%、最大25%、最大20%、最大15%、最大10%、または最大5%の全空隙率の開口部が可能である。さらに、固体イオン伝導性層は、本明細書で指摘した最小及び最大のパーセントのいずれかを含む範囲で、開放細孔を含むことができる。例えば、開放細孔は、固体イオン伝導性層の全空隙率の少なくとも50%~最大95%を構成することができる。別の例では、発泡マトリックスは、固体イオン伝導性層と同様の内容の開細孔を含むことができる。特定の例では、発泡マトリックスは、本質的に開細孔から成ることができる。
【0066】
実施形態において、イオン伝導性層は、閉じた細孔を含むことができる。一態様では、全空隙率の少なくとも0.5%が閉じた細孔を含むことができる。例えば、全空隙率の少なくとも0.5%、少なくとも1%、少なくとも3%、少なくとも4%、又は少なくとも5%が閉じた細孔であり得る。別の例では、全空隙率の最大10%、最大8%、最大6%、最大4%、最大3%、最大2%、または最大1%が、閉じた細孔を含むことができる。さらに、固体イオン伝導性層は、本明細書で指摘した最小及び最大のパーセントのいずれかを含む範囲で、閉じた細孔を含むことができる。例えば、閉鎖細孔は、固体イオン伝導性層の全空隙率の少なくとも0.5%~10%を構成することができる。別の例では、発泡マトリックスは、固体イオン伝導性層と同様の内容の閉鎖細孔を含むことができる。特定の例では、発泡マトリックスは、閉じた細孔を本質的に含まないことができる。より特定の例では、固体イオン伝導性層は発泡マトリックスを含むことができる。
【0067】
埋め込みにおいて、固体イオン伝導性層は、第1のタイプの空隙率及び第2のタイプの空隙率を含むことができ、第1及び第2のタイプの空隙率は、平均孔径、孔径分布、孔の向き、孔の内容、又はそれらの組み合わせを含む異なる孔の特性を含むことができる。
【0068】
ある態様では、第1のタイプの多孔性は第1の平均孔径を含むことができ、第2のタイプの多孔性は第2の平均孔径を含むことができ、第1の平均孔径は第2の平均孔径より大きくすることができる。別の態様において、第1のタイプの多孔性は、少なくとも2ミクロン、少なくとも3ミクロン、少なくとも5ミクロン、少なくとも7ミクロン、少なくとも10ミクロン、少なくとも12ミクロン、少なくとも15ミクロン、または少なくとも17ミクロンの第1の平均細孔径を含むことができる。さらなる態様において、第1のタイプの多孔性は、最大50ミクロン、最大45ミクロン、最大40ミクロン、最大35ミクロン、最大30ミクロン、最大25ミクロン、最大20ミクロン、最大17ミクロン、最大15ミクロン、最大12ミクロン、最大10ミクロン、最大7ミクロン、又は最大5ミクロンの第1の平均孔径を含み得る。さらに、第1の平均細孔径は、本明細書に記された最小値及び最大値のいずれかを含む範囲にあることができる。例えば、第1のタイプの多孔性は、3ミクロン~10ミクロンの平均細孔径を有することができる。
【0069】
さらなる態様において、第1のタイプの多孔性は、開細孔、閉細孔、またはそれらの組合せを含むことができる。別の態様では、第1のタイプの多孔性は、開細孔を含むことができる。例えば、第1の空隙率は、固体イオン伝導性層の開細孔の少なくとも60%、少なくとも80%、または少なくとも90%を構成することができる。特定の態様において、第1のタイプの空隙率は、本質的に開放細孔から構成され得る。
【0070】
一実施形態において、固体イオン伝導性層は、固体イオン伝導性層の改善された形成及び機能を促進し得る第1のタイプの多孔性の特定の含有量を含むことができ、一側面において、第1のタイプの多孔性は、イオン伝導性層の総量に対して少なくとも1vol%を構成することができる。イオン伝導性層の総体積に対して少なくとも5vol%、少なくとも10vol%、少なくとも15vol%、少なくとも20vol%、少なくとも25vol%、少なくとも30vol%、少なくとも40vol%、少なくとも50vol%、少なくとも55vol%、少なくとも60vol%、少なくとも70vol%、少なくとも80vol%、または少なくとも90vol%である。さらなる態様において、第1のタイプの多孔性は、イオン伝導性層の総体積に対して、最大95vol%、最大90vol%、最大80vol%、最大70vol%、最大60vol%、最大50vol%、最大40vol%、最大30vol%、最大20vol%、または最大10vol%を占め得る。特定の態様において、固体イオン伝導性層は、本明細書に記された最小及び最大のパーセントのいずれかを含む範囲において、第1のタイプの多孔性の含有量を含むことができる。例えば、第1のタイプの空隙は、イオン伝導性層の総体積に対して50vol%~80vol%を構成することができる。
【0071】
特定の態様において、第1のタイプの多孔性は、固体イオン伝導性層の総多孔率の少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%など、総多孔率の少なくとも50%を構成することができる。別の態様では、第1のタイプの多孔性は、固体イオン伝導性層の総最大90%、最大80%、または最大70%など、総最大95%の多孔性を構成してよい。さらに別の態様では、全空隙率は、本明細書で指摘した最小及び最大のパーセントのいずれかを含む範囲で、第1の空隙率を含むことができる。より特定の態様では、第1の空隙率は、全空隙率を構成することができる。
【0072】
ある態様では、第1の平均細孔径の±30%以内、または±25%以内、または±20%以内、または±15%以内、または±10%以内、または±5%以内の細孔径を有する第1のタイプの多孔性の少なくとも50%は、第1の平均細孔径の±25%以内、または±20%以内、または±10%以内の細孔径を有している。別の例では、第1の平均孔径の±30%以内、または±25%以内、または±20%以内、または±15%以内、または±10%以内、または±5%以内の細孔径を有する第1のタイプの多孔性径の少なくとも60%が、第1の平均孔径の±30%以内、または±20%以内、または±15%以内、または±10%以内の細孔径を有する。さらなる例では、第1のタイプの多孔性の細孔の少なくとも70%、例えば少なくとも80%、または少なくとも90%は、第1の平均孔径の±30%以内、または±25%以内、または±20%以内、または±15%以内、または±10%以内、または±5%以内の細孔径を有することが可能である。細孔径分布は、2018年4月23日にリリースされたImage J 1.52a、または同様の機能を有するバージョンを用いて、イオン伝導性層の1つ以上の断面の走査型電子顕微鏡画像からランダムに選択された少なくとも100個の細孔に基づいて決定することができる。
【0073】
ある態様では、第1のタイプの多孔性は、独立して、少なくとも1、少なくとも1.2、少なくとも1.5、少なくとも2、少なくとも2.3、少なくとも2.5、少なくとも2.8、または少なくとも3の長さ:幅のアスペクト比を含んでいる。別の態様では、第1のタイプの空隙率は、最大30、最大25、最大22、最大20、最大15、最大12、最大10、最大8、最大5、または最大4の平均アスペクト比を含み得る。さらなる態様では、第1のタイプの空隙率の平均アスペクト比は、ここに記した最小値と最大値のいずれかを含む範囲にあることが可能である。さらなる態様において、第1のタイプの多孔性の細孔の少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%は、少なくとも1および最大で3の長さ:幅のアスペクト比を含むことができる。
【0074】
さらなる態様では、第1のタイプの多孔性は、球状の形状を有する細孔を含むことができる。別の態様では、第1のタイプの多孔性は、水平に配向している細孔を含むことができる。本明細書に記載されるように、水平に配向されたとは、細孔の長さが延びる縦軸が、x軸とy軸とによって定義される平面に沿って延び、テープ/フィルムの厚さがz軸に沿っている細孔を説明することを意図している。特定の実施態様において、第1の多孔性は、本質的に水平方向に配向した細孔から構成され得る。
【0075】
特定の実施形態において、第1のタイプの多孔性は、発泡反応によって形成された孔から本質的に構成されてもよい。発泡反応は、本開示において後で詳細に説明される。
【0076】
ある態様において、固体イオン伝導性層は、固体イオン伝導性層の改善された形成及び機能を促進することができる第2のタイプの多孔性の特定の含有量を含むことができる。一例では、固体イオン伝導性層は、固体イオン伝導性層の総体積に対して、最大50vol%の第2のタイプの空隙率、例えば、最大48vol%、最大45vol%、最大40vol%、最大37vol%、最大35vol%、最大30vol%、最大28vol%、最大25vol%、最大20vol%、最大18vol%、最大15vol%、最大12vol%、最大10vol%、最大8vol%、又は最大5vol%を含有することが可能である。別の例では、固体イオン伝導性層は、固体イオン伝導性層の総体積に対して少なくとも0.5vol%の第2のタイプの空隙率、例えば、固体イオン伝導性層の総体積に対して少なくとも1vol%、少なくとも2vol%、少なくとも3vol%、少なくとも4vol%、少なくとも5vol%、少なくとも8vol%、少なくとも10vol%、少なくとも12vol%、少なくとも15vol%、少なくとも17vol%、又は少なくとも20vol%を含むことができる。さらなる例では、固体イオン伝導性層は、本明細書に記された最小値及び最大値のいずれかを含む範囲において、第2のタイプの空隙の含有量を含むことができる。例えば、固体イオン伝導性層は、固体イオン伝導性層の総体積に対して、少なくとも1vol%、最大で10vol%の第2のタイプの空隙を含むことができる。特定の態様において、固体イオン伝導性層は、第2のタイプの多孔性を本質的に含まないことができる。
【0077】
さらなる態様において、第2のタイプの空隙率は、開放細孔、閉じた細孔、またはそれらの組み合わせを含むことができる。特定の態様において、第2のタイプの多孔性の細孔の大部分は、開放細孔であることができ、より特定の態様において、第2のタイプの多孔性は、本質的に開放細孔で構成されることができる。
【0078】
実施形態において、固体イオン伝導性層は、固体イオン伝導性層の改善された形成及び性能を促進し得る特定の第2の平均細孔サイズを有する第2のタイプの多孔性を含むことができる。一態様において、第2の平均細孔サイズは、最大1ミクロン、最大0.8ミクロン、または最大0.5ミクロンとすることができる。別の態様では、第2の平均細孔径は、少なくとも0.1ミクロン、少なくとも0.2ミクロン、少なくとも0.3ミクロン、または少なくとも0.5ミクロンであることができる。特定の態様において、第2の平均細孔径は、本明細書に記された最小値及び最大値のいずれかを含む範囲にあることができる。例えば、第2の平均細孔径は、少なくとも0.3ミクロン、最大で1ミクロンとすることができる。
【0079】
ある態様では、第2のタイプの多孔性(空隙率)は、少なくとも1、少なくとも1.2、少なくとも1.5、少なくとも2、少なくとも2.3、少なくとも2.5、少なくとも2.8、または少なくとも3の長さ:幅の平均アスペクト比を含むことができる。別の態様では、第2のタイプの多孔性は、平均アスペクト比が、最大30、最大25、最大22、最大20、最大15、最大12、最大10、最大8、最大5、または最大4であり得ることを含み得る。さらなる態様では、第2のタイプの多孔性は、ここに記された最小値と最大値のいずれかを含む範囲内の平均アスペクト比を含むことが可能である。例えば、第2のタイプのプレは、少なくとも1最大5の平均アスペクト比を有することができる。
【0080】
さらなる態様において、第2のタイプの多孔性は、球状の細孔、不規則な形状の細孔、六面体の細孔、細長い細孔、曲がりくねった孔、針状の細孔、3次元構造を有する細孔、又はそれらの任意の組合せを含むことができる。特定の実施態様において、第2のタイプの多孔性は、本明細書の実施形態に記載されるような有機材料の制御された除去によって作成された細孔を含んでもよい。より特定の実施態様では、第2のタイプの多孔性は、有機材料の制御された除去によって作成された細孔から本質的に構成されてもよい。
【0081】
図1を参照すると、材料及び有機材料を含むマトリックス部分110を含む発泡マトリックス101を含む、例示的なイオン伝導性層100の断面図が示されている。発泡マトリックス101は、細孔102を含む第1種の空隙と、細孔104を含む第2種の空隙とをさらに含む。細孔102は、実質的に球状である。細孔102は、球状の細孔及び他の形状を有する細孔を含む。特定の例において、イオン伝導性層100は、第2のタイプの多孔性を実質的に有さないことができる。図示されるように、固体イオン伝導性層101は、z軸の方向に延びる厚さtを含むことができる。
【0082】
図2を参照すると、例示的なイオン伝導性層200は、電解質材料及び有機材料を含むマトリックス部分210を含む発泡マトリックス201を含むことができる。発泡マトリックス201は、細孔202を含む第1タイプの細孔と、細孔204を含む第2タイプの細孔とをさらに含む。図示されるように、細孔202は、イオン伝導性層の厚さtに直交する水平方向に細長い形状を有している。細孔202は、x軸及びy軸によって規定される平面に沿って延びる長手方向軸220を有することができる。細孔202の向きは、長手方向軸220の延在方向とすることができる。図示されるように、細孔202は、水平方向に配向している。細孔202は、球状の細孔及び他の形状を有する細孔を含む。特定の例において、イオン伝導性層200は、第2タイプの細孔を本質的に含まないことができる。
【0083】
実施形態において、固体イオン伝導性層は、電解質材料と有機材料とを含む発泡マトリックスを含むことができる。特定の例では、発泡マトリックスは、電解質材料と、ポリウレタン、エポキシ、又はそれらの組み合わせを含むポリマーとから構成することができる。
【0084】
実施形態において、固体イオン伝導性層は、固体イオン伝導性層の改善された形成及び性能を容易にすることができる特定の厚さを有することができる。本明細書の実施形態で指摘した固体イオン伝導性層のいずれも、図1図2に図示した厚さtなどの厚さを含むことができ、一態様では、厚さtは、最大1mm、最大800ミクロン、最大600ミクロン、最大500ミクロン、最大400ミクロン、最大300ミクロン、最大200ミクロン、又は最大100ミクロンでありうる。別の例では、厚さtは、少なくとも5ミクロン、少なくとも10ミクロン、少なくとも15ミクロン、少なくとも20ミクロン、少なくとも30ミクロン、または少なくとも40ミクロンとすることができる。固体イオン伝導性層は、そこに記された最小値と最大値のいずれかを含む範囲の厚さtを有し得ることが理解される。例えば、厚さtは、20ミクロン~300ミクロンの範囲にあることができる。
【0085】
実施形態において、固体イオン伝導性層は、電解質材料と電子伝導性材料とを含む複合層であってもよい。電子伝導性材料は、活性電極材料を含むことができる。さらなる例では、電子伝導性材料は、グラファイト、炭素繊維、炭素粒子、炭素ナノチューブ、又はそれらの組み合わせを含むことができる。特定の例では、イオン伝導性層は、金属コーティングなどの電子伝導性材料を含むコーティングを有することができる。さらなる実施形態では、負極は、固体イオン伝導性層と、固体イオン伝導性層上に配置された負極活物質とを含むことができる。
【0086】
実施形態において、固体イオン伝導性層は、イオン伝導性層の性能向上を促進することができる特定のイオン伝導度を含むことができる。一態様では、固体イオン伝導性層は、固体リチウムイオン電池などの固体電池に適したイオン伝導度を有することができる。
【0087】
図3を参照すると、孔302を含む発泡マトリックス301を含む固体イオン伝導性層300の断面図が図示されている。図示されているように、特定の例では、イオン伝導性層300は、混合イオン及び電子伝導性層などの複合層とすることができる。例えば、固体イオン伝導性層300は、発泡マトリックス301に分散された電子導電性材料360を含むことができる。図示されるように、電子伝導性材料360は、細孔302に配置され得る。電子伝導性材料は、活性電極材料、電子伝導性添加剤、又はそれらの組合せを含むことができる。実施形態において、固体イオン伝導性層300は、発泡マトリックス301内に配置された活性陽極材料360を含むことができる。特定の実施形態では、活性アノード材料は、金属リチウム、チタン酸リチウム、又はグラファイトを含むことができる。発泡マトリックス301は、電解質材料及び有機材料(図示せず)を含むマトリックス部分を含むことができる。実施形態において、細孔302は、第1のタイプの空隙率であり得る。第2のタイプの空隙率は図示されていない。別の実施形態では、固体イオン伝導性層は、第1のタイプの空隙率及び電解質材料から本質的に構成され得る。
【0088】
特定の実施形態では、アノードは、図3に例示された固体イオン伝導性層300を含むことができる。別の実施形態では、アノードは、図に例示された固体イオン伝導性層100又は200を含むことができる。それぞれ、1及び2である。特定の例では、陽極は3次元構造化され得る。注目すべきは、本明細書の実施形態に記載される固体イオン伝導性層は、アノードの改善された形成及び性能を促進することができることである。例えば、本明細書の実施形態に記載の負極は、負極がLi金属で完全に充電されたときに、少なくとも650mAh/g、少なくとも700mAh/g、少なくとも750mAh/g、少なくとも800mAh/g、少なくとも850mAh/g、又は少なくとも900mAh/gの比重エネルギー密度を有することが可能である。
【0089】
別の実施形態では、固体イオン伝導性層は、固体電池の改良された形成及び性能を促進することができる。一態様において、固体電池は、図1に例示される層100、図2に例示される層200、又は図3に例示される層300などの固体イオン伝導性層を含むことができる。特定の態様において、固体電池は、固体リチウムイオン電池とすることができる。別の特定のインスタンスの態様において、固体電池は、図3に図示された複合層300を含むアノードを含むことができる。
【0090】
さらなる態様において、固体電池は、少なくとも700Wh/L、少なくとも750Wh/L、少なくとも800Wh/L、又は少なくとも850Wh/Lのエネルギー密度を有することができる。別の態様では、固体電池は、少なくとも250Wh/kg、少なくとも300Wh/kg、少なくとも350Wh/kg、または少なくとも400Wh/kgのエネルギー密度を有することができる。
【0091】
エネルギー密度は、コイン電池試験において、負極への電解質/バインダーの固形分負荷(g)を制御し、電気化学的に充放電容量を測定することで試験することができる。初期状態で全てのLiイオンを正極に置いた場合、充電後の負極におけるLi金属重量は、Li金属の電気化学容量3860mAh/gを利用して、充電容量(mAh)から計算することができる。
【0092】
別の実施形態では、イオン伝導性層は、活性正極材料を含むことができる。例えば、図3に例示されている活性電極材料360は、活性正極材料を含むことができる。例示的な活性正極材料は、リチウム含有酸化物、遷移金属フッ化物、ポリアニオン材料、フッ素化ポリアニオン材料、遷移金属硫化物、遷移金属オキシフルオリド、遷移金属オキシスルフィド、遷移金属オキシナイトライド、又はそれらの任意の組合せを含むことができる。特定の例示的な正極材料は、LiCoO、LiFePO、Li(NiCoAl)O、LiMnPO、LiMn、LiNi1/3Co1/3Mn1/3、またはこれらのいかなる組み合わせを含んでもよい。
【0093】
図4は、多層構造400の図解を含む。多層構造400は、別のイオン伝導性層420の上に、細孔402及び404を含む空隙率固体イオン伝導性層401を含むことができる。イオン伝導性層420は、緻密であってもよい。例えば、イオン伝導性層420は、イオン伝導性層420の総体積に対して最大5vol%の空隙率を有することができる。固体イオン伝導性層401は、図1に図示されたイオン伝導性層100又は図2に図示された200と類似することができ、又は本明細書の実施形態に記載された任意の特徴を含むことができる。例えば、イオン伝導性層401は、細孔402を含む第1種の空隙率及び細孔404を含む第2種の空隙率を含む発泡マトリックス410を含むことができる。実施形態において、多層構造は、固体電池の一部を形成することができる。例示的な用途では、緻密なイオン伝導性層420は電解質であってもよく、空隙率イオン伝導性層401は電極層のための足場又は基幹構造であってもよい。
【0094】
図5は、層520の上に図3に図示されたイオン伝導性層300を含む固体電池500の一部の図示を含む。特定の例では、層520は電解質であり得る。別の特定の例では、イオン伝導性層300は、発泡マトリックス301に配置された電子伝導性材料360を含むことができる。
【0095】
図6を参照すると、多層構造600が図示されている。多層構造600は、図5に図示された520又は図4に図示された420と同様のイオン伝導性層620を含むことができる。空隙率固体イオン伝導性層601及び610は、孔602及び612を含むことができ、図に例示された固体イオン伝導性層100、200、又は401のいずれかと同様である。それぞれ、1、2、及び4である。空隙率固体イオン伝導性層601及び610は、本明細書の実施形態の固体イオン伝導性層に関して説明した任意の特徴を含むことができる。例えば、イオン伝導性層601及び610の各々は、それぞれ細孔602及び612を含む発泡マトリックスを含むことができる。特定の実施態様では、イオン伝導性層601及び610は、空隙率、平均細孔径、細孔径標準偏差、細孔配向、縦横比、又はそれらの組合せを含む互いに異なる細孔特性を含むことができる。より特定の例では、細孔602及び612は、変化する細孔サイズ、細孔の内容、アスペクト比、細孔配向、又はそれらのいかなる組み合わせを有する段階的細孔性を形成することができる。例えば、平均細孔サイズ、細孔の内容、又はそれらの組み合わせは、イオン伝導性層620から離れる方向に延びるように増加することができる。別の例では、図示されているように、細孔612は、細孔602よりも大きな平均細孔径を有することができる。さらに別の例では、イオン伝導性層611は、イオン伝導性層601の細孔602の含有量と比較して、細孔612の含有量がより多く含まれることができる。別の例では、多層構造600は、追加の層を有することができる。
【0096】
図7を参照すると、例示的なプロセス700が図示されている。プロセス700は、電解質材料及び発泡剤を含む組成物を有するブロック702で混合物を形成することを含むことができ、電解質材料は、ハロゲン化物系材料、硫化物系材料、又はそれらの組み合わせなどの吸湿性材料を含むことができる。組成物は、有機材料前駆体および架橋剤をさらに含むことができる。組成物は、任意に、バインダー材料、分散剤、可塑剤、及び/又は均質化剤を含むことができる。いくつかの実施態様において、混合物は、リチウム塩、有機電解質材料、及び/又は正極材料若しくは負極材料などの電子伝導性材料をさらに含むことができる。
【0097】
成分は、均質な混合物を形成するための任意の適切な順序で添加してもよく、混合を促進するためにミキサーのような混合補助剤を使用してもよい。
【0098】
組成物の成分は、吸湿性材料に対して反応性でなくてもよい。例えば、有機材料前駆体、架橋剤、発泡剤、及びバインダー材料の各々は、疎水性であり得る。別の例では、有機材料前駆体、架橋剤、発泡剤、及びバインダー材料の各々は、本明細書の実施形態で指摘するように、HLB値、水分吸収率、反応性値、又はそれらの任意の組合せを有することができる。
【0099】
例示的な有機材料前駆体は、樹脂、ポリマー、プレポリマー、モノマー、またはそれらの組み合わせを含むことができる。有機材料前駆体は、ポリマーのような有機材料に形成することができる。発泡剤及び架橋剤の存在下で、有機材料前駆体は、発泡反応を起こして発泡したマトリックスを形成することも可能である。有機材料前駆体の特定の例としては、エポキシ樹脂、ポリオール、またはそれらの組み合わせを挙げることができる。
【0100】
発泡システムの例は、疎水性ポリオール、イソシアネート370、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート、疎水性ポリイソシアネート、またはそれらのいかなる組み合わせを含む架橋剤、およびシクロペンタン、ペンタン、イソペンタン、メチレンジフェニルジイソシアネートまたはそれらのいかなる組み合わせなどの発泡剤、であることができる。
【0101】
発泡系の他の例としては、エポキシ樹脂、アミンまたはチオールを含む架橋剤、およびペンタンなどの形成剤を挙げることができる。
【0102】
例示的な実施態様では、組成物は、組成物の総重量に対して、少なくとも50wt%~最大85wt%の電解質材料、少なくとも2wt%~最大10wt%の発泡剤、少なくとも5wt%~最大20wt%の有機材料前駆体、及び少なくとも5wt%~最大20wt%の架橋剤、を含むことができる。
【0103】
組成物はまた、溶媒を含むことができ、その混合物はスラリーまたはコロイド懸濁液に形成することができる。溶媒は、吸湿性材料に対して反応性でなくてもよい。例えば、溶媒は、本明細書の実施形態で指摘するように、HLB値、水分吸収率、反応性値、又はそれらの任意の組合せを有することができる。例示的な溶媒は、トルエン、ペンテン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロデカン、シクロウンデカン、シクロドセカン、イソブチル、炭酸ジメチル、硫化ジメチル、又は同様のものを含むことができる。
【0104】
特定の実施態様では、イオン伝導性層の改善された形成及び性能を促進するために、1つ以上のバインダーをスラリー中に混合することができる。例示的なバインダーは、パラフィンワックス、ポリイソブチレン、ポリビニルピロリドン、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリエチレングリコール、カンフェン、尿素を含む群から選択される1つ以上の材料を含むことができる。ポリ(アクリロニトリル)、ポリエチレンカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(プロピレンオキシド)、ポリ(ビニリデンフロライド)、ポリ(ジメチルシロキサン)、ポリ[ビス(メトキシエトキシ)ホスファゼン]。ポリプロピレングリコール、ポリカプロラクトン、ポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(フッ化ビニリデン)-コ-ヘキサフルオロプロピレン、ポリ(アクリロニトリル-コブタジエン)、ポリ(スチレン-ブタジエン-スチレン)。およびスチレン-エチレン-ブチレン-スチレン、水素化ニトリルブタジエンゴム、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリ(エチレンオキシド)、ポリスチレンおよびポリウレタン、またはそれらのいかなる組み合わせが挙げられる。
【0105】
プロセス700は、ブロック704でグリーン層を形成することを含むことができる。一例では、グリーン層を形成することは、キャスティング、コーティング、印刷、バインダー噴射、押し出し、圧縮、カレンダー、プレス、またはそれらのいかなる組み合わせによって混合物を処理することを含むことができる。特定の例では、グリーン層は、テープ又はフィルムの形態とすることができる。緑色層は、本明細書の実施態様で指摘される任意の厚さを含むことができる。特に、実施態様では、緑色イオン伝導性層を形成することは、ドクターブレードまたはナイフコーティングのようなテープキャスティングを含むことができる。テープキャスティングは、乾燥状態、例えばドライルーム又はグローブボックス内で実施することができる。別の特定の実施態様では、緑色層は、混合物を押し出してフィルムまたはテープを形成することによって形成することができる。
【0106】
プロセス700は、ブロック706において、発泡マトリックス及び電解質材料を含むイオン伝導性層を形成することを含むことができる。実施形態において、プロセス700は、有機材料前駆体から形成された有機材料を含む発泡マトリックスを形成する発泡反応を実行することを含むことができる。特定の例では、発泡は、フィルム内またはテープ内で実行することができる。別の例では、プロセス700は、フィルム又はテープの厚さと多孔性の形成とを同時に制御することを含むことができる。特に、発泡は、グリーン層の厚さが制約される場合に同時に実行されてもよい。
【0107】
図8Aから図8Bを参照すると、グリーン層810が基板801上に鋳造され、制約なく、発泡層820は孔822と厚さt1を有することができる。図8C及び図8Dに図示されるように、同様のグリーン層830は、固定具又はダイ802の助けを借りてなど、グリーン層の厚さが制約される場合、孔842及び厚さt2を有する発泡層840に形成することができる。図示されるように、孔842は孔822と異なる向きを有することができる。厚さt2は、t1よりも小さくすることができる。
【0108】
例示的な実施態様において、発泡反応は、少なくとも20℃~100℃の温度で行われてもよい。さらなる例では、押出および発泡は、連続的に実行されてもよい。別の例では、発泡は、押出温度よりも高い温度で実行することができる。特定の例では、押出および発泡は、ゾーン化された温度および厚み制御を備えた単一のダイ内で実行することができる。
【0109】
図9を参照すると、例示的な連続工程が示されている。混合物901は、ゾーン910で押し出されてグリーン層902を形成することができる。グリーン層902は、ゾーン920で加熱されて、厚み制約下で発泡反応を行い、発泡グリーン層903を形成することができる。発泡グリーン層903は、その後、ゾーン940で冷却することができる。特定の例では、プロセスは、ダイ内で実行することができる。
【0110】
別の実施形態では、プロセス700は、複数の緑色層を形成することを含むことができる。例えば、第1の緑色層が形成されてもよく、第2の緑色層が第1の緑色層の上に重なって形成されてもよい。第1緑色層は、混合物を含むことができる。第2のグリーン層は、ブロック702の混合物中の電解質材料と同じであっても異なっていてもよい電解質材料を含むことができる。例示的な実施態様において、テープキャスティングは、各緑色層を形成するために使用され得る。特定の実施態様では、緑色層は別々に形成され、その後積層されてもよい。あるいは、テープキャスティングは、緑色層を同時に形成するために実行されてもよい。特定の実施態様において、ロールツーロール堆積は、グリーン層のスタックを同時に鋳造するために実行されてもよい。別の例では、第1のグリーン層及び/又は第2のグリーン層の上に追加のグリーン層が形成されてもよい。別の例では、複数の層を共押し出しして、多層構造を形成することができる。
【0111】
別の例では、1つ以上のグリーン層を乾燥させて、最終的に形成された1つ以上の層、例えば、空隙率固体イオン伝導性層、電解質層、又はそれらの組み合わせを含む多層構造を形成してもよい。乾燥は、室温で行ってもよいし、熱の適用で行ってもよい。更なる例では、グリーン層の混合物は、20℃~160℃の温度で硬化させることができる。特定の例では、硬化温度は発泡温度より高くてもよい。例えば、エポキシ樹脂は、発泡温度よりも高い温度で硬化することができる。本開示を読んだ後、当業者は、有機材料前駆体(例えば、エポキシド)及び架橋剤の選択によって架橋温度(例えば、エポキシの硬化温度)を制御することができることを理解する。さらなる例では、第2のイオン伝導性層の上に第1のイオン伝導性層を含む多層構造を形成することができる。
【0112】
特定の実施態様では、バインダー材料の除去を促進するために、第1のグリーン層に熱が加えられてもよい。特定の実施態様において、第1のグリーン層を加熱することは、1つ以上のバインダー材料を除去することを含むことができる。特定の態様において、加熱は、1つまたは複数のバインダー材料を蒸発させることを含むことができる。そのようなバインダー材料は、パラフィンワックス、ポリイソブチレン、ポリビニルピロリドン、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリエチレングリコール、カンフェン、尿素、ポリ(アクリロニトリル)、ポリエチレンカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリ(エチレンオキシド)、またはこれらの組み合わせを含む群から選択された1つ以上の材料を含むことができる。特定の実施態様において、加熱は、第2のタイプの多孔性の形成を促進することができる加熱温度及び/又は加熱時間を含むことができる。例示的な加熱温度は、バインダー材料の蒸発温度を含むことができる。別の例では、加熱温度は、30℃~200℃を含むことができる。さらなる例では、加熱時間は、2分~120分とすることができる。
【0113】
多くの異なる態様と実施形態が可能である。それらの態様および実施形態のいくつかを本明細書に記載する。本明細書を読んだ後、当業者は、それらの態様および実施形態が例示に過ぎず、本発明の範囲を限定するものではないことを理解するであろう。実施形態は、以下に列挙する実施形態のうちのいずれか1つ以上に従ってもよい。
【0114】
実施形態
実施形態1.吸湿性材料を含む電解質材料を含む発泡マトリックスを含む、固体イオン伝導性層。
実施形態2.固体イオン伝導性層の総体積に対して、少なくとも30vol%、少なくとも40vol%、少なくとも50vol%、少なくとも60vol%、少なくとも70vol%、または少なくとも80vol%の総空隙率を含む、実施形態1に記載の固体イオン伝導性層。
実施形態3.全空隙率が最大95vol%、最大90vol%、最大85vol%、最大80vol%、最大75vol%、最大70vol%、最大65%、最大60%、最大55%、または最大50%を含む、実施形態1または2記載の固体イオン伝導性層。
実施形態4.最大1mm、最大800ミクロン、最大600ミクロン、最大500ミクロン、最大400ミクロン、最大300ミクロン、最大200ミクロン、または最大100ミクロンの厚さを含む、実施形態1から3のいずれか1つに記載の固体イオン伝導性層。
実施形態5.少なくとも5ミクロン、少なくとも10ミクロン、少なくとも15ミクロン、少なくとも20ミクロン、少なくとも30ミクロン、または少なくとも40ミクロンの厚さを含む、実施形態1から4のいずれか1つに記載のイオン伝導性層。
実施形態6.電解質材料は、少なくとも0.1mS/cm、少なくとも0.5mS/cm、少なくとも1mS/cm、少なくとも1.5mS/cm、または少なくとも2mS/cmのバルクイオン伝導度を含む、実施形態1から5のいずれか1項に記載のイオン伝導性積層体。
実施形態7.電解質材料が、最大50mS/cm、最大45mS/cm、最大40mS/cm、最大35mS/cm、最大30mS/cm、最大29mS/cm、最大25mS/cm、最大20mS/cm、最大15mS/cm、最大10mS/cm、最大5mS/cm、最大3mS/cm、最大2mS/cm、または最大1mS/cmのバルクイオン伝導度を含む、実施形態1から6のいずれか1項に記載の方法。
実施形態8.ポリマーを含む有機材料を含み、ポリマーが電解質材料と反応しない、実施形態1~7のいずれか1つに記載のイオン伝導性層。
実施形態9.ポリマーを含む有機材料を含む、実施形態1から8のいずれか1つに記載のイオン伝導性層であって、ポリマーは、HLB数が最大5、最大4.6、最大4.2、最大4、最大3.5、最大3、最大2.5、最大2、最大1、最大0.5、又は最大0.1である、イオン伝導性層。
実施形態10.ポリマーを含む有機材料を含む、実施形態1から9のいずれか1つに記載のイオン伝導性層であって、ポリマーは、最大1.0wt.%、例えば最大0.8wt.%、最大0.5wt.%、最大0.3wt.%、または最大0.1wt.%の吸湿率を有することを特徴とする。
【0115】
実施形態11.ポリマーを含む有機材料を含む、実施形態1から10のいずれか1つに記載のイオン伝導性層であって、ポリマーは、最大10%、例えば最大9%、最大8%、最大7%、最大6%、最大5%、最大4%、最大3%、または最大2%の反応度(反応性値)を有することを特徴とする。
実施形態12.パラフィンワックス、ポリイソブチレン、ポリビニルピロリドン、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリエチレングリコール、カンフェン、尿素、ポリ(アクリロニトリル)、ポリエチレンカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリ(エチレンオキシド)、またはこれらのいかなる組み合わせを含む有機材料を含む、実施形態1~11のいずれか1項に記載のイオン伝導性層。
実施形態13.ポリ(プロピレンオキシド)、ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリ(ジメチルシロキサン)、ポリ[ビス(メトキシエトキシ)-ホスファゼン]、ポリプロピレングリコール、ポリカプロラクトン、およびポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(フッ化ビニリデン)-コ-ヘキサフルオロプロピレン、ポリ(アクリロニトリル-コ-ブタジエン)、ポリ(スチレン-ブタジエン-スチレン)およびスチレン-エチレン-ブチレン-スチレン、水素化ニトリルブタジエンゴム、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリ(エチレンオキシド)、ポリスチレンおよびポリウレタンまたはそれらの任意の組合せから成る群より選択される有機材料を含む、実施形態1~12のいずれか一つのイオン伝導性層。
実施形態14.固体イオン伝導性層の総体積に対して、最大50vol%、最大45vol%、最大40vol%、最大35vol%、最大30vol%、最大28vol%、最大25vol%、最大20vol%、最大15vol%、最大10vol%または最大5vol%の含有量で有機材料を含む実施形態1~13のいずれか一つに記載のイオン伝導体積層物。
実施形態15.固体イオン伝導性層の総体積に対して少なくとも0.5vol%、少なくとも1vol%、少なくとも2vol%、少なくとも3vol%、少なくとも4vol%、少なくとも5vol%、少なくとも6vol%、少なくとも7vol%、少なくとも8vol%、少なくとも9vol%、少なくとも10vol%、少なくとも12vol%または少なくとも15vol%の含有量で有機材料を含む実施形態1~14いずれか1つに記載のイオン伝導性積層体。
実施形態16.発泡マトリックスが、V:Vの比率を含み、ここで、Vは、固体イオン伝導性層の総体積に対する有機材料の体積パーセントであり、Vは、固体イオン伝導性層の総体積に対する電解質材料の体積パーセントであり、この比率は、少なくとも0.5、少なくとも1、少なくとも1.5、少なくとも2、少なくとも2.5または少なくとも3である、実施形態1~15のいずれか1つのイオン伝導性積層体。
実施形態17.比が、最大10、最大9、最大8、最大7、最大6、最大5、最大4、または最大3である、実施形態16に記載のイオン伝導性層。
実施形態18.エポキシ、ポリウレタン、ポリ(エチレンオキシド)、またはそれらの組み合わせを含むポリマーを含む有機材料を含む、実施形態1から17のいずれか1項に記載のイオン伝導性層。
実施形態19.実施形態1から18のいずれか1つに記載のイオン伝導性層であって、イオン伝導性層の総体積に対して、少なくとも1vol%のポリウレタンを含み、少なくとも2vol%、少なくとも4vol%、少なくとも5vol%、少なくとも8vol%、少なくとも10vol%、少なくとも12vol%、少なくとも15vol%、少なくとも18vol%、少なくとも20vol%、少なくとも25vol%、少なくとも30vol%、又は少なくとも35vol%である。
実施形態20.実施形態1から19のいずれか1つに記載のイオン伝導性層であって、イオン伝導性層の総体積に対して、最大50vol%のポリウレタン、最大45vol%、最大42vol%、最大40vol%、最大38vol%、または最大35vol%のポリウレタンを含む。
【0116】
実施形態21.イオン伝導性層の総体積に対して少なくとも1vol%のエポキシ、少なくとも2vol%、少なくとも4vol%、少なくとも5vol%、少なくとも8vol%、少なくとも10vol%、少なくとも12vol%、少なくとも15vol%、少なくとも18vol%、少なくとも20vol%、少なくとも25vol%、少なくとも30vol%、又は少なくとも35vol%を含む実施形態1~20いずれか1項に記載のイオン伝導性積層体。
実施形態22.イオン伝導性層の総体積に対して、最大50vol%のエポキシを含み、最大45vol%、最大42vol%、最大40vol%、最大38vol%、または最大35vol%を含む、実施形態1~21のいずれか1つに記載のイオン伝導性層。
実施形態23.電解質材料が発泡マトリックスに埋め込まれている、実施形態1~22のいずれか1つに記載のイオン伝導性層。
実施形態24.発泡マトリックス中に分散されたリチウム塩をさらに含み、リチウム塩が、LiPF6, LiClO4, LiBF4, LiAsF6, LiTf, LiSA, LiFSI, LiTFSI, LiBETI, LiCTFSI, LiBOB, LiTDI, LiPDI, LiDCTA, LiB(CN)4, LiPF6, LiBF4, LiSbF6, LiAsF6, LiSO3CF3, LiN(SO2CF3)2, LiN(SO2C2F5)2, LiN(SO2CF3)(SO2C4F9), LiC(SO2CF3)3またはそれらの組合せを含む、実施形態1~23のいずれか1つに記載のイオン伝導性層。
実施形態25.最大50ミクロン、最大45ミクロン、最大40ミクロン、最大35ミクロン、最大30ミクロン、最大25ミクロン、最大20ミクロン、最大17.5ミクロン、最大15ミクロン、最大12.5ミクロン、最大10ミクロン、最大7.5ミクロンまたは最大5ミクロンの平均孔径を含む、実施形態1~24のいずれか1つに記載のイオン伝導性層。
実施形態26.実施形態1から25のいずれか1つに記載のイオン伝導性層であって、少なくとも0.1ミクロン、少なくとも0.3ミクロン、少なくとも0.5ミクロン、少なくとも0.7ミクロン、少なくとも1ミクロン、少なくとも1.5ミクロン、少なくとも2ミクロン、少なくとも2.5ミクロン、少なくとも3ミクロン、少なくとも5ミクロン、少なくとも7.5ミクロン、少なくとも10ミクロン、少なくとも12.5ミクロン、少なくとも15ミクロン、少なくとも17.5ミクロン、少なくとも20ミクロン、少なくとも22ミクロン、少なくとも25ミクロン、少なくとも30ミクロン、少なくとも33ミクロン、少なくとも35ミクロン、少なくとも38ミクロン、少なくとも40ミクロン、少なくとも42ミクロンの平均孔径、少なくとも45ミクロン、少なくとも47ミクロンまたは少なくとも50μmの空隙率を含む。
実施形態27.開放細孔、閉鎖細孔、またはそれらの組み合わせを含む全空隙率を含む、実施形態1から26のいずれか1項に記載のイオン伝導性層。
実施形態28.全空隙率の細孔の少なくとも5%が開いており、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、又は少なくとも90%が開いている、実施形態27のイオン伝導性層。
実施形態29.全空隙率の細孔の最大95%が開いており、最大90%、最大85%、最大80%、最大75%、最大70%、最大65%、最大50%、最大45%、最大40%、最大35%、最大30%、最大25%、最大20%、最大15%、最大10%、または最大5%が開いている、実施形態27または28記載のイオン伝導性層。
実施形態30.全空隙率が開放細孔から本質的に成る、実施形態27から28のいずれか1つに記載のイオン伝導性層。
【0117】
実施形態31.全空隙率の細孔の少なくとも0.5%が閉じており、全空隙率の細孔の少なくとも1%、少なくとも3%、少なくとも4%又は少なくとも5%が閉じている、実施形態27から29のいずれか1つに記載のイオン伝導性層。
実施形態32.全空隙率の最大10%が閉じており、最大8%、最大6%、最大4%、最大3%、最大2%、または最大1%の細孔が閉じている、実施形態31のイオン伝導性層。
実施形態33.第1のタイプの多孔性と第2のタイプの多孔性とを備え、第1及び第2のタイプの多孔性は、平均孔径、孔径分布、孔の配向、孔の含有量、又はそれらの組み合わせを含む異なる孔特性を含む、実施形態1~32のいずれか1つに記載のイオン伝導性層。
実施形態34.第1のタイプの多孔性が第1の平均孔径を含み、第2のタイプの多孔性が第2の平均孔径を含み、第1の平均孔径が第2の平均孔径より大きい、実施形態33のイオン伝導性層。
実施形態35.第1のタイプの多孔性は、開放細孔、閉鎖細孔、またはそれらの組み合わせを含む、実施形態33または34に記載のイオン伝導性層。
実施形態36.第1のタイプの多孔性は、開放細孔を含む、実施形態35に記載のイオン伝導性層。
実施形態37.第1のタイプの多孔性は、イオン伝導性層の総体積に対して少なくとも1vol%、少なくとも5vol%、少なくとも10vol%、少なくとも15vol%、少なくとも20vol%、少なくとも25vol%、少なくとも30vol%、少なくとも40vol%、少なくとも50vol%、少なくとも55vol%、少なくとも60vol%、少なくとも70vol%、少なくとも80vol%又は少なくとも90vol%を構成する、実施形態33~36のいずれか一つに記載のイオンイオン伝導性層。
実施形態38.第1のタイプの空隙は、イオン伝導性層の総体積に対して、最大95vol%、最大90vol%、最大80vol%、最大70vol%、最大60vol%、最大50vol%、最大40vol%、最大30vol%、最大20vol%、または最大10vol%を構成する、実施形態33~37のいずれか1つに記載のイオン伝導性積層体。
実施形態39.第1のタイプの多孔性は、少なくとも2ミクロン、少なくとも3ミクロン、少なくとも5ミクロン、少なくとも7ミクロン、少なくとも10ミクロン、少なくとも12ミクロン、少なくとも15ミクロン、または少なくとも17ミクロンの第1の平均孔径を含む、実施形態33から38のいずれか1つに記載のイオン伝導性層。
実施形態40.第1のタイプの多孔性は、最大50ミクロン、最大45ミクロン、最大40ミクロン、最大35ミクロン、最大30ミクロン、最大25ミクロン、最大20ミクロン、最大17ミクロン、最大15ミクロン、最大12ミクロン、最大10ミクロン、最大7ミクロン、または最大5ミクロンの第1の平均孔径を含む、実施形態33~39のいずれか1つに記載のイオン伝導性層。
【0118】
実施形態41.第2のタイプの多孔性は、開放細孔、閉じた細孔、またはそれらの組み合わせを含む、実施形態33から40のいずれか1つに記載のイオン伝導性層。
実施形態42.第2のタイプの空隙が開放細孔から本質的に成る、実施形態41に記載のイオン伝導性層。
実施形態43.第2のタイプの多孔性は、最大1ミクロン、最大0.8ミクロン、または最大0.5ミクロンの第2の平均細孔サイズを含む、実施形態33から42のいずれか1つに記載のイオン伝導性層。
実施形態44.第2のタイプの多孔性は、少なくとも0.1ミクロン、少なくとも0.2ミクロン、少なくとも0.3ミクロン、または少なくとも0.5ミクロンの第2の平均細孔サイズを含む、実施形態33から43のいずれか1つに記載のイオン伝導性層。
実施形態45.第2のタイプの多孔性は、イオン伝導性層の総体積に対して少なくとも1vol%、少なくとも2vol%、少なくとも3vol%、少なくとも4vol%、少なくとも5vol%、少なくとも6vol%、少なくとも7vol%、少なくとも8vol%、少なくとも9vol%、少なくとも10vol%、少なくとも12vol%又は少なくとも15vol%を構成する、実施形態33~44のいずれか1つに記載のイオン伝導性層。
実施形態46.実施形態33から45のいずれか1つに記載のイオン伝導性層であって、第2のタイプの多孔性は、イオン伝導性層の総体積に対して、最大30vol%、最大28vol%、最大25vol%、最大23vol%、最大20vol%、最大18vol%、最大15vol%、最大12vol%、最大10vol%、%、最大8vol%、最大7vol%、最大6vol%、最大5vol%、最大4vol%、または最大3vol%である。
実施形態47.全空隙率(全多孔性)の少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%の細孔が、平均孔径の±30%以内、平均孔径の±25%以内、平均孔径の±20%以内、平均孔径の±15%以内、または平均孔径の±10%以内、平均孔径の±5%以内の細孔径を有する、実施形態27から46いずれか一つに記載のイオン伝導性層。
実施形態48.第1のタイプの多孔性の少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%が、第1の平均細孔サイズの±30%以内、第1の平均細孔サイズの±25%以内、第1の平均細孔サイズの±20%以内、第1の平均細孔サイズの±15%以内、第1の平均細孔サイズの±10%以内、または第1の平均細孔サイズの±5%以内の細孔径を有する、実施形態33~47のいずれか1つのイオン伝導性層。
実施形態49.第1及び第2のタイプの多孔性が独立して、長さ:幅のアスペクト比が少なくとも1、少なくとも1.2、少なくとも1.5、少なくとも2、少なくとも2.3、少なくとも2.5、少なくとも2.8、又は少なくとも3を含む、実施形態33~48のいずれか1つのイオン伝導性層。
実施形態50.平均アスペクト比が、最大30、最大25、最大22、最大20、最大15、最大12、最大10、最大8、最大5、または最大4である、実施形態49のイオン伝導性層。
【0119】
実施形態51.第1の空隙は、水平方向に配向した孔を含む、実施形態33から50のいずれか1つに記載のイオン伝導性層。
実施形態52.第1の空隙は、本質的に水平方向に配向した孔を含む、実施形態33から51のいずれか1つに記載のイオン伝導性層。
実施形態53.発泡マトリックスが、電解質材料と、ポリウレタン、エポキシ、またはそれらの組み合わせを含むポリマーとを含む、実施形態1~52のいずれか1つのイオン伝導性層。
実施形態54.電解質材料が、ハロゲン化物系材料、硫化物系材料、またはそれらの組み合わせを含む、実施形態1から53のいずれか1つに記載の固体イオン伝導性層。
実施形態55.ハロゲン化物系材料が、M3-δ(Mek+3-δ+k*fを含み、ここで、-3≦δ<3、0≦f≦1、kはMeの原子価、2≦k<6、Mはアルカリ金属元素を含み、MeはMと異なる金属元素を含み、Xはハロゲンを含む実施形態54記載の固体イオンイオン伝導性層。
実施形態56.電解質材料が、反ペロブスカイト構造を有するハロゲン化リチウム、オキシハロゲン化リチウム、ハロゲン化水酸化リチウム、またはそれらの組み合わせを含む、実施形態54の固体イオン伝導性層。
実施形態57.電解質材料が、Li3OCl, Li3OBr, Li3O(Cl, Br), Li3OCl0.5Br0.5, Li2OHX, Li2OHCl, Li2OHBr,又はそれらの組み合わせを含む、実施形態56の固体イオン伝導性層。
実施形態58.硫化物が、xLi2S-yP2S5(LPS)、例えば 0.67Li2S-0.33P2S5, 80Li2S-20P2S5, 75Li2S-25P2S5, or 70Li2S-30P2S5, Li2S-X, ここで、Xは下記の少なくとも1つの硫化物を指し: SiS2, GeS2, and B2S3, 例えば 0.50Li2S-0.50GeS2, LiI-Li2S-SiS2 例えば 0.40LiI-0.36Li2S-0.24SiS2, 0.05Li4SiO4-0.57Li2S-0.38SiS2, Li3PO4-Li2S-SiS2 例えば 0.01Li3PO4-0.63Li2S-0.36SiS2, LiI-Li2S-B2S3 例えば0.44LiI-0.30Li2S-0.26B2S3, LiI-Li2S-P2S5例えば 0.45LiI-0.37Li2S-0.18P2S5, a-Li3PS4, Li10GeP2S12, Li6PS5Cl, Li6PS5Br, Li9.54Si1.74P1.44S11.7Cl0.3, Li10.35[Sn0.27Si1.08]P1.65S12, 又はそれらの任意の組合せを含む、実施形態54の固体イオン伝導性層。
実施形態59.イオン伝導性層の総体積に対して少なくとも5vol%の電解質材料を含み、イオン伝導性層の総体積に対して少なくとも7vol%、少なくとも9vol%、少なくとも10vol%、少なくとも12vol%、少なくとも15vol%、少なくとも17vol%、少なくとも19vol%、少なくとも20vol%、少なくとも25vol%、少なくとも27vol%、または少なくとも30vol%を含む、実施形態1~58のいずれか1つのイオン伝導性層。
実施形態60.実施形態1から59のいずれか1つに記載のイオン伝導性層であって、イオン伝導性層の総体積に対して電解質材料を最大60vol%、最大58vol%、最大55vol%、最大50vol%、最大48vol%、最大45vol%、最大42vol%、最大40vol%、最大38vol%、最大35vol%、最大30vol%、最大28vol%、最大25vol%、最大20vol%、最大15vol%、最大10vol%、または最大5vol%含むことを特徴とする。
【0120】
実施形態61.発泡マトリックス中に分散されたリチウム金属をさらに含む、実施形態1~60のいずれか1つのイオン伝導性層。
実施形態62.実施形態61のイオン伝導性層を含む負極であって、負極がLi金属で完全に充電されたときに、少なくとも650mAh/g、少なくとも700mAh/g、少なくとも750mAh/g、少なくとも800mAh/g、少なくとも850mAh/g、または少なくとも900mAh/gの比重エネルギー密度を有している、前記の負極。
実施形態63.実施形態1~60のいずれか1つに記載のイオン伝導性層を含む、電池。
実施形態64.実施形態62に記載の負極を含む、電池。
実施形態65.少なくとも600Wh/L、少なくとも650Wh/L、少なくとも700Wh/L、少なくとも750Wh/L、少なくとも800Wh/L、または少なくとも850Wh/Lのエネルギー密度を含む、実施形態63または64に記載の電池。
実施形態66.少なくとも250Wh/kg、少なくとも300Wh/kg、少なくとも350Wh/kg、または少なくとも400Wh/kgのエネルギー密度を含む、実施形態63または64に記載の電池。
実施形態67.下記を含む、多層構造体:
第1のイオン伝導性層の総体積に対して5vol%未満の空隙率を有する第1のイオン伝導性層;および
前記第1イオン伝導性層の上に設けられた第2イオン伝導性層;
ここで、前記第2イオン伝導性層が、実施形態1~61のいずれか1つに記載のイオン伝導性層を少なくとも1層含んでいることを特徴とする。
実施形態68.少なくとも1つのイオン伝導性層が複数の該イオン伝導性層を含み、複数の該イオン伝導性層が空隙率、平均細孔サイズ、またはそれらの組み合わせを含む異なる細孔特性を備える、実施形態67の多層構造体。
実施形態69.第2のイオン伝導性層は、複数のイオン伝導性層の細孔で構成される傾斜した多孔性を備える、実施形態68の多層構造体。
実施形態70.第2のイオン伝導性層が、第1のイオン伝導性層から離れる方向に、増加した平均孔径、増加した多孔性、またはそれらの組み合わせを含む、実施形態68に記載の多層構造体。
【0121】
実施形態71.吸湿性材料と発泡剤とを含む固体電解質材料を含む、組成物。
実施形態72.有機材料前駆体をさらに含み、有機材料前駆体は疎水性である、実施形態71に記載の組成物。
実施形態73.最大5のHLB値、最大10%の反応性値、最大1.0重量%のMAR、またはそれらの組み合わせを有する有機材料前駆体をさらに含む、実施形態71に記載の組成物。
実施形態74.有機材料前駆体が、エポキシ樹脂、ポリオール、またはそれらの組み合わせを含む、実施形態72または73に記載の組成物。
実施形態75.最大5のHLB値、最大10%の反応性値、最大1.0重量%のMAR、またはそれらの組み合わせを含む架橋剤をさらに含む、実施形態71から74のいずれか1つに記載の組成物。
実施形態76.架橋剤が、イソシアネート370、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート、疎水性ポリイソシアネート、アミン、チオール、またはこれらの組み合わせを含む、実施形態75に記載の組成物。
実施形態77.発泡剤が、シクロペンタン、ペンタン、イソペンタン、メチレンジフェニルジイソシアネートを含む、実施形態71から76のいずれか1項に記載の組成物。
実施形態78.実施形態71から77のいずれか1つに記載の組成物は、組成物の総重量に対して、少なくとも50wt%から最大85wt%の電解質材料を含む。
実施形態79.電解質材料が、ハロゲン化物系材料、硫化物系材料、またはそれらの組み合わせを含む、実施形態71から78のいずれか1つに記載の組成物。
実施形態80.組成物の総重量に対して少なくとも2wt%~最大10wt%の発泡剤を含む、実施形態71から79のいずれか1つに記載の組成物。
【0122】
実施形態81.組成物の総重量に対して少なくとも5wt%~最大20wt%の有機材料前駆体を含む、実施形態71から80のいずれか1つに記載の組成物。
実施形態82.組成物の総重量に対して少なくとも5wt%~最大20wt%の架橋剤を含む、実施形態71から81のいずれか1つに記載の組成物。
実施形態83.実施形態71から82のいずれか1つに記載の組成物を含む、スラリー。
実施形態84.実施形態71から82のいずれか1つに記載の組成物を含む、コロイド懸濁液。
実施形態85.下記の工程を含む、方法:
吸湿性材料を含む電解質材料と発泡剤とを含む混合物を形成すること;および
混合物から発泡したマトリックスを形成すること。
実施形態86.混合物が、有機材料前駆体及び架橋剤をさらに含む、実施形態85に記載の方法。
実施形態87.有機材料前駆体から形成された有機材料を含む発泡マトリックスを形成する発泡反応を行うことをさらに含む、実施形態85または86に記載の方法。
実施形態88.発泡剤及び架橋剤の各々が、最大5のHLB値、最大10%の反応性値、最大1.0重量%のMAR、又はそれらの組み合わせを含む、実施形態85から87のいずれか1つに記載の方法。
実施形態89.有機材料前駆体が疎水性である、実施形態85から88のいずれか1つに記載の方法。
実施形態90.有機材料が、最大5のHLB値、最大10%の反応性値、最大1.0重量%のMAR、またはそれらの組み合わせを含む、実施形態85から89のいずれか1つに記載の方法。
【0123】
実施形態91.有機材料前駆体は、エポキシ樹脂、ポリオール、またはそれらの組み合わせを含む、実施形態85から90のいずれか1つに記載の方法。
実施形態92.架橋剤が、イソシアネート370、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート、疎水性ポリイソシアネート、アミン、チオール、またはそれらの組み合わせを含む、実施形態85から91のいずれか1つに記載の方法。
実施形態93.発泡剤が、シクロペンタン、ペンタン、イソペンタン、メチレンジフェニルジイソシアネート、またはそれらの組み合わせを含む、実施形態85から92のいずれか1つに記載の方法。
実施形態94.混合物を含むフィルムまたはテープを形成することをさらに含み、発泡がフィルム中またはテープ中で行われる、実施形態85から93のいずれか1つに記載の方法。
実施形態95.フィルムまたはテープが、混合物を押出成形、カレンダー成形、印刷、またはキャスティングすることによって形成される、実施形態94に記載の方法。
実施形態96.フィルムまたはテープが第1の緑色層であり、工程が第2の緑色層を形成することをさらに含み、第2の緑色層が第1の緑色層に重なる、実施形態94または95に記載の方法。
実施形態97.第2の緑色層を形成している間に、第1の緑色層を同時に形成する、実施形態96のプロセス。
実施形態98.第1のグリーン層と第2のグリーン層を積層することをさらに含む、実施形態96のプロセス。
実施形態99.発泡反応を少なくとも40℃、最大80℃の温度で行う、実施形態85から98のいずれか1つに記載の方法。
実施形態100.発泡反応が、フィルムまたはテープの形成温度よりも高い温度で行われる、実施形態99に記載の方法。
【0124】
実施形態101.発泡反応を行いながら、フィルムまたはテープの厚さを同時に拘束することをさらに含む、実施形態85から100のいずれか1つに記載の方法。
実施形態102.グリーン層中の混合物を硬化させて固体イオン伝導性層を形成することをさらに含み、硬化は20℃~150℃の温度で行われる、実施形態99から101のいずれか1つに記載の方法。
実施形態103.第2のグリーン層から緻密な電解質層を形成することをさらに含む、実施形態96から102のいずれか1つに記載の方法(原文)。下記を含む本体を含む、外装:
少なくとも約90重量%のホウ化カルシウム化合物を含み、少なくとも約80%の理論密度を有する第1の部分であって、ホウ化カルシウム化合物が非化学量論的ホウ化カルシウム(CaB)と化学量論的ホウ化カルシウム(CaB)を含む部分。
【0125】

例1
表1に含まれる組成を有する混合物を用いて、本明細書の実施形態に従って、空隙率固体イオン伝導性層を形成することができる。キャストされたテープは、シクロペンタンの発泡反応が開始される~55℃に加熱され得る。成形反応は発熱性であるため、発泡反応の進行に伴い、テープ温度はさらに上昇する。70℃付近でイソシアネートとボラペルの架橋が起こり、空隙率ポリウレタン構造が形成される。
【表1】
【0126】
例2
空隙率固体イオン伝導性層は、表2に含まれる組成を有する混合物を用いて、本明細書の実施形態に従って形成することができる。表2において、いくつかの内容が範囲で提供されているにもかかわらず、成分の内容は100%まで加算されると理解されたい。キャストされたテープは、ペンタンの発泡反応が開始する~40℃に加熱することができる。発泡反応は発熱性であるため、発泡反応が進むとテープ温度はさらに上昇する。エポキシの硬化は、空隙率エポキシ骨格の形成後すぐに開始される。
【表2】
【0127】
例3
表3に含まれる組成を有する混合物を用いて、本明細書の実施形態に従って、空隙率固体イオン伝導性層を形成することができる。Araldite(登録商標)casting systemとCapcure(登録商標)3800は、10:18の割合で混合されてもよい。表3においていくつかの含有量が範囲で提供されているにもかかわらず、成分の含有量は100%まで加算されると理解される。発泡と架橋は、製造者の指示に従って、キャストされたテープで行うことができる。
【表3】
【0128】
例4
下記表4の各バインダー材料を、固体イオン伝導性層形成用LiYBr粉末と混合した。
【0129】
PVC粉末と可塑剤であるフタル酸ジイソノニル(DINP)を、混合物の総重量に対してPVCが40wt%、DINPが60wt%となるように予備混合した。次に、PVCとDINPの予備混合物を、LiYBr粉末と混合した。ここで、LiYBr粉末は60wt.%で、PVCとDINPの予備混合物は、LiYBrと予備混合物の合計重量に対して40wt.%となるように、予備混合した。発泡剤としてアゾジカルボンアミド(例えば、CelChem LLC Celgogen 780)を使用し、PVC、DINP、およびLiYBrの混合物に加えた。この混合物をテープキャストしてシートにし、150~200℃で加熱してPVCを融着させ、冷却してLiYBr-PVCフォームを形成させた。
【0130】
LiYBrとDINPの混合物のXRD分析では、LiYBrの分解はわずかで、臭化リチウムの生成は低レベルであることが示唆された。DINPの反応性値は10%未満であり、DINPとLiYBrは化学的に相溶していると考えられる。LiYBrとPVCの混合物のXRD分析により、PVCはLiYBrと化学的に相溶することが示唆された。
【表4】
【0131】
シリコーン-エポキシは,シリコーン99wt%:B(Cの重量比で触媒と予備混合した。その後,LYBrと混合し,プレミクスチャーとLiYBrの合計に対して,プレミクスチャーが70wt.%,LiYBrが30wt.%になるように混合した。なお,シリコーンエポキシと触媒B(C3,およびLiYBr粉末の混合物は,シリコーンエポキシの硬化条件である120℃,30分では完全硬化できず,触媒の量を増やすと完全硬化できなくなることがわかった。
【0132】
シリコーンハイコンシステンシーゴム(HCR)(Nouryon Silicone Gum RB6-0902)と触媒である過酸化物を、シリコーンHCR97wt%:過酸化物3wt%の重量比でプレミックスした。その後,LiYBrを予備混合物が70wt.%,LYBrが予備混合物とLYBrの合計で30wt.%になるように混合した。また,シリコーンHCRと触媒である過酸化物(Nouryon Peroxide PD-50-S-PS)およびLiYBrの混合粉末は完全に硬化することができず,シリコーンHCR,過酸化物およびLiYBrの混合物のXRDパターンにはLiBrの特性ピークが見られ,LiYBrの分解が示唆されている.
【0133】
シリコンと触媒であるSn(Nusil RT フォームシリコーンR-2370) の予備混合物をLiYBrと混合した。この混合物は完全に硬化することができず,混合物のXRD分析からLiYBrの分解が示唆された。
【0134】
シリコンとPt触媒の予備混合物(Nusil RT フォームシリコーンR-2360)を、LiYBrと、予備混合物50wt.%:LiYBrの重量比にて混合した。混合物のXRD分析からLiYBrの分解がなく、シリコーンとPt触媒は化学的に互換性があることが示された。この混合物中のPtの含有量は,シリコーンの重量に対して50ppmである.この混合物は完全に硬化させることができなかった。さらなる分析により、LiYBr粉末に含まれる不純物、臭化アンモニウムが硬化に影響を与える可能性があることが示された。シリコーン、Pt触媒、LiYBrの混合物に、Ptを400~5000ppm添加したところ、Ptの含有量を600ppm以上にすると、20~70℃の温度で5~20分間硬化させることができた。
【0135】
例5
65wt%のLiYBrと35wt%の発泡ポリシロキサンマトリックスを含む固体イオン伝導性層を二液型シリコーンゴム(LSR)を用いて形成した。以下の工程はグローブボックス内で行った。
【0136】
二液型シリコーンゴム(LSR)は,55wt%のA部に45wt%のLiYBrを均一に分散した。A部はビニルシリコーン,触媒のPt,発泡剤(シラノール)などを 含む。69wt.%LiYBは,31wt.%B部に均一に分散させた。B部は,ビニルシリコーンおよび架橋剤(水素化シリコーン)を含む。LiYBr-A部予備混合物とLiYBr-B部予備混合物を配合した。最終混合物を使用して,50umから300umの厚さを有するテープキャストフィルムを作製した。フィルムは60℃から100℃で加熱され,発泡と硬化が同時に起こるように最大10分間滞留した。Ptが存在すると、シラノール(A部のブロー剤)が水素化シリコーン(B部)と反応して水素ガスが発生し、発泡する。一方、ビニルシリコーン(A部、B部とも)は水素化シリコーン(B部の架橋剤)と反応してシリコーンゴムを形成する。その後、フィルムを冷却することで、シリコーンフォームにLiYBrを含む固体イオン伝導性層が形成される。
【0137】
例6
【表5】
【0138】
発泡シートは、表10に記した成分を含む白金系シリコーン発泡システムで、ハロゲン化物イオン伝導性材料で形成される。成分は予備混合され、予備混合物とハロゲン化物系イオン伝導性材料は、予備混合物とハロゲン化物系イオン伝導性材料との下記の重量比で混合されて、イオン伝導性層を形成する:0.1 wt.%:99.9 wt.%, 0.5 wt.%:99.5 wt.%, 1 wt.%: 99 wt.%,, 1.5 wt.%: 98.5 wt.%, 2 wt.%:98 wt.%, 3 wt.%: 98wt.%, 4 wt.%:96 wt.%, 5wt.%:95 wt.%, 6 wt.%: 94wt.%, 7 wt.%:93 wt.%, 8 wt.%:92wt.%, 9wt.%:91 wt.%, 及び 10 wt.%: 90 wt.%。
【0139】
利点、他の利点、及び問題に対する解決策を、特定の実施形態に関して上述してきた。しかしながら、利点、利点、問題に対する解決策、及び任意の利点、利点、又は解決策を生じさせるか又はより顕著にする可能性のある任意の特徴(複数可)は、任意の又は全ての請求項の重要、必須、又は必須の特徴として解釈されるべきではない。本明細書において、1つ以上の成分を含む材料への言及は、材料が特定された1つ以上の成分から本質的になる少なくとも1つの実施形態を含むと解釈することができる。本質的に成る」という用語は、特定されたこれらの材料を含み、材料の特性を著しく変化させない少数含有量(例えば、不純物含有量)以外の他の全ての材料を除外した組成物を含むと解釈されるであろう。加えて、又は代替的に、特定の非限定的な実施形態において、本明細書で特定される組成物のいずれかは、明示的に開示されていない材料を本質的に含まない可能性がある。本明細書の実施形態は、材料内の特定の成分の含有量の範囲を含み、所定の材料内の成分の含有量は合計100%であることが理解されよう。
【0140】
本明細書に記載された実施形態の明細書及び図解は、様々な実施形態の構造の一般的な理解を提供することを意図している。本明細書及び図解は、本明細書に記載された構造又は方法を使用する装置及びシステムの要素及び特徴の全てについて網羅的かつ包括的な説明として機能することを意図していない。別々の実施形態はまた、単一の実施形態において組み合わせて提供されてもよく、逆に、簡潔さのために、単一の実施形態の文脈で説明される様々な特徴はまた、別々にまたは任意のサブコンビネーションで提供されてもよい。さらに、範囲内に記載された値への言及は、その範囲内の各値およびすべての値を含む。他の多くの実施形態は、本明細書を読んだ後に初めて当業者に明らかになる場合がある。他の実施形態は、本開示の範囲から逸脱することなく、構造的置換、論理的置換、または別の変更を行うことができるように、本開示から使用され、導出されてもよい。したがって、本開示は、制限的ではなく例示的なものとみなされる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】