IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エコシンス エヌブイの特許一覧 ▶ トランスマレ ケミー エヌブイの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-25
(54)【発明の名称】抗ウイルス治療
(51)【国際特許分類】
   C07C 233/36 20060101AFI20230518BHJP
   A61K 31/23 20060101ALI20230518BHJP
   C07D 333/20 20060101ALI20230518BHJP
   A61K 31/381 20060101ALI20230518BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20230518BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20230518BHJP
   C07C 219/06 20060101ALI20230518BHJP
   C07C 309/46 20060101ALI20230518BHJP
   A61K 31/165 20060101ALI20230518BHJP
【FI】
C07C233/36
A61K31/23
C07D333/20
A61K31/381
A61P31/12
A61P31/14
C07C219/06
C07C309/46
A61K31/165
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022553648
(86)(22)【出願日】2021-03-04
(85)【翻訳文提出日】2022-10-27
(86)【国際出願番号】 EP2021055504
(87)【国際公開番号】W WO2021176010
(87)【国際公開日】2021-09-10
(31)【優先権主張番号】2003240.5
(32)【優先日】2020-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522353244
【氏名又は名称】エコシンス エヌブイ
(71)【出願人】
【識別番号】522353255
【氏名又は名称】トランスマレ ケミー エヌブイ
(74)【代理人】
【識別番号】100088904
【弁理士】
【氏名又は名称】庄司 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100124453
【弁理士】
【氏名又は名称】資延 由利子
(74)【代理人】
【識別番号】100135208
【弁理士】
【氏名又は名称】大杉 卓也
(74)【代理人】
【識別番号】100183656
【弁理士】
【氏名又は名称】庄司 晃
(74)【代理人】
【識別番号】100224786
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 卓之
(74)【代理人】
【識別番号】100225015
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 彩夏
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン アケン,コーエン ジャンヌ アルフォンス
(72)【発明者】
【氏名】ルテンス,バート アントーン ジュディス
(72)【発明者】
【氏名】バートン,ヤン カレル エミール トゥール
(72)【発明者】
【氏名】コールテン,シャーロット
(72)【発明者】
【氏名】ボーデ,ブラム ピーター ヒルデ
【テーマコード(参考)】
4C086
4C206
4H006
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086BB02
4C086GA13
4C086GA14
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA13
4C086NA14
4C086ZB33
4C206AA01
4C206AA02
4C206DB06
4C206FA09
4C206GA03
4C206GA28
4C206KA14
4C206KA15
4C206MA01
4C206MA04
4C206MA33
4C206NA14
4C206ZB33
4H006AA01
4H006AA03
4H006AB29
4H006BJ50
4H006BN10
4H006BS10
4H006BS30
4H006BV22
(57)【要約】
本明細書は、エンベロープウイルスによって引き起こされる感染症を治療又は改善するための、ミラミスチン、その誘導体及び形態の使用、並びにこの化合物及びそのような化合物を含有する医薬組成物を調製する方法に関する。特に、コロナウイルスによって引き起こされる感染症を治療又は改善するための、ミラミスチン、その誘導体及び形態の使用。更に特に、本明細書は、COVID-19(Coronavirus disease 2019)を治療又は改善するための、ミラミスチン、その誘導体及び形態の使用に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンベロープウイルスによって引き起こされる感染症の治療における使用のための、式(I)の化合物又はその薬学的に許容可能な形態(但し、式(I)の化合物はミリスタミド-プロピル-ジメチル-ベンジル-アンモニウムクロリドではない):
【化1】
(式中、
A-は薬学的に許容可能なアニオンであるか、又はY若しくはZがアニオン含有基である場合には存在せず、
XはO、S又はNR1を表し、
X1はCR2又は-OP(O)O-、特にCR2、更に特に-CHを表し、
Yは水素、OR2、NR2、SR2、SOR2、SO2R2又はアニオン含有基、特にオキシド(-O-)、カルボキシレート(-COO-)、スルホネート(-SO3 -)、サルフェート(-OSO3 -)、ホスフェート(-OP(O)(OR2)(O-))、タウリネート(-NHC2H4SO3 -)からなる群から選択されるアニオン含有基を表し、
Zは任意で置換される(ヘテロ)アリール基、特に任意で置換されるフェニルを表し、
L1はC10~C16脂肪族鎖を表し、
L2、L3及びL4は、それぞれ独立して、C1-6アルキル、O-C1-6アルキル、S-C1-6アルキル、SO-C1-6アルキル、SO2-C1-6アルキル又はNR3-C1-6アルキルを表し、特にL2、L3及びL4はそれぞれC1-6アルキルを表し、
Rは、独立して、水素若しくはC1-6アルキルを示し、又は両方のRが、それらが結合している窒素原子と共に環状環、特に5員環若しくは6員環を形成し、
R1、R2及びR3は、それぞれ独立して、水素又はC1-6アルキルを表す)。
【請求項2】
A-は薬学的に許容可能なアニオンであるか、又はY若しくはZがアニオン含有基である場合には存在せず、
XはO、S又はNR1を表し、
X1はCR2又は-OP(O)O-、特にCR2、更に特に-CHを表し、
Yは水素又はアニオン含有基、特にオキシド(-O-)を表し、
Zは非置換、一置換又は多置換の(ヘテロ)アリール基、特に非置換、一置換又は多置換の置換フェニルを表し、
L1はC10-16アルキル、特にC12アルキルを表し、
L2、L3及びL4は、それぞれ独立して、C1-6アルキル、O-C1-6アルキル、S-C1-6アルキル、SO-C1-6アルキル、SO2-C1-6アルキル又はNR3-C1-6アルキルを表し、特にL2、L3及びL4はそれぞれC1-6アルキルを表し、
Rは、独立して、水素又はC1-6アルキルを表し、
R1、R2及びR3は、それぞれ独立して、水素又はC1-6アルキルを表す、
エンベロープウイルスによって引き起こされる感染症の治療における使用のための、請求項1に記載の使用のための化合物(但し、式(I)の化合物はミリスタミド-プロピル-ジメチル-ベンジル-アンモニウムクロリドではない)。
【請求項3】
エンベロープウイルスによって引き起こされる感染症の治療における使用のための、式(Ia)の化合物又はその薬学的に許容可能な形態(但し、式(I)の化合物はミリスタミド-プロピル-ジメチル-ベンジル-アンモニウムクロリドではない):
【化2】
(式中、
A-は薬学的に許容可能なアニオンであるか、又はR'がアニオン含有基である場合には存在せず、
nは12、14又は16から独立して選択される整数であり、特にnは12であり、
mは0~5の整数であり、特にmは1であり、
XはO、S又はNR1を表し、ここで、R1は水素又はC1-6アルキルを表し、
R'は水素、又はカルボキシレート(-COO-)、スルホネート(-SO3 -)、サルフェート(-OSO3 -)、ホスフェート(-OP(O)(OR5)(O-))、タウリネート(-NHC2H4SO3 -)及びオキシド(-O-)からなる群から選択されるアニオン含有基を表し、ここで、R5は水素、C1-12アルキル、アルケニル、アルキニル又はアリールである)。
【請求項4】
エンベロープウイルスによって引き起こされる感染症の治療における使用のための、式(Ia)の化合物又はその薬学的に許容可能な形態:
【化3】
(式中、
A-は薬学的に許容可能なアニオンであるか、又はR'がアニオン含有基である場合には存在せず、
nは12、14又は16から独立して選択される整数であり、特にnは12であり、
mは0~5の整数であり、特にmは1であり、
XはO又はSを表し、特にXはOを表し、
R'は水素、又はカルボキシレート(-COO-)、スルホネート(-SO3 -)、サルフェート(-OSO3 -)、ホスフェート(-OP(O)(OR5)(O-))、タウリネート(-NHC2H4SO3 -)及びオキシド(-O-)からなる群から選択されるアニオン含有基を表し、ここで、R5は水素、C1-12アルキル、アルケニル、アルキニル又はアリールである)。
【請求項5】
以下の条件のうち1つ以上が適用される、請求項1又は2に記載の化合物:
L1はC12アルキルを表す;
XはO、S又はNR1を表し、ここで、R1は水素又はC1-6アルキルを表し、特にR1は水素を表し、更に特にXはNHを表す;
XはO又はSを表す;
X1はCR2、特に-CHを表す;
X1は-OP(O)O-を表し、かつ、Yはオキシド(-O-)を表す;
Yは水素を表す;
L2はCH2を表す;
L3はCH2を表す;
L4はC1-4アルキルを表す;
Rは水素又はC1-6アルキルを表し、特にRはC1-6アルキルを表し、更に特にRはメチルを表す;
Zは任意で置換される(ヘテロ)アリール基、特に任意で置換されるフェニルを表し、ここで、前記(ヘテロ)アリール又はフェニル基は、C1-6アルキル、ハロ、シアノ、又はカルボキシレート(-COO-)、スルホネート(-SO3 -)、サルフェート(-OSO3 -)、ホスフェート(-OP(O)(OR5)(O-))、タウリネート(-NHC2H4SO3 -)及びオキシド(-O-)からなる群から選択されるアニオン含有基によって任意で置換され、ここで、R5は水素、C1-12アルキル、アルケニル、アルキニル又はアリールであり、特に前記(ヘテロ)アリール又はフェニル基は、C1-6アルキル、ハロ、シアノ、又はカルボキシレート(-COO-)、スルホネート(-SO3 -)、サルフェート(-OSO3 -)、ホスフェート(-OP(O)(OR5)(O-))及びオキシド(-O-)からなる群から選択されるアニオン含有基によって任意で置換され、ここで、R5は水素であり、更に特に前記(ヘテロ)アリール又はフェニル基は、C1-6アルキル、ハロ、シアノ、又はカルボキシレート(-COO-)、スルホネート(-SO3 -)及びサルフェート(-OSO3 -)からなる群から選択されるアニオン含有基によって任意で置換され、より更に特に前記(ヘテロ)アリール又はフェニル基は、C1-6アルキル、ハロ、シアノ、又はスルホネート(-SO3 -)、タウリネート(-NHC2H4SO3 -)及びサルフェート(-OSO3 -)からなる群から選択されるアニオン含有基によって任意で置換され、より更に特に前記(ヘテロ)アリール又はフェニル基は、C1-6アルキル、ハロ、シアノ、又はスルホネート(-SO3 -)及びサルフェート(-OSO3 -)からなる群から選択されるアニオン含有基によって任意で置換される。
【請求項6】
以下の条件のうち1つ以上が適用される、請求項3又は4に記載の化合物:
nは12又は14から独立して選択される整数であり、特にnは12である;
mは1である;
XはO、S又はNR1を表し、ここで、R1は水素又はC1-6アルキルを表し、特にR1は水素を表す;
R'は水素、又はカルボキシレート(-COO-)、スルホネート(-SO3 -)、サルフェート(-OSO3 -)、ホスフェート(-OP(O)(OR5)(O-))、タウリネート(-NHC2H4SO3 -)及びオキシド(-O-)からなる群から選択されるアニオン含有基を表し、ここで、R5は水素、C1-12アルキル、アルケニル、アルキニル又はアリールであり、特にR'は水素、又はカルボキシレート(-COO-)、スルホネート(-SO3 -)、サルフェート(-OSO3 -)、ホスフェート(-OP(O)(OR5)(O-))及びオキシド(-O-)からなる群から選択されるアニオン含有基を表し、ここで、R5は水素であり、更に特にR'は水素、又はカルボキシレート(-COO-)、スルホネート(-SO3 -)、タウリネート(-NHC2H4SO3 -)及びサルフェート(-OSO3 -)からなる群から選択されるアニオン含有基を表し、より更に特にR'は水素、又はスルホネート(-SO3 -)及びサルフェート(-OSO3 -)からなる群から選択されるアニオン含有基を表す。
【請求項7】
前記薬学的に許容可能なアニオン(A-)は、存在する場合、薬学的に許容可能なアニオンを含有する非毒性の酸付加塩、例えば、塩化物塩、臭化物塩、硫酸塩、リン酸塩、酸リン酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、サリチル酸塩、安息香酸塩、ミリスチン酸塩、乳酸塩、ラクチル乳酸塩、ドデシル硫酸塩等、更に特にギ酸塩、サリチル酸塩、安息香酸塩、ミリスチン酸塩、ラクチル乳酸塩、ドデシル硫酸塩等から形成されるものから選択される、請求項1~6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
前記式(I)又は式(Ia)の化合物における前記薬学的に許容可能なアニオン(A-)は、存在する場合、式(II)のアニオンによって表される、請求項1~6のいずれか一項に記載の化合物:
【化4】
(式中、R4は水素、若しくは水素、アミノ、ヒドロキシル、アリール若しくはR6(CO)O-から独立して選択される1つ以上の置換基によって任意で置換されるC1-13アルキルを表すか、又はR4はC1-6アルキル若しくはヒドロキシルから選択される1つ以上の置換基によって任意で置換されるアリールを表し、ここで、R6は水素、又はヒドロキシルによって任意で置換されるC1-6アルキルを表す)。
【請求項9】
コロナウイルス、例えば、非限定的にHCoV-229E、HCoV-OC43、HCoV-NL63、HCoV-HKU1、SARS-CoV、MERS-CoV及びSARS-CoV-2等によって引き起こされる感染症の治療における使用のための、特にコロナウイルス、例えば、非限定的にHCoV-HKU1、SARS-CoV、MERS-CoV及びSARS-CoV-2によって引き起こされる感染症の治療における使用のための、更に特にSARS-CoV及びSARS-CoV-2によって引き起こされる感染症の治療における使用のための、より更に特にSARS-CoV-2によって引き起こされる感染症の治療における使用のための、請求項1~8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
SARS-CoV-2によって引き起こされる感染症の治療における使用のための、式(I)の化合物又はその薬学的に許容可能な形態:
【化5】
(式中、
A-は薬学的に許容可能なアニオンであるか、又はY若しくはZがアニオン含有基である場合には存在せず、
XはO、S又はNR1を表し、
Yは水素、OR2、NR2、SR2、SOR2、SO2R2又はアニオン含有基、特にカルボキシレート(-COO-)、スルホネート(-SO3 -)、サルフェート(-OSO3 -)、ホスフェート(-OP(O)(OR2)(O-))、タウリネート(-NHC2H4SO3 -)からなる群から選択されるアニオン含有基を表し、
Zは任意で置換される(ヘテロ)アリール基、特に任意で置換されるフェニルを表し、
L1はC10~C16脂肪族鎖を表し、
L2、L3及びL4は、それぞれ独立して、C1-6アルキル、O-C1-6アルキル、S-C1-6アルキル、SO-C1-6アルキル、SO2-C1-6アルキル又はNR3-C1-6アルキルを表し、特にL2、L3及びL4はそれぞれC1-6アルキルを表し、
Rは、独立して、水素又はC1-6アルキルを示し、
R1、R2及びR3は、それぞれ独立して、水素又はC1-6アルキルを表す)。
【請求項11】
請求項1~8又は10のいずれか一項に記載の化合物を含む、医薬組成物。
【請求項12】
水に溶解した治療有効量の請求項1~8又は10のいずれか一項に記載の化合物及び/又はその1つ以上の生理的に許容可能な塩を含み、6.5~7.5の範囲内のpHを有する水性医薬製剤からなる、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
(1)請求項1~8又は10のいずれか一項に記載の化合物の水溶液と、(2)好適な噴射剤と、(3)水添加を含む安定化剤とを含む、加圧送達に好適な安定懸濁エアロゾル製剤からなる、請求項11に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、エンベロープウイルスによって引き起こされる感染症を治療又は改善するための、ミラミスチン、その誘導体及び形態の使用、この化合物及びそのような化合物を含有する医薬組成物を調製する方法に関する。特に、呼吸器ウイルス、例えば、RSV、ヒトライノウイルス、インフルエンザウイルス、アデノウイルス及びコロナウイルス等によって引き起こされる感染症を治療又は改善するための、ミラミスチン、その誘導体及び形態の使用に関する。更に特に、本明細書は、COVID-19(Coronavirus disease 2019)を治療又は改善するための、ミラミスチン、その誘導体及び形態の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ウイルスは地球規模の生態系において不可欠な部分であり、人間が(重度の)病気に直面する場合、又はこれらの微生物によって食物連鎖に影響が引き起こされる場合を除いて、ウイルスの存在は通常見過ごされる。
【0003】
今日、既知の病原性ウイルスのほとんどを制御するために、(ワクチン接種又は投薬によって)実質的な対策が行われているが、ウイルスは、追加の動物宿主を介するかどうかに関わらず、絶えずランダムに変異しており、新しい病原性ウイルス株がいつ出現するかは誰にも予測することができない。また、特に空気を介して伝染が起こる場合、世界的な移動によってそのような新しいウイルス株の拡散が制御不可能になる。
【0004】
未知のウイルス株に対する人類の脆弱性は、最近のSARS-CoV-2の発生によって示された。過去に幾つかの警告シグナル(SARS-CoV-1、MERS)があったにも関わらず、世界は準備ができておらず、パンデミックにより莫大な命が失われ(発生以降、世界で250万人超)、世界的な経済の混乱及び不況がもたらされた。これらは、何年にもわたって感じることになるだろう。
【0005】
将来的に別のパンデミックが発生することは間違いないが、そのタイミング、関与するウイルスの性質及びその影響は予測不可能である。SARS-CoV-2は、主に高齢者及び基礎疾患のある人々に影響を与えたが、次のパンデミックで別の集団部分が深刻な影響を受けるというシナリオも考えられないことではない。
【0006】
世界が、将来的な未知のウイルスの発生に効率的に対処する準備ができていないことは事実である。ワクチン接種は最も適切な解決策として提唱されてきたが、依然として幾つかの欠点が残っているため、ワクチン接種は決して「唯一の解決策」とはならない。第1に、ワクチン接種は、事後対応型の解決策であり、SARS-CoV-2の場合には、それまで知られていなかったSARS-CoV-2ウイルスの発生に対応して、最初の接種を患者に届けるのに1年しかかからなかったのは見事であったが、常に遅れを取っている。第2に、ワクチンは或る特定の株に対して高い特異性を有するため、わずかに変異した株(例えば、英国型変異株、南アフリカ型変異株、ブラジル型変異株)に対する有効性が不確実となる。第3に、幅広い集団へのワクチンの(コールドチェーンを維持しながらの)輸送及び投与は、通常、膨大なロジスティックス操作である。また、ワクチン接種、特に長期的な影響がまだ分からない新たに開発された技術(DNA又はRNAワクチン等)に頼るワクチンに対しては、一部の集団には依然として抵抗がある。
【0007】
有効期間が長い広域スペクトルの抗ウイルス薬によって、未知のウイルスの発生に効率的に対処し、制御するための事前対応型の解決策を提供することができるが、認可された有効な広域スペクトル抗ウイルス薬はごくわずかしか存在しない。その例としては、宿主タンパク質及びウイルスタンパク質の両方に対する漠然とした効果を介して作用するリバビリン、及び望ましくない副作用を引き起こし、広範な使用には依然として非現実的に高価なα-IFNが挙げられる。
【0008】
幅広い活性スペクトルを確保するには、ウイルスの共通の特性を標的にする必要がある。この点、ウイルスエンベロープは、ほとんどの病原性ウイルスに存在するため、抗ウイルス療法にとって魅力的な標的である。また、ウイルス遺伝子の変異によって、ウイルス膜もその性質も変化することがないため、ウイルスタンパク質を標的とした治療法とは異なり、耐性が出現しないと考えられる。
【0009】
ウイルス複製サイクルは、ウイルス粒子(ビリオン)形態での宿主細胞外の段階及び感染した細胞内の段階からなる。後者の段階では、ウイルス成分の分解及び合成が起こり、続いて再構築されて複数のコピーを生成し、これが細胞外に放出される。
【0010】
細胞外の段階では、ウイルスは最も脆弱で、制御がより容易である。ウイルスがもはや宿主細胞に侵入/感染することができなくなるように膜を調節する化合物は、ウイルスの複製サイクルを停止させ、最終的に宿主の免疫系によって除去される。
【0011】
ウイルスの脂質膜は宿主細胞に由来するが、依然として抗ウイルス阻害剤の個別、かつ、感受性の高い標的となる。
【0012】
第1に、ウイルス集合が膜サブドメインで起こる又は脂質選別が関与するため、細胞膜とは組成が異なる。
【0013】
第2に、幾つかの生化学的性質が異なる。哺乳動物の細胞は、損傷の検出、エンドソーム細胞小器官のエキソサイトーシス及び/又は自己シール脂質修復を必要とする幾つかの迅速な(数秒以内の)修復プロセスによって、大きい(10 μm)又は小さい(0.2 μm未満)原形質膜損傷に応答することができるため、生体修復能力を有している。また、宿主細胞は、脂肪酸及びその他の膜成分を絶えず代謝及び再利用して、原形質膜を補充及び修復している。ビリオンは本質的に脂質を積極的に生成/再利用する能力を欠いており、宿主細胞とは異なり、膜の損傷又は変形を修復することはできない。
【0014】
第3に、哺乳動物の原形質膜及びサイトゾルには、原形質膜の剛性を維持し、膜の湾曲を安定化する役割を担う多くのタンパク質があるため、生物物理学的性質が異なる。また、真核細胞の原形質膜は、細胞外マトリックス及び細胞骨格フィラメントによって保護及び安定化されている。
【0015】
最後に、宿主の上皮細胞は単層ではなく、修復不可能な損傷が発生した場合、新しく生成した細胞に置き換えられる。これとは対照的に、ウイルスエンベロープが崩壊すると、特定のビリオンは存在しなくなり、感染サイクルが壊れるとビリオンは置き換えられない。
【0016】
ウイルスの病原性に対する膜組成、オーダー及び流動性の影響、並びに所望の阻害効果を達成するためにウイルスエンベロープの物理化学的性質をいかにして調節するかは、依然としてほとんど未開拓の科学分野である。
【0017】
ウイルスエンベロープと相互作用する分子はごくわずかしか記載されておらず、それらの固有の作用メカニズムは依然としてよく理解されていない。ウイルスのリン脂質の過酸化を誘導すると考えられる抗ウイルス化合物は、LJ001及びヒペリシンである。クルクミンは脂質HCVエンベロープに挿入され、流動性を低下させ、結合及び融合を阻害する(EC50 8.46 μM)(非特許文献1)。グリチルリチンも二重層の流動性を低下させ(非特許文献2)、HIV、IAV、VSV(非特許文献2)及びSARS(非特許文献3)を含む幾つかの無関係なエンベロープウイルスに対して弱い活性を示す。また、ミラミスチンの抗ウイルス特性は、広範なウイルス、例えば、インフルエンザA、ヒトパピローマウイルス1及び2、ヒト免疫不全ウイルス、アデノウイルス並びにコロナウイルス等について記載されている。
【0018】
コロナウイルスはエンベロープを有する、プラスセンス一本鎖RNAウイルスであり、25 kb~32kbのゲノムサイズを有する。スパイクタンパク質が膜に埋め込まれているため、「コロナウイルス」という名称はハロー又はクラウンを意味するラテン語のコロナに由来し、その特徴的な外観を指している。
【0019】
1937年に鳥で初めて発見されてから、コロナウイルスは、様々な鳥類並びに哺乳類、例えば、コウモリ、ネコ、イヌ、ウシ、ブタ及びマウス等で発見されている。コロナウイルスは、4つの群(アルファコロナウイルス、ベータコロナウイルス、ガンマコロナウイルス及びデルタコロナウイルス)に分類される。アルファコロナウイルス群及びベータコロナウイルス群は主に哺乳類に感染し、ガンマコロナウイルス群及びデルタコロナウイルス群は鳥類において発見されている。コロナウイルスは様々な疾患、例えば、消化器疾患及び呼吸器疾患等を引き起こすことが知られている。
【0020】
人間に感染した最初のコロナウイルスであるHCoV-229E及びHCoV-OC43は、1960年代に発見され、続いてHCoV-NL63(2004)及びHCoV-HKU1(2005)が、重症急性呼吸器症候群(SARS)のパンデミック後に発見された。これらは、通常、上気道感染症に関連するが、免疫不全の患者では深刻な肺疾患を引き起こす場合があることが知られている。コロナウイルスの感染は、主に冬から早春の季節にかけて増加することが報告されており、成人における通常の風邪のうち、かなりの割合がコロナウイルスによって引き起こされていることが知られている。
【0021】
重症急性呼吸器症候群を引き起こすSARSコロナウイルス(SARS-CoV)は、2003年に初めて発見された。世界保健機関(WHO)の報告によると、2002年~2004年の間に、世界中で8273人の患者及び775人の死者(致死率:約10%)が発生した。
【0022】
2012年9月、高熱、咳、呼吸困難等のSARSに似た呼吸器症状を示す重度の呼吸器疾患患者において、新たな型のコロナウイルス(HCoV-EMC)が特定された。コロナウイルス(HCoV-EMC)は既知のウイルスとは異なり、2013年5月、この新規なコロナウイルスは、国際ウイルス分類委員会のコロナウイルス研究グループによって「中東呼吸器症候群-コロナウイルス(MERS-CoV)」の名称で分類された。このウイルスの遺伝子配列は、コウモリに見られるアブラコウモリCoV-HKU5及びHKU4の遺伝子配列と類似しているため、コウモリが感染源である可能性が最も高いと考えられた。しかしながら、非特許文献4において最近掲載された論文では、オマーンのヒトコブラクダから採取した50の血清全てが、MERS-CoVスパイクに対するタンパク質特異抗体を有していたことが報告されている。ウイルス自体は発見されていないが、このような研究結果は、それらのラクダが或る時期にMERSウイルス又は類似のウイルスに感染していたことを意味し、ラクダがウイルスの宿主である可能性が高い。MERS-CoVによる最初の感染症例は、2012年9月にサウジアラビアで発生した。その後、2019年12月までに、2494件の症例及び858人の死者(致死率:34.4%)がWHOに正式に報告された。
【0023】
MERSの主な臨床症状は、肺炎の症状、例えば、発熱(87%)、咳(89%)、息切れ等である。一部の患者では、嘔吐及び下痢(35%)も起こる。免疫機能が低下した患者では腎不全も報告されており、致死率は非常に高い(34.5%)。数多くの症例が中東地域(サウジアラビア、カタール等)において発生したことから、この地域が感染地域であると考えられるが、正確な感染経路は依然として不明である。人から人へと広範囲に拡散した証拠はないが、家族又は医療関係者が患者と濃厚接触すると伝染が起こり得ることが確認された。潜伏期間は9日~12日とされているが、患者によって大きく異なる。非特許文献5には、潜伏期間が1.9日~14.7日(平均5.2日)であることが報告されている。
【0024】
2019年12月には、SARSウイルスと密接に関連するウイルスであるSARS-CoV-2によって引き起こされる感染症であるCOVID-19(Coronavirus disease 2019)が中国で発生した。このウイルスは世界的規模で広がっている。多くの場合、咳又はくしゃみの際に、気道から生成される呼吸飛沫を介して人から人へと広がる。曝露から症状の発症までの時間は、通常、2日~14日である。症状がほとんどない人もいるし、又は発熱、咳及び息切れを発症する人もいる。症例は肺炎及び多臓器不全に進行する可能性がある。致死率は1%~3%であると推定されている。WHOは、2019年~2020年のコロナウイルスの発生を、国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態であると宣言した。この発生がどのくらい続くか及びどこまで広がるかについては、かなり不確実である。
【0025】
この疾患の拡散を防ぐために、手洗い、咳をしている人からの距離の維持及び手を洗わないで顔に触れないことが推奨されている。感染が検出された場合は、患者の隔離が推奨され、支持療法で症状が管理される。WHO及び中国国家衛生健康委員会の両方から、SARS-CoV-2の感染が疑われる重症急性呼吸器感染症(SARI)の入院患者に対する詳細な治療勧告が発表されている。
【0026】
現在の研究活動では、ワクチンの開発、又は他の抗ウイルス適応で既に承認されている薬剤の評価に焦点が当てられているが、楽観的にみても、承認までに少なくとも1年かかると予測されている。
【0027】
コロナウイルスを不活性化する別の方法は、溶剤、洗剤及び消毒液の使用である(非特許文献6、非特許文献7、非特許文献8)が、これらの化合物は、通常、局所的にしか使用することができない。この点、特許文献1には、ミラミスチンをコロナウイルス不活化剤として使用することが記載されているが、この文献では、HCoV-OC43に対する活性のみが実証されている。
【0028】
治療法がどの方向に向かっているかは依然として不明であるが、コロナウイルス疾患の治療及び予防のための代替薬の開発が急務であることは明白である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0029】
【特許文献1】国際公開第2004/108125号
【非特許文献】
【0030】
【非特許文献1】Anggakusuma et al., 2013
【非特許文献2】Harada, 2005
【非特許文献3】Cinatl et al., 2003
【非特許文献4】The Lancet Infectious Diseases
【非特許文献5】The Middle East Journal of Management (MEJM, February 2008)
【非特許文献6】L.Ya. Zakstelskaya, A.V. Sheboldov Human and animal coronaviruses.M. Medicine, 1977, 221
【非特許文献7】General and private virology 1982, v2, 316-339; A.l. Korotyaev, S.A.Babichev
【非特許文献8】Medical Microbiology, Virology, and Immunology, Special literature,1998, 273. Edited by V.M. Zhdanov, S.Ya. Gaydamovich
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0031】
本発明は、コロナウイルスによって引き起こされる感染症を治療又は改善する、特にCOVID-19(Coronavirus disease 2019)を治療する薬物の提供における上述の急務に対処することを目的とする。
【0032】
また、本発明は、ウイルスエンベロープを標的とし、参照化合物としてのミラミスチンと比較して活性及び選択性が改善された化合物を提示することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0033】
第1の態様において、本発明は、エンベロープウイルスによって引き起こされる感染症の治療における使用のための、式(I)の化合物又はその薬学的に許容可能な形態を提供する(但し、式(I)の化合物はミリスタミド-プロピル-ジメチル-ベンジル-アンモニウムクロリドではない):
【化1】
(式中、
A-は薬学的に許容可能なアニオンであるか、又はY若しくはZがアニオン含有基である場合には存在せず、
XはO、S又はNR1を表し、
X1はCR2又は-OP(O)O-、特にCR2、更に特に-CHを表し、
Yは水素、OR2、NR2、SR2、SOR2、SO2R2又はアニオン含有基、特にオキシド(-O-)、カルボキシレート(-COO-)、スルホネート(-SO3 -)、サルフェート(-OSO3 -)、ホスフェート(-OP(O)(OR2)(O-))、タウリネート(-NHC2H4SO3 -)からなる群から選択されるアニオン含有基を表し、
Zは任意で置換される(ヘテロ)アリール基、特に任意で置換されるフェニルを表し、
L1はC10~C16脂肪族鎖を表し、
L2、L3及びL4は、それぞれ独立して、C1-6アルキル、O-C1-6アルキル、S-C1-6アルキル、SO-C1-6アルキル、SO2-C1-6アルキル又はNR3-C1-6アルキルを表し、特にL2、L3及びL4はそれぞれC1-6アルキルを表し、
Rは、独立して、水素若しくはC1-6アルキルを示し、又は両方のRが、それらが結合している窒素原子と共に環状環、特に5員環若しくは6員環を形成し、
R1、R2及びR3は、それぞれ独立して、水素又はC1-6アルキルを表す)。
【0034】
第2の態様において、本発明は、
A-は薬学的に許容可能なアニオンであるか、又はY若しくはZがアニオン含有基である場合には存在せず、
XはO、S又はNR1を表し、
X1はCR2又は-OP(O)O-、特にCR2、更に特に-CHを表し、
Yは水素又はアニオン含有基、特にオキシド(-O-)を表し、
Zは非置換、一置換又は多置換の(ヘテロ)アリール基、特に非置換、一置換又は多置換の置換フェニルを表し、
L1はC10-16アルキル、特にC12アルキルを表し、
L2、L3及びL4は、それぞれ独立して、C1-6アルキル、O-C1-6アルキル、S-C1-6アルキル、SO-C1-6アルキル、SO2-C1-6アルキル又はNR3-C1-6アルキルを表し、特にL2、L3及びL4はそれぞれC1-6アルキルを表し、
Rは、独立して、水素又はC1-6アルキルを表し、
R1、R2及びR3は、それぞれ独立して、水素又はC1-6アルキルを表す、
エンベロープウイルスによって引き起こされる感染症の治療における使用のための、式(I)の化合物を提供する(但し、式(I)の化合物はミリスタミド-プロピル-ジメチル-ベンジル-アンモニウムクロリドではない)。
【0035】
第3の態様において、本発明は、エンベロープウイルスによって引き起こされる感染症の治療における使用のための、式(Ia)の化合物を提供する(但し、式(I)の化合物はミリスタミド-プロピル-ジメチル-ベンジル-アンモニウムクロリドではない):
【化2】
(式中、
A-は薬学的に許容可能なアニオンであるか、又はR'がアニオン含有基である場合には存在せず、
nは12、14又は16から独立して選択される整数であり、特にnは12であり、
mは0~5の整数であり、特にmは1であり、
XはO、S又はNR1を表し、ここで、R1は水素又はC1-6アルキルを表し、
R'は水素、又はカルボキシレート(-COO-)、スルホネート(-SO3 -)、サルフェート(-OSO3 -)、ホスフェート(-OP(O)(OR5)(O-))、タウリネート(-NHC2H4SO3 -)及びオキシド(-O-)からなる群から選択されるアニオン含有基を表し、ここで、R5は水素、C1-12アルキル、アルケニル、アルキニル又はアリールである)。
【0036】
本発明による一実施の形態においては、本発明は、
A-は薬学的に許容可能なアニオンであるか、又はR'がアニオン含有基である場合には存在せず、
nは12、14又は16から独立して選択される整数であり、特にnは12であり、
mは0~5の整数であり、特にmは1であり、
XはO又はSを表し、特にXはOを表し、
R'は水素、又はカルボキシレート(-COO-)、スルホネート(-SO3 -)、サルフェート(-OSO3 -)、ホスフェート(-OP(O)(OR2)(O-))、タウリネート(-NHC2H4SO3 -)及びオキシド(-O-)からなる群から選択されるアニオン含有基を表し、ここで、R2は水素、C1-12アルキル、アルケニル、アルキニル又はアリールである、
エンベロープウイルスによって引き起こされる感染症の治療における使用のための、式(Ia)の化合物を提供する。
【0037】
本発明による一実施の形態においては、式(I)の化合物は以下の要素のうち1つ以上によって更に特徴付けられる:
L1はC12アルキルを表す;
XはO、S又はNR1を表し、ここで、R1は水素又はC1-6アルキルを表し、特にR1は水素を表し、更に特にXはNHを表す;
XはO又はSを表す;
X1はCR2、特に-CHを表す;
X1は-OP(O)O-を表し、かつ、Yはオキシド(-O-)を表す(又は別の表現では、X1とYとは共に以下の式で表されるリン酸基を鎖内で形成する):
【化3】
Yは水素を表す;
L2はCH2を表す;
L3はCH2を表す;
L4はC1-4アルキルを表す;
Rは水素又はC1-6アルキルを表し、特にRはC1-6アルキルを表し、更に特にRはメチルを表す;
Zは、任意で置換される、フェニル、ナフチル、チオニル、フラニル、ピリジニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル等からなる群から選択される(ヘテロ)アリール基、特に任意で置換されるフェニルを表し、ここで、上記(ヘテロ)アリール又はフェニル基は、C1-6アルキル、ハロ、シアノ、アルケニル、アルキニル、ホルミル、カルボニル、アルコキシカルボニル、アミド、ヒドロキシ、アルコキシ、メルカプト、チオアルキル、スルフィニル、スルホニル、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ニトロ、又はカルボキシレート(-COO-)、スルホネート(-SO3 -)、サルフェート(-SO3 -)、ホスフェート(-OP(O)(OR5)(O-))、タウリネート(-NHC2H4SO3 -)及びオキシド(-O-)からなる群から選択されるアニオン含有基によって任意で置換され、ここで、R5は水素、C1-12アルキル、アルケニル、アルキニル又はアリールであり、特に上記(ヘテロ)アリール又はフェニル基は、C1-6アルキル、ハロ、シアノ、又はカルボキシレート(-COO-)、スルホネート(-SO3 -)、サルフェート(-OSO3 -)、ホスフェート(-OP(O)(OR5)(O-))及びオキシド(-O-)からなる群から選択されるアニオン含有基によって任意で置換され、ここで、R5は水素であり、更に特に上記(ヘテロ)アリール又はフェニル基は、C1-6アルキル、ハロ、シアノ、又はカルボキシレート(-COO-)、スルホネート(-SO3 -)及びサルフェート(-OSO3 -)からなる群から選択されるアニオン含有基によって任意で置換され、より更に特に上記(ヘテロ)アリール又はフェニル基は、C1-6アルキル、ハロ、シアノ、又はスルホネート(-SO3 -)、タウリネート(-NHC2H4SO3 -)及びサルフェート(-OSO3 -)からなる群から選択されるアニオン含有基によって任意で置換され、より更に特に上記(ヘテロ)アリール又はフェニル基は、C1-6アルキル、ハロ、シアノ、又はスルホネート(-SO3 -)及びサルフェート(-OSO3 -)からなる群から選択されるアニオン含有基によって任意で置換され、好ましい実施の形態においては、Zはパラ置換フェニル、更に特にC1-6アルキル、ハロ、シアノ、又はスルホネート(-SO3 -)及びサルフェート(-OSO3 -)からなる群から選択されるアニオン含有基から選択される置換基によってパラ置換されたフェニルを表す。
【0038】
本発明による一実施の形態においては、式(Ia)の化合物は以下の要素のうち1つ以上によって更に特徴付けられる:
nは12又は14から独立して選択される整数であり、特にnは12である;
mは1である;
XはO、S又はNR1を表し、ここで、R1は水素又はC1-6アルキルを表し、特にR1は水素を表す;
XはO又はSを表す;
R'は水素、又はカルボキシレート(-COO-)、スルホネート(-SO3 -)、サルフェート(-OSO3 -)、ホスフェート(-OP(O)(OR5)(O-))、タウリネート(-NHC2H4SO3 -)及びオキシド(-O-)からなる群から選択されるアニオン含有基を表し、ここで、R5は水素、C1-12アルキル、アルケニル、アルキニル又はアリールであり、特にR'は水素、又はカルボキシレート(-COO-)、スルホネート(-SO3 -)、サルフェート(-OSO3 -)、ホスフェート(-OP(O)(OR5)(O-))及びオキシド(-O-)からなる群から選択されるアニオン含有基を表し、ここで、R5は水素であり、更に特にR'は水素、又はカルボキシレート(-COO-)、スルホネート(-SO3 -)及びサルフェート(-OSO3 -)からなる群から選択されるアニオン含有基を表し、より更に特にR'は水素、又はスルホネート(-SO3 -)、タウリネート(-NHC2H4SO3 -)及びサルフェート(-OSO3 -)からなる群から選択されるアニオン含有基を表し、より更に特にR'は水素、又はスルホネート(-SO3 -)及びサルフェート(-OSO3 -)からなる群から選択されるアニオン含有基を表す。
【0039】
本発明による一実施の形態においては、薬学的に許容可能なアニオン(A-)は、式(I)又は式(Ia)の化合物中に存在する場合、薬学的に許容可能なアニオンを含有する非毒性の酸付加塩、例えば、塩化物塩、臭化物塩、硫酸塩、リン酸塩、酸リン酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、サリチル酸塩、安息香酸塩、ミリスチン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、乳酸塩、ラクチル乳酸塩、ドデシル硫酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、グルコン酸塩等から形成されるものから選択される。一実施の形態においては、薬学的に許容可能なアニオン(A-)は、式(I)又は式(Ia)の化合物中に存在する場合、薬学的に許容可能なアニオンを含有する非毒性の酸付加塩、例えば、硫酸塩、リン酸塩、酸リン酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、サリチル酸塩、安息香酸塩、ミリスチン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、乳酸塩、ラクチル乳酸塩、ドデシル硫酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、グルコン酸塩等から形成されるものから選択される。
【0040】
別の実施の形態においては、薬学的に許容可能なアニオン(A-)は、式(I)又は式(Ia)の化合物に存在する場合、薬学的に許容可能なアニオンを含有する非毒性の酸付加塩、例えば、塩化物塩、臭化物塩、硫酸塩、リン酸塩、酸リン酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、サリチル酸塩、安息香酸塩、ミリスチン酸塩、乳酸塩、ラクチル乳酸塩、ドデシル硫酸塩等から形成されるものから選択され、更に特に塩はギ酸塩、サリチル酸塩、安息香酸塩、ミリスチン酸塩、ラクチル乳酸塩、ドデシル硫酸塩等から選択される。より更なる実施の形態においては薬学的に許容可能なアニオン(A-)は式(I)又は式(Ia)の化合物に存在する場合、薬学的に許容可能なアニオンを含有する非毒性の酸付加塩、例えば、硫酸塩、リン酸塩、酸リン酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、サリチル酸塩、安息香酸塩、ミリスチン酸塩、乳酸塩、ラクチル乳酸塩、ドデシル硫酸塩等から形成されるものから選択され、更に特に塩はギ酸塩、サリチル酸塩、安息香酸塩、ミリスチン酸塩、ラクチル乳酸塩、ドデシル硫酸塩等から選択される。
【0041】
特定の実施の形態においては、式(I)又は式(Ia)の化合物における薬学的に許容可能なアニオン(A-)は、式(II)のアニオンによって表される:
【化4】
(式中、R4は水素、若しくは水素、アミノ、ヒドロキシル、アリール若しくはR6(CO)O-から独立して選択される1つ以上の置換基によって任意で置換されるC1-13アルキルを表すか、又はR4はC1-6アルキル若しくはヒドロキシルから選択される1つ以上の置換基によって任意で置換されるアリールを表し、ここで、上記R6は水素、又はヒドロキシルによって任意で置換されるC1-6アルキルを表す)。
【0042】
本明細書において提示される化合物は、コロナウイルス、例えば、非限定的に、HCoV-229E、HCoV-OC43、HCoV-NL63、HCoV-HKU1、SARS-CoV、MERS-CoV及びSARS-CoV-2(COVID-19を引き起こす)等によって引き起こされる感染症の治療において特に有用であることが分かった。したがって、本発明の一態様は、コロナウイルス、例えば、非限定的に、HCoV-229E、HCoV-OC43、HCoV-NL63、HCoV-HKU1、SARS-CoV、MERS-CoV及びSARS-CoV-2(COVID-19を引き起こす)等によって引き起こされる感染症の治療における使用のための、特にコロナウイルス、例えば、非限定的に、HCoV-HKU1、SARS-CoV、MERS-CoV及びSARS-CoV-2(COVID-19を引き起こす)等によって引き起こされる感染症の治療における使用のための、更に特にSARS-CoV及びSARS-CoV-2(COVID-19を引き起こす)によって引き起こされる感染症の治療における使用のための、より更に特にSARS-CoV-2(COVID-19を引き起こす)によって引き起こされる感染症の治療における使用のための、本明細書において提示される式(I)又は式(Ia)の化合物を提供することである。
【0043】
SARS-CoV-2(COVID-19を引き起こす)によって引き起こされる感染症の治療において、式(I)又は式(Ia)の化合物は、ミリスタミド-プロピル-ジメチル-ベンジル-アンモニウムクロリドを含み、上述の但し書きは適用しない。
【0044】
したがって、一実施の形態においては、本発明は、SARS-CoV-2(COVID-19を引き起こす)によって引き起こされる感染症の治療における使用のための、式(I)の化合物又はその薬学的に許容可能な形態を提供する:
【化5】
(式中、
A-は薬学的に許容可能なアニオンであるか、又はY若しくはZがアニオン含有基である場合には存在せず、
XはO、S又はNR1を表し、
Yは水素、OR2、NR2、SR2、SOR2、SO2R2又はアニオン含有基、特にカルボキシレート(-COO-)、スルホネート(-SO3 -)、サルフェート(-OSO3 -)、ホスフェート(-OP(O)(OR2)(O-))、タウリネート(-NHC2H4SO3 -)からなる群から選択されるアニオン含有基を表し、
Zは任意で置換される(ヘテロ)アリール基、特に任意で置換されるフェニルを表し、
L1はC10~C16脂肪族鎖を表し、
L2、L3及びL4は、それぞれ独立して、C1-6アルキル、O-C1-6アルキル、S-C1-6アルキル、SO-C1-6アルキル、SO2-C1-6アルキル又はNR3-C1-6アルキルを表し、特にL2、L3及びL4はそれぞれC1-6アルキルを表し、
Rは、独立して、水素又はC1-6アルキルを示し、
R1、R2及びR3は、それぞれ独立して、水素又はC1-6アルキルを表す)。
【0045】
別の実施の形態においては、本発明は、SARS-CoV-2(COVID-19を引き起こす)によって引き起こされる感染症の治療における使用のための、式(Ia)の化合物又はその薬学的に許容可能な形態を提供する:
【化6】
(式中、
A-は薬学的に許容可能なアニオンであるか、又はR'がアニオン含有基である場合には存在せず、
nは12、14又は16から独立して選択される整数であり、特にnは12であり、
mは0~5の整数であり、特にmは1であり、
XはO、S又はNR1を表し、ここで、R1は水素又はC1-6アルキルを表し、特にRはO又はNR1を表し、ここで、R1は水素又はC1-6アルキルを表し、より更に特にRはO又はNR1を表し、ここで、R1は水素を表し、
R'は水素、又は特にカルボキシレート(-COO-)、スルホネート(-SO3 -)、サルフェート(-OSO3 -)、ホスフェート(-OP(O)(OR5)(O-))、タウリネート(-NHC2H4SO3 -)及びオキシド(-O-)からなる群から選択される(ここで、R5は水素、C1-12アルキル、アルケニル、アルキニル又はアリールである)、更に特にカルボキシレート(-COO-)、スルホネート(-SO3 -)、タウリネート(-NHC2H4SO3 -)及びサルフェート(-OSO3 -)からなる群から選択されるアニオン含有基を表し、より更に特にR'は水素、又はスルホネート(-SO3 -)、タウリネート(-NHC2H4SO3 -)及びサルフェート(-OSO3 -)からなる群から選択されるアニオン含有基を表し、より更に特にR'は水素、又はスルホネート(-SO3 -)及びサルフェート(-OSO3 -)からなる群から選択されるアニオン含有基を表す)。
【0046】
更なる目的において、本発明は、本明細書において提供される化合物を含む医薬組成物を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本発明は、式(I)及び(Ia)に示すミラミスチンの第四級部分の塩及びミラミスチンのベンジル基類似体並びにその誘導体が、コロナウイルスによって引き起こされる感染症を治療又は改善するのに非常に有効であるという知見に基づいている。したがって、本発明は、エンベロープウイルス、特にコロナウイルスによって引き起こされる感染症の治療における使用のための、式(I)及び(Ia)にかかる化合物(但し、式(Ia)の化合物は、ミリスタミド-プロピル-ジメチル-ベンジル-アンモニウムクロリドではない)を提供する。
【0048】
したがって、本明細書において使用する場合、式(I)又は式(Ia)の化合物は、カチオン並びに薬学的に許容可能なアニオン、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、酢酸、マレイン酸、フマル酸、乳酸、酒石酸、クエン酸、グルコン酸、及びその他のThe Handbook of Pharmaceutical Salts(ISBN978-3-906390-58-1)に記載のもののアニオン等であって、該当する場合には、ラセミ形態又は立体化学的に純粋な形態のアニオンを含有する薬学的に許容可能な塩の混合物を含む。
【0049】
本明細書において使用する場合、「形態」という用語は、式(I)の化合物又は式(Ia)の化合物が、その遊離酸形態、遊離塩基形態、プロドラッグ形態、塩形態、水和物形態、溶媒和物形態、クラスレート形態、アイソトポログ形態、ラセミ形態、エナンチオマー形態、ジアステレオマー形態、立体異性体形態、多形体形態及び互変異性体形態からなる群から選択される形態を有することを意味する。
【0050】
本明細書において使用する場合、「ミラミスチン」は、ミリスタミド-プロピル-ジメチル-ベンジル-アンモニウムクロリド又は(CAS Nr.:15809-19-5)又は(CAS Nr.:91481-38-8)又は(ミラミスチン(miramistin))又は(ミラミスチン(miramystin))又は(einecs 239-908-9)又は(ベンジルジメチル(3-テトラデカミドプロピル)アンモニウムクロリド)又は(アンモニウム、ベンジルジメチル(3-ミリスタミドプロピル)、クロリド)又は(ベンゼンメタンアミニウム、N,N-ジメチル-n-(3-((1-オキソテトラデシル)アミノ)プロピル)、クロリド)又は(ベンジルジメチル(3-((1-オキソテトラデシル)アミノ)プロピル)アンモニウムクロリド))としても知られている。
【0051】
本明細書において使用する場合、「C10~C16脂肪族鎖」は、その一般的に受け入れられている意味を有することを意味し、非芳香族炭化水素を指す。脂肪族化合物は、単結合(アルカン)により結合した飽和のものでもよく、又は1つ以上の二重結合(アルケン)、1つ以上の三重結合(アルキン)、若しくはこれらの組合せを有する不飽和のものであってもよい。炭素鎖には、水素に加えて、他の元素が結合することができ、酸素、窒素、硫黄及び塩素が最も一般的である。
【0052】
本明細書の化合物は、呼吸器ウイルス、例えば、RSV、ヒトライノウイルス、インフルエンザウイルス、アデノウイルス及びコロナウイルス等を含む多種多様なエンベロープウイルスの複製を阻害する能力を有することが実証された。本化合物はin vitro活性を有する。本化合物は、単剤療法での使用に加えて、1つ以上の既知の抗ウイルス剤と相加的又は相乗的な活性を有する現在の標準的な抗ウイルス剤との併用療法において有用である。
【0053】
本発明は、コロナウイルスによって引き起こされる感染症の治療における使用のための、本明細書において提供される化合物の使用に加えて、それを必要とする対象においてコロナウイルス感染症を治療又は改善する方法であって、コロナウイルス、例えば、非限定的に、HCoV-229E、HCoV-OC43、HCoV-NL63、HCoV-HKU1、SARS-CoV、MERS-CoV及びSARS-CoV-2(COVID-19を引き起こす)等によって引き起こされる感染症に対して活性を有する式(I)の化合物又はその形態を有効量で対象に投与することを含む、方法も提供する。
【0054】
本明細書において使用する場合、「有効量」又は「治療有効量」という用語は、上述の疾患を阻害し、それにより、それを必要とする対象において所望の治療的、改善的、阻害的又は予防的効果を発揮するのに有効な、式(I)の化合物又はその形態、組成物若しくは薬の量を意味する。本明細書の範囲内では、薬の製造、医薬キットの調製、又はコロナウイルス感染症を治療若しくは改善する方法、特にSARS-CoV及びSARS-CoV-2(COVID-19を引き起こす)によって引き起こされるコロナウイルス感染症を治療若しくは改善する方法、更に特にSARS-CoV-2(COVID-19を引き起こす)によって引き起こされるコロナウイルス感染症を治療若しくは改善する方法における使用のための式(I)の化合物又はその形態の、それを必要とする対象における「有効量」は、約0.001 mg~約3500 mgの1日投与量、1.0 mg~約3500 mgの1日投与量、1.0 mg~約1500 mgの1日投与量、1.0 mg~約1000 mgの1日投与量、10.0mg~約600 mgの1日投与量、0.5 mg~約2000 mgの1日投与量の範囲内の量、又は約5.0 mg~約300 mgの1日投与量の範囲内の量を含むものとする。
【0055】
更に特に、組成物は、治療有効量の本発明の化合物及び/又はその1つ以上の生理的に許容可能な塩を含み、6.5~7.5の範囲内のpHを有する水性医薬製剤に製剤化することができる。本発明による製剤のpHは、好適な緩衝塩、例えば、オルトリン酸二水素カリウム及びオルトリン酸水素二ナトリウム、又はクエン酸及びオルトリン酸水素二ナトリウムを使用して、製造時に6.5~7.5の範囲内に調整することが好都合である。
【0056】
本発明の更に好ましい実施形態は、緩衝塩、防腐剤及び増粘剤と共に水に溶解した、治療有効量の本発明の化合物と1つ以上の生理的に許容可能な塩とを含む、経口又は経鼻投与用の水性製剤である。任意で、かつ、特に、経口投与の場合、組成物は他の従来の賦形剤、例えば、甘味料、香味料及び/又は香味助剤等も含有することができる。
【0057】
経口又は経鼻製剤に好適な緩衝塩としては、オルトリン酸二水素カリウム及びオルトリン酸水素二ナトリウム、又はクエン酸及びオルトリン酸水素二ナトリウムが含まれる。好適な増粘剤の例としては、キサンタンガム、ソルビトール、グリセロール、スクロース、又はセルロース誘導体、例えば、カルボキシメチルセルロース若しくはそのエーテル、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロースのアルキル及び/又はヒドロキシアルキルエーテル等が含まれる。好適な防腐剤としては、ヒドロキシ安息香酸アルキル、例えば、ヒドロキシ安息香酸メチル、ヒドロキシ安息香酸エチル、ヒドロキシ安息香酸プロピル及び/又はヒドロキシ安息香酸ブチル等が含まれる。好適な甘味料としては、サッカリンナトリウム、シクラミン酸ナトリウム、ソルビトール及びスクロースが含まれる。
【0058】
1000 nm未満の有効平均粒子径を維持するのに十分な量で表面改質剤がその表面に吸着したナノ粒子の形態で化合物を製剤化することが更に好都合である場合がある。好適な表面改質剤は、好ましくは、既知の有機及び無機の医薬賦形剤から選択することができる。そのような賦形剤としては、様々なポリマー、低分子量オリゴマー、天然物及び界面活性剤が含まれる。好ましい表面改質剤としては、非イオン性及びアニオン性界面活性剤が含まれる。
【0059】
本発明による化合物を製剤化する更に別の興味深い方法は、化合物が親水性ポリマーに組み込まれた医薬組成物を含み、この混合物を多くの小ビーズ上に被膜として適用することによって、良好なバイオアベイラビリティを有する組成物を生成することを含む。この組成物は、好都合に製造することができ、経口投与用の医薬剤形の調製に好適である。ビーズのコアとして使用するのに好適な材料は、その材料が薬学的に許容可能であり、適切な寸法及び硬さを有する限り、多種多様である。そのような材料の例は、ポリマー、無機物、有機物、並びに糖類及びその誘導体である。
【0060】
本発明は、(1)本発明による化合物(以下、薬又は薬剤ともいう)の水溶液と、(2)好適な噴射剤と、(3)水添加を含む安定化剤とを含む、加圧送達に好適な安定懸濁エアロゾル製剤も含む。好適な噴射剤及び安定化剤は、経口及び経鼻吸入療法に使用される吸入による投与に好適なものである。肺への吸入を目的とする本発明のエアロゾル製剤の目的のために、本発明による化合物は、その自然pHでの本発明による化合物の単純な水溶液の形態であることが好ましい。粒状の薬又は薬剤は、エアロゾル製剤において治療有効量、すなわち、薬剤がエアロゾルとして、例えば、局所的に、又は経口若しくは経鼻吸入により投与することが可能であり、典型的には好ましくは1回の投与又は数回の投与で、その所望の治療効果をもたらすことができるような量で存在する。粒状の薬剤は、従来のバルブ、例えば定量バルブからエアロゾルとして投与される。
【0061】
当業者であれば、そのような要因を十分に考慮することにより特定の薬物の治療有効量を選択することができる。治療有効量は、通常、噴射剤100重量部に対して、約0.001重量部~約2重量部である。
【0062】
好適な安定化剤を選択する。好適な安定化剤は「水添加」である。本明細書において使用する場合、「水添加」は、(1)エアロゾル製剤の他の成分、例えば薬及び噴射剤と共に最初に添加されるか、又は他の成分、例えば薬、噴射剤を組み合わせて、処理した後に添加され、(2)常に存在し、エアゾール製剤の処理及び/又は保存中に生成する水、すなわち「生成」水又は「初期の」製剤水に追加され、かつ、(3)初期の製剤水を含む通常は不安定な薬用エアロゾル製剤を安定化させる量で存在する、水の量である。
【0063】
製剤は、通常、必要に応じて無菌条件下で、必要に応じて他の薬学的に活性な化合物と組み合わせて、少なくとも1つの本発明による化合物を1つ以上の薬学的に許容可能な担体と混合することを含む、それ自体既知の方法で調製することができる。Remington's Pharmaceutical Sciencesの最新版等の標準ハンドブックだけではなく、米国特許第6,372,778号、米国特許第6,369,086号、米国特許第6,369,087号及び米国特許第6,372,733号、並びに上述の更なる従来技術も再び参照のこと。
【0064】
本発明の医薬製剤は、好ましくは単位剤形であり、任意で、製品情報及び/又は使用説明書を含む1つ以上のリーフレットを有する、例えば、箱、ブリスター、バイアル、ボトル、小袋、アンプル、又は任意の他の好適な単回投与若しくは複数回投与のホルダー若しくは容器(適切にラベル付けすることができる)に好適に包装することができる。通常、そのような単位剤形は、少なくとも1つの本発明の化合物を1 mg~1000mg、通常は5 mg~500 mg、例えば、単位剤形当たり約10 mg、25 mg、50 mg、100 mg、200 mg、300 mg又は400 mg含有する。
【0065】
本発明の方法によれば、上記医薬組成物は、治療過程中の異なる時期に別々に、又は分割若しくは単一組合せ形態で同時に投与することができる。よって、本発明は、同時又は交互治療の全てのそのような計画を包含するものとして理解されるべきであり、「投与する」という用語は、それに応じて解釈されるものとする。
【0066】
ここで、以下の合成実施例及び生物学的実施例によって本発明を説明するが、これらの実施例は本発明の範囲を何ら限定しない。
【実施例
【0067】
ミラミスチン誘導体の合成においては、3つのアプローチを適用した。第1のアプローチにおいては、様々な対イオンを有するミラミスチン誘導体を、標準的な塩化ミラミスチンから逸脱するアニオン交換によって調製した(下記スキーム1)。第2のアプローチにおいては、エステル誘導体への変換(下記スキーム2)及び両性イオン誘導体への変換(下記スキーム3)を含めて、ミラミスチンの基本構造を変更した。
【0068】
1. ミラミスチン塩の合成
ミラミスチン塩を、Amberlyst A26アニオン交換樹脂での有機酸(RCOOH)によるアニオン交換によって、ミラミスチンから調製した(スキーム1)。
【化7】
スキーム1. 様々なミラミスチン塩の合成
【0069】
サリチル酸ミラミスチン2(ES001387)の合成
サリチル酸ナトリウム(2.552 g、15.9 mmol)をMeOH(14 mL)に溶解させて、1分間超音波処理する。塩化ミラミスチン(0.925 g、15.9 mmol)を添加すると、溶液が懸濁液となる。室温で2.5時間撹拌した後、溶媒を減圧下で除去し、50 mLのアセトンを添加した。混合物を超音波処理し、45℃で5分間加熱し、固体を濾過し、アセトンで洗浄した。濾液を真空中で濃縮して、8.226 gのサリチル酸ミラミスチン2(15.2 mmol、収率95%)を得た。1H NMR分析(CDCl3):δ 8.53(1H, br t, J=5.2 Hz)、7.96(1H, dd, J=1.8, 7.7 Hz)、7.56~7.39(5H, m)、7.26(1H, dt, J=1.8, 7.2 Hz)、6.86(1H, dd, J=1.0, 8.2 Hz)、6.76(1H, dt, J=1.1, 7.6 Hz)、4.57(2H, s)、3.92(2H, m)、3.39(2H, m)、3.02(6H, s)、2.21(2H, br t, J=7.8 Hz)、2.11(2H, m)、1.56(2H, m)、1.35~1.15(20H, m)、0.88(3H, br t, J=6.8 Hz)。
【0070】
安息香酸ミラミスチン3(ES001388)の合成
安息香酸ミラミスチンの合成では、2.5 gのAmberlyst A26アニオン交換樹脂を、30分間の接触時間で、安息香酸のメタノール溶液(溶媒20 mL中1.221 g)により調整した。次いで、溶離液のpHが酸性でなくなるまで樹脂をメタノールで洗浄した。塩化ミラミスチン(0.438 g、1 mmol)を20 mLのMeOHに溶解させて、樹脂に接触させた。溶離液を画分で集め、ミラミスチン誘導体の存在をTLC-UVにより確認した。溶媒を減圧下で蒸発させて、0.515 gの安息香酸ミラミスチン3(0.98mmol、収率98%)を得た。1H NMR分析(DMSO-d6):δ 8.25(1H, br t, J=5.6 Hz)、7.86(2H, m)、7.58~7.44(5H, m)、7.39~7.25(3H, m)、4.53(2H, s)、3.27(2H, m)、3.12(2H, m)、2.95(6H, s)、2.05(2H, br t,J=7.5 Hz)、1.94(2H, m)、1.45(2H, m)、1.32~1.11(20H, m)、0.85(3H, br t, J=6.8 Hz)。
【0071】
ミリスチン酸ミラミスチン4(ES001389)の合成
ミリスチン酸ミラミスチンの合成では、2.5 gのAmberlyst A26アニオン交換樹脂を、30分間の接触時間で、ミリスチン酸のメタノール溶液(溶媒20 mL中2.284 g)により調整した。次いで、樹脂をメタノール(3×10 mL)で洗浄した。ミリスチン酸は水への溶解度が低いため、pHの中性は確認することができなかった。塩化ミラミスチン(0.438 g、1 mmol)を20 mLのMeOHに溶解させて、樹脂に接触させた。溶離液を画分で集め、ミラミスチン誘導体の存在をTLC-UVにより確認した。溶媒を減圧下で蒸発させて、0.563 gのミリスチン酸ミラミスチン4(0.89 mmol、収率89%)を得た。1H NMR分析(CD3OD):δ 7.63~7.49(5H, m)、4.53(2H, s)、3.36~3.24(4H, m)、3.04(6H, s)、2.23~2.01(6H, m)、1.59(4H, m)、1.38~1.22(40H, m)、0.90(6H, br t, J=6.7 Hz)。
【0072】
ギ酸ミラミスチン5(ES001390)の合成
ギ酸ミラミスチンの合成では、2.5 gのAmberlyst A26アニオン交換樹脂を、30分間の接触時間で、ギ酸水溶液(溶媒20 mL中460 mg)により調整した。次いで、溶離液のpHが酸性でなくなるまで樹脂を水で洗浄した。塩化ミラミスチン(0.438 g、1 mmol)を20 mLの水に溶解させて、樹脂に接触させた。溶離液を画分で集め、ミラミスチン誘導体の存在をTLC-UVにより確認した。混合物を凍結乾燥して、0.148 gのギ酸ミラミスチン5(0.33 mmol、収率33%)を得た。1H NMR分析(DMSO-d6):δ 8.58(1H, s)、8.36(1H, br t, J=5.6 Hz)、7.60~7.44(5H, m)、4.53(2H, s)、3.27(2H, m)、3.11(2H, m)、2.95(6H, s)、2.05(2H, t, J=7.5Hz)、1.94(2H, m)、1.45(2H, m)、1.33~1.11(20H, m)、0.85(3H, br t, J=6.7 Hz)。
【0073】
(L)-乳酸ミラミスチン6(ES001391)の合成
(L)-乳酸ミラミスチンの合成では、2.5 gのAmberlyst A26アニオン交換樹脂を、30分間の接触時間で、(L)-乳酸水溶液(溶媒20 mL中901mg、20重量%)により調整した。次いで、溶離液のpHが酸性でなくなるまで樹脂を水で洗浄した。塩化ミラミスチン(0.438 g、1 mmol)を20 mLの水に溶解させて、樹脂に接触させた。溶離液を画分で集め、ミラミスチン誘導体の存在をTLC-UVにより確認した。混合物を凍結乾燥して、0.485 gの(L)-乳酸ミラミスチン6(0.99mmol、収率99%)を得た。1H NMR分析(DMSO-d6):δ 8.00(1H, br t, J=6.0 Hz)、7.59~7.43(5H, m)、4.51(2H, s)、3.50(1H, q, J=6.7 Hz)、3.22(2H, m)、3.12(2H, m)、2.94(6H, s)、2.04(2H, br t, J=7.5 Hz)、1.93(2H, m)、1.46(2H, m)、1.35~1.13(20H, m)、1.07(3H, d, J=6.7 Hz)、0.85(3H, br t, J=6.7 Hz)。
【0074】
ドデシル硫酸ミラミスチン7(ES001392)の合成
塩化ミラミスチン(500 mg、1.14 mmol)を室温で5 mLの水に溶解させた。2分間の超音波処理の後、SDS(ドデシル硫酸ナトリウム、328 mg、1.14 mmol)を均一溶液に添加した。SDSは溶解したように見え、その一方で外観の異なる白色固体が沈殿したように見えた。室温で3時間撹拌した後、沈殿物を濾過により集める。残留塩化物は見られず、沈殿物を減圧下で乾燥させて、ドデシル硫酸ミラミスチン7(0.83 mmol、557 mg)を得る。1H NMR分析から、アニオンとカチオンとの両方が等しい割合で存在することが分かる。1H NMR分析(DMSO-d6):δ 7.91(1H, br t, J=5.6 Hz)、7.60~7.43(5H, m)、4.50(2H, s)、3.66(2H, t, J=6.6Hz)、3.21(2H, m)、3.11(2H, m)、2.94(6H, s)、2.04(2H, br t,J=7.5 Hz)、1.93(2H, m)、1.46(4H, m)、1.38~1.12(38H, m)、0.85(6H, br t, J=6.6 Hz)。
【0075】
乳酸/ラクチル乳酸(2:1)ミラミスチン8(ES001393)の合成
乳酸は本質的に二量体化する傾向があるため、対イオンの混合物(67%の乳酸、33%のラクチル乳酸として概説することができる)を含むミラミスチン誘導体も調製した。2.5 gのAmberlyst A26アニオン交換樹脂を、30分間の接触時間で、モノマー及びダイマーの両方を含有する乳酸水溶液(901 mg)により調整した。次いで、溶離液のpHが酸性でなくなるまで樹脂を水で洗浄した。塩化ミラミスチン(0.438 g、1 mmol)を20 mLの水に溶解させて、樹脂に接触させた。溶離液を画分で集め、ミラミスチン誘導体の存在をTLC-UVにより確認した。混合物を凍結乾燥して、0.488 gの乳酸/ラクチル乳酸(2:1)ミラミスチン8(0.99mmol、収率99%)を得た。1H NMR分析(DMSO-d6):δ 7.99(1H, br t, J=5.7 Hz)、7.59~7.46(5H, m)、4.70(0.33H, q, J=7.0 Hz)、4.50(2H, s)、4.08(0.33H, q, J=6.8 Hz)、3.61(1H, q, J=6.7 Hz)、3.21(2H, m)、3.11(2H, m)、2.94(6H, s)、2.04(2H, br t, J=7.5 Hz)、1.93(2H, m)、1.45(2H, m)、1.27(1H, d, J=7.0 Hz)、1.26(1H, d, J=6.8 Hz)、 1.32~1.14(20H, m)、1.10(3H, d, J=6.7 Hz)、0.88(3H, br t, J=6.7 Hz)。
【0076】
2. ミラミスチンエステル誘導体の合成
ミラミスチンエステル誘導体を、以下の反応スキームに従って、塩化ミリストイル9からテトラデカン酸3-(ジメチルアミノ)プロピル10を経て調製した。
【化8】
室温
スキーム2. ミラミスチンエステル誘導体の合成
【0077】
テトラデカン酸3-(ジメチルアミノ)プロピル10の合成
3-ジメチルアミノ-1-プロパノール(3.4ml、28.75 mmol)を、撹拌及び冷却(0℃)した塩化ミリストイル9(6.8 ml、25 mmol)の乾燥CH2Cl2(125 ml)溶液に添加した。氷浴を取り外し、N2下で撹拌を続けた。24時間後、飽和NaHCO3水溶液(125 ml)を添加し、混合物を45分間激しく撹拌した。次いで、CH2Cl2(125 ml)及びH2O(125 ml)を添加し、層を分離した。有機層をNaHCO3水溶液(100 ml)及びブライン(2×100 ml)で洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。得られた油状液を濾過し(0.45 μm、ナイロン)、高真空下で乾燥させた。生成物10(7.246 g)が収率92%で得られた。
【0078】
ミリスタミンエステル誘導体11(ES001426)の合成
撹拌した10(7.245 g、23.11mmol)の酢酸ブチル溶液に、塩化ベンジル(2.66 ml、23.11mmol)を90℃で5分間かけて添加した。LC-ELSDが出発物質の完全な変換を示すまで(48時間)、N2雰囲気下、90℃で、撹拌を続けた。混合物を濃縮し、黄色の粘性残渣をアセトニトリルから3回濃縮した(3×50 ml)。得られた固体を還流下でアセトニトリル(100 ml)に溶解させて、室温まで冷却し、濾過した。次いで、濾液に結晶種を入れて、結晶化を誘導した。結晶を濾別し、アセトニトリル(2×20 ml)で洗浄し、乾燥して、目的の生成物11(6.559 g)を収率64%で得た。1H NMR分析(CD3OD):δ 7.65~7.48(5H, m)、4.57(2H, s)、4.20(2H, t, J=6.0 Hz)、3.42(2H, m)、3.07(6H, s)、2.35(2H, t, J=7.5 Hz)、2.27(2H, m)、1.61(2H, m)、1.41~1.22(20H, m)、0.90(3H, brt, J=6.7 Hz)。
【0079】
3. ミラミスチン両性イオン誘導体の合成
ミラミスチン両性イオン誘導体を、反応スキームに従って市販のミリスタミドから調製した。
【化9】

スキーム3. ミラミスチン両性イオン誘導体の合成
【0080】
4-スルホベンジルブロミド/クロリドのナトリウム塩14の合成
無水EtOH(5 ml)中で4-ブロモメチルベンゼンスルホニルクロリド12(純度95%;2.393 g、8.43 mmol)を加熱還流し、H2O(160 μl、8.85 mmol)を添加した。混合物を3時間加熱した後、濃縮した。残渣をH2O(7.2 ml)に溶解させて、2 M NaOH(4.2 ml、8.4 mmol)をゆっくり添加した(発熱)。得られた溶液を凍結乾燥した。DMSO-d6中の1H NMR分析から、エチルエーテル副生成物13(20%~25%)の存在が明らかとなり、生成物の水溶液は依然として酸性であった。したがって、生成物をH2O(84 ml、0.1 M)中で再構成し、中性の溶液が得られるまで0.1 M NaOHで滴定した(4.74 ml添加した)。溶液を濾過して濁りを除去し、濾液を凍結乾燥した。生成物(2.078g)をオフホワイトの固体として得た。DMSO-d6中の1H NMR分析から、それぞれクロリド-ブロミド/エチルエーテル14/13の60-15/25混合物であることが分かった。1H NMR分析(DMSO-d6):δ 7.58(2.6H, m)、7.39(2H, m)、7.26(0.7H, m)、4.75(1.6H, s)、4.70(0.4H, s)、4.44(0.6H, s)、3.47(0.6H, q, J=7.0 Hz)、1.15(0.9H, t, J=7.0 Hz)。
【0081】
ミリスタミン誘導体3-15(ES001427)の合成
14/13(2.04 g)及びES001387(2.5 g、8 mmol)を、N2雰囲気下、90℃で、酢酸ブチル中で加熱した。LC-UV-ELSDが反応の進行の停止を示してから(48時間)、混合物を濃縮した。残渣をMeOHに溶解させて、C18 SiO2(20 g)に吸着させた。逆相フラッシュクロマトグラフィーを用いた精製により、2.75 gの生成物が得られ、これをアセトニトリル(110 ml)中で粉砕することにより更に精製した。固体を濾別し、アセトニトリル(2×20 ml)で洗浄し、乾燥して、目的の生成物15(2.524 g)を収率83%(試薬の純度75%に基づいて算出)で得た。1H NMR分析(CD3OD):δ 7.92(2H, d,J=8.3 Hz)、7.59(2H, d, J=8.3 Hz)、4.54(2H, s)、3.31(4H, m)、3.03(6H, s)、2.20(2H, t, J=7.6 Hz)、2.09(2H, m)、1.61(2H, m)、1.41~1.22(20H, m)、0.90(3H, brt, J=6.7 Hz)。
【0082】
4. 調製に必要な酸の溶解性に従って分類される更なるミラミスチン塩の合成
【化10】
全体的なスキーム(スキーム4)
【0083】
4.a. MeOHに可溶な酸の場合の全体的な手順
イオン交換樹脂の調整
下部フリット付きの空のSPEカートリッジに水酸化物形態のAmberlyst A26イオン交換樹脂(4 g)*を充填し、樹脂上にフリットを置いた。樹脂をMeOH(5 ml)で湿潤させた。フロースルーを廃棄した。酸(25 mmol)のMeOH溶液(20 ml)をイオン交換カートリッジ上に載せ、ゆっくりとカラムを通過させた。フロースルーを廃棄し、最後に、イオン交換樹脂をMeOH(25 ml)で洗浄し、フロースルーを廃棄した。
【0084】
イオン交換-ミラミスチン塩の調製
ミラミスチン(200 mg、0.455 mmol)をMeOH(1.0ml)に溶解させて、調整したイオン交換カラム上に載せた。MeOH(5 ml)を使用して生成物を溶出させた。両方のフロースルーを合わせて、N2流下で乾燥させた。残渣を高真空下で更に乾燥させて、ミラミスチン塩を生成した。
【0085】
*Amberlyst A26は0.8 meq/ml超であるため、4.0 g*0.675 g/ml=5.93 ml樹脂*0.8 meq/ml=4.74 mmolである、すなわち、ミラミスチンに対して少なくとも10当量である。25 mmolの酸はイオン交換樹脂に対して約5当量に相当する。
【0086】
このように調製した全てのミラミスチン塩を1H NMRによって分析して、構造及び純度を確認し、塩の比率を求めた。塩の比率は、第4級アミン/X-として表す。幾つか対イオンでは、この方法で塩の比率を求めることはできない。
【0087】
MeOHに可溶な酸の場合の全体的な手順に従って調製したミラミスチン塩の概要を以下の表に示す。
【0088】
【表1】
【0089】
4.b. MeOHに難溶性又は不溶性の酸の場合の全体的な手順
イオン交換樹脂の調整
下部フリット付きの空のSPEカートリッジに水酸化物形態のAmberlyst A26イオン交換樹脂(4 g)*を充填し、樹脂上にフリットを置いた。樹脂をMeOH(5 ml)で湿潤させた。フロースルーを廃棄した。酸(25 mmol)のH2O溶液(20 ml)をイオン交換カートリッジ上に載せ、ゆっくりとカラムを通過させた。フロースルーを廃棄し、最後に、イオン交換樹脂をMeOH(25 ml)で洗浄し、フロースルーを廃棄した。
【0090】
イオン交換-ミラミスチン塩の調製
ミラミスチン(200 mg、0.455 mmol)をMeOH(1.0 ml)に溶解させて、調整したイオン交換カラム上に載せた。MeOH(5 ml)を使用して生成物を溶出させた。両方のフロースルーを合わせて、N2流下で乾燥させた。残渣を高真空下で更に乾燥させて、ミラミスチン塩を生成した。
【0091】
*Amberlyst A26は0.8 meq/ml超であるため、4.0 g*0.675 g/ml=5.93ml樹脂*0.8 meq/ml=4.74mmolである、すなわち、ミラミスチンに対して少なくとも10当量である。25 mmolの酸はイオン交換樹脂に対して約5当量に相当する。
【0092】
このように調製した全てのミラミスチン塩を1H NMRによって分析して、構造及び純度を確認し、塩の比率を求めた。塩の比率は、第4級アミン/X-として表す。幾つか対イオンでは、この方法で塩の比率を求めることはできない。
【0093】
MeOHに難溶性又は不溶性の酸の場合の全体的な手順に従って調製したミラミスチン塩の概要を以下の表に示す。
【0094】
【表2】
【0095】
4.c. H2Oに難溶性又は不溶性の酸の場合の全体的な手順
イオン交換樹脂の調整
下部フリット付きの空のSPEカートリッジに水酸化物形態のAmberlyst A26イオン交換樹脂(4 g)*を充填し、樹脂上にフリットを置いた。樹脂をMeOH(5 ml)で湿潤させた。フロースルーを廃棄した。酸(27.5 mmol)のNaOH水溶液(1.25 M、20 ml、25 mmol)をイオン交換カートリッジ上に載せ、ゆっくりとカラムを通過させた。フロースルーを廃棄し、最後に、イオン交換樹脂をMeOH(25 ml)で洗浄し、フロースルーを廃棄した。
【0096】
イオン交換-ミラミスチン塩の調製
ミラミスチン(200 mg、0.455 mmol)をMeOH(1.0ml)に溶解させて、調整したイオン交換カラム上に載せた。MeOH(5 ml)を使用して生成物を溶出させた。両方のフロースルーを合わせて、N2流下で乾燥させた。残渣を高真空下で更に乾燥させて、ミラミスチン塩を生成した。
【0097】
*Amberlyst A26は0.8 meq/ml超であるため、4.0 g*0.675 g/ml=5.93 ml樹脂*0.8 meq/ml=4.74 mmolである、すなわち、ミラミスチンに対して少なくとも10当量である。25 mmolの酸はイオン交換樹脂に対して約5当量に相当する。
【0098】
このように調製した全てのミラミスチン塩を1H NMRによって分析して、構造及び純度を確認し、塩の比率を求めた。塩の比率は、第4級アミン/X-として表す。幾つか対イオンでは、この方法で塩の比率を求めることはできない。
【0099】
H2Oに難溶性又は不溶性の酸の場合の全体的な手順に従って調製したミラミスチン塩の概要を以下の表に示す。
【0100】
【表3】
【0101】
4.d. 酸の塩とのイオン交換のための場合の全体的な手順
場合によっては、酸の塩を使用してイオン交換樹脂を調整することが有益であり得る。このアプローチは、酸が商業的に入手できないか又は安定性に乏しい場合に適用することができる。
【0102】
イオン交換樹脂の調整
下部フリット付きの空のSPEカートリッジに水酸化物形態のAmberlyst A26イオン交換樹脂(4 g)*を充填し、樹脂上にフリットを置いた。樹脂をMeOH(5 ml)で湿潤させた。フロースルーを廃棄した。酸塩(25 mmol)のH2O溶液(20 ml)をイオン交換カートリッジ上に載せ、ゆっくりとカラムを通過させた。フロースルーを廃棄し、最後に、イオン交換樹脂をMeOH(25 ml)で洗浄し、フロースルーを廃棄した。
【0103】
イオン交換-ミラミスチン塩の調製
ミラミスチン(200 mg、0.455 mmol)をMeOH(1.0 ml)に溶解させて、調整したイオン交換カラム上に載せた。MeOH(5 ml)を使用して生成物を溶出させた。両方のフロースルーを合わせて、N2流下で乾燥させた。残渣を高真空下で更に乾燥させて、ミラミスチン塩を生成した。
【0104】
*Amberlyst A26は0.8 meq/ml超であるため、4.0 g*0.675 g/ml=5.93ml樹脂*0.8 meq/ml=4.74mmolである、すなわち、ミラミスチンに対して少なくとも10当量である。25 mmolの酸はイオン交換樹脂に対して約5当量に相当する。
【0105】
このように調製した全てのミラミスチン塩を1H NMRによって分析して、構造及び純度を確認し、塩の比率を求めた。塩の比率は、第4級アミン/X-として表す。幾つか対イオンでは、この方法で塩の比率を求めることはできない。
【0106】
酸の塩とのイオン交換の場合の全体的な手順に従って調製したミラミスチン塩の概要を以下の表に示す。
【0107】
【表4】
【0108】
4.e. ミラミスチン塩誘導体の1H NMRデータ
クエン酸ミラミスチン(ES001637)
1H NMR(DMSO-d6):δ 7.95(1H, br t, J=5.8 Hz)、7.48~7.56(5H, m)、4.51(2H, s)、3.32(2H, m)、3.11(2H, m)、2.94(6H, s)、2.61(2H, d, J=15.2 Hz)、2.52(2H, d, J=15.3 Hz)、2.04(2H, t, J=7.5 Hz)、1.89~2.06(2H, m)、1.38~1.49(2H, m)、1.17~1.28(20H, m)、0.85(3H, br t, J=6.8 Hz)。
【0109】
カプリン酸ミラミスチン(ES001638)
1H NMR(DMSO-d6):δ 8.70(1H, br t, J=5.4 Hz)、7.46~7.57(5H, m)、4.55(2H, s)、3.36(2H, m)、3.11(2H, m)、2.95(6H, s)、2.06(2H, t, J=7.5 Hz)、1.89~1.99(2H, m)、1.81(2H, t, J=7.4 Hz)、1.31~1.47(4H, m)、1.13~1.31(32H, m)、0.82~0.87(6H, m)。
【0110】
カプリル酸ミラミスチン(ES001639)
1H NMR(DMSO-d6):δ 8.63(1H, br t, J=5.4 Hz)、7.46~7.57(5H, m)、4.54(2H, s)、3.32~3.37(2H, m)、3.13(2H, m)、2.95(6H, s)、2.06(2H, t, J=7.5 Hz)、1.89~1.99(2H, m)、1.78(2H, t, J=7.4 Hz)、1.30~1.47(4H, m)、1.16~1.30(28H, m)、0.85(3H, br t, J=6.6 Hz)、0.84(3H, br t, J=6.8 Hz)。
【0111】
ラウリン酸ミラミスチン(ES001633)
1H NMR(DMSO-d6):δ 8.19(1H, br t, J=5.6 Hz)、7.48~7.55(5H, m)、4.52(2H, s)、3.23~3.29(2H, m)、3.08~3.14(2H, m)、2.94(6H, s)、2.05(2H, t, J=7.5Hz)、1.86~1.98(2H, m)、1.84(2H, t, J=7.4Hz)、1.30~1.42(2H, m)、1.42~1.48(2H, m)、1.15~1.30(36H, m)、0.83~0.87(6H, m)。
【0112】
カプロン酸ミラミスチン(ES001640)
1H NMR(DMSO-d6):δ 8.76(1H, br t, J=5.5 Hz)、7.46~7.58(5H, m)、4.55(2H, s)、3.34~3.40(2H, m)、3.08~3.14(2H, m)、2.95(6H, s)、2.06(2H, t, J=7.5Hz)、1.81~1.99(2H, m)、1.78(2H, t, J=7.4Hz)、1.34~1.47(4H, m)、1.15~1.29(24H, m)、0.80~0.87(6H, m)。
【0113】
酪酸ミラミスチン(ES001641)
1H NMR(DMSO-d6):δ 8.69(1H, br t, J=5.5 Hz)、7.46~7.57(5H, m)、4.55(2H, s)、3.32~3.38(2H, m)、3.08~3.14(2H, m)、2.95(6H, s)、2.06(2H, t, J=7.5Hz)、1.90~1.99(2H, m)、1.78(2H, t, J=7.3Hz)、1.38~1.45(2H, m)、1.39(2H, sextet,J=7.3 Hz)、1.18~1.29(20H, m)、0.85(3H, brt, J=6.7 Hz)、0.79(3H, t, J=7.4Hz)。
【0114】
プロピオン酸ミラミスチン(ES001642)
1H NMR(DMSO-d6):δ 8.60(1H, br t, J=5.5 Hz)、7.46~7.57(5H, m)、4.54(2H, s)、3.30~3.36(2H, m)、3.08~3.14(2H, m)、2.95(6H, s)、2.06(2H, t, J=7.5Hz)、1.89~2.01(2H, m)、1.79(2H, q, J=7.6Hz)、1.40~1.50(2H, m)、1.16~1.29(20H, m)、0.86(3H, t, J=7.6Hz)、0.85(3H, br t, J=6.6 Hz)。
【0115】
酢酸ミラミスチン(ES001643)
1H NMR(DMSO-d6):δ 8.64(1H, br t, J=5.5 Hz)、7.46~7.57(5H, m)、4.54(2H, s)、3.30~3.35(2H, m)、3.08~3.14(2H, m)、2.95(6H, s)、2.06(2H, t, J=7.5Hz)、1.89~1.99(2H, m)、1.56(3H, s)、1.40~1.49(2H, m)、1.16~1.29(20H, m)、0.85(3H, br t, J=6.7 Hz)。
【0116】
吉草酸ミラミスチン(ES001644)
1H NMR(DMSO-d6):δ 8.22(1H, br t, J=5.5 Hz)、7.48~7.55(5H, m)、4.51(2H, s)、3.23~3.28(2H, m)、3.09~3.14(2H, m)、2.94(6H, s)、2.05(2H, t, J=7.5Hz)、1.89~1.97(2H, m)、1.83(2H, t, J=7.5Hz)、1.39~1.49(2H, m)、1.34~1.39(2H, m)、1.16~1.28(22H, m)、0.85(3H, brt, J=6.8 Hz)、0.82(3H, t, J=7.3Hz)。
【0117】
ペラルゴン酸ミラミスチン(ES001650)
1H NMR(DMSO-d6):δ 8.40(1H, br t, J=5.5 Hz)、7.46~7.57(5H, m)、4.53(2H, s)、3.27~3.33(2H, m)、3.08~3.14(2H, m)、2.94(6H, s)、2.05(2H, t, J=7.5Hz)、1.89~1.98(2H, m)、1.79(2H, t, J=7.4Hz)、1.32~1.50(4H, m)、1.13~1.29(30H, m)、0.85(6H, m)。
【0118】
ソルビン酸ミラミスチン(ES001651)
1H NMR(DMSO-d6):δ 8.46(1H, t, J=5.5 Hz)、7.46~7.56(5H, m)、6.61(1H, dd, J=15.2, 10.9 Hz)、6.026.11(1H, m)、5.75(1H, qd, J=6.8,14.6 Hz)、5.63(1H, dd, J=15.2, 0.5Hz)、4.54(2H, s)、3.28~3.33(2H, m)、3.08~3.14(2H, m)、2.95(6H, s)、2.05(2H, t, J=7.5 Hz)、1.89~1.98(2H, m)、1.72(3H, dd, J=6.7, 1.2 Hz)、1.40~1.50(2H, m)、1.13~1.29(20H, m)、0.85(3H, t, J=6.7 Hz)。
【0119】
グリコール酸ミラミスチン(ES001652)
1H NMR(DMSO-d6):δ 8.06(1H, br t, J=5.7 Hz)、7.47~7.57(5H, m)、4.51(2H, s)、3.58(2H, s)、3.20~3.25(2H, m)、3.08~3.15(2H, m)、2.94(6H, s)、2.04(2H, t, J=7.5 Hz)、1.88~1.98(2H, m)、1.41~1.50(2H, m)、1.16~1.30(20H, m)、0.85(3H, br t, J=6.7 Hz)。
【0120】
シュウ酸ミラミスチン(ES001654)
1H NMR(DMSO-d6):δ 7.94(1H, br t, J=5.7 Hz)、7.48~7.55(5H, m)、4.50(2H, s)、3.16~3.23(2H, m)、3.08~3.14(2H, m)、2.94(6H, s)、2.04(2H, t, J=7.5Hz)、1.88~1.98(2H, m)、1.41~1.51(2H, m)、1.17~1.30(20H, m)、0.85(3H, brt, J=6.7 Hz)。
【0121】
グルタル酸ミラミスチン(ES001655)
1H NMR(DMSO-d6):δ 7.96(1H, br t, J=5.7 Hz)、7.48~7.57(5H, m)、4.50(2H, s)、3.18~3.23(2H, m)、3.08~3.14(2H, m)、2.94(6H, s)、2.18(7H, t, J=7.0 Hz)、2.04(2H, t, J=7.7 Hz)、1.88~ 1.97(2H, m)、1.67(3.5H, p, J=7.0 Hz)、1.42~1.51(2H, m)、1.16~1.29(20H, m)、0.85(3H, br t, J=6.8 Hz)。
【0122】
マロン酸ミラミスチン(ES001656)
1H NMR(DMSO-d6):δ 7.91(1H, br t, J=5.8 Hz)、7.48~7.57(5H, m)、4.50(2H, s)、3.17~3.23(2H, m)、3.08~3.14(2H, m)、2.94(6H, s)、2.87(3.2H, s)、2.04(2H, t, J=7.5 Hz)、1.87~1.97(2H, m)、1.41~1.51(2H, m)、1.17~1.30(20H, m)、0.85(3H, br t, J=6.7 Hz)。
【0123】
L-リンゴ酸ミラミスチン(ES001657)
1H NMR(DMSO-d6):δ 7.91(1H, br t, J=5.7 Hz)、7.48~7.58(5H, m)、4.50(2H, s)、3.98(1.6H, dd, J=8.8, 4.9 Hz)、3.17~3.23(2H, m)、3.08~3.14(2H, m)、2.94(6H, s)、2.50~2.56(1.6H, m)、2.35(1.6H, dd,J=15.6, 4.9 Hz)、2.04(2H, t, J=7.5Hz)、1.88~1.98(2H, m)、1.42~1.51(2H, m)、1.17~1.30(20H, m)、0.85(3H, brt, J=6.7 Hz)。
【0124】
コハク酸ミラミスチン(ES001658)
1H NMR(DMSO-d6):δ 7.93(1H, br t, J=5.7 Hz)、7.48~7.55(5H, m)、4.50(2H, s)、3.17~3.23(2H, m)、3.08~3.14(2H, m)、2.94(6H, s)、2.31(s, 7.6H)、2.04(2H, t, J=7.5 Hz)、1.88~1.97(2H, m)、1.41~1.51(2H, m)、1.15~1.30(20H, m)、0.85(3H, br t, J=6.7 Hz)。
【0125】
マレイン酸ミラミスチン(ES001671)
1H NMR(DMSO-d6):δ 7.91(1H, br t, J=5.8 Hz)、7.48~7.57(5H, m)、6.09(3H, s)、4.50(2H, s)、3.17~3.23(2H, m)、3.08~3.14(2H, m)、2.94(6H, s)、2.04(2H, t, J=7.5 Hz)、1.88~1.98(2H, m)、1.42~1.50(2H, m)、1.18~1.30(20H, m)、0.85(3H, br t, J=6.7 Hz)。
【0126】
フマル酸ミラミスチン(ES001672)
1H NMR(DMSO-d6):δ 8.02(1H, br t, J=5.7 Hz)、7.47~7.57(5H, m)、6.52(4.2H, s)、4.51(2H, s)、3.19~3.25(2H, m)、3.08~3.14(2H, m)、2.94(6H, s)、2.04(2H, t, J=7.5 Hz)、1.88~1.98(2H, m)、1.41~1.50(2H, m)、1.16~1.29(20H, m)、0.85(3H, br t, J=6.7 Hz)。
【0127】
メタンスルホン酸ミラミスチン(ES001634)
1H NMR(DMSO-d6):δ 7.92(1H, br t, J=5.8 Hz)、7.48~7.56(5H, m)、4.51(2H, s)、3.20~3.24(2H, m)、3.09~3.14(2H, m)、2.95(6H, s)、2.31(3H, s)、2.04(2H, t, J=7.5 Hz)、1.87~1.97(2H, m)、1.42~1.50(2H, m)、1.18~1.29(20H, m)、0.85(3H, br t, J=6.9 Hz)。
【0128】
ヨウ化ミラミスチン(ES001673)
1H NMR(DMSO-d6):δ 7.92(1H, br t, J=5.7 Hz)、7.48~7.57(5H, m)、4.51(2H, s)、3.18~3.24(2H, m)、3.08~3.14(2H, m)、2.95(6H, s)、2.04(2H, t, J=7.5Hz)、1.87~1.97(2H, m)、1.42~1.50(2H, m)、1.16~1.29(20H, m)、0.85(3H, brt, J=6.7 Hz)。
【0129】
リン酸ミラミスチン(ES001674)
1H NMR(DMSO-d6):δ 8.13(1H, br t, J=5.6 Hz)、7.47~7.57(5H, m)、4.52(2H, s)、3.21~3.27(2H, m)、3.08~3.14(2H, m)、2.95(6H, s)、2.05(2H, t, J=7.5Hz)、1.88~1.98(2H, m)、1.41~1.50(2H, m)、1.15~1.30(20H, m)、0.85(3H, brt, J=6.7 Hz)。
【0130】
硫酸ミラミスチン(ES001675)
1H NMR(DMSO-d6):δ 8.86(1H, br t, J=5.1 Hz)、7.59~7.61(2H, m)、7.43~7.53(3H, m)、4.64(2H, s)、3.44~3.49(2H, m)、3.07~3.13(2H, m)、2.97(6H, s)、2.10(2H, t, J=7.4Hz)、1.90~2.00(2H, m)、1.37~1.48(2H, m)、1.13~1.29(20H, m)、0.85(3H, brt, J=6.7 Hz)。
【0131】
p-トルエンスルホン酸ミラミスチン(ES001635)
1H NMR(DMSO-d6):δ 7.91(1H, br t, J=5.8 Hz)、7.47~7.56(7H, m)、7.09~7.12(2H, m)、4.51(2H, s)、3.19~3.23(2H, m)、3.09~3.14(2H, m)、2.94(6H, s)、2.28(3H, s)、2.04(2H, t, J=7.5 Hz)、1.89~1.97(2H, m)、1.42~1.49(2H, m)、1.18~1.30(20H, m)、0.85(3H, br t, J=6.9 Hz)。
【0132】
硝酸ミラミスチン(ES001676)
1H NMR(DMSO-d6):δ 7.91(1H, br t, J=5.7 Hz)、7.47~7.57(5H, m)、4.50(2H, s)、3.19~3.23(2H, m)、3.08~3.14(2H, m)、2.94(6H, s)、2.04(2H, t, J=7.5Hz)、1.88~1.97(2H, m)、1.41~1.50(2H, m)、1.16~1.30(20H, m)、0.85(3H, brt, J=6.7 Hz)。
【0133】
イソ酪酸ミラミスチン(ES001677)
1H NMR(DMSO-d6):δ 8.30(1H, br t, J=5.7 Hz)、7.47~7.57(5H, m)、4.52(2H, s)、3.25~3.31(2H, m)、3.08~3.14(2H, m)、2.94(6H, s)、2.05(2H, t, J=7.5Hz)、1.87~1.99(2H, m)、1.91(1H, heptet,J=6.8 Hz)、1.42~1.50(2H, m)、1.18~1.30(20H, m)、0.87(3H, d, J=6.9Hz)、0.85(3H, br t, J=6.8 Hz)。
【0134】
D-グルコン酸ミラミスチン(ES001678)
1H NMR(MeOD-d4):δ 7.51~7.60(5H, m)、4.53(2H, s)、4.08(0.9H, dd, J=3.4, 2.3 Hz)、4.03(0.9H, d, J=3.5 Hz)、3.79(0.9H, dd, J=11.1, 3.2 Hz)、3.68~3.76(1.8H, m)、3.61(0.9H, dd, J=11.1, 5.7 Hz)、3.27~3.30(2H, m)、3.04(6H, s)、2.19(2H, t, J=7.6Hz)、2.04~2.12(2H, m)、1.55~ 1.62(2H, m)、1.24~1.34(20H, m)、0.90(3H, brt, J=6.9 Hz)。
【0135】
D-グルクロン酸ミラミスチン(ES001679)
1H NMR(DMSO-d6):δ 7.99(1H, br t, J=5.7 Hz)、7.47~7.57(5H, m)、6.49(0.3H, br s)、6.07(0.15H, d, J=4.3 Hz)、5.74(0.15H, d, J=6.7 Hz)、4.98~5.03(0.3H, m)、4.86(0.15H, t, J=3.9 Hz)、4.65~4.74(0.9H, m)、4.51(2H, s)、4.19~4.31(0.9H, m)、3.86(0.15H,d, J=0.7 Hz)、3.76~ 3.84(0.3H, m)、3.69(0.15H,d, J=1.2 Hz)、3.58~3.66(0.5H, m)、3.19~3.24(2H, m)、3.07~3.14(2H, m)、2.99~3.04(1H, s)、2.94(6H, s)、2.82~2.89(0.5H, m)、2.04(2H, t, J=7.5 Hz)、1.88~1.98(2H, m)、1.41~1.50(2H, m)、1.15~1.30(20H, m)、0.85(3H, br t, J=6.7 Hz)。
【0136】
ニコチン酸ミラミスチン(ES001690)
1H NMR(DMSO-d6):δ 8.92(1H, dd, J=2.0, 0.9 Hz)、8.41(1H, dd, J=5.0, 1.7 Hz)、8.23(1H, br t, J=5.7 Hz)、8.06(1H, ddd, J=7.7, 1.9, 1.9 Hz)、7.47~7.57(5H, m)、7.23(1H, ddd, J=7.7, 4.8, 0.9 Hz)、4.53(2H, s)、3.24~3.30(2H, m)、3.09~3.15(2H, m)、2.95(6H, s)、2.05(2H, t, J=7.5 Hz)、1.90~1.99(2H, m)、1.40~1.50(2H, m)、1.15~1.30(20H, m)、0.85(3H, brt, J=6.7 Hz)。
【0137】
サッカリン酸ミラミスチン(ES001691)
1H NMR(DMSO-d6):δ 7.92(1H, br t, J=5.7 Hz)、7.47~7.66(9H, m)、4.50(2H, s)、3.18~3.24(2H, m)、3.08~3.15(2H, m)、2.94(6H, s)、2.04(2H, t, J=7.5Hz)、1.88~1.98(2H, m)、1.41~1.51(2H, m)、1.15~1.30(20H, m)、0.85(3H, brt, J=6.7 Hz)。
【0138】
L-アスコルビン酸ミラミスチン(ES001680)
1H NMR(MeOD-d4):δ 7.51~759(5H, m)、4.57(1H, d, J=2.6 Hz)、4.53(2H, s)、3.87(1H, td, J=6.7, 2.6 Hz)、3.65~3.70(2H, m)、3.27~3.30(4H, m)、3.04(6H, s)、2.19(2H, t, J=7.6Hz)、2.04~ 2.12(2H, m)、1.55~1.62(2H, m)、1.25~1.36(20H, m)、0.90(3H, brt, J=6.9 Hz)。
【0139】
グリシン酸ミラミスチン(ES001681)
1H NMR(MeOD-d4):δ 7.51~7.60(5H, m)、4.53(2H, s)、3.26~3.30(4H, m)、3.20(1.4H, s)、3.04(6H, s)、2.19(2H, t, J=7.6 Hz)、2.04~2.12(2H, m)、1.55~1.62(2H, m)、1.25~1.34(20H, m)、0.90(3H, br t, J=6.9 Hz)。
【0140】
L-アラニン酸ミラミスチン(ES001682)
1H NMR(MeOD-d4):δ 7.51~7.60(5H, m)、4.53(2H, s)、3.26~3.34(4.75H, m)、3.04(6H, s)、2.18(2H, t, J=7.6Hz)、2.04~2.12(2H, m)、1.55~1.62(2H, m)、1.25~1.34(22.25H, m)、0.90(3H, brt, J=6.9 Hz)。
【0141】
L-バリン酸ミラミスチン(ES001683)
1H NMR(MeOD-d4):δ 7.51~7.60(5H, m)、4.53(2H, s)、3.26~3.30(4H, m)、3.16(0.9H, d, J=4.4 Hz)、3.04(6H, s)、2.18(2H, t, J=7.6Hz)、2.04~2.12(2.9H, m)、1.55~1.62(2H, m)、1.24~1.34(20H, m)、1.00(2.7H, d,J=7.0 Hz)、0.94(2.7H, d, J=6.9 Hz)、0.90(3H, br t, J=6.9 Hz)。
【0142】
L-ロイシン酸ミラミスチン(ES001692)
1H NMR(MeOD-d4):δ 7.52~7.59(5H, m)、4.53(2H, s)、3.24~3.30(4.9H, m)、3.04(6H, s)、2.18(2H, t, J=7.6Hz)、2.04~2.12(2H, m)、1.70~1.81(0.9H, m)、1.55~1.62(2.9H, m)、1.35~1.42(0.9H, m)、1.24~1.35(20H, m)、0.92~0.96(5.4H, m)、0.90(3H, brt, J=6.9 Hz)。
【0143】
L-セリン酸ミラミスチン(ES001684)
1H NMR(MeOD-d4):δ 7.51~7.60(5H, m)、4.53(2H, s)、3.80(1H, dd, J=10.8, 4.5 Hz)、3.64(1H, dd, J=10.8, 6.8 Hz)、3.79(0.9H, dd, J=10.8, 4.5 Hz)、3.63(0.9H, dd, J=10.8, 6.8 Hz)、3.34(0.9H, J=6.8, 4.5 Hz)、3.27~3.30(4H, m)、3.04(6H, s)、2.19(2H, t, J=7.6Hz)、2.04~2.12(2H, m)、1.54~1.62(2H, m)、1.24~1.35(20H, m)、0.90(3H, brt, J=6.9 Hz)。
【0144】
L-メチオニン酸ミラミスチン(ES001693)
1H NMR(MeOD-d4):δ 7.51~7.60(5H, m)、4.53(2H, s)、3.36(1H, dd, J=7.4, 5.2 Hz)、3.26~3.30(4H, m)、3.04(6H, s)、2.52~2.64(2H, m)、2.18(2H, t, J=7.5Hz)、2.09(3H, s)、1.98~2.12(3H, m)、1.79~1.91(1H, m)、1.55~1.62(2H, m)、1.23~1.35(20H, m)、0.90(3H, br t, J=6.8 Hz)。
【0145】
L-フェニルアラニン酸ミラミスチン(ES001694)
1H NMR(MeOD-d4):δ 7.51~7.59(5H, m)、7.26~7.30(3.6H, m)、7.16~7.22(0.9H, m)、4.52(2H, s)、3.48(0.9H, dd, J=8.3, 4.7 Hz)、3.26~3.29(4H, m)、3.13(0.9H, dd, J=13.5, 4.7 Hz)、3.03(6H, s)、2.79(0.9H, dd,J=13.5, 8.3 Hz)、2.18(2H, t, J=7.6Hz)、2.04~2.11(2H, m)、1.55~1.62(2H, m)、1.25~1.34(20H, m)、0.90(3H, brt, J=6.9 Hz)。
【0146】
L-トリプトファン酸ミラミスチン(ES001695)
1H NMR(MeOD-d4):δ 7.67~7.70(0.95H, m)、7.50~7.59(5H, m)、7.31~7.33(0.95H, m)、7.14(0.95H, s)、7.05~7.09(0.95H, m)、6.97~7.01(0.95H, m)、4.47(2H, s)、3.58(0.95H, dd,J=8.5, 4.4 Hz)、3.29~3.35(0.95H, m)、3.23~3.27(4H, m)、2.99(6H, s)、2.93(0.95H, dd, J=14.4, 8.5 Hz)、2.18(2H, t, J=7.6 Hz)、2.00~2.08(2H, m)、1.55~1.62(2H, m)、1.24~1.34(20H, m)、0.90(3H, br t, J=6.9 Hz)。
【0147】
L-アスパラギン酸ミラミスチン(Myramistin L-asparaginate)(ES001696)
1H NMR(MeOD-d4):δ 7.51~7.60(5H, m)、4.53(2H, s)、3.57(0.9H, dd, J=9.3, 3.8 Hz)、3.27~ 3.30(4H, m)、3.04(6H, s)、2.73(0.9H, dd,J=15.2, 3.8 Hz)、2.36(0.9H, dd, J=15.2,9.3 Hz)、2.19(2H, t, J=7.6 Hz)、2.06~2.12(2H, m)、1.55~1.62(2H, m)、1.24~1.34(20H, m)、0.90(3H, br t, J=6.9 Hz)。
【0148】
L-アスパラギン酸ミラミスチン(Myramistin L-aspartate)(ES001697)
1H NMR(MeOD-d4):δ 7.51~7.60(5H, m)、4.53(2H, s)、3.70(0.8H, dd, J=10.6, 3.3 Hz)、3.27~ 3.30(4H, m)、3.04(6H, s)、2.84(0.8H, dd,J=17.0, 3.3 Hz)、2.51(0.8H, dd, J=17.0,10.6 Hz)、2.19(2H, t, J=7.6 Hz)、2.04~2.12(2H, m)、1.55~1.62(2H, m)、1.24~1.34(20H, m)、0.90(3H, br t, J=6.8 Hz)。
【0149】
トリフルオロ酢酸ミラミスチン(ES001699)
1H NMR(DMSO-d6):δ 7.94(1H, t, J=5.8 Hz)、7.46~7.58(5H, m)、4.51(2H, s)、3.21(2H, m)、3.11(2H, br q,J=6.2 Hz)、2.94(6H, s)、2.04(2H, t, J=7.5 Hz)、1.93(2H, m)、1.46(2H, m)、1.15~1.31(20H, m)、0.85(3H, brt, J=6.7 Hz)。
【0150】
ベンゼンスルホン酸ミラミスチン(ES001645)
1H NMR(DMSO-d6):δ 7.91(1H, t, J=5.8 Hz)、7.57~7.64(2H, m)、7.46~7.57(5H, m)、7.27~7.35(3H, m)、4.50(2H, s)、3.20(2H, m)、3.11(2H, br q,J=6.2 Hz)、2.94(6H, s)、2.04(2H, t, J=7.5 Hz)、1.93(2H, m)、1.45(2H, m)、1.14~1.33(20H, m)、0.85(3H, brt, J=6.8 Hz)。
【0151】
L-酒石酸ミラミスチン(ES001700)
1H NMR(DMSO-d6):δ 8.07(1H, t, J=5.7 Hz)、7.46~7.58(5H, m)、4.51(2H, s)、3.72(1.35H, s)、3.23(2H, m)、3.11(2H, br q, J=6.2 Hz)、2.94(6H, s)、2.05(2H, t, J=7.5 Hz)、1.93(2H, m)、1.46(2H, m)、1.16~1.31(20H, m)、0.85(3H, br t, J=6.7 Hz)。
【0152】
ピルビン酸ミラミスチン(ES001701)
1H NMR(DMSO-d6):δ 7.99(1H, t, J=5.7 Hz)、7.46~7.58(5H, m)、4.51(2H, s)、3.21(2H, m)、3.11(2H, br q,J=6.2 Hz)、2.94(6H, s)、2.04(2H, t, J=7.5 Hz)、2.01(3H, s)、1.93(2H, m)、1.46(2H, m)、1.16~1.31(20H, m)、0.85(3H, br t, J=6.7 Hz)。
【0153】
亜硝酸ミラミスチン(ES001703)
1H NMR(DMSO-d6):δ 7.99(1H, t, J=5.8 Hz)、7.45~7.59(5H, m)、4.51(2H, s)、3.21(2H, m)、3.11(2H, br q,J=6.2 Hz)、2.94(6H, s)、2.05(2H, t, J=7.5 Hz)、1.93(2H, m)、1.46(2H, m)、1.15~1.32(20H, m)、0.85(3H, brt, J=6.7 Hz)。
【0154】
炭酸ミラミスチン(ES001704)
1H NMR(DMSO-d6):δ 8.33(1H, t, J=5.7 Hz)、7.45~7.59(5H, m)、4.53(2H, s)、3.27(2H, m)、3.11(2H, br q,J=6.1 Hz)、2.95(6H, s)、2.05(2H, t, J=7.5 Hz)、1.94(2H, m)、1.45(2H, m)、1.15~1.31(20H, m)、0.85(3H, brt, J=6.7 Hz)。
【0155】
臭化ミラミスチン(ES001705)
1H NMR(DMSO-d6):δ 7.93(1H, t, J=5.7 Hz)、7.47~7.58(5H, m)、4.52(2H, s)、3.22(2H, m)、3.11(2H, br q,J=6.2 Hz)、2.95(6H, s)、2.05(2H, t, J=7.5 Hz)、1.93(2H, m)、1.46(2H, m)、1.15~1.31(20H, m)、0.85(3H, brt, J=6.7 Hz)。
【0156】
過塩素酸ミラミスチン(ES001730)
1H NMR(DMSO-d6):δ 7.95(1H, t, J=5.7 Hz)、7.46~7.58(5H, m)、4.51(2H, s)、3.21(2H, m)、3.11(2H, br q,J=6.2 Hz)、2.95(6H, s)、2.04(2H, t, J=7.5 Hz)、1.93(2H, m)、1.46(2H, m)、1.14~1.32(20H, m)、0.85(3H, brt, J=6.7 Hz)。
【0157】
5. ミラミスチンのベンジル類似体調製の合成手順
全体的なスキーム(スキーム5)
【化11】
【0158】
4級化の全体的な手順
出発物質(250 mg、0.8 mmol)を80℃に加熱してACN(1 ml)に溶解させて、その後、試薬(0.84 mmol、1.05当量)をゆっくりと添加した。LC分析によって出発物質の消失が確認されるまで、撹拌を続けた。次いで、ポリマー担持のトリス(2-アミノエチル)アミン(150 mg、3.5mmol/g~5.0 mmol/g N負荷)を添加し、試薬の完全な除去が達成されるまで、撹拌を80℃で続けた。樹脂を濾別し、MeOH(4ml)で洗浄し、濾液を合わせてN2流下で乾燥させた。残渣を高真空下で更に乾燥させて、ミラミスチンのベンジル基類似体を得た。
【0159】
このように調製した全てのミラミスチンのベンジル基類似体を1H NMRによって分析し、構造及び純度を確認した。
【0160】
4級化の全体的な手順に従って調製したミラミスチンのベンジル基類似体の概要を以下の表に示す。
【0161】
【表5】
【0162】
化合物ES001726の調製手順
(2-ヨードエチル)ベンゼンの調製
NaI(1.13 g、7.56 mmol)を、撹拌した(2&#8722;クロロエチル)ベンゼン(0.53 g、4.53 mmol)のアセトン溶液(4.2 ml)に添加した。混合物を3日間加熱還流し、その後、室温に冷却し、Et2O(9 ml)で希釈した。固体を濾別した。濾液をH2O(2×5 ml)で洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗生成物を更に精製することなく使用した。
【0163】
4級化
出発物質(250 mg、0.8 mmol)を80℃に加熱してACN(1 ml)に溶解させて、その後、試薬(0.84 mmol、1.05当量)をゆっくりと添加した。LC分析によって試薬の消失が確認されるまで、撹拌を続けた。次いで、混合物を室温まで冷却し、K2CO3(0.11 g、0.8 mmol)を添加した。2時間後、固体を濾過により除去し、溶媒を減圧下で除去し、残渣を高真空下で乾燥させた。残渣をACN(1 ml)中で再構成し、新たな試薬(0.84 mmol、1.05当量)を80℃でゆっくりと添加した。LC分析によって試薬の消失が確認されるまで、撹拌を続けた。次いで、混合物を室温まで冷却し、K2CO3(0.11 g、0.8 mmol)を添加した。2時間後、固体を濾過により除去し、溶媒を減圧下で除去し、残渣を高真空下で乾燥させた。残渣をACN(1 ml)中で再構成し、新たな試薬(0.42 mmol、0.52当量)を80℃でゆっくりと添加した。LC分析によって試薬の消失が確認されるまで、撹拌を続けた。溶媒を減圧下で除去し、残渣をEt2O中で粉砕することにより精製して、目的の生成物を得た。
【0164】
【表6】
【0165】
ミラミスチンのベンジル類似体の1H NMRデータ
N-(3-(ジメチル-4-メチルベンジルアンモニオ)プロピル)ミリスタミドクロリド(ES001706)
1H NMR(DMSO-d6):δ 8.07(1H, t, J=5.7 Hz)、7.43(2H, d, J=8.0 Hz)、7.30(2H, d, J=8.0 Hz)、4.49(2H, s)、3.21(2H, m)、3.10(2H, br q,J=6.1 Hz)、2.94(6H, s)、2.35(3H, s)、2.05(2H, t, J=7.5 Hz)、1.92(2H, m)、1.45(2H, m)、1.12~1.33(20H, m)、0.85(3H, br t, J=6.7 Hz)。
【0166】
N-(3-(ジメチル-4-シアノベンジルアンモニオ)プロピル)ミリスタミドクロリド(ES001713)
1H NMR(DMSO-d6):δ 8.03(1H, t, J=6.0 Hz)、8.00(2H, d, J=8.2 Hz)、7.77(2H, d, J=8.2 Hz)、4.64(2H, s)、3.27(2H, m)、3.11(2H, br q,J=6.2 Hz)、2.97(6H, s)、2.05(2H, t, J=7.5 Hz)、1.92(2H, m)、1.45(2H, m)、1.12~1.33(20H, m)、0.85(3H, brt, J=6.7 Hz)。
【0167】
N-(3-(ジメチル-4-メチレンナフチルアンモニオ)プロピル)ミリスタミドクロリド(ES001715)
1H NMR(DMSO-d6):δ 8.15(1H, br s)、7.96~8.12(4H, m)、7.57~7.68(3H, m)、4.72(2H, s)、3.30(2H, m)、3.13(2H, br q, J=6.2 Hz)、3.03(6H, s)、1.92~2.07(4H, m)、1.41(2H, m)、1.09~1.31(20H, m)、0.85(3H, brt, J=6.7 Hz)。
【0168】
N-(3-(ジメチル-3-メチレンチオフェニルアンモニオ)プロピル)ミリスタミドクロリド(ES001716)
1H NMR(DMSO-d6):δ 7.99(1H, t, J=5.8 Hz)、7.88(1H, dd, J=1.2 Hz, 2.9 Hz)、7.72(1H, dd, J=2.9 Hz, 5.0 Hz)、7.26(1H, dd, J=1.2 Hz, 5.0 Hz)、4.52(2H, s)、3.17(2H, m)、3.10(2H, br q,J=6.2 Hz)、2.95(6H, s)、2.05(2H, br t, J=7.5 Hz)、1.91(2H, m)、1.46(2H, m)、1.16~1.31(20H, m)、0.85(3H, brt, J=6.7 Hz)。
【0169】
N-(3-(ジメチルエチレンフェニルアンモニオ)プロピル)ミリスタミドクロリド(ES001726)
1H NMR(DMSO-d6):δ 7.90(1H, t, J=5.7 Hz)、7.24~7.41(5H, m)、3.48(2H, m)、3.32(2H, m)、3.11(2H, m)、3.09(6H, s)、3.00(2H, m)、2.06(2H, t, J=7.5Hz)、1.85(2H, m)、1.48(2H, m)、1.15~1.32(20H, m)、0.85(3H, br t, J=6.7 Hz)。
【0170】
生物学的実施例
化合物の生物学的抗ウイルス活性は、標準的な抗ウイルススクリーニングアッセイ、例えば、かつ、特に、引用することにより本明細書の一部をなす特許文献1において提供されるアッセイにおいて試験することができる。
【0171】
細胞変性効果アッセイ:
96ウェルプレートに、Huh7細胞を適切な密度で播種し、37℃、5% CO2で一晩培養した。翌日、段階希釈した化合物(8用量、2連のウェル)を添加し、次いで、化合物処理の直後に(インキュベーション時間なしで)ウイルスを添加した。レムデシビルを参照化合物として使用した。得られた培養物を、ウイルス対照におけるウイルス感染が有意な細胞変性効果を示すまで、更に7日間、33℃、5% CO2で維持した。
データ:
【0172】
【表7】
【手続補正書】
【提出日】2022-04-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンベロープウイルスによって引き起こされる感染症の治療における使用のための、式(I)の化合物又はその薬学的に許容可能な形態(但し、式(I)の化合物はミリスタミド-プロピル-ジメチル-ベンジル-アンモニウムクロリドではない):
【化1】
(式中、
A-は薬学的に許容可能なアニオンであるか、又はY若しくはZがアニオン含有基である場合には存在せず、
XはO、S又はNR1を表し、
X1はCR2又は-OP(O)O-、特にCR2、更に特に-CHを表し、
Yは水素、OR2、NR2、SR2、SOR2、SO2R2又はアニオン含有基、特にオキシド(-O-)、カルボキシレート(-COO-)、スルホネート(-SO3 -)、サルフェート(-OSO3 -)、ホスフェート(-OP(O)(OR2)(O-))、タウリネート(-NHC2H4SO3 -)からなる群から選択されるアニオン含有基を表し、
Zは任意で置換される(ヘテロ)アリール基、特に任意で置換されるフェニルを表し、
L1はC10~C16脂肪族鎖を表し、
L2、L3及びL4は、それぞれ独立して、C1-6アルキル、O-C1-6アルキル、S-C1-6アルキル、SO-C1-6アルキル、SO2-C1-6アルキル又はNR3-C1-6アルキルを表し、特にL2、L3及びL4はそれぞれC1-6アルキルを表し、
Rは、独立して、水素若しくはC1-6アルキルを示し、又は両方のRが、それらが結合している窒素原子と共に環状環、特に5員環若しくは6員環を形成し、
R1、R2及びR3は、それぞれ独立して、水素又はC1-6アルキルを表す)。
【請求項2】
A-は薬学的に許容可能なアニオンであるか、又はY若しくはZがアニオン含有基である場合には存在せず、
XはO、S又はNR1を表し、
X1はCR2又は-OP(O)O-、特にCR2、更に特に-CHを表し、
Yは水素又はアニオン含有基、特にオキシド(-O-)を表し、
Zは非置換、一置換又は多置換の(ヘテロ)アリール基、特に非置換、一置換又は多置換の置換フェニルを表し、
L1はC10-16アルキル、特にC12アルキルを表し、
L2、L3及びL4は、それぞれ独立して、C1-6アルキル、O-C1-6アルキル、S-C1-6アルキル、SO-C1-6アルキル、SO2-C1-6アルキル又はNR3-C1-6アルキルを表し、特にL2、L3及びL4はそれぞれC1-6アルキルを表し、
Rは、独立して、水素又はC1-6アルキルを表し、
R1、R2及びR3は、それぞれ独立して、水素又はC1-6アルキルを表す、
エンベロープウイルスによって引き起こされる感染症の治療における使用のための、請求項1に記載の使用のための化合物(但し、式(I)の化合物はミリスタミド-プロピル-ジメチル-ベンジル-アンモニウムクロリドではない)。
【請求項3】
Zはパラ置換フェニルを表す、請求項1又は2に記載の使用のための化合物。
【請求項4】
エンベロープウイルスによって引き起こされる感染症の治療における使用のための、式(Ia)の化合物又はその薬学的に許容可能な形態(但し、式(I)の化合物はミリスタミド-プロピル-ジメチル-ベンジル-アンモニウムクロリドではない):
【化2】
(式中、
A-は薬学的に許容可能なアニオンであるか、又はR'がアニオン含有基である場合には存在せず、
nは12、14又は16から独立して選択される整数であり、特にnは12であり、
mは0~5の整数であり、特にmは1であり、
XはO、S又はNR1を表し、ここで、R1は水素又はC1-6アルキルを表し、
R'カルボキシレート(-COO-)、スルホネート(-SO3 -)、サルフェート(-OSO3 -)、ホスフェート(-OP(O)(OR5)(O-))、タウリネート(-NHC2H4SO3 -)及びオキシド(-O-)からなる群から選択されるアニオン含有基を表し、ここで、R5は水素、C1-12アルキル、アルケニル、アルキニル又はアリールである)。
【請求項5】
エンベロープウイルスによって引き起こされる感染症の治療における使用のための、式(Ia)の化合物又はその薬学的に許容可能な形態:
【化3】
(式中、
A-は薬学的に許容可能なアニオンであるか、又はR'がアニオン含有基である場合には存在せず、
nは12、14又は16から独立して選択される整数であり、特にnは12であり、
mは0~5の整数であり、特にmは1であり、
XはO又はSを表し、特にXはOを表し、
R'カルボキシレート(-COO-)、スルホネート(-SO3 -)、サルフェート(-OSO3 -)、ホスフェート(-OP(O)(OR5)(O-))、タウリネート(-NHC2H4SO3 -)及びオキシド(-O-)からなる群から選択されるアニオン含有基を表し、ここで、R5は水素、C1-12アルキル、アルケニル、アルキニル又はアリールである)。
【請求項6】
以下の条件のうち1つ以上が適用される、請求項1又は2に記載の使用のための化合物:
L1はC12アルキルを表す;
XはO、S又はNR1を表し、ここで、R1は水素又はC1-6アルキルを表し、特にR1は水素を表し、更に特にXはNHを表す;
XはO又はSを表す;
X1はCR2、特に-CHを表す;
X1は-OP(O)O-を表し、かつ、Yはオキシド(-O-)を表す;
Yは水素を表す;
L2はCH2を表す;
L3はCH2を表す;
L4はC1-4アルキルを表す;
Rは水素又はC1-6アルキルを表し、特にRはC1-6アルキルを表し、更に特にRはメチルを表す;
Zはパラ置換フェニルを表し、フェニル基は、C1-6アルキル、ハロ、シアノ、又はカルボキシレート(-COO-)、スルホネート(-SO3 -)、サルフェート(-OSO3 -)、ホスフェート(-OP(O)(OR5)(O-))、タウリネート(-NHC2H4SO3 -)及びオキシド(-O-)からなる群から選択されるアニオン含有基によって置換され、ここで、R5は水素、C1-12アルキル、アルケニル、アルキニル又はアリールであり、特に前記(ヘテロ)アリール又はフェニル基は、C1-6アルキル、ハロ、シアノ、又はカルボキシレート(-COO-)、スルホネート(-SO3 -)、サルフェート(-OSO3 -)、ホスフェート(-OP(O)(OR5)(O-))及びオキシド(-O-)からなる群から選択されるアニオン含有基によって置換され、ここで、R5は水素であり、更に特に前記(ヘテロ)アリール又はフェニル基は、C1-6アルキル、ハロ、シアノ、又はカルボキシレート(-COO-)、スルホネート(-SO3 -)及びサルフェート(-OSO3 -)からなる群から選択されるアニオン含有基によって置換され、より更に特に前記(ヘテロ)アリール又はフェニル基は、C1-6アルキル、ハロ、シアノ、又はスルホネート(-SO3 -)、タウリネート(-NHC2H4SO3 -)及びサルフェート(-OSO3 -)からなる群から選択されるアニオン含有基によって置換され、より更に特に前記(ヘテロ)アリール又はフェニル基は、C1-6アルキル、ハロ、シアノ、又はスルホネート(-SO3 -)及びサルフェート(-OSO3 -)からなる群から選択されるアニオン含有基によって置換される
【請求項7】
以下の条件のうち1つ以上が適用される、請求項1又は2に記載の使用のための、請求項3又は4に記載の化合物:
nは12又は14から独立して選択される整数であり、特にnは12である;
mは1である;
XはO、S又はNR1を表し、ここで、R1は水素又はC1-6アルキルを表し、特にR1は水素を表す;
R'カルボキシレート(-COO-)、スルホネート(-SO3 -)、サルフェート(-OSO3 -)、ホスフェート(-OP(O)(OR5)(O-))、タウリネート(-NHC2H4SO3 -)及びオキシド(-O-)からなる群から選択されるアニオン含有基を表し、ここで、R5は水素、C1-12アルキル、アルケニル、アルキニル又はアリールであり、特にR'カルボキシレート(-COO-)、スルホネート(-SO3 -)、サルフェート(-OSO3 -)、ホスフェート(-OP(O)(OR5)(O-))及びオキシド(-O-)からなる群から選択されるアニオン含有基を表し、ここで、R5は水素であり、更に特にR'カルボキシレート(-COO-)、スルホネート(-SO3 -)、タウリネート(-NHC2H4SO3 -)及びサルフェート(-OSO3 -)からなる群から選択されるアニオン含有基を表し、より更に特にR'スルホネート(-SO3 -)及びサルフェート(-OSO3 -)からなる群から選択されるアニオン含有基を表す。
【請求項8】
前記薬学的に許容可能なアニオン(A-)は、存在する場合、薬学的に許容可能なアニオンを含有する非毒性の酸付加塩、例えば、塩化物塩、臭化物塩、硫酸塩、リン酸塩、酸リン酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、サリチル酸塩、安息香酸塩、ミリスチン酸塩、乳酸塩、ラクチル乳酸塩、ドデシル硫酸塩等、更に特にギ酸塩、サリチル酸塩、安息香酸塩、ミリスチン酸塩、ラクチル乳酸塩、ドデシル硫酸塩等から形成されるものから選択される、請求項1又は2に記載の使用のための、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
前記式(I)又は式(Ia)の化合物における前記薬学的に許容可能なアニオン(A-)は、存在する場合、式(II)のアニオンによって表される、請求項1又は2に記載の使用のための、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物:
【化4】
(式中、R4は水素、若しくは水素、アミノ、ヒドロキシル、アリール若しくはR6(CO)O-から独立して選択される1つ以上の置換基によって任意で置換されるC1-13アルキルを表すか、又はR4はC1-6アルキル若しくはヒドロキシルから選択される1つ以上の置換基によって任意で置換されるアリールを表し、ここで、R6は水素、又はヒドロキシルによって任意で置換されるC1-6アルキルを表す)。
【請求項10】
コロナウイルス、例えば、非限定的にHCoV-229E、HCoV-OC43、HCoV-NL63、HCoV-HKU1、SARS-CoV、MERS-CoV及びSARS-CoV-2等によって引き起こされる感染症の治療における使用のための、特にコロナウイルス、例えば、非限定的にHCoV-HKU1、SARS-CoV、MERS-CoV及びSARS-CoV-2によって引き起こされる感染症の治療における使用のための、更に特にSARS-CoV及びSARS-CoV-2によって引き起こされる感染症の治療における使用のための、より更に特にSARS-CoV-2によって引き起こされる感染症の治療における使用のための、請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
SARS-CoV-2によって引き起こされる感染症の治療における使用のための、式(I)の化合物又はその薬学的に許容可能な形態:
【化5】
(式中、
A-は薬学的に許容可能なアニオンであるか、又はY若しくはZがアニオン含有基である場合には存在せず、
XはO、S又はNR1を表し、
Yは水素、OR2、NR2、SR2、SOR2、SO2R2又はアニオン含有基、特にカルボキシレート(-COO-)、スルホネート(-SO3 -)、サルフェート(-OSO3 -)、ホスフェート(-OP(O)(OR2)(O-))、タウリネート(-NHC2H4SO3 -)からなる群から選択されるアニオン含有基を表し、
Zはパラ置換フェニルを表し、
L1はC10~C16脂肪族鎖を表し、
L2、L3及びL4は、それぞれ独立して、C1-6アルキル、O-C1-6アルキル、S-C1-6アルキル、SO-C1-6アルキル、SO2-C1-6アルキル又はNR3-C1-6アルキルを表し、特にL2、L3及びL4はそれぞれC1-6アルキルを表し、
Rは、独立して、水素又はC1-6アルキルを示し、
R1、R2及びR3は、それぞれ独立して、水素又はC1-6アルキルを表す)。
【請求項12】
エンベロープウイルスによって引き起こされる感染症の治療における、請求項1~9又は11のいずれか一項に記載の化合物を含む、医薬組成物の使用
【請求項13】
水に溶解した治療有効量の請求項1~9又は11のいずれか一項に記載の化合物及び/又はその1つ以上の生理的に許容可能な塩を含み、6.5~7.5の範囲内のpHを有する水性医薬製剤からなる、請求項12に記載の医薬組成物の使用
【請求項14】
(1)請求項1~9又は11のいずれか一項に記載の化合物の水溶液と、(2)好適な噴射剤と、(3)水添加を含む安定化剤とを含む、加圧送達に好適な安定懸濁エアロゾル製剤からなる、請求項12に記載の医薬組成物の使用
【国際調査報告】