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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-25
(54)【発明の名称】農業用製剤
(51)【国際特許分類】
   A01N 25/00 20060101AFI20230518BHJP
   A01N 25/02 20060101ALI20230518BHJP
   A01N 53/06 20060101ALI20230518BHJP
   A01N 43/653 20060101ALI20230518BHJP
   A01N 43/40 20060101ALI20230518BHJP
   A01N 37/40 20060101ALI20230518BHJP
   A01N 25/04 20060101ALI20230518BHJP
   A01P 7/04 20060101ALI20230518BHJP
   A01P 3/00 20060101ALI20230518BHJP
【FI】
A01N25/00 101
A01N25/02
A01N53/06 150
A01N43/653 C
A01N43/40 101A
A01N37/40
A01N25/04 101
A01N25/04
A01P7/04
A01P3/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022556222
(86)(22)【出願日】2021-03-01
(85)【翻訳文提出日】2022-09-16
(86)【国際出願番号】 US2021020222
(87)【国際公開番号】W WO2021211218
(87)【国際公開日】2021-10-21
(31)【優先権主張番号】63/011,372
(32)【優先日】2020-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】ユイ、ワンリン
(72)【発明者】
【氏名】アレンカー マルケス、ユリ
(72)【発明者】
【氏名】ヘイヴンズ、ローラ
(72)【発明者】
【氏名】クラモ、サラ ビー.
【テーマコード(参考)】
4H011
【Fターム(参考)】
4H011AA01
4H011AC01
4H011BA01
4H011BA04
4H011BB06
4H011BB09
4H011BB15
4H011BC08
4H011DA12
4H011DA16
4H011DC05
4H011DG04
(57)【要約】

本発明の実施形態は、農産業において使用することができる製剤に関する。一態様において、農業用製剤は、製剤の総重量に基づいて、1重量パーセント~80重量パーセントの量の少なくとも1つの農業用活性成分と、式1のアルキルフランエステル溶媒と、を含み、製剤は、5重量パーセント~80重量パーセントのアルキルフランエステル溶媒を含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
農業用製剤であって、
前記製剤の総重量に基づいて、1重量パーセント~80重量パーセントの量の少なくとも1つの農業用活性成分と、
式1によるアルキルフランエステル溶媒と、を含み、
【化1】
式中、Rは、メチル基、エチル基、又は3~12個の炭素原子を有する直鎖若しくは分岐鎖アルキル基であり、前記製剤は、5重量パーセント~80重量パーセントの前記アルキルフランエステル溶媒を含む、農業用製剤。
【請求項2】
50重量パーセント未満の共溶媒を更に含む、請求項1に記載の農業用製剤。
【請求項3】
前記共溶媒は、N,N-ジアルキル脂肪酸アミド溶媒、芳香族炭化水素溶媒、脂肪族炭化水素溶媒、芳香族、アルキル、若しくは環状のケトン溶媒、グリコールエーテル溶媒、種子油溶媒、脂肪酸エステル溶媒、又はこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、請求項2に記載の農業用製剤。
【請求項4】
前記農業用活性成分は、N,N-ジアルキル脂肪酸アミド、芳香族ケトン、アルキルケトン、環状ケトン、又は芳香族炭化水素溶媒のうちの少なくとも1つに可溶である、請求項1又は2に記載の農業用製剤。
【請求項5】
50重量パーセント未満の芳香族炭化水素溶媒を含有する、請求項4に記載の農業用製剤。
【請求項6】
芳香族炭化水素溶媒を含まない、請求項4に記載の農業用製剤。
【請求項7】
50重量パーセント未満のN,N-ジアルキル脂肪酸アミド溶媒を含有する、請求項4に記載の農業用製剤。
【請求項8】
N,N-ジアルキル脂肪酸アミド溶媒を含まない、請求項4に記載の農業用製剤。
【請求項9】
50重量パーセント未満の芳香族、アルキル、及び環状のケトン溶媒を含有する、請求項4に記載の農業用製剤。
【請求項10】
芳香族、アルキル、及び環状のケトン溶媒を含まない、請求項4に記載の農業用製剤。
【請求項11】
前記農業用活性成分は、ピレスロイド、有機ホスフェート、有機サルファイト、カルバメート、シクロヘキサンジオン、イソオキサゾール、フェノキシ、クロロフェノキシ酢酸、アニリド、クロロアセトアニリド、クロロメトキシ安息香酸、オキシアセトアニリド、ストロビルリン、トリアゾール、トリアザペンタジエン、合成オーキシン、アリールオキシフェノキシプロピオネート、ベンゾフラン、ピリミジン、フェニルピラゾール、フェニル尿素、ジフェニルエーテル、ヒドロキシベンゾニトリル、チオリン酸トリアミド、及びクロロピリジンのうちの少なくとも1つである、請求項1~10のいずれか一項に記載の農業用製剤。
【請求項12】
前記農業用活性成分は、ビフェントリン、テブコナゾール、2-メチル-4-クロロフェノキシ酢酸、2,4-ジクロロフェノキシ酢酸、N-(n-ブチル)チオリン酸トリアミド、ジカンバ酸、及びニトラピリンのうちの少なくとも1つである、請求項1~11のいずれか一項に記載の農業用製剤。
【請求項13】
界面活性剤、乳化剤、分散剤、保湿剤、補助剤、酸化防止剤、レオロジー変性剤、抗凍結剤、又は着色剤のうちの1つ以上を更に含み、界面活性剤、乳化剤、分散剤、保湿剤、補助剤、酸化防止剤、レオロジー変性剤、抗凍結剤、又は着色剤のうちの前記1つ以上は、組成物の0超~15重量パーセント以下を構成する、請求項1~12のいずれか一項に記載の農業用製剤。
【請求項14】
式1におけるRは、エチル基である、請求項1~13のいずれか一項に記載の農業用製剤。
【請求項15】
前記製剤は、乳化性濃縮物の形態である、請求項1~14のいずれか一項に記載の農業用製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農産業において使用することができる製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
有機溶媒は、殺虫剤及び肥料安定剤などの水不溶性活性成分に好適な送達系を達成するために、農産業において広く利用されている。経済的な製剤を開発するために、いくつかの殺虫活性成分のより濃縮された溶液をもたらす溶媒が、所望される。例えば、20重量パーセント以上の活性成分を可溶化することが、典型的には望ましい。更に、乳化性濃縮物の製剤化を可能にする高い極性及び低い水溶性を有する溶媒は、農産業において特に関心が高い。一般に、乳化性濃縮物は、乳化剤を含む好適な界面活性剤を更に含有し得る有機溶媒中の殺虫剤の濃縮溶液であるため、比較的大量の水と混合されると、標的部位への適用(例えば、噴霧による)のための安定した水中油型エマルションが生成される。高い可溶化力及び低い水溶性に加えて、再生可能炭素含有量を低い環境及びヒトへの毒性と組み合わせた持続可能なプロファイルを有する溶媒が、農産物の環境的影響及び健康上の懸念を最小限に抑えるために、ますます好ましくなっている。
【0003】
魅力的な持続可能性プロファイル(例えば、健康上及び環境上の懸念がないか、又は少なくとも減少している)とともに、殺虫剤及び肥料などの農業用活性成分に対する高い可溶性を提供することができる代替的な溶媒を有することが、望ましいであろう。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、農業用活性成分に対する高い可溶性及び低い水溶性を提供する農業用製剤を提供する。そのような製剤は、いくつかの実施形態において、再生可能起源に由来すること及び低毒性であることなどの魅力的な持続可能性プロファイルを有する。
【0005】
一態様において、農業用製剤は、製剤の総重量に基づいて、1重量パーセント~80重量パーセントの量の少なくとも1つの農業用活性成分と、
式1によるアルキルフランエステル溶媒と、を含み、
【0006】
【化1】
式中、Rは、メチル基、エチル基、又は3~12個の炭素原子を有する直鎖若しくは分岐鎖アルキル基であり、製剤は、5重量パーセント~80重量パーセントのアルキルフランエステル溶媒を含む。いくつかの実施形態において、製剤は、乳化性濃縮物の形態である。
【0007】
これら及び他の実施形態は、「発明を実施するための形態」において、より詳細に説明される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書で使用される場合、「a」、「an」、「the」、「少なくとも1つ」、及び「1つ以上」は、互換的に使用される。
【0009】
「含む(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」という用語、及びそれらの派生語は、任意の追加の構成成分、工程、又は手順が本明細書で具体的に開示されているかにかかわらず、それらの存在を排除するように意図するものではない。疑義が生じないようにするために、「含む」という用語の使用を通じて特許請求されるすべての組成物は、矛盾する記載がない限り、1つ以上の追加の化合物を含んでもよい。対照的に、「本質的に~からなる」という用語は、実施可能性に必須ではないものを除いて、あらゆる後続の列挙の範囲から、いかなる他の構成成分、工程、又は手順も除外する。「からなる」という用語は、明確に描写又は列挙されていない任意の構成成分、工程、又は手順を除外する。「又は」という用語は、別途記載がない限り、列挙された要素を個々に、並びに任意の組み合わせで指す。単数形の使用は複数形の使用を含み、その逆もまた同様である。
【0010】
また、本明細書において、端点による数値範囲の列挙は、その範囲に包含されるすべての数を含む(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5などを含む)。本発明の目的のために、当業者が理解することと一致して、数値範囲は、その範囲に含まれる可能性のあるすべての部分範囲を含み、かつサポートすることを意図することを理解されたい。例えば、1~100の範囲は、1.01~100、1~99.99、1.01~99.99、40~60、1~55などを伝達することを意図している。
【0011】
別段その逆が記載されるか、文脈から暗示されるか、又は当該技術分野での慣習ではない限り、すべての部及びパーセントは、重量に基づき、すべての試験方法は、本開示の出願日時点で最新のものである。
【0012】
化合物(例えば、活性成分)が溶媒に可溶であると特徴付けられる場合(例えば、「N,N-ジアルキル脂肪酸アミドに可溶な化合物」、「芳香族ケトンに可溶な化合物」、「アルキルケトンに可溶な化合物」、「環状ケトンに可溶な化合物」、「芳香族炭化水素溶媒に可溶な化合物」など)、そのような用語は、化合物が、周囲条件、すなわち23℃及び大気圧下において、当該指定された溶媒に可溶であることを意味する。この文脈では、溶解度は、1グラム(g)の溶質を溶解させるのに必要な溶媒のミリリットル(mL)単位でのおおよその体積によって定義される。表1は、一般的な溶解度の説明の概要を提供する。
【0013】
【表1】
化合物(例えば、活性成分)の溶解度を測定するための方法は、指定された温度及び時間条件下において、撹拌又は振とうを使用して固体溶質を溶媒に溶解させることを含む。次いで、濾過を用いて飽和溶液を固体から分離する。飽和溶液中の溶質の濃度は、紫外(ultraviolet、UV)分光法、蒸発光散乱、UV、若しくは質量分析検出を伴う高圧液体クロマトグラフィー、又はNMR分光法を用いた分析によって判定される。
【0014】
「芳香族炭化水素」、「アレーン」、「アリール炭化水素」などの用語は、単環又は多環を形成する炭素原子間にσ結合及び非局在化π電子を有する炭化水素を意味する。例としては、これらに限定されないが、ベンゼン、トルエン、ナフタレンなどが挙げられる。
【0015】
「炭化水素」などの用語は、炭素原子及び水素原子のみからなる化合物を意味する。
【0016】
「溶液」などの用語は、(1)可変、すなわち溶媒中異なる濃度の溶質で存在することができ、(2)1つを除きすべての構成成分が、最も単純な単位、例えば、分子で存在し、かつ(3)物理的方法によって2つ以上の純粋な物質に分離することができる、均質組成物を意味する。本発明の文脈において、溶液は液体組成物を指す。
【0017】
「組成物」などの用語は、2つ以上の構成成分の混合物又はブレンドを意味する。
【0018】
「エマルション」などの用語は、互いに通常は混和しない(混合できない、又はブレンドできない)、すなわち液体が溶液を形成しない、2つ以上の液体の混合物を意味する。
【0019】
「乳化性濃縮物」などの用語は、濃縮物が、典型的には水中で希釈され、安定したエマルションが形成されている製剤を意味する。「安定した」などの用語は、エマルションが、周囲条件下、例えば、23℃及び大気圧下において24時間にわたり、劣化したとしても、劣化をほとんど呈さないことを意味する。
【0020】
「芳香族炭化水素溶媒を含まない」などの用語は、本発明の組成物の文脈において、組成物が、ピレスロイド、有機ホスフェート、有機サルファイト、カルバメート、シクロヘキサンジオン、イソオキサゾール、フェノキシ、クロロフェノキシ酢酸、アニリド、クロロアセトアニリド、クロロメトキシ安息香酸、オキシアセトアニリド、ストロビルリン、トリアゾール、トリアザペンタジエン、合成オーキシン、アリールオキシフェノキシプロピオネート、ベンゾフラン、ピリミジン、フェニルピラゾール、フェニル尿素、ジフェニルエーテル、ヒドロキシベンゾニトリル、チオリン酸トリアミド、及びクロロピリジンなどの芳香族炭化水素可溶性化合物を周囲条件下(23℃及び大気圧)で可溶化できる芳香族炭化水素を、(<)5未満、又は<4、又は<3、又は<2、又は<1、又は<0.5、又は<0.1、又は<0.05、又は<0.01重量%含有することを意味する。組成物中の任意のそのような量の芳香族炭化水素は、典型的には混入物質として存在し、組成物の形成、維持、及び意図される使用に対していかなる顕著な影響も有さない。一実施形態において、「芳香族炭化水素溶媒を含まない」とは、組成物が、従来のガスクロマトグラフィー(gas chromatography、GC)又は高圧液体クロマトグラフィー(high pressure liquid chromatography、HPLC)によって測定されるとき、いかなる量のそのような溶媒も含有しないことを意味する。
【0021】
「N,N-ジアルキル脂肪酸アミド溶媒を含まない」などの用語は、本発明の組成物の文脈において、組成物が、ピレスロイド、有機ホスフェート、有機サルファイト、カルバメート、シクロヘキサンジオン、イソオキサゾール、フェノキシ、クロロフェノキシ酢酸、アニリド、クロロアセトアニリド、クロロメトキシ安息香酸、オキシアセトアニリド、ストロビルリン、トリアゾール、トリアザペンタジエン、合成オーキシン、アリールオキシフェノキシプロピオネート、ベンゾフラン、ピリミジン、フェニルピラゾール、フェニル尿素、ジフェニルエーテル、ヒドロキシベンゾニトリル、チオリン酸トリアミド、及びクロロピリジンなどの化合物を周囲条件下(23℃及び大気圧)で可溶化できるN,N-ジアルキル脂肪酸アミドを、(<)5未満、又は<4、又は<3、又は<2、又は<1、又は<0.5、又は<0.1、又は<0.05、又は<0.01重量%含有することを意味する。組成物中の任意のそのような量のN,N-ジアルキル脂肪酸アミドは、典型的には混入物質として存在し、組成物の形成、維持、及び意図される使用に対していかなる顕著な影響も有さない。一実施形態において、「N,N-ジアルキル脂肪酸アミド溶媒を含まない」とは、組成物が、従来のガスクロマトグラフィー(GC)又は高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)によって測定されるとき、いかなる量のそのような溶媒も含有しないことを意味する。
【0022】
「芳香族、アルキル、及び環状のケトン溶媒を含まない」などの用語は、本発明の組成物の文脈において、組成物が、ピレスロイド、有機ホスフェート、有機サルファイト、カルバメート、シクロヘキサンジオン、イソオキサゾール、フェノキシ、クロロフェノキシ酢酸、アニリド、クロロアセトアニリド、クロロメトキシ安息香酸、オキシアセトアニリド、ストロビルリン、トリアゾール、トリアザペンタジエン、合成オーキシン、アリールオキシフェノキシプロピオネート、ベンゾフラン、ピリミジン、フェニルピラゾール、フェニル尿素、ジフェニルエーテル、ヒドロキシベンゾニトリル、チオリン酸トリアミド、及びクロロピリジンなどの化合物を周囲条件下(23℃及び大気圧)で可溶化できる芳香族、アルキル、及び環状のケトン溶媒を、(<)5未満、又は<4、又は<3、又は<2、又は<1、又は<0.5、又は<0.1、又は<0.05、又は<0.01重量%含有することを意味する。組成物中の任意のそのような量の芳香族、アルキル、及び環状のケトン溶媒は、典型的には混入物質として存在し、組成物の形成、維持、及び意図される使用に対していかなる顕著な影響も有さない。一実施形態において、「芳香族、アルキル、及び環状のケトン溶媒を含まない」とは、組成物が、従来のガスクロマトグラフィー(GC)又は高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)によって測定されるとき、いかなる量のそのような溶媒も含有しないことを意味する。
【0023】
本発明の実施形態は、概して、少なくとも1つの農業用活性成分と、本明細書に更に記載されるような式1によるアルキルフランエステル溶媒と、を含む、農業用製剤に関する。いくつかの実施形態において、そのような製剤は、乳化性濃縮物であり得る。例えば、製剤は、殺虫剤、肥料安定剤などの農業用活性成分を含み得る。一実施形態において、本発明の農業用製剤は、製剤の総重量に基づいて、1重量パーセント~80重量パーセントの量の少なくとも1つの農業用活性成分と、式1によるアルキルフランエステル溶媒と、を含み、
【0024】
【化2】
式中、Rは、メチル基、エチル基、又は3~12個の炭素原子を有する直鎖若しくは分岐鎖アルキル基であり、製剤は、5重量パーセント~80重量パーセントのアルキルフランエステル溶媒を含む。いくつかの実施形態において、Rは、エチル基である。いくつかの実施形態において、農業用製剤は、乳化性濃縮物の形態である。
【0025】
いくつかの実施形態において、農業用製剤は、50重量パーセント未満の共溶媒を含む。共溶媒は、そのような実施形態において、N,N-ジアルキル脂肪酸アミド溶媒、芳香族炭化水素溶媒、脂肪族炭化水素溶媒、芳香族、アルキル、環状のケトン溶媒、グリコールエーテル溶媒、種子油溶媒、若しくは脂肪酸エステル溶媒、又はこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む。
【0026】
いくつかの実施形態において、農業用活性成分は、N,N-ジアルキル脂肪酸アミド、芳香族ケトン、アルキルケトン、環状ケトン、又は芳香族炭化水素溶媒のうちの少なくとも1つに可溶である。いくつかのそのような実施形態において、農業用製剤は、50重量パーセント未満の芳香族炭化水素溶媒を含有する。いくつかのそのような実施形態において、農業用製剤は、芳香族炭化水素溶媒を含まない。
【0027】
いくつかの実施形態において、農業用活性成分は、N,N-ジアルキル脂肪酸アミド、芳香族ケトン、アルキルケトン、環状ケトン、又は芳香族炭化水素溶媒のうちの少なくとも1つに可溶である。いくつかのそのような実施形態において、農業用製剤は、50重量パーセント未満のN,N-ジアルキル脂肪酸アミド溶媒を含有する。いくつかのそのような実施形態において、農業用製剤は、N,N-ジアルキル脂肪酸アミド溶媒を含まない。
【0028】
いくつかの実施形態において、農業用活性成分は、N,N-ジアルキル脂肪酸アミド、芳香族ケトン、アルキルケトン、環状ケトン、又は芳香族炭化水素溶媒のうちの少なくとも1つに可溶である。いくつかのそのような実施形態において、農業用製剤は、50重量パーセント未満の芳香族、アルキル、及び環状のケトン溶媒を含有する。いくつかのそのような実施形態において、農業用製剤は、芳香族、アルキル、及び環状のケトン溶媒を含まない。
【0029】
いくつかの実施形態において、農業用活性成分は、ピレスロイド、有機ホスフェート、有機サルファイト、カルバメート、シクロヘキサンジオン、イソオキサゾール、フェノキシ、クロロフェノキシ酢酸、アニリド、クロロアセトアニリド、クロロメトキシ安息香酸、オキシアセトアニリド、ストロビルリン、トリアゾール、トリアザペンタジエン、合成オーキシン、アリールオキシフェノキシプロピオネート、ベンゾフラン、ピリミジン、フェニルピラゾール、フェニル尿素、ジフェニルエーテル、ヒドロキシベンゾニトリル、チオリン酸トリアミド、及びクロロピリジンのうちの少なくとも1つである。
【0030】
いくつかの実施形態において、農業用活性成分は、ビフェントリン、テブコナゾール、2-メチル-4-クロロフェノキシ酢酸、2,4-ジクロロフェノキシ酢酸、N-(n-ブチル)チオリン酸トリアミド、ジカンバ酸、及びニトラピリンのうちの少なくとも1つである。
【0031】
本発明の農業用製剤は、いくつかの実施形態において、界面活性剤、乳化剤、分散剤、保湿剤、補助剤、酸化防止剤、レオロジー変性剤、抗凍結剤、又は着色剤のうちの1つ以上を更に含み、界面活性剤、乳化剤、分散剤、保湿剤、補助剤、酸化防止剤、レオロジー変性剤、抗凍結剤、又は着色剤のうちの1つ以上は、組成物の0超~15重量パーセント以下を構成する。
【0032】
アルキルフランエステル溶媒
本発明の農業用製剤は、式1によるアルキルフランエステル溶媒を含み、
【0033】
【化3】
式中、Rは、メチル基、エチル基、又は3~12個の炭素原子を有する直鎖若しくは分岐鎖アルキル基である。いくつかの実施形態において、Rは、エチル基である。いくつかの実施形態において、アルキルフランエステル溶媒は、2-フロ酸メチル、2-フロ酸エチル、2-フロ酸イソプロピルである。
【0034】
一実施形態において、アルキルフランエステル溶媒は、2-フロ酸メチルである。本発明のいくつかの実施形態において使用することができる2-フロ酸メチルの例は、xF Technologies Inc.から市販されているMethyl 408である。
【0035】
一実施形態において、アルキルフランエステル溶媒は、2-フロ酸エチルである。本発明のいくつかの実施形態において使用することができる2-フロ酸エチルの例は、xF Technologies Inc.から市販されているEthyl 408である。
【0036】
一実施形態において、アルキルフランエステル溶媒は、2-フロ酸イソプロピルである。本発明のいくつかの実施形態において使用することができる2-フロ酸イソプロピルの例は、xF Technologies Inc.から市販されているIsopropyl 408である。
【0037】
いくつかの実施形態において、アルキルフランエステル溶媒は、農業用製剤において使用される唯一の溶媒である。
【0038】
いくつかの実施形態において、農業用製剤は、製剤の総重量に基づいて、5重量パーセント~80重量パーセントのアルキルフランエステル溶媒を含む。いくつかの実施形態において、式1のアルキルフランエステル溶媒は、製剤の総重量に基づいて、農業用製剤の(≧)5以上、≧20、≧30、≧40、≧50、≧60、≧70、又は≧75重量パーセント(重量%)を構成する。いくつかの実施形態において、式1のアルキルフランエステル溶媒は、製剤の総重量に基づいて、農業用製剤の≦80以下、≦75、≦70、≦60、≦50、≦40、≦30、又は≦20を構成する。
【0039】
いくつかの実施形態において、農業用製剤は、より高い濃度の農業用活性成分を提供することができる。いくつかのそのような実施形態において、上記の式1のアルキルフランエステル溶媒は、農業用製剤の(≧)10以上、≧20、≧30、≧40、又は≧45重量パーセント(重量%)を構成する。いくつかの実施形態において、式1のアルキルフランエステル溶媒は、農業用製剤の(≦)50以下、≦45、≦40、≦35、又は≦30重量%を構成する。
【0040】
本明細書に記載される式1のアルキルフランエステル溶媒は、いくつかの実施形態において、いくつかの用途において望ましくない物理的、人的、及び/又は環境的危険を伴う溶媒の使用を低減又は排除することもできる。
【0041】
農業用活性成分
式1のアルキルフランエステル溶媒に加えて、本発明の農業用製剤は、農業用活性成分を更に含む。
【0042】
いくつかの実施形態において、農業用活性成分は、以下の溶媒:N,N-ジアルキル脂肪酸アミド溶媒、芳香族炭化水素溶媒、脂肪族炭化水素溶媒、芳香族、アルキル、環状のケトン溶媒、グリコールエーテル溶媒、種子油溶媒、若しくは脂肪酸エステル溶媒、又はこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つに可溶である。本明細書に使用される場合、「アルキルケトン」は、式2に従って定義され、
【0043】
【化4】
式中、R及びRは、独立して、炭素原子及び水素原子のみから構成される直鎖又は分岐鎖アルキル基である。式2の定義によれば、アルキルケトンの唯一の官能基は、ケトンカルボニル基であり、アルキルケトンの唯一のヘテロ原子は、カルボニル酸素原子である。
【0044】
本明細書における式1のアルキルフランエステル溶媒は、そのような溶媒の望ましい代替物として役立ち得るため、これらの溶媒のうちの1つ以上における化合物の溶解度は、重要である。典型的には、農業用活性成分は、1つ以上の農業用機能、例えば、殺虫剤、駆虫剤、除草剤、殺菌剤、肥料添加剤などのために使用される化合物である。これらの農業用活性成分は、典型的には水不溶性であり、ピレスロイド、有機ホスフェート、有機サルファイト、カルバメート、シクロヘキサンジオン、イソオキサゾール、フェノキシ、クロロフェノキシ酢酸、アニリド、クロロアセトアニリド、クロロメトキシ安息香酸、オキシアセトアニリド、ストロビルリン、トリアゾール、トリアザペンタジエン、合成オーキシン、アリールオキシフェノキシプロピオネート、ベンゾフラン、ピリミジン、フェニルピラゾール、フェニル尿素、ジフェニルエーテル、ヒドロキシベンゾニトリル、チオリン酸トリアミド、及びクロロピリジンが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、N,N-ジアルキル脂肪酸アミド溶媒、芳香族炭化水素溶媒、脂肪族炭化水素溶媒、芳香族、アルキル、環状のケトン溶媒、グリコールエーテル溶媒、種子油溶媒、若しくは脂肪酸エステル溶媒、又はこれらの組み合わせに可溶である化合物は、ビフェントリン、テブコナゾール、2-メチル-4-クロロフェノキシ酢酸、2,4-ジクロロフェノキシ酢酸、N-(n-ブチル)チオリン酸トリアミド、ジカンバ酸、又はニトラピリンのうちの少なくとも1つである。特定の肥料添加剤としては、N-(n-ブチル)チオリン酸トリアミド及びニトラピリンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0045】
本発明の農業用製剤の実施形態において使用されることとなる農業用活性成分の量は、使用される特定の活性成分、製剤が複数の活性成分を含むかどうか、製剤が乳化性濃縮物であるかどうか、製剤の意図される使用、及び本明細書の教示に基づいて当業者に公知である他の要因を含むがこれらに限定されない、いくつかの要因に依存し得る。いくつかの実施形態において、農業用製剤は、製剤の総重量に基づいて、1重量パーセント~80重量パーセントの農業用活性成分を含む。
【0046】
いくつかの実施形態において、農業用製剤は、製剤の総重量に基づいて、(>)5超、又は(≧)10以上、又は≧15重量パーセント(重量%)の農業用活性成分を含む。いくつかの実施形態において、農業用製剤は、製剤の総重量に基づいて、(≦)20重量%以下の農業用活性成分を含む。
【0047】
いくつかの実施形態において、農業用製剤は、より高い濃度の農業用活性成分を提供することができる。いくつかのそのような実施形態において、農業用製剤は、製剤の総重量に基づいて、(>)20超、又は(≧)25以上、≧30、≧35、≧40、又は≧45重量パーセント(重量%)の農業用活性成分を含む。いくつかの実施形態において、農業用製剤は、製剤の総重量に基づいて、(≦)50重量%以下の農業用活性成分を含む。
【0048】
追加の溶媒
上記のように、いくつかの実施形態において、式1のアルキルフランエステル溶媒は、本発明の農業用製剤において使用される唯一の溶媒である。しかしながら、いくつかの実施形態において、本発明の農業用製剤は、(式1のアルキルフランエステル溶媒に加えて)共溶媒を更に含む。存在する場合、共溶媒は、製剤の総重量に基づいて、農業用製剤の50重量パーセント未満を構成する。
【0049】
いくつかの実施形態において、共溶媒は、N,N-ジアルキル脂肪酸アミド溶媒、芳香族炭化水素溶媒、脂肪族炭化水素溶媒、芳香族、アルキル、環状のケトン溶媒、グリコールエーテル溶媒、種子油溶媒、若しくは脂肪酸エステル溶媒、又はこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む。
【0050】
いくつかの実施形態において、本発明の農業用製剤は、製剤の総重量に基づいて、(<)50未満、又は(≦)40以下、又は≦30、又は≦20、又は≦10、又は≦5重量%のN,N-ジアルキル脂肪酸アミド溶媒を含有する。一実施形態において、本発明の農業用製剤は、N,N-ジアルキル脂肪酸アミド溶媒を含まない。
【0051】
いくつかの実施形態において、本発明の農業用製剤は、製剤の総重量に基づいて、(<)50未満、又は(≦)40以下、又は≦30、又は≦20、又は≦10、又は≦5重量%の芳香族炭化水素溶媒を含有する。一実施形態において、本発明の農業用製剤は、芳香族炭化水素溶媒を含まない。
【0052】
いくつかの実施形態において、本発明の農業用製剤は、製剤の総重量に基づいて、(<)50未満、又は(≦)40以下、又は≦30、又は≦20、又は≦10、又は≦5重量%の芳香族ケトン溶媒を含有する。一実施形態において、本発明の農業用製剤は、芳香族ケトン溶媒を含まない。
【0053】
いくつかの実施形態において、本発明の農業用製剤は、製剤の総重量に基づいて、(<)50未満、又は(≦)40以下、又は≦30、又は≦20、又は≦10、又は≦5重量%のアルキルケトン溶媒を含有する。一実施形態において、本発明の農業用製剤は、アルキルケトン溶媒を含まない。
【0054】
いくつかの実施形態において、本発明の農業用製剤は、製剤の総重量に基づいて、(<)50未満、又は(≦)40以下、又は≦30、又は≦20、又は≦10、又は≦5重量%の環状ケトン溶媒を含有する。一実施形態において、本発明の農業用製剤は、環状ケトン溶媒を含まない。
【0055】
いくつかの実施形態において、本発明の農業用製剤は、製剤の総重量に基づいて、(<)50未満、又は(≦)40以下、又は≦30、又は≦20、又は≦10、又は≦5重量%の芳香族、アルキル、及び環状のケトン溶媒を含有する。一実施形態において、本発明の農業用製剤は、芳香族、アルキル、及び環状のケトン溶媒を含まない。
【0056】
いくつかの実施形態において、本発明の農業用製剤中のN,N-ジアルキル脂肪酸アミド溶媒、芳香族ケトン溶媒、アルキルケトン溶媒、環状ケトン溶媒、及び芳香族炭化水素溶媒の総量は、(<)50未満、又は(≦)40以下、又は≦30、又は≦20、又は≦10、又は≦5重量%である。一実施形態において、本発明の農業用製剤は、N,N-ジアルキル脂肪酸アミド溶媒、芳香族ケトン溶媒、アルキルケトン溶媒、環状ケトン溶媒、及び芳香族炭化水素溶媒を含まない。
【0057】
潜在的な添加剤
いくつかの実施形態において、本発明の農業用製剤は、農業用活性成分、式1によるアルキルフランエステル溶媒、及び潜在的な共溶媒に加えて、構成成分を含み得る。いくつかの実施形態において、本発明の農業用製剤は、界面活性剤、乳化剤、分散剤、保湿剤、補助剤、酸化防止剤、レオロジー変性剤、抗凍結剤、又は着色剤のうちの1つ以上を更に含む。
【0058】
本発明において有用な界面活性剤には、アニオン性、非イオン性、又はカチオン性の特徴があり得、湿潤剤、懸濁化剤、消泡剤、及び脱泡剤として、他の機能とともに機能し得る。アニオン性及び非イオン性界面活性剤のブレンドが、一般に利用される。農業用製剤において従来使用される界面活性剤は、Encyclopedia of Surfactants,Vol.I-III,Chemical Publishing Co.,New York,1980-81及びMcCutcheon’s Detergents and Emulsifiers Annual,MC Publishing Corp.,Ridgewood,New Jersey,1998に記載されている。典型的な界面活性剤としては、ノニルフェノール-C18エトキシレートなどのアルキルフェノール-アルキレンオキシド付加生成物、トリデシルアルコール-C16エトキシレートなどのアルコール-アルキレンオキシド付加生成物、ラウリルトリメチルアンモニウム=クロリドなどの第四級アミン、モノ及びジアルキルリン酸エステルの塩、並びに固体又は液体の有機シリコーンが挙げられるが、これらに限定されない。有用な有機シリコーン界面活性剤の例としては、Evonik AGから入手可能なTEGOSTAB B-8462、B-8404、及びB-8871、並びにThe Dow Chemical Companyから入手可能なVORASURF(商標)DC-198及びDC-5043界面活性剤、並びにMomentive Performance MaterialsのNIAX L-618及びNIAX L-627界面活性剤などの市販のポリシロキサン/ポリエーテルコポリマーが挙げられる。
【0059】
代表的な乳化剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸、アルキルアリールスルホン酸、及びアルキルナフタレンスルホン酸のアルカリ土類塩、アルカリ金属塩、及びアミン塩と、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウムと、ジイソオクチルスルホコハク酸ナトリウムと、エーテルサルフェートのアミン塩と、などのアニオン性乳化剤が挙げられるが、これらに限定されない。非イオン性乳化剤としては、脂肪酸アルカノールアミド;エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドと、脂肪族アルコール、脂肪族アミン、脂肪酸エステル、及び脂肪酸アミドとの縮合生成物;エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドと、直鎖又は分岐鎖第一級アルコールとの縮合生成物;エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドと、直鎖又は分岐鎖第二級アルコールとの縮合生成物;ソルビタン脂肪酸エステルなどの多価アルコールエステルの脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどの、エチレンオキシドと多価アルコールエステルの脂肪酸エステルとの縮合生成物;エトキシル化ラノリンアルコール;エトキシル化ラノリン酸が挙げられる。カチオン性乳化剤としては、脂肪族モノ、ジ、又はポリアミンアセテート、及びオレエートが挙げられる。予めブレンドされた生成物として入手可能なアニオン性及び非イオン性乳化剤の組み合わせ生成物としては、TENSIOFIX B.7416、B.7438、及びB.7453、並びにATLOX 4851B及び4855Bが挙げられる。
【0060】
代表的な分散剤としては、非イオン性界面活性剤;プロピレンオキシド、次いでエチレンオキシドを、プロピレングリコール、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドのブロックコポリマーに順次添加することによって調製されたものなどの湿潤剤;並びにブタノールエチレンオキシドコポリマー又はプロピレンオキシドコポリマーなどのエチレンオキシド及びプロピレンオキシドと、直鎖アルコールとの縮合生成物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0061】
代表的な保湿剤としては、プロピレングリコール、グリセロール、及びポリエチレングリコールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0062】
代表的な補助剤としては、スプレッダー、石油及び植物由来の油及び溶媒、湿潤剤が挙げられるが、これらに限定されない。乳化性濃縮物の組成物において有用な補助剤は、Compendium of Herbicide Adjuvants,9th Edition,edited by Bryan Young,Dept.of Plant,Soil,and Agricultural Systems,Southern Illinois University,MC-4415,1205 Lincoln Dr.,Carbondale,IL 62901に記載されている。補助剤の例としては、アルキル多糖類及びブレンド、アミンエトキシレート、ポリエチレングリコールエステル、エトキシル化アルキルアリールリン酸エステル、パラフィン油、園芸用スプレー油、メチル化ナタネ油、メチル化大豆油、精製植物油、ステアリン酸2-エチルへキシル、オレイン酸n-ブチル、ジオレイン酸プロピレングリコール、ミリスチン酸イソプロピル、並びにエチレン酢酸ビニルターポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0063】
当業者であれは、本明細書の教示に基づいて、農業用製剤のいくつかの実施形態において使用することができる潜在的な酸化防止剤、レオロジー変性剤、抗凍結剤、又は着色剤を特定することができる。
【0064】
本発明の農業用製剤中の添加剤の総量は、存在する場合、製剤の総重量に基づいて、製剤の(>)0超、又は(≧)0.5以上、又は≧1、又は≧1.5重量パーセント(重量%)を構成する。典型的には、農業用製剤中の添加剤の総量は、製剤の総重量に基づいて、製剤の(≦)15以下、又は≦10、又は≦5、又は≦3重量%を構成する。一実施形態において、農業用製剤中の添加剤の総量は、製剤の総重量に基づいて、製剤の>0~≦15、又は≧0.5~≦10、又は≧1~≦5重量%を構成する。
【0065】
農業用製剤の調製
本発明の農業用製剤は、本明細書の教示に基づいて、当業者に公知の技術を使用して調製することができる。
【0066】
いくつかの実施形態において、本発明の農業用製剤は、乳化性濃縮物として調製することができる。そのような乳化性濃縮物は、混合又は高せん断混合用の撹拌機を有する、容器又はタンク内で調製することができる。利用されるすべての機器及び配管は、典型的には乾燥しており、湿り又は水の残留物がない。乳化性濃縮物の生成物を生成する前に、プロセスシステムから空気を排出するために窒素が使用され得る。農業用活性成分、肥料添加剤、溶媒、界面活性剤、乳化剤、分散剤、保湿剤、補助剤、酸化防止剤、又は着色剤を含む製剤の構成成分を、単一構成成分、又はグループとして、撹拌しながら、順次プロセス容器に加える。乳化性濃縮物の構成成分は、液体、固体、又は溶融形態で加えることができる。組成物は、典型的には25~30℃の制御された温度で、1~2時間、又は均質な溶液が得られるまで、混合される。場合によっては、高温を利用して、例えば、30~80℃で均質な溶液を形成する。場合によっては、乳化性濃縮物の溶液は、GAF又は類似のフィルターを用いて濾過され得る。
【0067】
ここで、本発明のいくつかの実施形態を、以下の実施例に詳細に説明する。
【実施例
【0068】
以下の実施例は、本発明を説明するために示され、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。すべての部及びパーセンテージは、別途指示がない限り重量による。
【0069】
本発明の農業用製剤の実施形態において使用することができるエチルフランエステル溶媒、式1の例は、2-フロ酸エチル(「式1の溶媒A」)である。以下の実施例において、使用される式1の溶媒Aは、Ethyl 408であり、これは、xF Technologies Inc.から市販されている2-フロ酸エチルである。
【0070】
実施例1
水への式1の溶媒Aの溶解度は、0.67重量パーセントであると測定されている。式1の溶媒Aへの水の溶解度は、1.44重量パーセントであると測定されている。
【0071】
別の式1の溶媒、5-メチル-2-フロ酸エステルの水溶解度も測定し、水への0.67重量パーセントの溶解度を有する。
【0072】
実施例2
この実施例では、式1の溶媒A中の様々な農業用活性成分の溶解度を、芳香族炭化水素溶媒中のそれらの溶解度と比較する。使用される芳香族炭化水素溶媒は、Exxon Mobil CorporationからのAromatic 150(「芳香族炭化水素」)である。使用される農業用活性成分は、ビフェントリン、テブコナゾール、ニトラピリン、及びジカンバ酸である。
【0073】
溶解度は、以下の方法を使用して目視観察によって判定する。4ミリリットルのバイアルに、農業用活性成分(10~50重量%)及び指定の溶媒(90~50重量%)を入れる。バイアルに蓋をして、絶縁テープで密封する。バイアルを、プラスチック容器に固定し、実験室用振とう器上で周辺実験室温度及び湿度で12時間振とうする。12時間後に、それぞれの試料セットを、農業用活性成分の固体の溶解度に関して評価する。均一な透明溶液が観察された場合、農業用活性成分の完全な可溶化が達成されたと判定される。式1の溶媒Aを用いて作製した製剤は、本発明の農業用製剤のいくつかの実施形態を表す。結果を、表2に示す。
【0074】
【表2】
結果は、2-フロ酸エチルが、芳香族炭化水素溶媒と比較して、テブコナゾール及びジカンバ酸に関して優れた溶解度を提供することを示す。更に、2-フロ酸エチルは、農業用製剤の調製について、Aromatic 150と比べて優れた環境に優しいプロファイルを示す(2-フロ酸エチルは再生可能原料に基づくため)。
【0075】
実施例3
この実施例では、式1の溶媒A中の様々な農業用活性成分の溶解度を、N,N-ジアルキル脂肪酸アミド溶媒中のそれらの溶解度と比較する。使用されるN,N-ジアルキル脂肪酸アミド溶媒は、HALLCOMID M-10であり、これは、Stepan CompanyからのN,N-ジメチルデカンアミド(「N,N-ジアルキル脂肪酸アミド」)である。使用される農業用活性成分は、ビフェントリン、テブコナゾール、ニトラピリン、及びジカンバ酸である。
【0076】
溶解度は、以下の方法を使用して目視観察によって判定する。4ミリリットルのバイアルに、農業用活性成分(10~50重量%)及び指定の溶媒(90~50重量%)を入れる。バイアルに蓋をして、絶縁テープで密封する。バイアルを、プラスチック容器に固定し、実験室用振とう器上で周辺実験室温度及び湿度で12時間振とうする。12時間後に、それぞれの試料セットを、農業用活性成分の固体の溶解度に関して評価する。均一な透明溶液が観察された場合、農業用活性成分の完全な可溶化が達成されたと判定される。式1の溶媒Aを用いて作製した製剤は、本発明の農業用製剤のいくつかの実施形態を表す。結果を、表3に示す。
【0077】
【表3】
結果は、2-フロ酸エチルが、N,N-ジアルキル脂肪酸アミド溶媒と比較して、ジカンバ酸に関して優れた溶解度を提供することを示す。更に、2-フロ酸エチルは、より良好な毒物学的特性とともに、ビフェントリンに関して同等の溶解度を提供する。
【国際調査報告】