(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-25
(54)【発明の名称】ポリオルガノシロキサンハイブリッド感圧接着剤並びにそれを調製及び使用するための方法
(51)【国際特許分類】
C09J 183/04 20060101AFI20230518BHJP
C08G 81/02 20060101ALI20230518BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20230518BHJP
【FI】
C09J183/04
C08G81/02
C09J11/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022556232
(86)(22)【出願日】2021-03-15
(85)【翻訳文提出日】2022-09-16
(86)【国際出願番号】 US2021022297
(87)【国際公開番号】W WO2021216220
(87)【国際公開日】2021-10-28
(32)【優先日】2020-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590001418
【氏名又は名称】ダウ シリコーンズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ケリー、エリザベス
(72)【発明者】
【氏名】ミッチェル、ティモシー
(72)【発明者】
【氏名】メッカ、ジョディ
【テーマコード(参考)】
4J031
4J040
【Fターム(参考)】
4J031AA20
4J031AA59
4J031AB01
4J031AC13
4J031AD01
4J031AE03
4J031AE11
4J031AF13
4J040EK081
4J040EK111
4J040HB03
4J040HB41
4J040JA09
4J040JB09
4J040KA12
4J040LA01
4J040MA10
4J040MB03
4J040MB09
(57)【要約】
ケイ素結合ポリ(メタ)アクリレートポリマー又はコポリマーを有するポリジオルガノシロキサンは、硬化してポリオルガノシロキサンハイブリッド感圧接着剤を形成するポリオルガノシロキサンハイブリッド感圧接着剤組成物において有用である。ポリオルガノシロキサンハイブリッド感圧接着剤を含む、接着剤物品も開示される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオルガノシロキサンハイブリッド感圧接着剤組成物であって、
(I)感圧接着剤ベースであって、出発材料(I-A)及び(I-B)の物理的混合物、出発材料(I-A)及び(I-B)の反応生成物、又は前記物理的混合物及び前記反応生成物の両方の組み合わせを、15重量%~40重量%の出発材料(I-A)及び5重量%~60重量%の出発材料(I-B)を提供するのに十分な量で含み、
出発材料(I-A)が、ポリ(メタ)アクリレート基を有する官能性ポリオルガノシロキサンであり、前記官能性ポリオルガノシロキサンが、単位式:
[R
3
w(R
5-S-R”)(OR
4)
(2-w)Si-O
1/2]
p[R
3
v(R
5-S-R”)(OR
4)
(1-v)Si-O
2/2]
q[(R
5-S-R”)Si-O
3/2]
k(R
6R
7
2SiO
1/2)
r(R
7
2SiO
2/2)
s(R
6R
7SiO
2/2)
t(R
7
3SiO
1/2)
u[式中、各下付き文字wが、独立して、0、1、又は2であり、各下付き文字vが、独立して、0又は1であり、各R
3が、独立して選択される一価炭化水素基であり、各R
4が、独立して選択されるアルキル基であり、各R
5が、独立して選択される二価炭化水素基であり、各R”が、独立して、(メタ)アクリレートポリマー又はコポリマーであり、各R
6が、ヒドロキシル基及び脂肪族不飽和一価炭化水素基からなる群から選択され、各R
7が、脂肪族不飽和を含まない、独立して選択される一価炭化水素基であり、下付き文字p≧0、下付き文字q≧0、下付き文字k≧0、数値(p+q+k)≧1、下付き文字r≧0、下付き文字s≧0、下付き文字t≧0、下付き文字u≧0、数値(r+t)≧1であり、数値(p+q+k+r+s+t+u)が、前記ポリオルガノシロキサンに少なくとも50kDaの分子量を提供するのに十分である]を含み、
出発材料(I-B)が、ポリオルガノシリケート樹脂であって、単位式(R
15
2R
16SiO
1/2)
x(R
15
3SiO
1/2)
y(SiO
4/2)
z[式中、R
15が、アルキル基、アリール基、又はアラルキル基、例えばメチル及びフェニルであり、R
16が、2~18個の炭素原子のアルケニル基、例えばビニル、アリル、又はヘキセニルであり、下付き文字x、y、及びzが、モル分率であり、下付き文字x≧0、下付き文字y≧0、下付き文字z>0、数値(x+y)>0、数値(x+y+z)≦1であり、下付き文字x、y、及びzが、0.9≦(x+y)/z≦1.3となるような値を有する]を含む、ポリオルガノシリケート樹脂であり、前記ポリオルガノシリケート樹脂が、前記ポリオルガノシリケート樹脂の重量に基づいて最大5重量%のヒドロキシル基含有量を更に含み、前記ポリオルガノシリケート樹脂が、ゲル浸透クロマトグラフィーによって測定される場合、数平均分子量>1,500Da~8,000Daを有する、感圧接着剤ベースと、
(II)過酸化物触媒であって、出発材料(I-A)中の各R
6がヒドロキシルである場合、前記過酸化物触媒が、2重量%~4重量%の量で存在し、出発材料(I-A)中の各R
6が前記脂肪族不飽和一価炭化水素基である場合、前記過酸化物触媒が、3重量%~4重量%の量で存在する、過酸化物触媒と、
0~70重量%の(III)溶媒と、を含み、全ての百分率が、前記ポリオルガノシロキサンハイブリッド感圧接着剤組成物中の全ての出発材料の合計重量に基づく重量によるものである、ポリオルガノシロキサンハイブリッド感圧接着剤組成物。
【請求項2】
出発材料(I-A)において、R
3が、1~18個の炭素原子を有し、R
4が、1~6個の炭素原子を有し、R
5が、1~18個の炭素原子を有し、R
6が、ヒドロキシル、又は2~18個の炭素原子のアルケニル基であり、R
7が、1~18個の炭素原子を有し、R’’が、1~1,000のDPを有し、数値(p+r+u)=2、下付き文字k=0、数値(p+q)が、1~100であり、数値(r+t)が、1~100であり、数値(p+q+r+s+t+u)が、前記官能性ポリオルガノシロキサンに50kDa~1,000kDaの分子量を提供するのに十分である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
下付き文字pが、1又は2であり、各R
3が、1~6個の炭素原子のアルキル基であり、各R
4が、1~6個の炭素原子のアルキル基であり、各R
5が、2~8個の炭素原子のアルキレン基であり、R”が、5~600のDPを有し、各R
6が、ヒドロキシル、又はビニル及びヘキセニルから選択されるアルケニル基であり、各R
7が、1~6個の炭素原子のアルキル基である、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
出発材料(I-B)において、下付き文字x=0であり、前記ポリオルガノシリケート樹脂が、単位式:(R
15
3SiO
1/2)
w(SiO
4/2)
z[式中、下付き文字w>4である]を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記過酸化物触媒が、ジベンゾイルパーオキシド、4-モノクロロベンゾイルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、tert-ブチルパーオキシベンゾアート、tert-ブチルクミルパーオキシド、tert-ブチルオキシド2,5-ジメチル-2,5-ジ-tert-ブチルパーオキシヘキサン、2,4-ジクロロベンゾイルパーオキシド、ジ-tert-ブチルパーオキシ-ジイソプロピルベンゼン、1,1-ビス(tert-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、2,5-ジ-tert-ブチルパーオキシヘキサン-3,2,5-ジメチル-2,5-ビス(tert-ブチルパーオキシ)ヘキサン、クミル-tert-ブチルパーオキシド、及びそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記過酸化物触媒が、ジベンゾイルパーオキシドを含む、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記溶媒が存在し、かつ前記溶媒が芳香族炭化水素を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記溶媒が、酢酸エチル、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘプタン、テトラヒドロフラン、及びそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
出発材料(I-A)が、17重量%~25重量%の量で存在し、出発材料(I-B)が、25重量%~40重量%の量で存在し、出発材料(III)が、40重量%~60重量%の量で存在し、全ての百分率が、前記組成物中の全ての出発材料の合計重量に基づく重量によるものである、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
出発材料(I-A)において、分子当たりR
6の2つ以上のインスタンスが、ヒドロキシル基である、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
出発材料(I-A)において、分子当たりR
6の2つ以上のインスタンスが、脂肪族不飽和一価炭化水素基である、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
請求項10に記載のポリオルガノシロキサンハイブリッド感圧接着剤組成物を調製するための方法であって、前記方法が、
1)
(I-A)前記ポリ(メタ)アクリレート基を有する官能性ポリオルガノシロキサンであって、前記官能性ポリオルガノシロキサンが、単位式:
[R
3
w(R
5-S-R”)(OR
4)
(2-w)Si-O
1/2]
p[R
3
v(R
5-S-R”)(OR
4)
(1-v)Si-O
2/2]
q[(R
5-S-R”)Si-O
3/2]
k(R
6R
7
2SiO
1/2)
r(R
7
2SiO
2/2)
s(R
6R
7SiO
2/2)
t(R
7
3SiO
1/2)
u[式中、各下付き文字wが、独立して、0、1、又は2であり、各下付き文字vが、独立して、0又は1であり、各R
3が、独立して選択される一価炭化水素基であり、各R
4が、独立して選択されるアルキル基であり、各R
5が、独立して選択される二価炭化水素基であり、各R”が、独立して、(メタ)アクリレートポリマー又はコポリマーであり、各R
6が、ヒドロキシル基及び脂肪族不飽和一価炭化水素基からなる群から選択され、ただし、分子当たりR
6の2つ以上のインスタンスが、ヒドロキシル基であることを条件とし、各R
7が、脂肪族不飽和を含まない、独立して選択される一価炭化水素基であり、下付き文字p≧0、下付き文字q≧0、下付き文字k≧0、数値(p+q+k)≧1、下付き文字r≧0、下付き文字s≧0、下付き文字t≧0、下付き文字u≧0、数値(r+t)≧1であり、数値(p+q+k+r+s+t+u)が、前記ポリオルガノシロキサンに少なくとも50kDaの分子量を提供するのに十分である]を含む、官能性ポリオルガノシロキサンと、
(I-B)前記ポリオルガノシリケート樹脂と、
任意選択的に(III)前記溶媒と、
任意選択的に(I-C)リン酸シリルと、
(I-D)縮合反応触媒と、を含む、出発材料を組み合わせ、それにより、出発材料(I-A)及び(I-B)の反応生成物と、副生成物と、を含む、反応混合物を調製することと、
2)ステップ1)の間及び/又は後に、前記副生成物の全て又は一部分を除去することと、3)(II)前記過酸化物触媒を添加し、任意選択的に更なる追加の(III)溶媒をステップ2)で前記反応生成物に添加して、それにより、前記ポリオルガノシロキサンハイブリッド感圧接着剤組成物を形成することと、を含む、方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法により調製される、ハイブリッドポリオルガノシロキサン感圧接着剤組成物。
【請求項14】
請求項11に記載のポリオルガノシロキサンハイブリッド感圧接着剤組成物を調製するための方法であって、前記方法が、
1)
(I-A)前記ポリ(メタ)アクリレート基を有する官能性ポリオルガノシロキサンであって、前記官能性ポリオルガノシロキサンが、単位式:
[R
3
w(R
5-S-R”)(OR
4)
(2-w)Si-O
1/2]
p[R
3
v(R
5-S-R”)(OR
4)
(1-v)Si-O
2/2]
q[(R
5-S-R”)Si-O
3/2]
k(R
6R
7
2SiO
1/2)
r(R
7
2SiO
2/2)
s(R
6R
7SiO
2/2)
t(R
7
3SiO
1/2)
u[式中、各下付き文字wが、独立して、0、1、又は2であり、各下付き文字vが、独立して、0又は1であり、各R
3が、独立して選択される一価炭化水素基であり、各R
4が、独立して選択されるアルキル基であり、各R
5が、独立して選択される二価炭化水素基であり、各R”が、独立して、(メタ)アクリレートポリマー又はコポリマーであり、各R
6が、ヒドロキシル基及び脂肪族不飽和一価炭化水素基からなる群から選択され、ただし、分子当たりR
6の2つ以上のインスタンスが、脂肪族不飽和一価炭化水素基であることを条件とし、各R
7が、脂肪族不飽和を含まない、独立して選択される一価炭化水素基であり、下付き文字p≧0、下付き文字q≧0、下付き文字k≧0、数値(p+q+k)≧1、下付き文字r≧0、下付き文字s≧0、下付き文字t≧0、下付き文字u≧0、数値(r+t)≧1であり、数値(p+q+k+r+s+t+u)が、前記ポリオルガノシロキサンに少なくとも50kDaの分子量を提供するのに十分である]を含む、官能性ポリオルガノシロキサンと、
(I-B)前記ポリオルガノシリケート樹脂と、
(II)前記過酸化物触媒と、
任意選択的に(III)前記溶媒と、を含む、出発材料を組み合わせ、それにより前記ポリオルガノシロキサンハイブリッド感圧接着剤組成物を形成することを含む、方法。
【請求項15】
出発材料(I-A)及び(I-B)の物理的混合物、出発材料(I-A)及び(IB)の反応生成物、又はその両方を含む、感圧接着剤ベースであって、
出発材料(I-A)が、ポリ(メタ)アクリレート基を有する官能性ポリオルガノシロキサンであり、前記官能性ポリオルガノシロキサンが、単位式:
[R
3
w(R
5-S-R”)(OR
4)
(2-w)Si-O
1/2]
p[R
3
v(R
5-S-R”)(OR
4)
(1-v)Si-O
2/2]
q[(R
5-S-R”)Si-O
3/2]
k(R
6R
7
2SiO
1/2)
r(R
7
2SiO
2/2)
s(R
6R
7SiO
2/2)
t(R
7
3SiO
1/2)
u[式中、各下付き文字wが、独立して、0、1、又は2であり、各下付き文字vが、独立して、0又は1であり、各R
3が、独立して選択される一価炭化水素基であり、各R
4が、独立して選択されるアルキル基であり、各R
5が、独立して選択される二価炭化水素基であり、各R”が、独立して、(メタ)アクリレートポリマー又はコポリマーであり、各R
6が、ヒドロキシル基であり、各R
7が、脂肪族不飽和を含まない、独立して選択される一価炭化水素基であり、下付き文字p≧0、下付き文字q≧0、下付き文字k≧0、数値(p+q+k)≧1、下付き文字r≧0、下付き文字s≧0、下付き文字t≧0、下付き文字u≧0、数値(r+t)≧1であり、数値(p+q+k+r+s+t+u)が、前記ポリオルガノシロキサンに少なくとも50kDaの分子量を提供するのに十分である]を含み、
出発材料(I-B)が、ポリオルガノシリケート樹脂であって、単位式(R
15
2R
16SiO
1/2)
x(R
15
3SiO
1/2)
y(SiO
4/2)
z[式中、R
15が、アルキル基、アリール基、又はアラルキル基、例えばメチル及びフェニルであり、R
16が、2~18個の炭素原子のアルケニル基、例えばビニル、アリル、又はヘキセニルであり、下付き文字x、y、及びzが、モル分率であり、下付き文字x≧0、下付き文字y≧0、下付き文字z>0、数値(x+y)>0、数値(x+y+z)≦1であり、下付き文字x、y、及びzが、0.9≦(x+y)/z≦1.3となるような値を有する]を含む、ポリオルガノシリケート樹脂であり、前記ポリオルガノシリケート樹脂が、前記ポリオルガノシリケート樹脂の重量に基づいて最大5重量%のヒドロキシル基含有量を更に含み、前記ポリオルガノシリケート樹脂が、ゲル浸透クロマトグラフィーによって測定される場合、数平均分子量>1,500Da~8,000Daを有する、感圧接着剤ベース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、米国特許法第119条(e)に基づき、2020年4月20日出願の米国仮特許出願第63/012293号の利益を主張するものである。米国仮特許出願第63/012293号は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
ケイ素結合ポリ(メタ)アクリレート基を有するポリオルガノシロキサン(以下、「ポリ(メタ)アクリレートグラフト化ポリオルガノシロキサン」)は、ラジカル反応硬化性ポリオルガノシロキサンハイブリッド感圧接着剤(ハイブリッドPSA)組成物において有用である。上記組成物からハイブリッドPSAを製造及び使用するための方法も開示される。
【背景技術】
【0003】
ポリオルガノシロキサン及びアクリレートは、感圧接着剤のためのベースとして使用されている。ポリオルガノシロキサン及びアクリレートの両方の特性を有する感圧接着剤を提供することが業界で必要とされている。
【0004】
メルカプト官能性ポリジメチルシロキサンの存在下での重合を実施することによるフリーラジカル重合を使用して、ポリジメチルシロキサン骨格にアクリル鎖を組み込むことができる。メルカプト基は連鎖移動剤として機能し、ペンダント基及び/又は末端基として、ポリジメチルシロキサン鎖上にアクリル鎖をグラフト化することが可能になる。しかしながら、メルカプト官能性ポリジメチルシロキサンがまた、ビニル又は他の脂肪族不飽和一価ヒドロカルビル官能基を含有する場合、フリーラジカル重合中の脂肪族不飽和基の反応により、系は飽和することがあり、又は架橋されることがある。更に、連鎖移動が速度論的に制御されるプロセスであるので、低レベルのメルカプト官能化に起因してグラフト化効率は低くなることがある。したがって、ポリ(メタ)アクリレートグラフト化ポリオルガノシロキサンを製作するための改善されたプロセスが望まれる。
【発明の概要】
【0005】
ポリオルガノシロキサンハイブリッド感圧接着剤(ハイブリッドPSA)組成物は、
(I)感圧接着剤ベースであって、出発材料(I-A)及び(I-B)の物理的混合物、出発材料(I-A)及び(I-B)の反応生成物、又は物理的混合物及び反応生成物の両方の組み合わせを、15重量%~40重量%の出発材料(I-A)及び5重量%~60重量%の出発材料(I-B)を提供するのに十分な量で含み、(式中、
出発材料(I-A)が、ポリ(メタ)アクリレート基を有する官能性ポリオルガノシロキサンであり、上記官能性ポリオルガノシロキサンが、単位式:
[R3
w(R5-S-R”)(OR4)(2-w)Si-O1/2]p[R3
v(R5-S-R”)(OR4)(1-v)Si-O2/2]q[(R5-S-R”)Si-O3/2]k(R6R7
2SiO1/2)r(R7
2SiO2/2)s(R6R7SiO2/2)t(R7
3SiO1/2)u[式中、各下付き文字wが、独立して、0、1、又は2であり、各下付き文字vが、独立して、0又は1であり、各R3が、独立して選択される一価炭化水素基であり、各R4が、独立して選択されるアルキル基であり、各R5が、独立して選択される二価炭化水素基であり、各R”が、独立して、(メタ)アクリレートポリマー又はコポリマーであり、各R6が、ヒドロキシル基及び脂肪族不飽和一価炭化水素基からなる群から選択され、各R7が、脂肪族不飽和を含まない、独立して選択される一価炭化水素基であり、下付き文字p≧0、下付き文字q≧0、下付き文字k≧0、数値(p+q+k)≧1、下付き文字r≧0、下付き文字s≧0、下付き文字t≧0、下付き文字u≧0、数値(r+t)≧1であり、数値(p+q+k+r+s+t+u)が、ポリオルガノシロキサンに少なくとも50kDaの分子量を提供するのに十分である]を含み、
出発材料(I-B)が、ポリオルガノシリケート樹脂であって、単位式(R15
2R16SiO1/2)x(R15
3SiO1/2)y(SiO4/2)z[式中、R15が、アルキル基、アリール基、又はアラルキル基、例えばメチル及びフェニルであり、R16が、2~18個の炭素原子のアルケニル基、例えばビニル、アリル、又はヘキセニルであり、下付き文字x、y、及びzが、モル分率であり、下付き文字x≧0、下付き文字y≧0、下付き文字z>0、数値(x+y)>0、数値(x+y+z)≦1であり、下付き文字x、y、及びzが、0.9≦(x+y)/z≦1.3となるような値を有する]を含む、ポリオルガノシリケート樹脂であり、ポリオルガノシリケート樹脂が、ポリオルガノシリケート樹脂の重量に基づいて最大5重量%のヒドロキシル基含有量を更に含み、ポリオルガノシリケート樹脂が、ゲル浸透クロマトグラフィーによって測定される場合、数平均分子量>1,500Daを有する、感圧接着剤ベースと、
(II)過酸化物触媒であって、出発材料(A)中の各R6がヒドロキシルである場合、過酸化物触媒が、2重量%~4重量%の量で存在し、出発材料(A)中の各R6が脂肪族不飽和一価炭化水素基である場合、過酸化物触媒が、3重量%~4重量%の量で存在する、過酸化物触媒と、
0~70重量%の(III)溶媒と、を含み、全ての百分率が、ポリオルガノシロキサンハイブリッド感圧接着剤組成物中の全ての出発材料の合計重量に基づく重量によるものである。
【0006】
上記のハイブリッドPSA組成物を使用して、
1)基材の表面上にハイブリッドPSA剤組成物をコーティングすることと、
2)ハイブリッドPSA組成物を硬化させて、基材の表面上にハイブリッドPSAを形成することと、を含む方法において、接着剤物品を調製することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】(メタ)アクリレートポリマーが、水素原子がフリーラジカル開始剤断片又は成長鎖のいずれかから引き抜かれた後、チオール官能基から生じた(メタ)アクリレートポリマーの、スキーム1の代表的な例を示す。次に、(メタ)アクリレートオリゴマーは、異なるチオール分子から水素原子で末端封鎖/末端保護され、それによってアルコキシシリル官能性(メタ)アクリレートマクロモノマーを形成する。これは、参考例Aにおいて以下に記載される。
【
図2】以下の参考例Dに記載されるビス-ビニル末端ポリ(メタ)アクリレートグラフト化ポリオルガノシロキサンを製造するための、スキーム2の代表的な例を示す。
図2において、ビス-ビニル末端ポリジメチルシロキサン、ビス-ヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサン、及び
図1におけるスキーム1にて調製されたアルコキシシリル官能性(メタ)アクリレートマクロモノマーを、ホスファゼン触媒及び溶媒(トルエン)の存在下で反応させて、図に示される単位式を有するビス-ビニル末端ポリ(メタ)アクリレートグラフト化ポリオルガノシロキサンを形成する。
【
図3】以下の参照例Cに記載されるビス-ヒドロキシル末端ポリ(メタ)アクリレートグラフト化ポリオルガノシロキサンを製造するための、スキーム3の代表的な例を示す。
図3において、ビス-ヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサン、及び
図1におけるスキーム1にて調製されたアルコキシシリル官能性(メタ)アクリレートマクロモノマーを、ホスファゼン触媒及び溶媒(トルエン)の存在下で反応させて、図に示される単位式を有するビス-ヒドロキシル官能性グラフト化ポリ(メタ)アクリレートグラフト化ポリオルガノシロキサンを形成する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
ポリ(メタ)アクリレートグラフト化ポリオルガノシロキサンを含む生成物を製造するための方法が開示される。この方法は、
I)
A)アルコキシシリル官能性(メタ)アクリレートマクロモノマーと、
B)ポリジオルガノシロキサンであって、
B1)1分子中に、少なくとも1個のケイ素結合脂肪族不飽和基を有する不飽和ポリジオルガノシロキサン、
B2)1分子中に少なくとも2個のケイ素結合ヒドロキシル基を有するヒドロキシル官能性ポリジオルガノシロキサン、及び
B3)B1)とB2)との組み合わせからなる群から選択される、ポリジオルガノシロキサンと、
C)縮合反応触媒と、
任意選択的に、D)ポリジアルキルシロキサンと、
任意選択的に、E)溶媒と、
を含む、出発物質を組み合わせ、これにより、ポリ(メタ)アクリレートグラフト化ポリオルガノシロキサンを含む生成物及び副生成物を製造することと、
II)工程I)中及び/又はその後に、副生成物の全て又は一部分を除去することと、
任意選択的に、III)生成物を中和することと、
任意選択的に、IV)、ポリ(メタ)アクリレートグラフト化ポリオルガノシロキサンを回収することと、
を含む。
【0009】
本方法における工程I)は、任意の簡便な手段、例えば混合によって行うことができる。工程I)は、不活性条件下、例えば、窒素又は他の不活性ガス下で行うことができる。
出発物質を組み合わせることは、高温、例えば80℃~120℃での加熱で行うことができる。溶媒を、任意選択的に添加し、例えば、出発物質を組み合わせることを促進することができる。出発物質を組み合わせることは、例えば、A)アルコキシシリル官能性(メタ)アクリレートマクロモノマーと、B)ポリジオルガノシロキサン(例えば、B1)不飽和ポリジオルガノシロキサン、及びB2)ヒドロキシル官能性ポリジオルガノシロキサンのいずれか又は両方)及び/又はD)ポリジアルキルシロキサンを、任意の添加順序で組み合わせて、行うことができる。次いで、得られた混合物を加熱し、その後、C)縮合反応触媒を添加し、任意選択的に、E)溶媒に溶解することができる。理論に束縛されるものではないが、E)溶媒を添加することは、高いMWを有するポリ(メタ)アクリレートグラフト化ポリオルガノシロキサンを製造するのに有益なことがあると考えられる。出発物質が反応すると、副生成物が生じる。副生成物は、水及び/又はアルコール(メタノールなど)を含むことがある。副生成物の全て又は一部分を、工程I)中及び/又はその後に除去することができる。理論に束縛されるものではないが、副生成物を除去することにより、反応を完了させることができ、及び/又はMWの増加を促進することができると考えられる。副生成物を、任意の簡便な手段、例えばストリッピングによって除去することができる。
【0010】
本方法における工程III)は、生成物の中和である。中和は、工程II)中又はその後、F)中和剤を生成物に添加することによって行うことができる。中和を、周囲温度で行っても高温で行ってもよい。本方法における工程IV)は、ポリ(メタ)アクリレートグラフト化ポリオルガノシロキサンの回収である。ポリ(メタ)アクリレートグラフト化ポリオルガノシロキサンを回収することは、任意の簡便な手段、例えば濾過、ストリッピング、及び/又は蒸留によって行うことができる。上記の方法において使用される出発物質は、以下のとおりである。
【0011】
出発物質A)、すなわち上記の方法において使用されるアルコキシシリル官能性(メタ)アクリレートマクロモノマーは、式A-1)
【0012】
【化1】
[式中、各R
3が、独立して選択される一価炭化水素基であり、各R
4が、独立して選択されるアルキル基であり、R
5が、二価炭化水素基であり、R”が、(メタ)アクリレートポリマー又はコポリマーであり、下付き文字aが、0、1、又は2である]を有してもよい。R”は、1~1,000、あるいは5~600のDPを有してもよい。あるいは、アルコキシシリル官能性(メタ)アクリレートマクロモノマーは、式A-2)
【0013】
【化2】
[式中、各R
1が、水素及びアルキル基からなる群から独立して選択され、R
2が、水素、アルキル基、アリール基、及びアラルキル基からなる群から独立して選択され、下付き文字nは、1~1,000であり、R
3、R
4、及びR
5は、上記のとおりである]を有してもよい。
【0014】
あるいは、式A-2)において、下付き文字nは、5~600であってもよい。R1に好適なアルキル基は、1~4個の炭素原子を有するルキル基、あるいは、メチル又はエチルであってもよい。あるいは、各R1は、メチルであってもよい。R2に好適なアルキル基は、1~18個の炭素原子、あるいは1~8個の炭素原子を有してもよい。R2に好適なアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、及びブチルが挙げられる。R2に好適なアリール基は、6~18個の炭素原子を有し、それにはフェニルが挙げられ、R2に好適なアラルキル基は、6~18個の炭素原子を有し、それにはスチリルが挙げられる。あるいは、式A-2)中、各R2は、1~18個の炭素原子、あるいは1~8個の炭素原子を有する、独立して選択されるアルキル基であってもよい。
【0015】
あるいは、式A-1)及びA-2)中、下付き文字aは、1又は2、あるいは1、あるいは2であってもよい。各R3は、1~18個の炭素原子を有する、独立して選択される一価炭化水素基であってもよい。R3に好適な一価炭化水素基としては、アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル及びブチル)、並びにアルケニル基(例えば、ビニル、アリル及びヘキセニル)、アリール基、例えばフェニル、並びにアラルキル基、例えばベンジル、トリル、キシリル、及びフェニルエチルが挙げられる。あるいは、各R3は、アルキル及びアルケニルからなる群から独立して選択されてもよい。あるいは、各R3は、1~8個の炭素原子を有するアルキル基であってもよい。あるいは、各R3は、メチル及びビニルからなる群から選択されてもよい。
【0016】
各R4は、1~6個の炭素原子を有する、独立して選択されるアルキル基であってもよい。R4に好適なアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル及びブチル、あるいはメチルであってもよい。
【0017】
各R5は、1~18個の炭素原子を有する二価炭化水素基であってもよい。
R5に好適な二価炭化水素基としては、アルキレン基、例えばエチレン(-CH2-CH2-)、プロピレン、例えば、-CH2-CH2-CH2-若しくは-CH(CH3)CH2-)、ブチレン、又はヘキシレン、アリーレン基、例えばフェニレン、又はアルカリーレン基、例えば、
【0018】
【化3】
が挙げられる。あるいは、R
5は、2~6個の炭素原子を有するアルキレン基、例えばプロピレンであってもよい。
【0019】
出発物質(A)、すなわちアルコキシシリル官能性(メタ)アクリレートマクロモノマーは、Fox式を用いて計算したとき、-52℃より高いガラス転移温度(Tg)を有してもよい。
【0020】
【数1】
式中、T
g,Foxはコポリマーのガラス転移点であり、Tg
,xはホモポリマーxのガラス転移点であり、w
xはコポリマー中のxの重量分率である。
【0021】
上記のポリ(メタ)アクリレートグラフト化ポリオルガノシロキサンを含む生成物を製造するための方法で使用される出発材料A)の量は、様々な要因に依存するが、しかしながら、出発材料A)は、方法の出発材料A)及びB)の組み合わせた重量に基づいて、4%~11%の量で使用され得る。あるいは、出発材料A)の量は、同じ基準で、1%~50%、あるいは5%~10%、あるいは5%~9%であり得る。
【0022】
出発物質A)として使用するのに好適なアルコキシシリル官能性(メタ)アクリレートモノマーは、公知の方法、例えば米国特許第6,733,884号(Brown)に開示されている方法によって調製することができる。あるいは、アルコキシシリル官能性(メタ)アクリレートは、
1)
i)式(式中、R1及びR2が上記のとおりである)の(メタ)アクリレートモノマー、i)式
【0023】
【化4】
[式中、R1及びR2は上記のとおりである]の(メタ)アクリレートモノマーと、
ii)式
【0024】
【化5】
[式中、R
3、R
4、R
5、及び下付き文字aが、上記のとおりである]のメルカプト官能性アルコキシシランと、
任意選択的に、iii)フリーラジカル開始剤と、
任意選択的に、iv)溶媒と、を含む、出発物質を組み合わせ、これにより、アルコキシシリル官能性(メタ)アクリレートマクロモノマーを含む生成物を製造することと、
任意選択的に、2)A)アルコキシシリル官能性(メタ)アクリレートマクロモノマーを回収することと、を含む方法によって調製することができる。
【0025】
この方法において、i)(メタ)アクリレートモノマーを、工程1)の前に、存在する場合、iv)溶媒と組み合わせることができる。溶媒を、任意選択的に、乾燥させた後、出発物質i)及び/又は任意の他の出発物質と組み合わせることができる。あるいは、i)(メタ)アクリレートモノマー、ii)メルカプト官能性アルコキシシラン、及び存在する場合、iv)溶媒をステップ1)の前に組み合わせてもよい。得られた組み合わせを、例えば、反応器内で50℃に、150℃に加熱することができる。出発物質i)及びii)の反応は、フリーラジカルを生成するのに十分な加熱によって進行することができる。あるいは、iii)フリーラジカル開始剤を、任意選択的にiv)溶媒に溶解し、反応容器に添加することができる。工程1)は、不活性条件下で、例えば、反応器を窒素でパージすることによって行うことができる。工程1)における出発物質は、混合、加熱、又はその両方によって組み合わせることができる。例えば、混合及び加熱は、50℃から出発物質の還流温度に、あるいは50℃から150℃に、あるいは50℃から110℃に、あるいは50℃から100℃に、あるいは、75℃から85℃に、1~6時間加熱しながら混合することによって行うことができる。出発物質は、任意の順序で添加することができるいが、iii)フリーラジカル開始剤を、iv)溶媒に溶解することができ、任意選択的に、i)(メタ)アクリレートモノマーと組み合わせ、次いで、得られた組み合わせを、ii)メルカプト官能性アルコキシシランを収容する反応器に添加することができる。あるいは、i)(メタ)アクリレートモノマーとii)メルカプト官能性アルコキシシランとを組み合わせ、混合物を形成することができ、その後iii)フリーラジカル開始剤を混合物に添加することができる。理論に束縛されるものではないが、得られたアルコキシシリル官能性(メタ)アクリレートマクロモノマー(この添加順序で製造される)は、異なる添加順序を用いる場合とは異なる分子量分布を有すると考えられる。
【0026】
工程2)アルコキシシリル官能性(メタ)アクリレートマクロモノマーを回収することは、任意の簡便な手段、例えば工程1)において調製された反応生成物をRTまで冷却すること、及びアルコキシシリル官能性(メタ)アクリレートマクロモノマーを沈殿させる貧溶媒(non-solvent)(ヘキサンなどのアルカン又はメタノールなどのアルコール)中での沈殿によって行うことができる。回収することは、任意選択的に、例えば、例えば80℃から100℃に加熱することによって常圧又は減圧下で加熱し、残留モノマー、溶媒、又はその両方を除去することによって、沈殿物を乾燥させることを更に含んでもよい。
【0027】
アルコキシシリル官能性(メタ)アクリレートマクロモノマーを調製するための方法において、出発物質i)は(メタ)アクリレートモノマーである。好適な(メタ)アクリレートモノマーは、式i-1)
【0028】
【化6】
[式中、R
1及びR
2が、上記のとおりである]を有する。好適な(メタ)アクリレートモノマーは、当該技術分野において既知であり、市販されており、いくつかの例が表1に示されている。出発材料i)の量は、出発材料i)、ii)、iii)、及びiv)の組み合わせた重量に基づいて、20%~99.8%、あるいは30%~90%、あるいは70%~75%であり得る。
【0029】
【表1】
aポリマー特性データベース(polymerdatabase.com)からのT
g。
【0030】
アルコキシシリル官能性(メタ)アクリレートマクロモノマーを調製するための方法において、出発物質ii)はメルカプト官能性アルコキシシランである。メルカプト官能性アルコキシシランは、式ii-1)
【0031】
【化7】
[式中、下付き文字a、並びにR
3、R
4、及びR
5が、上記のとおりである]を有してもよい。好適なメルカプト官能性アルコキシシランは、当該技術分野において公知であり、市販されている。これらとしては、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、11-メルカプトウンデシルトリメトキシシラン、(メルカプトメチル)メチルジエトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシランが挙げられ、これらの全てはGelest,Inc.(Morrisville,Pennsylvania,USA)から市販されている。あるいは、上述のものなどのメルカプト官能性アルコキシシラン、並びにメルカプト官能性モノアルコキシシラン、例えば、3-メルカプトプロピルジメチルメトキシシラン及び3-メルカプトプロピルジメチルエトキシシランは、公知の方法、例えば米国特許出願公開第2005/0124821号及びAgina,E.V.,ACS Applied Materials & Interfaces,2015,22,11755-11764に開示されている方法によって合成することができる。出発材料ii)の量は、出発材料i)、ii)、iii)、及びiv)の組み合わせた重量に基づいて、0.1%~50%、あるいは1%~10%、あるいは1%~8%であり得る。
【0032】
アルコキシシリル官能性(メタ)アクリレートマクロモノマーの調製のための出発物質iii)は、フリーラジカル開始剤である。フリーラジカル開始剤は、iii-1)アゾ化合物、iii-2)パーオキシド(例えば、ヒドロキシパーオキシド、過酸、及び過エステル(例えばtert-アルキルパーオキシピバレート)、及びiii-3)これらの組み合わせからなる群から選択されてもよい。好適なフリーラジカル開始剤は、当該技術分野において公知であり、例えば、米国特許第8,258,243号(第2欄第9~34行)を参照されたい。あるいは、好適なフリーラジカル開始剤は市販されている。例えば、tert-アルキルペルオキシピバレートは、Akzo Nobelから市販されており、例えば、tert-アミルペルオキシピバレートは、Trigonox 125-C75として入手可能であり、tert-ブチルペルオキシピバレートは、Trigonox 25-C75として入手可能である。出発材料iii)の量は、出発材料i)、ii)、iii)、及びiv)の組み合わせた重量に基づいて、0~5%、あるいは0.1%~2%、あるいは1%~2%であり得る。
【0033】
溶媒を、上記の方法において使用することができる。アルコキシシリル官能性(メタ)アクリレートマクロモノマーの製造に使用するための出発物質のうちの1つ以上を、iv)溶媒に溶解した後、他の出発物質と組み合わせることができる。例えば、フリーラジカル開始剤を、ミネラルスピリットに溶解することができる。あるいは、溶媒は、iv-1)100℃超の沸点を有する炭化水素(例えば、トルエン又はキシレンなどの芳香族炭化水素)、iv-2)極性溶媒(アセトン、メチルエチルケトン、メチルアセテート、エチルアセテート、アセトニトリル、メタノール、イソプロパノール、又はtert-ブタノール)、iv-3)シリコーンオイル(例えば、シリコーンオイルは、以下に記載されるようなポリジアルキルシロキサンであってもよい)、及びiv-4)これらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択されてもよい。あるいは、溶媒はトルエンであってもよく、これにより、例えば、出発物質A)と他の出発物質との組み合わせを促進して、ポリ(メタ)アクリレートグラフト化ポリオルガノシロキサンを製造することができる。ポリジアルキルシロキサンを溶媒として使用する場合、ポリジアルキルシロキサンは、ポリ(メタ)アクリレートグラフト化ポリオルガノシロキサンを含む生成物を製造するための方法において出発物質として機能することができる。トルエンを使用する場合、溶媒交換を、ポリ(メタ)アクリレートグラフト化ポリオルガノシロキサンを含む生成物を製造するための方法に含めなくてもよい。出発材料の量iv)は、出発材料i)、ii)、iii)、及びiv)の組み合わせた重量に基づいて、0~70%、あるいは0~25%であり得る。
【0034】
ポリ(メタ)アクリレートグラフト化ポリオルガノシロキサンを含む生成物を製造するための方法において、出発物質B)はポリジオルガノシロキサンである。ポリジオルガノシロキサンは、B1)1分子中に、少なくとも1個のケイ素結合脂肪族不飽和基を有する不飽和ポリジオルガノシロキサン、B2)1分子中に少なくとも2個のケイ素結合ヒドロキシル基を有するヒドロキシル官能性ポリジオルガノシロキサン、及びB3)B1)及びB2)の両方の組み合わせからなる群から選択される。出発物質B1)を使用する場合、ポリ(メタ)アクリレートグラフト化ポリオルガノシロキサンは、ケイ素結合脂肪族不飽和基及びケイ素結合ポリ(メタ)アクリレート基の両方を有する。
【0035】
出発物質B1)は、1分子中に少なくとも1個のケイ素結合脂肪族不飽和基を有する不飽和ポリジオルガノシロキサンである。脂肪族不飽和基は、末端位置にあっても、ペンダント位置にあっても、末端及びペンダント位置の両方にあってもよい。
【0036】
出発物質B1)、すなわち不飽和ポリジオルガノシロキサンは、単位式B1-1):(R6R7
2SiO1/2)b(R7
2SiO2/2)c(R6R7SiO2/2)d(R7
3SiO1/2)e(R’OR7
2SiO1/2)f(R’OR7SiO2/2)g[式中、各R6が、独立して選択される脂肪族不飽和炭化水素基であり、各R7が、脂肪族不飽和を含まない、独立して選択される一価炭化水素基であり、各R’が、H及びR7からなる群から独立して選択され、下付き文字bが、0、1、又は2であり、下付き文字c≧1、下付き文字d≧0であり、下付き文字eが、0、1、又は2であり、下付き文字fが、0、1、又は2であり、下付き文字g≧0であり、ただし、数値(b+d)≧1、数値(b+e+f)=2であり、数値(b+c+d+e+f+g)が、少なくとも3、あるいは3~250である]を含んでもよい。
【0037】
R6の脂肪族不飽和炭化水素基は、2~18個の炭素原子を有してもよく、アルケニル、例えばビニル、アリル、又はヘキセニル、及びアルキニル、例えばプロピニル、ブチニル又はヘキシニルによって例示される。あるいは、各R6はアルケニル基であってもよい。あるいは、各R6は、ビニル基であってもよい。
【0038】
R7の、脂肪族不飽和を含まない一価炭化水素基は、1~18個の炭素原子を有してもよく、アルキル基、アリール基、及びアラルキル基によって、あるいはアルキル基及びアリール基が挙げられる。好適なアルキル基としては、メチル、エチル及びプロピル、あるいはメチルであってもよい。好適なアリール基としては、フェニルが挙げられる。あるいは、各R7は、アルキル基、例えばメチルであってもよい。
【0039】
あるいは、単位式B1-1)中、下付き文字bは、0又は2であってもよく、下付き文字eは、0又は2であってもよく、下付き文字gは0であってもよい。あるいは、下付き文字cは、1~250であってもよく、下付き文字dは、0~1であってもよく、下付き文字gは、0~1であってもよく、数値(c+d+g)は、1~250であってもよい。あるいは、数値(b+e)は2であってもよい。あるいは、下付き文字cは、1~100、あるいは10~75、あるいは25~75、あるいは30~60であってもよい。あるいは、下付き文字dは、0~50、あるいは0~25、あるいは0~10、あるいは0~5であってもよい。あるいは、下付き文字gは、0~50、あるいは0~25、あるいは0~10、あるいは0~5であってもよい。下付き文字bは、0~2であり、あるいは下付き文字bは0であってもよく、あるいは下付き文字bは2であってもよい。下付き文字eは、0~2であり、あるいは下付き文字eは0であってもよく、あるいは下付き文字eは2であってもよい。下付き文字fは、0~2であり、あるいは下付き文字fは0であってもよく、あるいは下付き文字fは2であってもよい。
【0040】
出発物質B1)は、ケイ素結合脂肪族不飽和炭化水素基及びケイ素結合ヒドロキシル基の両方を含有してもよい。ケイ素結合脂肪族不飽和基及びケイ素結合ヒドロキシル基の両方を含有する出発物質B1)の例としては、Gelestから市販されている、OH末端ポリメチルビニルシロキサン及びOH末端ポリ(ジメチル/メチルビニル)シロキサンコポリマーが挙げられる。例えば、「Gelest Reactive Silicones:Forging New Polymer Links」,2016,https://www.gelest.com/wp-content/uploads/Reactive-SIlicones-No-Price-2016.pdf,第11ページを参照されたい。あるいは、出発物質B1)は、ケイ素結合脂肪族不飽和炭化水素基、ケイ素結合ヒドロキシル基、及びケイ素結合アルコキシ基を有してもよい。このような材料の例としては、ヒドロキシル末端ポリ(ジメチル,メチルビニルシロキサン)及びα-ヒドロキシル末端,ω-メトキシ末端ポリ(ジメチル,メチルビニルシロキサン)の混合物である、Dow Silicones Corporation(Midland,Michigan,USA)から市販されているDOWSIL(商標)4-7042が挙げられる。出発物質B1)がケイ素結合脂肪族不飽和炭化水素基及び十分なケイ素結合ヒドロキシル基の両方を含有する場合、出発物質B2)ヒドロキシル官能性ポリジオルガノシロキサンは任意選択的である。
【0041】
あるいは、上記単位式B1-1)中、数値(f+g)は2未満であってもよい(それにより、出発物質B1)は、1分子中に2個未満のケイ素結合ヒドロキシル基を有してもよい)。好適な不飽和ポリジオルガノシロキサンの例としては、
B-i)ジメチルビニルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン、
B-ii)ジメチルビニルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルビニルシロキサン)、
B-iii)ジメチルビニルシロキシ末端ポリメチルビニルシロキサン、
B-iv)トリメチルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルビニルシロキサン)、
B-v)トリメチルシロキシ末端ポリメチルビニルシロキサン、
B-vi)ジメチルビニルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルビニルシロキサン)、
B-vii)ジメチルビニルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルフェニルシロキサン)、
B-viii)ジメチルビニルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/ジフェニルシロキサン)、
B-ix)フェニル,メチル,ビニル-シロキシ末端ポリジメチルシロキサン、
B-x)ジメチルヘキセニルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン、
B-xi)ジメチルヘキセニルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルヘキセニルシロキサン)、
B-xii)ジメチルヘキセニルシロキシ末端ポリメチルヘキセニルシロキサン、
B-xiii)トリメチルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルヘキセニルシロキサン)、
B-xiv)トリメチルシロキシ末端ポリメチルヘキセニルシロキサン、
B-xv)ジメチルヘキセニルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルヘキセニルシロキサン)、
B-xvi)ジメチルビニルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルヘキセニルシロキサン)、
B-xvii)これらの組み合わせが挙げられる。ビニル官能性ポリジオルガノシロキサンは入手可能であり、例えば、「Gelest Reactive Silicones:Forging New Polymer Links」,2016,https://www.gelest.com/wp-content/uploads/Reactive-SIlicones-No-Price-2016.pdf,第8~11ページ及び第15~16ページを参照されたい。出発物質B1)が十分なケイ素結合ヒドロキシル基を含有しない場合、出発物質B2)を、上記の方法において使用する。本方法において使用される出発材料B1)の量は、B1)が末端、ペンダント、又は末端及びペンダントの両方の脂肪族不飽和基を有するかどうかを含む様々な要因に依存する。しかしながら、出発材料B1)の量は、ポリ(メタ)アクリレートグラフト化ポリオルガノシロキサンを含む生成物を製造するための方法のステップI)における出発材料の全てに、0.1%~10%、あるいは0.1%~2%の脂肪族不飽和基を提供するのに十分である。あるいは、出発材料B1)の量は、出発材料A)及びB)の合計重量に基づいて、0.5%~5%、あるいは1%~4%、あるいは1%~3%であってもよい。
あるいは、B1)がヒドロキシル官能基を有し、出発物質B2)を使用しない場合、出発物質B1)は、より多量、例えば、最大90%で存在してもよい。
【0042】
ポリ(メタ)アクリレートグラフト化ポリオルガノシロキサンを含む生成物を製造するための方法において、出発物質B2)は、1分子中に少なくとも2個のケイ素結合ヒドロキシル基を有するヒドロキシル官能性ポリジオルガノシロキサンである。ヒドロキシル基は、末端位置にあっても、ペンダント位置にあっても、その両方にあってもよい。出発物質B2)は、単位式B2-1):(R8
2SiO2/2)h(R8
3SiO1/2)i(HOR8
2SiO1/2)j[式中、各R8は、脂肪族不飽和を含まない、独立して選択される一価炭化水素基であり、下付き文字jは、1又は2であり、下付き文字iは、0又は1であり、数値(j+i)=2であり、下付き文字h≧1であり、数値(h+i+j)は、少なくとも3、あるいは3~250、あるいは3~100である]を含んでもよい。あるいは、下付き文字hは、1~250、あるいは1~100であってもよい。あるいは、iは0であってもよく、jは2であってもよい。R8の一価炭化水素基としては、アルキル基、アリール基、及びアラルキル基、あるいはアルキル基及びアリール基が挙げられる。好適なアルキル基としては、メチル、エチル及びプロピル、あるいはメチルであってもよい。好適なアリール基としては、フェニルが挙げられる。あるいは、各R8は、アルキル基、例えばメチルであってもよい。出発物質B2)の例としては、ヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサン、ヒドロキシル末端ポリ(ジメチル/ジフェニル)シロキサンコポリマー、ヒドロキシル末端ポリ(ジメチル/メチルフェニル)シロキサンコポリマーが挙げられる。あるいは、好適なビスヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサンは、Dow Silicones Corporation(Midland,Michigan,USA)から市販されている。例示的なヒドロキシル官能性ポリジオルガノシロキサンは市販されており、それには、「Gelest Reactive Silicones:Forging New Polymer Links」,2016,https://www.gelest.com/wp-content/uploads/Reactive-SIlicones-No-Price-2016.pdf,第22ページ及び第24~25ページにおける、シラノール官能性ポリマーが挙げられる。出発物質B2)は、出発物質A)及びB)の合計重量に基づいて、80重量%~95重量%、あるいは85重量%~95重量%、あるいは、同じ基準で87重量%~94重量%、あるいは89重量%~94重量%の量で使用することができる。
【0043】
ポリ(メタ)アクリレートグラフト化ポリオルガノシロキサンを含む生成物を製造するための方法において、出発物質C)は、ホスファゼン縮合反応触媒、例えばハロゲン化ホスホニトリルである。理論に束縛されるものではないが、ホスファゼン縮合反応触媒を本方法において使用する場合、環状シロキサン副生成物(オクタメチルシクロテトラシロキサンなど)の形成を最小限に抑えることができると考えられる。
【0044】
ホスファゼン縮合反応触媒は、米国特許第9.051,428号に開示されているものによって例示される。例示的なホスファゼン縮合反応触媒は、1分子中に少なくとも1つの-(N=P<)-単位を含有してもよく、最大10のこのようなホスファゼン単位を有する、例えば、平均して1.5~5のホスファゼン単位を有する、オリゴマーであってもよい。ホスファゼン縮合反応触媒は、例えば、ハロホスファゼン、例えばクロロホスファゼン(ホスホニトリルクロリド)、酸素含有ハロホスファゼン、又はホスファゼンのイオン性誘導体、例えばホスファゼニウム塩、例えば、ハロゲン化ホスホニトリルのイオン性誘導体、例えば、パークロロオリゴホスファゼニウム塩であってもよい。
【0045】
ホスファゼン縮合反応触媒の1つの好適な種類は、酸素含有クロロホスファゼン、例えば酸素含有クロロホスファゼンである。このような酸素含有クロロホスファゼンは、例えば、式C-1):
【0046】
【0047】
【化9】
である。式C-1)及びC-2)において、下付き文字pは、1~10、あるいは1~5の平均値を有してもよい。触媒はまた、式C-2)の触媒の互変異性体を含んでもよい。好適な酸素含有クロロホスファゼンの別の種類は、式C-3):
【0048】
【化10】
[式中、R
9が、酸素を介してリンに結合した有機ケイ素部分、例えば、式C-4):
【0049】
【化11】
(式中、各R
10が、1~18個の炭素原子を有する一価炭化水素基又は1~18個の炭素原子を有する一価ハロゲン化炭化水素基を表す)のホスファゼン触媒を表し、下付き文字qが、1~10、あるいは1~5の平均値を有する]を有する。触媒はまた、このような有機ケイ素含有ホスファゼンの縮合生成物を含んでもよい。上記の酸素含有ホスファゼンのいずれかにおける塩素原子の全て又は一部は、基Q[式中、Qは、ヒドロキシル基、一価有機基、例えばアルコキシ又はアリールオキシ、塩素以外のハロゲン原子、有機ケイ素基、及びリン含有基からなる群から選択される部分を表す]で置換することができる。
【0050】
ホスファゼン触媒の別の好適な種類は、式C-5):
【0051】
【化12】
[式中、下付き文字oが、1~10の平均値を有し、Z
-が、アニオンを表す]のパークロロオリゴホスファゼニウム塩である。あるいは、下付き文字oは、1~6の平均値を有してもよく、あるいは下付き文字oは、2の平均値を有してもよい。アニオンは錯体アニオンであってもよく、例えば、式MX
(v+1)[式中、Mが、1.0~2.0のポーリングスケールの電気陰性度及び価数vを有する元素であり、Xが、ハロゲン原子である]のものであってもよい。元素Mは、例えば、リン又はアンチモン、あるいはリンであってもよい。Xのハロゲン原子は、Clであってもよい。あるいは、アニオンZ
-は、式[MX
(v-y+1)R
11
y]
-[式中、各R
11が、1~12個の炭素原子を有する、独立して選択されるアルキル基であり、下付き文字yが、0~vの値を有する]の、米国特許第5,457,220号に記載のような錯体アニオンであってもよい。あるいは、式C-5)中、下付き文字oが、2の平均値を有してもよく、アニオンZ
-が、PCl
6
-であってもよい。
【0052】
ホスファゼン縮合反応触媒は、出発材料A)及びB)の組み合わせた重量に基づいて、1~200、あるいは2~200パーツパーミリオン、例えば5~50パーツパーミリオンの量で存在し得る。
【0053】
出発物質D)は、ポリ(メタ)アクリレートグラフト化ポリオルガノシロキサンを含む生成物を製造するための方法の工程I)において添加することができる任意選択的なポリジアルキルシロキサンである。ポリジアルキルシロキサンは、単位式D-1):(R12
2SiO2/2)m(R12
3SiO1/2)2[式中、各R12が、独立して選択されるアルキル基であり、下付き文字mが、1~250、あるいは1~50である]を含んでもよい。R12に好適なアルキル基としては、メチル、エチル、及びプロピル、あるいはメチルであってもよい。出発物質D)の例としては、Di)トリメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン、Dii)トリエチルシロキシ末端ポリジエチルシロキサン、及びDiii)Di)及びDii)の組み合わせが挙げられる。ポリジアルキルシロキサンは当該技術分野において公知であり、市販されている。例えば、メチルシリコーン流体、例えばトリメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサンは、Gelestから市販されており、例えば、「Gelest Silicone Fluids」,https://www.gelest.com/themencode-pdf-viewer/?file=https://www.gelest.com:443/wp-content/uploads/Inert_Silicones.pdf,2012,第8~9ページを参照されたく、並びにDow Silicones Corporation(Midland,Michigan,USA)から商標名DOWSIL(商標)200流体で入手可能である。トリメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン及びトリエチルシロキシ末端ポリジエチルシロキサンは、Power Chemical Corporation(Jiangsu,China)から入手可能である。出発材料D)の量は、選択したポリジアルキルシロキサンの分子量を含む様々な要因に依存するが、しかしながら、使用される場合、その量は、方法において使用される出発材料A)~D)の重量に基づいて1%~10%であり得る。
【0054】
出発物質E)は、上記の方法において使用することができる溶媒である。溶媒は、トルエン又はキシレンなどの芳香族炭化水素であってもよく、エチルアセテートであってもよい。溶媒の量及び種類は、ポリオルガノシロキサン及び(メタ)アクリレートポリマー又はコポリマーの両方を可溶化するように選択される。しかしながら、存在する場合、溶媒は、出発材料A)、B)、C)、D)、及びE)の組み合わせた重量に基づいて、30%~80%、あるいは40%~70%の量で使用され得る。
【0055】
出発物質F)は、上記のポリ(メタ)アクリレートグラフト化ポリオルガノシロキサンを含む生成物を製造するための方法の工程III)において任意選択的に使用することができる中和剤である。出発物質F)を使用して、ポリ(メタ)アクリレートグラフト化ポリオルガノシロキサンの形成後、生成物を中和することができる。中和剤を使用する場合、選択された触媒に好適な任意の中和剤を使用することができ、例えば、米国特許第8,580,862号に開示されている中和剤を参照されたい。理論に束縛されるものではないが、中和剤の選択は、pKa及び溶解性に応じて異なると考えられる。ホスファゼン系縮合触媒の好適な中和剤としては、アルキルアミン、例えばトリオクチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリヘキシルアミン、及びトリイソノニルアミンが挙げられるが、これらに限定されない。
中和剤は当該技術分野において公知であり、例えばMillipore Sigma(St.Louis,Missouri,USA)から市販されている。中和剤の量は、出発物質C)縮合触媒の量をはじめとする様々な要因に応じて異なるが、出発物質F)は、1:1~100:1、あるいは1:1~30:1、あるいは1:1~20:1の、中和剤の触媒に対するモル比(F:C比)を提供するのに十分な量で存在してもよい。
【0056】
ポリ(メタ)アクリレートグラフト化ポリオルガノシロキサン
上記の方法は、ポリ(メタ)アクリレートグラフト化ポリオルガノシロキサンを生成する。ポリ(メタ)アクリレートグラフト化ポリオルガノシロキサンは、単位式:
[R3
w(R5-S-R”)(OR4)(2-w)Si-O1/2]p[R3
v(R5-S-R”)(OR4)(1-v)Si-O2/2]q[(R5-S-R”)Si-O3/2]k(R6R7
2SiO1/2)r(R7
2SiO2/2)s(R6R7SiO2/2)t(R7
3SiO1/2)u[式中、各下付き文字wが、独立して、0、1、又は2であり、各下付き文字vが、独立して、0又は1であり、各R3が、独立して選択される一価炭化水素基であり、各R4が、独立して選択されるアルキル基であり、各R5は、独立して選択される二価炭化水素基であり、各R”が、独立して、(メタ)アクリレートポリマー又はコポリマーであり、各R6が、独立して、ヒドロキシル基及び脂肪族不飽和一価炭化水素基からなる群から選択され、各R7が、脂肪族不飽和を含まない、独立して選択される一価炭化水素基であり、下付き文字p≧0、下付き文字q≧0、下付き文字k≧0、数値(p+q+k)≧1、下付き文字r≧0、下付き文字s≧0、下付き文字t≧0、下付き文字u≧0、数値(r+t)≧2であり、数値(p+q+k+r+s+t+u)は、ポリ(メタ)アクリレートグラフト化ポリオルガノシロキサンに少なくとも50kDaの分子量を提供するのに十分である]を含む。
【0057】
あるいは、下付き文字wは、1又は2である。あるいは、下付き文字pは、0~2、あるいは1又は2である。あるいは、下付き文字qは、0~100である。あるいは、下付き文字k<5である。あるいは、kは、0、1、又は2であってもよく、あるいはk=0であってもよい。あるいは、数値(p+q+k)は、1~100である。あるいは、下付き文字rは、0~2である。あるいは、下付き文字sは、0~100である。あるいは、下付き文字tは、0~100である。あるいは、下付き文字uは、0~2である。あるいは、数値(p+q+r+s+t+u)は、ポリ(メタ)アクリレートグラフト化ポリオルガノシロキサンに対して、50kDa~1,000kDa、あるいは60kDa~1,000kDa、あるいは50kDa~600kDa、あるいは60kDa~300kDaの分子量を提供するのに十分である。あるいは、数値(p+r+u)=2。あるいは、数値(p+q)は、1~100である。あるいは、数値(r+t)は、1~100である。あるいは、数値(p+q+r+s+t+u)は、50kDa~1,000kDaの分子量を官能性ポリオルガノシロキサンに提供するのに十分である。
【0058】
あるいは、上のポリ(メタ)アクリレートグラフト化ポリオルガノシロキサンの単位式において、各R3は、1~18個の炭素原子を有してもよい。あるいは、各R3は、1~6個の炭素原子のアルキル基であってもよい。あるいは、各R4は、1~6個の炭素原子を有してもよい。あるいは、各R4は、1~6個の炭素原子のアルキル基であってもよい。あるいは、各R5は、1~18個の炭素原子を有してもよい。あるいは、各R5は、2~8個の炭素原子のアルケニル基であってもよい。あるいは、各R6は、ヒドロキシル基、又は2~18個の炭素原子のアルケニル基であってもよい。あるいは、各R6は、ヒドロキシル基、又はビニル、アリル、及びヘキセニルから選択されるアルケニル基であってもよい。あるいは、分子当たりR6の2つ以上のインスタンスは、ヒドロキシル基であってもよい。あるいは、分子当たりR6の2つ以上のインスタンスは、脂肪族不飽和一価炭化水素基である。あるいは、各R6は、ヒドロキシル基であってもよい。あるいは、各R7は、1~18個の炭素原子を有してもよい。あるいは、各R7は、1~6個の炭素原子のアルキル基であってもよい。あるいは、各R”は、1~1,000、あるいは、5~600のDPを有してもよい。
【0059】
ラジカル反応硬化性ハイブリッド感圧接着剤組成物
上記のポリ(メタ)アクリレートグラフト化ポリオルガノシロキサンは、ラジカル反応硬化性ハイブリッドPSA組成物(ハイブリッドPSA組成物)において有用な出発材料(I-A)である。ハイブリッドPSA組成物は、
(I)感圧接着剤ベースであって、出発材料(I-A)及び(I-B)の物理的混合物、出発材料(I-A)及び(I-B)の反応生成物、又は物理的混合物及び反応生成物の両方の組み合わせを、15重量%~40重量%の出発材料(I-A)及び5重量%~60重量%の出発材料(I-B)を提供するのに十分な量で含み、出発材料(I-A)が、上記のポリ(メタ)アクリレートグラフト化ポリオルガノシロキサンであり、出発材料(I-B)が、ポリオルガノシリケート樹脂である、感圧接着剤ベース、を含んでよい。あるいは、出発材料(I-A)は、17重量%~25重量%の量で存在し得る。あるいは、出発材料(I-B)は、25重量%~40重量%の量で存在し得る。あるいは、ベースは、出発材料(I-A)及び(I-B)の反応生成物を含んでもよい。あるいは、出発材料(I-A)は、ヒドロキシル基としてR6の全て又は一部分を有してもよく、ベースは、出発材料(I-A)及び(I-B)の反応生成物を含んでもよい。ハイブリッドPSA組成物は、(II)過酸化物触媒を更に含む。ハイブリッドPSA組成物は、任意選択的に(III)溶媒を更に含んでもよい。
【0060】
(I-B)ポリオルガノシリケート樹脂
ハイブリッドPSA組成物中の出発材料(I-B)として使用するためのポリオルガノシリケート樹脂は、R14
3SiO1/2単位及びSiO4/2単位[式中、各R14は、独立して、ヒドロキシル基及び一価炭化水素基からなる群から選択される]から本質的になるMQ樹脂である。R14の一価の炭化水素基は、1~18個の炭素原子のアルキル基、2~18個の炭素原子のアルケニル基、及び6~18個の炭素原子のアリール基又はアラルキル基からなる群から選択され得る。好適なアルキル基、アルケニル基、アリール基、及びアラルキル基は、以下に定義されるとおりである。あるいは、各R14は、ヒドロキシル基又はアルキル基、例えばメチルであってもよい。
【0061】
あるいは、ポリオルガノシリケート樹脂は、単位式:(R15
2R16SiO1/2)x(R15
3SiO1/2)y(SiO4/2)z[式中、R15が、アルキル基、アリール基、又はアラルキル基、例えばメチル及びフェニルであり、R16が、2~18個の炭素原子を有するアルケニル基、例えばビニル、アリル、又はヘキセニルであり、下付き文字x≧0、下付き文字y≧0、下付き文字z>0であり、数値(x+y)>0であり、下付き文字x、y、及びzが、0.9≦(x+y)/zと≦1.3なるような値を有する]を含んでもよい。あるいは、ポリオルガノシリケート樹脂は、単位式III):(R15
3SiO1/2)w(SiO4/2)z[式中、各R15が、上記のとおりであり、下付き文字zが、上記のとおりであり、下付き文字w>4である]を含んでもよい。
【0062】
ポリオルガノシリケート樹脂は、平均0~30モルパーセントのアルケニル基、あるいは3~30モルパーセント、あるいは0.1~30モルパーセント、あるいは0.1~5モルパーセント、あるいは3~10モルパーセントのアルケニル基を含有してもよい。樹脂中のアルケニル基のモルパーセントは、樹脂中のアルケニル基含有シロキサン単位のモル数対樹脂中のシロキサン単位の総モル数の比に100を乗算したものである。
【0063】
ポリオルガノシリケート樹脂のMnは、典型的には1,500Da超、あるいは>1,500Da~8,000Da、あるいは2,000~7,500Daである。Mnは、以下に記載される方法におけるGPCによって測定することができる。
【0064】
樹脂の製造方法は、当該技術分野において公知である。例えば、樹脂は、少なくとも末端封鎖試薬、例えばヘキサメチルジシラザン、又はアルケニル含有末端封鎖剤を使用する、Daudtらのシリカヒドロゾルキャッピングプロセスによって製造される樹脂コポリマーを処理することによって調製することができる。Daudtらの方法は、米国特許第2,676,182号に開示されている。
【0065】
Daudtらの方法は、酸性条件下でシリカヒドロゾルをトリメチルクロロシランなどの加水分解性トリオルガノシラン、ヘキサメチルジシロキサンなどのシロキサン又はこれらの混合物と反応させることと、M単位及びQ単位を有するコポリマーを回収することと、を伴う。得られるコポリマーは概して、2~5重量パーセントのヒドロキシル基を含有する。
【0066】
典型的には2%未満のケイ素結合ヒドロキシル基を含有する樹脂は、Daudtらの生成物を、末端封鎖剤、例えばアルケニル基含有末端封鎖剤及び/又は脂肪族不飽和を含まない末端封鎖剤と、最終生成物中に0~30モル%の不飽和有機基を提供するのに十分な量で反応させることによって調製することができる。末端封鎖剤の例としては、限定されないが、シラザン、シロキサン、及びシランが挙げられる。好適な末端封鎖剤は、当技術分野において既知であり、米国特許第4,584,355号、同第4,591,622号、及び同第4,585,836号に例示されている。単一の末端封鎖剤又はこのような剤の混合物を使用して、樹脂を調製することができる。
【0067】
様々な好適なポリオルガノシリケート樹脂が、Dow Silicones Corporation(Midland,MI,U.S.A.)、Momentive Performance Materials(Albany,N.Y.,U.S.A.)及びBluestar Silicones USA Corp.(East Brunswick,N.J.,U.S.A.)などの供給元から市販されている。例えば、DOWSIL(商標)MQ-1600固体樹脂、DOWSIL(商標)MQ-1601固体樹脂、及びDOWSIL(商標)1250界面活性剤、DOWSIL(商標)7466樹脂、及びDOWSIL(商標)7366樹脂(これらの全てはDow Silicones Corporation(Midland,Michigan,USA)から市販されている)が、本明細書における使用に好適である。このような樹脂は、有機溶媒中にある状態で提供されることがある。
【0068】
(II)過酸化物
ハイブリッドPSA組成物中の出発材料(II)は、有機過酸化物化合物を含むラジカル硬化触媒である。好適な有機過酸化物化合物としては、ジベンゾイルパーオキシド、4-モノクロロベンゾイルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、tert-ブチルパーオキシベンゾアート、tert-ブチルクミルパーオキシド、tert-ブチルオキシド2,5-ジメチル-2,5-ジ-tert-ブチルパーオキシヘキサン、2,4-ジクロロベンゾイルパーオキシド、ジ-tert-ブチルパーオキシ-ジイソプロピルベンゼン、1,1-ビス(tert-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、2,5-ジ-tert-ブチルパーオキシヘキサン-3,2,5-ジメチル-2,5-ビス(tert-ブチルパーオキシ)ヘキサン、又はクミル-tert-ブチルパーオキシドが挙げられる。出発材料(III)は、1つの有機過酸化物化合物又は2つ以上の有機過酸化物化合物の組み合わせであってもよい。あるいは、出発材料(II)は、ベンゾイルパーオキシドであってもよい。
【0069】
ハイブリッドPSA組成物に添加される出発材料(II)の量は、選択される触媒の種類及び量、出発材料A)及びB)の選択、並びに出発材料A)がヒドロキシル基又は脂肪族不飽和基を有するかどうか(R6の場合)を含む様々な要因に依存する。しかしながら、出発材料(II)は、出発材料(I)、(II)、及び(III)の合計重量に基づいて、少なくとも2重量%の量で存在し得る。あるいは、
出発材料(A)中の各R6がヒドロキシルである場合、過酸化物触媒は、2重量%~4重量%の量で存在する。あるいは、出発材料(A)中の各R6が脂肪族不飽和一価炭化水素基である場合、過酸化物触媒は、少なくとも3重量%、あるいは3重量%~4重量%の量で存在する。
【0070】
(III)溶媒
溶媒は、任意選択的に、本明細書に記載のハイブリッドPSA組成物に使用することができる。溶媒は、ハイブリッドPSA組成物の流動、並びにポリオルガノシリケート樹脂及び/又は過酸化物化合物などの、ある特定の出発材料の導入を促進し得る。本明細書で使用される溶媒は、ハイブリッドPSA組成物の出発材料の流動化を助けるが、出発材料と本質的に反応しないものである。溶媒は、ハイブリッドPSA組成物中の出発材料の溶解度及び揮発性に基づいて選択することができる。溶解度は、溶媒がハイブリッドPSA組成物の出発材料を溶解及び/又は分散させるのに十分であることを指す。「揮発性」は、溶媒の蒸気圧を指す。溶媒の揮発性が高すぎる(高すぎる蒸気圧を有する)場合、硬化反応中、ハイブリッドPSA組成物中に気泡が形成される場合があり、この気泡は破裂を生じる、又は他の方法により反応生成物の特性を弱める、若しくは負の影響を与える恐れがある。しかしながら、溶媒が十分に揮発性でない(蒸気圧が低すぎる)場合、溶媒は、ハイブリッドPSA組成物の反応生成物中に可塑剤として残る場合がある。
【0071】
溶媒は、有機溶媒を含んでもよい。有機溶媒は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、又はn-プロパノール等のアルコール;ケトン、例えばアセトン、メチルエチルケトン、又はメチルイソブチルケトン;ベンゼン、トルエン、又はキシレン等の芳香族炭化水素;ヘプタン、ヘキサン、又はオクタン等の脂肪族炭化水素;プロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールn-ブチルエーテル、プロピレングリコールn-プロピルエーテル、又はエチレングリコールn-ブチルエーテル等のグリコールエーテル;ジクロロメタン、1,1,1-トリクロロエタン、又は塩化メチレンなどのハロゲン化炭化水素;クロロホルム;ジメチルスルホキシド;ジメチルホルムアミド、アセトニトリル;テトラヒドロフラン、ホワイトスピリット;ミネラルスピリット、ナフサ;n-メチルピロリドン;又はそれらの組み合わせであり得る。あるいは、溶剤は、酢酸エチル、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘプタン、テトラヒドロフラン、及びそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択されてもよい。
【0072】
好適な溶媒としては、好適な蒸気圧を有するポリオルガノシロキサン、例えば、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン及び他の低分子量ポリオルガノシロキサン、例えば、0.5~1.5cStのDOWSIL(商標)200流体及びDOWSIL(商標)OS流体(これらは、Dow Silicones Corporation(Midland,Michigan,U.S.A.)から市販されている)が挙げられる。
【0073】
しかし、溶媒の量は、選択される溶媒の種類、並びに選択される他の出発物質の量及び種類など、様々な要因に応じて異なる。しかしながら、溶媒の量は、ハイブリッドPSA組成物中の全出発材料の重量に基づいて、0~70重量%、あるいは2重量%~50重量%、あるいは40重量%~60重量%の範囲であってもよい。溶媒は、例えば、1つ以上の出発材料の混合及び送達を補助するために、ハイブリッドPSA組成物の調製中に添加することができる。溶媒の全て又は一部分は、任意選択的に、ハイブリッドPSA組成物が調製された後に除去することができる。
【0074】
ハイブリッドPSA組成物の製造方法
ハイブリッドPSA組成物は、任意の簡便な手段、例えば室温での混合によって全出発材料を組み合わせることを含む方法により調製することができる。本方法は、溶媒中に1つ以上の出発材料を送達することを更に含んでもよく、(例えば、ポリオルガノシリケート樹脂及び/又は過酸化物触媒)は、ハイブリッドPSA組成物における他の出発材料のうちの1つ以上と組み合わせたときに溶媒に溶解することができ、その後、溶媒の全て又は実質的に全てを、従来の手段、例えばストリッピング及び/又は蒸留によって、任意選択的に減圧下で、除去することができる。
【0075】
ハイブリッドPSA組成物(I-A)を製造する場合、出発材料(I-A)グラフト化ポリオルガノシロキサン、及び出発材料(I-B)ポリオルガノシリケート樹脂を組み合わせて、例えば、全ての出発材料を任意の順序で混合することによって、もしあれば、(II)過酸化物と(III)溶媒とを組み合わせることと同時にベースを形成することができる。あるいは、ベースは、(II)過酸化物を添加する前に、出発材料(I-A)と出発材料(I-B)とを組み合わせることによって調製することができる。
【0076】
一実施形態では、出発材料(I-A)グラフト化ポリオルガノシロキサン、及び出発材料(I-B)ポリオルガノシリケート樹脂は、周囲温度で物理的に混合することによって組み合わせることができる。あるいは、出発材料(I-A)及び(I-B)の一方又は両方は、物理的に混合する前に(III)溶媒中に溶解されてもよい。
【0077】
代替実施形態において、出発材料(II)過酸化物を添加する前に、出発材料(I-A)及び(I-B)を反応させて、ベースを形成することができる。例えば、出発材料(I-A)がR6のためのヒドロキシル基を含有する場合、ハイブリッド感圧接着剤ベースは、
1)
(I-A)ポリ(メタ)アクリレート基を有する官能性ポリオルガノシロキサンであって、上記官能性ポリオルガノシロキサンが、上記の単位式を含み、分子当たりR6の2つ以上のインスタンスがヒドロキシル基である、官能性ポリオルガノシロキサンと、
上記の(I-B)ポリオルガノシリケート樹脂と、
任意選択的に、上記の(III)溶媒と、
任意選択的に(I-C)リン酸シリルと、
(I-D)縮合反応触媒と、を含む、出発材料を組み合わせ、それにより、反応混合物を形成し、それにより、出発材料(I-A)及び(I-B)の反応生成物、並びに副生成物を形成することと、
2)ステップ1)の間及び/又は後に、副生成物の全て又は一部分を除去することと、を含む方法によって調製することができる;
本方法は、
3)(II)過酸化物触媒(上記の)を組み合わせ、任意選択的に更なる追加の(III)溶媒をステップ2)で反応生成物に添加し、それにより、ポリオルガノシロキサンハイブリッド感圧接着剤組成物を形成することを更に含んでもよい。
【0078】
ステップ1)は、混合などの任意の簡便な手段によって行うことができる。ステップ1)は、不活性条件下、例えば、窒素又は他の不活性ガス下で行うことができる。出発材料を組み合わせることは、周囲温度で行うことができる。例えば、出発材料を組み合わせることを容易にするために、溶媒を任意選択的に添加してもよい。出発材料(I-C)は、例えば、不純物を中和するための、ステップ1)において使用され得るリン酸シリルである。出発材料(I-C)の量は、存在する場合、最大0.02重量%であり得る。リン酸シリル及びそれを調製するための方法は、例えば、米国特許第4,177,200号、同第5,099,051号、及び同第5,481,014号、並びにその中で引用された参考文献に記載されている。
【0079】
ステップ1)で使用される出発材料(I-D)縮合反応触媒は、カルボン酸であってもよい。いくつかの有用なカルボン酸としては、プロパン酸、2-メチルプロパン酸、ブタン酸、ペンタン酸(吉草酸)、ヘキサン酸(カプロン酸)、2-エチルヘキサン酸、ヘプタン酸、ヘキサン酸、オクタン酸(カプリル酸)、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロヘキシル酢酸、シクロヘキセンカルボン酸、安息香酸、ベンゼン酢酸、プロパン二酸(マロン酸)、ブタン二酸(コハク酸)、ヘキサン二酸(アジピン酸)、2-ブテン二酸(マレイン酸)、ラウリン酸、ステアリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、イソアノイック酸(isoanoic acid)、又はそれらの2つ以上の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、酸性化合物は、分岐アルキルカルボン酸を含む混合物であってもよい。一実施形態では、酸性化合物は、主に三級脂肪族C10カルボン酸の混合物である。この量は、出発材料(I-A)及び(I-B)の種類及びヒドロキシル基の量を含む様々な要因に依存する。しかしながら、出発材料(I-D)の量は、全ての出発材料の合計重量に基づいて、0.1重量%~5重量%、あるいは0.1重量%~1重量%であってもよい。
【0080】
ステップ2)は、得られた混合物を、例えば、選択された溶媒の還流に対して加熱することにより行うことができる。出発材料が反応すると、副生成物が生成される。副生成物は、水を含んでもよい。副生成物の全て又は一部分は、ステップ1)の間及び/又は後に除去することができる。理論に束縛されることを望まないが、副生成物の除去により、反応の完了を推進することができると考えられる。副生成物は、ストリッピングなどの任意の簡便な手段によって除去することができる。
【0081】
ステップ3)は、(II)過酸化物触媒及び任意選択的に(III)追加の溶媒を、周囲温度での混合などの任意の簡便な手段によるステップ2)からの出発材料(I-A)及び(I-B)の反応生成物に組み合わせることによって行うことができる。
【0082】
接着剤物品
上記のように調製されたハイブリッドPSA組成物を使用して、基材上に接着剤物品、例えば、ハイブリッドPSA(上記のハイブリッドPSA組成物を硬化させることにより調製される)を形成することができる。したがって、本方法は、ハイブリッドPSA組成物を基材に適用することを更に含んでもよい。
【0083】
ハイブリッドPSA組成物を基材に適用することは、任意の簡便な手段により行うことができる。例えば、ハイブリッドPSA組成物は、グラビアコーター、コンマコーター、オフセットコーター、オフセットグラビアコーター、ローラーコーター、リバースローラーコーター、エアナイフコーター、又はカーテンコーターにより基材上に適用することができる。
【0084】
基材は、ハイブリッドPSA組成物を硬化させて、基材上にハイブリッド感圧接着剤を形成するために使用される硬化条件(後述)に耐えることができる、任意の材料であり得る。例えば、120℃以上、あるいは150℃以上の温度での熱処理に耐えることができる、任意の基材が好適である。このような基材に好適な材料の例としては、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、液晶ポリアリレート、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルスルフィド(PES)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、又はポリプロピレン(PP)などのプラスチックフィルムが挙げられる。あるいは、基材は、紙裏材上にコーティングされた上記のようなプラスチックであってもよい。あるいは、基材は、アルミニウムホイル又は銅箔などの金属箔であり得る。基材の厚さは、重要ではない。しかしながら、厚さは、5マイクロメートル~300マイクロメートルであってもよい。
【0085】
あるいは、基材は、フルオロシリコーン剥離コーティングでコーティングされた上記基材のいずれか1つなど、フルオロシリコーン剥離ライナーであってもよい。
【0086】
ハイブリッドPSAの基材の表面への結合を改善するために、接着剤物品を形成するための方法は、基材の表面を処理した後、ハイブリッドPSA組成物を適用することを任意選択的に更に含んでもよい。基材の表面の処理は、任意の簡便な手段、例えば、プライマーを適用した後、又は基材をコロナ放電処理、エッチング、若しくはプラズマ処理に供した後、ハイブリッドPSA組成物を基材の表面に適用することにより行うことができる。
【0087】
フィルム又はテープなどの接着剤物品は、上記のハイブリッドPSA組成物を上記の基材の表面上に適用することにより調製することができる。溶媒が存在する場合、本方法は、硬化前及び/又は硬化中に溶媒の全て又は一部分を除去することを任意選択的に更に含んでもよい。溶媒の除去は、任意の簡便な手段、例えば、ハイブリッドPSA組成物を完全には硬化させることなく溶媒を気化させる温度で加熱すること、例えば70℃~120℃、あるいは50℃~100℃、あるいは70℃~80℃の温度で、溶媒の全て又は一部分を除去するのに十分な時間(例えば30秒間~1時間、あるいは1分間~5分間)加熱することにより行うことができる。
【0088】
ハイブリッドPSA組成物の硬化(及び溶媒が存在する場合、溶媒の除去)は、ハイブリッドPSA組成物を硬化させるのに十分な時間(例えば、30秒間~1時間、あるいは1~5分間)、80℃~210℃、あるいは90℃~205℃、あるいは100℃~205℃、あるいは110℃~200℃の温度で加熱することにより行うことができる。これにより、基材の表面上にハイブリッドPSAが形成される。硬化は、基材をオーブン内に入れることにより行うことができる。基材の表面に適用されるハイブリッドPSA組成物の量は具体的な用途に依存するが、この量は、硬化後、ハイブリッドPSAの厚さが5マイクロメートル~100マイクロメートルとなることができるのに、及び保護フィルムについては、厚さが6マイクロメートル~50マイクロメートル、あるいは8マイクロメートル~40マイクロメートル、あるいは10~30マイクロメートルとなることができるのに、十分なものであり得る。
【0089】
本明細書に記載の方法は、例えば、接着剤物品の使用前にハイブリッドPSAを保護するために、基材の反対側のハイブリッドPSAに除去可能な剥離ライナーを適用することを任意選択的に更に含んでもよい。剥離ライナーは、ハイブリッドPSA組成物の硬化前、硬化中、又は硬化後に、あるいは硬化後に、適用することができる。
【0090】
あるいは、ハイブリッドPSAが剥離ライナー上に形成される場合、本方法は、硬化後に(上記のように)基材をハイブリッドPSAに適用することを更に含む。
【実施例】
【0091】
これらの実施例は、本発明を例示することを意図しており、請求項に記載の範囲を制限するものとして解釈するべきではない。実施例で使用した出発物質を以下の表2に示す。
【0092】
【0093】
【0094】
この参考例Aにおいて、モノマーに基づいて1.9重量パーセントの(3-メルカプトプロピル)メチルジメトキシシランを有する、マクロモノマー実施例MM-1(100のBMA、命名法は、重量パーセント及びBMA=ブチルメタクリレートを指す)の生成に使用するプロセスの説明として提供される。酢酸エチル(EtOAc)をモレキュラーシーブ上で乾燥させ、他の成分を供給されたまま使用した。EtOAc(75g)、BMA(370g)、及び(3-メルカプトプロピル)メチルジメトキシシラン(7g)を含有するモノマー混合物を調製した。EtOAc(100g)、並びに凝縮器及びオーバーヘッドミキサを装備した1リットルの4つ口ガラス反応器に添加した。混合物を77℃に加熱し、窒素を30分間スパージした。EtOAc(10g)中のTrigonox 125-C75(tAPPiv、1g)を反応器に添加し、5分間保持した。温度を85℃にゆっくり昇温し、次いでモノマー混合物を0.1mL/分で180分かけて供給し、開始剤溶液(20gのEtOAc、2gのTrigonox125-C75)を240分かけて供給した(180分+モノマー供給終了後60分の過剰供給)。反応物を、開始剤供給の終了後、85℃で180分間保持し、次いで得られた混合物を室温まで放冷した。真空オーブン内で、得られた混合物を乾燥させた。
【0095】
この参考例Bにおいて、モノマーに基づいて8.2重量パーセントの(3-メルカプトプロピル)メチルジメトキシシランを有する、マクロモノマー実施例MM-2(37のBMA/63のMMA、命名法は、重量パーセント並びにBMA=ブチルメタクリレート及びMMA=メチルメタクリレートを指す)の生成に使用するプロセスの説明として提供される。プロセスを使用して、以下の表3に示されるように、適切な出発物質及びそれらの量を変更することにより、別のアルコキシシリル官能性(メタ)アクリレートマクロモノマー(実施例MM-3)を調製した。トルエン(5g)、MMA(252g)、BMA(148g)、及び(3-メルカプトプロピル)メチルジメトキシシラン(36g)のモノマー混合物を調製した。凝縮器とオーバーヘッドミキサを装備した1リットルの4つ口ガラス反応器にトルエン(80g)を添加した。溶媒を85℃に加熱し、次いでモノマー混合物(441g)を1時間かけて送給し、開始剤溶液(30gのトルエン及び16.5gのTrigonox 25-C75 tBPPiv)を、3時間かけて送給した。2時間で、BA(ブチルアクリレート、10g)チェイスを30分間かけて添加した。反応物を、開始剤供給の終了後、85℃で80分間保持し、次いで混合物を室温まで放冷し、回収した。MM-2では、反応混合物を160gのトルエンで希釈しその後収集し、MM-3では、追加の希釈は必要なかった。
【0096】
【0097】
【表4】
a.溶離剤としてTHFを使用するGPCで測定した分子量分布。
b.HS-GCにより測定した残留モノマー濃度。反応混合物の試料(約20mg)を、内部標準(約20mg)に加えてバイアルに添加し、バイアルを圧着した。ヘッドスペースガスクロマトグラフィーを、バイアルを加熱し、ヘッドスペースをサンプリングすることにより行い、残留モノマーのppm濃度を求めた。
c.
29Si NMRによって測定したシロキサン部分の凝縮パーセント。
d.ND=未測定
【0098】
この実施例Cのグラフト化ポリシロキサンGP-1において、ペンダントポリブチルメタクリレート基を有するビス-ヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサンを、以下のように合成した。実験開始前に、撹拌棒及びブレードを備えた1リットルの4つ口丸底フラスコを事前秤量し、記録した。このフラスコに、181.3グラムのOH終端PDMS1、18.17グラムの実施例MM-1のマクロモノマー(Mn=8,000g/mol及びBMA=100%を有した)を添加し、オーバーヘッド機械撹拌器、熱電対、及び窒素バブラーに取り付けた水冷凝縮器を備えたDean Stark装置を備えた丸底フラスコに、239.61グラムのトルエンを充填した。ポット温度が窒素ブランケット下で80~100℃に達した時点で、0.47mLのホスファゼン触媒1を添加した。反応混合物を加熱し続けながら、水、メタノール、及びトルエン留出物をDean Stark装置にて回収した。十分なトルエンを蒸留して、50%固形分の最終濃度の溶液を得た後、加熱を中止した。50%固形分の最終濃度に達すると、0.20mLのトリオクチルアミンを撹拌下で反応フラスコに添加して、反応混合物を中和し、得られた混合物を室温まで放冷した。室温まで冷却した後、撹拌棒及びブレードを備えた丸底フラスコを秤量し、記録した。次いで、ポリマー含有量の全てがフラスコ内に残っていると想定して、NVCを、物質収支(事前重量と最終重量との間の差)に基づいて計算した。
【0099】
この参考例Dにおいて、上記実施例MM-1~MM-3のアルコキシシリル官能性(メタ)アクリレートマクロモノマーを使用して、ポリ(メタ)アクリレートグラフト化ポリオルガノシロキサンを調製した。実施例Dは、グラフト化ポリシロキサンGP-2を生成するために使用するプロセスの説明として提供される:実験開始前に、撹拌棒及びブレードを備えた1リットルの4つ口丸底フラスコを、事前秤量し、記録した。このフラスコに、181.0グラムのOH末端PDMS1、5.65グラムのVi末端PDMS1、3.73グラムの実施例MM-2(Mn=2.3kDa及びBMA=37%を有した)を添加し、オーバーヘッド機械撹拌器、熱電対、及び窒素バブラーに取り付けた水冷凝縮器を備えたDean Stark装置を装備した丸底フラスコに、238グラムのトルエンを充填した。加熱マントルを温度制御器に差し込み、反応混合物が120℃超の温度に加熱されないようにした。ポット温度が80℃に達した時点で、0.47mLのホスファゼン触媒1を添加した。反応混合物を101℃まで加熱し続けると、水、メタノール、及びトルエン留出物をDean Stark装置に収集した。典型的には、45~100gの留出物を除去することにより、固溶体の約60%の最終濃度を得るのに十分なトルエンを蒸留した後、加熱を中止した。60%固形分の最終濃度に達すると、0.20mLのトリオクチルアミンを撹拌下で反応フラスコに添加して、反応混合物を中和させ、得られた混合物を室温に冷却した。室温まで冷却した後、撹拌棒及びブレードを備えた丸底フラスコを秤量し、記録した。次いで、ポリマー含有量の全てがフラスコ内に残っていると想定して、NVCを、物質収支(事前重量と最終重量との間の差)に基づいて計算した。加えて、溶液のビニル含有量を計算した。
【0100】
実施例MM-2で調製したアルコキシシリル官能性(メタ)アクリレートマクロモノマーを異なるアルコキシシリル官能性(メタ)アクリレートマクロモノマーに置き換え、アルコキシシリル官能性(メタ)アクリレートマクロモノマーの重量%を変化させたことを除いて、上記の参考例Dにおける手順を使用して、実施例GP-3~GP-6を繰り返した。これらの実施例を表5に列挙する。
【0101】
【表5】
aGPC分析によって決定したMW及びPDI
*超高MW材料が存在し得るが、GPC注入で濾過した
【0102】
反応性シリコーン感圧接着剤組成物の調製
ベンチマークについては、撹拌棒及びブレードを備えた500ミリリットルの3つ口丸底フラスコを使用して、シリコーンPSAを調製した。56.60グラムのOH末端PDMS2、90.66グラムの樹脂2、34.02グラム樹脂1、67.97グラムのトルエン、及び0.30グラムのリン酸シリル溶液を、オーバーヘッド機械撹拌器、熱電対、及び窒素バブラーに取り付けた水冷凝縮器を備えたDean Stark装置を装備したフラスコに充填した。反応混合物が175℃超の温度に加熱されるのを阻止するために、加熱マントルを温度制御器に差し込んだ。撹拌を開始し、材料が均質な混合物になるまで継続した。0.44グラムの安息香酸を室温で添加し、加熱を始めた。還流を120℃で観察した。水及び芳香族溶媒(トルエン、キシレン)留出物をDean Stark装置内に収集した。2時間後に加熱を中止した。得られたPSAを約50℃まで冷却し、注ぎ出した。
【0103】
反応性感圧接着剤組成物の調製
この実施例Eにおいて、撹拌棒及びブレードを備えた500ミリリットルの3つ口丸底フラスコを使用して、ハイブリッドPSA-1を調製した。GP-1(NVC=50.03%)について上記のとおりに合成したペンダントポリブチルメタクリレート基を有する112.91gのビス-ヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサン、11.68gの溶媒(トルエン)、90.66gの樹脂2、34.02gの樹脂1、及び0.31gのリン酸シリル溶液を、オーバーヘッド機械撹拌器、熱電対、及び窒素バブラーに取り付けた水冷凝縮器を備えたDean Stark装置を装備したフラスコに充填した。反応混合物が175℃超の温度に加熱されるのを阻止するために、加熱マントルを温度制御器に差し込んだ。撹拌を開始し、材料が均質な混合物になるまで継続した。0.45グラムの安息香酸を室温で添加し、加熱を始めた。還流を95℃で観察した。水及び芳香族溶媒(トルエン、キシレン)留出物をDean Stark装置内に収集した。2時間後に加熱を中止した。得られたPSAを約50℃まで冷却し、注ぎ出した。
【0104】
物理的混合ポリオルガノシロキサンハイブリッド感圧接着剤組成物の調製
この参考例Fにおいて、上の実施例GP-1~GP-5のポリ(メタ)アクリレートグラフト化ポリオルガノシロキサンを使用して、ハイブリッドPSAを調製した。実施例Fは、ハイブリッドPSA-2を生成するために使用するプロセスの説明として提供される。ガラスバイアル内で、以下の出発材料を組み合わせ、混合した:11.28gのグラフト化ポリオルガノシロキサンGP-1、11.35gの樹脂1、及び2.35gのキシレン。10%ジベンゾイルパーオキシド溶液(90%トルエン中に溶解したジベンゾイルパーオキシド)を調製した。15.00gのPSA-2、所望の過酸化物レベルに従うジベンゾイルパーオキシド溶液、及び任意選択的に、所望のNVCに従うトルエンを、SpeedMixer(商標)カップに充填し、3,000RPMで30秒間FlackTek SpeedMixer(商標)で混合した。
【0105】
実施例GP-1において調製したグラフト化ポリオルガノシロキサンを異なるグラフト化ポリオルガノシロキサンに置き換えることを除いて、上記の参考例Fにおける手順を使用して、実施例PSA-3~PSA-7を繰り返した。これらの実施例を表6及び表7に列挙する。
【0106】
【0107】
【0108】
比較例PSA-8-1%のジベンゾイルパーオキシドでの硬化
この比較例のPSA-8において、GP-2、樹脂1、及びキシレンを、参照例Fの手順を使用して、PSA-3及びPSA-4と同じ比率でガラスバイアルに添加した。比較例PSA-8では、ジベンゾイルパーオキシドを1%の所望のレベルに添加することが異なった。表8は、ジベンゾイルパーオキシドレベルのみが異なる同じPSA組成物を示す。硬化を達成するために、少なくとも2%のジベンゾイルパーオキシドが必要であった。
【0109】
【0110】
比較例PSA-9-ビニル官能性グラフト化ポリオルガノシロキサンを使用した物理的混合物ハイブリッドPSA
この比較例PSA-9において、実施例GP-1において調製したグラフト化ポリオルガノシロキサンをGP-6に置き換えることを除いて、上記の参考例Fにおける手順を使用して、ハイブリッドPSAを調製した。表9は、種々のハイブリッドPSAにおける同じマクロモノマーの使用を示す。表10は、選択された特性を示す。比較PSA-9は、ビニル官能性グラフト化ポリシロキサンを使用した物理的混合物であった。これは、「湿潤」及び「乾燥」剥離力で不合格であった。PSA-2は、OH官能性グラフト化ポリシロキサンを使用した物理的混合物であった。これは、「乾燥」剥離で合格であったが、「湿潤」剥離では不合格であった。PSA-1を、OH官能性グラフト化ポリシロキサンを使用して反応させた。これは、「湿潤」及び「乾燥」剥離力で合格であった。
【0111】
【0112】
【0113】
参考例G-フィルム試料の調製
フィルムを作成する:紙のシートを真空下の真空プレート上に置き、次いで、ポリエステルの2ミル厚シート又はフルオロシリコーン剥離コーティングでコーティングしたポリエステルの2ミル厚シートを紙の上に置いた。参考例Fについて上記のように調製した所望の組成物を、ポリエステル、又はフルオロシリコーン剥離コーティングでコーティングしたポリエステル上に注ぎ、4ミルのコーティングバーを使用して、フィルムを作製した。フィルムをDespatch(商標)オーブンに入れた。各シートを80℃で2分間乾燥させ、次いで180℃で2分間硬化させた。
【0114】
参考例H-GPC実験の詳細
Waters 2695モデルGPCでの分析によって、分子量データを決定した。ポリ(メタ)アクリレートグラフト化ポリオルガノシロキサンを、5mgの固形分/mLの濃度でTHFに溶解させ、0.45μmのPTFEシリンジフィルターを通して濾過した後、試料の100μLのアリコートを注入した。GPCに、2つのPolymer Laboratories PLgel 5μm Mixed-Cカラム(300mm×7.5mm)を装備し、35℃で1.0mL/分の流量でのPLgel 5μmガードカラム(50mm×7.5mm)を先行させた。Waters 2410示差屈折率検出器を使用して、検出を実施した。580g/モル~2,300,000g/モルの範囲を網羅し3次多項式曲線に適合する、16個の狭いポリスチレン標準の従来の較正。
【0115】
参考例I-NMR
16mmのケイ素を含まないAutoXプローブを装備したAgilent 500 MHz DD2(mi-MR-06)システムで、29Si NMRスペクトルを取得した。試料を、CDCl3+0.02MのCr(acac)3を用い、SiフリーTeflonNMRチューブ内で調製した。標準的なパラメータを適用し、ただし、nt=1024とした。5mmのTCI H C/Siクライオプローブ(mi-MR-07)を装備したBruker Avance III HD NMR分光計で、1H NMRスペクトルを取得した。5mmのNMRチューブ中でCDCl3を用いて、試料を調製した。標準的なパラメータを適用した。
【0116】
参考例J-HSPrMe2SiOMeの合成
CH3MgBrの3Mジエチルエーテル溶液(50mL、0.15mol)を、50mLのTHF中の3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン(8.5g、0.043mol)溶液に滴下し、温度を0~10℃に維持した。反応混合物を0℃で1時間撹拌し、次いでCH3OH(40mL)により滴下処理した。固形分を濾過した。粗材料を次の反応に直接使用した。5.4gを回収して、75%の収率の純粋な生成物を得た。NMRは、文献の標準と一致した:Agina,E.V.,ACS Applied Materials & Interfaces,2015,22,11755-11764。
【0117】
参考例K-剥離接着(PMMA)
1インチx8 1/2のストリップを、参照例Gに記載のとおりに調製した2ミルのポリエステルフィルムから切り出し、約5ポンドのローラを使用することによって清浄なPMMAパネルに移した。剥離接着(180度)を、PSTC-101規格に従って試験した。TMI剥離及び接着試験機を使用して、ハイブリッドPSAの1インチ幅ストリップを12インチ/分で引っ張った。結果をグラム/インチ単位で報告した。試料は、接着破壊/PMMAパネルからのストリップのきれいな除去を示した場合、合格とした。
【0118】
参考例L-粘着性
粘着性を、ASTM D-2979に従って試験した。PT-1000プローブ粘着性試験機を使用して、参考例Gに記載のとおりに調製した2ミルのポリエステルフィルム上にコーティングしたハイブリッドPSA試料から粘着性測定値を得た。滞留時間を1.0秒に設定した。結果をグラムで報告した。
【0119】
参照例M-「湿潤」剥離力
フルオロシリコーン剥離コーティングでコーティングしたポリエステルの2ミル厚シートを使用して、参照例Gに記載のとおりに調製したハイブリッドPSA組成物試料を、ポリエステルの2ミル厚シートで挟んで、積層体(剥離ライナー/接着剤/2ミルのポリエステルフィルム)を作製した。TMI剥離及び接着試験機を使用して、積層体の剥離ライナー側を、積層体の1インチ幅ストリップのポリエステルフィルム側から、12インチ/分で引っ張ることによって、剥離を測定した。
【0120】
参考例N-「乾燥」剥離力
ポリエステルの2ミル厚シートを使用して、参照例Gに記載のとおりに調製したハイブリッドPSA組成物試料を、フルオロシリコーン剥離コーティングでコーティングしたポリエステルの2ミル厚シートで挟んで、積層体(剥離ライナー/接着剤/2ミルのポリエステルフィルム)を作製した。TMI剥離及び接着試験機を使用して、積層体の剥離ライナー側を、積層体の1インチ幅ストリップのポリエステルフィルム側から、12インチ/分で引っ張ることによって、剥離を測定した。
【0121】
用語の定義及び使用
発明の概要及び要約書は、参照により本明細書に組み込まれる。表7は、本明細書で使用される略語を示す。
【0122】
【0123】
全ての量、比及び百分率は、特に指示しない限り、重量に基づく。冠詞「a」、「an」、及び「the」はそれぞれ、明細書の文脈により特に指示がない限り、1つ以上を指す。範囲の開示は、その範囲自体及び範囲内に包含される任意のもの、並びに端点を含む。例えば、2.0~4.0の範囲の開示は、2.0~4.0の範囲だけでなく、2.1、2.3、3.4、3.5、及び4.0も個別に含み、並びに範囲内に包含される任意の他の数も含む。更に、例えば、2.0~4.0の範囲の開示は、例えば、2.1~3.5、2.3~3.4、2.6~3.7、及び3.8~4.0の部分集合、並びにその範囲内に包含される任意の他の部分集合も含む。同様に、マーカッシュ群の開示は、その群全体を含み、そこに包含される任意の個別の要素及び下位群も含む。例えば、マーカッシュ群「水素原子、アルキル基、アリール基又はアラルキル基」の開示には、その要素である個々のアルキル、下位群であるアルキル及びアリール、並びに任意の他の個々の要素及びその中に包含される下位群を包含する。
【0124】
「アルキル」は、非環状、分岐状又は非分岐状の飽和一価炭化水素基を意味する。アルキルは、メチル、エチル、プロピル(例えば、イソプロピル及び/又はn-プロピル)、ブチル(例えば、イソブチル、n-ブチル、tert-ブチル及び/又はsec-ブチル)、ペンチル(例えば、イソペンチル、ネオペンチル及び/又はtert-ペンチル)、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル及びデシル、並びに6つ以上の炭素原子の分岐状飽和一価炭化水素基によって例示されるが、これらに限定されない。
【0125】
「アルケニル」とは、2個の炭素原子間の二重結合を有する非環式、分岐状、又は非分岐状の一価炭化水素基を意味する。アルケニルは、ビニル、アリル、ブテニル、ペンテニル、及びヘキセニル(分岐状及び直鎖状種を含む)によって例示されるが、これらに限定されない。
【0126】
「アリール」とは、完全に不飽和の環状炭化水素基を意味する。アリールは、シクロペンタジエニル、フェニル、アントラセニル及びナフチルによって例示されるが、これらに限定されない。単環式アリール基は、炭素原子5~9個、あるいは炭素原子6~7個、あるいは炭素原子5~6個を有し得る。多環式アリール基は、炭素原子10~17個、あるいは炭素原子10~14個、あるいは炭素原子12~14個を有し得る。
【0127】
「アラルキル」とは、ペンダント及び/若しくは末端アリール基を有するアルキル基、又はペンダントアルキル基を有するアリール基を意味する。例示的なアラルキル基としては、トリル、キシリル、ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピル及びフェニルブチルが挙げられる。
【0128】
「炭素環」及び「炭素環式」とは、それぞれ、炭化水素環を意味する。炭素環は、単環式環であってよく、あるいは縮合、架橋又はスピロ多環式環であってよい。単環式炭素環は、3~9個の炭素原子、あるいは4~7個の炭素原子、あるいは5~6個の炭素原子を有してもよい。多環式炭素環は、7~17個の炭素原子、あるいは7~14個の炭素原子、あるいは9~10個の炭素原子を有してもよい。炭素環は、飽和又は部分的に不飽和であってよい。
【0129】
「シクロアルキル」とは、飽和炭素環を意味する。単環式シクロアルキル基は、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシルによって例示される。
【0130】
「ハロゲン化炭化水素」は、炭素原子に結合した1つ以上の水素原子が式としてハロゲン原子で置換されている炭化水素を意味する。ハロゲン化炭化水素基としては、ハロアルキル基、ハロゲン化炭素環式基、及びハロアルケニル基が挙げられる。ハロアルキル基としては、トリフルオロメチル(CF3)、フルオロメチル、トリフルオロエチル、2-フルオロプロピル、3,3,3-トリフルオロプロピル、4,4,4-トリフルオロブチル、4,4,4,3,3-ペンタフルオロブチル、5,5,5,4,4,3,3-ヘプタフルオロペンチル、6,6,6,5,5,4,4,3,3-ノナフルオロヘキシル、及び8,8,8,7,7-ペンタフルオロオクチルなどのフッ素化アルキル基;並びにクロロメチル及び3-クロロプロピルなどの塩素化アルキル基が挙げられる。ハロゲン化炭素環式基としては、2,2-ジフルオロシクロプロピル、2,3-ジフルオロシクロブチル、3,4-ジフルオロシクロヘキシル、及び3,4-ジフルオロ-5-メチルシクロヘプチルなどのフッ素化シクロアルキル基、並びに2,2-ジクロロシクロプロピル、2,3-ジクロロシクロペンチルなどの塩素化シクロアルキル基が挙げられる。ハロアルケニル基としては、クロロアリル基が挙げられる。
【0131】
本明細書で使用するとき、及び添付の特許請求の範囲において使用するとき、用語「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸及びメタクリル酸のいずれか又は両方を包含する包括的な表現として機能することが意図される。
【0132】
本明細書で使用するとき、及び添付の特許請求の範囲において使用するとき、用語「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びメタクリレートのいずれか又は両方を包含する包括的な表現として機能することが意図される。
【0133】
「M単位」は、式R3SiO1/2(式中、各Rは、独立して、一価の原子又は有機基を表す)を有するシロキサン単位を意味する。「D単位」は、式R2SiO2/2(式中、各Rは、独立して、一価の原子又は基を表す)を有するシロキサン単位を意味する。「T単位」は、式RSiO3/2(式中、各Rは、独立して、一価の原子又は基を表す)を有するシロキサン単位を意味する。「Q単位」は、式SiO4/2を有するシロキサン単位を意味する。
【手続補正書】
【提出日】2022-10-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオルガノシロキサンハイブリッド感圧接着剤組成物であって、
(I)感圧接着剤ベースであって、出発材料(I-A)及び(I-B)の物理的混合物、出発材料(I-A)及び(I-B)の反応生成物、又は前記物理的混合物及び前記反応生成物の両方の組み合わせを、15重量%~40重量%の出発材料(I-A)及び5重量%~60重量%の出発材料(I-B)を提供するのに十分な量で含み、
出発材料(I-A)が、ポリ(メタ)アクリレート基を有する官能性ポリオルガノシロキサンであり、前記官能性ポリオルガノシロキサンが、単位式:
[R
3
w(R
5-S-R”)(OR
4)
(2-w)Si-O
1/2]
p[R
3
v(R
5-S-R”)(OR
4)
(1-v)Si-O
2/2]
q[(R
5-S-R”)Si-O
3/2]
k(R
6R
7
2SiO
1/2)
r(R
7
2SiO
2/2)
s(R
6R
7SiO
2/2)
t(R
7
3SiO
1/2)
u[式中、各下付き文字wが、独立して、0、1、又は2であり、各下付き文字vが、独立して、0又は1であり、各R
3が、独立して選択される一価炭化水素基であり、各R
4が、独立して選択されるアルキル基であり、各R
5が、独立して選択される二価炭化水素基であり、各R”が、独立して、(メタ)アクリレートポリマー又はコポリマーであり、各R
6が、ヒドロキシル基及び脂肪族不飽和一価炭化水素基からなる群から選択され、各R
7が、脂肪族不飽和を含まない、独立して選択される一価炭化水素基であり、下付き文字p≧0、下付き文字q≧0、下付き文字k≧0、数値(p+q+k)≧1、下付き文字r≧0、下付き文字s≧0、下付き文字t≧0、下付き文字u≧0、数値(r+t)≧1であり、数値(p+q+k+r+s+t+u)が、前記ポリオルガノシロキサンに少なくとも50kDaの分子量を提供するのに十分である]を含み、
出発材料(I-B)が、ポリオルガノシリケート樹脂であって、単位式(R
15
2R
16SiO
1/2)
x(R
15
3SiO
1/2)
y(SiO
4/2)
z[式中、R
15が、アルキル基、アリール基、又はアラルキル基、例えばメチル及びフェニルであり、R
16が、2~18個の炭素原子のアルケニル基、例えばビニル、アリル、又はヘキセニルであり、下付き文字x、y、及びzが、モル分率であり、下付き文字x≧0、下付き文字y≧0、下付き文字z>0、数値(x+y)>0、数値(x+y+z)≦1であり、下付き文字x、y、及びzが、0.9≦(x+y)/z≦1.3となるような値を有する]を含む、ポリオルガノシリケート樹脂であり、前記ポリオルガノシリケート樹脂が、前記ポリオルガノシリケート樹脂の重量に基づいて最大5重量%のヒドロキシル基含有量を更に含み、前記ポリオルガノシリケート樹脂が、ゲル浸透クロマトグラフィーによって測定される場合、数平均分子量>1,500Da~8,000Daを有する、感圧接着剤ベースと、
(II)過酸化物触媒であって、出発材料(I-A)中の各R
6がヒドロキシルである場合、前記過酸化物触媒が、2重量%~4重量%の量で存在し、出発材料(I-A)中の各R
6が前記脂肪族不飽和一価炭化水素基である場合、前記過酸化物触媒が、3重量%~4重量%の量で存在する、過酸化物触媒と、
0~70重量%の(III)溶媒と、を含み、全ての百分率が、前記ポリオルガノシロキサンハイブリッド感圧接着剤組成物中の全ての出発材料の合計重量に基づく重量によるものである、ポリオルガノシロキサンハイブリッド感圧接着剤組成物。
【請求項2】
出発材料(I-A)において、R
3が、1~18個の炭素原子を有し、R
4が、1~6個の炭素原子を有し、R
5が、1~18個の炭素原子を有し、R
6が、ヒドロキシル、又は2~18個の炭素原子のアルケニル基であり、R
7が、1~18個の炭素原子を有し、R’’が、1~1,000のDPを有し、量(p+r+u)=2、下付き文字k=0、数値(p+q)が、1~100であり、数値(r+t)が、1~100であり、数値(p+q+r+s+t+u)が、前記官能性ポリオルガノシロキサンに50kDa~1,000kDaの分子量を提供するのに十分である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
下付き文字pが、1又は2であり、各R
3が、1~6個の炭素原子のアルキル基であり、各R
4が、1~6個の炭素原子のアルキル基であり、各R
5が、2~8個の炭素原子のアルキレン基であり、R”が、5~600のDPを有し、各R
6が、ヒドロキシル、又はビニル及びヘキセニルから選択されるアルケニル基であり、各R
7が、1~6個の炭素原子のアルキル基である、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
出発材料(I-B)において、下付き文字x=0であり、前記ポリオルガノシリケート樹脂が、単位式:(R
15
3SiO
1/2)
w(SiO
4/2)
z[式中、下付き文字w>4である]を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記過酸化物触媒が、ジベンゾイルパーオキシド、4-モノクロロベンゾイルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、tert-ブチルパーオキシベンゾアート、tert-ブチルクミルパーオキシド、tert-ブチルオキシド2,5-ジメチル-2,5-ジ-tert-ブチルパーオキシヘキサン、2,4-ジクロロベンゾイルパーオキシド、ジ-tertブチルパーオキシ-ジイソプロピルベンゼン、1,1-ビス(tert-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、2,5-ジ-tert-ブチルパーオキシヘキサン-3,2,5-ジメチル-2,5-ビス(tert-ブチルパーオキシ)ヘキサン、クミル-tert-ブチルパーオキシド、及びそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項1[[4]]のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記過酸化物触媒が、ジベンゾイルパーオキシドを含む、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記溶媒が存在し、かつ前記溶媒が芳香族炭化水素を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記溶媒が、酢酸エチル、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘプタン、テトラヒドロフラン、及びそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
出発材料(I-A)が、17重量%~25重量%の量で存在し、出発材料(I-B)が、25重量%~40重量%の量で存在し、出発材料(III)が、40重量%~60重量%の量で存在し、全ての百分率が、前記組成物中の全ての出発材料の合計重量に基づく重量によるものである、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
出発材料(I-A)において、分子当たりR
6の2つ以上のインスタンスが、ヒドロキシル基である、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
出発材料(I-A)において、分子当たりR
6の2つ以上のインスタンスが、脂肪族不飽和一価炭化水素基である、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
請求項10に記載のポリオルガノシロキサンハイブリッド感圧接着剤組成物を調製するための方法であって、前記方法が、
1)
(I-A)前記ポリ(メタ)アクリレート基を有する官能性ポリオルガノシロキサンであって、前記官能性ポリオルガノシロキサンが、単位式:
[R
3
w(R
5-S-R”)(OR
4)
(2-w)Si-O
1/2]
p[R
3
v(R
5-S-R”)(OR
4)
(1-v)Si-O
2/2]
q[(R
5-S-R”)Si-O
3/2]
k(R
6R
7
2SiO
1/2)
r(R
7
2SiO
2/2)
s(R
6R
7SiO
2/2)
t(R
7
3SiO
1/2)
u[式中、各下付き文字wが、独立して、0、1、又は2であり、各下付き文字vが、独立して、0又は1であり、各R
3が、独立して選択される一価炭化水素基であり、各R
4が、独立して選択されるアルキル基であり、各R
5が、独立して選択される二価炭化水素基であり、各R”が、独立して、(メタ)アクリレートポリマー又はコポリマーであり、各R
6が、ヒドロキシル基及び脂肪族不飽和一価炭化水素基からなる群から選択され、ただし、分子当たりR
6の2つ以上のインスタンスが、ヒドロキシル基であることを条件とし、各R
7が、脂肪族不飽和を含まない、独立して選択される一価炭化水素基であり、下付き文字p≧0、下付き文字q≧0、下付き文字k≧0、数値(p+q+k)≧1、下付き文字r≧0、下付き文字s≧0、下付き文字t≧0、下付き文字u≧0、数値(r+t)≧1であり、数値(p+q+k+r+s+t+u)が、前記ポリオルガノシロキサンに少なくとも50kDaの分子量を提供するのに十分である]を含む、官能性ポリオルガノシロキサンと、
(I-B)前記ポリオルガノシリケート樹脂と、
任意選択的に(III)前記溶媒と、
任意選択的に(I-C)リン酸シリルと、
(I-D)縮合反応触媒と、を含む、出発材料を組み合わせ、それにより、出発材料(I-A)及び(I-B)の反応生成物と、副生成物と、を含む、反応混合物を調製することと、
2)ステップ1)の間及び/又は後に、前記副生成物の全て又は一部分を除去することと、3)(II)前記過酸化物触媒を添加し、任意選択的に更なる追加の(III)溶媒をステップ2)で前記反応生成物に添加して、それにより、前記ポリオルガノシロキサンハイブリッド感圧接着剤組成物を形成することと、を含む、方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法により調製される、ハイブリッドポリオルガノシロキサン感圧接着剤組成物。
【請求項14】
請求項11に記載のポリオルガノシロキサンハイブリッド感圧接着剤組成物を調製するための方法であって、前記方法が、
1)
(I-A)前記ポリ(メタ)アクリレート基を有する官能性ポリオルガノシロキサンであって、前記官能性ポリオルガノシロキサンが、単位式:
[R
3
w(R
5-S-R”)(OR
4)
(2-w)Si-O
1/2]
p[R
3
v(R
5-S-R”)(OR
4)
(1-v)Si-O
2/2]
q[(R
5-S-R”)Si-O
3/2]
k(R
6R
7
2SiO
1/2)
r(R
7
2SiO
2/2)
s(R
6R
7SiO
2/2)
t(R
7
3SiO
1/2)
u[式中、各下付き文字wが、独立して、0、1、又は2であり、各下付き文字vが、独立して、0又は1であり、各R
3が、独立して選択される一価炭化水素基であり、各R
4が、独立して選択されるアルキル基であり、各R
5が、独立して選択される二価炭化水素基であり、各R”が、独立して、(メタ)アクリレートポリマー又はコポリマーであり、各R
6が、ヒドロキシル基及び脂肪族不飽和一価炭化水素基からなる群から選択され、ただし、分子当たりR
6の2つ以上のインスタンスが、脂肪族不飽和一価炭化水素基であることを条件とし、各R
7が、脂肪族不飽和を含まない、独立して選択される一価炭化水素基であり、下付き文字p≧0、下付き文字q≧0、下付き文字k≧0、数値(p+q+k)≧1、下付き文字r≧0、下付き文字s≧0、下付き文字t≧0、下付き文字u≧0、数値(r+t)≧1であり、数値(p+q+k+r+s+t+u)が、前記ポリオルガノシロキサンに少なくとも50kDaの分子量を提供するのに十分である]を含む、官能性ポリオルガノシロキサンと、
(I-B)前記ポリオルガノシリケート樹脂と、
(II)前記過酸化物触媒と、
任意選択的に(III)前記溶媒と、を含む、出発材料を組み合わせ、それにより前記ポリオルガノシロキサンハイブリッド感圧接着剤組成物を形成することを含む、方法。
【国際調査報告】