(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-25
(54)【発明の名称】強く集光されたソーラーパワーによるバルク材料の熱処理のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
F24S 20/30 20180101AFI20230518BHJP
F24S 23/70 20180101ALI20230518BHJP
【FI】
F24S20/30
F24S23/70
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022558226
(86)(22)【出願日】2021-03-31
(85)【翻訳文提出日】2022-11-15
(86)【国際出願番号】 IB2021052680
(87)【国際公開番号】W WO2021198942
(87)【国際公開日】2021-10-07
(31)【優先権主張番号】102020000007063
(32)【優先日】2020-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518019673
【氏名又は名称】マガルディ パワー ソシエタ ペル アチオニ
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】マガルディ,マリオ
(72)【発明者】
【氏名】バセッティ,フルヴィオ
(72)【発明者】
【氏名】ネイサン,グラハム‘ガス’
(72)【発明者】
【氏名】キンニーチ,アルフォンソ
(72)【発明者】
【氏名】ビー.ダリー,バッサム
(57)【要約】
固体バルク材料、例えば石灰石又は鉱石のための処理システム(100;200;300)であって、上記処理システム(100;200;300)が、-輸送面(158)に固体バルク材料を受け取り、上記材料を、直線経路に従って投入領域(155)から放出領域(156)に移動させるように構成された機械式コンベヤ(150)と、-外部ヘリオスタットフィールド(110)によって搬送される太陽放射を受け取るように構成された加熱チャンバ(130)とを備え、上記太陽放射に関連する熱エネルギーが直接衝突によって、又は上記加熱チャンバ(130)の内面若しくは内壁(136)による反射若しくは再照射によってバルク材料に伝達されるように、上記輸送面(158)の長さ部分(151)が上記加熱チャンバ(130)の内部又は下を通る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体バルク材料のための処理システム(100;200;300)であって、処理システム(100;200;300)が、
輸送面(158)に前記固体バルク材料を受け取り、前記材料を投入領域(155)から放出領域(156)に移動させるように構成された機械式コンベヤ(150)と、
外部光学装置(110)によって搬送される太陽放射を受け取るように構成された加熱チャンバ(130)とを備え、
前記太陽放射に関連する熱エネルギーが直接衝突によって、又は前記加熱チャンバ(130)の内面若しくは内壁(136)による反射若しくは再照射によって前記バルク材料に伝達されるように、前記輸送面(158)の長さ部分(151)が前記加熱チャンバ(130)の内部又は下を通る
処理システム(100;200;300)。
【請求項2】
前記機械式コンベヤがベルトコンベヤ(150)であり、好ましくは前記輸送面(158)が少なくとも部分的に実質的に平坦面である、請求項1に記載の処理システム(100;200;300)。
【請求項3】
前記加熱チャンバ(130)の前記内面又は内壁(136)が、少なくとも1つの反射及び/又は再放射面を備え、前記反射及び/又は再放射面が、前記加熱チャンバ(130)に入った前記太陽放射を、前記機械式コンベヤ(150)の前記長さ部分(151)に直接、又は前記加熱チャンバ(130)の別の反射及び/又は再放射面に反射するように構成される、請求項1又は2に記載の処理システム(100;200;300)。
【請求項4】
前記加熱チャンバ(130)が、好ましくは側壁(131)又は屋根壁(132)に配置された、前記太陽放射のための入射開口部(135;235)を備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の処理システム(100;200;300)。
【請求項5】
前記入射開口部(135;235)が、前記加熱チャンバ(130)の内部を外部環境と直接連通し、使用時に閉止手段又は遮蔽手段が取り除かれる、請求項1~4のいずれか一項に記載の処理システム(100;200;300)。
【請求項6】
前記加熱チャンバ(130)が、加熱チャンバ(130)からのガス、特に空気又はCO
2の流出のための流出デバイス(138)、特にフード及び/又は煙突を備える、請求項1~5のいずれか一項に記載の処理システム(100;200;300)。
【請求項7】
前記機械式コンベヤ(150)の輸送方向に対して前記加熱チャンバ(130)の上流に位置決めされたリフトデバイス(160)、特にリフトコンベヤをさらに備える、請求項1~6のいずれか一項に記載の処理システム(100;200;300)。
【請求項8】
前記機械式コンベヤ(150)の輸送方向に関して前記加熱チャンバ(130)の上流に位置決めされた材料破砕装置(170)をさらに備える、請求項1~7のいずれか一項に記載の処理システム(100;200;300)。
【請求項9】
前記機械式コンベヤ(350)の輸送方向に関して前記加熱チャンバ(330)の下流に位置決めされた熱回収装置(390)、特に熱交換器を備える、請求項1~8のいずれか一項に記載の処理システム(300)。
【請求項10】
前記熱回収装置が、熱光起電力パネルを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の処理システム(300)。
【請求項11】
前記加熱チャンバ(130)と、前記機械式コンベヤ(150)の前記長さ部分(151)とが、地面に対して特定の高さに配置される、請求項1~10のいずれか一項に記載の処理システム(100;200;300)。
【請求項12】
前記光学装置(110)を備える、請求項1~11のいずれか一項に記載の治療システム(100;200;300)。
【請求項13】
前記光学装置(110)が、地表面に位置決めされた複数の反射要素(111)、好ましくはヘリオスタットフィールドを備える、請求項1~12のいずれか一項に記載の処理システム(100;200;300)。
【請求項14】
前記光学装置(110)が、地表面に配置された1つ又は複数の一次反射器(211)と、特定の高さに配置された1つ又は複数の二次反射器(212)とを備えるビームダウン構成を有して、前記太陽放射を上から前記加熱チャンバ(230)に搬送する、請求項12又は13に記載の処理システム(200)。
【請求項15】
前記加熱チャンバ(330)の下流に配置された、前記加熱された材料を貯蔵するための高温タンクを備える、請求項1~14のいずれか一項に記載の処理システム(100;200;300)。
【請求項16】
固体バルク材料のための熱処理方法であって、
輸送経路に従って輸送面(158)で固体バルク材料を輸送するステップと、
前記輸送経路の長さが、外部光学装置(110)によって搬送される太陽放射を受け取るように構成された加熱装置(130)を通過し、又は前記加熱装置(130)の下を通り、前記太陽放射に関連する熱エネルギーが直接衝突によって、又は前記加熱装置(130)の内面若しくは内壁(136)による反射若しくは再照射によって前記バルク材料に伝達されるステップと
を含む方法。
【請求項17】
バルク材料焼成システム、特に石灰石焼成システムである、請求項16に記載の処理方法。
【請求項18】
バルク材料脆化システムである、請求項16に記載の処理方法。
【請求項19】
熱又は電気エネルギー発生システムである、請求項16~18のいずれかに記載の処理方法。
【請求項20】
請求項1~15のいずれか一項に記載の処理システム(100;200;300)を使用する、請求項16~19のいずれか一項に記載の処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、集光された太陽放射によって固体バルク材料、例えば砂、石灰石、鉱石、又は金属を熱処理又は加工するためのシステム、プラント、及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
バルク形態での多くの固体材料は、例えば脆化/脆弱化の目的で特定の特性を得るために、例えば焼成の目的で化学反応を開始するために、又はさらなる使用の目的で材料を単に加熱するために大規模な熱処理を必要とする。そのような固体バルク材料への熱エネルギーの供給は通常、燃料燃焼を必要とし、一酸化炭素及び二酸化炭素、二酸化窒素、オゾン、粒子状物質(PM)、鉛、及び二酸化硫黄を含む、人及び環境に有害な汚染ガス及び温室効果ガスの排出をもたらす。
【0003】
同様の問題は、太陽による熱エネルギーの有用な活用において、産業利用を含めたエンドユーザが容易に利用できる電気エネルギー又は他の形態のエネルギーへの変換を効果的に実現しようとするときにも生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発明の概要
したがって、本発明によって提起されて解決される技術的課題は、先行技術を参照して上述した欠点を克服し、特に固体バルク材料の効果的な熱処理を達成することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の問題は、請求項1に記載のシステム及び請求項14に記載の方法によって解決される。
【0006】
本発明の好ましい特徴は、従属請求項の主題である。
【0007】
本発明は、集光されたソーラーパワーを使用して、高温に耐性がある機械式コンベヤで受け取られて輸送される固体バルク材料に熱エネルギーを提供することによって、上記の技術的問題を解決する。機械式コンベヤは、太陽放射が集光される加熱又は高温チャンバを通過する又はその下を通る経路を辿る。
【0008】
機械式コンベヤは、好ましい構成では、幅全体にわたる上部アイドラでボルト固定されて支持された、部分的に重ねられたスチールパンを搬送するスチールダブルワイヤメッシュに基づくMagadi Superbelt技術(登録商標)によって実現される。従来のチェーンコンベヤに比べて、このメッシュ設計は、最も過酷な条件下(非常に高い温度及び摩耗性の高い材料など)で最大の信頼性を保証する。
【0009】
機械式コンベヤは、国際公開第8704231A1号、国際公開第2004110674A1号、国際公開第2007034289A1号、又は国際公開第03071189A1号のいずれかの開示に従って作製することができる。
【0010】
加熱チャンバは、好ましくはその側壁又は上壁に設けられる、集光された太陽放射を取り込むためのアパーチャを含む。加熱チャンバは、複数の内面を含むことができ、これらは、チャンバの側壁及び/又は屋根壁若しくは上壁によっても画定される。好ましい構成では、チャンバの内部とコンベヤに受け取られたバルク材料との間の熱的連通を伴って機械式コンベヤの走行長さ部分が通過することを可能にするために、チャンバの底部を開放し、機械式コンベヤに接続する又は関連付けることができる。
【0011】
チャンバは、煙突やガス処理デバイスへの高温空気又は他のガスの収集及び送達のためのフードを備えることができる。
【0012】
したがって、機械式コンベヤの走行長さは、搬送されるバルク材料が集光されたソーラーパワーから熱エネルギーを受け取るように、チャンバの下又は内部に位置される。太陽放射は、チャンバ壁での反射及び/又は上記壁からの再照射によって、バルク材料に直接衝突することができる。
【0013】
上述した構成では、チャンバは、好ましくは高温耐性タイル又は耐火性材料を内部に裏当てされ、これらのタイル又は材料は、アパーチャを通って直接入射する、並びにチャンバ壁及び屋根壁によって反射及び/又は再照射されて間接的に入射するソーラーパワーに露出される。
【0014】
チャンバ内、タイル又は耐火性材料の裏に断熱層を設置して、環境への熱分散を制限することができる。
【0015】
ソーラーパワーにさらされる高温タイル又は耐火性表面は、好ましい構成では、チャンバの下又は内部に延びる材料へのソーラーパワー放出を最大にするために高い反射率及び放射率を有することがある。
【0016】
太陽放射を加熱チャンバに集光させるために、光学システムを提供することができる。そのようなシステムは、ヘリオスタットフィールドを含むことができ、太陽放射を収集して、最終的には1つ又は複数の二次反射器の介在によって加熱チャンバに集光させる。
【0017】
上記の構成において、熱的若しくは熱化学的プロセスを生じさせる又は所望の熱処理を行うのに適した所望の値まで、所望の時間にわたってバルク材料の温度を上昇させることができる。特に、加熱チャンバ内での強い太陽放射パワーの影響下で、機械式コンベヤで輸送される材料は、高温値まで、例えば最大で約600~1000℃の範囲まで加熱される。
【0018】
本発明は、石灰石焼成、鉱石の粉砕又は脆弱化、及び脱炭素化など多くの産業プロセスに適用される。
【0019】
例えば、石灰石焼成の場合、コンベヤに石灰石を供給し、光学システムによってソーラーパワーをチャンバ及び/又はコンベヤに集光させ、最終的に、チャンバの壁が、熱放射又はパワーをベルトコンベヤに反射及び/又は再照射する。強いソーラーパワー集光の影響下で、石灰石の温度は焼成温度まで上昇し、ベルトに留まる石灰と、チャンバから引き出され、最終的にさらに処理されるCO2とに変換される。
【0020】
上記プロセスでの太陽エネルギーの使用は、燃料及び/又は電気消費、及びCO2排出量を削減する。
【0021】
バルク材料によって捕捉された熱は、加熱チャンバの下流の他のプロセス、例えば電気エネルギー生成に使用することもできる。
【0022】
コンベヤ速度、コンベヤの輸送面上の材料厚さ、チャンバ内での熱エネルギー露出下のコンベヤの長さ及び幅などのプロセスパラメータは、所要の熱処理の特定の条件を満たすように選択及び調整することができる。
【0023】
特定の実施形態によれば、機械式コンベヤの下流に熱回収システムを設置して、高温材料に含まれる熱エネルギー(の一部)を、さらなる使用のために引き出すことができる。例えば、固体粒子から蒸気への熱交換器を、機械式コンベヤの下流に又はその経路に沿って配置することができ、過熱蒸気を生成し、過熱蒸気は、産業目的に使用することができ、又はさらに発電用の蒸気タービンを駆動することができる。
【0024】
太陽放射がない場合又は太陽放射と併用する場合(夜間又は曇天)にプロセス継続性を実現するために、コンベヤケーシング又はカバーは、バルク材料の加熱を助ける機能を有する補助加熱要素、例えば放射バーナ又はIR放射パネルを装備することができる。
【0025】
本発明の他の利点、特徴、及び使用モードは、限定目的ではなく例として提供されているいくつかの実施形態の以下の詳細な説明から明らかになろう。
【0026】
図面の簡単な説明
添付図面の各図を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】例えば石灰石焼成において適用するための、本発明の好ましい実施形態によるプラントレイアウト又はシステムを示す図である。
【
図2】例えば材料の脆化、粉砕、又は脆弱化において適用するための、本発明の別の好ましい実施形態によるプラントレイアウト又はシステムを示す図である。
【
図3】例えば発電において適用するための、本発明のさらなる好ましい実施形態によるプラントレイアウト又はシステムを示す図である。
【
図4】前の各図のプラントレイアウト又はシステムのいずれかの加熱チャンバ及び機械式コンベヤの一実施形態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
発明の好ましい実施形態の詳細な説明
本発明のいくつかの実施形態及び変形形態を、既に挙げた図を参照して以下に述べる。
【0029】
全般的には、様々な図において、同様の構成要素は、対応する参照番号を使用して示されている。
【0030】
既に述べたもの以外のさらなる実施形態及び変形形態は、先行する実施形態及び変形形態に対する関連の相違点についてのみ説明する。
【0031】
さらに、以下で述べる様々な実施形態及び変形形態の特徴は、適合性がある場合には組合せ可能であると理解すべきである。
【0032】
最初に
図1を参照すると、固体バルク材料、特に石灰石を焼成するためのプラント又はシステムが、全体を参照番号100で示されている。バルク材料は、例示的に表され、参照符号Bで示されている。
【0033】
図1の焼成システム、及びそれによって実施されるプロセスにより、CO
2回収も可能な石灰生産を可能にする。
【0034】
石灰石の焼成は、以下の化学反応による分解プロセスである:CaCO3=CaO+CO2。
【0035】
純粋なCaCO3に関する空気中での化学分解反応は、約850℃で始まる。炭酸カルシウムの焼成は強い吸熱反応であり、温度が石灰石中の炭酸塩の解離温度を超えるときに始まり、解離温度は、典型的には約850~1340℃の範囲内である。反応が始まると、温度を解離温度よりも高く保ち、反応で発生するCO2を除去しなければならない。
【0036】
本実施形態によれば、システム100は、加熱又は高温チャンバ130に太陽放射を集光させるための光学装置110を備える。高温に耐性のある機械式コンベヤ150、特にベルトコンベヤも提供され、固体バルク材料を輸送するように構成される。参照番号151で示されるベルトコンベヤ150の長さ部分は、加熱チャンバ130を通過する又はその下を通る。機械式コンベヤ150の輸送方向は、
図1に矢印で示されている。
【0037】
光学システム110は、ヘリオスタットフィールド、特に複数のヘリオスタットを備え、そのうちの1つが参照番号111で示されている。ヘリオスタット111は地面に位置され、太陽放射はヘリオスタット111に直接衝突する。
【0038】
好ましくは、光学システム110は、空を横切る太陽の見かけの動きをヘリオスタット又は他の光学要素が追うことができるようにする追跡システムを備える。
【0039】
加熱チャンバ130は、本実施形態では、地表面よりも高い位置にあり、ヘリオスタットによって反射された集光されたソーラーパワーを受け取るように構成される。この狙いで、高さ支持構造を、加熱チャンバ130及び/又は機械式コンベヤ150に関連付けることができる。
【0040】
本実施形態では、加熱チャンバ130は、いくつかの側壁又は側部スカート131、及び屋根壁又は上壁132を備える。
【0041】
加熱チャンバ130の1つ又は複数の側壁には、集光された太陽放射を加熱チャンバ130内に取り込むためのアパーチャ又は開口部が設けられている。
図1の表現では、ただ1つの開口部が見えており、参照番号135で示されている。好ましい実施形態では、入射開口部135は、加熱チャンバ130の内部を外部環境と直接連通し、使用時に閉止手段又は遮蔽手段が取り除かれる。
【0042】
加熱チャンバ130は、
図1に例として参照番号136で示される壁の内面を有し、内面は、少なくとも1つの反射及び/又は再放射面を備え、この反射及び/又は再放射面は、加熱チャンバ130に入る太陽放射を、機械式コンベヤ150の長さ部分151に直接反射する、又は上記加熱チャンバ130の別の反射及び/又は再放射面に反射するように構成される。
【0043】
特定の実施形態によれば、加熱チャンバ130の内面又は内壁は複数の反射面を備え、各反射面が、入射開口部135を通って入る太陽放射を反射するように構成され、全体的な構成は、上記反射面での複数回の反射の下流で入射放射がバルク材料に当たるようなものである。
【0044】
一実施形態によれば、加熱チャンバ130の内面又は内壁は、有利には放射キャビティ構成に従って、太陽放射から吸収された熱エネルギーをチャンバ内部で再放射するように構成された複数の反射及び/又は再放射面を備える。
【0045】
有利には、反射及び/又は再放射面は、開口部135から出射する放射エネルギーを低減する傾向がある相互形態係数を有する。
【0046】
前述した反射及び/又は再放射面、又はそれらの少なくとも1つは、以下の概要の1つに属する反射を有する。放射反射角が入射角と等しい鏡面反射;放射入射面に関係なく全方向への反射を有する拡散反射;鏡面反射と拡散反射とのハイブリッド挙動を伴う光沢反射(glossy reflectivity)。
【0047】
好ましい実施形態では、加熱チャンバ130は、例えば(少なくとも部分的に)断熱材から作られる壁131及び132によって画定されるケーシングを有する。
【0048】
好ましくは、本例のように、加熱チャンバ130の底部は開いており、ベルトコンベヤ150に接続される又は関連付けられる。
【0049】
加熱チャンバ130は、CO2及び高温空気を除去するためのフード及び/又は煙突138を備えることができ、これは焼成プロセスの進行を助ける。
【0050】
CO2を含有するガス流は、好ましくはCO2捕捉装置及び/又は廃熱回収装置を含む1つ又は複数のガス処理デバイスに送達することができる。
【0051】
上述したように、コンベヤ150は、好ましくは実質的に平坦な構成を有するその輸送面158に固体バルク材料を受け取り、上記材料を投入領域155から放出領域156に移動させるように構成される。本実施形態では、コンベヤ150は、例えば当技術分野で知られている機械的構成要素によって駆動されるエンドレスベルトに基づく。本例では、コンベヤベルトは、その前進走行時に、又は少なくとも加熱チャンバ130内部又は下で、実質的に直線経路を取る。
【0052】
上述したように、ベルトコンベヤ150の走行長さ部分151は、加熱チャンバ130の下又は内部に位置され、集光されたソーラーパワーからバルク材料が熱エネルギーを受け取ることを可能にする。太陽放射は、直接、チャンバ壁での反射によって、及び/又は上記壁からの再照射によって、バルク材料に衝突することができる。言い換えると、ベルトコンベヤ150は、その長さ部分151で加熱チャンバ130に熱的に接続され、アパーチャ135を通ってチャンバ130に入る太陽放射が、ベルトコンベヤ150で輸送されるバルク材料に熱エネルギーを伝達する。
【0053】
上述したように、好ましくは、加熱チャンバ130は、アパーチャ135を通って入るソーラーパワーを直接受け取る、及び/又は他のチャンバ壁131、132による反射及び/又は再照射によってソーラーパワーを間接的に受け取る、高温耐性タイル及び/又は耐火性材料を内部に裏当てされる。
【0054】
加熱チャンバ130は、その壁131、132の内面が、機械式コンベヤ150によって石灰石が輸送されているチャンバ底部に向かうパワーの放出を最大化するのに適した適切な形態係数を備えることができるように構成される。
【0055】
好ましい実施形態では、バルク材料は、壁によって反射及び/又は再放射されたエネルギーを材料自体に向けて迅速に伝達するのに有利であるように、上述した反射壁よりも高い吸光度値を有する。
【0056】
好ましい実施形態では、チャンバ表面は、好ましくは1000℃を超える高温に対する高い耐性、及び/又はバルク材料よりも高い反射率、好ましくは標準規格ASTM G173及びISO7668を参照して計算された場合に70%を超える反射率を有する。
【0057】
焼成プロセスの特定の要件及び条件を満たすために、コンベヤ速度、コンベヤ上の材料の厚さ、太陽露出下での部分151のベルト長さ、及び太陽放射下での滞留時間などのプロセスパラメータを選択及び調整することができる。
【0058】
チャンバ内での強い太陽放射の影響下で、材料の温度は、石灰石分解を行うのに適した所望の焼成値まで、所望の時間にわたって上昇される。
【0059】
光学システムのサイズ及び幾何形状に応じて、機械式コンベヤ150を地表面から特定の高さに位置させることもでき、この場合、材料を持ち上げて投入領域155でベルトコンベヤ150に供給するために、加熱チャンバ130の上流で補助搬送システム160が使用される。この目的で、ベルトコンベヤ、バケットエレベータ、又は同様のデバイス及びシステムなど従来のリフトコンベヤを使用することができる。
【0060】
放出領域156で、補助コンベヤ161を使用することができる。
【0061】
図1の例示的な表現には、メインベルトコンベヤ150並びにサイド補助搬送又はリフトシステム160及び161の上のバルク材料用の連節経路が示されている。
【0062】
図1のプラント構成では、加熱チャンバ130の上流及び下流にそれぞれ位置された、破砕された材料の送給デバイス170及び加熱された材料の収集デバイス180も示されている。
【0063】
単純化された実施形態では、機械式コンベヤは、受動輸送面、例えばシュートでもよい。
【0064】
図2は、本発明によるプラント又はシステムの第2の実施形態に関し、この実施形態は、粉砕を改良するために鉱石を脆化又は脆弱化するように特に構成されている。
図2のプラントは、全体を参照番号200で表されている。
【0065】
鉱石の脆化により、その後の摩砕に必要な電力を削減し、したがって鉱石粉砕のための全体的なプロセスを改良することが可能になる。
【0066】
粉砕とは、鉱石の化学的及び物理的特性を変えることなく、鉱石が所望のサイズに縮小され、鉱物の最大限の遊離が可能になるプロセスである。
【0067】
粉砕にはいくつかの方法があり、通常は破砕及び粉末化/摩砕の2段階で行われる。しかし、鉱石の粉砕は、採掘作業で消費されるエネルギーの最大部分(30~70%)を必要とし、これは、地球規模では、世界中の採掘部門における膨大な量のパワー要件となる。
【0068】
このため、多くの持続可能性構想は、鉱業におけるエネルギー消費と、エネルギー生成のための化石燃料の使用に関わる関連のCO2排出量とを削減し、全般的には、粉砕でのエネルギー消費の効率を改良するための解決策を提供するために設計されている。
【0069】
粉砕に必要な電力を削減できる可能性の1つは、適切な熱衝撃プロセス段階によって鉱石を脆化することである。従来の解決策は、燃料燃焼による鉱石の加熱段階(しかしこれはCO2排出をもたらす)と、それに続く、鉱物を脆化させる水中での鉱物の急速な急冷段階(しかしこれはまた水の利用可能性を必要とする)とを含む。
【0070】
本発明によれば、
図2のプラントは、集光されたソーラーパワーを採用し、加熱チャンバ230の内部又は下において機械式コンベヤ250、特にベルトコンベヤで固体バルク材料として輸送される鉱石に熱エネルギーを提供する。
【0071】
加熱段階は、システム200を使用して、非常に高速に、鉱石を脆化させる所要の熱衝撃を提供して実現することができる。
【0072】
この実施形態においても、光学システムが提供され、ここでは参照番号210で示されており、地面に配置されたヘリオスタットフィールドを含み、上述したものと同様の複数のヘリオスタット211又は一次反射器を備える。
【0073】
ヘリオスタット211は、入射太陽放射を1つ又は複数の二次光学要素、特に1つ又は複数の二次反射器に集光させ、二次反射器のうちの1つが
図2に示されており、そこに参照番号212として示されている。したがって、1つ又は複数の二次反射器212は、ヘリオスタット211のそれぞれの一次焦点又は合焦点F1に位置決めされる。上記又は各二次反射器212は、地表面から適切な高さに位置され、集光されたソーラーパワーをヘリオスタット211から受け取り、それを、加熱チャンバ内に位置する、及び/又は加熱チャンバ230の下若しくは内部に配置されたベルトコンベヤ250の長さ部分251に位置する1つ又は複数の(共通の)焦点又は合焦点F2に反射するように構成される。加熱チャンバ230は、その屋根壁232に配置された上部開口部235を有する。
【0074】
したがって、光学システム210は、ビームダウン集光システムとして構成され、太陽放射は、加熱チャンバ230及び/又はベルトコンベヤ250上の材料に上から衝突するように反射される。
【0075】
この場合にも、脆化プロセスの特定の条件を満たすために、コンベヤ速度、コンベヤ上の材料の厚さ、ベルト長さ部分251の広がり、及び太陽放射下での滞留時間などのプロセスパラメータを選択及び調整することができる。
【0076】
以上のようにして、機械式コンベヤに対する強い太陽放射の影響下で、材料温度は、鉱石を脆くするのに適した所望の値まで、要求された温度上昇勾配で上昇される。
【0077】
図3は、本発明によるプラント又はシステムの別の実施形態に関し、この実施形態は、特にソーラーパワーからの熱エネルギーの収集のため、及びエンドユーザによる利用に適した熱エネルギー又は電気エネルギーの後続の又は付随する生成のために構成される。
図3のプラントは、全体を参照番号300で示されている。
【0078】
図1の構成と同様に、プラント又はシステム300は、加熱又は高温チャンバ330に太陽放射を集光させるための光学システム310を備える。高温に耐性がある機械式コンベヤ350、特にベルトコンベヤが、固体バルク材料を輸送するように構成される。ベルトコンベヤ350の長さ部分351は、加熱チャンバ330を通過する又はその下を通る。
【0079】
地面に位置され、太陽放射が直接衝突するヘリオスタットフィールド、すなわち複数のヘリオスタット311を備える光学システム310が提供される。
【0080】
上記の構成要素、及び関連の部品又は要素は、
図1のものと同じでよく、したがってさらには述べない。
【0081】
加熱チャンバ330には、高温空気除去用のフード(
図3には示されていない)を設けることができ、それにより、空気を引き込み、場合によっては廃熱回収装置に送達することができる。
【0082】
加熱チャンバ330からのバルク材料抽出の下流に、熱回収システム、特に熱交換器390が提供され、例えば、加熱されたバルク材料から熱を引き出す作動流体が交差するチューブバンドル又は蛇行部を含む。
【0083】
熱交換器390の作動流体は、必要に応じて、例えば過熱蒸気を生成するための水、CO2又は超臨界CO2、及び空気又は他の流体でよい。
【0084】
本実施形態において、熱交換器390は、バルク材料に関する垂直落下構成に従って構成される。
【0085】
熱交換器390は、好ましい解決策では、エネルギー性能を高めるために向流構成に従って実現することができる。
【0086】
熱交換後の冷たいバルク材料は、例えば連続的な熱又は電力生成のための閉ループシステムの場合、加熱チャンバ330の上流にあるリフトコンベヤ360に循環させて戻すことができる。
【0087】
バルク材料から抽出された熱は、産業レベルか否かにかかわらず、様々なエネルギー又は熱的用途に採用することができる。例えば、蒸気発生に使用し、パワーブロックによって電気エネルギーに変換することができる。
【0088】
発電の場合、熱交換器390により過熱蒸気又は超臨界CO2を生成して、それぞれ蒸気タービン又はCO2タービンを駆動することができる。
【0089】
例えば熱交換器390に基づく熱回収システムの同じ配置を、他のプラント構成、例えば
図1及び2を参照して上述した構成にも提供することができる。特に、バルク材料が特定の熱処理プロセス(上述した鉱石脆化など)を受けなければならない場合、コンベヤの下流に位置された熱交換器は、さらなる使用のために安全且つ確実に輸送することができるようにバルク材料を冷却することと、通常であれば失われる熱エネルギー含量を回収することとの二重の機能を果たす。
【0090】
機械式コンベヤ350及び熱交換器390の下流に高温タンク(図示せず)を介在させ、コンベヤ350によって排出された高温バルク材料を高温タンク容量に応じて一定時間貯蔵することができる。高温タンクは、貯蔵期間中に環境への熱損失を最小限に抑えるために断熱されている。機械式コンベヤ350と熱交換器390との間に上記高温タンクを介在させることにより、システム300に熱エネルギー貯蔵機能が追加される。貯蔵された高温材料は、太陽の存在及び太陽放射レベルとは無関係にいつでも、典型的には夜間に、高温タンクから熱交換器390に放出することができる。このようにして、太陽エネルギー捕捉段階は、高温流体(過熱蒸気、超臨界CO2、高温空気など)の発生段階から切り離され、したがって、太陽の存在とは無関係に発生段階を行うことができる。典型的には、高温タンクの介在を備えたシステム300は、太陽がなくても発電を可能にする。
【0091】
発電のための別の好ましい構成では、熱交換器390は、熱から電気への直接変換プロセスのための熱光起電力(TPV)パネルによって実現することができる。TPVパネルは、搬送される高温バルク材料から熱を受け取って電気を発生するために、チャンバ330(の一部)に、及びチャンバ330の下流の機械式コンベヤ350のカバーの部分に統合することもできる。
【0092】
図4は、上述したシステムレイアウトのいずれにも使用することができる、参照番号430で示される加熱チャンバの実施形態を概略的に示す。
【0093】
チャンバは、内部反射面又は再照射面436を画定する傾斜した屋根壁又は側壁432を有する。太陽放射は、横方向の開口部435を通ってチャンバ430に入り、開口部435に対して実質的に反対側に配置された反射面又は要素436によってバルク材料に向けて反射される。
【0094】
チャンバ430の底部には、前進走行長さ453及び底部走行長さ454を有するベルトコンベヤ450が配置されている。
【0095】
単純化された熱収支によれば、単に例として論じた可能な実施形態では、小型プラントにおいて、以下の典型的なサイジングパラメータを得ることができる。
【0096】
ヘリオスタットフィールドからチャンバアパーチャに入るソーラーパワー8MWt、コンベヤ幅2m、コンベヤ速度5cm/s、コンベヤ上の平均材料厚さ4cm、チャンバの下の材料加熱長8m、材料比重1.4t/m3、チャンバ熱効率90%を仮定すると、システムは、約20t/hの材料を160秒で周囲温度から1000℃まで加熱することができる。
【0097】
以上、好ましい実施形態を参照して本発明を述べてきた。添付の特許請求の範囲の範囲によって定義されるものと同じ発明概念を表す他の実施形態もあり得ることが意図される。
【国際調査報告】