(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-25
(54)【発明の名称】筋肉活性化をマッピングするためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/397 20210101AFI20230518BHJP
A61B 5/296 20210101ALI20230518BHJP
【FI】
A61B5/397
A61B5/296
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022558248
(86)(22)【出願日】2021-03-30
(85)【翻訳文提出日】2022-11-17
(86)【国際出願番号】 IL2021050360
(87)【国際公開番号】W WO2021199042
(87)【国際公開日】2021-10-07
(32)【優先日】2020-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521551294
【氏名又は名称】エックス-トローズ・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】X-TRODES LTD
【住所又は居所原語表記】7 Sapir Street, Herzeliya,Israel
(71)【出願人】
【識別番号】501177609
【氏名又は名称】ラモット・アット・テル・アビブ・ユニバーシテイ・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】RAMOT AT TEL AVIV UNIVERSITY LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハネイン ヤエル
(72)【発明者】
【氏名】スタインバーグ スタース
(72)【発明者】
【氏名】インゼルバーグ イファ リラ
【テーマコード(参考)】
4C127
【Fターム(参考)】
4C127AA04
4C127GG15
4C127HH06
4C127LL04
(57)【要約】
筋肉活性化を決定するためのシステムは、被験者の皮膚に接着可能な電極のセットと、電極と通信するプロセッサとを備える。プロセッサは、電極の位置と、電極によって検出された電気信号とを受信し、信号を分析して活性筋肉のセクションを識別し、識別されたセクションに基づいて活性筋肉の少なくとも1つのセグメントの位置と活性筋肉の活性化パターンとを識別し、位置と活性化パターンとの表示可能なマップを構築するように構成された回路を有し、異なる活性筋肉に対応するパターンはマップ上で区別可能である。
【選択図】
図25
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筋肉活性化を決定するためのシステムであって、
被験者の皮膚に接着可能な電極のセットと、
前記電極と通信するプロセッサであって、前記電極の位置と、前記電極によって検出された電気信号とを受信し、前記信号を分析して活性筋肉のセクションを識別し、前記識別されたセクションに基づいて活性筋肉の少なくともセグメントの位置と前記活性筋肉の活性化パターンとを識別し、前記位置と前記活性化パターンとの表示可能なマップを構築するように構成された回路を有する、プロセッサと、を備え、
異なる活性筋肉に対応するパターンは、前記マップ上で区別可能である、システム。
【請求項2】
前記マップは、身体部分の画像および/または前記電極のグラフィック表現を重ね合わせる、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記身体部分は、顔の部分、首の部分、腕の部分、脚の部分、手の部分、足の部分、胴体の部分、頭の部分、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記分析は、ブラインド源分離アルゴリズムによって実行される、請求項1から3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記ブラインド源分離アルゴリズムは、独立成分分析(ICA)、高速独立成分分析(fastICA)、主成分分析、特異値分解、従属成分分析、非負値行列因子分解、低複雑度符号化および復号、定常部分空間分析、共通空間パターン分析、ならびにそれらの任意の組合せからなる群から選択されるアルゴリズムを含む、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記回路は、前記ブラインド源分離アルゴリズムの出力に基づいて、筋肉単位活動電位(MUAP)活動を検出するように構成される、請求項4または5に記載のシステム。
【請求項7】
前記回路は、前記ブラインド源分離アルゴリズムの出力に基づいて、筋肉単位活動電位(MUAP)活動を検出するように構成される、請求項5に記載のシステム。
【請求項8】
前記電極のセットは、前記皮膚の一部分のそれぞれの2つの対向する側から信号を受信するための電極の2つのサブセットを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記電極のセットは、前記皮膚の一部分のそれぞれの2つの対向する側から信号を受信するための電極の2つのサブセットを備える、請求項2から6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記電極のセットは、それぞれの2つの肢から信号を受信するための電極の2つのサブセットを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記電極のセットは、それぞれの2つの肢から信号を受信するための電極の2つのサブセットを含む、請求項2から6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記回路は、活性化パターンおよび関連する制御コマンドのライブラリを記憶するデータベースにアクセスし、前記識別された活性化パターンに一致するデータベース活性化パターンを前記データベースから検索し、前記一致したデータベース活性化パターンに関連する制御コマンドを前記ライブラリから抽出するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記回路は、活性化パターンおよび関連する制御コマンドのライブラリを記憶するデータベースにアクセスし、前記識別された活性化パターンに一致するデータベース活性化パターンを前記データベースから検索し、前記一致したデータベース活性化パターンに関連する制御コマンドを前記ライブラリから抽出するように構成される、請求項2から10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
前記回路は、前記抽出された制御コマンドを機器に送信するように構成される、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記回路は、前記抽出された制御コマンドを機器に送信するように構成される、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記機器は、ロボットおよびパーソナルモバイルデバイスのうちの少なくとも1つを含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
前記機器は、ロボットおよびパーソナルモバイルデバイスのうちの少なくとも1つを含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
前記回路は、筋肉疲労の判定、パフォーマンストレーニング、リハビリテーション、筋肉痛の判定、およびそれらの任意の組み合わせからなる群の少なくとも1つの要素のために構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
前記回路は、筋肉疲労の判定、パフォーマンストレーニング、リハビリテーション、筋肉痛の判定、およびそれらの任意の組み合わせからなる群の少なくとも1つの要素のために構成される、請求項2から16のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項20】
前記回路は、パラメータが少なくとも1つの所定の限界外にある場合に警告を生成するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項21】
前記回路は、パラメータが少なくとも1つの所定の限度外にある場合に警告を生成するように構成される、請求項2から18のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項22】
前記パラメータは、痛みのレベル、筋肉によって及ぼされる力、筋肉疲労のレベル、および筋肉活動の非対称性のうちの少なくとも1つを含む、請求項20に記載のシステム。
【請求項23】
前記パラメータは、痛みのレベル、筋肉によって及ぼされる力、筋肉疲労のレベル、および筋肉活動の非対称性のうちの少なくとも1つを含む、請求項21に記載のシステム。
【請求項24】
前記警告は、視覚的に、聴覚的に、または触覚的に、およびそれらの任意の組み合わせからなる群の要素によって提供される、請求項20に記載のシステム。
【請求項25】
前記警告は、視覚的に、聴覚的に、または触覚的に、およびそれらの任意の組み合わせからなる群の要素によって提供される、請求項21から24のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項26】
リハビリテーション理学療法およびそれらの任意の組み合わせの間に、顔面対称性の改善からなる群の要素のために、形成外科手術に関連して使用される、請求項1に記載のシステム。
【請求項27】
リハビリテーション理学療法およびそれらの任意の組み合わせの間に、顔面対称性の改善からなる群の要素のための、形成外科に関して使用される、請求項2から24のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項28】
神経リハビリテーションのために使用される、請求項1に記載のシステム。
【請求項29】
神経リハビリテーションのために使用される、請求項2から24のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項30】
前記回路は、歩行の特徴付けを提供すること、脳卒中後回復の評価を提供すること、脊髄損傷後運動回復の評価を提供すること、痙縮評価を提供すること、バイオフィードバックを提供すること、シリアスゲームを利用すること、筋肉相乗効果の指標を提供すること、プロテーゼを制御すること、外骨格を制御すること、ロボットを制御することのうちの少なくとも1つのために構成される、請求項28に記載のシステム。
【請求項31】
前記回路は、歩行の特徴付けを提供すること、脳卒中後回復の評価を提供すること、脊髄損傷後運動回復の評価を提供すること、痙縮評価を提供すること、バイオフィードバックを提供すること、シリアスゲームを利用すること、筋肉相乗効果の指標を提供すること、プロテーゼを制御すること、外骨格を制御すること、ロボットを制御することのうちの少なくとも1つのために構成される、請求項29に記載のシステム。
【請求項32】
神経制御戦略、筋肉疲労の筋電症状、および痙攣の筋電症状のうちの少なくとも1つを抽出するために使用される、請求項1に記載のシステム。
【請求項33】
神経制御戦略、筋肉疲労の筋電症状、および痙攣の筋電症状のうちの少なくとも1つを抽出するために使用される、請求項2から30のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項34】
前記回路は、前記被験者が動いている間に、前記位置および前記活性化パターンを識別するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項35】
前記回路は、前記被験者が動いている間に、前記位置および前記活性化パターンを識別するように構成される、請求項2から32のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項36】
前記回路は、前記位置および前記活性化パターンを識別するように構成され、前記活性筋肉は、その長さまたは形状を変化させない、請求項1に記載のシステム。
【請求項37】
前記回路は、前記位置および前記活性化パターンを識別するように構成され、前記活性筋肉は、その長さまたは形状を変化させない、請求項2から34のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項38】
筋肉活性化を決定する方法であって、
被験者の皮膚に電極のセットを接着することと、
前記電極と通信するプロセッサによって、
前記電極の位置と、前記電極によって検出された電気信号とを受信することと、
前記信号を分析して、活性筋肉のセクションを識別することと、
前記識別されたセクションに基づいて、活性筋肉の少なくともセグメントの位置と、前記活性筋肉の活性化パターンとを識別することと、
前記位置と前記活性化パターンとの表示可能なマップを構築することと、を含み、
異なる活性筋肉に対応するパターンは、前記マップ上で区別可能である、方法。
【請求項39】
前記マップは、身体部分の画像及び/又は前記電極のグラフィック表現を重ね合わせる、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記身体部分は、顔の部分、首の部分、腕の部分、脚の部分、手の部分、足の部分、胴体の部分、頭の部分、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記分析は、ブラインド源分離アルゴリズムによって実行される、請求項38から40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記ブラインド源分離アルゴリズムは、独立成分分析(ICA)、高速独立成分分析(fastICA)、主成分分析、特異値分解、従属成分分析、非負値行列因子分解、低複雑度符号化および復号、定常部分空間分析、共通空間パターン分析、ならびにそれらの任意の組合せからなる群から選択されるアルゴリズムを含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記ブラインド源分離アルゴリズムの出力に基づいて、筋肉単位活動電位(MUAP)活動を検出することを含む、請求項41または42に記載の方法。
【請求項44】
前記接着することは、前記皮膚の一部分のそれぞれの2つの対向する側面に電極の2つのサブセットを接着することを含む、請求項38から43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記接着することは、電極の2つのサブセットをそれぞれの2つの肢に接着することを含む、請求項38から43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記プロセッサによって、活性化パターンおよび関連する制御コマンドのライブラリを記憶するデータベースにアクセスし、前記識別された活性化パターンに一致するデータベース活性化パターンについて前記データベースを検索し、前記一致したデータベース活性化パターンに関連する制御コマンドを前記ライブラリから抽出することを含む、請求項38から45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記抽出された制御コマンドを機器に送信することを含む、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記機器は、ロボットおよびパーソナルモバイルデバイスのうちの少なくとも1つを含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
筋肉疲労を判定すること、パフォーマンストレーニング、リハビリテーション、筋肉痛を判定すること、およびそれらの任意の組み合わせのうちの少なくとも1つのために使用される、請求項38から48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
パラメータが少なくとも1つの所定の限度外である場合に警告を発生することを含む、請求項38から49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記パラメータは、痛みのレベル、筋肉によって及ぼされる力、筋肉疲労のレベル、および筋肉活動の非対称性のうちの少なくとも1つを含む、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
リハビリテーション理学療法およびそれらの任意の組み合わせの間に、顔面対称性の改善からなる群の要素のために、形成外科に関して使用される、請求項38から51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
神経リハビリテーションのために使用される、請求項38から51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
歩行の特徴付けを提供すること、脳卒中後回復の評価を提供すること、脊髄損傷後運動回復の評価を提供すること、痙縮評価を提供すること、バイオフィードバックを提供すること、シリアスゲームを利用すること、筋肉相乗効果の指標を提供すること、プロテーゼを制御すること、外骨格を制御すること、ロボットを制御することのうちの少なくとも1つを含む、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
神経制御戦略、筋肉疲労の筋電症状、および痙攣の筋電症状のうちの少なくとも1つを抽出するために使用される、請求項38から54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記被験者が動いている間、前記位置および前記活性化パターンを識別することが、実行される、請求項38から55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記位置および前記活性化パターンを識別することが実行され、前記活性筋肉は、その長さまたは形状を変化させない、請求項38から56のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願]
本出願は2020年3月30日に出願された米国仮特許出願第63/001,589号の優先権の利益を主張し、その内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、そのいくつかの実施形態では非侵襲的モニタリングに関し、より詳細には、限定はしないが、筋肉活性化をマッピングするためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ヒト顔面筋の活性化は、健康な生理学的機能にとって重要である、高度に洗練されたシグナル伝達機構の基礎となる。顔面筋活動を分析するための現在の技術は筋電図電極に基づいており、筋電図電極は、通常、硬い金属パッドの形態である。皮膚と電極との間の電気的通信を改善するためのゲルの使用も知られている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の発明者らは、多くの医学的、心理学的および認知的状態の診断および治療のために、ならびに美容目的のために、高分解能で非侵襲的に筋肉活性化(例えば、顔面筋肉、横隔膜筋肉、四肢筋肉)を分析する必要性を認識した。本発明者らは、現在の臨床検査方法が正確でも定量的でもないことを見出した。例えば、硬い金属パッドは可撓性を欠き、したがって、皮膚への不十分な接着に悩まされ、特に筋肉活性化の間、低い信号対雑音比をもたらし、ゲル化電極は通常、かさばり、扱いにくく、ゲル脱水のため、経時的に減少した信号に悩まされる。本発明者らは、目視検査が非常に主観的であり、高度に訓練された人員に基づいており、ビデオ処理が生理学的妥当性を欠いていることを認識している。本発明者らは目視検査およびビデオ処理の両方が等尺性筋肉活性化に対して非感受性であることを見出した、というのは場合によっては筋肉がそれらの長さの顕著な変化なしに活性化され得るからである。
【0005】
本発明のいくつかの実施形態の一つの態様によれば、筋肉活性化を決定するためのシステムが提供される。システムは、被験者の皮膚に接着可能な電極のセットと、電極と通信するプロセッサとを備える。プロセッサは、電極の位置と、電極によって検出された電気信号とを受信し、信号を分析して活性筋肉のセクションを識別し、識別されたセクションに基づいて活性筋肉の少なくとも1つのセグメントの位置と活性筋肉の活性化パターンとを識別し、位置と活性化パターンとの表示可能なマップを構築するように構成された回路を有し、異なる活性筋肉に対応するパターンはマップ上で区別可能である。
【0006】
本発明のいくつかの実施形態によれば、マップは、身体部分の画像および/または電極のグラフィック表現を重ね合わせる。
【0007】
本発明のいくつかの実施形態によれば、分析は、ブラインド源分離アルゴリズムによって実行される。
【0008】
本発明のいくつかの実施形態によれば、回路は、ブラインド源分離アルゴリズムの出力に基づいて、筋肉単位活動電位(MUAP)活動を検出するように構成される。
【0009】
本発明のいくつかの実施形態によれば、電極のセットは、皮膚の一部分のそれぞれの2つの対向する側から信号を受信するための電極の2つのサブセットを備える。
【0010】
本発明のいくつかの実施形態によれば、電極のセットは、それぞれの2つの肢から信号を受信するための電極の2つのサブセットを備える。
【0011】
本発明のいくつかの実施形態によれば、回路は、活性化パターンおよび関連する制御コマンドのライブラリを記憶するデータベースにアクセスし、識別された活性化パターンに一致するデータベース活性化パターンをデータベースから検索し、一致したデータベース活性化パターンに関連する制御コマンドをライブラリから抽出するように構成される。
【0012】
本発明のいくつかの実施形態によれば、回路は、抽出された制御コマンドを機器に送信するように構成される。
【0013】
本発明のいくつかの実施形態によれば、回路は、筋肉疲労を決定すること、パフォーマンストレーニングを行うこと、リハビリテーションを行うこと、筋肉痛を決定すること、およびそれらの任意の組み合わせからなる群の少なくとも1つの要素のために構成される。
【0014】
本発明のいくつかの実施形態によれば、回路は、パラメータが少なくとも1つの所定の限度外にある場合に警告を生成するように構成される。
【0015】
本発明のいくつかの実施形態によれば、パラメータは、痛みのレベル、筋肉によって及ぼされる力、筋肉疲労のレベル、および筋肉活動の非対称性のうちの少なくとも1つを含む。
【0016】
本発明のいくつかの実施形態によれば、警告は、視覚的に、聴覚的に、または触覚的に、およびそれらの任意の組み合わせからなる群の要素によって提供される。
【0017】
本発明のいくつかの実施形態によれば、システムは顔面対称性の改善、リハビリテーション理学療法、およびそれらの任意の組合せからなる群の要素のために、形成外科手術に関して使用される。
【0018】
本発明のいくつかの実施形態によれば、システムは、神経リハビリテーションのために使用される。
【0019】
本発明のいくつかの実施形態によれば、回路は、歩行の特徴付けを提供すること、脳卒中後回復の評価を提供すること、脊髄損傷後運動回復の評価を提供すること、痙縮評価を提供すること、バイオフィードバックを提供すること、シリアスゲームを利用すること、筋肉相乗効果の指標を提供すること、プロテーゼを制御すること、外骨格を制御すること、ロボットを制御することのうちの少なくとも1つのために構成される。
【0020】
本発明のいくつかの実施形態によれば、システムは、神経制御戦略、筋肉疲労の筋電発現、および痙攣の筋電発現のうちの少なくとも1つの抽出のために使用される。
【0021】
本発明のいくつかの実施形態によれば、回路は、被験者が動いている間に、位置および活性化パターンを識別するように構成される。
【0022】
本発明のいくつかの実施形態によれば、回路は、位置および活性化パターンを識別するように構成され、活性筋肉は活性筋肉の長さまたは形状を変化させない。
【0023】
本発明のいくつかの実施形態の一つの態様によれば、筋肉活性化を決定する方法が提供される。本方法は、被験者の皮膚に電極のセットを接着することと、電極の位置と、電極によって検出された電気信号とを受信することと、信号を分析して活性筋肉のセクションを識別することと、識別されたセクションに基づいて、活性筋肉の少なくともセグメントの位置と、活性筋肉の活性化パターンとを識別することと、位置と活性化パターンとの表示可能なマップを構築することとを含み、異なる活性筋肉に対応するパターンは、マップ上で区別可能である。本方法の様々な動作は、任意選択で、好ましくはプロセッサによって実行される。
【0024】
本発明のいくつかの実施形態によれば、マップは、身体部分の画像および/または電極のグラフィック表現を重ね合わせる。
【0025】
本発明のいくつかの実施形態によれば、身体部分は、顔の部分、首の部分、腕の部分、脚の部分、手の部分、足の部分、胴体の部分、頭の部分、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択される。
【0026】
本発明のいくつかの実施形態によれば、分析は、ブラインド源分離アルゴリズムによって実行される。
【0027】
本発明のいくつかの実施形態によれば、ブラインド源分離アルゴリズムは、独立成分分析(ICA)、高速独立成分分析(fastICA)、主成分分析、特異値分解、従属成分分析、非負値行列因子分解、低複雑度符号化および復号、定常部分空間分析、共通空間パターン分析、ならびにそれらの任意の組合せからなる群から選択されるアルゴリズムを含む。
【0028】
本発明のいくつかの実施形態によれば、方法は、ブラインド源分離アルゴリズムの出力に基づいて筋肉単位活動電位(MUAP)活動を検出することを含む。
【0029】
本発明のいくつかの実施形態によれば、接着することは、皮膚の一部分のそれぞれの2つの対向する側面に電極の2つのサブセットを接着することを含む。
【0030】
本発明のいくつかの実施形態によれば、接着することは、電極の2つのサブセットをそれぞれの2つの肢に接着することを含む。
【0031】
本発明のいくつかの実施形態によれば、本方法は、起動パターンおよび関連する制御コマンドのライブラリを記憶するデータベースにアクセスすることと、識別された活性化パターンに一致するデータベース活性化パターンについてデータベースを検索することと、一致したデータベース活性化パターンに関連する制御コマンドをライブラリから抽出することとを含む。
【0032】
本発明のいくつかの実施形態によれば、方法は、抽出された制御コマンドを機器に送信することを含む。
【0033】
本発明のいくつかの実施形態によれば、機器は、ロボットおよびパーソナルモバイルデバイスのうちの少なくとも1つを含む。
【0034】
本発明のいくつかの実施形態によれば、方法は、筋肉疲労を決定すること、パフォーマンストレーニング、リハビリテーション、筋肉痛を判定すること、およびそれらの任意の組み合わせのうちの少なくとも1つのために使用される。
【0035】
本発明のいくつかの実施形態によれば、方法は、パラメータが少なくとも1つの所定の限度外にある場合に警告を生成することを含む。本発明のいくつかの実施形態によれば、パラメータは、痛みのレベル、筋肉によって及ぼされる力、筋肉疲労のレベル、および筋肉活動の非対称性のうちの少なくとも1つを含む。
【0036】
本発明のいくつかの実施形態によれば、方法は、リハビリテーション理学療法およびそれらの任意の組合せの間に、顔面対称性の改善からなる群の要素のために、形成外科手術に関して使用される。
【0037】
本発明のいくつかの実施形態によれば、上記方法は、神経リハビリテーションのために使用される。
【0038】
本発明のいくつかの実施形態によれば、方法は、歩行の特徴付けを提供すること、脳卒中後回復の評価を提供すること、脊髄損傷後運動回復の評価を提供すること、痙縮評価を提供すること、バイオフィードバックを提供すること、シリアスゲームを利用すること、筋肉相乗効果の指標を提供すること、プロテーゼを制御すること、外骨格を制御すること、ロボットを制御することのうちの少なくとも1つを含む。
【0039】
本発明のいくつかの実施形態によれば、上記方法は、神経制御戦略、筋肉疲労の筋電症状、および痙攣の筋電症状のうちの少なくとも1つを抽出するために使用される。
【0040】
本発明のいくつかの実施形態によれば、被験者が動いている間、位置および活性化パターンを識別することが実行される。
【0041】
本発明のいくつかの実施形態によれば、位置および被活性化パターンを識別することが実行され、活性筋肉は、その長さまたは形状を変化させない。
【0042】
別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および/または科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本発明の実施形態の実施または試験において、本明細書に記載のものと類似または同等の方法および材料を使用することができるが、例示的な方法および/または材料を以下に記載する。矛盾する場合には、定義を含めて、本特許明細書が優先する。加えて、材料、方法、および実施例は、例示にすぎず、必ずしも限定することを意図するものではない。
【0043】
本発明の実施形態の方法および/またはシステムの実施は、選択されたタスクを手動で、自動的に、またはそれらの組み合わせで実行または完了することを含むことができる。さらに、本発明の方法および/またはシステムの実施形態の実際の計装および機器によれば、いくつかの選択されたタスクは、ハードウェアによって、ソフトウェアによって、またはファームウェアによって、またはオペレーティングシステムを使用するそれらの組合せによって実装され得る。
【0044】
例えば、本発明の実施形態による選択されたタスクを実行するためのハードウェアは、チップまたは回路として実装され得る。ソフトウェアとして、本発明の実施形態による選択されたタスクは、任意の適切なオペレーティングシステムを使用してコンピュータによって実行される複数のソフトウェア命令として実装され得る。本発明の例示的な実施形態では、本明細書で説明する方法および/またはシステムの例示的な実施形態による1つまたは複数のタスクが複数の命令を実行するためのコンピューティングプラットフォームなどのデータプロセッサによって実行される。任意選択的に、データプロセッサは、命令及び/又はデータを記憶するための揮発性メモリ、及び/又は命令及び/又はデータを記憶するための不揮発性記憶装置、例えば、磁気ハードディスク及び/又はリムーバブルメディアを含む。任意選択的に、ネットワーク接続も提供される。キーボードまたはマウスなどのディスプレイおよび/またはユーザ入力デバイスも、任意選択的に提供される。
【図面の簡単な説明】
【0045】
本発明のいくつかの実施形態は、単なる例として、添付の図面および画像を参照して本明細書に記載される。ここで、詳細に図面を特に参照すると、示される詳細は、例として、本発明の実施形態の例示的な議論の目的のためであることが強調される。この点に関して、図面を用いた説明は、本発明の実施形態がどのように実施され得るかを当業者に明らかにする。
【
図3】本発明のいくつかの実施形態による半顔面電極アレイの上面を示す。
【
図4】本発明のいくつかの実施形態による半顔面電極アレイの下面を示す。
【
図5】顔上の所定位置にある電極アレイの実施形態を示す。
【
図6】本発明のいくつかの実施形態にしたがって実行された実験で得られた、顔の表情についての典型的な結果を示す。
【
図7】
図7A~7Dは、顔の表情を示す、本発明のいくつかの実施形態にしたがって実行された実験で得られた画像である。
【
図8】
図8A~8Dは、顔画像をオーバープレイする本発明のいくつかの実施形態にしたがって実行された実験で得られた筋肉活性化パターンの独立成分(IC)マップを示す。
【
図9A】本発明のいくつかの実施形態にしたがって実施された実験で得られた、各電極における正規化された非混合行列重みを示す。
【
図9B】本発明のいくつかの実施形態にしたがって実施された実験で得られた、クラスタ重心からの距離を示す。
【
図9C】本発明のいくつかの実施形態による、電極アレイレイアウト上の輪郭形態としてのIC源の空間表現を概略的に示す。
【
図9D】本発明のいくつかの実施形態による、アレイレイアウト上のクラスタ重心の輪郭を概略的に示す。
【
図10A】本発明のいくつかの実施形態にしたがって実施される実験で得られた、導出されたクラスタの別個の群を示す。
【
図10B】本発明のいくつかの実施形態にしたがって実施される実験で得られた、導出されたクラスタそれぞれのICマップの別個の群を示す。
【
図10C】本発明のいくつかの実施形態にしたがって実施される実験で得られた、導出されたクラスタの別個の群を示す。
【
図10D】本発明のいくつかの実施形態にしたがって実施される実験で得られた、導出されたクラスタそれぞれのICマップの別個の群を示す。
【
図11A】本発明のいくつかの実施形態による、半顔面電極アレイレイアウト上の顔面構築ブロック(FBB)を示す。
【
図12A】本発明のいくつかの実施形態にしたがって実施される実験で得られた、顔の側面画像に重ね合わされた自発的ICマップを示す。
【
図12B】本発明のいくつかの実施形態にしたがって実施される実験で得られた、電極アレイに関して重ね合わされた自発的ICマップを示す。
【
図13】
図13A~13Dは、本発明のいくつかの実施形態にしたがって実施された実験で得られた、4人の個体についてのFBBの正規化ヒストグラムを示す。
【
図14A】本発明のいくつかの実施形態にしたがって実施された実験で得られた、カテゴリーごとのすべての正規化されたFBB分布の概要を示す。
【
図14B】本発明のいくつかの実施形態にしたがって実施された実験で得られた、カテゴリーごとのすべての正規化されたFBB分布の概要を示す。
【
図14C】本発明のいくつかの実施形態にしたがって実施された実験で得られた、カテゴリーごとのすべての正規化されたFBB分布の概要を示す。
【
図14D】本発明のいくつかの実施形態にしたがって実施された実験で得られた、カテゴリーごとのすべての正規化されたFBB分布の概要を示す。
【
図15B】本発明のいくつかの実施形態による、前腕に配置された電極を示す画像である。
【
図16】前腕に配置された電極による、本発明のいくつかの実施形態にしたがって記録された典型的な結果を示す。
【
図17A】異なるレベルの作用力で収縮する指屈筋の独立した構成成分を示す。
【
図17B】異なるレベルの作用力で収縮する指屈筋の独立した構成成分を示す。
【
図18A】本発明のいくつかの実施形態にしたがって実施された実験で得られた、0.5Nの力の下で屈曲を実施している間の運動単位動作電位(MUAP)パルス列を有する2つの構成成分を示す。
【
図18B】本発明のいくつかの実施形態にしたがって実行された実験で得られた、パルス周波数(MUAP率(MR))と力との間の線形関係を示す。
【
図19A】本発明のいくつかの実施形態による、ノイズの多いデータからの成分の分離を示す。
【
図19B】本発明のいくつかの実施形態による、ノイズの多いデータからの成分の分離を示す。
【
図20】本発明のいくつかの実施形態にしたがって実施された実験において得られた、指屈曲のための屈筋の活性化を示す。
【
図21A】本発明のいくつかの実施形態にしたがって実施される実験中に、異なる屈曲タスクから抽出された独立成分を、16個の電極にわたって分布され、コサイン距離k平均を使用して10個のクラスタにソートされた正規化された重みとして示す。
【
図21B】本発明のいくつかの実施形態にしたがって実施される実験中に、異なる屈曲タスクから抽出された独立成分を、16個の電極にわたって分布され、コサイン距離k平均を使用して10個のクラスタにソートされた正規化された重みとして示す。
【
図21C】本発明のいくつかの実施形態にしたがって実施される実験中に、異なる屈曲タスクから抽出された独立成分を、16個の電極にわたって分布され、コサイン距離k平均を使用して10個のクラスタにソートされた正規化された重みとして示す。
【
図22A】本発明のいくつかの実施形態による、FIG内の構成成分間のコサイン類似性を示す。
【
図22B】本発明のいくつかの実施形態による、FIG内の構成成分間のコサイン類似性を示す。
【
図22C】本発明のいくつかの実施形態による、FIG内の構成成分間のコサイン類似性を示す。
【
図23A】本発明のいくつかの実施形態にしたがって行われた実験において得られた、長掌筋を利用するタスクのための6回にわたる2回の反復ICを示す。
【
図23B】本発明のいくつかの実施形態にしたがって行われた実験において得られた、長掌筋を利用するタスクのための6回にわたる2回の反復ICを示す。
【
図24A】本発明のいくつかの実施形態にしたがって実施された実験で得られた、活性化の6回の反復を示す。
【
図24B】本発明のいくつかの実施形態にしたがって実施された実験で得られた、活性化の6回の反復を示す。
【
図24C】本発明のいくつかの実施形態にしたがって実施された実験で得られた、活性化の6回の反復を示す。
【
図24D】本発明のいくつかの実施形態にしたがって実施された実験で得られた、活性化の6回の反復を示す。
【
図25】本発明のいくつかの実施形態による、呼吸または心臓機能の判定に使用するためのシステムの一実施形態を概略的に示す図である。
【
図26】本発明のいくつかの実施形態にしたがって実施される実験において使用される、胸部上の適所におけるsEMG信号の測定の例示的な実施形態を示す画像である。
【
図27A】本発明のいくつかの実施形態にしたがって実施された実験で得られた、生および平滑化されたsEMG信号を示す。
【
図27B】本発明のいくつかの実施形態にしたがって実施された実験で得られた、生および平滑化されたsEMG信号を示す。
【
図28A】心電図(ECG)の測定の例示的な実施形態を示し、胸部上の本発明のいくつかの実施形態による定位置にあるデバイスを示す。
【
図28B】心電図(ECG)の測定の例示的な実施形態を示し、デバイスの単一のチャネルから本発明のいくつかの実施形態にしたがって記録されたECG信号を示す。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本発明は、そのいくつかの実施形態では非侵襲的モニタリングに関し、より詳細には限定はしないが、筋肉活性化をマッピングするためのシステムおよび方法に関する。
【0047】
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、その適用において、以下の説明および/または図面および/または実施例に示される構成成分および/または方法の構成および配置の詳細に必ずしも限定されないことを理解されたい。本発明は、他の実施形態が可能であるか、または様々な方法で実施または実行されることが可能である。
【0048】
本実施形態は、皮膚の下の領域における筋肉活性化の高解像度マップを提供するように構成された電極のセットを含む。本実施形態はまた、どの筋肉が活性化されるか、および活性化がどのくらい強いかを決定するために、筋肉活性化を分析するプログラム命令を実行するように構成された回路を備えることができる。電極のセットは、皮膚の領域に非侵襲的に取り付け可能であり、ユーザに機械的外乱を与えず、ユーザのためにカスタマイズされるように構成される。
【0049】
本実施形態の方法を実装するコンピュータプログラムは、通信ネットワークによって、またはフロッピーディスク、CD-ROM、フラッシュメモリデバイス、およびポータブルハードドライブなどであるが、限定されない配布媒体上で、ユーザに一般に配布することができる。通信ネットワークまたは配信媒体から、コンピュータプログラムをハードディスクまたは同様の中間記憶媒体にコピーすることができる。コンピュータプログラムは、コード命令をそれらの分配媒体またはそれらの中間記憶媒体のいずれかからコンピュータの実行メモリにロードし、本発明の方法にしたがって動作するようにコンピュータを構成することによって実行することができる。動作中、コンピュータは中間計算によって得られたデータ構造または値をメモリに記憶することができ、これらのデータ構造または値を引き出して、後続の動作で使用することができる。これらの動作はすべて、コンピュータシステムの当業者に周知である。
【0050】
本明細書で説明されるプロセッシング動作は、DSP、マイクロコントローラー、FPGA、ASICなどのプロセッサ回路、または任意の他の従来のおよび/または専用のコンピューティングシステムの手段によって実行され得る。
【0051】
本実施形態の方法は、多くの形態で実施することができる。例えば、それは、方法動作を実行するためのコンピュータなどの有形媒体上で実施することができる。それは、方法動作を実行するためのコンピュータ可読命令を含むコンピュータ可読媒体上で実施することができる。また、有形媒体上でコンピュータプログラムを実行するか、またはコンピュータ可読媒体上で命令を実行するように構成されたデジタルコンピュータ能力を有する電子デバイスにおいて実施することもできる。
【0052】
本実施形態のそのようなマップを使用することができる分野には、限定されるものではないが、医学、美容治療、およびスポーツが含まれる。筋肉活動シグネチャの客観的定量化は、診断病理学、補綴物制御、脳卒中または損傷後のリハビリテーション、スポーツおよび娯楽、神経学的および心理学的評価、呼吸モニタリングなどの多くの分野において興味深い機会を有する。
【0053】
電極は、検査中の皮膚の領域の異なる部分における電気的活動を測定する。電気的活動のパターンから、本実施形態のシステムは、筋肉または筋肉セグメントの位置、筋肉協調を決定することができる。システムは任意選択的に、好ましくは、筋肉または1つ以上の筋肉群が非機能性、機能不全、または不適切に機能しているかどうかを決定することもできる。システムはまた、非機能性筋肉における機能性を誘導するため、または機能不全もしくは不適切に機能する筋肉もしくは筋肉群における機能性を改善するために使用され得る。
【0054】
本実施形態の電極のセットは、任意選択的に、好ましくは着用可能なカスタマイズ可能な高解像度表面筋電図電極アレイを備える。
【0055】
本実施形態の着用可能な高解像度表面筋電図電極アレイは、任意選択的に、好ましくは印刷された電極、例えば、限定されないが、印刷された炭素電極である。他の導電性印刷電極も考えられる。電極は、任意選択的に、好ましくは30MPa未満、例えば、約1MPa~約30MPaのヤング率を特徴とする基材上に堆積され、より好ましくは印刷される。基材としての使用に適した材料の代表的な例はポリウレタンであるが、これに限定されない。電極の直径は、典型的には約3mm~約10mmである。本発明者らは、そのような寸法が低ノイズレベルおよび皮膚との良好な適合性を維持しながら、高密度を可能にすることを見出した。基板の厚さは、典型的には約60~約150μm、例えば、80μmである。
【0056】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は±10%を指す
【0057】
本発明のいくつかの実施形態では、電極からの信号を分析して、筋肉活性化パターンおよび活性筋肉の位置または活性筋肉のセグメントのマップを提供する。マップは、反復される随意筋活性化から導出することができる。次いで、独立成分(IC)分析手順および機械学習手順は被験体に特異的であり、任意選択的に、好ましくは、被験体の群に普遍的または特異的である活性化パターンも同定することができる。
【0058】
本実施形態のIC分析および機械学習手順を電極によって取得されたデータに適用することは、被験者が動いているときであっても、活性筋肉(またはそのセグメント)の位置および活性化パターンを識別することを可能にするので、有利である。これは、被験者が静的であるように制限される従来の技術とは異なる。さらなる利点は、筋肉がその長さまたは形状を変化させない(筋肉の収縮中でも筋肉の弛緩状態への復帰中でもない)間、活性筋肉の活性化パターンを識別することを可能にすることである。
【0059】
活性化パターンは、任意選択的に、好ましくは正常および異常な活性化パターン、したがって、筋肉の正常および異常な使用パターンを識別するために使用され得る。いくつかの実施形態では、パターンが筋肉使用を改善するためのトレーニングプログラムへの入力として、筋肉、筋肉セクションまたは筋肉群の疲労の識別子として、筋肉または筋肉群の過剰使用の識別子として、およびそれらの任意の組合せとして使用することができる。
【0060】
いくつかの実施形態では、電極のセットが被験体の顔に取り付けられる。
【0061】
ヒト顔面筋を
図1に示す。ヒト顔面筋の活性化は、健康な生理学的機能にとって重要であると考えられる、高度に洗練されたシグナル伝達機構の基礎となる。したがって、本発明のいくつかの実施形態による、高分解能および非侵襲的様式での顔面筋活性化の分析は、多くの医学的状態の診断および治療に役立ち得る。
【0062】
好ましい実施形態では、電極アレイが単一の電極アレイを使用して多数の筋肉からの同期記録を用いて、ヒトの解剖学的構造へのカスタマイズされた一致を可能にする、複数の記録部位を有する印刷された乾燥電極を含む。例えば、本発明のいくつかの実施形態にしたがって実行される実験では、顔の多くの側面部分を覆う半顔面16個電極アレイが使用され、いくつかの顔の表情をマッピングすることが可能になっている。
【0063】
筋肉の電気的活動は、皮膚の表面から拾い上げることができる生体電位の変化を感知することができる技術を使用することによって見出すことができる。例としては、脳波(EEG)、心電図(ECG)、眼球電図(EOG)(眼球運動の記録)、嗅電図(EOLG)、および筋電図(EMG)が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの好ましい実施形態では、EMG、EoG、およびECGのうちの少なくとも1つが使用される。
【0064】
筋肉活性化マップは、自発的な筋肉活性化の反復から得ることができる。本実施形態のIC分析および機械学習手順は、参加者内および参加者間で一貫したビルディングブロック活性化パターンを識別することができる。筋肉の活性化源を分類するために、自発的な筋肉の活性化(例えば、顔の筋肉の場合、笑顔または他の表情)のさらなる分析を使用することができる。これは場合により、好ましくは一貫した被験者特異的活性化を抽出し、また被験者間変動を推定するために使用することができる。分析はまた、非限定的な例として、命令された笑顔、自発的な顔を向けること、および命令された顔を向けることなどの表現のために、筋肉活性化源を分類するために使用され得る。
【0065】
本実施形態は例えば、一般的な顔の表情の自動化された客観的なマッピングを可能にし、特に、正常および異常な微笑みの評価において、また、別の非限定的な例では、前腕における筋肉のための使用を可能にする。筋肉活性化がマッピングされ得る身体の他の部分は、上腕、脚、胴体、および頸部を含み得る。このシステムは、動物、例えば、家庭用ペット、家畜、保護動物、および競走動物に使用することもできるが、例に限定されない。
【0066】
他の用途は、違法薬物の使用を検出すること、ならびに爆弾および爆発物を検出することを含むことができる。例えば、本実施形態のシステムは、爆弾および爆発物を検出するために、および/または爆弾または爆発物の存在を感知したときに動物の筋肉活動を識別するために、動物の訓練中に使用することができる。
【0067】
電極アレイは、任意選択的に、好ましくは、前述のIC分析および機械学習手順と一緒に、個々のレベルでの特定の筋肉の検出および識別に対する非侵襲的で高分解能のアプローチを確立する。例えば、一旦、ロバストな正常活性化顔面構築ブロック(FBB)が特徴付けられると、自発的、自然発生的、および臨床的事象でさえも、そのような知見から利益を得ることができる。これは、診断、評価、および治療目的、ならびにヒューマン・マシン・インターフェースで使用することができる。
【0068】
従来の技術とは異なり、本実施形態のシステムおよび方法は、適切な照明および解像度を必要とする画像化などの視覚的方法論を使用する必要がない。したがって、本発明の様々な例示的実施形態では、システムおよび方法が身体から受信された光信号を分析することなく、1つまたは複数の活性筋肉の活性化パターンを識別する。これは、調査中の被験者のカメラビューを要求しないので有利である。例えば、顔の筋肉活性化パターンが望まれる場合、被験者の顔の正面全面ビューの必要はない。
【0069】
本実施形態のシステムおよび方法は、画像分析によって達成することができない、深くかつ詳細な筋肉の分解能を達成することができる。この高分解能容量は、非限定的な例として、相乗的筋肉活動および筋肉セクションの正確な識別に関する貴重な情報を提供することができる。
【0070】
以下では、2つの空間的に分離可能な領域、例えば、頬骨大筋(下面)および眉間(皺眉筋および鼻根筋)筋(上面)を同時に活性化する微笑みの相乗効果の代表例を示す。この観察は、顔面神経の頬骨および頬側の分枝だけでなく前頭からの二重神経供給と一致している。頬側枝から神経支配を受けた後、頬側枝は、角度神経を形成して、眉間筋を供給する[Caminer D M, Newman M I and Boyd J B, Angular nerve: New insights on innervation of corrugator supercilii and procerus muscles. J. Plast. Reconstr. Aesthetic Surg. 59 366-72, 2006; Yu M and Wang S-M, Anatomy, Head and Neck, Eye Corrugator]。そのような結果の広範囲に及ぶ適用は、正確な審美的および再建手術に使用することができ、例えば、前頭枝の線維からの眉間筋の除神経は、神経支配が頬側および頬骨枝によっても供給されるので、低い成功および予測不可能な結果を示している。実験室または自然環境における高分解能の神経生理学的術前評価は、より良好な外科的決定を導くことができる。
【0071】
システムは、任意選択で、好ましくはsEMGデータを捕捉するための電極アレイを備える。sEMGデータは、好ましくは無線であるが、場合によっては有線で、専用ソフトウェアを実行するように構成された回路を有するプロセッサに転送される。プロセッサは、ローカルであってもよく、リモートであってもよく、クラウド内にあってもよい。ソフトウェアは、独立したsEMG源をクラスタ化し、それから各参加者に対する個々のマッピングを導出するアルゴリズム的解決策を含む。個々のマッピングを組み合わせて、特定の筋肉に関連するロバストビルディングブロック(RBB)を識別することができる。次いで、RBB使用のパターンは、筋肉群、個々の筋肉、および筋肉の部分を利用する異なるタイプの活動のための筋肉群、個々の筋肉、および筋肉の部分の使用のパターンを決定することができる。非限定的な例として、RBBパターンを使用して、異なる顔の表情を区別することができ、異なるタイプの笑顔を区別することさえできる。他の非限定的な例では、RBBパターンが異なる指を動かすための筋肉使用のタイプを区別することができ、それぞれの筋肉または筋肉によって経験される機械的負荷に応答して筋肉活性化パターンの変化を識別するために使用することができ、横隔膜領域におけるRBBは呼吸困難の開始および呼吸関連疾患の重症度の増加の開始を決定する際の診断として使用するために、異なるタイプの呼吸を区別するために使用することができる。
【0072】
本実施形態の技法によって使用されるIC手順は、典型的には限定はされないが、独立成分分析(ICA)、高速独立成分分析(fastICA)、主成分分析、特異値分解、従属成分分析、非負値行列因子分解、低い複雑性符号化および復号、定常部分空間分析、共通空間パターン分析、ならびにそれらの任意の組合せなどのブラインド源分離アルゴリズムを実行する。
【0073】
顔面上での使用のために、本明細書に開示されるIC処置は、随意的および自発的発現における特定の筋肉の活性化を捕捉することができる。
【0074】
顔面上で使用される場合、本実施形態のシステムは、顔面の上部および下部の少なくとも一部分の上に半顔面電極アレイを備えることができる。顔面での使用のために、IC処置は、研究グループの各参加者について別々に導出されたデータを抽出することができる。次いで、すべての個々のマッピングを組み合わせて、特定の顔面筋に関連するロバストなFBBを識別することができる。これらから、分類アプローチは、自発的微笑みの間のFBB活性化を決定することができる。
【0075】
適切な顔面筋肉の活性化は、生理学的必要性(例えば、嚥下、咀嚼、話す、食べる、または目を閉じる)および社会的相互作用(例えば、微笑む、顔をしかめる)の両方に有利である。多くの臨床障害は、生理的および心理社会的負担につながる異常な顔面活性化パターンによって現れる。パーキンソン病では、例えば、仮面様顔貌(hypomimia)(自発的な顔の表情の減少)は重度の審美的および心理的な分岐を伴う主要な課題である[Argaud S,Delplanque S,Houvenaghel J-F,Auffret M,Duprez J, Verin M,Grandjean DおよびSauleau P,無表情症の顔面感情の影響認識 パーキンソン病を被験者としたEMG試験、ed S Kotz,PLoS One 11e0160329,2016; Bologna M, Berardelli I, Paparella G, Marsili L, Ricciardi L, Fabbrini GおよびBerardelli,A,顔の感情表現の運動学の変化と感情認識の欠陥は、パーキンソン病とは無関係である、Front. Neurol. 7 1-7, 2016]。反対の例である、トゥレット症候群は、チックの形態の速い反復性の移動により類型化される[Brandt V C,Patalay P,Baumer T,Brass MおよびMunchau A,学習した行動の一種としてのチックイミテーションおよび顔面チックの抑止、Mov.Disord.31 1155-62,2016;Muth C,チックおよびトゥレット症候群、JAMA 317 1592,2017]。筋萎縮性側索硬化症では、制御されない笑いまたは泣きの顔のエピソードが起こる[Thakore NJおよびPioro E P,ALSの笑い声、泣き声、そして悲しみ、J.Neurol.Neurosurg.Psychiatry 88 825-31,2017]。顔面筋活性化パターンの異常は、半顔面痙攣(HFS)、顔面麻痺、異常再生および運動失調など、他の多くの状態に現れる[Valls-Sole JおよびMontero J、末梢顔面麻痺患者における運動障害、Mov.Disord.18 1424-35,2003;Wang AおよびJankovic J、半顔面痙攣:臨床所見および治療、顔面神経21 1740-7,1998;Yaltho T CおよびJankovic J、半顔面痙攣の多くの顔面:片側顔面痙攣の鑑別診断 Mov.Disord.26 1582-92,2011]。例えば、HFSでは、第7脳神経によって神経支配される筋肉に不随意運動および不規則運動が起こる[Yaltho]。典型的な症状としては、下眼瞼の「痙攣」、続いて他の顔面筋の痙攣が挙げられる[Wang]。顔面筋活性化の損傷は、癌または外傷の結果でもあり得る。腫瘍除去手術後、筋肉活性化は、発話、嚥下および眼の乾燥の悪化をもたらす可能性がある[Shah JPおよびGil Z,口腔がんの管理に関する現在の考え-手術、oral Oncol.45 394-401,2009;Eskes M,van Alphen MJ A,Smeele L E,Brandsma D,Balm AJ,van der Heijden F,Alphen M J A VanおよびSmeele L E、顔のsEMGを使用した3D唇の動きの予測:口腔がん手術の機能的および審美的な結果を推定するための最初のステップ、Med.Biol.Eng.C顔の整形手術と神経移植は、特に微笑みの再建などの蘇生処置において、顔の筋肉組織と神経の解剖学的構造の複雑な解剖学によって挑戦される[Fattah A,Borschel G H,Manktelow R T,Bezuhly MおよびZuker R M, 顔面麻痺と再構築、Plast.Reconstr.Surg.129 340e-352e,2012年;Manktelow R T,Tomat L R,Zuker RMおよびChang M,成人期の微笑みの再構築と自由な筋肉の移動は、筋肉の運動神経によって支配される:効能と大脳の適応、Plast.Reconstr.Surg.118 885-99;2006;Guntinas-Lichius O,Genther D JおよびByrne P J,顔面再構築とリハビリテーション、Advances inOto-Rhino-Laryngology vol 78 pp 120-31,2016]。
【0076】
いくつかの実施形態では、微笑中の顔の筋肉活性化が分析される。微笑みは普遍的であるが、その空間的構造および機能を理解することは有利であり、心理学的および神経学的評価に有用であることが理解される。広範な研究により、ヒトの感情の知覚および作用、作用の態様、福祉、人間ロボットのコミュニケーション、安心感、安心感の検出および審美から、病理学的発現まで、無数の分野における微笑みの重要性および複雑性が実証されている[Ugail HおよびAldahoud AAA,人間の微笑み分析のための計算技術(Cham:Springer International Publishing,2019); Ekman P,嘘をつく(New York-London:W.W.Norton & Company, 1985); Abel E LおよびKruger M L,写真の中の微笑みの強度予測の長さ、Psychol.Sci.21 542-4,2010;Kraus M WおよびChen T-W D,勝利の笑顔、笑顔の強度、フィジカルなドミナンス、そしてパフォーマンス、Emotion 13 270-9,2013]。
【0077】
本発明者らは、顔面筋活性化マッピングのための従来の方法が正確でも定量的でもないことを見出した。広く使用されている方法は、顔作用コーディングシステム(FACS)である。FACSは、顔の特徴の観察された変位に基づいており[Ekman PおよびFriesen W V.,顔の動きの測定、Environ.Psychol.Nonverbal Behav.1 56-75,1976]、心理学的および行動学的研究において広く使用されている。従来、FACSは、訓練された人間の符号化および長い分析を必要とする。画像またはビデオ分析が使用される計算アプローチはプロセスを部分的に自動化しているが、カメラ位置に対する顔の回転、並進およびスケール不変性を考慮するために膨大な量のデータを必要とする。正確性の高いに到達するためには、適切な視覚経路および照明が必要である[Ugail;Barrett L F,Adolphs R,Marsella S,Martinez A M,およびPollak S,再考された感情的な表現:ヒトの顔の動きへの挑戦、Piscol.Sci.Public Interes.20 1-68,2019]。
【0078】
光学的運動システムにおける顔面反射ドットを解析することにより顔面運動を測定するために、いくつかのコンピュータシステムが開発されている[Hontanilla BおよびAubfa C、顔面運動の評価のための自動三次元定量分析、J.Plast.Reconstr. Aesthetic Surg.61 18-30,2008;Coulson S E,Croxson G RおよびGilleard W L,通常の顔の動きの三次元変位の定量化、Ann.Otol.Rhinol.Laryngol.109 478-83,2000;Dusseldorp J R,van Veen M M,Mohan SおよびHadlock T A,顔面神経麻痺の転帰追跡、Otolaryngol.Clin.North Am.51 1033-50,2018]。しかしながら、本発明者らは、これらの技術が筋肉特異性を欠くことを見出した。
【0079】
従来のEMGは、筋肉活性化プロセスを解明することが知られている。
図2A~Bは、従来のEMG技術を説明する画像である。ニードル-EMGは、顔面不全麻痺におけるようなパターンの診断、および同系運動性筋収縮の検出において、ゴールドスタンダードとして認識されている[Valls-Sole;Schumann N P,Bongers K,Guntinas-Lichius およびScholle H C,健康な男性の顔面筋の活性化パターン:マルチチャンネル表面EMG研究、J.Neurosci.Methods 187 120-8,2010;Hatem J,Sindou MおよびVial C,片側顔面けいれんに対する微小血管減圧術中の顔面筋電図反応の術中モニタリング、長期転帰の予後的価値:33人の患者を被験者とした研究、Br.J.Neurosurg.15 496-9, 2001;Drost G,Stegeman D F,van Engelen B G MおよびZwarts M J,高密度表面筋電図の臨床応用:系統的レビュー、J.Electromyogr. Kinesiol.16 586-602,2006]。しかしながら、ニードルEMGは、特に顔などの繊細な領域において、不快感、痛み、さらには局所出血を引き起こす可能性がある侵襲的な方法である。小児集団を被験者にニードル-EMG試験を実施することはほとんど不可能である。表面EMG(sEMG)は、顔筋活性化分析のためのニードル-EMGに対する非侵襲的代替法であるが、一般に低分解能と強いクロストークによって制限される[Hug FおよびTucker K、ヒト運動を研究する筋肉協調ハンドブックへの表面筋電図、ed B Muller、S I Wolf、G-P Brueggemann、Z Deng、A McIntosh、F MillerおよびW S Selbie(Cham:Springer International Publishing)pp1-21、2016]。従来のニードル-EMGおよび従来のsEMGの両方は、人工的な設定を必要とする。
【0080】
本実施形態のシステムは身体部分と容易に一体化することができ、非限定的な例として、顔、腕、脚、および胴体に使用することができる高分解能sEMGを提供する。
【0081】
図25は、本発明のいくつかの実施形態による、筋肉活性化を決定するためのシステム250の概略図である。被験者256の皮膚に接着可能な電極のセット252と、電極252と通信するプロセッサ254とが示されており、電極252の少なくともいくつかによって検出された電気信号を受信し、活性筋肉の少なくともセクションを識別するために信号を分析し、活性筋肉のセクション、活性筋肉の位置または活性筋肉のセグメント、ならびに活性筋肉の活性化パターンに基づいて識別するように構成された回路を有する。本発明のいくつかの実施形態では、プロセッサ254が位置および活性化パターンの表示可能マップ260(図示せず、例えば、
図8A~Dおよび9C~Dを参照)を構築し、異なる活性筋肉に対応するパターンはマップ260上で区別可能である。マップ260は身体部分の画像(例えば、
図8A~Dを参照)および/または電極252のグラフ表示(例えば、
図9A~Cを参照)を重ね合わせるように表示することができる。
【0082】
本発明のいくつかの実施形態では、電極がBluetooth(登録商標)プロトコルなどであるがこれに限定されない標準的な無線伝送プロトコルを使用して信号を増幅し、デジタル化し、送信する小型無線データ収集ユニット(DAU)258に差し込むことができるパッチで形成される。データは、専用ソフトウェアを使用して、コンピュータ254またはモバイルデバイス上に表示および記憶することができる。コンピュータ254またはモバイルデバイスはDAU258に対してローカルであることが好ましいが、DAU258からリモートであってもよい。データは、クラウド262に格納することもできる。分析は、任意選択的に、好ましくは機械学習手順264の適用を含むことができる。データ分析は、ローカルまたはクラウドベースのエンジンで実行できる。次いで、結果は、さらなる評価および治療のために、医師または医療提供者にリアルタイムで送られ得る。
【0083】
本実施形態は、家庭または検疫施設などであるが、これらに限定されない、臨床医または医学的設定から離れたサイトで、胸部に適用される独自の使い捨て、ドライ、および可撓性の多電極アレイパッチを使用して、呼吸筋(sEMGdi)および心臓(ECG)の生体電位を記録する手段を提供することができる。
【0084】
顔面活性化の分析のいくつかの実施形態では、顔面上の各側面に1つずつ、2つの半顔面電極アレイが使用される。
図3および
図4は、それぞれ、半顔面高密度16個電極アレイの実施形態の上面および下面を示す。
図3には、電極番号が示されている。図示の実施形態では、アレイは直径約4mmであり、アレイは直径1mm(小児用)から直径10mmまで様々であり得る。テルアビブ大学の銀(Ag)およびカーボン(C)インクを用いた2段階プロセスにより、薄く柔軟なポリウレタン基板上にアレイをスクリーン印刷した。Pronat Industries Ltd.で包装は完了された。この実施形態では、ラインは銀であり、電極は炭素である。
図5に示すように、好ましい実施形態では、16個の電極アレイが顎、頬、目、および眉の領域を覆うように構成され、一方、ユーザが自然な頭部および顔面の動きを行うことを可能にする。図示の実施形態では、電極0~2は顎の上部付近に配置されるように構成され、3~8は頬領域を覆い、9~11は目を囲み、12~15は眉の上に配置される。電極の他の配置も考えられる。
【0085】
sEMG信号の分析の実施形態では、sEMG信号のセット(観測値)
【数1】
が与えられると、tは時間であり、nは電極の数であり、それらは独立成分の線形混合として生成されると仮定することができる。
【数2】
ここで、Aは混合行列であり、
【数3】
は、筋肉によって生成される元の信号である。Aはサイズn×nの正方行列である。fastICAアルゴリズムのようなブラインド源分離アルゴリズムは、
混合観測
【数4】
から、元の信号
【数5】
を見つけるために適用することができる。
【数6】
ここで、W=A
-1は大きさn×nの非混合行列である。したがって、筋肉活動信号
【数7】
は、sEMG信号のセット
【数8】
および各電極におけるそれらの重みから識別することができる。一実施形態によると、MATLAB(登録商標)2.5パッケージ[Hyvarinen 1: Hyvarinen A,Karhunen JおよびErkki O,独立した構成成分の分析(John Wiley & Sons),2001]を用いたfastICAアルゴリズムは、顔面マッピングのための非線形適合で適用することができる。非線形適合は、例えば、多項式適合とすることができる。本発明者らによって実施された実験では3次多項式が使用されたが、他のパッケージおよび/または他の非線形関数が顔面マッピング、肢筋肉マッピングおよび胴体筋肉マッピングのために使用され得る。
【0086】
顔面マッピングのために、電極位置および逆非混合行列Wを使用して、各繰り返しにおける各顔較正表現のためのICパターンを別々に生成することができる。次いで、機械学習(例えば、クラスタリング)手順を適用して、ICパターンを分類し、特定の筋肉の活性化に特異的なマップ、または異なる筋肉の活性化が区別可能である複合マップを構築することができる。好ましい実施形態では、fastICAが抽出された出力成分の数に限定される必要はなく、電極の数と一致する数の成分をもたらす。本明細書の実施例において試験された装置について、16個の構成成分が見出され、16個の電極と一致した。
【0087】
本発明のいくつかの実施形態では、データ処理フローは以下の通りである。電極からの信号は、多次元sEMGデータを提供するためにデジタル化される。データは例えば、約50Hzのノッチまたはコムフィルタおよびバンドパスフィルタを用いてフィルタリングされる。典型的には、通過帯域は約5~約1000Hz、より好ましくは約20Hz~約500Hzであるが、他の帯域も考えられる。バンドパスフィルタは、好ましくは生理学的に関連するデータを含み、低周波および高周波ノイズを除去するために適用される。sEMG源は、任意選択的に、好ましくは、ブラインド源分離(例えば、fastICA)をデータに適用することによって計算される。これは、各sEMG源に対して1つのデータ構成成分である複数のデータ構成成分を提供する。
【0088】
データ成分は、任意選択的に、好ましくはデジタルベクトルとして表される。次いで、構成成分は、限定はしないが、クラスタリング手順などの機械学習手順を構成成分に適用することによって分類することができる。本発明者らによって実施された実験では、k平均法(k-means)クラスタリングが使用された。k平均法手順は、クラスタ内のすべてのデータ点からそれらの最も近いクラスタ中心までの距離の二乗の合計などの所定の基準を最小化するように、連続する反復シーケンスを使用する。k平均法手順は、クラスタの数を先験的に決定することができ、それによって手順の複雑さを低減するので、有利である。本発明のいくつかの実施形態では、k平均法手順が合計約5~約15個のクラスタについて実行される。グラフ理論に基づくクラスタリング手順、スケール空間クラスタリング、ハードまたはファジーC平均法(c-means)クラスタリング、最小スパニングツリークラスタリング、およびPottsスピンに基づくクラスタリング手順などの他のクラスタリング手順(階層的または区分的)も考えられるが、これらに限定されない。
【0089】
本発明の様々な例示的な実施形態では、クラスタリングが構成成分の時間信号特性およびスペクトル信号特性に従う。分類された構成成分は、次いで、ランドマークとして電極位置を使用して空間的にマッピングされ得る。本発明のいくつかの実施形態では、クラスタの重心が電極の接点の位置にわたって空間的に分解される。クラスタ重心はFBBと呼ばれる。好ましくは、マップが空間的に分解された重心の周りに活性化パターンをマーキングすることによって構築される。典型的には、パターンが、筋肉活性化が所定の許容範囲(例えば、約0.5~約3標準偏差の許容範囲)内で最大に達する位置で定義される輪郭を含む。
【0090】
顔面活性化の典型的な結果を、以下の実施例のセクションに示し、
図7A~Dに示すような顔面表情については
図6を参照されたい。
【0091】
図8A~D以下の実施例のセクションは、各被験体の側方写真に補間され、色分けされた(赤色は最高の筋肉活性化を示し、青色は最低)、筋肉活性化パターンのICマップを示す。IC輪郭は、ICマップにおける最大筋肉活性化位置からその最大値から1.5標準偏差を引いたものによって空間的に定義された。
【0092】
時間混合行列Wは、fastICAアルゴリズムが適用されるたびにその列の順序を変更することができる。本発明者らは、このような変化がクラスタリングを適用することによって解決できることを見出した。本発明者らによって実施された実験では、繰り返しおよび自発的表現にわたって、k平均法クラスタリング(k=8)を群類似のIC源に適用した。これは、コサイン距離メトリックを利用して、各列をその列と比較し、ここで、iおよびjは異なる反復または発現セグメントである。明示的には、
【数9】
ここで、
【数10】
は、それぞれ、(ベクトルとして扱われる)W
iでの列pとW
jでの列qとの間の距離および角度である。単一の群に類似のソースをクラスタリングすることに加えて、クラスタリングアルゴリズムは、各クラスタについて別個に重心のクラスタを計算した。これらの実施形態に関する実験結果は、以下の実施例の項に提供される(
図9A~Dを参照)。
【0093】
図10Aおよび10C以下の実施例のセクションは、16個の電極アレイに関連して、13人の被験者について10個の異なる群の導出されたクラスタを示す。
図10Bおよび10D以下の実施例のセクションは、10個のクラスタに対応するそれぞれのICマップを示し、被験者の顔の側面画像上に重ね合わせている。各々は、一貫した活性化源に対応する典型的なICである。
【0094】
重心(被写体全体)は、その群内のすべての輪郭を平均することによって、各群について計算することができる。これは
図11Aおよび11Bに示され、
図11Aおよび11Bは以下の実施例のセクションを示し、
図11Aは半顔面16個電極アレイレイアウト上のFBBを示し、
図11Bは、頭部の3Dモデル上のFBBを示す。
【0095】
いくつかの実施形態では、分類アルゴリズムが各自発的ICマップについて関連するFBBを導出するために、k-最近傍アルゴリズムに依存する。分類アルゴリズムは、(上記のクラスタリングアルゴリズムについて詳述したように)コサイン距離メトリックを利用することができる。好ましくは、重心からの距離値が所定の距離閾値未満で最も近い隣接するFBBが自発的IC源を構築するために分類される。
【0096】
本発明者らが実施した実験では、所定の距離閾値を0.35に設定した。これらの実験の結果を
図12Aおよび12Bに示す。
図12Aおよび12Bは以下の実施例のセクションを示し、
図12Aは顔の側面画像上に重ね合わされた自発的ICマップを示し、
図12Bは、16個の電極アレイに対する自発的ICマップを示す。
【0097】
各FBBは、単一の顔の表情(例えば、微笑み)において活性化されるか、または活性化されないかのいずれかであり得る。いくつかの実施形態では、FBBスコアが各参加者について別々に、そのカテゴリーにおける単一の顔の表情の数で割られた活性化発生の数として計算される。したがって、このスコアは、0(カテゴリー内の任意の単一の顔の表情では活性化されない)と1(そのカテゴリー内のすべての単一の顔の表情で活性化される)との間で変化する。
【0098】
図13A~D以下の実施例の節は、10個の同定されたクラスタI~Xのそれぞれについて、4人の被験者について得られたFBBスコアを示す。このスコア計算は、わずかな変更で筋肉内の部分的活性化を説明するために変更することができる。試験例については、微笑カテゴリーごとの分布におけるすべての正規化されたFBBのサマリーが
図14A~Dに示されている。平均および標準偏差計算からの外れ値の除去は、典型的には、Q
1が25%四分位数であり、Q
3が75%四分位数であるように、
【数11】
である場合に生じる。外れ値の除去のための範囲は、Q
1が10%~35%の範囲であり得、Q
3が90%~65%の範囲である。
【0099】
用語「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(having)」およびそれらの活用は「~を含むがそれに限定されない」を意味する。
【0100】
「~からなる」という語は、「~を含み、それに限定される」を意味する。
【0101】
「から本質的になる」という語は、組成物、方法または構造が追加の成分、工程および/または一部を含み得ることを意味するが、追加の成分、工程および/または一部が特許請求される組成物、方法または構造の基本的および新規な特徴を実質的に変更しない場合に限られる。
【0102】
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は文脈が明らかに別段の指示をしない限り、複数の参照を含む。例えば、用語「化合物」または「少なくとも1つの化合物」は、その混合物を含む複数の化合物を含むことができる。
【0103】
本出願を通して、本発明の様々な実施形態が範囲形式で示されてもよい。範囲形式での記述は、単に利便性と簡潔さのためのものであり、本発明の範囲に対する柔軟性のない制限として解釈されるべきではないことが理解されるべきである。したがって、範囲の記述は、その範囲内の個々の数値だけでなく、可能なすべての部分範囲を具体的に開示したものとみなされるべきである。例えば、1から6までのような範囲の記述は、1から3まで、1から4まで、1から5まで、2から4まで、2から6まで、3から6までなどのような部分範囲と、その範囲内の個々の数値、例えば、1、2、3、4、5、6などが具体的に開示されていると考えるべきである。これは範囲の広さに関係なく適用される。
【0104】
数値範囲が本明細書に示されるときはいつでも、示された範囲内で引用された任意の数値(小数または整数)を含むことを意味している。第1の表示番号と第2の表示番号との間の「範囲(ranging)/範囲(ranges between)」という表現、および第1の表示番号から第2の表示番号までの「範囲(ranging)/範囲(ranges from)」という表現は本明細書では互換的に使用されており、第1および第2の表示番号、ならびにその間のすべての小数および整数を含むことを意味している。
【0105】
明確にするために別々の実施形態の文脈で説明される本発明の特定の特徴は、単一の実施形態において組み合わせて提供されてもよいことが理解される。逆に、簡潔にするために単一の実施形態の文脈で記載されている本発明の様々な特徴は、別々に、または任意の適切なサブコンビネーションで、または本発明の任意の他の記載された実施形態において適切なものとして提供することもできる。様々な実施形態の文脈で説明される特定の特徴は、実施形態がそれらの成分なしに動作不能でない限り、それらの実施形態の本質的な特徴と見なされるべきではない。
【0106】
本明細書の上記で説明され、以下の特許請求の範囲のセクションで特許請求される本発明の様々な実施形態および態様は、以下の実施例において実験的確証を見出す。
【0107】
例
ここで、以下の実施例を参照するが、これらの実施例は上記の説明と共に、本発明のいくつかの実施形態を非限定的に例示する。
【0108】
電極アレイの試験では、左側(
図3)および右側(
図4)の半顔電極アレイを、特注のプリント回路基板(PCB)およびゼロ挿入力(ZIF)コネクタを使用して、増幅器ユニット(図示の例ではRHD2000増幅器ボード、Intan Technologies LLC)に接続した。システムの他の実施形態では、他の増幅器、回路基板、およびコネクタを使用することができる。好ましくは、増幅器が高い入力抵抗を有するユニポーラ増幅器である。
【0109】
試験では、軽度の皮膚洗浄および剥脱後に、13人のボランティア被験者(年齢:31.77±7.11歳;女性9人)の顔の右側にアレイを接着させた。市販の接地プレート電極(Natus Medical Incorporated;019-409100)を頸部の後部に配置した。アレイアプリケーションは、~2分かかり、記録された信号は、すべての参加者について16チャンネルすべてにおいて、~2分後に安定化した。
【0110】
いくつかの実施形態では、接地電極は皮膚に適用される感知デバイスの一部であるので、別個の接地電極は必要とされない。感知デバイスは、バイポーラである感知電極、非感知接地電極、およびそれらの任意の組合せを備えることができる。
【0111】
いくつかの実施形態では、接地コンタクトが、例えば、顔、耳、または他の身体部分上の追加の電極として、他の位置に配置される。いくつかの実施形態では、電極はバイポーラであり、接地電極は使用されない。接地電極は、使用される場合、試験に使用される電極である必要はない。接地電極としては、任意の市販または専用の電極を使用することができる。
【0112】
この試験では、LabVIEW2012または2017およびMATLAB(登録商標)R2015aを使用してソフトウェアコードを実装した。他の実施形態では、任意の市販のまたは専有の分析ソフトウェアを使用することができる。
【0113】
システムの試験において、
図3および
図4の電極アレイおよび関連するソフトウェアを使用する顔の表情の分析は、約1時間持続し、2つのステップ;自発的表情の較正ステップおよび異なる微笑タイプの自発的ステップを含む測定部分を有した。
【0114】
システムのテストでは、導入ステップで、ユーザは、4つの表現、すなわち、自発的微笑み(
図7A)、目を強制的に閉じる(
図7B)、眉をひそめる(
図7C)、唇をギュッと結ぶ(
図7D)のサンプルの写真およびテキストが示され、ユーザが較正および自発的ステップで示されるべき顔の表現を理解することを確実にする。各表現は、3秒間、続いて3秒間のギャップについて提示され、その間、ニュートラルな表現が示される。各表情は、自発的なステップの前に3回連続して提示され、3回後(合計6回の繰り返し)に提示される。
【0115】
実施形態の試験において、33のビデオが、ブランクスライドの7秒(総時間は15分23秒であった)だけ隔てられた自発的ステップ(持続時間範囲:5~39秒)の間に提示された。ビデオの数は1~100の範囲で、各ビデオの長さは5秒~10分の範囲である。1つのビデオ中に複数の表現を引き出すことができる。
【0116】
ユーザは、ビデオを見て自発的に反応するように指示された。さらに、ユーザは画面上に示される書かれたコマンドタスクに対する応答として顔の表情を実行するように指示された(例えば、「親友を見たかのように笑う」)。この段階は3つのタイプの場面を含んでいた:(1)面白いエピソード(すなわち、面白い)(N
f=16);(2)カメラに微笑んでいる個人(すなわち、模倣)(N
m=12);および(3)微笑むように書かれた指示(すなわち、命令)(N
c=5)。N
f,N
m、およびN
cはそれぞれ、5~30のレンジであり得、各表情のビデオの数は使用されるビデオの総数に依存する。好ましくは、数は異なるタイプの顔の表情についてほぼ同じである。
図8A~8Dは、顔のニュートラル画像上に重ね合わされた典型的な応答を示し、4つの表現、すなわち、自発的な微笑(
図8A)、目を強制的に閉じる(
図8B)、眉をひそめる(
図8C)、唇をギュッと結ぶ(
図8D)ための筋肉活性化パターンを示し、青色は低い応答の領域を示し、赤へのシェーディングは、有意な筋肉活性化を示す。自発的笑顔パターン(
図8A)および唇をギュッと結ぶパターン(
図8D)は、最も類似している。自発的微笑パターン(
図8A)および唇をギュッと結ぶパターン(
図8D)の両方について、最も強い筋肉活性化は、唇の近くの下頬領域にある。これらは目を強制的に閉じるパターン(
図8B)および眉をひそめるパターン(
図8C)とは明らかに異なり、前者は鼻付近の額において最も強い筋肉活性化を有し、後者は頬の上部において、目の外縁付近において最も強い筋肉活性化を有する。
【0117】
試験では、sEMGとビデオが後の評価のために同時に記録された。使用時には、sEMGのみが必然的に記録され、ビデオまたは他の視覚的記録も行うことができる。試験中の視覚的記録のために、ユーザは横方向に撮影された;これらの写真は、後の分析のためにニュートラルな顔の表情で撮影された画像を含んだ(ブラインド源分離アルゴリズムステップのために使用される)。
【0118】
この試験では、MATLAB(登録商標)R2017abおよびR2018bを用いてデータ分析を行った。sEMGデータは、3000サンプル/秒のサンプリング速度で記録された;サンプリング速度は、2000サンプル/秒~5000サンプル/秒の範囲であり得る。データは、20~500Hzの周波数範囲の50Hzコムフィルタおよびバンドパス4次バターワースフィルタを使用してフィルタリングされた。他の実施形態では、他のフィルタおよびフィルタリング周波数を使用することができる。適切な能力を有する任意の商業的または専有のデータ分析ソフトウェアを使用することができる例としては、HubSpot Analytics、Qlik、Alteryx、NumPy、Stata、PARI、Base SAS、SAS Enterprise Miner、HPE Vertica、およびSAS/STATが挙げられるが、これらに限定されない。
【0119】
sEMGセグメントは、以下のようにカットされた:較正ステップ:自発的タスク指示開始の3秒前および終了の3秒後。自発的ステップ:ビデオ開始の1秒前、ビデオ終了の6秒後。適応したfastICAを、各自発的顔の表情(6回の反復)のための16個の単一チャネルsEMGデータに、別々に、および各ビデオセグメントについて別々に適用した。他の実施形態では、異なる繰返し数の異なるプレステップ及びポストステップカット時間を使用することができる。プレステップおよびポストステップカット時間は0秒~20秒の範囲であり得、繰り返しの数はなし(少なくとも1回の繰り返しに対して1回)~20回の範囲であり得る。
【0120】
本明細書に開示される印刷された半顔面16個電極アレイは、顔の上側部分および下側部分の両方を覆うために高い電極間密度を有する。すべての参加者に対して同じ電極アレイレイアウトを使用した(N=13)。較正ステップでは、各参加者がリラックスした直立姿勢で座り、4つの自発的表現(コンピュータ画面上の写真およびテキストによって記述される)を実行するように指示された。典型的なsEMGの結果を
図6に示す;表現、すなわち、自発的な微笑み、眉をひそめる、目を閉じる、唇をギュッと結ぶ、を
図7A~Dに示す。これらの特定の表現は、それらが多数の筋肉を活性化することが知られているように選択される。
【0121】
図6は、単一の参加者(参加者MC8035)からの電極1、2、6、8、9、12、13および15から記録された単一チャネルsEMGデータを示す。自発的な微笑みおよび唇をギュッと結ぶことの両方が、電極1、2、6、8、9および15における振幅の上昇として見られる。眉をひそめるは主に電極12および13で記録され、目を閉じるは主に電極8、9、12、および13で明らかであった。
【0122】
図6中のデータは異なる表現間のいくつかの識別を明らかにし、強いクロストークは特定の筋肉活性化の同定を妨げ、fastICAアルゴリズムは特定の筋肉活性化をより良く同定するために使用され得る。源位置特定はまた、参加者間の解剖学的差異を識別することができる。電極位置および逆非混合行列Wを使用して、各繰り返しにおける各自発的な顔の表情についてのICマップを別々に明らかにすることができる(以下を参照されたい)。
図8A~Dは、較正ステップにおける1人の参加者の4つの導出されたIC源(プライマリ)を示す。プライマリICは任意の表現内のすべての反復において再発するものとして定義することができ、例えば、眉を収縮させると、すべての6回の反復において右眉の上および周囲の領域が活性化される(
図8B;赤色は最も高い筋肉活性化を示し、青色は最も低い)。
【0123】
図9A~Dは、較正ステップ(参加者MC8035)から計算され、クラスタ化されたIC源を示す。8クラスタ中7クラスタが提示された。クラスタは、ローマ数字によって番号付けられ、色分けされる(I-赤、II-オレンジ、III-黄、IV-明緑、VI-明青、VII-暗青、VIII-紫)。
図9Aは、各電極における正規化された非混合行列重み(クラスタ内のICの数)を示す。黒い破線は、各クラスタの正規化された重心を表す。
図9Bはクラスタ重心からの距離を示し、
図9Cは16個電極アレイレイアウト上の輪郭形成としてのIC源の空間表現を概略的に示し、
図9Dは、16個電極アレイレイアウト上のクラスタ重心の輪郭を概略的に示す。
【0124】
プライマリ供給源に加えて、fastICAはまた、(各電極における重み、非混合行列における列のセル、Wによって識別される)各表現のためのさらなる二次供給源を明らかにした。クラスタリングアルゴリズムは、繰り返しおよび自発的表現にわたって類似のIC源を群化する。
図9A-Cは単一の参加者(11のIC源が他のクラスタと重複する群にクラスタ化された)について、空間的にクリーンで分離可能な7つ(8個中)のクラスタ(I、II、III、IV、VI、VII、VIII)にクラスタ化された113個のIC源(124個中)を示す:24個のICは眉間の収縮タスクから導出されたものであり、21個は唇をぎゅっと閉じたものであり、33個は目を強制的に閉じたものであり、46個は自発的な微笑みタスクから導出されたものである。すべてのクラスタに対する各電極での正規化された非混合行列重みは、
図9Aに示される。各色は、異なるクラスタ(I-赤、II-橙、III-黄、IV-淡緑、VI-淡青、VII-濃青、VIII-紫)を表す。黒い破線は、クラスタの重心を示す。クラスタの重心からの源の距離を
図9Bに示す。
図9Cは、16個の電極アレイレイアウト上に等高線形成で上下にプロットされた113個のクラスタ化されたIC源(色分けされた)を示す。各IC輪郭は、ICマップにおける最大筋肉活性化位置からその最大値から1.5標準偏差を引いたものによって空間的に定義された。クラスタ重心輪郭は、
図9Dにおいて色分けされ、数字で符号化される。輪郭は、すべての較正タスク(自発的微笑み、強制的に目を閉じる、眉をひそめる、唇をぎゅっとむすぶ)から導き出され、表現固有ではない。第2の重要な点は以下に説明するように、いくつかの筋肉収縮が顕著な移動で現れるため、他のものよりも一貫性がはるかに低いと思われる源が少ないことである。
【0125】
システムの試験では、上記の数学的スキームを、試験における13人の参加者の各々について繰り返し、導出されたクラスタを一緒に群化した。この手順は、10個の異なるクラスタ(
図10Aおよび10Cにおいてローマ数字I~Xによって番号付けされる)をもたらした。
図10A及び10Cはすべての個人(色分けされた)の重心クラスタ輪郭を要約し、例えば、クラスタIは、較正ステップ中に源Iが活性化された8人(13人の参加者のうち)を示す。
図10Aおよび10C中の各輪郭は、個々の個人ごとに導出された、すべてのIC輪郭の重心である。ほとんどの重心クラスタは参加者間で極めて一貫しているが、少数はより散在しているように見えることに留意することが重要である。明確にするために、
図10Bおよび
図10Dは、異なる個人についての対応するマップの10例を示す。これらの結果をまとめると、
図11Aおよび
図11Bは、それぞれ、16個の電極アレイレイアウトの上部および3Dヒトモデル上の重心を示す。ここで、各輪郭は同じクラスタのすべての輪郭の平均であり、例えば、赤い輪郭は
図10Aおよび10Cに示されるように、群Iのすべての8つの重心輪郭の中心である。
【0126】
この試験において、10個の一貫したFBBが見出された(
図13A~Dおよび表1)。いくつかのFBは二分法パターンを形成し、いくつかの参加者(5人以上)でいくつかの表現で活性化し、それ以外では欠落(5人未満)であった。強制的に目を閉じるおよび眉をひそめるは、ビルディングブロックIII、VII、およびVIII(顔の上部)を一貫して活性化させた。自発的な微笑み、唇をぎゅっと結ぶは、ビルディングブロックIVおよびVI(顔の下部)を活性化させた。ビルディングブロックIIおよびIXは、自発的な微笑み、強制的に眼を閉じるにおいて活性化した(眼領域)。最後に、FBBを特定の筋肉(およびそれらのセクション)と関連付けることを、それらの空間内の位置およびそれらの機能性に基づいて行った。例えば、FBB IおよびXは、それぞれ、大頬骨筋および小頬骨筋と関連していた。FBB IIとIXは眼輪筋の下眼窩前部と下側部に連結していた。FBB IVは、微笑みの間、13人の参加者全員で活性化された。FBB IVの詳細な観察により、2つの活性化パターンが明らかになった:大頬骨筋活性化のみ(13例中6例)または2つの領域の同時活性化:大頬骨筋(下面)および眉間筋(上面)(13例中7例)(
図10Bおよび10D)。FBB IVの重心の平均計算は、単一の活性化源をもたらした(
図11A~Bおよび表1)。FBB IVに関するさらなる議論は、以下に見出される。
【0127】
較正ステップ中に特定の(十分に分離された)FBBを活性化した参加者の数(13名中)。顔面筋を各FBBについて同定した。10個のFBBは、ローマ数字(I-X)で示されている
【表1】
個々のFBBマッピング(
図9)および共通のFBBマッピング(
図10~11)を導出するための客観的なプロセスでは、これらのマップを使用して、自発的微笑みにおけるFBB活性化を識別することができる。試験では、最初の試験からの13人の参加者に、一連の33の短いビデオを見るように指示した。実験には、(1)面白いエピソード(すなわち、面白い)、(2)カメラに微笑んでいる個人(すなわち、模倣)、および(3)微笑むための書面による指示(すなわち、コマンド)の3つのビデオタイプが含まれた。笑っている間に活性化された多数の筋肉のために、自発的データから識別されたIC源は、較正段階で観察されたクリーンなFBBではほとんどなかった。むしろ、それらは多くの場合、いくつかのFBBの組み合わせであった(
図12A~B、
図12Aはユーザの顔上に重ねられたICマップを示し、
図12Bは16個電極アレイに対するICマップを示す)。上記に開示された各ICマップの関連FBを導出する分類アルゴリズムを、微笑みに適用した。各ビデオセグメントはいくつかのICから構成され、言い換えれば、各ビデオセグメントは、いくつかのFBBによって幾何学的にスパンされた。これらのFBBは、各ビデオセグメントについて別々に保存された。
図13A~Dは3つの自発的ステップカテゴリー(コマンド、面白い、および模倣)および較正ステップにおける4人の個体(MC8035、MA8036、MD8040、およびRI8042)についてのFBBの正規化ヒストグラムを示す。各個体は、微笑みカテゴリーとは無関係で一貫した、しかし別個のシグネチャを有し、いくつかのFBBは、1のスコアを示し(FBB IVおよびX)、他は被験者特有であるスコアを示す(例えば、FBB IXおよびV)。
【0128】
すべての13個体について、カテゴリーごとのすべての正規化されたFBB分布の概要が
図14A-Dに示されている。結果は、微笑みカテゴリー間で一致する典型的な(平均)FBB活性化パターンを示す。この試験では、コマンドまたはキャリブレーションの微笑みのような、微笑み間に差異は見られなかった。具体的には、FBB IVおよびXがすべてのカテゴリーにおいてほぼ1のスコアを有したが、FBB VIII、VIIおよびIIIはほぼ0のスコアを有した(面白いカテゴリーを除く)。他のFBBはより多様であり、個体間の差がより大きかった。これらの結果は大頬骨(FBB IVまたはI)および眼輪(例えば、FBB IIまたはIX)を一緒に含む微笑み(例えば、デュシェンヌ微笑)が、自発的(spontaneously)および自発的(voluntarily)の両方で生成され得ることを示唆している。さらに、大頬骨を単独で活性化する微笑(非デュシェンヌ微笑など)も、意図的かつ自発的に作り出すことができる[Krumhuber E GおよびManstead A S R, デュシェンヌ微笑を装うことはできるか、感じられた微笑と偽りの微笑に関する新しい証拠。Emotion 9 807-20、2009;Maringer M, Krumhuber E G、Fischer A H and Niedenthal P M、笑顔を超えるダイナミクス:笑顔の擬態と思い込み、Emotion 11 181-7,2011; Rychlowska M, Canadas E、Wood A, Krumhuber E G、Fischer AおよびNiedenthal P M、模倣をブロックする、真実および虚偽の微笑みが同じように見える、ed M Iacoboni PLoS One 9e90876、2014]。明示的に、FBBII、下眼窩前眼輪筋の平均スコアは面白い笑顔で0.66、意図的な笑顔0.79および0.8である(それぞれ、較正ステップおよびコマンド笑顔)。これらの結果はまた、各人の微笑みパターンの個々の性質と、非侵襲的な方法で前例のない解像度で、それを明らかにする我々の技術の能力を強調する。
【0129】
顔面活性化のために、本発明のシステムは、自発的な顔面活性化からsEMG IC源を識別し、クラスタリングすることができ、参加者が自分の頭部および顔を自由に動かすことを可能にしながら、それらを一貫して分類することができる。
【0130】
顔面活性化のために、システムは10個の別々の活性化FBBをロバストに識別し、それらを6つの顔面筋肉およびそれらのセクションに関連付けることができる。微笑みの特徴は、眼口蓋裂の有無にかかわらず、大頬骨の活性化を含む微笑みの種類の間で類似している。
【0131】
別の試験では、統計分析と組み合わされた高分解能電極アレイが様々な収縮レベルでの複雑な前腕筋活動のロバストな分類を可能にした。
【0132】
高分解能電極アレイ2000を使用して、前腕からsEMGを記録した(
図15)。
【0133】
電極応答の重み付けの精度を改善するために、スプリングに対する中指屈曲のために、力ゲージ2100を使用して、指屈曲中の筋肉収縮レベルを測定した。
【0134】
図15に示すように、この試験では、15個の電極のアレイを指屈筋の上に配置し、Intan RHD2000増幅器に接続した。
図15Aは指屈筋を示し、
図15Bは、前腕上の装置を示す。電極(2000)を前腕に接着し、指屈曲中の筋肉収縮レベルを力計(2100)を用いて測定した。他の実施形態では、適切な増幅および適切な電力範囲を有する任意の市販または独自の増幅器を使用することができる。
【0135】
図16は、電極アレイ内の電極によって記録された典型的な結果を示す。
【0136】
図17A~Bは異なるレベルの作用力における収縮指屈筋の独立した構成成分を示し、
図17Aは0.4Nの力についての結果を示し、
図17Bは、0.7Nの力についての結果を示す。着色領域は、特定の活性化源に関連する。他のICはノイズを含む。
【0137】
筋単位活動電位(MUAP)活性は、ICAを適用した後に検出することができる。
図18Aは、0.5Nの力の下で屈曲を行っている間のMUAPパルス列を有する2つの構成成分を示す。
図18Bおよび表2は、パルス周波数(MUAP率(MR))と力との間の線形関係を示す[Kallenberg L A CおよびHermens HJ、筋肉活性化レベルの尺度として、表面筋電図から推定された運動単位活動電位率の挙動、J Neuroengineering Rehabil. 3、 2006]。雑音のあるデータから生理学的に興味深い成分を分離するために、上述のように、バイナリ分類器が構築され、これは、各独立成分のテンポスペクトルパラメータを使用してsEMGデータを規定する。
【表2】
【0138】
図19A~Bは、各ICのテンポスペクトルパラメータを使用してsEMGデータを適格にするバイナリ分類器を構築することによって、雑音の多いデータから生理学的に興味深い成分を分離することを示す。破線の曲線は分類器である。SNRは、信号対雑音比である。AUCは、周波数範囲内のスペクトルの曲線下面積である。この例では、範囲は105Hzから145Hzである。
【0139】
分類されたIC(筋肉活動源)は、類似性メトリックを用いて分類された。それらは、それらのfastICA混合行列にしたがって、電極位置にマッピングされた。
【0140】
図20は、0.2N、0.4Nおよび0.7Nの力に対する指屈曲の屈筋の活性化を示す。
【0141】
前腕の屈筋(橈側手根屈筋、長母指屈筋、浅指屈筋、深指屈筋、尺側手根屈筋、円回内筋、および長掌筋)を利用する一連の作業を考慮すると、電極によって覆われた領域にわたって抽出された独立成分の空間分布を示すことが可能である。
【0142】
図21A~Cは、16個の電極にわたって分布され、コサイン距離k平均を使用して10個のクラスタに分類された正規化された重みとして、異なる屈曲タスクから抽出された独立成分を示す。
【0143】
【0144】
図23Aは、代表的な等高線を使用して、電極によって覆われた領域上に投影された10個の独立した構成成分クラスタを示す。
【0145】
【0146】
【0147】
図24A-Dに示されるように、抽出されたICは電極アレイ配向に対して不変であり、
図24A~Bおよび
図24C~Dに示されるように、活性領域は類似したままである。
【0148】
本実施形態のシステムは、半顔面または両側、例えば、顔面の片側のみまたは両側で使用することができ、同様に、電極は胴体の一部の片側または両側に、および片側または両側に取り付けることができる。
【0149】
本実施形態のシステムは、筋肉疲労を判定するため、パフォーマンストレーニングのため、リハビリテーションのため、筋肉痛を判定するため、およびそれらの任意の組み合わせのために、スポーツにおいて使用することができる。パラメータ、例えば、非限定的な例では、痛みが少なくとも1つの所定の限界外にある場合、警告を提供することができる。警告は、視覚的に、聴覚的に、または触覚的に提供することができ、ユーザに、別の人に、データベースに記憶されて、およびそれらの任意の組合せに提供することができる。
【0150】
本発明のシステムは、リハビリテーション理学療法およびそれらの任意の組み合わせの間、顔面対称性の改善のために、形成外科手術に関連して使用することができる。この場合も、パラメータが少なくとも1つの所定の限度外にある場合、警告を与えることができる。警告は、視覚的に、聴覚的に、または触覚的に提供することができ、ユーザに、別の人に、データベースに記憶されて、およびそれらの任意の組合せに提供することができる。
【0151】
本発明のシステムは、ブラキシズムおよびそれらの任意の組み合わせを識別するために、バイオマーカーとして、薬物毒性を決定するために使用することができる。顔面変化は、疾患、脳卒中、麻痺、脳損傷、脳腫瘍、およびそれらの任意の組み合わせのマーカーであり得る。
【0152】
本発明のシステムは、神経リハビリテーションにおいて、ならびに歩行の特徴付け、脳卒中後および脊髄損傷後の運動回復の評価、痙縮評価、バイオフィードバックおよび「重篤なゲーム」、筋相乗作用の研究、プロテーゼ、外骨格およびロボットの制御、ボディマシンインターフェース、神経制御戦略の非侵襲的抽出、筋肉疲労、痙攣の筋電的発現、ならびにそれらの任意の組合せのために使用することができる。
【0153】
本発明のシステムは、外科的介入の前、間、または後に使用することができる。
【0154】
本実施形態の電極セットは、ステッカー、一時的タトゥ、または身体の特定の部分に配置することができる任意の他の柔らかい接着電極の方法とすることができる。好ましくは、電極セットが身体に一時的に接着される。いくつかの実施形態では、電極セットが1週間までの期間、身体上で機能的なままであり得る。
【0155】
いくつかの実施形態では、検出された筋肉活性化がロボットまたはスマート家電を制御するために使用され得る。
【0156】
電極セットと、分析ソフトウェアを備えるシステムとの間の接続は、有線であっても無線であってもよい。好ましくは、接続は無線である。
【0157】
本システムの他の実施形態は、コロナウイルス疾患2019(COVID-19)、肺炎、およびインフルエンザなどであるが、これらに限定されない、呼吸機能および心血管機能に影響を及ぼす疾患を有する患者の家庭ベースのモニタリングを提供することができる。
【0158】
そのような実施形態では、システムが自宅または専用の検疫センターで検疫されている間など、疾患の初期段階における患者の呼吸および心臓の測定値を監視するための遠隔測定装置を備える。装置は、患者の呼吸および心血管機能の少なくとも1つが悪化し始める時点で、疾患の軽度から重度の症状への移行について警告を提供するように設計される。本技術は、リアルタイムデータを提供して、非限定的な例として、遠隔患者を病院に移すか、または病院内の患者を集中治療病棟に移すなど、より積極的な治療を提供するかどうかの決定において臨床医を支援することができる。
【0159】
そのような実施形態の適用例は、世界中の医療システムに多大な負荷をもたらすパンデミックであるCOVID-19によって提供される。疾患の臨床スペクトルは、無症候性から重症急性呼吸窮迫症候群(ARDS)などの呼吸不全を伴う状態まで様々であり、これは、集中治療室(ICU)における機械的換気および支持を必要とする。ARDSは、誘発事象の数時間から数日以内の急性息切れ(呼吸困難)および血液中の酸素欠乏(低酸素血症)の発症を特徴とする。ARDSの身体所見はしばしば非特異的であり、異常な急速呼吸(頻呼吸)および心拍(頻脈)を含む。発熱は心拍数を増加させる可能性があるが、重度の呼吸困難を伴うが、中等度または欠如することさえある。さらに、心血管の関与は特に、これに限定されないが、既存の心血管疾患を有する患者においても報告されている。COVID-19は、心筋傷害、心筋炎、不整脈および静脈血栓塞栓症を含む複数の直接的および間接的心血管合併症と関連している(確認されたコロナウイルス疾患を有する患者の管理のための中間臨床ガイダンス(COVID-19)。疾病管理予防センターwww(dot)cdc(dot)gov/coronavirus/2019-ncov/hcp/clinical-guidance-management-patients(dot)html(2020))。Chinese Center for Disease Control and Prevention (CDC)は、COVID-19の臨床症状を重症度別に分けて報告している:軽度、非、および軽度の肺炎が81%の症例を占め;30サイクル/分を超える呼吸頻度増加を伴うARDSの発症を特徴とする重症の症例が14%の症例で発生し;重症の症例が5%の症例で呼吸不全、敗血症性ショック、および/または多臓器機能不全を特徴とする症例が発生した。他の報告では、COVID-19と肺炎が確認された患者の半数以上が発症後5~13日で呼吸困難を発症し、ARDSが入院患者の17%~29%で発症することが示唆されている(Kangelaris, K. N. et al.急性呼吸窮迫症候群の成人における挿管のタイミングと臨床転帰、Crit.Care Med.44、120-129(2016))。重度のコロナウイルス症例は、若年および中年の成人、高齢の成人、高齢者、および慢性の健康状態を有する者において報告されているが、ARDSをもたらす突然の減少のリスクが最も高い。これは、疾患の重要な段階であると思われる。その点から、後期挿管が死亡率の増加と関連しているため(Cabral,EE. A.et al.健康な被験者の横隔膜外呼吸筋の表面筋電図(sEMG):系統的レビュー、J.Electromyogr.Kinesiol、42、123-135(2018))、呼吸機能の急速な悪化(Cascella,M.,Rajnik,M.,Dulebohn,S.C.&Di Napoli, R.機能、評価、治療 コロナウイルス(COVID-19)、(StatPearls Publishing LLC,2020))、および挿管および機械的人工呼吸のためのタイミングがあり得る。診断されると、軽度の臨床症状を有する患者は、自宅または専用の検疫センターで検疫される。したがって、呼吸機能および心血管機能を遠隔で監視し、悪化の早期徴候を検出し、患者を病院または他のより集中的なケア施設に移すかどうか、およびいつ移すかを決定する臨床医を支援することは極めて重要である。
【0160】
呼吸筋は、十分な換気およびガス交換を行うために不可欠である。呼吸筋の収縮は、肺への空気の流入をもたらす負圧勾配を作り出す。横隔膜は吸気および呼気に寄与するいくつかの他の筋肉と共に、吸気プロセスの最大部分を行う(Gibson,G.J.et al. ATS/ERS 呼吸筋検査に関するATS/ERSステートメント、Am.J.Respir.Crit.Care Med.166、518-624(2002))。EMGシグナルを分析して、呼吸筋を含む神経筋系の正常および異常機能を決定することができる(Luo,Y.M.&Moxham,J.COPD患者の神経呼吸ドライブの測定、Respir.Physiol.Neurobiol.146、165-174(2005))。
【0161】
呼吸筋のEMGモニタリングは、様々な臨床的および実験的シナリオにおいて評価されている。従来、患者が飲み込む多対食道電極カテーテル(経食道EMGdi;esEMGdiとも呼ばれる)を用いて、横隔膜筋電図(EMGdi)活性を定量化してきた(Wu,W.et al.安定した COPD 患者におけるトレッドミル運動中の表面呼吸筋電図と経食道横隔膜筋電図測定の相関と適合性、Int.J.COPD 12、3273-3280(2017))。この技術は侵襲的であり、EMGdi検出中に不快感をもたらす。さらに、患者が経験する複雑な動作および不快感は、フォローアップ来院を減少させ、損失率を増加させる。一方、上述のように、sEMGは、処置に関連する疼痛を減少させ、患者のコンプライアンスを増加させ、連続的なモニタリングを提供することができる。さらに、横隔膜(sEMGdi)、胸骨傍肋間筋(sEMGpara)、および胸鎖乳突筋(sEMGsc)から記録された表面吸気EMG活動は、esEMGdiと密接に関連している。したがって、呼吸筋活動の表面測定は、COVID-19に示されるような、息切れおよび呼吸障害を検出する信頼できる方法である。しかしながら、従来技術では、sEMGが依然として、臨床医または他の正式な医療設定の存在を必要とした。
【0162】
さらに、COVID-19は心臓血管系にも意味を有するので、ECGにおけるような心臓の継続的なモニタリングは疾患進行の重症度を評価するために重要であり得る。
【0163】
sEMG信号を測定する例示的な実施形態を
図26に示す。この例示的な実施形態では、8チャネル多電極アレイを胸骨の下に配置した。ユーザは20秒間息を止め、続いて、8回の深呼吸及び1回の浅呼吸を行う。
【0164】
図27Aは信号を示し、
図27Aは記録された電極0~7の差動信号を示し、
図27Bは、sEMGdiの平滑化信号を示す。EMG信号は、心臓のECGと重複する。
【0165】
ECGを測定する例示的な実施形態が
図28A~Bに示されている。この例示的な実施形態では、8チャネル多電極アレイを胸部の左側に配置した(
図28A)。
図28Bは、単一チャネルからの記録されたECG信号を示す。
【0166】
sEMGデータおよびECGデータは上記で開示したように分析することができ、警告は典型的には遠隔位置であるが、いくつかの実施形態では局所位置で、心臓機能データおよび筋肉機能データのうちの少なくとも1つが、上記で論じたように、疾患の重症度の増加およびさらなる介入の必要性を示す変化を示すような時間に提供することができる。
【0167】
本発明をその特定の実施形態と併せて説明してきたが、多くの代替形態、修正形態、および変形形態が当業者には明らかであろうことは明白である。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲の精神および広い範囲内にあるそのような代替、修正、および変形のすべてを包含することを意図している。
【0168】
本明細書において言及されるすべての刊行物、特許、および特許出願は参照により本明細書に組み込まれるべきであると言及されたときに、個々の刊行物、特許、または特許出願が具体的かつ個別に示されたかのように、参照によりその全体が本明細書に組み込まれることが出願人の意図である。加えて、本出願における任意の参考文献の引用または同定は、そのような参考文献が本発明の先行技術として利用可能であることの承認として解釈されるべきではない。節の見出しが使用される限りにおいて、それらは、必ずしも限定するものとして解釈されるべきではない。加えて、本出願の任意の優先権書類は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【国際調査報告】