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特表2023-521596除草剤としてのピリダジノン誘導体のアトロプ異性体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-25
(54)【発明の名称】除草剤としてのピリダジノン誘導体のアトロプ異性体
(51)【国際特許分類】
   A01N 43/58 20060101AFI20230518BHJP
   A01P 13/00 20060101ALI20230518BHJP
   C07D 237/16 20060101ALI20230518BHJP
   A01M 21/04 20060101ALI20230518BHJP
【FI】
A01N43/58 C
A01P13/00
C07D237/16 CSP
A01M21/04 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022559526
(86)(22)【出願日】2021-03-31
(85)【翻訳文提出日】2022-11-17
(86)【国際出願番号】 US2021025240
(87)【国際公開番号】W WO2021202787
(87)【国際公開日】2021-10-07
(31)【優先権主張番号】63/003,888
(32)【優先日】2020-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391022452
【氏名又は名称】エフ エム シー コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】FMC CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・ポール・セルビー
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ロビンズ・デバーグ
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・マーティン・スティーヴンソン
(72)【発明者】
【氏名】スティーヴン・フレデリック・マッカン
【テーマコード(参考)】
2B121
4H011
【Fターム(参考)】
2B121AA19
2B121CC05
2B121EA26
2B121FA20
4H011AB01
4H011BA01
4H011BB09
4H011BC03
4H011BC06
4H011BC07
4H011BC09
4H011BC18
4H011BC19
4H011BC20
4H011DA02
4H011DA03
4H011DA14
4H011DA15
4H011DA16
4H011DH02
4H011DH03
4H011DH14
(57)【要約】
本開示は、式1a及び式1bの化合物のピリダジノン誘導体のアトロプ異性体、それらのN-オキシド若しくは塩を提供し、式中、R、R、R、R及びRは、本開示において定義されている。また開示されているのは、式1a又は1bの化合物を含有する組成物、及び望まれない植生又はその環境と有効量の式1a若しくは1bの化合物又はその組成物とを接触させることを含む、望まれない植生を防除するための方法である。また開示されているのは、式Iの化合物を調製するための方法である。
【化1】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式1a及び式1bのアトロプ異性体、全ての立体異性体、それらのN-オキシド及び塩から選択される光学活性化合物、これらを含有する組成物、並びに除草剤としてのそれらの使用であって、
【化1】

式中、
は、Me又はハロゲンであり;
は、CH、CHCH、ハロゲン、トリフルオロメチル又はジフルオロメトキシであり;
は、水素、CH又はハロゲンであり;
は、水素、CH又はハロゲンであり;
は、水素、C~Cアルキルカルボニル、C~Cアルコキシカルボニル又はC~Cアルキルカルボキシメチルであり;
ここで、
式1a又は1bの前記アトロプ異性体、それらのN-オキシド若しくは塩は、その対応するエナンチオマー、又はそれらのN-オキシド若しくは塩を超えて存在する、光学活性化合物、これらを含有する組成物、並びに除草剤としてのそれらの使用。
【請求項2】
その対応する式1bのエナンチオマー、又はそれらのN-オキシド若しくは塩を超えて存在する、式1aの化合物のアトロプ異性体、又はそれらのN-オキシド若しくは塩を含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が、Cl又はCHであり;
が、CH又はジフルオロメトキシであり;
が、CH又はHであり;
が、Hであり;
が、H又は-(C=O)CHCHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
が、Clであり;
が、CHであり;
が、CH又はHであり;
が、Hであり;
が、H又は-(C=O)CHCHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
が、Clであり;
が、CHであり;
が、CHであり;
が、Hであり;
が、Hである、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
その対応する式1のエナンチオマー、又はそれらのN-オキシド若しくは塩を超えて存在する、式1bの化合物のアトロプ異性体、又はそれらのN-オキシド若しくは塩を含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
プラス(+)の回転値を有する、請求項1~6のいずれかに記載の化合物。
【請求項8】
マイナス(-)の回転値を有する、請求項1~6のいずれかに記載の化合物。
【請求項9】
1つのアトロプ異性体が、前記対応するエナンチオマーより除草的に活性である、請求項1~6のいずれかに記載の化合物。
【請求項10】
式1a又は1bの化合物を調製するための方法であって、
【化2】

式中、
は、CH又はハロゲンであり;
は、CH、CHCH、ハロゲン、トリフルオロメチル又はジフルオロメトキシであり;
は、H、CH又はハロゲンであり;
は、H、CH又はハロゲンであり;
は、H、C~Cアルキルカルボニル、C~Cアルコキシカルボニル又はC~Cアルキルカルボキシメチルであり;
1)キラル支持クロマトグラフィーカラム上へと式1a及び1bのアトロプ異性体を含む式1の化合物のラセミ混合物を充填し、移動相で溶出することと;
2)異なる保持時間を伴って2つの別々の画分を単離することであって;1つは、正の旋光度値[α](+)を有するアトロプ異性体を含有し、1つは、負の旋光度値[α](-)を有するアトロプ異性体を含有することと
を含む、方法。
【請求項11】
が、Cl又はCHであり;
が、CH又はジフルオロメトキシであり;
が、CH又はHであり;
が、Hであり;
が、H又は-(C=O)CHCHである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
が、Clであり;
が、CHであり;
が、CH又はHであり;
が、Hであり;
が、H又は-(C=O)CHCHである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
が、Clであり;
が、CHであり;
が、CHであり;
が、Hであり;
が、Hである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
請求項1~9のいずれかに記載の化合物、並びに界面活性剤、固体賦形剤、及び液体賦形剤からなる群から選択される少なくとも1種の構成要素を含む、除草性組成物。
【請求項15】
請求項1~9のいずれか1項に記載の化合物、他の除草剤及び除草剤毒性緩和剤からなる群から選択される少なくとも1種のさらなる活性成分、並びに界面活性剤、固体賦形剤及び液体賦形剤からなる群から選択される少なくとも1種の構成要素を含む、除草性組成物。
【請求項16】
(a)請求項1~9のいずれかに記載の化合物、及び(b)少なくとも1種のさらなる活性成分を含む、除草性混合物。
【請求項17】
望まれない植生又はその環境と除草的有効量の請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物とを接触させることを含む、前記望まれない植生の成長を防除するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ある特定のピリダジノン誘導体の立体異性体、それらのN-オキシド、塩及び組成物、並びに望ましくない植生を防除するためのそれらの使用の方法に関する。さらに具体的には、本開示は、ある特定のピリダジノン誘導体のアトロプ異性体、それらのN-オキシド、塩及び組成物、並びに除草剤としてのそれらの使用の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
望ましくない植生を防除することは、高い収穫効率を達成するには、極めて重要である。なかんずく、特にたとえば、イネ、ダイズ、テンサイ、トウモロコシ、ジャガイモ、コムギ、オオムギ、トマト、及びプランテーション作物のような有用な作物の中での雑草の増殖の選択的な防除を達成することは、極めて望ましい。そのような有用な作物の中での雑草の増殖を放置することは、生産性を著しく低下させ、それによって、消費者に対してコスト上昇をもたらす原因となりうる。非耕作地における望ましくない植生の防除もまた重要である。これらの目的のために、多くの製品が市場で入手可能ではあるが、効果がより高く、コストがより低く、毒性がより低く、環境的により安全であるか、又は異なった作用機構を有する新規な化合物が、依然として必要とされている。
【0003】
特許文献1及び特許文献2は、除草性ピリダジノン、及び除草性ピリダジノンを調製するために使用される合成中間体について開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2015/168010号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2017/074988号パンフレット
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、式1a及び式1bの化合物のピリダジノン誘導体の光学活性なアトロプ異性体、それらのN-オキシド若しくは塩を提供する;式1の化合物は、式1aのアトロプ異性体及び式1bのアトロプ異性体のラセミ混合物である。
【化1】

式中、
は、CH又はハロゲンであり;
は、CH、CHCH、ハロゲン、トリフルオロメチル又はジフルオロメトキシであり;
は、H、CH又はハロゲンであり;
は、H、CH又はハロゲンであり;
は、H、C~Cアルキルカルボニル、C~Cアルコキシカルボニル又はC~Cアルキルカルボキシメチルであり;
ここで、
式1a又は1bのアトロプ異性体、それらのN-オキシド若しくは塩は、その対応するエナンチオマー、又はそれらのN-オキシド若しくは塩を超えて存在する。
【0006】
別の態様において、本開示は、式1a又は1bの化合物を調製するための方法を提供し;
【化2】

式中、
は、CH又はハロゲンであり;
は、CH、CHCH、ハロゲン、トリフルオロメチル又はジフルオロメトキシであり;
は、H、CH又はハロゲンであり;
は、H、CH又はハロゲンであり;
は、H、C~Cアルキルカルボニル、C~Cアルコキシカルボニル又はC~Cアルキルカルボキシメチルであり;
この方法は、
1)キラル支持クロマトグラフィーカラム上へと式1a及び1bのアトロプ異性体を含む式1の化合物のラセミ混合物を充填し、移動相で溶出することと;
2)異なる保持時間を伴って2つの別々の画分を単離することであって;1つは、正の旋光度値[α](+)を有するアトロプ異性体を含有し、1つは、負の旋光度値[α](-)を有するアトロプ異性体を含有することと
を含む。
【0007】
発明の詳細な説明
本明細書で使用するとき、「含む」(「comprises」、「comprising」、「includes」、「including」、「contains」、「containing」)、「有する」(「has」、「having」)、「を特徴とする」(「characterized by」)という用語、又はそれらの各種変化形は、明示的に指示された各種の制限に従った、非排他的な包含をカバーすることを意図している。たとえば、任意の要素を含むプロセス又は方法は、必ずしもそれらの要素のみに限定されることはなく、そのような組成、プロセス、又は方法に明示的に指示されなかったり、或いは固有でなかったりする、他の要素も含むことができる。
【0008】
転換句(transitional phrase)の「からなる(consisting of)」は、特定されていない、いかなる要素、ステップ、又は成分も排除する。特許請求項において、請求項が、不純物は別として、引用されたものとは異なる物質を包含するようにして閉じているのなら、通常、それと関連している。「consisiting of」という文言が、前文の直後というよりは、請求項の主要部の条項の中に現れている場合には、それは、その請求項の中で言及された要素のみを限定する;その他の要素は、全体として、その請求項から排除されることはない。
【0009】
転換句の「から実質的になる(consisting essentially of)」は、文言として開示されたものに加わるが、ただし、これらの追加の物質、ステップ、構成、成分、又は要素が、その開示の、基本的且つ新規な特性に、大きく影響することはないという場合の、物質、ステップ、構成、成分、又は要素を含む、プロセス又は方法を定義するのに使用されている。「consisting essentially of」という用語は、「comprising」と、「consisting of」の中間を占めている。
【0010】
出願人が、開示又はその一部を、たとえば「comprising」のようなオープンエンド用語で定義した場合には、(そうではないとの記述がない限り)、その記述は、「consisting essentially of」又は「consisting of」の用語を使用しているそのような開示もまた記述していると解釈するべきであるということは容易に理解されるべきである。
【0011】
さらに、それとは反対に、明示的に記述されていない限り、「又は(or)」は、包括的な「or」を指すのであって、排他的「or」を指すのではない。たとえば、条件「A又はB(A or B)」は、以下のいずれかにより満足される:Aが真であり(又は存在し)且つBが偽である(又は存在しない)、Aが偽であり(又は存在しない)且つBが真である(又は存在する)、並びに、AとBの両方が真である(又は存在する)。
【0012】
さらに、本開示の要素又は成分に先行する、不定冠詞の「a」及び「an」は、その要素又は成分の場合(すなわち、出現)の数に関しては非限定的であるものとする。したがって、「a」及び「an」は、1つ、又は少なくとも1つを含むと読み取るべきであり、そしてその要素又は成分のそのような単数の語形には、その数が単数を意味していることが明らかではない限り、複数もまた含まれる。
【0013】
用語「C~Cアルキル」は、1~4個の炭素原子を有する直鎖状又は分岐状アルキル、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル又は異なるブチル異性体を含む。本明細書において使用する場合、用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素を含む。用語「C~Cアルキルカルボニル」は、本明細書において使用するように、カルボニルを介して結合しているC~Cアルキルを指す。用語「C~Cアルコキシカルボニル」は、カルボニルを介して結合しているC~Cアルコキシ基を指す。用語「C~Cアルキルカルボキシメチル」は、-CH-基を介して結合している(C~Cアルキル)C=O基を指す。
【0014】
式1a及び式1bの化合物は典型的には、異なる固体形態で独立に存在することができる。このように、式1a及び式1bの化合物は、化合物が表すそれらの全ての結晶形態及び非結晶形態を含む。非晶性の形態には、固体である実施形態たとえばワックス及びゴム、さらには液体である実施形態たとえば溶液及び溶融物が含まれる。結晶性の形態には、実質的に単結晶タイプを表す実施形態、及び多形の混合物(すなわち、複数の結晶性タイプ)を表す実施形態が含まれる。「多形(polymorph)」という用語は、各種の結晶性の形態で結晶化することが可能な、化合物の特定の結晶性の形態を表しており、これらの形態は、結晶格子の中での、各種の分子の配列及び/又は配座を有している。複数の多形が、同一の化学組成を有することできるが、それらはさらに、その格子の中に弱く、又は強く結合されることが可能な、共結晶された水又は他の分子の存否によって、組成が異なっていることも可能である。多形は、結晶の形状、密度、硬度、色、化学的安定性、融点、吸湿性、懸濁性、溶解速度、及び生物学的アベイラビリティーのような、化学的、物理的、及び生物学的性質の面で異なっている可能性がある。
【0015】
当業者が認めるところであろうが、式1a及び式1bの化合物の多形が、式1a及び式1bの同一の化合物の他の多形、又は複数の多形の混合物に比較して、有利な効果(たとえば、有用な配合を調製する際の適合性、改良された生物学的性能)を示すことが可能である。式1a及び式1bの化合物の特定の多形の調製及び単離は、たとえば、選択された溶媒及び温度を使用する結晶化など、当業者には公知の方法によって達成することができる。多形についての包括的な議論に関しては、次の文献を参照されたい:R.Hilfiker,Ed.,Polymorphism in the Pharmaceutical Industry,Wiley-VCH,Weinheim,2006。
【0016】
N-オキシドを調製するための例示的な手順は、有機ペルオキシ酸、例えば、過酢酸及びm-クロロ過安息香酸(MCPBA)、過酸化水素、アルキルヒドロペルオキシド、例えば、t-ブチルヒドロペルオキシド、過ホウ酸ナトリウム、及びジオキシラン、例えば、ジメチルジオキシランによる複素環及び第三級アミンの酸化を含む。N-オキシドを調製するためのこれらの方法は、文献に広く記述され、総説が書かれているが、たとえば、以下の文献を参照されたい:T.L.Gilchrist,Comprehensive Organic Synthesis,vol.7,pp 748-750(S.V.Ley,Ed.,Pergamon Press);M.Tisler and B.Stanovnik,Comprehensive Heterocyclic Chemistry,vol.3,pp.18-20(A.J.Boulton and A.McKillop,Eds.,Pergamon Press);M.R.Grimmett and B.R.T.Keene,Advances in Heterocyclic Chemistry,vol.43,pp.149-161(A.R.Katritzky,Ed.,Academic Press);M.Tisler and B.Stanovnik,Advances in Heterocyclic Chemistry,vol.9,pp.285-291(A.R.Katritzky and A.J.Boulton,Eds.,Academic Press);及びG.W.H.Cheeseman and E.S.G.Werstiuk,Advances in Heterocyclic Chemistry,vol.22,pp.390-392(A.R.Katritzky and A.J.Boulton,Eds.,Academic Press)。とは言うものの、窒素は酸化物への酸化のために利用可能な孤立電子対を必要とするため、窒素含有複素環はN-オキシドを形成することができるとは限らないことを当業者は認識する。N-オキシドを形成することができるそれらの窒素含有複素環を当業者は認識する。
【0017】
本発明の化合物は、1つ若しくは複数の立体異性体として存在することができる。様々な立体異性体は、エナンチオマー、ジアステレオマー、アトロプ異性体及び幾何異性体を含む。立体異性体は、同一の構成ではあるが、空間におけるそれらの原子の配置が異なる異性体であり、エナンチオマー、ジアステレオマー、シストランス異性体(また幾何異性体として公知である)及びアトロプ異性体を含む。アトロプ異性体は、単結合の周りの束縛回転から生じ、ここで、回転障壁は異性体種の単離を許容するのに十分に高い。1つのアトロプ異性体は、他のアトロプ異性体(複数可)に対して濃縮されている(すなわち、過度である)とき、又は他のアトロプ異性体(複数可)から分離されたとき、より活性であり得、且つ/又は有益な効果を示し得ることを当業者は認識する。本発明の化合物は、アトロプ異性体の混合物、個々のアトロプ異性体として、又は光学活性な形態として存在し得、任意選択で1つのアトロプ異性体はその対応するエナンチオマーを超えている。
【0018】
特に、本発明の化合物は、他のアトロプ異性体より活性であるアトロプ異性体を含む。
【0019】
本開示のいくつかの非限定的な実施形態(ここで、式1a及び式1bの化合物はまた、それらのN-オキシド若しくは塩を含む)。
【0020】
実施形態A1。その対応する式1bのエナンチオマー、又はそれらのN-オキシド若しくは塩を超えて存在する、式1aの化合物のアトロプ異性体、又はそれらのN-オキシド若しくは塩を含む(又はそれからなる)、光学活性化合物。
【化3】
【0021】
実施形態A2。Rが、CHである、実施形態A1に記載の化合物。
【0022】
実施形態A3。Rが、ハロゲンである、実施形態A1に記載の化合物。
【0023】
実施形態A4。Rが、Cl、F又はBrである、実施形態A3に記載の化合物。
【0024】
実施形態A5。Rが、Cl又はCHである、実施形態A4に記載の化合物。
【0025】
実施形態A6。Rが、Clである、実施形態A5に記載の化合物。
【0026】
実施形態A7。Rが、CH、CHCH、ハロゲン又はジフルオロメトキシである、実施形態A1~A6のいずれか1つに記載の化合物。
【0027】
実施形態A8。Rが、CH、CHCH、Cl又はジフルオロメトキシである、実施形態A7に記載の化合物。
【0028】
実施形態A9。Rが、CH又はジフルオロメトキシである、実施形態A8に記載の化合物。
【0029】
実施形態A10。Rが、CHである、実施形態A9に記載の化合物。
【0030】
実施形態A11。Rが、H又はCHである、実施形態A1~A10のいずれか1つに記載の化合物。
【0031】
実施形態A12。Rが、Hである、実施形態A11に記載の化合物。
【0032】
実施形態A13。Rが、CHである、実施形態A12に記載の化合物。
【0033】
実施形態A14。Rが、H、CH又はClである、実施形態A1~A13のいずれかに記載の化合物。
【0034】
実施形態A15。Rが、Clである、実施形態A14に記載の化合物。
【0035】
実施形態A16。Rが、CHである、実施形態A14に記載の化合物。
【0036】
実施形態A17。Rが、Hである、実施形態A14に記載の化合物。
【0037】
実施形態A18。Rが、H、Cアルキルカルボニル、Cアルコキシカルボニル又はCアルキルカルボキシメチルである、実施形態A1~A17のいずれか1つに記載の化合物。
【0038】
実施形態A19。Rが、H又はCアルキルカルボニルである、実施形態A18に記載の化合物。
【0039】
実施形態A20。Rが、H又は-(C=O)CHCHである、実施形態A18に記載の化合物。
【0040】
実施形態A21。Rが、Hである、実施形態A20に記載の化合物。
【0041】
実施形態AA1。その対応する式1aのエナンチオマー、又はそれらのN-オキシド若しくは塩を超えて存在する、式1bの化合物のアトロプ異性体、又はそれらのN-オキシド若しくは塩からなる、光学活性化合物。
【化4】
【0042】
実施形態AA2。Rが、CHである、実施形態AA1に記載の化合物。
【0043】
実施形態AA3。Rが、ハロゲンである、実施形態AA1に記載の化合物。
【0044】
実施形態AA4。Rが、Cl、F又はBrである、実施形態AA3に記載の化合物。
【0045】
実施形態AA5。Rが、Cl又はFである、実施形態AA4に記載の化合物。
【0046】
実施形態AA6。Rが、Clである、実施形態A5に記載の化合物。
【0047】
実施形態AA7。Rが、CH、CHCH、ハロゲン又はジフルオロメトキシである、実施形態AA1~AA6のいずれか1つに記載の化合物。
【0048】
実施形態AA8。Rが、CH、CHCH、Cl又はジフルオロメトキシである、実施形態AA7に記載の化合物。
【0049】
実施形態AA9。Rが、CH又はジフルオロメトキシである、実施形態AA8に記載の化合物。
【0050】
実施形態AA10。Rが、CHである、実施形態AA9に記載の化合物。
【0051】
実施形態AA11。Rが、H又はCHである、実施形態AA1~AA10のいずれか1つに記載の化合物。
【0052】
実施形態AA12。Rが、Hである、実施形態AA11に記載の化合物。
【0053】
実施形態AA13。Rが、CHである、実施形態AA12に記載の化合物。
【0054】
実施形態AA14。Rが、H、CH又はClである、実施形態AA1~AA13のいずれかに記載の化合物。
【0055】
実施形態AA15。Rが、Clである、実施形態AA14に記載の化合物。
【0056】
実施形態AA16。Rが、CHである、実施形態AA14に記載の化合物。
【0057】
実施形態AA17。Rが、Hである、実施形態AA14に記載の化合物。
【0058】
実施形態AA18。Rが、H、Cアルキルカルボニル、Cアルコキシカルボニル又はCアルキルカルボキシメチルである、実施形態AA1~AA17のいずれか1つに記載の化合物。
【0059】
実施形態AA19。Rが、H又はCアルキルカルボニルである、実施形態AA18に記載の化合物。
【0060】
実施形態AA20。Rが、H又は-(C=O)CHCHである、実施形態AA18に記載の化合物。
【0061】
実施形態AA21。Rが、Hである、実施形態AA20に記載の化合物。
【0062】
実施形態B1。式1a又は1bの化合物を調製するための発明の概要において記載されている方法。
【化5】
【0063】
実施形態B2。Rが、CHである、実施形態B1に記載の方法。
【0064】
実施形態B3。Rが、ハロゲンである、実施形態B1に記載の方法。
【0065】
実施形態B4。Rが、Cl、F又はBrである、実施形態B3に記載の方法。
【0066】
実施形態B5。Rが、Cl又はFである、実施形態B4に記載の方法。
【0067】
実施形態B6。Rが、Clである、実施形態B5に記載の方法。
【0068】
実施形態B7。Rが、CH、CHCH、ハロゲン又はジフルオロメトキシである、実施形態B1~B6のいずれか1つに記載の方法。
【0069】
実施形態B8。Rが、CH、CHCH、Cl又はジフルオロメトキシである、実施形態B7に記載の方法。
【0070】
実施形態B9。Rが、CH又はジフルオロメトキシである、実施形態B8に記載の方法。
【0071】
実施形態B10。Rが、CHである、実施形態B9に記載の方法。
【0072】
実施形態B11。Rが、H又はCHである、実施形態B1~B10のいずれか1つに記載の方法。
【0073】
実施形態B12。Rが、Hである、実施形態B11に記載の方法。
【0074】
実施形態B13。Rが、CHである、実施形態B11に記載の方法。
【0075】
実施形態B14。Rが、H、CH又はClである、実施形態B1~B13のいずれかに記載の方法。
【0076】
実施形態B15。Rが、Clである、実施形態B14に記載の方法。
【0077】
実施形態B16。Rが、CHである、実施形態B14に記載の方法。
【0078】
実施形態B17。Rが、Hである、実施形態B14に記載の方法。
【0079】
実施形態B18。Rが、H、Cアルキルカルボニル、Cアルコキシカルボニル又はCアルキルカルボキシメチルである、実施形態B1~B17のいずれか1つに記載の方法。
【0080】
実施形態B19。Rが、H又はCアルキルカルボニルである、実施形態B18に記載の方法。
【0081】
実施形態B20。Rが、H又は-(C=O)CHCHである、実施形態B18に記載の方法。
【0082】
実施形態B21。Rが、Hである、実施形態B20に記載の方法。
【0083】
実施形態B22。キラル支持体クロマトグラフィーが、超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)である、実施形態B1に記載の方法。
【0084】
実施形態B23。移動相が、二酸化炭素である、実施形態B1に記載の方法。
【0085】
実施形態C1。その対応するアトロプ異性体より除草的に活性である、実施形態A1~AA21のいずれか1つに記載の化合物。
【0086】
実施形態C2。草に対してその対応するアトロプ異性体より活性である、実施形態C1に記載の化合物。
【0087】
上記の実施形態又は本明細書における任意の実施形態は、任意の様式で合わせることができる。本発明はまた、植生の生息地に(例えば、本明細書に記載されている組成物として)除草的有効量の式1a又は式1bの化合物を施用することを含む、望まれない植生を防除するための方法に関する。使用の方法に関する実施形態として注目すべきなのは、上記の実施形態の化合物が関与するものである。本発明の化合物は、作物、例えば、コムギ、オオムギ、トウモロコシ、ダイズ、ヒマワリ、ワタ、アブラナ及びコメ、並びに特殊作物、例えば、サトウキビ、柑橘類、果物及びナッツ作物における雑草の選択的な防除のために特に有用である。
【0088】
実施形態としてまた注目すべきであるのは、上記の実施形態の化合物を含む本発明の除草性組成物である。
【0089】
本発明にはさらに、以下のものを含む除草剤混合物が含まれる:(a)式1a及び式1b、それらのN-オキシド、及び塩から選択される化合物、並びに(b)少なくとも1種のさらなる有効成分、それらは以下のものから選択される:(b1)光化学系II阻害剤、(b2)アセトヒドロキシ酸シンターゼ(AHAS)阻害剤、(b3)アセチル-CoAカルボキシラーゼ(ACCアーゼ)阻害剤、(b4)オーキシン模倣物、(b5)5-エノール-ピルビルシキメート-3-ホスフェート(EPSP)シンターゼ阻害剤、(b6)光化学系I電子ダイバーター(electron diverter)、(b7)プロトポリフィリノーゲンオキシダーゼ(PPO)阻害剤、(b8)グルタミンシンテターゼ(GS)阻害剤、(b9)超長鎖脂肪酸(VLCFA)エロンガーゼ阻害剤、(b10)オーキシン輸送阻害剤、(b11)フィトエンデサチュラーゼ(PDS)阻害剤、(b12)4-ヒドロキシフェニル-ピルビン酸ジオキシゲナーゼ(HPPD)阻害剤、(b13)ホモゲンチジン酸ソラネシルトランスフェラーゼ(HST)阻害剤、(b14)セルロース生合成阻害剤、(b15)その他の除草剤(有糸分裂撹乱物質、有機ヒ素化合物、アシュラム、ブロモブチド、シンメチリン、クミルロン、ダゾメット、ジフェンゾコート、ダイムロン、エトベンザニド、フルレノール、ホサミン、ホサミン-アンモニウム、ヒダントサイジン、メタム、メチルダイムロン、オレイン酸、オキサジクロメフォン、ペラルゴン酸、及びビリブチカルブを含む)、(b16)除草剤毒性緩和剤(herbicide safener)、並びに(b1)~(b16)の化合物の塩。
【0090】
「光化学系II阻害剤」(b1)は、Q-結合ニッチ(Q-binding niche)のところでD-1タンパク質に結合する化合物であって、それにより、葉緑体のチラコイド膜におけるQからQへの電子伝達をブロックする。光化学系IIを通る経路からブロックされた電子は、一連の反応を介して輸送されて、毒性の化合物を形成し、それが、細胞膜を崩壊させ、葉緑体の膨潤、膜漏れ、及び最終的には細胞の破壊をもたらす。そのQ-結合ニッチには、三つの異なった結合部位を有している:結合部位Aは、トリアジンたとえばアトラジン、トリアジノンたとえばヘキサジノン、及びウラシルたとえばブロマシルに結合し;結合部位Bは、フェニル尿素たとえばジウロンと結合し;そして結合部位Cは、ベンゾチアジアゾールたとえばベンタゾン、ニトリルたとえばブロモキシニル、及びフェニルピリダジンたとえばピリデートと結合する。光化学系II阻害剤の例としては、以下のものが挙げられる:アメトリン、アミカルバゾン、アトラジン、ベンタゾン、ブロマシル、ブロモフェノキシム、ブロモキシニル、クロルブロムロン、クロリダゾン、クロロトルロン、クロロキシウロン、クミルロン、シアナジン、ダイムロン、デスメディファム、デスメトリン、ジメフロン、ジメタメトリン、ジウロン、エチジムロン、フェニュロン、フルオメツロン、ヘキサジノン、アイオキシニル、イソプロツロン、イソウロン、レナシル、リニュロン、メタミトロン、メタベンズチアズロン、メトブロムロン、メトキシウロン、メトリブジン、モノリニューロン、ネブロン、ペンタノクロール、フェンメディファム、プロメトン、プロメトリン、プロパニル、プロパジン、ピリダフォル、ピリデート、シデュロン、シマジン、シメトリン、テブチウロン、ターバシル、テルブメトン、テルブチラジン、テルブトリン、及びトリエタジン。
【0091】
「AHAS阻害剤」(b2)は、アセトヒドロキシ酸シンターゼ(AHAS)を阻害する化合物であって、アセトラクテート合成酵素(ALS)としても知られ、タンパク質の合成及び細胞の生長で必要とされる、分岐鎖の脂肪族アミノ酸たとえばバリン、ロイシン、及びイソロイシンの産生を阻害することによって、植物を死滅させる。AHAS阻害剤の例としては、以下のものが挙げられる:アミドスルフロン、アジムスルフロン、ベンスルフロン-メチル、ビスピリバック-ナトリウム、クロランスラム-メチル、クロリムロン-エチル、クロルスルフロン、シノスルフロン、シクロスルファムロン、ジクロスラム、エタメトスルフロン-メチル、エトキシスルフロン、フラザスルフロン、フロラスラム、フルカルバゾン-ナトリウム、フルメトスラム、フルピルスルフロン-メチル、フルピルスルフロン-ナトリウム、フォラムスルフロン、ハロスルフロン-メチル、イマザメタブンズ-メチル、イマザモックス、イマザピック、イマザピル、イマザキン、イマゼタピル、イマゾスルフロン、ヨードスルフロン-メチル(ナトリウム塩を含む)、ヨーフェンスルフロン(2-ヨード-N-[[(4-メトキシ-6-メチル-1,3,5-トリアジン-2-イル)アミノ]カルボニル]ベンゼンスルホンアミド)、メゾスルフロン-メチル、メタゾスルフロン(3-クロロ-4-(5,6-ジヒドロ-5-メチル-1,4,2-ジオキサジン-3-イル)-N-[[(4,6-ジメトキシ-2-ピリミジニル)アミノ]カルボニル]-1-メチル-1H-ピラゾル-5-スルホンアミド)、メトスラム、メトスルフロン-メチル、ニコスルフロン、オキサスルフロン、ペノクスラム、プリミスルフロン-メチル、プロポキシカルバゾン-ナトリウム、プロピリスルフロン(2-クロロ-N-[[(4,6-ジメトキシ-2-ピリミジニル)アミノ]カルボニル]-6-プロピルイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-3-スルホンアミド)、プロスルフロン、ピラゾスルフロン-エチル、ピリベンゾキシム、ピリフタリド、ピリミノバック-メチル、ピリチオバック-ナトリウム、リムスルフロン、スルホメツロン-メチル、スルホスルフロン、チエンカルバゾン、チフェンスルフロン-メチル、トリアファモン(N-[2-[(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)カルボニル]-6-フルオロフェニル]-1,1-ジフルオロ-N-メチルメタンスルホンアミド)、トリアスルフロン、トリベヌロン-メチル、トリフロキシスルフロン(ナトリウム塩を含む)、トリフルスルフロン-メチル、及びトリトスルフロン。
【0092】
「ACCアーゼ阻害剤」(b3)は、アセチル-CoAカルボキシラーゼ酵素を阻害する化合物であるが、この酵素は、植物の中での脂質及び脂肪酸の合成における初期段階に、触媒作用の働きをする。脂質は、細胞膜の必須成分であり、これ無くしては、新しい細胞を産生することができない。アセチルCoAカルボキシラーゼの阻害作用と、それに続く脂質産生の不足のために、特に、活発な生長領域たとえば分裂組織における細胞膜の完全性が失われることとなる。最後には、苗条及び根茎の生長が停止し、苗条の分裂組織及び根茎の芽が枯れ始める。ACCアーゼ阻害剤の例としては、以下のものが挙げられる:アロキシジム、ブトロキシジム、クレトジム、クロジナホップ、シクロキシジム、シハロホップ、ジクロホップ、フェノキサプロップ、フルアジホップ、ハロキシホップ、ピノキサデン、プロホキシジム、プロパキザホップ、キザロホップ、セトキシジム、テプラロキシジム、及びトラルコキシジム(分割された形態たとえば、フェノキサプロップ-P、フルアジホップ-P、ハロキシホップ-P、及びキザロホップ-P、並びにエステルの形態たとえば、クロジナホップ-プロパルギル、シハロホップ-ブチル、ジクロホップ-メチル、及びフェノキサプロップP-エチルを含む)。
【0093】
オーキシンは、多くの植物組織における成長を調節する植物ホルモンである。「オーキシン模倣物」(b4)は、植物成長ホルモンのオーキシンを模倣する化合物であるので、制御不能且つ無秩序な生長をもたらし、感受性の高い種では、植物の死に至らしめる。オーキシン模倣物の例としては、以下のものが挙げられる:アミノシクロピラクロル(6-アミノ-5-クロロ-2-シクロプロピル-4-ピリミジンカルボン酸)並びにそのメチル及びエチルエステル並びにそのナトリウム塩及びカリウム塩、アミノピラリド、ベナゾリン-エチル、クロルアンベン、クラシホス、クロメプロップ、クロピラリド、ジカンバ、2,4-D、2,4-DB、ジクロプロップ、フルロキシピル、ハラウキシフェン(4-アミノ-3-クロロ-6-(4-クロロ-2-フルオロ-3-メトキシフェニル)-2-ピリジンカルボン酸)、ハラウキシフェン-メチル(4-アミノ-3-クロロ-6-(4-クロロ-2-フルオロ-3-メトキシフェニル)-2-ピリジンカルボキン酸メチル)、MCPA、MCPB、メコプロプ、ピクロラム、キンクロラック、キンメラック、2,3,6-TBA、トリクロピル、並びに4-アミノ-3-クロロ-6-(4-クロロ-2-フルオロ-3-メトキシフェニル)-5-フルオロ-2-ピリジンカルボン酸メチル。
【0094】
「EPSPシンターゼ阻害剤」(b5)は、芳香族アミノ酸たとえば、チロシン、トリプトファン、及びフェニルアラニンの合成に関与する酵素である、5-エノール-ピルビルシキメート-3-ホスフェートシンターゼを阻害する化合物である。EPSP阻害除草剤は、植物の葉を介して容易に吸収され、師部を通して成長点に移行する。グリホサートは、この群に属する、比較的非選択的な出芽後除草剤である。グリホサートにはとしては、エステル並びに、たとえばアンモニウム、イソプロピルアンモニウム、カリウム、ナトリウム(セスキナトリウムを含む)、及びトリメシウム(別名、スルホサート)の塩が含まれる。
【0095】
「光化学系I電子ダイバーター」(b6)は、光化学系Iから電子を受け取る化合物であって、いくつかのサイクルの後で、ヒドロキシルラジカルを発生する。これらのラジカルは、反応性が極めて高く、膜脂肪酸及びクロロフィルも含めて、不飽和脂質を容易に破壊する。これが、細胞膜の完全性を破壊し、その結果、細胞及び細胞小器官で「漏れ(leak)」が生じ、葉が急速に萎れて乾燥し、最後には植物の死滅に到る。光合成阻害剤のこの第二のタイプの例としては、ジクワット及びパラコートが挙げられる。
【0096】
「PPO阻害剤」(b7)は、酵素のプロトポリフィリノーゲンオキシダーゼを阻害する化合物であって、植物の中で高度に活性が高い化合物を急速に生成させ、それが細胞膜を破壊し、細胞流体を漏れ出させる。PPO阻害剤の例としては、以下のものが挙げられる:アシフルオルフェン-ナトリウム、アザフェニジン、ベンズフェンジゾン、ビフェノックス、ブタフェナシル、カルフェントラゾン、カルフェントラゾン-エチル、クロメトキシフェン、シニドン-エチル、フルアゾレート、フルフェンピル-エチル、フルミクロラック-ペンチル、フルミオキサジン、フルオログリコフェン-エチル、フルチアセット-メチル、ホメサフェン、ハロサフェン、ラクトフェン、オキサジアルギル、オキサジアゾン、オキシフルオルフェン、ペントキサゾン、プロフルアゾール、ピラクロニル、ピラフルフェン-エチル、サフルフェナシル、スルフェントラゾン、チジアジミン、トリフルジモキサジン(ジヒドロ-1,5-ジメチル-6-チオキソ-3-[2,2,7-トリフルオロ-3,4-ジヒドロ-3-オキソ-4-(2-プロピン-1-イル)-2H-1,4-ベンゾキサジン-6-イル]-1,3,5-トリアジン-2,4(1H,3H)-ジオン)、及びチアフェナシル(メチルN-[2-[[2-クロロ-5-[3,6-ジヒドロ-3-メチル-2,6-ジオキソ-4-(トリフルオロメチル)-1(2H)-ピリミジニル]-4-フルオロフェニル]チオ]-1-オキソプロピル]-β-アラニネート)。
【0097】
「GS阻害剤」(b8)は、グルタミンシンテターゼ酵素の活性を阻害する化合物であるが、植物はその酵素を使用して、アンモニアをグルタミンに変換させる。したがって、アンモニアが蓄積して、グルタミンのレベルが低下する。植物へのダメージが、アンモニアの毒性と、他の代謝過程で必要とされるアミノ酸の欠乏との効果が重なりあって起きるのであろう。GS阻害剤としては、以下のものが挙げられる:グルホシネート並びにそのエステル及び塩、たとえばグルホシネート-アンモニウム及びその他のホスフィノトリシン誘導体、グルホシネート-P ((2S)-2-アミノ-4-(ヒドロキシメチルホスフィニル)ブタン酸)、及びビラナホス。
【0098】
「VLCFAエロンガーゼ阻害剤」(b9)は、エロンガーゼを阻害する広く、各種の化学構造を有する除草剤である。エロンガーゼは、葉緑体の内部又は近傍に位置する酵素の1つであって、VLCFAの生合成に与っている。植物においては、超長鎖脂肪酸は、疎水性ポリマーの主成分であって、葉の表面での乾燥を防止し、花粉粒に安定性を与える。そのような除草剤としては、以下のものが挙げられる:アセトクロール、アラクロール、アニロフォス、ブタクロール、カフェンストロール、ジメタクロル、ジメテナミド、ジフェナミド、フェノキサスルホン(3-[[(2,5-ジクロロ-4-エトキシフェニル)メチル]スルホニル]-4,5-ジヒドロ-5,5-ジメチルイソオキサゾール)、フェントラザミド、フルフェナセット、インダノファン、メフェナセット、メタザクロール、メトラクロール、ナプロアニリド、ナプロパミド、ナプロパミド-M((2R)-N,N-ジエチル-2-(1-ナフタレニルオキシ)プロパナミド)、ペトキサミド、ピペロホス、プレチラクロール、プロパクロール、プロピソクロル、ピロキサスルホン、及びテニルクロール(分割形態、たとえばS-メトラクロール、並びにクロロアセトアミド、及びオキシアセトアミドを含む)。
【0099】
「オーキシン輸送阻害剤」(b10)は、たとえばオーキシン輸送タンパク質と結合することによって、植物におけるオーキシンの輸送を阻害する化学的物質である。オーキシン輸送阻害剤の例としては、以下のものが挙げられる:ジフルフェンゾピル、ナプタラム(N-(1-ナフチル)フタルアミド酸、及び2-[(1-ナフタレニルアミノ)カルボニル]安息香酸としても知られている)。
【0100】
「PDS阻害剤」(b11)は、フィトエンデサチュラーゼステップにおいて、カロテノイドの生合成経路を阻害する化合物である。PDS阻害剤の例としては、以下のものが挙げられる:ベフルブタミド、S-ベフルブタミド、ジフルフェニカン、フルリドン、フルロクロリドン、フルルタモン、ノルフルルゾン、及びピコリナフェン。
【0101】
「HPPD阻害剤」(b12)は、4-ヒドロキシフェニル-ピルビン酸ジオキシゲナーゼの合成の生合成を阻害する化学的物質である。HPPD阻害剤の例としては、以下のものが挙げられる:ベンゾビシクロン、ベンゾフェナップ、ビシクロピロン(4-ヒドロキシ-3-[[2-[(2-メトキシエトキシ)メチル]-6-(トリフルオロメチル)-3-ピリジニル]カルボニル]ビシクロ[3.2.1]オクト-3-エン-2-オン)、フェンキノトリオン(2-[[8-クロロ-3,4-ジヒドロ-4-(4-メトキシフェニル)-3-オキソ-2-キノキサリニル]カルボニル]-1,3-シクロヘキサンジオン)、イソキサクロルトール、イソキサフルトール、メソトリオン、ピラスルホトール、ピラゾリネート、ピラゾキシフェン、スルコトリオン、テフリルトリオン、テンボトリオン、トルピラレート(1-[[1-エチル-4-[3-(2-メトキシエトキシ)-2-メチル-4-(メチルスルホニル)ベンゾイル]-1H-ピラゾル-5-イル]オキシ]エチルメチルカーボネート)、トプラメゾン、5-クロロ-3-[(2-ヒドロキシ-6-オキソ-1-シクロヘキセン-1-イル)カルボニル]-1-(4-メトキシフェニル)-2(1H)-キノキサリノン、4-(2,6-ジエチル-4-メチルフェニル)-5-ヒドロキシ-2,6-ジメチル-3(2H)-ピリダジノン、4-(4-フルオロフェニル)-6-[(2-ヒドロキシ-6-オキソ-1-シクロヘキセン-1-イル)カルボニル]-2-メチル-1,2,4-トリアジン-3,5(2H,4H)-ジオン、5-[(2-ヒドロキシ-6-オキソ-1-シクロヘキセン-1-イル)カルボニル]-2-(3-メトキシフェニル)-3-(3-メトキシプロピル)-4(3H)-ピリミジノン、2-メチル-N-(4-メチル-1,2,5-オキサジアゾル-3-イル)-3-(メチルスルフィニル)-4-(トリフルオロメチル)ベンズアミド、及び2-メチル-3-(メチルスルホニル)-N-(1-メチル-1H-テトラゾル-5-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンズアミド。
【0102】
「HST阻害剤」(b13)は、ホモゲンチセートを2-メチル-6-ソラニル-1,4-ベンゾキノンに転換させる植物の性能を撹乱し、それによって、カロテノイド生合成を撹乱する。HST阻害剤の例には、シクロピリモレート(6-クロロ-3-(2-シクロプロピル-6-メチルフェノキシ)-4-ピリダジニル4-モルホリンカルボキシレート)、ハロキシジン、ピリクロール、3-(2-クロロ-3,6-ジフルオロフェニル)-4-ヒドロキシ-1-メチル-1,5-ナフチリジン-2(1H)-オン、7-(3,5-ジクロロ-4-ピリジニル)-5-(2,2-ジフルオロエチル)-8-ヒドロキシピリド[2,3-b]ピラジン-6(5H)-オン及び4-(2,6-ジエチル-4-メチルフェニル)-5-ヒドロキシ-2,6-ジメチル-3(2H)-ピリダジノンが含まれる。
【0103】
HST阻害剤にはさらに、式A及びBの化合物も含まれる:
【化6】

式中、Rd1は、H、Cl、又はCFであり;Rd2は、H、Cl、又はBrであり;Rd3は、H、又はClであり;Rd4は、H、Cl、又はCFであり;Rd5は、CH、CHCH、又はCHCHFであり;そしてRd6はOH、又は-OC(=O)-i-Prであり;そして、Re1は、H、F、Cl、CH、又はCHCHであり;Re2は、H、又はCFであり;Re3は、H、CH、又はCHCHであり;Re4は、H、F、又はBrであり;Re5は、Cl、CH、CF、OCF、又はCHCHであり;Re6は、H、CH、CHCHF、又はC≡CHであり;Re7は、OH、-OC(=O)Et、-OC(=O)-i-Pr、又は-OC(=O)-t-Buであり;そして、Ae8は、N又はCHである。
【0104】
「セルロース生合成阻害剤」(b14)は、ある種の植物において、セルロースの生合成を阻害する。それらは、出芽前か、又は出芽後間もない幼い植物又は、急速に成長している植物に適用すると、最も効果的である。セルロース生合成阻害剤の例としては、以下のものが挙げられる:クロルチアミド、ジクロベニル、フロポキサム、インダジフラム(N-[(1R,2S)-2,3-ジヒドロ-2,6-ジメチル-1H-インデン-1-イル]-6-(1-フルオロエチル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミン)、イソキサベン、及びトリアジフラム。
【0105】
「その他の除草剤」(b15)としては、たとえば以下のような、各種各様の作用モードで機能する除草剤が挙げられる:有糸分裂撹乱物質(たとえば、フラムプロップ-M-メチル、及びフラムプロップ-M-イソプロピル)、有機ヒ素化合物(たとえば、DSMA、及びMSMA)、7,8-ジヒドロプテロエートシンターゼ阻害剤、葉緑体イソプレノイド合成阻害剤、及び細胞壁生合成阻害剤。その他の除草剤には、以下のような除草剤も含まれる:作用モードが知られていないもの、又は、(b1)~(b14)に列記された特定のカテゴリーに入らないもの、又は上で列記したモードの組み合わせで作用するもの。他の除草剤の例には、アクロニフェン、アシュラム、アミトロール、ブロモブチド、シンメチリン、クロマゾン、クミルロン、ダイムロン、ジメスルファゼット(CAS番号1215111-77-5)、ジフェンゾコート、エピリフェナシル(CAS番号353292-31-6)、エトベンザニド、フルオメツロン、フルレノール、ホサミン、ホサミン-アンモニウム、ダゾメット、ダイムロン、イプフェンカルバゾン(1-(2,4-ジクロロフェニル)-N-(2,4-ジフルオロフェニル)-1,5-ジヒドロ-N-(1-メチルエチル)-5-オキソ-4H-1,2,4-トリアゾール-4-カルボキサミド)、メタム、メチルダイムロン、オレイン酸、オキサジクロメホン、ペラルゴン酸、ピリブチカルブ、テトフルピロリメット及び5-[[(2,6-ジフルオロフェニル)メトキシ]メチル]-4,5-ジヒドロ-5-メチル-3-(3-メチル-2-チエニル)イソオキサゾールが含まれる。「他の除草剤」(b15)はまた、式(b15A)の化合物を含み、
【化7】

式中、
12は、H、C~Cアルキル、C~Cハロアルキル又はC~Cシクロアルキルであり;
13は、H、C~Cアルキル又はC~Cアルコキシであり;
は、フェニル、チエニル、ピリジニル、ベンゾジオキソリル、ナフチル、ナフタレニル、ベンゾフラニル、フラニル、ベンゾチオフェニル及びピラゾリルからなる群から選択される任意選択で置換されている環系であり、ここで、置換されているとき、前記環系は、1~3個のR14で置換されており;
は、フェニル、ピリジニル、ベンゾジオキソリル、ピリジノニル、チアジアゾリル、チアゾリル、及びオキサゾリルからなる群から選択される任意選択で置換されている環系であり、ここで、置換されているとき、前記環系は、1~3個のR15で置換されており;
各R14は、独立に、ハロゲン、C~Cアルキル、C~Cハロアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cハロアルコキシ、C~Cシクロアルキル、シアノ、C~Cアルキルチオ、C~Cアルキルスルフィニル、C~Cアルキルスルホニル、SF、NHR17;又は1~3個のR16で任意選択で置換されているフェニル;又は1~3個のR16で任意選択で置換されているピラゾリルであり;
各R15は、独立に、ハロゲン、C~Cアルキル、C~Cハロアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cハロアルコキシ、シアノ、ニトロ、C~Cアルキルチオ、C~Cアルキルスルフィニル、C~Cアルキルスルホニルであり;
各R16は、独立に、ハロゲン、C~Cアルキル又はC~Cハロアルキルであり;
17は、C~Cアルコキシカルボニルである。
【0106】
「他の除草剤」(b15)がまた式(b15A)の化合物を含む一実施形態では、R12がH又はC~Cアルキルであることが好ましい;より好ましくは、R12は、H又はメチルである。好ましくは、R13は、Hである。好ましくは、Qは、フェニル環又はピリジニル環であり、各環は、1~3個のR14で置換されている;より好ましくは、Qは、1~2個のR14で置換されているフェニル環である。好ましくは、Qは、1~3個のR15で置換されているフェニル環である;より好ましくは、Qは、1~2個のR15で置換されているフェニル環である。好ましくは、各R14は、独立に、ハロゲン、C~Cアルキル、C~Cハロアルキル、C~Cアルコキシ又はC~Cハロアルコキシである;より好ましくは、各R14は、独立に、クロロ、フルオロ、ブロモ、C~Cハロアルキル、C~Cハロアルコキシ又はC~Cアルコキシである。好ましくは、各R15は、独立に、ハロゲン、C~Cアルキル、C~Cハロアルコキシである;より好ましくは、各R15は、独立に、クロロ、フルオロ、ブロモ、C~Cハロアルキル、C~Cハロアルコキシ又はC~Cアルコキシである。「他の除草剤」(b15)として特に好ましいのは、下記の(b15A-1)~(b15A-16)のいずれか1つを含む。
【0107】
【表1】
【0108】
【表2】
【0109】
【表3】
【0110】
「他の除草剤」(b15)はまた、式(b15B)の化合物を含み、
【化8】

式中、
18は、H、C~Cアルキル、C~Cハロアルキル又はC~Cシクロアルキルであり;
各R19は、独立に、ハロゲン、C~Cハロアルキル又はC~Cハロアルコキシであり;
pは、0、1、2又は3の整数であり;
各R20は、独立に、ハロゲン、C~Cハロアルキル又はC~Cハロアルコキシであり;
qは、0、1、2又は3の整数である。
【0111】
「他の除草剤」(b15)がまた式(b15B)の化合物を含む一実施形態では、R18がH、メチル、エチル又はプロピルであることが好ましい;より好ましくは、R18は、H又はメチルである;最も好ましくは、R18は、Hである。好ましくは、各R19は、独立に、クロロ、フルオロ、C~Cハロアルキル又はC~Cハロアルコキシである;より好ましくは、各R19は、独立に、クロロ、フルオロ、Cフルオロアルキル(すなわち、フルオロメチル、ジフルオロメチル若しくはトリフルオロメチル)又はCフルオロアルコキシ(すなわち、トリフルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ若しくはフルオロメトキシ)である。好ましくは、各R20は、独立に、クロロ、フルオロ、Cハロアルキル又はCハロアルコキシである;より好ましくは、各R20は、独立に、クロロ、フルオロ、Cフルオロアルキル(すなわち、フルオロメチル、ジフルオロメチル若しくはトリフルオロメチル)又はCフルオロアルコキシ(すなわち、トリフルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ若しくはフルオロメトキシ)である。「他の除草剤」(b15)として特に好ましいのは、下記の(b15B-1)~(b15B-19)のいずれか1つを含む。
【0112】
【表4】
【0113】
【表5】
【0114】
【表6】
【0115】
別の実施形態では、「他の除草剤」(b15)はまた、式(b15C)の化合物を含み、
【化9】

式中、Rは、Cl、Br又はCNであり;Rは、C(=O)CHCHCF、CHCHCHCHCF又は3-CHF-イソオキサゾール-5-イルである。具体例には、(b15C1)5-クロロ-2-[3-クロロ-2-[3-(ジフルオロメチル)-5-イソオキサゾリル]フェノキシ]-ピリミジン及び(b15C2)1-[2-クロロ-6-[(5-クロロ-2-ピリミジニル)オキシ]フェニル]-4,4,4-トリフルオロ-1-ブタノンから選択される式(b15C)の化合物が含まれる。
【0116】
「除草剤毒性緩和剤」(b16)は、除草剤の配合物に添加して、ある種の作物に対する、その除草剤の植物毒性効果を排除又は低減するための物質である。これらの化合物は、除草剤による害から作物を保護するが、典型的には、その除草剤が望ましくない植生を防除することは妨げない。除草剤毒性緩和剤の例としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定される訳ではない:ベノキサコル、クロキントセット-メキシル、クミルロン、シオメトリニル、シプロスルファミド、ダイムロン、ジクロルミド、ジシクロノン、ジエトレート、ジメピペレート、フェンクロラゾール-エチル、フェンクロリム、フルラゾール、フルクソフェニム、フリラゾール、イソキサジフェン-エチル、メフェンピル-ジエチル、メフェネート、メトキシフェノン、無水ナフタル酸、オキサベトリニル、N-(アミノカルボニル)-2-メチルベンゼンスルホンアミド、及びN-(アミノカルボニル)-2-フルオロベンゼンスルホンアミド、1-ブロモ-4-[(クロロメチル)スルホニル]ベンゼン、2-(ジクロロメチル)-2-メチル-1,3-ジオキソラン(MG 191)、4-(ジクロロアセチル)-1-オキサ-4-アゾスピロ[4.5]デカン(MON 4660)、2,2-ジクロロ-1-(2,2,5-トリメチル-3-オキサゾリジニル)-エタノン、及び2-メトキシ-N-[[4-[[(メチルアミノ)カルボニル]アミノ]フェニル]スルホニル]-ベンズアミド。
【0117】
望ましくない植生のより良好な防除(例えば、相加効果を超える効果を利用したより低い使用割合、防除される雑草のより広範なスペクトル、若しくは作物の安全性の向上)のため、又は抵抗性雑草の発生を防止するために好ましいのは、本発明の化合物と、アトラジン、アジムスルフロン、ベフルブタミド、S-ベフルブタミド、ベンズイソチアゾリノン、カルフェントラゾン-エチル、クロリムロン-エチル、クロルスルフロン-メチル、クロマゾン、クロピラリドカリウム、クロランスラム-メチル、2-[(2,4-ジクリ-6-オキソ-1-シクロヘキセン-1-イル)カルボニル]-2-メチル-1,2,4-トリアジン-3,5-(2H,4H)-ジオン、フルピルスルフロン-メチル、フルチアセット-メチル、ホメサフェン、イマゼタピル、レナシル、メソトリオン、メトリブジン、メトスルフロン-メチル、ペトキサミド、ピクロラム、ピロキサスルホン、キンクロラック、リムスルフロン、S-メトラクロール、スルフェントラゾン、チフェンスルフロン-メチル、トリフルスルフロンメチル及びトリベヌロン-メチルからなる群から選択される除草剤との混合物である。
【0118】
式1a(R)及び式1b(S)の置換エナンチオマーは、キラル支持体クロマトグラフィーによって式1のラセミ化合物から単離することができる(スキーム-1を参照されたい)。式1のラセミ化合物は、国際公開第2015168010号パンフレットにおいて教示されている方法によって調製することができる。絶対立体化学は、当技術分野で確立されている確立された命名規則によって描かれたヘテロビアリール構造へと割り当てることができる。ラセミ化合物を含む2つのエナンチオマーはまた、このヘテロビアリール環系のナフタレン及びピリダジノン環の束縛回転によってアトロプ異性体と呼ぶことができることを当業者は認識する。回転の制限によって、2つの環は定められた立体配向へと固定され、不斉が可能となる。ピリダジノンと連結した結合に対してオルト位におけるナフタレン上の置換を伴って、両方のアトロプ異性体は、一般に100℃未満の温度での環の回転によってラセミ化に対して安定である。
【化10】
【0119】
分離実施例1
ラセミ化合物2の1.8gの試料を、超臨界流体移動相として二酸化炭素を使用して、又は任意選択の共溶媒、例えば、メタノール又はアセトニトリルと共に、超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)のためのキラル支持体上へと充填した。原則は、標準的な非キラル高速液体クロマトグラフィー(HPLC)のそれらと同様に一致を使用した。2つの画分を得た。最初に溶出するのは標識されたエナンチオマー2a(580mg)であり、第2はエナンチオマー2b(600mg)であった。2a及び2bについての旋光度は、それぞれ、+47.34[20℃、c=0.4(メタノール)]及び-58.29[20℃、c=0.4(メタノール)]であった。両方の試料の鏡像体過剰率(ee)は、95%超であるとキラルHPLCによって決定した。
【化11】
【図面の簡単な説明】
【0120】
図1図1(エナンチオマー2a(2A)の分析キラルHPLC SFCクロマトグラム)は、2.03分の保持時間を有する2aについてのキラルクロマトグラフを示し、これは、エナンチオマーの完全性をさらに検証する。
図2図2(エナンチオマー2b(2B)の分析キラルHPLC SFCクロマトグラム)は、3.24分の保持時間を有する2bについてのキラルクロマトグラフを示し、これは、エナンチオマーの完全性をさらに検証する。
【発明を実施するための形態】
【0121】
【表7】
【0122】
【表8】
【0123】
先の記述を使用する当業者は、余分な努力をしなくても、本開示をその最も十分な程度まで利用することができると考えられる。下記の非限定的実施例は、本開示の例示である。
【0124】
式1a及び式1bの化合物は一般に、組成物、すなわち、界面活性剤、固体賦形剤及び液体賦形剤からなる群から選択される少なくとも1種のさらなる構成要素を有する配合物中の除草性活性成分として使用される。ある特定の実施形態では、さらなる構成要素は、担体としての役割を果たすことができる。その配合物又は組成物の成分は、その有効成分の物理的性質、施用モード、並びに土壌のタイプ、水分及び温度などのような環境因子に合わせて選択される。
【0125】
有用な配合物としては、式1a及び式1bの化合物を含む液体及び固体両方の組成物が挙げられる。液体組成物としては、溶液(乳剤(emulsifiable concentrate)を含む)、懸濁液、エマルション(マイクロエマルション、水中油型エマルション、流動性濃縮物、及び/又はサスポエマルションを含む)などが挙げられるが、それらは、場合によっては、増粘させてゲルとなっていてもよい。水性の液体組成物の一般的なタイプは、可溶性濃縮物、懸濁液濃縮物、カプセル懸濁液、濃縮エマルション、マイクロエマルション、水中油型エマルション、流動性濃縮物、及びサスポエマルションである。非水性の液体組成物の一般的なタイプは、乳剤、マイクロ乳剤、分散性濃縮物、及び油分散体である。
【0126】
固体の組成物の一般的なタイプは、微粉(dust)、粉体、顆粒、ペレット、プリル(prill)、パスティル(pastille)、錠剤、充填フィルム(種子コーティングを含む)などであり、それは、水分散性(「湿潤性(wettable)」)又は水可溶性であってよい。皮膜形成性溶液又は流動性懸濁液から形成されたフィルム及びコーティングは、種子処理には特に有用である。有効成分を、(マイクロ)カプセル化したり、さらに加工して、懸濁液又は固形の配合物としたりすることが可能であり;また別な方法として、有効成分の配合物全体を、カプセル化する(又は「オーバーコートする」)ことも可能である。カプセル化することによって、有効成分の放出を制御したり、又は遅らせたりすることができる。乳化性の顆粒は、乳剤配合物と乾燥顆粒状配合物との両方の利点を組み合わせている。高強度の組成物(high-strength composition)は、主として、さらなる配合をするための中間体として使用される。
【0127】
噴霧可能な配合物は、典型的には、適切な媒体の中に希釈してから、噴霧される。そのような液体及び固体の配合物は、噴霧媒体、通常は水であるが、時には、他の適切な媒体たとえば、芳香族、又はパラフィン系炭化水素、又は植物油の中に容易に希釈できるように配合されている。噴霧容積は、1ヘクタールあたり、約1リットル~数千リットルの範囲とすることが可能であるが、より典型的には、1ヘクタールあたり、約10リットル~数百リットルの範囲である。噴霧可能な配合物は、空中散布若しくは地上散布による茎葉処理のため、又は植物の生育培地に施用するために、水、又は他の適切な媒体とタンク混合することができる。液体配合物及び乾燥配合物は、点滴灌漑システムの中に直接計量仕込みすることもできるし、或いは植え付けの際に畦の中に計量仕込みすることもできる。
【0128】
配合物には、典型的には、下記の概略範囲内で、有効成分、希釈剤、及び界面活性剤の有効量を含むが、それらの合計が100重量パーセントとなるようにする。
【0129】
【表9】
【0130】
固体希釈剤としては、たとえば以下のものが挙げられる:クレー、たとえばベントナイト、モンモリロナイト、アタパルジャイト、及びカオリン、セッコウ、セルロース、二酸化チタン、酸化亜鉛、デンプン、デキストリン、糖類(たとえば、ラクトース、スクロース)、シリカ、タルク、マイカ、珪藻土、尿素、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム及び重炭酸ナトリウム、並びに硫酸ナトリウム。典型的な固体希釈剤が、次の文献に記載されている:Watkins et.al.,Handbook of Insecticide Dust Diluents and Carriers,2nd Ed.,Dorland Books,Caldwell,New Jersey。
【0131】
液状希釈剤としては、たとえば、以下のものが挙げられる:水、N,N-ジメチルアルカンアミド(たとえば、N,N-ジメチルホルムアミド)、リモネン、ジメチルスルホキシド、N-アルキルピロリドン(たとえば、N-メチルピロリジノン)、リン酸アルキル(たとえば、リン酸トリエチル)、エチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、パラフィン(たとえば、白色鉱油、ノルマルパラフィン、イソパラフィン)、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、グリセリン、グリセロールトリアセテート、ソルビトール、芳香族炭化水素、脱芳香族脂肪族化合物、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、ケトン、たとえば、シクロヘキサノン、2-ヘプタノン、イソホロン、及び4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン、酢酸エステル、たとえば酢酸イソアミル、酢酸ヘキシル、酢酸ヘプチル、酢酸オクチル、酢酸ノニル、酢酸トリデシル、及び酢酸イソボルニル、その他のエステル、たとえば、アルキル化乳酸エステル、二塩基性エステル、安息香酸アルキル及び安息香酸アリール、γ-ブチロラクトン、並びにアルコール(これは、直鎖状、分岐状、飽和若しくは不飽和であってよく、たとえばメタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロピルアルコール、n-ブタノール、イソブチルアルコール、n-ヘキサノール、2-エチルヘキサノール、n-オクタノール、デカノール、イソデシルアルコール、イソオクタデカノール、セチルアルコール、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、オレイルアルコール、シクロヘキサノール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ジアセトンアルコール、クレゾール、並びにベンジルアルコール)。液状希釈剤としてはさらに、以下のものが挙げられる:飽和及び不飽和脂肪酸(典型的にはC~C22)のグリセロールエステル、たとえば植物の種子及び果実油(たとえば、オリーブ油、ヒマシ油、アマニ油、ゴマ油、トウモロコシ油(corn oil)(トウモロコシ油(maize oil))、落花生油、ヒマワリ油、グレープシード油、サフラワー油、綿実油、ダイズ油、菜種油、ココナッツ油、及びパーム核油)、動物由来の脂肪(たとえば、牛脂、豚脂、ラード、タラ肝油、魚油)、並びにそれらの混合物。液状希釈剤としてはさらに、アルキル化脂肪酸(たとえば、メチル化、エチル化、ブチル化)が挙げられるが、ここでそれらの脂肪酸は、植物及び動物由来のグリセロールエステルの加水分解により得ることが可能であり、そして蒸留によって精製することができる。典型的な液状希釈剤は、次の文献に記載されている:Marsden,Solvents Guide,2nd Ed.,Interscience,New York,1950。
【0132】
本開示の固体及び液体組成物には、多くの場合、1種又は複数の界面活性剤が含まれる。液体に添加した場合、界面活性剤(surfactant)(「界面活性剤(surface-active agent)」としても知られている)は、一般的には液体の表面張力を変更、ほとんどの場合は低減させる。界面活性剤分子の中の親水性及び親油性の基の性質に応じて、界面活性剤は、湿潤剤、分散剤、乳化剤、又は消泡剤として有用となりうる。
【0133】
界面活性剤は、ノニオン性、アニオン性、又はカチオン性に分類することができる。本発明の組成物に有用なノニオン界面活性剤としては、以下のものが挙げられるが、それらに限定される訳ではない:アルコールアルコキシレートたとえば、天然及び合成のアルコール(分岐状であっても、又は直鎖状であってもよい)をベースとし、そしてアルコールと、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、又はそれらの混合物とから調製されるアルコールアルコキシレート;アミンエトキシレート、アルカノールアミド、及びエトキシル化アルカノールアミド;アルコキシル化トリグリセリドたとえば、エトキシル化したダイズ油、アマニ油、及びナタネ油;アルキルフェノールアルコキシレートたとえば、オクチルフェノールエトキシレート、ノニルフェノールエトキシレート、ジノニルフェノールエトキシレート、及びドデシルフェノールエトキシレート(フェノールと、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、又はそれらの混合物とから調製);エチレンオキシド、又はプロピレンオキシドから調製したブロックポリマー、及びその末端ブロックがプロピレンオキシドから調製された、リバースブロックポリマー;エトキシル化脂肪酸;エトキシル化脂肪族エステル及び油;エトキシル化メチルエステル;エトキシル化トリスチリルフェノール(エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、又はそれらの混合物から調製したものを含む);脂肪酸エステル、グリセロールエステル、ラノリンベースの誘導体、ポリエトキシレートエステルたとえば、ポリエトキシル化ソルビタン脂肪酸エステル、ポリエトキシル化ソルビトール脂肪酸エステル、及びポリエトキシル化グリセロール脂肪酸エステル;その他のソルビタン誘導体たとえば、ソルビタンエステル;ポリマー性界面活性剤たとえば、ランダムコポリマー、ブロックコポリマー、アルキドPEG(ポリエチレングリコール)樹脂、グラフト若しくは櫛形ポリマー、及び星形ポリマー;ポリエチレングリコール(PEG);ポリエチレングリコール脂肪酸エステル;シリコーンベースの界面活性剤;並びに糖類誘導体たとえば、スクロースエステル、アルキルポリグリコシド、及びアルキル多糖類。
【0134】
有用なアニオン界面活性剤としては、以下のものが挙げられるが、それらに限定される訳ではない:アルキルアリールスルホン酸及びそれらの塩;カルボキシレートアルコール、又はアルキルフェノールエトキシレート;ジフェニルスルホネート誘導体;リグニン及びリグニン誘導体、たとえばリグノスルホネート;マレイン酸若しくはコハク酸、又はそれらの無水物;オレフィンスルホネート;リン酸エステル、たとえば、アルコールアルコキシレートのリン酸エステル、アルキルフェノールアルコキシレートのリン酸エステル、及びスチリルフェノールエトキシレートのリン酸エステル;タンパク質ベースの界面活性剤;サルコシン誘導体;スチリルフェノールエーテルスルフェート;油及び脂肪酸の硫酸塩及びスルホン酸塩;エトキシル化アルキルフェノールの硫酸塩及びスルホン酸塩;アルコールの硫酸塩;エトキシル化アルコールの硫酸塩;アミン及びアミドのスルホン酸塩たとえば、N,N-アルキルタウレート;ベンゼン、クメン、トルエン、キシレン、並びにドデシルベンゼン及びトリデシルベンゼンのスルホン酸塩;縮合ナフタレンのスルホン酸塩;ナフタレン及びアルキルナフタレンのスルホン酸塩;分留した石油のスルホン酸塩;スルホスクシンアミド酸塩;並びにスルホコハク酸塩及びそれらの誘導体、たとえばスルホコハク酸ジアルキルの塩。
【0135】
有用なカチオン界面活性剤としては、以下のものが挙げられるが、それらに限定される訳ではない:アミド及びエトキシル化アミド;アミン、たとえばN-アルキルプロパンジアミン、トリプロピレントリアミン、及びジプロピレンテトラミン、及びエトキシル化アミン、エトキシル化ジアミン、及びプロポキシル化アミン(アミンと、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、又はそれらの混合物とから調製);アミン塩、たとえば、アミンの酢酸塩及びジアミンの塩;第四級アンモニウム塩たとえば、四級塩、エトキシル化四級塩、及びジ四級塩;並びにアミンオキシド、たとえばアルキルジメチルアミンオキシド及びビス-(2-ヒドロキシエチル)-アルキルアミンオキシド。
【0136】
本発明の組成物に有用なものとしては、ノニオン性界面活性剤とアニオン界面活性剤との混合物、又はノニオン性界面活性剤とカチオン界面活性剤との混合物がある。ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、及びカチオン界面活性剤、並びにそれらの推奨される使用は、たとえば以下の各種の公刊された参考文献に開示されている:McCutcheon’s Emulsifiers and Detergents,annual American and International Editions published by McCutcheon’s Division,The Manufacturing Confectioner Publishein Co.;Sisely and Wood,Encyclopedia of Surface Active Agents,Chemical Publ.Co.,Inc.,New York,1964;及びA.S.Davidson and B.Milwidsky,Synthetic Detergents,Seventh Edition,John Wiley and Sons,New York,1987。
【0137】
本開示の組成物にはさらに、配合助剤(それらのいくつかは、固体希釈剤、液状希釈剤、又は界面活性剤としても機能すると考えられ得る)として当業者には公知の、配合助剤及び添加剤が含まれていてもよい。そのような配合助剤及び添加剤は、以下のものを調節することができる:pH(緩衝剤)、加工の際の泡立ち(消泡剤たとえばポリオルガノシロキサン)、有効成分の沈降(懸濁剤)、粘度(チキソトロピック増粘剤)、容器内での微生物の増殖(抗微生物剤)、製品の凍結(不凍液)、色(染料/顔料分散)、洗い流し(wash-off)(製膜剤、又はステッカー)、蒸発(蒸発抑制剤)、及びその他の配合属性。製膜剤としては、たとえば以下のもの挙げられる:ポリ酢酸ビニル、ポリ酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルピロリドン-酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールコポリマー、及びワックス。配合助剤及び添加剤の例としては、以下の文献に列挙されているものが挙げられる:McCutcheon’s Volume 2:Functional Materials,annual International and North American editions published by McCutcheon’s Division,The Manufacturing Confectioner Publishing Co.,;及び国際公開第03/024222号パンフレット。
【0138】
式1a及び式1bの化合物及びその他の各種有効成分は、典型的には、その有効成分を溶媒の中に溶解させるか、或いは液体又は乾燥希釈剤の中で、摩砕させるかによって、本発明の組成物の中に組み入れられる。乳剤も含めて、溶液は、複数の成分を単に混合することにより調製することができる。乳剤として使用することを目的とした液体組成物の溶媒が水-非混和性である場合には、典型的には、乳化剤を添加し、水で希釈して、活性成分含有溶媒を乳化させる。2,000μmまでの粒子直径を有する有効成分のスラリー剤は、媒体ミル(media mill)を使用した湿式ミルにかけて、平均直径が3μm未満の粒子を得ることができる。水性スラリーを、最終的な懸濁液濃縮物とすることもできるし(たとえば、米国特許第3,060,084号明細書参照)、或いは噴霧乾燥によってさらに加工して、水分散性顆粒剤を形成させることもできる。乾燥配合物とするには、通常、乾式摩砕プロセスを必要とするが、それによって、2~10μmの範囲の平均粒子直径となる。微粉及び粉体は、ブレンド、及び通常は(たとえばハンマーミル又は流体エネルギーミルを使用した)摩砕をすることによって調製することができる。顆粒及びペレットは、前もって成形した顆粒状キャリアの上に活性物質を噴霧するか、又は、凝集法により調製することができる。参照:Browning,“Agglomeration”,Chemical Engineering,December 4,1967,pp.147-48、Perry’s Chemical Engineer’s Handbook,4th Ed.,McGraw-Hill,New York,1963,pages 8-57;及び以下;国際公開第91/13546号パンフレット。ペレットは、米国特許第4,172,714号明細書の記載に従って調製することができる。水分散性及び水可溶性の顆粒は、米国特許第4,144,050号明細書、米国特許第3,920,442号明細書、及び独国特許第3,246,493号明細書の教示に従って調製することができる。錠剤は、米国特許第5,180,587号明細書、米国特許第5,232,701号明細書、及び米国特許第5,208,030号明細書の教示に従って調製することができる。フィルムは、英国特許第2,095,558号明細書及び米国特許第3,299,566号明細書の教示に従って調製することができる。
【0139】
配合技術に関するさらなる情報は、以下の文献を参照されたい:T.S.Woods,“The Formulator’s Toolbox-Product Forms for Modern Agriculture”in Pesticide Chemistry and Bioscience,The Food-Environment Challenge,T.Brooks and T.R.Roberts,Eds.Proceedings of the 9th International Congress on Pesticide Chemistry,The Royal Society of Chemistry,Cambridge,1999,pp.120-133。さらには、以下の文献も参照されたい:米国特許第3,235,361号明細書、第6列第16行~第7列第19行、及び実施例10~41;米国特許第3,309,192号明細書、第5列第43行~第7列第62行、及び実施例8、12、15、39、41、52、53、58、132、138~140、162~164、166、167、及び169~182;米国特許第2,891,855号明細書、第3列第66行~第5列第17行、及び実施例1~4;Klingman,Weed Control as a Science,John Wiley and Sons,Inc.,New York,1961,pp 81-96;Hance et al.,Weed Control Handbook,8th Ed.,Blackwell Scientific Publications,Oxford,1989;及びDevelopments in formulation technology,PJB Publications,Richmond,UK,2000。
【0140】
下記の実施例において、全ての百分率は重量により、全ての配合物は通常の方法で調製される。化合物番号、すなわち、「Cpd.No.」は、表1における化合物を指す。先の記述を使用する当業者は、余分な努力をしなくても、本開示をその最も十分な程度まで利用することができると考えられる。したがって、下記の実施例は、単に例示であり、いかなる点においても本開示を限定するものではないと解釈される。百分率は、他に示す場合以外は重量による。
【実施例
【0141】
実施例A
高強度濃縮物
式1a又は式1bの化合物 98.5%
シリカエーロゲル 0.5%
合成アモルファス微粉シリカ 1.0%
【0142】
実施例B
水和剤
式1a又は式1bの化合物 65.0%
ドデシルフェノールポリエチレングリコールエーテル 2.0%
リグニンスルホン酸ナトリウム 4.0%
ケイアルミン酸ナトリウム 6.0%
モンモリロナイト(焼成品) 23.0%
【0143】
実施例C
顆粒
式1a又は式1bの化合物 10.0%
アタパルジャイト顆粒(低揮発性物質、0.71/0.30mm;U.S.S.No.25~50篩) 90.0%
【0144】
実施例D
押出加工ペレット
式1a又は式1bの化合物 25.0%
無水硫酸ナトリウム 10.0%
粗リグニンスルホン酸カルシウム 5.0%
アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム 1.0%
カルシウム/マグネシウムベントナイト 59.0%
【0145】
実施例E
乳化性濃縮物
式1a又は式1bの化合物 10.0%
ポリオキシエチレンソルビトールヘキサオレエート 20.0%
~C10脂肪酸メチルエステル 70.0%
【0146】
実施例F
マイクロエマルション
式1a又は式1bの化合物 5.0%
ポリビニルピロリドン-酢酸ビニルコポリマー 30.0%
アルキルポリグリコシド 30.0%
モノオレイン酸グリセリル 15.0%
水 20.0%
【0147】
実施例G
懸濁液濃縮物
式1a又は式1bの化合物 35%
ブチルポリオキシエチレン/ポリプロピレンブロックコポリマー 4.0%
ステアリン酸/ポリエチレングリコールコポリマー 1.0%
スチレンアクリルポリマー 1.0%
キサンタンガム 0.1%
プロピレングリコール 5.0%
シリコーンをベースとする消泡剤 0.1%
1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン 0.1%
水 53.7%
【0148】
実施例H
水中エマルション
式1a又は式1bの化合物 10.0%
ブチルポリオキシエチレン/ポリプロピレンブロックコポリマー 4.0%
ステアリン酸/ポリエチレングリコールコポリマー 1.0%
スチレンアクリルポリマー 1.0%
キサンタンガム 0.1%
プロピレングリコール 5.0%
シリコーンをベースとする消泡剤 0.1%
1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン 0.1%
芳香族石油をベースとする炭化水素 20.0
水 58.7%
【0149】
実施例I
油分散体
式1a又は式1bの化合物 25%
ポリオキシエチレンソルビトールヘキサオレエート 15%
有機変性ベントナイトクレイ 2.5%
脂肪酸メチルエステル 57.5%
【0150】
また開示されているのは、上記の実施例A~Iであり、ここで、「式1a又は式1bの化合物」は、「式2(エナンチオマー2A)又は式2(エナンチオマー2B)の化合物」、式3(エナンチオマー3A)又は式3(エナンチオマー3B)の化合物、「式4(エナンチオマー4A)又は式4(エナンチオマー4B)の化合物」又は「式5(エナンチオマー5A)又は式5(エナンチオマー5B)の化合物」で置き換えられる。
【0151】
試験結果は、式1a又は式1bのある特定の化合物が活性の出芽前及び/若しくは出芽後除草剤並びに/又は植物成長抑制剤であることを示す。式1a又は式1bの化合物は一般に、出芽後雑草防除(すなわち、雑草の幼苗が土壌から出芽した後に施用される)及び出芽前雑草防除(すなわち、雑草の幼苗が土壌から出芽する前に施用される)についての最も高い活性を示す。それらの多くは、すべての植生を完全に防除することが望まれる、たとえば次のような領域での、広域範囲の出芽前及び/又は出芽後の雑草防除に有用である:燃料貯蔵タンクの周辺、産業用貯蔵地区、駐車場、ドライブインシアター、飛行場、河岸、灌漑用その他の水路、大型の屋外広告板周辺、及び鉄道施設。本開示の化合物の多くは、作物対雑草で選択的代謝を有しているか、又は作物及び雑草における生理学的阻害の領域で選択的な活性を有しているか、又は作物と雑草が混じった環境上若しくは環境中での選択的な配置(placement)を有しているために、作物/雑草が混じったところでの、イネ科雑草(grass)及び広葉雑草の選択的防除に有用である。当業者の認識しているところであろうが、単一の化合物又は一群の化合物の中での選択因子を好適に組み合わせることは、通常の生物学的及び/又は生化学的アッセイによって容易に決めることができる。
【0152】
式1a又は式1bの化合物は、以下のような重要な農作物に対する耐性を示すことができる(これらに限定される訳ではない):アルファルファ、オオムギ、ワタ、コムギ、セイヨウアブラナ、テンサイ、トウモロコシ(corn)(トウモロコシ(maize))、モロコシ、ダイズ、イネ、オートムギ、エンドウナッツ、野菜、トマト、ジャガイモ、多年生プランテーション作物(コーヒー、ココア、アブラヤシ(oil palm)、ゴムを含む)、サトウキビ、カンキツ類、グレープシード、果樹、堅果樹(nut tree)、バナナ、オオバコ、パイナップル、ホップ、茶の木、並びに樹木林たとえば、ユーカリ及び針葉樹(たとえば、テーダマツ)、並びに芝生種(たとえば、ケンタッキーブルーグラス、セントオーガスチングラス、ケンタッキーフェスク(Kentucky fescue)及びギョウギシバ)。本開示の化合物は、遺伝子形質転換された作物、又は除草剤に対する耐性を組み入れるか、無脊椎有害生物に対して毒性のタンパク質(たとえば、バシラス・チューリンギエンシス(Bacillus thuringiensis)トキシン)を発現するか、及び/又はその他の有用な特性を発現するように品種改良した作物において有用となりうる。当業者の認識するところであろうが、すべての化合物が、すべての雑草に対して、同程度に有効である訳ではない。その一方で、本発明の主題である化合物は、植物の生長を調節するのに有用である。
【0153】
本開示の化合物は、(出芽前及び出芽後両方)で除草活性を有していて、植生を死滅させるか若しくは損傷を与えるか、又はその生長を抑制することにより、望ましくない植生を防除するので、その化合物は、本開示の化合物、又は前記化合物と、界面活性剤、固体希釈剤又は液状希釈剤の少なくとも1種とを含む組成物の除草剤としての有効量を、その望ましくない植生の茎葉若しくはその他の部分、又はその中で、その望ましくない植生が生長しているか、又はその望ましくない植生の種子若しくはその他のむかごを取り巻く、その望ましくない植生の環境、たとえば土壌又は水と接触させることを含む各種の方法によって、有用に施用することができる。
【0154】
式1a又は式1bの化合物の除草剤としての有効量は、いくつかの因子によって決まる。それらの因子としては、以下のものが挙げられる:選択される配合物、施用方法、存在している植生の量及びタイプ、成長条件など。一般的には、本開示の化合物の除草剤としての有効量は、約0.001~20kg/ha、好ましくは約0.004~1kg/haの範囲である。当業者ならば、雑草防除を所望のレベルとするのに必要な、除草剤としての有効量は、容易に決めることができる。
【0155】
1つの一般的な実施形態においては、式1a又は式1bの化合物を、典型的には配合された組成物の形で、生長媒体(たとえば、土壌)と接触状態にある、望ましい植生(たとえば、作物)と望ましくない植生(すなわち、雑草)とを含む領域(いずれも、種子、幼苗、及び/又はより生長した植物であってよい)に施用する。この領域においては、本開示の化合物を含む組成物は、特にはその望ましくない植生の植物又はその一部、及び/又はその植物と接触状態にある生長媒体に、直接施用することができる。
【0156】
本開示の化合物で処理した生息地における望ましい植生の植物品種及び栽培品種は、通常の繁殖及び育種方法によって、又は遺伝子工学方法によって得ることができる。遺伝子組換え植物(トランスジェニック植物)は、異種遺伝子(導入遺伝子)が植物のゲノムへと安定に組み込まれているものである。植物ゲノムにおけるその特定の位置によって定義される導入遺伝子は、形質転換又はトランスジェニック事象と称される。
【0157】
最も典型的には、本開示の化合物は、望ましくない植生を防除するために使用されるが、処理される領域において、望ましい植生を本開示の化合物と接触させることによって、その望ましい植生における遺伝子の特性と、遺伝子の修飾を介して取り込まれる特性も含めて、超相加的又は相乗効果が得られる可能性がある。たとえば、植食性の害虫、又は植物病害に対する耐性、生物学的/非生物学的ストレス又は貯蔵安定性に対する耐性は、その望ましい植生における遺伝子の特性から予想されるよりは、大きいかもしれない。
【0158】
本開示の化合物はさらに、さらに広範な農業保護スペクトルを与える多成分殺生物剤を形成させるために、1種又は複数のその他の生物活性化合物又は薬剤と混合することも可能であるが、そのようなものとしては、以下のものが挙げられる:除草剤、除草剤毒性緩和剤、殺真菌剤、殺虫剤、殺線虫剤、殺菌剤、ダニ駆除剤、生長調整物質たとえば昆虫の脱皮阻害剤及び発根刺激剤、化学不妊剤、信号化学物質、忌避剤、誘引剤、フェロモン、摂食刺激剤、植物養分、その他の生物活性化合物、又は昆虫病原性細菌、ウイルス、又は真菌。本開示の化合物と他の除草剤との混合物は、さらなる雑草種に対する活性スペクトルを拡げ、各種の抵抗性バイオタイプの増殖を抑制することが可能である。したがって、本開示はさらに、式1a及び/又は式1bの化合物(除草剤としての有効量の)、及び少なくとも1種のさらなる生物活性化合物又は薬剤(生物学的有効量の)を含む組成物にも関連し、そして界面活性剤、固体希釈剤、又は液状希釈剤の少なくとも1種をさらに含むことも可能である。その他の生物活性化合物又は薬剤は、界面活性剤、固体希釈剤、又は液状希釈剤の少なくとも1種を含む組成物の中に、配合することができる。本開示の混合物には、1種又は複数のその他の生物活性化合物又は薬剤を、式1a又は式1bの化合物と共に配合して、プレミックスを形成させるか、或いは、1種又は複数のその他の生物活性化合物又は薬剤を、式1a又は式1bの化合物とは別途に配合して、その配合物を、施用する前に組み合わせるか(たとえば、散布タンクの中で)、或いは別の方法として、順次に施用することもできる。
【0159】
農業用保護剤(すなわち、除草剤、除草剤毒性緩和剤、殺虫剤、殺真菌剤、殺線虫剤、ダニ駆除剤、及び生物学的薬剤)についての一般的な参考文献としては、以下のものが挙げられる:The Pesticide Manual,13th Edition,C.D.S.Tomlin,Ed.,British Crop Protection Council,Farnham,Surrey,U.K.,2003、及びThe BioPesticide Manual,2nd Edition,L.G.Copping,Ed.,British Crop Protection Council,Farnham,Surrey,U.K.,2001。
【0160】
これら各種の混合パートナーの1つ又は複数を使用するような実施形態においては、その混合パートナーは、典型的には、混合するパートナーが単独で使用される場合に慣用される量と同程度の量で使用される。より具体的には、混合物においては、有効成分は多くの場合、製品ラベルに規定されている、有効成分単独で使用するための散布量の半分~全部の間の散布量で施用されることが多い。これらの量は、たとえば次の参考文献に記載されている:The Pesticide Manual及びThe BioPesticide Manual。これら各種の混合パートナー(合計したもの)の、式1a又は式1bの化合物に対する重量比は、典型的には、約1:3000~約3000:1の間である。注目すべきは、約1:300~約300:1の間の重量比(たとえば、約1:30~約30:1の間の比率)である。当業者ならば、所望の生物学的活性スペクトルを得るのに必要な、有効成分の生物学的有効量を、単純な実験で容易に決めることができる。これらの追加の成分を含むことによって、式1a又は式1bの化合物単独によって防除されるスペクトルよりも広く、防除される雑草のスペクトルを拡げることが可能となるということは明らかであろう。
【0161】
注目すべきなのは、(除草的有効量での)本発明の化合物、他の除草剤及び除草剤毒性緩和剤(有効量の)からなる群から選択される少なくとも1種のさらなる活性成分、並びに界面活性剤、固体賦形剤及び液体賦形剤からなる群から選択される少なくとも1種の構成要素を含む組成物である。
【0162】
表A1は、本発明の混合物、組成物及び方法を例示する、構成要素(a)と構成要素(b)との特定の組合せを列挙する。構成要素(a)列における化合物番号A(すなわち、「Cpd.No.」は、「化合物番号」の略語である)は、索引表において同定される。表A1の第2の列は、特定の構成要素(b)化合物を列挙する(例えば、第1行における「2,4-D」)。表A1の第3、第4及び第5の列は、構成要素(b)に対して構成要素(a)化合物が圃場栽培作物へと典型的には施用される割合について一連の重量比を列挙する(すなわち(a):(b))。このように、例えば、表A1の第1行は、構成要素(a)(すなわち、索引表における化合物番号A)と2,4-Dとの組合せが1:192~6:1の重量比で典型的には施用されることを特に開示する。表A1の残りの行は、同様に解釈される。
【0163】
【表10】
【0164】
【表11】
【0165】
【表12】
【0166】
【表13】
【0167】
【表14】
【0168】
【表15】
【0169】
【表16】
【0170】
表A2は、「構成要素(a)(化合物番号)」列見出しの下の内容が下記に示すそれぞれの構成要素(a)列の内容で置き換えられていることを除いて、上記の表A1と同じに構成される。構成要素(a)列における化合物番号は、索引表1において同定される。このように、例えば、表A2において、「構成要素(a)」列見出しの下の内容は全て「2(エナンチオマーB)」(索引表1において同定される化合物番号2)を列挙し、表A2における列見出しの下の第1行は、化合物番号2(エナンチオマーB)と2,4-Dとの混合物を特に開示する。
【0171】
【表17】
【0172】
ある種の場合においては、本開示の化合物を他の生物活性(特に除草性)化合物又は薬剤(すなわち、有効成分)と組み合わせることによって、雑草に対しては、添加量を上回る(すなわち、相乗的)効果が得られ、及び/又は作物又はその他の望ましい植物に対しては、相加作用を下回る(すなわち、安全化)結果を得ることができる。効果的に有害生物を防除しながらも、環境に放出される有効成分の量を減らすことが、常に望ましい。作物に過剰な損傷を与えることなく、より効果的な雑草防除を行うために、より多くの量の有効成分を使用する性能もまた望ましい。農学的に満足のいくレベルの雑草防除を得られる散布量で、除草性有効成分の相乗作用が、雑草で起きるのなら、そのような組み合わせは、作物の製造コストを下げ、環境への負担を軽減するには、有利となりうる。作物での、除草性有効成分の安全化が起きるのなら、そのような組み合わせは、雑草との競合を抑えて、作物を保護を高めるために有利となりうる。
【0173】
注目すべきは、本開示の化合物と、少なくとも1種の他の除草性有効成分との組み合わせである。特に注目すべきは、それらの他の除草性有効成分が、本開示の化合物とは異なった作用点(site of action)を有しているような、組み合わせである。ある種の場合においては、似たような防除スペクトルではあるが、異なった作用点を有する、少なくとも1種の他の除草性有効成分との組み合わせが、抵抗性管理には特に有利となるであろう。したがって、本開示の組成物には、似たような防除スペクトルではあるが、異なった作用点を有する、少なくとも1種のさらなる除草性有効成分を(除草剤としての有効量で)さらに含むことができる。
【0174】
本開示の化合物は、ある種の作物への安全性を増大させるために、たとえば以下のような除草剤毒性緩和剤と組み合わせて使用することもできる:アリドクロル、ベノキサコル、クロキントセット-メキシル、クミルロン、シオメトリニル、シプロスルホンアミド、ダイムロン、ジクロルミド、ジシクロノン、ジエトレート、ジメピペレート、フェンクロラゾール-エチル、フェンクロリム、フルラゾール、フルクソフェニム、フリラゾール、イソキサジフェン-エチル、メフェンピル-ジエチル、メフェネート、メトキシフェノン無水ナフタル酸(1,8-無水ナフタル酸)、オキサベトリニル、N-(アミノカルボニル)-2-メチルベンゼンスルホンアミド、N-(アミノカルボニル)-2-フルオロベンゼンスルホンアミド、1-ブロモ-4-[(クロロメチル)スルホニル]ベンゼン(BCS)、4-(ジクロロアセチル)-1-オキサ-4-アゾスピロ[4.5]デカン(MON 4660)、2-(ジクロロメチル)-2-メチル-1,3-ジオキソラン(MG 191)、1,6-ジヒドロ-1-(2-メトキシフェニル)-6-オキソ-2-フェニル-5-ピリミジンカルボン酸エチル、2-ヒドロキシ-N,N-ジメチル-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-カルボキサミド、1-(3,4-ジメチルフェニル)-1,6-ジヒドロ-6-オキソ-2-フェニル-5-ピリミジンカルボキシレート、2,2-ジクロロ-1-(2,2,5-トリメチル-3-オキサゾリジニル)-エタノン、及び2-メトキシ-N-[[4-[[(メチルアミノ)カルボニル]アミノ]フェニル]スルホニル]-ベンズアミド。除草剤毒性緩和剤の追加の有効量は、本開示の化合物と同時に施用することもでき、或いは種子処理として施用することもできる。したがって、本開示の態様は、本開示の化合物と、解毒有効量の除草剤毒性緩和剤を含む除草剤混合物に関する。種子処理は、選択的に雑草防除をするには特に有用であるが、その理由は、作物に対する解毒作用を限定するからである。したがって、本開示の特に有用な実施形態は、作物の中の望ましくない植生の増殖を選択的に防除するための方法であり、本開示の化合物の除草剤としての有効量を用いて、作物の領域と接触させることを含むが、ここで、それから作物が生長する種子を、毒性緩和剤の解毒有効量を用いて処理する。毒性緩和剤の解毒有効量は、当業者ならば、簡単な実験によって容易に求めることができる。
【0175】
本開示の化合物はさらに、以下のものと混合することができる:(1)ポリヌクレオチド、非限定的に挙げれば、たとえば除草効果を付与する遺伝子操作した転写物のダウンレギュレーション、干渉、抑制、又はサイレンシングを介して特定の標的の量に影響する、DNA、RNA、及び/又は化学修飾されたヌクレオチド;又は、(2)ポリヌクレオチド、非限定的に挙げれば、たとえば毒性緩和効果を付与する遺伝子操作した転写物のダウンレギュレーション、干渉、抑制、又はサイレンシングを介して特定の標的の量に影響する、DNA、RNA、及び/又は化学修飾されたヌクレオチド。
【0176】
下記の試験Aは、代表的な雑草に対する本開示の代表的な化合物の防除の有効性を示すが、これらの化合物によってもたらされる雑草防除はこれらの種に限定されない。化合物の説明について索引表1を参照されたい。
【0177】
【表18】
【0178】
試験A
イヌビエ(BYG、ウスゲケイヌビエ(Echinochloa crus-galli))、コキア(KOC、ホウキギ(Kochia scoparia))、ブタクサ(一般のブタクサ、ブタクサ(Ambrosia elatior))、ネズミムギ(RGI、ネズミムギ(Lolium multiflorum))、アキノエノコログサ(FTI、アキノエノコログサ(Setaria faberii))、エノコログサ(エノコログサ(Setaria viridis))及びアカザ(PWR、アオゲイトウ(Amaranthus retroflexus))から選択される植物種の種子を、ローム土及び砂のブレンドへと植え、界面活性剤を含んだ非植物毒性の溶媒混合物中で配合した試験化学物質を使用した指向性土壌散布で出芽前処理した。
【0179】
同時に、これらの雑草種並びにまたコムギ(WWT、コムギ(Triticum aestivum))、トウモロコシ(CPI、トウモロコシ(Zea mays))、ブラックグラス(BKG、ノスズメノテッポウ(Alopecurus myosuroides))及びヤエムグラ(GAL、ヤエムグラ、ヤエムグラ(Galium aparine))から選択した植物を、ローム土及び砂の同じブレンドを含有するポットに植え、同じ様式で配合した試験化学物質の出芽後施用で処理した。植物は2~10cmの範囲の高さであり、出芽後処理のために一葉期から二葉期であった。処理した植物及び未処理の対照を、温室において概ね10日維持し、この時間の後で全ての処理した植物を未処理の対照と比較し、傷害について視覚的に評価した。表1~4において要約した植物の応答の等級付けは0~100の尺度を基準にして、ここで、0は効果なしであり、100は完全な防除である。ダッシュ(-)の応答は、試験結果がないことを意味する。等級付けの後に総体的症状を表す文字が続き、ここで、Sは白化現象であり、Cは退緑であり、Gは成長阻害であり、Eは出芽である。
【0180】
【表19】
【0181】
【表20】
【0182】
【表21】
【0183】
【表22】
【手続補正書】
【提出日】2022-11-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ある特定のピリダジノン誘導体の立体異性体、それらのN-オキシド、塩及び組成物、並びに望ましくない植生を防除するためのそれらの使用の方法に関する。さらに具体的には、本開示は、ある特定のピリダジノン誘導体のアトロプ異性体、それらのN-オキシド、塩及び組成物、並びに除草剤としてのそれらの使用の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
望ましくない植生を防除することは、高い収穫効率を達成するには、極めて重要である。なかんずく、特にたとえば、イネ、ダイズ、テンサイ、トウモロコシ、ジャガイモ、コムギ、オオムギ、トマト、及びプランテーション作物のような有用な作物の中での雑草の増殖の選択的な防除を達成することは、極めて望ましい。そのような有用な作物の中での雑草の増殖を放置することは、生産性を著しく低下させ、それによって、消費者に対してコスト上昇をもたらす原因となりうる。非耕作地における望ましくない植生の防除もまた重要である。これらの目的のために、多くの製品が市場で入手可能ではあるが、効果がより高く、コストがより低く、毒性がより低く、環境的により安全であるか、又は異なった作用機構を有する新規な化合物が、依然として必要とされている。
【0003】
特許文献1及び特許文献2は、除草性ピリダジノン、及び除草性ピリダジノンを調製するために使用される合成中間体について開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2015/168010号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2017/074988号パンフレット
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、式1a及び式1bの化合物のピリダジノン誘導体の光学活性なアトロプ異性体、それらのN-オキシド若しくは塩を提供する;式1の化合物は、式1aのアトロプ異性体及び式1bのアトロプ異性体のラセミ混合物である。
【化1】
式中、
は、CH又はハロゲンであり;
は、CH、CHCH、ハロゲン、トリフルオロメチル又はジフルオロメトキシであり;
は、H、CH又はハロゲンであり;
は、H、CH又はハロゲンであり;
は、H、C~Cアルキルカルボニル、C~Cアルコキシカルボニル又はC~Cアルキルカルボキシメチルであり;
ここで、
式1a又は1bのアトロプ異性体、それらのN-オキシド若しくは塩は、その対応するエナンチオマー、又はそれらのN-オキシド若しくは塩を超えて存在する。
【0006】
別の態様において、本開示は、式1a又は1bの化合物を調製するための方法を提供し;
【化2】
式中、
は、CH又はハロゲンであり;
は、CH、CHCH、ハロゲン、トリフルオロメチル又はジフルオロメトキシであり;
は、H、CH又はハロゲンであり;
は、H、CH又はハロゲンであり;
は、H、C~Cアルキルカルボニル、C~Cアルコキシカルボニル又はC~Cアルキルカルボキシメチルであり;
この方法は、
1)キラル支持クロマトグラフィーカラム上へと式1a及び1bのアトロプ異性体を含む式1の化合物のラセミ混合物を充填し、移動相で溶出することと;
2)異なる保持時間を伴って2つの別々の画分を単離することであって;1つは、正の旋光度値[α](+)を有するアトロプ異性体を含有し、1つは、負の旋光度値[α](-)を有するアトロプ異性体を含有することと
を含む。
【0007】
発明の詳細な説明
本明細書で使用するとき、「含む」(「comprises」、「comprising」、「includes」、「including」、「contains」、「containing」)、「有する」(「has」、「having」)、「を特徴とする」(「characterized by」)という用語、又はそれらの各種変化形は、明示的に指示された各種の制限に従った、非排他的な包含をカバーすることを意図している。たとえば、任意の要素を含むプロセス又は方法は、必ずしもそれらの要素のみに限定されることはなく、そのような組成、プロセス、又は方法に明示的に指示されなかったり、或いは固有でなかったりする、他の要素も含むことができる。
【0008】
転換句(transitional phrase)の「からなる(consisting of)」は、特定されていない、いかなる要素、ステップ、又は成分も排除する。特許請求項において、請求項が、不純物は別として、引用されたものとは異なる物質を包含するようにして閉じているのなら、通常、それと関連している。「consisiting of」という文言が、前文の直後というよりは、請求項の主要部の条項の中に現れている場合には、それは、その請求項の中で言及された要素のみを限定する;その他の要素は、全体として、その請求項から排除されることはない。
【0009】
転換句の「から実質的になる(consisting essentially of)」は、文言として開示されたものに加わるが、ただし、これらの追加の物質、ステップ、構成、成分、又は要素が、その開示の、基本的且つ新規な特性に、大きく影響することはないという場合の、物質、ステップ、構成、成分、又は要素を含む、プロセス又は方法を定義するのに使用されている。「consisting essentially of」という用語は、「comprising」と、「consisting of」の中間を占めている。
【0010】
出願人が、開示又はその一部を、たとえば「comprising」のようなオープンエンド用語で定義した場合には、(そうではないとの記述がない限り)、その記述は、「consisting essentially of」又は「consisting of」の用語を使用しているそのような開示もまた記述していると解釈するべきであるということは容易に理解されるべきである。
【0011】
さらに、それとは反対に、明示的に記述されていない限り、「又は(or)」は、包括的な「or」を指すのであって、排他的「or」を指すのではない。たとえば、条件「A又はB(A or B)」は、以下のいずれかにより満足される:Aが真であり(又は存在し)且つBが偽である(又は存在しない)、Aが偽であり(又は存在しない)且つBが真である(又は存在する)、並びに、AとBの両方が真である(又は存在する)。
【0012】
さらに、本開示の要素又は成分に先行する、不定冠詞の「a」及び「an」は、その要素又は成分の場合(すなわち、出現)の数に関しては非限定的であるものとする。したがって、「a」及び「an」は、1つ、又は少なくとも1つを含むと読み取るべきであり、そしてその要素又は成分のそのような単数の語形には、その数が単数を意味していることが明らかではない限り、複数もまた含まれる。
【0013】
用語「C~Cアルキル」は、1~4個の炭素原子を有する直鎖状又は分岐状アルキル、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル又は異なるブチル異性体を含む。本明細書において使用する場合、用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素を含む。用語「C~Cアルキルカルボニル」は、本明細書において使用するように、カルボニルを介して結合しているC~Cアルキルを指す。用語「C~Cアルコキシカルボニル」は、カルボニルを介して結合しているC~Cアルコキシ基を指す。用語「C~Cアルキルカルボキシメチル」は、-CH-基を介して結合している(C~Cアルキル)C=O基を指す。
【0014】
式1a及び式1bの化合物は典型的には、異なる固体形態で独立に存在することができる。このように、式1a及び式1bの化合物は、化合物が表すそれらの全ての結晶形態及び非結晶形態を含む。非晶性の形態には、固体である実施形態たとえばワックス及びゴム、さらには液体である実施形態たとえば溶液及び溶融物が含まれる。結晶性の形態には、実質的に単結晶タイプを表す実施形態、及び多形の混合物(すなわち、複数の結晶性タイプ)を表す実施形態が含まれる。「多形(polymorph)」という用語は、各種の結晶性の形態で結晶化することが可能な、化合物の特定の結晶性の形態を表しており、これらの形態は、結晶格子の中での、各種の分子の配列及び/又は配座を有している。複数の多形が、同一の化学組成を有することできるが、それらはさらに、その格子の中に弱く、又は強く結合されることが可能な、共結晶された水又は他の分子の存否によって、組成が異なっていることも可能である。多形は、結晶の形状、密度、硬度、色、化学的安定性、融点、吸湿性、懸濁性、溶解速度、及び生物学的アベイラビリティーのような、化学的、物理的、及び生物学的性質の面で異なっている可能性がある。
【0015】
当業者が認めるところであろうが、式1a及び式1bの化合物の多形が、式1a及び式1bの同一の化合物の他の多形、又は複数の多形の混合物に比較して、有利な効果(たとえば、有用な配合を調製する際の適合性、改良された生物学的性能)を示すことが可能である。式1a及び式1bの化合物の特定の多形の調製及び単離は、たとえば、選択された溶媒及び温度を使用する結晶化など、当業者には公知の方法によって達成することができる。多形についての包括的な議論に関しては、次の文献を参照されたい:R.Hilfiker,Ed.,Polymorphism in the Pharmaceutical Industry,Wiley-VCH,Weinheim,2006。
【0016】
N-オキシドを調製するための例示的な手順は、有機ペルオキシ酸、例えば、過酢酸及びm-クロロ過安息香酸(MCPBA)、過酸化水素、アルキルヒドロペルオキシド、例えば、t-ブチルヒドロペルオキシド、過ホウ酸ナトリウム、及びジオキシラン、例えば、ジメチルジオキシランによる複素環及び第三級アミンの酸化を含む。N-オキシドを調製するためのこれらの方法は、文献に広く記述され、総説が書かれているが、たとえば、以下の文献を参照されたい:T.L.Gilchrist,Comprehensive Organic Synthesis,vol.7,pp 748-750(S.V.Ley,Ed.,Pergamon Press);M.Tisler and B.Stanovnik,Comprehensive Heterocyclic Chemistry,vol.3,pp.18-20(A.J.Boulton and A.McKillop,Eds.,Pergamon Press);M.R.Grimmett and B.R.T.Keene,Advances in Heterocyclic Chemistry,vol.43,pp.149-161(A.R.Katritzky,Ed.,Academic Press);M.Tisler and B.Stanovnik,Advances in Heterocyclic Chemistry,vol.9,pp.285-291(A.R.Katritzky and A.J.Boulton,Eds.,Academic Press);及びG.W.H.Cheeseman and E.S.G.Werstiuk,Advances in Heterocyclic Chemistry,vol.22,pp.390-392(A.R.Katritzky and A.J.Boulton,Eds.,Academic Press)。とは言うものの、窒素は酸化物への酸化のために利用可能な孤立電子対を必要とするため、窒素含有複素環はN-オキシドを形成することができるとは限らないことを当業者は認識する。N-オキシドを形成することができるそれらの窒素含有複素環を当業者は認識する。
【0017】
本発明の化合物は、1つ若しくは複数の立体異性体として存在することができる。様々な立体異性体は、エナンチオマー、ジアステレオマー、アトロプ異性体及び幾何異性体を含む。立体異性体は、同一の構成ではあるが、空間におけるそれらの原子の配置が異なる異性体であり、エナンチオマー、ジアステレオマー、シストランス異性体(また幾何異性体として公知である)及びアトロプ異性体を含む。アトロプ異性体は、単結合の周りの束縛回転から生じ、ここで、回転障壁は異性体種の単離を許容するのに十分に高い。1つのアトロプ異性体は、他のアトロプ異性体(複数可)に対して濃縮されている(すなわち、過度である)とき、又は他のアトロプ異性体(複数可)から分離されたとき、より活性であり得、且つ/又は有益な効果を示し得ることを当業者は認識する。本発明の化合物は、アトロプ異性体の混合物、個々のアトロプ異性体として、又は光学活性な形態として存在し得、任意選択で1つのアトロプ異性体はその対応するエナンチオマーを超えている。
【0018】
特に、本発明の化合物は、他のアトロプ異性体より活性であるアトロプ異性体を含む。
【0019】
本開示のいくつかの非限定的な実施形態(ここで、式1a及び式1bの化合物はまた、それらのN-オキシド若しくは塩を含む)。
【0020】
実施形態A1。その対応する式1bのエナンチオマー、又はそれらのN-オキシド若しくは塩を超えて存在する、式1aの化合物のアトロプ異性体、又はそれらのN-オキシド若しくは塩を含む(又はそれからなる)、光学活性化合物。
【化3】
【0021】
実施形態A2。Rが、CHである、実施形態A1に記載の化合物。
【0022】
実施形態A3。Rが、ハロゲンである、実施形態A1に記載の化合物。
【0023】
実施形態A4。Rが、Cl、F又はBrである、実施形態A3に記載の化合物。
【0024】
実施形態A5。Rが、Cl又はCHである、実施形態A4に記載の化合物。
【0025】
実施形態A6。Rが、Clである、実施形態A5に記載の化合物。
【0026】
実施形態A7。Rが、CH、CHCH、ハロゲン又はジフルオロメトキシである、実施形態A1~A6のいずれか1つに記載の化合物。
【0027】
実施形態A8。Rが、CH、CHCH、Cl又はジフルオロメトキシである、実施形態A7に記載の化合物。
【0028】
実施形態A9。Rが、CH又はジフルオロメトキシである、実施形態A8に記載の化合物。
【0029】
実施形態A10。Rが、CHである、実施形態A9に記載の化合物。
【0030】
実施形態A11。Rが、H又はCHである、実施形態A1~A10のいずれか1つに記載の化合物。
【0031】
実施形態A12。Rが、Hである、実施形態A11に記載の化合物。
【0032】
実施形態A13。Rが、CHである、実施形態A12に記載の化合物。
【0033】
実施形態A14。Rが、H、CH又はClである、実施形態A1~A13のいずれかに記載の化合物。
【0034】
実施形態A15。Rが、Clである、実施形態A14に記載の化合物。
【0035】
実施形態A16。Rが、CHである、実施形態A14に記載の化合物。
【0036】
実施形態A17。Rが、Hである、実施形態A14に記載の化合物。
【0037】
実施形態A18。Rが、H、Cアルキルカルボニル、Cアルコキシカルボニル又はCアルキルカルボキシメチルである、実施形態A1~A17のいずれか1つに記載の化合物。
【0038】
実施形態A19。Rが、H又はCアルキルカルボニルである、実施形態A18に記載の化合物。
【0039】
実施形態A20。Rが、H又は-(C=O)CHCHである、実施形態A18に記載の化合物。
【0040】
実施形態A21。Rが、Hである、実施形態A20に記載の化合物。
【0041】
実施形態AA1。その対応する式1aのエナンチオマー、又はそれらのN-オキシド若しくは塩を超えて存在する、式1bの化合物のアトロプ異性体、又はそれらのN-オキシド若しくは塩からなる、光学活性化合物。
【化4】
【0042】
実施形態AA2。Rが、CHである、実施形態AA1に記載の化合物。
【0043】
実施形態AA3。Rが、ハロゲンである、実施形態AA1に記載の化合物。
【0044】
実施形態AA4。Rが、Cl、F又はBrである、実施形態AA3に記載の化合物。
【0045】
実施形態AA5。Rが、Cl又はFである、実施形態AA4に記載の化合物。
【0046】
実施形態AA6。Rが、Clである、実施形態A5に記載の化合物。
【0047】
実施形態AA7。Rが、CH、CHCH、ハロゲン又はジフルオロメトキシである、実施形態AA1~AA6のいずれか1つに記載の化合物。
【0048】
実施形態AA8。Rが、CH、CHCH、Cl又はジフルオロメトキシである、実施形態AA7に記載の化合物。
【0049】
実施形態AA9。Rが、CH又はジフルオロメトキシである、実施形態AA8に記載の化合物。
【0050】
実施形態AA10。Rが、CHである、実施形態AA9に記載の化合物。
【0051】
実施形態AA11。Rが、H又はCHである、実施形態AA1~AA10のいずれか1つに記載の化合物。
【0052】
実施形態AA12。Rが、Hである、実施形態AA11に記載の化合物。
【0053】
実施形態AA13。Rが、CHである、実施形態AA12に記載の化合物。
【0054】
実施形態AA14。Rが、H、CH又はClである、実施形態AA1~AA13のいずれかに記載の化合物。
【0055】
実施形態AA15。Rが、Clである、実施形態AA14に記載の化合物。
【0056】
実施形態AA16。Rが、CHである、実施形態AA14に記載の化合物。
【0057】
実施形態AA17。Rが、Hである、実施形態AA14に記載の化合物。
【0058】
実施形態AA18。Rが、H、Cアルキルカルボニル、Cアルコキシカルボニル又はCアルキルカルボキシメチルである、実施形態AA1~AA17のいずれか1つに記載の化合物。
【0059】
実施形態AA19。Rが、H又はCアルキルカルボニルである、実施形態AA18に記載の化合物。
【0060】
実施形態AA20。Rが、H又は-(C=O)CHCHである、実施形態AA18に記載の化合物。
【0061】
実施形態AA21。Rが、Hである、実施形態AA20に記載の化合物。
【0062】
実施形態B1。式1a又は1bの化合物を調製するための発明の概要において記載されている方法。
【化5】
【0063】
実施形態B2。Rが、CHである、実施形態B1に記載の方法。
【0064】
実施形態B3。Rが、ハロゲンである、実施形態B1に記載の方法。
【0065】
実施形態B4。Rが、Cl、F又はBrである、実施形態B3に記載の方法。
【0066】
実施形態B5。Rが、Cl又はFである、実施形態B4に記載の方法。
【0067】
実施形態B6。Rが、Clである、実施形態B5に記載の方法。
【0068】
実施形態B7。Rが、CH、CHCH、ハロゲン又はジフルオロメトキシである、実施形態B1~B6のいずれか1つに記載の方法。
【0069】
実施形態B8。Rが、CH、CHCH、Cl又はジフルオロメトキシである、実施形態B7に記載の方法。
【0070】
実施形態B9。Rが、CH又はジフルオロメトキシである、実施形態B8に記載の方法。
【0071】
実施形態B10。Rが、CHである、実施形態B9に記載の方法。
【0072】
実施形態B11。Rが、H又はCHである、実施形態B1~B10のいずれか1つに記載の方法。
【0073】
実施形態B12。Rが、Hである、実施形態B11に記載の方法。
【0074】
実施形態B13。Rが、CHである、実施形態B11に記載の方法。
【0075】
実施形態B14。Rが、H、CH又はClである、実施形態B1~B13のいずれかに記載の方法。
【0076】
実施形態B15。Rが、Clである、実施形態B14に記載の方法。
【0077】
実施形態B16。Rが、CHである、実施形態B14に記載の方法。
【0078】
実施形態B17。Rが、Hである、実施形態B14に記載の方法。
【0079】
実施形態B18。Rが、H、Cアルキルカルボニル、Cアルコキシカルボニル又はCアルキルカルボキシメチルである、実施形態B1~B17のいずれか1つに記載の方法。
【0080】
実施形態B19。Rが、H又はCアルキルカルボニルである、実施形態B18に記載の方法。
【0081】
実施形態B20。Rが、H又は-(C=O)CHCHである、実施形態B18に記載の方法。
【0082】
実施形態B21。Rが、Hである、実施形態B20に記載の方法。
【0083】
実施形態B22。キラル支持体クロマトグラフィーが、超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)である、実施形態B1に記載の方法。
【0084】
実施形態B23。移動相が、二酸化炭素である、実施形態B1に記載の方法。
【0085】
実施形態C1。その対応するアトロプ異性体より除草的に活性である、実施形態A1~AA21のいずれか1つに記載の化合物。
【0086】
実施形態C2。草に対してその対応するアトロプ異性体より活性である、実施形態C1に記載の化合物。
【0087】
上記の実施形態又は本明細書における任意の実施形態は、任意の様式で合わせることができる。本発明はまた、植生の生息地に(例えば、本明細書に記載されている組成物として)除草的有効量の式1a又は式1bの化合物を施用することを含む、望まれない植生を防除するための方法に関する。使用の方法に関する実施形態として注目すべきなのは、上記の実施形態の化合物が関与するものである。本発明の化合物は、作物、例えば、コムギ、オオムギ、トウモロコシ、ダイズ、ヒマワリ、ワタ、アブラナ及びコメ、並びに特殊作物、例えば、サトウキビ、柑橘類、果物及びナッツ作物における雑草の選択的な防除のために特に有用である。
【0088】
実施形態としてまた注目すべきであるのは、上記の実施形態の化合物を含む本発明の除草性組成物である。
【0089】
本発明にはさらに、以下のものを含む除草剤混合物が含まれる:(a)式1a及び式1b、それらのN-オキシド、及び塩から選択される化合物、並びに(b)少なくとも1種のさらなる有効成分、それらは以下のものから選択される:(b1)光化学系II阻害剤、(b2)アセトヒドロキシ酸シンターゼ(AHAS)阻害剤、(b3)アセチル-CoAカルボキシラーゼ(ACCアーゼ)阻害剤、(b4)オーキシン模倣物、(b5)5-エノール-ピルビルシキメート-3-ホスフェート(EPSP)シンターゼ阻害剤、(b6)光化学系I電子ダイバーター(electron diverter)、(b7)プロトポリフィリノーゲンオキシダーゼ(PPO)阻害剤、(b8)グルタミンシンテターゼ(GS)阻害剤、(b9)超長鎖脂肪酸(VLCFA)エロンガーゼ阻害剤、(b10)オーキシン輸送阻害剤、(b11)フィトエンデサチュラーゼ(PDS)阻害剤、(b12)4-ヒドロキシフェニル-ピルビン酸ジオキシゲナーゼ(HPPD)阻害剤、(b13)ホモゲンチジン酸ソラネシルトランスフェラーゼ(HST)阻害剤、(b14)セルロース生合成阻害剤、(b15)その他の除草剤(有糸分裂撹乱物質、有機ヒ素化合物、アシュラム、ブロモブチド、シンメチリン、クミルロン、ダゾメット、ジフェンゾコート、ダイムロン、エトベンザニド、フルレノール、ホサミン、ホサミン-アンモニウム、ヒダントサイジン、メタム、メチルダイムロン、オレイン酸、オキサジクロメフォン、ペラルゴン酸、及びビリブチカルブを含む)、(b16)除草剤毒性緩和剤(herbicide safener)、並びに(b1)~(b16)の化合物の塩。
【0090】
「光化学系II阻害剤」(b1)は、Q-結合ニッチ(Q-binding niche)のところでD-1タンパク質に結合する化合物であって、それにより、葉緑体のチラコイド膜におけるQからQへの電子伝達をブロックする。光化学系IIを通る経路からブロックされた電子は、一連の反応を介して輸送されて、毒性の化合物を形成し、それが、細胞膜を崩壊させ、葉緑体の膨潤、膜漏れ、及び最終的には細胞の破壊をもたらす。そのQ-結合ニッチには、三つの異なった結合部位を有している:結合部位Aは、トリアジンたとえばアトラジン、トリアジノンたとえばヘキサジノン、及びウラシルたとえばブロマシルに結合し;結合部位Bは、フェニル尿素たとえばジウロンと結合し;そして結合部位Cは、ベンゾチアジアゾールたとえばベンタゾン、ニトリルたとえばブロモキシニル、及びフェニルピリダジンたとえばピリデートと結合する。光化学系II阻害剤の例としては、以下のものが挙げられる:アメトリン、アミカルバゾン、アトラジン、ベンタゾン、ブロマシル、ブロモフェノキシム、ブロモキシニル、クロルブロムロン、クロリダゾン、クロロトルロン、クロロキシウロン、クミルロン、シアナジン、ダイムロン、デスメディファム、デスメトリン、ジメフロン、ジメタメトリン、ジウロン、エチジムロン、フェニュロン、フルオメツロン、ヘキサジノン、アイオキシニル、イソプロツロン、イソウロン、レナシル、リニュロン、メタミトロン、メタベンズチアズロン、メトブロムロン、メトキシウロン、メトリブジン、モノリニューロン、ネブロン、ペンタノクロール、フェンメディファム、プロメトン、プロメトリン、プロパニル、プロパジン、ピリダフォル、ピリデート、シデュロン、シマジン、シメトリン、テブチウロン、ターバシル、テルブメトン、テルブチラジン、テルブトリン、及びトリエタジン。
【0091】
「AHAS阻害剤」(b2)は、アセトヒドロキシ酸シンターゼ(AHAS)を阻害する化合物であって、アセトラクテート合成酵素(ALS)としても知られ、タンパク質の合成及び細胞の生長で必要とされる、分岐鎖の脂肪族アミノ酸たとえばバリン、ロイシン、及びイソロイシンの産生を阻害することによって、植物を死滅させる。AHAS阻害剤の例としては、以下のものが挙げられる:アミドスルフロン、アジムスルフロン、ベンスルフロン-メチル、ビスピリバック-ナトリウム、クロランスラム-メチル、クロリムロン-エチル、クロルスルフロン、シノスルフロン、シクロスルファムロン、ジクロスラム、エタメトスルフロン-メチル、エトキシスルフロン、フラザスルフロン、フロラスラム、フルカルバゾン-ナトリウム、フルメトスラム、フルピルスルフロン-メチル、フルピルスルフロン-ナトリウム、フォラムスルフロン、ハロスルフロン-メチル、イマザメタブンズ-メチル、イマザモックス、イマザピック、イマザピル、イマザキン、イマゼタピル、イマゾスルフロン、ヨードスルフロン-メチル(ナトリウム塩を含む)、ヨーフェンスルフロン(2-ヨード-N-[[(4-メトキシ-6-メチル-1,3,5-トリアジン-2-イル)アミノ]カルボニル]ベンゼンスルホンアミド)、メゾスルフロン-メチル、メタゾスルフロン(3-クロロ-4-(5,6-ジヒドロ-5-メチル-1,4,2-ジオキサジン-3-イル)-N-[[(4,6-ジメトキシ-2-ピリミジニル)アミノ]カルボニル]-1-メチル-1H-ピラゾル-5-スルホンアミド)、メトスラム、メトスルフロン-メチル、ニコスルフロン、オキサスルフロン、ペノクスラム、プリミスルフロン-メチル、プロポキシカルバゾン-ナトリウム、プロピリスルフロン(2-クロロ-N-[[(4,6-ジメトキシ-2-ピリミジニル)アミノ]カルボニル]-6-プロピルイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-3-スルホンアミド)、プロスルフロン、ピラゾスルフロン-エチル、ピリベンゾキシム、ピリフタリド、ピリミノバック-メチル、ピリチオバック-ナトリウム、リムスルフロン、スルホメツロン-メチル、スルホスルフロン、チエンカルバゾン、チフェンスルフロン-メチル、トリアファモン(N-[2-[(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)カルボニル]-6-フルオロフェニル]-1,1-ジフルオロ-N-メチルメタンスルホンアミド)、トリアスルフロン、トリベヌロン-メチル、トリフロキシスルフロン(ナトリウム塩を含む)、トリフルスルフロン-メチル、及びトリトスルフロン。
【0092】
「ACCアーゼ阻害剤」(b3)は、アセチル-CoAカルボキシラーゼ酵素を阻害する化合物であるが、この酵素は、植物の中での脂質及び脂肪酸の合成における初期段階に、触媒作用の働きをする。脂質は、細胞膜の必須成分であり、これ無くしては、新しい細胞を産生することができない。アセチルCoAカルボキシラーゼの阻害作用と、それに続く脂質産生の不足のために、特に、活発な生長領域たとえば分裂組織における細胞膜の完全性が失われることとなる。最後には、苗条及び根茎の生長が停止し、苗条の分裂組織及び根茎の芽が枯れ始める。ACCアーゼ阻害剤の例としては、以下のものが挙げられる:アロキシジム、ブトロキシジム、クレトジム、クロジナホップ、シクロキシジム、シハロホップ、ジクロホップ、フェノキサプロップ、フルアジホップ、ハロキシホップ、ピノキサデン、プロホキシジム、プロパキザホップ、キザロホップ、セトキシジム、テプラロキシジム、及びトラルコキシジム(分割された形態たとえば、フェノキサプロップ-P、フルアジホップ-P、ハロキシホップ-P、及びキザロホップ-P、並びにエステルの形態たとえば、クロジナホップ-プロパルギル、シハロホップ-ブチル、ジクロホップ-メチル、及びフェノキサプロップP-エチルを含む)。
【0093】
オーキシンは、多くの植物組織における成長を調節する植物ホルモンである。「オーキシン模倣物」(b4)は、植物成長ホルモンのオーキシンを模倣する化合物であるので、制御不能且つ無秩序な生長をもたらし、感受性の高い種では、植物の死に至らしめる。オーキシン模倣物の例としては、以下のものが挙げられる:アミノシクロピラクロル(6-アミノ-5-クロロ-2-シクロプロピル-4-ピリミジンカルボン酸)並びにそのメチル及びエチルエステル並びにそのナトリウム塩及びカリウム塩、アミノピラリド、ベナゾリン-エチル、クロルアンベン、クラシホス、クロメプロップ、クロピラリド、ジカンバ、2,4-D、2,4-DB、ジクロプロップ、フルロキシピル、ハラウキシフェン(4-アミノ-3-クロロ-6-(4-クロロ-2-フルオロ-3-メトキシフェニル)-2-ピリジンカルボン酸)、ハラウキシフェン-メチル(4-アミノ-3-クロロ-6-(4-クロロ-2-フルオロ-3-メトキシフェニル)-2-ピリジンカルボキン酸メチル)、MCPA、MCPB、メコプロプ、ピクロラム、キンクロラック、キンメラック、2,3,6-TBA、トリクロピル、並びに4-アミノ-3-クロロ-6-(4-クロロ-2-フルオロ-3-メトキシフェニル)-5-フルオロ-2-ピリジンカルボン酸メチル。
【0094】
「EPSPシンターゼ阻害剤」(b5)は、芳香族アミノ酸たとえば、チロシン、トリプトファン、及びフェニルアラニンの合成に関与する酵素である、5-エノール-ピルビルシキメート-3-ホスフェートシンターゼを阻害する化合物である。EPSP阻害除草剤は、植物の葉を介して容易に吸収され、師部を通して成長点に移行する。グリホサートは、この群に属する、比較的非選択的な出芽後除草剤である。グリホサートにはとしては、エステル並びに、たとえばアンモニウム、イソプロピルアンモニウム、カリウム、ナトリウム(セスキナトリウムを含む)、及びトリメシウム(別名、スルホサート)の塩が含まれる。
【0095】
「光化学系I電子ダイバーター」(b6)は、光化学系Iから電子を受け取る化合物であって、いくつかのサイクルの後で、ヒドロキシルラジカルを発生する。これらのラジカルは、反応性が極めて高く、膜脂肪酸及びクロロフィルも含めて、不飽和脂質を容易に破壊する。これが、細胞膜の完全性を破壊し、その結果、細胞及び細胞小器官で「漏れ(leak)」が生じ、葉が急速に萎れて乾燥し、最後には植物の死滅に到る。光合成阻害剤のこの第二のタイプの例としては、ジクワット及びパラコートが挙げられる。
【0096】
「PPO阻害剤」(b7)は、酵素のプロトポリフィリノーゲンオキシダーゼを阻害する化合物であって、植物の中で高度に活性が高い化合物を急速に生成させ、それが細胞膜を破壊し、細胞流体を漏れ出させる。PPO阻害剤の例としては、以下のものが挙げられる:アシフルオルフェン-ナトリウム、アザフェニジン、ベンズフェンジゾン、ビフェノックス、ブタフェナシル、カルフェントラゾン、カルフェントラゾン-エチル、クロメトキシフェン、シニドン-エチル、フルアゾレート、フルフェンピル-エチル、フルミクロラック-ペンチル、フルミオキサジン、フルオログリコフェン-エチル、フルチアセット-メチル、ホメサフェン、ハロサフェン、ラクトフェン、オキサジアルギル、オキサジアゾン、オキシフルオルフェン、ペントキサゾン、プロフルアゾール、ピラクロニル、ピラフルフェン-エチル、サフルフェナシル、スルフェントラゾン、チジアジミン、トリフルジモキサジン(ジヒドロ-1,5-ジメチル-6-チオキソ-3-[2,2,7-トリフルオロ-3,4-ジヒドロ-3-オキソ-4-(2-プロピン-1-イル)-2H-1,4-ベンゾキサジン-6-イル]-1,3,5-トリアジン-2,4(1H,3H)-ジオン)、及びチアフェナシル(メチルN-[2-[[2-クロロ-5-[3,6-ジヒドロ-3-メチル-2,6-ジオキソ-4-(トリフルオロメチル)-1(2H)-ピリミジニル]-4-フルオロフェニル]チオ]-1-オキソプロピル]-β-アラニネート)。
【0097】
「GS阻害剤」(b8)は、グルタミンシンテターゼ酵素の活性を阻害する化合物であるが、植物はその酵素を使用して、アンモニアをグルタミンに変換させる。したがって、アンモニアが蓄積して、グルタミンのレベルが低下する。植物へのダメージが、アンモニアの毒性と、他の代謝過程で必要とされるアミノ酸の欠乏との効果が重なりあって起きるのであろう。GS阻害剤としては、以下のものが挙げられる:グルホシネート並びにそのエステル及び塩、たとえばグルホシネート-アンモニウム及びその他のホスフィノトリシン誘導体、グルホシネート-P ((2S)-2-アミノ-4-(ヒドロキシメチルホスフィニル)ブタン酸)、及びビラナホス。
【0098】
「VLCFAエロンガーゼ阻害剤」(b9)は、エロンガーゼを阻害する広く、各種の化学構造を有する除草剤である。エロンガーゼは、葉緑体の内部又は近傍に位置する酵素の1つであって、VLCFAの生合成に与っている。植物においては、超長鎖脂肪酸は、疎水性ポリマーの主成分であって、葉の表面での乾燥を防止し、花粉粒に安定性を与える。そのような除草剤としては、以下のものが挙げられる:アセトクロール、アラクロール、アニロフォス、ブタクロール、カフェンストロール、ジメタクロル、ジメテナミド、ジフェナミド、フェノキサスルホン(3-[[(2,5-ジクロロ-4-エトキシフェニル)メチル]スルホニル]-4,5-ジヒドロ-5,5-ジメチルイソオキサゾール)、フェントラザミド、フルフェナセット、インダノファン、メフェナセット、メタザクロール、メトラクロール、ナプロアニリド、ナプロパミド、ナプロパミド-M((2R)-N,N-ジエチル-2-(1-ナフタレニルオキシ)プロパナミド)、ペトキサミド、ピペロホス、プレチラクロール、プロパクロール、プロピソクロル、ピロキサスルホン、及びテニルクロール(分割形態、たとえばS-メトラクロール、並びにクロロアセトアミド、及びオキシアセトアミドを含む)。
【0099】
「オーキシン輸送阻害剤」(b10)は、たとえばオーキシン輸送タンパク質と結合することによって、植物におけるオーキシンの輸送を阻害する化学的物質である。オーキシン輸送阻害剤の例としては、以下のものが挙げられる:ジフルフェンゾピル、ナプタラム(N-(1-ナフチル)フタルアミド酸、及び2-[(1-ナフタレニルアミノ)カルボニル]安息香酸としても知られている)。
【0100】
「PDS阻害剤」(b11)は、フィトエンデサチュラーゼステップにおいて、カロテノイドの生合成経路を阻害する化合物である。PDS阻害剤の例としては、以下のものが挙げられる:ベフルブタミド、S-ベフルブタミド、ジフルフェニカン、フルリドン、フルロクロリドン、フルルタモン、ノルフルルゾン、及びピコリナフェン。
【0101】
「HPPD阻害剤」(b12)は、4-ヒドロキシフェニル-ピルビン酸ジオキシゲナーゼの合成の生合成を阻害する化学的物質である。HPPD阻害剤の例としては、以下のものが挙げられる:ベンゾビシクロン、ベンゾフェナップ、ビシクロピロン(4-ヒドロキシ-3-[[2-[(2-メトキシエトキシ)メチル]-6-(トリフルオロメチル)-3-ピリジニル]カルボニル]ビシクロ[3.2.1]オクト-3-エン-2-オン)、フェンキノトリオン(2-[[8-クロロ-3,4-ジヒドロ-4-(4-メトキシフェニル)-3-オキソ-2-キノキサリニル]カルボニル]-1,3-シクロヘキサンジオン)、イソキサクロルトール、イソキサフルトール、メソトリオン、ピラスルホトール、ピラゾリネート、ピラゾキシフェン、スルコトリオン、テフリルトリオン、テンボトリオン、トルピラレート(1-[[1-エチル-4-[3-(2-メトキシエトキシ)-2-メチル-4-(メチルスルホニル)ベンゾイル]-1H-ピラゾル-5-イル]オキシ]エチルメチルカーボネート)、トプラメゾン、5-クロロ-3-[(2-ヒドロキシ-6-オキソ-1-シクロヘキセン-1-イル)カルボニル]-1-(4-メトキシフェニル)-2(1H)-キノキサリノン、4-(2,6-ジエチル-4-メチルフェニル)-5-ヒドロキシ-2,6-ジメチル-3(2H)-ピリダジノン、4-(4-フルオロフェニル)-6-[(2-ヒドロキシ-6-オキソ-1-シクロヘキセン-1-イル)カルボニル]-2-メチル-1,2,4-トリアジン-3,5(2H,4H)-ジオン、5-[(2-ヒドロキシ-6-オキソ-1-シクロヘキセン-1-イル)カルボニル]-2-(3-メトキシフェニル)-3-(3-メトキシプロピル)-4(3H)-ピリミジノン、2-メチル-N-(4-メチル-1,2,5-オキサジアゾル-3-イル)-3-(メチルスルフィニル)-4-(トリフルオロメチル)ベンズアミド、及び2-メチル-3-(メチルスルホニル)-N-(1-メチル-1H-テトラゾル-5-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンズアミド。
【0102】
「HST阻害剤」(b13)は、ホモゲンチセートを2-メチル-6-ソラニル-1,4-ベンゾキノンに転換させる植物の性能を撹乱し、それによって、カロテノイド生合成を撹乱する。HST阻害剤の例には、シクロピリモレート(6-クロロ-3-(2-シクロプロピル-6-メチルフェノキシ)-4-ピリダジニル4-モルホリンカルボキシレート)、ハロキシジン、ピリクロール、3-(2-クロロ-3,6-ジフルオロフェニル)-4-ヒドロキシ-1-メチル-1,5-ナフチリジン-2(1H)-オン、7-(3,5-ジクロロ-4-ピリジニル)-5-(2,2-ジフルオロエチル)-8-ヒドロキシピリド[2,3-b]ピラジン-6(5H)-オン及び4-(2,6-ジエチル-4-メチルフェニル)-5-ヒドロキシ-2,6-ジメチル-3(2H)-ピリダジノンが含まれる。
【0103】
HST阻害剤にはさらに、式A及びBの化合物も含まれる:
【化6】
式中、Rd1は、H、Cl、又はCFであり;Rd2は、H、Cl、又はBrであり;Rd3は、H、又はClであり;Rd4は、H、Cl、又はCFであり;Rd5は、CH、CHCH、又はCHCHFであり;そしてRd6はOH、又は-OC(=O)-i-Prであり;そして、Re1は、H、F、Cl、CH、又はCHCHであり;Re2は、H、又はCFであり;Re3は、H、CH、又はCHCHであり;Re4は、H、F、又はBrであり;Re5は、Cl、CH、CF、OCF、又はCHCHであり;Re6は、H、CH、CHCHF、又はC≡CHであり;Re7は、OH、-OC(=O)Et、-OC(=O)-i-Pr、又は-OC(=O)-t-Buであり;そして、Ae8は、N又はCHである。
【0104】
「セルロース生合成阻害剤」(b14)は、ある種の植物において、セルロースの生合成を阻害する。それらは、出芽前か、又は出芽後間もない幼い植物又は、急速に成長している植物に適用すると、最も効果的である。セルロース生合成阻害剤の例としては、以下のものが挙げられる:クロルチアミド、ジクロベニル、フロポキサム、インダジフラム(N-[(1R,2S)-2,3-ジヒドロ-2,6-ジメチル-1H-インデン-1-イル]-6-(1-フルオロエチル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミン)、イソキサベン、及びトリアジフラム。
【0105】
「その他の除草剤」(b15)としては、たとえば以下のような、各種各様の作用モードで機能する除草剤が挙げられる:有糸分裂撹乱物質(たとえば、フラムプロップ-M-メチル、及びフラムプロップ-M-イソプロピル)、有機ヒ素化合物(たとえば、DSMA、及びMSMA)、7,8-ジヒドロプテロエートシンターゼ阻害剤、葉緑体イソプレノイド合成阻害剤、及び細胞壁生合成阻害剤。その他の除草剤には、以下のような除草剤も含まれる:作用モードが知られていないもの、又は、(b1)~(b14)に列記された特定のカテゴリーに入らないもの、又は上で列記したモードの組み合わせで作用するもの。他の除草剤の例には、アクロニフェン、アシュラム、アミトロール、ブロモブチド、シンメチリン、クロマゾン、クミルロン、ダイムロン、ジメスルファゼット(CAS番号1215111-77-5)、ジフェンゾコート、エピリフェナシル(CAS番号353292-31-6)、エトベンザニド、フルオメツロン、フルレノール、ホサミン、ホサミン-アンモニウム、ダゾメット、ダイムロン、イプフェンカルバゾン(1-(2,4-ジクロロフェニル)-N-(2,4-ジフルオロフェニル)-1,5-ジヒドロ-N-(1-メチルエチル)-5-オキソ-4H-1,2,4-トリアゾール-4-カルボキサミド)、メタム、メチルダイムロン、オレイン酸、オキサジクロメホン、ペラルゴン酸、ピリブチカルブ、テトフルピロリメット及び5-[[(2,6-ジフルオロフェニル)メトキシ]メチル]-4,5-ジヒドロ-5-メチル-3-(3-メチル-2-チエニル)イソオキサゾールが含まれる。「他の除草剤」(b15)はまた、式(b15A)の化合物を含み、
【化7】
式中、
12は、H、C~Cアルキル、C~Cハロアルキル又はC~Cシクロアルキルであり;
13は、H、C~Cアルキル又はC~Cアルコキシであり;
は、フェニル、チエニル、ピリジニル、ベンゾジオキソリル、ナフチル、ナフタレニル、ベンゾフラニル、フラニル、ベンゾチオフェニル及びピラゾリルからなる群から選択される任意選択で置換されている環系であり、ここで、置換されているとき、前記環系は、1~3個のR14で置換されており;
は、フェニル、ピリジニル、ベンゾジオキソリル、ピリジノニル、チアジアゾリル、チアゾリル、及びオキサゾリルからなる群から選択される任意選択で置換されている環系であり、ここで、置換されているとき、前記環系は、1~3個のR15で置換されており;
各R14は、独立に、ハロゲン、C~Cアルキル、C~Cハロアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cハロアルコキシ、C~Cシクロアルキル、シアノ、C~Cアルキルチオ、C~Cアルキルスルフィニル、C~Cアルキルスルホニル、SF、NHR17;又は1~3個のR16で任意選択で置換されているフェニル;又は1~3個のR16で任意選択で置換されているピラゾリルであり;
各R15は、独立に、ハロゲン、C~Cアルキル、C~Cハロアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cハロアルコキシ、シアノ、ニトロ、C~Cアルキルチオ、C~Cアルキルスルフィニル、C~Cアルキルスルホニルであり;
各R16は、独立に、ハロゲン、C~Cアルキル又はC~Cハロアルキルであり;
17は、C~Cアルコキシカルボニルである。
【0106】
「他の除草剤」(b15)がまた式(b15A)の化合物を含む一実施形態では、R12がH又はC~Cアルキルであることが好ましい;より好ましくは、R12は、H又はメチルである。好ましくは、R13は、Hである。好ましくは、Qは、フェニル環又はピリジニル環であり、各環は、1~3個のR14で置換されている;より好ましくは、Qは、1~2個のR14で置換されているフェニル環である。好ましくは、Qは、1~3個のR15で置換されているフェニル環である;より好ましくは、Qは、1~2個のR15で置換されているフェニル環である。好ましくは、各R14は、独立に、ハロゲン、C~Cアルキル、C~Cハロアルキル、C~Cアルコキシ又はC~Cハロアルコキシである;より好ましくは、各R14は、独立に、クロロ、フルオロ、ブロモ、C~Cハロアルキル、C~Cハロアルコキシ又はC~Cアルコキシである。好ましくは、各R15は、独立に、ハロゲン、C~Cアルキル、C~Cハロアルコキシである;より好ましくは、各R15は、独立に、クロロ、フルオロ、ブロモ、C~Cハロアルキル、C~Cハロアルコキシ又はC~Cアルコキシである。「他の除草剤」(b15)として特に好ましいのは、下記の(b15A-1)~(b15A-16)のいずれか1つを含む。
【0107】
【表1】
【0108】
【表2】
【0109】
【表3】
【0110】
「他の除草剤」(b15)はまた、式(b15B)の化合物を含み、
【化8】
式中、
18は、H、C~Cアルキル、C~Cハロアルキル又はC~Cシクロアルキルであり;
各R19は、独立に、ハロゲン、C~Cハロアルキル又はC~Cハロアルコキシであり;
pは、0、1、2又は3の整数であり;
各R20は、独立に、ハロゲン、C~Cハロアルキル又はC~Cハロアルコキシであり;
qは、0、1、2又は3の整数である。
【0111】
「他の除草剤」(b15)がまた式(b15B)の化合物を含む一実施形態では、R18がH、メチル、エチル又はプロピルであることが好ましい;より好ましくは、R18は、H又はメチルである;最も好ましくは、R18は、Hである。好ましくは、各R19は、独立に、クロロ、フルオロ、C~Cハロアルキル又はC~Cハロアルコキシである;より好ましくは、各R19は、独立に、クロロ、フルオロ、Cフルオロアルキル(すなわち、フルオロメチル、ジフルオロメチル若しくはトリフルオロメチル)又はCフルオロアルコキシ(すなわち、トリフルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ若しくはフルオロメトキシ)である。好ましくは、各R20は、独立に、クロロ、フルオロ、Cハロアルキル又はCハロアルコキシである;より好ましくは、各R20は、独立に、クロロ、フルオロ、Cフルオロアルキル(すなわち、フルオロメチル、ジフルオロメチル若しくはトリフルオロメチル)又はCフルオロアルコキシ(すなわち、トリフルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ若しくはフルオロメトキシ)である。「他の除草剤」(b15)として特に好ましいのは、下記の(b15B-1)~(b15B-19)のいずれか1つを含む。
【0112】
【表4】
【0113】
【表5】
【0114】
【表6】
【0115】
別の実施形態では、「他の除草剤」(b15)はまた、式(b15C)の化合物を含み、
【化9】
式中、Rは、Cl、Br又はCNであり;Rは、C(=O)CHCHCF、CHCHCHCHCF又は3-CHF-イソオキサゾール-5-イルである。具体例には、(b15C1)5-クロロ-2-[3-クロロ-2-[3-(ジフルオロメチル)-5-イソオキサゾリル]フェノキシ]-ピリミジン及び(b15C2)1-[2-クロロ-6-[(5-クロロ-2-ピリミジニル)オキシ]フェニル]-4,4,4-トリフルオロ-1-ブタノンから選択される式(b15C)の化合物が含まれる。
【0116】
「除草剤毒性緩和剤」(b16)は、除草剤の配合物に添加して、ある種の作物に対する、その除草剤の植物毒性効果を排除又は低減するための物質である。これらの化合物は、除草剤による害から作物を保護するが、典型的には、その除草剤が望ましくない植生を防除することは妨げない。除草剤毒性緩和剤の例としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定される訳ではない:ベノキサコル、クロキントセット-メキシル、クミルロン、シオメトリニル、シプロスルファミド、ダイムロン、ジクロルミド、ジシクロノン、ジエトレート、ジメピペレート、フェンクロラゾール-エチル、フェンクロリム、フルラゾール、フルクソフェニム、フリラゾール、イソキサジフェン-エチル、メフェンピル-ジエチル、メフェネート、メトキシフェノン、無水ナフタル酸、オキサベトリニル、N-(アミノカルボニル)-2-メチルベンゼンスルホンアミド、及びN-(アミノカルボニル)-2-フルオロベンゼンスルホンアミド、1-ブロモ-4-[(クロロメチル)スルホニル]ベンゼン、2-(ジクロロメチル)-2-メチル-1,3-ジオキソラン(MG 191)、4-(ジクロロアセチル)-1-オキサ-4-アゾスピロ[4.5]デカン(MON 4660)、2,2-ジクロロ-1-(2,2,5-トリメチル-3-オキサゾリジニル)-エタノン、及び2-メトキシ-N-[[4-[[(メチルアミノ)カルボニル]アミノ]フェニル]スルホニル]-ベンズアミド。
【0117】
望ましくない植生のより良好な防除(例えば、相加効果を超える効果を利用したより低い使用割合、防除される雑草のより広範なスペクトル、若しくは作物の安全性の向上)のため、又は抵抗性雑草の発生を防止するために好ましいのは、本発明の化合物と、アトラジン、アジムスルフロン、ベフルブタミド、S-ベフルブタミド、ベンズイソチアゾリノン、カルフェントラゾン-エチル、クロリムロン-エチル、クロルスルフロン-メチル、クロマゾン、クロピラリドカリウム、クロランスラム-メチル、2-[(2,4-ジクリ-6-オキソ-1-シクロヘキセン-1-イル)カルボニル]-2-メチル-1,2,4-トリアジン-3,5-(2H,4H)-ジオン、フルピルスルフロン-メチル、フルチアセット-メチル、ホメサフェン、イマゼタピル、レナシル、メソトリオン、メトリブジン、メトスルフロン-メチル、ペトキサミド、ピクロラム、ピロキサスルホン、キンクロラック、リムスルフロン、S-メトラクロール、スルフェントラゾン、チフェンスルフロン-メチル、トリフルスルフロンメチル及びトリベヌロン-メチルからなる群から選択される除草剤との混合物である。
【0118】
式1a(R)及び式1b(S)の置換エナンチオマーは、キラル支持体クロマトグラフィーによって式1のラセミ化合物から単離することができる(スキーム-1を参照されたい)。式1のラセミ化合物は、国際公開第2015168010号パンフレットにおいて教示されている方法によって調製することができる。絶対立体化学は、当技術分野で確立されている確立された命名規則によって描かれたヘテロビアリール構造へと割り当てることができる。ラセミ化合物を含む2つのエナンチオマーはまた、このヘテロビアリール環系のナフタレン及びピリダジノン環の束縛回転によってアトロプ異性体と呼ぶことができることを当業者は認識する。回転の制限によって、2つの環は定められた立体配向へと固定され、不斉が可能となる。ピリダジノンと連結した結合に対してオルト位におけるナフタレン上の置換を伴って、両方のアトロプ異性体は、一般に100℃未満の温度での環の回転によってラセミ化に対して安定である。
【化10】
【0119】
分離実施例1
ラセミ化合物2の1.8gの試料を、超臨界流体移動相として二酸化炭素を使用して、又は任意選択の共溶媒、例えば、メタノール又はアセトニトリルと共に、超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)のためのキラル支持体上へと充填した。原則は、標準的な非キラル高速液体クロマトグラフィー(HPLC)のそれらと同様に一致を使用した。2つの画分を得た。最初に溶出するのは標識されたエナンチオマー2a(580mg)であり、第2はエナンチオマー2b(600mg)であった。2a及び2bについての旋光度は、それぞれ、+47.34[20℃、c=0.4(メタノール)]及び-58.29[20℃、c=0.4(メタノール)]であった。両方の試料の鏡像体過剰率(ee)は、95%超であるとキラルHPLCによって決定した。
【化11】
【図面の簡単な説明】
【0120】
図1図1(エナンチオマー2a(2A)の分析キラルHPLC SFCクロマトグラム)は、2.03分の保持時間を有する2aについてのキラルクロマトグラフを示し、これは、エナンチオマーの完全性をさらに検証する。
図2図2(エナンチオマー2b(2B)の分析キラルHPLC SFCクロマトグラム)は、3.24分の保持時間を有する2bについてのキラルクロマトグラフを示し、これは、エナンチオマーの完全性をさらに検証する。
【発明を実施するための形態】
【0121】
先の記述を使用する当業者は、余分な努力をしなくても、本開示をその最も十分な程度まで利用することができると考えられる。下記の非限定的実施例は、本開示の例示である。
【0122】
式1a及び式1bの化合物は一般に、組成物、すなわち、界面活性剤、固体賦形剤及び液体賦形剤からなる群から選択される少なくとも1種のさらなる構成要素を有する配合物中の除草性活性成分として使用される。ある特定の実施形態では、さらなる構成要素は、担体としての役割を果たすことができる。その配合物又は組成物の成分は、その有効成分の物理的性質、施用モード、並びに土壌のタイプ、水分及び温度などのような環境因子に合わせて選択される。
【0123】
有用な配合物としては、式1a及び式1bの化合物を含む液体及び固体両方の組成物が挙げられる。液体組成物としては、溶液(乳剤(emulsifiable concentrate)を含む)、懸濁液、エマルション(マイクロエマルション、水中油型エマルション、流動性濃縮物、及び/又はサスポエマルションを含む)などが挙げられるが、それらは、場合によっては、増粘させてゲルとなっていてもよい。水性の液体組成物の一般的なタイプは、可溶性濃縮物、懸濁液濃縮物、カプセル懸濁液、濃縮エマルション、マイクロエマルション、水中油型エマルション、流動性濃縮物、及びサスポエマルションである。非水性の液体組成物の一般的なタイプは、乳剤、マイクロ乳剤、分散性濃縮物、及び油分散体である。
【0124】
固体の組成物の一般的なタイプは、微粉(dust)、粉体、顆粒、ペレット、プリル(prill)、パスティル(pastille)、錠剤、充填フィルム(種子コーティングを含む)などであり、それは、水分散性(「湿潤性(wettable)」)又は水可溶性であってよい。皮膜形成性溶液又は流動性懸濁液から形成されたフィルム及びコーティングは、種子処理には特に有用である。有効成分を、(マイクロ)カプセル化したり、さらに加工して、懸濁液又は固形の配合物としたりすることが可能であり;また別な方法として、有効成分の配合物全体を、カプセル化する(又は「オーバーコートする」)ことも可能である。カプセル化することによって、有効成分の放出を制御したり、又は遅らせたりすることができる。乳化性の顆粒は、乳剤配合物と乾燥顆粒状配合物との両方の利点を組み合わせている。高強度の組成物(high-strength composition)は、主として、さらなる配合をするための中間体として使用される。
【0125】
噴霧可能な配合物は、典型的には、適切な媒体の中に希釈してから、噴霧される。そのような液体及び固体の配合物は、噴霧媒体、通常は水であるが、時には、他の適切な媒体たとえば、芳香族、又はパラフィン系炭化水素、又は植物油の中に容易に希釈できるように配合されている。噴霧容積は、1ヘクタールあたり、約1リットル~数千リットルの範囲とすることが可能であるが、より典型的には、1ヘクタールあたり、約10リットル~数百リットルの範囲である。噴霧可能な配合物は、空中散布若しくは地上散布による茎葉処理のため、又は植物の生育培地に施用するために、水、又は他の適切な媒体とタンク混合することができる。液体配合物及び乾燥配合物は、点滴灌漑システムの中に直接計量仕込みすることもできるし、或いは植え付けの際に畦の中に計量仕込みすることもできる。
【0126】
配合物には、典型的には、下記の概略範囲内で、有効成分、希釈剤、及び界面活性剤の有効量を含むが、それらの合計が100重量パーセントとなるようにする。
【0127】
【表7】
【0128】
固体希釈剤としては、たとえば以下のものが挙げられる:クレー、たとえばベントナイト、モンモリロナイト、アタパルジャイト、及びカオリン、セッコウ、セルロース、二酸化チタン、酸化亜鉛、デンプン、デキストリン、糖類(たとえば、ラクトース、スクロース)、シリカ、タルク、マイカ、珪藻土、尿素、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム及び重炭酸ナトリウム、並びに硫酸ナトリウム。典型的な固体希釈剤が、次の文献に記載されている:Watkins et.al.,Handbook of Insecticide Dust Diluents and Carriers,2nd Ed.,Dorland Books,Caldwell,New Jersey。
【0129】
液状希釈剤としては、たとえば、以下のものが挙げられる:水、N,N-ジメチルアルカンアミド(たとえば、N,N-ジメチルホルムアミド)、リモネン、ジメチルスルホキシド、N-アルキルピロリドン(たとえば、N-メチルピロリジノン)、リン酸アルキル(たとえば、リン酸トリエチル)、エチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、パラフィン(たとえば、白色鉱油、ノルマルパラフィン、イソパラフィン)、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、グリセリン、グリセロールトリアセテート、ソルビトール、芳香族炭化水素、脱芳香族脂肪族化合物、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、ケトン、たとえば、シクロヘキサノン、2-ヘプタノン、イソホロン、及び4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン、酢酸エステル、たとえば酢酸イソアミル、酢酸ヘキシル、酢酸ヘプチル、酢酸オクチル、酢酸ノニル、酢酸トリデシル、及び酢酸イソボルニル、その他のエステル、たとえば、アルキル化乳酸エステル、二塩基性エステル、安息香酸アルキル及び安息香酸アリール、γ-ブチロラクトン、並びにアルコール(これは、直鎖状、分岐状、飽和若しくは不飽和であってよく、たとえばメタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロピルアルコール、n-ブタノール、イソブチルアルコール、n-ヘキサノール、2-エチルヘキサノール、n-オクタノール、デカノール、イソデシルアルコール、イソオクタデカノール、セチルアルコール、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、オレイルアルコール、シクロヘキサノール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ジアセトンアルコール、クレゾール、並びにベンジルアルコール)。液状希釈剤としてはさらに、以下のものが挙げられる:飽和及び不飽和脂肪酸(典型的にはC~C22)のグリセロールエステル、たとえば植物の種子及び果実油(たとえば、オリーブ油、ヒマシ油、アマニ油、ゴマ油、トウモロコシ油(corn oil)(トウモロコシ油(maize oil))、落花生油、ヒマワリ油、グレープシード油、サフラワー油、綿実油、ダイズ油、菜種油、ココナッツ油、及びパーム核油)、動物由来の脂肪(たとえば、牛脂、豚脂、ラード、タラ肝油、魚油)、並びにそれらの混合物。液状希釈剤としてはさらに、アルキル化脂肪酸(たとえば、メチル化、エチル化、ブチル化)が挙げられるが、ここでそれらの脂肪酸は、植物及び動物由来のグリセロールエステルの加水分解により得ることが可能であり、そして蒸留によって精製することができる。典型的な液状希釈剤は、次の文献に記載されている:Marsden,Solvents Guide,2nd Ed.,Interscience,New York,1950。
【0130】
本開示の固体及び液体組成物には、多くの場合、1種又は複数の界面活性剤が含まれる。液体に添加した場合、界面活性剤(surfactant)(「界面活性剤(surface-active agent)」としても知られている)は、一般的には液体の表面張力を変更、ほとんどの場合は低減させる。界面活性剤分子の中の親水性及び親油性の基の性質に応じて、界面活性剤は、湿潤剤、分散剤、乳化剤、又は消泡剤として有用となりうる。
【0131】
界面活性剤は、ノニオン性、アニオン性、又はカチオン性に分類することができる。本発明の組成物に有用なノニオン界面活性剤としては、以下のものが挙げられるが、それらに限定される訳ではない:アルコールアルコキシレートたとえば、天然及び合成のアルコール(分岐状であっても、又は直鎖状であってもよい)をベースとし、そしてアルコールと、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、又はそれらの混合物とから調製されるアルコールアルコキシレート;アミンエトキシレート、アルカノールアミド、及びエトキシル化アルカノールアミド;アルコキシル化トリグリセリドたとえば、エトキシル化したダイズ油、アマニ油、及びナタネ油;アルキルフェノールアルコキシレートたとえば、オクチルフェノールエトキシレート、ノニルフェノールエトキシレート、ジノニルフェノールエトキシレート、及びドデシルフェノールエトキシレート(フェノールと、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、又はそれらの混合物とから調製);エチレンオキシド、又はプロピレンオキシドから調製したブロックポリマー、及びその末端ブロックがプロピレンオキシドから調製された、リバースブロックポリマー;エトキシル化脂肪酸;エトキシル化脂肪族エステル及び油;エトキシル化メチルエステル;エトキシル化トリスチリルフェノール(エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、又はそれらの混合物から調製したものを含む);脂肪酸エステル、グリセロールエステル、ラノリンベースの誘導体、ポリエトキシレートエステルたとえば、ポリエトキシル化ソルビタン脂肪酸エステル、ポリエトキシル化ソルビトール脂肪酸エステル、及びポリエトキシル化グリセロール脂肪酸エステル;その他のソルビタン誘導体たとえば、ソルビタンエステル;ポリマー性界面活性剤たとえば、ランダムコポリマー、ブロックコポリマー、アルキドPEG(ポリエチレングリコール)樹脂、グラフト若しくは櫛形ポリマー、及び星形ポリマー;ポリエチレングリコール(PEG);ポリエチレングリコール脂肪酸エステル;シリコーンベースの界面活性剤;並びに糖類誘導体たとえば、スクロースエステル、アルキルポリグリコシド、及びアルキル多糖類。
【0132】
有用なアニオン界面活性剤としては、以下のものが挙げられるが、それらに限定される訳ではない:アルキルアリールスルホン酸及びそれらの塩;カルボキシレートアルコール、又はアルキルフェノールエトキシレート;ジフェニルスルホネート誘導体;リグニン及びリグニン誘導体、たとえばリグノスルホネート;マレイン酸若しくはコハク酸、又はそれらの無水物;オレフィンスルホネート;リン酸エステル、たとえば、アルコールアルコキシレートのリン酸エステル、アルキルフェノールアルコキシレートのリン酸エステル、及びスチリルフェノールエトキシレートのリン酸エステル;タンパク質ベースの界面活性剤;サルコシン誘導体;スチリルフェノールエーテルスルフェート;油及び脂肪酸の硫酸塩及びスルホン酸塩;エトキシル化アルキルフェノールの硫酸塩及びスルホン酸塩;アルコールの硫酸塩;エトキシル化アルコールの硫酸塩;アミン及びアミドのスルホン酸塩たとえば、N,N-アルキルタウレート;ベンゼン、クメン、トルエン、キシレン、並びにドデシルベンゼン及びトリデシルベンゼンのスルホン酸塩;縮合ナフタレンのスルホン酸塩;ナフタレン及びアルキルナフタレンのスルホン酸塩;分留した石油のスルホン酸塩;スルホスクシンアミド酸塩;並びにスルホコハク酸塩及びそれらの誘導体、たとえばスルホコハク酸ジアルキルの塩。
【0133】
有用なカチオン界面活性剤としては、以下のものが挙げられるが、それらに限定される訳ではない:アミド及びエトキシル化アミド;アミン、たとえばN-アルキルプロパンジアミン、トリプロピレントリアミン、及びジプロピレンテトラミン、及びエトキシル化アミン、エトキシル化ジアミン、及びプロポキシル化アミン(アミンと、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、又はそれらの混合物とから調製);アミン塩、たとえば、アミンの酢酸塩及びジアミンの塩;第四級アンモニウム塩たとえば、四級塩、エトキシル化四級塩、及びジ四級塩;並びにアミンオキシド、たとえばアルキルジメチルアミンオキシド及びビス-(2-ヒドロキシエチル)-アルキルアミンオキシド。
【0134】
本発明の組成物に有用なものとしては、ノニオン性界面活性剤とアニオン界面活性剤との混合物、又はノニオン性界面活性剤とカチオン界面活性剤との混合物がある。ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、及びカチオン界面活性剤、並びにそれらの推奨される使用は、たとえば以下の各種の公刊された参考文献に開示されている:McCutcheon’s Emulsifiers and Detergents,annual American and International Editions published by McCutcheon’s Division,The Manufacturing Confectioner Publishein Co.;Sisely and Wood,Encyclopedia of Surface Active Agents,Chemical Publ.Co.,Inc.,New York,1964;及びA.S.Davidson and B.Milwidsky,Synthetic Detergents,Seventh Edition,John Wiley and Sons,New York,1987。
【0135】
本開示の組成物にはさらに、配合助剤(それらのいくつかは、固体希釈剤、液状希釈剤、又は界面活性剤としても機能すると考えられ得る)として当業者には公知の、配合助剤及び添加剤が含まれていてもよい。そのような配合助剤及び添加剤は、以下のものを調節することができる:pH(緩衝剤)、加工の際の泡立ち(消泡剤たとえばポリオルガノシロキサン)、有効成分の沈降(懸濁剤)、粘度(チキソトロピック増粘剤)、容器内での微生物の増殖(抗微生物剤)、製品の凍結(不凍液)、色(染料/顔料分散)、洗い流し(wash-off)(製膜剤、又はステッカー)、蒸発(蒸発抑制剤)、及びその他の配合属性。製膜剤としては、たとえば以下のもの挙げられる:ポリ酢酸ビニル、ポリ酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルピロリドン-酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールコポリマー、及びワックス。配合助剤及び添加剤の例としては、以下の文献に列挙されているものが挙げられる:McCutcheon’s Volume 2:Functional Materials,annual International and North American editions published by McCutcheon’s Division,The Manufacturing Confectioner Publishing Co.,;及び国際公開第03/024222号パンフレット。
【0136】
式1a及び式1bの化合物及びその他の各種有効成分は、典型的には、その有効成分を溶媒の中に溶解させるか、或いは液体又は乾燥希釈剤の中で、摩砕させるかによって、本発明の組成物の中に組み入れられる。乳剤も含めて、溶液は、複数の成分を単に混合することにより調製することができる。乳剤として使用することを目的とした液体組成物の溶媒が水-非混和性である場合には、典型的には、乳化剤を添加し、水で希釈して、活性成分含有溶媒を乳化させる。2,000μmまでの粒子直径を有する有効成分のスラリー剤は、媒体ミル(media mill)を使用した湿式ミルにかけて、平均直径が3μm未満の粒子を得ることができる。水性スラリーを、最終的な懸濁液濃縮物とすることもできるし(たとえば、米国特許第3,060,084号明細書参照)、或いは噴霧乾燥によってさらに加工して、水分散性顆粒剤を形成させることもできる。乾燥配合物とするには、通常、乾式摩砕プロセスを必要とするが、それによって、2~10μmの範囲の平均粒子直径となる。微粉及び粉体は、ブレンド、及び通常は(たとえばハンマーミル又は流体エネルギーミルを使用した)摩砕をすることによって調製することができる。顆粒及びペレットは、前もって成形した顆粒状キャリアの上に活性物質を噴霧するか、又は、凝集法により調製することができる。参照:Browning,“Agglomeration”,Chemical Engineering,December 4,1967,pp.147-48、Perry’s Chemical Engineer’s Handbook,4th Ed.,McGraw-Hill,New York,1963,pages 8-57;及び以下;国際公開第91/13546号パンフレット。ペレットは、米国特許第4,172,714号明細書の記載に従って調製することができる。水分散性及び水可溶性の顆粒は、米国特許第4,144,050号明細書、米国特許第3,920,442号明細書、及び独国特許第3,246,493号明細書の教示に従って調製することができる。錠剤は、米国特許第5,180,587号明細書、米国特許第5,232,701号明細書、及び米国特許第5,208,030号明細書の教示に従って調製することができる。フィルムは、英国特許第2,095,558号明細書及び米国特許第3,299,566号明細書の教示に従って調製することができる。
【0137】
配合技術に関するさらなる情報は、以下の文献を参照されたい:T.S.Woods,“The Formulator’s Toolbox-Product Forms for Modern Agriculture”in Pesticide Chemistry and Bioscience,The Food-Environment Challenge,T.Brooks and T.R.Roberts,Eds.Proceedings of the 9th International Congress on Pesticide Chemistry,The Royal Society of Chemistry,Cambridge,1999,pp.120-133。さらには、以下の文献も参照されたい:米国特許第3,235,361号明細書、第6列第16行~第7列第19行、及び実施例10~41;米国特許第3,309,192号明細書、第5列第43行~第7列第62行、及び実施例8、12、15、39、41、52、53、58、132、138~140、162~164、166、167、及び169~182;米国特許第2,891,855号明細書、第3列第66行~第5列第17行、及び実施例1~4;Klingman,Weed Control as a Science,John Wiley and Sons,Inc.,New York,1961,pp 81-96;Hance et al.,Weed Control Handbook,8th Ed.,Blackwell Scientific Publications,Oxford,1989;及びDevelopments in formulation technology,PJB Publications,Richmond,UK,2000。
【0138】
下記の実施例において、全ての百分率は重量により、全ての配合物は通常の方法で調製される。化合物番号、すなわち、「Cpd.No.」は、表1における化合物を指す。先の記述を使用する当業者は、余分な努力をしなくても、本開示をその最も十分な程度まで利用することができると考えられる。したがって、下記の実施例は、単に例示であり、いかなる点においても本開示を限定するものではないと解釈される。百分率は、他に示す場合以外は重量による。
【実施例
【0139】
実施例A
高強度濃縮物
式1a又は式1bの化合物 98.5%
シリカエーロゲル 0.5%
合成アモルファス微粉シリカ 1.0%
【0140】
実施例B
水和剤
式1a又は式1bの化合物 65.0%
ドデシルフェノールポリエチレングリコールエーテル 2.0%
リグニンスルホン酸ナトリウム 4.0%
ケイアルミン酸ナトリウム 6.0%
モンモリロナイト(焼成品) 23.0%
【0141】
実施例C
顆粒
式1a又は式1bの化合物 10.0%
アタパルジャイト顆粒(低揮発性物質、0.71/0.30mm;U.S.S.No.25~50篩) 90.0%
【0142】
実施例D
押出加工ペレット
式1a又は式1bの化合物 25.0%
無水硫酸ナトリウム 10.0%
粗リグニンスルホン酸カルシウム 5.0%
アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム 1.0%
カルシウム/マグネシウムベントナイト 59.0%
【0143】
実施例E
乳化性濃縮物
式1a又は式1bの化合物 10.0%
ポリオキシエチレンソルビトールヘキサオレエート 20.0%
~C10脂肪酸メチルエステル 70.0%
【0144】
実施例F
マイクロエマルション
式1a又は式1bの化合物 5.0%
ポリビニルピロリドン-酢酸ビニルコポリマー 30.0%
アルキルポリグリコシド 30.0%
モノオレイン酸グリセリル 15.0%
水 20.0%
【0145】
実施例G
懸濁液濃縮物
式1a又は式1bの化合物 35%
ブチルポリオキシエチレン/ポリプロピレンブロックコポリマー 4.0%
ステアリン酸/ポリエチレングリコールコポリマー 1.0%
スチレンアクリルポリマー 1.0%
キサンタンガム 0.1%
プロピレングリコール 5.0%
シリコーンをベースとする消泡剤 0.1%
1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン 0.1%
水 53.7%
【0146】
実施例H
水中エマルション
式1a又は式1bの化合物 10.0%
ブチルポリオキシエチレン/ポリプロピレンブロックコポリマー 4.0%
ステアリン酸/ポリエチレングリコールコポリマー 1.0%
スチレンアクリルポリマー 1.0%
キサンタンガム 0.1%
プロピレングリコール 5.0%
シリコーンをベースとする消泡剤 0.1%
1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン 0.1%
芳香族石油をベースとする炭化水素 20.0
水 58.7%
【0147】
実施例I
油分散体
式1a又は式1bの化合物 25%
ポリオキシエチレンソルビトールヘキサオレエート 15%
有機変性ベントナイトクレイ 2.5%
脂肪酸メチルエステル 57.5%
【0148】
また開示されているのは、上記の実施例A~Iであり、ここで、「式1a又は式1bの化合物」は、「式2(エナンチオマー2A)又は式2(エナンチオマー2B)の化合物」、式3(エナンチオマー3A)又は式3(エナンチオマー3B)の化合物、「式4(エナンチオマー4A)又は式4(エナンチオマー4B)の化合物」又は「式5(エナンチオマー5A)又は式5(エナンチオマー5B)の化合物」で置き換えられる。
【0149】
試験結果は、式1a又は式1bのある特定の化合物が活性の出芽前及び/若しくは出芽後除草剤並びに/又は植物成長抑制剤であることを示す。式1a又は式1bの化合物は一般に、出芽後雑草防除(すなわち、雑草の幼苗が土壌から出芽した後に施用される)及び出芽前雑草防除(すなわち、雑草の幼苗が土壌から出芽する前に施用される)についての最も高い活性を示す。それらの多くは、すべての植生を完全に防除することが望まれる、たとえば次のような領域での、広域範囲の出芽前及び/又は出芽後の雑草防除に有用である:燃料貯蔵タンクの周辺、産業用貯蔵地区、駐車場、ドライブインシアター、飛行場、河岸、灌漑用その他の水路、大型の屋外広告板周辺、及び鉄道施設。本開示の化合物の多くは、作物対雑草で選択的代謝を有しているか、又は作物及び雑草における生理学的阻害の領域で選択的な活性を有しているか、又は作物と雑草が混じった環境上若しくは環境中での選択的な配置(placement)を有しているために、作物/雑草が混じったところでの、イネ科雑草(grass)及び広葉雑草の選択的防除に有用である。当業者の認識しているところであろうが、単一の化合物又は一群の化合物の中での選択因子を好適に組み合わせることは、通常の生物学的及び/又は生化学的アッセイによって容易に決めることができる。
【0150】
式1a又は式1bの化合物は、以下のような重要な農作物に対する耐性を示すことができる(これらに限定される訳ではない):アルファルファ、オオムギ、ワタ、コムギ、セイヨウアブラナ、テンサイ、トウモロコシ(corn)(トウモロコシ(maize))、モロコシ、ダイズ、イネ、オートムギ、エンドウナッツ、野菜、トマト、ジャガイモ、多年生プランテーション作物(コーヒー、ココア、アブラヤシ(oil palm)、ゴムを含む)、サトウキビ、カンキツ類、グレープシード、果樹、堅果樹(nut tree)、バナナ、オオバコ、パイナップル、ホップ、茶の木、並びに樹木林たとえば、ユーカリ及び針葉樹(たとえば、テーダマツ)、並びに芝生種(たとえば、ケンタッキーブルーグラス、セントオーガスチングラス、ケンタッキーフェスク(Kentucky fescue)及びギョウギシバ)。本開示の化合物は、遺伝子形質転換された作物、又は除草剤に対する耐性を組み入れるか、無脊椎有害生物に対して毒性のタンパク質(たとえば、バシラス・チューリンギエンシス(Bacillus thuringiensis)トキシン)を発現するか、及び/又はその他の有用な特性を発現するように品種改良した作物において有用となりうる。当業者の認識するところであろうが、すべての化合物が、すべての雑草に対して、同程度に有効である訳ではない。その一方で、本発明の主題である化合物は、植物の生長を調節するのに有用である。
【0151】
本開示の化合物は、(出芽前及び出芽後両方)で除草活性を有していて、植生を死滅させるか若しくは損傷を与えるか、又はその生長を抑制することにより、望ましくない植生を防除するので、その化合物は、本開示の化合物、又は前記化合物と、界面活性剤、固体希釈剤又は液状希釈剤の少なくとも1種とを含む組成物の除草剤としての有効量を、その望ましくない植生の茎葉若しくはその他の部分、又はその中で、その望ましくない植生が生長しているか、又はその望ましくない植生の種子若しくはその他のむかごを取り巻く、その望ましくない植生の環境、たとえば土壌又は水と接触させることを含む各種の方法によって、有用に施用することができる。
【0152】
式1a又は式1bの化合物の除草剤としての有効量は、いくつかの因子によって決まる。それらの因子としては、以下のものが挙げられる:選択される配合物、施用方法、存在している植生の量及びタイプ、成長条件など。一般的には、本開示の化合物の除草剤としての有効量は、約0.001~20kg/ha、好ましくは約0.004~1kg/haの範囲である。当業者ならば、雑草防除を所望のレベルとするのに必要な、除草剤としての有効量は、容易に決めることができる。
【0153】
1つの一般的な実施形態においては、式1a又は式1bの化合物を、典型的には配合された組成物の形で、生長媒体(たとえば、土壌)と接触状態にある、望ましい植生(たとえば、作物)と望ましくない植生(すなわち、雑草)とを含む領域(いずれも、種子、幼苗、及び/又はより生長した植物であってよい)に施用する。この領域においては、本開示の化合物を含む組成物は、特にはその望ましくない植生の植物又はその一部、及び/又はその植物と接触状態にある生長媒体に、直接施用することができる。
【0154】
本開示の化合物で処理した生息地における望ましい植生の植物品種及び栽培品種は、通常の繁殖及び育種方法によって、又は遺伝子工学方法によって得ることができる。遺伝子組換え植物(トランスジェニック植物)は、異種遺伝子(導入遺伝子)が植物のゲノムへと安定に組み込まれているものである。植物ゲノムにおけるその特定の位置によって定義される導入遺伝子は、形質転換又はトランスジェニック事象と称される。
【0155】
最も典型的には、本開示の化合物は、望ましくない植生を防除するために使用されるが、処理される領域において、望ましい植生を本開示の化合物と接触させることによって、その望ましい植生における遺伝子の特性と、遺伝子の修飾を介して取り込まれる特性も含めて、超相加的又は相乗効果が得られる可能性がある。たとえば、植食性の害虫、又は植物病害に対する耐性、生物学的/非生物学的ストレス又は貯蔵安定性に対する耐性は、その望ましい植生における遺伝子の特性から予想されるよりは、大きいかもしれない。
【0156】
本開示の化合物はさらに、さらに広範な農業保護スペクトルを与える多成分殺生物剤を形成させるために、1種又は複数のその他の生物活性化合物又は薬剤と混合することも可能であるが、そのようなものとしては、以下のものが挙げられる:除草剤、除草剤毒性緩和剤、殺真菌剤、殺虫剤、殺線虫剤、殺菌剤、ダニ駆除剤、生長調整物質たとえば昆虫の脱皮阻害剤及び発根刺激剤、化学不妊剤、信号化学物質、忌避剤、誘引剤、フェロモン、摂食刺激剤、植物養分、その他の生物活性化合物、又は昆虫病原性細菌、ウイルス、又は真菌。本開示の化合物と他の除草剤との混合物は、さらなる雑草種に対する活性スペクトルを拡げ、各種の抵抗性バイオタイプの増殖を抑制することが可能である。したがって、本開示はさらに、式1a及び/又は式1bの化合物(除草剤としての有効量の)、及び少なくとも1種のさらなる生物活性化合物又は薬剤(生物学的有効量の)を含む組成物にも関連し、そして界面活性剤、固体希釈剤、又は液状希釈剤の少なくとも1種をさらに含むことも可能である。その他の生物活性化合物又は薬剤は、界面活性剤、固体希釈剤、又は液状希釈剤の少なくとも1種を含む組成物の中に、配合することができる。本開示の混合物には、1種又は複数のその他の生物活性化合物又は薬剤を、式1a又は式1bの化合物と共に配合して、プレミックスを形成させるか、或いは、1種又は複数のその他の生物活性化合物又は薬剤を、式1a又は式1bの化合物とは別途に配合して、その配合物を、施用する前に組み合わせるか(たとえば、散布タンクの中で)、或いは別の方法として、順次に施用することもできる。
【0157】
農業用保護剤(すなわち、除草剤、除草剤毒性緩和剤、殺虫剤、殺真菌剤、殺線虫剤、ダニ駆除剤、及び生物学的薬剤)についての一般的な参考文献としては、以下のものが挙げられる:The Pesticide Manual,13th Edition,C.D.S.Tomlin,Ed.,British Crop Protection Council,Farnham,Surrey,U.K.,2003、及びThe BioPesticide Manual,2nd Edition,L.G.Copping,Ed.,British Crop Protection Council,Farnham,Surrey,U.K.,2001。
【0158】
これら各種の混合パートナーの1つ又は複数を使用するような実施形態においては、その混合パートナーは、典型的には、混合するパートナーが単独で使用される場合に慣用される量と同程度の量で使用される。より具体的には、混合物においては、有効成分は多くの場合、製品ラベルに規定されている、有効成分単独で使用するための散布量の半分~全部の間の散布量で施用されることが多い。これらの量は、たとえば次の参考文献に記載されている:The Pesticide Manual及びThe BioPesticide Manual。これら各種の混合パートナー(合計したもの)の、式1a又は式1bの化合物に対する重量比は、典型的には、約1:3000~約3000:1の間である。注目すべきは、約1:300~約300:1の間の重量比(たとえば、約1:30~約30:1の間の比率)である。当業者ならば、所望の生物学的活性スペクトルを得るのに必要な、有効成分の生物学的有効量を、単純な実験で容易に決めることができる。これらの追加の成分を含むことによって、式1a又は式1bの化合物単独によって防除されるスペクトルよりも広く、防除される雑草のスペクトルを拡げることが可能となるということは明らかであろう。
【0159】
注目すべきなのは、(除草的有効量での)本発明の化合物、他の除草剤及び除草剤毒性緩和剤(有効量の)からなる群から選択される少なくとも1種のさらなる活性成分、並びに界面活性剤、固体賦形剤及び液体賦形剤からなる群から選択される少なくとも1種の構成要素を含む組成物である。
【0160】
表A1は、本発明の混合物、組成物及び方法を例示する、構成要素(a)と構成要素(b)との特定の組合せを列挙する。構成要素(a)列における化合物番号A(すなわち、「Cpd.No.」は、「化合物番号」の略語である)は、索引表において同定される。表A1の第2の列は、特定の構成要素(b)化合物を列挙する(例えば、第1行における「2,4-D」)。表A1の第3、第4及び第5の列は、構成要素(b)に対して構成要素(a)化合物が圃場栽培作物へと典型的には施用される割合について一連の重量比を列挙する(すなわち(a):(b))。このように、例えば、表A1の第1行は、構成要素(a)(すなわち、索引表における化合物番号A)と2,4-Dとの組合せが1:192~6:1の重量比で典型的には施用されることを特に開示する。表A1の残りの行は、同様に解釈される。
【0161】
【表8】
【0162】
【表9】
【0163】
【表10】
【0164】
【表11】
【0165】
【表12】
【0166】
【表13】
【0167】
【表14】
【0168】
表A2は、「構成要素(a)(化合物番号)」列見出しの下の内容が下記に示すそれぞれの構成要素(a)列の内容で置き換えられていることを除いて、上記の表A1と同じに構成される。構成要素(a)列における化合物番号は、索引表1において同定される。このように、例えば、表A2において、「構成要素(a)」列見出しの下の内容は全て「2(エナンチオマーB)」(索引表1において同定される化合物番号2)を列挙し、表A2における列見出しの下の第1行は、化合物番号2(エナンチオマーB)と2,4-Dとの混合物を特に開示する。
【0169】
【表15】
【0170】
ある種の場合においては、本開示の化合物を他の生物活性(特に除草性)化合物又は薬剤(すなわち、有効成分)と組み合わせることによって、雑草に対しては、添加量を上回る(すなわち、相乗的)効果が得られ、及び/又は作物又はその他の望ましい植物に対しては、相加作用を下回る(すなわち、安全化)結果を得ることができる。効果的に有害生物を防除しながらも、環境に放出される有効成分の量を減らすことが、常に望ましい。作物に過剰な損傷を与えることなく、より効果的な雑草防除を行うために、より多くの量の有効成分を使用する性能もまた望ましい。農学的に満足のいくレベルの雑草防除を得られる散布量で、除草性有効成分の相乗作用が、雑草で起きるのなら、そのような組み合わせは、作物の製造コストを下げ、環境への負担を軽減するには、有利となりうる。作物での、除草性有効成分の安全化が起きるのなら、そのような組み合わせは、雑草との競合を抑えて、作物を保護を高めるために有利となりうる。
【0171】
注目すべきは、本開示の化合物と、少なくとも1種の他の除草性有効成分との組み合わせである。特に注目すべきは、それらの他の除草性有効成分が、本開示の化合物とは異なった作用点(site of action)を有しているような、組み合わせである。ある種の場合においては、似たような防除スペクトルではあるが、異なった作用点を有する、少なくとも1種の他の除草性有効成分との組み合わせが、抵抗性管理には特に有利となるであろう。したがって、本開示の組成物には、似たような防除スペクトルではあるが、異なった作用点を有する、少なくとも1種のさらなる除草性有効成分を(除草剤としての有効量で)さらに含むことができる。
【0172】
本開示の化合物は、ある種の作物への安全性を増大させるために、たとえば以下のような除草剤毒性緩和剤と組み合わせて使用することもできる:アリドクロル、ベノキサコル、クロキントセット-メキシル、クミルロン、シオメトリニル、シプロスルホンアミド、ダイムロン、ジクロルミド、ジシクロノン、ジエトレート、ジメピペレート、フェンクロラゾール-エチル、フェンクロリム、フルラゾール、フルクソフェニム、フリラゾール、イソキサジフェン-エチル、メフェンピル-ジエチル、メフェネート、メトキシフェノン無水ナフタル酸(1,8-無水ナフタル酸)、オキサベトリニル、N-(アミノカルボニル)-2-メチルベンゼンスルホンアミド、N-(アミノカルボニル)-2-フルオロベンゼンスルホンアミド、1-ブロモ-4-[(クロロメチル)スルホニル]ベンゼン(BCS)、4-(ジクロロアセチル)-1-オキサ-4-アゾスピロ[4.5]デカン(MON 4660)、2-(ジクロロメチル)-2-メチル-1,3-ジオキソラン(MG 191)、1,6-ジヒドロ-1-(2-メトキシフェニル)-6-オキソ-2-フェニル-5-ピリミジンカルボン酸エチル、2-ヒドロキシ-N,N-ジメチル-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-カルボキサミド、1-(3,4-ジメチルフェニル)-1,6-ジヒドロ-6-オキソ-2-フェニル-5-ピリミジンカルボキシレート、2,2-ジクロロ-1-(2,2,5-トリメチル-3-オキサゾリジニル)-エタノン、及び2-メトキシ-N-[[4-[[(メチルアミノ)カルボニル]アミノ]フェニル]スルホニル]-ベンズアミド。除草剤毒性緩和剤の追加の有効量は、本開示の化合物と同時に施用することもでき、或いは種子処理として施用することもできる。したがって、本開示の態様は、本開示の化合物と、解毒有効量の除草剤毒性緩和剤を含む除草剤混合物に関する。種子処理は、選択的に雑草防除をするには特に有用であるが、その理由は、作物に対する解毒作用を限定するからである。したがって、本開示の特に有用な実施形態は、作物の中の望ましくない植生の増殖を選択的に防除するための方法であり、本開示の化合物の除草剤としての有効量を用いて、作物の領域と接触させることを含むが、ここで、それから作物が生長する種子を、毒性緩和剤の解毒有効量を用いて処理する。毒性緩和剤の解毒有効量は、当業者ならば、簡単な実験によって容易に求めることができる。
【0173】
本開示の化合物はさらに、以下のものと混合することができる:(1)ポリヌクレオチド、非限定的に挙げれば、たとえば除草効果を付与する遺伝子操作した転写物のダウンレギュレーション、干渉、抑制、又はサイレンシングを介して特定の標的の量に影響する、DNA、RNA、及び/又は化学修飾されたヌクレオチド;又は、(2)ポリヌクレオチド、非限定的に挙げれば、たとえば毒性緩和効果を付与する遺伝子操作した転写物のダウンレギュレーション、干渉、抑制、又はサイレンシングを介して特定の標的の量に影響する、DNA、RNA、及び/又は化学修飾されたヌクレオチド。
【0174】
下記の試験Aは、代表的な雑草に対する本開示の代表的な化合物の防除の有効性を示すが、これらの化合物によってもたらされる雑草防除はこれらの種に限定されない。化合物の説明について索引表1を参照されたい。
【0175】
【表16】
【0176】
試験A
イヌビエ(BYG、ウスゲケイヌビエ(Echinochloa crus-galli))、コキア(KOC、ホウキギ(Kochia scoparia))、ブタクサ(一般のブタクサ、ブタクサ(Ambrosia elatior))、ネズミムギ(RGI、ネズミムギ(Lolium multiflorum))、アキノエノコログサ(FTI、アキノエノコログサ(Setaria faberii))、エノコログサ(エノコログサ(Setaria viridis))及びアカザ(PWR、アオゲイトウ(Amaranthus retroflexus))から選択される植物種の種子を、ローム土及び砂のブレンドへと植え、界面活性剤を含んだ非植物毒性の溶媒混合物中で配合した試験化学物質を使用した指向性土壌散布で出芽前処理した。
【0177】
同時に、これらの雑草種並びにまたコムギ(WWT、コムギ(Triticum aestivum))、トウモロコシ(CPI、トウモロコシ(Zea mays))、ブラックグラス(BKG、ノスズメノテッポウ(Alopecurus myosuroides))及びヤエムグラ(GAL、ヤエムグラ、ヤエムグラ(Galium aparine))から選択した植物を、ローム土及び砂の同じブレンドを含有するポットに植え、同じ様式で配合した試験化学物質の出芽後施用で処理した。植物は2~10cmの範囲の高さであり、出芽後処理のために一葉期から二葉期であった。処理した植物及び未処理の対照を、温室において概ね10日維持し、この時間の後で全ての処理した植物を未処理の対照と比較し、傷害について視覚的に評価した。表1~4において要約した植物の応答の等級付けは0~100の尺度を基準にして、ここで、0は効果なしであり、100は完全な防除である。ダッシュ(-)の応答は、試験結果がないことを意味する。等級付けの後に総体的症状を表す文字が続き、ここで、Sは白化現象であり、Cは退緑であり、Gは成長阻害であり、Eは出芽である。
【0178】
【表17】
【0179】
【表18】
【0180】
【表19】
【0181】
【表20】
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】追加
【補正の内容】
図1
図2
【国際調査報告】