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特表2023-521617エンドエフェクタの制御機構及び使用方法
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  • 特表-エンドエフェクタの制御機構及び使用方法 図1A
  • 特表-エンドエフェクタの制御機構及び使用方法 図1B
  • 特表-エンドエフェクタの制御機構及び使用方法 図2
  • 特表-エンドエフェクタの制御機構及び使用方法 図3
  • 特表-エンドエフェクタの制御機構及び使用方法 図4
  • 特表-エンドエフェクタの制御機構及び使用方法 図5
  • 特表-エンドエフェクタの制御機構及び使用方法 図6
  • 特表-エンドエフェクタの制御機構及び使用方法 図7
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-25
(54)【発明の名称】エンドエフェクタの制御機構及び使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/072 20060101AFI20230518BHJP
【FI】
A61B17/072
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022559746
(86)(22)【出願日】2021-03-25
(85)【翻訳文提出日】2022-10-26
(86)【国際出願番号】 US2021024196
(87)【国際公開番号】W WO2021202243
(87)【国際公開日】2021-10-07
(31)【優先権主張番号】63/003,329
(32)【優先日】2020-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】デュエル、クリストファー アール.
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160CC23
4C160CC29
(57)【要約】
医療装置は、シャフトと、シャフトの遠位端にあるエンドエフェクタであって、第1のジョーを有し、その第1のジョーは枢動軸線の周りで第2のジョーに対して枢動する、エンドエフェクタと、第1のジョーの表面に係合する制御機構であって、制御機構が枢動軸線に対して第1の状態から第2の状態に平行移動するとき、第1のジョーの表面が制御機構に対して移動し、枢動軸線の周りで枢動する、制御機構とを含む。医療装置は、シャフトを通って延び、制御機構に連結されたアクチュエータをさらに含み、アクチュエータの平行移動により制御機構を第1の状態から第2の状態に平行移動させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトと、
前記シャフトの遠位端にあるエンドエフェクタであって、第1のジョーを含み、その第一のジョーは枢動軸線の周りで第2のジョーに対して枢動する、エンドエフェクタと、
前記第1のジョーの表面に係合する制御機構であって、前記枢動軸線に対して第1の状態から第2の状態に平行移動し、前記第1のジョーの前記表面を前記制御機構に対して移動させ、前記枢動軸線の周りで枢動させる、制御機構と
前記シャフトを通って延び、前記制御機構に連結されたアクチュエータであって、前記アクチュエータの平行移動により、前記制御機構を前記第1の状態から前記第2の状態に平行移動させる、アクチュエータとを備える、医療装置。
【請求項2】
前記第1の状態から前記第2の状態への前記制御機構の平行移動は、前記第1のジョーおよび前記第2のジョーをそれぞれ開形態から閉形態に移行させるように構成される、請求項1に記載の医療装置。
【請求項3】
前記第2のジョーは、複数のチャネルを含み、前記制御機構は、前記第1の状態と前記第2の状態との間で前記複数のチャネルに沿って移動するように構成される、請求項1または請求項2に記載の医療装置。
【請求項4】
前記第2のジョーは、前記エンドエフェクタの長手方向軸線に対して概ね垂直に延びる突出部を含み、前記突出部は、前記制御機構に接触して前記制御機構が前記突出部の遠位に平行移動することを防止するように構成される、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の医療装置。
【請求項5】
前記制御機構は、ベースと、前記ベースから突出する遠位部材と、前記ベースから突出する近位部材と、前記近位部材と前記遠位部材との間に画定されたスロットとを含む、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の医療装置。
【請求項6】
前記制御機構の前記遠位部材は、第1の軸線に沿って前記ベースから延びる第1の表面と、第2の軸線に沿って延びる第2の表面と、前記第1の表面および前記第2の表面を連結する第3の表面とを含み、前記第1の軸線および前記第2の軸線は平行ではない、請求項5に記載の医療装置。
【請求項7】
前記第1のジョーの前記表面と前記制御機構との間のカム作用により、前記第1のジョーが前記枢動軸線の周りで枢動される、請求項6に記載の医療装置。
【請求項8】
前記制御機構が前記第1の状態と前記第2の状態との間で平行移動するときに、前記第1のジョーの前記表面が、前記制御機構の前記遠位部材の前記第1の表面、前記第2の表面、および前記第3の表面の各々に接触する、請求項6または7に記載の医療装置。
【請求項9】
前記第1の軸線と前記エンドエフェクタの長手方向軸線との間に画定される第1の角度は、最大約45度であり、前記第2の軸線と前記エンドエフェクタの前記長手方向軸線との間に画定される第2の角度は、前記第1の角度よりも小さく、最大約15度である、請求項6に記載の医療装置。
【請求項10】
前記第1のジョーは、遠位端および近位端を含み、前記近位端は、前記遠位端に対して角度付けられている、請求項5に記載の医療装置。
【請求項11】
前記第1のジョーの前記近位端は、前記第1の状態において前記制御部材の前記スロットの中に配置され、前記近位端は、前記第2の状態において前記制御機構の前記遠位部材に接触する、請求項10に記載の医療装置。
【請求項12】
前記第1のジョーの前記近位端は、前記第2の状態において前記制御部材の前記第2の表面に接触する、請求項11に記載の医療装置。
【請求項13】
前記第1のジョーの前記近位端は長手方向軸線を含み、前記近位端の前記長手方向軸線は、前記制御機構が前記第2の状態にあるときに前記第1の軸線と平行でなく、前記制御機構が前記第2の状態から前記第1の状態に移動するにつれて、前記近位端の前記長手方向軸線は前記第1の軸線に対して回動するため、前記近位端の前記長手方向軸線および前記第1の軸線はほぼ平行な配向に近づく、請求項10から請求項12のいずれか一項に記載の医療装置。
【請求項14】
前記第1のジョーの前記近位端は、前記制御機構が前記第2の状態から前記第1の状態に移動するときに前記制御機構の前記近位部材に接触するように構成される、請求項10から請求項13のいずれか一項に記載の医療装置。
【請求項15】
前記エンドエフェクタの近位端にあるプーリであって、前記作動ワイヤは、前記作動ワイヤが作動されるときに前記プーリに接触するように構成され、前記プーリは、前記制御機構に接触し、前記制御機構が前記プーリの近位に平行移動することを防止するように構成されるプーリをさらに備える、請求項1から請求項14のいずれか一項に記載の医療装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、低侵襲(例えば、内視鏡および/または腹腔鏡)医療装置および関連する使用方法に関する。実施形態では、本開示は、他の態様の中でも、例えば、ステープラ装置等の組織締結装置等のエンドエフェクタのための1つ以上の制御機構、および関連する使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
技術開発により、ますます複雑になる処置を対象者に実施する能力が医療システム、装置および方法の使用者に与えられる。例えば、対象者の胃腸管または体内の他の場所における組織の結合は、困難が生じ得る処置の一種である。対向するジョー構造の間で組織を把持し、または締め付け、その後に外科用締結具によって組織を接合する外科用装置は、知られている。締結具は、外科用ステープルを含んでもよい。いくつかの処置では、切断器具は、締結具によって接合されている組織を切断するために提供され得る。これらのシステムの欠点は、例えば、動作中の把持装置または締め付け装置のジョーの不整合、および/またはジョーを組織に締め付けた後にジョーを開放するときの摩擦力の増加を含み得る。これは、組織が適切にステープル留めおよび/または切断されないことをもたらすことがあり、これにより、治療時間および/もしくはコストが増加することがあり、ならびに/または患者に外傷をもたらすことがある。本開示は、一つ以上のこれらの問題または当分野の他の問題を解決し得る。しかしながら、本開示の範囲は、具体的な問題を解決する能力ではなく、添付の特許請求の範囲によって規定される。
【発明の概要】
【0003】
一態様によれば、医療装置は、シャフトと、シャフトの遠位端にあり、第2のジョーに対して枢動軸線の周りで枢動する第1のジョーを含むエンドエフェクタと、第1のジョーの表面に係合する制御機構であって、枢動軸線に対して第1の状態から第2の状態に平行移動して、第1のジョーの表面を制御機構に対して移動させ、枢動軸線の周りで枢動させる制御機構と、シャフトを通って延び、制御機構に連結されたアクチュエータであって、アクチュエータの平行移動により制御機構を第1の状態から第2の状態に平行移動させる、アクチュエータとを含む。
【0004】
第1の状態から第2の状態への制御機構の平行移動は、第1のジョーおよび第2のジョーを開形態から閉形態にそれぞれ移行させるように構成されてもよい。
第2のジョーは、複数のチャネルを含んでもよく、制御機構は、第1の状態と第2の状態との間で複数のチャネルに沿って移動するように構成されてもよい。
【0005】
第2のジョーは、エンドエフェクタの長手方向軸線に概ね垂直に延びる突出部を含んでもよく、突出部は、制御機構に接触して制御機構が突出部の遠位に平行移動することを防止するように構成されてもよい。
【0006】
制御機構は、ベース、ベースから突出する遠位部材、ベースから突出する近位部材、および近位部材と遠位部材との間に画定されるスロットを含んでもよい。
制御機構の遠位部材は、第1の軸線に沿ってベースから延びる第1の表面と、第2の軸線に沿って延びる第2の表面と、第1の表面および第2の表面を連結する第3の表面とを含んでもよく、第1の軸線および第2の軸線は、平行でなくてもよい。
【0007】
第1のジョーの表面と制御機構との間のカム作用により、第1のジョーが枢動軸線の周りで枢動してもよい。
制御機構が第1の状態と第2の状態との間で平行移動するときに、第1のジョーの表面が、制御機構の遠位部材の第1の表面、第2の表面、および第3の表面の各々に接触してもよい。
【0008】
第1の軸線とエンドエフェクタの長手方向軸線との間に画定される第1の角度は、最大約45度であってもよく、第2の軸線とエンドエフェクタの長手方向軸線との間に画定される第2の角度は、第1の角度よりも小さく、最大約15度であってもよい。
【0009】
第1のジョーは、遠位端および近位端を含んでもよく、近位端は、遠位端に対して角度付けられてもよい。
第1のジョーの近位端は、第1の状態において制御部材のスロットの中に配置されてもよく、近位端は、第2の状態において制御機構の遠位部材に接触してもよい。
【0010】
第1のジョーの近位端は、第2の状態において制御部材の第2の表面に接触してもよい。
第1のジョーの近位端は長手方向軸線を含んでもよく、近位端の長手方向軸線は、制御機構が第2の状態にあるときに第1の軸線と平行でなくてもよく、制御機構が第2の状態から第1の状態に移動するにつれて、近位端の長手方向軸線は第1の軸線に対して回動するため、近位端の長手方向軸線および第1の軸線はほぼ平行な配向に近づいてもよい。
【0011】
第1のジョーの近位端は、制御機構が第2の状態から第1の状態に移動するときに制御機構の近位部材に接触するように構成されてもよい。
医療装置は、エンドエフェクタの近位端にプーリをさらに含んでもよく、作動ワイヤは、作動ワイヤが作動されるときにプーリに接触するように構成されてもよく、プーリは、制御機構に接触して制御機構がプーリの近位に平行移動することを防止するように構成されてもよい。
【0012】
別の態様によれば、医療装置は、互いに連結され、開形態と閉形態との間で移動するように構成された第1のジョーおよび第2のジョーを含むエンドエフェクタと、第1の表面および第2の表面を含む遠位部材、近位部材、および近位部材と遠位部材との間に画定されたスロットを含む制御機構とを含み、開形態では、第1のジョーの表面がスロット内に受け入れられるとともに遠位部材の第1の表面に係合し、閉形態では、第1のジョーの表面がスロットの外側にあり、遠位部材の第2の表面に係合して、第1のジョーおよび第2のジョーの相対運動を阻止する。
【0013】
第1のジョーは、近位端および遠位端を含んでもよく、近位端は、長手方向軸線に沿って延びてもよく、近位端の長手方向軸線は、開形態において、制御機構の遠位部材の第1の表面の長手方向軸線とほぼ平行であってもよい。
【0014】
第1のジョーは、閉形態と開形態との間で制御機構の近位部材に接触するように構成されてもよい。
さらに別の態様によれば、医療方法は、エンドエフェクタを患者内の標的部位に前進させるステップであって、エンドエフェクタは、近位部材、遠位部材、および近位部材と遠位部材との間に画定されたスロットを含む制御機構によって閉配向から開配向への移行が阻止される、ステップと、制御機構を作動させてエンドエフェクタの第1のジョーの近位端と制御機構の遠位部材との間の力に打ち勝つことによってエンドエフェクタを閉配向から開配向に移行させるステップであって、エンドエフェクタが閉配向から開配向に移行するときに第1のジョーの近位端がスロット内に移動する、ステップと、エンドエフェクタの第1のジョーと第2のジョーとの間に物体を位置付けるステップと、制御機構を作動させて制御機構の遠位部材と第1のジョーの近位端との間にカム作用を生じさせ、エンドエフェクタを開配向から閉配向に移行させるステップとを含む。
【0015】
制御機構は、エンドエフェクタに対して平行移動するように構成されてもよく、制御機構は、エンドエフェクタが閉位置にあるときよりも、エンドエフェクタが開位置にあるときに、エンドエフェクタの近位端のより近くに位置付けられてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本明細書の一部に組み込まれて本明細書の一部を構成する添付の図面は、様々な典型的な実施形態を説明とともに示し、開示される実施形態の原理を解説するのに役立つ。
図1A】一実施形態に従った、エンドエフェクタを含む医療装置の概略図である。
図1B】一実施形態に従った、図1Aの医療装置の枢動アームの図である。
図2】一実施形態に従った、図1Aの医療装置のエンドエフェクタの図である。
図3】一実施形態に従った、図1Aの医療装置のエンドエフェクタの図である。
図4】一実施形態に従った、図1Aの医療装置のエンドエフェクタの図である。
図5】一実施形態に従った、閉形態における図2から図4のエンドエフェクタの長手方向軸線に沿った断面図である。
図6】別の実施形態に従った、開構成における図2から図4のエンドエフェクタの長手方向軸線に沿った断面図である。
図7】一実施形態に従った、図1Aの医療装置の制御機構の図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本開示は、例えば、組織を把持、切断、および/またはステープル留めするために標的部位にアクセスするため、ならびにこれらの装置のジョーを開放、閉鎖、および/または固定するための制御機構を提供するための例示的な医療システムおよび医療ツールに関して記述される。これは、改善された医療ツール機能性を提供し得、および/または医療従事者が組織の切断および/または締結を改善するのを支援し得る。しかしながら、任意の特定の装置および/または任意の特定の処置への言及は、便宜のためのみに提供され、本開示を制限する意図はないことに注意されたい。開示される装置および適用方法の根底にある概念は、いかなる適切な処置、医療または別のものにおいて用いられてもよいことを当業者は認識するであろう。本開示は、以下の記述および添付の図面を参照して理解することができ、同様の要素は同じ参照番号で参照される。
【0018】
記述を容易にするために、開示される装置および/またはそれらの構成要素の一部は、近位部分および遠位部分と称される。「近位」という用語は、装置の使用者により近い部分に言及することが意図され、「遠位」という用語は使用者からより離れた部分に言及するように本明細書中で使用されることに注意されたい。同様に、「遠位に延びる」は、構成要素が遠位方向に延びることを示し、「近位に延びる」は、構成要素が近位方向に延びることを示す。さらに、本明細書中に使用されるとき、「約」、「ほぼ」および「実質的に」という用語は、記述または示唆された値の+/-10%以内の値の範囲を示す。加えて、構成要素または表面の幾何学的形状を示す用語は、正確な形状および近似的な形状に言及する。
【0019】
本開示の実施形態は、腔内空間にて組織を切断および/または締結するために、またはそれらのプロセスを容易にするために使用されてもよい。例によれば、締結装置は、切除または切断機構(例えば一体型ナイフ)およびステープル留め機構(例えばステープラ)を含み得る組織ステープル留め機器でもよい。締結装置は、内視鏡ワーキングチャネルを通して標的組織部位まで送達されてもよい。締結装置の全部または一部は、金属(ステンレス鋼、チタン、またはコバルトクロム等)、プラスチック(ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等)であってもよく、あるいは形状記憶金属(ニチノール等)、形状記憶ポリマー、ポリマー、または材料の任意の組み合わせを含んでもよい。本明細書では、制御機構を備えた締結装置に言及しているが、記述した制御機構は、カテーテル、シース、チューブ等の遠位端で互いに枢動可能に連結された任意の組のジョーまたは他のエンドエフェクタと共に使用されてもよい。制御機構は、隣接するジョー間の相対(例えば、枢動)運動を防止してもよく、組織の改善された把持を提供してもよい。例えば、単一の固定枢動軸を介して連結された隣接するジョー間の枢動回動を防止することにより(例えば、枢動ピンまたは他の機構等の複数の枢動軸を介して連結されたジョーと比較して)、ジョーの位置合わせを改善し、ジョーを互いに対して移動させるときの摩擦を低減し、エンドエフェクタの大きさを低減することができる。
【0020】
図1Aは、本開示の例に従った機器10を示す。機器10は、身体組織に係合し、腹腔鏡手術または内視鏡手術等の低侵襲性手術の間に複数の締結具をそこへ適用するように構成された外科用ステープル留め機器でもよい。いくつかの実施形態では、機器10は、低侵襲性外科手術の間に組織を閉鎖するための縫合糸を送達するための縫合機器でもよい。装置10は、縫合糸、クリップ、または他の締結具を適用するために使用されてもよいが、主に、例えば組織のステープル留めおよび/または切断等の、追加の処置を組織に実施することに備えて組織を把持するという状況において記述されるであろう。
【0021】
図1に示されるように、機器10は、近位端におけるハンドルアセンブリ30と、遠位端におけるエンドエフェクタ100と、ハンドルアセンブリ30の遠位端をエンドエフェクタ100の近位端に連結する長尺状本体50(例えば、シャフト、カテーテル等)とを含む。長尺状本体50は、内視鏡手術または腹腔鏡手術に適切な任意の長さに延びてもよく、内視鏡のワーキングチャネルの中に位置付けられるように構成されてもよい。あるいは、例えば、内視鏡が単一の管腔のみを含む場合、および/または内視鏡の管腔の直径が長尺状本体50を受け入れるには小さすぎる場合、長尺状本体50は、内視鏡の外側表面に沿って延びてもよい。例えば、ワーキングチャネルの中に長尺状本体50をバックロードすることによって、内視鏡のワーキングチャネルまたは別の装置のチャネルの中への長尺状本体50の挿入を容易にするために、長尺状本体50は、ハンドルアセンブリ30から取り外し可能であってもよい。いくつかの例では、長尺状本体50は可撓性、操縦可能であってもよく、および/またはその軸線の周りで回動可能であってもよい。長尺状本体50は、ハンドルアセンブリ30を介してエンドエフェクタ100を作動させるため、または機器10の任意の他の部分を作動させるための作動ワイヤがその中に位置付けられるように、管腔(または複数の管腔)を含んでもよい。長尺状本体50は、複数の作動ワイヤまたは単一の作動ワイヤを受け入れるように構成されてもよい。いくつかの例では、長尺状本体50はエンドエフェクタ100に固定して結合されてもよく、他の例では、長尺状本体50はエンドエフェクタ100に取り外し可能または解放可能に結合されてもよい。別段の記述がない限り、本明細書中に記述される任意のワイヤまたは作動装置が、ハンドルアセンブリ30からエンドエフェクタ100まで長尺状本体50の管腔を通って延びてもよい。あるいは、またはさらに、これらの作動ワイヤまたは装置のうちの1つ以上は、ハンドルアセンブリ30からエンドエフェクタ100まで長尺状本体50の外側を(例えば、長尺状本体50に隣接して)延びてもよい。管腔を含むカテーテル55(または任意の他のシース)は、ハンドルアセンブリ30の遠位端から遠位に延びてもよい。長尺状本体50は、カテーテル55の管腔内に配置されてもよく、カテーテル55に対して移動してもよい。
【0022】
ハンドルアセンブリ30は、ハンドル32およびボディ34を含んでもよい。ハンドル32は、固定部分32aおよびアクチュエータ部分32bを含んでもよい。ハンドル32の固定部分32aは、ボディ34に固定して連結されてもよい。アクチュエータ部分32bは、使用者の指をその中に位置付けるための円形または楕円形の部分すなわちリングを含んでもよく、それによって使用者がハンドルアセンブリ30を握ることが補助され得る。いくつかの実施形態では、ハンドル32のアクチュエータ部分32bは、ボディ34に枢動可能に連結され、ハンドル32の固定部分32aに対して移動可能であり得るアクチュエータでもよい。いくつかの例では、ハンドル32のアクチュエータ部分32bは、本明細書中に記述されるように、調節可能なカプラ36を介して、作動ワイヤ40a等の作動ワイヤの近位部分に連結され得る。エンドエフェクタ100の制御機構150は、エンドエフェクタ100とハンドルアセンブリ30との間に延びる作動ワイヤ40aを介して作動されてもよい。他の例では、ハンドル32のアクチュエータ部分32bは、エンドエフェクタ100等からのステープルの展開の作動等の、機器10の任意の他の機構を制御するように構成されてもよい。ワイヤ40aは、遠位方向に押され、かつ、近位方向に引かれるために十分な剛性を有し得ることが理解されるであろう。
【0023】
いくつかの例では、ハンドルアセンブリ30は、枢動点38bにてハウジング34に枢動可能に連結された可動カバー38を含んでもよい。図1では、カバー38は、開位置に示され、ボディ34の内部を露出させている。カバー38は、ボディ34の近位部分に連結されてもよく、例えば、カバー38の最遠位端38aがボディ34の表面34aに対向するとき等の閉形態に位置付けられるとき、ハンドルアセンブリ30の内部構成要素を覆ってもよい。カバー38は、カバー38の遠位部分およびハンドルアセンブリ30の遠位部分における、スナップフィット機構等の連結機構を介して、ボディ34の内部構成要素を覆うように位置付けられ得る(例えば、閉形態)。閉形態にあるとき、カバー38はボディ34の中に一対のスロット(図示なし)を形成してもよい。カバー38の遠位部分がボディ34の遠位部分から連結解除されるとき、使用者は、枢動点38bにてカバー38を回動または枢動させてハンドルアセンブリ30の内部構成要素にアクセスしてもよい。
【0024】
ハンドルアセンブリ30は、作動ワイヤ40a等の作動ワイヤの一部を受け入れるように構成され得る一つ以上の調節可能なカプラ36、39を含んでもよい。調節可能なカプラ36、39のいずれかは、作動ワイヤ40aを締め付け、調節可能なカプラ36、39に作動ワイヤ40aを固定して連結するために移動可能な万力でもよい。いくつかの例では、調節可能なカプラ36、39は、カプラ36、39を調節し、および作動ワイヤ40aをカプラ36、39に連結するかまたはカプラ36、39から連結解除するためにネジによって移動可能でもよい。カプラ36、39は、本明細書中に記述される追加のワイヤの移動において使用されてもよい。
【0025】
調節可能なカプラ39は、長手方向アクチュエータ31に連結されてもよく、ボディ34の中で長手方向アクチュエータ31を平行移動することによって長手方向に移動可能であってもよい。長手方向アクチュエータ31は、部分的にハウジング34の中に位置付けられてもよく、カバー38がハンドルアセンブリ30の内部構成要素上に位置付けられるときに形成される二つのスロットの中で長手方向に摺動可能であってもよい。長手方向アクチュエータ31は、一対の対向する円形または楕円形の部分すなわちリングを含んでもよく、各円形部分は、使用者がそれぞれの指をその中に位置付けるための開口部を画定する。いくつかの例では、長手方向アクチュエータ31は、調節可能なカプラ39を介して、またはボディ34の中の異なるカプラを介してのように、作動ワイヤ(図示なし)に連結されてもよく、エンドエフェクタ100からのステープル展開を制御するように構成されてもよい。他の例では、長手方向アクチュエータ31は、制御機構150等の近位移動または遠位移動等の機器10の任意の他の機構を制御するように構成されてもよい。あるいは、2つのアクチュエータが使用されてもよく、第1のアクチュエータは、切断装置を作動させるためのものであり、第2のアクチュエータは、ステープル留め装置を作動させるためのものでよい。
【0026】
図1Aおよび図2を参照すると、エンドエフェクタ100は、長尺状本体50の遠位端に連結され得る、例えばステープラ装置のアンビル120およびボディ130等の一対のジョーを含んでもよい。例えば、長尺状本体50の遠位端におけるコネクタ52は、ピンホール136bの中に固定された第1のピンを介してエンドエフェクタ100の近位端に枢動可能に取り付けられ得る。
【0027】
枢動アーム60は、ピン131aを介してエンドエフェクタ100のボディ130の側面に枢動可能に取り付けられ得る(ピン131aは、枢動軸線を画定し得る)。例えば、1つ以上の突出部131は、ボディ130の側面から延びてもよく、突出部131の中のピンホール131bを通してピン131aを受け入れ、それによって、ピン131aを突出部131に対して固定してもよい。ピン131aは、枢動アーム60に対するエンドエフェクタ100の枢動軸線を画定する。ピン131aはまた、枢動アーム60の遠位端の開口66(図1B)の中に受け入れられてもよく、それにより、枢動アーム60が突出部131の間に固定され得、エンドエフェクタ100が枢動アーム60に対して枢動することが許容され得る。
【0028】
枢動アーム60は、近位端に開口を含んでもよい。開口は、アーム60の近位端から遠位端まで延びる管腔に接続されてもよい。スロット65(例えば、開口)は、枢動アーム60の側面に形成されてもよく、枢動アーム60の管腔に接続されてもよい。スロット65は、楕円形、長方形、または任意の他の適切な形状であってもよい。近位開口、枢動アーム60の管腔、およびスロット65は、長尺状本体50の一部を受け入れるように定寸および成形され得るため、長尺状本体50は、近位開口を介して枢動アーム60に進入し、スロット65(図1A)の外に延び得る。開口66は、枢動アーム60の遠位端に提供され得る。開口66は、枢動アーム60がピン131aに対して枢動し得るように、ピン131aを受け入れてもよい。本明細書中に記述されるように、枢動アーム60に対する長尺状本体50の運動により、エンドエフェクタ100がピン131aの周りで枢動アーム60に対して回動し得る。枢動アーム60は直方体として示されているが、枢動アーム60は、円筒形、丸みを帯びた縁部を有する直方体等を含む任意の形状であってもよい。さらに、枢動アーム60は、カテーテル55と一体部品であってもよく、または枢動アーム60は、超音波溶接、接着剤、クリンピング等によってカテーテル55の遠位端に固定して取り付けられてもよい。これにより、長尺状部材50がカテーテル55および/または枢動アーム60に対して移動させられるとき、枢動アーム60が移動することが防止され得る。理解を容易にするために、カテーテル55は図1Aにのみ示される。
【0029】
アンビル120は、近位端122および遠位端124を含んでもよく、ピン120aを介してボディ130に回動可能または枢動可能に連結されてもよい(ピン120aは、枢動軸線を画定し得る)。アンビル120およびボディ130は、まとめて、ジョー、把持要素、および/または対向部材と称され得る。いくつかの例では、アンビル120は、ピン120aの周りで回動可能に付勢されてもよく、開形態または閉形態に付勢されてもよい。例えば、アンビル120の遠位端124は、バネ等を使用してボディ130から離れるように付勢されてもよく、それによって、アンビル120の遠位端124とボディ130の遠位部分との間に空間を作り出す。あるいは、アンビル120の遠位端124は、バネ等を使用してボディ130に向かって付勢されてもよい。図5に示されるように、ボディ130は、長手方向軸線Aを含んでもよく、アンビル120は、長手方向軸線Fを含んでもよい(長手方向軸線Aおよび長手方向軸線Fは、図5においてほぼ平行である)。アンビル120の近位端122は、遠位端124および/または長手方向軸線Fに対して角度付けられてもよく、近位端122は、長手方向軸線Bに沿って延びてもよい。角度βは、長手方向軸線Fと長手方向軸線Bとの間に形成され得る。長手方向軸線Fに対する近位端122の角度により、近位端122が閉形態および開形態において制御機構150に係合することを許容することによって、エンドエフェクタ100の開閉が補助され得る。
【0030】
アンビル120は、ピン120aの周りで回動してもよく、例えば、アンビル120とボディ130との間に組織を保持するために、閉位置においてボディ130に接触または接近してもよい。いくつかの例では、ボディ130は、ステープルまたは他の締結装置のカートリッジを支持するチャネル(図示なし)を含んでもよい。アンビル120の閉位置は、エンドエフェクタ100のカートリッジから排出されるときにステープルが駆動され得る表面を提供し得る。カートリッジは、ステープル等の複数の外科用締結具を含んでもよく、締結具は、作動スレッドまたは他の作動機構によって付与される駆動力の影響下にあるときに、カートリッジから展開されてもよい。適切なステープラおよび関連する作動機構は、2020年2月28日に出願された共同所有の米国特許出願第16/804,887号に記載されており、そのすべての開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0031】
図2から図4を参照すると、ボディ130の近位端は、ピンホール136bの中に固定された第1のピン(第1のピンは枢動軸線を画定し得る)を含み、コネクタ52をエンドエフェクタ100の遠位端に枢動可能に連結する。第2のピン(第2のピンは、枢動軸線を画定し得る)はピンホール136aの中に固定されて、回転可能部材56(例えば、プーリまたはローラ)をエンドエフェクタ100の遠位端に枢動可能に連結する。第1のピンは、ボディ130のベースにおけるピンホール136bからボディ130の第2のアーム135bにおけるピンホール136bまで延びてもよい。凹部132(例えば、スロット)は、第1のアーム135aと第2のアーム135bとの間に画定され得る。凹部132は、本明細書中に記述されるように、動作中に制御機構150の一部を受け入れてもよい。
【0032】
回転可能部材56は、ボディ130の突出部131と同じ側に取り付けられてもよく、コネクタ52は、ボディ130の回転可能部材56かとは反対側に取り付けられてもよい。第2のピンは、ボディ130のベースにおけるピンホール136aからボディ130の第1のアーム135aにおけるピンホール136aまで延びてもよい。回転可能部材56は、ピンホール136aに中に固定された第2のピンによって画定される枢動軸線の周りで回転することができる。作動ワイヤ40aは、固定部材150の作動中に、および/または枢動アーム60に対するエンドエフェクタ100の運動もしくはコネクタ52に対するエンドエフェクタ100の運動に基づいて、回転可能部材56に接触し得る。回転可能部材56は、回転可能部材56の間の接触に基づいて、ピンホール136aの中に固定された第2のピンの周りで回転することができ、これにより、ワイヤ40aへの摩擦力および/または他の力を低減することができる。コネクタ52は、回転可能部材56に対向する内面52a、および内面52aとは反対側の外面52b(図3)を含んでもよい。内面52aは、湾曲面を有してもよく、回転可能部材56に対して凹状であり、外面52bに対して凸状であってもよい。穴54がコネクタ52の近位端に配置される。長尺状本体50は、コネクタ52に連結され、穴54で終端する。作動ワイヤ40aは、長尺状本体50の管腔から穴54を通って延びてもよく、その遠位端で制御機構150に取り付けられてもよい。
【0033】
図3および図4を参照すると、一対のチャネル134(図3には1つのチャネルのみが示されている)が、ボディ130の内面によって画定されている。図4に示されるように、チャネル134は、ボディ130の対向する内側側壁からボディ130の中心に向かって突出するレール136と、ボディ130の底部内面との間に画定される。チャネル134は、エンドエフェクタ100の長手方向軸線Aに平行に延びる(図5参照)。チャネル134は、制御機構150が、例えば、長手方向軸線Aに平行に移動し得る経路を画定する。制御機構150のベース152は、チャネル134の中で長手方向軸線Aに平行に摺動し得る。レール136は、長手方向軸線Aに垂直な、アーム135a、135bに向かう方向への制御機構150の移動を防止する。リップ137(例えば、突出部)は、ボディ130の底部内面からボディ130の中心に向かって上方に延びる。動作中、制御機構150のベース152の遠位端は、リップ137に接触することがあり、これにより、制御機構150がリップ137の遠位に移動することが防止され得る。ベース152の近位端は、回転可能部材56またはコネクタ52の一方または両方に接触することがあり(図2)、これにより、制御機構150が部材56またはコネクタ52の一方または両方の近位に移動することが防止され得る。
【0034】
図7に示される制御機構150は、ベース152の遠位端から突出する遠位部材154、およびベース152の近位端から延びる近位部材156を含む。遠位部材154は、第1の表面154a、第2の表面154b、および第1の表面154aと第2の表面154bとを接合する第3の表面154cを含む。第1の表面154aは、概ね平面であり、長手方向軸線Eに沿って延びる。第2の表面154bは、概ね平面であり、長手方向軸線Dに沿って延びる。第1の表面および第2の表面154a、154bは、平面であることに限定されず、例えば、凸面もしくは凹面等の曲面、または任意の他の形状の表面を含んでもよい。第3の表面154cは、概ね湾曲していてもよく、ベース152から離れるように対向する凸状表面を有してもよい。しかし、第3の表面154cの形状は限定されず、平面であってもよいし、図7等に示す方向とは異なる方向に湾曲していてもよい。本明細書中に記述されるように、第3の表面154cは、制御機構150の動作中に、アンビル120の近位端122を、第2の表面154bとの接触から第1の表面154aとの接触へ、および第1の表面154aとの接触から第2の表面154bとの接触へガイドし得る。この運動は、カム作用であってもよく、近位端122は、第1の表面154a、第2の表面154b、および第3の表面154cに沿って進む。
【0035】
近位部材156は、ベース152から離れるように延びてもよい。ベース152またはその近くの近位部材156の(ベース152の上面に平行な平面に沿って取られた)断面は、ベース152からより遠い近位部材156の断面の大きさよりも小さい大きさを有し得る。例えば、第3の表面156aは、ほぼ平面であり、ベース152からほぼ垂直に延び、遠位部材154の第1の表面154aに対向する。第3の表面156aは、ベース152とは反対側の第3の表面156aの端部において第4の表面156bに接合される。第4の表面156bは、概ね平面であり、第3の表面156aに対して角度付けられる。第4の表面156bは、第1の表面154aに対向し、第1の表面154aおよび長手方向軸線Eにほぼ平行に延びる。スロット155は、第1の表面154aと第3の表面および第4の表面156a、156bとの間に画定される。スロット155は、エンドエフェクタ100が開形態にあるときに、アンビル120の近位端122を受け入れるように構成される。上面158は、近位部材156の最上面を画定し、ベース152の上面に概ね平行であってもよい。いくつかの例において、上面158とベース152との間の距離は、遠位部材154の最上面とベース152との間の距離よりも大きい。制御機構150の動作中、近位部材156および/または遠位部材154は、第1のアーム135aと第2のアーム135bとの間の凹部132の中に延びてもよい。
【0036】
長手方向軸線Cは、ベース152の近位端からベース152の遠位端まで延び、エンドエフェクタ100の長手方向軸線A(図5)に平行である。開口159は、ベース152の近位端からベース152の遠位端に向かって、長手方向軸線Cに平行にベース152の中に延びる。開口159は、ベース152の遠位端の近位で終端する。開口159は、作動ワイヤ40aを受け入れ、固定するように構成される。作動ワイヤ40aは、接着剤、溶接等を使用して、開口159の中でベース152に固定され得る。開口159は、球形、アーチ形、円筒形等を含む任意の形状であってもよい。いくつかの例では、開口159は、作動ワイヤ40aが開口159に取り付けられたときに作動ワイヤ40aの一部が開口159から露出され得るように、近位部材156および遠位部材154とは反対のベース152の側(図4に示されるように下)に開いていてもよい。代替として、開口159は、作動ワイヤ40aの遠位端でハイポチューブを受け入れるように、遠位端に皿穴を伴う、貫通孔であってもよい。
【0037】
角度ベータは、長手方向軸線Dと長手方向軸線Cとの間に画定され得る。角度ベータは、約0度から15度であってもよく、約5度であってもよい。角度γは、長手方向軸線Eと長手方向軸線Cとの間に画定され得る。角度γは、0度より大きく、最大約45度であってもよく、約30度であってもよい。
【0038】
エンドエフェクタ100は、図5および図6において、それぞれ、閉形態および開形態で示される。閉形態では、制御機構150のベース152の近位端は、コネクタ52または回転可能部材56の一方または両方に隣接および/または接触している。制御機構150は、その最近位位置にある。この構成において、アンビル120の近位端122は、遠位部材154の第2の表面154bに接触し、それによって、アンビル120を閉形態に固定する。例えば、摩擦力により、近位端122は第2の表面154bに固定される。付与される摩擦力または他の付与される力は、使用者の干渉がない場合にアンビル120を閉形態に維持するのに十分である。使用者の干渉は、作動ワイヤ40aを作動させて制御機構150を遠位方向に移動させ、それによって前記力に打ち勝って近位端122を第2の表面154bから固定解除することを含み得る。いくつかの例では、追加の固定機構が設けられて、ボディ130に対するアンビル120の開形態または閉形態を維持することを補助してもよい。
【0039】
図6の開形態では、制御機構150のベース152の遠位端は、リップ137に隣接する(かつリップ137に接触してもよい)。制御機構150は、その最遠位位置にあり、近位端122の表面は、第3の表面156bに接触し、アンビル120が開形態に位置付けられることを許容にする。使用者の干渉は、制御機構150を近位方向に移動させ、アンビル120を開形態から閉形態に向かって移動させるために必要とされる。制御機構150の平行移動により、エンドエフェクタが開閉され、それらが閉形態に固定されるか、またはそれらが開形態に位置付けられるであろう。
【0040】
機器10の操作方法はこれから記述する。装置10は、自然開口部(例えば、口または肛門)を介して、または切開もしくは他の医学的に誘発された開口を介して、身体に導入されてもよい。エンドエフェクタ100は、例えば、カテーテルまたはいくつかの他の類似装置を介して、体内の標的部位に前進させられてもよい。エンドエフェクタ100は、閉形態にてカテーテルに沿って前進させられてもよく、これにより、エンドエフェクタ100が体内の1つ以上の蛇行経路を通り抜けることが可能となり得る。代替として、エンドエフェクタ100は、開形態で前進させられてもよい。
【0041】
一旦、エンドエフェクタ100が標的部位に到達すると、エンドエフェクタ100は、標的部位において組織または物体を把持するように操作され得る。エンドエフェクタ100は、例えば、枢動アーム60と長尺状本体50との間の相対運動によって、ピンホール136bの中に固定された第1のピンおよび/またはピン131aによって画定される枢動軸線の周りで回動されて、標的部位に対してエンドエフェクタ100を適切に位置付けてもよい。この場合、エンドエフェクタ100は閉形態にあってもよい。この位置において、ベース152は、コネクタ52または回転可能部材56の一方または両方に隣接するその最近位位置にある。図5に示されるように、第2の表面154bは、アンビル120の近位端122と係合され、それによって、上述のように、アンビル120を閉形態に固定する。作動ワイヤ40aの遠位運動により、制御機構150が遠位方向に移動してもよい。制御機構150が遠位に移動すると、第2の表面154bは、近位端122との係合を解除する。近位端122は、続いて、第4の表面156bの上部によって係合される(いくつかの例では、第2の表面154bおよび第4の表面156bは、同時に近位端122に係合または接触してもよい)。制御機構150の継続した遠位運動により、近位端122は第4の表面156bに沿って、さらにスロット155の中に移動され、アンビル120がピン120aによって画定される枢動軸線の周りで回動させられる。制御機構150の遠位運動は、リップ137によって停止され、それによって、アンビル120を、長手方向軸線Bが長手方向軸線Eにほぼ平行である開形態に固定する。
【0042】
一旦、開形態になると、エンドエフェクタ100は、アンビル120とボディ130との間に組織または物体を位置付けるようにさらに操作されてもよい。開形態は、角度γと角度αとの間の差に等しい、アンビル120とボディ130との間の角度を有してもよく、それは、0度より大きく、最大約30度であってもよい。続いて、作動ワイヤ40aは、近位方向に移動され(例えば、引っ張られ)、制御機構150を近位に移動させ得る。第1の表面154aは、近位端122を押してもよく、アンビル120を閉位置に向かって回動させる。第2の表面154bは、制御機構150がコネクタ52および/または回転可能部材56に接近するにつれて、近位端122に再び係合し得、これにより、アンビル120を閉形態に回動させることがさらに支援される。制御機構150が、コネクタ52または回転可能部材56の一方または両方に隣接しているとき、アンビル120は、上述のように、閉位置に固定され得、アンビル120とボディ130との間に組織または物体を捕捉する。次いで、例えば、ステープル留め、切断等の1つ以上のさらなる医療処置が実施され得る。追加の医療処置の後、物体および/または組織は、アンビル120を開形態に移動させることによって解放され得る。機器10は、全ての医療処置が完了した後に身体から除去されてもよく、および/または複数回除去および再導入されて身体内で複数の処置を行ってもよい。
【0043】
典型的な医療システムが記述されているが、これらの締結システム中の要素の特定の配置は制限されないことが理解されるであろう。さらに、締結システムの大きさ、形状、および/または材料は、制限されない。本明細書中に記述されるように、エンドエフェクタを開放、閉鎖、および固定するための制御機構が含まれる。様々な医療処置の実行は、エンドエフェクタのジョーの適切な位置合わせを確実にすることによって、および/またはエンドエフェクタを固定および/または開閉するための枢動部材の数を減少させることによりエンドエフェクタの大きさを低減させることによって、改善され得る。
【0044】
本開示の範囲から逸脱することなく、開示された装置に様々な修正および変更がなされ得ることは、当業者にとって明らかであろう。本開示の他の実施形態は、明細書の検討および本明細書中に開示された発明の実施から当業者にとって明らかであろう。明細書および例は、典型的なものとしてみなされることのみを意図されており、発明の真の範囲および主旨は、以下の特許請求の範囲によって示される。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】