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特表2023-521620ポリオールの脂肪酸エステルの生成のための方法及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-25
(54)【発明の名称】ポリオールの脂肪酸エステルの生成のための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   C11C 3/06 20060101AFI20230518BHJP
   C07C 67/03 20060101ALI20230518BHJP
【FI】
C11C3/06
C07C67/03
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022559802
(86)(22)【出願日】2021-03-30
(85)【翻訳文提出日】2022-10-07
(86)【国際出願番号】 US2021024929
(87)【国際公開番号】W WO2021202560
(87)【国際公開日】2021-10-07
(31)【優先権主張番号】63/002,234
(32)【優先日】2020-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】397058666
【氏名又は名称】カーギル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 晴彦
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【弁理士】
【氏名又は名称】式見 真行
(72)【発明者】
【氏名】アディ、ジェフ
【テーマコード(参考)】
4H006
4H059
【Fターム(参考)】
4H006AA02
4H006AC48
4H006BA02
4H006BA32
4H006BC10
4H059AA03
4H059BA13
4H059BC13
4H059CA35
4H059CA48
4H059CA72
(57)【要約】

ポリオールのエステルを形成するためのプロセスの実装態様は、ポリオールをトリグリセリドと反応器内で2.5~6:1のポリオール対トリグリセリドのモル比で混合して、投入物を形成することと、投入物をイソプロパノールと混合して、希釈された投入物を形成することと、触媒を希釈された投入物と混合することと、希釈された投入物を加熱及び撹拌して、トリグリセリド及びポリオールのモノエステルを含む生成物を形成することと、を含み得る。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオールのエステルを形成するプロセスであって、
ポリオールをトリグリセリドと反応器内で2.5~6:1のポリオール対トリグリセリドのモル比で混合して、投入物を形成することと、
前記投入物をイソプロパノールと混合して、希釈された投入物を形成することと、
触媒を前記希釈された投入物と混合することと、
前記希釈された投入物を加熱及び撹拌して、前記トリグリセリド及び前記ポリオールのモノエステルを含む生成物を形成することと、を含む、プロセス。
【請求項2】
前記モノエステルが、前記生成物の30重量%~95重量%である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記触媒が、前記希釈された投入物の0.2重量%~0.7重量である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
前記触媒が、ナトリウムメトキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カルシウム、パラ-トルエンスルホン酸、塩酸、硫酸、又はそれらの任意の組み合わせのうちの1つである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項5】
前記触媒を使用して石鹸を形成して、前記ポリオール、トリグリセリド、及びイソプロパノールを可溶化することを更に含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項6】
前記ポリオールが、グリセロール又はポリグリセロールのうちの1つである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項7】
ポリオールのエステルを形成するプロセスであって、
ポリオールをトリグリセリドと反応器内で2.5~6:1のポリオール対トリグリセリドのモル比で混合して、投入物を形成することと、
前記投入物を溶媒と混合して、希釈された投入物を形成することと、
脂肪酸塩を前記希釈された投入物と混合して、調製された投入物を形成することと、
触媒を前記調製された投入物と混合することと、
前記調製された投入物を加熱及び撹拌して、前記トリグリセリド及び前記ポリオールのモノエステルを含む生成物を形成することと、を含む、プロセス。
【請求項8】
前記モノエステルが、前記生成物の30重量%~95重量%である、請求項7に記載のプロセス。
【請求項9】
前記触媒が、前記調製された投入物の0.2重量%~0.7重量%である、請求項7に記載のプロセス。
【請求項10】
前記触媒が、ナトリウムメトキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カルシウム、パラ-トルエンスルホン酸、塩酸、硫酸、又はそれらの任意の組み合わせのうちの1つである、請求項7に記載のプロセス。
【請求項11】
前記触媒を使用して石鹸を形成して、前記ポリオール、トリグリセリド、及びイソプロパノールを可溶化することを更に含む、請求項7に記載のプロセス。
【請求項12】
前記ポリオールが、グリセロール又はポリグリセロールである、請求項7に記載のプロセス。
【請求項13】
前記脂肪酸塩が、オレイン酸ナトリウムであり、前記調製された投入物中の前記脂肪酸塩の濃度が、混合後250ppmである、請求項7に記載のプロセス。
【請求項14】
ポリオールのエステルを形成するプロセスであって、
ポリオールを脂肪酸と反応器内で2.5~6:1のポリオール対脂肪酸のモル比で混合して、投入物を形成することと、
前記投入物を溶媒と混合して、希釈された投入物を形成することと、
塩基を前記希釈された投入物と混合して、鹸化された投入物を形成することと、
触媒を前記鹸化された投入物と混合することと、
前記鹸化された投入物を加熱及び撹拌して、前記脂肪酸及び前記ポリオールのモノエステルを含む生成物を形成することと、を含む、プロセス。
【請求項15】
前記モノエステルが、前記生成物の30重量%~95重量%である、請求項14に記載のプロセス。
【請求項16】
前記触媒が、前記鹸化された投入物の0.2重量%~0.7重量%である、請求項14に記載のプロセス。
【請求項17】
前記触媒が、ナトリウムメトキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カルシウム、パラ-トルエンスルホン酸、塩酸、硫酸、又はそれらの任意の組み合わせのうちの1つである、請求項14に記載のプロセス。
【請求項18】
前記ポリオールが、グリセロール又はポリグリセロールである、請求項14に記載のプロセス。
【請求項19】
前記塩基が、水酸化ナトリウムであり、前記鹸化された投入物中の脂肪酸塩の濃度が、混合後250ppmである、請求項14に記載のプロセス。
【請求項20】
前記ポリオールを前記脂肪酸と混合することが、トリグリセリドを前記ポリオール及び前記脂肪酸と混合することを更に含み、前記生成物が、前記脂肪酸、前記トリグリセリド、及び前記ポリオールのモノエステルを含む、請求項14に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本文書は、2020年3月30日に出願されたJeff Addyに対する「Methods and Systems for Production of High Purity Fatty Acid Monoesters of Polyols」と題する米国仮特許出願第63/002,234号の出願日の利益を主張し、その開示は、参照により本明細書に全体が組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本文書の態様は、概して、エステルを形成するためのプロセスに関する。より具体的な実装態様は、脂肪酸エステルを形成するためのプロセスを伴う。
【背景技術】
【0003】
エステルは、エステル基によって連結された2つの炭素基を含む多種多様な化合物を含む。グリセロールの様々な脂肪酸エステルは、グリセリドと称される。
【発明の概要】
【0004】
ポリオールのエステルを形成するためのプロセスの実装態様は、ポリオールをトリグリセリドと反応器内で2.5~6:1のポリオール対トリグリセリドのモル比で混合して、投入物を形成することと、投入物をイソプロパノールと混合して、希釈された投入物を形成することと、触媒を希釈された投入物と混合することと、希釈された投入物を加熱及び撹拌して、トリグリセリド及びポリオールのモノエステルを含む生成物を形成することと、を含み得る。
【0005】
ポリオールのエステルを形成するためのプロセスの実装態様は、以下のうちの1つ、全て、又はいずれかを含み得る。
【0006】
モノエステルは、生成物の30重量%~95重量%であり得る。
【0007】
触媒は、希釈された投入物の0.2重量%~0.7重量%であり得る。
【0008】
触媒は、ナトリウムメトキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カルシウム、パラ-トルエンスルホン酸、塩酸、硫酸、又はそれらの任意の組み合わせのうちの1つであり得る。
【0009】
プロセスは、触媒を使用して石鹸を形成して、ポリオール、トリグリセリド、及びイソプロパノールを可溶化することを含み得る。
【0010】
ポリオールは、グリセロール又はポリグリセロールのうちの1つであり得る。
【0011】
ポリオールのエステルを形成するためのプロセスの実装態様は、ポリオールをトリグリセリドと反応器内で2.5~6:1のポリオール対トリグリセリドのモル比で混合して、投入物を形成することと、投入物を溶媒と混合して、希釈された投入物を形成することと、脂肪酸塩を希釈された投入物と混合して、調製された投入物を形成し、触媒を調製された投入物と混合することと、調製された投入物を加熱及び撹拌して、トリグリセリド及びポリオールのモノエステルを含む生成物を形成することと、を含み得る。
【0012】
ポリオールのエステルを形成するためのプロセスの実装態様は、以下のうちの1つ、全て、又はいずれかを含み得る。
【0013】
モノエステルは、生成物の30重量%~95重量%であり得る。
【0014】
触媒は、調製された投入物の0.2重量%~0.7重量%であり得る。
【0015】
触媒は、ナトリウムメトキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カルシウム、パラ-トルエンスルホン酸、塩酸、硫酸、又はそれらの任意の組み合わせのうちの1つであり得る。
【0016】
プロセスは、触媒を使用して石鹸を形成して、ポリオール、トリグリセリド、及びイソプロパノールを可溶化することを含み得る。
【0017】
ポリオールは、グリセロール又はポリグリセロールであり得る。
【0018】
脂肪酸塩は、オレイン酸ナトリウムであり得、調製された投入物中の脂肪酸塩の濃度は、混合後250ppmであり得る。
【0019】
ポリオールのエステルを形成するためのプロセスの実装態様は、ポリオールを脂肪酸と反応器内で2.5~6:1のポリオール対脂肪酸のモル比で混合して、投入物を形成することと、投入物を溶媒と混合して、希釈された投入物を形成することと、塩基を希釈された投入物と混合して、鹸化された投入物を形成することと、触媒を鹸化された投入物と混合することと、鹸化された投入物を加熱及び撹拌して、脂肪酸及びポリオールのモノエステルを含む生成物を形成することと、を含み得る。
【0020】
ポリオールのエステルを形成するためのプロセスの実装態様は、以下のうちの1つ、全て、又はいずれかを含み得る。
【0021】
モノエステルは、生成物の30重量%~95重量%であり得る。
【0022】
触媒は、鹸化された投入物の0.2重量%~0.7重量%であり得る。
【0023】
触媒は、ナトリウムメトキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カルシウム、パラ-トルエンスルホン酸、塩酸、硫酸、又はそれらの任意の組み合わせのうちの1つであり得る。
【0024】
ポリオールは、グリセロール又はポリグリセロールであり得る。
【0025】
塩基は、水酸化ナトリウムであり得、鹸化された投入物中の脂肪酸塩の濃度は、混合後250ppmであり得る。
【0026】
ポリオールを脂肪酸と混合することは、トリグリセリドをポリオール及び脂肪酸と混合することを更に含み得、生成物は、脂肪酸、トリグリセリド、及びポリオールのモノエステルを含み得る。
【0027】
前述及び他の態様、特徴、及び利点は、当業者には、説明及び図面、並びに特許請求の範囲から明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
実装態様は、添付の図面と併せて以下に説明され、図面中、同様の名称は同様の要素を示す。
図1】本明細書の実施例3によるエステルの組成物を示す、溶媒としてイソプロパノールを含み、触媒としてナトリウムメトキシドを含む、ココアバター及びグリセロールから形成された生成物の成分のクロマトグラフである。
図2】本明細書の実施例4によるエステルの組成物を示す、溶媒としてイソプロパノールを含み、触媒としてパラ-トルエンスルホン酸を含む、水素化ヒマワリ油及びグリセロールから形成された生成物の成分のクロマトグラフである。
図3】溶媒としてイソプロパノールを含む、水素化ヒマワリ油及びグリセロールから形成された生成物の成分のクロマトグラフである。触媒としてのパラ-トルエンスルホン酸を添加する前に、オレイン酸ナトリウムを添加し、本明細書の実施例6によるエステルの組成物を示す。
図4】本明細書の実施例7によるエステルの組成物を示す、溶媒としてイソプロパノールを含み、触媒としてナトリウムメトキシドを含む、水素化ヒマワリ油及びグリセロールから形成された生成物の成分のクロマトグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本開示、その態様、及び実装態様は、本明細書に開示される具体的な成分、アセンブリ手順、又は方法要素に限定されない。ポリオールの脂肪酸エステルを形成するための意図されたプロセス及びシステムと一致する当技術分野で知られている多くの追加の成分、アセンブリ手順、及び/又は方法要素は、本開示からの特定の実装態様での使用のために明らかになるであろう。したがって、例えば、特定の実装態様が開示されているが、そのような実装態様及び実装成分は、意図された操作及び方法と一致するポリオールのそのような脂肪酸エステル、並びに実装成分及び方法について、当該技術分野で知られているような任意の形状、サイズ、スタイル、種類、モデル、バージョン、測定、濃度、材料、量、方法要素、工程などを含んでもよい。
【0030】
脂肪酸エステルは、グリセロール、ブタノール、又はヘキサノールなどのアルコールを使用して形成されている。溶媒としてt-ブタノールを使用するモノグリセリド生成物に制限されるプロセスは、2009年5月12日に発行されたChooらに対する「High purity palm monoglycerides」と題する米国特許第7,531,677号に記載され、その開示は、参照により本明細書に全体が組み込まれる。同じくt-ブタノールを用いる別の例は、1957年4月16日に発行されたBernard Thomas Dudley Sullyに対する「Production of fatty acid monoglycerides」と題する米国特許第2,789,119号に記載されているプロセスに見られ得、その開示は、参照により本明細書に全体が組み込まれる。本明細書に開示される様々なプロセス実装態様は、より安価な溶媒そのブタノール、t-ブタノール、又はヘキサノール、例えば、非限定的な例によると、イソプロパノール、エタノール、メタノール、及び他のより低コスト溶媒を利用してもよい。本明細書に開示される方法は、溶媒としてイソプロピルアルコール(イソプロパノール)を利用しながら、グリセロール及び高次のポリオールで高モノエステル変換を生成することができる。これらの高次ポリオールには、非限定的な例によると、ポリグリセロール、糖モノマー、ソルビトール、エリスリトール、グルコース、又は複数のアルコール基を含む任意の他の化学成分と称されるグリセロールのポリマーが含まれ得る。本明細書で使用される場合、ポリグリセロールは、特定の鎖長値で平均所望の具体的な鎖長を有するように形成される植物由来のグリセロールの重合生成物である。例えば、ポリグリセロールは、2~10の単位であり得、ポリグリセロール-3が最も一般的である。ポリグリセロール組成分布は、主成分として列挙される特定のポリグリセロールについて好ましいポリマー次数を有するポリマー鎖長を有するガウス曲線に従い(すなわち、ポリグリセロール-3は、ポリマー鎖長のガウス曲線の中心として3つの単位を有する)、一方、他の鎖長は、ガウス分布に従って分布する少量の成分としてポリグリセロールにおいて表される(ポリグリセロール4、6、9など)。
【0031】
様々なプロセス実装態様では、グリセロール及びポリグリセロールエステルの使用は、市場におけるそれらのより低いコスト及び存在度に起因して魅力的であり得る。しかしながら、開示された方法は、モノエステルを形成するために本明細書に開示されるもののような同等の結果を生成するために、多くの代替のポリオールと使用することができる。また、様々な実装態様では、本明細書に開示される方法はまた、t-ブタノールと使用して、驚くほど高い反応率で、驚くほど高い変換でモノエステルを生成してもよい。様々な実装態様では、触媒の導入前の反応において投入物として脂肪酸塩を含めること(又は塩基の添加によるその形成)は、驚くべきことに、供給原料のモノエステル形成の率及び/又は変換を上昇させる。上昇したモノエステル形成率は、提案された反応機構を確実にする。
【0032】
本文書に開示されている様々な生成物は、乳化剤として使用され得る。
【0033】
方法の様々な実装態様では、投入物は、ポリオール及びトリグリセリドであり得る。方法の他の実装態様では、投入物は、ポリオール及び脂肪酸であり得る。方法の更に他の実装態様では、投入物は、ポリオール、脂肪酸、及びトリグリセリドであり得る。2つの投入物が利用される場合、ポリオール及びトリグリセリド/脂肪酸は、反応器内で2.5~6.0:1のモル比で混合され得る。油対ポリオールのモル比は、ポリオール中に存在するヒドロキシル基及び所望のモノエステル含有量の量に依存する。3つの投入物が利用される場合、ポリオール、脂肪酸、及びトリグリセリドは、それぞれ、反応器内で2.5~6.0:1:0.33モル比で混合され得る。
【0034】
投入物を混合して投入物を形成した後、投入物を溶媒で希釈して、希釈された投入物を形成する。様々な実装態様では、溶媒は、t-ブタノールであり得る。他の実装態様では、溶媒は、イソプロパノールであり得る。様々な実装態様では、イソプロパノールは、無水イソプロパノールであり得る。無水イソプロパノールが使用される様々な実装態様では、イソプロパノールは、希釈された投入物の合計5~30重量%であり得、特定の実装態様では、15重量%~25重量%が使用される。
【0035】
いくつかの実装態様では、反応は、希釈された投入物の0.05重量%~0.7重量%の触媒を、希釈された投入物に添加することによって触媒される。特定の実装態様では、反応は、非限定的な例によると、ナトリウムメトキシド、アルカリ触媒、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カルシウム、それらの任意の組み合わせ、又は任意の他の塩基を使用して触媒され得る。他の実装態様では、反応は、非限定的な例によると、アルキルスルホン酸、パラ-トルエンスルホン酸(para-toluene sulfonic acid、PTSA)、強酸、塩酸(HCl)、硫酸(HSO)、それらの任意の組み合わせ、又は任意の他の有機若しくは無機酸を使用して触媒され得る。
【0036】
希釈された投入物に触媒を添加した後、エステル化反応を行う。様々な実装態様では、反応は、70~90Cで起こり得る。様々な実装態様では、反応容器は、正圧について評価され得る。様々な実装態様では、投入物は、高撹拌下で反応し得る。イソプロパノールが溶媒として利用される場合、方法はまた、凝縮器を利用して、揮発性イソプロパノールを再び反応媒体に再循環させることを含み得る。
【0037】
様々な実装態様では、エステル化反応は、ポリオールのより高いエステル(ジエステル、トリエステルなど)よりもモノエステル形成を好み得る。いくつかの実装態様では、モノエステル変換度は、ポリオール及び脂肪酸/トリグリセリドのモル比、反応時間、及び触媒の量に依存する。反応パラメータに応じて、総モノエステル含有量は、生成物の約30重量%~約98重量%の範囲であり得る。この反応が、投入物として使用される具体的な種類のポリオールに選択的ではなく、したがって、非限定的な例によると、グリセロール、ポリグリセロール、ソルビトール、グルコース、及び本明細書に開示される任意の他のポリオールなどの単糖及びモノマーを含む多種多様なポリオールと使用することができることが観察されている。様々な実装態様では、投入物は、非限定的な例によると、ワックスエステル、脂肪酸、オレイン酸、ココアバター、ヒマワリ油、水素化ヒマワリ油、トリグリセリド、完全飽和トリグリセリド、部分飽和トリグリセリド、様々な程度に不飽和のトリグリセリド、それらの任意の組み合わせ、若しくは任意の他の脂肪酸、トリグリセリド、エステル、又はそれらの組み合わせであり得る。
【0038】
様々な実装態様では、希釈された投入物の形成後、触媒は、希釈された投入物に直接添加される。アルカリ触媒(ナトリウムメトキシドのような)を利用する実装態様では、触媒がポリオール/イソプロパノール/油相(トリグリセリド/脂肪酸)2液相混合物に添加されるとき、エステル化反応は最初にゆっくりと進行し得る。反応が進行するにつれて、アルカリ触媒の添加は、液相、油相の成分の鹸化、及び/又は希釈された投入物中の遊離脂肪酸の鹸化のいずれかに存在する残留水分による反応に起因して、少量の脂肪酸塩を形成し得る。いかなる理論にも束縛されるものではないが、ナトリウム石鹸の形成により、石鹸がポリオール/イソプロパノール/油相の2つの液相間の可溶化剤として作用することが可能になり得る。石鹸が形成するにつれ、全ての反応物が同じ液相で可溶性になるため、混合物が単一の液相になることが観察される。単一の液相の形成は反応率を促進し、結果として、モノエステル生成物の形成に有利であると考えられる。
【0039】
様々な他の実装態様では、希釈された投入物の形成後、触媒を添加する前に、少量の脂肪酸塩/石鹸を添加して、調製された投入物を形成する。調製された投入物の形成後、触媒を前述のように添加する(これは本文書に開示される任意の触媒型であり得る)。特定の実装態様では、250ppmの脂肪酸塩の濃度を有する混合物を形成するために、希釈された投入物へ脂肪酸塩を添加することが、十分である。他の実装態様では、約250ppm~約2500ppmでの脂肪酸塩の添加を利用してもよい。様々な実装態様では、脂肪酸塩は、オレイン酸ナトリウムであるが、他の場合では、非限定的な例によると、脂質投入物に由来する脂肪酸塩、最終生成物に具体的な属性を提供するように操作された脂肪酸塩、及び投入物中の、又は別々に添加され得る脂肪酸に由来する任意の他の脂肪酸塩を利用してもよい。脂肪酸塩のカチオンとしては、非限定的な例によると、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、及びカルシウムなどの任意のアルカリ又はアルカリ土類金属イオンが挙げられ得る。酸触媒添加前に低濃度の脂肪酸塩を添加することが、前述の塩基のみの触媒手順で観察されたものとは対照的に、イソプロピルエステルの形成を伴わずに、イソプロパノールを溶媒として使用した溶液中の反応率を予想外に実質的に上昇させたことが観察されている。この結果は、完全に予想外であった。いかなる理論にも束縛されるものではないが、イソプロパノール中の反応の実質的な増加を促進する機構が、(トランス)エステル化における同時に発生するSN1及びSN2機構間の競合に関連していると考えられる。反応が塩基触媒される場合、反応は両方とも、SN1及びSN2機構を使用して同時に発生するが、反応混合物中に異なる化学種を伴う。最終的に、イソプロパノールから形成されたイソプロピルエステルのより遅いSN1反応(機能的に非可逆的)は、他のエステルを形成するより速い単一工程SN2反応(可逆的)に勝る。しかしながら、酸触媒が用いられる場合、反応は、SN1機構を抑制することによって実質的なイソプロピルエステルの形成を防止するSN2特異性を示す単一の反応機構を使用して進行し得る。いずれの場合も、脂肪酸塩の添加は、酸触媒が使用されるときに反応の特異性を変化させ、イソプロピルエステルの形成を防止する。脂肪酸塩を添加する効果は、反応全体にわたる色の増加が少ないか、若しくは存在しないこと、逆戻り若しくは過剰反応が低いか、若しくは存在しないこと、t-ブタノールよりも安いイソプロパノールの使用が可能であること、実質的な量のイソプロパノールエステルの形成が少ないか、若しくは存在しないことが観察されること、及び脂質原料として遊離脂肪酸を使用すること、という結果を含み得る。いくつかの実装態様では、遊離脂肪酸は、脱臭剤プロセスからの留出物であり得る。
【0040】
様々な他の実装態様では、希釈された投入物の形成後、触媒を添加する前に、少量の塩基を添加して、プロセスへの投入物がポリオール及び脂肪酸である、調製された投入物を形成する。少量の塩基の効果は、少量の脂肪酸塩が(様々な実装態様では約250ppmの濃度で)形成されることである。調製された投入物の形成後、触媒を前述のように添加する(これは本文書に開示される任意の酸触媒型であり得る)。特定の実装態様では、塩基の添加を使用する、希釈された投入物への約250ppmの濃度での脂肪酸塩の形成が十分である。他の実装態様では、約250ppm~約2500ppmの形成を利用してもよい。様々な実装態様では、塩基は、水酸化ナトリウムであるが、他の場合では、非限定的な例によると、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、及び任意の他の塩基などの任意の塩基を利用してもよい。酸触媒添加前に低濃度の脂肪酸塩を形成することが、前述の塩基のみの触媒手順で観察されたものとは対照的に、イソプロピルエステルの形成を伴わずに、イソプロパノールを溶媒として使用した溶液中の反応率を予想外に実質的に増加させたことが観察されている。この場合も、この結果は完全に予想外であった。いかなる理論にも束縛されるものではないが、イソプロパノール中の反応の実質的な増加を促進する機構が、前述のものと同様に、同時に発生するSN1及びSN2機構間の競合に関連していると考えられる。
【0041】
触媒エステル化反応後、反応は、非限定的な例によると、二酸化炭素、塩酸、クエン酸、酸、又はそれらの任意の組み合わせなどの酸で中和され得る。二酸化炭素による中和は、そうするプロセスのように特に効果的であり得、混合物は、溶液から析出し、かつ濾過を介してポリオール相から容易に回収され得る炭酸塩を形成し、その後の反応に好適な高純度の回収されたポリオールが残る。次いで、残りのイソプロパノール溶媒を分離し、追加のバッチで使用するために回収し得る。次いで、過剰なポリオールを、その後デカンテーションを介して除去し、その後の反応のために回収し得る。次いで、残りの濃縮モノエステル油相を濾過して、脂肪酸塩及び炭酸塩などの過剰な微粒子を除去し得る。
【0042】
ポリオールからエステルを形成するためのプロセスの様々な実施例は、本開示の例示的な目的のみのために本明細書に記載されている。多くのプロセス変形は、本明細書に開示される原理を使用してポリオールを伴う様々なエステル化及びエステル交換プロセスのために構築され得る。
【0043】
実施例1-ポリグリセロール3、t-ブタノール、ナトリウムメトキシド、ココアバター
高モノエステル含有量のポリグリセリル-3エステルを、210.1gのポリグリセリオール(glyceryol)-3及び250.0gの精製ココアバターを3:1のモル比で添加し、温度、圧力、窒素、及び撹拌制御を用いて1000mLの反応フラスコ中で組み合わせることによって生成した。材料を90Cに加熱し、カールフィッシャー分析による水分含有量が溶液の<0.02重量%に到達するまで窒素スパージで真空乾燥させた。乾燥させたら、115.0gのt-ブタノールを溶媒希釈剤として添加し(総バッチサイズの20重量%)を添加し、温度を70Cに下げた。t-ブタノールが分散したら、2.4gのナトリウムメトキシド触媒をゆっくりと添加し(油投入物の1重量%)、反応させた。ナトリウムメトキシドの添加の直後に、反応マトリックスは、単相かつ透明になり、反応が活性であることを示した。
【0044】
90分後、試料を、採取し、Agilent 1290 ELSDを備えたAgilent(Santa Clara,CA)1260インフィニティ(infinity)HPLCシステムを使用して、逆相高圧液体クロマトグラフィ(reverse phase high pressure liquid chromatography、RP-HPLC)を使用して分析した。方法は、溶離液として3mL/分で10分にわたる100mmのC18シリカカラムによる、95/5%のアセトニトリル/酢酸エチルの5/95%までの勾配からなった。生成物は、91%のモノエステル含有量、7%のジエステル含有量、2%のトリエステル含有量、及び2.7%のメチルエステル(全て生成物の重量による)を有することが見出された。ブチルエステルは、検出されなかった。反応を無水クエン酸で中和し、脱溶媒してt-ブタノールを除去し、濾過した。デカンテーション工程は、全てのポリグリセロール-3が消費されたため必要とされなかった[残留ポリオールは、存在するのであれば0.9分の保持時間(retention time、RT)にピークを示したであろうが、観察されなかった]。
【0045】
実施例2-ポリグリセロール-3、イソプロパノール、ナトリウムメトキシド、ココアバター
197.8gのポリグリセロール-3及び282.2gのココアバターを2.5:1のモル比で用いて、実施例1と同じ手順を使用して別の反応を行った。溶媒は、t-ブタノールの代わりにイソプロパノールであり、次いで、同じ触媒を含む同じ条件及び手順下で反応を行った。実施例1と同じクロマトグラフ及び分析手順を使用した分析後、モノエステル含有量は、72.0%であり、11.2%のジエステル、2.6%のトリエステル、6.4%のメチルエステル、及び7.5%のイソプロピルエステル(全て生成物の重量による)であった。残留ポリグリセロール-3は、典型的には0.9分で溶出するであろう。
【0046】
実施例3-グリセロール、イソプロパノール、ナトリウムメトキシド
117.03gのグリセロール及び362.97gのココアバターの3:1のモル比での投入物を用いて、実施例1及び2の手順及び設備を使用して別の反応を行った。イソプロパノールを実施例2と同様に溶媒として使用し、同じ触媒を使用して同じ反応条件及び手順下で反応を行った。モノエステル含有量は、図1のクロマトグラフに示されるように、80.9%であり、6.0%のジエステル、2.3%のトリエステル、0%のメチルエステル、及び9.68%イソプロピルエステル(得られた生成物の重量による)であった。検査から分かるように、1.8のRTでは残留グリセロールがほとんど観察されなかったため、ほぼ全てのグリセロールが反応中に消費された。
【0047】
実施例4-グリセロール、イソプロパノール、パラ-トルエンスルホン酸(PTSA)
84.92gのグリセロール及びトリグリセリド源として395.08gの水素化ヒマワリ油の2:1のモル比での投入物を用いて、実施例1の手順を使用して別の実験を行った。イソプロパノールを溶媒希釈剤として使用し、イソプロパノールの添加後、パラ-トルエンスルホン酸を0.1重量%のナトリウムメトキシドと置き換え、反応が完了したときに50%NaOH溶液(重量パーセント)で中和した。モノエステル含有量は、図2のクロマトグラフに示されるように、52.9%であり、25.99%のジエステル、3.1%のトリエステル、0%のメチルエステル、及び18.0%のイソプロピルエステルであった(全て生成物の重量による)。グラフは、1.8分のRTで反応後にグリセロールが本質的に残っていないことを示す。
【0048】
実施例5-ポリグリセロール-3、イソプロパノール、PTSA
172.5gのポリグリセロール-3及び307.5gの水素化ヒマワリ油を投入物として2:1のモル比で用いて、実施例4の手順を使用して別の実験を行った。組み合わせた投入物を、120gのイソプロパノールを溶媒として使用して希釈した。PTSAを0.1重量%で投入し、エステル化反応が完了したときに50%NaOH溶液(重量による)で中和した。モノエステル含有量は、52.9%であり、25.99%のジエステル、3.1%のトリエステル、0%のメチルエステル、及び18.0%のイソプロピルエステル(全て生成物の重量による)であった。0.9のRTで残留ポリグリセロール-3は観察されなかった。
【0049】
実施例6-グリセロール、イソプロパノール、PTSA、オレイン酸ナトリウム
84.92gのグリセロール及び395.08gのヒマワリ油を投入物として2:1のモル比で用いて、実施例1の手順及び設備を使用して別の反応を行った。次いで、組み合わせた投入物を、イソプロパノールを使用して希釈した。イソプロパノールの添加後、0.15gのオレイン酸ナトリウムを混合物に添加して、250ppmの溶液を形成し、前の2相液体を単一の透明な液相に変化させた。次いで、PTSAを0.1重量%のナトリウムメトキシドに置き換えて、反応が完了したときに50%NaOH溶液(重量パーセント)で中和した。モノエステル含有量は、図3に示すクロマトグラフに従って、65.6%であり、17.9%のジエステル、6.9%のトリエステル、0%のメチルエステル、及び0.14%のイソプロピルエステルであった(生成物の重量による)。オレイン酸ナトリウムの添加が、PTSA酸触媒に対する特異性を提供し、イソプロピルエステルの量を最小化し、モノエステル形成を最大化する平衡を発見したことが分かった。図3に示すように、ポリオール対ヒマワリ油の2:1のモル比を、理想的な化学量論的完了まで完全に反応させると、驚くべきことに非常に効率的な反応を示した(1.8分のRTで残留グリセロールは観察されなかった)。
【0050】
実施例7-グリセロール、イソプロパノール、PTSA、NaOH
84.92gのグリセロール及び395.08gのヒマワリ油を投入物として2:1のモル比で使用して、実施例4の手順に従って別の反応を行った。次いで、混合した投入物を20重量%のイソプロパノールと組み合わせた。次いで、希釈された投入物を、0.04重量%の50%NaOH(重量による)を混合物に添加して、対応する部分グリセリドと共に、約250ppmの濃度でヒマワリ油形態脂肪酸ナトリウム塩を鹸化した。実施例6と同様に、溶液は、NaOHの添加後に透明な単相になった。次いで、PTSAを触媒として0.1重量%で添加し、反応が完了したときに50%NaOH溶液(重量による)で中和した。モノエステル含有量は、66.7%であり、17.9%のジエステル、6.9%のトリエステル、0%のメチルエステル、及び0.14%のイソプロピルエステル(全て生成物の重量による)であった。オレイン酸ナトリウムの添加は、酸触媒に対する特異性を提供し、イソプロピルエステルの量を最小化し、モノエステル形成を最大化する平衡を発見した。ポリオール対ヒマワリ油の2:1モル比を、理想的な化学量論的完了まで完全に反応させると、非常に効率的な反応を示した。NaOHの初期添加は、驚くべきことに、反応を促進し、かつ変換を改善することが観察された濃度で、脂肪酸塩及び部分グリセリドの両方を形成する反応種子として、機能的に挙動した。
【0051】
実施例8-グリセロール、イソプロパノール、PTSA、NaOH
次いで、195.7gのグリセロール及び364.3gのヒマワリ油を投入物として5:1のモル比で用いて、実施例7の手順に従ってより大きな反応を行った。実施例7のように、混合した投入物を20重量%のイソプロパノールと組み合わせた。溶媒での希釈後、0.04重量%の50重量%NaOH(重量による)を混合物に添加して、ヒマワリ油中の脂肪酸を、対応する部分グリセリドと共に、約250ppmの濃度で脂肪酸ナトリウム塩に鹸化した。実施例7と同様に、溶液は、NaOHの添加後に透明な単相になった。次いで、PTSAを触媒として0.1重量%で添加し、反応が完了したときに50%NaOH溶液(重量による)で中和した。モノエステル含有量は、生成物の重量により、94.7%であり、17.9%のジエステル、6.9%のトリエステル、0%のメチルエステル、及び0.14%イソプロピルエステルであった。NaOHの添加を介するオレイン酸ナトリウムの形成は、酸触媒に対する特異性を提供し、イソプロピルエステルの数を最小化し、モノエステル形成を最大化する平衡に到達した。ポリオール対油の5:1のモル比は、理論的には、実質的なモル過剰のポリオールに起因して100%のモノエステルを生成するであろうが、94%のモノエステル、3.2%のジエステル、1.9%のトリエステル、及び0.1%のイソプロピルエステルの変換で合理的に達成されることが観察された。NaOHの初期添加は、脂肪酸塩及び部分グリセリドの両方を形成する反応種子として機能的に挙動した。驚くべきことに、過剰なグリセロールは、通常のプロセスのように質量移動制限によって調節されず、モノエステルへの理想的な化学量論的変換を効果的に達成した。
【0052】
実施例9-ポリグリセロール-3、イソプロパノール、PTSA、NaOH
280.2のポリグリセロール-3及び200gのヒマワリ油を投入物として5:1のモル比で用いて、実施例5の手順に従ってより大きな反応を行った。次いで、混合した投入物を、希釈剤としての20重量%のイソプロパノールと組み合わせた。イソプロパノールの添加後、0.04重量%の50%NaOH溶液(重量による)を混合物に添加して、ヒマワリ油を鹸化して、対応する部分グリセリドと共に、約250ppmの濃度で脂肪酸ナトリウム塩を形成した。実施例6と同様に、溶液は、NaOHの添加後に透明な単相になった。次いで、PTSAを、触媒として0.1重量%で鹸化された混合物に添加し、反応が完了したときに50%NaOH溶液(重量による)で中和した。モノエステル含有量は、93.1%であり、4.8%のジエステル、2.0%のトリエステル、0%のメチルエステル、及び0.1%のイソプロピルエステル(全て生成物の重量による)であった。この場合も、形成オレイン酸ナトリウムは、酸触媒に対する特異性を提供し、イソプロピルエステルの数を最小化し、モノエステル形成を最大化する平衡に到達した。ポリオール対油の5:1のモル比は、理論的には、実質的なモル過剰のポリオールに起因して100%のモノエステルを生成するであろうが、94%のモノエステル、3.2%のジエステル、1.9%のトリエステル、及び0.1%のポリグリセロール-3のイソプロピルエステルの変換で合理的に達成されることが観察された。NaOHの初期添加は、脂肪酸塩及び部分グリセロールの両方を形成する反応種子として機能的に挙動した。驚くべきことに、過剰なポリグリセロール-3の反応は、通常のプロセスのように質量移動制限によって調節されず、理想的な化学量論的変換を効果的に達成した。
【0053】
実施例10-ポリグリセロール-3、イソプロパノール、PTSA、NaOH、オレイン酸
64.8gのポリグリセロール-3及び15.2gのオレイン酸を投入物として5:1のモル比で用いて、実施例8の手順及び設備を使用して別の反応を行った。次いで、組み合わせた投入物を、20重量%のイソプロパノールを使用して希釈した。次いで、希釈された投入物は、0.04重量%の50%NaOH溶液(重量による)を混合物に添加して、オレイン酸を約250ppmの濃度で脂肪酸ナトリウム塩に鹸化した。実施例7と同様に、溶液は、NaOHの添加後に透明な単相になった。NaOHの添加後、PTSAを0.1重量%で添加し、反応が完了したときに50%NaOH溶液(重量による)で中和した。本実施例では、反応容器をディーン・スターク蒸留装置に設置して、イソプロパノールを反応マトリックスに維持しながらエステル化反応から生成された水分を除去した。水分を除去すると、反応は、97.2%のモノエステル、2.1%のジエステル、0.9%のトリエステル、及び0.1%のイソプロピルエステル(生成物の重量による)の化学量論的分布に進行した。驚くべきことに、遊離脂肪酸は、酸価又はHPLC分析によって検出することができず、添加された全てのオレイン酸が完全にエステル化されたことを示した。
【0054】
実施例11-グリセロール、イソプロパノール、PTSA、NaOH、オレイン酸
49.6gのグリセロール及び30.4gのオレイン酸を投入物として5:1のモル比で用いて、実施例10の設備及び手順を使用して別の反応を行った。次いで、組み合わせた投入物を、20重量%のイソプロパノールを使用して希釈した。希釈後、0.04重量%の50%NaOH溶液(重量による)を混合物に添加して、オレイン酸を約250ppmの濃度で脂肪酸ナトリウム塩に鹸化した。実施例7と同様に、溶液は、NaOHの添加後に透明な単相になった。次いで、PTSAを0.1重量%で添加し、反応が完了したときに50%NaOH溶液(重量による)で中和した。実施例10と同様に、反応容器をディーン・スターク蒸留装置に設置して、イソプロパノールを反応マトリックスに維持しながらエステル化反応から生成された水分を除去した。水分を除去すると、反応は、97.5%のモノエステル、1.9%のジエステル、0.5%のトリエステル、及び0.1%のイソプロピルエステル(生成物の重量による)の化学量論的分布に進行した。驚くべきことに、遊離脂肪酸は、酸価又はHPLC分析によって検出することができず、添加された全てのオレイン酸が完全にエステル化されたことを示した。
【0055】
実施例12-ポリグリセロール-3、t-ブタノール、PTSA
210.1gのポリグリセリオール-3及び250.0gの精製ココアバターを投入物として3:1のモル比で用いて、実施例1の手順を使用して別の反応を行った。次いで、組み合わせた投入物を120gのt-ブタノールで希釈した。PTSAを触媒として0.1重量%で投入し、反応が完了したときに50%NaOH溶液(重量による)で中和した。モノエステル含有量は、78.9%であり、15.6%のジエステル、5.1%のトリエステル、及び0.39%のメチルエステル(全ての生成物の重量による)であった。残留ポリグリセロール-3は、0.9分のRTでクロマトグラフィ分析において観察された。
【0056】
実施例13-ポリグリセロール-3、t-ブタノール、PTSA、NaOH
210.1gのポリグリセリオール-3及び250.0gの精製ココアバターを投入物として3:1のモル比を用いて、実施例12の設備及び手順を使用して別の反応を行った。次いで、混合した投入物を120gのt-ブタノールで希釈した。次いで、希釈された投入物を0.04重量%の50%NaOH溶液(重量による)を有し、ココアバター中の脂肪酸を約250ppmの濃度で脂肪酸ナトリウム塩に鹸化した。実施例12と同様に、溶液は、NaOHの添加後に透明な単相になった。次いで、PTSAを触媒として0.1重量%で添加し、反応が完了したときに50%NaOH溶液で中和した。モノエステル含有量は、92.1%であり、5.6%のジエステル、2.3%のトリエステル、及び0.1%のイソプロピルエステル(全ての生成物の重量による)であった。驚くべきことに、t-ブタノールを溶媒として使用した場合でも、反応の率及びモノエステルへの変換に対する脂肪酸ナトリウム塩を作製する効果が依然として観察された。残留ポリグリセロール-3は、0.9分のRTでクロマトグラフィ分析において観察されなかった。
【0057】
実施例14-ポリグリセロール3、イソプロパノール、ナトリウムメトキシド(大規模)
実施例2の一般的手順に従う大規模反応を、1000ガロンのジャケット付きステンレス鋼反応器内で行った。反応器において、824kgのポリグリセロール及び1175.8kgの水素化ヒマワリ油を2.5:1のモル比で混合し、カールフィッシャー分析を介した水分含有量が<0.02重量%になるまで真空及び窒素スパージを使用して120Cで乾燥させた。投入物の混合後、500kgのイソプロパノールを、添加し、希釈された混合物を70Cに冷却しながら混合した。次いで、ナトリウムメトキシド粉末を触媒として反応器に投入し、観察されたモノグリセリド/モノエステル含有量が最大に到達するまでELSDを使用してRP-HPLCによって反応の進行を監視した。次いで、触媒を10重量%の軟水で中和し、その後、過剰/未反応のグリセロール/生成石鹸と共に除去した。残りの材料を脱溶媒し、濾過し、次いで取り扱いを容易にするために固体フレークに形成した。フレークのモノエステル含有量は、図4のクロマトグラフに示されるように、68.7%であり、10.1%のジエステル、1.6%トリエステル、0%メチルエステル、及び19.6%イソプロピルエステル(全て生成物の重量による)であった。
【0058】
実施例15
別の実験では、脂肪酸塩可溶化特性の効果を、0.1%ステアリン酸ナトリウムをポリグリセロール3/イソプロパノール/水素化ヒマワリ油の予備反応不均一混合物を80Cに添加することによって更に試験した。ポリオール対油のモル比は2.5であり、イソプロパノールの量は、ポリオール/油投入物の20重量%であった。溶液を温度にした後、任意の触媒添加の前に、複数の液相系が均質な単相になった。触媒添加後、反応は、反応が81%のモノエステル変換に到達するまで通常観察されるよりも驚くほど高い率で進行した。後続実験では、脂肪酸塩としてステアリン酸カリウムを使用して前の実験を実施し、また、79%の驚くほど顕著なモノエステル変換で単相溶液を得た。
【0059】
上記の説明が、ポリオールの脂肪酸エステルを形成するためのプロセス及びシステムの特定の実装態様並びに実装成分、部分成分、方法、及び部分方法を指す場合には、その趣旨から逸脱することなく多数の修正を行ってもよいこと、並びにこれらの実装態様、実装成分、部分成分、方法、及び部分方法を、ポリオールの脂肪酸エステルを形成するための他のプロセス及びシステムに適用してもよいことが容易に明らかになるはずである。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】