(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-25
(54)【発明の名称】係止システムを備える建築パネル
(51)【国際特許分類】
E04F 15/02 20060101AFI20230518BHJP
F16B 5/10 20060101ALI20230518BHJP
E04F 13/08 20060101ALI20230518BHJP
F16B 5/07 20060101ALI20230518BHJP
【FI】
E04F15/02 G
F16B5/10 M
E04F13/08 M
E04F13/08 N
E04F13/08 P
F16B5/07 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022559993
(86)(22)【出願日】2021-04-01
(85)【翻訳文提出日】2022-11-30
(86)【国際出願番号】 SE2021050301
(87)【国際公開番号】W WO2021206611
(87)【国際公開日】2021-10-14
(32)【優先日】2020-04-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504033441
【氏名又は名称】ベーリンゲ、イノベイション、アクチボラグ
【氏名又は名称原語表記】VAELINGE INNOVATION AB
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100164688
【氏名又は名称】金川 良樹
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン、ブー
【テーマコード(参考)】
2E110
2E220
3J001
【Fターム(参考)】
2E110AA32
2E110AA48
2E110AB04
2E110AB05
2E110BA12
2E110BA22
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2E110GB62Z
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3J001FA05
3J001GA10
3J001GB01
3J001HA04
3J001HA08
3J001HA09
3J001JD15
3J001JD28
3J001KA22
3J001KB04
(57)【要約】
本開示は、第1建築パネル(1)の第1縁部分を第2建築パネル(1’)の隣接する第2縁部分に対して垂直方向および水平方向に係止するための係止システムを備える建築パネル(1、1’)に関する。前記係止システムは、垂直方向係止のために協働するように構成された舌部(2)と舌部溝部(3)とを備える。前記舌部溝部は、上リップと、前記上リップを超えて水平方向に突出する下リップと、を備える。前記建築パネルの係止状態において、前記舌部の下側垂直方向係止面(13)の外端部分(17)は、前記上リップの上側垂直方向係止面(12’)の外端部分(16)よりも、前記第1縁部分の上部分を超えて延びるストリップに設けられた係止要素に対して水平方向に近接するように設けられる。代替的または追加的に、前記下リップの下側垂直方向係止面(13’)の内端部分(21)は、前記舌部の上側垂直方向係止面(12)の内端部分(22)よりも、前記係止要素に対して水平方向に近接するように設けられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1建築パネル(1)の第1縁部分(1a)を第2建築パネル(1’)の隣接する第2縁部分(1b)に対して垂直方向および水平方向に係止するための係止システムを備える建築パネルにおいて、
前記第1建築パネル(1)と前記第2建築パネル(1’)との係止状態において、前記第1縁部分および前記第2縁部分の上部分(1c)および上部分(1d)は、前記建築パネル(1、1’)の前側(1e)および/または後側(1f)に平行な水平方向平面(HP)に対して垂直な垂直方向平面(VP)をともに規定し、
前記係止システムは、前記第1縁部分(1a)に設けられた舌部(2)と、前記第2縁部分(1b)に設けられた舌部溝部(3)と、を備え、前記舌部(2)と前記舌部溝部(2)とは、垂直方向係止のために協働するように構成され、
前記舌部溝部(3)は、上リップ(7)と、前記上リップ(7)を超えて水平方向に突出する下リップ(8)と、を備え、前記舌部(2)は、上側垂直方向係止面(12、12’)において前記上方リップ(7)と協働するとともに、下側垂直方向係止面(13、13’)において前記下方リップ(8)と協働するように構成され、
前記係止システムは、前記第1縁部分(1a)に設けられた係止要素(4)と、前記第2縁部分(1b)に設けられた下方に開口する係止溝部(5)と、を備え、前記係止要素(4)と下方に開口する前記係止溝部(5)とは、水平方向係止のために協働するように構成され、前記係止要素(4)は、前記第1縁部分(1a)の前記上部分(1c)を超えて延びるストリップ(6)に設けられ、
前記第1パネル(1)と前記第2パネル(1’)との前記係止状態において、前記舌部(2)の下側垂直方向係止面(13)の外端部分(17)は、前記上リップ(7)の上側垂直方向係止面(12’)の外端部分(16)よりも、前記係止要素(4)に対して水平方向に近接して設けられる、および/または、前記下リップ(8)の下側垂直方向係止面(13’)の内端部分(21)は、前記舌部(2)の上側垂直方向係止面(12)の内端部分(22)よりも、前記係止要素(4)に対して水平方向に近接して設けられる、
建築パネル。
【請求項2】
前記舌部(2)および/または前記下リップ(8)の前記下側垂直方向係止面(13、13’)の水平方向範囲(HL)は、前記上リップ(7)および/または前記舌部(2)の前記上側垂直方向係止面(12、12’)の水平方向範囲(HU)よりも大きい、
請求項1に記載の建築パネル。
【請求項3】
前記係止要素(4)と前記係止溝部(5)とは、水平方向係止面(14、14’)において協働する、
請求項1または2に記載の建築パネル。
【請求項4】
前記水平方向係止面(14、14’)の各々は、本質的に平面状である、
請求項3に記載の建築パネル。
【請求項5】
前記建築パネル(1、1’)の前記係止状態において、前記水平方向係止面(14、14’)の各々は、前記係止要素(4)の内側基部(4d)に設けられた前記第1建築パネル(1)における連結部分(10b)から垂直方向および/または水平方向に距離を置く、
請求項3または4に記載の建築パネル。
【請求項6】
前記水平方向係止面(14、14’)は、前記係止要素(4)の内方に配置された上側ストリップ面(6a)に沿って設けられた水平方向ストリップ平面(HPS)の下方で延びる、例えばその全体が延びる、
請求項3~5のいずれかに記載の建築パネル。
【請求項7】
前記係止要素(4)および/または前記第2縁部分(1b)の凸部(11)は、傾斜面(18、18’)を備え、前記凸部(11)は、前記第1縁部分(1a)の凹部(10)に設けられるように構成される、
請求項1~6のいずれかに記載の建築パネル。
【請求項8】
前記係止システムは、前記第1建築パネル(1)と前記第2建築パネル(1’)とを互いに対して角度(A)を付けることにより、および/または前記第1建築パネル(1)と前記第2建築パネル(1’)との互いに向き合う水平方向変位(HD)により、前記第1縁部分(1a)と前記第2縁部分(1b)とを組み付けるように構成される、
請求項1~7のいずれかに記載の建築パネル。
【請求項9】
前記舌部(2)および/または前記ストリップ(6)は、前記建築パネル(1、1’)のコア(20)と一体的に形成される、
請求項1~8のいずれかに記載の建築パネル。
【請求項10】
前記垂直方向平面(VP)からの前記舌部(2)の水平方向範囲(TE)は、前記垂直方向平面(VP)からの前記下リップ(8)および/または上リップ(7)の水平方向範囲(LE)よりも大きい、
請求項1~9のいずれかに記載の建築パネル。
【請求項11】
前記上側垂直方向係止面(12、12’)および前記下側垂直方向係止面(13、13’)は、前記水平方向平面(HP)に対して本質的に平行である、
請求項1~10のいずれかに記載の建築パネル。
【請求項12】
前記上側垂直方向係止面(12、12’)と前記下側垂直方向係止面(13、13’)とは、前記上側垂直方向係止面(12、12’)が、前記下側垂直方向係止面(13、13’)よりも、前記係止要素(4)に対して水平方向に近接して設けられるように、水平方向にオフセットしている、
請求項1~11のいずれかに記載の建築パネル。
【請求項13】
前記係止システムは、前記係止状態において、前記舌部(2)の水平方向外側に設けられる外側垂直方向係止面(25、25’)をさらに備える、
請求項1~12のいずれかに記載の建築パネル。
【請求項14】
前記外側垂直方向係止面(25、25’)は、前記係止状態において、前記係止要素(4)の内方で延びる、
請求項13に記載の建築パネル。
【請求項15】
前記外側垂直方向係止面(25、25’)は、前記係止要素(4)の上部分(4c)および前記係止溝部(5)の下部分(5c)に設けられる、
請求項13または14に記載の建築パネル。
【請求項16】
前記外側垂直方向係止面(25、25’)は、前記第1縁部分(1a)の横方向(T)に沿う幅部分(W’)に沿って互いに係合し、前記幅部分(W’)は、好適には前記ストリップ(6)のストリップ幅(W)の0.10倍よりも大きい、例えば0.30倍よりも大きい、
請求項13~15のいずれかに記載の建築パネル。
【請求項17】
前記係止システムは、前記ストリップ(6)の上部分(6b)と前記第2縁部分(1b)の下縁部分(EP)との間に、スペース(S1、S2)を備える、
請求項1~16のいずれかに記載の建築パネル。
【請求項18】
前記スペース(S1、S2)は、前記下リップ(8)全体の下方において、前記下リップ(8)の下方から前記係止要素(4)まで延びる、
請求項17に記載の建築パネル。
【請求項19】
前記建築パネルの各々のコア(20)は、例えばHDFボード、パーチクルボード、または合板材料からなる木質系コア、例えば熱可塑性材料または熱硬化性材料からなるポリマー系コア、または鉱物系コアである、
請求項1~18のいずれかに記載の建築パネル。
【請求項20】
前記ストリップ(6)の一部分、例えば垂直方向係止面(25)の場所での厚さ(TS)は、前記第1建築パネル(1)の厚さ(T1)の少なくとも0.3倍、好適には少なくとも0.4倍である、
請求項1~19のいずれかに記載の建築パネル。
【請求項21】
前記舌部(2)の厚さ(T2)は、前記第1建築パネル(1)の厚さ(T1)の0.2倍未満、好適には0.15倍未満である、
請求項1~20のいずれかに記載の建築パネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、全体として、係止システム、好適には機械的係止システムを備える床パネル等の建築パネルに関する。より具体的には、本開示は、好適には建築パネルのコアと一体的に形成される係止システムであって、好適には角度を付けることにより組み立てられるように構成された係止システムを備える建築パネルに関する。建築パネルは、好適には浮き床を提供するように構成された床パネルであり得る。
【背景技術】
【0002】
WO 2013/191632 A1は、第1建築パネルの第1縁部を第2建築パネルの隣接する第2縁部に係止するための係止システムを設けられた建築パネルを開示している。係止システムは、垂直方向係止のために協働するように構成された舌部および舌部溝部を備えている。第1縁部は、係止要素を設けられたストリップを備えている。ストリップは、水平方向係止のために第2縁部に形成された係止溝部と協働するように構成されている。舌部は、接合縁部に沿って設けられた垂直平面を超えて外方に突出する。舌部溝部は、上リップおよび下リップを備えている。上リップに対する下リップの水平方向範囲は、舌部の水平方向範囲よりも小さい。
【0003】
このタイプの係止システムの利点は、組み付け時に、隣接する縁部同士が容易に適切な位置にガイドされ得ることである。さらに、係止システムは、高い係止強度を提供し得る。これに加えて、係止システムを形成する際の材料の浪費を削減することができる。下側垂直方向係止面および上側垂直方向係止面において舌部が下リップならびに上リップと協働するとき、二重シールが提供され得る。
【0004】
このタイプの係止システムにはこれらおよび他の利点があるが、音質の向上等の改善の余地もある。
【発明の概要】
【0005】
したがって、本開示の少なくとも実施形態の目的は、騒音および/またはきしみ音が発生する可能性および/またはその強度が低減された係止システムを備える建築パネルを提供することである。
【0006】
他の目的は、係止システムの単数または複数の特性、例えばシール性、係止強度、ガイド性等を維持または好適には改善しつつ、このような建築パネルを提供することである。
【0007】
説明から明瞭になるであろうこれらおよび他の目的および利点は、以下に記載される種々の態様、実施形態および実施例により達成された。
【0008】
本開示の第1態様によれば、第1建築パネルの第1縁部分を第2建築パネルの隣接する第2縁部分に対して垂直方向および水平方向に係止するための係止システムを備える建築パネルが提供される。前記第1建築パネルと前記第2建築パネルとの係止状態において、前記第1縁部分および前記第2縁部分の上部分および上部分は、前記建築パネルの前側および/または後側に平行な水平方向平面HPに対して垂直な垂直方向平面VPをともに規定する。前記係止システムは、垂直方向係止のために協働する、例えば係合するように構成される、前記第1縁部分に設けられた舌部と前記第2縁部分に設けられた舌部溝部とを備える。前記舌部溝部は、上リップと、好適には前記上リップを超えて水平方向に突出する下リップと、を備え、前記舌部は、上側垂直方向係止面において前記上方リップと協働するとともに、下側垂直方向係止面において前記下方リップと協働するように構成される。前記係止システムは、水平方向係止のために協働する、例えば係合するように構成される、前記第1縁部分に設けられた係止要素と前記第2縁部分に設けられた下方に開口する係止溝部とを備え、前記係止要素は、前記第1縁部分の前記上部分を超えて延びるストリップに設けられる。
【0009】
前記第1パネルと前記第2パネルとの前記係止状態において、前記舌部の下側垂直方向係止面の外端部分は、前記上リップの上側垂直方向係止面の外端部分よりも、前記係止要素に対して水平方向に近接して設けられる。代替的または追加的に、前記第1パネルと前記第2パネルとの前記係止状態において、前記下リップの下側垂直方向係止面の内端部分は、前記舌部の上側垂直方向係止面の内端部分よりも、前記係止要素に対して水平方向に近接して設けられてもよい。
【0010】
本開示によれば、上側垂直方向係止面と下側垂直方向係止面とは、水平方向に重なってもよい。例えば、下側垂直方向係止面は、舌部溝部の中にさらに延びてもよい。これにより、荷重を受けたときの建築パネルの垂直方向の相対変位および/または傾きの可能性が低減され得る。この結果、例えば荷重を受けたときの建築パネルの騒音および/またはきしみ音が低減され得る。例えば、床パネルの形態にある建築パネルは、その上を人が歩く際に荷重を受け得る。
【0011】
一般に本明細書において、「上、上方または上側」等の表現は、パネルの正面に向かう方向または位置であり得る。また、「下、下方または下側」等は、背面に向かう方向または位置であり得る。「内方、内側」等の表現は、パネルの中央に向かう、好適には水平な方向または位置であり得る。「外方、外側」等の表現は、パネルの中央から離れる、好適には水平な方向または位置であり得る。
【0012】
下側垂直方向係止面の外端部分は、下側垂直方向係止面の最外部分であり得る。上側垂直方向係止面の外端部分は、上側垂直方向係止面の最外部分であり得る。舌部の上側垂直方向係止面の内端部分は、鉛直方向平面から距離を置き得る。下リップの下側垂直方向係止面の内端部分は、舌部溝部の最内部分から距離を置き得る。
【0013】
前記舌部の前記下側垂直方向係止面および/または前記下リップの前記下側垂直方向係止面の水平方向範囲、例えば最大水平方向範囲は、前記上リップの前記上側垂直方向係止面および/または前記舌部の前記上側垂直方向係止面の水平方向範囲、例えば最大水平方向範囲よりも大きくてもよい。
【0014】
前記係止要素と前記係止溝部とは、水平方向係止面において協働してもよい。
【0015】
通常ここで、水平方向係止面同士および/または垂直方向係止面同士は、直接的な係合により、または間接的に協働し得る。本明細書に記載の任意の実施形態において、係止面間にワックスや接着剤等のシール材が存在し得る。これにより、間接的係合の例が提供される。
【0016】
前記水平方向係止面の各々は、本質的に平面状であってもよい。
【0017】
前記建築パネルの前記係止状態において、前記水平方向係止面の各々は、前記係止要素の内側基部に設けられた前記第1建築パネルにおける連結部分から垂直方向および/または水平方向に距離を置いてもよい。
【0018】
前記水平方向係止面は、前記係止要素の内方に配置された上側ストリップ面に沿って設けられた水平方向ストリップ平面の下方で延びてもよい、例えばその全体が延びてもよい。
【0019】
前記係止要素および/または前記第2縁部分の凸部は、傾斜面を備えてもよい。好適には前記係止状態において、前記凸部は、前記第1縁部分の凹部に設けられるように構成される。
【0020】
前記係止システムは、前記第1建築パネルと前記第2建築パネルとを互いに対して角度を付けることにより、前記第1縁部分と前記第2縁部分とを組み付けるように構成されてもよい。代替的または追加的に、前記係止システムは、前記第1建築パネルと前記第2建築パネルとの互いに対する水平方向変位により、前記第1縁部分と前記第2縁部分とを組み付けるように構成されてもよい。
【0021】
角度を付ける際に、組み付け中または分解中の2つの部分の間で角度的変位が生じ得る。角度を付けることが2つのフロアパネルの組み付けに関連する場合、通常変位の少なくとも一部の間に、接合縁部分の上部分が少なくとも部分的に係合するとき、角度運動が一般に生じ得る。
【0022】
前記建築パネルは、コアと、選択的にトップ層および/またはバランス層と、を備え得る。例えば、トップ層は、摩耗層やラッカーまたはワックス等の装飾層および/または保護層を備え得る。
【0023】
前記舌部および/または前記ストリップは、前記建築パネルの前記コアと一体的に形成されてもよい。好適には、上リップおよび/または下リップも、前記コアと一体的に形成される。
【0024】
前記垂直方向平面からの前記舌部の水平方向の好適には最大の範囲は、前記垂直方向平面からの前記下リップおよび/または上リップの水平方向の好適には最大の範囲よりも大きくてもよい。代替的に、前記垂直方向平面からの前記下リップおよび/または上リップの水平方向の好適には最大の前記範囲は、前記垂直方向平面からの前記舌部の水平方向の好適には最大の前記範囲よりも大きくてもよい。
【0025】
前記上側垂直方向係止面および前記下側垂直方向係止面は、前記水平方向平面に対して本質的に平行であってもよい。
【0026】
前記上側垂直方向係止面と前記下側垂直方向係止面とは、前記上側垂直方向係止面が、前記下側垂直方向係止面よりも、前記係止要素に対して水平方向に近接して設けられるように、水平方向にオフセットしていてもよい。
【0027】
前記係止システムは、前記係止状態において、前記舌部の水平方向外側に設けられる外側垂直方向係止面をさらに備えても良い。外側垂直方向係止面間の接触、例えば永久接触を有することにより、パネルが荷重を受けたとき、ストリップの一部分と第2縁部分の下側部分とが一体となって移動し得る。騒音および/またはきしみ音が発生する可能性および/またはその強度がさらに低減され得る。
【0028】
前記外側垂直方向係止面は、前記係止状態において、前記係止要素の内方で延びてもよい。好適には、それらは全体的に前記係止要素の内方で延びる。
【0029】
前記外側垂直方向係止面は、前記係止要素の上部分および前記係止溝部の下部分に設けられてもよい。
【0030】
前記係止システムは、前記ストリップの上部分と前記第2縁部分の下縁部分との間に、スペースを備えてもよい。
【0031】
前記スペースは、前記下リップ全体の下方において、前記下リップの下方から前記係止要素まで延びてもよい。
【0032】
前記建築パネルの各々のコアは、例えばHDFボード、パーチクルボード、または合板材料からなる木質系コアであってもよい。
【0033】
前記建築パネルの各々のコアは、例えば熱可塑性材料、および好適には充填材、または熱硬化性材料からなるポリマー系コアであってもよい。例えば、熱可塑性材料は、PVCから構成され得る。また、熱硬化性材料は、メラミンホルムアルデヒド樹脂から構成され得る。
【0034】
前記建築パネルの各々のコアは、例えば酸化マグネシウム、および選択的に塩化マグネシウム(例えば、MgCl2)、および/または硫酸マグネシウム(例えば、MgSO4)からなる鉱物系コアであってもよい。
【0035】
建築パネルは、本質的に同一であってもよい。
【0036】
建築パネルは、矩形であり得るため、一対の長側縁部および短側縁部を備える。好適には、係止システムは、長側縁部に設けられる。しかし代替的または追加的に、係止システムは、短側縁部に設けられ得る。パネルは、長側縁部、および選択的に短側縁部において角度を付けることにより組み付けられるように構成され得る。ただし、好適には、短側縁部は、垂直方向の折り畳み変位により組み付けられる。
【0037】
本開示の第2態様によれば、第1建築パネルの第1縁部分を第2建築パネルの隣接する第2縁部分に対して垂直方向および水平方向に係止するための係止システムを備える建築パネルが提供される。前記第1建築パネルと前記第2建築パネルとの係止状態において、前記第1縁部分および前記第2縁部分の上部分および上部分は、前記建築パネルの前側(1e)および/または後側に平行な水平方向平面に対して垂直な垂直方向平面をともに規定する。前記係止システムは、前記第1縁部分に設けられた舌部と、前記第2縁部分に設けられた舌部溝部と、を備え、前記舌部と前記舌部溝部とは、垂直方向係止のために協働するように構成される。
【0038】
前記舌部溝部は、上リップと下リップとを備え、前記舌部は、上側垂直方向係止面において前記上方リップと協働するとともに、下側垂直方向係止面において前記下方リップと協働するように構成される。前記係止システムは、前記第1縁部分に設けられた係止要素と、前記第2縁部分に設けられた下方に開口する係止溝部と、を備え、前記係止要素と下方に開口する前記係止溝部とは、水平方向係止のために協働するように構成され、前記係止要素は、前記第1縁部分の前記上部分を超えて延びるストリップに設けられる。前記係止システムは、前記係止状態において、前記舌部の水平方向外側に設けられる外側垂直方向係止面をさらに備える。
【0039】
上述のように、外側垂直方向係止面間の接触、例えば永久接触を有することにより、パネルが荷重を受けたとき、ストリップの一部分と第2縁部分の下側部分とが一体となって移動し得る。騒音および/またはきしみ音が発生する可能性および/またはその強度が低減され得る。
【0040】
第2態様の実施形態および実施例は、第1態様の実施形態および実施例に大部分が類似しているため、参照されたい。
【0041】
本開示の態様を、主としていくつかの実施形態を参照して説明した。しかしながら、当業者に容易に理解されるように、上記に開示されたもの以外の他の実施形態も、本開示の態様の範囲内で同様に実現可能である。
【0042】
全体として、特許請求の範囲および以下の実施形態セクションの項目において使用されるすべての用語は、本明細書で明示的に別の態様で定義されない限り、技術分野における通常の意味に従って解釈されるべきである。a/an/the[要素、装置、構成要素、手段、ステップ等]へのすべての言及は、明示的に別段の記載がない限り、当該要素、装置、構成要素、手段、ステップ等の少なくとも1つの例を指すものとして、オープンに解釈されるものとする。単数または複数の「少なくとも1つの要素」等についての言及は、簡略的に「要素(複数可)」と言及され得る。
【0043】
本開示を、以下に、添付の例示的図面を参照しつつより詳細に例示的実施形態について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1a】
図1aは、建築パネルの例示的実施形態を断面側面図にて示す。
【
図1b】
図1bは、係止された建築パネルの例示的実施形態、ならびに組み付け中の建築パネルを断面側面図にて示す。
【
図1c】
図1cは、
図1bの領域B周辺を拡大した、係止された建築パネルの例示的実施形態を示す。
【
図1d】
図1dは、
図1bの領域C周辺を拡大した、組み付け中の建築パネルの例示的実施形態を示す。
【
図1e】
図1eは、係止された建築パネルの例示的実施形態を拡大断面側面図にて示す。
【
図2a】
図2aは、建築パネルの例示的実施形態を断面側面図にて示す。
【
図2b】
図2bは、建築パネルの例示的実施形態を断面側面図にて示す。
【
図2c】
図2cは、
図2bのタイプの係止された建築パネルを拡大断面側面図にて示す。
【
図2d】
図2dは、建築パネルの例示的実施形態を断面側面図にて示す。
【
図2e】
図2eは、
図2dのタイプの係止された建築パネルを拡大断面側面図にて示す。
【
図3a】
図3aは、建築パネルの例示的実施形態を斜視図にて示す。
【
図3e】
図3eは、組み付け中の建築パネルおよび隣接する建築パネルの例示的な実施形態を側面図にて示す。
【
図3f】
図3fは、係止された状態の建築パネルおよび隣接する建築パネルの例示的な実施形態を側面図にて示す。
【
図3g】
図3gは、別個の可撓性舌部の例示的実施形態を上面図にて示す。
【
図3h】
図3hは、組み付け中の建築パネルの実施形態を断面側面図にて示す。
【発明を実施するための形態】
【0045】
次に、建築パネル1、1’、1”の種々の実施形態について、
図1a~
図1e、
図2a~
図2e、および
図3a~
図3hを参照して説明する。
【0046】
図1aは、建築パネル1の実施形態を示す。建築パネル1は、垂直方向および水平方向の係止のための係止システム、好適には機械的係止システムを備えている。好適には、建築パネルは床パネルであるが、壁パネルや家具パネル等の他の建築パネルも同様に想定され得る。
【0047】
パネル1の第1縁部分1aは、舌部2と、ストリップ6に設けられた係止要素4と、を備えている。ストリップ6は、第1縁部分1aの上部分1cを超えて水平方向に延びている。舌部2、係止要素4、およびストリップ6は、第1縁部分1aの長手方向に沿って、すなわち、
図1aの断面平面に対して垂直な方向(すなわち、「紙面の中へ」)に沿って、好適には、第1縁部分1aの本質的に全体に沿って延び得る。
【0048】
パネル1の第2縁部分1bは、舌部溝部3と、下方に開放する係止溝部5と、を備えている。舌部溝部3は、上リップ7と、上リップを超えて水平方向に突出する下リップ8と、を備えている。これにより、パネル1とパネル1’との組み付けが単純化され得る。これは、下リップ8が第1パネル1に対する隣接する第2パネル1’の良好なガイドを提供し得るためである。例えば
図1bおよび
図1dを参照されたい。舌部溝部3および係止溝部5は、第2縁部分1bの長手方向に沿って、好適には本質的にその全体に沿って延び得る。
【0049】
舌部2および/またはストリップ6は、パネル1のコア20と一体的に形成され得る。選択的に、パネル1は、トップ層20aおよび/またはバランス層20bを備え得る。コア20は、例えばHDFボード、パーチクルボード、または合板材料からなる木質系コアであり得る。代替的に、コア20は、例えば熱可塑性材料または熱硬化性材料からなるポリマー系コアであり得る。さらに代替的に、コア20は、例えば酸化マグネシウムからなる鉱物系コアであり得る。第1例において、パネルは、積層パネル又は寄木細工パネルであり得る。第2例において、パネルは、高級ビニルタイル(LVT)等の可撓性を有する高分子パネル、またはいわゆるストーン・プラスチック(ポリマー)複合(SPC)床パネル等の硬質のポリマーパネルであり得る。LVTタイルおよびSPCパネルは、PVC、チョークまたは石粉等の充填材、および添加剤を含み得る。第3例において、パネルは、HDFボードと、好適には木質繊維を含む少なくとも1つの粉末系層と、選択的に、粉末系層に設けられたベニヤ層と、を備え得る。パネルは、粉末支持層等のバランス層を備え得る。選択的に、バランス層はさらにベニヤ層をさらに備え得る。
【0050】
一対の建築パネル1、1’の係止された状態において、例えば
図1c、
図2cおよび
図2eに示すように、第1縁部分1aの上部分1cおよび第2縁部分1bの上部分1dは、水平方向平面HPに対して垂直な垂直方向平面VPをともに規定している。水平方向平面HPは、パネルの前側1eおよび/または後側1fに対して平行である。好適には、係止システムは、例えば
図1bに示すように、第1パネル1と第2パネル1’とを互いに対して角度を付けることにより、第1縁部分1aと第2縁部分1bとを組み付けるように構成されている。しかしながら代替的または追加的に、
図3hに示すように、パネル1および1’は、例えばスナップ係合による第1パネル1および第2パネル1’との互いに向き合う水平方向変位HDによって第1縁部分1aと第2縁部分1bとが組み付けられるように構成され得る。ストリップ6は、組み付け中に下方B’に屈曲するように構成され得る。このような水平方向変位HDは、例えば
図1a~1e、
図2a~
図2e、および
図3a~
図3fにおけるパネル1、1’についても同様に想定され得る。
【0051】
舌部2は、垂直方向平面VPを超えて外方に突出し得る。さらに下リップ8も、垂直方向平面VPを超えて外方に突出し得る。上リップ7の一部分、例えば外壁7aが、垂直方向平面VPに沿って設けられ得る。
【0052】
建築パネル1の舌部2と第2建築パネル1’の隣接する第2縁部分1bの舌部溝部3とは、垂直方向係止のために協働するように構成されている。より具体的には、舌部2は、上側垂直方向係止面12、12’において上リップ7と協働するとともに、下側垂直方向係止面13、13’において下リップ8と協働するように構成されている。係止状態において、下リップ8は、第1縁部分1aに設けられたリップ溝部9、好適にはストリップ6と舌部2との間に設けられたリップ溝部9内に挿入されるように構成され得る。
【0053】
舌部2は、上側垂直方向係止面12および下側垂直方向係止面13を備えている。さらに、上リップ7は上側垂直方向係止面12’を備え、下リップ8は下側垂直方向係止面13’を備えている。上側垂直方向係止面12’および下側垂直方向係止面13’は、舌部溝部3の上壁3aおよび下壁3bにそれぞれ設けられ得る。
【0054】
下側垂直方向係止面13の水平方向範囲HLは、上側垂直方向係止面12’の水平方向範囲HUよりも大きくてもよい。これにより、第2パネル1’が荷重を受けたときに下方に屈曲するおよび/またはねじれる可能性が低減され得る。
【0055】
上側垂直方向係止面12、12’および下側垂直方向係止面13、13’は、水平方向平面HPに対して本質的に平行であり得る。さらに、上側垂直方向係止面および下側垂直方向係止面は、上側垂直方向係止面12、12’が下側垂直方向係止面13、13’よりも係止要素4に対して水平方向に近接するように、水平方向にオフセットされ得る。これにより、例えば舌部2の下方の領域によりアクセスしやすくなり得るため、角度Aを付けることによるパネル1、1’の組み付けが単純化され得る。一部の実施形態において、例えば
図1cに示すように、上側垂直方向係止面12、12’と下側垂直方向係止面13、13’との間に少なくとも1つの傾斜面28が存在し得る。例えば、上側垂直方向係止面12の外端部分23から係止要素4までの水平方向距離h2は、下側垂直方向係止面13の外端部分17から係止要素までの水平方向距離h1よりも小さくてもよい。代替的または追加的に、上側垂直方向係止面12’の内端部分24から係止要素4までの水平方向距離h2’は、下側垂直方向係止面13’の内端部分21から係止要素4までの水平方向距離h1’よりも小さくてもよい。
【0056】
垂直方向係止面12は、垂直方向平面VPを超えて外方に突出し得る。さらに垂直方向係止面13も、垂直方向平面VPを超えて外方に突出するとともに垂直方向平面VPの内方に突出し得る。係止状態において、垂直方向係止面12、12’および垂直方向係止面13、13’は、垂直方向係止面12’および垂直方向係止面13’が垂直方向係止面12および垂直方向係止面13の場所にそれぞれ本質的に位置するように、互いに協働し得る、好適には係合し得る。
【0057】
パネル1、1’の係止状態において、下方垂直係止面13の外端部分17は、上側垂直方向係止面12’の外端部分16よりも、係止要素4に対して水平方向に近接して設けられている。代替的または追加的に、係止状態において、下側垂直方向係止面13’の内端部分21は、上側垂直方向係止面12の内端部分22よりも、係止要素4に対して水平方向に近接して設けられ得る。これらいずれの実施形態においても、上側垂直方向係止面12、12’及び下側垂直方向係止面13、13’は、水平方向において重なり得る。この結果、騒音および/またはきしみ音が発生する可能性および/またはその強度が低減され得る。係止状態において、外端部分17および内端部分21、および/または外端部分16および内端部分22は、本質的に同一の位置に配置され得る。
【0058】
外端部分16、17は、水平方向外端部分であり得る。これにより、外端部分17から係止要素4までの水平方向距離h1は、外端部分16から係止要素4までの水平方向距離h3よりも小さくなり得る。距離は、係止要素4の内側基部4dまでの距離であり得る。内端部分21、22は、水平方向内端部分であり得ることに留意されたい。
【0059】
係止状態において、外端部分16および/または内端部分17は、上リップ7の垂直方向下方に設けられ得る。例えば、上壁3aは、外端部分16を上リップ7の下方に位置決めするための面取り部3dを備え得る。代替的または追加的に、係止状態において、内端部分21および/または内端部分22は、上リップ7の垂直方向下方に設けられ得る。
【0060】
以上から、上側垂直方向係止面12、13および/または下側垂直方向係止面12’、13’は、水平方向重複HOに沿って水平方向に重なり得ることが明瞭である。
【0061】
建築パネル1の係止要素4と第2建築パネル1’の下方に開放した係止溝部5とは、水平方向係止のために協働するように構成されている。係止要素4と係止溝部5とは、水平方向係止面14、14’(すなわち、水平方向係止のために構成された面)において協働し得る、例えば係合し得る。水平方向係止面14、14’は、例えば、本質的に平面状であり得るとともに、好適には実質的に平行であり得る。水平方向係止面14および14’は、係止要素の内側部分4aおよび係止溝部の外側部分5bにそれぞれ設けられ得る。例えば、水平方向係止面14、14’は、水平方向HPに対して約40~70°、例えば55~65°の係止角度LAにおいて設けられ得る。
【0062】
図1a~1e、
図2a~
図2e、および
図3a~
図3dに示すように、水平方向係止面14、14’のいずれか、好適には各々は、全体的に凸状であり得る。例えば、丸みを帯びている、または複数の例えば平面状のセグメントから構成されている、および/または少なくとも1つの平面状のセグメントから構成されている。
【0063】
図1cおよび
図2eに示すように、および例えば
図2cにおいても想定可能なように、パネル1、1’の係止状態において、水平方向係止面14、14’の各々は、内側基部4dに設けられた第1パネル1における連結部分10bから、垂直方向および/または水平方向に間隔を置いて配置され得る。
【0064】
水平方向係止面14、14’は、係止要素4の内方に配置された上側ストリップ面6aに沿って設けられた水平方向ストリップ平面HPSの下方で延び得る。HPS平面は、水平方向平面HPに対して平行であり得る。上側ストリップ面6aは、舌部2の最外部分2aの垂直方向下方に本質的に位置し得る。好適には、
図1cに示すように、水平方向係止面14、14’は、その全体が水平方向ストリップ平面HPSの下方で延び得る。
【0065】
しかしながら一部の実施形態において、
図2a~
図2eに示すように、水平方向係止面は、水平方向ストリップ平面HPSの下方および/または上方に位置し得る。例えば、係止要素4及び係止溝部5は、WO 2013/191632 A1、21ページ、30~36行、および
図3c~3fに記載されているように具体化されてもよく、この開示内容は、参照により明示的に本明細書に組み込まれる。
【0066】
垂直方向係止面12、12’および垂直方向係止面13、13’は、水平方向係止面14、14’に対して水平方向にオフセットしている。一部の実施形態において、水平方向係止面14、14’は、第1縁部分1aと第2縁部分1bとを、好適には水平方向および/または垂直方向のプリテンションを以て、水平方向においても垂直方向においても係止し得る。
【0067】
係止システムは、上部分1c、1dに設けられ、好適には実質的に垂直方向に配置された水平方向係止面15、15’をさらに備え得る。水平方向係止面14、14’および水平方向係止面15、15’は、それぞれパネル1、1’の分離、およびパネル1、1’の互いに対する変位を解消し得る、例えば防止し得る。
【0068】
図1a~
図1e、
図2a~
図2e、
図3a~
図3d、および
図3hに示すように、第1縁部分1aおよび第2縁部分1bは、凹部10および凸部11をそれぞれ備え得る。凹部10は、係止要素4とリップ溝部9の最内部分9aとの間、好適には係止溝部4と舌部2の最外部分2aとの間に水平方向に設けられ得る。凸部11は、係止溝部5と下リップ8の最外部分8aとの間、好適には係止溝部5と舌部溝部3の最内部分3cとの間に水平方向に設けられ得る。
【0069】
凸部11は、水平方向係止のために凹部10と協働し得る。実際に、水平方向係止面14、14’は、凸部に、そして凹部に設けられ得る。凹部10および/または凸部11は、好適には水平方向平面HPに対して本質的に平行に延びる平面状部分10a、11aを備え得る。
【0070】
一部の実施形態において、
図2a~
図2eに示すように、平面状部分11aは、凸部11の下側11bの全体を形成し得る。さらに、例えば
図2d~
図2eに示すように、平面状部分10aは、凹部10の上側10cの全体を形成し得る。一部の実施形態において、例えば
図2a~
図2cに示すように、上側10cは、2つ以上の平面状部分10aを備え得る。
【0071】
図1a~
図1e、
図2a~
図2e、
図3a~
図3d、および
図3hに示すように、係止要素4および/または凸部11は、傾斜面18、18’を備え得る。傾斜面18、18’は、ガイド面を提供し得る。これにより、パネルの単純化された組み付けが容易化され得る。傾斜面18および/または18’は、実質的に平面状であってよく、好適には水平方向平面HPに対して約50~60°、例えば35~45°の傾きを有している。係止状態において、傾斜面18および18’は、本質的に平行であり得る。さらに、係止状態において、水平係止面14、14’は、傾斜面18、18’の間に設けられ得る。
図1cを参照されたい。
【0072】
例えば
図1a~
図1dおよび
図3hに示すように、垂直方向平面VPからの舌部2の水平方向範囲TEは、垂直方向平面VPからの、および/または上リップ7からの下リップ8の水平方向範囲LEよりも大きくてもよい。これにより、例えば水平方向範囲LEが比較的小さく保たれている場合でも、下側垂直方向係止面13、13’の範囲が増大し得る。また、パネル1、1’を製造するための板材の量を削減することが必要であり得る。さらに、パネル1、1’が傾く可能性が低減され得る。範囲TEおよびLEのいずれか、好適には各々は、最大範囲であり得る。
【0073】
例えば
図2a~2eに示すように、一部の実施形態において、垂直方向平面VPからの、および/または上リップ7からの下リップ8の水平方向範囲LEは、垂直方向平面VPからの舌部2の水平方向範囲TEよりも大きくてもよい。これにより、例えば、下リップ8のより大きな範囲LEが下リップ8のリップ溝部9内へのより良好なガイドを提供し得るため、パネル1、1’の組み付けがさらに単純化される。
【0074】
本例において、通常、係止システムは、パネル1、1’の係止状態において、ストリップ6の上部分6bと第2縁部分1bの下縁部分EPとの間に、スペースS1、S2を備え得る。少なくとも一部の実施形態において、このようなスペースにより、騒音および/またはきしみ音が低減され得る、さらには排除され得る。これは、例えば、このような望ましくない音の原因となり得る係止システムの部分同士が離間し得るためである。同時に、垂直方向係止面12、12’、13、13’により、強力な垂直方向係止機能が提供され得る。
【0075】
スペースS1は、パネル1、1’の係止状態において、上部分6bと、下リップ8の下方および/または舌部2の下方に本質的に配置された下縁部分EPとの間に設けられ得る。例えば、
図1c、
図1e、
図2cおよび
図2eを参照されたい。代替的又は追加的に、スペースS2は、パネル1、1’の係止状態において、凹部10と凸部11との間に設けられ得る。一部の実施形態において、
図1cおよび
図2eに示すように、スペースS1、S2は、下リップ8全体の下方で延び得るとともに、下リップ8、例えば最外部分8aの下方から、水平方向係止面14、14’まで、および/または係止要素4まで延び得る。例えば、
図1cに示すように、例えば上部分6bと下縁部分EPとの間の最大距離であるスペースS1は、例えば凹部10と凸部11との間の最大距離であるスペースS2よりも小さくてもよい。例えば0.1mm未満、さらには0.05mm未満の小さいスペースS1を有することにより、係止システムの製造が単純化され得る。例えば、上部分6bと下縁部分EPとの間の寸法公差の増加が許容され得る。また、例えば、舌部2が屈曲したりねじられた場合、係止システムは支持され得るため、係止システムは第1パネル1’に対するより大きな荷重に耐えることが可能であり得る。
【0076】
一部の実施形態において、上部分6bと下縁部分EPとの間にスペースがなく(S1=0)、これらは例えば互いに係合し得ることが強調される。このような実施形態において、垂直方向の荷重が、係止システムのより大きな部分に亘って分散され得る。この結果、係止システムの垂直方向係止強度が増加し得る。このような実施形態は、例えば、パネル1、1’が好適にはPVC等の熱可塑性材料である弾性材料および充填材から構成される場合、またはパネル1、1’が低密度HDFボード等の低密度木質系コアから構成される場合に好適であり得る。例えば、HDFボードの密度は、1000kg/m3未満、例えば800~1000kg/m3であり得る。
【0077】
好適には、係止要素4の一部分、例えば外部分4bおよび/または上部分4cが、係止溝部5、例えばその下部分5cおよび/または内部分5aからスペースS3および/またはS4だけ距離を置いている。例えば、
図1c、
図1e、
図2cおよび
図2eを参照されたい。上部分4cの全体が、下部分5cから距離を置き得る。好適には、例えば上部分4cと下部分5cとの最大距離であるスペースS4は、例えば凹部10と凸部11との間の最大距離であるスペースS2よりも大きい。
【0078】
しかしながら、一部の実施形態において、
図2a~
図2eに示すように、係止システムは、係止状態において舌部2の水平方向外側に設けられる外側垂直方向係止面25、25’をさらに備え得る。これにより、係止システムは、3対の垂直方向係止面12、12’、13、13’、25、25’を備え得る。外側垂直方向係止面25、25’は、第1縁部分1aおよび第2縁部分1bにそれぞれ設けられてもよく、好適には舌部2の垂直方向下方に配置される。
【0079】
図2a~
図2cに示すように、係止状態において、外側垂直方向係止面25、25’は、好適にはその全体が係止要素4の内方で延び得る。面25は、ストリップ6に、好適には上側ストリップ面6aに設けられ得る。そして、面25’は、下側11bに設けられ得る。外側垂直方向係止面25、25’は、第1縁部分1aの、ひいてはストリップ6の横方向Tに沿う幅部分W’に沿って互いに係合し得る。例えば、幅部分W’は、ストリップ6のストリップ幅Wの0.10倍よりも大きくてもよく、例えば0.30倍よりも大きくてもよい。幅部分W’により、第2パネル1’が荷重を受けたときに、下方に屈曲するおよび/またはねじれる可能性が低減され得る。ストリップ幅Wは、垂直方向平面VPからストリップの最外部分6c、例えば外部分4bまでの範囲であり得る。スペースS1は、外側垂直方向係止面25、25’の水平方向内方に設けられ得る。
【0080】
図2d~
図2eに示すように、一部の実施形態において、外側垂直方向係止面25、25’は、係止要素4の上部分4cおよび係止溝部5の下部分5cに設けられ得る。上部分4cおよび/または下部分5cは、平面状であり得るとともに、好適には水平方向平面HPに対して本質的に平行である。
【0081】
一部の実施形態において、
図2a~
図2eに示すように、ストリップの一部分、例えば垂直方向係止面25の場所での厚さTSは、パネル1の厚さT1の少なくとも0.3倍、好適には少なくとも0.4倍であり得る。このような実施形態において、ストリップが屈曲したりねじれたりする可能性が低減され得ることにより、騒音および/またはきしみ音が発生する可能性および/またはその強度が低減され得る。また、係止システムが高い位置に設けられているほど、パネル1、1’の組み付けが容易になり得る。
図2d~
図2eの実施形態において、例えば垂直方向係止面25の場所における厚さTSは、さらに厚さT1の0.5倍よりも大きくてもよい。
【0082】
一部の実施形態において、
図2a~
図2eに示すように、舌部2の厚さT2は、厚さT1の0.2倍未満、好適には0.15倍未満であり得る。このように薄い舌部により、パネル1、1’の組み付けが単純化され得る。
【0083】
図1dに示すように、係止システムは、ガイド面19a、19b、19a’、19b’を備え得る。ガイド面19a、19b、19a’、19b’は、選択的に傾斜面として提供されるとともに、選択的に、パネルの組み付け中に、好適には角度Aを付ける際に、対応するパネル面と協働する、例えば係合するように構成されている。例えば、案内面は、舌部2および下リップ8に設けられ得る、および/または傾斜面18、18’に対する上述の傾斜面として設けられ得る。ガイド面は、垂直方向平面VPおよび/または水平方向平面HPに対して傾き得るとともに、舌部2の上部分および/または下部分、および下リップ8に位置し得る。舌部溝部3および/またはリップ溝部9は、ガイド面19a、19b、19a’、19b’の形状に対応する形状を有する面を備え得ることに留意されたい。
【0084】
図3a~
図3dに示すように、第1縁部分1aおよび第2縁部分1bは、パネル1、1’、1”の長側縁部に設けられており、パネルは、好適には短側縁部である第3縁部分1a’および第4縁部分1b’をさらに備え得る。パネルは、角度Aを付けることにより、および/または長側縁部に沿った水平方向変位HDにより、および短側縁部での垂直方向折り畳み変位FDにより組み付けられるように構成され得る。
図3e~
図3gは、パネル1および隣接するパネル1’’’の第3縁部分1a’および第4縁部分1b’の実施形態をそれぞれ概略的に示す。これらは、例えば
図1a~
図1e、
図2a~
図2e、
図3a~
図3d、および
図3hの実施形態のいずれかと組み合わせられ得る。
【0085】
第3縁部分1a’は、好適には別個の可撓性を有する舌部2’と、ストリップ6’に設けられた係止要素4’と、を備え得る。別個の可撓性を有する舌部2’は、挿入溝部9’に変位可能に配置され得る。ストリップ6’は、第3縁部分1a’の上部分1c’を超えて水平方向に延びている。第4縁部分1b’は、舌部溝部3’と、下方に開放した係止溝部5’と、を備え得る。
【0086】
例えば、
図3gの非限定的な実施形態に示すように、舌部2’は、内側位置26aと外側位置26bとの間で屈曲可能な可撓性部材26を備え得る。これにより、舌部は、内側位置と外側位置との間で変位可能であり得る。舌部2’に加えられる内方への圧力により、舌部2’は内側位置に向かって内方に変位し得る。そして、可撓性部材26は、例えば可撓性部材26の付勢力によって、それをその外側位置に向けて外方に変位させるように構成され得る。好適には、舌部2’は、射出成型により形成される。選択的に、舌部2’は、舌部が挿入溝部9’から外に変位することを防止するための少なくとも1つの摩擦要素27を備えている。
【0087】
舌部2’と舌部溝部3’とは、垂直方向係止のために協働するように構成されている。一方、係止要素4’と係止溝部5’とは、水平方向係止のために協働するように構成されている。
図3a~
図3dには別個の可撓性を有する舌部2’は示されていないが、図示のパネル1は挿入溝部9’にこのような舌部2’を有するように構成されていることを理解されたい。
【0088】
本開示を、主としていくつかの実施形態を参照して説明した。しかし、当業者には容易に理解されるように、本開示の範囲内において、上に開示されたもの以外の実施形態も同様に可能である。例えば、当業者には、本開示の範囲内において、本メイサ志保に開示されたパネル1の実施形態および例が、他のパネル1’、1”等についての同様に想定可能であり、その逆も同様であることが理解される。また、一部の例示的案実施形態において、
図1a~
図1d、
図2a~
図2e、および
図3a~
図3は、縮尺通りに描かれた図面を示す。
【実施形態】
【0089】
項目1.第1建築パネル(1)の第1縁部分(1a)を第2建築パネル(1’)の隣接する第2縁部分(1b)に対して垂直方向および水平方向に係止するための係止システムを備える建築パネルにおいて、
前記第1建築パネル(1)と前記第2建築パネル(1’)との係止状態において、前記第1縁部分および前記第2縁部分の上部分(1c)および上部分(1d)は、前記建築パネル(1、1’)の前側(1e)および/または後側(1f)に平行な水平方向平面(HP)に対して垂直な垂直方向平面(VP)をともに規定し、
前記係止システムは、前記第1縁部分(1a)に設けられた舌部(2)と、前記第2縁部分(1b)に設けられた舌部溝部(3)と、を備え、前記舌部(2)と前記舌部溝部(2)とは、垂直方向係止のために協働するように構成され、
前記舌部溝部(3)は、上リップ(7)と下リップ(8)とを備え、前記舌部(2)は、上側垂直方向係止面(12、12’)において前記上方リップ(7)と協働するとともに、下側垂直方向係止面(13、13’)において前記下方リップ(8)と協働するように構成され、
前記係止システムは、前記第1縁部分(1a)に設けられた係止要素(4)と、前記第2縁部分(1b)に設けられた下方に開口する係止溝部(5)と、を備え、前記係止要素(4)と下方に開口する前記係止溝部(5)とは、水平方向係止のために協働するように構成され、前記係止要素(4)は、前記第1縁部分(1a)の前記上部分(1c)を超えて延びるストリップ(6)に設けられ、
前記係止システムは、前記係止状態において、前記舌部(2)の水平方向外側に設けられる外側垂直方向係止面(25、25’)をさらに備える、
建築パネル。
【0090】
項目2.前記外側垂直方向係止面(25、25’)は、前記係止状態において、前記係止要素(4)の内方で延びる、
項目1に記載の建築パネル。
【0091】
項目3.前記外側垂直方向係止面(25、25’)は、前記係止要素(4)の上部分(4c)および前記係止溝部(5)の下部分(5c)に設けられる、
項目1または2に記載の建築パネル。
【0092】
項目4.前記外側垂直方向係止面(25、25’)は、前記第1縁部分(1a)の横方向(T)に沿う幅部分(W’)に沿って互いに係合し、前記幅部分(W’)は、好適には前記ストリップ(6)のストリップ幅(W)の0.10倍よりも大きい、例えば0.30倍よりも大きい、
項目1~3のいずれかに記載の建築パネル。
【0093】
項目5.前記下リップ(8)は、前記上リップ(7)を超えて水平方向に突出する、
項目1~4のいずれかに記載の建築パネル。
【0094】
項目6.前記舌部(2)および/または前記下リップ(8)の前記下側垂直方向係止面(13、13’)の水平方向範囲(HL)は、前記上リップ(7)および/または前記舌部(2)の前記上側垂直方向係止面(12、12’)の水平方向範囲(HU)よりも大きい、
項目1~5のいずれかに記載の建築パネル。
【0095】
項目7.前記係止要素(4)と前記係止溝部(5)とは、水平方向係止面(14、14’)において協働する、
項目1~6のいずれかに記載の建築パネル。
【0096】
項目8.前記水平方向係止面(14、14’)の各々は、本質的に平面状である、
項目7に記載の建築パネル。
【0097】
項目9.前記建築パネル(1、1’)の前記係止状態において、前記水平方向係止面(14、14’)の各々は、前記係止要素(4)の内側基部(4d)に設けられた前記第1建築パネル(1)における連結部分(10b)から垂直方向および/または水平方向に距離を置く、
項目7または8に記載の建築パネル。
【0098】
項目10.前記水平方向係止面(14、14’)は、前記係止要素(4)の内方に配置された上側ストリップ面(6a)に沿って設けられた水平方向ストリップ平面(HPS)の下方で延びる、例えばその全体が延びる、
項目7~9のいずれかに記載の建築パネル。
【0099】
項目11.前記係止要素(4)および/または前記第2縁部分(1b)の凸部(11)は、傾斜面(18、18’)を備え、前記凸部(11)は、前記第1縁部分(1a)の凹部(10)に設けられるように構成される、
項目1~10のいずれかに記載の建築パネル。
【0100】
項目12.前記係止システムは、前記第1建築パネル(1)と前記第2建築パネル(1’)とを互いに対して角度(A)を付けることにより、および/または前記第1建築パネル(1)と前記第2建築パネル(1’)との互いに向き合う水平方向変位(HD)により、前記第1縁部分(1a)と前記第2縁部分(1b)とを組み付けるように構成される、
項目1~11のいずれかに記載の建築パネル。
【0101】
項目13.前記舌部(2)および/または前記ストリップ(6)は、前記建築パネル(1、1’)のコア(20)と一体的に形成される、
項目1~12のいずれかに記載の建築パネル。
【0102】
項目14.前記垂直方向平面(VP)からの前記舌部(2)の水平方向範囲(TE)は、前記垂直方向平面(VP)からの前記下リップ(8)および/または上リップ(7)の水平方向範囲(LE)よりも大きい、または、前記垂直方向平面(VP)からの前記下リップ(8)および/または上リップ(7)の水平方向範囲(LE)は、前記垂直方向平面(VP)からの前記舌部(2)の前記水平方向範囲(TE)よりも大きい、
項目1~13のいずれかに記載の建築パネル。
【0103】
項目15.前記上側垂直方向係止面(12、12’)および前記下側垂直方向係止面(13、13’)は、前記水平方向平面(HP)に対して本質的に平行である、
項目1~14のいずれかに記載の建築パネル。
【0104】
項目16.前記上側垂直方向係止面(12、12’)と前記下側垂直方向係止面(13、13’)とは、前記上側垂直方向係止面(12、12’)が、前記下側垂直方向係止面(13、13’)よりも、前記係止要素(4)に対して水平方向に近接して設けられるように、水平方向にオフセットしている、
項目1~15のいずれかに記載の建築パネル。
【0105】
項目17.前記係止システムは、前記ストリップ(6)の上部分(6b)と前記第2縁部分(1b)の下縁部分(EP)との間に、スペース(S1、S2)を備える、
項目1~16のいずれかに記載の建築パネル。
【0106】
項目18.前記スペース(S1、S2)は、前記下リップ(8)全体の下方において、前記下リップ(8)の下方から前記係止要素(4)まで延びる、
項目17に記載の建築パネル。
【0107】
項目19.前記建築パネルの各々のコア(20)は、例えばHDFボード、パーチクルボード、または合板材料からなる木質系コア、例えば熱可塑性材料または熱硬化性材料からなるポリマー系コア、または鉱物系コアである、
項目1~18のいずれかに記載の建築パネル。
【0108】
項目20.前記ストリップ(6)の一部分、例えば垂直方向係止面(25)の場所での厚さ(TS)は、前記第1建築パネル(1)の厚さ(T1)の少なくとも0.3倍、好適には少なくとも0.4倍である、
項目1~19のいずれかに記載の建築パネル。
【0109】
項目21.前記舌部(2)の厚さ(T2)は、前記第1建築パネル(1)の厚さ(T1)の0.2倍未満、好適には0.15倍未満である、
項目1~20のいずれかに記載の建築パネル。
【国際調査報告】