IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ プラッサー ウント トイラー エクスポート フォン バーンバウマシーネン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングの特許一覧

<>
  • 特表-軌道を処理するためのシステム 図1
  • 特表-軌道を処理するためのシステム 図2
  • 特表-軌道を処理するためのシステム 図3
  • 特表-軌道を処理するためのシステム 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-25
(54)【発明の名称】軌道を処理するためのシステム
(51)【国際特許分類】
   E01B 27/16 20060101AFI20230518BHJP
【FI】
E01B27/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022560003
(86)(22)【出願日】2021-03-02
(85)【翻訳文提出日】2022-09-30
(86)【国際出願番号】 EP2021055146
(87)【国際公開番号】W WO2021197741
(87)【国際公開日】2021-10-07
(31)【優先権主張番号】20167556.8
(32)【優先日】2020-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514318345
【氏名又は名称】プラッサー ウント トイラー エクスポート フォン バーンバウマシーネン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Plasser & Theurer, Export von Bahnbaumaschinen, Gesellschaft m.b.H.
【住所又は居所原語表記】Johannesgasse 3, A-1010 Wien, Austria
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】トーマス フィリップ
【テーマコード(参考)】
2D057
【Fターム(参考)】
2D057AB24
2D057CB04
2D057DA07
(57)【要約】
本発明は、機械制御部(4)と、これによって駆動制御される作業ユニット(3)とを備える軌道工事機械(1)によって、軌道(2)を処理するためのシステムに関し、ここでは、作業ユニット(3)を監視するためにセンサ(6)が配置されている。センサ(6)は、センサデータ(S)を別々に収集するためにデータ収集モジュール(7)に接続されており、データ収集モジュール(7)は、センサデータ(S)から結果データ(E)を計算するための第1アルゴリズム(P)が設定されている計算ユニット(8)に接続されている。このようにシステムは、センサ信号(S)を処理するための付加的な構造コンポーネントを備えている。データ収集モジュール(7)と、計算ユニット(8)とによって、設けられている監視機能には依存せずに、作業動作の異なる評価が実行可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械制御部(4)と、該機械制御部(4)によって駆動制御される作業ユニット(3)とを備える軌道工事機械(1)によって、軌道(2)を処理するためのシステムであって、前記作業ユニット(3)を監視するためにセンサ(6)が配置されている、システムにおいて、前記センサ(6)は、センサデータ(S)を別々に収集するためにデータ収集モジュール(7)に接続されており、該データ収集モジュール(7)は、前記センサデータ(S)から結果データ(E)を計算するための第1アルゴリズム(P)が設定されている計算ユニット(8)に接続されていることを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記計算ユニット(8)は、作業過程中に収集される前記センサデータ(6)から少なくとも1つの特性量を計算するように構成されており、特に前記計算ユニット(8)は、最適な作業パラメータを自動的に設定するために前記機械制御部(4)に接続されていること特徴とする、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記データ収集モジュール(7)は、マルチチャネルデータ収集のために構成されておりかつマスタとして構成されている前記計算ユニット(8)にスレーブとして接続されていることを特徴とする、請求項1または2記載のシステム。
【請求項4】
前記作業ユニット(3)を監視するために、前記データ収集モジュール(7)よりも低いサンプリングレートで前記センサデータ(S)を収集する監視装置(10)が配置されていることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項5】
前記第1アルゴリズム(P)を変更するための、または第2アルゴリズム(P)を設定するためのプログラムデータを受信するために、前記計算ユニット(8)が、通信手段(17)を介してデータベース(18)に接続されていることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項6】
前記通信手段(17)はVPNルータを含むことを特徴とする、請求項4記載のシステム。
【請求項7】
前記計算ユニット(8)は、センサデータ(S)および/または結果データ(E)を記憶するために記憶装置(15)に接続されていることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項8】
前記計算ユニット(8)は、データ伝送のためにモデム(12)を介して計算機ネットワーク(13)に接続されていることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項9】
作業ユニット(3)としてタンピングユニットおよび/またはスタビライジングユニットを備えることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項10】
振動周期を検出するための運動センサがセンサ(6)として配置されていることを特徴とする、請求項8記載のシステム。
【請求項11】
請求項1から10までのいずれか1項記載のシステムを動作させる方法であって、前記センサ(6)を用いて、前記作業ユニット(3)を監視するためのセンサ信号(S)を生成する方法において、別々のセンサデータ収集のために前記センサ信号(S)を前記データ収集モジュール(7)に供給し、前記計算ユニット(8)に設定されている前記第1アルゴリズム(P)を用いて前記センサデータ(S)から結果データ(E)を計算することを特徴とする、方法。
【請求項12】
結果データ(E)として、作業過程の特性値を計算して前記機械制御部(4)に伝送することを特徴とする、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記第1アルゴリズム(P)を変更するために、または第2アルゴリズム(P)を設定するために前記計算ユニット(8)にプログラムデータを伝送することを特徴とする、請求項11または12記載の方法。
【請求項14】
第1ステップにおいて新たなプログラムデータを前記計算ユニット(8)のメモリにロードし、第2ステップにおいて前記計算ユニット(8)の再スタートの後、新たな前記プログラムデータをアクティブ化することを特徴とする、請求項13記載の方法。
【請求項15】
VPNトンネルを介して、またはオフライン接続を介して、前記計算ユニット(8)から外部コンピュータ(14)に結果データ(E)を伝送することを特徴とする、請求項11から14までのいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械制御部と、これによって駆動制御される作業ユニットとを備える軌道工事機械によって、軌道を処理するためのシステムに関し、ここでは作業ユニットを監視するためにセンサが配置されている。本発明はさらに、システムを動作させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
オーストリア国特許出願公開第520698号明細書から、冒頭に述べた形式のシステムが知られている。このシステムは、軌道の処理中のタンピングユニットの負荷監視に使用される。このために、期間を超えて測定データを収集して評価装置に転送するセンサが配置されている。測定データから、タンピングユニットのサイクリックな作業過程についての負荷・時間経過が導出される。ここから得られる、タンピングユニットの負荷状況についての推定が、メンテナンス手段またはメンテナンス間隔を設定するために利用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の根底にある課題は、冒頭に述べた形式のシステムに設けられているセンサの利用を拡張することである。さらに、対応して改善された、システムを動作させる方法を提供したい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
これらの課題は、本発明により、独立請求項1および独立請求項11の特徴的構成によって解決される。従属請求項には、本発明の有利な実施形態が示されている。
【0005】
ここではセンサは、センサデータを別々に収集するためにデータ収集モジュールに接続されており、データ収集モジュールは、センサデータから結果データを計算するための第1アルゴリズムが設定されている計算ユニットに接続されるように構成されている。このようにシステムは、センサ信号を処理するための付加的な構造コンポーネントを備えている。データ収集モジュールと、アプリケーション固有のアルゴリズムが設定されている計算ユニットとによって、設けられている監視機能には依存せずに、作業動作の異なる評価が実行可能である。具体的な利点は、センサデータ収集のフレキシブルな構成によって、また結果データ計算の適合可能性によって得られる。
【0006】
1つの発展形態では、計算ユニットは、作業過程中に収集されるセンサデータから少なくとも1つの特性量を計算するように構成されており、特に計算ユニットは、最適な作業パラメータを自動的に設定するために機械制御部に接続されている。これにより、作業ユニットによって実行される作業過程が、継続的に改善される。計算される特性量は、使用される作業ユニットに調整され、この特性量により、対応する作業過程の品質が特徴付けされる。この改善の結果が、制御システムのレベルにおける上位の制御ループである。
【0007】
有利には、データ収集モジュールは、マルチチャネルデータ収集のために構成されておりかつマスタとして構成されている計算ユニットにスレーブとして接続されている。このシステムアーキテクチャにより、データ収集モジュールと計算ユニットとから構成されるサブシステムに、複数のセンサを効率的につなげることができる。
【0008】
別の改善では、作業ユニットを監視するために、データ収集モジュール(例えばkHz領域のサンプリングレート)よりも低いサンプリングレート(例えば1Hz)でセンサデータを収集する監視装置が配置されている。これにより、監視のために、容易ではあるが十分なデータ処理が可能である。これに対し、計算ユニットを用いた付加的なセンサ評価には、高い時間分解能を有するデータベースを利用可能である。
【0009】
システムの有利な拡張では、第1アルゴリズムを変更するための、または第2アルゴリズムを設定するためのプログラムデータを受信するために、計算ユニットが、通信手段を介してデータベースに結合されるように構成されている。これにより、計算ユニットによって実行される評価を容易に変更可能である。システムにより、構造的な変更を行う必要なしに、作業過程の新たな解析が実行可能である。さらに、システムによって新たな評価アルゴリズムをテストしてから、作業過程の適合化を導出することができる。
【0010】
この際に、通信手段にVPNルータが含まれていると有利である。したがって、このVPNルータに接続されているすべての装置は、安全なVPNトンネルを利用することができる。このことは、データベースとデータを交換する計算ユニットおよび別のシステムコンポーネントに当てはまる。システムに統合されるVPNルータにより、分散データの安全な伝送の可能性が拡張される。
【0011】
別の改善では、計算ユニットは、センサデータおよび/または結果データを記憶するために記憶装置に接続されている。好適には、記憶装置は、すべての結果データが、または必要に応じてすべてのセンサデータも、設定される読み出し間隔の終了まで記憶されるような大きさに設計される。例えば、読み出し間隔は、監視される作業ユニットの保全間隔に対応する。さらに、記憶装置に格納されるデータは、リモートアクセスを用いていつでも、好適にはVPNトンネルを介して呼び出し可能である。特に、リモートアクセスを介する結果データの伝送が有効である。これに対し、センサデータの大きなデータ量は、記憶装置に保存され、システムの修正時に読み出される。
【0012】
結果データを、また必要に応じてセンサデータを一元的に利用可能であるようにするために、計算ユニットが、データ伝送のために、モデムを介して計算機ネットワーク(クラウド)に接続されていると有利である。これにより、オンラインアプリケーション(Web-App)を介していつでもデータにアクセス可能である。
【0013】
システムの有利な特徴は、作業ユニットとしてタンピングユニットおよび/またはスタビライジングユニットを有している。このような作業ユニットを備える振動ツールにより、処理されるバラスト軌道に振動が引き起こされる。作業ユニットに配置されるセンサにより、軌道バラスト道床および軌道バラストの締固めの品質についての推定を得ることができる。したがって、システムにより、作業ユニットそれ自体の状態および作業の仕方についてだけでなく、軌道の状態および処理についても情報が得られる。
【0014】
好適には、振動周期を検出するための運動センサが、センサとして配置されている。タンピングユニットにおいても、またスタビライジングユニットにおいても、締固め過程についての特性値を得るために、振動周期中の運動経過および力の経過を利用可能である。
【0015】
本発明による、システムを動作させる方法では、センサを用いて、作業ユニットを監視するためのセンサ信号を生成し、別々のセンサデータ収集のためにセンサ信号をデータ収集モジュールに供給し、計算ユニットに設定されている第1アルゴリズムを用いてセンサデータから結果データを計算する。この方法の経過に伴い、作業ユニットの監視と並列して、センサデータから結果データを導出する。この際にはまず、結果データの特徴または品質だけでなく、専用に設けられるシステムコンポーネントを用いた自由に決定可能なアルゴリズムの利用も重要である。これは、データ収集装置および計算ユニットである。
【0016】
この方法の有利な発展形態では、結果データとして、作業過程の特性値を計算して機械制御部に伝送するように構成されている。システムのこの有効な利用では、制御ループにより、作業ユニットによって実行される作業過程の自動的な改善が可能になる。
【0017】
この方法は、アルゴリズムの容易に実行される適合化によって改善され、第1アルゴリズムを変更するために、または第2アルゴリズムを設定するために計算ユニットにプログラムデータを伝送する。これは、VPNトンネルを介する接続によって、またはプログラムデータが供給されるコンピュータとの直接の接続によって行われる。
【0018】
この際に有利であるのは、第1ステップにおいて新たなプログラムデータを計算ユニットのメモリにロードする場合であり、第2ステップにおいて計算ユニットの再スタートの後、新たなプログラムデータをアクティブ化する場合である。この2ステップ更新プロセスによって、場合によっては誤りを有するプログラムデータによりシステム故障が生じないことが保証される。新たなプログラムは、再スタートの後にはじめて起動されるため、計算ユニット(プロセッサ)は常に定められた状態にある。
【0019】
VPNトンネルを介して、またはオフライン接続を介して、計算ユニットから外部コンピュータに結果データを伝送することが合理的である。したがって、データを、後続処理のために一元的にまたは分散されて利用可能であり、多様な仕方で後に利用可能であり、またアーカイブ可能である。
【0020】
以下では、添付の図面を参照して、例示的に本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】軌道工事機械を示す図である。
図2】システムのブロック図である。
図3】プログラムデータの処理を示す図である。
図4】センサデータおよび結果データの処理を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
システムは、例示的に、軌道2を処理するための軌道工事機械1として突固め機を備えている。このような軌道工事機械1は、作業ユニット3としてタンピングユニットおよび持ち上げおよび軌道整正ユニットを有している。補足的に、スタビライジングユニットが、作業ユニット3として配置されていてよい。作業ユニット3は、機械制御部4によって駆動制御される。さらに、軌道工事機械1は、軌道2の実際状態を収集するための測定システム5を有している。
【0023】
タンピングユニットとして構成された作業ユニット3を監視するために、センサ6が配置されている。例示的なセンサ6は、同じ出願人のオーストリア国特許出願第A290/2018号明細書に記載されている。タンピングユニットまたは別の作業ユニット3に取り付けられるセンサ6により、個々のユニットコンポーネントに作用する加速度および/または力が測定される。ユニット3の状態を監視するために、温度測定も目的にかない得る。
【0024】
それぞれのセンサ6によってセンサ信号Sが生成され、これらのセンサ信号Sは、データ収集モジュール7(DAQ、Data Acquisition Modul)によって検出されてセンサデータSとして後続処理される。このために、データ収集モジュール7は計算ユニット8に接続されている。この計算ユニット8には、センサデータSから結果データEを計算するために、第1アルゴリズムP(プログラム)が設定されている。これらの結果データEは、作業ユニット3によって実行される作業過程を評価するために、または処理された軌道2の性質を評価するために使用される。このために、結果データEには対応する特性値が含まれている。
【0025】
有利には、計算ユニット8とデータ収集モジュール7とは、マスタ・スレーブアーキテクチャで相互接続されている。データ収集モジュール7には、例えば、それぞれのチャネルにセンサ信号Sが供給される12個~16個のチャネルを備えた複数のDAQユニットが含まれている。データ収集モジュール7は、後続処理用にセンサデータSを高い時間分解能で生成するために、数キロヘルツの領域の高いサンプリングレートでセンサ信号Sを検出する。
【0026】
これに対し、純粋な監視機能には、より低い分解能のセンサデータSで十分である。一般には、ユニットコンポーネントの摩耗経過を追跡して、起こり得る保全手段を見積もるために、単位時間あたりに(例えば、1Hzのサンプリングレート)数個のセンサデータSが必要である。したがって、専用のデータ収集ユニット9を備えた別々のデータ処理部が監視機能用に設けられることが合理的である。監視装置10は、さらに別のコンポーネント、例えば、マイクロプロセッサ11と、計算機ネットワーク(クラウド)13に監視データUを伝送するためのモデム12とを備えている。このような監視装置10は、同じ出願人のオーストリア国特許出願公開第520698号明細書に記載されている。
【0027】
監視装置10のモデム12または別体のモデムが、計算ユニット8によって生成される結果データEを伝送するためにも利用されることは、合理的である。このようにして、結果データEと、必要に応じて一緒に伝送されるセンサデータSとが、計算機ネットワーク13において一元的に利用可能になる。例えば、安全なオンラインアプリケーション(Web-App)を用いて、ネットワーク接続によってコンピュータ14にデータS,Eを表示し、後続処理することができる(Web-Access)。
【0028】
軌道工事機械1には、計算ユニット8として、例えば高性能Linux(登録商標)サーバが含まれている。これによって、高いサンプリングレートで収集される信号データSをリアルタイムで処理することが可能になる。いずれにしても、結果データEのリアルタイム計算を保証するために、データ収集モジュール7のサンプリングレートと、計算ユニット8の計算性能とを互いに調整することが合理的である。これにより、軌道工事機械1において、作業過程のさまざまな特徴的な特性量を直接に特定可能である。
【0029】
さらに、CPU能力が先進の数学的なアルゴリズムの処理にも利用可能であるような仕方で計算ユニット8が構成されると有利である。これらの数学的なアルゴリズムは、機械部分の状態評価のための、また作業パラメータを適合化するためのモデルおよび計算アルゴリズムである。計算ユニット8に設定されるすべてのアルゴリズムは、タスクT,T,T(プロセス)として実行される。具体的には、計算ユニット8では、連携的に個々のタスクT,T,Tを開始しかつ起動するマスタアプリケーションMが動作する(図3)。
【0030】
計算機ネットワーク13へのセンサデータSおよび結果データEの伝送に加えてまたはこれに替えて、計算ユニット8に接続されている記憶装置15にこれらのデータS,Eが記憶される。例えば、計算ユニット8には専用のプロセッサ(サーバ)が実装されており、このプロセッサは、さまざまなシステム変数を結び付け、記憶装置15のマスストレージに所望のデータS,Eを格納する。記憶されたデータS,Eは、例えば、軌道工事機械1の修正中に、データインタフェース16を介してコンピュータ14に伝送可能である。
【0031】
図2に示した実施の変化形態では、システムは、プログラムデータとデータベース18とを照合する通信手段17を備えている。例えば、計算ユニット8に接続されているVPNルータがこのために設けられている。このようにして、センサデータSおよび結果データEを、VPNトンネル19を介して伝送することも可能である。
【0032】
有利には、VPNトンネル19は、計算ユニット8のソフトウェアアップデートにも利用される(図3)。このために、起動されたタスクTは、データベース18に新たなアルゴリズムが準備されているか否かをチェックする。例えば、このために、実行中のタスクT,Tの最新のバージョンとの照合が行われる。必要に応じて、変更されたアルゴリズムPまたは新たなアルゴリズムPがVPNトンネル19を介してロードされコンパイルされて、タスクリストTに入れられる。計算ユニット8の再スタートにより、新たなタスクが開始されて処理される。
【0033】
このようなアップデートは、これまで注意が払われていなかった、軌道工事機械1における経過を解析するためにも利用可能である。この際にはまず、解析対象の問題に適合させた新たなアルゴリズムPが計算ユニット8にロードされてコンパイルされる。例えば、設定されたイベントが発生した場合、対応するタスクTにより、選び出されたいくつかのセンサ6のセンサデータSが、記憶装置15に書き込まれる。十分な収集持続時間の後、収集されたデータS,Eは、計算機ネットワーク13にアップロードされて解析される。
【0034】
システムの発展形態が図4に示されている。作業ユニット3は、さまざまなセンサ6によって監視される。データ収集モジュール7を介して、これらのセンサ6および軌道工事機械1に配置された別のセンサ6(慣性測定ユニット、レーザ切断センサ、液圧式圧力測定器など)により、計算ユニット8にセンサデータSが供給される。さまざまなアルゴリズムP,P,Pを用いて、ここから、制御に関連する特性量が結果データEとして計算される。それぞれの特性値は、機械制御部4に戻されて記憶され、これにより、結果的に作業プロセスへのアクティブな介入が行われる。
【0035】
このために、機械制御部4(軌道工事機械1の制御システム)は、複数の分散サブシステム21を連携させる中央制御部20を備えている。これは、例えば、振動生成のための偏心体駆動装置の回転数設定用のサブシステム21、タンピングユニットのタンピングタイン開口幅用のサブシステム21、タンピングツールのための穿通自動装置用のサブシステム21およびユニット位置決め用のサブシステム21である。
【0036】
したがって、影響を受ける作業過程の物理量が検出されて測定される。検出される量はデータストリームとして計算ユニット8に供給され、すべてのタスクT,T,Tは、これらのセンサデータSへの全体的なアクセスを有している。タスクT,T,Tを実行する際には、作業過程の特徴的な特性量が特定される。これらの特性量は引き続いて、サブシステム21に最適な作業パラメータを設定するために、中央制御部20にフィードバックされる。これにより、制御システムのレベルにおける、観察ベースの制御器を有する上位の制御ループが構成される。
【0037】
有利な発展形態では、最適な作業パラメータの計算が計算ユニット8において直接に行われる。このために、計算ユニット8には、対応するアルゴリズムP,P,Pが設定される。中央制御部20には、新たに計算された作業パラメータが設定される。したがって、機械制御部4それ自体ではパラメータ計算は行われない。こうして、機械制御部4に適用される安全性についての要求は、影響を受けることがない。
【0038】
タンピングユニットを用いるマルチプルタンピングの例で、新たな作業パラメータの設定を詳細に説明する。マルチプルタンピングでは、バラスト締固めを改善するために、振動するタンピングツールが、同じ箇所に複数回、バラスト道床に沈下させられてスクイーズされる。
【0039】
パラメータ最適化のため、まず比較的長い観察時間にわたってセンサデータSが収集される。例えば、タンピングユニットのスクイーズシリンダの押圧力およびストロークが記録される。記録されるタンピングサイクル毎に、特徴的な特性量が計算され、この特性量が次のステップにおいて基本データとして使用される。
【0040】
本発明のシステムによって収集されるベースデータは、予測モデルをトレーニングするためにオフラインで利用可能である。具体的には、記録されたデータおよびそれぞれの目標変数(1つのタンピングサイクルあたりのタンピング過程の回数)がトレーニングデータとして使用される。トレーニングされた予測モデルは、目標変数の予測を可能にする新たなアルゴリズムPに対応する。
【0041】
テストおよび検証により、新たなアルゴリズムPをさらに改善可能である。使用されるテストデータは、前に利用されたトレーニングデータとは異なる。目標変数の予測は、予測モデルの品質を評価するために、設定された目標値に調整される。必要に応じて、予測品質を改善するために、アルゴリズムPに再度、トレーニングステップを受けさせる。
【0042】
作成されたアルゴリズムPにより、それぞれの作業パラメータ(目標変数)の設定が軌道工事機械1において直接にリアルタイムに行われる。タンピングツールがバラスト道床に突入する際にすでに、センサ6により、バラスト道床の性質についての特性量を計算するための有益なセンサデータSが供給される。いずれにせよ、最初のタンピング過程の終了時には、確かな結果データEを計算するために十分なセンサデータSが得られる。この実施例では、所望の締固めを達成するために、同じ箇所にさらなるタンピング過程が必要であるか否かについて、結果データEがリアルタイムに機械制御部4に設定される。
【0043】
本発明のシステムの別の利点は、相前後して配置される複数のタンピングユニットを備えたマルチまくらぎタンピングユニットにおいて得られる。これらのタンピングユニットは、複数のまくらぎを同時にタンピングするために、一緒にバラスト道床に沈降させられる。ここでは、個々のタンピングユニットを別々に駆動制御するために、リアルタイムに収集されて処理されるセンサデータSが利用される。具体的には、タンピングツールを穿通させる際に特定されるバラスト道床の性質が、異なるスクイーズ圧力の設定に使用される。必要に応じて、個々のタンピングユニットには、異なるスクイーズ時間も設定される。すなわち、複数のまくらぎにわたって同時にタイピングする際には、時として、出発状態においてそれぞれのまくらぎの下で、バラスト道床が異なるバラスト締固めを有しているという問題が発生する。
【0044】
それぞれのタンピングユニットに対し、対応付けられたセンサデータSから計算される特性値は、すでに穿通過程中に、バラスト道床の該当する箇所におけるそれぞれの締固め度を示している。それぞれの2次的な制御には、対応するアルゴリズムPにより、適合されたスクイーズ圧力が、または必要に応じて適合されたスクイーズ持続時間が設定される。すでに締固め度が高い箇所では、スクイーズ圧力およびスクイーズ時間を減少させることにより、タンピングエネルギを減少させてバラスト道床に入れられる。しかしながら、締固め度が少ない穿通箇所では、高い圧力およびより長い持続時間でスクイーズが行われる。これにより、マルチプルタンピングユニットによって処理される道床区間にわたり、バラストの均一な締固めが行われる。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】