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特表2023-521651顕微鏡システムのためのおよび変換関数を決定するためのシステム、方法およびコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-25
(54)【発明の名称】顕微鏡システムのためのおよび変換関数を決定するためのシステム、方法およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G02B 21/36 20060101AFI20230518BHJP
   G02B 21/00 20060101ALI20230518BHJP
   G01N 21/64 20060101ALI20230518BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20230518BHJP
【FI】
G02B21/36
G02B21/00
G01N21/64 E
G06T1/00 510
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022560053
(86)(22)【出願日】2021-03-08
(85)【翻訳文提出日】2022-11-30
(86)【国際出願番号】 EP2021055724
(87)【国際公開番号】W WO2021197763
(87)【国際公開日】2021-10-07
(31)【優先権主張番号】20167604.6
(32)【優先日】2020-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516114695
【氏名又は名称】ライカ インストゥルメンツ (シンガポール) プライヴェット リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Leica Instruments (Singapore) Pte. Ltd.
【住所又は居所原語表記】12 Teban Gardens Crescent, Singapore 608924, Singapore
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ゲオルゲ テメリス
(72)【発明者】
【氏名】トビアス ヴィルケン
【テーマコード(参考)】
2G043
2H052
5B057
【Fターム(参考)】
2G043AA03
2G043AA04
2G043CA05
2G043DA02
2G043EA01
2G043FA01
2G043FA02
2G043JA03
2G043KA01
2G043KA02
2G043KA05
2G043LA03
2H052AA09
2H052AD34
2H052AF14
2H052AF25
5B057BA02
5B057CA02
5B057CA08
5B057CA12
5B057CA16
5B057CB01
5B057CB08
5B057CB12
5B057CB16
5B057CC01
5B057CE16
(57)【要約】
本例は、顕微鏡システムのためのおよび変換関数を決定するためのシステム、方法およびコンピュータプログラム、ならびに対応する顕微鏡システムに関する。顕微鏡システムのためのシステムは、1つまたは複数のプロセッサと、1つまたは複数のストレージデバイスと、を含む。本システムは、顕微鏡システムの顕微鏡の第1の撮像センサからの第1の撮像センサデータと、顕微鏡の第2の撮像センサからの第2の撮像センサデータと、を取得するように構成されている。第1の撮像センサデータは、第1の複数の相互に分離された波長帯域で感知された光に基づくセンサデータを含む。第2の撮像センサデータは、第2の複数の相互に分離された波長帯域で感知された光に基づくセンサデータを含む。第1の複数の相互に分離された波長帯域または第2の複数の相互に分離された波長帯域の波長帯域は、蛍光撮像のために使用される波長帯域である。本システムは、第1の撮像センサデータに基づきかつ第2の撮像センサデータに基づく合成カラー画像を生成するように構成されている。この合成カラー画像は、複数のカラーチャネルに基づいている。この合成カラー画像は、撮像センサデータと合成カラー画像との間で実行される変換を定義する変換関数を使用して生成されており、それにより、この合成カラー画像は、第1および第2の複数の相互に分離された波長帯域の各波長帯域で感知された光に基づくセンサデータを使用して生成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
顕微鏡システム(100)のためのシステム(110)であって、
前記システム(110)は、1つまたは複数のプロセッサ(114)と、1つまたは複数のストレージデバイス(116)と、を含み、
前記システムは、前記顕微鏡システムの顕微鏡(120)の第1の撮像センサ(122)からの第1の撮像センサデータと、前記顕微鏡の第2の撮像センサ(124)からの第2の撮像センサデータと、を取得するように構成され、前記第1の撮像センサデータは、第1の複数の相互に分離された波長帯域で感知された光に基づくセンサデータを含み、前記第2の撮像センサデータは、第2の複数の相互に分離された波長帯域で感知された光に基づくセンサデータを含み、前記第1の複数の相互に分離された波長帯域または前記第2の複数の相互に分離された波長帯域の波長帯域は、蛍光撮像のために使用される波長帯域であり、
前記システムは、前記第1の撮像センサデータに基づきかつ前記第2の撮像センサデータに基づく合成カラー画像を生成するように構成され、前記合成カラー画像は、複数のカラーチャネルに基づくものであり、
前記合成カラー画像は、前記撮像センサデータと前記合成カラー画像との間で実行される変換を定義する変換関数を使用して生成され、それにより、前記合成カラー画像は、前記第1および第2の複数の相互に分離された波長帯域の各波長帯域で感知された光に基づくセンサデータを使用して生成される、
システム(110)。
【請求項2】
前記変換は、波長帯域で感知された光に基づく前記撮像センサデータと前記合成カラー画像のカラーチャネルとの間で実行される変換を各々定義する変換係数のセットに基づいている、
請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記変換係数のセットは、波長帯域とカラーチャネルとの各組み合わせに対する1つの変換係数を含み、かつ/または、前記変換係数のセットは、前記第1および第2の複数の相互に分離された波長帯域の各波長帯域の前記撮像センサデータと、前記合成カラー画像の各カラーチャネルと、の間の変換を提供する、
請求項2記載のシステム。
【請求項4】
前記合成カラー画像は、3つのカラーチャネルを含み、前記カラーチャネルの各々は、前記第1および第2の複数の相互に分離された波長帯域の各波長帯域の前記撮像センサデータの変換に基づいて生成され、前記変換は、前記変換関数を使用して実行される、
請求項1から3までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項5】
前記変換関数は、変換行列によって実装され、前記システムは、前記変換行列を使用して、前記第1および第2の複数の相互に分離された波長帯域の各波長帯域の前記撮像センサデータを変換するよう構成されている、
請求項1から4までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項6】
前記システムは、ディスプレイ(140)に前記合成カラー画像を表示させるために、前記システム(110)のインターフェース(112)を使用して前記顕微鏡システムの前記ディスプレイに表示信号を提供するように構成されている、
請求項1から5までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項7】
変換関数を決定するためのシステム(310)であって、
前記システムは、1つまたは複数のプロセッサ(314)と、1つまたは複数のストレージデバイス(316)と、を含み、
前記システムは、顕微鏡(120)の第1の撮像センサ(122)からの基準対象物(300)の第1の撮像センサデータと、前記顕微鏡の第2の撮像センサ(124)からの前記基準対象物の第2の撮像センサデータと、を取得するように構成され、前記第1の撮像センサデータは、第1の複数の相互に分離された波長帯域で感知された光に基づくセンサデータを含み、前記第2の撮像センサデータは、第2の複数の相互に分離された波長帯域で感知された光に基づくセンサデータを含み、前記第1の複数の相互に分離された波長帯域または前記第2の複数の相互に分離された波長帯域の波長帯域は、蛍光撮像のために使用される波長帯域であり、
前記システムは、前記基準対象物の合成基準画像を取得するように構成され、前記合成基準画像は、複数のカラーチャネルを含み、
前記システムは、前記第1および第2の複数の相互に分離された波長帯域の各波長帯域の前記撮像センサデータと、前記合成基準画像の各カラーチャネルと、の間の近似変換を提供する変換係数のセットを決定することによって前記変換関数を決定するように構成され、前記変換関数は、前記変換係数のセットに基づく、
システム(310)。
【請求項8】
前記システムは、前記合成基準画像と、前記変換係数のセットに基づいて生成された変換画像と、の間の不一致が、少なくとも1つの他の変換係数のセットよりも低くなる変換係数のセットを識別するように構成されている、
請求項7記載のシステム。
【請求項9】
前記基準画像の前記合成基準画像は、前記基準対象物の複数の部分の複数のカラーを定め、前記複数のカラーは、予め定められた第1のサブセットカラーと、第2のサブセットカラーと、を含み、前記システムは、前記合成基準画像と、前記変換係数のセットに基づいて生成された変換画像と、の間の不一致が、前記予め定められた第1のサブセットカラーについての少なくとも1つの他の変換係数のセットよりも低くなる変換係数のセットを識別するように構成されている、
請求項8記載のシステム。
【請求項10】
前記予め定められた第1のサブセットカラーは、外科用設定における有機組織の色として存在するカラーである、
請求項9記載のシステム。
【請求項11】
前記システムは、少なくとも1つの他の変換係数のセットと比較して、前記合成基準画像間の不一致を表す不一致値を低減する変換係数のセットを識別するように構成されており、前記不一致値は、前記複数のカラーの色について計算されており、前記予め定められた第1のサブセットカラーの色についての不一致は、前記不一致値上で、前記第2のサブセットカラーの色についての不一致よりも高い影響力を有する、
請求項9または10記載のシステム。
【請求項12】
請求項1から6までのいずれか1項記載のシステム(110)と、前記第1および第2の撮像センサ(122,124)を有する前記顕微鏡(120)と、を含む顕微鏡システム(100)であって、
前記第1および第2の撮像センサの一方は、前記顕微鏡システムの蛍光撮像機能を提供するように適合化された撮像センサである、
顕微鏡システム(100)。
【請求項13】
顕微鏡システムのための方法であって、前記方法は、
前記顕微鏡システムの顕微鏡の第1の撮像センサからの第1の撮像センサデータと、前記顕微鏡の第2の撮像センサからの第2の撮像センサデータと、を取得するステップ(210)であって、前記第1の撮像センサデータは、第1の複数の相互に分離された波長帯域で感知された光に基づくセンサデータを含み、前記第2の撮像センサデータは、第2の複数の相互に分離された波長帯域で感知された光に基づくセンサデータを含み、前記第1の複数の相互に分離された波長帯域または前記第2の複数の相互に分離された波長帯域の波長帯域は、蛍光撮像のために使用される波長帯域であるステップ(210)と、
前記第1の撮像センサデータに基づきかつ前記第2の撮像センサデータに基づく合成カラー画像を生成するステップ(220)であって、前記合成カラー画像は、複数のカラーチャネルに基づくものであるステップ(220)と、
を含み、
前記合成カラー画像は、前記撮像センサデータと前記合成カラー画像との間で実行される変換を定義する変換関数を使用して生成され、それにより、前記合成カラー画像は、前記第1および第2の複数の相互に分離された波長帯域の各波長帯域で感知された光に基づくセンサデータを使用して生成される、
方法。
【請求項14】
変換関数を決定するための方法であって、前記方法は、
顕微鏡の第1の撮像センサからの基準対象物の第1の撮像センサデータと、前記顕微鏡の第2の撮像センサからの前記基準対象物の第2の撮像センサデータと、を取得するステップ(410)であって、前記第1の撮像センサデータは、第1の複数の相互に分離された波長帯域で感知された光に基づくセンサデータを含み、前記第2の撮像センサデータは、第2の複数の相互に分離された波長帯域で感知された光に基づくセンサデータを含み、前記第1の複数の相互に分離された波長帯域または前記第2の複数の相互に分離された波長帯域の波長帯域は、蛍光撮像のために使用される波長帯域であるステップ(410)と、
前記基準対象物の合成基準画像を取得するステップ(420)であって、前記合成基準画像は、複数のカラーチャネルを含むステップ(420)と、
前記第1および第2の複数の相互に分離された波長帯域の各波長帯域の前記撮像センサデータと、前記合成基準画像の各カラーチャネルと、の間の近似変換を提供する変換係数のセットを決定することによって変換関数を決定するステップ(430)であって、前記変換関数は、前記変換係数のセットに基づくものであるステップ(430)と、
を含む方法。
【請求項15】
コンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラムは、プロセッサ上で実行されるときに、請求項13または14記載の少なくとも1つの方法を実行するためのプログラムコードを有する、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本例は、顕微鏡システムのためのおよび変換関数を決定するためのシステム、方法およびコンピュータプログラム、ならびに対応する顕微鏡システムに関する。
【背景技術】
【0002】
外科医は、疑わしい組織(例えば病変など)を区別するために、組織(例えば脳組織など)の色を使用することがよくある。しかしながら、多くの場合、組織の微妙な色の違いは、長年の経験と訓練された眼力とを備えた外科医にしか見えず、その習得は困難である。マルチスペクトル反射率撮像では、非常に小さなスペクトル差の測定を用いて、非常に小さい色差、あるいは視認不能な色差さえも捕捉することができる。ただし、マルチスペクトル撮像の既知の概念については、最新の顕微鏡の複数のセンサに加えて、追加のハードウェアが必要になる場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
異なるタイプの組織間の微妙な違いが見えるカラー画像を提供するための改善された概念の要望が存在し得る。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この要望は、独立請求項の主題によって解決される。
【0005】
本開示の実施形態は、主に蛍光撮像を実行するために使用される撮像センサからの撮像センサデータと、主に反射撮像のために使用される撮像センサからの撮像センサデータと、を組み合わせることによって、マルチスペクトル撮像を行うことができるという、発見に基づいている。したがって、本開示の実施形態は、顕微鏡システムのためのシステムを提供する。本システムは、1つまたは複数のプロセッサと、1つまたは複数のストレージデバイスと、を含む。本システムは、顕微鏡システムの顕微鏡の第1の撮像センサからの第1の撮像センサデータと、顕微鏡の第2の撮像センサからの第2の撮像センサデータと、を取得するように構成されている。第1の撮像センサデータは、第1の複数の相互に分離された波長帯域で感知された光に基づくセンサデータを含む。第2の撮像センサデータは、第2の複数の相互に分離された波長帯域で感知された光に基づくセンサデータを含む。第1の複数の相互に分離された波長帯域または第2の複数の相互に分離された波長帯域の波長帯域は、蛍光撮像のために使用される波長帯域である。本システムは、第1の撮像センサデータに基づきかつ第2の撮像センサデータに基づく合成カラー画像を生成するように構成されている。この合成カラー画像は、複数のカラーチャネルに基づくものである。この合成カラー画像は、撮像センサデータと合成カラー画像との間で実行される変換を定義する変換関数を使用して生成されており、それにより、この合成カラー画像は、第1および第2の複数の相互に分離された波長帯域の各波長帯域で感知された光に基づくセンサデータを使用して生成されている。
【0006】
本開示の実施形態は、第1および第2の撮像センサを有するシステムおよび顕微鏡を含む顕微鏡システムをさらに提供する。第1および第2の撮像センサの一方は、顕微鏡システムの蛍光撮像機能を提供するように適合化された撮像センサである。
【0007】
撮像センサデータの2つのセットの使用を通じて、より正確な変換関数をカラー画像の構築のために使用することができ、したがって、これは、異なるタイプの組織間の微妙な違いを示すことができる。同時に、蛍光撮像センサを反射率撮像のために再利用することは、顕微鏡システムに付加的なセンサを含ませる必要性を生じさせないアプローチの使用を可能にさせることができる。
【0008】
さまざまな実施形態では、変換は、波長帯域で感知された光に基づく撮像センサデータと合成カラー画像のカラーチャネルとの間で実行される変換を各々定義する変換係数のセットに基づいている。例えば、変換係数のセットは、波長帯域の1つで測定された光の強度とカラーチャネルとの間で1対1の変換を提供する。
【0009】
例えば、変換係数のセットは、波長帯域およびカラーチャネルの各組み合わせについて1つの変換係数を含むことができる。したがって、1対1の変換は、例えば行列の乗法を使用して適用されてもよい。換言すれば、変換係数のセットは、第1および第2の複数の相互に分離された波長帯域の各波長帯域の撮像センサデータと、合成カラー画像のカラーチャネルの各々と、の間の変換を提供することができる。
【0010】
例えば、合成カラー画像は、3つのカラーチャネル(例えば、赤、緑および青)を含むことができる。これらのカラーチャネルの各々は、第1および第2の複数の相互に分離された波長帯域の各波長帯域の撮像センサデータの変換に基づいて生成されてよい。変換は、変換関数を使用して実行されてよい。これらのカラーチャネルの各々の波長帯域の各々の撮像センサデータを使用することにより、微妙な色の違いでさえも合成色画像に含まれる場合がある。
【0011】
さまざまな実施形態では、変換関数は、変換行列によって実装されてよい。システムは、変換行列を使用して、第1および第2の複数の相互に分離された波長帯域の各波長帯域の撮像センサデータを変換するように構成されてよい。変換行列は、変換関数の計算による効率的な実装を提供する。
【0012】
さまざまな実施形態では、システムは、ディスプレイに合成カラー画像を表示させるために、システムのインターフェースを使用して顕微鏡システムのディスプレイに表示信号を提供するように構成されている。したがって、合成カラー画像は、顕微鏡システムのユーザーに、例えば外科医に示されてよい。
【0013】
本開示の実施形態は、変換関数を決定するためのシステムをさらに提供する。本システムは、1つまたは複数のプロセッサと、1つまたは複数のストレージデバイスと、を含む。本システムは、顕微鏡の第1の撮像センサからの基準対象物の第1の撮像センサデータと、顕微鏡の第2の撮像センサからの基準対象物の第2の撮像センサデータと、を取得するように構成されている。第1の撮像センサデータは、第1の複数の相互に分離された波長帯域で感知された光に基づくセンサデータを含む。第2の撮像センサデータは、第2の複数の相互に分離された波長帯域で感知された光に基づくセンサデータを含む。第1の複数の相互に分離された波長帯域または第2の複数の相互に分離された波長帯域の波長帯域は、蛍光撮像に使用される波長帯域である。本システムは、基準対象物の合成基準画像を取得するように構成されている。この合成基準画像は、複数のカラーチャネルを含む。本システムは、第1および第2の複数の相互に分離された波長帯域の各波長帯域の撮像センサデータと、合成基準画像の各カラーチャネルと、の間の近似変換を提供する変換係数のセットを決定することによって変換関数を決定するように構成されている。この変換関数は、変換係数のセットに基づいている。撮像センサデータの2つのセットの使用を通じて、より正確な変換関数をカラー画像の構築のために使用することができ、したがって、これは、異なるタイプの組織間の微妙な違いを示すことができる。
【0014】
いくつかの実施形態では、システムは、合成基準画像と、変換係数のセットに基づいて生成された変換画像と、の間の不一致が、少なくとも1つの他の変換係数のセットよりも低くなる変換係数のセットを識別するように構成されている。換言すれば、システムは、合成基準画像と変換画像との間の不一致を低減する変換係数を反復的に探索するように構成されてよい。
【0015】
例えば、基準画像の合成基準画像は、基準対象物の複数の部分の複数のカラーを定めることができる。これらの複数のカラーは、予め定められた第1のサブセットカラーと、第2のサブセットカラーと、を含むことができる。システムは、合成基準画像と、変換係数のセットに基づいて生成された変換画像と、の間の不一致が、予め定められた第1のサブセットカラーについての少なくとも1つの他の変換係数のセットよりも低くなる変換係数のセットを識別するように構成されてよい。換言すれば、特に関心がもたれる可能性のある第1のサブセットカラーについての不一致を低減させる変換係数が識別されてもよい。例えば、予め定められた第1のサブセットカラーは、外科用設定における有機組織の色として存在するカラーであってよい。第1のサブセットカラーにおける、他の色よりも向上した鮮鋭さは、より有益になる可能性がある。
【0016】
さまざまな実施形態では、システムは、少なくとも1つの他の変換係数のセットと比較して、合成基準画像間の不一致を表す不一致値を低減する変換係数のセットを識別するように構成されている。この不一致値は、複数のカラーの色について計算されてよい。予め定められた第1のサブセットカラーの色についての不一致は、不一致値上で、第2のサブセットカラーの色についての不一致よりも高い影響力を有することができる。したがって、第1のサブセットカラーは、変換係数の決定において、他の色よりも高い重み付けを受容することができる。
【0017】
本開示の実施形態は、顕微鏡システムのための方法をさらに提供する。本方法は、顕微鏡システムの顕微鏡の第1の撮像センサからの第1の撮像センサデータと、顕微鏡の第2の撮像センサからの第2の撮像センサデータと、を取得するステップを含む。第1の撮像センサデータは、第1の複数の相互に分離された波長帯域で感知された光に基づくセンサデータを含む。第2の撮像センサデータは、第2の複数の相互に分離された波長帯域で感知された光に基づくセンサデータを含む。第1の複数の相互に分離された波長帯域または第2の複数の相互に分離された波長帯域の波長帯域は、蛍光撮像のために使用される波長帯域である。本方法は、第1の撮像センサデータに基づきかつ第2の撮像センサデータに基づく合成カラー画像を生成するステップを含む。合成カラー画像は、複数のカラーチャネルに基づく。合成カラー画像は、撮像センサデータと合成カラー画像との間で実行される変換を定義する変換関数を使用して生成され、それにより、合成カラー画像は、第1および第2の複数の相互に分離された波長帯域の各波長帯域で感知された光に基づくセンサデータを使用して生成される。
【0018】
本開示の実施形態は、変換関数を決定するための方法さらに提供する。本方法は、顕微鏡の第1の撮像センサからの基準対象物の第1の撮像センサデータと、顕微鏡の第2の撮像センサからの基準対象物の第2の撮像センサデータと、を取得するステップを含む。第1の撮像センサデータは、第1の複数の相互に分離された波長帯域で感知された光に基づくセンサデータを含む。第2の撮像センサデータは、第2の複数の相互に分離された波長帯域で感知された光に基づくセンサデータを含む。第1の複数の相互に分離された波長帯域または第2の複数の相互に分離された波長帯域の波長帯域は、蛍光撮像のために使用される波長帯域である。本方法は、基準対象物の合成基準画像を取得するステップを含む。合成基準画像は、複数のカラーチャネルを含む。本方法は、第1および第2の複数の相互に分離された波長帯域の各波長帯域の撮像センサデータと、合成基準画像の各カラーチャネルと、の間の近似変換を提供する変換係数のセットを決定することによって変換関数を決定するステップを含む。変換関数は、変換係数のセットに基づいている。
【0019】
本開示の実施形態は、コンピュータプログラムがプロセッサ上で実行されるときに、少なくとも1つの方法を実行するためのプログラムコードを有する、コンピュータプログラムをさらに提供する。
【0020】
以下では、例示的にのみ、添付の図面を参照しながら装置および/または方法のいくつかの例を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1a】顕微鏡システムのためのシステムを示す概略図である。
図1b】本システムを含んだ顕微鏡システムを示す概略図である。
図2】顕微鏡システムのための方法を示すフローチャートである。
図3】変換関数を決定するためのシステムを示す概略図である。
図4】変換関数を決定するための方法を示すフローチャートである。
図5a】画像フレーム内に存在する異なるカラーを示す概略図である。
図5b】異なる周波数帯域で感知された異なるカラーの強度を示す概略図である。
図5c】異なる周波数帯域で感知された異なるカラーの強度を示す概略図である。
図5d】例示的な変換行列を示す図である。
図6】顕微鏡および照光システムを示す概略図である。
図7a】例示的なカラーテーブルを示す概略図である。
図7b】例示的な方程式系を示す図である。
図8】顕微鏡とコンピュータシステムとを含んだ顕微鏡システムを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
ここで、いくつかの例が示されている添付の図面を参照して、さまざまな例をより完全に説明する。これらの図面では、線、層および/または領域の厚さは、明確化のために誇張されている場合がある。
【0023】
図1aおよび図1bは、顕微鏡システム100のためのシステム110および該システム110を含んだ顕微鏡システム100の概略図を示す。このシステム110は、1つまたは複数のプロセッサ114と、1つまたは複数のストレージデバイス116と、を含む。任意選択的に、システムは、インターフェース112をさらに含む。1つまたは複数のプロセッサは、インターフェースに結合され、1つまたは複数のストレージデバイスに結合される。一般に、システムの機能は、1つまたは複数のプロセッサによって、例えば任意選択的なインターフェースまたは1つまたは複数のストレージデバイスに関連して提供される。例えば、システムは、インターフェースを介して撮像センサデータを取得し、かつ/または1つまたは複数のストレージデバイスを使用して変換関数の変換係数を記憶するように構成されてよい。
【0024】
システムは、顕微鏡システムの顕微鏡120の第1の撮像センサ122からの第1の撮像センサデータと、顕微鏡の第2の撮像センサ124からの第2の撮像センサデータと、を取得するように構成されている。第1の撮像センサデータは、第1の複数の相互に分離された波長帯域で感知された光に基づくセンサデータを含む。第2の撮像センサデータは、第2の複数の相互に分離された波長帯域で感知された光に基づくセンサデータを含む。第1の複数の相互に分離された波長帯域または第2の複数の相互に分離された波長帯域の波長帯域は、蛍光撮像のために使用される波長帯域である。システムは、第1の撮像センサデータに基づきかつ第2の撮像センサデータに基づく合成カラー画像を生成するように構成されている。この合成カラー画像は、複数のカラーチャネルに基づいている。合成カラー画像は、撮像センサデータと合成カラー画像との間で実行される変換を定義する変換関数を使用して生成され、それにより、合成カラー画像は、第1および第2の複数の相互に分離された波長帯域の各波長帯域で感知された光に基づくセンサデータを使用して生成される。
【0025】
図1bは、顕微鏡120およびシステム110を含む顕微鏡システムのブロック図を示す。図1bに示されている顕微鏡システムは、外科医によって手術部位で使用されてよい外科用顕微鏡システムである。この図1bに示されている外科用顕微鏡システムは、(回転)スタンドを有するベースユニット105(システム110を含む)、補助ディスプレイ140a、照光システム130、顕微鏡120を適所に保持し、ベースユニット105および顕微鏡120に結合された(ロボット式または手動式)アーム160、ならびに顕微鏡120に取り付けられたステアリングハンドル150などの複数の任意選択的なコンポーネントを含む。第1および第2の撮像センサ122;124に加えて、顕微鏡120は、任意選択的な接眼ディスプレイ140bおよび任意選択的な補助ディスプレイを含むことができる。本出願の文脈において、実際の顕微鏡(光学部品を含む)の一部ではないが、ディスプレイや照光システムなど顕微鏡に関連して使用されるシステムの部分をカバーするために、「(手術用)顕微鏡システム」という用語が使用される。第1および第2の撮像センサの一方は、顕微鏡システムの蛍光撮像機能を提供するように適合化された撮像センサである。
【0026】
本開示のさまざまな実施形態は、顕微鏡システムのためのシステム、方法およびコンピュータプログラムに関する。一般に、顕微鏡は、肉眼(単独)によって検査されるには小さすぎる対象物の検査に適した光学機器である。例えば、顕微鏡は、対象物の光学倍率を提供することができる。最新の顕微鏡では、光学倍率は、多くの場合、カメラまたは図1aの顕微鏡120の第1および第2の撮像センサ122;124などの撮像センサのために提供される。顕微鏡120は、サンプル上の視野を拡大するために使用される1つまたは複数の光学的拡大コンポーネントをさらに含むことができる。
【0027】
顕微鏡にはさまざまなタイプがある。顕微鏡システムが医学的または生物学的分野で使用される場合、顕微鏡を通して視認される対象物は、例えばシャーレ内に配置されるかまたは患者の身体の一部内に存在する有機組織のサンプルであってよい。例えば、顕微鏡システム100は、例えばシャーレ内の有機組織のサンプルを検査するために使用される顕微鏡など実験室で使用するための顕微鏡システムであってもよい。代替的に、顕微鏡120は、例えば手術手順の間に使用される顕微鏡など外科用顕微鏡システム100の一部であってもよい。そのようなシステムは、例えば、図1bに示されている。複数の実施形態が顕微鏡システムに関連して説明されているが、それらもより一般的な手法で任意の光学デバイスに適用されてよい。
【0028】
システムは、顕微鏡の第1および第2の撮像センサ122;124から第1および第2の撮像センサデータを取得するように構成されている。例えば、第1および第2の撮像センサ122;124は、APS(Active Pixel Sensor)またはCCD(Charge-Coupled-Device)ベースの撮像センサを含み得るか、またはそれらであってよい。例えば、APSベースの撮像センサでは、ピクセルの光検出器とアクティブアンプとを使用して各ピクセルで光が記録される。APSベースの撮像センサは、多くの場合、CMOS(相補型金属酸化物半導体)またはS-CMOS(科学的CMOS)技術に基づいている。CCDベースの撮像センサでは、入射光子が、半導体-酸化膜界面で電子電荷に変換され、これらの電子電荷は、その後、撮像実行のために、撮像センサモジュールの制御回路によって撮像センサモジュール内の容量性ビン間で移動される。第1および第2の撮像センサデータは、(例えばインターフェース112を介して)撮像センサから各撮像センサデータを受信することによって、(例えばインターフェース112を介して)各撮像センサのメモリから各撮像センサデータを読み出すことによって、あるいは例えば、撮像センサデータが、各撮像センサによって、または別のシステムもしくはプロセッサによってストレージデバイス116に書き込まれた後で、システム110のストレージデバイス116から各撮像センサデータを読み出すことによって、取得されてよい。
【0029】
第1の撮像センサデータは第1の撮像センサから取得され、第2の撮像センサデータは第2の撮像センサから取得される。換言すれば、第1の撮像センサデータおよび第2の撮像センサデータは、異なるセンサから取得される。したがって、第1の撮像センサは、第2の撮像センサとは異なる。
【0030】
さまざまな実施形態では、既に指摘したように、撮像センサの一方が蛍光撮像のために使用される典型的なセンサであってよい。例えば、蛍光撮像が使用されない場合、各撮像センサは、例えば合成カラー画像の色精度を向上させるべく付加的なセンサデータを提供するために使用されてよい。実施形態は、蛍光顕微鏡検査用に装備された外科用顕微鏡が、2つの撮像システムを有している事実、すなわち、視覚的(反射率)画像を生成するための既知の応答帯域(例えば第1の複数の相互に分離された波長帯域)を備えた一方の撮像システム(これは従来のRGBカメラであり得る)と、特に定義された波長帯域(例えば、フルオレセイン、PPIX(プロトポルフィリンIX)、ICG(インドシアニングリーン)それぞれについて約560nm、630nm、800nmの第2の複数の相互に分離された波長帯域)を備えた蛍光撮像システムとも有している事実を利用することができる。例えば、第2の撮像センサは、顕微鏡システムの蛍光撮像機能を提供するように適合化されてよい。例えば、システムは、顕微鏡120の第1の動作状態では、反射率撮像のために第1の光学撮像センサを使用し、顕微鏡120の第2の動作状態では、蛍光撮像のために第2の光学撮像センサを使用するように構成されてよく、システムは、合成カラー画像を生成することで、反射率撮像の実行のために第1および第2の撮像センサを使用するように構成されてよい。換言すれば、合成カラー画像は、反射率画像であってもよく、すなわち、蛍光撮像に基づくものでなくてもよい。したがって、第2の複数の相互に分離された波長帯域の波長帯域は、蛍光撮像のために使用される波長帯域(すなわち、蛍光撮像に使用される放出波長帯域)であってよい。したがって、第1の複数の相互に分離された波長帯域の波長帯域は、反射率撮像のために使用される波長帯域、すなわち可視カラースペクトル全体にわたる波長帯域であってよい。しかしながら、いくつかの実施形態では、第1の複数の相互に分離された波長帯域は、蛍光撮像に使用されている波長帯域を除外することができる。したがって、第1の複数の相互に分離された波長帯域および第2の複数の相互に分離された波長帯域の波長帯域は、相互に重ならなくてすむ。換言すれば、波長帯域は、第1の複数の相互に分離された波長帯域または第2の複数の相互に分離された波長帯域のいずれかによってカバーされてよい。さまざまな実施形態では、第1および第2の複数の相互に分離された波長帯域の両方が正確に3つの(連続した)波長帯域を含む。
【0031】
一般に、顕微鏡システムは、顕微鏡を通して視認されるサンプルを照明するように構成された照光システム(すなわち照明システム)を含むことができる。実施形態では、照光システムは、照明システムを使用して実行される反射率撮像および蛍光撮像を支援するために使用されてよい。反射率画像である合成カラー画像を生成するために、サンプルは、第1および第2の複数の相互に独立した波長帯域の各々で照明されてよい。したがって、システムは、(例えば第2の動作状態において)サンプルが第1および第2の複数の相互に独立した波長帯域の各々で照明されるように照光システムを制御するように構成されてよい。蛍光撮像が(反射率撮像に加えて)実行される場合、システムは、サンプルが第1の複数の相互に分離された波長帯域の各々で照明されるように(そして第2の複数の相互に分離された波長帯域の波長帯域では照明されないように)、ならびに(第1の複数の相互に分離された波長帯域にまだ含まれていない場合)、サンプルのために使用される蛍光物質の1つまたは複数の励起波長帯域で照明されるように、照光システムを制御するように構成されてもよい。顕微鏡システムでは、放出波長帯域からの光は、照明光から(論理的に)除去されてよく、蛍光カメラにだけ向けられてもよい。システムが顕微鏡検査のために使用されない場合、NIRICG(近赤外線インドシアニングリーン)帯域を含めた蛍光放出帯域または各蛍光放出帯域の反射率撮像からの付加的情報は、より正確な再構成カラー画像の提供のために使用することができる。したがって、照光システムは、放出波長帯域で部位/サンプルを照明するためにシステム110によって動作されてよい。
【0032】
一般に、照光システムによる照明の放出および撮像センサによって感知される波長帯域の両方は、センサまたは照光システムの光路内に取り付けられているフィルタ(例えば、図6のフィルタ620~640参照)によって定義されてよい。例えば、第1の撮像センサの光路内に取り付けられたフィルタは、第1の複数の相互に分離された波長帯域外の波長帯域の光をフィルタで除去するように適合化されたバンドパスフィルタであってよく、例えば、それにより、第1の複数の相互に分離された波長帯域内の波長を有する光(のみ)が、第1の撮像センサに入射する。したがって、第2の撮像センサの光路内に取り付けられたフィルタは、第2の複数の相互に分離された波長帯域外の波長帯域の光をフィルタで除去するように適合化されたバンドパスフィルタであってよく、例えば、それにより、第2の複数の相互に分離された波長帯域内の波長を有する光(のみ)が、第2の撮像センサに入射する。照光システムの光路内に取り付けられたフィルタは、第1および第2の複数の相互に分離された波長帯域の全ての光を通過させるように適合化されてよい。
【0033】
さまざまな実施形態において、図1aおよび/または図1bに示されているように、ビームスプリッタ126は、サンプルによって反射または放出された光を第1および第2の撮像センサに向けるために使用されている。例えば、ビームスプリッタは、所与の波長の光が第1の撮像センサまたは第2の撮像センサのいずれかに向けられるように光を分割するように構成されたポリクロイックミラーであってよい。例えば、ポリクロイックミラーは、第1の複数の相互に分離された波長帯域内の波長を有する光(のみ)を第1の撮像センサに向け、第2の複数の相互に分離された波長帯域内の波長を有する光(のみ)を第2の撮像センサに向けるように適合化されてよい。
【0034】
システムは、第1および第2の撮像センサデータに基づいて合成カラー画像を生成するように構成されている。換言すれば、システムは、2つの撮像センサによって提供される撮像センサデータに基づいてカラー画像を生成するように構成されている。したがって、合成カラー画像は、2つの異なる撮像センサによって提供される撮像センサに基づいて生成されたカラー画像である。例えば、合成カラー画像は、2つの撮像センサからの撮像センサデータを使用することによって生成されるマルチスペクトルカラー画像であってもよく、各センサの撮像センサデータは、複数の相互に分離された波長帯域の光を表す。その結果、合成されたカラー画像は、複数の相互に分離された波長帯域で感知された光に基づいて生成されたマルチスペクトルカラー画像であり、複数の相互に分離された波長帯域は、2つの異なる撮像センサに感知される(例えば、一方は反射率撮像のために使用され、もう一方は反射率および蛍光撮像のために使用される)。例えば、合成カラー画像は、合成カラー画像の色精度を向上させるために、第1および第2の撮像センサデータに基づいて生成されてよい。
【0035】
合成カラー画像は、撮像センサデータと合成カラー画像との間で実行される変換を定義する変換関数を使用して生成される。他のアプローチとは対照的に、変換関数は、第1および第2の複数の相互に分離された波長帯域の各波長帯域で感知された光に基づくセンサデータを使用して合成カラー画像が生成されるように構成されている。換言すれば、第1および第2の複数の相互に分離された波長帯域の全てで感知された光は、例えば、向上された色精度を有する合成カラー画像を取得すべく合成カラー画像を生成するために組み合わされてよい。一般に、変換関数は、一方の第1および第2の撮像センサデータと、他方の合成カラー画像と、の間の変換のために使用される命令のセットと見なしてよい。
【0036】
一般に、第1および第2の撮像センサデータは、それぞれ、各撮像センサの複数のセンサピクセルによって生成される複数のピクセルを含むことができる(例えばデモザイク後)。各撮像センサデータは、複数のピクセルの各ピクセルについて、複数の変調された波長帯域で感知された光を波長帯域によって表す複数の数値を含むことができる。例えば、光が第1および/または第2の撮像センサによって3つの相互に分離された波長帯域で感知される場合、第1および/または第2の撮像センサデータは、3つの相互に分離された波長帯域で感知された光を表すピクセルごとに3つの数値を(それぞれ)含むことができる。第1および第2の撮像センサデータの複数のピクセルは、予め定められた関係であってよい。理想的には、2つの撮像センサの複数のピクセルは、第1の撮像センサデータの各ピクセルが第2の撮像センサデータの対応するピクセルとしてサンプル上の同じ点を表すように生成されてよい。
【0037】
複数のピクセルの各ピクセルについて、システムは、第1の撮像センサデータのピクセルの数値および第2の撮像センサデータの対応するピクセルの数値を変換関数に入力し、合成カラー画像の複数のカラーチャネル内のピクセルを表す数値を計算するように構成されてよい。例えば、第1および第2の複数の相互に分離された波長帯域の両方が3つの波長帯域を含む場合(全部で6つの波長帯域、したがって、6つの波長帯域内の光を表す全部で6つの数値について)、ならびに合成されたカラー画像が3つのカラーチャネル(例えば赤、緑および青)に基づいている場合、変換関数は、撮像センサデータと合成カラー画像のチャネルとの間で実行される全部で18(6×3)の変換を指定することができる。これらの変換は、第1および第2の撮像センサデータの個々のピクセルの数値で乗算することができる乗算係数として定義されてよい。したがって、変換関数は、ある波長帯域で感知された光に基づく撮像センサデータと、合成カラー画像のカラーチャネル(例えば3つのカラーチャネルの1つ)と、の間(すなわち、ピクセルの複数の数値の1つとの間)で実行される変換を各々定義する変換係数のセットに基づいてよい。上記の例では、変換係数のセットは、18個の変換係数を含むことができる。換言すれば、変換係数のセットは、波長帯域(すなわち波長帯域で感知された光を表すピクセルの数値)とカラーチャネル(すなわちピクセルについてのカラーチャネルの数値)との各組み合わせに対して1つの変換係数を含むことができる。例えば、変換係数のセットは、第1および第2の複数の相互に分離された波長帯域の各波長帯域の撮像センサデータと合成カラー画像の各カラーチャネルとの間の変換を提供することができる。変換関数、したがって変換係数のセットは、第1および第2の撮像センサデータの各ピクセルに(別個に)適用されてよい。
【0038】
性能を改善するために、変換関数は、第1および第2の撮像センサデータを含むベクトルで乗算できる行列として定義されてよい。換言すれば、変換関数は、変換行列によって実装されてよい。変換行列のエントリは、変換係数のセットによって定義されてよい。システムは、変換行列を使用して、第1および第2の複数の相互に分離された波長帯域の各波長帯域の撮像センサデータを変換するように構成されてよい。例えば、図5dには、変換行列の例が示されている。
【0039】
既に指摘したように、合成カラー画像は、3つのカラーチャネル、例えば赤チャネル、青チャネルおよび緑チャネル(RGB)を含むことができる。RGBは、カラー画像、例えばディスプレイ上に表示されるカラー画像を表すために頻繁に使用されるチャネルモデルである。合成カラー画像の各カラーチャネルは、第1および第2の複数の相互に分離された波長帯域の各波長帯域の撮像センサデータの変換に基づいて生成されてよい。換言すれば、第1および第2の複数の相互に分離された波長帯域の各々の数値は、各カラーチャネルの数値を計算するために使用されてよい。変換は、例えば上記に示されているように変換関数を使用して実行されてよい。
【0040】
さまざまな実施形態では、システムは、ディスプレイに合成カラー画像を表示させるために、システム110のインターフェース112を使用して顕微鏡システムのディスプレイ140に表示信号を提供するように構成されている。換言すれば、合成カラー画像は、顕微鏡システムのディスプレイ上、例えば顕微鏡システムの接眼ディスプレイ上または顕微鏡システムの補助ディスプレイ上に表示させてよい。
【0041】
インターフェース112は、モジュール内、モジュール間、または異なるエンティティのモジュール間で特定されたコードに従ったデジタル(ビット)値であってよい情報を受信および/または送信するための1つまたは複数の入力側および/または出力側に対応することができる。例えば、インターフェース112は、情報を受信および/または送信するように構成されたインターフェース回路を含むことができる。実施形態では、1つまたは複数のプロセッサ114が、1つまたは複数の処理ユニット、1つまたは複数の処理デバイス、プロセッサなどの処理のための任意の手段、コンピュータ、または相応に適合化されたソフトウェアを用いて動作するプログラマブルハードウェアコンポーネントを使用して実装されてよい。換言すれば、1つまたは複数のプロセッサ114の説明された機能は、同様に、ソフトウェアで実装されてよく、このソフトウェアは、次いで、1つまたは複数のプログラマブルハードウェアコンポーネント上で実行される。そのようなハードウェアコンポーネントは、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、マイクロコントローラなどを含むことができる。少なくともいくつかの実施形態では、1つまたは複数のストレージデバイス116は、例えば、磁気的または光学的記憶媒体、例えばハードディスクドライブ、フラッシュメモリ、フロッピーディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、プログラム可能読み取り専用メモリ(PROM)、消去可能プログラム可能読み取り専用メモリ(EPROM)、電気的消去可能プログラム可能読み取り専用メモリ(EEPROM)、またはネットワークストレージなどのコンピュータ可読記憶媒体のグループの少なくとも1つの要素を含むことができる。
【0042】
システムおよび顕微鏡システムのさらなる詳細および態様は、提案された概念または上記もしくは下記で説明される1つまたは複数の例に関連して言及されている(例えば、図2図8)。システムおよび顕微鏡システムのシステムは、提案された概念の1つまたは複数の態様、または上記もしくは下記で説明される1つまたは複数の例に対応する1つまたは複数の付加的な任意選択的機能を含むことができる。
【0043】
図2は、顕微鏡システムのための対応する方法の一実施形態のフローチャートを示す。本方法は、顕微鏡システムの顕微鏡の第1の撮像センサからの第1の撮像センサデータと、顕微鏡の第2の撮像センサからの第2の撮像センサデータと、を取得するステップ210を含む。第1の撮像センサデータは、第1の複数の相互に分離された波長帯域で感知された光に基づくセンサデータを含む。第2の撮像センサデータは、第2の複数の相互に分離された波長帯域で感知された光に基づくセンサデータを含む。第1の複数の相互に分離された波長帯域または第2の複数の相互に分離された波長帯域の波長帯域は、蛍光撮像のために使用される波長帯域である。本方法は、第1の撮像センサデータに基づきかつ第2の撮像センサデータに基づく合成カラー画像を生成するステップ220を含む。合成カラー画像は、複数のカラーチャネルに基づく。合成カラー画像は、撮像センサデータと合成カラー画像との間で実行される変換を定義する変換関数を使用して生成され、それにより、合成カラー画像は、第1および第2の複数の相互に分離された波長帯域の各波長帯域で感知された光に基づくセンサデータを使用して生成される。
【0044】
上記で示されているように、図1aおよび/または図1bのシステム110および顕微鏡システム100に関連して説明された特徴は、同様に図2の方法に適用されてもよい。
【0045】
本方法のさらなる詳細および態様は、提案された概念または上記もしくは下記で説明される1つまたは複数の例に関連して言及されている(例えば、図1a~図1b、図3図8)。本方法は、提案された概念の1つまたは複数の態様、または上記もしくは下記で説明される1つまたは複数の例に対応する1つまたは複数の付加的な任意選択的機能を含むことができる。
【0046】
図1a~図2は、合成カラー画像の生成における変換関数の適用に関するものであるが、以下の図3および図4は、変換関数の生成に関するものである。したがって、図1a~図2で使用される変換関数は、図3または図4で提示されるシステム、方法および/またはコンピュータプログラムを使用して生成されてよい。
【0047】
図3は、変換関数を決定するためのシステムの概略図を示す。システム310は、1つまたは複数のプロセッサ314と、1つまたは複数のストレージデバイス316と、を含む。任意選択的に、システムは、インターフェース312をさらに含む。1つまたは複数のプロセッサは、インターフェースに結合され、1つまたは複数のストレージデバイスに結合される。一般に、システムの機能は、1つまたは複数のプロセッサによって、例えば任意選択的なインターフェースまたは1つまたは複数のストレージデバイスに関連して提供される。例えば、システムは、インターフェースを介して撮像センサデータを取得し、かつ/または1つまたは複数のストレージデバイスを使用して変換関数の変換係数および/または合成基準画像を記憶するように構成されてよい。
【0048】
システムは、顕微鏡120の第1の撮像センサ122からの基準対象物300の第1の撮像センサデータと、顕微鏡の第2の撮像センサ124からの基準対象物の第2の撮像センサデータと、を取得するように構成されている。第1の撮像センサデータは、第1の複数の相互に分離された波長帯域で感知された光に基づくセンサデータを含み、第2の撮像センサデータは、第2の複数の相互に分離された波長帯域で感知された光に基づくセンサデータを含む。第1の複数の相互に分離された波長帯域または第2の複数の相互に分離された波長帯域の波長帯域は、蛍光撮像のために使用される波長帯域である。システムは、基準対象物の合成基準画像を取得するように構成されている。合成基準画像は、複数のカラーチャネルを含む。システムは、第1および第2の複数の相互に分離された波長帯域の各波長帯域の撮像センサデータと、合成基準画像の各カラーチャネルと、の間の近似変換(すなわち、生成された合成カラー画像と合成基準画像との間の不一致が、別の変換係数のセットを使用してもたらされる不一致よりも小さいか、または閾値よりも小さくなる変換)を提供する変換係数のセットを決定することによって変換関数を決定するように構成されている。この変換関数は、変換係数のセットに基づいている。
【0049】
例えば、図3のシステムは、図1aおよび/または図1bのシステム110と同様に例えば同じシステムによって実装されてよい。したがって、システム110および/またはシステム310は、それぞれの他のシステム310;110の機能性を提供するように構成されてよい。したがって、顕微鏡120は、図1aおよび/または図1bの顕微鏡システム100の顕微鏡120であってよい。したがって、第1および第2の撮像センサデータはまた、図1aおよび/または図1bの第1および第2の撮像センサデータと同様に実装されてもよい。さらに、変換関数は、図1a~図2の変換関数と同様に実装されてよい。
【0050】
本開示のいくつかの実施形態は、変換関数を決定するためのシステム、方法およびコンピュータプログラムに関する。図1a~図2に関連して既に指摘したように、変換関数は、撮像センサデータと、撮像センサデータに基づく合成カラー画像と、の間で実行される変換を定義する。一般に、変換関数は、一方の第1および第2の撮像センサデータと、他方の合成カラー画像と、の間の変換のために使用される命令のセットと見なしてよい。図3および図4に関連して示される実施形態は、合成基準画像を使用し、2つの撮像センサによって提供される撮像センサデータを使用して、そのような変換関数を生成するためのアプローチを提供する。
【0051】
一般に、合成基準画像は、図1aおよび/または図1bに関連して導入された合成カラー画像と同様に実施されてもよく、それはカラー画像であり、複数のカラーチャネルに基づいている(例えば、3つのカラーチャネル-赤、緑、青)。合成基準画像は、個々のピクセルのカラーチャネルを表す数値が基準値、すなわち、基準対象物を示す第1および第2の撮像センサデータに適用されるときに決定される変換関数が提供される数値を定義する値であるという点で、合成カラー画像とは異なってもよい。換言すれば、第1および第2の撮像センサデータは基準対象物を示し、基準合成画像は、第1および第2の撮像センサデータに適用される変換関数の所望の結果である合成カラー画像を示す。好適には、合成基準画像は、個々のピクセルのカラーチャネルを表す対応する予め定められた数値を有する複数の予め定められたカラーを含む。例えば、基準対象物は、カラーチャートまたはカラーテーブル、すなわち合成基準画像の複数のチャネルにおいて各々が所定の表現を有する複数のカラーを示すテーブルであってよい。基準対象物のカラーは、合成基準画像から既知であるので、システムは、撮像センサデータに適用される変換関数の所望の結果として合成基準画像を使用することができる。したがって、システムは、合成カラー画像と合成基準画像との間の差が減少するように、撮像センサデータと合成カラー画像との間で実行される変換を定義する変換係数のセットを識別するように構成されてよい。他のシステムとは対照的に、変換係数のセットは、両方の撮像センサの撮像センサデータについて識別され、したがって、例えば、合成カラー画像と合成基準画像との間の差が他の変換係数のセットと比較して減少するような、例えば、第1の撮像センサデータと合成カラー画像との間の変換を提供するための変換係数の第1のサブセットおよび第1の撮像センサデータと合成カラー画像との間の変換を提供するための変換係数の第2のサブセットが、2倍を超える変換係数となる可能性を有している。換言すれば、システムは、合成基準画像と、変換係数のセットに基づいて生成される変換画像(すなわち合成カラー画像)と、の間の不一致(すなわち差分)が、少なくとも1つの他の変換係数のセットよりも低くなる変換係数のセットを識別するように構成されてよい。例えば、システムは、第1および第2の撮像センサデータと合成基準画像とを使用して方程式のセットを定義し、第1および第2の撮像センサデータと合成基準画像との間の変換を提供する潜在的な変換係数のセットについての方程式のセットを解くことによって、変換係数のセットを決定するように構成されてよい。これは、複数の異なるカラーについて、例えば、基準対象物の複数のカラーについて実行されてよい。
【0052】
例えば、基準対象物は、複数の予め定められたカラー(例えばカラーテーブル)を含むことができ、合成カラー画像は、複数の予め定められたカラーを表す複数の部分を含むことができる。換言すれば、基準画像の合成基準画像は、基準対象物の複数の部分の複数のカラー、例えばカラーテーブルの複数の予め定められたカラーを定義することができる。システムは、複数の(予め定められた)カラーに対する変換係数のセットを決定するように構成されてよく、すなわち複数のカラーの各々について、合成基準画像の複数のチャネルによって表されるようなものとして(予め定められたカラーを)表現する部分の第1および第2の撮像センサデータと、予め定められたカラーと、の間の近似変換を提供する変換係数のセットを識別することによって、複数の(予め定められた)カラーに対する変換係数のセットを決定するように構成されてよい。
【0053】
外科用顕微鏡としての適用では、いくつかのカラーが外科医にとってより有用な場合がある。例えば、いくつかのカラーは病的な組織を示している可能性があるが、病的な組織の色と健康な組織の色との違いが小さい場合もある。いくつかの実施形態では、これらのカラーは、変換係数のセットの決定において優先度を伴って扱われてよい。例えば、複数の(予め定められた)カラーは、予め定められた第1のサブセットカラーおよび第2のサブセットカラーを含むことができる。例えば、予め定められた第1のサブセットカラーは、顕微鏡の特定の用途にとって重要であるものとして予め定められたカラーであってよい。第2のサブセットカラーは、他のカラー、すなわち顕微鏡の特定の用途にとって重要でないカラーであってよい。例えば、予め定められた第1のサブセットカラーは、外科用設定における有機組織の色として存在するカラー、例えば、健康な組織または病的な組織を示す色であってよい。第2サブセットカラーの色は、健康な組織または病的な組織の識別において関連性の薄い色であってよい。したがって、システムは、合成基準画像と、変換係数のセットに基づいて生成された変換画像と、の間の不一致が、予め定められた第1のサブセットカラーについての少なくとも1つの他の変換係数のセットよりも低くなる変換係数のセットを識別するように構成されてよい。いくつかの実施形態では、第2のサブセットカラーは、変換係数のセットの識別において考慮されない場合がある。しかしながら、いくつかの他の実施形態では、予め定められた第1のサブセットカラーよりも低い優先度または重み付けを伴わせるものではあるが、第2のサブセットカラーが考慮される場合がある。換言すれば、システムは、少なくとも1つの他の変換係数のセットと比較して、合成基準画像間の不一致を表す不一致値を低減する変換係数のセットを識別するように構成されてよい。この不一致値は、複数のカラーの色について計算されてよい。予め定められた第1のサブセットカラーの色についての不一致は、不一致値上で、第2のサブセットカラーの色についての不一致よりも高い影響力を有することができる。換言すれば、予め定められた第1のサブセットカラーの色についての不一致は、変換係数のセットの識別において、予め定められた第2のサブセットの色についての不一致よりも高い重み付けを受容することができる。
【0054】
本開示の実施形態は、システム310(および任意選択的に、システムが別個に実施される場合にはシステム110)と、第1および第2の撮像センサの122,124を有する顕微鏡120と、を含む顕微鏡システム100(これは図1aおよび/または図1bの顕微鏡システムと同様に実施されてよい)をさらに提供する。第1および第2の撮像センサの一方は、顕微鏡システムの蛍光撮像機能を提供するように適合化された撮像センサであってよい。
【0055】
インターフェース312は、モジュール内、モジュール間、または異なるエンティティのモジュール間で特定されたコードに従ったデジタル(ビット)値であってよい情報を受信および/または送信するための1つまたは複数の入力側および/または出力側に対応することができる。例えば、インターフェース312は、情報を受信および/または送信するように構成されたインターフェース回路を含むことができる。実施形態では、1つまたは複数のプロセッサ314が、1つまたは複数の処理ユニット、1つまたは複数の処理デバイス、プロセッサなどの処理のための任意の手段、コンピュータ、または相応に適合化されたソフトウェアを用いて動作するプログラマブルハードウェアコンポーネントを使用して実装されてよい。換言すれば、1つまたは複数のプロセッサ314の説明された機能は、同様に、ソフトウェアで実装されてよく、このソフトウェアは、次いで、1つまたは複数のプログラマブルハードウェアコンポーネント上で実行される。そのようなハードウェアコンポーネントは、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、マイクロコントローラなどを含むことができる。少なくともいくつかの実施形態では、1つまたは複数のストレージデバイス316は、例えば、磁気的または光学的記憶媒体、例えばハードディスクドライブ、フラッシュメモリ、フロッピーディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、プログラム可能読み取り専用メモリ(PROM)、消去可能プログラム可能読み取り専用メモリ(EPROM)、電気的消去可能プログラム可能読み取り専用メモリ(EEPROM)、またはネットワークストレージなどのコンピュータ可読記憶媒体のグループの少なくとも1つの要素を含むことができる。
【0056】
システムおよび顕微鏡システムのさらなる詳細および態様は、提案された概念または上記もしくは下記で説明される1つまたは複数の例に関連して言及されている(例えば、図1a~図2図4図8)。システムおよび顕微鏡システムのシステムは、提案された概念の1つまたは複数の態様、または上記もしくは下記で説明される1つまたは複数の例に対応する1つまたは複数の付加的な任意選択的機能を含むことができる。
【0057】
図4は、変換関数を決定するための方法の一実施形態のフローチャートを示す。本方法は、顕微鏡の第1の撮像センサからの基準対象物の第1の撮像センサデータと、顕微鏡の第2の撮像センサからの基準対象物の第2の撮像センサデータと、を取得するステップ410を含む。第1の撮像センサデータは、第1の複数の相互に分離された波長帯域で感知された光に基づくセンサデータを含む。第2の撮像センサデータは、第2の複数の相互に分離された波長帯域で感知された光に基づくセンサデータを含む。第1の複数の相互に分離された波長帯域または第2の複数の相互に分離された波長帯域の波長帯域は、蛍光撮像のために使用される波長帯域である。本方法は、基準対象物の合成基準画像を取得するステップ420を含み、合成基準画像は、複数のカラーチャネルを含む。本方法は、第1および第2の複数の相互に分離された波長帯域の各波長帯域の撮像センサデータと、合成基準画像の各カラーチャネルと、の間の近似変換を提供する変換係数のセットを決定することによって変換関数を決定するステップ430を含む。変換関数は、変換係数のセットに基づいている。
【0058】
上記で示されているように、図3のシステム310に関連して説明された特徴は、同様に図4の方法に適用されてもよい。
【0059】
本方法のさらなる詳細および態様は、提案された概念または上記もしくは下記で説明される1つまたは複数の例に関連して言及されている(例えば、図1a~図3図5a~図8)。本方法は、提案された概念の1つまたは複数の態様、または上記もしくは下記で説明される1つまたは複数の例に対応する1つまたは複数の付加的な任意選択的機能を含むことができる。
【0060】
本開示のさまざまな実施形態は、マルチスペクトル反射率撮像のための顕微鏡システムの蛍光カメラの使用に基づいている。
【0061】
既に指摘したように、外科医は、病変に関して疑わしい組織を区別するために、組織(脳組織)の色を使用することがよくある。しかしながら、組織の微妙な色の違いは、長年の経験と訓練された眼力とを備えた外科医にしか見えない場合があり、その習得は困難である。
【0062】
マルチスペクトル反射率撮像では、非常に小さなスペクトル差の測定を用いて、非常に小さい色差、あるいは視認不能な色差さえも捕捉することができる。ただし、従来のマルチスペクトル撮像については、典型的には3Dおよび蛍光カメラを備えた最新の顕微鏡の複数のセンサに加えて、追加のハードウェアが必要になる場合がある。
【0063】
本開示の実施形態は、蛍光モードが起動されていない場合、マルチスペクトル反射率撮像のために外科用顕微鏡システムの既存の蛍光センサを使用することができる。このことは、付加的なコスト、サイズおよび複雑さを伴わせることなく、ソフトウェアを用いた機能の使用を可能にさせる。
【0064】
さまざまな実施形態は、正確なカラー組織撮像を生成するためにマルチスペクトル撮像を使用することができる。このことは、3つを超えるスペクトル帯域、例えば6つのスペクトル帯域(例えば、第1および第2の撮像センサデータ各々からの3つのスペクトル帯域)を測定し、次いで、RGB値の計算のためにスペクトル情報をデジタル的に再結合すること(すなわち結合されたカラー画像)によって実行することができる。これにより、カラー捕捉がより正確になる場合がある。
【0065】
反射率および蛍光撮像のために複数のセンサを使用する撮像システムについては、蛍光帯域を反射率モードで使用することによって、マルチスペクトル反射率撮像を実行することができる。このことは、蛍光帯域での照明の提供によって有効化することができる。
【0066】
診断上の重要性を伴う微妙な色差は、デジタル的に増幅させてよく、そのため、訓練されてない外科医でさえ容易に視認できる場合がある。
【0067】
図5aは、画像フレームに存在する異なる色の概略図を示す。図5aでは、各領域が特定の色を有している有機組織(例えば、脳組織が示されている)の3つの領域510~530があり、ここで、領域510は青みがかった色を有し、領域520は緑がかった色を有し、領域530は赤みがかった色を有する。
【0068】
図5bおよび図5cは、2つのセンサ(インデックスの1および2)によって感知され、異なる周波数帯域1~6で感知された異なる領域510~530の異なるカラーの強度の概略図を示し、各センサは、3つの波長帯域(A~C)の光を感知し、それによって、撮像センサデータSA1、SA2、SB1、SB2、SC1およびSC2を生成する。図5cで視認できるように、センサは、図5bに示すよりも狭い周波数帯域で光を感知し、周波数帯域を相互に分離された周波数帯域にすることができる。異なるセンサは、異なる背景パターンを用いて強調されている。
【0069】
相互に分離された周波数帯域で生成されたセンサデータは、例えば、変換係数のセットを含む変換行列を介して、RGB画像を生成するために使用されてよい。図5dは、18個の変換係数F11~F36(行と列とを示すインデックス)を含む、3行6列のサイズの例示的な変換行列を示す。この変換行列は、(3行1列の行列としての)合成カラー画像のRGB値を取得するために、センサデータSA1、SA2、SB1、SB2、SC1およびSC2を含む(6行1列の)行列と乗算される。
【0070】
図6は、顕微鏡および照光システムの概略図を示す。既に指摘したように、2つの撮像センサのセンサデータ、すなわち反射率撮像のために使用される第1の撮像センサ(例えばCCDセンサ)122のセンサデータと、主に蛍光撮像のために使用される第2の撮像センサ(例えばCCDセンサ)124のセンサデータと、が使用される。第1の撮像センサは、カラー反射率画像を提供するように構成されてよく、第2の撮像センサは、蛍光画像を(第1の動作モードで)提供し、さらに反射率画像を(例えば3つの帯域で第2の動作モードにおいて)提供する。両方の撮像センサは、ミラー630;640と組み合わされて、これらは、各撮像センサによって感知される周波数帯域外の光をフィルタリングすることができる。ポリクロイックミラー650は、光を異なる波長帯域に分割し、各波長帯域をセンサに向けるために使用される。照光システム610は、撮像センサによって撮像される対象物を照明するために(照光システムによって放出された光をフィルタリングするフィルタ620と組み合わせて)使用される。図6は、さらに、異なる波長帯域の光を(異なる線スタイルで)示し、ここでは、可視光660は第1の撮像センサに入射し、放出波長帯域の光は第2の撮像センサに入射し、放出波長帯域の光は、照光システムによって放出670されるか、または(例えば可視光660による)蛍光励起波長帯域で励起される対象物の蛍光材料680によって放出されるかのいずれかである。
【0071】
図7aおよび図7bでは、変換関数を生成するための概念が示されている。図3および図4に関連して述べられたてきたように、変換関数は、カラーテーブルのカラーサンプルの「既知の」RGB値を有する基準カラーテーブルを使用することによって決定されてよい。図7aは、カラーフィールド1~20を含む例示的なカラーテーブルの概略図を示す。このカラーテーブルは、2つの撮像センサによって記録されてよく、対応するセンサデータは、個々の相互に分離された波長帯域について決定されてよい。既知のRGB値および個々の波長帯域のセンサデータは、方程式系に入力されてよく、方程式系は、得られたカラーと既知のRGB値との間の差が、異なるカラーサンプルについて低減または最小化されるように解かれてもよい。図7bは、サンプルの番号の列、異なる波長帯域のセンサデータの列および既知のRGB値の列を有する、例示的な方程式系の図である。
【0072】
概念のさらなる詳細および態様は、提案された概念または上記もしくは下記で説明される1つまたは複数の例に関連して言及されている(例えば、図1a~図4図8)。概念は、提案された概念の1つまたは複数の態様、または上記もしくは下記で説明される1つまたは複数の例に対応する1つまたは複数の付加的な任意選択的機能を含むことができる。
【0073】
いくつかの実施形態は、図1から図7bのうちの1つまたは複数の図に関連して説明されたようなシステムを含んでいる顕微鏡に関する。択一的に、顕微鏡は、図1から図7bのうちの1つまたは複数の図に関連して説明されたようなシステムの一部であってもよい、または図1から図7bのうちの1つまたは複数の図に関連して説明されたようなシステムに接続されていてもよい。図8は、顕微鏡とコンピュータシステムとを含んだ顕微鏡システムの概略図を示す。図8は本明細書に記載された方法を実施するように構成されたシステム800の概略図を示している。システム800は、顕微鏡810とコンピュータシステム820とを含んでいる。顕微鏡810は、撮像するように構成されており、かつコンピュータシステム820に接続されている。コンピュータシステム820は、本明細書に記載された方法の少なくとも一部を実施するように構成されている。コンピュータシステム820は、機械学習アルゴリズムを実行するように構成されていてもよい。コンピュータシステム820と顕微鏡810は別個の存在物であってもよいが、1つの共通のハウジング内に一体化されていてもよい。コンピュータシステム820は、顕微鏡810の中央処理システムの一部であってもよく、かつ/またはコンピュータシステム820は、顕微鏡810のセンサ、アクター、カメラまたは照明ユニット等の、顕微鏡810の従属部品の一部であってもよい。
【0074】
コンピュータシステム820は、1つまたは複数のプロセッサおよび1つまたは複数のストレージデバイスを備えるローカルコンピュータデバイス(例えば、パーソナルコンピュータ、ラップトップ、タブレットコンピュータまたは携帯電話)であってもよく、または分散コンピュータシステム(例えば、ローカルクライアントおよび/または1つまたは複数のリモートサーバファームおよび/またはデータセンター等のさまざまな場所に分散されている1つまたは複数のプロセッサおよび1つまたは複数のストレージデバイスを備えるクラウドコンピューティングシステム)であってもよい。コンピュータシステム820は、任意の回路または回路の組み合わせを含んでいてもよい。1つの実施形態では、コンピュータシステム820は、任意の種類のものとすることができる、1つまたは複数のプロセッサを含んでいてもよい。本明細書で使用されるように、プロセッサは、例えば、顕微鏡または顕微鏡部品(例えばカメラ)のマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、複合命令セットコンピューティング(CISC)マイクロプロセッサ、縮小命令セットコンピューティング(RISC)マイクロプロセッサ、超長命令語(VLIW)マイクロプロセッサ、グラフィックプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、マルチコアプロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)または任意の他の種類のプロセッサまたは処理回路等のあらゆる種類の計算回路を意図していてもよいが、これらに限定されない。コンピュータシステム820に含まれ得る他の種類の回路は、カスタム回路、特定用途向け集積回路(ASIC)等であってもよく、例えばこれは、携帯電話、タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータ、双方向無線機および類似の電子システム等の無線装置において使用される1つまたは複数の回路(通信回路等)等である。コンピュータシステム820は、ランダムアクセスメモリ(RAM)の形態のメインメモリ等の特定の用途に適した1つまたは複数の記憶素子を含み得る1つまたは複数のストレージデバイス、1つまたは複数のハードドライブおよび/またはコンパクトディスク(CD)、フラッシュメモリカード、デジタルビデオディスク(DVD)等のリムーバブルメディアを扱う1つまたは複数のドライブ等を含んでいてもよい。コンピュータシステム820はディスプレイ装置、1つまたは複数のスピーカーおよびキーボードおよび/またはマウス、トラックボール、タッチスクリーン、音声認識装置を含み得るコントローラ、またはシステムのユーザーがコンピュータシステム820に情報を入力することおよびコンピュータシステム820から情報を受け取ることを可能にする任意の他の装置も含んでいてもよい。
【0075】
ステップの一部または全部は、例えば、プロセッサ、マイクロプロセッサ、プログラマブルコンピュータまたは電子回路等のハードウェア装置(またはハードウェア装置を使用すること)によって実行されてもよい。いくつかの実施形態では、極めて重要なステップのいずれか1つまたは複数が、そのような装置によって実行されてもよい。
【0076】
一定の実装要件に応じて、本発明の実施形態は、ハードウェアまたはソフトウェアで実装され得る。この実装は、非一過性の記録媒体によって実行可能であり、非一過性の記録媒体は、各方法を実施するために、プログラマブルコンピュータシステムと協働する(または協働することが可能である)、電子的に読取可能な制御信号が格納されている、デジタル記録媒体等であり、これは例えば、フロッピーディスク、DVD、ブルーレイ、CD、ROM、PROMおよびEPROM、EEPROMまたはFLASHメモリである。したがって、デジタル記録媒体は、コンピュータ読取可能であってもよい。
【0077】
本発明のいくつかの実施形態は、本明細書に記載のいずれかの方法が実施されるように、プログラマブルコンピュータシステムと協働することができる、電子的に読取可能な制御信号を有するデータ担体を含んでいる。
【0078】
一般的に、本発明の実施形態は、プログラムコードを備えるコンピュータプログラム製品として実装可能であり、このプログラムコードは、コンピュータプログラム製品がコンピュータ上で実行されるときにいずれかの方法を実施するように作動する。このプログラムコードは、例えば、機械可読担体に格納されていてもよい。
【0079】
別の実施形態は、機械可読担体に格納されている、本明細書に記載のいずれかの方法を実施するためのコンピュータプログラムを含んでいる。
【0080】
したがって、換言すれば、本発明の実施形態は、コンピュータプログラムがコンピュータ上で実行されるときに本明細書に記載のいずれかの方法を実施するためのプログラムコードを有するコンピュータプログラムである。
【0081】
したがって、本発明の別の実施形態は、プロセッサによって実行されるときに本明細書に記載のいずれかの方法を実施するために、格納されているコンピュータプログラムを含んでいる記録媒体(またはデータ担体またはコンピュータ読取可能な媒体)である。データ担体、デジタル記録媒体または被記録媒体は、典型的に、有形である、かつ/または非一過性である。本発念の別の実施形態は、プロセッサと記録媒体を含んでいる、本明細書に記載されたような装置である。
【0082】
したがって、本発明の別の実施形態は、本明細書に記載のいずれかの方法を実施するためのコンピュータプログラムを表すデータストリームまたは信号シーケンスである。データストリームまたは信号シーケンスは例えば、データ通信接続、例えばインターネットを介して転送されるように構成されていてもよい。
【0083】
別の実施形態は、処理手段、例えば、本明細書に記載のいずれかの方法を実施するように構成または適合されているコンピュータまたはプログラマブルロジックデバイスを含んでいる。
【0084】
別の実施形態は、本明細書に記載のいずれかの方法を実施するために、インストールされたコンピュータプログラムを有しているコンピュータを含んでいる。
【0085】
本発明の別の実施形態は、本明細書に記載のいずれかの方法を実施するためのコンピュータプログラムを(例えば、電子的にまたは光学的に)受信機に転送するように構成されている装置またはシステムを含んでいる。受信機は、例えば、コンピュータ、モバイル機器、記憶装置等であってもよい。装置またはシステムは、例えば、コンピュータプログラムを受信機に転送するために、ファイルサーバを含んでいてもよい。
【0086】
いくつかの実施形態では、プログラマブルロジックデバイス(例えばフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ)が、本明細書に記載された方法の機能の一部または全部を実行するために使用されてもよい。いくつかの実施形態では、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイは、本明細書に記載のいずれかの方法を実施するためにマイクロプロセッサと協働してもよい。一般的に、有利には、任意のハードウェア装置によって方法が実施される。
【0087】
本明細書で使用されるように、用語「および/または(かつ/または)」は、関連する記載項目のうちの1つまたは複数の項目のあらゆる全ての組み合わせを含んでおり、「/」として略記されることがある。
【0088】
いくつかの態様を装置の文脈において説明してきたが、これらの態様が、対応する方法の説明も表していることが明らかであり、ここではブロックまたは装置がステップまたはステップの特徴に対応している。同様に、ステップの文脈において説明された態様は、対応する装置の対応するブロックまたは項目または特徴の説明も表している。
【符号の説明】
【0089】
100 顕微鏡システム
105 ベースユニット
110 システム
112 インターフェース
114 1つまたは複数のプロセッサ
116 1つまたは複数のストレージデバイス
120 顕微鏡
122 第1の撮像センサ
124 第2の撮像センサ
126 ビームスプリッタ/ポリクロイックミラー
130 照光システム
140a/b ディスプレイ
150 ステアリングハンドル
160 アーム
210 第1および第2の撮像センサデータを取得する
220 合成カラー画像を生成する
300 基準対象物
310 システム
312 インターフェース
314 1つまたは複数のプロセッサ
316 1つまたは複数のストレージデバイス
410 第1および第2の撮像センサデータを取得する
420 合成基準画像を取得する
430 変換関数を決定する
510~530 異なる色を有する領域
610 照光システム
620~640 フィルタ
650 ポリクロイックミラー
660 可視光
670 照光システムによって放出され対象物によって反射された光
680 対象物によって放出された光
800 システム
810 顕微鏡
820 コンピュータシステム
図1a
図1b
図2
図3
図4
図5a
図5b
図5c
図5d
図6
図7a
図7b
図8
【国際調査報告】