(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-25
(54)【発明の名称】単一チップマルチバンド発光ダイオード
(51)【国際特許分類】
H01L 33/32 20100101AFI20230518BHJP
H01L 33/22 20100101ALI20230518BHJP
H01L 33/58 20100101ALI20230518BHJP
【FI】
H01L33/32
H01L33/22
H01L33/58
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022560164
(86)(22)【出願日】2021-04-14
(85)【翻訳文提出日】2022-09-29
(86)【国際出願番号】 KR2021004717
(87)【国際公開番号】W WO2021210919
(87)【国際公開日】2021-10-21
(32)【優先日】2020-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506029004
【氏名又は名称】ソウル バイオシス カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SEOUL VIOSYS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】65-16,Sandan-ro 163 Beon-gil,Danwon-gu,Ansan-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ヨン・ヒュン・ベク
(72)【発明者】
【氏名】ジ・フン・カン
(72)【発明者】
【氏名】チェ・ホン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジ・フン・パク
【テーマコード(参考)】
5F142
5F241
【Fターム(参考)】
5F142AA23
5F142DB20
5F142HA05
5F241AA12
5F241CA05
5F241CA13
5F241CA40
5F241CA65
5F241CA88
5F241CA92
5F241CB11
5F241CB15
(57)【要約】
一実施例に係る発光ダイオードは、n型窒化物半導体層;前記n型窒化物半導体層上に位置する活性層;及び前記活性層上に位置するp型窒化物半導体層;を含み、前記活性層は、複数の障壁層と複数の井戸層が積層された単一の多重量子井戸構造を有し、前記活性層は白色光を放出する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
n型窒化物半導体層;
前記n型窒化物半導体層上に位置する活性層;及び
前記活性層上に位置するp型窒化物半導体層;を含み、
前記活性層は、複数の障壁層と複数の井戸層が積層された単一の多重量子井戸構造を有し、
前記活性層は白色光を放出する発光ダイオード。
【請求項2】
前記活性層は、駆動電流の増加によって2個のピーク波長の光を放出する、請求項1に記載の発光ダイオード。
【請求項3】
前記活性層から放出される光は、駆動電流の増加によって黄色光から白色光に変わる、請求項1に記載の発光ダイオード。
【請求項4】
前記発光ダイオードは、前記n型窒化物半導体層と前記活性層との間に配置されたV-ピット生成層をさらに含み、
前記活性層の一部は、前記V-ピット生成層のV-ピット内に形成された、請求項1に記載の発光ダイオード。
【請求項5】
前記V-ピット生成層は、450nmを超える厚さを有し、
前記V-ピット生成層に形成された各V-ピットは、入口の幅が230nmを超えるV-ピットを含む、請求項4に記載の発光ダイオード。
【請求項6】
前記発光ダイオードは、前記活性層と前記p型窒化物半導体層との間に介在したp型AlGaN層をさらに含み、
前記p型AlGaN層内のAlの組成比xは、0より大きく、0.3より小さい、請求項4に記載の発光ダイオード。
【請求項7】
前記p型AlGaN層は、100nm未満の厚さを有する、請求項6に記載の発光ダイオード。
【請求項8】
前記井戸層と障壁層との間に配置され、前記井戸層を覆うキャッピング層をさらに含み、
前記キャッピング層はAlを含有する、請求項6に記載の発光ダイオード。
【請求項9】
前記発光ダイオードは、フリップチップ構造を有する、請求項1に記載の発光ダイオード。
【請求項10】
前記発光ダイオードは、複数の発光セルを有する、請求項1に記載の発光ダイオード。
【請求項11】
前記各発光セルは、互いに異なる発光面積を有する、請求項10に記載の発光ダイオード。
【請求項12】
前記各発光セルは直列に連結された、請求項11に記載の発光ダイオード。
【請求項13】
発光ダイオード;及び
前記発光ダイオードの上部に配置された色フィルター;を含み、
前記発光ダイオードは、
n型窒化物半導体層;
前記n型窒化物半導体層上に位置する活性層;及び
前記活性層上に位置するp型窒化物半導体層;を含み、
前記活性層は、複数の障壁層と複数の井戸層が積層された単一の多重量子井戸構造を有し、
前記活性層は、少なくとも2個のピーク波長の光を放出する発光装置。
【請求項14】
前記発光ダイオードは、前記n型窒化物半導体層と前記活性層との間に配置されたV-ピット生成層をさらに含み、
前記活性層の一部は、前記V-ピット生成層のV-ピット内に形成された、請求項13に記載の発光装置。
【請求項15】
前記V-ピット生成層は、450nmを超える厚さを有し、
前記V-ピット生成層に形成された各V-ピットは、入口の幅が230nmを超えるV-ピットを含む、請求項14に記載の発光装置。
【請求項16】
前記発光ダイオードは、前記活性層と前記p型窒化物半導体層との間に介在したp型AlGaN層をさらに含み、
前記p型AlGaN層内のAlの組成比xは、0より大きく、0.3より小さい、請求項14に記載の発光装置。
【請求項17】
前記p型AlGaN層は、100nm未満の厚さを有する、請求項16に記載の発光装置。
【請求項18】
前記井戸層と障壁層との間に配置され、前記井戸層を覆うキャッピング層をさらに含み、
前記キャッピング層はAlを含有する、請求項16に記載の発光装置。
【請求項19】
前記発光ダイオードは、フリップチップ構造を有する、請求項13に記載の発光装置。
【請求項20】
前記色フィルターは、バンドパスフィルター、長波長透過フィルター、又は短波長透過フィルターである、請求項13に記載の発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発光ダイオードに関し、特に、単一チップレベルでマルチバンドの光を放出する発光ダイオードに関する。
【背景技術】
【0002】
窒化物半導体は、ディスプレイ装置、信号機、照明や光通信装置の光源として用いられ、青色や緑色を発光する発光ダイオード(light emitting diode)やレーザーダイオード(laser diode)に主に使用されている。また、窒化物半導体は、異種接合バイポーラトランジスタ(HBT)及び高電子移動度トランジスタ(HEMT)などにも使用され得る。
【0003】
一般に、窒化物半導体を用いた発光ダイオードは、Nコンタクト層とPコンタクト層との間に量子井戸構造を有する異種接合構造を有する。発光ダイオードは、量子井戸構造内の井戸層の組成によって光を放出する。内部量子効率を増加させ、光吸収による損失を減少させるために、発光ダイオードは、単一ピークを有するスペクトルの光、すなわち、単色光を放出するように設計される。
【0004】
照明などから放出される混色光、例えば、白色光は、単一ピークの単色光として具現できない。よって、白色光を具現する技術は、一般に、互いに異なる単色光を放出する複数の発光ダイオードを共に使用したり、発光ダイオードから放出された光を波長変換する蛍光体を使用している。
【0005】
蛍光体の使用は、蛍光体自体の費用やストークスシフトとして知られている効率低下などの問題を伴う。さらに、周波数帯域が広い可視光を用いて情報を伝送するLi-Fiで黄色蛍光体を使用する一般的な白色LEDは、概してデータ伝送速度が遅い。黄色蛍光体を使用する一般的な白色LEDは、周波数応答が遅いため可視光通信(visible light communication:VLC)に適していない。また、蛍光体を発光ダイオード上に塗布する工程が要求され、蛍光体は、蛍光体を担持する担持体の黄変に関わる。
【0006】
一方、複数の発光ダイオードを混合して使用することは工程を複雑にし、互いに異なる材料で製造された各発光ダイオードを準備することは煩わしい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
単一チップの発光ダイオードを用いてマルチバンドのスペクトルを有する光を具現することができ、複数の発光ダイオードや蛍光体の使用が回避され得る。
【0008】
従来の量子井戸構造内の各井戸層の組成を多様にすることによって、マルチバンドスペクトルの光を具現しようとする試みがあったが、満足できる成果が得られなかった。特に、電子と正孔の再結合が主に特定の井戸層で発生し、マルチバンドの光を生成しにくい。
【0009】
本開示が解決しようとする課題は、単一チップレベルでマルチバンドスペクトルの光を具現できる新しい構造の発光ダイオードを提供することにある。
【0010】
本開示が解決しようとする他の課題は、Li-Fiなどの可視光通信(VLC)に適したLED光源を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示の教示に係る一つ以上の実施例において、発光ダイオードは、n型窒化物半導体層、前記n型窒化物半導体層上に位置する活性層、及び前記活性層上に位置するp型窒化物半導体層を含む。前記活性層は、複数の障壁層と複数の井戸層が積層された単一の多重量子井戸構造を有し、前記活性層は白色光を放出する。
【0012】
前記活性層は、駆動電流の増加によって2個のピーク波長の光を放出することができる。
【0013】
前記活性層から放出される光は、駆動電流の増加によって黄色光から白色光に変わり得る。
【0014】
前記発光ダイオードは、前記n型窒化物半導体層と前記活性層との間に配置されたV-ピット生成層をさらに含むことができ、前記活性層の一部は、前記V-ピット生成層のV-ピット内に形成されてもよい。
【0015】
前記V-ピット生成層は、450nmを超える厚さを有することができ、前記V-ピット生成層に形成された各V-ピットは、入口の幅が230nmを超えるV-ピットを含むことができる。
【0016】
前記発光ダイオードは、前記活性層と前記p型窒化物半導体層との間に介在したp型AlGaN層をさらに含むことができ、前記p型AlGaN層内のAlの組成比xは、0より大きく、0.3より小さくてもよい。
【0017】
前記p型AlGaN層は、100nm未満の厚さを有することができる。
【0018】
前記活性層は、複数の井戸層及び複数の障壁層を有する多重量子井戸構造を有することができ、前記井戸層と障壁層との間に前記井戸層を覆うキャッピング層をさらに含むことができ、前記キャッピング層はAlを含有することができる。
【0019】
一実施例において、前記発光ダイオードは、フリップチップ構造を有することができる。
【0020】
一実施例において、前記発光ダイオードは、複数の発光セルを有することができる。
【0021】
前記発光ダイオードは、発光面積が互いに異なる各発光セルを含むことができる。
【0022】
さらに、前記発光ダイオードは、直列に連結された各発光セルを含むことができる。
【0023】
本開示の教示に係る一つ以上の実施例において、発光装置は、発光ダイオード及び色フィルターを含む。前記発光ダイオードは、n型窒化物半導体層、前記n型窒化物半導体層の上に位置する活性層、及び前記活性層上に位置するp型窒化物半導体層を含む。前記活性層は、複数の障壁層と複数の井戸層が積層された単一の多重量子井戸構造を有し、前記活性層は、少なくとも2個のピーク波長の光を放出する。
【0024】
前記色フィルターは、バンドパスフィルター、長波長透過フィルター、又は短波長透過フィルターであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本開示の一実施例に係る発光ダイオードを説明するための概略的な断面図である。
【0026】
【
図2A】発光ダイオードを説明するために
図1の一部を拡大して示した概略的な部分断面図である。
【0027】
【
図2B】発光ダイオードを説明するために
図2の一部を拡大して示した概略的な部分断面図である。
【0028】
【
図3】発光ダイオードを説明するためにV-ピット生成層を拡大して示した概略的な斜視図である。
【0029】
【
図4A】本開示の一実施例に係るフリップチップ型発光ダイオードを示す概略的な平面図である。
【0030】
【
図4B】
図4AのA-A線に沿って切り取られた概略的な断面図である。
【0031】
【
図5A】他の実施例に係る複数の発光セルを有する発光ダイオードを説明するための概略的な平面図である。
【0032】
【
図5B】
図5AのB-B線に沿って切り取られた概略的な断面図である。
【0033】
【
図5C】
図5AのC-C線に沿って切り取られた概略的な断面図である。
【0034】
【
図6】他の実施例に係る複数の発光セルを有する発光ダイオードを説明するための概略的な平面図である。
【0035】
【
図7A】比較例の青色発光ダイオードの電流によるスペクトルを示すグラフである。
【0036】
【
図7B】実施例に係る発光ダイオードの電流によるスペクトルを示すグラフである。
【0037】
【
図8A】比較例における白色発光ダイオードパッケージの色座標を示すグラフである。
【0038】
【
図8B】本開示の一実施例に係る白色発光ダイオードパッケージの電流による色座標を説明するためのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、添付の各図面を参照して本開示の各実施例を詳細に説明する。以下に紹介する各実施例は、本開示の属する技術分野の通常の技術者に本開示の思想を十分に伝達するために例として提供されるものである。したがって、本開示は、以下で説明する各実施例に限定されず、他の形態で具体化されることも可能である。そして、各図面において、構成要素の幅、長さ、厚さなどは、便宜のために誇張して表現する場合がある。また、一つの構成要素が他の構成要素の「上部に」又は「上に」あると記載した場合、各部分が他の部分の「直上部」又は「直上」にある場合のみならず、各構成要素と他の構成要素との間に更に他の構成要素が介在した場合も含む。明細書全体にわたって同一の参照番号は、同一の構成要素を示す。
【0040】
図1は、本開示の一実施例に係る発光ダイオードを説明するための概略的な断面図であり、
図2Aは、発光ダイオードを説明するために
図1の一部を拡大して示した概略的な部分断面図であり、
図2Bは、発光ダイオードを説明するために
図2Aの一部を拡大して示した概略的な部分断面図であり、
図3は、発光ダイオードを説明するためにV-ピット生成層を拡大して示した概略的な斜視図である。
【0041】
まず、
図1を参照すると、発光ダイオードは、基板21、核形成層23、高温バッファ層25、n型窒化物半導体層27、V-ピット生成層29、活性層30、p型AlGaN層31、及びp型窒化物半導体層33を含むことができる。
【0042】
基板21は、窒化ガリウム系半導体層を成長させるためのものであって、サファイア基板、SiC基板、GaN基板、Si基板、スピネル基板などであってもよい。基板21は、
図1に示したように、各突出部を有することができ、例えば、パターニングされたサファイア基板であってもよい。しかし、本開示がこれに限定されるのではなく、平らな上面を有する基板、例えば、サファイア基板であってもよい。
【0043】
核形成層23は、基板21上に400℃乃至600℃の低温で(Al,Ga)Nで形成されてもよく、一例として、AlGaN又はGaNで形成されてもよい。核形成層23の組成は基板21によって変更され得る。例えば、基板21がパターニングされたサファイア基板である場合、核形成層23はAlGaNで形成されてもよく、基板21が平らな上面を有するサファイア基板である場合、核形成層23はGaNで形成されてもよい。核形成層23は、例えば、約25nmの厚さで形成されてもよい。
【0044】
高温バッファ層25は、基板21とn型窒化物半導体層27との間で転位などの欠陥が発生することを緩和するために相対的に高温で成長し得る。高温バッファ層25は、アンドープGaN又はn型不純物がドーピングされたGaNで形成されてもよい。高温バッファ層25が形成される間に、基板21と高温バッファ層25との間の格子不整合によって貫通電位が発生する。高温バッファ層25は、例えば、約4.2μmの厚さで形成されてもよい。
【0045】
n型窒化物半導体層27は、n型不純物がドーピングされた窒化物系半導体層であって、例えば、SiがドーピングされたGaN層で形成されてもよい。n型窒化物半導体層27にドーピングされるSiドーピング濃度は、5E17/cm2乃至5E19/cm2であってもよい。n型窒化物半導体層27は、MOCVD(Metal-Organic Chemical Vapor Deposition)技術を使用してチャンバー内に金属ソースガスを供給し、1000℃乃至1200℃(例えば、1050℃乃至1100℃)で150Torr乃至200Torrの成長圧力下で成長してもよい。このとき、n型窒化物半導体層27は、高温バッファ層25上に連続的に形成されてもよく、高温バッファ層25内に形成された貫通電位は、n型窒化物半導体層27に転写されてもよい。n型窒化物半導体層27は、高温バッファ層25より相対的に薄く形成されてもよく、例えば、約2.5μmの厚さで形成されてもよい。
【0046】
V-ピット生成層29は、n型窒化物半導体層27の上部に位置する。本開示の一実施例において、V-ピット生成層29は、例えば、GaN層で形成されてもよい。V-ピット生成層29は、n型窒化物半導体層27の成長温度より相対的に低い温度、例えば、約900℃で成長してもよく、これによって、V-ピット生成層29で各V-ピットが形成される。
【0047】
V-ピット生成層29がn型窒化物半導体層27より相対的に低い温度で成長することによって、結晶品質を人為的に低下させ、3次元成長を促進することによってV-ピット29vを生成することができる。
【0048】
図3に示したように、各V-ピット29vは、窒化物半導体層の成長面がC面である場合、六角錐状を有することができる。各V-ピット29vは、貫通電位の上端で形成されてもよい。
【0049】
V-ピット生成層29は、n型窒化物半導体層27より薄い厚さで形成されてもよく、例えば、約450nm乃至600nmの厚さで形成されてもよい。V-ピット生成層29内に形成される各V-ピット29vの大きさは、V-ピット生成層29の成長条件及び成長時間などを通じて調節され得る。一実施例において、V-ピット生成層29に形成されたV-ピット29vの入口の最大幅は、概して約230nmを超えてもよい。
【0050】
V-ピット生成層29の厚さは、特にV-ピット29vの大きさに影響を及ぼす。さらに、V-ピット29vの大きさは、マルチバンドスペクトルの光の生成に影響を及ぼすものと考慮される。
【0051】
本実施例において、V-ピット生成層29が単一層であることを説明するが、これに限定されるのではなく、V-ピット生成層29が多重層であってもよい。例えば、V-ピット生成層29は、GaN、AlGaN、InGaN、及びAlGaInN層のうち少なくとも二つの層を含むことができる。
【0052】
活性層30は、V-ピット生成層29上に位置する。活性層30は、電子と正孔の再結合によって光を放出する。そして、活性層30は、単一量子井戸構造又は障壁層30bと井戸層30wが交互に積層された多重量子井戸(MQW)構造を有することができる。
【0053】
活性層30は、V-ピット生成層29に接し得るが、本開示がこれに限定されるのではなく、活性層30は、V-ピット29vに沿って形成されてもよい。V-ピット29v内に形成された活性層30の厚さは、V-ピット生成層29の平らな面上に形成された活性層30の厚さより小さい。V-ピット29v内の活性層30の厚さは、V-ピット29vの深さによって異なり得る。V-ピット29vの中間程度の深さでの活性層30の厚さは、V-ピット生成層29の平らな面上に形成された活性層30の厚さの約1/3以下であってもよい。特に、V-ピット29vの中間程度の深さでの井戸層30wの厚さは、V-ピット生成層29の平らな面上に形成された井戸層30wの厚さの約1/3以下であってもよい。
【0054】
一方、井戸層30wは、InxAlyGa1-x-yN(0<x<1、0≦y<1)で形成されてもよい。In、Al、Gaの組成比は、要求される光によって選択され得る。特に、V-ピット生成層29の平らな面上に形成された井戸層30w(以下、第1井戸層部分)は、マルチバンドの長波長側スペクトルの光を放出する組成を有する。一方、V-ピット29v内に形成された井戸層30w(以下、第2井戸層部分)は、マルチバンドの短波長側スペクトルの光を放出する組成を有する。例えば、第1井戸層部分内のIn組成比は、第2井戸層部分内のIn組成比より高く、第1井戸層部分は、黄色系列の光を放出するようにInGaNで形成されてもよく、第2井戸層部分は、緑色及び/又は青色系列の光を放出するようにInGaNで形成されてもよい。
【0055】
第2井戸層部分は、V-ピット29v内の各面上に同一の組成で形成されてもよいが、これに限定されるのではなく、各面に互いに異なる組成で形成されてもよい。これによって、本開示の発光ダイオードは、第1井戸層部分及び第2井戸層部分を用いて少なくとも2個のバンドを有する光を単一チップレベルで具現することができる。
【0056】
障壁層30bは、井戸層30wに比べてバンドギャップが広いGaN、InGaN、AlGaN又はAlInGaNなどの窒化物半導体層で形成されてもよい。例えば、第1井戸層部分が黄色系列の光を放出するようにInGaNで形成された場合、障壁層30bは、井戸層30wよりIn含量が少ないInGaNで形成されてもよい。
【0057】
一方、
図2Bに示したように、井戸層30wと障壁層30bとの間にキャッピング層30cが介在してもよい。キャッピング層30cは、障壁層30bを蒸着する間に井戸層30w内のインジウム(In)が解離されることを防止するために障壁層30bの蒸着前に形成され得る。キャッピング層30cは、Alを含むことができ、例えば、AlGaN又はAlInGaNで形成されてもよい。キャッピング層30c内に含有されるAl組成は、第1キャッピング層部分、すなわち、V-ピット生成層29の平らな面の上部に配置されたキャッピング層部分と、第2キャッピング層部分、すなわち、V-ピット29v内に形成されたキャッピング層部分とが互いに異なり得る。第1キャッピング層部分内のAl含量が第2キャッピング層部分内のAl含量より多い。例えば、第1キャッピング層部分内のAl組成は、キャッピング層内の全体の組成に対して10原子%以上、さらに、12原子%以上であってもよく、第2キャッピング層部分内のAl組成は、キャッピング層内の全体の組成に対して約5原子%以上であってもよい。
【0058】
P型窒化物半導体層33に最も近い最後のキャッピング層30cを除いた残りの各キャッピング層30cは、隣接した井戸層30wと概して類似する厚さ又はそれより小さい厚さで形成されてもよい。最後のキャッピング層30cは、それに隣接した井戸層30wより厚く形成されてもよい。
【0059】
p型AlGaN層31は活性層30上に位置する。p型AlGaN層31は、V-ピット29v内にも形成され得る。p型AlGaN層31内のAl組成比は、電子ブロック層に使用されるAl組成比に比べて相対的に低い。また、p型AlGaN層31内のAl組成比は、キャッピング層30c内のAl組成比より小さくてもよい。例えば、p型AlGaN層31を一般式AlxGa1-xNで表現することができ、ここで、xは、0より大きく、0.3より小さくてもよい。一方、一実施例において、p型AlGaN層31の厚さは、約100nm未満であってもよく、少なくとも一つの変形例において、約70nmであってもよい。
【0060】
p型窒化物半導体層33は、Mgなどのp型不純物がドーピングされた半導体層、例えば、GaNで形成されてもよい。p型窒化物半導体層33は、単一層や多重層であってもよく、p型コンタクト層を含むことができる。
図1に示したように、p型窒化物半導体層33は、V-ピット29vに凹状の溝を有することができる。p型窒化物半導体層33でV-ピット29vを完全に充填しないので、V-ピット29v内の井戸層30wで生成された光の損失を防止することができる。
【0061】
発光ダイオードは、当該技術分野で使用可能な水平型、フリップチップ型などの多様な類型で製作され得る。
【0062】
図4Aは、本開示の一実施例に係るフリップチップ型発光ダイオード100の概略的な平面図で、
図4Bは、
図4AのA-A線に沿って切り取られた概略的な断面図である。
【0063】
図4A及び
図4Bを参照すると、前記フリップチップ型発光ダイオードは、基板121、第1導電型半導体層127、活性層130、第2導電型半導体層133、導電性酸化物層135、誘電層137、金属反射層139、下部絶縁層141、第1パッド金属層143a(
図4A)、第2パッド金属層143b及び上部絶縁層145を含む。さらに、前記発光ダイオードは、第1バンプパッド147a及び第2バンプパッド147bをさらに含むことができる。
【0064】
前記基板121は、上で説明した基板21と同じものであって、重複を避けるために詳細な説明は省略する。基板121は、
図4Aに示すように、長方形又は正方形の外形を有し得るが、必ずしもこれに限定されるのではない。基板121の大きさは、特に限定されるのではなく、多様に選択され得る。
【0065】
第1導電型半導体層127は、基板121上に配置される。第1導電型半導体層127は、上で説明したn型窒化物半導体層27と同じものであって、重複を避けるために詳細な説明は省略する。
図1に示したように、核形成層23及び高温バッファ層25が基板121と第1導電型半導体層127との間に介在してもよい。
【0066】
いくつかの形態において、第1導電型半導体層127の縁部は、基板121の縁部と並んでいる。しかし、本発明がこれに限定されるのではなく、他の形態において、第1導電型半導体層127が基板121の縁部で取り囲まれた領域の内側に位置することもできる。この場合、基板121の上部面のうち一部の領域が第1導電型半導体層127の周囲に沿って露出し得る。
【0067】
第1導電型半導体層127上にメサMが配置される。メサMは、第1導電型半導体層127で取り囲まれた領域の内側に限定して位置することができ、よって、第1導電型半導体層127の縁部付近の各領域は、メサMによって覆われずに外部に露出する。
【0068】
メサMは、活性層130及び第2導電型半導体層133を含む。前記活性層130は、第1導電型半導体層127と第2導電型半導体層133との間に介在する。一方、図示してはいないが、第1導電型半導体層127と活性層130との間にV-ピット生成層が介在する。V-ピット生成層は、メサMの下部領域内に限定して位置することもできるが、これに限定されるのではなく、第1導電型半導体層127の上面全体にわたって位置することもできる。V-ピット生成層は、既に
図1を参照して説明したV-ピット生成層29とほぼ類似するので、重複を避けるために詳細な説明は省略する。
【0069】
また、活性層130は、
図1乃至
図3を参照して説明した活性層30と類似するので、重複を避けるために詳細な説明は省略する。活性層130は、電流密度の増加によって多重ピーク波長を有する光を放出する。
【0070】
一方、第2導電型半導体層133は、
図1を参照して説明したp型窒化物半導体層33と同一であるので、重複を避けるために詳細な説明は省略する。また、
図4Bには示していないが、
図1を参照して説明したように、第2導電型半導体層133と活性層130との間にp型AlGaN層31が配置される。
【0071】
いくつかの形態において、第2導電型半導体層133のp型不純物の濃度は、8×10-18~4×10-21/cm3の範囲を有することができる。他の形態において、第2導電型半導体層133内のp型不純物の濃度は一定の値を有することなく、前記範囲内で厚さによって変わる濃度プロファイルを有することができる。特に、第2導電型半導体層133の表面でさらに高い不純物の濃度を有することができる。
【0072】
前記メサMに、
図4Aに示したように、内部に浸透する湾入部140が形成されてもよく、湾入部140によって第1導電型半導体層127の上面が露出し得る。湾入部140は、メサMの一側縁部からそれに対向する他側縁部に向かってメサMの内部に長く形成されてもよい。湾入部140の長さは、特に限定されなく、メサMの長さの1/2又はそれより長くてもよい。また、
図4Aに二つの湾入部140を示しているが、湾入部140の個数は、1個であってもよく、3個以上であってもよい。湾入部140の個数が増加するほど、後述する第1パッド金属層143aの内部接触部143a2の個数が増加し、電流分散性能が改善される。
【0073】
一方、湾入部140は、
図4Aに示したように、終端部で幅が広くなりながらラウンド状を有する。湾入部140の終端部の形状をこのようにすることによって、下部絶縁層141を類似する形状にパターニングすることができる。特に、下部絶縁層141が分布ブラッグ反射器を含む場合、
図4Aのように終端部で広くなる幅を有する下部絶縁層141は、分布ブラッグ反射器の側壁に過度な二重段差が形成されることを防止することができる。さらに、側壁の傾斜角が大きくなるので、第1パッド金属層143aに発生する割れも防止され得る。よって、湾入部140の終端部の形状及び下部絶縁層141の第1開口部141a2の終端部の形状を本実施例のようにすることによって、下部絶縁層141の縁部が緩やかな傾斜角を有するように形成することができ、発光ダイオードの収率を改善することができる。
【0074】
本実施例において、メサMに湾入部140が形成されたことを図示及び説明するが、メサMは、湾入部140の代わりに、第2導電型半導体層133及び活性層130を貫通する少なくとも一つのビアホールを有することもできる。
【0075】
一方、導電性酸化物層135は、メサMの上部に配置され、第2導電型半導体層133に接触する。導電性酸化物層135は、メサMの上部領域でメサMの全領域の一部又はほとんどにわたって配置されてもよい。例えば、導電性酸化物層135は、メサMの上部領域の80%以上、さらに90%以上を覆うことができる。
【0076】
導電性酸化物層135は、活性層130に生成された光を透過させる酸化物層で形成される。導電性酸化物層135は、例えば、ITO(酸化インジウムスズ)又はZnOなどで形成されてもよい。導電性酸化物層135は、第2導電型半導体層133へのオーミック接触に十分な厚さで形成され、例えば、3nm乃至50nmの厚さ範囲内で形成されてもよい。さらに具体的に、導電性酸化物層135の厚さは、6nm乃至30nmの厚さ範囲内であってもよい。導電性酸化物層135の厚さが過度に薄いと十分なオーミック特性が提供されなく、順方向電圧が増加する。また、導電性酸化物層135の厚さが過度に厚いと光吸収による損失が発生し、発光効率を低下させる。
【0077】
一方、誘電層137は、導電性酸化物層135を覆い、さらに、第2導電型半導体層133、活性層130及び第1導電型半導体層127の側面を覆うことができる。誘電層137の縁部は下部絶縁層141で覆われてもよい。よって、誘電層137の縁部は、
図4Bに示したように、下部絶縁層141の縁部に比べて基板121の縁部からさらに遠くに位置する。しかし、本発明がこれに限定されるのではなく、誘電層137の一部が下部絶縁層141の外部に露出してもよい。
【0078】
誘電層137は、
図4Aに示したように、導電性酸化物層135を露出させる各開口部137aを有する。複数の開口部137aが導電性酸化物層135の上部に配置されてもよい。各開口部137aは、金属反射層139が導電性酸化物層135に接続できるように接続通路として使用される。また、誘電層137は、メサMの周囲で第1導電型半導体層127を露出させ、湾入部140内で第1導電型半導体層127を露出させる。
【0079】
誘電層137は、第2導電型半導体層133及び導電性酸化物層135より低い屈折率を有する絶縁物質で形成される。誘電層137は、例えば、SiO2で形成されてもよい。
【0080】
誘電層137の厚さは、発光ダイオードの順方向電圧及び光出力に影響を及ぼす。誘電層137の厚さは、200nm乃至1000nmの範囲内の厚さを有することができ、具体的には、300nm乃至800nmの範囲内の厚さを有することができる。誘電層137の厚さが200nm未満である場合は、順方向電圧が高く、光出力が低いので良くない。一方、誘電層137の厚さが400nmを超える場合は、光出力が飽和され、順方向電圧が再び増加する傾向を示す。よって、誘電層137の厚さは1000nmを超えないことが有利であり、特に、前記厚さは800nm以下であってもよい。さらに、誘電層137の厚さは、活性層130上の第2導電型半導体層133の厚さの4倍以上であってもよく、13倍以下であってもよい。
【0081】
一方、金属反射層139は、誘電層137上に配置され、各開口部137aを介して導電性酸化物層135に接続する。金属反射層139は、反射性金属を含み、例えば、Ag又はNi/Agを含むことができる。さらに、金属反射層139は、反射金属物質層を保護するための障壁層、例えば、Niを含むことができ、また、金属層の酸化防止のためにAu層を含むことができる。さらに、Au層の接着力を向上させるために、Au層の下部にTi層を含むこともできる。金属反射層139は誘電層137の上面に接し、よって、前記誘電層137の厚さは、導電性酸化物層135と金属反射層139との間の隔離距離と同じである。
【0082】
導電性酸化物層135でオーミック接触が形成され、誘電層137上に金属反射層139が配置される。よって、ソルダーなどによってオーミック抵抗が高くなることを防止することができる。さらに、導電性酸化物層135、誘電層137及び金属反射層139を第2導電型半導体層133上に配置することによって、光の反射率を向上させることができ、発光効率を改善することができる。
【0083】
下部絶縁層141は、メサM及び金属反射層139を覆う。また、下部絶縁層141は、メサMの周囲に沿って第1導電型半導体層127を覆うことができ、メサM内部の湾入部140内で第1導電型半導体層127を覆うことができる。下部絶縁層141は、特にメサMの側面を覆う。また、下部絶縁層141は、誘電層137を覆うことができる。
【0084】
一方、下部絶縁層141は、第1導電型半導体層を露出させる第1開口部141a1、141a2、及び金属反射層139を露出させる第2開口部141bを有する。第1開口部141a1は、メサMの周囲に沿って第1導電型半導体層127を露出させ、第1開口部141a2は、前記湾入部140内で第1導電型半導体層127を露出させる。湾入部140の代わりにビアホールが形成された場合、第1開口部141a2は、ビアホール内で第1導電型半導体層127を露出させる。
【0085】
図4Aに示したように、前記第1開口部141a1と第1開口部141a2は互いに連結されてもよいが、本発明がこれに限定されるのではなく、第1開口部141a1、141a2は互いに離隔してもよい。
【0086】
本実施例において、下部絶縁層141の第1開口部141a1は、第1導電型半導体層127の縁部を含み、その周辺領域を全て露出させるように形成される。しかし、本発明がこれに限定されるのではなく、下部絶縁層141の第1開口部141a1がメサMの周囲に沿って帯状に形成されてもよい。この場合、第1導電型半導体層127の縁部は、下部絶縁層141で覆われたり、下部絶縁層141の縁部と並んでいてもよい。
【0087】
第2開口部141bは、金属反射層139を露出させる。複数の第2開口部141bが形成されてもよく、これらの第2開口部141bは、前記湾入部140に対向して基板121の一側縁部付近に配置されてもよい。第2開口部141bの位置に対しては、後で再度説明する。
【0088】
一方、下部絶縁層141は、SiO2又はSi3N4の単一層で形成されてもよいが、これに限定されるのではない。例えば、下部絶縁層141は、シリコン窒化膜及びシリコン酸化膜を含む多層構造を有することができる。下部絶縁層141は、シリコン酸化膜とチタン酸化膜を交互に積層した分布ブラッグ反射器を含むことができる。
【0089】
一方、第1パッド金属層143aは、前記下部絶縁層141上に配置され、下部絶縁層141によってメサM及び金属反射層139から絶縁される。第1パッド金属層143aは、下部絶縁層141の第1開口部141a1、141a2を介して第1導電型半導体層127に接触する。第1パッド金属層143aは、メサMの周囲に沿って第1導電型半導体層127に接触する外部接触部143a1、及び前記湾入部140又はビアホール内で第1導電型半導体層127に接触する内部接触部143a2を含むことができる。外部接触部143a1は、メサMの周囲に沿って基板121の縁部付近で第1導電型半導体層127に接触し、内部接触部143a2は、外部接触部143a1で取り囲まれた領域の内部で第1導電型半導体層127に接触する。外部接触部143a1と内部接触部143a2は、互いに連結されてもよいが、これに限定されなく、互いに離隔してもよい。また、いくつかの形態において、外部接触部143a1は、メサMの周囲に沿って連続的に第1導電型半導体層127に接触できるが、これに限定されるのではない。他の形態において、複数の外部接触部143a1が互いに離隔して配置されてもよい。
【0090】
一方、第2パッド金属層143bは、下部絶縁層141上でメサMの上部領域に配置され、下部絶縁層141の第2開口部141bを介して金属反射層139に電気的に接続される。第2パッド金属層143bは、第1パッド金属層143aで取り囲まれてもよく、これらの間に境界領域143abが形成されてもよい。境界領域143abに下部絶縁層141が露出し、この境界領域143abは、後述する上部絶縁層145で覆われる。
【0091】
いくつかの形態において、第1パッド金属層143a及び第2パッド金属層143bは、一つの工程で同一の材料で共に形成されてもよい。他の形態において、第1パッド金属層143a及び第2パッド金属層143bは別個に形成されてもよい。第1及び第2パッド金属層143a、143bは、Al層のようなオーミック反射層を含むことができ、オーミック反射層は、Ti、Cr又はNiなどの接着層上に形成されてもよい。また、前記オーミック反射層上にNi、Cr、Auなどの単層又は複合層構造の保護層が形成されてもよい。第1及び第2パッド金属層143a、143bは、例えば、Cr/Al/Ni/Ti/Ni/Ti/Au/Tiの多層構造を有することができる。
【0092】
上部絶縁層145は、第1及び第2パッド金属層143a、143bを覆う。また、上部絶縁層145は、メサMの周囲に沿って第1導電型半導体層127を覆うことができる。本実施例において、上部絶縁層145は、基板121の縁部に沿って第1導電型半導体層127を露出させることができる。しかし、本発明がこれに限定されるのではなく、上部絶縁層145は、第1導電型半導体層127を全て覆うこともでき、基板121の縁部と並んでいてもよい。
【0093】
一方、上部絶縁層145は、
図4Bに示したように、第1パッド金属層143aを露出させる第1開口部145a、及び第2パッド金属層143bを露出させる第2開口部145bを有する。第1開口部145a及び第2開口部145bは、メサMの上部領域に配置されてもよく、互いに対向するように配置されてもよい。特に、第1開口部145a及び第2開口部145bは、メサMの両側縁部に近接して配置されてもよい。
【0094】
上部絶縁層145は、SiO2又はSi3N4の単一層で形成されてもよいが、これに限定されるのではない。いくつかの形態において、上部絶縁層145は、シリコン窒化膜及びシリコン酸化膜を含む多層構造を有することができる。他の形態において、上部絶縁層145は、シリコン酸化膜とチタン酸化膜を交互に積層した分布ブラッグ反射器を含むこともできる。
【0095】
一方、第1バンプパッド147aは、上部絶縁層145の第1開口部145aを介して露出した第1パッド金属層143aに電気的に接触し、第2バンプパッド147bは、第2開口部145bを介して露出した第2パッド金属層143bに電気的に接触する。
図4Aに示したように、第1バンプパッド147aは、上部絶縁層145の第1開口部145a内に配置され、第2バンプパッド147bは、上部絶縁層145の第2開口部145b内に配置されてもよい。しかし、本発明は、これに限定されるのではなく、第1バンプパッド147a及び第2バンプパッド147bがそれぞれ第1開口部145a及び第2開口部145bを全て覆って密封することもできる。また、前記第2バンプパッド147bは、下部絶縁層141の第2開口部141bの上部領域を覆うことができる。第2バンプパッド147bは、下部絶縁層141の第2開口部141bの全てを実質的に覆うことができるが、これに限定されるのではない。他の形態において、各開口部141bのうち一部は、
図4Bに示したように、第2バンプパッド147bの外部に延長して位置することができる。
【0096】
また、
図4Aに示したように、第2バンプパッド147bは、第2パッド金属層143bの上部領域内に限定して位置することもできる。しかし、本発明は、これに限定されるのではなく、第2バンプパッド147bの一部が第1パッド金属層143aと重畳することもできる。ただし、上部絶縁層145が第1パッド金属層143aと第2バンプパッド147bとの間に配置され、これらを絶縁させることができる。
【0097】
本開示の一つ以上の実施例によると、従来のオーミック反射層の代わりに、導電性酸化物層135、誘電層137及び金属反射層139の反射構造が使用される。これによって、ソルダーなどのボンディング材がコンタクト領域に浸透することを遮断することができ、安定したオーミック接触抵抗を確保し、発光ダイオードの信頼性を向上させることができる。さらに、誘電層137の厚さを300nm以上にすることによって、高い光出力及び低い順方向電圧を達成することができる。
【0098】
本開示の一つ以上の実施例によると、第1バンプパッド147a及び第2バンプパッド147bが全て第2導電型半導体層133の上部に配置されてもよく、よって、基板121を介して光を放出するようにフリップボンディングされ得る。第1バンプパッド147aは、特に、第2導電型半導体層133側から第1導電型半導体層127に電気的に接続し、このために第2導電型半導体層133がパターニングされ、第1導電型半導体層127を露出させる。前記フリップチップ型発光ダイオードは、既に
図1乃至
図3を参照して説明したV-ピットを含み、複数の波長でピークを有する。
【0099】
本開示の教示によると、蛍光体がなくても白色光を具現できるフリップチップ型発光ダイオードを提供することができる。白色光ダイオードの製作のための蛍光体工程を省略することができ、生産費用が減少するようになり、さらに、蛍光体が塗布される厚さ分だけ減少した薄い白色光源を応用製品に適用することができる。
【0100】
選択的に又は追加的に、前記フリップチップ型発光ダイオードの基板121上に色フィルター(図示せず)が配置されてもよい。色フィルターは、例えば、屈折率が互いに異なる各物質層を交互に積層して形成した干渉フィルター、例えば、バンドパッドフィルター、長波長透過フィルター、又は短波長透過フィルターであってもよく、又は吸収フィルターであってもよい。色フィルターを用いて発光ダイオードから放出される複数のピーク波長のうち特定のピーク波長の光を放出し、他のピーク波長の光を遮断することができる。例えば、短波長側の光を遮断するための色フィルターが適用され、長波長側の光を選択的に透過させることができ、これと反対に、長波長側の光を遮断するための色フィルターが適用され、短波長側の光を選択的に透過させることができる。干渉フィルターの場合、透過させようとする光の波長によって色フィルターの各層の厚さ及び積層数が設定され得る。また、透過する光の透過率を調節することができ、透過する光の透過度を調節することによって色の混合比を容易に制御することができる。
【0101】
図5Aは、他の実施例に係る複数の発光セルを有する発光ダイオードを説明するための概略的な平面図であり、
図5Bは、
図5AのB-B線に沿って切り取られた概略的な断面図であり、
図5Cは、
図5AのC-C線に沿って切り取られた概略的な断面図である。
【0102】
図5A、
図5B、及び
図5Cを参照すると、本実施例に係る発光ダイオード200は、基板221、第1導電型半導体層227、活性層230、第2導電型半導体層233、透明電極層235、絶縁層241a、241b、241c、241d、第1電極パッド245、第2電極パッド247、第1延長部245a、第2延長部247a及び第3延長部247bを含む。ここで、各半導体層227、230、233は、複数の発光セルC1、C2、C3に分離され、各発光セルC1、C2、C3上に第1乃至第3延長部245a、247a、247bが配置される。
【0103】
本実施例において、基板221、第1導電型半導体層227、活性層230、及び第2導電型半導体層233は、
図1を参照して説明したものと類似するので、重複する内容に対する詳細な説明は省略する。また、ここに示してはいないが、
図1を参照して説明したように、核形成層及び高温バッファ層が基板221と第1導電型半導体層227との間に介在してもよく、V-ピット生成層が第1導電型半導体層227と活性層230との間に介在してもよい。また、p型AlGaN層が活性層230と第2導電型半導体層233との間に介在してもよい。
【0104】
基板221は、
図1の平面図に示すように、長方形又は正方形の外形を有し得るが、必ずしもこれに限定されるのではない。基板221の大きさは、特に限定されるのではなく、多様に選択され得る。
【0105】
各半導体層227、230、233は、各セル分離領域I1、I2によって複数(n個)の発光セルC1、C2、C3に分離される。
図5Aに3個の発光セルC1、C2、C3を示しているが、これに限定されるのではない。nは、2以上の整数であってもよく、特に3以上の整数であってもよい。さらに、nが奇数である場合、各電極パッド245、247を基板221の対角方向に配置できるので有利である。
【0106】
各発光セルC1、C2、C3は、長い長方形の形状を有することができ、互いに平行に配置されてもよい。これによって、奇数番目の各発光セルC1、C3の間に偶数番目の発光セルC2が配置される。
【0107】
各セル分離領域I1、I2の両側壁は、フォトリソグラフィ及びエッチング工程を用いて形成され、各連結部246の信頼性を考慮して相対的に緩やかな形状を有する。
【0108】
しかし、基板221の各側面(
図5Bにおける基板221の左側面を参照)は、セル分離領域I1、I2と異なり、レーザースクライビングを用いて形成されてもよく、よって、相対的に急激な傾きを有する。特に、基板221と第1導電型半導体層227が共にレーザースクライビングを用いて他の発光ダイオードから分離されてもよく、よって、基板221と第1導電型半導体層227の各側面が互いに並ぶことができる。
【0109】
一方、各発光セルC1、C2、C3の縁部に沿って第1導電型半導体層227の上面が露出してもよい。すなわち、第2導電型半導体層233は、露出した第1導電型半導体層227の上面で取り囲まれる。第1導電型半導体層227の上面は、第2導電型半導体層233の周囲の全体に沿って露出してもよい。
【0110】
一方、透明電極層235は、各発光セルC1、C2、C3の第2導電型半導体層233上に位置する。透明電極層235は、導電性酸化物層、例えば、ITO又はZnOで形成されてもよく、第2導電型半導体層233に接触する。すなわち、透明電極層235は、第2導電型半導体層233と電気的に接触し、第2導電型半導体層233より低い比抵抗を有するので、発光ダイオードの広い領域にわたって電流を分散させる。
【0111】
透明電極層235は、第2導電型半導体層233とほぼ同じ平面形状を有する。ただし、透明電極層235が第2導電型半導体層233より狭い面積を有することができる。透明電極層235の下部面は、いずれも第2導電型半導体層233の上面に接触することができる。
【0112】
透明電極層235がZnOで形成された場合、Zn及びOが化合物のほとんどを構成し、ZnOのウルツ鉱型の結晶構造を保有する限り、他の材料を含むことができる。例えば、ZnO透明電極層235は、アルミニウムドーピングされた亜鉛酸化物(AZO)、ガリウムドーピングされた亜鉛酸化物(GZO)、及びインジウムドーピングされた亜鉛酸化物(IZO)を含む。また、ZnO透明電極235は、少量の他のドーパント及び/又は他の不純物や含有物材料を備える材料のみならず、空孔(vacancy)及び挿入系材料欠陥の存在に起因した非化学量論である材料を含む。
【0113】
ZnO透明電極層235は、ITO膜の一般的な厚さの約5倍以上の厚さを有することができる。例えば、ITO透明電極層235は、約500Å以下の厚さで形成されてもよいが、ZnO透明電極層235は、吸収率が低いので、1000Å以上、さらに、約5000Å以上の厚さで形成されてもよい。ZnO透明電極層235の上限は、特に限定されるのではないが、約1μm以下であってもよい。
【0114】
透明電極層235をZnOで形成する場合、ITOや他の導電性酸化物に比べて相対的に厚く形成できるので、面抵抗を減少させることができ、よって、電流をさらに容易に分散させることができる。しかし、本実施例において、透明電極層235が必ずしもZnOに限定されるのではない。
【0115】
図5Aに示したように、第1電極パッド245は第1発光セルC1上に配置されてもよく、第2電極パッド247は第3発光セルC3上に配置されてもよい。第1電極パッド245は、露出した第1導電型半導体層227の上面上に配置されてもよい。しかし、本発明がこれに限定されるのではなく、第1電極パッド245が絶縁層を介在して第2導電型半導体層233上に配置されてもよい。また、第1電極パッド245は、第1発光セルC1の一側コーナー付近に配置されてもよい。
【0116】
一方、第1延長部245aは、メサエッチング工程を通じて露出した第1導電型半導体層227に電気的に接続される。第1発光セルC1上の第1延長部245aは、第1電極パッド245から延長することができ、それ以外の各発光セルC2、C3上の第1延長部245aは、それぞれ連結部246から延長することができる。
【0117】
第2電極パッド247は、透明電極層235上に配置されてもよい。第2電極パッド247は、第1電極パッド245に対向して基板221の他側コーナー付近に配置されてもよく、これによって、ワイヤをボンディングする工程を容易に行うことができる。
【0118】
一方、
図5Aに示したように、各発光セルC1、C2、C3上の第2延長部247a及び第3延長部247bは、第1延長部245aを覆うように透明電極層235上に位置することができる。本実施例において、第2電極パッド247が全ての発光セルC1乃至C3上に配置されるのではないので、第2延長部247a及び第3延長部247bが全て第2電極パッド247から延長されるのではない。
図5Aに示したように、第3発光セルC3上の第2延長部247a及び第3延長部247bは、第2電極パッド247から延長するが、第1及び第2発光セルC1、C2上の第2延長部247a及び第3延長部247bは第2電極パッド247から離隔し、各発光セルを電気的に連結する連結部246から延長する。
【0119】
第2延長部247a及び第3延長部247bは、各発光セルC1、C2、C3上の透明電極層235上に位置し、透明電極層235にそれぞれ電気的に接続される。
【0120】
一方、各連結部246は、隣り合う各発光セルを電気的に連結する。具体的には、各連結部246は、一つの発光セルの第1延長部245aと隣り合う発光セルの第2及び第3延長部247a、247bとを連結する。
図5Cに示したように、連結部246の一側端部は、第1導電型半導体層227上に位置し、第1延長部245aに連結され、他側端部は第2導電型半導体層233上に位置することができる。
図5Aから分かるように、第2導電型半導体層233上に位置する連結部246の他側端部は、第2発光セルC2の第2及び第3延長部247a、247bに連結される。
【0121】
第1発光セルC1及び第3発光セルC3を除いた残りの発光セル(例えば、C2)には、
図5Aに示したように、二つの連結部246が対角方向の各コーナー付近に配置される。
図5Aに示したように、第1発光セルC1に連結された連結部246は、第1電極パッド245に対向して対角方向のコーナー付近に配置され、第3発光セルC3に連結された連結部246は、第2電極パッド247に対向して対角方向のコーナー付近に配置される。一方、第1発光セルC1上の第1、第2及び第3延長部245a、247a、247bと第2発光セルC2上の第1、第2及び第3延長部は、ほぼ類似する形状を有する。いくつかの形態において、第2発光セルC2上の第1、第2及び第3延長部245a、247a、247bと第3発光セルC3上の第1、第2及び第3延長部も、ほぼ類似する形状を有する。隣り合う各発光セル上の第1乃至第3延長部245a、247a、247bが互いに反転した形状で配置されることによって、第1延長部245aを単一線で相対的に長く形成しながら、第2延長部247aと第3延長部247bの長さをほぼ同一又は類似する長さに設計することができる。第1延長部245aの両側でほぼ均一な電流分散が達成され得る。
【0122】
いくつかの形態において、第1電極パッド245、第2電極パッド247、第1延長部245a、連結部246、第2延長部247a及び第3延長部247bは、一つの工程で同一の材料で共に形成されてもよい。しかし、本発明がこれに限定されるのではなく、他の形態において、他の材料及び/又は他の工程が第1電極パッド245、第2電極パッド247、第1延長部245a、連結部246、第2延長部247a及び第3延長部247b、又はこれらの組み合わせを形成するために使用され得る。
【0123】
一方、
図5Aに示したように、第1絶縁層241aは、第1電極パッド245の下部に位置することができる。第1絶縁層241aは、第1電極パッド245から第1導電型半導体層227に電流が直接流入することを緩和し、電流分散に寄与する。第1絶縁層241aは、第1電極パッド245の一部領域の下部に配置されてもよく、よって、第1電極パッド245の縁部領域は、第1導電型半導体層227に接続され得る。第1絶縁層241aの広さ及び第1電極パッド245の広さを調節することによって、第1電極パッド245が第1導電型半導体層227に接触する面積を調節することができ、これによって、順方向電圧を制御することができる。
【0124】
第2絶縁層241bは、第2電極パッド247の下部に配置され、第2電極パッド247を透明電極層235から離隔させることができる。例えば、第2絶縁層241bは、
図5Aに示したように、ディスク状に形成されてもよく、第2電極パッド247より大きい面積を有することができる。第2電極パッド247は、絶縁層241b上に配置され、透明電極層235から離隔してもよい。しかし、本発明がこれに限定されるのではなく、第2絶縁層241bが開口部を有するように形成され、第2電極パッド247は部分的に透明電極層235に接触することもできる。第2絶縁層241b上に第2電極パッド247を配置することによって、第2電極パッド247の下部に電流が集中することを緩和することができる。
【0125】
一方、連結部246によって一つの発光セル内の第1導電型半導体層227及び第2導電型半導体層233が短絡されることを防止するために、連結部246の下部に第3絶縁層241cが介在してもよい。
【0126】
また、第4絶縁層241dが第1電極パッド245の周辺に露出した活性層230及び第2導電型半導体層233の側壁を覆うことができる。第4絶縁層241dは、第1電極パッド245にワイヤをボンディングする場合、ボンディングワイヤが第2導電型半導体層233又は活性層230に短絡されることを防止する。いくつかの形態において、第4絶縁層241dは連続的な曲線状に形成されてもよく、第1延長部245aは第4絶縁層241dの上部を通過することができる。しかし、本発明はこれに限定されるのではない。他の形態において、第4絶縁層241dの一部が省略され、第1延長部245aは、第4絶縁層241dの省略された部分を通過することができる。
【0127】
いくつかの形態において、前記第1乃至第4絶縁層241a、241b、241c、241dは、一つの工程で同一の材料で共に形成されてもよい。特に、これらの絶縁層241a、241b、241c、241dは、リフトオフ工程を用いて形成されてもよく、分布ブラッグ反射器として形成されてもよい。他の形態において、前記第1乃至第4絶縁層241a、241b、241c、241dは別個に形成されてもよい。
【0128】
一つ以上の実施例によると、発光ダイオードは、分離領域I1、I2によって分離された複数の発光セルC1、C2、C3を含み、これらの発光セルC1、C2、C3は、互いに電気的に直列に連結される。しかし、本発明がこれに限定されるのではなく、各発光セルC1、C2、C3は、並列又は直並列に連結されてもよい。特に、各発光セルC1、C2、C3が直列に連結される場合、発光ダイオードの動作電圧を高めることができる。
【0129】
図6は、他の実施例に係る複数の発光セルを有する発光ダイオード300を説明するための概略的な平面図である。
【0130】
図6を参照すると、発光ダイオード300は、
図5A、
図5B、及び
図5Cを参照して説明した発光ダイオードと類似する複数の発光セルC1、C2、C3、C4、C5を含む。各発光セルC1、C2、C3、C4、C5の発光面積は互いに異なる。
【0131】
発光ダイオードは、基板321、第1導電型半導体層327、活性層、第2導電型半導体層333、第1電極パッド345、第2電極パッド347、及び各延長部345a、345b、347a、347bを含む。また、図示してはいないが、
図5A、
図5B、及び
図5Cを参照して説明した発光ダイオードと同様に、透明電極層が各発光セルの第2導電型半導体層333上に配置されてもよい。また、発光ダイオード300は、既に
図1乃至
図3を参照して説明した各実施例と同様に、核形成層、高温バッファ層、V-ピット生成層、及びp-AlGaN層を含むことができる。
【0132】
各発光セルC1、C2、C3、C4、C5の積層構造と、第1電極パッド345、第2電極パッド347、及び各延長部345a、345b、347a、347bの連結構造は、
図5A、
図5B、及び
図5Cを参照して説明したものと類似するので、重複を避けるために詳細な説明は省略する。また、電気的絶縁のために、絶縁層は、各発光セルC1、C2、C3、C4、C5を少なくとも部分的に覆うことができ、これらの間の領域を少なくとも部分的に覆うことができる。
【0133】
一方、各発光セルC1、C2、C3、C4、C5は、各セル分離領域I1、I2、I3、I4によって互いに分離されてもよい。例えば、第1導電型半導体層327も、各セル分離領域I1、I2、I3、I4によって互いに分離される。一実施例において、同じ行に配置された各発光セルは、第1導電型半導体層327を共有することができる。すなわち、
図6で同じ行に配置された3個の発光セルは、連続的な第1導電型半導体層327上に配置されてもよい。他の実施例において、同じ行にある各発光セルも、セル分離領域によって互いに分離され得る。
【0134】
本実施例において、各発光セルC1、C2、C3、C4、C5は直並列に連結される。すなわち、同じ行に配置された各発光セルは並列に連結され、これらの発光セルは、第1電極パッド345と第2電極パッド347との間で各延長部345a、345b、347a、347bによって互いに直列に連結される。
【0135】
一方、各発光セルC1、C2、C3、C4、C5は、互いに異なる大きさを有する。例えば、発光セルC3は、発光セルC2より小さい発光面積を有することができ、発光セルC2は、発光セルC1より小さい面積を有することができる。発光セルC1は、発光セルC5と同じ発光面積を有することができ、発光セルC2は、発光セルC4と同じ発光面積を有することができる。
【0136】
実質的に同一の電流下で、発光面積の大きさによって電流密度が変わる。電流密度の高い発光セルは、複数のピーク波長の光を放出することができ、電流密度が低い発光セルは、黄色系列の光を放出することができる。よって、各発光セルの大きさを異ならせることによって、各発光セルから放出される光の色相を調節することができる。
【0137】
本実施例では、第1電極パッド345から第2電極パッド347に向かって発光面積が小さくなってから再び大きくなる順に各発光セルが配列されたことを示すが、本発明がこれに限定されるのではない。発光面積が異なる各発光セルは、多様な方式で配列され得る。さらに、同じ行に配置された各発光セルも、互いに異なる大きさの発光面積を有することができる。
【0138】
本発明の各実施例によると、蛍光体がなくても白色光を具現できるマルチセル発光ダイオードを提供することができる。白色光ダイオードの製作のための蛍光体工程を省略することができ、生産費用が減少するようになり、さらに、蛍光体が塗布される厚さ分だけ減少した薄い白色光源を応用製品に適用することができる。
【0139】
図7Aは、比較例の青色発光ダイオードの電流によるスペクトルを示すグラフで、
図7Bは、実施例に係る発光ダイオードの電流によるスペクトルを示すグラフである。
【0140】
図7Aを参照すると、比較例の青色発光ダイオードは、電流の増加によって青色光の強度が増加するが、発光波長にほとんど変化がない。よって、白色光を具現するためには、青色発光ダイオード以外に他の色の発光ダイオードが追加されたり、又は蛍光体が使用されなければならない。
【0141】
図7Bを参照すると、本開示の実施例に係る発光ダイオードは、電流が小さい値を有する場合、黄色領域にピーク波長を有するが、電流の増加によって、黄色領域と共に青色領域でもピーク波長が観察される。すなわち、本実施例に係る発光ダイオードは、駆動電流の増加によって青色光と黄色光が混合された混色光、例えば、白色光を具現することができる。
【0142】
図8Aは、比較例に蛍光体を適用した白色発光ダイオードパッケージの色座標を示すグラフで、
図8Bは、本開示の一実施例に係る白色発光ダイオードパッケージの電流による色座標を説明するためのグラフである。ここで、比較例及び実施例の発光ダイオードパッケージは、いずれもソウル半導体社の5630パッケージを用いて製作されたものである。ただし、比較例は、パッケージ内に青色チップを実装しており、白色光の具現のために蛍光体が分散されたモールディングメンバーを使用した。これに反して、実施例は、本開示の実施例に係る水平型発光チップをパッケージ内に実装したものである。
【0143】
まず、
図8Aを参照すると、比較例の発光ダイオードパッケージは、一点の色座標を示し、この位置は白色領域に該当する。
【0144】
図8Bを参照すると、実施例の発光ダイオードパッケージは、電流が増加するほど、放出される光の色相が黄色光から白色光に変わる。3mAの電流条件では黄色光を示すが、100mAでは白色光を示す。
【0145】
100mAの駆動電流下で、比較例及び実施例の電気的及び光学的特性を表1に簡略にまとめた。
【0146】
【0147】
表1を参照すると、実施例の発光ダイオードパッケージは、蛍光体を使用した比較例の白色発光ダイオードパッケージとほぼ類似するx-y座標を示すことを確認できる。
【0148】
本開示の各実施例に係る発光ダイオードは、蛍光体を使用しなくても可視光領域で複数のピーク波長を有する光を放出することができ、これを用いて、蛍光体がなくても白色光を具現することができる。
【0149】
本開示の各実施例に係る発光ダイオードは、複数の明確に区別されるピーク波長の光を放出するので、色フィルターを用いて所望のピーク波長の光を抽出して使用するのに有利である。
【0150】
本開示の各実施例に係る発光ダイオードは、照明分野のみならず、無線通信分野にも適用され得る。特に、可視領域で多重ピーク波長の光を放出できるので、Li-Fiなどの可視光通信(VLC)に適切に使用され得る。
【0151】
可視領域は、380THz~750THzの範囲を包括するので、従来の無線通信の全体周波数領域よりも約1万倍以上広い領域である。従来の蛍光体を用いた白色発光ダイオードは、蛍光体によって応答遅延が発生し、周波数応答が遅くなるので、VLCに使用することは適切でないが、本実施例に係る発光ダイオードは、蛍光体がなくても可視領域内で多重ピーク波長の光を放出するので、VLCに適切に使用され得る。
【0152】
以上で説明したように、本開示に対する具体的な説明は、添付の図面を参照した実施例によって行われたが、上述した説明は、本開示の実施例を挙げて説明したものに過ぎないので、本開示が前記実施例にのみ限定されると理解してはならなく、本開示の権利範囲は、後述する特許請求の範囲及びその等価概念で理解すべきであろう。
【符号の説明】
【0153】
21 基板
23 核形成層
25 高温バッファ層
27 n型窒化物半導体層
29 ピット生成層
29v ピット
30 活性層
30b 障壁層
30c キャッピング層
30w 井戸層
31 p型AlGaN層
33 p型窒化物半導体層
100 フリップチップ型発光ダイオード
121 基板
127 第1導電型半導体層
130 活性層
133 第2導電型半導体層
135 導電性酸化物層
137 誘電層
137a 開口部
139 金属反射層
140 湾入部
141 下部絶縁層
141a1、141a2 第1開口部
141b 第2開口部
143a 第1パッド金属層
143a1 外部接触部
143a2 内部接触部
143ab 境界領域
143b 第2パッド金属層
145 上部絶縁層
145a 第1開口部
145b 第2開口部
147a 第1バンプパッド
147b 第2バンプパッド
200 発光ダイオード
221 基板
227 第1導電型半導体層
230 活性層
233 第2導電型半導体層
235 透明電極層
241a 第1絶縁層
241b 第2絶縁層
241c 第3絶縁層
241d 第4絶縁層
245 第1電極パッド
245a 第1延長部
246 連結部
247 第2電極パッド
247a 第2延長部
247b 第3延長部
300 発光ダイオード
321 基板
327 第1導電型半導体層
333 第2導電型半導体層
345 第1電極パッド
345a、345b 延長部
347 第2電極パッド
347a、347b 延長部
【国際調査報告】