(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-25
(54)【発明の名称】アラミドナノファイバを含む吸湿膜及びフッ化水素酸除去膜
(51)【国際特許分類】
H01M 50/423 20210101AFI20230518BHJP
H01M 50/44 20210101ALI20230518BHJP
H01M 50/489 20210101ALI20230518BHJP
H01M 50/434 20210101ALI20230518BHJP
H01M 50/443 20210101ALI20230518BHJP
H01M 50/446 20210101ALI20230518BHJP
H01M 50/494 20210101ALI20230518BHJP
H01M 50/497 20210101ALI20230518BHJP
H01M 50/403 20210101ALI20230518BHJP
【FI】
H01M50/423
H01M50/44
H01M50/489
H01M50/434
H01M50/443 M
H01M50/446
H01M50/494
H01M50/497
H01M50/403 A
H01M50/403 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022560331
(86)(22)【出願日】2021-04-02
(85)【翻訳文提出日】2022-12-01
(86)【国際出願番号】 US2021025677
(87)【国際公開番号】W WO2021203069
(87)【国際公開日】2021-10-07
(32)【優先日】2020-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521434964
【氏名又は名称】ソテリア バッテリー イノベーション グループ インク.
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヘネシー ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ケイガノーヴ スティーヴン
(72)【発明者】
【氏名】タン シュウ
(72)【発明者】
【氏名】コトフ ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】タウンゼンド デニス
(72)【発明者】
【氏名】チェン ロン
【テーマコード(参考)】
5H021
【Fターム(参考)】
5H021BB19
5H021CC01
5H021EE07
5H021EE21
5H021EE22
5H021HH00
5H021HH02
5H021HH06
(57)【要約】
本願は、アラミドマイクロファイバとアラミドナノファイバを含むナノ多孔性セパレータ膜、HF除去膜、及び吸湿膜を提供する。 また、ナノ多孔性セパレータ膜及び吸湿膜の迅速な調製方法を提供する。 本願の膜を備えるバッテリ、バッテリシステム及び視覚インジケータを提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アラミドマイクロファイバ及びアラミドナノファイバを含むバッテリセパレータ膜構造体であって、前記膜がフッ化水素除去能を示すことを特徴とする、バッテリセパレータ膜構造体。
【請求項2】
前記膜が、フッ化水素の前記膜への結合時に変色することを特徴とする、請求項1に記載の膜構造体。
【請求項3】
アラミドマイクロファイバ及びアラミドナノファイバを含む吸湿性バッテリセパレータ膜であって、前記膜は、EC及びDMCを1:1の比で含み、かつ水2000ppmを含む電解液300mlに対して、膜0.2gの比率で48時間曝露した場合に、前記膜質量の少なくとも1%に相当する液体を吸収することができることを特徴とする、吸湿性バッテリセパレータ膜。
【請求項4】
少なくとも1つの添加物をさらに含むことを特徴とする、請求項3に記載の吸湿性バッテリセパレータ膜。
【請求項5】
前記添加物がAl
2O
3であることを特徴とする、請求項4に記載の吸湿性バッテリセパレータ膜。
【請求項6】
前記膜がデンドライト成長を減少させることを特徴とする、請求項3に記載の吸湿性バッテリセパレータ膜。
【請求項7】
前記膜の引張強度が少なくとも35MPaであることを特徴とする、請求項3に記載の吸湿膜。
【請求項8】
前記膜が65ガーレー秒を超える透気度を示すことを特徴とする、請求項3に記載の吸湿性バッテリセパレータ膜。
【請求項9】
前記膜が高いイオン伝導度を示すことを特徴とする、請求項3に記載の吸湿性バッテリセパレータ膜。
【請求項10】
前記膜の平均孔径がd
dendr 以下であることを特徴とする、請求項3に記載の吸湿性バッテリセパレータ膜。
【請求項11】
前記膜は、前記膜質量の少なくとも5%から少なくとも45%までに相当する液体を吸収することができることを特徴とする、請求項3に記載の吸湿性バッテリセパレータ膜。
【請求項12】
請求項3に記載の吸湿性バッテリセパレータ膜を備えることを特徴とする、バッテリ。
【請求項13】
前記バッテリがフッ化水素除去特性を示すことを特徴とする、請求項12に記載のバッテリ。
【請求項14】
前記バッテリの部品が、前記吸湿性バッテリセパレータ膜の表面に隣接する表面を有することを特徴とする、請求項12に記載のバッテリ。
【請求項15】
前記部品が、アノード、カソード、及び封入材料を含む部品群から選択されることを特徴とする、請求項14に記載のバッテリ。
【請求項16】
前記バッテリが、前記吸湿性バッテリセパレータ膜を含むイオン伝導膜を備えることを特徴とする、請求項13に記載のバッテリ。
【請求項17】
前記バッテリが、250サイクル後に少なくとも90%の容量を示すことを特徴とする、請求項13に記載のバッテリ。
【請求項18】
請求項1に記載のバッテリセパレータ膜構造体を備えることを特徴とする、バッテリ。
【請求項19】
(a)アラミドパルプ、ジメチルスルホキシド及び水酸化カリウムの配合物を調製するステップ、(b)前記配合物を高せん断力に曝してスラリーを形成するステップ、(c)DMSOの層を用いて金型を調製するステップ、(d)前記金型に前記スラリーを加えるステップ、(e)前記スラリー及びDMSOを撹拌するステップ、(f)負圧を作用させるステップ、(g)残留DMSOを除去するステップ、並びに(h)前記スラリーを乾燥させてアラミドマイクロファイバ及びアラミドナノファイバを含むナノ多孔性セパレータ膜を形成するステップ、を含むことを特徴とする、アラミドマイクロファイバ及びアラミドナノファイバを含むナノ多孔性セパレータ膜の迅速な調製方法。
【請求項20】
アラミドマイクロファイバとアラミドナノファイバの比率が90:10~10:90の範囲であることを特徴とする、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記アラミドマイクロファイバ及び前記アラミドナノファイバが、前記スラリーの0.1~2%を構成することを特徴とする、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記方法が、24時間未満から3時間未満までの時間の後にナノ多孔性セパレータ膜を生成することを特徴とする、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記配合物を前記高せん断力に曝すステップが、2時間未満から5分間未満まで生じることを特徴とする、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記負圧を約7~12Hgで作用させることを特徴とする、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
前記DMSOの少なくとも10%から95%までが、前記負圧によって前記スラリーから除去されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記負圧を5分間未満から30秒間未満まで作用させることを特徴とする、請求項19に記載の方法。
【請求項27】
残留DMSOを水で除去することを特徴とする、請求項19に記載の方法。
【請求項28】
乾燥が高温で起こることを特徴とする、請求項19に記載の方法。
【請求項29】
前記高温が、50℃~100℃、60℃~90℃、65℃~80℃、又は65℃~75℃の範囲内であることを特徴とする、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記金型が、シート金型、鋳造金型、金型及びデッケル、並びにシリンダ金型からなる金型群から選択されることを特徴とする、請求項19に記載の方法。
【請求項31】
(a)アラミドパルプ、非プロトン性溶媒及び塩基の配合物を調製するステップ、(b)前記混合物を高せん断力に曝して、アラミドマイクロファイバ及びアラミドナノファイバを含むスラリーを形成するステップ、(c)非プロトン性溶媒の層を用いて金型を調製するステップ、(d)前記金型に前記スラリーを加えるステップ、(e)前記非プロトン性溶媒の存在下で前記スラリーを撹拌するステップ、(f)負圧を作用させるステップ、並びに(g)高温で乾燥させて、アラミドマイクロファイバ及びアラミドナノファイバを含む吸湿膜を形成するステップ、を含むことを特徴とする、吸湿膜の迅速な調製方法。
【請求項32】
前記塩基が、グループI塩基、グループII塩基、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム、及び水酸化カルシウムを含む群から選択されることを特徴とする、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
グループII塩基が水酸化バリウム及び水酸化カルシウムを含む群から選択されることを特徴とする、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
96時間未満、48時間未満、24時間未満、12時間未満、6時間未満、又は3時間未満で吸湿膜を調製することを特徴とする、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記非プロトン性溶媒がDMSOであることを特徴とする、請求項31に記載の方法。
【請求項36】
前記高温が、50℃~200℃、60℃~190℃、75℃~180℃、85℃~160℃、又は100℃~160℃の範囲内であることを特徴とする、請求項31に記載の方法。
【請求項37】
前記高温が180℃以上であることを特徴とする、請求項32に記載の方法。
【請求項38】
バッテリ内の水分を減少させる方法であって、前記バッテリ内に請求項3に記載の吸湿膜を組み込むステップを含むことを特徴とする、方法。
【請求項39】
バッテリ内の遊離HFを減少させる方法であって、前記バッテリ内に請求項1に記載の前記吸湿膜を組み込むステップを含むことを特徴とする、方法。
【請求項40】
請求項1に記載の前記吸湿膜と、内部に前記吸湿膜が配置された観察開口部と、を備えるHF曝露の視覚インジケータであって、前記膜は、前記吸湿膜にHFが結合すると変色することを特徴とする、視覚インジケータ。
【請求項41】
請求項40に記載の前記視覚インジケータを備えることを特徴とする、バッテリシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2020年4月3日に出願された係属中の米国仮特許出願第63/004,631号に基づいて優先権を主張するものであって、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
(開示の分野)
本発明は、膜のGSMの少なくとも1%に相当する液体を吸収できるアラミドマイクロファイバとアラミドナノファイバの混合物を含む吸湿膜、このような膜の迅速な製造方法、バッテリにおけるこのような膜の使用、アラミドマイクロファイバとアラミドナノファイバを含むナノ多孔性セパレータ膜の迅速な調製方法、フッ化水素(HF)除去膜、バッテリ内の湿度を減少させる方法、バッテリ内の遊離HFを減少させる方法、及びHF曝露の視覚インジケータに関する。
【背景技術】
【0002】
数100nmを超える様々な径のケブラーTMアラミド関連線維及び超強繊維の形成が、膜の生成に用いられてきた。Zhang (2010) Applied Surface Science 256:2104-2109、Daidoら 米国特許第6291106号、及びZhangら (2013) Solid State Ionics 245-246:49-55参照。さらに、アラミドナノファイバを含む膜及びフィルムが当該技術分野で公知である。しかしながら、アラミドナノファイバフィルム又はアラミドナノファイバ膜を調製する方法には時間がかかり、しばしば数週間を要する。
【0003】
イオン伝導及びデンドライト抑制に必要なナノメートルスケールの多孔性を有するANFベースのICM及びセパレータ複合材料の調製は、交互積層(LBL又はLbL)法に続いて達成することができる。Yangら(2011) ACS Nano 5:6945-6954参照。また、LBL製材料は、デンドライト成長を容易にするナノスケールの「ウィークスポット」の除去に必要な、比類のない均一性を示す。Shimら(2010) ACS Nano 4:3725-3734、Shimら(2009) ACS Nano 3:1711-1722、Krogmanら(2007) Langmuir ACS J Surfaces Colloids 23:3137-3141、Jiangら(2006) Advanced Materials 18:829-840参照。イオン含有量の大きいマイクロメートル層厚の複合層を蓄積する技術の能力は、高いイオンコンダクタンスをもたらす。しかしながら、LBLは、一度に単一のナノメートルスケールの層の堆積に基づいており、その結果、非伝統的な製造装置を必要とし、実施が遅くなる可能性がある。ANFを利用する他の方法が、剛性、強度、孔径及び孔分布、イオンコンダクタンス、熱レジリエンス、厚さ変動に例示されるが、これらに限定されない、ICM及びセパレータに必要とされる複数のパラメータにわたって類似の性能を与えることができることは自明ではない。
【0004】
先進的リチウムイオンバッテリ(LIB)のコスト効率の良い展開に対するもう一つの主な障害は、容量フェージング/サイクル寿命低下の問題である。通常のリチウムイオンバッテリの電解質は、線形と環状の有機炭酸塩及びリチウムヘキサフルオロホスフェート(LiPF6)の混合物からなるのが一般的である。最も純度の高いバッテリ用電解質であっても、通常は約25ppmの水分が含まれており、それが機構によって制限されないのは、LiPF6の吸水特性によるものと考えられる。水と湿気の存在は、HFの分解とそれに続くHFの形成を引き起こし、これが多数の異なるカソード組成の遷移金属を攻撃し、そして溶解する。液体電解質中のフッ化水素酸(HF)の存在は、この分解とバッテリ寿命低下の主要な原因であることが確認されている。溶解した金属イオンは、リチウム/グラファイトアノードに移動してメッキされ、リチウム/グラファイトアノードが機能しなくなる。HFはまた、カソード表面に堆積した無機種(例えばLiF)を攻撃し、浸出させることができる。これが起こると、LiFがいったん堆積したカソード表面が電解質溶液にさらされ、新たに露出した表面に電解質分解がさらに起こる。HFの存在下でカソードの構造的安定性を改善するために、保護コーティング、及びHFを化学的に消去する電解質中の塩基性添加物の利用を含むいくつかのアプローチが用いられている。保護/反応性コーティングは、セパレータ上にも堆積されている。これらのアプローチの全てに対する1つの欠点は、それらがその容量及び/又はパワー密度に寄与することなくLIBに質量及び体積を加えることである。また、バッテリの故障点以前では、バッテリの分解は容易に検出できない。バッテリがいつ劣化し始めたかを知るのは難しい。
【発明の概要】
【0005】
本願の実施形態は、アラミドパルプ、ジメチルスルホキシド(DMSO)及び水酸化カリウムの混合物を調製するステップと、前記配合物を高せん断力に曝してスラリーを形成するステップと、DMSOの層を用いて金型を調製するステップと、前記スラリーを前記金型に加えるステップと、前記スラリーとDMSOを撹拌するステップと、前記金型内の前記スラリーに負圧を作用させるステップと、残留 DMSOを除去するステップと、前記スラリーを乾燥させて、アラミドマイクロファイバ及びアラミドナノファイバを含むナノ多孔性セパレータ膜を形成するステップと、を含むアラミドマイクロファイバ及びアラミドナノファイバを含むナノ多孔性セパレータ膜の迅速な調製方法を提供するものである。一態様において、アラミドマイクロファイバとアラミドナノファイバの比率は、90:10、80:20、70:30、50:50、30:70、20:80~10:90の範囲である。前記方法の一態様では、アラミドマイクロファイバ及びアラミドナノファイバはスラリーの0.1~2%である。一態様において、前記方法は、24時間未満、10時間未満、8時間未満、5時間未満、又は3時間未満でナノ多孔性セパレータ膜を形成する。一態様において、前記配合物を高せん断力に曝す前記ステップは、2時間未満、1時間未満、30分未満、15分未満、10分未満、又は5分未満で行われる。一態様では、前記負圧を、約7~12 Hgで作用させる。前記方法の一態様では、DMSOの少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又は95%が、前記負圧によって前記スラリーから除去される。一態様では、前記負圧を、5分未満、2分未満、1分未満、50秒未満、45秒未満、40秒未満、35秒未満、又は30秒未満作用させる。前記方法の一態様では、残留DMSOは水により除去される。前記方法の一態様では、乾燥は高温で行われる。前記高温は、50~100℃、60~90℃、65~80℃、又は65~75℃の範囲とすることができる。前記方法の様々な態様において、前記金型は、シート金型、鋳造金型、金型とデッケル、及びシリンダ金型からなる金型群から選択される。
【0006】
一実施形態では、本願は、アラミドマイクロファイバ及びアラミドナノファイバを含むフッ化水素(HF)除去膜を提供する。ここで、前記セパレータ膜にHFが結合するとセパレータが変色する。
【0007】
一実施形態では、本願は、アラミドマイクロファイバ及びアラミドナノファイバを含む吸湿膜を提供する。ここで、前記膜は、膜質量の少なくとも1%に相当する液体を吸収することができる。一態様では、前記ナノファイバは、非プロトン性溶媒中でアラミドマイクロファイバを塩基に曝露することによって製造される。種々の態様において、前記塩基は、グループI塩基、グループII塩基、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化バリウム、及び水酸化マグネシウムからなる塩基群から選択される。一態様では、前記吸湿膜は、少なくとも1つのをさらに含む。前記添加物は、Al2 03を含む群から選択することができる。前記膜の一態様では、膜の引張強度はデンドライト成長を減少させる。一態様では、前記膜の引張強度は、少なくとも35MPaである。一態様では、前記膜は65ガーレー秒を超える透気度を示す。一態様において、前記膜は、電解質充填セパレータの抵抗性と電解質単独の抵抗性との比であるマクマリン数で測定されるように、高いイオン伝導度を示す。マクマリン数が15未満、12未満、10未満、又は8未満であれば、イオン伝導度が高いことを示す。他の態様では、前記膜の平均孔径はddendr以下である。前記膜の一態様において、膜は、膜質量の少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、又はそれ以上に相当する液体を吸収することができる。
【0008】
本願は、さらに、本願の吸湿膜を含む、増加した水分除去特性を有するバッテリを提供する。複数の態様では、前記バッテリはHF損傷の減少を示す。様々な態様において、バッテリの部品は吸湿材料で裏打ちされている。前記部品は、アノード、カソード、及び封入材料を含む部品群から選択され得る。一態様では、前記バッテリは、吸湿膜を含むナノ多孔性セパレータ膜を含む。一態様では、前記バッテリは、250サイクル後に少なくとも90%の容量を示す。
【0009】
本願は、アラミドパルプ、非プロトン性溶媒、及び塩基の混合物を調製するステップと、前記混合物を高せん断力に曝して、アラミドマイクロファイバ及びアラミドナノファイバを含むスラリーを形成するステップと、非プロトン性溶媒の層を用いて金型を調製するステップと、負圧を作用させるステップと、高温で乾燥させて、アラミドマイクロファイバ及びアラミドナノファイバを含む吸湿膜を形成するステップと、を含む、吸湿膜の迅速な調製方法を提供する。一態様では、前記塩基は、グループI塩基、グループII塩基、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム、及び水酸化カルシウムを含む群から選択される。種々の態様において、前記グループII塩基は、水酸化バリウム及び水酸化カルシウムを含む群から選択される。一態様において、前記吸湿膜は、96時間未満、48時間未満、24時間未満、12時間未満、6時間未満、又は3時間未満で調製される。一態様では、前記非プロトン性溶媒はDMSOである。様々な態様において、前記高温は、50℃~200℃、60℃~190℃、75℃~180℃、85℃~160℃、又は100℃~160℃の範囲内である。一態様において、前記高温は180℃以上である。
【0010】
本願は、バッテリ内に本願の吸湿膜を組み込むステップを含む、バッテリ内の水分を減少させる方法を提供する。本願は、本明細書中の別の個所に記載されるような吸湿膜を組み込むステップを含む、バッテリ中の遊離HFを減少させる方法を提供する。
【0011】
本願は、吸湿膜と、前記吸湿膜が配置された観察開口部と、を含み、前記吸湿膜にHFが結合すると当該膜が変色する、HF曝露の視覚インジケータを提供する。一態様では、本願は、HF曝露の視覚インジケータを含むバッテリシステムを提供する。
(参照による組み込み)
【0012】
本明細書に言及されたすべての刊行物、特許、及び特許出願は、各個々の刊行物、特許、又は特許出願が、参照によって組み込まれるように具体的かつ個別に示された場合と同程度に、本明細書にその全体において参照によって組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1A及び
図1Bは、デュポン ケブラーパルプ タイプ979Aから得られたアラミドナノファイバの走査型電子顕微鏡像の顕微鏡写真を、(
図1A)25000倍及び(
図1B)2500倍の倍率で示す。
【
図2】純粋なANFセパレータのXPSスペクトル解析を示すグラフである。パネルAでは炭素(C)、窒素(N)、酸素(O)のピークのみを示す。パネルBでは、対応する炭素領域の拡大図を示し、C-C、C-N、C=O結合ピークがはっきりと見える。
【
図3】
図3、
図3A及び
図3Bは、1.2M LiPF
6 EC/EMC電解液に一晩浸漬した同様のICMの対応するXPSスペクトルを示すグラフである。
【
図4】
図4A及び
図4Bは、アラミドナノファイバ膜(パネルA)及び10.75ppm HFを含む1.2M LiPF
6 EC/EMC電解質溶液に浸漬したアラミドナノファイバ膜(パネルB)の写真を示す。
【
図5A】
図5A(パネルA)は、種々の塩基で調製した吸湿膜の引張強度(y軸)対pKb (x軸)のプロットを示す。
【
図5B】
図5B(パネルB)は、種々の塩基で調製した吸湿膜について、ガーレー (秒) で測定した膜の透気度対pKb (x軸)のプロットを示す。
【
図6】種々の塩基で調製した吸湿膜を含むバッテリから得られた、表示されたサイクル数(x軸)とバッテリの容量%(y軸)のデータをまとめたグラフである。
【
図7】表示された塩基を用いて調製された吸湿膜から得られた吸湿データをまとめたグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(好ましい実施形態及び図面の詳細な説明)
特に定義しない限り、本明細書で使用する全ての技術的及び科学的用語は、本発明が属する技術の当業者によって一般的に理解される意味を有する。
【0015】
本明細書中で使用される「A」、「an」及び「the」は、1つの指示対象に明示的かつ明白に限定されない限り、複数の指示対象を含むことができる。
【0016】
アラミドマイクロファイバ及びアラミドナノファイバを含むナノ多孔性セパレータ膜の迅速な調製方法、HF除去膜、膜質量の少なくとも1%に相当する液体を吸収することができる吸湿膜、並びに吸湿膜の迅速な調製方法が提供される。
【0017】
用語「膜」は、フィルム、シート、ラミネート、織物又は平面軟質固体を含むことを意図する。膜特性には、厚さ、強度、柔軟性、引張強度、空隙率、及び他の特性が含まれるが、これらに限定されない。異なる膜又は異なる種類の膜が異なる又は類似の特性を示す可能性があることが認識されている。
【0018】
ナノ多孔性セパレータ膜は当技術分野で公知である。ナノ多孔性膜は、広範囲の無機、有機又は複合材料を包含する。液相分離のために、様々な種類のナノ多孔性材料が開発されている。多孔性物質はしばしば孔径、サイズ分布、形状、順序に基づいて区別される。ナノ多孔性材料は、小さな材料が膜を通過できるような孔径を有する。様々な実施形態において、前記孔径は、2nm、5nm、10nm、20nm、30nm、40nm、50nm、60nm、70nm、80nm、90nm、100nm、120nm、140nm、160nm、180nm、200nm、220nm、240nm、260nm、280nm、300nm、320nm、340nm、360nm、380nm、400nm、420nm、440nm、460nm、480nm、又は500nmより小さい材料が膜を通過することを可能にする。ナノ多孔性セパレータ膜は、ナノサイズよりも大きな分子が膜を通過するのを抵抗するか、あるいは妨げる。
【0019】
用語「イオン伝導膜」又は「ICM」は、アノードとカソードである、又は正電極と負電極である、2つの電極間のセパレータに関連することを意図している。イオン伝導膜は、2つの領域を分割し、分離し、又は仕切りながら、2つの領域間のイオンの流れを可能にする。
【0020】
用語「吸湿膜」は、液体を吸収し、取り込み、保持し、浸透し、内在化し、又は捕捉することができる膜を含むことを意図している。対象とする液体は、有機溶液、水溶液、電解質溶液、フッ化水素酸、HF、及び炭酸塩系の電解質溶液を含むが、これらに限定されない。通常、吸湿は、膜の量(質量)当たりに吸収される質量として、又は吸湿能(g液体/g試料)として記載される。本願の吸湿膜は、膜質量の少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%以上に相当する液体を吸収することができる。吸湿膜は、一般に、吸湿時に元の寸法を保持することができるか、あるいは、一般に、0.5%、1%、5%、10%、15%、20%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%又はそれ以上まで元の寸法を変化させることがあることが認識されている。また、閾値レベルの液体の吸収時に寸法の変化が生じ得ることも認識されている。
【0021】
アラミドファイバは当技術分野で知られている。アラミドポリマーは、主鎖に芳香族基とアミド結合を含むものと定義される。通常、アミド基は隣接する芳香族基間の結合を提供する。一態様において、アラミドポリマーは、主鎖中のアミド基の少なくとも85%が2つの芳香族基に直接結合しているものとして特徴付けられ、ここにおいて、特に前記芳香族基はフェニル基である。
【0022】
アラミドファイバには、パラ-アラミドファイバ、メタ-アラミドファイバ及びコポリイミドファイバが含まれるが、これらに限定されない。パラ-アラミドファイバ主鎖はアミド結合によって隔てられたフェニル基からなり、ここでアミドはフェニル基をパラ配置で結合する。パラ-アラミドファイバは、当技術分野で公知であり、ケブラー(登録商標)、ツワロンTM、ポリ(パラ-フェニレンテレフタルアミド)、及びPPTAが挙げられるが、これらに限定されない。合成は特定の単量体を反応させることに限らないが、単純な形では、PPTAはパラ-フェニレンジアミンと二塩化テレフタロイルとの反応生成物と解することができる。メタ-アラミドはパラ-フェニレンジアミンと二塩化イソフタロイルとの生成物と解することができる。メタ-アラミドファイバは当技術分野で公知であり、ノーメックスTMを含むが、これに限定されない。コポリアミドファイバは、他の芳香族ジアミンを塩化テレフタロイル又は塩化イソフタロイルと重合させること、あるいは他の芳香族ジアミンをパラ-フェニレンジアミンの存在下で重合させることにより生じる構造を有する。前記方法及び前記組成物に使用するアラミド材料はまた、使用済の防弾チョッキ、テント、ロープ、又はケブラー/アラミドマクロスケールファイバを含む他の物品から、あるいはアラミド材料の製造からの廃棄物又はスクラップから得ることができる。
【0023】
アラミドマイクロファイバは、マイクロメーター範囲の直径により特徴付けられる。アラミドマイクロファイバの直径は、1μ~500μ、1μ~400μ、1μ~300μ、1μ~200μ、2μ~150μ、3μ~140μ、4μ~130μ、5μ~120μ、6μ~110μ、7μ~110μ、8μ~110μ、9μ~110μ、10μ~110μ、20μ~110μ、30μ~110μ、40μ~100μ、及び50μ~90μの範囲内であり得る。一般に、アラミドマイクロファイバは、高いアスペクト比によって特徴付けられ、このことはマイクロファイバの長さがマイクロファイバの直径の少なくとも5倍、少なくとも10倍又は少なくとも20倍であることを意味する。アラミドマイクロファイバ及びアラミドナノファイバが分枝を含む可能性があることが認識されている。
【0024】
アラミドナノファイバ(ANF)とは、アラミドファイバの直径がナノメートルの範囲にあり、特に3~100ナノメートル、3~50ナノメートル、4~40ナノメートル、3~30ナノメートル、及び3~20ナノメートルの範囲にあることを意味する。ナノメートル範囲の直径に加えて、ANFは高いアスペクト比によって特徴付けられ、このことはファイバの長さが直径の少なくとも5倍、少なくとも10倍、又は少なくとも20倍であることを意味する。様々な実施形態において、ANFの長さは0.1ミクロンを超えるか、又は1ミクロンを超える。メカニズムによって限定されるものではないが、アラミドナノファイバは、非プロトン性溶媒中でアラミドマイクロファイバを塩基に曝露することによって製造することができる。
【0025】
このようなアラミド膜は、本明細書中に開示されるが、このようなアラミド成分のみが提供されてもよい。あるいは、他の潜在的特性を提供するために、同一又は類似のマイクロファイバ及びナノファイバ直径を有する、他の合成繊維をこのような膜内に設けることもできる。このようにアラミドファイバは、膜構造体内に様々な種類のポリマーファイバを補充することができ、セルロース、ポリアクリロニトリル、ポリオレフィン、ポリオレフィンコポリマー、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリスルホン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアセチル、ポリウレタン、芳香族ポリアミド、半芳香族ポリアミド、ポリプロピレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、合成セルロース系ポリマー、及びそれらのブレンド、混合物、及びコポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。このような繊維は、マイクロファイバ及びナノファイバとして提供され、必要なアラミドファイバが内部に存在する単層構造体(不織布)を形成することができる。このような構造体は、例として米国特許第8,936,878、9,637,861、及び9,666,848内に開示された材料及び方法に従って形成され得る。このようにアラミドナノファイバは、このような複合ポリマー繊維構造体の吸湿能及びHF除去能に寄与する。
【0026】
膜中のアラミドマイクロファイバとアラミドナノファイバの比は、95:5、90:10、80:20、70:30、60:40、50:50、40:60、30:70、20:80、10:90又は5:95の範囲であり得る。いくつかの実施形態において、より高いナノファイバ比が好ましい。
【0027】
アラミドパルプは、低フィブリル化した短いアラミド繊維を乾式加工したものである。アラミドパルプは市販されており、任意のアラミドパルプを前記方法に使用することができる。
【0028】
非プロトン性溶媒は当技術分野で公知であり、ジメチルスルホキシド(DMSO)及びN-メチルピロリドン(NMP)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0029】
前記方法に使用される塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム(KOH)、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、及び水酸化マグネシウムなどのグループI塩基及びグループII塩基が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの方法では、好ましい塩基はKOHである。他の方法では、好ましい塩基はグループII塩基である。驚くべきことに、吸湿膜は、吸湿膜が調製された塩基に応じて、その液体吸収能が異なる。吸湿膜を調製するための好ましい塩基としては、クラスII塩基が挙げられるが、これらに限定されない。吸湿膜を調製するための特に好ましい塩基としては、水酸化バリウム及び水酸化カルシウムが挙げられる。
【0030】
ナノ多孔性セパレータ膜の迅速な調製方法は、アラミドパルプ、ジメチルスルホキシド及び水酸化カリウムの配合物を調製するステップを含む。一般に、アラミドパルプと非プロトン性溶媒は、2.5gパルプ当たり1000ml溶媒、2.5gパルプ当たり750ml溶媒、2.5gパルプ当たり500ml溶媒、2.5gパルプ当たり500ml溶媒、及び2.5gパルプ当たり125ml溶媒の範囲で配合され、2.5gパルプ当たり250mL溶媒の範囲が好ましい。さらに、追加の非プロトン性溶媒を前記配合物に添加して、溶媒対パルプ比をさらに希釈してもよいことが認識されている。アラミドナノファイバ膜を調製するのに適したアラミドパルプ、ジメチルスルホキシド及び水酸化カリウムの比率は、当技術分野で公知である。例えば、米国特許第10160833号、米国特許出願第13/120,301号、及び米国特許出願第16/067,498号を参照のこと。パルプ対KOH比は、1:2~1:100、1:4~1:50、1:6~1:25、及び好ましくは1:8~1:12の範囲であり得る。
【0031】
吸湿膜の迅速な調製方法は、アラミドパルプ、非プロトン性溶媒、及び塩基の配合物を調製するステップを含む。一般に、アラミドパルプと非プロトン性溶媒は、2.5gパルプ当たり1000ml溶媒、2.5gパルプ当たり750ml溶媒、2.5gパルプ当たり500ml溶媒、2.5gパルプ当たり500ml溶媒、及び2.5gパルプ当たり125ml溶媒の範囲で配合され、2.5gパルプ当たり250mL溶媒の範囲が好ましい。さらに、追加の非プロトン性溶媒を前記配合物に添加して、溶媒対パルプ比をさらに希釈してもよいことが認識されている。塩基は、グループI塩基、グループII塩基、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウム、及び水酸化マグネシウムを含む塩基群から選択され得る。いくつかの実施形態において、水酸化バリウム及び水酸化カルシウムを含む群から選択されるグループII塩基が使用される。驚くべきことに、塩基を変えることで、異なる吸水能を有する吸湿膜が得られる。一般に、塩基対溶媒の量は、およそ10mg塩基/L溶媒、0.5mg塩基/L溶媒、1mg塩基/L溶媒、10mg塩基/L溶媒、100mg塩基/L溶媒、200mg塩基/L溶媒、300mg塩基/L溶媒、400mg塩基/L溶媒、500mg塩基/L溶媒、600mg塩基/L溶媒、700mg塩基/L溶媒、800mg塩基/L溶媒、900mg塩基/L溶媒、1000mg塩基/L溶媒、1.1g塩基/L溶媒、1.2g塩基/L溶媒から、およそ1.3g塩基/L溶媒までの範囲とすることができる。
【0032】
膜の調製方法は、アラミドパルプ、非プロトン性溶媒、及び塩基の配合物を調製するステップを含む。いくつかの方法では、アラミドパルプ、DMSO、及びKOHの配合物を容器中で調製する。前記配合物は高せん断力に曝され、スラリーを形成する。混合物を高せん断力に曝す方法は当技術分野で公知であり、高せん断ミキサーでの混合が挙げられるが、これに限定されるものではない。高せん断ミキサーは高速装置で、多くの異なる固体や液体の材料を均質化し、乳化し、崩壊し、粒径縮小し、分散させる。特定のメカニズムに限定されるものではないが、回転インペラ又は高速ローターを用いて、材料の一部分に異なる速度が与えられると、材料はせん断を受ける。ローターの先端の材料の速度は、中心の速度とは異なる場合があり、せん断が発生する。高せん断ミキサーは、通常配合できない固体と液体を配合することができる。適切な高せん断ミキサーとしては、バッチ式高せん断ミキサー、高せん断インラインミキサー、超高せん断インラインミキサー、及び実験用高せん断ミキサーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0033】
高せん断力への配合物の曝露は、持続時間であってもよく、5時間未満、4時間未満、3時間未満、2時間未満、1時間未満、30分未満、15分未満、10分未満、又は5分未満で生じてもよい。高せん断力への曝露期間は、全体積、容器形状、容器サイズ、初期パルプ体積、初期パルプ濃度、及び塩基などの要因によって決定され得るが、これらに限定されない。高せん断力曝露の適切な期間を決定する方法は、当技術分野で公知である。
【0034】
アラミドファイバ懸濁液又はスラリーは、通常、0.05~25%ファイバ濃度、0.1~20%ファイバ濃度、0.1~15%ファイバ濃度、0.1~10%ファイバ濃度、0.1~8%ファイバ濃度、0.1~6%ファイバ濃度、0.1~4%ファイバ濃度、及び好ましくは0.1~2%ファイバ濃度の範囲である。ナノファイバを作成するためのスラリー含有量は、シート作成のためのスラリー含有量とは異なっていてもよいことが認識されている。シート作成用のファイバスラリーは、ナノファイバ作成用のファイバスラリーよりも低いか、又はより希薄であり得ることが理解される。一態様において、初期アラミドファイバスラリーは、およそ1%ファイバスラリーであるが、シート作成用ファイバスラリーは、およそ0.125%である。
【0035】
本方法の態様において、金型は、DMSOのような非プロトン性溶媒の層を用いて調製され得る。金型にスラリーを加えてもよい。いくつかの実施形態において、乱流を最小にするか又は減少させるような方法でスラリーを添加することが好ましいことが認識されている。他の実施形態では、スラリーを添加するために使用される技術は、乱流、気泡、又はエアポケットをもたらす可能性がある。膜、シート、又はフィルムを形成するための金型は当技術分野で公知である。膜形成に適したいかなる金型も前記方法に用いることができる。好適な金型としては、シート金型、鋳造金型、金型とデッケル、及びシリンダ金型が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0036】
ナノ多孔性セパレータ膜又は吸湿膜の迅速な調製方法は、非プロトン性溶媒の存在下でスラリーを撹拌するステップを含む。スラリー及び非プロトン性溶媒を撹拌する方法は当技術分野で公知であり、撹拌、振盪、振動、回転、及び転倒が挙げられるが、これらに限定されるものではない。方法のいくつかの態様において、さらなる非プロトン性溶媒がスラリーに添加される。
【0037】
負圧を作用させるステップは、様々な方法で構成される。負圧を作用させる方法は、当技術分野において公知である。負圧は、約1~50 Hg、2~40 Hg、3~30 Hg、4~20 Hg、5~15 Hg、6~14 Hg、7~13 Hg、及び7~12 Hgの範囲で作用され得る。負圧により、非プロトン性溶媒を少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%除去することができる。負圧は、任意の所望の期間作用され得る。負圧は、1時間未満、30分未満、15分未満、10分未満、5分未満、2分未満、1分未満、55秒未満、50秒未満、45秒未満、40秒未満、35秒未満、又は30秒未満作用され得る。
【0038】
前記方法は、残留非プロトン性溶媒を除去するステップを含み得る。いくつかの態様において、残留非プロトン性溶媒を水で除去してもよい。
【0039】
膜の迅速な調製方法は、スラリーを乾燥させて、アラミドマイクロファイバ及びアラミドナノファイバを含む膜を形成するステップを含み得る。乾燥方法は当技術分野で公知である。乾燥は高温で起こり得る。ナノ多孔性セパレータ膜のための高温は、50℃~100℃、60℃~90℃、65℃~80℃、又は65℃~75℃の範囲内であってもよい。吸湿膜のための高温は、50℃、60℃、65℃、70℃、75℃、80℃、90℃、100℃、110℃、120℃、130℃、140℃、150℃、160℃、170℃、180℃、190℃、200℃、210℃、及び220℃からなる群から選択される温度以上であってもよい。吸湿膜のための高温は、50℃~100℃、60℃~90℃、65℃~80℃、又は65℃~75℃の範囲内であってもよい。
【0040】
アラミドマイクロファイバとアラミドナノファイバを含む膜の迅速な調製方法は、24時間未満、12時間未満、10時間未満、8時間未満、又は3時間未満で膜を得ることができる。ナノ多孔性セパレータ膜の迅速な調製方法は、吸湿膜の迅速な調製方法が吸湿膜を得るのと同様又は異なる時間枠で、ナノ多孔性セパレータ膜を得る可能性があることが認識されている。
【0041】
フッ化水素、HF、及びフッ化水素の水性形態(フッ化水素酸)は腐食性の強い化合物である。HF腐食は、特にリチウム、ヘキサフルオロリン酸リチウム、又はフッ素を含む他のリチウム塩を含むバッテリに関連する問題である。本願は、アラミドマイクロファイバ及びアラミドナノファイバを含むHF除去膜を提供する。用語「HF除去膜」は、HFを除去し、結合し、トラップし、連結し、反応し、確保し、又は閉じ込める膜に関連することを意図している。HF除去膜中のHFは、遊離HFよりも成分を損傷する能力が低い。いくつかの実施形態において、HF除去膜はバッテリ寿命を延長させる。アラミドマイクロファイバ及びアラミドナノファイバを含むHF除去膜は、膜にHFが結合すると変色する。HFと結合する前に、膜は黄色又は黄色がかった色調を示し得る。HFに結合すると、膜は元の色からピンク色、赤色、又はピンク色がかった色調に変色する。色の変化は、膜のHF曝露及びHF結合の視覚インジケータである。変色は、バッテリ又はバッテリ部品の交換が必要であることを表示する。
【0042】
本願の吸湿膜は、さらに、1つ以上の添加物を含んでいてもよく、Al2 03が挙げられるが、これに限定されない。添加物は吸湿性を高めたり、強度を高めたり、吸湿膜の他の特性を変化させたりする可能性がある。
【0043】
現代のバッテリの安全性問題の多くは、充電状態におけるデンドライト成長と陽極膨張に関係している。例えばセルガードTM 2400のような多孔性ポリマーセパレータのデンドライトによる穿孔は、短絡や発火につながる可能性のある自然バッテリ破損の最も一般的なメカニズムである。デンドライトの成長は、容量、出力、重量に関してリチウム系蓄電デバイスの理論的限界に近づくことができる、リチウム金属アノードを用いたバッテリ開発における重要な障害ともなる。デンドライトは、最も機械的抵抗の小さい経路を経て膜を伝播する。デンドライトの成長領域、ddendrの大きさは50~100nmである。不均一なセパレータ材料がddendrよりも大きな柔らかい細孔をもつ場合、デンドライトの伝播を決定するのは、剛性の高い部分よりもむしろ弾性率の低い部分である。ICMの不均一性がddendrよりも小さい場合、デンドライトの成長領域では、膜の平均的な弾性率と同じ抵抗が発生する。デンドライト形成を防止するために、ゲル及び液体電解質への添加物、無機フィラーを用いる複合ゲル電解質、ANF-PEO、又はANF-PAO膜などの多くの異なるアプローチが使用される(その例として、米国出願第15/120,301号を参照されたい)。本明細書で提供される吸湿膜は、平均孔径がddendr以下であってもよい。本願の種々の吸湿膜はデンドライト成長を減少させる。「デンドライト成長を減少させる」とは、クレームされた吸湿膜が存在しない状態でのデンドライト成長と比較した、デンドライト成長速度の減少、デンドライト成長の絶対的減少、及び特定の時間枠におけるデンドライト成長の減少を意図する。
【0044】
高いイオン伝導度を示す吸湿膜が提供される。「高いイオン伝導度」という用語は、0.01mS/cm、0.05mS/cm、0.1mS/cm、0.5mS/cm、1mS/cm、5mS/cm、10mS/cm、15mS/cm、20mS/cm、25mS/cm、30mS/cm、35mS/cm、40mS/cm、45mS/cm、50mS/cm、55mS/cm、60mS/cm、又は70mS/cmを超えるイオン伝導度に関連することを意図する。
【0045】
吸湿膜を備え、増加した水分除去特性を示すバッテリを提供する。提供されるバッテリは、HF損傷の減少を示し得る。用語「HF損傷の減少」は、吸湿膜を持たないバッテリと比較して、1つ以上のバッテリ部品に対するHF関連損傷の減少、低下、及び/もしくは改善、期間中のHF関連損傷の減少もしくは低下、又は中~高容量での長期間に関連することを意図している。水分除去特性が増加したバッテリは、アラミドマイクロファイバとアラミドナノファイバを含む吸湿膜で裏打ちされた部品を備えていてもよい。この部品は、アノード、カソード、封入材料、及びイオン伝導膜を含む部品群から選択され得る。用語「封入材料」は、壁、蓋、頂部、床、缶、又はキャニスターなどの、アノード、カソード、及び電解質を囲む任意の構造体又はデバイスに関連することを意図しているが、これらに限定されない。アラミドマイクロファイバとアラミドナノファイバを含む吸湿膜を備えるバッテリは、100サイクル、150サイクル、200サイクル、250サイクル、300サイクル、350サイクル、400サイクル、又はそれ以上の後、少なくとも90%の容量を示し得る。アラミドマイクロファイバ及びアラミドナノファイバを含む吸湿膜を備えるバッテリは、50サイクル後、60サイクル後、70サイクル後、80サイクル後、90サイクル後、100サイクル後、150サイクル、200サイクル、250サイクル、300サイクル、350サイクル、400サイクル、450サイクル、500サイクル、又はそれ以上の後、少なくとも70%の容量を示し得る。
【0046】
バッテリ内の水分を減少させる方法を提供する。この方法は、バッテリにアラミドマイクロファイバ及びアラミドナノファイバを含む吸湿膜を組み込むステップを含む。バッテリ内の遊離HFを減少させる方法を提供する。この方法は、バッテリにアラミドマイクロファイバ及びアラミドナノファイバを含む吸湿膜を組み込むステップを含む。
【0047】
また、アラミドマイクロファイバ及びアラミドナノファイバを含む吸湿膜と、観察開口部と、を備えるHF曝露の視覚インジケータを提供する。吸湿膜は、観察開口部内に配置される。この吸湿膜は、HFが膜に結合すると変色する。この変色は、HF結合及びHF曝露を示す。変色は人又はデバイスによって検出され得ることが認識されている。また、HF曝露の視覚インジケータを備えるバッテリシステムも提供する。
【0048】
以下の実施例の参照は、例示のためだけのものであり、特許請求の範囲を限定するものではないことが理解されるであろう。
【実施例】
【0049】
実施例1 ナノ多孔性セパレータ(長尺形状)の調製
このプロセスは、デュポン ケブラーパルプ タイプ979A マージ1F1710が例示されるが、これに限定されないアラミドパルプの、ジメチルスルホキシド(DMSO)中の添加KOHに対するケブラーパルプの特定重量比での延長された(1~5週間)消化を含む。パルプ-KOH質量比としては1:8~1:12が例示されるが、これに限定されない。このプロトコルを用いて調製したANFを、濾過、噴霧、鋳造、ドクターブレード法、及び塗装により2~100ミクロンの厚さのシートに加工した後、水でリンスし、乾燥させた。
【0050】
乾燥したANF系シートを微多孔性基板から分離した。適切な微多孔性基板としては、ミリポア マイテックス PTFEメンブレンフィルター、オムニポア PTFEメンブレンフィルター、Sterlitech PTFEメンブレンフィルター、住友電機 ポレフロン PTFEメンブレンフィルターが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0051】
記載の方法によって製造されたアラミドナノファイバを含むナノ粒子セパレータは、5nm~150nmの孔径、10MPa~200MPaの引張強度、及び30~500のガーレー数を有する。
【0052】
ナノ多孔性セパレータをバッテリに組み込んだ。消化されたANFからのセパレータは、劣化した電解質に曝露されると、色が薄い黄色からピンク色に変化することによって、バッテリに使用された電解質の劣化を感知する能力を示す。このような実験の1つから得られた結果を
図4A及び
図4Bに示す。
図4Bの1.2M LiPF
6 EC/EMC電解質溶液に曝された膜の暗い色調に注目(
図4、パネルB)。ANFセパレータはHF結合時に赤みを帯びた色を呈する。
【0053】
実施例2 ナノ多孔性セパレータ膜の迅速調製プロセス
【0054】
ケブラーパルプ(5g)に500mLのDMSOと0.5 のKOH粉末を配合した。この混合物をシルバーソン 高せん断ラボミキサーを用いて6000~8000rpmで30分~6時間高せん断力混合に曝し、スラリーを生成した。通常、このスラリーは0.1%~2%の繊維懸濁液を含んでいた。スラリーの色はクリーム色から黄色、オレンジ色へと進行した。いくつかの実験では、温度は最初の30分間で55℃に達した。スラリーに500mlのDMSOを添加して希釈し、2分間混合した。次に1リットルのDMSOを加えた。希釈した混合物を約700rpmで少なくとも2時間撹拌した。
【0055】
成形ワイヤとして用いた400メッシュの316 Lステンレス鋼メッシュを有するシート金型をKOHで調製した。DMSOの薄層を成形の表面上に注入した。DMSO層はアラミドナノファイバスラリーを懸濁させ、均一性を助ける。アラミドナノファイバスラリーをシート金型に注入した。スラリーとDMSOを、プロペラ付き電気ドリルで、ほぼ均一な混合物になるように混合した。シート金型に負圧(約10 Hg)を約2分間作用させ、DMSOを除去した。いくつかの実験では、負圧を40~50秒間作用させた。その後、試料を水で洗浄した。メカニズムによって制限されることはないが、水は過剰のDMSOを除去し、試料を強化する。次いで、試料をオーブンに移し、70℃で約2時間乾燥させた。乾燥後、試料は容易に剥離できる。試料を乾燥した後、3インチx 12インチの細片にカットし、所望の厚さを得るためにカレンダーに与えた。ナノ多孔性セパレータ膜試料は通常12~16 gsm及び12~16μmであった。
【0056】
実施例3 ナノ多孔性セパレータ膜へのHF結合
【0057】
ナノ多孔性セパレータ膜を、対照溶液又は10.75ppm HFを含む1.2M LiPF
6 EC/EMC電解質溶液とインキュベートした。インキュベート後、膜を目視検査した。10.75ppm HFを含む1.2M LiPF
6 EC/EMC電解質溶液で浸漬した膜はピンク色又は赤みがかっていたが、対照溶液に浸漬した膜は黄色がかったままであった。そのような実験から得られた結果を
図4に示す。ナノ多孔性セパレータ膜の試料をXPSで試験し、そのような実験から得られたスペクトルを
図2に示す。1.2M LiPF
6 EC/EMC浸漬セパレータの試料をXPSで試験し、そのような実験から得られたスペクトルを
図3、
図3A、
図3Bに示す。
図3Aの解析スペクトルは、普通のアラミドナノファイバICMのそれと比較して、試料への約4原子%のフッ素(F)の付加を示している。また、
図3Bの炭素領域の拡大図は、C-F結合のピークの出現により、付加されたフッ素が炭素に結合していることを明らかにする。
【0058】
実施例4 ナノ多孔性セパレータ膜の走査型電子顕微鏡による観察
【0059】
試料をカットし、両面カーボンテープと金でコーティングしたスパッタを用いて、SEM試料ホルダに取り付けた。
図1Aは25000倍の倍率で、
図1Bは2500倍の倍率で撮影した。
【0060】
実施例5 吸湿膜の調製
【0061】
ケブラーパルプとDMSO、及び水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化バリウムもしくは水酸化カルシウムを含む種々のグループI塩基又はグループII塩基を配合して、アラミドマイクロファイバ及びアラミドナノファイバを含む吸湿膜を調製した。混合物を高せん断力により配合することで、アラミドマイクロファイバとアラミドナノファイバを含むスラリーを形成した。非プロトン性溶媒で金型を調製し、この金型に前記スラリーを入れた。金型の中でスラリーを撹拌した後、負圧を作用させた。この負圧処理の後、試料を150~250℃で2時間乾燥させた。各膜の引張強度、剛性、透気度を評価した。このような一連の実験から得られた結果を
図5に示し、下記の表1に要約する(ここで、透気度は多孔性の関数である)。この点で測定された基礎データは以下のとおりである。
【0062】
【0063】
実施例6 容量評価
【0064】
吸湿膜は、上記のような種々の塩基を用いて調製した。イオン伝導膜として吸湿膜を有するリチウムイオンバッテリを調製した。このバッテリには1.2M LiPF
6 EC/EMC電解質溶液を使用した。バッテリは複数サイクルにかけた。50、100、150、200、250、及び300サイクルの後に、残りのパーセント容量を評価した。そのような実験から得られた結果を
図6に示す。そこに記載したように、水酸化バリウムと水酸化カルシウムで調製した膜を有するバッテリは、150、200、250、及び300サイクルで90%以上の容量を維持した。水酸化ナトリウムで調製した膜を有するバッテリは、200サイクルで90%の容量以下に低下した。水酸化カリウムで調製した膜を有するバッテリでは様々な結果が示され、少なくとも1つでは150サイクルで90%以下の容量に低下した。
【0065】
実施例7 吸湿能
水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化バリウム又は水酸化カルシウムでアラミドマイクロファイバをインキュベートして吸湿膜を調製した。各膜の試料を調製した。各膜試料の質量(g)を測定した。各膜試料は、水分1000ppmを含むEC:DMC 1:1 w/w溶液でインキュベートした。膜試料を湿潤溶媒から取り除いた。吸収された水分の質量(g)は、インキュベート溶媒中に残存する水分量を測定することによって決定した。そのような実験から得られた結果を表2に示し、
図7にグラフ形式で示す。そこに示すように、パーセント吸湿容量 (g 水分/g 膜試料)をy軸に示す。各吸湿膜の調製に用いられた塩基をx軸に示す。ここに示した特定の実験では、LiOHで調製した膜は膜質量の5%超に相当する水分を吸収し、NaOHで調製した膜は膜質量の10%超に相当する水分を吸収し、KOHで調製した膜は膜質量の15%超に相当する水分を吸収し、Ba(OH)
2で調製した膜は膜質量の20%超に相当する水分を吸収し、Ca(OH)
2で調製した膜は膜質量の45%超に相当する水分を吸収した。これらの結果は、1)150℃で1時間乾燥した後の膜の重量、2)膜を300mlの電解液に48時間浸漬した後に測定された電解液中の水分濃度(カールフィッシャー滴定による測定)、3)2)の水分濃度及び電解液の量(300ml)から計算した、膜から除去された水分量(ここで、この量は300ml*(水分濃度-初期水分濃度)/1000と算出され、初期水分濃度は浸漬前の電解液中の水分量(2000ppm以下)である)、及び4)膜重量比としての除去された水分量、基本的には3)の測定結果/[1000*1)の重量]など、多くの異なる考察に関する測定に基づいている。表の結果は以下のとおりである。
【0066】
【0067】
このような結果及び実施例は、ポリアラミドマイクロファイバ及びポリアラミドナノファイバを含むそのような膜を利用する、特定の最終用途内の多くの有益な特性に対する重要な可能性を示す。吸湿及びHF除去は、非限定的な実施例として、少なくともリチウムイオンバッテリ産業においてはこれまで利用できなかった顕著な結果を提供する。
【手続補正書】
【提出日】2022-12-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アラミドマイクロファイバ及びアラミドナノファイバを含む
セパレータ膜であって、前記膜がフッ化水素除去能を示すことを特徴とする、
セパレータ膜。
【請求項2】
前記膜が、フッ化水素の前記膜への結合時に変色することを特徴とする、請求項1に記載の
セパレータ膜。
【請求項3】
アラミドマイクロファイバ及びアラミドナノファイバを含む
吸湿膜であって、前記膜は、EC及びDMCを1:1の比で含み、かつ水2000ppmを含む電解液300mlに対して、膜0.2gの比率で48時間曝露した場合に、前記膜質量の少なくとも1%に相当する液体を吸収することができることを特徴とする、
吸湿膜。
【請求項4】
少なくとも1つの添加物をさらに含むことを特徴とする、請求項3に記載の
吸湿膜。
【請求項5】
前記添加物がAl
2O
3であることを特徴とする、請求項4に記載の
吸湿膜。
【請求項6】
前記膜がデンドライト成長を減少させることを特徴とする、請求項3に記載の
吸湿膜。
【請求項7】
前記膜の引張強度が少なくとも35MPaであることを特徴とする、請求項3に記載の吸湿膜。
【請求項8】
前記膜が65ガーレー秒を超える透気度を示すことを特徴とする、請求項3に記載の
吸湿膜。
【請求項9】
前記膜が高いイオン伝導度を示すことを特徴とする、請求項3に記載の
吸湿膜。
【請求項10】
前記膜の平均孔径がd
dendr 以下であることを特徴とする、請求項3に記載の
吸湿膜。
【請求項11】
前記膜は、前記膜質量の少なくとも5%から少なくとも45%までに相当する液体を吸収することができることを特徴とする、請求項3に記載の
吸湿膜。
【請求項12】
請求項3に記載の
吸湿膜を備えることを特徴とする、バッテリ。
【請求項13】
前記バッテリがフッ化水素除去特性を示すことを特徴とする、請求項12に記載のバッテリ。
【請求項14】
前記バッテリの部品が、前記
吸湿膜の表面に隣接する表面を有することを特徴とする、請求項12に記載のバッテリ。
【請求項15】
前記部品が、アノード、カソード、及び封入材料を含む部品群から選択されることを特徴とする、請求項14に記載のバッテリ。
【請求項16】
前記バッテリが、前記
吸湿膜を含むイオン伝導膜を備えることを特徴とする、請求項13に記載のバッテリ。
【請求項17】
前記バッテリが、250サイクル後に少なくとも90%の容量を示すことを特徴とする、請求項13に記載のバッテリ。
【請求項18】
請求項1に記載の
セパレータ膜を備えることを特徴とする、バッテリ。
【請求項19】
(a)アラミドパルプ、ジメチルスルホキシド及び水酸化カリウムの配合物を調製するステップ、(b)前記配合物を高せん断力に曝してスラリーを形成するステップ、(c)DMSOの層を用いて金型を調製するステップ、(d)前記金型に前記スラリーを加えるステップ、(e)前記スラリー及びDMSOを撹拌するステップ、(f)負圧を作用させるステップ、(g)残留DMSOを除去するステップ、並びに(h)前記スラリーを乾燥させてアラミドマイクロファイバ及びアラミドナノファイバを含むナノ多孔性セパレータ膜を形成するステップ、を含むことを特徴とする、アラミドマイクロファイバ及びアラミドナノファイバを含むナノ多孔性セパレータ膜の迅速な調製方法。
【請求項20】
アラミドマイクロファイバとアラミドナノファイバの比率が90:10~10:90の範囲であることを特徴とする、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記アラミドマイクロファイバ及び前記アラミドナノファイバが、前記スラリーの0.1~2%を構成することを特徴とする、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記方法が、24時間未満から3時間未満までの時間の後にナノ多孔性セパレータ膜を生成することを特徴とする、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記配合物を前記高せん断力に曝すステップが、2時間未満から5分間未満まで生じることを特徴とする、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記負圧を約7~12Hgで作用させることを特徴とする、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
前記DMSOの少なくとも10%から95%までが、前記負圧によって前記スラリーから除去されることを特徴とする、請求項
19に記載の方法。
【請求項26】
前記負圧を5分間未満から30秒間未満まで作用させることを特徴とする、請求項19に記載の方法。
【請求項27】
残留DMSOを水で除去することを特徴とする、請求項19に記載の方法。
【請求項28】
乾燥が高温で起こることを特徴とする、請求項19に記載の方法。
【請求項29】
前記高温が、50℃~100℃、60℃~90℃、65℃~80℃、又は65℃~75℃の範囲内であることを特徴とする、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記金型が、シート金型、鋳造金型、金型及びデッケル、並びにシリンダ金型からなる金型群から選択されることを特徴とする、請求項19に記載の方法。
【請求項31】
(a)アラミドパルプ、非プロトン性溶媒及び塩基の配合物を調製するステップ、(b)前記
配合物を高せん断力に曝して、アラミドマイクロファイバ及びアラミドナノファイバを含むスラリーを形成するステップ、(c)非プロトン性溶媒の層を用いて金型を調製するステップ、(d)前記金型に前記スラリーを加えるステップ、(e)前記非プロトン性溶媒の存在下で前記スラリーを撹拌するステップ、(f)負圧を作用させるステップ、並びに(g)高温で乾燥させて、アラミドマイクロファイバ及びアラミドナノファイバを含む吸湿膜を形成するステップ、を含むことを特徴とする、吸湿膜の迅速な調製方法。
【請求項32】
前記塩基が、グループI塩基、グループII塩基、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム、及び水酸化カルシウムを含む群から選択されることを特徴とする、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
グループII塩基が水酸化バリウム及び水酸化カルシウムを含む群から選択されることを特徴とする、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
96時間未満、48時間未満、24時間未満、12時間未満、6時間未満、又は3時間未満で吸湿膜を調製することを特徴とする、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記非プロトン性溶媒がDMSOであることを特徴とする、請求項31に記載の方法。
【請求項36】
前記高温が、50℃~200℃、60℃~190℃、75℃~180℃、85℃~160℃、又は100℃~160℃の範囲内であることを特徴とする、請求項31に記載の方法。
【請求項37】
前記高温が180℃以上であることを特徴とする、請求項
36に記載の方法。
【請求項38】
バッテリ内の水分を減少させる方法であって、前記バッテリ内に請求項3に記載の吸湿膜を組み込むステップを含むことを特徴とする、方法。
【請求項39】
バッテリ内の遊離HFを減少させる方法であって、前記バッテリ内に請求項1に記載の前記
セパレータ膜を組み込むステップを含むことを特徴とする、方法。
【請求項40】
請求項1に記載の前記
セパレータ膜と、内部に前記
セパレータ膜が配置された観察開口部と、を備えるHF曝露の視覚インジケータであって、前記膜は、前記
セパレータ膜にHFが結合すると変色することを特徴とする、視覚インジケータ。
【請求項41】
請求項40に記載の前記視覚インジケータを備えることを特徴とする、バッテリシステム。
【国際調査報告】