(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-25
(54)【発明の名称】ボビン巻取装置用スピンドル
(51)【国際特許分類】
B65H 75/24 20060101AFI20230518BHJP
【FI】
B65H75/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022560511
(86)(22)【出願日】2021-04-14
(85)【翻訳文提出日】2022-12-02
(86)【国際出願番号】 EP2021059691
(87)【国際公開番号】W WO2021209513
(87)【国際公開日】2021-10-21
(31)【優先権主張番号】102020110288.7
(32)【優先日】2020-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522390607
【氏名又は名称】オーリコン テキスタイル ゲーエムベーハー ウント コンパニー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ウォルターマン,ハインツ
【テーマコード(参考)】
3F058
【Fターム(参考)】
3F058AA01
3F058AB03
3F058AC01
3F058CA01
3F058DA04
3F058JA14
(57)【要約】
本発明はボビン巻取装置(2)用のスピンドル(1)であって、円筒形のスピンドル本体(3)と、スピンドル(1)上に配置されたボビンケース(5)を固定するためのクランプ機構(4)であって配置されたボビンケース(5)を固定するために半径方向に変位可能な複数の軸方向に固定された複数のクランプ部材(6)を有するクランプ機構(4)とを有するスピンドル(1)に関する。スピンドル本体(3)は、クランプ部材(6)が配置される溝(7)を有し、軸方向に移動可能な制御ロッド(8)及び別個のくさび要素(9、10)がクランプ部材(6)の下で溝(7)に配置され、くさび要素(9、10)のくさび面(11、12)は、軸方向に移動可能な制御ロッド(8)又はクランプ部材(6)の対応するくさび面(11、12)に載り、制御ロッド(8)の軸方向の移動は、くさび要素(9、10)によってクランプ部材(6)の半径方向の移動に変換可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パッケージ巻取装置(2)用のスピンドル(1)であって、円筒形のスピンドル本体(3)と、前記スピンドル(1)上にパッケージ管(5)を固定するためのクランプ機構(4)であって、前記配置されたパッケージ管(5)を固定するために半径方向に変位可能な複数の軸方向に固定されたクランプ部材(6)を有するクランプ機構(4)とを有し、前記スピンドル本体(3)は前記クランプ部材(6)が配置される溝(7)を有し、前記クランプ部材(6)の下で前記溝(7)に配置されるのは、軸方向に移動可能な制御ロッド(8)、及び別個のくさび要素(9、10)であり、前記くさび要素(9、10)はくさび面(11、12)によって、前記軸方向に移動可能な制御ロッド(8)又は前記クランプ部材(6)の対応するくさび面(11、12)に載り、前記制御ロッド(8)の軸方向の移動は、前記くさび要素(9、10)によって前記クランプ部材(6)の半径方向の移動に変換可能である、パッケージ巻取装置(2)用のスピンドル(1)。
【請求項2】
前記クランプ部材(6)が、少なくとも前記スピンドル(1)の軸方向の小領域を横切って延在するロッドである、請求項1に記載のスピンドル(1)。
【請求項3】
軸方向(13)の前記スピンドル本体の前記溝(7)がアンダーカットなしで具現化される、請求項1又は2に記載のスピンドル(1)。
【請求項4】
第1のくさび要素(9)が前記クランプ部材(6)の第1の隙間(15)に挿入される、請求項1~3のいずれか一項に記載のスピンドル(1)。
【請求項5】
第2のくさび要素(10)が前記制御ロッド(8)の第2の隙間(16)に挿入される、請求項1~4のいずれか一項に記載のスピンドル(1)。
【請求項6】
第1のくさび要素(9)及び/又は第2のくさび要素(10)が位置決め部材(17)によって前記クランプ部材の第1の隙間(15)、又は前記制御ロッド(8)の第2の隙間(16)に挿入される、請求項1~5のいずれか一項に記載のスピンドル(1)。
【請求項7】
前記クランプ機構(4)が前記溝(7)内に拘束された状態で保持される、請求項1~6のいずれか一項に記載のスピンドル(1)。
【請求項8】
前記溝(7)が、半径方向(14)の少なくとも1つのアンダーカット(18)を備えて具現化され、前記クランプ部材(6)が、前記クランプ機構(4)が前記溝(7)内に拘束された状態で保持されるように前記アンダーカット(18)に係合する少なくとも1つの突起(19)を有する、請求項7に記載のスピンドル(1)。
【請求項9】
前記クランプ部材(6)が、前記可動制御ロッド(8)が少なくとも部分的に受け入れられる受け部(31)を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載のスピンドル(1)。
【請求項10】
少なくとも1つの制御ロッド(8)が、その端部に、引張力及び圧縮力を前記軸方向(13)に伝達できる正の形状合致式閉鎖要素(43)及び/又は負の形状合致式閉鎖要素(44)を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載のスピンドル(1)。
【請求項11】
前記制御ロッド(8)の第2のくさび要素(10)が、前記軸方向(13)に弾力性のある要素(21)によって前記制御ロッド(8)に支持される、請求項1~10のいずれか一項に記載のスピンドル(1)。
【請求項12】
前記スピンドル本体(3)内の前記クランプ機構(4)が、クランプ力を前記可動制御ロッド(8)に加えることができる少なくとも1つの制御可能なクランプ要素(22)を有する、請求項1~11のいずれか一項に記載のスピンドル(1)。
【請求項13】
前記くさび要素(9、10)が上部くさび面(11)と、それと平行であるように向けられた下部くさび面(12)とを有し、対応するように平行に向けられた前記上部くさび面(11)及び前記下部くさび面(12)が、軸方向に可動な前記制御ロッド(8)又は前記クランプ部材(6)上に構成され、前記上部くさび面(11)及び前記下部くさび面(12)が一緒に、引張力及び圧縮力を前記半径方向(14)に前記クランプ部材(6)に伝達することができる平行ガイド(23)を形成する、請求項1~12のいずれか一項に記載のスピンドル(1)。
【請求項14】
前記溝(7)が前記半径方向(14)の少なくとも1つのアンダーカット(18)を備えて具現化され、前記制御ロッド(8)が、前記アンダーカット(18)に係合する少なくとも1つの突起(19)を有し、それにより前記半径方向(14)の前記アンダーカット(18)が前記制御ロッド(8)によって少なくとも部分的に完全に満たされるようにし、それにより引張力及び圧縮力を前記溝から前記半径方向(14)に前記制御ロッド(8)に伝達できるようにする、請求項13に記載のスピンドル(1)。
【請求項15】
前記クランプ部材(6)の第1のくさび要素(9)及び/又は前記制御ロッド(8)の第2のくさび要素(10)が、引張力及び圧縮力を前記くさび要素(9、10)から前記クランプ部材(6)及び前記制御ロッド(8)へ伝達できるように前記半径方向(14)に取り付けられる、請求項13又は14に記載のスピンドル(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のパッケージ管を受け取るための巻取機械のスピンドルに関する。
【背景技術】
【0002】
先行技術
この種のスピンドルは、独国特許出願公開第196 07 916 A1号及び独国特許出願公開第103 15 254 A1号から知られている。この種のスピンドルは、スピンドル本体(しばしばクランプマンドレルとも呼ばれる)と、それに配置されたパッケージ管との間に、多数のクランプ部材(クランプ要素とも呼ばれる)を有し、クランプ部材は半径方向に移動可能であり、スピンドル本体から半径方向に押し出されることが可能であり、またパッケージ管をスピンドル本体上に保持するために張力下に置かれることが可能である。この目的のために、通常、スピンドル本体内又はスピンドル本体上に配置される機構が存在する。クランプ部材、及びクランプ部材を移動させ、張力をかけるための機構は、通常、クランプ機構とも呼ばれ、この機構によりパッケージ管をスピンドルにしっかりとクランプすることができる。
【0003】
半径方向に移動可能なクランプ部材と、クランプ部材を半径方向に押し出し、且つクランプ部材に張力をかけるために必要な機構は、通常、非常に複雑で、特に製造が複雑な、複雑な構成要素を必要とする。
【0004】
糸がスピンドルに巻き付けられる最大許容速度(最大巻取速度)は、本質的にスピンドル本体(「クランプチャックブッシュ」とも呼ばれる)の第1の構造的共振によって制限される。第1の構造的共振は、スピンドル本体の曲げ剛性が増加するにつれて増加し、スピンドル本体の曲げ剛性はスピンドル本体の外径によってほぼ決定される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
発明の開示
本発明は、この種のクランプ部材を有する既知のスピンドルを改良し、特に、生産技術の観点から、及び最大巻取速度に関して、既知のスピンドルと比較してかなりの利点を有するスピンドルを開示するという目的に基づいている。この目的は、請求項1の特徴によるスピンドルによって解決される。このようなスピンドルの実施形態の好ましい変形は、従属項に記載されているが、本発明はこれに限定されるものではない。実施形態のさらなる変形は、本記載に記載されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ここで、パッケージ巻取装置用のスピンドルであって、円筒形のスピンドル本体と、スピンドル上にパッケージ管を固定するために、配置されたパッケージ管を固定するために半径方向に変位可能な複数の軸方向に固定されたクランプ部材を有するクランプ機構とを有し、スピンドル本体はクランプ部材が配置される溝を有し、クランプ部材の下で溝に配置されるのは、軸方向に移動可能な制御ロッド、及び別個のくさび要素であり、くさび要素はくさび面によって、軸方向に移動可能な制御ロッド又はクランプ部材の対応するくさび面に載り、制御ロッドの軸方向の移動は、くさび要素によってクランプ部材の半径方向の移動に変換可能である、パッケージ巻取装置用のスピンドルが記載される。
【0007】
パッケージ巻取装置は、例えば、糸の製造又は加工に役立つ上位機械の構成要素部分である。パッケージ巻取装置は、特に、パッケージを形成するように、例えば製造又は加工された糸をパッケージによって提供するように、糸を巻き取る目的を果たす。
【0008】
スピンドルは回転可能であり、以下、3つの軸を有する円筒座標系を用いて記載する。軸方向は、パッケージの回転軸の方向を定める。半径方向は、回転軸から垂直に離れる方に向けられ、回転軸を通って伸びる方向を定め、円周方向は、スピンドルの回転軸を中心とした(仮想)円の輪郭に対する接線であるように配置された接線方向を定める。
【0009】
スピンドル本体は、通常、スピンドルの最大の構成要素である。前記スピンドル本体は円筒形であり、好ましくは内部が中空であり、記載された溝をそこに設けるのに十分な厚さの壁を有する。スピンドル本体は、金属部品であってもよく、鋳造することができ、及び/又は減法的機械加工により製造することができる。
【0010】
パッケージ管は、パッケージを巻き取るのに役立つ。ここで、「パッケージ管」という用語は、いわゆるパッケージを形成するように糸が巻き付けられる管状又はロール状の本体を記載する。前記パッケージ管は通常、プラスチック材料及び好ましくは厚紙などの材料から作られたロールである。
【0011】
クランプ機構は、パッケージ管をスピンドル上にしっかり保持するのに役立ち、特にパッケージ管の内径の公差を均等化するのに役立つ。個々のパッケージ管の内径には、わずかな(多くの場合、生産に関連した)誤差がある可能性がある。このような誤差は、クランプ機構によって均等化することができる。さらに、クランプ機構は、パッケージ管に(規定の)保持力を及ぼすことができ、これによりスピンドルとパッケージ管との間で円周方向及び軸方向に摩擦力が達成される。この結果、パッケージ管がスピンドル上で滑るのを防止し、また、パッケージ管とスピンドルとの間でトルクを伝達することができる。これは、スピンドルをパッケージ管とともに加速又は減速しなければならず、パッケージ管の慣性のトルクが、円周方向に摩擦力がなかった場合にスピンドル上でパッケージ管が滑る原因となり得る力をもたらす場合に、特に有利である。
【0012】
クランプ部材は半径方向に移動可能であり、例えば、0.5mm(ミリメートル)~2mm、特に約1.5mmの潜在的な半径方向ストロークがここで設けられ、前記ストロークは、それぞれ特定の用途及びスピンドル又はパッケージ管のサイズに応じて適切に設けることが可能である。好ましくは、クランプ部材は、互いに独立して、又は少なくとも部分的に互いに独立して半径方向に変位可能である。クランプ部材は、好ましくは、軸方向に押出されるか、又は押出し成形され、好ましくは、アルミニウム又はプラスチック材料から製造される。ここで記載するクランプ部材は、スピンドル上に配置されたパッケージ管と直接接触している。クランプ部材は、好ましくは、軸方向において固定される。これは、クランプ部材を軸方向に移動させることができないことを意味する。これは、例えば、クランプ部材が軸方向において少なくとも片側(好ましくは両側)で停止部分に載ることによって達成され得る。実施形態の有利な変形では、クランプ部材は、スピンドル上に配置されるパッケージ管と同じ(軸方向の)長さを有する。結果として、パッケージ管の異なる内径を均等化することが可能である。
【0013】
好ましくは、スピンドル本体の円周上に(均等に)分布する複数の溝がある。実施形態の特に簡単な変形では、スピンドル本体の円周上に均等に分布されるように3つの溝を設けることができ、この例ではクランプ機構の対応する要素(制御ロッド、くさび要素、クランプ部材等)が、前記3つの溝に配置される。円周方向の3つのクランプ部材は、パッケージ管をスピンドル上で規定された方法で保持することができるクランプ部材の最小数を表す。実施形態の好ましい変形では、さらに多くの溝、例えば4、6、8又は12個の溝がスピンドル本体の円周上に均等に分布され、それぞれがクランプ機構の対応するさらなる要素(制御ロッド、くさび要素、クランプ部材等)を有する。最終的に、円周上に分布される制御ロッド、くさび要素、クランプ部材等に関して、絶対的な制限はない。円周上の均等な分布は必ずしも必要ではなく、この点で差異が生じ得る。
【0014】
制御ロッドも好ましくは押出し又は押出し成形され、アルミニウム又はプラスチック材料から構成される。制御ロッドは、好ましくは、スピンドルの軸方向の全範囲にわたって延在する。前記制御ロッドは、好ましくは、引張力及び圧縮力を伝達することができる。溝の中の制御ロッドは、軸方向においてクランプ部材によって完全に覆われることができる。複数のクランプ部材を制御ロッドごとに設けることもでき、この例の前記複数のクランプ部材は、好ましくは、それぞれ制御ロッドに沿って又は溝に沿って軸方向において連続的に配置される。実施形態の有利な変形では、制御ロッドは、制御ロッドセグメントに分割される。これらの制御ロッドセグメントは、軸方向において連続的に配置される。1つの溝内に連続的に配置された制御ロッドセグメントは、それぞれ1つの制御ロッドを形成する。好ましくは、制御ロッドセグメントは、それぞれ、クランプ部材と同じ(軸方向の)長さを有し、同様に、スピンドル上に配置されるパッケージ管と同じ(軸方向の)長さを有する。1つの制御ロッドの制御ロッドセグメントは、その端部で、好ましくは、軸方向の引張力及び軸方向の圧縮力の両方を伝達できるように、形状合致式に互いに挿入される。
【0015】
記載されたくさび要素は、ここに記載された装置のクランプ機構の本質的な要素である。前記くさび要素はそれぞれ、少なくとも1つのくさび面を有している。くさび面は、円周方向と軸方向とによって規定される平面に対して前記くさび面が半径方向に傾いていることを特徴とする。半径方向に傾いていることは、ここでは特に、くさび面が(円周方向と半径方向とによって規定される)既知の平面に対して円周方向に関してくさび角度で傾いていることを意味する。くさび角度は、軸方向と半径方向とによって規定された平面内に存在する。スピンドルのすべてのくさび面のくさび角度は、好ましくは同一である。例えば、くさび角度は、1°~30°である。制御ロッドの軸方向の動きとクランプ部材の半径方向の動きとの間のギアリングレシオがくさび角度によって規定され、くさび角度はスピンドルの特定の用途に応じて好適に設けられる。
【0016】
くさび要素は別個のものである。これは、くさび要素が、クランプ部材の構成要素部分でもなければ制御ロッドの構成要素部分でもないことを意味する。実施形態の好ましい変形では、これはまた、くさび要素がクランプ部材及び制御ロッドに物質的に接続されておらず、(例えば、スピンドルを分解するときに)取り外し可能であることを意味する。実施形態の他の変形では、クランプ部材が、クランプ部材及び制御ロッドの製造工程中に(のみ)くさび要素とは別個のものであり、任意選択的に、制御ロッド又はクランプ部材に接着により接続されるか、又は任意の他の方法でそれに永久に接続されることも意味し得る。くさび要素は実際に別個のものであるが、それにもかかわらず制御ロッド又はクランプ部材へくさび要素を割り当てることができる。原則として、外側に配置されたくさび要素は、クランプ部材のくさび要素と呼ぶことができ、内側(前者の下、スピンドルの上からの平面図において)に配置されたくさび要素は、制御ロッドのくさび要素と呼ぶことができる。
【0017】
別個のくさび要素と、制御ロッド又はクランプ部材に直接一体的に成形され、例えば鋳造法によって製造されたクランプ部材と結合的に成形されているくさび面、又は例えばクランプ部材又は制御ロッドに(複合)減法的ポスト機械加工によって製造されたくさび面とは区別されなければならない。
【0018】
くさび面は、常に対応するくさび面と相互作用する。したがって、くさび面は、好ましくは常にペアで存在し、各ペアの一方のくさび面は制御ロッドに、一方のくさび面はクランプ部材に割り当てられる。ここで記載するスピンドルでは、各ペアの一方のくさび面がそれぞれ別個のくさび要素によって提供又は形成されることが不可欠である。
【0019】
1つのクランプ部材につき、例えば(軸方向に)連続的に配置された複数のくさび要素を設けることができる。クランプ部材ごとに複数のくさび要素を備えることによって、それぞれ複数の位置で作用する半径方向に作用する力又は動きを、くさび要素を介してクランプ部材に伝達することが達成される。特に、クランプ部材の(半径方向の)傾きの可能性が、このようにして制限される。
【0020】
ここで記載した別個のくさび要素の結果として、スピンドルの要素(スピンドル本体、制御ロッド、くさび要素、クランプ部材等)の製造は、全体として著しく簡略化される。特に、制御ロッド及び/又はクランプ部材に直接くさび面を構成する必要性を著しく低減することができる。これは特に、くさび面が好ましくは別個のくさび要素によって設けられるからである。制御ロッド及び/又はクランプ部材と比較して、別個のくさび要素は、比較的コンパクトで、小さい構成要素であり、そのために、かなり低い複雑さでくさび面を製造することが可能である。好ましくは、別個のくさび要素は、円周方向にアンダーカットのない輪郭を有する。好ましくは、別個のくさび要素は、それぞれ押出し成形又は押出しによって安価に製造することもできる。好ましくは、複数のくさび要素をストランドとして製造し、その後、このストランドから切断することによって個々のくさび要素を提供することができる。しかしながら、押出成形部品又は押出部品としてのくさび要素の製造は、それぞれ押出成形部品又は押出部品としての制御ロッド及び/又はクランプ部材の製造とは異なる方向で実施される。くさび要素のそれぞれ押出成形又は押出しの方向は、スピンドルに挿入される完成くさび要素の場合、スピンドルの円周方向に対応する。制御ロッド及び/又はクランプ部材において、くさび面の製造は、通常、複雑なポスト機械加工ステップを必要とする。このようなポスト機械加工ステップは、ここで記載される別個のくさび要素を有するスピンドル構成の結果として回避することができる。
【0021】
クランプ部材が、スピンドルの少なくとも軸方向の小領域にわたって延在するロッドであると、特に好ましい。
【0022】
軸方向の小領域にわたって延在するロッドは、好ましくは、パッケージ管の内側に接触面を有し、前記接触面は、軸方向において円周方向の少なくとも10倍の長さである。
【0023】
クランプ部材としてのこのようなロッドは、軸方向の長さが短いクランプブロックとは区別される。クランプ部材としてのこのようなロッドは、パッケージ管の内側のより均一な負荷を保証するという利点がある。このようなロッドは、安価な押出成形部品及び/又は押出し部品として製造することができる。
【0024】
さらに、スピンドル本体の溝は、軸方向のアンダーカットのない状態で具現化されると好ましい。
【0025】
このようなアンダーカットのない溝は、円周方向と半径方向とによって規定されるすべての平面において軸方向に沿って同じ断面を有する溝である。このような溝は、この方向にアンダーカットを有する溝よりも製造が容易である。これは、スピンドル本体が製造される製造方法に関係なくほとんどあてはまる。例えば、溝がフライスカッターでスピンドル本体に組み込まれる場合、軸方向にアンダーカットのない溝は、スピンドル本体に沿って軸方向に移動する溝カッターで製造することができる。
【0026】
好ましくは、制御ロッド及びクランプ部材も、製造が容易なように設計される。制御ロッド及びクランプ部材が連続押出形材として製造され、軸方向にアンダーカットを有しないことは、実際には通常は達成できない。それというのも、その場合、制御ロッドがくさび部材に力を伝達するための伝達面を有することが不可能だからである。しかしながら、制御ロッド及びクランプ部材が、第1の作業ステップで(軸方向にアンダーカットのない)押出形材として製造され、次に、第2の作業ステップで、材料を除去する機械加工方法(例えば、減法的機械加工方法)を用いて局所的に隙間が組み込まれ、前記局所的な隙間が、次にくさび要素用の接触面を形成することが可能である。しかしながら、クランプ部材及び/又は制御ロッドにおけるこのような隙間の製造は、くさび面の構成が行われるよりもはるかに容易である。
【0027】
第1のくさび要素は、クランプ部材の第1の隙間に挿入されることが好ましい。
【0028】
クランプ部材の第1の隙間に挿入されたくさび要素は、クランプ部材に割り当てられる。前記くさび要素は、クランプ部材に割り当てられ、実施形態の他の変形ではクランプ部材に直接構成することもできるくさび面を構成する。
【0029】
第2のくさび要素が制御ロッドの第2の隙間に挿入されると、さらに好ましい。
【0030】
制御ロッドの第2の隙間に挿入されたくさび要素は、制御ロッドに割り当てられる。前記くさび要素は、制御ロッドに割り当てられ、実施形態の他の変形では制御ロッドに直接構成されることもできるくさび面を構成する。
【0031】
本明細書に開示されたスピンドルの文脈では、くさび面が制御ロッド自体にもクランプ部材自体にも直接構成されず、別個のくさび要素によって構成されることが必要である。また、制御ロッドのくさび面又はクランプ部材のくさび面が、本発明の主題から逸脱することなく、その上に部分的に直接一体的に形成されることも本明細書に含まれる。制御ロッド上及び/又はクランプ部材上のくさび面の実装が、記載された別個のくさび要素の結果として回避されることだけが必要である。言い換えれば、別個のくさび要素の概念は、本明細書に開示されたスピンドルを実装するためにクランプ機構のある位置で実装されなければならない。
【0032】
しかしながら、くさび面がそれぞれ制御ロッド及びクランプ部材に直接構成されず、又は一体的に成形されず、くさび面を形成する別個のくさび要素がここにそれぞれ提供されることが好ましい。実施形態のこれらの変形における別個のくさび要素は常にペアで存在し、一緒にスピンドル内の制御ロッド上のクランプ部材の支持体を形成する。
【0033】
さらに、第1のくさび要素及び/又は第2のくさび要素が、それぞれクランプ部材の第1の隙間又は制御ロッドの第2の隙間に挿入される位置決め部材に挿入されると好ましい。
【0034】
位置決め部材は、位置決めプレート、嵌合キー又は嵌合部材と呼ぶこともできる。くさび要素を受け入れるための、それぞれクランプ部材又は制御ロッドの隙間は、通常、くさび要素よりも大きく、製造の容易さの理由から、その形状がくさび要素の形状に正確に一致しないように形成されていることが多い。隙間の内側輪郭とくさび要素の外側輪郭との間の空間は、位置決め部材によって満たすことができる。隙間は、好ましくは、円周方向と軸方向とによって規定された平面内に配置され、半径方向に延在している。前記隙間は、好ましくは、それらの(軸方向の)端部において丸みを帯びた内側輪郭を有する。このような隙間は、それぞれ制御ロッド又はクランプ部材に、例えばフライスカッターを用いて、非常に簡単且つ安価に組み込むことができる。一方、くさび要素は、通常、矩形の外側輪郭を有する。位置決め部材は、対応する丸みを帯びた外側輪郭と、対応する矩形の内側輪郭とを有することができ、したがって、隙間とそこに配置されたくさび要素との間の空間を補償し、それぞれ制御ロッド又はクランプ部材からくさび要素への確実な力の伝達を保証することができる。その結果、押出成形又は押出しによって安価に製造されたくさび要素は、同様に安価に製造された位置決め部材によって、同様に安価に製造されたそれぞれクランプ部材又は制御ロッド上の隙間に挿入されることができる。くさび面が別個のくさび要素上に構成されている結果として、及び、くさび要素が位置決め部材を介して制御ロッド及びクランプ部材に接続されている結果として、言及したすべての構成要素の製造可能性を全体的に単純化することができる。すべての構成要素はより小さくなり、より複雑ではなくなる。製造上のミスは、個々の構成要素を交換することで対処することができる。その結果、コスト面での有利性が達成される。
【0035】
さらに、クランプ機構が溝内に拘束された状態で保持されていることが好ましい。
【0036】
これは特に、クランプ機構のすべての構成要素がスピンドルにしっかりと保持され、(特に並外れた)移動の際にスピンドルから落下することがないことを意味する。
【0037】
スピンドルが、半径方向に少なくとも1つのアンダーカットを有する溝を有し、クランプ部材がアンダーカットに係合する少なくとも1つの突起を有し、その結果、クランプ機構が溝内に拘束された状態で保持されることがさらに好ましい。
【0038】
このように、クランプ機構に割り当てられたすべての要素は、好ましくは、溝内に拘束された状態で保持される。特に好ましくは、各溝は両側でアンダーカットを有する。好ましくは、溝は、スピンドル本体の表面から見たときに「T」を形成しており、したがって、T字溝と呼ぶこともできる。このような溝は、スピンドル本体の表面において狭い領域を有し、両側のアンダーカットの形態で底部に向かって広がっている。
【0039】
スピンドル本体は、T字溝の間に、好ましくは、スピンドル本体材料のT字形ウェブを有し、前記T字形ウェブのT字形は、それぞれT字溝のT字形と逆である。クランプ部材に設けられた突起は、クランプ部材の中央領域を起点にして、円周方向に外側に延在し、アンダーカットに係合する横方向フランクを形成している。アンダーカット及び突起は、軸方向に沿って同一の構成であることが好ましい。アンダーカットを有する溝は、好ましくは、クランプ部材が突起によって保持される一種のガイドレールを形成し、クランプ部材の下に配置されたクランプ機構のすべての要素も、クランプ部材によって溝内に保持される。
【0040】
さらに、クランプ部材が、可動制御ロッドを少なくとも部分的に受け入れる受け部を有していると好ましい。
【0041】
スピンドル本体の表面から見て、前記受け部は、クランプ部材の背面側に位置する。その隙間は、好ましくは、クランプ部材の全長にわたって(軸方向に)具現化されている。
【0042】
(スピンドル本体の表面から見て)クランプ部材は、好ましくは、文字Uの形状において具現化され、このUは、Uの中心軸から離れる方向において、Uの円周方向において外側に延在し、Uの2本の脚を継続する突起を有している。これらの突起は、好ましくは、溝のアンダーカットの中に延在する。制御ロッドが受け入れられる記載された受け部は、好ましくは、Uの2本の脚の間に配置される。このようにして、一方では、クランプ部材及び制御ロッドの拘束が実現され得る。さらに、クランプ部材と制御ロッドの特に省スペースの配置がこのようにして実現され、ここでクランプ部材内の空間が制御ロッドのために(また、制御ロッドとクランプ部材の間に配置されたくさび要素のために)使用される。少なくとも1つの制御ロッドが、その端部に、軸方向に引張力及び圧縮力を伝達することができる正の形状合致式閉鎖要素及び/又は負の形状合致式閉鎖要素を有していると好ましい。
【0043】
好ましくは、複数の制御ロッドは、一端に正の形状合致式閉鎖要素を有し、他端に負の形状合致式閉鎖要素を有する。好ましくは、この種の複数の制御ロッドは、各溝内に連続的に配置され、正の形状合致式閉鎖要素と負の形状合致式閉鎖要素とが互いに係合するように、形状合致式閉鎖要素を介して相互に接続される。このようにして、軸方向に引張力及び圧縮力を伝達することができる。他の方向(軸方向及び円周方向)において、制御ロッドは柔軟であり、適応可能である。
【0044】
さらに、制御ロッドのくさび要素は、軸方向に弾力性のある要素で制御ロッドに支持されていると好ましい。
【0045】
そのような弾力性要素は、例えば、金属又はゴムから作ることができる。前記弾力性要素は軸方向において、制御ロッドの隙間内にくさび要素の前及び/又は後ろに配置されることが好ましい。
【0046】
任意選択的に、弾力性要素は、弛緩されるといくらか遅れて再度拡張する、例えばゴム製の緩衝材など、時間的に遅れるばね作用を有することができる。
【0047】
弾力性要素は、制御ロッドによって適用され、軸方向に作用する制御力に応じて、制御ロッドに対するそれぞれのくさび要素の軸方向の位置を変化させる。その結果、製造上の偏差を均等化することができ、クランプ要素を互いに独立して異なる程度まで半径方向に展開することが可能となる。
【0048】
さらに、スピンドル本体内のクランプ機構が、可動制御ロッドにクランプ力を加えることができる少なくとも1つの制御可能なクランプ要素を有すると好ましい。
【0049】
クランプ機構は、クランプばね、及び/又は、圧力を発生させるための媒体を受け入れるための加圧室を有する油圧シリンダ又は空気圧シリンダを備えることが好ましい。制御ロッドに加えられ、クランプ部材が半径方向に展開され、このようにしてパッケージ管をしっかりクランプすることを引き起こす力が、クランプばねの助けにより定義される。パッケージ管をスピンドルに保持するための保持力がクランプばねによって生成される。油圧シリンダ又は空気圧シリンダの助けを借りてクランプばねに対抗することができ、クランプばねのばね力と反対方向に制御ロッドの軸方向の動きを発生させることができる。結果として、くさび要素を軸方向に変位することができ、クランプ部材は半径方向に解放され、溝内に移動することができる。結果として、パッケージ管が解放され、軸方向に押し出されることができる。スピンドル内の制御可能なクランプ要素によって発生する軸方向の移動は、好ましくは、スピンドルの(軸方向の)端部に配置されたプレート(ラムと呼ばれる)により制御ロッドに対して外向きに伝達される。
【0050】
実施形態のさらに有利な変形では、スピンドルに油圧シリンダも空気圧シリンダも存在しない。実施形態のこのような変形では、外部力を、例えばパッケージ巻取装置のさらなる構成要素から、クランプ機構を作動させるように、機構によって加えることができる。
【0051】
くさび要素が、上部くさび面と、それと平行であるように向けられた下部くさび面とを有し、対応するように平行に向けられた上部くさび面及び下部くさび面が、軸方向に可動な制御ロッド又はクランプ部材上に構成され、上部くさび面及び下部くさび面が一緒に、引張力及び圧縮力を半径方向にクランプ部材に伝達することができる平行ガイドを形成するスピンドルはさらに好ましい。
【0052】
好ましくは、制御ロッド及び/又はクランプ部材の上部及び下部くさび面は、それぞれ別個のくさび要素上に構成される。特に好ましくは、制御ロッドのくさび面及びクランプ部材のくさび面が、別個のくさび要素上に構成される。
【0053】
上部くさび面及び下部くさび面を有するこのようなくさび要素は、異なる形状を有することができる。通常、このようなくさび要素の2つの異なるタイプが使用される。上部くさび面がウェブの上側に、下部くさび面がこのウェブの下側に配置されている第1のタイプのくさび要素が使用される。下部くさび面がガイドスロットを上方から、上部くさび面が下方から区画する第2のタイプのくさび要素がさらに使用される。好ましくは、平行ガイドを形成する相互作用するくさび要素のペアは、第1のタイプのくさび要素と第2のタイプのくさび要素とから構成される。好ましくは、くさび要素は、矩形の形状を有し、クランプ部材の隙間又は制御ロッドの隙間に係合する基部を有する。好ましくは、基部は、圧縮力及び引張力がそれぞれクランプ部材又は制御ロッドから基部を介してくさび要素に伝達され得るように、そこに係合する。
【0054】
第1のタイプのくさび要素又は第2のタイプのくさび要素を、クランプ部材の第1のくさび要素又は制御ロッドの第2のくさび要素として選択的に使用することができる。クランプ部材上の少なくとも上部くさび面及び下部くさび面、又は制御ロッド上の上部くさび面及び下部くさび面が、別個のくさび要素上に構成されておらず、クランプ部材上又は制御ロッド上に直接構成されている変形もまたここに含まれる。
【0055】
溝が少なくとも1つのアンダーカット(半径方向)を有するように具現化され、制御ロッドが、アンダーカットに係合する少なくとも1つの突起を有し、それによりアンダーカットが半径方向において制御ロッドによって少なくとも部分的に完全に満たされるようにし、それにより引張力及び圧縮力を溝から半径方向に制御ロッドに伝達できるようにするとさらに好ましい。
【0056】
実施形態の好ましい変形では、このアンダーカットは、クランプ部材の突起が係合するアンダーカットと同じである。好ましくは、このアンダーカットは、クランプ部材の突起よりもさらに円周方向に延在する。好ましくは、制御ロッドは、円周方向において外側に遠くに位置し、半径方向においてアンダーカットを完全に満たす支持領域を有する。このように構成された支持領域により、制御ロッドの半径方向への移動が不可能となり、制御ロッドへの半径方向の引張力及び圧縮力の伝達が可能となる。しかしながら、「完全に満たされる」という用語はここでは、制御ロッドの軸方向への移動を妨げ得る半径方向の制御ロッドのクランプが行われないことを意味する。
【0057】
引張力及び圧縮力をくさび要素からクランプ部材及び制御ロッドへ伝達できるようにクランプ部材上の第1のくさび要素及び/又は制御ロッド上の第2のくさび要素が半径方向に取り付けられるとさらに好ましい。
【0058】
したがって、溝内のクランプ機構のすべての構成要素は、好ましくは、引張力と圧縮力の両方を(半径方向に)伝達できるように具現化される。
【0059】
これらの手段の結果として、外側に向かって(半径方向に)作用する力がクランプ部材に作用している場合でも、クランプ部材の能動的な収縮が可能になる。引張力の伝達が可能なため、遠心力の補償を行うことができる。これは、クランプ部材と制御ロッドの両方をT字溝のアンダーカットの同じ面で支持することができ、したがって、回転によって発生する遠心力がスピンドル本体に直接伝播されることを意味する。
【0060】
実施形態の好ましい変形では、制御ロッドのくさび要素を受け入れるための隙間は、これらの隙間が制御ロッドを半径方向に完全に貫通するように具現化されている。好ましくは、底に向かうくさび要素は、前記くさび要素が、隙間を通ってスピンドル本体まで完全に延在し、スピンドル本体自体に支持されるように、長さが増大する。このことは、制御ロッドに半径方向に作用する遠心力が、くさび要素に全く影響を及ぼさないか、少なくとも低減された影響だけを及ぼすという利点を有する。
【0061】
本発明及びその技術的環境が、図を参照して以下にさらに詳細に説明される。図は、本発明が限定されるものではない、特に好ましい例示的な実施形態を示す。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【
図2】記載されたスピンドルの断面の断片の詳細図を示す。
【
図3a】クランプ部材が展開された半径方向位置にある記載されたスピンドルの3次元外観図を示す。
【
図3b】後退した半径方向位置にあるクランプ部材を有する記載されたスピンドルの3次元外観図を示す。
【
図5】スピンドル主要本体を有するクランプ部材の表現を示す。
【
図6a】クランプ部材及び制御ロッドから構成されたペアの断面図を示す。
【
図6b】
図6aのクランプ部材を下から見た図である。
【
図7】記載されたスピンドルの実施形態のさらなる変形に関してくさび要素のペアを通る断片を示す。
【
図8a】記載されたスピンドルの変形のクランプ部材及び制御ロッドの第1の断面図を示す。
【
図8b】記載されたスピンドルの変形のクランプ部材及び制御ロッドのさらなる断面図を示す。
【
図9a】記載されたスピンドルの変形のクランプ部材及び制御ロッドの断面の表現を示す。
【
図9b】記載されたスピンドルの変形のクランプ部材及び制御ロッドの断面のさらなる表現を示す。
【発明を実施するための形態】
【0063】
図1は、ここでは概略的にしか示されていないパッケージ巻取装置2の構成要素部分であり、ここでは概略的にしか示されていない1つ又は複数のパッケージ管5が配置されているクランプ機構4を有する記載されたスピンドル1の断面を示している。スピンドル1は、スピンドル座標系を定義することができるスピンドル軸36を有する。スピンドル座標系は、スピンドル軸36に沿った軸方向13と、スピンドル軸36から前進するように延在する半径方向14と、スピンドル軸36及び半径方向14の両方に垂直であるように向けられた円周方向24とを有する。スピンドル本体3は、さらなる構成要素(特にクランプ機構4の要素)が留められるスピンドル1の基本要素である。スピンドル本体3内には、クランプ機構4に必要な力を発生させることができるクランプ要素22がある。
【0064】
クランプ要素22は、ピストン35、ウェブ28、ラム27、クランプばね26、ばね支持体37及びエンドプレート38を備える。ばね支持体37とエンドプレート38は、スピンドル本体3に固定式に接続され、クランプ要素22の構成要素を互いに接続し、前記構成要素を案内及び支持する役割を果たす。クランプばね26は、ピストン35を左側に押す。この結果、制御ロッド8はラム27によって同様に左側に変位される。制御ロッド8のくさび要素10は、左側及びクランプ部材6のくさび要素9の下に押され、その結果、クランプ部材6は半径方向14の外側に変位され、したがってパッケージ管5はスピンドル1上にクランプされる。弛緩するには、制御ロッド8のくさび要素10を右側に変位して、クランプ部材6のくさび要素9が半径方向14に自由に動けるようにする必要がある。これは、クランプばね26の力に抗して行われる。この力は、例えば、少なくとも1つの加圧室25内の圧縮空気又は油圧流体によって、或いはスピンドルの外側からラム27を右に引っ張ることにおいて発生させることができる。制御ロッド8並びにクランプ部材6は、スピンドル本体3の外側にある軸方向に延在する溝7に配置され、好ましくはスピンドル1の円周上に均等に分配される。
【0065】
クランプ機構4の要素が配置されたこれらの溝7は、
図1及び
図2においてより詳細に再度示されている。
図2において、第2のくさび要素10が制御ロッド8の隙間20に挿入され、前記第2のくさび要素10は上部くさび面11を提供していることが分かる。第1のくさび要素9は、下部くさび面12を提供し、これら第2のくさび要素10上に配置される。第1のくさび要素9と第2のくさび要素10は、このように、対応するくさび面11、12をそれぞれ形成し、これによって、制御ロッド8と第2のくさび要素10の軸方向の動きが、第1のくさび要素9とその上に配置されたクランプ部材6の半径方向の動きに変換される。
【0066】
図3a及び
図3bは、記載されたスピンドル1の3次元外観図を示し、
図3aは、半径方向に展開した位置にあるクランプ部材6を示し、
図3bは、半径方向に後退した位置にあるクランプ部材6を示す。両図は、ここでは見えないスピンドル本体3に接続されているばね支持体37の周囲と、クランプ部材6が半径方向に後退した位置にある
図3bにおいて、軸方向に偏向されたラム27とを示している。したがって、クランプ部材の軸方向の動きと半径方向の動きとの間の相関関係をここで見ることができる。
【0067】
図4は、さらなる取り付け部品がなく、特にクランプ機構4の部品がないスピンドル本体3の断面を示している。溝7を見ることができ、この溝は、好ましくは、スピンドル本体3の円周にわたって円周方向24に均等に分布している。例として、このスピンドル本体3には、円周にわたって分布する12個の溝7が設けられている。
【0068】
図5は、スピンドル本体3上の溝7を、そこに配置されたクランプ部材6とともに詳細に示しているが、クランプ機構4のさらなる要素は含まれていない。溝7はそれぞれT字形状である、又はT字溝であることがわかる。溝7は、アンダーカット18によって底部に向かって広がっている狭い上部領域を有している。クランプ部材6は、中央領域と、中央領域から円周方向24に離れる方に延在する突起19とを有し、これらの突起は、アンダーカット18に係合するが、半径方向14においてこれらのアンダーカット18を完全に満たさないので、半径方向14においてクランプ部材6の可動性が提供される。クランプ部材6のスピンドル本体3に対向する内側には、ここでは図示しない制御ロッドが挿入される受け部31が配置される。また、クランプ部材6は、中央領域が逆「U」字形のように成形され、この「U」の内側の領域に受け部31が配置されることが分かる。
【0069】
図6a及び
図6bは、クランプ部材6と制御ロッド8から構成されたペアを示し、このペアは、
図6aにおいて、軸方向13及び半径方向14によって規定される断面平面における断面図で示されている。
図6bは、円周方向24と半径方向14とによって規定された平面において、クランプ部材6を下から見た図である。
図6a及び
図6bは、制御ロッド8とクランプ部材6との間の相互作用の原理を説明するものである。第1のくさび要素9及び第2のくさび要素10を見ることができ、これらはそれぞれ、クランプ部材6又は制御ロッド8の隙間20に受け入れられている。第1のくさび要素9の場合、前記第1のくさび要素9は位置決め部材17によって隙間20に保持されていることもそれぞれ示されている。くさび要素9、10はそれぞれ、くさび角度30によって整列されるくさび面11、12を構成している。くさび角度30は、制御ロッド8の軸方向運動とクランプ部材6の半径方向運動との間のギアリングレシオを事前に定義する。
【0070】
図7は、スピンドル本体3上のクランプ部材6及び制御ロッド8とともに、第1のくさび要素9と第2のくさび要素10から構成されたペアを通る断片を示し、ここではくさび要素9、10の実施形態の特定の変形が示されている。ここに示されるくさび要素9、10はそれぞれ、上部くさび面11と下部くさび面12とを有し、ここでの第1のくさび要素9の場合、上部くさび面11と下部くさび面12は互いに整列され、ともにガイドスロット29を区切り、ここでの第2のくさび要素10の場合、上部くさび面11と下部くさび面12はウェブ28の両側に配置されている。ウェブ28はガイドスロット29に係合し、ウェブ28とガイドスロット29又はくさび要素9、10のくさび面11、12は、それぞれ、半径方向に作用する圧縮力及び半径方向に作用する引張力の両方がくさび要素9、10間で伝達され得る平行ガイド23を構成している。くさび要素9、10は、好ましくは、それぞれ制御ロッド8又はクランプ部材6に固着され、その結果、半径方向に作用する圧縮力及び半径方向に作用する引張力が好ましくはそれぞれそれらの間にも伝達され得るようにする。これは、第2のくさび要素10の場合において例として示され、このくさび要素は、半径方向の引張力と半径方向の圧縮力が伝達され得るように、隙間20内で制御ロッド8に係合する基部32を有する。第1のくさび要素9用の対応する受け部をクランプ部材6に設けることもできる。
【0071】
1つ又は複数の弾力性要素21が、軸方向において基部32の前及び/又は後ろに配置される。これらの弾力性要素21は、制御ロッド8に対する第2のくさび要素10の力に依存した軸方向の相対変位を可能にする。結果として、製造上の偏差が均等化され、クランプ部材6を異なる程度に半径方向に展開させることが可能になる。第1のくさび要素9は、クランプ部材6及び/又は位置決め部材17に固定式に接続される。任意選択的に接着剤を使用して、クランプ部材6、制御ロッド8、及びくさび要素9、10を接続することもできる。
【0072】
軸方向13において第2のくさび要素10の前及び/又は後ろにある弾力性要素21の概念は、ここで記載したスピンドル1のすべての実施形態の変形で使用することができ、任意選択的に、第1のくさび要素9にも使用することができる。弾力性要素21は、制御ロッドによって加えられ軸方向13に作用する制御力に応じて、制御ロッドに対するそれぞれのくさび要素9、10の軸方向位置を修正するのに役立つ。結果として、製造上の偏差を均等化することができ、クランプ部材6は、半径方向14において異なる程度まで互いに独立して展開することができる。
【0073】
図8a及び
図8bは、スピンドル本体3の溝7内のクランプ部材6及び制御ロッド8の2つの断面を示している。
図8aでは、くさび要素9、10の前又は後ろの断面が示されており、
図8bの断面はくさび要素9、10を貫通している。これらの
図8a及び
図8bに示された実施形態の特徴は、ここで記載されたスピンドルの実施形態のさらなる変形に適用することができる。
【0074】
図8a及び
図8bでは、クランプ部材6が半径方向14に移動可能であり、溝7のアンダーカット18に外側停止面39が存在し、前記外側停止面39はクランプ部材6の最大の半径方向外側への移動を制限していることが分かる。
【0075】
制御ロッド8は、円周方向24において軸方向にはるか外側に支持領域33を有し、この支持領域33は溝7のアンダーカット18に係合し、半径方向14においてこれらのアンダーカットに完全に広がり、それにより制御ロッド8が半径方向14において固定される。
【0076】
制御ロッド8の第2のくさび要素10は、溝7の内側停止面40に直接載り、ここでスピンドル本体3に対して直接支持される。この溝7の内側停止面40は、溝基部と呼ぶこともできる。この目的のために、特に第2のくさび要素10は、第2のくさび要素10をスピンドル本体3上の内側停止面40まで継続させる支持延長部42を有することができる。この目的のために、制御ロッド8の隙間20は、半径方向14に連続する凹部41として部分的に具現化され、その中を第2のくさび要素10の支持延長部42が延在することができる。このようにして、したがって、クランプ部材6からの圧縮力は、第1のくさび要素9及び第2のくさび要素10を介してスピンドル本体3内に直接伝達され、制御ロッド8には適用されない。
【0077】
この有利な実施形態では、スピンドル1の回転中に制御ロッド8に作用する遠心力は、制御ロッド8の支持領域33及び外側停止面39を介してスピンドル本体3内に直接伝達される。スピンドル1がパッケージ管5なしで回転する場合、クランプ部材6もその突起19で外側停止面39に支持され、したがって溝7に確実に保持される。
【0078】
図9a及び
図9bはそれぞれ、3次元表現で断面を示しており、この断面は、
図8a及び
図8bにおいて断面線A-Aで強調されている。
【0079】
図9a及び
図9bはまた、クランプ部材6及び制御ロッド8の両方がパッケージ管5と同一の有効長さを有する、さらなる有利な変形を示している。制御ロッド8は、正の形状合致式閉鎖要素43及び負の形状合致式閉鎖要素44によって互いに接続することができるので、スピンドルの軸方向長さにわたって、このタイプの複数のクランプ部材6及び制御ロッド8を連続的に配置することができる。
図9a及び
図9bはさらに、制御ロッド8に連続凹部41として設けられ、その中を第2のくさび要素10の支持延長部42が延在する隙間20を示し、それによって前記支持延長部42は前記スピンドル本体3に支持されることができる。
【0080】
本発明により、配置されたパッケージ管を固定するためのクランプ機構を有するパッケージ巻取装置用の新規なスピンドルが提案され、このパッケージ巻取装置は、同等のクランプ機構を有するパッケージ巻取装置と比較して、特に著しく向上した製造能力、より高い速度潜在性、及びクランプ部材とパッケージ管との間の改良された接触を有する。
【符号の説明】
【0081】
1 スピンドル
2 パッケージ巻取装置
3 スピンドル本体
4 クランプ機構
5 パッケージ管
6 クランプ部材
7 溝
8 制御ロッド
9 第1のくさび要素
10 第2のくさび要素
11 上部くさび面
12 下部くさび面
13 軸方向
14 半径方向
15 第1の隙間
16 第2の隙間
17 位置決め部材
18 アンダーカット
19 突起
20 隙間
21 弾力性要素
22 クランプ要素
23 平行ガイド
24 円周方向
25 加圧室
26 クランプばね
27 ラム
28 ウェブ
29 ガイドスロット
30 くさび角度
31 受け部
32 基部
33 支持領域
34 仕切りウェブ
35 ピストン
36 スピンドル軸
37 ばね支持体
38 エンドプレート
39 外側停止面
40 内側停止面
41 凹部
42 支持延長部
43 正の形状合致式閉鎖要素
44 負の形状合致式閉鎖要素
【国際調査報告】