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特表2023-521707暗号通貨取引に関するマルチ署名ウォレットにおけるEMVカードの使用のための方法及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-25
(54)【発明の名称】暗号通貨取引に関するマルチ署名ウォレットにおけるEMVカードの使用のための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   H04L 9/14 20060101AFI20230518BHJP
   G06Q 20/38 20120101ALI20230518BHJP
   H04L 9/32 20060101ALI20230518BHJP
【FI】
H04L9/14
G06Q20/38 310
H04L9/32 200B
H04L9/32 200E
H04L9/32 200Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022560988
(86)(22)【出願日】2021-03-09
(85)【翻訳文提出日】2022-11-17
(86)【国際出願番号】 SG2021050120
(87)【国際公開番号】W WO2021206626
(87)【国際公開日】2021-10-14
(31)【優先権主張番号】16/840,566
(32)【優先日】2020-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
2.HDMI
3.UNIX
(71)【出願人】
【識別番号】517187728
【氏名又は名称】マスターカード アジア パシフィック ピーティーイー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Mastercard Asia/Pacific Pte.Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100224683
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 詩織
(72)【発明者】
【氏名】スリナス ラヴィナサン
(72)【発明者】
【氏名】ベンサム ジョイソン
(72)【発明者】
【氏名】ドンハオ フアン
(72)【発明者】
【氏名】テック ヨン タン
【テーマコード(参考)】
5L055
【Fターム(参考)】
5L055AA71
(57)【要約】
マルチ署名ブロックチェーンウォレットを使用して、集積回路決済カードを介して暗号通貨ブロックチェーン取引を実行するための方法は、決済カードの集積回路内に、第1の暗号鍵ペアの第1の秘密鍵と取引口座番号とを格納することと、集積回路によって、販売時点情報管理装置からブロックチェーン取引を受信することであって、ブロックチェーン取引は、未使用取引出力額と、宛先アドレスと、各宛先アドレスに関する暗号通貨額と、第2の暗号鍵ペアの第2の秘密鍵を使用して生成された第1のデジタル署名とを含む、ことと、集積回路によって、第1の秘密鍵を使用してブロックチェーン取引にデジタル署名して、第2のデジタル署名を生成することと、集積回路によって、第1のデジタル署名と第2のデジタル署名とを含むデジタル署名付きブロックチェーン取引を、販売時点情報管理装置に送信することと、を含む。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチ署名ブロックチェーンウォレットを使用して、集積回路決済カードを介して暗号通貨ブロックチェーン取引を実行するための方法であって、
決済カードの集積回路の記憶部内に、少なくとも、第1の暗号鍵ペアの第1の秘密鍵と、取引口座番号とを格納することと、
前記集積回路の受信器によって、販売時点情報管理装置からブロックチェーン取引を受信することであって、前記ブロックチェーン取引は、少なくとも、1つ以上の未使用取引出力額と、1つ以上の宛先アドレスと、前記1つ以上の宛先アドレスの各々に関する暗号通貨額と、第2の暗号鍵ペアの第2の秘密鍵を使用して生成された第1のデジタル署名と、を含む、ことと、
前記集積回路のプロセッサによって、前記第1の秘密鍵を使用して前記ブロックチェーン取引にデジタル署名して、第2のデジタル署名を生成することと、
前記集積回路の送信器によって、前記第1のデジタル署名と前記第2のデジタル署名とを含む前記デジタル署名付きブロックチェーン取引を、前記販売時点情報管理装置に送信することと、
を含む、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
アクワイアラ金融機関によって、前記販売時点情報管理装置から前記デジタル署名付きブロックチェーン取引を受信することと、
前記アクワイアラ金融機関によって、前記デジタル署名付きブロックチェーン取引を、ブロックチェーンネットワーク内のブロックチェーンノードに送信することと、
をさらに含む、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において、
前記集積回路の前記記憶部は、前記第1の暗号鍵ペアの第1の公開鍵をさらに含み、
前記デジタル署名付きブロックチェーン取引の前記送信は、前記第1の公開鍵をさらに含む、
方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法において、
前記販売時点情報管理装置によって、前記第1の公開鍵を使用して、前記第2のデジタル署名を検証すること、
をさらに含む、方法。
【請求項5】
請求項3に記載の方法において、
アクワイアラ金融機関によって、前記第1の公開鍵を使用して、前記第2のデジタル署名を検証すること、
をさらに含む、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法において、
前記ブロックチェーン取引にデジタル署名する前に、前記集積回路の前記プロセッサによって、前記第2の暗号鍵ペアの第2の公開鍵を使用して、前記第1のデジタル署名を検証すること、
をさらに含む、方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法において、前記記憶部は、前記第2の暗号鍵ペアの前記第2の公開鍵をさらに含む、方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法において、
前記集積回路の前記受信器によって、前記販売時点情報管理装置から取引要求を受信することと、
前記ブロックチェーン取引を受信する前に、前記集積回路の前記送信器によって、前記取引要求に対する応答を送信することであって、前記応答は、少なくとも、前記取引口座番号を含む、ことと、
をさらに含む、方法。
【請求項9】
マルチ署名ブロックチェーンウォレットを使用して、集積回路決済カードを介して暗号通貨ブロックチェーン取引を実行するためのシステムであって、
販売時点情報管理装置と、
集積回路を有する決済カードと、
を含み、前記集積回路は、
少なくとも、第1の暗号鍵ペアの第1の秘密鍵と取引口座番号とを格納する記憶部と、
前記販売時点情報管理装置からブロックチェーン取引を受信する受信器であって、前記ブロックチェーン取引は、少なくとも、1つ以上の未使用取引出力額と、1つ以上の宛先アドレスと、前記1つ以上の宛先アドレスの各々に関する暗号通貨額と、第2の暗号鍵ペアの第2の秘密鍵を使用して生成された第1のデジタル署名と、を含む、受信器と、
前記第1の秘密鍵を使用して前記ブロックチェーン取引にデジタル署名して、第2のデジタル署名を生成するプロセッサと、
前記第1のデジタル署名と前記第2のデジタル署名とを含む前記デジタル署名付きブロックチェーン取引を、前記販売時点情報管理装置に送信する送信器と、
を含む、システム。
【請求項10】
請求項9に記載のシステムにおいて、
ブロックチェーンノードを含むブロックチェーンネットワークと、
アクワイアラ金融機関と、
をさらに含み、前記アクワイアラ金融機関は、
前記販売時点情報管理装置から前記デジタル署名付きブロックチェーン取引を受信することと、
前記デジタル署名付きブロックチェーン取引を、前記ブロックチェーンノードに送信することと、
を実行する、システム。
【請求項11】
請求項9に記載のシステムにおいて、
前記集積回路の前記記憶部は、前記第1の暗号鍵ペアの第1の公開鍵をさらに含み、
前記デジタル署名付きブロックチェーン取引の前記送信は、前記第1の公開鍵をさらに含む、
システム。
【請求項12】
請求項11に記載のシステムにおいて、前記販売時点情報管理装置は、前記第1の公開鍵を使用して前記第2のデジタル署名を検証する、システム。
【請求項13】
請求項11に記載のシステムにおいて、前記第1の公開鍵を使用して前記第2のデジタル署名を検証するアクワイアラ金融機関をさらに含む、システム。
【請求項14】
請求項9に記載のシステムにおいて、前記集積回路の前記プロセッサは、前記ブロックチェーン取引にデジタル署名する前に、前記第2の暗号鍵ペアの第2の公開鍵を使用して前記第1のデジタル署名を検証する、システム。
【請求項15】
請求項14に記載のシステムにおいて、前記記憶部は、前記第2の暗号鍵ペアの前記第2の公開鍵をさらに含む、システム。
【請求項16】
請求項9に記載のシステムにおいて、
前記集積回路の前記受信器は、前記販売時点情報管理装置から取引要求を受信し、
前記集積回路の前記送信器は、前記ブロックチェーン取引を受信する前に、前記取引要求に対する応答を送信し、前記応答は、少なくとも、前記取引口座番号を含む、
システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、マルチ署名ブロックチェーンウォレットを使用して、集積回路決済カードを介して暗号通貨ブロックチェーン取引を実行することに関する。本開示は、特に、ブロックチェーン取引が従来の販売時点情報管理システムを使用して実行され、取引は、発行体金融機関及び決済カード自体からの署名を利用するマルチ署名ウォレットを介して資金を提供される、取引システムに関する。
【背景技術】
【0002】
処理のためにブロックチェーンを利用する暗号通貨は、ブロックチェーンによって提供され得るいくつかの利点により、人気を得ている。一部の利点は、ブロックチェーンが新しいブロックを追加し続けるため、実行される取引を変更することができない不変性を含む。これは、監査を助け、不正行為を防止するのに役立ち得る、取引の明確かつ変更不能な記録を提供する。別の利点は、ブロックチェーン自体がパブリック型であっても、取引者の身元が不明であるという匿名性である。
【0003】
しかしながら、ブロックチェーンは、現在、送信者又は受信者としてブロックチェーン取引に参加するために、電子ウォレットが格納されるコンピューティング装置を利用することを参加者に要求する。そのような装置は、多くの消費者にとって利用可能ではないことがあり、したがって、関連付けられた暗号通貨の適用及び利用可能性を制限して、一部の潜在的な参加者を妨げ、従って、それが段階的につながっていく(cascading)ことになり得る。加えて、銀行発行の決済カードを使用することに慣れた消費者が処理に不慣れであることは、一部の消費者が取引のために暗号通貨を採用することを妨げ得る。したがって、消費者がすでに快適な方法でブロックチェーン内の暗号通貨取引を実行するために、消費者が、慣れた、信頼されたシステムを利用することを可能にするシステムが必要とされる。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、マルチ署名ブロックチェーンウォレットを使用して、集積回路決済カードを介して暗号通貨ブロックチェーン取引を実行するためのシステム及び方法の説明を提供する。従来の決済カード処理システムは、ブロックチェーン取引を実行するために使用される。マルチ署名ウォレットは、ブロックチェーン取引に資金を提供するために使用される。マルチ署名ウォレットは、集積回路決済カードと、決済カードを消費者に発行した発行体機関との両方の署名を必要とする。取引は、販売時点情報管理において開始され、承認要求が発行体に到達するまで、従来の処理に従い、その時点において、発行体は、従来の不換通貨に代わる暗号通貨を介した決済のために、ブロックチェーン取引にデジタル署名して、承認応答と共に返信することができる。署名付きブロックチェーン取引は、販売時点情報管理によって集積回路決済カードに送信され、これにより、ブロックチェーンウォレットに関するマルチ署名要件を満たす、独自のデジタル署名を適用することができる。2回の署名付きブロックチェーン取引は、販売時点情報管理によって、販売者のアクワイアラに転送される。アクワイアラは、処理のために、ブロックチェーン取引をブロックチェーンネットワークに提出する。その結果、消費者にとっては、慣れた機器を使用する慣れた処理であるが、取引は、暗号通貨を介して資金を提供される。取引を提出するためにアクワイアラを使用することは、受け継がれる販売時点情報管理が最小限の修正で本明細書において論じられる機能を実行することができ、その結果、既存のシステムにおいて迅速かつ容易に採用され、暗号通貨を介した決済を容易にすることを意味する。
【0005】
マルチ署名ブロックチェーンウォレットを使用して、集積回路決済カードを介して暗号通貨ブロックチェーン取引を実行するための方法は、決済カードの集積回路の記憶部内に、少なくとも、第1の暗号鍵ペアの第1の秘密鍵と取引口座番号とを格納することと、集積回路の受信器によって、販売時点情報管理装置からブロックチェーン取引を受信することであって、ブロックチェーン取引は、少なくとも、1つ以上の未使用取引出力額と、1つ以上の宛先アドレスと、1つ以上の宛先アドレスの各々に関する暗号通貨額と、第2の暗号鍵ペアの第2の秘密鍵を使用して生成された第1のデジタル署名と、を含む、ことと、集積回路のプロセッサによって、第1の秘密鍵を使用してブロックチェーン取引にデジタル署名して、第2のデジタル署名を生成することと、集積回路の送信器によって、第1のデジタル署名と第2のデジタル署名とを含むデジタル署名付きブロックチェーン取引を、販売時点情報管理装置に送信することと、を含む。
【0006】
マルチ署名ブロックチェーンウォレットを使用して、集積回路決済カードを介して暗号通貨ブロックチェーン取引を実行するためのシステムであって、販売時点情報管理装置と、集積回路を有する決済カードとを含み、集積回路は、少なくとも、第1の暗号鍵ペアの第1の秘密鍵と取引口座番号とを格納する記憶部と、販売時点情報管理装置からブロックチェーン取引を受信する受信器であって、ブロックチェーン取引は、少なくとも、1つ以上の未使用取引出力額と、1つ以上の宛先アドレスと、1つ以上の宛先アドレスの各々に関する暗号通貨額と、第2の暗号鍵ペアの第2の秘密鍵を使用して生成された第1のデジタル署名と、を含む、受信器と、第1の秘密鍵を使用してブロックチェーン取引にデジタル署名して、第2のデジタル署名を生成するプロセッサと、第1のデジタル署名と第2のデジタル署名とを含むデジタル署名付きブロックチェーン取引を、販売時点情報管理装置に送信する送信器と、を含む。
【0007】
本開示の範囲は、添付の図面と併せて読まれるとき、例示的な実施形態の以下の詳細な説明から最もよく理解される。図面に含まれるのは、以下の図である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】例示的な実施形態による、集積回路決済カードを介して暗号通貨取引を実行するための高位レベルのシステムアーキテクチャを示すブロック図である。
図2】例示的な実施形態による、暗号通貨ブロックチェーン取引を実行するための図1のシステムの集積回路決済カードを示すブロック図である。
図3A】例示的な実施形態による、集積回路カード及び販売時点情報管理装置を使用して、暗号通貨取引を実行するための処理を示す処理フロー図である。
図3B】例示的な実施形態による、集積回路カード及び販売時点情報管理装置を使用して、暗号通貨取引を実行するための処理を示す処理フロー図である。
図4】例示的な実施形態による、集積回路決済カードを介して暗号通貨ブロックチェーン取引を実行するための例示的な方法を示すフローチャートである。
図5】例示的な実施形態による、コンピュータシステムアーキテクチャを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示のさらなる適用分野は、以下に提供される詳細な説明から明らかになるであろう。例示的な実施形態の詳細な説明は、例示の目的のみを意図するものであり、したがって、必ずしも本開示の範囲を限定することを意図するものではないことを理解されたい。
【0010】
用語集
ブロックチェーン-ブロックチェーンに基づく通貨のすべての取引の公開台帳。1つ以上のコンピューティング装置は、ブロックチェーンネットワークを含むことができる。ブロックチェーンネットワークは、ブロックチェーン内のブロックの一部として、取引を処理及び記録するように構成されることができる。ブロックが完成されると、ブロックは、ブロックチェーンに追加され、取引記録がそれによって更新される。多くの事例では、ブロックチェーンは、時系列順の取引の台帳とすることができ、又は、ブロックチェーンネットワークによる使用に適し得る任意の他の順序で提示されることができる。ある構成では、ブロックチェーン内に記録された取引は、宛先アドレスと通貨額とを含むことができ、例えば、ブロックチェーンは、どのくらいの通貨が特定のアドレスに帰属可能であるかを記録する。ある事例では、ある取引は金融であり、他の取引は金融ではない、又は取引は、ソースアドレス、タイムスタンプなどの追加の若しくは異なる情報を含むことができる。ある実施形態では、ブロックチェーンは、さらに又は代替的に、その操作者によってさえ、改竄及び修正に対して強化されたデータ記録の連続的に成長する一覧を維持する分散データベース内に配置される、又は配置される必要がある取引の形態として、ほぼ任意の種類のデータを含むことができる。ブロックチェーンは、プルーフオブワーク(proof of work)及び/又はそれに関連付けられた任意の他の適切な検証技術を通じて、ブロックチェーンネットワークによって確認及び検証されることができる。ある場合では、所与の取引に関するデータは、取引データに付加された取引の直接的に一部ではない追加のデータをさらに含むことができる。ある事例では、ブロックチェーン内にそのようなデータを含めることは、取引を構成することができる。そのような事例では、ブロックチェーンは、特定のデジタル通貨、仮想通貨、不換通貨、又は他の種類の通貨に直接関連付けられないことがある。
【0011】
決済ネットワーク-所与の期間中に、数千、数百万、さらには数十億の取引について、現金代替物の使用を介して、金銭の移転のために使用されるシステム又はネットワーク。決済ネットワークは、様々な種類の取引について金銭の移転を処理するために、様々な異なるプロトコル及び手順を使用することができる。決済ネットワークを介して実行され得る取引は、製品又はサービスの購入、信用購入、デビット取引、資金振替、口座引き落としなどを含むことができる。決済ネットワークは、現金代替物を介して取引を実行するように構成されることができる。これは、決済カード、信用状、小切手、取引口座などを含むことができる。決済ネットワークとして実行するように構成されたネットワーク又はシステムの例は、Mastercard(登録商標)、VISA(登録商標)、Discover(登録商標)、American Express(登録商標)、PayPal(登録商標)などによって動作されるものを含む。本明細書における用語「決済ネットワーク」の使用は、エンティティとしての決済ネットワークと、決済ネットワークを含む機器、ハードウェア、及びソフトウェアなどの物理的決済ネットワークとの両方を指すことができる。
【0012】
取引口座-当座預金口座、貯蓄口座、掛売り口座、仮想決済口座など、取引に資金を提供するために使用され得る金融口座。取引口座は、消費者に関連付けられることができ、消費者は、決済口座に関連付けられた任意の適切な種類のエンティティとすることができる。このエンティティは、個人、家族、会社、法人、政府のエンティティなどを含むことができる。ある事例では、取引口座は、PayPal(登録商標)などによって動作される口座などの仮想とすることができる。
【0013】
決済カード-取引口座に関連付けられたカード又はデータであり、関連付けられた取引口座を介して金融取引に資金を提供するために販売者に提供され得る。決済カードは、クレジットカード、デビットカード、チャージカード、ストアドバリューカード、プリペイドカード、フリートカード、仮想決済番号、仮想カード番号、制御された決済番号(controlled payment number)などを含むことができる。決済カードは、販売者に提供され得る物理的カードとすることができ、又は(例えば、スマートフォン若しくはコンピュータなどの通信装置内に格納されるような)関連付けられた取引口座を表すデータとすることができる。例えば、ある事例では、決済口座番号を含むデータは、関連付けられた取引口座によって資金を提供される取引の処理のための決済カードと見なされることができる。ある場合では、小切手は、適用可能な場合には、決済カードとみなされることができる。
【0014】
販売者-消費者又は別の販売者などの別のエンティティによる購入のために製品(例えば、商品及び/又はサービス)を提供するエンティティ。販売者は、消費者、小売業者、卸売業者、製造業者、又は当業者には明らかであるような、購入のための製品を提供し得る任意の他の種類のエンティティとすることができる。ある事例では、販売者は、購入のために提供される商品及び/又はサービスにおいて特別な知識を有することができる。他の事例では、販売者は、提供される製品においていかなる特別な知識を有さない、又は必要としないとすることができる。ある実施形態では、単一の取引に関与するエンティティは、販売者と見なされることができる。ある事例では、本明細書において使用されるように、用語「販売者」は、販売者のエンティティの機器又は装置を指すことができる。
【0015】
発行体-受益者のために信用状又は信用限度額を設定(例えば、開設)し、信用状又は信用限度額に指定された金額に対して、受益者が振り出した為替手形を受領するエンティティ。多くの事例では、発行体は、銀行、又は信用限度額を開設することを許可された他の金融機関とすることができる。ある事例では、受益者に信用限度額を拡大することができる任意のエンティティが発行体と見なされることができる。発行体によって開設された信用限度額は、決済口座の形態で表されてもよく、決済カードの使用を介して受益者によって引き出されてもよい。また、発行体は、デビット口座、プリペイド口座、電子ウォレット口座、貯蓄口座、当座預金口座など、当業者に明らかであるような追加の種類の決済口座を消費者に提供することができ、デビットカード、プリペイドカード、現金自動支払い機カード、電子ウォレット、小切手などのような、そのような口座にアクセスし、及び/又はそのような口座を利用するための物理的又は非物理的手段を消費者に提供することができる。
【0016】
アクワイアラ(acquirer:加盟店契約会社)-販売者に代わって決済カード取引を処理することができるエンティティ。アクワイアラは、銀行、又は販売者に代わって決済カード取引を処理することを許可される他の金融機関とすることができる。多くの事例では、アクワイアラは、販売者を受益者とする信用限度額を開設することができる。アクワイアラは、消費者(これは、発行体によって提供される信用限度額に対する受益者であり得る)が、アクワイアラにより表される販売者と決済カードを介して取引を行う場合に、発行体と資金を交換することができる。
【0017】
決済取引-あるエンティティから他方のエンティティに金銭又は他の金銭的利益が交換される、2つのエンティティ間の取引。決済取引は、商品若しくはサービスの購入のための、負債の返済のための、又は当業者に明らかであるような任意の他の金銭的利益の交換のための資金の移転とすることができる。ある事例では、決済取引は、クレジットカード取引などの決済カード及び/又は決済口座を介して資金を提供される取引を指すことができる。そのような決済取引は、発行体、決済ネットワーク、及びアクワイアラを介して処理されることができる。そのような決済取引を処理するための処理は、承認、バッチ処理、清算、決済、及び資金提供のうちの少なくとも1つを含むことができる。承認は、消費者による販売者への決済詳細の提供と、販売者からアクワイアラへの取引詳細(例えば、決済詳細を含む)の提出と、取引に資金を提供するために使用される消費者の決済口座の発行体との決済詳細の検証とを含むことができる。バッチ処理は、アクワイアラへの分配のために、バッチ処理における承認された取引を、他の承認された取引と共に格納することを指すことができる。清算は、処理のために、アクワイアラから決済ネットワークへのバッチ処理された取引の送信を含むことができる。決済は、発行体の受益者が関与する取引のための、決済ネットワークによる発行体の引き落としを含むことができる。ある事例では、発行体は、決済ネットワークを介してアクワイアラに支払うことができる。他の事例では、発行体は、アクワイアラに直接支払うことができる。資金提供は、清算され、決済された決済取引について、アクワイアラから販売者への決済を含むことができる。決済取引処理の一部として実行される上述のステップの順序及び/又は分類化は当業者には明らかであろう。
【0018】
販売時点情報管理-商品及び/又はサービスの購入及び/又は決済のために、取引データ、決済データ、及び/又は他の適切な種類のデータを入力するための、ユーザ(例えば、消費者、従業員など)との対話を受信するように構成されたコンピューティング装置又はコンピューティングシステム。販売時点情報管理は、「店舗販売を行う」店舗などにおける取引の一部として顧客が訪問する物理的位置の物理的な装置(例えば、金銭登録器、キオスク、デスクトップコンピュータ、スマートフォン、タブレットコンピュータなど)とすることができ、又はインターネットなどのネットワークを介して顧客からの通信を受信するオンライン小売業者などの電子商取引環境における仮想とすることができる。販売時点情報管理が仮想であり得る事例において、取引を開始するためにユーザによって操作されるコンピューティング装置、又は取引の結果としてデータを受信するコンピューティングシステムは、適用可能な場合、販売時点情報管理とみなされることができる。
【0019】
ペイメントレール-決済取引の処理と、取引メッセージの通信と、決済ネットワークと所与の期間中に数千、数百万、さらには数十億の取引を処理する決済ネットワークに相互接続された他のエンティティとの間の他の同様のデータの通信と、において使用される決済ネットワークに関連付けられたインフラストラクチャ。ペイメントレールは、決済ネットワークと、決済ネットワークと他の関連付けられたエンティティ(金融機関、ゲートウェイプロセッサなど)との間の相互接続と、を確立するために使用されるハードウェアから構成されることができる。また、ある事例では、ペイメントレールは、通信ハードウェアとペイメントレールを含む装置との特別なプログラムを介してなど、ソフトウェアによる影響を受け得る。例えば、ペイメントレールは、特別に構成されたコンピューティング装置を含むことができる。この装置は、取引メッセージの経路指定のために特別に構成される。この取引メッセージは、以下でより詳細に論じられるように、ペイメントレールを介して電子的に送信される、特別にフォーマットされたデータメッセージとすることができる。
【0020】
暗号通貨ブロックチェーン取引のシステム
図1は、マルチ署名ブロックチェーンウォレットの使用を介して、集積回路決済カード102と従来の取引処理システムとを使用して、暗号通貨ブロックチェーン取引を実行するためのシステム100を示す。
【0021】
システム100は、集積回路決済カード102を含むことができる。以下でより詳細に論じられる集積回路決済カード102は、発行体金融機関104によって発行される決済カードとすることができ、この決済カードは、本明細書で論じられる機能を実行するための集積回路を含む。例示的な実施形態では、集積回路決済カード102は、当技術分野で知られているように、EMV規格に準拠するように構成されることができる。発行体金融機関104は、電子決済取引に資金を提供する際に使用するための取引口座を発行するエンティティとすることができる。システム100において、消費者106は、発行体金融機関104によって発行された取引口座を有することができる。取引口座を発行する一部として、発行体金融機関104は、消費者106に集積回路決済カード102を発行することができる。集積回路決済カード102は、取引口座を用いて、資金を提供される電子的決済取引を行う際に使用するための取引口座に関する口座データをその中に格納する。取引データは、例えば、決済口座番号又は取引口座番号、有効期限、名前、セキュリティコード、適用暗号(application cryptogram)、適用取引カウンタ(application transaction counter)などを含むことができる。
【0022】
システム100において、消費者106は、電子決済取引に資金を提供するために暗号通貨を使用することを望むことがあり得る。暗号通貨は、図1に示される決済ネットワーク112などの決済カード処理ネットワークを使用して処理される従来の決済取引における不換通貨の使用の代替として、ブロックチェーンの使用を介して処理され、保持されることができる。システム100において、ブロックチェーンは、ブロックチェーンネットワーク114によって管理され、動作されることができる。ブロックチェーンネットワーク114は、複数のブロックチェーンノード116から構成されることができる。各ブロックチェーンノード116は、以下でより詳細に論じられる図5に示されるようなコンピューティングシステムとすることができる。このコンピューティングシステムは、ブロックチェーンの処理及び管理に関連した機能を実行するように構成され、ブロックチェーンデータ値の生成と、提案されたブロックチェーン取引の検証と、デジタル署名の検証と、新しいブロックの生成と、新しいブロックの検証と、ブロックチェーンの複製の維持とを含む。
【0023】
ブロックチェーンは、少なくとも複数のブロックから構成される分散台帳とすることができる。各ブロックは、少なくとも、ブロックヘッダと、1つ以上のデータ値とを含むことができる。各ブロックヘッダは、少なくとも、タイムスタンプと、ブロック参照値と、データ参照値とを含むことができる。タイムスタンプは、ブロックヘッダが生成された時間とすることができ、任意の適切な方法(例えば、UNIXタイムスタンプ、日時型(DateTime)など)を使用して表されることができる。ブロック参照値は、ブロックチェーン内のより前のブロックを(例えば、タイムスタンプに基づいて)参照する値とすることができる。ある実施形態では、ブロックヘッダ内のブロック参照値は、それぞれのブロックの前にごく最近追加されたブロックのブロックヘッダへの参照とすることができる。例示的な実施形態では、ブロック参照値は、ごく最近追加されたブロックのブロックヘッダのハッシュ化を介して生成されたハッシュ値とすることができる。データ参照値は、同様に、ブロックヘッダを含むブロック内に格納された1つ以上のデータ値への参照とすることができる。例示的な実施形態では、データ参照値は、1つ以上のデータ値のハッシュ化を介して生成されたハッシュ値とすることができる。例えば、ブロック参照値は、1つ以上のデータ値を使用して生成されたマークルツリーのルートとすることができる。
【0024】
各ブロックヘッダ内のブロック参照値及びデータ参照値の使用は、ブロックチェーンが不変であることをもたらすことができる。何らかのデータ値の修正を試みると、そのブロックの新しいデータ参照値の生成が必要になり、それによって、後続のブロックのブロック参照値が新たに生成されることが必要になり、さらに、すべての後続のブロック内に新しいブロック参照値を生成することが必要になる。これは、変更を永続的にするために、新しいブロックを生成して新しいブロックをブロックチェーンに追加する前に、ブロックチェーンネットワーク114内のすべてのありとあらゆるノードにおいて実行され、更新されなければならないことになる。不可能ではないにしても、計算上及び通信上の制限は、そのような修正を非常に困難にし、したがって、ブロックチェーンを不変にすることができる。
【0025】
ある実施形態では、ブロックチェーンは、2つの異なるブロックチェーンウォレット間で行われるブロックチェーン取引に関する情報を格納するために使用されることができる。ブロックチェーンウォレットは、暗号鍵ペアの秘密鍵を含むことができる。これは、ブロックチェーン取引の支払人による承認として機能するデジタル署名を生成するために使用される。デジタル署名は、暗号鍵ペアの公開鍵を使用して、ブロックチェーンネットワーク114によって検証されることができる。ある場合では、用語「ブロックチェーンウォレット」は、特に秘密鍵を指すことができる。他の場合では、用語「ブロックチェーンウォレット」は、ブロックチェーン取引の際に使用するための秘密鍵を格納するコンピューティング装置(例えば、集積回路決済カード102、発行体金融機関104、販売時点情報管理装置108、アクワイアラ金融機関110)を指すことができる。例えば、各コンピューティング装置は、それぞれの暗号鍵ペアのための独自の秘密鍵をそれぞれ有することができ、それぞれ、ブロックチェーンネットワークに関連付けられたブロックチェーンとの取引の際に使用するためのブロックチェーンウォレットとすることができる。コンピューティング装置は、ブロックチェーンウォレットを格納して利用するのに適した任意の種類の装置とすることができ、例えば、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、ノートブックコンピュータ、タブレットコンピュータ、携帯電話、スマートフォン、スマートウォッチ、スマートテレビ、装着型コンピューティング装置、埋め込み型コンピューティング装置などである。
【0026】
ブロックチェーン内に格納された各ブロックチェーンデータ値は、適用可能な場合、ブロックチェーン取引又は他の記憶データに対応することができる。ブロックチェーン取引は、送信者の秘密鍵を使用して生成される、通貨の送信者(例えば、集積回路決済カード102)のデジタル署名と、受信者の公開鍵を使用して生成される、通貨の受信者(例えば、販売時点情報管理装置108)のブロックチェーンアドレスと、移転されるブロックチェーン通貨額又は格納されている他のデータと、から少なくとも構成されることができる。また、あるブロックチェーン取引では、取引は、ブロックチェーン通貨が現在格納される(例えば、デジタル署名がそのような通貨へのアクセスを証明する)送信者の1つ以上のブロックチェーンアドレスと、送信者によって保持される任意の変更のために送信者の公開鍵を使用して生成されたアドレスとを含むことができる。将来の取引の際に使用され得る、暗号通貨が送信されたアドレスは、「出力額(output)」アドレスと呼ばれ、これは各アドレスが、前のブロックチェーン取引の出力額を捕捉するために以前に使用されたものであり、「未使用取引」とも呼ばれ、これは、その通貨が依然として未使用である場合に前の取引の際にアドレスに送信された通貨があることによるものである。また、ある場合では、ブロックチェーン取引は、取引を検証する際にエンティティによって使用するために、送信者の公開鍵を含むことができる。ブロックチェーン取引の従来の処理のために、そのようなデータは、送信者又は受信者のいずれかによって、ブロックチェーンネットワーク114内のブロックチェーンノード116に提供されることができる。ノードは、送信者のウォレットの暗号鍵ペア内の公開鍵を使用して、デジタル署名を検証することができる。また、ノードは、送信者の資金へのアクセス(例えば、未使用取引がまだ使われておらず、送信者のウォレットに関連付けられたアドレスに送信されたこと)、取引の「確認」として知られる処理、を検証することができる。次に、ノードは、ブロックチェーン取引を新しいブロック内に含むことができる。新しいブロックは、従来のブロックチェーン実装において、新しいブロックが、ブロックチェーンに追加され、ブロックチェーンネットワーク118内のブロックチェーンノード116のすべてに分配される前に、ブロックチェーンネットワーク114内の他のノードによって検証されることができる。ブロックチェーンデータ値がブロックチェーン取引に関連されないが、代わりに他の種類のデータ記憶に関連され得る場合では、ブロックチェーンデータ値は、依然として、デジタル署名の検証を含む、又はデジタル署名の検証を伴うことができる。
【0027】
システム100において、消費者106は、ブロックチェーン上で暗号通貨取引を実行する際に使用するためのマルチ署名ブロックチェーンウォレットを発行されることができる。マルチ署名ウォレットは、ブロックチェーンウォレットによって資金を提供されるブロックチェーン取引のために、複数のデジタル署名が収集されて検証されなければならないブロックチェーンウォレットとすることができる。システム100において、集積回路決済カード102は、ブロックチェーンウォレットのための第1の暗号鍵ペアを含むことができ、一方で、発行体金融機関104は、ブロックチェーンウォレットのための第2の暗号鍵ペアを含むことができる。ブロックチェーンウォレットを用いて暗号通貨ブロックチェーン取引に資金を提供するために、集積回路決済カード102と発行体金融機関104とは、両方とも、それぞれの暗号鍵ペアの秘密鍵を使用して、デジタル署名を提供しなければならない。
【0028】
消費者106が電子決済取引に参加することを望むと、彼らは、決済のために、集積回路決済カード102を販売者の販売時点情報管理装置108に提示することができる。販売時点情報管理装置108は、任意の適切な方法を使用して、集積回路決済カード102から口座データを読み取ることができ、例えば、近距離通信、集積回路と販売時点情報管理装置108内の接点装置との間の物理的接続などを介して行われる。販売時点情報管理装置108は、決済口座番号を含む口座データを受信し、適切な通信ネットワーク及び方法を使用して、口座データならびに追加の取引データをアクワイアラ金融機関110に送信することができる。追加の取引データは、電子決済取引の処理の際に使用される任意のデータを含むことができ、例えば、取引時間、取引日、販売者識別子、通貨額、販売時点情報管理識別子、ロイヤルティデータ、オファーデータ、報酬データなどである。
【0029】
販売者が暗号通貨を介する決済を受け入れない場合、電子決済取引は、従来の方法及びシステムを使用して処理されることができる。そのような事例では、アクワイアラ金融機関110は、ペイメントレールを使用して、取引の承認要求を決済ネットワーク112に提出することができる。これは、承認要求を発行体金融機関104に転送することができる(例えば、決済口座番号を介して識別される)。発行体金融機関104は、(例えば、取引額と、決済口座番号に関連付けられた取引口座の利用可能な残高又は信用限度額とに基づいて)取引を承認又は拒否し、アクワイアラ金融機関110に転送するために決済ネットワーク112に承認応答を返すことができる。アクワイアラ金融機関110は、決済取引の承認又は拒否に関する通知を販売時点情報管理装置108に提供し、販売者及び消費者106は、それに応じて取引を終了する。
【0030】
販売者が暗号通貨を介する決済を受け入れる場合、消費者106は、その旨を販売者に示すことができる。販売時点情報管理装置108は、暗号通貨が電子決済取引に資金を提供するために使用されることを示すデータを入力されることができる。これは、例えば、販売時点情報管理装置108の入力装置、別個のコンピューティング装置(例えば、集積回路決済カード102と通信するアプリケーションプログラムを有するスマートフォン)、又は集積回路決済カード102上の物理的切換え(physical switch)などを介して、ユーザ(例えば、販売者の従業員)又は消費者106によって入力されることができる。アクワイアラ金融機関110に提出される取引データは、暗号通貨が使用されていることを示す通貨コードを含むことができる。ある場合では、販売者は、複数の異なる暗号通貨を受け取ることができる。そのような場合では、各暗号通貨は、独自の通貨コードを有することができる。ある実施形態では、販売時点情報管理装置108は、格納された代替アプリケーションプログラムを有することができる。これは、従来の取引口座を使用して、不換通貨を介して資金を提供される電子決済取引に使用されるデフォルトのアプリケーションプログラムの代替として、暗号通貨を介して支払いが行われるときに実行されることができる。
【0031】
アクワイアラ金融機関110は、販売時点情報管理装置108から、取引データ、ならびに指定された暗号通貨を介して決済が受信されることを示す通貨コード(又は、代替アプリケーションプログラムを介して送信されるような他のデータなど)を受信することができる。アクワイアラ金融機関110は、取引の承認要求を生成することができる。承認要求は、取引メッセージとすることができる。これは、特別にフォーマットされたデータメッセージであり、金融取引メッセージの交換を管理する1つ以上の規格に従ってフォーマットされ、例えば、国際標準化機構のISO8583又はISO20022規格などである。承認要求は、承認要求を示す、メッセージ式の標示を含む取引メッセージとすることができる。承認要求は、販売時点情報管理装置108から受信された口座データ及び他の取引データを含むことができ、消費者106が暗号通貨を使用して取引について決済を行うことを示す通貨コードを含む。
【0032】
承認要求は、アクワイアラ金融機関110によって関連付けられたペイメントレールを使用して、決済ネットワーク112に提出されることができる。決済ネットワーク112は、任意の処理機能(例えば、不正スコア付け、口座マッピングなど)を実行して、ペイメントレールを介して発行体金融機関104に承認要求を経路指定することができる。発行体金融機関104は、決済口座番号を介して識別されることができる。例えば、決済口座番号の一部は、取引メッセージの経路指定のために発行体金融機関104を識別するために使用される銀行識別番号とすることができる。
【0033】
発行体金融機関104は、承認要求を受信することができ、承認要求内の適切なデータ要素内に格納された通貨コードに基づいて取引に資金を提供するために、暗号通貨が使用されることを識別することができる。発行体金融機関104は、承認要求内の適切なデータ要素内に格納された決済口座番号を使用して、消費者の取引口座の口座プロファイルを識別し、消費者のブロックチェーンウォレットの第2の暗号鍵ペアの秘密鍵を識別することができる。発行体金融機関104は、次に、秘密鍵を使用して、ブロックチェーン取引のためのデジタル署名を生成することができる。
【0034】
ある実施形態では、発行体金融機関104は、ブロックチェーン取引を生成するように構成されることができる。そのような実施形態では、販売時点情報管理装置108又はアクワイアラ金融機関110は、暗号通貨取引の決済を受信するために使用される、ブロックチェーンウォレットの宛先アドレスを識別することができる。これは、例えば、適用可能な場合、販売時点情報管理装置108又はアクワイアラ金融機関110内に格納され得る、ブロックチェーンウォレットの暗号鍵ペアの公開鍵を使用してそのようなアドレスを生成することによって行われる。また、承認要求内の取引額に相当する暗号通貨額は、適用可能な場合、販売時点情報管理装置108、アクワイアラ金融機関110、又は発行体金融機関104によって識別されることができる。発行体金融機関104は、消費者の口座プロファイル内の適切な未使用取引出力額を識別することができる。さらに、発行体金融機関104は、ブロックチェーン取引を生成することができ、これは、未使用取引出力額と、宛先アドレス(例えば、販売者及び任意の追加のアドレスに関するものであり、例えば、未使用取引出力額の額面が、販売者に支払われるべき暗号通貨額を超える場合、取引の変更を保持するためのアドレス)と、各宛先アドレスに移転される暗号通貨額とを含む。発行体金融機関104は、次に、ブロックチェーン取引に直接デジタル署名することができる。他の実施形態では、ブロックチェーン取引は、以下で論じられるように、別のシステムによって生成されることができる。
【0035】
発行体金融機関104は、電子決済取引のための承認応答を生成することができる。承認応答は、フォーマットされた取引メッセージとすることができ、これは、取引メッセージが承認応答であることを示すメッセージ式の標示を含む。承認応答は、承認要求からの取引データと、取引が承認されたことを示す応答コードと、発行者のデジタル署名を格納するデータ要素と(例えば、適用可能な場合、ブロックチェーン取引などの他のブロックチェーンデータと)を含むことができる。ある場合では、ブロックチェーンデータを格納するデータ要素は、適用可能な規格における私的使用のために確保されることができる。
【0036】
承認応答は、発行体金融機関104によって、関連付けられたペイメントレールを使用して、決済ネットワーク112に提出されることができる。決済ネットワーク112は、必要に応じて任意の追加の処理を実行して、承認応答をアクワイアラ金融機関110に転送することができる。アクワイアラ金融機関110は、発行体金融機関104による取引の承認を示す承認応答又はそれに関連した通知メッセージ、ならびに発行者のデジタル署名を、販売時点情報管理装置108に送信することができる。
【0037】
販売時点情報管理装置108は、販売時点情報管理装置108と集積回路決済カード102との間の通信チャネルを使用して、発行体のデジタル署名を集積回路決済カード102に電子的に送信することができる。次に、集積回路決済カード102は、ブロックチェーンウォレットの独自の秘密鍵を使用して、独自のデジタル署名を生成することができる。ある場合では、集積回路決済カード102は、最初に、発行体の暗号鍵ペアの公開鍵を使用して、発行体のデジタル署名を検証することができる。例えば、集積回路決済カード102は、公開鍵を格納することができ、この公開鍵は、集積回路決済カード102の発行中に提供され、デジタル署名を検証するために使用されることができる。そのような場合、集積回路決済カード102は、発行体のデジタル署名が無効である場合、第2のデジタル署名の生成を防止し、決済取引の処理を停止することができ、これは、例えば、潜在的な不正行為を防止する。
【0038】
ある事例では、ブロックチェーン取引は、集積回路決済カード102によって生成されることができる。そのような事例では、販売時点情報管理装置108は、宛先アドレスと任意の他のブロックチェーン取引データとを、発行体のデジタル署名と共に集積回路決済カード102に提供することができる。次に、集積回路決済カード102は、受信されたブロックチェーンデータと、その内に格納されたデータとを使用して、ブロックチェーン取引を生成することができ、そのようなデータは、例えば、未使用取引出力額及び暗号通貨額であり、これは、第1の暗号鍵ペアの秘密鍵を使用してデジタル署名されることができる。他の事例では、アクワイアラ金融機関110又は販売時点情報管理装置108が、ブロックチェーン取引を生成することができる。そのような事例では、未使用取引出力額は、発行体金融機関104によって(例えば、承認応答内に)、又は集積回路決済カード102によって(例えば、承認要求が提出される前の決済口座番号と共に、若しくは第2のデジタル署名と共に)供給されることができる。
【0039】
集積回路決済カード102がその秘密鍵を使用して第2のデジタル署名を生成すると、デジタル署名は、集積回路決済カード102と販売時点情報管理装置108との間で確立された通信チャネルを使用して、販売時点情報管理装置108に送信されることができる。次に、販売時点情報管理装置108は、適切な通信ネットワーク及び方法を使用して、2つのデジタル署名と他のブロックチェーンデータとをアクワイアラ金融機関110に転送することができる。アクワイアラ金融機関110は、適切な通信ネットワーク及び方法を使用して、2回の署名付きブロックチェーン取引をブロックチェーンネットワーク114内のブロックチェーンノード116に提出することができる。
【0040】
ブロックチェーンノード116は、適切な公開鍵を使用して両方のデジタル署名を検証することなどによって、ブロックチェーン取引を確認することができ、未使用取引出力額が、マルチ署名ウォレットに関連付けられて、以前に使用されていないことと、移転されている暗号通貨額が、未使用取引出力額に以前に送信された額面によってまかなわれることとを保証する。確認されたブロックチェーン取引は、新しいブロック内に含まれることができる。新しいブロックは、ブロックチェーンノード116(又は、ブロックチェーンネットワーク114内の他のブロックチェーンノード116など)によって生成され、他のブロックチェーンノード116によって確認され、次に、従来の処理を使用してブロックチェーンに追加される。ある実施形態では、ブロックチェーンノード116は、ブロックチェーン取引の受信、確認、及び/又は追加の確認を、アクワイアラ金融機関110に提供することができる。これは、アクワイアラ金融機関110が、販売時点情報管理装置108及び/又は発行体金融機関104に通知を提供するために使用することができる。ブロックチェーン取引は、暗号通貨を介して消費者106から販売者への決済をもたらすことができ、取引は、集積回路決済カード102を利用して販売時点情報管理装置108において開始される。
【0041】
本明細書で論じられる方法及びシステムは、消費者106が、慣れた処理で、慣れた物体である集積回路決済カード102を利用して、暗号通貨を使用する電子決済取引について支払うことを可能にする。消費者106は、新しい処理を習得する必要なく、従来の不換通貨(フィアット)に基づく取引のように、集積回路決済カード102を販売時点情報管理装置108に提示することができ、暗号通貨を使用して決済を達成させる。加えて、販売時点情報管理装置108は、最小限の修正によって、ブロックチェーン取引に対応することができ、これは、例えば、暗号通貨のために使用される新しい通貨コードを単に追加することなどによる。さらに、マルチ署名ウォレットを使用することによって、発行体金融機関104は、依然として取引について監督することができ、それによって、消費者106が不換通貨(フィアット)取引口座についてすでに利用することができる価値あるサービスを、消費者106に提供することができる。したがって、暗号通貨ブロックチェーン取引は、消費者106及び販売時点情報管理装置108について最小限の介入で従来の処理方法に統合され、消費者106が慣れた設定で暗号通貨決済を利用することを可能にする。
【0042】
集積回路決済カード
図2は、システム100内の集積回路決済カード102の実施形態を示す。図2に示される集積回路決済カード102の実施形態は、例示としてのみ提供され、本明細書で論じられるような機能を実行するのに適した集積回路決済カード102のすべての可能な構成を網羅し得るものではないことが、当業者には明らかであろう。例えば、図5に示され、以下でより詳細に論じられるコンピュータシステム500は、集積回路決済カード102の適切な構成とすることができる。
【0043】
集積回路決済カード102は、受信装置202を含むことができる。受信装置202は、1つ以上のネットワークプロトコルを介して1つ以上のネットワーク上のデータを受信するように構成されることができる。ある事例では、受信装置202は、1つ以上の通信方法を介して、発行体金融機関104と、販売時点情報管理装置108と、他のシステム及びエンティティとからデータを受信するように構成されることができ、例えば、無線周波数、構内通信網、無線エリアネットワーク、セルラー通信ネットワーク、Bluetooth、インターネットなどである。ある実施形態では、受信装置202は、複数の装置から構成されることができる。これは、例えば、異なるネットワークを介してデータを受信するための異なる受信装置であり、構内通信網を介してデータを受信するための第1の受信装置及びインターネットを介してデータを受信するための第2の受信装置などである。受信装置202は、電子的に送信されたデータ信号を受信することができる。このデータは、データ信号に重ねられる、又は符号化されることができ、受信装置202によるデータ信号の受信を介して、復号される、構文解析される、読み込まれる、又は取得されることができる。ある事例では、受信装置202は、受信されたデータ信号を構文解析して、重ねられたデータを取得するために構文解析モジュールを含むことができる。例えば、受信装置202は、パーサプログラムを含むことができる。パーサプログラムは、受信して、受信されたデータ信号を、本明細書で説明される方法及びシステムを実行するために処理装置によって実行される機能のための使用可能な入力に変換するように構成される。
【0044】
受信装置202は、発行体金融機関104によって電子的に送信されたデータ信号を受信するように構成されることができる。このデータ信号は、本明細書で論じられる機能を実行する際に使用するために、口座データと、未使用取引出力額と、暗号通貨額と、公開鍵と、他のデータとに重ねられる、又は符号化されることができる。また、受信装置202は、販売時点情報管理装置108によって電子的に送信されたデータ信号を受信するように構成されることができ、このデータ信号は、口座データ、発行体デジタル署名、ブロックチェーン取引又は他のブロックチェーンデータ、取引データなどの取引要求に重ねられる、又は符号化されることができる。
【0045】
また、集積回路決済カード102は、通信モジュール204を含むことができる。通信モジュール204は、本明細書で論じられる機能を実行する際に使用するために、モジュールと、エンジンと、データベースと、記憶部と、集積回路決済カード102の他の構成要素との間でデータを送信するように構成されることができる。通信モジュール204は、1つ以上の通信種別から構成されることができ、コンピューティング装置内の通信のための様々な通信方法を利用することができる。例えば、通信モジュール204は、バス、コンタクトピンコネクタ、電線などから構成されることができる。また、ある実施形態では、通信モジュール204は、集積回路決済カード102の内部構成要素と、外部接続データベース、表示装置、入力装置などの集積回路決済カード102の外部構成要素との間で通信するように構成されることができる。また、集積回路決済カード102は処理装置を含むことができる。処理装置は、当業者には明らかであるような、本明細書で論じられる集積回路決済カード102の機能を実行するように構成されることができる。ある実施形態では、処理装置は、処理装置の1つ以上の機能を実行するように特別に構成された複数のエンジン及び/又はモジュールを含む及び/又はそれらから構成されることができ、例えば、クエリモジュール214、生成モジュール216、検証モジュール218などである。本明細書で使用されるように、用語「モジュール」は、ソフトウェア、又は入力を受信し、入力を使用して1つ以上の処理を実行し、出力を提供するように特にプログラムされたハードウェアとすることができる。様々なモジュールによって実行される入力、出力、及び処理は、本開示に基づいて当業者に明らかであろう。
【0046】
コンピューティングシステム200は、口座データベース206を含むことができる。口座データベース206は、適切なデータ記憶フォーマット及びスキーマを使用して、1つ以上の口座プロファイル208を格納するように構成されることができる。口座データベース206は、関係データベースとすることができる。関係データベースは、格納された構造化データ集合の記憶、識別、修正、更新、アクセスなどのために構造化クエリ言語を利用する。各口座プロファイル208は、集積回路決済カード102が電子決済取引に資金を提供するために使用され得る取引口座に関連したデータを格納するように構成された構造化データ集合とすることができ、それに基づくデータを含むことができる。例えば、口座プロファイル208は、不換通貨(フィアット)に基づく取引口座のための決済口座番号と、その取引口座について開始された取引に資金を提供するために暗号通貨が使用されるときに使用される暗号鍵ペアの秘密鍵と、未使用取引出力額、暗号通貨額、発行体金融機関の暗号鍵ペアの公開鍵、適用取引カウンタ、適用暗号などのような任意の他の追加データと、を含むことができる。
【0047】
また、集積回路決済カード102は記憶部212を含むことができる。記憶部212は、公開鍵及び秘密鍵、対称鍵などのような、本明細書で論じられる機能を実行する際に集積回路決済カード102によって使用されるためのデータを格納するように構成されることができる。記憶部212は、適切なデータフォーマット方法及びスキーマを使用してデータを格納するように構成されることができ、読取り専用メモリ、ランダムアクセスメモリなどの任意の適切な種類のメモリとすることができる。例えば、記憶部212は、暗号鍵及びアルゴリズムと、通信プロトコル及び規格と、データフォーマット規格及びプロトコルと、処理装置のモジュール及びアプリケーションプログラムのためのプログラムコードと、当業者には明らかであるような、本明細書で開示される機能の実行の際に集積回路決済カード102によって使用されるのに適し得る他のデータとを含むことができる。ある実施形態では、記憶部212は、関係データベースから構成されることができる、又はそれを含むことができる。関係データベースは、格納された構造化データ集合の記憶、識別、修正、更新、アクセスなどのために構造化クエリ言語を利用する。記憶部212は、例えば、暗号鍵、口座プロファイル208、通貨変換データ、規格データ、通信プロトコル、署名生成アルゴリズムなどを格納するように構成されることができる。
【0048】
集積回路決済カード102は、クエリモジュール214を含むことができる。クエリモジュール214は、データベース上でクエリを実行して、情報を識別するように構成されることができる。クエリモジュール214は、1つ以上のデータ値又はクエリ文字列を受信することができ、集積回路決済カード102の記憶部212などの示されたデータベース上で、それに基づくクエリ文字列を実行して、格納された情報を識別することができる。次に、クエリモジュール214は、必要に応じて、識別された情報を、集積回路決済カード102の適切なエンジン又はモジュールに出力することができる。クエリモジュール214は、例えば、口座データベース206上でクエリを実行して、電子決済取引のために格納されたデータを使用するために、口座プロファイル208を識別することができる。
【0049】
また、集積回路決済カード102は、生成モジュール216を含むことができる。生成モジュール216は、本明細書で論じられる機能を実行する際に集積回路決済カード102によって使用されるためのデータを生成するように構成されることができる。生成モジュール216は、入力として命令を受信することができ、命令に基づいてデータを生成することができ、集積回路決済カード102の1つ以上のモジュールに、生成されたデータを出力することができる。例えば、生成モジュール216は、ブロックチェーン取引と、デジタル署名と、本明細書で論じられる機能を実行する際に使用するための他の取引データとを生成するように構成されることができる。
【0050】
また、集積回路決済カード102は、検証モジュール218を含むことができる。検証モジュール218は、本明細書で論じられる機能の一部として、集積回路決済カード102について検証を実行するように構成されることができる。検証モジュール218は、入力として命令を受信することができ(これは、検証を実行する際に使用されるデータも含み得る)、要求に応じて検証を実行することができ、検証の結果を集積回路決済カード102の別のモジュール又はエンジンに出力することができる。検証モジュール218は、例えば、暗号鍵ペアの公開鍵を使用してデジタル署名を検証し、取引額及び通貨変換データなどを使用して暗号通貨額を検証するように構成されることができる。
【0051】
また、集積回路決済カード102は、送信装置220を含むことができる。送信装置220は、1つ以上のネットワークプロトコルを介して、1つ以上のネットワーク上のデータを送信するように構成されることができる。ある事例では、送信装置220は、1つ以上の通信方法を介して、発行体金融機関104と、販売時点情報管理装置108と、他のエンティティとにデータを送信するように構成されることができる。この通信方法は、構内通信網、無線エリアネットワーク、セルラー通信、Bluetooth、無線周波数、インターネットなどである。ある実施形態では、送信装置220は、複数の装置から構成されることができる。これは、例えば、異なるネットワークを介してデータを送信するための異なる送信装置であり、構内通信網を介してデータを送信するための第1の送信装置及びインターネットを介してデータを送信するための第2の送信装置などである。送信装置220は、受信するコンピューティング装置によって構文解析され得る、データが重ねられたデータ信号を電子的に送信することができる。ある事例では、送信装置220は、データを送信に適したデータ信号に重ねる、符号化する、又はフォーマットするための1つ以上のモジュールを含むことができる。
【0052】
送信装置220は、発行体金融機関104にデータ信号を電子的に送信するように構成されることができる。このデータ信号は、公開鍵の要求、取引データの要求、実行された決済取引の取引データ、未使用取引出力額、暗号通貨額などに重ねられる、又は符号化されることができる。また、送信装置220は、販売時点情報管理装置108にデータ信号を電子的に送信するように構成されることができる。このデータ信号は、決済口座番号及び他の取引データと、デジタル署名と、ブロックチェーンデータと、本明細書で論じられるような他のデータと、に重ねられる、又は符号化されることができる。
【0053】
従来の決済システムを使用する暗号通貨ブロックチェーン取引のための処理
図3A及び図3Bは、図1に示され、上述されたシステム100において実行され得るような、マルチ署名ブロックチェーンウォレットを使用する暗号通貨ブロックチェーン取引を介して資金を提供される従来の決済システムを使用して開始される決済取引を処理するための処理を示す。
【0054】
ステップ302において、販売時点情報管理装置108は、任意の適切な通信ネットワーク及び方法を使用して、確立された通信チャネルを使用して、電子決済取引の取引データを集積回路決済カード102に電子的に送信することができる。取引データは、例えば、取引額、取引識別子などを含むことができる。ステップ304において、集積回路決済カード102の受信装置202は、取引データを受信することができる。ステップ306において、集積回路決済カード102のクエリモジュール214は、集積回路決済カード102の口座データベース206上でクエリを実行して、その内に格納された口座プロファイル208を識別することができる。口座プロファイル208は、電子決済取引に資金を提供するために使用される取引口座と、決済口座番号と、格納された任意の他の口座データとに関連される。
【0055】
ステップ308において、集積回路決済カード102の送信装置220は、通信チャネルを使用して、決済口座番号と他の取引データとを販売時点情報管理装置108に電子的に送信することができる。ステップ310において、販売時点情報管理装置108は、口座データと決済口座番号とを集積回路決済カード102から受信することができる。ステップ312において、販売時点情報管理装置108は、処理のために電子決済取引をアクワイアラ金融機関110に提出することができる。電子決済取引は、決済口座番号及び他の口座データと、暗号通貨を介した決済が望まれるという標示と、取引データとを含むことができる。取引データは、決済取引の処理のために必要とされる任意の他のデータを含むことができ、例えば、取引時間、取引日、販売者識別子、受信する取引口座識別子、通貨コードなどである。ステップ314において、アクワイアラ金融機関110は、電子決済取引の取引データを受信することができる。
【0056】
ステップ316において、決済取引について承認要求を生成することができる。これは、関連付けられたペイメントレールを使用して決済ネットワーク112に送信されることができる。承認要求は、取引データを含むことができ、これは、決済口座番号と、暗号通貨が電子決済取引の決済のために使用されることを示す通貨コードとを含む。また、承認要求は、ブロックチェーン取引のためのデータを含むことができ、これは、宛先ブロックチェーンアドレスを含むことができる。宛先ブロックチェーンアドレスは、販売時点情報管理装置108によって生成されることができる(例えば、ステップ312において送信される)、又は決済取引のための決済を受信するために使用されるブロックチェーンウォレットの公開鍵を使用してアクワイアラ金融機関110によって生成されることができる。承認要求は、決済ネットワーク112によって発行体金融機関104に転送されることができる。さらに、承認要求は、発行体金融機関104によって承認応答を用いて応答されることができ、これは、決済ネットワーク112によってアクワイアラ金融機関110に転送され、ステップ318において受信される。承認応答は、取引データと、電子決済取引の承認を示す応答コードと、消費者のブロックチェーンウォレットについて発行体金融機関の秘密鍵を使用して生成されたブロックチェーン取引のためのデジタル署名とを含むことができる。また、ある場合では、承認応答は、完全なブロックチェーン取引を含むことができる。未使用取引出力額と任意の他の宛先アドレスとは、発行体金融機関104によって追加されることができる。
【0057】
ステップ320において、アクワイアラ金融機関110は、販売時点情報管理装置108を使用して、第1のデジタル署名を有するブロックチェーン取引と、取引識別子、応答コード、発行体金融機関104による取引の承認の標示などのような決済取引のさらなる処理のために必要な任意の他のデータとを提出することができる。ステップ322において、販売時点情報管理装置108は、ブロックチェーン取引と第1のデジタル署名とを受信することができる。ステップ324において、販売時点情報管理装置108は、確立された通信チャネルを使用して、ブロックチェーン取引と第1のデジタル署名とを集積回路決済カード102に電子的に送信することができる。
【0058】
ステップ326において、集積回路決済カード102の受信装置202は、販売時点情報管理装置108から、ブロックチェーン取引と第1のデジタル署名とを受信することができる。ステップ328において、集積回路決済カード102の検証モジュール218は、発行体金融機関の暗号鍵ペアの公開鍵を使用して、第1のデジタル署名を検証することができる。この公開鍵は、例えば、集積回路決済カード102の記憶部212、又は集積回路決済カード102の口座データベース206内の口座プロファイル208内に格納されることができる。ステップ330において、集積回路決済カード102の生成モジュール216は、集積回路決済カードの暗号鍵ペアの秘密鍵を使用して、ブロックチェーン取引について第2のデジタル署名を生成することができる。この秘密鍵は、記憶部212又は口座プロファイル208内に格納されることができる。ステップ332において、集積回路決済カード102の送信装置220は、確立された通信チャネルを使用して、両方のデジタル署名を有するブロックチェーン取引を、販売時点情報管理装置108に電子的に返信することができる。
【0059】
ステップ334において、販売時点情報管理装置108は、ブロックチェーン取引と両方のデジタル署名とを受信することができる。ステップ336において、販売時点情報管理装置108は、適切な通信ネットワーク及び方法を使用して、2回の署名付きブロックチェーン取引をアクワイアラ金融機関110に転送することができ、それにより、ステップ338において、受信することができる。ステップ340において、アクワイアラ金融機関110は、両方のデジタル署名を有するブロックチェーン取引を、ブロックチェーンネットワーク114内のブロックチェーンノード116に提出することができる。ブロックチェーン取引は、ブロックチェーンノード116による確認と、ブロックチェーンネットワーク114のブロックチェーンに対して生成、確認、及び追加され得る新しいブロック内への包含とのために未確認取引のプールに追加されることができる。これにより、消費者106のマルチ署名ウォレットから販売者のブロックチェーンウォレットへの電子決済取引のための暗号通貨の移転をもたらすことができる。
【0060】
暗号通貨ブロックチェーン取引を実行するための例示的な方法
図4は、マルチ署名ブロックチェーンウォレットを使用して、集積回路決済カードを介して暗号通貨ブロックチェーン取引を実行するための方法を示す。
【0061】
ステップ402において、少なくとも、第1の暗号鍵ペアの第1の秘密鍵と取引口座番号とは、集積回路決済カード(例えば、集積回路決済カード102)の記憶部(例えば、記憶部212)内に格納されることができる。ステップ404において、ブロックチェーン取引は、販売時点情報管理装置(例えば、販売時点情報管理装置108)から、集積回路決済カードの受信器(例えば、受信装置202)によって受信されることができる。ブロックチェーン取引は、少なくとも、1つ以上の未使用取引出力額と、1つ以上の宛先アドレスと、1つ以上の宛先アドレスの各々に関する暗号通貨額と、第2の暗号鍵ペアの第2の秘密鍵を使用して生成された第1のデジタル署名とを含む。ステップ406において、ブロックチェーン取引は、第1の秘密鍵を使用して集積回路決済カードのプロセッサ(例えば、生成モジュール216)によってデジタル署名されて、第2のデジタル署名を生成することができる。ステップ408において、第1のデジタル署名と第2のデジタル署名とを含むデジタル署名付きブロックチェーン取引は、集積回路決済カードの送信器(例えば、送信装置220)によって販売時点情報管理装置に電子的に送信されることができる。
【0062】
一実施形態では、方法400は、アクワイアラ金融機関(例えば、アクワイアラ金融機関110)によって、販売時点情報管理装置からデジタル署名付きブロックチェーン取引を受信することと、アクワイアラ金融機関によって、デジタル署名付きブロックチェーン取引を、ブロックチェーンネットワーク(例えば、ブロックチェーンネットワーク114)内のブロックチェーンノード(例えば、ブロックチェーンノード116)に送信することとをさらに含むことができる。また、ある実施形態では、方法400は、集積回路の受信器によって、販売時点情報管理装置から取引要求を受信することと、ブロックチェーン取引を受信する前に、集積回路の送信器によって、取引要求に対する応答を送信することとを含むことができ、応答は、少なくとも取引口座番号を含む。
【0063】
一実施形態では、集積回路の記憶部は、第1の暗号鍵ペアの第1の公開鍵をさらに含むことができ、デジタル署名付きブロックチェーン取引の送信は、第1の公開鍵をさらに含むことができる。また、他の実施形態では、方法400は、販売時点情報管理装置によって、第1の公開鍵を使用して、第2のデジタル署名を検証することを含むことができる。別の他の実施形態では、方法400は、アクワイアラ金融機関によって、第1の公開鍵を使用して、第2のデジタル署名を検証することをさらに含むことができる。
【0064】
また、ある実施形態では、方法400は、ブロックチェーン取引にデジタル署名する前に、集積回路のプロセッサによって、第2の暗号鍵ペアの第2の公開鍵を使用して、第1のデジタル署名を検証することを含むことができる。他の実施形態では、記憶部は、第2の暗号鍵ペアの第2の公開鍵をさらに含むことができる。
【0065】
コンピュータシステムアーキテクチャ
図5は、本開示の実施形態又はその一部がコンピュータ可読コードとして実装されることができるコンピュータシステム500を示す。例えば、図1の集積回路決済カード102、発行体金融機関104、販売時点情報管理装置108、アクワイアラ金融機関110、及びブロックチェーンノード116は、ハードウェア、命令を格納した非一時的コンピュータ可読媒体、又はそれらの組み合わせを使用してコンピュータシステム500に実装されることができ、1つ以上のコンピュータシステム又は他の処理システムに実装されることができる。ハードウェアは、図3A図3B、及び図4の方法を実施するために使用されるモジュール及び構成要素を具体化することができる。
【0066】
プログラマブルロジックが使用される場合、そのようなロジックは、実行可能ソフトウェアコードによって構成された市販の処理プラットフォーム上で実行して、特定の目的のコンピュータ又は特別の目的の装置(例えば、プログラマブルロジックアレイ、特定用途向け集積回路など)になることができる。当業者は、開示された主題の実施形態が様々なコンピュータシステム構成を用いて実施され得ることを理解することができ、これは、マルチコアマルチプロセッサシステム、ミニコンピュータ、メインフレームコンピュータ、分散機能を用いてリンク又はクラスタ化されたコンピュータ、ならびに仮想的に任意の装置に埋め込まれ得るパーペイシブ又は小型コンピュータを含む。例えば、少なくとも1つのプロセッサ装置及び記憶部が、上述の実施形態を実装するために使用されることができる。
【0067】
本明細書で論じられるようなプロセッサユニット又は装置は、単一のプロセッサ、複数のプロセッサ、又はそれらの組み合わせとすることができる。プロセッサ装置は、1つ以上のプロセッサ「コア」を有することができる。本明細書で論じられるような用語「コンピュータプログラム媒体」、「非一時的コンピュータ可読媒体」、及び「コンピュータ使用可能媒体」は、概して、取り外し可能記憶ユニット518、取り外し可能記憶ユニット522、及びハードディスクドライブ512にインストールされたハードディスクなどの有形媒体を指すために使用される。
【0068】
本開示の様々な実施形態は、この例示的なコンピュータシステム500に関して説明される。この説明を読んだ後、他のコンピュータシステム及び/又はコンピュータアーキテクチャを使用して、どのように本開示を実施するかが当業者には明らかになるであろう。動作は連続的な処理として説明されることができるが、動作の一部は、実際には、並列に、同時に、及び/又は分散環境において、単一又はマルチプロセッサ機械によるアクセスのためにローカルに又は遠隔に格納されたプログラムコードを用いて、実行されることができる。追加として、ある実施形態では、動作の順序が、開示される主題の趣旨から逸脱することなく、再構成されることができる。
【0069】
プロセッサ装置504は、本明細書で論じられる機能を実行するように特に構成された専用又は汎用プロセッサ装置とすることができる。プロセッサ装置504は、通信インフラストラクチャ506に接続されることができ、例えば、バス、メッセージキュー、ネットワーク、マルチコアメッセージパッシング方式などである。ネットワークは、本明細書で開示されるような機能を実行するのに適した任意のネットワークとすることができ、構内通信網(LAN)、広域通信網(WAN)、無線ネットワーク(例えば、WiFi)、移動体通信網、衛星ネットワーク、インターネット、光ファイバ、同軸ケーブル、赤外線、無線周波数(RF)、又はそれらの任意の組合せを含むことができる。他の適切なネットワークの種類及び構成は、当業者には明らかであろう。また、コンピュータシステム500は、主記憶部508(例えば、ランダムアクセスメモリ、読み取り専用メモリなど)を含むことができ、補助記憶部510も含むことができる。補助記憶部510は、ハードディスクドライブ512と、フロッピーディスクドライブ、磁気テープドライブ、光ディスクドライブ、フラッシュメモリなどの取り外し可能記憶ドライブ514とを含むことができる。
【0070】
取り外し可能記憶ドライブ514は、周知の方法で、取り外し可能記憶ユニット518から読み取り、及び/又はそれに書き込むことができる。取り外し可能記憶ユニット518は、取り外し可能記憶ドライブ514によって読み書きされ得る取り外し可能記憶媒体を含むことができる。例えば、取り外し可能記憶ドライブ514がフロッピーディスクドライブ又はユニバーサルシリアルバスポートである場合、取り外し可能記憶ユニット518は、それぞれ、フロッピーディスク又はポータブルフラッシュドライブとすることができる。一実施形態では、取り外し可能記憶ユニット518は、非一時的コンピュータ可読記録媒体とすることができる。
【0071】
ある実施形態では、補助記憶部510は、コンピュータプログラム又は他の命令をコンピュータシステム500内に読み込むことを可能にするための代替手段、例えば、取り外し可能記憶ユニット522及びインタフェース520を含むことができる。そのような手段の例は、プログラムカートリッジ及びカートリッジインタフェース(例えば、ビデオゲームシステムに見られるようなもの)と、取り外し可能メモリチップ(例えば、EEPROM、PROMなど)及び関連付けられたソケットと、当業者には明らかであるような他の取り外し可能記憶ユニット522及びインタフェース520とを含むことができる。
【0072】
コンピュータシステム500(例えば、主記憶部508及び/又は補助記憶部510)に格納されたデータは、任意の種類の適切なコンピュータ可読媒体に格納されることができ、例えば、光学記憶装置(例えば、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、ブルーレイディスクなど)又は磁気テープ記憶装置(例えば、ハードディスクドライブ)である。データは、任意の種類の適切なデータベース構成において構成されることができ、例えば、関係データベース、構造化クエリ言語(SQL)データベース、分散データベース、オブジェクトデータベースなどである。適切な構成及び記憶装置の種類は、当業者には明らかであろう。
【0073】
また、コンピュータシステム500は、通信インタフェース524を含むことができる。通信インタフェース524は、ソフトウェア及びデータを、コンピュータシステム500と外部装置との間で転送することを可能にするように構成されることができる。例示的な通信インタフェース524は、モデム、ネットワークインタフェース(例えば、イーサネットカード)、通信ポート、PCMCIAスロット及びカードなどを含むことができる。通信インタフェース524を介して転送されたソフトウェア及びデータは、信号の形態とすることができ、これは、電子信号、電磁信号、光信号、又は当業者には明らかであるような他の信号とすることができる。信号は、通信経路526を介して伝わることができる。これは、信号を搬送するように構成されることができ、電線、ケーブル、光ファイバ、電話回線、携帯電話リンク、無線周波数リンクなどを使用して実装されることができる。
【0074】
コンピュータシステム500は、表示インタフェース502をさらに含むことができる。表示インタフェース502は、データを、コンピュータシステム500と外部表示装置530との間で転送することを可能にするように構成されることができる。例示的な表示インタフェース502は、高解像度マルチメディアインタフェース(HDMI)、デジタルビジュアルインタフェース(DVI)、ビデオグラフィックスアレイ(VGA)などを含むことができる。表示装置530は、コンピュータシステム500の表示インタフェース502を介して送信されるデータを表示するための任意の適切な種類の表示装置とすることができ、陰極線管(CRT)表示装置、液晶表示装置(LCD)、発光ダイオード(LED)表示装置、静電タッチ表示装置、薄膜トランジスタ(TFT)表示装置などを含む。
【0075】
コンピュータプログラム媒体及びコンピュータ使用可能媒体は、主記憶部508及び補助記憶部510などのメモリを指すことができ、これは、メモリ半導体(例えば、DRAMなど)とすることができる。これらのコンピュータプログラム製品は、コンピュータシステム500にソフトウェアを提供するための手段とすることができる。コンピュータプログラム(例えば、コンピュータ制御ロジック)は、主記憶部508及び/又は補助記憶部510内に格納されることができる。また、コンピュータプログラムは、通信インタフェース524を介して受信されることができる。そのようなコンピュータプログラムは、実行されると、コンピュータシステム500が本明細書で論じられるような本方法を実施することを可能にすることができる。特に、コンピュータプログラムは、実行されると、プロセッサ装置504が、本明細書で論じられるような、図3A図3B及び図4によって示された方法を実施することを可能にすることができる。したがって、そのようなコンピュータプログラムは、コンピュータシステム500の制御装置を表すことができる。本開示がソフトウェアを使用して実装される場合、ソフトウェアは、コンピュータプログラム製品内に格納され、取り外し可能記憶ドライブ514、インタフェース520、及びハードディスクドライブ512、又は通信インタフェース524を使用してコンピュータシステム500内に読み込まれることができる。
【0076】
プロセッサ装置504は、コンピュータシステム500の機能を実行するように構成された1つ以上のモジュール又はエンジンを含むことができる。モジュール又はエンジンの各々は、ハードウェアを使用して実装されることができ、ある事例では、主記憶部508又は補助記憶部510内に格納されたプログラムコード及び/又はプログラムに対応するようなソフトウェアも利用することができる。そのような事例では、プログラムコードは、コンピュータシステム500のハードウェアによる実行の前に、プロセッサ装置504によって、(例えば、コンパイルするモジュール又はエンジンによって)コンパイルされることができる。例えば、プログラムコードは、プロセッサ装置504及び/又はコンピュータシステム500の任意の追加のハードウェア構成要素による実行のために、アセンブリ言語又は機械コードなどの低水準言語に翻訳されるプログラミング言語で書かれたソースコードとすることができる。コンパイルする処理は、字句解析と、前処理と、構文解析と、意味解析と、構文指向翻訳と、コード生成と、コード最適化と、コンピュータシステム500を制御して本明細書で開示される機能を実行するのに適した低水準言語へのプログラムコードの翻訳に適し得る任意の他の技術との使用を含むことができる。そのような処理の結果、コンピュータシステム500は、上述の機能を実行するように一意にプログラムされた、特別に構成されたコンピュータシステム500となることが当業者には明らかであろう。
【0077】
本開示と一致する技術は、とりわけ、マルチ署名ブロックチェーンウォレットを使用して、集積回路決済カードを介して暗号通貨ブロックチェーン取引を実行するための特徴、システム、及び方法を提供する。開示されたシステム及び方法の様々な例示的な実施形態が上述されたが、それらは、限定ではなく、例示のみを目的として提示されたことを理解されたい。それは、網羅的ではなく、開示された厳密な形態に本開示を限定しない。上記の教示に照らして、修正及び変形が可能であり、又は、修正及び変形は、広さ若しくは範囲から逸脱することなく、本開示の実施から得られることができる。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
【国際調査報告】