(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-25
(54)【発明の名称】層状スタックを備えた金属-絶縁体-金属(MIM)エネルギー蓄積デバイス、及び製造方法
(51)【国際特許分類】
H01G 4/33 20060101AFI20230518BHJP
H01G 4/30 20060101ALI20230518BHJP
H01G 4/40 20060101ALI20230518BHJP
【FI】
H01G4/33 102
H01G4/30 540
H01G4/40 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022561094
(86)(22)【出願日】2021-04-13
(85)【翻訳文提出日】2022-10-06
(86)【国際出願番号】 SE2021050335
(87)【国際公開番号】W WO2021211038
(87)【国際公開日】2021-10-21
(32)【優先日】2020-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513091308
【氏名又は名称】スモルテク アクティエボラーグ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】エム シャフィクル カビル
(72)【発明者】
【氏名】ビンセント デスマリス
(72)【発明者】
【氏名】アンデシュ ヨハンソン
(72)【発明者】
【氏名】オラ ティベルマン
(72)【発明者】
【氏名】カール ルンダール
(72)【発明者】
【氏名】リキャルド アンデション
(72)【発明者】
【氏名】ムハンマド アミン サレーム
(72)【発明者】
【氏名】マリア ビルンド
(72)【発明者】
【氏名】ビクトル マルクネス
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB01
5E082AB01
5E082DD11
5E082EE05
5E082EE15
5E082EE23
5E082FF05
5E082FG03
5E082FG27
5E082FG34
5E082FG35
(57)【要約】
MIMエネルギー蓄積デバイスは、下部電極と、複数の導電性垂直ナノ構造体と、複数の導電性垂直ナノ構造体における各ナノ構造体をコンフォーマルにコーティングする下部伝導制御層と、伝導制御層と電極層を交互に重ね、下部伝導制御層をコンフォーマルにコーティングする層状スタックとを備え、層状スタックは、層状スタックの下部に少なくとも第1奇数番目電極層と、第1奇数番目電極層の真上の第1奇数番目伝導制御層と、第1奇数番目伝導制御層の真上の第1偶数番目電極層とを含む。層状スタックの各偶数番目電極層は、下部電極に導電的に接続され、層状スタックの各奇数番目電極層は、層状スタックの他の任意の奇数番目電極層に導電的に接続される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属-絶縁体-金属(MIM)エネルギー蓄積デバイスであって、
複数の導電性垂直ナノ構造体と、各々は前記ナノ構造体の第1端部から前記ナノ構造体の第2端部に延び、
前記複数の導電性垂直ナノ構造体における各ナノ構造体をコンフォーマルにコーティングする下部伝導制御層と、
伝導制御層と電極層を交互に重ね、前記下部伝導制御層をコンフォーマルにコーティングすることを含む層状スタックとを備え、前記層状スタックは、前記層状スタックの下部に少なくとも第1奇数番目電極層と、前記第1奇数番目電極層の真上の第1奇数番目伝導制御層と、前記第1奇数番目伝導制御層の真上の第1偶数番目電極層とを含み、
前記層状スタックの各偶数番目電極層は、前記ナノ構造体に導電的に接続され、
前記層状スタックの各奇数番目電極層は、前記層状スタックの他の任意の奇数番目電極層に導電的に接続される、金属-絶縁体-金属(MIM)エネルギー蓄積デバイス。
【請求項2】
前記MIMエネルギー蓄積デバイスは、上部電極をさらに備え、
前記層状スタックの最上部の奇数番目電極層は、前記上部電極に導電的に接続される、請求項1に記載のMIMエネルギー蓄積デバイス。
【請求項3】
前記層状スタックの前記最上部の奇数番目電極層は、複数の接続位置で前記上部電極に導電的に接続され、各々は、前記複数の導電性垂直ナノ構造体における前記ナノ構造体のそれぞれの前記第1端部及び前記第2端部を通過する直線に沿う、請求項2に記載のMIMエネルギー蓄積デバイス。
【請求項4】
前記複数の導電性垂直ナノ構造体における前記導電性垂直ナノ構造体は、カーボン・ナノファイバーである、請求項1から3の何れか一項に記載のMIMエネルギー蓄積デバイス。
【請求項5】
前記カーボン・ナノファイバーは、少なくとも部分的に無定形炭素によって形成される、請求項4に記載のMIMエネルギー蓄積デバイス。
【請求項6】
前記カーボン・ナノファイバーの各々は、波状の面構造を有し、及び/又は分岐したナノファイバーである、請求項4又は5に記載のMIMエネルギー蓄積デバイス。
【請求項7】
前記複数の導電性垂直ナノ構造体における前記ナノ構造体は、下部電極から成長する、請求項1から6の何れか一項に記載のMIMエネルギー蓄積デバイス。
【請求項8】
前記下部電極と前記複数の導電性垂直ナノ構造体における各ナノ構造体の前記第1端部の間に触媒層をさらに備える、請求項7に記載のMIMエネルギー蓄積デバイス。
【請求項9】
前記触媒層は、予めパターン化された触媒層である、請求項8に記載のMIMエネルギー蓄積デバイス。
【請求項10】
前記触媒層は、周期的な構成で予めパターン化されている、請求項9に記載のMIMエネルギー蓄積デバイス。
【請求項11】
前記複数の導電性垂直ナノ構造体における各ナノ構造体は、前記ナノ構造体の前記第2端部に触媒材料を含む、請求項8から10の何れか一項に記載のMIMエネルギー蓄積デバイス。
【請求項12】
前記複数の導電性垂直ナノ構造体における前記ナノ構造体の面密度は、少なくとも1mm
2当たり1000である、請求項1から11の何れか一項に記載のMIMエネルギー蓄積デバイス。
【請求項13】
前記ナノ構造体を支持する基板をさらに備える、請求項1から12の何れか一項に記載のMIMエネルギー蓄積デバイス。
【請求項14】
前記基板は非導電性である、請求項13に記載のMIMエネルギー蓄積デバイス。
【請求項15】
各伝導制御層は固体の誘電材料で作られる、請求項1から14の何れか一項に記載のMIMエネルギー蓄積デバイス。
【請求項16】
各伝導制御層は電解質である、請求項1から14の何れか一項に記載のMIMエネルギー蓄積デバイス。
【請求項17】
各伝導制御層は、固体誘電体サブレイヤー及び電解質サブレイヤーを備える、請求項1から14の何れか一項に記載のMIMエネルギー蓄積デバイス。
【請求項18】
前記MIMエネルギー蓄積デバイスの外部電気接続のための第1接続構造体と、
前記MIMエネルギー蓄積デバイスの外部電気接続のための第2接続構造体とをさらに備え、
前記ナノ構造体及び前記層状スタック内の各偶数番目電極層は、前記第1接続構造体に導電的に接続され、
前記層状スタックの各奇数番目電極層は、前記第2接続構造体に導電的に接続される、請求項1から17の何れか一項に記載のMIMエネルギー蓄積デバイス。
【請求項19】
前記MIMエネルギー蓄積デバイスは、
前記複数の導電性垂直ナノ構造体、前記下部伝導制御層、及び前記層状スタックを含むMIMエネルギー蓄積デバイス層と、
前記第1接続構造体及び前記第2接続構造体を含む接続構造体層と、
前記MIMエネルギー蓄積デバイス層と前記接続構造体層の間に配置される再分配層とを備え、前記再分配層は、前記MIMエネルギー蓄積デバイス層の前記ナノ構造体を前記接続構造体層の前記第1接続構造体に導電的に接続し、前記MIMエネルギー蓄積デバイス層の前記層状スタックの少なくとも一つの奇数番目電極層を前記接続構造体層の前記第2接続構造体に導電的に接続するように構成される、請求項18に記載のMIMエネルギー蓄積デバイス。
【請求項20】
前記再分配層は、
前記MIMエネルギー蓄積デバイス層の前記ナノ構造体に導電的に接続された第1パッド、及び前記MIMエネルギー蓄積デバイス層の前記層状スタック内の少なくとも一つの奇数番目電極層に導電的に接続された第2パッドを含む第1導体パターン層を有する第1再分配サブレイヤーと、
前記第1再分配サブレイヤーの前記第1パッドを前記接続構造体層の前記第1接続構造体に導電的に接続する第1導体トレース、及び前記第1再分配サブレイヤーの前記第2パッドを前記接続構造体層の前記第2接続構造体に導電的に接続する第2導体トレースを含む第2導体パターン層を有する第2再分配サブレイヤーとを備える、請求項19に記載のMIMエネルギー蓄積デバイス。
【請求項21】
前記再分配層は、前記再分配層を通過して、前記再分配層の第1面を前記再分配層の第2面に導電的に接続する、少なくとも一つのバイアをさらに備える、請求項19又は20に記載のMIMエネルギー蓄積デバイス。
【請求項22】
前記再分配層は、
前記再分配層の前記第1面上にある第1複数のパッドと、
前記再分配層の前記第2面上にある第2複数のパッドと、
複数のバイアとを備え、前記複数のバイアにおける各バイアは、前記再分配層を通過して、前記第1複数のパッドにおけるそれぞれのパッドを前記第2複数のパッドにおけるそれぞれのパッドに導電的に接続する、請求項21に記載のMIMエネルギー蓄積デバイス。
【請求項23】
前記MIMエネルギー蓄積デバイスを少なくとも部分的に埋め込む電気絶縁性カプセル化材料をさらに含み、一方、前記第1接続構造体及び前記第2接続構造体は、前記カプセル化材料によって覆われていないままである、請求項18から22の何れか一項に記載のMIMエネルギー蓄積デバイス。
【請求項24】
前記電気絶縁性カプセル化材料は、前記MIMエネルギー蓄積デバイスの外側境界面を少なくとも部分的に形成する、請求項23に記載のMIMエネルギー蓄積デバイス。
【請求項25】
前記第1接続構造体及び前記第2接続構造体の各々は、前記MIMエネルギー蓄積デバイスの外側境界面を少なくとも部分的に形成する、請求項18から24の何れか一項に記載のMIMエネルギー蓄積デバイス。
【請求項26】
電子デバイスであって、
プリント回路基板(PCB)と、
前記PCB上の集積回路(1C)と、
前記ICに接続される、請求項18から25の何れか一項に記載のMIMエネルギー蓄積デバイスとを備える、電子デバイス。
【請求項27】
電子デバイスであって、
請求項22に記載のMIMエネルギー蓄積デバイスと、
前記MIMエネルギー蓄積デバイスの前記再分配層の前記第1面上にある前記第1複数のパッドに電気的及び機械的に接続される第1電気回路素子と、
前記MIMエネルギー蓄積デバイスの前記再分配層の前記第2面上にある前記第2複数のパッドに電気的及び機械的に接続される第2電気回路素子とを備える、電子デバイス。
【請求項28】
前記電子デバイスは、携帯電話、娯楽ユニット、ナビゲーション・デバイス、通信デバイス、固定位置データ・ユニット、移動位置データ・ユニット、全地球測位システム(GPS)デバイス、スマート・ウォッチ、ウェアラブル・コンピューティング・デバイス、タブレット、サーバー、コンピュータ、携帯コンピュータ、モバイル・コンピューティング・デバイス、充電器、USBデバイス、デスクトップ・コンピュータ、携帯情報端末(PDA)、モニター、コンピュータ・モニター、テレビ、チューナー、ラジオ、衛星ラジオ、音楽プレーヤー、デジタル音楽プレーヤー、携帯音楽プレーヤー、デジタル・ビデオ・プレーヤー、自動車、電気自動車、自動車部品、アビオニクス・システム、ドローン、及びマルチコプターの一つである、請求項26又は27に記載の電子デバイス。
【請求項29】
金属-絶縁体-金属(MIM)エネルギー蓄積デバイスを製造する方法であって、
基板に下部電極を設けるステップと、
複数の導電性ナノ構造体における各ナノ構造体が前記下部電極から実質的に垂直に延び、前記ナノ構造体の第1端部が前記下部電極と導電的に接触するように、前記下部電極上に前記複数の導電性ナノ構造体を設けるステップと、
前記下部電極上に設けられた前記複数の導電性ナノ構造体における各ナノ構造体上に、コンフォーマルな下部伝導制御層を適用するステップと、
伝導制御層と電極層を交互に重ね、前記下部伝導制御層をコンフォーマルにコーティングする層状スタックを前記下部伝導制御層上に形成するステップとを含み、前記層状スタックは、前記層状スタックの下部に少なくとも第1奇数番目電極層と、前記第1奇数番目電極層の真上の第1奇数番目伝導制御層と、前記第1奇数番目伝導制御層の真上の第1偶数番目電極層とを含み、
前記層状スタックは、前記層状スタックの各偶数番目電極層が前記下部電極に導電的に接続され、前記層状スタックの各奇数番目電極層が前記層状スタックの他の任意の奇数番目電極層に導電的に接続されるように形成される、方法。
【請求項30】
前記MIMエネルギー蓄積デバイスの外部電気接続のための第1接続構造体を形成するステップと、
前記MIMエネルギー蓄積デバイスの外部電気接続のための第2接続構造体を形成するステップと、
前記第1接続構造体及び前記第2接続構造体が電気絶縁性カプセル化材料によって覆われないように、前記MIMエネルギー蓄積デバイスを前記電気絶縁性カプセル化材料に少なくとも部分的に埋め込むステップをさらに含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記層状スタックを形成する前記ステップの後に、前記基板を除去するステップをさらに含む、請求項29又は30に記載の方法。
【請求項32】
前記基板はウェハの形態で提供される、請求項29から31の何れか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記基板はパネルの形態で提供される、請求項29から31の何れか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記基板はロール上のフィルムの形態で提供される、請求項29から31の何れか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンデンサ及び電池を含む、金属-絶縁体-金属(MIM)静電気、及び/又は電気化学エネルギー蓄積デバイス、並びにそのような金属-絶縁体-金属(MIM)エネルギー蓄積デバイスを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器の小型化は数十年来のトレンドであり、それにより、多くの機能を有する様々な種類のガジェットを経験することができるようになった。この進歩の大部分は、ロジック・アプリケーション用のトランジスタ、抵抗器、及びコンデンサをシリコン上に小型化及び統合することによって可能になった。それに比べ、回路基板レベルの受動部品(抵抗器、コンデンサ、及びインダクタ)は、サイズ及び密度は最適な漸進的な進歩を遂げた。その結果、受動部品は電子システムのますます大きな面積及び質量分率を占めており、多くの電子システムをより低いシステム・コストでさらに小型化にするための主要なハードルとなっている。現在のスマートフォンには通常、1000個を超える個別のコンデンサ部品が使用されている。電気自動車の回路基板には、このような個別のコンデンサ部品が約10000個使用されており、増加傾向にある。このような多数のコンデンサの必要性は、主に、エネルギー源(バッテリ/主電源)からパッケージング方式(PCB/SLP/SoC/SiP)を経て機能的なシリコン・チップ/ダイ、及びオンチップ集積回路に至るまで、電力を駆動する電力管理システムの問題に対処する必要性によって促進される。このようなガジェットの統合の様々な段階で対処するべき様々な電源管理の問題がある。
【0003】
シリコン回路の微細化により、単位面積当たりにより多くの機能を実現できるようになった。このような成果には代償が伴い、ダイの電力管理システムに極度のストレスがかかった。今日のシリコン・チップは、トランジスタからの漏れ電流、相互接続網での高周波反射、電力網に沿った寄生スイッチング・ノイズなどによって引き起こされる電源ノイズの影響を大きく受ける。このような電源ノイズは、回路の電圧変動及びインピーダンスの不一致を引き起こし、ゲート遅延及び論理エラー、ジッターなどをもたらし、壊滅的になる可能性がある。このようなオンチップ電源管理ソリューションにどのように対処するかは、膨大な研究領域である。このような問題に対処する方法の一つは、回路に統合された金属-絶縁体-金属(MIM)デカップリング・コンデンサを使用することである。しかしながら、ダイ内部の問題に対処するためのこのような統合方式は、ダイの面にデカップリング・コンデンサを統合するためのホワイト・スペース(ダイ上で利用可能な高価な不動産スペース)によって制限される。ホワイト・スペースは減少していて、今日の世代ではオンチップ・デカップリング・コンデンサ用にダイあたり約10%しか割り当てられていないことが報告されている。
【0004】
したがって、規定された2D領域内でそのようなデカップリング・コンデンサの静電容量密度を増加させる必要性がある。A.M.Saleem et al.による「CMOS温度互換プロセスを使用して成長させた、垂直に配列したカーボン・ナノファイバーに基づく統合オンチップ固体コンデンサ」、Solid State Electronics、vol.139,75(2018年1月)、及び欧州特許2074641号明細書で、いくつかのソリューションが提案され、実証されている。従来技術は、従来のMIMコンデンサに関して容量値の改善を示してきた。ただし、実証されたデバイスは、接点に存在するフィールド酸化物からの寄生容量、又はデバイス領域の外側でランダムに成長するナノ構造体に起因する寄生容量の影響を受けやすく、回路実装に有害な影響を及ぼす可能性のある寄生効果(容量性/抵抗性/誘導性)を意図せず、かつ制御せずにデバイスに存在させる。多くの設計と処理の改善ステップが必要になる(たとえば、CMP平坦化処理、フィールド酸化物の除去など)と予想され、そのようなデバイスに、実用的な実装のためのそのような技術概念の利点を本質的に減少させる寄生成分がないようにする。
【0005】
別の観点-PCB/SLPボード・レベル-から見ると、ほとんどの場合、電力を供給する電源レール(例えば、±2.5V、±12V、又は3.3Vなど)は、通常、リニア電源又はスイッチ・モード電源技術によって生成される。それらは両者とも、電子回路の電力網に給電する前に整流及びフィルタリング又は調整段階を備えているが、それでもなおリップル・ノイズを保有している場合がある。したがって、多くのコンデンサがボード上に通常見られ、コンデンサの量及び値は、ICのスイッチング周波数が高くなるにつれてより高くなる。さらに、ICの電源要件がより低い動作電圧に向かって進むにつれて、電源要件及びノイズ・マージンはますます厳しくなっている。さらに、異種IC/異種統合のSoC/SiP、FOWLP/FIWLP/チップレット・ウェハ・レベル・パッケージングのようなシステム・レベル・パッケージングの進歩に伴い、電源管理は主要な課題になりつつある。電源レギュレーションの低下、PCB電源相互接続の長さ/形状、ワイヤの寄生、ICのスイッチング周波数、及びEMI効果などにより、ノイズは電圧レベルに発生する場合がある。このような複雑な統合パッケージの場合、より優れた性能を得るには、様々なICの近くにコンデンサを必要とする。
【0006】
このような個別の部品を製造するための今日の業界標準のMLCC/TSC/LICCコンデンサ技術は、より低い高さ(Z高さ)が100μm未満、好ましくは、20μm未満になるという高まる要求に対応することが求められる。この要求は、パッケージSoC/SiPパッケージに統合されるICでは、バンプ相互接続の高さ及びピッチ/間隔の減少により、SoC/SiPパッケージ・ソリューションの間で対応するために、コンデンサの高さが70μm未満である必要があるという事実によるものである。
【0007】
この課題を回避するために、米国特許出願公開第20170012029号明細書は、ダイの裏面にMIMコンデンサ構成を収容する実施形態を明示している。ただし、このような方式はCMOS互換である必要があり、組み立てることになっているすべてのダイで実行しなければならない。これは、異なる技術ノードにおけるそのようなMIM構造の適応の複雑さ、及びそのような実装に関連するコストのために、そのような技術概念の制限が伴うこともある。これにより、本質的にダイあたりのコストが大幅に増加することがあり、パッケージング・レベルで必要とされる機能あたりの費用便益が失われる場合がある。
【0008】
MLCCは、世界で使用される個別のコンデンサ部品の中で最も著名なタイプである。毎年、何兆ものそのような個別の部品が、任意に指定されたシステム/ガジェットで使用される。これらの部品の小型化にはある程度の進歩があり、太陽誘電では、市販されている最も薄いものを110μmと主張する。SamsungElectroMechanicalシステムは、LICCの概念を導入して厚さを低減し、さらにより低いESL(実効直列インダクタンス)に達する。Ipdia(現在は村田製作所の一部)は、900nF/mm2を超える静電容量値で80μmの薄いTSC個別のコンデンサ部品を導入した。ただし、MLCC、LICC、及びTSCは、関連する材料(原料金属/誘電体粒子)、処理スキーム(焼結/シリコン・エッチング)、及び原料と処理のコストのため、Z寸法(高さ)をさらに下げるのに苦労しがちである。MLCCプロセスでは、銅、ニッケル、銀、金、タンタル、チタン酸バリウム、アルミナなどを含む、コンデンサの製造に使用される原材料の制限を完全に理解する必要がある。また、セラミック・クラス2MLCCは、温度変化、印加電圧、及び時間の経過(エージング)によって負の影響を受け、ベンダーによって最初に規定された静電容量値から静電容量値が大幅に低下することが知られている。このような劣化は、システム(例えば、電気自動車)のセキュリティに関連する任意のサブシステムに悪影響を及ぼす可能性がある。
【0009】
したがって、それらの確立された技術に基づくこれらの部品のさらなる小型化は、以前ほどのコスト競争力がないかもしれない。コストを犠牲にすることなく、個別のコンデンサ部品がフリップ・チップ・バンプ相互接続の間に適合できるような2D空間も3D空間も両方で充分に小さくする必要性に対応することは特に挑戦的なことである。
【0010】
個別のコンデンサ部品は、産業上の需要を満たすために数兆単位で生産する必要があり、CMOS互換技術をMLCC、LICC、又はTSCに関する個別の部品の生産に利用するには、単に法外なコストがかかる。
【発明の概要】
【0011】
したがって、革新的なソリューションを必要とする統合されたコンデンサと個別のコンデンサ部品の間に大きなギャップがあることは明らかである。同様なことが他のタイプのエネルギー蓄積デバイスに当てはまる。
【0012】
したがって、本発明の第1態様によれば、金属-絶縁体-金属(MIM)エネルギー蓄積デバイスであって、複数の導電性垂直ナノ構造体と、各々はナノ構造体の第1端部からナノ構造体の第2端部に延び、複数の導電性垂直ナノ構造体における各ナノ構造体をコンフォーマルにコーティングする下部伝導制御層と、伝導制御層と電極層を交互に重ね、下部伝導制御層をコンフォーマルにコーティングすることを含む層状スタックとを備え、層状スタックは、層状スタックの下部に少なくとも第1奇数番目電極層と、第1奇数番目電極層の真上の第1奇数番目伝導制御層と、第1奇数番目伝導制御層の真上の第1偶数番目電極層とを含み、
層状スタックの各偶数番目電極層は、ナノ構造体に導電的に接続され、
層状スタックの各奇数番目電極層は、層状スタックの他の任意の奇数番目電極層に導電的に接続される、金属-絶縁体-金属(MIM)エネルギー蓄積デバイスが提供される。
【0013】
MIMエネルギー蓄積デバイスは、下部電極を備えてもよいし、複数の導電性垂直ナノ構造体における各ナノ構造体の第1端部は、下部電極と導電的に接触してもよい。次いで、層状スタックにおける各偶数番目電極層は、下部電極に導電的に接続されてもよい。
【0014】
“垂直”ナノ構造体とは、下部電極に対して垂直に配置されるナノ構造体であると理解されたい。
【0015】
本出願の文脈では、“コンフォーマル・コーティング”という用語は、材料の層の厚さが面の向きに関係なく実質的に同じになるように材料の層を面に堆積させることを意味すると理解されたい。このようないわゆるコンフォーマルな層又はフィルムを達成するための様々な堆積方法は、当業者には周知である。適切であり得る堆積方法の注目すべき例は、CVD、ALD、及びPVDなどの様々な蒸着方法である。
【0016】
導電性ナノ構造体は、導電性材料から形成されてもよいし、又は、電気絶縁性材料から形成されてもよいし、好ましくは、金属などの導電性材料でコンフォーマルにコーティングされてもよい。後者の場合、ナノ構造体の第1端部は、ナノ構造体の第1端部の導電性材料によって下部電極と導電的に接触してもよい。あるいは、非導電性ナノ構造体を覆う導電性材料は、MIMエネルギー蓄積デバイスのための下部電極として機能する場合がある。
【0017】
下部伝導制御層は、少なくとも各ナノ構造体をコンフォーマルにコーティングしてもよいし、したがって、ナノ構造体の間の下部電極の部分をさらにコンフォーマルにコーティングしてもよい。
【0018】
層状スタックは、複数のコンフォーマル・コーティング層を有利に備えてもよい。例えば、層状スタック内のすべての層がコンフォーマル・コーティング層であってもよい。しかしながら、実施形態では、層状スタック内の最上部電極層は、コンフォーマル・コーティング層でなくてもよい。
【0019】
本発明は、ナノ構造体ベースのMIMエネルギー蓄積デバイスの単位表面積当たりのエネルギー蓄積容量は、下部コンフォーマル伝導制御層の上に、電極層と伝導制御層を交互に重ねる層状スタックを設け、並列に結合されたエネルギー蓄積回路を達成するためにデバイス内の電極層を選択的に相互接続することによって、大幅に増加させることができるという理解に基づいている。このアプローチにより、エネルギー蓄積容量を大幅に増加させることができる。
【0020】
様々な実施形態によれば、MIMエネルギー蓄積デバイスは、下部電極に平行な上部電極をさらに備えてもよいし、層状スタックの最上部の奇数番目電極層は、上部電極に導電的に接続されてもよい。上部電極は、実質的に平坦な上部電極面を含んでもよいし、一方、上部電極の下部は、MIMエネルギー蓄積デバイスの構成に応じて、平坦化又は構造化してもよい。
【0021】
様々な用途に対して、これは、並列結合エネルギー蓄積回路の外部接続を可能とする有利で便利な方法である場合がある。実施形態では、より少ないプロセス・ステップが必要とされる場合があり、及び/又はより粗い導体パターンが使用される場合があり、これにより生産歩留まりの向上を可能とし、それ故に、また、生産コストを低下させることができる。
【0022】
有利には、層状スタックにおける最上部の奇数番目電極層は、複数の接続位置で上部電極に導電的に接続されてもよいし、各々は、複数の導電性垂直ナノ構造体におけるナノ構造体のそれぞれの第1端部及び第2端部を通過する直線に沿うものである。この構成は、比較的簡単で信頼性の高い接続構成をもたらし、しかもコンパクトである。
【0023】
導電性ナノ構造体は、有利には、カーボン・ナノファイバー(CNF)であってもよい。あるいは、導電性ナノ構造体は、カーボン・ナノチューブ(CNT)又は炭化物由来のカーボンナノ構造体又はグラフェン壁であってもよい。さらに、実施形態では、ナノ構造体は、例えば、銅、アルミニウム、銀、シリサイド、又は導電性を有する他のタイプのナノワイヤで作られるナノワイヤであってもよい。
【0024】
しかしながら、CNFを使用すると、本発明の実施形態によるエネルギー蓄積デバイスは特に有利な場合がある。CNTは、CNFよりも高い導電性を実現できることが知られている。しかしながら、導電性CNTを形成するプロセスは、また、半導体CNTのある割合の形成をもたらす傾向があり、この割合は、知られていないか又は正確に制御できない場合がある。一方、CNFは金属的(電気的)な特性を有し、そのことは再現性の向上を可能にする。さらに、CNFの表面積は、同じ全体寸法(直径及び高さ)を備えたCNTの表面積よりもかなり大きくすることができ、それはより多くの電荷蓄積サイトを可能にする。それにより、より高い電荷運搬能力を可能にし、結果として、MIMエネルギー蓄積デバイスのナノ構造体と同じ数及び全体寸法についてより高いエネルギー蓄積能力をもたらす。
【0025】
実施形態において、カーボン・ナノファイバーは、少なくとも部分的に無定形炭素によって形成してもよい。これにより、表面積当たりの炭素原子の数が多くなり、より多くの電荷蓄積サイトをもたらし、同様に、MIMエネルギー蓄積デバイスにおけるナノ構造体と同じ数及び全体寸法について、より高いエネルギー蓄積能力をもたらす。
【0026】
実施形態において、カーボン・ナノファイバーは、分岐したカーボン・ナノファイバーであってもよい。これは、アクセス可能な表面積のさらなる増加をもたらし、より多くの電荷蓄積サイトをもたらし、同様に、MIMエネルギー蓄積デバイスにおけるナノ構造体と同じ数及び全体寸法についてより高い電荷蓄積能力を引き起こす。
【0027】
実施形態によれば、さらに、複数のCNFにおける各CNFは、波状の面構造を有する場合があり、これはまた、(CNF当たりの)電荷蓄積サイトの数を増加させる。
【0028】
波状の面構造又は分岐したナノファイバー構造を備えたCNFの使用から充分にメリットを得るには、下部の伝導制御層と同様に、CNFの極めて細かい波形を再現できる非常に薄いコンフォーマルフィルムとして層状スタック内の様々な層(おそらく最上部の奇数番目電極層を除く)の各々も堆積させることが特に有利である場合がある。
【0029】
様々な実施形態によれば、導電性垂直ナノ構造体は、成長したナノ構造体であってもよい。成長したナノ構造体を使用すると、ナノ構造体の特性を広範囲に調整することができる。例えば、成長条件は、各ナノ構造体の大きな表面積を与える形態を達成するように選択してもよいし、同様に、これはMIMエネルギー蓄積デバイスのエネルギー蓄積能力を増加させてもよい。
【0030】
実施形態によれば、MIMエネルギー蓄積デバイスは、静電気又は電気化学エネルギー、又はそれらの組み合わせを蓄積することができる。
【0031】
実施形態によれば、伝導制御材料は固体誘電体であってもよいし、MIMエネルギー蓄積デバイスはナノ構造体多層コンデンサ・デバイスであってもよい。
【0032】
他の実施形態によれば、伝導制御材料は電解質であってもよいし、MIMエネルギー蓄積デバイスはナノ構造体多層電池デバイスであってもよい。
【0033】
“固体誘電体”とは、室温で固体状態にある誘電材料と理解されたい。したがって、この文言は、室温で液体であるどんな材料も除外する。
【0034】
“固体電解質”とは、室温で固体状態又はゾル-ゲル状態にある電解質材料と理解されたい。
【0035】
固体誘電体は、有利には、いわゆる高誘電率体であってもよい。高誘電率体材料の例としては、例えば、HfOx、TiOx、TaOx及び他のよく知られた高誘電率体が挙げられる。あるいは、誘電体は、例えば、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ(p-キシリレン)、パリレンなどのポリマー・ベースであってもよい。他のよく知られた誘電材料、例えば、AOx、SiOx、又はSiNxなども使用してもよい。本発明は、必要に応じて、少なくとも一つの誘電材料層を使用することを意図している。また、実効的な誘電特性又は電界特性を制御するために、複数の誘電材料又は異種誘電体層の多層化も想定される。
【0036】
ナノ構造体の電気化学的蓄積又は電池では、伝導制御材料は、主に、伝導制御材料を介してイオンを輸送することによってエネルギーの蓄積を可能にすることにより、伝導制御材料に存在するエネルギー蓄積メカニズムの一部としてイオンを含む。適切な電解質は、固体又は半固体電解質であってもよいし、電解質、例えば、チタン酸ストロンチウム、イットリア安定化ジルコニア、PMMA、KOH、リチウムリン酸窒化物、Liベースの複合体などとして作用する固体結晶、セラミック、ガーネット、又はポリマー又はゲルの形態を選択してもよい。電解質層は、ポリマー電解質を含んでもよい。ポリマー電解質は、ポリマー・マトリックス、添加剤、及び塩を含んでもよい。
【0037】
伝導制御電解質材料は、CVD、熱プロセス、スピン・コーティング又はスプレー・コーティング、あるいは産業界で使用される他の任意の適切な方法を使用して堆積させてもよい。
【0038】
本発明の実施形態によれば、伝導制御材料は、層状構成の固体誘電体及び電解質を含んでもよい。そのような実施形態では、MIMエネルギー蓄積デバイスは、コンデンサ型(静電気)と電池型(電気化学)エネルギー蓄積デバイスの間のハイブリッドと見なしてもよい。この構成により、純粋なコンデンサ・デバイスよりも高いエネルギー密度及び電力密度、並びに純粋なバッテリー・デバイスよりも速い充電を可能とする場合がある。
【0039】
本発明は、例えば、Si、ガラス、SiC、ステンレス鋼、金属箔、例えばAl/Cu/Agなどホイルの任意の基板、又は産業界で使用される他の任意の適切な基板を使用することを意図している。基板は、実質的に平坦な面を呈することも、又は平坦でないこともある。
【0040】
本発明では、エネルギー蓄積部品の設計及び性能の必要性に応じて、任意の金属、金属合金、ドープされたシリコン、又は金属酸化物、例えば、LiCoO2などを使用することを意図している。例えば、金属層は、遷移金属酸化物、リチウムと遷移金属の複合酸化物、又はこれらの混合物を含んでもよい。遷移金属酸化物は、リチウム・コバルト酸化物、リチウム・マンガン酸化物、又はバナジウム酸化物を含んでもよい。金属接触層は、Li、シリコンスズ酸窒化物、Cu、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるものを含んでもよい。
【0041】
また、本発明では、下部電極として使用される、又は下部電極に含まれる基板を意図する。本発明は、複数の垂直に成長した導電性ナノ構造体を含むMIM配列体を使用して、コスト効率が高く、極めてコンパクトな、特に薄い個別の金属-絶縁体-金属(MIM)エネルギー蓄積部品を実現できるという理解に基づいている。本発明の実施形態により、プロファイル高さが100μm未満の受動エネルギー蓄積部品を達成することができ、それらは現在存在するMLCC/TSC部品の競争力のある代替品となる場合がある。部品の高さを低減すると、回路基板上の利用可能なスペースをより効率的に利用できる場合がある。例えば、本発明の実施形態による非常に薄い個別のMIMコンデンサ又は電池部品は、集積回路(IC)-パッケージの下面に配置することができ、それは、よりコンパクトな回路レイアウトと同様にICとコンデンサの間のより短い導体距離も可能にする。これらのうちの少なくとも後者は、寄生キャパシタンス及びインダクタンスの低減を可能にし、同様にICの性能の改善を可能にする。
【0042】
しかしながら、本発明は、プロファイルの高さが制約されない他の産業用途で使用するのに適した、100μmを超えるプロファイルの高さを有する、より厚い部品を製造する可能性を排除しない。
【0043】
本発明の実施形態は、(a)単位面積/体積当たりの非常に高い静電容量値又は電気化学容量値、(b)2D及びZ方向の低いプロファイル、(c)面実装互換性があり、2D、2.5D、及び3Dのパッケージング/アセンブリ/組み込み技術に適している(d)フォーム・ファクタの設計が容易、(e)温度及び印加電圧に対する安定した堅牢な性能、(f)平方当たりの等価直列インダクタンス(ESL)が低い、(g)容量劣化なしに長寿命又はライフ・サイクル性の向上、及び(h)費用対効果が高い、という要件を満たすことができる。
【0044】
本発明の様々な実施形態によれば、層状スタックの最上部電極層は、複数の導電性ナノ構造体の隣接するナノ構造体の間の空間を、ナノ構造体の第1端部と第2端部の間の少なくとも中間で、第1端部から第2端部に向かって完全に満たすことができる。この構成により、MIMエネルギー蓄積デバイスの堅牢性及び信頼性を高めることができ、これにより、同様に、より堅牢で信頼性の高いエネルギー蓄積デバイスを実現する。特に、MIMエネルギー蓄積デバイスにおけるナノ構造体の機械的安定性を高めることができる。さらに、ナノ構造体の間の空間の発生の可能性を減らすことができ、特に温度サイクルなどに関して、エネルギー蓄積部品の信頼性に有益である場合がある。
【0045】
実施形態では、層状スタックの最上部電極層は、ナノ構造体の第2端部までずっと、複数の導電性ナノ構造体の隣接するナノ構造体の間の空間を完全に満たすことができ、それにより、エネルギー蓄積デバイスの堅牢性及び信頼性をさらに改善することができる。
【0046】
さらに、本発明の第1態様の実施形態によるMIMエネルギー蓄積デバイスは、電子デバイスに有利に含まれてもよいし、プリント回路基板(PCB)及びPCB上の集積回路(IC)をさらに備える。個別のMIMエネルギー蓄積デバイスは、PCB上の導体パターンを介してICに接続されてもよい。あるいは、個別のMIMエネルギー蓄積デバイスはICパッケージに接続されてもよい。回路基板は必ずしも従来のPCBである必要はなく、フレキシブル・プリント回路(FPC)又はSLP(基板状PCB)であってもよい。
【0047】
さらに、本発明の第1態様の実施形態によるMIMエネルギー蓄積デバイスは、電子デバイスに有利に含まれてもよいし、MIMエネルギー蓄積デバイスの再分配層の第1面上の第1複数のパッドに電気的及び機械的に接続される第1電気回路素子と、MIMエネルギー蓄積デバイスの再分配層の第2面上の第2複数のパッドに電気的及び機械的に接続される第2電気回路素子とをさらに備える。これらの実施形態では、MIMエネルギー蓄積デバイスは、第1回路素子と第2回路素子の間のインターポーザとしてさらに機能する。第1電気回路素子及び第2電気回路素子の各々又はいずれかは、例えば、集積回路、パッケージ化された電子部品、又はPCBFR-4基板のような回路基板を含む、電子デバイスの任意の電気部分であってもよい。
【0048】
本発明の第2態様によれば、基板に下部電極を設けるステップと、複数の導電性ナノ構造体における各ナノ構造体が下部電極から実質的に垂直に延び、ナノ構造体の第1端部が下部電極と導電的に接触するように、下部電極上に複数の導電性ナノ構造体を設けるステップと、下部電極上に設けられた複数の導電性ナノ構造体における各ナノ構造体上に、コンフォーマルな下部伝導制御層を適用するステップと、伝導制御層と電極層を交互に重ね、下部伝導制御層をコンフォーマルにコーティングする層状スタックを下部伝導制御層上に形成するステップとを含み、層状スタックは、層状スタックの下部に少なくとも第1奇数番目電極層と、第1奇数番目電極層の真上の第1奇数番目伝導制御層と、第1奇数番目伝導制御層の真上の第1偶数番目電極層とを含み、層状スタックは、層状スタックにおける各偶数番目電極層が下部電極に導電的に接続され、層状スタックの各奇数番目電極層が層状スタックの他の任意の奇数番目電極層に導電的に接続されるように形成される、金属-絶縁体-金属(MIM)エネルギー蓄積デバイスを製造する方法が提供される。
【0049】
本発明のこの第2態様のさらなる実施形態及び第2態様を介して得られる効果は、本発明の第1態様について上述したものとほぼ類似している。
【0050】
したがって、要約すると、本発明は、下部電極と、複数の導電性垂直ナノ構造体と、複数の導電性垂直ナノ構造体における各ナノ構造体をコンフォーマルにコーティングする下部伝導制御層と、伝導制御層と電極層を交互に重ね、下部伝導制御層をコンフォーマルにコーティングする層状スタックとを備え、層状スタックは、層状スタックの下部に少なくとも第1奇数番目電極層と、第1奇数番目電極層の真上の第1奇数番目伝導制御層と、第1奇数番目伝導制御層の真上の第1偶数番目電極層とを備える、MIMエネルギー蓄積デバイスに関する。層状スタックの各偶数番目電極層は、下部電極に導電的に接続され、層状スタックの各奇数番目電極層は、層状スタックの他の任意の奇数番目電極層に導電的に接続される。
【0051】
態様によれば、本発明は、また
第1電極層と、
第1電極層上に設けられる複数の導電性ナノ構造体と、
複数の導電性ナノ構造体における各ナノ構造体及び導電性ナノ構造体によって覆われていないままの第1電極層をコンフォーマルにコーティングする第1伝導制御材料層と、
第1伝導制御層をコンフォーマルにコーティングする第2電極層と、
第2電極層をコンフォーマルにコーティングする第2伝導制御層と、
第2伝導制御層をコンフォーマルにコーティングする第3電極層とを備え、第1電極層及び第3電極層は互いに導電的に接続される、金属-絶縁体-金属(MIM)エネルギー蓄積デバイスに関する。
【0052】
MIMエネルギー蓄積デバイスは、
第3電極層をコンフォーマルにコーティングする第3伝導制御層と、
第3伝導制御層をコンフォーマルにコーティングする第4電極層とをさらに備えてもよく、第2電極層及び第4電極層は互いに導電的に接続される。
【0053】
MIMエネルギー蓄積デバイスは、
エネルギー蓄積部品の外部電気接続のための第1接続構造体と、
エネルギー蓄積部品の外部電気接続のための第2接続構造体と、
MIM配列体を少なくとも部分的に埋め込む電気絶縁カプセル化材料とをさらに備え、第1電極層及び第3電極層は第1接続構造体に導電的に接続され、第2電極層は第2接続構造体に導電的に接続される、個別の金属-絶縁体-金属(MIM)エネルギー蓄積部品に含まれてもよい。
【0054】
本発明は、また
第1電極層と、
複数の導電性垂直ナノ構造体と、各々は第1電極層と導電的に接触している第1端部から第2端部まで延び、
伝導制御層と電極層を交互に重ね、複数の導電性ナノ構造体における各ナノ構造体及び導電性ナノ構造体によって覆われていないままの第1電極層をコンフォーマルにコーティングする層状スタックとを備え、
複数の導電性ナノ構造体の真上の層状スタック内の層は、第1伝導制御層であり
第1伝導制御層の真上の層状スタック内の層は、第2電極層であり、
第2電極層の真上の層状スタック内の層は、第2伝導制御層であり、
第2伝導制御層の真上の層状スタック内の層は、第3電極層であり、並びに
第1電極層及び第3電極層は互いに導電的に接続される、金属-絶縁体-金属(MIM)エネルギー蓄積デバイスに関する。
【0055】
第3電極層の真上の層状スタック内の層は、第3伝導制御層であってもよいし、
第3伝導制御層の真上の層状スタック内の層は、第4電極層であってもよいし、並びに
第2電極層及び第4電極層は、互いに導電的に接続されてもよい。
【0056】
層状スタックは、奇数の電極層を備えてもよいし、
層状スタックの下部から始まる偶数番目電極層は、第1電極層に導電的に接続され、及び
層状スタックの下部から始まる奇数番目電極層は、層状スタックの最上部にある最上部電極層に導電的に接続される。
【0057】
MIMエネルギー蓄積デバイスは、第1電極層に平行な実質的に平面の上部電極をさらに備えてもよく、及び
層状スタックの最上部にある最上部電極層は、上部電極に導電的に接続されてもよい。
【0058】
層状スタックの最上部にある最上部電極層は、複数の接続位置の上部電極に導電的に接続されてもよいし、各々は、複数の導電性垂直ナノ構造体におけるナノ構造体のそれぞれの第1端部から第2端部まで延びる線の延長に沿っている。
【0059】
さらに、本発明は、金属-絶縁体-金属(MIM)エネルギー蓄積部品に関し、
第1電極層と、第1電極層から成長した複数の導電性ナノ構造体と、複数の導電性ナノ構造体における各ナノ構造体及び導電性ナノ構造体によって覆われていないままの第1電極層をコンフォーマルにコーティングする第1伝導制御材料層と、第1伝導制御層をコンフォーマルにコーティングする第2電極層と、第2電極層をコンフォーマルにコーティングする第2伝導制御層と、第2伝導制御層をコンフォーマルにコーティングする第3電極層とを備えるMIM配列体と、
エネルギー蓄積部品の外部電気接続のための第1接続構造体と、
エネルギー蓄積部品の外部電気接続のための第2接続構造体と、
MIM配列体を少なくとも部分的に埋め込む電気絶縁カプセル化材料とを備え、第1電極層及び第3電極層は第1接続構造体に導電的に接続され、第2電極層は第2接続構造体に導電的に接続される、個別の金属-絶縁体-金属(MIM)エネルギー蓄積部品に関する。
【図面の簡単な説明】
【0060】
本発明のこれら及び他の態様を、本発明の例示的実施形態を示す添付の図面を参照して、より詳細に説明する。
【0061】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態によるMIMエネルギー蓄積デバイスの適用を携帯電話を概略の形態で概略的に示す。
【
図2】
図2は、現在の電子デバイスの典型的な回路基板を表すことができる、先行技術による回路基板の例を概略的に示す。
【
図3】
図3は、
図2の回路基板上の従来のエネルギー蓄積部品を本発明の例示的実施形態によるエネルギー蓄積デバイスと交換することの可能な意味を概略的に示す。
【
図4A】
図4Aは、本発明の第1例示的実施形態による、個別のコンデンサ部品などの個別のMIMエネルギー蓄積部品の形態のMIMエネルギー蓄積デバイスを部分的に開いた透視概略図である。
【
図5A】
図5Aは、
図4A及びBのMIMエネルギー蓄積デバイスの第1例示的構成の拡大図である。
【
図5B】
図5Bは、
図4A及びBのMIMエネルギー蓄積デバイスの第2例示的構成の拡大図である。
【
図6A】
図6Aは、本発明の第2例示的実施形態によるMIMエネルギー蓄積デバイスを、組み合わされたインターポーザ及びエネルギー蓄積デバイスの形態で示す透視概略図である。
【
図7A】
図7Aは、
図6A及びBのMIMエネルギー蓄積デバイスの第1例示的構成の拡大図である。
【
図7B】
図7Bは、
図6A及びBのMIMエネルギー蓄積デバイスの第2例示的構成の拡大図である。
【
図8】
図8は、本発明の実施形態による方法の例示的実施形態を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0062】
図1は、本発明の一実施形態による電子デバイスを、ここでは携帯電話1の形態で概略的に示す。
図1の簡略化された概略図では、携帯電話は、多くの電子デバイスと同様に、パッケージ化された集積回路5を実装した回路基板3、及びここではコンデンサ7の形態でエネルギー蓄積部品を含む受動部品を備えているのが示される。
【0063】
図2は、合理的で費用効果の高い大量生産のために現在利用可能な技術を使用した回路基板3の好ましい図であり、プリント回路基板(PCB)9に取り付けられた多数のコンデンサ7がある。現在使用されているコンデンサ7は、いわゆる多層セラミック・コンデンサ(MLCC)であることが多く、パッケージの最小の高さは約0.4mmである。
【0064】
処理速度がさらに速く、さらにコンパクトな電子デバイスを可能にするために、デカップリング及び一時的なエネルギー蓄積に必要なコンデンサ7が占める空間を縮小し、IC5とそのIC5の目的を果たすコンデンサ7との間の距離を縮小することが望ましい。
【0065】
これにより、本発明の実施形態によるMIMエネルギー蓄積デバイス、この場合、個別のMIMコンデンサ部品を使用して達成することができる。なぜなら、そのようなMIMコンデンサ部品は、同じキャパシタンス及びフットプリントを有する従来のMLCCよりもかなり小さいパッケージの高さで作ることができるからである。
【0066】
図3は、
図2の回路基板上の従来のコンデンサ部品を、本発明の例示的実施形態によるMIMコンデンサ部品11で置き換えることの可能性を意味する概略図である。
図3から明らかなように、本発明の実施形態によるMIMコンデンサ部品11のパッケージ高さの低減により、ICパッケージ5の接続ボール12の間でICパッケージ5の下にコンデンサ11を配置させる。明らかに、コンデンサ11のこの配置は、より小さなPCB9を可能にし、したがって、よりコンパクトな電子デバイス1を可能にする。IC5内の能動回路とコンデンサ11の間のより短い距離もまた、実現されることは明らかである。
【0067】
図4Aは、本発明の第1例示的実施形態によるMIMエネルギー蓄積デバイス11を部分的に開いた透視概略図であり、個別のコンデンサ部品などの個別のMIMエネルギー蓄積部品の形態であり、MIM-配列体13、第1接続構造体(
図4Aでは見えない)、第2接続構造体(
図4Aでは見えない)、及びエネルギー蓄積部品11の外側境界面を少なくとも部分的に形成するためにMIM-配列体13を少なくとも部分的に埋め込む誘電体カプセル化材料を備える。
【0068】
図4Bは、
図4Aの線A-A'に沿って取られた断面の
図4AのMIMエネルギー蓄積デバイス11の概略断面図である。
図4Bにおいて、この実施形態のMIMエネルギー蓄積デバイスは、MIMエネルギー蓄積デバイス層21、接続構造体層23、及びMIMエネルギー蓄積デバイス層21と接続構造体層23の間に配置される再分配層25を備えることが分かる。MIMエネルギー蓄積デバイス層21は、下部電極27、複数の導電性垂直ナノ構造体29(図面の乱雑さを避けるために
図4Bではこれらのうちの一つだけが参照番号で示されている)、下部伝導制御層31、及び伝導制御層と電極層を交互に重ね下部伝導制御層31をコンフォーマルにコーティングすることを含む層状スタック33を備える。MIMエネルギー蓄積デバイス層21の例示的構成は、
図5A及びB及び他の図を参照して、以下でより詳細に説明する。
【0069】
接続構造体層23は、MIMエネルギー蓄積デバイス11の外部電気接続のために、
図4Aを参照して上記で言及した第1接続構造体15及び第2接続構造体17を備える。
図4Bに概略的に示すように、第1接続構造体15は、下部電極27に導電的に接続され、第2接続構造体17は、層状スタック33内の選択された電極層に導電的に接続される。特に、第2接続構造体17は、層状スタック33内の各奇数番目電極層に導電的に接続される。これは、層状スタック33の構成を
図5A-B及び他の図を参照してより詳細に説明するとき、以下でより明確になるだろう。
【0070】
再分配層25は、MIMエネルギー蓄積デバイス層21の下部電極27を接続構造体層23の第1接続構造体15に導電的に接続し、MIMエネルギー蓄積デバイス層21の層状スタック33内の少なくとも一つの奇数番目電極層を接続構造体層23の第2接続構造体17に導電的に接続するように構成される。
【0071】
図4Bに概略的に示すように、電気絶縁性カプセル化材料19は、第1接続構造体15及び第2接続構造体17を埋め込み、一方、第1接続構造体15及び第2接続構造体17を覆わないままにしている。MIMエネルギー蓄積デバイス11の外側境界面は、カプセル化材料19並びに第1接続構造体15及び第2接続構造体17によって形成される。
【0072】
図5Aは、
図4A及びBのMIMエネルギー蓄積デバイス11の第1例示的構成を示す拡大図である。
図5Aに概略的に示すように、導電性垂直ナノ構造体29の各々は、下部電極27と導電的に接触する第1端部35から上部の端部37まで延びる。
図5Aの拡大部分で最もよく分かるように、下部伝導制御層31は、ナノ構造体29をコンフォーマルにコーティングする。
図5Aの例示的構成では、下部伝導制御層31は、ナノ構造体29によって覆われない下部電極27の部分をさらにコンフォーマルにコーティングする。
【0073】
図5Aの拡大部分を引き続き参照すると、伝導制御層と電極層を交互に重ねる層状スタック33は、下部伝導制御層31をコーティングし、層状スタック33の下部に少なくとも第1奇数番目(第1)電極層39と、第1奇数番目電極層39の真上の第1奇数番目(第1)伝導制御層41と、第1奇数番目伝導制御層41の真上の第1偶数番目(第2)電極層43とを含む。
図5Aの例示的構成では、層状スタック33は、さらに、第1偶数番目(第2)伝導制御層45及び第2奇数番目(第3)電極層47を含む。
図5Aには示していないが、層状スタック33における各偶数番目電極層(第2電極層43)は、下部電極27に導電的に接続され、層状スタック33における各奇数番目電極層(第1電極層39及び第3電極層47)は、層状スタックにおける他の任意の奇数番目電極層に(互いに)導電的に接続される。
【0074】
MIMエネルギー蓄積デバイス11がコンデンサである実施形態では、各伝導制御層は、固体誘電体で作られる。
【0075】
図5Aの例示的構成では、最上部電極層(この場合、第3電極層47)は、ナノ構造体29の第1端部35と第2端部37の間の中間を越えて、隣接するナノ構造体29の間の空間を完全に満たす。
図5Aの好ましい構成では、最上部電極層47は、第1端部35から第2端部37までずっと、さらにその先まで、隣接するナノ構造体29の間の空間を完全に満たす。
【0076】
図5Aには示していないが、層状スタック内のどの層も、サブレイヤーによって形成してもよいことを理解されたい。特に、最上部電極層47は、真下にある伝導制御層45をコンフォーマルにコーティングする第1サブレイヤーと、ナノ構造体29の間の空間を満たす第2サブレイヤーとを備えてもよい。
【0077】
さらに、例えば、図に示していない金属拡散バリアとしての追加のサブレイヤーが、本発明の開示に従って都合よく存在する場合がある。
【0078】
次に、MIMエネルギー蓄積デバイス11の第2例示的構成について、
図5Bを参照して説明する。
図5BのMIMエネルギー蓄積デバイス11は、ナノ構造体29及び層状スタック33が、例えば、スピン・コーティング、スプレー・コーティング、又はディッピングなどを用いて適用することができる誘電材料49に埋め込まれる点で、
図5Aを参照して上述したものと主に相違する。
【0079】
図5A及びBのMIMエネルギー蓄積デバイス11の構成は、示すコンデンサ構成からエネルギー蓄積/電池構成に変更できることを理解されたい。そのような構成では、伝導制御層は、固体誘電体ではなく、電解質、好ましくは固体電解質で作られる。また、固体誘電体層及び固体電解質層の組み合わせによるデバイスが想定される。
【0080】
図6Aは、本発明の第2例示的実施形態によるMIMエネルギー蓄積デバイス11を、インターポーザとエネルギー蓄積デバイスとを組み合わせた形態で示す透視概略図である。
図6Aでは、MIMエネルギー蓄積デバイスは、ここでは第1集積回路(IC)53の形態の第1電気回路素子と、ここでは第2IC55の形態の第2電気回路素子と、第1IC53と第2IC55を電気的及び機械的に相互接続するMIMエネルギー蓄積デバイス11とを備える本発明の実施形態による電子デバイス51に含まれるように図示される。
【0081】
図6Aに概略的に示すように、MIMエネルギー蓄積デバイス(インターポーザ)11は、第1MIM配列体13a及び第2MIM配列体13bを備える。
【0082】
図6Aでは参照番号で示していないが(ただし
図6Bでは)、第1MIM配列体13a及び第2MIM配列体13bは、MIMエネルギー蓄積デバイス層に配置され、インターポーザ11は、第1接続構造体層及び第2接続構造体層、並びにMIMエネルギー蓄積デバイス層の様々な構造体を接続構造体層における接続構造体に結合するための再分配層をさらに備える。インターポーザ11は、インターポーザ11の第1面59上の第1複数のパッド57、及びインターポーザ11の第2面61上の第2複数のパッド(
図6Aでは見えない)を備える。第1複数のパッド57におけるパッドは、第1IC53の対応するパッドに電気的及び機械的に接続するように配置及び構成され、第2複数のパッドにおけるパッドは、第2IC55の対応するパッド63に電気的及び機械的に接続するように配置及び構成される。
図6Bでより良く分かるように、インターポーザ11は複数のバイアをさらに備え、各々はインターポーザ11(少なくともインターポーザ11の再分配層)を通過して第1複数のパッド57におけるそれぞれのパッドを第2複数のパッドにおけるそれぞれのパッドに導電的に接続する。
【0083】
図6Aの例では、第1IC53はインターポーザ11によって第2IC55に結合され、第1IC53も第2IC55も共にインターポーザ11のMIM配列体13a-bに接続される。これにより、インターポーザ11は、例えば、第2IC55から供給される電気エネルギーによって充電し、第1IC53に放電することができる。このように、インターポーザ11は、第1IC53及び/又は第2IC55の電荷蓄積器として機能することができる。
【0084】
図6Aに示す以外に多くの導体パターンが可能であり、特定の用途に応じて有利になる場合があることに注意されたい。例えば、電力網及び信号ルーティングの目的で追加の導体パターンが存在する場合がある。
【0085】
図6Bは、
図6AのMIMエネルギー蓄積デバイス11の
図6Aの線B-B'に沿って取られた断面の概略的な部分断面図である。
図6Bから分かるように、上述した第1接続構造体層23a及び第2接続構造体層23bは、第1再分配層25a及び第2再分配層25bを介してMIMエネルギー蓄積デバイス層21に導電的に接続される。インターポーザ11の第1面59には、
図6Bの断面図において、第1パッド57a及び第2パッド57bが見え、インターポーザ11の第2面61には、一つのパッド65が見える。
図6Bに概略的に示すように、インターポーザ11の第1面59上の第1パッド57aは、第1バイア67aを介してMIMエネルギー蓄積デバイス層21の下部電極27に導電的に接続される。インターポーザ11の第1面59上の第2パッド57bは、第2バイア67bを介してMIMエネルギー蓄積デバイス層21の上部電極69に導電的に接続される。インターポーザ11の第1面59上の第1パッド57aは、さらに、第1接続構造体層23aの導体トレース71及び第3バイア67cを介してインターポーザの第2面61上のパッド65に導電的に接続される。
【0086】
図7A及び
図7Bは、
図6A及びBのMIMエネルギー蓄積デバイス11におけるMIMエネルギー蓄積層21の様々な構成を示す部分断面図である。
図7A及び
図7Bの構成は、
図4A及び
図4Bを参照して説明するMIMエネルギー蓄積デバイス11に使用してもよいし、
図5A及び
図5Bを参照して上述する構成は、
図6A及び
図6BのMIMエネルギー蓄積デバイス11に使用してもよいことに注意されたい。
【0087】
最初に
図7Aを参照すると、ここでは導電性垂直ナノ構造体29は、下部電極27上に周期的な構成で予めパターン化された触媒層73から成長する。ナノ構造体29は、例えば、各ナノ構造体29がナノ構造体29の第2端部37に触媒材料を含むように、それ自体は既知の先端成長により触媒層73から成長する、カーボン・ナノファイバーなどの導電性カーボンナノ構造体であってもよい。
【0088】
図5A及び
図5Bを参照して上述したように、下部伝導制御層31は、ナノ構造体29及びナノ構造体29によって覆われていない下部電極27の部分をコンフォーマルにコーティングする。
【0089】
伝導制御層と電極層を交互に重ねる層状スタック33は、下部伝導制御層31をコーティングし、層状スタック33の下部に少なくとも第1奇数番目(第1)電極層39と、第1奇数番目電極層39の真上の第1奇数番目(第1)伝導制御層41と、第1奇数番目伝導制御層41の真上の第1偶数番目(第2)電極層43とを含む。
図7Aの例示的構成では、層状スタック33は、さらに、第1偶数番目(第2)伝導制御層45、及び第2奇数番目(第3)電極層47を含む。
図7Aの例示的構成では、第3電極層47は、層状スタック33の最上部の奇数番目電極層であり、
図7Aで分かるように、この電極層47は、複数の接続位置75(図面の乱雑さを避けるため、
図7Aではこれらのうちの一つだけを参照番号で示す)で上部電極69に導電的に接続され、各々はそれぞれのナノ構造体29の第1端部35及び第2端部37を通過する直線77に沿うものである。
【0090】
層状スタック33における各偶数番目電極層(第2電極層43)は、下部電極27に導電的に接続され、層状スタック33における各奇数番目電極層(第1電極層39及び第3電極層47)は、層状スタックにおける他の任意の奇数番目電極層に(互いに)、したがって、また上部電極69にも導電的に接続される。
図7Aの例示的構成では、第2電極層43及び下部電極27は、第1インターコネクト79によって互いに接続され、第1電極層39及び第3電極層47は、第2インターコネクト81によって互いに接続される。
図7Aの第1例示的構成では、ナノ構造体29の間の空間は、誘電材料83によって満たされる。
図7AのMIMエネルギー蓄積デバイス層21を形成するとき、層状スタック33は誘電材料83によって覆ってもよいし、その後、層状スタック33の最上部電極層47が露出するまで、平坦化プロセスで過剰な誘電材料を除去してもよい。その後、上部電極69を堆積させてもよい。
【0091】
図7Bの第2例示的構成では、ナノ構造体の間の空間は、代わりに最上部電極層47で満たされ、その後、平坦化されて上部電極69が形成される。
【0092】
図8は、本発明の実施形態によるMIMエネルギー蓄積デバイス11を製造するための、本発明の例示的実施形態による方法を概略的に示すフローチャートである。
【0093】
第1ステップ100では、基板が提供される。基板は、例えば、ガラス、シリコン、SiC、セラミック、又はポリマー基板であってよく、その上には上述した下部電極27が設けられる。基板と下部電極27の間には、いわゆる犠牲層が存在してもよい。
【0094】
続くステップ101では、複数の導電性ナノ構造体29は、各ナノ構造体29が下部電極27から実質的に垂直に延び、ナノ構造体29の第1端部35が下部電極27と導電的に接触するように設けられる。有利には、ナノ構造体29は、垂直ナノ構造体を成長させるため、それ自体は既知の技術を使用して、下部電極27から成長してもよい。
【0095】
その後、ステップ102では、垂直ナノ構造体29、及びナノ構造体29によって覆われていないままの下部電極27の部分は、下部伝導制御層31によってコンフォーマルにコーティングしてもよい。下部伝導制御層31と同様にMIMエネルギー蓄積デバイス11における追加のコンフォーマル層も、例えば、蒸着、熱プロセス、原子層堆積(ALD)などを介して、コンフォーマル層を作るのに適した任意の既知の方法を用いて堆積させてもよい。
【0096】
有利には、下部伝導制御層31は、ナノ構造体29の一面に原子均一性で均一にコーティングしてもよい。
【0097】
次のステップ103では、伝導制御層と電極層を交互に重ね、下部伝導制御層をコンフォーマルにコーティングすることを含む層状スタック33が、下部伝導制御層31上に形成される。層状スタックは、層状スタック33の下部に少なくとも第1奇数番目電極層39と、第1奇数番目電極層39の真上の第1奇数番目伝導制御層41と、第1奇数番目伝導制御層41の真上の第1偶数番目電極層43とを含む。層状スタック33は、層状スタックにおける各偶数番目電極層が下部電極に導電的に接続され、層状スタックにおける各奇数番目電極層が層状スタックにおける他の任意の奇数番目電極層に導電的に接続されるように形成される。
【0098】
任意のステップ104では、基板は、例えば、犠牲層を選択的に除去することにより、そのような層が基板上に存在する場合、除去してもよい。あるいは、基板は、例えば、化学的又は機械的研磨によって薄肉化してもよい。
【0099】
追加の任意ステップ105では、一つ又は複数の再分配層及び一つ又は複数の接続構造体層などの一つ又はいくつかの層は、それ自体は既知の方法及び材料を用いて形成してもよい。
【0100】
本発明が決して上述した好ましい実施形態に限定されるものではないことを当業者なら理解する。それどころか、添付の特許請求の範囲内で、多くの修正及び変形が可能である。
【0101】
特許請求の範囲において、単語“comprising”は他の要素又はステップを排除せず、不定冠詞“a”又は“an”は複数を排除しない。単一のプロセッサ又は他のユニットは、特許請求の範囲に記載される複数の項目の機能を果たすこともある。特定の措置が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの措置の組み合わせが有利に使用できないことを示すものではない。特許請求の範囲におけるいかなる参照符号も、その範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【国際調査報告】