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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-25
(54)【発明の名称】単球
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/53 20060101AFI20230518BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20230518BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20230518BHJP
   C12N 5/0786 20100101ALI20230518BHJP
   C12Q 1/04 20060101ALI20230518BHJP
   C12N 15/13 20060101ALN20230518BHJP
【FI】
G01N33/53 Y
C12N15/12
C07K16/28
C12N5/0786
C12Q1/04
C12N15/13 ZNA
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022561151
(86)(22)【出願日】2021-04-09
(85)【翻訳文提出日】2022-11-28
(86)【国際出願番号】 GB2021050869
(87)【国際公開番号】W WO2021205179
(87)【国際公開日】2021-10-14
(31)【優先権主張番号】2005274.2
(32)【優先日】2020-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】595042184
【氏名又は名称】ユニバーシティ オブ サリー
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】エストラーダ,フェルナンド オニッシー マルティネズ
(72)【発明者】
【氏名】コンベス,セオ ウィリアム
【テーマコード(参考)】
4B063
4B065
4H045
【Fターム(参考)】
4B063QA18
4B063QQ02
4B063QQ08
4B063QQ79
4B063QR48
4B063QR72
4B063QR77
4B063QX02
4B065AA92X
4B065AA94X
4B065CA46
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA42
4H045DA76
4H045EA50
4H045EA60
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、新規なパン-単球(pan-monocyte)/パン-単球由来細胞(pan-monocyte-derived cell)バイオマーカー、および当該マーカーに免疫特異的な抗体の使用に関するものである。本発明は、上記マーカーおよび抗体に基づいて、血液などの生体試料からヒトの単球および単球由来細胞を単離、検出する方法にも及ぶ。
【選択図】図6B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体試料から単球および/または単球由来細胞を単離するための、コロニー刺激因子1受容体(CSF-1R)、またはその変異体もしくは断片に結合する、抗体もしくはその抗原結合断片の使用。
【請求項2】
前記生体試料がヒトまたはマウスの生体試料である、請求項1に記載の抗体もしくはその抗原結合断片の使用。
【請求項3】
前記生体試料が組織または生体液である、請求項1または2に記載の抗体もしくはその抗原結合断片の使用。
【請求項4】
前記生体試料が血液である、請求項1~3のいずれか1項に記載の抗体もしくはその抗原結合断片の使用。
【請求項5】
前記単球由来細胞がマクロファージまたは骨髄系樹状細胞である。請求項1~4のいずれか1項に記載の使用。
【請求項6】
前記単離は蛍光活性化細胞選別(FACS)、磁気活性化細胞分離または浮力活性化細胞分離の使用を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の使用。
【請求項7】
前記磁気活性化細胞分離が免疫磁気細胞分離またはアフィニティー磁気細胞分離である、請求項6に記載の使用。
【請求項8】
前記CSF-R1は、配列番号:1に実質的に記載されるアミノ酸配列、またはその変異体もしくは断片を含むまたはから構成される、請求項1~7のいずれか1項に記載の抗体もしくはその抗原結合断片の使用。
【請求項9】
前記抗体またはその抗原結合断片は下記を単離するために使用される、請求項1~8のいずれか1項に記載の抗体もしくはその抗原結合断片の使用:
i)CD14陽性およびCD16陽性単球;
ii)CD14陰性およびCD16陽性単球;
iii)CD14陽性およびCD16陰性単球;および/または
iv)CD14陰性およびCD16陰性単球由来骨髄系樹状細胞。
【請求項10】
前記抗体またはその抗原結合断片は下記を単離するために使用される、請求項1~9のいずれか1項に記載の抗体もしくはその抗原結合断片の使用:
i)CD14陽性およびCD16陽性単球;
ii)CD14陰性およびCD16陽性単球;
iii)CD14陽性およびCD16陰性単球;および
iv)CD14陰性およびCD16陰性単球由来骨髄系樹状細胞。
【請求項11】
i)単球および/または単球由来細胞を含む生体試料を、請求項1~10のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片と接触させ;さらに
ii)前記抗体またはその抗原結合断片に結合する生体試料中に存在する単球および/または単球由来細胞を回収することにより、単球および/または単球由来細胞を単離する、
ことを有する、生体試料から単球および/または単球由来細胞を単離する方法。
【請求項12】
前記方法は下記を単離するために使用される、請求項11に記載の方法:
i)CD14陽性およびCD16陽性単球;
ii)CD14陰性およびCD16陽性単球;
iii)CD14陽性およびCD16陰性単球;および/または
iv)CD14陰性およびCD16陰性単球由来骨髄系樹状細胞。
【請求項13】
前記方法は下記を単離するために使用される、請求項11または12に記載の方法:
i)CD14陽性およびCD16陽性単球;
ii)CD14陰性およびCD16陽性単球;
iii)CD14陽性およびCD16陰性単球;および
iv)CD14陰性およびCD16陰性単球由来骨髄系樹状細胞。
【請求項14】
前記方法は蛍光活性化細胞選別(FACS)、磁気活性化細胞分離または浮力活性化細胞分離の使用を含む、請求項11~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記磁気活性化細胞分離が免疫磁気細胞分離またはアフィニティー磁気細胞分離である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記方法はFACSの使用を含み、前記方法は下記を有する、請求項11~14のいずれか1項に記載の方法:
i)単球および/または単球由来細胞を含む生体試料を、請求項1~10のいずれか1項に記載の蛍光標識された抗体またはその抗原結合断片と接触させ;さらに
ii)前記生体試料中に存在する細胞をその蛍光に基づいて選別し;さらに
iii)前記蛍光標識された抗体に結合する前記生体試料中に存在する単球および/または単球由来細胞を回収することにより、前記生体試料中に存在する単球および/または単球由来細胞を単離する。
【請求項17】
前記生体試料が組織または生体液である、請求項11~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
i)単球および/または単球由来細胞を含む生体試料を、請求項1~10のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片と接触させ;さらに
ii)検出手段により前記生体試料中に存在する単球および/または単球由来細胞を検出する、
ことを有する、生体試料中に存在する単球および/または単球由来細胞を検出する方法。
【請求項19】
前記検出手段が免疫染色またはFACSを含む、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単球および単球由来細胞に関し、特に、下記に限定されるものではないが、新規なパン-単球/パン-単球由来細胞(pan-monocyte/pan-monocyte-derived cell)バイオマーカーおよび当該マーカーに免疫特異的な抗体の使用に関する。本発明は、上記マーカーおよび抗体に基づいて、血液などの生体試料のヒトの単球および単球由来細胞を単離および検出する方法にも及ぶ。
【背景技術】
【0002】
単球は、ヒトの白血球(すなわち、ロイコサイト)の約10%を占め、マクロファージや骨髄系樹状細胞(myeloid lineage dendritic cells)へと分化することができる。ヒトの血液中の単球は、その表現型受容体に基づき、少なくとも3つのサブクラスが存在する。第一に、クラシカル単球(classical monocyte)は、CD14細胞表面受容体の高発現によって特徴づけられる(すなわち、CD14++CD16単球)。第二に、ノンクラシカル単球(non-classical monocyte)は、CD14の低レベル発現およびCD16受容体の追加の共発現(additional co-expression)を示す(すなわち、CD14++CD16++単球)。第三に、インターメディエイト単球(intermediate monocyte)は、CD14の高レベル発現およびCD16の低レベル発現を示す(すなわち、CD14++CD16単球)。
【0003】
単球数は、全血球数の一部であり、白血球中の単球の割合(%)としてまたは絶対数としてのいずれかで表される。どちらも有用であるが、これらの細胞は単球のサブセットを決定して初めて有効な診断手段となる。単球増加症は、末梢血中の単球が過剰な状態であり、慢性炎症、免疫介在性疾患、動脈硬化症等の様々な病態を示唆することがある。敗血症ではCD14++CD16++の単球が多く見られ、動脈硬化の分野では、多数のCD14++CD16のインターメディエイト単球がリスクのある集団における心血管イベントの予測因子であることが示されている。
【0004】
現在、血液からパン-単球を分離するためには、CD3、CD7、CD16、CD19、CD56、CD123、およびGlycophorin Aに結合する複数の異なる抗体を用いたネガティブセレクションの手法を使用する必要がある。
【0005】
CD14及びCD16マーカーは、ゲノム中の系統決定サイトカイン受容体(lineage determining cytokine receptors)の近傍にある(Goyert et al., 1988; Mahaweni et al., 2018)。しかしながら、本発明者らは、それらは、実際には、単球の個体発生を完全に捕らえることができない下流マーカーであると考える。多数の研究が、この分類を使用して、これらの細胞のトランスクリプトーム、プロテオーム及び機能的特性を特徴付けている(Martinez, 2009)。単球のサブセットもまた、多くの病態で研究されている。サブセットを同定するために、ゲート戦略は、好中球を排除する単球の形状、CD14およびCD16の発現、ならびにリンパ系細胞の排除に着目する。しかしながら、これらのゲートと除外基準との組み合わせは、臨床の場では大きな限界と再現性の低さをもたらしている。
【発明の概要】
【0006】
したがって、生体試料からの単球の分離および検出を容易にするまたは改善する、改良された単球マーカーや抗体が強く求められている。
【0007】
本発明は、従来技術の問題を克服しようとする本発明者らの研究に起因する。
【0008】
本発明者らは、ヒト血液中の系統決定受容体(lineage determining receptors)の共発現(co-expression)を調査した。その結果、驚くべきことに、CSF-1Rがパン-単球マーカーとして使用できる可能性があることを見出した。本発明者らはCSF-1R抗体を用いてすべての単球を分離することができたが、これは、CD14またはCD16というマーカーだけでは達成できず、また、追加の抗体を必要としなかった。本発明者らは、CSF-1Rが、正確な単離、定量を可能にする主な単球マーカーとして使用できること、また、個体発生の観点から新規の単球を見ることができることを示した。さらに、本発明者らは、CD14またはCD16を発現せず、したがって現在の単離および検出アプローチを用いては検出されないであろうCSF1R+細胞の第4のサブセットを同定した。
【0009】
CSF-1Rに結合する抗体は公知である。例えば、エマクトズマブ(emactuzumab)は、US 2011/0165156号に記載されているようなヒト化モノクローナル抗体であり、CSF-1Rに結合し、多くの症状の治療に利用されてきた。しかしながら、今日まで、単球の検出および単離にこの抗体を使用した記録はない。本発明者らは、驚くべきことに、CSF-1Rのみに結合する抗体を用いて、生体試料中に存在するすべての単球集団をプルダウンすることができ、したがって、他の抗体や単離工程の使用を必要としないパン-単球単離抗体として使用することができることを示した。
【0010】
したがって、本発明の第1の側面によれば、生体試料から単球および/または単球由来細胞を単離するための、コロニー刺激因子1受容体(colony stimulating factor 1 receptor)(CSF-1R)、またはその変異体もしくは断片に結合する抗体またはその抗原結合断片の使用が提供される。
【0011】
単球由来細胞は、マクロファージおよび/または骨髄系樹状細胞(myeloid lineage dendritic cell)であってもよい。好ましくは、単球由来細胞は、マクロファージである。好ましくは、単球由来細胞は、骨髄系樹状細胞である。
【0012】
好ましくは、生体試料は、ヒトまたはマウスの生体試料である。最も好ましくは、生体試料は、ヒトの生体試料である。
【0013】
生体試料は、組織であってもよいし、生体液(biological fluid)であってもよい。
【0014】
生体試料は、単球が得られる対象から得られるものであれば、どのようなものであってもよい。さらに、試料は、血液、血漿、血清、髄液、尿、汗、唾液、涙、乳房吸引液、母乳、前立腺液、精液、膣液、便、頸部擦過、サイテ(cytes)、羊水、眼内液、粘液、呼気中の水分、動物組織、細胞溶解液、腫瘍組織、毛髪、皮膚、頬擦り片(buccal scrapings)、リンパ、間質液、爪、骨髄、軟骨、プリオン、骨粉、耳垢、リンパ、肉芽、癌生検またはそれらの組合せであってもよい。
【0015】
試料は、液体吸引物であってもよい。例えば、試料は、気管支肺胞洗浄液(BAL)、腹水、胸膜洗浄液、腹膜洗浄液または心嚢洗浄液であってもよい。
【0016】
一実施形態では、生体試料は、組織、例えば、癌生検または肉芽腫などを含む。組織は、本方法を実施する前にさらに処理されてもよい。例えば、組織は、CSF-R1を分解することなく、酵素的に消化されてもよい。
【0017】
好ましい一実施形態では、生体試料は、血液試料を含む。血液は、静脈血または動脈血であってよい。血液サンプルは、直ちにアッセイされてもよい。または、血液サンプルは、本方法を実施する前に、低温で、例えば、冷蔵庫でまたは凍結して保存されてもよい。または、血液サンプルは、本方法が実施される前に、室温、例えば、18~22℃の間で保存されてもよい。血液サンプルは、血清を含むものであってもよい。血液サンプルは、血漿を含むものであってもよい。しかしながら、好ましくは、検出は全血で実施され、最も好ましくは、血液サンプルは末梢血である。本方法は、少なくとも1mlの血液、少なくとも500μlの血液、少なくとも400μlの血液、少なくとも400μlの血液、少なくとも300μlの血液、少なくとも200μlの血液、少なくとも100μlの血液、または少なくとも50μlの血液で実施されてもよい。
【0018】
第1の側面の使用が実行される前に、血液をさらに処理してもよい。例えば、クエン酸塩(クエン酸ナトリウムなど)、ヒルジン、ヘパリン、PPACK、またはフッ化ナトリウムなどの抗凝固剤を添加してもよい。このように、試料採取容器は、血液サンプルが凝固するのを防ぐために、抗凝固剤を含んでもよい。
【0019】
一実施形態では、細胞が単球である場合、好ましくは、試料は血液サンプルである。一実施形態では、細胞が単球由来細胞である場合、好ましくは、試料は組織サンプルである。
【0020】
当業者は、コロニー刺激因子1受容体(CSF-R1)が、Cluster of Differentiation 115(Cluster of Differentiation 115)(CD115)またはマクロファージコロニー刺激因子受容体(macrophage colony-stimulating factor receptor)(M-CSFR)とも呼ばれ得ることを理解するであろう。
【0021】
一実施形態では、CSF-R1は、本明細書において配列番号:1として提供される、GeneBank ID 1436によって、以下のように提供される:
【0022】
【化1】
【0023】
したがって、CSF-R1は、好ましくは、実質的に配列番号:1に示されるようなアミノ酸配列、またはその変異体もしくは断片を含む、またはこれから構成される。
【0024】
単球は、CD14陽性および/またはCD16陽性であってもよい。
【0025】
好ましくは、抗体は、すべてのサブクラスの単球を単離することができる。
【0026】
本発明者らは、特に驚くべきことに、単球由来の骨髄系樹状細胞である、CD14陰性およびCD16陰性の細胞が、抗体を用いて単離または検出され得ることを観察した。それゆえ、好ましくは、抗体またはその抗原結合断片は、CD14陰性およびCD16陰性の単球由来骨髄系樹状細胞を単離するために使用され得る。
【0027】
CD14陰性およびCD16陰性の単球由来の骨髄系樹状細胞は、CD1Cの発現によって定義することができる。
【0028】
CD1Cは、皮質胸腺細胞抗原(Cortical Thymocyte Antigen)とも呼ばれることがある。
【0029】
したがって、好ましくは、抗体、またはその抗原結合断片は、以下の単離のために使用されてもよい:
i)CD14陽性およびCD16陽性単球;
ii)CD14陰性およびCD16陽性単球;
iii)CD14陽性およびCD16陰性単球;および/または
iv)CD14陰性およびCD16陰性単球由来骨髄系樹状細胞。
【0030】
好ましくは、抗体、またはその抗原結合断片は、以下の単離のために使用されてもよい:
i)CD14陽性およびCD16陽性単球;
ii)CD14陰性およびCD16陽性単球;
iii)CD14陽性およびCD16陰性単球;および
iv)CD14陰性およびCD16陰性単球由来骨髄系樹状細胞。
【0031】
ゆえに、好ましくは、抗体、またはその抗原結合断片は、以下の単離のために使用されてもよい:
i)CD14陽性およびCD16陽性単球;
ii)CD14陰性およびCD16陽性単球;
iii)CD14陽性およびCD16陰性単球;および/または
iv)CD14陰性、CD16陰性およびCD1C単球由来骨髄系樹状細胞(CD1C monocyte-derived myeloid lineage dendritic cell)。
【0032】
ゆえに、好ましくは、抗体、またはその抗原結合断片は、以下の単離のために使用されてもよい:
i)CD14陽性およびCD16陽性単球;
ii)CD14陰性およびCD16陽性単球;
iii)CD14陽性およびCD16陰性単球;および
iv)CD14陰性、CD16陰性およびCD1C陽性単球由来系骨髄樹状細胞(CD1C positive monocyte-derived lineage myeloid dendritic cell)。
【0033】
好ましくは、この使用は、他の抗体、またはその抗原結合断片の使用を含まない。
【0034】
第1の側面の使用は、蛍光活性化細胞選別(florescence-activated cell sorting)(FACS)、磁気活性化細胞分離(magnetic activated cell separation)または浮力活性化細胞分離(buoyancy activated cell separation)によって実施されてもよい。このような方法は、当業者に知られているであろう。
【0035】
したがって、本使用は、蛍光体、磁性粒子、またはガラスマイクロバブルに結合された(conjugated)、抗体またはその抗原結合断片の使用を含んでいてもよい。
【0036】
好ましくは、本使用は、磁性粒子に結合した(conjugated)抗体またはその抗原結合断片の使用を含んでいてもよい。したがって、好ましくは、本使用は、免疫磁気細胞分離(immunomagnetic cell separation)またはアフィニティー磁気細胞分離(affinity magnetic cell separation)などの磁気活性化細胞分離を含んでいてもよい。このような方法は、当業者に知られているであろう。
【0037】
当業者であれば、免疫磁気分離が体液や培養細胞から効率的に細胞を分離できる実験ツールであることを理解するであろう。DNA解析では、この技術とポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の併用が支持されているため、本技術はPCRと組み合わせて使用することができる。適切な免疫磁気分離システムには、Dynalシステム(Dynal [UK] Ltd., Wirral, Mersyside, UK; Dynal, Inc., Lake Success, NY)およびMiltenyi Biotech (Miltenyi Biotech Ltd., Bisley, Surrey, UK; Miltenyi Biotech Inc., Auburn, CA)によって製造されるMACSシステムがある。
【0038】
当業者であれば、免疫磁気分離を用いて、抗体やレクチンを含む小さな磁化粒子、ビーズを付着させて生体分子を特異的に捕捉することにより、細胞培養液や体液中の細胞、タンパク質、および核酸を単離することができることを理解するだろう。これらのビーズは、標的生体分子に結合するようにコーティングされ、穏やかに分離され、洗浄を何度も繰り返すことで、磁場の強さと標的分子に基づいて区別できる超常磁性ビーズに結合した標的分子を得ることができる。次に、このビーズを溶出させて上清を回収した後、特異的標的生体分子の濃度を測定することができる。
【0039】
細胞集団の混合物を磁場中に置くと、細胞は超常磁性ビーズ、一例としてDynabeads(4.5-μm)に付着し、過剰な基質が除去されると標的抗原に結合して残る。Dynabeadsは、鉄を含むコアが生体分子の吸収を可能にするポリマーシェルの薄い層でコーティングされて構成される。上記ビーズは、第一の態様による抗体または抗原結合断片でコーティングされていてもよい;磁化ビーズコート材料間の結合は、細胞の培養がより望ましい場合にビーズから細胞を分離できるように、切断可能なDNAリンカーであってよい。
【0040】
他の多くの市販のビーズは、分離の原理が同じである;しかしながら、磁場の存在および異なる強さは、細胞集団の分離の影響に基づいて、特定のサイズのビーズを必要とする可能性があるが、これは当業者には知られていることであろう。
【0041】
好ましくは、本使用は、FACSの使用を含み、ここで、前記使用は、以下を含む:
i)単球および/または単球由来細胞を含む生体試料(biological sample)を、第1の態様の蛍光標識抗体またはその抗原結合断片と接触させ;および
ii)前記生体試料中に存在する細胞を、その蛍光に基づいて選別し;および
iii)前記蛍光標識された抗体に結合する前記生体試料中に存在する単球および/または単球由来細胞を回収し、それによって前記生体試料中に存在する単球および/または単球由来細胞を単離する。
【0042】
当業者であれば、蛍光発光プロファイルおよび/または蛍光強度に基づいて細胞を選別することができ、これは使用する蛍光標識に依存し、当技術分野において既知であることを理解するであろう。
【0043】
好ましくは、本使用は、磁気細胞ソーティング(magnetic cell sorting)の使用を含み、前記使用は、以下を含む:
i)単球および/または単球由来細胞を含む生体試料を、第1の態様の抗体またはその抗原結合断片で被覆された磁気ビーズと接触させ;および
ii)前記i)から得られた試料を磁場中に置き、磁気ビーズに結合した単球および/または単球由来細胞を試料中に存在する他の細胞から分離し;
iii)前記試料を洗浄して、前記試料から他の細胞を除去し;および
iii)磁気ビーズに結合する前記生体試料中に存在する単球および/または単球由来細胞を回収し、それによって前記生体試料中に存在する単球および/または単球由来細胞を単離する。
【0044】
本発明は、CSF-1Rに対して免疫特異性を有する全抗体(すなわち、免疫グロブリン)、およびCSF-1Rに結合する対応する全長抗体の抗原結合断片または領域の双方に及ぶものである。
【0045】
好ましい実施形態では、抗体はハイブリドーマクローン番号9-4D2-1E4由来のもしくは誘導可能な抗体(an antibody derived or derivable from)である、または、抗体はハイブリドーマクローン番号12-3A3-1B10由来のもしくは誘導可能な抗体(an antibody derived or derivable from)である。
【0046】
好ましい実施形態では、ヒト抗体は、エマクトズマブ(emactuzumab)であり、これは、RG7155とも呼ばれ、US 2011/0165156号に定義されるCD115結合抗体でありうる。
【0047】
好ましくは、抗体は、本明細書において以下のように提供される、配列番号:2の重鎖可変ドメインを含む。
【0048】
【化2】
【0049】
したがって、好ましくは、抗体またはその抗原結合断片は、実質的に配列番号:2に記載のアミノ酸配列を有する重鎖可変ドメイン、またはその変異体もしくは断片を有する、または上記から構成される。
【0050】
好ましくは、抗体またはその抗原結合断片は、本明細書において以下のように提供される、配列番号:3のCDR3領域を有する重鎖可変ドメインを含む。
【0051】
【化3】
【0052】
したがって、好ましくは、抗体またはその抗原結合断片は、実質的に配列番号:3に記載のアミノ酸配列を有するCDR3領域を有する重鎖可変ドメイン、またはその変異体もしくは断片を有する、または上記から構成される。
【0053】
好ましくは、抗体またはその抗原結合断片は、本明細書において以下のように提供される、配列番号:4のCDR2領域を有する重鎖可変ドメインを含む。
【0054】
【化4】
【0055】
したがって、好ましくは、抗体またはその抗原結合断片は、実質的に配列番号:4に記載のアミノ酸配列を有するもしくは当該アミノ酸配列から構成されるCDR3領域を有する重鎖可変ドメイン、またはその変異体もしくは断片を有する、または上記から構成される。
【0056】
好ましくは、抗体またはその抗原結合断片は、本明細書において以下のように提供される、配列番号:5のCDR1領域を有する重鎖可変ドメインを含む。
【0057】
【化5】
【0058】
したがって、好ましくは、抗体またはその抗原結合断片は、実質的に配列番号:5に記載のアミノ酸配列を有するもしくは当該アミノ酸配列から構成されるCDR1領域を有する重鎖可変ドメイン、またはその変異体もしくは断片を有する、または上記から構成される。
【0059】
好ましくは、抗体は、本明細書において以下のように提供される、配列番号:6の軽鎖可変ドメインVLを含む。
【0060】
【化6】
【0061】
したがって、好ましくは、抗体またはその抗原結合断片の軽鎖可変ドメインは、実質的に配列番号:6に記載のアミノ酸配列、またはその変異体もしくは断片を有する、または上記から構成される。
【0062】
好ましくは、抗体またはその抗原結合断片は、本明細書において以下のように提供される、配列番号:7のCDR3領域を有する軽鎖可変ドメインを含む。
【0063】
【化7】
【0064】
したがって、好ましくは、抗体またはその抗原結合断片は、実質的に配列番号:7に記載のアミノ酸配列を有するもしくは当該アミノ酸配列から構成されるCDR3領域を有する軽鎖可変ドメイン、またはその変異体もしくは断片を有する。
【0065】
好ましくは、抗体またはその抗原結合断片は、本明細書において以下のように提供される、配列番号:8のCDR2領域を有する軽鎖可変ドメインを含む。
【0066】
【化8】
【0067】
したがって、好ましくは、抗体またはその抗原結合断片は、実質的に配列番号:8に記載のアミノ酸配列を有するもしくは当該アミノ酸配列から構成されるCDR2領域を有する軽鎖可変ドメイン、またはその変異体もしくは断片を有する。
【0068】
好ましくは、抗体またはその抗原結合断片は、本明細書において以下のように提供される、配列番号:9のCDR1領域を有する軽鎖可変ドメインを含む。
【0069】
【化9】
【0070】
したがって、好ましくは、抗体またはその抗原結合断片は、実質的に配列番号:9に記載のアミノ酸配列を有するもしくは当該アミノ酸配列から構成されるCDR1領域を有する軽鎖可変ドメイン、またはその変異体もしくは断片を有する。
【0071】
したがって、好ましい一実施形態では、抗体、またはその抗原結合断片は、本明細書において以下のように提供される、配列番号:10の重鎖を含む。
【0072】
【化10】
【0073】
したがって、好ましくは、抗体、またはその抗原結合断片は、実質的に配列番号:10に記載のアミノ酸配列を有するもしくは当該アミノ酸配列から構成される重鎖領域、またはその変異体もしくは断片を含む。
【0074】
したがって、好ましい一実施形態では、抗体、またはその抗原結合断片は、本明細書において以下のように提供される、配列番号:11の軽鎖を含む。
【0075】
【化11】
【0076】
したがって、好ましくは、抗体、またはその抗原結合断片は、実質的に配列番号:11に記載のアミノ酸配列を有するもしくは当該アミノ酸配列から構成される重鎖領域、またはその変異体もしくは断片を含む。
【0077】
本発明は、CSF-1Rに対して免疫特異性を有する全抗体(すなわち、免疫グロブリン)、および対応する全長抗体の抗原結合断片または領域の双方に及ぶものである。
【0078】
抗体またはその抗原結合断片は、1価、2価または多価のいずれであってもよい。
【0079】
1価抗体は、重鎖(H)が軽鎖(L)とジスルフィド架橋(disulphide bridge)により結合した(associated)2量体(HL)である。2価抗体は、2つの二量体が少なくとも1つのジスルフィド架橋で結合した4量体(H2L2)である。また、例えば、複数の二量体を連結することにより、多価抗体を作製することも可能である。抗体分子の基本構造は、2本の同一の軽鎖と2本の同一の重鎖からなり、これらは非共有結合で結合し、ジスルフィド結合で連結することも可能である。各重鎖および軽鎖は、アミノ末端に約110アミノ酸の可変領域を有し、鎖の残りの部分に定常配列がある。可変領域は、いくつかの超可変領域、または相補性決定領域(Complementarity Determining Regions)(CDRs)を含み、これは、抗体分子の抗原結合部位を形成し、抗原、すなわちCSF-1R、またはその変異体もしくは断片(例えば、エピトープ)に対する特異性を決定する。重鎖と軽鎖のCDRのいずれか側には、CDRを固定し方向付ける比較的保存されたアミノ酸の配列である、フレームワーク領域がある。抗体断片としては、二重特異性抗体(bi-specific antibody)(BsAb)またはキメラ抗原受容体(chimeric antigen receptor)(CAR)がありえる。
【0080】
定常領域は、5つの重鎖配列(μ、γ、ζ、αまたはε)のうちの1つおよび2つの軽鎖配列(κまたはλ)のうちの1つから構成される。重鎖の定常領域配列は、抗体のアイソタイプおよび分子のエフェクター機能を決定する。
【0081】
好ましくは、抗体またはその抗原結合断片は、単離または精製される。
【0082】
好ましい一実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、ポリクローナル抗体、またはその抗原結合断片を含む。抗体またはその抗原結合断片は、ウサギ、マウスまたはラットで作製されてもよい。
【0083】
他の好ましい実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、モノクローナル抗体またはその抗原結合断片を含む。好ましくは、本発明の抗体は、ヒト抗体である。
【0084】
本明細書で使用する場合、「ヒト抗体」という用語は、CSF-R1に対して免疫特異性を示す特定のヒト抗体に見られるのと実質的に同じ重鎖および軽鎖CDRアミノ酸配列、またはその変異体もしくは断片を含む、モノクローナル抗体などの、抗体を意味し得る。重鎖または軽鎖CDRと実質的に同一のアミノ酸配列は、参照配列と比較した場合、かなりの量の配列同一性を示す。このような同一性は、特定のヒト抗体のアミノ酸配列を表すものとして明確に知られているかまたは認識可能である。実質的に同じ重鎖および軽鎖CDRのアミノ酸配列は、例えば、アミノ酸のわずかな修飾または保存的置換を有することができる。このようなヒト抗体は、CSF-R1またはその変異体もしくは断片に選択的に結合するという機能を維持する。
【0085】
「ヒトモノクローナル抗体」という用語は、例えば、ファージライブラリーによる、リンパ球による、またはハイブリドーマ細胞による生産などの組換え法によって生産された、実質的にまたは完全にヒトのCDRアミノ酸配列を有するモノクローナル抗体を含むことができる。
【0086】
「ヒト化抗体」という用語は、ヒトで自然に産生される抗体との類似性を高めるためにタンパク質配列が改変された非ヒト種(例えば、マウスやウサギ)由来の抗体を意味することができる。
【0087】
抗体は、組換え抗体であってもよい。「組換えヒト抗体」という用語は、組換えDNA技術を使用して製造されたヒト抗体を含み得る。
【0088】
「抗原結合領域」という用語は、その標的抗原、例えば、CSF-R1、またはその変異体もしくは断片に対して特異的な結合親和性を有する抗体の領域を意味し得る。好ましくは、断片はエピトープである。結合領域は、超可変CDRまたはその機能的部分であってもよい。CDRの「機能的部分」という用語は、標的抗原に対して特異的な親和性を示すCDR内の配列を意味し得る。CDRの機能的部分は、CSF-R1またはその断片に特異的に結合するリガンドを含んでいてもよい。
【0089】
「CDR」という用語は、重鎖および軽鎖の可変領域における超可変領域を意味し得る。抗体の重鎖および軽鎖のそれぞれには、1、2、3、またはそれ以上のCDRが存在する可能性がある。通常、各鎖には少なくとも3つのCDRが存在し、これらが一緒に構成されると、抗原結合部位、すなわち抗原が結合するまたは特異的に反応する三次元結合部位が形成される。しかしながら、一部の抗体では、重鎖に4つのCDRが存在する可能性が指摘されている。
【0090】
CDRの定義は、互いに比較した場合のアミノ酸残基の重複やサブセットを包含する。特定のCDRまたはその機能的部分を包含する正確な残基番号は、CDRの配列やサイズに依存して変化するであろう。当業者は、抗体の可変領域アミノ酸配列が与えられれば、どの残基が特定のCDRを構成しているかを日常的に決定することができる。
【0091】
抗体の「機能的断片」という用語は、機能的活性を保持する抗体の一部を意味し得る。機能的活性は、例えば、抗原結合活性または特異性であり得る。また、機能的活性は、例えば、抗体定常領域によって提供されるエフェクター機能であり得る。また、「機能的断片(functional fragment)」という用語は、例えば、ヒトモノクローナル抗体のプロテアーゼ消化または還元によって、および当業者に既知の組換えDNA法によって製造される断片を含むことを意図している。ヒトモノクローナル抗体の機能的断片としては、例えば、VL、VH、Fdなどの個々の重鎖または軽鎖およびその断片;Fv、Fab、Fab’などの1価の断片;F(ab’)などの2価の断片;単鎖Fv(scFv);およびFc断片などがある。
【0092】
「VL断片」という用語は、CDRを含む、軽鎖可変領域の全部または一部を含むヒトモノクローナル抗体の軽鎖の断片を意味し得る。VL断片は、さらに軽鎖定常領域配列を含むことができる。
【0093】
「VH断片」という用語は、CDRを含む、重鎖可変領域の全部または一部を含むヒトモノクローナル抗体の重鎖の断片を意味し得る。
【0094】
「Fd断片」という用語は、第1の重鎖定常領域、すなわちVHおよびCH-1に結合した重鎖可変領域を意味し得る。「Fd断片」は、軽鎖、または重鎖の第2および第3の定数領域を含まない。
【0095】
「Fv断片」という用語は、重鎖及び軽鎖の可変領域の全部または一部を含み、重鎖及び軽鎖の定常領域を含まない、ヒトモノクローナル抗体の1価の抗原結合断片を意味し得る。重鎖及び軽鎖の可変領域は、例えば、CDRを含む。例えば、Fv断片は、重鎖および軽鎖の双方の約110アミノ酸のアミノ末端可変領域の全部または一部を含む。
【0096】
「Fab断片」という用語は、Fv断片よりも大きいヒトモノクローナル抗体の1価の抗原結合断片を意味し得る。例えば、Fab断片は、重鎖および軽鎖の可変領域、ならびに第1定常ドメインの全部または一部を含む。したがって、Fab断片は、例えば、重鎖および軽鎖の約110から約220のアミノ酸残基をさらに含む。
【0097】
「Fab’断片」という用語は、Fab断片よりも大きなヒトモノクローナル抗体の1価の抗原結合断片を意味し得る。例えば、Fab’断片は、軽鎖の全て、重鎖の可変領域の全て、ならびに重鎖の第1および第2の定常ドメインの全てまたは一部を含む。例えば、Fab’断片は、さらに、重鎖のアミノ酸残基220から330の一部または全部を含むことができる。
【0098】
「F(ab’)断片」という用語は、ヒトモノクローナル抗体の2価の抗原結合断片を意味し得る。F(ab’)断片は、例えば、2つの重鎖および2つの軽鎖の可変領域の全部または一部を含み、さらに、2つの重鎖および2つの軽鎖の第1定常ドメインの全部または一部を含むことができる。
【0099】
「単鎖Fv(scFv)」という用語は、重鎖(VH)と軽鎖(VL)の可変領域が短いリンカーペプチドで連結された融合体(fusion)を意味し得る。
【0100】
「二重特異性抗体(bispecific antibody)(BsAb)」という用語は、2つのscFvがより短い連結ペプチドによって互いに連結されてなる二重特異性抗体を意味し得る。
【0101】
当業者は、抗体の断片が機能的活性を維持する限り、その正確な境界は重要でないことを知っている。周知の組換え方法を用いれば、当業者は、特定の用途に望まれる任意のエンドポイントを有する機能的断片を発現するようにポリヌクレオチド配列を操作することができる。抗体の機能的断片は、ヒト抗体と実質的に同じ重鎖および軽鎖可変領域を有する断片を含むものであっても、またはそれから構成されるものであってもよい。
【0102】
好ましくは、本発明の第1の側面に関して、その抗原結合断片は、CSF-R1-特異的である、またはCSF-R1内のエピトープに対して免疫特異的である。その抗原結合断片は、VH、VL、Fd、Fv、Fab、Fab’、scFv、F(ab’)およびFc断片からなる群から選択される断片のいずれかを含むものであっても、またはそれから構成されるものであってもよい。
【0103】
その抗原結合断片は、ヒト抗体の、VLの抗原結合領域配列のいずれか1つ、VHの抗原結合領域配列のいずれか1つ、またはVLおよびVH抗原結合領域の組み合わせを含むものであっても、または上記から構成されるものであってもよい。VHおよびVL抗原結合領域配列の適切な数および組み合わせは、所望の親和性および特異性ならびに抗原結合断片の意図する用途に応じて、当業者によって決定され得る。抗体の機能的断片または抗原結合断片は、当業者に既知の方法を用いて容易に製造および単離することができる。このような方法としては、例えば、タンパク質分解法、組換え法、化学合成法などが挙げられる。機能的断片を単離するためのタンパク質分解法は、出発物質としてヒト抗体を使用することを有する。ヒト免疫グロブリンのタンパク質分解に適した酵素としては、例えば、パパイン、及びペプシンを挙げることができる。適切な酵素は、例えば、1価または2価の断片のどちらが必要であるかに応じて、当業者によって容易に選択され得る。例えば、パパイン切断により、抗原と結合する2つの1価のFab’断片およびFc断片が得られる。ペプシン切断により、例えば、2価のF(ab’)断片が得られる。本発明のF(ab’)断片は、例えば、DTTや2-メルカプトエタノールなどを用いてさらに還元され、2つの1価のFab’断片を製造してもよい。
【0104】
タンパク質分解によって生じた抗体の機能的または抗原結合断片は、アフィニティークロマトグラフィー法やカラムクロマトグラフィー法によって精製されてもよい。例えば、未消化の抗体およびFc断片は、プロテインAとの結合により除去することができる。さらに、機能的断片は、例えば、イオン交換およびゲルろ過クロマトグラフィーなどを用いて、その電荷およびサイズにより精製することができる。このような方法は、当業者にはよく知られている。
【0105】
抗体またはその抗原結合断片は、組換え手法によって製造されてもよい。好ましくは、最初に、抗体の重鎖および軽鎖の所望の領域をコードするポリヌクレオチドを単離する。このような領域は、例えば、重鎖および軽鎖の可変領域の全部または一部を含むことができる。好ましくは、このような領域は、特に重鎖および軽鎖の抗原結合領域、好ましくは抗原結合部位、最も好ましくはCDRを含むことができる。
【0106】
本発明に係る抗体またはその抗原結合断片をコードするポリヌクレオチドは、当業者に公知の方法を用いて製造することができる。抗体またはその抗原結合断片をコードするポリヌクレオチドは、当該分野で公知のオリゴヌクレオチド合成の方法によって直接合成されてもよい。または、当該分野で公知の組換え方法を用いて、より小さな断片を合成、結合して、より大きな機能的断片を形成してもよい。
【0107】
本明細書で使用する場合、「免疫特異性(immunospecificity)」という用語は、結合領域が、CSF-R1、またはその変異体もしくは断片と特異的に結合することにより免疫反応することができることを意味し得る。抗体またはその抗原結合断片は、約10-5~10-13-1、好ましくは10-6~10-9-1、さらに好ましくは10-10~10-12-1の親和定数で抗原(例えば、CSF-R1またはその変異体もしくは断片)と選択的に相互作用することができる。
【0108】
「免疫反応する(immunoreact)」という用語は、結合領域がCSF-R1またはそのエピトープとの結合時に免疫反応を惹起することができることを意味し得る。
【0109】
「エピトープ」という用語は、抗体またはその抗原結合断片の結合領域を惹起し(elicit)、結合することができる抗原の任意の領域を意味し得る。
【0110】
好適には、本発明者らは、第1の側面のCSF-1R抗体を用いて試料中に存在する全ての単球型(monocyte types)および単球由来細胞(monocyte-derived cells)(即ち、CD14陽性、CD16陽性単球;CD14陰性、CD16陽性単球;CD14陽性、CD16陰性単球;およびCD14陰性、CD16陰性単球由来の骨髄系樹状細胞)を単離することができたが、これはマーカーCD14および/またはCD16単独の使用では不可能であり、いかなる追加の抗体または単離工程の使用も必要としない。
【0111】
したがって、本発明の第2の側面によれば、下記を有する、生体試料から単球および/または単球由来細胞を単離する方法が提供される:
i)単球および/または単球由来細胞を含む生体試料を、第1の側面に係る抗体またはその抗原結合断片と接触させ;および
ii)前記抗体に結合する生体試料中に存在する単球および/または単球由来細胞を回収することにより、単球および/または単球由来細胞を単離する。
【0112】
単球、単球由来細胞、生体試料、および単離手段は、第1の側面で定義したのと同じでありえる。
【0113】
ゆえに、好ましくは、本方法は、CD14陰性およびCD16陰性の単球由来骨髄系樹状細胞(monocyte-derived myeloid lineage dendritic cells)を単離するために使用され得る。
【0114】
好ましくは、本方法は、下記を単離するために使用され得る:
i)CD14陽性およびCD16陽性単球;
ii)CD14陰性およびCD16陽性単球;
iii)CD14陽性およびCD16陰性単球;および/または
iv)CD14陰性およびCD16陰性単球由来骨髄系樹状細胞。
【0115】
好ましくは、本方法は、下記を単離するために使用され得る:
i)CD14陽性およびCD16陽性単球;
ii)CD14陰性およびCD16陽性単球;
iii)CD14陽性およびCD16陰性単球;および
iv)CD14陰性およびCD16陰性単球由来骨髄系樹状細胞。
【0116】
好ましくは、本方法は、下記を単離するために使用され得る:
i)CD14陽性およびCD16陽性単球;
ii)CD14陰性およびCD16陽性単球;
iii)CD14陽性およびCD16陰性単球;および/または
iv)CD14陰性、CD16陰性およびCD1C陽性単球由来骨髄系樹状細胞。
【0117】
好ましくは、本方法は、下記を単離するために使用され得る:
i)CD14陽性およびCD16陽性単球;
ii)CD14陰性およびCD16陽性単球;
iii)CD14陽性およびCD16陰性単球;および
iv)CD14陰性、CD16陰性およびCD1C陽性単球由来骨髄系樹状細胞。
【0118】
第2の側面の方法は、蛍光活性化細胞選別(florescence-activated cell sorting)(FACS)、磁気活性化細胞分離(magnetic activated cell separation)または浮力活性化細胞分離(buoyancy activated cell separation)によって実施されてもよい。このような方法は、当業者に知られているだろうし、第1の側面で定義されたのと同様でありえる。
【0119】
好ましくは、本方法は、FACSの使用を含み、下記を有する:
i)単球および/または単球由来細胞を含む生体試料を、蛍光標識された、第1の側面の抗体またはその抗原結合断片と接触させ;および
ii)生体試料中に存在する細胞を、その蛍光に基づいて選別し;および
iii)蛍光標識された抗体に結合する生体試料中に存在する単球および/または単球由来細胞を回収することにより、生体試料中に存在する単球および/または単球由来細胞を単離する。
【0120】
当業者であれば、蛍光発光プロファイルおよび/または蛍光強度に基づいて細胞を選別することができることを理解するであろうが、これは使用する蛍光標識に依存し、当該分野でよく知られている。
【0121】
好ましくは、本方法は、磁気細胞選別(magnetic cell sorting)の使用を含み、下記を有する:
i)単球および/または単球由来細胞を含む生体試料を、第1の側面の抗体またはその抗原結合断片でコーティングされた磁気ビーズと接触させ;および
ii)ステップi)から得られる組成物を磁場中に置き、磁性ビーズに結合した単球および/または単球由来細胞を試料中に存在する他の細胞から分離し;
iii)前記試料から前記他の細胞を除去し;および
iii)磁気ビーズに結合する生体試料中に存在する単球および/または単球由来細胞を回収することにより、生体試料中に存在する単球および/または単球由来細胞を単離する。
【0122】
一実施形態では、細胞が単球である場合、好ましくは、試料は血液試料である。一実施形態では、細胞が単球由来細胞である場合、好ましくは、試料は組織試料である。
【0123】
単球および/または単球由来細胞の単離に加えて、本発明は単球および/または単球由来細胞の検出方法にも及ぶものである。
【0124】
本発明の第3の側面によれば、下記を有する、生体試料中に存在する単球および/または単球由来細胞を検出する方法が提供される:
i)単球を含む生体試料を、第1の側面の抗体またはその抗原結合断片と接触させ;および
ii)検出手段により、生体試料中に存在する単球および/または単球由来細胞を検出する。
【0125】
単球、単球由来細胞および生体試料は、第1の側面で定義されたのと同様でありえる。検出手段は、第1及び第2の側面で定義されるのと同様、FACSを含んでもよい。
【0126】
一実施形態では、細胞が単球である場合、好ましくは、試料は血液試料である。一実施形態では、細胞が単球由来細胞である場合、好ましくは、試料は組織試料である。
【0127】
または、検出手段は、免疫染色を含んでいてもよい。好ましくは、検出手段は、免疫組織化学または免疫細胞化学を含む。
【0128】
このような検出技術は、当業者にはよく知られている。
【0129】
検出は、生体試料中に存在する単球の数を測定することを含んでもよい。検出は、生体試料中に存在する単球由来細胞の数を測定することを含んでもよい。
【0130】
本方法は、CD14陰性及びCD16陰性の単球由来細胞を検出するために使用されてもよい。
【0131】
好ましくは、本方法は、下記を検出するために使用され得る:
i)CD14陽性およびCD16陽性単球;
ii)CD14陰性およびCD16陽性単球;
iii)CD14陽性およびCD16陰性単球;および/または
iv)CD14陰性およびCD16陰性単球由来骨髄系樹状細胞。
【0132】
好ましくは、本方法は、下記を検出するために使用され得る:
i)CD14陽性およびCD16陽性単球;
ii)CD14陰性およびCD16陽性単球;
iii)CD14陽性およびCD16陰性単球;および
iv)CD14陰性およびCD16陰性単球由来骨髄系樹状細胞。
【0133】
好ましくは、本方法は、下記を単離するために使用され得る:
i)CD14陽性およびCD16陽性単球;
ii)CD14陰性およびCD16陽性単球;
iii)CD14陽性およびCD16陰性単球;および/または
iv)CD14陰性、CD16陰性およびCD1C陽性単球由来骨髄系樹状細胞。
【0134】
好ましくは、本方法は、下記を単離するために使用され得る:
i)CD14陽性およびCD16陽性単球;
ii)CD14陰性およびCD16陽性単球;
iii)CD14陽性およびCD16陰性単球;および
iv)CD14陰性、CD16陰性およびCD1C陽性単球由来骨髄系樹状細胞。
【0135】
本発明は、その変異体または断片などの、本明細書で言及されるいずれかの配列のアミノ酸または核酸配列を実質的に有する任意の核酸もしくはペプチドまたはその変異体、誘導体もしくはアナログに及ぶことが理解されよう。「実質的にアミノ酸/ヌクレオチド/ペプチド配列」、「変異体(variant)」および「断片(fragment)」という用語は、本明細書に記載されるいずれかの配列のアミノ酸/ヌクレオチド/ペプチド配列と少なくとも40%の配列同一性、例えば、配列番号1~11などとして特定される配列と40%の同一性を有する配列であり得る。
【0136】
参照される配列のいずれかに対して65%を超える、より好ましくは70%を超える、さらに好ましくは75%を超える、さらに好ましくは80%を超える配列同一性である配列同一性を有するアミノ酸/ポリヌクレオチド/ポリペプチド配列もまた想定される。好ましくは、アミノ酸/ポリヌクレオチド/ポリペプチド配列は、本明細書で言及される配列のいずれかに対して少なくとも85%の同一性、参照される配列のいずれかに対して、より好ましくは少なくとも90%の同一性、さらに好ましくは少なくとも92%の同一性、さらに好ましくは少なくとも95%の同一性、さらに好ましくは少なくとも97%の同一性、さらに好ましくは少なくとも98%の同一性、および最も好ましくは少なくとも99%の同一性を有する。
【0137】
当業者であれば、2つのアミノ酸/ポリヌクレオチド/ポリペプチド配列間の同一性(%)を算出する方法を理解できるであろう。2つのアミノ酸/ポリヌクレオチド/ポリペプチド配列間の同一性(%)を算出するためには、まず2つの配列のアラインメント(alignment)を作成し、その後、配列同一性値を計算する必要がある。2つの配列の同一性(%)は、(i)配列のアライメントする(align)のに使用する方法、例えば、ClustalW、BLAST、FASTA、Smith-Waterman(異なるプログラムで実装)、または3次元比較からの構造アライメント(structural alignment from 3D comparison)、および(ii)アライメント法に使用されるパラメータ、例えば、ローカル対グローバルアライメント(local vs global alignment)、使用されるペアスコアマトリックス(pair-score matrix)(例えば、BLOSUM62、PAM250、Gonnetなど)およびギャップペナルティ(gap-penalty)、例えば、機能形態および定数(functional form and constants)によって異なる値になる場合があり得る。
【0138】
アラインメントを作成したら、2つの配列間の同一性(%)を計算する方法は様々である。例えば、(i)最短の配列の長さ;(ii)アラインメントの長さ;(iii)配列の平均長;(iv)ノンギャップ位置(non-gap positions)の数;または(v)オーバーハングを除く同等位置の数で、同一性の数を割ってもよい。さらに、同一性(%)は長さにも強く依存することが理解されよう。したがって、一対の配列が短いほど、偶然に生じる配列の同一性が高くなると予想できる。
【0139】
したがって、タンパク質またはDNA配列の正確なアラインメントは、複雑なプロセスであることが理解されよう。人気のある多重アラインメントプログラム(popular multiple alignment program)ClustalW(Thompson et al., 1994, Nucleic Acids Research, 22, 4673-4680; Thompson et al., 1997, Nucleic Acids Research, 24, 4876-4882)は、本発明に係るタンパク質またはDNAの多重アラインメントの作成に好ましい方法である。ClustalWの好適なパラメータは、以下の通りであってよい:DNAアラインメントの場合:Gap Open Penalty = 15.0、Gap Extension Penalty = 6.66、およびMatrix = Identity。タンパク質アラインメントの場合:Gap Open Penalty = 10.0、Gap Extension Penalty = 0.2、およびMatrix = Gonnet。DNAおよびタンパク質のアラインメントの場合:ENDGAP = -1、およびGAPDIST = 4。当業者であれば、最適な配列アライメントのために、これらのパラメータおよび他のパラメータを変化させることが必要であることを認識するであろう。
【0140】
好ましくは、2つのアミノ酸/ポリヌクレオチド/ポリペプチド配列間の同一性(%)の計算は、次に、このようなアラインメントから(N/T)*100として計算することができる。ここで、Nは配列が同一の残基を共有する位置の数であり、Tはギャップを含み、オーバーハングを含むか含まないかで比較した位置の全数である。好ましくは、オーバーハングは計算に含まれる。したがって、2つの配列間の同一性(%)を計算するための最も好ましい方法は、(i)例えば、上記に示したような適切なパラメータのセットを用いてClustalWプログラムを用いて配列アライメントを準備し;および(ii)NおよびTの値を以下の式:-配列の同一性=(N/T)*100に挿入することを含む。
【0141】
類似の配列を同定するための別の方法は、当業者には既知であろう。例えば、実質的に類似したヌクレオチド配列は、ストリンジェントな条件下でDNA配列またはその相補体にハイブリダイズする配列によってコードされるであろう。ストリンジェントな条件とは、本発明者らは、ヌクレオチドが、約45℃で3×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中でフィルター結合したDNAまたはRNAにハイブリダイズし、その後約20~65℃で0.2×SSC/0.1%SDS中で少なくとも1回の洗浄を行うことを意味する。または、実質的に類似したポリペプチドは、例えば、配列番号1~11に示される配列から少なくとも1、ただし、5、10、20、50または100未満のアミノ酸だけ異なっていてもよい。
【0142】
遺伝暗号の縮退(degeneracy)により、本明細書に記載される任意の核酸配列は、それによってコードされるタンパク質の配列に実質的に影響を与えることなく変化または変更されてその機能的変異体を提供し得ることは明らかである。好適なヌクレオチド変異体としては、配列内で同じアミノ酸をコードする異なるコドンの置換によって変化させて、サイレント(同義)変化(silent (synonymous) change)を生じさせる配列を有するものがある。他の好適な変異体としては、相同的なヌクレオチド配列を有するが、それが置換するアミノ酸と同様の生物物理的特性の側鎖を有するアミノ酸をコードする異なるコドンの置換によって変更されて保存的変化(conservative change)を生じさせる配列のすべて、または一部を有するものがある。例えば、小さな非極性で疎水性のアミノ酸には、グリシン、アラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、プロリン、およびメチオニンなどがある。大きな非極性で疎水性のアミノ酸としては、フェニルアラニン、トリプトファン、およびチロシンなどがある。極性の中性のアミノ酸には、セリン、スレオニン、システイン、アスパラギン、およびグルタミンなどがある。正に帯電した(塩基性)アミノ酸としては、リジン、アルギニン、およびヒスチジンなどがある。負に帯電した(酸性)アミノ酸としては、アスパラギン酸およびグルタミン酸などがある。したがって、どのアミノ酸を同様の生物物理学的特性を有するアミノ酸で置換してもよいかは理解されるであろうし、当業者はこれらのアミノ酸をコードするヌクレオチド配列を知っているであろう。
【0143】
本明細書(添付の請求項、要約および図面を含む)に記載された全ての特徴、および/またはこのように開示された任意の方法もしくはプロセスの全てのステップは、そのような特徴および/またはステップの少なくとも一部が相互に排他的である組み合わせを除いて、任意の組み合わせで上記の側面のいずれかと組み合わせることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0144】
本発明をよりよく理解するために、また、本発明の実施形態がどのように実施され得るかを示すために、次に、例として、添付の図を参照されたい。
図1A図1Aおよび図1Bは、CSF-R1がヒト血液中の選択的な単球マーカーであることを示すものである。単球は骨髄性好中球(myeloid neutrophils)やリンパ球(lymphoid lymphocytes)に比べて有意により多くのCSF1Rを発現する。単球は、ラピッド染色プロトコル(rapid staining protocol)で全血中のCSF1Rを染色した。プロットされたデータは、5生物学的複製(biological replicates)のSD付き平均値である。
図1B図1Aおよび図1Bは、CSF-R1がヒト血液中の選択的な単球マーカーであることを示すものである。単球は骨髄性好中球(myeloid neutrophils)やリンパ球(lymphoid lymphocytes)に比べて有意により多くのCSF1Rを発現する。単球は、ラピッド染色プロトコル(rapid staining protocol)で全血中のCSF1Rを染色した。プロットされたデータは、5生物学的複製(biological replicates)のSD付き平均値である。
図2A図2Aおよび図2Bは、CSF-R1がすべての単球サブセットで高発現していることを示すものである。単球は全血でフローサイトメトリーで染色された。単球をサイズおよび粒度(granularity)(左側)に基づいて、次に従来の3つの単球サブセットに関するCD14vsCD16セレクト(select)ならびにCSF-R1に対する蛍光強度の中央値が低い大きなダブルネガティブグループ(large double negative group)に基づいてゲーティングする(Gating)ことにより、この集団は主に汚染リンパ球であることが示唆される。しかしながら、右側では、CSF-R1陽性に基づいて単球を選択すると、CD14vsCD16のペアワイズプロット(CD14 vs CD16 pairwise plot)がよりきれいになり、他の単球サブセットと同等のCSF-R1の蛍光強度の中央値を持っているダブルネガティブ集団(オレンジ)がより小さくなる。プロットされたデータは、5つの生物学的複製のSD付き平均値である。
図2B図2Aおよび図2Bは、CSF-R1がすべての単球サブセットで高発現していることを示すものである。単球は全血でフローサイトメトリーで染色された。単球をサイズおよび粒度(granularity)(左側)に基づいて、次に従来の3つの単球サブセットに関するCD14vsCD16セレクト(select)ならびにCSF-R1に対する蛍光強度の中央値が低い大きなダブルネガティブグループ(large double negative group)に基づいてゲーティングする(Gating)ことにより、この集団は主に汚染リンパ球であることが示唆される。しかしながら、右側では、CSF-R1陽性に基づいて単球を選択すると、CD14vsCD16のペアワイズプロット(CD14 vs CD16 pairwise plot)がよりきれいになり、他の単球サブセットと同等のCSF-R1の蛍光強度の中央値を持っているダブルネガティブ集団(オレンジ)がより小さくなる。プロットされたデータは、5つの生物学的複製のSD付き平均値である。
図3図3は、CSF-R1が健常者におけるパン-単球マーカー(pan monocyte marker)であることを示すものである。本発明者らは、CSF-R1が全血球から単球を引き離す(pull out)ことができるかどうかを検討した。蛍光セルソーターでは、細胞はCD14かCSF-R1のどちらかで選別された。CD14選別(CD14 sort)では、単球サブセットのうち2つ(CD14+CD16-およびCD14+CD16+)しか捕らえられなかったが、CSF1R選別(CSF1R sort)ではすべての単球サブセットが捕えられ、さらに健常者では少数派である第4の単球のダブルネガティブ集団も強調表示される。プロットは、3つの生物学的複製の代表である。特に、従来の方法では、単球を見逃すCD14ポジティブセレクションや、7種類の抗体からなるネガティブセレクションを利用していたため、このデータから、CSF-R1が単球の単離に有効なツールであることが示される。
図4図4は、市販されている様々なCSF-R1抗体がCSF-R1単球の検出および単離に使用できることを示すものである。本発明者らは、CSF-R1について、異なる抗体や蛍光色素を比較した。本発明者らは、Biolegendからの9-4D2-1E4ラットモノクローナル抗体およびeBioscienceからの12-3A3-1B10ラットモノクローナル抗体の、2種類の抗体クローンを使用した。また、本発明者らは、Biolegend抗体の3種類の蛍光色素(BV-421、PE、およびAPC)についても調べた。蛍光色素間で違いはないが、Biolegend抗体はeBioscience抗体よりも親和性が高いように見える。滴定しても(Titrating)、抗体は陽性CSF-R1集団にシフトしない。
図5図5は、CSF1R+CD14-CD16-細胞が主にCD1C-DCであることを示すものである。これらのデータは、PBMCのCYTOF染色から作製された。血液中に存在する樹状細胞は、HLA-DR+CD11c+細胞およびHLA-DR+CD11c-細胞に分離することができる。HLA-DR+CD11c-細胞は、CD123+形質細胞様樹状細胞(CD123+ Plasmacytoid dendritic cells)およびCD123-集団になる。HLA-DR+CD11c+細胞は、CD141+DC、CD141-CD1c+細胞およびCD141-CD1c-細胞になる。上段は系統細胞(lineage- cells)(CD3-、CD20-、CD56-、CD14-)のプロットを示している。下段はCSF1R+細胞(CD3-、CD20、CD56-)を示している。CSF1R細胞は樹状細胞集団が非常に少なく、CD141-CD1c+およびCD141-CD1c-サブセットに多数存在するのみである。
図6A図6Aおよび図6Bは、従来のCD14/CD16/CD1CサブセットにおけるCSF-R1細胞の分布の概要を示すものである。
図6B図6Aおよび図6Bは、従来のCD14/CD16/CD1CサブセットにおけるCSF-R1細胞の分布の概要を示すものである。
図7図7は、CYTOF解析のための細胞染色のプロトコルを示す。
【実施例
【0145】
実施例
本研究において、本発明者らは、単球において既に報告されている系統決定サイトカイン受容体(lineage determining cytokine receptors)を用いたマルチカラーフローサイトメトリーパネル(multicolour flow cytometry panel)を使用した。下記仮説に束縛されることを望まないが、本発明者らは、系統決定サイトカイン受容体は、個体発生と直接的に関連しており、したがって、現在の単球マーカーよりも情報量が多いと考えている。本発明者らは、ヒト単球およびマクロファージにおける発現の実験的証拠がある受容体に焦点を当て、受容体間の相互作用を確立してパン単球マーカー(pan monocyte marker)を同定した(表1参照)。
【0146】
材料および方法
血球の調製およびフローサイトメトリー
サリー大学の倫理承認 UEC/2017/052/FHMS に従い、健常ボランティアからインフォームドコンセントを得て末梢静脈血を採取した。血液は静脈穿刺後2時間以内に処理した。
【0147】
新鮮な全血 100μlのアリコート(1x10細胞に相当)で、適切な抗体およびマッチしたアイソタイプコントロール(matched isotype controls)を用いて白血球を染色した。以下の抗体が使用され、1/100希釈で添加された:BV421-anti-CSF1R;BV510-anti-CD16;BV650-anti-CD14;BV786-anti-IL3RA;FITC-anti-CSF2R;PE-anti-IL15RA;PE-Dazzle-anti-IL7R;PerCP/Cy5.5-anti-FLT3;APC-anti-CSF3R。すべての抗体はBiolegendから購入した。抗体は全血と一緒に室温で20分間インキュベートした。その後、細胞を固定し、RBC fix/lysisバッファー(Biolegend)を用いて赤血球を溶解した。細胞は、Ca2+およびMg2+を含まないPBSで洗浄した。
【0148】
トリプルレーザー方式のBD FACS Celesta(triple-laser BD FACS Celesta)(BD Bioscience社製)でフローサイトメトリーを実施した。細胞集団は、前方光散乱(forward light scatter)(FSC-A)vs側方光散乱(side light scatter)(SSC-A)を用いて区別した後、前方光散乱高さ(forward light scatter height)(FSC-H)vs面積を用いて単一細胞を、生死染色Zombie NIR(live-dead stain Zombie NIR)(Biolegend)を用いて生細胞をゲーティングした(gated)。製造元の説明書に従って、Zombie NIR染色を実施した。ソーターのチューニングおよび出力は、すべての測定で一定に保たれた。パネル補正(Panel compensation)は、単一染色細胞で行った。フローサイトメトリー解析は、オンラインソフトウェアCytobankTMおよびFlowjoTMを使用して行った。
【0149】
CYTOF解析のための細胞の染色
材料:
・PCRチューブに入れた20個のバーコード 3セット-各10μl(-20℃保存)-キットに含まれる
・MAXPAR Fix I buffer(5×)-15ml-キットに含まれる
・Maxpar細胞染色バッファー(Maxpar cell staining buffer)-500ml-キットに含まれる
・Maxpar10×バーコードパームバッファー(Maxpar 10x barcode perm buffer)50ml-キットに含まれる
・Maxpar PBS(Maxpar PBS)-500ml-キットに含まれる
・Cell-ID シスプラチン(Cell-ID Cisplatin)
・Cell-ID インターカレーター-Ir(Cell-ID Intercalator-Ir)
CYTOF 抗体パネル(CYTOF antibody panel): Pre-fix: CSF1R-163Dy; CD141-173Yb, CD40-142Nd, CD32-169Tm, CD16-145Nd, CD100-156Gd, CD127-165Ho
Post-fix: CD14-160Gd, CD64-146Nd, CD206-168Er, CD163-154Sm, CD34-148Nd, CD80-162Dy, CD86-150Nd, HLA-DR-170Er, CD3-141-Pr, CD123-151Eu, CD135-158Gd, CXC3R1-172Yb, CD303-153Eu, CD117-143Nd, CXCR4-175Lu, CD20-171Yb, CD11c-147Sm, CD197-159Tb, CD56-155Nd, CD1c-144Nd。
【0150】
PBMCsを染色する手順
1.PBMCsを回収/収集し、MAXPAR染色バッファーに細胞を再懸濁した。細胞をカウントした。100~300万個細胞/試料の細胞数で実験を行った。
【0151】
2.バーコード固定により影響を受け得る表面マーカー(即ち、CSF1R)を染色した。これは、一次抗体に対する二次抗体(即ち、CSF1Rに対する抗APC)を用いた2段階プロセスを含んでもよい。まず、MAXPAR染色バッファー中でブロッキングするためにTrustain-FcXで染色した。次に、一次抗体を所望の濃度で添加した。一次抗体を洗い流し、必要であれば二次抗体を加えた。洗浄して、次のステップに進んだ。
【0152】
この段階で添加される抗体:CSF1R;CD141,CD40,CD32,CD16,CD100,CD127。
【0153】
3.Cell-ID生存染色(Cell-ID viability staining)-10μM Cell-ID シスプラチンのワーキング溶液(MAXPAR PBSで500倍希釈)を調製し;500μlのPBSにおける細胞に対して10μM シスプラチンを1対1で添加した。5分間、室温でインキュベーションした。5~10倍体積のMAXPAR細胞染色バッファーで洗浄することによって、シスプラチンをクエンチした(quench)。800gで遠心し、上清を除去した。
【0154】
4.細胞の固定、浸透化(Permeabilize)-バーコーディングキットの1×Fix I バッファー(MAXPAR PBSで1/5希釈)1mlに試料を再懸濁した。室温で10分間インキュベートした。1000gで5分間遠心し、1mlの1×Barcode Permバッファー(MAXPAR PBSで10分の1に希釈)で2回洗浄した。
【0155】
5.バーコード-バーコード化する試料(sample to be barcoded)を800μlの1×Barcode Permバッファーに完全に懸濁し;各バーコードを100μlの1×Barcode Permバッファーに再懸濁し、適切なサンプルに移した。すぐに混合し、30分(室温で)インキュベートした。途中、軽く混合した(mix halfway through)。1000gで5分間遠心し、2ml MAXPAR細胞染色バッファーで2回洗浄した。100μlの細胞染色バッファーに再懸濁し、すべてのバーコード化試料(barcoded samples)を1本のチューブにまとめた(20×100μl=合計2ml)。サンプルチューブを100μl×2回でリンスすることを推奨した。1000gで5分遠心した。バーコードセットは、6種類の異なるパラジウム同位体を20種類の組み合わせで構成される。
【0156】
6.表面マーカーの染色-細胞をMAXPAR染色バッファーに再懸濁し;Fcブロック(Trustain FcX、20分の1希釈)を添加した。抗体パネルを加えた(1μlの抗体/100μl中に300万個の細胞-したがって、細胞の総数/300万個=1μlの抗体が必要な量となる)。例えば、バーコード化試料の場合、2mlで6000万個の細胞、1mlで3000万個、100μlで300万個に相当します。15分間細胞を染色し、混合し、さらに15分間染色した。MAXPAR細胞染色バッファーでサンプルを2回洗浄し、1000gで5分間遠心した。
【0157】
この段階で添加される抗体:CD14,CD64,CD206,CD163,CD34,CD80,CD86,HLA-DR,CD3,CD123,CD135,CXC3R1,CD303,CD117,CXCR4,CD20,CD11c,CD197,CD56,CD1c。
【0158】
7.細胞の新鮮な固定(Fresh fix of cells)-(バーコーディングプロトコルでは不要) 16%ストックアンプルから1.6%固定液を新たに調製した。ホルムアルデヒドをMAXPAR PBSで10分の1に希釈した。各試料に1mlの1.6%溶液を加え、混合し、室温で10分間インキュベートした。1000gで5分間遠心した。
【0159】
8.Cell-ID インターカレーター-Ir染色-2mlの溶液を細胞に加え、穏やかに混合した。1試料あたりの溶液は、1mlで、125nMのウオーキング濃度までストック濃度を1000倍に希釈したものであった(1mlのMAXPAR FIXおよびPERMバッファーにおいて1μlのストック)。室温で1時間または4℃で一晩(最大48時間)インキュベートした。2×MAXPAR細胞染色バッファーで1000gで5分洗浄した。PBSで細胞を1000gで5分洗浄した(この時点で細胞数カウントのためのアリコートを採取した)。1000gで遠心し、ペレットを4℃で放置した。CYTOFに移した。
【0160】
その手順を図7に要約する。
【0161】
統計
統計解析をGraphPad PRISM 8プログラムで行った。各比較のための具体的なテストは、対応する図の凡例(figure legends)に示される。グラフは、平均値および標準偏差のエラーバーを使って一貫してプロットした。
【0162】
結果
実施例1-ヒト単球および好中球の系統決定サイトカイン受容体
単球およびマクロファージにおける系統決定発現を調べるために、本発明者らは、CSF1R(CD115-MCSFR)、CSF2RA(CD116-GMCSFR)、CSF3R(CD114-GCSFR)、IL15RA(CD125)、IL3RA(CD123);IL7R(CD127)およびFLT3(CD135)に関する抗体による多色FACSパネル(multicolour FACS panel)を確立した。これ以降、受容体への言及はその認められた遺伝子名によって行われる。受容体は、ヒト単球またはマクロファージにおける発現の実験的証拠に基づいて選択された(表1参照)。
【0163】
【表1-1】
【0164】
【表1-2】
【0165】
本発明者らは、まず、全血中の細胞の表面染色性を評価した。このために、本発明者らは、赤血球溶解後のサイズおよび粒度(granularity)によって好中球、単球およびリンパ球をゲーティングした(gated)(図1Aおよび1B参照)。
【0166】
単球での発現解析の結果、好中球やリンパ球と比較して最も豊富で選択的な受容体はCSF1Rであることが示された(図1A~Bおよび図5を参照)。分析された残りの受容体は、マッチした抗体アイソタイプまたはFMOコントロールよりもパン単球レベル(pan-monocyte level)で有意な膜発現を示さなかった(図5を参照)。
【0167】
実施例2-CD14およびCD16単球サブセットにおけるパン-ヒト単球マーカー(pan-human monocyte marker)としてのCSF1R
CD14+単球は最も多く存在する集団であり、より少ないサブセットでの発現をマスクする可能性がある。そこで、本発明者らは、系統決定サイトカイン受容体とCD14およびCD16で定義される従来の単球サブセット:CD14+CD16-単球、CD14+CD16+単球、CD14-CD16+単球との関係を調べた(図2Aおよび2Bを参照)。CD16vsCD14のプロットにおいて、二重陰性細胞は、従来、単球をT細胞、NK細胞およびB細胞に割り当てらるCD3、CD56およびCD19(CD3, CD56 and CD19 expression assigning them to T cells, NK cells and B cells)の発現を通じて単球から除外されてきた(Marimuthu et al., 2018; Mukherjee et al., 2015; Passlick et al., 1989)。本発明者らは、従来から研究されているようなサブセットにおける受容体の発現を調べた。
【0168】
単球サブセットの表面発現解析から、CSF1Rは3つのサブセットすべてで高発現していること(図2A、2Bを参照);この受容体はCD16の発現とともに増加することが示される。
【0169】
実施例3-CSF1Rはソーティングによりパン-単球(pan-monocyte)の単離を可能にする
CSF1Rのパン-単球(pan-monocyte)発現に基づき、本発明者らは、CD14と比較することにより、ソーティングマーカー(sorting marker)としての実現可能性(feasibility)を検討することに着手した。染色は、抗CD14、CD16およびCSF1R抗体で行われた。CD14ソーティングでは、単球を効率よく精製できるが、CD14-CD16+集団は失われる(図3を参照)。一方、CSF1Rソーティングでは、CD14-CD16+単球を含むすべての単球が捕捉される(図3を参照)。約3%のCSF1R+細胞の小さな集団は、CD14およびCD16に対して陰性である(図3を参照)。この二重陰性集団はCD14+CD16-単球と同等のCFS1Rレベルを持ち、CD14+CD16+およびCD14-CD16+単球よりもCFS1Rの発現が少ない(図2Aおよび図2Bを参照)。また、CSF2RAは、CD14-CD16-、CD14+CD16-単球とCD14+CD16+単球との間でも同様であった。これらの二重陰性細胞は、単球と同様のマーカーを発現しているように見えるが、従来のCD14およびCD16の二分法(CD14 and CD16 dichotomy)では除外される。図6は、従来のCD14/CD16/CD1CサブセットにおけるCSF-R1細胞の分布を要約するものである。
【0170】
図4に示されるように、本発明者らは、Biolegendの9-4D2-1E4ラットモノクローナルおよびeBioscienceの12-3A3-1B10ラットモノクローナルという2種類の異なる抗体クローンを使用した。また、本発明者らは、Biolegend抗体の3種類の異なる蛍光色素(BV-421、PE、APC)にも注目した。Biolegend抗体は、eBioscience抗体よりも親和性が高いように見えるが、蛍光色素間に違いはない。滴定しても、抗体は、陽性CSF-R1集団にシフトしない。
【0171】
ディスカッション
本発明者らは、ヒト単球および好中球におけるならびに単球許容サブセット分類(monocyte accepted subset classifications)内での系統決定サイトカインの発現を同時に対比、比較した。驚くべきことに、CSF1Rが高発現したパン-単球マーカーである(highly expressed pan-monocyte marker)ことが判明した。CD14やCD16とは異なり、CSF1Rは血中のすべてのヒト単球の特徴を明らかにすることができる。単球によって発現される他の造血レセプターにはIL3RAとCSF3Rがある。本発明者らは、特定の仮説に縛られることは望まないものの、血中の単球を組織化する別の方法を提案するが、これは細胞発生の観点からより有益である可能性がある。
【0172】
本発明者らの多色解析(multicolour analysis)により、CSF1R受容体が単球の重要なマーカーであることが示された。これは、ヒト単球のマーカーとして広く受け入れられていない受容体である。臨床では様々な抗CSF1R薬(anti CSF1R tools)が試用されているのとは対照的に、ヒトCSF1R受容体は研究において広く応用されていない。ヒトCD115で報告された最初の抗体は1980年代に作られた(Ashmun et al., 1989)。ちなみに、CD14はその数ヶ月後に発表された(Wright et al., 1990)。CD115の原著は、発表以来17回しか引用されていない。一方、CD14はヒト単球のマーカーとして好まれるようになり、今日まで血液や体液から単球や骨髄系細胞を分離するために用いられる主要な抗原となっている。CSF1R受容体は、種間の類似性およびサブセットの同一性を調査する最近の原稿で再記述され、言及されている(Ingersoll et al., 2010; Schmidl et al., 2014; Wong et al., 2011)。
【0173】
CFS1Rは、ヒトにおける単球の定量・単離のための受容体であり、ツールであることが見過ごされている。今回、本発明者らは、CSF1Rが血液中のパン-単球(pan-monocytes)の同定および分離を可能にすることを示した。このことは、臨床において、体液中の単球や単球関連細胞をより正確に測定するために、反響を呼び起こす可能性がある。CD14およびCD16が単球の唯一のマーカーであると考えるべきではなく、これらのマーカーが陰性でありながら、従来の単球サブセットと受容体プロファイルを共有する、真にCSF1R陽性集団が存在する。この集団は選択的であり、単球ネットワークの一部であると考えるべきであろう。
【0174】
結論
本発明者らは、驚くべきことに、CSF-1Rがパン-単球マーカー(pan-monocyte marker)として使用できることを示した。本発明者らは、CD14またはCD16のマーカーだけではなしえない、CSF-1R抗体を用いたFACSソーティングにより、すべての単球を単離することができ、さらに抗体を必要としなかった。本発明者らは、CSF-1Rが、正確な単離、定量を可能にする主な単球マーカーとして使用できること、また、個体発生学的な観点からの新規な単球の見方を示すことができることを明らかにした。
【0175】
【化12】
【0176】
【化13】
【0177】
【化14】
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
【配列表】
2023521728000001.app
【国際調査報告】