(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-25
(54)【発明の名称】使い捨て拡散カラー芯
(51)【国際特許分類】
A41B 3/06 20060101AFI20230518BHJP
【FI】
A41B3/06 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022561166
(86)(22)【出願日】2021-04-12
(85)【翻訳文提出日】2022-11-22
(86)【国際出願番号】 US2021026900
(87)【国際公開番号】W WO2021211464
(87)【国際公開日】2021-10-21
(32)【優先日】2020-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522010646
【氏名又は名称】エーケーアイ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ミカエル・デヴァシーン
(72)【発明者】
【氏名】マシュー・クライダー
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド・オハロラン
(72)【発明者】
【氏名】アマル・ブローミ
(72)【発明者】
【氏名】フラジャイナ・デヴァシーン
(57)【要約】
香水、防虫剤等の揮発性分子の皮膚上への直接塗布またはこれら揮発性分子の着用者の皮膚もしくは服地上への噴霧を必要とせずに、香水、防虫剤等の揮発性分子のゆっくりした放出を可能にする使い捨て拡散カラー芯。該使い捨て拡散カラー芯は、揮発性分子が該基材内へ吸収されるかもしくは基材層間に捕捉される水溶性基材で構成され得るか、またはその空洞内に塗布されている揮発性分子を有する剛体であり得る。使い捨て拡散カラー芯は、使用前の揮発性分子の放出を防止する、放出バリア層またはパッケージングを有し得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの対向端部ならびに2つの対向する上方実質的平面および下方実質的平面を有する細長い形状に形成された水溶性基材と、
前記水溶性基材上に配設されている、揮発性分子を含有するフレグランス組成物と、
を含むことを特徴とする使い捨て拡散カラー芯。
【請求項2】
前記水溶性基材はセルロース紙、ゼラチン、ポリビニルアルコール、カラギーナン、またはアルギン酸塩を含む、請求項1に記載の使い捨て拡散カラー芯。
【請求項3】
前記フレグランス組成物は前記水溶性基材内へ吸収される、請求項1に記載の使い捨て拡散カラー芯。
【請求項4】
前記水溶性基材は共に接着されている2つの基材層を含み、前記フレグランス組成物は前記2つの基材層間に配設されている、請求項1に記載の使い捨て拡散カラー芯。
【請求項5】
前記フレグランス組成物には香水、コロン、または防虫剤が含まれる、請求項1に記載の使い捨て拡散カラー芯。
【請求項6】
前記フレグランス組成物は、前記揮発性分子の放出を制御するための添加剤をさらに含む、請求項1に記載の使い捨て拡散カラー芯。
【請求項7】
前記添加剤はワックス、ポリマー、樹脂、粉末、または液体を含む、請求項6に記載の使い捨て拡散カラー芯。
【請求項8】
前記揮発性分子の放出を制御するための水溶性保護フィルム
をさらに含む、請求項1に記載の使い捨て拡散カラー芯。
【請求項9】
前記水溶性保護フィルムは水溶性ポリマーで構成されている、請求項8に記載の使い捨て拡散カラー芯。
【請求項10】
前記水溶性ポリマーはポリビニルアルコールである、請求項9に記載の使い捨て拡散カラー芯。
【請求項11】
前記水溶性基材の少なくとも1つの表面上に水溶性インクで作成された印刷デザインをさらに含む、請求項1に記載の使い捨て拡散カラー芯。
【請求項12】
揮発性分子を含有するフレグランス組成物がその上に配設された少なくとも1つの水溶性拡散カラー芯と、
前記少なくとも1つのカラー芯を保持しかつパッケージの外への前記揮発性分子の放出を実質的に防止するための不透性材料で構成されている前記パッケージと
を含む、物品。
【請求項13】
前記パッケージは剥離可能なラベルである、請求項12に記載の物品。
【請求項14】
前記パッケージの外面上に配設されている第2のフレグランス組成物をさらに含み、前記第2のフレグランス組成物は、前記カラー芯上に配設されているものと実質的に類似した揮発性分子をフレグランス中に含有する、請求項12に記載の物品。
【請求項15】
2つの対向端部、2つの対向する上方実質的平面および下方実質的平面、前記上方実質的平面上に形成されている凹状の空洞部を有する、剛性に形成された細長い本体と、
前記空洞部内に配設されている、揮発性分子を含有するフレグランス組成物と、
前記揮発性分子の放出を実質的に防止する、前記細長い本体の前記上方実質的平面上に配設されておりかつ前記上方実質的平面に剥離可能に接着されている放出バリア層と、
を含むことを特徴とする使い捨て拡散カラー芯。
【請求項16】
前記細長い本体の前記上方実質的平面と前記放出バリア層との間の前記空洞部に亘って配設されている、前記揮発性分子の前記放出を制御するための透過性膜をさらに含む、請求項15に記載の使い捨て拡散カラー芯。
【請求項17】
前記フレグランス組成物は実質的に固体であり、前記空洞部からの漏出を防止する、請求項15に記載の使い捨て拡散カラー芯。
【請求項18】
多孔質材で構成されているフレグランスディフューザをさらに含み、前記フレグランス組成物は前記フレグランスディフューザ内へ吸収され、前記フレグランスディフューザは前記空洞部内に配設されている、請求項15に記載の使い捨て拡散カラー芯。
【請求項19】
前記フレグランス組成物は、前記フレグランス組成物が実質的に使い尽くされた時に指示するための変色インジケータをさらに含む、請求項15に記載の使い捨て拡散カラー芯。
【請求項20】
前記フレグランス組成物は香水、コロン、または防虫剤を含む、請求項15に記載の使い捨て拡散カラー芯。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2020年4月13日に出願された米国仮特許出願第63/009,178号および2020年4月13日に出願された米国仮特許出願第63/009,182号の優先権を主張するものであり、その内容の全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
開示されている発明の対象は、揮発性分子を拡散し、それによりそのような分子が着用者の皮膚または服地に付くことを回避する使い捨てカラー芯に関する。
【背景技術】
【0003】
シャツのカラーは、着用者の顔に近接しているためかつ特にジャケット、ベスト、または他の衣服がシャツの残部上に着用される場合、衣服の視覚的焦点であることが多い。したがって、着用前にシャツカラーを真っ直ぐに整え補剛して、カラー、および転じてシャツおよびその着用者の視覚的魅力を高めることが、長い間望まれてきた。
【0004】
カラー芯が、シャツカラー、特にカラーポイントを真っ直ぐに整え補剛する1つの既知の方法である。今のシャツカラーには、通常、カラーポイントの裏面に事前に配されたポケットが付いており、カラー芯の挿入を可能にする。そのようなカラー芯は、通常、金属およびプラスチックなどの耐久性のある再利用可能な材料から作製されており、シャツの視覚的な面を向上させるのに役立ち得る。
【0005】
カラー/顔面領域は、同様に、嗅覚を含む他の感覚の焦点である。この理由から、フレグランス(例えば、香水、コロン、または防虫剤)着用者は、首およびカラー領域に、カラーおよびシャツの布地上に、皮膚上に、または両方に、フレグランスを塗布することが多い。これら直接塗布方法は、着用者および彼らの同伴者がフレグランスの恩恵を享受することを可能にするが、該直接塗布方法は、それらが布地および皮膚上にフレグランスを直接塗布することを必要とするという点において明らかな欠点を有し、布地および皮膚の両方がフレグランス中のある成分に対してあまり反応しない可能性がある(例えば、炎症、アレルギー、布地の劣化)。
【0006】
再利用可能な香りの良いカラー芯が知られている(例えば、Shwekyの特許文献1)が、着用者がカラー芯およびフレグランスを容易に都合よく交換することを可能にする使い捨て拡散カラー芯の必要が残っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
開示されている発明の対象の目的および利点は次の説明に記載されており、さらなる利点が、本説明に基づいて、当業者の実践および知識により得られ得る。
【課題を解決するための手段】
【0009】
開示されている発明の対象は、いくつかの実施形態により、ユーザがこれらの揮発性分子を皮膚上に直接塗布するかまたはそれらを着用者の皮膚もしくは服地上に噴霧する必要なく、フレグランス中の揮発性分子のゆっくりした放出を可能にする、新規の使い捨て拡散カラー芯を提供する。(「フレグランス」という用語は本願を通じて用いられ、香水、コロン、殺虫剤(「無臭」を含む)等の、ユーザの身体上にまたは付近に塗布される、揮発性分子を含有する任意の組成物を指す。「着用者」という用語は本願を通じて用いられ、フレグランスが個人の身体上に直接「着用される」か否かに関わらず、そのようなフレグランスを使用する個人を指す。)
【0010】
いくつかの実施形態では、使い捨て拡散カラー芯は、揮発性分子が基材内へ吸収されるかもしくは基材層間に捕捉される水溶性基材で構成され得るか、またはその空洞部内に塗布された揮発性分子を有する剛体であり得る。いくつかの実施形態では、使い捨て拡散カラー芯は、使用前の揮発性分子の放出を防止する放出バリア層またはパッケージングを有する。
【0011】
開示されている発明の対象の他の実施形態が、空洞部内に塗布され得るかまたは空洞部内に配置されている多孔質材料(例えば、紙、粉末、不織材料)上で吸収され得る揮発性分子を含有する形成された空洞部を含む使い捨て拡散カラー芯を含む。実施形態では、使い捨て拡散カラー芯は、揮発性分子の拡散を制御する透過性膜を有し得る。実施形態では、使い捨て拡散カラー芯は、カラー芯の使用前の揮発性分子の放出を防止する放出バリア層を有し得る。
【0012】
前述の概要および次の詳細な説明は例示的であり、開示されている発明の対象の説明を提供することを目的としており、該開示されている発明の対象は、添付図面によりさらに例示され、説明される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】開示されている発明の対象による、1つの基材を備えた例示的拡散カラー芯の図である。
【
図2】開示されている発明の対象による、小袋内に封入されている例示的拡散カラー芯の上面図である。
【
図3】開示されている発明の対象による、ラベル内に封入されている例示的拡散カラー芯の上面図である。
【
図4】開示されている発明の対象による、2つの基材を備えた例示的拡散カラー芯の図である。
【
図5】開示されている発明の対象による、2つの基材を備えた拡散カラー芯の例示的構造体の図である。
【
図6】開示されている発明の対象による、シャツ内で使用中の例示的拡散カラー芯の図である。
【
図7】開示されている発明の対象による、例示的拡散カラー芯の図である。
【
図8】開示されている発明の対象による、例示的拡散カラー芯の層の分解図である。
【
図9】開示されている発明の対象による、例示的拡散カラー芯の上面図である。
【
図10】開示されている発明の対象による、例示的拡散カラー芯の縦断面図である。
【
図11】開示されている発明の対象による、例示的拡散カラー芯の層の分解図である。
【
図12】開示されている発明の対象による、例示的拡散カラー芯の縦断面図である。
【
図13】開示されている発明の対象による、シャツ内で使用中の例示的拡散カラー芯の図である。
【
図14】開示されている発明の対象による、例示的拡散カラー芯の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書において提示されている使い捨て拡散カラー芯は、フレグランスを服地または皮膚に直接塗布せずにフレグランスを使用するために、着用者により利用され、同時に、着用者のシャツカラーを補剛し真っ直ぐに整えることの恩恵を享受する。開示されている発明の対象は、香水、コロン、防虫剤を用いた使用に、特に敏感な皮膚を持つ着用者にまたは繊細な布地を持つ衣服に特に適している。
【0015】
開示されている発明の対象により、具現化されかつ本明細書に広く説明されているように、使い捨て拡散カラー芯は、揮発性分子が基材内に吸収されるかもしくは基材層間に捕捉される水溶性基材で構成され得るか、またはその空洞部内に塗布された揮発性分子を有する剛体であり得る。いくつかの実施形態では、使い捨て拡散カラー芯は、使用前の揮発性分子の放出を防止する放出バリア層またはパッケージングを有する。
【0016】
ここで、添付図面に示されている、開示されている発明の対象の様々な例示的実施形態を詳細に参照する。開示されている発明の対象の構造および対応する動作方法はこの詳細な説明と併せて説明される。
【0017】
添付の図は、全て開示されている発明の対象により、様々な実施形態をさらに例示しかつ様々な原理および利点をさらに説明するのに役立つ。説明および例示目的のために、かつ無制限に、開示されている発明の対象による使い捨て拡散カラー芯の例示的実施形態が
図1~
図14に示されている。該使い捨て拡散カラー芯は、ありとあらゆる衣服、例えば、無制限に、シャツカラー、シャツカフ、ジャケットラペル等での使用に適している。
【0018】
例示目的で、無制限に、ここで使い捨て拡散カラー芯の実施形態を示す
図1を参照する。本実施形態では、フレグランスの揮発性分子が使い捨て拡散カラー芯1の水溶性基材上で吸収される。ある実施形態では、使い捨て拡散カラー芯は、水に溶けるので好ましくは水溶性インクで、カラー芯上で吸収されるフレグランスの名前を示すように印刷され得る。
【0019】
図2は、一実施形態による、一対の使い捨て拡散カラー芯およびパッケージングの上面図である。実施形態では、一対または複数対のカラー芯1がパッケージ2内に密封され得る。実施形態では、該パッケージ2は、使い捨て拡散カラー芯1から揮発性分子が拡散するのを防止するバリア材で構成され得る。例えば、パッケージ2は、バリアとしてアルミホイルまたは金属酸化物コーティングを有する積層品で形成され得る。実施形態では、パッケージ2の端部は、着用者がパッケージ2を開放しかつ使い捨て拡散カラー芯1を取り去るのを助けるために、3で示されているように、ギザギザであり得るかまたは穿孔され得る。
【0020】
いくつかの実施形態では、使い捨て拡散カラー芯は、
図3に示されているように、剥離可能なラベル4内にパッケージングされていることが好ましい。実施形態では、ラベルは、2つの層、共に封止されている1つの上層および1つの底層、で構成され得る。シール5は、1つの角部6上に配置されているタブを引っ張るユーザにより、分離可能である。
【0021】
使い捨て拡散カラー芯の別の実施形態が
図4および
図5に示されている。実施形態では、フレグランスの揮発性分子が、使い捨て拡散カラー芯1の2つの基材間に配設されている(
図5)。実施形態では、一方または両方の基材が、フレグランスを含有する空洞部7を含む。ある実施形態では、2つの基材は、フレグランスの揮発性分子を含有して、共に封止され得る。そのような実施形態では、揮発性分子は基材を通り抜ける拡散により放出され得る。
【0022】
実施形態では、使い捨て拡散カラー芯1は、ポリビニルアルコールフィルムなどの別の水溶性ポリマーで包まれるかまたはコーティングされて、揮発性分子の放出を制御し、布地に染みを付けることを回避し得る。
【0023】
図6は、シャツカラー8内で使用中の使い捨て拡散カラー芯1の実施形態を示す。詳細には、
図6(a)は、シャツカラー内への挿入前の、2つの使い捨て拡散カラー芯1を示し、
図6(b)は、シャツカラー内への挿入後の使い捨て拡散カラー芯1を示す。使い捨て拡散カラー芯の水溶性実施形態では、使用後、水溶性使い捨て拡散カラー芯が洗浄中に水に溶けるので、使い捨て拡散カラー芯1を含有する衣服、例えば
図6に示されているカラーシャツ、が、使い捨て拡散カラー芯1を除去せずに洗浄され得る。
【0024】
これにより、着用者が、前に使用された使い捨て拡散カラー芯を除去し、再密封し、交換する必要なく、恐らく衣服が着用される次回に異なるフレグランスを有する別の組の使い捨て拡散カラー芯を選択することが可能になる。また、これにより、着用者が、衣服内またはさもなければドレッサー上などの密封パッケージの外のどちらかに、(再使用可能なカラー芯の場合に)カラー芯を再密封し忘れ、それによりフレグランスが拡散カラー芯から無駄にまたは不必要に漏れ出ることを可能にする可能性が回避される。
【0025】
いくつかの実施形態では、使い捨て拡散カラー芯は、小袋、ラベル、または瓶などのパッケージ内に置かれて、使用前の揮発性分子の放出を防止し得る。いくつかの実施形態では、使い捨て拡散カラー芯が洗浄水に溶けるので、布地が洗浄される時、該使い捨て拡散カラー芯は保持され得る。
【0026】
いくつかの実施形態では、カラー芯は、例えば使用されているフレグランスの名前またはブランドを記述するために印刷され得る。いくつかの実施形態では、そのような印刷は、洗濯中に材料と共に溶ける水性インクを使用することが好ましい。
【0027】
いくつかの実施形態では、コーティングまたはフィルムが使い捨て拡散カラー芯の基材の表面に適用されて、揮発性分子の拡散を減少させることができる。いくつかの実施形態では、水溶性コーティングまたはフィルムが使用され得る。
【0028】
使い捨て拡散カラー芯のいくつかの実施形態では、ワックス、ポリマー、および液体などのいくつかの添加剤が揮発性分子に添加されて、該揮発性分子の放出を制御し得る。
【0029】
いくつかの実施形態では、使い捨て拡散カラー芯の基材は、SmartSolve(登録商標)紙またはアクアソル(Aquasol)(登録商標)紙、ゼラチン、ポリビニルアルコール、カラギーナン、およびアルギン酸塩などのセルロース系水溶性材料を含む。
【0030】
他の実施形態では、使い捨て拡散カラー芯の形成された本体を作製するのに使用される材料は、1つまたは複数の層で構成され得る。該材料は、環状オレフィンコポリマー(COC)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレートグリコール(PETG)、紙、ポリ乳酸を含み得る。該材料は1つまたは複数のコーティングを有し、形成された本体を通る揮発性分子の拡散を制御することができ、実施形態では、後述されているように、透過性膜および放出層を封止することができる。
【0031】
実施形態では、使い捨て拡散カラー芯の形成された本体は、再利用可能なまたは堆肥化可能な材料で作製されていることが好ましい。該再利用可能な材料の例が酸化アルミニウムコーティングを有するポリエチレンの単分子層である。該堆肥化可能な材料の例がポリ乳酸である。
【0032】
使い捨て拡散カラー芯の実施形態では、形成された本体は、フレグランスの揮発性分子を含有し得る空洞部を含む。これらの分子は、空洞部内に直接堆積されるかまたは該空洞部内に堆積されている材料(例えば、紙、スポンジ、不織材料、粉末)上で吸収され得る。1つまたは複数の溶媒が材料/フレグランスに添加されて、透過性膜を通して揮発性分子の拡散を調節し(増加させまたは減少させ)得る。
【0033】
使い捨て拡散カラー芯は、いくつかの実施形態において、透過性(または半透性)膜を含み得る。該透過性膜は揮発性分子に透過性であり、カラー芯からの揮発性分子の拡散を制御する。いくつかの実施形態では、該膜は形成された本体上に接着されているかまたは封止されている。開示されている発明の対象による、使用される透過性膜の例には、ポリエチレン、ポリ(エチレン酢酸ビニル)、および他の透過性樹脂などのポリマーが含まれる。
【0034】
他の実施形態では、揮発性分子は、ワックス、ポリマー、樹脂、および粉末などの1つまたは複数の添加剤と混合されて、液体をジェル、粉末、ワックス、または固体に変形させ得る。そのような変形は、例えば不十分な密封の場合、揮発性分子の漏出を防止し、揮発性分子に透過性の膜の使用を回避することができる。
【0035】
実施形態では、使い捨て拡散カラー芯は、形成された本体または透過性膜に接着された放出バリア層を含む。該放出層は、形成された空洞部内に配設されている揮発性分子に対して1つもしくは複数の不透性(または殆ど不透性の)層を含み、その結果、カラー芯が密封されている間に無有意量の揮発性分子が漏れ出る。
【0036】
いくつかの実施形態では、放出バリア層の透過性は、着用者が、バリア層を通してカラー芯を近くで嗅ぐことにより、含有されたフレグランスを嗅ぐ(「試す」)ことを可能にするために、開封する前に相当量のフレグランスを放出せずに、バリア層を通るフレグランスのある程度の拡散を可能にするように調整され得る。あるいは、着用者が、バリア層、パッケージング、または他の材料の外面上に配設されている、フレグランスを含有する材料(例えば、擦ると香りが出るテスタ)を嗅ぐことにより、密封されたカラー芯のフレグランスを試すことができ、これにより、着用者が、バリア層を開封することおよびカラー芯自体から相当なフレグランスを放出することなく、フレグランスを試すことが可能になる。
【0037】
放出バリア層に適切な材料には、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、エチレン/ビニルアルコールコポリマー、酸化ケイ素(SiOx)等が含まれる。
【0038】
使い捨て拡散カラー芯の実施形態では、放出バリア層は、例えば空洞部内に装填されるフレグランスの名前またはブランド、を示すように印刷され得る。
【0039】
いくつかの実施形態では、使い捨て拡散カラー芯は、カラー芯がいつ交換されてもよいかまたは交換されるべきかを着用者に指示するために、揮発性分子に添加されている変色インジケータを含む。そのような変色インジケータの例には、空洞部内に装填される揮発性分子に添加されている染料または顔料が含まれ、フレグランスが拡散する時、揮発性材料を含有する液体は減少し、染料または顔料を残し、それにより該液体がより高濃度になるにつれてより暗くなる。
【0040】
変色インジケータの別の例には、フレグランス媒体のPhがその蒸発中に変化する時に変色する酸またはアルカリと一緒の、ハロクロミック物質の使用が含まれる。実施形態では、ハロクロミック物質が、水を含有するフレグランス中に溶かされる。フレグランス中に存在するかまたはそれに添加される酸もしくはアルカリが、フレグランス媒体の蒸発中にPhの変動を引き起こす。フレグランスの蒸発と同時の、酸または塩基または水の蒸発に因る、pHのその変動は、ハロクロミック物質の変色をもたらす。
【0041】
例示目的で、無制限に、ここで使い捨て拡散カラー芯の実施形態を示す
図7および
図8を参照する。本実施形態では、使い捨て拡散カラー芯は、形成された本体11と、フレグランスまたはフレグランスを含有する材料を保持するための空洞部12と、形成された本体11に取り付けられている(例えば、封止または接着により)随意の透過性層13と、該透過性層13に除去可能に貼付されている(例えば、除去可能な接着剤により)放出バリア層14とを含む。また、放出層14は形成された本体11に除去可能に貼付され得る。
【0042】
図7に示されている通り、本実施形態では、放出層14は形成された本体11から除去される(例えば、剥離により)ことが可能であり、それにより、フレグランスを空洞部12内で露出させ、該フレグランスが空気中に拡散することを可能にする。
【0043】
図9は、使い捨て拡散カラー芯の例示的実施形態の形状を示し、詳細には、空洞部12を、本体11、透過性層13、および放出層14よりも小さいサイズおよび形状とすることができることを示す。
図9では、本体11、透過性層13、および放出層14は全て、実質的に同一のサイズおよび形状を有するが、開示されている発明の対象に従って、他の配置構成が当業者に明らかであろう。同様に、
図9に示されている空洞部12はスタジアム形状であるが、四辺形、楕円形、または不定形などの他の形状、および複数の空洞部12が、開示されている発明の対象に従って使用され得る。
【0044】
【0045】
図11および
図12が、開示されている発明の対象による使い捨て拡散カラー芯の別の実施形態を示す。空洞部12を備えた形成された本体11が固体フレグランス(例えば、ワックスまたは樹脂)で満たされ、放出層14は該形成された本体11に接着される。本実施形態では、随意の透過性層13(
図7~
図10)は使用されない。
【0046】
図13は、シャツカラー18内で使用中の使い捨て拡散カラー芯の実施形態を示す。本実施形態では、
図13(a)に示されているように、カラー芯は放出バリア層14を有する。
図13(b)に示されているように該放出バリア層14を除去した後、ここでカラー芯は、
図13(c)に示されているように、空洞部12を備えた形成された本体11を含む。カラー芯は、次いで、
図13(d)に示されているシャツカラー18内に配置される。揮発性分子は随意の透過性層13を通って(または透過性層13が使用されない場合は空洞部12から直接)拡散し、それによりフレグランスの放出が可能になる。
【0047】
開示されている発明の対象のいくつかの実施形態による使い捨て拡散カラー芯の変色インジケータが、
図14に示されている。変色インジケータが、空洞部12内に装填される揮発性分子に添加された場合、フレグランスが拡散するにつれて、揮発性分子を含有する液体は減少し、染料または顔料を残し、それにより、該液体がより高濃度になるにつれてより暗くなる。この進行は
図14(a)~
図14(c)に示されている。
【0048】
ここで、本開示による使い捨て拡散カラー芯の2つの例示的実施形態を説明する。
【実施例1】
【0049】
Smartsolve Companyが提供する水溶紙(IT117198)30ptフェイスストック(Facestock)をカラー芯の形状に切り取る。エタノール50%、ジプロピレングリコール30%、およびフレグランスオイル20%の混合物を、次いで、カラー芯上で吸収させる。次に、該カラー芯を、密封されたプラスチックパッケージ内に置き、その使用前のフレグランスの蒸発を回避する。該密封されたパッケージの開放後、着用者がカラー芯を衣服(例えば、シャツカラー)内へ挿入する。使用中、フレグランスはカラー芯から拡散し、着用者および同伴者がフレグランスならびにカラー芯のカラー補剛の恩恵を享受することができる。カラー芯が水溶性材料(本実施例では、Smartsolve Companyが提供するIT117198 30ptフェイスストック)で作製されるので、着用者は、使用後、カラー芯を除去する必要がなく、代わりに、カラー芯を依然として中に有した状態で衣服を洗浄することができる。該水溶性材料は、洗浄中、完全に水に溶ける。
【実施例2】
【0050】
300マイクロメータの環状オレフィンコポリマーのフィルムを、BlisterMate機械上で熱成形し、窪み空洞部を備えたカラー芯形態を製造する。次に、該空洞部をフレグランスオイルで満たす。放出バリア層を備えた低密度ポリエチレンフィルム(30マイクロメータ)を熱成形された本体上で封止する。使い捨て拡散カラー芯のフレグランス拡散は、着用者によりバリア層が剥がされた時に開始する。
【0051】
実施例を含む、例示的実施形態の上述の説明を、開示されている発明の対象の広いコンセプトを記載し、説明し、例示するためにのみ提示しており、本開示の範囲を制限することを意図しておらず、そのように見なされるべきでない。様々な修正および改善が、発明の範囲から逸脱することなく、当業者により行われ得る。したがって、開示されている発明の対象は、次の特許請求の範囲およびそれらの等価物の範囲内にある修正および改善の全てを含む。
【符号の説明】
【0052】
1 使い捨て拡散カラー芯
2 パッケージ
3 (パッケージのギザギザであるかまたは穿孔されている)端部
4 剥離可能なラベル
5 シール
6 角部
7 空洞部
8 シャツカラー
11 形成された本体
12 空洞部
13 透過性層
14 放出バリア層、放出層
18 シャツカラー
【国際調査報告】