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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-25
(54)【発明の名称】水分管理を用いた酸素濃縮器
(51)【国際特許分類】
   A61M 16/10 20060101AFI20230518BHJP
【FI】
A61M16/10 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022561200
(86)(22)【出願日】2021-03-26
(85)【翻訳文提出日】2022-12-06
(86)【国際出願番号】 SG2021050169
(87)【国際公開番号】W WO2021206628
(87)【国際公開日】2021-10-14
(31)【優先権主張番号】10202003154R
(32)【優先日】2020-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SG
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522043172
【氏名又は名称】レスメド・アジア・プライベート・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】RESMED ASIA PTE. LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 充司
(72)【発明者】
【氏名】ダリサイ,キース・レニエ・ブリゴラ
(72)【発明者】
【氏名】コウ,シュウ・イン
(72)【発明者】
【氏名】タン,ジュ・ポー
(72)【発明者】
【氏名】チュア,ウイ・セン
(72)【発明者】
【氏名】キング,ロバート,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ユエン,スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】サディカイ,アイシャ
(72)【発明者】
【氏名】ナヴァロ,レックス・ダエル
(72)【発明者】
【氏名】ミアラリプール,シャヤン
(57)【要約】
酸素濃縮器(100)は、水分調整システムを有し得る。いくつかの実施形態において、濃縮器は、供給ガスを濃縮器内へ誘導する圧縮器を含む。第1の経路は、圧縮システムから供給ガスを受容し得る。第1の経路は、水分を引き出して、水分が低下した供給ガスを生成するように構成され得る。第1の経路は、水分が低下した供給ガスをシーブベッド(単数または複数)へ導き得る。シーブベッドは、水分が低下した供給ガスにより酸素富化空気を生成する。アキュムレータは、生成された酸素富化空気をシーブベッド(単数または複数)から受容するように構成され得る。アキュムレータからの第2の経路により、引き出された水分が生成された富化空気へ付加されて、加湿された富化空気が生成され得る。第3の経路により、引き出された水分が第1の経路から第2の経路へ移送され得る。第2の経路へ連結された出口により、加湿された富化空気がユーザのために濃縮器から放出され得る。
【選択図】図17
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸素濃縮器であって、
供給ガスの流れを前記酸素濃縮器内へ誘導するように構成された、モータ作動式の圧縮器を含む圧縮システムと、
前記圧縮システムへ連結された1つ以上のシーブベッドと、
前記圧縮システムからの第1の経路であって、前記第1の経路は、前記圧縮システムから前記供給ガスを受容するように構成され、前記第1の経路は、前記供給ガスから水分を引き出すことにより、水分が低下した供給ガスを生成するように構成され、前記第1の経路は、前記水分が低下した供給ガスを前記1つ以上のシーブベッドへ導くようにさらに構成され、前記1つ以上のシーブベッドは、前記水分が低下した供給ガスにより酸素富化空気を生成するように構成される、第1の経路と、
前記生成された酸素富化空気を前記1つ以上のシーブベッドから受容するように構成されたアキュムレータと、
前記アキュムレータからの第2の経路であって、前記第2の経路は、前記引き出された水分を前記生成された酸素富化空気へ付加することにより、加湿された酸素富化空気を生成するように構成される、第2の経路と、
前記引き出された水分を前記第1の経路から前記第2の経路へ移送するように構成された第3の経路と、
前記第2の経路へ連結された出口であって、前記加湿された酸素富化空気を前記酸素濃縮器からユーザのために放出するように構成される、出口と、
を含む、酸素濃縮器。
【請求項2】
前記第1の経路は、前記圧縮システムから受容された前記供給ガスの遠心流を誘導して、前記供給ガスから水分を分離するように構成される、請求項1に記載の酸素濃縮器。
【請求項3】
前記第1の経路は、螺旋状流路を含む、請求項1または2に記載の酸素濃縮器。
【請求項4】
前記第1の経路は、(a)スピン誘発原、(b)1つ以上の導流体、および、(c)ボリュート、のうち1つ以上を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の酸素濃縮器。
【請求項5】
前記第1の経路は、テーパ状ボルテックスを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の酸素濃縮器。
【請求項6】
前記第1の経路は、前記供給ガスから水分を引き出す水分ウィックを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の酸素濃縮器。
【請求項7】
前記第1の経路は、水蒸気透過膜の表面を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の酸素濃縮器。
【請求項8】
前記第1の経路は、凝縮器を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の酸素濃縮器。
【請求項9】
前記凝縮器は、凝縮材料を含む、請求項8に記載の酸素濃縮器。
【請求項10】
前記凝縮器は、凝縮コイルを含む、請求項9に記載の酸素濃縮器。
【請求項11】
前記凝縮コイル内に流体を循環させるサーキュレータをさらに含む、請求項10に記載の酸素濃縮器。
【請求項12】
前記第2の経路は、パスオーバー加湿器として構成された閉じ込めタンクを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の酸素濃縮器。
【請求項13】
前記第3の経路は、前記引き出された水分を前記閉じ込めタンクへ移送するように構成される、請求項12に記載の酸素濃縮器。
【請求項14】
前記第3の経路は、1つ以上の液体輸送構成要素をさらに含み、前記1つ以上の液体輸送構成要素は、(a)弁、(b)導管、および、(c)ポンプ、のうち1つ以上を含み、前記1つ以上の液体輸送構成要素は、前記引き出された水分の前記閉じ込めタンクへの移送を誘導するように構成される、請求項13に記載の酸素濃縮器。
【請求項15】
前記第3の経路は、1つ以上の導管を含む、請求項13または14に記載の酸素濃縮器。
【請求項16】
前記第1の経路は、複数の層を含む同心の螺旋として形成される、請求項1~15のいずれか一項に記載の酸素濃縮器。
【請求項17】
前記複数の層の第1の層は、凝縮器材料を含む、請求項16に記載の酸素濃縮器。
【請求項18】
前記複数の層の第2の層は、ウィッキング材料を含む、請求項17に記載の酸素濃縮器。
【請求項19】
前記複数の層は、内側層および外側層を含む、請求項16~18のいずれか一項に記載の酸素濃縮器。
【請求項20】
前記複数の層は、水蒸気透過膜をさらに含む、請求項16~19のいずれか一項に記載の酸素濃縮器。
【請求項21】
前記水蒸気透過膜の内面により、前記同心の螺旋の複数の層の周囲に円筒形表面が形成される、請求項20に記載の酸素濃縮器。
【請求項22】
前記水蒸気透過膜の外面により、前記第2の経路内に収集器が形成される、請求項21に記載の酸素濃縮器。
【請求項23】
供給ガスから水分を除去するように構成された酸素濃縮器であって、前記水分は、その後前記酸素濃縮器のガス吸着プロセスへ付加され、前記酸素濃縮器は、前記ガス吸着プロセスから蓄積された酸素富化空気へ前記除去された水分を再度付加する、酸素濃縮器。
【請求項24】
ポータブル型の酸素濃縮器装置であって、
ガス分離手段と、
前記ガス分離手段内へ供給ガスを供給する手段と、
前記ガス分離手段から酸素富化空気を受容する蓄積手段と、
前記供給ガスから水分を除去する除湿手段と、
前記除去された水分をリサイクルして前記酸素富化空気を加湿する加湿手段と、
前記加湿された酸素富化空気をユーザへ提供する出口手段と、
を含む、酸素濃縮器装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本開示は、シンガポール特許出願第10202003154R号(出願日:2020年4月6日)からの優先権を主張する。本明細書中、同文献全体を参考のため援用する。
【0002】
本技術は、呼吸障害の治療(例えば、ガス吸着または圧力制御および/または真空スイング吸着を用いたもの)のための方法および装置に主に関する。このような方法および装置は、水分によって調整された酸素富化空気を提供する1つ以上の構成要素を含む酸素濃縮器において実行され得る。
【背景技術】
【0003】
・ヒトの呼吸器系およびその障害
身体の呼吸器系は、ガス交換を促進させる。鼻および口は、患者の気道への入口を形成する。
【0004】
これらの気道は、一連の枝管を含み、これらの管は、肺の奥深くに進むほど狭く、短くかつ多数になる。肺の主要な機能はガス交換であり、吸息された空気から酸素を静脈血中へ取り入れさせ、二酸化炭素を排出する。気管は、右および左の主気管支に分かれ、これらの主気管支はさらに分かれて、最終的に終末細気管支となる。気管支は、誘導気道を構成するものであり、ガス交換には関与しない。気道がさらに分割されると呼吸細気管支となり、最終的には肺胞となる。肺の胞状の領域においてガス交換が行われ、この領域を呼吸ゾーンと呼ぶ。以下を参照されたい:「Respiratory Physiology」, by John B. West, Lippincott Williams & Wilkins, 9th edition published 2012。
【0005】
一連の呼吸障害が存在する。呼吸障害の例には、呼吸不全、肥満過換気症候群(OHS)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、神経筋疾患(NMD)および胸壁障害が含まれる。
【0006】
呼吸不全とは、呼吸障害の総称であり、患者の需要を満たすための充分な酸素吸気または充分なCO呼息を肺が行うことができていないことを指す。呼吸不全は、以下の障害のうちいくつかまたは全てを包含し得る。
【0007】
呼吸不全(一種の呼吸不全)の患者は、運動時に異常な息切れを経験することがある。
【0008】
肥満過換気症候群(OHS)は、低換気の原因が他に明確に無い状態における、重症肥満および覚醒時慢性高炭酸ガス血症の組み合わせとして定義される。症状には、呼吸困難、起床時の頭痛と過剰な日中の眠気が含まれる。
【0009】
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、特定の共通する特性を有する下気道疾患のグループのうちのいずれも包含する。これには空気の動きに対する抵抗の増加、呼吸の呼気相の延長および肺における正常な弾性の減少が含まれる。COPDの例として、気腫および慢性気管支炎がある。COPDの原因としては、慢性喫煙(第一危険因子)、職業被ばく、空気汚染および遺伝因子がある。症状を挙げると、労作時の呼吸困難、慢性咳および痰生成がある。
【0010】
神経筋疾患(NMD)は、内在筋病理を直接介してまたは神経病理を間接的に介して筋肉機能を損なう多数の疾患および病気を包含する広範な用語である。NMD患者の中には、進行性の筋肉障害によって特徴付けられる者もあり、結果的に歩行不可能、車椅子への束縛、嚥下困難、呼吸筋力低下に繋がり、最終的には呼吸不全による死亡に繋がる。神経筋障害は、以下の急速進行性と緩徐進行性とに区分され得る:(i)急速進行性障害:数ヶ月かけて悪化する筋肉障害によって特徴付けられ、数年内に死亡に繋がる(例えば、ティーンエージャーにおける筋萎縮性側索硬化症(ALS)およびデュシェンヌ筋ジストロフィー(DMD));(ii)可変性または緩徐進行性障害:数年かけて悪化する筋肉障害によって特徴付けられ、平均余命が若干低減するだけである(例えば、肢帯、顔面肩甲上腕型および筋緊張型筋ジストロフィー)。NMDにおける呼吸不全症状を以下に挙げる:全身衰弱の増加、嚥下障害、労作および安静時の呼吸困難、疲労、眠気、起床時の頭痛、および集中および気分の変化の困難。
【0011】
胸壁障害は、胸郭変形の1つのグループであり、呼吸筋肉と胸郭との間の連結の無効性の原因となる。これらの障害は、拘束性障害によって主に特徴付けられ、長期の炭酸過剰性呼吸不全の可能性を共有する。脊柱側弯症および/または脊柱後側弯症は、重篤な呼吸不全を発症することがある。呼吸不全の症状を以下に挙げる:労作時の呼吸困難、末梢浮腫、起座呼吸、反復性胸部感染症、起床時の頭痛、疲労、睡眠の質の低下、および食欲不振。
【0012】
・治療
上記の呼吸障害のうち1つ以上の治療のために、多様な呼吸治療が用いられている。
【0013】
呼吸圧力治療
呼吸圧力治療とは、(例えば、タンクベンチレータや陽陰圧体外式人工呼吸器(cuirass)などの陰圧治療とは異なり)患者の呼吸サイクル全体にかけて雰囲気に対して通常陽圧である制御された目標圧力において気道の入口へ空気を供給することの適用である。
【0014】
非侵襲的換気(NIV)は、上気道を通じて換気補助を患者へ提供するものであり、呼吸機能の一部または全体を行うことにより患者の呼吸の補助および/または身体中の適切な酸素レベルの維持を提供する。換気補助は、非侵襲的患者インターフェースを介して提供される。NIVは、OHS、COPD、NMD、および胸壁障害などの形態の呼吸不全の治療に用いられている。いくつかの形態では、これらの治療で快適性および有効性が向上し得る。
【0015】
侵襲的換気(IV)は、自身で有効に呼吸することができなくなった患者に対して換気補助を提供し、気管切開管を用いて提供され得る。いくつかの形態では、これらの治療で快適性および有効性が向上し得る。
【0016】
流れ治療
全ての呼吸治療において、規定の治療圧力の送達が意図されているわけではない。いくつかの呼吸治療においては、(恐らくは正のベースライン圧力上に重畳された)吸気流量プロファイルの送達を目標継続期間にわたって行うことによる規定呼吸量の送達が、企図されている。他の場合において、患者の気道へのインターフェースが「開放」(シール解除)されており、呼吸治療は、調整空気または高濃度空気の流れによって、患者自身の自発呼吸の補助としてのみ用いられ得る。一例において、高流量治療(HFT)とは、加熱され、加湿された連続的な空気流れを、シールされていないかまたは開口した患者インターフェースを通じて、呼吸サイクル全体にかけてほぼ一定に保持される「治療流量」で気道への入口へ提供することである。治療流量は、患者のピーク吸気流量を超えるようにノミナル設定されている。HFTは、呼吸不全、COPDおよび他の呼吸障害の治療のために用いられている。1つの作用メカニズムとして、患者の解剖学的死腔から呼気されたCOのフラッシングまたは押し流しが可能になるため、高流量の空気を気道入口へ提供すると、換気効率が向上する。そのため、HFTは、死腔治療(DST)と呼ばれる場合がある。他の恩恵を挙げると、(恐らくは分泌制御の恩恵による)暖かさおよび加湿の向上や、気道圧力の緩やかな上昇の可能性がある。一定の流量の代替例として、治療流量は、呼吸サイクルにわたって変動するプロファイルに追随し得る。
【0017】
別の形態の流れ治療として、長期酸素治療(LTOT)または酸素補充治療がある。医師は、指定酸素濃度(周囲空気中の酸素分率が21%~100%)の酸素富化空気の連続流れを、指定流量(例えば、1リットル/分(LPM)、2LPM、3LPM)で患者気道へ送達させる旨を処方し得る。
【0018】
・呼吸治療システム
これら呼吸治療は、呼吸治療システムまたはデバイスによって提供され得る。このようなシステムおよびデバイスは、疾病を治療することなく、スクリーニング、診断、または監視のためにも用いられ得る。
【0019】
呼吸治療システムは、酸素源、空気回路および患者インターフェースを含み得る。
【0020】
患者インターフェース
患者インターフェースは、例えば気道入口への空気流れを提供することにより呼吸装具へのインターフェースを着用者へ提供するために、用いられ得る。空気流れは、鼻および/または口へのマスク、口への管、または患者気管への気管切開管を介して提供され得る。適用される治療に応じて、患者インターフェースは、例えば患者の顔の領域とのシールを形成し得、これにより、治療実行のための周囲圧力と共に充分な分散の圧力において(例えば、例えば周囲圧力に対して約10cmHOの陽圧において)ガス送達を促進する。酸素送達などの他の治療形態において、患者インターフェースは、約10cmHOの陽圧において気道へのガス供給の送達を促進するのに充分なシールを含まない場合がある。鼻LTOTなどの流れ治療の場合、患者インターフェースは、鼻孔への送気を行い(かつ完全なシールを明確に回避する)ように、構成される。このような患者インターフェースの一例として、鼻カニューレがある。
【0021】
パルスモードまたはデマンドモードにおいて、酸素濃縮器は、酸素富化空気の放出を制御し得る。これは、酸素を一連のパルスとして送達させることによって達成され得、各パルスまたは「ボーラス」は、吸気と同時発生するようにタイミングがとられ得る。このようなモードの制御は典型的には、酸素富化空気を一定の時間にわたって放出する空気圧弁の作動によって行われる。一定の時間は、所望のまたは目標とするボーラス量と関連付けられるように、較正される。しかし、このような一定の時間のボーラス放出プロセスの場合、(例えば、システム特性(例えば、圧縮器変動性)、吸着プロセスの局面(例えば、PSAサイクル)、シーブベッド状態、空気フィルタ状態に起因して)目標とするボーラス量を必ずしも常に達成するのではないため、空気圧弁も変動的に作動させることにより、送達されるボーラス量が、目標とする量により近くなるように調節され得る。
【0022】
空気回路
空気回路は、使用時において呼吸可能なガス流れが呼吸治療システムの2つの構成要素(例えば、酸素源および患者インターフェース)間を移動するように、構築され配置された導管または管である。いくつかの場合において、吸息および呼息のための空気回路の別個の肢があり得る。他の場合において、吸息と呼息との両方のために単一の肢空気回路が用いられる。
【0023】
酸素源
この分野の専門家は、呼吸不全患者の運動が、疾患進行を遅らせ、生活の質を高め、患者の寿命を延ばす長期的恩恵が得られると認識してきた。しかし、トレッドミルおよび定置式自転車などの定置型の運動は、これらの患者にとって激し過ぎる。そのため、移動性の必要性が、長く認識されている。最近まで、この機動性は、ドリーホイールを備えたカート上に取り付けられた小型圧縮酸素タンクまたはシリンダーの使用によって促進されている。これらのタンクの不利点として、酸素容量が限られており、取り付け時の重量も、約50ポンドと高重量である。
【0024】
酸素濃縮器は、呼吸治療用の酸素供給のために、約50年間使用されている。従来の酸素濃縮器の場合、嵩高かつ高重量であるため、酸素濃縮器を装着しながら通常の歩行活動を行うことは、困難かつ非実際的である。最近、大型の定置型酸素濃縮器の製造会社は、ポータブル酸素濃縮器(POC)の開発を開始している。POCの利点は、理論的には酸素をエンドレスに供給できる点がある。これらのデバイスを移動性のために小型化することを目的として、酸素富化空気生成に必要とされる多様なシステムが高密度化されている。重量、サイズおよび消費電力を最小限にするためには、POCは、生成された酸素の使用をできるたけ効率化する必要が有る。これは、酸素を一連のパルスまたは「ボーラス」として送達させることによって達成され得、各ボーラスは、吸気開始と同時発生するようにタイミングがとられる。このような動作モードは、コンサーバを用いて実行され得る。この治療モードは、定置型酸素濃縮器により適している従来の連続流送達と対照的に、パルス型酸素送達(POD)またはデマンドモードとして公知である。
【0025】
酸素濃縮器は、プロセス(例えば、真空スイング吸着(VSA)、圧力スイング吸着(PSA)または真空圧力スイング吸着(VPSA))を実行し得る。例えば、酸素濃縮器(例えば、POC)は、スイング吸着プロセス(例えば、真空スイング吸着VSA、圧力スイング吸着PSAまたは真空圧力スイング吸着VPSA(本明細書中、これらをそれぞれ、「スイング吸着プロセス」と呼ぶ))において、減圧(例えば、真空動作)および/または加圧(例えば、圧縮器動作)に基づいて機能し得る。例えば、酸素濃縮器は、圧力スイング吸着(PSA)のプロセスを制御し得る。圧力スイング吸着においては、キャニスタ内のガス圧力を上昇させるために圧縮器が用いられるが、キャニスタ内には、酸素よりも窒素をより多く吸着するガス分離用吸着剤の粒子が含まれる。このようなキャニスタが大規模なガス分離用吸着剤(例えば、ガス分離用吸着剤の層)を含む場合、シーブベッドとして機能し得る。圧力増加と共に、ガス中の特定の分子が、ガス分離吸着剤上に吸着され得る。加圧条件下においてキャニスタ中のガスの一部が除去されると、吸着されなかった分子が吸着された分子から分離される。その後、吸着された分子は、シーブベッドの通気によって脱離され得る。酸素濃縮器についてのさらなる詳細について、例えば米国公開特許出願第2009-0065007号(公開日:2009年3月12日、タイトル「Oxygen Concentrator Apparatus and Method」)に記載がある。本明細書中、同文献を参考のため援用する。
【0026】
周囲空気は、およそ78%の窒素および21%の酸素を一般的に含み、その残余の内訳は、アルゴン、二酸化炭素、水蒸気および他の微量ガスである。酸素よりも窒素をより吸着するガス分離吸着剤を含むキャニスタ内を例えば空気などの供給ガス混合物を圧力下において通過させると、窒素の一部または全体はキャニスタ中に残留し、キャニスタから流出したガスは、酸素を豊富に含むようになる。このシーブベッドが窒素吸着能力の限界に到達した場合、圧力低下により床を再生することができ、これにより、吸着された窒素が放出される。その後、別の酸素富化空気生成の「PSAサイクル」に対して準備が完了する。キャニスタを2つ用いたシステムにおいて、これらのキャニスタの加圧サイクルを交互に行うことにより、一方のキャニスタにおいて酸素の濃縮(いわゆる「吸着フェーズ」)を行う一方、他方のキャニスタにおいてパージ(「パージフェーズ」)が行われる。このような交互の実施により、窒素からの酸素分離がほぼ連続的に行われる。このようにして、空気からの酸素の濃縮を、ユーザへのLTOT提供などの多様な用途のために連続的に行うことが可能になる。
【0027】
真空スイング吸着(VSA)により、別のガス分離技術が得られる。VSAの場合、典型的には真空(例えば、シーブベッド内に真空を発生させるように構成された圧縮器)を用いたシーブベッドの分離プロセスを通じてガス引き込みを行う。真空圧力スイング吸着(VPSA)は、真空および加圧技術の組み合わせを用いたハイブリッドシステムとして理解され得る。例えば、VPSAシステムは、分離プロセスのためにシーブベッドを加圧し得、シーブベッドの減圧のために真空も付加し得る。
【0028】
シーブベッドは、上記したようにPSAプロセス、VSAプロセスまたはVPSAプロセスに従って交互に用いられた場合でも、各サイクル後には、吸着された窒素のうち一部を最終的に保持することになる。その結果、シーブベッドの窒素の全体的吸着容量は、使用と共に低下していき、最終的にはシーブベッドの交換が必要になる。
【0029】
空気分離において用いられる典型的な吸着材は、ゼオライトと呼ばれる。医療用酸素生成器(例えば、ポータブル型の酸素濃縮器)の用途において、一般的な種類のゼオライトとして、Li-LSX、低シリカ高リチウム交換ゼオライトがあり、窒素(N)に対して高親和性を有する。しかし、Li-LSXゼオライトは高極性であるため、極性分子(例えば、水)に対する親和性も高くなる。水は、ガス(例えば、水蒸気)および/または液体(例えば、水分または凝縮水蒸気)の形態をとり得る。ゼオライトが水を吸着する際、吸着部位が水分によって占有されるため、窒素に対する親和性が有意に低下する。
【0030】
この問題に対処するための標準的方法としては、空気を乾燥させた後にシーブベッド内へ供給する方法がある。これは、水を吸着するガード層の利用によって達成され得る。正しい材料を選択し、ガード層のサイジングを効果的に行い、そしてPSA/VPSAサイクルの調整を行えば、シーブベッド中への水侵入を管理することができる。
【0031】
そのため、ポータブル型の酸素生成器(POC)内における水分(または水)の管理は、重要である。詳細には、水分の存在に起因して、POC中のシーブベッドが不活性化され得る。そのため、シーブベッド中に進入する空気中の水分を最小限にすると有利である。さらに、酸素富化空気の患者への送達時において、酸素富化空気の流れに起因して、気道の乾燥に繋がり得、不快感の原因になる。そのため、鼻粘膜の乾燥の最小化および患者気道の快適性の向上のために、酸素富化空気の流れを加湿すると有利であり得る。
【発明の概要】
【0032】
本技術の例により、酸素濃縮器(例えば、ポータブル型の酸素濃縮器(POC))のための装置が提供され得る。詳細には、本技術によれば、装置内の水分を管理するための1つ以上の構成要素を有するポータブル型の酸素濃縮器のための方法および装置が提供される。
【0033】
よって、本技術のいくつかの実施形態は、POC用の水分管理システムに関連し得る。一般的には、水分管理システムは、以下のうち任意の1つ以上を含み得る:(i)水分分離サブシステム(MS)または分離装置;(ii)水分輸送サブシステム(MT)または水管;および(iii)水分格納モジュール(MC)またはリザーバ。
【0034】
上記のサブシステムは、既存のPOC100システムと一体化され得る。いくつかの実施形態において、水分管理システムは、水分をリサイクルするように実行され得るため、取り込まれた空気または供給ガスからの水分の除去が分離装置またはMSによって行われる。有利なことに、水分分離によって比較的乾燥した空気がシーブベッドに進入するため、通常であれば水分に起因して不活性化され得るシーブベッドの有効期間が長くなり得る。乾燥された空気は、酸素生成サブシステムを通じて送られ得る(この酸素生成サブシステムは典型的には、シーブベッドの一部として機能するガス分離用吸着剤を含む)。その後、上記の除去された水分は、例えば水管またはMTを介してリザーバまたはMCへ移送され得る。このようなリザーバまたはMCは、前回捕捉された水分を患者による使用のために生成ガス(すなわち、酸素富化空気)へ返送するように、構成され得る。よって、シーブベッドから生成された酸素富化空気が水分補給または保湿された後に、酸素富化空気は、患者または酸素濃縮器のユーザへ放出され得る。
【0035】
本技術のこのような例示的実施形態は、酸素濃縮器を含み得る。酸素濃縮器は、供給ガスの流れを酸素濃縮器内へ誘導するように構成された、モータ作動式の圧縮器を含み得る圧縮システムを含み得る。酸素濃縮器は、圧縮システムへ連結された1つ以上のシーブベッドを含み得る。酸素濃縮器は、圧縮システムからの第1の経路を含み得る。第1の経路は、圧縮システムから供給ガスを受容するように構成され得る。第1の経路は、供給ガスから水分を引き出して、水分が低下した供給ガスを生成するように構成され得る。第1の経路は、水分が低下した供給ガスを1つ以上のシーブベッドへ導くようにさらに構成され得る。1つ以上のシーブベッドは、水分が低下した供給ガスにより酸素富化空気を生成するように構成され得る。酸素濃縮器は、生成された酸素富化空気を1つ以上のシーブベッドから受容するように構成されたアキュムレータを含み得る。酸素濃縮器は、アキュムレータからの第2の経路を含み得る。第2の経路は、引き出された水分を生成された酸素富化空気へ付加することにより、加湿された酸素富化空気を生成するように構成され得る。酸素濃縮器は、引き出された水分を第1の経路から第2の経路へ移送するように構成された第3の経路を含み得る。酸素濃縮器は、第2の経路へ連結された出口を含み得、加湿された酸素富化空気を酸素濃縮器からユーザのために放出するように構成され得る。
【0036】
いくつかの実施形態において、第1の経路は、圧縮システムから受容された供給ガスの遠心流を誘導して、供給ガスから水分を分離するように構成され得る。第1の経路は、螺旋状流路を含み得る。第1の経路は、(a)スピン誘発原、(b)1つ以上の導流体および(c)ボリュートのうち1つ以上を含み得る。第1の経路は、テーパ状ボルテックスを含み得る。第1の経路は、供給ガスから水分を引き出す水分ウィックを含み得る。第1の経路は、水蒸気透過膜の表面を含み得る。第1の経路は、凝縮器を含み得る。凝縮器は、凝縮材料を含み得る。凝縮器は、凝縮コイルを含み得る。酸素濃縮器は、凝縮コイル内に流体を循環させるサーキュレータを含み得る。第2の経路は、パスオーバー加湿器として構成された閉じ込めタンクを含み得る。第3の経路は、引き出された水分を閉じ込めタンクへ移送するように構成され得る。第3の経路は、1つ以上の液体輸送構成要素をさらに含み得る。1つ以上の液体輸送構成要素は、(a)弁;(b)導管および(c)ポンプのうち1つ以上を含み得る。1つ以上の液体輸送構成要素は、引き出された水分の閉じ込めタンクへの移送を誘導するように構成され得る。第3の経路は、1つ以上の導管を含み得る。
【0037】
いくつかの実施形態において、第1の経路は、複数の層を含み得る同心の螺旋として形成され得る。複数の層の第1の層は、凝縮器材料を含み得る。複数の層の第2の層は、ウィッキング材料を含み得る。複数の層は、内側層および外側層を含み得る。複数の層は、水蒸気透過膜をさらに含み得る。水蒸気透過膜の内面は、同心の螺旋の複数の層の周囲に円筒形表面を形成し得る。水蒸気透過膜の外面により、第2の経路内に収集器が形成され得る。
【0038】
いくつかの実施形態において、酸素濃縮器は、水分を供給ガスから除去することと、ガス吸着プロセスから蓄積され得る酸素富化空気へ除去された水分を再度付加することとを行うように構成され得る。この水分は、その後酸素濃縮器のガス吸着プロセスへ付加され得る。
【0039】
いくつかの実施形態において、ポータブル型の酸素濃縮器装置は、ガス分離手段を含み得る。ポータブル型の酸素濃縮器装置は、ガス分離手段内へ供給ガスを供給する手段を含み得る。ポータブル型の酸素濃縮器装置は、ガス分離手段から酸素富化空気を受容する蓄積手段を含み得る。ポータブル型の酸素濃縮器装置は、供給ガスから水分を除去する除湿手段を含み得る。ポータブル型の酸素濃縮器装置は、除去された水分をリサイクルして酸素富化空気を加湿する加湿手段を含み得る。ポータブル型の酸素濃縮器装置は、加湿された酸素富化空気をユーザへ提供する出口手段を含み得る。
【0040】
もちろん、上記態様の一部は、本技術の下位態様を形成し得る。また、下位態様および/または態様のうち多様な1つを多様に組み合わせることができ、本技術のさらなる態様または下位態様も構成し得る。
【0041】
本技術の他の特徴は、以下の詳細な説明、要約、図面および特許請求の範囲中に含まれる情報に鑑みれば明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
本技術の利点は、当業者にとって、以下の実施形態の詳細な説明の恩恵および添付図面の参照により、明らかになる。
図1】本技術の一形態による酸素濃縮器を示す。
図2】本技術の態様による酸素濃縮器の構成要素の模式図である。
図3】本技術の態様による酸素濃縮器の断面図である。
図4】本技術の態様による酸素濃縮器の圧縮システムの斜視側面図である。
図5】熱交換導管を含む圧縮システムの側面図である。
図6】本技術の態様による酸素濃縮器の例示的出口構成要素の模式図である。
図7】本技術の態様による、酸素濃縮器のための出口導管を示す。
図8】本技術の態様による、酸素濃縮器のための別の出口導管を示す。
図9】本技術の態様による、酸素濃縮器のための分解されたキャニスタシステムの斜視図である。
図10図9のキャニスタシステムの端面図である。
図11図10に示すキャニスタシステム端の組立図である。
図12】(図10および図11に示すものに対する)図9のキャニスタシステムの対向端の図である。
図13図12に示すキャニスタシステム端部の組立図である。
図14】本技術の態様による、酸素濃縮器用の例示的制御パネルを示す。
図15】本技術の態様による、酸素濃縮器のための例示的な取り外し可能なキャニスタアセンブリを示す。
図16A】本技術の態様による、図15のキャニスタアセンブリを(区画へのポータルを介して)酸素濃縮器の区画内に取り付けた様子を示す。
図16B】本技術の態様による、図15のキャニスタアセンブリの無い状態における、(区画へのポータルを介した)図16Aの酸素濃縮器の区画を示す。
図16C図16Aの酸素濃縮器を任意選択の取り外し可能な蓋部と共に示す。この取り外し可能な蓋部は、ハウジングへ取り付けられ、ポータルを区画に封入する。
図17】本技術の態様による、濃縮器によって生成された酸素富化空気の水分調整のための構成要素を備えた酸素濃縮器の実施形態を示す。
図18】例示的遠心分離装置と、水分輸送のための水管と、パスオーバー加湿器とを用いた例示的水分調整システムを示す。
図19図18と同様の例示的遠心分離装置において凝縮器も設けた別の例示的水分調整システムを示す。
図20図18の実施形態と同様の水分調整システムの例において、分離装置および加湿器をより密接して一体化した別の実施形態を示す。
図21A】螺旋状構成を用いた例示的遠心分離装置の側面断面図である。
図21B図21Aの分離装置の平面断面図である。
図22】ボルテックス構成における図21Aの実施形態と同様の別の例示的遠心分離装置の側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
酸素濃縮器を用いた本技術の例示的吸着デバイスは、図の例に関連して考察され得る。本技術の例は、以下の構造および動作のうちいずれかと共に実行され得る。
【0044】
・外側ハウジング
図1は、酸素濃縮器100の外側ハウジング170の実施形態を示す。いくつかの実施形態において、外側ハウジング170は、軽量プラスチックを含み得る。外側ハウジングは、圧縮システム入口105と、冷却システム受動的入口101と、外側ハウジング170の各端部における出口173と、出口ポート174と、コントロールパネル600とを含む。入口101および出口173により、冷却空気がハウジングに進入し、ハウジングを通過し、ハウジング170内から流出して、酸素濃縮器100の冷却を促進することができる。圧縮システム入口105により、圧縮システム内への空気進入が可能になる。出口ポート174は、酸素濃縮器100によって生成された酸素富化空気をユーザへ提供するための導管を取り付けるために用いられる。
【0045】
・模式図
図2は、一実施形態による酸素濃縮器100の概略図である。酸素濃縮器100は、空気ストリーム中の酸素を濃縮することにより、酸素富化空気をユーザへ提供し得る。
【0046】
酸素濃縮器100は、ポータブル酸素濃縮器であり得る。例えば、酸素濃縮器100の重量およびサイズは、酸素濃縮器を手で持ち運びできかつ/またはキャリーケースに入れて持ち運びできるような重量およびサイズになり得る。1つの実施形態において、酸素濃縮器100の重量は、約20ポンド未満、約15ポンド未満、約10ポンド未満または約5ポンド未満である。実施形態において、酸素濃縮器100の容積は、約1000立方インチ未満、約750立方インチ未満、約500立方インチ未満、約250立方インチ未満、または約200立方インチ未満である。
【0047】
酸素富化空気の生成は、キャニスタ302および304中の周囲空気の加圧によって行われ得る。キャニスタ302および304は、ガス分離用吸着剤を含むため、シーブベッドと呼ばれる。酸素濃縮器中において有用に用いられるガス分離吸着剤は、少なくとも窒素を空気ストリームから分離して、酸素富化空気を生成することができる。ガス分離吸着剤の例を挙げると、空気ストリームからの窒素分離が可能な分子篩がある。酸素濃縮器内において用いられ得る吸着剤の例を非限定的に挙げると、高圧下における空気ストリームからの窒素分離を行うゼオライト(天然)または合成結晶質アルミノ珪酸塩がある。利用可能な合成結晶質アルミノ珪酸塩の例を非限定的に以下に挙げる:OXYSIV吸着剤(入手元:UOPLLC、デスプレーンズ、IW);SYLOBEAD吸着剤(入手元:W.R.Grace&Co、コロンビア、MD);SILIPORITE吸着剤(入手元:CECAS.A.、パリ、フランス);ZEOCHEM吸着剤(入手元:ZeochemAG、ウエーティコン、スイス);およびAgLiLSX吸着剤(入手元:Air Products and Chemicals、Inc.、アレンタウン、PA)。
【0048】
図2に示すように、空気は、空気入口105を通じて酸素濃縮器へ進入し得る。空気は、圧縮システム200により空気入口105中へ引き込まれ得る。圧縮システム200は、酸素濃縮器の周囲から空気を引き込み、この空気を圧縮し得、これにより、圧縮空気をキャニスタ302および304の一方または双方の内部へ押し込まれ得る。一実施形態において、入口マフラー108は、圧縮システム200によって空気が酸素濃縮器中へ引き込まれる際に発生する音を低減するように、空気入口105へ連結され得る。実施形態において、入口マフラー108は、汚染物質フィルタ、水分フィルタおよび/または減音マフラーを有し得る。そのため、このような空気入口105は、取り込まれた空気(または供給ガス)から汚染物質を除去する汚染物質フィルタと共に実行され得る。いくつかの実施形態において、吸水材(例えば、ポリマー吸水材またはゼオライト材料)は、入来空気からの水の吸着と、空気入口105中へ進入する空気音の低減とをどちらとも行うために用いられ得る。あるいは、本明細書中においてより詳細に述べるように、水は、分離装置1704によって分離され得る。このような分離装置は、圧縮器の上流または下流に任意選択的に設けられ得るが、シーブベッドの上流にあるPOCの入口ストリームの経路に設けられることが多い。図2に示すように、システムのこのような構成要素が、圧縮システム200の出口の近隣に設けられた様子が図示される。
【0049】
圧縮システム200は、空気を圧縮するように構成された1つ以上の圧縮器を含み得る。圧縮システム200によって生成された加圧空気は、キャニスタ302および304の一方または双方の内部へ押し込まれ得る。いくつかの実施形態において、周囲空気は、キャニスタ中においておよそ13~20ポンド/平方インチのゲージ圧(psig)の範囲において加圧され得る。キャニスタ内に配置されるガス分離吸着剤の種類に応じて、他の圧力を用いてもよい。
【0050】
各キャニスタ302/304には、入口弁122/124および出口弁132/134が連結される。図2に示すように、入口弁122はキャニスタ302へ連結され、入口弁124はキャニスタ304へ連結される。出口弁132はキャニスタ302へ連結され、出口弁134はキャニスタ304へ連結される。入口弁122/124は、圧縮システム200から各キャニスタへの空気の通過の制御するために用いられる。出口弁132/134は、通気プロセス時において各キャニスタからのガスの放出のために用いられる。いくつかの実施形態において、入口弁122/124および出口弁132/134は、シリコンプランジャーソレノイド弁であり得る。しかし、他の種類の弁を用いてもよい。プランジャー弁の場合、静音性があり、かつずれが小さい点において、他の種類の弁よりも有利である。
【0051】
いくつかの実施形態において、2段弁作動電圧が、入口弁122/124および出口弁132/134の制御のために用いられ得る。例えば、入口弁を開放させるために、高電圧(例えば、24V)が入口弁へ付加され得る。次に、電圧を(例えば7V)へ低下させると、入口弁の開放状態が維持される。弁開放状態を維持するための電圧が低いほど、使用電力も低くなり得る(電力=電圧*電流)。このように電圧が低下すると、発熱および消費電力が最小化され、電源180(以下に述べる)からのランタイムが延びる。弁への電力が断ち切られると、弁はバネ作用によって閉鎖する。いくつかの実施形態において、電圧は、必ずしも段階的応答ではない時間の関数として付加され得る(例えば、初期24Vから最終7Vへの曲線状の電圧低下)。
【0052】
一実施形態において、加圧空気は、キャニスタ302または304のうち1つの内部へ送られ、他方のキャニスタは通気される。例えば、使用時に、入口弁122は開放され、入口弁124は閉鎖される。圧縮システム200からの加圧空気は、キャニスタ302中へ押し込まれる一方、キャニスタ304中への進入は入口弁124によって阻止される。一実施形態において、コントローラ400は、弁122,124,132および134へ電気的に連結される。コントローラ400は、メモリ420中に保存されたプログラム命令を実行することが可能なプロセッサ410を1つ以上含む。これらのプログラム命令は、本明細書中により詳細に記載の方法のような、酸素濃縮器の動作に用いられる多様な事前規定された方法をコントローラが行うように構成される。プログラム命令は、入口弁122および124を相互に逆位相で動作させる(すなわち、入口弁122または124のうち一方が開放しているとき、他方の弁が閉鎖している)ためのプログラム命令を含み得る。キャニスタ302の加圧時において、出口弁132は閉鎖され、出口弁134は開放される。入口弁と同様に、出口弁132および134は、相互に逆位相に動作される。いくつかの実施形態において、電圧、ならびに入力弁および出力弁の開放に用いられる電圧の継続期間は、コントローラ400によって制御され得る。
【0053】
コントローラ400に含まれ得るトランシーバ430は、外部デバイスと通信して、プロセッサ410によって集められたデータを送信するかまたはプロセッサ410への命令を外部コンピューティングデバイスから受信し得る。
【0054】
チェック弁142および144は、それぞれキャニスタ302および304へ連結される。チェック弁142および144は、キャニスタの加圧および通気時に発生する圧力差によって受動的に動作する一方向弁であってもよく、または活性弁であってもよい。チェック弁142および144は、キャニスタの加圧時に生成された酸素富化空気が各キャニスタから流出でき、かつ、酸素富化空気または他の任意のガスのキャニスタ内への逆流を阻止できるように、キャニスタへ連結される。このようにして、チェック弁142および144は、加圧時において各キャニスタからの酸素富化空気の流出を可能にする一方向弁として機能する。
【0055】
本明細書中用いられるように、「チェック弁」という用語は、流体(ガスまたは液体)の一方向への流動を可能にしかつ流体の逆流を阻止する弁を指す。利用に適したチェック弁の例を以下に非限定的に挙げる:ボールチェック弁;ダイヤフラムチェック弁;バタフライチェック弁;スイングチェック弁;ダックビル弁;アンブレラ弁;およびリフトチェック弁。加圧下において、加圧された周囲空気中の窒素分子は、加圧されたキャニスタ中のガス分離吸着剤によって吸着される。圧力が増加すると、キャニスタ内のガスに含まれる酸素が多くなるまで、より多くの窒素が吸着される。吸着されなかったガス分子(主に酸素)は、圧力が、キャニスタへ連結されたチェック弁の抵抗を充分に越える値に到達すると、加圧されたキャニスタから流出する。一実施形態において、前方方向におけるチェック弁の圧力降下は、1psig未満である。逆方向における破壊圧力は、100psigを超える。しかし、1つ以上の構成要素の変更により、これらの弁の動作パラメータも変化することが理解されるべきである。前方流れ圧力が増加すると、酸素富化空気生成が一般的に低下する。逆流のための破壊圧力が低下した場合または低すぎる値に設定された場合、酸素富化空気圧力も概して低下する。
【0056】
例示的実施形態において、キャニスタ302は、圧縮システム200中において生成されてキャニスタ302中に送られた圧縮空気によって加圧される。キャニスタ302の加圧時において、入口弁122は開放され、出口弁132は閉鎖され、入口弁124は閉鎖され、出口弁134は開放される。出口弁132が閉鎖されると、出口弁134が開放され、これにより、キャニスタ302の加圧時におけるキャニスタ304の雰囲気への実質的な同時通気が可能になる。キャニスタ中の圧力がチェック弁142を開放させるのに充分になるまで、キャニスタ302が加圧される。キャニスタ302中に生成された酸素富化空気は、チェック弁を通じて流出し、一実施形態において、アキュムレータ106中において集められる。本明細書中においてより詳細に述べるように、アキュムレータ106の出口は、アキュムレータ106から放出された生成ガスへ水分を付加するように構成されたリザーバ1710に繋がり得る。図6に示すように、アキュムレータに対するこの下流配置構成に加えて、リザーバ1710は、酸素濃縮器の多様な付加構成要素(例えば、存在する場合)の下流に任意選択的に設けてもよい(例えば、以下のうち任意の1つ以上:供給弁160、膨張チャンバ162、流れ抵抗器175、流量センサ185および/または粒子フィルタ187)。このような配置構成により、より乾燥したガスの保存が可能になるため、このような上流のシステム構成要素上における水分の存在に起因する悪影響が低減され得る。リザーバ1710は、水分(例えば、分離装置1704によって前回除去された水分)を含み得、この水分は、例えば発熱体またはコイルによって任意選択的に加熱され得、これにより、ユーザのより快適なユーザエクスペリエンスのために酸素富化生成ガスが昇温される。
【0057】
一定期間後、ガス分離吸着剤は窒素で飽和することになり、有意な量の窒素を入来空気から分離することができなくなる。このポイントは、所定の時間の酸素富化空気生成後に到達することが多い。上記の実施形態において、キャニスタ302中のガス分離吸着剤がこの飽和点に到達すると、圧縮空気の流入が停止され、キャニスタ302が通気されて、窒素が除去される。通気時において、入口弁122は閉鎖され、出口弁132は開放される。キャニスタ302の通気時において、キャニスタ304への加圧により、酸素富化空気の生成を上記した方法と同じ方法で行う。キャニスタ304の加圧は、出口弁134の閉鎖および入口弁124の開放によって達成される。酸素富化空気は、チェック弁144を通じてキャニスタ304から流出する。
【0058】
キャニスタ302の通気時において、出口弁132を開放させて、加圧ガス(主に窒素)を濃縮器出口130を通じてキャニスタから雰囲気へ流出させる。一実施形態において、通気ガスをマフラー133を通じて方向付けることにより、キャニスタからの加圧ガスの放出に起因して発生するノイズを低減することができる。ガスがキャニスタ302から放出されると、キャニスタ302中の圧力が低下するため、窒素がガス分離吸着剤から脱離される。脱離された窒素が出口130を通じてキャニスタから流出すると、キャニスタは、空気ストリームからの窒素の新たな分離が可能な状態にリセットされる。マフラー133は、酸素濃縮器から流出したガスの音を消音するための連続気泡発泡体(または別の材料)を含み得る。いくつかの実施形態において、空気入力および酸素富化空気出力のための消音構成要素/技術の組み合わせにより、50デシベルを下回る音レベルにおいて酸素濃縮器50を動作させることが可能となり得る。
【0059】
キャニスタの通気時において、窒素のうち少なくとも大部分が除去されると有利である。一実施形態において、キャニスタが再利用されて空気からの窒素を分離する前に、キャニスタ中の窒素のうち少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%または実質的に全てが除去される。いくつかの実施形態において、他方のキャニスタからキャニスタ中へ導入された酸素富化空気ストリームを用いて、キャニスタから窒素をさらにパージする。
【0060】
例示的実施形態において、キャニスタ304から窒素が通気されると、酸素富化空気の一部がキャニスタ302からキャニスタ304へ移送され得る。キャニスタ304が通気されているときに、酸素富化空気がキャニスタ302から304への移送されることで、キャニスタからの窒素(および他のガス)のさらなるパージが促進される。一実施形態において、酸素富化空気は、2つのキャニスタ間の流れ抵抗器151,153および155を通じて移動し得る。流れ抵抗器151は、トリクル流れ抵抗器であり得る。流れ抵抗器151は、例えば0.009D流れ抵抗器であり得る(例えば、流れ抵抗器の半径0.009”は、内部の管の直径未満である)。流れ抵抗器153および155は、0.013D流れ抵抗器であり得る。他の種類およびサイズの流れ抵抗器も企図され、キャニスタの連結に用いられる特定の構成および配管に応じて用いられ得る。いくつかの実施形態において、流れ抵抗器は、圧入型流れ抵抗器であり得、各管中の直径を狭くすることにより、空気流れを制限する。いくつかの実施形態において、圧入型流れ抵抗器は、サファイア、金属またはプラスチック製であり得る(他の材料も企図される)。
【0061】
キャニスタの間の酸素富化空気の流れは、弁152および弁154の利用によっても制御される。弁152および154は、通気プロセス時において短い継続期間にわたって開放され得(および他の場合に閉鎖され得)、これにより、パージされているキャニスタからの過度の酸素損失を防止する。他の継続期間も、企図される。例示的な実施形態において、キャニスタ302は通気され、キャニスタ304中において生成された酸素富化空気の一部をキャニスタ302中に送ることにより、キャニスタ302をパージすることが望ましい。酸素富化空気の一部は、キャニスタ304が加圧されると、キャニスタ302の通気時において流れ抵抗器151を通じてキャニスタ302中へ移動する。さらなる酸素富化空気が、キャニスタ304から弁154および流れ抵抗器155を通じてキャニスタ302中へ送られる。弁152は、移送プロセス中において閉鎖させたままでもよいし、あるいは、さらなる酸素富化空気が必要な場合は開放させたままでもよい。適切な流れ抵抗器151および155の選択と、弁154の開放制御とにより、制御された量の酸素富化空気をキャニスタ304からキャニスタ302へ送ることが可能になる。一実施形態において、制御された量の酸素富化空気とは、キャニスタ302をパージし、かつ、キャニスタ302の通気弁132を通じた酸素富化空気の損失を最小化するのに充分な量である。一実施形態において、キャニスタ302の通気について述べているが、同じプロセスを流れ抵抗器151、弁152および流れ抵抗器153を用いたキャニスタ304の通気のために用いることが可能であることが理解されるべきである。
【0062】
一対の均圧/通気弁152/154が流れ抵抗器153および155と協働することにより、これら2つのキャニスタ間のガス流バランスが最適化される。その結果、キャニスタのうち一方の通気のための制御の向上が、キャニスタのうち他方からの酸素富化空気により可能となる。また、これら2つのキャニスタ間の流れ方向も向上する。流れ弁152/154は、2方向弁として動作し得るが、このような弁を通じた流量は、弁を通過する流体の方向によって異なることが分かっている。例えば、キャニスタ304から弁152を通じてキャニスタ302へ流動する酸素富化空気の流量は、キャニスタ302から弁152を通じてキャニスタ304へ流れる酸素富化空気の流量よりも高い。単一の弁が用いられた場合、キャニスタ間において送られる酸素富化空気は最終的に過度に多くなるかまたは少なくなり、時間と共にキャニスタからは異なる量の酸素富化空気が経時的に生成され始める。対向する弁および流れ抵抗器を平行な空気経路上において用いると、2つのキャニスタ間の酸素富化空気の流れパターンが均等化され得る。このような流れの均等化により、一定量の酸素富化空気を複数のサイクルにわたってユーザへ利用可能にすることが可能になり得、また、他方のキャニスタをパージするための酸素富化空気量の予測も可能になり得る。いくつかの実施形態において、空気経路に絞り弁を設けなくてもよいが、あるいは、弁に内蔵抵抗を設けるかまたは空気経路そのものの半径を小さくして抵抗を提供するようにしてもよい。
【0063】
場合によっては、酸素濃縮器を一定期間にわたって停止してもよい。酸素濃縮器を停止した場合、圧縮システムからの断熱損失の結果として、キャニスタの内部温度が低下し得る。温度が低下すると、キャニスタ内でガスにより占められる体積が低下する。キャニスタが低温になると、キャニスタ内が負圧になり得る。キャニスタに繋がる弁およびキャニスタから延びる弁(例えば、弁122,124,132および134)は、気密的にシールされるのではなく、動的にシールされる。そのため、停止後、圧力差に対応するために外部空気がキャニスタに進入し得る。外部空気がキャニスタに進入すると、外部空気中の水分は、ガス分離用吸着剤によって吸着され得る。キャニスタ内の水分が吸着すると、ガス分離吸着剤が徐々に劣化し得、ガス分離吸着剤の酸素富化空気生成能力が徐々に低下する。
【0064】
一実施形態において、双方のキャニスタを停止する前に加圧することにより、酸素濃縮器の停止後に外部空気がキャニスタに進入する事態を回避することができる。キャニスタを陽圧下において保存することにより、キャニスタ内の空気の内部圧力により、弁を気密的に閉鎖された位置へ押し込むことができる。一実施形態において、停止時におけるキャニスタ中の圧力は、少なくとも周囲圧力よりも高くすべきである。本明細書中用いられるように、「周囲圧力」という用語は、酸素濃縮器が配置されている周囲の圧力を指す(例えば、室内の圧力、室外の圧力、飛行機内の圧力)。実施形態において、停止時におけるキャニスタ中の圧力は、少なくとも標準的雰囲気圧力よりも高い(すなわち、760mmHg(Torr)、1atm、101,325Paよりも高い)。一実施形態において、停止時におけるキャニスタ中の圧力は、少なくとも周囲圧力の約1.1倍であり、少なくとも周囲圧力の約1.5であるか、または少なくとも周囲圧力の約2倍である。
【0065】
一実施形態において、加圧空気を圧縮システムから各キャニスタ中へ方向付けて全ての弁を閉鎖させて、加圧空気をキャニスタ中に閉じ込めることにより、キャニスタの加圧を達成することができる。例示的実施形態において、停止シーケンスが開始されると、入口弁122および124が開放され、出口弁132および134は閉鎖される。入口弁122および124は、共通導管によって接合されているため、キャニスタ302および304双方を空気として加圧することができ、かつ/または1つのキャニスタからの酸素富化空気を他方のキャニスタへ移送することができる。この状況は、圧縮システムと2つの入口弁との間の経路においてこのような移送が行われた場合に発生し得る。酸素濃縮器は、交互の加圧/通気モードにおいて動作するため、キャニスタのうち少なくとも1つを任意の所与の時期において加圧状態にする必要がある。別の実施形態において、圧力は、圧縮システム200の動作によって各キャニスタ中において増加され得る。入口弁122および124が開放されると、キャニスタ302および304間の圧力が均等化されるが、いずれかのキャニスタ中の均等化された圧力は、停止時に空気がキャニスタに進入する事態を阻止するのには不十分であり得る。キャニスタへの空気進入を確実に阻止するために、双方のキャニスタ中の圧力を少なくとも周囲圧力を超えるレベルまで増加させるだけの充分な時間にわたって圧縮システム200を動作させることができる。キャニスタの加圧方法に関わらず、キャニスタが加圧された後、入口弁122および124は閉鎖されるため、加圧空気はキャニスタ中に閉じ込められ、その結果、停止期間時においてキャニスタへの空気進入が阻止される。
【0066】
図3を参照して、酸素濃縮器100の実施形態が図示される。酸素濃縮器100は、圧縮システム200と、キャニスタシステム300と、外側ハウジング170内に配置された電源180とを含む。入口101を外側ハウジング170内に設けることにより、環境からの空気が酸素濃縮器100に進入することが可能になる。入口101により、区画内への空気流入が可能になるため、区画内の構成要素の冷却が促進される。電源180は、酸素濃縮器100の電力源を供給する。圧縮システム200は、入口105およびマフラー108を通じて空気を引き込む。マフラー108は、圧縮システムによって引き込まれる空気のノイズを低減することができ、また、入来空気から水分を除去するための乾燥剤材料も含み得る。酸素濃縮器100は、出口173を介した酸素濃縮器からの空気および他のガスの通気に用いられるファン172をさらに含み得る。
【0067】
・圧縮システム
いくつかの実施形態において、圧縮システム200は、1つ以上のコンプレッサを含む。別の実施形態において、圧縮システム200は、キャニスタシステム300の全キャニスタへ連結された単一のコンプレッサを含む。図4および図5を参照すると、コンプレッサ210およびモータ220を含む圧縮システム200が図示されている。モータ220は、コンプレッサ210へ連結され、圧縮機構を動作させるための動作力をコンプレッサへ提供する。例えば、モータ220は、回転構成要素を提供するモータであり得る。この回転構成要素により、空気を圧縮するコンプレッサの構成要素の周期運動が発生する。コンプレッサ210がピストン型コンプレッサである場合、モータ220により、コンプレッサ210のピストンの往復運動を発生させる動作力が得られる。ピストンの往復運動により、圧縮空気がコンプレッサ210によって生成される。圧縮空気の圧力は、コンプレッサの動作圧力(例えば、ピストンの往復運動速度)によって、ある程度推定され得る。そのため、モータ220は、可変速モータであり得、コンプレッサ210によって生成される空気の圧力を動的に制御するために、多様な速度において動作することができる。
【0068】
一実施形態において、コンプレッサ210には、ピストンを有する単一のヘッドウォブル型コンプレッサが含まれる。他の種類のコンプレッサも用いられ得る(例えば、ダイヤフラムコンプレッサおよび他の種類のピストンコンプレッサ)。モータ220は、DCまたはACモータであり得、コンプレッサ210の圧縮構成要素へ動作力を提供する。モータ220は、一実施形態において、ブラシレスDCモータであり得る。モータ220は、可変速モータであり得、コンプレッサ210の圧縮構成要素を可変速において動作させるように構成される。図2に示すように、モータ220は、コントローラ400へ連結され得る。コントローラ400は、モータ動作の制御のために、動作信号をモータへ送る。例えば、コントローラ400は、モータをオンにすること、モータをオフにすること、および、モータの動作速度を設定すること、を行うための信号をモータ220へ送り得る。よって、図2に示すように、圧縮システム200は、速度センサ201を含み得る。速度センサは、モータ220の回転速度および/または圧縮システム200の他の往復動作の決定に用いられるモータ速度変換器であり得る。例えば、モータ速度変換器からのモータ速度信号は、コントローラ400へ提供され得る。速度センサまたはモータ速度変換器は、例えばホール効果センサであり得る。コントローラ400は、速度信号および/または酸素濃縮器の他の任意のセンサ信号(例えば、圧力センサ(例えば、アキュムレータ圧力センサ107))に基づいて、圧縮システム200をモータ220を介して作動させ得る。よって、図2に示すように、コントローラ400は、センサ信号(例えば、速度センサ201からの速度信号およびアキュムレータ圧力センサ107からのアキュムレータ圧力信号)を受信する。このような信号(単数または複数)により、コントローラは、圧縮システムの動作のために、センサ信号(例えば、アキュムレータ圧力および/または本明細書中により詳細に述べるようなモータ速度)に基づいて1つ以上の制御ループ(例えば、フィードバック制御)を実行し得る。
【0069】
圧縮システム200は、本質的にかなりの熱を生成する。熱は、モータ220による電力消費、および、電力から機械的運動への変換によって発生する。コンプレッサ210は、空気圧縮によるコンプレッサ構成要素の移動に対する抵抗増加に起因して熱を発生させる。コンプレッサ210による空気の断熱圧縮によっても、熱が本質的に発生される。そのため、空気の連続的加圧により、封入容器中に熱が発生する。さらに、電源180は、圧縮システム200への給電時において熱を生成し得る。さらに、酸素濃縮器のユーザは、屋内よりも周囲温度が高温となる可能性がある、空調のない環境(例えば、屋外)においてデバイスを動作させ得るため、入来空気は既に加熱状態になる。
【0070】
酸素濃縮器100内において熱が発生すると、問題になり得る。リチウムイオン電池は、長寿命および軽量であるため、主に酸素濃縮器の電源として用いられる。しかし、リチウムイオン電池パックは、高温では危険であるため、安全制御が酸素濃縮器100に採用され、危険なほど高い電源の温度が検出された場合にシステムを停止させる。さらに、酸素濃縮器100の内部温度の上昇と共に、濃縮器によって発生される酸素量が低下し得る。その部分的原因として、高温では一定体積の空気中の酸素が減少する点がある。酸素生成量が所定量を下回ると、酸素濃縮器100は自動停止し得る。
【0071】
酸素濃縮器はコンパクトであるため、放熱は困難であり得る。典型的な解決方法を挙げると、1つ以上のファンの使用により封入容器中に冷却空気の流れを発生させる方法がある。しかし、このような解決方法の場合、電源180からさらに電力が必要になるため、酸素濃縮器のポータブル利用時間が短くなる。一実施形態において、受動的冷却システムは、モータ220によって生成される機械的動力を利用するために用いられ得る。図4および図5を参照して、圧縮システム200は、外部回転電機子230を有するモータ220を含む。詳細には、モータ220(例えば、DCモータ)の電機子230は、電機子を駆動する定常場の周囲を包囲する。モータ220は、システム全体への熱に大きく影響するため、モータから熱を移送し、封入容器から除去すると有用である。外部高速回転では、モータの主要構成要素とその周囲の空気との相対速度が非常に高くなる。電機子の表面積は、内部に取り付けられた場合よりも、外部に取り付けられた場合に大きくなる。熱交換速度は表面積および速度の二乗に比例するため、外部に取り付けられたより大きな表面積の電機子を用いた場合、モータ220からの放熱能力が増加する。電機子を外部に取り付けたときの冷却効率の利得により、1つ以上の冷却ファンを無くすことができるため、酸素濃縮器の内部を適切な温度範囲内に維持しつつ、重量および消費電力が低減する。さらに、外部に取り付けられた電機子が回転すると、モータの近隣の空気が動くため、さらなる冷却が行われる。
【0072】
その上、外部回転電機子によりモータ効率が促進され得、熱の発生が低減する。外部電機子を有するモータは、内燃機関中において機能するフライホイールと同様に動作する。モータがコンプレッサを駆動させる際、回転に対する抵抗は、低圧力において低くなる。圧縮空気の圧力が高くなると、モータ回転に対する抵抗が高くなる。その結果、モータは、一貫した理想的な回転安定性を維持できなくなり、コンプレッサの圧力要求に応じてサージおよび低速化が発生する。このようなモータのサージおよびその後の低速化の傾向は、非効率であり、そのため熱の原因となる。外部電機子を用いた場合、モータの角運動量が大きくなるため、モータの可変抵抗の補償が促進される。モータの仕事量が大きくなくてすむため、モータから発生する熱が低下し得る。
【0073】
一実施形態において、空気移送デバイス240を外部回転電機子230へ連結することにより、冷却効率がさらに増加し得る。一実施形態において、空気移送デバイス240が外部電機子230へ連結されると、外部電機子230の回転は空気移送デバイス240に空気流を発生させて、この空気流がモータの少なくとも一部を通過する。実施形態において、空気移送デバイス240は、外部電機子230へ連結された1つ以上のファンブレードを含む。一実施形態において、空気移送デバイス240が外部回転電機子230の運動により回転するインペラとして機能するように、複数のファンブレードが環状リング内に配置され得る。図4および図5に示すように、空気移送デバイス240は、モータ220と整列した様態で外部電機子230の外面へ取り付けられ得る。空気移送デバイス240を電機子230に取り付けることにより、空気流を外部回転電機子230の主要部分へ方向付けることが可能になり、これにより、使用時における冷却効果が可能になる。一実施形態において、空気移送デバイス240により、外部回転電機子230の大部分が空気流路中に配置されるように、空気流が方向付けられる。
【0074】
さらに、図4および図5を参照して、コンプレッサ210によって加圧された空気は、コンプレッサ出口212においてコンプレッサ210から流出する。コンプレッサ出口導管250は、圧縮空気をキャニスタシステム300へ移送するように、コンプレッサ出口212へ連結される。上記したように、空気が圧縮されると、空気の温度が上昇する。このような温度上昇は、酸素濃縮器の効率にとって有害であり得る。加圧空気の温度を低下させるために、コンプレッサ出口導管250が、空気移送デバイス240によって生成される空気流路中に配置される。コンプレッサ出口導管250の少なくとも一部は、モータ220の近隣に配置され得る。そのため、空気移送デバイス240によって生成された空気流が、モータ220およびコンプレッサ出口導管250と接触し得る。一実施形態において、コンプレッサ出口導管250の大部分が、モータ220の近隣に配置される。一実施形態において、図5に示すように、コンプレッサ出口導管250は、モータ220の周囲にらせん状に巻かれる。
【0075】
一実施形態において、コンプレッサ出口導管250は、熱交換金属によって構成される。熱交換金属の例を非限定的に挙げると、アルミニウム、炭素鋼、ステンレス鋼、チタン、銅、銅ニッケル合金またはこれらの金属の組み合わせから形成される他の合金がある。よって、コンプレッサ出口導管250は、本質的に空気圧縮に起因する熱を除去する熱交換器として機能し得る。圧縮空気からの熱除去により、一定圧力における一定体積内の分子数が増加する。その結果、各圧力スイングサイクル時において各キャニスタによって生成可能な酸素富化空気量が増加し得る。
【0076】
本明細書中に記載の放熱機構は、受動的なものであるか、または、酸素濃縮器100に必要な要素を利用する。よって、例えば、さらなる電力を必要とするシステムを用いること無く、放熱の増加が可能になり得る。さらなる電力が不要になるため、電池パックのランタイム増加が可能になるとともに、酸素濃縮器のサイズおよび重量の最小化が可能になる。同様に、さらなるボックスファンまたは冷却ユニットの利用も不要になり得る。このようなさらなる特徴を無くすことにより、酸素濃縮器の重量および消費電力が低下する。
【0077】
上記したように、空気の断熱圧縮に起因して、空気温度が上昇する。キャニスタシステム300中のキャニスタの通気時において、キャニスタから流出したガスの圧力が低下する。キャニスタ中のガスの断熱減圧に起因して、通気と共にガス温度が低下する。一実施形態において、キャニスタシステム300からの冷却された通気ガス327は、電源180および圧縮システム200へ方向付けられる。一実施形態において、キャニスタシステム300のベース315は、通気ガスをキャニスタから受容する。通気ガス327は、ベース315を通じてベース315の出口325および電源180へ方向付けられる。通気ガスは、上記したようにガス減圧によって冷却されるため、結果的に電源の冷却を提供する。圧縮システム200が動作すると、空気移送デバイス240は、冷却された通気ガスを収集し、ガスを圧縮システム200のモータ220へ方向付ける。また、ファン172は、通気ガスが圧縮システム200を横切ってハウジング170の外部へ方向付けられることも促進し得る。このようにして、電池からのさらなる電力要求を全く必要とすること無く、さらなる冷却を得ることが可能になり得る。
【0078】
・キャニスタシステム
酸素濃縮器100は、少なくとも2つのキャニスタを含み得、各キャニスタは、ガス分離用吸着剤を含む。図9図13に示すバージョンに関連して、例が考察され得る。図9図13に示すキャニスタアセンブリは、一般的にはPOCのハウジンへグ一体化され、取り付けおよび取り外しには、サービス技術者および器具が必要になることが多い。別のバージョンを、取り外し可能なキャニスタアセンブリとして図15に示す。この取り外し可能なキャニスタアセンブリは、図16A図16Cに示すように、POCから容易に挿入および除去され得る。
【0079】
酸素濃縮器100のキャニスタは、成形ハウジング内に配置してもよいし、あるいは成形ハウジングから形成してもよい。実施形態において、キャニスタシステム300は、図9に示すように、2つのハウジング構成要素310および510を含む。多様な実施形態において、酸素濃縮器100のハウジング構成要素310および510により、2つのキャニスタ302および304ならびにアキュムレータ106を画定する、2つの部分からなる成形プラスチックフレームが形成され得る。ハウジング構成要素310および510は、別個に形成された後、共に連結され得る。いくつかの実施形態において、ハウジング構成要素310および510は、射出成形または圧縮成形され得る。ハウジング構成要素310および510は、熱可塑性ポリマーから構成され得る(例えば、ポリカーボネイト、メチレンカーバイド、ポリスチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリプロピレン、ポリエチレンまたはポリ塩化ビニル)。別の実施形態において、ハウジング構成要素310および510は、熱硬化プラスチックまたは金属によって構成され得る(例えば、ステンレススチールまたは軽量アルミニウム合金)。酸素濃縮器100の重量低減のため、軽量材料が用いられ得る。いくつかの実施形態において、2つのハウジング310および510の締結は、ねじまたはボルトによって行われ得る。あるいは、ハウジング構成要素310および510は、共に溶液溶接され得る。図9のキャニスタアセンブリ300を図1に示すPOCのハウジングの内外に取り付けるには、POC100の外側ハウジング170の除去および器具使用が必要になることが一般的であるため、その交換は技術者によって行われることが多い。
【0080】
図9図13に示すように、弁座322,324,332および334と、導管330および346の空気経路とは、ハウジング構成要素310と一体化され得るため、酸素濃縮器100の空気流全体において必要な密封接続数の低減に繋がり得る。
【0081】
ハウジング構成要素310および510内の異なる部位間の空気経路/配管は、成形導管の形態をとり得る。空気経路のための成形導管の形態をとる導管は、ハウジング構成要素310および510中の複数の面を占有し得る。例えば、成形された空気導管は、ハウジング構成要素310および510内の異なるx位置、y位置およびz位置において異なる深さで形成され得る。いくつかの実施形態において、導管の大部分または実質的に全体をハウジング構成要素310および510と一体化すると、漏洩の可能性のあるポイントが低下し得る。
【0082】
いくつかの実施形態において、ハウジング構成要素310および510の連結前にOリングをハウジング構成要素310および510の多様な点間に配置することにより、ハウジング構成要素の適切な密封が確保され得る。いくつかの実施形態において、構成要素は、ハウジング構成要素310および510と一体化され得かつ/またはハウジング構成要素310および510へ別個に連結され得る。例えば、配管、流れ抵抗器(例えば、圧入流れ抵抗器)、酸素センサ、ガス分離用吸着剤、逆止弁、栓、プロセッサ、電源などのハウジング構成要素310および510への連結は、これらのハウジング構成要素の連結前かつ/または後に行われ得る。
【0083】
いくつかの実施形態において、ハウジング構成要素310および510の外部に繋がるアパチャ337は、流れ抵抗器などのデバイスの挿入の際に用いられ得る。アパチャは、成形性向上のためにも用いられ得る。これらのアパチャのうち1つ以上は、成形後に(例えばプラスチック栓によって)栓され得る。いくつかの実施形態において、流れ抵抗器を通路内に挿入した後、栓を挿入して通路が密閉され得る。圧入流れ抵抗器の直径は、圧入流れ抵抗器とそれぞれのアパチャとの間の摩擦嵌めが可能となるような直径であり得る。いくつかの実施形態において、接着剤を圧入流れ抵抗器の外部へ追加することにより、圧入流れ抵抗器が挿入後に適所に保持され得る。いくつかの実施形態において、これらの栓は、各管と摩擦嵌合し得る(か、または外面へ接着剤を塗布してもよい)。圧入流れ抵抗器および/または他の構成要素は、幅狭の先端ツールまたはロッド(例えば、直径が各アパチャの直径未満のもの)により各アパチャへ挿入または圧入され得る。いくつかの実施形態において、圧入流れ抵抗器は、管中の特徴部に当接して挿入が停止するまで、各管へ挿入され得る。例えば、特徴部としては、縮径部を含み得る。他のフィーチャも企図される(例えば、配管の側部の隆起部、ねじ山など)。いくつかの実施形態において、圧入流れ抵抗器は、(例えば、幅狭の管部位として)ハウジング構成要素内に成形され得る。
【0084】
いくつかの実施形態において、ばねバッフル139は、ハウジング構成要素310および510の部位を受容する各キャニスタ内へ配置され得バッフル139のばね側は、キャニスタの出口に対向する。ばねバッフル139は、ガス分離用吸着剤が出口アパチャへ進入する事態を回避しつつ、ガス分離吸着剤をキャニスタ内へ移動させる力を付加し得る。ばねバッフル139の使用により、膨張(例えば、熱膨張)を許容しつつ、ガス分離用吸着剤がコンパクトに維持され得る。ガス分離用吸着剤をコンパクトに保持することにより、酸素濃縮器100の移動時においてガス分離用吸着剤が破壊される事態が回避され得る。
【0085】
いくつかの実施形態において、フィルタ129は、各キャニスタの入口に対向するハウジング構成要素310および510のそれぞれのキャニスタ受容部に、各キャニスタの入口に臨むように配置され得る。フィルタ129は、キャニスタへ進入する供給ガスストリームから粒子を除去する。
【0086】
いくつかの実施形態において、圧縮システム200からの加圧空気は、空気入口306へ進入し得る。空気入口306は、入口導管330へ連結される。空気は、入口306を通じてハウジング構成要素310に進入し、導管330を通じて移動した後、弁座322および324へ移動する。図10および図11は、ハウジング310の端面図を示す。図10は、ハウジング310への弁の取り付けの前のハウジング310の端面図である。図11は、弁がハウジング310へ取り付けられたハウジング310の端面図である。弁座322および324は、入口弁122および124それぞれを受容するように構成される。入口弁122はキャニスタ302へ連結され、入口弁124はキャニスタ304へ連結される。ハウジング310は、出口弁132および134それぞれを受容するように構成された弁座332および334も含む。出口弁132はキャニスタ302へ連結され、出口弁134はキャニスタ304へ連結される。入口弁122/124は、導管330から各キャニスタへの空気の通過の制御するために用いられる。
【0087】
一実施形態において、加圧空気は、キャニスタ302または304のうち一方の内部へ送られ、他方のキャニスタは通気される。例えば、使用時に、入口弁122は開放され、入口弁124は閉鎖される。圧縮システム200からの加圧空気は、キャニスタ302内へ押し込まれる一方、キャニスタ304内への進入は入口弁124によって阻止される。キャニスタ302の加圧時において、出口弁132は閉鎖され、出口弁134は開放される。入口弁と同様に、出口弁132および134は、相互に逆位相に動作される。弁座322は、ハウジング310を通じてキャニスタ302内へ延びる開口部323を含む。同様に、弁座324は、ハウジング310を通じてキャニスタ302内に延びる開口部375を含む。弁322および324のそれぞれが開放されると、導管330からの空気は、開口部323または375を通じて移動し、キャニスタへ進入する。
【0088】
チェック弁142および144(図9を参照)は、それぞれキャニスタ302および304へ連結される。チェック弁142および144は一方向弁であり、キャニスタの加圧および通気時に発生する圧力差によって受動的に動作し得る。キャニスタ302および304中において生成された酸素富化空気は、キャニスタからハウジング構成要素510の開口部542および544内へ移動する。通路(図示せず)により、開口部542および544は導管342および344へそれぞれ繋げられる。キャニスタ302中において生成された酸素富化空気は、キャニスタ内の圧力が逆止弁142を開放させるくらいに十分になると、キャニスタから開口部542を通じて導管342内へ移動する。逆止弁142が開放されると、酸素富化空気は、導管342を通じてハウジング310の端部へ流れる。同様に、キャニスタ304中において生成された酸素富化空気は、キャニスタ内の圧力が逆止弁144を開放させるくらいに十分になると、キャニスタから開口部544を通じて導管344内へ移動する。逆止弁144が開放されると、酸素富化空気は、導管344を通じてハウジング310の端部へ流動する。
【0089】
いずれかのキャニスタからの酸素富化空気は、導管342または344を通じて移動し、ハウジング310内に形成された導管346に進入する。導管346は、導管を導管342、導管344およびアキュムレータ106へ連結させる開口部を含む。よって、キャニスタ302または304内において生成された酸素富化空気は、導管346へ移動し、アキュムレータ106内へ送られる。図2に示すように、アキュムレータ106内のガス圧力の測定は、センサによって(例えば、アキュムレータ圧力センサ107によって)行われ得る。(図6も参照されたい。)よって、アキュムレータ圧力センサにより、蓄積した酸素富化空気の圧力を示す信号が提供される。適切な圧力変換器の一例として、HONEYWELL ASDXシリーズからのセンサがある。別の適切な圧力変換器として、GENERAL ELECTRICからのNPAシリーズからのセンサがある。あるいは、いくつかの実施形態において、圧力センサは、例えばアキュムレータ106と、(ユーザへ送達される酸素富化空気のボーラス状放出のゲートとして機能する)弁(例えば、供給弁160)と、の間の出力経路と同様に、アキュムレータ106の外部のガスの圧力を測定してもよい。
【0090】
一定期間後、ガス分離吸着剤は窒素で飽和することになり、有意な量の窒素を入来空気から分離することができなくなる。キャニスタ中のガス分離用吸着剤が飽和点に到達すると、圧縮空気の流入が停止され、キャニスタが通気されて、窒素除去が行われる。キャニスタ302の通気は、入口弁122の閉鎖および出口弁132の開放によって行われる。出口弁132は、キャニスタ302からの通気ガスをハウジング310の端部によって規定された容積内へ放出する。発泡材によりハウジング310の端部を被覆すると、キャニスタからのガス放出に起因する音が低減され得る。同様に、キャニスタ304の通気は、入口弁124の閉鎖および出口弁134の開放によって行われる。出口弁134は、キャニスタ304からの通気ガスをハウジング310の端部によって規定された容積中へ放出する。
【0091】
キャニスタ302の通気時において、キャニスタ304への加圧により、酸素富化空気の生成を上記した方法と同じ方法で行う。キャニスタ304の加圧は、出口弁134閉鎖および入口弁124の開放によって達成される。酸素富化空気は、チェック弁144を通じてキャニスタ304から流出する。
【0092】
例示的実施形態において、キャニスタ304から窒素が通気されているときに、酸素富化空気の一部がキャニスタ302からキャニスタ304へ移送され得る。キャニスタ304の通気時において酸素富化空気をキャニスタ302からキャニスタ304へ移送すると、キャニスタからの窒素(および他のガス)のさらなるパージが促進される。キャニスタ間の酸素富化空気の流れは、図2に示すように流れ抵抗器および弁によって制御される。3本の導管がハウジング構成要素510内に形成され、キャニスタ間の酸素富化空気の移送のために用いられる。図12に示すように、導管530により、キャニスタ302がキャニスタ304へ連結される。流れ抵抗器151(図示せず)は、キャニスタ302とキャニスタ304との間の導管530内に配置されて、使用時において酸素富化空気の流れを制限する。導管532も、キャニスタ302をキャニスタ304へ連結させる。図13に示すように、導管532は、弁152を受容する弁座552へ連結される。流れ抵抗器153(図示せず)は、キャニスタ302とキャニスタ304との間の導管532内に配置される。導管534も、キャニスタ302をキャニスタ304へ連結させる。図13に示すように、導管534は、弁154を受容する弁座554へ連結される。流れ抵抗器155(図示せず)は、キャニスタ302とキャニスタ304との間の導管534内に配置される。一対の均圧/通気弁152/154が流れ抵抗器153および155と協働することにより、これら2つのキャニスタ間の空気流バランスが最適化される。
【0093】
アキュムレータ106中の酸素富化空気は、供給弁160を通過して、ハウジング構成要素510内に形成された膨張チャンバ162内へ移動する。ハウジング構成要素510内の開口部(図示せず)により、アキュムレータ106が供給弁160へ連結される。実施形態において、膨張チャンバ162は、膨張チャンバ162を通過するガスの酸素濃度を推定するように構成された1つ以上のデバイスを含み得る。
【0094】
・取り外し可能なキャニスタアセンブリ(図15図16
いくつかの実施形態において、ユーザによる取り外しの可能性の促進のために、酸素濃縮器100のキャニスタは、図15に示すように形成され得る。このようなキャニスタは、図9図13に関連したて記載するキャニスタと加圧動作および減圧動作において類似するが、その他の点においては、POCからの容易な交換および取り外しを促進させるような構造にされる。図15の例に示すように、キャニスタアセンブリ700は、キャニスタ702および704を含む。各キャニスタにより、上記したシーブベッドに匹敵する、シーブベッドのための別個に加圧可能なコンテナが得られる。
【0095】
キャニスタアセンブリ700は、コンテナ部1504を有し得る。コンテナ部1504により、シーブベッド(単数または複数)のための1つ以上のコンテナ容積が規定され得る。キャニスタアセンブリ700は、1つ以上のキャップ部1508も含み得る。コンテナ部1504に含まれ得る1つ以上の取付フランジ1510により、キャップ部(単数または複数)1508がコンテナ部(単数または複数)1504へ取り付けまたは接合されて、キャニスタアセンブリ700の各キャニスタまたは双方のキャニスタが形成される。よって、キャップ部1508は、同様にフランジ1510に対応するフランジ部1511を含み得るため、多様な接合手段(例えば、溶接または締結具(例えば、ねじ、ボルトまたはリベット))によって両者が任意選択的に接合され得る。
【0096】
各キャニスタ702および704は、入口(または空気入口)および出口(または空気出口)を含む。例えば、図15の例を示すように、第1のキャニスタ(キャニスタ702)は、入口706および出口710を含むため、第1のキャニスタのシーブベッドへのガスのアクセスが可能になる。第2のキャニスタ(キャニスタ704)は、入口708および出口712を含むため、第2のキャニスタのシーブベッドへのガスのアクセスが可能になる。図示のように、入口および/または出口のうちいずれかまたは全ては、使用時におけるPOC外側ハウジングへの挿入時における(POCのシーブベッド区画の連結器またはポート/オリフィス内への各挿入のための)突出部またはニップルとして形成され得る。このような入口および出口は、それぞれ内部に導管(例えば、円筒)を有し得るため、キャニスタの各シーブベッドの圧力スイング動作および/または真空スイング動作において必要となるガス移送の経路としてそれぞれが機能する。各入口は、加圧動作のために酸素濃縮器100と密封接続を生成するための入口シールをそれぞれ有し得る(例えば、軟質ゴムOリング)。出口710および712も、同様に出口シールを含み得る。
【0097】
「入口」および「出口」という用語は、本明細書中キャニスタのフィーチャの説明の支援のために用いられるが、PSAプロセスまたはVSAプロセスではプロセスのサイクルに応じてキャニスタの共通端における進入および放出が必要であり得ることが認識されているため、このような用語は、単一の移送方向のみが必要であることを意図していない。しかし、図15の例において、POCは、生成ガス(例えば、酸素富化空気)の出力と関連付けられるように構成され得る一方、入口は、吸着プロセスのための雰囲気ガス(例えば、空気)のシーブベッドへの導入と関連付けられ得る。それにも係わらず、これらの入口および出口のこのような機能は、(キャニスタアセンブリ700の挿入先である)POCの制御される流路の実施形態(すなわち、その弁およびマニホルドの動作)に応じて反転させてもよいことが理解される。
【0098】
上記したように、取り外し可能なキャニスタアセンブリ700は、POCに対して容易に挿入および取り外しされ得る。これを図16Aに示す。図16Aは、キャニスタアセンブリ700が外側ハウジング170内において酸素濃縮器100の区画1602(図16Bを参照)内に取り付けられている様子を示す。区画1602は、キャニスタアセンブリ700を収容するように適合される。図16Bの切り欠き図に示すように、例えば酸素濃縮器100の外側ハウジング170の側部においてポータル1604を介してキャニスタアセンブリ700の取り外しおよび/または挿入する際、外側ハウジング170の一部(例えば、蓋部(またはキャニスタカバーまたはキャニスタパネル))を取り外すことにより、区画1602へのアクセスが提供され得る。このような蓋部は1666を図16Cに示す。よって、キャニスタアセンブリ700の挿入または取り外しが、外側ハウジング170全体の分解または取り外し無しに達成され得、外側ハウジング170の蓋部(図16Cに示す)の取り外しによって達成され得る。図16Aおよび図16Bに示すように、キャニスタアセンブリ700のこのような挿入において、キャニスタアセンブリ700の入口および/または出口のポートと、区画1602に隣接しかつ酸素濃縮器100の外側ハウジング170内の1つ以上のマニホルドの連結具との係合が行われ得る。キャニスタアセンブリ700の各出口は、マニホルドの連結具への接合のためのニップルを有し得る。例えば、図16Bに示すように、キャニスタアセンブリ700の出口は、マニホルド1606の連結具1608-1および1608-2(例えば、出口連結具)においてマニホルド1606(例えば、出口マニホルド)へ連結され得るため、キャニスタアセンブリ700の出口の空気圧密封が可能になり得る。このような連結具(例えば、出口連結具1608-1および1608-2)は、キャニスタアセンブリ700の出口の相互的構造(または相補型構造)を補足する空気圧的に密封可能な構造を有し得る。例えば、このような連結具(例えば、出口連結具1608-1および1608-2)は、キャニスタアセンブリ700の出口のニップルをオリフィスの導管内に受容するオリフィスとして構成され得る。マニホルド1606は一般的には、定置型構成要素として酸素濃縮器100内に固定され得る。マニホルド1606は、マニホルド1606が出口マニホルドである場合に1つ以上の弁(例えば、弁(または制御弁)152および154のうちのいずれか)も含み得るか、または、マニホルド1606が入口マニホルドである場合に弁122、132、124および134も含み得る。
【0099】
同様に、図16Aおよび図16Bに示すように、キャニスタアセンブリ700の入口は、さらなる連結具1609-1および1609-2(例えば、入口連結具)(図16Bを参照)によってマニホルド804(例えば、入口マニホルド)へ連結され得るため、キャニスタアセンブリ700の入口の空気圧密封が可能になり得る。このような連結具(例えば、連結具1609-1および1609-2)は、キャニスタアセンブリ700の入口の相互的構造(または相補型構造)を補足する適切な空気圧的に密封可能な構造を有し得る。マニホルド804は一般的には、本明細書中により詳細に述べるような横断型構成要素または移動可能な構成要素として酸素濃縮器100内に固定され得る。
【0100】
図16A図16Bおよび図16Cの例の酸素濃縮器100は、上記したものと同様である。図16Aに示すように、酸素濃縮器は、電池区画1665を(取り外し可能なキャニスタアセンブリ700と別個にかつ取り外し可能なキャニスタアセンブリ700の下側において)外側ハウジング内に有し得る。任意選択の電池区画蓋部1667が、電池へのアクセスのために取り外し可能にされ得る。外側ハウジングは、ボタン1669を有し得、これにより、隣接する導管が気道送達デバイスへ取り付けられるように設けられている(例えば、富化空気を受容するカニューレ)旨をユーザに示す。外側ハウジングは、第1の組および第2の組の冷却システム出口1671-1および1671-2も含み得る。外側ハウジングは、動作のための酸素濃縮器への給電および/または電池の充電のための充電ポート1673も含み得る。外側ハウジングは、取り外し可能なパネル1675も例えば通気アパチャと共に有し得る。取り外し可能なパネル1675は、(圧縮器入口内への供給ガスの進入および移動のための)空気フィルタおよび単一の開口部として機能し得る。外側ハウジングは、1組の冷却システム入口1677を有し得る。
【0101】
さらに、図16Aおよび図16Bに示すように、酸素濃縮器は、マニホルド804を空気入口706および708と取り外し可能に係合させ得る固定機構800も含み得る。固定機構800によっても、キャニスタアセンブリ700が酸素濃縮器100内に固定され得る。有利なことに、キャニスタアセンブリ700は、酸素濃縮器100の動作時において(例えば比較的高圧力において)所定位置に固定され得る。固定機構800は、閉鎖位置と開口位置との間において移動可能となるように構成される。よって、固定機構800の動作により、キャニスタアセンブリ700の固定および(例えば動作時における)キャニスタアセンブリ700の空気圧密封が達成され得る。固定機構800は、キャニスタアセンブリ700の取り外しおよび挿入を容易にするように、ユーザによって操作され得る。
【0102】
・出口システム
出口システムは、キャニスタのうち1つ以上へ連結され酸素富化空気をユーザへ提供する1つ以上の導管を含む。一実施形態において、キャニスタ302および304のいずれかの内部において生成された酸素富化空気は、図6に概略的に示すように、チェック弁142および144それぞれを通じてアキュムレータ106内に集められる。キャニスタから流出した酸素富化空気は、酸素アキュムレータ106内に集められた後、ユーザへ提供され得る。いくつかの実施形態において、管にアキュムレータ106を連結することにより、酸素富化空気をユーザへ提供することができる。酸素富化空気は、酸素富化空気をユーザの口および/または鼻へ移送する気道送達デバイスを通じてユーザへ提供され得る。一実施形態において、出口は、酸素をユーザの鼻および/または口へ方向付ける管を含み得る。この管は、ユーザの鼻へ直接連結されていない場合がある。
【0103】
図6を参照して、酸素濃縮器のための出口システムの実施形態の概略図が図示されている。アキュムレータ106からユーザへの酸素富化空気の放出を制御するように、供給弁160が出口管へ連結され得る。一実施形態において、供給弁160は、電磁駆動プランジャー弁である。ユーザへの酸素富化空気送達を制御するように、コントローラ400により供給弁160が作動される。供給弁160の作動は、圧力スイング吸着法プロセスに対して、タイミングが調整されないか、または、同期しない。その代わりに、作動は、以下に述べるようにユーザの呼吸と同期される。いくつかの実施形態において、供給弁160は、酸素富化空気の供給のために臨床的に有効な振幅プロファイルを確立させるための連続値作動を有し得る。
【0104】
アキュムレータ106内の酸素富化空気は、図6に示すように、供給弁160を通過して膨張チャンバ162内へ移動する。実施形態において、膨張チャンバ162は、膨張チャンバ162内を通過するガスの酸素濃度を推定するように構成された1つ以上のデバイスを含み得る。膨張チャンバ162中の酸素富化空気は、供給弁160によるアキュムレータ106からのガス放出を通じて短時間で蓄積され、その後、小型オリフィス流れ抵抗器175を通じて、流量センサ185へ、次いで微粒子フィルタ187へと流出する。流れ抵抗器175は、0.025D流れ抵抗器であり得る。他の種類およびサイズの流れ抵抗器が用いられ得る。いくつかの実施形態において、ハウジング中の空気経路の直径は、ガス流制限のために限定され得る。任意選択の流量センサ185は、導管内を流動するガスの流量を示す信号を生成するように構成された任意のセンサであり得る。任意選択的な微粒子フィルタ187は、ユーザへの酸素富化空気送達の前の細菌、埃、細粒微粒子などのフィルタリングのために用いられ得る。酸素富化空気は、フィルタ187(存在する場合)を通過し、リザーバ1710(存在する場合)を通過して、コネクタ190へ移動する。コネクタ190は、酸素富化空気を、送達導管192を介してユーザへ送るとともに、圧力センサ194へ送る。
【0105】
出口経路の流体力学は、供給弁160のプログラムされた作動と相まって、酸素のボーラスが、正確なタイミングで、かつ、ユーザの肺中への迅速な送達を過度な無駄無しに確保する振幅プロファイルで、供給されることを、もたらし得る。
【0106】
膨張チャンバ162は、1つ以上の酸素センサを含み得る。これらの酸素センサは、上記チャンバを通過するガスの酸素濃度を決定するように適合される。一実施形態において、膨張チャンバ162を通過するガスの酸素濃度は、酸素センサ165を用いて推定される。酸素センサは、ガス中の酸素濃度を測定するように構成されたデバイスである。酸素センサの例を非限定的に挙げると、超音波酸素センサ、電気酸素センサ、化学酸素センサ、および光学式酸素センサがある。一実施形態態において、酸素センサ165は、超音波酸素センサであり、超音波エミッタ166および超音波レシーバ168を含む。いくつかの実施形態において、超音波エミッタ166は、複数の超音波エミッタを含み得、超音波レシーバ168は、複数の超音波レシーバを含み得る。複数のエミッタ/レシーバを有する実施形態において、複数の超音波エミッタおよび複数の超音波レシーバは、軸方向に(例えば、軸整列に対して垂直であり得るガス流路を横切って)整列され得る。
【0107】
使用時において、(エミッタ166からの)超音波をチャンバ162内の酸素富化空気を通してレシーバ168へ方向付ける。超音波酸素センサ165は、酸素富化空気を通過する音の速度を検出して当該酸素富化空気の組成を決定するように構成され得る。音の速度は、窒素と酸素との中で異なり、2つのガスの混合物では、混合物を通過する音の速度は、混合物中の各ガスの相対的量に比例する中間値であり得る。使用時において、レシーバ168における音は、エミッタ166から送られた音に対して僅かに位相がずれる。この位相変化は、ガス媒体の音の速度が、ワイヤを通る比較的高速の電子パルスと比べて、相対的に低速であることに起因する。この位相変化は、エミッタとレシーバとの間の距離に比例し、膨張チャンバ162を通過する音の速度に反比例する。このチャンバ中のガスの密度に起因して、この膨張チャンバを通過する音の速度が影響を受け、密度は、膨張チャンバ中の酸素対窒素の比に比例する。そのため、位相変化を用いて、膨張チャンバ中の酸素濃度を測定することができる。このようにして、アキュムレータ内の酸素の相対的濃度を、アキュムレータを通過する検出音波の1つ以上の特性の関数として推定することができる。
【0108】
いくつかの実施形態において、複数のエミッタ166およびレシーバ168が用いられ得る。エミッタ166およびレシーバ168からの読み取り値の平均化により、乱流系に固有であり得る誤差を減少させることができる。いくつかの実施形態において、通過時間を測定することおよび測定された通過時間と、他のガスおよび/またはガス混合物の所定の通過時間と、を比較することにより、他のガスの存在検知も可能である。
【0109】
例えばエミッタ166とレシーバ168との間に数個の音波サイクルが可能になるようにエミッタ166とレシーバ168との間の距離を増加させることで、超音波センサシステムの感度の増加が可能になり得る。いくつかの実施形態において、少なくとも2つの音サイクルが存在する場合、2つの時点における固定基準に相対する位相変化の測定により、変換器の構造的変化による影響を低減させることができる。前の位相変化を後の位相変化から差し引くと、膨張チャンバ162の熱膨張に起因する変化を低減またはキャンセルすることができる。エミッタ166とレシーバ168との間の距離の変化に起因する変化は、測定インタバルでほぼ同じであり得る一方、酸素濃度の変化に起因する変化は累積的であり得る。いくつかの実施形態において、後に測定された変化に、介在サイクル数が乗算されて、隣接する2つのサイクル間の変化と比較可能である。膨張チャンバ中の酸素の感知についてのさらなる詳細について、例えば米国公開特許出願第2009/0065007号(公開日:2009年3月12日、タイトル:「Oxygen Concentrator Apparatus and Method」)に記載がある。本明細書中、同文献を参考のため援用する。
【0110】
流量センサ185は、出口システム中を流れるガスの流量の決定に用いられ得る。利用可能な流量センサの例を以下に非限定的に挙げる:ダイヤフラム/ベローズ流量計;ロータリ-流量計(例えば、ホール効果流量計);タービン流量計;オリフィス流量計;および超音波流量計。流量センサ185は、コントローラ400へ連結され得る。出口システム中を流れるガスの流量は、ユーザの呼吸量の指標となり得る。出口システム中を流れるガスの流量の変化を用いて、ユーザの呼吸速度を決定することも可能であり得る。コントローラ400は、供給弁160の作動を制御するための制御信号またはトリガ信号を生成し得る。供給弁のこのような動作制御は、流量センサ185によって推定されるようなユーザの呼吸量および/または呼吸量に基づき得る。
【0111】
いくつかの実施形態において、超音波センサ165および例えば流量センサ185により、提供される酸素の実際の量の測定値を得ることができる。例えば、流量センサ185は、提供されるガス量を(流量に基づいて)測定することができ、超音波センサ165は、提供されるガス量の酸素濃度を提供し得る。コントローラ400は、これらの2つの測定値を共に用いて、ユーザへ提供される酸素の実際の量の概算値を決定することができる。
【0112】
酸素富化空気は、フィルタ187へ向けて流量センサ185を通過する。フィルタ187により、細菌、埃、細粒微粒子などが除去された後、酸素富化空気がユーザへ提供される。フィルタリングされた酸素富化空気は、コネクタ190へ向けてフィルタ187を通過する。コネクタ190は、フィルタ187の出口を圧力センサ194および送達導管192へ連結する「Y字型」コネクタであり得る。圧力センサ194は、導管192を通じてユーザへ移動するガスの圧力を監視するように用いられ得る。いくつかの実施形態において、圧力センサ194は、感知面へ付加される陽圧または陰圧の量に比例する信号を生成するように構成され得る。圧力センサ194によって感知される圧力の変化は、以下に述べるように、ユーザの呼吸速度および吸息開始(トリガ瞬間とも呼ばれる)を決定するために使用され得る。コントローラ400は、ユーザの呼吸速度および/またはユーザの吸息の開始に基づいて、供給弁160の作動を制御し得る。一実施形態において、コントローラ400は、流量センサ185もしくは圧力センサ194のいずれか、または、これら両方から提供される情報に基づいて、供給弁160の作動を制御し得る。
【0113】
酸素富化空気は、導管192を通じてユーザへ提供され得る。一実施形態において、導管192は、シリコーン管であり得る。導管192は、図7および図8に示すように、気道送達デバイス196によってユーザへ連結され得る。気道送達デバイス196は、酸素富化空気を鼻腔または口腔へ提供することが可能な任意のデバイスであり得る。気道送達デバイスの例を以下に非限定的に挙げる:鼻マスク、鼻枕、鼻プロング、鼻カニューレ、およびマウスピース。鼻カニューレ気道送達デバイス196を図7に示す。気道送達デバイス196は、ユーザが周囲からの空気を呼吸することを可能にしつつユーザへの酸素富化空気送達を可能にするように、ユーザの気道の近隣(例えば、ユーザの口および/または鼻の近隣)に配置される。
【0114】
別の実施形態において、酸素富化空気をユーザへ提供するために、マウスピースが用いられ得る。図8に示すように、マウスピース198が、酸素濃縮器100へ連結され得る。マウスピース198を酸素富化空気のユーザへの提供のために用いられる唯一のデバイスにしてもよいし、あるいは、マウスピースを鼻気道送達デバイス196(例えば、鼻カニューレ)と組み合わせて用いてもよい。図8に示すように、酸素富化空気が鼻気道送達デバイス196およびマウスピース198双方を通じてユーザへ提供され得る。
【0115】
マウスピース198を、ユーザの口内に取り外し可能に配置することができる。一実施形態において、マウスピース198を、ユーザの口中の1本以上の歯へ取り外し可能に連結することができる。使用時に、酸素富化空気は、ユーザの口中へマウスピースを介して方向付けられる。マウスピース198は、ユーザの歯に適合するように成型されたナイトガードマウスピースであり得る。あるいは、マウスピースは、下顎再配置デバイスであり得る。一実施形態において、少なくともマウスピースの大部分は、使用時においてユーザの口中に配置される。
【0116】
使用時に、マウスピースの近隣において圧力変化が検出されると、酸素富化空気がマウスピース198へ方向付けられ得る。一実施形態において、マウスピース198は、圧力センサ194へ連結され得る。ユーザがユーザの口を通じて空気を吸息すると、圧力センサ194は、マウスピースの近隣の圧力降下を検出し得る。酸素濃縮器100のコントローラ400は、吸息の開始時に、ユーザへの酸素富化空気のボーラスの放出を制御し得る。
【0117】
個人の典型的な呼吸時において、吸息は、鼻を通じて、口を通じてあるいは鼻および口双方を通じて行われ得る。さらに、呼吸は、多様な要因により、1つの通路から別の通路へ変化し得る。例えば、より活発な活動時において、ユーザは、鼻を通じた呼吸を口を通じた呼吸(あるいは口および鼻を通じた呼吸)へ切り換え得る。単一の送達モード(鼻または口)に依存するシステムの場合、監視された経路を通じた呼吸が停止した場合に適切に機能できなくなり得る。例えば、ユーザへの酸素富化空気提供のために鼻カニューレが用いられる場合、吸息開始を決定するために、吸息センサ(例えば、圧力センサまたは流量センサ)が鼻カニューレへ連結される。ユーザが鼻を通じた呼吸を停止し、口を通じた呼吸に切り換えると、鼻カニューレからのフィードバックが無いため、酸素濃縮器100は、いつ酸素富化空気を提供すればよいのかわからなくなり得る。このような状況下において、酸素濃縮器100は、吸息センサがユーザの吸息を検出するまで、流量を増加させるか、酸素富化空気の提供頻度を増加させるか、あるいは、これらの両方を行い得る。ユーザが呼吸モードの切り換えを頻繁に行うと、デフォルトの酸素富化空気提供モードに起因して、酸素濃縮器100の作動頻度が高くなり、その結果、システムのポータブル利用時間が制限される。
【0118】
一実施形態において、ユーザへの酸素富化空気提供に用いられる鼻気道送達デバイス196(例えば、鼻カニューレ)と共に用いられるマウスピース198が、図8に示される。マウスピース198および鼻気道送達デバイス196はどちらとも、吸息センサへ連結される。一実施形態において、マウスピース198および鼻気道送達デバイス196は、同一の吸息センサへ連結される。別の実施形態において、マウスピース198および鼻気道送達デバイス196は、異なる吸息センサへ連結される。いずれかの実施形態において、吸息センサ(単数または複数)は、吸息開始を口または鼻から検出し得る。酸素濃縮器100は、近隣において吸息開始が検出された送達デバイス(すなわち、マウスピース198または鼻気道送達デバイス196)へ酸素富化空気を提供するように構成され得る。あるいは、いずれかの送達デバイスの近隣において吸息開始が検出された場合、酸素富化空気をマウスピース198および鼻気道送達デバイス196双方へ提供してもよい。例えば図8に示すような2重送達システムを用いると、睡眠中のユーザにとって特に有用であり得、鼻呼吸/口呼吸間の切り換えを意識的努力無く遂行し得る。
【0119】
・コントローラシステム
酸素濃縮器100の動作は、本明細書中に記載のような酸素濃縮器100の多様な構成要素へ連結された内部コントローラ400を用いて自動的に行われ得る。図2に示すように、コントローラ400は、1つ以上のプロセッサ410および内部メモリ420を含む。酸素濃縮器100の動作および監視に用いられる方法は、内部メモリ420またはコントローラ400へ連結された外部メモリ媒体に保存された、1つ以上のプロセッサ410によって実行可能なプログラム命令によって、具現化され得る。メモリ媒体は、多様な種類のメモリデバイスまたはストレージデバイスのうちいずれかを含み得る。「メモリ媒体」という用語には、インストール媒体(例えば、コンパクトディスクリードオンリーメモリ(CD-ROM)、フロッピーディスク、またはテープデバイス)、コンピュータシステムメモリもしくはランダムアクセスメモリ(例えば、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、ダブルデータレートランダムアクセスメモリ(DDRRAM)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、拡張データアウトランダムアクセスメモリ(EDORAM)、ランダムアクセスメモリ(RAM))、または、不揮発性メモリ(例えば、磁気媒体(例えば、ハードドライブまたは光学記憶装置))を含むことが意図される。メモリ媒体は、他の種類のメモリまたはその組み合わせも含み得る。加えて、記憶媒体は、プログラムを実行する主体であるコントローラ400の近隣に配置され得るか、または、インターネットなどのネットワークを介してコントローラ400へ接続する外部コンピューティングデバイス内に配置され得る。後者の場合、外部コンピューティングデバイスは、プログラム命令を実行対象としてコントローラ400へ提供し得る。「メモリ媒体」という用語は、異なる場所(例えば、ネットワークを介して接続された異なるコンピューティングデバイス中)に常駐し得る2つ以上のメモリ媒体を含み得る。
【0120】
いくつかの実施形態において、コントローラ400は、プロセッサ410を含む。プロセッサ410には、例えば、酸素濃縮器100中に配置された回路基板上に設けられた、1つ以上のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、マイクロコントローラなどが含まれる。プロセッサ410は、メモリ420中に保存されたプログラミング命令を実行するように構成される。いくつかの実施形態において、プログラミング命令は、プロセッサ410の外部のメモリが別個にアクセスされないように、プロセッサ410中に組み込まれ得る(例えば、メモリ420は、プロセッサ410の内部に設けられ得る)。
【0121】
プロセッサ410は、限定するものではないが、圧縮システム200、水分および/またはシステム内を流動する流体の制御に用いられるポンプまたは弁のうち1つ以上(例えば、弁122,124,132,134,152,154,160)、酸素センサ165、圧力センサ194、流量センサ185、温度センサ(図示せず)、ファン172、および、電気制御され得る他の任意の構成要素等、酸素濃縮器100の多様な構成要素およびサブシステム(例えば、図17の1704,1706,1708と関連付けられたサブシステム)へ連結され得る。いくつかの実施形態において、別個のプロセッサ(および/またはメモリ)が、これらの構成要素のうち1つ以上へ連結され得る。
【0122】
コントローラ400は、酸素濃縮器100を動作させるように構成され(例えば、プログラム命令によってプログラムされ)るとともに、例えば故障状態または他のプロセス情報について酸素濃縮器100を監視するようにさらに構成される。例えば、一実施形態において、コントローラ400は、システムが動作しているが所定の期間にわたってユーザによる呼吸が検出されない場合にアラームを発生させるように、プログラムされる。例えば、コントローラ400が75秒間の期間にわたって呼吸を検出しない場合、アラームLEDが点灯されるか、可聴アラームが鳴るか、あるいは、これらの両方が行われる。例えば睡眠時無呼吸エピソード時にユーザの呼吸が本当に止まった場合、このアラームはユーザを覚醒させることが充分可能であり、これにより、ユーザは呼吸を再開する。この呼吸活動は、コントローラ400がこのアラーム機能をリセットすることを充分可能にする。あるいは、送達導管192がユーザから取り外されてシステムがオンのまま放置されてしまう場合、このアラームは、ユーザに酸素濃縮器100をオフにするよう促すためのリマインダとして機能し得る。
【0123】
コントローラ400は、酸素センサ165へさらに連結されて、膨張チャンバ162を通過する酸素富化空気の酸素濃度の連続的または定期的監視のためにプログラムされ得る。最小酸素濃度閾値は、コントローラがユーザに対し酸素濃度低下について警告するためのLED視覚アラームおよび/または可聴アラームをコントローラを発生させるように、コントローラ400内にプログラムされ得る。
【0124】
コントローラ400は、内部電源180にも連結され、内部電源の充電レベルを監視するように構成され得る。最小電圧閾値および最小電流閾値の少なくとも一方をコントローラ400内にプログラムすることにより、コントローラがユーザに対して電力低下状態について警告するためのLED視覚アラームおよび/または可聴アラームを発生させることができる。これらのアラームは、断続的に発生し、電池の利用可能な充電がゼロに近づくにつれて頻度を上げて発生してもよい。
【0125】
POCのコントローラは、圧縮器制御を実行して、システム中の圧力を調節し得る。よって、POCは、例えばシーブベッドの下流のアキュムレータ内に圧力センサを備え得る。POC100中のコントローラ400は、圧縮器速度の調節を、圧力センサからの信号および例えば1つ以上のモードにおけるモータ速度センサを用いて行い得る。この点について、コントローラは、(圧力粗調整モードおよび圧力微調整モードを指定する)二重制御モードを実行し得る。圧力粗調整モードは、POCの異なる流量設定(または「流れ設定」)間の変更のために、および、始動/初回起動のために、実行され得る。次に、圧力粗調整モードの各動作の完了後、圧力微調整モードに引き継がれ得る。
【0126】
さらに、POCのコントローラは、システム中のボーラスサイズを調整するボーラス制御を実行するように構成され得、これは、POCの流量センサの使用無しに任意選択的に実行され得る。例えば、POCは、(例えばシーブベッドの下流のアキュムレータ中の)圧力センサを備え得、POCによって生成されるボーラスサイズを圧力の関数として調整し得る。このようなボーラスサイズの調整は、圧力および弁のタイミングの関数であり得る。
【0127】
・コントロールパネル
コントロールパネル600は、ユーザとコントローラ400との間のインターフェースとして機能して、ユーザが酸素濃縮器100の所定の動作モードを開始することおよびシステムの状態を監視することを可能にする。図14は、コントロールパネル600の一実施形態を示す。内部電力供給部180の充電のための充電入力ポート605が、制御パネル600内に配置され得る。
【0128】
いくつかの実施形態において、コントロールパネル600は、酸素濃縮器100のための多様な動作モードを起動するためのボタンを含み得る。例えば、コントロールパネルは、電源ボタン610、流量設定ボタン620~626、活性モードボタン630、スリープモードボタン635、高度ボタン640、および電池チェックボタン650を含み得る。いくつかの実施形態において、これらのボタンのうち1つ以上は、各LEDを有し得る。このLEDは、各ボタンが押圧されたときに発光し得、各ボタンが再度押圧されたときに電力オフにされ得る。電源ボタン610は、システムの電力をオンまたはオフにさせ得る。システムをオフにするために電源ボタンが起動されると、コントローラ400は、システムを停止状態にさせるための停止シーケンスを開始し得る(例えば、双方のキャニスタが加圧された状態)。流量設定ボタン620,622,624および626により、酸素富化空気の流量の選択が可能になる(例えば、ボタン620によって0.2LPM、ボタン622によって0.4LPM、ボタン624によって0.6LPM、ボタン626によって0.8LPM)。ユーザが通常時に酸素濃縮器100を用いる場所よりも高い場所にユーザが行く場合、高度ボタン640が活性化され得る。
【0129】
電池チェックボタン650が電池チェックルーチンを酸素濃縮器100内において開始すると、相対的な残留電池電力LED655がコントロールパネル600上において発光される。
【0130】
検出された呼吸速度または深さを閾値に比較することにより推定されるようにユーザの活動が比較的低い場合(例えば、熟睡時、座位時)において、ユーザの呼吸速度または深さが低くなるときがある。ユーザの活動が比較的高い場合(例えば、歩行時、運動時)において、ユーザの呼吸速度または深さが高くなるときがある。活性/スリープモードは自動的に推定され得かつ/または活性モードの場合はボタン630を、またはスリープモードの場合はボタン635を押圧することにより、ユーザが活性モードまたはスリープモードを手動で指示することができる。
【0131】
・水分管理システム
上記したように、POC100は、水分(または水分調整)の管理のための1つ以上の構成要素と共に、水分管理システムを実行し得る。このようなシステムは、入来する周囲空気(すなわち、供給ガス)から水分を除去し、そのような水分を(ユーザによる呼吸用として)外方移動する酸素富化空気へ再度導入するように実行され得る。このようなシステムは、図17のガス流れ図に関連して考察され得る。図示のように、周囲空気AAは、周囲水分に起因して水分を含み得る。その結果、高湿度の周囲空気HAAが圧縮システム200の圧縮器(図17中図示せず)によってPOC100システム内へ引き込まれ得、加圧された高湿度の周囲空気PHAAの流れとなり得る。任意選択的に、供給ガスは、上記したような汚染物質濾過モジュール1702(例えば、フィルタ)へ付加され得、入来する周囲空気からの1つ以上の空気汚染物質が除去される。例えば、汚染物質濾過モジュール1702は、粉塵および/またはアレルゲン粒子を高湿度の周囲空気HAAから除去するように構成され得、その後、高湿度の周囲空気HAAは、圧縮システム200の圧縮器に進入する。その後、その結果得られた清浄な高水分の周囲空気HAAは、加圧された高水分の周囲空気PHAAとなり、水分分離サブシステム1704の経路(例えば、分離装置)へ付加され得る。分離装置1704の経路は、加圧された高水分の周囲空気PHAAから水分Mを除去することによりより乾燥した周囲空気DAAを生成するように構成され得る。次に、上記したように、このようなより乾燥した周囲空気DAAは、POC100の濃度サブシステム1708において上記したようなシーブベッド(単数または複数)におけるガス吸着プロセス(例えば、PSAサイクル)のための供給ガスとして機能し得る。よって、濃度サブシステム1708により、乾燥した酸素富化空気DOEAが生成され得る。除去された水分Mは、水分輸送サブシステム1706の経路(例えば、水管)へ任意選択的に付加され得、これにより、水分Mは、濃度サブシステム1708によって生成された生成ガス中への除去された水分Mの再度の付加に適した位置へ移送され得る。水管1706の経路により、水分格納モジュール1710(例えば、リザーバ(例えば、閉じ込めタンク))または(水分Mの収集が行われ得る)他の位置へ水分Mが輸送され得る。このようなリザーバ1710は、リザーバ1710の水分M(または収集器1710)を乾燥された酸素富化空気DOEAへの再度付加するための経路を含み得る。よって、リザーバ1710は、乾燥された酸素富化空気DOEAを加湿して、加湿された酸素富化空気HOEAを生成し得る。次に、加湿された酸素富化空気HOEAは、出口ポート174においてPOC100から放出され得る。その結果、水分OEAMを含む酸素富化空気が、患者またはPOC100のユーザへ放出され得る。
【0132】
分離装置1704は、高水分の周囲空気から水分を引き出すための多様な構成を有し得る。例えば、分離装置1704は、ウィッキング材料あるいは他の多孔性材料または親水性材料または水蒸気透過膜を用いた経路を含み得、空気からの水分離を促進させ得る。いくつかの実施形態において、分離装置1704のウィッキング材料または膜または分離装置1704の導管経路は、ナフィオン(商標)ポリマーにより形成され得る。ナフィオン(商標)ポリマーは、テトラフルオロエチレン(テフロン(登録商標))およびペルフルオロ-3、6-ジオキサ-4-メチル-7-オクテン-スルホン酸のコポリマーである。分離装置1704は、凝縮器を任意選択的に含み得る(例えば、凝縮器コイルおよび/または材料)。凝縮器の部位は、分離装置1704の経路内に配置され得、これにより、供給ガスの一定レベルの冷却が分離装置1704内において可能になり得る。例えば、このような凝縮器は、冷却流体のサーキュレータとして機能し得るため、凝縮器の温度は、供給ガスと比較して相対的に低温にされ得る。よって、凝縮器は、冷却流体/ガスを凝縮器を通じてコイル部を介して移動させるために、ポンプまたは圧縮器を任意選択的に含み得る。このような構成要素は、POC100のコントローラ400によって生成された1つ以上の制御信号によって作動または制御され得るため、所望の温度設定点が分離装置1704内において維持される。よって、分離装置1704は、コントローラ400のために分離装置1704中の温度と関連付けられた温度信号を生成する温度センサ(図示せず)を任意選択的に含み得るため、コントローラは、温度制御ループを凝縮器および温度センサと共に実行し得る。
【0133】
いくつかの実施形態において、分離装置1704の経路は、迂遠型であり得る。このような経路により、供給ガスと経路の水分ウィック材料または膜との間の接触表面積の最大化が支援され得る。いくつかの実施形態において、分離装置1704の経路も、遠心として構成され得る。そのため、経路は、分離装置1704内の遠心流内へ供給ガスを誘導するように構成され得る。これにより、このような遠心流により、供給ガスが強制的に循環され得、これにより、分離装置1704内のラジアル方向の力を促進させる。このような強制的循環により、供給ガスと、分離装置1704の外側構造または材料(例えば、円筒膜および/またはウィッキング材料)との間の相互作用が増大し得、供給ガスからの水分が引き寄せられる。いくつかの実施形態において、分離装置1704は、遠心流を誘導する多様な要素を含み得る。例えば、分離装置1704の経路は、遠心流を誘導する螺旋状および/または渦巻状流路を含み得る。任意選択的に、経路は、スピン誘発原または他の導流体(単数または複数)を含み得る(例えば、フィン(単数または複数)またはこのような流れを誘導する他の類似の構造)。任意選択的に、経路は、ボリュートと共に形成してもよいし、あるいはコイルとして形成してもよい。
【0134】
このような水分調整システムの構成要素の例について、図18図21に示す実施形態に関連してより詳細に考察する。図18の例の断面図において、分離装置1704は、螺旋状流路1822を実行する導流体1820を含む。導流体1820により、分離装置1704内に遠心流CFが誘導される。このような導流体は、分離装置1704の内側チャンバ面または導管面の周囲の螺旋状リングとして形成され得る。このような導流体は、分離装置1704の導管の材料または本明細書中により詳細に述べる他の材料によって任意選択的に形成され得る。加圧された高水分の周囲空気PHAAからの水分が、螺旋状流路中に発生し得、ウィッキング面または親水性面1830中に吸湿され得る。例えば表面1830に設けられたウィッキング材料または親水性材料は、分離装置の内側円筒形表面として構成され得、螺旋状流路1822を包囲する。加圧された高水分の周囲空気PHAAが分離装置1704の経路に沿って回転する際、水分Mは、このようなウィッキング表面によって吸収され得る。分離装置内のこのような加圧状態によっても、水分の外方ウィッキングが支援され得る。
【0135】
表面1830において吸湿または吸収された水分Mは、(タンクまたは(パスオーバー加湿器として構成され得る)他のコンテナとして図示される)リザーバ1710へ移送され得る。リザーバ1710に含まれ得る経路を通じて、POC100のアキュムレータ106からの乾燥された酸素富化空気DOEAが、加湿された酸素富化空気HOEAにされ得る。このような経路に沿って、乾燥した酸素富化空気DOEAにより、リザーバ1710中に閉じ込められた水分から水分が吸湿され得る。図18の実施形態において、表面1830から集められた水分は、水管1706を介して輸送される。このような水管は、リザーバ1710中における水分収集を誘導するために、1つ以上の導管(例えば、配管)、1つ以上の弁(例えば、ゲート弁)および/または1つ以上のポンプを任意選択的に含み得る。このような弁構成要素は、耐湿性であり得る。任意選択的に、リザーバ1710が比較的低い位置に設けられていることに起因して、このような水分は、水管を通じて引き寄せられ得る。いくつかの実施形態において、圧縮システムからの圧力の付加は、導管およびコントローラによって制御される弁を介して(例えば、定期的に)行われ、これにより、水管1706を介したリザーバ1710への水分輸送を定期的に誘導する。いくつかの実施形態において、リザーバ1710は、集められた水分の昇温によって生成ガスによる吸湿を向上させるための発熱体1860(例えば、加熱コイル)を含み得る。生成ガスは、上記(図6を参照)したような供給弁160(図18中図示せず)の動作によってボーラス形態でまたは他の様態でアキュムレータ106から放出され得、リザーバ1710の経路へ移動する。発熱体1860は、ユーザ快適性のために、リザーバ1710中の生成ガスの昇温も行い得る。このようなシステムにより、分離装置中の供給ガスから引き出された水分が、システムの経路を介して生成ガスへ有効にリサイクルされる。任意選択的に、このようなリザーバ1710は、例えばPOC100の外部の水供給部から水をリザーバへ付加するために、水入口(図示せず)をさらに含み得る。例えば、ユーザは、さらなる水をリザーバ1710へ付加するために、POC100のハウジングのアパチャ中へ水を注入し得る。
【0136】
図19は、図18に類似する水分調整システムの別の実施形態を示す。しかし、図19の実施形態においては、凝縮器がさらに実行される(例えば、上記したようなコンデンサ)。分離装置1704中のガス温度の低下のために、凝縮器コイル1940が螺旋状流路1822へ付加され得る。このような温度低下により、分離装置1704内の結露増加に繋がり得る。このような凝縮器コイルは、分離装置1704の導管を螺旋状に包囲し得る。任意選択的に、凝縮器コイルは、表面1830に配置され得、螺旋状経路を描き得る。表面1830にある場合、表面1830のウィッキング材料/構造の温度低下がより直接的に支援され得るため、表面1830の材料における凝縮が促進され得る。
【0137】
図20は、図19の例に類似する水分調整システムの別の実施形態を示す。しかし、図20の実施形態において、リザーバ1710および分離装置1704はより直接的に一体化されている。本実施形態において、水管1706は分離装置1704およびリザーバ1710の近隣にあるため、水管1706の延長は不要である。このような実施形態において、ウィッキング材料表面1830の外側の反対側の面において、水分がリザーバ1710の内側で集められる。よって、水分が分離装置の内側のウィッキング材料表面1830の内側からウィッキング材料を通じて移送されることにより、リザーバ1710中に到着する。そのため、水分輸送サブシステム1706は、例えば内部を水分が移動する材料(例えば、ウィッキング材料表面1830)であり得る。このような実施形態において、導管、弁および/またはポンプは、水管1706において不要である。乾燥した酸素富化空気DOEAをリザーバ1710を通じて送ることにより、材料表面1830の外側の反対側の面から水分が吸湿される。表面1830の材料から水分をリサイクルして生成ガスへ返送する(すなわち、乾燥した酸素富化空気DOEA)ことにより、ウィッキング材料がリザーバ側において乾燥するにつれて表面1830におけるウィッキング材料の性能向上に繋がり、これにより、ウィッキング材料は湿潤平行達成のために機能するため、図20の分離装置1704内の供給ガスからの水分のさらなる吸湿が促進される。
【0138】
別の例示的水分調整システムを図21Aおよび図21Bならびに図22に示す。これらの図に示す本技術の実施形態は、図20に類似し、分離装置1704とリザーバ1710との間の関係がより直接的に近隣にある。図示のように、分離装置1704は、複数の層を用いた同心の螺旋状形成と共に構成される(例えば、内側層2152、外側層2150および外側膜2154のうち2つ以上)。本構成において、分離装置1704の層のうち2つ以上は、上記したような遠心流を誘導する螺旋状経路を形成する導流体として機能し得る。次に、水分輸送サブシステム1706は、(異なる材料であり得る)材料(単数または複数)の1つ以上の層によって構成され得るが、これらの層は、内側層2152、外側層2150および外側膜2154のうちいずれかの2つ以上を通じて経路移動させるための経路として機能する。よって、水分輸送サブシステム1706は、分離装置1704の一部を形成し得る。いくつかの実施形態において、内側層2152は、外側層2150に直接隣接し得る。いくつかの実施形態において、外側膜2154は、外側層2150に直接隣接し得る。いくつかの実施形態において、同心の螺旋の内側層2152は、凝縮材料(例えば、サーキュレータコイル)と共に形成され得る。さらに、同心の螺旋の外側層2150は、ウィッキング材料によって形成され得る。いくつかの実施形態において、内側層2152および外側層2150の順序を入れ替えると、内側層2152が外側層になり、外側層2150が内側層になる。同心の螺旋は、さらなる外側膜2154構造を有し得る。例えば、分離装置1704は、水蒸気透過膜を含み得る。この膜により、分離装置1704の経路の外側境界として機能し得る円筒構造が形成され得る。例えば、水蒸気透過膜の内面により、同心の螺旋の複数の層の周囲に円筒形表面が形成され得、分離装置1704の経路が形成される。さらに、水蒸気透過膜の外面により、リザーバ1710の経路の円筒内面が形成され得る。よって、膜2154の多孔性材料は、分離装置1704からリザーバ1710への水分移送のための1つ以上のダクトとして機能し得る。よって、図21Aのリザーバ1710の経路により、図20と同様に、膜2154の外面から(リザーバ1710内を通じて移動する)生成ガスへの水分の吸湿が可能になる。リザーバ1710の経路を概して直接的な経路(例えば、迂遠ではない形式で)図示しているが、いくつかの実施形態において、リザーバを通じた経路は、直接度のより低い(例えば、螺旋状の流れを)リザーバを通じて誘導する1つ以上の導流体と共に任意選択的に実行され得る。このような導流体により、リザーバ1710を通じた螺旋状経路を形成することにより、生成ガスとリザーバ1710の水分収集との間の相互作用(表面接触)増加に繋がる。このような改変は、本明細書中に記載の残りの図(例えば、図18図20)に示す水分調整システムと共にも同様に実行され得る。
【0139】
図21Aの図示の例において、リザーバ1710の経路を通じたガス流れ方向(矢印DOEA)を、分離装置1704を通じたガス流れ経路(矢印PHAA)に対して概して反対方向に図示している。しかし、いくつかの実施形態において、このような方向は、逆転され得る。さらに、いくつかの実施形態において、双方の流れは、概して共通の方向に移動し得る。
【0140】
上記したように、図22に示す例示的水分調整システムは、図21Aの実施形態に類似する。よって、分離装置1704は、複数の層を用いた同心の螺旋状形成と共に構成されるため、これらの層は、上記したような遠心流を誘導する螺旋状経路を形成する導流体として機能する。しかし、図21Aの実行と対照的に、図22の分離装置1704は、テーパ状端部を含む螺旋形状を有する。このテーパ状により、ボルテックス構造(例えば、円錐構造または円錐)が形成されて、流路が螺旋状に分離装置を通じて進むにつれて、流路が内方に渦巻状に中心領域へ進む。このような例において、分離装置1704の第1の端部FEは、外径(OD1)を有し得る(例えば、膜2154の内側側面と関連付けられた直径)。さらに、分離装置1704の第2の端部SEは、別の外径(OD2)を有し得る(例えば、膜2154の内側側面と関連付けられた別の直径)。例えば、直径(OD1およびOD2)は、分離装置1704の円錐表面内の(膜2154の内側によって形成された)空洞にわたって延び得る。よって、各直径は、この空洞の片側の内面側から空洞の反対側の内面側へ延び得る。次に、各直径は、虚中心軸CAを通過し得る。虚中心軸CAは、分離装置1704の円錐表面の中心軸であり、円錐表面の空洞を通過する。このようなボルテックス構造の形成のために、分離装置の第1の端部と関連付けられた外径(OD1)は、分離装置の第2の端部と関連付けられた外径(OD2)よりも大きくされ得る。このような構造により、凝縮した水分の構造の下部への水分収集が促進され得る。
【0141】
・POCの操作方法
以下に述べるPOC100の操作および監視の方法は、1つ以上のプロセッサ(例えば、コントローラ400の1つ以上のプロセッサ410)によって実行され得る。これらのプロセッサ410は、プログラム命令によって構成される。これらのプログラム命令の例を挙げると、上記したように、1つ以上の機能および/または(メモリ(例えば、POC100のメモリ420)中に保存された)当該機能に対応する関連データがある。あるいは、記載の方法のステップのうちいくつかまたは全ては、(コントローラがトランシーバ430を介して接続された)外部コンピューティングデバイスの1つ以上のプロセッサによって同様に実行され得る。後者の実施形態において、プロセッサ410は、外部コンピューティングデバイスにおいて行われるべきステップの性能に必要な測定およびパラメータを外部コンピューティングデバイスへ送信させるように、POC100のメモリ420中に保存されたプログラム命令によって構成され得る。
【0142】
酸素濃縮器100の主な用途として、ユーザへ補充酸素を提供することがある。1つ以上の流量設定が、酸素濃縮器100の制御パネル600上において選択され得、これにより、上記選択された流量設定に従って酸素富化空気の生成が達成されるように動作が制御される。いくつかの実施形態において、複数の流量設定が実行され得る(例えば、5個の流量設定)。本明細書中により詳細に記載のように、コントローラは、POD(パルス型酸素送達)またはデマンドモードの動作を実行して、(上記選択された流量設定に従って酸素富化空気の送達を達成するように)1つ以上の放出ボーラスのサイズを調整し得る。
【0143】
送達される酸素富化空気による効果の最大化のために、コントローラ400は、酸素富化空気の各ボーラス放出とユーザの吸気とを同期させるようにプログラムされ得る。ユーザの吸気時にユーザへの酸素富化空気のボーラスの放出を行うことにより、例えばユーザの呼気時において酸素放出が控えられるため、酸素の無駄が回避され得る。濃縮器がPODモードで動作する場合、制御パネル600上の流量設定は、微量の送達される酸素(ボーラス量を毎分あたりの呼吸量で乗算した値)に対応し得る(例えば、0.2LPM、0.4LPM、0.6LPM、0.8LPM、1.1LPM)。
【0144】
酸素濃縮器100によって生成された酸素富化空気は、酸素アキュムレータ106中に保存され、PODモードにおいて、ユーザの吸息時においてユーザへ放出される。酸素濃縮器100によって提供される酸素富化空気量は、供給弁160によって部分的に制御される。一実施形態において、供給弁160の開口は、コントローラ400によって推定されたような適切な量の酸素富化空気をユーザに提供することができるだけの充分な量の時間の間行われる。酸素の無駄を最小限にするために、ユーザの吸気開始の検出直後に、酸素富化空気がボーラスとして提供され得る。例えば、酸素富化空気のボーラスは、ユーザ吸息の最初の数ミリ秒において供給され得る。
【0145】
一実施形態において、圧力センサ194は、ユーザの吸息開始を決定するように、用いられ得る。例えば、ユーザの吸息は、圧力センサ194の利用によって検出され得る。使用時において、酸素富化空気を提供するための導管192が、鼻気道送達デバイス196および/またはマウスピース198を通じてユーザの鼻および/または口へ連結される。よって、導管192中の圧力は、ユーザの気道圧力を示し、したがって、ユーザ呼吸を示す。吸息開始時において、ユーザは、鼻および/または口を通じて空気を体内へ引き込むことを開始する。空気が引き込まれる際、導管192の端部において引き込まれる空気のベンチュリ作用に部分的に起因して、導管の端部において負圧が発生する。コントローラ400は、圧力センサ194からの圧力信号を分析して、圧力の低下を検出し、吸息開始を示す。吸息開始が検出されると、供給弁160が開口されて、酸素富化空気のボーラスがアキュムレータ106から放出される。圧力が正の方向に変化または上昇した場合、ユーザの呼気を示し、その後、酸素富化空気の放出は中止される。1つの実施形態において、正の圧力変化が感知されると、次の吸気開始が検出されるまで、供給弁160は閉鎖される。あるいは、ボーラス継続期間として知られる所定インタバル後、供給弁160は、閉鎖され得る。隣接する吸息開始間のインタバルを測定することにより、ユーザの呼吸速度が推定され得る。吸息開始時と後続の呼息開始時との間のインタバルを測定することにより、ユーザの吸気時間が推定され得る。よって、ユーザの呼吸量または呼吸数は、圧力センサおよび/または流量センサからの信号によって検出され得る。
【0146】
他の実施形態において、圧力センサ194は、感知導管内に配置され得る。感知導管は、ユーザの気道と空気圧連通するが、送達導管192から別個に設けられる。よって、このような実施形態において、圧力センサ194からの圧力信号も、ユーザの気道圧力を示す。
【0147】
いくつかの実施形態において、圧力センサ194の感度は、特に圧力センサ194が酸素濃縮器100内に配置されかつ酸素濃縮器100をユーザへ連結する導管192を通じて圧力差が検出された場合、圧力センサ194のユーザからの物理的距離によって影響を受け得る。いくつかの実施形態において、圧力センサ194は、酸素富化空気のユーザへの提供に用いられる気道送達デバイス196内に配置され得る。圧力センサ194からの信号は、酸素濃縮器100中のコントローラ400へ有線的にまたはテレメトリを通じて(例えば、Bluetooth(商標)または他の無線技術を通じて)電子的に提供され得る。
【0148】
いくつかの実施形態において、ユーザの現在活動レベル(例えば、検出されたユーザの現在の呼吸速度を用いて推定されたもの)が所定の閾値を超える場合、コントローラ400は、酸素濃縮器100の送達能力を超えている旨をユーザに警告するためのアラーム(例えば、視覚および/または音声)が実装され得る。例えば、閾値は、1分あたり40回(BPM)の呼吸に設定され得る。
【0149】
・用語集
本技術の開示目的のため、本技術の特定の形態において、以下の定義のうち1つ以上が適用され得る。本技術の他の形態において、別の定義も適用され得る。
【0150】
空気:本技術の特定の形態において、「空気」という用語は、78%窒素(N)、21%酸素(O)、および1%水蒸気、二酸化炭素(CO)、アルゴン(Ar)および他の微量ガスからなる大気を意味するものとして解釈されるべきである。
【0151】
酸素富化空気:大気の酸素濃度(21%)よりも高い酸素濃度(例えば、少なくとも約50%の酸素、少なくとも約60%の酸素、少なくとも約70%の酸素、少なくとも約80%の酸素、少なくとも約90%の酸素、少なくとも約95%の酸素、少なくとも約98%の酸素、または少なくとも約99%)を有する酸素。「酸素富化空気」を簡略的に「酸素」と呼ぶ場合もある。
【0152】
医療酸素:医療酸素は、酸素濃度が80%以上である酸素富化空気として規定される。
【0153】
周囲:本技術の特定の形態において、「周囲」という用語は、(i)治療システムまたはユーザの外部、および(ii)治療システムまたはユーザを直接包囲するものを意味するものとしてとられるべきである。
【0154】
流量:単位時間あたりに送出される空気の瞬時の量(または質量)。流量とは、瞬間の量を指し得る。場合によっては、流量について言及した場合、スカラー量(すなわち、大きさのみを有する量)を指す。他の場合において、流量について言及した場合、ベクトル量(すなわち、大きさおよび方向両方を持つ量)を指す。流量には、符号Qが付与され得る。「流量」を簡略的に「流れ」もしくは「空気流」と呼ぶ場合もある。
【0155】
患者:呼吸障害に罹患しているかまたはしていない人。
【0156】
圧力:単位面積あたりの力。圧力は、多様な単位で表現され得る(例えば、cmHO、g-f/cm、及びヘクトパスカル)。1cmHOは、1g-f/cmに等しく、およそ0.98ヘクトパスカル(1ヘクトパスカル=100Pa=100N/m=1ミリバール~0.001atm)である。本明細書において、他に明記無き限り、圧力はcmHOの単位で付与される。
【0157】
ポート、オリフィス開口部:「ポート」、「オリフィス」および「開口部」は、同義に用いられる。
【0158】
・一般的注意事項
本明細書中用いられる「連結される」という用語は、1つ以上の物体または構成要素間の直接的接続または間接的接続(例えば、1つ以上の介在的接続)を意味する。「接続される」という言い回しは、物体または構成要素が直接相互接続されるような物体または構成要素間の直接的接続を意味する。本明細書中において用いられるように、デバイス「を得る」という言い回しは、当該デバイスを購入または構築したことを意味する。
【0159】
本開示において、特定の米国特許、米国特許出願および他の文献(例えば、論文)を参考のため援用する。しかし、このような米国特許、米国特許出願および他の文献の本文を、そのような本文と本明細書中に記載の他の記載および図面との間に矛盾が存在しない範囲内において、参考のためひとえに援用する。そのような矛盾が生じた場合、そのような参考のため援用された米国特許、米国特許出願および他の文献中のそのような矛盾のある記載は全て、本特許中において参考のため特定的に援用されない。
【0160】
・他の注意事項
他に文脈から明確に分かる場合および一定の範囲の値が提供されていない限り、下限の単位の1/10、当該範囲の上限と下限の間、および記載の範囲の他の任意の記載の値または介入値に対する各介入値は本技術に包含されることが理解される。介入範囲中に独立的に含まれるこれらの介入範囲の上限および下限が記載の範囲における制限を特に超えた場合も、本技術に包含される。記載の範囲がこれらの制限のうち1つまたは双方を含む場合、これらの記載の制限のいずれかまたは双方を超える範囲も、本技術に包含される。
【0161】
さらに、本明細書中に値(単数または複数)が本技術の一部として具現される場合、他に明記無き限り、このような値が近似され得、実際的な技術的実施形態が許容または要求する範囲まで任意の適切な有効桁までこのような値を用いることが可能であると理解される。
【0162】
他に明記しない限り、本明細書中の全ての技術用語および科学用語は、本技術が属する分野の当業者が一般的に理解するような意味と同じ意味を持つ。本明細書中に記載の方法および材料に類似するかまたは等しい任意の方法および材料を本技術の実践または試験において用いることが可能であるが、限られた数の例示的な方法および材料が本明細書中に記載される。
【0163】
特定の材料が構成要素の構築に好適に用いられるものとして記載されているが、特性が類似する明白な代替的材料が代替物として用いられる。さらに、それとは反対に記載無き限り、本明細書中に記載される任意および全ての構成要素は、製造可能なものとして理解されるため、集合的にまたは別個に製造され得る。本明細書中及び添付の特許請求の範囲において用いられるように、単数形である「a」、「an」および「the」は、文脈から明らかにそうでないことが示されない限り、その複数の均等物を含む点に留意されたい。
【0164】
本明細書中に記載される公開文献は全て、これらの公開文献の対象である方法および/または材料の開示および記載、参考のために援用される。本明細書中に記載の公開文献は、本出願の出願日前のその開示内容のみのために提供するものである。本明細書中のいずれの内容も、本技術が先行特許のためにこのような公開文献に先行していないと認めるものと解釈されるべきではない。さらに、記載の公開文献の日付は、実際の公開文献の日付と異なる場合があり、個別に確認が必要であり得る。
【0165】
「含む(comprises)」および「含む(comprising)」という用語は、要素、構成要素またはステップを非排他的な意味合いで指すものとして解釈されるべきであり、記載の要素、構成要素またはステップが明記されていない他の要素、構成要素またはステップと共に存在、利用または組み合わせられ得ることを示す。
【0166】
詳細な説明において用いられる見出しは、読者の便宜のためのものであり、本開示または特許請求の範囲全体において見受けられる内容を制限するために用いられるべきではない。これらの見出しは、特許請求の範囲または特許請求の範囲の制限の範囲の解釈において用いられるべきではない。
【0167】
本明細書中の技術について、特定の例を参照して述べてきたが、これらの例は本技術の原理および用途を例示したものに過ぎないことが理解されるべきである。いくつかの場合において、用語および記号は、本技術の実施に不要な特定の詳細を示し得る。例えば、「第1の」および「第2の」(など)という用語が用いられるが、他に明記無き限り、これらの用語は任意の順序を示すことを意図しておらず、別個の要素を区別するために用いられる。さらに、本方法におけるプロセスステップについての記載または例示を順序付けて述べる場合があるが、このような順序は不要である。当業者であれば、このような順序が変更可能でありかつ/またはその態様を同時にまたはさらに同期的に行うことが可能であることを認識する。
【0168】
よって、本技術の意図および範囲から逸脱することなく、例示的な例において多数の変更例が可能であり、また、他の配置構成が考案され得ることが理解されるべきである。本技術の多様な態様のさらなる改変例および代替実施形態は、当業者にとって本記載に鑑みて明らかになり得る。よって、本記載は、あくまで例示的なものとして解釈されるべきであり、本技術を実行する一般的様態を当業者に教示する目的のためのものである。本明細書中に図示および記載された本技術の形態は、実施形態としてとられるべきであることが理解されるべきである。本技術の本記載の恩恵に鑑みれば当業者にとって全て明らかであるように、要素および材料は、本明細書中に例示および記載したものにおいて代替可能であり、部分およびプロセスは逆転され得、本技術の特定の特徴は独立的に利用され得る。添付の特許請求の範囲に記載のような本技術の意図および範囲から逸脱すること無く、本明細書中に記載の要素において変更が可能であり得る。
【符号の説明】
【0169】
100…酸素濃縮器
101…入口
105…圧縮システム入口
105…入口
106…アキュムレータ
107…アキュムレータ圧力センサ
108…マフラー
122…弁
124…弁
129…フィルタ
130…出口
132…弁
133…マフラー
134…弁
135…百三十五
139…ばねバッフル
139…バッフル
142…チェック弁
144…チェック弁
151…流れ抵抗器
152…弁
153…流れ抵抗器
154…弁
155…流れ抵抗器
160…供給弁
162…膨張チャンバ
165…酸素センサ
166…エミッタ
168…レシーバ
170…外側ハウジング
172…ファン
173…出口
174…出口ポート
175…流れ抵抗器
180…電源
185…流量センサ
187…フィルタ
190…コネクタ
192…導管
194…圧力センサ
196…気道送達デバイス
1989…マウスピース
200…圧縮システ
201…速度センサ
210…コンプレッサ
212…コンプレッサ出口
220…モータ
230…電機子
230…外部電機子
240…空気移送デバイス
250…コンプレッサ出口導管
300…キャニスタアセンブリ
302…キャニスタ
304…キャニスタ
306…空気入口
310…ハウジング
315…ベース
322…弁座
325…出口
327…ガス
330…導管
332…弁座
337…アパチャ
342…導管
344…導管
346…導管
375…開口部
400…コントローラ
410…プロセッサ
420…メモリ
430…トランシーバ
510…ハウジング構成要素
530…導管
532…導管
534…導管
542…開口部
544…開口部
552…弁座
554…弁座
600…コントロールパネル
605…入力ポート
610…電源ボタン
620…流量設定ボタン
622…流量設定ボタン
624…ボタン
626…ボタン
630…活性モードボタン
635…モードボタン
640…高度ボタン
650…電池チェックボタン
655…LED
702…キャニスタ
704…キャニスタ
706…入口
708…入口
710…出口
712…出口
800…機構
804…マニホルド
1504…コンテナ部
1508…キャップ部
1510…取付フランジ
1511…フランジ部
1602…区画
1604…ポータル
1606…マニホルド
1608…出口連結具
1609…連結具
1671…冷却システム出口
1665…電池区画
1666…蓋部
1667…電池区画蓋部
1669…ボタン
1673…ポート
1675…取り外し可能なパネル
1677…冷却システム入口
1702…汚染物質濾過モジュール
1704…水分分離サブシステム
1706…水分輸送サブシステム
1708…濃度サブシステム
1710…水分格納モジュール
1820…導流体
1822…螺旋状流路
1830…材料表面
1860…加熱要素
1940…凝縮器コイル
2150…外側層
2152…内側層
2154…外側膜
図1
図2
図3
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図5
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図16B
図16C
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図19
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図21B
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【国際調査報告】