(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-25
(54)【発明の名称】バイオ系ポリマー及び生分解性ポリマーの改質のための有機パーオキシド配合物
(51)【国際特許分類】
C08L 101/00 20060101AFI20230518BHJP
C08K 5/01 20060101ALI20230518BHJP
C08K 5/14 20060101ALI20230518BHJP
C08L 67/04 20060101ALI20230518BHJP
C08L 101/16 20060101ALI20230518BHJP
【FI】
C08L101/00
C08K5/01
C08K5/14
C08L67/04
C08L101/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022561211
(86)(22)【出願日】2021-04-08
(85)【翻訳文提出日】2022-12-05
(86)【国際出願番号】 US2021026421
(87)【国際公開番号】W WO2021207520
(87)【国際公開日】2021-10-14
(32)【優先日】2020-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500307340
【氏名又は名称】アーケマ・インコーポレイテッド
【住所又は居所原語表記】900 First Avenue,King of Prussia,Pennsylvania 19406 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】レナード・エイチ・パリス
(72)【発明者】
【氏名】ピーター・アール・ドゥルズネスキー
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・ビー・エイブラムズ
(72)【発明者】
【氏名】マリナ・デスポトポーロウ
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム・ピー・パヴレック
【テーマコード(参考)】
4J002
4J200
【Fターム(参考)】
4J002AA001
4J002CF181
4J002EA007
4J002EK036
4J002EK046
4J002EK056
4J002EK066
4J002EK086
4J002FD037
4J002FD146
4J002FD156
4J200AA04
4J200BA09
4J200BA14
4J200BA15
4J200BA18
4J200CA01
4J200EA07
4J200EA10
(57)【要約】
改質されたバイオ系ポリマー、特にPLAのようなバイオ系ポリエステル及び/又はPBATのような生分解性ポリマーを生成するための配合物は、少なくとも1つの有機パーオキシド及び少なくとも1つのバイオ系反応性添加剤を含む。少なくとも1つの有機パーオキシド及び/又は少なくとも1つのバイオ系反応性添加剤は、バイオ系ポリマー及び/又は生分解性ポリマーと反応して、改質バイオ系及び/又は改質生分解性ポリマーを生成することができる。改質バイオ系及び/又は改質生分解性ポリマーは、非改質バイオ系及び/又は生分解性ポリマーと比較して改善された特性を有する。改善された特性は、加工性、特に改善された溶融強度に関連し得、これは、発泡ポリマー、インフレーションフィルム、キャストフィルム、テンタードフィルムなどの薄いフィルムを生成する間のより容易な加工をもたらす。改善された特性は、改善された剛性、靭性又は引張り強度などの物理的特性に関連し得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの有機パーオキシドと、
少なくとも1つの反応性バイオ系添加剤と
を含む有機パーオキシド配合物。
【請求項2】
前記反応性バイオ系添加剤の量及び前記少なくとも1つの有機パーオキシドの量は、前記配合物がバイオ系ポリマーと化学的に反応して、改質バイオ系ポリマーを生成するか、又は生分解性ポリマーと化学的に反応して、改質生分解性ポリマーを生成するか、又はバイオ系ポリマーと生分解性ポリマーとの混合物と化学的に反応して、改質バイオ系ポリマーと改質生分解性ポリマーとの混合物を生成することができるように選択される、請求項1に記載の有機パーオキシド配合物。
【請求項3】
前記少なくとも1つの反応性バイオ系添加剤は、ビタミンK化合物、その誘導体及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1又は2に記載の有機パーオキシド配合物。
【請求項4】
前記少なくとも1つの反応性バイオ系添加剤は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含む植物由来の油、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含む動物由来の油、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含むバイオ系油、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含むバイオ由来の油及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の有機パーオキシド配合物。
【請求項5】
前記少なくとも1つの有機パーオキシドは、ジアシルパーオキシド(ジベンゾイルパーオキシドを除く)、ジアルキルパーオキシド、ジパーオキシケタールパーオキシド、ヘミ-パーケタールパーオキシド、モノパーオキシカーボネート、環状ケトンパーオキシド、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネート及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の有機パーオキシド配合物。
【請求項6】
少なくとも2つの官能基を有する部位を含む少なくとも1つの架橋助剤を更に含み、前記官能基は、同じであるか又は異なり得、且つアリル、メタクリル、アクリル、マレイミド及びビニルからなる群から選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載の有機パーオキシド配合物。
【請求項7】
ビタミンK1(フィトナジオン又はフィロキノン)、ビタミンK2(メナキノン)、ビタミンK3(メナジオン)、ビタミンK2 MK-4(メナテトレノン)、ビタミンK2 MK-7(メナキノン-7)、ビタミンK2 MK-14(メナキノン14)、ビタミンK2メナテトレノンエポキシド、エモジン(6-メチル-1,3,8-トリヒドロキシアントラキノン)、パリエチン又はフィシオン(1,8-ジヒドロキシ-3-メトキシ-6-メチル-アントラセン-9,10-ジオン)、レイン(4,5-ジヒドロキシ-9,10-ジオキソアントラセン-2-カルボン酸)、アロエ-エモジン(1,8-ジヒドロキシ-3-(ヒドロキシメチル)アントラキノン)、クリソファノール(1,8-ジヒドロキシ-3-メチル-9,10-アントラキノン)、チマフィリン(2,7-ジメチル-1,4-ナフトキノン)、チモキノン、ジチモキノン、チモールヒドロキノン、2-ヒドロキシ-2,4-ナフトキノン、カフェオキノン(カフェイン酸キノン)、クロロゲン酸キノン、オリーブ葉油(オレウロペイン)、キニーネ、カフェイン酸、クロロゲン酸、カンナビジオール、チモール、シスチン、システイン、ホモシステイン、メチオニン、タウリン、N-ホルミルメチオニン及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの天然又は天然由来のスコーチ遅延添加剤を更に含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の有機パーオキシド配合物。
【請求項8】
改質バイオ系ポリマー、改質生分解性ポリマー又はそれらの混合物を生成するための配合物であって、少なくとも1つの有機パーオキシド、少なくとも1つのバイオ系ポリマー若しくは少なくとも1つの生分解性ポリマー又はそれらの混合物を含み、前記少なくとも1つのバイオ系ポリマー、生分解性ポリマー又はそれらの混合物の量及び前記少なくとも1つの有機パーオキシドの量は、前記配合物が反応性バイオ系添加剤と化学的に反応して、前記改質バイオ系ポリマー、前記改質生分解性ポリマー又は前記それらの混合物を生成することができるように選択される、配合物。
【請求項9】
前記少なくとも1つの有機パーオキシドは、ジアシルパーオキシド(ジベンゾイルパーオキシドを除く)、ジアルキルパーオキシド、ジパーオキシケタールパーオキシド、ヘミ-パーケタールパーオキシド、モノパーオキシカーボネート、環状ケトンパーオキシド、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネート及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項8に記載の改質バイオ系ポリマー、生分解性ポリマー又はそれらの混合物を生成するための配合物。
【請求項10】
前記少なくとも1つのバイオ系ポリマーは、ポリ乳酸(PLA)及びそのコポリマー、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、ポリヒドロキシブチレート(PHB)、ポリ(3-ヒドロキシバレレート)(PHV)、ポリヒドロキシヘキサノエート(PHH)、ポリグリコール酸(PGA)及びポリ-ε-カプロラクトン(PCL)並びにそれらの誘導体及び混合物からなる群から選択され、前記生分解性ポリマーは、ポリ(ブチレンアジペート-コ-テレフタレート)(PBAT)であって、その誘導体を含むポリ(ブチレンアジペート-コ-テレフタレート)(PBAT)である、請求項8又は9に記載の改質バイオ系ポリマー、改質生分解性ポリマー又はそれらの混合物を生成するための配合物。
【請求項11】
生分解性ポリマーポリ(ブチレンアジペート-コ-テレフタレート)(PBAT)及びその誘導体から本質的になる、請求項8~10のいずれか一項に記載の改質生分解性ポリマーを生成するための配合物。
【請求項12】
前記少なくとも1つのバイオ系ポリマーは、生分解性ポリマーポリ(ブチレンアジペート-コ-テレフタレート)(PBAT)と組み合わされる、請求項8~10のいずれか一項に記載の改質バイオ系ポリマーを生成するための配合物。
【請求項13】
前記少なくとも1つの反応性バイオ系添加剤は、ビタミンK化合物、その誘導体及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項8~12のいずれか一項に記載の改質バイオ系ポリマー、改質生分解性ポリマー又はそれらの混合物を生成するための配合物。
【請求項14】
前記少なくとも1つのバイオ系添加剤は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含む植物由来の油、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含む動物由来の油、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含むバイオ系油、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含むバイオ由来の油及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項8~13のいずれか一項に記載の改質バイオ系ポリマー、改質生分解性ポリマー又はそれらの混合物を生成するための配合物。
【請求項15】
少なくとも2つの官能基を有する部位を含む少なくとも1つの架橋助剤を更に含み、前記官能基は、同じであるか又は異なり、且つアリル、メタクリル、アクリル、マレイミド及びビニルからなる群から選択される、請求項8~14のいずれか一項に記載の改質バイオ系ポリマー、改質生分解性ポリマー又はそれらの混合物を生成するための配合物。
【請求項16】
少なくとも1つの有機パーオキシド、少なくとも1つの反応性バイオ系添加剤及び少なくとも1つのバイオ系ポリマー若しくは少なくとも1つの生分解性ポリマー又は前記バイオ系ポリマーと前記生分解性ポリマーとの混合物の反応生成物を含む改質バイオ系ポリマー、改質生分解性ポリマー又はそれらの混合物。
【請求項17】
前記少なくとも1つの有機パーオキシドは、ジアシルパーオキシド(ジベンゾイルパーオキシドを除く)、ジアルキルパーオキシド、ジパーオキシケタールパーオキシド、ヘミ-パーケタールパーオキシド、モノパーオキシカーボネート、環状ケトンパーオキシド、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネート及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項16に記載の改質バイオ系ポリマー、改質生分解性ポリマー又はそれらの混合物。
【請求項18】
前記少なくとも1つの反応性バイオ系添加剤は、ビタミンK化合物であって、その誘導体及び混合物を含むビタミンK化合物からなる群から選択される、請求項16又は17に記載の改質バイオ系ポリマー、改質生分解性ポリマー又はそれらの混合物。
【請求項19】
前記少なくとも1つの反応性バイオ系添加剤は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含む植物由来の油、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含む動物由来の油、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含むバイオ系油、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含むバイオ由来の油及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項16~18のいずれか一項に記載の改質バイオ系ポリマー、改質生分解性ポリマー又はそれらの混合物。
【請求項20】
前記少なくとも1つのバイオ系ポリマーは、ポリ乳酸(PLA)及びそのコポリマー、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、ポリヒドロキシブチレート(PHB)、ポリ(3-ヒドロキシバレレート)(PHV)、ポリヒドロキシヘキサノエート(PHH)、ポリグリコール酸(PGA)及びポリ-ε-カプロラクトン(PCL)であって、それらの誘導体及び混合物を含むポリ乳酸(PLA)及びそのコポリマー、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、ポリヒドロキシブチレート(PHB)、ポリ(3-ヒドロキシバレレート)(PHV)、ポリヒドロキシヘキサノエート(PHH)、ポリグリコール酸(PGA)及びポリ-ε-カプロラクトン(PCL)からなる群から選択され、及び前記少なくとも1つの生分解性ポリマーは、ポリ(ブチレンアジペート-コ-テレフタレート)(PBAT)であって、その誘導体を含むポリ(ブチレンアジペート-コ-テレフタレート)(PBAT)である、請求項16~19のいずれか一項に記載の改質バイオ系ポリマー、改質生分解性ポリマー又はそれらの混合物。
【請求項21】
前記少なくとも1つのバイオ系ポリマーは、ポリ(ブチレンアジペート-コ-テレフタレート)(PBAT)であって、その誘導体を含むポリ(ブチレンアジペート-コ-テレフタレート)(PBAT)と組み合わされる、請求項16~20のいずれか一項に記載の改質生分解性ポリマー。
【請求項22】
改質バイオ系ポリマー、改質生分解性ポリマー又はそれらの混合物を生成する方法であって、
少なくとも1つの有機パーオキシドと、
少なくとも1つの反応性バイオ系添加剤と、
少なくとも1つのバイオ系ポリマー若しくは少なくとも生分解性ポリマー又はバイオ系ポリマーと生分解性ポリマーとの混合物と
を組み合わせ、それにより反応混合物を形成する工程と、
前記反応混合物を反応させて、改質バイオ系ポリマーを形成する工程と
を含む方法。
【請求項23】
前記組み合わせ工程は、
前記少なくとも1つの有機パーオキシドと、前記少なくとも1つの反応性バイオ系添加剤とを組み合わせて、有機パーオキシド-反応性バイオ系添加剤配合物を形成する第1の工程と、
前記有機パーオキシド-反応性バイオ系添加剤配合物を前記少なくとも1つのバイオ系ポリマー、生分解性ポリマー又はバイオ系ポリマーと生分解性ポリマーとの混合物と組み合わせて、前記反応混合物を形成する第2の工程と
を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記第2の工程と前記反応工程とは、同時に行われる、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記組み合わせ工程は、
前記少なくとも1つの有機パーオキシドと、前記少なくとも1つのバイオ系ポリマー、生分解性ポリマー又はそれらの混合物とを組み合わせて、有機パーオキシド-バイオ系、生分解性又はそれらの混合物のポリマー配合物を形成する第1の工程と、
前記少なくとも1つの反応性バイオ系反応性添加剤を組み合わせて、前記反応混合物を形成する第2の工程と
を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記第2の工程と前記反応工程とは、同時に行われる、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記少なくとも1つの反応性バイオ系添加剤は、桐油、ミルセン、カンナビジオール、リモネン及びオメガ3からなる群から選択される、請求項1~4又は8~14のいずれか一項に記載の有機パーオキシド配合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、バイオ系ポリマー、特にバイオ系ポリエステルを生成するための有機パーオキシド配合物に関する。バイオ系ポリマーは、改善された加工性及び改善された溶融強度を含む、未改質バイオ系ポリマーと比較して改善された特性を有し、これは、インフレーションフィルム、キャストフィルム、テンタードフィルムなどの薄いフィルム及び発泡製品を生成する間のより容易な加工をもたらす。改善された特性は、改善された溶融強度、剛性、靭性又は引張り強度を含む物理的特性にも関連し得る。
【背景技術】
【0002】
バイオプラスチック(バイオポリマーとも呼ばれる)は、バイオ系ポリエステルを含む一般的な部類のプラスチックである。バイオポリエステルには、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ-£-カプロラクトン(PCL)、ポリヒドロキシブチレート(PHB)及びポリ(3-ヒドロキシバレレート)が含まれる。
【0003】
PLAは、堆肥化可能であり、融点が160℃であることから、既存のポリマー加工装置を使用して、例えばポリスチレン又はポリ(メチルメタクリレート)などの石油系ポリマーを代替できる可能性がある。しかしながら、ポリ乳酸のレオロジーは、加工温度及び剪断速度が高くなると大きく異なる。PLAフィルムの作製は、その低い溶融強度のためにより困難であり得る。
【0004】
本発明の一態様は、PLAの溶融強度及び/又はその伸長強度及び粘度を特に高温で増加させることである。本発明の別の態様は、改善されたPLAポリマーのバイオ系性質を保持することである。
【0005】
国際公開第97/47670号パンフレットは、有機パーオキシドを使用してPLAにイタコン酸をグラフト化する方法を開示している。
【0006】
国際公開第08081639A1号パンフレットは、ポリ乳酸のステレオコンプレックス形成のための促進剤を開示しており、この促進剤は、脂肪族環状エポキシ及びエポキシ化大豆油(ESO)からなる群から選択される少なくとも1つのエポキシ化合物、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸及び無水トリメリット酸からなる群から選択される少なくとも1つの酸無水物並びにパーオキシケタール、ハイドロパーオキシド、パーオキシカーボネート及びパーオキシエステルからなる群から選択される少なくとも1つの有機パーオキシドを含む。
【0007】
米国特許第5,359,026号明細書は、エポキシ化大豆油を含む多様なエポキシ化動物性及び植物性油脂の使用を開示している。
【0008】
米国特許第5,518,730号明細書は、バイオポリマーの分解に伴って制御放出するための、多様な医薬品、ビタミンなどをカプセル化することができる生分解性ポリマーの使用を開示している。「生物学的に有効な活性物質」又は医薬品は、これらのポリマーによってカプセル化されるが、ポリマーによって他の点が変化することはない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
改質バイオ系ポリマー若しくは改質生分解性ポリマー又はそれらの混合物を生成するための有機パーオキシド配合物が提供される。この配合物は、少なくとも1つの有機パーオキシドと、少なくとも1つの反応性バイオ系添加物とを含む。反応性バイオ系添加剤の量及び少なくとも1つの有機パーオキシドの量は、配合物がバイオ系ポリマーと化学的に反応して、改質バイオ系ポリマーを生成するか、生分解性ポリマーと化学的に反応して、改質生分解性ポリマーを生成するか、又は改質バイオ系ポリマーと改質生分解性ポリマーとの混合物を生成することができるように選択される。
【0010】
本出願人らは、PLAなどのバイオ系ポリマーのレオロジー(溶融強度を含む)及び/又は最終特性を改善するために、選別された有機パーオキシドをバイオ系反応性添加剤と組み合わせて使用できることを発見した。PLA又は他のバイオ系ポリマー若しくは他の生分解性ポリマー(ポリブチレート若しくはPBATとしても知られるポリ(ブチレンアジペート-コ-テレフタレート)など)と組み合わせたこれらの有機パーオキシド配合物は、ポリ乳酸又は他のバイオ系及び/若しくは生分解性ポリマーにおける望ましい改善をもたらすために、(例えば、押出機において)又は他のタイプの適切なポリマー溶融ブレンド若しくはポリマー加工装置において溶融ブレンドされ得る。他の改善には、未改質ポリマーよりも高い溶融強度、改善された引張り強度、より高い衝撃強度、望ましい最終用途に応じたより大きい又は小さい破断伸び、より良好な透明性、より高い熱変形温度、最終用途に応じたポリマー表面自由エネルギーの高低、望ましい最終用途に応じた極性の高低、望ましい最終用途に応じた弾性の高低、望ましい最終用途に応じたより高い(又はより低い)ガラス転移温度、長鎖分岐並びに他のポリマーとのより良好な相溶性が含まれる。
【0011】
もたらされ得る他の改善には、ポリマー改質プロセス中のプロセスの改善が含まれる。特定のバイオ系反応性添加剤は、バイオ系及び/又は生分解性ポリマーとのパーオキシド反応を一時的に遅延させるスコーチ遅延剤として作用することができ、それにより余分な時間がもたらされ、高温での混合に数秒以上かかることがあり、これは、望ましいバイオ系及び生分解性ポリマー改質の直前に(例えば、押出機において)全ての反応性添加剤をより均一に溶融混合することをもたらす。ポリマー改質前に全ての反応性添加剤をバイオ系及び/又は生分解性ポリマー溶融物により均一又は完全にブレンドすると、より均一に改質されたバイオ系及び/又は改質された生分解性ポリマーが得られ、その結果、最終改質ポリマーは、より均一な物理的特性を有する。
【0012】
本発明の選別されたバイオ系反応性添加剤は、バイオ系ポリマーに反応官能性を付与するために、バイオ系ポリマーにグラフト化されることが更に企図される。
【0013】
PLAは、ポリオレフィン(ポリプロピレン及びポリエチレン)、ポリスチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)及び耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)などのスチレン系ポリマー、より高い分子量のポリプロピレンオキシドポリマー及びポリカーボネートに非相溶性である傾向がある。非相溶性ポリマーの溶融ブレンドは、通常、より乏しい物理的特性、例えばより低い引張り強度を有する。本発明に従ってPLAを改質することは、様々な石油系ポリマーとのPLAの相溶性を改善することもできる。
【0014】
バイオ系ポリマーの特性の改善により、これらのバイオ系及び/又は生分解性材料から、単独で又は他のポリマーとのブレンドでインフレーションフィルム作製、押出成形、熱成形、ポリマー発泡の作製、ブロー成形、回転成形、圧縮成形及び/又は射出成形を介して幅広い様々な商業製品を製造することが可能になり得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】(実施例4)。Luperox(登録商標)DTA及びTAIC助剤のブレンドを使用した場合、PLAの改質における望ましい遅延をもたらすビタミンK1及びビタミンK2を使用することの利点を示すレオグラフ。
【
図2】(実施例4)。Luperox(登録商標)DTA及びTAIC助剤のブレンドを使用した場合、PLAの改質における望ましい遅延をもたらすビタミンK3を使用することの利点を示すレオグラフ。
【
図3】(実施例5)。Luperox(登録商標)TBEC有機パーオキシドを使用した場合、オメガ3及びリモネンを使用してPLAの改質における望ましい遅延をもたらすことができることを示すレオグラフ。
【
図4】(実施例6)。桐油が有機パーオキシドLuperox(登録商標)TBECとブレンドされた場合、PLAの弾性率を増加させることを示すレオグラフ。
【
図5】(実施例6)。L-シスチン、酢酸酪酸セルロース(CAB)及び桐油が有機パーオキシドLuperox(登録商標)TBECとブレンドされた場合、PLAの弾性率を増加させることを示すレオグラフ。
【
図6】(実施例7)。L-シスチンアミノ酸が有機パーオキシドLuperox(登録商標)101とブレンドされた場合、PLAの弾性率を増加させることを示すレオグラフ。
【
図7】(実施例7)。L-システインアミノ酸が有機パーオキシドLuperox(登録商標)101とブレンドされた場合、PLAの弾性率を増加させることを示すレオグラフ。
【
図8】(実施例7)。桐油が有機パーオキシドLuperox(登録商標)101とブレンドされた場合、PLAの弾性率を増加させることを示すレオグラフ。
【
図9】(実施例8)。ミルセンが有機パーオキシドLuperox(登録商標)101とブレンドされた場合、PLAの弾性率も増加させながら、PLAの改質反応における望ましい遅延をもたらすことを示すレオグラフ。
【
図10】(実施例9)。ミルセンがSR350(TMPTA)及び有機パーオキシドLuperox(登録商標)101とブレンドされた場合、1.0重量%のLuperox(登録商標)101パーオキシドの単独での使用と比較して且つPLAの改質反応における望ましい遅延をもたらしながら、PLAの弾性率における望ましい増加をもたらすことを示すレオグラフ。
【
図11】(実施例10)。ミルセンがTAIC(トリアリルイソシアヌレート)、Luperox(登録商標)101及びビタミンK3とブレンドされた場合、Luperox(登録商標)101パーオキシド及びTAIC助剤の使用と比較して且つPLAの改質反応における望ましい遅延をもたらしながら、PLAの弾性率における望ましい増加をもたらすことを示すレオグラフ。
【
図12】(実施例11)。桐油が、ビタミンK3の有無にかかわらずブレンドされるとき、Luperox(登録商標)101とブレンドされた場合、PLAの弾性率における望ましい増加をもたらすことができることを示すレオグラフ。ビタミンK3の添加は、桐油とパーオキシドを単独で使用した場合と比較して、PLAの改質における望ましい遅延をもたらした。
【
図13】(実施例12)。オレウロペイン、オメガ3及びビタミンK3がLuperox(登録商標)DTAパーオキシド及びTAIC(トリアリルイソシアヌレート)助剤とブレンドされた場合、PLAの弾性率の増加における望ましい遅延をもたらしたことを示すレオグラフ。
【
図14】(実施例13)。CBDアイソレート(isolate)がLuperox(登録商標)DTAパーオキシド及びTAIC(トリアリルイソシアヌレート)助剤とブレンドされた場合、PLAの弾性率の増加における望ましい遅延をもたらしその増加を制御することを示すレオグラフ。
【
図15】(実施例14)。反応性トリアクリレートタイプの助剤SR351H(TMPTA)を使用した場合、PLAの改質における望ましい遅延をもたらしたパーオキシド組成物を形成するために、粉末状ビタミンK3とブレンドされた、自由流動性粉末を形成するシリカにおいて増量されたLuperox(登録商標)101のレオグラフ。
【
図16】(実施例15)。桐油を使用して、Luperox(登録商標)101を使用したPLA:PBATバイオ系ポリマー及び生分解性ポリマーブレンドの弾性率における望ましい増加をもたらしたことを示すレオグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0016】
特に明記しない限り、本明細書の全てのパーセントは、重量パーセントである。
【0017】
本明細書で使用される場合、「ポリマー」は、ゲル透過クロマトグラフィーよって測定される、20,000g/モル超、好ましくは50,000g/モル超の重量平均分子量を有する有機ホモポリマー及びコポリマーを含むことを意味する。
【0018】
「バイオ系ポリマー」又は「バイオプラスチック」は、本明細書では交換可能に使用され、モノマーの少なくとも1つが、生物供給源からのものであるか、又は生物供給源、特に植物供給源から得ることができるポリマーを含むことを意味する。代わりに又は加えて、バイオ系ポリマーは、少なくとも10重量%、又は少なくとも20重量%、又は少なくとも30重量%、又は少なくとも40重量%、又は少なくとも50重量%、又は少なくとも60重量%、又は少なくとも70重量%、又は少なくとも80重量%、好ましくは少なくとも85重量%、より好ましくは少なくとも90%、更により好ましくは100%のモノマーが生物供給源からのものであり、且つ/又は生物供給源、特に植物供給源から得ることができるポリマーを含むとみなされ得る。残りのモノマーは、非生物供給源からのものであり得、例えば、それらは、石油又は化石燃料から生成されたモノマーなどの合成的に生成されたモノマーであり得る。
【0019】
生分解性ポリマーは、細菌分解プロセスによって分解されて、ガス、水、バイオマス及び/又は無機塩などの少なくとも1つ以上の天然副生成物をもたらす。生分解性ポリマー/生分解性コポリエステルは、天然に見出され得るか、又は化石燃料由来のポリマー及び/又はモノマーから合成的に生成され、別段の記載がない限り、本発明の範囲内である。これらの化石燃料ポリマーは、産業用堆肥化プラントにおいて適切な条件下で、微生物とそれに対応する酵素によって生分解され得る。非限定的な例は、ポリブチレートとしても知られるポリ(ブチレンアジペート-コ-テレフタレート)(PBAT)である。PBATは、その全てが化石燃料に由来するモノマー1,4-ブタンジオール、アジピン酸及びテレフタル酸に基づく生分解性の脂肪族-芳香族コポリエステルである。PBATポリマーは、PLAなどの再生可能なバイオ系ポリマーと溶融ブレンドされ得る。
【0020】
バイオ系ポリマー又はバイオプラスチックは、典型的には、植物脂肪及び油、コーンスターチ、わら、木材チップ、おがくず及びリサイクルされた食品廃棄物などの再生可能なバイオマス供給源から生産される。バイオ系ポリマーは、農業で生産された植物及びその副生成物及びまた使用済み又はリサイクルされたプラスチックから作られることができる。バイオ系プラスチックには更に、これらに限定されないが、遺伝子組み換え微生物を含む酵素及び/又は微生物プロセスに由来する材料が含まれる。
【0021】
ポリラクチド又はポリ(乳酸)(PLA)は、モノマー乳酸及び/又はそのラクチドから生成される脂肪族バイオポリエステルである。乳酸は、その代謝の副生成物又は中間産物として植物に見られる。乳酸は、穀類及びサトウキビなど、いくつかのデンプン又は糖を含む農産物から工業的に生産できる。
【0022】
ラセミ体ポリ-(L-乳酸)(PLLA)、通常のポリ-(L-乳酸)(PLLA)、ポリ-D-乳酸(PDLA)及びポリ-DL-乳酸(PDLLA)を含むいくつかの異なるタイプがある。それらは、再生不可能な石油由来の従来のプラスチックとは対照的に、再生可能な資源(乳酸:C3H6O3)から生成される。
【0023】
本明細書で使用される場合、「改質バイオ系ポリマー」は、バイオ系ポリマーと本発明の少なくとも1つの有機パーオキシド配合物との間の化学反応の生成物であるバイオ系ポリマーを意味する。
【0024】
本明細書で使用される場合、「改質生分解性ポリマー」は、生分解性ポリマーと本発明の少なくとも1つの有機パーオキシド配合物との間の化学反応の生成物である生分解性ポリマーを意味する。
【0025】
本明細書で使用される場合、「バイオ系反応性添加剤」は、改質バイオ系ポリマー又は改質生分解性ポリマーを生成するための配合物を含む、有機パーオキシド及び/又はバイオ系ポリマー及び/又は生分解性ポリマーと反応することができるバイオ系添加剤を意味する。バイオ系反応性添加剤は、反応性添加剤を生成するために使用される反応物質の少なくとも1つ又は反応性添加剤自体が、少なくとも1つの生物供給源、特に植物供給源に由来するか又は由来し得るような添加剤を含むと理解される。本発明で開示される「バイオ系反応性添加剤」は、有機化合物であり、これは、天然資源から入手可能であるが、石油系/化石燃料化学物質から合成され得るものであり得ることが理解される。従って、非バイオ系化学物質から合成されるが、そうでなければ生物供給源又はプロセスから供給、抽出又は誘導され得る全ての「バイオ系反応性添加剤」も「バイオ系添加剤」とみなされ、あまり好しくないが、本発明の一部である。
【0026】
本発明は更に、少なくとも1つの有機パーオキシドと、少なくとも1つの反応性バイオ系添加物とを含むか、それらからなるか又は本質的にそれらからなる、改質バイオ系ポリマー若しくは改質生分解性ポリマー又はそれらの混合物を生成するための有機パーオキシド配合物の使用に関する。反応性バイオ系添加剤の量及び少なくとも1つの有機パーオキシドの量は、配合物がバイオ系ポリマーと化学的に反応して改質バイオ系ポリマーを生成できるか、又は生分解性ポリマーと化学的に反応して改質生分解性ポリマーを生成できるように選択される。改質バイオ系ポリマー又は改質生分解性ポリマーを生成するための配合物は、20~30℃の周囲温度で液体又は固体であり得る。使用される装置のタイプに応じて、周囲条件で自由流動性の固体(粉末、顆粒又は圧縮ペレット)である配合物が好ましい場合がある。
【0027】
有機パーオキシド:
本発明の実施において使用するのに適した有機パーオキシドは、PLA又は他のバイオ系ポリマーのレオロジーを改善するために、そのバイオ系性質を維持しながら、室温で安定な有機パーオキシド又は官能化有機パーオキシドから選択され得る。本明細書において本発明の実施に適した有機パーオキシドは、例えば、押出機内で熱源に曝されたときに分解して反応性フリーラジカルを形成できることが必要である。有機パーオキシドから形成される有機反応性フリーラジカルは、バイオ系ポリマー及び/又は生分解性ポリマー及びバイオ系添加剤のいずれか又は両方と反応して、改質バイオ系ポリマー及び/又は生分解性ポリマーを生成することができる必要がある。
【0028】
改質バイオ系ポリマー及び/又は生分解性ポリマーを生成するための配合物の特定の実施形態における使用に適した有機パーオキシドは、フリーラジカル反応が可能な炭素-炭素二重結合、カルボン酸、メトキシ又はヒドロキシ官能性を有するこうした室温で安定なパーオキシドから選択され得る。本開示の文脈における室温で安定なとは、20℃で少なくとも3ヶ月後に、著しい度合いまで分解していない、即ちその初期アッセイの98重量%超を保持している有機パーオキシドを意味する。本開示の文脈における室温で安定な有機パーオキシドは、98℃において少なくとも1時間の半減期を有すると定義され得る。
【0029】
適切な有機パーオキシドの非限定的な例は、ジアシルパーオキシド、パーオキシエステル、モノパーオキシカーボネート、パーオキシケタール、ヘミパーオキシケタール、周囲温度(20℃~25℃)で固体であるパーオキシド、固体パーオキシジカーボネート、ジアルキルパーオキシド類、T-ブチルパーオキシ類及びT-アミルパーオキシ類である。加えて、NouryonのTrigonox(登録商標)301及びTrigonox(登録商標)311パーオキシドなどの環状パーオキシドの使用が適切である。適切なパーオキシドは、Jose Sanchez及びTerry N.Myersによる「Organic Peroxides」、Kirk Othmer Encyclopedia of Chemical Technology,Fourth Ed.,Volume18,(1996)に見出すことができ、その開示は、全ての目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。カルボン酸、ヒドロキシル及び/又はフリーラジカル反応性不飽和基を有する、室温で熱的に安定な官能化パーオキシドも適切である。有機パーオキシドには、石油スピリット、鉱油又は白色鉱油などの希釈剤が少量含まれている場合がある。また、有機パーオキシドは、不活性充填剤(例えば、バージェスクレー、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、シリカ及び酢酸酪酸セルロース)において増量され得るか、又はPLA、ポリヒドロキシブチレート(PHB)、エチレン-ビニルアセテートコポリマー(EVA)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、エチレンプロピレンゴム(EPM)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、マイクロクリスタリンワックス若しくはポリカプロラクトンにおいて、パーオキシドマスターバッチとして粉末若しくはペレットの形態で使用され得る。パーオキシド濃度は、商業用途に応じて、パーオキシド及び増量剤の総重量の1重量%~80重量%、好ましくは1重量%~60重量%、より好ましくは1重量%~40重量%で変動し得る。代わりに、パーオキシド濃度は、10重量%~80重量%、又は20重量%~80重量%、又は30重量%~80重量%で変動し得る。
【0030】
適切なジアルキル有機パーオキシドの非限定的な例は、ジ-t-ブチルパーオキシド、t-ブチルクミルパーオキシド、t-ブチルt-アミルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、2,5-ジ(クミルパーオキシ)-2,5-ジメチルヘキサン、2,5-ジ(クミルパーオキシ)-2,5-ジメチルヘキシン-3、4-メチル-4-(t-ブチルパーオキシ)-2-ペンタノール、4-メチル-4-(t-アミルパーオキシ)-2-ペンタノール、4-メチル-4-(クミルパーオキシ)-2-ペンタノール、4-メチル-4-(t-ブチルパーオキシ)-2-ペンタノン、4-メチル-4-(t-アミルパーオキシ)-2-ペンタノン、4-メチル-4-(クミルパーオキシ)-2-ペンタノン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-アミルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-アミルパーオキシ)ヘキシン-3、2,5-ジメチル-2-t-ブチルパーオキシ-5-ヒドロパーオキシヘキサン、2,5-ジメチル-2-クミルパーオキシ-5-ヒドロパーオキシヘキサン、2,5-ジメチル-2-t-アミルパーオキシ-5-ヒドロパーオキシヘキサン、m/p-アルファ,アルファ-ジ(t-ブチルパーオキシ)-ジイソプロピルベンゼン、1,3,5-トリス(t-ブチルパーオキシソプロピル)ベンゼン、1,3,5-トリス(t-アミルパーオキシソプロピル)ベンゼン、1,3,5-トリス(クミルパーオキシソプロピル)ベンゼン、ジ[1,3-ジメチル-3-(t-ブチルパーオキシ)ブチル]カーボネート、ジ[1,3-ジメチル-3-(t-アミルパーオキシ)ブチル]カーボネート、ジ[1,3-ジメチル-3-(クミルパーオキシ)ブチル]カーボネート、ジ-t-アミルパーオキシド、t-アミルクミルパーオキシド、t-ブチルパーオキシ-イソプロペニルクミルパーオキシド、t-アミルパーオキシ-イソプロペニルクミルパーオキシド、2,4,6-トリ(ブチルパーオキシ)-s-トリアジン、1,3,5-トリ[1-(t-ブチルパーオキシ)-1-メチルエチル]ベンゼン、1,3,5-トリ-[(t-ブチルパーオキシ)-イソプロピルベンゼン、1,3-ジメチル-3-(t-ブチルパーオキシ)ブタノール、1,3-ジメチル-3-(t-アミルパーオキシ)ブタノール及びそれらの混合物である。単独で又は本開示によって企図される他のフリーラジカル開始剤と組み合わせて使用され得る他のジアルキルタイプのパーオキシドは、式:
【化1】
(式中、R
4及びR
5は、独立してメタ位又はパラ位にあり得、同じであるか又は異なり、水素又は1~6の炭素原子の直鎖又は分枝鎖アルキルから選択される)によって表される群から選択されるものである。ジクミルパーオキシド及びイソプロピルクミルクミルパーオキシドが、例示である。
【0031】
官能化されたジアルキルタイプのパーオキシドには、これらに限定されないが、以下が含まれることができる:3-クミルパーオキシ-1,3-ジメチルブチルメタクリレート、3-t-ブチルパーオキシ-1,3-ジメチルブチルメタクリレート、3-t-アミルパーオキシ-1,3-ジメチルブチルメタクリレート、トリ(1,3-ジメチル-3-t-ブチルパーオキシブチルオキシ)ビニルシラン、1,3-ジメチル-3-(t-ブチルパーオキシ)ブチルN-[1-{3-(1-メチルエテニル)-フェニル}1-メチルエチル]カルバメート、1,3-ジメチル-3-(t-アミルパーオキシ)ブチルN-[1-{3(1-メチルエテニル)-フェニル}-1-メチルエチル]カルバメート、1,3-ジメチル-3-(クミルパーオキシ))ブチルN-[1-{3-(1-メチルエテニル)-フェニル}-1-メチルエチル]カルバメート。
【0032】
化学反応性及び/又は熱反応性が変動する2つの異なるタイプのパーオキシド基を含む二官能性ジアルキルタイプのパーオキシド:2,5-ジメチル-(2-ヒドロパーオキシ5-t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、t-ブチルt-アミルパーオキシド及び2,5-ジメチル-(2-ヒドロパーオキシ5-t-アミルパーオキシ)ヘキサン。
【0033】
ジパーオキシケタールタイプのパーオキシドの群では、適切な化合物には、以下が含まれることができる:1,1-ジ(t-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ジ(t-アミルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ジ(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1-ジ(t-アミルパーオキシ)シクロヘキサン、n-ブチル4,4-ジ(t-アミルパーオキシ)バレレート、エチル3,3-ジ(t-ブチルパーオキシ)ブチレート、2,2-ジ(t-アミルパーオキシ)プロパン、3,6,6,9,9-ペンタメチル-3-エトキシカルボニルメチル-1,2,4,5-テトラオキサシクロノナン、n-ブチル-4,4-ビス(t-ブチルパーオキシ)バレレート、エチル-3,3-ジ(t-アミルパーオキシ)ブチレート及びそれらの混合物。
【0034】
例示的な環状ケトンパーオキシドは、一般式(I)、(II)及び/又は(III)を有する化合物である。
【化2】
式中、R
1~R
10は、水素、C1~C20アルキル、C3~C20シクロアルキル、C6~C20アリール、C7~C20アラルキル及びC7~C20アルカリルからなる群から独立して選択され、これらの基は、直鎖又は分枝アルキルの特性を含むことができ、R1~R10のそれぞれは、ヒドロキシ、C1~C20アルコキシ、直鎖又は分枝C1~C20アルキル、C6~C20アリールオキシ、ハロゲン、エステル、カルボキシ、窒化物及びアミドから選択される1つ以上の基で置換され得る。
【0035】
適切な環状ケトンパーオキシドのいくつかの非限定的な例には、これらに限定されないが、3,6,9トリエチル-3,6,9-トリメチル-1,4,7-トリパーオキシノナン(又はメチルエチルケトンパーオキシド環状三量体)、メチルエチルケトンパーオキシド環状二量体及び3,3,6,6,9,9-ヘキサメチル-1,2,4,5-テトラオキサシクロノナンが含まれる。
【0036】
パーオキシエステルの非限定的な例示的例には、以下が含まれる:2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t-ブチルパーベンゾエート、t-ブチルパーオキシアセテート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-アミルパーベンゾエート、t-アミルパーオキシアセテート、t-ブチルパーオキシイソブチレート、3-ヒドロキシ-1,1-ジメチルt-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、OO-t-アミル-O-水素-モノパーオキシスクシネート、OO-t-ブチル-O-水素-モノパーオキシスクシネート、ジ-t-ブチルジパーオキシフタレート、t-ブチルパーオキシ(3,3,5-トリメチルヘキサノエート)、1,4-ビス(t-ブチルパーオキシカルボ)シクロヘキサン、t-ブチルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、t-ブチル-パーオキシ-(シス-3-カルボキシ)プロピオネート、アリル3-メチル-3-t-ブチルパーオキシブチレート。例示的なモノパーオキシカーボネートには、以下が含まれる:OO-t-ブチル-O-イソプロピルモノパーオキシカーボネート、OO-t-アミル-O-イソプロピルモノパーオキシカーボネート、OO-t-ブチル-O-(2-エチルヘキシル)モノパーオキシカーボネート、OO-t-アミル-O-(2-エチルヘキシル)モノパーオキシカーボネート、1,1,1-トリス[2-(t-ブチルパーオキシ-カルボニルオキシ)エトキシメチル]プロパン、1,1,1-トリス[2-(t-アミルパーオキシカルボニルオキシ)エトキシメチル]プロパン、1,1,1-トリス[2-(クミルパーオキシ-カルボニルオキシ)エトキシメチル]プロパン。例えば、Luperox(登録商標)JWEB(商標)は、四官能性ポリエーテルテトラキス(t-ブチルパーオキシモノパーオキシカーボネート)であり、Luperox(登録商標)V10の化学名は、1-メトキシ-1-t-アミルパーオキシヘキサンであり、(両方ともArkemaより)この用途に適している。
【0037】
本開示の少なくとも1つの実施形態に従って使用され得る他のパーオキシドには、官能化パーオキシエステルタイプのパーオキシドが含まれる:OO-t-ブチル-O-水素-モノパーオキシ-スクシネート、OO-t-アミル-O-水素-モノパーオキシスクシネート、OO-t-アミルパーオキシマレイン酸及びOO-t-ブチルパーオキシマレイン酸。
【0038】
以下の構造で表される化合物を含む、少なくとも3つのパーオキシド基を含む有機パーオキシド分岐オリゴマーも本発明の実施に適している。
【化3】
【0039】
上記の構造において、W、X、Y及びZの合計は、6又は7である。このタイプの独自に分岐した有機パーオキシドの1つの例は、Luperox(登録商標)JWEB50(Arkema)として知られる四官能性ポリエーテルテトラキス(t-ブチルパーオキシモノパーオキシカーボネート)である。
【0040】
有機パーオキシドの例示的なヘミパーオキシケタール類には以下が含まれる:1-メトキシ-1-t-アミルパーオキシシクロヘキサン(Luperox(登録商標)V10)、1-メトキシ-1-t-ブチルパーオキシシクロヘキサン、1-メトキシ-1-t-アミルパーオキシ-3,3,5トリメチルシクロヘキサン、1-メトキシ-1-t-ブチルパーオキシ-3,3,5トリメチルシクロヘキサン。
【0041】
例示的なジアシルパーオキシドには、これらに限定されないが、以下が含まれる:ジ(4-メチルベンゾイル)パーオキシド、ジ(3-メチルベンゾイル)パーオキシド、ジ(2-メチルベンゾイル)パーオキシド、ジデカノイルパーオキシド、ジラウロイルパーオキシド、2,4-ジブロモ-ベンゾイルパーオキシド、コハク酸パーオキシド、ジベンゾイルパーオキシド、ジ(2,4-ジクロロ-ベンゾイル)パーオキシド。PCT出願公開国際公開第9703961A1号パンフレットに記載されているタイプのイミドパーオキシドも使用に適していると考えられ、全ての目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0042】
官能化有機パーオキシドは、改質バイオ系ポリマーを生成するための配合物での使用に適している。官能化パーオキシドの非限定的な例は、t-ブチルパーオキシマレイン酸及びt-ブチルパーオキシ-イソプロペニルクミルパーオキシドである。両方とも不飽和を含み、前者は、カルボン酸官能性を有する。
【0043】
例示的な固体である室温で安定なパーオキシジカーボネートには、これらに限定されないが、以下が含まれる:ジ(2-フェノキシエチル)パーオキシジカーボネート、ジ(4-t-ブチル-シクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジミリスチルパーオキシジカーボネート、ジベンジルパーオキシジカーボネート及びジ(イソボルニル)パーオキシジカーボネート。固体パーオキシジカーボネートの例は、NouryonによるPerkadox(登録商標)16であり、その化学名は、ジ(4-tert-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネートである。
【0044】
好ましい有機パーオキシドの非限定的な例には、ジラウリルパーオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2-t-ブチルパーオキシ5-ヒドロパーオキシヘキサン、ジ-t-ブチルパーオキシド、ジ-t-アミルパーオキシド、1,1-ジ(t-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ジ(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1-ジ(t-アミルパーオキシ)シクロヘキサン、OO-t-ブチル-O-イソプロピルモノパーオキシカーボネート、OO-t-アミル-O-イソプロピルモノパーオキシカーボネート、OO-t-ブチル-O-(2-エチルヘキシル)モノパーオキシカーボネート、OO-t-アミル-O-(2-エチルヘキシル)モノパーオキシカーボネート、t-ブチルパーオキシマレイン酸、t-ブチルパーオキシ-イソプロペニルクミルパーオキシド、1-メトキシ-1-t-アミルパーオキシシクロヘキサン、ポリエーテルテトラキス(t-ブチルパーオキシモノパーオキシカーボネート)、m/p-ジ(t-ブチルパーオキシ)ジイソプロピル-ベンゼン、t-ブチルクミルパーオキシド、Nouryonの3,6,9,トリエチル-3,6,9-トリメチル-1,4,7-トリパーオキシノナン(又はメチルエチルケトンパーオキシド環状三量体)又はTrigonox(登録商標)301及びNouryonの3,3,5,7,7-ペンタメチル-1,2,4-トリオキセパン又はTrigonox(登録商標)311並びにそれらのブレンドが含まれる。
【0045】
反応性バイオ系添加剤:
適切な反応性バイオ系添加剤の非限定的な例には、バイオ系ポリマー及び/又は生分解性ポリマーと直接反応できるもの又は有機パーオキシドと反応してバイオ系ポリマー及び/又は生分解性ポリマーと反応することができる化合物又は残留物を生成するものが含まれる。また、バイオ系ポリマー及び/又は生分解性ポリマーと、且つ改質バイオ系ポリマー及び/又は生分解性ポリマーを生成するための有機パーオキシド配合物を含む有機パーオキシドとの両方と反応することができる添加剤が適している。
【0046】
適切なバイオ系添加剤には、特定の実施形態において、少なくとも1つの二重結合を含む天然脂肪酸(即ち不飽和天然脂肪酸)、飽和天然脂肪酸又はそれらの組み合わせが含まれる。バイオ系添加剤として有用な植物又は動物由来の又はバイオ系不飽和油の非限定的な例には、ミルセン、桐油、オイチシカ油及びオリーブ葉油(オレウロペイン)が含まれる。少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含む植物又は動物由来の脂肪酸アルキルエステルは、本明細書に開示される本発明の実施形態で使用するのに適している。こうした脂肪酸エステルには、C8~C22脂肪酸のC1~C8アルキルエステルが含まれることができる。一実施形態では、オリーブ油、落花生油、コーン油、綿実油、大豆油、アマニ油及び/又はヤシ油の脂肪酸アルキルエステルなどの植物油の脂肪酸アルキルエステルが使用される。一実施形態では、大豆メチルが使用される。他の実施形態では、脂肪酸アルキルエステルは、バイオディーゼル及びバイオディーゼルの誘導体からなる群から選択され得る。別の実施形態では、脂肪酸アルキルエステルは、ヒマシ油系脂肪酸アルキルエステルである。脂肪酸アルキルエステルに存在するアルキル基は、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、シクロヘキシルなどのC1~C6直鎖、分枝又は環状脂肪族基であり得る。脂肪酸アルキルエステルは、異なるアルキル基を含むエステルの混合物を含むことができる。バイオ系反応性添加剤は、脂肪酸若しくはその誘導体、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、動物脂肪、動物油、植物脂肪若しくは植物油又はそれらの組み合わせから選択され得る。こうしたバイオ系反応性添加剤の例には、これらに限定されないが、亜麻仁油、大豆油、綿実油、落花生油、ヒマワリ油、菜種油、キャノーラ油、ゴマ油、オリーブ油、コムギ油、ベニバナ油、ピーナッツ油、ゴマ油、ヘンプ油、ニートの食用油、クジラ油、魚油、ヒマシ油若しくはトール油又はそれらの組み合わせが含まれる。以下も適している:藻類油、アボカド油、ヒマシ油、亜麻油、魚油、グレープシード油、ヘンプ油、カンナビジオール(CBD)、チモール、ジャトロファ油、ホホバ油、マスタード油、脱水ヒマシ油、パーム油、パームステアリン、菜種油、ベニバナ油、トール油、オリーブ油、獣脂、ラード、鶏脂、アマニ油、リノール酸油、ココナッツ油及びそれらの混合物。前述の天然油のいずれかのエポキシ化バージョンも、改質バイオポリマーを生成するための配合物に利用することができる。これらのうち、好ましいバイオ系添加物には、オリーブ油、オリーブ葉油(オレウロペイン)、麻油、ミルセン、カンナビジオール(CBD)、桐油、チモール、リモネン及びオイチカ油が含まれる。より好ましいバイオ系化合物は、麻油、ミルセン、カンナビジオール(CBDアイソレート)、精神に影響を及ぼすTHCを含まないCBDの精製された固体形態、桐油、オレウロペイン及びリモネンである。更により好ましいのは桐油である。
【0047】
飽和又は高飽和脂肪酸エステル又は油の非限定的な例は、天然由来又はバイオ系又はバイオ由来の酪酸脂肪酸及びそのエステル、ラウリン酸及びそのエステル、ミリスチン酸及びそのエステル、パルミチン酸及びそのエステル、パーム核油、パーム油及びそのエステル、ステアリン酸及びそのエステルである。これらのうち、ラウリン酸、ミリスチン酸及びパルミチン酸並びにそれらのエステルが好ましい。
【0048】
他の適切なバイオ系反応性添加剤は、天然脂肪アミン、好ましくは少なくとも1つの二重結合を含む1級アミンである。これらの添加剤の非限定的な例には、好ましくは、オレイルアミン、エライジルアミン、ココアミン及び大豆アミンが含まれる。飽和脂肪アミンを同様に使用することができ、非限定的な例には、ペンタデシルアミン、ステアリルアミン及びラウリルアミンが含まれる。
【0049】
NOF CorporationによってNISSANAMINE(登録商標)の商標名で供給されている様々な市販の脂肪族1級アミンには、ラウリルアミン、ココナツアルキルアミン、ミリスチルアミン、パルミチルアミン及びステアリルアミン並びに硬化獣脂アルキルアミン、オレイルアミン及び大豆アルキルアミンが含まれ、本発明の実施に適した反応性バイオ系添加剤の非限定的な例である。
【0050】
天然由来又はバイオ系又はバイオ由来のテルペン及びその誘導体も、改質バイオ系ポリマーを生成するための配合物中のバイオ系反応性添加剤として使用するのに適している。モノテルペン、モノテルペノイド、改質モノテルペン、ジテルペン、改質ジテルペン、トリテルペン、改質トリテルペン、トリテルペノイド、セスターテルペン、改質セスターテルペン、セスターテルペノイド、セスクアルテルペン、改質セスクアルテルペン、セスクアルテルペノイド及びヘミテルペンの酸素含有誘導体も、改質バイオ系ポリマーを生成するための配合物に含まれることができる適切なバイオ系反応性添加剤の非限定的な例である。こうした反応性バイオ系添加剤の非限定的な特定の例は、リモネン、ミルセン、カルボン、フムレン、タキシジエン、スクアレン、ファルネセン、ファルネソール、カフェスロール、カーベオール、センブレン、タキシジエン、レチノール、レチナール、フィトール、ゲラニルファルネソール、サメ肝油、リコペン、フェルギカジオール及びテトラプレニルクルクメン、ガンマ-カロテン、アルファ-カロテン及びベータ-カロテンである。これらのテルペンのエポキシ化バージョンも適している。好ましいテルペンには、リモネン及びミルセンが含まれる。
【0051】
ビタミン又は少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有するその誘導体は、改質バイオ系ポリマーを生成するための配合物の実施形態において、バイオ系反応性添加剤として使用され得る。非限定的な例は、ビタミンB複合体タイプの化合物及びその誘導体、特に葉酸、ビタミンB12、ビタミンB1(チアミン)並びにビタミンK及びその形態及び誘導体である:例えば、ビタミンK1(フィトナジオン)、ビタミンK2(メナキノン、メナキノン-4及びメナキノン-7)及びビタミンK3(メナジオン)。
【0052】
開示される改質バイオ系及び/又は生分解性ポリマーを生成するための配合物において有用な他のバイオ系反応性添加物には、生の蜂蜜、蜂蜜、グルコース、フルクトース、スクロース、ガラクトース、アラビノース、フルクトース、フコース、ガラクトース、イノシトール、マルトデキストリン、サッカロース、デキストロース、ラクトース、マルトース、リボース、マンノース、ラムノース、キシロース、グリセリン及び尿素が含まれる。
【0053】
また、特定のアミノ酸は、改質バイオ系ポリマー及び/又は改質生分解性ポリマーを生成するための配合物においてバイオ系反応性添加剤として使用され得る。これらは、例えば、これらの化合物のアミノ基が、ポリ(乳酸)と直接反応することができるため、特に効果的であり得る。少なくとも2つのアミノ基を含むこうしたアミノ酸が好ましい。適切な好ましいアミノ酸の非限定的な例は、アルギニン、リジン、グルタミン、ヒスタジン、システイン、シスチン、セロトニン、アスパラギン、グルタミン酸、グリシン、アスパラギン酸、セリン、スレオニン及びトリプトファンである。より好ましいアミノ酸は、硫黄含有アミノ酸、例えば、システイン、ホモシステイン及びシスチンである。
【0054】
改質バイオ系ポリマー及び/又は改質生分解性ポリマーを生成するために配合物に含まれることができる他のバイオ系反応性添加剤は、例えば、エポキシ化バイオ系油とバイオ由来のイタコン酸又は無水物のブレンドである。エポキシ化バイオ系油の代わりに、エポキシ化されていないバイオ系油を使用することができる。エポキシ化大豆油とバイオ系イタコン酸のブレンドが考えられる。他のバイオ系酸、例えば、その対応する無水物形態を含むアビエチン酸又はタルトロン酸などの天然酸も使用することができる。アバリンであるアビエチン酸のメチルエステルも含まれる。
【0055】
SartomerからSartomer(登録商標)、Saret(登録商標)及びSarbio(登録商標)の商標名で入手可能なものなど、エポキシ化バイオ系油及び二官能性又は三官能性アクリレート及び/又はメタクリレート助剤のブレンドを使用することができる。後者は、バイオ系であるため、特に好ましい。
【0056】
有機パーオキシドを含む又は含まないペンタエリスリトールを使用することができる。
【0057】
糖アルコールは、反応性バイオ系添加剤として使用することができる。非限定的な例には、エリスリトール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、ラクチトール、イソマルト、キシリトール又は他の糖アルコールが含まれる。酸化亜鉛、酸化マグネシウム及び/又は酸化カルシウムとバイオ系イタコン酸又は無水物及び本明細書に開示される有機パーオキシドとのブレンドは、改質バイオ系ポリマーを生成するための配合物として使用され得る。亜鉛-ジ(イタコン酸)塩は、バイオ系反応性添加剤を含むことができる。前述のアミノ酸の少なくとも1つとブレンドされた酸化亜鉛も特定の実施形態においてバイオ系反応性添加剤として使用され得る。
【0058】
改質バイオ系ポリマーを生成するための有機パーオキシド配合物中のバイオ系反応性添加剤及び有機パーオキシドの量:
改質バイオ系ポリマーを生成するための配合物は、有機パーオキシドの配合物の総重量で0.1%~99.9%及びバイオ系反応性添加剤を99.9%~0.1重量%含むことができる。
【0059】
特定の実施形態によれば、少なくとも1つの有機パーオキシド(これらの計算された範囲において、少なくとも1つの有機パーオキシドの純粋な重量%基準に基づいて、即ちバイオ系反応性添加剤を除く充填剤及び他の添加剤を除く)は、改質バイオ系ポリマー及び/又は改質生分解性ポリマーを生成するための配合物の総重量に基づいて、0.0001重量%~95重量%、又は0.0010重量%~90重量%、又は0.005重量%~80重量%、又は0.01重量%~70重量%、又は0.01重量%~60重量%、又は0.01重量%~50重量%、又は0.01重量%~40重量%、又は0.01重量%~30重量%、又は0.01重量%~20重量%、又は0.01重量%~10重量%、又は0.01重量%~8.0重量%、又は0.01重量%~4.0重量%、又は0.01重量%~2.0重量%、又は0.01重量%~1.5重量%、又は0.01重量%~1.0重量%、又は0.005重量%~1.0重量%の量で、改質バイオ系ポリマー及び/又は改質生分解性ポリマーを生成するための配合物に含まれることができる。好ましい範囲は、純粋なパーオキシド重量%基準において、0.01重量%~25重量%であり、より好ましくは0.01重量%~20重量%、より好ましくは0.1重量%~15重量%であり、更により好ましくは0.01重量%~10重量%である。いくつかの実施形態では、少なくとも0.01重量%、又は少なくとも0.1重量%、又は少なくとも0.5重量%、又は少なくとも1重量%、又は少なくとも5重量%、又は少なくとも10重量%、又は少なくとも20重量%の少なくとも1つの有機パーオキシドが好ましい。例えば、不活性充填剤において増量された既存の40%アッセイのパーオキシドが使用される場合、配合物に添加されるパーオキシドは100%アッセイ(純粋)ではないため、より高い実際の重量範囲が必要になる場合がある。
【0060】
特定の実施形態によれば、少なくとも1つのバイオ系反応性添加剤(これらの範囲において、少なくとも1つのバイオ系添加剤の純粋な重量%基準に基づいて、即ち有機パーオキシドを除く充填剤及び他の添加剤を除く)は、改質バイオ系ポリマーを生成するための配合物の総重量に基づいて、95重量%~0.001重量%、又は90重量%~0.01重量%、又は80重量%~0.10重量%、又は70重量%~0.1重量%、又は60重量%~0.5重量%、又は50重量%~1.0重量%、又は40重量%~1.0重量%、又は30重量%~2.0重量%、又は25重量%~2.0重量%、又は20重量%~2.0重量%、又は15重量%~2.0重量%、又は10重量%~0.10重量%、又は8重量%~0.10重量%、又は8重量%~1重量%、又は5.0重量%~0.10重量%、5.0重量%~1.0重量%の量で、改質バイオ系ポリマー及び/又は改質生分解性ポリマーを生成するための配合物に含まれることができる。好ましい範囲は、95重量%~10重量%、好ましくは80重量%~10重量%、好ましくは60重量%~10重量%、より好ましくは50重量%~10重量%、更により好ましくは45重量%~15重量%であり得る。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのバイオ系添加剤の好ましい範囲は、0.01重量%~10重量%、より好ましくは0.1重量%~5重量%、更により好ましくは0.1重量%~2重量%であり得る。
【0061】
有機パーオキシドのバイオ系反応性添加剤に対する重量比は、1:8000~1000:1、又は1:6000~1000:1、又は1:4000~100:1、又は1:2000~100:1、又は1:1000~100:1、又は1:500~100:1、又は1:400~100:1、1:250~100:1、又は1:100~100:1、又は1~:100~10:1、又は1:50~10:1、又は1:25~10:1、又は1:20~2:1、又は1:15~2:1、又は1:10~2:1、又は1:5~2:1、又は1:2~1:1であり得る。好ましい範囲は、選択されたパーオキシド及びバイオ系反応性添加剤に応じて、1:1000~1000:1、好ましくは1:500~500:1、好ましくは1:100~100:1、好ましくは1:100、好ましくは1:50、好ましくは1:40、好ましくは1:30、好ましくは1:20、より好ましくは1:10である。
【0062】
バイオ系ポリマー:
適切なバイオ系ポリマーの非限定的な例は、ポリラクチドとも呼ばれるポリ乳酸(PLA)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、ポリヒドロキシブチレート(PHB)、ポリ(3-ヒドロキシバレレート)(PHV)、ポリヒドロキシヘキサノエート(PHH)、ポリグリコール酸(PGA)及びポリ-ε-カプロラクトン(PCL)などの脂肪族バイオポリエステルである。天然油(ヒマシ油)由来のバイオポリマーであるポリアミド11は、特定の実施形態での使用に適し得る。それは、商標名Rilsan(登録商標)B(Arkema)で知られる。70%ヒマシ油由来のポリアミド410(PA410)、商標名EcoPaXX(登録商標)(DSM)は、特定の実施形態で使用され得る。好ましいバイオ系ポリマーは、ポリ乳酸タイプのポリマーである。
【0063】
バイオ系ポリアミドには、これらに限定されないが、以下:PA4、PA6、PA66、PA46、PA9、PA11、PA12、PA610、PA612、PA1010、PA1012、PA6/66、PA66/610、PAmXD6、PA6Iとして一般に知られるポリアミドのバイオ系バージョン、Rilsan(登録商標)ポリアミド、Hiprolon(登録商標)ポリアミド、Pebax(登録商標)ポリエーテルブロックポリアミド、Platamid(登録商標)コポリアミド、Cristamid(登録商標)コポリアミドを含み、これらに限定されないが、Hiprolon(登録商標)70、Hiprolon(登録商標)90、Hiprolon(登録商標)200、Hiprolon(登録商標)400、Hiprolon(登録商標)11、Hiprolon(登録商標)211(全てArkema,Inc.から入手可能)を更に含む、脂肪族、半芳香族、芳香族及び/又は脂肪族のグラフトされたポリアミドポリマー及び/又はコポリマー及び/又はこれらの樹脂のブレンドが含まれ得るが、これらに限定されない。また、適切なバイオ系ポリアミドには、Cathay Industrial Biotech,Shanghai,Chinaから入手可能なTERRYLブランドのポリアミド(PA46、PA6、PA66、PA610、PA512、PA612、PA514、PA1010、PA11、PA1012、PA12、PA1212)、DSM,Singaporeから入手可能なExcoPAXX(登録商標)ポリアミド、Evonik,Germanyから入手可能なVestamide(登録商標)ポリアミド、半芳香族ポリアミド(例えば、Evonikから入手可能なTrogamid(登録商標)ポリアミドなどのPA6T、ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)及びSolvay,Alpharetta,Georgiaから入手可能なAmodel(登録商標)ポリアミド)又はKingfa Sci.&Tech Co,ChinaのPA10T、PA9Tを含むVicnyl(登録商標)ポリアミド並びにDuPont,Wilmington,DelawareのNylon(登録商標)、Zyte(登録商標)RS及び「PLS」製品ライン(例えば、RSLC、ガラス強化及び耐衝撃性改質グレードを含むLC)、Elvamide(登録商標)マルチポリマーポリアミド、Minlon(登録商標)、Zytel(登録商標)LCPA、Zytel(登録商標)PLUSポリアミド並びにDuPontのKevlar(登録商標)及びNomex(登録商標)ポリアミドなどの芳香族タイプのポリアミド(例えば、ポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)、Teijin,Netherlands及びJapanのTeijinconex(登録商標)、Twaron(登録商標)及びTechnora(登録商標)ポリアミド並びにKermel,Swicofil AG,SwitzerlandのKermel(登録商標)ポリアミド)が含まれる。また、2,5-フランジカルボン酸などのYXYビルディングブロックモノマーを使用して誘導された「バイオポリアミド」ポリアミド及び/又はRhodia/Avantiumのバイオ系ポリアミドを含む、Solvay/Avantiumの糖から誘導された2,5-ヒドロキシメチルテトラヒドロフランモノマー(例えば、5-ヒドロキシメチルフルフラール)、例えば、Technyl(登録商標)66/6などのSolvay/RhodiaのTechnyl(登録商標)コポリアミド、Evonikのホットメルト接着剤Vestamelt(登録商標)ポリアミド、Shanghai Farsseing Hotmelt Adhesive Co.,のH1001wポリアミド、例えば、Durathan(登録商標)C131FPA6/6IコポリアミドなどのLanxess Durathan(登録商標)ポリアミド、Croda Coatings&PolymersによるPriplast(登録商標)改質コポリアミドエラストマー、Rowak AGによるRowalit(登録商標)ポリアミド並びにShanghai Xinhao Chemical Co.,のNylonxx(登録商標)及びNylonxp(登録商標)ポリアミド、BASFのUltramid(登録商標)ポリアミドグレード、EMS-GriltechによるGriltex(登録商標)コポリアミド並びにHuntsmanのEuremelt(登録商標)コポリアミドが適している。これらの材料のブレンドを使用することができる。
【0064】
本明細書で使用される場合、「ポリ(乳酸)」(PLA)という用語は、少なくとも10モル%の乳酸モノマー単位を含むポリマー又はコポリマーを指す。ポリ(乳酸)の例には、これらに限定されないが、(a)乳酸のホモポリマー、(b)乳酸と乳酸以外の1つ以上の脂肪族ヒドロキシカルボン酸とのコポリマー、(c)乳酸と脂肪族多価アルコール及び脂肪族多価カルボン酸とのコポリマー、(d)乳酸と脂肪族多価カルボン酸とのコポリマー、(e)乳酸と脂肪族多価アルコールとのコポリマー、並びに(f)上記の(a)~(e)の2つ以上の混合物が含まれる。乳酸の例には、L-乳酸、D-乳酸、DL-乳酸、それらの環状二量体(即ちL-ラクチド、D-ラクチド又はDL-ラクチド)及びそれらの混合物が含まれる。例えば、上記のコポリマー(b)及び(f)において有用なヒドロキシカルボン酸の例には、これらに限定されないが、グリコール酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシカプロン酸及びヒドロキシヘプトン酸並びにそれらの組み合わせが含まれる。例えば、上記のコポリマー(c)、(e)又は(f)において有用な脂肪族多価アルコールモノマーの例には、これらに限定されないが、エチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、デカメチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン及びペンタエリスリトール並びにそれらの組み合わせが含まれる。例えば、上記のコポリマー(c)、(d)又は(f)において有用な脂肪族多価カルボン酸モノマーの例には、これらに限定されないが、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、コハク酸無水物、アジピン酸無水物、トリメシン酸、プロパントリカルボン酸、ピロメリット酸及びピロメリット酸無水物並びにそれらの組み合わせが含まれる。
【0065】
生分解性ポリマー
適切な生分解性ポリマーの非限定的な例は、ポリブチレンスクシネート、ポリブチレンアジペート、ポリブチレンスクシネートアジペート、ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)、ポリブチレンスクシネートテレフタレートである。1つの好ましい生分解性ポリマーは、ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)である。
【0066】
改質バイオ系ポリマー及び改質生分解性ポリマー:
少なくとも1つの有機パーオキシド、少なくとも1つの反応性バイオ系添加剤及び少なくとも1つのバイオ系ポリマーの反応生成物を含むか、それからなるか又は本質的にそれからなる改質バイオ系ポリマーが提供される。
【0067】
少なくとも1つの有機パーオキシド、少なくとも1つの反応性バイオ系添加剤及び少なくとも1つの生分解性ポリマーの反応生成物を含むか、それからなるか又は本質的にそれからなる改質生分解性ポリマーが提供される。
【0068】
少なくとも1つの有機パーオキシド、少なくとも1つの反応性バイオ系添加剤及び少なくとも1つのバイオ系添加剤並びに少なくとも1つの生分解性ポリマーの反応生成物を含むか、それからなるか又は本質的にそれからなる、改質バイオ系ポリマーと改質生分解性ポリマーとの混合物が提供される。
【0069】
理論に拘束されることは望まないが、本明細書に開示される配合物とのその反応前のバイオ系ポリマー及び/又は生分解性ポリマーと比較して、バイオ系ポリマー及び/又は生分解性ポリマーは、本明細書に開示されるバイオ系反応性添加剤又は有機パーオキシドの少なくとも1つとの反応によって化学的に改質されて、改善された又は異なる化学的又は物理的特性を有する、改質バイオ系ポリマー及び/又は改質生分解性ポリマーを生成することができる。こうした改質の非限定的な例は、ポリマーの更なる長鎖分枝、バイオ系反応性添加剤のバイオ系ポリマー及び/又は生分解性ポリマーへのグラフト、バイオ系添加剤とバイオ系ポリマー及び/又は生分解性ポリマーとの直接反応、バイオ系反応性添加剤と有機パーオキシドの反応生成物と、バイオ系ポリマー及び/又は生分解性ポリマーとの反応であり得る。
【0070】
改善された特性:
改質バイオ系ポリマー及び/又は改質生分解性ポリマーを生成するための配合物により、改善又は変化され得るバイオ系ポリマー及び/又は生分解性ポリマーの特性には、これらに限定されないが、溶融強度、剛性、耐衝撃性、透明度、引張り強度、他のポリマーとの相溶性、特にバイオ系かどうかにかかわらず非極性ポリマーとの相溶性、充填剤との相溶性、特にバイオ系充填剤との相溶性が含まれる。
【0071】
例えば、本明細書に開示される改質バイオ系ポリマー及び/又は生分解性ポリマーは、他のポリマー、特に非極性ポリマーとより相溶性であり得、その結果、均一又は不均一であるかにかかわらず、改質バイオ系ポリマーと別のポリマーからポリマーアロイ又はブレンドを作製することができる。こうした非極性ポリマーの非限定的な例は、ポリエチレン及びポリプロピレンなどのポリオレフィン、DowのEngage(登録商標)ポリエチレンコポリマー、例えば、ポリ(エチレンオクテン)及びポリ(エチレンヘキセン)コポリマー、ポリ(エチレンプロピレン)、ポリ(プロピレンエチレン)及びそれらの他の非極性コポリマーである。また、特定の実施形態では、これらの材料のいずれかのリサイクルされたバージョン及びリサイクルされた未使用の非極性ポリマーのブレンドも適している。また、ポリスチレン、HIPS、ABS、ポリフェニレンオキシド(PPO)/HIPSブレンド(例えば、GEのNoryl(商標)若しくはポリ(ビニリデンジフルオリド)などのフルオロポリマー、例えばKynar(登録商標)(Arkema)又はアクリレート若しくはメタクリレートタイプの官能性で改質されたポリ(テトラフルオロエチレン)若しくはフルオロポリマーとの、均一又は不均一であるかにかかわらず、アロイ又はブレンドが企図される。改質バイオポリマーとのブレンドが本明細書に開示されているため、シリコーンポリマー及びフルオロシリコーンポリマー/エラストマーも企図される。本明細書に開示される改質バイオ系ポリマー及び/又は生分解性ポリマーは、非改質バイオポリマーよりも充填剤、又は増量剤、又は強化剤、又は非ゴム衝撃改質剤と相溶性であり得る。バージェスクレー、ヒュームドシリカ(非結晶タイプ)、沈降炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム及びケイソウ土は、非ゴム衝撃改質剤の非限定的な例である。
【0072】
いくつかの実施形態では、改質バイオ系ポリマー及び/又は改質生分解性ポリマーのレオロジーは、未改質のバイオ系ポリマーに対して、改変されて溶融物の流れ特性に影響を及ぼすことができる(即ち溶融強度の増加)。理論に拘束されるものではないが、改質PLAは、極性が低くなり得、ポリオレフィンとの相溶性が高くなり得る。他の実施形態では、理論に拘束されるものではないが、バイオ系ポリマー及び/又は生分解性ポリマーは、依然として流動するが高度に絡み合うように、部分的に架橋され得ることが可能である。他の実施形態では、理論に拘束されるものではないが、バイオ系ポリマー及び/又は生分解性ポリマーは、完全に架橋され得る。
【0073】
他の添加剤:
バイオ系かどうかにかかわらず、バイオ系充填剤、非バイオ系充填剤及び/又はパーオキシドのための安定剤も、改質バイオ系ポリマーを生成するための配合物に含まれることができる。例えば、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、ヒュームドシリカ、沈降シリカ、炭酸カルシウム、粘土、バージェスクレー、カオリン、フライアッシュ、粉末状ポリエチレン又は酢酸酪酸セルロース、セルロース、ケイ酸カルシウム、ケイソウ土を使用することができる。
【0074】
改質バイオ系ポリマー及び/又は改質生分解性ポリマーを生成するための配合物は、有機パーオキシド及び反応性バイオ系添加剤の形態に応じて、固体又は液体の形態であり得る。改質バイオ系ポリマー及び/又は改質生分解性ポリマーを生成するための配合物は、不活性担体、例えば、シリカ、ヒュームドシリカ、沈降シリカ、タルク、炭酸カルシウム、粘土、バージェスクレー、カオリン、フライアッシュ、粉末状ポリエチレン、多孔性ポリプロピレン、ポリ(エチレンビニルアセテート)、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート)、エチレンプロピレンゴム(EPM)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、ポリエチレンワックス、マイクロクリスタリンワックス、アクリレートコポリマー、酢酸酪酸セルロース、セルロース、ケイ酸カルシウム、珪藻土などを含むことができるか、又は配合工程中の取り扱いを容易にするか、若しくは改質バイオ系ポリマーを生成するための配合物を未改質のバイオ系ポリマーと組み合わせるためのマスターバッチの形態であり得る。
【0075】
改質バイオ系ポリマー及び/又は改質生分解性ポリマーを生成するための配合物は、有機パーオキシドのための安定剤、例えば、少なくとも1つのキノンタイプの化合物を含むことができる。この目的のために、いくつかの実施形態では、少なくとも1つのビタミンK化合物又はその誘導体(即ち2-メチル-1,4-ナフトキノンの環を含むフィロキノンの系統)の使用を使用することができる。非限定的な例には、以下が含まる:フリーラジカル安定剤としてもスコーチ保護に使用できる、K1(フィロキノン)、K2(メナキノン)又はK3(メナジオン)、この場合、スコーチは、配合操作中のポリマーとの時期尚早の(望ましくない)フリーラジカル相互作用として定義される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのキノン化合物が有機パーオキシドの安定剤として使用される場合、少なくとも1つのアリル化合物、好ましくはトリアリル化合物も有機パーオキシドに含まれることができる。場合によっては、少なくとも1つの硫黄含有化合物、特に少なくとも1つのジスルフィド含有化合物が、少なくとも1つの有機パーオキシドの安定剤として存在し得る。好ましい硫黄含有化合物の例は、MLPC Arkemaの、Vultac(登録商標)5、2-メルカプトベンゾチアゾール(MBTS)又は亜鉛ジアルキルジチオホスフェート(ZDDP)である。一部の実施形態では、元素硫黄も企図され得る。
【0076】
特定の実施形態によれば、本発明のパーオキシド配合物は、少なくとも1つの架橋助剤を更に含むことができる。特定の実施形態によれば、架橋助剤の例には、アリルメタクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリメチロイルプロパントリメタクリレート(SR-350(登録商標))、トリメチロイルプロパントリアクリレート(SR-351(登録商標))、亜鉛ジアクリレート及び亜鉛ジメタクリレートが含まれる。
【0077】
非限定的な好ましい助剤には、ジエチレングリコールジメタクリレート、環状アルカンジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、プロポキシル化3トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレートポリブタジエンジメタクリレート及びポリブタジエンジアクリレートが含まれる。
【0078】
架橋助剤の更なる非限定的な例には、以下が含まれる:
Sartomer製のメタクリレートタイプの助剤、例えばSR205Hトリエチレングリコールジメタクリレート(TiEGDMA)、SR206Hエチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)、SR209テトラエチレングリコールジメタクリレート(TTEGDMA)、SR210HHポリエチレングリコール(200)ジメタクリレート(PEG200DMA)、SR214 1,4-ブタンジオールジメタクリレート(BDDMA)、SR231ジエチレングリコールジメタクリレート(DEGDMA)、SR239A 1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート(HDDMA)、SR252ポリエチレングリコール(600)ジメタクリレート(PEG600DMA)、SR262 1,12-ドデカンジオールジメタクリレート(DDDDMA)、SR297J 1,3-ブチレングリコールジメタクリレート(BGDMA)、SR348Cエトキシル化3-ビスフェノールAジメタクリレート(BPA3EODMA)、SR348Lエトキシル化2ビスフェノールAジメタクリレート(BPA2EODMA)、SR350Dトリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPTMA)、SR480エトキシル化10ビスフェノールAジメタクリレート(BPA10EODMA)、SR540エトキシ化4ビスフェノールAジメタクリレート(BPA4EODMA)、SR596アルコキシル化ペンタエリスリトールテトラメタクリレート(PETTMA)、SR604ポリプロピレングリコールモノメタクリレート(PPGMA)、SR834トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート(TCDDMDMA)及びSR9054酸性二官能性接着促進剤など。
【0079】
Sartomer製のアクリレートタイプの助剤、例えばSR238 1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)、SR259ポリエチレングリコール(200)ジアクリレート(PEG200DA)、SR268Gテトラエチレングリコールジアクリレート(TTEGDA)、SR272トリエチレングリコールジアクリレート(TIEGDA)、SR295ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)、SR306トリプロピレングリコールジアクリレート(TPGDA)、SR307ポリブタジエンジアクリレート(PBDDA)、SR341 3-メチル1,5-ペンタンジオールジアクリレート(MPDA)、SR344ポリエチレングリコール(400)ジアクリレート(PEG400DA)、SR345高性能高官能性モノマー、SR349エトキシル化3ビスフェノールAジアクリレート(BPA3EODA)、SR351トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、SR355ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート(Di TMPTTA)、SR368トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート(THEICTA)、SR399ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(Di PEPA)、SR415エトキシル化(20)トリメチロールプロパントリアクリレート(TMP20EOTA)、SR444改質ペンタエリスリトールトリアクリレート、SR444Dペンタエリスリトールトリアクリレート(PETIA)、SR454エトキシル化3トリメチロールプロパントリアクリレート(TMP3EOTA)、SR492プロポキシル化3トリメチロールプロパントリアクリレート(TMP3POTA)、SR494エトキシル化4ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)、SR499エトキシル化6トリメチロールプロパントリアクリレート(TMP6EOTA)、SR502エトキシル化9トリメチロールプロパントリアクリレート(TMP9EOTA)、SR508ジプロピレングリコールジアクリレート(DPGDA)、Saret(登録商標)SR522D環状アルカンジアクリレートの乾燥液体濃縮物、SR534D多官能性アクリル酸エステル、SR595 1,10デカンジオールジアクリレート(DDDA)、SR601Eエトキシル化4ビスフェノールAジアクリレート(BPA4EODA)、SR602エトキシル化10ビスフェノールAジアクリレート(BPA10EODA)、SR606Aエステルジオールジアクリレート(EDDA)、SR610ポリエチレングリコール600ジアクリレート(PEG600DA)、SR802アルコキシル化ジアクリレート、SR833Sトリシクロデカンジメタノールジアクリレート(TCDDMDA)、SR9003プロポキシル化2ネオペンチルグリコールジアクリレート(PONPGDA)、SR9020プロポキシル化3グリセリルトリアクリレート(GPTA)、SR9035エトキシル化15トリメチロールプロパントリアクリレート(TMP15EOTA)及びSR9046エトキシル化12グリセリルトリアクリレート(G12EOTA)など。Sartomer製の特別なスコーチ保護タイプの助剤、例えばSaret(登録商標)R297F液体スコーチ保護メタクリレート、Saret(登録商標)350S液体スコーチ保護メタクリレート、Saret(登録商標)350W液体スコーチ保護メタクリレート、Saret(登録商標)500液体スコーチ保護メタクリレート、Saret(登録商標)517Rトリメチロールプロパントリアクリレート液体スコーチ保護メタクリレート、Saret(登録商標)521ジエチレングリコールジメタクリレート(液体スコーチ保護メタクリレート)及びSaret(登録商標)PRO13769など。
【0080】
アリルタイプの助剤、例えばSR507Aトリアリルシアヌレート(TAC)、SR533トリアリルイソシアヌレート(TAIC)、トリアリルホスフェート(TAP)、トリアリルボレート(TAB)、トリメタリルイソシアヌレート(TMAIC)、ジアリルテレフタレート(DATP)別名ジアリルフタル酸、ジアリルカーボネート、ジアリルマレエート、ジアリルフマレート、ジアリルホスファイト、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ポリ(ジアリルイソフタレート)及びグリオキサールビス(ジアリルアセタール)(1,1,2,2-テトラアリルオキシエタン)など。
【0081】
ハイブリッドタイプの助剤、例えばアリルメタクリレート、アリルアクリレート、アリルメタクリレートオリゴマー、アリルアクリレートオリゴマー及びSartomer SR523:二官能性助剤(アリルメタクリレート又はアクリレート誘導体)、2,4-ジフェニル-4-メチル-1-ペンテン、Nofmer(登録商標)MSD(アルファ-メチルスチレン二量体)(Nippon Oil&Fat Co.から入手可能、特にワイヤ及びケーブル用途向け)としても知られるもの並びに種々の他の架橋助剤、例えば、
HVA-2としても知られるN,N’-m-フェニレンジマレイミド(DuPontから入手可能)、
N,N’-p-フェニレンジマレイミド、シス-1,2-ポリブタジエン(1,2-BR)、
ジビニルベンゼン(DVB)及び4,4’-(ビスマレイミド)ジフェニルジスルフィドなど。
【0082】
本発明の有機パーオキシド配合物に使用するための任意の不活性充填剤の非限定的な例には、水洗された粘土、例えば、バージェスクレー、沈降シリカ、沈降炭酸カルシウム、合成ケイ酸カルシウム及びそれらの組み合わせが含まれる。これらの充填剤の様々な組み合わせを当業者は使用して、自由流動性でケーキングしない最終パーオキシド配合物を達成することができる。
【0083】
いくつかの実施形態によれば、本発明の有機パーオキシド配合物は、少なくとも1つの天然又は天然由来のスコーチ遅延添加剤を更に含むことができる。化合物のビタミンK系統などのいくつかの天然又は天然由来のスコーチ遅延添加剤は、スコーチ遅延剤及びバイオ系反応性添加剤の両方として作用することができる。本明細書で使用される場合、「天然」という用語は、自然界に見られることができる化合物を意味する。「天然」という用語は、自然界に見られるが、その後精製され、例えば、何らかの方法で誘導体化又は処理されたものなど、化学的に改変された化合物も網羅する。「~に天然に由来する」又は「天然に由来する」という用語は、こうした化合物が、同等のスコーチ遅延剤添加剤を提供するために自然界に見られることができるこうした化合物の化学的に生成された同等物であり得ることを意味する。特定の化合物に関して「抽出可能」という用語は、その化合物が言及された供給源(通常は植物)から実際に抽出されたことを意味するのではなく、その化合物がこうした植物に天然に存在するが、その化合物は合成的に生成され得たことを意味する。
【0084】
特定の実施形態では、少なくとも1つの天然又は天然由来のスコーチ遅延添加剤は、ケール、コラードの若葉、ほうれん草、ダイオウ、中国ダイオウ(Chinese rhubarb)、地衣類、アロエベラ、オリーブの木の葉、冬緑樹(wintergreen)、ニゲラサティバL.(nigella sativa L.)の種子又は油、ヘナ植物(henna plant)の葉、レッドクローバー(red clover)、アルファルファ、キナの木(cinchona tree)の樹皮、エキナセア(echinacea)の根、タイム又は大麻(cannabis)からなる群の少なくとも1つから抽出可能である。特定の実施形態では、少なくとも1つの天然又は天然由来のスコーチ遅延添加剤は、少なくとも1つのアミノ酸を含むことができる。
【0085】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの天然又は天然由来のスコーチ遅延添加剤は、ビタミンK1(フィトナジオン又はフィロキノン)、ビタミンK2(メナキノン)、ビタミンK3(メナジオン)、ビタミンK2 MK-4(メナテトレノン)、ビタミンK2 MK-7(メナキノン-7)、ビタミンK2 MK-14(メナキノン14)、ビタミンK2メナテトレノンエポキシド、エモジン(6-メチル-1,3,8-トリヒドロキシアントラキノン)、パリエチン又はフィシオン(1,8-ジヒドロキシ-3-メトキシ-6-メチル-アントラセン-9,10-ジオン)、レイン(4,5-ジヒドロキシ-9,10-ジオキソアントラセン-2-カルボン酸)、アロエ-エモジン(1,8-ジヒドロキシ-3-(ヒドロキシメチル)アントラキノン)、クリソファノール(1,8-ジヒドロキシ-3-メチル-9,10-アントラキノン)、チマフィリン(2,7-ジメチル-1,4-ナフトキノン)、チモキノン、ジチモキノン、チモールヒドロキノン、2-ヒドロキシ-2,4-ナフトキノン、カフェオキノン(カフェイン酸キノン)、クロロゲン酸キノン、オリーブ葉油(オレウロペイン)、キニーネ、カフェイン酸、クロロゲン酸、カンナビジオール、チモール(2-イソプロピル-5-メチルフェノール、IPMPとしても知られる)、システイン、ホモシステイン、メチオニン、タウリン、N-ホルミルメチオニン及びそれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0086】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの天然又は天然由来のスコーチ遅延添加剤は、好ましくは、ビタミンK1(フィトナジオン又はフィロキノン)、ビタミンK2(メナキノン)、ビタミンK3(メナジオン)、ビタミンK2 MK-4(メナテトレノン)、ビタミンK2 MK-7(メナキノン-7)、ビタミンK2 MK-14(メナキノン14)、ビタミンK2メナテトレノンエポキシド及びそれらの混合物などのビタミンK及びその誘導体からなる群から選択され得る。
【0087】
特定の実施形態によれば、有機パーオキシド(計算のための純粋な基準)配合物中のこれらのスコーチ保護添加剤の重量パーセントは:スコーチ保護の必要性に応じて、純粋なパーオキシドに添加されるスコーチ保護添加剤の35重量%以下、好ましくは20重量%以下、より好ましくは15重量%以下、より好ましくは10重量%以下、好ましくは8重量%以下であり得る。
【0088】
有機パーオキシド配合物の非限定的な実施形態は、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチパーオキシ)ヘキサン、ペンタエリスリトールトリアクリレート並びにビタミンK3及び/又はオレウロペインのブレンドである。
【0089】
有機パーオキシド配合物の非限定的な実施形態は、3,6,9,トリエチル-3,6,9-トリメチル-1,4,7-トリパーオキシノナン(又はメチルエチルケトンパーオキシド環状三量体)又はNouryonのTrigonox(登録商標)301、アルギニン、トリメチロールプロパントリアクリレート、[オリーブ葉油(オレウロペイン)及び/又はカンナビジオール(CBD)]のブレンドである。
【0090】
有機パーオキシド配合物の非限定的な実施形態は、ジ-t-ブチルパーオキシド、桐油、チモール及び/又はビタミンK3並びに環状アルカンジアクリレートである。
【0091】
有機パーオキシド組成物の非限定的な実施形態は、t-ブチルパーオキシ-イソプロペニルクミルパーオキシド、ポリブタジエンジアクリレート及びビタミンK2メナテトレノンエポキシドのブレンドである。
【0092】
有機パーオキシド配合物の非限定的な実施形態は、t-ブチルパーオキシマレイン酸、ジエチレングリコールジメタクリレート及びチモキノンのブレンドである。
【0093】
有機パーオキシド組成物の非限定的な実施形態は、m/p-ジ(t-ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、プロポキシル化3トリメチロールプロパントリアクリレート及び2-ヒドロキシ-2,4-ナフトキノンのブレンドである。
【0094】
有機パーオキシド組成物の非限定的な実施形態は、t-ブチルクミルパーオキシド、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、チモキノン及びリジンのブレンドである。
【0095】
有機パーオキシド組成物の非限定的な実施形態は、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、ペンタエリスリトールトリメタクリレート及びオレウロペインのブレンドである。
【0096】
改質バイオ系ポリマーを生成する方法:
バイオ系ポリマー及び/又は生分解性ポリマーを改質する方法であって、i)少なくとも1つの有機パーオキシド、少なくとも1つの反応性バイオ系添加剤並びに少なくとも1つのバイオ系ポリマー及び/又は生分解性ポリマーを組み合わせて、反応混合物形成する工程と、ii)反応混合物を反応させて改質バイオ系ポリマー及び/又は改質生分解性ポリマーを形成する工程とを含むか、それらからなるか又は本質的にそれらからなる方法。
【0097】
少なくとも1つの有機パーオキシドは、上記のもの又はそれらの混合物から選択され得る。少なくとも1つのバイオ系反応性添加剤は、上記のもの又はそれらの組み合わせから選択され得る。少なくとも1つのバイオ系ポリマー、生分解性ポリマー又はそれらの混合物は、上記のものから選択され得る。
【0098】
組み合わせ工程は、反応混合物を生成するために、例えば、一軸スクリュー押出、二軸スクリュー押出、ZSKミキサー、バンブリミキサー、ブッスニーダー、二本ロールミル若しくはインペラー混合又は他のタイプの適切なポリマー溶融ブレンド装置における溶融ブレンドであり得る。組み合わせ工程は、完成品を作製するためのプロセスの一部、例えばインフレーションフィルムプロセス、キャストフィルムプロセス、射出成形、射出ブロー成形、熱成形又は真空形成であり得る。
【0099】
成分を組み合わせることによる反応混合物の形成は、単一の工程に限定されない。例えば、少なくとも1つの有機パーオキシド及び少なくとも1つのバイオ系反応性添加剤を組み合わせて一緒に混合して、改質バイオ系ポリマー及び/又は改質生分解性ポリマーを生成するための配合物を形成することができる。次いで、改質バイオ系ポリマーを生成するための配合物をバイオ系ポリマーと組み合わせて、反応混合物を形成することができる。組み合わせる工程は、任意の順序で実行することができる。代替実施形態では、バイオ系ポリマー及び/又は生分解性ポリマーは、最初に反応性バイオ系添加剤とブレンド又は組み合わされて、バイオ系ポリマー及び/又は生分解性ポリマーとバイオ系反応性添加剤との配合物を形成することができる。次の工程で、この配合物は、パーオキシドとブレンド又は組み合わされて、適切な反応条件にかけられ(組み合わせ工程中又は後に)、改質バイオ系ポリマー及び/又は改質生分解性ポリマーを形成することができる。更に別の代替実施形態では、バイオ系ポリマー及び/又は生分解性ポリマー並びに有機パーオキシドは、ブレンド又は組み合わされて、バイオ系及び/又は生分解性ポリマー-有機パーオキシド配合物を形成することができる。次の工程で、バイオ系及び/又は生分解性ポリマー-有機パーオキシド配合物は、バイオ系反応性添加剤と組み合わされて、適切な反応条件にかけられ、改質バイオ系ポリマー及び/又は改質生分解性ポリマーを形成することができる。組み合わせ工程及び反応工程は同時に行われることができる。
【0100】
反応混合物を反応させる工程は、組み合わせ工程の少なくとも1つの間に反応混合物を加熱する工程を含むか、それからなるか又は本質的にそれからなることができる。適切な温度は、例えば、バイオ系ポリマーを溶融し、有機パーオキシドを分解するのに有効な温度である。例えば、反応混合物は、少なくとも160℃又は少なくとも175℃又は少なくとも200℃又は少なくとも230℃又は少なくとも250℃に加熱され得る。
【0101】
組み合わせ工程及び/又は反応工程は、反応混合物を押出して、改質バイオ系ポリマー及び/又は改質生分解性ポリマーを形成する工程を含むことができる。バイオ系及び/又は生分解性ポリマー並びに有機パーオキシド及びバイオ系反応性添加剤は、反応混合物を押出す前にブレンドされて反応混合物を形成することができるか、又は押出若しくは他の溶融加工工程中にブレンドされて反応混合物を形成することができる。この方法は、改質バイオ系及び/又は改質生分解性ポリマーを包装(食品包装など)又は別のタイプのフィルムに形成する更なる工程を含むことができる。改質バイオ系ポリマー及び/又は改質生分解性ポリマーは、これらに限定されないが、フィルム発泡、フィルムブロー、射出成形、押出、カレンダー加工、ブロー成形、発泡及び熱成形を含む、任意の既知のポリマー加工方法を使用して加工され得る。本発明の改質バイオ系ポリマーを使用して作製できる有用な物品には、これらに限定されないが、包装材料及びフィルムが含まれる。本開示に基づいて、様々な他の有用な物品及びそれらの物品を形成するためのプロセスが企図され得る。
【0102】
以下のパーオキシドは、本明細書に記載の本発明から除外される:無機パーオキシド(例えば、過酸化水素)、過硫酸アンモニウム及び/又はカリウム、ヒドロパーオキシド及びメチルエチルケトン(MEK)タイプのパーオキシド。以下も除外される:メタノール、水エマルジョン、シリコーン流体、シランカップリング剤、イソシアネート、マレイン酸無水物及び酸、コハク酸無水物及び酸、フタル酸無水物及び酸、トリメリット酸無水物及び酸、ポリエチレングリコールから作製されるポリエチレングリコールポリマー及びブロックポリマー並びにデンプン(例えば、コーンスターチ)。これらの化合物のいずれか又は全ては、有機パーオキシド、バイオ系反応性添加剤及びバイオ系ポリマーの総重量に基づいて、約5重量パーセントまで、約4重量パーセントまで、約3重量パーセントまで、約2重量パーセントまで、約1重量パーセントまで、約0.5重量パーセントまで、約1000重量ppmまでのレベルで、改質バイオ系ポリマーを生成するための配合物中に存在し得る。好ましくは、これらの化合物は配合物中に存在しない。
【0103】
本発明の実施に使用される標準試験方法及び装置
プラスチックのためのASTM D4440-15標準試験方法:動的機械特性溶融レオロジー(Dynamic Mechanical Properties Melt Rheology)、この試験方法では、本質的に動的機械分析装置であるAlpha Technologies RPA(登録商標)2000機器(RPAは、ゴムプラスチック分析機(Rubber Plastics Analyzer)を表す)を使用する必要がある。
【0104】
プラスチックのためのASTM D4440-15標準試験方法:動的機械特性溶融レオロジー。これは、2020年2月24日現在の方法である。
【0105】
この試験方法は、熱可塑性樹脂及び他のタイプの溶融ポリマーのレオロジー特性を決定及び報告する際の動的機械計測の使用について概説している。これは、周波数、歪み振幅、温度及び時間の関数として、こうした材料の複素粘度及び他の重要な粘弾性特性を決定する方法として使用できる。こうした特性は、充填剤及び他の添加剤の影響を受ける場合がある。
【0106】
これには、一般に機械的又は動的分光計と呼ばれるタイプの機器において様々な振動変形を受けるポリマー溶融物の関連するレオロジー特性を決定するための実験室試験方法が組み込まれている。
【0107】
この試験方法は、熱可塑性樹脂及び熱可塑性エラストマーなどの溶融ポリマーのレオロジー特性を、非共振の強制振動技術によって温度範囲に渡って決定する手段を提供することを目的としている。動的振動(周波数)、歪み振幅、温度及び時間の関数としての弾性率、粘度及びタンデルタのプロットは、溶融ポリマーの粘弾性特性を示す。
【0108】
レオテンス(Rheotens)機器試験:ポリマーの溶融強度を測定するために設計された装置。延伸比の関数として測定される、ポリマー溶融物の伸びに必要な引張り力を測定する。
【0109】
本発明の商業的重要性及び新規性は、ポリ(乳酸)に基づく様々な医療用及び間接的食品接触消費者製品及び包装を開発する人々にとって更に明らかである。
【0110】
本発明の様々な非限定的な態様は、以下のように要約される。
【実施例】
【0111】
実施例1(予想(Prophetic))
様々な成分を含むマスターバッチ(MB1からMB32)を、低剪断Marion(登録商標)リボンブレンダーを使用して調製する。以下のマスターバッチを、リボンブレンダーにて作製し、実施例2に記載されているように、Werner&Pfleiderer同方向回転二軸スクリュー押出機を使用して溶融ブレンドし、ポリ(乳酸)と反応させる。
【0112】
マスターバッチ1(MB1):60キロのHi-Sil(登録商標)ABSシリカ(PPG Industries)、35キログラムの桐油、4.75キログラムのt-ブチルパーオキシ-イソプロペニルクミルパーオキシド及び0.25キログラムのビタミンK3。
【0113】
マスターバッチ2(MB2):60キロのHiSil(登録商標)ABSシリカ、30キログラムのオイチシカ油、9.75キロのLuperox(登録商標)101SIL及び0.25キログラムのビタミンK2。
【0114】
マスターバッチ3(MB3):30キロのHi-Sil(登録商標)ABSシリカ、20キログラムの沈降炭酸カルシウム、10キログラムの酢酸酪酸セルロース(「CAB」、Eastman Chemical)、10キログラムのアルギニン、10キログラムのオレイルアミン、10キログラムのペンタデシルアミン、1キログラムの酸化亜鉛及び9キロのTrigonox(登録商標)301(Nouryo)。
【0115】
マスターバッチ4(MB4):60キロのHi-Sil(登録商標)ABSシリカ、29キログラムのリモネン、10.5キロのVul-Cup(登録商標)40KE及び0.5キログラムのビタミンK1。
【0116】
マスターバッチ5(MB5):60キロのHi-Sil(登録商標)ABSシリカ、10キログラムのリジン、10キログラムのシステイン、10キログラムの無水イタコン酸、1キログラムのビタミンK3及び9キログラムのLuperox(登録商標)231XL40。
【0117】
PLA-パーオキシドマスターバッチ6(MB6):95キログラムのポリ(乳酸)ペレット又は粉末、5キログラムの1-メトキシ-1-t-アミルパーオキシシクロヘキサン。液体パーオキシドLuperox(登録商標)V10(ヘミパーオキシケタールパーオキシド)をPLA粉末又はペレットに噴霧して、パーオキシドマスターバッチを作製する。
【0118】
PLA-パーオキシドマスターバッチ7(MB7):95キログラムのポリ(乳酸)ペレット又は粉末、5キログラムのLuperox(登録商標)JWEB-50(Arkema)。これは、パーオキシドマスターバッチを作製するためにPLA粉末又はペレットに噴霧された四官能性パーオキシド液体である。
【0119】
PLA-パーオキシドマスターバッチ8(MB8):95キログラムのポリ(乳酸)ペレット又は粉末、5キログラムのt-ブチパーオキシ-イソプロペニルクミルパーオキシド液体パーオキシドをPLA粉末又はペレットに噴霧して、パーオキシドマスターを作製する。これは、単量体官能化パーオキシドである。
【0120】
マスターバッチ9(MB9):60キロのHi-Sil(登録商標)ABS、10キログラムのケイ酸カルシウム、20キログラムのアルギニン、8キロのVul-Cup(登録商標)40KE(Arkema)、0.4キログラムのメルカプトベンゾチアゾールジスルフィド(MBTS)及び1.6キログラムのVultac(登録商標)5(MLPC Arkema)。
【0121】
マスターバッチ10(MB10):60キロのHi-Sil(登録商標)ABS、10キログラムのケイ酸カルシウム、20キログラムのイタコン酸、8キログラムのLuperox(登録商標)101XL45(Arkema)、0.5キログラムのメルカプトベンゾチアゾールジスルフィド(MBTS)及び1.6キログラムの亜鉛ジチオホスフェート(ZDDP)。
【0122】
マスターバッチ11(MB11):74.5キロのHi-Sil(登録商標)ABSシリカ、10キログラムのリモネン、10キログラムのレシチン、5キログラムのTrigono(登録商標)301(Nouryon)及び0.5キログラムのオレウロペイン(オリーブ葉油)。
【0123】
マスターバッチ12(MB12):74.5キロのHi-Sil(登録商標)ABSシリカ、10キログラムのリモネン、10キログラムのレシチン、5キログラムの2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3及び0.5キログラムのオレウロペイン(オリーブ葉油)。
【0124】
実施例2(予想)
マスターバッチ(MB1からMB12)を、実施例1で低剪断Marion(登録商標)リボンブレンダーを使用して調製する。次いで、これらのマスターバッチを溶融ブレンドし、Werner&Pfleiderer同方向回転二軸押出機を使用してポリ(乳酸)と反応させる。押出機は、8つのバレルセグメントと5つの加熱ゾーンを有する。温度設定は、PLAを溶融し、添加剤を完全に反応させるように選択される。
【0125】
実施例1の様々なマスターバッチのレベル(phr)を使用する:マスターバッチMB3は、2、4、6、8及び10phrで使用され、この場合、phrは、ポリ(乳酸)100重量部当たりのマスターバッチの重量部である。実施例1の他の残りのマスターバッチは、4、6、8、10、12、14、16、18及び20phrで使用される。
【0126】
実施例1では、以下のマスターバッチが作製される:MB5、MB6及びMB7は、160℃、160℃、170℃、170℃、180℃の押出機バレル設定を使用して溶融反応される。残りのマスターバッチは、5つの個別ゾーンにおいて160℃、170℃、180℃、190℃、200℃の温度設定を使用し、この場合、160℃ゾーンは、ホッパーに最も近く、200℃ゾーンは、出口ダイにある。
【0127】
実施例3(予想)
次いで、二軸スクリュー押出機を使用して、実施例2からの改質PLA樹脂をポリエチレン、ポリプロピレン及びポリアミドと溶融ブレンドする。温度設定は、5つの個別ゾーンにおいて160℃、170℃、180℃、190℃、200℃である。引張り棒が成形される。
【0128】
実施例4~15
以下の実施例において、使用されたPLAポリマー等級は、Ingeo(商標)バイオポリマー2003D(NatureWorks)であった。Ingeo(商標)バイオポリマー2003Dは、透明で高分子量の押出し等級のバイオポリマーであり、乳製品容器、食品サービス器具、透明な食品容器、ヒンジ付き器具及び冷たい飲み物用のカップでの使用に適している。使用したPBATポリマーは、Ecoflex(登録商標)(BASF)であった。Ecoflex(登録商標)ポリマーは、化石燃料製品から作製された生分解性で堆肥化可能なポリマーであり、バイオ系ポリマーとブレンドされ得る。
【0129】
PLA又はPBATポリマーは開放型の貯蔵ビンに貯蔵されてはいたが、改質前にPLA又はPBATポリマーから水分を予備乾燥又は除去することに注意は払われなかった。
【0130】
本発明のバイオ系及び生分解性ポリマーの改質を検討するために、RPA(登録商標)2000レオメーター(Alpha Technologies)を使用した。使用したパーオキシドの半減期に応じて、ポリマー組成物を、1°のアーク歪み及び100cpm(サイクル/分)の周波数を使用し170℃又は180℃でRPA(登録商標)2000レオメーターにおいて試験し、この場合、弾性率S’をdN-m単位で測定した。弾性率は、剪断弾性率の一種であり、改質ポリマー溶融物の変化に従う。弾性率は、ヤングの引張り係数に数学的に正比例する。改質ポリマー溶融物のdN-m単位の弾性率が高いほど、ポリマー溶融強度が大きい(高い)ことを意味する。
【0131】
実施例4
33.4重量%のLuperox(登録商標)DTA(ジ-t-アミルパーオキシド)及び66.6重量%のTAIC(トリアリルイソシアヌレート)を含むパーオキシドブレンドを、1.0重量%で使用して、PLAバイオ系ポリマーを180℃で改質し、RPA(登録商標)2000レオメーターを使用して評価して、弾性率の増加を検討した。
【0132】
33.36重量%のLuperox(登録商標)DTA(ジ-t-アミルパーオキシド)、66.55重量%のTAIC(トリアリルイソシアヌレート)及び0.08重量%の(ビタミンK1及びビタミンK2)を含む第2のパーオキシドブレンドを作製し、PLAにおいて1.3重量%で使用した。使用した(ビタミンK1及びビタミンK2)ブレンドは、以下の組成を有する:1500mcgのフィトナジオンとしてのビタミンK1、1000mcgのメナキノン-4としてのビタミンK2及び100mcgのトランスメナキノン-7としてのビタミンK2。
【0133】
32.1重量%のLuperox(登録商標)DTA(ジ-t-アミルパーオキシド)、64重量%のTAIC(トリアリルイソシアヌレート)及び3.9重量%のビタミンK3を含む第3のパーオキシドブレンドを作製し、次いで2.0重量%の濃度でPLAに添加した。
【0134】
図1及び2のレオグラフは、純粋なPLAをLuperox(登録商標)DTAパーオキシドとTAIC助剤のブレンドと反応させたときの弾性率(dN-m)の増加を示している。
図1及び2は、Luperox(登録商標)DTAと助剤TAICのブレンドを組み合わせてビタミンK(K1、K2又はK3)を使用することの利点も示している。これらのビタミンは、PLAの溶融強度又は弾性率の改質プロセスにおいて望ましい遅延をもたらした(スコーチ遅延剤として作用)。有機パーオキシド又は有機パーオキシドのブレンドと、アリル、マレイミド、メタクリル又はアクリル官能性の反応性の複数の炭素-炭素二重結合を含む化合物とを押出機にて溶融混合する場合、実際の改質が起こる前に、PLA又はPBATポリマー中でこれらの反応性成分を良好に溶融混合することが重要である。望ましいポリマー改質反応前に押出機の温度を上げて数秒でも改質プロセスを遅らせることは、反応性成分のポリマー溶融物への組込みを増加させるのに有益であり得る。ポリマー改質反応におけるこの望ましい短い遅延は、より均一に改質されたポリマーをもたらす。反応性添加剤の組み込みを改善することで、ポリマー中の添加剤の不均一なブレンドによって連続押出中にポリマーの改質が多すぎたり少なすぎたりすること(又は両方の組み合わせ)が生じる状況が回避される。
【0135】
Luperox(登録商標)DTA(ジ-t-アミルパーオキシドとしても知られる)は、t-ブチルアルコールを生成せず、これは、最終的な改質ポリマーの望ましい属性であり得る。
図1及び2は、ビタミンKタイプの添加剤を使用してPLA改質の開始を遅らせることが可能であることを示している。
図2では、ビタミンK3を使用すると遅延が発生するだけでなく、バイオポリマーの混合を良好にするために、(最初に)純粋なPLAの未改質の弾性率に近づくことが可能である。四角いマーカーの付いた線は、ビタミンK添加剤を含まないパーオキシド及び助剤と比較して、最初に純粋なPLAの性能に近づく。
図2に示されるビタミンK3を含むパーオキシド配合物は、瞬間的に反応性種がないように機能し(改質前の短い遅延により、最初に純粋なPLAの曲線を覆う)、続いて弾性率が大幅に増加する。
【0136】
使用されるパーオキシド配合物の量は、望ましい量のPLA溶融強度改質を達成するために、より低く又はより高く調整することができる。従って、少量の改質が望ましい場合、少量のパーオキシドに加えて、助剤とビタミンKを使用できる。こうしたパーオキシドの投量の調整は、望ましい物理的特性の性能及び特定の最終用途(フィルム、コーティング、繊維、発泡体など)に応じて行うことができる。
【0137】
実施例5
図3は、170℃で生成されたレオグラフを示し、有機パーオキシドと組み合わせて本発明の実施において使用される選別された添加剤で達成される弾性率の改善(より高い溶融強度)における遅延を示す。Luperox(登録商標)TBEC(t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキシルモノパーオキシカーボネートとしても知られる95重量%アッセイのパーオキシド)をPLA(Ingeo(商標)バイオポリマー2003D)に0.5重量%の濃度で添加した。RPA(登録商標)2000レオメーターにて170℃で溶融PLAと反応させた場合、0.5重量%のLuperox(登録商標)TBECを使用することで、任意の他の添加剤を含まない純粋なPLAと比較して、弾性率(PLA溶融強度)を増加させた。0.5重量%のLuperox(登録商標)TBECとともに、0.5重量%でオメガ3(魚油)を、PLAに個別に添加し、0.5重量%のLuperox(登録商標)TBECとともに、0.5重量%のリモネン(柑橘類の皮の油)を、PLAに添加することで、PLA改質反応を有利に遅延させた。本発明のオメガ3及びリモネンバイオ系反応性添加剤によってもたらされた遅延は、溶融ブレンド/押出プロセスにおけるバイオポリマーPLAのより制御された溶融改質をもたらした。
図3は、これらの添加剤を使用すると、パーオキシド改質反応が約30秒遅延するという利点をもたらし、パーオキシド反応及びPLAの弾性率又は溶融強度の改質前に反応性パーオキシドをPLA溶融物により良好に組み込むために、二軸スクリュー押出機の多くの混合ターン(mixing turn)をより良好に促進した。従って、これらのバイオ系反応性添加剤であるオメガ3とリモネンを使用すると、有機パーオキシドLuperox(登録商標)TBECと組み合わせて使用した場合、PLAのより制御された改質が得られた。
【0138】
実施例6
この実施例は、PLAを有機パーオキシドで改質するために桐油を使用することの予想外の利点の例をもたらす。桐油は、天然由来の油である。
図4のレオグラフは、170℃でRPA(登録商標)2000におけるPLA(Ingeo(商標)バイオポリマー2003D)と反応された、0.5重量%のLuperox(登録商標)TBECと組み合わせた0.5重量%の桐油を示している。桐油をパーオキシドと同じ重量比で使用した場合、桐油を使用しない0.5重量%のLuperox(登録商標)TBECの使用に対するdN-m単位の弾性率の増加によって示されるように、得られたPLAの溶融強度が大幅に増加した。
【0139】
桐油は、予想外に、必要なパーオキシドの量を最小限に抑えながら、PLAの溶融強度を増加させた(より高い弾性率)。これらの結果に基づいて、桐油を用いて達成された改質は、1.0重量%のLuperox(登録商標)TBECを使用したものに対して、0.5重量%のLuperox(登録商標)TBECにおいて得られた結果の中間にあることがわかる。この場合、予想外に、桐油を使用してパーオキシドの約0.25重量%を置き換えることができる。マーカーのない実線は、添加剤のない純粋な(未使用の)PLAである。Luperox(登録商標)TBECは、OO-t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキシルモノパーオキシカーボネートとしても知られる95重量%アッセイのパーオキシドである。
【0140】
同様に、
図5は、0.5重量%のLuperox(登録商標)TBEC(t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキシルモノパーオキシカーボネートとしても知られる95重量%アッセイのパーオキシド)を使用した場合、L-シスチン(アミノ酸)とCAB(酢酸酪酸セルロース)を使用することの予想外の利点を示している。驚くべきことに、0.5重量%のL-シスチンを0.5重量%のLuperox(登録商標)TBECとともにPLAに添加した場合、PLAの弾性率の予想外の増加(溶融強度の増加)が、0.5重量%のLuperox(登録商標)TBECの単独での使用と比較して得られた。
【0141】
更に、0.5重量%のLuperox(登録商標)TBECとともにPLAに添加された1重量%のCAB171-15(酢酸酪酸セルロース、Eastman Chemical)は、添加剤なしで0.5重量%のLuperox(登録商標)TBEC有機パーオキシドのみを使用した場合に得られた弾性率に対して、170℃で反応させたときに弾性率の予想外の増加をもたらした。この発見により、より効率的な方法でPLAの溶融強度を増加させることができるCAB粉末を使用して増量されたパーオキシド配合物を作製する方法がもたらされる。Luperox(登録商標)TBECは、室温で液体の有機パーオキシドである。プラントで利用可能な計量装置に応じて、固体形態のパーオキシド配合物が望ましい場合があるが、他の場合、液体パーオキシドの形態が望ましい場合がある。液体パーオキシド配合物が必要である場合、Luperox(登録商標)TBECと桐油のブレンドを、50:50重量%の比で使用して、
図5に示されるように、0.5重量%のLuperox(登録商標)TBEC及び0.5重量%の桐油に組み合わせに示されるようにPLAの弾性率(溶融強度)をより効率的に増加させることができる。
【0142】
実施例7
図6のレオグラフデータは、アミノ酸L-シスチンの有効性及び有機パーオキシドと組み合わせて使用した場合にPLAの弾性率を増加させるその予想外の能力を例示している。0.5重量%のLuperox(登録商標)101(2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサンとしても知られる)を、1.0重量%のL-シスチンを含んで又は含まないでPLAに添加した。アミノ酸L-シスチンの使用は、PLA溶融強度の増加に相関する弾性率の予想外の増加に寄与した。
図6に見られるように、パーオキシドなしで1.0重量%のL-シスチンを使用しても、PLAの弾性率(dN-m)は増加しなかった。これは、本発明の実施に従って、選別された有機パーオキシドと組み合わせて本発明の反応性添加剤を使用するときに得られる予想外の相乗効果の更なる証拠である。
【0143】
図7のレオグラフデータは、別のアミノ酸L-システインを使用してPLAの溶融強度を増加させることを例示している。
図7のレオグラフ結果に示されるように、0.5重量%のLuperox(登録商標)101を単独で使用した場合と比較して、0.5重量%のLuperox(登録商標)101とともに、PLAにおいて1.0重量%で使用された場合のアミノ酸L-システインは、180℃でのPLAの弾性率を増加させたことが、意外なことに見出された。
【0144】
図8(実施例7)は、別の有機パーオキシド、Luperox(登録商標)101とともに使用され、180℃でPLAと反応された場合、PLAの弾性率(溶融強度)を増加させる桐油の有効性を示すより多くのデータをもたらす。桐油は、有機パーオキシドと組み合わせて使用される場合、予想外にもバイオ系ポリマーPLAの溶融強度を更に増加させる効果的な手段をもたらし続けている。
図8のレオグラフでは、0.5重量%のLuperox(登録商標)101(2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン)をPLAにおいて180℃で0.5重量%の桐油を含んで又は含まないで使用する。パーオキシドと桐油のこの組み合わせは、0.5重量%のLuperox(登録商標)101のみを使用した場合よりも高い弾性率をもたらした。パーオキシド又は添加剤を含まない純粋なPLAは、溶融強度の比較となる改善を示すのに役立つ。
【0145】
実施例8
Luperox(登録商標)101のミルセンに対する1:2の重量比を含む液体パーオキシド組成物を調製した。即ち、0.5部のLuperox(登録商標)101は、両方の化合物が室温で液体であるため、重量基準で1.0部のミルセンとブレンドして液体パーオキシド組成物を形成した。
図9を参照されたい。この液体パーオキシド組成物を、0.5重量%のLuperox(登録商標)101をPLAにおける1重量%のミルセンとともにPLAに添加したように1.5重量%でPLAに添加した。ミルセンは、大麻及び他の植物種に見られる天然のテルペンである。使用されたPLAは、前述のようにIngeo(商標)バイオポリマー2003Dであった。
【0146】
図9(実施例8)を参照すると、予想外に、ミルセンをLuperox(登録商標)101有機パーオキシドと組み合わせて使用することは、PLAで単独で使用される0.5重量%のLuperox(登録商標)101と比較して、180℃でのPLA改質における大幅な遅延をもたらしたことが見出された。
【0147】
図9のレオグラフデータは、180℃でのPLAの改質における大幅な遅延を示しており、それにより例えば押出機又は溶融ミキサーでの反応が完了する前に180℃での反応性成分のより均一な溶融ブレンドが可能になる。PLAを改質するためのパーオキシドとミルセンのこのブレンドは、パーオキシド単独の使用に対して溶融強度の望ましい増加(dN-m単位での弾性率の増加)をもたらした一方で、溶融混合を促進するために、改質における大幅な遅延をもたらした。この新規な液体パーオキシド組成物は、最初の約45~50秒間、パーオキシドを含まない純粋なPLAの性能によく似た初期弾性率をもたらし、溶融混合を改善するためのPLA改質における望ましい遅延をもたらし、次いで、測定された弾性率S’(dN-m)の増加によって証明されるように、PLAの溶融強度における望ましい増加が続いた。
【0148】
実施例9
この実施例では、PLAの改質のための助剤及び有機パーオキシドとミルセンを組み合わせて使用することの利点を示す。
図10を参照し、PLAを、0.5重量%のミルセン、0.5重量%のSR350助剤(Sartomerのトリメチロールプロパントリメタクリレート)及び0.5重量%のLuperox(登録商標)101有機パーオキシドのブレンドで改質した。ミルセンは、0.5重量%のSR350を0.5重量%のLuperox(登録商標)101有機パーオキシドとともにちょうど使用した場合に得られるよりも、予想外にPLAの弾性率を増加させた。ミルセン、SR350助剤及びLuperox(登録商標)101パーオキシドのブレンドは、他の添加物を含まない1重量%のLuperox(登録商標)101を単独で使用した場合よりも高い弾性率をもたらした。しかし、ミルセンがLuperox(登録商標)101及びSR350とブレンドされた場合に最も高い弾性率をもたらしたということにもかかわらず、また1重量%のLuperox(登録商標)101パーオキシドを単独で使用した場合と比較して改質における遅延をもたらした。従って要約すると、天然のテルペンであるミルセンは、PLAの溶融強度(弾性率)を更に増加させる一方、また、有機パーオキシドをより多くの投量で単独で使用した場合、即ち1.0重量%のLuperox(登録商標)101の単独使用と比較して改質プロセスにおける遅延をもたらした。
【0149】
実施例10
図11(実施例10)を参照されたい。PLAの弾性率は、TAICなどの助剤を使用して増加させることができる。PLAのこの改質は、
図11に見られることができるように、0.5重量%のLuperox(登録商標)101が0.5重量%のTAIC(トリアリルイソシアヌレート)助剤とともに使用される場合、180℃でかなり急速に起こる。
図11では、例えば、本発明のバイオ系反応性添加剤を使用することにより、押出機にて180℃での溶融混合時間を増加させるために、この改質を遅延させることができる方法を示す。
図11では、0.5重量%のLuperox(登録商標)101、0.027重量%のビタミンK3、0.5重量%のTAIC助剤及び0.5重量%のミルセンを混合してPLAを形成し、RPA(登録商標)2000レオメーターを使用して180℃で反応させた。トリアリルイソシアヌレート助剤を含んだミルセンとビタミンK3を使用したこのLuperox(登録商標)101パーオキシド組成物は、例えば、押出機での溶融混合時間を長くできるように、改質プロセスにおける望ましい遅延をもたらした。加えて、また、これらの添加剤を使用すると、バイオ系添加剤を含まない0.5重量%のLuperox(登録商標)101及び0.5重量%のTAIC助剤を使用した場合と比較して、弾性率(dN-m)又はポリマー溶融強度が大幅に上がった改質PLAポリマーをもたらした。必要なPLA改質(又はポリマー溶融強度)の量はまた、ポリマーへの全ての反応物のより良好な組み込みをもたらすための改質プロセスにおける望ましい遅延を得ながら、バイオ系ポリマー(PLA)中のこの新規パーオキシド配合物の量を減少又は増加させることにより、当業者によって最適化され得る。この新規パーオキシド組成物は、本発明で教示されるバイオ系ポリマー及び/又は生分解性ポリマーを改質するのに有用である。
【0150】
実施例11
図12(実施例11)を参照されたい。この実施例では、0.5重量%のLuperox(登録商標)101有機パーオキシドを0.5重量%の桐油(バイオ系油)と組み合わせてPLAを改質し、180℃で実施されたPLA改質の弾性率を増加させた。この天然バイオ系オイルをLuperox(登録商標)101と組み合わせて使用すると、PLAポリマーの弾性率又は溶融強度が大幅に増加した。
図12に示されるように、PLAの改質の度合いを調節しながら、このプロセスにおける望ましい遅延をもたらすために、0.05重量%のビタミンK3をこのパーオキシドと桐油の配合物に添加した。要約すると、Luperox(登録商標)101パーオキシドと桐油のブレンド又はLuperox(登録商標)101パーオキシドと桐油とビタミンK3のブレンドは、PLAを改質してその物理的特性を高めるのに役立つことができる。
【0151】
実施例12
図13(実施例12)を参照されたい。33.4重量%のLuperox(登録商標)DTA及び66.6重量%のTAIC(トリアリルイソシアヌレート)助剤を含むパーオキシド組成物1.0重量%をPLAに添加し、RPAレオメーターにて180℃で反応させた。PLAの改質における望ましい遅延をもたらすために、オレウロペイン、オメガ3及びビタミンK3などの本発明で教示されるような様々な添加剤の使用が使用される。従って、0.15重量%の純粋なオレウロペインを、33.4重量%のLuperox(登録商標)DTA及び66.6重量%のTAIC助剤を含む1.0重量%のパーオキシド組成物とともにPLAに添加した。オレウロペインの使用は、
図13に示されるように、PLAの改質反応における望ましい遅延をもたらした。この実施例では、20%の純粋なオレウロペイン(オリーブ葉抽出物の有効成分)を含んだオレウロペインオリーブ葉抽出物カプセル(Roex)を使用した。従って、0.15重量%の純粋なオレウロペインをPLAに添加するには、Roexカプセルからの実際のオリーブ葉抽出物の0.75重量%をPLA樹脂に組み込む必要があった。別の実験では、0.10重量%のオメガ3油を、33.4重量%のLuperox(登録商標)DTA及び66.6重量%のTAIC助剤を含む1.0重量%のパーオキシド組成物とともにPLAに添加した。予想外に、PLA改質における大幅な遅延が認められた。本発明で教示されるパーオキシド配合物の投量は、望ましい量のPLA改質を達成するために容易に調整することができる。従って、例えば、33.4重量%のLuperox(登録商標)DTA及び66.6重量%のTAIC助剤を含む1.0重量%のパーオキシド組成物で達成される同様の改質で、著しく長いスコーチ時間(安全な混合時間)が必要な場合、32.1重量%のLuperox(登録商標)DTA及び64重量%のTAIC助剤及び3.9重量%のビタミンK3を含む2重量%のパーオキシド組成物を使用する場合が可能である。Luperox(登録商標)DTA、その化学名がジ-t-アミルパーオキシドである有機パーオキシドは、PLAポリマーの溶融強度を改質するために使用される場合、分解プロセス中にt-ブチルアルコールを生成しない。
【0152】
実施例13
図14(実施例13)を参照されたい。カンナビジオール(CBD)を、Luperox(登録商標)DTA(ジ-t-アミルパーオキシド)及びTAIC(トリアリルイソシアヌレート)とともに使用して、180℃でPLAの溶融強度を改質した。具体的には、1.7重量%のパーオキシド組成物(63.7重量%のTAIC、32重量%のLuperox(登録商標)DTA及び4.3重量%のCBDアイソレート)を使用して、PLAを改質した。これを、PLA中の1.7重量%のパーオキシド組成物(66.6重量%のTAIC及び33.4重量%のLuperox(登録商標)DTA)の使用と比較した。CBDの使用は、
図14に示されるように、時間に対する弾性率S’(dN-m)の増加における望ましい遅延を示すレオグラフの結果に基づいて、180℃でPLA改質プロセスの望ましい減速をもたらした。当業者は、
図14に示されるパーオキシド配合物濃度を調節することにより、最終のPLA溶融強度の改質の量を調節することができる。他のCBD生成物と異なり、CBDアイソレートは、白い固体であり、不純なCBDオイルではなく、THCテトラヒドロカンナビノールを一切含まない。要約すると、本発明の実施において新規添加剤として使用される場合のCBDアイソレートは、反応性パーオキシドと助剤の組み合わせ、例えばLuperox(登録商標)DTAとTAIC(トリアリルイソシアヌレート)を使用した場合、PLAポリマーの改質の速度と度合いの両方を制御する方法を与える。
【0153】
実施例14
図15(実施例14)を参照されたい。いくつかの商業プロセスでは、充填剤で増量された有機パーオキシドを使用することが有用であり得る。この実施例では、シリカ充填剤において、報告された47重量%パーオキシドアッセイを有するLuperox(登録商標)101SIL45を使用した。これは自由流動性の粉末状パーオキシド配合物である。パーオキシドの粉末形態をベースとして使用し、このシリカ充填剤で増量された有機パーオキシドに様々な量の粉末状ビタミンK3を添加することにより、2つの異なる充填剤で増量されたパーオキシド配合物を作製した。全ての成分の合計重量%は、配合物で100%になる必要があることから、ビタミンK3の添加により、最終配合物におけるパーオキシドアッセイの重量%が減少した。それぞれの場合において、反応助剤をPLAポリマーに添加した。Sartomer SR351H(三官能性アクリレート助剤である「トリメチロールプロパントリアクリレート」又は「TMPTA」としても知られる)をPLAに0.5重量%で添加した。
【0154】
従って、1.0重量%(47重量%のLuperox(登録商標)101+53重量%のシリカ)及び0.5重量%のSR351HをPLAに添加した。1.0重量%(45重量%のLuperox(登録商標)101+50.8重量%のシリカ+4.2重量%のビタミンK3)で別のパーオキシド配合物及び0.5重量%のSR351HをPLAに添加した。1.4重量%(44.9重量%のLuperox(登録商標)101+49.7重量%のシリカ+5.4重量%のビタミンK3)で更に別のパーオキシド配合物及び0.5重量%のSR351HをPLAに添加した。
【0155】
Luperox(登録商標)101SIL45パーオキシドとSartomer SR351Hの使用は、180℃でのPLAの改質のための硬化剤の迅速な反応の組み合わせである。
図15に示されるように、粉末状ビタミンK3を粉末パーオキシド配合物に添加すると、PLAバイオポリマーの初期改質反応を遅くして、押出機又は溶融ブレンダー(melt blender)でのより良好でより均一な溶融混合を可能にする機能をもたらす自由に流動する扱いやすい組成物をもたらす。
図15は、増量されたパーオキシド配合物中のビタミンK3の量を調整し、且つ/又はPLAに添加された全体的なパーオキシド濃度を調整することにより、様々な度合いのPLAポリマー改質及びPLA弾性率改質反応における様々な度合いの遅延を得ることができることを示している。
【0156】
実施例15
図16(実施例15)を参照されたい。この実施例では、桐油を有機パーオキシドと組み合わせて使用することの予想外の利点は、パーオキシドを単独で使用した場合と比較して、バイオポリマー(PLA)と生分解性ポリマー(PBAT)の溶融混合物の溶融強度を大幅に増加させることであることが、実証されている。
【0157】
この実施例では、
図16のレオグラフに示されるように、PBATとPLAを組み合わせ、溶融ブレンドし、改質して弾性率(溶融強度)を増加させた。バイオ系ポリマーと生分解性ポリマーのブレンドは、PLAのPBATに対する80:20重量%の比を使用して調製した。従って、この実施例では、2つのポリマー(PLAとPBAT)を80:20重量%の比で様々な添加剤とともに使用し、Haake内部ミキサーにて150℃で溶融ブレンドした。Haakeミキサーから採取した溶融ブレンドされた組成物の試料を反応させ、RPA(登録商標)2000レオメーターにて180℃で、1°のアーク及び100cpmの周波数を使用して試験し、弾性率を前述のようにdN-m単位で測定した。
【0158】
具体的には、0.50重量%の桐油を含んで又は含まないで、0.50重量%のLuperox(登録商標)101パーオキシドを、PLAとPBAT(80:20)重量%ブレンドに添加し、当社のHaake内部ミキサーを使用して150℃において30rpmで2分間溶融混合した。次いで、これらの予備混合したPLA試料を反応させ、RPA(登録商標)2000レオメーターにて180℃で、1°のアーク歪み及び100cpmの周波数を使用して試験した。180℃でのPLA-PBATブレンドにおけるLuperox(登録商標)101と桐油の反応は、dN-m単位でのPLA及びPBATの弾性率の予想外の著しい増加をもたらした。弾性率のこの増加は、桐油をパーオキシドと組み合わせて使用することにより、ポリマーの溶融強度が増加したことを意味する。桐油とパーオキシドを使用した場合の弾性率の増加量は、0.5重量%のLuperox(登録商標)101パーオキシドのみを使用した場合よりも大幅に大きくなる。
【0159】
PLA及びPBATのこの桐油とパーオキシド改質における遅延が望まれる場合、1つ以上のビタミンK添加剤、ミルセン、CBDアイソレート、オレウロペイン又はそれらの添加剤の組み合わせを添加して、反応における望ましい遅延を得て、ポリマー改質前の溶融混合の増加を促進することができる。
【国際調査報告】