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特表2023-521759ヒトFUSタンパク質をコードする核酸及び筋萎縮性側索硬化症(ALS)の治療における使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-25
(54)【発明の名称】ヒトFUSタンパク質をコードする核酸及び筋萎縮性側索硬化症(ALS)の治療における使用
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/12 20060101AFI20230518BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20230518BHJP
   C12N 15/861 20060101ALI20230518BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20230518BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20230518BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20230518BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20230518BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20230518BHJP
   A61P 25/02 20060101ALI20230518BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230518BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20230518BHJP
   A61K 35/761 20150101ALI20230518BHJP
   A61K 38/17 20060101ALN20230518BHJP
   A61K 47/59 20170101ALN20230518BHJP
【FI】
C12N15/12 ZNA
C12N15/63 Z
C12N15/861 Z
C12N5/10
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
A61P21/00
A61P25/02
A61P43/00 111
A61K48/00
A61K35/761
A61K38/17
A61K47/59
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022561410
(86)(22)【出願日】2021-04-09
(85)【翻訳文提出日】2022-10-07
(86)【国際出願番号】 EP2021059322
(87)【国際公開番号】W WO2021205010
(87)【国際公開日】2021-10-14
(31)【優先権主張番号】20315141.0
(32)【優先日】2020-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】511074305
【氏名又は名称】インセルム(インスティチュート ナショナル デ ラ サンテ エ デ ラ リシェルシェ メディカル)
(71)【出願人】
【識別番号】500262120
【氏名又は名称】ユニヴェルシテ・ドゥ・ストラスブール
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITE DE STRASBOURG
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ドゥピュイ,リュック
(72)【発明者】
【氏名】サンファン ルイス,イマクラーダ
(72)【発明者】
【氏名】ピッキアレッリ,ジーナ
【テーマコード(参考)】
4B065
4C076
4C084
4C087
【Fターム(参考)】
4B065AA01X
4B065AA57X
4B065AA83X
4B065AA86X
4B065AA87X
4B065AA87Y
4B065AA88X
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA44
4B065CA46
4C076AA95
4C076CC01
4C076CC09
4C076CC29
4C076CC41
4C076EE59
4C084AA13
4C084BA42
4C084BA44
4C084DC50
4C084NA05
4C084NA07
4C084NA13
4C084NA14
4C084ZA221
4C084ZA941
4C084ZC411
4C087AA01
4C087AA02
4C087AA03
4C087BC83
4C087CA12
4C087NA14
4C087ZA22
4C087ZA94
4C087ZC41
(57)【要約】
発明は、イントロン6の配列番号1の配列と少なくとも69%の配列同一性を有する配列及び/又はイントロン7の配列番号2の配列と少なくとも60%の配列同一性を有する配列を含む、ヒトFUSタンパク質をコードする核酸であって、当該配列が、エクソン7のいずれかの側に位置する、核酸、ヒトFUSタンパク質をコードする当該核酸を含む組換えベクター、並びに筋萎縮性側索硬化症(ALS)の治療及び/又は予防における医薬品としてのそれらの使用に関する。発明は更に、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の予防及び/若しくは治療のための当該核酸並びに/又はベクターを含む薬学的組成物に関する。本発明は、治療的、獣医学的、及び診断的医療技術分野における用途を見出す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イントロン6の配列番号1の配列と少なくとも69%の配列同一性を有する配列及び/若しくはイントロン7の配列番号2の配列と少なくとも60%の配列同一性を有する配列、並びに/又はヒトFUSタンパク質に結合することが可能な、配列番号1若しくは配列番号2の配列内の少なくとも1つの保存されたRNAモチーフを含む、ヒトFUSタンパク質をコードする核酸であって、
前記配列が、エクソン7のいずれかの側に位置する、
核酸。
【請求項2】
配列番号1の配列と少なくとも69%の配列同一性を有する前記配列が、配列番号3、配列番号4、又は配列番号19の配列からなる群から選択される、請求項1に記載の核酸。
【請求項3】
配列番号2の配列と少なくとも60%の配列同一性を有する前記配列が、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、又は配列番号20の配列からなる群から選択される、請求項1に記載の核酸。
【請求項4】
ヒトFUSタンパク質に結合することが可能な、配列番号1の配列内のモチーフを有する前記配列が、配列番号54及び配列番号55の配列からなる群から選択される、請求項1に記載の核酸。
【請求項5】
ヒトFUSタンパク質に結合することが可能な、配列番号2の配列内のモチーフを有する前記配列が、配列番号56、配列番号57、配列番号58、及び配列番号59の配列からなる群から選択される、請求項1に記載の核酸。
【請求項6】
前記配列が、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46、配列番号47、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52、及び配列番号53の配列からなる群から選択される配列である、請求項1~5のいずれか一項に記載の核酸。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の核酸を含む、組換えベクター。
【請求項8】
アデノウイルス、プラスミド、YAC(酵母人工染色体)、又はBAC(細菌人工染色体)であることを特徴とする、請求項7に記載のベクター。
【請求項9】
アデノウイルスであることを特徴とする、請求項7又は8に記載のベクター。
【請求項10】
筋萎縮性側索硬化症(ALS)の治療及び/又は予防における医薬品として使用するための、請求項1~6のいずれか一項に記載の核酸。
【請求項11】
筋萎縮性側索硬化症(ALS)の治療及び/又は予防における医薬品として使用するための、請求項7~9のいずれか一項に記載の組換えベクター。
【請求項12】
治療有効量の、請求項1~6のいずれか一項に記載の核酸、及び/又は請求項7~9のいずれか一項に記載の担体を含む、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の予防及び/又は治療のための、薬学的組成物。
【請求項13】
請求項1~4のいずれか一項に記載の核酸、及び/又は請求項5~7のいずれか一項に記載のベクターを含む、宿主細胞。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明は、イントロン6の配列番号1の配列と少なくとも69%の配列同一性を有する配列及び/又はイントロン7の配列番号2の配列と少なくとも60%の配列同一性を有する配列を含むヒトFUSタンパク質をコードする核酸であって、当該配列が、エクソン7のいずれかの側に位置する、核酸、ヒトFUSタンパク質をコードする当該核酸を含む組換えベクター、及び筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis、ALS)の治療並びに/又は予防における医薬品としてのそれらの使用に関する。発明はまた、当該核酸及び/又はベクターを含む宿主細胞に関する。発明は更に、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の予防及び/若しくは治療のための当該核酸並びに/又はベクターを含む薬学的組成物に関する。
【0002】
本発明は、治療的、獣医学的、及び診断的医療技術分野における用途を見出す。
【0003】
以下の説明では、角括弧([])内の参照は、本文書の終わりの参照文献のリストを指す。
【背景技術】
【0004】
運動ニューロン疾患(motor neuron disease、MND)又はLou Gehrig病としても引用される筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、60歳頃に発症する、脳幹、脊髄、及び運動皮質における運動ニューロンの変性が関与する。運動ニューロン喪失の結果としては、筋力低下及び筋肉萎縮が挙げられる。主要な症状は、発症部位に応じて、上肢、下肢、又は顔及び首の筋肉に影響を与える。言い換えれば、筋萎縮性側索硬化症(ALS)に罹患している人々は、効率的な動きを誘発する能力が徐々に失われ、これが最高潮に達すると、死亡を引き起こす呼吸能力を喪失する。
【0005】
筋萎縮性側索硬化症(ALS)に関与する原因及び生物学的機序は、分かっていない。しかしながら、この疾患は、遺伝的及び環境的寄与の両方が関与すると思われる。具体的には、ALS症例のサブセットは優勢遺伝であり、これらのいわゆる家族性ALS症例(familial ALS、fALS)における遺伝的寄与を実証している。fALS患者は、通常、早期には運動症状を発症し、平均余命は、非家族性(いわゆる孤発性)患者よりも短い。罹患した人々のうちのほとんどは、約50~60歳で運動症状を発症するが、40歳未満で発症する症例もある。欧州では、疾患は、1年につき100,000人当たり約2~3人の人々が新たに罹患する。
【0006】
罹患すると、平均生存時間は、約2~6年である。今日まで、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の病因を治療するための治療及び/又は手段は存在しない。現在、2つの治療のみが規制機関によって承認されている。リルゾールは、機能は改善されないが、寿命を延長するのに適度な効果を有する一方で、エダラボンは、患者の小サブセットにおいて中等度に防御活性を示している。ALS患者はまた、快適なケアとみなすことができる、症状の進行を管理するためのいくつかの治療を受けている。新しい効率的な薬物を開発することが失敗する理由は、ALSがむしろ、完全に異なる原因を有し、かつ最終段階で同様の臨床的状況に収束する機序を有する複数の疾患の大要であるという事実に依拠し得る。したがって、例えば、病因学的機序を標的とする新しい治療戦略を開発することが非常に必要である。
【0007】
したがって、従来技術の短所、欠点、及び障害を克服する化合物及び/又は方法、特に
筋萎縮性側索硬化症(ALS)を治療及び/若しくは予防するための化合物並びに/又は方法に対する現実的な必要性が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第83/004261号
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Scekic-Zahirovic J,Sendscheid O,El Oussini H,et al.Toxic gain of function from mutant FUS protein is crucial to trigger cell autonomous motor neuron loss.EMBO J 2016;35(10):1077-97
【非特許文献2】Mitchell JC,2013「Overexpression of human wild-type FUS causes progressive motor neuron degeneration in an age-and dose-dependent fashion」Acta Neuropathologica volume 125,pages273-288(2013 DOI:10.1007/s00401-012-1043-z
【非特許文献3】Murray E.J.(ed.),Methods in Molecular Biology,Vol.7,Gene Transfer and Expression Protocols,Humana Press(1991)
【非特許文献4】Johnston,Nature,346:776-777(1990)
【非特許文献5】Brash et al.,Mol.Cell Biol.,7:2031-2034(1987)
【非特許文献6】Smith and Waterman,Adv.Appl.Math.,2:482(1981)
【非特許文献7】Needleman and Wunsch,J.Mol.Biol.,48:443(1970)
【非特許文献8】Pearson and Lipman,Proc.Nat.Acad.Sci U.S.A.,85:2444(1988)
【非特許文献9】カタログhttp://www.promega.com/vectors/mammalian_express_vectors.htm
【非特許文献10】http://www.qiagen.com/pendantview/qiagenes.aspx?gaw=PROTQIAgenes0807&gkw=mammalian+expression
【非特許文献11】http://www.scbt.com/chap_exp_vectors.php?type=pCruzTM%20Expression%20Vectors
【非特許文献12】Naso et al 2017,「Adeno-Associated Virus(AAV)as a Vector for Gene Therapy」,BioDrugs.2017 Aug;31(4):317-334.doi:10.1007/s40259-017-0234-5
【非特許文献13】Zincarelli 2008「Analysis of AAV Serotypes 1-9 Mediated Gene Expression and Tropism in Mice After Systemic Injection」Mol Ther.2008 Jun;16(6):1073-80.doi:10.1038/mt.2008.76.Epub 2008 Apr 15
【非特許文献14】Parkinson J1,Blaxter M.「Expressed sequence tags:an overview.」Methods Mol Biol.2009;533:1-12.doi:10.1007/978-1-60327-136-3_1
【非特許文献15】Krutzfeldt J,Rajewsky N,Braich R,Rajeev KG,Tuschl T,Manoharan M,Stoffel M.Nature.2005 Dec 1;438(7068):685-9.Epub 2005 Oct 30
【非特許文献16】Zhou et al.(「ALS-associated FUS mutations result in compromised FUS alternative splicing and autoregulation」.October 2013,Volume 9,Issue 10,e1003895)
【非特許文献17】Retrovirus-mediated gene transfer and expression cloning:powerful tools in functional genomics.Exp Hematol.2003 Nov;31(11):1007-14.Kitamura T,Koshino Y,Shibata F,Oki T,Nakajima H,Nosaka T,Kumagai H.Retroviral vector designed for expression cloning and efficient gene transfer
【非特許文献18】Scekic-Zahirovic J,Oussini HE,Mersmann S,et al.Motor neuron intrinsic and extrinsic mechanisms contribute to the pathogenesis of FUS-associated amyotrophic lateral sclerosis.Acta Neuropathol 2017;133(6):887-906
【非特許文献19】Jelena Acta Neuropathol 2017
【非特許文献20】Vandesompe et al 2002
【非特許文献21】Lopez-Erauskin J,Tadokoro T,Baughn MW,et al.ALS/FTD-Linked Mutation in FUS Suppresses Intra-axonal Protein Synthesis and Drives Disease Without Nuclear Loss-of-Function of FUS.Neuron 2018;100(4):816-30 e7
【発明の概要】
【0010】
本発明は、イントロン6の配列番号1の配列と少なくとも69%の配列同一性を有する配列及び/若しくはイントロン7の配列番号2の配列と少なくとも60%の配列同一性を有する配列、並びに/又はヒトFUSタンパク質に結合することが可能な、配列番号1若しくは配列番号2の配列内の少なくとも1つの保存されたRNAモチーフを含む、ヒトFUSタンパク質をコードする核酸を提供することによって、従来技術の欠点及び不便を克服することを可能にする。
【0011】
発明者らは、驚くべきことにかつ予想外に、発明による核酸が、ALSに罹患している人々を治療するのに有用であることを実証した。具体的には、発明者らは、驚くべきことに、本発明の核酸が、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、具体的には、FUS遺伝子における変異に関連するALSの重度の若年性形態を罹患している患者の筋萎縮性側索硬化症(ALS)を治療及び治癒を可能にすることを実証した。
【0012】
具体的には、発明者らは驚くべきことに、発明が、野生型タンパク質の過剰な毒性産生を回避しながら、変異体タンパク質を減少させ、同時に正常な生理学的に活性な野生型タ
ンパク質で十分に満たすことが可能であることを実証した。
【0013】
具体的には、FUS遺伝子における変異は、生理学的に核変異したFUSタンパク質の細胞質蓄積をもたらすことが知られている。FUSの細胞質蓄積は、生殖細胞系変異に関連しないが、ほとんどのALS症例(Tyzack 2019)及び前頭側頭型認知症に罹患している症例の大サブセット(Urwin 2010)において広汎な現象である。生殖細胞系変異に関連する場合、変異の毒性は、細胞質FUSの蓄積及び核FUSの同時喪失の両方に由来することが実証されている。実際、細胞質FUSの毒性は、繰り返し実証されており(例えば、非特許文献1[10])、核FUSの喪失は、ニューロン及びシナプスに対して全体的に毒性であるいくつかの転写異常をもたらす。
【0014】
発明者らは、FUS変異によって媒介されるALSの効率的な治療が、核機能の喪失を補正するだけでなく、細胞質蓄積の増加を予防するであろうことを実証した。cDNAが推進する過剰発現系を通じたFUSタンパク質の単純な過剰発現は、原則的に、機能の喪失を救済し得るが、変異体対立遺伝子からの毒性細胞質FUSの蓄積を回避することは予想されず、最も重要なことに、ニューロンに対して非常に毒性が高いことが示されている(非特許文献2[12])。
【0015】
発明者らは、驚くべきことに、ヒトFUS遺伝子をコードする核酸、好ましくはヒトFUS遺伝子をコードする完全長核酸が、毒性を全く伴わずに相乗的に、変異したFUSの細胞質蓄積を予防し、核内にFUSを回復させることが可能であることを実証した。具体的には、本発明は、従来より使用されている過剰発現系とは対照的に毒性を全く誘発しない。
【0016】
発明者らは、驚くべきことに、核酸を提供することが、相同的なFus変異を担持するマウスの出生周辺期の致死性を完全に救済し(図1)、ヘテロ接合型Fus変異体マウスにおいて観察される運動欠陥を救済する(図2)のに十分であることを実証した。驚くべきことにかつ有利なことに、救済は、核及び細胞質画分の生化学的分別、免疫組織化学、並びに免疫蛍光から判断して、細胞質FUS蓄積の完全な逆転と関連する(図3)。cDNAによって推進される野生型FUSタンパク質過剰発現自体は非常に毒性が高いため、2年齢まで、毒性が治療されたトランスジェニックマウスにおいて全く観察されなかったことは、特に衝撃的かつ驚くべきことである(非特許文献2[12])。発明者らは、提供される核酸がゲノム構築物を含むという事実に起因して毒性がなく、FUS遺伝子の自己調節を可能にし、制御されないFUSレベルの有害な影響を回避することを実証した。
【0017】
本発明において、発明によるヒトFUSタンパク質をコードする核酸は、イントロン6の配列番号1の配列と、少なくとも69% 70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、又は100%の配列同一性を有する核酸配列を含み得る。それは、例えば、配列番号3、配列番号4、又は配列番号19の配列の核酸であり得る。
【0018】
本発明において、発明によるヒトFUSタンパク質をコードする核酸が、イントロン6の配列番号1の配列と、少なくとも69% 70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、又は100%の配列同一性を有する核酸配列を含む場合、イントロン6の配列番号1の配列と同一性を有する当該配列は、エクソン7の前に位置し得る。
【0019】
本発明において、発明によるヒトFUSタンパク質をコードする核酸は、配列番号2の配列と、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、又
は100%の配列同一性を有する核酸配列を含み得る。それは、例えば、配列番号5,配列番号6、配列番号7、配列番号8、又は配列番号20の配列の核酸であり得る。
【0020】
本発明において、発明によるヒトFUSタンパク質をコードする核酸が、配列番号2の配列と、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、又は100%の配列同一性を有する核酸配列を含む場合、配列番号2の配列と同一性を有する当該配列は、エクソン7の後に位置し得る。
【0021】
本発明において、発明によるヒトFUSタンパク質をコードする核酸は、ヒトFUSタンパク質に結合することが可能な、配列番号1又は配列番号2の配列内の少なくとも1つの保存されたRNAモチーフを含み得る。有利なことに、少なくとも1つの保存されたRNAモチーフは、エクソン7の前又は後に位置し得る。2つ以上の保存されたRNAモチーフが存在する場合、少なくとも1つの保存されたRNAモチーフは、エクソン7の前に位置し得、少なくとも1つの保存されたRNAモチーフは、エクソン7の後に位置し得る。モチーフは、約180個の核酸~約450個の核酸の配列を有する核酸であり得る。それは、例えば、約198~396個の核酸の配列を有する核酸であり得る。例えば、モチーフが、イントロン6の配列番号1の配列内である場合、配列番号54及び配列番号55の配列、又は配列がヒトFUSタンパク質に結合する能力を保持する限り、当該配列と少なくとも90%の同一性を有する配列からなる群から選択され得る。モチーフが、イントロン7の配列番号2の配列内である場合、配列番号56、配列番号57、配列番号58、及び配列番号59の配列、又は配列がヒトFUSタンパク質に結合する能力を保持する限り、当該配列と少なくとも90%の同一性を有する配列からなる群から選択され得る。発明の核酸におけるモチーフの数は、1、又は2、又は3、又は4、又は5、又は6、又は7、又は8、又は9、又は10、又はそれ以上であり得る。有利なことに、発明の核酸におけるモチーフの数は、1~6で構成される。
【0022】
有利なことに、発明によるヒトFUSタンパク質をコードする核酸は、FUSが結合するRNAモチーフに加えて、エクソンの両側のいくつかの配列、例えば、イントロン6の始めの99個のヌクレオチド、及び/又はイントロン6の末端の136個のヌクレオチド、及び/又はイントロン7の始めの76個のヌクレオチド、及び/又はイントロン7の末端の125個のヌクレオチドを含み得る。特定の作用機序に束縛されることを望むものではないが、これらの配列は、その自己調節に重要なものであり得るFUSの調節配列であり得る。
【0023】
本発明において、発明によるヒトFUSタンパク質をコードする核酸は、イントロン6の配列番号1の配列と少なくとも69%の配列同一性を有する配列、イントロン7の配列番号2の配列と少なくとも60%の配列同一性を有する配列、及びヒトFUSタンパク質に結合することが可能な、配列番号1又は配列番号2の配列内の少なくとも1つの保存されたRNAモチーフの中から選択される少なくとも1つの配列を含み得、当該少なくとも1つの配列が、エクソン7のいずれかの側に位置する。
【0024】
本発明において、発明によるヒトFUSタンパク質をコードする核酸は、イントロン6の配列番号1の配列と少なくとも69%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、又は100%の配列同一性を有する配列、及びイントロン7の配列番号2の配列と少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、又は100%の配列同一性を有する配列、及びヒトFUSタンパク質に結合することが可能な、配列番号1又は配列番号2の配列内の少なくとも1つの保存されたRNAモチーフを含み得、当該配列が、エクソン7のいずれかの側に位置する。それは、例えば、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46、配列番号47、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52、及び配列番号53の配列の、ヒトFUSタンパク質をコードする核酸であり得る。
【0025】
本発明において、ヒトFUSタンパク質をコードする核酸における核酸配列、例えば配列番号1及び/又は2の配列の位置は、5’から3’の方向への配列の位置を指し得る。
【0026】
本発明において、ヒトFUSをコードする遺伝子は、FUSの変異していないヒト遺伝子及び/又は野生型ヒト遺伝子を意味する。染色体16(遺伝子ID:2521)に位置する、I配列番号10の配列。本明細書で使用される場合、「野生型」という用語は、天然に存在する供給源から単離される場合、その遺伝子又は遺伝子産生物の特徴を有する遺伝子又は遺伝子産生物を指す。野生型遺伝子又は遺伝子産生物(例えば、ポリペプチド)は、集団で最も頻繁に観察され、したがって、遺伝子の「正常」又は「野生型」形態に任意に設計されている。
【0027】
本発明において、ヒトFUSをコードする変異した遺伝子は、野生型形態と比較して任意の変形を有する一次配列を担持するヒトFUSタンパク質をコードする遺伝子の任意の形態を意味する。それは、変異したヒトタンパク質FUS、例えば、疾患に関連する、例えば、タンパク質のC末端領域における変異を有するヒトタンパク質FUSタをもたらし得る任意の変異であり得る。
【0028】
別段文脈が必要としない限り、本明細書及び特許請求の範囲を通じて、「含む(comprise)」という単語及び「含む(comprises)」及び「含むこと(comprising)」などのその変形は、「限定されないが、含む」のようなものである、開放的な包含する意味として解釈されるものである。
【0029】
「からなる」は、「からなる」という語句に続くものを含み、それらに限定されることを意味する。したがって、「からなる」という語句は、列挙された要素が、必要又は必須であり、他の要素が全く存在しなくてもよいことを示す。
【0030】
「本質的にからなる」は、語句の後に列挙され、列挙された要素に対する開示において指定された活性又は作用に干渉しないか又は寄与しない他の要素に限定される任意の要素を含むことを意味する。したがって、「本質的にからなる」という語句は、列挙された要素が必要又は必須であるが、他の要素が任意選択的であり、列挙された要素の活性又は作用に影響を与えるかどうかに応じて存在しても存在しなくてもよいことを示す。
【0031】
現在では、本明細書で使用される「単離された」という用語及びその文法的同等物は、その天然環境からの核酸の除去を指す。
【0032】
現在では、本明細書で使用される「精製された」という用語及びその文法的同等物は、純度が増加されている、天然から除去された(ゲノムDNA及びmRNAを含む)、又は合成された(cDNAを含む)、及び/又は実験室条件下で増幅された分子又は組成物を指し、「純度」が、比較条件であり、「絶対純度」ではない。しかしながら、核酸及びタンパク質は、希釈剤又はアジュバントと共に製剤化され得、依然として実用的な目的のために単離され得ることが理解されるものである。例えば、核酸は、細胞への導入に使用される場合、許容可能な担体又は希釈剤と混合され得る。
【0033】
現在では、本明細書で使用される「実質的に精製された」という用語及びその文法的同等物は、核酸、ポリペプチド、タンパク質、又は他の化合物が天然に関連する、ポリヌクレオチド、タンパク質、ポリペプチド、及び他の分子を実質的に含まない、すなわち、約50%超、約70%超、約90%超含まない、核酸配列、ポリペプチド、タンパク質、又は他の化合物を指す。
【0034】
現在では、本明細書で使用される「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」、「核酸」、「ヌクレオチド」、「ポリ核酸」、又は任意の文法的同等物は、任意の長さのポリマー形態のヌクレオチド又は核酸、リボヌクレオチド又はデオキシリボヌクレオチドのいずれかを指す。この用語は、分子の一次構造のみを指す。したがって、この用語は、二本鎖及び一本鎖DNA、三本鎖DNA、並びに二本鎖及び一本鎖RNAを含む。それはまた、例えば、メチル化によって、及び/又はキャッピングによって修飾されたポリヌクレオチド、並びに非修飾形態のポリヌクレオチドを含む。この用語はまた、非天然に生じるヌクレオチド、又は合成ヌクレオチド、並びにヌクレオチド類似体を含む分子を含むことを意味する。本明細書で開示又は企図される核酸配列及びベクターは、例えば、トランスフェクション、形質転換、又は形質導入によって細胞に導入され得る。
【0035】
現在では、「トランスフェクション」、「形質転換」、又は「形質導入」は、物理的又は化学的方法を使用することによって、1つ以上の外因性ポリヌクレオチドを宿主細胞へ導入することを指す。それは、当業者に既知の適合させた、任意のトランスフェクション及び/又は形質転換及び/又は形質導入方法であり得る。それは、例えば、リン酸カルシウムDNA共沈(例えば、非特許文献3[1]を参照されたい)、DEAE-デキストラン、電気穿孔法、カチオン性リポソームによって媒介されるトランスフェクション、タングステン粒子によって促進されるパーティクルガン方法(microparticle bombardment)(非特許文献4[2])、及びストロンチウムリン酸DNA共沈(非特許文献5)であり得る。ファージ、ウイルス、又は非ウイルスベクターは、好適なパッケージング細胞における感染性粒子の成長後に宿主細胞に導入され得、それらのうちの多くが市販されている。いくつかの実施形態では、1つ以上の外因性ポリヌクレオチドを宿主細胞に導入するために、リポフェクション、ヌクレオフェクション、又は一時的な膜破壊(例えば、電気穿孔法又は変形)が使用され得る。
【0036】
現在では、本明細書で使用される「保存されたRNAモチーフ」は、ヒトFUS遺伝子と同一の配列を示し、ヒトFUSタンパク質に結合することが可能な配列を指す。
【0037】
現在では、本明細書で使用される「ポリペプチド」、「ペプチド」、及びそれらの文法的同等物は、アミノ酸残基のポリマーを指す。
【0038】
現在では、「機能性タンパク質」は、生物学的に活性であり、任意選択的に、所与の細胞環境において、タンパク質には典型的なグリコシル化又は他の修飾を含むタンパク質である。
【0039】
本明細書に開示のポリペプチド及びタンパク質(機能性部分及びその機能性バリアントを含む)は、1つ以上の天然に存在するアミノ酸の代わりに合成アミノ酸を含み得る。それは、当業者に既知の任意の合成アミノ酸であり得、例えば、アミノシクロヘキサンカルボン酸、ノルロイシン、a-アミノn-デカン酸、ホモセリン、S-アセチルアミノメチル-システイン、トランス-3-及びトランス-4-ヒドロキシプロリン、4-アミノフェニルアラニン、4-ニトロフェニルアラニン、4-クロロフェニルアラニン、4-カルボキシフェニルアラニン、β-フェニルセリンβ-ヒドロキシフェニルアラニン、フェニルグリシン、a-ナフチルアラニン、シクロヘキシルアラニン、シクロヘキシルグリシン、インドリン-2-カルボン酸、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸、アミノマロン酸、アミノマロン酸モノアミド、N’-ベンジル-N’-メチル-リジン、Ν’,Ν’-ジベンジル-リジン、6-ヒドロキシリジン、オルニチン、a-アミノシクロペンタンカルボン酸、a-アミノシクロヘキサンカルボン酸、a-アミノシクロヘプタンカルボン酸、a-(2-アミノ-2-ノルボルナン)-カルボン酸、α,γ-ジアミノ酪酸、α,β-ジアミノプロピオン酸、ホモフェニルアラニン、並びにa-tert-ブチルグリシンであり得る。
【0040】
現在では、ポリペプチド及びタンパク質は、当業者に既知の任意の翻訳後修飾を含み得る。それは、例えば、翻訳後修飾を有する1つ以上のアミノ酸を含み得る。1つ以上のアミノ酸の翻訳後修飾は、例えば、リン酸化、アセチル化及びホルミル化を含むアシル化、グリコシル化(N結合及びO結合を含む)、アミド化、ヒドロキシル化、メチル化及びエチル化を含むアルキル化、ユビキチン化、ピロリドンカルボン酸の付加、ジスルフィド架橋の形成、硫酸化、ミリストイル化、パルミトイル化、イソプレニル化、ファルネシル化、ゲラニル化、グリピエーション、リポイル化、並びにヨウ素化であり得る。
【0041】
現在では、核酸及び/又は核酸配列は、天然に又は人工的に核酸配列に由来する場合、「相同」とみなされ得る。
【0042】
現在では、タンパク質及び/又はタンパク質配列は、それらがコードするDNAが天然に又は人工的に核酸配列に由来する場合、「相同」である。例えば、本明細書に記載のタンパク質は、当業者に既知の任意の利用可能な適合させた変異誘発方法によって修飾され得る。例えば、発現する場合、変異誘発された核酸は、元の核酸によってコードされるタンパク質に相同であるポリペプチドをコードする。相同性は、一般に、2つ以上の核酸又はタンパク質(又はそれらの配列)間の配列同一性から推測される。相同性を確立するのに有用である配列間の同一性の正確なパーセンテージは、本発明の核酸及びタンパク質によって変動し、例えば、少なくとも25%、例えば、少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、又は99%の配列同一性のパーセンテージであり得る。
【0043】
配列同一性のパーセンテージは、当業者に既知の任意の方法によって決定され得る。それは、例えば、デフォルトパラメータを使用して、例えば、BLASTP及びBLASTNの使用によって決定され得る。
【0044】
現在では、相同分子は、ホモログとも呼ばれ得る。
【0045】
現在では、本明細書で使用される「同一」及びその文法的同等物、並びに/又は2つの核酸配列若しくはポリペプチドの2つのアミノ酸配列の文脈における「配列同一性」という用語は、最大に対応するように整列された時に少なくとも20個の連続する核酸又はアミノ酸の配列長にわたって同じである配列である、残基を指す。それは、例えば、少なくとも約50個少なくとも200個の連続する核酸又はアミノ酸の配列長にわたって最大に対応するように整列された時に同じである、2つの配列であり得る。配列の同一性は、2つの配列を最適に整列させた後に、同じ数の連続する位置の参照配列に対して配列を比較することによって決定され得る。
【0046】
参照配列に対する配列の同一性の決定及び/又は比較は、当業者に既知の任意の適合させた方法及び/又はプロセスを用いて実行され得る。それは、例えば、比較のために配列を整列させる方法、例えば、非特許文献6[4]の局所相同性アルゴリズムを使用する;非特許文献7[5]の整列アルゴリズムを使用する;非特許文献8[6]の同様の方法の検索を使用する;これらのアルゴリズムのコンピュータ化された実装、例えば、Intelligences、Mountain View CalifによるPC/Geneプ
ログラムでのCLUSTAL、GAP、BESTFIT、BLAST、FASTA、及びWisconsin Genetics Software Package,Genetics Computer Group(GCG)、575 Science Dr.,Madison,Wis.,U.S.A.)のTFASTAを使用する、配列を整列させる方法であり得るまた、整列は、多くの場合、検査及び手動整列によって実施される。
【0047】
現在では、核酸は、当業者に既知である任意の適合させた方法によって産生及び/又は得ることができる。例えば、核酸は、BigDye(登録商標)Terminator v3.1 Cycle Sequencing Kit(thermofisher、4337454)を使用して合成され得る。
【0048】
本発明の別の目的は、上に説明されるように、イントロン6の配列番号1の配列と少なくとも69%の配列同一性を有する配列及び/若しくはイントロン7の配列番号2の配列と少なくとも60%の配列同一性を有する配列、並びに/又はヒトFUSタンパク質に結合することが可能な、配列番号1若しくは配列番号2の配列内の少なくとも1つの保存されたRNAモチーフを含む、ヒトFUSタンパク質をコードする核酸を含む、組換えベクターである。
【0049】
発明によれば、ベクターは、核酸の発現に適合させた、当業者に既知の任意のベクターであり得る。それは、例えば、非特許文献9[10]、又は非特許文献10[11]、又は他非特許文献11[12]に列挙されているベクターから選択される任意のベクターであり得る。それは、例えば、文書特許文献1[13]に記載の発現ベクターであり得る。ベクターは、例えば、アデノ随伴ウイルス(Adeno-associated Virus、AAV)ベクター、プラスミド、酵母人工染色体(Yeast Artificial Chromosome、YAC)、又は細菌人工染色体(Bacterial Artificial Chromosome、BAC)であり得る。
【0050】
ベクターは、当業者に既知の任意の適合させた及び/又は市販の適合させたアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターであり得る。それは、例えば、非特許文献12、及び/又は非特許文献13に開示の任意の適合させたAAVであり得る。それは、例えば、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、又はAAV10(AAVrh.10)を含む群から選択されるアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター。好ましくはAAV9であり得る。
【0051】
ベクターは、当業者に既知の任意の適合させた及び/又は市販のプラスミドであり得る。それは、例えば、pMX、pUC19、pHP45-CmR、pcDNA3.1(+)、pcDNA3.3-TOPO、pcDNA3.4-TOPO、pFastBac1、pET100/D-TOPO、pET151/D-TOPO、pRSET A、pYes2.1V5-His TOPO、pDONR221、pGEX-3X、好ましくはpcDNA3.1(+)を含む群から選択されるプラスミドであり得る。
【0052】
ベクターは、当業者に既知の任意の適合させた酵母人工染色体であり得る。それは、例えば、pYAC-RC、pYAC3を含む群から選択される酵母人工染色体であり得る。
【0053】
ベクターは、当業者に既知の任意の適合させた細菌人工染色体であり得る。それは、例えば、pUvBBAC、pCC1BAC、pBAC 108Lを含む群から選択される細菌人工染色体であり得る。
【0054】
ベクターは、ポリヌクレオチド配列、例えば、以下を5’から3’の順序で、
プロモーター配列、
発明のヒトFUSをコードする核酸配列、及び
ポリアデニル化(ポリA)配列を含む、発現カセットを含み得る。
【0055】
プロモーターは、当業者に既知の任意のプロモーターであり得る。それは、例えば、ハウスキーピング遺伝子のプロモーター、ウイルス遺伝子のプロモーター、組織特異的プロモーター、ニューロンを標的とするプロモーター、筋肉を標的とするプロモーターであり得る。
【0056】
それは、例えば、を含む群から選択されるハウスキーピング遺伝子のプロモーターであり得る。
【0057】
それは、例えば、CMVプロモーターを含む群から選択されるウイルス遺伝子のプロモーターであり得る。
【0058】
それは、例えば、組織特異的プロモーター、例えば神経組織及び/又は神経細胞特異的プロモーターであり得る。それは、例えば、NSE、Camk2a、Thy1、Fezf2、Crymプロモーターを含む群から選択されるプロモーターであり得る。それは、例えば、組織特異的プロモーター、例えば筋肉組織及び/又は筋肉細胞特異的プロモーターであり得る。それは、例えば、myoD、myf5、MyoG、Desminプロモーターを含む群から選択されるプロモーターであり得る。
【0059】
ベクターは、タグタンパク質をコードする核酸配列を更に含み得る。それは、例えば、当業者に既知のタグタンパク質をコードする任意の核酸配列であり得る。それは、例えば、非特許文献14に開示の任意のタグであり得る。
【0060】
ベクターは、トランスジェニックタンパク質、例えば、別名タグを選択的に標識し得る追加の配列、例えば、HAの産生を可能にする配列(配列:YPYDVPDYA配列番号39)、myc(EQKLISEEDL配列番号40)、又はFLAG(DYKDDDDK配列番号41)タグを更に含み得る
【0061】
ベクターは、選択された宿主細胞に従って選択され得る。当業者は、その技術的知識を考慮して、宿主細胞に照らしてベクターを適合させるであろう。
【0062】
宿主細胞は、発明の核酸又はベクターの発現に好適な任意の宿主であり得る。それは、例えば、哺乳類細胞、E.coli、Pischia pastoris、Saccharomyces cerevisiae、又は昆虫細胞、例えば昆虫細胞-バキュロウイルス系、例えばバキュロウイルス発現系で使用されるSF9昆虫細胞であり得る。
【0063】
本発明の別の目的は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の治療及び/又は予防における医薬品として使用するための核酸及び/又は組換えベクター及び/又は宿主細胞である。
【0064】
筋萎縮性側索硬化症(ALS)の治療及び/又は予防における医薬品として使用するための核酸は、上に定義された発明の任意の核酸であり得る。
【0065】
筋萎縮性側索硬化症(ALS)の治療及び/又は予防における医薬品として使用するためのベクターは、上に定義された発明の任意のベクターであり得る。
【0066】
筋萎縮性側索硬化症(ALS)の治療及び/又は予防における医薬品として使用するための宿主細胞は、上に定義された発明の任意の宿主細胞であり得る。
【0067】
現在では、「治療」、「治療する」、「治療される」、又は「治療すること」という用語は、予防及び/又は治療を指し、特に、目的が、筋肉障害の発症及び/若しくは進行、並びに/又は運動ニューロンの不活性化及び/若しくは破壊などの望ましくない生理学的変化又は障害を予防又は遅らせる(軽減する)ことである。有益な又は所望の臨床的結果としては、限定されないが、検出可能であるか又は検出不可能であるかにかかわらず、症状の緩和、疾患の程度の減少、疾患状態の安定化(すなわち、悪化しないこと)、疾患の進行の遅延又は遅らせること、疾患状態の改善又は緩和、並びに寛解(部分的又は完全にかかわらず)が挙げられる。「治療」はまた、治療を受けていない場合予想される生存及び/又は生活の質と比較して、生存の延長及び/又は生活の質の増加を意味し得る。有利なことに、治療としては、以下のうちのいずれか:運動ニューロンの変化、例えば、運動ニューロンの不活性化及び/若しくは低下の減少、筋力の改善、筋肉サイズの改善、歩行する、話す、及び/若しくは呼吸する能力の変化の減少、線維束性筋収縮及び/若しくは痙攣の減少、並びに/又は歩行する、話す、体温を高める(heating)、及び/若しくは呼吸する能力の改善、体重減少、痙性、反射亢進、情動不安定などの上位運動ニューロン症状の減少を挙げることができる。
【0068】
「対象」としては、疾患若しくは障害を有すると診断された、又は疾患若しくは障害を発症するリスクがあると決定された哺乳類などの、疾患又は障害の治療を必要とする哺乳類を含む、哺乳類、例えばヒトが挙げられる。
【0069】
本発明の別の目的は、本発明の核酸及び/又はベクター及び/又は宿主細胞を含む薬学的組成物である。
【0070】
薬学的組成物中の核酸は、上で定義された発明の任意の核酸であり得る。
【0071】
薬学的組成物中のベクターは、上で定義された発明の任意のベクターであり得る。
【0072】
薬学的組成物中の宿主細胞は、上で定義された発明の任意の宿主細胞であり得る。
【0073】
薬学的組成物は、ヒト又は動物に投与することができる任意の形態であり得る。
【0074】
投与は、本発明の核酸及び/若しくはベクター及び/若しくは宿主細胞を直接、すなわち純粋若しくは実質的に純粋である状態で、又は薬学的に許容される担体及び/若しくは培地と混合した後に実行され得る。本発明によれば、薬学的組成物は、シロップ又は注射可能な溶液であり得る。本発明によれば、薬学的組成物は、液体製剤、経口発泡剤形、経口粉末、多粒子系、口内分散性剤形を含む群から選択される、経口投与用の薬学的組成物であり得る。例えば、薬学的組成物が、経口投与用である場合、溶液、シロップ、懸濁液、エマルション、及び経口ドロップを含む群から選択される液体製剤の形態であり得る。薬学的組成物が、経口発泡剤形の形態である場合、錠剤、顆粒、及び粉末を含む群から選択される形態であり得る。薬学的組成物が、経口粉末又は多粒子系の形態である場合、ビーズ、顆粒、ミニ錠剤、及び微粒剤を含む群から選択される形態であり得る。薬学的組成物が、口内分散性剤形の形態である場合、口内分散性錠剤、凍結乾燥ウェハース、薄膜、チュアブル錠、錠剤、及びカプセル、医療用チューインガムを含む群から選択される形態であり得る。本発明によれば、薬学的組成物は、例えば、頬側又は舌下錠剤、粘膜付着性調製物、トローチ、口腔用ドロップ、及びスプレーを含む群から選択される、頬側及び舌下経路用であり得る。本発明によれば、薬学的組成物は、例えば、軟膏、クリーム、ゲル、ローション、パッチ、及びフォームを含む群から選択される、局所-経皮投与用であり得る。
【0075】
本発明によれば、薬学的組成物は、例えば、鼻滴、鼻スプレー、経鼻粉末を含む群から
選択される、経鼻投与用であり得る。本発明によれば、薬学的組成物は、直腸投与用、例えば、坐剤又は硬ゼラチンカプセルであり得る。本発明によれば、薬学的組成物は、非経口投与、例えば、皮下、筋肉内、静脈内投与用であり得る。当業者は、本明細書で使用される「形態」という用語が、その実用的な使用のための薬学的製剤を指すことを明確に理解する。
【0076】
薬学的に許容される担体は、対象に応じて、ヒト又は動物へのオリゴヌクレオチド/ベクター及び/又は宿主細胞の投与に使用される任意の既知の薬学的担体であり得る。例えば、薬学的に許容される担体、希釈剤、又は賦形剤としては、限定されないが、任意のアジュバント、担体、賦形剤、流動促進剤、甘味剤、希釈剤、防腐剤、染料/着色料、香味向上剤、界面活性剤、湿潤剤、分散剤、懸濁剤、安定剤、等張剤、溶媒、又は乳化剤が挙げられる。例えば、この担体は、非特許文献15[7]に記載の群から選択され得る。
【0077】
薬学的組成物の形態は、治療されるヒト又は動物に対して選択され得る。
【0078】
別の態様では、本発明は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、具体的には若年性筋萎縮性側索硬化症(ALS)に罹患している対象を治療する方法を提供する。この方法は、発明の核酸及び/又はベクター及び/又は宿主細胞を当該対象に投与するステップを含み得る。
【0079】
発明の核酸及び/又はベクター及び/又は宿主細胞、並びに使用可能な製剤は、上で定義された通りである。投与は、当業者に既知であり、かつ核酸及び/又はベクター及び/又は宿主細胞を投与するのに有用な任意の薬学的方式を使用することによって行われ得る。投与可能な形態の医薬品の例は、上に提供されている。
【0080】
他の特色及び利点は、添付の図面を参照しながら、非限定的な説明として与えられている以下の実施例を閲読することによって、当業者に更に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0081】
図1A図1Aは、繁殖戦略のスキームであり、スキームFus+/+は、Fus遺伝子の野生型コピーを含むマウスを意味し、Fus ΔNLS/+は、核局在配列を含まない(ΔNLS)Fus遺伝子のコピー及びFus遺伝子のwtコピーを含むマウスを意味し、hFUSは、ヒト野生型FUS遺伝子のコピーを発現しているマウスを意味する。
図1B図1Bは、Fus+/+マウス、Fus ΔNLS/+マウス、ヒト野生型FUS遺伝子(hFUS)のコピーを発現しているか又は発現していないFus ΔNLS/ΔNLSマウスのウエスタンブロットの写真である。この写真において、ΔNLSは、ΔNLSタンパク質の移行線を示し、wtは、野生型マウスFusタンパク質の移行線を示し、hFUSは、野生型ヒトFusタンパク質の移行線を示す。
図1C図1Cは、異なるマウス遺伝子型:Fus+/+マウス、Fus ΔNLS/+、及びFus ΔNLS/+、hFUSのカプランマイヤー生存曲線を表す図であり、縦座標が生存パーセンテージを表し、横座標が日数を表す。
図1D図1Dは、異なるマウス遺伝子型:Fus+/+マウス、Fus ΔNLS/ΔNLS、及びFus ΔNLS/ΔNLS、hFUSのカプランマイヤー生存曲線を表す図であり、縦座標が生存パーセンテージを表し、横座標が日数を表す。
図2A】Fus+/+、及びhFUS導入遺伝子を有するか又は有しないFus ΔNLS/+マウスを用いた、四肢金網反転試験(four-limb wire inverted grid test)における、平均ぶら下がり時間の年齢依存的変化を表す曲線を含む図を表す。
図2B】Fus+/+、及びhFUS導入遺伝子を有するか又は有しないFus ΔNLS/+マウスを用いた、四肢金網反転試験(four-limb wire inverted grid test)における、把持力積(Ns)の年齢依存的変化を表す曲線を含む図を表す。
図3A】FUSタンパク質の細胞局在の分析を表す。図3Aは、1か月齢のFus+/+(+/+)、及び(hFUS)を有するか又はhFUS導入遺伝子を有しない(No Tg)Fus ΔNLS/+(Δ/+)マウスの、及びhFUS導入遺伝子を有するFus ΔNLS/ΔNLS(Δ/Δ)マウスの皮質における、FUSタンパク質細胞内局在の免疫ブロット分析の写真を表す。FUSのN末端部分(N-ter)(N-terFUS)、C末端(C-Ter)NLS FUS(C-Ter FUS)、マウスFUS、又はヒトFUSを標的とする異なる抗体を使用した代表的な結果。SOD1及びHDAC1を、それぞれ細胞質及び核タンパク質抽出物画分のローディング対照として使用する。
図3B】FUSタンパク質の細胞局在の分析を表す。図3Bは、Fus+/+(+/+)、及び(hFUS)を有するか又はhFUS導入遺伝子を有しない(No Tg)Fus ΔNLS/+(Δ/+)マウス、及びhFUS導入遺伝子を有するFus ΔNLS/ΔNLS(Δ/Δ)マウスにおける細胞質及び核画分中の、N-ter FUS、C-ter FUS、マウスFUS、及びヒトFUSタンパク質レベルの定量化を表すヒストグラムを表し、図の、は、p<0.05を意味し、***は、Fus+/+マウスに対してp<0.001を意味し、#は、p<0.05を意味し、###は、分散分析、続いてTukeyによって示されたマウス遺伝子型に対してp<0.001を意味する。
図3C】FUSタンパク質の細胞局在の分析を表す。図3Cは、Fus+/+(+/+)、及び(hFUS)を有するか又はhFUS導入遺伝子を有しない(No Tg)Fus ΔNLS/+(Δ/+)マウス、及びhFUS導入遺伝子を有するFus ΔNLS/ΔNLS(Δ/Δ)マウスの22か月齢での脊髄前角におけるUS免疫組織化学の写真を表す。
図3D】FUSタンパク質の細胞局在の分析を表す。図3Dは、抗FUS及び抗ChAT抗体を使用した、22か月齢のマウスの脊髄前角における運動ニューロンマーカーChAT及びFUS(N末端部分)の二重免疫染色の写真を表す。
図4A】細胞質及び核画分における、細胞質の非対称的な脱メチル化した(asymmetrically demethylated、ADMA)FUSの蓄積、並びにADMA-FUSタンパク質レベルの定量化の分析を表す。図4Aは、非対称的なアルギニン脱メチル化されたFUS(ADMA-FUS)を認識する抗体を使用して、1か月齢のFus+/+(+/+)、及びhFUS導入遺伝子を有するか又は有しないFus ΔNLS/+(Δ/+)マウスの、及びhFUS導入遺伝子を有するFus ΔNLS/ΔNLSマウスの皮質の細胞質及び核画分に対する非対称的なアルギニン脱メチル化されたFUSの免疫ブロット分析の写真を表し、抗HDAC1抗体を、核画分のローディング対照として使用し、抗SOD1抗体を、細胞質画分の核画分のローディング対照として使用する。
図4B】細胞質及び核画分における、細胞質の非対称的な脱メチル化した(asymmetrically demethylated、ADMA)FUSの蓄積、並びにADMA-FUSタンパク質レベルの定量化の分析を表す。図4Bは、Fus+/+(+/+)、及びhFUS導入遺伝子を有するか又は有しないFus ΔNLS/+(Δ/+)マウス、及びhFUS導入遺伝子を有するFus ΔNLS/ΔNLSマウスの細胞質及び核画分におけるADMA-FUSタンパク質レベルの定量化に対応するヒストグラムを表す。図では、**は、Fus+/+に対してp<0.01を意味し、#は、分散分析、続いてTukeyによって示された遺伝子型に対してp<0.05を意味する。
図4C】細胞質及び核画分における、細胞質の非対称的な脱メチル化した(asymmetrically demethylated、ADMA)FUSの蓄積、並びにADMA-FUSタンパク質レベルの定量化の分析を表す。図4Cは、Fus+/+(+/+)、及びhFUS導入遺伝子を有するか又は有しないFus ΔNLS/+(Δ/+)マウス、及びhFUS導入遺伝子を有するFus ΔNLS/ΔNLSマウスの脊髄前角における、運動ニューロンマーカーChAT(赤色)及び/又はADMA-FUS(C、緑色)での免疫染色の写真を表す表す。
図4D】細胞質及び核画分における、細胞質の非対称的な脱メチル化した(asymmetrically demethylated、ADMA)FUSの蓄積、並びにADMA-FUSタンパク質レベルの定量化の分析を表す。図4Dは、Fus+/+(+/+)、及びhFUS導入遺伝子を有するか又は有しないFus ΔNLS/+(Δ/+)マウス、及びhFUS導入遺伝子を有するFus ΔNLS/ΔNLSマウスの脊髄前角における、運動ニューロンマーカーChAT(赤色)及び/又はユビキチン(D、→)での免疫染色の写真を表す表す。
図5A】RT-qPCRで決定した、脊髄における遺伝子発現を表すヒストグラムを表す。図5Aは、1か月齢の脊髄における、内因性マウスFus mRNA(左)、ヒトFUS導入遺伝子(中間)、及びエクソン7が欠失した内因性Fus mRNA(右)の発現の結果を表すヒストグラムである。
図5B】RT-qPCRで決定した、脊髄における遺伝子発現を表すヒストグラムを表す。図5Bは、22か月齢の脊髄における、内因性マウスFus mRNA(左)、ヒトFUS導入遺伝子(中間)、及びエクソン7が欠失した内因性Fus mRNA(右)の発現の結果を表すヒストグラムである。
図6A】Fus+/+、hFUS導入遺伝子を有するか又は有しないFus ΔNLS/+マウス、及びhFUSを有するFus ΔNLS/ΔNLSマウスを用いた、四肢金網反転試験における、平均ぶら下がり時間の年齢依存的変化を表す曲線を含む図を表す。
図6B】Fus+/+、hFUS導入遺伝子を有するか又は有しないFus ΔNLS/+マウス、及びhFUSを有するFus ΔNLS/ΔNLSマウスを用いた、四肢金網反転試験における、把持力積(Ns)の年齢依存的変化を表す曲線を含む図を表す。
図7A】RT-qPCRで決定した、前頭皮質における遺伝子発現を表すヒストグラムを表す。図7Aは、1か月齢の脊髄における、内因性マウスFus mRNA(左)、ヒトFUS導入遺伝子(中間)、及びエクソン7が欠失した内因性Fus mRNA(右)の発現の結果を表すヒストグラムである。
図7B】RT-qPCRで決定した、前頭皮質における遺伝子発現を表すヒストグラムを表す。図7Bは、22か月齢の脊髄における、内因性マウスFus mRNA(左)、ヒトFUS導入遺伝子(中間)、及びエクソン7が欠失した内因性Fus mRNA(右)の発現の結果を表すヒストグラムである。
図8A】1か月齢~22か月齢の脊髄における、hFUSマウスを有するFus NLS/+マウスのエクソン7が欠失した内因性Fus mRNAのレベルと比較した、ヒトFUS導入遺伝子(縦座標)の発現レベルに対応する図を表す。
図8B】1か月齢~22か月齢の前頭皮質における、hFUSマウスを有するFus NLS/+マウスのエクソン7が欠失した内因性Fus mRNAのレベルと比較した、ヒトFUS導入遺伝子(縦座標)の発現レベルに対応する図を表す。
図9】プラスミドベクターpMXの概略図である。
図10A】イントロン6又は7の挿入によって、トランスフェクトHEK293細胞におけるFUS自己調節が可能になることを示す。図10A:使用したDNA構築物:Myc-エクソンは、MycエピトープによってN末端タグ付けされた、中断されていないヒトFUS ORF(エクソン1~15:E1~15)をコードする発現プラスミドであり、HA-i6は、HAエピトープでN末端タグ付けされ、エクソン6(エクソン1~6:E1~6)とエクソン7(エクソン7~15:E7~15)との間をヒトイントロン6によって中断された、ヒトFUS ORFをコードする発現プラスミドであり、HA-i7は、HAエピトープでN末端タグ付けされ、エクソン7(エクソン1~7:E1~7)とエクソン8(エクソン8~15:E8~15)との間をヒトイントロン7によって中断された、ヒトFUS ORFをコードする発現プラスミドである。
図10B】イントロン6又は7の挿入によって、トランスフェクトHEK293細胞におけるFUS自己調節が可能になることを示す。図10B:空のプラスミド又はMyc-エクソン、HA-i6、及びHA-i7構築物でトランスフェクトし、トランスフェクションの24時間後に採取したHEK293細胞。FUSタンパク質([0082]FUS)、HAエピトープ([0083]HA)、及びMycエピトープ([0084]Myc)の代表的な免疫ブロット。等しいローディングを実証するためのタンパク質ローディングは、対応するウエスタンブロットの合計タンパク質株として示される。第1のウェルは、分子量マーカーを示す。3つ全てのトランスジェニックタンパク質は、高レベルで発現する。合計FUSタンパク質レベルは、Mycエクソントランスフェクト細胞で増加するが、HA-i6及びHA-i7構築物をトランスフェクションするとFUSレベルの変化はない。
図11A】HA-i7は、トランスフェクションの48時間後に内因性FUSイントロン6保持を誘発することを示す。図11A:Myc-エクソン又はHA-i7ベクターで24時間又は48時間トランスフェクトしたHEK293細胞における、イントロン6を保持する内因性Fus mRNA。
図11B】HA-i7は、トランスフェクションの48時間後に内因性FUSイントロン6保持を誘発することを示す。図11B:Myc-エクソン、HA-i6ベクターで、24時間又は48時間トランスフェクトしたHEK293細胞における、イントロン6を保持する内因性Fus mRNA。
図12A】トランスフェクションの24時間及び48時間後に、HEK293細胞において、FUSの予想分子量で代替HAプラスミド構築物が翻訳されることを示す。使用したDNA構築物:HA-1、2、及び7は、中断されていないヒトFUS ORF(エクソン1~15:E1~15)をコードし、HAエピトープによってN末端タグ付けされ、エクソン6と7との間のイントロン6においてヒトRNA保存モチーフによって中断されている、発現プラスミドである。HA-3~6及びHA-8は、中断されていないヒトFUS ORF(エクソン1~15:E1~15)をコードし、HAエピトープによってN末端タグ付けされ、エクソン7と8との間のイントロン7においてヒトRNA保存モチーフによって中断されている、発現プラスミドである。HA-9~12は、中断されていないヒトFUS ORF(エクソン1~15:E1~15)をコードし、HAエピトープによってN末端タグ付けされ、イントロン6及び7においてヒトRNA保存モチーフによって中断されている、発現プラスミドである。RNA保存モチーフは、FUSイントロン6-エクソン7-イントロン7領域におけるCLIPタグのマッピングを示す、非特許文献16に基づく。
図12B】トランスフェクションの24時間及び48時間後に、HEK293細胞において、FUSの予想分子量で代替HAプラスミド構築物が翻訳されることを示す。24時間及び48時間の間の3つの独立した時間、空のMyc-エクソン及びHA-1~12ベクターでトランスフェクトした、HEK293細胞におけるHAタンパク質レベル。
【0082】
同等物
以下の代表的な実施例は、発明の説明を援助することを意図しており、発明の範囲を限定することを意図するものでなく、また限定すると解釈されるべきではない。実際、本明細書に示され記載されるものに加えて、発明の様々な修正及びそれらの多くの更なる実施形態は、以下の実施例、並びに本明細書で引用される科学的文献及び特許文献に対する参照文献を含む本文書の全内容から当業者に明らかになるであろう。これらの引用された参照文献の内容は、当該技術分野の状態の説明を補助するために、参照により本明細書に組み込まれることが更に理解されるべきである。
【0083】
以下の実施例は、その様々な実施形態及びそれらの同等物における本発明の実施に適合させることができる重要な追加の情報、例示、及びガイダンスを含有する。
【0084】
例示
本発明及びその用途は、発明の製品及び医薬的使用が実施されるために低減され得る実施形態のうちのいくつかを説明する実施例によって更に理解され得る。しかしながら、こ
れらの実施例は発明を限定するものではないことが理解されるであろう。現在既知であるか又は更に開発される発明の変形は、本明細書に記載され以下特許請求される本発明の範囲内にあるとみなされる。
【実施例
【0085】
実施例1:核酸及び当該核酸を含むベクター
GeneArt Gene Synthesis製品及びサービス形態サーモフィッシャーサイエンティフィック(thermofisher scientific)に開示されているように、核酸及び組換えベクターを、調製し、得る。
【0086】
使用した核酸は、配列番号1~20であった。必要に応じて、プラスミドとの訴訟の制限部位Not1(GCGGCCGC)及びXba1(TCTAGA)の配列を含んで、核酸を調製した。調製した核酸は、5μgの凍結乾燥プラスミドDNAである。
【0087】
使用したベクターは、図9に表され、非特許文献17に記載のプラスミドベクターpMXである。pMXベクターは、MMLVの5つの長末端反復(long terminal repeat、LTR)、及びMFGに由来する伸長パッケージングシグナル、続いて、cDNAライブラリ構築に好適なマルチクローニング部位(multi-cloning site、MSC)、及び3つのLTRを有する。
【0088】
10ngのDNAを、50μlのコンピテントセル(Invitrogen、18265-017)と共に氷上で30分インキュベートした。42℃の水浴中で20秒間、ヒートショックを実施した。次いでチューブを氷上に2分間置き、次いで37℃で1時間培地と共に225rpmでインキュベートした。その後、抗生物質を含む寒天培養を37℃で一晩実施した。単一コロニーを、37℃で一晩、225rpmで抗生物質を含む液体培養物に接種し、次いで、製造業者の推奨事項(Qiagen、12643)を使用して、プラスミドミジキット(midi kit)を実施した。
【0089】
実施例2:ヒトFUSタンパク質イントロン6及び/又は配列イントロン7をコードする核酸を用いたFUS-ALSのマウスモデルのインビボ治療
材料及び方法
マウスモデル及び遺伝子型決定
マウス実験は、参照番号2016111716439395にてStrasbourg
University(CREMEAS)からの地方倫理委員会によって承認された。
【0090】
使用したベクターは、配列番号10のヒトFUSをコードする核酸配列を含むBACである。トランスジェニックマウスを非特許文献1[10]及び非特許文献18[11]に記載のように生成し、Charles River動物施設で繁殖させ、Strasbourg Universityの医学部において、12/12時間の光/暗サイクル(午前7:00に明所)で一定条件下(21±1℃、60%の湿度)、及び餌及び水へのアクセスを制限せずに収容した。
【0091】
尾部生検からのPCRによって、マウスを21日目に離乳させ、遺伝子型決定した。以下のプライマー配列を使用して、マウスを遺伝子型決定した:
hTLS FUS-For:GAATTCGTGGACCAGGAAGGTC(配列番号21)
hTLS FUS-Rev:CACGTGTGAACTCACCGGAGTCA(配列番号22)
FUS-For:GATTTGAAGTGGGTAGATAGTGCAGG(配列番号23)
FUS-Rev:CCT-TTC-CAC-ACT-TTA-GTT-TAG-TCA-CAG(配列番号24)
【0092】
PY-NLSを欠くヘテロ接合型Fusノックインマウスを、完全な自己調節コンピテントのヒト遺伝子からヒト野生型FUSを発現しているマウスと交配させて、以下の遺伝子型:Fus+/+、FusΔNLS/+、FusΔNLS/ΔNLS、Fus+/+:hFUS、FusΔNLS/+:hFUS、FusΔNLS/ΔNLS:hFUSを得た。この研究で使用した全てのマウスの遺伝的背景は、C57Bl6/Jである。
【0093】
マウスの挙動
生存率
生後1時間から生存率を研究し、死亡した新生児マウスを遺伝子型決定した。他のマウスは21日目に遺伝子型決定し、死亡するまで、又は以下のエンドポイント:自傷、初期体重の10%超の体重減少に到達した場合、及び横向きに寝かせた後10秒以内に起き上がることができない場合にケタミン-キシラジンを使用して殺害するまで弱く追跡調査した。
【0094】
反転金網
先述(非特許文献19[8])のように、運動性能を弱く実施した。金網ぶら下がり時間(又は「ぶら下がり時間」)は、反転させた金網からマウスが落下するのにかかる時間の量として定義し、ストップウォッチを用いて視覚的に測定した。手順を5分の間に3回繰り返した。把持力積は、マウスの体重及び重力で正規化したぶら下がり時間に対応する。
【0095】
組織学的技法
マウスを、100mg/kgのケタミン塩酸塩及び5mg/kgのキシラジンの腹腔内注射で麻酔し、次いで4%のPFAで灌流した。切開後、4%の寒天に脊髄を含め、ビブラトームで40μmの厚さの連続切片を作製した。
【0096】
ペルオキシダーゼ免疫組織化学
ペルオキシダーゼ免疫組織化学については、内因性ペルオキシダーゼを、3%のHと共に10分間不活性化し、次いでスライドをPBSで1回洗浄し、ウサギ抗FUS抗体(ProteinTech、11570-1-AP、1:100)と共に室温で一晩インキュベートした。PBSですすいだ後、抗ウサギビオチン化(Jackson、711-067-003、1/500)を室温で2時間インキュベートした。ABCキット(Vectastain ABCキット、PK-6100、Vector Laboratories Inc.)を使用して1時間の間に染色が現れた。リン酸緩衝液(Phosphate Buffer Salin、PBS)で3回洗浄した後、スライドを水ですすぎ、DPX(Sigma、O6522)に取り付けた。
【0097】
免疫蛍光
切片を、室温、すなわち25℃で遮断溶液(8%のヤギ血清、0.3%のウシ血清アルブミン、0.3%のTriton、PBS-0.02%のThimerosal)でインキュベートし、次いで一次抗体:ウサギ抗FUS抗体(ProteinTech、11570-1-AP、1:100)、ヤギ抗ChAT(Milliport、AB144P、1/50)、ラット抗ADMA(自社製、Germany、1/100)、又はウサギ抗Ubi(Abcam、ab179434、1/100)で、4℃で一晩インキュベートした。3回PBSですすいた後、切片を、Hoechst(Sigma、B2261、1/50.000)、及び二次抗体:Alexa-488-コンジュゲート抗ウサギ二次抗体(Jackson、711-547-003、1/500)又はAlexa-594-コ
ンジュゲート抗ヤギ二次抗体(Molecular Probes、A 11058、1/500)と共に室温、すなわち25℃で2時間インキュベートした。最終的に、その後切片をPBSで洗浄し(3×10分)、DPX(Sigma、O6522)に取り付けた。
【0098】
電子顕微鏡法
マウスを、100mg/kgのケタミン塩酸塩及び5mg/kgのキシラジンの腹腔内注射で麻酔し、グルタルアルデヒド(pH7.4の0.1Mのカコジル酸緩衝液中2.5%)で経心灌流した。脳を解剖し、同じ固定液、すなわちグルタルアルデヒドに一晩、すなわち12時間浸漬させた。カコジル酸緩衝液(EMS、11650)で3回すすいだ後、室温のカコジル酸緩衝液中0.5%のオスミウム及び0.8%のフェロシアン化カリウムで1時間、筋肉を事後固定した。最後に、組織を一連の勾配をつけたエタノール(25%、50%、70%、95%、100%)で脱水し、Embed812(EMS、13940)に埋め込んだ。ウルトラミクロトーム(Leica、EM UC7)でごく薄い切片(50nm)を切り出し、酢酸ウラニル(50%のエタノール中1%(w/v))で対比染色し、AMT Hamamatsuデジタルカメラ(Hamamatsu Photonics、Hamamatsu City,Japan)を備えたHitachi7500透過型電子顕微鏡(Hitachi High Technologies Corporation、Tokyo,Japan)で観察した。
【0099】
組織分別及びウエスタンブロッティング
組織をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で1回洗浄し、製造業者の指示に従ってSyn-PER Synaptic Protein Extraction(Thermo Scientific、87793)に溶解させた。BCAアッセイ(Interchim、UP95424A、UP95425A)によって、タンパク質抽出物を投与した。その後、タンパク質を変性させ、(細胞質タンパク質では)10及び(核タンパク質では)30μgのタンパク質を用いて、4~20%のTGX染色遊離ゲル(Biorad、5678094)の基準でSDS pageを実施した。タンパク質を、半乾式Transblot Turbo system(BioRad、France)を使用してニトロセルロース膜上にブロットし、1時間の間に10%の無脂肪乳で遮断した。一次抗体(ウサギ抗hFUS(自社製、#14080、1/2000)、ウサギ抗mFUS(自社製、#14082、1/4000)、ラット抗FUS ADMA(自社製、Germany、1/500)、ウサギ抗FUS293(Bethyl、A-300-293A、1/2000)、ウサギ抗FUS294(Bethyl、A300-294A、1/2000)、ヒツジ抗SOD1(Calbiochem、574597、1/1000)、ウサギ抗HDAC1(Bethyl、A300-713A、1/1000)を、3%の無脂肪乳中、4℃で一晩、すなわち12時間インキュベートした。洗浄緩衝液(1MのTris、pH7.4、5MのNaCl、100%のTween(登録商標)20)で洗浄を進め、二次抗体(抗ウサギHRP(PARIS、BI2407,1/5000)、抗ヒツジHRP(Jackson、713-035-147、1/5000)を室温、すなわち25℃で1時間30分インキュベートした。1倍のPBSで連続して洗浄、すなわち3回洗浄した後、ECL Lumina Forte(Millipore、France)及び化学発光検出器(Bio-Rad、France)を使用する化学発光でタンパク質を可視化した。正規化するために、染色遊離ゲル能力(Biorad、5678094)で合計タンパク質を検出し、使用した。
【0100】
使用した抗体は、以下であった:
-ウサギ抗hFUS(自社製、#14080、1/2000)、
-ウサギ抗mFUS(自社製、#14082、1/4000)
-ラット抗FUS ADMA(自社製、Germany、1/500)
-ウサギ抗FUS 293(Bethyl、A-300-293A、1/2000)
-ウサギ抗FUS 294(Bethyl、A300-294A、1/2000)
-ヒツジ抗SOD1(Calbiochem、574597、1/1000)
-ウサギ抗HDAC1(Bethyl、A300-713A、1/1000)
-抗ウサギHRP(PARIS、BI2407,1/5000)
-抗ヒツジHRP(Jackson、713-035-147、1/5000)
【0101】
RNA抽出及びRT-qPCR
100μlのTRIzol試薬(Life Technologies)中のTissue Lyser(Qiagen)を使用して、合計RNAを脊髄及び前頭皮質から抽出した。
【0102】
製造業者の条件(Biorad、1708841)を使用して、1μgのRNAをiScript(商標)逆転写を用いて逆転写した。Sso Advanced Universal SYBR Green Supermix(Bio-Rad)を使用して定量ポリメラーゼ連鎖反応を実施し、製造業者の条件を使用してBio-Radソフトウェアで定量化した。GeNormソフトウェアに従って、アクチン、TBP、及びpol2遺伝子を使用して正規化係数を計算することによって、遺伝子発現を正規化した(非特許文献20)。
【0103】
プライマー配列は、以下の通りであった:
アクチン: F-CCACCAGTTCGCCATGGAT(配列番号25)、
R-GGCTTTGCACATGCCGGAG(配列番号26)
TBP: F-CCAATGACTCCTATGACCCCTA(配列番号27)、
R-CAGCCAAGATTCACGGTAGAT(配列番号28)
Pol2: F-GCTGGGAGACATAGACCA(配列番号29)、
R-TTACTCCCCTGCATGGTCTC(配列番号30)
hFUS: F-GCCAGAACACAGGCTATGGA(配列番号31)、
R-CGATTGGGAGCTCTGGCTAC(配列番号32)
T-FUS: F-TTATGGACAGACCCAAAAACACA(配列番号33)
R-TGCTGCCCATAAGAAGATTG(配列番号34)
FUS ΔNLS:F-GCAAGATGGACTCCTAGTGTTAAT(配列番号35)、
R-ACCTCTACAAATGTGGTATGGC(配列番号36)
Fus_エクソン6-8:F-CGGCATGGGGTCCTCGG(配列番号37)、
R-CCTAGGCCTTGCACGAAGAT(配列番号38)
【0104】
統計
分析からの全ての結果を平均±標準誤差の平均(SEM)として示し、p<0.05の場合、差を有意であるとみなした。有意性を以下のように示す:p<0.05、**p<0.01、及び***p<0.001。2つの群の比較のために、両側の独立スチューデントt検定をF検定と組み合わせて使用して、群間の変動が有意に異なっていないことを確認した。一元配置分散分析及びTukey又はBonferroniの多重比較事後検定を使用して、3つ以上の群の比較を実施した。GrapPad Prismバージョン6.0を使用することによって、データを分析した。
【0105】
結果
ヒト野生型FUS導入遺伝子は、ホモ接合型FusΔNLSマウスにおける出生周辺期の
致死性を救済する
BACから野生型FUSを発現するヒト野生型FUSトランスジェニックマウス(hFUSマウス)は最近生成され、特徴評価されている(非特許文献21[9])。並行して生成及び特徴評価されたヒト変異体FUSトランスジェニック株とは対照的に、これらのマウスは、ほとんどがヒト起源のわずかに増加したFUSレベルを発現し、ALS関連表現型を示さない(非特許文献21[9])。hFUSマウスをFusΔNLSマウスと交配させ(非特許文献1[10])、FusΔNLSマウスは、ヘテロ接合型として軽度の後期発症型運動ニューロン疾患を発症し(非特許文献18[11])、一方で、ホモ接合型FusΔNLSマウスは、出生周辺期に死亡する(非特許文献1[10])ことが以前示されている。2回の繁殖ステップの後、hFUS導入遺伝子を有するか又は有しないヘテロ接合型及びホモ接合型FusΔNLSマウスを含む、対象の遺伝子型を得た(図1A)。注目すべきことに、全てのマウスはC57Bl/6遺伝的背景であり、F2世代からのマウスのみをここで分析し、それによって遺伝的背景の不均一性の可能性のある交絡効果のうちのほとんどを回避した。1か月齢のマウス、又は1か月齢以前に発生する場合死亡時のマウスを遺伝子型決定した。図1に実証されるように、hFUSを含まないD FusΔNLS/ΔNLSマウスは、生後1時間以内に死亡し、1か月齢でこの遺伝子型を有するマウスは観察されなかった(図1C)。対照的に、ヒト野生型FUS導入遺伝子を追加することによって、ほとんどのホモ接合型FusΔNLSマウスの成体期までの生存が可能になった(図1B、D)。全てのFusΔNLS群の、野生型動物と比較してわずかではあるが非統計的な有意に増加した死亡率が観察された(図1D)。
【0106】
ヒト野生型FUS導入遺伝子は、ヘテロ接合型FusΔNLSマウスにおける後期発症型筋力低下を救済する
使用したマウスは、Fus+/+、FusΔNLS/+、及びFusΔNLS/+発現H FUSマウスであった。使用したマウスの数は、群当たりN=10~28匹であった。図2に示されるように、FusΔNLS/+マウスは、反転金網試験を使用して、容易に続けることができる軽度の後期発症型筋力低下を発症している。この試験を使用して、FusΔNLS/+マウスに生じる欠陥が、2か月齢後に観察され、年齢で安定であった(図2A図2B)。対照的に、ヒト野生型FUS導入遺伝子を有するFusΔNLS/+マウスは、この試験で野生型同腹子と区別することができず、野生型FUS導入遺伝子が、神経及び筋肉表現型を救助するのに十分であったことを示唆している(図2A図2B)。
【0107】
ヒト野生型FUS導入遺伝子は、FusΔNLSマウスにおけるFUSタンパク質の細胞質誤局在を救済する
FusΔNLSマウスにおけるFUSの細胞内局在に対するヒト野生型FUS導入遺伝子の発現の効果を研究した。得られた結果を図3に表す。図3A及び図3Bに実証されるように、ウエスタンブロッティングを使用して評価して、FusΔNLS/+マウスの大脳皮質の細胞質画分は、対応する野生型同腹子画分よりも高いレベルのFUSを示した。FUSΔNLSタンパク質には存在しないNLS配列を標的とする抗体を使用した場合、これは観察されず、この増加が変異体タンパク質の誤局在に関連することを実証している。重要なことに、マウス特異的FUS抗体を使用して同定して、マウスFUSは、FusΔNLS/+マウスの細胞質画分で増加し、これをヒト野生型FUS導入遺伝子によって正規化した(図3A図3B)。重要なことに、核FUSレベルは、FusΔNLS変異又はヒト野生型FUS導入遺伝子の存在に関係なく、全ての遺伝子型で変化しなかった。ヒトFUSレベルは、ヒトFUS導入遺伝子を担持するFusΔNLS/ΔNLSマウスで増加し、マウス起源の核FUSの喪失を補填した可能性がある。導入遺伝子のこの救済効果を更に確認するために、22か月齢のマウスの脊髄切片に対して免疫組織化学を実施した。図3Cに示されるように、FusΔNLS/+ニューロンは、FUS染色において核濃縮の欠如を示し、これは、FusΔNLS/+マウス又はFusΔNLS/ΔNLSマウスであるかどうかにかかわらず、ヒト野生型FUS導入遺伝子によって完全に予防された。更に、FUS及びChAT抗体を使用して運動ニューロンを明確に同定するための二重免疫蛍光によって、図3Dに実証され、示されるように、ヒト野生型FUS導入遺伝子が、運動ニューロンにおけるFUS誤局在を救済したことを確認した。
【0108】
この結果は、本発明の産生物、例えば、核酸及び/又はベクターが、野生型タンパク質FUSを提供することによって遺伝的変異を補填し、変異したタンパク質FUSの発現及び産生を下方調節し、野生型タンパク質FUSの発現及び産生を調節することを、同時にかつ相乗効果的に可能にすることを明確に実証している。
【0109】
ヒト野生型FUS導入遺伝子は、ヘテロ接合型FusΔNLSマウスにおけるALS関連病理を救済する
ヒト野生型FUS導入遺伝子の保護効果を更に文書化するために、Fus+/+(+/+)、及び(hFUS)を有するか又はhFUS導入遺伝子を有しない(No Tg)Fus ΔNLS/+(Δ/+)マウス、及びhFUS導入遺伝子マウスを有するFus ΔNLS/ΔNLS(Δ/Δ)マウスによって発症した病理学的特徴を分析した。使用したマウスの数は、群当たりN=4~8匹であった。細胞質の非対称的な脱メチル化(ADMA)FUSの蓄積は、FUS-ALSに典型的であり、FusΔNLS/+マウスで以前観察されている。実際、FusΔNLS/+細胞質画分におけるADMA-FUSの高い増加は、野生型ヒトFUS導入遺伝子を有するFusΔNLS/+マウスにおいて大きく予防された(図4A図4B)。しかしながら、これは、高レベルの細胞質メチル化FUSを保持したhFUS導入遺伝子を担持するFusΔNLS/ΔNLSマウスの場合ではない。一貫して、ADMA-FUS免疫応答性は、FusΔNLS/+マウスの運動ニューロンにおいて拡散し、ヒト野生型FUS導入遺伝子は、FusΔNLS/+マウスにおいてより局在化された核周辺免疫応答性をもたらした(図4C)。更にまた、FusΔNLS/+運動ニューロンで観察された穿刺ユビキチン病理は、ヒト野生型FUS導入遺伝子によって予防された(図4D)。したがって、ヒト野生型FUS導入遺伝子は、FusΔNLS/+マウスにおいてALS-FUS病理の典型的な特徴を救済することが可能であった。
【0110】
この結果は、本発明の産生物、例えば、核酸及び/又はベクターが、変異したFUSの細胞質蓄積を排除し、野生型タンパク質FUSを産生し、また野生型タンパク質FUSの産生を調節することを相乗効果的に可能にすることを明確に実証している。加えて、この結果は、本発明の産生物、例えば、核酸及び/又はベクターが、変異したFUSタンパク質のmRNAの発現を減少させ、FUSタンパク質の機能を回復及び修正することを可能にすることを明確に実証している。
【0111】
ヒト野生型FUS導入遺伝子は、内因性Fusの過剰発現を逆転させ、エクソン7スキッピングを活性化する
Fus+/+(+/+)、及び(hFUS)を有するか又はhFUS導入遺伝子を有しない(No Tg)Fus ΔNLS/+(Δ/+)マウス、及びhFUS導入遺伝子を有するFus ΔNLS/ΔNLS(Δ/Δ)マウスにおける内因性FUS遺伝子の発現の調節に対するヒト野生型FUS導入遺伝子の保護効果及び/又は治療効果を更に文書化するために、マウスを分析した。単一のヒト野生型FUSトランスジェニックマウスは、内因性Fus遺伝子15の発現が低い一方で、FusΔNLS/+マウスは、脊髄(図5A図5B)及び前頭皮質(図7)において、1及び22か月齢の両方でFus mRNAレベルのわずかではあるが有意な増加を示した。内因性マウス遺伝子のこの過剰発現は、ヒト野生型FUS導入遺伝子によって完全に補正された。更に、ヒトFUS導入遺伝子の発現は、エクソン7を欠く基質のFusのmRNAの異常にスプライシングされたレベルを強く増加させて、mRNAを消滅させることを伴う(図5A図5B)。実際、内因性マウスFus mRNAにおけるhFUS発現とエクソン7の欠失との間に強い相関関係があった(補足図3)。したがって、ヒト野生型FUS導入遺伝子を追加することによって、自己調節ループの活性化を通じた毒性タンパク質の発現の減少、その後、細胞質による誤局在FUSの発現の下流の結果の全ての緩和がもたらされる。
【0112】
この実施例は、本発明の産生物、例えば核酸及び/又はベクターが、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、具体的には若年性筋萎縮性側索硬化症(ALS)を治療及び治癒することを可能にすることを明確に実証している。具体的には、この実施例は、本発明が、毒性タンパク質、すなわち、変異したFUSの発現を減少させ、ヒトFUSタンパク質の機能性タンパク質及び相同タンパク質を産生し、変異したFUSの自己調節ループを活性化し、発明の核酸の発現の自己調節ループを活性化して、当該核酸の野生型発現を可能にし、変異したFUSの細胞質及び/又は核蓄積/誤局在を排除することを同時に可能にすることを明確に実証している。したがって、この実施例は、驚くべきことにかつ予想外に、本発明が、生物学的な不足を「キャンセル」し、野生型生物学的機序を回復することを同時に可能にすることを明確に実証している。
【0113】
実施例3:哺乳類細胞におけるイントロン6、7又は代替FUS DNA構築物の挿入の効果
イントロン6又は7の挿入によって、トランスフェクトHEK293細胞におけるFUS自己調節が可能になる
Intron6又はイントロン7を、mRNA前駆体におけるそれらの内因性位置(イントロン6ではエクソン6と7との間、及びイントロン7ではエクソン7と8との間)で、FUS ORFに挿入した。N末端HAタグを含めることによって、トランスジェニックタンパク質(HA-i6及びHA-i7)の明確な検出を可能にし、陽性対照としてmycタグ付きFUS発現プラスミド(Mycエクソン)と比較した(図10A)。
【0114】
トランスフェクションの24時間後、HA-i6及びHA-i7構築物の両方のFUSの予想分子量でHA免疫応答性タンパク質の強い発現が観察され(図10B)、イントロンの挿入が、cDNAのスプライシング及び適切な翻訳を損なわなかったことを示している。最も重要なことに、Myc-エクソン発現は、FUSレベルの劇的な上方制御をもたらした一方で、HA-i6及びHA-i7トランスフェクト細胞は、トランスフェクションの24時間又は48時間後のいずれかで、正常なレベルのFUSを示した(図10B)。したがって、FUS ORFにおけるイントロン6又はイントロン7の挿入は、中断されていないcDNAの発現時に観察された過剰発現を回避し、適切な自己調節を示唆している。
【0115】
HA-i6は、トランスフェクションの48時間後に内因性FUSイントロン7保持を誘発する
HEK293細胞を、Myc-エクソン又はHA-i6のいずれかでトランスフェクトし、HA-i6構築物に含まれていないイントロン7の保持を測定した。図11Aに示されるように、トランスフェクションの24時間後のHA-i6トランスフェクト細胞における内因性イントロン7の保持は、Myc-エクソンと比較して同一であった。次いで、トランスフェクションの48時間後のHAi6トランスフェクト細胞において、イントロン7保持レベルの増加が観察された。同様に、トランスフェクションの48時間後のMyc-エクソントランスフェクト細胞と比較して、HA-i7でトランスフェクトしたHEK293細胞における内因性イントロン6保持のレベルの増加が観察された(図11B)。これらの結果は、HA-i6及びHA-i7が、FUSの内因性mRNAの自己調節に関与する原理の証拠を提供する。
【0116】
代替FUS DNA構築物は、HAタグ付きタンパク質の翻訳を可能にする
HA-i6及びHA-i7の修飾に基づいて、一連の構築物を作製した。全てのこれらの構築物は、特に構築物#9では、トランスフェクトHEK293細胞におけるFUSの予想分子量でのHA免疫応答性バンドの発現を可能にした。したがって、FUS遺伝子の操作は、FUSタンパク質の自己調節及び適切な発現を維持しながら、構築物の短縮を可能にするために実施することができる。
【0117】
方法
細胞培養
HEK293細胞をATCC(登録商標)(ATCC(登録商標)CRL-1573(商標))から購入した。5%のCO2を含むインキュベーター内で、10%のウシ胎仔血清(Fisher scientific、11531831)、1%のペニシリン-ストレプトマイシン(Sigma、P4333)を含有する37℃のダルベッコ改変イーグル培地中で細胞を培養した。培養培地を2日ごとに交換し、5~20継代でトランスフェクションを実施した。
【0118】
トランスフェクション
24ウェルプレート内で、C2C12を80%のコンフルエンシーまで培養した。製造業者の指示に従って、TransIT-X2(MIR6000、Myrus)を使用して、発現及びレポータープラスミドを含む分化培地中で、トランスフェクションを実施した。必要に応じて、プラスミドとの訴訟の制限部位Not1(GCGGCCGC)及びXba1(TCTAGA)の配列を含んで、核酸を調製した。トランスフェクションに使用した発現ベクターは、以下であった:
-pCMV空プラスミド、
-イントロンを含まないN末端mycタグ付きヒトFUSを発現している、pCMV-Myc-FUS、
-イントロン6を含むHAタグ付きヒトFUSを発現している、pCMV-HA-i6、
-イントロン7を含むHAタグ付きヒトFUSを発現している、pCMV-HA-i7、
【0119】
-配列番号42に示されるイントロン6の保存されたRNAモチーフを有するHAタグ付きヒトFUSを発現している、pCMV-HA-1。構造は、以下の通りであった:Not1-HA-エクソン1-エクソン2-エクソン3-エクソン4-エクソン5-エクソン6-モチーフ1-エクソン7-エクソン8-エクソン9-エクソン10-エクソン11-エクソン12-エクソン13-エクソン14-エクソン15-Xba1。イントロン6のモチーフ1の配列は、配列番号54;
-配列番号43に示されるイントロン6の保存されたRNAモチーフを有するHAタグ付きヒトFUSを発現している、pCMV-HA-2に対応する。構造は、以下の通りであった:Not1-HA-E1-E2-E3-E4-E5-E6-モチーフ2-E7-E8-E9-E10-E11-E12-E13-E14-E15-xba1。イントロン6のモチーフ2の配列は、配列番号55;
-配列番号44に示されるイントロン7の保存されたRNAモチーフを有するHAタグ付きヒトFUSを発現している、pCMV-HA-3に対応する。構造は、以下の通りであった:Not1-HA-E1-E2-E3-E4-E5-E6-E7-モチーフ3-E8-E9-E10-E11-E12-E13-E14-E15-xba1。イントロン7のモチーフ3の配列は、配列番号56;
-配列番号45に示されるイントロン7の保存されたRNAモチーフを有するHAタグ付きヒトFUSを発現している、pCMV-HA-4に対応する。構造は、以下の通りであった:Not1-HA-E1-E2-E3-E4-E5-E6-E7-モチーフ4-E8-E9-E10-E11-E12-E13-E14-E15-xba1。イントロン7
のモチーフ4の配列は、配列番号57;
-配列番号46に示されるイントロン7の保存されたRNAモチーフを有するHAタグ付きヒトFUSを発現している、pCMV-HA-5に対応する。構造は、以下の通りであった:Not1-HA-E1-E2-E3-E4-E5-E6-E7-モチーフ5-E8-E9-E10-E11-E12-E13-E14-E15-xba1。イントロン7のモチーフ5の配列は、配列番号58;
【0120】
-配列番号47に示されるイントロン7の保存されたRNAモチーフを有するHAタグ付きヒトFUSを発現している、pCMV-HA-6に対応する。構造は、以下の通りであった:Not1-HA-E1-E2-E3-E4-E5-E6-E7-モチーフ6-E8-E9-E10-E11-E12-E13-E14-E15-Xba1。イントロン7のモチーフ6の配列は、配列番号59;
-配列番号48に示されるイントロン6の保存された2つのRNAモチーフ、及びイントロン7の保存された4つのRNAモチーフを有するHAタグ付きヒトFUSを発現している、pCMV-HA-7に対応する。構造は、以下の通りであった:Not1-HA-E1-E2-E3-E4-E5-E6-モチーフ1-モチーフ2-E7-モチーフ3-モチーフ4-モチーフ5-モチーフ6-E8-E9-E10-E11-E12-E13-E14-E15-Xba1;
-(配列番号49に示されるイントロン6に強情な2つのRNAモチーフを有するHAタグ付きヒトFUSを発現している)pCMV-HA-8。構造は、以下の通りであった:Not1-HA-E1-E2-E3-E4-E5-E6-モチーフ1-モチーフ2-E7-E8-E9-E10-E11-E12-E13-E14-E15-Xba1;
-配列番号50に示されるイントロン7に強情な4つのRNAモチーフを有するHAタグ付きヒトFUSを発現している、pCMV-HA-9。構造は、以下の通りであった:Not1-HA-E1-E2-E3-E4-E5-E6-E7-モチーフ3-モチーフ4-モチーフ5-モチーフ6-E8-E9-E10-E11-E12-E13-E14-E15-Xba1;
-配列番号51に示されるイントロン6及び7の保存された6つのRNAモチーフを有するHAタグ付きヒトFUSを発現している、pCMV-HA-10。構造は、以下の通りであった:Not1-HA-E1-E2-E3-E4-E5-E6-モチーフ1-モチーフ2-E7-モチーフ3-モチーフ4-モチーフ5-モチーフ6-E8-E9-E10-E11-E12-E13-E14-E15-Xba1;
-配列番号52に示されるイントロン6及び7の保存された4つのRNAモチーフを有するHAタグ付きヒトFUSを発現している、pCMV-HA-11。構造は、以下の通りであった:Not1-HA-E1-E2-E3-E4-E5-E6-モチーフ3-モチーフ4-E7-モチーフ5-モチーフ6-E8-E9-E10-E11-E12-E13-E14-E15-Xba1。
【0121】
-配列番号53に示されるイントロン6及び7の保存された6つのRNAモチーフを有するHAタグ付きヒトFUSを発現している、pCMV-HA-12。構造は、以下の通りであった:Not1-HA-E1-E2-E3-E4-E5-E6-モチーフ3-モチーフ4-モチーフ1-E7-モチーフ5-モチーフ6-モチーフ2-E8-E9-E10-E11-E12-E13-E14-E15-Xba1。
【0122】
トランスフェクションの24時間又は48時間後、タンパク質及びRNAを抽出した。
【0123】
ウエスタンブロット
細胞をPBSで1回洗浄し、製造業者の指示に従ってSyn-PER Synaptic Protein Extraction(Thermo Scientific、87793)に溶解させた。BCAアッセイ(Interchim、UP95424A、UP95425A)によって、タンパク質抽出物を投与した。その後、タンパク質を変性させ、(細胞質タンパク質では)10及び(核タンパク質では)30μgのタンパク質を用いて、4~20%のTGX染色遊離ゲル(Biorad、5678094)の基準でSDS pageを実施した。タンパク質を、半乾式Transblot Turbo system(BioRad、France)を使用してニトロセルロース膜上にブロットし、1時間の間に10%の無脂肪乳で遮断した。一次抗体(ウサギ抗FUS293(Bethyl、A-300-293A、1/2000)、ウサギ抗HA(細胞シグナル伝達、3724S、1/1000)、マウス抗MYC(Sigma、M4439、1/1000)を4℃で一晩、3%の無脂肪乳中でインキュベートした。洗浄緩衝液(1MのTris、pH7.4、5MのNaCl、100%のTween(登録商標)20)で洗浄を進め、二次抗体(抗ウサギHRP(PARIS、BI2407,1/5000))、抗マウスHRP(Jackson、115-035-003、1/5000))を室温で1時間30分インキュベートした。連続して洗浄した後、ECL Lumina Forte(Millipore、France)及び化学発光検出器(Bio-Rad、France)を使用する化学発光でタンパク質を可視化した。正規化するために、染色遊離ゲル能力(Biorad、5678094)で合計タンパク質を検出し、使用した。
【0124】
抗体:
ウサギ抗FUS293(Bethyl、A-300-293A、1/2000)
ウサギ抗HA(細胞シグナル伝達、3724S、1/1000)
マウス抗MYC(Sigma、M4439、1/1000)
抗ウサギHRP(PARIS、BI2407,1/5000)
抗マウスHRP(Jackson、115-035-003、1/5000)
【0125】
RT-qPCR
TRIzol試薬(Life Technologies)を使用して、合計RNAを脊髄及び前頭皮質から抽出した。iScript(商標)逆転写(Biorad、1708841)を用いて、1μgのRNAを逆転写した。Sso Advanced Universal SYBR Green Supermix(Bio-Rad)を使用して定量ポリメラーゼ連鎖反応を実施し、Bio-Radソフトウェアで定量化した。GeNormソフトウェアに従って、アクチン、TBP、及びpol2遺伝子を使用して正規化係数を計算することによって、遺伝子発現を正規化した(非特許文献20)。
【0126】
プライマー配列は、以下の通りであった:
ヒトアクチンB:F-GGGCATGGGTCAGAAGGATT(配列番号60)、R-TCGATGGGGTACTTCAGGGT(配列番号61)
ヒトGAPDH:F-TTCACCACCATGGAGAAGGC(配列番号62)、R-AGAGGGGGCAGAGATGATGA(配列番号63)
ヒトHPRT1:F-TTGCTTTCCTTGGTCAGGCA(配列番号64)、R-ATCCAACACTTCGTGGGGTC(配列番号65)
FUSi6e7:F-CCGTTGGAAGCTTCATGTCC(配列番号66)、R-TATTGAAGCCACCACGGTCAC(配列番号67)
FUSi7e8:F-CTGTGAGCACTTACTTGATATTTT(配列番号68)、R-GTGATCCTTGGTCCCGA(配列番号69)。
【0127】
参照文献のリスト
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図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
【配列表】
2023521759000001.app
【国際調査報告】