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特表2023-521761抜き取りが容易な骨固定インプラント
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-25
(54)【発明の名称】抜き取りが容易な骨固定インプラント
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/86 20060101AFI20230518BHJP
【FI】
A61B17/86
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022561412
(86)(22)【出願日】2021-04-08
(85)【翻訳文提出日】2022-11-02
(86)【国際出願番号】 EP2021059197
(87)【国際公開番号】W WO2021204953
(87)【国際公開日】2021-10-14
(31)【優先権主張番号】2003581
(32)【優先日】2020-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.トルクス
(71)【出願人】
【識別番号】522392852
【氏名又は名称】ロック-イン エスエー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ラカーズ,ギヨーム
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160LL58
4C160LL70
(57)【要約】
抜き取りが容易な骨インプラント
本発明は、抜き取りが容易な骨固定インプラントに関し、当該インプラントは、
近位部分(22)と遠位部分(23)との間に延びている拡張可能なスリーブ(2)であって、長手方向軸(L)を画定している、拡張可能なスリーブと、
当該拡張可能なスリーブ(2)の内側プロファイルと相補的な外側プロファイルを有する、軸(L)と同一直線上にある軸上で近位部分(12)と遠位部分(13)との間に延びているねじ(1)であって、当該拡張可能なスリーブ(2)へのねじ(1)のねじ込みが、拡張可能なスリーブ(2)のねじ込みと反対方向に実行されなければならない時点を視覚化するために、少なくとも1つの距離マーカ(16)を備える、ねじ(1)と、を備え、
インプラントは、拡張可能なスリーブ(2)内へのねじ(1)の貫通によって、折り畳まれた静止位置から展開した位置に切り替わり、
遠位部分(23)は、セルフタッピングノッチ(231)を含み、
遠位部分(13)は、自己ミリングヘッド(17)を含む。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抜き取りが容易な骨固定インプラントであって、
第1の内径を有する近位部分(22)と、前記第1の内径よりも小さい第2の内径を有する遠位部分(23)との間に延びている拡張可能なスリーブ(2)であって、前記2つの部分が長手方向軸(L)を画定し、前記第1及び第2の内径が前記拡張可能なスリーブ(2)の内側プロファイルを画定し、前記拡張可能なスリーブ(2)が、一方では、前記拡張可能なスリーブ(2)の内側に少なくとも第1のねじ山(20)を、他方では、前記拡張可能なスリーブ(2)の外側に少なくとも第2のねじ山(21)を備える、拡張可能なスリーブ(2)と、
前記軸(L)と同一直線上にある軸上で近位部分(12)と遠位部分(13)との間に延びているねじ(1)であって、一方では、前記長手方向軸(L)に沿って、前記拡張可能なスリーブ(2)の前記内側プロファイルと相補的な外側プロファイルを有し、他方では、ねじピッチが前記拡張可能なスリーブ(2)の前記第2の外側ねじ山(21)に対して逆になっている、少なくとも1つの外側ねじ山(11)を有する、ねじと(1)、を備え、
前記インプラントは、前記ねじ(1)を前記拡張可能なスリーブ(2)内へ貫通させ、かつ、前記ねじ(1)の外径が、少なくとも遠位部分で、前記拡張可能なスリーブ(2)の前記第2の内径よりも大きいという事実に起因して、変形によって前記拡張可能なスリーブ(2)を拡張させることによって、前記逆のねじ山の作動により、折り畳まれた静止位置から展開した位置に切り替えることができ、
前記インプラントの展開した位置では、前記拡張可能なスリーブ(2)の前記第2の内径が、前記第1の内径以上である、
抜き取りが容易な骨固定インプラントにおいて、
前記遠位部分(13)が、前記骨インプラントの抜き取り中に骨を削り、前記インプラントの除去を容易にするための、切り込み刃を有する少なくとも1つの後部溝(171)を備えるヘッド(17)を含むことを特徴とする
骨固定インプラント。
【請求項2】
前記後部溝(171)の前記切り込み刃が、前記インプラントが除去されるときの前記ねじ(1)のねじ山方向によって決定される、前記長手方向軸(L)に対する角度を有することを特徴とする、請求項1に記載のインプラント。
【請求項3】
前記ねじ(1)の前記外径が、遠位部分にある少なくとも1つの収縮部(271)によって、前記拡張可能なスリーブ(2)の前記内径よりも大きいことを特徴とする、請求項1又は2に記載のインプラント。
【請求項4】
前記少なくとも1つの収縮部(271)が、前記近位部分に対して、かつ、前記長手方向軸(L)に沿って、前記拡張が所望される骨組織内の深さに応じて決定された距離に位置することを特徴とする、請求項3に記載のインプラント。
【請求項5】
前記インプラントが、円錐台形部分上の外側骨固定ねじ山(15、152)を備え、前記円錐台形部分の広がりが、前記展開した位置において前記スリーブ(2)の円錐台によって形成された広がりに対して逆になっていることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載のインプラント。
【請求項6】
前記拡張可能なスリーブ(2)が、前記拡張可能なスリーブ(2)の前記遠位部分(23)まで延びている長手方向貫通スロット(24)を含むことを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載のインプラント。
【請求項7】
前記スリーブの前記遠位部分(23)が、少なくとも1つのノッチ又は溝(231)を含むという事実によりセルフタッピングであることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載のインプラント。
【請求項8】
長手方向貫通スロット(24)と同数のセルフタッピングノッチ又は溝(231)があることを特徴とする、請求項6又は7に記載のインプラント。
【請求項9】
前記拡張可能なスリーブ(2)が、長手方向非貫通スロット(25)を含むことを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載のインプラント。
【請求項10】
前記ねじ(1)が、前記拡張可能なスリーブ(2)への前記ねじ(1)のねじ込みが、骨組織内への前記拡張可能なスリーブ(2)のねじ込みと反対方向に実行されなければならない時点を視覚化するために、少なくとも1つの距離マーカ(16)を備えることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載のインプラント。
【請求項11】
前記拡張可能なスリーブ(2)が、プラスチック又は弾性材料で作製されていることを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載のインプラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、整形外科ねじのみ若しくはプレートを伴う、歯科、整形外科、外科手術、若しくは骨成形用途用の骨インプラント、例えば腰、肘、足首、肩、及び膝などの関節用の歯科若しくは靭帯インプラント、又は例えば椎骨用の脊柱骨インプラントの分野に関する。これらの適用分野は、例として挙げられており、本発明の範囲を限定するものではない。
【0002】
より具体的には、本発明は、多孔性骨への植え込みが非常に安定的である骨インプラントに関する。
【背景技術】
【0003】
骨固定インプラントは、概して、歯科用途のために顎骨又は椎骨などの骨組織内に形成されたハウジング内に植え込まれるように意図された細長本体からなる。
【0004】
骨固定インプラントは、損傷を生じさせることなく、骨組織内に容易に導入することができ、骨組織内の固定デバイスが安定していることが重要である。実際、現在の骨固定インプラントデバイスは、骨組織においてデバイス自体のサイズに必要とされるよりも多くの亀裂又は損傷を生じさせずに固定することができない。更に、今日の多くの治療技術は、現在、骨組織内に固定されたデバイスが可能な限り不動であることを必要とする骨成長に依存するため、骨インプラントの固定は、確実で非常に安定している必要がある。
【0005】
更に、特に骨内の位置決め又は植え込みに起因し得る骨固定インプラントの誤った位置決めのリスクを回避するために、骨組織内への植え込みの実行が容易であることも必要である。
【0006】
更に、落下、衝撃、又は事故の場合、骨固定インプラントが骨組織内の所定の位置に留まること、すなわち、骨を通って移動しないことが重要である。このために、インプラントは、非常に高い安定性が必要である。
【0007】
骨組織に傷害又は損傷を生じさせることなく、植え込まれた骨組織からのインプラントの除去が可能であり、容易に達成できることも重要である。
【0008】
最新技術は、特許文書EP2603163(B1)を含み、当文書には、骨組織内に植え込むことができる、固定が改善された骨内インプラントを記載しており、この骨内インプラントは、骨組織内の把持部と呼ばれる部分と、拡張部と呼ばれる部分と、を備える固定デバイスを含み、これらの2つの部分が相対的に可動である。本特許で言及される本発明はまた、一方では把持部上に、他方では拡張部上に配置された協働する機械的接続手段を備え、その結果、2つの部品の相対可動度は少なくとも1つの自由度を有し、当該2つの部品の相対変位が把持部を拡張させ、その拡張により骨組織内で把持部を把持させる。この特許に記載されている骨インプラントは、特に歯科分野の用途に見られる。
【0009】
しかしながら、そのような解決策は、骨インプラントが組織内で回転及び並進しないよう固定されているが、衝撃中に移動し、特に後退し、その後、除去しにくくなるというリスクを呈するという欠点を有する。
【0010】
したがって、本発明は、骨組織内に植え込み非常に安定した様式で固定することができ、必要に応じて、骨組織に損傷を生じさせることなく、緩めて骨組織から除去することができる骨固定インプラントを提案することによって、こうした欠点を解決することを目的とする。
【発明の概要】
【0011】
したがって、本発明は、骨組織内に容易に安定して植え込み可能であり、かつ骨組織から容易に除去可能である、以下骨インプラントと称する骨固定インプラントを提案することによって、先行技術の欠点を克服することを目的とする。
【0012】
この結果を達成するために、本発明は、抜き取りが容易な骨固定インプラントに関し、当該骨固定インプラントは、
第1の内径を有する近位部分と、当該第1の内径よりも小さい第2の内径を有する遠位部分との間に延びている拡張可能なスリーブであって、2つの部分が長手方向軸(L)を画定し、拡張可能なスリーブが、当該第1及び第2の内径が拡張可能なスリーブの内側プロファイルを画定し、一方では、拡張可能なスリーブの内側に少なくとも第1のねじ山を、他方では、拡張可能なスリーブの外側に少なくとも第2のねじ山を備える、拡張可能なスリーブと、
軸(L)と同一直線上にある軸上で近位部分と遠位部分との間に延びているねじであって、一方では、当該長手方向軸(L)に沿って、拡張可能なスリーブの内側プロファイルと相補的な外側プロファイルを有し、他方では、ねじピッチが拡張可能なスリーブの当該第2の外側ねじ山に対して逆になっている、少なくとも1つの外側ねじ山を有する、ねじと、を備え、
インプラントは、ねじを拡張可能なスリーブ内へ貫通させ、かつ、ねじの外径が、少なくとも遠位部分で、拡張可能なスリーブの第2の内径よりも大きいという事実に起因して、変形によって拡張可能なスリーブを拡張させることによって、逆のねじ山の作動により、折り畳まれた静止位置から展開した位置に切り替えることができ、
インプラントの展開した位置では、拡張可能なスリーブの第2の内径は、第1の内径以上であり、
遠位部分は、骨インプラントの抜き取り中に骨を削り、インプラントの除去を容易にするための、切り込み刃を備えた少なくとも1つの後部溝を備えるヘッドを含む。
【0013】
1つの特徴によれば、当該後部溝の切り込み刃は、インプラントが除去されるときのねじのねじ山方向によって決定される、長手方向軸(L)に対する角度を有する。
【0014】
別の特徴によれば、ねじの外径は、遠位部分にある少なくとも1つの収縮部によって、拡張可能なスリーブの内径よりも大きい。
【0015】
別の特徴によれば、当該少なくとも1つの収縮部は、近位部分に対して、かつ、長手方向軸(L)に沿って、拡張が所望される骨組織内の深さに応じて決定された距離に位置する。
【0016】
別の特徴によれば、インプラントは、円錐台形部分上の外側骨固定ねじ山を備え、円錐台形部分の広がりが、展開した位置においてスリーブの円錐台によって形成された広がりに対して逆になっている。
【0017】
別の特徴によれば、当該拡張可能なスリーブは、その遠位部分まで延びている長手方向貫通スロットを含む。
【0018】
別の特徴によれば、スリーブの遠位部分は、少なくとも1つのノッチ又は溝を含むという事実によりセルフタッピングである。
【0019】
他の特徴によれば、長手方向貫通スロットと同数のセルフタッピングノッチがある。
【0020】
別の特徴によれば、拡張可能なスリーブは、長手方向非貫通スロットを含む。
【0021】
別の特徴によれば、ねじは、拡張可能なスリーブへのねじのねじ込みが、骨組織内への拡張可能なスリーブのねじ込みと反対方向に実行されなければならない時点を視覚化するために、少なくとも1つの距離マーカを備える。
【0022】
別の特徴によれば、当該拡張可能なスリーブは、プラスチック又は弾性材料で作製されている。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本発明の他の特徴及び利点は、単に例として挙げられた、本発明の実施形態の詳細な説明を読み、以下の図面を参照することで明らかとなる。
図1a】本発明による、骨インプラントを構成する要素の詳細図を示す。
図1b】本発明による、骨インプラントを構成する要素の詳細図を示す。
図2】本発明による、骨インプラントを構成する要素の詳細図を示す。
図3a】本発明による、拡張前の骨インプラントのスリーブの図を示す。
図3b】本発明による、拡張後の骨インプラントのスリーブの図を示す。
図3c】本発明による、拡張後の骨インプラントの図を示す。
図4a】本発明による、スリーブの拡張前の骨インプラントの内部の図を示す。
図4b】本発明による、スリーブの拡張前の骨インプラントの内部の図を示す。
図5】本発明による、スリーブの拡張後の骨インプラントの図を示す。
図6】本発明による、スリーブの拡張後の骨インプラントの図を示す。
図7】本発明による、拡張位置におけるスリーブの図を示す。
図8】本発明による、拡張位置におけるスリーブの図を示す。
図9a】本発明による、スリーブの拡張後の骨インプラントの内部の図を示す。
図9b】本発明による、スリーブの拡張後の骨インプラントの内部の図を示す。
図10a】本発明による、拡張位置におけるスリーブの内部の図を示す。
図10b】本発明による、拡張位置におけるスリーブの内部の図を示す。
図11】本発明による、拡張前の骨インプラントの内部の断面図を示す。
図12】本発明による、ねじの先端の図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の様々な実施形態を、特に、例示的かつ非限定的な図面を参照して以下に説明する。
【0025】
本出願はまた、骨組織からの骨インプラントの抜き取りに関する。
【0026】
骨組織内において骨インプラントの存在が必要ではなくなる場合、又はこの骨インプラントを取り外すことが必要になる場合が生じ得る。
【0027】
本明細書では、「抜き取り」という用語は、基本的には必要に応じてねじを緩めることによって、骨組織から骨インプラントを除去するという事実を示すことに留意されたい。本出願で提案される抜き取りは、アブレーションが所望されるときに、この除去に関連する損傷を制限することによって、骨組織からのこの骨インプラントを除去することを指す。
【0028】
加えて、「骨組織(複数可)」という用語は、概して、本出願の骨インプラントシステムがあらゆる種類の骨組織内に植え込み可能であるため、緻密質(皮質骨又は骨膜)又は海綿状(軟質、多孔質)骨であるかどうかにかかわらず、全ての種類の骨を示す。
【0029】
更に、使用される用語は、それらの一般的な意味で解釈されるべきではなく、本出願で詳述される機能上の考慮事項に照らして解釈されるべきである。
【0030】
図1a及び図1bは、骨インプラントの例示的かつ非限定的な例示的実施形態である。
【0031】
例えば、図1a~図11に示されるように、骨組織内に植え込むことができる骨インプラントは、第1の直径を有する近位部分(22)と、第2の直径を有する遠位部分(23)との間に延びている拡張可能なスリーブ(2)であって、これらの2つの部分が長手方向軸(L)を画定し、拡張可能なスリーブ(2)が、一方では、拡張可能なスリーブ(2)の内側に少なくとも第1のねじ山(20)を、他方では、拡張可能なスリーブ(2)の外側に少なくとも第2のねじ山(21)を備える、拡張可能なスリーブ(2)を備え、当該拡張可能なスリーブ(2)は、その遠位部分(23)まで延びている長手方向貫通スロット(24)とセルフタッピングノッチ(231)並びに長手方向非貫通スロット(25)を含む。
【0032】
本出願では、「拡張可能なスリーブ(2)」という用語は、概して、中空の一般的な円筒を示す。
【0033】
いくつかの実施形態では、骨インプラントはまた、軸(L)と同一直線上にある軸上の近位部分(12)と遠位部分(13)との間に延びているねじ(1)であって、一方では、当該長手方向軸(L)に沿って、拡張可能なスリーブ(2)の内側プロファイルと相補的な外側プロファイルを、他方では、ねじピッチが拡張可能なスリーブ(2)の当該第2の外側ねじ山(21)に対して逆になっている、少なくとも1つの外側ねじ山(11)を有する、ねじ(1)を備え、当該ねじ(1)は、拡張可能なスリーブ(2)へのねじ(1)のねじ込みが、骨組織内への拡張可能なスリーブ(2)のねじ込みと反対方向に実行されなければならない時点を視覚化するために、少なくとも1つの距離マーカ(16)を備える。
【0034】
「近位」及び「遠位」という用語は、本出願では、植え込みデバイスが保持されて骨組織内の植え込みを可能にする部分、及び骨組織内に最初に植え込まれる部分(近位部分の反対側)をそれぞれ指す。
【0035】
「近位部分及び遠位部分」という用語は、本出願では、遠位端及び近位端の近くに位置する部分を指す。
【0036】
ねじ(1)の近位部分(12)は、皮質骨に直接植え込まれることに留意されたい。
【0037】
骨インプラントは、チタンもしくは植え込み可能な医療用ステンレス鋼、又はポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、又はポリエーテルケトンケトン(PEKK)、あるいは当業者がその機械的及び物理化学的特性並びに生体適合性に応じて適合性を判断することができる任意の他の材料で作製されていることに留意されたい。
【0038】
いくつかの実施形態では、インプラントは、ねじ(1)を拡張可能なスリーブ(2)内へ貫通させて、かつ、ねじ(1)の外径が、少なくとも遠位部分で、拡張可能なスリーブ(2)の内径よりも大きいという事実に起因して、変形によって拡張可能なスリーブ(2)を拡張させることによって、当該逆のねじ山の作動により、折り畳まれた静止位置から展開した位置に切り替えることができる。インプラントの展開した位置では、拡張可能なスリーブ(2)の第2の直径は、第1の直径以上である。
【0039】
いくつかの実施形態では、ねじ(1)の外径は、遠位部分にある少なくとも1つの収縮部(271)によって、拡張可能なスリーブの内径よりも大きい。
【0040】
いくつかの実施形態では、当該少なくとも1つの収縮部は、近位部分に対して、かつ、長手方向軸(L)に沿って、拡張が所望される骨組織内の深さに応じて決定された距離に位置する。
【0041】
いくつかの実施形態では、ねじ(1)の近位端は、ねじ(1)をねじ込むことを可能にする作動手段を備え、当該作動手段は、例えば、図1bに示されるように、その使用に応じて、施術者にとって望ましい任意の形状の構造を有する。作動手段は、例えば六角形の穴又はトルクス又は十字形又は任意の他の作動手段であり、ねじ(1)の近位端は、骨固定インプラントの望ましい目的場所に応じて様々な形状(多軸若しくは非多軸骨接合バーを固定するため、又はプレート若しくは任意の他のデバイスを固定するためのヘッド)を有し得る。
【0042】
いくつかの実施形態では、ねじ(1)は、施術者が必要に応じて、例えばセメントを注入することを可能にする、ねじ(1)を通るカニューレを備える。
【0043】
いくつかの実施形態では、インプラントはまた、例えば、図1a、図1b、及び図2で表されるように、円錐台形部分上の外側骨固定ねじ山(15)を含む。
【0044】
本出願で使用される「骨固定」という用語は、一般的に反復的なねじ込み動作、衝撃、又は打撃の形態の押圧作用下で、直線経路に沿って骨組織内に入ることを意図した少なくとも1つの要素を含む様々なタイプのデバイスを示す。骨固定ねじは、より良好な固定を確実にするために、一般に機械的ねじよりも高いねじ山の高さを有することが知られている。加えて、骨固定ねじは、一般に機械的ねじとは異なり、当業者であれば、骨の種類及び所望の用途に応じて、コアの直径、ねじピッチ、及びワイヤ高さを変化させることが可能であり、本出願はこれらの様々な実施形態を包含する。
【0045】
いくつかの実施形態では、ねじ(1)の外側プロファイルと拡張可能なスリーブ(2)の内側プロファイルは相補的であり、それにより、それらのプロファイルが、拡張構成において、
拡張可能なスリーブ(2)の内径とねじ(1)の外径との相補性によって支持される近位支承点と、
拡張可能なスリーブの内径が、ねじ(1)の外径よりも小さくなるまで、遠位部分に向かって狭くなっている、拡張可能なスリーブ(2)との協働によって支持される遠位支承点と、
2つの支承点の間に位置する「中央」支承点であって、ねじ(1)の外径と拡張可能なスリーブ(2)の内径との間の協働によって形成され、それにより「中央」位置での拡張可能なスリーブ(2)の外径を、近位支承点における拡張可能なスリーブ(2)の外径よりも大きくさせる、「中央」支承点と、をもたらす。
【0046】
いくつかの実施形態では、例えば、図3aに示されるように、拡張可能なスリーブ(2)は、遠位部分(23)の端部に鋭角αを有する。この角度αは、拡張中にねじ(1)が拡張可能なスリーブ(2)に入るにつれて広がり増大する。
【0047】
いくつかの実施形態では、例えば、図3bに示されるように、角度αは、拡張中に漸増的に広がり角度βになり、角度βは、拡張した拡張可能なスリーブ(2)の角度である。
【0048】
展開した位置では、拡張可能なスリーブ(2)の壁は、いくつかの実施形態では、角度βをなす代わりに平行であり得ることに留意されたい。
【0049】
いくつかの実施形態では、拡張可能なスリーブ(2)は、角度α及びβの存在によって、例えば図3cに示されるように、中央支承点にドーム形状を有する。
【0050】
いくつかの実施形態では、例えば、図3a~図3c、図5図8に示されるように、拡張可能なスリーブ(2)は、その遠位部分(23)まで延びている長手方向貫通スロット(24)と、拡張可能なスリーブ(2)の拡張を可能にする長手方向非貫通スロット(25)と、を含む。いくつかの貫通スロット(24)又は非貫通スロット(25)が存在し、遠位部分(23)は、2つのタイプのスロット、すなわち、長手方向貫通スロット(24)及び長手方向非貫通スロット(25)を含むことが好ましい。
【0051】
いくつかの実施形態では、貫通スロット(24)と非貫通スロット(25)との間の相乗作用は、円錐台形状も可能にする。
【0052】
いくつかの実施形態では、非貫通スロット(25)は、拡張可能なスリーブ(2)が、凸型のドーム形状を呈することによって海綿状骨組織内で拡張することを可能にすることによって、拡張可能なスリーブ(2)の外周にわたって材料を圧迫及び強化することを可能にし、基本的な安定性と治癒を向上させ、骨インプラントを安定及び固定させるためのセメントの追加を回避することができる。
【0053】
いくつかの実施形態では、長手方向貫通スロット(24)と同数のセルフタッピングノッチ(231)が存在する。
【0054】
いくつかの実施形態では、貫通スロット(24)と非貫通スロット(25)とは、拡張可能なスリーブ(2)の長さにわたって互いに対してオフセットされて配置されている。長さにわたる、貫通スロット(24)と非貫通スロット(25)とのオフセットは、拡張中の拡張可能なスリーブ(2)の柔軟性及び機械的強度を改善する。
【0055】
いくつかの実施形態では、遠位部分(23)上の長手方向貫通スロット(24)及び非貫通部スロット(25)は、拡張可能なスリーブ(2)の円筒状の拡張を可能にする。長手方向非貫通スロット(25)は、拡張中に、拡張可能なスリーブ(2)とねじ(1)との間の3つの支承点上の接触プロファイルを維持することを可能にし、拡張による力を、拡張した拡張可能なスリーブ(2)の外周にわたって均一に分布させることによって、骨組織内の骨インプラントの安定性に寄与する。長手方向貫通スロット(24)及び非貫通スロット(25)は、拡張可能なスリーブ(2)の材料の弾性限界と、ねじを緩める間の弾性収縮とに対応することによって、拡張可能なスリーブ(2)の近位部分(22)の径方向の拡張を可能にする。
【0056】
いくつかの実施形態では、当該長手方向貫通スロット(24)は、拡張可能なスリーブ(2)の長さの10~90%にわたって延びている。
【0057】
骨成長は、貫通スロット(24)及び非貫通スロット(25)内に構成される、骨インプラント内部の隙間を通ることに留意されたい。骨の再成長は、骨組織内のインプラントの固定及び安定性に寄与するだけでなく、骨組織への植え込みの数か月後にアブレーションが必要になったときにインプラントを除去しにくくする。
【0058】
いくつかの実施形態では、距離マーカ(16)は、レーザマーカである。
【0059】
いくつかの実施形態では、骨インプラントは、特に、使用されている材料の弾性の限界内での拡張可能なスリーブ(2)の弾性変形によって、骨への深刻な損傷又は大きな亀裂を生じさせることなく、骨組織から除去される。
【0060】
例えば、図12に示されるように、ヘッド(17)は、骨インプラントの引き抜き中に骨を削る又はタップするために、骨を削るための後部溝(171)型の少なくとも1つのノッチを備える。実際、骨の海綿状部分にインプラントを挿入した後、骨組織は、インプラントの周囲、並びに開放されたスロット内に、及び/又は拡張後の、拡張可能なスリーブ(2)の内壁とねじ(1)の外壁との間に、空いたまま残された隙間内でより硬くなることによって再形成される。次いで、骨インプラントを除去するために、骨の硬い部分を削る又はタップして、インプラントを移動させ、引き抜き中にねじを緩めることが可能である必要がある。
【0061】
いくつかの実施形態では、追加の短いねじ込みにより、障害物を取り除くため、インプラントの周りに再形成された骨組織を破壊することを可能にし、その後、ねじを緩め、次いで、インプラントを除去することを可能にする。
【0062】
いくつかの実施形態では、骨インプラントのアブレーション中、後部溝(171)は、外径が拡張可能なスリーブ(2)の全長にわたって実質的に一定である静止位置に戻るまでねじ(1)が後退する間、ねじ(1)と拡張可能スリーブ(2)との間に形成された骨を削る又はタップすることを可能にする。この一定径への復帰は、拡張可能なスリーブ(2)が弾性変形を有するときに自動で行われるが、一方、拡張可能なスリーブ(2)が塑性変形を有するとき、この一定径への復帰は、インプラントによって作成されたダクトの出口で拡張可能なスリーブ(2)が除去中に受ける圧迫によって行われる。
【0063】
いくつかの実施形態では、後部溝(171)は、切り込み刃を有する。後部溝(171)の切り込み刃は、インプラントが除去されるときのねじ(1)のねじ山方向によって決定される、長手方向軸(L)に対する角度を有する。
【0064】
骨インプラントの引き抜きは、
距離マーカ(16)が出現するまで、外側ねじ山(11)の方向に骨インプラントのねじを緩める工程と、
静止位置における拡張可能なスリーブ(2)のねじ(1)をブロックするクランプによってインプラントを係止する工程と、
インプラントを第2のねじ山(21)の方向にねじを緩める工程と、を含む。
【0065】
したがって、本発明で提案された骨インプラントは、骨組織から迅速かつ正確に引き抜くことができ、その除去は容易であり、及び/又はその除去中に骨を損傷するリスクが制限される。
【0066】
本出願は、図面及び/又は様々な実施形態を参照して様々な技術的特徴及び利点を説明している。当業者であれば、反すると明示的に述べられない、又はこれらの特性が不適合である、又は組み合わせが機能しない限り、実際に、所与の実施形態の技術的特徴が1つ以上の他の実施形態の特徴と組み合わせることができることを理解するであろう。
【0067】
より一般的には、様々なタイプのインプラント保持手段及び/又は脊椎保持手段の組み合わせが想定され、本出願で提供される機能的及び構造的考察を使用して当業者によって理解されるであろう。更に、特に、本出願で提供される機能的考察は、必要とされ得る構造的適合が当業者の実行範囲内にあるように十分な説明を提供するものであるため、所与の実施形態に記載されている技術的特徴は、反すると明示的に述べられない限り、このモードの他の特徴から分離することができる。
【0068】
当業者は、本出願を読めば、特許請求される本発明の適用範囲から逸脱することなく、詳細に説明されるもの以外の多くの特定の形態の実施形態が可能であることを理解するであろう。したがって、本実施形態は、例示として考慮されるべきであるが、添付の特許請求の範囲によって定義される分野において修正することができ、本発明は、上記の詳細に限定されるべきではない。
図1a
図1b
図2
図3a
図3b
図3c
図4a
図4b
図5
図6
図7
図8
図9a
図9b
図10a
図10b
図11
図12
【国際調査報告】