(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-25
(54)【発明の名称】操作されたトランスアミナーゼポリペプチド
(51)【国際特許分類】
C12N 15/54 20060101AFI20230518BHJP
C12N 9/10 20060101ALI20230518BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20230518BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20230518BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20230518BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20230518BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20230518BHJP
C12P 21/02 20060101ALI20230518BHJP
【FI】
C12N15/54 ZNA
C12N9/10
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12P21/02 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022561487
(86)(22)【出願日】2021-04-06
(85)【翻訳文提出日】2022-12-06
(86)【国際出願番号】 US2021025967
(87)【国際公開番号】W WO2021207200
(87)【国際公開日】2021-10-14
(32)【優先日】2020-04-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502427921
【氏名又は名称】コデクシス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ノヴィック, スコット ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】デラス, ニッキ
【テーマコード(参考)】
4B050
4B064
4B065
【Fターム(参考)】
4B050CC03
4B050DD02
4B050FF01
4B050FF14C
4B050LL01
4B050LL10
4B064AE01
4B064CA02
4B064CA05
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4B065AA01X
4B065AA57X
4B065AA72X
4B065AA87X
4B065AB01
4B065BA02
4B065CA44
4B065CA49
4B065CA60
(57)【要約】
本開示は、工業的に妥当な条件下でキラルアミン化合物を合成するために有用な、操作されたトランスアミナーゼポリペプチドを提供する。本開示は、操作されたトランスアミナーゼポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、操作されたトランスアミナーゼを発現することが可能な宿主細胞、および、キラルアミン化合物を生成するために操作されたトランスアミナーゼを使用する方法も提供する。本開示は、トランスアミナーゼ活性を有する操作されたポリペプチド、当該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、当該ポリペプチドを作製する方法、および、アミノ受容体基質化合物(すなわち、ケト基を含有する化合物)のキラルアミン生成物である化合物への生体触媒変換のために当該ポリペプチドを使用する方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号2、4、8、366、および/または650に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含む操作されたトランスアミナーゼまたはその機能性断片であって、前記ポリペプチド配列内の少なくとも1つの置換または置換セットを含み、前記ポリペプチド配列のアミノ酸の位置が、配列番号2、4、8、366、および/または650を基準に番号付けされる、操作されたトランスアミナーゼ。
【請求項2】
前記ポリペプチド配列が、配列番号4に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、前記操作されたトランスアミナーゼが、前記ポリペプチド配列内の少なくとも1つの置換または置換セットを、21/163/286/291/314/316/323/383/388/408/414/416、18、20、21、21/23/56/146、21/23/56/146/432、21/23/146/417、21/23/395/417/432、21/53/56、21/53/417、21/56/395、21/417/432、23、23/53、23/53/56、23/53/56/146/395、23/53/395、23/53/417、23/53/432、23/56、23/56/395、23/56/395/417、23/395/417、23/417、23/417/432、53、53/56、53/146/417、53/395、56、56/74/241/286/314/316/323、56/86/163/314/316/383/414/416/422、56/86/286/314/414/416、56/86/314/316/323/394/414/422、56/146/417、56/146/432、56/147、56/163、56/163/286/316/323/383/394、56/286/314/316/323/422、56/286/383、56/323、56/323/383、56/323/383/394、56/383、56/395、74/81/286/316/323/383、74/85/86/163/286/316/323/394、74/85/314/316/414/416、74/86/163/316、74/86/316/323/383/394、74/88/286/316/323/383、74/88/323/383、74/163/286/316/383/394/416、74/163/314/316、74/163/314/316/323/394、74/163/314/323/383/414/416、74/286、74/286/316/323、74/286/394/416、74/314/323/383/394/414、74/316/323/394、85/86/88/163/323/383/394、85/86/163/314/323/394/414、85/286、85/286/323、86、86/88/163/323/383/414/422、86/383/394、88、88/163/286/383、88/286/316/323、88/286/316/323/383/414/416、88/316/323、146、146/147/395/417、146/395、146/395/417、146/417、147/395/417/432、147/417、149、157、163、163/222/286/316/323/383/394、163/286、163/286/314/316/323/414/416、163/286/314/323/394、163/286/316/323/394/416、163/286/414、163/314/316/394、163/314/323/394、163/314/383、163/314/414、163/316/323、163/323、163/383、164、199/417、259、260、284、286、286/314/323/383、286/314/394、286/316/323/383/414/416、286/316/383/394、286/316/394/414/416、286/323、286/323/383/414、286/323/416、286/383、286/416、314/316、314/316/323、314/316/323/383/422、314/316/323/394、314/316/394、314/323/383/394、314/383、314/383/414/422、315、316、316/323/383/394、316/323/394/414/416、316/414/422、323、323/383、323/383/394/414/416、323/394、383、395、395/417、395/417/432、400、401、403、404、405、406、408、415、417、417/432、420、および422から選択される1つまたは複数の位置に含み、前記ポリペプチド配列のアミノ酸の位置が、配列番号4を基準に番号付けされる、請求項1に記載の操作されたトランスアミナーゼ。
【請求項3】
前記ポリペプチド配列が、配列番号4に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、前記操作されたトランスアミナーゼが、前記ポリペプチド配列内の少なくとも1つの置換または置換セットを、74/81/286/316/323/383、163/286/314/316/323/414/416、163/286/314/323/394、286/314/323/383、286/316/323/383/414/416、315、および408から選択される1つまたは複数の位置に含み、前記ポリペプチド配列のアミノ酸の位置が、配列番号4を基準に番号付けされる、請求項1に記載の操作されたトランスアミナーゼ。
【請求項4】
前記ポリペプチド配列が、配列番号8に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、前記操作されたトランスアミナーゼが、前記ポリペプチド配列内の少なくとも1つの置換または置換セットを、5、18/23/149/260/383/395/401/416、18/23/149/383、18/163/164、21、21/163/315/316、21/163/323/408、21/408、23/56/86/149/163/164/383/401/416、23/86、23/149/260、23/149/284/383/395、23/163/164/383、23/163/164/401/416、24、42、42/110、42/187/272、42/187/324/363/366、42/187/353、42/272/291、42/272/291/363、42/272/324/363/366、42/272/363/410、42/272/410、42/291/313/363/410、42/291/363、42/291/363/366、42/353、42/363、46、66、77、86/149/163/164/383/395/401、86/149/395、86/163/164/260/383、86/383、107、110、110/187、110/187/253/410、134、138、149/164/260/383/395/401、149/260/383、149/416、163/259/323/408、163/259/408、163/315/316、164/260/401、164/316/383/401、167、186、187、187/253/363/366、187/272/324/363/410、187/272/363、187/272/363/366/410、187/291、189、191、195、199、203、210、211、248、259/307、260/395/401、272、272/353、272/363/366、272/410、277、291、305、309、315、342、343、351、354、358、361、362、363、363/366、365、367、383、383/401、383/416/422、385、388、389、392、395、396、401、404、405、408、410、416、417、439、443、447、450、および451から選択される1つまたは複数の位置に含み、前記ポリペプチド配列のアミノ酸の位置が、配列番号8を基準に番号付けされる、請求項1に記載の操作されたトランスアミナーゼ。
【請求項5】
前記ポリペプチド配列が、配列番号8に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、前記操作されたトランスアミナーゼが、前記ポリペプチド配列内の少なくとも1つの置換または置換セットを、18/23/149/383、21/163/323/408、272、291、および383から選択される1つまたは複数の位置に含み、前記ポリペプチド配列のアミノ酸の位置が、配列番号8を基準に番号付けされる、請求項1に記載の操作されたトランスアミナーゼ。
【請求項6】
前記ポリペプチド配列が、配列番号366に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、前記操作されたトランスアミナーゼが、前記ポリペプチド配列内の少なくとも1つの置換または置換セットを、24、24/42/66/291、24/42/291/362、24/66/163/191/362/383/388、24/66/191/199/260/291/351、24/66/191/199/291、24/66/191/260/408、24/66/260/291/383/388/408、24/66/291/342/383、24/66/291/365、24/66/342/365/388/408、24/77/291、24/107/163/191/291/351/383/388、24/107/291/351/365/388、24/163/351/383、24/191/291/365、24/199/260/351/362/383、24/199/260/362/383/388、24/260/362/383/388、24/291、24/291/342/351/383、24/291/362/388、24/291/408、24/383/388、24/388、25、28、33、42/191/408、42/199/291/383、42/291/351/362/365/383/388、42/291/351/362/383/408、42/291/383/388、66/82/291/383、66/163/191/365/383、66/199/351/383、66/291、66/291/362/365/383、66/291/383/388、66/383、77/291、77/383/388、86、107/191/199/365/383/388、107/191/291/383、148、153、163/291/362/365/383/388、163/291/383/388、163/383、191/199/365/383/388、191/260/388、191/291、191/291/342/362/365、191/351/383/388、199/260/383、199/291、260、260/291/365/383/408、260/365/383、291、291/351/383/388、291/351/383/388/408、291/362/365、291/365/388、291/383、314、315、316、319、342/362、351/383/388、362、362/388、383、383/388、396、397、405、406、413、419、および423から選択される1つまたは複数の位置に含み、前記ポリペプチド配列のアミノ酸の位置が、配列番号366を基準に番号付けされる、請求項1に記載の操作されたトランスアミナーゼ。
【請求項7】
前記ポリペプチド配列が、配列番号366に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれよりも大きな配列同一性を有し、前記操作されたトランスアミナーゼが、前記ポリペプチド配列内の少なくとも1つの置換または置換セットを、24/66/191/199/291、24/66/291/365、163/291/362/365/383/388、163/291/383/388、191/291/342/362/365、291、および291/383から選択される1つまたは複数の位置に含み、前記ポリペプチド配列のアミノ酸の位置が、配列番号366を基準に番号付けされる、請求項1に記載の操作されたトランスアミナーゼ。
【請求項8】
前記ポリペプチド配列が、配列番号650に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、前記操作されたトランスアミナーゼが、前記ポリペプチド配列内の少なくとも1つの置換または置換セットを、10、13、13/24/108/163、13/24/108/163/311、13/24/133/199/311、13/24/163、13/24/199/311、13/108、13/108/199、13/108/311、13/199、13/311、14、14/24/108、14/24/108/133、14/24/108/199、14/24/199、14/108、14/108/133/311、14/108/311、14/311、24、24/163、24/163/199、35、72、73、78、95、101、108、108/199、114、154、163、169、175/316、199、199/311、226、293、311、316、382、383、および386から選択される1つまたは複数の位置に含み、前記ポリペプチド配列のアミノ酸の位置が、配列番号650を基準に番号付けされる、請求項1に記載の操作されたトランスアミナーゼ。
【請求項9】
前記ポリペプチド配列が、配列番号650に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、前記操作されたトランスアミナーゼが、前記ポリペプチド配列内の少なくとも1つの置換または置換セットを、14/108/133/311、24/163/199、72、78、316、および383から選択される1つまたは複数の位置に含み、前記ポリペプチド配列のアミノ酸の位置が、配列番号650を基準に番号付けされる、請求項1に記載の操作されたトランスアミナーゼ。
【請求項10】
前記操作されたトランスアミナーゼが、表2-1、2-2、3-1、3-2、4-1、4-2、5-1、および/または5-2に記載されている少なくとも1つの操作されたトランスアミナーゼバリアントの配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるポリペプチド配列を含む、請求項1に記載の操作されたトランスアミナーゼ。
【請求項11】
表2-1、2-2、3-1、3-2、4-1、4-2、5-1、および/または5-2に提示されている操作されたトランスアミナーゼバリアントである、請求項1に記載の操作されたトランスアミナーゼ。
【請求項12】
配列番号2、4、8、366、および/または650に記載されている操作されたトランスアミナーゼバリアントである、請求項1に記載の操作されたトランスアミナーゼ。
【請求項13】
配列番号6~936の偶数の配列に記載されている少なくとも1つの操作されたトランスアミナーゼバリアントの配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるポリペプチド配列を含む、請求項1に記載の操作されたトランスアミナーゼ。
【請求項14】
配列番号6~936の偶数の配列に記載されているポリペプチド配列を含む、請求項1に記載の操作されたトランスアミナーゼ。
【請求項15】
野生型V.fluvialisトランスアミナーゼと比較して少なくとも1つの特性の改善を含む、請求項1から14までのいずれかに記載の操作されたトランスアミナーゼ。
【請求項16】
前記特性の改善が、基質に対する活性の改善を含む、請求項15に記載の操作されたトランスアミナーゼ。
【請求項17】
前記基質が、化合物(1)を含む、請求項16に記載の操作されたトランスアミナーゼ。
【請求項18】
前記特性の改善が、熱安定性の改善を含む、請求項15のいずれかに記載の操作されたトランスアミナーゼ。
【請求項19】
精製されたものである、請求項1から18までのいずれかに記載の操作されたトランスアミナーゼ。
【請求項20】
請求項1から19までのいずれかに記載の操作されたトランスアミナーゼを含む組成物。
【請求項21】
請求項1から19までのいずれかに記載の少なくとも1つの操作されたトランスアミナーゼをコードするポリヌクレオチド配列。
【請求項22】
請求項1から19までのいずれかに記載の少なくとも1つの操作されたトランスアミナーゼをコードするポリヌクレオチド配列であって、配列番号1、3、7、365、および/または649に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれよりも大きな配列同一性を含み、1つまたは複数の位置における少なくとも1つの置換を含む、ポリヌクレオチド配列。
【請求項23】
配列番号2、4、8、366、および/または650に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれよりも大きな配列同一性を含む少なくとも1つの操作されたトランスアミナーゼまたはその機能性断片をコードするポリヌクレオチド配列。
【請求項24】
制御配列に作動可能に連結している、請求項21から23までのいずれかに記載のポリヌクレオチド配列。
【請求項25】
コドン最適化されたものである、請求項21から24までのいずれかに記載のポリヌクレオチド配列。
【請求項26】
請求項21から25までのいずれかに記載の少なくとも1つのポリヌクレオチド配列を含む発現ベクター。
【請求項27】
請求項26に記載の少なくとも1つの発現ベクターを含む宿主細胞。
【請求項28】
請求項21から25までのいずれかに記載の少なくとも1つのポリヌクレオチド配列を含む宿主細胞。
【請求項29】
操作されたトランスアミナーゼを宿主細胞において産生させる方法であって、請求項27および/または28に記載の宿主細胞を、少なくとも1つの操作されたトランスアミナーゼが産生されるように適切な条件下で培養するステップを含む、方法。
【請求項30】
少なくとも1つの操作されたトランスアミナーゼを培養物および/または宿主細胞から回収するステップをさらに含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記少なくとも1つの操作されたトランスアミナーゼを精製するステップをさらに含む、請求項29および/または30に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、あらゆる目的に関してその全体が参照によって援用される、2020年4月10日出願の米国仮特許出願第63/008,047号に基づく優先権を主張している。
配列表、表またはコンピュータプログラムへの言及
【0002】
配列表の公式コピーがASCIIフォーマットのテキストファイルとしてEFS-Webを介して本明細書と同時に提出される。ファイル名は「CX2-197WO1_ST25.txt」、作成日は2021年4月5日、およびサイズは2.53メガバイトである。EFS-Webを介して出願される配列表は本明細書の一部であり、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0003】
発明の分野
本開示は、工業プロセス条件下で医薬品およびファインケミカルアミン化合物を生成するために有用な操作されたトランスアミナーゼポリペプチドを提供する。
【背景技術】
【0004】
背景
トランスアミナーゼ(E.C.2.6.1)は、アミノ供与体化合物からアミノ受容体化合物のケト基へのアミノ基、電子対、およびプロトンの転位を触媒する。トランスアミナーゼ反応により、キラルアミン生成物である化合物の形成がもたらされ得る。スキーム1に示されている通り、アミノ受容体化合物(B)(所望のキラルアミン生成物(D)のケト基質前駆体)とアミノ供与体化合物(A)をトランスアミナーゼの存在下で反応させる。トランスアミナーゼは、アミノ供与体化合物(A)の第一級アミン基の、アミノ受容体化合物(B)のケト基への転移を触媒する。トランスアミナーゼ反応により、キラルアミン生成物である化合物(D)(R
3はR
4と同じではないと仮定する)、および、ケト基を有する新しいアミノ受容体副生成物(または「カルボニル副生成物」)化合物(C)がもたらされる。
【化1】
【0005】
キラルアミン化合物は、医薬品産業、農芸化学産業および化学産業において、セファロスポリンまたはピロリジン誘導体などの、広範囲にわたる商業的に所望の化合物を調製するための中間体またはシントンとして頻繁に使用される。一般には、キラルアミン化合物のこれらの工業的適用では、分子の1つの特定のステレオマーの形態のみを使用することが必要になる(例えば、(R)または(S)鏡像異性体のみが生理的に活性である)。トランスアミナーゼは、高度に立体選択的であり、光学的に純粋なキラルアミン化合物の合成に関して多くの潜在的な産業上の用途がある。
【0006】
キラルアミン化合物を作製するためのトランスアミナーゼの使用の例としては、アミノ酸の鏡像異性富化(例えば、Shin et al., Biosci. Biotechnol. Biochem., 65: 1782-1788 [2001];Iwasaki et al., Biotech. Lett., 25: 1843-1846 [2003];Iwasaki et al., Appl. Microbiol. Biotech., 69: 499-505 [2004];Yun et al., Appl. Environ. Microbiol., 70: 2529-2534 [2004];およびHwang et al., Enz. Microbiol. Technol., 34: 429-426 [2004]を参照されたい);プレガバリンの中間体および前駆体の調製(例えば、WO2008/127646);シクロパミン類似体の酵素的アミノ基転移(例えば、WO2011/017551);β-アミノ酸の立体特異的合成および鏡像異性富化(例えば、WO2005/005633);アミンの鏡像異性富化(例えば、米国特許第US4,950,606号;米国特許第5,300,437号;および米国特許第5,169,780号を参照されたい);アミノ酸および誘導体の生成(例えば、米国特許第5,316,943号;米国特許第4,518,692号;米国特許第4,826,766号;米国特許第6,197,558号;および米国特許第4,600,692号を参照されたい);ならびに医薬化合物、シタグリプチン、リバスチグミン、およびベルナカラントの生成(例えば、米国特許第8,293,507号;Savile, et al., Sci., 329: 305-9 [2010];WO2011/159910;およびWO2012/024104を参照されたい)が挙げられる。
【0007】
スキーム1の反応を触媒する能力を有する野生型トランスアミナーゼは、これだけに限定されないが、Alcaligenes denitrificans、Bordetella bronchiseptica、Bordetella parapertussis、Brucella melitensis、Burkholderia malle、Burkholderia pseudomallei、Chromobacterium violaceum、Oceanicola granulosus HTCC2516、Oceanobacter sp. RED65、Oceanospirillum sp. MED92、Pseudomonas putida、Ralstonia solanacearum、Rhizobium meliloti、Rhizobium sp.(NGR234株)、Bacillus thuringensis、Klebsiella pneumonia、Vibrio fluvialis(例えば、Shin et al., Biosci. Biotechnol, Biochem., 65: 1782-1788 [2001]を参照されたい)、およびArthrobacter sp.KNK168(例えば、Iwasaki et al., Appl. Microbiol. Biotechnol., 69: 499-505 [2006];および米国特許第7,169,592号を参照されたい)を含めた種々の微生物から単離されている。これらの野生型トランスアミナーゼ遺伝子およびコードされるポリペプチドのうちのいくつかが配列決定されている(例えば、Ralstonia solanacearum[Genbank受託番号YP_002257813.1、GI:207739420]、Burkholderia pseudomallei 1710b[Genbank受託番号ABA47738.1、GI:76578263]、Bordetella petrii[Genbank受託番号AM902716.1、GI:163258032]、Vibrio fluvialis JS17[Genbank受託番号AEA39183.1、GI:327207066]、およびArthrobacter sp. KNK168[GenBank受託番号BAK39753.1、GI:336088341])。EC2.6.1.18クラスおよびEC2.6.1-19クラスの少なくとも2種の野生型トランスアミナーゼが結晶化され、構造的に特徴付けられている(例えば、Yonaha et al., Agric. Biol. Chem., 47: 2257-2265 [1983]を参照されたい)。
【0008】
トランスアミナーゼは、(R)選択的または(S)選択的立体選択性を有することが分かっている。例えば、Arthrobacter sp.KNK168由来の野生型トランスアミナーゼは、(R)選択的であり、ある特定の基質から主に(R)-アミン化合物を生成させると考えられ(例えば、Iwasaki et al., Appl. Microbiol. Biotechnol., 69: 499-505 [2006];および米国特許第7,169,592号を参照されたい)、一方、Vibrio fluvialis JS17由来の野生型トランスアミナーゼは、(S)選択的であり、ある特定の基質から主に(S)-アミン化合物を生成させると考えられる(例えば、Shin et al., Appl. Microbiol. Biotechnol., 61: 463-471 [2003]を参照されたい)。
[0009]
(R)選択性を有する天然に存在しないトランスアミナーゼにより、溶媒および熱安定性(thermal stability)の増大、ならびに広範囲のアミノ受容体基質の変換に関する他の改善された特性が、野生型および他の操作されたトランスアミナーゼ骨格配列の突然変異誘発および/または定向進化によって引き起こされている(例えば、米国特許第8,293,507 B2号;WO2011/005477A1;WO2012/024104;およびSavile et al., Sci., 329: 305-9 [2010]を参照されたい)。
[0010]
しかし、トランスアミナーゼは、一般に、例えば、工業的に有用なプロセス条件(例えば、溶媒、温度)に対する不安定性、商業的に有用なアミノ受容体および/またはアミノ供与体基質の認識およびそれに対する立体選択性が乏しいこと、ならびに、好ましくない反応平衡に起因して生成収率が低いことなど、キラルアミン化合物の調製における商業的適用には望ましくない特性を有する。したがって、キラルアミン化合物を光学的に活性な形態で調製するための工業プロセスに使用することができる、操作されたトランスアミナーゼが必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第2008/127646号
【特許文献2】国際公開第2011/017551号
【特許文献3】国際公開第2005/005633号
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Shin et al., Biosci. Biotechnol. Biochem., 65: 1782-1788 [2001]
【非特許文献2】Iwasaki et al., Biotech. Lett., 25: 1843-1846 [2003]
【非特許文献3】Iwasaki et al., Appl. Microbiol. Biotech., 69: 499-505 [2004]
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
発明の要旨
本開示は、トランスアミナーゼ活性を有する操作されたポリペプチド、当該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、当該ポリペプチドを作製する方法、および、アミノ受容体基質化合物(すなわち、ケト基を含有する化合物)のキラルアミン生成物である化合物への生体触媒変換のために当該ポリペプチドを使用する方法を提供する。本開示のトランスアミナーゼポリペプチドは、事前に操作されたトランスアミナーゼポリペプチド(配列番号4のアミノ酸配列のもの)と比較した1つまたは複数の残基の差異、ならびに、関連する、配列番号4のトランスアミナーゼおよび配列番号2の野生型トランスアミナーゼと比べた溶媒および熱安定性(thermal stability)の増強を有するように操作されている。アミノ酸残基の差異は、とりわけ、活性、立体選択性、安定性、発現、および生成物耐性を含めた種々の酵素特性の改善がもたらされる残基の位置に位置する。
【0012】
特に、本開示の操作されたトランスアミナーゼポリペプチドは、スキーム2に示されている、基質である(R)-2
1-(ジフルオロメチル)-5-メチル-2
1H-3-アザ-1(4,2)-ピリジナ-2(2,3)-ピロールアシクロノナファン-4,9-ジオン(本明細書では「化合物(1)」と称される)の、その対応するキラルアミン生成物である化合物、(5R,9S)-9-アミノ-2
1-(ジフルオロメチル)-5-メチル-2
1H-3-アザ-1(4,2)-ピリジナ-2(2,3)-ピロールアシクロノナファン-4-オン(本明細書では「化合物(2)」と称される)への効率的な変換のために操作されている。
【化2】
【0013】
一部の実施形態では、本開示は、配列番号4、8、366、および/または650に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれよりも大きな配列同一性を有するポリペプチド配列を含む操作されたトランスアミナーゼまたはその機能性断片であって、前記ポリペプチド配列内の少なくとも1つの置換または置換セットを含み、前記ポリペプチド配列のアミノ酸の位置が、配列番号2、4、8、366、および/または650を基準に番号付けされる、操作されたトランスアミナーゼを提供する。一部の実施形態では、操作されたトランスアミナーゼは、配列番号4に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれよりも大きな配列同一性を含むポリペプチド配列を含み、ここで、前記操作されたトランスアミナーゼは、前記ポリペプチド配列内の少なくとも1つの置換または置換セットを、18、20、21、21/23/56/146、21/23/56/146/432、21/23/146/417、21/23/395/417/432、21/53/56、21/53/417、21/56/395、21/417/432、23、23/53、23/53/56、23/53/56/146/395、23/53/395、23/53/417、23/53/432、23/56、23/56/395、23/56/395/417、23/395/417、23/417、23/417/432、53、53/56、53/146/417、53/395、56、56/74/241/286/314/316/323、56/86/163/314/316/383/414/416/422、56/86/286/314/414/416、56/86/314/316/323/394/414/422、56/146/417、56/146/432、56/147、56/163、56/163/286/316/323/383/394、56/286/314/316/323/422、56/286/383、56/323、56/323/383、56/323/383/394、56/383、56/395、74/81/286/316/323/383、74/85/86/163/286/316/323/394、74/85/314/316/414/416、74/86/163/316、74/86/316/323/383/394、74/88/286/316/323/383、74/88/323/383、74/163/286/316/383/394/416、74/163/314/316、74/163/314/316/323/394、74/163/314/323/383/414/416、74/286、74/286/316/323、74/286/394/416、74/314/323/383/394/414、74/316/323/394、85/86/88/163/323/383/394、85/86/163/314/323/394/414、85/286、85/286/323、86、86/88/163/323/383/414/422、86/383/394、88、88/163/286/383、88/286/316/323、88/286/316/323/383/414/416、88/316/323、146、146/147/395/417、146/395、146/395/417、146/417、147/395/417/432、147/417、149、157、163、163/222/286/316/323/383/394、163/286、163/286/314/316/323/414/416、163/286/314/323/394、163/286/316/323/394/416、163/286/414、163/314/316/394、163/314/323/394、163/314/383、163/314/414、163/316/323、163/323、163/383、164、199/417、259、260、284、286、286/314/323/383、286/314/394、286/316/323/383/414/416、286/316/383/394、286/316/394/414/416、286/323、286/323/383/414、286/323/416、286/383、286/416、314/316、314/316/323、314/316/323/383/422、314/316/323/394、314/316/394、314/323/383/394、314/383、314/383/414/422、315、316、316/323/383/394、316/323/394/414/416、316/414/422、323、323/383、323/383/394/414/416、323/394、383、395、395/417、395/417/432、400、401、403、404、405、406、408、415、417、417/432、420、および422から選択される1つまたは複数の位置に含み、前記ポリペプチド配列のアミノ酸の位置は、配列番号4を基準に番号付けされる。一部の追加的な実施形態では、操作されたトランスアミナーゼは、配列番号4に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれよりも大きな配列同一性を含むポリペプチド配列を含み、ここで、前記操作されたトランスアミナーゼは、前記ポリペプチド配列内の少なくとも1つの置換または置換セットを、74/81/286/316/323/383、163/286/314/316/323/414/416、163/286/314/323/394、286/314/323/383、286/316/323/383/414/416、315、および408から選択される1つまたは複数の位置に含み、前記ポリペプチド配列のアミノ酸の位置は、配列番号4を基準に番号付けされる。一部のさらなる実施形態では、操作されたトランスアミナーゼは、配列番号8に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれよりも大きな配列同一性を含むポリペプチド配列を含み、ここで、前記操作されたトランスアミナーゼは、前記ポリペプチド配列内の少なくとも1つの置換または置換セットを、5、18/23/149/260/383/395/401/416、18/23/149/383、18/163/164、21、21/163/315/316、21/163/323/408、21/408、23/56/86/149/163/164/383/401/416、23/86、23/149/260、23/149/284/383/395、23/163/164/383、23/163/164/401/416、24、42、42/110、42/187/272、42/187/324/363/366、42/187/353、42/272/291、42/272/291/363、42/272/324/363/366、42/272/363/410、42/272/410、42/291/313/363/410、42/291/363、42/291/363/366、42/353、42/363、46、66、77、86/149/163/164/383/395/401、86/149/395、86/163/164/260/383、86/383、107、110、110/187、110/187/253/410、134、138、149/164/260/383/395/401、149/260/383、149/416、163/259/323/408、163/259/408、163/315/316、164/260/401、164/316/383/401、167、186、187、187/253/363/366、187/272/324/363/410、187/272/363、187/272/363/366/410、187/291、189、191、195、199、203、210、211、248、259/307、260/395/401、272、272/353、272/363/366、272/410、277、291、305、309、315、342、343、351、354、358、361、362、363、363/366、365、367、383、383/401、383/416/422、385、388、389、392、395、396、401、404、405、408、410、416、417、439、443、447、450、および451から選択される1つまたは複数の位置に含み、前記ポリペプチド配列のアミノ酸の位置は、配列番号8を基準に番号付けされる。さらに追加的な一部の実施形態では、操作されたトランスアミナーゼは、配列番号8に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれよりも大きな配列同一性を含むポリペプチド配列を含み、ここで、前記操作されたトランスアミナーゼは、前記ポリペプチド配列内の少なくとも1つの置換または置換セットを、18/23/149/383、21/163/323/408、272、291、および383から選択される1つまたは複数の位置に含み、前記ポリペプチド配列のアミノ酸の位置は、配列番号8を基準に番号付けされる。一部の追加的な実施形態では、操作されたトランスアミナーゼは、配列番号366に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれよりも大きな配列同一性を含むポリペプチド配列を含み、ここで、前記操作されたトランスアミナーゼは、前記ポリペプチド配列内の少なくとも1つの置換または置換セットを、24、24/42/66/291、24/42/291/362、24/66/163/191/362/383/388、24/66/191/199/260/291/351、24/66/191/199/291、24/66/191/260/408、24/66/260/291/383/388/408、24/66/291/342/383、24/66/291/365、24/66/342/365/388/408、24/77/291、24/107/163/191/291/351/383/388、24/107/291/351/365/388、24/163/351/383、24/191/291/365、24/199/260/351/362/383、24/199/260/362/383/388、24/260/362/383/388、24/291、24/291/342/351/383、24/291/362/388、24/291/408、24/383/388、24/388、25、28、33、42/191/408、42/199/291/383、42/291/351/362/365/383/388、42/291/351/362/383/408、42/291/383/388、66/82/291/383、66/163/191/365/383、66/199/351/383、66/291、66/291/362/365/383、66/291/383/388、66/383、77/291、77/383/388、86、107/191/199/365/383/388、107/191/291/383、148、153、163/291/362/365/383/388、163/291/383/388、163/383、191/199/365/383/388、191/260/388、191/291、191/291/342/362/365、1
91/351/383/388、199/260/383、199/291、260、260/291/365/383/408、260/365/383、291、291/351/383/388、291/351/383/388/408、291/362/365、291/365/388、291/383、314、315、316、319、342/362、351/383/388、362、362/388、383、383/388、396、397、405、406、413、419、および423から選択される1つまたは複数の位置に含み、前記ポリペプチド配列のアミノ酸の位置は、配列番号366を基準に番号付けされる。一部のさらなる実施形態では、操作されたトランスアミナーゼは、配列番号366に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれよりも大きな配列同一性を含むポリペプチド配列を含み、ここで、前記操作されたトランスアミナーゼは、前記ポリペプチド配列内の少なくとも1つの置換または置換セットを、24/66/191/199/291、24/66/291/365、163/291/362/365/383/388、163/291/383/388、191/291/342/362/365、291、および291/383から選択される1つまたは複数の位置に含み、前記ポリペプチド配列のアミノ酸の位置は、配列番号366を基準に番号付けされる。その上さらなる一部の実施形態では、操作されたトランスアミナーゼは、配列番号650に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれよりも大きな配列同一性を含むポリペプチド配列を含み、ここで、前記操作されたトランスアミナーゼは、前記ポリペプチド配列内の少なくとも1つの置換または置換セットを、10、13、13/24/108/163、13/24/108/163/311、13/24/133/199/311、13/24/163、13/24/199/311、13/108、13/108/199、13/108/311、13/199、13/311、14、14/24/108、14/24/108/133、14/24/108/199、14/24/199、14/108、14/108/133/311、14/108/311、14/311、24、24/163、24/163/199、35、72、73、78、95、101、108、108/199、114、154、163、169、175/316、199、199/311、226、293、311、316、382、383、および386から選択される1つまたは複数の位置に含み、前記ポリペプチド配列のアミノ酸の位置は、配列番号650を基準に番号付けされる。さらに追加的な一部の実施形態では、操作されたトランスアミナーゼは、配列番号650に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれよりも大きな配列同一性を含むポリペプチド配列を含み、ここで、前記操作されたトランスアミナーゼは、前記ポリペプチド配列内の少なくとも1つの置換または置換セットを、14/108/133/311、24/163/199、72、78、316、および383から選択される1つまたは複数の位置に含み、前記ポリペプチド配列のアミノ酸の位置は、配列番号650を基準に番号付けされる。
【0014】
一部のさらなる実施形態では、操作されたトランスアミナーゼは、表2-1、2-2、3-1、3-2、4-1、4-2、5-1、および/または5-2に記載されている少なくとも1つの操作されたトランスアミナーゼバリアントの配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれよりも大きく同一であるポリペプチド配列を含む。さらに追加的な一部の実施形態では、操作されたトランスアミナーゼは、表2-1、2-2、3-1、3-2、4-1、4-2、5-1、および/または5-2に提示されている操作されたトランスアミナーゼバリアントである。一部のさらなる実施形態では、操作されたトランスアミナーゼは、配列番号2、4、8、366、および/または650に記載されている少なくとも1つの操作されたトランスアミナーゼバリアントの配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれよりも大きく同一であるポリペプチド配列を含む。一部のさらなる実施形態では、操作されたトランスアミナーゼは、配列番号2、4、8、366、および/または650を含むポリペプチド配列を含む。一部のさらなる実施形態では、操作されたトランスアミナーゼは、配列番号6~936の偶数の配列に記載されている少なくとも1つの操作されたトランスアミナーゼバリアントの配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれよりも大きく同一であるポリペプチド配列を含む。さらに追加的な一部の実施形態では、操作されたトランスアミナーゼは、配列番号6~936の偶数の配列に記載されているポリペプチド配列を含む。一部のさらなる実施形態では、操作されたトランスアミナーゼは、野生型V.fluvialisトランスアミナーゼと比較して少なくとも1つの特性の改善を含む。一部の追加的な実施形態では、操作されたトランスアミナーゼの特性の改善は、基質に対する活性の改善を含む。一部の追加的な実施形態では、基質は、化合物(1)を含む。さらに追加的な一部の実施形態では、操作されたトランスアミナーゼの特性の改善は、熱安定性(thermostability)の改善を含む。一部の追加的な実施形態では、操作されたトランスアミナーゼは、精製されたものである。本開示は、本明細書に提示される操作されたトランスアミナーゼを含む組成物も提供する。一部の実施形態では、組成物は、1つよりも多くの本明細書に提示される操作されたトランスアミナーゼを含む。
【0015】
本開示は、本明細書に提示される少なくとも1つの操作されたトランスアミナーゼをコードするポリヌクレオチド配列も提供する。一部の実施形態では、ポリヌクレオチド配列は、少なくとも1つの操作されたトランスアミナーゼをコードし、前記ポリヌクレオチド配列は、配列番号3、7、365、および/または649に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれよりも大きな配列同一性を有し、ここで、前記操作されたトランスアミナーゼのポリヌクレオチド配列は、1つまたは複数の位置における少なくとも1つの置換を含む。一部のさらなる実施形態では、ポリヌクレオチド配列は、配列番号2、4、8、366、および/または650に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれよりも大きな配列同一性を含む少なくとも1つの操作されたトランスアミナーゼまたはその機能性断片をコードする。さらに追加的な一部の実施形態では、ポリヌクレオチド配列は、制御配列に作動可能に(operably)連結している。なおさらなる一部の実施形態では、ポリヌクレオチド配列は、コドン最適化されたものである。
【0016】
本開示は、本明細書に提示される操作されたトランスアミナーゼをコードする少なくとも1つのポリヌクレオチド配列を含む発現ベクターも提供する。一部の実施形態では、発現ベクターは、配列番号3、7、365、および/または649に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれよりも大きな配列同一性を含む少なくとも1つのポリヌクレオチド配列を含み、ここで、前記操作されたトランスアミナーゼのポリヌクレオチド配列は、1つまたは複数の位置における少なくとも1つの置換を含む。一部の実施形態では、発現ベクターは、配列番号3、7、365、および/または649に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれよりも大きな配列同一性を含む少なくとも1つの操作されたトランスアミナーゼまたはその機能性断片をコードするポリヌクレオチド配列を含む。
【0017】
本開示は、本明細書に提示される少なくとも1つの発現ベクターを含む宿主細胞も提供する。一部の実施形態では、宿主細胞は、本明細書に提示される少なくとも1つのポリヌクレオチド配列を含む。一部の実施形態では、宿主細胞は、配列番号3、7、365、および/または649に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれよりも大きな配列同一性を含む少なくとも1つのポリヌクレオチド配列を含み、ここで、操作されたトランスアミナーゼをコードするポリヌクレオチド配列は、1つまたは複数の位置における少なくとも1つの置換を含む。一部の実施形態では、宿主細胞は、配列番号2、4、8、366、および/または650に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれよりも大きな配列同一性を含む少なくとも1つの操作されたトランスアミナーゼまたはその機能性断片をコードするポリヌクレオチド配列を含む。一部の実施形態では、操作されたトランスアミナーゼをコードする少なくとも1つのポリヌクレオチド配列は少なくとも1つの発現ベクター内に存在する。
【0018】
本開示は、操作されたトランスアミナーゼを宿主細胞において産生させる方法であって、本明細書に提示される宿主細胞を、少なくとも1つの操作されたトランスアミナーゼが産生されるように、適切な条件下で培養するステップを含む、方法も提供する。一部の実施形態では、方法は、少なくとも1つの操作されたトランスアミナーゼを培養物および/または宿主細胞から回収するステップをさらに含む。一部の追加的な実施形態では、方法は、前記少なくとも1つの操作されたトランスアミナーゼを精製するステップをさらに含む。
【0019】
一部の実施形態では、トランスアミナーゼ活性を有する操作されたポリペプチドを固体支持体に固定化し、必要に応じて、固体支持体は、エポキシド官能基を有するポリメタクリレート、アミノエポキシド官能基を有するポリメタクリレート、スチレン/DVB共重合体またはオクタデシル官能基を有するポリメタクリレートを含むビーズまたは樹脂から選択される。
【0020】
一部の実施形態では、トランスアミナーゼ活性を有する操作されたポリペプチドは、適切な反応条件下で化合物(1)である基質を化合物(2)である生成物に変換することが可能である。一部の実施形態では、操作されたポリペプチドは、適切な反応条件下で、参照配列である配列番号2、4、8、366、および/または650)の少なくとも1.2倍、2倍、5倍、10倍、20倍、25倍、50倍、75倍,100倍、またはそれよりも大きな活性で、化合物(1)を化合物(2)に変換することが可能である。一部の実施形態では、操作されたポリペプチドは、参照配列(例えば、配列番号2、4、8、366、および/または650)と比べて増大した活性で化合物(1)を化合物(2)に変換することが可能であり、ここで、適切な反応条件は、少なくとも100g/Lの負荷の化合物(1)、約1g/Lの操作されたポリペプチド、約0.5g/LのPLP、約1Mのイソプロピルアミン、約pH9、および約50℃を含む。
【0021】
一部の実施形態では、本開示は、化合物(2)
【化3】
を調製するプロセスであって、化合物(1)である基質
【化4】
と、本明細書に開示される操作されたポリペプチドをアミノ基供与体の存在下、適切な反応条件下で接触させるステップを含む、方法を提供する。
【0022】
一部の実施形態では、本明細書に開示される操作されたポリペプチドを使用するプロセスを行うことができ、ここで、化合物(2)は、少なくとも90%、97%、98%、99%またはそれよりも大きな鏡像異性およびジアステレオマー過剰で生成される。
【0023】
化合物(2)を調製するために操作されたポリペプチドを使用する、本明細書に開示されるプロセスのいずれも、これだけに限定されないが、アミン供与体、pH、温度、緩衝剤、溶媒系、基質負荷、ポリペプチド負荷、補助因子負荷、圧力、および反応時間の範囲を含めた、ある範囲の適切な反応条件下で行うことができる。例えば、一部の実施形態では、化合物(2)の調製を行うことができ、ここで、適切な反応条件は、(a)約10~300g/Lの基質化合物(例えば、50g/Lまたは200g/Lの化合物(1))という基質負荷;(b)約0.5g/L~60g/Lの操作されたポリペプチド;(c)約0.5~2MのIPM濃度;(d)約0.1~1g/LのPLP補助因子濃度;(e)約0%(v/v)~約20%(v/v)のDMSO濃度;(f)pH約8.5~11.5;および(g)約45℃~65℃の温度を含む。一部の実施形態では、適切な反応条件は、(a)約100g/Lの基質化合物(例えば、化合物(1));(b)約1g/Lの操作されたポリペプチド;(c)約1Mのイソプロピルアミン(IPM);(d)約0.5g/Lのピリドキサールリン酸(PLP);(e)約pH9;および(g)約50℃を含む。
【0024】
一部の実施形態では、本明細書に開示される操作されたポリペプチドを使用するプロセスを行うことができ、ここで、アミノ基供与体は、イソプロピルアミン、アラニン、3-アミノ酪酸、またはメチルベンジルアミンから選択される。一部の実施形態では、アミノ基供与体は、イソプロピルアミンである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
発明の説明
本明細書に提示される説明に関して、他に特に指定がなければ、単数形の使用は複数形を含む(逆もまた同である)。例えば、「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」という単数形は、文脈によりそうでないことが明白に示されない限り複数の指示対象を包含する。同様に、「含む(comprise)」、「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(include)」、「含む(includes)」、および「含む(including)」は、互換的であり、限定的なものではない。
【0026】
種々の実施形態の記載に「含む(comprising)」という用語が使用されている場合、一部の特定の場合では、実施形態が、その代わりに、「から本質的になる(consisting essentially of)または「からなる(consisting of)」という言葉を使用して記載され得ることが当業者には理解されることがさらに理解されるべきである。
【0027】
図を含めた前述の一般的な説明、および以下の詳細な説明はどちらも単に例示的かつ説明的なものであり、本発明を制限するものではない。さらに、本明細書で使用される節の見出しは、単に組織化を目的とするものであり、記載されている主題を限定するものとは解釈されない。
定義
【0028】
本明細書で使用される場合、以下の用語は以下の意味を有することが意図されている。本発明に関して、本明細書の記載に使用されている科学技術用語は、他に特に定義されていなければ当業者に一般に理解されている意味を有する。したがって、以下の用語は以下の意味を有することが意図されている。さらに、本明細書で言及される特許および刊行物は全て、そのような特許および刊行物に開示されている全ての配列を含め、明白に参照により組み込まれる。
【0029】
別段の指定がない限り、本開示の実施には、当業者に公知である、分子生物学、発酵、微生物学、および関連する分野で一般に使用される従来の技法が伴う。本明細書において別段の定義のない限り、本明細書において使用される全ての科学技術用語は、本発明が属する技術分野の当業者に一般に理解されているものと同じ意味を有する。本明細書に記載の方法および材料と類似した、またはそれと等しい任意の方法および材料を本開示の実施または試験に使用することができるが、好ましい方法および材料が記載されている。実際に、本明細書に記載されている特定の方法体系、プロトコール、および試薬は、使用される状況に応じて変動し得るので、本発明はこれらに限定されないものとする。本明細書に提示される表題は、本明細書全体を参照することにより得られる本発明の種々の態様または実施形態を限定するものではない。したがって、以下に定義される用語は、本明細書全体を参照することによってより詳細に定義される。
【0030】
それにもかかわらず、本開示の理解を容易にするために、いくつかの用語を以下に定義する。数値範囲は、その範囲を規定する数値を含む。したがって、本明細書に開示される全ての数値範囲は、そのような広範な数値範囲内に入るあらゆる狭い数値範囲を、そのような狭い数値範囲が本明細書において全て明確に記載されているものと同じく包含することが意図されている。本明細書に開示される全ての最大の(または最小の)数値限定は、あらゆるより低い(またはより高い)数値限定を、そのようなより低い(またはより高い)数値限定が本明細書に明白に書かれているものと同じく包含することも意図されている。
【0031】
本明細書で使用される場合、「含む(comprising)」という用語およびその同族語は、それらの包括的な意味で使用される(すなわち、「含む(including)」という用語およびその対応する同族語と等価である)。
【0032】
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」という単数形は、文脈により明確に別段の規定がなされない限り、複数の参照を包含する。したがって、例えば、1つの「宿主細胞」(a ”host cell”)への言及は、複数のそのような宿主細胞を包含する。
【0033】
別段の指定がない限り、それぞれ、核酸は、左から右に、5’から3’への向きで記載されており、アミノ酸配列は、左から右に、アミノからカルボキシへの向きで記載されている。
【0034】
本明細書で使用される場合、「タンパク質」、「ポリペプチド」、および「ペプチド」という用語は、本明細書では、長さまたは翻訳後修飾(例えば、グリコシル化、リン酸化、脂質付加、ミリストイル化、ユビキチン化など)にかかわらず、アミド結合によって共有結合により連結した少なくとも2つのアミノ酸のポリマーを示すために互換的に使用される。D-アミノ酸およびL-アミノ酸、およびD-アミノ酸とL-アミノ酸の混合物がこの定義に含まれる。
【0035】
遺伝子によりコードされるアミノ酸に対して使用される略語は従来のものであり、以下の通りである:
【表A】
【0036】
3文字略語が使用されている場合、前に「L」もしくは「D」がある場合、またはその略語が使用されている文脈から明らかな場合を除き、アミノ酸は、α炭素(Cα)に関してL-立体配置またはD-立体配置のいずれであってもよい。例えば、「Ala」は、α炭素に関する立体配置を指定せずにアラニンを示すが、一方、「D-Ala」および「L-Ala」は、それぞれD-アラニンおよびL-アラニンを示す。1文字略語が使用されている場合、大文字はα炭素に関してL-立体配置にあるアミノ酸を示し、小文字はα炭素に関してD-立体配置にあるアミノ酸を示す。例えば、「A」はL-アラニンを示し、「a」はD-アラニンを示す。ポリペプチド配列が1文字または3文字略語(またはそれらの混合)のひと続きとして示されている場合、その配列は、一般慣習に従ってアミノ(N)からカルボキシ(C)への方向で示されている。
【0037】
本明細書で使用される場合、「親水性アミノ酸または残基」は、Eisenbergらによる標準化されたコンセンサス共通疎水性尺度(Eisenberg et al., J. Mol. Biol., 179: 125-142 [1984])に従ってゼロ未満の疎水性を示す側鎖を有するアミノ酸または残基を指す。遺伝子によりコードされる親水性アミノ酸としては、L-Thr(T)、L-Ser(S)、L-His(H)、L-Glu(E)、L-Asn(N)、L-Gln(Q)、L-Asp(D)、L-Lys(K)およびL-Arg(R)が挙げられる。
【0038】
本明細書で使用される場合、「酸性アミノ酸または残基」は、アミノ酸がペプチドまたはポリペプチドに含まれる場合に約6未満のpK値を示す側鎖を有する親水性アミノ酸または残基を指す。酸性アミノ酸は、一般には、生理的pHにおいて、水素イオンの喪失に起因して、負に荷電した側鎖を有する。遺伝子によりコードされる酸性アミノ酸としては、L-Glu(E)およびL-Asp(D)が挙げられる。
【0039】
本明細書で使用される場合、「塩基性アミノ酸または残基」は、アミノ酸がペプチドまたはポリペプチドに含まれる場合に約6よりも大きいpK値を示す側鎖を有する親水性アミノ酸または残基を指す。塩基性アミノ酸は、一般には、生理的pHにおいて、ヒドロニウムイオンとの会合に起因して、正に荷電した側鎖を有する。遺伝子によりコードされる塩基性アミノ酸としては、L-Arg(R)およびL-Lys(K)が挙げられる。
【0040】
本明細書で使用される場合、「極性アミノ酸または残基」は、生理的pHにおいて非荷電であるが、2つの原子によって共有される電子対がそれらの原子の一方によってより密接に保持されている少なくとも1つの結合を有する側鎖を有する親水性アミノ酸または残基を指す。遺伝子によりコードされる極性アミノ酸としては、L-Asn(N)、L-Gln(Q)、L-Ser(S)およびL-Thr(T)が挙げられる。
【0041】
本明細書で使用される場合、「疎水性アミノ酸または残基」は、Eisenbergらによる標準化された共通疎水性尺度(Eisenberg et al., J. Mol. Biol., 179: 125-142 [1984])に従ってゼロよりも大きな疎水性を示す側鎖を有するアミノ酸または残基を指す。遺伝子によりコードされる疎水性アミノ酸としては、L-Pro(P)、L-Ile(I)、L-Phe(F)、L-Val(V)、L-Leu(L)、L-Trp(W)、L-Met(M)、L-Ala(A)およびL-Tyr(Y)が挙げられる。
【0042】
本明細書で使用される場合、「芳香族アミノ酸または残基」は、少なくとも1つの芳香族または複素芳香族環を有する側鎖を有する親水性または疎水性アミノ酸または残基を指す。遺伝子によりコードされる芳香族アミノ酸としては、L-Phe(F)、L-Tyr(Y)およびL-Trp(W)が挙げられる。L-His(H)は、時にはその複素芳香族窒素原子のpKaから塩基性残基と分類されるか、またはその側鎖が複素芳香族環を含むことから芳香族残基と分類されるが、本発明では、ヒスチジンは、親水性残基または「拘束(constrained)残基」(以下を参照されたい)に分類される。
【0043】
本明細書で使用される場合、「拘束アミノ酸または残基」は、拘束された幾何学的配置を有するアミノ酸または残基を指す。本発明では、拘束残基として、L-Pro(P)およびL-His(H)が挙げられる。ヒスチジンは、比較的小さなイミダゾール環を有するので、拘束された幾何学的配置を有する。プロリンは、同様に5員環を有することから拘束された幾何学的配置を有する。
【0044】
本明細書で使用される場合、「非極性アミノ酸または残基」は、生理的pHにおいて非荷電であり、2つの原子によって共有される電子対が一般にそれらの2つの原子のそれぞれによって等しく保持される結合を有する側鎖を有する(すなわち、側鎖が極性ではない)疎水性アミノ酸または残基を指す。遺伝子によりコードされる非極性アミノ酸としては、L-Gly(G)、L-Leu(L)、L-Val(V)、L-Ile(I)、L-Met(M)およびL-Ala(A)が挙げられる。
【0045】
本明細書で使用される場合、「脂肪族アミノ酸または残基」は、脂肪族炭化水素側鎖を有する疎水性アミノ酸または残基を指す。遺伝子によりコードされる脂肪族アミノ酸としは、L-Ala(A)、L-Val(V)、L-Leu(L)およびL-Ile(I)が挙げられる。システイン(または「L-Cys」または「[C]」)は、他のL-Cys(C)アミノ酸または他のスルファニル含有アミノ酸またはスルフヒドリル含有アミノ酸とジスルフィド架橋を形成し得るという点で、普通ではないことに留意されたい。「システイン様残基」は、システインおよびジスルフィド架橋の形成のために利用可能なスルフヒドリル部分を含有する他のアミノ酸を包含する。L-Cys(C)(および他の-SH含有側鎖を有するアミノ酸)がペプチド内に還元型遊離-SHまたは酸化型ジスルフィド架橋形態のいずれでも存在できることは、L-Cys(C)が、ペプチドに対して正味の疎水性または親水性の性質に寄与するかどうかに影響を及ぼす。L-Cys(C)は、Eisenbergによる標準化された共通尺度(Eisenberg et al., 1984、上記)に従って0.29の疎水性を示すが、本開示の目的に関しては、L-Cys(C)は独自の群にカテゴリー化されることが理解されるべきである。
【0046】
本明細書で使用される場合、「小さなアミノ酸または残基」は、全部で3個またはそれよりも少ない炭素および/またはヘテロ原子(α炭素および水素は除く)で構成される側鎖を有するアミノ酸または残基を指す。小さなアミノ酸または残基は、上記の定義に従って脂肪族、非極性、極性または酸性の小さなアミノ酸または残基にさらにカテゴリー化することができる。遺伝子によりコードされる小さなアミノ酸としては、L-Ala(A)、L-Val(V)、L-Cys(C)、L-Asn(N)、L-Ser(S)、L-Thr(T)およびL-Asp(D)が挙げられる。
【0047】
本明細書で使用される場合、「ヒドロキシル含有アミノ酸または残基」は、ヒドロキシル(-OH)部分を含有するアミノ酸を指す。遺伝子によりコードされるヒドロキシル含有アミノ酸としては、L-Ser(S)L-Thr(T)およびL-Tyr(Y)が挙げられる。
【0048】
本明細書で使用される場合、「アミノ酸の差異」および「残基の差異」は、ポリペプチド配列のある位置におけるアミノ酸残基の、参照配列内の対応する位置におけるアミノ酸残基と比べた差異を指す。アミノ酸の差異の位置は、本明細書では、一般に、「Xn」と称され、ここで、nは、残基の差異が基づく参照配列内の対応する位置を指す。例えば、「配列番号2と比較したX40位の残基の差異」は、配列番号2の40位に対応するポリペプチドの位置におけるアミノ酸残基の差異を指す。したがって、参照ポリペプチドである配列番号2の40位がヒスチジンである場合、「配列番号2と比較したX40位における残基の差異」は、配列番号2の40位に対応するポリペプチドの位置におけるヒスチジン以外の任意の残基によるアミノ酸置換を指す。本明細書ではほとんどの場合、ある位置における特定のアミノ酸残基の差異は「XnY」と表され、ここで、「Xn」は上記の通り対応する位置を指定し、「Y」は操作されたポリペプチド内に見出されるアミノ酸(すなわち、参照ポリペプチドと異なる残基)の1文字識別子である。一部の場合では、本開示は、従来の表示法「AnB」によって示される特定のアミノ酸の差異も提供し、ここで、Aは参照配列内の残基の1文字識別子であり、「n」は参照配列内の残基の位置番号であり、Bは操作されたポリペプチドの配列内の置換残基の1文字識別子である。一部の場合では、本開示のポリペプチドは、参照配列と比べて1つまたは複数のアミノ酸残基の差異を含み得、これは、参照配列と比べて残基の差異が存在する特定の位置の一覧によって示される。一部の実施形態では、ポリペプチドの特定の残基の位置に1つよりも多くのアミノ酸が使用され得る場合、使用され得る種々のアミノ酸残基は「/」で区切られる(例えば、X192A/G)。複数の置換を有するバリアントが存在する一部の実施形態では、置換はセミコロン(;)またはスラッシュ(/)のいずれかで区切られる(例えば、Y17V;I259T;E347KまたはY17V/I259T/E347K)。
【0049】
本開示は、保存的アミノ酸置換および非保存的アミノ酸置換のいずれか/または両方を含む1つまたは複数のアミノ酸の差異を含む操作されたポリペプチド配列を包含する。本開示の配列表に含まれる特定の組換え炭酸脱水素酵素ポリペプチドのアミノ酸配列は、開始メチオニン(M)残基を含む(すなわち、Mが残基1位を表す)。しかし、この開始メチオニン残基が、例えば宿主細胞またはin vitro翻訳系において生物学的プロセシング機構によって除去されて、開始メチオニン残基を欠くが、他の点では酵素の特性を保持する成熟タンパク質が生じる可能性があることが当業者には理解される。したがって、「Xn位における配列番号2と比べたアミノ酸残基の差異」という用語は、本明細書で使用される場合、出発メチオニンを欠くようにプロセシングされた参照配列内の「Xn」位または対応する位置(例えば、(X-1)n位)を指し得る。
【0050】
本明細書で使用される場合、「保存的アミノ酸置換」という語句は、同様の側鎖を有する残基の互換性を指し、したがって、一般には、ポリペプチド内のアミノ酸の、定義されたアミノ酸のクラスが同じまたは同様であるアミノ酸による置換を伴う。例として、限定するものではなく、一部の実施形態では、脂肪族側鎖を有するアミノ酸が別の脂肪族アミノ酸(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、およびイソロイシン)で置換される;ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸がヒドロキシル側鎖を有する別のアミノ酸(例えば、セリンおよびトレオニン)で置換される;芳香族側鎖を有するアミノ酸が芳香族側鎖を有する別のアミノ酸(例えば、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、およびヒスチジン)で置換される;塩基性側鎖を有するアミノ酸が塩基性側鎖を有する別のアミノ酸(例えば、リシンおよびアルギニン)で置換される;酸性側鎖を有するアミノ酸が酸性側鎖を有する別のアミノ酸(例えば、アスパラギン酸またはグルタミン酸)で置換される;ならびに/または疎水性または親水性アミノ酸がそれぞれ別の疎水性または親水性アミノ酸で置き換えられる。例示的な保存的置換を表1に提示する。
【表1】
【0051】
本明細書で使用される場合、「非保存的置換」という語句は、ポリペプチド内のアミノ酸の、側鎖特性が著しく異なるアミノ酸による置換を指す。非保存的置換では、定義された群内ではなく、群間のアミノ酸が使用され得、(a)置換の領域内のペプチド骨格の構造(例えば、グリシンに代わってプロリン)(b)電荷もしくは疎水性、または(c)側鎖のかさに影響を及ぼす。例として、限定するものではなく、例示的な非保存的置換は、酸性アミノ酸の塩基性または脂肪族アミノ酸での置換;芳香族アミノ酸の小さなアミノ酸での置換;および親水性アミノ酸の疎水性アミノ酸での置換であり得る。
【0052】
本明細書で使用される場合、「欠失」は、参照ポリペプチドから1個または複数のアミノ酸が除去されることによるポリペプチドの改変を指す。欠失は、1個またはそれよりも多くのアミノ酸、2個またはそれよりも多くのアミノ酸、5個またはそれよりも多くのアミノ酸、10個またはそれよりも多くのアミノ酸、15個またはそれよりも多くのアミノ酸、または20個またはそれよりも多くのアミノ酸、ポリペプチドを構成するアミノ酸の総数の10%まで、またはアミノ酸の総数の20%までの除去を含み得るが、一方で、操作された酵素の酵素活性が保持され、かつ/または特性の改善が保持される。欠失は、ポリペプチドの内部の位置および/または末端の位置を対象とし得る。種々の実施形態では、欠失は、連続したセグメントを含んでもよく、不連続であってもよい。
【0053】
本明細書で使用される場合、「挿入」は、参照ポリペプチドに1個または複数のアミノ酸が付加されることによるポリペプチドの改変を指す。一部の実施形態では、改善された操作されたトランスアミナーゼ酵素は、天然に存在するトランスアミナーゼポリペプチドに対する1個または複数のアミノ酸の挿入、ならびに操作されたトランスアミナーゼポリペプチドに対する1個または複数のアミノ酸の挿入を含む。挿入は、ポリペプチドの内部部分へのものであってもカルボキシ末端またはアミノ末端へのものであってもよい。挿入は、本明細書で使用される場合、当技術分野で公知の融合タンパク質を包含する。挿入は、アミノ酸の連続的なセグメントであってもよく、天然に存在するポリペプチド内のアミノ酸の1個または複数によって分離されていてもよい。
【0054】
「アミノ酸置換セット」または「置換セット」という用語は、参照配列と比較したポリペプチド配列内のアミノ酸置換の群を指す。置換セットは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、またはそれよりも多くのアミノ酸置換を有し得る。一部の実施形態では、置換セットは、実施例に提示される表に列挙されているバリアントトランスアミナーゼのいずれかに存在するアミノ酸置換のセットを指す。「置換セット」という用語は、参照配列と比較したポリヌクレオチド配列内のヌクレオチド置換の群に関しても使用される。
【0055】
本明細書で使用される場合、「断片」は、アミノ末端および/またはカルボキシ末端の欠失を有するが、残りのアミノ酸配列は配列内の対応する位置と同一であるポリペプチドを指す。断片は、一般には、全長トランスアミナーゼポリペプチド、例えば、配列番号2のポリペプチドの約80%、約90%、約95%、約98%、または約99%を有し得る。一部の実施形態では、断片は、「生物活性を有する」(すなわち、全長配列と同じ酵素活性を示す)。
【0056】
本明細書で使用される場合、「単離されたポリペプチド」は、天然にはそれに付随する他の夾雑物(例えば、タンパク質、脂質、およびポリヌクレオチド)から実質的に分離されたポリペプチドを指す。この用語は、それらの天然に存在する環境または発現系(例えば、宿主細胞またはin vitro合成)から取り出されたまたは精製されたポリペプチドを包含する。改善されたトランスアミナーゼ酵素は、細胞内に存在し得る、細胞培地中に存在し得る、または、例えば、溶解物もしくは単離された調製物など、様々な形態で調製することができる。したがって、一部の実施形態では、本開示の操作されたトランスアミナーゼポリペプチドは、単離されたポリペプチドであり得る。
【0057】
本明細書で使用される場合、「実質的に純粋なポリペプチド」は、ポリペプチド種が、存在する優勢な種である(すなわち、モル基準または重量基準で、組成物中のあらゆる他の個々の高分子種よりも豊富である)組成物を指し、一般に、目的種が、モルまたは重量%で、存在する高分子種の少なくとも約50パーセントを構成する場合、実質的に精製された組成物である。一般に、実質的に純粋な操作されたトランスアミナーゼポリペプチド組成物は、モルまたは重量%で、組成物中に存在する全ての高分子種の約60%またはそれよりも多く、約70%またはそれよりも多く、約80%またはそれよりも多く、約90%またはそれよりも多く、約91%またはそれよりも多く、約92%またはそれよりも多く、約93%またはそれよりも多く、約94%またはそれよりも多く、約95%またはそれよりも多く、約96%またはそれよりも多く、約97%またはそれよりも多く、約98%またはそれよりも多く、または約99%を構成する。溶媒種、小分子(<500ダルトン)、および元素として存在するイオン種は高分子種とみなされない。一部の実施形態では、単離された改善されたトランスアミナーゼポリペプチドは、実質的に純粋なポリペプチド組成物である。
【0058】
本明細書で使用される場合、「実質的に純粋なポリヌクレオチド」は、ポリヌクレオチド種が、存在する優勢な種である(すなわち、モル基準または重量基準で、組成物中のあらゆる他の個々の高分子種よりも豊富である)組成物を指し、一般に、目的種が、モルまたは重量%で、存在する高分子種の少なくとも約50パーセントを構成する場合、実質的に精製された組成物である。一般に、実質的に純粋な操作されたトランスアミナーゼポリヌクレオチド組成物は、モルまたは重量%で、組成物中に存在する全ての高分子種の約60%またはそれよりも多く、約70%またはそれよりも多く、約80%またはそれよりも多く、約90%またはそれよりも多く、約91%またはそれよりも多く、約92%またはそれよりも多く、約93%またはそれよりも多く、約94%またはそれよりも多く、約95%またはそれよりも多く、約96%またはそれよりも多く、約97%またはそれよりも多く、約98%またはそれよりも多く、または約99%を構成する。一部の実施形態では、単離された改善されたトランスアミナーゼポリペプチドは、実質的に純粋なポリヌクレオチド組成物である。
【0059】
本明細書で使用される場合、「ポリヌクレオチド」および「核酸」は、共有結合により連結した2つまたはそれよりも多くのヌクレオシドを指す。ポリヌクレオチドは、完全にリボヌクレオシドで構成されるもの(すなわちRNA)であってもよく、完全に2’デオキシリボヌクレオチドで構成されるもの(すなわちDNA)であってもよく、リボヌクレオシドと2’デオキシリボヌクレオシドの混合物であってもよい。ヌクレオシドは、一般には、標準のリン酸ジエステル連結を介して連結するが、ポリヌクレオチドは、1つまたは複数の非標準の連結を含んでもよい。ポリヌクレオチドは、一本鎖であっても二本鎖であってもよく、あるいは一本鎖領域と二本鎖領域の両方を含んでもよい。さらに、ポリヌクレオチドは、一般には、天然に存在するコード核酸塩基(すなわち、アデニン、グアニン、ウラシル、チミン、およびシトシン)で構成されるが、1つまたは複数の修飾および/または合成核酸塩基(例えば、イノシン、キサンチン、ヒポキサンチンなど)を含んでもよい。そのような修飾または合成核酸塩基は核酸塩基をコードするものであることが好ましい。
【0060】
遺伝子によりコードされるヌクレオシドに使用される略語は従来のものであり、以下の通りである:アデノシン(A);グアノシン(G);シチジン(C);チミジン(T);およびウリジン(U)。特に記載がなければ、略されたヌクレオチドは、リボヌクレオシドまたは2’-デオキシリボヌクレオシドのいずれかであり得る。ヌクレオシドがリボヌクレオシドまたは2’-デオキシリボヌクレオシドのいずれであるかは、個々にまたは全体として特定される。核酸配列が1文字略語のひと続きとして示されている場合、その配列は、一般慣習に従って5’から3’への方向で示されており、また、リン酸は示されていない。
【0061】
本明細書で使用される場合、「ハイブリダイゼーションストリンジェンシー」は、核酸のハイブリダイゼーションにおける洗浄条件などのハイブリダイゼーション条件に関する。一般に、ハイブリダイゼーション反応は、低ストリンジェンシー条件下で実施され、その後、変動するがより高いストリンジェンシーでの洗浄が行われる。「中程度にストリンジェントなハイブリダイゼーション」という用語は、標的DNAが、標的DNAに対して約60%同一性、好ましくは約75%同一性、約85%同一性を有する;標的ポリヌクレオチドに対して約90%よりも大きな同一性を有する相補的な核酸と結合することを可能にする条件を指す。例示的な中程度にストリンジェントな条件は、50%ホルムアミド、5×デンハート液、5×SSPE、0.2%SDS、42℃でのハイブリダイゼーション、その後、0.2×SSPE、0.2%SDS、42℃での洗浄と同等の条件である。「高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション」は、一般に、規定のポリヌクレオチド配列についての溶液条件下で決定された熱的融解温度Tmから約10℃またはそれ未満である条件を指す。一部の実施形態では、高ストリンジェンシー条件は、65℃で0.018MのNaClの下で安定なハイブリッドを形成する核酸配列のみのハイブリダイゼーションを可能にする条件を指す(すなわち、本明細書において意図されている通り、ハイブリッドが65℃で0.018MのNaClの下で安定でない場合、そのハイブリッドは高ストリンジェンシー条件下で安定ではない)。高ストリンジェンシー条件は、例えば、50%ホルムアミド、5×デンハート液、5×SSPE、0.2%SDS、42℃と同等の条件でのハイブリダイゼーション、その後、0.1×SSPE、および0.1%SDS、65℃での洗浄によってもたらすことができる。別の高ストリンジェンシー条件は、0.1%(w:v)SDSを含有する5×SSC、65℃でのハイブリダイゼーション、および0.1%SDSを含有する0.1×SSC、65℃での洗浄と同等の条件下でのハイブリダイゼーションである。他の高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件、ならびに中程度にストリンジェントな条件は当業者に公知である。
【0062】
本明細書で使用される場合、「コード配列」は、タンパク質のアミノ酸配列をコードする核酸(例えば、遺伝子)の部分を指す。
【0063】
本明細書で使用される場合、「コドン最適化された」とは、タンパク質をコードするポリヌクレオチドのコドンが、コードされるタンパク質が目的の生物体において効率的に発現されるように、特定の生物体において優先的に使用されるコドンに変えられたことを指す。一部の実施形態では、トランスアミナーゼ酵素をコードするポリヌクレオチドを、発現のために選択された宿主生物体による最適な産生のためにコドン最適化することができる。大多数のアミノ酸が、「シノニム」または「同義」コドンと称されるいくつかのコドンで表されるという点で遺伝暗号は縮重するが、特定の生物体によるコドン使用はランダムではなく、特定のコドントリプレットに偏ることが周知である。このコドン使用の偏りは、所与の遺伝子、機能または祖先の起源が共通の遺伝子、低コピー数のタンパク質に対して高度に発現されるタンパク質、および生物体のゲノムの凝集タンパク質コード領域に関してより大きい可能性がある。一部の実施形態では、トランスアミナーゼ酵素をコードするポリヌクレオチドを、発現のために選択された宿主生物体による最適な産生のためにコドン最適化することができる。
【0064】
本明細書で使用される場合、「好ましい、最適な、高いコドン使用の偏りのコドン」は、互換的に、タンパク質コード領域において同じアミノ酸をコードする他のコドンよりも高い頻度で使用されるコドンを指す。好ましいコドンは、単一の遺伝子、機能または起源が共通する遺伝子のセット、高度に発現される遺伝子、全生物体の凝集タンパク質コード領域におけるコドン頻度、関連する生物体の凝集タンパク質コード領域におけるコドン頻度、またはこれらの組合せにおけるコドン使用との関連で決定することができる。遺伝子発現のレベルと共に頻度が増大するコドンが一般には発現のために最適なコドンである。例えばクラスター解析またはコレスポンデンス分析を使用する多変量解析を含めた、特定の生物体におけるコドン頻度(例えば、同義のコドン使用と比べたコドン使用)およびコドン選好を決定するための、ならびに遺伝子において使用されるコドンの有効数を決定するための、種々の方法が公知である(例えば、GCG CodonPreference, Genetics Computer Group Wisconsin Package;CodonW, John Peden, University of Nottingham; McInerney, Bioinform., 14: 372-73 [1998];Stenico et al., Nucleic Acids Res., 222: 437-46 [1994];およびWright、Gene 87: 23-29 [1990]を参照されたい)。増え続ける生物体の一覧についてのコドン使用表が入手可能である(例えば、Wada et al., Nucleic Acids Res., 20: 2111-2118 [1992];Nakamura et al., Nucl. Acids Res., 28: 292 [2000];Duret, et al., 上記;Henaut and Danchin, ”Escherichia coli and Salmonella,” Neidhardt, et al .(eds.), ASM Press, Washington D.C., [1996], p. 2047-2066を参照されたい。コドン使用を得るためのデータソースは、タンパク質をコードすることが可能な任意の使用可能なヌクレオチド配列に依拠するものであってよい。これらのデータセットは、発現されるタンパク質(例えば、完全なタンパク質コード配列-CDS)、発現される配列タグ(ESTS)、または予測されるゲノム配列のコード領域をコードすることが実際に分かっている核酸配列を含む(例えば、Uberbacher, Meth. Enzymol., 266: 259-281 [1996];Tiwari et al., Comput. Appl. Biosci., 13: 263-270 [1997]を参照されたい)。
【0065】
本明細書で使用される場合、「制御配列」は、本明細書では、本開示のポリヌクレオチドおよび/またはポリペプチドの発現のために必要であるまたは有利である全ての成分を含むものと定義される。各制御配列は、目的のポリヌクレオチドに対してネイティブなものであっても外来のものであってもよい。そのような制御配列としては、これだけに限定されないが、リーダー、ポリアデニル化配列、プロペプチド配列、プロモーター、シグナルペプチド配列、および転写ターミネーターが挙げられる。
【0066】
本明細書で使用される場合、「作動可能に(operably)連結した」とは、本明細書では、制御配列により目的のポリヌクレオチドおよび/またはポリペプチドの発現が方向づけられるまたは調節されるように、制御配列が目的のポリヌクレオチドに対する位置に適切に置かれた(すなわち、機能的に関連する)立体配置と定義される。
【0067】
本明細書で使用される場合、「プロモーター配列」は、コード配列などの目的のポリヌクレオチドの発現のために宿主細胞によって認識される核酸配列を指す。制御配列は、適当なプロモーター配列を含み得る。プロモーター配列は、目的のポリヌクレオチドの発現を媒介する転写制御配列を含有する。プロモーターは、突然変異体、短縮型、およびハイブリッドプロモーターを含めた、選択された宿主細胞において転写活性を示す任意の核酸配列であってよく、宿主細胞に対して同種または異種のいずれかの細胞外または細胞内ポリペプチドをコードする遺伝子から得ることができる。
【0068】
本明細書で使用される場合、「天然に存在する」および「野生型」は、天然に見出される形態を指す。例えば、天然に存在するまたは野生型ポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列は、天然の供給源から単離することができ、人間による操作によって意図的に改変されていない、生物体内に存在する配列である。
【0069】
本明細書で使用される場合、「天然に存在しない」、「操作された」、および「組換え」とは、本開示において、(例えば、細胞、核酸、またはポリペプチド)を参照して使用される場合、材料、または、そうでなければ天然には存在しない様式で改変された天然のもしくはネイティブな形態の材料に対応する材料を指す。一部の実施形態では、材料は、天然に存在する材料と同一であるが、合成材料からおよび/または組換え技法を使用した操作によって作製されたまたは引き出されたものである。非限定的な例としては、とりわけ、ネイティブな(非組換え)形態の細胞内には見出されない遺伝子を発現する、またはそうでなければ異なるレベルで発現されるネイティブな遺伝子を発現する組換え細胞が挙げられる。
【0070】
本明細書で使用される場合、「配列同一性のパーセンテージ」、「同一性パーセント」、および「同一パーセント」は、ポリヌクレオチド配列間またはポリペプチド配列間の比較を指し、比較ウィンドウにわたって最適にアラインメントされた2つの配列を比較することによって決定され、ここで、2つの配列を最適にアラインメントするために、比較ウィンドウ内のポリヌクレオチド配列またはポリペプチド配列の一部に参照配列と比較して付加または欠失(すなわち、ギャップ)を含めることができる。パーセンテージは、両方の配列内に同一の核酸塩基もしくはアミノ酸残基が存在する位置の数、または核酸塩基もしくはアミノ酸残基がギャップにアラインメントされる位置の数のいずれかを決定して、マッチする位置の数を得、マッチする位置の数を比較ウィンドウ内の位置の総数で割り、結果に100を掛けて配列同一性のパーセンテージを得ることによって算出される。最適なアラインメントおよび配列同一性パーセントの決定は、BLASTおよびBLAST 2.0アルゴリズムを使用して実施される(例えば、Altschul et al., J. Mol. Biol. 215: 403-410 [1990];およびAltschul et al., Nucl. Acids Res., 25: 3389-3402 [1977]を参照されたい)。BLAST分析を実施するためのソフトウェアはNational Center for Biotechnology Informationのウェブサイトを通じて公的に入手可能である。
【0071】
簡単に述べると、BLAST分析には、まず、高スコア配列対(HSP)を、データベース配列内の同じ長さのワードとアラインメントした場合にいくつかの正の値をとる閾値スコアTとマッチするかまたはそれを満たす、クエリ配列内の長さWの短いワードを同定することによって同定することを伴う。Tは、近傍ワードスコア閾値と称される(Altschul et al., 上記)。これらの最初の近傍ワードヒットは、それらを含有するより長いHSPを見出すための検索を開始するためのシードとしての機能を果たす。次いで、累積アラインメントスコアが増大し得る限りは、ワードヒットを各配列に沿って両方向に伸長させる。累積スコアを、ヌクレオチド配列についてはパラメータM(マッチする残基の対についてのリワードスコア;常に>0)およびN(ミスマッチ残基についてのペナルティスコア;常に<0)を使用して算出する。アミノ酸配列については、スコアリング行列を使用して累積スコアを算出する。累積アラインメントスコアがその最大達成値から数量Xだけ減少した時;1つもしくは複数の負のスコア残基アラインメントの蓄積により累積スコアがゼロもしくはそれ未満になった時;またはいずれかの配列の末端に達した時に、各方向へのワードヒットの伸長を停止する。BLASTアルゴリズムパラメータW、T、およびXにより、アラインメントの感度およびスピードが決定される。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列について)では、デフォルトとしてワード長(W)11、期待値(E)10、M=5、N=-4、および両鎖の比較を使用する。アミノ酸配列については、BLASTPプログラムで、デフォルトとしてワード長(W)3、期待値(E)10、およびBLOSUM62スコアリング行列を使用する(例えば、Henikoff and Henikoff, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89: 10915 [1989]を参照されたい)。
【0072】
2つの配列についての同一性パーセントをもたらすことに関してBLASTと同様に機能する多数の他のアルゴリズムが当技術分野において利用可能であり、公知である。比較のための配列の最適なアラインメントは、当技術分野で公知の任意の適切な方法を使用し(例えば、Smith and Waterman, Adv. Appl. Math., 2: 482 [1981]の局所相同性アルゴリズムによって;Needleman and Wunsch, J. Mol. Biol., 48: 443 [1970]の相同性アラインメントアルゴリズムによって;Pearson and Lipman, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:2444 [1988]の類似性の検索法によって;ならびに/または、これらのアルゴリズムのコンピュータ化されたインプリメンテーションによって[GCG Wisconsin Software Package]のGAP、BESTFIT、FASTA、およびTFASTA)、または当技術分野で一般に知られている方法を使用した視覚的検査によって実施することができる。さらに、配列アラインメントおよび配列同一性パーセントの決定には、GCG Wisconsin Softwareパッケージ(Accelrys、Madison WI)内のBESTFITまたはGAPプログラムを、提供されるデフォルトパラメータを使用して、使用することができる。
【0073】
本明細書で使用される場合、「実質的な同一性」は、ポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列が、少なくとも20残基位置の比較ウィンドウにわたって、頻繁には少なくとも30~50残基のウィンドウにわたって参照配列と比較して、少なくとも80パーセントの配列同一性、少なくとも85パーセント同一性および89~95パーセントの配列同一性、通常は少なくとも99パーセントの配列同一性を有することを指し、ここで、配列同一性のパーセンテージは、参照配列と、参照配列に対して全部で20パーセントまたはそれ未満の欠失または付加を含む配列を、比較ウィンドウにわたって比較することによって算出される。ポリペプチドに適用される特定の実施形態では、「実質的な同一性」という用語は、2つのポリペプチド配列が、例えばプログラムGAPまたはBESTFITによって、デフォルトのギャップ重みづけを使用して最適にアラインメントされた場合、少なくとも80パーセントの配列同一性、好ましくは少なくとも89パーセントの配列同一性、少なくとも95パーセントの配列同一性またはそれよりも大きな配列同一性(例えば、99パーセントの配列同一性)を共有することを意味する。一部の好ましい実施形態では、同一ではない残基の位置は、保存的アミノ酸置換によって異なる。
【0074】
本明細書で使用される場合、「参照配列」は、別の配列が比較される規定の配列を指す。参照配列は、より大きな配列のサブセット、例えば、全長の遺伝子またはポリペプチド配列のセグメントであってよい。一般に、参照配列は、少なくとも20ヌクレオチドまたはアミノ酸残基長、少なくとも25残基長、少なくとも50残基長、または全長の核酸もしくはポリペプチドである。2つのポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、それぞれ(1)2つの配列間で同様である配列(すなわち、完全な配列の一部)を含み得、(2)2つの配列間で異なる配列をさらに含み得るので、2つ(またはそれよりも多く)のポリヌクレオチドまたはポリペプチド間の配列の比較は、一般には、2つのポリヌクレオチドの配列を比較ウィンドウにわたって比較して、局所的な配列類似性の領域を同定し、比較することによって実施される。「参照配列」という用語は、野生型配列に限定することが意図されるのではなく、操作されたまたは変更された配列を含み得る。例えば、一部の実施形態では、「参照配列」は、事前に操作されたまたは変更されたアミノ酸配列であり得る。
【0075】
本明細書で使用される場合、「比較ウィンドウ」とは、少なくとも約20個の連続的なヌクレオチド位置またはアミノ酸残基の概念的なセグメントを指し、ここで、配列を少なくとも20個の連続的なヌクレオチドまたはアミノ酸の参照配列と比較することができ、また、2つの配列を最適にアラインメントするために、配列の比較ウィンドウ内の部分に参照配列(付加または欠失を含まない)と比較して20パーセントまたはそれ未満の付加または欠失(すなわち、ギャップ)を含めることができる。比較ウィンドウは、20個の連続的な残基よりも長くてよく、必要に応じて、30、40、50、100、またはそれより長いウィンドウが含まれる。
【0076】
本明細書で使用される場合、「に対応する」、「を基準に」、および「と比べて」とは、所与のアミノ酸またはポリヌクレオチド配列の番号付けに関して使用される場合、所与のアミノ酸またはポリヌクレオチド配列を参照配列と比較する際の指定された参照配列の残基の番号付けを指す。言い換えれば、所与のポリマーの残基の番号または残基の位置は、所与のアミノ酸またはポリヌクレオチド配列内の実際の数値的な残基の位置によってではなく、参照配列を基準に示される。例えば、操作されたトランスアミナーゼのアミノ酸配列などの所与のアミノ酸配列を、参照配列と、2つの配列間の残基のマッチを最適化するためにギャップを導入することによりアラインメントすることができる。これらの場合では、ギャップが存在するが、所与のアミノ酸またはポリヌクレオチド配列内の残基の番号付けは、当該配列がアラインメントされた参照配列を基準になされる。本明細書で使用される場合、例えば「Xn」など、残基の位置への言及は、下にさらに記載されている通り、特に他に指示がなければ、「に対応する残基」を指すものと解釈されるべきである。したがって、例えば、「X94」は、ポリペプチド配列の94位にある任意のアミノ酸を指す。
【0077】
本明細書で使用される場合、核酸またはポリペプチドに関して使用される場合、「異種」という用語は、生物体(例えば、野生型生物体)によって通常は発現されず分泌されない配列を指す。一部の実施形態では、この用語は、通常天然に見出されるものと同じ互いとの関連性では見出されない、または組換えによって操作されたものであり、したがって、細胞または構造におけるその発現のレベルまたは他の核酸もしくは他の分子との物理的関連性が通常は天然に見出されない、2つまたはそれよりも多くの部分配列を含む配列を包含する。例えば、異種核酸は、一般には、組換えによって作製され、天然に見出されない様式で配置された無関連の遺伝子由来の2つまたはそれよりも多くの配列を有する(例えば、本開示の核酸オープンリーディングフレーム(ORF)がベクターなどの発現カセットに挿入されたプロモーター配列に作動可能に(operatively)連結している)。一部の実施形態では、「異種ポリヌクレオチド」は、実験室での技法によって宿主細胞に導入される任意のポリヌクレオチドを指し、宿主細胞から取り出され、実験室での操作に供され、次いで、宿主細胞に再導入されるポリヌクレオチドを包含する。
【0078】
本明細書で使用される場合、「酵素特性の改善」は、参照トランスアミナーゼと比較して任意の酵素特性に改善を示すトランスアミナーゼを指す。本明細書に記載の操作されたトランスアミナーゼポリペプチドに関しては、比較は、一般に野生型トランスアミナーゼ酵素に対してなされるが、一部の実施形態では、参照トランスアミナーゼは、別の改善された操作されたトランスアミナーゼであり得る。改善が望ましい酵素特性としては、これだけに限定されないが、酵素活性(指定量のトランスアミナーゼを使用した指定反応時間における基質の変換パーセントとして表され得る)、化学的選択性、熱安定性(thermal stability)、溶媒安定性、pH活性プロファイル、補助因子要件、阻害因子(例えば、生成物による阻害)に対する不応性、立体特異性、および立体選択性(エナンチオ選択性を含む)が挙げられる。
【0079】
本明細書で使用される場合、「酵素活性の増大」および「活性の増大」は、操作された酵素の特性の改善を指し、本明細書に記載の参照酵素と比較した比活性(例えば、生成される生成物/時間/タンパク質の重量)の増大または基質の生成物への変換パーセント(例えば、指定量のトランスアミナーゼを使用して指定期間での、出発量の基質の生成物への変換パーセント)の増大によって表すことができる。その変化により酵素活性の増大が導かれ得る古典的な酵素特性であるKm、Vmaxまたはkcatを含めた、酵素活性に関する任意の特性が影響を受け得る。酵素活性の比較は、本明細書においてさらに詳細に記載されている通り、酵素の規定の調製物、設定された条件下での規定のアッセイ、および1つまたは複数の規定の基質を使用して行う。一般に、細胞溶解物中の酵素を比較する場合、アッセイされる細胞の数およびタンパク質の量を決定するだけでなく、宿主細胞によって産生され、溶解物中に存在する酵素の量の変動を最小限にするために同一の発現系および同一の宿主細胞を使用する。
【0080】
本明細書で使用される場合、「変換」は、基質の対応する生成物への酵素的転換を指す。
【0081】
本明細書で使用される場合、「変換パーセント」は、ある期間内に指定条件下で生成物に変換される基質のパーセントを指す。したがって、例えば、トランスアミナーゼポリペプチドの「酵素活性」または「活性」を基質の生成物への「変換パーセント」として表すことができる。
【0082】
本明細書で使用される場合、「化学的選択性」は、化学反応または酵素反応において1つの生成物が別の生成物よりも優先的に形成されることを指す。
【0083】
本明細書で使用される場合、「熱安定性(thermostable)」および「熱に対して安定(thermal stable)」は、互換的に使用され、一連の温度条件(例えば、40~80℃)にある期間(例えば、0.5~24時間)にわたって曝露した場合に、未処理酵素と比較して、不活化に対する抵抗性を有し、したがって、温度の上昇への曝露後にある特定のレベルの残留活性(例えば、60%超~80%)を保持するポリペプチドを指す。
【0084】
本明細書で使用される場合、「溶媒に対して安定」とは、ポリペプチドの、種々の濃度(例えば、5~99%)の溶媒(例えば、イソプロピルアルコール、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、アセトン、トルエン、酢酸ブチル、メチルtert-ブチルエーテルなど)へのある期間(例えば、0.5~24時間)にわたる曝露後に、未処理酵素と比較して同様の活性(例えば、60%超~80%)を維持する能力を指す。
【0085】
本明細書で使用される場合、「pHに対して安定」とは、トランスアミナーゼポリペプチドが、高pHまたは低pH(例えば、4.5~6または8~12)へのある期間(例えば、0.5~24時間)にわたる曝露後に、未処理酵素と比較して同様の活性(例えば、60%超~80%)を維持することを指す。
【0086】
本明細書で使用される場合、「熱および溶媒に対して安定」とは、トランスアミナーゼポリペプチドが熱安定性(thermostable)であり、かつ溶媒に対して安定であることを指す。
【0087】
本明細書で使用される場合、「適切な反応条件」は、本開示のトランスアミナーゼポリペプチドによるアミノ基転移が可能である、生体触媒反応溶液における条件(例えば、酵素負荷、基質負荷、補助因子負荷、温度、pH、緩衝剤、共溶媒などの範囲)を指す。例示的な「適切な反応条件」は、本開示に提示され、実施例によって例示される。
【0088】
本明細書で使用される場合、「化合物負荷」、「酵素負荷」または「補助因子負荷」におけるものなどの「負荷」は、反応の開始時の反応混合物中の成分の濃度または量を指す。
【0089】
本明細書で使用される場合、「基質」は、生体触媒媒介性プロセスに関しては、生体触媒が作用する化合物または分子を指す。
【0090】
本明細書で使用される場合、「生成物」は、生体触媒媒介性プロセスに関しては、生体触媒の作用によって生じた化合物または分子を指す。
【0091】
本明細書で使用される場合、「平衡化」は、本明細書で使用される場合、立体異性体の相互変換を含めた、化学反応または酵素反応において化学種の定常状態の濃度をもたらすプロセス(例えば、AとBの2つの種の相互変換)を指し、化学反応または酵素反応の正の速度定数および逆の速度定数によって決定される。
【0092】
「トランスアミナーゼ」または「アミノトランスフェラーゼ」は、本明細書では、互換的に使用され、アミノ基(-NH2)、電子対、およびプロトンをアミン供与体化合物の第一級アミンからアミン受容体化合物のカルボニル基(C=O)に転移させ、それにより、アミン供与体化合物をその対応するカルボニル化合物に変換し、カルボニル受容体化合物をその対応する第一級アミン化合物に変換する酵素能を有するポリペプチドを指す(例えば、スキーム1を参照されたい)。トランスアミナーゼは、本明細書で使用される場合、天然に存在する(野生型)トランスアミナーゼならびに人間による操作によって作出された天然に存在しない操作されたポリペプチドを包含する。
【0093】
「アミノ基供与体」または「アミノ供与体」は、本明細書では互換的に使用され、受容体であるカルボニル化合物(すなわち、アミノ基受容体)にアミノ基を供与することが可能であり、それにより、カルボニル副生成物になる、アミノ基含有化合物を指す。アミノ基供与体は、一般構造式
【化5】
を有し、式中、R
1、およびR
2はそれぞれ、独立に考えると、置換されていないまたは1つもしくは複数の酵素を阻害しない基で置換されたアルキル、アルキルアリール基、またはアリール基である。R
1は、R
2と構造またはキラリティーが同じであっても異なってもよい。R
1基およびR
2基は、まとめて考えると、置換されていない、置換された、または他の環と縮合した環を形成し得る。典型的なアミノ基供与体としては、キラルおよびアキラルアミノ酸、ならびにキラルおよびアキラルアミンが挙げられる。
【0094】
「キラルアミン」は、一般構造式、
【化6】
を有する化合物を含有するアミノ基を指し、式中、R
1、およびR
2のそれぞれは、独立に考えると、置換されていないまたは1つもしくは複数の基で置換されたアルキル、アルキルアリール基、またはアリール基である。R
1はR
2と構造が異なり、アミノ基を負う炭素(*で示される)が立体中心になる。R
1基およびR
2基は、まとめて考えると、置換されていない、置換された、または他の環と縮合した環を形成し得るが、他の点では対称的ではない。
【0095】
「カルボニル副生成物」は、アミノ基供与体から、アミノ基転移反応においてアミノ基供与体のアミノ基がアミノ基受容体に転移されると形成されるカルボニル化合物を指す。カルボニル副生成物は、一般構造式、
【化7】
を有し、式中、R
1およびR
2はアミノ基供与体に関して上で定義されている。
【0096】
「アミノ受容体」および「アミン受容体」、「ケト基質」は、本明細書では、互換的に使用され、トランスアミナーゼによって媒介される反応においてアミノ基供与体からアミノ基を受容するカルボニル基含有化合物を指す(例えば、スキーム1を参照されたい)。本開示に関しては、トランスアミナーゼに対するアミノ受容体化合物として、とりわけ、化合物(2)が挙げられる。
【0097】
「補助因子」は、本明細書で使用される場合、触媒反応において酵素と組み合わさって作動する非タンパク質化合物を指す。本明細書で使用される場合、「補助因子」は、時には補酵素とも称される、ビタミンB6ファミリー化合物であるPLP、PN、PL、PM、PNP、およびPMPを包含することが意図されている。
【0098】
「ピリドキサール-リン酸」、「PLP」、「ピリドキサール-5’-リン酸」、「PYP」、および「P5P」は、本明細書では、互換的に使用され、トランスアミナーゼ反応において補助因子として作用する化合物を指す。一部の実施形態では、ピリドキサールリン酸は、構造1-(4’-ホルミル-3’-ヒドロキシ-2’-メチル-5’-ピリジル)メトキシホスホン酸、CAS番号[54-47-7]によって定義される。ピリドキサール-5’-リン酸は、in vivoにおいて、ピリドキソール(ビタミンB6としても公知)のリン酸化および酸化によって生成される。トランスアミナーゼ酵素を使用したアミノ基転移反応では、アミノ供与体のアミン基が補助因子に転移されてケト副生成物が生成し、一方、ピリドキサール-5’-リン酸がピリドキサミンリン酸に変換される。ピリドキサール-5’-リン酸は異なるケト化合物(アミノ受容体)との反応によって再生される。ピリドキサミンリン酸からアミノ受容体生成物へのアミン基の転移によりアミンが生成し、補助因子が再生される。一部の実施形態では、ピリドキサール-5’-リン酸を、ピリドキシン(PN)、ピリドキサール(PL)、ピリドキサミン(PM)を含めたビタミンB6ファミリーの他のメンバー、ならびにそれらのリン酸化された対応物;ピリドキシンリン酸(PNP)、およびピリドキサミンリン酸(PMP)で置き換えることができる。
【0099】
「アルキル」は、直鎖または分枝のいずれかの炭素原子1~18個、特に炭素原子1~8個、より詳細には炭素原子1~6個の基を指す。指定数の炭素原子を有するアルキルは括弧内に示される(例えば、(C1~C4)アルキルは、炭素原子1~4個のアルキルを指す)。
【0100】
「アルケニル」は、少なくとも1つの二重結合を含有するが、必要に応じて1つよりも多くの二重結合を含有する直鎖または分枝のいずれかの、炭素原子2~12個の基を指す。
【0101】
「アルキニル」は、少なくとも1つの三重結合を含有するが、必要に応じて1つよりも多くの三重結合を含有し、必要に応じて、1つまたは複数の二重結合部分を含有する、直鎖または分枝のいずれかの炭素原子2~12個の基を指す。
【0102】
「アリール」は、単一の環(例えば、フェニル)または複数の縮合環(例えば、ナフチルまたはアントリル)を有する炭素原子5~14個の不飽和型の芳香族炭素環基を指す。複数の縮合環に関しては、環のうちの少なくとも1つは芳香族である。代表的なアリールとしては、フェニル、ピリジル、ナフチルなどが挙げられる。
【0103】
「アリールアルキル」は、アリール部分による置換を有するアルキルを指す。代表的なアリールアルキル基としては、ベンジル、フェネチルなどが挙げられる。
【0104】
「アリールアルケニル」は、アリール基による置換を有する、本明細書で定義されているアルケニルを指す。
【0105】
「アリールアルキニル」は、アリール基による置換を有する、本明細書で定義されているアルキニルを指す。
【0106】
「ヘテロアリール」は、環内に酸素、窒素および硫黄から選択される環ヘテロ原子を1~4個含有する、環原子5~14個の芳香族複素環基を指す。ヘテロアリール基は、単一の環(例えば、ピリジルまたはフリル)または複数の縮合環(例えば、インドリジニルまたはベンゾチエニル)を有し得る。複数の縮合環に関しては、環のうちの少なくとも1つは芳香族である。
【0107】
「ヘテロアリールアルキル」は、本明細書で定義されているヘテロアリール部分による置換を有するアルキルを指す。
【0108】
「ヘテロアリールアルケニル」は、本明細書で定義されているヘテロアリール基による置換を有するアルケニルを指す。
【0109】
「ヘテロアリールアルキニル」は、本明細書で定義されているヘテロアリール部分による置換を有するアルキニルを指す。
【0110】
「シクロアルキル」は、単一の環または複数の縮合環を有する炭素原子3~12個の環状アルキル基を指す。代表的なシクロアルキル基としては、例として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロオクチル、1-メチルシクロプロピル、2-メチルシクロペンチル、2-メチルシクロオクチルなどの単一の環構造、またはアダマンチルなどの架橋した環系を含めた複数の環構造が挙げられる。
【0111】
「複素環」および互換的に「ヘテロシクロアルキル」は、環内に窒素、硫黄または酸素から選択されるヘテロ原子を1~4個有する、環原子3~14個の単一の環または複数の縮合環を有する飽和または不飽和基を指す。複素環基は、単一の環(例えば、ピペリジニルまたはテトラヒドロフリル)または複数の縮合環(例えば、インドリニル、ジヒドロベンゾフランまたはキヌクリジニル)を有し得る。代表的な複素環およびヘテロアリールとしては、これだけに限定されないが、フラン、チオフェン、チアゾール、オキサゾール、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドール、インドール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、キノリン、フタラジン、ナフチルピリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナントリジン、アクリジン、フェナントロリン、イソチアゾール、フェナジン、イソキサゾール、フェノキサジン、フェノチアジン、イミダゾリジン、イミダゾリン、ピペリジン、ピペラジン、ピロリジン、インドリンなどが挙げられる。
【0112】
「シクロアルキルアルキル」は、本明細書で定義されているシクロアルキル部分による置換を有するアルキルを指す。
【0113】
「シクロアルキルアルケニル」は、本明細書で定義されているシクロアルキル部分による置換を有するアルケニルを指す。
【0114】
「シクロアルキルアルキニル」は、本明細書で定義されているシクロアルキル部分による置換を有するアルキニルを指す。
【0115】
「ヘテロシクロアルキルアルキル」は、本明細書で定義されているヘテロシクロアルキル部分による置換を有するアルキルを指す。
【0116】
「ヘテロシクロアルケニル(heterocycoalkenyl)」は、本明細書で定義されているヘテロシクロアルキル部分による置換を有するアルケニルを指す。
【0117】
「ヘテロシクロアルキルアルキニル」は、本明細書で定義されているヘテロシクロアルキル部分による置換を有するアルキニルを指す。
【0118】
「アルコキシ」または「アルキルオキシ」は、アルキル-O-基を指し、ここで、アルキル基は上で定義されており、必要に応じて、同じく上で定義されている置換アルキル基を含む。
【0119】
「アミノ」は、-NH2基を指す。置換アミノは、-NHR’、NR’R’、およびNR’R’R’基を指し、ここで、各R’は、他とは独立に、置換または非置換アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、アルキルオキシ、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、アシル、アルキルオキシカルボニル、スルファニル、スルフィニル、スルホニルなどから選択される。典型的なアミノ基としては、これだけに限定されないが、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、メチルスルホニルアミノ、フラニル-オキシ-スルフアミノなどが挙げられる。
【0120】
「カルボキシ」は、-COOHを指す。
【0121】
「カルボニル」は、-C(O)-を指し、種々の置換基を有して、酸、酸ハロゲン化物、アルデヒド、アミド、エステル、およびケトンを含めた異なるカルボニル基を形成していてもよい。
【0122】
「ヒドロキシ」は、-OHを指す。
【0123】
「シアノ」は、-CNを指す。
【0124】
「ハロゲン」または「ハロ」は、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードを指す。
【0125】
「スルホニル」は、-SO2-を指す。置換スルホニルは、-SO2R’を指し、ここで、R’は下記の適切な置換基である。
【0126】
融合アリールまたは融合ヘテロアリールなどの「融合(fused)」または「融合環(fused ring)」は、少なくとも2つの共通する環原子を有するように接合した2つまたはそれよりも多くの環を指す。縮合アリールは、環のうちの少なくとも1つがアリールである融合環(fused ring)を指す。融合ヘテロアリールは、環のうちの少なくとも1つがヘテロアリールである融合環(fused ring)を指す。
【0127】
「置換」は、別段の指定がない限り、前の基で水素に占有されていた位置の、これだけに限定されないが、ヒドロキシ、オキソ、ニトロ、メトキシ、エトキシ、アルキルオキシ、置換アルキルオキシ、トリフルオロメトキシ、ハロアルキルオキシ、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、ハロ、メチル、エチル、プロピル、ブチル、アルキル、アルケニル、アルキニル、置換アルキル、トリフルオロメチル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アルキルオキシアルキル、チオ、アルキルチオ、アシル、カルボキシ、アルキルオキシカルボニル、カルボキシアミド、置換カルボキシアミド、アルキルスルホニル、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニルアミノ、スルホンアミド、置換スルホンアミド、シアノ、アミノ、置換アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アミノアルキル、アシルアミノ、アミジノ、アミドキシム、ヒドロキサモイル、フェニル、アリール、置換アリール、アリールオキシ、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、ピリジル、イミダゾリル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールアルケニル、ヘテロアリールアルキニル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキルアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリノ、複素環、(複素環)オキシ、および(複素環)アルキルによって例示される置換基での置換えを指し、好ましいヘテロ原子は、酸素、窒素、および硫黄である。これらの置換基に開放原子価が存在する場合、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、および/または複素環基でさらに置換することができること、これらの開放原子価が炭素に存在する場合、ハロゲンによって、および酸素結合置換基、窒素結合置換基、または硫黄結合置換基によってさらに置換することができること、ならびに、そのような開放原子価が複数存在する場合、これらの基を、直接の結合の形成によってか、または新しいヘテロ原子、好ましくは酸素、窒素、もしくは硫黄との結合の形成によって接合して、環を形成することができることが理解される。さらに、上記の置換は、水素を置換基で置き換えることにより、本開示の分子に許容されない不安定性が導入されないこと、および、他の点では化学的に合理的であることを条件として行うことができることが理解される。
【0128】
「必要に応じた」または「必要に応じて」は、その後に記載される事象または状況が存在しても存在しなくてもよいこと、および前記事象または状況が存在する場合および前記事象または状況が存在しない場合が記載に含まれることを意味する。1つまたは複数の必要に応じた置換基を含有すると記載されている任意の分子に関して、立体的に実用的かつ/または合成的に実行可能な化合物のみが含まれることが意図されていることが当業者には理解されよう。「必要に応じて置換された」は、用語または一連の化学基におけるその後の全ての修飾語を指す。例えば、「必要に応じて置換されたアリールアルキル」という用語に関しては、分子の「アルキル」部分および「アリール」部分が置換されていてもよく、置換されていなくてもよく、また、一連の「必要に応じて置換されたアルキル、シクロアルキル、アリールおよびヘテロアリール」については、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、およびヘテロアリール基が、他とは独立に、置換されていてもよく、置換されていなくてもよい。
【0129】
「保護基」は、分子内の反応性官能基に付着させた場合に官能基の反応性を遮蔽する、低下させるまたは妨げる原子の群を指す。一般には、保護基は、合成の過程中、所望の通り選択的に除去することができる。保護基の例は当技術分野で公知である(例えば、Wuts and Greene, ”Greene’s Protective Groups in Organic Synthesis,” 4th Ed., Wiley Interscience [2006]、およびHarrison et al., Compendium of Synthetic Organic Methods, Vols. 1-8, John Wiley & Sons, NY [1971-1976])。保護基を有し得る官能基としては、これだけに限定されないが、ヒドロキシ基、アミノ基、およびカルボキシ基が挙げられる。代表的なアミノ保護基としては、これだけに限定されないが、ホルミル、アセチル、トリフルオロアセチル、ベンジル、ベンジルオキシカルボニル(「CBZ」)、tert-ブトキシカルボニル(「Boc」)、トリメチルシリル(「TMS」)、2-トリメチルシリル-エタンスルフォニル(「SES」)、トリチルおよび置換トリチル基、アリルオキシカルボニル、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(「FMOC」)、ニトロ-ベラトリロキシカルボニル(「NVOC」)などが挙げられる。代表的なヒドロキシル保護基としては、これだけに限定されないが、ヒドロキシル基をアシル化する場合(例えば、メチルおよびエチルエステル、酢酸もしくはプロピオン酸基もしくはグリコールエステル)、または、例えば、ベンジルおよびトリチルエーテル、ならびにアルキルエーテル、テトラヒドロピラニルエーテル、トリアルキルシリルエーテル(例えば、TMSまたはTIPPS基)およびアリルエーテルなど、アルキル化する場合が挙げられる。他の保護基は、本明細書で言及されている参考文献に見出すことができる。
【0130】
「脱離基」とは、一般に、化学反応において別の原子または部分によって除くことが可能な任意の原子または部分を指す。より詳細には、脱離基は、求核剤(例えば、アミン、チオール、アルコール、またはシアン化物)によって容易に除かれ、置換される原子または部分を指す。そのような脱離基は周知であり、それらとして、カルボン酸、N-ヒドロキシスクシンイミド(「NHS」)、N-ヒドロキシベンゾトリアゾール、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素)、およびアルキルオキシ基が挙げられる。脱離基の非限定的な特徴および例は当技術分野で公知であり、また、種々の化学テキストに記載されている。
操作されたトランスアミナーゼポリペプチド
【0131】
本開示は、一部の実施形態では化合物(2)を含み得るキラルアミン生成物を生成するためのアミノ受容体基質化合物の選択的アミノ基転移に有用な、トランスアミナーゼ活性を有する操作されたポリペプチド(本明細書では「操作されたトランスアミナーゼポリペプチド」とも称される)を提供する。したがって、一態様では、本開示は、スキーム2に示されている通り基質化合物(1)を生成物である化合物(2)に変換することが可能な、トランスアミナーゼ活性を有する操作されたポリペプチドを提供する。さらに、本開示は、操作されたポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、当該ポリヌクレオチドを含む関連するベクターおよび宿主細胞、操作されたポリペプチドを作製する方法、ならびに、適切な反応条件を含めた、操作されたポリペプチドを使用するための方法を提供する。
【0132】
本開示の操作されたポリペプチドは、Vibrio fluvialis JS17の野生型トランスアミナーゼポリペプチド(GenBank受託番号AEA39183.1、GI:327207066;配列番号2)と比較して、および、本開示の操作されたポリペプチドの定向進化のための出発骨格配列として使用した配列番号4の参照の操作されたトランスアミナーゼポリペプチドと比較しても、酵素特性の改善(例えば、立体選択性の増大など)を有するように操作された、天然に存在しないトランスアミナーゼである。配列番号4の参照の操作されたトランスアミナーゼポリペプチドは、Vibrio fluvialis JS17の野生型トランスアミナーゼ(配列番号2)と比べて以下の11個のアミノ酸の差異を有する:A9T、N45H、W57L、F86S、R88H、V153A、V177L、R211K、M294V、S324G、およびT391A。
【0133】
本開示の操作されたトランスアミナーゼポリペプチドは、配列番号4ある特定の工業的に妥当な条件下での化合物(1)の化合物(2)への効率的な変換のために定向進化によって作出されたものであり、参照の操作されたトランスアミナーゼポリペプチドと比較して1つまたは複数の残基の差異を有する。これらの残基の差異は、種々の酵素特性の改善、特に、活性の増大、立体選択性の増大、安定性の増大、および基質および/または生成物濃度の上昇に対する耐性(例えば、生成物による阻害の低減)に関連する。したがって、一部の実施形態では、トランスアミナーゼ活性を有する操作されたポリペプチドは、適切な反応条件下で、参照ポリペプチド(例えば、配列番号2、4、8、366、および/または650)の活性と比べて少なくとも約1.2倍、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、100倍、またはそれよりも大きな活性で、基質化合物(1)を化合物(2)に変換することができる。一部の実施形態では、トランスアミナーゼ活性を有する操作されたポリペプチドは、適切な反応条件下、約48時間、約36時間、約24時間、またはさらにはより短い時間の長さの反応時間で、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、または少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の変換パーセントで、化合物(1)である基質を化合物(2)に変換することができる。一部の実施形態では、トランスアミナーゼ活性を有する操作されたポリペプチドは、適切な反応条件下、少なくとも90%、95%、97%、98%、99%、またはそれよりも大きなジアステレオマー過剰で、化合物(1)を化合物(2)に変換することができる。
【0134】
本開示は、偶数の配列識別子配列番号6~936のアミノ酸配列を含む多数の例示的な操作されたトランスアミナーゼポリペプチドを提供する。これらの例示的な操作されたトランスアミナーゼポリペプチドは、参照配列(例えば、配列番号2、4、8、366、および/または650)と比較した、化合物(1)の化合物(2)への変換に関する特性の改善に関連する以下の残基の差異のうちの1つまたは複数を含むアミノ酸配列を含む。
【0135】
一部の場合では、例示的な操作されたポリペプチドは、参照配列(例えば、配列番号2、4、8、366、および/または650)と比較して1つまたは複数の残基の差異をさらに含むアミノ酸配列を有する。一部の場合では、例示的な操作されたポリペプチドは、参照配列(例えば、配列番号2、4、8、366、および/または650)と比較して1つまたは複数の残基の差異をさらに含むアミノ酸配列を有する。
【0136】
一部の実施形態では、操作されたポリペプチドは、配列番号2、4、8、366、および/または650から選択される参照配列と少なくとも約80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれよりも大きく同一であるアミノ酸配列を含み、ここで、ポリペプチドは、トランスアミナーゼ活性、および、本明細書に記載の特性の改善のうちの1つまたは複数、例えば、参照配列(例えば、配列番号2、4、8、366、および/または650のポリペプチド)と比較して増大した活性で、化合物(1)を生成物である化合物(2)に変換する能力、を有する。一部の実施形態では、参照配列は配列番号2である。一部の実施形態では、参照配列は配列番号4である。一部の実施形態では、参照配列は配列番号8である。一部の実施形態では、参照配列は配列番号366である。一部の実施形態では、参照配列は配列番号650である。
【0137】
一部の実施形態では、アミノ酸配列を含む操作されたトランスアミナーゼポリペプチドは、配列番号2、4、8、366、および/または650と比較して1つまたは複数のアミノ酸残基の差異を有する。一部の実施形態では、本開示は、参照配列である配列番号2、4、8、366、および/または650に対して少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれよりも大きな配列同一性を有するアミノ酸配列、ならびに(a)本明細書に提示される置換から選択される少なくとも1つのアミノ酸残基の差異(例えば、表2-1、2-2、3-1、3-2、4-1、4-2、5-1、および/または5-2を参照されたい)を含む、トランスアミナーゼ活性を有する操作されたポリペプチドを提供する。
【0138】
一部の実施形態では、本開示は、18、20、21、21/23/56/146、21/23/56/146/432、21/23/146/417、21/23/395/417/432、21/53/56、21/53/417、21/56/395、21/417/432、23、23/53、23/53/56、23/53/56/146/395、23/53/395、23/53/417、23/53/432、23/56、23/56/395、23/56/395/417、23/395/417、23/417、23/417/432、53、53/56、53/146/417、53/395、56、56/74/241/286/314/316/323、56/86/163/314/316/383/414/416/422、56/86/286/314/414/416、56/86/314/316/323/394/414/422、56/146/417、56/146/432、56/147、56/163、56/163/286/316/323/383/394、56/286/314/316/323/422、56/286/383、56/323、56/323/383、56/323/383/394、56/383、56/395、74/81/286/316/323/383、74/85/86/163/286/316/323/394、74/85/314/316/414/416、74/86/163/316、74/86/316/323/383/394、74/88/286/316/323/383、74/88/323/383、74/163/286/316/383/394/416、74/163/314/316、74/163/314/316/323/394、74/163/314/323/383/414/416、74/286、74/286/316/323、74/286/394/416、74/314/323/383/394/414、74/316/323/394、85/86/88/163/323/383/394、85/86/163/314/323/394/414、85/286、85/286/323、86、86/88/163/323/383/414/422、86/383/394、88、88/163/286/383、88/286/316/323、88/286/316/323/383/414/416、88/316/323、146、146/147/395/417、146/395、146/395/417、146/417、147/395/417/432、147/417、149、157、163、163/222/286/316/323/383/394、163/286、163/286/314/316/323/414/416、163/286/314/323/394、163/286/316/323/394/416、163/286/414、163/314/316/394、163/314/323/394、163/314/383、163/314/414、163/316/323、163/323、163/383、164、199/417、259、260、284、286、286/314/323/383、286/314/394、286/316/323/383/414/416、286/316/383/394、286/316/394/414/416、286/323、286/323/383/414、286/323/416、286/383、286/416、314/316、314/316/323、314/316/323/383/422、314/316/323/394、314/316/394、314/323/383/394、314/383、314/383/414/422、315、316、316/323/383/394、316/323/394/414/416、316/414/422、323、323/383、323/383/394/414/416、323/394、383、395、395/417、395/417/432、400、401、403、404、405、406、408、415、417、417/432、420、および422から選択される、配列番号4と比較した1つまたは複数のアミノ酸残基の差異を有するアミノ酸配列を含む、操作されたトランスアミナーゼポリペプチドを提供し、ここで、位置は、配列番号4を基準に番号付けされる。一部の実施形態では、アミノ酸の差異は、置換18A、20C、21H、21P/23S/56C/146H、21P/23S/56C/146H/432V、21P/23S/146H/417V、21P/23S/395D/417S/432V、21P/53C/56C、21P/53C/417S、21P/56C/395D、21P/417S/432V、21R、23A、23R、23S/53C、23S/53C/56C、23S/53C/56C/146H/395D、23S/53C/395D、23S/53C/417S、23S/53C/432V、23S/56C、23S/56C/395D、23S/56C/395D/417V、23S/395D/417S、23S/417S、23S/417V、23S/417V/432V、53C、53C/56C、53C/146H/417S、53C/395D、56A、56A/74T/241V/286S/314R/316W/323T、56A/86A/163F/314R/316W/383V/414V/416A/422A、56A/86A/286S/314R/414V/416A、56A/86A/314R/316W/323T/394G/414V/422A、56A/163F、56A/163F/286S/316W/323T/383V/394G、56A/286S/314R/316W/323T/422A、56A/286S/383V、56A/323T、56A/323T/383V、56A/323T/383V/394G、56A/383V、56C、56C/146H/417V、56C/146H/432V、56C/147R、56C/395D、56T、56V、74T/81S/286S/316W/323T/383V、74T/85V/86A/163F/286S/316W/323T/394G、74T/85V/314R/316W/414V/416A、74T/86A/163F/316W、74T/86A/316W/323T/383V/394G、74T/88R/286S/316W/323T/383V、74T/88R/323T/383V、74T/163F/286S/316W/383V/394G/416A、74T/163F/314R/316W、74T/163F/314R/316W/323T/394G、74T/163F/314R/323T/383V/414V/416A、74T/286S、74T/286S/316W/323T、74T/286S/394G/416A、74T/314R/323T/383V/394G/414V、74T/316W/323T/394G、85V/86A/88R/163F/323T/383V/394G、85V/86A/163F/314R/323T/394G/414V、85V/286S、85V/286S/323T、86A/88R/163F/323T/383V/414V/422A、86A/383V/394G、86G、88R/163F/286S/383V、88R/286S/316W/323T、88R/286S/316W/323T/383V/414V/416A、88R/316W/323T、88S、88T、146H、146H/147R/395D/417S、146H/395D、146H/395D/417S、146H/417S、146H/417V、147R/395D/417S/432V、147R/417S、149S、157A、163F、163F/222V/286S/316W/323T/383V/394G、163F/286S、163F/286S/314R/316W/323T/414V/416A、163F/286S/314R/323T/394G、163F/286S/316W/323T/394G/416A、163F/286S/414V、163F/314R/316W/394G、163F/314R/323T/394G、163F/314R/383V、163F/314R/414V、163F/316W/323T、163F/323T、163F/383V、163L、163M、164A、164D、164Q、164S、199V/417S、259V、260T、284A、286S、286S/314R/323T/383V、286S/314R/394G、286S/316W/323T/383V/414V/416A、286S/316W/383V/394G、286S/316W/394G/414V/416A、286S/323T、286S/323T/383V/414V、286S/323T/416A、286S/383V、286S/416A、314R/316W、314R/316W/323T、314R/316W/323T/383V/422A、314R/316W/323T/394G、314R/316W/394G、314R/323T/383V/394G、314R/383V、314R/383V/414V/422A、315G、315R、316A、316F、316G、316H、316L、316N、316R、316V、316W/323T/383V/394G、316W/323T/394G/414V/416A、316W/414V/422A、323C、323S、323T、323T/383V、323T/383V/394G/414V/416A、323T/394G、383V、395D、395D/417S、395D/417S/432V、395D/417V、400D、401A、401K、401S、403V、404S、405H、405W、406S、408F、408L、408W、415G、415W、417A、417S、417S/432V、417V、417V/432V、420G、422L、および422T、ならびに424Rを含み、ここで、位置は、配列番号4を基準に番号付けされる。一部の追加的な実施形態では、アミノ酸の差異は、置換G18A、T20C、D21H、D21P/P23S/L56C/R146H、D21P/P23S/L56C/R146H/A432V、D21P/P23S/R146H/L417V、D21P/P23S/G395D/L417S/A432V、D21P/N53C/L56C、D21P/N53C/L417S、D21P/L56C/G395D、D21P/L417S/A432V、D21R、P23A、P23R、P23S/N53C、P23S/N53C/L56C、P23S/N53C/L56C/R146H/G395D、P23S/N53C/G395D、P23S/N53C/L417S、P23S/N53C/A432V、P23S/L56C、P23S/L56C/G395D、P23S/L56C/G395D/L417V、P23S/G395D/L417S、P23S/L417S、P23S/L417V、P23S/L417V/A432V、N53C、N53C/L56C、N53C/R146H/L417S、N53C/G395D、L56A、L56A/A74T/A241V/N286S/I314R/E316W/A323T、L56A/S86A/K163F/I314R/E316W/A383V/C414V/P416A/V422A、L56A/S86A/N286S/I314R/C414V/P416A、L56A/S86A/I314R/E316W/A323T/D394G/C414V/V422A、L56A/K163F、L56A/K163F/N286S/E316W/A323T/A383V/D394G、L56A/N286S/I314R/E316W/A323T/V422A、L56A/N286S/A383V、L56A/A323T、L56A/A323T/A383V、L56A/A323T/A383
V/D394G、L56A/A383V、L56C、L56C/R146H/L417V、L56C/R146H/A432V、L56C/W147R、L56C/G395D、L56T、L56V、A74T/G81S/N286S/E316W/A323T/A383V、A74T/F85V/S86A/K163F/N286S/E316W/A323T/D394G、A74T/F85V/I314R/E316W/C414V/P416A、A74T/S86A/K163F/E316W、A74T/S86A/E316W/A323T/A383V/D394G、A74T/H88R/N286S/E316W/A323T/A383V、A74T/H88R/A323T/A383V、A74T/K163F/N286S/E316W/A383V/D394G/P416A、A74T/K163F/I314R/E316W、A74T/K163F/I314R/E316W/A323T/D394G、A74T/K163F/I314R/A323T/A383V/C414V/P416A、A74T/N286S、A74T/N286S/E316W/A323T、A74T/N286S/D394G/P416A、A74T/I314R/A323T/A383V/D394G/C414V、A74T/E316W/A323T/D394G、F85V/S86A/H88R/K163F/A323T/A383V/D394G、F85V/S86A/K163F/I314R/A323T/D394G/C414V、F85V/N286S、F85V/N286S/A323T、S86A/H88R/K163F/A323T/A383V/C414V/V422A、S86A/A383V/D394G、S86G、H88R/K163F/N286S/A383V、H88R/N286S/E316W/A323T、H88R/N286S/E316W/A323T/A383V/C414V/P416A、H88R/E316W/A323T、H88S、H88T、R146H、R146H/W147R/G395D/L417S、R146H/G395D、R146H/G395D/L417S、R146H/L417S、R146H/L417V、W147R/G395D/L417S/A432V、W147R/L417S、A149S、S157A、K163F、K163F/A222V/N286S/E316W/A323T/A383V/D394G、K163F/N286S、K163F/N286S/I314R/E316W/A323T/C414V/P416A、K163F/N286S/I314R/A323T/D394G、K163F/N286S/E316W/A323T/D394G/P416A、K163F/N286S/C414V、K163F/I314R/E316W/D394G、K163F/I314R/A323T/D394G、K163F/I314R/A383V、K163F/I314R/C414V、K163F/E316W/A323T、K163F/A323T、K163F/A383V、K163L、K163M、P164A、P164D、P164Q、P164S、A199V/L417S、I259V、C260T、S284A、N286S、N286S/I314R/A323T/A383V、N286S/I314R/D394G、N286S/E316W/A323T/A383V/C414V/P416A、N286S/E316W/A383V/D394G、N286S/E316W/D394G/C414V/P416A、N286S/A323T、N286S/A323T/A383V/C414V、N286S/A323T/P416A、N286S/A383V、N286S/P416A、I314R/E316W、I314R/E316W/A323T、I314R/E316W/A323T/A383V/V422A、I314R/E316W/A323T/D394G、I314R/E316W/D394G、I314R/A323T/A383V/D394G、I314R/A383V、I314R/A383V/C414V/V422A、E315G、E315R、E316A、E316F、E316G、E316H、E316L、E316N、E316R、E316V、E316W/A323T/A383V/D394G、E316W/A323T/D394G/C414V/P416A、E316W/C414V/V422A、A323C、A323S、A323T、A323T/A383V、A323T/A383V/D394G/C414V/P416A、A323T/D394G、A383V、G395D、G395D/L417S、G395D/L417S/A432V、G395D/L417V、S400D、E401A、E401K、E401S、I403V、A404S、N405H、N405W、T406S、T408F、T408L、T408W、R415G、R415W、L417A、L417S、L417S/A432V、L417V、L417V/A432V、S420G、V422L、およびV422Tを含み、ここで、位置は、配列番号4を基準に番号付けされる。
【0139】
一部の実施形態では、本開示は、74/81/286/316/323/383、163/286/314/316/323/414/416、163/286/314/323/394、286/314/323/383、286/316/323/383/414/416、315、および408から選択される、配列番号4と比較した1つまたは複数のアミノ酸残基の差異を有するアミノ酸配列を含む、操作されたトランスアミナーゼポリペプチドを提供し、ここで、位置は、配列番号4を基準に番号付けされる。一部の実施形態では、アミノ酸の差異は、置換74T/81S/286S/316W/323T/383V、163F/286S/314R/316W/323T/414V/416A、163F/286S/314R/323T/394G、286S/314R/323T/383V、286S/316W/323T/383V/414V/416A、315G、および408Fを含み、ここで、位置は、配列番号4を基準に番号付けされる。一部の追加的な実施形態では、アミノ酸の差異は、置換A74T/G81S/N286S/E316W/A323T/A383V、K163F/N286S/I314R/E316W/A323T/C414V/P416A、K163F/N286S/I314R/A323T/D394G、N286S/I314R/A323T/A383V、N286S/E316W/A323T/A383V/C414V/P416A、E315G、およびT408Fを含み、ここで、位置は、配列番号4を基準に番号付けされる。
【0140】
一部の実施形態では、本開示は、5、18/23/149/260/383/395/401/416、18/23/149/383、18/163/164、21、21/163/315/316、21/163/323/408、21/408、23/56/86/149/163/164/383/401/416、23/86、23/149/260、23/149/284/383/395、23/163/164/383、23/163/164/401/416、24、42、42/110、42/187/272、42/187/324/363/366、42/187/353、42/272/291、42/272/291/363、42/272/324/363/366、42/272/363/410、42/272/410、42/291/313/363/410、42/291/363、42/291/363/366、42/353、42/363、46、66、77、86/149/163/164/383/395/401、86/149/395、86/163/164/260/383、86/383、107、110、110/187、110/187/253/410、134、138、149/164/260/383/395/401、149/260/383、149/416、163/259/323/408、163/259/408、163/315/316、164/260/401、164/316/383/401、167、186、187、187/253/363/366、187/272/324/363/410、187/272/363、187/272/363/366/410、187/291、189、191、195、199、203、210、211、248、259/307、260/395/401、272、272/353、272/363/366、272/410、277、291、305、309、315、342、343、351、354、358、361、362、363、363/366、365、367、383、383/401、383/416/422、385、388、389、392、395、396、401、404、405、408、410、416、417、439、443、447、450、および451から選択される、配列番号8と比較した1つまたは複数のアミノ酸残基の差異を有するアミノ酸配列を含む、操作されたトランスアミナーゼポリペプチドを提供し、ここで、位置は、配列番号8を基準に番号付けされる。一部の実施形態では、アミノ酸の差異は、置換5E、5G、18A/23R/149S/260T/383V/395D/401S/416P、18A/23R/149S/383V、18A/163M/164Q、21H、21H/163L/315G/316F、21H/163L/323C/408F、21H/408F、23R/56C/86G/149S/163M/164D/383V/401S/416P、23R/86G、23R/149S/260T、23R/149S/284A/383V/395D、23R/163M/164Q/383V、23R/163M/164S/401S/416P、24K、24R、42F、42F/110K、42F/187E/272E、42F/187E/324S/363L/366H、42F/187E/353T、42F/272E/291Y、42F/272E/291Y/363L、42F/272E/324S/363L/366H、42F/272E/363L/410H、42F/272E/410H、42F/291Y/313V/363L/410H、42F/291Y/363L、42F/291Y/363L/366H、42F/353T、42F/363L、46S、66A、77M、86G/149S/163M/164S/383V/395D/401S、86G/149S/395D、86G/163M/164S/260T/383V、86G/383V、107L、107S、107Y、110K、110K/187E、110K/187E/253L/410H、134V、138R、149S/164S/260T/383V/395D/401A、149S/260T/383V、149S/416P、163L/259V/323C/408F、163L/259V/408F、163L/315G/316F、164D/316H/383V/401S、164S/260T/401S、167N、186Q、187E、187E/253L/363L/366H、187E/272E/324S/363L/410H、187E/272E/363L、187E/272E/363L/366H/410H、187E/291Y、189F、189S、189V、189W、191D、191F、195W、199Q、203L、210A、210L、210M、210V、210Y、211R、248G、259V/307M、260T/395D/401S、272E、272E/353T、272E/363L/366H、272E/410H、277S、291Y、305E、309A、309F、309R、315G、342T、343G、351L、354S、358L、361R、362Q、362V、363L、363L/366H、365L、365Q、365R、365S、367T、383V、383V/401A、383V/416P/422T、385L、385T、388D、388L、388P、389D、392A、392L、395R、396P、396Y、401Q、401S、404M、405W、408A、408E、408W、410H、416P、417S、439L、439S、443L、443S、447S、447T、450D、および451Sを含み、ここで、位置は、配列番号8を基準に番号付けされる。一部の追加的な実施形態では、アミノ酸の差異は、置換Q5E、Q5G、G18A/P23R/A149S/C260T/A383V/G395D/E401S/A416P、G18A/P23R/A149S/A383V、G18A/F163M/P164Q、D21H、D21H/F163L/E315G/W316F、D21H/F163L/T323C/T408F、D21H/T408F、P23R/L56C/S86G/A149S/F163M/P164D/A383V/E401S/A416P、P23R/S86G、P23R/A149S/C260T、P23R/A149S/S284A/A383V/G395D、P23R/F163M/P164Q/A383V、P23R/F163M/P164S/E401S/A416P、S24K、S24R、V42F、V42F/R110K、V42F/Y187E/V272E、V42F/Y187E/G324S/I363L/R366H、V42F/Y187E/A353T、V42F/V272E/F291Y、V42F/V272E/F291Y/I363L、V42F/V272E/G324S/I363L/R366H、V42F/V272E/I363L/L410H、V42F/V272E/L410H、V42F/F291Y/A313V/I363L/L410H、V42F/F291Y/I363L、V42F/F291Y/I363L/R366H、V42F/A353T、V42F/I363L、G46S、K66A、E77M、S86G/A149S/F163M/P164S/A383V/G395D/E401S、S86G/A149S/G395D、S86G/F163M/P164S/C260T/A383V、S86G/A383V、D107L、D107S、D107Y、R110K、R110K/Y187E、R110K/Y187E/V253L/L410H、A134V、P138R、A149S/P164S/C260T/A383V/G395D/E401A、A149S/C260T/A383V、A149S/A416P、F163L/I259V/T323C/T408F、F163L/I259V/T408F、F163L/E315G/W316F、P164D/W316H/A383V/E401S、P164S/C260T/E401S、S167N、R186Q、Y187E、Y187E/V253L/I363L/R366H、Y187E/V272E/G324S/I363L/L410H、Y187E/V272E/I363L、Y187E/V272E/I363L/R366H/L410H、Y187E/F291Y、E189F、E189S、E189V、E189W、G191D、G191F、E195W、A199Q、R203L、Q210A、Q210L、Q210M、Q210V、Q210Y、K211R、K248G、I259V/L307M、C260T/G395D/E401S、V272E、V272E/A353T、V272E/I363L/R366H、V272E/L410H、T277S、F291Y、K305E、T309A、T309F、T309R、E315G、N342T、E343G、R351L、P354S、E358L、K361R、H362Q、H362V、I363L、I363L/R366H、E365L、E365Q、E365R、E365S、P367T、A383V、A383V/E401A、A383V/A416P/V422T、K385L、K385T、A388D、A388L、A388P、S389D、P392A、P392L、G395R、N396P、N396Y、E401Q、E401S、A404M、N405W、T408A、T408E、T408W、L410H、A416P、L417S、D439L、D439S、K443L、K443S、K447S、K447T、A450D、およびE451Sを含み、ここで、位置は、配列番号8を基準に番号付けされる。
【0141】
一部の実施形態では、本開示は、18/23/149/383、21/163/323/408、272、291、および383から選択される、配列番号8と比較した1つまたは複数のアミノ酸残基の差異を有するアミノ酸配列を含む、操作されたトランスアミナーゼポリペプチドを提供し、ここで、位置は、配列番号8を基準に番号付けされる。一部の実施形態では、アミノ酸の差異は、置換18A/23R/149S/383V、21H/163L/323C/408F、272E、291Y、および383Vを含み、ここで、位置は、配列番号8を基準に番号付けされる。一部の追加的な実施形態では、アミノ酸の差異は、置換G18A/P23R/A149S/A383V、D21H/F163L/T323C/T408F、V272E、F291Y、およびA383Vを含み、ここで、位置は、配列番号8を基準に番号付けされる。
【0142】
一部の実施形態では、本開示は、24、24/42/66/291、24/42/291/362、24/66/163/191/362/383/388、24/66/191/199/260/291/351、24/66/191/199/291、24/66/191/260/408、24/66/260/291/383/388/408、24/66/291/342/383、24/66/291/365、24/66/342/365/388/408、24/77/291、24/107/163/191/291/351/383/388、24/107/291/351/365/388、24/163/351/383、24/191/291/365、24/199/260/351/362/383、24/199/260/362/383/388、24/260/362/383/388、24/291、24/291/342/351/383、24/291/362/388、24/291/408、24/383/388、24/388、25、28、33、42/191/408、42/199/291/383、42/291/351/362/365/383/388、42/291/351/362/383/408、42/291/383/388、66/82/291/383、66/163/191/365/383、66/199/351/383、66/291、66/291/362/365/383、66/291/383/388、66/383、77/291、77/383/388、86、107/191/199/365/383/388、107/191/291/383、148、153、163/291/362/365/383/388、163/291/383/388、163/383、191/199/365/383/388、191/260/388、191/291、191/291/342/362/365、191/351/383/388、199/260/383、199/291、260、260/291/365/383/408、260/365/383、291、291/351/383/388、291/351/383/388/408、291/362/365、291/365/388、291/383、314、315、316、319、342/362、351/383/388、362、362/388、383、383/388、396、397、405、406、413、419、および423から選択される、配列番号366と比較した1つまたは複数のアミノ酸残基の差異を有するアミノ酸配列を含む、操作されたトランスアミナーゼポリペプチドを提供し、ここで、位置は、配列番号366を基準に番号付けされる。一部の実施形態では、アミノ酸の差異は、置換24E、24K、24K/42F/66A/291Y、24K/42F/291Y/362Q、24K/66A/163M/191D/362Q/383V/388D、24K/66A/191D/199Q/260T/291Y/351L、24K/66A/191D/199Q/291Y、24K/66A/191D/260T/408A、24K/66A/260T/291Y/383V/388D/408A、24K/66A/291Y/342T/383V、24K/66A/291Y/365S、24K/66A/342T/365S/388D/408E、24K/77M/291Y、24K/107L/163M/191D/291Y/351L/383V/388D、24K/107L/291Y/351L/365S/388D、24K/163M/351L/383V、24K/191D/291Y/365S、24K/199Q/260T/351L/362Q/383V、24K/199Q/260T/362Q/383V/388D、24K/260T/362Q/383V/388D、24K/291Y、24K/291Y/342T/351L/383V、24K/291Y/362Q/388D、24K/291Y/408A、24K/383V/388D、24K/388D、25H、25V、28S、28T、33T、42F/191D/408E、42F/199Q/291Y/383V、42F/291Y/351L/362Q/365S/383V/388D、42F/291Y/351L/362Q/383V/408A、42F/291Y/383V/388D、66A/82H/291Y/383V、66A/163M/191D/365S/383V、66A/199Q/351L/383V、66A/291Y、66A/291Y/362Q/365S/383V、66A/291Y/383V/388D、66A/383V、77M/291Y、77M/383V/388D、86T、107L/191D/199Q/365S/383V/388D、107L/191D/291Y/383V、148G、153S、163M/291Y/362Q/365S/383V/388D、163M/291Y/383V/388D、163M/383V、191D/199Q/365S/383V/388D、191D/260T/388D、191D/291Y、191D/291Y/342T/362Q/365S、191D/351L/383V/388D、199Q/260T/383V、199Q/291Y、260T、260T/291Y/365S/383V/408A、260T/365S/383V、291Y、291Y/351L/383V/388D、291Y/351L/383V/388D/408A、291Y/362Q/365S、291Y/365S/388D、291Y/383V、314K、315S、316V、319S、342T/362Q、351L/383V/388D、362Q、362Q/388D、383V、383V/388D、396R、397M、405A、406H、413L、419S、および423Vを含み、ここで、位置は、配列番号366を基準に番号付けされる。一部の追加的な実施形態では、アミノ酸の差異は、置換S24E、S24K、S24K/V42F/K66A/F291Y、S24K/V42F/F291Y/H362Q、S24K/K66A/L163M/G191D/H362Q/A383V/A388D、S24K/K66A/G191D/A199Q/C260T/F291Y/R351L、S24K/K66A/G191D/A199Q/F291Y、S24K/K66A/G191D/C260T/F408A、S24K/K66A/C260T/F291Y/A383V/A388D/F408A、S24K/K66A/F291Y/N342T/A383V、S24K/K66A/F291Y/E365S、S24K/K66A/N342T/E365S/A388D/F408E、S24K/E77M/F291Y、S24K/D107L/L163M/G191D/F291Y/R351L/A383V/A388D、S24K/D107L/F291Y/R351L/E365S/A388D、S24K/L163M/R351L/A383V、S24K/G191D/F291Y/E365S、S24K/A199Q/C260T/R351L/H362Q/A383V、S24K/A199Q/C260T/H362Q/A383V/A388D、S24K/C260T/H362Q/A383V/A388D、S24K/F291Y、S24K/F291Y/N342T/R351L/A383V、S24K/F291Y/H362Q/A388D、S24K/F291Y/F408A、S24K/A383V/A388D、S24K/A388D、L25H、L25V、R28S、R28T、V33T、V42F/G191D/F408E、V42F/A199Q/F291Y/A383V、V42F/F291Y/R351L/H362Q/E365S/A383V/A388D、V42F/F291Y/R351L/H362Q/A383V/F408A、V42F/F291Y/A383V/A388D、K66A/Y82H/F291Y/A383V、K66A/L163M/G191D/E365S/A383V、K66A/A199Q/R351L/A383V、K66A/F291Y、K66A/F291Y/H362Q/E365S/A383V、K66A/F291Y/A383V/A388D、K66A/A383V、E77M/F291Y、E77M/A383V/A388D、S86T、D107L/G191D/A199Q/E365S/A383V/A388D、D107L/G191D/F291Y/A383V、N148G、A153S、L163M/F291Y/H362Q/E365S/A383V/A388D、L163M/F291Y/A383V/A388D、L163M/A383V、G191D/A199Q/E365S/A383V/A388D、G191D/C260T/A388D、G191D/F291Y、G191D/F291Y/N342T/H362Q/E365S、G191D/R351L/A383V/A388D、A199Q/C260T/A383V、A199Q/F291Y、C260T、C260T/F291Y/E365S/A383V/F408A、C260T/E365S/A383V、F291Y、F291Y/R351L/A383V/A388D、F291Y/R351L/A383V/A388D/F408A、F291Y/H362Q/E365S、F291Y/E365S/A388D、F291Y/A383V、R314K、E315S、W316V、H319S、N342T/H362Q、R351L/A383V/A388D、H362Q、H362Q/A388D、A383V、A383V/A388D、N396R、L397M、N405A、T406H、I413L、Q419S、およびL423Vを含み、ここで、位置は、配列番号366を基準に番号付けされる。
【0143】
一部の実施形態では、本開示は、24/66/191/199/291、24/66/291/365、163/291/362/365/383/388、163/291/383/388、191/291/342/362/365、291、および291/383から選択される、配列番号366と比較した1つまたは複数のアミノ酸残基の差異を有するアミノ酸配列を含む、操作されたトランスアミナーゼポリペプチドを提供し、ここで、位置は、配列番号366を基準に番号付けされる。一部の実施形態では、アミノ酸の差異は、置換24K/66A/191D/199Q/291Y、24K/66A/291Y/365S、163M/291Y/362Q/365S/383V/388D、163M/291Y/383V/388D、191D/291Y/342T/362Q/365S、291Y、および291Y/383Vを含み、ここで、位置は、配列番号366を基準に番号付けされる。一部の追加的な実施形態では、アミノ酸の差異は、置換S24K/K66A/G191D/A199Q/F291Y、S24K/K66A/F291Y/E365S、L163M/F291Y/H362Q/E365S/A383V/A388D、L163M/F291Y/A383V/A388D、G191D/F291Y/N342T/H362Q/E365S、F291Y、およびF291Y/A383Vを含み、ここで、位置は、配列番号366を基準に番号付けされる。
【0144】
一部の実施形態では、本開示は、10、13、13/24/108/163、13/24/108/163/311、13/24/133/199/311、13/24/163、13/24/199/311、13/108、13/108/199、13/108/311、13/199、13/311、14、14/24/108、14/24/108/133、14/24/108/199、14/24/199、14/108、14/108/133/311、14/108/311、14/311、24、24/163、24/163/199、35、72、73、78、95、101、108、108/199、114、154、163、169、175/316、199、199/311、226、293、311、316、382、383、および386から選択される、配列番号650と比較した1つまたは複数のアミノ酸残基の差異を有するアミノ酸配列を含む、操作されたトランスアミナーゼポリペプチドを提供し、ここで、位置は、配列番号650を基準に番号付けされる。一部の実施形態では、アミノ酸の差異は、置換10E、13A、13A/24E/108R/163L/311S、13A/24E/133R/199Q/311S、13A/24E/163L、13A/24K/108R/163L、13A/24K/199Q/311S、13A/108R、13A/108R/199Q、13A/108R/311S、13A/199Q、13A/311S、14A、14G、14H、14H/24E/108R/133R、14H/24K/108R、14H/24K/108R/199Q、14H/24K/199Q、14H/108R、14H/108R/133R/311S、14H/108R/311S、14H/311S、24E、24E/163L、24E/163L/199Q、35E、72G、73R、73S、78A、95I、101L、108R、108R/199Q、114A、154S、163H、163S、163V、169C、169V、175D/316F、199Q、199Q/311S、226Q、293A、311K、316D、316E、316F、316G、316H、316I、316L、316N、316S、316V、316Y、382D、383L、および386Aを含み、ここで、位置は、配列番号650を基準に番号付けされる。一部の追加的な実施形態では、アミノ酸の差異は、置換R10E、T13A、T13A/S24E/S108R/M163L/I311S、T13A/S24E/A133R/A199Q/I311S、T13A/S24E/M163L、T13A/S24K/S108R/M163L、T13A/S24K/A199Q/I311S、T13A/S108R、T13A/S108R/A199Q、T13A/S108R/I311S、T13A/A199Q、T13A/I311S、Y14A、Y14G、Y14H、Y14H/S24E/S108R/A133R、Y14H/S24K/S108R、Y14H/S24K/S108R/A199Q、Y14H/S24K/A199Q、Y14H/S108R、Y14H/S108R/A133R/I311S、Y14H/S108R/I311S、Y14H/I311S、S24E、S24E/M163L、S24E/M163L/A199Q、H35E、A72G、K73R、K73S、R78A、M95I、V101L、S108R、S108R/A199Q、T114A、T154S、M163H、M163S、M163V、F169C、F169V、G175D/W316F、A199Q、A199Q/I311S、M226Q、P293A、I311K、W316D、W316E、W316F、W316G、W316H、W316I、W316L、W316N、W316S、W316V、W316Y、E382D、V383L、およびD386Aを含み、ここで、位置は、配列番号650を基準に番号付けされる。
【0145】
一部の実施形態では、本開示は、14/108/133/311、24/163/199、72、78、316、および383から選択される、配列番号650と比較した1つまたは複数のアミノ酸残基の差異を有するアミノ酸配列を含む、操作されたトランスアミナーゼポリペプチドを提供し、ここで、位置は、配列番号650を基準に番号付けされる。一部の実施形態では、アミノ酸の差異は、置換14H/108R/133R/311S、24E/163L/199Q、72G、78A、316L、316N、316S、および383Lを含み、ここで、位置は、配列番号650を基準に番号付けされる。一部の追加的な実施形態では、アミノ酸の差異は、置換Y14H/S108R/A133R/I311S、S24E/M163L/A199Q、A72G、R78A、W316L、W316N、W316S、およびV383Lを含み、ここで、位置は、配列番号650を基準に番号付けされる。
【0146】
一部の実施形態では、トランスアミナーゼ活性を有する操作されたポリペプチドは、適切な反応条件下、参照ポリペプチド(例えば、配列番号2、4、8、366、および/または650)の基質耐性と比べて増大した、基質の存在に対する耐性で、化合物(1)を化合物(2)に変換することができる。したがって、一部の実施形態では、操作されたポリペプチドは、適切な反応条件下、少なくとも約1g/L、5g/L、10g/L、20g/L、約30g/L、約40g/L、約50g/L、約70g/L、約75g/L、約100g/Lの基質負荷濃度の存在下で、約72時間、約48時間、約36時間、約24時間、またはさらにはより短い時間の長さの反応時間内に、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の変換パーセントで、化合物(1)である基質を化合物(2)に変換することができる。
【0147】
操作されたポリペプチドの上記の特性の改善を、ポリペプチドの濃度または量、基質、アミン供与体、補助因子、緩衝剤、共溶媒、pH、ならびに/または、温度および反応時間を含む条件に関して決定することができるいくつかの適切な反応条件が本明細書に提示される。一部の実施形態では、適切な反応条件には、下および実施例に記載されているHTP、SFP、またはDSPアッセイ条件が含まれる。
【0148】
当業者には明らかになるように、前述の残基の位置および各残基の位置の特定のアミノ酸残基を個別にまたは種々の組合せで使用して、とりわけ、酵素活性、基質/生成物選好、立体選択性、基質/生成物耐性、ならびに温度、溶媒、および/またはpHの増大などの種々の条件下での安定性を含めた、所望の特性の改善を有するトランスアミナーゼポリペプチドを合成することができる。
【0149】
一部の実施形態では、本開示は、本明細書に記載の操作されたトランスアミナーゼポリペプチドのいずれかの、その操作されたトランスアミナーゼポリペプチドの機能的なトランスアミナーゼ活性および/または特性の改善を保持する断片を含む、操作されたトランスアミナーゼポリペプチドも提供する。したがって、一部の実施形態では、本開示は、トランスアミナーゼ活性を有する(例えば、適切な反応条件下で化合物(1)を化合物(2)に変換することが可能である)ポリペプチド断片であって、配列番号6~936の偶数の配列識別子を有する例示的な操作されたポリペプチドなどの本開示の操作されたポリペプチドの全長アミノ酸配列の少なくとも約80%、90%、95%、98%、または99%を含む、断片を提供する。
【0150】
一部の実施形態では、本開示の操作されたトランスアミナーゼポリペプチドは、配列番号6~936の偶数の配列識別子を有する例示的な操作されたポリペプチド配列などの、本明細書に記載の操作されたトランスアミナーゼポリペプチド配列のいずれか1つと比較して欠失を含むアミノ酸配列を含む。したがって、本開示の操作されたトランスアミナーゼポリペプチドの実施形態の各々について、アミノ酸配列は、トランスアミナーゼポリペプチドの1個またはそれよりも多くのアミノ酸、2個またはそれよりも多くのアミノ酸、3個またはそれよりも多くのアミノ酸、4個またはそれよりも多くのアミノ酸、5個またはそれよりも多くのアミノ酸、6個またはそれよりも多くのアミノ酸、8個またはそれよりも多くのアミノ酸、10個またはそれよりも多くのアミノ酸、15個またはそれよりも多くのアミノ酸、または20個またはそれよりも多くのアミノ酸、アミノ酸の総数の10%まで、アミノ酸の総数の10%まで、アミノ酸の総数の20%まで、またはアミノ酸の総数の30%まで欠失を含み得、ここで、本明細書に記載の関連する操作されたトランスアミナーゼの機能活性および/または特性の改善は維持される。一部の実施形態では、欠失は、1~2個、1~3個、1~4個、1~5個、1~6個、1~7個、1~8個、1~9個、1~10個、1~15個、1~20個、1~21個、1~22個、1~23個、1~24個、1~25個、1~30個、1~35個、1~40個、1~45個、1~50個、1~55個、または1~60個のアミノ酸残基を含み得る。一部の実施形態では、欠失の数は、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、30個、30個、35個、40個、45個、50個、55個、または60個のアミノ酸残基であり得る。一部の実施形態では、欠失は、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、18個、20個、21個、22個、23個、24個、25個または30個のアミノ酸残基の欠失を含み得る。
【0151】
一部の実施形態では、本開示は、配列番号6~936の偶数の配列識別子を有する例示的な操作されたポリペプチド配列などの本明細書に記載の操作されたトランスアミナーゼポリペプチド配列のいずれか1つと比較して挿入を含むアミノ酸配列を有する操作されたトランスアミナーゼポリペプチドを提供する。したがって、本開示のトランスアミナーゼポリペプチドの実施形態の各々について、挿入は、1個またはそれよりも多くのアミノ酸、2個またはそれよりも多くのアミノ酸、3個またはそれよりも多くのアミノ酸、4個またはそれよりも多くのアミノ酸、5個またはそれよりも多くのアミノ酸、6個またはそれよりも多くのアミノ酸、8個またはそれよりも多くのアミノ酸、10個またはそれよりも多くのアミノ酸、15個またはそれよりも多くのアミノ酸、または20個またはそれよりも多くのアミノ酸を含み得、ここで、本明細書に記載の関連する操作されたトランスアミナーゼの機能活性および/または特性の改善は維持される。挿入は、トランスアミナーゼポリペプチドのアミノ末端もしくはカルボキシ末端、または内部部分へのものであり得る。
【0152】
一部の実施形態では、本開示のポリペプチドは、操作されたポリペプチドと、他のポリペプチド、例として、限定するものではなく、抗体タグ(例えば、mycエピトープ)、精製用配列(例えば、金属に結合させるためのHisタグ)、および細胞局在シグナル(例えば、分泌シグナル)などと融合した、融合ポリペプチドの形態である。したがって、本明細書に記載の操作されたポリペプチドを、他のポリペプチドとの融合を伴ってまたは伴わずに使用することができる。
【0153】
本明細書に記載の操作されたトランスアミナーゼポリペプチドは、遺伝子によりコードされるアミノ酸に制限されない。したがって、本明細書に記載のポリペプチドは、遺伝子によりコードされるアミノ酸に加えて、全体的にまたは部分的に、天然に存在するおよび/または合成のコードされないアミノ酸で構成され得る。本明細書に記載のポリペプチドを構成し得るある特定の一般に見られるコードされないアミノ酸としては、これだけに限定されないが、遺伝子によりコードされるアミノ酸のD-立体異性体;2,3-ジアミノプロピオン酸(Dpr);α-アミノイソ酪酸(Aib);ε-アミノヘキサン酸(Aha);δ-アミノバレリン酸(Ava);N-メチルグリシンまたはサルコシン(MeGlyまたはSar);オルニチン(Orn);シトルリン(Cit);t-ブチルアラニン(Bua);t-ブチルグリシン(Bug);N-メチルイソロイシン(MeIle);フェニルグリシン(Phg);シクロヘキシルアラニン(Cha);ノルロイシン(Nle);ナフチルアラニン(Nal);2-クロロフェニルアラニン(Ocf);3-クロロフェニルアラニン(Mcf);4-クロロフェニルアラニン(Pcf);2-フルオロフェニルアラニン(Off);3-フルオロフェニルアラニン(Mff);4-フルオロフェニルアラニン(Pff);2-ブロモフェニルアラニン(Obf);3-ブロモフェニルアラニン(Mbf);4-ブロモフェニルアラニン(Pbf);2-メチルフェニルアラニン(Omf);3-メチルフェニルアラニン(Mmf);4-メチルフェニルアラニン(Pmf);2-ニトロフェニルアラニン(Onf);3-ニトロフェニルアラニン(Mnf);4-ニトロフェニルアラニン(Pnf);2-シアノフェニルアラニン(Ocf);3-シアノフェニルアラニン(Mcf);4-シアノフェニルアラニン(Pcf);2-トリフルオロメチルフェニルアラニン(Otf);3-トリフルオロメチルフェニルアラニン(Mtf);4-トリフルオロメチルフェニルアラニン(Ptf);4-アミノフェニルアラニン(Paf);4-ヨードフェニルアラニン(Pif);4-アミノメチルフェニルアラニン(Pamf);2,4-ジクロロフェニルアラニン(Opef);3,4-ジクロロフェニルアラニン(Mpcf);2,4-ジフルオロフェニルアラニン(Opff);3,4-ジフルオロフェニルアラニン(Mpff);ピリド-2-イルアラニン(2pAla);ピリド-3-イルアラニン(3pAla);ピリド-4-イルアラニン(4pAla);ナフト-1-イルアラニン(1nAla);ナフト-2-イルアラニン(2nAla);チアゾイルアラニン(taAla);ベンゾチエニルアラニン(bAla);チエニルアラニン(tAla);フリルアラニン(fAla);ホモフェニルアラニン(hPhe);ホモチロシン(hTyr);ホモトリプトファン(hTrp);ペンタフルオロフェニルアラニン(5ff);スチリルアラニン(styrylkalanine)(sAla);アウトリルアラニン(authrylalanine)(aAla);3,3-ジフェニルアラニン(Dfa);3-アミノ-5-フェニルペンタン酸(Afp);ペニシラミン(Pen);1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸(Tic);β-2-チエニルアラニン(Thi);メチオニンスルホキシド(Mso);N(w)-ニトロアルギニン(nArg);ホモリシン(hLys);ホスホノメチルフェニルアラニン(pmPhe);ホスホセリン(pSer);ホスホスレオニン(pThr);ホモアスパラギン酸(hAsp);ホモグルタミン酸(hGlu);1-アミノシクロペンタ-(2または3)-エン-4カルボン酸;ピペコリン酸(PA)、アゼチジン-3-カルボン酸(ACA);1-アミノシクロペンタン-3-カルボン酸;アリルグリシン(aOly);プロパルギルグリシン(pgGly);ホモアラニン(hAla);ノルバリン(nVal);ホモロイシン(hLeu)、ホモバリン(hVal);ホモイソロイシン(hIle);ホモアルギニン(hArg);N-アセチル リシン(AcLys);2,4-ジアミノ酪酸(Dbu);2,3-ジアミノ酪酸(Dab);N-メチルバリン(MeVal);ホモシステイン(hCys);ホモセリン(hSer);ヒドロキシプロリン(Hyp)およびホモプロリン(hPro)が挙げられる。本明細書に記載のポリペプチドを構成し得る追加的なコードされないアミノ酸は当業者には明らかになろう。これらのアミノ酸は、L-立体配置またはD-立体配置のいずれであってもよい。
【0154】
側鎖保護基を有するアミノ酸または残基も本明細書に記載のポリペプチドを構成し得ることが当業者には理解されよう。この場合は芳香族カテゴリーに属する、そのような保護されたアミノ酸の非限定的な例としては、これだけに限定されないが、以下が挙げられる(保護基を括弧内に列挙する):Arg(tos)、Cys(メチルベンジル)、Cys(ニトロピリジンスルフェニル)、Glu(δ-ベンジルエステル)、Gln(キサンチル)、Asn(N-δ-キサンチル)、His(bom)、His(ベンジル)、His(tos)、Lys(fmoc)、Lys(tos)、Ser(O-ベンジル)、Thr(O-ベンジル)およびTyr(O-ベンジル)。
【0155】
本明細書に記載のポリペプチドを構成し得るコンフォメーション的に束縛されているコードされないアミノ酸としては、これだけに限定されないが、N-メチルアミノ酸(L-立体配置);1-アミノシクロペンタ-(2または3)-エン-4-カルボン酸;ピペコリン酸;アゼチジン-3-カルボン酸;ホモプロリン(hPro);および1-アミノシクロペンタン-3-カルボン酸が挙げられる。
【0156】
一部の実施形態では、操作されたポリペプチドを膜、樹脂、固体担体、または他の固相材料などの固体支持体上にある状態で提供することができる。固体支持体は、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフルオロエチレン、ポリエチレンオキシ、およびポリアクリルアミドなどの有機ポリマー、ならびにこれらの共重合体およびグラフトで構成されるものであってよい。固体支持体はまた、ガラス、シリカ、制御細孔ガラス(controlled pore glass)(CPG)、逆相シリカまたは金もしくは白金などの金属などの無機物であってもよい。固体支持体の構成は、ビーズ、球体、粒子、顆粒、ゲル、膜または表面の形態であってよい。表面は、平面、実質的に平面、または非平面であってよい。固体支持体は、多孔質または非多孔質であってよく、また、膨潤または非膨潤特徴を有してよい。固体支持体は、ウェル、くぼみ、または他のコンテナ、容器、特徴、または場所の形態に構成されたものであってよい。
【0157】
一部の実施形態では、トランスアミナーゼ活性を有する操作されたポリペプチドを、参照ポリペプチド(例えば、配列番号2、4、8、366、および/または650)と比べたそれらの改善された活性、エナンチオ選択性、立体選択性、および/または他の改善された特性が保持されるように、固体支持体に結合させるまたは固定化する。そのような実施形態では、固定化されたポリペプチドにより、基質化合物の所望の生成物への生体触媒変換を容易にすることができ、また、固定化されたポリペプチドは、反応の完了後に容易に保持し(例えば、ポリペプチドを固定化したビーズを保持することによって)、次いで、次の反応に再使用または再利用することができる。そのような酵素を固定化したプロセスにより、さらなる効率および費用削減が可能になる。したがって、さらに、本開示の操作されたトランスアミナーゼポリペプチドを使用する任意の方法を、固体支持体に結合させたまたは固定化した同じトランスアミナーゼポリペプチドを使用して行うことができることが意図されている。
【0158】
操作されたトランスアミナーゼポリペプチドは、非共有結合によりまたは共有結合により結合させることができる。酵素を固体支持体(例えば、樹脂、膜、ビーズ、ガラスなど)にコンジュゲートおよび固定化するための様々な方法が当技術分野で周知である。特に、PCT公開WO2012/177527A1には、化合物(2)を化合物(1)に変換することが可能な固定化された操作されたトランスアミナーゼポリペプチド、および、固定化されたポリペプチドを調製する方法が開示されており、ここで、ポリペプチドは、樹脂に疎水性相互作用または共有結合のいずれかによって物理的に付着しており、少なくとも最大100%の有機溶媒を含む溶媒系で安定である。酵素を固体支持体(例えば、樹脂、膜、ビーズ、ガラスなど)にコンジュゲートおよび固定化するための他の方法は当技術分野で周知である(例えば、Yi et al., Proc. Biochem., 42: 895-898 [2007];Martin et al., Appl. Microbiol. Biotechnol., 76: 843-851 [2007];Koszelewski et al., J. Mol. Cat. B: Enz., 63: 39-44 [2010];Truppo et al., Org. Proc. Res. Develop., published online: dx.doi.org/10.1021/op200157c;およびMateo et al., Biotechnol. Prog., 18: 629-34 [2002]などを参照されたい)。
【0159】
本開示の操作されたトランスアミナーゼポリペプチドを固定化するために有用な固体支持体としては、これだけに限定されないが、エポキシド官能基を有するポリメタクリレート、アミノエポキシド官能基を有するポリメタクリレート、スチレン/DVB共重合体またはオクタデシル官能基を有するポリメタクリレートを含むビーズまたは樹脂が挙げられる。本開示の操作されたトランスアミナーゼを固定化するために有用な例示的な固体支持体としては、これだけに限定されないが、キトサンビーズ、Eupergit C、ならびに、以下の異なる型のSEPABEAD:EC-EP、EC-HFA/S、EXA252、EXE119およびEXE120を含めたSEPABEAD(Mitsubishi)が挙げられる。
【0160】
一部の実施形態では、操作されたトランスアミナーゼポリペプチドを、ポリペプチドが位置的に別個の場所に配置されたアレイの形態で提供することができる。一部の実施形態では、位置的に別個の場所は、96ウェルプレートなどの固体支持体中のウェルである。複数の支持体を、アレイ上の、試薬のロボットによる送達のためにまたは検出方法および/もしくは機器によってアドレス可能な種々の場所に構成することができる。そのようなアレイを使用して、種々の基質化合物をポリペプチドによる変換について試験することができる。
【0161】
一部の実施形態では、本明細書に記載の操作されたポリペプチドをキットの形態で提供することができる。キット内のポリペプチドは、個別に存在してもよく、複数のポリペプチドとして存在してもよい。キットは、酵素反応を行うための試薬、ポリペプチドの活性を評価するための基質、ならびに生成物を検出するための試薬をさらに含み得る。キットは、試薬ディスペンサーおよびキットの使用に関する指示も含み得る。一部の実施形態では、本開示のキットは、複数の異なる操作されたトランスアミナーゼポリペプチドを異なるアドレス可能な位置に含むアレイを含み、ここで、異なるポリペプチドは、それぞれが少なくとも1つの異なる酵素特性の改善を有する、参照配列の異なるバリアントである。複数の操作されたポリペプチドを含むそのようなアレイおよびそれらの使用方法は公知である(例えば、WO2009/008908A2を参照されたい)。
操作されたトランスアミナーゼポリペプチドを調製するために有用なポリヌクレオチド、制御配列、発現ベクター、および宿主細胞
【0162】
別の態様では、本開示は、トランスアミナーゼ活性を有する本明細書に記載の操作されたポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを提供する。ポリヌクレオチドを、ポリペプチドを発現することが可能な組換えポリヌクレオチドが創出されるように遺伝子発現制御する1つまたは複数の異種調節配列に作動可能に(operatively)連結することができる。操作されたトランスアミナーゼをコードする異種ポリヌクレオチドを含有する発現構築物を適当な宿主細胞に導入して、対応する操作されたトランスアミナーゼポリペプチドを発現させることができる。
【0163】
一部の実施形態では、改善されたトランスアミナーゼポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドを、様々なやり方で操作して、ポリペプチドの活性および/または発現の改善をもたらす。発現ベクターに応じて、単離されたポリヌクレオチドを、ベクターへの挿入前に操作することが望ましいまたは必要な場合がある。組換えDNA法を利用してポリヌクレオチドおよび核酸配列を改変するための技法は当技術分野で周知である。
【0164】
遺伝暗号の縮重に起因して、本開示のバリアントトランスアミナーゼアシラーゼポリペプチドをコードするヌクレオチド配列が多数存在することが当業者には理解される。例えば、コドンAGA、AGG、CGA、CGC、CGG、およびCGUは全てアミノ酸アルギニンをコードする。したがって、ある1つのコドンによってアルギニンが指定される、本開示の核酸の全ての位置において、そのコドンを、コードされるポリペプチドを変更することなく、上記の対応するコドンのいずれかに変更することができる。RNA配列内の「U」はDNA配列内の「T」に対応することが理解される。本開示は、可能性のあるコドン選択に基づいた組合せの選択によって作製することができる、本開示のポリペプチドをコードする核酸配列のありとあらゆる可能性のあるバリエーションを意図しており、それを提供する。
【0165】
上記の通り、トランスアミナーゼをコードするDNA配列を、コドン使用の傾向が大きいコドン(同じアミノ酸をコードする他のコドンよりも高い頻度でタンパク質コード領域内に使用されるコドン)について設計することもできる。好ましいコドンは、単一の遺伝子におけるコドン使用、機能もしくは起源が共通する遺伝子のセットにおけるコドン使用、高度に発現される遺伝子におけるコドン使用、生物体全体の凝集タンパク質コード領域におけるコドン頻度、関連する生物体の凝集タンパク質コード領域におけるコドン頻度、またはこれらの組合せとの関連で決定することができる。遺伝子発現のレベルと共に頻度が増大するコドンが一般には発現のために最適なコドンである。特に、DNA配列を特定の宿主生物体における発現のために最適化することができる。多変量解析(例えば、クラスター解析またはコレスポンデンス分析を使用する)を含めた、特定の生物体におけるコドン頻度(例えば、同義のコドン使用と比べたコドン使用)およびコドン選好を決定するための、ならびに遺伝子において使用されるコドンの有効数を決定するための、種々の方法が当技術分野で周知である。コドン使用を得るためのデータソースは、タンパク質をコードすることが可能な任意の利用可能なヌクレオチド配列に依拠するものであってよい。これらのデータセットは、当技術分野で周知の通り、発現されるタンパク質(例えば、完全なタンパク質コード配列-CDS)、発現される配列タグ(EST)、または予測されるゲノム配列のコード領域をコードすることが実際に分かっている核酸配列を含む。バリアントトランスアミナーゼをコードするポリヌクレオチドは、任意の適切な当技術分野で公知の方法を使用して調製することができる。一般には、オリゴヌクレオチドを個別に合成し、次いで、接合して(例えば、酵素的もしくは化学的ライゲーション法、またはポリメラーゼにより媒介される方法によって)、基本的にあらゆる所望の連続した配列を形成する。一部の実施形態では、本開示のポリヌクレオチドを、これだけに限定されないが、自動化された合成方法を含めた任意の適切な当技術分野で公知の方法を使用した化学合成によって調製する。例えば、ホスホラミダイト法では、オリゴヌクレオチドを合成し(例えば、自動DNA合成機で)、精製し、アニーリングし、ライゲーションし、適当なベクターにクローニングする。一部の実施形態では、次いで、相補鎖を合成し、それらの鎖を適当な条件下でアニーリングすることによって、またはDNAポリメラーゼを使用し、適当なプライマー配列を用いて相補鎖を付加することによってのいずれかで、二本鎖DNA断片を得る。当業者に周知である本開示において有用な方法を提供する一般的な標準のテキストが多数存在する。
【0166】
例えば、突然変異誘発および定向進化方法をポリヌクレオチドに容易に適用して、発現させ、スクリーニングし、アッセイすることができるバリアントライブラリーを作出することができる。突然変異誘発および定向進化方法は当技術分野で周知である(例えば、全てが参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,605,793号、同第5,811,238号、同第5,830,721号、同第5,834,252号、同第5,837,458号、同第5,928,905号、同第6,096,548号、同第6,117,679号、同第6,132,970号、同第6,165,793号、同第6,180,406号、同第6,251,674号、同第6,265,201号、同第6,277,638号、同第6,287,861号、同第6,287,862号、同第6,291,242号、同第6,297,053号、同第6,303,344号、同第6,309,883号、同第6,319,713号、同第6,319,714号、同第6,323,030号、同第6,326,204号、同第6,335,160号、同第6,335,198号、同第6,344,356号、同第6,352,859号、同第6,355,484号、同第6,358,740号、同第6,358,742号、同第6,365,377号、同第6,365,408号、同第6,368,861号、同第6,372,497号、同第6,337,186号、同第6,376,246号、同第6,379,964号、同第6,387,702号、同第6,391,552号、同第6,391,640号、同第6,395,547号、同第6,406,855号、同第6,406,910号、同第6,413,745号、同第6,413,774号、同第6,420,175号、同第6,423,542号、同第6,426,224号、同第6,436,675号、同第6,444,468号、同第6,455,253号、同第6,479,652号、同第6,482,647号、同第6,483,011号、同第6,484,105号、同第6,489,146号、同第6,500,617号、同第6,500,639号、同第6,506,602号、同第6,506,603号、同第6,518,065号、同第6,519,065号、同第6,521,453号、同第6,528,311号、同第6,537,746号、同第6,573,098号、同第6,576,467号、同第6,579,678号、同第6,586,182号、同第6,602,986号、同第6,605,430号、同第6,613,514号、同第6,653,072号、同第6,686,515号、同第6,703,240号、同第6,716,631号、同第6,825,001号、同第6,902,922号、同第6,917,882号、同第6,946,296号、同第6,961,664号、同第6,995,017号、同第7,024,312号、同第7,058,515号、同第7,105,297号、同第7,148,054号、同第7,220,566号、同第7,288,375号、同第7,384,387号、同第7,421,347号、同第7,430,477号、同第7,462,469号、同第7,534,564号、同第7,620,500号、同第7,620,502号、同第7,629,170号、同第7,702,464号、同第7,747,391号、同第7,747,393号、同第7,751,986号、同第7,776,598号、同第7,783,428号、同第7,795,030号、同第7,853,410号、同第7,868,138号、同第7,783,428号、同第7,873,477号、同第7,873,499号、同第7,904,249号、同第7,957,912号、同第7,981,614号、同第8,014,961号、同第8,029,988号、同第8,048,674号、同第8,058,001号、同第8,076,138号、同第8,108,150号、同第8,170,806号、同第8,224,580号、同第8,377,681号、同第8,383,346号、同第8,457,903号、同第8,504,498号、同第8,589,085号、同第8,762,066号、同第8,768,871号、同第9,593,326号、および全ての関連するUS以外の対応物;Ling et al., Anal. Biochem., 254 (2): 157-78 [1997];Dale et al., Meth. Mol. Biol., 57: 369-74 [1996];Smith, Ann. Rev. Genet., 19: 423-462 [1985];Botstein et al., Science, 229: 1193-1201 [1985];Carter, Biochem. J., 237: 1-7 [1986];Kramer et al., Cell, 38: 879-887 [1984];Wells et al., Gene, 34: 315-323 [1985];Minshull et al., Curr. Op. Chem. Biol., 3: 284-290 [1999];Christians et al., Nat. Biotechnol., 17: 259-264 [1999];Crameri et al., Nature, 391: 288-291 [1998];Crameri, et al., Nat. Biotechnol., 15: 436-438 [1997];Zhang et al., Proc. Nat. Acad. Sci. U.S.A., 94: 4504-4509 [1997];Crameri et al., Nat. Biotechnol., 14: 315-319 [1996];Stemmer, Nature, 370: 389-391 [1994];Stemmer, Proc. Nat. Acad. Sci. USA, 91: 10747-10751 [1994];WO95/22625;WO97/0078;WO97/35966;WO98/27230;WO00/42651;WO01/75767;およびWO2009/152336を参照されたい)。
【0167】
一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、配列番号2、4、8、366、および/または650の偶数の配列識別子から選択される参照配列と少なくとも約80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれよりも大きく同一であるアミノ酸配列を含むトランスアミナーゼポリペプチドをコードし、ここで、ポリペプチドは、トランスアミナーゼ活性、ならびに、本明細書に記載の特性の改善のうちの1つまたは複数、例えば、参照配列(例えば、配列番号2、4、8、366、および/または650のポリペプチド)と比較して増大した活性で、化合物(1)を生成物である化合物(2)に変換する能力を有する。一部の実施形態では、参照配列は、配列番号2、4、8、366、および/または650から選択される。一部の実施形態では、参照配列は配列番号2である。一部の実施形態では、参照配列は配列番号4である。一部の実施形態では、参照配列は配列番号8である。一部の実施形態では、参照配列は配列番号366である。一部の実施形態では、参照配列は配列番号650である。
【0168】
一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、配列番号2、4、8、366、および/または650と比較して、上記のパーセント同一性を有し、(a)1つまたは複数のアミノ酸残基の差異を有するアミノ酸配列を含む操作されたトランスアミナーゼポリペプチドをコードする。一部の実施形態では、本開示は、参照配列である配列番号2、4、8、366、および/または650に対して少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれよりも大きな配列同一性を有するアミノ酸配列、ならびに(a)本明細書に提示される置換から選択される少なくとも1つのアミノ酸残基の差異(例えば、表2-1、2-2、3-1、3-2、4-1、4-2、5-1、および/または5-2を参照されたい)を含む、トランスアミナーゼ活性を有する操作されたポリペプチドを提供する。
【0169】
一部の実施形態では、操作されたトランスアミナーゼポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、配列番号5~935の奇数の配列識別子から選択される配列を含む。一部の実施形態では、ポリヌクレオチド配列は、配列番号1、3、7、365および/または935から選択される。一部の実施形態では、本開示は、トランスアミナーゼ活性を有するポリペプチドをコードする操作されたポリヌクレオチドを提供し、ここで、操作されたポリペプチドは、配列番号1、3、7、365および/または935から選択される少なくとも1つの参照配列に対して少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれよりも大きな配列同一性を有する。
【0170】
一部の実施形態では、本開示は、中程度にストリンジェントなまたは高度にストリンジェントな条件などの規定の条件下で、本開示の操作されたトランスアミナーゼをコードするポリヌクレオチド配列(またはその相補物)とハイブリダイズするポリヌクレオチドを提供する。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、配列番号5~935の奇数の配列識別子を有する配列から選択されるポリヌクレオチドまたはその相補物と高度にストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることが可能であり、トランスアミナーゼ活性を有し、本明細書に記載の特性の改善のうちの1つまたは複数を有するポリペプチドをコードする。
【0171】
一部の実施形態では、高度にストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることが可能なポリヌクレオチドは、18、20、21、21/23/56/146、21/23/56/146/432、21/23/146/417、21/23/395/417/432、21/53/56、21/53/417、21/56/395、21/417/432、23、23/53、23/53/56、23/53/56/146/395、23/53/395、23/53/417、23/53/432、23/56、23/56/395、23/56/395/417、23/395/417、23/417、23/417/432、53、53/56、53/146/417、53/395、56、56/74/241/286/314/316/323、56/86/163/314/316/383/414/416/422、56/86/286/314/414/416、56/86/314/316/323/394/414/422、56/146/417、56/146/432、56/147、56/163、56/163/286/316/323/383/394、56/286/314/316/323/422、56/286/383、56/323、56/323/383、56/323/383/394、56/383、56/395、74/81/286/316/323/383、74/85/86/163/286/316/323/394、74/85/314/316/414/416、74/86/163/316、74/86/316/323/383/394、74/88/286/316/323/383、74/88/323/383、74/163/286/316/383/394/416、74/163/314/316、74/163/314/316/323/394、74/163/314/323/383/414/416、74/286、74/286/316/323、74/286/394/416、74/314/323/383/394/414、74/316/323/394、85/86/88/163/323/383/394、85/86/163/314/323/394/414、85/286、85/286/323、86、86/88/163/323/383/414/422、86/383/394、88、88/163/286/383、88/286/316/323、88/286/316/323/383/414/416、88/316/323、146、146/147/395/417、146/395、146/395/417、146/417、147/395/417/432、147/417、149、157、163、163/222/286/316/323/383/394、163/286、163/286/314/316/323/414/416、163/286/314/323/394、163/286/316/323/394/416、163/286/414、163/314/316/394、163/314/323/394、163/314/383、163/314/414、163/316/323、163/323、163/383、164、199/417、259、260、284、286、286/314/323/383、286/314/394、286/316/323/383/414/416、286/316/383/394、286/316/394/414/416、286/323、286/323/383/414、286/323/416、286/383、286/416、314/316、314/316/323、314/316/323/383/422、314/316/323/394、314/316/394、314/323/383/394、314/383、314/383/414/422、315、316、316/323/383/394、316/323/394/414/416、316/414/422、323、323/383、323/383/394/414/416、323/394、383、395、395/417、395/417/432、400、401、403、404、405、406、408、415、417、417/432、420、および422から選択される、配列番号4と比較した1つまたは複数のアミノ酸残基の差異を有するアミノ酸配列を含む、操作されたトランスアミナーゼポリペプチドをコードし、ここで、位置は、配列番号4を基準に番号付けされる。一部の実施形態では、アミノ酸の差異は、置換18A、20C、21H、21P/23S/56C/146H、21P/23S/56C/146H/432V、21P/23S/146H/417V、21P/23S/395D/417S/432V、21P/53C/56C、21P/53C/417S、21P/56C/395D、21P/417S/432V、21R、23A、23R、23S/53C、23S/53C/56C、23S/53C/56C/146H/395D、23S/53C/395D、23S/53C/417S、23S/53C/432V、23S/56C、23S/56C/395D、23S/56C/395D/417V、23S/395D/417S、23S/417S、23S/417V、23S/417V/432V、53C、53C/56C、53C/146H/417S、53C/395D、56A、56A/74T/241V/286S/314R/316W/323T、56A/86A/163F/314R/316W/383V/414V/416A/422A、56A/86A/286S/314R/414V/416A、56A/86A/314R/316W/323T/394G/414V/422A、56A/163F、56A/163F/286S/316W/323T/383V/394G、56A/286S/314R/316W/323T/422A、56A/286S/383V、56A/323T、56A/323T/383V、56A/323T/383V/394G、56A/383V、56C、56C/146H/417V、56C/146H/432V、56C/147R、56C/395D、56T、56V、74T/81S/286S/316W/323T/383V、74T/85V/86A/163F/286S/316W/323T/394G、74T/85V/314R/316W/414V/416A、74T/86A/163F/316W、74T/86A/316W/323T/383V/394G、74T/88R/286S/316W/323T/383V、74T/88R/323T/383V、74T/163F/286S/316W/383V/394G/416A、74T/163F/314R/316W、74T/163F/314R/316W/323T/394G、74T/163F/314R/323T/383V/414V/416A、74T/286S、74T/286S/316W/323T、74T/286S/394G/416A、74T/314R/323T/383V/394G/414V、74T/316W/323T/394G、85V/86A/88R/163F/323T/383V/394G、85V/86A/163F/314R/323T/394G/414V、85V/286S、85V/286S/323T、86A/88R/163F/323T/383V/414V/422A、86A/383V/394G、86G、88R/163F/286S/383V、88R/286S/316W/323T、88R/286S/316W/323T/383V/414V/416A、88R/316W/323T、88S、88T、146H、146H/147R/395D/417S、146H/395D、146H/395D/417S、146H/417S、146H/417V、147R/395D/417S/432V、147R/417S、149S、157A、163F、163F/222V/286S/316W/323T/383V/394G、163F/286S、163F/286S/314R/316W/323T/414V/416A、163F/286S/314R/323T/394G、163F/286S/316W/323T/394G/416A、163F/286S/414V、163F/314R/316W/394G、163F/314R/323T/394G、163F/314R/383V、163F/314R/414V、163F/316W/323T、163F/323T、163F/383V、163L、163M、164A、164D、164Q、164S、199V/417S、259V、260T、284A、286S、286S/314R/323T/383V、286S/314R/394G、286S/316W/323T/383V/414V/416A、286S/316W/383V/394G、286S/316W/394G/414V/416A、286S/323T、286S/323T/383V/414V、286S/323T/416A、286S/383V、286S/416A、314R/316W、314R/316W/323T、314R/316W/323T/383V/422A、314R/316W/323T/394G、314R/316W/394G、314R/323T/383V/394G、314R/383V、314R/383V/414V/422A、315G、315R、316A、316F、316G、316H、316L、316N、316R、316V、316W/323T/383V/394G、316W/323T/394G/414V/416A、316W/414V/422A、323C、323S、323T、323T/383V、323T/383V/394G/414V/416A、323T/394G、383V、395D、395D/417S、395D/417S/432V、395D/417V、400D、401A、401K、401S、403V、404S、405H、405W、406S、408F、408L、408W、415G、415W、417A、417S、417S/432V、417V、417V/432V、420G、422L、および422Tを含み、ここで、位置は、配列番号4を基準に番号付けされる。一部の追加的な実施形態では、アミノ酸の差異は、置換G18A、T20C、D21H、D21P/P23S/L56C/R146H、D21P/P23S/L56C/R146H/A432V、D21P/P23S/R146H/L417V、D21P/P23S/G395D/L417S/A432V、D21P/N53C/L56C、D21P/N53C/L417S、D21P/L56C/G395D、D21P/L417S/A432V、D21R、P23A、P23R、P23S/N53C、P23S/N53C/L56C、P23S/N53C/L56C/R146H/G395D、P23S/N53C/G395D、P23S/N53C/L417S、P23S/N53C/A432V、P23S/L56C、P23S/L56C/G395D、P23S/L56C/G395D/L417V、P23S/G395D/L417S、P23S/L417S、P23S/L417V、P23S/L417V/A432V、N53C、N53C/L56C、N53C/R146H/L417S、N53C/G395D、L56A、L56A/A74T/A241V/N286S/I314R/E316W/A323T、L56A/S86A/K163F/I314R/E316W/A383V/C414V/P416A/V422A、L56A/S86A/N286S/I314R/C414V/P416A、L56A/S86A/I314R/E316W/A323T/D394G/C414V/V422A、L56A/K163F、L56A/K163F/N286S/E316W/A323T/A383V/D394G、L56A/N286S/I314R/E316W/A323T/V422A、L56A/N286S/A383V、L56A/A323T、L56A
/A323T/A383V、L56A/A323T/A383V/D394G、L56A/A383V、L56C、L56C/R146H/L417V、L56C/R146H/A432V、L56C/W147R、L56C/G395D、L56T、L56V、A74T/G81S/N286S/E316W/A323T/A383V、A74T/F85V/S86A/K163F/N286S/E316W/A323T/D394G、A74T/F85V/I314R/E316W/C414V/P416A、A74T/S86A/K163F/E316W、A74T/S86A/E316W/A323T/A383V/D394G、A74T/H88R/N286S/E316W/A323T/A383V、A74T/H88R/A323T/A383V、A74T/K163F/N286S/E316W/A383V/D394G/P416A、A74T/K163F/I314R/E316W、A74T/K163F/I314R/E316W/A323T/D394G、A74T/K163F/I314R/A323T/A383V/C414V/P416A、A74T/N286S、A74T/N286S/E316W/A323T、A74T/N286S/D394G/P416A、A74T/I314R/A323T/A383V/D394G/C414V、A74T/E316W/A323T/D394G、F85V/S86A/H88R/K163F/A323T/A383V/D394G、F85V/S86A/K163F/I314R/A323T/D394G/C414V、F85V/N286S、F85V/N286S/A323T、S86A/H88R/K163F/A323T/A383V/C414V/V422A、S86A/A383V/D394G、S86G、H88R/K163F/N286S/A383V、H88R/N286S/E316W/A323T、H88R/N286S/E316W/A323T/A383V/C414V/P416A、H88R/E316W/A323T、H88S、H88T、R146H、R146H/W147R/G395D/L417S、R146H/G395D、R146H/G395D/L417S、R146H/L417S、R146H/L417V、W147R/G395D/L417S/A432V、W147R/L417S、A149S、S157A、K163F、K163F/A222V/N286S/E316W/A323T/A383V/D394G、K163F/N286S、K163F/N286S/I314R/E316W/A323T/C414V/P416A、K163F/N286S/I314R/A323T/D394G、K163F/N286S/E316W/A323T/D394G/P416A、K163F/N286S/C414V、K163F/I314R/E316W/D394G、K163F/I314R/A323T/D394G、K163F/I314R/A383V、K163F/I314R/C414V、K163F/E316W/A323T、K163F/A323T、K163F/A383V、K163L、K163M、P164A、P164D、P164Q、P164S、A199V/L417S、I259V、C260T、S284A、N286S、N286S/I314R/A323T/A383V、N286S/I314R/D394G、N286S/E316W/A323T/A383V/C414V/P416A、N286S/E316W/A383V/D394G、N286S/E316W/D394G/C414V/P416A、N286S/A323T、N286S/A323T/A383V/C414V、N286S/A323T/P416A、N286S/A383V、N286S/P416A、I314R/E316W、I314R/E316W/A323T、I314R/E316W/A323T/A383V/V422A、I314R/E316W/A323T/D394G、I314R/E316W/D394G、I314R/A323T/A383V/D394G、I314R/A383V、I314R/A383V/C414V/V422A、E315G、E315R、E316A、E316F、E316G、E316H、E316L、E316N、E316R、E316V、E316W/A323T/A383V/D394G、E316W/A323T/D394G/C414V/P416A、E316W/C414V/V422A、A323C、A323S、A323T、A323T/A383V、A323T/A383V/D394G/C414V/P416A、A323T/D394G、A383V、G395D、G395D/L417S、G395D/L417S/A432V、G395D/L417V、S400D、E401A、E401K、E401S、I403V、A404S、N405H、N405W、T406S、T408F、T408L、T408W、R415G、R415W、L417A、L417S、L417S/A432V、L417V、L417V/A432V、S420G、V422L、およびV422Tを含み、ここで、位置は、配列番号4を基準に番号付けされる。
【0172】
一部の実施形態では、高度にストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることが可能なポリヌクレオチドは、74/81/286/316/323/383、163/286/314/316/323/414/416、163/286/314/323/394、286/314/323/383、286/316/323/383/414/416、315、および408から選択される、配列番号4と比較した1つまたは複数のアミノ酸残基の差異を有するアミノ酸配列を含む、操作されたトランスアミナーゼポリペプチドをコードし、ここで、位置は、配列番号4を基準に番号付けされる。一部の実施形態では、アミノ酸の差異は、置換74T/81S/286S/316W/323T/383V、163F/286S/314R/316W/323T/414V/416A、163F/286S/314R/323T/394G、286S/314R/323T/383V、286S/316W/323T/383V/414V/416A、315G、および408Fを含み、ここで、位置は、配列番号4を基準に番号付けされる。一部の追加的な実施形態では、アミノ酸の差異は、置換A74T/G81S/N286S/E316W/A323T/A383V、K163F/N286S/I314R/E316W/A323T/C414V/P416A、K163F/N286S/I314R/A323T/D394G、N286S/I314R/A323T/A383V、N286S/E316W/A323T/A383V/C414V/P416A、E315G、およびT408Fを含み、ここで、位置は、配列番号4を基準に番号付けされる。
【0173】
一部の実施形態では、高度にストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることが可能なポリヌクレオチドは、5、18/23/149/260/383/395/401/416、18/23/149/383、18/163/164、21、21/163/315/316、21/163/323/408、21/408、23/56/86/149/163/164/383/401/416、23/86、23/149/260、23/149/284/383/395、23/163/164/383、23/163/164/401/416、24、42、42/110、42/187/272、42/187/324/363/366、42/187/353、42/272/291、42/272/291/363、42/272/324/363/366、42/272/363/410、42/272/410、42/291/313/363/410、42/291/363、42/291/363/366、42/353、42/363、46、66、77、86/149/163/164/383/395/401、86/149/395、86/163/164/260/383、86/383、107、110、110/187、110/187/253/410、134、138、149/164/260/383/395/401、149/260/383、149/416、163/259/323/408、163/259/408、163/315/316、164/260/401、164/316/383/401、167、186、187、187/253/363/366、187/272/324/363/410、187/272/363、187/272/363/366/410、187/291、189、191、195、199、203、210、211、248、259/307、260/395/401、272、272/353、272/363/366、272/410、277、291、305、309、315、342、343、351、354、358、361、362、363、363/366、365、367、383、383/401、383/416/422、385、388、389、392、395、396、401、404、405、408、410、416、417、439、443、447、450、および451から選択される、配列番号8と比較した1つまたは複数のアミノ酸残基の差異を有するアミノ酸配列を含む、操作されたトランスアミナーゼポリペプチドをコードし、ここで、位置は、配列番号8を基準に番号付けされる。一部の実施形態では、アミノ酸の差異は、置換5E、5G、18A/23R/149S/260T/383V/395D/401S/416P、18A/23R/149S/383V、18A/163M/164Q、21H、21H/163L/315G/316F、21H/163L/323C/408F、21H/408F、23R/56C/86G/149S/163M/164D/383V/401S/416P、23R/86G、23R/149S/260T、23R/149S/284A/383V/395D、23R/163M/164Q/383V、23R/163M/164S/401S/416P、24K、24R、42F、42F/110K、42F/187E/272E、42F/187E/324S/363L/366H、42F/187E/353T、42F/272E/291Y、42F/272E/291Y/363L、42F/272E/324S/363L/366H、42F/272E/363L/410H、42F/272E/410H、42F/291Y/313V/363L/410H、42F/291Y/363L、42F/291Y/363L/366H、42F/353T、42F/363L、46S、66A、77M、86G/149S/163M/164S/383V/395D/401S、86G/149S/395D、86G/163M/164S/260T/383V、86G/383V、107L、107S、107Y、110K、110K/187E、110K/187E/253L/410H、134V、138R、149S/164S/260T/383V/395D/401A、149S/260T/383V、149S/416P、163L/259V/323C/408F、163L/259V/408F、163L/315G/316F、164D/316H/383V/401S、164S/260T/401S、167N、186Q、187E、187E/253L/363L/366H、187E/272E/324S/363L/410H、187E/272E/363L、187E/272E/363L/366H/410H、187E/291Y、189F、189S、189V、189W、191D、191F、195W、199Q、203L、210A、210L、210M、210V、210Y、211R、248G、259V/307M、260T/395D/401S、272E、272E/353T、272E/363L/366H、272E/410H、277S、291Y、305E、309A、309F、309R、315G、342T、343G、351L、354S、358L、361R、362Q、362V、363L、363L/366H、365L、365Q、365R、365S、367T、383V、383V/401A、383V/416P/422T、385L、385T、388D、388L、388P、389D、392A、392L、395R、396P、396Y、401Q、401S、404M、405W、408A、408E、408W、410H、416P、417S、439L、439S、443L、443S、447S、447T、450D、および451Sを含み、ここで、位置は、配列番号8を基準に番号付けされる。一部の追加的な実施形態では、アミノ酸の差異は、置換Q5E、Q5G、G18A/P23R/A149S/C260T/A383V/G395D/E401S/A416P、G18A/P23R/A149S/A383V、G18A/F163M/P164Q、D21H、D21H/F163L/E315G/W316F、D21H/F163L/T323C/T408F、D21H/T408F、P23R/L56C/S86G/A149S/F163M/P164D/A383V/E401S/A416P、P23R/S86G、P23R/A149S/C260T、P23R/A149S/S284A/A383V/G395D、P23R/F163M/P164Q/A383V、P23R/F163M/P164S/E401S/A416P、S24K、S24R、V42F、V42F/R110K、V42F/Y187E/V272E、V42F/Y187E/G324S/I363L/R366H、V42F/Y187E/A353T、V42F/V272E/F291Y、V42F/V272E/F291Y/I363L、V42F/V272E/G324S/I363L/R366H、V42F/V272E/I363L/L410H、V42F/V272E/L410H、V42F/F291Y/A313V/I363L/L410H、V42F/F291Y/I363L、V42F/F291Y/I363L/R366H、V42F/A353T、V42F/I363L、G46S、K66A、E77M、S86G/A149S/F163M/P164S/A383V/G395D/E401S、S86G/A149S/G395D、S86G/F163M/P164S/C260T/A383V、S86G/A383V、D107L、D107S、D107Y、R110K、R110K/Y187E、R110K/Y187E/V253L/L410H、A134V、P138R、A149S/P164S/C260T/A383V/G395D/E401A、A149S/C260T/A383V、A149S/A416P、F163L/I259V/T323C/T408F、F163L/I259V/T408F、F163L/E315G/W316F、P164D/W316H/A383V/E401S、P164S/C260T/E401S、S167N、R186Q、Y187E、Y187E/V253L/I363L/R366H、Y187E/V272E/G324S/I363L/L410H、Y187E/V272E/I363L、Y187E/V272E/I363L/R366H/L410H、Y187E/F291Y、E189F、E189S、E189V、E189W、G191D、G191F、E195W、A199Q、R203L、Q210A、Q210L、Q210M、Q210V、Q210Y、K211R、K248G、I259V/L307M、C260T/G395D/E401S、V272E、V272E/A353T、V272E/I363L/R366H、V272E/L410H、T277S、F291Y、K305E、T309A、T309F、T309R、E315G、N342T、E343G、R351L、P354S、E358L、K361R、H362Q、H362V、I363L、I363L/R366H、E365L、E365Q、E365R、E365S、P367T、A383V、A383V/E401A、A383V/A416P/V422T、K385L、K385T、A388D、A388L、A388P、S389D、P392A、P392L、G395R、N396P、N396Y、E401Q、E401S、A404M、N405W、T408A、T408E、T408W、L410H、A416P、L417S、D439L、D439S、K443L、K443S、K447S、K447T、A450D、およびE451Sを含み、ここで、位置は、配列番号8を基準に番号付けされる。
【0174】
一部の実施形態では、高度にストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることが可能なポリヌクレオチドは、18/23/149/383、21/163/323/408、272、291、および383から選択される、配列番号8と比較した1つまたは複数のアミノ酸残基の差異を有するアミノ酸配列を含む、操作されたトランスアミナーゼポリペプチドをコードし、ここで、位置は、配列番号8を基準に番号付けされる。一部の実施形態では、アミノ酸の差異は、置換18A/23R/149S/383V、21H/163L/323C/408F、272E、291Y、および383Vを含み、ここで、位置は、配列番号8を基準に番号付けされる。一部の追加的な実施形態では、アミノ酸の差異は、置換G18A/P23R/A149S/A383V、D21H/F163L/T323C/T408F、V272E、F291Y、およびA383Vを含み、ここで、位置は、配列番号8を基準に番号付けされる。
【0175】
一部の実施形態では、高度にストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることが可能なポリヌクレオチドは、24、24/42/66/291、24/42/291/362、24/66/163/191/362/383/388、24/66/191/199/260/291/351、24/66/191/199/291、24/66/191/260/408、24/66/260/291/383/388/408、24/66/291/342/383、24/66/291/365、24/66/342/365/388/408、24/77/291、24/107/163/191/291/351/383/388、24/107/291/351/365/388、24/163/351/383、24/191/291/365、24/199/260/351/362/383、24/199/260/362/383/388、24/260/362/383/388、24/291、24/291/342/351/383、24/291/362/388、24/291/408、24/383/388、24/388、25、28、33、42/191/408、42/199/291/383、42/291/351/362/365/383/388、42/291/351/362/383/408、42/291/383/388、66/82/291/383、66/163/191/365/383、66/199/351/383、66/291、66/291/362/365/383、66/291/383/388、66/383、77/291、77/383/388、86、107/191/199/365/383/388、107/191/291/383、148、153、163/291/362/365/383/388、163/291/383/388、163/383、191/199/365/383/388、191/260/388、191/291、191/291/342/362/365、191/351/383/388、199/260/383、199/291、260、260/291/365/383/408、260/365/383、291、291/351/383/388、291/351/383/388/408、291/362/365、291/365/388、291/383、314、315、316、319、342/362、351/383/388、362、362/388、383、383/388、396、397、405、406、413、419、および423から選択される、配列番号366と比較した1つまたは複数のアミノ酸残基の差異を有するアミノ酸配列を含む、操作されたトランスアミナーゼポリペプチドをコードし、ここで、位置は、配列番号366を基準に番号付けされる。一部の実施形態では、アミノ酸の差異は、置換24E、24K、24K/42F/66A/291Y、24K/42F/291Y/362Q、24K/66A/163M/191D/362Q/383V/388D、24K/66A/191D/199Q/260T/291Y/351L、24K/66A/191D/199Q/291Y、24K/66A/191D/260T/408A、24K/66A/260T/291Y/383V/388D/408A、24K/66A/291Y/342T/383V、24K/66A/291Y/365S、24K/66A/342T/365S/388D/408E、24K/77M/291Y、24K/107L/163M/191D/291Y/351L/383V/388D、24K/107L/291Y/351L/365S/388D、24K/163M/351L/383V、24K/191D/291Y/365S、24K/199Q/260T/351L/362Q/383V、24K/199Q/260T/362Q/383V/388D、24K/260T/362Q/383V/388D、24K/291Y、24K/291Y/342T/351L/383V、24K/291Y/362Q/388D、24K/291Y/408A、24K/383V/388D、24K/388D、25H、25V、28S、28T、33T、42F/191D/408E、42F/199Q/291Y/383V、42F/291Y/351L/362Q/365S/383V/388D、42F/291Y/351L/362Q/383V/408A、42F/291Y/383V/388D、66A/82H/291Y/383V、66A/163M/191D/365S/383V、66A/199Q/351L/383V、66A/291Y、66A/291Y/362Q/365S/383V、66A/291Y/383V/388D、66A/383V、77M/291Y、77M/383V/388D、86T、107L/191D/199Q/365S/383V/388D、107L/191D/291Y/383V、148G、153S、163M/291Y/362Q/365S/383V/388D、163M/291Y/383V/388D、163M/383V、191D/199Q/365S/383V/388D、191D/260T/388D、191D/291Y、191D/291Y/342T/362Q/365S、191D/351L/383V/388D、199Q/260T/383V、199Q/291Y、260T、260T/291Y/365S/383V/408A、260T/365S/383V、291Y、291Y/351L/383V/388D、291Y/351L/383V/388D/408A、291Y/362Q/365S、291Y/365S/388D、291Y/383V、314K、315S、316V、319S、342T/362Q、351L/383V/388D、362Q、362Q/388D、383V、383V/388D、396R、397M、405A、406H、413L、419S、および423Vを含み、ここで、位置は、配列番号366を基準に番号付けされる。一部の追加的な実施形態では、アミノ酸の差異は、置換S24E、S24K、S24K/V42F/K66A/F291Y、S24K/V42F/F291Y/H362Q、S24K/K66A/L163M/G191D/H362Q/A383V/A388D、S24K/K66A/G191D/A199Q/C260T/F291Y/R351L、S24K/K66A/G191D/A199Q/F291Y、S24K/K66A/G191D/C260T/F408A、S24K/K66A/C260T/F291Y/A383V/A388D/F408A、S24K/K66A/F291Y/N342T/A383V、S24K/K66A/F291Y/E365S、S24K/K66A/N342T/E365S/A388D/F408E、S24K/E77M/F291Y、S24K/D107L/L163M/G191D/F291Y/R351L/A383V/A388D、S24K/D107L/F291Y/R351L/E365S/A388D、S24K/L163M/R351L/A383V、S24K/G191D/F291Y/E365S、S24K/A199Q/C260T/R351L/H362Q/A383V、S24K/A199Q/C260T/H362Q/A383V/A388D、S24K/C260T/H362Q/A383V/A388D、S24K/F291Y、S24K/F291Y/N342T/R351L/A383V、S24K/F291Y/H362Q/A388D、S24K/F291Y/F408A、S24K/A383V/A388D、S24K/A388D、L25H、L25V、R28S、R28T、V33T、V42F/G191D/F408E、V42F/A199Q/F291Y/A383V、V42F/F291Y/R351L/H362Q/E365S/A383V/A388D、V42F/F291Y/R351L/H362Q/A383V/F408A、V42F/F291Y/A383V/A388D、K66A/Y82H/F291Y/A383V、K66A/L163M/G191D/E365S/A383V、K66A/A199Q/R351L/A383V、K66A/F291Y、K66A/F291Y/H362Q/E365S/A383V、K66A/F291Y/A383V/A388D、K66A/A383V、E77M/F291Y、E77M/A383V/A388D、S86T、D107L/G191D/A199Q/E365S/A383V/A388D、D107L/G191D/F291Y/A383V、N148G、A153S、L163M/F291Y/H362Q/E365S/A383V/A388D、L163M/F291Y/A383V/A388D、L163M/A383V、G191D/A199Q/E365S/A383V/A388D、G191D/C260T/A388D、G191D/F291Y、G191D/F291Y/N342T/H362Q/E365S、G191D/R351L/A383V/A388D、A199Q/C260T/A383V、A199Q/F291Y、C260T、C260T/F291Y/E365S/A383V/F408A、C260T/E365S/A383V、F291Y、F291Y/R351L/A383V/A388D、F291Y/R351L/A383V/A388D/F408A、F291Y/H362Q/E365S、F291Y/E365S/A388D、F291Y/A383V、R314K、E315S、W316V、H319S、N342T/H362Q、R351L/A383V/A388D、H362Q、H362Q/A388D、A383V、A383V/A388D、N396R、L397M、N405A、T406H、I413L、Q419S、およびL423Vを含み、ここで、位置は、配列番号366を基準に番号付けされる。
【0176】
一部の実施形態では、高度にストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることが可能なポリヌクレオチドは、24/66/191/199/291、24/66/291/365、163/291/362/365/383/388、163/291/383/388、191/291/342/362/365、291、および291/383から選択される、配列番号366と比較した1つまたは複数のアミノ酸残基の差異を有するアミノ酸配列を含む、操作されたトランスアミナーゼポリペプチドをコードし、ここで、位置は、配列番号366を基準に番号付けされる。一部の実施形態では、アミノ酸の差異は、置換24K/66A/191D/199Q/291Y、24K/66A/291Y/365S、163M/291Y/362Q/365S/383V/388D、163M/291Y/383V/388D、191D/291Y/342T/362Q/365S、291Y、および291Y/383Vを含み、ここで、位置は、配列番号366を基準に番号付けされる。一部の追加的な実施形態では、アミノ酸の差異は、置換S24K/K66A/G191D/A199Q/F291Y、S24K/K66A/F291Y/E365S、L163M/F291Y/H362Q/E365S/A383V/A388D、L163M/F291Y/A383V/A388D、G191D/F291Y/N342T/H362Q/E365S、F291Y、およびF291Y/A383Vを含み、ここで、位置は、配列番号366を基準に番号付けされる。
【0177】
一部の実施形態では、高度にストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることが可能なポリヌクレオチドは、10、13、13/24/108/163、13/24/108/163/311、13/24/133/199/311、13/24/163、13/24/199/311、13/108、13/108/199、13/108/311、13/199、13/311、14、14/24/108、14/24/108/133、14/24/108/199、14/24/199、14/108、14/108/133/311、14/108/311、14/311、24、24/163、24/163/199、35、72、73、78、95、101、108、108/199、114、154、163、169、175/316、199、199/311、226、293、311、316、382、383、および386から選択される、配列番号650と比較した1つまたは複数のアミノ酸残基の差異を有するアミノ酸配列を含む、操作されたトランスアミナーゼポリペプチドをコードし、ここで、位置は、配列番号650を基準に番号付けされる。一部の実施形態では、アミノ酸の差異は、置換10E、13A、13A/24E/108R/163L/311S、13A/24E/133R/199Q/311S、13A/24E/163L、13A/24K/108R/163L、13A/24K/199Q/311S、13A/108R、13A/108R/199Q、13A/108R/311S、13A/199Q、13A/311S、14A、14G、14H、14H/24E/108R/133R、14H/24K/108R、14H/24K/108R/199Q、14H/24K/199Q、14H/108R、14H/108R/133R/311S、14H/108R/311S、14H/311S、24E、24E/163L、24E/163L/199Q、35E、72G、73R、73S、78A、95I、101L、108R、108R/199Q、114A、154S、163H、163S、163V、169C、169V、175D/316F、199Q、199Q/311S、226Q、293A、311K、316D、316E、316F、316G、316H、316I、316L、316N、316S、316V、316Y、382D、383L、および386Aを含み、ここで、位置は、配列番号650を基準に番号付けされる。一部の追加的な実施形態では、アミノ酸の差異は、置換R10E、T13A、T13A/S24E/S108R/M163L/I311S、T13A/S24E/A133R/A199Q/I311S、T13A/S24E/M163L、T13A/S24K/S108R/M163L、T13A/S24K/A199Q/I311S、T13A/S108R、T13A/S108R/A199Q、T13A/S108R/I311S、T13A/A199Q、T13A/I311S、Y14A、Y14G、Y14H、Y14H/S24E/S108R/A133R、Y14H/S24K/S108R、Y14H/S24K/S108R/A199Q、Y14H/S24K/A199Q、Y14H/S108R、Y14H/S108R/A133R/I311S、Y14H/S108R/I311S、Y14H/I311S、S24E、S24E/M163L、S24E/M163L/A199Q、H35E、A72G、K73R、K73S、R78A、M95I、V101L、S108R、S108R/A199Q、T114A、T154S、M163H、M163S、M163V、F169C、F169V、G175D/W316F、A199Q、A199Q/I311S、M226Q、P293A、I311K、W316D、W316E、W316F、W316G、W316H、W316I、W316L、W316N、W316S、W316V、W316Y、E382D、V383L、およびD386Aを含み、ここで、位置は、配列番号650を基準に番号付けされる。
【0178】
一部の実施形態では、高度にストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることが可能なポリヌクレオチドは、14/108/133/311、24/163/199、72、78、316、および383から選択される、配列番号650と比較した1つまたは複数のアミノ酸残基の差異を有するアミノ酸配列を含む、操作されたトランスアミナーゼポリペプチドをコードし、ここで、位置は、配列番号650を基準に番号付けされる。一部の実施形態では、アミノ酸の差異は、置換14H/108R/133R/311S、24E/163L/199Q、72G、78A、316L、316N、316S、および383Lを含み、ここで、位置は、配列番号650を基準に番号付けされる。一部の追加的な実施形態では、アミノ酸の差異は、置換Y14H/S108R/A133R/I311S、S24E/M163L/A199Q、A72G、R78A、W316L、W316N、W316S、およびV383Lを含み、ここで、位置は、配列番号650を基準に番号付けされる。
【0179】
一部の実施形態では、本開示のバリアントトランスアミナーゼは、コードされる酵素の活性を変更しない追加的な配列をさらに含む。例えば、一部の実施形態では、バリアントトランスアミナーゼは、エピトープタグまたは精製に有用な別の配列と連結している。
【0180】
一部の実施形態では、本開示のバリアントトランスアミナーゼポリペプチドは、それらが発現される宿主細胞(例えば、酵母または糸状菌宿主細胞)から分泌され、シグナルペプチド(すなわち、ポリペプチドのアミノ末端に連結しており、コードされるポリペプチドを細胞による分泌経路内に方向づけるアミノ酸配列)を含むタンパク質前駆体として発現される。
【0181】
操作されたポリペプチドの配列が分かっている場合、酵素をコードするポリヌクレオチドを、公知の合成方法に従って、標準の固相方法によって調製することができる。一部の実施形態では、最大約100塩基の断片を個別に合成し、次いで、接合して(例えば、酵素的もしくは化学的ライゲーション法、またはポリメラーゼにより媒介される方法によって)、任意の所望の連続した配列を形成することができる。例えば、本開示のポリヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチドを化学合成によって(例えば、Beaucage et al., Tet. Lett., 22: 1859-69 [1981]によって記載されている古典的なホスホラミダイト法、またはMatthes et al., EMBO J., 3: 801-05 [1984]によって記載されている方法を使用して、一般には自動化された合成方法で実施される通り)調製することができる。ホスホラミダイト法によると、オリゴヌクレオチドを合成し(例えば、自動DNA合成機で)、精製し、アニーリングし、ライゲーションし、適当なベクターにクローニングする。さらに、基本的にあらゆる核酸を種々の商業的な供給源(例えば、The Midland Certified Reagent Company、Midland、TX、The Great American Gene Company、Ramona、CA、ExpressGen Inc. Chicago、IL、Operon Technologies Inc.、Alameda、CA、および多くの他の供給源)のいずれかから得ることができる。
【0182】
本開示は、本明細書に提示される少なくとも1つのバリアントトランスアミナーゼをコードする配列を含む組換え構築物も提供する。一部の実施形態では、本開示は、異種プロモーターに作動可能に(operably)連結したバリアントトランスアミナーゼポリヌクレオチドを含む発現ベクターを提供する。一部の実施形態では、本開示の発現ベクターを使用して、適当な宿主細胞を、宿主細胞がバリアントトランスアミナーゼタンパク質を発現することが可能になるように形質転換する。真菌および他の生物体においてタンパク質を組換え発現させるための方法は当技術分野で周知であり、いくつかの発現ベクターが入手可能である、または常套的な方法を使用して構築することができる。一部の実施形態では、本開示の核酸構築物は、本開示の核酸配列が挿入されたベクター、例えば、プラスミド、コスミド、ファージ、ウイルス、細菌人工染色体(BAC)、酵母人工染色体(YAC)などを含む。一部の実施形態では、本開示のポリヌクレオチドを、バリアントトランスアミナーゼポリペプチドの発現に適した種々の発現ベクターのいずれか1つに組み入れる。適切なベクターとしては、これだけに限定されないが、染色体、非染色体および合成DNA配列(例えば、SV40の誘導体)、ならびに細菌プラスミド、ファージDNA、バキュロウイルス、酵母プラスミド、プラスミドとファージDNAの組合せに由来するベクター、ウイルスDNA、例えば、ワクシニア、アデノウイルス、鶏痘ウイルス、仮性狂犬病、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、レトロウイルス、および多くの他のベクターが挙げられる。遺伝子材料を細胞に形質導入し、かつ、複製が望まれる場合には関連性のある宿主において複製可能かつ生存可能である、任意の適切なベクターを本開示に使用する。
【0183】
一部の実施形態では、構築物は、これだけに限定されないが、タンパク質をコードする配列に作動可能に(operably)連結した、プロモーターを含めた調節配列をさらに含む。多数の適切なベクターおよびプロモーターが当業者に公知である。実際に、一部の実施形態では、特定の宿主において高レベルの発現を得るために、多くの場合、本開示のバリアントトランスアミナーゼを異種プロモーターの制御下で発現させることが有用である。一部の実施形態では、プロモーター配列をバリアントトランスアミナーゼコード配列の5’領域に当技術分野で公知の任意の適切な方法を使用して作動可能に(operably)連結する。バリアントトランスアミナーゼの発現のために有用なプロモーターの例としては、これだけに限定されないが、真菌由来のプロモーターが挙げられる。一部の実施形態では、真菌株におけるトランスアミナーゼ遺伝子以外の遺伝子の発現を駆動するプロモーター配列が利用される。非限定的な例として、エンドグルカナーゼをコードする遺伝子由来の真菌プロモーターを使用することができる。一部の実施形態では、トランスアミナーゼが由来する真菌株以外の真菌株におけるトランスアミナーゼ遺伝子の発現を駆動するプロモーター配列が利用される。糸状菌宿主細胞における本開示のヌクレオチド構築物の転写を方向づけるために有用な他の適切なプロモーターの例としては、これだけに限定されないが、Aspergillus oryzae TAKAアミラーゼ、Rhizomucor mieheiアスパラギン酸プロテイナーゼ、Aspergillus niger中性アルファ-アミラーゼ、Aspergillus niger酸安定アルファ-アミラーゼ、Aspergillus nigerまたはAspergillus awamoriグルコアミラーゼ(glaA)、Rhizomucor mieheiリパーゼ、Aspergillus oryzaeアルカリ性プロテアーゼ、Aspergillus oryzaeトリオースリン酸イソメラーゼ、Aspergillus nidulansアセトアミダーゼ、およびFusarium oxysporumトリプシン様プロテアーゼの遺伝子から得られるプロモーター(例えば、参照により本明細書に組み込まれるWO96/00787を参照されたい)、ならびに、NA2-tpiプロモーター(Aspergillus niger中性アルファ-アミラーゼの遺伝子由来のプロモーターとAspergillus oryzaeトリオースリン酸イソメラーゼの遺伝子由来のプロモーターのハイブリッド)、cbh1、cbh2、egl1、egl2、pepA、hfb1、hfb2、xyn1、amy、およびglaAなどのプロモーター(例えば、全てが参照により本明細書に組み込まれるNunberg et al., Mol. Cell Biol., 4: 2306-2315 [1984];Boel et al., EMBO J., 3: 1581-85 [1984];および欧州特許出願第137280号を参照されたい)、ならびにこれらの突然変異体、短縮型、およびハイブリッドプロモーターが挙げられる。
【0184】
酵母宿主細胞において有用なプロモーターとしては、これだけに限定されないが、Saccharomyces cerevisiaeエノラーゼ(eno-1)、Saccharomyces cerevisiaeガラクトキナーゼ(gal1)、Saccharomyces cerevisiaeアルコールデヒドロゲナーゼ/グリセルアルデヒド-3-リン酸脱水素酵素(ADH2/GAP)、およびS.cerevisiae3-ホスホグリセリン酸キナーゼの遺伝子に由来するプロモーターが挙げられる。酵母宿主細胞に有用な追加的な有用なプロモーターは、当技術分野で公知である(例えば、参照により本明細書に組み込まれるRomanos et al., Yeast 8: 423-488 [1992]を参照されたい)。さらに、真菌におけるキチナーゼ産生に関連するプロモーターが本開示において使用される(例えば、どちらも参照により本明細書に組み込まれる、Blaiseau and Lafay, Gene 120243-248 [1992];およびLimon et al., Curr. Genet., 28: 478-83 [1995]を参照されたい)。
【0185】
細菌宿主細胞に関しては、本開示の核酸構築物の転写を方向づけるための適切なプロモーターとして、これだけに限定されないが、E.coli lacオペロン、E.coli trpオペロン、バクテリオファージラムダ、Streptomyces coelicolorアガラーゼ遺伝子(dagA)、Bacillus subtilisレバンスクラーゼ遺伝子(sacB)、Bacillus licheniformisアルファ-アミラーゼ遺伝子(amyL)、Bacillus stearothermophilusマルトース生成アミラーゼ遺伝子(amyM)、Bacillus amyloliquefaciensアルファ-アミラーゼ遺伝子(amyQ)、Bacillus licheniformisペニシリナーゼ遺伝子(penP)、Bacillus subtilis xylAおよびxylB遺伝子、および原核生物ベータ-ラクタマーゼ遺伝子から得られるプロモーター(例えば、Villa-Kamaroff et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 75: 3727-3731 [1978]を参照されたい)、ならびにtacプロモーター(例えば、DeBoer et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 80: 21-25 [1983]を参照されたい)が挙げられる。
【0186】
一部の実施形態では、クローニングされた本開示のバリアントトランスアミナーゼは、適切な、宿主細胞によって認識されて転写を終結させる配列である、転写ターミネーター配列も有する。ターミネーター配列は、ポリペプチドをコードする核酸配列の3’末端に作動可能に(operably)連結される。選択された宿主細胞において機能的な任意のターミネーターが本開示において使用される。糸状菌宿主細胞のための例示的な転写ターミネーターとしては、これだけに限定されないが、Aspergillus oryzae TAKAアミラーゼ、Aspergillus nigerグルコアミラーゼ、Aspergillus nidulansアントラニル酸シンターゼ、Aspergillus nigerアルファ-グルコシダーゼ、およびFusarium oxysporumトリプシン様プロテアーゼの遺伝子から得られるものが挙げられる(例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,399,627号を参照されたい)。一部の実施形態では、酵母宿主細胞のための例示的なターミネーターとして、Saccharomyces cerevisiaeエノラーゼ、Saccharomyces cerevisiaeシトクロムC(CYC1)、およびSaccharomyces cerevisiaeグリセルアルデヒド-3-リン酸脱水素酵素の遺伝子から得られるものが挙げられる。酵母宿主細胞のための他の有用なターミネーターは当業者に周知である(例えば、Romanos et al., Yeast 8: 423-88 [1992]を参照されたい)。
【0187】
一部の実施形態では、クローニングされたバリアントトランスアミナーゼ配列の一部は適切なリーダー配列であり、これは、宿主細胞による翻訳に重要な、mRNAの非翻訳領域である。リーダー配列は、ポリペプチドをコードする核酸配列の5’末端に作動可能に(operably)連結される。選択された宿主細胞において機能的な任意のリーダー配列が本開示において使用される。糸状菌宿主細胞のための例示的なリーダーとしては、これだけに限定されないが、Aspergillus oryzae TAKAアミラーゼおよびAspergillus nidulansトリオースリン酸イソメラーゼの遺伝子から得られるものが挙げられる。酵母宿主細胞のための適切なリーダーとしては、これだけに限定されないが、Saccharomyces cerevisiaeエノラーゼ(ENO-1)、Saccharomyces cerevisiae 3-ホスホグリセリン酸キナーゼ、Saccharomyces cerevisiaeアルファ因子、およびSaccharomyces cerevisiaeアルコールデヒドロゲナーゼ/グリセルアルデヒド-3-リン酸脱水素酵素(ADH2/GAP)の遺伝子から得られるものが挙げられる。
【0188】
一部の実施形態では、本開示の配列は、ポリアデニル化配列も含み、これは、核酸配列の3’末端に作動可能に(operably)連結され、転写されると、宿主細胞によってシグナルとして認識されて、転写されたmRNAにポリアデノシン残基を付加する配列である。選択された宿主細胞において機能的な任意のポリアデニル化配列が本開示において使用される。糸状菌宿主細胞のための例示的なポリアデニル化配列としては、これだけに限定されないが、Aspergillus oryzae TAKAアミラーゼ、Aspergillus nigerグルコアミラーゼ、Aspergillus nidulansアントラニル酸シンターゼ、Fusarium oxysporumトリプシン様プロテアーゼ、およびAspergillus nigerアルファ-グルコシダーゼの遺伝子から得られるものが挙げられる。酵母宿主細胞に有用なポリアデニル化配列は当技術分野で公知である(例えば、Guo and Sherman, Mol. Cell. Biol., 15: 5983-5990 [1995]を参照されたい)。
【0189】
一部の実施形態では、制御配列は、ポリペプチドのアミノ末端に連結しており、コードされるポリペプチドを細胞の分泌経路内に方向づけるアミノ酸配列をコードするシグナルペプチドコード領域を含む。核酸配列のコード配列の5’末端は、翻訳読み枠内で、分泌されるポリペプチドをコードするコード領域のセグメントと天然に連結しているシグナルペプチドコード領域を本質的に含有し得る。あるいは、コード配列の5’末端は、コード配列に対して外来であるシグナルペプチドコード領域を含有し得る。外来シグナルペプチドコード領域は、コード配列が天然にはシグナルペプチドコード領域を含有しない場合に必要になり得る。
【0190】
あるいは、ポリペプチドの分泌を増強するために、外来シグナルペプチドコード領域で単に天然のシグナルペプチドコード領域を置き換えることができる。しかし、発現されたポリペプチドを選択された宿主細胞の分泌経路内に方向づける任意のシグナルペプチドコード領域を本開示において使用することができる。
【0191】
一部の実施形態では、シグナルペプチドは内在性V.fluvialisトランスアミナーゼシグナルペプチドである。一部の追加的な実施形態では、他のV.fluvialis分泌型タンパク質由来のシグナルペプチドを使用する。一部の実施形態では、宿主細胞および他の因子に応じて他のシグナルペプチドを使用する。
【0192】
細菌宿主細胞のための効果的なシグナルペプチドコード領域としては、これだけに限定されないが、Bacillus NClB 11837マルトース生成アミラーゼ、Bacillus stearothermophilusアルファ-アミラーゼ、Bacillus licheniformisスブチリシン、Bacillus licheniformisベータ-ラクタマーゼ、Bacillus stearothermophilus中性プロテアーゼ(nprT、nprS、nprM)、およびBacillus subtilis prsAの遺伝子から得られるシグナルペプチドコード領域が挙げられる。さらなるシグナルペプチドは当技術分野で公知である(例えば、Simonen and Palva, Microbiol. Rev., 57: 109-137 [1993]を参照されたい)。
【0193】
糸状菌宿主細胞のための効果的なシグナルペプチドコード領域としては、これだけに限定されないが、Aspergillus oryzae TAKAアミラーゼ、Aspergillus niger中性アミラーゼ、Aspergillus nigerグルコアミラーゼ、Rhizomucor mieheiアスパラギン酸プロテイナーゼ、Humicola insolensセルラーゼ、およびHumicola lanuginosaリパーゼの遺伝子から得られるシグナルペプチドコード領域が挙げられる。
【0194】
酵母宿主細胞のための有用なシグナルペプチドとしては、これだけに限定されないが、Saccharomyces cerevisiaeアルファ因子およびSaccharomyces cerevisiaeインベルターゼの遺伝子が挙げられる。他の有用なシグナルペプチドコード領域は当技術分野で公知である(例えば、Romanos et al., [1992]、上記を参照されたい)。
【0195】
一部の実施形態では、制御配列は、ポリペプチドのアミノ末端に位置付けられるアミノ酸配列をコードするプロペプチドコード領域を含む。得られるポリペプチドは、プロ酵素またはプロポリペプチド(または一部の場合ではチモーゲン)として公知である。プロポリペプチドは、一般に不活性であり、プロポリペプチドからプロペプチドへの触媒または自己触媒による切断により、成熟活性トランスアミナーゼポリペプチドに変換され得る。プロペプチドコード領域は、Bacillus subtilisアルカリ性プロテアーゼ(aprE)、Bacillus subtilis中性プロテアーゼ(nprT)、Saccharomyces cerevisiaeアルファ因子、Rhizomucor mieheiアスパラギン酸プロテイナーゼ、およびMyceliophthora thermophilaラクターゼの遺伝子から得ることができる(例えば、WO95/33836を参照されたい)。
【0196】
シグナルペプチド領域およびプロペプチド領域の両方がポリペプチドのアミノ末端に存在する場合、プロペプチド領域はポリペプチドのアミノ末端の隣に位置付けられ、シグナルペプチド領域はプロペプチド領域のアミノ末端の隣に位置付けられる。
【0197】
一部の実施形態では、宿主細胞の成長に対するポリペプチドの発現の調節を可能にするために、調節配列も使用する。調節系の例は、調節化合物の存在を含めた化学的または物理的刺激に応答して遺伝子の発現がオンまたはオフになるようにするものである。原核生物宿主細胞における適切な調節配列としては、これだけに限定されないが、lac、tac、およびtrpオペレーター系が挙げられる。酵母宿主細胞における適切な調節系としては、例として、ADH2系またはGAL1系が挙げられる。糸状菌における適切な調節配列としては、TAKAアルファ-アミラーゼプロモーター、Aspergillus nigerグルコアミラーゼプロモーター、およびAspergillus oryzaeグルコアミラーゼプロモーターが挙げられる。
【0198】
調節配列の他の例は、遺伝子増幅を可能にするものである。真核生物系では、これらとして、メトトレキサートの存在下で増幅するジヒドロ葉酸レダクターゼ遺伝子、および重金属で増幅するメタロチオネイン遺伝子が挙げられる。これらの場合では、本開示のトランスアミナーゼポリペプチドをコードする核酸配列を調節配列と作動可能に(operably)連結する。
【0199】
したがって、追加的な実施形態では、本開示は、操作されたトランスアミナーゼポリペプチドまたはそのバリアントをコードするポリヌクレオチド、ならびに、それらが導入される宿主の型に応じて、プロモーターおよびターミネーターなどの1つまたは複数の発現調節領域、複製開始点(replication origin)などを含む、組換え発現ベクターを提供する。一部の実施形態では、上記の種々の核酸および制御配列を接合して、1つまたは複数の都合のよい制限部位におけるポリペプチドをコードする核酸配列の挿入または置換を可能にするためにそのような部位を含み得る組換え発現ベクターを作製する。あるいは、一部の実施形態では、核酸配列または配列を含む核酸構築物を発現のための適当なベクターに挿入することにより、核酸配列を発現させる。発現ベクターの創出に関して、コード配列は、ベクター内に、コード配列が発現のための適当な制御配列に作動可能に(operably)連結するように位置する。
【0200】
組換え発現ベクターは、組換えDNA手順に都合よく供することができ、ポリヌクレオチド配列の発現をもたらすことができる任意の適切なベクター(例えば、プラスミドまたはウイルス)を含む。ベクターの選択は、一般には、ベクターが導入される宿主細胞に対するベクターの適合性に依存する。一部の実施形態では、ベクターは、直鎖状または閉環状プラスミドである。
【0201】
一部の実施形態では、発現ベクターは、自律複製性ベクター(すなわち、染色体外実体として存在し、その複製が染色体複製とは独立しているベクター、例えば、プラスミド、染色体外エレメント、ミニ染色体、または人工染色体など)である。一部の実施形態では、ベクターは、自己複製を保証するための任意の手段を含有する。あるいは、一部の他の実施形態では、ベクターは、宿主細胞に導入されると、ゲノム内に組み込まれ、それが組み込まれた染色体と一緒に複製される。さらに、追加的な実施形態では、単一のベクターもしくはプラスミド、または宿主細胞内にゲノムに導入される総DNAを合わせて含有する2種もしくはそれよりも多くのベクターもしくはプラスミド、またはトランスポゾンを使用する。
【0202】
一部の実施形態では、本開示の発現ベクターは、形質転換された細胞の容易な選択を可能にする1種または複数種の選択マーカーを含有する。「選択マーカー」は、遺伝子であり、その産物により、殺生物またはウイルス耐性、抗菌薬または重金属に対する耐性、栄養要求株に対する原栄養性などがもたらされる。糸状菌宿主細胞において使用するための任意の適切な選択マーカーが本開示において使用され、それらとしては、これだけに限定されないが、amdS(アセトアミダーゼ)、argB(オルニチンカルバモイルトランスフェラーゼ)、バール(ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼ)、hph(ハイグロマイシンホスホトランスフェラーゼ)、niaD(硝酸還元酵素)、pyrG(オロチジン-5’-リン酸デカルボキシラーゼ)、sC(硫酸アデニルトランスフェラーゼ)、およびtrpC(アントラニル酸シンターゼ)、ならびにこれらの等価物が挙げられる。Aspergillusなどの宿主細胞において有用な追加的なマーカーとしては、これだけに限定されないが、Aspergillus nidulansまたはAspergillus oryzaeのamdS遺伝子およびpyrG遺伝子、ならびにStreptomyces hygroscopicusのbar遺伝子が挙げられる。酵母宿主細胞のための適切なマーカーとしては、これだけに限定されないが、ADE2、HIS3、LEU2、LYS2、MET3、TRP1、およびURA3が挙げられる。細菌選択マーカーの例としては、これだけに限定されないが、Bacillus subtilisもしくはBacillus licheniformis由来のdal遺伝子、または、アンピシリン、カナマイシン、クロラムフェニコール、およびまたはテトラサイクリン耐性などの抗生物質耐性を付与するマーカーが挙げられる。
【0203】
一部の実施形態では、本開示の発現ベクターは、ベクターの宿主細胞のゲノム内への組込み、またはベクターの細胞におけるゲノムとは独立した自律複製を可能にするエレメントを含有する。宿主細胞のゲノム内への組込みを伴う一部の実施形態では、ベクターは、ゲノム内へのベクターの相同または非相同組換えによる組込みに関してポリペプチドをコードする核酸配列または任意の他のベクターのエレメントに依拠する。
【0204】
一部の代替的な実施形態では、発現ベクターは、宿主細胞のゲノム内への相同組換えによる組込みを方向づけるための追加的な核酸配列を含有する。追加的な核酸配列により、ベクターが、宿主細胞のゲノム内に、染色体内の正確な位置に組み込まれることが可能になる。正確な位置に組み込まれる可能性を増大させるために、相同組換えの確率を増強するために十分な数の、対応する標的配列と高度に相同なヌクレオチド、例えば、100~10,000塩基対、好ましくは400~10,000塩基対、最も好ましくは800~10,000塩基対が組込みエレメントに含有されることが好ましい。組込みエレメントは、宿主細胞のゲノム内の標的配列と相同な任意の配列であり得る。さらに、組込みエレメントは、非コードまたはコード核酸配列であり得る。他方では、ベクターを宿主細胞のゲノム内に非相同組換えによって組み込むことができる。
【0205】
自律複製のために、ベクターは、ベクターが問題の宿主細胞において自律的に複製することを可能にする複製開始点をさらに含み得る。細菌複製開始点の例は、P15A oriまたはプラスミドpBR322、pUC19、pACYCl77の複製開始点(これらのプラスミドはP15A oriを有する)、またはE.coliにおける複製を可能にするpACYC184、およびBacillusにおける複製を可能にするpUB110、pE194、pTA1060、もしくはpAMβ1である。酵母宿主細胞において使用するための複製開始点の例は、2ミクロン複製開始点、ARS1、ARS4、ARS1とCEN3の組合せ、およびARS4とCEN6の組合せである。複製開始点は、宿主細胞におけるその機能を温度感受性にする突然変異を有するものであり得る(例えば、Ehrlich, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 75: 1433 [1978]を参照されたい)。
【0206】
一部の実施形態では、遺伝子産物の産生を増加させるために、本開示の核酸配列の1つよりも多くのコピーを宿主細胞に挿入する。核酸配列のコピー数の増加は、配列の少なくとも1つの追加的なコピーを宿主細胞のゲノム内に組み込むことによって得ることもでき、増幅可能な選択マーカー遺伝子を核酸配列と共に含めることによって得ることもでき、その場合、選択マーカー遺伝子の増幅されたコピー、およびしたがって核酸配列の追加的なコピーを含有する細胞を、適当な選択可能な作用剤の存在下で細胞を培養する(cultivate)ことによって選択することができる。
【0207】
本開示において使用するための発現ベクターの多くが市販されている。適切な市販の発現ベクターとしては、これだけに限定されないが、p3xFLAGTM(商標)発現ベクター(Sigma-Aldrich Chemicals)が挙げられ、これは、哺乳動物宿主細胞における発現のためのCMVプロモーターおよびhGHポリアデニル化部位、ならびにE.coliにおける増幅のためのpBR322複製開始点およびアンピシリン耐性マーカーを含む。他の適切な発現ベクターとしては、これだけに限定されないが、pBluescriptII SK(-)およびpBK-CMV(Stratagene)、およびpBR322(Gibco BRL)、pUC(Gibco BRL)、pREP4、pCEP4(Invitrogen)またはpPolyに由来するプラスミドが挙げられる(例えば、Lathe et al., Gene 57: 193-201 [1987]を参照されたい)。
【0208】
したがって、一部の実施形態では、ベクターの伝播およびバリアントトランスアミナーゼの発現を可能にするために、少なくとも1つのバリアントトランスアミナーゼをコードする配列を含むベクターを宿主細胞に導入してそれを形質転換する。一部の実施形態では、バリアントトランスアミナーゼが翻訳後修飾されてシグナルペプチドが除去され、一部の場合では、分泌後に切断することができる。一部の実施形態では、上記の形質転換された宿主細胞を、バリアントトランスアミナーゼの発現を可能にする適切な栄養培地条件下で培養する。これだけに限定されないが、適当な補充物質を含有する最小または複合培地を含めた、宿主細胞を培養するために有用な任意の適切な培地が本開示において使用される。一部の実施形態では、宿主細胞をHTP培地中で成長させる。適切な培地は、種々の商業的な供給者から入手可能である、または公開された配合表(例えば、American Type Culture Collectionのカタログにおいて)に従って調製することができる。
【0209】
別の態様では、本開示は、本明細書に提示される改善されたトランスアミナーゼポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む宿主細胞を提供し、ポリヌクレオチドは、トランスアミナーゼ酵素を宿主細胞において発現させるための1つまたは複数の制御配列に作動可能に(operatively)連結している。本開示の発現ベクターによってコードされるトランスアミナーゼポリペプチドの発現に使用するための宿主細胞が当技術分野で周知であり、それらとして、これだけに限定されないが、細菌細胞、例えば、E.coli細胞、Bacillus megaterium細胞、Lactobacillus kefir細胞、Streptomyces細胞およびSalmonella typhimurium細胞など;真菌細胞、例えば、酵母細胞(例えば、Saccharomyces cerevisiae細胞またはPichia pastoris細胞(ATCC受託番号201178))など;昆虫細胞、例えば、Drosophila S2細胞およびSpodoptera Sf9細胞など;動物細胞、例えば、CHO細胞、COS細胞、BHK細胞、293細胞、およびBowes黒色腫細胞など;ならびに植物細胞が挙げられる。上記の宿主細胞に対する適当な培養培地および成長条件は当技術分野で周知である。
【0210】
トランスアミナーゼを発現させるためのポリヌクレオチドは、当技術分野で公知の様々な方法によって細胞に導入することができる。技法としては、とりわけ、電気穿孔、微粒子銃粒子衝撃、リポソーム媒介性トランスフェクション、塩化カルシウムトランスフェクション、およびプロトプラスト融合が挙げられる。ポリヌクレオチドを細胞に導入するための様々な方法が当業者に公知である。
【0211】
一部の実施形態では、宿主細胞は真核細胞である。適切な真核生物宿主細胞としては、これだけに限定されないが、真菌細胞、藻類細胞、昆虫細胞、および植物細胞が挙げられる。適切な真菌宿主細胞としては、これだけに限定されないが、Ascomycota、Basidiomycota、Deuteromycota、Zygomycota、Fungi imperfectiが挙げられる。一部の実施形態では、真菌宿主細胞は、酵母細胞および糸状菌細胞である。本開示の糸状菌宿主細胞は、EumycotinaおよびOomycota亜門の全ての糸状形態を含む。糸状菌は、キチン、セルロースおよび他の複合多糖で構成される細胞壁を有する栄養菌糸によって特徴付けられる。本開示の糸状菌宿主細胞は、酵母とは形態学的に別個である。
【0212】
本開示の一部の実施形態では、糸状菌宿主細胞は、これだけに限定されないが、Achlya、Acremonium、Aspergillus、Aureobasidium、Bjerkandera、Ceriporiopsis、Cephalosporium、Chrysosporium、Cochliobolus、Corynascus、Cryphonectria、Cryptococcus、Coprinus、Coriolus、Diplodia、Endothis、Fusarium、Gibberella、Gliocladium、Humicola、Hypocrea、Myceliophthora、Mucor、Neurospora、Penicillium、Podospora、Phlebia、Piromyces、Pyricularia、Rhizomucor、Rhizopus、Schizophyllum、Scytalidium、Sporotrichum、Talaromyces、Thermoascus、Thielavia、Trametes、Tolypocladium、Trichoderma、Verticillium、および/もしくはVolvariellaを含めた任意の適切な属および種のもの、ならびに/またはこれらのテレオモルフ、もしくはアナモルフ、およびシノニム、バソニム、もしくは分類学的等価物である。
【0213】
本開示の一部の実施形態では、宿主細胞は、これだけに限定されないが、Candida、Hansenula、Saccharomyces、Schizosaccharomyces、Pichia、Kluyveromyces、またはYarrowia種の細胞を含めた酵母細胞である。本開示の一部の実施形態では、酵母細胞は、Hansenula polymorpha、Saccharomyces cerevisiae、Saccharomyces carlsbergensis、Saccharomyces diastaticus、Saccharomyces norbensis、Saccharomyces kluyveri、Schizosaccharomyces pombe、Pichia pastoris、Pichia finlandica、Pichia trehalophila、Pichia kodamae、Pichia membranaefaciens、Pichia opuntiae、Pichia thermotolerans、Pichia salictaria、Pichia quercuum、Pichia pijperi、Pichia stipitis、Pichia methanolica、Pichia angusta、Kluyveromyces lactis、Candida albicans、またはYarrowia lipolyticaである。
【0214】
本開示の一部の実施形態では、宿主細胞は、Chlamydomonas(例えば、C.reinhardtii)およびPhormidium(例えば、Phormidium sp.ATCC29409)などの藻類細胞である。
【0215】
一部の他の実施形態では、宿主細胞は、原核細胞である。適切な原核細胞としては、これだけに限定されないが、グラム陽性、グラム陰性およびグラム不定細菌細胞が挙げられる。これだけに限定されないが、Agrobacterium、Alicyclobacillus、Anabaena、Anacystis、Acinetobacter、Acidothermus、Arthrobacter、Azobacter、Bacillus、Bifidobacterium、Brevibacterium、Butyrivibrio、Buchnera、Campestris、Camplyobacter、Clostridium、Corynebacterium、Chromatium、Coprococcus、Escherichia、Enterococcus、Enterobacter、Erwinia、Fusobacterium、Faecalibacterium、Francisella、Flavobacterium、Geobacillus、Haemophilus、Helicobacter、Klebsiella、Lactobacillus、Lactococcus、Ilyobacter、Micrococcus、Microbacterium、Mesorhizobium、Methylobacterium、Methylobacterium、Mycobacterium、Neisseria、Pantoea、Pseudomonas、Prochlorococcus、Rhodobacter、Rhodopseudomonas、Rhodopseudomonas、Roseburia、Rhodospirillum、Rhodococcus、Scenedesmus、Streptomyces、Streptococcus、Synecoccus、Saccharomonospora、Staphylococcus、Serratia、Salmonella、Shigella、Thermoanaerobacterium、Tropheryma、Tularensis、Temecula、Thermosynechococcus、Thermococcus、Ureaplasma、Xanthomonas、Xylella、YersiniaおよびZymomonasを含めた任意の適切な細菌生物体が本開示において使用される。一部の実施形態では、宿主細胞は、Agrobacterium、Acinetobacter、Azobacter、Bacillus、Bifidobacterium、Buchnera、Geobacillus、Campylobacter、Clostridium、Corynebacterium、Escherichia、Enterococcus、Erwinia、Flavobacterium、Lactobacillus、Lactococcus、Pantoea、Pseudomonas、Staphylococcus、Salmonella、Streptococcus、Streptomyces、またはZymomonasの種である。一部の実施形態では、細菌宿主株は、ヒトに対して非病原性である。一部の実施形態では、細菌宿主株は工業用株である。多数の細菌工業用株が公知であり、本開示に適している。本開示の一部の実施形態では、細菌宿主細胞は、Agrobacterium種(例えば、A.radiobacter、A.rhizogenes、およびA.rubi)である。本開示の一部の実施形態では、細菌宿主細胞は、Arthrobacter種(例えば、A.aurescens、A.citreus、A.globiformis、A.hydrocarboglutamicus、A.mysorens、A.nicotianae、A.paraffineus、A.protophonniae、A.roseoparqffinus、A.sulfureus、およびA.ureafaciens)である。本開示の一部の実施形態では、細菌宿主細胞は、Bacillus種(例えば、B.thuringensis、B.anthracis、B.megaterium、B.subtilis、B.lentus、B.circulans、B.pumilus、B.lautus、B.coagulans、B.brevis、B.firmus、B.alkaophius、B.licheniformis、B.clausii、B.stearothermophilus、B.halodurans、およびB.amyloliquefaciens)である。一部の実施形態では、宿主細胞は、これだけに限定されないが、B.subtilis、B.pumilus、B.licheniformis、B.megaterium、B.clausii、B.stearothermophilus、またはB.amyloliquefaciensを含めた工業用Bacillus株である。一部の実施形態では、Bacillus宿主細胞は、B.subtilis、B.licheniformis、B.megaterium、B.stearothermophilus、および/またはB.amyloliquefaciensである。一部の実施形態では、細菌宿主細胞は、Clostridium種(例えば、C.acetobutylicum、C.tetani E88、C.lituseburense、C.saccharobutylicum、C.perfringens、およびC.beijerinckii)である。一部の実施形態では、細菌宿主細胞は、Corynebacterium種(例えば、C.glutamicumおよびC.acetoacidophilum)である。一部の実施形態では、細菌宿主細胞は、Escherichia種(例えば、E.coli)である。一部の実施形態では、宿主細胞は、Escherichia coli W3110である。一部の実施形態では、細菌宿主細胞は、Erwinia種(例えば、E.uredovora、E.carotovora、E.ananas、E.herbicola、E.punctata、およびE.terreus)である。一部の実施形態では、細菌宿主細胞は、Pantoea種(例えば、P.citrea、およびP.agglomerans)である。一部の実施形態では、細菌宿主細胞は、Pseudomonas種(例えば、P.putida、P.aeruginosa、P.mevalonii、およびP.sp.D-0l 10)である。一部の実施形態では、細菌宿主細胞は、Streptococcus種(例えば、S.equisimiles、S.pyogenes、およびS.uberis)である。一部の実施形態では、細菌宿主細胞は、Streptomyces種(例えば、S.ambofaciens、S.achromogenes、S.avermitilis、S.coelicolor、S.aureofaciens、S.aureus、S.fungicidicus、S.griseus、およびS.lividans)である。一部の実施形態では、細菌宿主細胞は、Zymomonas種(例えば、Z.mobilis、およびZ.lipolytica)である。
【0216】
本開示において使用される多くの原核生物および真核生物株は、American Type Culture Collection(ATCC)、Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH(DSM)、Centraalbureau Voor Schimmelcultures(CBS)、およびAgricultural Research Service Patent Culture Collection、Northern Regional Research Center(NRRL)などのいくつかの微生物株保存機関から一般に容易に入手可能である。
【0217】
一部の実施形態では、宿主細胞を、タンパク質分泌、タンパク質安定性ならびに/またはタンパク質の発現および/もしくは分泌のために望ましい他の特性が改善される特徴を有するように遺伝子改変する。遺伝子改変は、遺伝子操作技法および/または古典的な微生物学的技法(例えば、化学的またはUV突然変異誘発およびその後の選択)によって実現することができる。実際に、一部の実施形態では、組換えによる改変と古典的な選択技法の組合せを使用して、宿主細胞を作製する。組換え技術を使用して、宿主細胞内および/または培養培地中のトランスアミナーゼバリアントの収率の上昇がもたらされる様式で核酸分子を導入すること、欠失させること、阻害することまたは改変することができる。例えば、Alp1機能をノックアウトすると、プロテアーゼ欠損細胞がもたらされ、pyr5機能をノックアウトすると、ピリミジン欠損表現型を有する細胞がもたらされる。1つの遺伝子操作手法では、相同組換えを使用して、コードされるタンパク質の発現を抑制するためにin vivoで遺伝子を特異的に標的とすることによる標的化遺伝子改変を誘導する。代替手法では、siRNA、アンチセンスおよび/またはリボザイム技術が遺伝子発現の阻害に使用される。これだけに限定されないが、遺伝子産物の発現または活性を妨害するためのタンパク質をコードする遺伝子の全部または一部の欠失および部位特異的突然変異誘発を含めた、細胞におけるタンパク質の発現を低減させるための種々の方法が当技術分野で公知である(例えば、全て参照により本明細書に組み込まれる、Chaveroche et al., Nucl. Acids Res., 28: 22 e97 [2000];Cho et al., Mol. Plant Mic. Interact., 19: 7-15 [2006];Maruyama and Kitamoto, Biotechnol Lett., 30: 1811-1817 [2008];Takahashi et al., Mol. Gen. Genom., 272: 344-352 [2004];およびYou et al., Arch. Micriobiol.,191: 615-622 [2009]を参照されたい)。ランダム突然変異誘発、その後の所望の突然変異についてのスクリーニングも使用される(例えば、どちらも参照により組み込まれるCombier et al., FEMS Microbiol. Lett., 220: 141-8 [2003];およびFiron et al., Eukary. Cell 2: 247-55 [2003]を参照されたい)。
【0218】
ベクターまたはDNA構築物の宿主細胞への導入は、これだけに限定されないが、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE-デキストラン媒介性トランスフェクション、PEG媒介性形質転換、電気穿孔、または他の当技術分野で公知の一般的な技法を含めた、当技術分野で公知の任意の適切な方法を使用して実現することができる。一部の実施形態では、Escherichia coli発現ベクターpCK100900i(これにより参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2006/0195947号を参照されたい)が使用される。
【0219】
一部の実施形態では、本開示の操作された宿主細胞(すなわち、本開示の「組換え宿主細胞」)を、必要に応じてプロモーターの活性化、形質転換体の選択、またはトランスアミナーゼポリヌクレオチドの増幅のために改変された従来の栄養培地で培養する。温度、pHなどの培養条件は、発現のために選択された宿主細胞にかねて用いられているものであり、当業者には周知である。記載の通り、細菌起源、植物起源、動物(特に哺乳動物)起源および古細菌起源の細胞を含めた多くの細胞の培養および作製に関する多くの標準の参考文献およびテキストが入手可能である。
【0220】
一部の実施形態では、本開示のバリアントトランスアミナーゼポリペプチドを発現する細胞をバッチまたは連続発酵条件下で成長させる。古典的な「バッチ発酵」は、閉鎖系であり、培地の組成を発酵開始時に設定し、発酵中は人為的な交換に供さない。バッチ系の変形形態が「流加発酵」であり、これも本開示において使用される。この変形形態では、発酵が進むにつれて基質を徐々に添加する。流加系は、カタボライト抑制が細胞の代謝を阻害する可能性がある場合、および限られた培地中の基質の量を制限することが望ましい場合に有用である。バッチおよび流加発酵は、当技術分野で一般的であり、周知である。「連続発酵」は、開放系であり、規定の発酵培地をバイオリアクターに連続的に添加し、同時に等量の馴化培地を処理のために取り出す。連続発酵では、一般に、培養物を、細胞が主に対数成長期にある一定の高密度で維持する。連続発酵システムは、定常状態の成長条件を維持しようとするものである。連続発酵プロセスのための栄養分および増殖因子をモジュレートするための方法、ならびに産物の形成率を最大にするための技法は工業微生物学の分野で周知である。
【0221】
本開示の一部の実施形態では、バリアントトランスアミナーゼの作製に無細胞転写/翻訳系を使用する。いくつかの系が市販されており、方法は当業者には周知である。
【0222】
本開示は、バリアントトランスアミナーゼポリペプチドまたはその生物活性断片を作製する方法を提供する。一部の実施形態では、方法は、配列番号2、4、8、366、および/または650に対して少なくとも約70%(または少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%)の配列同一性を含み、本明細書に提示される少なくとも1つの突然変異を有するアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドを用いて形質転換した宿主細胞を準備するステップと;形質転換された宿主細胞を、宿主細胞がコードされるバリアントトランスアミナーゼポリペプチドを発現する培養培地条件下で培養するステップと;必要に応じて、発現されたバリアントトランスアミナーゼポリペプチドを回収もしくは単離するステップ、および/または発現されたバリアントトランスアミナーゼポリペプチドを含有する培養培地を回収もしくは単離するステップとを含む。一部の実施形態では、方法は、必要に応じて、コードされるトランスアミナーゼポリペプチドが発現された後、形質転換された宿主細胞を溶解させるステップと、必要に応じて、発現されたバリアントトランスアミナーゼポリペプチドを細胞溶解物から回収および/または単離するステップとをさらに提供する。本開示は、さらに、バリアントトランスアミナーゼポリペプチドを作製する方法であって、バリアントトランスアミナーゼポリペプチドを用いて形質転換した宿主細胞を、バリアントトランスアミナーゼポリペプチドの産生に適した条件下で培養するステップと、バリアントトランスアミナーゼポリペプチドを回収するステップとを含む、方法を提供する。一般には、トランスアミナーゼポリペプチドの回収または単離は、本明細書に記載のものを含めた当技術分野で周知のタンパク質回収技法を使用した、宿主細胞の培養培地から、宿主細胞から、またはその両方からのものである。一部の実施形態では、宿主細胞を、遠心分離によって収集し、物理的または化学的手段によって破壊し、得られた粗抽出物をさらなる精製のために保持する。タンパク質の発現に使用される微生物細胞は、これだけに限定されないが、凍結融解サイクル、超音波処理、機械的破壊、および/または細胞溶解剤の使用、ならびに当業者に周知の多くの他の適切な方法を含めた任意の都合のよい方法によって破壊することができる。
【0223】
宿主細胞によって産生された操作されたトランスアミナーゼ酵素は、細胞および/または培養培地から、とりわけ、リゾチーム処理、超音波処理、濾過、塩析、超遠心分離、およびクロマトグラフィーを含めた、タンパク質精製のための当技術分野で公知の技法の任意の1つまたは複数を使用して回収することができる。E.coliなどの細菌からのタンパク質の溶解および高効率での抽出に適した溶液は、商品名CelLytic B(商標)(Sigma-Aldrich)の下で市販されている。したがって、一部の実施形態では、得られたポリペプチドを回収/単離し、必要に応じて、いくつかの当技術分野で公知の方法のうちのいずれかによって精製する。例えば、一部の実施形態では、ポリペプチドを栄養培地から、これだけに限定されないが、遠心分離、濾過、抽出、噴霧乾燥、蒸発、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換、親和性、疎水性相互作用、クロマトフォーカシング、およびサイズ排除)、または沈殿を含めた従来の手順によって単離する。一部の実施形態では、所望の通り、成熟タンパク質の立体構造を完成させることにおいて、タンパク質リフォールディングステップを使用する。さらに、一部の実施形態では、最終的な精製ステップにおいて高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用する。例えば、一部の実施形態では、当技術分野で公知の方法が本開示において使用される(例えば、どちらも参照により本明細書に組み込まれるParry et al., Biochem. J., 353: 117 [2001];およびHong et al., Appl. Microbiol. Biotechnol., 73: 1331 [2007]を参照されたい)。実際に、当技術分野で公知の任意の適切な精製方法が本開示において使用される。
【0224】
トランスアミナーゼポリペプチドを単離するためのクロマトグラフィー技法としては、これだけに限定されないが、逆相クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル電気泳動、およびアフィニティークロマトグラフィーが挙げられる。特定の酵素を精製するための条件は、正味の電荷、疎水性、親水性、分子量、分子形状などの因子に一部依存し、当業者には公知である。
【0225】
一部の実施形態では、改善されたトランスアミナーゼ酵素の単離に、親和性技法を使用する。アフィニティークロマトグラフィー精製に関しては、トランスアミナーゼポリペプチドに特異的に結合する任意の抗体を使用することができる。抗体を産生させるために、これだけに限定されないが、ウサギ、マウス、ラットなどを含めた種々の宿主動物を、トランスアミナーゼを用いた注射によって免疫化することができる。トランスアミナーゼポリペプチドをBSAなどの適切な担体に側鎖官能基または側鎖官能基に付着させたリンカーによって付着させることができる。宿主種に応じて、これだけに限定されないが、フロイント(完全および不完全)、水酸化アルミニウムなどの無機ゲル、表面活性物質、例えば、リゾレシチン、プルロニック(登録商標)ポリオール、ポリアニオン、ペプチド、油乳剤、キーホールリンペットヘモシアニン、ジニトロフェノール、ならびにBCG(Bacillus Calmette Guerin)およびCorynebacterium parvumなどの潜在的に有用なヒトアジュバントを含めた種々のアジュバントを使用して、免疫学的応答を増大させることができる。
【0226】
一部の実施形態では、トランスアミナーゼバリアントを、当該酵素を発現する細胞の形態で、粗抽出物として、または単離もしくは精製された調製物として調製し、使用する。一部の実施形態では、トランスアミナーゼバリアントを凍結乾燥物として、粉末形態(例えば、アセトン粉末)で調製する、または、酵素溶液として調製する。一部の実施形態では、トランスアミナーゼバリアントは、実質的に純粋な調製物の形態である。
【0227】
一部の実施形態では、トランスアミナーゼポリペプチドを任意の適切な固体基質に付着させる。固体基質としては、これだけに限定されないが、固相、表面、および/または膜が挙げられる。固体支持体としては、これだけに限定されないが、有機ポリマー、例えば、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフルオロエチレン、ポリエチレンオキシ、およびポリアクリルアミド、ならびにこれらの共重合体およびグラフトが挙げられる。固体支持体はまた、ガラス、シリカ、制御細孔ガラス(CPG)、逆相シリカまたは金もしくは白金などの金属などの無機物であってもよい。基質の構成は、ビーズ、球体、粒子、顆粒、ゲル、膜または表面の形態であってよい。表面は、平面、実質的に平面、または非平面であってよい。固体支持体は、多孔質または非多孔質であってよく、また、膨潤または非膨潤特徴を有してよい。固体支持体は、ウェル、くぼみ、または他のコンテナ、容器、特徴、または場所の形態に構成されたものであってよい。複数の支持体を、アレイ上の、試薬のロボットによる送達のためにまたは検出方法および/もしくは機器によってアドレス可能な種々の場所に構成することができる。
【0228】
一部の実施形態では、免疫学的方法を使用してトランスアミナーゼバリアントを精製する。1つの手法では、従来の方法を使用して生じさせた、バリアントトランスアミナーゼポリペプチドに対する(例えば、これだけに限定されないが、配列番号2、4、8、366、および/もしくは650を含めた本明細書に提示される操作されたトランスアミナーゼバリアントを含むポリペプチド、ならびに/またはその免疫原性断片に対する)抗体を、ビーズ上に固定化し、細胞培養培地と、バリアントトランスアミナーゼが結合し、沈殿する条件下で混合する。関連する手法では、免疫クロマトグラフィーが使用される。
【0229】
一部の実施形態では、バリアントトランスアミナーゼを、非酵素部分を含む融合タンパク質として発現させる。一部の実施形態では、バリアントトランスアミナーゼ配列を、精製を容易にするドメインと融合する。本明細書で使用される場合、「精製を容易にするドメイン」という用語は、それが融合したポリペプチドの精製を媒介するドメインを指す。適切な精製ドメインとしては、これだけに限定されないが、金属キレート化ペプチド、固定化された金属での精製を可能にするヒスチジン-トリプトファンモジュール、グルタチオンに結合する配列(例えば、GST)、赤血球凝集素(HA)タグ(インフルエンザ赤血球凝集素タンパク質に由来するエピトープに対応する;例えば、Wilson et al., Cell 37: 767 [1984]を参照されたい)、マルトース結合性タンパク質配列、FLAGS伸長/アフィニティー精製系(例えば、Immunex Corpから入手可能な系)において使用されるFLAGエピトープなどが挙げられる。本明細書に記載の組成物および方法における使用が意図されている発現ベクターの1つは、本開示のポリペプチドとポリヒスチジン領域がエンテロキナーゼ切断部位によって隔てられて融合した融合タンパク質の発現をもたらすものである。ヒスチジン残基により、IMIAC(固定化された金属イオンアフィニティークロマトグラフィー;例えば、Porath et al., Prot. Exp. Purif., 3: 263-281 [1992]を参照されたい)での精製が容易になり、一方、エンテロキナーゼ切断部位により、バリアントトランスアミナーゼポリペプチドを融合タンパク質から分離するための手段がもたらされる。外来ポリペプチドをグルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)との融合タンパク質として発現させるためにpGEXベクター(Promega)を使用することもできる。一般に、そのような融合タンパク質は、可溶性であり、溶解した細胞から、リガンド-アガロースビーズ(例えば、GST融合物の場合ではグルタチオン-アガロース)に吸着させ、その後、遊離のリガンドの存在下で溶出することによって容易に精製することができる。
操作されたトランスアミナーゼ酵素を使用する方法
【0230】
別の態様では、本明細書に開示される操作されたトランスアミナーゼポリペプチドを、基質化合物(1)またはその構造類似体を化合物(2)である生成物または対応する構造類似体に変換するためのプロセスに使用することができる。
【0231】
本明細書に記載され、実施例に例示されている通り、本開示では、これだけに限定されないが、pH、温度、緩衝剤、溶媒系、基質負荷、基質化合物立体異性体の混合物、ポリペプチド負荷、補助因子負荷、圧力、および反応時間の範囲を含めた、本明細書のプロセスに使用することができる適切な反応条件の範囲が考慮される。本明細書に記載の操作されたトランスアミナーゼポリペプチドを使用して基質化合物の生成物である化合物への生体触媒変換のプロセスを実施するためのさらなる適切な反応条件は、これだけに限定されないが、操作されたトランスアミナーゼポリペプチドと基質化合物を濃度、pH、温度、溶媒条件の実験反応条件下で接触させ、生成物である化合物を、例えば、本明細書に提示される実施例に記載の方法を使用して検出することを含む、常套的な実験によって容易に最適化することができる。
【0232】
上記の通り、本開示のプロセスに使用するための、トランスアミナーゼ活性を有する操作されたポリペプチドは、一般に、配列番号6~936の偶数の配列のいずれか1つから選択される参照アミノ酸配列に対して少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれよりも大きな同一性を有するアミノ酸配列を含み、操作されたトランスアミナーゼポリペプチドは、参照配列(例えば、配列番号2、4、8、366、および/または650)と比較して(a)1つまたは複数のアミノ酸残基の差異を有するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、高度にストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることが可能なポリヌクレオチドは、参照配列(例えば、配列番号2、4、8、366、および/または650)と比較して、上記の同一性パーセントおよび1つまたは複数の残基の差異を有するトランスアミナーゼポリペプチドをコードする。
【0233】
反応混合物中の基質化合物は、例えば、生成物である化合物の所望の量、酵素活性に対する基質濃度の影響、反応条件下での酵素の安定性、および基質の生成物への変換パーセントを考慮に入れて、変動させることができる。方法の一部の実施形態では、適切な反応条件は、少なくとも約0.5~約200g/L、1~約200g/L、5~約150g/L、約10~約100g/L、または約50~約100g/Lの基質化合物負荷を含む。一部の実施形態では、適切な反応条件は、少なくとも約0.5g/L、少なくとも約1g/L、少なくとも約5g/L、少なくとも約10g/L、少なくとも約15g/L、少なくとも約20g/L、少なくとも約30g/L、少なくとも約50g/L、少なくとも約75g/L、少なくとも約100g/L、少なくとも約150g/Lまたは少なくとも約200g/L、またはさらにはそれよりも多くの基質化合物負荷を含む。本明細書に提示される基質負荷の値は、化合物(1)の分子量に基づくが、化合物(1)の種々の水和物および塩も等価のモル量でプロセスに使用できることも意図されている。
【0234】
本明細書に提示されるプロセスでは、操作されたトランスアミナーゼポリペプチドは、アミノ供与体を使用して、生成物である化合物を形成する。一部の実施形態では、反応条件において、アミノ供与体は、イソプロピルアミン(本明細書では「IPM」とも称される)から選択される化合物または目的の反応に適した任意の他のアミノ供与体を含む。一部の実施形態では、アミノ供与体はIPMである。一部の実施形態では、適切な反応条件では、アミノ供与体、特にIPMが少なくとも約0.1~約3.0M、0.2~約2.5M、約0.5~約2Mまたは約1~約2Mの濃度で存在する。一部の実施形態では、アミノ供与体は約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、1、1.5、2、2.5または3Mの濃度で存在する。
【0235】
プロセスに適した反応条件には、一般には、反応混合物中に補助因子が存在することも含まれる。操作されたトランスアミナーゼは、一般には、反応条件は、ビタミンB6ファミリーのメンバーを使用するので、ピリドキサール-5’-リン酸(ピリドキサール-リン酸、PLP、P5Pとしても公知)、ピリドキシン(PN)、ピリドキサール(PL)、ピリドキサミン(PM)、およびそれらのリン酸化された対応物;ピリドキシンリン酸(PNP)、およびピリドキサミンリン酸(PMP)から選択される補助因子を含み得る。一部の実施形態では、適切な反応条件は、PLP、PN、PL、PM、PNP、およびPMPから選択される補助因子が、約0.1g/L~約10g/L、約0.2g/L~約5g/L、約0.5g/L~約2.5g/Lの濃度で存在することを含み得る。一部の実施形態では、補助因子はPLPである。したがって、一部の実施形態では、適切な反応条件は、補助因子のPLPが、約0.1g/L~約10g/L、約0.2g/L~約5g/L、約0.5g/L~約2.5g/Lの濃度で存在することを含み得る。一部の実施形態では、反応条件は、PLP濃度が約10g/Lまたはそれ未満、約5g/Lまたはそれ未満、約2.5g/Lまたはそれ未満、約1.0g/Lまたはそれ未満、約0.5g/Lまたはそれ未満、または約0.2g/Lまたはそれ未満であることを含む。
【0236】
プロセスの一部の実施形態(例えば、細胞全体または溶解物を使用する場合)では、補助因子は、細胞抽出物中に天然に存在し、補充する必要はない。プロセスの一部の実施形態(例えば、部分的に精製されたまたは精製されたトランスアミナーゼ酵素を使用する場合)では、プロセスは、補助因子を酵素反応混合物に添加するステップをさらに含み得る。一部の実施形態では、補助因子を反応の開始時に添加し、かつ/または追加的な補助因子を反応中に添加する。
【0237】
アミノ基転移反応の過程中、反応混合物のpHを変化させることができる。反応混合物のpHを、所望のpHに、または所望のpH範囲内に維持することができる。これは、反応の前および/またはその過程中に酸または塩基を添加することによって行うことができる。あるいは、緩衝剤を使用することによってpHを制御することができる。したがって、一部の実施形態では、反応条件には緩衝剤が含まれる。所望のpH範囲を維持するための適切な緩衝剤は当技術分野で公知であり、それらの例として、限定するものではなく、ホウ酸、炭酸、リン酸、トリエタノールアミン(TEA)緩衝剤などが挙げられる。一部の実施形態では、緩衝剤はTEAである。プロセスの一部の実施形態では、適切な反応条件はTEAの緩衝液を含み、ここで、TEA濃度は、約0.01~約0.4M、0.05~約0.4M、0.1~約0.3M、または約0.1~約0.2Mである。一部の実施形態では、反応条件は、約0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.07、0.1、0.12、0.14、0.16、0.18、0.2、0.3、または0.4MのTEA濃度を含む。一部の実施形態では、反応条件は、適切な溶媒として水を含み、緩衝剤は存在しない。
【0238】
プロセスの一部の実施形態では、反応条件は、適切なpHを含み得る。上記の通り、酸もしくは塩基、適当な緩衝剤、または緩衝と酸もしくは塩基の添加の組合せを使用して所望のpHまたは所望のpH範囲を維持することができる。反応混合物のpHを反応の前および/またはその過程中に制御することができる。一部の実施形態では、適切な反応条件は、溶液のpHが約8~約12.5であること、pH約8~約12、pH約9.0~約11.5、またはpH約9.5~約11.0であることを含む。一部の実施形態では、反応条件は、溶液のpHが約8、8.5、9、9.5、10、10.5、11、11.5、12または12.5であることを含む。
【0239】
本明細書のプロセスの一部の実施形態では、例えば、より高い温度での反応速度の増大、反応の十分な持続時間にわたる酵素の活性を考慮して、および下にさらに記載されている通り、適切な温度を反応条件として使用することができる。例えば、本開示の操作されたポリペプチドは、天然に存在するトランスアミナーゼポリペプチドと比べて安定性が増大しており、それにより、本開示の操作されたポリペプチドを、反応について変換速度を増大させ、基質溶解性特徴を改善するために、より高い温度で使用することが可能になる。したがって、一部の実施形態では、適切な反応条件は、温度が約10℃~約70℃、約10℃~約65℃、約15℃~約60℃、約20℃~約60℃、約20℃~約55℃、約30℃~約55℃、または約40℃~約50℃であることを含む。一部の実施形態では、適切な反応条件は、温度が約10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、40℃、45℃、50℃、55℃、60℃、65℃、または70℃であることを含む。一部の実施形態では、酵素反応中の温度を、反応の過程全体を通してある温度に維持することができる。一部の実施形態では、酵素反応中の温度を、反応の過程中、温度プロファイルに対して調整することができる。
【0240】
プロセスの一部の実施形態では、適切な反応条件は、トランスアミナーゼ酵素の不活化が限定されるように作用し得る、還元型補助因子であるニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)が存在することをさらに含み得る(例えば、van Ophem et al., Biochem., 37 (9): 2879-88 [1998]を参照されたい)。そのような実施形態では、NADHが存在する場合、グルコースデヒドロゲナーゼ(GDH)およびグルコースまたはギ酸デヒドロゲナーゼおよびギ酸などの補助因子再生系を使用して反応培地中でNADHを再生することができる。
【0241】
操作されたトランスアミナーゼを使用するプロセスは、一般に、溶媒中で行われる。適切な溶媒としては、水、緩衝水溶液、有機溶媒、および/または、一般に水性溶媒と有機溶媒とを含む共溶媒系が挙げられる。水性溶媒(水または水性共溶媒系)は、pH緩衝されていてもよく、緩衝されていなくてもよい。一部の実施形態では、操作されたトランスアミナーゼポリペプチドを使用するプロセスは、一般に、有機溶媒(例えば、エタノール、イソプロパノール(IPA)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、酢酸エチル、酢酸ブチル、1-オクタノール、ヘプタン、オクタン、メチルt-ブチルエーテル(MTBE)、トルエンなど)、イオン性液体(例えば、1-エチル4-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロリン酸など)を含む水性共溶媒系において行われる。水性共溶媒系の有機溶媒成分は、水性成分と混和性であり、それにより単一の液相をもたらすものであってもよく、水性成分と部分的に混和性であるまたは不混和性であり、それにより、2つの液相をもたらすものであってもよい。例示的な水性共溶媒系は、水と1つまたは複数の有機溶媒とを含む。一般に、水性共溶媒系の有機溶媒成分は、それによってトランスアミナーゼ酵素が完全に不活化されることがないように選択される。適当な共溶媒系は、指定操作されたトランスアミナーゼ酵素の酵素活性を、候補溶媒系において、規定の目的の基質を用いて、本明細書に記載のものなどの酵素活性アッセイを使用して測定することにより、容易に同定することができる。プロセスの一部の実施形態では、適切な反応条件は、DMSOを約1%~約80%(v/v)、約1~約70%(v/v)、約2%~約60%(v/v)、約5%~約40%(v/v)、10%~約40%(v/v)、10%~約30%(v/v)、または約10%~約20%(v/v)の濃度で含む水性共溶媒を含む。プロセスの一部の実施形態では、適切な反応条件は、DMSOを少なくとも約1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、または80%(v/v)の濃度で含む水性共溶媒を含む。
【0242】
適切な反応条件は、基質化合物のその対応する生成物である化合物への生体触媒変換をもたらす反応パラメータの組合せを含み得る。例えば、一部の実施形態では、化合物(2)の調製を実施することができ、ここで、適切な反応条件は、(a)約10~300g/Lの基質化合物(例えば、50g/Lまたは200g/Lの化合物(1))という基質負荷;(b)約0.5g/L~60g/Lの操作されたポリペプチド;(c)約0.5~2MのIPM濃度;(d)約0.1~1g/LのPLP補助因子濃度;(e)約0%(v/v)~約20%(v/v)のDMSO濃度;(f)pH約8.5~11.5;および(g)約45℃~65℃の温度を含む。
【0243】
一部の実施形態では、適切な反応条件は、(a)約100g/Lの基質化合物(例えば、化合物(1));(b)約1g/Lの操作されたポリペプチド;(c)約1Mのイソプロピルアミン(IPM);(d)約0.5g/Lのピリドキサールリン酸(PLP);(e)約pH9;および(g)約50℃を含む。
【0244】
さらなる例示的な反応条件は、実施例に提示されるアッセイ条件を含む。本明細書に記載のアミノ基転移反応の実施において、操作されたトランスアミナーゼポリペプチドを、部分的に精製されたもしくは精製された酵素として、酵素をコードする遺伝子を有する形質転換された細胞全体として、ならびに/またはそのような細胞の細胞抽出物および/もしくは溶解物として、反応混合物に添加することができる。操作されたトランスアミナーゼ酵素をコードする遺伝子を有する形質転換された細胞全体またはその細胞抽出物、溶解物、および単離された酵素を、固体(例えば、凍結乾燥されたもの、噴霧乾燥されたものなど)または半固体(例えば、粗製ペースト)を含めた種々の異なる形態で使用することができる。細胞抽出物または細胞溶解物を、凍結乾燥前に、沈殿(例えば、硫酸アンモニウム、ポリエチレンイミン、加熱処理など)、その後、脱塩手順(例えば、限外濾過、透析など)によって部分的に精製することができる。酵素調製物はいずれも、例えば、グルタルアルデヒドなどの公知の架橋剤、または固定化された固相材料(例えば、樹脂、ビーズ、例えば、キトサン、Eupergit C、SEPABEADなど)を使用した架橋結合によって安定化することができる。
【0245】
本明細書に記載のアミノ基転移反応の一部の実施形態では、反応を本明細書に記載の適切な反応条件下で実施し、ここで、操作されたトランスアミナーゼポリペプチドは固体支持体に固定化される。アミノ基転移反応を実施するための、操作されたトランスアミナーゼの固定化に有用な固体支持体としては、これだけに限定されないが、エポキシド官能基を有するポリメタクリレート、アミノエポキシド官能基を有するポリメタクリレート、スチレン/DVB共重合体またはオクタデシル官能基を有するポリメタクリレートを含むビーズまたは樹脂が挙げられる。例示的な固体支持体としては、これだけに限定されないが、キトサンビーズ、Eupergit C、ならびに以下の異なる型のSEPABEAD:EC-EP、EC-HFA/S、EXA252、EXE119およびEXE120を含めたSEPABEAD(Mitsubishi)が挙げられる。
【0246】
操作されたポリペプチドが分泌型ポリペプチドの形態で発現され得る一部の実施形態では、分泌型ポリペプチドを含有する培養培地を本明細書のプロセスに使用することができる。
【0247】
一部の実施形態では、固体反応物(例えば、酵素、塩など)を、粉末(例えば、凍結乾燥されたもの、噴霧乾燥されたものなど)、溶液、エマルション、懸濁液などを含めた種々の異なる形態で反応に供給することができる。反応物を、当業者に公知の方法および設備を使用して容易に凍結乾燥または噴霧乾燥することができる。例えば、タンパク質溶液を小さな一定分量として-80℃で凍結させ、次いで、予め冷却した凍結乾燥チャンバーに添加し、その後、真空を適用することができる。
【0248】
一部の実施形態では、反応物の添加順序は重要ではない。反応物を一緒に同時点で溶媒(例えば、単相溶媒、二相水性共溶媒系など)に添加することもでき、あるいは、反応物の一部を別々に添加することができ、一部を異なる時点において一緒に添加することができる。例えば、補助因子、トランスアミナーゼ、およびトランスアミナーゼ基質を最初に溶媒に添加することができる。水性共溶媒系を使用した際の混合効率を改善するために、トランスアミナーゼ、および補助因子を最初に水相に添加し、混合することができる。次いで、有機相を添加し、混合し、その後、トランスアミナーゼ基質を添加することができる。あるいは、トランスアミナーゼ基質を有機相に予備混合した後、水相に添加することができる。
【0249】
アミノ供与体の選択により、蒸気圧が水よりも高いカルボニル副生成物(例えば、揮発性有機カルボニル化合物などの、沸点が低い副生成物)がもたらされる一部の実施形態では、非反応性ガスを用いて反応溶液をスパージングすることによって、または、真空を適用して反応圧を低下させ、気相中に存在するカルボニル副生成物を除去することによって、カルボニル副生成物を除去することができる。非反応性ガスは、反応の成分と反応しない任意の気体である。種々の非反応性ガスとしては、窒素および希ガス(例えば、不活性ガス)が挙げられる。一部の実施形態では、非反応性ガスは窒素ガスである。一部の実施形態では、プロセスに使用されるアミノ供与体は、イソプロピルアミン(IPM)であり、これは、アミノ基がアミノ基受容体に転移するとカルボニル副生成物であるアセトンを形成する。アセトンは、窒素ガスを用いてスパージングすること、または反応溶液に真空を適用し、凝縮器または他の低温トラップなどのアセトントラップによってアセトンを気相から除去することによって、除去することができる。あるいは、アセトンを、ケトレダクターゼを使用してイソプロパノールに還元することによって除去することができる。
【0250】
カルボニル副生成物が除去されるプロセスの一部の実施形態では、アミノ基転移反応中に、アミノ基供与体を補給し、かつ/または反応のpHを維持するために対応するアミノ基供与体を添加することができる。また、アミノ基供与体を補給することにより、平衡が生成物の形成に向かってシフトし、それにより、基質の生成物への変換が増加する。したがって、アミノ基供与体がIPMであり、in situでアセトン生成物を除去する一部の実施形態では、プロセスは、アセトン除去の間に失われたアミノ基供与体を補給するため、および反応のpHを(例えば、約8.5~約pH11.5)に維持するためにIPMを反応溶液に添加するステップをさらに含み得る。
【0251】
一部の実施形態では、本開示のトランスアミナーゼポリペプチドを使用したアミン受容体基質化合物のキラルアミン生成物である化合物への生体触媒変換のプロセスが、それぞれ様々な条件下で実施することができる、薬学的に許容される塩もしくは酸、薬学的に許容される製剤の形成、生成物のワークアップ、抽出、単離、精製、および/または結晶化ステップをさらに含み得ることも意図されている。
【0252】
一部の実施形態では、本明細書に開示される操作されたポリペプチドを使用するプロセスを実施することができ、ここで、アミノ基供与体は、イソプロピルアミン、アラニン、3-アミノ酪酸、またはメチルベンジルアミンから選択される。一部の実施形態では、アミノ基供与体は、イソプロピルアミンである。
【0253】
上記の開示されるプロセスによって生成されたアミノ化生成物である化合物または環化化合物を生体触媒反応混合物から抽出する、単離する、その塩を形成する、精製する、および/または結晶化するための方法、技法、およびプロトコールは、当業者には公知であり、かつ/または常套的な実験によって入手することができる。さらに、例示的な方法を下記の実施例に提示する。
【0254】
本発明の種々の特色および実施形態を以下の代表的な実施例に例示し、それらは、例示的なものであり、限定するものではない。
【実施例】
【0255】
実験
本発明の種々の特色および実施形態を以下の代表的な実施例に例示し、それらは、例示的なものであり、限定するものではない。
【0256】
以下の実験に関する開示では、以下の略語が適用される:ppm(百万分率);M(モル濃度);mM(ミリモル)、uMおよびμM(マイクロモル);nM(ナノモル);mol(モル);gmおよびg(グラム);mg(ミリグラム);ugおよびμg(マイクログラム);Lおよびl(リットル);mlおよびmL(ミリリットル);cm(センチメートル);mm(ミリメートル);umおよびμm(マイクロメーター);sec.(秒);min(s)(分);h(s)およびhr(s)(時間);U(単位);MW(分子量);rpm(毎分回転数);℃(摂氏度);RT(室温);CDS(コード配列);DNA(デオキシリボ核酸);RNA(リボ核酸);aa(アミノ酸);TB(Terrific Broth;12g/L バクト-トリプトン、24g/Lの酵母抽出物、4mL/Lのグリセロール、65mMのリン酸カリウム、pH7.0、1mMのMgSO4);LB(ルリア培地(Luria Broth));CAM(クロラムフェニコール);PMBS(硫酸ポリミキシンB);IPTG(イソプロピル チオガラクトシド);ATA(オメガ-トランスアミナーゼ);TFA(トリフルオロ酢酸);TEoA(トリエタノールアミン);ホウ酸塩(四ホウ酸ナトリウム十水和物);アセトニトリル(MeCN);ジメチルスルホキシド(DMSO);HPLC(高速液体クロマトグラフィー);FIOP(陽性対照に対する改善倍率);HTP(ハイスループット);MWD(多波長検出器);UV(紫外線);Codexis(Codexis,Inc.、Redwood City、CA);Sigma-Aldrich(Sigma-Aldrich、St.Louis、MO);Millipore(Millipore、Corp.、Billerica MA);Difco(Difco Laboratories、BD Diagnostic Systems、Detroit、MI);Daicel(Daicel、West Chester、PA);Genetix(Genetix USA,Inc.、Beaverton、OR);Molecular Devices(Molecular Devices,LLC、Sunnyvale、CA);Applied Biosystems(Applied Biosystems、Life Technologiesの部門、Corp.、Grand Island、NY)、Agilent(Agilent Technologies,Inc.、Santa Clara、CA);Thermo Scientific(Thermo Fisher Scientificの部門、Waltham、MA);(Infors;Infors-HT、Bottmingen/Basel、Switzerland);Corning(Corning,Inc.、Palo Alto、CA);およびBio-Rad(Bio-Rad Laboratories、Hercules、CA);Microfluidics(Microfluidics Corp.、Newton、MA);Waters(Waters Corp.、Milford、MA)。
(実施例1)
pCK110900における操作されたポリペプチドの作製
【0257】
トランスアミナーゼ活性を有するVibrio fluvialis由来のポリペプチド(配列番号2)をコードするポリヌクレオチド(配列番号1)をpCK110900ベクター系(例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第9,714,437号を参照されたい)にクローニングし、続いて、E.coli W3110fhuAにおいてlacプロモーターの制御下で発現させた。
【0258】
96ウェルフォーマットで、単一コロニーを選び取り、1%グルコースおよび30μg/mLのクロラムフェニコール(CAM)を含有するLB培地190μL中、30℃、200rpm、および85%の湿度で成長させた。一晩成長させた後、成長させた培養物20μLを、30μg/mLのCAMを伴うTB380μLを含有するディープウェルプレートに移した。培養物を30℃、250rpm、85%の湿度でおよそ2.5時間成長させた。培養物の光学濃度(OD600)が0.4~0.6に達したら、IPTGを最終濃度1mMまで添加することによってトランスアミナーゼ遺伝子の発現を誘導した。誘導後、成長を30℃、250rpm、85%の湿度で18~20時間継続した。4℃、4000rpmで10分間遠心分離することによって細胞を収集し、培地を廃棄した。細胞ペレットを、使用準備ができるまで-80℃で保管した。アッセイを実施する前に、細胞ペレットを、50mMのトリエタノールアミン-HCl、pH7.5を1g/LのPLP、1g/Lのリゾチーム、および0.5g/LのPMBSと共に含有する溶解緩衝剤400μL中に再懸濁させた。プレートを室温においてマイクロタイタープレート振とう機で中速の振とうで2時間撹拌した。次いで、プレートを4℃、4000rpmで15分間遠心分離し、清澄化された上清を下記のHTPアッセイ反応に使用した。
【0259】
振とうフラスコ手順を使用して、二次スクリーニングアッセイに有用であり、かつ/または本明細書に記載の生体触媒プロセスに使用される、操作されたトランスアミナーゼポリペプチドの振とうフラスコ粉末(SFP)が作出され得る。酵素の振とうフラスコ粉末調製により、HTPアッセイに使用した細胞溶解物と比較してより精製された操作された酵素の調製物がもたらされ(例えば、総タンパク質の30%に至るまで)、また、より濃縮された酵素溶液の使用も可能になる。培養を開始するために、目的の操作されたポリペプチドをコードするプラスミドを含有するE.coliの単一コロニーを、30μg/mLのCAMおよび1%グルコースを伴うLB5mLに接種した。培養物を、インキュベーター中、37℃、250rpmで振とうしながら一晩(少なくとも16時間)成長させた。次いで、成長させた培養物を、1Lの振とうフラスコ中、30μg/mLのCAMを伴うTB250mLに添加した。培養物250mLを30℃、250rpmで3.5時間、OD600が0.6~0.8に達するまで成長させた。IPTGを最終濃度1mMまで添加することによってトランスアミナーゼ遺伝子の発現を誘導し、成長をさらに18~20時間継続した。培養物を予め秤量した遠心分離ビンに移し、次いで、4℃、4000rpmで20分間遠心分離することによって細胞を収集した。上清を廃棄し、残りの細胞ペレットを秤量した。一部の実施形態では、細胞を使用する準備ができるまで-80℃で保管した。溶解のために、細胞ペレットを、細胞湿重量1g当たり6mLの25mMのトリエタノールアミン-HCl緩衝剤、pH7.5に再懸濁させ、MICROFLUIDIZER(登録商標)processor system(Microfluidics)110Lを使用して溶解させた。4℃、10,000rpmで60分間遠心分離することによって細胞片を除去した。清澄化された溶解物を採取し、-80℃で凍結させ、次いで、当技術分野で公知の標準の方法を使用して凍結乾燥させた。凍結した清澄化溶解物の凍結乾燥により、粗製の操作されたポリペプチドを含む乾燥した振とうフラスコ粉末がもたらされる。
(実施例2)
化合物(2)の生成を改善するための配列番号4に由来する操作されたポリペプチドの進化およびスクリーニング
【0260】
配列番号4のトランスアミナーゼ活性を有するポリペプチドをコードする操作されたポリヌクレオチド(配列番号3)を使用して、表2-1の操作されたポリペプチドを作出した。これらのポリペプチドは、所望の条件下で、出発ポリペプチドと比較して、トランスアミナーゼ活性の改善、例えば、ケトン基質である化合物(1)からのアミン生成物である化合物(2)の形成の改善を示した。偶数の配列識別子のアミノ酸配列を有する操作されたポリペプチドの、配列番号4の「骨格」アミノ酸配列からの作出を、下記の通り、表6-1および6-2に記載のHTPアッセイおよび分析方法と共に行った。
【0261】
定向進化を配列番号3に記載のポリヌクレオチドから開始した。操作されたポリペプチドのライブラリーを、種々の周知の技法(例えば、飽和突然変異誘発、事前に同定された有益なアミノ酸の差異の組換え)を使用して作出し、ポリペプチドの化合物(2)を生成させる能力を測定するHTPアッセイおよび分析方法を使用してスクリーニングした。
【0262】
96ウェル浅型ウェル(300μL容積/ウェル)プレート中、総反応体積100μL/ウェルで酵素アッセイを実施した。反応物は、64倍希釈したATA溶解物(50mMのトリエタノールアミン+1g/LのPLP、pH7.5中に希釈したもの)55μL、4Mのイソプロピルアミン-HCl、pH9、25μL、およびDMSOに溶解させた100g/Lのケトン(1)20μLを含有した。反応プレートをヒートシールし、50℃、600rpmで22時間振とうした。
【0263】
一晩(約22時間)インキュベートした後、アセトニトリル中50%ギ酸を反応プレートに100μL/ウェルで添加し、十分に混合した。プレートを密封し、4000rpmで10分間遠心分離した。クエンチしたプレートから20μL/ウェルの一定分量を取り出し、1:1のアセトニトリル:水180μL中に希釈し、それぞれ表6-1および6-2に記載されている通り、活性および選択性を決定するためにHPLCによって分析した。
【0264】
ヒットバリアントを実施例1に記載の通り250mLの振とうフラスコ中で増殖させて、凍結乾燥した酵素粉末を作出した。酵素粉末の活性を、上記と同様のアッセイを使用し、0~10g/LのATA振とうフラスコ粉末、20~100g/Lのケトン、1MのIPM(4M、pH9ストック)、0~40%共溶媒(DMSOまたはメタノール)、pH約9、50℃で20~24時間にわたって評価した。ヒットバリアントを表2-2に列挙する。
【表2-1-1】
【表2-1-2】
【表2-1-3】
【表2-1-4】
【表2-1-5】
【表2-2-1】
【表2-2-2】
(実施例3)
化合物(2)の生成を改善するための配列番号8に由来する操作されたポリペプチドの進化およびスクリーニング
【0265】
配列番号8のトランスアミナーゼ活性を有するポリペプチドをコードする操作されたポリヌクレオチド(配列番号7)を使用して、表3-1の操作されたポリペプチドを作出した。これらのポリペプチドは、所望の条件下で、出発ポリペプチドと比較して、トランスアミナーゼ活性の改善、例えば、ケトン基質である化合物(1)からのアミン生成物である化合物(2)の形成の改善を示した。偶数の配列識別子のアミノ酸配列を有する操作されたポリペプチドの、配列番号8の「骨格」アミノ酸配列からの作出を、下記の通り行った。
【0266】
定向進化を配列番号7に記載のポリヌクレオチドから開始した。操作されたポリペプチドのライブラリーを、種々の周知の技法(例えば、飽和突然変異誘発、事前に同定された有益なアミノ酸の差異の組換え)を使用して作出し、ポリペプチドの化合物(2)を生成させる能力を測定するHTPアッセイおよび分析方法を使用してスクリーニングした。
【0267】
酵素アッセイおよび分析を、溶解物を反応混合物に添加する前に512倍希釈したこと以外は実施例2に記載の通り実施した。
【0268】
ヒットバリアントを、250mLの振とうフラスコ中で増殖させ、実施例1に記載の通り酵素粉末を作出した。酵素粉末の活性を、上記と同様のアッセイを使用し、0~32g/LのATA振とうフラスコ粉末、20~200g/Lのケトン、1~2.5MのIPM(4M、pH9ストック)、0.5g/LのPLP、0~20%DMSO、pH約9、40~60℃で20~24時間にわたって評価した。ヒットバリアントを表3-2に列挙する。
【表3-1-1】
【表3-1-2】
【表3-1-3】
【表3-1-4】
【表3-2】
(実施例4)
化合物(2)の生成を改善するための配列番号366に由来する操作されたポリペプチドの進化およびスクリーニング
【0269】
配列番号366のトランスアミナーゼ活性を有するポリペプチドをコードする操作されたポリヌクレオチド(配列番号365)を使用して、表4-1の操作されたポリペプチドを作出した。これらのポリペプチドは、所望の条件下で、出発ポリペプチドと比較して、トランスアミナーゼ活性の改善、例えば、ケトン基質(化合物(1))からの化合物(2)(アミン生成物)の形成の改善を示した。偶数の配列識別子のアミノ酸配列を有する操作されたポリペプチドの、配列番号366の「骨格」アミノ酸配列からの作出を、下記の通り、表6-1および6-2に記載のHTPアッセイおよび分析方法と共に行った。
【0270】
酵素アッセイおよび分析を、溶解物を反応混合物に添加する前に1700倍希釈したこと以外は実施例2に記載の通り実施した。
【0271】
ヒットバリアントを、250mLの振とうフラスコ中で増殖させ、実施例1に記載の通り酵素粉末を作出した。酵素粉末の活性を、上記と同様のアッセイを使用し、0~60g/LのATA振とうフラスコ粉末、20~300g/Lのケトン、1MのIPM(4M、pH9ストック)、0.5g/LのPLP、0~20%DMSO、pH約9、40~60℃で20~24時間にわたって評価した。ヒットバリアントを表4-2に列挙する。
【表4-1-1】
【表4-1-2】
【表4-1-3】
【表4-2】
(実施例5)
化合物(2)の生成を改善するための配列番号650に由来する操作されたポリペプチドの進化およびスクリーニング
【0272】
配列番号650のトランスアミナーゼ活性を有するポリペプチドをコードする操作されたポリヌクレオチド(配列番号649)を使用して、表5-1の操作されたポリペプチドを作出した。これらのポリペプチドは、所望の条件下で、出発ポリペプチドと比較して、トランスアミナーゼ活性の改善、例えば、ケトン基質(化合物V)からの化合物(2)(アミン生成物)の形成の改善を示した。偶数の配列識別子のアミノ酸配列を有する操作されたポリペプチドの、配列番号650の「骨格」アミノ酸配列からの作出を、下記の通り、表6-1および6-2に記載のHTPアッセイおよび分析方法と共に行った。
【0273】
定向進化を配列番号649に記載のポリヌクレオチドから開始した。操作されたポリペプチドのライブラリーを、種々の周知の技法(例えば、飽和突然変異誘発、事前に同定された有益なアミノ酸の差異の組換え)を使用して作出し、ポリペプチドの化合物(2)を生成させる能力を測定するHTPアッセイおよび分析方法を使用してスクリーニングした。
【0274】
酵素アッセイおよび分析を、溶解物を反応混合物に添加する前に4000倍希釈したこと以外は実施例2に記載の通り実施した。
【0275】
ヒットバリアントを、250mLの振とうフラスコ中で増殖させ、酵素粉末を作出した。酵素粉末の活性を、上記と同様のアッセイを使用し、0~3g/LのATA振とうフラスコ粉末、20~100g/Lのケトン、1MのIPM(4M、pH9ストック)、0.5g/LのPLP、0~18%DMSO共溶媒、pH約9、50℃で24時間にわたって評価した。ヒットバリアントを表5-2に列挙する。
【表5-1-1】
【表5-1-2】
【表5-2】
(実施例6)
化合物(1)の化合物(2)への変換の分析的検出
【0276】
表6-1および6-2に提示されている分析方法を使用して実施例2~5に記載されているデータを収集した。本明細書に提示される方法が、本発明を使用して生成されたバリアントを分析するために使用される。しかし、本明細書に提示されるおよび/または本明細書に提示される方法を使用して生成されたバリアントを分析するために適用可能な他の適切な方法が当技術分野で公知であるので、本発明は本明細書に記載の方法に限定されるものではない。
【表6-1】
【表6-2】
【0277】
本出願において引用されている刊行物、特許、特許出願および他の文書は全て、これにより、個々の刊行物、特許、特許出願または他の文書がそれぞれ個別に全ての目的に関して参照により組み込まれることが示されたものと同じ程度に、あらゆる目的に関してそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0278】
種々の特定の実施形態を例示し、記載したが、本発明の主旨および範囲から逸脱することなく種々の変化をなすことができることが理解されよう。
【配列表】
【国際調査報告】