(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-25
(54)【発明の名称】有窓骨アンカー
(51)【国際特許分類】
A61B 17/86 20060101AFI20230518BHJP
【FI】
A61B17/86
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022561589
(86)(22)【出願日】2021-04-07
(85)【翻訳文提出日】2022-12-05
(86)【国際出願番号】 EP2021059113
(87)【国際公開番号】W WO2021204908
(87)【国際公開日】2021-10-14
(32)【優先日】2020-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511206559
【氏名又は名称】スパインウェルディング・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】SPINEWELDING AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ミューラー,アンドレア
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160LL21
4C160LL32
4C160LL54
4C160LL56
(57)【要約】
ヒト又は動物の患者の生きている骨組織に固定されるのに適した有窓骨アンカー(210)が開示される。骨アンカーは、近位端及び遠位端並びに近位端から遠位端まで延在する周面を有するシャフトを備える。シャフトは、近位端から遠位端に向かって延在する長手方向キャビティと、シャフトの壁を通じて軸方向キャビティから周面まで延在する複数の横方向チャネルとをさらに備える。横方向チャネルは、洋梨形の断面を有し、及び/又は、壁の厚さは、横方向チャネルに向かう方向のうちの選択された方向に漸進的に増加する。有窓骨アンカーは、例えば、独立型の椎体間固定装置を備える外科システムの構成要素である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト又は動物の患者の生きている骨組織に固定されるのに適した有窓骨アンカーであって、前記骨アンカーが、近位端、遠位端、長手方向軸、及び前記近位端から前記遠位端へと延在する周面を有するシャフトを備え、前記シャフトが、前記近位端から前記遠位端に向かって前記軸の方向に延在する長手方向キャビティと、前記シャフトの壁を通じて前記軸方向キャビティから前記周面へと延在する少なくとも1つの横方向チャネルとをさらに備え、前記壁が、ある壁厚を有し、前記横方向チャネルが、ある軸方向長さ及び前記軸方向長さよりも小さい幅を有する断面を有し、前記幅が、遠位方向に増加し、付加的又は代替的の一方で、前記壁厚が、前記横方向チャネルに向かう少なくとも選択された方向に漸進的に増加する、有窓骨アンカー。
【請求項2】
複数の横方向チャネルを備える、請求項1に記載の骨アンカー。
【請求項3】
前記複数の前記横方向チャネルのすべての横方向チャネルが、前記シャフトの前記近位端から同じ第1の距離に配置され、好ましくは前記周面の周りで互いに規則的に離間している、請求項2に記載の骨アンカー。
【請求項4】
前記第1の距離が、前記横方向チャネルと前記シャフトの前記遠位端との間の第2の距離よりも小さい、請求項3に記載の骨アンカー。
【請求項5】
前記第1の距離が、前記シャフトの軸方向全長の約半分よりも小さい、請求項3~4のいずれか一項に記載の骨アンカー。
【請求項6】
前記壁厚が、前記横方向チャネルの各々に向かって増加し、前記複数の横方向チャネルを通る前記骨アンカー又は前記長手方向キャビティの断面が、前記チャネルの各々に関連するローブを有する裂状形態を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の骨アンカー。
【請求項7】
前記複数の横方向チャネルから離れる近位方向において、前記骨アンカーの前記断面の前記裂状形態が円形形態に漸進的に移行する、請求項6に記載の骨アンカー。
【請求項8】
ヘッドをさらに備え、骨組織に対して骨プレートを固定するのに適しており、前記骨プレートが、前記骨アンカーに適合した貫通開口を備える、請求項1~7のいずれか一項に記載の骨アンカー。
【請求項9】
前記シャフトの前記周面上に配置された保持構造をさらに備える、請求項1~8のいずれか一項に記載の骨アンカー。
【請求項10】
前記保持構造が、ねじ山、周方向リブ、鋭利な縁部、歯、表面粗さ、アンダーカット表面構造、及びオッセオインテグレーション強化表面コーティングのうちの少なくとも1つを含む、請求項9に記載の骨アンカー。
【請求項11】
前記少なくとも1つの横方向チャネルの軸方向位置において、曲げに対する前記アンカーの剛性が近位に向かって漸進的に増加する、請求項1~10のいずれか一項に記載の骨アンカー。
【請求項12】
前記横方向チャネルの軸方向延伸寸法の相当部分にわたって、前記骨アンカーの極性断面二次モーメントが近位に向かって漸進的に増加する、請求項1~11のいずれか一項に記載の骨アンカー。
【請求項13】
前記少なくとも1つの横方向チャネルの近位半分の平均周方向幅が、前記横方向チャネルの遠位半分の平均周方向幅よりも実質的に小さい、請求項1~12のいずれか一項に記載の骨アンカー。
【請求項14】
外科システムであって、開口軸を画定する少なくとも1つの貫通開口を有するインプラントと、請求項1~10のいずれか一項に記載されており、ヒト又は動物の患者の骨組織に対して前記インプラントを固定するのに適している少なくとも1つの骨アンカーとを備え、前記骨アンカーが、ヘッド及びシャフト並びにアンカー軸を備え、前記貫通開口及び前記骨アンカーが、前記シャフトが前記貫通開口を通過することが可能であり、前記ヘッドが前記インプラントの近位面によって又は最終位置において前記貫通開口内に保持されることが可能であるように互いに適合されており、前記アンカーを前記最終位置にロックするために、前記システムが、少なくとも1つのロック要素をさらに備え、前記少なくとも1つのロック要素が、前記ロック要素が前記アンカー又は前記貫通開口の表面部分の全体的なレベルから突出する弛緩位置と、前記レベルからあまり突出しない又はまったく突出しない弾性的に緊張した位置との間で可動であり、前記ロック要素が、前記骨アンカー又は前記インプラントの一帯部分であり、前記表面部分、及び、前記表面部分の下に位置する前記アンカー又は前記インプラントのバルクの一部分を構成し、前記表面部分内の空隙が前記ロック要素を画定し、前記ロック要素の下に又は前記バルクを通じてさらに延在する、外科システム。
【請求項15】
前記ロック要素が、ある長さ及びある幅を有する弾性片持ち梁又は弾性曲げ梁として形成される、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記ロック要素が、互いに隣接して配置された傾斜部及びロック面をさらに備える、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記片持ち梁又は曲げ梁の前記長さが、前記アンカー軸又は前記開口軸に実質的に平行に延在し、前記傾斜部及び前記ロック面が、前記片持ち梁又は曲げ梁の前記長さにわたって互いに隣接して配置される、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記ロック要素が、前記骨アンカーの前記シャフト上に配置される、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記片持ち梁又は曲げ梁の前記長さが、前記アンカー軸又は前記開口軸に実質的に垂直に延在し、前記傾斜部及び前記ロック面が、前記片持ち梁又は曲げ梁の前記幅にわたって互いに隣接して配置される、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記ロック要素が、前記骨アンカーの前記ヘッド上に配置される、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記ロック要素を備える前記骨アンカー及び前記インプラントのうちの一方が、積層造形プロセスを使用して製造される、請求項15~20のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項22】
前記ロック要素を備える前記骨アンカー及び前記骨インプラントのうちの前記一方が、チタン合金、CoCr合金、又はモリブデン-レニウム合金から作成される、請求項15~21のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項23】
前記インプラントが、生きている骨又は骨片の表面の間でヒト又は動物の患者に埋め込まれるのに適しており、前記骨又は骨片の間に作用する力を伝達するのに適しており、且つ手術後の骨成長によって前記骨又は骨片の間に組み込まれるのに適している耐荷重骨インプラントであり、前記骨インプラントが、多孔性インプラント本体及び支持フレームを備え、前記多孔性インプラント本体が、
前記骨又は骨片の表面に対して位置付けられる対向する内方成長面と、
骨内方成長に適した寸法の多孔性チャネルの三次元ネットワークを前記多孔性インプラント本体の全体にわたって構成する開放多孔性と、
複数の供給チャネルであって、前記供給チャネルの各々が、前記内方成長面の少なくとも1つの中に口を有し、前記力に実質的に平行に前記多孔性インプラント本体の中に又は好ましくは前記多孔性インプラント本体を通じて延在し、前記供給チャネルは、前記多孔性チャネルの前記断面よりも大きい断面、及び追加の骨成長促進材料なしに自発的な骨成長によって架橋可能であるのに十分小さい断面を有する、複数の供給チャネルとを備える、請求項14~23のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項24】
前記供給チャネルの前記断面が、1~3mmの範囲内の最小寸法を有する、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記供給チャネルが、互いに平行に延在する、請求項23~24のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項26】
前記供給チャネルが、2~6mmの範囲内、好ましくは3~5mmの範囲内の、互いからの距離を有する、請求項23~25のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項27】
すべての前記供給チャネルが、互いから同じ距離を有し、規則的なパターン、好ましくは六角形のパターンで配置構成される、請求項23~26のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項28】
前記支持フレームが、実質的に非多孔性の材料から作成され、近位インプラント表面の少なくとも一部分を構成し、前記多孔性インプラント本体の前記内方成長面の周りの縁部に沿って、前記内方成長面内に、及び、前記多孔性インプラント本体を通じて、のうちの少なくとも1つで延在する部材をさらに備える、請求項23~27のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項29】
実質的に非多孔性の材料から成り、前記多孔性インプラント本体の前記内方成長面の少なくとも1つの中に配置され、前記内方成長面と面一である表面要素をさらに備える、請求項23~28のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項30】
前記表面要素が、前記供給チャネルのうちの選択された供給チャネルの口を取り囲む、請求項29に記載のシステム。
【請求項31】
実質的に非多孔性の材料から成り、前記供給チャネルのうちの選択された供給チャネルの壁に沿って延在する支柱をさらに備える、請求項23~30のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項32】
前記供給チャネルのうちの選択された供給チャネルが、拡大口部分を備える、請求項23~31のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項33】
前記拡大口部分が、3~10mmの範囲内の寸法を有する、請求項32に記載のシステム。
【請求項34】
少なくとも前記多孔性インプラント本体及び前記支持フレームが同じ材料から成り、単一の積層造形プロセスにおいて製造される、請求項23~33のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項35】
椎体間固定インプラント、骨切りウェッジ、又は関節固定処置に適したインプラントを構成する、請求項23~34のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項36】
請求項23~35のいずれか一項に記載のシステムを備える、独立型の椎体間固定装置。
【請求項37】
多孔性インプラント本体と、支持フレームと、複数の貫通開口を有する骨プレートと、複数の骨アンカーとを備え、少なくとも前記多孔性インプラント本体、前記支持フレーム及び前記骨プレートが同じ材料から成り、単一の積層造形プロセスにおいてともに製造される、請求項36に記載の椎体間固定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、医療技術の分野に属する。本発明は、有窓骨アンカー、すなわち、ヒト又は動物患者の生きた骨組織に固定されるのに適しており、アンカー軸に沿って近位アンカー端から遠位アンカー端に向かって延在する長手方向キャビティと、周方向アンカー表面を長手方向キャビティと接続する少なくとも1つの横方向チャネルとを備える外科用物品に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
有窓骨アンカーは、ヒト及び獣医学の手術の分野で広く知られている。それらは、特に、骨セメント又は熱可塑性特性を有する材料を用いたアンカー保持に適しており、骨セメントは、流動可能な状態で長手方向キャビティ内に押し込まれ、そこから1つ以上の横方向チャネルを通じて、アンカーを囲む、生きている骨組織に接触し、場合によってはこれを増強するか、又は、熱可塑性特性を有する材料は、固体状態で長手方向キャビティ内に位置付けられ、エネルギー、好ましくは振動エネルギーの印加によってその中で液化され、液化状態で、骨セメントで達成されるのと同様の効果を達成するために1つ以上の横方向チャネルを通じて押し込まれる。有窓骨アンカーは、アンカーを取り囲む骨組織に医薬物質を投与するために使用することもできる。
【0003】
有窓骨アンカーは、シャフトと、場合によってはヘッドとを備える。周方向シャフト表面は、上述の増強によって達成可能である可能な保持に加えて、骨組織内にアンカーを保持するための、任意の種類のそれ自体既知の手段を含むことができる。そのような保持手段は、例えば、ねじ山、歯、刃先、リブ、弾性突起、又は、またオッセオインテグレーション強化表面粗さ又は表面コーティングである。
【0004】
例えば、骨片又は位置ずれした骨を互いに対して安定化するために、又は軟組織を骨組織上に固定するために、有窓骨アンカーが適用可能である。さらに、それらは、例えば骨プレート、椎体間固定装置、髄内釘又はロッド、脊椎矯正又は支持のための器具、並びに、また様々な用途のための縫合糸及びケーブルなど、骨組織に対して人工物を固定するために適用可能である。それらは骨増強にも適用可能である。挙げられた又は他の例示的な用途で使用される骨アンカーは、ヘッドを有する又は有しない単純な固定ピン又はねじ、椎弓根スクリュー、干渉装置、縫合アンカー、歯科インプラントなどである。
【0005】
欧州特許出願公開第3616634号は、骨癒合のためのスクリューインプラントに関する。スクリューインプラントは、骨移植片などの生体材料を中に充填することができる生体材料窓を有するシャフトを有することができる。一実施形態では、生体材料窓は、埋め込みを補助するガイドワイヤ又は他の種類の器具を受け入れるのに役立つカニューレ挿入開口と流体連通することができる。カニューレ挿入の直径は、生体材料窓の幅よりも小さく、生体材料窓に材料を供給するのには役立たず、適していない。生体材料窓は、細長い形状を有し、長辺が、遠位端部と近位端部との間で長手方向軸に平行に延在する。
【0006】
国際公開第2010/096942号は、複数の有窓骨アンカーを有するシステムを開示している。複数の有窓骨アンカーに加えて、開示されたシステムは、独立型の椎体間固定装置、すなわち、隣接する椎体間に位置付けられる椎体間インプラントと、インプラントをその位置に保持するのに適したプレートとを備える。プレートは複数の貫通開口を有し、骨アンカーは貫通開口に適合され、プレートを隣接する椎体に固定するのに適している。インプラント及びプレートは、2つの別個の物品とすることができ、互いに固定することができ、又は1つの一体部品をとのに形成することができる。開示された骨アンカーは、有窓ヘッド付きピンの形態を有する。それらは、長手方向キャビティと、長手方向キャビティをピンの周面と接続する横方向チャネルとを備え、熱可塑性特性を有する材料を用いて椎体の骨組織に固定されるのに適していると記載されている。固定プロセスのために、骨組織内に開口が設けられ、有窓ピンが開口に導入され、熱可塑性特性を有する材料の要素が長手方向キャビティに挿入され、エネルギー、特に振動エネルギー(特に超音波振動エネルギー)が、熱可塑性特性を有する材料を液化するために熱可塑性要素に印加され、エネルギーの印加と同時に、熱可塑性特性を有する材料の要素が、液化した材料を横方向チャネルを通じて隣接する骨組織に、又は周方向ピン表面と隣接する骨組織との間で変位させるためにキャビティに押し込まれる。椎体内での好ましい固定を達成するために、横方向チャネルは、椎体の壁の皮質骨に可能な限り近い熱可塑性特性を有する材料の堆積のために、遠位ピン端よりも近位ピン端の近くに(例えば、ピン長の近位半分以内又は最も近位の3分の1以内に)位置することができ、骨組織は、椎体の中心に近い骨組織よりも強い、液化した材料が貫通するための稠度を有する。
【0007】
国際公開第2010/096942号の開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明の概要
本発明の目的は、上記のような特徴を有し、熱可塑性特性を有する材料を用いた上記の固定に特に適しているが、他の用途にも適用可能な改善された有窓骨アンカーを提供することである。本発明による有窓骨アンカーの改善は、特に、少なくとも1つの横方向チャネル、それを通る材料の流れ、及びアンカーの安定性に対するその機械的効果に関する。
【0009】
上記の目的を達成する有窓骨アンカーは、シャフトと、場合によってはヘッドとを備え、シャフトは、近位端、遠位端、及び長手方向軸と、近位端から遠位端まで延在する周面と、適用可能であれば、ヘッドを通じて近位シャフト端から遠位シャフト端に向かって軸の方向に延在する長手方向キャビティとを有する。さらに、シャフトは、シャフトの壁を通じて長手方向キャビティから周面まで延在する少なくとも1つの横方向チャネル(例えば、2~4つの横方向チャネル)を備える。この壁は、ある壁厚を有し、横方向チャネルは、軸方向長さ及び軸方向長さよりも小さい幅を有する断面を有し、横方向チャネルの断面の幅は、遠位方向に増加し、且つ/又は、壁厚は、横方向チャネルに向かう方向のうちの選択された方向に漸進的に増加する。これは、1つ以上の横方向チャネルの断面が洋梨形を有し、加えて、又は代替的に、軸方向キャビティと周面との間の壁が、長手方向キャビティの周りで同じではなく、横方向チャネルに隣接するところで少なくとも部分的に最大であり、横方向チャネルから離れる方向に漸進的に減少する厚さを有することを意味する。
【0010】
挙げられている設計特徴は、本発明による骨アンカーを、より近位の増強が所望される用途、及び近位アンカー端が遠位アンカー端(例えば、小柱骨内)よりも強固に固定され(例えば、プレート内又は皮質骨内)、それに伴って曲げ荷重が遠位端から近位端に向かって増加する用途のために、上記でさらに簡単に説明したような熱可塑性特性を有する材料を用いた増強による固定プロセスに特に適したものにする。挙げられた機械的条件は、特に、例えばプレートを椎体上に、又は長骨の骨幹端部若しくは骨端部に固定するために使用されるアンカー、又はまた縫合アンカーに適用可能であり、この場合、好ましい固定具は、骨密度が最も高く、増強材料の本体が皮質に寄りかかることができ、いわば皮質の厚さを拡張することができる皮質に可能な限り近い。
【0011】
横方向チャネルは、骨アンカーの長さの30%未満、例えば25%未満、例えば12%~20%の実質的な軸方向延伸寸法を有することができる。
【0012】
多くの実施形態では、横方向チャネルは、例えば液体状態で骨に浸透するときの熱可塑性材料の場合のように、実質的な急冷挙動があっても骨組織が広い範囲で均一に浸透され得るように、実質的な軸方向延伸寸法(長さ)を有する必要がある。広い領域への浸透は、堅固な固定のためだけでなく、骨組織を補強するためにも有利である。特に、横方向チャネルの洋梨形断面及び/又は横方向チャネルに向かって増加する壁厚の設計方策は、横方向チャネルが急冷を受ける場合であっても液化した物質の十分な流れを保証する断面を横方向チャネルに与えることを可能にし、さらに、横方向チャネルがアンカーの近位部分に配置されている場合であっても曲げ応力に耐えることを可能にする機械的特性をアンカーに与える。挙げられた設計方策は、結果として、アンカーが最小のノッチ応力でその長さにわたって均一に応力を受けるようにし、これは、周期的な応力を受けるアンカーにとって特に重要である。
【0013】
特に、横方向チャネルの形状は、横方向チャネルの長さ(軸方向延伸寸法)にわたって、中程度の応力(比較応力)が横方向チャネルに沿って本質的に均一になるように選択することができる。これにより、耐荷重強度が実質的に低下しない一方で、横方向チャネルが実質的に軸方向に延在することが可能になる。特に、特定の曲げモーメントが骨アンカーに加えられたときの、比較応力と材料強度との比は、横方向チャネルの長さにわたって本質的に一定であるように設計されてもよい。これを達成するために、曲げ剛性は、遠位に向かって漸進的に減少するように選択することができる。近位に向かって増加する曲げ剛性のこの特徴は、例えば近位端/遠位端のみではなく、横方向チャネルの長さの相当部分にわたって(例えば、近位端及び遠位端を除く中間領域において、例えばその長さの少なくとも40%又は少なくとも50%にわたって、例えばその少なくとも40%又は少なくとも50%にわたって)存在してもよい。
【0014】
例えば、アンカーは、(特定の曲げモーメントが加えられた場合に)横方向チャネルの縁部の応力が、横方向チャネルの長さに沿って約30%未満、又は約20%未満、又は約10%未満(最大応力と最小応力との間の差を全長に沿った平均応力で除算したものとして定義される)だけ、好ましくは横方向チャネルの長さの半分以上、さらにより好ましくは横方向チャネルの全長にわたって変化するように設計されてもよい。
【0015】
可能な設計基準は、長手方向軸に対するいわゆる極性断面二次モーメントJが、少なくとも1つの横方向チャネルが位置するアンカー部分にわたって近位に向かって、例えばその長さの少なくとも相当部分にわたって(例えば、近位端及び遠位端を除く中間領域において、例えば、その長さの少なくとも40%又は少なくとも50%にわたって)増加し、例えば連続的に増加することであり得る。特に、極性断面二次モーメントJは、値x*Jが、少なくとも1つの横方向チャネルが位置するアンカー部分にわたってほぼ一定であるようなものであってもよく、xは、骨アンカーの近位端までの距離である。この場合、「ほぼ一定」は、20%以下、又は10%以下、又はさらには5%以下だけ変化することと定義され得る。
【0016】
この設計基準を満たすことは、使用中に骨アンカーが比較的剛性の構造、すなわちインプラント(例えば骨プレート)及び皮質骨組織によって近位に保持され、横方向チャネルが遠位端から離れた比較的近位の位置に配置され得るという事実を考慮すると有用であり得る。
【0017】
さらなる、場合によっては追加の設計基準は、強度が領域の第2のモーメントJに関する上記の設計基準に従って一般に近位に向かって増加する骨アンカーの材料が、上述したように、横方向チャネルの縁部に沿った応力が他の場所の応力と比較して高くなりすぎず、比較的均一であるように分布することであってもよい。
【0018】
この目的のために、1つの可能性は、壁厚が横方向チャネルに向かって増加することである。加えて、又は代替として、横方向チャネル(又は、正確には、骨アンカーシャフトの外面内のその口)の形状は、上述の洋梨形状を有してもよい。この後者の方法では、より重要なより近位の領域の応力は、応力がより分散し、横方向チャネル間の領域がより多くの応力を吸収するという点で、横方向チャネルの縁部に沿っていくらか低下させることができる。横方向チャネルの口の形状について、これは、横方向チャネルに向かって増加する壁厚に加えて、又はその代替として、以下のうちの1つ以上を保持することができることを意味する。
【0019】
・ 横方向チャネルの中央領域の軸方向位置に対応する軸方向位置において、周方向幅は近位方向に連続的に減少する。周方向幅は、例えば、横方向チャネルの(遠位から近位への)軸方向延伸寸法部の少なくとも40%、少なくとも50%、又は少なくとも60%に沿って減少してもよく、及び/又は遠位から近位へ少なくとも5%、少なくとも10%、又は少なくとも15%だけ減少してもよい。
【0020】
・ 横方向チャネルの中央領域の軸方向位置に対応する軸方向位置において、極性断面二次モーメントJは、近位方向に連続的に増加する。極性断面二次モーメントJは、例えば、横方向チャネルの軸方向延伸寸法の少なくとも30%、40%、少なくとも50%、又は少なくとも60%に沿って、例えば少なくとも5%、少なくとも10%、又は少なくとも15%又は20%、例えば最大50%だけ、遠位から近位に増加し得る。
【0021】
・ 横方向チャネルの近位半分の平均周方向幅は、横方向チャネルの遠位半分の平均周方向幅よりも実質的に小さい。この文脈における「実質的に小さい」は、少なくとも5%、又は少なくとも10%、又はさらには少なくとも20%だけ小さいことを意味し得る。
【0022】
・ 側壁は、互いに平行ではなく、近位端領域及び遠位端領域だけでなく、横方向チャネルの軸方向延伸寸法の相当部分に沿って、近位に向かって接近してもよい。特に、側壁は、横方向チャネルの軸方向延伸寸法の少なくとも40%、少なくとも50%、又は少なくとも60%にわたって平行でなくてもよい。
【0023】
・ 横方向チャネルの側壁は、長手方向軸に平行ではなく、近位に向かって接近して、軸に対して1°~20°、特に2°~10°、特に3°~8°、例えば約5°の角度で本質的に真っ直ぐに延在する。
【0024】
・ 側壁は、横方向チャネルの近位端と遠位端との間の中央に位置する中央領域では互いに平行ではなく、側壁は近位に向かって接近してもよい。
【0025】
長手方向キャビティは、少なくとも1つの横方向チャネルを通じて周囲の組織に押し込まれる材料を挿入するのに役立つ。これは、少なくともヘッドの遠位方向及び遠位端の近位方向に、本質的に円筒形、例えば、円柱形(すなわち、断面が円形)であってもよい。長手方向キャビティの直径又は平均直径は、横方向チャネルの幅よりも大きく、例えば、横方向チャネルの幅よりも実質的に大きい。長手方向キャビティの平均直径及び/又は横方向チャネルの位置における長手方向キャビティの直径は、例えば、横方向チャネルの最大幅の1.1倍~3倍であってもよい(すなわち、最も広い位置での周方向幅の1.1倍~3倍であり、これは、横方向チャネルが洋梨形である実施形態では一般に遠位端に向かう場合であり得る)。特に、これは、最大幅の1.2倍又は1.3倍~2.5倍又は1.4倍~2倍、特に1.5倍~1.9倍、例えば約1.7倍であってもよい。
【0026】
長手方向キャビティの典型的な直径は、1.5mm~4.5mm、特に1.7mm~3.7mm、例えば約3mm~3.2mm又は1.7mm~2.2mm(後者は頸部への適用のための寸法)であり得る。より一般的には、長手方向キャビティの直径は、骨アンカーシャフト直径の40%~87%、特に50%~82%又は60%~80%、例えば約75%~79%になり得る。
【0027】
高さ(横方向チャネルの軸方向延伸寸法は、その最大幅の1.2倍~4倍、特に1.4倍~3.2倍又は1.6倍~2.6倍、例えば最大幅の約1.8~2.4倍であり得る。
【0028】
骨アンカー内の長手方向キャビティの遠位端は、閉じられてもよい。一変形形態では、それは、ガイドワイヤなどのための比較的小さい(すなわち、半径方向延伸寸法が、長手方向キャビティの半径方向延伸寸法よりもはるかに小さい)軸方向開口を有することができる。遠位端は、骨アンカーの軸を中心とする円対称とは異なる形状を有してもよい。むしろ、チャネルは、キャビティの周りに壁の(洋梨形)出口開口によって形成された外側部分を有するのに加えて、長手方向キャビティの半径内の半径方向位置に内側部分を有することができる。したがって、長手方向キャビティの遠位端は、材料の異なる部分を異なる出口開口に向けるように角度を付けて構造化することができる。
【0029】
長手方向キャビティの遠位端のこのような角度構造は、骨アンカーの周りの骨組織が均質ではない、及び/又は等方性ではない場合に特に有利であり得、遠位キャビティ端の構造はまた、材料が異なる出口開口を通じてほぼ等しい量で押し出され、例えば、他の出口開口と比較して抵抗が小さい出口開口のみを通じて押し出されることがないことを保証する。特に、材料が熱可塑性材料であり、固体状態で長手方向キャビティ内に位置付けられている場合、これは、近位に向かって逆流し、抵抗が最も低い開口から流出することによって静水圧を回避する可能性はほとんどない。これは、材料が主にキャビティの遠位端と接触して液化され、残りの熱可塑性材料がプロセス中に遠位に向かって押されることによってそこから逆流することが防止されるためである。このようにして、遠位端の構造は、材料をそれぞれの出口開口に導くのに役立つ。
【0030】
例えば、遠位端の構造は、チャネルの内側部分の間に半径方向に延在する誘導壁を備えることができる。
【0031】
本発明による骨アンカーは、医学的に許容される金属、セラミック材料のポリマーからなり、好ましくは積層造形法を用いて製造される。骨アンカーは、例えば、適切なチタン合金、CoCr合金又はモリブデン-レニウム合金からなり、選択的レーザ焼結プロセス、選択的レーザ溶融プロセス又は電子ビーム溶融プロセスを使用して製造される。
【0032】
本発明はまた、固体状態の熱可塑性要素を伴う本明細書に記載の有窓骨アンカーのセットに関し、熱可塑性要素は、その近位端から長手方向キャビティに挿入されるように適合された形状を有し、エネルギー、特に機械的振動エネルギーが熱可塑性要素に結合されている間にキャビティの遠位端に押し付けられることによって液化することができる。
【0033】
そのようなセットは、機械的振動エネルギーを熱可塑性要素に結合するように成形されたソノトロードをさらに含むことができる。ソノトロードは、特に、熱可塑性要素の最終部分を液化するように、その近位端から長手方向キャビティ内に挿入されるように適合された遠位端を有することができる。ソノトロードに加えて、又はソノトロードの代替として、セットは、案内スリーブ又は案内チューブを有することができ、案内スリーブ又は案内チューブは、長手方向キャビティ内へと及び/又は長手方向キャビティ内で挿入されたときに熱可塑性要素を案内するように骨アンカーに結合されるように適合される。
【0034】
チタン合金から作製され、上述の文献国際公開第2010/096942号に開示されているような腰椎固定装置を固定するのに適した本発明による骨アンカーの例示的な実施形態は、おおよそ以下のような寸法、すなわち、25mmの全長(ヘッド及びシャフト)、プレートの3~4mm下の横方向チャネルの軸方向位置、3.8mm、1.8mm、1.4mmの横方向チャネルの断面の軸方向長さ、遠位幅及び近位幅、0.7mm及び0.6mmのヘッドの下及び横方向チャネルの領域内のシャフトの壁厚を有する。
【0035】
本発明による有窓アンカーはさらに、アンカーと、アンカーに適合した貫通開口を有するインプラントとを備える外科システムの一部であってもよい。このようなシステムは、以下の特徴を有し得る。
【0036】
外科システムは、開口軸を画定する少なくとも1つの貫通開口と、ヘッド及びシャフト並びにアンカー軸を有する少なくとも1つの骨アンカーとを有するインプラントを備え、貫通開口及び骨アンカーは、アンカーシャフトが貫通開口を通過することができ、アンカーヘッドがインプラントの近位面によって又は最終位置において貫通開口内に保持されるように互いに適合される。アンカーを上記最終位置にロックするために、システムは、少なくとも1つのロック要素をさらに備え、ロック要素は、ロック要素がアンカーの表面部分又は貫通開口の一般的なレベルから突出する弛緩位置と、ロック要素が上記レベルよりも突出しないか又は上記レベルと実質的に同一平面である弾性的に緊張した位置との間で移動可能である。その中で、ロック要素は、骨アンカー又はインプラントの一体部分であり、挙げられている表面部分の一部、及びこの表面部分の下に位置するアンカー又はインプラントのバルクを構成する。空隙が、表面部分内のロック要素を画定し、ロック要素の下又は挙げられているバルクを通じてさらに延在する。
【0037】
システムのロック要素は、それ自体既知の方法で、骨アンカー上に配置されている場合、好ましくは貫通開口内の、インプラント上の対応する表面部分と協働し、貫通開口内に配置されている場合、アンカー、好ましくはアンカーヘッドの対応する表面部分と協働する。そのようなロック面は、特に、インプラントの遠位面又はアンカーの近位面の溝若しくは窪み又は部分の内面である。骨アンカーを貫通開口内で遠位方向に移動させる際にロック要素の移動及び張力付与を案内するために、ロック要素は、それ自体既知の方法で、この移動の方向に平行に下側レベルから上側レベルまで通じる傾斜部を備え、ロック要素が骨アンカー上に配置されている場合、上側レベルは下側レベルの近位に位置し、ロック要素が貫通開口内に配置されている場合、上側レベルは下側レベルの遠位に配置される。ロック要素及びロック面は、ロック位置での緩い嵌合のためにそれ自体既知の方法で設計される。
【0038】
システムのロック要素は、1つの梁端部(弾性的に枢動する片持ち梁)又は2つの対向する梁端部(弾性曲げ梁)に支持される弾性梁として構成され、弾性梁は、骨アンカー又はインプラントのバルクから切り出され、すなわち、少なくとも梁長さに沿って延在する空隙によって画定され、十分に薄いバルク部分の場合、このバルク部分を通じて右に延在する(梁厚さは局所的なバルク厚さと実質的に同じ)か、又はより厚いバルク部分の場合、加えて梁の下に延在する(梁厚さは局所的なバルク厚さの一部を構成する)。
【0039】
弛緩位置では、弾性ロック要素は、骨アンカーの表面部分又はそれが位置する貫通開口の一般的なレベルから突出する。骨アンカーを貫通開口に対してその最終位置に移動させると、弾性ロック要素は、弛緩位置から、アンカー又は貫通開口の表面の一般的なレベルから突出しないか、又は突出する弾性的に緊張した位置に枢動又は屈曲され、最終位置に達すると、その弛緩位置に跳ね戻る。
【0040】
本発明によるシステムのインプラント及び/又は骨アンカーは両方とも、医学的に許容される金属、ポリマー又はセラミック材料から作成され、特に、ロック要素を含む骨アンカー及びインプラントの一方(又は貫通開口を含むその一部)は、好ましくは積層造形プロセス(3D印刷プロセス)を使用して製造される。骨アンカー及び/又はインプラント(又はその一部)は、例えば、適切なチタン合金、CoCr合金又はモリブデン-レニウム合金からなり、選択的レーザ焼結プロセス、選択的レーザ溶融プロセス又は電子ビーム溶融プロセスを使用して製造される。
【0041】
本発明による骨アンカーの複数の好ましい実施形態のうちの1つは、椎体間固定インプラントと、複数の貫通開口を有する骨プレートと、プレートの貫通開口に適合され、2つの隣接する椎体に対してプレートを固定するのに適した複数の骨アンカーとを備える独立型の椎体間固定装置を構成するシステムの一部である。既知のそのようなシステムは、例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2010/096942号パンフレットに開示されている。システムのプレートは、完全に別個の要素を構成してもよく、椎体間インプラントに固定されてもよく、又はそれとともに一体部分を形成してもよい。椎体間固定インプラントは、2つの隣接する椎体の間に位置付けられ、プレートは、2つの椎体の前側又は外側に配置され、骨アンカーを用いて椎体に固定される。システム内で好ましく使用される骨アンカーは、ヘッド及びシャフトを有する細長い有窓骨アンカーであり、この骨アンカーは、プレートの貫通開口を介して椎体の骨組織内へと駆動され、例えば熱可塑性を有し、例えば有窓アンカーの中央キャビティ内で振動エネルギーを印加することによって液化され、好ましくはアンカーを囲む骨組織の小柱構造内又は骨組織とアンカーとの間で再固化するために、横方向チャネルを介してアンカーの外側に押圧される材料を用いて椎体内に固定される。
【0042】
骨アンカー及び骨インプラントから成るシステムに属するインプラントは、以下の特徴を有することができる。
【0043】
本発明によるシステムを備える骨インプラントは、生きている骨又は骨片の表面間でヒト又は動物の患者に埋め込まれるのに適し、これらの骨又は骨片の間に作用する少なくとも一時的な荷重を支えるのに適し、手術後の骨成長によって骨又は骨片の間に組み込まれるのに適した耐荷重性骨インプラントである。そのような骨インプラントは、例えば脊椎固定術、関節固定術及び骨切り術などの外科処置に適用可能である。
【0044】
挙げられている骨インプラントは、多孔性インプラント本体を備え、多孔性インプラント本体は、多孔性インプラント本体の全体を通じて骨の内方成長に適した寸法の多孔性チャネルの3次元ネットワークを構成する開放多孔性を有する多孔性インプラント本体を含み、この多孔性インプラント本体は、埋め込み時に活きている骨組織に対して位置付けられる2つの実質的に対向する本体表面(内方成長面)を構成する。多孔性チャネルに加えて、多孔性インプラント本体は、複数の供給チャネルを備え、供給チャネルの各々は、内方成長面の少なくとも1つの中に口を有し、埋め込まれた状態でインプラントに作用する力場の力線に実質的に平行に多孔性インプラント本体内に、又は好ましくは多孔性インプラント本体を通じて延在する。その中で、供給チャネルは、多孔性チャネルの断面よりも大きいが、チャネル内に位置付けられた骨成長促進材料なしで自発的な骨成長によって架橋可能であるのに十分に小さい断面を有する。
【0045】
骨インプラントの多孔性インプラント本体の多孔性チャネルは、直径が0.1~0.7mmの範囲内、好ましくは0.4~0.6mmの範囲内の断面を有する。供給チャネルは、最小寸法が1~3mmの範囲内にある任意の適切な形態の断面を有し、多孔性インプラント全体を通して、供給チャネルは、2~6mmの範囲内、好ましくは3~5mmの範囲内の互いからの距離を有する。多孔性チャネル及び供給チャネルの総容積は、多孔性インプラント本体の体積の40~80%、好ましくは60~80%を構成する)。
【0046】
骨インプラントの多孔性インプラント本体の設計は、以下の知見に基づく。天然の骨組織の小柱構造を多かれ少なかれ模倣する多孔性インプラント本体構造への骨の内方成長は、1~約3mmの深さまでしか成功しない(おそらく拡散のみによる内方成長骨組織の供給によって制限される)。自発的な骨成長、すなわち術後数週間以内の骨成長は、約3mm以下の幅のギャップを埋める。より大きいキャビティ(すべての寸法が約3mmより大きい)では、骨成長は主にキャビティの壁を覆い、約10mm以下(7~10mm)の最小寸法を有するそのようなキャビティでは、長期の骨成長、すなわち数か月以内の骨成長がキャビティを架橋することができ、さらにより大きいキャビティ(すべての寸法が7~9mmより大きい、臨界サイズ欠陥)は、例えば骨移植材料などの骨成長促進材料で充填されない限り、骨組織で充填されない。インプラントへの骨組織の内方成長は、インプラント状態において、患者の生きている骨組織と直接接触しているインプラント表面(内方成長面)以外のインプラント表面からはまったく又はほとんど見られず、すなわち、インプラントへの骨組織の内方成長は高度に異方性である。
【0047】
上に列挙した知見に基づいて、本発明に対する骨インプラントの多孔性インプラント本体の供給チャネルは、内方成長面に由来し、特に脈管構造及びリンパ管などの供給手段を含む骨組織の内方成長を可能にするのに十分に大きく、架橋される、すなわち骨組織で完全に満たされるのに十分に小さく、多孔性インプラント本体の全体にわたって互いに(及び場合によっては内方成長面から)適切に離隔されると、そのすべての位置において骨の成長を可能にする断面を有する。さらに、約20mmより長い供給チャネルは、好ましくは拡大口部分を備えていることが分かる。
【0048】
力線に沿った供給チャネルの向きは、機械的観点から有利である。考えられるほとんどの場合、これらの力線は、内方成長面の一方から反対側の他方へと互いに実質的に平行に延在する。したがって、好ましい配置構成では、供給チャネルは、一方の内方成長面から他方の内方成長面に向かって互いに実質的に平行に延在し、最小数の供給チャネルで最大の多孔性容積を供給することができるようにするために、供給チャネルは六角形系で配置構成され、チャネル配置構成を通る断面において、各チャネルは同じ距離にある6つの隣接するチャネルを有する。
【0049】
骨インプラントは、多孔性インプラント本体に加えて、多孔性インプラント本体を部分的に取り囲み、場合によっては多孔性インプラント本体を貫通もする支持フレームを備える。支持フレームは、適切な、好ましくは非多孔性の材料から作成される。支持フレームは、近位インプラント表面(埋め込み時の後面、通常は内方成長面ではない)及び例えば多孔性インプラント本体の縁部領域に沿って延在する部材の少なくとも一部を構成し、縁部部材は、例えば、内方成長面から突出することなく内方成長面を取り囲み、内方成長面内に延在し、又は多孔性インプラント本体を貫通する。支持フレームの外面は、それ自体既知のオッセオインテグレーション促進表面構造又はコーティングを備えていてもよく、少なくともそこで、外面は生きている骨組織の表面に対して位置付けられるべきであり、そこでオッセオインテグレーションが所望される。
【0050】
骨インプラントは、実質的に非多孔性の材料のさらなる要素を含んでもよい。そのようなさらなる要素は、例えば表面要素であり、表面要素は、内方成長面内に配置され、内方成長面と同一平面上にあり、多孔性インプラント本体と生きている骨組織との間の直接接触を損なうことなく、内方成長面と生体骨組織の表面との間の摩擦を低減することによって埋め込みを容易にするのに役立ち得る。表面要素は、例えば供給チャネルの口を取り囲み、それによって口縁部の機械的損傷を防止するのに役立つ。さらに、そのような要素はまた、供給チャネルのうちの選択された供給チャネルの壁に沿って延在し、補強及び支持手段として機能する支柱であってもよい。
【0051】
支持フレームの部材の寸法は、インプラントの種類及びサイズ、並びにインプラントが埋め込まれるときに支えなければならない荷重に依存するが、表面要素は可能な限り小さい寸法を有する。中程度の椎体間固定インプラントでは、支持フレームの部材は、例えば、数ミリメートル(2~5mm)の範囲内の幅及び深さ(多孔性インプラント本体内への)を有し、表面要素は、約1ミリメートル(0.8~1.5mm)の幅及び深さを有する。支柱についても同様である。
【0052】
骨インプラントは、既知のそのようなインプラントと同様に、骨成長促進材料で充填されるより大きいキャビティをさらに含むことができ、このキャビティは、それ自体既知の方法で、一方の内方成長面から他方の内方成長面まで到達することができる。さらに、骨インプラントは、それ自体既知の機械的保持手段を備えてもよい。
【0053】
多孔性インプラント本体は、適切な医学的に承認された金属、ポリマー又はセラミック材料、例えばチタン(グレード1~4)、チタン合金(例えばTi-6Al-4V又はTi-7Al-11Nb)、吸収性マグネシウム合金、PEEK、ポリラクチド(吸収性)、生体複合材料、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム若しくはそれら2つの酸化物の混合物、又はリン酸カルシウム(リン酸三カルシウム、ヒドロキシアパタイト、両方とも吸収性)から作成される。多孔性インプラント本体は、好ましくは、積層造形法、例えば選択的レーザ焼結、電子ビーム溶融、又は溶融堆積(特にポリマー及びセラミック材料に対して)を使用して製造される。例えば、挙げられている3D印刷方法で製造された多孔性構造を強化するために、HIPプロセスによってそれらを圧縮することができる。それらをより生物活性にするために、それらはガルバニック又は非ガルバニックプロセス(例えば、エッチング又はナノ蒸着)において表面処理され得る。
【0054】
好ましくは、骨インプラントの支持フレーム並びに場合によってはまたさらなる要素及び保持手段は、多孔性インプラント本体と同じ材料から作成され、多孔性インプラント本体と1つの一体部分を形成するように多孔性インプラント本体と同じ付加プロセスにおいて製造される。
【0055】
骨インプラントは、インプラント表面とインプラント体積との間の比が比較的小さい(インプラントのバルクが比較的大きい)用途に特に適しており、特に、4~約30mmの範囲内のインプラント厚さ(対向する内方成長面間の距離)を必要とする用途に適している。さらに、それは、永久的な機械的保持構造の提供が制限され、対応する外科処置の長期的な成功が手術後の骨成長の成功に大きく依存する用途に特に適している。これは、例えば、脊椎手術に使用される椎体間固定装置、他の関節固定方法に使用される様々なインプラント、及び様々な骨切り術処置に使用される楔形インプラントに当てはまる。
【0056】
骨インプラントの複数の好ましい実施形態のうちの1つは、椎体間固定インプラントであり、これは、独立型であってもよく、又は例えば椎弓根スクリュー及び脊髄ロッドのシステムなどのさらなる器具と組み合わされるタイプであってもよい。既知のそのようなインプラントは、例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2010/096942号パンフレットに開示されている。挙げられている刊行物に開示された装置は、椎体間インプラントと、独立型の場合、別個の要素を構成するか又は椎体間インプラント上に固定して配置されたプレートとを備える。プレートは、椎体間インプラントがその間に配置される2つの椎体の前側又は横側に固定される。プレートを固定するために、特に有窓ヘッド付き骨アンカーが提案され、この骨アンカーは、プレート内に設けられた貫通開口を介して椎体の骨組織内へと駆動され、例えば熱可塑性を有し、例えばアンカーの長手方向キャビティ内で振動エネルギーを印加することによって液化され、好ましくはアンカーを囲む骨組織の小柱構造内又は骨組織とアンカーとの間で再固化するために、横方向チャネル(有窓)を介してアンカーの外側に押圧される材料を用いて椎体内に固定される。
【0057】
本発明は、添付の図に関連してさらに詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【
図1A】洋梨形の断面を有する3つの横方向チャネルを含む、本発明による有窓骨アンカーの例示的な実施形態を示す図である。
【
図1B】洋梨形の断面を有する3つの横方向チャネルを含む、本発明による有窓骨アンカーの例示的な実施形態を示す図である。
【
図1C】洋梨形の断面を有する3つの横方向チャネルを含む、本発明による有窓骨アンカーの例示的な実施形態を示す図である。
【
図2】
図1A/B/Cによる有窓骨アンカーの平面図(アンカーのヘッドに向かう視線方向)である。
【
図3】横方向チャネルに向かう方向の壁厚の増加を含む、本発明による骨アンカーのさらなる例示的な実施形態の断面図である。
【
図4】横方向チャネルに向かう方向の壁厚の増加を含む、本発明による骨アンカーのさらなる例示的な実施形態の断面図である。
【
図5A】弾性片持ち梁の形態を有する、システムの例示的なロック要素の原理を示す図である。
【
図5B】弾性片持ち梁の形態を有する、システムの例示的なロック要素の原理を示す図である。
【
図5C】弾性片持ち梁の形態を有する、システムの例示的なロック要素の原理を示す図である。
【
図6A】弾性曲げ梁の形態を有する、システムの例示的なロック要素の原理を示す図である。
【
図6B】弾性曲げ梁の形態を有する、システムの例示的なロック要素の原理を示す図である。
【
図6C】弾性曲げ梁の形態を有する、システムの例示的なロック要素の原理を示す図である。
【
図7A】システムの骨アンカーの例示的な実施形態であって、骨アンカーが、弾性片持ち梁の形態のロック要素を備え、片持ち梁の長さが、貫通開口に対する骨アンカーの動きに実質的に平行に延在する、例示的な実施形態を示す図である。
【
図7B】システムの骨アンカーの例示的な実施形態であって、骨アンカーが、弾性片持ち梁の形態のロック要素を備え、片持ち梁の長さが、貫通開口に対する骨アンカーの動きに実質的に平行に延在する、例示的な実施形態を示す図である。
【
図7C】システムの骨アンカーの例示的な実施形態であって、骨アンカーが、弾性片持ち梁の形態のロック要素を備え、片持ち梁の長さが、貫通開口に対する骨アンカーの動きに実質的に平行に延在する、例示的な実施形態を示す図である。
【
図8A】システムの骨アンカーの例示的な実施形態であって、骨アンカーが、弾性片持ち梁の形態のロック要素を備え、片持ち梁の長さが、貫通開口に対する骨アンカーの動きに実質的に垂直に延在する、例示的な実施形態を示す図である。
【
図8B】システムの骨アンカーの例示的な実施形態であって、骨アンカーが、弾性片持ち梁の形態のロック要素を備え、片持ち梁の長さが、貫通開口に対する骨アンカーの動きに実質的に垂直に延在する、例示的な実施形態を示す図である。
【
図9A】システムの骨アンカーの例示的な実施形態であって、骨アンカーが、弾性曲げ梁の形態のロック要素を備え、曲げ梁の長さが、貫通開口に対する骨アンカーの動きに実質的に垂直に延在する、例示的な実施形態を示す図である。
【
図9B】システムの骨アンカーの例示的な実施形態であって、骨アンカーが、弾性曲げ梁の形態のロック要素を備え、曲げ梁の長さが、貫通開口に対する骨アンカーの動きに実質的に垂直に延在する、例示的な実施形態を示す図である。
【
図9C】システムの骨アンカーの例示的な実施形態であって、骨アンカーが、弾性曲げ梁の形態のロック要素を備え、曲げ梁の長さが、貫通開口に対する骨アンカーの動きに実質的に垂直に延在する、例示的な実施形態を示す図である。
【
図10】多孔性インプラント本体の内方成長面に垂直な断面で示されている骨インプラントの原理を示す図である。
【
図11】多孔性インプラント本体の内方成長面に垂直な断面で示されている骨インプラントの原理を示す図である。
【
図12】供給チャネル構成の例示的な実施形態の断面図である。
【
図13】供給チャネル構成の例示的な実施形態の断面図である。
【
図14】供給チャネル構成の例示的な実施形態の断面図である。
【
図15】骨インプラントのさらなる例示的な実施形態を示す図である。
【
図16】骨アンカーを用いて椎体に固定されるのに適した貫通開口を有するプレートを備える、独立型の椎体間固定装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0059】
好ましい実施形態の説明
本明細書の全体において、用語「近位」は、より外科医に近い位置を指定するために使用され、用語「遠位」は、より患者に近い位置を指定するために使用される。同様に、近位方向は、外科医に対する方向を意味し、遠位方向は、患者に対する、又はさらに患者の中への方向を意味する。各物品は、近位端及び遠位端を有し、遠位端は埋め込み時の前端であり、近位端は埋め込み時の後端である。ほとんどの記載された物品は、近位端及び遠位端と、それらの間に延在する軸とを有し、埋め込み時のこの軸は、埋め込み方向に一致するか、又は平行であり、この軸の長さは、物品の最長延伸寸法であってもよく、又はそうでなくてもよい。
【0060】
添付の図面において、同様の要素又は同じ機能を有する要素は、同じ参照符号で示されている。
【0061】
図1A/B/Cは、本発明による有窓骨アンカーの例示的な実施形態を示し、
図1Aは、アンカーの三次元図解であり、
図1A及び
図1Bは、対応する視野方向の間で90°の角度だけ互いに異なる側面図である。骨アンカー210は、ヘッド211と、シャフト212とを備える。長手方向キャビティ300は、ヘッド211を通じてシャフト内に入って閉じた遠位端に至り、3つの横方向チャネル301によってシャフトの周面に接続されている。さらに上述したように、横方向チャネル301は、洋梨形の断面を有し、すなわち、軸方向長さl(
図1Cを参照されたい)が周方向幅wよりも大きい。幅wは、近位方向に減少する。断面は、それ自体既知の方法で、鋭い角を有せず、したがって、負荷集中を防止する。横方向チャネル301は、シャフト軸の近位半分に位置する同じ軸方向位置にすべて位置付けられた外側口を有し、長手方向キャビティ300の閉じた遠位端は、近位シャフト端と遠位シャフト端との間のほぼ半分に位置する。シャフトの遠位部分の周面には、アンカーをその埋め込みのために設けられた骨開口内に保持するための例示的な手段を構成する周方向リブが設けられている。
【0062】
横方向チャネルの全体的な洋梨形状は、それらの口の側壁341及び縁部が中央領域(
図1Cの点線間)においても互いに平行ではないようなものであり、中央領域は、軸方向チャネルの軸方向延伸寸法lと比較される実質的な軸方向延伸寸法l
cを有する。また、横方向チャネルの近位半分(
図1Cの破線の上)の平均周方向幅wは、遠位半分の平均周方向幅よりも実質的に小さい。図示の実施形態における側壁と長手方向軸との間の角度は、約5°である。
【0063】
図2は、
図1A/B/Cに示す有窓骨アンカーの平面図(アンカーのヘッドから先端に向かう視線方向)である。これは、長手方向キャビティの遠位端を示しており、長手方向キャビティの遠位端は、長手方向キャビティ内に位置付けられ、超音波振動エネルギーが印加されている間に、長手方向キャビティの遠位端に押圧されている熱可塑性特性を有する材料の液化プロセス中にエネルギー濃縮手段として機能する比較的鋭い縁部306又はピークを備える。
図2には、横方向チャネル301の内側口も見える。本発明による有窓骨アンカーに適した遠位キャビティ端のさらなる例示的な実施形態は、例えば、国際公開第2011/054122号パンフレットに開示されており、その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0064】
より具体的には、長手方向キャビティ300の閉じた遠位端は、軸を中心とする円対称とは異なる形状を有する。むしろ、チャネル301は、キャビティ300の周りに壁の(洋梨形)開口(出口開口)によって形成された外側部分に加えて、長手方向キャビティ300の半径内の半径方向位置に内側部分を有することができる。したがって、長手方向キャビティの遠位端は、材料(熱可塑性特性を有する材料又は骨セメント)の異なる部分を異なる出口開口に向けるように角度を付けて構造化される。
【0065】
図1A~
図2に示す実施形態において、遠位端の構造は、チャネル301の内側部分の間に半径方向に延在する誘導壁343を備える。そのような壁の近位縁部は、任意選択的に、誘導構造として機能することに加えて、上述の意味でエネルギー誘導手段として機能してもよい。
【0066】
図3及び
図4は、本発明による有窓骨アンカーのさらなる例示的な実施形態のシャフト212を通る断面図である。これらの断面の断面平面は、横方向チャネル301の軸方向位置に位置し、特に長手方向キャビティ300と周方向シャフト表面との間の壁310を示す。この壁は、横方向チャネル301の間の位置における最小壁厚t
minから各横方向チャネル301に向かって円周方向に増加する壁厚、及び、壁が横方向チャネル301と交わる最大壁厚t
maxを有する。壁厚の増加は、例えば20%の範囲内である。この設計方策は、アンカーシャフト212の断面及び長手方向キャビティ300の断面を異なるものにし、3つの横方向チャネル301を示す図示の場合、一方の断面は円形であり、他方の断面は円形エンベロープを有する三裂である。したがって、2つの横方向チャネルを有するアンカーの場合、裂断面は楕円形(二裂)のようなものであり、4つのチャネルの場合、四裂であり、以下同様である。
【0067】
シャフトの断面が裂状であり、長手方向キャビティの断面が円形である
図3による壁310の実施形態は、熱可塑性特性を有する材料の要素を用いて上記で簡単に説明した固定プロセスに対応するアンカーを使用する場合に有利である。これは、この要素が円形断面を有する単純なピンであり得るためである。他方、これには、アンカーシャフトの三葉形断面を有するアンカーに設けられた骨開口、又は円形エンベロープ若しくは三葉形シャフト断面に実質的に対応する円形断面を有するより大きい開口のいずれかが必要である。横方向チャネルから離れる軸方向、特に近位方向において、裂状断面は、好ましくは、例えば骨プレートの同様に円形の貫通開口におけるアンカーの良好な案内を保証するように、円形断面に漸進的に変化する。
図4による壁310の実施形態は、全体的に円形断面のアンカー、例えば有窓ねじに有利であるが、上述の固定プロセスでは、非円形断面を有するピンの形態の熱可塑性特性を有する材料から成る要素を必要とする。
【0068】
本発明による有窓骨アンカーのさらなる実施形態は、ヘッドを備えないか又は異なる形態のヘッドを備えること、3つの横方向チャネルの代わりに1つのみ又は例えば2つ又は4つの横方向チャネルを備えること、横方向チャネルが軸方向シャフト長さのさらに近位に位置せず中央又はさらに遠位に位置すること、長手方向キャビティがシャフトを通じて右に到達し、開放遠位端を有すること、全般的な円形シャフト断面を有せず、例えば本開示の導入部に列挙されているシャフト断面を有すること、横方向チャネルが同じ軸方向位置ではなく異なる軸方向位置に位置すること、及び/又は、例えば本開示の導入部に列挙されているものとは異なる保持手段を有すること又は保持手段を有しないことによって、添付の図面に示される実施形態とは異なる。挙げられているすべての代替的な特徴は、本発明による有窓骨アンカーの複数のさらなる例示的な実施形態に対して選択的に使用又は組み合わせることができ、特定の用途のために設計することができる。
【0069】
図5A/B/C及び
図6A/B/Cは各々、本発明による有窓骨アンカーの任意の実施形態に適したロック要素200の例示的な実施形態の原理を概略的に示しており、骨アンカーはインプラントに設けられた貫通開口と協働し、骨アンカー及びインプラントは共にシステムを形成する。これらの図の各々は、システムに属する骨アンカーの表面部分201又はインプラントの貫通開口を示し、ロック要素200はこの表面部分201内に配置される。
図5A、
図5C、
図6A及び
図6Cは、表面部分201及びロック要素200を通る断面であり、断面平面は、それぞれ骨アンカー又は貫通開口の軸、又は埋め込み方向に実質的に平行に向けられている。これらの図は、ロック要素200を、それが表面部分201の一般的なレベルから突出するその弛緩位置(実線)、及び、それが表面部分201の一般的なレベルからほとんど又はまったく突出しない(面一又は皿頭)その弾性的に緊張した位置(破線)において示す。
図5B及び
図6Bは、表面部分201及びロック要素200の平面図である。表面部分201は、好ましくは、骨アンカーヘッド又は骨アンカーシャフトのいずれかの周面の部分であり、実質的に凸状である。しかしながら、図示された表面部分201はまた、インプラントの貫通開口の内面の部分であってもよく、そのような場合、実質的に凹状である。骨アンカー(シャフト又はヘッド)上に配置されたロック要素は、矢印Iで示す方向(埋め込み方向)に貫通開口に対して移動される。貫通開口内に配置されたロック要素は、矢印I’によって示される反対方向に骨アンカーに対して移動される。
【0070】
ロック要素200は、案内傾斜部202及びロック面203を有する突出部を備え、案内傾斜部202は、移動方向I又はI’に応じて、ロック面の上流又は下流に位置する。図示のロック要素は、ロック要素の全幅にわたって延在する傾斜部202及びロック面203を有する突出部を備える。あるいは、突起はより狭くてもよい。
【0071】
図5A/B/Cに示されているロック要素は、それぞれ方向I及びI’又は骨アンカー若しくは貫通開口の軸に実質的に平行な平面内で枢動する弾性片持ち梁の形態を有する。片持ち梁を画定する空隙205は、その長さに沿って、及びまたその幅に沿って片側にも延在し、表面部分201の下のバルクの厚さ及びバルク材料に応じて、さらにロック要素の下に(
図5A)又はロック要素の下のバルクを完全に貫通して(
図5C)延在する。
【0072】
図6A/B/Cに示されているロック要素は、それぞれ方向I及びI’又は骨アンカー若しくは貫通開口の軸に実質的に平行な平面内に曲げ運動を有する弾性曲げ梁の形態を有する。曲げ梁を画定する空隙205は、その長さに沿ってその幅を限定し、表面部分201の下のバルクの厚さ及びバルク材料に応じて、さらにロック要素の下に(
図6C)又はロック要素の下のバルクを完全に貫通して(
図6C)延在する。
【0073】
ロック要素の片持ち梁又は曲げ梁の寸法は、ロック要素が位置する領域内のバルク材料及びバルク厚さに適合させる必要がある。一般的に言えば、片持ち梁又は曲げ梁の変形は、弾性範囲(1%未満)に留まる必要がある。
図5A及び
図6Aに示すようなロック要素の場合、ロック要素の厚さ及びそれに伴う長さに関して、ロック要素の厚さがバルク厚さによって与えられる
図5C及び
図6Cに示すロック要素の場合よりも設計上の自由度がある。これに対して、
図5A及び
図6Aの実施形態は、最小バルク厚さのみを必要とし、
図5C及び
図6Cによる実施形態は、バルク厚さの限定された範囲内でのみ実現することができる(実質的に、カニューレ挿入される骨アンカーに限定される)。
図5C及び
図6Cによる実施形態の適用可能性は、これらのロック要素が、例えば、カニューレ挿入された骨アンカーの壁を通る貫通開口を構成するという事実によってさらに制限され、これは、特に、アンカーが、例えば骨セメントなどの流動可能材料を用いた補強プロセスのために使用される場合、ロック要素の位置において許容できない可能性がある。
【0074】
図5A/B/C及び
図6A/B/Cに示すようなロック要素は、方向I及びI’又はそれらが配置されている骨アンカー若しくは貫通開口の軸に実質的に平行に延在する長さを有する片持ち梁又は曲げ梁を備える。これは、本発明によるシステムのロック要素の必須の特徴ではない。そのような片持ち梁又は曲げ梁の長さはまた、方向I及びI’に対してある角度で、又はそれらに対して実質的に垂直に延在することもでき、傾斜部及びロック面は、依然として、互いに対する骨アンカー及び貫通開口の移動方向において互いに続いて配置されなければならない。これは、この移動の方向に対して実質的に垂直に延在する片持ち梁又は曲げ梁の長さについて、傾斜部及びロック面が片持ち梁の幅又は曲げ梁の幅にわたって互いに隣接して配置されることを意味する。挙げられている移動方向又はアンカー軸に実質的に垂直に延在する長さを有する片持ち梁及び曲げ梁の形態のロック要素の2つの例示的な実施形態が、それぞれ
図8A/B及び
図9A/B/Cに示されている。
【0075】
図7A/B/Cは、本発明によるシステムの骨アンカーの例示的な実施形態を示す。骨アンカーは、その軸(
図7B)に沿って切断された側面(
図7A)から見て、3次元表現(
図7C)で示されている。骨アンカー210は、ヘッド211と、シャフト212とを備え、シャフト上には、
図5A及び
図5Bに示されているタイプの2つの対向する一体型ロック要素200が設けられている。ロック要素200の各々は、空隙205によって三辺が囲まれ、アンカー軸及び方向Iに平行に延在する長さを有する弾性片持ち梁の形態を有する。ロック要素は、傾斜部202と、ロック面203とをさらに備え、ロック面203は、
図7Aから最もよく分かるように、片持ち梁の幅よりも小さい幅を有し、
図7Bから最もよく分かるように、片持ち梁の長さにわたって各々に隣接して配置され、方向Iにおいて、傾斜部202はロック面203の下流に配置される。
【0076】
図8A/Bは、本発明によるシステムの骨アンカー210のさらなる例示的な実施形態を示す。骨アンカー210は、三次元表現(
図8A)及びその近位面に対して見た平面図(
図8B)において示されている。骨アンカー210は、ヘッド211と、シャフト212(
図8Bに部分的にのみ示されている)と、ヘッドに配置されている、
図8A及び
図8Bに関連して図示及び説明したように片持ち梁の形態の2つのロック要素200とを備える。
図8A及び
図8Bに示す以外に、片持ち梁の長さは、方向I又はアンカー軸に平行に向けられていないが、後者に対して垂直に向けられている。すなわち、片持ち梁の長さは円周方向に延在し、傾斜部202及びロック面203は、片持ち梁の幅にわたって互いに隣接して配置され、傾斜部202は、方向Iに対してロック面203の下流に配置されている。
【0077】
図9A/B/Cは、本発明によるシステムの骨アンカー210のさらなる例示的な実施形態を示す。骨アンカーは、3次元表現(
図9A)及び2つの側面図(
図9B及び
図9C、両視線方向間の角度は90°)で示されている。骨アンカー210は、同じくヘッド211と、近位カニューレ挿入シャフト211と、ヘッド211上に配置されており、
図6A及び
図6Bに示すように曲げ梁の形態の2つの対向するロック要素200とを備える。
図6A及び
図6B以外に、ビーム長さは、アンカー軸に実質的に平行ではなく、アンカー軸に実質的に垂直に、すなわち、円周方向に、アンカー軸又は方向Iに実質的に垂直に延在する。したがって、ロック要素200の傾斜部202及びロック面203は、
図8A/Bに関連してさらに説明したように、ビーム幅にわたって互いに隣接して配置される。
【0078】
前のすべての図において、骨アンカー及びまたそれに伴うインプラントの貫通開口は、実質的に円形の断面を有する。無論、これらの断面は、例えば、楕円形、長方形、鋭い又は鈍い縁部を有する多角形などの他の形態を有してもよい。これは、ロック要素が設けられる表面部分が必ずしも曲面である必要はないことを意味する。
【0079】
図7~
図9に示すすべての骨アンカーは、長手方向キャビティ及び横方向チャネルを備える有窓骨アンカーであり、骨セメント又は熱可塑性特性を有する材料を使用して補強されることによって骨組織内に保持されるのに適している。これは、本発明によるシステムの必須の特徴ではない。このシステムの骨アンカーは、それ自体既知の保持手段を備えてもよく、すなわち、骨アンカーは骨ねじ(固体、カニューレ挿入又は有窓)であってもよく、又はリブ、縁部、弾性要素などの形態の保持手段を備えてもよい。本発明によるシステムの骨アンカーはまた、場合によっては粗い周面を有し、圧入によって骨組織内に保持されるのに適した単純なヘッド付きピンであってもよい。
【0080】
図10及び
図11は、骨インプラントの多孔性インプラント本体の構造の原理を示し、
図10は、2つの対向する実質的に平行な内方成長面を有するインプラント例、例えば、椎体間固定インプラントを示し、
図11は、例えば、骨切り術処置において頻繁に使用されるような楔形インプラントなど、互いに対してある角度で延在する2つの内方成長面を有するインプラント例を示す。
【0081】
その間にそれが埋め込まれる、生きている骨表面101に垂直な断面において
図10に示されるインプラント100は、例えば、椎体間固定インプラントであり、このような場合、生きている骨の表面101は、隣接する椎体の下面及び上面に適切に準備され、埋め込まれたインプラントに作用する力は、主に、生きている骨の表面101又は内方成長面104に実質的に垂直に作用する圧縮力(矢印F)である。インプラント100は、多孔性チャネル103の三次元ネットワークを構成する開放多孔性の多孔性インプラント本体102を備える。内方成長面104は、多孔性インプラント本体102の対向する両側の表面であり、インプラントの埋め込み状態では、生きている骨の表面101と直接接触している。インプラント本体は、埋め込まれているインプラントに作用する力の方向に実質的に2つの内方成長面104の間に延在する複数の供給チャネル105をさらに備える。多孔性チャネル103は、十分の数ミリメートルの範囲内の直径を有する断面を有するが、供給チャネル105は、数ミリメートル(好ましくは1~3mm)の直径d1の断面を有する。供給チャネル105間の距離d2は、2~6mm(好ましくは3~5mm)の範囲内である。必ずしもそうとは限らないが、好ましくは、供給チャネル105間の距離d2は、多孔性インプラント本体の全体にわたってほぼ一定であり、決して約5~6mmよりも大きくない。これは、供給チャネル105が、好ましくは、実質的に規則的なパターンで多孔性インプラント本体100を通じて延在することを意味する。
【0082】
また、
図10には、多孔性インプラント本体102を少なくとも部分的に囲む支持フレームの実質的に非多孔性の縁部部材108、並びに、内方成長面104内で面一に延在するように配置されており、例えば供給チャネル105の口を囲み、及び/又はそのような口の間に延在する実質的に非多孔性の表面要素109も示されている。また、
図11には、供給チャネル105のうちの1つの壁に沿って延在する支柱110が示されており、同一の供給チャネル105内に2つ以上の支柱110が設けられてもよく、支柱間の距離は0.5~2mmの範囲内にあるべきである。表面要素109及び支柱110は、供給チャネル105の各々に対して、又は選択されたものに対してのみ設けられてもよい。
【0083】
図11は、例示的な楔形インプラント100の非常に概略的な図であり(この場合もやはり、内方成長面104に垂直な断面における)、このインプラントは、骨切り手術における使用に適している可能性がある。インプラントの主な特徴は、
図10に示すインプラントの特徴、すなわち、内方成長面104(
図11では、互いに対してある角度にある2つの内方成長面)、一方の内方成長面104から他方に向かって延在する供給チャネル105、及び支持フレームの部材108を有する多孔性インプラント本体102と同じである。一方の内方成長面104から他方の内方成長面まで延在し、いずれか一方の内方成長面104に口を有する供給チャネル105に加えて、1つの口及び口の反対側の閉じた端部のみを有する2つのブラインド供給チャネル105’が示されている。閉じた端部を超える骨の内方成長の十分な供給を保証するために、死端部は、隣接する内方成長面から5~6mm(好ましくは3~5mm)以下の距離に位置付けられるべきである(供給チャネル間の距離と同じ)。
図11によるインプラントの支持フレームは、多孔性インプラント本体102の遠位端に配置された縁部部材108に加えて、近位インプラント表面を構成する部材120と、インプラント本体を通じて延在する少なくとも1つの中央部材121とを備える点で、
図10によるインプラントの支持フレームとは異なる。
図11によるインプラントは、
図10に関連してさらに上述したような、表面要素又は支柱(図示せず)を備えてもよく、又は備えなくてもよい。
【0084】
骨インプラントの任意の実施形態は、一方の内方成長面から他方の内方成長面まで延在する供給チャネル(
図10に示すような)に加えて又はそれに代えて、
図11に示すようなブラインド供給チャネルを備えてもよい。
【0085】
図12は、骨インプラントにおける供給チャネル105の配置構成、すなわち上述の六角形の配置構成の好ましい実施形態をさらに示す。この配置構成は、供給チャネルに対して実質的に垂直な断面で示されている。この配置構成では、すべての供給チャネル105が6つの最近傍チャネルを有し、距離d3(一点鎖線でマークされた円の半径)が1~3mmの所与の限界に対応する場合、チャネル間のすべての位置が安全に供給を受け得る。六角形の配置構成では、最小数の供給チャネルによって最大体積の多孔性構造が供給を受け得る。
【0086】
また、
図12には、例示的な供給チャネルが示されており、供給チャネルは、供給チャネルの口を囲むか、又はそれらを接続する表面要素109と、様々な数の支柱110を含む供給チャネルとを備え、任意の供給チャネル構成の供給チャネル105及び上述の任意の骨インプラントが、それに対応して備えられてもよく、又は備えられなくてもよい。
【0087】
前のすべての図において、供給チャネルは、断面が実質的に円形である。これは、骨インプラントの必須の特徴ではない。反対に、骨インプラントのすべての実施形態において、供給チャネルは、これらの断面の最小寸法が1~3mmの範囲内である限り、任意の他の形態の断面を有してもよい。これは、供給チャネルが、例えば、正方形、長方形、スロット形状、三角形、楕円形、裂状、五角形、六角形などの断面を有してもよく、1つのインプラントにおいて、すべての供給チャネルが同じ又は異なる断面を有してもよいことを意味する。
【0088】
図13及び
図14は、細長い、すなわちスロット形状の断面を有する供給チャネルを備える、(ここでも供給チャネルに対して垂直に区分された)2つの供給チャネル配置構成を概略的に示す。
【0089】
図13に示す配置構成は、1~3mmの範囲内の幅(最小寸法)、及び2~6mm、好ましくは3~5mmの所与の範囲内の互いからの距離を有するスロット形状の断面を有する供給チャネル105の互い違いの配置構成である。一点鎖線は、
図12と同様に、供給チャネル105の各々が供給可能な多孔性構造の体積を示している。
【0090】
図14に示す配置構成は、スロット形状、及び、規則的なパターンで配置構成された円形(又は回転対称性を有する任意の他の形状)の断面を有する供給チャネル105を有する供給チャネル105を備え、これにより、異なる断面を有する供給チャネルを備える供給チャネル配置構成の例を構成する。上記のような任意の骨インプラントでは、他の、場合によっては異なる断面形状の供給チャネルを様々な数で組み合わせることができ、配置構成が
図12~
図14に示すように規則的である必要はない。
【0091】
図15は、例示的な骨インプラントを非常に概略的に示しており、このインプラントでは、2つの内方成長面104間の距離は、拡大口部分125を有するように供給チャネル105を設計することが好ましい範囲(20~40mm)内にある。そのような拡大口部分は、骨成長促進材料を必要とせずに長期の骨成長によって依然として架橋されることができるように、3~10mmの範囲の寸法を有することが好ましい。重大なサイズ欠陥を構成する、より大きいそのような拡大口部分は、骨成長促進材料の導入が実際には実現不可能であるため、推奨されない。
図15に示すように、供給チャネル105の拡大口部分125が、一方の内方成長面と他方の内方成長面とに交互に配置され、それによって、好ましくは3~5mmの範囲内の供給チャネル間の所定の距離を確保することができる。好ましくは、供給チャネル105の拡大口部分125の軸方向長さは、供給チャネルの可能な限り多くの自発的な骨成長充填を最大化するように、短い軸方向長さのみを有する。
【0092】
特に支持フレーム及び断面形状並びに供給チャネル配置構成に関する骨インプラントの上記の特徴はすべて、拡大口部分を有する供給チャネルを含む実施形態にも適用可能である。
【0093】
図16は、骨インプラントのさらなる例示的な実施形態の上面図(内方成長面104の一方に対して見た)である。インプラント100は、独立型の椎体間固定装置であり、上述のように、供給チャネル105を有する多孔性インプラント本体102と、隣接する椎体間に位置付けられる部材108を有する支持フレームとを備える。椎体間固定装置は、骨プレート130(保持手段)と、骨プレート130を椎体の側壁部分又は後壁部分に固定するのに適した複数の骨アンカー(図示せず)とをさらに備える。図示の実施形態では、骨プレート130は、骨アンカーのうちの1つを受け入れるための貫通開口を各々が備える複数のローブ135に縮小されている。多孔性インプラント本体102、支持フレーム部材108、骨プレート130、及び該当する場合には表面要素109又は支柱は、好ましくは、単一の積層造形プロセスにおいて製造される一体品として同じ材料から作成される。
【0094】
多孔性インプラント本体102は、上述のような供給チャネル105を備え、供給チャネルの口は、表面要素109によって少なくとも部分的に囲まれており、場合によっては接続要素111(内方成長面の左手側に示されている)によって互いに接続されている。支持フレームは、縁部部材108と、一方の内方成長面から他方の内方成長面まで多孔性インプラント本体を通じて延在し、骨成長促進移植材料で充填されるのに適した中央キャビティ133を取り囲んでもよく、又は取り囲まなくてもよい2つの中央部材132とを備え、この目的のために、このキャビティ133は、インプラントの近位面とそれを接続する供給開口134を備える。
【国際調査報告】