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特表2023-521778マイクロアレイを製造するための装置、及びマイクロアレイを製造するための方法
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  • 特表-マイクロアレイを製造するための装置、及びマイクロアレイを製造するための方法 図1
  • 特表-マイクロアレイを製造するための装置、及びマイクロアレイを製造するための方法 図2
  • 特表-マイクロアレイを製造するための装置、及びマイクロアレイを製造するための方法 図3
  • 特表-マイクロアレイを製造するための装置、及びマイクロアレイを製造するための方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-25
(54)【発明の名称】マイクロアレイを製造するための装置、及びマイクロアレイを製造するための方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 37/00 20060101AFI20230518BHJP
【FI】
A61M37/00 505
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022561597
(86)(22)【出願日】2021-03-25
(85)【翻訳文提出日】2022-11-28
(86)【国際出願番号】 EP2021057804
(87)【国際公開番号】W WO2021204557
(87)【国際公開日】2021-10-14
(31)【優先権主張番号】102020204651.4
(32)【優先日】2020-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】300005035
【氏名又は名称】エルテーエス ローマン テラピー-ジステーメ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】ヘンケ,ステファン
(72)【発明者】
【氏名】ベンダー,ヨルク
(72)【発明者】
【氏名】トロマー,ハーゲン
(72)【発明者】
【氏名】シェール,セバスチャン
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA72
4C267BB02
4C267BB04
4C267BB40
4C267CC01
4C267FF10
4C267HH08
(57)【要約】
【解決手段】本発明は、マイクロアレイを製造するための装置に関し、装置はダイ(10)を備えている。ダイ(10)は複数のキャビティ(12)を有しており、キャビティ間の領域を覆うためにカバー要素(18)が更に設けられている。このようにして、活性剤含有液体を定量供給するときに、キャビティ(12)間の領域から活性剤含有液体を除去することが可能である。これは、カバー要素(18)を再び除去することにより行われる。次に、活性剤を含まない液体を定量供給することができ、活性剤を含まない液体をキャビティの残りの部分に充填し、ダイ(10)の上面(14)に支持層(30)が形成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロアレイを製造するための装置であって、
複数のキャビティ(12)を有するダイ(10)と、
前記キャビティ(12)間の領域を覆うカバー要素(18)と
を備えている、装置。
【請求項2】
前記ダイ(10)は、前記キャビティ(12)の開口部(16)が形成されている上面(14)を有している、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記カバー要素(18)は、特に活性剤含有液体の定量供給中に前記ダイ(10)の上面(14)に載置されている、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記カバー要素(18)は、特に活性剤含有液体を定量供給するために除去可能である、請求項1~3のいずれか1つに記載の装置。
【請求項5】
前記カバー要素はホイルとして形成されている、請求項1~4のいずれか1つに記載の装置。
【請求項6】
前記カバー要素(18)はテンプレートとして形成されている、請求項1~5のいずれか1つに記載の装置。
【請求項7】
前記カバー要素(18)は、前記キャビティ(12)に突出する突出部分(20)を有している、請求項1~6のいずれか1つに記載の装置。
【請求項8】
前記突出部分(20)は、前記キャビティ(12)の上部領域で前記キャビティ(12)の内壁(22)に設けられている、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記突出部分(20)は、カラーのように周縁に形成されている、請求項7又は8に記載の装置。
【請求項10】
前記キャビティ(12)の上部領域全体が、前記突出部分(20)によって覆われている、請求項7~9のいずれか1つに記載の装置。
【請求項11】
特に請求項1~10のいずれか1つに記載の装置によって、マイクロアレイを製造するための方法であって、
特にダイ(10)のキャビティ(12)間の領域が覆われるように、前記ダイ(10)にカバー要素(18)を配置する工程、
前記キャビティ(12)に活性剤含有液体を定量供給する工程、
前記カバー要素(18)を除去する工程、並びに
前記マイクロアレイの支持層(30)を形成するために、前記キャビティ(12)内、及び前記ダイの上面(14)に活性剤を含まない液体を定量供給する工程
を有する、方法。
【請求項12】
前記カバー要素(18)を除去する前に乾燥工程を行う、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロアレイを製造するための装置、及びマイクロアレイを製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロアレイは、一般的にはパッチ、プラスタなどの支持要素上に配置されているか又は支持要素に連結されている複数のマイクロニードルを有している。この種のマイクロアレイは多数のマイクロニードルを有している。この場合、針の長さは、マイクロニードルが患者の皮膚に入り込むとき、マイクロニードルが、針の先端が可能な限り神経又は血管に接触しない程度にのみ皮膚に入り込むように選択される。マイクロニードルは活性剤又は薬物を含む。この場合、対応する活性剤をマイクロニードルの表面又は外側に塗布することが可能である。同様に、マイクロニードル自体は対応する活性剤を含むことができ、マイクロニードルの材料は患者の皮膚で溶解する。このようにして、活性剤を塗布する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
例えばシリコーンで形成されているダイの使用は、マイクロアレイを製造するために知られている。前記ダイは、マイクロニードルを形成する複数のキャビティを有している。対応する活性剤を含む液体又は質量体がキャビティに少なくとも部分的に充填されるように、対応する活性剤を含む液体又は質量体がダイに定量供給される。この場合、支持層又は支持要素がダイの上面で得られるほど大きいダイに、ある量の活性剤含有液体を定量供給することが可能であり、支持層又は支持要素は個々のニードルを相互に連結する。この場合、マイクロアレイ全体が活性剤含有材料から形成され、この材料は高価であるため、マイクロアレイを複数の層から形成することが更に知られている。この場合、最初に、第1の活性剤含有液体をダイのキャビティに定量供給する。任意に、第1の乾燥工程後、活性剤を含まない更なる液体を定量供給する。任意に、3以上の層を設けることが更に可能である。複数の層からマイクロアレイを製造するときの不利点は、活性剤含有液体の定量供給中、活性剤含有液体が、キャビティの先端部に達するだけでなく、ダイの上面及びキャビティの上縁部又は上部の内壁にも位置することが多いということである。このような場所にある活性剤は患者に投与されない。
【0004】
本発明の目的は、活性剤含有液体が実質的にキャビティの先端部のみに設けられることを保証する、マイクロアレイを製造するための装置を提供することである。本発明の目的は更に、マイクロアレイを製造するための対応する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
これらの目的は、請求項1の特徴を有するマイクロアレイを製造するための装置、及び請求項11の特徴を有するマイクロアレイを製造するための方法によって達成される。
【0006】
マイクロアレイを製造するための本発明に係る装置は、複数のキャビティを有するダイを備えている。更に、キャビティ間の領域を覆うカバー要素が設けられている。その結果、特に多層のマイクロアレイの場合、キャビティ間の領域が少なくとも部分的に覆われるように、まずカバー要素をダイの上面に載置することが可能である。次の工程で、活性剤含有材料、特に対応する液体を定量供給する。キャビティに入らないが、カバー要素上に堆積する液体の部分が、カバー要素を除去することによって簡単に除去され得る。その後、次の工程で、第2の活性剤を含まない液体を定量供給することが可能である。このため、対応する支持層又は対応する支持要素を形成することが可能である。この場合、キャビティが部分的にのみ充填されるような量で第1の活性剤含有液体を定量供給する。これにより、ニードルの先端部は活性剤を含む。その後、個々のニードルの上部に、活性剤を含まない材料を充填する。加えて、支持要素を形成するキャップ層がダイの上面に適用される。
【0007】
ダイは、キャビティの開口部が形成されている上面を有していることが好ましい。キャビティは特に角錐状に形成されており、正方形状の断面を有する。キャビティは、円形の断面を有する球として更に構成され得る。カバー要素は、特に活性剤含有液体の定量供給中にダイの上面に載置するように構成されている。この場合、実質的にキャビティ間の領域のみがカバー要素によって覆われるように、カバー要素は、開口部を有するテンプレート又はホイルに応じて構成されている。
【0008】
その後の工程で活性剤を含まない液体を定量供給するために、カバー要素は、好ましくはダイの上面のみに設けられて、ひいては簡単に除去され得る。カバー要素を除去することにより、キャビティの先端部にない活性剤含有液体も除去される。
【0009】
本発明の好ましい展開例では、カバー要素はホイル又はテンプレートである。カバー要素が、キャビティに突出する突出部分を有していることが特に好ましい。特に、突出部分は、キャビティに上部領域で突出してキャビティの内壁に設けられるように構成されている。このため、カバー要素を除去すると、キャビティの上部領域にある活性剤含有液体を更に除去することが可能である。この場合、キャビティの上部領域は、ダイの上面の方向に面する領域である。
【0010】
特に、少なくとも個々の突出部分は、カラーのように周縁にあるように構成されている。このようにして、少なくとも個々の突出部分は、いずれの場合にも1つのキャビティに周縁のカラーとして突出している。全ての突出部分はこのようにして構成されていることが好ましい。少なくとも個々の突出部分が、対応するキャビティの上部領域で前記上部領域を完全に覆うように構成されていることが特に好ましい。
【0011】
本発明に係る装置により、活性剤含有液体が実質的にマイクロニードルの先端部の領域にのみ存在するため、マイクロアレイの品質を大幅に向上させることが可能になる。
【0012】
本発明は更に、マイクロアレイを製造するための方法に関し、この方法を本発明に係る上述した装置によって行うことが特に好ましい。本発明に係る方法の第1の工程では、カバー要素をダイに、特にダイの上面に配置する。この場合、カバー要素は、ダイのキャビティ間にある領域を覆うように構成されている。カバー要素は、好ましくは上述したように構成されることができ、特にキャビティ内に突出する突出部分を有している。
【0013】
キャビティ内への活性剤含有液体の定量供給を次の工程で行う。処理中、活性剤含有液体はカバー要素にも達する。その後、次の工程でカバー要素を除去する。任意に、カバー要素を除去する前に乾燥工程を行うことが可能であり、乾燥工程では、活性剤含有液体は、溶媒の蒸発によって少なくとも部分的に硬化する。
【0014】
カバー要素を除去した後、活性剤を含まない液体を、キャビティ内及びダイの上面の両方に定量供給する。その結果、マイクロアレイの支持層又は支持要素が形成される。
【0015】
特に好ましい実施形態では、個々の工程を上述した順序で行う。
【0016】
任意に、一又は複数の中間層を更に定量供給することが可能であり、このような中間層は、マイクロアレイを安定させる、及び/又は別の活性剤を含むのに役立つ。
【0017】
本発明を、好ましい実施形態に基づき添付図面を参照して以下に更に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】異なる状態における、マイクロアレイを製造するための本発明に係る装置を示す図である。
図2】異なる状態における、マイクロアレイを製造するための本発明に係る装置を示す図である。
図3】異なる状態における、マイクロアレイを製造するための本発明に係る装置を示す図である。
図4】異なる状態における、マイクロアレイを製造するための本発明に係る装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、複数のキャビティ12を有するダイ10の断面略図である。個々のキャビティ12がダイの上面14の領域に開口部16を有するように、キャビティはダイの上面14から延びている。
【0020】
活性剤含有液体を定量供給する前に、カバー要素18(図2)がダイ10の上面に載置される。この場合、カバー要素18は、キャビティ12間に形成される上面14の領域を覆うように構成されている。カバー要素18は突出部分20を更に有している。前記突出部分はキャビティ12に突出しており、キャビティの上部領域、すなわちダイ10の上面14の方向に面した領域でキャビティの内壁22を覆っている。
【0021】
活性剤含有液体の定量供給を次の工程で行う(図3)。対応する液体は先端部24に設けられる。特にキャビティのサイズが小さいため、キャビティ12のみへの定量供給が不可能であるので、活性剤含有液体の一部はカバー要素18に設けられる。これらは、活性剤含有液体の滴状領域26である。
【0022】
カバー要素18を除去することにより、カバー要素上にある活性剤含有液体が更に除去される。その後、以降の工程中、いかなる活性剤も含まない液体を定量供給することが可能である。前記液体は、一方ではキャビティの上部領域28を満たし、他方では連続的なキャップ層30を形成する。材料の硬化後、ダイ10からマイクロアレイを外すことが可能である。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】