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特表2023-521797新規の抗菌ペプチドまたはペプチド類似体およびこの用途
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-25
(54)【発明の名称】新規の抗菌ペプチドまたはペプチド類似体およびこの用途
(51)【国際特許分類】
   C07K 4/00 20060101AFI20230518BHJP
   A61K 38/10 20060101ALI20230518BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20230518BHJP
   A61K 47/64 20170101ALI20230518BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230518BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20230518BHJP
【FI】
C07K4/00 ZNA
A61K38/10
A61P31/04
A61K47/64
A61P43/00 121
A61K45/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022561680
(86)(22)【出願日】2021-04-05
(85)【翻訳文提出日】2022-12-06
(86)【国際出願番号】 KR2021004232
(87)【国際公開番号】W WO2021206397
(87)【国際公開日】2021-10-14
(31)【優先権主張番号】10-2020-0042340
(32)【優先日】2020-04-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522395082
【氏名又は名称】キャンプ セラピューティクス インク
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100196117
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 利恵
(72)【発明者】
【氏名】ソン-シル ヒュン
(72)【発明者】
【氏名】ユン-ファ チョイ
(72)【発明者】
【氏名】ソル-ア チョー
(72)【発明者】
【氏名】テ-ウ パク
(72)【発明者】
【氏名】ジェ-フン ユ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4C076CC32
4C076EE41
4C076EE59
4C084AA01
4C084AA02
4C084AA19
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA18
4C084BA23
4C084CA59
4C084DA42
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZB351
4C084ZB352
4C084ZC751
4H045AA10
4H045BA17
4H045BA55
4H045BA72
4H045EA20
4H045EA29
4H045FA33
(57)【要約】
本発明は新規の抗菌ペプチドまたはペプチド類似体およびこのバクテリア感染治療用途に関し、具体的には、疏水性アミノ酸および親水性アミノ酸で構成されたアルファ螺旋状両親媒性ペプチドが折れた構造を有し、N-末端に脂肪酸が結合されたペプチドまたはペプチド類似体、バクテリア感染、特にグラム陰性菌による感染の治療用途に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の化学式1で表示される、ペプチドまたはペプチド類似体:
<化学式1>
101112131415
前記化学式1において、
、X、X、X、X、X12、およびX15はそれぞれ独立的に親水性アミノ酸または非タンパク質構成アミノ酸(non-proteinogenic amino acids)であり、ただし、これらのうち一つ以上はAlaまたはSerであり得、
、X、X、X、X11、X13またはX14それぞれ独立的に疏水性アミノ酸またはこれらの混合物であり、
10はProであり、
~X15のうちいずれか一つの位置でC~C16脂肪酸が結合され得、
はN-末端であり、X15はC-末端である。
【請求項2】
、X、X、X、X、X12、およびX15はそれぞれ独立的にLys、Arg、His、およびこの誘導体から選択される親水性アミノ酸または2,3-ジアミノプロピオン酸(Dap)、2,4-ジアミノブタン酸(Dab)、またはオルニチン(Orn)であり、ただし、これらのうち一つ以上はAlaまたはSerであり得;
、X、X、X、X11、X13およびX14はそれぞれ独立的にLeu、Ala、Ile、Phe、Val、Trp、またはTyrから選択される疏水性アミノ酸またはHdfであり、ここでHdfはLeu、Ala、Val、Ile、およびPheを同じ量で含むアミノ酸混合物である、請求項1に記載のペプチドまたはペプチド類似体。
【請求項3】
、X、X、X、X、X12、およびX15はそれぞれ独立的にLys、Ala、Ser、または2,4-ジアミノブタン酸(Dab)である、請求項2に記載のペプチドまたはペプチド類似体。
【請求項4】
、X、X、およびXはそれぞれ独立的にLeu、Ala、Val、Ile、Phe、またはHdfである、請求項2に記載のペプチドまたはペプチド類似体。
【請求項5】
11、X13、およびX14はそれぞれ独立的にLeuまたはAlaである、請求項2に記載のペプチドまたはペプチド類似体。
【請求項6】
の位置でC~C12脂肪酸が結合されているものである、請求項2に記載のペプチドまたはペプチド類似体。
【請求項7】
、X、X、X、X、X12、およびX15はそれぞれ独立的にLysであり、
、X、X、X、X11、X13およびX14はそれぞれ独立的にLeuである、請求項2に記載のペプチドまたはペプチド類似体。
【請求項8】
、X、X、X、X、X12、およびX15はそれぞれ独立的にLysまたはAlaであり、
、X、X、X、X11、X13およびX14はそれぞれ独立的にLeu、AlaまたはValであり、ただし、X10を除いたX~X15のうち一つ以上はAlaまたはValである、請求項2に記載のペプチドまたはペプチド類似体。
【請求項9】
、X、X、X、X、X12、およびX15はそれぞれ独立的にLysであり、
、X、およびX11はそれぞれ独立的にLeu、Ala、またはValであり、
、X、X13、およびX14はそれぞれ独立的にLeuであり、
の位置でC6~C12脂肪酸が結合されているものである、請求項2に記載のペプチドまたはペプチド類似体。
【請求項10】
、X、X、X、X、X12、およびX15はそれぞれ独立的にDabであり、
、X、X、およびXはそれぞれ独立的にLeu、Ala、Ile、Phe、Val、またはHdfであり、このときX、X、X、およびXのうち二つ以上はそれぞれ独立的にAla、Ile、Phe、Val、またはHdfであり、
11、X13、およびX14はそれぞれ独立的にLeuであり、
の位置でC8またはC12脂肪酸が結合されているものである、請求項2に記載のペプチドまたはペプチド類似体。
【請求項11】
、X、X、X、X、X12、およびX15はそれぞれ独立的にDabであり、
、X、X、およびXはそれぞれ独立的にLeu、Ala、Phe、またはValであり、このときX、X、X、およびXのうち三つ以上はそれぞれ独立的にAla、Phe、またはValであり、
11、X13、およびX14はそれぞれ独立的にLeuであり、
の位置でC8脂肪酸が結合されているものである、請求項2に記載のペプチドまたはペプチド類似体。
【請求項12】
、X、X、X、X、X12、およびX15はそれぞれ独立的にDabまたはSerであり、このときX、X、X、X、X、X12、およびX15のうち一つ以上はそれぞれ独立的にSerであり、
およびXはそれぞれ独立的にAlaであり、
およびXはそれぞれ独立的にLeu、PheまたはValであり、
11、X13、およびX14はそれぞれ独立的にLeuであり、
の位置でC8脂肪酸が結合されているものである、請求項2に記載のペプチドまたはペプチド類似体。
【請求項13】
、X、X、X、X、X12、およびX15はそれぞれ独立的にLys、Ala、Ser、またはDabであり、
、X、X、およびXはそれぞれ独立的にLeu、Ala、Val、Ile、Phe、またはHdfであり、
10はProであり、
11、X13、およびX14はそれぞれ独立的にLeuまたはAlaであり、
の位置でC~C12脂肪酸が結合され得るもおである、請求項2に記載のペプチドまたはペプチド類似体。
【請求項14】
配列番号1~67のうちいずれか一つのアミノ酸配列を含むことを特徴とする、ペプチドまたはペプチド類似体。
【請求項15】
請求項1~請求項14のいずれか一項に記載されたペプチドまたはペプチド類似体および薬物を含む、抗菌用薬学組成物。
【請求項16】
前記薬学組成物はグラム陰性菌に対する抗菌活性を示すものである、請求項15に記載の抗菌用薬学組成物。
【請求項17】
前記グラム陰性菌はE.coli、アシネトバクター・バウマニ(Acinetobacter baumannii)、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)、シュードモナス エルギノーザ(Pseudomonas aeruginosa)、エンテロバクター・クロアカ(Enterobacter cloacae)、シトロバクター・フレウンデー(Citrobacter freundii)、セラチア・マルセッセンス(Serratia marcescens)からなる群から選択された一つ以上である、請求項16に記載の抗菌用薬学組成物。
【請求項18】
前記薬物はエリスロマイシン(Erythromycin)、ノボビオシン(Novobiocin)、フシジン酸(Fusidic acid)、リファンピシン(Rifampicin)、リファミキシン(Rifaximin)、クロロキシン(Chloroxine)、ガチフロキサシン(Gatifloxacin)、ロメフロキサシン(Lomefloxacin)、リファブチン(Rifabutin)、リファペンチン(Rifapentine)、ダプトマイシン(Daptomycin)、ナイシン(Nisin)、チゲサイクリン(Tigecycline)、アズトレオナム(aztreonam)、セフタジジム(Ceftazidime)、ニトロフラントイン(Nitrofurantoin)、クロラムフェニコール(Chloramphenicol)、フィダキソマイシン(Fidaxomicin)、レタパムリン(Retapamulin)、セフェピム(Cefepime)、メシリナム(Mecillinam)、メロペネム(Meropenem)、バンコマイシン(Vancomycin)、クラリスロマイシン(Clarithromycin)、ホスホマイシン(Fosfomycin)、ラモプラニン(Ramoplanin)、シプロフロキサシン(Ciprofloxacin)、ゲンタマイシン(Gentamycin)、トブラマイシン(Tobramycin)、リネゾリド(Linezolid)、テリスロマイシン(Telithromycin)、レボフロキサシン(Levofloxacin)、トリメトプリム(Trimethoprim)、クリンダマイシン(Clindamycin)、ナリジクス酸(Nalidixic acid)、アジスロマイシン(Azithromycin)、ムピロシン(Mupirocin)、ダプトマイシン(daptomycin)、
リネゾリド(Linezolid )、ニトロフラントイン(Nitrofurantoin)、フィダキソマイシン(Fidaxomicin)、アズトレオナム(Aztreonam)、レタパムリン(Retapamulin)、トブラマイシン(Tobramycin)、テジゾリド(Tedizolid)、アルバマイシン(Albamycin)、オーラノフィン(Auranofin)、カピトロール(Capitrol)、トリクロサン(Triclosan)、ブトコナゾール(Butoconazole)、ミコナゾール(Miconazole)、クリオキノール(Clioquinol)、ラパチニブ(Lapatinib)、ソラフェニブ(Sorafenib)、ブレオマイシン(Bleomycin)、キネストロール(Quinestrol)、アズトレオナム(Aztreonam)またはコリスチン(Colistin)である、請求項17に記載の抗菌用薬学組成物。
【請求項19】
前記ペプチドまたはペプチド類似体および薬物は、一つの製剤で同時に投与されるか、または別個の製剤で同時にまたは順次投与されるものである、請求項15に記載の抗菌用薬学組成物。
【請求項20】
請求項1~請求項14のいずれか一項に記載されたペプチドまたはペプチド類似体に薬物が連結された接合体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新規の抗菌ペプチドまたはペプチド類似体およびこのバクテリア感染治療用途または抗菌用途に関し、具体的には、疏水性アミノ酸および親水性アミノ酸で構成されたアルファ螺旋状両親媒性ペプチドが折れた構造を有し、N-末端に脂肪酸が結合されたペプチドまたはペプチド類似体、バクテリア感染、特にグラム陰性菌による感染の治療用途に関する。
【背景技術】
【0002】
グラム陽性菌に対する治療剤は非常に多く存在するのに反して、グラム陰性菌に対する治療剤はない状況である。これは抗生剤の候補物質がグラム陰性菌が構築した外膜を通過できないためであると知られている。
【0003】
グラム陰性菌でLPS(Lipopolysaccharide)層で始まった外膜はLPS層によって親水性および疏水性をすべて保有しているため、ほとんどの低分子薬物は膜を自由自在に通過することができない。グラム陽性菌にはよく聞きながらもグラム陰性菌には聞かない抗生剤の大部分が外膜を通過できないと知られている。代表的な薬物として、リネゾリドおよびクロキサシリンなどがある。
【0004】
抗菌ペプチドまたは膜活性ペプチド存在下でグラム陽性菌用抗菌剤、または既存にFDA許可を得た薬物をグラム陰性菌用抗菌剤として使おうとする努力が試みられてきた。
【0005】
グラム陰性菌を治療しようとする多くの試みのうち抗菌ペプチドが既存の抗菌剤の代用として提示され得る。これらは免疫体系の産物であってその種類も多様であり、菌膜を破壊させることによって菌を死滅させることができる。しかし、このような抗菌ペプチドの膜破壊能により、意図した菌死滅効果だけでなく宿主細胞に対する毒性が現れることになるので、宿主細胞に対する毒性を減らすためには膜破壊能を除去する必要がある。
【0006】
「KLLKLLKKPLKLLK」の総数14個のアミノ酸からなるKL-L9Pの膜活性ペプチド(「L9P」ともいう)が公知になっている(特許文献1)。膜破壊能はアルファ螺旋度に比例するため、折れたプロリン構造を有する両親媒性ペプチドは宿主細胞に対する毒性が軽減されることが期待された。実際に特許文献1で開発されたL9Pは宿主細胞に対する毒性が低いながらも、大腸菌に対しては弱い効能を有した膜再編ペプチドであることが明かされた。すなわち、上記ペプチドが存在する時、従来グラム陰性菌のLPS層に留まりながら、膜透過が不可能であるためグラム陰性菌に対して有効な治療効果を示すことができなかった薬物、すなわち、疏水性グラム陽性菌用抗菌剤または非抗菌剤薬物を感応させることによってグラム陰性菌を殺すことができるようになった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】韓国登録特許第1811437号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ただし、該当ペプチドを利用して効果的にグラム陰性菌を殺すためには4μg/ml(2.3μM)以上の高濃度が必要であり、実際に人体に投与するためには600mgという多くの量が必要である。これは普通人体に投与される薬物の容量と比較して5~10倍多い量である。したがって、これらを実際に薬物として開発するためには投与量の減少等が要求される。
【0009】
また、菌を再編する能力を有するためには20μg/mLの比較的多量のペプチドが必要であり、これを使って感応する疏水性抗菌剤の種類も制限的である。また、グラム陰性菌のうちE.coliやA.baumanniiの菌膜はよく再編する反面、K.pneumoniaeまたはP.aeruginosaの菌膜はあまり再編させることができない傾向を有している。
【0010】
このような技術的背景下で、本出願発明者らは宿主細胞の毒性を減少させるとともに、感応効果を増進させ得るペプチドまたはペプチド類似体を開発したし、この用途を確認して本発明を完成した。
【0011】
本発明は、疏水性アミノ酸および親水性アミノ酸で構成されたアルファ螺旋状両親媒性ペプチドが折れた構造を有し、N-末端に脂肪酸が結合され得るペプチドまたはペプチド類似体を提供することを目的とする。
【0012】
本発明はまた、前記ペプチドまたはペプチド類似体を使って、特にグラム陰性菌の感染に関連した疾病を治療することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は化学式1で表示されるペプチドまたはペプチド類似体を提供する:
【0014】
<化学式1>
101112131415
【0015】
上記式において、
、X、X、X、X、X12、およびX15はそれぞれ独立的に親水性アミノ酸または非タンパク質構成アミノ酸(non-proteinogenic amino acids)であり、ただし、これらのうち一つ以上はAlaまたはSerであり得、
、X、X、X、X11、X13またはX14はそれぞれ独立的に疏水性アミノ酸またはこれらの混合物であり、
10はProであり、
~X15のうちいずれか一つの位置でC~C16脂肪酸が結合され得、
はN-末端であり、X15はC-末端である。
【0016】
本発明はまた、上記ペプチドまたはペプチド類似体;および薬物を含むバクテリア感染治療用または抗菌用薬学組成物を提供する。
【0017】
本発明はまた、上記ペプチドまたはペプチド類似体に薬物が連結された接合体を提供する。
【発明の効果】
【0018】
本発明の新規のペプチドは特異的にグラム陰性菌の外膜にのみ作用して膜を緩めることができるため、既存の抗菌剤に対する優秀な感応効果を示す。既存の抗菌剤はグラム陰性菌の外膜の硬直度のため膜を通過することができないため、グラム陰性菌に対して抗菌活性を示すことができなかったのであるが、本発明のペプチドと併用投与時、外膜を緩めることができるため、既存の抗菌剤がグラム陰性菌の外膜を通過してグラム陰性菌に対して抗菌活性を示す。特に本発明のペプチドは、既存に知られている感応性抗菌ペプチド(AMP)に比べて低い濃度でも優秀な感応効果を示すため低濃度でもペプチドの感応能力が最大化され得、副作用も減らすことができ、かつ耐性菌の出現も遅らせ得る長所がある。
【0019】
毒性の側面においても、本発明のペプチドはグラム陰性菌特異的膜活性を示し、グラム陰性菌外膜の表面にあるLPS層と結合できる性質を有して外膜にのみ留まるだけであり、グラム陰性菌の外膜または内膜を崩壊しない効果を示す。
【0020】
また、本発明のペプチドを通じて、グラム陰性菌の外膜内に通過して抗菌剤として作用するかを正確にスクリーニングできるため、これを使って新規の抗菌剤の探索も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1A】ペプチドのアミノ酸配列を示す。
図1B図1Aに示した配列を有するペプチドのA.baumannii ATCC 17978に対する抗生剤(Erythromycin)の感応効果を示す。
図1C図1Aに示した配列を有するペプチドのA.baumannii ATCC 17978に対する抗生剤(Novobiocin)の感応効果を示す。
図2A】ペプチドのアミノ酸配列を示す。
図2B図2Aに示した配列を有するペプチドのA.baumannii ATCC 17978に対するfusidic acidの感応効果を示す。
図3A】ペプチドのアミノ酸配列を示す。
図3B図3Aに示した配列を有するペプチドのA.baumannii ATCC 17978に対する抗生剤(Novobiocin)の感応効果を示す。
図3C図3Aに示した配列を有するペプチドのA.baumannii ATCC 17978に対する抗生剤(Rifampicin)の感応効果を示す。
図3D図3Aに示した配列を有するペプチドのA.baumannii ATCC 17978に対する抗生剤(Fusidic acid)の感応効果を示す。
図4A】ペプチドのアミノ酸配列を示す。
図4B図4Aに示した配列を有するペプチドのA.baumannii ATCC 17978に対する抗生剤(Novobiocin)の感応効果を示す。
図4C図4Aに示した配列を有するペプチドのA.baumannii ATCC 17978に対する抗生剤(Rifampicin)の感応効果を示す。
図4D図4Aに示した配列を有するペプチドのA.baumannii ATCC 17978に対する抗生剤(Fusidic acid)の感応効果を示す。
図5A】E.coli ATCC 25922で各種の再配置抗菌剤に対するL9P(CMP1107)と本発明のペプチド(CMP1401)の感応効果を比較したグラフである。
図5B】E.coli ATCC 25922で各種の再配置抗菌剤に対する競争薬物SPR741と本発明のペプチド(CMP1401)の感応効果を比較したグラフである。
図5C】E.coli ATCC 25922で各種の再配置抗菌剤に対する競争薬物SPR741SPR741と本発明のペプチド(CMP1401、CMP1501)の感応効果を比較したグラフである。
図6】A.baumannii臨床菌株でRifampicin、Colistin、Clarithromycin、Tedizolid、Linezolid単独およびCMP1401と併用で使った時のMIC50、MIC90実験結果を示す。
図7A】ペプチドのアミノ酸配列を示す。
図7B図7Aに示した配列を有するペプチドのE.Coli.ATCC 25922でRifampicinの感応効果を示す。
図7C】ペプチドのアミノ酸配列およびこれらのE.Coli.ATCC 25922でLinezolidの感応効果を示す。
図8A】ペプチドのアミノ酸配列を示す。
図8B図8Aに示した配列を有するペプチドのグラム陰性菌(A.b.ATCC 17978)に対するRifampicinの感応効果を示す。
図8C図8Aに示した配列を有するペプチドのグラム陰性菌(K.p.ATCC 700603)に対するRifampicinの感応効果を示す。
図8D図8Aに示した配列を有するペプチドのグラム陰性菌(E.c.ATCC 25922)に対するRifampicinの感応効果を示す。
図8E図8Aに示した配列を有するペプチドのグラム陰性菌(P.a.ATCC 27853)に対するRifampicinの感応効果を示す。
図9A】(a)グラム陰性菌株E.c.ATCC 25922でRifampicinに対するL9P(CMP1107)、CMP1401、CMP1709の感応効果を比較したグラフを示す。表示された数字は4μg/mlのペプチド濃度で減少したRifampicinのMIC値を意味する(下記の表A参照。以下、図9Bから9Gまで同様)。
【表1】

図9B】(b)グラム陰性菌株A.b.ATCC 17978でRifampicinに対するL9P(CMP1107)、CMP1401、CMP1709の感応効果を比較したグラフを示す。
図9C】(c)グラム陰性菌株K.p.ATCC 700603でRifampicinに対するL9P(CMP1107)、CMP1401、CMP1709の感応効果を比較したグラフを示す。
図9D】(d)グラム陰性菌株P.a.ATCC 27853でRifampicinに対するL9P(CMP1107)、CMP1401、CMP1709の感応効果を比較したグラフを示す。
図9E】(e)Carbapenem-resistant Enterobacteriaceae(CRE)(E.c.NDM-1)でRifampicinに対するL9P(CMP1107)、CMP1401、CMP1709の感応効果を比較したグラフを示す。
図9F】(f)CRE(K.p.NDM-1)でRifampicinに対するL9P(CMP1107)、CMP1401、CMP1709の感応効果を比較したグラフを示す。
図9G】(g)CRE(K.p.KPC)でRifampicinに対するL9P(CMP1107)、CMP1401、CMP1709の感応効果を比較したグラフを示す。
図10A】(a)グラム陰性菌株E.c.ATCC 25922でColistinに対するL9P(CMP1107)、CMP1401、CMP1709の感応効果を比較したグラフを示す。表示された数字は4μg/mlのペプチド濃度で減少したColistinのMIC値を意味する(下記の表B参照。以下、図10B図10Cで同様)。
【表2】
図10B】(b)グラム陰性菌株P.a.ATCC 27853でColistinに対するL9P(CMP1107)、CMP1401、CMP1709の感応効果を比較したグラフを示す。
図10C】(c)グラム陰性菌株K.p.KPC(CRE)でColistinに対するL9P(CMP1107)、CMP1401、CMP1709の感応効果を比較したグラフを示す。
図11】E.coli、K.pneumoniae、P.aeruginosa、E.cloacae、C.freundii、S.marcescens臨床菌株でRifampicin単独およびCMP1709と併用で使った時のMIC50、MIC90実験結果を示す。
図12A】L9P(CMP1107)、CMP1401、CMP1407に対するEnzyme assay結果を示す。Outer membraneには、E.coli NDM-1、Enzyme substrateでCENTAを使った。
図12B】L9P(CMP1107)、CMP1401、CMP1407に対するEnzyme assay結果を示す。Inner membraneに使われたには、E.coli ATCC 25922、Enzyme substrateとしてONPGを使った。
図13A】本発明のペプチドのhRBCsに対するHemolysis assay結果を示す。MELITTINとCMP1407を除いた残りのグラフはhemolytic activityが非常に低いためグラフがほぼ重なっている。
図13B】本発明のペプチドのhRBCsに対するHemolysis assay結果を示す。図13Aにおけるhemolytic activityの0~10%部分のみを拡大した図である。MELITTIN、CMP1407、CMP1406、CMP1409、CMP1203を除いた残りのグラフは0に近くほぼ重なっている。
図14A】HeLa cellに対する本発明のペプチドのWST-1 assay結果を示す。各グラフは256μMのデータを基準として、上からCMP1203、CMP1401、CMP1407を示す。
図14B】HK-2 cellに対する本発明のペプチドのWST-1 assay結果を示す。各グラフは64μMのデータを基準として、上からColistin、CMP1709、CMP1401、CMP1501を示す。
図15A】CMP1401に対するマウス動物モデルでのIn vivoデータであり、生存率分析における、免疫抑制マウスA.baumannii 801肺炎感染生存モデルでRifampicinとCMP1401ペプチドの併用投与効果を示す。
図15B】CMP1401に対するマウス動物モデルでのIn vivoデータであり、コロニー数測定における、免疫抑制マウスA.baumannii 801肺炎感染生存モデルでRifampicinとCMP1401ペプチドの併用投与効果を示す。
図15C】CMP1401に対するマウス動物モデルでのIn vivoデータであり、免疫抑制マウスA.baumannii ATCC 17978太もも感染モデルでRifampicinとCMP1401ペプチドの併用投与効果を示す。
図16】免疫抑制Rat A.baumannii 801肺炎感染モデルでCMP1401とRifampicinの併用投与効果を示す。
図17】免疫抑制マウスE.coli NDM-1太もも感染モデルでRifampicinとCMP1709ペプチドの併用投与効果を示す。
図18】Hdfが挿入された第5世代感応ペプチド配列を示す。Hdfは5種の疏水性アミノ酸Ala、Ile、Leu、Phe、Valが同一の比率で該当箇所に挿入されていることを意味する。
【発明を実施するための形態】
【0022】
ペプチドまたはペプチド類似体
本発明は化学式1で表示されるペプチドまたはペプチド類似体:
【0023】
<化学式1>
101112131415
【0024】
上記式において、
、X、X、X、X、X12、およびX15はそれぞれ独立的に親水性アミノ酸または非タンパク質構成アミノ酸(non-proteinogenic amino acids)であり、ただし、これらのうち一つ以上はAlaまたはSerであり得、
、X、X、X、X11、X13またはX14それぞれ独立的に疏水性アミノ酸またはこれらの混合物であり、
10はProであり、
~X15のうちいずれか一つの位置でC~C16脂肪酸が結合され得、
はN-末端であり、X15はC-末端である。
【0025】
具体的には、上記C~C16脂肪酸は例えばhexanoic acid、heptanoic acid、octanoic acid、decanoic acidまたはlauric acidであり得るが、これに制限されるものではない。
【0026】
本発明のペプチドまたはペプチド類似体は疏水性アミノ酸および親水性アミノ酸で構成されたアルファ螺旋状両親媒性ペプチドが折れた構造を有し、N-末端に脂肪酸が結合され得る構造を有する。
【0027】
本明細書で「折れた」は明細書のうち「折られた、曲げられた、曲がったまたは切れた」と併用して同じ意味で使われ得、前記「折れた」構造は疏水性アミノ酸および親水性アミノ酸で構成されたアルファ螺旋状両親媒性ペプチドの疏水性アミノ酸の一部が置換されて形成された構造であり得、アルファ螺旋状両親媒性ペプチドでアミノ酸置換部分を中心にアルファ螺旋が曲がった形態であり得る。
【0028】
一具体的実施態様において、X、X、X、X、X、X12、およびX15はそれぞれ独立的に親水性アミノ酸、非タンパク質構成アミノ酸(non-proteinogenic amino acids)、AlaまたはSerであり得る。
【0029】
一具体的実施態様において、X、X、X、X、X、X12、およびX15はそれぞれ独立的にLys、Arg、His、およびこの誘導体から選択される親水性アミノ酸または2,3-ジアミノプロピオン酸(Dap)、2,4-ジアミノブタン酸(Dab)、またはオルニチン(Orn)であり、ただし、これらのうち一つ以上はAlaまたはSerであり得;
【0030】
、X、X、X、X11、X13およびX14はそれぞれ独立的にLeu、Ala、Ile、Phe、Val、Trp、またはTyrから選択される疏水性アミノ酸またはHdfであり、ここでHdfはLeu、Ala、Val、Ile、およびPheを同じ量で含むアミノ酸混合物であり得る。
【0031】
さらに他の実施態様において、X、X、X、X、X、X12、およびX15はそれぞれ独立的にLys、Arg、His、およびこの誘導体から選択される親水性アミノ酸または2,3-ジアミノプロピオン酸(Dap)、2,4-ジアミノブタン酸(Dab)、オルニチン(Orn)、AlaまたはSerであり;
【0032】
、X、X、X、X11、X13およびX14はそれぞれ独立的にLeu、Ala、Ile、Phe、Val、Trp、またはTyrから選択される疏水性アミノ酸またはHdfであり、ここでHdfはLeu、Ala、Val、Ile、およびPheを同じ量で含むアミノ酸混合物であり得る。
【0033】
さらに他の実施態様において、X、X、X、X、X、X12、およびX15はそれぞれ独立的にLys、Ala、Ser、または2,4-ジアミノブタン酸(Dab)であり得る。
【0034】
さらに他の実施態様において、X、X、X、およびXはそれぞれ独立的にLeu、Ala、Val、Ile、Phe、またはHdfであり得る。
【0035】
さらに他の実施態様において、X11、X13、およびX14はそれぞれ独立的にLeuまたはAlaであり得る。
【0036】
さらに他の実施態様において、Xの位置でC~C12脂肪酸が結合されていてもよい。
【0037】
特許文献1では、グラム陰性菌などに対する既存薬物の感応効果を増進させる感応性ペプチドを開示している。しかし、これに開示されたペプチドだけでは感応効果と毒性減少効果が充分でないため、本発明者らはペプチドの毒性を減らすとともに感応効果を増進させる戦略として、抗菌剤併用投与療法で最も最適化された新規のペプチドまたはペプチド類似体を提供しようとした。
【0038】
本願で使われた用語「ペプチド」はアミノ酸重合体であって、天然アミノ酸だけでなく、非タンパク質構成アミノ酸も構成要素として含むことができる。
【0039】
本発明はまた、「ペプチド類似体」を含む。当該ペプチド類似体はアミノ酸の側鎖またはアルファ-アミノ酸バックボーンに対して一つ以上の他の機能基で置換された類似体を含むことができる。側鎖またはバックボーン改質化ペプチド類似体の例としては、ピロリジン環がヒドロキシ基で置換されたヒドロキシプロリンや、N-メチルグリシン「ペプトイド」が挙げられるが、これに制限されない。ペプチド類似体の種類については当業界で公知になっている。
【0040】
本願では「ペプチド」または「ペプチド類似体」を通称して「ペプチド」と指称したりもする。
【0041】
一具体的実施態様において、本発明のペプチドは化学式1で、X、X、X、X、X、X12、およびX15はそれぞれ独立的にLysであり、X、X、X、X、X11、X13およびX14はそれぞれ独立的にLeuであり得る(化学式1b)。このようなペプチド一般式(化学式1b)に含まれる代表的なペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列からなるものであり得る。このようなペプチドは既に公知になっているKL-L9Pペプチドと比較して、E.coliを含んだ多くのスペクトルのグラム陰性菌のリン脂質層と相互作用する程度が増進される。ひいては、ペプチドの正電荷の個数が増えるため、さらに少ない濃度のペプチドがグラム陰性菌株の外膜に分布するLPSとの相互作用にさらに有利に作用する。総数で15個のアミノ酸の長さを選択することによって、膜活性ペプチドの長さが過度に長くなる場合、長さの増加による細胞膜崩壊を引き起こす恐れを減少させることができる。
【0042】
さらに他の具体的実施態様において、本発明のペプチドは化学式1で、X、X、X、X、X、X12、およびX15はそれぞれ独立的にLysまたはAlaであり、X、X、X、X、X11、X13およびX14はそれぞれ独立的にLeu、AlaまたはValであり、ただしX10を除いたX~X15のうち一つ以上はAlaまたはValであり得る(化学式1c)。このようなペプチド一般式(化学式1c)に含まれる代表的なペプチドは、配列番号2~17および61のうちいずれか一つのアミノ酸配列からなるものであり得る。
【0043】
化学式1cのペプチドのようにAlaまたはValを含む場合、特にAlaを含む場合、両親媒性ペプチドの全体的な疏水性が減り、疏水性側鎖残基の大きさが小さくなって膜活性ペプチドの疏水性面がグラム陰性菌外膜のリン脂質と結合する方式に影響を与え得るため、低濃度のペプチドにおいてもさらに強い膜活性を示すことができる。
【0044】
さらに他の具体的実施態様において、本発明のペプチドは化学式1で、X、X、X、X、X、X12、およびX15はそれぞれ独立的にLysであり、X、X、およびX11はそれぞれ独立的にLeu、Ala、またはValであり、X、X、X13、およびX14はそれぞれ独立的にLeuであり、Xの位置でC6~C12脂肪酸が結合されているものであり得る(化学式1d)。このようなペプチド一般式(化学式1d)に含まれる代表的なペプチドは、配列番号18~26および62~63いずれか一つのアミノ酸配列からなるものであり得る。
【0045】
化学式1dのペプチドのように鎖を脂肪化させる場合、血漿または血液に存在するタンパク質と結合能力を高めてペプチドのPKを増やすと同時に感応能力を向上させることができる。ペプチドで脂肪化を多様な位置で可能であるが、好ましくはN-末端で脂肪化され得る。脂肪酸の長さはC6~C16まで多様であり得るが、好ましくはC6~C12であり得、特にC6~C8である場合、感応活性の変化が最も大きく現れ、溶血現象で測定された脂肪化によるペプチド毒性はほとんど増加しない。
【0046】
さらに他の具体的実施態様において、本発明のペプチドは化学式1で、X、X、X、X、X、X、X12、およびX15はそれぞれ独立的にDabであり、X、X、X、およびXはそれぞれ独立的にLeu、Ala、Ile、Phe、Val、またはHdfであり、このときX、X、X、およびXのうち二つ以上はそれぞれ独立的にAla、Ile、Phe、Val、またはHdfであり、X11、X13、およびX14はそれぞれ独立的にLeuであり、Xの位置でC8またはC12脂肪酸が結合されているものであり得る(化学式1e)。このようなペプチド一般式(化学式1e)に含まれる代表的なペプチドは、配列番号27~48および64~66いずれか一つのアミノ酸配列からなるものであり得る。
【0047】
化学式1eは親水面と疎水面に多様性を帯びている。まず親水面で非自然的一次アミン残基を有するオルニチン(Orn)、diaminobutyric acid(Dab)、diaminopropionic acid(Dap)等を含む場合、膜再編効果を保存または増進させることができ、Dabの場合、特にP.aeruginosaに対する感応効果を増進させることができる。特にDabを含む場合、脂肪化で現れ得る溶血現象(hemolytic activity)を減少させて毒性を減少させることができる。
【0048】
疎水面で五個のアミノ酸Leu、Ala、Ile、Val、Pheを一度に混ぜて一度に混合物(Hdf)として使う場合に、優秀な膜再編能を示す。
【0049】
さらに他の具体的実施態様において、本発明のペプチドは化学式1で、X、X、X、X、X、X12、およびX15はそれぞれ独立的にDabであり、X、X、X、およびXはそれぞれ独立的にLeu、Ala、Phe、またはValであり、このときX、X、X、およびXのうち三つ以上はそれぞれ独立的にAla、Phe、またはValであり、X11、X13、およびX14はそれぞれ独立的にLeuであり、Xの位置でC8脂肪酸が結合されているものであり得る(化学式1f)。このようなペプチド一般式(化学式1f)に含まれる代表的なペプチドは、配列番号49~52いずれか一つのアミノ酸配列からなるものであり得る。
【0050】
さらに他の具体的実施態様において、本発明のペプチドは化学式1で、X、X、X、X、X、X12、およびX15はそれぞれ独立的にDabまたはSerであり、このときX、X、X、X、X、X12、およびX15のうち一つ以上はそれぞれ独立的にSerであり、XおよびXはそれぞれ独立的にAlaであり、XおよびXはそれぞれ独立的にLeu、PheまたはValであり、X11、X13、およびX14はそれぞれ独立的にLeuであり、Xの位置でC8脂肪酸が結合されているものであり得る(化学式1g)。このようなペプチド一般式(化学式1g)に含まれる代表的なペプチドは、配列番号53~60および67いずれか一つのアミノ酸配列からなるものであり得る。
【0051】
さらに他の実施態様において、本発明のペプチドは化学式1で、X、X、X、X、X、X12、およびX15はそれぞれ独立的にLys、Ala、Ser、またはDabであり、X、X、X、およびXはそれぞれ独立的にLeu、Ala、Val、Ile、Phe、またはHdfであり、X10はProであり、X11、X13、およびX14はそれぞれ独立的にLeuまたはAlaであり、Xの位置でC~C12脂肪酸が結合され得るものであり得る。
【0052】
特定実施態様において、配列番号1~67のうちいずれか一つのアミノ酸配列を含むことを特徴とする、ペプチドまたはペプチド類似体であり得る。
【0053】
本発明のペプチドまたはペプチド類似体は次の特性のうちいずれか一つを示すことができる。
【0054】
i)宿主細胞に対する溶血活性やグラム陽性菌に対する活性が全くなく、かつグラム陰性菌に活性を有する;
【0055】
ii)グラム陰性菌外膜の表面にあるLPS層と結合できる性質を有する;
【0056】
iii)グラム陰性菌外膜の表面にあるLPS層と結合できる性質を有しつつ、外膜に入って外膜にのみ存在する;
【0057】
iv)グラム陰性菌の外膜を突き抜けて入って外膜にのみ存在する性質を有しながらもグラム陰性菌の外膜または内膜を崩壊する能力はない;
【0058】
v)Proによってアルファ螺旋が折れた構造をしているため、宿主細胞に対する毒性が最小化されながらもグラム陰性菌の外膜との認識が増加され得ること;
【0059】
vi)ペプチドが正に荷電されているとともに、疏水性を有し、グラム陰性菌外膜(LPS層)の負電荷と疏水性認識を最大化できること;および
【0060】
vii)N-末端にlipidationを通じて体内半減期を増やして、この部分と疏水性残基が調和して釣り合うことができること。
【0061】
本発明に係るペプチドは従来の公知の方法、例えばペプチド固相合成法により製造され得る。このような製造方法は追加的に本発明の一実施態様を形成する。
【0062】
抗菌用途
本発明のペプチドまたはペプチド類似体はバクテリア感染治療などの抗菌用途で使われ得る。
【0063】
これに伴い、一実施態様において、本発明は有効量のペプチドまたはペプチド類似体を対象体に投与することを含む、バクテリア感染の予防、改善または治療方法を提供する。本願で語句「バクテリア感染の予防、改善または治療」は「抗菌(antimicrobial)」と互いに置換可能に使われ得る。
【0064】
さらに他の実施態様において、本発明はバクテリア感染の予防、改善または治療のための前記ペプチドまたはペプチド類似体の用途を提供する。
【0065】
さらに他の実施態様において、本発明は前記ペプチドまたはペプチド類似体を含む、バクテリア感染の予防、改善または治療用薬学組成物を提供する。
【0066】
本願で使われた用語「対象体」は、ヒトとヒト以外の霊長類の動物をすべて含む意味である。ヒト以外の霊長類の動物としては、すべての脊椎動物、例えば、哺乳動物と非哺乳動物例えば、ヒト以外の霊長類、ヒツジ、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ニワトリ、両生類および爬虫類を含むが、例えば、ヒト以外の霊長類、ヒツジ、イヌ、ネコ、ウシおよびウマのような哺乳動物が好ましい。好ましい対象体としては癌の予防または治療が要求されるヒトである。
【0067】
前記バクテリア感染は、好ましくは、グラム陰性菌感染であり得る。これに伴い、本発明のペプチドまたはペプチド類似体はグラム陰性菌に抗菌活性を示すために使われ得る。この時、前記グラム陰性菌は病原性微生物または耐性菌、好ましくはグラム陰性菌の病原性微生物または耐性菌を意味する。グラム陰性菌の例としては、E.coli、アシネトバクター・バウマニ(Acinetobacter baumannii)、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)、シュードモナス エルギノーザ(Pseudomonas aeruginosa)、エンテロバクター・クロアカ(Enterobacter cloacae)、シトロバクター・フレウンデー(Citrobacter freundii)、セラチア・マルセッセンス(Serratia marcescens)等を含むがこれに制限されない。
【0068】
好ましい実施態様において、本発明のペプチドはさらに他の薬物と共に使われる。これに伴い、本発明は前記ペプチドまたはペプチド類似体;および薬物を含む、バクテリア感染の予防、改善または治療用薬学組成物または抗菌用薬学組成物を提供する。この時,前記ペプチドまたはペプチド類似体;および薬物は,一つの製剤で同時に投与されるか、または別個の製剤で同時にまたは順次投与され得る。具体的には、本発明のペプチドまたはペプチド類似体が他の薬物と共に使われる時、これらは別途に投与されるか複数の活性成分が一つの薬学的製剤に存在する組み合わせ製品の形態で適用され得る。これらが別途の製剤で投与される場合、二つの製剤は順次または同時に投与され得る。同時投与の場合、これらは患者に共に提供される。順次投与の場合、長くない時間で時間差をおいて提供され得、例えば12時間以下、または6時間以下の期間内で患者に投与され得る。
【0069】
さらに他の実施態様において、本発明は有効量のペプチドまたはペプチド類似体を薬物と併用して投与することを含む、バクテリア感染の予防、改善または治療方法を提供する。前記実施態様はペプチドを他の薬物と一つの組成物に共に含んで同時に投与することはもちろん、これらそれぞれが別個で含まれた組成物を、これを必要とする患者に同時にまたは順次投与することを含む。
【0070】
さらに他の実施態様において、本発明はバクテリア感染の予防、改善または治療のために、薬物と併用するための前記ペプチドまたはペプチド類似体の用途を提供する。
【0071】
前記薬物は従来グラム陽性菌に対する抗菌剤として使われるものであってもよく、US FDAなどで他の用途として許可されたが抗菌剤としては許可されていない薬物、またはグラム陰性菌に使われる薬物であってもよい。前記グラム陽性菌抗菌抗生剤は例えば、Rifampicin、Rifabutin、Rifaximin、Rifapentine、Tedizolid、Linezolid、Clarithromycin、Telithromycin、Retapamulin、Mupirocin、Erythromycin、Fusidic acid、またはNovobiocinであり得るが、これに制限されるものではない。前記グラム陰性菌抗生剤はColistin、Azetreonam、Azithromycin、Ceftazidime、Ciprofloxacin、Chloramphenicol、Gentamycin、Trimethoprim、Nalidixic acid、Levofloxacinであり得るが、これに制限されるものではない。
【0072】
より具体的には、本発明のペプチドとともに使われ得る薬物としては、例えば、エリスロマイシン(Erythromycin)、ノボビオシン(Novobiocin)、フシジン酸(Fusidic acid)、リファンピシン(Rifampicin)、リファミキシン(Rifaximin)、クロロキシン(Chloroxine)、ガチフロキサシン(Gatifloxacin)、ロメフロキサシン(Lomefloxacin)、リファブチン(Rifabutin)、リファペンチン(Rifapentine)、ダプトマイシン(Daptomycin)、ナイシン(Nisin)、チゲサイクリン(Tigecycline)、アズトレオナム(aztreonam)、セフタジジム(Ceftazidime)、ニトロフラントイン(Nitrofurantoin)、クロラムフェニコール(Chloramphenicol)、フィダキソマイシン(Fidaxomicin)、レタパムリン(Retapamulin)、セフェピム(Cefepime)、メシリナム(Mecillinam)、メロペネム(Meropenem)、バンコマイシン(Vancomycin)、クラリスロマイシン(Clarithromycin)、ホスホマイシン(Fosfomycin)、ラモプラニン(Ramoplanin)、シプロフロキサシン(Ciprofloxacin)、ゲンタマイシン(Gentamycin)、トブラマイシン(Tobramycin)、リネゾリド(Linezolid)、テリスロマイシン(Telithromycin)、レボフロキサシン(Levofloxacin)、トリメトプリム(Trimethoprim)、クリンダマイシン(Clindamycin)、ナリジクス酸(Nalidixic acid)、アジスロマイシン(Azithromycin)、ムピロシン(Mupirocin)、ダプトマイシン(daptomycin)、リネゾリド(Linezolid)、ニトロフラントイン(Nitrofurantoin)、フィダキソマイシン(Fidaxomicin)、アズトレオナム(Aztreonam)、レタパムリン(Retapamulin)、トブラマイシン(Tobramycin)、テジゾリド(Tedizolid)、アルバマイシン(Albamycin)、オーラノフィン(Auranofin)、カピトロール(Capitrol)、トリクロサン(Triclosan)、ブトコナゾール(Butoconazole)、ミコナゾール(Miconazole)、クリオキノール(Clioquinol)、ラパチニブ(Lapatinib)、ソラフェニブ(Sorafenib)、ブレオマイシン(Bleomycin)、キネストロール(Quinestrol)、アズトレオナム(Aztreonam)またはコリスチン(Colistin)を含むが、これに制限されない。
【0073】
本発明で、「予防」とは、組成物の投与によって前記病原性微生物または耐性菌による感染疾患を抑制させるか発病を遅延させるすべての行為を意味し、「治療」とは、組成物の投与によって病原性微生物または耐性菌感染疾患による症状が好転するか有利に変更するすべての行為を意味し得る。
【0074】
前記組成物は薬学的に許容可能な坦体を追加的に含むことができる。前記「薬学的に許容可能な坦体」は任意の対象組成物または成分を一つの機関、または身体の部分から他の機関、または身体の部分への運搬または輸送することに関与する液体または固体充填剤、希釈剤、賦形剤、溶媒またはカプセル化物質のような制約上許容可能な物質、組成物またはビークルを指し示し、本発明の組成物は投与のために前記した有効性分以外に薬学的に許容可能な坦体、賦形剤または希釈剤をさらに含むことができる。前記坦体、賦形剤および希釈剤としては、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、デンプン、アカシアゴム、アルギネート、ゼラチン、カルシウムホスフェート、カルシウムシリケート、セルロース、メチルセルロース、微晶質セルロース、ポリビニルピロリドン、水、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、タルク、ステアリン酸マグネシウムおよび鉱物油が挙げられる。
【0075】
また、本発明の組成物はそれぞれ常法により散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、懸濁液、エマルジョン、シロップ、エアゾールなどの経口型剤形、外用剤、座剤または滅菌注射溶液の形態で剤形化して使うことができる。詳細には剤形化する場合、通常使う充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、界面活性剤などの希釈剤または賦形剤を使って調製され得る。経口投与のための固形製剤としては、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤などを含むが、これに限定されるものではない。このような固形製剤は少なくとも一つ以上の賦形剤、例えば、デンプン、カルシウム カーボネート、スクロース、ラクトース、ゼラチンなどを混ぜて調製され得る。また、単純な賦形剤以外にステアリン酸マグネシウム、タルクのような潤滑剤も使われ得る。経口のための液状製剤としては、懸濁剤、内用液剤、油剤、シロップ剤などを含むが、これに限定されず、よく使われる単純希釈剤である水、リキッドパラフィン以外に多様な賦形剤、例えば湿潤剤、甘美剤、芳香剤、保存剤などを添加して調製され得る。非経口投与のための製剤は、滅菌された水溶液、非水性溶剤、懸濁剤、油剤、凍結乾燥製剤および座剤を含む。非水性溶剤および懸濁剤としては、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブオイルのような植物性オイル、エチロレートのような注射可能なエステルなどが使われ得る。座剤の基剤としては、ウィテプソル、マクロゴール、ツイン61、カカオジ、ラウリンジ、グリセロゼラチンなどが使われ得る。
【0076】
本発明に係る組成物は目的とする方法により経口投与したり非経口投与(例えば、静脈内、皮下、腹腔内または局所に適用)することができ、投与量は患者の状態および体重、疾病の程度、薬物形態、投与経路および期間により異なるが、当業者によって適切に選択され得る。必要に応じて一日1回~数回に分けて投与することができ、病原性細菌および耐性菌に対する予防または治療のために、単独でまたは手術、ホルモン治療、薬物治療および生物学的反応調節剤を使う方法と併用して使うことができる。
【0077】
本明細書で前記併用投与は並行投与と交差して使うことができ、併用投与の形態はペプチドまたはペプチド類似体とその他の化合物を同時投与したり、または別途投与する形態をすべて含むことができる。この時、logP(partition coefficient)値が0.19以上である疏水性化合物、生理的pH条件で陽イオンで荷電された化合物およびコリスチンで構成された群から選択された一つ以上と本発明に係るペプチドまたはペプチド類似体を併用投与することができる。
【0078】
前記lopP(partition coefficient)値が0.19以上である疏水性化合物は例えば、クロキサシリン、リネゾリド、レスベラトロール、クルクミン、ケルセチン、シンバスタチン、ロバスタチン、メバスタチン、カテキン、またはチモールであり得るが、これに制限されるものではない。
【0079】
前記生理的pH条件例えば、pH7.3~7.4で陽イオンで荷電された化合物は例えば、エリスロマイシン、リファンピシン、コリスチン、ポリミキシンーB、またはニコチンであり得るが、これに制限されるものではない。
【0080】
前記生理的pH条件例えば、pH7.3~7.4で陰イオンで荷電された化合物は例えば、イブプロフェン、アトバスタチン、フルバスタチン、プラバスタチン、カルプロフェン、トランスフェルラ酸、またはブロムフェナクなどであり得るが、これに制限されるものではない。
【0081】
一実施例において、本発明に係るペプチドまたはペプチド類似体との併用投与を通じてシナジー効果例えば、併用投与対象複数のペプチドまたはペプチド類似体または化合物から由来した効果が単に追加された場合に比べて、はるかに少ない濃度でも抗菌効果が現れる化合物は例えば、リネゾリド、エリスロマイシン、イブプロフェン、シンバスタチン、クルクミン、またはレスベラトロールであり得る。
【0082】
本発明はさらに他の観点で、ペプチド、またはペプチド類似体および前記ペプチドまたはペプチド類似体に薬物が連結された接合体に関する。
【0083】
前記薬物はlopP(partition coefficient)値が0.19以上である疏水性化合物、生理的pH条件で陽イオンで荷電された化合物およびコリスチンであり得る。各構成の定義は前述した通りである。
【0084】
前記ペプチドまたはペプチド類似体と薬物は例えば、非共有結合または共有結合を通じて連結され得る。前記非共有結合は例えば、水素結合、静電気的な相互作用、疏水性相互作用、ファンデルワールス相互作用、パイ-パイ相互作用および陽イオン-パイ相互作用からなる群から選択された1種以上であり得る。前記共有結合は分解性または非分解性結合であり得、前記分解性結合は二硫化結合、酸分解性結合、エステル結合、アンハイドライド結合、生分解性結合または酵素分解性結合であり得、非分解性結合はアミド結合またはホスフェート結合であり得るが、これに制限されるものではない。
【0085】
以下、実施例を通じて本発明をさらに詳細に説明しようとする。これらの実施例は単に本発明を例示するためのものであり、本発明の範囲がこれらの実施例によって制限されるものと解釈されはしないことは、当業界で通常の知識を有する者にとって自明であろう。
【実施例
【0086】
<製造例:ペプチド合成>
配列番号1~67のペプチドをペプチド固相合成法を利用して合成した。
【0087】
具体的には、ペプチドマイクロウエーブ合成機(CEM)で標準fluorenylmethyloxy carbonyl(Fmoc)固体相ペプチドを使って合成した。Discover SPSでリンクアミドMBHAレジン(0.59mmol/gローディング、50mg、29.5μmol)を使った。レジンはDMFで20%ピペリジンで脱保護基化させた。カップリング反応は各配列のアミノ酸、PyBOPおよびN-diisopropylethylamine(DIPEA)を使って遂行された。ペプチドはcleavageカクテルを使って室温で2時間の間レジンで分離した(950μLのTrifluoroacetic Acid、25μLのTriisopropylsilaneおよび25μLの水を使う)。分離したペプチドをn-ヘキサンおよびジエチルエーテル(v/v=1/1)で沈殿させ、逆相クロマトグラフィーHPLCで精製した。zorbax C18コラム(3.5μm、4.6×150mm)を使ったHPLC(Agilent HPLC 1100シリーズ)を使って精製した。
【0088】
HPLC条件:バッファーA(0.1%v/v TFA含有水)およびバッファーB(0.1%v/v TFA含有アセトニトリル)、流速1mL/min;0分、0%Bの次に60分に亘って線形勾配100%Bとなるようにする。
【0089】
各ペプチドは表1のように命名された。
【0090】
【表3】
【0091】
これらペプチドの配列およびMALDI TOF Mass理論値および測定値を表2に示した。Deconvolution libraryに該当するCMP1524からCMP1543はMass値を範囲で表示した。(HDf=equal amount of five hydrophobic amino acids A、F、I、L and V)
【0092】
【表4】

【0093】
実施例1.CMP1203およびCMP1301~CMP1314ペプチドの感応効果確認(MIC assay)
【0094】
本実施例ではCMP1203およびCMP1301~CMP1314の感応効果を確認しようとした(図1A:各ペプチドが記載される)。
【0095】
濃度0.4μMの各ペプチドを2種のグラム陽性抗生剤Erythromycin、Novobiocinと共に使ってAcinetobacter baumannii ATCC 17978に対する効果を確認した(MIC assay)。Acinetobacter baumanniiは広範囲抗菌剤耐性を有しており、湿気が少ない環境でも長い間生き残ることができるため病院内で感染する確率が高いヒト感染菌であり、よく日和見感染菌に分類されるグラム陰性菌である。それぞれのグラム陽性抗生剤を単独で使った時の各抗生剤のMICと比較して、各ペプチドとともに使った時の各抗生剤のMICの減少程度(Fold reduction of MIC)を測定した。
【0096】
すべてのMIC assay実験はCLSI(Clinical and Laboratory Standards Insitutute)指針を使って遂行された(Clinical & Laboratory Standards Institute:CLSI Guidelines、2017)。一晩培養したバクテリア細胞をMuller Hinton II Broth(陽イオン調節)(Difco)でMcFarland(Kit densicheck plus instrument、Biomerieux)を使って0.05 McFarland標準に希釈させた。細胞を96ウェルプレートで各ウェルの200μL溶液当たり1.5×10CFUで接種した。2倍連続希釈された濃度を使ってペプチドと抗生剤を製造した。不溶性抗生剤の場合、2.5%(v/v)DMSOを使ってバクテリアの成長に影響を与えない条件で実験を進めた。37℃で18時間培養した後、EPOCH2マイクロプレートリーダー(BioTek、Winooski、USA)を使って600nmで吸光度を測定してMIC値を計算した。MIC値は陽性対照群の10%成長より低いバクテリア成長を抑制する抗生剤またはペプチドの濃度と定義された。Fold reductionは下記の式を利用して計算した。
【0097】
Fold reduction=抗生剤単独MIC/感応ペプチド存在下で抗生剤のMIC
【0098】
その結果を図1に示した。
【0099】
Erythromycinと共に使用時、CMP1203およびCMP1301~CMP1314すべてErythromycinの使用量を2倍以上減少させることが確認された(図1B)。特にCMP1203と比較して、ロイシンをより疏水性が低いアラニンで置き換えた場合(CMP1303、CMP1304、CMP1307、CMP1310、CMP1312、CMP1313)、高い感応効果を示し、約4倍~8倍のMIC減少効果を示したし、特にCMP1303およびCMP1307は8倍の高い感応効果を示した。
【0100】
Novobiocinの場合にも、本発明のすべてのペプチドは、Novobiocin単独使用時よりその使用量を減少させることが確認された(図1C)。特にCMP1203と比較してロイシンをアラニンで置き換えた場合、特にCMP1303とCMP1307で約7倍~16倍の高い感応効果を示した。
【0101】
実施例2.CMP1303、CMP1307、CMP1310、CMP1315、CMP1317ペプチドの感応効果確認(MIC assay)
【0102】
本実施例では0.31μM濃度での各ペプチドの感応効果を確認しようとした。ペプチドとしてCMP1303、CMP1307、CMP1310、CMP1315、CMP1317を選択した。特に実施例1ではペプチドCMP1301およびCMP1307がA.baumannii ATCC 17978でErythromycin、Novobiocin抗菌剤に対する感応能力が優秀であることが確認されたので、本実施例では追加的にペプチドCMP1315およびCMP1317を使ってこれらのFusidic acidでの感応効果を確認しようとした。
【0103】
ペプチド濃度を0.31μMにしたことを除いては実施例1と同一のMIC assay方法を利用した。その結果を図2Bに示した。
【0104】
本発明のペプチドとFusidic acidを共に使った場合、Fusidic acidを単独で使った場合と比較して、MIC濃度がすべて減少した。
【0105】
実施例3.HexAで脂肪化されたペプチドの感応効果確認(MIC assay)
【0106】
本実施例ではペプチドN-末端をHexanoic acid(HexA)で脂肪化したペプチドを使って抗菌剤3種Novobiocin、Rifampicin、またはFusidic acidと共に使用時の感応効果を観察した。ペプチド濃度を0.31μMにしたことを除いては実施例1と同一のMIC assay方法を利用した。その結果を図3Bから図3Dに示した。
【0107】
本発明のペプチドと前記抗菌剤を共に使った場合、抗菌剤単独で使った場合と比較して、MIC濃度がすべて減少した。特にペプチドCMP1406の場合、濃度0.31μM(0.56μg/ml)でNovobiocinの場合、8倍、Rifampicinの場合、8倍、Fusidic acidの場合32倍さらに強い感応効果が観察された。
【0108】
実施例4.多様な脂肪酸で脂肪化されたペプチドの感応効果確認(MIC assay)
【0109】
本実施例では実施例3で低濃度で優秀な感応効果を示すものと確認されたペプチドCMP1406と同一のアミノ酸配列を有し、かつN-末端に多様な長さの脂肪酸で脂肪化されたペプチドに対する感応効果を観察した。実施例3と同一のMIC assay方法を利用した。その結果を図4に示した。
【0110】
本発明のペプチドと前記抗菌剤を共に使った場合、抗菌剤単独で使った場合と比較して、MIC濃度がすべて減少した。特にペプチドCMP1401の場合、抗菌剤単独で使った場合に比べてNovobiocinの場合、16倍、Rifampicinの場合、64倍、Fusidic acidの場合250倍のさらに強い反応が観察された。
【0111】
実施例5.公知の感応性ペプチドとCMP1401またはCMP1501の感応効果比較(MIC assay)
【0112】
実施例1と同一のMIC assay方法を利用して、E.coli ATCC 25922で既存の抗菌剤に対して既存感応性AMPで公知になっているペプチドL9P(CMP1107、1μg/ml)とCMP1401(1μg/ml)の感応効果を比較した(図5A)。
【0113】
また、MICスクリーニングを通じて、E.coli ATCC 25922で既存の抗菌剤に対する競争薬物SPR741とペプチドCMP1401、CMP1501の感応効果を比較した(図5Bおよび5C)。SPR741は既に公知になっているpolymyxin B(PMB)類似体である感応性AMPであり、前臨床実験を通じて既存グラム陽性菌抗生剤とともに使用時、グラム陰性菌に効果があることが確認されたことがある薬物である。
【0114】
その結果、本発明のペプチドCMP1401は既に公知になっているペプチドL9Pに比べて非常に優秀な感応効果を示した(図5A)。ひいては、SPR741と比較してもこれと本発明のペプチドCMP1401またはCMP1501は、ほとんど同等またははるかに優秀な感応効果を示すことが確認された(図5Bおよび5C)。特にSRP741に比べて濃度を半分に減少させても、その効果は同等であるかさらに優れていることが確認された(図5C)。
【0115】
実施例6.臨床菌株でのCMP1401の感応効果(MIC50およびMIC90
【0116】
A.baumannii臨床菌株で既存の抗菌剤Rifampicin、Colistin、Clarithromycin、Tedizolid、またはLinezolidを単独で使った場合とCMP1401 4μg/mlと併用で使った時のMIC50およびMIC90値を求めた。各抗菌剤グループ当たり100個のA.baumannii臨床菌株が使われたし、Carbapenem抵抗性菌株と感受性菌株をそれぞれ50菌株ずつ選別した。
【0117】
その結果を図6に示した。図6で「MICのFold reduction」は抗菌剤単独で使った時のMIC90と比較したCMP1401使用時のMIC90の値を示す。
【0118】
これから本発明のペプチドCMP1401は抗菌剤単独使用と比較して最小4倍以上、最大128倍の感応効果を示したことが分かる。
【0119】
実施例7.CMP1501、CMP1601~CMP1604のペプチドの感応効果(MIC assay)
【0120】
実施例1と同一のMIC assay方法を利用して、E.coli ATCC 25922でRifampicinおよびLinezolidに対してCMP1501、CMP1601~CMP1604の感応効果を確認した(図7B,7C)。
【0121】
その結果、CMP1501、CMP1601~CMP1604は0.5μg/mlの低い濃度でも優秀な感応効果を示した。
【0122】
実施例8.CMP1701~CMP1709ペプチドの感応効果(MIC assay)
【0123】
実施例1と同一のMIC assay方法を利用して、4種のグラム陰性菌株(A.b.ATCC 17978、K.p.ATCC 700603、E.c.ATCC 25922、P.a.ATCC 27853)でのRifampicinに対するCMP1701~CMP1709の感応効果を確認した(図8B,8C)。A.b.ATCC 17978、K.p.ATCC 700603、E.c.ATCC 25922に対して使われたペプチドの濃度は0.5μg/mL、P.a.ATCC 27853に対して使われたペプチドの濃度は1.0μg/mLであった。
【0124】
その結果、前記ペプチドはすべて低い濃度で優秀な感応効果を示すことが確認された。特にCMP1709の場合、4種のグラム陰性菌でRifampicin単独使用と比較して約8倍~120倍以上の高い感応効果を示した。
【0125】
実施例9.公知の感応性ペプチドとCMP1401またはCMP1709の感応効果比較(MIC assay)
【0126】
実施例1と同一のMIC assay方法を利用して、4種のグラム陰性菌株E.c.ATCC 25922、A.b.ATCC 17978、K.p.ATCC 700603、P.a.ATCC 27853またはCRE(E.c.NDM-1、K.p.NDM-1、K.p.KPC)でRifampicinまたはColistinに対する既存感応性ペプチドAMP L9P(CMP1107)とCMP1401またはCMP1709の感応効果を比較した(図9A図9Gおよび図10A図10C)。
【0127】
その結果、本発明のペプチドCMP1401またはCMP1709は既に公知になっているペプチドL9Pに比べて非常に優れた感応効果を示した。
【0128】
実施例10.臨床菌株でのCMP1709の感応効果(MIC50およびMIC90
【0129】
E.coli、K.pneumoniae、P.aeruginosa、E.cloacae、C.freundii、S.marcescens臨床菌株で既存の抗菌剤RifampicinまたはColistinを単独で使った場合とCMP1709 4μg/mlと併用で使った時のMIC50およびMIC90値を求めた。E.coli、K.pneumoniae、E.cloacae、C.freundii、S.marcescens臨床菌株はすべてCarbapenem抵抗性菌株を選別したし、P.aeruginosa臨床菌株はImipenem、Meropenem抵抗性菌株43菌株、感受性菌株60菌株を選別した。
【0130】
その結果を図11に示した(Colistinに対する結果未記載)。図11で「Fold reduction of MIC90」は抗菌剤単独使用時のMIC90と比較したCMP1709使用時のMIC90の値を示す。これから本発明のペプチドCMP1709は抗菌剤単独使用と比較して最小2倍以上、最大1024倍の感応効果を示したことが分かる。Colistinを使った場合にも、E.Coli菌株、E.Cloacae菌株で2倍の感応効果を示した(図11に結果未記載)。
【0131】
実施例11.ペプチドの膜破壊能確認(Enzyme assay)
【0132】
Enzyme assayを通じて感応性ペプチドがグラム陰性菌の外膜と内膜を破壊するかを観察した。感応性ペプチドの存在下で、Inner membraneに対しては1.5 mM ONPGとともにE.coli ATCC 25922からのβ-galactosidase放出を観察したし、Outer membraneに対しては200μM CENTAとともにE.coli NDM-1からのβ-lactamase放出を観察した。
【0133】
具体的には、外膜のleakageを決定するために、外膜から放出されたβ-lactamaseの活性を評価した。ニューデリーメタロ-β-ラクタマーゼ-1(NDm-1)生産大腸菌細胞をDPBSで3回洗浄して同じ緩衝液に懸濁させた。細胞を0.2のOD600で希釈し37℃で1時間の間0.63または1.30μMのペプチド濃度で処理した。遠心分離後、上層液を200μMのCENTATMβ-lactamase基質と共に37℃で1時間の間培養した。光学密度はマイクロプレートリーダー(Molecular Devices Co.、Menlo Park、CA)を使って405nmで酵素反応産物の吸光度を測定した。
【0134】
内膜leakageを決定するために細胞質酵素β-galactosidaseの放出を評価した。バクテリアをOD600=1で希釈し1.5 mMのONPG(O-ニトロフェニル-β-D-ガラクトピラノシド)を添加した。酵素反応産物の吸光度は420nmで測定した。その他の過程は外膜破壊実験と同一に進めた。
【0135】
その結果を図12Aおよび12Bに示した。y軸は405nmで測定された吸光度であり、膜が破壊されてβ-lactamaseの放出が高いほど高い吸光度を示す。
【0136】
バクテリアのInner membraneとOuter membraneをすべて破壊する作用メカニズムを有するものと知られているMelittinは、細菌のInner membraneとOuter membraneをすべて破壊することが観察された。これに反し、CMP1407とCMP1401は既に公知の感応性ペプチドとしてグラム陰性菌の膜を破壊しないものと知られているL9P(CMP1107)と比較して、ほとんど同等な水準でこれら膜を破壊しないことが確認された。
【0137】
実施例12.ペプチドの毒性分析(Hemolysis assay)
【0138】
ペプチドの毒性を確認するためにヒト赤血球(hRBC)溶血活性分析(Hemolysis assay)を実施した。
【0139】
具体的には、ヒト赤血球(hRBC)の溶血百分率は、陽性対照群として100%脱イオン水(DW)で培養された細胞と陰性対照群としてペプチドがないPBSと比較して決定された。hRBCを500gで5分の間遠心分離を使ってPBSで3回洗浄し、PBS緩衝液(Hyclone)に5%(v/v)ヘマトクリットを懸濁させた。ペプチドをPBSで2倍連続希釈を使って希釈し2.5×10hRBCを各ウェルに添加した。試料を37℃で4時間の間培養した。1400rpmで5分間遠心分離した後、180μLの上澄液を透明な平底96ウェルプレートに移した。ペプチドによって放出されるヘモグロビンの量をEPOCH2マイクロプレートリーダー(BioTek、Winooski、USA)を使って405nmで吸光度で測定して決定した。
【0140】
溶血活性(%)=(試料の吸光度-PBSの吸光度)/(100%DWの吸光度-PBSのA405)X100
【0141】
その結果を図13Aおよび13Bに示した。低い濃度からhRBCの溶血現象が現れたMelittinとは異なり、本発明のペプチドはCMP1407を除いてはその溶血の水準が非常に微小であった。
【0142】
実施例13.ペプチドの毒性分析(WST-1 assay)
【0143】
本実施例では宿主細胞HeLa cellまたはHK-2 cellに対するWST-1分析を通じて宿主細胞の生存率を測定してペプチドの毒性を確認した。
【0144】
具体的には、HeLa cellはDMEMで、HK-2 cellはRPMIで37℃、5%CO条件で培養した。細胞培養龍プレートで細胞をそれぞれ培養した後、Trypsinで引き離し、96 well plateにwell当たりそれぞれ1x10、7x10個の細胞をシーディングした。24時間後mediaに2-fold dilutionで希釈したペプチドを添加し、再び37℃、5%CO条件で24時間の間培養した。WST-1試薬をwell当たり10μLにいれて37℃、5%CO条件で30分の間反応をさせた後、96-well plate readerでUV吸光度を450/700nmで測定した。
【0145】
その結果を図14Aおよび14Bに示した。本発明のペプチドはすべて高い濃度でも高い細胞生存率を示した。
【0146】
実施例14.RifampicinとCMP1401の併用療法の生体内効能分析(CMP1401のIn vivo test)
【0147】
マウスモデルを利用してペプチドCMP1401およびRifampicin(Rif)単独および併用療法の生体内効能を分析した。
【0148】
14.1 Neutropenic mouse pneumoniaeモデル(免疫抑制マウスA.baumannii 801肺炎感染生存モデル)を利用した実験
【0149】
体重が23~27gである6週齢の雌ICR(CD-1)マウス(大韓民国、ソンナム、オリエントバイオ)を免疫抑制(neutropenic)を誘導するために、肺炎感染4日および1日前にそれぞれ150mg/kgおよび100mg/kgのcyclophosphamide(CP)で処理した(皮下注射)。生存率分析のためのマウスモデルの場合、1×10CFU A.baumannii 801を、コロニー数の計数のためのマウスモデルの場合、1×10CFU A.baumannii 801を鼻腔内で感染させた。
【0150】
生存率分析
Neutropenic mouse pneumoniaeモデルでRifampicin、CMP1401ペプチドの併用投与効果を確認した。
【0151】
Rifampicinをキャリア(10%TWEEN(登録商標)80、5%DMSOおよび85%食塩水)に溶解させて使った。Rifampicinを2日間毎日2回ずつ皮下注射で投与した(2.5mg/kg BID)。本発明の感応性ペプチドCMP1401を2日間毎日4回ずつ腹腔内注射で投与した(25mg/kg QID)。各グループ当たり6匹のマウスが使われた。併用投与群とrifampicin単独投与群のp値を求めるためにMantel-Cox testが使われた。
【0152】
その結果は図15Aに示された通り、Rifampicin 2.5mg/kg単独処理群での生存率は約16.7%であり、2.5mg/kgのRifampicinと25mg/kgのペプチドCMP1401を併用投与した群の生存率は50%であって、Rifampicin単独投与群より約33.3%高かった。ペプチドCMP1401単独投与群はすべてのマウスが死んだのでいかなる抗菌活性も現れなかった。
【0153】
コロニー数測定
Neutropenic mouse pneumoniaeモデルにおいて、生存率に加え、マウス肺でA.baumannii 801のコロニー数を測定した。マウスを安楽死させて肺を滅菌された食塩水で収穫した。肺を均質化して滅菌された食塩水に連続希釈した。均質化された肺をTrypticsoy寒天プレートに塗布し、37℃で一晩中培養してコロニーを計数した。併用投与群とrifampicin単独投与群のp値を求めるために、two-sided Man Whiteny U-testが使われた(*:p<0.05、**:p<0.005)。各グループ当たり6匹のマウスが使われた。
【0154】
その結果は図15Bに示した通り、Rifampicin 2.5mg/kgおよびペプチドCMP1401 25mg/kg併用投与群のコロニー数は、Rifampicin 2.5mg/kgを単独で投与した群より約12倍さらに低かった。また、RifampicinとCMP1401の併用投与群は非処理群(control)に比べて約60倍少ないコロニー数を示した。RifampicinとCMP1401の併用投与群はRifampicinとSPR741の併用投与群に比べても30倍さらに少ないコロニー数を示した。
【0155】
14.2 Neutropenic mouse thighモデルを利用した実験
【0156】
体重が23~27gである6週齢の雌ICR(CD-1)マウス(大韓民国、ソンナム、オリエントバイオ)を免疫抑制(neutropenic)を誘導するために、太もも感染5日および2日前にそれぞれ150mg/kgおよび100mg/kgのcyclophosphamide(CP)で処理した(皮下注射)。A.baumannii ATCC 17978を収穫し、洗浄し滅菌された食塩水に懸濁させた。マウスを麻酔させて右および左太ももで1×10CFU A.baumannii ATCC 17978で感染させた。Rifampicin 20mg/kgは感染後1時間および5時間に皮下注射で投与された。感応性ペプチドCMP1401は感染後1、3、5および7時間に腹腔内注射で投与された。マウスをバクテリア注入9時間後安楽死させ、両側の太ももを収穫し、滅菌された食塩水に懸濁させた。太ももを均質化し、滅菌食塩水で連続希釈した。均質化された太ももをTrypticsoy寒天プレートに塗布した後、37℃で一晩中培養し、コロニーを計数した。併用投与群とrifampicin単独投与群のp値を求めるために、two-sided Man Whiteny U-testが使用された。(*:p<0.05)
【0157】
その結果を図15Cに示した。A.baumannii ATCC 17978で感染したNeutropenic mouse thighモデルでRifampicinとペプチドCMP1401併用療法は優秀な治療効能を示した。ペプチドCMP1401をRifampicin 20mg/kgの存在下で100mg/kgで投与した時、コロニー数はRifampicin単独投与に比べて14倍減少した。また、20mg/kgのRifampicin存在下で併用投与群でペプチドCMP1401の容量が変更された時、コロニー数の変化が観察された。ペプチドCMP1401を50mg/kg単独投与した時、コロニー数の変化は観察されなかったし、これはペプチドCMP1401が自らの抗菌活性よりはRifampicinの抗菌能力を向上させるということを示す。
【0158】
実施例15.RifampicinまたはColistinとCMP1401の併用療法の生体内効能分析(CMP1401のIn vivo test)
【0159】
本実施例では免疫抑制Rat A.baumannii 801肺炎感染モデルでRifampicinまたはColistinとの併用投与効果を確認しようとした。
【0160】
実施例14.1でコロニー数計数実験方法を利用するものの、マウスの代わりにSD mal Ratを各グループ当たり3匹ずつ使い、A.baumannii 801を気道で感染させた後、ColistinまたはRifampicinは皮下注射でCMP1401は1時間静脈注射infusionで投与した。その結果を図16に示した。
【0161】
Colistin 32mg/kgはA.baumannii 801の治療のために使われる臨床容量として知られている。したがって、Colistin 32mg/kgを単独で使った時に確認される効果は、本実施例でCMP1401と抗菌剤併用投与の有効性の有無を比較する基準となり得る。
【0162】
図16の結果によると、RifampicinとCMP1401を併用投与した場合、特にRifampicin 5mg/kgとCMP1401 3mg/kgまたは6mg/kgを併用投与した場合、Colistin 32mg/kgと匹敵するほどの効果を示すことが確認された。これに伴い、本発明のペプチドはRifampicinと共に使用時、臨床的に有効な効果を示すことが確認された。
【0163】
実施例16.RifampicinとCMP1709の併用療法の生体内効能分析(CMP1709のIn vivo test)
【0164】
Neutropenic mouse thighモデル(免疫抑制マウスE.coli NDM-1太もも感染モデル)を利用して、ペプチドCMP1401およびRifampicin(Rif)単独および併用療法の生体内効能を分析した。実施例14.2と同一の方法で実験した。
【0165】
その結果を図17に示した。E.coli NDM-1で感染したNeutropenic mouse thighモデルでRifampicinとペプチドCMP1709併用療法は優秀な治療効能を示した。ペプチドCMP1709をRifampicin 20mg/kgの存在下で75mg/kgで投与した時、コロニー数はRifampicin単独投与に比べて8.7倍減少した。また、20mg/kgのRifampicin存在下で併用投与群でペプチドCMP1709の容量が変更された時、コロニー数の変化が観察された。ペプチドCMP1709を単独投与した時、コロニー数の変化は観察されなかったし、これはペプチドCMP1709が自らの抗菌活性よりはRifampicinの抗菌能力を向上させるということを示す。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図5C
図6
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図9F
図9G
図10A
図10B
図10C
図11
図12A
図12B
図13A
図13B
図14A
図14B
図15A
図15B
図15C
図16
図17
図18
【配列表】
2023521797000001.app
【国際調査報告】