(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-25
(54)【発明の名称】治療用MRNAのインビトロ製造及び精製
(51)【国際特許分類】
C12M 1/00 20060101AFI20230518BHJP
C12P 19/34 20060101ALI20230518BHJP
C12N 15/50 20060101ALN20230518BHJP
C12Q 1/6844 20180101ALN20230518BHJP
【FI】
C12M1/00 A
C12P19/34 A ZNA
C12N15/50
C12Q1/6844 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022562032
(86)(22)【出願日】2021-04-16
(85)【翻訳文提出日】2022-10-11
(86)【国際出願番号】 US2021027774
(87)【国際公開番号】W WO2021212034
(87)【国際公開日】2021-10-21
(32)【優先日】2020-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】322008162
【氏名又は名称】ネイチャーズ ツールボックス,インク.
【氏名又は名称原語表記】NATURE’S TOOLBOX,INC.
【住所又は居所原語表記】7701 Innovation Way NE,Rio Rancho,NM 87144(US)
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハンバート,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】コグリン,アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ビリャヌエバ、チャーリー
(72)【発明者】
【氏名】ストライカー,マティアス
【テーマコード(参考)】
4B029
4B063
4B064
【Fターム(参考)】
4B029AA23
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4B064DA13
(57)【要約】
本発明は、ポリヌクレオチドのインビトロ産生、特に治療用途で使用するためのmRNAの産生のための新規のシステム、方法、及び組成物を含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メッセンジャーRNA(mRNA)ポリヌクレオチドをインビトロで産生するための連続フロー組換えシステムであって、
-連続フローバイオリアクターであって、
-DNA鋳型を有する入力反応混合物を保持するように構成された少なくとも1つの連続フロー反応チャンバー、及び
-供給溶液を保持し循環させるように構成され、前記入力反応混合物と前記供給溶液との間に勾配を形成する一連の導管開口部を通して前記連続フロー反応チャンバーと流体連通するように更に構成された、少なくとも1つの連続フロー導管、を有し、
-前記入力反応混合物及び前記供給溶液が、前記DNA鋳型から転写された標的mRNAのインビトロ生成のための全ての必要な構成要素を含有する、連続フローバイオリアクターと、
-前記mRNA出力のタンパク質画分を除去するように構成されたタンパク質除去構成要素と、
-前記mRNA出力のDNA画分を除去するように構成されたDNA除去構成要素と、
-前記mRNA出力のヌクレオチド三リン酸(NTP)画分を除去するように構成されたヌクレオチド沈殿構成要素と、を備える、連続フロー組換えシステム。
【請求項2】
前記DNA鋳型が、直鎖DNA鋳型又は環状DNA鋳型を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記DNA鋳型が、抗原性ポリペプチドをコードする、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記抗原性ポリペプチドが、COVID-19コロナウイルスからの抗原性ポリペプチドを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記入力反応混合物が、
-第1の量の単離されたRNAポリメラーゼ(RNAP)酵素、
-ある量の反応緩衝液、及び
-任意選択的に、初期量の単離されたヌクレオチド三リン酸(NTP)、からなる群から選択される1つ以上の構成要素を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記供給溶液が、
-第1の量の単離されたNTP、
-ある量の反応緩衝液、
-任意選択的に、無機ポリリン酸エネルギー再生システムの構成要素、及び
-任意選択的に、mRNAポリヌクレオチドの前記産生のための1つ以上の補因子、からなる群から選択される1つ以上の構成要素を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記タンパク質除去構成要素が、前記mRNA出力から前記タンパク質画分を除去するように構成されたタンパク質親和性カラムを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記DNA除去構成要素が、前記mRNA出力から前記タンパク質画分を除去するように構成されたDNA親和性カラムを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記ヌクレオチド沈殿構成要素が、前記mRNA出力から前記標的mRNAを単離するように構成されたアルコール沈殿システムを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記単離された標的mRNAが、再可溶化又は乾燥される、請求項1又は9に記載のシステム。
【請求項11】
前記単離された標的mRNAが、安定化mRNAを含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
前記単離された標的mRNAが、ワクチンである、請求項9又は11に記載のシステム。
【請求項13】
前記単離された標的mRNAが、薬学的組成物に組み込まれる、請求項9、11、12のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
前記連続フロー導管への供給溶液のリアルタイム注入を可能にするように構成された入力バルブと結合された入力リザーバーを更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記連続フロー反応チャンバーからの前記mRNA出力の抽出を可能にするように構成された出力バルブと結合された出力リザーバーを更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
メッセンジャーRNA(mRNA)ポリヌクレオチドをインビトロで産生するためのバッチ供給組換えシステムであって、
-DNA鋳型及び供給溶液を有する入力反応混合物を保持するように構成されたバッチ供給反応チャンバーであって、前記入力反応混合物及び前記供給溶液が、前記DNA鋳型から転写された標的mRNAのインビトロ生成のための全ての必要な構成要素を含有する、バッチ供給反応チャンバーと、
-前記mRNA出力のタンパク質画分を除去するように構成されたタンパク質除去構成要素と、
-前記mRNA出力のDNA画分を除去するように構成されたDNA除去構成要素と、
-前記mRNA出力のヌクレオチド三リン酸(NTP)画分を除去するように構成されたヌクレオチド沈殿構成要素と、を備える、バッチ供給組換えシステム。
【請求項17】
前記DNA鋳型が、直鎖DNA鋳型又は環状DNA鋳型を含む、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記DNA鋳型が、抗原性ポリペプチドをコードする、請求項16又は17に記載のシステム。
【請求項19】
前記抗原性ポリペプチドが、COVID-19コロナウイルスからの抗原性ポリペプチドを含む、請求項16に記載のシステム。
【請求項20】
前記入力反応混合物が、
-第1の量の単離されたRNAポリメラーゼ(RNAP)酵素、
-ある量の反応緩衝液、及び
-任意選択的に、初期量の単離されたヌクレオチド三リン酸(NTP)、からなる群から選択される1つ以上の構成要素を含む、請求項16に記載のシステム。
【請求項21】
前記供給溶液が、
-第1の量の単離されたNTP、
-ある量の反応緩衝液、
-任意選択的に、無機ポリリン酸エネルギー再生システムの構成要素、及び
-任意選択的に、mRNAポリヌクレオチドの前記産生のための1つ以上の補因子、からなる群から選択される1つ以上の構成要素を含む、請求項16に記載のシステム。
【請求項21】
前記タンパク質除去構成要素が、前記mRNA出力から前記タンパク質画分を除去するように構成されたタンパク質親和性カラムを含む、請求項16に記載のシステム。
【請求項22】
前記DNA除去構成要素が、前記mRNA出力から前記タンパク質画分を除去するように構成されたDNA親和性カラムを含む、請求項16に記載のシステム。
【請求項23】
前記ヌクレオチド沈殿構成要素が、前記mRNA出力から前記標的mRNAを単離するように構成されたアルコール沈殿システムを含む、請求項16に記載のシステム。
【請求項24】
前記単離された標的mRNAが、再可溶化又は乾燥される、請求項16又は23に記載のシステム。
【請求項25】
前記単離された標的mRNAが、安定化mRNAを含む、請求項16又は23に記載のシステム。
【請求項26】
前記単離された標的mRNAが、ワクチンである、請求項16、23、25のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項27】
前記単離された標的mRNAが、薬学的組成物に組み込まれる、請求項23又は25に記載のシステム。
【請求項28】
前記バッチ供給反応チャンバーと結合された入力リザーバーを更に備える、請求項16に記載のシステム。
【請求項29】
前記バッチ供給反応チャンバーと結合された出力リザーバーを更に備える、請求項16に記載のシステム。
【請求項30】
メッセンジャーRNA(mRNA)の連続フロー組換え産生の方法であって、
-連続フローバイオリアクターを確立するステップであって、前記連続フローバイオリアクターが、
-DNA鋳型を有する入力反応混合物を保持するように構成された少なくとも1つの連続フロー反応チャンバー、及び
-供給溶液を保持するように構成され、前記入力反応混合物と前記供給溶液との間に勾配を形成する一連の導管開口部を通して前記連続フロー反応チャンバーと流体連通するように更に構成された、少なくとも1つの連続フロー導管、を有し、
-前記入力反応混合物及び前記供給溶液が、前記DNA鋳型から転写された標的mRNAのインビトロ生成のための全ての必要な構成要素を含有する、確立するステップと、
-前記連続フロー導管を通して前記供給溶液を循環させるステップであって、前記供給溶液の前記構成要素が、前記導管開口部を通過し、そこで、前記DNA鋳型によって指示される前記標的mRNAを合成する前記反応混合物の前記構成要素と相互作用する、循環させるステップと、
-前記連続フロー反応チャンバーから前記標的mRNAを含有するmRNA出力を抽出するステップと、
-前記mRNA出力のタンパク質画分を除去するステップと、
-前記mRNA出力のDNA画分を除去するステップと、
-前記mRNA出力のヌクレオチド三リン酸(NTP)画分を除去するステップと、を含む、方法。
【請求項31】
前記DNA鋳型が、直鎖DNA鋳型又は環状DNA鋳型を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記DNA鋳型が、抗原性ポリペプチドをコードする、請求項30又は31に記載の方法。
【請求項33】
前記抗原性ポリペプチドが、COVID-19コロナウイルスからの抗原性ポリペプチドを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
前記入力反応混合物が、
-第1の量の単離されたRNAポリメラーゼ(RNAP)酵素、
-ある量の反応緩衝液、及び
-任意選択的に、初期量の単離されたヌクレオチド三リン酸(NTP)、からなる群から選択される1つ以上の構成要素を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項35】
前記供給溶液が、
-第1の量の単離されたNTP、
-ある量の反応緩衝液、
-任意選択的に、無機ポリリン酸エネルギー再生システムの構成要素、及び
-任意選択的に、mRNAポリヌクレオチドの前記産生のための1つ以上の補因子、からなる群から選択される1つ以上の構成要素を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項36】
前記mRNA出力の前記タンパク質画分を除去する前記ステップが、前記mRNA出力から前記タンパク質画分を除去するように構成された、前記mRNA出力の前記タンパク質画分を除去する前記ステップ、タンパク質親和性カラムを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項37】
前記mRNA出力の前記DNA画分を除去する前記ステップが、前記mRNA出力から前記DNA画分を除去するように構成された、前記mRNA出力の前記DNA画分を除去する前記ステップ、DNA親和性カラムを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項38】
前記mRNA出力の前記NTP画分を除去する前記ステップが、前記mRNA出力から前記NTP画分を沈殿させる前記ステップを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項39】
前記単離された標的mRNAを再可溶化又は乾燥するステップを更に含む、請求項30又は38に記載の方法。
【請求項40】
前記単離された標的mRNAが、安定化mRNAを含む、請求項30又は38に記載の方法。
【請求項41】
前記単離された標的mRNAが、ワクチンである、請求項38又は40に記載の方法。
【請求項42】
前記単離された標的mRNAを薬学的組成物に組み込むステップを更に含む、請求項38、40、41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記供給溶液を、入力リザーバーから前記連続フロー導管へ注入するステップを更に含む、請求項30に記載の方法。
【請求項44】
mRNA出力を、前記連続フロー反応チャンバーから出力リザーバーへ抽出するステップを更に含む、請求項30に記載の方法。
【請求項45】
前記出力リザーバーが、DNA抽出構成要素、タンパク質抽出構成要素、又はNTP抽出構成要素を含む、請求項30に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本国際PCT出願は、2020年4月16日に出願された米国仮出願第63/011133号の利益及び優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
配列表
本出願は、ASCII形式で電子的に提出された配列表を含み、その全体が参照により本明細書に援用される。当該ASCIIコピーは、2021年4月16日に作成され、「90125-00181-Sequence-Listing-AF.txt」という名前で、サイズが26.9Kバイトである。
【0003】
本発明は概して、ポリヌクレオチドのインビトロ産生、特に、治療用途で使用するためのmRNAの産生の分野に関する。
【背景技術】
【0004】
メッセンジャーRNA(mRNA)は、細胞のDNAから転写され、生物の細胞内のリボソームにおいて、アミノ酸配列、すなわち、タンパク質に翻訳される鋳型分子である。コードされたタンパク質の発現レベルを制御するために、mRNAは、アミノ酸配列をコードする遺伝情報を含む実際のオープンリーディングフレーム(ORF)に隣接する非翻訳領域(UTR)を有する。このようなUTRは、それぞれ5’-UTR及び3’-UTRと称され、開始コドンの前及び停止コドンの後に位置するmRNAの区間である。更に、mRNAは、核からのmRNAの輸送を促進し、かつmRNAの分解からある程度保護する、アデニンヌクレオチドの長い配列である、ポリ(A)テール(ポリ(A)鎖)領域を含む。近年の科学技術の進歩により、mRNAは、診断用途、及びワクチンのような治療用製品を含む様々な用途の有望な候補となっている。
【0005】
最近の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックのように、個別化医療を可能にするだけでなく、流行の危機的状況での緊急対応を可能にする医療コミュニティの需要が高まっているため、多くのアプローチが、mRNAの大規模な生産のために開発されている。現在のほとんどの方法は、発酵を利用して、培養で自己複製DNA鋳型からmRNAを合成し、次いで、揮発性有機溶媒を利用して、原材料として全RNAを単離する。これらのプロセスは、コストが高く、危険であり、媒介されなければならない一連の有害廃棄物(hazardous waste stream)を生成する一方、生産率は、産生株の性能及び多様なtRNA、rRNA、及び宿主mRNAから不純物を除去する能力に大きく依存する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これからわかるように、揮発性有機溶媒を必要とせず、一連の有害廃棄物を生成せず、かつその発酵ベースの対応物よりも著しく低コストでありながら、治療用途に適した均一で純粋なmRNAを生成する、効果的なインビトロmRNA製造プロセスの必要性が長年望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、ポリヌクレオチド及び特に1つ以上の診断用途又は治療用途を対象とし得るmRNAの産生のための新規のインビトロ方法を含む。好ましい一態様では、本発明は、ポリヌクレオチド及び好ましくはRNAのバッチ産生又は連続フロー産生のための、完全に組換え安定で、信頼性があり、機能的なインビトロシステムを含む。この好ましい態様では、現在の改善されたインビトロシステムは、ポリヌクレオチドの転写に関与する構成要素を利用することによって、インビボで生じるポリヌクレオチドの産生を模倣するように構成されたインビトロ環境を作ることができる。
【0008】
本発明の別の態様は、mRNAの産生のための新規のインビトロ方法を含む。この実施形態では、インビトロバイオリアクター(及び、好ましくはバッチバイオリアクター)又は連続フローバイオリアクターは、単離されたRNAポリメラーゼ(RNAP)、及びヌクレオチド鋳型(及び、好ましくは直鎖状非自己複製DNA鋳型)、それとともに、複数のヌクレオチド三リン酸(NTP)(RNAPの作用を通して合成されるmRNA分子にこれらが組み込まれ得る)、及びエネルギー源(例えば、Koglin及びHumbertによるPCT出願第PCT/US2018/012121号(その説明、図、実施例、配列、及び特許請求項が、参照によりそれらの全体が本明細書に援用される)に概説されている新規の無機ポリリン酸エネルギー再生システム)を組み合わせるように構成され得る。好ましい実施形態では、合成されたmRNAは、次いで、精製され、様々な下流目的(選択された標的病原体を対象とするワクチンなどの診断用途又は治療用途を含む)に使用され得る。
【0009】
好ましい実施形態では、本発明の組換え無細胞システムを使用する巨大分子の産生は、バイオリアクターシステムで達成され得る。本明細書で使用される場合、「バイオリアクター」は、巨大分子、及び好ましくはポリヌクレオチド巨大分子、更により好ましくはDNA鋳型からインビトロで転写されたmRNAの産生に資する環境を維持するように構成された任意の形態の密閉装置であってもよい。バイオリアクターは、例えば、供給液又は供給溶液によって、バッチ、連続、又は半連続ベースで稼働するように構成され得る。一態様では、本発明は、mRNAを産生するように構成されたバイオリアクターを更に含み得る。この態様では、本発明は、連続フローバイオリアクターシステムとの動作に特に好適であり得、これは、1つ以上の中空連続フロー導管(例えば、外部バイオリアクター区画と流体連通する繊維性材料で作られたもの)を含み得る。この態様では、中空連続フロー導管は、インビトロ転写物又はポリヌクレオチド(及び、好ましくはmRNA)の交換媒体として形成される。
【0010】
本発明の別の態様としては、ポリヌクレオチド(及び、好ましくは様々な反応タイプを介したmRNA)の合成生物学的産生が挙げられる。一実施形態では、バッチ反応を使用して、インビトロでmRNAを産生することができる。この好ましい実施形態では、単離されたRNAP、DNA鋳型、及びNTPは、全て、バッチ供給反応チャンバーに合わされ、反応物が消費されるまでインキュベートされ得る。バッチ反応のスケーリング制限を回避するために、別の好ましい実施形態では、連続フローバイオリアクターを使用して、インビトロでmRNAを産生することができる。連続フローバイオリアクターは、反応プロセス間又は反応プロセス後に出力され得る大量のmRNAを産生しながら、新しい入力材料が注入され得るように、連続的に動作するように構成され得る。
【0011】
本発明の別の態様は、ポリヌクレオチド(及び、好ましくは本発明のインビトロ産生システムで産生されたmRNA)の単離及び精製のための新規のシステム及び方法を含み得る。好ましい実施形態では、合成されたmRNAを含有する反応出力は、有害な有機溶媒又は高価な使い捨て精製キットを使用することなく、mRNA出力から、反応混合物構成要素、すなわち、RNAP、鋳型DNA、遊離NTP、及び緩衝液を順次除去することを可能にする、段階的な単離及び精製プロセスを行うことができる。一実施形態では、本発明は、精製カラムカスケードを利用することができ、そこで、バッチ又は連続フローバイオリアクターのいずれかからの反応材料が、タンパク質親和性樹脂、続いて、DNA親和性樹脂上で洗浄されるか、又はその逆が行われる。このステップは、反応しなかった遊離ヌクレオチドを除いて、全てのタンパク質及びDNA鋳型の反応構成要素を除去することができる。遊離NTP及び緩衝液は、単離された沈殿したmRNA材料のみを残して、アルコール沈殿によって除去することができる。次いで、mRNAは、所望の下流用途用に再可溶化されるか、又は長期保存若しくは減容送達用に乾燥され得る。
【0012】
本発明の別の態様は、本明細書に記載のインビトロmRNA産生方法のうちの1つ以上によって産生される、COVID-19などの標的病原体を対象とする新規のmRNAベースのワクチンのための薬学的組成物、並びに治療を必要とする対象を治療するためのそれらの使用を含み得る。
【0013】
本発明の別の態様は、mRNAの多段階インビトロ産生のための新規のシステム、方法、及び組成物を含み得る。好ましい一態様では、DNA鋳型からのmRNA産生は、ポリ(A)テールの付加、又はポリ(A)テーリングと分けられる。例えば、第1のバイオリアクター(及び、好ましくは本発明の連続フローバイオリアクター)において、DNA鋳型からmRNAを産生する。この第1の段階の産生ステップの産生は、mRNA転写物への5’キャップの付加と共役していても、していなくてもよい。第2の段階では、mRNA転写物は、第2のバイオリアクター(及び、好ましくは本発明の連続フローバイオリアクター)に導入され得、ポリ(A)テールを含むように更に修飾され得る。任意選択的に、mRNAは、上述のように、それが第1のバイオリアクターに含まれていなかったと仮定して、5’プライムキャップを含むように修飾され得る。
【0014】
本発明の別の態様は、mRNAの多段階インビトロ産生のための新規のシステム、方法、及び組成物を含み得る。好ましい一態様では、DNA鋳型からのmRNA産生は、ポリ(A)テールの付加、又はポリ(A)テーリングと分けられる。例えば、第1のバイオリアクター(及び、好ましくは本発明の連続フローバイオリアクター)において、DNA鋳型からmRNAを産生する。この第1の段階の産生ステップの産生は、mRNA転写物への5’キャップの付加と共役していても、していなくてもよい。第2の段階では、mRNA転写物は、第2のバイオリアクター(及び、好ましくは本発明の連続フローバイオリアクター)に導入され得、ポリ(A)テールを含むように更に修飾され得る。任意選択的に、mRNAは、上述のように、それが第1のバイオリアクターに含まれていなかったと仮定して、5’プライムキャップを含むように修飾され得る。この多段階インビトロmRNA産生には、いくつかの利点がある。例えば、転写後のポリ(A)テールの生成はRNA合成と分けられるため、オペレーターは、二本鎖RNA(dsRNA)の望ましくない合成を制限することができる。本発明の多段階産生システムはまた、mRNAの手動による取り扱いを低減し、剪断のリスクを更に低減する。最後に、本発明の多段階生成システムは、例えば、ポリdT樹脂に結合しているポリ(A)テーリングされたRNAのみを介して、mRNAの一段階単離/精製を可能にする。
【0015】
本発明の別の態様は、Cap1酵素処理システムを有するmRNAの多段階インビトロ産生のための新規のシステム、方法、及び組成物を含み得る。好ましい一態様では、Cap0/Cap1酵素処理システムは、RNA上のCap0を認識するチェックポイントとして動作した後、酵素によるメチル化がCap1を生成し、続いて、ポリ(A)テールを生成することができる。ポリ(A)テールのこの選択は、産生中にRNAも完全にキャッピングされ、その結果、完全に機能的なmRNAの収率が向上することを確実にする。
【0016】
本発明の別の態様は、mRNA合成とポリ(A)テーリングが分離されている、新規のmRNAの多段階インビトロ産生を含み得る。この態様では、DNA鋳型(例えば、直鎖状プラスミド、PCR産物、アミン機能性表面繋留PCR産物)、第1の量のRNAポリメラーゼ、及び反応緩衝液を有する反応混合物を、本発明のバッチ若しくは連続フローバイオリアクター又は他の適切なバイオリアクター(例えば、本明細書に記載の中空繊維リアクター)を含み得る、第1のバイオリアクターに導入する。好ましい実施形態では、反応混合物を第1のバイオリアクターの内部反応セルに導入し、これを通過させる。この内部反応セルは、ヌクレオチドNTPを含有する供給溶液、本明細書に記載のmRNA合成を触媒及び駆動するために必要な構成要素を含み得る反応緩衝液、並びにピロリン酸の無機リン酸への加水分解を触媒するピロホスファターゼを保持する供給チャンバーと、流体連通し得る。この実施形態では、供給溶液は、反応混合物と比較して、対向流フローで循環され得る。この実施形態では、供給チャンバー及び反応セルは、本明細書に概説される連続フローの態様を含むように構成され得る。
【0017】
上記のように、供給溶液及び反応混合物の区画化及び対向流は、供給溶液からの遊離NTが、供給チャンバーを通過すると、反応セルの内部区画に引き込まれ、そこで反応混合物の構成要素と反応し得るように、勾配を生成する。この実施形態では、RNAPは、標的mRNAをコードする標的配列を有するDNA鋳型と会合し、標的mRNAヌクレオチドへのNTの組み込みを酵素的に触媒し得る。
【0018】
内部反応セルからの反応混合物は、1回以上の反応サイクルを経た後、抽出され、混合セルに導入され得、そこで、新たに合成されるmRNAが、例えば、1:5の比率で、緩衝液(及び、好ましくは高塩緩衝液)に希釈される。高塩緩衝液の希釈及び添加は、高濃度RNA溶液を生成し、RNAPを不活性化し、更に緩衝液条件を調整して、第2の段階のポリ(A)テーリングステップ中のポリ(A)ポリメラーゼの酵素活性を可能にする。
【0019】
好ましい実施形態では、mRNA転写物の5’キャッピング及びポリ(A)テーリング用の酵素は、希釈緩衝液中にも提供され得る。次いで、この新しい反応混合物は、ヌクレオチド三リン酸(例えば、ATP及びGTP)並びにS-アデノシルメチオニン(SAM)などの追加の構成要素を含有する供給チャンバーを有する第2の中空繊維リアクターの反応セルに導入される。上記のように、これらの構成要素が、本明細書に記載の中空繊維バリア(34)などの多孔質バリアを通過し、反応セルに入り、mRNA転写物の5’キャッピング及びポリ(A)テーリングの基質として作用するように、反応セルで勾配を形成する供給チャンバー内に配置され得る。この構成において、mRNAは、キャッピング及びポリ(A)テーリングされ、第2の中空繊維リアクターの反応セルからの反応混合物は、高塩緩衝液に希釈されて、ポリ(A)テーリングされたRNAのポリdT樹脂への遅い結合を可能にする。他の構成要素は、樹脂の上を通過し、回収される。特定の実施形態では、反応混合物からの組換え酵素は、カラムで親和性樹脂によって捕捉された後、ポリdT樹脂上で洗浄される。反応混合物をポリdT樹脂上で完全に洗浄し、ポリ(A)修飾RNAが樹脂に結合した後、高塩緩衝液を流して洗浄し、洗浄後、蒸ポリ(A)修飾RNAを留水で樹脂から遊離させる。多段階インビトロ生産システムの最終産物は、蒸留水中の濃縮されたキャッピング及びポリ(A)テーリングされたRNAであり、これは、治療用途のための脂質ナノ粒子(LNP)への封入などの追加の処理に更にかけられ得る。
【0020】
本発明の技術の更なる態様は、以下の明細書、図面、及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【0021】
本開示の態様、特徴、及び利点は、添付の図面と併せて以下の詳細な説明からよりよく理解されるであろう。これらの全ては、単に例示として与えられ、本開示の実施形態を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】一実施形態における、連続フローmRNA産生システムのシステムの概略図を示す。
【
図2】その一実施形態における、mRNAバッチ産生システムのシステムの概略図を示す。
【
図3】その一実施形態における、mRNA精製及び単離のシステムの概略図を示す。
【
図4】2020年3月30日、2020年4月1日、及び2020年4月3日に実施されたmRNA産生反応を実証する、例示的な1.0%アガロースゲルを示す。マーカーラダー(New England Biolabs(NEB)から購入)は、レーン1にロードされている。2020年3月30日からの、合計10ulの未精製反応物(バルク)及び精製反応物は、ゲル上のレーン2及び3にロードされている。2020年4月1日からの、合計10ulの未精製反応物(バルク)及び精製反応物は、ゲル上のレーン4及び5にロードされている。レーン6~11は、本明細書に概説される精製プロセスから採取された10ulの試料を示す。レーン6は、未精製反応(バルク)であり、レーン7は、反応混合物をタンパク質親和性カラムに適用した後の材料であり、レーン8は、反応混合物をDNA親和性カラムに適用した後の産物を示し、レーン9は、アルコール沈殿を経て洗浄し、次いでその後、滅菌水に溶解させた後の反応混合物を示し、レーン10は、滅菌濾過した後の沈殿及び単離された産物を示し、レーン10は、RNA精製カラム(NEBによる提供)を通して精製され、任意選択的に濃縮された後の沈殿及び単離されたmRNA産物を示す。ゲルは、UVテーブル上での365nmでの照明によって可視化される。
【
図5A】その一実施形態における、多段階mRNA産生システムのシステムの概略図を示す。
【
図5B】その一実施形態における、複数の中空繊維バイオリアクターを利用する多段階mRNA産生システムのシステムの概略図を示す。
【
図6】Bioanalyzer分析。3つの異なるmRNA産物試料を、
図5に概説されたシステムを使用して、キャッピング及びテーリングし、前/後の試料を、製造元の説明書に従ってAgilent RNA 6000 Nanoキットを使用して、Agilent Bioanalyzer 2100機器で泳動した。試料の分析は、テーリングによる見かけの視覚的サイズシフト、及びテーリングされていないmRNAのわずかな集団を示す。Bioanalyzer 2100上での、200ngの生のmRNA対キャッピング及びテーリングされたmRNA。予想される列のサイズ:m001は約1650nt、m002は約1675nt、m003は約2600nt。テーリングにより、約250~300ntが付加される。
【
図7】変性アガロースゲル分析。インビトロ転写された大型(11000nt)mRNAを、
図5に記載のシステムに従って産生し、精製し、変性アガロースゲル上で分析した。1%のアガロースを溶解し、2.5%のホルムアルデヒド及び0.01%のゲルレッドを使用し、変性ゲルを注いで、長いmRNA試料を分析した。1μgのmRNA試料を、市販のRNAラダー(RiboRuler HR)と並べて実行した。変性ゲルは、ほとんどの二次構造の形成を防止するが、依然として様々なmRNA集団の小さなスメアが見えるであろう。このような大型のmRNA種の産生の成功は、本明細書に記載の本発明のシステムの実現可能性を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
一般的に
図1を参照すると、一実施形態では、本発明の技術は、ポリヌクレオチド(特にmRNA)のスケーリングされたインビトロ産生のために構成された新規の連続フローバイオリアクター(1)を含み得る。概して、
図1を参照すると、連続フロー導管(3)は、連続フロー反応チャンバー(2)を通過し得る。この実施形態では、連続フロー導管(3)は、供給溶液を連続的に再循環させることができる。供給溶液は、以下の構成要素のうちの1つ以上を含み得る:
-第1の量の単離されたNTP、
-ある量の反応緩衝液、
-任意選択的に、PCT/US2018/012121に記載されている無機ポリリン酸エネルギー再生システムの構成要素、及び
-任意選択的に、mRNAポリヌクレオチドの産生のための1つ以上の補因子。
【0024】
この実施形態では、連続フロー反応チャンバー(2)は、ポリヌクレオチド(特にmRNA)の産生のための反応混合物を保持し得る。この入力反応混合物は、以下の構成要素のうちの1つ以上を含み得る:
-第1の量の単離されたRNAP酵素、
-第1の量のDNA鋳型、
-ある量の反応緩衝液、
-任意選択的に、初期量の単離されたNTP。
【0025】
特に、連続フロー導管(3)は、連続フロー反応チャンバー(2)と流体連通し得る。具体的には、
図1に示されるように、連続フロー導管(3)は、供給溶液の1つ以上の構成要素が、複数の導管開口部(4)から連続フロー導管(3)へ通過できるように構成された複数の導管開口部(4)を通して、連続フロー反応チャンバー(2)と流体連通し得る。好ましい一実施形態では、連続フロー導管(3)は、中空繊維から作られた連続フロー導管(3)を含み得る。この実施形態では、連続フロー導管(3)は、5kDa又は20kDaのサイズの間の細孔を有するMWCO PES膜から作製され得る。この繊維膜は、タンパク質及びヌクレオチド結合を低減するために更に処理され得る。この処理は、導管の外側に堆積するRNA不含アセチル化BSAを含み、mRNAが産生され得る導管の内側に精製RNAポリメラーゼが配置され得る。この構成において、複数の導管開口部(4)は、供給溶液からの遊離NTが、連続フロー反応チャンバー(2)を通過すると、連続フロー反応チャンバー(2)の内部区画に引き込まれ、そこで反応混合物の構成要素と反応し得るように、勾配を生成する。この実施形態では、RNAPは、標的mRNA(14)をコードする標的配列を有するDNA鋳型(及び、好ましくは直鎖DNA鋳型)と会合し、標的mRNA(14)ヌクレオチドへのNTPの組み込みを酵素的に触媒し得る。
【0026】
特定の実施形態では、標的mRNA(14)は、ヘアピン立体配置の3次元構造的形状(例えば、dsRNA立体配置)を生成するように構成され得、これは、RNA干渉経路の誘導を必要とする対象においてそれを誘導するために使用され得るが、更なる実施形態では、標的mRNA(14)は、薬学的組成物として使用され得る。例えば、一実施形態では、標的mRNA(14)は、抗原性ペプチド(例えば、ウイルスタンパク質に対するもの)をコードし得る。この実施形態では、mRNAは、それを必要とする対象に投与され得、翻訳されて抗原性タンパク質を形成し、これは次いで、免疫応答を誘発し得る。
【0027】
例えば、好ましい一実施形態では、連続フローバイオリアクター(1)は、COVID-19コロナウイルスを対象とする免疫応答を誘発するように指示された1つ以上の抗原性ペプチドをコードするmRNAを、それを必要とする対象において産生するように構成され得る。より具体的には、この実施形態では、連続フローバイオリアクター(1)は、Koglin及びHumbertによる米国出願第62/992,072号(明細書、図、配列、及び構築物構成が、参照により本明細書に具体的に援用される)に記載されている1つ以上の多価COVID-19コロナウイルス構築物をコードするmRNAを産生するように構成され得る。
【0028】
一部の実施形態では、本発明に従って産生されるmRNAの少なくとも1つのコード領域は、COVID-19コロナウイルスタンパク質又はその断片若しくはバリアントを含むか又はそれからなる、少なくとも2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、若しくはそれ以上の抗原性ペプチド又はタンパク質をコードする。より好ましくは、少なくとも1つのコード領域は、COVID-19コロナウイルスのスパイクタンパク質サブユニット1(S1)、ii)S1の受容体結合モチーフ(RBM)、及びii)ヌクレオカプシドタンパク質(NCP)、並びにその断片若しくはバリアント、又はそれらのタンパク質のうちのいずれか1つの断片若しくはバリアント(これらは、シグナルペプチド、好ましくはIgEシグナルペプチド(配列番号9を組み込んだもの)と更に結合され得る)を含むか又はそれらからなる、少なくとも2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、若しくはそれ以上の抗原性ペプチド又はタンパク質をコードする。更により好ましくは、少なくとも1つのコード領域は、組み込まれた配列番号1~6In、又はこれらのアミノ酸配列のうちのいずれか1つの断片若しくはバリアントからなる群から選択される、少なくとも2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、又はそれ以上のアミノ酸配列をコードする。特に、組み込まれた配列は、「In」指定で特定される。
【0029】
再び
図1を参照すると、反応混合物の構成要素は、反応の開始前に連続フロー反応チャンバー(2)の内部区画にロードされ得、又は必要に応じて、動作中に補充され得る。供給溶液はまた、反応の開始前に、連続フロー導管(3)にロードされ得る。例えば、
図1に示されるように、供給溶液は、連続フロー導管(3)への供給溶液のリアルタイム注入を可能にするように構成された入力バルブ(7)と結合された入力リザーバー(5)から連続フロー導管(3)に添加され得る。特定の実施形態では、供給溶液の添加は、手動で達成され得、代替の実施形態では、プロセスは自動化され得る。この後者の実施形態では、供給溶液は、所定のスケジュールに基づいて、又は所定の閾値(例えば、供給溶液中のNTPの濃度、連続フロー反応チャンバー(2)で合成されるmRNAの濃度、又は反応のエネルギー消費などの別のパラメーター)に基づいて、システムに添加され得る。かかるパラメーターは、本明細書に概説されるような1つ以上のパラメーターの変化に応答して、コンピュータ実行可能プログラムを実行するように構成されたコンピュータシステムと通信する1つ以上のセンサーによって測定され得る。
【0030】
特に、連続フロー反応チャンバー(2)の内部区画での反応の開始後、NTPが新たに合成されるmRNAに組み込まれると、他の要因の中でも新鮮なNTPが、連続フロー導管(3)に連続的に提供され得る。かかる計量生成は、例えば、ヌクレオチド三リン酸(例えば、アデニン三リン酸(ATP)、グアノシン三リン酸(GTP)、ウリジン三リン酸(UTP)、及びシチジン三リン酸(CTP)からなる群から選択される1つ以上のヌクレオチド三リン酸)のエネルギー加水分解の形態での、反応酵素及びエネルギー使用のより効率的な使用を可能にする。
【0031】
本発明の連続フローバイオリアクター(1)は、一般的に、細胞のアデノシン三リン酸(ATP)エネルギー再生システムを含む、無機ポリリン酸エネルギー再生システムを含むように更に構成され得る。この実施形態では、連続フロー反応チャンバー(2)は、
-ある量の単離されたアデノシルキナーゼ酵素(及び、好ましくは好熱性細菌由来のGst AdK)と、
-ある量の単離されたポリリン酸キナーゼ酵素(好熱性細菌由来のTaq PPK)と、
-ある量の好熱性細菌由来の無機ポリリン酸(PPi)と、
-ある量のアデノシン一リン酸(AMP)と、を含み得る。
【0032】
この実施形態では、アデノシルキナーゼ(AdK)及びポリリン酸キナーゼ(PPK)酵素は、PPi及びAMPから細胞のATPエネルギーを再生するように相乗的に働く。より具体的には、‘121出願(参照により本明細書に援用される)の
図8に概して示されるように、別の好ましい実施形態では、単離及び精製されたGst AdK(‘121出願の配列番号8In(参照により本明細書に援用される))及び/又はTaq PPK(‘121出願の配列番号11In(参照により本明細書に援用される))が、ある量の無機ポリリン酸とともに、この無細胞発現システムに添加され得る。一実施形態では、この量の無機ポリリン酸は、最適なポリリン酸濃度範囲を含み得る。この好ましい実施形態では、かかる最適なポリリン酸濃度範囲は、概して、反応の平衡を安定に維持する無機ポリリン酸(PPi)の濃度として定義される。この好ましい実施形態では、最適なポリリン酸濃度範囲は、約0.2~2mg/mlのPPiであり得る。
【0033】
上記のように、PPKは、ポリリン酸及びAMPからADPを合成することができる。この好ましい実施形態では、Gst AdK及びPPKの共役作用は、2つのADPを、1つのATP及び1つのアデノシン一リン酸(AMP)に変換することによって、システムからアデノシン二リン酸(ADP)を除去し得る。
【数1】
【0034】
この反応は、ADPの産生に向かってPPKの平衡反応を駆動するのに十分に速い場合がある。
【数2】
【0035】
このシステムにおいて、より高濃度のAMPの存在により、Taq PPKの反応が更にADPに向かって駆動され得る。
【0036】
連続フロー反応チャンバー(2)に反応混合物の一部及び新たに合成されたmRNAを含有するmRNA出力(9)は、更なる修飾のために抽出され得る。再び
図1を参照すると、mRNA出力(9)は、連続フロー反応チャンバー(2)からのmRNA出力(9)の抽出を可能にするように構成された出力バルブ(8)と結合された出力リザーバー(6)への連続フロー反応チャンバー(2)に抽出され得る。特定の実施形態では、mRNA出力(9)の抽出は手動で達成され得るが、代替的な実施形態では、プロセスは自動化され得る。この後者の実施形態では、mRNA出力(9)は、所定のスケジュールに基づいて、又は所定の閾値(例えば、供給溶液中のNTPの濃度、連続フロー反応チャンバー(2)で合成されるmRNAの濃度、又は反応のエネルギー消費などの別のパラメーター)に基づいて、システムから抽出され得る。かかるパラメーターは、本明細書に概説されるような1つ以上のパラメーターの変化に応答して、コンピュータ実行可能プログラムを実行するように構成されたコンピュータシステムと通信する1つ以上のセンサーによって測定され得る。
【0037】
ここで、一般的に
図2を参照すると、一実施形態では、本発明の技術は、ポリヌクレオチド(特にmRNA)のスケーリングされたインビトロ産生のために構成された新規のバッチ供給反応チャンバー(10)を含み得る。この実施形態では、バッチ供給反応チャンバー(10)は、ポリヌクレオチド(特にmRNA)の製造のための反応混合物を保持し得る。この入力反応混合物は、以下の構成要素のうちの1つ以上を含み得る:
-第1の量の単離されたRNAP酵素、
-第1の量のDNA鋳型、
-ある量の反応緩衝液、
-第1の量の単離されたNTP、
-任意選択的に、PCT/US2018/012121に記載されている無機ポリリン酸エネルギー再生システムの構成要素、及び
-任意選択的に、mRNAポリヌクレオチドの産生のための1つ以上の補因子。
【0038】
この構成において、遊離RNAPは、標的mRNA(14)をコードする標的配列を有するDNA鋳型(及び、好ましくは直鎖DNA鋳型)と会合し、バッチ供給反応チャンバー(10)内の標的mRNA(14)ヌクレオチドへのNTPの組み込みを酵素的に触媒し得る。再び、
図1を参照すると、反応混合物の1つ以上の構成要素は、入力リザーバー(5)を通してバッチ供給反応チャンバー(10)内に入り得る。
【0039】
特定の実施形態では、バッチ供給反応チャンバー(10)において生成された標的mRNA(14)は、ヘアピン立体配置の3次元構造的形状(例えば、dsRNA立体配置)を生成するように構成され得、これは、RNA干渉経路の誘導を必要とする対象においてそれを誘導するために使用され得るが、更なる実施形態では、標的mRNA(14)は、薬学的組成物として使用され得る。例えば、一実施形態では、標的mRNA(14)は、抗原性ペプチド(例えば、ウイルスタンパク質に対するもの)をコードし得る。この実施形態では、mRNAは、それを必要とする対象に投与され得、翻訳されて抗原性タンパク質を形成し、これは次いで、免疫応答を誘発し得る。
【0040】
例えば、好ましい一実施形態では、バッチ供給反応チャンバー(10)は、COVID-19コロナウイルスに対する免疫応答を、それを必要とする対象において誘発するように指示された1つ以上の抗原性ペプチドをコードするmRNAを産生するように構成され得る。より具体的には、この実施形態では、連続フローバイオリアクター(1)は、Koglin及びHumbertによる米国出願第62/992,072号(明細書、図、配列、及び構築物構成が、参照により本明細書に具体的に援用される)に記載されている1つ以上の多価COVID-19コロナウイルス構築物をコードするmRNAを産生するように構成され得る。
【0041】
一部の実施形態では、本発明に従って産生されるmRNAの少なくとも1つのコード領域は、COVID-19コロナウイルスタンパク質又はその断片若しくはバリアントを含むか又はそれからなる、少なくとも2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、若しくはそれ以上の抗原性ペプチド又はタンパク質をコードする。より好ましくは、少なくとも1つのコード領域は、COVID-19コロナウイルスのスパイクタンパク質サブユニット1(S1)、ii)S1の受容体結合モチーフ(RBM)、及びii)ヌクレオカプシドタンパク質(NCP)、並びにその断片若しくはバリアント、又はそれらのタンパク質のうちのいずれか1つの断片若しくはバリアント(これらは、シグナルペプチド、好ましくはIgEシグナルペプチド(配列番号9を組み込んだもの)と更に結合され得る)を含むか又はそれらからなる、少なくとも2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、若しくはそれ以上の抗原性ペプチド又はタンパク質をコードする。更により好ましくは、少なくとも1つのコード領域は、組み込まれた配列番号1~6In、又はこれらのアミノ酸配列のうちのいずれか1つの断片若しくはバリアントからなる群から選択される、少なくとも2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、又はそれ以上のアミノ酸配列をコードする。
【0042】
特に、バッチ供給反応チャンバー(10)における反応の開始後、NTPが新たに合成されるmRNAに組み込まれると、合成反応は、所定の時間、又は新たに合成されるmRNAの所定の濃度などの閾値が満たされるまで、又は反応混合物の酵素若しくはエネルギー源が消費されるまで、進行し得る。上記のように、一実施形態では、バッチ供給反応チャンバー(10)は、ヌクレオチド三リン酸(例えば、以下からなる群から選択される1つ以上のヌクレオチド三リン酸)のエネルギー加水分解の形態のエネルギー源を含み得る:アデニン三リン酸(ATP)、グアノシン三リン酸(GTP)、ウリジン三リン酸(UTP)、及びシチジン三リン酸(CTP)。最後に、本発明のバッチ供給反応チャンバー(10)は、上に概説される無機ポリリン酸エネルギー再生システムを含むように更に構成され得る。
【0043】
本発明の技術は、バッチ供給反応チャンバー(10)システム、又は上に概説される連続フローバイオリアクター(1)のいずれかを介して産生されたmRNA出力(9)を単離するためのシステム及び方法を更に含む。一般に
図3を参照すると、一実施形態では、mRNA出力(9)は、mRNA出力(9)のタンパク質画分(15)を捕捉するように構成されたタンパク質親和性カラム(11)を通過し得、これは、遊離RNAP又はmRNA出力(9)に存在し得る他のタンパク質を含み得る。実施形態では、捕捉されたRNAPは、タンパク質親和性カラム(11)から溶出され、その後のインビトロmRNA産生反応で再利用され得る。
【0044】
図3に更に示されるように、タンパク質画分(15)を除去した後、mRNA出力(9)は、mRNA出力(9)に存在し得る遊離DNA鋳型を含み得るmRNA出力(9)のDNA画分(16)を捕捉するように構成されたDNA親和性カラム(12)を通過し得る。
【0045】
再び、
図3に示されるように、タンパク質画分(15)及びDNA画分(16)を除去した後、mRNA出力(9)は、NTP画分(17)並びに過剰な緩衝液又はmRNA出力(9)の他の構成要素を除去するように構成されたヌクレオチド沈殿器(13)を通過し得る。好ましい実施形態では、遊離NTP画分(17)は、1回以上のラウンドのアルコール沈殿及び洗浄を介して標的mRNA(14)から分離及び除去されて、mRNA出力(9)に存在し得る標的mRNA(14)が抽出され得る。ようやく単離された標的mRNA(14)は、更に精製され、任意選択的に、所望の下流用途用に再可溶化され得るか、又は長期保存若しくは減容送達用に乾燥され得る。上記のように、タンパク質親和性カラム(11)及びDNA親和性カラム(12)の順序は、最初にDNA画分(16)が除去されて、2番目にタンパク質画分(15)が除去され、また、その逆も同様に除去されるように切り替えられ得る。このような動作順序は、遊離NTP画分(17)の除去にも適用可能である。
【0046】
本発明は、以下に概説されるように、mRNAの多段階産生に構成され得る中空繊維バイオリアクター(20)のためのシステム、方法、及び組成物を含み得る。図に示されるように、好ましい実施形態では、中空繊維バイオリアクター(20)は、反応混合物、好ましくは、DNA鋳型(例えば、直鎖状プラスミド、PCR産物、アミン機能性表面繋留PCR産物)、第1の量のRNAポリメラーゼ、及び反応緩衝液、並びにmRNAのインビトロ産生に必要な他の構成要素を含有するように構成された反応セル(31)を含み得る。混合反応セル(31)は、供給チャンバー(32)内に配置され得る。この内部混合反応セル(31)は、実施形態では、ヌクレオチドNTPを含有する供給溶液、本明細書に記載のmRNA合成を触媒及び駆動するために必要な構成要素を含み得る反応緩衝液、並びにピロリン酸の無機リン酸への加水分解を触媒するピロホスファターゼを保持する供給チャンバー(32)と、流体連通し得る。以下に示されるように、多段階システムでは、供給チャンバー(32)は、mRNA転写物を5’キャッピング及びポリ(A)テーリングするための酵素を含有する供給溶液を含有し得る。上記のように、供給チャンバー(32)内に配置された供給溶液の構成要素は、多孔質バリアを通過し、反応セル(32)内に入り、mRNAの合成並びに/又はmRNA転写物の5’キャッピング及びポリ(A)テーリングの基質として作用するように、反応セル(32)と勾配を形成することができる。
【0047】
好ましい実施形態では、反応セル(32)は、多孔質バリア(好ましくは5kDa又は20kDaのサイズの間の細孔を有するMWCO PES膜を含み得る中空繊維バリア(34)であり得る)によって、供給チャンバー(32)と分けられる。この繊維膜は、タンパク質及びヌクレオチド結合を低減するために更に処理され得る。この処理は、導管の外側に堆積するRNA不含アセチル化BSAを含み、mRNAが産生され得る導管の内側に精製RNAポリメラーゼが配置され得る。
【0048】
上に概説されるように、本発明の多段階インビトロ産生システム(30)は、mRNA合成並びにmRNA転写物のポリ(A)テーリング及び任意選択的に5’キャッピングを分離するように構成された複数のバイオリアクターを含み得る。この実施形態では、mRNAは、第1のバイオリアクターにおいて生成され、mRNA転写物のポリ(A)テーリングは、第2のバイオリアクターにおいて実施される。以下に更に概説するように、当該キャップの5’プライムキャッピング及び修飾は、第1のバイオリアクターにおけるmRNA合成と同時に実施されてもよく、又はmRNA合成ステップと分けられて、第2のバイオリアクターにおけるポリ(A)テーリング中に実施されてもよい。
【0049】
図5A~Bに提供される概略的なフロー図において、本発明の多段階インビトロ産生システム(30)は、第1のバイオリアクターを含み得、これは、この実施形態では、mRNA巨大分子の合成及び任意選択的に当該転写物の5’キャッピングのために構成された第1の中空繊維リアクター(20a)として示されている。特に、第1の中空繊維リアクター(20a)を使用することが好ましいが、任意のインビトロmRNAバイオリアクターシステムが本発明とともに使用され得るため、必要ではない。再び
図5A~Bを参照すると、第1の中空繊維リアクター(20a)は、第1の段階の反応混合物(21)、好ましくは、DNA鋳型(例えば、直鎖状プラスミド、PCR産物、アミン機能性表面繋留PCR産物)、第1の量のRNAポリメラーゼ(配列番号1)、及び反応緩衝液を含有するように構成された反応セル(31)を含み得る。第1の中空繊維リアクター(20a)のこの反応セル(31)は、ヌクレオチドNTPを含有する第1の段階の供給溶液(22)、本明細書に記載又は援用されるmRNA合成を触媒及び駆動するために必要な構成要素を含み得る反応緩衝液、並びにピロリン酸の無機リン酸への加水分解を触媒するピロホスファターゼを保持する供給チャンバー(32)と、流体連通し得る。この実施形態では、第1の段階の供給溶液(22)は、第1の段階の反応混合物(21)と比較して、対向流フローで循環され得る。この実施形態では、供給チャンバー(32)及び反応セル(33)は、本明細書に概説されるように、構成要素の連続的又はバッチ的な流入及び流出のために個別に又は集合的に構成され得る。
【0050】
上記のように、第1の段階の供給溶液(22)及び第1の段階の反応混合物(21)の区分化及び対向流は、第1の段階の供給溶液(22)からの遊離NTが、供給チャンバー(32)を通過すると、反応セル(31)に引き込まれ得、そこでRNAPが標的mRNA(14)をコードする標的配列を有するDNA鋳型と会合し、NTのaを形成する標的mRNAヌクレオチドへの組み込みを酵素的に触媒することができるように、第1の段階の反応混合物(21)の構成要素と反応し得るように、勾配を生成する。この反応サイクルは、所定の期間(好ましくは3~4時間)又は反応セル(31)内である量のmRNAが産生されるまで実行され得る。消費された第1の段階の供給溶液(23)は、サイクル中又はサイクルが完了した後、供給チャンバー(32)から抽出され得る。
【0051】
この実施形態では、ポリ(A)テールを欠くmRNA転写物を含有する第2の段階の反応混合物(24)、及び5’キャップを、第1の中空繊維バイオリアクター(20a)の反応セル(32)から抽出し、新たに合成したmRNAを高塩緩衝液で好ましくは1:5の比率で希釈した混合セル(33)に導入してもよい。高塩緩衝液の希釈及び添加は、高濃度RNA溶液を生成し、RNAPを不活性化し、更に緩衝液条件を調整して、第2の段階のポリ(A)テーリングステップ中のポリ(A)ポリメラーゼの酵素活性を可能にする。
【0052】
特に、リボソームによる効率的な翻訳のために準備された成熟mRNAを生成するには、2つの主要な修飾(5’キャップ構造及びポリ(A)テール)を含んでいなければならない。m7Gキャップ構造は、5’→5’三リン酸結合(m7Gキャップ)を介してmRNAの5’末端に連結された7-メチルグアノシン三リン酸からなる。m7Gキャップ(Cap0構造としても知られる)は、インビボでの大部分のタンパク質翻訳に不可欠である。m7Gキャップはまた、成熟mRNAを分解から保護し、調節された分解機構を可能にし、プレRNAスプライシングを増強し、核外輸送を指示する。インビボでは、Cap0構造は、mRNAの開始ヌクレオチドの2’O位置にメチル基を付加することによって、Cap1構造へと更に修飾され得る。Cap1構造における2’Oメチル化は、mRNAがインビボで自然免疫応答を回避するのを助け、治療用途のために産生されるmRNAにとって特に重要である。より具体的には、5’キャッピングは、共転写プレmRNAプロセシングにおける最初のステップであり、多くの真核生物において、キャッピング機構は、RNAPのリン酸化C末端ドメインに直接結合される。Cap0構造の生合成には、3つの連続した酵素活性:新生転写物の5’三リン酸末端のRNAトリホスファターゼによる二リン酸への加水分解、GTPを基質として使用しかつ活性部位のリジンに共有結合したGMPを中間体として使用するRNAグアニリルトランスフェラーゼによるGMPでの二リン酸のキャッピング、及び最後に、RNAメチルトランスフェラーゼ(MT)によるN7位の5’グアニン塩基のメチル化、を必要とする。
【0053】
再び
図5A~Bを参照すると、修飾反応混合物(25)は、混合セル(33)内の第2の段階の反応混合物(24)に導入されるか、又は代替的に、第2の中空繊維リアクター(20b)に導入され得る。上記のように、修飾反応混合物(25)は、任意選択的に、5’キャッピングのための酵素、並びにmRNA転写物のポリ(A)テーリングのための特異的酵素を含有し得る。ポリアデニル化を開始し、pol(A)テールを伸長する、追加の酵素が添加され得る。第2の段階の反応混合物(24)は、ある量の以下のうちの1つ以上を含み得る:
-mRNAトリホスファターゼ酵素、
-RNAグアニリルトランスフェラーゼ酵素、
-mRNAメチルトランスフェラーゼ酵素、
-ポリ(A)ポリメラーゼ酵素、
-ポリアデニル化開始酵素、及び
-ポリアデニル化伸長酵素。
【0054】
好ましい実施形態では、第2の段階の反応混合物(24)は、ある量の以下のうちの1つ以上を含み得る:
-配列番号2のアミノ酸配列によるmRNAトリホスファターゼ酵素、
-配列番号3のアミノ酸配列によるRNAグアニリルトランスフェラーゼ酵素、
-配列番号4のアミノ酸配列によるmRNAキャップグアニン-N7メチルトランスフェラーゼ酵素、
-配列番号5のアミノ酸配列によるポリ(A)ポリメラーゼ酵素、
-配列番号6のアミノ酸配列によるポリアデニル化開始剤酵素、及び
-配列番号7のアミノ酸配列によるポリアデニル化伸長酵素。
【0055】
この構成において、Cap1生成メチルトランスフェラーゼ(配列番号4)は、mRNA転写物上のCap0-GTPを認識し、それに結合し、Cap1メチル化を生成する。ポリ(A)ポリメラーゼは、Cap1-メチルトランスフェラーゼを認識及び結合し、複合体を形成し、酵素が選択ツールとして、全てのポリ(A)テーリングされたRNAがキャッピングもされるように協同的に働くように、ポリ(A)テールを生成し始める。特に、mRNA転写物の5’キャッピングに必要な5つの酵素は、代替的に、以下に記載されるように、mRNA合成及び5’キャッピングが第1の中空繊維リアクター(20a)内で共役されるように、第1の段階の供給溶液(22)に追加され、対応するキャッピング構成要素を含む第1の段階の反応混合物(21)に含まれ得る。
【0056】
再び、
図5A~Bを参照すると、上記のmRNA転写物の第2の段階の反応混合物(24)は、混合セル(33)内の希釈緩衝液中、又は代替的に、第2の中空繊維リアクター(20b)にも提供され得る。次いで、この新しい溶液は、第2のバイオリアクターに導入され、好ましくは、ポリ(A)テーリング及び5’キャッピングにそれぞれ必要なヌクレオチド三リン酸(例えば、ATP及びGTP)並びにS-アデノシルメチオニン(SAM)などの追加の構成要素を含有する供給チャンバー(32)を有する第2の中空繊維リアクター(20b)の反応セル(31)に導入される。上記のように、これらの構成要素は、本明細書に記載の中空繊維バリア(34)などの多孔質バリアを通過し、反応セル(31)内に入り、mRNA転写物の5’キャッピング及びポリ(A)テーリングの基質として作用するように、反応セルと勾配を形成する供給チャンバー(32)内に配置され得る。
【0057】
1つ以上のキャッピング及びポリ(A)テーリングのサイクル中に、mRNAがキャッピング及びポリ(A)テーリングされる。消費された修飾反応混合物(26)は、中空繊維リアクター(20b)から抽出され得、第2の中空繊維リアクター(20b)の反応セル(31)からのmRNA濃縮物(27)は、抽出され、ヌクレオチド除去装置(28)に導入されて、任意の遊離ヌクレオチドを除去し、精製されたmRNA(29)出力を形成することができる。この実施形態では、第2の中空繊維リアクター(20b)の反応セル(31)からのmRNA濃縮物(27)は、高塩緩衝液に希釈されて、ポリ(A)テーリングされたRNAのポリdT樹脂への遅い結合を可能し得る。他の構成要素は、樹脂の上を通過し、回収される。特定の実施形態では、反応混合物からの組換え酵素は、カラムで親和性樹脂によって捕捉された後、ポリdT樹脂上で洗浄される。反応混合物をポリdT樹脂上で完全に洗浄し、ポリ(A)修飾RNAが樹脂に結合した後、高塩緩衝液を流して洗浄し、洗浄後、蒸ポリ(A)修飾RNAを留水で樹脂から遊離させる。多段階インビトロ生産システムの最終産物は、蒸留水(29)中の濃縮されたキャッピング及びポリ(A)テーリングされたRNAであり、これは、治療用途のための脂質ナノ粒子(LNP)への封入などの追加の処理に更にかけられ得る。
【0058】
したがって、他の好ましい実施形態では、標的mRNA(14)は、精製又は単離されたmRNAである。「精製されたmRNA」又は「単離されたmRNA」という用語は、本明細書で使用される場合、出発物質(例えば、連続フローバイオリアクター(1)又はバッチ供給反応チャンバー(10)内のインビトロで転写されたmRNA)よりも、特定の精製ステップ(例えば、アルコール精製、並びに、例えば、HPLC、TFF、及び他のポリヌクレオチド沈殿ステップ)後に高い純度を有するmRNAとして理解されなければならない。精製されたmRNAに本質的に存在しない典型的な不純物は、ペプチド又はタンパク質(例えば、DNA依存性RNAインビトロ転写に由来する酵素(例えば、RNAポリメラーゼ、RNase)、BSA、ピロホスファターゼ、制限エンドヌクレアーゼ、DNase)、スペルミジン、未成熟RNA配列、RNA断片、遊離ヌクレオチド(修飾ヌクレオチド、従来のNTP、Cap類似体)、プラスミドDNA断片、緩衝液構成要素(HEPES、TRIS、MgCI2)などを含む。他の不純物(例えば、発酵手順に由来し得るもの)としては、細菌性不純物(バイオバーデン、細菌DNA)又は精製手順に由来する不純物(有機溶媒など)が挙げられる。したがって、この点に関して、「RNAの純度」は、可能な限り100%に近いことが望ましい。完全長RNA転写物の量が可能な限り100%に近いことも、RNAの純度にとって望ましい。したがって、本明細書で使用される「精製されたmRNA」又は「単離されたmRNA」は、70%、75%、80%、85%超、特に、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%超、及び最も好ましくは99%以上の純度を有する。純度は、例えば、分析用HPLCによって決定することができ、上記のパーセンテージは、標的RNAのピークの面積と、副産物を表す全てのピークの総面積との間の比率に対応する。代替的に、純度は、例えば、分析用アガロースゲル電気泳動又はキャピラリーゲル電気泳動によって決定され得る。
【0059】
本明細書で使用される「乾燥mRNA」という用語は、温度安定性の乾燥mRNA(粉末)を得るために、上に定義されるように凍結乾燥又は噴霧乾燥又は噴霧凍結乾燥されたmRNAとして理解されなければならない。本明細書に定義される「乾燥mRNA」、及び本明細書に定義される「精製mRNA」、又は本明細書に定義される「GMPグレードmRNA」は、優れた安定性特性及び改善された効率(例えば、mRNAのインビボでのより良い翻訳性)を有し得ることも理解されなければならない。
【0060】
更なる実施形態では、本発明は、組成物を提供し、連続フローバイオリアクター(1)で、又はmRNAが抗原性ペプチド(特に多価COVID-19 mRNAワクチン)をコードする場合は、バッチ供給反応チャンバー(10)でインビトロで転写されたmRNAと、少なくとも1つの薬学的に許容される担体と、を含む。特に、本発明による組成物は、好ましくは本明細書に記載される、少なくとも1つのmRNAを含み、COVID-19コロナウイルスのスパイクタンパク質サブユニット1(S1)、ii)S1の受容体結合モチーフ(RBM)、及びii)ヌクレオカプシドタンパク質(NCP)、並びにその断片若しくはバリアント、又はこれらのタンパク質のうちのいずれか1つの断片若しくはバリアントを含むか、又はそれからなる少なくとも1つの抗原性ペプチド若しくはタンパク質をコードする。
【0061】
本発明による組成物は、好ましくは薬学的組成物又はワクチンとして提供される。「ワクチン」は、典型的には、抗原(好ましくは免疫原)の少なくとも1つのエピトープを提供する予防用又は治療用材料であると理解される。一部の実施形態では、mRNAは、少なくとも1つのエピトープを有するか、又は提供するペプチドをコードし得る。「少なくともエピトープ上に提供される」という用語は、例えば、ワクチンが、エピトープ(又は当該エピトープを含むか若しくは提供する抗原)を含むこと、あるいはワクチンが、例えば、エピトープをコードする分子、又はエピトープを含むか若しくは提供する抗原を含むこと、を意味する。抗原は、好ましくは、適応免疫系を刺激して、適応免疫応答を提供する。本明細書に提供される(薬学的)組成物又はワクチンは、少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤、アジュバント、又は更なる構成要素(例えば、添加剤、補助物質など)を更に含み得る。好ましい実施形態では、本発明による(薬学的)組成物又はワクチンは、連続フローバイオリアクター(1)又はバッチ供給反応チャンバー(10)においてインビトロで転写されたmRNAを複数以上含み、本明細書に記載される多価COVID-19 mRNAワクチンを更に含み得る。別の実施形態によれば、本発明による(薬学的)組成物又はワクチンは、アジュバントを含み得、好ましくは、組成物の免疫刺激特性を強化するために添加される。この文脈では、アジュバントは、本発明による組成物の投与及び送達を支持するのに好適である、任意の化合物として理解され得る。更に、そのようなアジュバントは、それに束縛されることなく、自然免疫系の免疫応答、すなわち、非特異的免疫応答を開始又は増加させることができる。言い換えると、本発明による組成物は、投与された場合、典型的には、本発明の組成物に含まれる本発明のmRNAの少なくとも1つのコード配列によってコードされる、本明細書に定義される抗原又はその断片若しくはバリアントによる適応免疫応答を開始する。加えて、本発明による組成物は、本発明による組成物に、本明細書に定義されるアジュバントを添加することにより、(支持的)自然免疫応答を生成することができる。
【0062】
本発明の(薬学的)組成物と同様に、上に概説された方法のうちの1つ以上によって産生されるmRNAワクチンの実体は、液体及び/又は乾燥(例えば、凍結乾燥)形態で提供され得る。それらは、更なる構成要素、特に、その薬学的使用を可能にする更なる構成要素を含有することができる。mRNA、mRNAワクチン、又はその(薬学的)組成物は、例えば、薬学的に許容される担体、並びに/又は更なる補助物質及び添加剤、並びに/又はアジュバントを追加的に含有し得る。mRNA、mRNAワクチン、又はその(薬学的)組成物は、典型的には、本明細書に定義されるように、安全かつ有効な量の、本明細書に定義されるmRNAを含み、本明細書に定義される抗原性ペプチド若しくはタンパク質、又はその断片若しくはバリアント、又は好ましくは本明細書に定義される抗原の組み合わせをコードする。本明細書で使用される場合、「治療有効量」は、好ましくはCOVID-19コロナウイルスの感染を予防する、陽性免疫応答を有意に誘導するのに十分である、mRNAの量を意味する。しかしながら、同時に、「治療有効量」は、重篤な副作用を回避するのに十分少ない量であり、すなわち、利点とリスクとの間の合理的な関係を可能にする。これらの限界の決定は、典型的には、合理的な医学的判断の範囲内にある。本発明のmRNA、mRNAワクチン、又は(薬学的)組成物に関して、「治療有効量」という表現は、好ましくは、適応免疫系を刺激するのに好適である、mRNA、mRNAワクチン、又はその(薬学的)組成物の量を意味し、かかる様式では、過剰又は有害な免疫応答は達成されないが、好ましくは、測定可能なレベル未満のそのような免疫反応も達成されない。本明細書に定義される(薬学的)組成物又はワクチンのかかる「治療有効量」のmRNAは、更に、mRNAの種類、例えば、モノシストロニック、バイシストロニック、又はマルチシストロニックmRNAに依存して選択され得る。なぜなら、バイシストロニック、又は更にマルチシストロニックmRNAは、等量のモノシストロニックmRNAを使用するよりも有意に高いコードされた抗原の発現をもたらし得るからである。「治療有効量」のmRNA、mRNAワクチン、又は上に定義されたものの(薬学的)組成物は、更に、治療される特定の状態、並びに治療される患者の年齢及び身体状態、状態の重症度、治療期間、付随する療法の性質、使用される特定の薬学的に許容される担体、及び同様の因子に関連して、担当医の知識及び経験の範囲内で変化するであろう。本発明によるmRNA、mRNAワクチン、又はその(薬学的)組成物を、本発明に従って、ヒトのために、また獣医学的目的のために、薬学的組成物として、又はワクチンとして使用することができる。
【0063】
好ましい実施形態では、(薬学的)組成物のmRNA、好ましくは、本発明による多価COVID-19 mRNAワクチン又はキット・オブ・パーツは、凍結乾燥形態で提供される。好ましくは、凍結乾燥されたmRNAは、投与前に、有利には、水性担体、例えば、リンゲル溶液(好ましくは、乳酸リンゲル溶液である)、リン酸緩衝液に基づいて、好適な緩衝液に再構成される。好ましい実施形態では、本発明による(薬学的)組成物、ワクチン、又はキット・オブ・パーツは、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、又はそれ以上のmRNA、好ましくは凍結乾燥形態で別々に提供されるmRNA(任意選択的に、少なくとも1つの更なる添加剤とともに)を含有し、好ましくは(モノシストロニック)mRNAの各々の個別投与を可能にするように、それらを使用する前に、好適な緩衝液(例えば、リンガー乳酸溶液)に別々に再構成される。本発明によるワクチン又は(薬学的)組成物は、典型的には、薬学的に許容される担体を含有し得る。本明細書で使用される「薬学的に許容される担体」という表現は、好ましくは、液体又は非液体ベースの本発明のワクチンを含む。本発明のワクチンが液体形態で提供される場合、担体は、水、典型的には、パイロジェンフリー水、等張生理食塩水、又は緩衝(水性)溶液(例えば、リン酸緩衝溶液、クエン酸緩衝溶液など)である。特に、本発明のワクチンの注射に関して、水、又は好ましくは緩衝液、より好ましくは水性緩衝液を使用することができ、これには、ナトリウム塩(好ましくは少なくとも50mMのナトリウム塩)、カルシウム塩(好ましくは少なくとも0.01mMのカルシウム塩)、及び任意選択的に、カリウム塩(好ましくは少なくとも3mMのカリウム塩)が含まれる。好ましい実施形態によれば、ナトリウム塩、カルシウム塩、及び任意選択的に、カリウム塩は、それらのハロゲン化物(例えば、塩化物、ヨウ化物、又は臭化物)の形態で、それらの水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、又は硫酸塩の形態などで生じ得る。ナトリウム塩の例としては、例えば、NaCI、Nal、NaBr、a2C(1/4、NaHCCh、a2S04が挙げられ、任意選択的なカリウム塩の例としては、例えば、KCI、KI、KBr、K2CO3、KHCO3、K2SO4が挙げられ、カルシウム塩の例としては、例えば、CaCb、Cal2、CaBr2、CaCC>3、CaSC、Ca(OH)2が挙げられるが、これらに限定されない。更に、前述のカチオンの有機アニオンが緩衝液中に含有され得る。より好ましい実施形態によれば、上で定義された注射目的に好適な緩衝液は、塩化ナトリウム(NaCI)、塩化カルシウム(CaCb)、及び任意選択的に塩化カリウム(KCI)から選択される塩を含み得、塩化物に加えて、更にアニオンが存在し得る。CaCbはまた、KCIのような別の塩によって置換され得る。典型的には、注射緩衝液中の塩は、少なくとも50mMの塩化ナトリウム(NaCI)、少なくとも3mMの塩化カリウム(KCI)、及び少なくとも0.01mMの塩化カルシウム(CaCb)の濃度で存在する。注射緩衝液は、特定の参照媒体に関して高張、等張、又は低張であり得、すなわち、緩衝液は、特定の参照媒体に関してより高い、同じ、又はより低い塩含有量を有し得、好ましくは、かかる濃度の前述の塩が使用され得、これは、浸透又は他の濃度効果による細胞の損傷をもたらさない。参照媒体は、血液、リンパ液、細胞質液、又は他の体液、又は、例えば、一般的な緩衝液又は液体などの「インビトロ」の方法で参照媒体として使用され得る液体などの液体で生じる「インビボ」の方法における媒体である。そのような一般的な緩衝液又は液体は、当業者に既知である。乳酸リンゲル溶液は、液体ベースとして特に好ましい。
【0064】
しかしながら、人への投与に好適である1つ以上の適合性固体若しくは適合性液体の充填剤若しくは希釈剤、又はカプセル化化合物も使用され得る。本明細書で使用される「適合性のある」という用語は、本発明のワクチンの構成物が、典型的な使用条件下、本発明のワクチンの薬学的有効性を実質的に減少させるであろう相互作用が起こらないような様式で、本明細書に定義される、本発明によるmRNAと混合することができることを意味する。薬学的に許容される担体、充填剤、及び希釈剤は、治療される人への投与に好適であるように、もちろん十分に高い純度及び十分に低い毒性を有しなければならない。薬学的に許容される担体、充填剤、又はそれらの構成物として使用することができる化合物の一部の例は、糖類(例えば、ラクトース、グルコース、トレハロース、及びスクロースなど)、デンプン(例えば、トウモロコシデンプン又はジャガイモデンプンなど)、デキストロース、セルロース及びその誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、酢酸セルロースなど)、粉末トラガカント、麦芽、ゼラチン、獣脂、固体滑剤(例えば、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウムなど)、硫酸カルシウム、植物油(例えば、落花生油、綿実油、ゴマ油、オリーブ油、コム油、及びカカオ由来の油など)、ポリオール(例えば、ポリプロピレングリコール、グリセロール、ソルビトール、マンニトール、及びポリエチレングリコールなど)、アルギン酸である。
【0065】
薬学的に許容される担体の選択は、原則として、本発明による薬学的組成物又はワクチンが投与される方法によって決定される。組成物又はワクチンは、例えば、全身的又は局所的に投与され得る。全身投与の経路には、一般に、例えば、皮下、静脈内、筋肉内、動脈内、皮内、及び腹腔内注射、並びに/又は鼻腔内投与経路を含む、経皮経路、経口経路、非経口経路が含まれる。局所投与の経路には、一般に、例えば、局所投与経路が挙げられるが、皮内、経皮、皮下、又は筋肉内注射、又は病変内、頭蓋内、肺内、心内、及び舌下注射も挙げられる。より好ましくは、本発明による組成物又はワクチンは、皮内、皮下、又は筋肉内経路によって、好ましくは、無針注射及び/又は針注射であり得る注射によって投与され得る。したがって、組成物/ワクチンは、好ましくは、液体又は固体形態で製剤化される。投与される本発明によるワクチン又は組成物の好適な量は、例えば、動物モデルを使用して、日常的な実験によって決定することができる。そのようなモデルには、いかなる限定をも意味するものではないが、ウサギ、ヒツジ、マウス、ラット、イヌ、及び非ヒト霊長類モデルが含まれる。注射用の好ましい単位用量形態としては、水、生理食塩水、又はそれらの混合物の滅菌溶液が挙げられる。かかる溶液のpHは、約7.4に調整されるべきである。注射に好適な担体としては、ヒドロゲル、制御放出又は遅延放出のためのデバイス、ポリ乳酸及びコラーゲンマトリクスが挙げられる。局所適用に好適な薬学的に許容される担体には、ローション、クリーム、ゲルなどでの使用に好適なものが含まれる。本発明の組成物又はワクチンを経口投与する場合、錠剤、カプセルなどが好ましい単位用量形態である。経口投与に使用され得る単位用量形態の調製のための薬学的に許容される担体は、従来技術で周知である。その選択は、本発明の目的にとって重要ではなく、当業者が困難なく行うことができる、味、コスト、及び保存性などの二次的な考慮事項に依存するであろう。
【0066】
明確性及び可読性のために、以下の科学的背景情報及び定義が提供される。それによって開示される任意の技術的特徴は、本発明の各々の及び全ての実施形態の一部であり得る。追加の定義及び説明は、本開示の文脈において提供され得る。
【0067】
ポリ(A)配列;「3’-ポリ(A)テール又はポリ(A)配列」とも呼ばれるポリAテールは、典型的には、RNAの3’末端に付加される、最大約400のアデノシンヌクレオチド、例えば、約25~約400、好ましくは約50~約400、より好ましくは約50~約300、更により好ましくは約50~約250、最も好ましくは約60~約250のアデノシンヌクレオチドの長い配列である。更に、ポリ(A)配列又はポリ(A)テールは、例えば、E.coli又は酵母に由来するポリ(A)ポリメラーゼを使用して、RNAの酵素的ポリアデニル化によってインビトロで生成することができる。
【0068】
ポリアデニル化:ポリアデニル化は、典型的には、RNA分子などの核酸分子(例えば、未熟mRNA)へのポリ(A)配列の付加であると理解される。ポリアデニル化は、いわゆるポリアデニル化シグナルによって誘導され得る。このシグナルは、好ましくは、ポリアデニル化されるRNA分子などの核酸分子の3’末端の一続きのヌクレオチド内に位置する。ポリアデニル化シグナルは、典型的には、アデニン及びウラシル/チミンヌクレオチドからなる六量体、好ましくは六量体配列AAUAAAを含む。他の配列、好ましくは六量体配列も考えられる。ポリアデニル化は、典型的には、プレmRNA(未成熟mRNAとも呼ばれる)のプロセシング中に生じる。典型的には、RNA成熟化(プレmRNAから成熟mRNAへ)は、ポリアデニル化のステップを含む。
【0069】
5’キャップ構造:5’キャップは、典型的には、mRNA分子の5’末端に付加される修飾ヌクレオチド(キャップ類似体)、特に、グアニンヌクレオチドである。好ましくは、5’-5’-三リン酸結合(m7GpppNとも称される)を使用して、5’キャップを付加する。5’キャップ構造の更なる例としては、グリセリル、反転デオキシ脱塩基残基(部分)、’,5’メチレンヌクレオチド、l-(β-D-エリスロフラノシル)ヌクレオチド、4’-チオヌクレオチド、炭素環式ヌクレオチド、1,5-アンヒドロヘキシトールヌクレオチド、L-ヌクレオチド、α-ヌクレオチド、修飾塩基ヌクレオチド、トレオ-ペントフラノシルヌクレオチド、非環式3’,4’-secoヌクレオチド、非環式3,4-ジヒドロキシブチルヌクレオチド、非環式3,5’-ジヒドロキシペンチルヌクレオチド、3’-3’-反転ヌクレオチド部分、3’-3’-反転脱塩基部分、3’-2’-反転ヌクレオチド部分、3’-2’-反転脱塩基部分、1,4-ブタンジオールリン酸、3’-ホスホロアミド酸、ヘキシルリン酸、アミノヘキシルリン酸、3’-リン酸、3’-ホスホロチオ酸、ホスホロジチオ酸、又は架橋若しくは非架橋メチルホスホン酸部分が挙げられる。これらの修飾5’キャップ構造を本発明の文脈で使用して、本発明の組成物のmRNA配列を修飾することができる。本発明の文脈で使用され得る更なる修飾5’キャップ構造は、CAP1(m7GpppNの隣接ヌクレオチドのリボースの追加のメチル化)、CAP2(m7GpppNの下流の第2のヌクレオチドのリボースの追加のメチル化)、CAP3(m7GpppNの下流の第3のヌクレオチドのリボースの追加のメチル化)、CAP4(m7GpppNの下流の第4のヌクレオチドのリボースの追加のメチル化)、ARCA(アンチリバースキャップ類似体)、修飾ARCA(例えば、ホスホチオエ酸修飾ARCA)、イノシン、Nl-メチル-グアノシン、2’-フルオロ-グアノシン、7-デアザ-グアノシン、8-オキソ-グアノシン、2-アミノ-グアノシン、LNA-グアノシン、及び2-アジド-グアノシンである。
【0070】
ワクチン:ワクチンは、典型的には、少なくとも1つの抗原又は抗原性機能を提供する予防用又は治療用材料であることが理解される。抗原又は抗原性機能は、身体の適応免疫系を刺激して、適応免疫応答を提供し得る。本発明の文脈における抗原提供mRNAは、典型的には、細胞又はそのmRNAを提供する生物によって翻訳され得る少なくとも1つのオープンリーディングフレームを有するmRNAであり得る。この翻訳の産物は、抗原として、好ましくは免疫原として作用し得るペプチド又はタンパク質である。産物はまた、複数の免疫原で構成される融合タンパク質、例えば、同じ又は異なるウイルスタンパク質に由来する2つ以上のエピトープ、ペプチド、又はタンパク質からなる融合タンパク質であってもよく、エピトープ、ペプチド、又はタンパク質は、リンカー配列によって連結され得る。
【0071】
アジュバント構成要素:最も広義のアジュバント又はアジュバント構成要素は、典型的には、薬物又はワクチンなどの他の薬剤の有効性を修飾する(例えば、増強する)ことができる(例えば、薬理学的又は免疫学的)薬剤又は組成物である。従来、この用語は、本発明の文脈において、免疫原及び/又は他の薬学的に活性な化合物の担体又は補助物質として機能する化合物又は組成物を指す。これは広義に解釈されるべきであり、当のアジュバントに組み込まれた又はそれと同時投与された抗原の免疫原性を増加させることができる広範囲の物質を指す。本発明の文脈において、アジュバントは、好ましくは、本発明の活性剤の特定の免疫原性効果を増強する。典型的には、「アジュバント」又は「アジュバント構成要素」は、同じ意味を有し、互いに使用することができる。アジュバントは、例えば、免疫賦活剤、抗原送達システム、又は更にそれらの組み合わせに分けられ得る。本発明の文脈において、本明細書に概説されるmRNAワクチンなどのアジュバント及び免疫刺激RNA(isRNA)は、薬学的組成物であり得る。
【0072】
本明細書で使用される「発現」又は「コード配列の発現」(例えば、遺伝子又は導入遺伝子)という用語は、核酸転写単位(例えば、ゲノムDNA又はcDNAを含む)のコード化された情報が、多くの場合、タンパク質の合成を含む、細胞の操作的、非操作的、又は構造的部分に変換されるプロセスを指す。遺伝子発現は、外部シグナル(例えば、遺伝子発現を増加又は減少させる薬剤に、細胞、組織、又は生物を曝露すること)によって影響され得る。また、遺伝子の発現は、DNAからRNAへ、タンパク質への経路の任意の場所で調節され得る。遺伝子発現の調節は、例えば、転写、翻訳、RNAの輸送及びプロセシング、中間分子(例えば、mRNA)の分解に作用する制御を介して、又はそれらが生成された後の特定のタンパク質分子の活性化、不活性化、区画化、若しくは分解を介して、あるいはそれらの組み合わせによって生じる。遺伝子発現は、ノーザンブロット、RT-PCR、ウエスタンブロット、又はインビトロ、インサイツ、又はインビボタンパク質活性アッセイを含むが、これらに限定されない、当該技術分野で既知の任意の方法によって、RNAレベル又はタンパク質レベルで測定することができる。
【0073】
「核酸」又は「核酸分子」という用語には、DNAの一本鎖形態及び二本鎖形態、RNAの一本鎖形態、並びにRNA(dsRNA)の二本鎖形態が含まれる。「ヌクレオチド配列」又は「核酸配列」という用語は、個々の一本鎖又は二本鎖のいずれかとしての核酸のセンス鎖及びアンチセンス鎖の両方を指す。「リボ核酸」(RNA)という用語は、iRNA(阻害性RNA)、dsRNA(二本鎖RNA)、siRNA(低分子干渉RNA)、mRNA(メッセンジャーRNA)、miRNA(マイクロRNA)、hpRNA(ヘアピンRNA)、tRNA(トランスファーRNA)(対応するアセチル化アミノ酸で荷電又は放電されているかにかかわらない)、cRNA(相補的RNA)を含む。「デオキシリボ核酸」(DNA)という用語は、cDNA、ゲノムDNA、及びDNA-RNAハイブリッドを含む。「核酸セグメント」及び「ヌクレオチド配列セグメント」、又はより一般的に「セグメント」という用語は、ゲノム配列、リボソームRNA配列、トランスファーRNA配列、メッセンジャーRNA配列、オペロン配列、及びより小さな操作されたヌクレオチド配列(ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質をコードする若しくはコードするように適合され得るもの)の両方を含む機能的用語として当業者に理解されるであろう。
【0074】
「遺伝子」又は「配列」という用語は、何らかの方法で遺伝子産物(例えば、ポリペプチド又は機能的RNA)の発現を調節することができる適切な調節配列に作動可能に連結されたコード領域を指す。遺伝子は、コード領域(オープンリーディングフレーム、ORF)の前(上流)及び後(下流)のDNAの非翻訳調節領域(例えば、プロモーター、エンハンサー、リプレッサーなど)、並びに該当する場合、個々のコード領域(すなわち、エキソン)間に介在配列(すなわち、イントロン)を含む。本明細書で使用される「構造遺伝子」という用語は、mRNAに転写され、次いで特定のポリペプチドに特徴的なアミノ酸の配列に翻訳される、DNA配列を意味することが意図される。配列番号又は配列に対する任意の参照は、その配列並びにその第1の配列に対応する全ての対応する配列を特異的に包含することに留意されたい。例えば、特定された任意のアミノ酸配列に関して、特異的に、そのアミノ酸配列又はタンパク質を生じる全ての適合性ヌクレオチド(DNA及びRNA)配列を含み、逆もまた同様である。
【0075】
核酸分子は、天然に存在する及び/又は天然に存在しないヌクレオチド結合によって一緒に連結された天然に存在するヌクレオチド及び修飾されたヌクレオチドのいずれか又は両方を含み得る。核酸分子は、当業者に容易に理解されるように、化学的又は生化学的に修飾され得るか、又は非天然若しくは誘導体化ヌクレオチド塩基を含有し得る。そのような修飾として、例えば、標識、メチル化、天然に存在するヌクレオチドのうちの1つ以上の類似体による置換、ヌクレオチド間修飾:例えば、非荷電結合:例えば、メチルホスホネート、ホスホトリエステル、ホスホロアミデート、カルバメートなど、荷電結合:例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエートなど、側鎖部分:例えば、ペプチド、インターカレーター:例えば、アクリジン、ソラレンなど、キレート剤;アルキル化剤、及び修飾結合:例えば、αアノマー核酸など)が挙げられる。「核酸分子」という用語はまた、任意のトポロジカル立体構造も含み、一本鎖、二本鎖、部分的二重鎖、三重鎖、ヘアピン、環状、及びパッドロック立体構造が含まれる。
【0076】
特定の実施形態では、本発明は、人工mRNA及び野生型mRNAのインビトロ産生を包含し得る。人工mRNA(配列)は、典型的には、天然に存在しないmRNA分子であると理解され得る。言い換えると、人工mRNA分子は、非天然mRNA分子として理解され得る。そのようなmRNA分子は、その個々の配列(天然には生じない)に起因して、かつ/又は他の修飾(例えば、天然には生じないヌクレオチドの構造修飾)に起因して、非天然であり得る。典型的には、人工mRNA分子は、ヌクレオチドの所望の人工配列(異種配列)に対応するように遺伝子操作方法によって設計及び/又は生成されてもよい。この文脈では、人工配列は通常、天然に存在し得ない配列であり、すなわち、少なくとも1つのヌクレオチドが野生型配列と異なる。「野生型」という用語は、天然に存在する配列として理解され得る。更に、「人工核酸分子」という用語は、「1つの分子」に限定されるものではなく、典型的には、同一の分子のアンサンブルを含むと理解される。したがって、それは、アリコートに含まれる複数の同一の分子に関する場合がある。
【0077】
特定の実施形態では、本発明は、典型的には、バイシストロニック/マルチシストロニックmRNA:2つ以上の(バイシストロニック)又は(マルチシストロニック)オープンリーディングフレーム(ORF)(コード領域又はコード配列)を有し得るmRNAのインビトロ産生を包含し得る。本文脈におけるオープンリーディングフレームは、ペプチド又はタンパク質に翻訳され得るいくつかのヌクレオチドトリプレット(コドン)の配列である。かかるmRNAの翻訳は、2つ(バイシストロニック)又はそれ以上(マルチシストロニック)の異なる翻訳産物を得る(ただし、ORFが同一でない場合)。真核生物における発現の場合、かかるmRNAは、例えば、内部リボソーム進入部位(IRES)配列を含み得る。
【0078】
一実施形態では、インビトロ産生mRNAは、ペプチドを形成するために、好ましくは、宿主生物(例えば、それを必要とする哺乳動物又はヒト対象)において翻訳されるように構成される。ペプチドは、アミノ酸モノマーのポリマーである。通常、モノマーは、ペプチド結合によって連結される。「ペプチド」という用語は、アミノ酸のポリマー鎖の長さを限定しない。本発明の一部の実施形態では、ペプチドは、例えば、50未満のモノマー単位を含有し得る。より長いペプチドは、ポリペプチドとも呼ばれ、典型的には、50~600モノマー単位、より具体的には、50~300モノマー単位を有する。
【0079】
一実施形態では、本明細書に記載のインビトロ方法は、安定化ポリヌクレオチド、好ましくは、以下の安定化mRNAを産生することができる:安定化された核酸(好ましくはmRNA)は、典型的には、インビボ分解(例えば、エキソヌクレアーゼ又はエンドヌクレアーゼによる分解)及び/又はエクスビボ分解(例えば、ワクチン投与前の製造プロセス、例えば、投与されるワクチン溶液の調製の過程で)に対して耐性を増加させる修飾を示す。RNAの安定化は、例えば、5’キャップ構造、ポリ(A)テール、又は任意の他のUTR修飾を提供することによって達成され得る。これはまた、化学修飾又は核酸のG/C含有量の修飾によって達成され得る。様々な他の方法が当該技術分野で既知であり、本発明の文脈で想定される。
【0080】
「薬学的組成物」は、本発明のワクチンと、個体への薬学的組成物若しくはワクチンの構成要素の投与を容易にするための、薬学的組成物若しくはワクチン内で典型的に使用され得る薬剤(例えば、担体)と、を含み得る。
【0081】
本明細書で使用される場合、「ポリメラーゼ」は、ヌクレオチドの重合を触媒する酵素を指す。「DNAポリメラーゼ」は、デオキシリボヌクレオチドの重合を触媒する。既知のDNAポリメラーゼには、例えば、とりわけ、Pyrococcus furiosus(Pfu)DNAポリメラーゼ、E.coli DNAポリメラーゼI、T7 DNAポリメラーゼ、及びThermus aquaticus(Taq)DNAポリメラーゼが含まれる。「RNAポリメラーゼ」は、リボヌクレオチドの重合を触媒する。前述の例のDNAポリメラーゼは、DNA依存性DNAポリメラーゼとしても知られている。RNA依存性DNAポリメラーゼもDNAポリメラーゼの範囲内に入る。逆転写酵素は、レトロウイルスによってコードされるウイルスポリメラーゼを含む、RNA依存性DNAポリメラーゼの一例である。RNAポリメラーゼ(「RNAP」)の既知の例としては、とりわけ、T3 RNAポリメラーゼ、T7 RNAポリメラーゼ、SP6 RNAポリメラーゼ及びE.coli RNAポリメラーゼが挙げられる。RNAポリメラーゼの前述の例は、DNA依存性RNAポリメラーゼとしても知られている。上記酵素のいずれかのポリメラーゼ活性は、当該技術分野で周知の手段によって決定することができる。
【0082】
「約」又は「およそ」という用語は、記載された濃度、長さ、分子量、pH、時間枠、温度、圧力、又は体積などの1つ又は複数の値の統計的に有意な範囲内であることを意味する。かかる値又は範囲は、所与の値又は範囲の1桁以内、典型的には20%以内、より典型的には10%以内、及び更に典型的には5%以内であり得る。「約」又は「およそ」によって包含される許容変動は、研究中の特定のシステムに依存する。「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」、及び「含有する(containing)」という用語は、別段の記載がない限り、オープンエンドの用語(すなわち、「含むが、これらに限定されない」を意味する)ものとして解釈されるべきである。
【0083】
本明細書における値の範囲の列挙は、単に、範囲内に含まれる別個の各値を個別に参照する簡略法として機能することを意図しており、本明細書に別段の指示がない限り、範囲を定義するエンドポイントの境界を含み、別個の各値は、本明細書に個別に列挙されているかのように本明細書に援用される。
【0084】
配列表
配列番号1
AA/DNA
RNAポリメラーゼ
T7バクテリオファージ
MNTINIAKNDFSDIELAAIPFNTLADHYGERLAREQLALEHESYEMGEARFRKMFERQLKAGEVADNAAAKPLITTLLPKMIARINDWFEEVKAKRGKRPTAFQFLQEIKPEAVAYITIKTTLACLTSADNTTVQAVASAIGRAIEDEARFGRIRDLEAKHFKKNVEEQLNKRVGHVYKKAFMQVVEADMLSKGLLGGEAWSSWHKEDSIHVGVRCIEMLIESTGMVSLHRQNAGVVGQDSETIELAPEYAEAIATRAGALAGISPMFQPCVVPPKPWTGITGGGYWANGRRPLALVRTHSKKALMRYEDVYMPEVYKAINIAQNTAWKINKKVLAVANVITKWKHCPVEDIPAIEREELPMKPEDIDMNPEALTAWKRAAAAVYRKDKARKSRRISLEFMLEQANKFANHKAIWFPYNMDWRGRVYAVSMFNPQGNDMTKGLLTLAKGKPIGKEGYYWLKIHGANCAGVDKVPFPERIKFIEENHENIMACAKSPLENTWWAEQDSPFCFLAFCFEYAGVQHHGLSYNCSLPLAFDGSCSGIQHFSAMLRDEVGGRAVNLLPSETVQDIYGIVAKKVNEILQADAINGTDNEVVTVTDENTGEISEKVKLGTKALAGQWLAYGVTRSVTKRSVMTLAYGSKEFGFRQQVLEDTIQPAIDSGKGLMFTQPNQAAGYMAKLIWESVSVTVVAAVEAMNWLKSAAKLLAAEVKDKKTGEILRKRCAVHWVTPDGFPVWQEYKKPIQTRLNLMFLGQFRLQPTINTNKDSEIDAHKQESGIAPNFVHSQDGSHLRKTVVWAHEKYGIESFALIHDSFGTIPADAANLFKAVRETMVDTYESCDVLADFYDQFADQLHESQLDKMPALPAKGNLNLRDILESDFAFA
配列番号2
アミノ酸
mRNA_triPase
[挿入]1
1備考:mRNAトリパーゼが由来する生物名を加える
YRNVPIWAQKWKPTIKALQSINVKDLKIDPSFLNIIPDDDLTKSVQDWVYATIYSIAPELRSFIELEMKFGVIIDAKGPDRVNPPVSSQCVFTELDAHLTPNIDASLFKELSKYIRGISEVTENTGKFSIIESQTRDSVYRVGLSTQRPRFLRMSTDIKTGRVGQFIEKRHVAQLLLYSPKDSYDVKISLNLELPVPDNDPPEKYKSQSPISERTKDRVSYIHNDSCTRIDITKVENHNQNSKSRQSETTHEVELEINTPALLNAFDNITNDSKEYASLIRTFLNNGTIIRRKLSSLSYEIFEGSKKVM
配列番号3
アミノ酸
mRNAグアニリルトランスフェラーゼ
クロレラウイルス
MVPPTINTGKNITTERAVLTLNGLQIKLHKVVGESRDDIVAKMKDLAMDDHKFPRLPGPNPVSIERKDFEKLKQNKYVVSEKTDGIRFMMFFTRVFGFKVCTIIDRAMTVYLLPFKNIPRVLFQGSIFDGELCVDIVEKKFAFVLFDAVVVSGVTVSQMDLASRFFAMKRSLKEFKNVPEDPAILRYKEWIPLEHPTIIKDHLKKANAIYHTDGLIIMSVDEPVIYGRNFNLFKLKPGTHHTIDFIIMSEDGTIGIFDPNLRKNVPVGKLDGYYNKGSIVECGFADGTWKYIQGRSDKNQANDRLTYEKTLLNIEENITIDELLDLFKWE
配列番号4
アミノ酸
mRNA capグアニン-N7-メチルトランスフェラーゼ
エンセファリトゾーン・クニクリ
MEGKKEEIREHYNSIRERGRESRQRSKTINIRNANNFIKACLIRLYTKRGDSVLDLGCGKGGDLLKYERAGIGEYYGVDIAEVSINDARVRARNMKRRFKVFFRAQDSYGRHMDLGKEFDVISSQFSFHYAFSTSESLDIAQRNIARHLRPGGYFIMTVPSRDVILERYKQGRMSNDFYKIELEKMEDVPMESVREYRFTLLDSVNNCIEYFVDFTRMVDGFKRLGLSLVERKGFIDFYEDEGRRNPELSKKMGLGCLTREESEVVGIYEVVVFRKLVPESDA
配列番号5
アミノ酸
ポリ(A)ポリメラーゼ
サッカロマイセス・セレビシエ
MSSQKVFGITGPVSTVGATAAENKLNDSLIQELKKEGSFETEQETANRVQVLKILQELAQRFVYEVSKKKNMSDGMARDAGGKIFTYGSYRLGVHGPGSDIDTLVVVPKHVTREDFFTVFDSLLRERKELDEIAPVPDAFVPIIKIKFSGISIDLICARLDQPQVPLSLTLSDKNLLRNLDEKDLRALNGTRVTDEILELVPKPNVFRIALRAIKLWAQRRAVYANIFGFPGGVAWAMLVARICQLYPNACSAVILNRFFIILSEWNWPQPVILKPIEDGPLQVRVWNPKIYAQDRSHRMPVITPAYPSMCATHNITESTKKVILQEFVRGVQITNDIFSNKKSWANLFEKNDFFFRYKFYLEITAYTRGSDEQHLKWSGLVESKVRLLVMKLEVLAGIKIAHPFTKPFESSYCCPTEDDYEMIQDKYGSHKTETALNALKLVTDENKEEESIKDAPKAYLSTMYIGLDFNIENKKEKVDIHIPCTEFVNLCRSFNEDYGDHKVFNLALRFVKGYDLPDEVFDENEKRPSKKSKRKNLE
配列番号6
アミノ酸
VP39
ワクシニアウイルス
MDVVSLDKPFMYFEEIDNELDYEPESANEVAKKLPYQGQLKLLLGELFFLSKLQRHGILDGATVVYIGSAPGTHIRYLRDHFYNLGVIIKWMLIDGRHHDPILNGLRDVTLVTRFVDEEYLRSIKKQLHPSKIILISDVRSKRGGNEPSTADLLSNYALQNVMISILNPVASSLKWRCPFPDQWIKDFYIPHGNKMLQPFAPSYSAEMRLLSIYTGENMRLTRVTKSDAVNYEKKMYYLNKIVRNKVVVNFDYPNQEYDYFHMYFMLRTVYCNKTFPTTKAKVLFLQQSIFRFLNIPTTSTEKVSHEPIQRKISSKNSMSKNRNSKRSVRSNK
配列番号7
アミノ酸
VP55
ワクシニアウイルス
MNRNPDQNTLPNITLKIIETYLGRVPSVNEYHMLKLQARNIQKITVFNKDIFVSLVKKNKKRFFSDVNTSASEIKDRILSYFSKQTQTYNIGKLFTIIELQSVLVTTYTDILGVLTIKAPNVISSKISYNVTSMEELARDMLNSMNVAVIDKAKVMGRHNVSSLVKNVNKLMEEYLRRHNKSCICYGSYSLYLINPNIRYGDIDILQTNSRTFLIDLAFLIKFITGNNIILSKIPYLRNYMVIKDENDNHIIDSFNIRQDTMNVVPKIFIDNIYIVDPTFQLLNMIKMFSQIDRLEDLSKDPEKFNARMATMLEYVRYTHGIVFDGKRNNMPMKCIIDENNRIVTVTTKDYFSFKKCLVYLDENVLSSDILDLNADTSCDFESVTNSVYLIHDNIMYTYFSNTILLSDKGKVHEISARGLCAHILLYQMLTSGEYKQCLSDLLNSMMNRDKIPIYSHTERDKKPGRHGFINIEKDIIVF
【配列表】
【国際調査報告】