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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-25
(54)【発明の名称】標的を分解する方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 20/38 20120101AFI20230518BHJP
   G06Q 20/02 20120101ALI20230518BHJP
   G06Q 20/20 20120101ALI20230518BHJP
   G06Q 20/32 20120101ALI20230518BHJP
   G06Q 20/40 20120101ALI20230518BHJP
   G06K 7/14 20060101ALI20230518BHJP
   G06K 7/10 20060101ALI20230518BHJP
【FI】
G06Q20/38 340
G06Q20/02
G06Q20/20
G06Q20/32
G06Q20/40
G06K7/14 017
G06K7/10 244
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022562372
(86)(22)【出願日】2021-04-14
(85)【翻訳文提出日】2022-11-15
(86)【国際出願番号】 US2021027370
(87)【国際公開番号】W WO2021211773
(87)【国際公開日】2021-10-21
(31)【優先権主張番号】63/010,015
(32)【優先日】2020-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519016413
【氏名又は名称】ティービーシーエーソフト,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100220917
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 忠大
(72)【発明者】
【氏名】ウー、ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】チャン、ブライアン
【テーマコード(参考)】
5L055
【Fターム(参考)】
5L055AA01
5L055AA42
5L055AA64
5L055AA72
(57)【要約】
2段階の標的分解を用いる、標的を分解する方法およびシステムである。ローカル分解ピアが第1段階の標的分解で標的を分解する。第1段階の標的分解が失敗した場合、第1の分解ピアは、標的が対応するタイプの識別子に分解可能であることを示す分解可能な結果に応答して、第2段階の標的分解に向けて標的関連情報を少なくとも1つの遠隔分解ピアに送信する。標的関連情報を少なくとも1つの遠隔分解ピアに区別なくブロードキャストすることから生じるトラフィックの輻輳を回避するために、スキームキャッシング手法およびヒントサービス手法を採用する。標的関連情報の送信は、トラフィック状況に応じて同時か順次のいずれかで実行できる。したがって、本発明の方法およびシステムは、標的分解の効率を損なうことなく、フォーマットが既知でも未知でも標的を2段階で確実に分解する。
【選択図】図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的を分解する方法であって、
(a)ローカル分解ピアが、前記ローカル分解ピアに通信可能に接続された加入者から前記標的および標的分解タイプを受信することと、
(b)前記ローカル分解ピアは、前記標的が前記標的分解タイプに対応する少なくとも1つの識別子に分解可能かどうかを判断することと、
(c)前記標的が分解不可能である場合に、前記ローカル分解ピアは、前記標的分解タイプおよび前記標的を少なくとも1つの遠隔分解ピアに送信し、前記ローカル分解ピアおよび前記少なくとも1つの遠隔分解ピアは、クロスピアトランザクションネットワークに通信可能に接続された複数の分解ピアの一部であることと、
(d)前記ローカル分解ピアは、前記少なくとも1つの遠隔分解ピアからの少なくとも1つの分解可能な結果の数に基づいて、前記標的が分解可能かどうかを判断することと
を含む、方法。
【請求項2】
前記工程(a)で、前記ローカル分解ピアはさらに、前記元の標的情報のスキームを受信することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記加入者は加盟店であり、前記標的提供者は顧客であるか、前記加入者は顧客であり、前記標的提供者は加盟店であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記スキームは、QRコードスキーム、NFCスキーム、音声スキーム、および指紋スキームのうちの1つであることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記加入者は、QRコードをスキャンする、NFCタグを感知する、音声から音声シグネチャを抽出する、または指紋をスキャンすることによって、前記標的提供者から前記標的を取得することを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記標的分解タイプは、MSN(モバイル加入者番号)、MSID(加盟店サービスユニバーサル一意識別子)、またはMSU(MSNおよびMSID)のうちの1タイプであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記標的分解タイプは、MSN、MSID、またはMSUの前記タイプであり、前記ローカル分解ピアは、前記標的を、1つのMSN、1つのMSID、または1つのMSNと、MSN、MSID、またはMSUの前記タイプである前記標的分解タイプに対応する1つのMSIDとを含む、前記少なくとも1つの識別子に分解することを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記工程(b)は、
(b1)前記スキームを理解し、前記標的を前記少なくとも1つの識別子に分解する場合、前記ローカル分解ピアは、前記標的が分解可能であると判断し、前記工程(c)および(d)をスキップすることと、
(b2)前記標的を分解する際に内部エラーがあった場合、前記ローカル分解ピアは、前記標的が分解不可能であると判断し、前記工程(c)および(d)をスキップすることと、
(b3)前記スキームを理解できない場合、または前記スキームを理解しているが前記標的を前記少なくとも1つの識別子に分解できない場合、前記ローカル分解ピアは、前記標的が分解不可能であると判断することと、
(b4)前記標的を分解できる前記複数の分解ピアの一部を含んでいる、前記ローカル分解ピアでヒントサービスから提示されたホワイトリストを受信すると、前記ローカル分解ピアは、前記標的が分解不可能であると判断することと
をさらに含み、
前記ホワイトリストは、前記複数の分解ピアの各々から返された自発的な応答であり、前記ヒントサービスは、前記複数の分解ピアの各々で提供されることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記工程(d)は、
(d1)前記少なくとも1つの遠隔分解ピアの各々は、前記遠隔分解ピアが前記スキームを理解し、前記標的を前記標的分解タイプに対応する前記少なくとも1つの識別子に分解するかどうかを判断することと、
(d2)前記遠隔分解ピアが前記スキームを理解し、前記標的を前記少なくとも1つの識別子に分解する場合、前記遠隔分解ピアは、前記少なくとも1つの識別子にマッピング可能で前記標的が分解可能であることを示すトークンを前記ローカル分解ピアに返し、前記トークンは、前記分解可能な結果であることと、
(d3)内部エラーがある場合、前記遠隔分解ピアは前記スキームを理解できず、前記遠隔分解ピアは、前記スキームを理解するが、前記標的を前記少なくとも1つの識別子に分解できないか、前記遠隔分解ピアは、前記標的を分解できる前記複数の分解ピアの部分を含んでいる、前記遠隔分解ピアで前記ヒントサービスから提示された前記ホワイトリストを返し、前記遠隔分解ピアは、トークンを返さないことと、
(d4)前記ローカル分解ピアは、前記少なくとも1つの遠隔分解ピアから受信した前記少なくとも1つのトークンの数が1つのときに、前記標的は分解可能であると判断するか、前記数がゼロか1よりも多いときに、前記標的は分解不可能であると判断することと
をさらに含むことを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記スキームを理解していない前記複数の分解ピアのうちの少なくとも1つに前記スキームをマッピングするブラックリストは、前記ローカル分解ピアに格納されることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記工程(b3)および(d3)で、前記スキームを理解できない前記ローカル分解ピアおよび前記少なくとも1つの遠隔分解ピアは、前記ブラックリストの次の更新で前記ローカル分解ピアの前記ブラックリストに格納され、前記スキームにマッピング可能であることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記工程(c)で、前記ローカル分解ピアは、前記標的分解タイプおよび前記標的を前記少なくとも1つの遠隔分解ピアに送信し、前記遠隔分解ピアの各々は、前記スキームで前記ブラックリストから検索できる前記複数の分解ピアの部分と異なることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記工程(c)で、前記ローカル分解ピアは、前記標的分解タイプ、前記スキーム、および前記標的を前記少なくとも1つの遠隔分解ピアに送信し、前記遠隔分解ピアの各々は、前記ホワイトリストにある前記複数の分解ピアの部分のうちの1つと同じで、前記スキームで前記ブラックリストから検索できる前記複数の分解ピアのうちの少なくとも1つと異なることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記ホワイトリストおよび前記ブラックリストは、加盟店の場所と顧客の場所の少なくとも一方の要素に基づいて生成されることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記工程(c)で、前記ローカル分解ピアは、同時と順次のいずれか一方に基づいて前記標的分解タイプ、前記スキーム、および前記標的を前記少なくとも1つの遠隔分解ピアに送信することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記工程(d2)は、
前記遠隔分解ピアは、前記標的分解タイプを判断することと、
前記標的分解タイプがMSNとMSUのいずれか一方のタイプである場合、前記遠隔分解ピアは、前記遠隔分解ピアまたは外部KYCルックアップサービスで、本人確認(KYC)ルックアップサービスを介して前記少なくとも1つの識別子の前記MSNで前記標的提供者を識別するユーザIDを取得し、前記少なくとも1つの識別子の前記MSNを前記ユーザIDに置き換え、前記少なくとも1つの識別子にマッピング可能な前記トークンを生成し、前記トークンを前記ローカル分解ピアに返すことと、
前記標的分解タイプがMSIDである場合、前記遠隔分解ピアは、前記少なくとも1つの識別子にマッピング可能な前記トークンを生成し、前記トークンを前記ローカル分解ピアに返すことと
をさらに含むことを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項17】
前記加入者は、前記標的分解タイプを含む前記元の標的情報についての要求を、前記複数の分解ピアのうちの1つであり前記元の標的情報を前記加入者に発行する権限を有する標的発行ピアに送信することと、
前記標的発行ピアは、標的トークンを生成し、前記標的トークンを前記複数の分解ピアのうちの1つに送信し、前記標的トークンは、暗号化された情報であることと、
前記分解ピアは、前記標的トークンを受信し、前記標的トークンを前記標的分解タイプに対応する前記少なくとも1つの識別子にマッピングし、前記分解ピアで前記標的トークンをマッピングリストに追加することと、
前記標的発行ピアは、前記標的トークンが前記分解ピアの前記マッピングリストに追加されたという確認応答を受信した後に、前記標的トークンを含む前記元の標的情報を生成し、前記元の標的情報を前記加入者に送信することと
をさらに含むことを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項18】
前記ローカル分解ピアは、前記加入者にサービスバインドを行い、前記少なくとも1つの遠隔分解ピアは、前記加入者にサービスバインドを行わないことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記クロスピアトランザクションネットワークは、クロスピアトランザクションを実行できる分散台帳ネットワークであり、前記複数の分解ピアの各々は、前記クロスピアトランザクションネットワークに通信可能に接続されている、デジタル資産のトランザクションを管理できる通信事業者によって運営されるノードであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
標的を分解するシステムであって、
クロスピアトランザクションネットワークと、
加入者デバイスと、
前記クロスピアトランザクションネットワークに通信可能に接続された複数の分解ピアであって、前記複数の分解ピアの一部は、
少なくとも1つの遠隔分解ピア、ならびに
ローカル分解ピアであって、前記加入者に通信可能に接続され、前記加入者デバイスから標的、および標的分解タイプを受信し、前記標的が前記標的分解タイプに対応する少なくとも1つの識別子に分解可能かどうかを判断し、前記標的が分解不可能である場合に前記標的分解タイプ、および前記標的を前記少なくとも1つの遠隔分解ピアに送信し、前記少なくとも1つの遠隔分解ピアからの少なくとも1つの分解可能な結果の数に基づいて、前記標的が分解可能かどうかを判断する、ローカル分解ピア
を含む、複数の分解ピアと
を有するシステム。
【請求項21】
前記元の標的情報は、QR(Quick Response)コード、NFC(Near field Communication)タグ、音声、および指紋のうちの1つであるスキームによって分類され得ることを特徴とする、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記加入者は、QRコードをスキャンする、NFCタグを感知する、音声から音声シグネチャを抽出する、または前記指紋をスキャンすることによって、前記標的提供者から前記標的を受信することを特徴とする、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記標的分解タイプは、MSN(モバイル加入者番号)、MSID(加盟店サービスユニバーサル一意識別子)、またはMSU(MSNおよびMSID)のうちの1タイプであることを特徴とする、請求項20に記載のシステム。
【請求項24】
前記標的分解タイプがMSN、MSID、またはMSUの前記タイプである場合、前記ローカル分解ピアは、前記標的分解タイプに関して前記標的を、1つのMSN、1つのMSID、または1つのMSNと、MSN、MSID、またはMSUの前記タイプに対応する1つのMSIDとを含む前記少なくとも1つの識別子に分解することを特徴とする、請求項6に記載のシステム。
【請求項25】
前記標的を分解できる前記複数の分解ピアの一部を含んでいる、前記ローカル分解ピアでヒントサービスから提示されたホワイトリストを受信すると、前記ローカル分解ピアは、前記標的分解タイプ、前記スキーム、および前記標的を前記少なくとも1つの遠隔分解ピアに送信し、前記遠隔分解ピアの各々は、前記ホワイトリストにある前記複数の分解ピアの部分のうちの1つと同じで、前記ホワイトリストは、前記複数の分解ピアの各々からの自発的な応答であり、前記ヒントサービスは、前記複数の分解ピアの各々で提供されることを特徴とする、請求項20に記載のシステム。
【請求項26】
前記少なくとも1つの遠隔分解ピアの各々は、前記遠隔分解ピアが前記スキームを理解し、前記標的を前記少なくとも1つの識別子に分解する場合、前記少なくとも1つの識別子にマッピング可能で前記標的が分解可能であることを示すトークンを前記ローカル分解ピアに返し、前記少なくとも1つの遠隔分解ピアから受信した前記少なくとも1つのトークンの数が1つのときに、前記標的は分解可能であると判断するか、前記数がゼロか1よりも多いときに、標的は分解不可能であると判断し、前記トークンは、前記分解可能な結果であることを特徴とする、請求項20に記載のシステム。
【請求項27】
前記ローカル分解ピアは、前記スキームを理解していない前記複数の分解ピアの一部に前記スキームをマッピングするブラックリストを格納し、前記ブラックリストをTTL(Time to Live)ごとに更新することを特徴とする、請求項25に記載のシステム。
【請求項28】
前記スキームを理解できない前記ローカル分解ピアおよび前記少なくとも1つの遠隔分解ピアは、前記ブラックリストの次の更新で前記ローカル分解ピアによって前記ブラックリストに格納され、前記スキームにマッピング可能で、前記スキームで検索可能であることを特徴とする、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記ローカル分解ピアは、前記標的分解タイプ、前記スキーム、および前記標的を前記少なくとも1つの遠隔分解ピアに送信し、前記遠隔分解ピアの各々は、前記スキームで前記ブラックリストから検索できる前記複数の分解ピアのうちの前記少なくとも1つと異なることを特徴とする、請求項27に記載のシステム。
【請求項30】
前記ローカル分解ピアは、前記標的分解タイプ、前記スキーム、および前記標的を前記少なくとも1つの遠隔分解ピアに送信し、前記遠隔分解ピアの各々は、前記ホワイトリストにある前記複数の分解ピアの部分のうちの1つと同じで、前記スキームで前記ブラックリストから検索できる前記複数の分解ピアのうちの前記少なくとも1つと異なることを特徴とする、請求項27に記載のシステム。
【請求項31】
前記ホワイトリストおよび前記ブラックリストは、加盟店の場所と顧客の場所の少なくとも一方の要素に基づいて生成されることを特徴とする、請求項27に記載のシステム。
【請求項32】
前記ローカル分解ピアは、同時と順次のいずれか一方に基づいて前記標的分解タイプ、前記スキーム、および前記標的を前記少なくとも1つの遠隔分解ピアに送信することを特徴とする、請求項20に記載のシステム。
【請求項33】
前記標的分解タイプがMSNとMSUのいずれか一方のタイプである場合、前記遠隔分解ピアは、前記遠隔分解ピアまたは外部KYCルックアップサービスで、本人確認(KYC)ルックアップサービスを介して前記少なくとも1つの識別子の前記MSNで前記標的提供者を識別するユーザIDを取得し、前記少なくとも1つの識別子の前記MSNを前記ユーザIDに置き換え、前記少なくとも1つの識別子にマッピング可能な前記トークンを生成し、前記トークンを前記ローカル分解ピアに返し、
前記標的分解タイプがMSIDである場合、前記遠隔分解ピアは、前記少なくとも1つの識別子にマッピング可能な前記トークンを生成し、前記トークンを前記ローカル分解ピアに返すことを特徴とする、請求項23に記載のシステム。
【請求項34】
前記複数の分解ピアは、前記クロスピアトランザクションネットワークに通信可能に接続されている、前記元の標的情報を前記加入者デバイスに発行する権限を有する標的発行ピアをさらに含み、
前記標的発行ピアは、標的トークンを生成し、前記元の標的情報および前記標的分解タイプに関する要求を前記分解ピアに対して前記加入者デバイスから受信した後に前記標的トークンを前記複数の分解ピアのうちの1つに送信して、前記標的分解タイプに対応する前記少なくとも1つの識別子にマッピング可能な前記標的トークンを前記分解ピアでマッピングリストに追加し、前記標的トークンが前記分解ピアから前記マッピングリストに追加されたという確認応答を受信した後に前記標的トークンを含んでいる前記元の標的情報を生成し、前記元の標的情報を前記加入者デバイスに送信し、前記標的トークンは暗号化された情報であることを特徴とする、請求項9に記載のシステム。
【請求項35】
前記ローカル分解ピアは、前記加入者デバイスにサービスバインドを行い、前記少なくとも1つの遠隔分解ピアは、前記加入者デバイスにサービスバインドを行わないことを特徴とする、請求項20に記載のシステム。
【請求項36】
前記クロスピアトランザクションネットワークは、クロスピアトランザクションを実行できる分散台帳ネットワークであり、前記複数の分解ピアの各々は、前記クロスピアトランザクションネットワークに通信可能に接続されている、デジタル資産のトランザクションを管理できる通信事業者によって運営されるノードであることを特徴とする、請求項20に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、標的を分解する方法およびシステムに関し、さらに詳細には、元の標的情報から、モバイルトランザクションに関連する標的分解タイプに対応している少なくとも1つの識別子に標的を分解する方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
グローバルビレッジは、ビジネスでも娯楽でも、世界中を行き来するますます多くの国際的な事業を確実に推進している。このような活動から生じる外国での商品やサービスの購入に対する支払いには、長年にわたりクレジットカードがこのような国境を越えた支払いを清算する一般的な選択肢の1つになっている。
【0003】
個人のモバイルデバイスを介した非接触型の決済は、台湾および無数のアジア、アフリカの国々など、多くの国では新しいけれども一般的なものであるかもしれないが、それ以外の国の消費者は、クレジットカード決済、現金、送金、または小切手を依然として好んでいる。最近のパンデミックの蔓延などの衛生上の問題により、PINパッドの使用が妨げられているため、QR(Quick Response)コードとNFC(Near-field Communication)技術を駆使した非接触型トランザクションがますます重要になり、前例のない人気を集めている。
【0004】
ただし、QRコード(登録商標)またはNFCタグの元の標的情報は、トランザクション用の標的に変換され、SoftBankのPayPay、AlibabaのAliPayなどの様々な決済サービスを利用する顧客デバイスまたは加盟店デバイスによって生成されており、データ形式やアドレッシングスキームに関してまだ標準化されていないため、決済サービスごとに異なる。
例えば、SoftBank決済サービスを利用するデバイスによって生成されたQRコードが認識されず、台湾の決済サービスを利用するデバイスによって生成されたQRコードのみを受け入れる台湾の加盟店に対する決済に対応する標的に分解されるということが起こり得る。
このような状況の下で、顧客または加盟店の元の標的情報のアドレッシングスキームを認識し、元の標的情報の標的を分解することが可能な標的分解サービスが必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、後続のトランザクションのために確実かつ効率的に標的を分解することに重点を置いている標的を分解する方法およびシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述の目的を達成するため、標的を分解する本方法は、
(a)ローカル分解ピアが、ローカル分解ピアに通信可能に接続された加入者から標的および標的分解タイプを受信することと、
(b)ローカル分解ピアは、標的が標的分解タイプに対応する少なくとも1つの識別子に分解可能かどうかを判断することと、
(c)内部エラーがない状態で標的が分解不可能である場合に、ローカル分解ピアは、標的分解タイプおよび標的を少なくとも1つの遠隔分解ピアに送信し、ローカル分解ピアおよび少なくとも1つの遠隔分解ピアは、クロスピアトランザクションネットワークに通信可能に接続された複数の分解ピアの一部であることと、
(d)ローカル分解ピアは、少なくとも1つの遠隔分解ピアからの少なくとも1つの分解可能な結果の数に基づいて、標的が分解可能かどうかを判断することと
を含む。
【0007】
1つの実施形態では、スキームを理解していない複数の分解ピアのうちの少なくとも1つにスキームをマッピングするブラックリストがローカル分解ピアに格納され、TTL(Time to Live)ごとに更新される。
【0008】
別の実施形態では、工程(c)で、ローカル分解ピアは、標的分解タイプおよび標的を少なくとも1つの遠隔分解ピアに送信し、遠隔分解ピアの各々は、そのスキームでブラックリストから検索できる複数の分解ピアの部分と異なる。
【0009】
別の実施形態では、工程(c)で、ローカル分解ピアは、標的分解タイプ、スキーム、および標的を少なくとも1つの遠隔分解ピアに送信し、遠隔分解ピアの各々は、ホワイトリストにある複数の分解ピアの部分のうちの1つと同じで、そのスキームでブラックリストから検索できる複数の分解ピアのうちの少なくとも1つと異なる。
【0010】
別の実施形態では、ホワイトリストおよびブラックリストは、加盟店の場所と顧客の場所の少なくとも一方の要素に基づいて生成される。
【0011】
別の実施形態では、工程(c)で、ローカル分解ピアは、同時と順次のいずれか一方に基づいて標的分解タイプ、スキーム、および標的を少なくとも1つの遠隔分解ピアに送信する。
【0012】
前述の目的を達成するため、標的を分解するシステムは、以下を含む。
【0013】
標的を分解するシステムは、クロスピアトランザクションネットワーク、加入者デバイス、および複数の分解ピアを含む。
【0014】
複数の分解ピアは、クロスピアトランザクションネットワークに通信可能に接続され、複数の分解ピアの一部は、少なくとも1つの遠隔分解ピアおよびローカル分解ピアを含む。
【0015】
ローカル分解ピアは、加入者に通信可能に接続され、加入者デバイスからスキーム、標的、および標的分解タイプを受信し、標的が標的分解タイプに対応する少なくとも1つの識別子に分解可能かどうかを判断し、内部エラーがない状態で標的が分解不可能な場合に標的分解タイプ、スキーム、および標的を少なくとも1つの遠隔分解ピアに送信し、少なくとも1つの遠隔分解ピアからの少なくとも1つの分解可能な結果の数に基づいて、標的が分解可能かどうかを判断する。
【0016】
標的の分解が2段階であるため、ローカル分解ピアが第1段階の分解で標的を何らかの理由で分解できなかった場合、少なくとも1つの遠隔分解ピアは第2段階の標的分解で、より包括的な分解サービスを提供し、元の標的情報のスキームを理解していないという可能性、またはスキームを理解しているが標的を分解できないという可能性を排除するため、標的を分解する確実性が大幅に高まる。一方、ブラックリストにあるスキームを理解していない分解ピアへの標的の送信をブロックするスキームキャッシング手法と、ホワイトリストにある標的を分解できる分解ピアへの標的の送信を絞り込むヒントサービス手法とを採用することにより、第1段階の標的分解と第2段階の分解との間で標的情報の送信から生じるトラフィックフローは、標的情報を第2段階の標的分解に対して送信するのとは対照的に、区別せずに合理的に減少させることができ、減少したトラフィックフローの方は、迅速かつ効率的な標的分解につながる。したがって、本発明の方法およびシステムは、より信頼性が高く応答性の高い標的分解を提供する点で、従来の技術よりも利点を有する。
【0017】
本発明の他の目的、利点および新規性のある特徴は、添付の図面と併せて以下の詳細な説明からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明による標的を分解する方法の一実施形態を示す流れ図である。
図2A】本発明による標的を分解する方法の別の実施形態を示す流れ図である。
図2B】本発明による標的を分解する方法の別の実施形態を示す流れ図である。
図3図2のトークン返却プロセスを示す流れ図である。
図4】元の標的情報を取得するプロセスを示して図1および図2の方法を補足する流れ図である。
図5A】本発明による標的分解を用いて決済トランザクションのプロセスの実施形態を示す流れ図である。
図5B】本発明による標的分解を用いて決済トランザクションのプロセスの実施形態を示す流れ図である。
図6】本発明による標的を分解するシステムの実施形態のネットワークアーキテクチャを示す概略図である。
図7】本発明による標的を分解するシステムの別の実施形態のネットワークアーキテクチャを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に記載した説明で使用している用語は、技術の特定の具体的な実施形態の詳細な説明と併せて使用されていても、最も広義の合理的な方法で解釈されることを意図している。以下では特定の用語が強調されることもあり得るが、限定的に解釈されることを意図した用語は、この詳細な説明の節でその旨具体的に定義される。
【0020】
以下に紹介する実施形態は、ソフトウェアおよび/またはファームウェアによってプログラムされるか構成されたプログラマブル回路によって実装されるか、専用回路によって全体的に実装されるか、そのような形式を組み合わせて実装されることが可能である。このような専用回路は(ある場合)、例えば、1つ以上の特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などの形をとることができる。
【0021】
記載した実施形態は、標的提供者が加入者に元の標的情報を提供して、その後のトランザクションの可能性が高い元の標的情報内の標的を分解するときに、標的を分解する1つの方法および1つのシステムに関する。一般に、元の標的情報は、スキームとそこからの標的を生成するために使用できる限り、様々な形式で提供可能である。この場合のスキームは、元の標的情報のデータ形式である。トランザクションの性質に応じて、標的提供者と加入者のいずれか一方が元の標的情報を提示し、もう一方がトランザクションで元の標的情報から標的を取得してよい。そして、標的分解タイプは通常、トランザクションの性質によって決まる。1つの実施形態では、標的分解タイプは、加入者によって割り当てられる。標的は、元の標的情報に埋め込まれた情報であってよく、識別子に分解されてよい。1つの実施形態では、モバイルトランザクションに関連する3タイプの識別子、すなわち、MSN(mobile subscriber number:モバイル加入者番号)、MSID(merchant service universally-unique identifier:加盟店サービスユニバーサル一意識別子)、およびMSU(MSNとMSIDの両方)があり、それぞれが標的分解タイプに対応している。換言すると、標的分解タイプとは、上記の実施形態でのMSN、MSID、およびMSUなどの識別子のタイプである。本方法またはシステムのこの要点は、2段階の標的分解にあり、1つはローカル分解ピアによって実施され、もう1つは少なくとも1つの遠隔分解ピアによって実施される。ローカル分解ピアおよび少なくとも1つの遠隔分解ピアは、システムの複数の分解ピアの一部に関係する。標的および標的分解タイプを選択せずにシステムの残りの分解ピアにブロードキャストすることによって引き起こされるネットワーク輻輳問題を回避するために、スキームキャッシング手法およびヒントサービス手法を適用して、標的分解のために残りの分解ピアへのクエリ数を減らすことによりネットワークの輻輳問題に対処する。標的分解システムのネットワークアーキテクチャでは、ローカル分解ピアおよび少なくとも1つの遠隔分解ピアを含む複数の分解ピアを通信可能に接続するために、クロスピアトランザクションネットワークが使用される。以下の説明では、本方法および本システムの実装を詳述する。
【0022】
先に概説したように、1つの実施形態では、加入者と標的提供者との間のトランザクションを容易にするために、標的分解方法を用いてよい。トランザクションにモバイルウォレットを使用する傾向があること考慮して、図1の標的分解方法は、標的をモバイルトランザクションサービスに関連する特定の識別子、すなわち、顧客のMSN、加盟店のMSID、顧客と加盟店の両方の識別子が入っているストアカードのMSUを分解することに焦点を当てている。この場合のトランザクションには、決済トランザクションが含まれることがあるが、これに限定されない。
【0023】
標的提供者は、自身の元の標的情報を提供し、元の標的情報および元の標的情報のスキームを加入者に通信する。次に、加入者は、元の標的情報から標的を抽出し、スキーム、標的、および標的分解タイプをローカル分解ピアに通信する。元の標的情報のスキームおよび標的分解タイプは、システムによって事前に決定されてよい。その結果、元の標的情報のスキームおよび標的分解タイプは、標的提供者から加入者に、さらにはローカル分解ピアに通信する必要がないことがある。元の標的情報に関して言えば、これは標的が抽出されるソース情報であると定義され、QRコード、NFC(Near-field Communication)タグ、音声シグネチャおよび指紋のいずれか1つを含むがこれに限定されない情報記憶手段の形式である。元の標的情報のスキームは、1つの決済サービスの提供者によってサポートされる元の標的情報の独自のデータ形式であり、1つの実施形態では、標的提供者によって加入者に提供されてよい。スキームのタイプには、QRコードスキーム、NFCスキーム、音声スキーム、および指紋スキームなどがあるがこれに限定されず、各スキームは、決済サービス提供者によってサポートされ得る。例えば、決済サービス提供者であるPAYPAYは、QRコードスキーム、NFCスキーム、音声スキーム、指紋スキームなどの様々なスキームで元の標的情報を生成してよい。標的自体は、元の標的情報に埋め込まれた特徴を抽出することによって、例えばQRコードをスキャンしたり、NFCタグを感知したり、音声から音声シグネチャを抽出したり、指紋をスキャンしたりして特徴を抽出し、元の標的情報のスキームに従って標的を取得することによって引き出される情報である。標的は、文字列の形式であってよい。
【0024】
トランザクション行為の観点から、加入者は加盟店であってよく、標的提供者は顧客であってよい。この筋書きでは、QRコードが元の標的情報に対して使用されるスキームである場合、QRコードは、顧客によって提示され、顧客のポータブルデバイス/モバイルデバイス、例えば携帯電話から来る可能性があり、加盟店または取得デバイス、例えば加盟店の販売時点管理(POS)機は、顧客のQRコードをスキャンしてQRコード文字列である標的を取得する。あるいは、加入者は顧客であってよく、標的提供者は加盟店であってよい。この状況では、元の標的情報に対して引き続きQRコードのスキームが使用されている場合、QRコードは加盟店によって提示され、顧客のモバイルデバイスは、加盟店のQRコードをスキャンしてQRコード文字列を取得する。
【0025】
標的分解タイプは、標的を分解する識別子のタイプであり、1つの実施形態では、MSNのタイプ、MSIDのタイプ、またはMSUのタイプであってよく、それぞれがMSN、MSID、またはMSNとMSIDに対して分解可能な標的に対応する。MSNのタイプは、標的から分解された少なくとも1つの識別子が顧客に関するものである場合に適用される。MSIDのタイプは、標的から分解された少なくとも1つの識別子が加盟店に関するものである場合に適用される。MSUのタイプは、標的から分解された少なくとも1つの識別子が顧客と加盟店の両方に関するものである場合に適用される。MSN、MSID、およびMSUのタイプが関係する機会の例が、顧客の元の標的情報を用いたトランザクションの決済、加盟店の元の標的情報を用いたトランザクションの決済、そしてストアカードの元の標的情報を用いたトランザクションの決済である。ストアカードには、加盟店から顧客に発行される価値が格納されている。1つの実施形態では、標的分解タイプは、元の標的情報から標的を取得した後に顧客または加盟店によってそのローカル分解ピアに付与される。本開示で、標的が標的分解タイプに対応する少なくとも1つの識別子に分解されるという表現をしている場合、それは、標的から分解された少なくとも1つの識別子が、標的分解を実行する分解ピアで、ローカルで識別され得るという意味である。本開示のハードウェアアーキテクチャに関して、ローカル分解ピアおよび少なくとも1つの遠隔分解ピアは、クロスピアトランザクションネットワークに通信可能に接続された複数の分解ピアの一部である。ローカル分解ピアサービスは、標的を加入者から直接受信するが、少なくとも1つの遠隔分解ピアの各々は受信しない。
【0026】
標的を分解する方法は、以下の工程を含む。
【0027】
工程S110:ローカル分解ピアが標的および標的分解タイプを加入者から受信する。この工程の前の予備処理段階で、加入者は、例えばQRコードをスキャンするかNFCタグを送ることによって、標的および標的分解タイプを取得する。1つの実施形態では、標的分解タイプは、顧客のモバイルデバイスにインストールされているアプリまたは加盟店のPOSデバイスもしくはサーバにインストールされているソフトウェアなどのシステムによって事前に決定される。この工程では、ローカル分解ピアが標的および標的分解タイプを加入者から受信して、次の第1段階の標的分解を実行する。
【0028】
工程S120:ローカル分解ピアは、標的が標的分解タイプに対応している少なくとも1つの識別子に分解可能であるかどうかを判断する。この工程は、標的を少なくとも1つの識別子に分解することを試みる第1段階の標的分解である。少なくとも1つの識別子は、標的が分解可能な場合、標的分解タイプがMSNのタイプであるときは1つのMSNであってよく、標的分解タイプがMSIDのタイプであるときは1つのMSIDであってよく、または標的分解タイプがMSUのタイプであるときには1つMSNと1つのMSIDであってよい。1つの実施形態では、MSDは、全世界で一意の顧客に関連付けられた全世界で一意の携帯電話番号を識別する。MSIDは、全世界で一意の加盟店に関連付けられた全世界で一意の加盟店IDを識別する。そしてMSUは、加盟店が顧客に発行する値に関連付けられた全世界で一意のストアカードを識別する。標的を分解する際に内部エラーがない状態で標的が分解不可能であるとローカル分解ピアが判断した場合、工程130を実施する。それ以外の場合は、工程130およびS140に進まずに標的の分解に成功したという通知を返す。
【0029】
工程S130:ローカル分解ピアは、標的分解タイプおよび標的を少なくとも1つの遠隔分解ピアに送信する。この工程は、送信段階である。少なくとも1つの遠隔分解ピアは、1つ以上の遠隔分解ピアであってよい。先に述べたネットワーク輻輳問題は、ローカル分解ピアが標的分解タイプおよび標的を選択せずにブロードキャストするときか、両者を残りの遠隔分解ピアまたはすべての遠隔分解ピアにランダムにブロードキャストし、標的を分解しながら速度を下げるときに生じることがある。先に示唆したように、このようなネットワーク輻輳問題に取り組むために用いるヒントサービス手法を後に詳述する。
【0030】
工程S140:ローカル分解ピアは、少なくとも1つの遠隔分解ピアからの少なくとも1つの分解可能な結果の数に基づいて、標的が分解可能かどうかを判断する。この工程は、第2段階の標的分解である。少なくとも1つの遠隔分解ピアの各々が標的は分解可能であると判断した場合、遠隔分解ピアは、1つの分解可能な結果をローカル分解ピアに返す。遠隔分解ピアが何らかの理由で標的は分解不可能であると判断した場合、遠隔分解ピアは分解可能な結果を返さない。ローカル分解ピアに返された分解可能な結果の総数は、標的が分解可能かどうかをローカル分解ピアが判断する基準である。2段階の標的分解があることにより、標的が第1段階の標的分解か2段階の標的分解のいずれかで分解される限り、トランザクションに関わる当事者は、このような指標を頼りにトランザクションを進める許可を受信する。
【0031】
図1に示した方法に加えて、図2Aおよび図2Bに示した標的を分解する方法は、前述の方法の詳細版であり、工程S110の代わりに工程110’があり、工程S120の判断結果から工程S121~S124が生じ、工程S140に代わって工程S141~S144があること以外は、前述の方法と同じである。重複を避けるため、図1の方法の工程とは異なっていて、図1の工程の追加である図2Aおよび図2Bの方法の工程のみを以下に説明する。
【0032】
以下の工程S110’は、図1の工程S110に代わるものである。
【0033】
工程S110’:ローカル分解ピアが、標的、スキーム、および標的分解タイプを加入者から受信する。この工程と元の工程S110との違いは、第1段階の標的分解に関して加入者からローカル分解ピアに追加で通信されるスキームにある。1つの実施形態では、QRコードスキームとNFCタグスキームの両方を生成して受け入れるように標的分解システムが実装され、加入者は、ローカル分解ピアにスキームを提供する必要がある。
【0034】
図2Aに示したように、以下の工程S121~S124は、図1の工程S120の判断結果から生じる工程である。
【0035】
工程S121:スキームを理解し、工程S120で標的を少なくとも1つの識別子に分解する場合、ローカル分解ピアは、標的が分解可能であると判断し、工程S130およびS140~S144をスキップする。この工程は、ローカル分解ピアがスキームを理解し、標的を少なくとも1つの識別子に分解する場合に、標的は第2段階の標的分解に進むことなく少なくとも1つの識別子に分解可能であると結論付ける。
【0036】
QRコードスキームおよびNFCタグスキームなどの同じ高レベルのスキームの下では、各々の高レベルのスキームは、複数の低レベルのスキーム(データ形式)をさらに含んでいてよい。例えば、QRコードスキームの場合、標的が13桁のQRコード文字列で、標的分解タイプが全世界で一意の携帯電話番号であるMSNであれば、低レベルのスキームは、国コード(3桁)、市街局番(3桁)および市内の電話番号(7桁)のデータ形式とすることができる。そのため、スキームは、状況に応じて、高レベルのスキームもしくは低レベルのスキーム、またはこの両方を意味する可能性がある。複数の分解ピアの各々は、その分解ピアが理解できる少なくとも1つのデフォルトスキームを含むデフォルトリストを有する。したがって、元の標的情報のスキームがローカル分解ピアのデフォルトリストにある少なくとも1つのデフォルトスキームの1つと同じであれば、元の標的情報のスキームは、ローカル分解ピアが理解可能であると判断される。1つの実施形態では、ローカル分解ピアのデフォルトリストは、複数の分解ピアの一部である少なくとも1つの遠隔分解ピアのデフォルトリストと部分的に異なるか完全に異なることがある。少なくとも1つの遠隔分解ピアがローカル分解ピアと完全に同じデフォルトリストを有していれば、第2段階の標的分解は有益ではない可能性がある。
【0037】
工程S122:工程S120で標的を分解する際に内部エラーがある場合、ローカル分解ピアは、標的が分解不可能であると判断し、工程S130およびS140~S144をスキップする。工程S121とは異なり、この工程は、標的を分解する際のハードウェア問題またはソフトウェア問題が原因であるかどうかに関係なく、ローカル分解ピアが内部エラーを受信したときに、第2段階の標的分解に進まずに標的を少なくとも1つの識別子に分解することはできないと結論付ける。
【0038】
工程S123:工程S120で、スキームを理解できないとき、またはスキームを理解しているが標的を少なくとも1つの識別子に分解できないとき、ローカル分解ピアは、標的が分解不可能であると判断する。この工程は、第1段階の標的分解では標的の分解ができず、第2段階の標的分解への準備ができていると判断することを意図している。第2段階の分解を開始するために満たす必要がある条件が2つある。1つは、ローカル分解ピアのデフォルトリストにない場合に、そのスキームがローカル分解ピアには理解不可能であると判断されることである。もう1つは、スキームはローカル分解ピアのデフォルトリストにあるが、標的から分解された少なくとも1つの識別子がローカル分解ピアでは見つからないことである。この2つの条件のいずれか一方を満たしている場合、標的は、少なくとも1つの識別子に分解不可能であると判断され、第2段階の標的分解を開始できる。
【0039】
工程S124:工程S120で、標的を分解できる他の分解ピアの一部を含んでいる、ローカル分解ピアのヒントサービスから提示されたホワイトリストを受信すると、ローカル分解ピアは、標的が分解不可能であると判断する。この工程は、ローカル分解ピアがホワイトリストを受信したときに実行されなかった残りの工程を残しておくことなく、標的が分解不可能であると判断する。ホワイトリストは、自発的な応答であり、1つ1つの分解ピアが、標的を分解する際に毎回そのようなヒントサービスをそれ自身または他の解決ピアに提供するわけではない。それにもかかわらず、ホワイトリストが利用可能なとき、ローカル分解ピアは、標的分解のために他の1つ1つの分解ピアに問い合わせる必要はないが、ホワイトリストにある他の分解ピアの一部(分解ピア全体のうちの限られた数である可能性がある)に問い合わせる必要があるため、ファンアウトの問題が解決される。
【0040】
図2Bに示したように、以下の工程S141~S144は、図1の工程S140に代わる工程である。
【0041】
工程S141:少なくとも1つの遠隔分解ピアの各々は、遠隔分解ピアがスキームを理解し、標的を標的分解タイプに対応する少なくとも1つの識別子に分解するかどうかを判断する。この工程は、少なくとも1つの遠隔分解ピアの各々がスキームを理解するかどうかを判断することを意図し、標的を第2段階の標的分解で分解する。スキームの理解については、工程S121を詳述する記載に同様の説明が見られるため、ここでは繰り返さない。遠隔分解ピアがスキームを理解し、標的を少なくとも1つの識別子に分解する場合、工程S142を実施する。内部エラーがある場合、遠隔分解ピアはスキームを理解できず、遠隔分解ピアは、スキームを理解するが標的を少なくとも1つの識別子に分解できないか、遠隔分解ピアは、標的を分解できる他の分解ピアの一部を含んでいる、遠隔分解ピアでヒントサービスから提示されたホワイトリストをローカル分解ピアに返し、工程S143を実施する。
【0042】
工程S142:遠隔分解ピアは、少なくとも1つの識別子にマッピング可能で標的が分解可能であることを示すトークンをローカル分解ピアに返す。ここでのトークンは、工程S140の分解可能な結果と同じであり、標的の分解を開始するローカル分解ピアから少なくとも1つの識別子を隠す試みで暗号化されたデータであってよい。トークンは、少なくとも1つの識別子にマッピング可能であるため、トークンを使用するトランザクション中に少なくとも1つの識別子にマッピングし直すために使用することができる。
【0043】
工程S143:遠隔分解ピアはトークンを返さない。第2段階の標的分解では、内部エラーがあること、スキームを理解できないこと、スキームを理解できて標的を分解できないこと、またはホワイトリストを利用できることを検知した場合、遠隔分解ピアは、トークンを返さない。第2段階の標的分解で提供されたホワイトリストは、第2段階の標的分解には意味がなく、よって破棄されることにも注意されたい。
【0044】
工程S144:ローカル分解ピアは、少なくとも1つの遠隔分解ピアから受信した少なくとも1つのトークンの数が1つのときに、標的は分解可能であると判断するか、その数がゼロか1よりも多いときに、標的は分解不可能であると判断する。この工程は、少なくとも1つの遠隔分解ピアからの少なくとも1つのトークンの数が1つであるときに、標的が分解可能であると結論付けることを意図している。数がゼロか1よりも多いと、ローカル分解ピアは、標的が少なくとも1つの識別子に分解不可能であると判断する。
【0045】
図3を参照すると、工程S142は、以下の工程をさらに含む。
【0046】
工程S1421:遠隔分解ピアは、標的分解タイプを判断する。標的分解タイプがMSNとMSUのいずれか一方のタイプである場合、工程S1422を実施する。標的分解タイプがMSIDのタイプである場合、工程S1423を実施する。
【0047】
工程S1422:遠隔分解ピアは、遠隔分解ピアで、またはクロスピアトランザクションネットワークに通信可能に接続された外部サーバで、本人確認(KYC)ルックアップサービスを介して少なくとも1つの識別子のMSNで標的提供者を識別するユーザIDを取得し、少なくとも1つの識別子のMSNをユーザIDに置き換え、少なくとも1つの識別子にマッピング可能なトークンを生成し、トークンをローカル分解ピアに返す。標的提供者は、2つ以上のMSNを所有していることがあるが、ユーザIDは、標的提供者を識別する一意の識別子である。MSNの代わりに暗号化された情報であるトークンを返すことの主な懸念は、遠隔分解ピアとの商業関係またはサービス関係がない可能性のあるローカル分解ピアに対してユーザIDを機密に保つことである。一方、ユーザIDと比較して、MSNは一意の識別子ではないことがある。標的分解タイプがMSNのタイプである場合、トークンは対応するMSNにマッピングし直すために使用されるが、MSUのタイプの場合、トークンは、対応するMSNおよびMSIDにマッピングし直すために使用される。
【0048】
工程S1423:遠隔分解ピアは、少なくとも1つの識別子にマッピング可能なトークンを生成し、トークンをローカル分解ピアに返す。MSIDのタイプである場合、MSID自体が一意識別子であるため、KYCルックアップサービスを必要としない。その結果、トークンは、遠隔分解ピアによって生成され、MSIDのみにマッピング可能である。
【0049】
ファンアウトの問題に対してホワイトリストを提供するヒントサービス手法のほか、ブラックリストを提供するスキームキャッシング手法は、ファンアウトの問題に対するもう1つの対策である。ホワイトリストとは異なり、ブラックリストは、少なくとも1つのスキームと、その少なくとも1つのスキームの各々を理解せずそれにマッピングできない全分解ピアのうちの少なくとも1つとを含む。複数の分解ピアの各々は、自己破壊時間として扱われる生存時間(TTL)ごとに更新されるブラックリストを有する。工程S123のローカル分解ピアと、スキームを理解できない工程S143の少なくとも1つの遠隔分解ピアの各々とは、ローカル分解ピアのブラックリストの次の更新で記録される。標的の情報を送信する段階の工程S130では、ヒントサービス手法とスキームキャッシング手法のいずれか一方または両方を採用できる。ホワイトリストがローカル分解ピアで入手可能で、ヒントサービス手法が単独で採用される場合、ローカル分解ピアは、スキーム、標的、および標的分解タイプを、ホワイトリストにあるスキームにマッピング可能な少なくとも1つの遠隔分解ピアに送信する。スキームキャッシング手法が単独で採用される場合、ローカル分解ピアは、スキーム、標的、および標的分解タイプを少なくとも1つの遠隔分解ピアに送信し、各々の遠隔分解ピアは、ブラックリストにあるスキームにマッピング可能な全分解ピアのうちの少なくとも1つとは異なる。ヒントサービス手法とスキームキャッシング手法の両方が採用される場合、ローカル分解ピアは、スキーム、標的、および標的分解タイプを少なくとも1つの遠隔分解ピアに送信し、各々の遠隔分解ピアは、ホワイトリストにあるスキームにマッピング可能な複数の分解ピアの部分のうちの1つであり、ブラックリストにあるスキームにマッピング可能な複数の分解ピアのうちの少なくとも1つとは異なる。送信方法に関する限り、ローカル分解ピアは、スキーム、標的、および元の標的情報を少なくとも1つの遠隔分解ピアに同時にまたは順次送信できる。一般原則として、ホワイトリストおよびブラックリストは、加盟店の場所および顧客の場所の少なくとも1つの要因に基づいて生成されてよい。
【0050】
図1および図2の方法は、元の標的情報を生成し、取得するために、図4に示した以下の工程をさらに含む。
【0051】
工程S410:加入者は、元の標的情報および標的分解タイプについての要求を、元の標的情報を加入者に発行する権限を有する複数の分解ピアのうちの1つにある標的情報発行サービスに送る。標的情報発行サービスは、決済サービス提供者として機能する複数の分解ピアのうちの1つと同じ場所にあるバックエンドサーバから提供されてよい。
【0052】
工程S420:標的情報発行サービスを有する分解ピアは、標的トークンを生成し、標的トークンを複数の分解ピアのうちの1つに送る。標的トークンは暗号化された情報であってよい。
【0053】
工程S430:分解ピアは、標的トークンを受信し、標的トークンを標的分解タイプに対応する少なくとも1つの識別子にマッピングし、分解ピアで標的トークンをマッピングリストに追加する。この工程は、標的トークンと加入者に関連付けられた対応する識別子とのマッピング関係を作成することを意図している。標的トークンは、元の標的情報が標的分解時に使用される場合に、少なくとも1つの識別子にマッピングし直すために使用され得る。
【0054】
工程S440:分解ピアは、標的トークンが分解ピアからマッピングリストに追加されたという確認応答を受信した後に、標的トークンを含む元の標的情報を生成し、元の標的情報を加入者に送る。標的トークンは、元の標的情報に含まれている暗号化された情報であり、元の標的情報の内容を検索して解読することによって取得できる。
【0055】
図5を参照すると、加入者(加盟店のPOSマシン)と標的提供者(顧客のモバイルデバイス)との間で決済トランザクションを遂行する前に、標的提供者の標的をMSNに分解するという標的分解技術を採用するプロセスは、以下の工程を含む。
【0056】
工程S510:加入者は、標的提供者の元の標的情報を受信し、任意で元の標的情報を分析して元の標的情報のスキームを得る。
【0057】
工程S520:加入者は、金額、通貨、元の標的情報、オプションのスキーム、およびオプションの請求書IDに関する価格情報を加入者のバックエンドサーバに送る。
【0058】
工程S530:加入者から元の標的情報を受信すると、加入者のバックエンドサーバは、元の標的情報を分析し、工程S510で加入者からスキームが提供されなかった場合にスキームを決定し、任意で、工程520で加入者から請求書IDが提供されなかった場合に請求書IDを生成し、工程S520で加入者から価格情報を提供されなかった場合に価格情報を決定する。
【0059】
工程S540:加入者のバックエンドサーバは、スキーム、標的、金額、通貨、オプションの請求書ID、加入者のMSID、加入者の情報(加盟店名、所在地など)をホストピアに送って、決済操作の要求を行う。ホストピアは、クロスピアトランザクションネットワークに通信可能に接続され、クロスピアトランザクションネットワークに通信可能に接続されている加入者および標的提供者に対してピア間でトランザクションを実施することが可能である。
【0060】
工程S550:ホストピアは、クロスピアトランザクションネットワークと通信状態にあるローカル分解ピアが、標的をその標的およびスキームを含むMSNに分解するかどうかをチェックする。ローカル分解ピアが標的を分解できない場合、工程S560を実施する。そうでない場合、工程S580を実施する。
【0061】
工程S560:ホストピアは、標的およびスキームを、クロスピアトランザクションネットワークと通信状態にある少なくとも1つの遠隔分解ピアにブロードキャストし、少なくとも1つの遠隔分解ピアが標的をその標的およびスキームを含むMSNに分解するかどうかをチェックする。少なくとも1つの遠隔分解ピアが標的を分解できない場合、工程S570を実施する。標的から分解可能なMSNが1つある場合、工程S580を実施する。
【0062】
工程S570:ホストピアは、トランザクションが完了していないと判断し、工程S540での決済操作に対する加入者の要求に応答してエラーを返す。
【0063】
工程S580:ホストピアは、加入者のバックエンドサーバからの要求に対して、決済操作の要求が正常に送信されたことを示す通知によって応答し、それと並行して、遠隔分解ピアが、標的提供者のバックエンドサーバに、金額、通貨、加入者情報(工程S540で加入者のバックエンドサーバから提供された場合)、請求書ID(工程S540で加入者のバックエンドサーバから提供された場合)、および分解済みのユーザIDを含む支払い要求を通知する。
【0064】
工程S590:標的提供者のバックエンドサーバは、トランザクションに必要な支払い要求の承認のために、標的提供者に通知を送る。
【0065】
前述の説明からわかるように、本方法を履行するにあたり、標的を分解する方法の背後には、あるシステムがあるように見える。図6および図7を参照すると、標的70を分解するシステムは、クロスピアトランザクションネットワーク71、加入者デバイス72、および複数の分解ピア73を含んでいる。このシステムの詳細な説明を始める前に、システムは、前述の方法から、用語の定義、概念、および実施形態を引き継ぐことに注意されたい。
【0066】
1つの実施形態では、クロスピアトランザクションネットワーク71は、分散台帳技術に基づいて構築される。加入者デバイス72は、加入者の所有であり、標的提供者(図示せず)から元の標的情報、スキームおよび標的分解タイプを取得する。1つの実施形態では、スキームおよび標的分解タイプは、システムによって事前に設定されていてよいため、標的提供者は、このような情報を提供する必要がないことがある。加入者デバイス72は、顧客が所有している場合、携帯電話、タブレットパーソナルコンピュータ(PC)、またはラップトップコンピュータなどだがこれに限定されないモバイルデバイスであってよい。加入者デバイス72は、加盟店が所有している場合、販売時点情報管理(POS)マシンであってよい。複数の分解ピア73は、クロスピアトランザクションネットワーク71に通信可能に接続され、ローカル分解ピア73aおよび少なくとも1つの遠隔分解ピア73b、73c、73dを含み、これらの分解ピアは、複数の分解ピア73の一部である。図6および図7は、単一の遠隔分解ピア73bを有する実施形態、および複数の遠隔分解ピア73b、73c、73dを含む実施形態をそれぞれ示している。1つの実施形態では、複数の分解ピア73の各々は、デジタル通貨、デジタル証券、デジタル債券、デジタル先物、デジタル貴金属などのデジタル資産のトランザクションを管理できる通信事業者によって運営されるノードである。ローカル分解ピア73aは、加入者デバイス72および加入者のトランザクションサービス提供者に通信可能に接続されているが、少なくとも1つの遠隔分解ピア73b、73c、73dは、加入者デバイス72とは直接通信していない(そのトランザクションサービス提供者ではない)。ローカル分解ピア73aは、標的、スキーム(オプション)、および標的分解タイプを加入者デバイス72から受信し、標的が標的分解タイプに対応する少なくとも1つの識別子に分解可能かどうかを判断し、内部エラーがない状態で標的が分解不可能である場合に、標的分解タイプおよび標的を少なくとも1つの遠隔分解ピア73b、73c、73dに送信し、少なくとも1つの遠隔分解ピア73b、73c、73dから得た少なくとも1つの分解可能な結果の数に基づいて、標的が分解可能かどうかを判断する。
【0067】
ヒントサービス手法にはホワイトリストが関わっているため、標的を分解できる複数の分解ピア73の一部を含んでいる、ローカル分解ピア73aでヒントサービスから提示されたホワイトリストを受信すると、ローカル分解ピア73aは、標的分解タイプ、スキーム、および標的を少なくとも1つの遠隔分解ピア73b、73c、73dに送信する。一方、スキームキャッシング手法にはブラックリストが関わっている。ローカル分解ピア73aは、スキームを理解していない複数の分解ピア73の一部にスキームをマッピングするブラックリストを格納し、そのブラックリストをTTL(Time to Live)ごとに更新する。ブラックリストのみが有効になると、ローカル分解ピア73aは、標的、スキーム、および標的分解タイプを少なくとも1つの遠隔分解ピア73b、73c、73dに送信し、この遠隔分解ピアの各々は、そのスキームでブラックリストから検索できる複数の分解ピア73のうちの少なくとも1つと異なる。ホワイトリストのみが有効になる、ローカル分解ピア73aは、標的、スキーム、および標的分解タイプを少なくとも1つの遠隔分解ピア73b、73c、73dに送信し、この遠隔分解ピアの各々は、そのスキームで検索できるホワイトリストにある複数の分解ピア73の部分のうちの1つと同じである。ホワイトリストとブラックリストの両方があると、ローカル分解ピア73aは、標的分解タイプ、スキーム、および標的を少なくとも1つの遠隔分解ピア73b、73c、73dに送信し、この遠隔分解ピアの各々は、ホワイトリストにある複数の分解ピア73の部分のうちの1つと同じで、そのスキームでブラックリストから検索できる複数の分解ピア73のうちの少なくとも1つと異なる。スキームキャッシング手法およびヒントサービス手法に加えて、ローカル分解ピア73aが標的、スキーム、および標的分解タイプを少なくとも1つの遠隔分解ピア73b、73c、73dに送信するための送信方法は、システム70のトラフィックフロー状態に基づいて選択した順序で、または同時に実行されてよい。
【0068】
システム70は、元の標的情報を加入者デバイス72に発行する権限があり、クロスピアトランザクションネットワーク71に通信可能に接続されている複数の分解ピアのうちの1つである標的発行ピア73eをさらに含む。分解ピアは、決済サービス提供者によって運用され元の標的情報を発行するバックエンドサーバと同じ場所にあってよい。元の標的情報を要求するために、加入者デバイス72は最初に、元の標的情報および標的分解タイプの要求を標的発行ピア73eに送信する。次に標的発行ピア73eは、標的トークンを生成し、要求および標的分解タイプを受信すると標的トークンを他の分解ピア73のうちの1つに送信する。他の分解ピア73は、標的トークンを受信し、標的トークンを標的分解タイプに対応する少なくとも1つの識別子にマッピングし、他の分解ピア73で標的トークンをマッピングリストに追加する。標的発行ピア73eは、標的トークンが他の分解ピア73のマッピングリストに追加されたという確認応答を受信した後、標的トークンを含んでいる元の標的情報を生成し、元の標的情報を加入者デバイス72に送信する。よって、標的分解タイプがMSNとMSUのいずれか一方のタイプである場合、遠隔分解ピア73b、73c、73dは、遠隔分解ピア73b、73c、73dでの本人確認(KYC)ルックアップサービスまたは外部KYCルックアップサービスを用いて、少なくとも1つの識別子のMSNで標的提供者を識別するユーザIDを取得し、少なくとも1つの識別子のMSNをユーザIDに置き換え、少なくとも1つの識別子にマッピング可能なトークンを生成し、トークンをローカル分解ピア73aに返す。標的分解タイプがMSIDである場合、遠隔分解ピア73b、73c、73dは、少なくとも1つの識別子にマッピング可能なトークンを生成し、トークンをローカル分解ピア73aに返す。
【0069】
本発明の多くの特徴および利点を、本発明の構造および機能の詳細と併せて上記の説明に記載しているが、本開示は例示にすぎない。添付の特許請求の範囲が明記されている用語の広義の一般的な意味によって示される完全な範囲で、本発明の原理の範囲内で、特に部品の形状、サイズ、および配置の問題において詳細に変更を加えてよい。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
【国際調査報告】