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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-25
(54)【発明の名称】水性高電圧亜鉛アノードバッテリ
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/36 20100101AFI20230518BHJP
   H01M 50/489 20210101ALI20230518BHJP
   H01M 4/50 20100101ALI20230518BHJP
   H01M 4/54 20060101ALI20230518BHJP
   H01M 4/38 20060101ALI20230518BHJP
   H01M 4/52 20100101ALI20230518BHJP
   H01M 4/58 20100101ALI20230518BHJP
   H01M 4/60 20060101ALI20230518BHJP
   H01M 4/02 20060101ALI20230518BHJP
   H01M 4/62 20060101ALI20230518BHJP
   H01M 4/66 20060101ALI20230518BHJP
   H01M 50/414 20210101ALI20230518BHJP
   H01M 50/434 20210101ALI20230518BHJP
   H01M 10/38 20060101ALI20230518BHJP
   H01M 4/48 20100101ALI20230518BHJP
   H01M 4/56 20060101ALI20230518BHJP
   H01M 4/70 20060101ALI20230518BHJP
   H01M 4/74 20060101ALI20230518BHJP
   H01M 4/80 20060101ALI20230518BHJP
【FI】
H01M10/36 Z
H01M50/489
H01M10/36 A
H01M4/50
H01M4/54
H01M4/38 Z
H01M4/52
H01M4/58
H01M4/60
H01M4/02 A
H01M4/62 Z
H01M4/66 A
H01M50/414
H01M50/434
H01M10/38
H01M4/48
H01M4/56
H01M4/70 A
H01M4/74 A
H01M4/74 C
H01M4/80 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022562402
(86)(22)【出願日】2021-04-12
(85)【翻訳文提出日】2022-12-08
(86)【国際出願番号】 US2021026875
(87)【国際公開番号】W WO2021211451
(87)【国際公開日】2021-10-21
(31)【優先権主張番号】63/009,271
(32)【優先日】2020-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】522254217
【氏名又は名称】アーバン エレクトリック パワー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ヤダブ,ゴータム ジー.
(72)【発明者】
【氏名】ワイナー,メイアー
(72)【発明者】
【氏名】アプレティ,アディティア
(72)【発明者】
【氏名】ファン,ジンチャオ
(72)【発明者】
【氏名】バナジー,サンジョイ
【テーマコード(参考)】
5H017
5H021
5H029
5H050
【Fターム(参考)】
5H017AA07
5H017CC05
5H017CC28
5H017EE01
5H017EE02
5H017EE04
5H017EE05
5H017EE06
5H017EE07
5H021EE03
5H021EE06
5H021EE11
5H021EE21
5H029AJ12
5H029AK01
5H029AK02
5H029AK03
5H029AK11
5H029AK16
5H029AK18
5H029AL11
5H029HJ01
5H029HJ18
5H050AA15
5H050CA01
5H050CA02
5H050CA03
5H050CA04
5H050CA05
5H050CA06
5H050CA07
5H050CA08
5H050CA09
5H050CA11
5H050CA20
5H050CA29
5H050CB13
5H050DA10
5H050DA11
5H050EA08
5H050EA09
5H050EA23
5H050EA24
5H050EA28
5H050GA03
5H050HA01
5H050HA18
(57)【要約】
高電圧亜鉛(Zn)アノードバッテリは、カソード電気活性材料を含むカソードと、Zn電気活性材料を含むアノードと、アノードと接触しておらず、カソードと接触している陰極液と、カソードと接触しておらず、アノードと接触している陽極液と、陽極液と陰極液の間に配置されたセパレータと、を含む。陰極液のpHは4未満であり、陽極液のpHは10を超える。セパレータはイオン選択特性を持つ。
【選択図】 図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カソード電気活性材料を含むカソードと、
Zn電気活性材料を含んだアノード電気活性材料を含むアノードと、
前記アノードと接触しておらず、pHが4未満であり、前記カソードと接触している陰極液と、
前記カソードと接触しておらず、pHが10を超え、前記アノードと接触している陽極液と、
を含む、高電圧亜鉛(Zn)アノードバッテリ。
【請求項2】
前記陽極液と前記陰極液の間に配置されたセパレータをさらに含み、前記セパレータはイオン選択特性を有する、請求項1に記載のバッテリ。
【請求項3】
前記陽極液が第1のゲル電解質溶液を含み、前記陰極液が第2のゲル電解質溶液を含む、請求項1に記載のバッテリ。
【請求項4】
前記カソード電気活性材料は、酸化マンガン、二酸化マンガン(MnO)、Mn、Mn、MnO;水酸化マンガン、MnOOH、Mn(OH);酸化銀、AgO、AgO;銀(Ag);ニッケル(Ni);ニッケル酸化物、NiO、Ni;水酸化ニッケル、NiOOH、Ni(OH);コバルト酸化物、Co、CoO;水酸化コバルト;鉛(Pb);酸化鉛、PbO、PbO;酸化銅;銅(Cu);水酸化銅;酸化鉄カリウム(KFeO);酸化鉄バリウム(BaFeO);ヘキサシアノ鉄酸銅;リン酸鉄リチウム;リチウムニッケルマンガンコバルト酸化物;リチウムマンガン酸化物、LiMn、LiMnO;カリックス[4]キノン;1,4-ナフトキノン;9,10-アントラキノン及びそれらの任意の混合物のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のバッテリ。
【請求項5】
前記カソードは導電性炭素を含み、前記導電性炭素は、前記カソード電気活性材料と混合され、前記導電性炭素は、グラファイト、カーボンファイバ、カーボンブラック、アセチレンブラック、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、ニッケル被覆カーボンナノチューブ、銅被覆カーボンナノチューブ、単層カーボンナノチューブの分散液、多層カーボンナノチューブの分散液、グラフェン、グラフィン、酸化グラフェン、及びそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載のバッテリ。
【請求項6】
前記カソードは添加剤及び/又はドーパントを含み、前記添加剤及び/又はドーパントは、ビスマス、酸化ビスマス、酸化銅、銅、インジウム、水酸化インジウム、酸化インジウム、アルミニウム、酸化アルミニウム、ニッケル、水酸化ニッケル、酸化ニッケル、銀、酸化銀、コバルト、酸化コバルト、水酸化コバルト、鉛、酸化鉛、二酸化鉛、キノン、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載のバッテリ。
【請求項7】
前記カソードは結合剤を含み、前記結合剤は、メチルセルロース(MC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPH)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ポリビニルアルコール、TEFLON、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載のバッテリ。
【請求項8】
前記カソードは集電体上にプレスされたカソード材料を含み、前記集電体は、炭素、鉛、ニッケル、鋼、ステンレス鋼、ニッケル被覆鋼、ニッケルメッキ銅、スズ被覆鋼、銅メッキニッケル、銀被覆銅、銅、マグネシウム、アルミニウム、スズ、鉄、白金、銀、金、ビスマス、チタン、冷間圧延鋼、半分ニッケルと半分銅、ポリプロピレン、又はそれらの任意の組み合わせを含む、請求項1に記載のバッテリ。
【請求項9】
前記集電体は、ホイル、メッシュ、有孔ホイル、発泡体、フェルト、繊維、多孔質ブロック構造、ハニカムメッシュ、スポンジ形状、又はそれらの任意の組み合わせである、請求項8に記載のバッテリ。
【請求項10】
前記カソードは、前記カソードの総重量に基づいて、1~99重量%のカソード電気活性材料、1~99重量%の導電性炭素、0~30重量%の添加剤及び/又はドーパント、及び0~10重量%の結合剤を含む、請求項1に記載のバッテリ。
【請求項11】
前記Zn電気活性材料は、粉末、ホイル、メッシュ、発泡体、スポンジ、有孔ホイル、又はそれらの組み合わせである、請求項1に記載のバッテリ。
【請求項12】
前記アノードは導電性炭素を含み、前記導電性炭素は、前記Zn電気活性材料と混合され、前記炭素は、グラファイト、カーボンファイバ、カーボンブラック、アセチレンブラック、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、ニッケル被覆カーボンナノチューブ、銅被覆カーボンナノチューブ、単層カーボンナノチューブの分散液、多層カーボンナノチューブの分散液、グラフェン、グラフィン、酸化グラフェン、及びそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載のバッテリ。
【請求項13】
前記アノードは添加剤及び/又はドーパントを含み、前記添加剤及び/又はドーパントは、ビスマス、酸化ビスマス、インジウム、酸化インジウム、水酸化インジウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、ドデシル硫酸ナトリウム、水酸化カルシウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、酸化亜鉛、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載のバッテリ。
【請求項14】
前記アノードは結合剤を含み、前記結合剤は、メチルセルロース(MC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPH)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ポリビニルアルコール、TEFLON、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載のバッテリ。
【請求項15】
前記アノードは集電体上にプレスされたアノード材料を含み、前記集電体は、炭素、鉛、ニッケル、鋼、ステンレス鋼、ニッケル被覆鋼、ニッケルメッキ銅、スズ被覆鋼、銅メッキニッケル、銀被覆銅、銅、マグネシウム、アルミニウム、スズ、鉄、白金、銀、金、ビスマス、チタン、冷間圧延鋼、半分ニッケルと半分銅、ポリプロピレン、又はそれらの任意の組み合わせを含む、請求項1に記載のバッテリ。
【請求項16】
前記アノードは、前記アノードの総重量に基づいて、1~100重量%のZn電気活性材料、0~10重量%の導電性炭素、0~30重量%の添加剤及び/又はドーパント、及び0~10重量%の結合剤を含む、請求項1に記載のバッテリ。
【請求項17】
前記陰極液は酸性電解質を含み、前記酸性電解質は、リン酸水素、重炭酸塩、アンモニウムカチオン、硫化水素、酢酸、フッ化水素、リン酸、硫酸、硝酸、塩酸、臭化水素、ヨウ化水素酸、トリフル酸、及びそれらの任意の混合物のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のバッテリ。
【請求項18】
前記酸性電解質が、約0.1Mと約16Mの間の濃度で前記陰極液中に存在する、請求項17に記載のバッテリ。
【請求項19】
前記陰極液は陰極液添加剤を含み、前記陰極液添加剤は、硫酸マンガン、硫酸ニッケル、過マンガン酸カリウム、塩化マンガン、酢酸マンガン、トリフル酸マンガン、塩化ビスマス、硝酸ビスマス、硝酸マンガン、硫酸ニッケル、硝酸ニッケル、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、酢酸亜鉛、トリフル酸亜鉛、塩化インジウム、硫酸銅、塩化銅、硫酸鉛、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、バニリン、塩化カリウム、塩化ナトリウム、硝酸リチウム、塩化リチウム、炭酸リチウム、酢酸リチウム、トリフル酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、及びそれらの任意の混合物のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のバッテリ。
【請求項20】
前記陽極液はアルカリ電解質を含み、前記アルカリ電解質は、アンモニア、メチルアミン、グリシン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化ルビジウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム、及びそれらの任意の混合物のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のバッテリ。
【請求項21】
前記アルカリ電解質が、前記陽極液の総重量に基づいて、20~60重量%の量で前記陽極液中に存在する、請求項20に記載のバッテリ。
【請求項22】
前記陽極液は陽極液添加剤を含み、前記陽極液添加剤は、バニリン、水酸化インジウム、酢酸亜鉛、酸化亜鉛、臭化セチルトリメチルアンモニウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、エタノール、メタノール、グルコン酸亜鉛、グルコース、及びそれらの任意の混合物のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のバッテリ。
【請求項23】
前記陰極液、前記陽極液、又はその両方はゲル化又は重合されている、請求項1に記載のバッテリ。
【請求項24】
前記セパレータはイオン選択性ゲルを含み、前記イオン選択性ゲルは、アイオノマ、バイポーラ膜、陽イオン交換膜、陰イオン交換膜、イオン選択特性にグラフト化されたセロファン、イオン選択特性にグラフト化されたポリビニルアルコール、セラミックセパレータ、NaSiCON、LiSiCON、又はそれらの任意の組み合わせを含む、請求項2に記載のバッテリ。
【請求項25】
前記バッテリが、約2V~約5Vの平均放電電位を特徴とする、請求項1に記載のバッテリ。
【請求項26】
前記バッテリが、約3V以上の平均放電電位を特徴とする、請求項1に記載のバッテリ。
【請求項27】
カソード電気活性材料を含むカソードと、
Zn電気活性材料を含んだアノード電気活性材料を含むアノードと、
前記アノードと接触しておらず、pHが2未満である、前記カソードと接触している陰極液と、
前記カソードと接触しておらず、pHが12を超え、前記アノードと接触している陽極液と、
イオン選択特性を有し、前記陽極液と前記陰極液の間に配置されたセパレータと、
を含む、高電圧亜鉛(Zn)アノードバッテリ。
【請求項28】
前記陰極液は酸性電解質を含み、前記酸性電解質は、リン酸水素、重炭酸塩、アンモニウムカチオン、硫化水素、酢酸、フッ化水素、リン酸、硫酸、硝酸、塩酸、臭化水素、ヨウ化水素酸、トリフル酸、及び任意の混合物のうちの少なくとも1つを含み、前記陰極液中に約1Mと約16Mの間の濃度で存在する、請求項27に記載のバッテリ。
【請求項29】
前記陽極液はアルカリ電解質を含み、前記アルカリ電解質は、アンモニア、メチルアミン、グリシン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化ルビジウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム、及びそれらの任意の混合物のうちの少なくとも1つを含み、前記陽極液の総重量に基づいて、30~55重量%の量で前記陽極液中に存在する、請求項27に記載のバッテリ。
【請求項30】
前記バッテリが、約3V~約5Vの平均放電電位を特徴とする、請求項27に記載のバッテリ。
【請求項31】
高電圧亜鉛(Zn)アノードバッテリを形成する方法であって、
pHが4未満である陰極液を、カソード電気活性材料を含んだカソードと接触して配置することと、
pHが10を超える陽極液を、Zn電気活性材料を含んだアノードと接触して配置することと、
セパレータ又はバッファ層の少なくとも1つを、カソードと接触していない陽極液とアノードと接触していない陰極液の間に配置することと、
を含む、方法。
【請求項32】
前記陰極液、前記陽極液、前記アノード、前記カソード、及び前記セパレータ又はバッファ層をハウジング内に配置して、高電圧Znアノードバッテリを形成することさらに含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記セパレータ又はバッファ層がイオン選択特性を有する、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
前記陰極液は酸性電解質を含み、前記酸性電解質は、リン酸水素、重炭酸塩、アンモニウムカチオン、硫化水素、酢酸、フッ化水素、リン酸、硫酸、硝酸、塩酸、臭化水素、ヨウ化水素酸、トリフル酸、及び任意の混合物のうちの少なくとも1つを含み、前記陰極液中に約1Mと約16Mの間の濃度で存在する、請求項31に記載の方法。
【請求項35】
前記陽極液はアルカリ電解質を含み、前記アルカリ電解質は、アンモニア、メチルアミン、グリシン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化ルビジウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム、及びそれらの任意の混合物のうちの少なくとも1つを含み、前記陽極液の総重量に基づいて、30~55重量%の量で前記陽極液中に存在する、請求項31に記載の方法。
【請求項36】
高電圧Znアノードバッテリを放電電圧まで放電してエネルギーを生成することと、
前記高電圧Znアノードバッテリを充電電圧まで充電し、充電中に酸化亜鉛の少なくとも一部をZnに還元することと、
を含み、
前記高電圧Znアノードバッテリが、
カソード電気活性材料を含むカソードと、
放電中に少なくとも一部が酸化されて酸化アノード材料を形成するZnを含むZn電気活性材料を含んだアノード電気活性材料を含むアノードと、
前記アノードと接触しておらず、pHが4未満であり、前記カソードと接触している陰極液と、
前記カソードと接触しておらず、pHが10を超え、前記アノードと接触している陽極液と、
を含む、エネルギーを生成する方法。
【請求項37】
前記放電電圧が約3V以上である、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記陰極液は酸性電解質を含み、前記酸性電解質は、リン酸水素、重炭酸塩、アンモニウムカチオン、硫化水素、酢酸、フッ化水素、リン酸、硫酸、硝酸、塩酸、臭化水素、ヨウ化水素酸、トリフル酸、及び任意の混合物のうちの少なくとも1つを含み、前記陰極液中に約1Mと約16Mの間の濃度で存在する、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
前記陽極液はアルカリ電解質を含み、前記アルカリ電解質は、アンモニア、メチルアミン、グリシン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化ルビジウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム、及びそれらの任意の混合物のうちの少なくとも1つを含み、前記陽極液の総重量に基づいて、30~55重量%の量で前記陽極液中に存在する、請求項36に記載のバッテリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、「An Aqueous High Voltage Zinc-Anode Battery」と題する、2020年4月13日出願の米国仮出願第62/009,271号の利益を主張するものであり、全ての目的でその開示全体を本明細書に参照として援用する。
【0002】
政府による資金提供を受けた研究開発の記載
[0002] なし。
【背景技術】
【0003】
[0003] 携帯型エネルギー源を必要とするいくつかの用途が消費者市場に参入するにつれて、バッテリの重要性は、ますます高まっている。スマートフォン、タブレット、ノートパソコンなどの携帯型電子機器は多機能になりつつあり、長時間作動するためにはより高いエネルギー密度が必要である。グリッドから電力が供給されない場合において、ヘルスケア用携帯型人工呼吸器も導入されている。電気自動車は、長いサイクル寿命とレート性能がほぼ必須要件である、より高いエネルギー及び電力密度のバッテリの他の主要な原動力である。消費者が頻繁に使用するデバイスへ、バッテリがさらに統合されるようになるにつれて、これらのバッテリは厳しい安全要件を満たす必要があり、不燃性及び非毒性の材料を含む必要がある。
【0004】
[0004] リチウム(Li)イオンバッテリは、通常、エネルギー密度が比較的高い特性のため、パーソナル電子機器に最適なバッテリとして提案され使用されているが、リチウムイオンバッテリには、可燃性の電解質と、発熱反応の触媒となり得、毒性が高い、コバルトなどの元素とが含まれている。さらに、コンゴの鉱山からのコバルトの採掘において、職人の採掘者が適切な保護を与えられていないという倫理的な問題がある。残念ながら、適切な代替品がない限り、リチウムイオンバッテリは引き続き使用されるだろう。
【0005】
[0005] 亜鉛(Zn)アノードバッテリのような金属水系バッテリは、リチウムイオン、リチウム金属、リチウム-硫黄、マグネシウムイオンのような非水系バッテリと比較して、不燃性、非毒性、且つ適度なエネルギー密度であるため魅力的である。最も広く使用されているZnアノードバッテリは、一次バッテリ産業でリモコン、家庭用時計のような小規模な用途に使用される、従来の二酸化マンガン(MnO)Znバッテリである。従来のMnO|Znバッテリの他の用途での広範な使用は、公称電圧が約1.2V~1.3Vと比較的低く、再充電できない性質であるため、制限されていた。電解質の水性の性質と、アルカリ性、酸性、又は中性溶液のいずれかにおける活物質の反応とにより、バッテリの作動電位窓は、約1.5V未満に制限される。従来のMnO|Znバッテリの作動電位窓が比較的制限されていることは、長い間欠点と見なされており、それに代わるために様々な比較的高電圧の非水系バッテリをもたらした。比較的広い作動電位窓を示しながら、不燃性且つ非毒性であるバッテリが引き続き必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
[0006] いくつかの実施形態において、高電圧亜鉛(Zn)アノードバッテリは、カソード電気活性材料を含むカソードと、Zn電気活性材料を含むアノードと、アノードと接触しておらず、カソードと接触している陰極液と、カソードと接触しておらず、アノードと接触している陽極液と、陽極液と陰極液の間に配置されたセパレータと、を含む。陰極液のpHは4未満であり、陽極液のpHは10を超える。セパレータはイオン選択特性を持つ。
【0007】
[0007] いくつかの実施形態において、高電圧亜鉛(Zn)アノードバッテリを形成する方法は、カソード電気活性材料を含むカソードと接触した陰極液を配置することと、Zn電気活性材料を含むアノードと接触した陽極液を配置することと、カソードと接触していない陽極液とアノードと接触していない陰極液の間にセパレータを配置することと、を含む。陰極液のpHは4未満であり、陽極液のpHは10を超える。セパレータはイオン選択特性を持つ。
【0008】
[0008] それら及び他の特徴は、付随する特許請求の範囲と併せて行われる以下の詳細な説明から、より明確に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
[0009] 本開示及びその利点をより完全に理解するために、次に、類似の参照番号は類似の部品を示し、添付の図面及び詳細な説明に関連して行われる、以下の簡単な説明を参照する。
【0010】
図1A】[0010]いくつかの実施形態による二重電解質MnO|Znバッテリの概略図を示している。
図1B】[0010]いくつかの実施形態による二重電解質MnO|Znバッテリの概略図を示している。
図1C】[0010]いくつかの実施形態による二重電解質MnO|Znバッテリの概略図を示している。
図1D】[0010]いくつかの実施形態による二重電解質MnO|Znバッテリの概略図を示している。
図2】[0011]高電圧水性二酸化マンガン(MnO)|亜鉛(Zn)バッテリの開回路電位(OCV)及び放電の開始を示している。
図3】[0012]高電圧水性MnO|Znバッテリの放電曲線を示している。
図4】[0013]高電圧水性MnO|Znバッテリの放電曲線を示している。
図5】[0014]高電圧水性MnO|Znバッテリの放電曲線を示している。
図6】[0015]固体高電圧水性MnO|Znバッテリの開回路電位を示している。
図7】[0016]高電圧水性MnO|Znバッテリの放電曲線を示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0017] 本開示において、「負極」及び「アノード」という用語は、両方とも「負極」を意味するために使用される。同様に、「正極」及び「カソード」という用語は、両方とも「正極」を意味するために使用される。「電極」のみの言及は、アノード、カソード、又はその両方を指し得る。「一次バッテリ」(例えば、「一次バッテリ」、「一次電気化学セル」、又は「一次セル」)という用語の言及は、1回の放電後に処分及び交換されるセル又はバッテリのことをいう。「二次バッテリ」(例えば、「二次バッテリ」、「二次電気化学セル」、又は「二次セル」)という用語は、1回以上再充電して再利用され得るセル又はバッテリのことをいう。本明細書で使用される場合、「陰極液」は、アノードと直接接触せずにカソードと接触する電解液のことをいい、「陽極液」は、カソードと直接接触せずにアノードと接触する電解液のことをいう。単に電解質という用語は、陰極液、陽極液、又はアノード及びカソードの両方に直接接触する電解質のことをいうことができる。
【0012】
[0018] バッテリのようなエネルギー貯蔵システムは、グリッドベース、電気自動車、ソーラー蓄電池、無停電電源などのような様々な用途に必要である。現在、リチウムイオンバッテリ及び鉛蓄電池が市場の優位を占めているが、それらは高価で可燃性であり、有毒元素を含んでいる。亜鉛(Zn)アノードバッテリのような水性系の金属アノードシステムは、マンガン二酸化物(MnO)のような安価で豊富な材料のカソードと対にした場合、体積及び重量エネルギー密度で、リチウム及び鉛と競合し得る。これらのバッテリは、水性アルカリ電解質中で、>400Wh/Lを送達し得る。第1及び第2の電子反応に基づいて、MnO及びZnの理論容量が、それぞれ約617mAh/g及び約820mAh/gと高いため、高いエネルギー密度が可能である。
【0013】
[0019] 最大限の利用を達成しようとすると、体積膨張、スピネルを形成するための結晶構造の崩壊、活物質の再分布、カソードの亜鉛中毒、金属アノードの不動態化、及びデンドライト短絡のような問題に至る不可逆性が生じる。電解質である水酸化カリウム(KOH)は、言及されたいくつかの問題の原因である。放電中、Mnの4状態は3状態に減少し、高容量の利用での高濃度のKOHにおけるその溶解度の増加に至る。活性Mn3+イオンの損失は、バッテリの容量損失の原因となる。また、溶解したMn3+イオンも解離してMn4+及びMn2+イオンを形成し得、スピネルMn及びパイロクロアイト[Mn(OH)]のような低級酸化物の形成に至り得る。Znが、溶解した亜鉛酸イオン[Zn(OH) 2-]を形成する溶解反応を通してその容量を送達するため、反応はさらに複雑になる。これらの溶解した亜鉛酸イオンはまた、溶解したMnイオンと反応して、ZnMnのような不活性Znスピネルを形成する。Znアノードはまた、充電中に、セパレータを貫通してバッテリを短絡させ得るデンドライトを形成し得る。
【0014】
[0020] Znアノードの別の問題として、集電体からの活性イオンの損失、ひいては容量の損失に至る、溶解反応中の活物質の活発な再分布がある。カソードはまた、その放電反応中に、電解質からのプロトンが結晶構造にインターカレートされるため、大きな体積膨張を受け、これは集電体からの活物質の剥離、ひいては再び容量の損失に至る。
【0015】
[0021] 本開示において、高電圧水性Znアノードバッテリが開示され、この高電圧水性Znアノードバッテリは、再充電可能な特性を有し、電力又はエネルギーの主要な供給源としても機能し得る。本開示におけるバッテリの高電圧は、アノードとしてZnを有する水性(酸及び/又はアルカリ)電解質中で2Vと5Vの間の放電電位を有するバッテリに関する。バッテリの高電圧は、カソード側とアノード側の電解質を切り離し、水素活性及びヒドロキシル活性をそれぞれ変化させることによって達成される。活性(例えば、水素活性、ヒドロキシル活性)が高いほど、バッテリの電位又は電圧は高くなる。以下により詳細に記載されるように、このバッテリシステムにおいて、再充電性は、電解質及び/又は電極にドーパント又は添加剤を添加することによって達成される。
【0016】
[0022] この開示において、バッテリのカソード側及びアノード側の水素(又はプロトン)活性及びヒドロキシル活性を変化させることによる高電圧Zn水性バッテリを作成する方法が開示されている。一般に、MnOカソードは、1Vと5Vの間でサイクルするようにMnO|Znバッテリを提供し得る。具体的には、MnOカソードは、本明細書に開示されるように、2Vと5Vの間でサイクルするように高電圧水性MnO|Znバッテリを提供し得る。MnOカソード上の水素活性を変化させる(例えば、増加させる)ことにより、MnO|Znバッテリの放電電位を、本明細書に開示されるように3~3.5Vに増加させ得、これは、このケミストリに対して達成された最高の放電電位である。本明細書に開示される高電圧水性MnO|Znバッテリは、MnOの理論上の2電子容量(617mAh/g)を数千サイクルも可逆的に放電し得る。本明細書に開示される高電圧水性MnO|Znバッテリは、一次用途又は単回使用用途にも使用し得る。
【0017】
[0023] いくつかの実施形態において、本明細書に開示される高電圧水性Znアノードバッテリのカソードにおける使用に適したカソード電気活性材料は、二酸化マンガン(MnO)、酸化マンガン(Mn、Mn、MnO)、水酸化マンガン(MnOOH、Mn(OH))、酸化銀(AgO、AgO)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)、酸化ニッケル(NiO、Ni)、水酸化ニッケル(NiOOH、Ni(OH))、酸化コバルト(Co、CoO)、水酸化コバルト、鉛(Pb)、酸化鉛(PbO、PbO)、酸化銅(Cu)、Cu、水酸化銅、酸化鉄カリウム(KFeO)、酸化鉄バリウム(BaFeO)、ヘキサシアノ鉄酸銅、リン酸鉄リチウム、リチウムニッケルマンガンコバルト酸化物、リチウムマンガン酸化物(LiMn、LiMnO)、又はそれらの任意の組み合わせを含んでよい。
【0018】
[0024] この開示において、高電圧水性Znアノードバッテリは、MnOカソードを採用してよい。MnOカソードは、一次アルカリバッテリでZnアノードと対になっていることが最もよく知られ、その開回路電位は通常、約1.5~1.7Vである。このバッテリ(MnO|Zn)の平均放電電位は約1.3Vである。MnO|Znバッテリは、2つの電子反応に基づく617mAh/gという比較的非常に高い理論容量を有している。MnO|Znバッテリは、アルカリ電解液における1電子(308mAh/g)及び2電子(617mAh/g)容量に比べて、再充電可能な特性を示す。MnO|Znバッテリの有利な比較的高容量の特性にもかかわらず、その比較的高い電圧は、パーソナル電子機器のような用途における使用にとってアキレス腱と見なされてきた。本明細書に開示されるように、MnO電極及びZn電極の陰極液及び陽極液における水素活性及びヒドロキシル活性をそれぞれ変化させることによって、このバッテリシステムの平均放電電位を約3V以上に有利に増加させ得る。水性又は非水性電解質における従来のMnO|Znバッテリケミストリは、約3V以上の放電電位を達成しない。約3V以上の放電電位を示す、本明細書に開示される高電圧水性MnO|Znバッテリは、パーソナル電子機器、電気自動車、及び現代のグリーン経済に動力を与える他の重要な用途における使用を開始し得る。
【0019】
[0025] MnO|Znバッテリの再充電可能な特性は、電極及び/又は電解質にドーパント又は添加剤を添加することによって得られ得る。アノード材料は、電気化学的活性を高め、電解質中の気体発生を減らす添加剤を含み得る。電極ドーパントの場合、酸化ビスマス、ビスマス、インジウム、酸化インジウム、水酸化インジウム、酸化銅、銅、酸化アルミニウム、アルミニウム、酸化鉛、鉛、硫化ビスマス、酸化銀、銀、ニッケル、酸化ニッケル、水酸化ニッケル、コバルト及び酸化コバルト、並びにそれらの任意の塩、又はそれらの任意の組み合わせは、カソード及びアノードの両方で使用され得る。Zn電極は、ヒドロキシル活性が高い電解液中で気体を発生する傾向がある。Zn電極の気体発生を抑制するため、ビスマス、酸化ビスマス、インジウム、酸化インジウム、水酸化インジウム、臭化セチルトリメチルアンモニウムなどの陽イオン界面活性剤、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどの陰イオン界面活性剤、ポリエチレングリコール、酸化亜鉛、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコールなどの添加剤、又はそれらの任意の組み合わせが使用され得る。電解質添加剤(例えば、陰極液添加剤)は、硫酸マンガン、硫酸ニッケル、過マンガン酸カリウム、塩化マンガン、酢酸マンガン、トリフル酸マンガン、塩化ビスマス、硝酸ビスマス、硝酸マンガン、硫酸ニッケル、硝酸ニッケル、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、酢酸亜鉛、トリフル酸亜鉛、塩化インジウム、硫酸銅、塩化銅、硫酸鉛、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、バニリン、塩化カリウム、塩化ナトリウム、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0020】
[0026] 様々な強度で電解質を分離することは、中和反応が起こるのを防止するため重要であり得る。いくつかの実施形態において、電解質の分離は、電解質の混合を物理的に防止する、電解質のゲル化によって達成され得る。ゲル化プロセスにおける架橋剤及びアイオノマの使用は、セロファンのようなセルロース系のセパレータや、ポリビニルアルコール又は架橋ポリビニルアルコールのようなポリマ系のセパレータの使用を見込み、イオンのクロスオーバも防止し得る。電解質ゲル化プロセスは、フリーラジカル重合プロセスを使用して行われ得る。アクリルアミド及びアクリル酸は、プロトン活性が高い、又はヒドロキシル活性が高い電解質と混合することにより、長いポリマ鎖になり得る。N,N’-メチレンビスアクリルアミド(MBA)などの架橋剤は、ポリマの強度を高め、粘性を高め、自己修復特性を付与するために使用され得る。電解質のゲル化又は重合は、過硫酸カリウム又は過硫酸ナトリウム又は過硫酸アンモニウムのような開始剤を使用して行われ得る。いくつかの実施形態において、電解質の混合を防止することは、LiSiCON、NaSiCON、ナフィオン膜、陰イオン交換膜、バイポーラ膜、又はそれらの任意の組み合わせのようなイオン選択セラミックセパレータ又は膜を使用することによって達成され得る。
【0021】
[0027] カソード側の陰極液でプロトン活性が比較的高く、アノード側の陽極液でヒドロキシル活性が比較的高い二重電解質セルを有する利点は、セル電位の上昇である。カソード側の比較的高いプロトン活性、及びアノード側の比較的高いヒドロキシル活性は、セル電位を上昇させ得、次により高い平均放電電圧、そしてセルからのより高いエネルギーに至り得る。
【0022】
[0028] 本明細書に開示されるのは、単回使用特性及び再充電可能な特性の両方を有する、2Vと5Vの間の平均放電容量を0Vと5Vの間の作動範囲で送達し得る水性Znアノードバッテリである。一例として、この開示において、約3Vを超えるMnO|Znシステムの平均放電電位が初めて示されている。
【0023】
[0029] この開示において、高電圧水性Znアノードバッテリは、2Vと5Vの間の平均放電電位を特徴としている。この比較的高い放電電位は、水素(又はプロトン)活性及びヒドロキシル活性に関する異なる強度を有する電解質の切り離しによって達成され得る。高電圧水性Znアノードバッテリは、単回使用であり得る、又は再充電可能になり得る。いくつかの実施形態において、高電圧水性Znアノードバッテリの長期再充電性は、添加剤及び/又はドーパントの使用によって得られ得る。高電圧水性Znアノードバッテリのアノードとカソードの分離は、イオン移動による中和を防止するためにイオン選択性アイオノマが埋め込まれた電解質のゲル化によって達成され得る。陽極液と陰極液の分離は、イオン選択性セラミック及び/又はポリマ膜の使用によっても得られ得る。
【0024】
[0030] この開示において、高電圧水性Znアノードバッテリは、必要に応じて、任意の幾何学的な形状因子からなり得る。当業者にとって、高電圧水性Znアノードバッテリは、円筒状又は角柱状であり得る。さらに、高電圧水性Znアノードバッテリは、電解質及び電極のゲル化によって、又は柔軟性を可能にする電極内の結合剤を使用することによって、必要に応じて、柔軟にもなり得る。
【0025】
[0031] 図1Aから図1Dを参照すると、バッテリ10は、ハウジング7と、カソード集電体1及びカソード材料2を含み得るカソード12と、アノード13を有し得る。いくつかの実施形態において、アノード13は、アノード集電体4及びアノード材料5を含み得る。図1Aから図1Dの構成要素のスケールは、アノード13及びカソード12の周りの電解質を明確に示すために特徴が表されているので、正確ではない場合があることに留意されたい。図1Aから図1Cは、単一のアノード13及びカソード12を有する角柱状のバッテリ構成を示す。別の実施形態において、バッテリは、同心円状に配置された電極を有する、又はアノードとカソードが層状にされた後、圧延されてゼリーロール構成を形成する圧延構成での、円筒形バッテリ(例えば、図1Dに示されるような)であり得る。カソード集電体1及びカソード材料2は、図1Dに示されるように、カソード12又は正極12と一括して呼ばれる。同様に、任意選択のアノード集電体4を有するアノード材料5は、アノード13又は負極13と一括して呼ばれ得る。電解質は、カソード12及びアノード13と接触し得る。本明細書でより詳細に記載されるように、カソード12及びアノード13の両方と接触する電解質は、異なる濃度のプロトン及びヒドロキシルイオンを有して実質的に同じであり得る、あるいは、異なる電解質組成物は、アノード13及びカソード12と共に使用されて、いくつかの実施形態におけるバッテリ10の特性を改変する。
【0026】
[0032] いくつかの実施形態において、バッテリ10は、任意の構成又は形状因子で存在し得る、1つ以上のカソード12及び1つ以上のアノード13を含み得る。複数のアノード13及び/又は複数のカソード12が存在する場合、電極は、電極が交互になるように(例えば、アノード、カソード、アノードなど)、層状構成で構成され得る。任意の数のアノード13及び/又はカソード12は、所望の容量及び/又は出力電圧を提供するために存在し得る。ゼリーロール構成(例えば、図1Dに示されるような)において、複数のカソード12及びアノード13は、層状構成で使用され得る、又は、圧延されて交互の層を有する圧延構成を形成し得るが、バッテリ10は、バッテリ10の断面が交互電極の層状構成を含むように、1つのカソード12及び1つのアノード13のみを圧延構成で有してよい。
【0027】
[0033] 一実施形態において、ハウジング7は、電解質を含む、バッテリ10内の電解質溶液に対して一般に非反応性である成形ボックス又は容器を含む。一実施形態において、ハウジング7は、ポリマ(例えば、ポリプロピレン成形ボックス、アクリルポリマ成形ボックスなど)、被覆金属などを含む。
【0028】
[0034] カソード12は、電気化学的活物質(例えば、カソード電気活性材料)を含む構成要素の混合物を含み得る。カソード12の寿命、再充電性、及び電気化学的特性を改善するのに役立ち得る、結合剤、導電性材料、及び/又は1つ以上の追加構成要素などの追加構成要素は、任意選択で含まれ得る。カソード12は、カソード材料2(例えば、電気活性材料、添加剤など)を含み得る。カソードは、約1重量%と約95重量%の間の活物質を含み得る。適切なカソード材料2は、二酸化マンガン、銅マンガン酸化物、ハウスマナイト、マンガン酸化物、銅インターカレートビスマスバーネサイト、バーネサイト、トドロカイト、ラムスデライト、パイロルーサイト、パイロクロアイト、酸化銀、二酸化銀、銀、オキシ水酸化ニッケル、水酸化ニッケル、ニッケル、酸化鉛、酸化銅、二酸化銅、鉛、二酸化鉛(α及びβ)、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過マンガン酸カリウム、過マンガン酸カルシウム、過マンガン酸バリウム、過マンガン酸銀、過マンガン酸アンモニウム、過酸化物、金、過塩素酸塩、酸化コバルト(CoO、CoO、Co)、リチウムコバルト酸化物、ナトリウムコバルト酸化物、過塩素酸塩、ニッケル酸化物、臭素、水銀、酸化バナジウム、ビスマスバナジウム酸化物、ヒドロキノン、カリックス[4]キノン、テトラクロロベンゾキノン、1,4-ナフトキノン、9,10-アントラキノン、1,2-ナフタキノン、9,10-フェナントレンキノン、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-イル)オキシル(TEMPO)のようなニトロキシド-オキソアンモニウムカチオン酸化還元対、炭素、2,3-ジシアノ-5,6-ジクロロジシアノキノン、テトラシアノエチレン、三酸化硫黄、オゾン、酸素、空気、リチウムニッケルマンガンコバルト酸化物、硫黄、リン酸鉄リチウム、リチウム銅酸化物、オキシリン酸銅リチウム、又はそれらの任意の組み合わせを含むが、それらに限定されない。いくつかの実施形態において、カソードは、空気極を含み得る。
【0029】
[0035] いくつかの実施形態において、カソード材料2は、電解二酸化マンガン(EMD)、α-MnO、β-MnO、γ-MnO、δ-MnO、ε-MnO、又はλ-MnOを含む、1つ又は多くの多形MnOに基づき得る。水和MnO、パイロルーサイト、バーネサイト、ラムスデライト、ホランダイト、ロマネカイト、トドロカイト、リチオフォライト、カルコファナイト、ナトリウムもしくはカリウムが豊富なバーネサイト、クリプトメレン、ブセライト、オキシ水酸化マンガン(MnOOH)、α-MnOOH、γ-MnOOH、β-MnOOH、水酸化マンガン[Mn(OH)]、部分的又は完全にプロトン化された二酸化マンガン、Mn、Mn、ビクスバイト、MnO、リチウム化された二酸化マンガン(LiMn、LiMnO)、CuMn、アルミニウムマンガン酸化物、亜鉛マンガン二酸化物、ビスマスマンガン酸化物、銅インターカレートバーネサイト、銅インターカレートビスマスバーネサイト、スズドープマンガン酸化物、マグネシウムマンガン酸化物、又はそれらの任意の組み合わせなどの他の形のMnOも存在し得る。一般に、カソードの二酸化マンガンの循環形態は、いくつかの実施形態において、バーネサイトとほとんど同じ意味で称されるδ-MnOを含み得る層状構成を有し得る。二酸化マンガンの非バーネサイト多形形態が使用される場合、それらは、以下でより詳細に記載される1つ以上の状態調節サイクルによってインサイチュ(in-situ)でバーネサイトに変換され得る。例えば、MnOの第2の電子段階の終了までの完全又は部分的な放電(例えば、カソードの第2の電子容量の約20%~約100%の間)が行われ、続いてそのMn4+状態まで再充電し、結果としてバーネサイト相の二酸化マンガンとなる。
【0030】
[0036] いくつかの実施形態において、本明細書に開示される高電圧水性Znアノードバッテリで使用されるカソード12は、陰極液3の中などのプロトン活性が高い電解質において電気化学的活性を有する、金属、金属酸化物、金属塩(例えば、金属硫化物)、電気活性ポリマ、電気活性有機化合物のような電気活性材料を含み得る。プロトン活性が高い電解質中で電気化学的活性を有するカソード材料2の非限定的な例としては、電解二酸化マンガン(EMD)、α-MnO、β-MnO、γ-MnO、δ-MnO、ε-MnO、λ-MnO、又はそれらの任意の組み合わせが挙げられる。他の形のMnOは、パイロルーサイト、バーネサイト、ラムスデライト、ホランダイト、ロマネカイト、トドロカイト、リチオフォライト、カルコファナイト、ナトリウムが豊富なバーネサイト、カリウムが豊富なバーネサイト、クリプトメレン、ブセライト、オキシ水酸化マンガン(MnOOH)、α-MnOOH、γ-MnOOH、β-MnOOH、水酸化マンガン[Mn(OH)]、部分的又は完全にプロトン化された二酸化マンガン、Mn、Mn、ビクスバイト、MnO、リチウム化された二酸化マンガン(LiMn)、CuMn、亜鉛マンガン二酸化物、酸化鉛、鉛、二酸化鉛、銅、酸化銅、水酸化銅、銀、酸化銀、ニッケル、酸化ニッケル、水酸化ニッケル、オキシ水酸化ニッケル、酸化コバルト、コバルト、水酸化コバルト、リチウムニッケルマンガンコバルト酸化物、リチウムニッケル酸化物、リチウムマンガン酸化物、リチウムコバルト酸化物、リン酸鉄リチウム、酸化鉄カリウム、酸化鉄バリウム、ヘキサシアノ鉄酸銅、脱リチウム酸化マンガン、脱リチウム酸化ニッケル、脱リチウムニッケルマンガン酸化物、脱リチウムニッケルマンガンコバルト酸化物、カリックス[4]キノンのようなキノン化合物、1,4-ナフトキノン、9,10-アントラキノン、又はそれらの任意の組み合わせなど、カソード12中にも存在し得る。電気活性材料の組み合わせは、カソード材料2にも採用され得る。電気活性カソード材料2は、様々な粒子サイズ(ナノメートル~マイクロメートル)の粉末の形、及び/又は平面、メッシュ、又は有孔タイプの構造を有する金属基板の形であり得る。
【0031】
[0037] 導電性炭素などの導電性添加剤を加えることで、カソード材料中の電気活性材料を高充填にすることが可能となり、結果として体積及び重量エネルギー密度が高くなる。いくつかの実施形態において、導電性添加剤は、カソード材料2の総重量に基づいて、約1~30重量%の量でカソード材料2中に存在し得る。いくつかの実施形態において、導電性添加剤は、グラファイト、カーボンファイバ、カーボンブラック、アセチレンブラック、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、ニッケル又は銅被覆カーボンナノチューブ、単層カーボンナノチューブの分散液、多層カーボンナノチューブの分散液、グラフェン、グラフィン、酸化グラフェン、又はそれらの組み合わせを含み得る。カソードの電気活性材料がより高充填であることは、いくつかの実施形態において、エネルギー密度を増加させるために望ましい。導電性炭素の他の例として、TIMREX一次合成グラファイト(全タイプ)、TIMREX天然フレークグラファイト(全タイプ)、TIMREX MB、MK、MX、KC、B、LBグレード(例として、KS15、KS44、KC44、MB15、MB25、MK15、MK25、MK44、MX15、MX25、BNB90、LBファミリー)、TIMREX分散液;ENASCO 150G、210G、250G、260G、350G、150P、250P;SUPER P、SUPER P Li、カーボンブラック(例として、ケッチェンブラックEC-300J、ケッチェンブラックEC-600JD、ケッチェンブラックEC-600JDの粉末)、アセチレンブラック、カーボンナノチューブ(単層又は多層)、Zenyattaグラファイト、及び/又はそれらの組み合わせが挙げられる。
【0032】
[0038] いくつかの実施形態において、導電性添加剤の粒径範囲は、約1~約50ミクロン、又は約2ミクロンと約30ミクロンの間、又は約5ミクロンと約15ミクロンの間であり得る。一実施形態において、導電性添加剤は、粒径範囲が約10~約50ミクロン、又は約20~約30ミクロンである膨張グラファイトを含み得る。カーボンファイバとナノチューブは、それらの直径が数十から数百ナノメートルになる、様々なアスペクト比を有し得る。いくつかの実施形態において、導電性添加剤に対するグラファイトの質量比は、約5:1~約50:1、又は約7:1~約28:1の範囲であり得る。カソード材料2中の導電性添加剤の総質量割合(例えば、炭素の総質量割合)は、約5%~約99%、又は約10%~約80%の範囲であり得る。いくつかの実施形態において、カソード材料2の電気活性構成要素は、カソード材料2の重量の1重量%と99重量%の間であり得、導電性添加剤は、カソード材料2の1重量%と99重量%の間であり得る。
【0033】
[0039] いくつかの実施形態において、ドーパント又は添加剤は、再充電性及び性能を向上させるために必要に応じてカソード材料2に添加され得る。添加剤は、電気活性材料と混合された粉末の形、又は電気活性及び導電性炭素が貼付され得る金属基板の形であり得る。本開示の電極材料での使用に適した添加剤の非限定的な例としては、ビスマス、酸化ビスマス、酸化銅、銅、インジウム、水酸化インジウム、酸化インジウム、アルミニウム、酸化アルミニウム、ニッケル、水酸化ニッケル、酸化ニッケル、銀、酸化銀が含まれる、コバルト、酸化コバルト、水酸化コバルト、鉛、酸化鉛、二酸化鉛、キノン、それらの塩、それらの誘導体、又はそれらの任意の組み合わせが挙げられる。いくつかの実施形態において、ドーパント又は添加剤は、カソード材料2の総重量に基づいて、0~30重量%の間の量でカソード材料2中に存在し得る。
【0034】
[0040] いくつかの実施形態において、カソード材料2は導電性構成要素も含み得る。カソード材料2への金属添加剤などの導電性構成要素の添加は、カソード材料2へのニッケル粉末などの1つ以上の金属粉末の添加によって達成されてよい。導電性金属構成要素は、カソード材料2中に約0~30重量%の間の濃度で存在し得る。導電性金属構成要素は、例えば、ニッケル、銅、銀、金、スズ、コバルト、アンチモン、真鍮、青銅、アルミニウム、カルシウム、鉄、又は白金であってよい。一実施形態において、導電性金属構成要素は粉末である。いくつかの実施形態において、導電性構成要素は、酸化物及び/又は塩として添加され得る。例えば、導電性構成要素は、酸化コバルト、水酸化コバルト、酸化鉛、水酸化鉛、又はそれらの組み合わせであり得る。いくつかの実施形態において、第2の導電性金属成分は、第1及び第2の電子反応が起こるための支持導電性骨格として機能するために添加される。第2の電子反応は、Mn3+イオンが電解質に溶解し、グラファイトなどの材料に沈殿する溶解-沈殿反応を有し、結果として電気化学反応、及び非導電性の水酸化マンガン[Mn(OH)]の形成をもたらす。これにより、最終的には後続のサイクルにおいて容量低下をもたらす。マンガンイオンの溶解度を低下させるのに役立ち得る適切な導電性構成要素は、Ni、Co、Fe、Tiなどの遷移金属、及びAg、Au、Al、Caなどの金属を含む。
【0035】
[0041] このような金属の酸化物及び塩も適切である。Coのような遷移金属も、Mn3+イオンの溶解度を減少させるのに役立ち得る。このような導電性金属構成要素は、化学的手段又は物理的手段(例えば、ボールミル、乳鉢/乳棒、スペックスミクスチャ)によって電極に組み込まれてよい。このような電極の例は、5~95%のバーネサイト、5~95%の導電性炭素、0~50%の導電性構成要素(例えば、導電性金属)、及び1~10%の結合剤を含む。
【0036】
[0042] いくつかの実施形態において、結合剤は、カソード材料2と共に使用され得る。結合剤は、カソード材料の重量の約0~10重量%の間、あるいは約1~5重量%の間の濃度で存在し得る。いくつかの実施形態において、結合剤は、増粘剤及び強力な結合剤として使用され得、良好な機械的強度で導電性ポリマと架橋された、水溶性セルロース系ヒドロゲルを含む。結合剤は、セロファンとして販売されるセルロースフィルムであってもよい。結合剤は、冷却と解凍のサイクルを繰り返すことにより水溶性セルロース系ヒドロゲルをポリマと物理的に架橋することによって作成され得る。いくつかの実施形態において、結合剤は、等しい体積に基づく0~10重量%のポリビニルアルコール(PVA)で架橋された0~10重量%のカルボキシメチルセルロース(CMC)溶液を含み得る。結合剤は、従来使用されていたTEFLON(登録商標)又はPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)と比較して、優れた性能を示す。TEFLON(登録商標)又はPTFEは、高抵抗材料であるが、その優れた圧延性のため、業界で広く使用されている。しかしながら、これは結合剤としてのTEFLON(登録商標)又はPTFEの使用を除外するものではない。TEFLON(登録商標)又はPTFEと、水性結合剤及びいくつかの導電性炭素との混合物は、圧延可能な結合剤の作成に使用され得る。水性系結合剤の使用は、多くのサイクルに亘って容量の損失を最小限にして2電子容量のかなりの部分の達成に役立ち得る。いくつかの実施形態において、結合剤は水系であり得、優れた保水性、接着特性を有し、代わりにPTFE結合剤を使用する同一のカソードと比較して導電性の維持の助けとなる。適切な水系ヒドロゲルの例として、メチルセルロース(MC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPH)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。架橋ポリマの例としては、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリアニリン、ポリビニルピロリドン、ポリフッ化ビニリデン、ポリピロール、及びそれらの組み合わせが挙げられる。いくつかの実施形態において、水系セルロース水素の0~10重量%溶液は、例えば、繰り返される凍結/解凍サイクル、放射線処理、及び/又は化学薬品(例えば、エピクロロヒドリン)によって、架橋ポリマの0~10重量%溶液と架橋され得る。水性結合剤は、製造性を改善するために0~5%のPTFEと混合されてよい。
【0037】
[0043] カソード材料2は、追加元素も含み得る。追加元素は、ビスマス化合物及び/又は銅/銅化合物を含むカソード材料に含まれ得、それらは一緒になって、カソードの定電流バッテリサイクルの改善を可能にする。バーネサイトとして存在する場合、銅及び/又はビスマスは、バーネサイトの層状ナノ構造に組み込まれ得る。結果として得られるバーネサイトカソード材料は、バーネサイトの結晶及びナノ構造に組み込まれた銅及びビスマスにより、サイクル及び長期性能の改善を示し得る。
【0038】
[0044] ビスマス化合物は、ビスマス(酸化状態が5、4、3、2、又は1)の無機又は有機塩として、酸化ビスマスとして、又はビスマス金属(すなわち、ビスマス元素)としてカソード12に組み込まれ得る。ビスマス化合物は、カソード材料2の重量の約1~20重量%の間の濃度でカソード材料中に存在し得る。ビスマス化合物としては、塩化ビスマス、臭化ビスマス、フッ化ビスマス、ヨウ化ビスマス、硫酸ビスマス、硝酸ビスマス、三塩化ビスマス、クエン酸ビスマス、テルル化ビスマス、セレン化ビスマス、次サリチル酸ビスマス、ネオデカン酸ビスマス、炭酸ビスマス、次没食子酸ビスマス、ビスマスストロンチウムカルシウム銅酸化物、酢酸ビスマス、トリフルオロメタンスルホン酸ビスマス、硝酸ビスマス酸化物、没食子酸ビスマス水和物、リン酸ビスマス、ビスマスコバルト酸化亜鉛、亜硫酸ビスマス寒天、オキシ塩化ビスマス、アルミン酸ビスマス水和物、ビスマスタングステン酸化物、ビスマス鉛ストロンチウムカルシウム銅酸化物、アンチモン化ビスマス、テルル化ビスマスアンチモン、イットリア安定化ビスマス酸化物(例えば、イットリアドープビスマス酸化物)、ビスマス-鉛合金、クエン酸ビスマスアンモニウム、2-ナプトールビスマス塩、ジクロロ(トリ-o-トリル)ビスマス、ジクロロジフェニル(p-トリル)ビスマス、トリフェニルビスマス、及び/又はそれらの組み合わせが挙げられる。
【0039】
[0045] 銅化合物は、銅(酸化状態が1、2、3、又は4)の有機又は無機塩として、酸化銅として、又は銅金属(すなわち、銅元素)として、カソード12に組み込まれ得る。銅化合物は、カソード材料2の重量の約1~70重量%の間の濃度で存在し得る。いくつかの実施形態において、銅化合物は、カソード材料2の重量の約5~50重量%の間の濃度で存在する。他の実施形態において、銅化合物は、カソード材料2の重量の約10~50重量%の間の濃度で存在する。さらに他の実施形態において、銅化合物は、カソード材料2の重量の約5~20重量%の間の濃度で存在する。銅化合物の例としては、銅、並びに銅アルミニウム酸化物、酸化銅(I)、酸化銅(II)、及び/又は、硝酸銅、硫酸銅、塩化銅などを含むがそれらに限定されない酸化状態が+1、+2、+3、又は+4の銅塩などの銅塩が挙げられる。銅の効果は、ビスマスの酸化及び還元電圧を変化させることである。これは、定電流サイクルにも耐え得ないビスマス改変MnOと比較して、定電流サイクル中における完全な可逆性を有するカソードをもたらす。
【0040】
[0046] カソード12は、大規模製造で実施可能な方法を使用して製造され得る。MnOカソードの場合、カソード12は、MnOの第2の電子容量全部を送達可能であり得る。いくつかの実施形態において、カソード材料2は、2~30重量%の導電性炭素、0~30重量%の導電性金属添加剤、1~70重量%の銅化合物、1~20重量%のビスマス化合物、0~10重量%の結合剤、及びバーネサイト又はEMDを含む。別の実施形態において、カソード材料は、2~30重量%の導電性炭素、0~30重量%の導電性金属添加剤、1~20重量%のビスマス化合物、0~10重量%の結合剤、及びバーネサイト又はEMDを含む。一実施形態において、カソード材料は、2~30重量%の導電性炭素、0~30重量%の導電性金属添加剤、1~70重量%の銅化合物、1~20重量%のビスマス化合物、0~10重量%の結合剤を主成分とし、残余がバーネサイト又はEMDである。別の実施形態において、カソード材料は、2~30重量%の導電性炭素、0~30重量%の導電性金属添加剤、1~20重量%のビスマス化合物、0~10重量%の結合剤を主成分とし、残余がバーネサイト又はEMDである。
【0041】
[0047] 結果として得られるカソードは、水銀侵入ポロシメトリーによって測定される20%~85%の範囲の多孔性を有してよい。多孔性は、ASTM D4284-12「水銀圧入ポロシメトリーによって触媒及び触媒担体の細孔容積分布を測定するための標準試験方法」に従って、本出願の出願日現在のバージョンを使用して測定され得る。
【0042】
[0048] カソード材料2は、カソード材料と外部電気接続の間の電気接続として役立つ、導電性材料から形成されたカソード集電体1上に形成され得る。いくつかの実施形態において、カソード集電体1は、例えば、炭素、鉛、ニッケル、鋼(例えば、ステンレス鋼など)、ニッケル被覆鋼、ニッケルメッキ銅、スズ被覆鋼、銅メッキニッケル、銀被覆銅、銅、マグネシウム、アルミニウム、スズ、鉄、白金、銀、金、チタン、ビスマス、半分ニッケルと半分銅、又はそれらの任意の組み合わせであり得る。いくつかの実施形態において、集電体1は、カーボンフェルト、炭素発泡体、導電性ポリマメッシュ、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。カソード集電体は、メッシュ(例えば、膨張メッシュ、織メッシュなど)、有孔金属、発泡体、ホイル、フェルト、繊維構造、多孔質ブロック構造、有孔ホイル、ワイヤースクリーン、包装アセンブリ、又はそれらの任意の組み合わせに形成されてよい。いくつかの実施形態において、集電体は、ポケットが集電体1内にカソード材料2を保持し得るポケットアセンブリに形成され得る、又はポケットアセンブリの一部を形成し得る。タブ(例えば、図1Bのカソード12の上部に示されるように、カソード材料2の外側に延在するカソード集電体1の一部)は、外部電源と集電体の間の電気接続を提供するために集電体に結合され得る。
【0043】
[0049] カソード材料2は、カソード12を形成するために、カソード集電体1上に押し付けられ得る。例えば、カソード材料2は、例えば、1,000psiと20,000psiの間(6.9×10パスカルと1.4×10パスカルの間)の圧力で押し付けることによって、カソード集電体1に付着され得る。カソード材料2は、ペーストとしてカソード集電体1に付着されてよい。結果として得られるカソード12の厚さは、約0.1mm~約5mmの間であり得る。
【0044】
[0050] いくつかの実施形態において、アノード材料5は、Znであり得る電気活性材料を含み得る。Znは、アノード材料5中に、粉末の形で、又は金属構造として存在し得る。Zn粉末は、ナノメートル~ミクロンの範囲の様々なサイズであり得る。Zn金属構造は、ホイル、メッシュ、有孔ホイル、発泡体、スポンジタイプ、又はそれらの任意の組み合わせであり得る。
【0045】
[0051] 現在の開示はZnアノードの文脈で詳細に述べられているが、他のアノード電気活性材料(例えば、Zn以外の金属)が高電圧水性金属アノードバッテリを形成するために使用され得ることを理解されたい。例えば、本明細書に記載の異なる特性を有する電解質の使用によって、様々なアノード材料の使用が可能となり得る。いくつかの実施形態において、アノードは、リチウム、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム、鉄、カルシウム、ストロンチウム、ランタン、カリウム、ナトリウム、ジルコニウム、チタン、酸化チタン、インジウム、酸化インジウム、水酸化インジウム、酸化亜鉛、Mn、ヘテロライト(ZnMn)、バナジウム、スズ、酸化スズ、水酸化バリウム、バリウム、セシウム、水酸化アルミニウム、銅、ビスマス、ケイ素、炭素、及びそれらの任意の材料の混合物を含み得る。本明細書に記載のセルは、本明細書に記載されたカソード材料のいずれかと、上記の材料が適切な電解質(例えば、適切な陽極液及び陰極液など)の存在下で電圧を生成するような範囲で記載のアノード材料のいずれかと、を対にすることによって形成され得る。
【0046】
[0052] いくつかの実施形態において、アノード材料5は、亜鉛元素及び/又は酸化亜鉛として存在し得る亜鉛を含み得る。いくつかの実施形態において、Znアノード混合物は、Zn、酸化亜鉛(ZnO)、電子伝導性材料、及び結合剤を含む。Znは、アノード材料の総重量に基づいて、約50重量%~約90重量%、あるいは約60重量%~約80重量%、あるいは約65重量%~約75重量%の量でアノード材料5中に存在してよい。亜鉛に加えて、又は亜鉛の代わりにアノードに存在し得る追加元素としては、リチウム、アルミニウム、マグネシウム、鉄、カドミウム、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されず、各元素は、本明細書に記載された亜鉛と同じ又は同程度の量で存在し得る。
【0047】
[0053] いくつかの実施形態において、アノード材料5は、バッテリ作動中にインサイチュで充電ステップによってZnに形成され得る酸化亜鉛(ZnO)を含み得る。いくつかの実施形態において、アノード材料5は、アノード材料の総重量に基づいて、約5重量%~約20重量%、あるいは約5重量%~約15重量%、あるいは約5重量%~約10重量%の量でZnOを含み得る。当業者によって評価されるように、この開示を活用すると、アノード混合物中のZnOの目的は、再充電ステップ中にZnの供給源を提供することであり、存在する亜鉛は、充電及び放電段階中に亜鉛と酸化亜鉛の間で変換され得る。
【0048】
[0054] ある実施形態において、電気伝導性材料は、アノード材料の総重量に基づいて、約5重量%~約20重量%、あるいは約5重量%~約15重量%、あるいは約5重量%~約10重量%の量でアノード材料中に任意選択で存在してよい。当業者によって評価されるように、この開示を活用すると、電気伝導性材料は、例えば、アノード混合物の全体的な電気伝導性を高めるために、導電剤としてアノード混合物において使用され得る。使用に適した電気伝導性材料の非限定的な例としては、炭素、グラファイト、グラファイト粉末、グラファイト粉末フレーク、グラファイト粉末スフェロイド、カーボンブラック、活性炭、導電性炭素、非晶質カーボン、ガラス状カーボンなどの本明細書に記載の導電性炭素のいずれか、又はそれらの組み合わせが挙げられ得る。導電性材料はまた、アセチレンブラック、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、グラフェン、グラフィン、又はそれらの任意の組み合わせを含むがそれらに限定されない、カソード材料に関して記載された導電性炭素材料のいずれかを含み得る。いくつかの実施形態において、アノード混合物に使用される電気伝導性材料は、銅、ビスマス、インジウム、ニッケル、銀、スズなど、又はそれらの任意の組み合わせを含む金属導電性粉末を含み得る。
【0049】
[0055] アノード材料5は、結合剤も含み得る。一般に、結合剤は、電気活性材料粒子を一緒に保持するように、集電体と接触して機能する。結合剤は、0~10重量%の濃度で存在し得る。アノード材料5中の結合剤はまた、カソード材料に関して本明細書に記載された任意の結合剤を含むことができる。結合剤は、メチルセルロース(MC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPH)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース及びヒドロキシエチルセルロース(HEC)のような、増粘剤及び強力な結合剤として使用され得、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリアニリン、ポリビニルピロリドン、ポリフッ化ビニリデン、及びポリピロールなどの導電性ポリマと、良好な機械的強度で架橋されている、水溶性セルロース系のヒドロゲルを含んでよい。結合剤は、セロファンとして販売されるセルロースフィルムであってもよい。結合剤は、高抵抗材料であるが、その優れた圧延性のため、業界で広く使用されているPTFEでもよい。いくつかの実施形態において、結合剤は、アノード材料の総重量に基づいて、約2重量%~約10重量%、あるいは約2重量%~約7重量%、あるいは約4重量%~約6重量%の量でアノード材料中に存在してよい。
【0050】
[0056] いくつかの実施形態において、タブ又は他の電気接続は、依然としてアノード材料5に提供され得るが、アノード材料5は、別個のアノード集電体4なしでそれ自体で使用され得る。この実施形態において、アノード材料は、ホイル、メッシュ、有孔層、発泡体、フェルト、又は粉末の形又は構造を有してよい。例えば、アノードは、金属ホイル電極、メッシュ電極、又は有孔金属ホイル電極を含み得る。
【0051】
[0057] いくつかの実施形態において、アノード13は、任意選択のアノード集電体4を含み得る。アノード集電体4は、カソード12に関して記載されたもののいずれかを含む、アノード13と共に使用され得る。アノード材料5は、アノード13を形成するために、アノード集電体4に押し付けられ得る。例えば、アノード材料5は、例えば、1,000psiと20,000psiの間(6.9×10パスカルと1.4×10パスカルの間)の圧力で押し付けることによって、アノード集電体4に付着され得る。アノード材料5は、ペーストとしてアノード集電体4に付着されてよい。アノード集電体4のタブは、存在する場合、集電体タブを形成するためにデバイスの外側に延在し得る。結果として得られるアノード13の厚さは、約0.1mm~約5mmの間であり得る。
【0052】
[0058] いくつかの実施形態において、対応する電気活性材料を有するカソード材料及びアノード材料はまた、対応する電解質(例えば、それぞれ、陰極液及び陽極液)中の溶解塩から形成され得る。対応する電解質中の溶解塩からカソード材料及びアノード材料を形成するプロセスは、活性イオンを含む溶解塩が、外部回路から流れ込む電子によって集電体上にメッキされる、充電ステップ又は形成ステップが含まれる。例えば、プロトン活性が高い電解質中の、硫酸マンガン、トリフル酸マンガンなどのようなマンガン塩は、充電又は形成ステップ中にMnOを電気メッキする。同様に、陽極液に溶解した酸化亜鉛は、充電又は形成ステップ中にZnを形成する。
【0053】
[0059] 図1Bに示されるように、バッテリ10は、セパレータを備えていなくてよい。セパレータなしでバッテリ10を形成する能力は、セパレータ付きのバッテリと同じ又は同様の性能を有しながら、バッテリの全体的なコストの削減を可能にし得る。陰極液及び陽極液に対する高分子ゲル電解質(PGE)の使用は、アノード13とカソード12の間に物理的障壁を形成して短絡を防止することにより、セパレータの機能を果たし得る。
【0054】
[0060] いくつかの実施形態において、セパレータ9(例えば、図1A及び1Cに示す)及び/又はバッファ層は、電極がバッテリに構成されている場合、アノード13とカソード12の間に配置され得る。アノード13とカソード12の間に配置されているように示されるが、セパレータ9は、アノード13及び/又はカソード12のうちの1つ以上、あるいは、複数のアノード13及びカソード12が存在するときの1つ以上のアノード13及び/又はカソード12を包むために使用され得る。
【0055】
[0061] セパレータ9は、1つ以上の層を含んでよい。例えば、セパレータが使用される場合、1~5層のセパレータは、隣接する電極間に適用され得る。セパレータは、ナイロン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(テトラフルオロエチレン)(PTFE)、ポリ(塩化ビニル)(PVC)、ポリビニルアルコール、セルロース、又はそれらの任意の組み合わせなどの適切な材料から形成され得る。適切な層及びセパレータの形としては、焼結ポリマフィルム膜、ポリオレフィン膜、ポリオレフィン不織布膜、セルロース膜、セロファン、バッテリグレードのセロファン、親水性改変ポリオレフィン膜など、又はそれらの組み合わせのポリマセパレータ層が挙げられ得るが、それらに限定されない。本明細書で使用される場合、「親水性に改変された」という句は、水との接触角が45°未満である材料をいう。別の実施形態において、セパレータに使用される材料の水との接触角は30°未満である。さらに別の実施形態において、セパレータに使用される材料の水との接触角は20°未満である。ポリオレフィンは、例えば、TRITON X-100(商標)の添加、又は酸素プラズマ処理によって改変されてよい。いくつかの実施形態において、セパレータ9は、CELGARD(登録商標)ブランドの微多孔性セパレータを含み得る。一実施形態において、セパレータ9は、ドイツのフロイデンベルクから市販されているポリオレフィン不織布膜であるFS 2192 SG膜を含み得る。いくつかの実施形態において、セパレータは、リチウム超イオン伝導体(LISICON(登録商標))、ナトリウム超イオン伝導体(NASICON)、NAFION(登録商標)、バイポーラ膜、水電解膜、ポリビニルアルコールと酸化グラフェンとの複合体、ポリビニルアルコール、架橋ポリビニルアルコール、又はそれらの組み合わせを含み得る。
【0056】
[0062] セパレータ9は様々な材料を含み得るが、1つ以上のセパレータが存在する場合、電解質に対するPGEの使用は、比較的安価なセパレータ9の使用を可能にし得る。例えば、セパレータ9は、CELLOPHANE(登録商標)、ポリビニルアルコール、CELGARD(登録商標)、ポリビニルアルコールと酸化グラフェンとの複合体、架橋ポリビニルアルコール、PELLON(登録商標)、及び/又は炭素-ポリビニルアルコールの複合体を含み得る。セパレータ9の使用は、バッテリ20のサイクル寿命の改善に役立ち得るが、全ての実施形態において必須ではない。
【0057】
[0063] バッファ層が使用される場合、バッファ層は、単独で、又はセパレータ9と組み合わせて使用され得る。バッファ層は、陽極液及び/又は陰極液と同じ電解質配合を有し得るゲル化された溶液を含み得る。例えば、バッファ層は、本明細書に記載のPGEであり得る。水酸化カルシウム、ヒドロタルサイト類のような層状複水酸化物、クインティナイト、フォーゲライト、水酸化マグネシウム、又はそれらの組み合わせなどの、1つ以上の添加剤も、バッファ層中に存在し得る。例えば、陽極液と陰極液が実質的に同じ配合であり、プロトン及びヒドロキシルアニオンの組成、及び/又は粘度が異なるだけの場合、バッファ層の電解質の濃度は、陽極液又は陰極液と同じであり得る、又は陽極液の濃度と陰極液の濃度の間であり得る。バッファ層は、陽極液と陰極液の間のイオンの移動の制限はもちろん、陽極液と陰極液の間の混合を防止するのに役立つように、陽極液又は陰極液のいずれよりも高い粘度を有し得る。
【0058】
[0064] 図1Aから図1Dに示されるように、陰極液3は、カソード12と接触し得、陽極液6は、アノード13と接触し得る。本明細書でより詳細に記載されるように、陰極液3及び/又は陽極液6の一方又は両方は、2つの電解質溶液間の混合を防ぐために、重合又はゲル化されて、別個のゲル電解質を形成し得る。陰極液3は、カソード材料2と接触してハウジング10内に配置され得る。いくつかの実施形態において、陽極液6は重合又はゲル化され得、陰極液3は液体であり得る。陽極液6の重合は、陰極液3が液体である場合でさえ、陰極液3と陽極液6の間の混合を防止し得る。いくつかの実施形態において、陰極液3及び陽極液6の両方がゲル化される。
【0059】
[0065] カソード側の電解質(例えば、陰極液3)は、バッテリの電位を規定するプロトン活性が比較的高い。陰極液中のプロトンの活性が高いほど、バッテリの電位が高くなる。酸解離定数(K)は、プロトンの活性を判断するための比較的良い指標である。陰極液3における使用に適した酸性電解質又はイオンの、Kが低いものから非常に大きなものまでの非限定的な例としては、リン酸水素、重炭酸塩、アンモニウムカチオン、硫化水素、酢酸、フッ化水素、リン酸、硫酸、硝酸、塩酸、臭化水素、ヨウ化水素酸、トリフル酸、又はそれらの任意の組み合わせが挙げられる。トリフル酸はプロトン活性が高い超酸であり、これらの酸の使用は、大幅なバッテリ電位の向上に役立つ。
【0060】
[0066] 陰極液3は、そのpHが、約4未満、あるいは約3未満、あるいは約2未満、あるいは約1未満、あるいは-1.2と4の間、あるいは-1.2と3の間、あるいは-1.2と2の間、あるいは-1.2と1の間であり得る酸性溶液であり得る。陰極液3は、0℃と200℃の間の範囲の温度条件において使用され得る。いくつかの実施形態において、陰極液は、鉱酸(例えば、塩酸、硝酸、硫酸など)などの酸を含み得る。酸性陰極液組成物の場合、酸濃度(例えば、酸性電解質の濃度)は、約0.0001Mと約16Mの間、あるいは約0.001M~約16M、あるいは約0.01M~約16M、あるいは約0.1M~約16M、あるいは約1M~約16Mであり得る。
【0061】
[0067] いくつかの実施形態において、陰極液3の水素活性は、異なる強度の酸を使用することによって変更され得る。Kは、酸の強さを判断するための比較的良い指標である。陰極溶液には、Kが低いものから非常に大きなものまで、以下の電解質又はイオンが使用され得る:リン酸水素、重炭酸塩、アンモニウムカチオン、硫化水素、酢酸、フッ化水素、リン酸、硫酸、硝酸、塩酸、臭化水素、ヨウ化水素酸、トリフル酸、又はそれらの任意の組み合わせ。酸性電解質のこれらの例は、水素(又はプロトン)活性の変更に役立ち得るが、酸性電解質と他の電解質の任意の組み合わせがプロトン活性を変化させるために使用され得ることは、化学又は電気化学の当業者には明らかであるだろう。
【0062】
[0068] 陰極液添加剤は、カソード材料の性能の向上に役立ち得る。本開示における使用に適した陰極液添加剤の非限定的な例としては、硫酸マンガン、硫酸ニッケル、過マンガン酸カリウム、塩化マンガン、酢酸マンガン、トリフル酸マンガン、塩化ビスマス、硝酸ビスマス、硝酸マンガン、硫酸ニッケル、硝酸ニッケル、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、酢酸亜鉛、トリフル酸亜鉛、塩化インジウム、硫酸銅、塩化銅、硫酸鉛、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、バニリン、塩化カリウム、塩化ナトリウム、硝酸リチウム、塩化リチウム、炭酸リチウム、酢酸リチウム、トリフル酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、又はそれらの任意の組み合わせが挙げられる。陰極液添加剤の濃度は、0Mと5Mの間であり得る。
【0063】
[0069] いくつかの実施形態において、陰極溶液は、過マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウム、過マンガン酸リチウム、過マンガン酸カルシウム、硫酸マンガン、塩化マンガン、硝酸マンガン、過塩素酸マンガン、酢酸マンガン、ビス(トリフルオロメタンスルホン酸)マンガン、トリフル酸マンガン、炭酸マンガン、シュウ酸マンガン、フルオロケイ酸マンガン、フェロシアン化マンガン、臭化マンガン、硫酸マグネシウム、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、水酸化アンモニウム、硫酸亜鉛、トリフル酸亜鉛、酢酸亜鉛、硝酸亜鉛、塩化ビスマス、硝酸ビスマス、硝酸、硫酸、塩酸、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸コバルト、硫酸鉛、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、硫酸チタン、塩化チタン、硝酸リチウム、塩化リチウム、臭化リチウム、重炭酸リチウム、酢酸リチウム、硫酸リチウム、硝酸リチウム、亜硝酸リチウム、水酸化リチウム、過塩素酸リチウム、シュウ酸リチウム、フッ化リチウム、炭酸リチウム、硫酸リチウム、臭素酸リチウム、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、キサンタムガム、カラギーナン、アクリルアミド、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、N,N’-メチレンビスアクリルアミド、又はそれらの任意の組み合わせを含む溶液を含み得る。例えば、陰極溶液は、硫酸と混合された硫酸マンガン、又は硫酸と混合された過マンガン酸カリウムを含み得る。この溶液に対する他のドーパントは、硫酸亜鉛、硫酸鉛、二硫化チタン、硫酸チタン水和物、硫酸銀、硫酸コバルト、及び硫酸ニッケルであり得る。いくつかの実施形態において、陰極溶液は、硫酸マンガン、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、酢酸マンガン、過マンガン酸カリウム、及び/又は過マンガン酸塩の塩を含み得、添加剤の濃度は、0Mと10Mの間であり得る。使用されるマンガン塩の種類によって、バッテリシステムの電圧は異なり得る。例えば、硫酸マンガン電解質において、SS-HiVABの電圧は約2.45~2.5Vであるが、過マンガン酸カリウム電解質において、SS-HiVABの電圧は約2.8~2.9Vである。
【0064】
[0070] いくつかの実施形態において、陰極液は過マンガン酸塩を含み得る。過マンガン酸塩は高い正の電位を有する。これにより、バッテリ10内で全体的なセル電位の増加が可能となり得る。存在する場合、過マンガン酸塩は、正確な量がバッテリ10の予想される作動条件に基づいて変化し得るが、約5:1~約1:5、又は約1:1~約1:6、又は約1:2~約1:4の間、又は約1:3の過マンガン酸塩に対する酸(例えば、塩酸、硫酸などの鉱酸)のモル比で存在し得る。過マンガン酸塩(例えば、過マンガン酸カリウム又は過マンガン酸塩の塩など)の濃度は、0超且つ5M以下であり得る。いくつかの実施形態において、陰極溶液は、0.0001M超且つ16M以下の濃度で、硫酸、塩酸、又は硝酸を含む。過マンガン酸塩を含む陰極液の使用が高い負のアノード電位と組み合わされたとき、結果として生じる電池の電圧が、カソード及びアノードがMnO|Znの場合は約4V、並びにカソード及びアノードがMnO|Alの場合は約2.8Vであるように、過マンガン酸塩の使用は、高電圧電池の作成に有利であり得る。陰極液が過マンガン酸塩を含む場合、適切な過マンガン酸塩は、過マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウム、過マンガン酸リチウム、過マンガン酸カルシウム、及びそれらの組み合わせが含まれ得るが、それらに限定されない。
【0065】
[0071] アノード側の電解質(例えば、陽極液6)は、バッテリの電位を規定するヒドロキシル活性が比較的高い。陽極液中のヒドロキシルの活性が高いほど、バッテリの電位が高くなる。陽極液6における使用に適した、ヒドロキシル活性が比較的高いアルカリ電解質又はイオンの非限定的な例としては、アンモニア、メチルアミン、グリシン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化ルビジウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム、又はそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0066】
[0072] いくつかの実施形態において、陽極液はアルカリ電解質(例えば、アルカリ性が比較的高い電解液)であり得るが、陰極液は酸性溶液(例えば、酸性が比較的高い溶液)であり得る。陽極液中のアルカリ電解質は、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化アンモニウム、水酸化セシウム、又はそれらの任意の組み合わせなどの水酸化物であり得る。結果として得られる陽極液は、10以上、あるいは11以上、あるいは12以上、あるいは13以上のpHを有することができる。いくつかの実施形態において、陽極液のpHは、約10以上且つ約15.13以下、あるいは約11以上且つ約15.13以下、あるいは約12以上且つ約15.13以下、あるいは約13以上且つ約15.13以下であり得る。本明細書に記載されるように、陽極液は、重合又はゲル化され得る。結果として得られる陽極液は、バッテリ内の流れに抵抗する半固体状態であり得る。これは、陽極液と陰極液の混合の制限又は防止に役立ち得る。陽極液は、本明細書に記載されているもののいずれかを含む、任意の適切な技術を使用して重合され得る。いくつかの実施形態において、アルカリ電解質は、陽極液の総重量に基づいて、1~70重量%、あるいは1~25重量%、あるいは25~70重量%、あるいは20~60重量%、あるいは20~55重量%、あるいは30~55重量%、あるいは1~55重量%の量で陽極液中に存在し得る。通常、陽極液中のゲル化状態の金属の溶解度を高めるために、より高濃度のアルカリ電解質が使用される。例えば、アルカリ電解質のより高い濃度は、陽極液の25~70重量%の間であり得る。
【0067】
[0073] いくつかの実施形態において、陽極液6のヒドロキシル活性は、異なる強度の塩基を使用することによって変更され得、以下の低強度のものから高強度のものまで使用され得る:アンモニア、メチルアミン、グリシン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化ルビジウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム、又はそれらの任意の組み合わせ。アルカリ電解質のこれらの例は、ヒドロキシル活性の変更に役立ち得るが、アルカリ電解質と他の電解質の任意の組み合わせがヒドロキシル活性を変化させるために使用され得ることは、化学又は電気化学の当業者には明らかであるだろう。
【0068】
[0074] 水酸化物に加えて、陽極液6は追加構成要素を含み得る。いくつかの実施形態において、アルカリ電解質は、添加剤として、酸化亜鉛、炭酸カリウム、ヨウ化カリウム、及びフッ化カリウムを有し得る。亜鉛化合物が陽極液中に存在する場合、陽極液は、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、酢酸亜鉛、炭酸亜鉛、塩素酸亜鉛、フッ化亜鉛、ギ酸亜鉛、硝酸亜鉛、シュウ酸亜鉛、亜硫酸亜鉛、酒石酸亜鉛、シアン化亜鉛、酸化亜鉛、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、塩化カリウム、塩化ナトリウム、フッ化カリウム、硝酸リチウム、塩化リチウム、臭化リチウム、重炭酸リチウム、酢酸リチウム、硫酸リチウム、過マンガン酸リチウム、硝酸リチウム、亜硝酸リチウム、過塩素酸リチウム、シュウ酸リチウム、フッ化リチウム、炭酸リチウム、臭素酸リチウム、アクリル酸、N,N’-メチレンビスアクリルアミド、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、又はそれらの組み合わせを含み得る。
【0069】
[0075] いくつかの実施形態において、陽極液6は、バニリン、水酸化インジウム、酢酸亜鉛、酸化亜鉛、臭化セチルトリメチルアンモニウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、エタノール、メタノール、グルコン酸亜鉛、グルコース、又はそれらの任意の組み合わせなどの電解質添加剤(例えば、陽極液添加剤)を含み得る。
【0070】
[0076] いくつかの実施形態において、適切な塩を含む有機溶媒が、電解質として使用され得る。適切な有機溶媒の例としては、環状炭酸塩、鎖状炭酸塩、ジアルキル炭酸塩、脂肪族カルボン酸エステル、γ-ラクトン、鎖状エーテル、環状エーテル、非プロトン性有機溶媒、フッ素化カルボン酸エステル、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。本明細書に記載の塩を含む任意の適切な添加剤は、陽極液及び/又は陰極液用の有機電解質を形成するために、有機溶媒と共に使用され得る。
【0071】
[0077] いくつかの実施形態において、イオン性液体は、ゲル電解質(例えば、ゲル化した陽極液、ゲル化した陰極液など)を形成するために使用され得る。イオン性液体は、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム塩化物(EMImCl)、1-アリル-3-メチルイミダゾリウム臭化物、1-アリル-3-メチルイミダゾリウム塩化物、1-ブチル-2,3-ジメチルイミダゾリウム塩化物、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム酢酸塩、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム臭化物、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムテトラクロロアルミン酸塩、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)、過塩素酸リチウム、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム、ビス(オキサラト)ホウ酸リチウム、及びそれらの組み合わせを含み得る。他のイオン性液体が知られており、また、使用され得る。いくつかの実施形態において、EMImClは、イオン性液体として使用され得、アルミニウム塩と混合されてアルミニウムイオン伝導性電解質を形成する前に精製され得る。アルミニウム塩は、塩化アルミニウム、酢酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、臭化アルミニウムなどであり得る。EMImClと塩化アルミニウムの混合物は、不活性雰囲気中で正確な量の塩化アルミニウムをゆっくりと添加することによって作成され得る。EMImClに対する塩化アルミニウムの混合比は、5:1~1:1の間、又は約1.5:1であり得る。
【0072】
[0078] いくつかの実施形態において、塩中水型電解質はゲル化され、陰極液及び/又は陽極液として使用され得る。塩中水型電解質は、塩濃度が飽和点を超える電解質を含み得る。塩中水型電解質を形成するために、飽和点を超えて塩濃度を増加させることにより、水性電解質中の水の活性はさらに低下され得る。このような電解質のイオン伝導率は、通常の水性電解質のイオン伝導率よりも高くなり得る。塩中水型電解質は、水性陽極液及び/又は水性陰極液に対して本明細書に記載の塩及び添加剤のいずれかを含む、その飽和点を超える適切な塩と共に水を含み得る。
【0073】
[0079] 中和が起こらないように、陽極液及び陰極液は、分離しておく、又は切り離しておく必要がある。このような分離は、電解質のゲル化又は重合、及びそれらの任意の組み合わせを通じて、セパレータを使用することによって達成され得る。
【0074】
[0080] 陽極液及び陰極液の一方又は両方は、バッテリ内でゲル化され得る。重合プロセスは、本明細書に記載されたもの(例えば、有機、水性、イオン性液体、塩中水など)のいずれかを含む任意の電解質で行われ得る。例えば、ステップ成長、連鎖成長、乳化重合、溶液重合、懸濁重合、沈殿重合、光重合などの、いくつかの重合技術は、ゲル/固体電解質を形成するために使用され得る。ゲル/固体電解質が重合ステップを通して形成されると、それらは、本明細書に記載される単一のバッテリハウジングに組み合わされ得る。バッテリはセパレータを使用し得る、又はメンブレンレスもしくはセパレータレスであり得る。
【0075】
[0081] 本明細書に記載されるように、電解質は、重合又はゲル化されて、陰極液及び/又は陽極液用の高分子ゲル電解質(PGE)を形成し得る。結果として得られるPGEは、バッテリ内の流れに抵抗する半固体状態であり得る。例えば、PGEは、水性電解質を含浸させた不活性親水性ポリママトリクスを含み得る。電解質は、任意の適切な技術を使用して重合され得る。一実施形態において、PGEを形成する方法は、PGE用のモノマ材料の選択で始まり得る。モノマは、アクリル酸、酢酸ビニル、アクリル酸エステル、イソシアン酸ビニル、アクリロニトリル、又はそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される極性ビニルモノマであり得る。その後、水性電解質の構成要素が選択され得、電解質に対して上記の構成要素のいずれかを含み得る。重合プロセスを開始するため、開始剤は添加され得る。いくつかの実施形態において、架橋剤は、PGEを形成するために、ポリママトリクスをさらに架橋するように電解質組成物において使用され得る。組成物中のモノマ(例えば、極性ビニルモノマ)は、約5重量%~約50重量%の間の量で存在し得、開始剤は、約0.001重量%~約0.1重量%の間の量で存在し得、架橋剤は、0~5重量%の間の量で存在し得る。
【0076】
[0082] いくつかの実施形態において、PGEはインサイチュで形成され得るが、これは、電解質を液体としてハウジングに導入し、続いて重合してハウジング内にPGEを形成することをいう。この方法は、完全に重合してPGEを形成する前に、電解質組成物が、空隙、アノード、及び/又はカソードに浸漬することを可能にし得る。いくつかの実施形態において、対応する区画への電解質の導入にあたり、ハウジング7内に真空(例えば、大気圧よりも低い圧力)が作り出され得る。真空は、空気を除去し、電解質が、アノード13に、カソード12に、及び/又は、バッテリ10内の様々な空隙に浸透するのを可能にするために役立ち得る。いくつかの実施形態において、真空は、水銀柱約10インチと29.9インチの間、又は真空水銀柱約20インチと約29.9インチの間であり得る。真空の使用は、電解質の完全な重合の前に、バッテリ10内のエアポケットの存在を回避するのに役立ち得る。いくつかの実施形態において、電極は、電解質が電極に含浸されることを可能にするために、電解質の完全な重合の前に0℃~30℃の間の温度で1~120分の間、電解液に浸漬され得る。電解質が重合されると、使用前にバッテリの休止が可能となり得る。いくつかの実施形態において、バッテリは、5分と24時間の間で休止が可能であり得る。
【0077】
[0083] 電極に電解質を含浸させるのを役立てるために、電極は、電解質を重合する前に、選択された電解液に事前に浸漬され得る。これは、バッテリ又はハウジングの外側の電解質に(例えば、陰極液又は陽極液に別々に)電極を浸漬した後、事前に浸した電極をハウジングに入れてバッテリを構築することにより行われ得る。いくつかの実施形態において、ポリマ又はゲル化剤を含まない電解質は、電極をインサイチュで浸漬するためにバッテリに導入され得る。これは、電極の含浸を補助する真空の使用を含み得る。電極は約1分と24時間の間で浸漬され得る。いくつかの実施形態において、バッテリが電解質で満たされ、浸漬可能にされ、排出され、再充填され、そして浸漬可能にされて、所望の回数を排出する、複数のサイクルにわたって浸漬は行われ得る。電極が電解質に浸漬されて含浸されると、ポリマ及び重合剤(例えば、開始剤、架橋剤など)を含む電解質は、最終バッテリを形成するため、ハウジングに導入され、重合可能にされ得る。
【0078】
[0084] 電解質の組成、モノマ材料、開始剤、及び形成の条件(例えば、温度など)は、電解質組成物がバッターの構成要素を適切に浸漬して電極に吸収させ浸透させることを可能にするような所望の重合時間を提供するために選択され得る。温度は、重合プロセスを制御するために制御され得て、温度が比較的低いと重合が抑制又は遅くなり得、温度が比較的高いと重合時間を短縮する、又は重合プロセスを促進させ得る。また、アルカリ電解質成分(例えば、水酸化物)の増加は、重合時間を短縮し得、開始剤濃度の増加は、重合時間を短縮することになる。適切な重合時間は、電解質溶液の組成、及び反応の温度に基づいて、1分と24時間の間であり得る。
【0079】
[0085] いくつかの実施形態において、陽極液及び/又は陰極液は、例えば、アクリル酸がモノマとして使用され得る、フリーラジカル重合技術などのゲル化プロセスを介して形成され得る。アクリル酸は、実質的に溶解するまで、陽極液又は陰極液と混合され得る。N,N’-メチレンビスアクリルアミド(MBA)のような架橋剤は、ポリマの強度を高めるために使用され得る。陽極液の場合、アクリル酸とMBAを混合するプロセスは、通常、反応において発生する熱のために比較的低温で行われ得る。しかしながら、陰極液の場合、アクリル酸とMBAの混合物は、50~200℃に加熱され得る。重合は、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、又はそれらの任意の組み合わせなどの過硫酸塩の塩のような開始剤の添加を通して開始され得る。電解質添加剤(例えば、陽極液添加剤、陰極液添加剤)は、ゲル化プロセス中に含められ得る。ゲル化プロセス中にアイオノマも添加され得る。ゲル化プロセス中に電解質に添加され得るアイオノマの非限定的な例としては、酸の形のパーフルオロスルホン酸(PFSA)/ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)コポリマ、又はポリ芳香族ポリマを有する陰イオン交換アイオノマから作成されるナフィオン溶液が挙げられる。
【0080】
[0086] 重合プロセスの例として、アクリル酸、N,N’-メチレンビスアクリルアミド、及びアルカリ溶液の混合物は、約0℃の温度で生成され得る。その後、任意の添加剤は、溶液に添加され得る(例えば、気体発生抑制剤、本明細書に記載の追加の添加剤など)。例えば、酸化亜鉛は、電解質に使用される場合、前駆体構成要素を混合した後にアルカリ溶液に溶解され得、酸化亜鉛は、アノードの電気化学サイクル中に有益であり得る。結果として得られる混合物を重合するために、過硫酸カリウムなどの開始剤は、重合プロセスを開始し、固体又は半固体の重合電解質(例えば、PGE)を形成するために添加され得る。結果として得られる重合電解質は、重合プロセスが発生すると、経時的に安定であり得る。
【0081】
[0087] 一例として、本明細書に記載されたPGEは、フリーラジカル重合プロセスを通して作成され得る。ある実施形態において、架橋剤としてのN、N’-メチレンビスアクリルアミド(MBA)、及び開始剤としての過硫酸カリウム(K)と共に、アクリル酸(AA)は、モノマとして使用され得る。陽極液を調製するとき、KOHなどのアルカリ電解質は、このプロセスに追加され得、陽極液ゲル/ポリマフレームワークに埋め込まれ得る。AAへのアルカリ電解質の添加は、高分子ゲル中のアルカリ電解質の濃度を減少させる、中和をもたらす。アルカリ電解質の濃度が異なると、ゲル化時間が変化し得る。アルカリ電解質の濃度が高いと、通常、ゲル化がより速くなり、一方で、アルカリ電解質の濃度が低いと、より長い時間がかかる。また、開始剤濃度は、ゲル化プロセスに影響を与え得る。さらに、ゲルの粘度は、モノマ及びMBAの濃度を変化させることで調整され得、イオン伝導率にも影響を与え得る。同様に、陰極液を調製するとき、硫酸などの酸性電解質は、このプロセスに加えられ得、陰極液ゲル/ポリマフレームワークに埋め込まれ得る。
【0082】
[0088] いくつかの実施形態において、アイオノマゲル化層も作成され得、アイオノマゲル化層は、陰極溶液及び陽極溶液、又はそれらのゲルを分離し得る。アイオノマゲル化層を形成するためのゲル化プロセスは、本明細書に記載の陽極液ゲル及び/又は陰極液ゲルを形成するゲル化プロセスと実質的に同様であり、ゲル化プロセス中にアイオノマは電解質に添加される。アイオノマゲル(例えば、アイオノマゲル化層)は、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、又はそれらの任意の組み合わせなどの添加剤も含み得る。アイオノマ樹脂はまた、アイオノマゲル化層を生成するためのゲル化プロセスにおいて使用され得る。
【0083】
[0089] 重合プロセスは、バッテリ10の構築前、又はセルが構築された後に発生し得る。いくつかの実施形態において、電解質は、重合されてトレイに入れられてシートを形成し得る。重合されると、シートは適切なサイズ及び形状に切断され得、1つ以上の層は、アノード13と接触する電解質を形成するために使用され得る。事前に形成されたPGEを使用する場合、追加の液体電解質はバッテリに導入され得る、及び/又は、電極はバッテリを構築する前に電解質に事前に浸漬され得る。
【0084】
[0090] いくつかの実施形態において、PGEは、水性電解質、有機電解質、イオン性液体、塩中水型電解質などを使用して形成され得る。いくつかの実施形態において、水性電解質は、陰極液及び/又は陽極液に使用され得、ゲル化されて、PGEとして水性ヒドロゲルを形成し得る。いくつかの実施形態において、水性ヒドロゲルは、フリーラジカル重合プロセスを通して作成され得る。例えば、陽極液を調製するとき、架橋剤としてのN,N’-メチレンビスアクリルアミド(MBA)、及び開始剤としての過硫酸カリウムと共に、アクリル酸(AA)は、モノマとして選択され得る。水性アルカリ陽極液において、適切な水酸化物(例えば、水酸化カリウム(KOH)、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなど)が使用されて電解質を形成できる。水酸化物をAAで中和することによって、水酸化物は、ヒドロゲルネットワークに内包され得る。ヒドロゲルを作成するために、モノマは、架橋剤が溶解されるまで、任意の架橋剤と組み合わされ得る。これとは別に、ある量の水酸化物は、冷却されて反応を遅らせ得る。陽極液が水性電解質であるいくつかの実施形態において、水酸化物は、約10℃未満、約5℃未満、又は約0℃未満の温度に冷却され得る。そして、モノマと任意の架橋剤の混合溶液は、中和反応が熱を放出するので、水酸化物の冷却溶液に滴下され得る。結果として得られる水酸化物、モノマ、及び架橋剤の混合物をゲル化するために、過硫酸カリウムなどの開始剤は添加され得る。その後、混合物は、PGEの形成が可能になり得る。ヒドロゲルの様々な機械的強度を得るために、成分の量と濃度は変更され得る。同様に、陰極液を調製するとき、硫酸などの酸性電解質は、ヒドロゲルネットワークに内包され得る。
【0085】
[0091] イオン性液体を含む電解質は、本明細書に記載されたイオン性液体のいずれかを含むPGEを形成するためにも使用され得る。イオン性液体を使用してPGEを形成するために、適切な溶媒に含まれ得る、任意の添加剤の溶液は調製され得、モノマは添加され得る。モノマは、任意の適切なモノマであり得る。例えば、アクリルアミドはイオン性液体の重合剤として使用され得る。この溶液に対して、添加剤溶液と一緒にイオン性液体は、開始剤と一緒に混合され得る。重合剤と共に使用するための任意の適切な開始剤は、使用され得る。例えば、アゾビスイソブチロニトリルはアクリルアミドと一緒に使用され得る。開始剤は、重合剤の約1重量%などの適切な量で添加され得る。その後、この最終溶液は加熱され、重合ゲルを形成し得る。
【0086】
[0092] 有機溶媒に溶解した塩を含む有機電解質はまた、陽極液及び/又は陰極液を形成するためにゲル化され得る。一例として、リチウムイオン伝導性電解質は、開環重合、光開始ラジカル重合、UV開始ラジカル重合、熱開始重合、インサイチュ重合、UV照射、エレクトロスピニングなどのいくつかの重合技術を使用してゲル化され得る。リチウム電解質は、炭酸エチレン、炭酸ジメチル、炭酸プロピレン、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチル、及びそれらの組み合わせなどの有機溶媒中に、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)、過塩素酸リチウム、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム、ビス(オキサラト)ホウ酸リチウム、及びそれらの組み合わせを含み得る。例示的な混合物としては、炭酸エチレン及び炭酸ジメチルの溶媒混合物に混合された1M LiPFが挙げられ得る。有機電解質の可燃性を低減するための混合物として使用され得る他の溶媒も、存在する。
【0087】
[0093] 有機電解質は、選択された塩を有機溶媒と混合することによってゲル化され得る。その後、ゲル化剤は、開始剤と一緒に添加され得る。ゲル化剤は、混合物の約0.1~約5重量%の間の量で添加され得、開始剤は、混合物の約0.01~約1重量%の間の量で添加され得る。いくつかの実施形態において、有機電解質のための適切なゲル化剤は、テトラアクリル酸ペンタエリスリトールを含み得、開始剤は、アゾジイソブチロニトリルを含み得る。結果として得られる混合物は、混合物を約50~90℃、又は約70℃に加熱し、1~24時間保持することによって、ゲル化(例えば、重合)され得る。
【0088】
[0094] 陰極液などの本質的に酸性である水性電解質の場合、重合は、多くのプロセスを使用して行われ得る。ある実施形態において、酸性の固体状ゲル化水性電解質を作成する方法は、硫酸マンガン、HSO、硫酸アンモニウム、過マンガン酸カリウム、及び/又は硫酸を含む溶液へのアクリルアミドの添加を含み得る。アクリルアミドを含むゲル化剤は、溶液に添加され、約70~90℃の間の温度で少なくとも1時間、溶液が均質になるまで混合され得る。溶液が十分に混合された後、架橋剤及び開始剤は、溶液に添加され、溶液がゲル化するまで2~48時間の間、混合され得る。
【0089】
[0095] いくつかの実施形態において、セパレータはイオン選択性ゲルを含み、イオン選択性ゲルは、アイオノマ、バイポーラ膜、陽イオン交換膜、陰イオン交換膜、イオン選択特性をグラフトしたセロファン、イオン選択特性をグラフトしたポリビニルアルコール、セラミックセパレータ、NaSiCON、LiSiCON、又はそれらの任意の組み合わせを含む。
【0090】
[0096] 陽極液PGE及び陰極液PGEは、セパレータなしで使用され得るが、陰極液と陽極液の分離も、イオン選択セラミックセパレータ及び/又はポリマ膜を通して行われ得る。セロファンのようなセルロース系の膜も、陰極液と陽極液を分離するために使用され得る。例えば、LiSiCON及び/又はNaSiCONのようなセラミックセパレータは、陰極液と陽極液を分離するために使用され得る。別の例として、ナフィオンのような陽イオン交換特性を有するポリマ膜、及び/又は陰イオン交換膜は、陰極液と陽極液を分離するために使用され得る。ポリビニルアルコール(PVA)及び/又は架橋ポリビニルアルコール(C-PVA)も、陰極液と陽極液を分離するためにポリマセパレータとして使用され得る。セルロース系の膜、PVA、及びC-PVAは、陽イオン及び/又は陰イオン交換特性を付与し得るアイオノマによってグラフトされ得る。バイポーラ膜も、陰極液と陽極液の間のセパレータとして使用され得る。
【0091】
[0097] LiSiCON及びNaSiCONを含有するゲル又はポリマ膜は、セラミックセパレータの作成に使用される原料を使用することにより、PGE及び/又はアイオノマゲル化層の形成について本明細書に記載された手順を使用して作成され得る。
【0092】
[0098] 本明細書に開示される高電圧水性Znアノードバッテリにおいて使用されるカソード及びアノードは、広範囲の電流密度及び材料負荷で、理論容量の50~100%に有利に接近し得る。
【0093】
[0099] 最終的なセル又はバッテリの設計には、2つのPGEの混合を防止するセパレータ又はバッファ層を有する、酸性PGE陰極液を含むカソードと、アルカリ性PGE陽極液を含むアノードが使用され得る。二重電解質を有するバッテリは、電極の高い可逆性、及び改善又は最大の利用、ひいてはより高いエネルギー密度を可能にする。陽極液及び陰極液における大きく異なるアルカリ度及び酸性度の使用は、バッテリの平均放電を約3V以上に増加させることをさらに可能にする。
【0094】
[00100] いくつかの実施形態において、本明細書に開示される高電圧水性Znアノードバッテリは、エネルギーを生成するために使用され得る。例えば、エネルギーを生成する方法は、(i)本明細書に開示される高電圧水性Znアノードバッテリを放電電圧まで放電してエネルギーを生成し、放電中にZn電気活性材料のZnの少なくとも一部を酸化して、酸化亜鉛(例えば、ZnO)を形成することと、(ii)高電圧Znアノードバッテリを充電電圧まで充電し、充電中に酸化亜鉛の少なくとも一部を亜鉛に還元することと、を含んでよい。放電電圧は、約2V以上、あるいは約3V以上、あるいは約3.5V以上、あるいは約2V~約5V、あるいは約3V~約5V、あるいは約3.5V~約5Vであり得る。
【0095】
実施例
[00101] 主題を一般的に説明したが、以下の実施例は、本開示の特定の態様として与えられ、その実施及び利点、並びに本発明の好ましい態様及び特徴を実証するために含まれる。以下の実施例に開示される技術は、本発明の実施において十分に機能することが本発明者らによって発見された技術を表し、したがって、その実施のための好ましいモードを構成するとみなすことができることを当業者は理解すべきである。しかしながら、当業者は、本開示に照らして、開示された特定の態様において多くの変更を行うことができ、この開示の発明の範囲から逸脱することなく同様又は類似の結果を得ることができることを理解すべきである。実施例は実例として与えられ、何らかの方法で、追従する特許請求の範囲の明細書を限定することを意図するものではないことを理解されたい。
【0096】
実施例1
[00102] 角柱状の幾何学を有するバッテリの概略図を図1Aに示している。バッテリは、任意の幾何学的な形状因子のものであり得、柔軟でもあり得る。提供する用途に応じて、任意のサイズ(物理的及び容量(Ah))にスケールアップされ得る。図1Aは、高電圧水性Znアノードバッテリの概略図を示している。
【0097】
[00103] 二酸化マンガン(MnO)、より具体的には電解二酸化マンガン(EMD)をこの実施例におけるカソードとして選択した。従来の又は慣習的なアルカリMnO|ZnバッテリのOCVは、約1.6Vである。本明細書に開示される高電圧MnO|Zn水性バッテリにおいて、MnOの陰極液は16M硫酸であるように選択され、一方、Znの陽極液は51重量%の水酸化カリウム(KOH)であるように選択された。イオン選択膜としてナフィオン115膜を使用した。カソード混合物は、チタン集電体上に貼付された、80重量%のMnO、15重量%の膨張グラファイト、及び5重量%のテフロンで構成された。アノード混合物は、銅集電体上に貼付された、95重量%の金属Zn粉末、2重量%の水酸化インジウム及びポリエチレングリコール、並びに3重量%のテフロンで構成された。陰極液中のプロトン活性が高く、陽極液中のヒドロキシル活性が高いこのMnO|ZnバッテリのOCVは、図2に示すように、最初は3.45Vを示し、3時間以上の間、約3.4Vで安定した。図2は、高電圧水性二酸化マンガン(MnO)|亜鉛(Zn)バッテリの開回路電位(OCV)及び放電の開始を表示し、陰極液及び陽極液は、それぞれ16Mの硫酸及び50重量%の水酸化カリウムであり、このバッテリのOCVは約3.4Vであった。これは、特許又は学術文献においてこれまで報告されたMnO|Znバッテリに対して、最高のOCVである。放電時に、高電圧MnO|Zn水性バッテリは、図2に示すように、大きなオーミック電位降下を示さず、平均放電電位が3V超であった。
【0098】
実施例2
[00104] 別の高電圧MnO|Zn水性バッテリは、実施例1に記載のものと同様のカソード及びアノードの混合組成で作成された。実施例2のバッテリシステムにおける陰極液及び陽極液は、10Mの硫酸及び51重量%の水酸化カリウムであった。MnOの理論容量(2電子に基づく617mAh/g)は、面積容量(mAh/cm)を決定するために使用された。全ての実施例において報告された面積容量は、MnOの2電子容量、及びチタン集電体上に貼付されたその質量に基づいている。ナフィオン115は、このバッテリの膜としても使用された。このシステムの放電曲線を図3に示すが、このバッテリの平均放電電圧は、3.1Vと3.2Vの間であることがわかる。図3は、高電圧水性二酸化マンガン(MnO)|亜鉛(Zn)バッテリの放電曲線を表示しているが、陰極液及び陽極液は、それぞれ10Mの硫酸及び51重量%の水酸化カリウムであり、カソードの面積容量は、1mAh/cmであり、平均放電電圧は3.1V及び3.2Vの間であった。特許及び学術文献において初めて、平均放電電位が3.2V付近のMnO|Znバッテリが、この例に示されている。
【0099】
実施例3
[00105] 実施例2に提示されたものと同様の実験の詳細を有する別の高電圧MnO|Zn水性バッテリを作成した。このバッテリシステムの陰極液と陽極液は、それぞれ14Mの硫酸と35重量%の水酸化カリウムであった。図4に示すように、このバッテリの平均放電電圧も3.1Vと3.2Vの間であった。図4は、高電圧水性二酸化マンガン(MnO)|亜鉛(Zn)バッテリの放電曲線を表示しているが、陰極液及び陽極液は、それぞれ14Mの硫酸及び35重量%の水酸化カリウムであり、カソードの面積容量は、1.6mAh/cmであり、平均放電電圧は3.1V及び3.2Vの間であった。
【0100】
実施例4
[00106] カソードにおいてMnOが高充填であることを除いて、実施例2に提示されたものと同様の実験の詳細を有する高電圧MnO|Zn水性バッテリを作成した。このバッテリシステムの陰極液及び陽極液は、それぞれ3.2Mの硫酸マンガンが溶解した13.3Mの硫酸、及び51重量%の水酸化カリウムであった。このシステムの平均放電電圧は、図5に示されるように4mAh/cmのはるかに高い面積容量を除いて2.9Vと3Vの間であり、マンガン塩の添加により、システムの再充電性が向上した。図5は、高電圧水性二酸化マンガン(MnO)|亜鉛(Zn)バッテリの放電曲線を表示しているが、陰極液及び陽極液は、それぞれ、添加剤として3.2Mの硫酸マンガンを含む13.3Mの硫酸、及び51重量%の水酸化カリウムであり、カソードの面積容量は、4mAh/cmであり、平均放電電圧は2.9V及び3Vの間であった。
【0101】
実施例5
[00107] 実施例2に提示されたものと同様の実験の詳細を有する固体MnO|Znバッテリを作成した。固体バッテリはゲル化した陰極液及びゲル化した陽極液を有していた。ゲル化又は重合は、フリーラジカル重合プロセスによって行われた。陰極液の場合、3.2Mの酢酸マンガンを含む10Mの酸をアクリル酸とMBAの溶液に溶解した。この溶解した酸性溶液に、過硫酸カリウム開始剤を添加してゲル化プロセスを開始した。溶液を約50℃超~約70℃の温度に加熱した後、ゲル化は完了した。形成されたゲルは湿っており、物理的に頑丈であった。陽極液の場合、水酸化インジウムを溶解した51重量%の水酸化カリウム溶液を0℃に冷却した。この冷却した溶液にアクリル酸及びMBAを加え、内容物が溶解するまで撹拌した。アルカリ溶液を0℃の温度に維持した。その後、過硫酸カリウム開始剤を添加し、アルカリ溶液を室温付近に到達させることによってゲル化させた。形成されたゲルの完全性と構造は、それぞれ、陰極液及び陽極液の加熱と冷却のステップに大きく依存する。この固体高電圧MnO|ZnバッテリのOCVを測定し、図6に示すように、約3.05Vを7時間以上ロスなく記録した。図6は、固体高電圧水性二酸化マンガン(MnO)|亜鉛(Zn)バッテリの開回路電位を表示しているが、陰極液及び陽極液は、添加剤として3.2Mの酢酸マンガンを含む10Mの硫酸、及び水酸化インジウムを含む51重量%の水酸化カリウムでそれぞれゲル化され、バッテリは、7時間、電位が低下することはなく、非常に安定していた。これは、3Vを超える固体MnO|Zn水性バッテリの最初の実証である。
【0102】
実施例6
[00108] 実施例2に提示されたものと同様の実験の詳細を有する高電圧MnO|Znバッテリを作成した。このバッテリの陰極液は、電解質に50重量%の過硫酸ナトリウムを溶解した1Mの硝酸であった。このバッテリの平均放電電圧は、図7に示すように4mAh/cmの高面積容量で約2.92Vであった。図7は、高電圧水性二酸化マンガン(MnO)|亜鉛(Zn)バッテリの放電曲線を表示しているが、陰極液及び陽極液は、それぞれ、添加剤として50重量%の過硫酸ナトリウムを含む1Mの硝酸、及び51重量%の水酸化カリウムであり、カソードの面積容量は、4mAh/cmであり、平均放電電圧は2.92V付近であった。この実施例のデータは、バッテリの電位を高め、平坦な放電特性を得るために、より低いプロトン活性を有する電解質を過硫酸塩と共に使用し得ることを示している。
【0103】
追加の開示
[00109] 以下は、本開示の主題の特徴及び態様の組み合わせに対する追加の開示として提供される。
【0104】
[00110] 第1の態様は、高電圧亜鉛(Zn)アノードバッテリであって、カソード電気活性材料を含むカソードと、Zn電気活性材料を含むアノードと、陰極液がアノードと接触しておらず、カソードと接触している、プロトン活性が高い陰極溶液と、陽極液がカソードと接触しておらず、アノードと接触している、ヒドロキシル活性が高い陽極溶液と、イオン選択特性を有するセパレータと、を含む。
【0105】
[00111] 第2の態様は、第1の態様のバッテリであって、カソード電気活性材料は、二酸化マンガン(MnO)、酸化マンガン(Mn、Mn、MnO)、水酸化マンガン(MnOOH、Mn(OH))、酸化銀(AgO、AgO)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)、酸化ニッケル(NiO、Ni)、水酸化ニッケル(NiOOH、Ni(OH))、酸化コバルト(Co、CoO)、水酸化コバルト、鉛(Pb)、酸化鉛(PbO、PbO)、酸化銅、銅、水酸化銅、酸化鉄カリウム(KFeO)、酸化鉄バリウム(BaFeO)、ヘキサシアノ鉄酸銅、リン酸鉄リチウム、リチウムニッケルマンガンコバルト酸化物、リチウムマンガン酸化物(LiMn、LiMnO)、カリックス[4]キノン、1,4-ナフトキノン、9,10-アントラキノン、又はそれらの組み合わせを含む。
【0106】
[00112] 第3の態様は、第1の態様のバッテリであって、Zn電気活性材料を含有するアノード材料が、粉末、ホイル、メッシュ、発泡体、スポンジ、有孔ホイル、又はそれらの組み合わせである。
【0107】
[00113] 第4の態様は、第1の態様のバッテリであって、カソードは、カソード活物質と混合され、グラファイト、カーボンファイバ、カーボンブラック、アセチレンブラック、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、ニッケル又は銅被覆カーボンナノチューブ、単層カーボンナノチューブの分散液、多層カーボンナノチューブの分散液、グラフェン、グラフィン、酸化グラフェン、又はそれらの組み合わせを含む導電性炭素を含む。
【0108】
[00114] 第5の態様は、第1の態様のバッテリであって、カソードは、ビスマス、酸化ビスマス、酸化銅、銅、インジウム、水酸化インジウム、酸化インジウム、アルミニウム、酸化アルミニウム、ニッケル、水酸化ニッケル、酸化ニッケル、銀、酸化銀、コバルト、酸化コバルト、水酸化コバルト、鉛、酸化鉛、二酸化鉛、キノン、もしくはそれらの組み合わせを含んだ添加剤又はドーパントを含む。
【0109】
[00115] 第6の態様は、第1の態様のバッテリであって、カソードは、メチルセルロース(MC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPH)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ポリビニルアルコール、TEFLON(登録商標)、又はそれらの組み合わせを含んだ結合剤を含む。
【0110】
[00116] 第7の態様は、第1、第2、第4、第5、及び第6の態様のいずれかのバッテリであって、カソードは、炭素、鉛、ニッケル、鋼(例えば、ステンレス鋼など)、ニッケル被覆鋼、ニッケルメッキ銅、スズ被覆鋼、銅メッキニッケル、銀被覆銅、銅、マグネシウム、アルミニウム、スズ、鉄、白金、銀、金、チタン、ビスマス、チタン、冷間圧延鋼、半分ニッケルと半分銅、炭素発泡体、カーボンフェルト、ポリプロピレンメッシュ、又はそれらの任意の組み合わせを含んだ集電体上に押し付けられる。
【0111】
[00117] 第8の態様は、第7の態様のバッテリであって、集電体は、ホイル、メッシュ、有孔ホイル、発泡体、ハニカムメッシュ、スポンジ形状、又はそれらの任意の組み合わせである。
【0112】
[00118] 第9の態様は、第1、第2、第4、第5、及び第6の態様のいずれかのバッテリであって、カソードは、1~99重量%の電気活性材料、1~99重量%の導電性炭素、0~30重量%の添加剤、及び0~10重量%の結合剤を含む。
【0113】
[00119] 第10の態様は、第1及び第3の態様のいずれかのバッテリであって、アノード材料は、電気活性Znと混合された導電性炭素を含み、炭素は、グラファイト、カーボンファイバ、カーボンブラック、アセチレンブラック、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、ニッケル又は銅被覆カーボンナノチューブ、単層カーボンナノチューブの分散液、多層カーボンナノチューブの分散液、グラフェン、グラフィン、酸化グラフェン、又はそれらの組み合わせを含む。
【0114】
[00120] 第11の態様は、第1及び第3の態様のいずれかのバッテリであって、アノード材料は、ビスマス、酸化ビスマス、インジウム、酸化インジウム、水酸化インジウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、ドデシル硫酸ナトリウム、水酸化カルシウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、酸化亜鉛、又はそれらの組み合わせである、添加剤又はドーパントを含む。
【0115】
[00121] 第12の態様は、第1、第3、第10、及び第11の態様のいずれかのバッテリであって、アノード材料は、メチルセルロース(MC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPH)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ポリビニルアルコール、TEFLON(登録商標)、又はそれらの組み合わせである、結合剤を含む。
【0116】
[00122] 第13の態様は、第1、第3、第10、第11、及び第12の態様のいずれかのバッテリであって、アノード材料は、炭素、鉛、ニッケル、鋼(例えば、ステンレス鋼など)、ニッケル被覆鋼、ニッケルメッキ銅、スズ被覆鋼、銅メッキニッケル、銀被覆銅、銅、マグネシウム、アルミニウム、スズ、鉄、白金、銀、金、チタン、ビスマス、チタン、冷間圧延鋼、半分ニッケルと半分銅、炭素発泡体、カーボンフェルト、ポリプロピレンメッシュ、又はそれらの任意の組み合わせを含んだ集電体上に押し付けられる。
【0117】
[00123] 第14の態様は、第1、第3、第10、第11、及び第12の態様のいずれかのバッテリであって、アノードは、1~100重量%の電気活性Zn、0~10重量%の導電性炭素、0~30重量%の添加剤又はドーパント、及び0~10重量%の結合剤を含む。
【0118】
[00124] 第15の態様は、第1の態様のバッテリであって、プロトン活性の高い陰極液は、リン酸水素、重炭酸塩、アンモニウムカチオン、硫化水素、酢酸、フッ化水素、リン酸、硫酸、硝酸、塩酸、臭化水素、ヨウ化水素酸、トリフル酸、又はそれらの組み合わせを含む。
【0119】
[00125] 第16の態様は、第1及び第15の態様のいずれかのバッテリであって、陰極液への電解質添加剤は、硫酸マンガン、硫酸ニッケル、過マンガン酸カリウム、塩化マンガン、酢酸マンガン、トリフル酸マンガン、塩化ビスマス、硝酸ビスマス、硝酸マンガン、硫酸ニッケル、硝酸ニッケル、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、酢酸亜鉛、トリフル酸亜鉛、塩化インジウム、硫酸銅、塩化銅、硫酸鉛、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、バニリン、塩化カリウム、塩化ナトリウム、硝酸リチウム、塩化リチウム、炭酸リチウム、酢酸リチウム、トリフル酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、又はそれらの組み合わせを含む。
【0120】
[00126] 第17の態様は、第1の態様のバッテリであって、ヒドロキシル活性の高い陽極液は、アンモニア、メチルアミン、グリシン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化ルビジウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム、又はそれらの組み合わせを含む。
【0121】
[00127] 第18の態様は、第1の態様のバッテリであって、陽極液への電解質添加剤は、バニリン、水酸化インジウム、酢酸亜鉛、酸化亜鉛、臭化セチルトリメチルアンモニウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、エタノール、メタノール、グルコン酸亜鉛、グルコース、又はそれらの組み合わせを含む。
【0122】
[00128] 第19の態様は、第1、第15、第16、第17、及び第18の態様のいずれかのバッテリであって、陰極液及び陽極液がゲル化又は重合され得る。
【0123】
[00129] 第20の態様は、第1の態様のバッテリであって、セパレータは、アイオノマからなるイオン選択性ゲル、バイポーラ膜、陽イオン交換膜、陰イオン交換膜、イオン選択特性にグラフト化されたセロファン、イオン選択特性にグラフト化されたポリビニルアルコール、NaSiCONのようなセラミックセパレータ、LiSiCON、又はそれらの組み合わせを含む。
【0124】
[00130] 第21の態様は、高電圧亜鉛(Zn)アノードバッテリであって、カソード電気活性材料を含むカソードと、Zn電気活性材料を含んだアノード電気活性材料を含むアノードと、アノードと接触しておらず、カソードと接触している、pHが4未満である陰極液と、カソードと接触しておらず、アノードと接触している、pHが10を超える陽極液と、を含む。
【0125】
[00131] 第22の態様は、第21の態様のバッテリであって、陽極液と陰極液の間に配置されたセパレータをさらに含み、セパレータはイオン選択特性を有する。
【0126】
[00132] 第23の態様は、第21及び第22の態様のいずれかのバッテリであって、陽極液は第1のゲル電解質溶液を含み、陰極液は第2のゲル電解質溶液を含む。
【0127】
[00133] 第24の態様は、第21~第23の態様のいずれかのバッテリであって、カソード電気活性材料は、酸化マンガン、二酸化マンガン(MnO)、Mn、Mn、MnO;水酸化マンガン、MnOOH、Mn(OH);酸化銀、AgO、AgO;銀(Ag);ニッケル(Ni);ニッケル酸化物、NiO、Ni;水酸化ニッケル、NiOOH、Ni(OH);コバルト酸化物、Co、CoO;水酸化コバルト;鉛(Pb);酸化鉛、PbO、PbO;酸化銅;銅(Cu);水酸化銅;酸化鉄カリウム(KFeO);酸化鉄バリウム(BaFeO);ヘキサシアノ鉄酸銅;リン酸鉄リチウム;リチウムニッケルマンガンコバルト酸化物;リチウムマンガン酸化物、LiMn、LiMnO;カリックス[4]キノン;1,4-ナフトキノン;9,10-アントラキノン;及びそれらの任意の混合物のうちの少なくとも1つを含む。
【0128】
[00134] 第25の態様は、第21~第24の態様のいずれかのバッテリであって、カソードは導電性炭素を含み、導電性炭素は、カソード電気活性材料と混合され、グラファイト、カーボンファイバ、カーボンブラック、アセチレンブラック、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、ニッケル被覆カーボンナノチューブ、銅被覆カーボンナノチューブ、単層カーボンナノチューブの分散液、多層カーボンナノチューブの分散液、グラフェン、グラフィン、酸化グラフェン、及びそれらの組み合わせを含む。
【0129】
[00135] 第26の態様は、第21~第25の態様のいずれかのバッテリであって、カソードは添加剤及び/又はドーパントを含み、添加剤及び/又はドーパントは、ビスマス、酸化ビスマス、酸化銅、銅、インジウム、水酸化インジウム、酸化インジウム、アルミニウム、酸化アルミニウム、ニッケル、水酸化ニッケル、酸化ニッケル、銀、酸化銀、コバルト、酸化コバルト、水酸化コバルト、鉛、酸化鉛、二酸化鉛、キノン、又はそれらの組み合わせを含む。
【0130】
[00136] 第27の態様は、第21~第26の態様のいずれかのバッテリであって、カソードは結合剤を含み、結合剤は、メチルセルロース(MC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPH)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ポリビニルアルコール、TEFLON、又はそれらの組み合わせを含む。
【0131】
[00137] 第28の態様は、第21~第27の態様のいずれかのバッテリであって、カソードは、集電体上にプレスされたカソード材料を含み、集電体は、炭素、鉛、ニッケル、鋼、ステンレス鋼、ニッケル被覆鋼、ニッケルメッキ銅、スズ被覆鋼、銅メッキニッケル、銀被覆銅、銅、マグネシウム、アルミニウム、スズ、鉄、白金、銀、金、ビスマス、チタン、冷間圧延鋼、半分ニッケルと半分銅、ポリプロピレン、又はそれらの任意の組み合わせを含む。
【0132】
[00138] 第29の態様は、第28の態様のいずれかのバッテリであって、集電体は、ホイル、メッシュ、有孔ホイル、発泡体、フェルト、繊維、多孔質ブロック構造、ハニカムメッシュ、スポンジ形状、又はそれらの任意の組み合わせである。
【0133】
[00139] 第30の態様は、第21~第29の態様のいずれかのバッテリであって、カソードは、カソードの総重量に基づいて、1~99重量%のカソード電気活性材料、1~99重量%の導電性炭素、0~30重量%の添加剤及び/又はドーパント、及び0~10重量%の結合剤を含む。
【0134】
[00140] 第31の態様は、第21~第30の態様のバッテリであって、Zn電気活性材料は、粉末、ホイル、メッシュ、発泡体、スポンジ、有孔ホイル、又はそれらの組み合わせである。
【0135】
[00141] 第32の態様は、第21~第31の態様のいずれかのバッテリであって、アノードは導電性炭素を含み、導電性炭素は、Zn電気活性材料と混合され、炭素は、グラファイト、カーボンファイバ、カーボンブラック、アセチレンブラック、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、ニッケル被覆カーボンナノチューブ、銅被覆カーボンナノチューブ、単層カーボンナノチューブの分散液、多層カーボンナノチューブの分散液、グラフェン、グラフィン、酸化グラフェン、及びそれらの組み合わせを含む。
【0136】
[00142] 第33の態様は、第21~第32の態様のいずれかのバッテリであって、アノードは添加剤及び/又はドーパントを含み、添加剤及び/又はドーパントは、ビスマス、酸化ビスマス、インジウム、酸化インジウム、水酸化インジウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、ドデシル硫酸ナトリウム、水酸化カルシウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、酸化亜鉛、又はそれらの組み合わせを含む。
【0137】
[00143] 第34の態様は、第21~第33の態様のいずれかのバッテリであって、アノードは結合剤を含み、結合剤は、メチルセルロース(MC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPH)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ポリビニルアルコール、TEFLON、又はそれらの組み合わせを含む。
【0138】
[00144] 第35の態様は、第21~第34の態様のいずれかのバッテリであって、アノードは、集電体上にプレスされたアノード材料を含み、集電体は、炭素、鉛、ニッケル、鋼、ステンレス鋼、ニッケル被覆鋼、ニッケルメッキ銅、スズ被覆鋼、銅メッキニッケル、銀被覆銅、銅、マグネシウム、アルミニウム、スズ、鉄、白金、銀、金、ビスマス、チタン、冷間圧延鋼、半分ニッケルと半分銅、ポリプロピレン、又はそれらの任意の組み合わせを含む。
【0139】
[00145] 第36の態様は、第21~第35の態様のいずれかのバッテリであって、アノードは、アノードの総重量に基づいて、1~100重量%のZn電気活性材料、0~10重量%の導電性炭素、0~30重量%の添加剤及び/又はドーパント、及び0~10重量%の結合剤を含む。
【0140】
[00146] 第37の態様は、第21~第36の態様のいずれかのバッテリであって、陰極液は酸性電解質を含み、酸性電解質は、リン酸水素、重炭酸塩、アンモニウムカチオン、硫化水素、酢酸、フッ化水素、リン酸、硫酸、硝酸、塩酸、臭化水素、ヨウ化水素酸、トリフル酸、及びそれらの任意の混合物のうちの少なくとも1つを含む。
【0141】
[00147] 第38の態様は、第37の態様のバッテリであって、酸性電解質は、約0.1Mと約16Mの間の濃度で陰極液中に存在する。
【0142】
[00148] 第39の態様は、第21~第38の態様のいずれかのバッテリであって、陰極液は陰極液添加剤を含み、陰極液添加剤は、硫酸マンガン、硫酸ニッケル、過マンガン酸カリウム、塩化マンガン、酢酸マンガン、トリフル酸マンガン、塩化ビスマス、硝酸ビスマス、硝酸マンガン、硫酸ニッケル、硝酸ニッケル、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、酢酸亜鉛、トリフル酸亜鉛、塩化インジウム、硫酸銅、塩化銅、硫酸鉛、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、バニリン、塩化カリウム、塩化ナトリウム、硝酸リチウム、塩化リチウム、炭酸リチウム、酢酸リチウム、トリフル酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、及びそれらの任意の混合物のうちの少なくとも1つを含む。
【0143】
[00149] 第40の態様は、第21~第39の態様のいずれかのバッテリであって、陽極液はアルカリ電解質を含み、アルカリ電解質は、アンモニア、メチルアミン、グリシン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化ルビジウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム、及びそれらの任意の混合物のうちの少なくとも1つを含む。
【0144】
[00150] 第41の態様は、第40の態様のバッテリであって、アルカリ電解質は、陽極液の総重量に基づいて、20~60重量%の量で陽極液中に存在する。
【0145】
[00151] 第42の態様は、第21~第41の態様のいずれかのバッテリであって、陽極液は陽極液添加剤を含み、陽極液添加剤は、バニリン、水酸化インジウム、酢酸亜鉛、酸化亜鉛、臭化セチルトリメチルアンモニウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、エタノール、メタノール、グルコン酸亜鉛、グルコース、及びそれらの任意の混合物のうちの少なくとも1つを含む。
【0146】
[00152] 第43の態様は、第21~第42の態様のいずれかのバッテリであって、陰極液、陽極液、又はその両方は、ゲル化又は重合されている。
【0147】
[00153] 第44の態様は、第2の態様のバッテリであって、セパレータはイオン選択性ゲルを含み、イオン選択性ゲルは、アイオノマ、バイポーラ膜、陽イオン交換膜、陰イオン交換膜、イオン選択性にグラフト化されたセロファン、イオン選択性にグラフト化されたポリビニルアルコール、セラミックセパレータ、NaSiCON、LiSiCON、又はそれらの任意の組み合わせを含む。
【0148】
[00154] 第45の態様は、第21~第44の態様のいずれかのバッテリであって、約2V~約5Vの平均放電電位を特徴とする。
【0149】
[00155] 第46の態様は、第21~第45の態様のいずれかのバッテリであって、約3V以上の平均放電電位を特徴とする。
【0150】
[00156] 第47の態様は、高電圧亜鉛(Zn)アノードバッテリであって、カソード電気活性材料を含むカソードと、Zn電気活性材料を含んだアノード電気活性材料を含むアノードと、アノードと接触しておらず、カソードと接触している、pHが2未満である陰極液と、カソードと接触しておらず、アノードと接触している、pHが12を超える陽極液と、イオン選択特性を有し、陽極液と陰極液の間に配置されたセパレータと、を含む。
【0151】
[00157] 第48の態様は、第47の態様のバッテリであって、陰極液は酸性電解質を含み、酸性電解質は、リン酸水素、重炭酸塩、アンモニウムカチオン、硫化水素、酢酸、フッ化水素、リン酸、硫酸、硝酸、塩酸、臭化水素、ヨウ化水素酸、トリフル酸、及び任意の混合物のうちの少なくとも1つを含み、陰極液中に約1Mと約16Mの間の濃度で存在する。
【0152】
[00158] 第49の態様は、第47及び第48の態様のいずれかのバッテリであって、陽極液はアルカリ電解質を含み、アルカリ電解質は、アンモニア、メチルアミン、グリシン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化ルビジウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム、及びそれらの任意の混合物のうちの少なくとも1つを含み、陽極液の総重量に基づいて、30~55重量%の量で陽極液中に存在する。
【0153】
[00159] 第50の態様は、第47~第49の態様のいずれかのバッテリであって、約3V~約5Vの平均放電電位を特徴とする。
【0154】
[00160] 第51の態様は、高電圧亜鉛(Zn)アノードバッテリを形成する方法であって、pHが4未満である陰極液を、カソード電気活性材料を含んだカソードと接触して配置することと、pHが10を超える陽極液を、Zn電気活性材料を含んだアノードと接触して配置することと、セパレータ又はバッファ層のうち少なくとも1つを、カソードと接触していない陽極液とアノードと接触していない陰極液の間に配置することと、を含む。
【0155】
[00161] 第52の態様は、第51の態様の方法であって、陰極液、陽極液、アノード、カソード、及びセパレータ又はバッファ層をハウジング内に配置して、高電圧Znアノードバッテリを形成することをさらに含む。
【0156】
[00162] 第53の態様は、第51及び第52の態様のいずれかの方法であって、セパレータ又はバッファ層がイオン選択特性を有する。
【0157】
[00163] 第54の態様は、第51~第53の態様のいずれかの方法であって、陰極液は酸性電解質を含み、酸性電解質は、リン酸水素、重炭酸塩、アンモニウムカチオン、硫化水素、酢酸、フッ化水素、リン酸、硫酸、硝酸、塩酸、臭化水素、ヨウ化水素酸、トリフル酸、及び任意の混合物のうちの少なくとも1つを含み、約1Mと約16Mの間の濃度で陰極液中に存在する。
【0158】
[00164] 第55の態様は、第51~第54の態様のいずれかの方法であって、陽極液はアルカリ電解質を含み、アルカリ電解質は、アンモニア、メチルアミン、グリシン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化ルビジウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム、及びそれらの任意の混合物のうちの少なくとも1つを含み、陽極液の総重量に基づいて、30~55重量%の量で陽極液中に存在する。
【0159】
[00165] 第56の態様は、エネルギーを生成する方法であって、カソード電気活性材料を含むカソードと、放電中に少なくとも一部が酸化されて酸化亜鉛を形成するZnを含むZn電気活性材料を含んだアノード電気活性材料を含むアノードと、アノードと接触しておらず、pHが4未満である、カソードと接触している陰極液と、カソードと接触しておらず、pHが10を超える、アノードと接触している陽極液と、を含んだ高電圧亜鉛(Zn)アノードバッテリを放電電圧まで放電してエネルギーを生成すること、及び、高電圧Znアノードバッテリを充電電圧まで充電して、充電中に酸化亜鉛の少なくとも一部をZnに還元すること、を含む。
【0160】
[00166] 第57の態様は、第56の態様の方法であって、放電電圧が約3V以上である。
【0161】
[00167] 第58の態様は、第56及び第57の態様のいずれかの方法であって、陰極液は酸性電解質を含み、酸性電解質は、リン酸水素、重炭酸塩、アンモニウムカチオン、硫化水素、酢酸、フッ化水素、リン酸、硫酸、硝酸、塩酸、臭化水素、ヨウ化水素酸、トリフル酸、及び任意の混合物のうちの少なくとも1つを含み、約1Mと約16Mの間の濃度で陰極液中に存在する。
【0162】
[00168] 第59の態様は、第56~第58の態様のいずれか1つの方法であって、陽極液はアルカリ電解質を含み、アルカリ電解質は、アンモニア、メチルアミン、グリシン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化ルビジウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム、及びそれらの任意の混合物のうちの少なくとも1つを含み、陽極液の総重量に基づいて、30~55重量%の量で陽極液中に存在する。
【0163】
[00169] 本明細書では、図を参照して実施形態を説明する。しかしながら、システム及び方法がそれらの限定された実施形態を超えているため、それらの図に関して本明細書で与えられる詳細な記載が説明目的のためであることは、当業者に明らかであろう。例えば、当然のことながら、当業者は、本明細書に記載の教示に照らし、特定の用途の必要性に応じて、多数の代替且つ適切なアプローチを認識し、記載され示される以下の実施形態における特定の実装の選択を超えて、本明細書に記載されたいかなる所与の詳細の機能をも実施する。すなわち、リスト表示するには多すぎるが、全てが本明細書の記載の範囲内に収まる、多数の修正及び変形が存在する。また、単数形は複数形を含むと解釈されるべきであり、その逆も同様であり、男性形は女性形を含むと解釈されるべきであり、その逆も同様であり、適切な、且つ代替の実施形態は、必ずしも、その2つが相互に排他的であることを意味しない。
【0164】
[00170] 本明細書に記載された特定の方法論、化合物、材料、製造技術、使用、及び用途は変化してもよく、本明細書の記載は、それらに限定されないことをさらに理解されたい。本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を記載する目的でのみ使用され、本システム及び方法の範囲の限定を意図するものではないことも理解されたい。本明細書及び添付の特許請求の範囲(本出願又はその派生出願)で使用される場合、文脈により明確に別段に規定されない限り、単数形「a」、「an」、及び「the」は複数形の言及を含むことに留意されたい。したがって、例えば、「an element(要素)」の言及は、1つ以上の要素の言及であり、当業者に知られるその同等物を含む。使用される全ての接続詞は、可能な限り最も包括的な意味で理解されるべきである。したがって、「又は」という単語は、文脈により明確に別段に必要とされない限り、「排他的論理和」ではなく、「論理和」の定義を有すると理解されるべきである。本明細書に記載の構造は、そのような構造の機能的同等物を言及することも理解されるべきである。近似を表すと解釈され得る言語は、文脈により明確に別段に規定されない限り、そのように理解されるべきである。
【0165】
[00171] 別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、この記載が属する技術分野において通常の知識を有するものによって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載されているものと類似又は同等のいかなる方法、技術、デバイス、又は材料が、本システム及び方法の実施又は試験に使用され得るが、好ましい方法、技術、デバイス、及び材料が記載されている。本明細書に記載の構造は、そのような構造の機能的同等物を言及することも理解されるべきである。本システム及び方法が、添付の図面に示されるように、その実施形態を参照して詳細に記載される。
【0166】
[00172] 本開示の解釈から、他の変形及び修正が当業者には明らかであろう。このような変形及び修正は、当技術分野で既に知られ、本明細書で既に記載された特徴の代わりに又はそれに加えて使用され得る、同等の及び他の特徴を含んでよい。
【0167】
[00173] 特許請求の範囲は、本出願又はそれから派生する任意のさらなる出願において、特徴の特定の組み合わせに対して定式化され得るが、本開示の範囲はまた、それがいずれかの請求項において現在請求されているのと同じシステム又は方法に関連するかどうか、及びそれが本システム及び方法と同じ技術課題の一部又は全部を軽減するかどうかに関わらず、本明細書に明示的もしくは暗黙的に開示される任意の新規の特徴もしくは任意の新規の特徴の組み合わせ、又はその任意の一般化も含むことを理解すべきである。
【0168】
[00174] 別々の実施形態の文脈で記載される特徴は、単一の実施形態において組み合わせて提供されてもよい。逆に、簡潔さのため、単一の実施形態の文脈で記載される様々な特徴は、別々に又は任意の適切な副組み合わせで提供されてもよい。出願人は、本出願又はそれから派生したさらなる任意の出願の審査中に、このような特徴及び/又はこのような特徴の組み合わせに対して新たな請求項が定式化され得ることをここに通知する。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】