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特表2023-521863太陽電池用金属電極、その製造方法及びマスク
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-25
(54)【発明の名称】太陽電池用金属電極、その製造方法及びマスク
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/0224 20060101AFI20230518BHJP
【FI】
H01L31/04 260
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022562499
(86)(22)【出願日】2021-04-23
(85)【翻訳文提出日】2022-10-12
(86)【国際出願番号】 CN2021089331
(87)【国際公開番号】W WO2021218817
(87)【国際公開日】2021-11-04
(31)【優先権主張番号】202010337111.7
(32)【優先日】2020-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522400560
【氏名又は名称】隆基緑能科技股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】LONGI GREEN ENERGY TECHNOLOGY CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】候 良▲ゴン▼
【テーマコード(参考)】
5F151
【Fターム(参考)】
5F151AA02
5F151AA05
5F151CB15
5F151CB21
5F151CB27
5F151FA06
5F151GA04
(57)【要約】
太陽電池用金属電極、その製造方法及びマスクを提供する。本発明の太陽電池用金属電極の製造方法は、所望の電極形状に従って高分子薄膜をレーザーでエッチングし、マスクを製造するステップと、マスクを基板上に固定して、物理蒸着方法によってマスク上に金属膜をめっきし、基板上に所望の形状の金属電極又は電極シード層を成長させるステップとを含む。本発明の方法は、作製コストが低く、製造された電極は、導電率が高く、遮光面積が小さく、光電変換率が高い。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所望の電極形状に従って高分子薄膜をレーザーでエッチングし、マスクを製造するステップと、
マスクを基板上に固定して、物理蒸着方法によってマスク上に金属膜をめっきし、基板上に所望の形状の金属電極又は電極シード層を成長させるステップと、を含む太陽電池用金属電極の製造方法。
【請求項2】
前記高分子薄膜の厚さが1μm~500μmである請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
マスクを製造する工程は、超高速レーザーを用いて高分子薄膜に所望の電極形状のスリットを製造することを含む請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
前記スリットの幅が1μm~1000μmであり、
具体的には、結晶シリコン太陽電池のフィンガー又は通常のグリッド線を製造する場合、スリットの幅が好ましくは1μm~100μmであり、さらに好ましくは1μm~20μmであり、結晶シリコン太陽電池のバスバーを製造する場合、スリットの幅が好ましくは100μm~500μmである請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
前記基板は太陽電池セル又は他の膜板である請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
マスクを基板上に固定する方法は、両面テープ、接着剤、固定スロット、スライドステージのうちの1種又は複数種の組み合わせを採用する方式を含む請求項1に記載の製造方法。
【請求項7】
使用される金属は単一の金属、合金、複数の金属の重ね合わせ、金属と合金の重ね合わせ、又は合金と合金の重ね合わせを含み、
選択的に、物理蒸着方法により金属を堆積する前に、一層の非金属膜を緩衝層として予め堆積するステップをさらに含む請求項1に記載の製造方法。
【請求項8】
太陽電池セル上に所望の形状の金属電極を成長させた後、マスクを除去するステップをさらに含む、請求項1前記の製造方法。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の製造方法によって金属電極を製造する工程を含む太陽電池の製造方法。
【請求項10】
所望の電極形状に従って高分子薄膜をレーザーでエッチングすることにより製造されるマスク。
【請求項11】
高分子薄膜に電極形状のスリットを有するものであり、前記高分子薄膜は、
(1)高分子薄膜の材質はポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリオレフィン薄膜(PO)、ポリイミド(PI)、ポリ塩化ビニル(PVC)のうちの1種又は複数種であること、及び/又は
(2)高分子薄膜は粘着性を有すること、のうちの1つ又は複数の特徴を有するマスク。
【請求項12】
前記スリットの幅が1μm~1000μmである請求項11に記載のマスク。
【請求項13】
前記スリットの幅が1μm~100μmであり、好ましくは1μm~20μmであり、
結晶シリコン太陽電池のフィンガー又は通常のグリッド線を製造するためのものである請求項12に記載のマスク。
【請求項14】
前記スリットの幅が100μm~500μmであり、
結晶シリコン太陽電池のバスバーを製造するためのものである請求項12に記載のマスク。
【請求項15】
前記高分子薄膜の厚さが1μm~500μmである請求項10又は11に記載のマスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は太陽電池用金属電極、その製造方法、及び前記製造方法に使用されるマスクに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池は太陽光エネルギーを電気エネルギーに変換することができ、クリーンエネルギーの重要な供給源である。電極は太陽電池の重要な構成部品であり、主に線幅が100μm以下のアレイグリッド構造である。
【0003】
現在、太陽電池用電極の製造には、銀ペーストをスクリーン印刷するプロセスを採用するのが一般的であり、得られた電極の線幅は30μm以上である。銀ペーストは、銀を主成分とするので、コストが高く、また、導電率が金属銀よりもはるかに低いので、所定の導電率を得るためには、比較的太い電極グリッド線が必要となり、その結果として、より多くの原材料が必要であり、コストがさらに増加し、かしも、電極が太い場合、より多くの太陽光が遮断されてしまう。また、薄膜太陽電池用電極を印刷する場合、印刷面積が0.72m以上であり、歩留まりが低く、設備やプロセスへの要件が高くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的の1つは電極の新しい製造方法を提供することである。
【0005】
本発明の別の目的は製造された金属電極を提供することである。
【0006】
本発明の別の目的は前記金属電極を備える太陽電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一つの態様では、本発明は、
所望の電極形状に従って高分子薄膜をレーザーでエッチングし、マスクを製造するステップと、
マスクを基板上に固定して、物理蒸着(PVD)方法によってマスク上に金属膜をめっきし、基板上に所望の形状の金属電極又は電極シード層を成長させるステップとを含む太陽電池用金属電極の製造方法を提供する。
【0008】
本発明の具体的な実施形態によれば、本発明の太陽電池用金属電極の製造方法においては、前記高分子薄膜の材質はポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリオレフィン薄膜(PO)、ポリイミド(PI)、ポリ塩化ビニル(PVC)、又は厚さが要件を満たしている他の高分子薄膜である。高分子薄膜は粘着性を有しない薄膜であってもよいし、粘着性を有する高分子薄膜、すなわち、いわゆる粘着テープであってもよい。
【0009】
本発明の具体的な実施形態によれば、本発明の太陽電池用金属電極の製造方法においては、前記高分子薄膜の厚さが1μm~500μmである。
【0010】
本発明の具体的な実施形態によれば、本発明の太陽電池用金属電極の製造方法においては、マスクを製造する工程は、超高速レーザー(パルス幅がps~fsオーダーのレーザー)を用いて高分子薄膜に所望の電極形状のスリットを製造することを含む。本発明の方法を用いることにより、微細に加工された高分子薄膜マスクが製造され得る。
【0011】
本発明の具体的な実施形態によれば、本発明の太陽電池用金属電極の製造方法においては、レーザーエッチングされた高分子薄膜のスリットの幅(即ち、製造された電極線の幅)が1μm~1000μmである。具体的には、結晶シリコン太陽電池のフィンガー又は通常のグリッド線を製造する場合、スリットの幅が好ましくは1μm~100μmであり、さらに好ましくは1μm~20μmであり、結晶シリコン太陽電池のバスバーを製造する場合、スリットの幅が好ましくは100μm~500μmである。スリットの具体的な幅は、具体的には、所望の電極形状に応じて決定されてもよい。スリット長さは電池の電極設計に応じて決定される。
【0012】
本発明の具体的な実施形態によれば、本発明の太陽電池用金属電極の製造方法においては、前記基板は太陽電池セルであってもよい。マスクを太陽電池セルに固定して、PVD方法によってマスク上に金属膜をめっきして、太陽電池セル上に所望の形状の金属電極を直接成長させる。前記基板は他の膜板(ここでの他の膜板とは、マスクとは異なる別の膜板を指す)であってもよい。基板上に金属電極をめっきした後に、太陽電池に転写して太陽電極とする。例えば、プラスチップ薄膜(完全な平面を有するものであればよく、例えば透明PET薄膜であってもよい)上に電極を成長させ、次に、電極を備えた薄膜を直接反転して太陽電池に付けることによって、太陽電池用電極を作製するという目的も達成できる。
【0013】
本発明の具体的な実施形態によれば、本発明の太陽電池用金属電極の製造方法においては、高分子薄膜マスクを基板上に固定する方法は、両面テープ、接着剤、固定スロット、スライドステージのうちの1種又は複数種の組み合わせを採用する方式を含む。マスクには粘着性を有する粘着テープが使用される場合、固定方法は直接粘着することであってもよい。
【0014】
本発明では、前記太陽電池セルは、1つ又は複数のPN接合が製造されて、光起電力効果を発生できるデバイスの総称である。
【0015】
本発明の具体的な実施形態によれば、本発明の太陽電池用金属電極の製造方法においては、物理蒸着方法によってマスク上に金属膜をめっきする際に、PVD方法は単一のPVDプロセス又は複数のPVDプロセスを組み合わせた方法を含む。
【0016】
本発明の具体的な実施形態によれば、本発明の太陽電池用金属電極の製造方法においては、使用される金属は単一の金属、合金、複数種の金属の重ね合わせ、金属と合金の重ね合わせ、又は合金と合金の重ね合わせを含む。
【0017】
本発明の具体的な実施形態によれば、本発明の太陽電池用金属電極の製造方法においては、選択的に、PVDにより金属を堆積する前に、一層の非金属膜を緩衝層として予め堆積し、また、この緩衝層を追加しなくてもよい。
【0018】
本発明の具体的な実施形態によれば、本発明の太陽電池用金属電極の製造方法においては、太陽電池セル上に所望の形状(即ち、マスクのスリットと形状がほぼ一致する細い線)の金属電極を成長させた後、マスクを除去するようにしてもよい。
【0019】
本発明の製造方法では、導電の要件を満たしている電極を直接製造して使用してもよいし、導電の要件にまだ達していない電極を電極シード層として製造した後、電気めっきなどの非真空プロセス、すなわち、より低価なプロセスによって、完全な電極を製造し続けてもよい。
【0020】
別の態様では、本発明は、また、上記の方法によって製造された金属電極を提供する。本発明で製造される電極は、直接使用してもよいし、電極シード層としてもよい。
【0021】
別の態様では、本発明は、また、上記の方法で製造される金属電極を備える太陽電池を提供する。
【0022】
別の態様では、本発明は、また、本発明の前記太陽電池用金属電極の製造方法によって金属電極を製造する工程を含む太陽電池の製造方法を提供する。
【0023】
別の態様では、本発明は、また、所望の電極形状に従って高分子薄膜をレーザーでエッチングすることによって製造されるマスクを提供する。
【0024】
本発明では、低価な高分子薄膜をマスクとして、レーザーによってスクライブすることで、細く(例えば1~20μmの任意の幅)かつ正確で制御可能なスリットを有するマスクを製造して、電極の製造に供することができる。
【0025】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、本発明は、高分子薄膜に電極形状のスリットを有するものであるマスクを提供する。即ち、本発明のマスクは、電極形状のスリットが形成された高分子薄膜である。
【0026】
本発明のいくつかの実施形態では、本発明のマスクにおいては、前記高分子薄膜は、
(1)高分子薄膜の材質はポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリオレフィン薄膜(PO)、ポリイミド(PI)、ポリ塩化ビニル(PVC)のうちの1種又は複数種であること、及び/又は
(2)高分子薄膜は粘着性を有すること、のうちの1つ又は複数の特徴を有してもよい。
【0027】
本発明のいくつかの実施形態では、マスクである高分子薄膜は粘着性を有するものであり、その粘着性は高分子薄膜自体の性能であってもよく、高分子薄膜の表面に粘着層を追加したものであってもよい。高分子薄膜の粘着性を有する面は高分子薄膜マスクを基板上に粘着固定することに用いられてもよい。
【0028】
本発明のいくつかの実施形態では、本発明のマスクにおいては、前記スリットの幅が1μm~1000μmである。
【0029】
本発明のいくつかの実施形態では、本発明のマスクにおいては、前記スリットの幅が1μm~100μmであり、好ましくは1μm~20μmであり、該マスクは、結晶シリコン太陽電池のフィンガー又は通常のグリッド線を製造するためのものである。
【0030】
本発明のいくつかの実施形態では、本発明のマスクにおいては、前記スリットの幅が100μm~500μmであり、該マスクは、結晶シリコン太陽電池のバスバーを製造するためのものである。
【0031】
本発明のいくつかの実施形態では、本発明のマスクにおいては、その厚さが高分子薄膜の厚さであり、1μm~500μmであってもよい。
【発明の効果】
【0032】
前記の通り、本発明は、以下の特徴を有する太陽電池用金属電極の製造方法を提供する。
1、作製コストは低い。本発明に使用されるマスクでは、レーザー製造プロセス及びPVDプロセスのコストは低い。
2、製造された電極の導電率は高い。使用される金属の導電率は銀ペーストの導電率よりも高い。
3、遮光面積はより小さい。レーザーで製造されたスリットは、1~20μm、さらに1~10μmと細くされてもよく、従来の印刷プロセス(30μm~80μm)によるものよりも細く、遮光面積がより小さく、効率がより高く、そして、正確で制御可能である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】実施例1の高分子薄膜マスクの概略図である。
図2】実施例1においてマスクを太陽電池セルに固定したときの概略図である。
図3】実施例2の高分子薄膜マスクの概略図である。
図4】実施例2においてマスクを太陽電池セル上に固定したときの概略図である。
図5】実施例3の高分子薄膜マスクの概略図である。
図6】実施例3においてマスクを太陽電池セル上に固定したときの概略図である。
図7】実施例3において本発明で製造された電極を太陽電池に集積したときの概略図である。
図8】実施例4の高分子薄膜マスクの概略図である。
図9】実施例4においてマスクを太陽電池セル上に固定したときの概略図である。
図10】実施例4において本発明で製造された電極を太陽電池に集積したときの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明の技術的特徴、目的及び有益な効果をより明確に理解するために、以下、本発明の技術的解決手段を詳細に説明するが、本発明の実施可能な範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0035】
<実施例1>HIT太陽電池用電極のフィンガーの製造
本実施例は、以下のステップ(1)~(5)を含むHIT太陽電池のフィンガー電極の製造方法を提供する。
(1)レーザーによって高分子薄膜マスクを製造し、具体的には、厚さが30μmであるPET又はPIプラスチップ薄膜において間隔が2mm、幅が20μmであるスリットをレーザーによってカットし、図1に示すPET又はPI薄膜マスク10を得る。スリットの形状は必要に応じて決定される。
(2)図2に示すように、マスク10を透明導電膜が製造されたHIT太陽電池セル20の上に両面テープで固定し、ただし、両面テープはステップ(1)の前記スリットを避けなければならない。
(3)物理蒸着(PVD)方法によって膜をめっきして、金属電極を製造し、具体的には、まず、マグネトロンスパッタリング方法によって厚さが20nmであるニッケルをめっきした後、蒸発方法によって厚さが8μmであるアルミニウムをめっきする。
(4)PET又はPI薄膜を剥離すると、間隔が2mm、線幅が20μm、高さが8μmである電極グリッド線を得る。
(5)電池セルの他方の面にステップ(1)~(4)を繰り返して、他方の面の電極グリッド線を得る。
【0036】
本実施例の電極は、銀ペーストをスクリーン印刷するプロセスよりもはるかに低価であり、また、20μmのグリッド線は従来技術によるグリッド線よりも狭く、これにより、太陽光への遮断を減らして、太陽電池の転化効率を向上させる。
【0037】
166mmのシリコンウエハを例とすると、従来技術における電極プロセスと本発明で製造される電極を比較した結果、
(1)コストの比較
従来技術におけるプロセス:フィンガーの銀ペーストの使用量が92~125mgであり、銀ペーストの単価が4800~5500CNY/kgであり、コストが約0.5CNY/枚であり;
本発明の技術:厚さが30μmであるPET膜のコストは、0.1CNY/枚(厚さが30μmであるPI膜のコストが0.12CNY/枚であり、注:PIは高温に強く、変形が小さく、繰り返して使用可能であり、5回で計算する)であり、Alは、使用量(損耗も含める)が2.8gであり、1.7CNY/kgであり、0.05CNY/枚であり、接着剤とレーザーとの合計は0.03CNY/枚であり、全体の合計は0.18CNY/枚(又はPI膜の場合は0.20CNY/枚)である。
(2)遮光面積の比較
従来技術におけるプロセス:フィンガーが40μmであり、間隔が1.7mmであり、遮光率が2.35%であり;
本発明の技術:フィンガーが20μmであり、間隔が2.0mmであり、遮光率が1.0%である。
【0038】
上記の比較から、本発明は従来技術よりも遮光を57%減らし、また、コストを60%削減できることが分かった。
【0039】
<実施例2>HIT太陽電池用電極(フィンガー+バスバー)の製造
本実施例は、以下のステップ(1)~(5)を含むHIT太陽電池用電極の製造方法を提供する。
(1)レーザーによって高分子薄膜マスクを製造し、具体的には、厚さが35μmであって、自体に粘性を持つPOプラスチップ薄膜において、図3に示すパターンを持つ、電極に所望のスリットをレーザーによってカットし、図3に示すようなPO薄膜マスク30を得る。
(2)図4に示すように、マスク30を透明導電膜が製造されたHIT太陽電池セル40上に粘着する。
(3)物理蒸着(PVD)方法によって膜をめっきして、金属電極を製造し、具体的には、まず、マグネトロンスパッタリング方法によって厚さが20nmであるニッケルをめっきした後、蒸発方法によって厚さが8μmであるアルミニウムをめっきする。
(4)PO薄膜を剥離すると、間隔が2mm、線幅が20μm、高さが8μmであるフィンガー、及び、33mmごとに幅が300um、高さが8umであるバスバー1本を得る。
(5)電池セルの他方の面にステップ(1)~(4)を繰り返して、他方の面の電極グリッド線を得る。
本実施例の電極は、銀ペーストをスクリーン印刷するプロセスよりも遥かに低価であり、また、20μmのフィンガー、300μmのバスバーは、全て従来技術によるグリッド線よりも狭く、これにより、太陽光への遮断を減らして、太陽電池の転化効率を向上させる。
【0040】
166mmのシリコンウエハを例とすると、従来技術における電極プロセスと本発明で製造される電極を比較した結果、
(1)コストの比較
従来技術におけるプロセス:フィンガーの銀ペーストの使用量が165~180mgであり、銀ペーストの単価が4800~5500CNY/kgであり、コストが約0.85CNY/枚であり;
本発明技術:厚さが35μmであるPO膜のコストは、0.18CNY/枚であり、Alは、使用量(損耗も含める)が2.8gであり、1.7CNY/kgであり、0.05CNY/枚であり、レーザーは0.01CNY/枚であり、全体の合計は0.26CNY/枚である。
(2)遮光面積の比較
従来技術におけるプロセス(5BB):フィンガーが40μmであり、間隔が1.7mmであり、バスバーが0.7mmであり、間隔が33mmであり、遮光率が4.5%であり;
本発明の技術:フィンガーが20μmであり、間隔が2.0mmであり、バスバーが0.3mmであり、間隔が33mmであり、遮光率が1.9%である。
【0041】
上記の比較から、本発明は従来技術よりも遮光を58%減らし、また、コストを70%削減できることが分かった。
【0042】
<実施例3>薄膜太陽電池用電極の製造
本実施例は、以下のステップ(1)~(5)を含む薄膜太陽電池(テルル化カドミウム太陽電池、銅・インジウム・ガリウム・セレン太陽電池、ペロブスカイト太陽電池)用電極の製造方法を提供する。
(1)レーザーによって高分子薄膜マスクを製造し、具体的には、厚さが65μmであって、自体に粘性を持つPVCプラスチップ薄膜において、間隔が4mmであり、幅が80μmであり、図5に示すパターンのスリットをレーザーによってカットし、図5に示すPVC薄膜マスク50を得る。
(2)図6に示すように、マスク50を厚さが100μmであるPET薄膜60上に粘着する。
(3)物理蒸着(PVD)方法によって膜をめっきして、金属電極を製造し、具体的には、まず、マグネトロンスパッタリング方法によって厚さが20nmであるニッケルをめっきした後、蒸発方法によって厚さが2μmである銅をめっきし、次に、マグネトロンスパッタリング方法によって厚さが20nmであるニッケルをめっきする。
(4)PVC薄膜を剥離すると、PET膜上に成長させた間隔が4mm、線幅が80μm、高さが2μmである電極を得る。
(5)ステップ(4)で得られたPET薄膜60上に成長させた電極70を、電極70の一方側が太陽電池に面するように、透明導電膜層がめっきされた薄膜太陽電池80上に貼り付ける。そうすると、図7に示すように、電極の製造を完了する。後続のラミネートなどのプロセスによって、電極は電池の表面に貼り付けられる。
【0043】
本実施例の電極は以下の利点がある。
a.電極をPET薄膜に成長させた後、逆様にして電池の表面に貼り付けることによって、電極プロセスの不良によるモジュール全体の廃棄を削減することができ、特に薄膜太陽電池用電極の製造に適している。結晶シリコン太陽電池の長さと幅の両方が166mmであるサイズに対して、薄膜太陽電池は、サイズが600mm、幅が1200mmであり、又はそれよりも大きい基板上に電極を製造する必要があり、サイズが大きいほど、製造の歩留まりが低い。
b.コストは銀ペーストをスクリーン印刷するプロセスのコストよりも低い。
【0044】
<実施例4>
まず、電極シード層を作製し、次に、非真空プロセスによって電極を製造する。
本実施例は、まず、電極シード層を作製し、次に、非真空プロセスによって電極を製造する方法を提供し、当該方法はステップ(1)~(6)を含む。
(1)レーザーによって高分子薄膜マスクを製造し、具体的には、厚さが65μmであって、自体に粘性を持つPVCプラスチップ薄膜において、間隔が2mmであり、幅が30μmであり、図8に示すパターンのスリットをレーザーによってカットし、図8に示すPVC薄膜マスク90を得る。
(2)図9に示すように、マスク90を厚さが100μmであるPO薄膜100上に粘着する。
(3)物理蒸着(PVD)方法によって膜をめっきし、金属電極シード層を製造し、具体的には、マグネトロンスパッタリング方法によって厚さが200nmである銅をめっきする。
(4)PVC薄膜を剥離すると、PO膜上に成長させた間隔が2mm、線幅が30μm、高さが200nmである電極シード層を得る。
(5)電気めっきプロセスによってステップ(4)で得られた電極シード層上に膜を3μm高さまでめっきし続ける。
(6)ステップ(5)で得られたPO薄膜100上に成長させた電極110を、電極110の一方側が太陽電池に面するように、透明導電膜層がめっきされた薄膜太陽電池又はHIT電池120上に貼り付ける。そうすると電極を製造する。図10に示すように、後続のラミネートなどのプロセスによって、電極は電池の表面に貼り付けられる。
【0045】
本実施例の電極は以下の利点がある。
a.非真空電気めっきプロセスは低温プロセスであり、電極の成長を効率的に実施できる。
b.コストは銀ペーストをスクリーン印刷するプロセスのコストよりも低い。
【0046】
以上は本発明の好適な実施例に過ぎず、他のタイプの太陽電池に適用されてもよく、これは本発明を制限するものではなく、本発明の主旨及び原則内で行われる全ての修正、同等置換や改良などは全て本発明の保護範囲に含まれるものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】