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特表2023-521870改変IL-12及びIL-23ポリペプチドとその使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-25
(54)【発明の名称】改変IL-12及びIL-23ポリペプチドとその使用
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/24 20060101AFI20230518BHJP
   C07K 14/54 20060101ALI20230518BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20230518BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20230518BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20230518BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20230518BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20230518BHJP
   C12P 21/02 20060101ALI20230518BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20230518BHJP
   C07K 16/00 20060101ALI20230518BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20230518BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20230518BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20230518BHJP
   C07K 14/76 20060101ALI20230518BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230518BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20230518BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20230518BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20230518BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20230518BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20230518BHJP
   A61P 7/06 20060101ALI20230518BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20230518BHJP
   A61P 21/04 20060101ALI20230518BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20230518BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20230518BHJP
   A61P 17/14 20060101ALI20230518BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20230518BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20230518BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20230518BHJP
   A61P 1/18 20060101ALI20230518BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230518BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20230518BHJP
   A61K 38/20 20060101ALI20230518BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20230518BHJP
   A61K 35/12 20150101ALI20230518BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20230518BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20230518BHJP
【FI】
C12N15/24 ZNA
C07K14/54
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12P21/02 C
C07K19/00
C07K16/00
C12N15/13
C12N15/62 Z
C12N15/12
C07K14/76
A61P35/00
A61P37/02
A61P31/00
A61P29/00 101
A61P19/02
A61P3/10
A61P7/06
A61P1/04
A61P21/04
A61P13/12
A61P1/16
A61P17/14
A61P17/06
A61P17/00
A61P25/00
A61P1/18
A61P43/00 121
A61K45/00
A61K38/20
A61K31/7088
A61K35/12
A61K48/00
A61P35/02
A61P43/00 111
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022562584
(86)(22)【出願日】2021-04-16
(85)【翻訳文提出日】2022-12-12
(86)【国際出願番号】 US2021027838
(87)【国際公開番号】W WO2021212083
(87)【国際公開日】2021-10-21
(31)【優先権主張番号】63/150,451
(32)【優先日】2021-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/011,742
(32)【優先日】2020-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503115205
【氏名又は名称】ザ ボード オブ トラスティーズ オブ ザ レランド スタンフォード ジュニア ユニバーシティー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 達則
(72)【発明者】
【氏名】ケナン クリストファー ガルシア
(72)【発明者】
【氏名】ケイレブ アール.グラスマン
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4C084
4C086
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG03
4B064CA19
4B064CC24
4B064DA01
4B065AA01X
4B065AA57X
4B065AA72X
4B065AA87X
4B065AA90Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065AC20
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA44
4C084AA02
4C084AA03
4C084AA13
4C084AA19
4C084BA44
4C084DA12
4C084MA02
4C084NA14
4C084ZA01
4C084ZA55
4C084ZA66
4C084ZA81
4C084ZA89
4C084ZA94
4C084ZA96
4C084ZB07
4C084ZB11
4C084ZB15
4C084ZB26
4C084ZB27
4C084ZB31
4C084ZC35
4C084ZC41
4C084ZC751
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA16
4C086MA03
4C086MA05
4C086NA14
4C086ZA01
4C086ZA55
4C086ZA66
4C086ZA81
4C086ZA89
4C086ZA94
4C086ZA96
4C086ZB07
4C086ZB11
4C086ZB15
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZB31
4C086ZC35
4C086ZC41
4C086ZC75
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB63
4C087MA02
4C087NA14
4C087ZA01
4C087ZA55
4C087ZA66
4C087ZA81
4C087ZA89
4C087ZA94
4C087ZA96
4C087ZB07
4C087ZB11
4C087ZB15
4C087ZB26
4C087ZB27
4C087ZB31
4C087ZC35
4C087ZC41
4C087ZC75
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045BA57
4H045CA40
4H045DA02
4H045DA70
4H045DA75
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
本開示は、一般に、インターロイキン12及びインターロイキン23によって媒介されるシグナル伝達を調節するための組成物及び方法に関する。特に、本開示は、IL-12Rβ1に対する結合親和性が低下したインターロイキン12サブユニットp40の新規バリアントを提供する。そのようなIL-12p40ポリペプチドバリアントを産生するために有用な組成物及び方法、並びにIL-12p40媒介シグナル伝達を調節するため方法、及び/又はIL-12p40によって媒介されるシグナル伝達の混乱に関連する状態の治療のための方法もまた提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組換えポリペプチドであって、
配列番号1のアミノ酸配列を有するインターロイキン12サブユニットp40(IL-12p40)ポリペプチドと少なくとも70%、80%、90%、95%、99%、又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、
及び配列番号1のX37、X39、X40、X41、X80、X81、X82、X106、X108、X115、X216、X217、X218、及びX219からなる群から選択されるアミノ酸残基に対応する位置に1つ又は複数のアミノ酸置換をさらに含む、組換えポリペプチド。
【請求項2】
前記1つ又は複数のアミノ酸置換が、配列番号1のX37、X39、X40、X81、X82、X106、X217、及びX219からなる群から選択されるアミノ酸残基に対応する位置にある、請求項1に記載の組換えポリペプチド。
【請求項3】
前記1つ又は複数のアミノ酸置換が、アラニン(A)置換、アルギニン(R)置換、アスパラギン(N)置換、アスパラギン酸(D)置換、ロイシン(L)置換、リジン(K)置換、フェニルアラニン(F)置換、リジン置換、グルタミン(Q)置換、グルタミン酸(E)置換、セリン(S)置換、及びスレオニン(T)置換からなる群から独立して選択される、請求項1又は2に記載の組換えポリペプチド。
【請求項4】
前記1つ又は複数のアミノ酸置換が、配列番号1のW37、P39、D40、A41、K80、E81、F82、K106、E108、D115、H216、K217、L218、及びK219からなる群から選択されるアミノ酸残基に対応する位置にある、請求項1~3のいずれか1項に記載の組換えポリペプチド。
【請求項5】
前記1つ又は複数のアミノ酸置換が、配列番号1のW37、P39、D40、E81、F82、K106、K217、及びK219からなる群から選択されるアミノ酸残基に対応する位置にある、請求項1~4のいずれか1項に記載の組換えポリペプチド。
【請求項6】
配列番号1と少なくとも70%、80%、90%、95%、99%、又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ以下のアミノ酸置換:
a)W37A;
b)P39A;
c)D40A;
d)E81A;
e)F82A;
f)K106;
g)D109A;
h)K217A;
i)K219A;
j)E81A/F82A;
k)W37A/E81A/F82A;
l)E81A/F82A/K106A;
m)E81A/F82A/K106A/K219A;
n)E81A/F82A/K106A/K217A;
o)81A/F82A/K106A/E108A/D115A;
p)E81F/F82A;
q)E81K/F82A;
r)E81L/F82A;
s)E81H/F82A;
t)E81S/F82A;
u)E81A/F82A/K106N;
v)E81A/F82A/K106Q;
w)E81A/F82A/K106T;
x)E81A/F82A/K106R;又は
y)P39A/D40A/E81A/F82A、
に対応するアミノ酸置換をさらに含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の組換えポリペプチド。
【請求項7】
配列番号3~8及び13~16からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の組換えポリペプチド。
【請求項8】
組換えポリペプチドであって、
配列番号2のアミノ酸配列を有するインターロイキン12サブユニットp40(IL-12p40)ポリペプチドと、少なくとも70%、80%、90%、95%、99%、又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列、
及び配列番号2のX37、X39、X40、X41、X80、X81、X82、X106、X108、X115、X216、X217、X218、及びX219からなる群から選択されるアミノ酸残基に対応する位置に1つ又は複数のアミノ酸置換をさらに含む、組換えポリペプチド。
【請求項9】
前記1つ又は複数のアミノ酸置換が、配列番号2のX37、X39、X40、X81、X82、X106、X217、及びX219からなる群から選択されるアミノ酸残基に対応する位置にある、請求項8に記載の組換えポリペプチド
【請求項10】
前記1つ又は複数のアミノ酸置換が、アラニン(A)置換、アルギニン(R)置換、アスパラギン(N)置換、アスパラギン酸(D)置換、ロイシン(L)置換、リジン(K)置換、フェニルアラニン(F)置換、リジン置換、グルタミン(Q)置換、グルタミン酸(E)置換、セリン(S)置換、及びスレオニン(T)置換からなる群から独立して選択される、請求項8又は9に記載の組換えポリペプチド。
【請求項11】
前記1つ又は複数のアミノ酸置換が、配列番号2のW37、P39、D40、A41、K80、E81、F82、K106、E108、D115、H216、K217、L218、及びE219からなる群から選択されるアミノ酸残基に対応する位置にある、請求項8~10のいずれか1項に記載の組換えポリペプチド。
【請求項12】
前記1つ又は複数のアミノ酸置換が、配列番号2のP39、D40、E81、F82、K106、K217、及びE219からなる群から選択されるアミノ酸残基に対応する位置にある、請求項8~11のいずれか1項に記載の組換えポリペプチド。
【請求項13】
配列番号2と少なくとも70%、80%、90%、95%、99%、又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ以下のアミノ酸置換:
a)W37A;
b)P39A;
c)D40A;
d)E81A;
e)F82A;
f)K106;
g)D109A;
h)K217A;
i)E219A;
j)E81A/F82A;
k)W37A/E81A/F82A;
l)E81A/F82A/K106A;
m)E81A/F82A/K106A/K217A;
n)E81F/F82A;
o)E81K/F82A;
p)E81L/F82A;
q)E81H/F82A;
r)E81S/F82A;
s)E81A/F82A/K106N;
t)E81A/F82A/K106Q;
u)E81A/F82A/K106T;
v)E81A/F82A/K106R;又は
w)P39A/D40A/E81A/F82A、
に対応するアミノ酸置換をさらに含む、請求項8~12のいずれか1項に記載の組換えポリペプチド。
【請求項14】
配列番号9~11及び17~25からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項8~13のいずれか1項に記載の組換えポリペプチド。
【請求項15】
前記1つ又は複数のアミノ酸配列を欠く参照ポリペプチドの結合親和性と比較して、インターロイキン-12受容体、サブユニットベータ1(IL-12Rβ1)に対して改変された結合親和性を有する、請求項1~14のいずれか1項に記載の組換えポリペプチド。
【請求項16】
前記1つ又は複数のアミノ酸置換を欠く参照ポリペプチドの結合親和性と比較して、IL-12Rβ1に対して低下した結合親和性を有する、請求項15に記載の組換えポリペプチド。
【請求項17】
表面プラズモン共鳴(SPR)によって測定した場合、前記1つ又は複数のアミノ酸置換を欠く参照ポリペプチドの結合親和性と比較して、IL-12Rβ1に対して約10%~約100%低下した結合親和性を有する、請求項15~15のいずれか1項に記載の組換えポリペプチド。
【請求項18】
インターロイキン12サブユニットp35(IL-12p35)ポリペプチドと組み合わされた場合、前記1つ又は複数のアミノ酸置換を欠く参照ポリペプチドと比較して、STAT4シグナル伝達を刺激する能力が低下している、請求項15~17のいずれか1項に記載の組換えポリペプチド。
【請求項19】
インターロイキン23サブユニットp19(IL-23p19)ポリペプチドと組み合わされた場合、前記1つ又は複数のアミノ酸置換を欠く参照ポリペプチドと比較して、STAT3シグナル伝達を刺激する能力が低下している、請求項15~18のいずれか1項に記載の組換えポリペプチド。
【請求項20】
STAT3シグナル伝達及び/又はSTAT4シグナル伝達が、遺伝子発現アッセイ、ホスホフローシグナル伝達アッセイ、及び酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)からなる群から選択されるアッセイによって決定される、請求項18又は19に記載の組換えポリペプチド。
【請求項21】
前記1つ又は複数のアミノ酸置換が、前記1つ又は複数のアミノ酸置換を欠く参照ポリペプチドと比較して、インターロイキン-12(IL-12)及び/又はインターロイキン-23(IL-23)を介して媒介される下流のシグナル伝達の細胞型に偏ったシグナル伝達をもたらす、請求項15~20のいずれか1項に記載の組換えポリペプチド。
【請求項22】
前記細胞型に偏ったシグナル伝達が、ナチュラルキラー(NK)細胞におけるIL-12媒介シグナル伝達を刺激する組換えポリペプチドの能力の低下を含む、請求項21に記載の組換えポリペプチド。
【請求項23】
前記細胞型に偏ったシグナル伝達が、CD8+T細胞におけるIL-12シグナル伝達を刺激する組換えポリペプチドの能力が実質的に変化していないことを含む、請求項21又は22に記載の組換えポリペプチド。
【請求項24】
前記1つ又は複数のアミノ酸置換が、NK細胞においてIL-12シグナル伝達を刺激する組換えポリペプチドの能力の低下をもたらすが、CD8+T細胞においてIL-12シグナル伝達を刺激するその能力は実質的に保持する、請求項21~23のいずれか1項に記載の組換えポリペプチド。
【請求項25】
請求項1~24のいずれか1項に記載のポリペプチドのアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸配列を含む組換え核酸分子。
【請求項26】
前記核酸配列が異種核酸配列に作動可能に連結されている、請求項25に記載の核酸分子。
【請求項27】
発現カセット又は発現ベクターとしてさらに定義される、請求項25~26のいずれか1項に記載の核酸分子。
【請求項28】
以下:
a)請求項1~24のいずれか1項に記載の組換えポリペプチド;及び/又は
b)請求項25~27のいずれか1項に記載の組換え核酸、
を含む、組換え細胞。
【請求項29】
前記組換え細胞が真核細胞である、請求項28に記載の組換え細胞。
【請求項30】
前記真核細胞が哺乳動物細胞である、請求項29に記載の組換え細胞。
【請求項31】
請求項28~30のいずれか1項に記載の少なくとも1つの組換え細胞と培地とを含む細胞培養物。
【請求項32】
以下:
a)請求項28~30のいずれか1項に記載の1つ又は複数の組換え細胞を提供すること;及び
b)前記細胞が、前記組換え核酸分子によってコードされるポリペプチドを産生するように、1つ又は複数の組換え細胞を培地中で培養すること、
を含む、組換えポリペプチドを生成するための方法。
【請求項33】
前記生成されたポリペプチドを単離及び/又は精製することをさらに含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記産生されたポリペプチドを構造的に修飾して半減期を延長させることをさらに含む、請求項32又は33に記載の方法。
【請求項35】
前記修飾が、ヒトFc抗体断片への融合、アルブミンへの融合、及びPEG化からなる群から選択される1つ又は複数の改変を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
請求項32~35のいずれか1項に記載の方法によって産生される組換えポリペプチド。
【請求項37】
以下:
a)請求項1~24及び36のいずれか1項に記載の組換えポリペプチド;
b)請求項25~27のいずれか1項に記載の組換え核酸;
c)請求項28~30のいずれか1項に記載の組換え細胞;及び/又は
c)医薬的に許容し得る担体、
を含む、医薬組成物。
【請求項38】
請求項1~24及び36のいずれか1項に記載の組換えポリペプチドと、医薬的に許容し得る担体とを含む、請求項37に記載の医薬組成物。
【請求項39】
請求項25~27のいずれか1項に記載の組換え核酸と、医薬的に許容し得る担体とを含む、請求項37に記載の医薬組成物。
【請求項40】
対象におけるIL-12媒介シグナル伝達を調節する方法であって、以下:
a)請求項1~24及び36のいずれか1項に記載の組換えIL-12p40ポリペプチド;
b)請求項25~27のいずれか1項に記載の組換え核酸;
c)請求項28~30のいずれか1項に記載の組換え細胞;及び/又は
d)請求項37~39に記載の医薬組成物、
を含む組成物を対象に投与することを含む、方法。
【請求項41】
対象に、IL-12p35ポリペプチド、又はIL-12p35ポリペプチドをコードする核酸を投与することをさらに含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
対象におけるIL-23媒介シグナル伝達を調節する方法であって、以下:
a)請求項1~24及び36のいずれか1項に記載の組換えIL-12p40ポリペプチド;
b)請求項25~27のいずれか1項に記載の組換え核酸;
c)請求項28~30のいずれか1項に記載の組換え細胞;及び/又は
d)請求項37~39に記載の医薬組成物、
を含む組成物を対象に投与することを含む、方法。
【請求項43】
IL-12p35ポリペプチド、又はIL-23p19ポリペプチドをコードする核酸を対象に投与することをさらに含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
それを必要とする対象における状態の治療のための方法であって、以下:
a)請求項1~24及び36のいずれか1項に記載の組換えIL-12p40ポリペプチド;
b)請求項25~27のいずれか1項に記載の組換え核酸;
c)請求項28~30のいずれか1項に記載の組換え細胞;及び/又は
d)請求項37~39に記載の医薬組成物、
を含む組成物を対象に投与することを含む、方法。
【請求項45】
以下:
a)IL-12p35ポリペプチド;
b)IL-23p19ポリペプチド;及び/又は
c)上記(a)又は(b)をコードする核酸、
を対象に投与することをさらに含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記組換えポリペプチドが、前記1つ又は複数のアミノ酸置換を欠く参照ポリペプチドの結合親和性と比較して、インターロイキン-12受容体、ベータ1(IL-12Rβ1)に対して改変された結合親和性を有する、請求項40~45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
前記組換えポリペプチドが、前記1つ又は複数のアミノ酸置換を欠く参照ポリペプチドの結合親和性と比較して、IL-12Rβ1に対して低下した結合親和性を有する、請求項40~46のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
表面プラズモン共鳴(SPR)によって測定した場合、前記組換えポリペプチドが、前記1つ又は複数のアミノ酸置換を欠く参照ポリペプチドの結合親和性と比較して、IL-12Rβ1に対して約10%~約100%低下した結合親和性を有する、請求項40~47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
IL-12Rβ1受容体に対する組換えポリペプチドの結合親和性の低下が、前記1つ又は複数のアミノ酸置換を欠く参照ポリペプチドと比較して、STAT4媒介シグナル伝達の低下をもたらす、請求項40~48のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
IL-12Rβ1受容体に対する組換えポリペプチドの結合親和性の低下が、前記1つ又は複数のアミノ酸置換を欠く参照ポリペプチドと比較して、STAT3媒介シグナル伝達の低下をもたらす、請求項40~49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項51】
前記STAT3シグナル伝達及び/又はSTAT4シグナル伝達が、遺伝子発現アッセイ、ホスホフローシグナル伝達アッセイ、及び酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)からなる群から選択されるアッセイによって決定される、請求項49~50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項52】
前記投与された組成物が、前記1つ又は複数のアミノ酸置換を欠く参照ポリペプチドと比較して、インターロイキン12(IL-12)及び/又はインターロイキン23(IL-23)によって媒介される下流シグナル伝達の細胞型に偏ったシグナル伝達をもたらす、請求項40~51のいずれか1項に記載の方法。
【請求項53】
前記細胞型に偏ったシグナル伝達が、NK細胞におけるIL-12媒介シグナル伝達を刺激する組換えポリペプチドの能力の低下を含む、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記細胞型に偏ったシグナル伝達が、CD8+T細胞におけるIL-12シグナル伝達を刺激する組換えポリペプチドの実質的に改変されていない能力を含む、請求項52~53のいずれか1項に記載の方法。
【請求項55】
前記投与された組成物が、NK細胞においてIL-12シグナル伝達を刺激する組換えポリペプチドの能力の低下をもたらすが、CD8+T細胞におけるIL-12シグナル伝達を刺激するその能力は実質的に保持する、請求項40~54のいずれか1項に記載の方法。
【請求項56】
前記投与された組成物が、CD8+T細胞におけるインターフェロンガンマ(INFγ)の発現を刺激する組換えポリペプチドの能力を実質的に保持する、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記投与された組成物が、腫瘍微小環境における抗腫瘍免疫を増強する、請求項40~56のいずれか1項に記載の方法。
【請求項58】
前記対象が哺乳動物である、請求項40~57のいずれか1項に記載の方法。
【請求項59】
前記哺乳動物がヒトである、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記対象が、IL-12p40媒介シグナル伝達に関連する状態を有するか、又は有する疑いがある、請求項40~59のいずれか1項に記載の方法。
【請求項61】
前記IL-12p40媒介シグナル伝達がIL-12媒介シグナル伝達又はIL-23媒介シグナル伝達である、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記状態が、癌、免疫疾患、又は慢性感染症である、請求項60に記載の方法。
【請求項63】
前記免疫疾患が自己免疫疾患である、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記自己免疫疾患が、関節リウマチ、インスリン依存性糖尿病、溶血性貧血、リウマチ熱、甲状腺炎、クローン病、重症筋無力症、糸球体腎炎、自己免疫性肝炎、多発性硬化症、円形脱毛症、乾癬、白斑、異栄養性表皮水疱症、全身性エリテマトーデス、中度から重度の尋常性乾癬、乾癬性関節炎、クローン病、潰瘍性大腸炎、及び移植片対宿主病からなる群から選択される、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記状態が、急性骨髄腫性白血病、未分化リンパ腫、星状細胞腫、B細胞癌、乳癌、結腸癌、上衣腫、食道癌、神経膠芽腫、神経膠腫、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、肝臓癌、肺癌、マントル細胞リンパ腫、メラノーマ、神経芽細胞腫、非小細胞肺癌、乏突起膠腫、卵巣癌、膵臓癌、末梢性T細胞リンパ腫、腎癌、肉腫、胃癌、癌腫、中皮腫、及び肉腫からなる群から選択される癌である、請求項62に記載の方法。
【請求項66】
前記組成物が、第1の治療として個別に、又は第2の治療と組み合わせて、対象に投与される、請求項40~65のいずれか1項に記載の方法。
【請求項67】
前記第2の治療が、化学療法、放射線療法、免疫療法、ホルモン療法、毒素療法、又は手術からなる群から選択される、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記第1の治療及び前記第2の治療が付随して投与される、請求項66~67のいずれか1項に記載の方法。
【請求項69】
前記第1の治療が第2の治療と同時に投与される、請求項66~68のいずれか1項に記載の方法。
【請求項70】
前記第1の治療及び第2の治療が連続して投与される、請求項66~68のいずれか1項に記載の方法。
【請求項71】
前記第1の治療が第2の治療の前に投与される、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記第1の治療が第2の治療の後に投与される、請求項70に記載の方法。
【請求項73】
前記第1の治療が第2の治療の前及び/又は後に投与される、請求項70に記載の方法。
【請求項74】
前記第1の治療と第2の治療が順番に投与される、請求項66~73のいずれか1項に記載の方法。
【請求項75】
前記第1の治療と第2の治療が単一の製剤で一緒に投与される、請求項66又は67に記載の方法。
【請求項76】
前記IL-12p40媒介シグナル伝達を調節するための、IL-12p40媒介シグナル伝達を調節するための、又はそれを必要とする対象の状態を治療するためのキットであって、以下:、
a)請求項1~24及び36のいずれか1項に記載の組換えポリペプチド;
b)請求項25~27のいずれか1項に記載の組換え核酸;
c)請求項28~31のいずれか1項に記載の組換え細胞;及び/又は
d)請求項37~39のいずれか1項に記載の医薬組成物;及び
請求項40~75のいずれか1項に記載の方法を実施するための説明書、
を含む、キット。
【請求項77】
前記IL-12-p40媒介シグナル伝達の混乱に関連する健康状態に関連する状態を治療及び/又は予防するための医薬品の製造のための、以下:
a)請求項1~24及び36のいずれか1項に記載の組換えポリペプチド;
b)請求項25~27のいずれか1項に記載の組換え核酸;
c)請求項28~31のいずれか1項に記載の組換え細胞;及び/又は
d)請求項37~39のいずれか1項に記載の医薬組成物、
の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
連邦政府が支援する研究開発に関する声明
本発明は、国立衛生研究所によって授与された契約AI051321及びCA177684の下で政府の支援を受けて行われた。政府は、本発明において一定の権利を有する。
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年4月17日に出願された米国仮特許出願第63/011,742号、及び2021年2月17日に出願された米国仮特許出願第63/150,451号に対する優先権の利益を主張する。上で参照した出願の開示は、任意の図面を含め、その全体が参照により明示的に本明細書に取り込まれる。
【0003】
配列表の取り込み
添付の配列表の資料は、参照により本出願に取り込まれる。078430-517001WO-Sequence Listing.txtという名前の付随する配列表テキストファイルは、2021年4月12日に作成され、76.5KBである。
【0004】
分野
本開示は、一般に、IL-12及びIL-23によって媒介されるシグナル伝達を調節するための組成物及び方法に関する。特に、本開示は、IL-12Rβ1に対して低下した結合親和性を有する新規IL-12p40ポリペプチドバリアントを提供する。そのようなIL-12p40ポリペプチドバリアントを産生するために有用な組成物及び方法、並びにIL-12p40媒介シグナル伝達を調節するための、及び/又はIL-12p40によって媒介されるシグナル伝達の混乱に関連する状態の治療のための方法も提供される。
【背景技術】
【0005】
背景
健康状態及び疾患の治療のための治療用タンパク質を含有するバイオ医薬品又は医薬製剤の使用は、多くの製薬会社及びバイオテクノロジー会社にとって中心的な戦略である。例えばサイトカインファミリーのいくつかのメンバーは、癌の治療に有効であることが報告されており、癌免疫療法の開発に大きな役割を果たしている。従って、サイトカインファミリーは、その投与と生体同化を改善するための多くの臨床研究と努力の焦点となっている。
【0006】
IL-12ファミリーのサイトカインであるインターロイキン12(IL-12)とインターロイキン23(IL-23)は、それぞれ癌免疫療法と自己免疫疾患の最も有望な標的の1つになっている。IL-12及びIL-23複合体は、IL-12p40サイトカインサブユニットと細胞表面受容体IL-12受容体ベータ1(IL-12Rβ1)を共有するが、異なる下流のシグナル伝達を誘発する。特に、IL-12はIL-12Rβ1とIL-12Rβ2の受容体複合体を介してシグナルを伝達して、NK細胞と活性化T細胞の両方でSTAT4のリン酸化を誘導する。STAT4シグナル伝達は、インターフェロン-ガンマ(IFNγ)の発現と、腫瘍細胞の殺傷の強化につながる。対照的に、IL-23は、IL-12Rβ1とIL-23Rで構成される受容体複合体を介してシグナルを伝達して、STAT3のリン酸化とIL-17の発現を促進する。IL-23は細胞外病原体に対する免疫において重要な役割を果たすが、異常なIL-23シグナル伝達は、複数の自己免疫疾患の発症に関連付けられている。
【0007】
サイトカインを含む既存の治療アプローチの臨床的成功は、オフターゲット毒性と多面発現のために限られており、これは主に、サイトカインが望ましい応答細胞と望ましくない応答細胞の両方に受容体を持っており、これらが、互いに相殺して望ましくない副作用につながるという事実による。例えば、IL-12の場合、IL-12の全身性投与は、NK細胞媒介性のIFNγ産生による毒性をもたらす。
【0008】
近年、サイトカイン改変は、望ましい活性と低毒性を備えた組換えサイトカインを調製するための有望な戦略として浮上している。従って、治療薬として使用するために、IL-12及びIL-23の特性を改善するための追加のアプローチが必要である。特にこれは、特定の下流の機能及び作用を他のものよりも選択的に活性化でき、例えばIL-12及びIL-23の多くの有益な特性を保持するが、これらの既知の毒性副作用は無く、抗腫瘍薬又は免疫調節薬としての改良された用途をもたらす、IL-12及びIL-23のバリアントが必要とされている。
【発明の概要】
【0009】
概要
本開示は、一般に免疫学の分野に関し、インターロイキン12(IL-12)及び/又はインターロイキン23(IL-23)によって媒介されるシグナル伝達経路を調節するための組成物及び方法を含む。より詳しくは、いくつかの実施形態において、本開示は、その天然の受容体であるインターロイキン12受容体サブユニットベータ1(IL-12Rβ1)に対する結合親和性が変化した、様々な組換えインターロイキン12サブユニットp40(IL-12p40)ポリペプチドを提供する。以下により詳細に記載するように、IL-12p40を調節して、異なるレベルのSTAT3媒介シグナル伝達及び/又はSTAT4媒介シグナル伝達を達成することができる。本開示のいくつかの実施形態は、細胞型に偏ったIL-12p40シグナル伝達をもたらすことができるIL-12p40部分アゴニストを提供する。いくつかの実施形態は、細胞型に偏ったIL-12シグナル伝達を付与、例えばナチュラルキラー(NK)細胞中の低下したIL-12シグナル伝達を付与することができるが、CD8+T細胞中のIL-12シグナル伝達は実質的に保持することができるIL-12p40部分アゴニストを提供する。また、そのようなIL-12p40ポリペプチドバリアントを産生するのに有用な組成物及び方法、対象におけるIL-12p40媒介シグナル伝達を調節する方法、並びにIL-12p40の下流のシグナル伝達、例えばIL-12シグナル伝達及び/又はIL-23シグナル伝達などの混乱に関連する状態の治療方法も提供される。
【0010】
1つの態様において、以下を含む組換えポリペプチドが本明細書に提供される:(a)配列番号1のアミノ酸配列を有するIL-12p40ポリペプチドと少なくとも70%、80%、90%、95%、99%、又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列;及びさらに、配列番号1のX37、X39、X40、X41、X80、X81、X82、X106、X108、X115、X216、X217、X218、及びX219からなる群から選択されるアミノ酸残基に対応する位置に1つ又は複数のアミノ酸置換。
【0011】
開示された組換えポリペプチドの非限定的な例示的実施形態は、以下の特徴の1つ又は複数を含むことができる。いくつかの実施形態において、1つ又は複数のアミノ酸置換は、配列番号1のX39、X40、X81、X82、X106、X217、及びX219からなる群から選択されるアミノ酸残基に対応する位置にある。いくつかの実施形態において、1つ又は複数のアミノ酸置換は、アラニン(A)置換、アルギニン(R)置換、アスパラギン(N)置換、アスパラギン酸(D)置換、ロイシン(L)置換、リジン(K)置換、フェニルアラニン(F)置換、リジン置換、グルタミン(Q)置換、グルタミン酸(E)置換、セリン(S)置換、及びスレオニン(T)置換、並びにこれらの任意の組み合わせからなる群から独立して選択される。いくつかの実施形態において、1つ又は複数のアミノ酸置換は、配列番号1のW37、P39、D40、A41、K80、E81、F82、K106、E108、D115、H216、K217、L218、及びK219からなる群から選択されるアミノ酸残基に対応する位置にある。いくつかの実施形態において、1つ又は複数のアミノ酸置換は、配列番号1のW37、P39、D40、E81、F82、K106、K217、及びK219からなる群から選択されるアミノ酸残基に対応する位置にある。
【0012】
いくつかの実施形態において、本開示の組換えポリペプチドは、配列番号1と少なくとも70%、80%、90%、95%、99%、又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、及び以下のアミノ酸置換に対応するアミノ酸置換をさらに含む:(a)W37A;(b)P39A、(c)D40A、(d)E81A、(e)F82A、(f)K106A、(g)D109A、(h)K217A、(i)K219A、(j)E81A/F82A、(k)W37A/E81A/F82A、(l)E81A/F82A/K106A、(m)E81A/F82A/K106A/K219A、(n)E81A/F82A/K106A/K217A、(o)81A/F82A/K106A/E108A/D115A、(p)E81F/F82A、(q)E81K/F82A、(r)E81L/F82A、(s)E81H/F82A、(t)E81S/F82A、(u)E81A/F82A/K106N、(v)E81A/F82A/K106Q、(w)E81A/F82A/K106T、(x)E81A/F82A/K106R、又は(y)P39A/D40A/E81A/F82A。いくつかの実施形態において、本開示の組換えポリペプチドは、配列番号3~8及び13~16からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0013】
1つの態様において、本開示のいくつかの実施形態は以下を含むポリペプチドに関する:(a)配列番号2のアミノ酸配列を有するIL-12p40ポリペプチドと少なくとも70%、80%、90%、95%、99%、又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列;(b)及びさらに、配列番号2のX37、X39、X40、X41、X80、X81、X82、X106、X108、X115、X216、X217、X218、及びX219からなる群から選択されるアミノ酸残基に対応する位置に1つ又は複数のアミノ酸置換。
【0014】
いくつかの実施形態において、1つ又は複数のアミノ酸置換は、配列番号2のX37、X39、X40、X81、X82、X106、X217、及びX219からなる群から選択されるアミノ酸残基に対応する位置にある。いくつかの実施形態において、1つ又は複数のアミノ酸置換は、アラニン(A)置換、アルギニン(R)置換、アスパラギン(N)置換、アスパラギン酸(D)置換、ロイシン(L)置換、リジン(K)置換、フェニルアラニン(F)置換、リジン置換、グルタミン(Q)置換、グルタミン酸(E)置換、セリン(S)置換、及びスレオニン(T)置換からなる群から独立して選択される。いくつかの実施形態において、1つ又は複数のアミノ酸置換は、配列番号2のW37、P39、D40、A41、K80、E81、F82、K106、E108、D115、H216、K217、L218、及びE219からなる群から選択されるアミノ酸残基に対応する位置にある。いくつかの実施形態において、1つ又は複数のアミノ酸置換は、配列番号2のW37、P39、D40、E81、F82、K106、K217、及びE219からなる群から選択されるアミノ酸残基に対応する位置にある。
【0015】
いくつかの実施形態において、本開示の組換えポリペプチドは、配列番号2と少なくとも70%、80%、90%、95%、99%、又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、及び以下のアミノ酸置換に対応するアミノ酸置換をさらに含む:(a)W37A;(b)P39A、(c)D40A、(d)E81A、(e)F82A、(f)K106A、(g)D109A、(h)K217A、(i)E219A、(j)E81A/F82A、(k)W37A/E81A/F82A、(l)E81A/F82A/K106A、(m)E81A/F82A/K106A/K217A、(n)E81A/F82A、(o)E81K/F82A、(p)E81L/F82A、(q)E81H/F82A、(r)E81S/F82A、(s)E81A/F82A/K106N、(t)E81A/F82A/K106Q、(u)E81A/F82A/K106T、(v)E81A/F82A/K106R、又は(w)P39A/D40A/E81A/F82A。いくつかの実施形態において、組換えポリペプチドは、配列番号9~11及び17~25からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0016】
いくつかの実施形態において、本開示の組換えポリペプチドは、1つ又は複数のアミノ酸置換を欠く参照ポリペプチドの結合親和性と比較して、インターロイキン-12受容体ベータ1(IL-12Rβ1)に対して改変された結合親和性を有する。いくつかの実施形態において、組換えポリペプチドは、1つ又は複数のアミノ酸置換を欠く参照ポリペプチドの結合親和性と比較して、IL-12Rβ1に対して低下した結合親和性を有する。いくつかの実施形態において、組換えポリペプチドは、表面プラズモン共鳴(SPR)によって決定すると、1つ又は複数のアミノ酸置換を欠く参照ポリペプチドの結合親和性と比較して、IL-12Rβ1に対する結合親和性が約10%~約100%低下している。いくつかの実施形態において、本開示の組換えポリペプチドは、インターロイキン12サブユニットp35(IL-12p35)ポリペプチドと組み合わせると、1つ又は複数のアミノ酸置換を欠く参照ポリペプチドと比較して、STAT4シグナル伝達を刺激する能力が低下している。いくつかの実施形態において、組換えポリペプチドは、インターロイキン23サブユニットp19(IL-23p19)ポリペプチドと組み合わせると、1つ又は複数のアミノ酸置換を欠く参照ポリペプチドと比較して、STAT3シグナル伝達を刺激する能力が低下している。いくつかの実施形態において、STAT3シグナル伝達及び/又はSTAT4シグナル伝達は、遺伝子発現アッセイ、ホスホフローシグナル伝達アッセイ、及び酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)からなる群から選択されるアッセイによって決定される。
【0017】
いくつかの実施形態において、開示された組換えポリペプチドにおける1つ以上のアミノ酸置換は、1つ又は複数のアミノ酸置換を欠く参照ポリペプチドと比較して、インターロイキン-12(IL-12)及び/又はインターロイキン-23(IL-23)に媒介される下流のシグナル伝達の細胞型に偏ったシグナル伝達をもたらす。いくつかの実施形態において、細胞型に偏ったシグナル伝達は、NK細胞においてIL-12媒介シグナル伝達を刺激する組換えポリペプチドの能力の低下を含む。いくつかの実施形態において、細胞型に偏ったシグナル伝達は、CD8+T細胞においてIL-12シグナル伝達を刺激する組換えポリペプチドの実質的に改変されていない能力を含む。いくつかの実施形態において、1つ又は複数のアミノ酸置換は、NK細胞においてIL-12シグナル伝達を刺激する組換えポリペプチドの能力の低下をもたらすが、CD8+T細胞においてIL-12シグナル伝達を刺激するその能力は実質的に保持する。
【0018】
別の態様において、組換え核酸が本明細書で提供され、ここで核酸は、本開示のポリペプチドのアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸配列を含む。
【0019】
開示された核酸分子の非限定的な例示的実施形態は、以下の特徴の1つ又は複数を含むことができる。いくつかの実施形態において、核酸配列は、異種核酸配列に作動可能に連結されている。いくつかの実施形態において、核酸分子は、発現カセット又は発現ベクターとしてさらに定義される。
【0020】
1つの態様において、本開示のいくつかの実施形態は組換え細胞に関し、ここで組換え細胞は、(a)本開示の組換えポリペプチド;及び(b)本開示の組換え核酸のうちの1つ又は複数を含む。いくつかの実施形態において、組換え細胞は真核細胞である。いくつかの実施形態において、真核細胞は哺乳動物細胞である。関連する態様において、本開示のいくつかの実施形態は、本開示の少なくとも1つの組換え細胞及び培地を含む細胞培養物に関する。
【0021】
別の態様において、本開示のいくつかの実施形態は、ポリペプチドを産生するための方法に関し、ここで、この方法は、(a)本開示の1つ又は複数の組換え細胞を提供すること、及び(b)細胞が組換え核酸分子によってコードされるポリペプチドを産生するように、培地中で1つ又は複数の組換え細胞を培養すること、を含む。
【0022】
いくつかの実施形態において、本開示のポリペプチドを産生する方法は、産生されたポリペプチドを単離及び/又は精製することをさらに含む。いくつかの実施形態において、本開示のポリペプチドを産生する方法は、産生されたポリペプチドを構造的に修飾して、半減期を延長させることをさらに含む。いくつかの実施形態において、修飾は、ヒトFc抗体断片への融合、アルブミンへの融合、及びPEG化からなる群から選択される1つ又は複数の改変を含む。従って、関連する態様において、本開示の方法によって産生される組換えポリペプチドも本明細書に提供される。
【0023】
1つの態様において、本開示のいくつかの実施形態は医薬組成物に関し、ここで医薬組成物は以下のうちの1つ又は複数を含む:(a)本開示の組換えポリペプチド;(b)本開示の組換え核酸;(c)本開示の組換え細胞;及び(d)医薬的に許容し得る担体。
【0024】
開示された医薬組成物の非限定的な例示的実施形態は、以下の特徴の1つ又は複数を含むことができる。いくつかの実施形態において、組成物は、本開示の組換えポリペプチドと医薬的に許容し得る担体とを含む。いくつかの実施形態において、組成物は、本開示の組換え細胞と医薬的に許容し得る担体とを含む。いくつかの実施形態において、組換え細胞は、本開示の組換えポリペプチドを発現する。治療用ポリペプチドを発現し分泌するように遺伝子修飾された組換え細胞の例は、既に、例えば、Steidler L. et al., Nature Biotechnology, Vol. 21, No. 7, July 2003 and Oh J.H et al., mSphere, Vol. 5, Issue 3, May/June 2020 に記載されている。いくつかの実施形態において、組成物は、本開示の組換え核酸と医薬的に許容し得る担体とをIC。いくつかの実施形態において、組成物は、本開示の組換え細胞と医薬的に許容し得る担体とを含む。
【0025】
1つの態様において、本開示のいくつかの実施形態は、対象におけるIL-12p40媒介シグナル伝達を調節するための方法に関し、この方法は、対象に以下のうちの1つ又は複数を含む組成物を投与することを含む:(a)本開示の組換えIL-12p40ポリペプチド;(b)本開示の組換え核酸;(c)本開示の組換え細胞;及び(d)本開示の医薬組成物。いくつかの実施形態において、IL-12p40媒介シグナル伝達は、IL-12媒介シグナル伝達を含む。いくつかの実施形態において、IL-12p40シグナル伝達は、IL-23媒介シグナル伝達を含む。
【0026】
従って、本開示のいくつかの実施形態は、対象におけるIL-12媒介シグナル伝達を調節するための方法に関し、ここで、この方法は、対象に以下の1つ又は複数を含む組成物を投与することを含む:(a)本開示の組換えIL-12p40ポリペプチド;(b)本開示の組換え核酸;(c)本開示の組換え細胞;及び(d)本開示の医薬組成物。いくつかの実施形態において、この方法は、対象に、IL-12p35ポリペプチド、又はIL-12p35ポリペプチドをコードする核酸を投与することをさらに含む。
【0027】
いくつかの実施形態において、対象におけるIL-23媒介シグナル伝達を調節するための方法が提供され、ここで、この方法は、対象に以下の1つ又は複数を含む組成物を投与することを含む:(a)本開示の組換えIL-12p40ポリペプチド;(b)本開示の組換え核酸;(c)本開示の組換え細胞;及び(d)本開示の医薬組成物。いくつかの実施形態において、この方法は、対象に、IL-23p19(p19)ポリペプチド、又はIL-23p19ポリペプチドをコードする核酸を投与することをさらに含む。
【0028】
別の態様において、対象における状態の治療のための様々な方法が本明細書で提供され、この方法は、対象に以下の1つ又は複数を含む組成物を投与することを含む:(a)本開示の組換えIL-12p40ポリペプチド;(b)本開示の組換え核酸;(c)本開示の組換え細胞;及び(d)本開示の医薬組成物。いくつかの実施形態において、この方法は、対象に以下の1つ又は複数を含む組成物を投与することをさらに含む:(a)IL-12p35(p35)ポリペプチド;(b)IL-23p19ポリペプチド;及び、(c)(a)又は(b)をコードする核酸。
【0029】
対象におけるIL-12p40媒介シグナル伝達を調節するための、及び/又はそれを必要とする対象における状態の治療のための、開示された方法の非限定的な例示的実施形態は、以下の特徴の1つ又は複数を含み得る。いくつかの実施形態において、組換えポリペプチドは、1つ又は複数のアミノ酸置換を欠く参照ポリペプチドの結合親和性と比較して、インターロイキン-12受容体サブユニットベータ1(IL-12Rβ1)に対して改変された結合親和性を有する。いくつかの実施形態において、組換えポリペプチドは、1つ又は複数のアミノ酸置換を欠く参照ポリペプチドの結合親和性と比較して、IL-12Rβ1に対して低下した結合親和性を有する。いくつかの実施形態において、組換えポリペプチドは、表面プラズモン共鳴(SPR)により決定すると、1つ又は複数のアミノ酸置換を欠く参照ポリペプチドの結合親和性と比較して、IL-12Rβ1に対して約10%~約100%低下した結合親和性を有する。いくつかの実施形態において、IL-12Rβ1受容体に対する組換えポリペプチドの低下した結合親和性は、1つ又は複数のアミノ酸置換を欠く参照ポリペプチドと比較して、STAT4媒介シグナル伝達の低下をもたらす。いくつかの実施形態において、IL-12Rβ1受容体に対する組換えポリペプチドの低下した結合親和性は、1つ又は複数のアミノ酸置換を欠く参照ポリペプチドと比較して、STAT3媒介シグナル伝達の低下をもたらす。いくつかの実施形態において、STAT3シグナル伝達及び/又はSTAT4シグナル伝達は、遺伝子発現アッセイ、ホスホフローシグナル伝達アッセイ、及び酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)からなる群から選択されるアッセイによって決定される。
【0030】
いくつかの実施形態において、投与された組成物は、1つ又は複数のアミノ酸置換を欠く参照ポリペプチドと比較して、インターロイキン-12(IL-12)及び/又はインターロイキン-23(IL-23)により媒介される下流のシグナル伝達の、細胞型に偏ったシグナル伝達をもたらす。いくつかの実施形態において、細胞型に偏ったシグナル伝達は、NK細胞においてIL-12媒介シグナル伝達を刺激する組換えポリペプチドの能力の低下を含む。いくつかの実施形態において、細胞型に偏ったシグナル伝達は、CD8+T細胞においてIL-12シグナル伝達を刺激する組換えポリペプチドの実質的に改変されていない能力を含む。いくつかの実施形態において、投与された組成物は、NK細胞においてIL-12媒介シグナル伝達を刺激する組換えポリペプチドの能力の低下をもたらすが、CD8+T細胞においてIL-12シグナル伝達を刺激するその能力は実質的に保持する。いくつかの実施形態において、投与された組成物は、CD8+T細胞においてINFγの発現を刺激する組換えポリペプチドの能力を実質的に保持する。いくつかの実施形態において、投与された組成物は、腫瘍微小環境において抗腫瘍免疫を増強する。
【0031】
いくつかの実施形態において、対象は哺乳動物である。いくつかの実施形態において、哺乳動物はヒトである。いくつかの実施形態において、対象は、IL-12p40媒介シグナル伝達に関連する状態を有するか、又は有する疑いがある。いくつかの実施形態において、IL-12p40媒介シグナル伝達は、IL-12媒介シグナル伝達又はIL-23媒介シグナル伝達である。いくつかの実施形態において、状態は癌、免疫疾患、又は慢性感染症である。いくつかの実施形態において、免疫疾患は自己免疫疾患である。いくつかの実施形態において、自己免疫疾患は、関節リウマチ、インスリン依存性糖尿病、溶血性貧血、リウマチ熱、甲状腺炎、クローン病、重症筋無力症、糸球体腎炎、自己免疫性肝炎、多発性硬化症、円形脱毛症、乾癬、白斑、異栄養性表皮水疱症、全身性エリテマトーデス、中度から重度の尋常性乾癬、乾癬性関節炎、クローン病、潰瘍性大腸炎、及び移植片対宿主病からなる群から選択される。
【0032】
いくつかの実施形態において、それを必要とする対象における状態の治療のための様々な方法が本明細書で提供され、ここで、状態は、急性骨髄腫性白血病、未分化リンパ腫、星細胞腫、B細胞癌、乳癌、結腸癌、上衣腫、食道癌、神経膠芽腫、神経膠腫、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、肝臓癌、肺 癌、マントル細胞リンパ腫、メラノーマ、神経芽細胞腫、非小細胞肺癌、乏突起膠腫、卵巣癌、膵臓癌、末梢性T細胞リンパ腫、腎癌、肉腫、胃癌、癌腫、中皮腫、及び肉腫からなる群から選択される癌である。
【0033】
いくつかの実施形態において、組成物は、第1の治療として個別に、又は第2の治療と組み合わせて対象に投与される。いくつかの実施形態において、第2の治療は、化学療法、放射線療法、免疫療法、ホルモン療法、毒素療法、又は手術からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、第1の治療と第2の治療は付随して施される。いくつかの実施形態において、第1の治療は第2の治療と同時に施される。いくつかの実施形態において、第1の治療と第2の治療は連続して施される。いくつかの実施形態において、第1の治療は第2の治療の前に施される。いくつかの実施形態において、第1の治療は第2の治療の後に施される。いくつかの実施形態において、第1の治療は第2の治療の前及び/又は後に施される。いくつかの実施形態において、第1の治療と第2の治療は交代で施される。いくつかの実施形態において、第1の治療と第2の治療は、単一の製剤で一緒に施される。
【0034】
別の態様において、本開示のいくつかの実施形態は、本明細書に開示された方法を実施するためのキットに関する。いくつかの実施形態は、対象におけるIL-12p40媒介シグナル伝達を調節する方法のためのキットに関し、ここでキットは、本開示の組換えポリペプチド;本開示の組換え核酸;本開示の組換え細胞;及び本開示の医薬組成物、並びに本明細書に開示された方法を実施するための説明書のうちの1つ又は複数を含む。いくつかの実施形態は、それを必要とする対象における状態の治療方法のためのキットに関し、ここで、キットは、本開示の組換えポリペプチド;本開示の組換え核酸;本開示の組換え細胞;及び本開示の医薬組成物、並びに本明細書に開示された方法を実施するための説明書のうちの1つ又は複数を含む。
【0035】
本開示のさらに別の態様は、IL-12p40媒介シグナル伝達の混乱に関連する状態を有するか又は有することが疑われる個体を治療するための、本開示の核酸分子、本開示の組換え細胞、又は本開示の医薬組成物のうちの1つ又は複数の使用である。
【0036】
前述の概要は、例示のみを目的としており、決して限定することを意図していない。本明細書に記載の例示的な実施形態及び特徴に加えて、本開示のさらなる態様、実施形態、目的、及び特徴は、図面、詳細な説明、及び特許請求の範囲から完全に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1A図1A~1Eは、4成分IL-23複合体の構造を示す。図1A:IL-12ファミリーのサイトカイン組成と受容体の使用の概略。
図1B図1A~1B:IL-23受容体複合体の側面図。
図1C-1E】図1C~1E:IL-23と受容体サブユニット間の3つの相互作用部位間の相互作用を強調する拡大図。
【0038】
図2A図2A~2Hは、IL-12p40がIL-12及びIL-23シグナル伝達において保存された役割を果たすことを証明するために実施された実験からの結果を概略的に要約する。図2A:IL-12p40はIL-12Rβ1に直接結合する。固定化IL-12p40へのIL-12Rβ1の結合を示す表面プラズモン共鳴(SPR)センサーグラム。解離定数(KD)は定常状態の親和性モデルを使用して決定された。
図2B-2C】図2B~2C:IL-12及びIL-23は、CD4+T細胞における異なるパターンのSTATリン酸化を誘発する。CD4+T細胞を2.5μgのαCD3、5μgαCD28、及び100IU/mLのrhIL-2で2日間活性化し、一晩休ませ、IL-12又はIL-23で20分間刺激した後、固定、透過処理をして、フローサイトメトリーによりSTATリン酸化の評価を行った。(D~F)IL-12p40の共有界面は、IL-12及びIL-23シグナル伝達を調節する。
図2D図2D:IL-12p40とIL-12Rβ1の間の相互作用を示すリボン図。挿入図は、突然変異誘発の標的となるアミノ酸の位置を示す。
図2E-2F】図2E:IL-12p40変異体は、CD4+T細胞において変化したIL-12pSTAT4シグナル伝達を誘発する。IL-12p40バリアントをIL-12p35と共発現させ、CD4+T細胞芽球においてSTAT4シグナル伝達を刺激する能力を試験した。図2F:IL-12p40変異体は、CD4+T細胞において変化したIL-23pSTAT3シグナル伝達を誘発する。IL-12p40バリアントをIL-23p19と共発現させ、CD4+T細胞芽球においてSTAT3シグナル伝達を刺激する能力を試験した。
図2G図2G:IL-12Rβ1界面のアミノ酸を示す挿入図を含むIL-12p40のリボン図。
図2H図2H:IL-12p40バリアントのSTAT4シグナル伝達。IL-12p40バリアントをIL-12p35と共発現させ、CD4+T細胞芽球においてSTAT4シグナル伝達を刺激する能力を試験した。
【0039】
図3A図3A~3Dは、IL-12p40がマウスIL-12のSTAT4シグナル伝達を調節することを証明する実験を要約する。図3A:IL-12Rβ1の細胞型及び活性化状態に依存した発現。マウスNK細胞(CD3-NK1.1+)又はCD8+T細胞(CD3+CD8+)のマウスIL-12p40四量体染色によって測定されたIL-12Rβ1発現レベルを示すフローサイトメトリープロット。赤線は200nMの四量体染色を示し、灰色の集団はストレプトアビジン染色のみを表す。C57/BL6マウスの脾臓及びリンパ節の単一細胞懸濁液を、IL-12p40四量体で直接(エクスビボ)、又は2.5μg/mLのαCD3、5μg/mLのαCD28、及び100IU/mLのrmIL-2(芽球)で2日間刺激した後に染色した。
図3B図3Bは、ヒトIL-12p40ポリペプチド(配列番号1)及びマウスIL-12p40ポリペプチド(配列番号2)の配列アラインメントを示す。アラインメントでは、保存された位置は灰色の影で示され、突然変異誘発の標的となる位置は星印で示される。
図3C-3D】図3C~3D:IL-12p40変異は、CD8+T細胞芽球におけるIL-12シグナル伝達を調節する。示されたIL-12バリアント(2×Ala:E81AF82A、3×Ala:E81AF82AK106A、4×Ala:E81AF82AK106AK217A)で20分間刺激後のホスホ-STAT4染色の用量応答(図3C)及び最高濃度での代表的なヒストグラム(図3D)。用量応答は、生物学的二重測定の平均値と標準誤差を示し、2つ以上の独立した実験を表す。
【0040】
図4A-4B】図4A~4Cは、本開示のいくつかの非限定的な実施形態による3つの例示的なIL-12部分アゴニストが、示差的なIL-12Rβ1発現に基づいて細胞型特異的応答を誘発することを証明するために実施された実験からの結果を概略的に要約する。図4A:IL-12部分アゴニストは、抗原特異的CD8+T細胞によるIFNγ産生を促進する。OT-ICD8+T細胞(CD3+CD8+)における細胞内IFNγの代表的なヒストグラム(左)と定量(右)。OT-I脾細胞を、1μg/mLのOVAペプチド、100IU/mLのIL-2、及び1μMのIL-12バリアントで48時間刺激した。最後の4時間に、さらなるサイトカインの分泌を防ぐためにGolgiStopを加えた。図4B:IL-12部分アゴニストは、NK細胞におけるIFNγ誘導の減弱を示す。精製したNK細胞を、1μMのIL-12バリアントを含む50ng/mLのIL-18で48時間刺激した。最後の4時間に、さらなるサイトカインの分泌を防ぐためにGolgiStopを加えた。
図4C図4C:IL-12部分アゴニストは、細胞型に偏った活性を示す。IL-12及び部分アゴニストについて、野生型IL-12に対して標準化されたT細胞/NK細胞におけるαIFNγ AF647 MFIの比率が示されている。棒グラフは、生物学的二重測定の平均値と標準誤差を示し、2つ以上の独立した実験を表す。MFI、平均蛍光強度。
【0041】
図4D図4D~4Gは、本開示のいくつかの非限定的な実施形態によるさらなる例示的なIL-12部分アゴニストが、示差的なIL-12Rβ1発現に基づいて細胞型特異的応答を誘発することを証明するために実施された実験からの結果を概略的に要約する。図4D:IL-12p40変異は、CD8+T細胞芽球におけるIL-12シグナル伝達を調節する。示されているIL-12バリアントにより20分間の刺激後の、ホスホSTAT4染色の用量応答。用量応答は、生物学的二重測定の平均値と標準誤差を示す。
図4E-4F】図4E:IL-12部分アゴニストは、抗原特異的CD8+T細胞によるIFNγ産生を促進する。OT-ICD8+T細胞(CD3+CD8+)における細胞内IFNγの定量。OT-I脾細胞を、1μg/mLのOVAペプチド、100IU/mLのIL-2、及び1μMのIL-12バリアントで48時間刺激した。最後の4時間に、さらなるサイトカインの分泌を防ぐためにGolgiStopを加えた。図4F:IL-12部分アゴニストは、NK細胞においてIFNγ誘導の減弱を示す。精製したNK細胞を、1μMのIL-12バリアントを含む50ng/mLのIL-18で48時間刺激した。最後の4時間に、さらなるサイトカインの分泌を防ぐためにGolgiStopを加えた。
図4G図4G:IL-12部分アゴニストは、細胞型に偏った活性を示す。IL-12及び部分アゴニストについて、野生型IL-12に対して標準化されたT細胞/NK細胞におけるαIFNγ AF647 MFIの比率が示されている。棒グラフは、生物学的二重測定の平均値と標準誤差を示し、2つ以上の独立した実験を表す。MFI、平均蛍光強度。
【0042】
図5A-5B】図5A~5Cは、上記図4A~4Cに記載の例示的なIL-12部分アゴニストが、抗原特異的な腫瘍細胞死滅を促進することを証明するために実施された実験からの結果を概略的に要約する。図5A~5B:IL-12部分アゴニストの存在下で生成されたOT-Iエフェクターからの上清は、B16F10メラノーマ細胞に対するMHC-Iアップレギュレーションを増強する。OT-Iエフェクター上清で一晩インキュベーション後のH2-Kb表面発現の用量応答(図5A)と代表的なヒストグラム(図5B)。矢印は、代表的なヒストグラムに示されている上清の希釈を示す。OT-Iエフェクターは、脾細胞を1μg/mLのOVAペプチド、100IU/mLのIL-2、及び1μMのIL-12バリアントと72時間共培養することによって生成された。図5C-5D:IL-12部分アゴニストは、抗原特異的な腫瘍細胞死滅の効力を増強する。
図5C-5D】図5C:特異的死滅アッセイの概略。野生型細胞とOVA-GFP発現B16F10細胞の1:1混合物を、さまざまな比率のOT-Iエフェクターと共にインキュベートし、OVA-GFP+細胞の頻度を使用して抗原特異的死滅を測定した。(図5D)IL-12の非存在下又は示されたIL-12バリアントの存在下で生成されたOT-1エフェクターの特異的な死滅を示す用量応答曲線。データは、生物学的二重測定の平均及び標準誤差として表され、2つ以上の独立した実験を表す。
【0043】
図6A-6B】図6A~6Iは、NK細胞上のマウスIL-12シグナル伝達を特性解析するために行った実験からの結果を概略的に要約する。図6A:IL-12部分アゴニストは、NK細胞におけるpSTAT4シグナル伝達の低下を誘発する。MACSで精製したNK細胞をCellTrace Violetをロードした担体細胞と混合し、IL-12アゴニストで20分間刺激した。図6B:IL-18は、NK細胞におけるIL-12を介したIFNγの誘導に必要である。MACS精製NK細胞は、示されているように50ng/mLのIL-18及び1nMのIL-12で刺激された。
図6C-6D】図6C:IL-12はNK細胞において、用量依存的なIFNγ産生を誘導する。NK細胞を、用量設定したIL-12を用いて図4Bのように刺激し、細胞内サイトカイン染色により48時間目のIFNγ誘導について分析した。図6D:IL-12アゴニストは、図4Bに関連した、NK細胞における用量依存的なIFNγ発現を誘発する。
図6E-6G】図6E:3×Ala及び4×Ala IL-12部分アゴニストは、IL-12と比較して、NK細胞によるIFNγの分泌を低下させた。図4Bに関連した、ELISAによるNK細胞培養物の上清中のIFNγの分析。図6F~6G:50ng/mLのIL-18及び1μMのIL-12で8時間刺激したNK細胞からの、lfng(図6F)及びTigit(図6G)の定量的PCR(qPCR)。Ct値はGapdhに対して標準化され、刺激されていない対照に対する誘導倍率として表された。棒グラフは、技術的な三重測定の平均±標準偏差を示す。
図6H-6I】図6H:IL-2の予備活性化は、NK細胞上のIL-12Rβ1をアップレギュレートする。MACS精製NK細胞を1000IU/mLのIL-2で48時間刺激し、図3Aのように200nMのp40四量体(赤)又はストレプトアビジン対照(灰色)で染色して、IL-12Rβ1発現レベルを特定した。図6I:IL-2はNK細胞におけるIFNγ誘導を増強するが、IL-12部分アゴニストとの相乗効果はない。MACS精製NK細胞を、1000IU/mLのIL-2、50ng/mLのIL-18、及び1μMのIL-12アゴニストで48時間活性化した。破線は、IL-18のみで刺激されたNK細胞におけるIFNγ染色を示す。特に明記しない限り、データは生物学的二重測定の平均±標準偏差として示され、2つ以上の実験を表す。
【0044】
図7A図7A~7Fは、本開示の様々な例示的ヒトIL-12部分アゴニストを特性解析するために実施された実験からの結果を概略的に要約する。図7A:ヒトPBMCにおけるIL-12Rβ1の細胞型依存性及び活性化状態依存性発現。ヒトNK細胞(CD3-CD56+)又はCD8+T細胞(CD3+CD8+)のp40四量体染色によって測定されたIL-12Rβ1発現レベルを示すフローサイトメトリープロット。赤線は200nMの四量体染色を示し、灰色の集団はストレプトアビジン染色のみを表す。T細胞芽球の場合、PBMCは、2.5μg/mLのαCD3、5μg/mLのαCD28、及び100IU/mLのIL-2で2日間刺激された。
図7B図7B:NK細胞及びT細胞ゲーティングスキーム。
図7C-7D】図7C~7D:IL-12部分アゴニストで20分間刺激したCD8+T細胞芽球のホスホフローサイトメトリー。図7C:ヒトCD8+T細胞芽球におけるpSTAT4シグナル伝達の用量応答曲線。図7D:ヒストグラムは、8nM(IL-12)又は1μM(2×Ala:E81A/F82A、3×Ala:E81A/F82A/K106A)でのpSTAT4染色を示す。
図7E-7F】図7E:IL-12部分アゴニストは、CD8+T細胞によるIFNγ分泌を支持する。MACS分離CD8+T細胞を、IL-12アゴニスト有り又は無しで、2μg/mLのαCD3、0.5μg/mLのαCD28、及び5ng/mLのIL-2で刺激した。48時間後、上清をIFNγ ELISAについて分析した。破線は、IL-12の非存在下でのIFNγレベルを示す。図7F:IL-12部分アゴニストは、NK細胞によるIFNγ産生の減弱を示す。MACS分離NK細胞を、IL-12アゴニスト有り又は無しで、100ng/mLのIL-18で48時間刺激し、上清をIFNγについてELISAでアッセイした。バックグラウンドを超えるIFNγが検出されなかった条件は、「測定されなかった」の「n.d.」としてリストされている。データは、生物学的二重測定の平均±標準偏差として表され、2つの独立した実験を表す。
【0045】
図7G-7I】図7G~7Iは、ヒトIL-12部分アゴニストであるW37AE81AF82AのT細胞への偏りを証明するために行った実験からの結果を概略的に要約する。図7G:IL-12部分アゴニストで20分間刺激したCD8+T細胞芽球のホスホフローサイトメトリー。図7H:IL-12部分アゴニストは、CD8+T細胞によるIFNγ分泌を支持する。MACS分離CD8+T細胞を、IL-12アゴニスト有り又は無しで、2μg/mLのαCD3、0.5μg/mLのαCD28、及び5ng/mLのIL-2で刺激した。48時間後、上清をIFNγについてELISAで分析した。破線は、IL-12の非存在下でのIFNγレベルを示す。図7I:IL-12部分アゴニストは、NK細胞によるIFNγ産生の減弱を示す。MACS分離NK細胞を、IL-12アゴニスト有り又は無しで、100ng/mLのIL-18で48時間刺激し、上清のIFNγについてELISAでアッセイした。データは、生物学的二重測定の平均±標準偏差として表され、2つの独立した実験を表す。
【0046】
図8A-8D】図8A~8Eは、哺乳動物細胞からのマウスIL-12アゴニストの発現を検証するために行った実験の結果を概略的に要約する。図8A:Expi293F細胞からのIL-12の精製。(A)Ni-NTA精製マウスIL-12の代表的なS200サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)。mAU:ミリ吸光度単位。図8B:Ni-NTA親和性精製並びに還元(R)及び非還元(NR)条件下でのSEC後のIL-12のSDS-PAGE。図8C~8F:哺乳動物で発現されたマウスIL-12バリアントの特性解析。図8C図8D:サイトカインで20分間刺激後のCD8+T細胞芽球のpSTAT4染色。ヒストグラムは、IL-12については8nM、部分アゴニストについては1μMでのpSTAT4染色を示す。
図8E-8F】図8E:哺乳動物で発現されたIL-12部分アゴニストは、抗原特異的CD8+T細胞によるIFNγ産生を促進する。1μg/mLのOVAペプチド(257~264)、0.5μg/mLのαCD28、100IU/mLのIL-2、及び1μMのIL-12バリアントで48時間刺激した後の、OT-ICD8+T細胞(CD3+CD8+)における細胞内IFNγの代表的なヒストグラム(左)及び定量(右)。図8F:哺乳動物で発現されたIL-12部分アゴニストは、NK細胞におけるIFNγ誘導の減弱を示す。精製されたNK細胞を、1μMのIL-12バリアントを含む50ng/mLのIL-18で48時間刺激した。
【0047】
図9A-9C】図9A~9Jは、IL-12部分アゴニストがインビボで細胞型特異的応答を誘発することを示すために行った実験の結果を概略的に要約する。図9A:実験計画の概略。OT-I TCRトランスジェニックマウス(Thy1.2)からのCD8+T細胞を、0日目にコンジェニック受容者マウス(Thy1.1)に移植した。翌日、マウスをフロイント不完全アジュバント(IFA)中の50μgのOVA(257~264)で皮下免疫し、30μgのサイトカインの毎日の腹腔内注射を開始した。5日間のサイトカイン処理後、マウスを安楽死させて、ELISAによる血清IFNγの分析と、フローサイトメトリーによる流出リンパ節の細胞型プロファイリングを行った。図9B:IL-12は体重減少をもたらすが、部分アゴニストはそうではない。マウスの体重を毎日監視し、1日目の体重に対して標準化した後、サイトカイン処理を開始した。図9C:6日目に血清ELISAによって測定されるように、IL-12は全身性IFNγを上昇させるが、部分アゴニストはそうではない。破線は、このパネル及びその後のパネルにおける免疫化されていないマウスの測定値を表す。
図9D-9G】図9D~9E:免疫化は、サイトカイン処理とは無関係に、PD-1+OT-I T細胞の頻度を上昇させる。図9D:CD3+CD8+Thy1.2+として同定されたOT-I+T細胞におけるPD-1発現を示す代表的なFACSプロット。図9E:OT-I+T細胞の頻度としてのPD-1+細胞の定量。図9F:IL-12はOT-I T細胞を拡張するが、部分アゴニストはそうではない。OT-T細胞はThy1.2+として同定され、総CD8+T細胞の頻度として表された。データは、ダン(Dunn)の多重比較を使用するクラスカル-ウォリス(Kruskal-Wallis)検定によって分析した。図9G:IL-12は、LAG-3+NK細胞の頻度を増加させるが、部分アゴニストはそうではない。データは、ダンの多重比較を使用するクラスカル-ウォリス検定によって分析した。9H~J:IL-12部分アゴニストは、IL-12と比較して、NK細胞に対する活性が低下したCD25+発現OT-I T細胞の頻度を優先的に上昇させる。
図9H-9J】図9H:OT-I T細胞(上)及びNK細胞(下)におけるCD25発現を示す代表的なFACSプロット。図9I:CD25+OT-I T細胞の定量。図9J:CD25+NK細胞の定量。データは、テューキーの多重比較を使用する一元配置分散分析によって分析された。データは、n=5マウス/群の平均±標準偏差として表され、2つの独立した実験を表す。
【0048】
図10A-10B】図10A~10Gは、IL-12部分アゴニストが、IL-12関連毒性を誘発することなく、MC-38抗腫瘍応答を支持することを示すために実施した実験の結果を、概略的に要約する。図10A:実験計画の概略。0日目にマトリゲル中の5×105個のMC-38細胞をマウスに移植した。示されているように、7日目から毎日、マウスにPBS(n=10)、1μgのIL-12(n=10)、30μgのIL-12(n=9)、30μgの2×Ala(n=9)、又は30μgの3×Ala(n=10)を注射した。図10B:IL-12は、担癌マウスの体重低下を誘発するが、部分アゴニストはそうではない。体重は、サイトカイン処理の7日前に対して標準化された。30μg用量のIL-12を投与されたマウスは、13日~15日の間にサイトカイン毒性で死亡した。
図10C-10D】図10C:IL-12は全身性IFNγを増強するが、部分アゴニストはそうではない。10日目の血清IFNγ ELISA、n=5マウス/群。図10D:IL-12は運動能力を低下させるが、部分アゴニストはそうではない。サイトカイン処理後のMC-38担持マウスの累積変位。16日目にキャプチャされた30秒間のビデオの定量。累積変位は、経時的なΔXとΔYの合計として計算された。データは、n=5匹のマウス/群の平均±標準偏差として示されている。
図10E-10F】図10E:IL-12及び部分アゴニストは、MC-38腫瘍増殖を弱める。腫瘍体積は、20日目にダンの多重比較を使用するクラスカル-ウォリス検定によって比較された。図10F:IL-12及び部分アゴニストは、MC-38担持マウスの生存を延長する。PBS又はIL-12バリアントで処理したマウスのカプラン・マイヤー(Kaplan-Meier)曲線。対数順位検定のP値は、ホルム-シダック(Holm-Sidak)法を使用する多重比較について補正された。
図10G図10G:MC-38担持マウスの個々の腫瘍増殖曲線。カラーで示したサイトカイン処理マウスと比較するために、PBS処理マウスの増殖曲線は灰色で示されている。データは平均±標準偏差として表され、2つの独立した実験を表す。
【発明を実施するための形態】
【0049】
開示の詳細な説明
本開示は一般に、特に、対象においてインターロイキン12(IL-12)及びインターロイキン23(IL-23)によって媒介されるシグナル伝達経路を選択的に調節するための組成物及び方法に関する。特に、本開示は、IL-12p40がその同族受容体IL-12Rβ1と相互作用する方法についての新しい知見に基づく、新規IL-12p40組成物を提供する。以下でより詳細に説明されるように、IL-12p40媒介シグナル伝達は、STAT3媒介性のシグナル伝達及び/又はSTAT4媒介性のシグナル伝達の調整により調節することができる。より具体的には、いくつかの実施形態において本開示は、インターロイキン12受容体ベータ1サブユニット(IL-12Rβ1)に対する調節された結合親和性を有する新しい一連のIL-12p40ポリペプチドバリアントを提供する。本開示はまた、そのようなIL-12p40ポリペプチドを産生するのに有用な組成物及び方法、対象におけるIL-12p40媒介シグナル伝達を調節する方法、並びにIL-12p40受容体の下流のシグナル伝達の混乱に関連する状態の治療方法も提供する。
【0050】
インターロイキンIL-12及びIL-23は、IL-12p40サイトカインサブユニット及びIL-12Rβ1細胞表面受容体を共有するヘテロ二量体サイトカインである。以下の実施例に記載されているように、完全なIL-23受容体複合体のX線結晶構造を決定するために実験が計画され、実施されて、IL-12とIL-23により共有されるIL-12p40とIL-12Rβ1の間の共通のモジュラー相互作用が明らかになった。この新しい構造的理解に基づいて、IL-12Rβ1との界面に変異を有するいくつかのL-12p40バリアントが生成され、STAT3及びSTAT4シグナル伝達を誘発するそれらの能力について試験された。このアプローチにより、一連のIL-12p40バリアントが、IL-12の関連で段階的なSTAT4シグナル伝達を生成し、IL-23の関連で段階的なSTAT3シグナル伝達を生成できることが特定された。IL-12の場合、本明細書に記載の多数の組換えIL-12p40ポリペプチドが同定され、細胞型に偏ったIL-12p40シグナル伝達、例えば、NK細胞内でIL-12媒介シグナル伝達を刺激する組換えポリペプチドの能力の低下を付与することが確認された。いくつかの他の実施形態において、細胞型ベースのIL-12p40シグナル伝達は、NK細胞におけるIL-12シグナル伝達を刺激する組換えポリペプチドの能力の低下を伴うが、CD8+T細胞におけるIL-12シグナル伝達を刺激するその能力は実質的に保持する。これらの新しいサイトカインアゴニストは、NK細胞の活性化に伴う毒性を軽減しながら、細胞傷害性T細胞の抗腫瘍効果を維持することにより、治療上の有用性を有する可能性がある。
【0051】
定義
他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語、表記法、及び他の科学用語又は専門用語は、本開示が関係する当業者によって一般的に理解される意味を有することを意図している。場合によっては、一般的に理解されている意味を持つ用語が、明確にするため及び/又は参照しやすいように本明細書で定義されており、本明細書でのそのような定義の包含は、必ずしも、当技術分野で一般的に理解されているものとの実質的な違いを表すと解釈するべきではない。本明細書に記載又は参照される技術及び方法の多くは、当業者によって充分理解されており、従来の方法論を使用して一般的に使用されている。
【0052】
単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明確に別の指示をしない限り、複数の参照を含む。例えば「細胞」という用語は、1つ又は複数の細胞を含み、それらの混合物を含む。「A及び/又はB」は、本明細書では、「A」、「B」、「A又はB」、及び「A及びB」のすべての選択肢を含むために使用される。
【0053】
用語「約」は、本明細書で使用される場合、その通常の意味は、およそである。およその程度が文脈から明確でない場合、「約」は、提供された値の±10%以内、又は提供された値を含むすべての場合において、最も近い有効数字に丸められたことを意味する。範囲が指定されている場合、それらには境界値が含まれる。
【0054】
本明細書で使用される「投与」及び「投与する」という用語は、特に限定されるものではないが、経口、静脈内、動脈内、筋肉内、腹腔内、皮下、筋肉内、及び局所投与、又はこれらの組み合わせを含む投与経路による、生物活性組成物又は製剤の送達を指す。この用語には、特に限定されるものではないが、医療専門家による投与及び自己投与が含まれる。
【0055】
「細胞」、「細胞培養物」、及び「細胞株」という用語は、特定の対象細胞、細胞培養物、又は細胞株だけでなく、培養中の転移又は継代の数に関係なく、そのような細胞、細胞培養物、又は細胞株の子孫若しくは潜在的な子孫も指す。すべての子孫が親細胞と完全に同一というわけではないことを理解すべきである。これは、突然変異(例えば意図的又は偶然の突然変異)又は環境の影響(例えばメチル化やその他のエピジェネティックな修飾)のいずれかにより、次の世代で特定の修飾が発生する可能性があり、従って、子孫が実際には親細胞と同一ではない可能性があるためであるが、子孫が、元の細胞、細胞培養物、又は細胞株と同じ機能を保持する限り、依然として本明細書で使用される用語の範囲内に含まれる。
【0056】
本開示の対象の組換えポリペプチドの「有効量」、「治療有効量」、又は「医薬的有効量」という用語は、一般に、組成物が存在しない場合と比較して、組成物が記載された目的を達成する(例えばそれが投与される効果を達成する、疾患を治療する、シグナル伝達経路を減少させる、又は疾患若しくは健康状態の1つ又は複数の症状を減少させる)のに十分な量を指す。「有効量」の例は、疾患の症状の治療、予防、又は軽減に寄与するのに十分な量であり、「治療有効量」とも呼ばれる。症状の「軽減」とは、症状の重症度又は頻度の低下、又は症状の排除を意味する。「治療有効量」を含む組成物の正確な量は、治療の目的に依存し、既知の技術を使用して当業者によって確認可能である(例えばLieberman, Pharmaceutical Dosage Forms (vols. 1-3, 1992); Lloyd, The Art, Science and Technology of Pharmaceutical Compounding (1999); Pickar, Dosage Calculations (1999); 及び Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 20th Edition, 2003, Gennaro, Ed., Lippincott, Williams & Wilkinsを参照)。
【0057】
本明細書で使用される「IL-12p40」という用語は、天然であるか又は組換えであるかに拘わらず、野生型IL-12p40を意味する。従って、IL-12p40ポリペプチドは任意のIL-12p40ポリペプチドを指し、特に限定されるものではないが、組換え産生IL-12p40ポリペプチド、合成的産生IL-12p40ポリペプチド、細胞又は組織から抽出されたIL-12p40を含む。野生型ヒトIL-12p40前駆体のアミノ酸配列は、配列番号1に示され、これは、328のアミノ酸残基のタンパク質であり、N末端に22アミノ酸のシグナルペプチドを有し、これは除去されて306アミノ酸の成熟したタンパク質を生成することができる。成熟ヒトIL-12p40のアミノ酸配列を配列番号26に示す。野生型マウス(Mus musculus)IL-12p40前駆体のアミノ酸配列を配列番号2に示す。これは、335のアミノ酸残基のタンパク質であり、N末端に22アミノ酸のシグナルペプチドを有し、これは除去されて313アミノ酸の成熟したタンパク質を生成することができる。成熟マウスIL-12p40のアミノ酸配列は配列番号27に提供される。本開示の目的のために、すべてのアミノ酸の番号付けは、配列番号1(ヒトIL-12p40)又は配列番号2(マウスIL-12p40)に示されるIL-12p40タンパク質の前駆体ポリペプチド(又はプレタンパク質)配列に基づく。しかしながら、当業者は、組換えポリペプチド構築物を作製するために成熟タンパク質がしばしば使用されることを理解するであろう。
【0058】
本明細書で使用されるIL-12p40ポリペプチドの「バリアント」という用語は、参照IL-12p40ポリペプチド、例えば野生型IL-12p40ポリペプチドのアミノ酸配列と比較して、1つ又は複数のアミノ酸置換、欠失、及び/又は挿入が存在するポリペプチドを指す。従って用語「IL-12p40ポリペプチドバリアント」には、IL-12p40ポリペプチドの天然に存在する対立遺伝子バリアント又は代替的スプライスバリアントが含まれる。例えばポリペプチドバリアントは、親IL-12p40ポリペプチドのアミノ酸配列中の1つ又は複数のアミノ酸の、類似又は相同アミノ酸又は非類似アミノ酸による置換を含む。どのアミノ酸が類似又は相同であると判定するには多くの基準が存在する(Gunnar von Heijne, Sequence Analysis in Molecular Biology, p. 123-39 (Academic Press, New York, NY 1987.) 。
【0059】
本明細書で使用される「作動可能に連結された」という用語は、2つ又はそれ以上の要素、例えばポリペプチド配列又はポリヌクレオチド配列間の物理的又は機能的連結を意味し、それらが意図した様式で作動することを可能にする。例えば目的のポリヌクレオチドと調節配列(例えばプロモーター)との間の作動可能な連結は、目的のポリヌクレオチドの発現を可能にする機能的連結である。この意味で、「作動可能に連結された」という用語は、調節領域が目的のコード配列の転写又は翻訳を調節するのに有効であるように、調節領域及びコード配列が転写される配置を指す。すなわち、プロモーターが核酸配列の転写を媒介できる場合、それは核酸配列と作動可能に連結されている。作動可能に連結された要素は、連続的又は非連続的であり得ることが理解されるべきである。ポリペプチドの文脈において「作動可能に連結された」とは、記載されたポリペプチド活性を提供するためのアミノ酸配列(例えば異なるセグメント、モジュール、又はドメイン)間の物理的連結(例えば直接又は間接的に連結)を指す。本開示において、本開示の組換えポリペプチドの様々なセグメント、領域、又はドメインは、細胞内の組換えポリペプチドの適切な折り畳み、プロセシング、ターゲティング、発現、結合、及び他の機能特性を保持するために作動可能に連結され得る。特に他に明記しない限り、本開示の組換えポリペプチドの様々なモジュール、ドメイン、及びセグメントは互いに作動可能に連結されている。本開示の組換えポリペプチドの作動可能に連結されたモジュール、ドメイン、及びセグメントは、連続的又は非連続的であり得る(例えばリンカーを介して互いに連結されている)。
【0060】
本明細書で使用される用語「パーセント同一性」は、2つ又はそれ以上の核酸又はタンパク質に関連して本明細書で使用される場合、BLAST又はBLAST2.0配列比較アルゴリズムを使用して、以下に説明するデフォルトパラメータを使用して測定した場合、又は手動アライメント及び視覚的検査で測定した場合、同一であるか、又は同一のヌクレオチド又はアミノ酸の特定のパーセント(例えば比較ウィンドウ又は指定された領域にわたって、約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又はそれ以上の配列同一性)を有する2つ又はそれ以上の配列又は部分配列を指す。例えばNCBIのウェブサイト、ncbi.nlm.nih.gov/BLASTを参照されたい。そのような配列は、「実質的に同一」であると言われる。この定義は、配列の相補体にも言及するか、又は適用することができる。この定義にはまた、欠失及び/又は付加を有する配列、並びに置換を有する配列も含まれる。配列同一性は、公開された技術及び広く利用可能なコンピュータプログラム、例えばGCSプログラムパッケージ(Devereux et al, Nucleic Acids Res. 12:387, 1984)、BLASTP、BLASTN、FASTA(Atschul et al., J Mol Biol 215:403, 1990)を使用して計算することができる。配列同一性は、the Genetics Computer Group at the University of Wisconsin Biotechnology Center (1710 University Avenue, Madison, Wis. 53705) のSequence Analysis Software Package などの配列解析ソフトウェアをデフォルトパラメーターで使用して測定することができる。
【0061】
本明細書で使用される「医薬的に許容し得る賦形剤」という用語は、目的の化合物を対象に投与するための、医薬的に許容し得る担体、添加剤、又は希釈剤を提供する任意の適切な物質を指す。従って「医薬的に許容し得る賦形剤」は、医薬的に許容し得る希釈剤、医薬的に許容し得る添加剤、及び医薬的に許容し得る担体と呼ばれる物質を包含することができる。本明細書で使用される「医薬的に許容し得る担体」という用語には、特に限定されるものではないが、医薬投与に適合する、生理食塩水、溶媒、分散媒体、コーティング、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤、及び吸収遅延剤などが含まれる。補助的活性化合物(例えば抗生物質及び追加の治療薬)も組成物に取り込むことができる。
【0062】
本明細書で使用される「組換え」又は「改変」核酸分子という用語は、ヒトの介入によって改変された核酸分子を指す。非限定的な例として、cDNAは組換えDNA分子であり、これはインビトロのポリメラーゼ反応によって生成されたか、又はリンカーが結合されたか、又はクローニングベクターや発現ベクターなどのベクターに取り込まれた任意の核酸分子である。非限定的な例として、組換え核酸分子は、1)例えば化学的又は酵素的技術(例えば化学的核酸合成の使用により、又は核酸分子の複製、重合、エキソヌクレアーゼ消化、エンドヌクレアーゼ消化、連結、逆転写、転写、塩基改変(例えばメチル化を含む)、又は組換え(相同組換え及び部位特異的組換えを含む)を使用して、インビトロで合成又は修飾された;2)本来結合していない結合ヌクレオチド配列を含む;3)天然に存在する核酸分子配列に対して、1つ又は複数のヌクレオチドを欠くように、分子クローニング技術を使用して改変;及び/又は4)天然に存在する核酸配列に対して、1つ又は複数の配列変化又は再編成を有するように、分子クローニング技術を使用して操作されたもの、であり得る。非限定的な例として、cDNAは組換えDNA分子であり、これは、インビトロポリメラーゼ反応によって生成されたか、又はリンカーが結合されたか、又はクローニングベクターや発現ベクターなどのベクターに組み込まれた任意の核酸分子である。組換え核酸及び組換えタンパク質の別の非限定的な例は、本明細書に開示されるIL-12p40ポリペプチドバリアントである。
【0063】
本明細書で使用される「個体」又は「対象」には、ヒト(例えばヒト個体)及び非ヒト動物などの動物が含まれる。いくつかの実施形態において、「個体」又は「対象」は、医師の管理下にある患者である。従って、対象は、関心のある疾患(例えば癌)及び/又は疾患の1つ又は複数の症状を有するか、又は有するリスクがある、又は有する疑いのあるヒト患者又は個体であり得る。対象はまた、診断時又はその後に関心のある状態のリスクがあると診断された個体であり得る。「非ヒト動物」という用語は、すべての脊椎動物、例えば哺乳動物、例えばげっ歯類、例えばマウス、非ヒト霊長類、及び他の哺乳動物、例えばヒツジ、イヌ、ウシ、ニワトリ、及び非哺乳動物、例えば両生類、爬虫類などを含む。
【0064】
当業者によって理解されるように、書面による説明を提供することなどの、ありとあらゆる目的のために、本明細書に開示されるすべての範囲はまた、全ての可能な部分範囲及びその部分範囲の組み合わせを包含する。記載された範囲は、同じ範囲を少なくとも等しい半分、3分の1、4分の1、5分の1、10分の1などに分解することを充分に記載し、可能にするものとして容易に認識できる。非限定例として、本明細書で議論される各範囲は、下3分の1、中間の3分の1、及び上3分の1などに容易に分解することができる。また、当業者には理解されるように、「最大」、「少なくとも」、「より大きい」、「未満」などの全ての表現は、列挙された数を含み、これらは、上記で議論された下位範囲に分解され得る。最後に、当業者には理解されるように、範囲には個々のメンバーが含まれる。従って例えば1~3個の物品を有する群は、1、2、又は3個の物品を有する群を指す。同様に、物品数が1~5の群とは、物品数が1、2、3、4、又は5などの物品を有する群を指す。
【0065】
「ベクター」という用語は、本明細書では、別の核酸分子を移入又は輸送することができる核酸分子又は配列を指すために使用される。移入される核酸分子は、一般にベクター核酸分子に連結、例えば挿入される。一般にベクターは、適切な制御要素と結合した場合に複製可能である。「ベクター」という用語には、クローニングベクター及び発現ベクター、並びにウイルスベクター及び組み込みベクターが含まれる。「発現ベクター」は、調節領域を含むベクターであり、従ってインビトロ及び/又はインビボでDNA配列及び断片を発現することができる。ベクターは、細胞内での自律複製を指令する配列を含んでもよく、又は宿主細胞DNAへの組み込みを可能にするのに十分な配列を含んでもよい。有用なベクターには、例えばプラスミド(例えばDNAプラスミド又はRNAプラスミド)、トランスポゾン、コスミド、細菌人工染色体、及びウイルスベクターが含まれる。有用なウイルスベクターには、例えば複製欠損レトロウイルス及びレンチウイルスが含まれる。いくつかの実施形態において、ベクターは遺伝子送達ベクターである。いくつかの実施形態において、遺伝子を細胞に移入するための遺伝子送達ビヒクルとしてベクターが使用される。
【0066】
本明細書に記載される開示の態様及び実施形態は、態様及び実施形態「を含む(comprising)」、「からなる(consisting)」、及び「から本質的になる(consisting essentially of)」を含むことが理解される。本明細書で使用される「含む」は、「含む」、「含有する」、又は「によって特徴付けられる」と同義であり、包括的又は無制限であり、追加の列挙されていない要素又は方法工程を排除しない。本明細書で使用される「からなる」は、特許請求される組成物又は方法で指定されていない要素、工程、又は成分を排除する。本明細書で使用される「から本質的になる」は、特許請求される組成物又は方法の基本的及び新規な特徴に実質的に影響を及ぼさない材料又は工程を排除しない。特に組成物の成分の説明又は方法の工程の説明における「含む」という用語の本明細書におけるいかなる記載も、記載された成分又は工程から本質的になる及びそれらからなる組成物及び方法を包含すると理解される。
【0067】
例えば(a)、(b)、(i)などの見出しは、単に明細書及び特許請求の範囲を読みやすくするために提示されている。明細書又は特許請求の範囲における見出しの使用は、工程又は要素がアルファベット順又は番号順、又はそれらが提示された順序で実行されることを要求するものではない。
【0068】
値の範囲が提供される場合、文脈が明確に別段の指示をしない限り、下限の単位の10分の1までの各介在値は、その範囲の上限と下限の間、及びその他の記載された値又はその記載された範囲内の介在する値は、本開示内に含まれる。これらのより小さな範囲の上限及び下限は、独立してより小さな範囲に含まれてもよく、記載された範囲で特に除外された限界に従って、開示内に包含される。記載された範囲が限界の一方又は両方を含む場合、それらの含まれる限界のいずれか又は両方を除外する範囲も本開示に含まれる。
【0069】
いくつかの範囲は、「約」という用語が前に付いた数値で本明細書に提示される。「約」という用語は、本明細書では、それが先行する正確な数、並びにその用語が先行する数に近いか又は近似の数に対する文字通りの支持を提供するために使用される。ある数字が具体的に記載された数字に近いか、又は近似の数字であるかどうかを判断する際に、近いか又は近似の未記載の数字は、それが提示される文脈において、具体的に記載された数字と実質的に同等のものを提供する数字であり得る。
【0070】
明確にするために、別個の実施形態に関連して説明される本開示のいくつかの特徴は、単一の実施形態において組み合わせて提供され得ることが理解される。逆に、簡潔にするために、単一の実施形態に関連して説明されている本開示の様々な特徴は、別個に又は任意の適切な部分組合わせで提供され得る。本開示に関連する実施形態のすべての組み合わせは、本開示によって具体的に包含され、あらゆる組み合わせが個々に明示的に開示されたかのように、本明細書に開示される。さらに、様々な実施形態及びその要素のすべての部分組合わせもまた、本開示によって具体的に包含され、あたかもそのような部分組合わせのすべてが個別かつ明示的に本明細書に開示されたかのように、本明細書に開示される。
【0071】
インターロイキン12サブユニットp40(IL-12p40)
サイトカインは、細胞表面受容体の多量体化及びJAK-STATシグナル伝達経路の誘導を通じて生理学の多様な側面を調節する分泌因子である。インターロイキン-12(IL-12)及びインターロイキン-23(IL-23)は、病原体関連分子パターンに応答して抗原提示細胞によって産生されるヘテロ二量体サイトカインであり、複数のリンパ球集団の活性化と分化を調節する。共通のIL-12p40サブユニットとIL-12受容体ベータ1(IL-12Rβ1)を使用しているにもかかわらず、IL-12とIL-23は免疫系において重複しない役割を果たしている。
【0072】
IL-12は、NK細胞及びT細胞上に発現されるIL-12Rβ1及びIL-12Rβ2の受容体複合体を介してシグナル伝達する(図1A)。IL-12受容体の二量体化は、受容体関連ヤヌスキナーゼ(JAK)分子の活性化を誘導し、これらの分子は、互いにリン酸化し、並びにSH2含有シグナルトランスデューサー及び活性化因子4(STAT4)のドッキング部位として機能するIL-12Rβ2の細胞内ドメイン上の残基上をリン酸化する。次に、受容体関連STAT4タンパク質は、リン酸化された後、核に移行し、そこで、IFNγの発現とCD4+T細胞のTヘルパー1(Th1)表現型への極性化を促進する。細胞内病原体に対する免疫と癌の類似性を考えると、Th1応答を刺激する治療アプローチが、ワクチンアジュバントとエピトープの選択を通じて間接的に、又はIL-12の投与を通じて直接、癌免疫療法の関連で調査されてきた。前臨床モデルでの有望性にもかかわらず、NK細胞を介したIFNγの産生に関連する毒性のために、IL-12投与の治療効果は制限されている。
【0073】
図1に模式的に示されるように、1A、IL-12はそのIL-12p40サブユニットをIL-23と共有し、これは、IL-12Rβ1とIL-23受容体(IL-23R)によって形成される受容体複合体を介してシグナル伝達をする。IL-12とIL-23の共有受容体として、IL-12Rβ1はT細胞、NK細胞、及び単球に現されるが、IL-23Rの発現はγδT細胞とCD4+T細胞に限定される。IL-12Rβ1の共有にもかかわらず、IL-12とIL-23は、異なる表現型作用を有する。CD4+T細胞では、IL-23シグナル伝達は、STAT3のリン酸化とIL-17産生Th17系統の安定化を促進する。Th17細胞とIL-23シグナル伝達は、細胞外病原体に対する免疫応答において重要な役割を果たすが、異常なTh17活性は複数の自己免疫疾患と関連している。実際、IL-23p19又はIL-12p40のいずれかの遺伝的欠損は、マウスを実験的自己免疫性脳脊髄炎及び大腸炎から保護する。臨床的には、IL-23を標的とするアンタゴニスト抗体は、中等度から重度の尋常性乾癬、乾癬性関節炎、クローン病、及び潰瘍性大腸炎の治療に承認されているが、これらの抗体の多くはIL-12とIL-23シグナル伝達の両方をブロックし、感染リスクの上昇などの合併症を引き起こす。
【0074】
IL-12及びIL-23シグナル伝達の臨床的重要性を考えると、この重要なサイトカイン軸を特異的に調節するための新しい戦略が必要である。しかし、IL-12とIL-23がどのように受容体に結合し、下流のシグナル伝達を開始させるかについての構造的情報が不足しているため、新しいサイトカインバリアントを改変する能力が制限されてきた。これに対処するために、完全なIL-23受容体複合体(IL-23p19/IL-12p40/IL-23R/IL-12Rβ1)の結晶構造を解明する実験が行われ、IL-12p40がIL-12Rβ1に直接係合することが明らかになった。IL-12Rβ1とIL-12p40の両方がIL-12とIL-23の間で共有されているため、この界面は、IL-12とIL-23の両方のシグナル伝達を開始させる複合体組み立ての重要な機能を表している。次に、結晶構造から得られた新しい知見を使用して、STATシグナル伝達を調節するIL-12及びIL-23部分アゴニストのパネルが設計された。以下に示すように、多くのIL-12アゴニストが、CD8+T細胞のIFNγ誘導と腫瘍細胞の死滅を維持できるが、NK細胞からのIFNγ産生の低下を誘発することが確認された。従って、IL-12の活性を抗原特異的T細胞に限定することにより、IL-12部分アゴニストは、NK細胞のIFNγ産生に関連する毒性を低減することにより、治療上の有用性を有する可能性がある。
【0075】
以下により詳細に記載するように、IL-12p40が共有受容体IL-12Rβ1に係合することを明らかにする4元IL-23受容体複合体の3.4Å分解能の結晶構造を決定するために実験を行った。受容体組み立てのこのメカニズムは、サイトカインスーパーファミリーに固有であり、IL-12及びIL-23受容体組み立てにおけるIL-12p40の共有された役割を示している。この新たに確立された構造からの知見を使用して追加の実験が行い、IL-12部分アゴニストのパネルを設計及び試験した。このパネルは、細胞型全体のIL-12Rβ1発現の差異を利用して、NK細胞に対する活性が低下した抗原特異的CD8+T細胞を支持する。本開示は、IL-12p40媒介シグナル伝達を調節するのに有用な新しい分子、及び細胞型選択的サイトカインアゴニストを改変するための新しいアプローチを提供する。
【0076】
開示の構成
A.組換えIL-12p40ポリペプチド
上で概説したように、本開示のいくつかの実施形態は、IL-12Rβ1に対する結合親和性が変化し、及びインターロイキン-12(IL-12)及び/又はインターロイキン-23(IL-23)を介して組織特異的に媒介される下流シグナル伝達の部分アゴニズムの特性を有する、新しい一連のIL-12p40ポリペプチドバリアントに関する。例えば、本開示のいくつかの実施形態において、本明細書に開示されるIL-12p40ポリペプチドバリアントは、NK細胞におけるIL-12媒介シグナル伝達を刺激する能力の低下を付与する。いくつかの他の実施形態において、本明細書に開示されるIL-12p40ポリペプチドバリアントは、NK細胞におけるIL-12シグナル伝達を刺激する能力の低下を付与するが、CD8+T細胞におけるIL-12シグナル伝達を刺激する能力は実質的に保持する。
【0077】
1つの態様において、本開示のいくつかの実施形態は、以下を含む組換えポリペプチドに関する:(a)配列番号1のアミノ酸配列を有するIL-12p40ポリペプチドと少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列、及びさらに(b)配列番号1の配列中の1つ又は複数のアミノ酸置換。
【0078】
本明細書に開示される組換えポリペプチドの非限定的な例示的実施形態は、以下の特徴の1つ又は複数を含み得る。いくつかの実施形態において、組換えポリペプチドは、配列番号1の配列と、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、組換えポリペプチドは、配列番号1の配列と100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0079】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される組換えポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号1のX37、X39、X40、X41、X80、X81、X82、X106、X108、X115、X216、X217、X218、及びX219からなる群から選択されるアミノ酸残基に対応する位置に、1つ又は複数のアミノ酸置換をさらに含む。いくつかの実施形態において、組換えポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号1のX37、X39、X40、X41、X80、X81、X82、X106、X108、X115、X216、X217、X218、及びX219からなる群から選択されるアミノ酸残基に対応する位置に、約1~約14のアミノ酸置換をさらに含む。いくつかの実施形態において、組換えポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号1のX37、X39、X40、X41、X80、X81、X82、X106、X108、X115、X216、X217、X218、及びX219からなる群から選択されるアミノ酸残基に対応する位置に、約1~約5、約2~約8、約3~約10、約4~約12、約5~約15、約3~約5、約7~約5、又は約3個~約12個のアミノ酸置換をさらに含む。いくつかの実施形態において、組換えポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号1のX37、X39、X40、X41、X80、X81、X82、X106、X108、X115、X216、X217、X218、及びX219からなる群から選択されるアミノ酸残基に対応する位置に、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、又は少なくとも15個のアミノ酸置換をさらに含む。
【0080】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される組換えポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号1のX37、X39、X40、X81、X82、X106、X217、及びX219からなる群から選択されるアミノ酸残基に対応する位置に1つ又は複数のアミノ酸置換をさらに含む。いくつかの実施形態において、組換えポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号1のX37、X39、X40、X81、X82、X106、X217、及びX219からなる群から選択されるアミノ酸残基に対応する位置に、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、又は少なくとも7個のアミノ酸配列をさらに含む。本開示の例示的IL-12p40ポリペプチドバリアントは、配列番号1の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、又はそれ以上のアミノ酸の置換を含むことができる。いくつかの実施形態において、組換えポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号1のX37、X39、X40、X81、X82、X106、X217、及びX219からなる群から選択されるアミノ酸残基に対応する位置に、1、2、3、4、又は5個のアミノ酸置換を含むことができる。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される組換えポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号1のX81、X82、X106、X217、及びX219からなる群から選択されるアミノ酸残基に対応する位置に、1つ又は複数のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される組換えポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号1のアミノ酸残基X39、X40、X81、X82に対応する位置に、アミノ酸置換の組合わせを含む。
【0081】
本開示の本態様及び他の態様に従って、IL-12p40ポリペプチドにおけるそのようなアミノ酸置換は、そのような置換を欠く親IL-12p40ポリペプチドの結合親和性と比較して、IL-12Rβ1に対する結合親和性が改変されたIL-12p40バリアントをもたらす。例えば本明細書に開示されるIL-12p40ポリペプチドバリアントは、IL-12Rβ1に対する上昇した親和性又は低下した親和性を有することができるか、又は野生型IL-12p40と同一又は同様であるIL-12Rβ1に対する親和性を有することができる。本明細書に開示されるIL-12p40ポリペプチドバリアントはまた、IL-12p40の別の位置に保存的修飾及び置換(例えばIL-12p40バリアントの二次又は三次構造に最小限の影響を有するもの)を含むことができる。そのような保存的置換には、DayhoffによってThe Atlas of Protein Sequence and Structure 5 (1978)に、及び Argos によってEMBO J, 8:779-785 (1989)記載されたものが含まれる。例えば次の群の1つに属するアミノ酸は保存的変化を表す:群I:Ala、Pro、Gly、Gln、Asn、Ser、Thr;群II:Cys、Ser、Tyr、Thr;群III:Val、Ile、Leu、Met、Ala、Phe;群IV:Lys、Arg、His;群V:Phe、Tyr、Trp、His;及び群VI:Asp、Glu。
【0082】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される組換えIL-12p40ポリペプチドのアミノ酸配列におけるアミノ酸置換は、アラニン(A)置換、アルギニン(R)置換、アスパラギン(N)置換、アスパラギン酸(D)置換、ロイシン(L)置換、リジン(K)置換、フェニルアラニン(F)置換、リジン置換、グルタミン(Q)置換、グルタミン酸(E)置換、セリン(S)置換、及びスレオニン(T)置換、並びにこれらの任意の組み合わせからなる群から独立して選択される。本明細書に開示される組換えIL-12p40ポリペプチドにおけるアミノ酸置換の非限定的な例が以下の表1に提供される。
【表1】
【0083】
いくつかの実施形態において、組換えポリペプチドは、配列番号1の配列と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、及び配列番号1のW37、P39、D40、A41、K80、E81、F82、K106、E108、D115、H216、K217、L218、及びK219からなる群から選択されるアミノ酸残基に対応するアミノ酸置換をさらに含む。いくつかの実施形態において、組換えポリペプチドは、配列番号1の配列と少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、及び:配列番号1のW37、P39、D40、A41、K80、E81、F82、K106、E108、D115、H216、K217、L218、及びK219からなる群から選択されるアミノ酸残基に対応するアミノ酸置換をさらに含む。いくつかの実施形態において、組換えポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号1のW37、P39、D40、A41、K80、E81、F82、K106、E108、D115、H216、K217、L218、及びK219からなる群から選択されるアミノ酸残基に対応する位置に、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、又は少なくとも7個のアミノ酸置換をさらに含む。
【0084】
いくつかの実施形態において、アミノ酸置換は、配列番号1のW37、P39、D40、A41、K80、E81、F82、K106、E108、D115、H216、K217、L218、及びK219からなる群から選択されるアミノ酸残基に対応する位置にある。いくつかの実施形態において、アミノ酸置換は、配列番号1のW37、P39、D40、E81、F82、K106、K217、及びK219からなる群から選択されるアミノ酸残基に対応する位置にある。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される組換えポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号1のE81、F82、K106、K217、及びK219からなる群から選択されるアミノ酸残基に対応する位置に、1つ又は複数のアミノ酸置換をさらに含む。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される組換えポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号1のアミノ酸残基W37、P39、D40、E81、F82に対応する位置のアミノ酸置換の組み合わせをさらに含む。いくつかの実施形態において、アミノ酸配列は、配列番号1のアミノ酸残基E81、F82、K106、K217、及びK219に対応するアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態において、本開示のポリペプチドは、配列番号1と少なくとも70%の配列同一性を有し、以下のアミノ酸置換に対応するアミノ酸置換をさらに含む:(a)W37A;(b)P39A、(c)D40A、(d)E81A、(e)F82A、(f)K106A、(g)D109A、(h)K217A、(i)K219A、(j)E81A/F82A、(k)W37A/E81A/F82A、(l)E81A/F82A/K106A、(m)E81A/F82A/K106A/K219A、(n)E81A/F82A/K106A/K217A、(o)81A/F82A/K106A/E108A/D115A、(p)E81F/F82A、(q)E81K/F82A、(r)E81L/F82A、(s)E81H/F82A、(t)E81S/F82A、(u)E81A/F82A/K106N、(v)E81A/F82A/K106Q、(w)E81A/F82A/K106T、(x)E81A/F82A/K106R、又は(y)P39A/D40A/E81A/F82A。いくつかの実施形態において、本開示のポリペプチドは、配列番号1と少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%の配列同一性を有し、以下のアミノ酸置換に対応するアミノ酸置換をさらに含む:(a)W37A;(b)P39A、(c)D40A、(d)E81A、(e)F82A、(f)K106A、(g)D109A、(h)K217A、(i)K219A、(j)E81A/F82A、(k)W37A/E81A/F82A、(l)E81A/F82A/K106A、(m)E81A/F82A/K106A/K219A、(n)E81A/F82A/K106A/K217A、(o)81A/F82A/K106A/E108A/D115A、(p)E81F/F82A、(q)E81K/F82A、(r)E81L/F82A、(s)E81H/F82A、(t)E81S/F82A、(u)E81A/F82A/K106N、(v)E81A/F82A/K106Q、(w)E81A/F82A/K106T、(x)E81A/F82A/K106R、又は(y)P39A/D40A/E81A/F82A。いくつかの実施形態において、本開示のポリペプチドは、配列番号1と100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、以下のアミノ酸置換に対応するアミノ酸置換をさらに含む:(a)W37A;(b)P39A、(c)D40A、(d)E81A、(e)F82A、(f)K106A、(g)D109A、(h)K217A、(i)K219A、(j)E81A/F82A、(k)W37A/E81A/F82A、(l)E81A/F82A/K106A、(m)E81A/F82A/K106A/K219A、(n)E81A/F82A/K106A/K217A、(o)81A/F82A/K106A/E108A/D115A、(p)E81F/F82A、(q)E81K/F82A、(r)E81L/F82A、(s)E81H/F82A、(t)E81S/F82A、(u)E81A/F82A/K106N、(v)E81A/F82A/K106Q、(w)E81A/F82A/K106T、(x)E81A/F82A/K106R、又は(y)P39A/D40A/E81A/F82A。いくつかの実施形態において、本開示の組換えポリペプチドは、配列番号3~8及び13~16からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するIL-12p40ポリペプチドと、少なくとも70%、80%、90%、95%、99%、又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0085】
別の態様において、本開示のいくつかの実施形態は、以下を含む組換えポリペプチドに関する:(a)配列番号2のアミノ酸配列を有するIL-12p40ポリペプチドと少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列、及びさらに(b)配列番号2の配列中に1つ又は複数アミノ酸置換。この態様の組換えポリペプチドの非限定的な例示的実施形態は、1つ又は複数の以下の特徴を含むことができる。いくつかの実施形態において、組換えポリペプチドは、配列番号2の配列と、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、組換えポリペプチドは、配列番号2の配列と100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0086】
いくつかの実施形態において、組換えポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号2のX37、X39、X40、X41、X80、X81、X82、X106、X108、X115、X216、X217、X218、及びX219からなる群から選択されるアミノ酸残基に対応する位置に1つ又は複数のアミノ酸置換に1つ又は複数のアミノ酸置換をさらに含む。いくつかの実施形態において、組換えポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号2のX37、X39、X40、X41、X80、X81、X82、X106、X108、X115、X216、X217、X218、及びX219からなる群から選択されるアミノ酸残基に対応する位置に、約1~約14のアミノ酸置換をさらに含む。いくつかの実施形態において、組換えポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号2のX37、X39、X40、X41、X80、X81、X82、X106、X108、X115、X216、X217、X218、及びX219からなる群から選択されるアミノ酸残基に対応する位置に、約1~約5、約2~約8、約3~約10、約4~約12、約5~約15、約3~約5、約7~約5、又は約3個~約12個のアミノ酸置換をさらに含む。いくつかの実施形態において、組換えポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号2のX37、X39、X40、X41、X80、X81、X82、X106、X108、X115、X216、X217、X218、及びX219からなる群から選択されるアミノ酸残基に対応する位置に、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、又は少なくとも15個のアミノ酸配列をさらに含む。
【0087】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される組換えポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号2のX39、X40、X81、X82、X106、X217、及びX219からなる群から選択されるアミノ酸残基に対応する位置に1つ又は複数のアミノ酸置換に1つ又は複数のアミノ酸置換をさらに含む。いくつかの実施形態において、組換えポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号2のX39、X40、X81、X82、X106、X217、及びX219からなる群から選択されるアミノ酸残基に対応する位置に、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、又は少なくとも7個のアミノ酸置換をさらに含む。いくつかの実施形態において、組換えポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号2のX39、X40、X81、X82、X106、X217、及びX219からなる群から選択されるアミノ酸残基に対応する位置に、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、又は少なくとも5個のアミノ酸置換をさらに含む。いくつかの実施形態において、アミノ酸置換は、配列番号2のX81、X82、X106、及びX217からなる群から選択されるアミノ酸残基に対応する位置にある。いくつかの実施形態において、アミノ酸配列は、配列番号2のアミノ酸残基X81、X82、及びX106に対応する位置に、アミノ酸置換の組合わせを含む。いくつかの実施形態において、アミノ酸配列は、配列番号2のアミノ酸残基X81、X82、X106、及びX217に対応する位置に、アミノ酸置換の組合わせを含む。
【0088】
本開示のこの本態様及び他の態様に従って、IL-12p40ポリペプチドにおけるそのようなアミノ酸置換は、そのような置換を欠く親IL-12p40ポリペプチドの結合親和性と比較して、IL-12Rβ1に対する結合親和性が改変されたIL-12p40バリアントをもたらす。例えば本明細書に開示されるIL-12p40ポリペプチドバリアントは、IL-12Rβ1に対する上昇した親和性又は低下した親和性を有することができるか、又は野生型IL-12p40と同一又は同様であるIL-12Rβ1に対する親和性を有することができる。本明細書に開示されるIL-12p40ポリペプチドバリアントはまた、IL-12p40の別の位置に保存的修飾及び置換(例えばIL-12p40バリアントの二次又は三次構造に最小限の影響を有するもの)を含むことができる。そのような保存的置換には、Dayhoff 1978(前述)及び Argos 1989(前述)に記載されたものが含まれる。例えば次の群の1つに属するアミノ酸は保存的変化を表す:群I:Ala、Pro、Gly、Gln、Asn、Ser、Thr;群II:Cys、Ser、Tyr、Thr;群III:Val、Ile、Leu、Met、Ala、Phe;群IV:Lys、Arg、His;群V:Phe、Tyr、Trp、His;及び群VI:Asp、Glu。
【0089】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される組換えIL-12p40ポリペプチドのアミノ酸配列におけるアミノ酸置換は、アラニン(A)置換、アルギニン(R)置換、アスパラギン(N)置換、アスパラギン酸(D)置換、ロイシン(L)置換、リジン(K)置換、フェニルアラニン(F)置換、リジン置換、グルタミン(Q)置換、グルタミン酸(E)置換、セリン(S)置換、及びスレオニン(T)置換、並びにこれらの任意の組み合わせからなる群から独立して選択される。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される組換えIL-12p40ポリペプチドのアミノ酸配列におけるアミノ酸置換はアラニン置換を含む。本明細書に開示される組換えIL-12p40ポリペプチドにおけるアミノ酸置換の非限定例は、以下の表2に提供される。
【表2】
【0090】
いくつかの実施形態において、組換えポリペプチドは、配列番号2の配列と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、及び配列番号1のW37、P39、D40、A41、K80、E81、F82、K106、E108、D115、H216、K217、L218、及びE219からなる群から選択されるアミノ酸残基に対応するアミノ酸置換をさらに含む。いくつかの実施形態において、組換えポリペプチドは、配列番号2の配列と少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、及び:配列番号2のW37、P39、D40、A41、K80、E81、F82、K106、E108、D115、H216、K217、L218、及びE219からなる群から選択されるアミノ酸残基に対応するアミノ酸置換をさらに含む。いくつかの実施形態において、組換えポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号2のW37、P39、D40、A41、K80、E81、F82、K106、E108、D115、H216、K217、L218、及びE219からなる群から選択されるアミノ酸残基に対応する位置に、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、または少なくとも7個のアミノ酸置換をさらに含む。
【0091】
いくつかの実施形態において、アミノ酸置換は、配列番号2のW37、P39、D40、A41、K80、E81、F82、K106、E108、D115、H216、K217、L218、およびE219からなる群から選択されるアミノ酸残基に対応する位置にある。いくつかの実施形態において、アミノ酸置換は、配列番号2のW37、P39、D40、E81、F82、K106、K217、及びE219からなる群から選択されるアミノ酸残基に対応する位置にある。いくつかの実施形態において、アミノ酸配列は、配列番号2のE81、F82、K106、及びK217からなる群から選択されるアミノ酸残基に対応する位置にある。いくつかの実施形態において、アミノ酸配列は、配列番号2のアミノ酸残基E81、F82、及びK106に対応する位置のアミノ酸置換の組合わせを含む。いくつかの実施形態において、アミノ酸配列は、配列番号2のアミノ酸残基E81、F82、K106、及びK217に対応する位置のアミノ酸置換の組合わせを含む。いくつかの実施形態において、本開示のポリペプチドは、配列番号2と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、及び以下のアミノ酸置換に対応するアミノ酸置換をさらに含む:(a)W37A;(b)P39A、(c)D40A、(d)E81A、(e)F82A、(f)K106A、(g)D109A、(h)K217A、(i)E219A、(j)E81A/F82A、(k)W37A/E81A/F82A、(l)E81A/F82A/K106A、(m)E81A/F82A/K106A/K217A、(n)E81F/F82A、(o)E81K/F82A、(p)E81L/F82A、(q)E81H/F82A、(r)E81S/F82A、(s)E81A/F82A/K106N、(t)E81A/F82A/K106Q、(u)E81A/F82A/K106T、(v)E81A/F82A/K106R、又は(w)P39A/D40A/E81A/F82A。
【0092】
いくつかの実施形態において、本開示のポリペプチドは、配列番号2と少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%の配列同一性を有し、及び以下のアミノ酸置換に対応するアミノ酸置換をさらに含む:(a)W37A;(b)P39A、(c)D40A、(d)E81A、(e)F82A、(f)K106A、(g)D109A、(h)K217A、(i)E219A、(j)E81A/F82A、(k)W37A/E81A/F82A、(l)E81A/F82A/K106A、(m)E81A/F82A/K106A/K217A、(n)E81F/F82A、(o)E81K/F82A、(p)E81L/F82A、(q)E81H/F82A、(r)E81S/F82A、(s)E81A/F82A/K106N、(t)E81A/F82A/K106Q、(u)E81A/F82A/K106T、(v)E81A/F82A/K106R、又は(w)P39A/D40A/E81A/F82A。いくつかの実施形態において、本開示のポリペプチドは、配列番号2と100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、以下のアミノ酸置換に対応するアミノ酸置換をさらに含む:(a)W37A;(b)P39A、(c)D40A、(d)E81A、(e)F82A、(f)K106A、(g)D109A、(h)K217A、(i)E219A、(j)E81A/F82A、(k)W37A/E81A/F82A、(l)E81A/F82A/K106A、(m)E81A/F82A/K106A/K217A、(n)E81F/F82A、(o)E81K/F82A、(p)E81L/F82A、(q)E81H/F82A、(r)E81S/F82A、(s)E81A/F82A/K106N、(t)E81A/F82A/K106Q、(u)E81A/F82A/K106T、(v)E81A/F82A/K106R、又は(w)P39A/D40A/E81A/F82A。いくつかの実施形態において、本開示の組換えポリペプチドは、配列番号9~11及び17~25からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するIL-12p40ポリペプチドと、少なくとも70%、80%、90%、95%、99%、又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0093】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される組換えIL-12p40ポリペプチドの配列におけるアミノ酸置換は、IL-12Rβ1に対する組換えIL-12p40ポリペプチドの改変された親和性をもたらし、及びIL-12Rβ1に対するIL-12p40の結合を調節する。IL-12p40ポリペプチドの結合活性に関して「調節する」という用語は、IL-12Rβ1に対するポリペプチドの結合親和性の変化を指す。調節には、ポリペプチドの増加(例えば誘導、刺激)及び減少(例えば低下、阻害)の両方、又はポリペプチドの結合親和性に影響を与えるその他が含まれる。いくつかの実施形態において、アミノ酸置換は、アミノ酸置換を欠く参照IL-12p40ポリペプチドと比較して、組換えIL-12p40ポリペプチドのIL-12Rβ1結合親和性を上昇させる。いくつかの実施形態において、アミノ酸置換は、アミノ酸置換を欠く参照IL-12p40ポリペプチドと比較して、組換えIL-12p40ポリペプチドのIL-12Rβ1結合親和性を低下させる。
【0094】
本明細書に記載のIL-12p40ポリペプチドバリアントを含む本開示の組換えポリペプチドの結合活性は、当技術分野で公知の任意の適切な方法によって測定することができる。例えば本明細書に開示されるIL-12p40ポリペプチドバリアント及びその同族リガンド(例えばIL-12Rβ1、IL-p35、及びIL-22p19)の結合活性は、スキャッチャード分析(Munsen et al. Analyt. Biochem. 107:220-239, 1980)によって決定することができる。特異的結合はまた、特に限定されるものではないが、競合ELISA、Biacore(登録商標)アッセイ及び/又はKinExA(登録商標)アッセイを含む当該技術分野で公知の技術を使用して評価することができる。標的リガンドに優先的に結合又は特異的に結合するポリペプチドは、当技術分野でよく理解されている概念であり、そのような特異的又は優先的結合を決定する方法も当技術分野で公知である。
【0095】
目的のリガンド(例えばIL-12Rβ1、IL-p35、及び/又はIL-22p19)に結合する組換えIL-12p40ポリペプチドを選択するために、様々なアッセイ形式を使用することができる。例えば固相ELISAイムノアッセイ、免疫沈降法、Biacore(商標)(GE Healthcare, Piscataway, NJ)、KinExA、蛍光活性化細胞ソーティング(FACS)、Octet(商標)(ForteBio, Inc., Menlo Park, CA)、及びウエスタンブロット分析は、受容体又はそのリガンド結合部分と特異的に反応するか、同族リガンド又は結合パートナーと特異的に結合するポリペプチドを同定するために使用され得る多くのアッセイの一部である。一般に、特異的又は選択的な結合反応は、バックグラウンドシグナル又はノイズの少なくとも2倍、より一般的にはバックグラウンドの10倍超、バックグラウンドの20倍超、さらにより一般的にはバックグラウンドの50倍超、バックグラウンドの75倍超、バックグラウンドの100倍超、より典型的にはバックグラウンドの500倍超、さらにより典型的にはバックグラウンドの1000倍超、及びさらにより典型的にはバックグラウンドの10,000倍超である。
【0096】
当業者は、結合親和性がまた、2つの結合パートナー、例えばIL-12p40ポリペプチドとIL-12Rβ1ポリペプチドの間の非共有相互作用の強度の尺度として使用され得ることを理解するであろう。場合によっては、結合親和性は、一価の相互作用(固有の活性)を記述するために使用される。2つの分子間の結合親和性は、解離定数(KD)の測定によって定量することができる。次にKDは、例えば表面プラズモン共鳴(SPR)法(Biacore)を使用して、複合体形成及び解離の動態を測定することによって決定することができる。一価複合体の会合及び解離に対応する速度定数は、それぞれ会合速度定数ka(又はkon)及び解離速度定数kd(又はkoff)と呼ばれる。KDは、式KD=kd/kaによってka及びkdに関連付けられる。解離定数の値は、周知されている方法によって直接決定することができ、例えばCaceci et al. (Byte 9: 340-362, 1984) に示される方法により、複雑な混合物についても計算することができる。例えばKDは、Wong & Lohman (1993, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90: 5428- 5432) によって開示されたような二重フィルターニトロセルロースフィルター結合アッセイを使用して確立することができる。標的受容体に対する本開示のIL-12p40ポリペプチドバリアントの結合能力を評価するための他の標準的なアッセイは当技術分野で公知であり、例えばELISA、ウェスタンブロット、RIA、及びフローサイトメトリー分析、並びに実施例に示される他のアッセイが含まれる。IL-12p40ポリペプチドバリアントの結合動態及び結合親和性は、表面プラズモン共鳴(SPR)などの当技術分野で公知の標準アッセイ、例えばBiacore(商標)システム又はKinExAを使用して評価することができる。いくつかの実施形態において、IL-12Rβ1、IL-p35、及び/又はIL-23p19に対する本開示のIL-12p40ポリペプチドバリアントの結合親和性は、固相受容体結合アッセイ(Matrosovich MN et al., Methods Mol Biol. 865:71-94, 2012)によって決定される。いくつかの実施形態において、IL-12Rβ1、IL-p35、及び/又はIL-23p19に対する本開示のIL-12p40ポリペプチドバリアントの結合親和性は、表面プラズモン共鳴(SPR)アッセイによって決定される。
【0097】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される組換えIL-12p40ポリペプチドの配列中のアミノ酸置換は、アミノ酸置換を欠く参照IL-12p40ポリペプチドと比較して、組換えIL-12p40ポリペプチドのIL-12Rβ1結合親和性を、約10%~約100%低下させる。いくつかの実施形態において、組換えIL-12p40ポリペプチドは、アミノ酸置換を欠く参照IL-12p40ポリペプチドと比較して、少なくとも10%、例えば少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、又は少なくとも90%、又は少なくとも約95%低下したIL-12Rβ1に対する結合親和性を有する。いくつかの実施形態において、組換えIL-12p40ポリペプチドは、アミノ酸置換を欠く参照IL-12p40ポリペプチドと比較して、約10%~約50%、例えば約20%~約70%、約30%~約80%、約40%~約90%、約50%~約100%、約20%~約50%、約40%~約70%、約30%~約60%、約40%~約100%、約20%~約80%、又は約10%~約90%低下したIL-12Rβ1に対する結合親和性を有する。いくつかの実施形態において、IL-12Rβ1、IL-p35、及び/又はIL-23p19に対する本開示のIL-12p40ポリペプチドバリアントの結合親和性は、表面プラズモン共鳴(SPR)アッセイによって決定される。
【0098】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される組換えIL-12p40ポリペプチドは、IL-12p35ポリペプチドと組合わせると、アミノ酸置換を欠く参照IL-12p40ポリペプチドと比較して、STAT4シグナル伝達を刺激する能力が低下している。いくつかの実施形態において、STAT4シグナル伝達を刺激するIL-12p40ポリペプチドバリアントの能力は、アミノ酸置換を欠く参照IL-12p40ポリペプチドと比較して、少なくとも約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、又は少なくとも約95%低下している。いくつかの実施形態において、STAT4シグナル伝達を刺激するIL-12p40ポリペプチドバリアントの能力は、アミノ酸置換を欠く参照IL-12p40ポリペプチドと比較して、約10%~約100%低下している。いくつかの実施形態において、STAT4シグナル伝達を刺激するIL-12p40ポリペプチドバリアントの能力は、アミノ酸置換を欠く参照IL-12p40ポリペプチドと比較して、約10%~約50%、約20%~約70%、約30%~約80%、約40%~約90%、約50%~約100%、約20%~約50%、約40%~約70%、約30%~約60%、約40%~約100%、約20%~約80%、又は約10%~約90%低下している。
【0099】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される組換えIL-12p40ポリペプチドは、IL-12p35ポリペプチドと組合わせると、アミノ酸置換を欠く参照IL-12p40ポリペプチドと比較して、STAT3シグナル伝達を刺激する能力が低下している。いくつかの実施形態において、STAT3シグナル伝達を刺激する組換えIL-12p40ポリペプチドバリアントの能力は、アミノ酸置換を欠く参照IL-12p40ポリペプチドと比較して、少なくとも約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、又は少なくとも約95%低下している。いくつかの実施形態において、STAT3シグナル伝達を刺激する組換えIL-12p40ポリペプチドバリアントの能力は、アミノ酸置換を欠く参照IL-12p40ポリペプチドと比較して、約10%~約100%低下している。いくつかの実施形態において、STAT4シグナル伝達を刺激するIL-12p40ポリペプチドバリアントの能力は、アミノ酸置換を欠く参照IL-12p40ポリペプチドと比較して、約10%~約50%、約20%~約70%、約30%~約80%、約40%~約90%、約50%~約100%、約20%~約50%、約40%~約70%、約30%~約60%、約40%~約100%、約20%~約80%、又は約10%~約90%低下している。
【0100】
原則として、STAT3シグナル伝達及び/又はSTAT4シグナル伝達を決定するために使用できるアッセイ及び方法に関して特定の制限はない。本明細書に開示される組成物及び方法に適した例示的な方法論には、特に限定されるものではないが、ホスホフローシグナル伝達アッセイ、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、及び下流遺伝子の発現をアッセイするための当技術分野で知られている任意の技術が含まれる。いくつかの実施形態において、STAT3シグナル伝達及び/又はSTAT4シグナル伝達の調節は、実施例4及び5に記載のホスホフローサイトメトリーアッセイなどのホスホフローシグナル伝達アッセイによって決定することができる。
【0101】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される組換えIL-12p40ポリペプチドバリアントは、アミノ酸置換を欠く参照IL-12p40ポリペプチドと比較して、IL-12p40を介して媒介される下流シグナル伝達の細胞型に偏ったシグナル伝達を与える。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される組換えIL-12p40ポリペプチドバリアントは、IL-12を介して媒介される下流シグナル伝達の細胞型に偏ったシグナル伝達を与える。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される組換えIL-12p40ポリペプチドバリアントは、IL-23を介して媒介される下流シグナル伝達の細胞型に偏ったシグナル伝達を与える。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される組換えIL-12p40ポリペプチドバリアントは、IL-12及びIL-23を介して媒介される下流シグナル伝達の細胞型に偏ったシグナル伝達を与える。
【0102】
IL-12の場合、以下により詳細に記載されるように、本開示の特定の部分アゴニストIL-12p40バリアントは、T細胞対NK細胞に対する選択性を示し、従って、天然IL-12より毒性が低いと予測され、これは多くの企業により癌について臨床開発が行われており、それを制限するものはその毒性である。理論に拘束されものではないが、これらのIL-12部分アゴニストは、サイトカイン多面発現性に関連する毒性を切り離すことにより、癌免疫療法において治療的有用性を有すると考えられる。以下の実施例4に示されるように、本明細書に開示される特定のIL-12部分アゴニストは、IL-12Rβ1に対する親和性の低下を示し、これは抗原特異的CD8+T細胞に対する活性を保持するが、NK細胞の刺激の低下(例えば、障害)を示す。NK細胞媒介IFNγはIL-12毒性の原因であると考えられているため、これらの新しいアゴニストは、低い毒性でIL-12刺激の抗腫瘍効果を維持すると予測される。IL-23の場合、本開示の部分アゴニストIL-12p40バリアントは、IL-23シグナル伝達の段階的制御を可能にすることにより、自己免疫疾患の治療において治療的有用性を有すると考えられる。
【0103】
IL-12及びIL-23シグナル伝達を阻害するIL-12p40の抗体遮断に依存する現在の治療アプローチを補完する、本開示の部分アゴニストIL-12p40バリアントは、IL-12Rβ1に対するIL-23の親和性を調節することによって、IL-23部分アゴニストは、IL-12に影響を与えることなく、IL-23シグナル伝達を特異的に調節するために使用することができる。
【0104】
従って、本開示のいくつかの実施形態は、アミノ酸置換を欠く参照IL-12ポリペプチドと比較して、IL-12を介して媒介される下流シグナル伝達の細胞型に偏ったシグナル伝達を付与する組換えIL-12p40ポリペプチドを提供し、ここで、細胞型に偏ったシグナル伝達には、NK細胞においてIL-12媒介シグナル伝達を刺激する組換えポリペプチドの能力の低下が含まれる。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される組換えIL-12p40ポリペプチドバリアントがNK細胞においてIL-12媒介シグナル伝達を刺激する能力は、アミノ酸置換を欠く参照IL-12p40ポリペプチドと比較して、少なくとも約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、又は少なくとも約95%低下している。いくつかの実施形態において、細胞型に偏ったシグナル伝達は、CD8+T細胞におけるIL-12シグナル伝達を刺激する組換えポリペプチドの実質的に改変されていない能力を含む。いくつかの実施形態において、CD8+T細胞においてIL-12媒介シグナル伝達を刺激する本明細書に開示される組換えIL-12p40ポリペプチドバリアントの能力は変化しておらず、例えば、アミノ酸を欠く参照IL-12p40ポリペプチドと比較して同じ又は実質的に同じである。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される組換えIL-12p40ポリペプチドバリアントは、NK細胞においてIL-12シグナル伝達を刺激するT細胞ポリペプチドの能力の低下を付与するが、CD8+T細胞においてIL-12シグナル伝達を刺激する能力は実質的に保持し、以下の実施例5に記載されるように、標的細胞の抗原特異的死滅を促進する。
【0105】
B.核酸
1つの態様において、発現カセット及び発現ベクターを含む、本開示の組換えIL-12p40ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む様々な核酸分子が本明細書で提供され、発現ベクターは、例えば宿主細胞又はエクスビボの無細胞発現系における組換えIL-12p40ポリペプチドのインビボ発現を可能にする調節配列などの、異種核酸配列に作動可能に連結されたこれらの核酸分子を含む。
【0106】
「核酸分子」及び「ポリヌクレオチド」という用語は、本明細書では交換可能に使用され、cDNA、ゲノムDNA、合成DNA、及び核酸類似体を含むDNA又はRNA分子を含む核酸分子を含む、RNA分子とDNA分子の両方を指す。核酸分子は、二本鎖又は一本鎖(例えばセンス鎖又はアンチセンス鎖)であり得る。核酸分子は、従来方ではないか又は修飾されたヌクレオチドを含むことができる。本明細書で使用される「ポリヌクレオチド配列」及び「核酸配列」という用語は、交換可能にポリヌクレオチド分子の配列を指す。本明細書に開示されるポリヌクレオチド配列及びポリペプチド配列は、参照によりWIPO基準ST.25(1998)、付録2、表1~6を取り込む37CFR§1.82中に、ヌクレオチド塩基及びアミノ酸の標準的な文字略語を使用して示される。
【0107】
本開示の核酸分子は、一般に約0.5Kb~約20Kb、例えば約0.5Kb~約20Kb、約1Kb~約15Kb、約2Kb~約10Kb、又は約5Kb~約25Kb、例えば約10Kb~約15Kb、約15Kb~約20Kb、約5Kb~約20Kb、約5Kb~約10Kb、又は約10Kb~約25Kbである核酸分子を含む、任意の長さの核酸分子であり得る。
【0108】
本明細書に開示されるいくつかの実施形態において、本開示の核酸分子は、本明細書に開示される組換えポリペプチドのアミノ酸配列と、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態において、本開示の核酸分子は、以下を含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む:(a)配列番号1のアミノ酸配列を有するIL-12p40ポリペプチドと、少なくとも70%、80%、90%、95%、99%、又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列;及びさらに(b)配列番号1のX37、X39、X40、X41、X80、X81、X82、X106、X108、X115、X216、X217、X218、及びX219からなる群から選択されるアミノ酸残基に対応する位置に1つ又は複数のアミノ酸置換。いくつかの実施形態において、アミノ酸置換は、配列番号1のX39、X40、X81、X82、X106、X217、及びX219からなる群から選択されるアミノ酸残基に対応する位置にある。いくつかの実施形態において、アミノ酸配列は、配列番号1のアミノ酸残基X81、X82、X106、X217、及びX219に対応するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、アミノ酸配列は、配列番号1のアミノ酸残基X39、X40、X81、X82に対応する位置のアミノ酸置換の組合わせを含む。いくつかの実施形態において、本開示の核酸分子は、配列番号1と少なくとも70%、80%、90%、95%、99%、又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含み、及び配列番号1のW37、P39、D40、A41、K80、E81、F82、K106、E108、D115、H216、K217、L218、及びK219からなる群から選択されるアミノ酸残基に対応するアミノ酸置換をさらに含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態において、アミノ酸置換は、配列番号1のW37、P39、D40、E81、F82、K106、K217、及びK219からなる群から選択されるアミノ酸残基に対応する位置にある。いくつかの実施形態において、アミノ酸配列は、配列番号1のアミノ酸残基E81、E82、K106、K217、及びK219に対応するアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態において、アミノ酸配列は、配列番号1のアミノ酸残基P39、D40、E81、F82に対応する位置にアミノ酸置換の組合わせを含む。いくつかの実施形態において、本開示の核酸分子は、配列番号1と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、及び以下のアミノ酸置換に対応するアミノ酸置換をさらに含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む:(a)W37A、(b)P39A、(c)D40A、(d)E81A、(e)F82A、(f)K106A、(g)D109A、(h)K217A、(i)K219A、(j)E81A/F82A、(k)W37A/E81A/F82A、(l)E81A/F82A/K106A、(m)E81A/F82A/K106A/K219A、(n)E81A/F82A/K106A/K217A、(o)81A/F82A/K106A/E108A/D115A、(p)E81F/F82A、(q)E81K/F82A、(r)E81L/F82A、(s)E81H/F82A、(t)E81S/F82A、(u)E81A/F82A/K106N、(v)E81A/F82A/K106Q、(w)E81A/F82A/K106T、(x)E81A/F82A/K106R、又は(y)P39A/D40A/E81A/F82A。いくつかの実施形態において、本開示の核酸分子は、配列番号3~8及び13~16からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するIL-12p40ポリペプチドと、少なくとも70%、80%、90%、95%、99%、又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。
【0109】
いくつかの実施形態において、本開示の核酸分子は、以下を含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む:(a)配列番号2のアミノ酸配列を有するIL-12p40ポリペプチドと、少なくとも70%、80%、90%、95%、99%、又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列;及びさらに(b)配列番号2のX37、X39、X40、X41、X80、X81、X82、X106、X108、X115、X216、X217、X218、及びX219からなる群から選択されるアミノ酸残基に対応する位置に1つ又は複数のアミノ酸置換。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号2のX39、X40、X81、X82、X106、X217、及びX219からなる群から選択されるアミノ酸残基に対応する位置に追加のアミノ酸置換をさらに含む。いくつかの実施形態において、アミノ酸置換は、配列番号2のX81、X82、X106、及びX217からなる群から選択されるアミノ酸残基に対応する位置にある。いくつかの実施形態において、アミノ酸配列は、配列番号2のアミノ酸残基X81、X82、及びX106に対応する位置のアミノ酸置換の組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、アミノ酸配列は、配列番号2のアミノ酸残基X81、X82、X106、及びX217に対応する位置のアミノ酸置換の組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、本開示の核酸分子は、配列番号2と、少なくとも70%、80%、90%、95%、99%、又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、及びさらに配列番号2のW37、P39、D40、A41、K80、E81、F82、K106、E108、D115、H216、K217、L218、及びE219からなる群から選択されるアミノ酸残基に対応するアミノ酸置換をさらに含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態において、アミノ酸配列は、配列番号2のW37、P39、D40、E81、F82、K106、K217、及びE219からなる群から選択されるアミノ酸残基に対応する位置に追加のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態において、アミノ酸置換は、配列番号2のE81、F82、K106、及びK217からなる群から選択されるアミノ酸残基に対応する位置にある。いくつかの実施形態において、アミノ酸配列は、配列番号2のアミノ酸残基E81、F82、及びK106に対応する位置のアミノ酸置換の組合わせを含む。いくつかの実施形態において、アミノ酸配列は、配列番号2のE81、F82、K106、及びK217に対応する位置のアミノ酸置換の組合わせを含む。
【0110】
いくつかの実施形態において、本開示の核酸分子は、配列番号2と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、及び以下のアミノ酸置換に対応するアミノ酸置換をさらに含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む:(a)W37A;(b)P39A、(c)D40A、(d)E81A、(e)F82A、(f)K106A、(g)D109A、(h)K217A、(i)K219A、(j)E81A/F82A、(k)W37A/E81A/F82A、(l)E81A/F82A/K106A、(m)E81A/F82A/K106A/K217A、(n)E81A/F82A、(o)81K/F82A、(p)E81L/F82A、(q)E81H/F82A、(r)E81s/F82A、(s)E81A/F82A/K106N、(t)E81A/F82A/K106Q、(u)E81A/F82A/K106T、(v)E81A/F82A/K106R、又は(w)P39A/D40A/E81A/F82A。いくつかの実施形態において、本開示の核酸分子は、配列番号9~11及び17~25からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するIL-12p40ポリペプチドと、少なくとも70%、80%、90%、95%、99%、又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。
【0111】
いくつかの実施形態において、ヌクレオチド配列は、発現カセット又は発現ベクターに取り込まれる。発現カセットは、一般に、コード配列と、インビボ及び/又はエクスビボで、レシピエント細胞においてコード配列の正しい転写及び/又は翻訳を指令するための十分な調節情報とを含む遺伝物質の構築物を含むことが理解される。一般に、発現カセットは、所望の宿主細胞及び/又は個体をターゲティングするために、ベクターに挿入され得る。従って、いくつかの実施形態において、本開示の発現カセットは、本明細書に開示される組換えポリペプチドのコード配列を含み、これは、プロモーターなどの発現制御要素、及び任意選択的に、コード配列の転写又は翻訳に影響を与える他の核酸配列のいずれか又は組み合わせに作動可能に連結される。
【0112】
いくつかの実施形態において、ヌクレオチド配列は発現ベクターに取り込まれる。「ベクター」という用語は、一般に、宿主細胞間の転移のために設計された組換えポリヌクレオチド構築物を指し、形質転換の目的、例えば宿主細胞内への異種DNAの導入のために使用され得ることを、当業者は理解するであろう。従って、いくつかの実施形態において、ベクターは、プラスミド、ファージ、又はコスミドなどのレプリコンであり得、挿入されたセグメントの複製をもたらすように、そこに別のDNAセグメントが挿入され得る。いくつかの実施形態において、発現ベクターは組込みベクターであり得る。
【0113】
いくつかの実施形態において、発現ベクターはウイルスベクターであり得る。当業者には理解されるように、「ウイルスベクター」という用語は、典型的には、核酸分子の移動又は細胞のゲノムへの組み込みを促進するウイルス由来の核酸要素を含む核酸分子(例えばトランスファープラスミド)を、又は核酸の移動を媒介するウイルス粒子を指すために、広く使用されている。ウイルス粒子は、典型的には、核酸に加えて様々なウイルス成分を含み、時には宿主細胞成分も含む。ウイルスベクターという用語は、核酸を細胞に移動させることができるウイルス又はウイルス粒子、又は移動された核酸自体のいずれかを指し得る。ウイルスベクターとトランスファープラスミドには、主にウイルスに由来する構造的及び/又は機能的な遺伝要素が含まれている。いくつかの実施形態においてウイルスベクターは、バキュロウイルスベクター、レトロウイルスベクター、又はレンチウイルスベクターである。「レトロウイルスベクター」という用語は、主にレトロウイルスに由来する、構造的及び機能的遺伝要素又はその一部を含むウイルスベクター又はプラスミドを指す。「レンチウイルスベクター」という用語は、レトロウイルス属であるレンチウイルスに主に由来するLTRを含む、構造的及び機能的遺伝要素又はその一部を含むウイルスベクター又はプラスミドを指す。
【0114】
従って、本明細書に開示される任意の組換えポリペプチド又はIL-12p40ポリペプチドバリアントをコードする核酸分子の1つ又は複数を含むベクター、プラスミド、又はウイルスも本明細書に提供される。核酸分子は、例えばベクターで形質転換/形質導入された細胞においてそれらの発現を指示すことができるベクター内に含まれ得る。真核細胞及び原核細胞での使用に適したベクターは、当技術分野で公知であり、市販されているか、又は当業者によって容易に調製される。
【0115】
DNAベクターは、従来の形質転換又はトランスフェクション技術を介して真核細胞に導入することができる。細胞を形質転換又はトランスフェクトするための適切な方法は、Sambrook et al. (2012, 前述)及び他の標準的な分子生物学実験マニュアルに見いだすことができ、例えばリン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE-デキストラン媒介トランスフェクション、トランスフェクション、微量注入法、カチオン性脂質媒介トランスフェクション、電気穿孔法、形質導入、スクレイプローディング、弾道導入(ballistic introduction,)、ヌクレオポレーション、流体力学的ショック、及び感染がある。
【0116】
本開示で使用できるウイルスベクターには、例えばバキュロウイルスベクター、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、及びアデノ随伴ウイルスベクター、レンチウイルスベクター、ヘルペスウイルス、シミアンウイルス40(SV40)、及びウシパピローマウイルスベクターが含まれる(例えばGluzman (Ed.), Eukaryotic Viral Vectors, CSH Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y. を参照されたい)。例えば本明細書に開示されるキメラ受容体は、真核細胞、例えば哺乳動物細胞(例えばCOS細胞、NIH3T3細胞、又はヒーラ細胞)などにおいて産生され得る。これらの細胞は、アメリカンタイプカルチャーコレクション(American Type Culture Collection)(Manassas, VA)を含む多くの供給源から入手できる。発現系を選択する際には、成分が互いに適合するように注意する必要がある。当業者は、そのような決定を下すことができる。さらに、発現系を選択する際にガイダンスが必要な場合、当業者は、P. Jones, “Vectors: Cloning Applications”, John Wiley and Sons, New York, N.Y., 2009) を参照することができる。
【0117】
提供される核酸分子は、天然に存在する配列、又は天然に存在する配列とは異なるが、遺伝子コードの縮重のために同じポリペプチド、例えば抗体をコードする配列を含み得る。これらの核酸分子は、RNA又はDNA(例えばゲノムDNA、cDNA、又は合成DNA、例えばホスホアミダイトベースの合成によって生成されるもの)、又はこれらのタイプの核酸内のヌクレオチドの組み合わせ又は修飾から構成され得る。さらに、核酸分子は、二本鎖又は一本鎖(例えばセンス鎖又はアンチセンス鎖のいずれか)であり得る。
【0118】
核酸分子は、ポリペプチド(例えば抗体)をコードする配列に限定されず、コード配列(例えばキメラ受容体のコード配列)の上流又は下流に位置する非コード配列の一部又は全部を含めることもできる。分子生物学の当業者は、核酸分子を単離するための日常的な操作に精通している。それらは、例えばゲノムDNAを制限エンドヌクレアーゼで処理することによって、又はポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の実施によって生成することができる。核酸分子がリボ核酸(RNA)である場合、分子は、例えばインビトロ転写によって産生され得る。
【0119】
別の態様において、本明細書に開示される少なくとも1つの組換え細胞を含む細胞培養物、及び培地が本明細書に提供される。一般に、培地は、本明細書に記載の細胞を培養するための任意の適切な培地であり得る。多種多様な上述の細胞及び種を形質転換するための技術は、当技術分野で公知であり、技術文献及び科学文献に記載されている。従って、本明細書に開示される少なくとも1つの組換え細胞を含む細胞培養物もまた、本出願の範囲内である。細胞培養物を生成及び維持するのに適した方法及びシステムは、当技術分野で公知である。
【0120】
C.組換え細胞と細胞培養物
本開示の組換え核酸は、ヒトTリンパ球などの細胞に導入して、核酸分子を含む組換え細胞を産生することができる。本開示の核酸分子の細胞への導入は、当業者に公知の方法、例えばウイルス感染、トランスフェクション、接合、プロトプラスト融合、リポフェクション、電気穿孔、ヌクレオフェクション、リン酸カルシウム沈殿、ポリエチレンイミン(PEI)媒介トランスフェクション、DEAE-デキストラン媒介トランスフェクション、リポソーム媒介トランスフェクション、粒子銃技術、リン酸カルシウム沈殿、直接微量注入、ナノ粒子媒介核酸送達などの方法によって達成することができる。
【0121】
従って、いくつかの実施形態において、核酸分子は、当技術分野で公知のウイルス又は非ウイルス送達ビヒクルによって送達することができる。例えば核酸分子は、組換え細胞のゲノムに安定に取り込まれるか、エピソーム的に複製するか、又は一過性発現のためのミニサークル発現ベクターとして組換え細胞に存在することができる。従って、いくつかの実施形態において、核酸分子は、組換え宿主細胞内でエピソーム単位として維持及び複製される。いくつかの実施形態において、核酸分子は、組換え細胞のゲノムに安定して組み込まれる。安定した組み込みは、古典的なランダムゲノム組換え技術、又はより正確な技術、例えばガイドRNA指向のCRISPR/Cas9ゲノム編集、NgAgo(Natronobacterium gregoryi Argonaute)を用いるDNA誘導エンドヌクレアーゼゲノム編集、又はタレン(TALEN)ゲノム編集(ranscription ctivator-ike ffector ucleases)などを使用して達成することができる。いくつかの実施形態において、核酸分子は、一過性発現のためのミニサークル発現ベクターとして組換え細胞に存在する。
【0122】
核酸分子は、ウイルスカプシド又は脂質ナノ粒子に封入するか、又は電気穿孔法などの当技術分野で公知のウイルス又は非ウイルス送達手段及び方法によって送達することができる。例えば細胞への核酸の導入は、ウイルス形質導入によって達成され得る。非限定的な例では、バキュロウイルス又はアデノ随伴ウイルス(AAV)を改変して、ウイルス形質導入を介して標的細胞に核酸を送達することができる。いくつかのAAV血清型が記載されており、既知の血清型はすべて、複数の多様な組織型の細胞に感染する可能性がある。AAVは、毒性の証拠なしに、インビボで広範囲の種及び組織に形質導入することができ、比較的軽度の自然免疫応答及び適応免疫応答を生成する。
【0123】
レンチウイルス由来ベクター系は、ウイルス形質導入を介する核酸送達及び遺伝子治療にも有用である。レンチウイルスベクターは、遺伝子送達媒体として次のようないくつかの魅力的な特性を提供する:(i)宿主ゲノムへの安定したベクターの組み込みによる持続的な遺伝子送達;(ii)分裂細胞と非分裂細胞の両方に感染する能力;(iii)重要な遺伝子療法及び細胞療法の標的細胞タイプを含む広範な組織親和性;(iv)ベクター形質導入後にウイルスタンパク質の発現がない;(v)ポリシストロン配列又はイントロン含有配列などの複雑な遺伝要素を送達する能力;(vi)潜在的により安全な組み込み部位プロフィール;及び(vii)ベクトルの操作と産生のための比較的簡単なシステム。
【0124】
いくつかの実施形態において、例えば宿主細胞のゲノムの一部に相同的な核酸配列を含むか、又は目的のポリペプチドの発現のための発現ベクターであり得る相同組換え用のウイルスベクター又はベクターであり得る、本願のベクター構築物を用いて、宿主細胞を改変(例えば形質導入又は形質転換又はトランスフェクト)することができる。宿主細胞は、非形質転換細胞であるか、又は少なくとも1つの核酸分子ですでにトランスフェクトされた細胞のいずれかであり得る。
【0125】
いくつかの実施形態において、組換え細胞は原核細胞又は真核細胞である。いくつかの実施形態において、細胞はインビボである。いくつかの実施形態において、細胞はエクスビボである。いくつかの実施形態において、細胞はインビトロである。いくつかの実施形態において、組換え細胞は真核細胞である。いくつかの実施形態において、組換え細胞は動物細胞である。いくつかの実施形態において、動物細胞は哺乳動物細胞である。いくつかの実施形態において、動物細胞はヒト細胞である。いくつかの実施形態において、細胞は非ヒト霊長類細胞である。いくつかの実施形態において、組換え細胞は、免疫系細胞、例えばリンパ球(例えばT細胞又はNK細胞)、又は樹状細胞である。いくつかの実施形態において、免疫細胞は、B細胞、単球、ナチュラルキラー(NK)細胞、好塩基球、好酸球、好中球、樹状細胞、マクロファージ、制御性T細胞、ヘルパーT細胞(TH)、細胞傷害性T細胞(TCTL)、又は他のT細胞である。いくつかの実施形態において、免疫系細胞はTリンパ球である。いくつかの実施形態において、細胞は、対象から得られた試料に対して行われる白血球除去によって得ることができる。いくつかの実施形態において、対象はヒト対象である。いくつかの実施形態において、ヒト対象は患者である。
【0126】
適切な細胞株の非限定的な例には、Trichoplusia ni細胞、Spodotera frugiperda 昆虫細胞、Expi293F細胞、N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼI(GnTI)欠損HEK293細胞、HEK-293T(ATCC #CRL-3216)、HT-29(ATCC #HTB-38)、Panc-1(ATCC #CRL-1469)、HepG2(ATCC #HB-8065)、及びEC4細胞が含まれる。
【0127】
別の態様において、本明細書に開示される少なくとも1つの組換え細胞を含む細胞培養物、及び培地が本明細書に提供される。一般に培地は、本明細書に記載の細胞を培養するための任意の適切な培地であり得る。多種多様な上述の細胞及び種を形質転換するための技術は、当技術分野で公知であり、技術文献及び科学文献に記載されている。従って、本明細書に開示される少なくとも1つの組換え細胞を含む細胞培養物もまた、本出願の範囲内である。細胞培養物を生成及び維持するのに適した方法及びシステムは、当技術分野で公知である。
【0128】
D.IL-12p40ポリペプチドの産生方法
別の態様において、本開示のいくつかの実施形態は、本開示の組換えポリペプチドを産生するための様々な方法に関し、この方法は以下を含む:(a)本開示の1つ又は複数の組換え細胞を提供すること;及び組換え細胞を培地中で培養して、組換え核酸分子によってコードされるポリペプチドを細胞が産生するようにすること。従って、本明細書に開示される方法によって産生される組換えポリペプチドもまた、本開示の範囲内である。
【0129】
組換えポリペプチドを産生するための開示された方法の非限定的な例示的実施形態は、以下の1つ又は複数の特徴を含み得る。いくつかの実施形態において、本方法は、産生されたポリペプチドを単離及び/又は精製することをさらに含む。いくつかの実施形態において、本開示の組換えポリペプチドを産生する方法は、産生されたポリペプチドを単離及び/又は精製することをさらに含む。いくつかの実施形態において、本開示のポリペプチドを産生する方法は、産生されたポリペプチドの構造を修飾して半減期を延長させることをさらに含む。
【0130】
いくつかの実施形態において、修飾は、ヒトFc抗体断片への融合、アルブミンへの融合、及びPEG化からなる群から選択される1つ又は複数の改変を含む。例えば本明細書に開示される組換えポリペプチドのいずれも、組換えポリペプチド及び異種ポリペプチド(例えばIL-12p40でもそのバリアントでもないポリペプチド)を含む融合体又はキメラポリペプチドとして調製することができる。例示的な異種ポリペプチドは、インビボでキメラポリペプチドの循環半減期を延長させることができ、従って、本開示の組換えポリペプチドの特性をさらに増強することができる。様々な実施形態において、循環半減期を延長させる異種ポリペプチドは、ヒト血清アルブミンなどの血清アルブミン、又はIgG重鎖可変領域を欠く抗体のIgGサブクラスのFc領域であり得る。例示的なFc領域は、補体結合及びFc受容体結合を阻害する突然変異を含むことができるか、又はそれは溶解性であり得、例えば補体に結合し得るか、又は抗体依存性補体溶解(ADCC)などの別の機構を介して細胞を溶解することができる。
【0131】
いくつかの実施形態において、「Fc領域」は、パパインによるIgGの消化によって産生されるIgGのC末端ドメインに相同的な天然又は合成ポリペプチドであり得る。IgG Fcの分子量は約50kDaである。本開示の組換え融合ポリペプチドは、Fc領域全体、又はそれが一部であるキメラポリペプチドの循環半減期を延長する能力を保持するそのより小さな部分を含むことができる。さらに、全長又は断片化されたFc領域は、野生型分子のバリアントであり得る。すなわちそれらは、ポリペプチドの機能に影響するかも又は影響しないかもしれない突然変異を含み得る。以下でさらに説明するように、天然の活性が、必ずしもすべての場合に必要又は望ましいわけではない。いくつかの実施形態において、組換え融合タンパク質(例えば本明細書に記載のIL-12p40部分アゴニスト又はアンタゴニスト)は、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4 Fc領域を含む。
【0132】
Fc領域は、「溶解性」又は「非溶解性」であり得るが、典型的には非溶解性である。非溶解性Fc領域は、典型的には、高親和性Fc受容体結合部位及びC’1q結合部位を欠いている。マウスIgG Fcの高親和性Fc受容体結合部位は、IgG Fcの235位にLeu残基を含む。従って、Fc受容体結合部位は、Leu235を変異又は欠失させることによって破壊することができる。例えばLeu235をGluで置換すると、Fc領域が高親和性Fc受容体に結合する能力が阻害される。マウスのC’1q結合部位は、IgGのGlu318、Lys320、及びLys322残基を変異又は欠失させることによって機能的に破壊することができる。例えばGlu318、Lys320、及びLys322をAla残基で置換すると、IgG1 Fcは抗体依存性補体溶解を指令できなくなる。対照的に、溶解性IgG Fc領域は、高親和性Fc受容体結合部位及びC’1q結合部位を有する。高親和性Fc受容体結合部位は、IgG Fcの235位にLeu残基を含み、C’1q結合部位は、IgG1のGlu318、Lys320、及びLys322残基を含む。溶解性IgG Fcは、これらの部位に野生型残基又は保存的アミノ酸置換を有する。溶解性IgG Fcは、抗体依存性細胞傷害又は補体指令細胞溶解(CDC)のための細胞を標的にすることができる。ヒトIgGの適切な変異も公知である(例えば、Morrison et al., The Immunologist 2:119-124, 1994; and Brekke et al., The Immunologist 2: 125, 1994を参照)。
【0133】
他の実施形態において、組換え融合ポリペプチドは、本開示の組換えIL-12p40ポリペプチド、及びFLAG配列などの抗原タグとして機能するポリペプチドを含むことができる。FLAG配列は、ビオチン化された特異性の高い抗FLAG抗体によって認識される。いくつかの実施形態において、組換え融合ポリペプチドはC末端c-mycエピトープタグをさらに含む。
【0134】
他の実施形態において、組換え融合ポリペプチドは、本開示の組換えIL-12p40ポリペプチドと、Aga2p凝集素サブユニットなどのIL-12p40ポリペプチドの発現を増強するか又は細胞局在化を指令するように機能する異種ポリペプチドとを含む。
【0135】
他の実施形態において、本開示の組換えIL-12p40ポリペプチド及び抗体又はその抗原結合部分を含む融合ポリペプチドを生成することができる。キメラタンパク質の抗体又は抗原結合成分は、標的化部分として働くことができる。例えばこれは、キメラタンパク質を細胞又は標的分子の特定のサブセットに局在化するために使用することができる。サイトカイン-抗体キメラポリペプチドを生成する方法は、当技術分野で公知である。
【0136】
いくつかの実施形態において、本開示の組換えIL-12p40ポリペプチドは1つ又は複数のポリエチレングリコール(PEG)分子で修飾して、その半減期を延長させることができる。本明細書で使用される「PEG」という用語は、ポリエチレングリコール分子を意味する。典型的な形態では、PEGは末端ヒドロキシル基を有する線状ポリマーであり、式HO-CH2CH2-(CH2CH2O)n-CH2CH2-OHを有し、ここで、nは約8~約4000である。
【0137】
一般に、「n」は離散値ではなく、平均値の周りにほぼガウス分布を有する範囲を構成する。末端水素は、アルキル基又はアルカノール基などのキャッピング基で置換されていてもよい。PEGは、少なくとも1つのヒドロキシ基を有することができ、より好ましくはこれは末端ヒドロキシ基である。このヒドロキシ基は、ペプチドと反応して共有結合を形成することができるリンカー部分に結合することができる。PEGの多数の誘導体が当技術分野に存在する。本開示の組換えIL-12p40ポリペプチドに共有結合したPEG分子は、約10,000、20,000、30,000、又は40,000ダルトンの平均分子量であり得る。PEG化試薬は、直鎖状又は分枝状の分子でもよく、単独又はタンデムで存在することができる。本開示のPEG化IL-12p40ポリペプチドは、ペプチドのC末端及び/又はN末端に結合したタンデムPEG分子を有することができる。本明細書で使用される「PEG化」という用語は、上述したように、本開示のIL-12p40ポリペプチドなどの分子への、1つ又は複数のPEG分子の共有結合を意味する。いくつかの実施形態において、本開示の組換えポリペプチド、例えばIL-12p40(p40)バリアントポリペプチドは、配列番号1又は配列番号2のW37、P39、D40、K80、K106、E108、D115、H216、及びK217に対応する位置の1つ又は複数でPEG化され得る。
【0138】
E.医薬組成物
本開示の組換えポリペプチド、核酸、組換え細胞、及び/又は細胞培養物は、医薬組成物を含む組成物に取り込むことができる。そのような組成物は、一般に、本明細書に提供及び記載された組換えポリペプチド、核酸、組換え細胞、及び/又は細胞培養物、並びに医薬的に許容し得る賦形剤、例えば担体の1つ又は複数を含む。いくつかの実施形態において、本開示の医薬組成物は、癌などの疾患を治療、予防、改善するため、又は疾患の発症を軽減又は遅延させるために、製剤化される
【0139】
従って、本開示の1つの態様は、以下のうちの1つ又は複数を含む医薬組成物に関する:(a)本開示の組換えポリペプチド;(b)本開示の組換え核酸;(c)本開示の組換え細胞;及び(d)医薬的に許容し得る担体。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、(a)本開示の組換えポリペプチド、及び(b)医薬的に許容し得る担体を含む。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、(a)本開示の組換え細胞、及び(b)医薬的に許容し得る担体を含む。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、(a)本開示の組換え核酸、及び(b)医薬的に許容し得る担体を含む。いくつかの実施形態において、組換え核酸は、ウイルスキャプシド又は脂質ナノ粒子中に封入される
【0140】
注射用途に適した医薬組成物には、無菌水溶液(水溶性の場合)又は分散液、及び無菌注射溶液又は分散液の即時調製用の無菌粉末が含まれる。静脈内投与の場合、適切な担体には、生理食塩水、静菌水、Cremophor EL(商標)(BASF, Parsippany, N.J.)、又はリン酸緩衝生理食塩水(PBS)が含まれる。すべての場合において、組成物は無菌でなければならず、容易に注射できる程度に流動的であるべきである。これは、製造及び保管条件下で安定していなければならず、バクテリアや菌類などの微生物による汚染作用から防御して保存しなければならない。担体は、溶媒又は分散媒体でもよく、例えば水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコールなど)、及びそれらの適切な混合物が含まれる。適切な流動性は、例えばレシチンなどのコーティングの使用、分散液の場合は必要な粒子サイズの維持、及びドデシル硫酸ナトリウムなどの界面活性剤の使用によって維持することができる。微生物の作用の防止は、様々な抗菌剤及び抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどによって達成することができる。多くの場合、組成物中に等張剤、例えば糖類、多価アルコール、例えばマンニトール、ソルビトール、及び/又は塩化ナトリウムを含めるのが一般的であろう。注射用組成物の持続的な吸収は、吸収を遅延させる薬剤、例えばモノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンを組成物に含めることに行われる。
【0141】
無菌注射溶液は、必要に応じて、上に列挙した成分の1つ又は組み合わせを含む適切な溶媒中に必要量の活性化合物を取り込み、続いて濾過滅菌することによって調製することができる。一般に、分散液は、活性化合物を無菌ビヒクルに取り込むことによって調製され、このビヒクルは、基本的な分散媒体と、上に列挙したものからの必要な他の成分を含む。無菌注射溶液の調製のための無菌粉末の場合、好ましい調製方法は、真空乾燥及び凍結乾燥であり、これは、有効成分の粉末に加えて、事前に無菌濾過されたその溶液からの任意の追加の所望の成分を与える。
【0142】
いくつかの実施形態において、本開示の対象の組換えポリペプチドは、体内からの急速な排出から組換えポリペプチドを防御する担体、例えばインプラント及びマイクロカプセル化送達系を含む制御放出製剤を用いて調製される。生分解性、生体適合性ポリマー、例えばエチレンビニルアセテート、ポリ酸無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、及びポリ乳酸を使用することができる。このような製剤は、標準的な技術を使用して調製することができる。リポソーム懸濁液(ウイルス抗原に対するモノクローナル抗体を用いて感染細胞を標的とするリポソームを含む)も、医薬的に許容し得る担体として使用することができる。これらは、当業者に公知の方法に従って調製することができる。
【0143】
以下により詳細に記載されるように、本開示の組換えポリペプチドはまた、PEG化、アシル化、Fc融合、アルブミンなどの分子への結合などによって、延長された作用持続時間を達成するように修飾され得る。いくつかの実施形態において、組換えポリペプチドは、インビボ及び/又はエクスビボでの半減期を延長するためにさらに修飾することができる。本開示の組換えポリペプチドを修飾するのに適した既知の戦略及び方法論の非限定的な例には、(1)組換えポリペプチドがプロテアーゼと接触するのを防ぐポリエチレングリコール(「PEG」)などの高溶解性高分子による、本明細書に記載の組換えポリペプチドの化学修飾、(2)本明細書に記載の組換えポリペプチドに、例えばアルブミンなどの安定なタンパク質を共有的に連結又は結合させること、を含む。従って、いくつかの実施形態において、本開示の組換えポリペプチドは、アルブミンなどの安定なタンパク質に融合することができる。例えばヒトアルブミンは、そこに融合したポリペプチドの安定性を高める最も効果的なタンパク質の1つとして知られており、そのような多くの融合タンパク質が報告されている。
【0144】
アシル化
いくつかの実施形態において、本開示のIL-12p40ポリペプチドバリアントポリペプチドを含む二量体IL-12又はIL-23ポリペプチドの成分の一方又は両方は、Resh (2016) Progress in Lipid Research 63:120-131に記載されている脂肪酸分子に結合することによりアシル化することができる。結合できる脂肪酸の例には、ミリステート、パルミテート、及びパルミトレイン酸が含まれる。ミリストイル酸は通常、N末端グリシンに結合しているが、リジンもミリストイル化されている場合がある。パルミトイル化は通常、DHHCタンパク質がS-パルミトイル化を触媒するように、遊離システイン-SH基の酵素修飾によって達成される。セリン及びスレオニン残基のパルミトイル化は、通常、PORCN酵素を使用して酵素的に達成される。
【0145】
アセチル化
いくつかの実施形態において、本開示のIL-12p40バリアントポリペプチドを含むIL-12又はIL-23は、二量体IL-12又はIL-23分子のいずれか又は両方のN末端で、N末端アセチルトランスフェラーゼ、及び例えばアセチルCoAとの酵素反応によってアセチル化される。あるいは、又はN末端アセチル化に加えて、本開示のIL-12(p35/p40)バリアント又はIL-23(p19/p40)バリアントポリペプチドのサブユニットが、1つ又は複数のリジン残基で、例えばリジンアセチルトランスフェラーゼによる酵素反応によりアセチル化される。例えば、Choudhary et al. (2009) Science 325 (5942):834L2 ortho840を参照されたい。
【0146】
Fc融合
いくつかの実施形態において、二量体IL-12(p35/p40)バリアント又はIL-23(p19/p40)バリアントポリペプチドがFc融合体の形式で提供され得る場合、二量体分子の各成分は二量体Fc分子の個々のサブユニット上に提供される。いくつかの実施形態において、IL-12p40融合タンパク質は、IgG重鎖可変領域を欠く抗体のIgGサブクラスに由来するFc領域を取り込んでもよい。「Fc領域」は、パパインによるIgGの消化によって産生されるIgGのC末端ドメインに相同な天然ポリペプチド又は合成ポリペプチドであり得る。IgG Fcの分子量は約50kDaである。変異体コンジュゲートポリペプチドは、Fc領域全体、又はキメラポリペプチドの循環半減期を延長する能力を保持するより小さい部分(これは、キメラポリペプチドの一部である)を含み得る。さらに、全長又は断片化Fc領域は、野生型分子のバリアントであり得る。すなわち、これらは、ポリペプチドの機能に影響するか又は影響しないかもしれない突然変異を含むことができる;以下でさらに説明されるように、本来の活性がすべての場合に必要又は望ましいわけではない。特定の実施形態において、Fc融合タンパク質(例えば、IL-12p35又はIL-23p19、及びIL-12p40バリアント)は、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4Fc領域を含む。例示的なFc領域は、補体結合及びFc受容体結合を阻害する突然変異を含むことができるか、あるいはこれは溶解性、すなわち補体に結合できるか、又は抗体依存性補体溶解(ADCC)などの別のメカニズムを介して細胞を溶解することができる。
【0147】
いくつかの実施形態において、IL-12p35又はIL-23p19とp40バリアント融合タンパク質は、Fc融合キメラポリペプチド分子の機能的ドメインを含む。Fc融合コンジュゲートは、バイオ医薬品の全身の半減期を延長することが示されているため、バイオ医薬品の投与頻度を減らすことができる。Fcは、血管の内側を覆う内皮細胞の新生児Fc受容体(FcRn)に結合し、結合すると、Fc融合分子は分解から保護され、循環中に再放出され、分子をより長く循環中に維持する。このFc結合は、内因性IgGがその長い血漿半減期を保持するメカニズムであると考えられる。より最近のFc融合技術は、バイオ医薬品の単一コピーを抗体のFc領域に連結して、従来のFc融合コンジュゲートと比較して、バイオ医薬品の薬物動態学的及び薬力学的特性を最適化する。Fc融合体の調製に有用な「Fc領域」は、パパインによるIgGの消化によって産生されるIgGのC末端ドメインに相同な天然ポリペプチド又は合成ポリペプチドであり得る。IgGFcの分子量は約50kDaである。IL-12p40バリアントは、Fc領域全体、又はキメラポリペプチドの循環半減期を延長する能力を保持するより小さい部分(キメラポリペプチドの一部である)を含み得る。さらに、全長又は断片化されたFc領域は、野生型分子のバリアントであり得る。通常の実施において、二量体Fcの各単量体は、二量体IL-12(p35/p40)バリアント又はIL-23(p19/p40)バリアントポリペプチドの成分を保有する。
【0148】
Knob/HoleFcコンジュゲート
いくつかの実施形態において、二量体IL-12(p35/p40)バリアント又はIL-23(p19/p40)バリアントポリペプチドをFc融合体の形式で提供することができ、ここで二量体分子の各成分は二量体Fc分子の個々のサブユニット上に提供され、二量体Fc分子サブユニットが「knob-into-hole修飾」を有するように改変されると、IL-12(すなわち、p35及びp40バリアント)又はIL-23(p19及びp40バリアント)の各サブユニットが融合タンパク質(任意選択的に、p35又はp19配列とFcサブユニット配列の間に介在性リンカー配列を含む)として、「knob」又は「hole」Fcサブユニット上で発現され、p40バリアントポリペプチドは、相補的な「knob」又は「hole」Fcサブユニット上に発現される。knob-into-hole修飾については、Ridgway, et al. (1996) Protein Engineering 9(7):617-621 及び米国特許第5,731,168号に詳しく説明されている。一般に、knob-into-hole修飾は、CH3ドメインにおける2つの免疫グロブリン重鎖間の界面における修飾を指し、ここで、i)第1の重鎖のCH3ドメインにおいて、アミノ酸残基は、より大きな側鎖(例えば、チロシン又はトリプトファン)を有するアミノ酸残基で置換されて、表面からの突起(「knob」)を形成し、及びii)第2の重鎖のCH3ドメインにおいて、アミノ酸残基は、より小さな側鎖(例えば、アラニン又はスレオニン)を有するアミノ酸残基で置換されて、第2のCH3ドメインの界面で空洞(「hole」)を生成し、その中で、第1のCH3ドメインの突出側鎖(「knob」)が第2のCH3ドメインの空洞によって受容される。1つの実施形態において、「knob-into-hole修飾」は、抗体重鎖の一方にアミノ酸置換T366W及び任意選択的にアミノ酸置換S354Cを含み、抗体重鎖の他方にアミノ酸置換T366S、L368A、Y407V、及び任意選択的にY349Cを含む。さらに、Fcドメインは、位置S354及びY349にシステイン残基の導入によって修飾することができ、その結果、Fc領域の2つの抗体重鎖間に安定したジスルフィド架橋が生じる(CARTer, et al. (2001) Immunol Methods 248, 7-15)。knob-into-hole形式は、「knob」修飾を有する第1のFcモノマー上の第1のポリペプチド(例えば、本開示のp40バリアント)と「hole」修飾を有する第2のFcモノマー上の第2のポリペプチド(p19又はp35)の発現を促進するために使用されるか、又はその逆もあり、ヘテロダイマーIL-12(p35/p40)バリアント又はIL-23(p19/p40)バリアントポリペプチドFc融合構築物の発現及び表面提示を促進する。
【0149】
PEG化
いくつかの実施形態において、本開示の医薬組成物は、1つ又は複数のPEG化試薬を含む。本明細書で使用される「PEG化」という用語は、ポリエチレングリコール(PEG)をタンパク質に共有結合させることによってタンパク質を修飾することを指し、「PEG化された」とはPEGが結合したタンパク質を指す。約10,000ダルトン~約40,000ダルトンまでの任意の範囲のサイズを有する一連のPEG又はPEG誘導体を、様々な化学を使用して本開示の組換えポリペプチドに結合することができる。いくつかの実施形態において、PEG又はPEG誘導体の平均分子量は、約1kD~約200kD、例えば約10kD~約150kD、約50kD~約100kD、約5kD~約100kD、約20kD~約80kD、約30kD~約70kD、約40kD~約60kD、約50kD~約100kD、約100kD~約200kD、又は約150kD~約200kDである。いくつかの実施形態において、PEG又はPEG誘導体の平均分子量は、約5kD、約10kD、約20kD、約30kD、約40kD、約50kD、約60kD、約70kD、又は約80kDである。いくつかの実施形態において、PEG又はPEG誘導体の平均分子量は、約40kDである。いくつかの実施形態において、PEG化試薬は、メトキシポリエチレングリコール-プロピオン酸スクシンイミジル(mPEG-SPA)、mPEG-酪酸スクシンイミジル(mPEG-SBA)、mPEG-コハク酸スクシンイミジル(mPEG-SS)、mPEG-炭酸スクシンイミジル(mPEG-SC)、mPEG-グルタル酸スクシンイミジル(mPEG-SG)、mPEG-N-ヒドロキシル-スクシンイミド(mPEG-NHS)、mPEG-トレシレート、及びmPEG-アルデヒドから選択される。いくつかの実施形態において、PEG化試薬はポリエチレングリコールである。例えばPEG化試薬は、本開示の組換えポリペプチドのN末端メチオニン残基に共有結合した平均分子量20,000ダルトンのポリエチレングリコールである。いくつかの実施形態において、PEG化試薬は、本開示の組換えポリペプチドのN末端メチオニン残基に共有結合した、平均分子量が約5kD、約10kD、約20kD、約30kD、約40kD、約50kD、約60kD、約70kD、又は約80kDのポリエチレングリコールである。いくつかの実施形態において、PEG化試薬は、本開示の組換えポリペプチドのN末端メチオニン残基に共有結合した平均分子量が約40kDのポリエチレングリコールである。
【0150】
従って、いつかの実施形態において、本開示の組換えポリペプチドは、1つ又は複数のポリエチレングリコール部分で化学的に修飾、例えばPEG化されているか、又は同様の修飾、例えばPAS化されている.いくつかの実施形態において、PEG分子又はPAS分子は、開示された組換えポリペプチドの1つ又は複数のアミノ酸側鎖に結合される。いくつかの実施形態において、PEG化又はPAS化されたポリペプチドは、1つのみのアミノ酸上のPEG又はPAS部分を含む。他の実施形態において、PEG化又はPAS化ポリペプチドは、2つ又はそれ以上のアミノ酸上の、例えば2以上、5以上、10以上、15以上、又は20以上の異なるアミノ酸残基に結合したPEG又はPAS部分を含む。いくつかの実施形態において、PEG又はPAS鎖は、2000、2000超、5000、5,000超、10,000、10,000超、10,000超、20,000、20,000超、及び30,000Daである。PAS化ポリペプチドは、アミノ基、スルフヒドリル基、ヒドロキシル基、又はカルボキシル基を介してPEG又はPASに(例えば連結基なしで)直接結合され得る。いくつかの実施形態において、本開示の組換えポリペプチドは、平均分子量が約1kD~約200kD、例えば約10kD~約150kD、約50kD~約100kD、約5kD~約100kD、約20kD~約80kD、約30kD~約70kD、約40kD~約60kD、約50kD~約100kD、約100kD~約200kD、又は約150kD~約200kDの範囲のポリエチレングリコールに共有結合される。いくつかの実施形態において、本開示の組換えポリペプチドは、平均分子量が約5kD、約10kD、約20kD、約30kD、約40kD、約50kD、約60kD、約70kD、又は約80kDの平均分子量であるポリエチレングリコールに共有結合される。いくつかの実施形態において、本開示の組換えポリペプチドは、平均分子量が約40kDのポリエチレングリコールに共有結合される。
【0151】
部位特異的PEG化部位の取り込み
いくつかの実施形態において、本開示の組換えポリペプチド(例えばIL-12p40バリアント)は、例えば米国特許第7,045,337号;7,915,025号;Dieters, et al. (2004) Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters 14(23):5743-5745;Best, M (2009) Biochemistry 48(28): 6571-6584 に記載されているように、部位特異的結合(例えばPEG化)を促進する非天然のアミノ酸側鎖を有する非天然のアミノ酸の取り込みによって修飾され得る。いくつかの実施形態において、例えば Dozier and Distefano (2015) International Journal of Molecular Science 16(10): 25831-25864 に記載されているように、本開示の組換えポリペプチド内の種々の位置にシステイン残基を取り込んで、システイン側鎖を介して部位特異的PEG化を促進することができる。
【0152】
特定の実施形態において、本開示は、本開示の部位特異的PEG化を可能にする1つ又は複数のアミノ酸(例えばシステイン又は非天然アミノ酸)の取り込みを含むIL-12p40バリアントポリペプチドを提供し、ここで、部位特異的PEG化部位のためのアミノ酸置換は、p40/p35(IL-12)又はp40/p19(IL-23)界面との間の界面にはない。
【0153】
いくつかの実施形態において、部位特異的アミノ酸修飾の取り込みは、配列番号1のアミノ酸残基W37、P39、D40、A41、K80、E81、F82、K106、E108、D115、H216、K217、L218、及びK219以外のIL-12p40アミノ酸位置(すなわち、シグナルペプチドを欠く成熟IL-12p40タンパク質に従って番号付けされた場合、残基W15、P17、D18、A19、K58、E59、F60、K84、E86、D93、H194、K195、L196、及びK197)で行われる。いくつかの実施形態において、本開示は、配列番号1に従って番号付けされたアミノ酸位置W37、P39、D40、A41、K80、E81、F82、K106、E108、D115、H216、K217、L218、及びK219で部位特異的結合(例えばPEG化)を可能にする部位特異的アミノ酸置換を含むヒトp40バリアントを含む組成物を提供する。
【0154】
いくつかの実施形態において、部位特異的アミノ酸修飾の取り込みは、配列番号2のアミノ酸残基W37、P39、D40、A41、K80、E81、F82、K106、E108、D115、H216、K217、L218、及びK219以外のIL-12p40アミノ酸位置(すなわち、シグナルペプチドを欠く成熟IL-12p40タンパク質に従って番号付けされた場合、残基W15、P17、D18、A19、K58、E59、F60、K84、E86、D93、H194、K195、L196、及びK197)で行われる。いくつかの実施形態において、本開示は、配列番号2に従って番号付けされたアミノ酸位置W37、P39、D40、A41、K80、E81、F82、K106、E108、D115、H216、K217、L218、及びK219で部位特異的結合(例えばPEG化)を可能にする部位特異的アミノ酸置換を含むヒトp40バリアントを含む組成物を提供する。
【0155】
界面での部位特異的PEG化部位を介するIL-12及びIL-23部分アゴニスト
いくつかの実施形態において、IL-12p40タンパク質とp35又はp19タンパク質との相互作用は、IL-12p40界面の本明細書に記載のアミノ酸位置に部位特異的PEG化を取り込むことによって調節することができる。配列番号1又は配列番号2の残基37、P39、D40、A41、K80、E81、F82、K106、E108、D115、H216、K217、L218、及びK219(すなわち、シグナルペプチドを欠く成熟IL-12p40タンパク質、すなわち配列番号26又は配列番号27の配列に従って番号付けした場合、残基W15、P17、D18、A19、K58、E59、F60、K84、E86、D93、H194、K195、L196、及びK197)に対応する1つ又は複数の位置における、部位特異的PEG化を促進する非天然アミノ酸(又はシステイン残基)の取り込みは、p19及び/又はp35サブユニットへの調節された結合を有するIL-12p40バリアントポリペプチドを提供し、こうして部分的アゴニスト活性を有するバリアントIL-12p40(p35/p40)バリアント又はIL-23(p19/p40)バリアント分子をもたらす。PEG分子が界面で取り込まれるような場合、IL-12p40バリアントとp19又はp35タンパク質との結合が完全に破壊されないように、従って活性が除去されないように、PEGは、典型的には、約1kDa、あるいは約2kDa、あるいは約3kDa、あるいは約4kDa、あるいは約5kDa、あるいは約6kDa、あるいは約7kDa、あるいは約8kDa、あるいは約9kDa、あるいは約10kDaから、あるいは約12kDa、あるいは約15kDa、又はあるいは約20kDaの低分子量PEG種である。
【0156】
開示の方法
本明細書に記載の治療用組成物、例えば組換えポリペプチド(例えば、IL-12p40ポリペプチドバリアント)、核酸、組換え細胞、及び医薬組成物のいずれか1つを投与して、癌、免疫疾患、及び慢性感染症のような関連疾患の治療において対象を治療することができる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の組換えポリペプチド、IL-12p40ポリペプチドバリアント、核酸、組換え細胞、及び医薬組成物は、IL-12p40シグナル伝達における混乱に関連する1つ又は複数の自己免疫疾患又は状態に、罹患しているか、罹患している疑いがあるか、又は状態を発症するリスクが高い可能性がある個体を、治療する方法で使用するための治療薬に取り込むことができる。例示的な自己免疫疾患又は状態には、特に限定されるものではないが、癌、免疫疾患、及び慢性感染症が含まれる。いくつかの実施形態において、個体は医師の管理下にある患者である。
【0157】
従って、1つの態様において、本開示のいくつかの実施形態は、対象におけるIL-12p40媒介シグナル伝達を調節するための方法に関し、この方法は以下の1つ又は複数を含む組成物を対象に投与することを含む:(a)本開示のポリペプチド;(b)本開示の組換え核酸;(c)本開示の組換え細胞;及び(d)本開示の医薬組成物。いくつかの実施形態において、組成物は、本開示の組換えIL-12p40ポリペプチドの治療有効量を含む。いくつかの実施形態において、組成物は、本開示の組換え核酸の治療有効量を含む。上記のように、IL-12p40はインターロイキン12とインターロイキン23の共有サブユニットである。従って、いくつかの実施形態において、対象においてIL-12によって媒介されるシグナル伝達を調節するための方法が本明細書に提供される。いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるIL-12シグナル伝達を調節する方法は、対象にIL-12複合体のIL-12p35ポリペプチドを投与することをさらに含む。いくつかの実施形態において、方法は、IL-12複合体のIL-12p35サブユニットをコードする核酸分子を対象に投与することをさらに含む。いくつかの実施形態において、IL-12p35ポリペプチドをコードする核酸は、異なる核酸分子(例えばベクター)によってコードされる。いくつかの実施形態において、IL-12p40ポリペプチド及びIL-12p35ポリペプチドは、単一の発現カセット(例えば、多シストロン性発現カセット)内で互いに作動可能に連結された核酸配列によってコードされる。
【0158】
いくつかの他の実施形態において、本開示は、対象においてIL-23によって媒介されるシグナル伝達を調節するための方法を提供する。いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるIL-23シグナル伝達を調節する方法は、対象にIL-23複合体のIL-23p19サブユニットを投与することをさらに含む。いくつかの実施形態において、方法は、IL-12複合体のIL-12p35ポリペプチドをコードする核酸を対象に投与することをさらに含む。いくつかの実施形態において、IL-12p35ポリペプチドをコードする核酸分子は、異なる核酸分子(例えば、ベクター)によってコードされる。いくつかの実施形態において、IL-12p40ポリペプチド及びIL-23p19ポリペプチドは、単一の発現カセット(例えば、多シストロン性発現カセット)内で互いに作動可能に連結された核酸配列によってコードされる。
【0159】
別の態様において、本開示のいくつかの実施形態は、それを必要とする対象における状態の治療のための方法に関し、この方法は、以下の1つ又は複数を含む組成物を対象に投与することを含む:(a)本開示のIL-12p40ポリペプチド;(b)本開示の組換え核酸;(c)本開示の組換え細胞;(d)本開示の医薬組成物。いくつかの実施形態において、組成物は、本開示の組換えIL-12p40ポリペプチドの治療有効量を含む。いくつかの実施形態において、組成物は、本開示の組換え核酸の治療的有効量を含む。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される治療方法は、IL-12複合体のIL-12p35サブユニットの投与をさらに含む。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される治療方法は、IL-23複合体のIL-23p19サブユニットの投与をさらに含む。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される治療方法は、IL-12複合体のIL-12p35サブユニットをコードする核酸分子及び/又はIL-23複合体のIL-23p19サブユニットをコードする核酸分子を、対象に投与することをさらに含む。
【0160】
いくつかの実施形態において、開示された医薬組成物は、その意図された投与経路に適合するように製剤化される。本開示の組換えポリペプチドは、経口又は吸入により投与され得るが、非経口経路により投与される可能性が高い。非経口投与経路の例には、例えば静脈内、皮内、皮下、経皮(局所)、経粘膜、及び直腸投与が含まれる。非経口投与に使用される溶液又は懸濁液には、次の成分が含まれ得る:無菌希釈剤、例えば注射用水、生理食塩水、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、又はその他の合成溶媒;抗菌剤、例えばベンジルアルコール又はメチルパラベン;抗酸化剤、例えばアスコルビン酸又は重亜硫酸ナトリウム;キレート剤、例えばエチレンジアミン四酢酸(EDTA);緩衝液、例えば酢酸塩、クエン酸塩、又はリン酸塩、及び張性を調整するための物質、例えば塩化ナトリウム又はデキストロース。pHは、酸又は塩基、例えば一塩基性及び/又は二塩基性リン酸ナトリウム、塩酸、又は水酸化ナトリウムを用いて(例えば約7.2~7.8、例えば7.5のpHに)調整することができる。非経口製剤は、ガラス製又はプラスチック製のアンプル、使い捨て注射器、又は複数回投与バイアルに封入することができる。
【0161】
本開示のそのような対象組換えポリペプチドの投与量、毒性、及び治療効果は、細胞培養物又は実験動物における標準的な薬学的操作によって、例えばLD50(集団の50%に対する致死量)及びED50(集団の50%で治療効果のある用量)について、決定することができる。毒性作用と治療効果の用量比は治療指数であり、LD50/ED50比として表すことができる。高い治療指数を示す化合物が一般的に適している。毒性の副作用を示す化合物が使用されることがあるが、そのような化合物を患部組織の部位に標的化する送達系を設計するように注意して、感染していない細胞への潜在的な損傷を最小限に抑え、従って副作用を軽減する必要がある。
【0162】
細胞培養アッセイ及び動物試験から得られたデータは、ヒトで使用するための用量範囲を調製する際に使用することができる。そのような化合物の用量は、好ましくは、毒性がほとんど又は全くないED50を含む循環濃度の範囲内にある。用量は、使用される投与形態及び使用される投与経路に応じて、この範囲内で変動し得る。本開示の方法で使用される任意の化合物について、治療有効用量は、最初に細胞培養アッセイから推定することができる。用量は、動物モデルにおいて、細胞培養で決定されるIC50(例えば症状の最大阻害の半分を達成する試験化合物の濃度)を含む循環血漿濃度範囲を達成するように調製され得る。このような情報を使用して、ヒトでの有用な用量をより正確に決定することができる。血漿中のレベルは、例えば高速液体クロマトグラフィーによって測定することができる。
【0163】
本開示の対象組換えポリペプチドの治療有効量(例えば有効用量)は、選択されるポリペプチドに依存する。例えば約0.001~0.1mg/kg患者体重の範囲の単回用量を投与することができる。いくつかの実施形態において、約0.005、0.01、0.05mg/kgを投与することができる。いくつかの実施形態において、600,000IU/kgが投与される(IUは、リンパ球増殖バイオアッセイによって決定することができ、国際単位(IU)で表される)。組成物は、1日1回以~週1回以上まで(1日おきに1回を含む)投与することができる。当業者は、特に限定されるものではないが、疾患の重症度、以前の治療、一般的な健康状態及び/又は対象の年齢、及び他の存在する疾患を含む、対象を効果的に治療するのに必要な用量及びタイミングに影響を与える特定の要因を理解するであろう。さらに、本開示の対象組換えポリペプチドの治療有効量による対象の治療は、一回の治療又は一連の治療を含むことができる。いくつかの実施形態において、組成物は、8時間ごとに5日間投与、続いて2~14日間、例えば9日間の休止期間、続いて8時間ごとに5日間投与される。
【0164】
対象におけるIL-12p40媒介シグナル伝達を調節するための、及び/又はそれを必要とする対象における状態の治療のための、開示された方法の非限定的な例示的実施形態は、以下の特徴の1つ又は複数を含み得る。
【0165】
いくつかの実施形態において、投与された組成物は、アミノ酸置換を欠く参照ポリペプチドの結合親和性と比較して、IL-12Rβ1に対する組換えIL-12p40ポリペプチドの結合親和性の改変をもたらす。いくつかの実施形態において、投与された組成物は、アミノ酸置換を欠く参照ポリペプチドの結合親和性と比較して、IL-12Rβ1に対する組換えIL-12p40ポリペプチドの結合親和性の低下をもたらす。いくつかの実施形態において、組換えIL-12p40ポリペプチドは、アミノ酸置換を欠く参照ポリペプチドの結合親和性と比較して、約10%~約100%低下したIL-12Rβ1に対する結合親和性を有する。いくつかの実施形態において、組換えIL-12p40ポリペプチドは、アミノ酸置換を欠く参照IL-12p40ポリペプチドと比較して、少なくとも約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、又は少なくとも約95%低下したIL-12Rβ1に対する結合親和性を有する。いくつかの実施形態において、組換えIL-12p40ポリペプチドは、アミノ酸置換を欠く参照IL-12p40ポリペプチドのIL-12Rβ1結合親和性と比較して、約10%~約50%、約20%~約70%、約30%~約80%、約40%~約90%、約50%~約100%、約20%~約50%、約40%~約70%、約30%~約60%、約40%~約100%、約20%~約80%、又は約10%~約90%低下したIL-12Rβ1に対する結合親和性を有する。いくつかの実施形態において、IL-12Rβ1に対する本開示のIL-12p40ポリペプチド変異体の結合親和性は、表面プラズモン共鳴(SPR)アッセイによって決定される。
【0166】
いくつかの実施形態において、投与された組成物は、アミノ酸置換を欠く参照IL-12p40ポリペプチドと比較して、STAT4シグナル伝達の低下をもたらす。いくつかの実施形態において、対象におけるSTAT4シグナル伝達は、アミノ酸置換を欠く参照IL-12p40ポリペプチドの投与と比較して、少なくとも約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、又は少なくとも約95%低下している。いくつかの実施形態において、対象におけるSTAT4シグナル伝達は、アミノ酸置換を欠く参照IL-12p40ポリペプチドの投与と比較して、約10%~約100%低下している。いくつかの実施形態において、対象におけるSTAT4シグナル伝達は、アミノ酸置換を欠く参照IL-12p40ポリペプチドの投与と比較して、約10%~約50%、約20%~約70%、約30%~約80%、約40%~約90%、約50%~約100%、約20%~約50%、約40%~約70%、約30%~約60%、約40%~約100%、約20%~約80%、又は約10%~約90%低下している。
【0167】
いくつかの実施形態において、投与された組成物は、アミノ酸置換を欠く参照IL-12p40ポリペプチドの投与と比較して、STAT3シグナル伝達の低下をもたらす。いくつかの実施形態において、対象におけるSTAT3シグナル伝達は、アミノ酸置換を欠く参照IL-12p40ポリペプチドの投与と比較して、少なくとも約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、又は少なくとも約95%低下している。いくつかの実施形態において、対象におけるSTAT3シグナル伝達は、アミノ酸置換を欠く参照IL-12p40ポリペプチドの投与と比較して、約10%~約100%低下している。いくつかの実施形態において、対象におけるSTAT4シグナル伝達は、アミノ酸置換を欠く参照IL-12p40ポリペプチドの投与と比較して、約10%~約50%、約20%~約70%、約30%~約80%、約40%~約90%、約50%~約100%、約20%~約50%、約40%~約70%、約30%~約60%、約40%~約100%、約20%~約80%、又は約10%~約90%低下している。
【0168】
いくつかの実施形態において、投与された組成物は、アミノ酸置換を欠く参照IL-12p40ポリペプチドを含む組成物と比較して、IL-12p40を介して媒介される下流シグナル伝達の細胞型に偏ったシグナル伝達をもたらす。いくつかの実施形態において、投与された組成物は、アミノ酸置換を欠く参照ポリペプチドを含む組成物と比較して、IL-12を介して媒介される下流シグナル伝達の細胞型に偏ったシグナル伝達をもたらす。いくつかの実施形態において、投与された組成物は、アミノ酸置換を欠く参照ポリペプチドを含む組成物と比較して、IL-23を介して媒介される下流シグナル伝達の細胞型に偏ったシグナル伝達をもたらす。いくつかの実施形態において、投与された組成物は、アミノ酸置換を欠く参照ポリペプチドを含む組成物と比較して、IL-12及びIL-23を介して媒介される下流シグナル伝達の細胞型に偏ったシグナル伝達をもたらす。
【0169】
いくつかの実施形態において、投与された組成物は、アミノ酸置換を欠く参照IL-12p40ポリペプチドを含む組成物と比較して、細胞型に偏ったIL-12シグナル伝達をもたらし、ここで、細胞型に偏ったシグナル伝達は、NK細胞におけるIL-12媒介シグナル伝達の低下をもたらす。いくつかの実施形態において、NK細胞におけるIL-12媒介シグナル伝達は、アミノ酸置換を欠く参照IL-12p40ポリペプチドを含む組成物と比較して、少なくとも約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、又は少なくとも約95%している。いくつかの実施形態において、細胞型に偏ったシグナル伝達には、CD8+T細胞における実質的に改変されていないIL-12シグナル伝達が含まれる。いくつかの実施形態において、投与された組成物は、アミノ酸置換を欠く参照IL-12p40ポリペプチドを含む組成物と比較して、CD8+T細胞において改変されていないIL-12媒介シグナル伝達、例えば、同じ又は実質的に同じIL-12媒介シグナル伝達をもたらす。いくつかの実施形態において、投与された組成物は、NK細胞におけるIL-12シグナル伝達の低下をもたらすが、CD8+T細胞におけるIL-12シグナル伝達は実質的に保持する。いくつかの実施形態において、投与された組成物は、CD8+T細胞におけるINFγの発現を刺激する組換えポリペプチドの能力を実質的に保持する。いくつかの実施形態において、投与された組成物は、腫瘍微小環境における抗腫瘍免疫を増強する。
【0170】
いくつかの実施形態において、対象は哺乳動物である。いくつかの実施形態において、哺乳動物はヒトである。いくつかの実施形態において、対象は、IL-12p40媒介シグナル伝達に関連する状態を有するか、又は有する疑いがある。いくつかの実施形態において、対象は、IL-12媒介シグナル伝達に関連する状態を有するか、又は有する疑いがある。いくつかの実施形態において、対象は、IL-23媒介シグナル伝達に関連する状態を有するか、又は有する疑いがある。いくつかの実施形態において、状態は、癌、免疫疾患、又は慢性感染症である。
【0171】
癌という用語は、一般に、癌を引き起こす細胞に典型的な特徴、例えば制御されない増殖、不死性、転移能、急速な増殖と増殖速度、並びに特定の特徴的な形態学的特徴を有する細胞の存在を指す。癌細胞は腫瘍に凝集して観察されることが多いが、そのような細胞は動物対象内に単独で存在する場合もあれば、白血病細胞などの非腫瘍原性癌細胞である場合もある。従って、「癌」という用語は、固形腫瘍、軟部組織腫瘍、又は転移病変への言及を包含することができる。本明細書で使用される「癌」という用語は、前悪性癌及び悪性癌を含む。いくつかの実施形態において、癌は、固形腫瘍、軟部組織腫瘍、又は転移性病変である。
【0172】
いくつかの実施形態において、本明細書では、それを必要とする対象における状態を治療するための様々な方法が提供され、ここで、状態は、急性骨髄腫性白血病、未分化リンパ腫、星状細胞腫、B細胞癌、乳癌、結腸癌、上衣腫、食道癌、神経膠芽腫、神経膠腫、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、肝臓癌、肺癌、マントル細胞リンパ腫、メラノーマ、神経芽腫、非小細胞肺癌、乏突起神経膠腫、卵巣癌、膵臓癌、末梢性T細胞リンパ腫、腎癌、肉腫、胃癌、癌腫、中皮腫、及び肉腫からなる群から選択される癌である。
【0173】
いくつかの実施形態において、免疫疾患は自己免疫疾患である。いくつかの実施形態において、自己免疫疾患は、関節リウマチ、インスリン依存性糖尿病、溶血性貧血、リウマチ熱、甲状腺炎、クローン病、重症筋無力症、糸球体腎炎、自己免疫性肝炎、多発性硬化症、円形脱毛症、乾癬、白斑、異栄養性表皮水疱症、全身性エリテマトーデス、中度から重度の尋常性乾癬、乾癬性関節炎、クローン病、潰瘍性大腸炎、及び移植片対宿主病からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、対象は哺乳動物である。いくつかの実施形態において、哺乳動物はヒトである。いくつかの実施形態において、対象は、IL-12p40媒介シグナル伝達の混乱に関連する状態を有するか、又は有する疑いがある。いくつかの実施形態において、対象は、IL-12媒介シグナル伝達の混乱に関連する状態を有するか、又は有する疑いがある。いくつかの実施形態において、対象は、IL-23媒介シグナル伝達の混乱に関連する状態を有するか、又は有する疑いがある。
【0174】
追加療法
上述のように、本明細書に記載の組換えポリペプチド、核酸、組換え細胞、細胞培養物、及び/又は医薬組成物のいずれか1つを、例えば化学療法剤、又は抗癌剤、又は抗癌療法などの1つ又は複数の追加の(例えば、補助的)治療薬と組み合わせて投与することができる。1つ又は複数の追加の治療薬と「組み合わせた」投与には、同時(同時)投与及び任意の順序での連続投与が含まれる。いくつかの実施形態において、1つ又は複数の追加の治療薬、化学療法剤、抗癌剤、又は抗癌療法は、化学療法、放射線療法、免疫療法、ホルモン療法、毒素療法、及び手術からなる群から選択される。「化学療法」及び「抗癌剤」は、本明細書において交換可能に使用される。様々な種類の抗癌剤を使用することができる。非限定的な例には、アルキル化剤、代謝拮抗剤、アントラサイクリン、植物アルカロイド、トポイソメラーゼ阻害剤、ポドフィロトキシン、抗体(例えば、モノクローナル又はポリクローナル)、チロシンキナーゼ阻害剤(例えば、メシル酸イマチニブ(Gleevec(登録商標)又はGlivec(登録商標)))、ホルモン治療、可溶性受容体、及びその他の抗新生物薬が含まれる。
【0175】
トポイソメラーゼ阻害剤も、本明細書で使用できる別のクラスの抗癌剤である。トポイソメラーゼは、DNAのトポロジーを維持する必須酵素である。I型又はII型トポイソメラーゼの阻害は、適切なDNAスーパーコイルを攪乱させることによりDNAの転写と複製の両方を妨害する。いくつかのI型トポイソメラーゼ阻害剤には、カンプトテシン、イリノテカン及びトポテカンが含まれる。II型阻害剤の例には、アムサクリン、エトポシド、リン酸エトポシド、及びテニポシドが含まれる。これらは、アメリカンメイアップル(ポドフィルム:Podophyllum peltatum)の根に天然に存在するアルカロイドであるエピポドフィロトキシンの半合成誘導体である。
【0176】
抗腫瘍薬には、免疫抑制剤ダクチノマイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、ブレオマイシン、メクロレタミン、シクロホスファミド、クロラムブシル、イホスファミドが含まれる。抗腫瘍化合物は一般に、細胞のDNAを化学的に修飾することによって機能する。
【0177】
アルキル化剤は、細胞中に存在する条件下で多くの求核性官能基をアルキル化することができる。シスプラチンとカルボプラチン、及びオキサリプラチンはアルキル化剤である。これらは、生物学的に重要な分子のアミノ、カルボキシル、スルフヒドリル、及びリン酸基と共有結合を形成することにより、細胞機能を損う。
【0178】
ビンカアルカロイドは、チューブリン上の特定の部位に結合し、チューブリンの微小管への集合を阻害する(細胞周期のM期)。ビンカアルカロイドには、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン、及びビンデシンが含まれる。
【0179】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の治療方法は、1つ又は複数の免疫チェックポイント分子を阻害する化合物の投与をさらに含む。いくつかの実施形態において、1つ又は複数の免疫チェックポイント分子は、CTLA4、PD-1、PD-L1、A2AR、B7-H3、B7-H4、TIM3、及びこれらの任意の組み合わせのうちの1つ又は複数を含む。いくつかの実施形態において、1つ又は複数の免疫チェックポイント分子を阻害する化合物には、拮抗抗体が含まれる。いくつかの実施形態において、拮抗抗体は、イピリムマブ、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、トレメリムマブ、又はアベルマブである。
【0180】
代謝拮抗物質は、プリン(アザチオプリン、メルカプトプリン)、又はピリミジンに似ており、これらの物質が、細胞周期の「S」期にDNAに取り込まれるのを防ぎ、正常な発生及び分裂を停止させる。代謝拮抗物質もRNA合成に影響を与える。
【0181】
植物アルカロイド及びテルペノイドは、植物から得られ、微小管機能を妨げることによって細胞分裂を遮断する。微小管は細胞分裂に欠かせないもので、これがないと細胞分裂が起きない。主な例は、ビンカアルカロイドとタキサンである。ポドフィロトキシンは植物由来の化合物であり、これは、消化を助けることが報告されており、並びに他の2つの細胞増殖抑制薬であるエトポシドとテニポシドの生成にも使用されている。これらは、細胞がG1期(DNA複製の開始)及びDNAの複製(S期)に入るのを防ぐ。
【0182】
群としてのタキサンには、パクリタキセル及びドセタキセルが含まれる。パクリタキセルは、もともとタキソールとして知られていた天然物で、最初、太平洋イチイ(Pacific Yew tree)の木の樹皮から得られた。ドセタキセルは、パクリタキセルの半合成類似体である。タキサンは微小管の安定性を高め、後期における染色体の分離を防ぐ。
【0183】
いくつかの実施形態において、抗癌剤は、レミケード、ドセタキセル、セレコキシブ、メルファラン、デキサメタゾン(Decadron(登録商標))、ステロイド、ゲムシタビン、シスプラチン、テモゾロミド、エトポシド、シクロホスファミド、テモダール、カルボプラチン、プロカルバジン、グリアデル、タモキシフェン、トポテカン、メトトレキサート、ゲフィチニブ(Iressa(登録商標))、タキソール、タキソテール、フルオロウラシル、ロイコボリン、イリノテカン、ゼローダ、CPT-11、インターフェロンアルファ、PEG化インターフェロンアルファ(例えば、PEG INTRON-A)、カペシタビン、シスプラチン、チオテパ、フルダラビン、カルボプラチン、リポソームダウノルビシン、シタラビン、ドキセタキソール、パクリタキセル、ビンブラスチン、IL-2、GM-CSF、ダカルバジン、ビノレルビン、ゾレドロン酸、パルミトロネート、ビアキシン、ブスルファン、プレドニゾン、ボルテゾミブ(Velcade(登録商標))、ビスフォスフォネート、三酸化ヒ素、ビンクリスチン、ドキソルビシン(Doxil(登録商標))、パクリタキセル、ガンシクロビル、アドリアマイシン、エストレヌスチンリン酸ナトリウム(Emcyt(登録商標))、スリンダク、エトポシド、及びこれらの任意の組み合わせから選択することができる。
【0184】
他の実施形態において、抗癌剤は、ボルテゾミブ、シクロホスファミド、デキサメタゾン、ドキソルビシン、インターフェロンアルファ、レナリドマイド、メルファラン、PEG化インターフェロンアルファ、プレドニゾン、サリドマイド、又はビンクリスチンから選択することができる。
【0185】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の治療方法は、免疫療法をさらに含む。いくつかの実施形態において、免疫療法は、1つ又は複数のチェックポイント阻害剤の投与を含む。従って、本明細書に記載の治療方法のいくつかの実施形態は、1つ又は複数の免疫チェックポイント分子を阻害する化合物のさらなる投与を含む。いくつかの実施形態において、1つ又は複数の免疫チェックポイント分子を阻害する化合物には、拮抗抗体が含まれる。いくつかの実施形態において、拮抗抗体は、イピリムマブ、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、トレメリムマブ、又はアベルマブである。
【0186】
いくつかの態様において、1つ又は複数の抗癌療法には放射線療法が含まれる。いくつかの実施形態において、放射線療法は、癌細胞を死滅させるための放射線の投与を含むことができる。放射線は、DNAなどの細胞内の分子と相互作用して、細胞死を誘発する。放射線は、細胞膜や核膜、その他のオルガネラにも損傷を与える可能性がある。放射線の種類によって、DNA損傷のメカニズムは、相対的な生物学的効果と同様に異なる場合がある。例えば、重粒子(すなわち、陽子、中性子)はDNAを直接損傷し、相対的な生物学的効果が大きくなる。電磁放射線は、主に細胞水のイオン化によって生成される短寿命のヒドロキシルフリーラジカルを介して作用する間接的なイオン化をもたらす。放射線の臨床応用には、外部ビーム放射線(外部線源から)と小線源治療(患者に移植又は挿入された放射線源を使用)がある。外部ビーム放射線はX線及び/又はガンマ線で構成されるが、小線源治療では、崩壊してアルファ粒子又はベータ粒子をガンマ線とともに放出する放射性核種を使用する。本明細書で企図される放射線には、例えば、癌細胞への放射性同位体の指向性送達も含まれる。本明細書では、マイクロ波及びUV照射などの他の形態のDNA損傷因子も企図される。
【0187】
放射線は、一回の線量で、又は線量分割スケジュールで一連の少量の線量で与えることができる。本明細書で企図される放射線の量は、約1~約100Gyの範囲であり、例えば、約5~約80、約10~約50Gy、又は約10Gyを含む。総線量は、分割方法で適用することができる。例えば、方法は、2Gyの分割された個別線量を含み得る。放射性同位体の線量範囲は大きく異なり、同位体の半減期と放出される放射線の強度と種類によって異なる。放射線が放射性同位体の使用を含む場合、同位体は、放射性ヌクレオチドを標的組織(例えば、腫瘍組織)に運ぶ治療用抗体などの標的化物質に結合され得る。
【0188】
本明細書に記載の手術は、癌組織の全部又は一部が物理的に除去、摘出、及び/又は破壊される切除を含む。腫瘍切除とは、腫瘍の少なくとも一部を物理的に除去することを指す。腫瘍切除に加えて、手術による治療には、レーザー手術、凍結手術、電気手術、顕微鏡制御手術(モース手術)などがある。前癌組織又は正常組織の除去も本明細書で企図される。
【0189】
従っていくつかの実施形態において、組成物は、第1の治療として個別に、又は第2の治療と組み合わせて対象に投与される。いくつかの実施形態において、第2の治療は、化学療法、放射線療法、免疫療法、ホルモン療法、毒素療法、又は手術からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、第1の治療は第2の治療と同時に施される。いくつかの実施形態において、第1の治療と第2の治療は連続して施される。いくつかの実施形態において、第1の治療は第2の治療の前に施される。いくつかの実施形態において、第1の治療は第2の治療の後に施される。いくつかの実施形態において、第1の治療は第2の治療の前及び/又は後に施される。いくつかの実施形態において、第1の治療と第2の治療は交代で施される。いくつかの実施形態において、第1の治療と第2の治療は、単一の製剤で一緒に施される。
【0190】
IL-12p40バリアントを含むIL-12/IL-23と補助治療薬の組合わせ
本開示は、1つ又は複数の追加の活性物質(「補助物質」)と組み合わせて対象に投与され得る、本明細書に記載のバリアントIL-12p40サブユニットを含むIL-12又はIL-23の使用を提供する。そのようなさらなる組み合わせは、「補助的な組み合わせ」又は「補助的な併用療法」と交換可能に呼ばれ、本開示のバリアントIL-12p40サブユニットを含むIL-12又はIL-23と組み合わせて使用される治療薬は、「補助薬剤」と呼ばれる。本明細書で使用される「補助薬剤」という用語は、別々に投与又は導入することができる薬剤、例えば、別の投与(例えば、キットで提供され得る)のために別に製剤化される物質、及び/又は本開示のIL-12p40バリアントとの組み合わせて投与又は導入することができる治療法を含む。
【0191】
本明細書で使用される用語「と組み合わせて」は、対象への複数の薬剤の投与に関して使用される場合、第1の薬剤と少なくとも1つの追加(すなわち、第2、第3、第4、第5など)の薬剤との対象への投与を指す。本発明の目的のために、第1の薬剤の投与に起因する生物学的効果が、第2の薬剤の投与時に対象において持続されて、第1の薬剤と第2の薬剤の治療効果が重複するなら、1つの薬剤(例えば、バリアントIL-12p40サブユニットを含むIL-12又はIL-23)は、第2の薬剤(例えば、免疫チェックポイント経路のモジュレーター)と組合わせて投与されると考えられる。例えば、PD1免疫チェックポイント阻害剤(例えば、ニボルマブやペムブロリズマブ)は、通常、静脈内注入によって2週間ごとに、又は3週間ごとに投与され、一方、本開示のバリアントp40サブユニットを含むIL-12又はIL-23種は、より頻繁に、例えば、毎日、1日2回、又は毎週投与され得る。しかしながら、第1の薬剤(例えば、ペムブロリズマブ)の投与が長期間にわたる治療効果を提供し、第1の薬剤がその効果を継続しているときに、第2の薬剤(例えば、IL-12(p35/p40)バリアント又はIL-23(p19/p40)バリアント)の投与が治療効果を提供する場合、第一の薬剤が第2の薬剤の投与からかなり離れた時点(例えば、数日又は数週間)で投与された可能性がある場合でも、第2の薬剤は第1の薬剤と組合わせて投与されたと考えられる。1つの実施形態において、第1及び第2の薬剤が同時に(互いに30分以内に)、同時に、又は連続して投与される場合、第1の薬剤は第2の薬剤と組み合わせて投与されると考えられる。いくつかの実施形態において、第1及び第2の薬剤が互いに約24時間以内、好ましくは互いに約12時間以内、好ましくは互いに約6時間以内、好ましくは互いに約2時間以内、又は好ましくは互いに約30分以内に投与される場合、第1の薬剤は第2の薬剤と「同時に」投与されたと見なされる。「と組み合わせて」という用語はまた、第1の薬剤と第2の薬剤が単一の医薬的に許容し得る製剤で共製剤化され、共製剤が対象に投与される状況に適用されると理解されるものとする。特定の実施形態において、IL-12(p35/p40)バリアント又はIL-23(p19/p40)バリアントポリペプチド及び補助薬剤は、連続して投与又は適用され、例えば、1つの薬剤が1つ又は複数の薬剤の前に投与される。他の実施形態において、IL-12(p35/p40)バリアント又はIL-23(p19/p40)バリアントポリペプチド及び補助薬剤は同時に投与され、例えば、2つ以上の薬剤が同時に又はほぼ同時に投与される;2つ以上の薬剤が、2つ以上の別個の製剤中に存在するか、又は単一の製剤に組み合わされてもよい(すなわち、共製剤)。薬剤が連続して投与されるか、又は同時に投与されるかに関係なく、これらは本開示の目的のために組み合わせて投与されたと見なされる。
【0192】
さらなる実施形態は、組合せ中の薬剤の最適量を決定するための方法又はモデルを含む。最適量は、例えば、対象又は対象集団において最適な効果を達成する量、又は1つ又は複数の薬剤に関連する副作用を最小化又は排除しながら治療効果を達成する量であり得る。いくつかの実施形態において、IL-12(p35/p40)バリアント又はIL-23(p19/p40)バリアントポリペプチドと、対象(例えば、ヒト)又は対象集団において、本明細書に記載の疾患、障害、又は状態(例えば、癌状態)を治療又は予防するのに有効であることが知られているか又は有効であることが決定されている補助薬剤との組み合わせとを伴う方法において、一方の薬剤の量が、他方の薬剤の量を一定に保ちながら、力価測定される。このように薬剤の量を操作することにより、臨床医は、例えば、特定の疾患、障害、又は状態を治療するため、又は状況下で許容される有害作用を排除するため又は有害作用を軽減するために最も有効な薬剤の比率を決定することができる。
【0193】
追加の薬剤又は補助薬剤
いくつかの実施形態において、1つ又は複数の追加の(例えば、補助的な)治療薬には、化学療法剤が含まれる。いくつかの実施形態において、補助薬剤は、複数の化学療法剤の「カクテル」である。いくつかの実施形態において、化学療法剤又はカクテルは、1つ又は複数の物理的方法(例えば、放射線療法)と組み合わせて投与される。「化学療法剤」という用語には、特に限定されるものではないが、アルキル化剤、例えばチオテパ及びシクロホスファミド;アルキルスルホン酸塩、例えばブスルファン、インプロスルファン、ピポスルファン;アジリジン、例えばベンゾドーパ、カルボコン、メトレドーパ、及びウレドーパ;エチレンイミン及びメチルアメラミン、例えばアルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミド、及びトリメチロールメラミン;ナイトロジェンマスタード、例えばチオラムブシル、クロルナファジン、クロロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノベンビチン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタード;ニトロ尿素、例えばカルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチン;抗生物質、例えばアクラシノマイシン、アクチノマイシン、オートラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、例えばブレオマイシンA2、カクチノマイシン、カリケアマイシン、カラビシン、カミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、及び誘導体、例えばデメトキシ-ダウノマイシン、11-デオキシダウノルビシン、13-デオキシダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン、例えばマイトマイシンC、N-メチルマイトマイシンC;ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン、ピューロマイシン、ケラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメックス、ジノスタチン、ゾルビシン;代謝拮抗剤、例えばメトトレキサート及び5-フルオロウラシル(5-FU);葉酸類似体、例えばデノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキサート、ジデアザテトラヒドロ葉酸、及びフォリン酸;プリン類似体、例えばフルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン;ピリミジン類似体、例えばアンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン、5-FU;アンドロゲン、例えばカルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン;抗副腎剤、例えばアミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン;葉酸補給剤、例えばフロリン酸;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;アムサクリン;ベストラブシル;ビスアントレン;エダトラキサート;デフォアミン;デメコルシン;ジアジコン;エルホルミチン;酢酸エリプチニウム;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダミン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダモール;ニトラクリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ポドフィリン酸;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;ラゾキサン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジコン;2,2’,2’’-トリクロロトリエチルアミン;ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(Ara-C);シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド、例えば、パクリタキセル、ナブパクリタキセル、及びドキセタキセル;クロラムブシル;ゲムシタビン;6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;白金及び白金配位錯体、例えばシスプラチン、オキサプラチン、カルボプラチン;ビンブラスチン;エトポシド(VP-16);イホスファミド;マイトマイシンC;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ナベルバイン;ノバントロン;テニポシド;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロネート;CPT11;トポイソメラーゼ阻害剤;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイン酸;エスペラマイシン;カペシタビン;タキサン、例えばパクリタキセル、ドセタキセル、カバジタキセル;カルミノマイシン、アドリアマイシン、例えば4’-エピアドリアマイシン、4-アドリアマイシン-14-ベンゾエート、アドリアマイシン-14-オクタノエート、アドリアマイシン-14-ナフタレンアセテート;コルヒチン及び上記のいずれかの医薬的に許容し得る塩、酸、又は上記の任意の誘導体が含まれる。
【0194】
「化学療法剤」という用語はまた、腫瘍に対するホルモン作用を調節又は阻害するように作用する抗ホルモン剤を含み、例えば抗エストロゲン、例えばタモキシフェン、ラロキシフェン、アロマターゼ阻害4(5)-イミダゾール、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、オナプリストン、及びトレミフェン;及び抗アンドロゲン、例えばフルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリド、ゴセレリン;及び上記のいずれかの医薬的に許容し得る塩、酸、又は誘導体が含まれる。
【0195】
いくつかの実施形態において、補助薬剤は、腫瘍性疾患の治療に有用であると当技術分野で同定された1つ又は複数の化学薬剤又は生物学的薬剤であり、特に限定されるものではないが、サイトカイン又はサイトカインアンタゴニスト、例えばIL-2、INFγ、又は抗上皮増殖因子受容体、イリノテカン;テトラヒドロ葉酸代謝拮抗剤、例えばペメトレキセド;腫瘍抗原に対する抗体、モノクローナル抗体と毒素の複合体、T細胞アジュバント、骨髄移植、又は抗原提示細胞(例えば、樹状細胞療法)、抗腫瘍ワクチン、複製コンピテントウイルス、シグナル伝達阻害剤(例えば、Gleevec(登録商標)又はHerceptin(登録商標))、又は腫瘍増殖の相加的若しくは相乗的抑制を達成するための免疫調節剤、非ステロイド抗炎症薬(NSAID)、シクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)阻害剤、ステロイド、TNF拮抗薬(例えば、Remicade(登録商標)及びEnbrel(登録商標))、インターフェロン-β1a(Avonex(登録商標))、及びインターフェロン-β1b(Betaseron(登録商標))、並びに既知の化学療法治療レジメンで実施される上記の1つ又は複数の組み合わせ、例えば、特に限定されるものではないが、TAC、FOLFOX、TPC、FEC、ADE、FOLFOX-6、EPOCH、CHOP、CMF、CVP、BEP、OFF、FLOX、CVD、TC、FOLFIRI、PCV、FOLFOXIRI、ICE-V、XELOX、及び当業者により容易に認識される他のものなどを含む。
【0196】
いくつかの実施形態において、IL-12(p35/p40)バリアント又は(IL-23)p19/p40バリアントは、BRAF/MEK阻害剤、キナーゼ阻害剤、例えばスニチニブ、PARP阻害剤、例えばオラパリブ、EGFR阻害剤、例えばオシメルチニブ(Ahn, et al. (2016) J Thorac Oncol 11:S115)、IDO阻害剤、例えばエパカドスタット、及び腫瘍溶解性ウイルス、例えばタリモジーン・ラハーパレプベック(talimogenel aherparepvec;T-VEC)と組み合わせて投与される。
【0197】
治療用抗体との組み合わせ
いくつかの実施形態において、「補助薬剤」は、治療用抗体である(特に限定されるものではないが、二重特異性T細胞エンゲージャー(BITE)、二重親和性リターゲティング(DART)構築物、及び三重特異性キラーエンゲージャー(TriKE)構築物を含む1つ又は複数の腫瘍関連抗原に結合する二重特異性及び三重特異性抗体を含む)。
【0198】
いくつかの実施形態において、治療用抗体は、HER2(例えば、トラスツズマブ、ペルツズマブ、アドトラスツズマブエムタンシン)、ネクチン-4(例えば、エンフォルツマブ)、CD79(例えば、ポラツズマブベドチン)、CTLA4(例えば、イピルムマブ)、CD22(例えば、モキセツモマブパスドトックス)、CCR4(例えば、マガムイズマブ)、IL23p19(例えば、チルドラキズマブ)、PDL1(例えば、デュルバルマブ、アベルマブ、アテゾリズマブ)、IL17a(例えば、イクセキズマブ)、CD38(例えば、ダラツズマブ)、SLAMF7(例えば、エロツズマブ)、CD20(例えば、リツキシマブ、トシツモマブ、イブリツモマブ、及びオファツムマブ)、CD30(例えば、ブレンツキシマブベドチン)、CD33(例えば、ゲムツズマブオゾガマイシン)、CD52(例えば、アレムツズマブ)、EpCam、CEA、fpA33、TAG-72、CAIX、PSMA、PSA、葉酸結合タンパク質、GD2(例えば、ジヌンツキシマブ)、GD3、IL6(例えば、シルツキシマブ)、GM2、LeY、VEGF(例えば、ベバシズマブ)、VEGFR、VEGFR2(例えば、ラムシルマブ)、PDGFRα(例えば、オラーツムマブ)、EGFR(例えば、セツキシマブ、パニツムマブ、及びネシツムマブ)、ERBB2(例えば、トラスツズマブ)、ERBB3、MET、IGF1R、EPHA3、MUC-1、TRAILR1、TRAILR2、RANKLRAP、テナスイシン、インテグリンαVβ3、及びインテグリンα4β1、からなる群から選択される少なくとも1つの腫瘍抗原に結合する抗体である
【0199】
いくつかの実施形態において、抗体は、HER2及びHER3などの第1及び第2の腫瘍抗原(略してHER2×HER3)を標的とする二重特異性抗体、FAP×DR-5二重特異性抗体、CEA×CD3二重特異性抗体、CD20×CD3二重特異性抗体、EGFR-EDV-miR16三重特異性抗体、gp100×CD3二重特異性抗体、Ny-eso×CD3二重特異性抗体、EGFR×CMet二重特異性抗体、BCMA×CD3二重特異性抗体、EGFR-EDV二重特異性抗体、CLEC12A×CD3二重特異性抗体、HER2×HER3二重特異性抗体、Lgr5×EGFR二重特異性抗体、PD1×CTLA-4二重特異性抗体、CD123×CD3二重特異性抗体、gpA33×CD3二重特異性抗体、B7-H3×CD3二重特異性抗体、LAG-3×PD1二重特異性抗体、DLL4×VEGF二重特異性抗体、カドヘリン-P×CD3二重特異性抗体、BCMA×CD3二重特異性抗体、DLL4×VEGF二重特異性抗体、CD20×CD3二重特異性抗体、Ang-2×VEGF-A二重特異性抗体、CD20×CD3二重特異性抗体、CD123×CD3二重特異性抗体、SSTR2×CD3二重特異性抗体、PD1×CTLA-4二重特異性抗体、HER2×HER2二重特異性抗体、GPC3×CD3二重特異性抗体、PSMA×CD3二重特異性抗体、LAG-3×PD-L1二重特異性抗体、CD38×CD3二重特異性抗体、HER2×CD3二重特異性抗体、GD2×CD3二重特異性抗体、及びCD33×CD3二重特異性抗体である。このような治療用抗体は、直接又はリンカー、特に酸、塩基を介して、又は酵素的に不安定なリンカーを介して、1つ又は複数の化学療法剤(例えば、抗体薬物コンジュゲート又はADC)にさらにコンジュゲートされ得る。
【0200】
物理的方法との組み合わせ
いくつかの実施形態において、補助薬剤は、1つ又は複数の非薬理学的治療法(例えば、局所放射線療法又は全身放射線療法又は手術)である。例として、本開示は、IL-12(p35/p40)バリアント又はIL23(p19/p40)バリアント及び1つ又は複数の補助薬剤を含む治療方法を用いる治療の前又は後に放射線段階が行われる治療方法を企図する。いくつかの実施形態において、本開示は、IL12p35/p40バリアント又はIL23p19/p40バリアントを手術(例えば腫瘍切除)と組み合わせて使用することをさらに企図する。いくつかの実施形態において、本開示は、骨髄移植、末梢血幹細胞移植、又は他のタイプの移植療法と組み合わせたIL-12p40バリアントの使用をさらに企図する。
【0201】
免疫チェックポイントモジュレーターとの組合わせ
いくつかの実施形態において、補助薬剤は、対象における新生物疾患、並びに新生物疾患に関連する疾患、障害、又は状態を治療及び/又は予防するための免疫チェックポイントモジュレーターである。当業者は、用語「免疫チェックポイント経路」を、抗原提示細胞(APC)上で発現される第1の分子(例えば、PD1などのタンパク質)の、免疫細胞(例えば、T細胞)上で発現される第2の分子への結合によって引き起こされる生物学的応答であり、これが、免疫応答の刺激(例えば、T細胞活性のアップレギュレーション)又は阻害(例えば、T細胞活性のダウンレギュレーション)を介して免疫応答を調節しているとして理解するであろう。免疫応答を調節する結合パートナーの形成に関与する分子は、「免疫チェックポイント」と呼ばれる。このような免疫チェックポイント経路によって調節される生物学的応答は、例えば細胞活性化、サイトカイン産生、細胞移動、細胞傷害性因子分泌、及び抗体産生などの下流の免疫有効経路につながる細胞内シグナル伝達経路によって媒介される。免疫チェックポイント経路は、一般に、免疫チェックポイント経路に関連する第2細胞表面分子への、第1細胞表面発現分子の結合(例えば、PD1のPDL1への結合、CTLA4のCD28への結合など)によって引き起こされる。免疫チェックポイント経路の活性化は、免疫応答の刺激又は阻害につながる可能性がある。
【0202】
その活性化が免疫応答の阻害又はダウンレギュレーションをもたらす免疫チェックポイントは、本明細書では「負の免疫チェックポイント経路モジュレーター」と呼ばれる。負の免疫チェックポイントモジュレーターの活性化から生じる免疫応答の阻害は、腫瘍関連抗原などの外来抗原を認識する宿主免疫系の能力を低下させる。負の免疫チェックポイント経路という用語には、特に限定されるものではないが、PD1のPDL1への結合、PD1のPDL2への結合、及びCTLA4のCDCD80/86への結合によって調節される生物学的経路が含まれる。このような負の免疫チェックポイントアンタゴニストの例には、特に限定されるものではないが、PD1(CD279とも呼ばれる)、TIM3(T細胞膜タンパク質3;HAVcr2としても知られている)、BTLA(B及びTリンパ球アテニュエーター;CD272としても知られている)、VISTA(B7-H5)受容体、LAG3(リンパ球活性化遺伝子3;CD233としても知られている)、及びCTLA4(細胞傷害性Tリンパ球関連抗原4);CD152としても知られている)を含むT細胞阻害受容体に結合するアンタゴニスト(例えば、アンタゴニスト抗体)が含まれる。
【0203】
1つの実施形態において、その活性化が免疫応答の刺激をもたらす免疫チェックポイント経路は、本明細書において「正の免疫チェックポイント経路モジュレーター」と呼ばれる。従って、正の免疫チェックポイント経路モジュレーターという用語には、特に限定されるものではないが、ICOSLのICOS(CD278)への、B7-H6のNKp30への、CD155のCD96への、OX40LのOX40への、CD70のCD27への、CD40のCD40Lへの、GITRLのGITRへの結合によって調節される生物学的経路が含まれる。正の免疫チェックポイント(例えば、免疫応答を刺激する結合対の成分に対する天然又は合成リガンド)を刺激する分子は、免疫応答をアップレギュレートするのに有用である。そのような正の免疫チェックポイントアゴニストの例には、特に限定されるものではないが、ICOS(例えば、JTX-2011、Jounce Therapeutics)、OX40(例えば、MEDI6383、Medimmune)、CD27(例えば、バルリルマブ、Celldex Therapeutics)、CD40(例えば、ダセツズマブCP-870,893、Roche、Chi Lob7/4)、HVEM、CD28、CD137 4-1BB、CD226、及びGITR(例えば、MEDI1873、Medimmune、INCAGN1876、Agenus)などのT細胞活性化受容体に結合するアゴニスト抗体が含まれる。
【0204】
当業者は、「免疫チェックポイント経路モジュレーター」という用語を、免疫適格性哺乳動物を含む生物系における免疫チェックポイント経路の活性を阻害又は刺激する分子として理解するであろう。免疫チェックポイント経路モジュレーターは、免疫チェックポイントタンパク質(例えば、癌細胞及び/又は免疫Tエフェクター細胞などの抗原提示細胞(APC)の表面に発現される免疫チェックポイントタンパク質)に結合することによってその効果を発揮することができるか、又は免疫チェックポイント経路の上流及び/又は下流の反応に影響を及ぼす。例えば、免疫チェックポイント経路モジュレーターは、PD-1及びCTLA-4シグナル伝達に関与するチロシンホスファターゼであるSHP2の活性を調節する可能性がある。当業者は、「免疫チェックポイント経路モジュレーター」という用語が、阻害性免疫チェックポイント(本明細書では「免疫チェックポイント経路阻害剤」又は「免疫チェックポイント経路アンタゴニスト」と呼ばれる)の機能を少なくとも部分的にダウンレギュレートすることができる免疫チェックポイント経路モジュレーター、及び刺激性免疫チェックポイント(本明細書では「免疫チェックポイント経路エフェクター」又は「免疫チェックポイント経路アゴニスト」と呼ばれる)の機能を少なくとも部分的にアップレギュレートできる免疫チェックポイント経路モジュレーターの両方を包含するものとして理解するであろう。
【0205】
免疫チェックポイント経路によって媒介される免疫応答は、T細胞媒介免疫応答に限定されない。例えば、NK細胞のKIR受容体は、NK細胞によって媒介される腫瘍細胞に対する免疫応答を調節する。腫瘍細胞はHLA-Cと呼ばれる分子を発現し、この分子は、NK細胞のKIR受容体を阻害して、縮小又は抗腫瘍免疫応答を引き起こす。HLA-Cの抗KIR3mab(例えば、リリルマブ、BMS)などのKIR受容体への結合に拮抗する薬剤の投与は、HLA-CがNK細胞阻害受容体(KIR)に結合する能力を阻害し、それによって、NK細胞が癌細胞を検出し攻撃するためのその能力を回復させる。従って、HLA-CのKIR受容体への結合によって媒介される免疫応答は、その阻害が非T細胞媒介性免疫応答の活性化をもたらす負の免疫チェックポイント経路の一例である。
【0206】
1つの実施形態において、免疫チェックポイント経路モジュレーターは、負の免疫チェックポイント経路阻害剤/アンタゴニストである。別の実施形態において、IL12p35/p40バリアント又はIL23p19/p40バリアントと組み合わせて使用される免疫チェックポイント経路モジュレーターは、正の免疫チェックポイント経路アゴニストである。別の実施形態において、IL12p35/p40バリアント又はIL23p19/p40バリアントと組み合わせて使用される免疫チェックポイント経路モジュレーターは、免疫チェックポイント経路アンタゴニストである。
【0207】
当業者は、「負の免疫チェックポイント経路阻害剤」という用語を、免疫応答のアップレギュレーション又は増強をもたらす負の免疫チェックポイント経路の活性化を妨害する免疫チェックポイント経路モジュレーターとして理解するであろう。例示的な負の免疫チェックポイント経路阻害剤には、特に限定されるものではないが、プログラム死-1(PD1)経路阻害剤、プログラム死リガンド-1(PDL1)経路阻害剤、TIM3経路阻害剤、及び抗細胞傷害性Tリンパ球抗原4(CTLA4)経路阻害剤が含まれる.
【0208】
1つの実施形態において、免疫チェックポイント経路モジュレーターは、PD1のPDL1及び/又はPDL2への結合を阻害する負の免疫チェックポイント経路のアンタゴニスト(「PD1経路阻害剤」)である。PD1経路阻害剤は、T細胞枯渇の逆転、サイトカイン産生の回復、抗原依存性T細胞の拡張などのさまざまな好ましい免疫応答の刺激をもたらす。PD1経路阻害剤は、さまざまな癌に有効であるとして認識されており、メラノーマ、肺癌、腎臓癌、ホジキンリンパ腫、頭頸部癌、膀胱癌、尿路上皮癌などのさまざまな癌の治療についてUSFDAから承認を受けている。
【0209】
いくつかの実施形態において、PD1経路阻害剤には、PD1のPDL1及び/又はPDL2への結合を妨害するモノクローナル抗体が含まれる。抗体PD1経路阻害剤は、当技術分野で周知されている。PD1のPDL1及び/又はPDL2への結合を妨害するモノクローナル抗体である市販のPD1経路阻害剤の例には、ニボルマブ(Opdivo(登録商標)、BMS-936558、MDX1106、BristolMyers Squibb, Princeton NJから市販されている)、ペムブロリズマブ(Keytruda(登録商標)MK-3475、ランブロリズマブ、Merck and Company, Kenilworth NJから市販されている)、及びアテゾリズマブ(Tecentriq(登録商標)、Genentech/Roche, South San Francisco CA)が含まれる。追加の抗体PD1経路阻害剤抗体が臨床開発中であり、特に限定されるものではないが、デュルバルマブ(MEDI4736、Medimmune/AstraZeneca)、ピディリズマブ(CT-011、CureTech)、PDR001(Novartis)、BMS-936559(MDX1105、Bristol Myers Squibb)、及びアベルマブ(MSB0010718C、Merck Serono/Pfizer)、及びSHR-1210(Incyte)が含まれる。追加の抗体であるPD1経路阻害剤は、米国特許第8,217,149号、8,168,757号、8,008,449号、及び7,943,743号に記載されている。
【0210】
PD1経路阻害剤は、アンタゴニスト抗体に限定されない。非抗体の生物学的PD1経路阻害剤も臨床開発中であり、PD-L2IgG2a融合タンパク質であるAMP-224や、PDL2融合タンパク質であるAMP-514が、AmplimmuneとGlaxo SmithKlineによって臨床開発中である。アプタマー化合物もまた、PD1経路阻害剤として有用であることが文献に記載されている(Wang, et al. (2018) 145:125-130)。
【0211】
いくつかの実施形態において、PD1経路阻害剤には、Sasikumarらの米国特許第9,422,339号;及びSasikumarらの米国特許第8,907,053号に記載されているようなペプチジルPD1経路阻害剤が含まれる。CA-170(AUPM-170、Aurigene/Curis)は、免疫チェックポイントPDL1及びVISTAを標的とする、経口で生物学的に利用可能な低分子であると報告されている。Pottayil Sasikumar, et al. Oral immune checkpoint antagonists targeting PD-L1/VISTA or PD-L1/Tim3 for cancer therapy. [抄録]。Proceedings of the 107th Annual Meeting of the American Association for Cancer Research; 2016 Apr 16-20; New Orleans, LA. Philadelphia (PA): AACR; Cancer Res 2016;76(14 Suppl): 抄録 No. 4861。CA-327(AUPM-327、Aurigene/Curis)は、免疫チェックポイントであるプログラム死リガンド-1(PDL1)及びT細胞免疫グロブリン及びムチンドメイン含有タンパク質3(TIM3)を阻害する、経口で生物学的に利用可能な低分子であると報告されている。
【0212】
いくつかの実施形態において、PD1経路阻害剤には、小分子PD1経路阻害剤が含まれる。本発明の実施において有用な小分子PD1経路阻害剤の例は、Sasikumar, et al., 1,2,4-oxadiazole and thiadiazole compounds as immunomodulators(PCT/IB2016/051266、WO2016142833A1として公開)、及びSasikumar, et al. 3-substituted-1,2,4-oxadiazole and thiadiazole(PCT/IB2016/051343、WO2016142886A2として公開)、BMS-1166、Chupak LS and Zheng X. Compounds useful as immunomodulators. Bristol-Myers Squibb Co. (2015) 、WO2015/034820A1、EP3041822B1;WO2015/034820A1;及び Chupak, et al. Compounds useful as immunomodulators. Bristol-Myers Squibb Co. (2015)、WO2015/160641A2、WO2015/160641A2, Chupak, et al. Compounds useful as immunomodulators. Bristol-Myers Squibb Co. Sharpe, et al.を含み、当技術分野で記載されている。免疫阻害受容体PD-1のモジュレーター及びその使用方法は、WO2011082400A2; 及び米国特許第7,488,802号に記載されている。
【0213】
いくつかの実施形態において、IL-12p35/p40バリアント又はIL-23p19/p40バリアントと1つ又は複数のPD1免疫チェックポイントモジュレーターとの組み合わせは、PD1経路阻害剤がヒトにおいて臨床効果を証明した新生物状態の治療に有用であり、これは、疾患の治療に対するFDAの承認、又は特に限定されるものではないが、メラノーマ、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、頭頸部癌、腎細胞癌、膀胱癌、卵巣癌、子宮内膜癌,子宮頸癌,子宮肉腫,胃癌,食道癌,DNAミスマッチ修復欠損大腸癌,DNAミスマッチ修復欠損子宮内膜癌,肝細胞癌,乳癌,メルケル細胞癌,甲状腺癌,ホジキンリンパ腫,濾胞性癌リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、真菌症、末梢T細胞リンパ腫を含む臨床試験での臨床効果の証明によるものである。いくつかの実施形態において、IL12p35/p40バリアント又はIL23p19/p40バリアントとPD1免疫チェックポイントモジュレーターとの組み合わせは、PDL1の高レベルの発現を特徴とする腫瘍の治療において有用であり、ここで、腫瘍は腫瘍変異負荷を有し、腫瘍における高レベルのCD8+T細胞、IFNγに関連する免疫活性化サイン、及び転移性疾患、特に肝転移の欠如が存在する。
【0214】
いくつかの実施形態において、IL-12p35/p40バリアント又はIL-23p19/p40バリアントは、CTLA4のCD28への結合を阻害する負の免疫チェックポイント経路のアンタゴニスト(「CTLA4経路阻害剤」)と組み合わせて投与される。CTLA4経路阻害剤の例は、当技術分野で公知である(例えば、米国特許第6,682,736号、6,984,720号、及び7,605,238号を参照)。
【0215】
いくつかの実施形態において、IL12p35/p40バリアント又はIL23p19/p40バリアントは、BTLAのHVEMへの結合を阻害する負の免疫チェックポイント経路のアンタゴニスト(「BTLA経路阻害剤」)と組み合わせて投与される。抗BTLA抗体及び拮抗的HVEM-Igを使用してBTLA/HVEM経路を標的とする多くのアプローチが評価されており、そのようなアプローチは、移植、感染、腫瘍、及び自己免疫疾患を含む多くの疾患、障害、及び状態における有望な有用性を示唆している(例えば、Wu, et al., (2012) Int. J. Biol. Sci. 8:1420-30を参照)。
【0216】
いくつかの実施形態において、IL-12p35/p40バリアント又はIL-23p19/p40バリアントは、TIM3がTIM3活性化リガンドに結合する能力を阻害する負の免疫チェックポイント経路のアンタゴニスト(「TIM3経路阻害剤」)と組み合わせて投与される。TIM3経路阻害剤の例は、当技術分野で知られており、代表的な非限定的な例は、2016年9月15日に公開された米国特許公開PCT/US2016/021005号;Lifke、 et al. 2016年9月8日に公開された米国特許公開US2016/0257749A1号(F.Hoffman-LaRoche)、Karunsky、米国特許第9,631,026号;Karunsky, Sabatos-Peyton, et al.、米国特許第8,841,418号;米国特許第9,605,070号;Takayanagi, et al., 米国特許第8,552,156号に記載されている。
【0217】
いくつかの実施形態において、バリアントp40サブユニットを含むIL-12又はIL-23は、LAG3及びPD1の両方の阻害剤と組み合わせて投与され、これは、LAG3及びPD1の遮断が、慢性感染症における腫瘍特異的CD8+T細胞とウイルス特異的CD8+T細胞間のアネルギーを相乗的に逆転させることが示唆されているためである。IMP321(ImmuFact)は、メラノーマ、乳癌、及び腎細胞癌で評価されている。一般に、Woo et al., (2012) Cancer Res 72:917-27; Goldberg et al., (2011) Curr. Top. Microbiol. Immunol. 344:269-78; Pardoll (2012) Nature Rev. Cancer 12:252-64; Grosso et al., (2007) J. Clin. Invest. 117:3383-392を参照されたい。
【0218】
いくつかの実施形態において、バリアントp40サブユニットを含むIL-12又はIL-23は、A2aR阻害剤と組み合わせて投与される。A2aRは、CD4+T細胞を刺激してTReg細胞に成長させることにより、T細胞応答を阻害する。A2aRは腫瘍免疫において特に重要であり、これは、細胞のターンオーバーによる腫瘍の細胞死率が高く、死にかけている細胞がA2aRのリガンドであるアデノシンを放出するためである。さらに、A2aRの欠失は、感染に対する強化された、時には病的な炎症反応と関連付けられている。A2aRの阻害は、アデノシン結合をブロックする抗体などの分子の投与によって、又はアデノシン類似体によって行うことができる。このような薬剤は、癌及びパーキンソン病などの障害の治療に使用するために、IL12p35/p40バリアント及びIL23p19/p40バリアントと組み合わせて使用することができる。
【0219】
いくつかの実施形態において、バリアントp40サブユニットを含むIL-12又はIL-23は、IDO(インドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ)の阻害剤と組み合わせて投与される。IDOは、トリプトファンの酸化によって媒介される免疫応答をダウンレギュレートし、T細胞活性化の阻害とT細胞アポトーシスの誘導をもたらし、腫瘍特異的な細胞傷害性Tリンパ球が機能的に不活性になるか、もはや機能しなくなるか又は被験者の癌細胞を攻撃できなくする環境を作り出す。インドキシモド(NewLink Genetics)は、転移性乳癌で評価されているIDO阻害剤である。
【0220】
前述のように、本発明は、IL12p35/p40バリアント又はIL23p19/p40バリアントを、2、3、又はそれ以上の免疫チェックポイント経路を調節する免疫チェックポイント経路モジュレーターを含む少なくとも1つの免疫チェックポイント経路を調節する薬剤と組合わせて、投与することにより、哺乳動物対象の新生物疾患(例えば、癌)を治療する方法を提供する。
【0221】
いくつかの実施形態において、IL12p35/p40バリアント又はIL23p19/p40バリアントは、複数の免疫チェックポイント経路を調節することができる免疫チェックポイントモジュレーターと組み合わせて投与される。複数の免疫チェックポイント経路は、複数の免疫チェックポイント経路のモジュレーターとして作用することができる多機能分子の投与によって調節され得る。そのような複数の免疫チェックポイント経路モジュレーターの例には、特に限定されるものではないが、二重特異性又は多特異性抗体が含まれる。モジュレーター又は複数の免疫チェックポイント経路として作用することができる多重特異性抗体の例は、当技術分野で公知である。例えば、米国特許公開2013/0156774号は、PD1及びTIM3を共発現する細胞を標的とするための、二重特異性及び多重特異性薬剤(例えば、抗体)、及びこれらの使用方法を記載している。さらに、BTLAとPD1の二重遮断は、抗腫瘍免疫を強化することが示されている(Pardoll, (April 2012) Nature Rev. Cancer 12:252- 64)。本開示は、特に限定されるものではないが、PD1及びLAG3の両方に結合する二重特異性抗体を含む複数の免疫チェックポイント経路を標的とする免疫チェックポイント経路モジュレーターと組み合わせた、IL12p35/p40バリアント及び/又はIL23p19/p40バリアントの使用を企図する。従って、抗腫瘍免疫を複数のレベルで強化することができ、さまざまなメカニズムを考慮して組み合わせ戦略を作成することができる。
【0222】
いくつかの実施形態において、IL-12p35/p40バリアント又はIL-23p19/p40バリアントは、2、3、4、又はそれ以上のチェックポイント経路モジュレーターと組み合わせて投与され得る。このような組み合わせは、免疫チェックポイント経路が異なる作用機序を有し、これが複数の異なる治療角度から基礎疾患、障害、又は状態を攻撃する機会を提供するという点で有利である可能性がある。
【0223】
免疫チェックポイント経路阻害剤に対する治療応答は、チロシンキナーゼ阻害剤などの従来の化学療法に対する応答よりもかなり遅れて現れることが多いことに注意すべきである。場合によっては、免疫チェックポイント経路阻害剤による治療開始後、治療反応の客観的な指標が観察されるまでに6ヶ月以上かかる場合がある。従って、本開示のIL-12p35/p40バリアント又はIL-23p19/p40バリアントと組み合わせた免疫チェックポイント経路阻害剤による治療を行う必要があるかどうかは、多くの場合、従来の化学療法よりも長くなる腫瘍増殖停止時間を考慮して決定しなされなければならない。望ましい応答は、状況下で好ましいと思われる結果であれば何でもかまわない。いくつかの実施形態において、所望の応答は、疾患、障害、又は状態の進行の予防であるが、他の実施形態において、所望の応答は、疾患、障害、又は状態の1つ又は複数の特徴の退行又は安定化(例えば、腫瘍サイズの低下)である。さらに他の実施形態において、所望の応答は、組み合わせの1つ又は複数の薬剤に関連する1つ又は複数の有害作用の軽減又は排除である。
【0224】
補助薬剤としての細胞治療薬と方法
いくつかの実施形態において、本開示の方法は、IL-12(p35/p40)バリアント又はIL-23(p19/p40)バリアントの投与と、新生物疾患、自己免疫疾患、又は炎症性疾患の治療のための細胞療法の形態の補助薬剤との組み合わせを含み得る。本開示の方法と組み合わせて使用するのに適した細胞療法の例には、特に限定されるものではないが、1つ又は複数の活性化CAR-T細胞、改変TCR細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、改変Treg細胞を含む改変T細胞産物が含まれる。改変T細胞産物は一般に、対象への投与前にエクスビボで活性化され、従ってCD25のアップレギュレートされたレベルを提供するため、そのような活性化された改変T細胞型を含む細胞産物は、本明細書に記載のIL-12p40バリアントの投与を介してさらに支持するのに適している。
【0225】
CAR-T細胞
本開示の方法のいくつかの実施形態において、補助薬剤は「キメラ抗原受容体T細胞」(CAR-T細胞)であり、これは一般に、キメラ抗原受容体を発現するように組換え修飾されたT細胞を指す。当業者は、キメラ抗原受容体(CAR)が、一般に(a)抗原結合ドメイン(ABD)、(b)膜貫通ドメイン(TD);及び(c)1つ又は複数の細胞質シグナル伝達ドメイン(CSD)の順に、アミノ末端からカルボキシ末端まで配置された複数の機能性ドメインを含むキメラポリペプチドを指し、ここで、前述のドメインは、1つ又は複数のスペーサードメインによって任意に連結することができる。CARはまた、CARをコードする核酸配列を含む発現ベクターで形質転換された細胞の細胞表面上の、CARの翻訳後プロセシング及び提示の間に従来通り除去されるシグナルペプチド配列をさらに含み得る。本発明の実施に有用なCARは、当技術分野で周知されている原理に従って調製される。例えば、Eshhaar et al. 米国特許第7,741,465B1号; Sadelain, et al (2013) Cancer Discovery 3(4):388-398; Jensen and Riddell (2015) Current Opinions in Immunology 33:9-15; Gross, et al. (1989) PNAS USA) 86(24):10024-10028; Curran, et al. (2012) J Gene Med 14(6):405-15を参照されたい。本発明の直交受容体を取り込むために修飾され得る市販のCAR-T細胞産物の例には、アキシカブタゲンシロルユーセル(axicabtageneciloleucel)(Gilead PharmaceuticalsからYesCARTa(登録商標)として市販されている)及びチサゲンレクロイセル(tisagenlecleucel)(NovartisからKymriah(登録商標)として市販されている)が含まれる。
【0226】
当業者は、抗原結合ドメイン(ABD)という用語が、標的細胞の表面に発現される抗原に特異的に結合するポリペプチドを指すことを理解するであろう。ABDは、標的細胞の表面に発現される1つ又は複数の細胞表面分子(例えば、腫瘍抗原)に特異的に結合する任意のポリペプチドであり得る。いくつかの実施形態において、ABDは、GD2、BCMA、CD19、CD33、CD38、CD70、GD2、IL3Rα2、CD19、メソセリン、Her2、EpCam、Muc1、ROR1、CD133、CEA、EGRFRVIII、PSCA、GPC3、Pan-ErbB、及びFAPからなる群から選択される腫瘍細胞に関連する細胞表面分子に特異的に結合するポリペプチドである。いくつかの実施形態において、ABDは、腫瘍細胞に関連する少なくとも1つの細胞表面分子(すなわち、少なくとも1つの腫瘍抗原)に特異的に結合する抗体(ここで上述したように、1つ又は複数VHH、scFvなどの分子を含む)であり、ここで、腫瘍細胞に関連する細胞表面分子は、GD2、BCMA、CD19、CD33、CD38、CD70、GD2、IL3Rα2、CD19、メソセリン、Her2、EpCam、Muc1、ROR1、CD133、CEA、EGRFRVIII、PSCA、GPC3、Pan-ErbB、及びFAPからなる群から選択される。本開示の方法の実施において補助薬剤として有用なCAR-T細胞の例には、特に限定されるものではないが、抗GD2抗体、抗BCMA抗体、抗CD19抗体、抗CD33抗体、抗CD38抗体、抗CD70抗体、抗GD2抗体及びIL3Rα2抗体、抗CD19抗体、抗メソテリン抗体、抗Her2抗体、抗EpCam抗体、抗Muc1抗体、抗ROR1抗体、抗CD133抗体、抗CEA抗体、抗PSMA抗体、抗EGRFRVIII抗体、抗PSCA抗体、抗GPC3抗体、抗Pan-ErbB抗体、抗-FAP抗体のうちの少なくとも1つをさらに含むABDを含むCARを発現するCAR-T細胞が含まれる。
【0227】
CARポリペプチドの細胞質ドメインは、1つ又は複数の細胞内シグナルドメインを含む。1つの実施形態において、細胞内シグナルドメインは、T細胞受容体(TCR)と、抗原受容体の係合後にシグナル伝達を開始する共受容体と、これらの機能的誘導体及びサブ断片との細胞質配列を含む。T細胞受容体ゼータ鎖に由来するものなどの細胞質シグナル伝達ドメインは、CARの一部として使用されて、キメラ受容体と標的抗原の係合後に、Tリンパ球増殖及びエフェクター機能の刺激シグナルを生成する。細胞質シグナル伝達ドメインの例には、特に限定されるものではないが、CD27の細胞質ドメイン、CD28の細胞質ドメインS、CD137の細胞質ドメイン(4-1BB及びTNFRSF9とも呼ばれる)、CD278の細胞質ドメイン(ICOSとも呼ばれる)、PI3キナーゼのp110α、β、又はδ触媒サブユニット、ヒトCD3ζ鎖、CD134の細胞質ドメイン(OX40及びTNFRSF4とも呼ばれる)、FcεR1γ及びβ鎖、MB1(Igα)鎖、B29(Igβ)鎖など、CD3ポリペプチド(δ、Δ、ε)、sykファミリーチロシンキナーゼ(Syk、ZAP70など)、srcファミリーチロシンキナーゼ(Lck、Fyn、Lynなど)、及びT細胞への形質導入に関与するその他の分子(例えば、CD2、CD5、CD28)が含まれる。
【0228】
IL-12(p35/p40)バリアント又はIL-23(p19/p40)バリアントは、第1、第2、第3、又は第4世代のCAR-T細胞と組み合わせて投与され得る。第1世代CAR-T細胞という用語は、CARを発現するように改変細胞を指し、ここで、細胞質ドメインは、抗原結合からのシグナルを、単一のシグナル伝達ドメイン、例えばIgE FcεR1又はCD3ζ鎖の高親和性受容体に由来するシグナル伝達ドメインのみを介して伝達する。このドメインは、抗原依存性T細胞活性化のための1つ又は3つの免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフ[ITAM(s)]を含む。ITAMベースの活性化シグナルは、T細胞に標的腫瘍細胞を溶解し、抗原結合に応答してサイトカインを分泌する能力を与える。第2世代CAR-T細胞とは、CD3ζシグナルに加えて共刺激シグナルを含むCARを発現するように改変細胞を指す。共刺激シグナルの同時送達は、CAR形質導入T細胞によって誘導されるサイトカイン分泌及び抗腫瘍活性を増強する。共刺激ドメインは通常、CD3ζドメインに対して膜近位にある。第3世代CAR-T細胞は、例えばCD28、CD3ζ、OX40、又は4-1BBシグナル伝達領域を含む三者シグナル伝達ドメインを含むCARを発現するように改変細胞を指す。第4世代又は「装甲車」CART細胞は、IL-12、IL-18、IL-7、及び/又はIL-10;4-1BBリガンド、CD-40リガンドの発現などの免疫活性を高める分子及び/又は受容体を発現又は遮断するように、さらに修飾されている。本発明のCARに取り込むことができる細胞内シグナル伝達ドメインの例には、(アミノからカルボキシに):CD3ζ;CD28-41BB-CD3ζ;CD28-OX40-CD3ζ;CD28-41BB-CD3ζ;41BB-CD-28-CD3ζ、及び41BB-CD3ζが含まれる。
【0229】
この用語は、特に限定されるものではないが、スプリットCAR、ONスイッチCAR、二重特異性又はタンデムCAR、阻害性CAR(iCAR)、及び人工多能性幹(iPS)CART細胞を含むCARバリアントを含む。「スプリットCAR」という用語は、CARの細胞外部分、ABD、及び細胞質シグナル伝達ドメインが2つの別個の分子上に存在するCARを指す。CARバリアントはまた、例えば、スプリットCARの2つの部分の条件付きヘテロ二量体化が薬理学的に制御される分割CARを含む、条件付きで活性化可能なCARであるONスイッチCARを含む。CAR分子及びその誘導体(すなわち、CARバリアント)は、例えば、PCT出願番号US2014/016527、US1996/017060、US2013/063083;及びFedorov et al. Sci Transl Med (2013) ;5(215):215ra172; Glienke et al. Front Pharmacol (2015) 6:21; Kakarla & Gottschalk 52 Cancer J (2014) 20(2):151-5; Riddell et al. Cancer J (2014) 20(2):141-4; Pegram et al. Cancer J (2014) 20(2):127-33; Cheadle et al. Immunol Rev (2014) 257(1):91-106; Barrett et al. Annu Rev Med (2014) 65:333-47; Sadelain et al. Cancer Discov (2013) 3(4):388-98; CARTellieri et al., J Biomed Biotechnol (2010) 956304に記載されており、これらの開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。「二重特異性又はタンデムCAR」という用語は、一次CARの活性を増幅又は阻害することができる二次CAR結合ドメインを含むCARを指す。「阻害性キメラ抗原受容体」又は「iCAR」という用語は、本明細書では交換可能に使用され、結合iCARが二重抗原ターゲティングを使用して、二次CAR結合ドメインの阻害性シグナル伝達ドメインを備えた二次抑制性受容体の係合を通じて活性CARの活性化をシャットダウンすることにより、一次CAR活性化の阻害をもたらすCARを指す。抑制性CAR(iCAR)は、抑制性受容体シグナル伝達モジュールの活性化を通じてCART細胞の活性を調節するように設計されている。このアプローチは、2つのCARの活性を組み合わせており、そのうちの1つは、活性化受容体によって活性化されたCART細胞の応答を制限するドミナントネガティブシグナルを生成する。iCARは、正常組織でのみ発現される特定の抗原に結合すると、対抗する活性化因子CARの応答をオフにすることができる。このようにして、iCAR-T細胞は癌細胞と健康な細胞を区別し、抗原選択的に形質導入されたT細胞の機能を可逆的にブロックすることができる。iCARのCTLA-4又はPD-1細胞内ドメインは、Tリンパ球に対する阻害シグナルを引き起こし、サイトカイン産生の低下、標的細胞の溶解効率の低下、及びリンパ球の運動性の変化を引き起こす。「タンデムCAR」又は「TanCAR」という用語は、2つの異なる腫瘍関連抗原の独立した係合に応答して、刺激又は共刺激シグナルを送達するように設計された2つのキメラ受容体の結合を通じて、T細胞の二重特異性活性化を媒介するCARを指す。
【0230】
一般に、キメラ抗原受容体T細胞(CAR-T細胞)は、実質的に上記の教示に従って、CARをコードする発現ベクターで形質導入することによって組換え修飾されたT細胞である。
【0231】
いくつかの実施形態において、改変T細胞は、治療される個体に関して同種異系である。Graham et al. (2018) Cell 7(10) E155。いくつかの実施形態において、同種異系の改変T細胞は、HLAが完全に一致している。しかし、すべての患者が完全に一致するドナーを持っているわけではなく、HLA型に関係なくすべての患者に適した細胞産物が代替手段となる。
【0232】
本開示の方法の実施において使用されるT細胞が同種異系T細胞である場合、そのような細胞は、移植片対宿主病を軽減するために修飾され得る。例えば、本発明の改変細胞は、遺伝子編集技術によって達成されたTCRαβ受容体ノックアウトであり得る。TCRαβはヘテロ二量体であり、これが発現するためにはアルファ鎖とベータ鎖の両方が存在する必要がある。アルファ鎖をコードする遺伝子(TRAC)は1つであるが、ベータ鎖をコードする遺伝子は2つあるため、TRAC遺伝子座KOはこの目的のために欠失されている。この欠失を達成するために、さまざまなアプローチが使用されており、例えばCRISPR/Cas9;メガヌクレアーゼ;改変I-CreIホーミングエンドヌクレアーゼなどがある。例えば、Eyquem et al. (2017) Nature 543:113-117(ここでは、TRACコード配列がCARコード配列に置き換えられている);及びGeorgiadis et al. (2018) Mol. Ther. 26:1215-1227(これは、CARをTRAC遺伝子座に直接組み込むことなく、クラスター化された定期的に間隔をあけた短い回文反復(CRISPR)/Cas9によって、CAR発現とTRAC破壊を連結した)を参照されたい。GVHDを予防するための別の戦略は、T細胞を修飾して、例えば末端切断型CD3ζをTCR阻害分子として使用して、TCRαβシグナル伝達の阻害剤を発現させる。
【0233】
いくつかの実施形態において、IL-12(p35/p40)バリアント又はIL-23(p19/p40)バリアントは、特に限定されるものではないが、IL2、IL-7、IL-15、及びIL-18(これらのそれぞれの類似体及びバリアントを含む)を含む追加のサイトカインと組み合わせて投与される。
【0234】
いくつかの実施形態において、IL-12(p35/p40)バリアント又はIL-23(p19/p40)バリアントは、活性化誘導細胞死(AICD)を阻害する1つ又は複数の補助薬剤と組み合わせて投与される。AICDは、Fas受容体(例えば、Fas、CD95)とFasリガンド(例えば、FasL、CD95リガンド)の相互作用から生じるプログラム細胞死の一種であり、末梢免疫寛容の維持に役立つ。AICDエフェクター細胞はFasLを発現し、Fas受容体を発現する細胞ではアポトーシスが誘導される。活性化誘導性の細胞死は、T細胞受容体の刺激が繰り返されることにより生じる、活性化したTリンパ球の負の調節因子となる。本明細書に記載のIL-12(p35/p40)バリアント及びIL-23(p19/p40)バリアントと組み合わせて使用することができるAICDを阻害する薬剤の例には、特に限定されるものではないが、シクロスポリンA(Shih, et al., (1989) Nature 339:625-626)、IL-16及び類似体(rhIL-16を含む, Idziorek, et al., (1998) Clinical and Experimental Immunology 112:84-91)、TGFb1 (Genesteir, et al., (1999) J Exp Med189(2): 231-239)、及びビタミンE(Li-Weber, et al., (2002) J Clin Investigation 110(5):681-690)が含まれる。
【0235】
いくつかの実施形態において、補助薬剤は、特に限定されるものではないが、放射線療法、凍結療法、温熱療法、手術、レーザーアブレーション、及び陽子線療法を含む抗新生物物理的方法である。
【0236】
キット
本明細書に記載の方法を実施するための様々なキットも本明細書に提供される。特に、本開示のいくつかの実施形態は、対象におけるIL-12p40媒介シグナル伝達を調節する方法のためのキットに関する。いくつかの他の実施形態は、それを必要とする対象における状態を治療する方法のためのキットに関する。いくつかの実施形態において、キットは、本明細書に提供及び記載される組換えIL-12p40ポリペプチド、組換え核酸、組換え細胞、又は医薬組成物のうちの1つ又は複数、及びその使用説明書を含み得る。例えば、本明細書では、いくつかの実施形態において、本開示の組換えポリペプチド、本開示のIL-12p40ポリペプチドバリアント、本開示の組換え核酸、本開示の組換え細胞、又は本開示の医薬組成物のうちの1つ又は複数;及びその使用説明書を含むキットが提供される。いくつかの実施形態において、本開示のキットは、IL-12p35ポリペプチド、又はIL-12p35ポリペプチドをコードする核酸をさらに含むことができる。いくつかの実施形態において、本開示のキットは、IL-23p19ポリペプチド、又はIL-23p19ポリペプチドをコードする核酸をさらに含むことができる。
【0237】
いくつかの実施形態において、本開示のキットは、提供された組換えポリペプチド、組換え核酸、組換え細胞、又は医薬組成物のうちの任意の1つを個体に投与するために使用される1つ又は複数の注射器(プレフィルドシリンジを含む)及び/又はカテーテル(プレフィルドシリンジを含む)をさらに含む。いくつかの実施形態において、キットは、1つ又は複数の追加の治療薬を有することができ、治療薬は、所望の目的のために、例えば細胞の活性を調節するために、標的癌細胞を阻害するために、又はそれを必要とする個体の疾患を治療するために、他のキット成分と同時に又は連続して投与することができる。
【0238】
上述のキットのいずれも、1つ又は複数の追加の試薬をさらに含むことができ、そのような追加の試薬は以下から選択することができる:希釈緩衝液、復元溶液、洗浄緩衝液、対照試薬、対照発現ベクター、陰性対照ポリペプチド、陽性対照ポリペプチド、組換えポリペプチドのインビトロ産生のための試薬。
【0239】
いくつかの実施形態において、キットの成分は別々の容器に入れることができる。いくつかの他の実施形態において、キットの成分は単一の容器で一緒にすることができる。例えば本開示のいくつかの実施形態において、キットは、1つの容器(例えば無菌ガラス又はプラスチックバイアル)内に、本明細書に記載の組換えIL-12p40ポリペプチド、組換え核酸、組換え細胞、又は医薬組成物の1つ又は複数、及び別の容器(例えば滅菌ガラス又はプラスチックバイアル)中にさらなる治療薬を含む。
【0240】
いくつかの実施形態において、キットは、本明細書に記載の方法を実施するために、キットの成分の使用説明書をさらに含むことができる。例えばキットは、キット中の医薬組成物及び剤形に関する情報を含む添付文書を含むことができる。一般に、そのような情報は、患者及び医師が、同封の医薬組成物及び剤形を効果的かつ安全に使用するのに役立つ。例えば本開示の組み合わせに関する以下の情報を添付文書に提供することができる:薬物動態、薬力学、臨床試験、有効性パラメーター、適応症及び使用法、禁忌、警告、注意事項、有害反応、過剰投与、適切な用量及び投与方法、供給方法、適切な保管条件、参考文献、製造業者/販売業者の情報、及び知的所有権情報。
【0241】
いくつかの実施形態において、キットは、本明細書に開示の方法を実施するためにキットの成分を使用するための説明書をさらに含むことができる。方法を実施するための説明書は、一般に適切な記録媒体に記録される。例えば使用説明書は、紙やプラスチックなどの基材に印刷することができる。使用説明書は、添付文書としてキット内に、キット又はその成分の容器のラベル(例えばパッケージ又は部分パッケージに関連している)などに存在し得る。説明書は、適切なコンピューター可読記憶媒体、例えばCD-ROM、ディスク、フラッシュドライブなどに存在する電子記憶データファイルとして存在し得る。場合によっては、実際の説明書はキットに含まれていないが、リモートソースから(インターネット経由などで)説明書を取得する手段が提供され得る。この実施形態の例はウェブアドレスを含むキットであり、ここでは、説明書を見ることができ、及び/又はそこから説明書をダウンロードすることができる。説明書と同様に、説明書を取得するためのこの手段は、適切な基板に記録することができる。
【0242】
本開示で言及されたすべての刊行物及び特許出願は、あたかも個々の刊行物又は特許出願が、参照により取り込まれることが具体的かつ個別に示されているのと同程度に、参照により本明細書に取り込まれる。
【0243】
本明細書に参考文献が引用されていることは、先行技術を構成することを認めるものではない。参考文献の議論は、その著者が主張していることを述べているのであり、本出願人は、引用された文書の正確性と妥当性に異議を唱える権利を留保する。本明細書では、科学雑誌の記事、特許文書、及び教科書を含む多くの情報源が言及されているが、この参照は、これらの文書のいずれかが当技術分野における共通の一般知識の一部を構成することを認めるものではない。
【0244】
本明細書における一般的な方法の議論は、例示のみを目的とするものである。他の代替方法及び代替物は、本開示を検討すれば当業者には明らかであり、それらは本出願の精神及び範囲内に含まれるものである。
【実施例
【0245】
本発明の実施は、特に他に明記しない限り、当業者に周知されている分子生物学、微生物学、細胞生物学、生化学、核酸化学、及び免疫学の従来の技術を使用する。このような手法は、以下の文献に詳細に説明されている:Sambrook, J., & Russell, D. W. (2012). Molecular Cloning: A Laboratory Manual (4th ed.). Cold Spring Harbor, NY: Cold Spring Harbor Laboratory、及び Sambrook, J., & Russel, D. W. (2001). Molecular Cloning: A Laboratory Manual (3rd ed.). Cold Spring Harbor, NY: Cold Spring Harbor Laboratory (一緒に“Sambrook”と呼ぶ); Ausubel, F. M. (1987). Current Protocols in Molecular Biology. New York, NY: Wiley (2014年までの増刊を含む); Bollag, D. M. et al. (1996). Protein Methods. New York, NY: Wiley-Liss; Huang, L. et al. (2005). Nonviral Vectors for Gene Therapy. San Diego: Academic Press; Kaplitt, M. G. et al. (1995). Viral Vectors: Gene Therapy and Neuroscience Applications. San Diego, CA: Academic Press; Lefkovits, I. (1997). The Immunology Methods Manual: The Comprehensive Sourcebook of Techniques. San Diego, CA: Academic Press; Doyle, A. et al. (1998). Cell and Tissue Culture: Laboratory Procedures in Biotechnology. New York, NY: Wiley; Mullis, K. B., Ferree, F. & Gibbs, R. (1994). PCR: The Polymerase Chain Reaction. Boston: Birkhauser Publisher; Greenfield, E. A. (2014). Antibodies: A Laboratory Manual (2nd ed.). New York, NY: Cold Spring Harbor Laboratory Press; Beaucage, S. L. et al. (2000). Current Protocols in Nucleic Acid Chemistry. New York, NY: Wiley, (2014年までの増刊を含む);及び Makrides, S. C. (2003). Gene Transfer and Expression in Mammalian Cells. Amsterdam, NL: Elsevier Sciences B.V.(これらの開示内容は参照により本明細書に取り込まれる)。
【0246】
追加の実施形態は、以下の実施例においてさらに詳細に開示されるが、これらは例示として提供され、決して本開示又は特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。
【0247】
実施例1
一般的実験操作
ヒトT細胞シグナル伝達
組換えヒトIL-12及びIL-23の産生のために、IL-12p40(23~328)を、N末端HAシグナルペプチドとC末端AviTag(GLNDIFEAQKIEWHE、配列番号12)と6xHisとを有するpD649ベクターにクローニングした。ヒトIL-12p35(23~219)及びIL-23p19(28~189)を、N末端HAシグナルペプチド、Flagタグ、及びTEVプロテアーゼ部位を有するpD649にクローニングした。IL-12(IL-12p35及びIL-12p40)、IL-23(IL-23p19及びIL-12p40)、及びIL-12p40単独を、製造業者のプロトコールに従って、Expi293F細胞(ThermoFisher、#A14527)の一過性トランスフェクションによって発現した。上清をNi-NTA精製及びサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)にかけた。
【0248】
ヒトT細胞シグナル伝達のために、IL-12及びIL-23バリアントを、上記のようにExpi293細胞で産生した。IL-12p35及びIL-23p19をIL-12p40バリアント(野生型、E81A、F82A、又はP39A D40A E81A F82A)と同時トランスフェクトし、Ni-NTAとそれに続くSECで精製した。ヒト末梢単核細胞(PBMC)を、スタンフォード血液銀行の試料から、SepMate-50カラム(STEMCELL Technologies、#85450)とFicoll-PaquePLUS(GEHealthcare、カタログ番号GE17-1440-02)を使用して分離した。細胞を、2%胎児牛血清(FBS)を含む無菌PBS(Gibco、#20012-050)で希釈し、予め15mlのFicollをロードしたSepMate-50カラムに添加した。赤血球をACK溶解緩衝液(Gibco、#A10492-01)を使用して5分間溶解し、2%FBSを含むPBSでクエンチし、90%FBS及び10%DMSOを含む凍結培地に50x106/mLで再懸濁した。細胞を、Mr.Frosty凍結容器(ThermoFisher、#5100-0001)中で-80℃で一晩凍結し、長期保存のために-80℃の保存ボックスに移した。ヒトPBMCを、10%FBS、非必須アミノ酸(Gibco、#11140050)、ピルビン酸ナトリウム(Gibco、カタログ番号11360-070)、15mMヘペス(Gibco、#15630-080)、及び5μg/mLのαCD28(CD28.2、BioLegend、#302943)と100IU/mL組換えヒトIL-2を補足したペニシリン-ストレプトマイシン(Gibco、カタログ番号15140163)を有する、RPMI1640-glutaMax(Gibco、#61870-127)中の2.5μg/mlのαCD3(OKT-3、BioLegend、#317326)でコーティングした。細胞を5%CO2を用いて、37℃で48時間培養し、細胞を1回洗浄し、完全RPMIで一晩休ませた。細胞をαCD4 PacBlue(RPA-T4、BD、#558116)で染色し、IL-12及びIL-23バリアントで37℃で20分間刺激した後、1.6%パラホルムアルデヒドで室温で10分間固定し、-20℃のメタノールで透過処理をした。細胞を、2%FBS及び2mMEDTAを含むPBSで洗浄し、STAT4pY693AF488(38/p-Stat4、BD、#558136)及びSTAT3pY705AF647(4/P-STAT3、BD、#557815)に対する抗体を用いて室温で1時間染色した。CytoFlexフローサイトメーター(Beckman Coulter)を用いて蛍光強度を分析した。
【0249】
ヒトPBMCにおけるIL-12Rβ1の分析のために、細胞を直接(エクスビボ)染色したか、又は上記のように活性化してT細胞芽球を生成した。T細胞とNK細胞を特定するために、Fc受容体をTruStain FcX(BioLegend)でブロックし、細胞を、αCD3 Pacific Blue(UCHT1,BioLegend)、αCD4 FITC(OKT4、BioLegend)、αCD8 AF750(R&D systems)、及びαCD56BV605(HCD56、BioLegend)表現型判定パネルを用いて染色した。200nMストレプトアビジン-AF647を、表面プラズモン共鳴セクションで説明したように発現された4倍モル過剰のビオチン化p40と混合することによって、ヒトp40四量体を調製した。細胞を4℃で2時間染色した後、ヨウ化プロピジウム(PI、Invitrogen)を使用して生細胞を検出した。CytoFlexフローサイトメーター(Beckman Coulter)を使用して試料を分析した後、FlowJo(BD)で分析した。CD8+T細胞を生きたCD3+CD8+として定義し、NK細胞は生きたCD3-CD56+として定義した。ゲーティングについては図7Bを参照されたい。
【0250】
ヒトCD8+T細胞IFNγ誘導アッセイのために、CD8+T細胞単離キット(Milteny)及びLS磁気カラム(Miltenyi)を使用して、MACSによってCD8+T細胞をPBMCから単離した。精製されたCD8+T細胞を、0.5μg/mLのαCD28(CD28.2,BioLegend)と5ng/mLのヒトIL-2の存在下で2μg/mLのαCD3(OKT3,BioLegend)でコーティングされた96ウェル丸底プレート中で、80,000細胞/ウェルで刺激した。48時間後、細胞をペレット化し、Nunc MaxiSorp ELISAプレート(BioLegend)を用いてヒトIFNγ ELISA MAX Deluxe(BioLegend)を使用して上清を分析した。ヒトNK細胞IFNγ誘導アッセイのために、EasySepマグネット(StemCell)を備えたEasySepヒトNK細胞分離キット(StemCell)を使用して、MACSによってPBMCからNK細胞を分離した。精製NK細胞を、100ng/mLのIL-18(R&Dsystems)の存在下で、96ウェル丸底プレート中で40,000細胞/ウェルで刺激した。48時間後、上清を回収し、CD8+T細胞IFNγ誘導アッセイについて説明したように処理した。
【0251】
IL-12p40表面染色
mIL-12p40表面染色のために、マウスIL-12p40(23~335)を、N末端GP64シグナルペプチド及びC末端AviTag及び6×Hisタグを有するpAcGP67aにクローニングした。マウスIL-12p40はジスルフィド結合したホモ二量体として分泌されるため、単量体IL-12p40を得るために、Ni-NTA精製タンパク質を20mMシステインで還元し、ヘペス緩衝生理食塩水(HBS)pH8.2中の40mMヨードアセトアミドでアルキル化し、その後SECを行った。単量体IL-12p40を組換えBirAでビオチン化し、2回目のSECで精製した。
【0252】
C57/BL6マウスから脾臓及びリンパ節を単離し、単細胞懸濁液を生成した。5μg/mLのαCD28(37.51、Bio XCell、カタログ番号BE0015-1)及び100IU/mL組換えマウスIL-2を含む完全RMPI中の2.5μg/mLのαCD3(145-2c11、BioLegend、カタログ番号100340)を用いて、37℃で48時間コーティングされたプレート上で、T細胞芽細胞を活性化した。細胞染色のために、エクスビボ細胞とT細胞芽球をTruStain FcX(93、BioLegend、101320)でインキュベートし、αCD3 FITC(17A2、eBiosciences、#11-0032-82)、αCD4 PerCP-Cy5.5(GK1.5、BioLegend、#100433)、αCD8 BV785(53-6.7、Biolegend、#100749)、及びαNK1.1e450(PK136、eBioscience、#48-5941-82)の表現型パネルで染色した。IL-12p40四量体を、200nMのストレプトアビジン-AF647を4倍モル過剰のビオチン化IL-12p40と混合して調製し、細胞を4℃で2時間染色した後、ヨウ化プロピジウム(PI、ThermoFisher #P3566)で生細胞染色を行った。CytoFlexフローサイトメーターを使用して試料を分析した後、FlowJoで分析した。CD8+T細胞を生きたCD3+CD8+として定義し、NK細胞を生きたCD3-NK1.1+として定義した。
【0253】
マウスIL-12シグナル伝達
IL-12シグナル伝達及び機能アッセイのために、マウスIL-12は、既に記載されたアプローチ(Anderson et al., 1997)と同様に、単鎖として発現された。マウスIL-12p40(23~335)に続く3×GGGSリンカー、3Cプロテアーゼ部位、及びマウスIL-12p35(23~215)を、N末端GP64シグナルペプチドとC末端6×Hisタグを有するpAcGP67aにクローニングした。マウスIL-12バリアントをT.ni細胞で発現させ、Ni-NTAとSECで精製した。細胞シグナル伝達のために、マウスT細胞芽球を上記のように調製し、完全RPMIで一晩休ませ、αCD8 BV785(53-6.7、Biolegend、#100749)で染色し、IL-12バリアントを用いて37℃で20分間刺激した後、固定、透過処理し、及びヒトT細胞シグナル伝達について説明したようにpSTAT4について染色した。
【0254】
NK細胞INFγ誘導
NK細胞IFNγ誘導アッセイのために、マウスNK細胞単離キット(Miltenyi、#130-115-818)及びLS磁気カラム(Miltenyi、#130-042-401)を使用して、C57/BL6マウスの脾臓及びリンパ節からNK細胞を単離した。NK細胞を、50ng/mL組換えマウスIL-18(R&Dsystems、#9139-IL-010)及び1μMのIL-12バリアントを有する96ウェル丸底プレート中で25,000細胞/ウェルで、37℃で48時間刺激した。培養の最後の4時間に、GolgiStop(BD#554724)を添加して、それ以上のサイトカイン分泌を防いだ。Cytofix/Cytopermキット(BD、#554714)を使用して細胞を固定及び透過処理し、αIFNγ AF647(XMG1.2、BD、#557735)で染色した。CytoFlexフローサイトメーターを使用して蛍光強度を記録し、FlowJoで分析した。
【0255】
CD8+T細胞のIFNγ誘導
CD8+T細胞エフェクターアッセイのために、OT-I TCRトランスジェニックマウス(C57BL/6-Tg(TcraTcrb)1100Mjb/j)(Hogquist et al., 1994)をJackson Labsから入手し、スタンフォード大学の施設内動物管理使用委員会によって承認されたプロトコールに従ってスタンフォード動物施設で維持した。OT-I脾細胞を、1μg/mLオボアルブミン(aa257~264、GenScript、#RP10611)、100IU/mLのrmIL-2、及び1μMのIL-12バリアントを含む培地で刺激した。IFNγ誘導アッセイのために、細胞を96ウェル丸底プレートで80,000細胞/ウェルで48時間刺激した。最後の4時間に、さらなるサイトカイン分泌を防ぐためにGolgiStopを添加した。細胞をαCD3 e450(17A2、eBioscience、48-0032-82)及びαCD8 BV785(53-6.7、Biolegend、#100749)で染色した後、Cytofix/Cytopermキットを使用して固定/透過処理し、αIFNγ AF647で染色した。試料をCD3+CD8+細胞でゲートし、αIFNγ AF647染色をCytoFlexフローサイトメーターを使用して評価し、続いてFlowJoで分析した。
【0256】
MHC-Iアップレギュレーション
MHC-Iアップレギュレーションのために、25,000個のB16F10メラノーマ細胞(ATCC、#CRL-6475)を96ウェルの平底プレートに37℃で4時間播種した。上記のようにIL-12バリアントを有り又は無しで生成されたOT-1エフェクターからの上清を培地で希釈し、B16F10細胞に37℃で16時間添加した。一晩インキュベーション後、培地を除去し、TrypLE(ThermoFisher、#12604013)を使用してB16F10細胞を分離した。細胞をαH-2Kb APC(AF6-88.5.5.3、BioLegend、#116512)及びPIを用いて染色して生細胞を特定した。CytoFlexフローサイトメーターでデータを収集し、FlowJoで分析した。
【0257】
抗原特異的腫瘍細胞死滅
抗原特異的な腫瘍細胞死滅のために、B16F10細胞にpCDH-EF1-cOVA-T2A-copGFPを形質導入し(Tseng et al., 2013)、選別してOVA-GFP発現細胞の純粋な集団を得た。B16F10野生型とOVA-GFPを1:1の比率で混合し、25,000個の細胞を96ウェル平底プレートに播種した。37℃で4時間後、培地を除去し、上記のようにIL-12バリアントを有り又は無しで生成されたOT-Iエフェクターを、完全RPMIに37℃で36時間添加した。培地を除去し、TrypLeを使用してB16F10を分離し、PI及びαCD45.2APC(104、eBioscience、#17-0454-82)を用いて染色した後、試料をCytoFlexにかけた。B16F10は生きたCD45.2-として特定され、%GFP+は、エフェクターなしの条件と比較して定量された。
【0258】
実施例2
IL-12Rβ1と四元IL-23受容体複合体の結晶構造
この実施例は、IL-12Rβ1及び四元IL-23受容体複合体の結晶構造を決定するために行った実験の結果を記載しており、これは、ヘテロマー受容体複合体のサイトカイン-受容体相互作用のそれぞれを駆動する化学を解明するのに役立つ。
【0259】
上述のように、IL-23(IL-23p19/IL-12p40)は、IL-23RとIL-12Rβ1から構成される受容体複合体を介してシグナル伝達する(図1A)。IL-12Rβ1のECDは5つのフィブロネクチンIII型(FNIII)ドメインで構成され、そのN末端D1-D2ドメインはIL-23への結合を仲介する。IL-23及びIL-23R外部ドメインを有するIL-12Rβ1 D1-D2の複合体を結晶化するためように、実験を計画し実施した。以下の表3は、3.4Åの分解能で回折された四元複合体の結晶学的データと詳細な統計量を要約する。
【0260】
複合体の一部の構造を、既に公開されたIL-23R三元(IL-23p19/IL-12p40/IL-23R)複合体を使用する分子置換によって決定した。しかし、まだIL-12Rβ1の構造が必要であった。従って、異常散乱を伴う単一同形置換(SIRAS)を使用して、ヒトIL-12Rβ 1D1-D2ドメインの構造を2.0Åの分解能で決定するために、追加の実験を実施した。続いて、この新たに確立された構造を、IL-12Rβ1 D1ドメインを四元複合体の電子密度に配置することを可能にする検索モデルとして使用した。D2ドメインは見えなかったが、これは結晶格子の柔軟性によるものと思われる。
【0261】
四元IL-23受容体複合体は、IL-23がIL-23RとIL-12Rβ1を合体させるための橋として機能し、細胞内でJAK1/Tyk2トランスリン酸化を開始させるモジュラー構造を示すことが観察された(図1B~1E)。IL-12p40とIL-12Rβ1の接触部の概要を以下の表3に示す。
【表3】
【0262】
共有受容体であるIL-12Rβ1は、IL-12p40のD1のN末端IgドメインとD2のフィブロネクチンドメインとの間の交点で、IL-12p40の「後部」で結合する(図1D)。IL-12p40のD1ドメインは、D2ドメインに対して前方に傾いており、D1の底部とD2の上部の間の裂け目を露出させて、IL-12Rβ1のドッキング部位を形成する。IL-12Rβ1のD1ドメインは、相互作用するタンパク質間の高度な電荷相補性を特徴とする単一の1425Å2界面でIL-12p40に結合する。界面の底部は、Glu28、Asp58、及びAsp101で構成されるIL-12Rβ1の負に帯電したパッチと相互作用するIL-12p40の連続した正に帯電したループ(His216、Lys217、及びLys219)によって形成される。これらの電荷-電荷相互作用部の上に、IL-12p40の側鎖と主鎖原子との水素結合相互作用部を形成するIL-12Rβ1の極性残基(Glu102、Ser106、Tyr109、Gln132、及びTyr134)によって囲まれた芳香族残基(Tryp37及びPhe82)によって形成されたIL-12p40上の疎水性ストリップがある。
【0263】
実施例3
IL-12p40はIL-12及びIL-23シグナル伝達の共通の調節物質として機能する
この実施例は、IL-12p40がIL-12及びIL-23シグナル伝達の共通の調節物質として作用することを証明するために行った実験を記載する。
【0264】
上記の実施例2に記載されたIL-23受容体複合体の結晶構造は、IL-12p40がIL-12Rβ1に直接係合することを明らかにし、IL-12p40がIL-12及びIL-23シグナル伝達において保存された役割を果たし得ることを示している。これは、IL-12Rβ1が1.7μMの親和性でIL-12p40に結合することを示す表面プラズモン共鳴(SPR)結合測定によって確認された(図2A)。IL-12シグナル伝達とIL-23シグナル伝達の違いを調べるために、ヒトCD4+T細胞をIL-12又はIL-23で刺激し、並びにホスホフローサイトメトリーによってSTAT3及びSTAT4のリン酸化を測定する、いくつかの実験を計画し及び実施した。IL-12刺激は優先的にSTAT4のリン酸化をもたらし、一方、IL-23はSTAT3リン酸化をより強力に促進することが観察された(図2B~2C)。
【0265】
上記で論じたように、IL-12及びIL-23受容体複合体の両方におけるIL-12p40/IL-12Rβ1相互作用の共有された役割に基づいて、この界面を標的にして、IL-12Rβ1動員の効率を「調整」することにより、IL-12に関連したSTAT4シグナル伝達のレベル、及びIL-23に関連したSTAT3シグナル伝達のレベルを調節する追加の実験を計画し及び実施した。特に、IL-12Rβ1との相互作用を媒介するIL-12p40D1の2つのループにアラニン置換を導入することにより、IL-12及びIL-23部分アゴニストのパネルを作成した(図2D)。これらの実験では、pSTAT4及びpSTAT3の用量反応曲線における右へのシフトによって示されるように、個々のアラニン変異(E81A及びF82A)がIL-12及びIL-23の効力を低下させることが見出された(図2E~2F)。これらの実験では、複数のアラニン変異(4×Ala:P39A/D30A/E81A/F82A)を組み合わせることにより、サイトカインEC50のより大幅な上昇と最大STATリン酸化の低下が得られた。
【0266】
IL-12Rβ1に係合するIL-12p40アミノ酸位置の完全なリストを図2Gに示し、追加のアラニン変異のIL-12シグナル伝達を図2Hに示す。
【0267】
実施例4
IL-12部分アゴニストは、示差的IL-12Rβ1発現に基づいて細胞型特異的活性を誘発する
この実施例は、IL-12部分アゴニストが示差的IL-12Rβ1発現に基づいて細胞型特異的活性を誘発することを証明するために、マウスIL-12で行った実験の結果を記載する。
【0268】
上述したように、IL-12の全身投与は、NK細胞媒介性IFNγ産生による毒性をもたらすことが多い。従って、IL-12シグナルを偏らせてT細胞を優先的に活性化するが、NK細胞のIFNγ誘導が低下すると、毒性が低下する可能性がある。T細胞とNK細胞間のIL-12シグナル伝達における重要な違いは、T細胞受容体を介する抗原刺激が、その受容体サブユニットのアップレギュレーションを通じてIL-12感受性を増強することである。IL-12Rβ1表面発現を評価するためのFACS染色試薬としてIL-12p40を使用すると、マウスCD8+T細胞芽球が、NK細胞又はエクスビボのCD8+T細胞よりも高いIL-12Rβ1発現を有することがわかった(図3A)。
【0269】
構造が示すように、IL-12p40はIL-12Rβ1の動員を媒介する。従って、いかなる特定の理論にも拘束されるものではないが、IL-12Rβ1に対するIL-12p40の親和性を低下させると、抗原を経験したT細胞と比較してIL-12Rβ1の発現レベルが低下したNK細胞でのシグナル伝達がより深刻に損なわれる可能性があるという仮説が立てられた。ヒトIL-12p40との配列相同性に基づいて、IL-12Rβ1への結合を破壊すると予測されるマウスIL-12p40における一連の部分アゴニストアラニン変異を設計するために、追加の実験を計画し及び実施した(図3B)。マウスIL-12バリアントを特性解析するために、CD8+T細胞芽球のシグナル伝達を試験する実験が行われた。予測どおり、IL-12Rβ1結合界面でのIL-12p40の変異は、EC50を上昇させ、(3xアラニン)及び(4xアラニン)変異体による最大STAT4リン酸化を低下させ、この急性シグナル伝達アッセイにおいて測定可能なSTAT4リン酸化を誘導しないことがわかった。
【0270】
T細胞とNK細胞の両方におけるIL-12シグナル伝達の十分に立証された収穫は、IFNγの誘導である。抗原特異的CD8+T細胞におけるIFNγ産生を促進するIL-12部分アゴニストの能力を決定するために、オボアルブミン特異的OT-I T細胞(Hogquist et al., 1994)を、OVAペプチド及びIL-12バリアントで48時間刺激する追加の実験を実施した後、細胞内サイトカイン染色によりIFNγ産生を評価した。3×Ala及び4×Ala変異体は急性刺激時に測定可能なSTAT4リン酸化を生じないという事実にもかかわらず、IL-12は2×、3×、及び4×アラニンバリアントと共にIFNγのアップレギュレーションをもたらした(図4A)。この不一致は、感度の違い、又はアッセイ間のシグナル統合の時間が長いことが原因かも知れない。
【0271】
NK細胞におけるIFNγ産生を刺激するIL-12バリアントの能力を評価するために、IL-18の存在下で、IL-12バリアントで細胞を48時間刺激する追加の実験を行った後、細胞内サイトカイン染色によりIFNγ誘導を分析した。IL-12及びIL-18刺激は強固なIFNγ発現を誘導し、この応答は、細胞内サイトカイン染色及び上清ELISAによって測定すると、(2×Ala)変異体において減弱され、3×Ala及び4×Alaバリアントにおいて抑止された(例えば、図4Bを参照されたい)。従ってIL-12は、CD8+T細胞及びNK細胞の両方において強固なIFNγ発現を誘導するが、(3×Ala)及び(4×Ala)部分アゴニストは、抗原経験CD8+T細胞におけるIFNγ誘導を優先的に支持し、NK細胞に対する活性は低下した(図4C及び6A)。これらの結果は、IL-12Rβ1表面発現の上昇により、活性化されたCD8+T細胞がIL-12p40の変異に対してより耐性があり、これが、IL-12シグナル伝達の細胞型特異性を変化させてNK細胞媒介毒性を低減する、新しいメカニズムを表している可能性があることを示唆している。IL-12に応答するためにTCRを介した刺激を必要とするT細胞とは異なり、NK細胞は、IL-1ファミリーのサイトカインIL-18と組み合わせるとIL-12に応答してIFNγを産生する(図6B)。IL-12及びIL-18刺激は強固なIFNγ発現を誘導し、この応答は、細胞内サイトカイン染色(図4B、6C、及び6D)及び上清ELISA(図6E)によって測定すると、3×Ala及び4×Alaバリアントによって減弱された。これらの結果は、IL-12部分アゴニストのより大きなパネルによって確認され拡張された(図4D~4G)。
【0272】
IL-12及びIL-18はまた、8時間刺激後に転写物レベルでlfngのアップレギュレーションを促進し、この効果は3×Ala/IL-18刺激で低下した(図6F)。しかしながら、これらの条件下では、IL-12によるTigitの誘導は観察されなかった(図6G)。既に、γcファミリーのサイトカインIL-2及びIL-15が、NK細胞の活性を調節し、IL-12受容体成分のアップレギュレーションを引き起こすことが示されている。これらの報告と一致して、IL-2によるNK細胞の事前活性化がIL-12Rβ1のわずかなアップレギュレーションをもたらすことを証明するために追加の実験を行った(図6H)。NK細胞培養物にIL-2を添加すると、IL-18単独よりもIFNγ産生が上昇した。しかし、IL-2は3×Ala及び4×Alaと相乗作用して、IL-2/IL-18を超えるIFNγ誘導を増強することはないことが観察された(図6I)。
【0273】
追加の実験を行って、ヒト末梢血単核細胞(PBMC)におけるIL-12Rβ1発現及びIFNγ産生を評価し、これが、ヒトIL-12部分アゴニストが細胞型特異的応答を誘発できるかどうかを決定するのに役立った。図7A~7Dに要約されているように、マウスにおける知見と同様に、TCR刺激は、非活性化T細胞及びNK細胞よりも、CD8+T細胞におけるIL-12Rβ1発現を増強することが観察された(図7A及び7B)。これらの実験では、類似のIL-12ムテインを作成し、CD8+T細胞芽球におけるpSTAT4シグナル伝達について試験した(図7C~7D及び7E)。ヒトIL-12部分アゴニストは、NK細胞と比較して、CD8+T細胞によるIFNγの誘導を優先的に支持することが観察された(図7C~7D、7F~7G)。これらの知見は、IL-12Rβ1のアップレギュレーションが、T細胞がIL-12シグナル伝達に対する感受性を高めるために使用する保存されたメカニズムであること、及びIL-12部分アゴニストが、ヒトとマウスの両方で、シグナル伝達をT細胞に偏らせることができることを示している。
【0274】
実施例5
IL-12部分アゴニストは抗原特異的な腫瘍死滅を促進する
この実施例は、IL-12部分アゴニストが抗原特異的腫瘍死滅を促進することを証明するために行った実験の結果を記載する。
【0275】
CD8+T細胞において、IL-12は、腫瘍及びウイルス感染細胞の抗原特異的死滅を増強するように作用する(Schurich et al., 2013)。IL-12の効果は、グランザイムBなどの細胞障害性因子のアップレギュレーション、及びIFNγを含む炎症性サイトカインの分泌によって媒介される(Aste-Amezaga et al., 1994)。腫瘍細胞の死滅におけるIFNγの充分に説明された役割は、MHC-Iのアップレギュレーションであり、これは、形質転換細胞をT細胞監視に対して感受性することができる(Zhou,2009)。IL-12に誘導されるIFNγが腫瘍細胞株でMHC-Iのアップレギュレーションを引き起こすかどうかを決定するために、IL-12部分アゴニスト有り又は無しで生成されたOT-Iエフェクターからの上清を採取し、B16F10マウスメラノーマ細胞株に添加し、一晩インキュベーション後の抗体染色によるMHC-I表面発現を評価した。細胞内サイトカイン染色によって測定されたIFNγレベルの上昇と一致して、IL-12及び部分アゴニスト培養物からの上清は、IL-12の非存在下で生成された上清よりも強力にMHC-I発現を誘導した(図5A)。
【0276】
IL-12部分アゴニストがIFNγ産生を促進し、その後の腫瘍細胞株におけるMHC-1のアップレギュレーションを促進するという本明細書に記載の知見は、IL-12部分アゴニストが腫瘍細胞死滅を増強する能力のさらなる試験につながった。抗原特異的なCD8+T細胞の死滅を測定するために、B16F10細胞に、GFPマーカーと共にオボアルブミンを含むプラスミドを導入し(OVA-GFP)、野生型B16F10細胞と混合した。この混合物をOT-Iエフェクターと共にインキュベートし、OVA-GFP発現細胞の頻度を用いて抗原特異的腫瘍細胞死滅を測定した(図5B)。IL-12又は部分アゴニストの存在下で生成されたOT-Iエフェクターは、より低いエフェクター細胞対標的細胞比でOVA発現腫瘍細胞を死滅させることができ、抗腫瘍応答の効力の上昇を示した(図5C)。まとめると、これらのデータは、IL-12Rβ1に対する親和性が低下したIL-12部分アゴニストが、NK細胞に対する活性が低下した抗原特異的CD8+T細胞によるIFNγ産生及び腫瘍細胞死滅を促進することを示している。
【0277】
実施例6
IL-12部分アゴニストは、インビボのNK細胞活性化が低下した抗原特異的T細胞応答を支持する
IL-12部分アゴニストがインビボで細胞型特異的応答を誘発するかどうかを試験するために、OT-1 CD8+T細胞をThy1.1コンジェニックレシピエントに養子移入し、不完全フロイトアジュバント中のOVA(257~264)で免疫した(OVA-IFA)後、サイトカインを5日間毎日投与した(図9A)。インビボ試験では、IL-12と部分アゴニストは哺乳動物細胞(Expi293F)で発現された。次いで、以前に使用されたバキュロウイルス発現物質について見られたように、哺乳動物発現IL-12部分アゴニストが、インビトロで細胞型への偏りを保持することが確認された(図8A~8E)。
【0278】
2×Ala及び3×Alaではなく、IL-12による処理が、体重減少と血清中のIFNgレベルの上昇を誘導することが観察された(図9B~9C)。T細胞の活性化に対する免疫化の影響を評価するために、OT-I T細胞上の阻害性受容体であるPD-1の発現を追跡した。免疫化は、サイトカイン処理とは無関係にPD-1+OT-I T細胞の頻度を上昇させ、養子移入細胞の活性化を示した(図9D~9E)。免疫化の効果は、流入領域リンパ節におけるOT-I T細胞の頻度を上昇させるIL-12によって増強され、この効果は部分アゴニストでは見られなかった(図9F)。NK細胞内では、阻害性受容体LAG-3の発現によって測定すると、部分アゴニストではなくIL-12が活性化NK細胞の集団を増加させた(図9G)。
【0279】
既に、IL-2Rα鎖であるCD25は、活性化T細胞及びNK細胞のマーカーとして記載されている。IL-12は、OT-I T細胞及びNK細胞の両方でCD25発現を強力にアップレギュレートしたが、2×Ala及び3×Ala部分アゴニストは、NK細胞での発現を上昇させることなく、OT-I T細胞上のCD25の中間的アップレギュレーションをもたらした(図9H~9J)。興味深いことに、2×Alaバリアントは、インビトロで3×Alaバリアントほど顕著なT/NK細胞バイアスを示さなかったが(図8E~8F)、これは、インビボで3×Alaに対して同等に強いT/NK細胞バイアスを示すことが観察され、インビトロ対インビボで治療ウィンドウが量的に異なる可能性があることを強調している。これらの結果は、IL-12部分アゴニストが中間レベルのT細胞活性化を支持しており、インビボのNK細胞刺激及び毒性は低下していることを示す。
【0280】
実施例7
IL-12部分アゴニストは、IL-12に比べて低い毒性で抗腫瘍免疫を支持する
インビトロの特性解析及びインビボの細胞プロファイリングに基づいて、IL-12部分アゴニストは、IL-12の活性を抗原特異的T細胞に偏らせ、NK細胞から遠ざけることによって、全身毒性なしに、抗腫瘍T細胞免疫を支持することができると結論付けられた。IL-12部分アゴニストがインビボで治療効果をもたらす能力を判定するために、IL-12に応答することが示されている結腸腺癌MC-38を使用して、腫瘍に対して追加の実験を行った。これらの実験では、マウスにMC-38を1週間移植した後、7日間毎日のサイトカイン治療を開始した(図10A)。1μg又は30μgでIL-12を毎日投与すると、体重減少(図10B)、血清IFNγの上昇(図10C)、及び行動能力の低下(図10D)によって測定されように、深刻な毒性が生じた。30μgのIL-12を投与されたすべてのマウスが、13日目~15日目の間に致死毒性で死亡したことが観察された。その結果、16日目のこれらのマウスの行動能力は測定されなかった。対照的に、2×Ala及び3×Ala部分アゴニストは忍容性が高く、担癌マウスに毒性を誘発しなかった。
【0281】
IL-12と部分アゴニストの両方が、PBSでの処置と比較して、腫瘍増殖を減弱させ、生存を延長することがさらに観察された(図10E~10H)。しかし、2×Ala及び3×Ala部分アゴニストは、IL-12投与で観察された全身毒性を誘発することなく上記が観察された。これらの結果は、IL-12Rβ1共有界面の構造に基づいて設計された偏ったアゴニストが、T細胞をNK細胞の活性化から分離する能力を持ち、IL-12の多面発現性を大幅に低下させるという仮説に対する、追加のインビボの支持を提供している。
【0282】
本開示の具体的な代替物が開示されているが、様々な修飾及び組み合わせが可能であり、それらは、添付の特許請求の範囲の真の精神及び範囲内であると企図されることが理解されるべきである。従って、本明細書に提示された正確な要約及び開示を限定する意図はない。
【0283】
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図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図2A
図2B-2C】
図2D
図2E
図2F
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図2H
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図4A-4B】
図4C
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図4G
図5A-5B】
図5C-5D】
図6A-6B】
図6C-6D】
図6E-6G】
図6H-6I】
図7A
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図7E-7F】
図7G-7I】
図8A-8D】
図8E-8F】
図9A-9C】
図9D-9G】
図9H-9J】
図10A-10B】
図10C-10D】
図10E-10F】
図10G
【配列表】
2023521870000001.app
【国際調査報告】