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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-25
(54)【発明の名称】冷凍ご飯およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 7/10 20160101AFI20230518BHJP
【FI】
A23L7/10 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022562847
(86)(22)【出願日】2021-04-14
(85)【翻訳文提出日】2022-10-14
(86)【国際出願番号】 KR2021004709
(87)【国際公開番号】W WO2021210913
(87)【国際公開日】2021-10-21
(31)【優先権主張番号】10-2020-0045486
(32)【優先日】2020-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508139664
【氏名又は名称】シージェイ チェイルジェダン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】CJ CHEILJEDANG CORPORATION
【住所又は居所原語表記】CJ Cheiljedang Center,330,Dongho-ro,Jung-gu,Seoul,Republic Of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ダ・ウン・ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ウン・ヨン・ソン
(72)【発明者】
【氏名】ホン・グ・サゴン
(72)【発明者】
【氏名】スン・ウ・シン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・イル・リ
(72)【発明者】
【氏名】ソン・ヨン・パク
【テーマコード(参考)】
4B023
【Fターム(参考)】
4B023LC05
4B023LC08
4B023LE13
4B023LK05
4B023LP10
4B023LP15
4B023LP20
4B023LT01
(57)【要約】
本発明は、冷凍ご飯であって、前記冷凍ご飯は、成形ご飯および前記成形ご飯の表面の少なくとも一部に形成された水分転移防止層を含み、前記冷凍ご飯を1日間常温および常圧の条件で解凍させた後、前記冷凍ご飯の全重量に対して、前記冷凍ご飯の表面の水分含量と冷凍ご飯の芯部の水分含量との差が5重量%以上である冷凍ご飯、および成形ご飯の表面の少なくとも一部に水分転移防止層を形成することと、前記水分転移防止層が形成された成形ご飯の表面の少なくとも一部を硬化することと、前記硬化した成形ご飯を凍結することとを含む、冷凍ご飯の製造方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷凍ご飯であって、
前記冷凍ご飯は、成形ご飯および前記成形ご飯の表面の少なくとも一部に形成された水分転移防止層を含み、
前記冷凍ご飯を1日間常温および常圧の条件で解凍させた後、前記冷凍ご飯の全重量に対して、前記冷凍ご飯の表面の水分含量と冷凍ご飯の芯部の水分含量との差が5重量%以上である、冷凍ご飯。
【請求項2】
前記冷凍ご飯は、1日間常温および常圧で解凍させた後の、前記冷凍ご飯1g当たり、前記冷凍ご飯の表面の水分含量は50重量%以下であり、前記冷凍ご飯の芯部の水分含量は50~60重量%である、請求項1に記載の冷凍ご飯。
【請求項3】
前記成形ご飯は、原物およびソースから選択される少なくとも一つとご飯を含む、請求項1に記載の冷凍ご飯。
【請求項4】
前記水分転移防止層は、抵糖液および食用油脂から選択される少なくとも一つを含む、請求項1に記載の冷凍ご飯。
【請求項5】
前記食用油脂は、乾性油、半乾性油および不乾性油から選択される少なくとも一つを含む、請求項4に記載の冷凍ご飯。
【請求項6】
前記食用油脂は、エゴマ油、豆油、大豆油、ヒマワリ種子油、ごま油、キャノーラ油、ブドウ種子油、オリーブ油およびパーム油から選択される少なくとも一つを含む、請求項4に記載の冷凍ご飯。
【請求項7】
前記食用油脂は、乾性油および半乾性油から選択される少なくとも一つを含む、請求項4に記載の冷凍ご飯。
【請求項8】
前記食用油脂は、大豆油、エゴマ油およびキャノーラ油から選択される少なくとも一つを含む、請求項4に記載の冷凍ご飯。
【請求項9】
前記冷凍ご飯の表面の少なくとも一部が硬化している、請求項1に記載の冷凍ご飯。
【請求項10】
前記冷凍ご飯は、オーブン(oven)、トーチおよび熱風から選択される少なくとも一つを用いて硬化したものである、請求項9に記載の冷凍ご飯。
【請求項11】
成形ご飯の表面の少なくとも一部に水分転移防止層を形成することと、
前記水分転移防止層が形成された成形ご飯の表面の少なくとも一部を硬化することと、
前記硬化した成形ご飯を凍結することとを含む、冷凍ご飯の製造方法。
【請求項12】
前記成形ご飯は、米を主原料として炊いてご飯を準備し、前記ご飯に原物およびソースのうち少なくとも一つを混合して製造される、請求項11に記載の冷凍ご飯の製造方法。
【請求項13】
前記水分転移防止層を形成する前に、前記成形ご飯を、球、半球、潰れた球、立方体、バー(bar)、円柱、多角柱および半楕円体から選択される少なくとも一つの形状に成形することを含む、請求項11に記載の冷凍ご飯の製造方法。
【請求項14】
前記水分転移防止層を形成することは、抵糖液および食用油脂から選択される少なくとも一つを含む水分転移防止液を塗布することを含む、請求項11に記載の冷凍ご飯の製造方法。
【請求項15】
前記水分転移防止液は、前記成形ご飯100重量部に対して1~10重量部の含量で塗布される、請求項14に記載の冷凍ご飯の製造方法。
【請求項16】
前記水分転移防止層が形成された成形ご飯の表面を硬化することは、オーブン(oven)、トーチおよび熱風から選択される少なくとも一つの方法を用いて硬化することである、請求項11に記載の冷凍ご飯の製造方法。
【請求項17】
前記凍結することは、前記硬化した成形ご飯を、品温の基準で、-7℃に逹するように、-30~-5℃の温度で6時間~36時間冷凍させること、-70~-5℃の温度で10~30分間急速凍結させること、および-40~-30℃の温度で30分~1時間凍結させることから選択される少なくとも一つを含む、請求項11に記載の冷凍ご飯の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍ご飯およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、現代人の生活パターンが次第に迅速化および簡素化する傾向に合わせて、簡単に調理して食べることができる簡易食(または簡便食)の必要性が高まっている。洋食の導入に伴い、簡便に食べられるトーストや、インスタント食品(ファーストフード)などがあるが、このような簡易食は、栄養や健康に良くない影響を及ぼし得る問題がある。
【0003】
一方、米は、主に、アジア地域で栽培されてずいぶん前からヒトの主食として消費される重要な食糧資源として、多量の必須アミノ酸を含有して栄養価が高く、タンパク質利用率および消化吸収率が高くて体内代謝に良いと知られている。
【0004】
このような米を用いて作ったおにぎりは、特別なおかずがなくも、栄養価の高い食事ができ、素手などでも簡単に食べることが可能であることから、移動中の食事や短時間で食事する必要がある人々に愛用されている。しかし、このようなおにぎりは、常温で長時間保管することができず、暑い日にはいたむ恐れがあるため、冷凍して流通することが考慮されており、このような冷凍ご飯は、食べる前に電子レンジ調理により簡単に食べられることが重要である。
【0005】
しかし、冷凍ご飯は、長時間保管するほど内部の水分が外部に転移されるため、冷凍ご飯の食感を維持することができないか、例えば、三角おにぎりなどのように冷凍ご飯の表面にノリがついている場合、ノリなどに冷凍ご飯の水分が転移されてノリの食感を低下する問題がある。また、冷凍ご飯は、電子レンジ調理などで復元する時に、デンプンのアミロースとアミロペクチンが糊化した状態で分子鎖の間の相互作用の増加によって再結晶化が起こり、硬度などが増加する物理的変化が生じる。このようなデンプンの老化現象は、米を用いて作った食品の品質低下だけでなく、味とテクスチュア、商品性を低下させる問題がある。
【0006】
したがって、冷凍ご飯は、冷凍で流通され保管される期間中に、冷凍ご飯の内部の水分が外部に転移されるか、外部の水分(空気中の水分など)が冷凍ご飯に浸透することを防ぐ必要があり、電子レンジ調理の後にも水分含量または硬度などの物性の損失を最小化する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特公平7-38777号
【特許文献2】特許第3702081号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、冷凍ご飯に含有された水分が外部に転移されないようにし、流通中に外部から冷凍ご飯に浸入する水分を防止することができ、貯蔵安定性を改善して流通期間が延びた冷凍ご飯を提供することを目的とする。
【0009】
また、成形性に優れ、包装後にもその形態が保存され、解凍した後にも物性の変化が少なくて優れた食感を維持することができ、これにより、官能に優れた冷凍ご飯を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そのために、本発明の一側面は、冷凍ご飯であって、前記冷凍ご飯は、成形ご飯および前記成形ご飯の表面の少なくとも一部に形成された水分転移防止層を含み、前記冷凍ご飯を1日間常温および常圧の条件で解凍させた後、前記冷凍ご飯の全重量に対して、前記冷凍ご飯の表面の水分含量と冷凍ご飯の芯部の水分含量との差が5重量%以上である、冷凍ご飯を提供する。
【0011】
また、本発明の他の側面は、成形ご飯の表面の少なくとも一部に水分転移防止層を形成することと、前記水分転移防止層が形成された成形ご飯の表面の少なくとも一部を硬化することと、前記硬化した成形ご飯を凍結することとを含む、冷凍ご飯の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明による冷凍ご飯は、成形ご飯の表面の少なくとも一部に形成された水分転移防止層により、成形ご飯に含有された水分が外部に転移されることを防止することができ、外部から成形ご飯の内部への水分の浸入を抑制する効果があり、貯蔵安定性が改善することから流通期間が延びる効果がある。また、上記のように、冷凍ご飯(または成形ご飯)の水分転移を防止することができ、前記冷凍ご飯を包装する食用包装材(例えば、ノリ、スナックなど)がパリッとした食感を維持することができるようにする効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の製造例1で製造した冷凍ご飯の写真を示す図である。
図2】本発明の一実施形態による冷凍ご飯の製造方法のフローチャートを示す図である。
図3】本発明の一実施形態による成形ご飯の形状を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態による冷凍ご飯について記述する。
【0015】
前記冷凍ご飯は、成形ご飯および前記成形ご飯の表面の少なくとも一部に形成された水分転移防止層を含み、前記冷凍ご飯を1日間常温および常圧の条件で解凍した後、前記冷凍ご飯の全重量に対して、前記冷凍ご飯の表面の水分含量と冷凍ご飯の芯部の水分含量との差が5重量%以上であることができる。
【0016】
前記成形ご飯は、所定の形状に成形されたご飯を意味し、前記成形ご飯は、原物およびソースのうち少なくとも一つと、ご飯を含むことができる。前記ご飯は、米を主原料とするものであり、前記米は、白米、玄米、赤米、緑米、黒米および/またはもち米などを含むことができる。前記ご飯には、米の他に、ムギ、マメ、アワ、キビ、モロコシ、コムギ、ハトムギおよびトウモロコシからなる群から選択される少なくとも一つをさらに含むことができる。
【0017】
前記ご飯は、ご飯の全重量に対して、前記米を60~100重量%の含量で含むことができ、具体的には70~99重量%、80~95重量%、60~90重量%、60~85重量%、または60~80重量%の含量で含むことができる。
【0018】
前記原物は、肉類、海産物類、または野菜類などを含むことができ、肉類、海産物類、および野菜類からなる群から選択される少なくとも一つを含むことができる。前記肉類としては、牛肉、豚肉などの畜肉および/または鶏肉、シチメンチョウ、アヒルなどの家禽肉などが挙げられ、前記海産物類としては、エビ、イカ、タコ、ウニ、アサリ、貝、干しスケトウダラ、カタクチイワシ、コンブ、ワカメ、スケトウダラ、ヒラメ、サバ、サケ、またはサワラなどが挙げられ、前記野菜類としては、カボチャ、タマネギ、ニンジン、キャベツ、ニンニク、ネギ、ダイコン、キノコ、豆モヤシ、ホウレンソウ、またはワラビなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0019】
前記ソースは、朝鮮醤油、濃口醤油、ごま油、ニンニクのみじん切り、梨汁、コショウ、ゴマ、塩、砂糖、ミリン、コチュジャン、テンジャン、水飴、オリーブ油、またはキャノーラ油などが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0020】
前記成形ご飯は、例えば、チャーハンのように前記原物およびソースのうち少なくとも一つをご飯に添加した後、調理して製造されたものであってもよく、または、例えば、ビビンバのように前記原物およびソースのうち少なくとも一つを先に調理した後、ご飯に添加して(混ぜ合わせて)製造されたものであってもよい。すなわち、前記成形ご飯は、ご飯、ビビンバ、チャーハンなどを含むことができる。
【0021】
また、前記成形ご飯には、錦糸卵、卵餃子、ミートボール、ギンナン、シイタケ、クルミ、ゴマ、松の実、トウガラシ、クリ、オリーブ、ハーブ、パプリカ、セリ、またはゴマ塩などの付け合わせがさらに含まれたことができ、市販の香味油、調味液などをさらに含むことができる。
【0022】
前記成形ご飯は、所定の形態に成形されたものであり、球、半球、潰れた球、円柱、多角柱(三角柱、四角柱など)、立方体、バー(bar)、または半楕円体などの様々な三次元形状であることができる。
【0023】
具体的には、前記成形ご飯は、通常のおにぎり形態の球形状であってもよく、または球を二等分した半球形状であってもよく、または潰れた球形状であってもよく、または長半径と短半径に差がある楕円体を二等分した半楕円体の形状であってもよい。前記成形ご飯は、球、半球、潰れた球、半楕円体の形状の他にも、円柱や多角柱の形状であってもよい。
【0024】
また、前記成形ご飯は、球、半球、潰れた球、円柱、多角柱、または半楕円体などの様々な三次元形状を複数含むことができる。例えば、前記成形ご飯は、球面の一部分の形状を有する球面部分を含むことができ、前記球面部分は、球を二等分した半球形状を有することができる。
【0025】
前記成形ご飯は、図3のように、曲面部分が上下方向を基準に長めの変形した半球の形状を有することができる。すなわち、曲面部分の上面の半径R1より高さH1が大きく形成されることができる。この際、曲面部分の高さH1を上面の半径R1で除した値は、1.2以上1.5以下であることができる。
【0026】
前記水分転移防止層は、前記成形ご飯が含有する水分が外部に転移されないようにし、流通中に外部の水分が冷凍ご飯に浸入して湿気ることを防止することができ、貯蔵安定性を改善することから流通期間が延びることができる。また調理過程で、冷/解凍を繰り返して行っても、前記冷凍ご飯の表面および/または芯部の水分含量の変化率を最小化することができ、食べる時に優れた食感を維持することができる。
【0027】
前記水分転移防止層は、抵糖液および食用油脂から選択される少なくとも一つの水分転移防止液を含むことができる。例えば、前記抵糖液とは、抵糖(主成分:デキストリン)を30%(w/w)の割合で精製水と混ぜた水溶液を意味し、前記食用油脂は、乾性油、半乾性油および不乾性油から選択される少なくとも一つを含むことができる。具体的には、前記食用油脂は、エゴマ油、豆油、大豆油、ヒマワリ種子油などの乾性油またはヨウ素価(油100gに付加するヨウ素のg数)130以上の食用油脂;ごま油、キャノーラ油、ブドウ種子油などの半乾性油またはヨウ素価100~130の食用油脂;またはオリーブ油、パーム油などの不乾性油またはヨウ素価100以下の食用油脂を含むことができ、例えば、前記食用油脂は、エゴマ油、豆油、大豆油、ヒマワリ種子油、ごま油、キャノーラ油、ブドウ種子油、オリーブ油、またはパーム油などを含むことができる。
【0028】
より具体的には、前記食用油脂は、エゴマ油、豆油、大豆油、ヒマワリ種子油などの乾性油またはヨウ素価130以上の食用油脂;またはごま油、キャノーラ油、ブドウ種子油などの半乾性油またはヨウ素価100~130の食用油脂を含むことができ、さらに具体的には、大豆油、エゴマ油およびキャノーラ油から選択される少なくとも一つを含むことができる。さらに具体的には、エゴマ油、豆油、大豆油、ヒマワリ種子油などの乾性油またはヨウ素価130以上の食用油脂が可能であり、さらに具体的には、大豆油およびエゴマ油から選択される少なくとも一つを含むことができる。
【0029】
前記冷凍ご飯は、前記水分転移防止層が形成された成形ご飯の表面の少なくとも一部を硬化させて製造されることができる。前記成形ご飯の表面の少なくとも一部が硬化した場合には、成形ご飯に含有された水分が流通および/または保管中に外部に転移されることを防止する役割をし、前記成形ご飯の表面の少なくとも一部に水分転移防止層が形成されることと併せてシナジー作用を起こし、上記のように水分の転移を防止する効果が極大化することができる。
【0030】
前記本発明の表面の一部硬化は、表面が硬くなることを意味し、食感や触感などから硬化を確認することができ、オーブン、熱風、あるいはトーチなどで表面を硬化させることができる。
【0031】
前記冷凍ご飯は、前記のように表面の少なくとも一部を硬化させた成形ご飯を凍結させて製造されることができる。
【0032】
前記凍結は、前記表面硬化された成形ご飯を品温の基準で-7℃以下に逹するように、-30~-5℃の温度で6時間~36時間冷凍させることであり得る。または前記凍結は、前記表面硬化した成形ご飯を-70~-5℃の温度で10~30分間急速凍結させることであり得る。または-40~-30℃に30分~1時間で凍結させることであり得る。
【0033】
上記のように水分転移防止層が形成された成形ご飯を硬化させた後、凍結させて冷凍ご飯として製造することにより、原料の状態変形を最小化し、長期間保管時にもその形状を維持し、新鮮な状態を長く維持することができる利点がある。
【0034】
前記冷凍ご飯は、冷凍された状態で流通することができ、流通した後、家庭などで電子レンジなどを用いて調理(解凍)してから食べることが可能である。
【0035】
前記冷凍ご飯は、前記冷凍ご飯を1日間常温および常圧の条件で解凍させた後の、前記冷凍ご飯の全重量に対して、前記冷凍ご飯の表面の水分含量と冷凍ご飯の芯部の水分含量との差が5重量%であることができる。ここで、前記冷凍ご飯は、前記冷凍ご飯の芯部の水分含量が前記冷凍ご飯の表面の水分含量より多いことができる。
【0036】
前記1日間常温および常圧の条件で解凍させた後の冷凍ご飯の表面の水分含量と冷凍ご飯の芯部の水分含量との差は、5重量%以上、6重量%以上、7重量%以上、8重量%以上、9重量%以上、10重量%以上から選択される一つの下限値および20重量%以下、19重量%以下、18重量%以下から選択される一つの上限値で構成される範囲であることができる。このような場合、外部の水分が食品の内部に転移されることを防止することができ、食品の内部の水分が外部に転移されることを防止することができる水分転移防止効果がある。
【0037】
また、前記冷凍ご飯を-18℃で9日間保管した後、前記冷凍ご飯を1日間常温および常圧の条件で解凍した後の前記冷凍ご飯の表面と芯部との水分含量の差が5重量%以上であることができる。具体的には、前記冷凍ご飯を-18℃で9日間保管した後、前記冷凍ご飯を1日間常温および常圧の条件で解凍した後の前記解凍した冷凍ご飯の表面と芯部との水分含量の差は、5重量%以上、6重量%以上、7重量%以上、8重量%以上、9重量%以上、10重量%以上、11重量%以上、12重量%以上から選択される一つの下限値および20重量%以下、19重量%以下、18重量%以下、17重量%以下、16重量%以下、15重量%以下から選択される一つの上限値で構成される範囲であることができる。
【0038】
また、前記冷凍ご飯を-18℃で50日間保管した後、前記冷凍ご飯を1日間常温および常圧の条件で解凍した後の前記冷凍ご飯の表面と芯部との水分含量の差が5重量%以上であることができる。具体的には、前記冷凍ご飯を-18℃で50日間保管した後、前記冷凍ご飯を1日間常温および常圧の条件で解凍した後の前記解凍した冷凍ご飯の表面と芯部との水分含量の差は、5重量%以上、6重量%以上、7重量%以上、8重量%以上、9重量%以上、10重量%以上、11重量%以上、12重量%以上から選択される一つの下限値および20重量%以下、19重量%以下、18重量%以下、17重量%以下、16重量%以下、15重量%以下から選択される一つの上限値で構成される範囲であることができる。
【0039】
前記冷凍ご飯を-18℃で9日または50日間保管した後、冷凍ご飯を1日間常温および常圧の条件で解凍した後の前記冷凍ご飯の表面と芯部との水分含量の差が5重量%以上である場合には、冷凍ご飯の内部の水分の外部あるいは冷凍ご飯の外部の食用容器(スナックあるいはノリなど)への水分転移を防止することができる。
【0040】
前記冷凍ご飯の表面とは、前記冷凍ご飯の最外側部分を意味し、前記冷凍ご飯が外部または空気と接触する前記冷凍ご飯の最外側の少なくとも一部の表面を意味し得る。前記冷凍ご飯の表面は、前記冷凍ご飯の最外側の少なくとも一部の表面から冷凍ご飯の内側に0~10mm、または0~5mmの厚さを占める領域を含むことができる。前記冷凍ご飯の芯部とは、前記冷凍ご飯の表面以外の残りの部分を全部意味し得、例えば、前記冷凍ご飯の表面の内側境界面から冷凍ご飯の中心部まで占める一部または全体の領域を意味し得る。
【0041】
前記冷凍ご飯を1日間常温および常圧で解凍させた後の、前記冷凍ご飯の表面の水分含量は、前記冷凍ご飯1g当たり50重量%以下であることができ、例えば、49重量%以下、48重量%以下、47重量%以下、46重量%以下、45重量%以下、44重量%以下、43重量%以下、42重量%以下から選択される一つの上限値および30重量%以上、35重量%以上、36重量%以上、37重量%以上から選択される一つの下限値からなる範囲であることができる。
【0042】
前記冷凍ご飯を1日間常温および常圧で解凍させた後の、前記冷凍ご飯の表面の水分含量が前記のような範囲を満たす場合には、冷凍ご飯の貯蔵安定性を高め、電子レンジで調理した後、食べる時に優れた食感を示す。
【0043】
また、前記冷凍ご飯を-18℃で9日間保管した後、前記冷凍ご飯を1日間常温および常圧の条件で解凍した後の前記冷凍ご飯の表面の水分含量は、前記冷凍ご飯1g当たり50重量%以下であることができ、例えば、49重量%以下、48重量%以下、47重量%以下、46重量%以下、45重量%以下から選択される一つの上限値および35重量%以上、36重量%以上、37重量%以上、38重量%以上、39重量%以上、40重量%以上から選択される一つの下限値からなる範囲であることができる。
【0044】
また、前記冷凍ご飯を-18℃で50日間保管した後、前記冷凍ご飯を1日間常温および常圧の条件で解凍した後の前記冷凍ご飯の表面の水分含量は、前記冷凍ご飯1g当たり50重量%以下であることができ、例えば、49重量%以下、48重量%以下、47重量%以下、46重量%以下、45重量%以下、44重量%以下、43重量%以下から選択される一つの上限値および35重量%以上、36重量%以上、37重量%以上、38重量%以上、39重量%以上、40重量%以上から選択される一つの下限値からなる範囲であることができる。
【0045】
また、前記冷凍ご飯を1日間常温および常圧で解凍させた後の、前記冷凍ご飯の芯部の水分含量は、前記冷凍ご飯1g当たり50~60重量%であることができ、例えば、50重量%以上、51重量%以上、52重量%以上、53重量%以上、54重量%以上、55重量%以上、56重量%以上、57重量%以上、58重量%以上から選択される一つの下限値および60重量%以下、59重量%以下、58重量%以下から選択される一つの上限値からなる範囲であることができる。
【0046】
前記冷凍ご飯を1日間常温および常圧で解凍させた後の、前記冷凍ご飯の芯部の水分含量が前記のような範囲を満たす場合には、冷凍ご飯の貯蔵安定性を高め、解凍後に食べる時に優れた食感を示す。
【0047】
また、前記冷凍ご飯を-18℃で9日間保管した後、前記冷凍ご飯を1日間常温および常圧の条件で解凍した後の前記冷凍ご飯の芯部の水分含量は、前記冷凍ご飯1g当たり50~60重量%であることができ、例えば、50重量%以上、51重量%以上、52重量%以上、53重量%以上、54重量%以上、55重量%以上、56重量%以上、57重量%以上、58重量%以上から選択される一つの下限値および60重量%以下、59重量%以下、58重量%以下から選択される一つの上限値からなる範囲であることができる。
【0048】
また、前記冷凍ご飯を-18℃で50日間保管した後、前記冷凍ご飯を1日間常温および常圧の条件で解凍した後の前記冷凍ご飯の芯部の水分含量は、前記冷凍ご飯1g当たり50~60重量%であることができ、例えば、50重量%以上、51重量%以上、52重量%以上、53重量%以上、54重量%以上、55重量%以上、56重量%以上、57重量%以上、58重量%以上から選択される一つの下限値および60重量%以下、59重量%以下、58重量%以下、57重量%以下から選択される一つの上限値からなる範囲であることができる。
【0049】
前記冷凍ご飯を食用容器に装ってから、-18℃で9日または50日間保管した後、前記冷凍ご飯を1日間常温および常圧の条件で解凍した後の、前記冷凍ご飯の表面の水分含量が50重量%以下であり、且つ前記冷凍ご飯の芯部の水分含量が50~60重量%である場合には、冷凍ご飯の内部と外部との間の水分の転移防止効果がある。
【0050】
以下、本発明の一実施形態による冷凍成形ご飯の製造方法について記述する。
【0051】
前記冷凍ご飯の製造方法は、成形ご飯の表面の少なくとも一部に水分転移防止層を形成することと、前記水分転移防止層が形成された成形ご飯の表面の少なくとも一部を硬化することと、前記硬化した成形ご飯を凍結することとを含むことができる。
【0052】
先ず、前記成形ご飯は米を主原料として炊いてご飯を準備し、前記ご飯に原物およびソースのうち少なくとも一つを混合して製造されることができる。例えば、チャーハンのように前記原物およびソースのうち少なくとも一つをご飯に添加した後、調理して製造されることができ、またはビビンバのように、前記原物およびソースのうち少なくとも一つを先ず調理した後、ご飯に添加して(混ぜ合わせて)製造されることもできる。ここで、前記ご飯、原物、ソース、米については、上述の内容が同様に適用されることができる。
【0053】
前記成形ご飯は、前記のように製造された後、前記成形ご飯の表面の少なくとも一部に水分転移防止層を形成することの前に、所定の形状に成形されることを含むことができる。すなわち、前記成形ご飯は、球、半球、潰れた球、円柱、多角柱(三角柱、四角柱など)、立方体、バー(bar)、または半楕円体などの様々な三次元形状に成形されることができる。
【0054】
具体的には、前記成形ご飯は、通常のおにぎり形態の球形状に成形されることができる。または球を二等分した半球形状に成形されることができる。または長半径と短半径に差がある楕円体を二等分した半楕円体の形状に成形されることができる。前記成形ご飯は、球、半球、潰れた球、半楕円体の形状の他にも、円柱や多角柱形状などに成形されることができる。
【0055】
また、前記成形ご飯は、球、半球、潰れた球、円柱、多角柱、または半楕円体などの様々な三次元形状を複数含むように成形されることができる。具体的には、前記成形ご飯は、球面の一部分の形状を有する球面部分を含むことができ、前記球面部分は、球を二等分した半球形状を有することができる。
【0056】
前記成形ご飯は、図3のように、曲面部分が上下方向を基準に長めの、変形された半球の形状に成形されることができる。すなわち、曲面部分の上面の半径R1より高さH1が大きく成形されることができる。ここで、曲面部分の高さH1を上面の半径R1で除した値は、1.2以上1.5以下であることがある。
【0057】
前記水分転移防止層を形成することは、抵糖液および食用油脂から選択される少なくとも一つを含む水分転移防止液を塗布することを含むことができる。
【0058】
前記水分転移防止液は、前記成形ご飯または冷凍ご飯に含有された水分を外部に転移されないようにし、前記成形ご飯の冷凍時に水分の損失を最小化し、冷凍状態で流通中に外部の水分が冷凍ご飯に浸入することを防止することができ、貯蔵安定性を改善することから冷凍ご飯の流通期間を延長する役割をする。また、前記冷凍ご飯の冷/解凍を繰り返して行っても前記冷凍ご飯の表面および/または内部の水分含量の変化率を最小化することができ、食べる時のパリッとした食感を優秀に維持することができる。
【0059】
前記水分転移防止層は、抵糖液および食用油脂から選択される少なくとも一つの水分転移防止液を含むことができる。例えば、前記抵糖液とは、抵糖(主成分:デキストリン)を30%(w/w)の割合で精製水と混ぜた水溶液を意味し、前記食用油脂は、乾性油、半乾性油および不乾性油から選択される少なくとも一つを含むことができる。具体的には、前記食用油脂は、エゴマ油、豆油、大豆油、ヒマワリ種子油などの乾性油(ヨウ素価130以上);ごま油、キャノーラ油、ブドウ種子油などの半乾性油(ヨウ素価100~130);またはオリーブ油、パーム油などの不乾性油(ヨウ素価100以下)を含むことができ、例えば、前記食用油脂は、エゴマ油、豆油、大豆油、ヒマワリ種子油、ごま油、キャノーラ油、ブドウ種子油、オリーブ油、またはパーム油などを含むことができる。
【0060】
より具体的には、前記食用油脂は、エゴマ油、豆油、大豆油、ヒマワリ種子油などの乾性油、またはごま油、キャノーラ油、ブドウ種子油などの半乾性油を含むことができ、さらに具体的には、大豆油、エゴマ油およびキャノーラ油から選択される少なくとも一つを含むことができる。
【0061】
また、前記冷凍ご飯は、成形ご飯の一面が移動式手段に載置された状態で外側面に水分転移防止液を塗布して水分転移防止層を形成する過程を含むことができる。上記のような過程により、前記成形ご飯の表面の少なくとも一部に水分転移防止液が塗布されることができる。前記水分転移防止液を塗布することは、スプレーまたはスプレーノズルを用いて水分転移防止液を噴射することができ、これに限定されるものではない。
【0062】
前記成形ご飯の表面の少なくとも一部に水分転移防止液を塗布することは、前記のような移動式手段によって繰り返して、連続して行われることができる。すなわち、前記成形ご飯が製造された後、移動式手段に載置され、前記成形ご飯の表面の少なくとも一部に水分転移防止液が塗布されると、前記移動式手段により水分転移防止液が塗布された成形ご飯は外部に移送され、その場は、水分転移防止液が塗布されていない新たな成形ご飯で取り替えられることができる。
【0063】
前記移動式手段は、成形ご飯を移送することができる手段であれば、制限なく用いられることができるが、具体的には、コンベアベルトであることができる。
【0064】
前記水分転移防止液は、前記成形ご飯100重量部に対して、1~10重量部の含量で塗布されることができる。例えば、1重量部以上、2重量部以上から選択される一つの下限値および10重量部以下、9重量部以下、8重量部以下から選択される一つの上限値からなる範囲であることができる。
【0065】
前記水分転移防止液の含量が前記範囲を満たす場合に、表面が十分にコーティングされることができ、前記冷凍ご飯の含む水分が外部に転移されないようにし、味の品質に影響を及ぼさず、流通中に外部から由来する水分が冷凍ご飯に浸入することを防止することができ、貯蔵安定性を改善することから流通期間が延び、冷凍ご飯の解凍後にもパリッとした食感を向上および維持することができる。
【0066】
ここで、前記冷凍ご飯の表面に塗布された水分転移防止液の含量は、前記冷凍ご飯の芯部に含有された水分転移防止液の含量に比べてより多いことができる。
【0067】
次いで、前記水分転移防止層が形成された成形ご飯の表面の少なくとも一部を硬化させることを含むことができる。前記水分転移防止層が形成された成形ご飯の表面の少なくとも一部を硬化させることは、オーブン(oven)、トーチおよび熱風のうち少なくとも一つの方法を用いることができる。
【0068】
前記オーブンを用いた硬化は、オーブンの温度を160~200℃、例えば、160℃以上、165℃以上、170℃以上、175℃以上、180℃以上から選択される一つの下限値および200℃以下、195℃以下、190℃以下から選択される一つの上限値からなる範囲の条件で、5~10分、例えば、5分以上、6分以上、7分以上から選択される一つの下限値および10分以下、9分以下、8分以下から選択される一つの上限値からなる範囲の条件で硬化させることができる。
【0069】
前記熱風を用いて硬化する場合には、通常の熱風乾燥機を用いることができる。
【0070】
前記トーチを用いて硬化する場合には、通常、食品を加熱するために使用されるトーチを用いることができる。前記トーチを用いて硬化する場合には、直火で約1秒~5秒間硬化させることができる。
【0071】
前記範囲を満たす場合には、成形ご飯に含有された水分が外部に転移されないようにし、流通中に外部の水分が冷凍ご飯に浸入することを防止することができ、貯蔵安定性を改善することから流通期間が延びることができる。さらには、成形ご飯の表面の少なくとも一部が硬化すると、冷凍されて流通/保管される冷凍ご飯が解凍されるか、電子レンジで調理した後、食べる時に優れた食感を示す。
【0072】
前記水分転移防止液が塗布された成形ご飯を硬化することは、上述の移動式手段により繰り返してまたは連続して行われることができる。前記水分転移防止液が塗布された成形ご飯が移動式手段に載置された状態で硬化されることができる。
【0073】
例えば、移動式手段に載置された成形ご飯に水分転移防止液が塗布された後、オーブンおよび/または熱風装置の方に移送されて硬化されることができる。硬化された成形ご飯は、また外部に移送され、その場は、硬化されていない水分転移防止液が塗布された成形ご飯で取り替えられることができる。
【0074】
前記硬化した成形ご飯を凍結させることは、表面硬化した成形ご飯を品温の基準で-7℃以下に逹するように、前記成形ご飯を-30~-5℃の温度で6時間~36時間冷凍させること、または前記成形ご飯を-70~-5℃の温度で10~30分間急速凍結させること、または-40~-30℃に30分~1時間で凍結させることを含むことができる。
【0075】
上記のように水分転移防止層が形成された成形ご飯を硬化させた後、凍結させて冷凍ご飯に製造することにより、原料の状態変形を最小化し、長期間保管時にもその形状を維持し、新鮮な状態を長時間維持することができる利点がある。
【0076】
前記冷凍ご飯は、冷凍状態で流通された後に、家庭などで常温常圧(STP)の条件で解凍するか、電子レンジなどを用いて調理した後、食べることが可能である。
【0077】
また、前記冷凍ご飯は、凍結された後に食用容器に含まれ(収容)た状態で製造されることができる。または凍結の前に食用容器に含まれ(収容)た状態で凍結されて冷凍食品として製造されることができる。前記食用容器は、冷凍ご飯が収容される内部空間を有し、食用の素材で形成される容器である。
【0078】
前記冷凍ご飯が食用容器に含まれ(収容)た状態で製造される場合に、成形ご飯の表面に塗布された水分転移防止液により、冷凍ご飯に含有された水分が前記食用容器に転移されることを防止することができ、前記食用容器が湿気るか、パリッとした食感を失うことを予防することができる。
【0079】
前記食用容器は、食用の素材で形成されることができる。前記食用容器は、内皮と外皮を含むことができ、内皮と外皮はすべて食用の素材で形成されることができる。
【0080】
前記内皮は、米、ムギ、マメ、アワ、キビ、モロコシ、コムギおよびトウモロコシからなる群から選択される少なくとも一つを含んで薄い穀物シート状に形成されることができる。穀物シートは、任意の形状の薄いシート(sheet)であり、上述の穀物のパウダーおよび/またはデンプンと水を用いて製造されることができる。このような穀物シートは、ライスペーパ(rice-paper)を含むことができる。前記ライスペーパは、生春巻き、ネム、バインチャン(Banh Trang)、バインチャなどの名称とも呼ばれ、基本的に、米粉と水で作り、原産地によって米の含有量が相違することができる。また乾燥する過程で、竹板などを用いて、表面に柄が形成されることもできる。
【0081】
前記米は、白米、玄米、紅米、緑米、黒米および/またはもち米であることができる。前記デンプンは、ジャガイモデンプン、サツマイモデンプン、タピオカデンプン、トウモロコシデンプン、米デンプンおよびこれらの組み合わせからなる群から選択されることができ、好ましくは、タピオカデンプンが選択されることができる。
【0082】
前記外皮は、クロレラ、アオノリ、ミル、ノリ、寒天、ワカメ、コンブ、ホンダワラおよびヒジキからなる群から選択される少なくとも一つを含んで薄い乾海藻類シート状に形成されることができる。上述の材料が単独でまたは混合されて用いられることができる。このような乾海藻類シートは、海藻類自体または断片、または海藻類のフレークや粉末を任意の形状の薄いシート状に乾燥させたものであり得る。例えば、ノリをアオノリ、クロレラ、ワカメなどとともに乾燥して外皮として用いることができる。前記海藻の風味をより向上させるために、前記海藻に様々な調味料がさらに添加されることができる。
【0083】
前記食用容器は、ユーザの把持が容易な様々な形状を有することができる。例えば、円形、または三角形、四角形などの多角形など、様々な形状の平面形シートを三次元の立体の形状に成形したものであり得る。
【0084】
具体的には、前記食用容器は、上下方向に直交する平面に切断した断面の面積が下側方向に減少するコーン形状を有することができ、コーンの断面形状は、限定されず、円形、楕円形、および三角形、四角形、その他の多角形などの様々な断面形状を有することができるが、これに限定されるものではない。例えば、断面が円形であるコーン形状は、アイスクリームコーン(Ice cream cone)の形状と類似することができる。例えば、断面が楕円形であるコーン形状は、ブリート(Burrito)やラップ(Wrap)の形状と類似することができる。例えば、断面が四角形であるコーン形状は、ピラミッド(pyramid)の形状と類似することがある。コーン形状の食用容器は、ユーザの把持が容易で携帯および飲食が容易であり、成形が容易で製造工程が簡単であり、工程費用を節約することができる。
【0085】
例えば、前記食用容器は、内皮と外皮を接合させた後に三次元的にコーン形状に巻いて形成されたコーン形状の構造であることができ、具体的には、丸いコーン形状、四角コーン形状などの多角形コーン形状などであることができるが、これに限定されるものではない。
【0086】
また、前記食用容器は、内皮と外皮との間に内皮と外皮を接合させるための接合層をさらに含むことができる。前記接合層は、前記内皮と外皮を接合させるための接合液によって形成される層であり、水が穀物および/またはデンプンと接して形成される穀物および/またデンプンと水の混合物層、糖液層、デンプン水層、卵白液層、全卵液層、穀物(もち米)糊層であることができ、接合液として水だけ含まれる場合には、接合層が明確に区分されないこともある。
【0087】
前記接合液には、水の他にも、粘性を有する食用の液体、例えば塩水、糖液、デンプン水、卵白液、全卵液または穀物糊などが添加されるか、これらが複数含まれることができる。また内皮と外皮の素材によって水のみを用いて接合させても容易に接合されることができる。また、前記接合液は、前記水以外に、レモン濃縮液、生姜濃縮液、梅濃縮液、緑茶粉末、ケイヒシロップ、エビエキス、鰹節抽出物、ハーブエキス、焼肉味付け、またはライム味付けなどから選択される加味剤をさらに含むことにより、食用容器に好きな味を付け加えることもできる。
【0088】
前記冷凍ご飯は前記食用容器に含まれた状態で冷凍食品または外部包装材をさらに含む包装された冷凍食品の形態で提供されることができる。
【0089】
ここで、前記冷凍ご飯は、複数個で構成されることができる。前記冷凍ご飯が2個で構成される場合には、このような2個の冷凍ご飯は、第1冷凍ご飯と第2冷凍ご飯であることができる。第1冷凍ご飯が先に食用容器に挿入され、第2冷凍ご飯が後で第1冷凍ご飯に載置されて積層されることができる。このように、第1冷凍ご飯と第2冷凍ご飯が上下方向に沿って積層された状態で、食用容器の内部空間に収容されることができる。しかし、食用容器に収容されることができる冷凍ご飯の個数がこれに限定されるものではない。
【0090】
また、前記食用容器も、内皮の表面、外皮の表面、または内皮と外皮の表面の両方に水分転移防止層を含むことができ、内部空間に収容された前記冷凍ご飯と食用容器との水分転移を防止する役割ができる。冷凍ご飯の水分転移防止層および食用容器の水分転移防止層をすべて含む場合、冷凍ご飯と食用容器との水分転移防止効果は最大化することができる。
【0091】
前記水分転移防止層は、食用素材である内皮と外皮に含有された水分の外部または冷凍ご飯への水分の転移を防止する役割をし、流通および/または保管時、あるいは電子レンジで調理された後にもパリッとした食感を維持する役割をする。
【0092】
前記水分転移防止層は、食用油脂、シェラック(shellac)、レシチン、カルナウバロウおよびゼラチンからなる群から選択される少なくとも一つの水分転移防止物質を含むことができる。
【0093】
前記食用油脂は、食品公典に出る用語であり、食用可能な油脂を意味し得る。前記水分防止層に含まれる食用油脂は、室温で、固体、半固体、液体または固体の粉末状態であるものを使用することができ、例えば、ヤシ硬化油、パーム核硬化油、ショートニング、または大豆硬化油など、常温で固体状態の油脂;パーム油、または大豆部分硬化油など、常温で半固体状態の油脂;パームオレイン油、キャノーラ油、オリーブ油、ブドウ種子油、玄米油、大豆油またはトウモロコシ種子油など、常温で液体状態の油脂;またはこれらの油脂粉末であることができ、これらを複数含むことができる。前記半固体とは、固体と液体との間の状態を意味し、形状を維持する能力は、固体と類似しており、流動能力は、液体の特性を一部共有することを意味し、準固体、半固体、半液体などの意味でも使用されることができる。
【0094】
前記水分転移防止層に含まれる食用油脂の中でも、常温で固体または半固体状態の油脂を用いる場合には、前記食用油脂を電子レンジに調理する場合に、食用油脂に吸収されるか固定されて、食べる時に、油脂が外部に流れるか手などにつく場合が低減する利点がある。さらには、食用シートを冷凍した後、長期間保管する時にも、水分が食用シートの内/外部に転移されることを抑制することから水分を遮断する効果もある。
【0095】
以下、本発明を実施例によって詳細に説明する。
【0096】
ただし、下記の実施例は、本発明を具体的に例示するものであって、本発明の内容が下記実施例によって限定されない。
【0097】
[製造例1]-冷凍ご飯の製造
1.成形ご飯の製造
水洗した米を用いて炊いた。
【0098】
香味油、調味液、野菜、肉などを加熱釜に入れて炒めて一つの炒め付け合わせにした後、炊いたご飯と混合してから球形状に成形した。
【0099】
2.水分転移防止層コーティング
下記表1による濃度の抵糖液(30%、60%)、大豆油、ごま油、オリーブ油、キャノーラ油、トウモロコシ油、エゴマ油、ゼラチンおよび全卵液を前記成形ご飯の表面に3重量%の水分転移防止層を塗布した
【0100】
【表1】
【0101】
3.表面硬化
表面硬化方法として、オーブニング(180℃で8分)またはトーチング(直火で3秒)の方法を行った。
4.凍結
前記表面硬化した成形ご飯を品温の基準で-7℃以下に逹するように、-40~-30℃にセットした急速凍結機で約40分間凍結した。
【0102】
[製造例2]-食用容器内に投入された冷凍ご飯の製造
ノリおよびライスペーパを水を噴霧して接合してから、コーン状のモールドを用いて成形した後、オーブンによりベーキングした。次に、室温で分離した後、放冷して接合シートを製造した。その後、接合シートの両面に食用油脂(パーム核硬化油)を塗布した食用容器を製造した。製造された食用容器内に前記製造例1によって製造された冷凍ご飯を投入し、冷凍処理した。
【0103】
[実験例1]-硬化条件および/または水分転移防止層条件による冷凍ご飯の表面の水分含量の評価
下記表2および表3のように、硬化工程および水分転移防止層コーティング工程の差をつけて製造した試料24個に対して、下記のような測定条件で、冷凍ご飯の表面の水分含量を測定した結果を下記表2に、冷凍ご飯の芯部の水分含量を測定して下記表3、冷凍ご飯の表面の水分含量と芯部の水分含量との差を計算した結果を下記表4に示した。
【0104】
測定条件
(1)冷凍前:炊いたご飯を用いて成形ご飯(または水分転移防止層がコーティングされた成形ご飯)を製造した後、別の凍結および解凍過程なしに直ちに測定した水分含量
(2)1日目:製造された成形ご飯(または水分転移防止層がコーティングされた成形ご飯)を冷凍庫(-18℃)で1日間保管した後、食用容器(ノリコーンボディー)と結合する直前状態での1日間常温および常圧の条件で解凍させた後、測定した水分含量
(3)9日目、22日目、50日目:完成された冷凍食品(冷凍ご飯+ノリコーンボディー)を冷凍庫(-18℃)で保管した後、9日目、22日目、50日目に、前記冷凍食品から冷凍ご飯を分離した後、1日間常温および常圧の条件で解凍させた後、測定した水分の含量
【0105】
測定方法
水分含量は、製造された冷凍ご飯を24時間常温/常圧で放置して解凍した後、冷凍ご飯の表面と芯部のご飯を採取してドライオーブン(dry oven;105℃、overnight)を用いて水分含量を測定した。前記芯部は、硬化後に硬くなった冷凍ご飯の表面を除去し、取得した。
【0106】
【表2A】
【表2B】
【0107】
【表3A】
【表3B】
【0108】
【表4A】
【表4B】
【0109】
前記表2によると、成形ご飯の製造直後、冷凍前の水分含量を見ると、オーブンとトーチ工程処理時の成形ご飯(または水分転移防止層がコーティングされた成形ご飯)の表面の水分含量が減少する傾向を示すが(オーブン:平均-11.1wt%、トーチ:平均-4.1wt%)、冷凍保管時にトーチで硬化工程を行った場合には、硬化工程を行っていない場合と近接した水分含量を示し、トーチよりはオーブンを用いた硬化工程が冷凍ご飯の表面の水分含量を除去するのにより効果的であることが分かった。また、別の硬化工程がない場合には、水分転移防止層コーティング有無による大きな差が認められなかったが、硬化工程処理時には、水分転移防止層の種類に応じて差があることを確認することができた。特に、オーブンによる表面硬化とともに、大豆油、エゴマ油、またはキャノーラ油、より具体的には、大豆油またはエゴマ油を水分転移防止層として含む場合に、他種の食用油脂に比べて、冷凍ご飯の表面の水分含量除去効果が全般的に高いことを確認することができた。
【0110】
ゼラチンは、動物の骨、皮膚などから得られた膠原質を一部加水分解して製造したものであり、冷凍ご飯コーティング時に、ゲル状の被膜を形成して、水分の転移防止の効果があると予想されたが、前記実験例1によると、ゼラチン水溶液の水分が、冷凍ご飯の内部または外部に浸透して、表面の水分含量の除去には効果がないことが確認された。
【0111】
全卵液も、硬化工程後に発生する全卵液のタンパク質の変性によって水分の転移防止の効果があることを予想したが、しかし、ゼラチン水溶液と同様に、冷凍ご飯の表面水分含量の除去には効果がないことを確認した。
【0112】
前記表3によると、全般的に、冷凍ご飯の表面に比べて、冷凍ご飯の芯部の水分含量が高い傾向を示すことを確認することができた。このような差は、硬化工程を付加する場合に大きく現れる傾向にあった。
【0113】
製造直後、冷凍前の冷凍ご飯の水分含量を見ると、オーブンを用いた場合とトーチを用いた工程処理時に、芯部の水分含量が多少減少する効果があるが、その差が冷凍ご飯の表面ほど大きく現れないことを確認することができる。
図1
図2
図3
【国際調査報告】