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特表2023-521937眼内レンズを挿入するためのインジェクタアセンブリ及びインジェクタ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-25
(54)【発明の名称】眼内レンズを挿入するためのインジェクタアセンブリ及びインジェクタ
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/16 20060101AFI20230518BHJP
【FI】
A61F2/16
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022576097
(86)(22)【出願日】2021-06-07
(85)【翻訳文提出日】2022-12-09
(86)【国際出願番号】 EP2021065177
(87)【国際公開番号】W WO2021249948
(87)【国際公開日】2021-12-16
(31)【優先権主張番号】102020115482.8
(32)【優先日】2020-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506085066
【氏名又は名称】カール・ツアイス・メディテック・アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】コールザート,マルテ
(72)【発明者】
【氏名】ギュールス,ユリアン
(72)【発明者】
【氏名】ダム,ニクラス
(72)【発明者】
【氏名】ヤストラム,ヤコプ
(72)【発明者】
【氏名】リンマン,アルフレート
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA25
4C097BB01
4C097BB04
4C097CC13
4C097CC16
4C097MM09
(57)【要約】
本発明は、インジェクタアセンブリ(1)であって、光学体(10)及び2つの突起(11)を有する眼内レンズ(9)を収容するように設計される折り畳みチャンバ(8)を含み、且つホルダ(12)と、ホルダ(12)に取り付けられ、及び折り畳みチャンバ開口部(18)を介して挿入方向(26)に折り畳みチャンバ(8)に導入され、且つそれにより眼内レンズ(9)を折り畳むように設計される折り畳みくさび(2)と、2つのスライダ(3、4)であって、それぞれのスライダ(3、4)が初期位置から最終位置にシフトすることを介して、2つの突起(11)の一方を光学体(10)上にシフトさせるようにそれぞれ設計される2つのスライダ(3、4)とを含み、2つのスライダ(3、4)の少なくとも一方は、ストッパを有し、ストッパは、少なくとも一方のスライダ(3、4)の初期位置において、ホルダ(12)に取り付けられた構成要素に当接するように設計され、それにより、構成要素の移動は、阻止され、及び折り畳みくさび(2)は、それにより、眼内レンズ(9)を折り畳むことを許容されず、且つ前記ストッパは、少なくとも一方のスライダ(3、4)の最終位置において、構成要素の移動を許容するように設計され、及び折り畳みくさび(2)は、それにより、眼内レンズ(9)を折り畳むことを許容される、インジェクタアセンブリ(1)に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インジェクタアセンブリであって、光学体(10)及び2つの突起(11)を含む眼内レンズ(9)を収容するように設計される折り畳みチャンバ(8)と、ホルダ(12)と、前記ホルダ(12)に取り付けられ、及び折り畳みチャンバ開口部(18)を介して挿入方向(26)に前記折り畳みチャンバ(8)に導入され、且つそれにより前記眼内レンズ(9)を折り畳むように設計される折り畳みくさび(2)と、2つのスライダ(3、4)であって、前記それぞれのスライダ(3、4)が初期位置から最終位置に変位することにより、前記2つの突起(11)の一方を前記光学体(10)上に変位させるようにそれぞれ設計される2つのスライダ(3、4)とを有し、前記2つのスライダ(3、4)の少なくとも一方は、ストッパを有し、前記ストッパは、前記少なくとも一方のスライダ(3、4)の前記初期位置において、前記ホルダ(12)に取り付けられた構成要素に当接するように設計され、その結果として、前記構成要素の移動は、阻止され、及び前記折り畳みくさび(2)は、それにより、前記眼内レンズ(9)を折り畳むことを許容されず、且つ前記ストッパは、前記少なくとも一方のスライダ(3、4)の前記最終位置において、前記構成要素の移動を許容し、且つそれにより前記折り畳みくさび(2)が前記眼内レンズ(9)を折り畳むことを許容するように設計される、インジェクタアセンブリ。
【請求項2】
前記構成要素は、前記折り畳みくさび(2)によって少なくとも部分的に形成される、請求項1に記載のインジェクタアセンブリ。
【請求項3】
前記ストッパは、前記挿入方向(26)で見られた場合、前記初期位置で前記折り畳みチャンバ開口部(18)と重なるウェブ(21、22)によって形成される、請求項1又は2に記載のインジェクタアセンブリ。
【請求項4】
前記ストッパは、前記スライダ(3、4)から他方のスライダ(3、4)の方向に突出する前記スライダ(3、4)のスライダ突出部(31、32)によって形成され、及び前記折り畳みくさび(2)は、折り畳みくさび凹部(33、34)を有し、前記最終位置において、前記折り畳みくさび(2)が前記折り畳みチャンバ(8)に導入されると、前記スライダ突出部(31、32)は、前記折り畳みくさび凹部(33、34)内に配置されるように設計され、その結果として、前記折り畳みくさび(2)の移動は、許容される、請求項1~3のいずれか一項に記載のインジェクタアセンブリ。
【請求項5】
前記ストッパは、前記スライダ(3、4)の、他方のスライダ(3、4)に面する側に導入されるスライダ凹部(35、36)を有する前記スライダ(3、4)によって形成され、及び前記折り畳みくさび(2)は、折り畳みくさび突出部(37、38)を有し、前記折り畳みくさび突出部(37、38)は、前記構成要素を形成し、且つ前記最終位置において、前記折り畳みくさび(2)が前記折り畳みチャンバ(8)に導入されると、前記スライダ凹部(35、36)内に配置されるように設計され、その結果として、前記折り畳みくさび(2)の移動は、許容される、請求項1~4のいずれか一項に記載のインジェクタアセンブリ。
【請求項6】
前記ストッパは、前記挿入方向(26)と反対の方向に前記スライダ(3、4)から突出する前記スライダ(3、4)のスライダ突出部(41、42)によって形成され、前記インジェクタアセンブリ(1)は、前記ホルダ(12)に取り付けられた突出部(45、46)を有し、及び前記スライダ突出部(41、42)と前記折り畳みくさび(2)とは、凹部(43、44)の境界を定め、前記スライダ突出部(41、42)は、前記初期位置において前記折り畳みくさび(2)に当接するように設計され、その結果として、前記構成要素は、前記折り畳みくさび(2)によって形成されるか、又は前記スライダ突出部(41、42)は、前記突出部(45、46)に当接するように設計され、その結果として、前記構成要素は、前記スライダ突出部(41、42)によって形成され、且つ前記スライダ突出部(41、42)は、前記最終位置において、前記折り畳みくさび(2)が前記折り畳みチャンバ(8)に導入されると、前記凹部(43、44)内に配置されるように設計され、その結果として、前記折り畳みくさび(2)の移動は、許容される、請求項1又は2に記載のインジェクタアセンブリ。
【請求項7】
前記構成要素は、前記ホルダ(12)に取り付けられ、且つ前記折り畳みくさび(2)から空間的に分離される突出部(51、52、60)によって形成される、請求項1に記載のインジェクタアセンブリ。
【請求項8】
前記ストッパは、前記スライダ(3、4)によって形成される、請求項7に記載のインジェクタアセンブリ。
【請求項9】
前記ストッパは、前記スライダ(3、4)のスライダ突出部(53、54)によって形成される、請求項8に記載のインジェクタアセンブリ。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載のインジェクタアセンブリを有する眼科手術用インジェクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼内レンズを眼球の水晶体嚢に挿入するためのインジェクタアセンブリと、このインジェクタアセンブリを有する眼科手術用インジェクタとに関する。
【背景技術】
【0002】
眼球の白内障治療では、通常、ごく小さい切開が眼球の角膜に形成される。前記切開は、インジェクタのカニューレを切開から眼球に挿入するのに十分な大きさである。切開が角膜に形成された後、水晶体が超音波乳化吸引術により破砕され、次に眼球の水晶体嚢から吸引される。その後、眼内レンズがインジェクタによって眼球に挿入される。眼内レンズは、カニューレを通り抜けるようにインジェクタ内で折り畳まれる。カニューレは、切開を介して水晶体嚢に挿入され、折り畳まれた眼内レンズは、インジェクタによってカニューレを通して水晶体嚢に押し込まれ、水晶体嚢内で眼内レンズが展開され、したがって元の水晶体に取って代わる。眼内レンズが折り畳まれている間又は折り畳まれた眼内レンズが水晶体嚢に押し込まれている間、複雑な事態が生じる可能性がある。複雑な事態は、例えば、眼内レンズが水晶体嚢内で完全に展開されないこと又はさらに眼内レンズが損傷することにつながる可能性がある。
【0003】
国際公開第2018/006889 A2号パンフレットは、眼球内に眼内レンズを植込むための折り畳み体を有するインジェクタシステム用マガジンに関する。国際公開第2012/155887 A1号パンフレットは、眼球内に眼内レンズを植込むためのインジェクタシステム及びインジェクタシステムのためのマガジンに関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の目的は、インジェクタアセンブリの使用中にエラーが発生する確率が低いインジェクタアセンブリを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、独立請求項1において特許請求されるインジェクタアセンブリによって解決される。本発明の有利なさらなる発展形態は、従属請求項の主題である。
【0006】
本発明によるインジェクタアセンブリは、光学体及び2つの突起を含む眼内レンズを収容するように設計される折り畳みチャンバと、ホルダと、ホルダに取り付けられ、及び折り畳みチャンバ開口部を介して挿入方向に折り畳みチャンバに導入され、且つそれにより眼内レンズを折り畳むように設計される折り畳みくさびと、2つのスライダであって、それぞれのスライダが初期位置から最終位置に変位することにより、2つの突起の一方を光学体上に変位させるようにそれぞれ設計される2つのスライダとを有し、2つのスライダの少なくとも一方は、ストッパを有し、ストッパは、少なくとも一方のスライダの初期位置において、ホルダに取り付けられた構成要素に当接するように設計され、その結果として、前記構成要素の移動は、阻止され、及び折り畳みくさびは、それにより、眼内レンズを折り畳むことを許容されず、且つストッパは、少なくとも一方のスライダの最終位置において、前記構成要素の移動を許容し、且つそれにより折り畳みくさびが眼内レンズを折り畳むことを許容するように設計される。
【0007】
スライダによって2つの突起を光学体上に配置することにより、突起は、眼内レンズが折り畳みくさびによって折り畳まれると、光学体内に配置される。結果として、眼内レンズを低エラー且つ再現可能な方法で眼球の水晶体嚢に導入することができ、眼内レンズを低エラー且つ再現可能な方法で水晶体嚢内において展開することができる。ストッパを設けることにより、少なくとも1つのスライダが最終位置に到達する前、したがって少なくとも1つのスライダに関連する突起が光学体上に押される前に、折り畳みくさびが折り畳みチャンバに導入されることを回避することが可能である。結果として、インジェクタアセンブリは、特にエラーが低い。
【0008】
2つのスライダは、それぞれストッパを有することが好ましい。結果として、インジェクタアセンブリは、さらにエラーが起こりにくくなる。
【0009】
2つのスライダは、折り畳みチャンバの互いに離れる方を向く端部に配置されることが好ましい。2つのスライダは、折り畳みチャンバ開口部の互いに離れる方を向く端部に配置されることが考えられる。
【0010】
構成要素は、折り畳みくさびによって少なくとも部分的に形成されることが好ましい。構成要素は、全体が折り畳みくさびによって形成されることが特に好ましい。
【0011】
ストッパは、挿入方向で見られた場合、初期位置で折り畳みチャンバ開口部と重なるウェブによって形成されることが好ましい。
【0012】
ストッパは、スライダから他方のスライダの方向に突出するスライダのスライダ突出部によって形成され、及び折り畳みくさびは、折り畳みくさび凹部を有し、最終位置において、折り畳みくさびが折り畳みチャンバに導入されると、スライダ突出部は、折り畳みくさび凹部内に配置されるように設計され、その結果として、折り畳みくさびの移動は、許容されることが好ましい。
【0013】
ストッパは、スライダの、他方のスライダに面する側に導入されるスライダ凹部を有するスライダによって形成され、及び折り畳みくさびは、折り畳みくさび突出部を有し、折り畳みくさび突出部は、前記構成要素を形成し、且つ最終位置において、折り畳みくさびが折り畳みチャンバに導入されると、スライダ凹部内に配置されるように設計され、その結果として、折り畳みくさびの移動は、許容されることが好ましい。
【0014】
ストッパは、挿入方向と反対の方向にスライダから突出するスライダのスライダ突出部によって形成され、インジェクタアセンブリは、ホルダに取り付けられた突出部を有し、及びスライダ突出部と折り畳みくさびとは、凹部の境界を定め、スライダ突出部は、初期位置において折り畳みくさびに当接するように設計され、その結果として、前記構成要素は、折り畳みくさびによって形成されるか、又はスライダ突出部は、突出部に当接するように設計され、その結果として、前記構成要素は、スライダ突出部によって形成され、且つスライダ突出部は、最終位置において、折り畳みくさびが折り畳みチャンバに導入されると、凹部内に配置されるように設計され、その結果として、折り畳みくさびの移動は、許容されることが好ましい。
【0015】
前記構成要素は、好ましくは、ホルダに取り付けられ、且つ折り畳みくさびから空間的に分離される突出部によって形成される。ストッパは、好ましくは、スライダによって形成される。ストッパは、スライダのスライダ突出部によって形成されることが特に好ましい。また、スライダ突出部は、他方のスライダから離れる方に面する側でスライダから突出することが考えられる。
【0016】
インジェクタアセンブリは、眼内レンズを有することが好ましい。眼内レンズは、折り畳みチャンバ内に配置されることが特に好ましい。
【0017】
2つの突起は、それぞれC字形であることが好ましい。
【0018】
眼科手術用インジェクタは、インジェクタアセンブリを有する。
【0019】
以下では、添付の概略図面を参照して本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】初期位置に示されるスライダを有する、本発明によるインジェクタアセンブリの第1の実施形態の側面図を示す。
図2図1からのインジェクタアセンブリの上面図を示す。
図3】最終位置に示されるスライダを有する、第1の実施形態の側面図を示す。
図4図3のインジェクタアセンブリの上面図を示す。
図5】スライダが初期位置にある第1の実施形態の側面図を示し、ここで、インジェクタアセンブリの折り畳みくさびは、スライダの1つに当接し、したがってインジェクタアセンブリの折り畳みチャンバに導入され得ない。
図6】スライダが最終位置にある第1の実施形態の側面図を示し、折り畳みくさびは、折り畳みチャンバ内に配置される。
図7】初期位置に示されるスライダを有する、本発明によるインジェクタアセンブリの第2の実施形態の上面図を示す。
図8】スライダが最終位置にあり、インジェクタアセンブリの折り畳みくさびがインジェクタアセンブリの折り畳みチャンバ内に配置される、第2の実施形態の上面図を示す。
図9】初期位置に示されるスライダを有する、本発明によるインジェクタアセンブリの第3の実施形態の上面図を示す。
図10】スライダが最終位置にあり、インジェクタアセンブリの折り畳みくさびがインジェクタアセンブリの折り畳みチャンバ内に配置される、第3の実施形態の上面図を示す。
図11】スライダが最終位置にあり、インジェクタアセンブリの折り畳みくさびがインジェクタアセンブリの折り畳みチャンバ内に配置される、本発明による眼内レンズの第4の実施形態の側面図を示す。
図12】スライダが初期位置にある、第4の実施形態の上面図を示す。
図13】スライダが最終位置にある、第4の実施形態の上面図を示す。
図14】本発明による眼内レンズの第5の実施形態の斜視図を示し、インジェクタ装置のスライダは、初期位置及び最終位置の両方で示されている。
図15】第5の実施形態の側面図を示し、スライダは、初期位置にある。
図16】第5の実施形態の側面図を示し、スライダは、最終位置にあり、インジェクタアセンブリの折り畳みくさびは、インジェクタアセンブリの折り畳みチャンバ内に配置される。
図17】本発明による眼内レンズの第6の実施形態の斜視図を示し、眼内レンズのスライダは、初期位置及び最終位置の両方で示されている。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1~17から分かるように、インジェクタアセンブリ1は、光学体10及び2つの突起11を含む眼内レンズ9を収容するように設計される折り畳みチャンバ8と、ホルダ12と、ホルダ12に取り付けられ、及び折り畳みチャンバ開口部18を介して挿入方向26に折り畳みチャンバ8に導入され、且つそれにより眼内レンズ9を折り畳むように設計される折り畳みくさび2と、2つのスライダ3、4であって、それぞれのスライダ3、4が初期位置から最終位置に変位することにより、2つの突起11の一方を光学体10上に変位させるようにそれぞれ設計される2つのスライダ3、4とを有し、2つのスライダ3、4の少なくとも一方は、ストッパを有し、ストッパは、少なくとも一方のスライダ3、4の初期位置において、ホルダ12に取り付けられた構成要素に当接するように設計され、その結果として、前記構成要素の移動は、阻止され、及び折り畳みくさび2は、それにより、眼内レンズ9を折り畳むことを許容されず、且つストッパは、少なくとも一方のスライダ3、4の最終位置において、前記構成要素の移動を許容し、且つそれにより折り畳みくさび2が眼内レンズ9を折り畳むことを許容するように設計される。以下では、2つのスライダ3、4を第1のスライダ3及び第2のスライダ4とも称する。なお、2つのスライダ3、4の一方のみがストッパを有することも考えられ、2つのスライダ3、4がそれぞれストッパを有することも考えられる。第1のスライダ3のストッパは、第2のスライダ4のストッパと対称に構成されることが考えられる。2つのストッパは、同じ構成要素又は異なる構成要素に当接するように設定されることが考えられる。
【0022】
インジェクタアセンブリ1は、眼内レンズ9を有することができる。眼内レンズ1が折り畳みチャンバ8内に配置されることが考えられる。特に、図2及び14は、2つの突起11がそれぞれC字形であり得ることを示す。
【0023】
特に、図1及び2は、2つのスライダ3、4を、互いに離れる方を向く折り畳みチャンバ8の端部に配置できることを示す。それら端部は、眼内レンズ9が折り畳みチャンバ8からインジェクタアセンブリ1のカニューレ14に変位され得る変位方向と直交する方向に互いに離れる方を向いて配置され得る。さらに、インジェクタアセンブリ1は、第1のスライダ3がスライド可能に取り付けられる第1のスライダトラック5と、第2のスライダ4がスライド可能に取り付けられる第2のスライダトラックとを有し得ることが分かる。第1のスライダトラック5及び第2のスライダトラック6は、スライダ3、4が初期位置から最終位置に変位される際、湾曲した経路をカバーするように湾曲し得る。結果として、突起11が変位される際、突起11が光学体10の周縁に衝突することを回避することができる。図14から、スライダ3、4は、スライダ3、4から眼内レンズ9の方向に突出するスライダピン25をそれぞれ有し得ることが分かる。スライダピン25のそれぞれは、スライダピン25に関連するスライダ3、4が初期位置から最終位置に変位されたとき、2つの突起11の1つを把持して光学体10上に変位させるように設計される。スライダピン25は、折り畳みチャンバ8の外側に配置された折り畳みくさび2から離れる方向に面して配置されたスライダ3、4の側から突出することができる。このようにして、突起11が、折り畳みくさび2に面する光学体10の側に変位されることが保証される。これにより達成できる効果は、折り畳みくさび2が眼内レンズ9を折り畳むとき、突起11が光学体10の内部に配置されることである。
【0024】
特に、図1及び2から明らかであるのは、インジェクタアセンブリ1がインジェクタ本体7を有することができ、その内側に折り畳みチャンバ8が配置されることである。ホルダ12は、ジョイント13によってインジェクタ本体7に枢動可能に取り付けることができる。ホルダ12を、ジョイント13を中心にインジェクタ本体7の方向に枢動させることにより、折り畳みくさび2を折り畳みチャンバ8に導入し、それにより眼内レンズ9を折り畳むことができる。折り畳みくさび2を折り畳みチャンバ8に挿入するためのホルダ12の移動は、円の円弧に沿った移動であるが、挿入方向26は、図1、3、26において直線矢印で移動の最後のセクションとして示されている。
【0025】
例えば、図1は、スタンプが長手方向に変位可能に取り付けられるプランジャに結合されるように設計されるアダプタ17をインジェクタアセンブリ1が有し得ることを示す。眼科手術用インジェクタは、インジェクタアセンブリ1をアダプタ17によってプランジャに結合することによって作製されることが考えられる。したがって、眼科手術用インジェクタは、インジェクタアセンブリ1、プランジャ及びスタンプを有する。スタンプは、アダプタ17を介して折り畳みチャンバ8に挿入され、折り畳みくさび2によって折り畳まれた眼内レンズ9を折り畳みチャンバ8からインジェクタアセンブリ1のカニューレ14に押し出し、カニューレ14からインジェクタアセンブリ1の外に押し出すように設計することができる。
【0026】
特に、図1及び2は、折り畳みくさび2が、ホルダ12に留められた固定折り畳みくさび部分20と、固定折り畳みくさび部分20に移動可能に取り付けられ、固定折り畳みくさび部分20から突出可能な可動折り畳みくさび部分19とを有することを示す。固定折り畳みくさび部分20は、可動折り畳みくさび部分19が配置されるスロットを有することができる。固定折り畳みくさび部分20と可動折り畳みくさび部分19とを有する配置により、眼内レンズ9がホルダ12の方向に横滑りし、詰まることを防止し得る。
【0027】
図1~6は、インジェクタアセンブリ1の第1の実施形態を示す。第1の実施形態において、ストッパは、挿入方向26で見られて、初期位置で折り畳みチャンバ開口部18と重なるウェブ21、22によって形成される。この構成要素は、少なくとも部分的に折り畳みくさび2によって形成されるか、又は完全に折り畳みくさび2によって形成される。2つのスライダ3、4は、それぞれストッパを有することができる。このために、図1図6にも示されるように、第1のスライダ3が第1のウェブ21を有し、第2のスライダ4が第2のウェブ22を有することができる。さらに、第1のスライダ3は、第1のスライダ3から突出する第1のアーム23を有し、第1のウェブ21は、第1のアーム23から突出することが考えられる。ここで、第1のアーム23は、第1のスライダ3が初期位置から最終位置に変位される第1の移動方向15に第1のスライダ3から突出することができる。同様に、第2のスライダ4は、第2のスライダ4から突出する第2のアーム24を有し、第2のウェブ22は、第2のアーム24から突出することが考えられる。ここで、第2のアーム24は、第2のスライダ4が初期位置から最終位置に変位される第2の移動方向16に第2のスライダ4から突出することができる。第1のアーム23及び/又は第2のアーム24は、挿入方向26で見られて、折り畳みチャンバ開口部18の完全に外側に配置され得る。また、第1のウェブ21及び/又は第2のウェブ22は、折り畳みチャンバ8の完全に外側に配置され得る。
【0028】
図1~6において、第1の実施形態の例としてインジェクタアセンブリ1の機能が示されている。図1は、インジェクタアセンブリ1の側面図を、図2は、上面図を示し、ここで、スライダ3、4は、初期位置に配置され、折り畳みくさび2は、スライダ3、4から離れた位置に配置される。図3は、インジェクタアセンブリ1の側面図を、図4は、上面図を示し、ここで、スライダ3、4は、最終位置に配置され、折り畳みくさび2は、スライダ3、4から離れた位置に配置される。図5は、インジェクタアセンブリ1の側面図を示し、ここで、スライダ3、4は、開始位置にあり、折り畳みくさび2は、図1を起点にして折り畳みチャンバ8の方向に移動される。その過程において、折り畳みくさび2は、第2のウェブ22に当接する。第1のスライダ3が初期位置に配置され、第2のスライダ4が最終位置に配置される場合、折り畳みくさび2は、第1のウェブ21に対して当接するであろう。図6は、インジェクタアセンブリ1の側面図を示し、ここで、スライダ3、4は、最終位置に配置される。ここで、折り畳みくさび2は、同じく示されるように、折り畳みチャンバ8内に挿入することができる。
【0029】
図7及び8において、インジェクタアセンブリ1の第2の実施形態が示され、ストッパは、他方のスライダ3、4の方向にスライダ3、4から突出するスライダ3、4のスライダ突出部31、32によって形成され、折り畳みくさび2は、折り畳みくさび凹部33、34を有し、ここで、最終位置において、折り畳みくさび2が折り畳みチャンバ8内に導入されると、スライダ突出部31、32は、折り畳みくさび凹部33、34内に配置され、その結果として、折り畳みくさび2の移動が許容されるように設計される。構成要素は、少なくとも部分的に折り畳みくさび2によって形成されるか、又は完全に折り畳みくさび2によって形成される。2つのスライダ3、4は、それぞれストッパを有することができる。このために、図7及び8に同じく示すように、第1のスライダ3が第1のスライダ突出部31を有することができ、第2のスライダ4が第2のスライダ突出部32を有することができ、折り畳みくさび2は、第1の折り畳みくさび凹部33及び第2の折り畳みくさび凹部34を有することができる。この場合、第1のスライダ突出部31は、第1の折り畳みくさび凹部33と係合するように設計され、第2のスライダ突出部32は、第2の折り畳みくさび凹部34と係合するように設計される。図7では、インジェクタアセンブリ1は、スライダ3、4が初期位置にあり、折り畳みくさび2がない状態で示されており、図8では、インジェクタアセンブリ1は、スライダ3、4が最終位置にあり、折り畳みくさび2が折り畳みチャンバ8内に導入された状態で示されている。
【0030】
インジェクタアセンブリ1の第3の実施形態が図9及び10示され、ここで、ストッパは、スライダ3、4が、他方のスライダ3、4に面するスライダ3、4の側に導入されたスライダ凹部35、36を有することによって形成され、折り畳みくさび2は、折り畳みくさび突出部37、38を有し、折り畳みくさび突出部37、38は、構成要素を形成し、最終位置において、折り畳みくさび2が折り畳みチャンバ8内に導入されると、スライダ凹部35、36内に配置されるように設計され、その結果として、折り畳みくさび2の移動が許容される。構成要素は、少なくとも部分的に折り畳みくさび2によって形成されるか、又は完全に折り畳みくさび2によって形成される。図9及び10に同じく示されるように、2つのスライダ3、4は、それぞれストッパとして設計することができる。このために、第1のスライダ3が第1のスライダ凹部35を有することができ、第2のスライダ4が第2のスライダ凹部36を有することができ、折り畳みくさび2は、第1の折り畳みくさび突出部37及び第2の折り畳みくさび突出部38を有することができる。ここで、第1の折り畳みくさび突出部37は、第1のスライダ凹部35と係合するように配置され、第2の折り畳みくさび突出部38は、第2のスライダ凹部36と係合するように設計される。図9は、スライダ3、4が初期位置にあり、折り畳みくさび2がない状態のインジェクタアセンブリ1を示し、図10は、スライダ3、4が最終位置にあり、折り畳みくさび2が折り畳みチャンバ8内に導入された状態のインジェクタアセンブリ1を示す。
【0031】
図11~13は、インジェクタアセンブリ1の第4の実施形態を示し、ここで、ストッパは、スライダ3、4から挿入方向26と反対の方向に突出するスライダ3、4のスライダ突出部41、42によって形成され、インジェクタアセンブリ1は、ホルダ12に取り付けられた突出部45、46を有し、スライダ突出部41、42と折り畳みくさび2とは、凹部43、44の境界を定め、スライダ突出部41、42は、初期位置において突出部45、46に当接するように設計され、その結果として、構成要素は、スライダ突出部41、42によって形成され、最終位置において、折り畳みくさび2が折り畳みチャンバ8に導入されると、スライダ突出部41、42は、凹部43、44内に配置され、その結果として、折り畳みくさび2の移動が許容される。2つのスライダ3、4は、図11~13に同じく示されるように、それぞれストッパとして設計することができる。このために、第1のスライダ3が第1のスライダ突出部41を有することができ、第2のスライダ4が第2のスライダ突出部42を有することができ、折り畳みくさび2は、第1の突出部45及び第2の突出部46を有することができる。第1の突出部45と折り畳みくさび2とは、第1の凹部43の境界を定め、第2の突出部45と折り畳みくさび2とは、第2の凹部44の境界を定める。この場合、図11に同じく示されるように、第1のスライダ突出部41が第1の凹部43に係合するように設計され、第2のスライダ突出部42が第2の凹部44に係合するように設計される。図12及び13は、第1のスライダ3が初期位置から最終位置に移動される第1の移動方向15が第2のスライダ4の方に向けられることを示す。2つのスライダ3、4がそれぞれストッパとして設計される場合、第2のスライダ4が初期位置から最終位置まで移動される第2の移動方向16は、同じく第1のスライダ3の方に向けられる。
【0032】
代替的に、スライダ突出部41、42は、初期位置において折り畳みくさび2に当接するように設計され、その結果として、構成要素は、折り畳みくさび2によって形成されることが考えられる。この場合、第1のスライダ3が初期位置から最終位置に移動される第1の移動方向15は、第2のスライダ4から離れる方に向けられる。また、2つのスライダ3、4がそれぞれストッパとして形成される場合、第2のスライダ4が初期位置から最終位置に移動される第2の移動方向16は、第1のスライダ3から離れる方に向けられる。
【0033】
インジェクタアセンブリ1の第5の実施形態が図14~16に示され、ここで、構成要素は、ホルダ12に取り付けられ、且つ折り畳みくさび2から空間的に分離される突出部51、52によって形成される。ストッパは、スライダ3、4のスライダ突出部53、54によって形成される。2つのスライダ3、4は、図11~13に同じく示すように、それぞれストッパとして形成することができる。このために、第1のスライダ3が第1のスライダ突出部53を有することができ、第2のスライダ4が第2のスライダ突出部54を有することができ、インジェクタアセンブリ1は、それぞれホルダ12に取り付けられた第1の突出部51及び第2の突出部52を有することができる。第1のスライダ突出部53は、第2のスライダ4から離れる方に面する側で第1のスライダ3から突出することができる。また、第2のスライダ突出部54は、第1のスライダ3から離れる方に面する側で第2のスライダ4から突出することができる。第1のスライダ突出部53は、初期位置において第1の突出部51に当接するように設計され、第2のスライダ突出部54は、初期位置において第2の突出部52に当接するように設計される。これは、図15に示されている。ホルダ12を枢動させることにより、突出部51は、第1のスライダ突出部53に、突出部52は、第2のスライダ突出部54に当接することができる。これにより、第1のスライダ3を初期位置から最終位置にシフトすることができる。同時に、これにより、第2のスライダ4を初期位置から最終位置にシフトすることができる。図16は、スライダ3、4が最終位置にあり、折り畳みくさび2が折り畳みチャンバ8内に導入された状態を示す。図14は、スライダ3、4を初期位置及び最終位置(破線で描かれている)の両方で示す。初期位置にあるスライダは、参照符号3、4を有し、関連するスライダ突出部は、参照符号53、54を有する。最終位置にあるスライダは、参照符号3a及び4aを有し、関連するスライダ突出部は、参照符号53a及び54aを有する。
【0034】
図17は、インジェクタアセンブリ1の第6の実施形態を示し、構成要素は、ホルダ12に取り付けられ、且つ折り畳みくさび2から空間的に分離された突出部60によって形成され、ストッパは、2つのスライダ3の1つによって形成される。スライダは、参照符号3で示されるその初期位置と、参照符号3a(破線で描かれている)で示されるその最終位置との両方で示されている。ホルダ12を枢動させた後、突出部60は、眼内レンズ9をカニューレ14の方向に運ぶためのラムが妨害されない程度だけインジェクタアセンブリ1に貫入し得る。
【符号の説明】
【0035】
1 インジェクタアセンブリ
2 折り畳みくさび
3 第1のスライダ
4 第2のスライダ
5 第1のスライダトラック
6 第2のスライダトラック
7 インジェクタ本体
8 折りたたみチャンバ
9 眼内レンズ
10 光学体
11 突起
12 ホルダ
13 ジョイント
14 カニューレ
15 第1の移動方向
16 第2の移動方向
17 アダプタ
18 折り畳みチャンバ開口部
19 可動折り畳みくさび部分
20 固定折り畳みくさび部分
21 第1のウェブ
22 第2のウェブ
23 第1のアーム
24 第2のアーム
25 スライダピン
26 挿入方向
31 第1のスライダ突出部
32 第2のスライダ突出部
33 第1の折り畳みくさび凹部
34 第2の折り畳みくさび凹部
35 第1のスライダ凹部
36 第2のスライダ凹部
37 第1の折り畳みくさび突出部
38 第2の折り畳みくさび突出部
41 第1のスライダ突出部
42 第2のスライダ突出部
43 第1の凹部
44 第2の凹部
45 第1の突出部
46 第2の突出部
51 第1の突出部
52 第2の突出部
53 第1のスライダ突出部
54 第2のスライダ突出部
60 突出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
【国際調査報告】