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  • 特表-抗体薬物複合体の調製方法 図1A
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-26
(54)【発明の名称】抗体薬物複合体の調製方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 47/68 20170101AFI20230519BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230519BHJP
   A61K 31/4745 20060101ALI20230519BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20230519BHJP
   C07K 16/30 20060101ALN20230519BHJP
   C07K 7/00 20060101ALN20230519BHJP
【FI】
A61K47/68
A61P35/00 ZNA
A61K31/4745
A61K39/395 C
A61K39/395 L
C07K16/30
C07K7/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022557990
(86)(22)【出願日】2021-03-25
(85)【翻訳文提出日】2022-09-22
(86)【国際出願番号】 CN2021083014
(87)【国際公開番号】W WO2021190602
(87)【国際公開日】2021-09-30
(31)【優先権主張番号】202010219311.2
(32)【優先日】2020-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202110297397.5
(32)【優先日】2021-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】516174219
【氏名又は名称】江蘇恒瑞医薬股▲ふん▼有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】516174208
【氏名又は名称】上海恒瑞医薬有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI HENGRUI PHARMACEUTICAL CO., LTD
【住所又は居所原語表記】NO. 279 WENJING ROAD, MINHANG DISTRICT, SHANGHAI 200245, CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】梁 志
(72)【発明者】
【氏名】林 文鋒
(72)【発明者】
【氏名】石 瑞君
(72)【発明者】
【氏名】劉 洵
【テーマコード(参考)】
4C076
4C085
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA95
4C076CC27
4C076EE41
4C076EE59
4C076FF68
4C085AA14
4C085AA26
4C085CC23
4C085DD51
4C086AA04
4C086CB22
4C086NA13
4C086ZB26
4H045AA11
4H045BA13
4H045BA14
4H045BA72
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA10
4H045FA74
(57)【要約】
本開示は、合成と精製工程を含む、抗体薬物複合体の調製方法に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗体薬物複合体の調製方法であって、前記抗体薬物複合体の構造は、一般式(Pc-L-Y-D)、即ち、
【化1】
で示され、
そのうち、
Wは、C1-8アルキル基、C1-8アルキル-C3-7シクロアルキル基又は1~8個の原子の直鎖ヘテロアルキル基から選ばれ、前記直鎖ヘテロアルキル基は、N、O及びSから選ばれる1~3個のヘテロ原子を含み、そのうち、前記C1-8アルキル基、C3-7シクロアルキル基及び直鎖ヘテロアルキル基は、それぞれ独立的に任意選択的に更にハロゲン、ヒドロキシ基、シアノ基、アミノ基、C1-6アルキル基、クロロC1-6アルキル基、重水素化C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基及びC3-7シクロアルキル基から選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、
は-NR(CHCHO)pCHCHC(O)-、-NR(CHCHO)pCHC(O)-、-S(CH)pC(O)-及び化学結合から選ばれ、そのうち、pは1~20の整数であり、
は、2~7個のアミノ酸残基からなるペプチド残基であり、そのうち、前記アミノ酸残基はフェニルアラニン、グリシン、バリン、リジン、シトルリン、セリン、グルタミン酸及びアスパラギン酸から選ばれるアミノ酸から形成されるアミノ酸残基であり、且つ任意選択的に更にハロゲン、ヒドロキシ基、シアノ基、アミノ基、C1-6アルキル基、クロロC1-6アルキル基、重水素化C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基及びC3-7シクロアルキル基から選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、
は、ハロゲン化C1-6アルキル基又はC3-7シクロアルキル基であり、
は、水素原子、ハロゲン化C1-6アルキル基及びC3-7シクロアルキル基から選ばれ、
或いは、RとRは、それらに連結された炭素原子と共にC3-7シクロアルキル基を形成し、
は水素原子、C1-6アルキル基、ハロゲン化C1-6アルキル基、重水素化C1-6アルキル基及びヒドロキシC1-6アルキル基から選ばれ、
とRは、相同又は相異であり、且つそれぞれ独立的に水素原子、ハロゲン、C1-6アルキル基、ハロゲン化C1-6アルキル基、重水素化C1-6アルキル基及びヒドロキシC1-6アルキル基から選ばれ、
mは0又は1であり、
nは3~8で、nは小数又は整数であり、
Pcは、抗体又はその抗原結合断片であり、
前記調製方法は、
約1℃~約36℃の反応温度の条件下で、抗体又はその抗原結合断片と還元剤とを反応させるステップ(a)と、
ステップ(a)の生成物と、下記の式(La-Y-D)、即ち、
【化2】
で示される化合物とを反応させるステップ(b)と、を含み、
そのうち、W、L、L、R、R、R、R、R及びmは前記に定義された通りである、
抗体薬物複合体の調製方法。
【請求項2】
ステップ(a)における前記反応温度条件は約4℃~約30℃で、好ましくは約20℃~約30℃であり、より好ましくは約25℃である、請求項1に記載の抗体薬物複合体の調製方法。
【請求項3】
ステップ(a)における反応は、pHが約4.5~約6.5の条件下で行われ、好ましくは、前記反応はpHが約5.0~約6.0の条件下で行われ、より好ましくは、前記反応はpHが約5.6の条件下で行われる、請求項1又は2に記載の抗体薬物複合体の調製方法。
【請求項4】
ステップ(a)における反応は緩衝剤において行われ、好ましくは、前記緩衝剤はヒスチジン塩緩衝剤、リン酸塩緩衝剤及び酢酸塩緩衝剤から選ばれ、より好ましくは、前記緩衝剤はEDTAを含むヒスチジン塩緩衝剤である、請求項1~3の何れか一項に記載の抗体薬物複合体の調製方法。
【請求項5】
ステップ(a)における前記還元剤は、トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン又はその塩、1,4-ジチオトレイトール及びβ-メルカプトエタノールから選ばれ、好ましくはトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩である、請求項1~4の何れか一項に記載の抗体薬物複合体の調製方法。
【請求項6】
前記調製方法は、ステップ(b)の生成物をカチオンカラムクロマトグラフィー又は親和性カラムクロマトグラフィーにより精製するステップ(c)を更に含み、好ましくは、前記ステップ(c)は、ステップ(b)の生成物に対してカチオンカラムクロマトグラフィーを行うことを含み、前記カチオンクロマトグラフィーの充填材はCapto S Impact及びPoros XSから選ばれ、好ましくはCapto S Impactである、請求項1~5の何れか一項に記載の抗体薬物複合体の調製方法。
【請求項7】
前記抗体又はその抗原結合断片は、抗HER2(ErbB2)抗体、抗EGFR抗体、抗B7-H3抗体、抗c-Met抗体、抗HER3(ErbB3)抗体、抗HER4(ErbB4)抗体、抗CD20抗体、抗CD22抗体、抗CD30抗体、抗CD33抗体、抗CD44抗体、抗CD56抗体、抗CD70抗体、抗CD73抗体、抗CD105抗体、抗CEA抗体、抗A33抗体、抗Cripto抗体、抗EphA2抗体、抗G250抗体、抗MUCl抗体、抗Lewis Y抗体、抗VEGFR抗体、抗GPNMB抗体、抗Integrin抗体、抗PSMA抗体、抗Tenascin-C抗体、抗SLC44A4抗体及び抗Mesothelin抗体、又はその抗原結合断片から選ばれ、
好ましくは、前記抗体又はその抗原結合断片はTrastuzumab、Pertuzumab、Nimotuzumab、Enoblituzumab、Emibetuzumab、Inotuzumab、Pinatuzumab、Brentuximab、Gemtuzumab、Bivatuzumab、Lorvotuzumab、cBR96及びGlematumamab、又はその抗原結合断片から選ばれる、
請求項1~6の何れか一項に記載の抗体薬物複合体の調製方法。
【請求項8】
前記抗体薬物複合体は、下記の式、即ち、
【化3】
で示される構造を有し、
そのうち、nは4~8で、nは小数又は整数である、
請求項1~7の何れか一項に記載の抗体薬物複合体の調製方法。
【請求項9】
nは4~8の小数又は整数、好ましくは5~7の小数又は整数、より好ましくは5.3~6.1の小数又は整数である、請求項1~8の何れか一項に記載の抗体薬物複合体の調製方法。
【請求項10】
前記抗体薬物複合体の薬物負荷量分布は、抗体重鎖グループにおいて、4つの薬物と結合する抗体重鎖の割合が4%以下であると共に、薬物と結合しない抗体重鎖の割合が5%以下であり、
好ましくは、前記抗体薬物複合体の薬物負荷量分布は、抗体重鎖グループにおいて、4つの薬物と結合する抗体重鎖の割合が4%以下であると共に、薬物と結合しない抗体重鎖の割合が5%以下であり、及び抗体軽鎖グループにおいて、1つの薬物と結合する抗体軽鎖の割合が65%以上である、
請求項1~9の何れか一項に記載の抗体薬物複合体の調製方法。
【請求項11】
抗体薬物複合体の調製方法であって、前記抗体薬物複合体は、下記の式、即ち、
【化4】
で示される構造を有し、
そのうち、nは4~8で、nは小数又は整数であり、
前記調製方法は、
反応温度が約4℃~約30℃、及びpHが約5.0~約6.0である条件下で、TrastuzumabとTCEPとを反応させるステップ(a)と、
ステップ(a)の生成物と、下記の式、即ち、
【化5】
で示される化合物とを反応させるステップ(b)と、を含む、
抗体薬物複合体の調製方法。
【請求項12】
抗体薬物複合体の調製方法であって、前記抗体薬物複合体は、下記の式、即ち、
【化6】
で示される構造を有し、
そのうち、nは4~8で、nは小数又は整数であり、
前記調製方法は、
反応温度が約25℃、及びpHが約5.6である条件下で、TrastuzumabとTCEPとを反応させ、前記反応がEDTAを含むヒスチジン-塩酸緩衝剤において行われるステップ(a)と、
ステップ(a)の生成物と、下記の式、即ち、
【化7】
で示される化合物とを反応させるステップ(b)と、
ステップ(b)の生成物をカチオンクロマトグラフィーカラムにより精製することを含むステップ(c)と、を含む、
抗体薬物複合体の調製方法。
【請求項13】
抗体薬物複合体又はその薬学的に許容される塩であって、前記抗体薬物複合体の構造は一般式(Pc-L-Y-D)、即ち、
【化8】
で示され、
そのうち、
Wは、C1-8アルキル基、C1-8アルキル-C3-7シクロアルキル基又は1~8個の原子の直鎖ヘテロアルキル基から選ばれ、前記直鎖ヘテロアルキル基は、N、O及びSから選ばれる1~3個のヘテロ原子を含み、そのうち、前記C1-8アルキル基、C3-7シクロアルキル基及び直鎖ヘテロアルキル基は、それぞれ独立的に任意選択的に更にハロゲン、ヒドロキシ基、シアノ基、アミノ基、C1-6アルキル基、クロロC1-6アルキル基、重水素化C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基及びC3-7シクロアルキル基から選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、
は-NR(CHCHO)pCHCHC(O)-、-NR(CHCHO)pCHC(O)-、-S(CH)pC(O)-及び化学結合から選ばれ、そのうち、pは1~20の整数であり、
は、2~7個のアミノ酸残基からなるペプチド残基であり、そのうち、前記アミノ酸残基はフェニルアラニン、グリシン、バリン、リジン、シトルリン、セリン、グルタミン酸及びアスパラギン酸から選ばれるアミノ酸から形成されるアミノ酸残基であり、且つ任意選択的に更にハロゲン、ヒドロキシ基、シアノ基、アミノ基、C1-6アルキル基、クロロC1-6アルキル基、重水素化C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基及びC3-7シクロアルキル基から選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、
は、ハロゲン化C1-6アルキル基又はC3-7シクロアルキル基であり、
は、水素原子、ハロゲン化C1-6アルキル基及びC3-7シクロアルキル基から選ばれ、
或いは、RとRは、それらに連結された炭素原子と共にC3-7シクロアルキル基を形成し、
は水素原子、C1-6アルキル基、ハロゲン化C1-6アルキル基、重水素化C1-6アルキル基及びヒドロキシC1-6アルキル基から選ばれ、
とRは、相同又は相異であり、且つそれぞれ独立的に水素原子、ハロゲン、C1-6アルキル基、ハロゲン化C1-6アルキル基、重水素化C1-6アルキル基及びヒドロキシC1-6アルキル基から選ばれ、
mは0又は1であり、
nは4~8で、nは小数又は整数であり、
Pcは、抗体又はその抗原結合断片であり、
また、前記抗体薬物複合体の薬物負荷量分布は、抗体重鎖グループにおいて、4つの薬物と結合する抗体重鎖の割合が4%以下であると共に、薬物と結合しない抗体重鎖の割合が5%以下であり、
好ましくは、前記抗体薬物複合体の薬物負荷量分布は、抗体重鎖グループにおいて、4つの薬物と結合する抗体重鎖の割合が4%以下であると共に、薬物と結合しない抗体重鎖の割合が5%以下であり、及び抗体軽鎖グループにおいて、1つの薬物と結合する抗体軽鎖の割合が65%以上である、
抗体薬物複合体又はその薬学的に許容される塩。
【請求項14】
抗体薬物複合体又はその薬学的に許容される塩であって、前記抗体薬物複合体は、請求項1~9の何れか一項に記載の抗体薬物複合体の調製方法により調製されて得られ、且つ、前記抗体薬物複合体の薬物負荷量分布は、抗体重鎖グループにおいて、4つの薬物と結合する抗体重鎖の割合が4%以下であると共に、薬物と結合しない抗体重鎖の割合が5%以下であり、
好ましくは、前記抗体薬物複合体の薬物負荷量分布は、抗体重鎖グループにおいて、4つの薬物と結合する抗体重鎖の割合が4%以下であると共に、薬物と結合しない抗体重鎖の割合が5%以下であり、及び抗体軽鎖グループにおいて、1つの薬物と結合する抗体軽鎖の割合が65%以上である、
抗体薬物複合体又はその薬学的に許容される塩。
【請求項15】
抗体薬物複合体又はその薬学的に許容される塩であって、前記抗体薬物複合体は、下記の式、即ち、
【化9】
で示される構造を有し、
そのうち、nは4~8で、nは小数又は整数であり、
前記抗体薬物複合体は、請求項11又は12に記載の抗体薬物複合体の調製方法により調製されて得られ、且つ、前記抗体薬物複合体の薬物負荷量分布は、抗体重鎖グループにおいて、4つの薬物と結合する抗体重鎖の割合が4%以下であると共に、薬物と結合しない抗体重鎖の割合が5%以下であり、
好ましくは、前記抗体薬物複合体の薬物負荷量分布は、抗体重鎖グループにおいて、4つの薬物と結合する抗体重鎖の割合が4%以下であると共に、薬物と結合しない抗体重鎖の割合が5%以下であり、及び抗体軽鎖グループにおいて、1つの薬物と結合する抗体軽鎖の割合が65%以上である、
抗体薬物複合体又はその薬学的に許容される塩。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、抗体薬物複合体の調製方法に関し、特に、抗体薬物複合体の調製方法の合成工程及び精製工程に関する。
【背景技術】
【0002】
ここでの記載は、必ずしも従来技術を構成するものではなく、本開示に関連する背景情報のみを提供する。
【0003】
化学療法は依然として、手術、放射線療法、及び標的治療法を含む最も重要な抗がん手段の一つである。有効性の高い細胞毒性薬剤の種類が多いが、腫瘍細胞と正常細胞との間に差異が小さく、毒性や副作用があるため、これらの抗腫瘍化合物の幅広い臨床適用が制限されている。しかし、抗腫瘍モノクローナル抗体は腫瘍細胞の表面抗原に特異性を有するため、抗体薬物は抗腫瘍治療法の最先端の医薬品となっているが、抗体を抗腫瘍薬として単独で使用する場合に、治療効果が不十分であることはよくある。
【0004】
抗体薬物複合体(antibody drug conjugate、ADC)は、モノクローナル抗体又は抗体断片を、安定した化学リンカー化合物により生物活性を有する細胞毒性薬剤に連結し、抗体の正常細胞と腫瘍細胞の表面抗原への結合の特異性及び細胞毒性薬剤の高い有効性を活用していると共に、前者の治療効果が比較的低い、及び後者の毒性や副作用が大きすぎるといった欠陥を回避している。これはつまり、従来の化学療法薬と比べ、抗体薬物複合体が腫瘍細胞と正確に結合すると共に、正常細胞への影響を低減することができることを意味する(Mullard A, (2013) Nature Reviews Drug Discovery, 12:329-332;DiJoseph JF, Armellino DC, (2004) Blood, 103:1807-1814)。
【0005】
2000年に、最初の抗体薬物複合体であるMylotarg(ゲムツズマブオゾガマイシン(gemtuzumab ozogamicin)、ワイス製薬株式会社)は、急性骨髄性白血病の治療に用いられるように、アメリカFDAにより発売が承認された(Drugs of the Future (2000) 25(7):686;US4970198;US 5079233;US 5585089;US 5606040;US 5693762;US 5739116;US 5767285;US 5773001)。
【0006】
2011年8月に、Adcetris(R)(brentuximab vedotin、Seagen社)は、ホジキンリンパ腫及び再発性未分化大細胞リンパ腫の治療に用いられるように、アメリカFDAの迅速審査で承認された(Nat. Biotechnol (2003) 21(7):778-784;WO2004010957;WO2005001038;US7090843;US7659241;WO2008025020)。Adcetris(R)は、新規のADC薬剤であり、薬剤をリンパ腫細胞での標的CD30に直接作用させた後にエンドサイトーシスを発生させることで、腫瘍細胞のアポトーシスを誘発することができる。
【0007】
Mylotarg及びAdcetrisは何れも、血液系腫瘍に対して標的治療を行うものであり、血液系腫瘍は固形腫瘍と比べて、組織の構造がより簡単である。2013年2月、Kadcyla(ado-trastuzumab emtansine、T-DM1)は、HER2陽性であると共にトラスツズマブ(Trastuzumab、商品名:Herceptin)及びタキソールに対して薬剤耐性がある進行性又は転移性乳がん患者(WO2005037992、US8088387)の治療に用いられるように、アメリカFDAにより承認された。Kadcylaは、アメリカFDAにより承認された、固形腫瘍を治療する最初のADC薬剤である。
【0008】
抗体薬物複合体に用いられる細胞毒性を有する小分子は、幾つかの種類があるが、そのうちの一つは、トポイソメラーゼIを阻害することにより抗腫瘍作用を有するカンプトセシン誘導体である。カンプトセシン誘導体であるエキサテカン(化学名:(1S,9S)-1-アミノ-9-エチル-5-フルオロ-2,3-ジヒドロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3,4:6,7]イミダゾ[1,2-b]キノリン-10,13(9H,15H)-ジオン)を抗体薬物複合体(ADC)に適用することを報告した文献には、WO2014057687、Clinical Cancer Research(2016)22(20):5097-5108、Cancer Sci(2016) 107:1039-1046がある。しかし、治療効果がより良いADC薬剤のさらなる開発は依然として必要である。
【発明の概要】
【0009】
本開示は、抗体薬物複合体の調製方法を提供し、上記抗体薬物複合体の構造は一般式(Pc-L-Y-D)、即ち、
【化1】
で示され、
そのうち、
Wは、C1-8アルキル基、C1-8アルキル-C3-7シクロアルキル基又は1~8個の原子の直鎖ヘテロアルキル基から選ばれ、上記直鎖ヘテロアルキル基は、N、O及びSから選ばれる1~3個のヘテロ原子を含み、そのうち、上記C1-8アルキル基、C3-7シクロアルキル基及び直鎖ヘテロアルキル基は、それぞれ独立的に任意選択的に更にハロゲン、ヒドロキシ基、シアノ基、アミノ基、C1-6アルキル基、クロロC1-6アルキル基、重水素化C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基及びC3-7シクロアルキル基から選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、
は-NR(CHCHO)pCHCHC(O)-、-NR(CHCHO)pCHC(O)-、-S(CH)pC(O)-及び化学結合から選ばれ、そのうち、pは1~20の整数であり、
は、2~7個のアミノ酸残基からなるペプチド残基であり、そのうち、上記アミノ酸残基はフェニルアラニン(F)、グリシン(G)、バリン(V)、リジン(K)、シトルリン、セリン(S)、グルタミン酸(Q)及びアスパラギン酸(D)から選ばれるアミノ酸から形成されるアミノ酸残基であり、且つ任意選択的に更にハロゲン、ヒドロキシ基、シアノ基、アミノ基、C1-6アルキル基、クロロC1-6アルキル基、重水素化C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基及びC3-7シクロアルキル基から選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、
は、ハロゲン化C1-6アルキル基又はC3-7シクロアルキル基であり、
は、水素原子、ハロゲン化C1-6アルキル基及びC3-7シクロアルキル基から選ばれ、
或いは、RとRは、それらに連結された炭素原子と共にC3-7シクロアルキル基を形成し、
は水素原子、C1-6アルキル基、ハロゲン化C1-6アルキル基、重水素化C1-6アルキル基及びヒドロキシC1-6アルキル基から選ばれ、
とRは、相同又は相異であり、且つそれぞれ独立的に水素原子、ハロゲン、C1-6アルキル基、ハロゲン化C1-6アルキル基、重水素化C1-6アルキル基及びヒドロキシC1-6アルキル基から選ばれ、
mは0又は1であり、
nは3~8で、nは小数又は整数であり、
Pcは、抗体又はその抗原結合断片であり、
上記調製方法は、
約1℃~約36℃の反応温度の条件下で、抗体又はその抗原結合断片と還元剤とを反応させるステップ(a)と、
ステップ(a)の生成物と、下記の式(La-Y-D)、即ち、
【化2】
で示される化合物とを反応させるステップ(b)と、を含み、
そのうち、W、L、L、R、R、R、R、R及びmは上記に定義された通りである。
【0010】
別の態様において、本開示は、抗体薬物複合体の調製方法を提供し、上記抗体薬物複合体は、下記の式、即ち、
【化3】
で示される構造を有し、
そのうち、nは4~8で、nは小数又は整数であり、
上記調製方法は、
約1℃~約36℃の反応温度の条件下で、抗体又はその抗原結合断片と還元剤とを反応させるステップ(a)と、
ステップ(a)の生成物と、下記の式、即ち、
【化4】
で示される化合物とを反応させるステップ(b)と、を含む。
【0011】
選択的な実施形態において、ステップ(a)における上記反応温度条件は約4℃~約30℃、好ましくは約20℃~約30℃、より好ましくは25℃であり、非限定的な実施例は、約20℃、約21℃、約22℃、約23℃、約24℃、約25℃、約26℃、約27℃、約28℃、約29℃、約30℃を含む。幾つかの実施形態において、上記反応温度条件は13℃~28℃又は13℃~25℃である。
【0012】
選択的な実施形態において、ステップ(a)における反応はpHが約4.5~約6.5の条件下で行われ、好ましくは、上記反応はpHが約5.0~約6.0の条件下で行われ、より好ましくは、上記反応はpHが約5.6の条件下で行われる。非限定的な実施例において、反応は、pHが約4.5、約4.6、約4.7、約4.8、約4.9、約5.0、約5.1、約5.2、約5.3、約5.4、約5.5、約5.6、約5.7、約5.8、約5.9、又は約6.0で行われる。
【0013】
選択的な実施形態において、ステップ(a)における反応は緩衝剤において行われ、非限定的な実施例において、上記緩衝剤はヒスチジン塩緩衝剤、リン酸塩緩衝剤及び酢酸塩緩衝剤から選ばれる。
【0014】
選択的な実施形態において、ステップ(a)における反応は緩衝剤において行われ、非限定的な実施例において、上記緩衝剤はヒスチジン-塩酸緩衝剤である。
【0015】
選択的な実施形態において、上記緩衝剤は、EDTAを含むヒスチジン塩緩衝剤及びEDTAを含むヒスチジン-塩酸緩衝剤から選ばれる。例えば、上記ヒスチジン塩緩衝剤の濃度は1 mM~100 mM、10 mM~50 mM、20 mM、30 mM又は40 mMであり、EDTAの濃度は1 mM~10 mM、2 mM~5 mM、2.5 mM、3 mM又は4 mMである。幾つかの実施形態において、上記緩衝剤は、10 mM~50 mMのヒスチジン塩緩衝剤及び1 mM~10 mMのEDTAを含む。幾つかの実施形態において、上記緩衝剤は、20mMのヒスチジン-塩酸緩衝剤及び2.5 mMのEDTAを含む。EDTAはエチレンジアミン四酢酸を指す。
【0016】
選択的な実施形態において、ステップ(a)における上記還元剤は、トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)又はその塩、1,4-ジチオトレイトール(DTT)及びβ-メルカプトエタノール(β-ME)などの好適な還元剤から選ばれ、好ましくはTCEP又はその塩、より好ましくはトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩である。
【0017】
選択的な実施形態において、ステップ(a)における還元剤と抗体又はその抗原結合断片(Pc)とのモル比は、2~10:1、2.6~7:1、2.9~3.7:1、3.2~3.4:1又は3.3:1である。
【0018】
選択的な実施形態において、ステップ(b)は有機溶剤において行われ、好ましい有機溶剤は、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、アセトニトリル又はその混合物を含む。非限定的な実施例において、ステップ(b)は、式(La-Y-D)で示される化合物をDMSOに溶解し、ステップ(a)の生成物を式(La-Y-D)で示される化合物のDMSO溶液と混合することを含む。
【0019】
選択的な実施形態において、上記調製方法は、ステップ(b)の生成物を精製することを含むステップ(c)を更に含む。上記精製は、カチオンカラムクロマトグラフィー又は親和性カラムクロマトグラフィーにより精製することができ、上記カチオンクロマトグラフィーの充填材は、Capto S Impact及びPoros XSから選ばれ、好ましくはCapto S Impactである。幾つかの実施形態において、上記Capto S Impactは、CaptoTM S Impactである。幾つかの実施形態において、上記Poros XSは、PorosTM XSである。
【0020】
選択的な実施形態において、薬物負荷量(n)の範囲としては、それぞれの抗体又はその抗原結合断片(Pc)が3~8個、4~8個、5~7個、好ましくは5.3~6.1個、より好ましくは5.7個の細胞毒性薬剤と結合してもよい。nは小数又は整数である。幾つかの実施形態において、nは5.3、5.4、5.5、5.6又は5.7である。
【0021】
選択的な実施形態において、上記抗体薬物複合体の薬物負荷量分布は、抗体重鎖グループにおいて、4つの薬物と結合する抗体重鎖の割合が4%以下であり、好ましくは、4つの薬物と結合する抗体重鎖の割合が4%以下であると共に、薬物と結合しない抗体重鎖の割合が6%以下である。非限定的な実施例において、4つの薬物と結合する抗体重鎖の割合は4%以下、3%以下、2%以下又は1%以下で、薬物と結合しない抗体重鎖の割合は6%以下、5%以下、4%以下、3%以下、2%以下又は1%以下である。又は、抗体軽鎖グループにおいて、1つの薬物と結合する抗体軽鎖の割合は65%以上、66%以上、67%以上、68%以上、69%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上又は95%以上である。幾つかの実施形態において、上記抗体薬物複合体の薬物負荷量分布は、抗体重鎖グループにおいて、4つの薬物と結合する抗体重鎖の割合が4%以下であると共に、薬物と結合しない抗体重鎖の割合が5%以下である。幾つかの実施形態において、上記抗体薬物複合体の薬物負荷量分布は、抗体重鎖グループにおいて、4つの薬物と結合する抗体重鎖の割合が1%以下であると共に、薬物と結合しない抗体重鎖の割合が4%以下である。幾つかの実施形態において、上記抗体薬物複合体の薬物負荷量分布は、抗体重鎖グループにおいて、4つの薬物と結合する抗体重鎖の割合が4%以下であると共に、薬物と結合しない抗体重鎖の割合が5%以下であり、及び抗体軽鎖グループにおいて、1つの薬物と結合する抗体軽鎖の割合が65%以上である。幾つかの実施形態において、上記抗体薬物複合体の薬物負荷量分布は、抗体重鎖グループにおいて、4つの薬物と結合する抗体重鎖の割合が1%以下であると共に、薬物と結合しない抗体重鎖の割合が4%以下であり、及び抗体軽鎖グループにおいて、1つの薬物と結合する抗体軽鎖の割合が70%以上である。幾つかの実施形態において、上記抗体重鎖の割合及び/又は抗体軽鎖の割合は、逆相クロマトグラフィーにより測定される。
【0022】
選択的な実施形態において、上記調製方法は、大量調製に適用される。上記調製方法のトラスツズマブの投与量は100 mg以上、好ましくは1 g以上、より好ましくは10 g以上、最も好ましくは100 g以上である。
【0023】
選択的な実施形態において、上記抗体薬物複合体は、一般式(Pc-L-Y-D)、即ち、
【化5】
で示される構造を有し、
そのうち、
は、2~8の整数であり、
Pc、R、R、R、R、R、m及びnは上記に定義された通りであり、
上記調製方法は、
約1℃~約36℃の反応温度の条件下で、抗体又はその抗原結合断片と還元剤とを反応させるステップ(a)と、
ステップ(a)の生成物と、下記の式(L-Y-D)、即ち、
【化6】
で示される化合物とを反応させるステップ(b)と、を含み、
そのうち、s、R、R、R、R、R及びmは上記に定義された通りである。
【0024】
選択的な実施形態において、上記抗体薬物複合体は、下記の構造、即ち、
【表1-1】

【表1-2】

【表1-3】

を有し、
そのうち、Pcとnは、一般式(Pc-La-Y-D)に定義された通りである。
【0025】
選択的な実施形態において、上記Pcは、抗体又はその抗原結合断片であり、上記抗体はキメラ抗体、ヒト化抗体及び完全ヒト抗体から選ばれる。幾つかの実施形態において、上記抗体はモノクローナル抗体である。
【0026】
選択的な実施形態において、上記抗体又はその抗原結合断片は、抗HER2(ErbB2)抗体、抗EGFR抗体、抗B7-H3抗体、抗c-Met抗体、抗HER3(ErbB3)抗体、抗HER4(ErbB4)抗体、抗CD20抗体、抗CD22抗体、抗CD30抗体、抗CD33抗体、抗CD44抗体、抗CD56抗体、抗CD70抗体、抗CD73抗体、抗CD105抗体、抗CEA抗体、抗A33抗体、抗Cripto抗体、抗EphA2抗体、抗G250抗体、抗MUCl抗体、抗Lewis Y抗体、抗VEGFR抗体、抗GPNMB抗体、抗Integrin抗体、抗PSMA抗体、抗Tenascin-C抗体、抗SLC44A4抗体及び抗Mesothelin抗体、又はその抗原結合断片から選ばれ、
好ましくは、上記抗体又はその抗原結合断片は、トラスツズマブ(Trastuzumab)、ペルツズマブ(Pertuzumab)、ニモツズマブ(Nimotuzumab)、Enoblituzumab、Emibetuzumab、Inotuzumab、Pinatuzumab、ブレントキシマブ(Brentuximab)、ゲムツズマブ(Gemtuzumab)、Bivatuzumab、Lorvotuzumab、cBR96及びGlematumamab、又はその抗原結合断片から選ばれる。
【0027】
選択的な実施形態において、上記抗体複合体は、下記の式、即ち、
【化7】
で示される構造を有し、
そのうち、nは4~8で、nは小数又は整数である。
【0028】
別の態様において、本開示は、抗体薬物複合体の調製方法を提供し、上記抗体薬物複合体は、下記の式、即ち、
【化8】
で示される化合物とを反応させるステップ(b)と、
そのうち、nは4~8で、nは小数又は整数であり、
上記調製方法は、
反応温度が約4℃~約30℃、及びpHが約4.5~約6.5である条件下で、トラスツズマブ(Trastuzumab)とTCEPとを反応させるステップ(a)と、
ステップ(a)の生成物と、下記の式、即ち、
【化9】
で示される化合物とを反応させるステップ(b)と、を含む。
【0029】
選択的な実施形態において、上記抗体薬物複合体は、下記の式、即ち、
【化10】
で示される構造を有し、
そのうち、nは4~8で、nは小数又は整数であり、
上記調製方法は、
反応温度が約25℃、及びpHが約5.6である条件下で、TrastuzumabとTCEPとを反応させ、上記反応がEDTAを含むヒスチジン-塩酸緩衝剤において行われるステップ(a)と、
ステップ(a)の生成物と、下記の式、即ち、
【化11】
で示される化合物とを反応させるステップ(b)と、
ステップ(b)の生成物をカチオンクロマトグラフィーカラム又は親和性クロマトグラフィーカラムにより精製することを含むステップ(c)と、を含む。幾つかの実施形態において、上記EDTAを含むヒスチジン-塩酸緩衝剤は、20 mMのヒスチジン-塩酸緩衝剤及び2.5 mMのEDTAを含む。
【0030】
本開示は、抗体薬物複合体又はその薬学的に許容される塩を更に提供し、上記抗体薬物複合体の構造は、一般式(Pc-L-Y-D)、即ち、
【化12】
で示され、
そのうち、
Wは、C1-8アルキル基、C1-8アルキル-C3-7シクロアルキル基又は1~8個の原子の直鎖ヘテロアルキル基から選ばれ、上記直鎖ヘテロアルキル基は、N、O及びSから選ばれる1~3個のヘテロ原子を含み、そのうち、上記C1-8アルキル基、C3-7シクロアルキル基及び直鎖ヘテロアルキル基は、それぞれ独立的に任意選択的に更にハロゲン、ヒドロキシ基、シアノ基、アミノ基、C1-6アルキル基、クロロC1-6アルキル基、重水素化C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基及びC3-7シクロアルキル基から選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、
は-NR(CHCHO)pCHCHC(O)-、-NR(CHCHO)pCHC(O)-、-S(CH)pC(O)-及び化学結合から選ばれ、そのうち、pは1~20の整数であり、
は、2~7個のアミノ酸残基からなるペプチド残基であり、そのうち、上記アミノ酸残基はフェニルアラニン(F)、グリシン(G)、バリン(V)、リジン(K)、シトルリン、セリン(S)、グルタミン酸(Q)及びアスパラギン酸(D)から選ばれるアミノ酸から形成されるアミノ酸残基であり、且つ任意選択的に更にハロゲン、ヒドロキシ基、シアノ基、アミノ基、C1-6アルキル基、クロロC1-6アルキル基、重水素化C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基及びC3-7シクロアルキル基から選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、
は、ハロゲン化C1-6アルキル基又はC3-7シクロアルキル基であり、
は、水素原子、ハロゲン化C1-6アルキル基及びC3-7シクロアルキル基から選ばれ、
或いは、RとRは、それらに連結された炭素原子と共にC3-7シクロアルキル基を形成し、
は水素原子、C1-6アルキル基、ハロゲン化C1-6アルキル基、重水素化C1-6アルキル基及びヒドロキシC1-6アルキル基から選ばれ、
とRは、相同又は相異であり、且つそれぞれ独立的に水素原子、ハロゲン、C1-6アルキル基、ハロゲン化C1-6アルキル基、重水素化C1-6アルキル基及びヒドロキシC1-6アルキル基から選ばれ、
mは0又は1であり、
nは4~8で、nは小数又は整数であり、
Pcは、抗体又はその抗原結合断片であり、
上記抗体薬物複合体の薬物負荷量分布は、抗体重鎖グループにおいて、4つの薬物と結合する抗体重鎖の割合が4%以下であり、好ましくは、4つの薬物と結合する抗体重鎖の割合が4%以下であると共に、薬物と結合しない抗体重鎖の割合が6%以下である。幾つかの実施形態において、上記抗体薬物複合体の薬物負荷量分布は、抗体重鎖グループにおいて、4つの薬物と結合する抗体重鎖の割合が4%以下であると共に、薬物と結合しない抗体重鎖の割合が5%以下である。幾つかの実施形態において、上記抗体薬物複合体の薬物負荷量分布は、抗体重鎖グループにおいて、4つの薬物と結合する抗体重鎖の割合が1%以下であると共に、薬物と結合しない抗体重鎖の割合が4%以下である。幾つかの実施形態において、上記抗体薬物複合体の薬物負荷量分布は、抗体重鎖グループにおいて、4つの薬物と結合する抗体重鎖の割合が4%以下であると共に、薬物と結合しない抗体重鎖の割合が5%以下であり、及び抗体軽鎖グループにおいて、1つの薬物と結合する抗体軽鎖の割合が65%以上である。幾つかの実施形態において、上記抗体薬物複合体の薬物負荷量分布は、抗体重鎖グループにおいて、4つの薬物と結合する抗体重鎖の割合が1%以下であると共に、薬物と結合しない抗体重鎖の割合が4%以下であり、及び抗体軽鎖グループにおいて、1つの薬物と結合する抗体軽鎖の割合が70%以上である。
【0031】
本開示は、抗体薬物複合体又はその薬学的に許容される塩を更に提供し、上記抗体薬物複合体は、上記の抗体薬物複合体の調製方法により調製されて得られ、且つ、上記抗体薬物複合体の薬物負荷量分布は、抗体重鎖グループにおいて、4つの薬物と結合する抗体重鎖の割合が4%以下であり、好ましくは、4つの薬物と結合する抗体重鎖の割合が4%以下であると共に、薬物と結合しない抗体重鎖の割合が6%以下である。幾つかの実施形態において、上記抗体薬物複合体の薬物負荷量分布は、抗体重鎖グループにおいて、4つの薬物と結合する抗体重鎖の割合が4%以下であると共に、薬物と結合しない抗体重鎖の割合が5%以下である。幾つかの実施形態において、上記抗体薬物複合体の薬物負荷量分布は、抗体重鎖グループにおいて、4つの薬物と結合する抗体重鎖の割合が1%以下であると共に、薬物と結合しない抗体重鎖の割合が4%以下である。幾つかの実施形態において、上記抗体薬物複合体の薬物負荷量分布は、抗体重鎖グループにおいて、4つの薬物と結合する抗体重鎖の割合が4%以下であると共に、薬物と結合しない抗体重鎖の割合が5%以下であり、及び抗体軽鎖グループにおいて、1つの薬物と結合する抗体軽鎖の割合が65%以上である。幾つかの実施形態において、上記抗体薬物複合体の薬物負荷量分布は、抗体重鎖グループにおいて、4つの薬物と結合する抗体重鎖の割合が1%以下であると共に、薬物と結合しない抗体重鎖の割合が4%以下であり、及び抗体軽鎖グループにおいて、1つの薬物と結合する抗体軽鎖の割合が70%以上である。
【0032】
本開示は、抗体薬物複合体又はその薬学的に許容される塩を更に提供し、上記抗体薬物複合体は、下記の式、即ち、
【化13】
で示される構造を有し、
そのうち、nは4~8で、nは小数又は整数であり、
上記抗体薬物複合体は、上記の抗体薬物複合体の調製方法により調製されて得られ、且つ、上記抗体薬物複合体の薬物負荷量分布は、抗体重鎖グループにおいて、4つの薬物と結合する抗体重鎖の割合が4%以下であり、好ましくは、4つの薬物と結合する抗体重鎖の割合が4%以下であると共に、薬物と結合しない抗体重鎖の割合が6%以下である。幾つかの実施形態において、上記抗体薬物複合体の薬物負荷量分布は、抗体重鎖グループにおいて、4つの薬物と結合する抗体重鎖の割合が4%以下であると共に、薬物と結合しない抗体重鎖の割合が5%以下である。幾つかの実施形態において、上記抗体薬物複合体の薬物負荷量分布は、抗体重鎖グループにおいて、4つの薬物と結合する抗体重鎖の割合が1%以下であると共に、薬物と結合しない抗体重鎖の割合が4%以下である。幾つかの実施形態において、上記抗体薬物複合体の薬物負荷量分布は、抗体重鎖グループにおいて、4つの薬物と結合する抗体重鎖の割合が4%以下であると共に、薬物と結合しない抗体重鎖の割合が5%以下であり、及び抗体軽鎖グループにおいて、1つの薬物と結合する抗体軽鎖の割合が65%以上である。幾つかの実施形態において、上記抗体薬物複合体の薬物負荷量分布は、抗体重鎖グループにおいて、4つの薬物と結合する抗体重鎖の割合が1%以下であると共に、薬物と結合しない抗体重鎖の割合が4%以下であり、及び抗体軽鎖グループにおいて、1つの薬物と結合する抗体軽鎖の割合が70%以上である。
発明の詳細
【0033】
本開示は、大量生産により有利な調製方法を提供する。具体的に、上記調製方法で得られる製品は、薬物負荷量分布がより狭く、遊離毒素の含有量がより低く、収率がより高い。
用語
【0034】
本開示が更に容易に理解されるように、以下、幾つかの技術・科学用語を具体的に定義する。本明細書で別途明示的に定義されていない限り、本明細書に使用される他の技術・科学用語の全ては、当業者に通常理解されている意味を持っている。
【0035】
本開示は、出願PCT/CN2019/107873における全ての内容を本願に取り込んでいる。
【0036】
「抗体薬物複合体(antibody drug conjugate、ADC)」は、抗体又は抗体断片を、安定した化学リンカー化合物により生物活性を有する細胞毒素又は殺細胞活性を有する小分子薬物に連結し、抗体による腫瘍細胞への特異性又は高発現抗原細胞との結合の特異性及び細胞毒素の高い有効性を活用し、正常細胞への毒性や副作用を回避する。従来の化学療法薬と比べ、抗体薬物複合体は、腫瘍細胞と正確に結合すると共に、正常細胞への影響を低減することができる。
【0037】
「緩衝剤」は、その酸-塩基共役成分の作用によりpHの変化に耐える緩衝剤を指す。pHを適当な範囲に制御する緩衝剤の例は、酢酸塩、コハク酸塩、グルコン酸塩、ヒスチジン塩、シュウ酸塩、乳酸塩、リン酸塩、枸櫞酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、グリシルグリシン及び他の有機酸緩衝剤を含む。
【0038】
「ヒスチジン塩緩衝剤」は、ヒスチジンイオンを含む緩衝剤である。ヒスチジン塩緩衝剤の実例は、ヒスチジン-塩酸、ヒスチジン-酢酸、ヒスチジン-リン酸、ヒスチジン-硫酸などの緩衝剤を含み、好ましくはヒスチジン-塩酸緩衝剤であり、ヒスチジン-酢酸緩衝剤は、ヒスチジンと酢酸により調製されたもので、ヒスチジン塩酸緩衝剤は、ヒスチジンと塩酸又はヒスチジンとヒスチジンの塩酸塩により調製されたものである。
【0039】
「リン酸塩緩衝剤」は、リン酸イオンを含む緩衝剤である。リン酸塩緩衝剤の実例は、リン酸水素二ナトリウム-リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム-リン酸二水素カリウム、リン酸水素二ナトリウム-枸櫞酸などを含む。好ましいリン酸塩緩衝剤は、リン酸水素二ナトリウム-リン酸二水素ナトリウムである。
【0040】
「酢酸塩緩衝剤」は、酢酸イオンを含む緩衝剤である。酢酸塩緩衝剤の実例は、酢酸-酢酸ナトリウム、酢酸-ヒスチジン塩、酢酸-酢酸カリウム、酢酸-酢酸カルシウム、酢酸-酢酸マグネシウムなどを含む。好ましい酢酸塩緩衝剤は、酢酸-酢酸ナトリウムである。
【0041】
本明細書に使用される「約」、「ほぼ」という用語は、数値が当業者により測定された具体値の許容可能な誤差範囲にあることを意味し、上記数値部分が如何に計測又は測定するか(即ち、計測システムの限度)に依存する。例えば、この分野の各回の実行において「約」は、1以内又は1を超えた標準偏差を意味してもよい。又は、「約」又は「基本的に含む」は、多くとも20%の範囲を意味してもよい。更に、特に生物学的システム又は過程について、当該用語は、多くとも1桁又は数値の多くとも5倍を意味してもよい。特に説明しない限り、具体値が本願及び請求項に現れる場合、「約」又は「基本的に含む」の意味は、当該具体値の許容可能な誤差範囲内にあると仮定すべきである。
【0042】
本開示に用いられるアミノ酸の3文字コードと1文字コードは、J. biol. chem、243、p3558(1968)に記載された通りである。
【0043】
本開示に記載される「抗体」は免疫グロブリンを指し、完全抗体は2本の同じ重鎖と2本の同じ軽鎖が鎖間ジスルフィド結合により連結されてなるテトラペプチド鎖構造である。免疫グロブリンは、重鎖定常領域のアミノ酸組成と配列順序が異なるので、その抗原性も異なる。これにより、免疫グロブリンは、5種類に分けることができ、又は、IgM、IgD、IgG、IgA及びIgEという免疫グロブリンのアイソタイプと呼ばれ、その対応する重鎖はそれぞれμ鎖、δ鎖、γ鎖、α鎖及びε鎖である。同一種類のIgは、そのヒンジ領域のアミノ酸組成及び重鎖ジスルフィド結合の数と位置の差によって、更に異なるサブクラスに分けることができ、例えば、IgGは、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4に分けられてもよい。軽鎖は、定常領域によって、κ鎖又はλ鎖に分けられる。5種類のIgのそれぞれは、κ鎖又はλ鎖を有してもよい。本開示に記載される抗体は、標的細胞における細胞表面抗原に対する特異性抗体が好ましく、非限定的な実施例としては、抗HER2(ErbB2)抗体、抗EGFR抗体、抗B7-H3抗体、抗c-Met抗体、抗HER3(ErbB3)抗体、抗HER4(ErbB4)抗体、抗CD20抗体、抗CD22抗体、抗CD30抗体、抗CD33抗体、抗CD44抗体、抗CD56抗体、抗CD70抗体、抗CD73抗体、抗CD105抗体、抗CEA抗体、抗A33抗体、抗Cripto抗体、抗EphA2抗体、抗G250抗体、抗MUCl抗体、抗Lewis Y抗体、抗VEGFR抗体、抗GPNMB抗体、抗Integrin抗体、抗PSMA抗体、抗Tenascin-C抗体、抗SLC44A4抗体又は抗Mesothelin抗体のうちの1つ又は複数であり、好ましくはトラスツズマブ(トラスツズマブ、商品名:Herceptin)、ペルツズマブ(ペルツズマブで、2C4とも呼ばれ、商品名:Perjeta)、ニモツズマブ(ニモツズマブ、商品名:泰欣生)、Enoblituzumab、Emibetuzumab、Inotuzumab、Pinatuzumab、ブレントキシマブ、ゲムツズマブ、Bivatuzumab、Lorvotuzumab、cBR96及びGlematumamabである。
【0044】
抗体重鎖及び軽鎖は、N末端に近い約110個のアミノ酸の配列の変化が大きくて、可変領域(Fv領域)となり、C末端に近い残りのアミノ酸配列が比較的に安定的で、定常領域となる。可変領域は、3つの超可変領域(HVR)と、4つの配列が比較的に保存的な骨格領域(FR)とを含む。3つの超可変領域は、抗体の特異性を決定し、相補性決定領域(CDR)とも称される。それぞれの軽鎖可変領域(LCVR)及び重鎖可変領域(HCVR)は、3つのCDR領域と、4つのFR領域とからなり、アミノ基末端からカルボキシ基末端へ、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4の順に配列されている。軽鎖の3つのCDR領域は、LCDR1、LCDR2及びLCDR3であり、重鎖の3つのCDR領域は、HCDR1、HCDR2及びHCDR3である。本開示に記載される抗体又は抗原結合断片のLCVR領域及びHCVR領域のCDRアミノ基酸残基は、数量と位置において既知のKabat番号付け規則(LCDR1-3、HCDR1-3)に合致する。
【0045】
本開示において、本開示に記載される抗体軽鎖は、軽鎖定常領域を更に含んでもよく、上記軽鎖定常領域はヒト又はマウスのκ、λ鎖又はその変異体を含む。
【0046】
本開示において、本開示に記載される抗体重鎖は、重鎖定常領域を更に含んでもよく、上記重鎖定常領域はヒト又はマウスのIgG1、IgG2、IgG3、IgG4又はその変異体を含む。
【0047】
本開示の抗体は、マウス抗体、キメラ抗体及びヒト化抗体を含み、好ましくはヒト化抗体である。
【0048】
「マウス抗体」という用語は、本開示において、この分野の知識と技術によってマウスを用いて調製した抗体である。調製時に特定の抗原を試験対象に注射した後、所望の配列又は機能特性を有する抗体を発現したハイブリドーマを分離する。
【0049】
「キメラ抗体(chimeric antibody)」という用語は、マウス抗体の可変領域をヒト抗体の定常領域と融合してなる抗体であり、マウス抗体により誘発される免疫応答反応を低減することができる。キメラ抗体を作成するには、まず、マウス特異的モノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマを作成し、そしてマウスハイブリドーマ細胞から可変領域遺伝子をクローニングし、更に、必要に応じてヒト抗体の定常領域遺伝子をクローニングし、マウス可変領域遺伝子とヒト定常領域遺伝子とをキメラ遺伝子になるように連結した後、ヒトベクターに挿入し、最後に真核細胞系又は原核細胞系においてキメラ抗体分子を発現する。
【0050】
「ヒト化抗体(humanized antibody)」という用語は、CDR移植抗体(CDR-grafted antibody)とも呼ばれ、マウスのCDR配列をヒトの抗体可変領域フレームワーク、即ち、異なる種類のヒト生殖細胞系の抗体フレームワーク配列に移植して発生された抗体を指す。キメラ抗体が大量のマウスタンパク質成分をもつことにより誘導された強い異種反応性を克服することができる。このようなフレームワーク配列は、生殖細胞系抗体遺伝子配列を含む共通DNAデータベース又は開示された参考文献から取得することができる。例えば、ヒト重鎖及び軽鎖可変領域遺伝子の生殖細胞系DNA配列は、「VBase」ヒト生殖細胞系配列データベースにおいて、及びKabat、E.A. et al.、1991 Sequences of Proteins of Immunological Interest、5th editionにおいて見出すことができる。免疫原性の低下に伴う活性の低下を回避するために、上記ヒト抗体可変領域フレームワーク配列に対して最も少ない逆変異又は復帰変異を行うことにより、活性を保つことができる。本開示のヒト化抗体は、更にファージで提示される、CDRに対して親和性成熟を行ったヒト化抗体も含む。
【0051】
「裸の抗体」という用語は、異種モジュール(例えば、細胞毒性モジュール)又は放射性マーカーと抱合していない抗体を指す。
【0052】
本開示に記載される「抗体の抗原結合断片」は、抗原結合活性を有するFab断片、Fab’断片、F(ab’)断片、及び抗原と結合するFv断片、scFv断片を指してもよい。Fv断片は、抗体重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含むが、定常領域がなく、全ての抗原結合部位の最小抗体断片を有する。一般的に、Fv抗体は、VHとVLドメインとの間のポリペプチドリンカーを更に含み、抗原の結合に必要な構造を形成することができる。異なるリンカーにより2つの抗体可変領域を単鎖抗体(single chain antibody)又は単鎖Fv(sFv)と呼ばれる1本のポリペプチド鎖になるように連結してもよい。
【0053】
本開示の「抗原結合部位」という用語は、抗原における連続又は不連続の、本開示の抗体又は抗原結合断片で認識される3次元空間部位を指す。
【0054】
本開示に記載される「ADCC」、即ち、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(antibody-dependent cell-mediated cytotoxicity)は、Fc受容体を発現した細胞が抗体のFc部分を認識することで抗体で被覆された標的細胞を直接殺傷することを指す。IgGにおけるFc部分に対する修飾により、抗体のADCCエフェクター機能を低減又は解消することができる。上記修飾は、抗体の重鎖定常領域において、IgG1のN297A、L234A、L235A、IgG2/4キメラ、IgG4のF234A/L235A変異から選ばれる変異を行うことを指す。
【0055】
本開示に記載される変異序列における「変異」は、「復帰変異」、「保存的修飾」又は「保存的置換又は置換」を含むが、これらに限定されない。本開示に記載される「保存的修飾」又は「保存的置換又は置換」は、類似の特徴(例えば、電荷、側鎖の大きさ、疎水性/親水性、主鎖の立体配座や剛性など)を有する他のアミノ酸でタンパク質中のアミノ酸を置換することで、タンパク質の生物学的活性を変えずに頻繁に変化可能にすることを意味する。当業者は、一般的に、ポリペプチドの非必須領域中の単一のアミノ酸置換が基本的に生物学的活性を変えないと分かっている(例えば、Watson et al.(1987)Molecular Biology of the Gene、The Benjamin/Cummings Pub.Co.、p224、(4th edition)を参照)。また、構造又は機能が類似したアミノ酸の置換は、生物学的活性を破壊する可能性が低い。
【0056】
本開示に記載される「変異配列」は、本開示のヌクレオチド配列及び/又はアミノ酸配列に対して適当な置換、挿入や欠失などの変異修飾を行った場合に、得られた本開示のヌクレオチド配列及び/又はアミノ酸配列と異なる百分率の配列同一性程度を有するヌクレオチド配列及び/又はアミノ酸配列を指す。本開示に記載される配列同一性は、少なくとも85%、90%又は95%であってもよく、好ましくは少なくとも95%である。非限定的な実施例は、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%を含む。2つの配列同士の配列比較及び同一性の百分率測定は、National Center For Biotechnology Instituteのホームページから取得可能なBLASTN/BLASTPアルゴリズムのデフォルト設定により行うことができる。
【0057】
「リンカーユニット」又は「連結断片」又は「連結ユニット」という用語は、一端が抗体又はその抗原結合断片に連結され、他端が薬物に連結された化学構造断片又は結合を指し、他のリンカーに連結された後、抗体又は薬物に連結されてもよい。
【0058】
リンカーは、伸長体、スペーサー及びアミノ酸ユニットを含み、例えば、US2005-0238649A1に記載された方法のようなこの分野での既知の方法により合成することができる。リンカーは、細胞で薬物を放出しやすくする「切断可能リンカー」であってもよい。例えば、酸不安定性リンカー(例えば、ヒドラゾン)、プロテアーゼ感受性(例えば、ペプチダーゼ感受性)リンカー、光不安定性リンカー、ジメチルリンカー、又はジスルフィド含有リンカー(Chari et al.、Cancer Research 52:127-131(1992)、米国特許No.5,208,020)を使用してもよい。
【0059】
本開示の工学的な抗体又は抗原結合断片は、通常の方法により調製・精製することができる。例えば、重鎖及び軽鎖をコードするcDNA配列は、クローンニングしてGS発現ベクターに組換えることができる。組換えた免疫グロブリン発現ベクターは、CHO細胞を安定してトランスフェクションすることができる。更に好ましい従来技術の一つとして、哺乳動物発現系は、特にFc領域の高度に保存的なN末端部位において、抗体のグリコシル化を引き起こすことになる。陽性クローンは、バイオリアクターの無血清培地において培養を拡大することで、抗体を産生する。抗体を分泌した培養液は、通常の技術により精製することができる。例えば、調整された緩衝液を含むA又はG Sepharose FFカラムで精製を行う。非特異的に結合した成分を洗い流す。更に、pH勾配法により結合した抗体を溶離し、SDS-PAGEで抗体断片を検出し、収集する。抗体は、通常の方法によりろ過濃縮することができる。可溶性の混合物及び多量体は、分子ふるい、イオン交換などの通常の方法により除去されてもよい。得られた生成物は、直ちに例えば、-70℃で冷凍し、又は凍結乾燥しなければならない。
【0060】
「アルキル基」という用語は1~20個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖基である飽和脂肪族炭化水素基を指し、好ましくは1~12個の炭素原子を含むアルキル基、より好ましくは1~10個の炭素原子を含むアルキル基、最も好ましくは1~6個の炭素原子を含むアルキル基である。その非限定的な実例は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、sec-ブチル基、n-ペンチル基、1,1-ジメチルプロピル基、1,2-ジメチルプロピル基、2,2-ジメチルプロピル基、1-エチルプロピル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基、n-ヘキシル基、1-エチル-2-メチルプロピル基、1,1,2-トリメチルプロピル基、1,1-ジメチルブチル基、1,2-ジメチルブチル基、2,2-ジメチルブチル基、1,3-ジメチルブチル基、2-エチルブチル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、4-メチルペンチル基、2,3-ジメチルブチル基、n-ヘプチル基、2-メチルヘキシル基、3-メチルヘキシル基、4-メチルヘキシル基、5-メチルヘキシル基、2,3-ジメチルペンチル基、2,4-ジメチルペンチル基、2,2-ジメチルペンチル基、3,3-ジメチルペンチル基、2-エチルペンチル基、3-エチルペンチル基、n-オクチル基、2,3-ジメチルヘキシル基、2,4-ジメチルヘキシル基、2,5-ジメチルヘキシル基、2,2-ジメチルヘキシル基、3,3-ジメチルヘキシル基、4,4-ジメチルヘキシル基、2-エチルヘキシル基、3-エチルヘキシル基、4-エチルヘキシル基、2-メチル-2-エチルペンチル基、2-メチル-3-エチルペンチル基、n-ノニル基、2-メチル-2-エチルヘキシル基、2-メチル-3-エチルヘキシル基、2,2-ジエチルペンチル基、n-デシル基、3,3-ジエチルヘキシル基、2,2-ジエチルヘキシル基、及びその種々の分岐鎖異性体などを含む。より好ましくは、1~6個の炭素原子を含む低級アルキル基であり、その非限定的な実施例は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、sec-ブチル基、n-ペンチル基、1,1-ジメチルプロピル基、1,2-ジメチルプロピル基、2,2-ジメチルプロピル基、1-エチルプロピル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基、n-ヘキシル基、1-エチル-2-メチルプロピル基、1,1,2-トリメチルプロピル基、1,1-ジメチルブチル基、1,2-ジメチルブチル基、2,2-ジメチルブチル基、1,3-ジメチルブチル基、2-エチルブチル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、4-メチルペンチル基、2,3-ジメチルブチル基などを含む。アルキル基は、置換されても、置換されなくてもよく、置換される場合に、置換基は任意の利用可能な連結部位で置換されてもよく、上記置換基は、独立的に、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、ハロゲン、メルカプト基、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルコキシ基、ヘテロシクロアルコキシ基、シクロアルキルチオ基、ヘテロシクロアルキルチオ基及びオキソ基から選ばれる1つ又は複数の基であることが好ましい。
【0061】
「ヘテロアルキル基」という用語は、N、O及びSから選ばれる1つ又は複数のヘテロ原子を含むアルキル基であり、そのうち、アルキル基は、上記に定義された通りである。
【0062】
「アルキレン基」という用語は、親アルカンの同じ炭素原子又は2つの異なる炭素原子から2つの水素原子を除去して誘導した2つの残基を有する飽和の直鎖又は分岐鎖の脂肪族炭化水素基であり、1~20個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖基であり、好ましくは1~12個の炭素原子を含み、より好ましくは1~6個の炭素原子を含むアルキレン基である。アルキレン基の非限定的な実例は、メチレン(-CH-)、1,1-エチリデン(-CH(CH)-)、1,2-エチリデン(-CHCH)-、1,1-プロピリデン(-CH(CHCH)-)、1,2-プロピリデン(-CHCH(CH)-)、1,3-プロピリデン(-CHCHCH-)、1,4-ブチリデン(-CHCHCHCH-)及び1,5-ブチリデン(-CHCHCHCHCH-)などを含むが、これらに限定されない。アルキレン基は、置換されても、置換されなくてもよく、置換される場合に、置換基は任意の利用可能な連結部位で置換されてもよく、上記置換基は、独立的に、任意選択的にアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、ハロゲン、メルカプト基、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルコキシ基、ヘテロシクロアルコキシ基、シクロアルキルチオ基、ヘテロシクロアルキルチオ基及びオキソ基から選ばれる1つ又は複数の基で置換されることが好ましい。
【0063】
「アルコキシ基」という用語は、-O-(アルキル基)及び-O-(非置換のシクロアルキル基)であり、そのうち、アルキル基又はシクロアルキル基の定義は上記の通りである。アルコキシ基の非限定的な実例は、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、シクロプロポキシ基、シクロブトキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基を含む。アルコキシ基は、任意選択的に置換されても、置換されなくてもよく、置換される場合に、置換基は、独立的に、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、ハロゲン、メルカプト基、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルコキシ基、ヘテロシクロアルコキシ基、シクロアルキルチオ基、ヘテロシクロアルキルチオ基から選ばれる1つ又は複数の基であることが好ましい。
【0064】
「シクロアルキル基」という用語は、飽和又は部分的に不飽和の単環式又は多環式の環状炭化水素置換基を指し、シクロアルキル環は3~20個の炭素原子を含み、好ましくは3~12個の炭素原子を含み、より好ましくは3~10個の炭素原子を含み、最も好ましくは3~7個の炭素原子を含む。単環式シクロアルキル基の非限定的な実例は、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロペンテニル基、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基、シクロヘキサジエニル基、シクロヘプチル基、シクロヘプタトリエニル基、シクロオクチル基などを含み、多環式シクロアルキル基は、スピロ環、縮合環及び架橋環のシクロアルキル基を含む。
【0065】
「ヘテロシクリル基」という用語は、3~20個の環原子を含む飽和又は部分的に不飽和の単環式又は多環式環状炭化水素置換基を指し、そのうち、1つ又は複数の環原子は、窒素、酸素又はS(O)(そのうち、mは0~2の整数である)から選ばれるヘテロ原子であるが、-O-O-、-O-S-又は-S-S-の環部分を含まず、残りの環原子は炭素である。好ましくは3~12個の環原子を含み、そのうち、1~4個はヘテロ原子であり、より好ましいシクロアルキル基環は3~10個の環原子を含む。単環式ヘテロシクリル基の非限定的な実例は、ピロリジニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、モルホリニル基、チオモルホリニル基、ホモピペラジニル基などを含む。多環式ヘテロシクリル基は、スピロ環、縮合環及び架橋環のヘテロシクリル基を含む。
【0066】
「スピロヘテロシクリル基」という用語は、5~20員の単環同士が1つの原子(スピロ原子と称する)を共有する多環式ヘテロシクリル基を指し、そのうち、1つ又は複数の環原子は窒素、酸素又はS(O)(そのうち、mは0~2の整数である)から選ばれるヘテロ原子であり、残りの環原子は炭素である。それは、1つ又は複数の二重結合を含んでもよいが、完全に共役したπ電子系を有する環がない。好ましくは6~14員であり、より好ましくは7~10員である。スピロヘテロシクリル基は、環同士が共有するスピロ原子の数によって、モノスピロヘテロシクリル基、ビススピロヘテロシクリル基又はポリスピロヘテロシクリル基に分けられ、好ましくはモノスピロヘテロシクリル基及びビススピロヘテロシクリル基である。より好ましくは4員/4員、4員/5員、4員/6員、5員/5員又は5員/6員のモノスピロヘテロシクリル基である。スピロヘテロシクリル基の非限定的な実例は、
【化14】
を含む。
【0067】
「縮合ヘテロシクリル基」という用語は、5~20員で、系内の各環が系内の他の環と、隣接する1対の原子を共有する多環式ヘテロシクリル基であり、1つ又は複数の環は、1つ又は複数の二重結合を含んでもよいが、完全に共役したπ電子系を有する環は1つもなく、そのうち、1つ又は複数の環原子は、窒素、酸素、又はS(O)(そのうち、mは、0~2の整数である)から選ばれるヘテロ原子であり、残りの環原子は炭素である。好ましくは6~14員であり、より好ましくは7~10員である。構成する環の数によって、二環式、三環式、四環式又は多環式の縮合ヘテロシクリル基に分けることができ、好ましくは二環式又は三環式であり、より好ましくは5員/5員又は5員/6員の二環式縮合ヘテロシクリル基である。縮合ヘテロシクリル基の非限定的な実例は、
【化15】
を含む。
【0068】
「架橋ヘテロシクリル基」という用語は、5~14員で、任意の2つの環が2つの直接的に連結されていない原子を共有する多環式ヘテロシクリル基であり、1つ又は複数の二重結合を含んでもよいが、完全に共役したπ電子系を有する環は1つもなく、そのうち、1つ又は複数の環原子は窒素、酸素又はS(O)(そのうち、mは0~2の整数である)から選ばれるヘテロ原子であり、残りの環原子は炭素である。好ましくは6~14員であり、より好ましくは7~10員である。構成する環の数によって、二環式、三環式、四環式又は多環式の架橋ヘテロシクリル基に分けることができ、好ましくは、二環式、三環式又は四環式であり、より好ましくは、二環式又は三環式である。架橋ヘテロシクリル基の非限定的な実例は、
【化16】
を含む。
【0069】
上記ヘテロシクリル環は、アリール基、ヘテロアリール基又はシクロアルキル基環に縮合してもよく、そのうち、親構造に連結された環はヘテロシクリル基であり、その非限定的な実例は、
【化17】
などを含む。
【0070】
ヘテロシクリル基は、任意選択的に置換されても、置換されなくてもよく、置換される場合に、置換基は、独立的に、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、ハロゲン、メルカプト基、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルコキシ基、ヘテロシクロアルコキシ基、シクロアルキルチオ基、ヘテロシクロアルキルチオ基及びオキソ基から選ばれる1つ又は複数の基であることが好ましい。
【0071】
「アリール基」という用語は、共役したπ電子系を有する6~14員の全炭素単環式又は縮合多環式(即ち、隣接する炭素原子対を共有する環)基を指し、好ましくは6~10員であり、例えば、フェニル基とナフチル基であり、好ましくはフェニル基である。上記アリール環は、ヘテロアリール基、ヘテロシクリル基又はシクロアルキル基環に縮合してもよく、そのうち、親構造に連結された環はアリール環であり、その非限定的な実例は、
【化18】
を含む。
【0072】
アリール基は、置換されても、置換されなくてもよく、置換される場合に、置換基は、独立的に、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、ハロゲン、メルカプト基、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルコキシ基、ヘテロシクロアルコキシ基、シクロアルキルチオ基及びヘテロシクロアルキルチオ基から選ばれる1つ又は複数の基であることが好ましい。
【0073】
「ヘテロアリール基」という用語は、1~4個のヘテロ原子、5~14個の環原子を含むヘテロ芳香族系を指し、そのうち、ヘテロ原子は酸素、硫黄及び窒素から選ばれる。ヘテロアリール基は、5~10員であることが好ましく、5員又は6員であることがより好ましく、例えば、フラニル基、チエニル基、ピリジル基、ピロリル基、N-アルキルピロリル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、イミダゾリル基、テトラゾリル基などである。上記ヘテロアリール環は、アリール基、ヘテロシクリル基又はシクロアルキル基環に縮合してもよく、そのうち、親構造に連結された環はへテロアリール基環であり、その非限定的な実例は、
【化19】
を含む。
【0074】
ヘテロアリール基は、任意選択的に置換されても、置換されなくてもよく、置換される場合に、置換基は、独立的に、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、ハロゲン、メルカプト基、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルコキシ基、ヘテロシクロアルコキシ基、シクロアルキルチオ基及びヘテロシクロアルキルチオ基から選ばれる1つ又は複数の基であることが好ましい。
【0075】
「アミノ保護基」という用語は、分子の他の部位が反応する時に、アミノ基が変化されないように、除去され易い基でアミノ基を保護するものである。非限定的な実施例は、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル基、tert-ブトキシカルボニル基、アセチル基、ベンジル基、アリル基及びp-メトキシベンジル基などを含む。これらの基は、任意選択的にハロゲン、アルコキシ基又はニトロ基から選ばれる1~3個の置換基で置換可能である。上記アミノ保護基は、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル基が好ましい。
【0076】
「シクロアルキルアルキル基」という用語は、1つ又は複数のシクロアルキル基で置換され、好ましくは1つのシクロアルキル基で置換されたアルキル基を指し、そのうち、アルキル基は上記に定義された通りであり、そのうち、シクロアルキル基は、上記に定義された通りである。
【0077】
「ハロアルキル基」という用語は、1つ又は複数のハロゲンで置換されたアルキル基を指し、そのうち、アルキル基は上記に定義された通りである。
【0078】
「重水素化アルキル基」という用語は、1つ又は複数の重水素原子で置換されたアルキル基を指し、そのうち、アルキル基は上記に定義された通りである。
【0079】
「ヒドロキシ基」という用語は-OH基を指す。
【0080】
「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素を指す。
【0081】
「アミノ基」という用語は、-NHを指す。
【0082】
「ニトロ基」という用語は、-NOを指す。
【0083】
「シアノ基」という用語は、-CNを指す。
【0084】
「任意選択的」又は「任意選択的に」は、その後に記載されるイベントや環境が発生されてもよいが、必ずしもその必要がないことを意味し、この説明は、当該イベントや環境が発生され、又は発生されない場合を含む。例えば、「任意選択的に1~3個の抗体重鎖可変領域を含む」とは、特定の配列の抗体重鎖可変領域が存在してもよいが、必ずしもその必要がないことを意味する。
【0085】
「置換される」とは、基の中の1つ又は複数の水素原子、好ましくは5個以下、より好ましくは1~3個の水素原子が互いに独立的に対応する数の置換基で置換されることを意味する。無論、置換基は化学的に可能な部位にしか位置せず、当業者はそれほど努力せずに(実験又は理論により)可能又は不可能な置換を決定することができる。例えば、遊離水素を有するアミノ基又はヒドロキシ基は、不飽和(例えば、オレフィン)結合を有する炭素原子に結合する場合、不安定である可能性がある。
【0086】
「薬物担持量」又は「薬物負荷量」(DAR)という用語は、ADCにおけるそれぞれの抗体又はその抗原結合断片に負荷された細胞毒性薬剤の平均数量を指し、整数又は小数である薬物量と抗体量の比率として示されてもよい。本開示の実施形態において、薬物担持量はnで示され、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10の平均値であってもよい。UV/可視分光法、質量分析、ELISA試験及びHPLCのような通常の方法で、カップリング反応後の各ADC分子の薬物平均数量を同定することができる。
【0087】
「薬物負荷量分布」という用語は、抗体薬物複合体グループにおける、異なる数量の薬物と連結する抗体の分布状況、例えば、グループにおける0、2、4、6及び8個の薬物と連結する抗体の分布状況を指す。分解生成物が生成される可能性があるので、1、3、5及び7のDARが混合物に含まれる可能性もあると注意すべきである。本開示において、抗体薬物負荷量分布は、異なる数量の薬物と結合する抗体重鎖で表すことができ、例えば、Hは薬物と結合しない重鎖、Hは1つの薬物と結合する重鎖、Hは2つの薬物と結合する重鎖、Hは3つの薬物と結合する重鎖、Hは4つの薬物と結合する重鎖を示す。例えば、Hの割合が4%であることは、抗体薬物複合体の重鎖グループにおいて、3つの薬物と結合する重鎖の割合が4%であることを表す。それに応じて、本開示中の抗体薬物負荷量分布は、異なる数量の薬物と結合する抗体軽鎖で表すこともでき、Lは薬物と結合しない抗体軽鎖、Lは1つの薬物と結合する抗体軽鎖を示す。
【0088】
「与える」、「投与」及び「処理」は動物、ヒト、実験の被験者、細胞、組織、器官や生物流体に適用される場合に、外因性薬剤、治療剤、診断薬又は組成物と、動物、ヒト、被験者、細胞、組織、器官や生物流体との接触を意味する。「与える」、「投与」及び「処理」は例えば、治療、薬物動態、診断、研究と実験方法を意味してもよい。細胞の処理は、試薬と細胞との接触、及び試薬と流体との接触を含み、そのうち、上記流体は細胞と接触する。「与える」、「投与」及び「処理」は、また、試薬、診断、結合組成物により、又は別種の細胞を通じて、体外及びインビトロで例えば細胞を処理することを意味する。「処理」はヒト、獣医学又は研究対象に適用される場合に、治療的処理、予防又は予防的措置、研究と診断的応用を意味する。
【0089】
「治療」は、例えば、本開示の何れか1つの結合化合物の組成物を含む経口又は外用治療剤を患者に与えることを意味し、上記患者は1種又は複数種の疾患症状を有するが、既知の上記治療剤は、これらの症状に対して治療効果を有する。通常、治療を受ける患者又はグループには、1種又は複数種の疾患症状を効果的に緩和する量で治療剤を与えることにより、これらの症状の解消を誘導したり、これらの症状を臨床的に測定可能な任意の程度まで進行しないように抑制したりする。任意の具体的な疾患症状を効果的に緩和する治療剤の量(「治療有効量」とも呼ばれる)は、患者の疾患状態、年齢と体重、及び薬剤の患者で必要な治療効果を発生させる能力などの複数の要因によって、変化することができる。医者や他のプロのヘルスケアプロバイダによる当該症状の重症度又は進行状況への評価によく用いられる任意の臨床的検出方法により、疾患症状が低減されたか否かを評価することができる。本開示の実施形態(例えば、治療方法又は製品)は、各目標疾患症状の緩和において無効である可能性があるが、この分野で既知の任意の統計学的検定方法、例えばStudent t検定、カイ二乗検定、Mann及びWhitneyによるU検定、Kruskal-Wallis検定(H検定)、Jonckheere-Terpstra検定とWilcoxon検定により、統計学的に有意な数の患者において目標疾患症状を低減可能であることが確認された。
【0090】
「有効量」は、医学的疾患の症状又は病症の改善又は予防に十分な量を含む。有効量は、更に、診断の許容又は促進に十分な量を意味する。特定の患者又は獣医被験者に用いられる有効量は、例えば、治療すべき病症、患者の全体的な健康状況、投与の方法経路と用量及び副作用の重症度などの要因によって変化することができる。有効量は、顕著な副作用又は毒性作用を回避する最大用量又は投与計画であってもよい。
【0091】
「置換」は、抗体タンパク質を溶解する溶剤系の置換を指し、例えば、抗体タンパク質が安定した製剤に存在するように、製剤を安定化する緩衝系で物理的な操作方式により抗体タンパク質を含む高塩又は高浸透圧溶剤系を置換する。上記物理的な操作方式は、限外ろ過、透析又は遠心分離後の再溶解を含むが、これらに限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0092】
図1A】本開示のADC-19の血漿安定性実験の結果である。
図1B】本開示のADC-18の血漿安定性実験の結果である。
図1C】本開示のADC-20の血漿安定性実験の結果である。
図2】JIMT-1担腫瘍マウスに対する本開示のADC-21、ADC-24の薬効の評価である。
図3】ヒト乳がん細胞SK-BR-3移植腫瘍ヌードマウスに対する本開示のADCの治療効果の評価である。
図4】本開示のADC-25の血漿安定性実験の結果である。
図5】ヒト脳星状膠芽腫U87MGヌードマウス移植腫瘍に対する本開示のADCの治療効果である。
図6】ヒト咽頭がん胸水転移細胞Detroit 562ヌードマウス移植腫瘍に対する本開示のADCの治療効果である。
図7】ヒト膠芽腫U87MGヌードマウス移植腫瘍に対する本開示のADCの治療効果である。
【発明を実施するための形態】
【0093】
以下、実施例を合わせて本発明を更に説明するが、これらの実施例は、本発明の範囲を限定するものではない。
【0094】
本開示の実施例における具体的な条件が明示されていない実験方法は、通常、一般的な条件、又は原料や商品のメーカーに勧められた条件に従う。具体的な供給源が明示されていない試薬は、市販の一般的な試薬である。
【0095】
一、抗体薬物複合体の調製とその特性及び生物学的試験
化合物の構造は、核磁気共鳴(NMR)又は質量分析(MS)によって決定された。NMRの測定には、Bruker AVANCE-400核磁気装置が利用され、測定溶剤が重水素化ジメチルスルホキシド(DMSO-d6)、重水素化クロロホルム(CDCl)、重水素化メタノール(CDOD)であり、内部標準がテトラメチルシラン(TMS)であり、化学シフトが10-6(ppm)単位で示された。
【0096】
MSの測定には、FINNIGAN LCQAd(ESI)質量分析計(メーカー:Thermo、型番:Finnigan LCQ advantage MAX)が利用された。
【0097】
UPLCの測定には、Waters Acquity UPLC SQD液体クロマトグラフ質量分析計が利用された。
【0098】
HPLCの測定には、アジレント1200DAD高速液体クロマトグラフ(Sunfire C18 150×4.6 mmカラム)及びWaters 2695-2996高速液体クロマトグラフ(Gimini C18 150×4.6 mmカラム)が利用された。
【0099】
UV-HPLCの測定には、Thermo nanodrop 2000紫外線分光光度計が利用された。
【0100】
増殖阻害率及びIC50値の測定には、PHERA starFSマイクロプレートリーダー(独BMG社)が利用された。
【0101】
薄層クロマトグラフィー用シリカゲルプレートとしては、煙台黄海HSGF254又は青島GF254シリカゲルプレートが使用され、薄層クロマトグラフィー(TLC)に使用されるシリカゲルプレートの仕様は0.15 mm~0.2 mmであり、薄層クロマトグラフィーによる製品の分離精製用のシリカゲルプレートの仕様は、0.4 mm~0.5 mmである。
【0102】
カラムクロマトグラフィーは、一般的に、煙台黄海200~300メッシュのシリカゲルをベクターとして利用した。
【0103】
本開示に係る既知の出発原料は、この分野での既知の方法を採用し、又はそれに従って合成してもよく、或いはABCR GmbH & Co.KG、Acros Organnics、Aldrich Chemical Company、韶遠化学科技(Accela ChemBio Inc)、達瑞化学品などの会社から購入してもよい。
【0104】
実施例において、特に断りのない限り、反応は、何れもアルゴン雰囲気又は窒素雰囲気において行われた。
【0105】
アルゴン雰囲気又は窒素雰囲気は、反応フラスコに容量が約1 Lのアルゴン又は窒素バルーンが接続されていることを指す。
【0106】
水素雰囲気は、反応フラスコに容量が約1 Lの水素バルーンが接続されていることを指す。
【0107】
加圧水素化反応は、Parr 3916EKX型水素化装置及び清藍QL-500型水素発生器又はHC2-SS型水素化装置が使用される。
【0108】
水素化反応は、通常、真空引きして水素を充填するような操作を3回繰り返す。
【0109】
マイクロ波反応は、CEM Discover-S 908860型マイクロ波反応器が使用される。
【0110】
実施例において、特に断りのない限り、反応中の溶液は、水溶液を指す。
【0111】
実施例において、特に断りのない限り、反応の温度は、室温である。
【0112】
室温は最適な反応温度であり、温度範囲が20℃~30℃である。
【0113】
実施例におけるpH=6.5のPBS緩衝液の調製:8.5 gのKHPO、8.56 gのKHPO.3HO、5.85 gのNaCl、1.5 gのEDTAを取ってフラスコに入れ、2 Lに定容し、超音波でそれを完全に溶解させ、振り混ぜた後に得た。
【0114】
化合物の精製に利用されたカラムクロマトグラフィーの溶離剤の系及び薄層クロマトグラフィーの展開溶媒の系は、A:ジクロロメタンとイソプロピルアルコール系、B:ジクロロメタンとメタノール系、及びC:石油エーテルと酢酸エチル系を含み、溶剤の体積比は、化合物の極性によって調整してもよく、少量のトリエチルアミンと酸性又は塩基性試薬などを加えて調整してもよい。
【0115】
本開示の化合物の一部は、Q-TOF LC/MSによって特徴付けられた。Q-TOF LC/MSは、アジレント6530精密質量数四重極-飛行時間型質量分析計及びアジレント1290-Infinity超高速液体クロマトグラフ(アジレントPoroshell 300SB-C8 5 μm、2.1×75 mmカラム)が利用された。
【0116】
実施例1-1
N-((1S,9S)-9-エチル-5-フルオロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-1-イル)-1-ヒドロキシシクロプロパン-1-カルボキサミド 1
【化20】
【0117】
エキサテカンメシル酸塩1b(2.0 mg、3.76 μmol、特許出願「EP0737686A1」に開示された方法で調製された)に1 mLのN,N-ジメチルホルムアミドを加え、氷水浴で0~5℃に冷却し、1滴のトリエチルアミンを滴下し、反応液が清澄になるまで撹拌した。反応液に1-ヒドロキシシクロプロピルギ酸1a(1.4 mg、3.7 μmol、「Tetrahedron Letters, 25(12), 1269-72, 1984」に開示された公知の方法で調製された)及び4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(3.8 mg、13.7 μmol)を順に加え、添加完了後、0~5℃で2時撹拌しながら反応させた。反応液に水5 mLを加えて反応をクエンチし、反応液を酢酸エチル(8 mL×3)で抽出し、有機相を合わせ、飽和塩化ナトリウム溶液(5 mL×2)で洗浄し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、ろ液を減圧濃縮し、得られた残留物を薄層クロマトグラフィーにより展開溶媒系Bで精製し、表題生成物1(1.6 mg、収率:82.1%)を得た。
MS m/z (ESI): 520.2 [M+1]
H NMR (400 MHz, CDCl): δ 7.90-7.84 (m, 1H), 7.80-7.68(m, 1H), 5.80-5.70 (m, 1H), 5.62-5.54(m, 2H), 5.44-5.32 (m, 2H), 5.28-5.10(m, 2H), 3.40-3.15 (m, 3H), 2.44 (s, 3H), 2.23(t, 1H), 2.06-1.75 (m, 2H), 1.68-1.56 (m, 1H), 1.22-1.18 (m, 2H), 1.04-0.98 (m, 2H), 0.89 (t, 3H)。
【0118】
実施例1-2
(S)-2-シクロプロピル-N-((1S,9S)-9-エチル-5-フルオロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-1-イル)-2-ヒドロキシアセトアミド 2-A
(R)-2-シクロプロピル-N-((1S,9S)-9-エチル-5-フルオロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-1-イル)-2-ヒドロキシアセトアミド 2-B
【化21】
【0119】
1b(4 mg、7.53 μmol)に2 mLのエタノール及び0.4 mLのN,N-ジメチルホルムアミドを加え、アルゴンガスで3回置換し、氷水浴で0~5℃に冷却し、0.3 mLのN-メチルモルホリンを滴下し、清澄になるまで反応液を撹拌した。反応液に、2-シクロプロピル-2-ヒドロキシ酢酸2a(2.3 mg、19.8 μmol、特許出願「WO2013106717」に開示された方法で調製された)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(3 mg、22.4 μmol)及び1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(4.3 mg、22.4 μmol)を順に加え、添加完了後、0~5℃で1時間撹拌しながら反応させた。氷水浴を撤去し、30℃に加熱して2時間撹拌した。反応液を減圧濃縮し、得られた粗製品である化合物2を高速液体クロマトグラフィーで精製し(分離条件:カラム:XBridge Prep C18 OBD 5 μm 19*250 mm、移動相:A-水(10 mmol NHOAc)、B-アセトニトリル、勾配溶離、流速:18 mL/min)、その対応する成分を収集し、減圧濃縮して、表題生成物(2-A:1.5 mg、2-B:1.5 mg)を得た。
MS m/z (ESI): 534.0 [M+1]。
【0120】
単一配置の化合物2-B(比較的短い保持時間)
UPLC分析:保持時間:1.06分間であり、純度:88%(カラム:ACQUITY UPLC BEHC18 1.7 μm 2.1*50 mm、移動相:A-水(5 mmol NHOAc)、B-アセトニトリル)。
H NMR (400 MHz, DMSO-d): δ 8.37 (d, 1H), 7.76 (d, 1H), 7.30 (s, 1H), 6.51 (s, 1H), 5.58-5.56 (m, 1H), 5.48 (d, 1H), 5.41 (s, 2H), 5.32-5.29 (m, 2H), 3.60 (t, 1H), 3.19-3.13 (m, 1H), 2.38 (s, 3H), 2.20-2.14 (m, 1H), 1.98 (q, 2H), 1.87-1.83 (m, 1H), 1.50-1.40 (m, 1H), 1.34-1.28 (m, 1H), 0.86 (t, 3H), 0.50-0.39 (m, 4H)。
【0121】
単一配置の化合物2-A(比較的長い保持時間)
UPLC分析:保持時間:1.10分間、純度:86%(カラム:ACQUITY UPLC BEHC18 1.7 μm 2.1*50 mm、移動相:A-水(5 mmol NHOAc)、B-アセトニトリル)。
H NMR (400 MHz, DMSO-d): δ 8.35 (d, 1H), 7.78 (d, 1H), 7.31 (s, 1H), 6.52 (s, 1H), 5.58-5.53 (m, 1H), 5.42 (s, 2H), 5.37 (d, 1H), 5.32 (t, 1H), 3.62 (t, 1H), 3.20-3.15 (m, 2H), 2.40 (s, 3H), 2.25-2.16 (m, 1H), 1.98 (q, 2H), 1.87-1.82 (m, 1H), 1.50-1.40 (m, 1H), 1.21-1.14 (m, 1H), 0.87 (t, 3H), 0.47-0.35 (m, 4H)。
【0122】
実施例1-3
(S)-N-((1S,9S)-9-エチル-5-フルオロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-1-イル)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパンアミド 3-A
(R)-N-((1S,9S)-9-エチル-5-フルオロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-1-イル)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパンアミド 3-B
【化22】
【化23】
【0123】
1b(5.0 mg、9.41 μmol)に2 mLのエタノール及び0.4 mLのN,N-ジメチルホルムアミドを加え、氷水浴で0~5℃に冷却し、0.3 mLのN-メチルモルホリンを滴下し、反応液が清澄になるまで撹拌した。反応液に3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロピオン酸3a(4.1 mg、28.4 μmol、供給元:Alfa)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(3.8 mg、28.1 μmol)及び1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(5.4 mg、28.2 μmol)を順に加え、添加完了後、0~5℃で10分間撹拌しながら反応させた。氷水浴を撤去し、30℃に加熱して8時間撹拌した。反応液を減圧濃縮し、得られた粗製品である化合物3を高速液体クロマトグラフィーで精製し(分離条件:カラム:XBridge Prep C18 OBD 5 μm 19*250 mm、移動相:A-水(10 mmol NHOAc)、B-アセトニトリル、勾配溶離、流速:18 mL/min)、その対応する成分を収集し、減圧濃縮して、表題生成物(1.5 mg、1.5 mg)を得た。
MS m/z (ESI): 561.9 [M+1]。
【0124】
単一配置の化合物(比較的短い保持時間)
UPLC分析:保持時間:1.11分間、純度:88%(カラム:ACQUITY UPLC BEHC18 1.7 μm 2.1*50 mm、移動相:A-水(5 mmol NHOAc)、B-アセトニトリル)。
H NMR (400 MHz, DMSO-d): δ 8.94 (d, 1H), 7.80 (d, 1H), 7.32 (s, 1H), 7.20 (d, 1H), 6.53 (s, 1H), 5.61-5.55 (m, 1H), 5.45-5.23 (m, 3H), 5.15-5.06 (m, 1H), 4.66-4.57 (m, 1H), 3.18-3.12 (m, 1H), 2.40 (s, 3H), 2.26-2.20 (m, 1H), 2.16-2.08 (m, 1H), 2.02-1.94 (m, 1H), 1.89-1.82 (m, 1H), 1.50-1.40 (m, 1H), 0.87 (t, 3H)。
【0125】
単一配置の化合物(比較的長い保持時間)
UPLC分析:保持時間:1.19分間、純度:90%(カラム:ACQUITY UPLC BEHC18 1.7 μm 2.1*50 mm、移動相:A-水(5 mmol NHOAc)、B-アセトニトリル)。
H NMR (400 MHz, DMSO-d): δ 8.97 (d, 1H), 7.80 (d, 1H), 7.31 (s, 1H), 7.16 (d, 1H), 6.53 (s, 1H), 5.63-5.55 (m, 1H), 5.45-5.20 (m, 3H), 5.16-5.07 (m, 1H), 4.66-4.57 (m, 1H), 3.18-3.12 (m, 1H), 2.40 (s, 3H), 2.22-2.14 (m, 1H), 2.04-1.95 (m, 2H), 1.89-1.82 (m, 1H), 1.50-1.40 (m, 1H), 0.87 (t, 3H)。
【0126】
実施例1-4
N-((1S,9S)-9-エチル-5-フルオロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-1-イル)-1-ヒドロキシシクロペンタン-1-カルボキサミド 4
【化24】
【0127】
1b(3.0 mg、5.64 μmol)に1 mLのN,N-ジメチルホルムアミドを加え、氷水浴で0~5℃に冷却し、1滴のトリエチルアミンを滴下し、反応液が清澄になるまで撹拌した。反応液に1-ヒドロキシ-シクロペンタンギ酸4a(2.2 mg、16.9 μmol、特許出願「WO2013106717」に開示された方法で調製された)及び4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(4.7 mg、16.9 μmol)を順に加え、添加完了後、0~5℃で1時間撹拌しながら反応させた。反応液に水5 mLを加えて反応をクエンチし、反応液を酢酸エチル(10 mL×3)で抽出し、有機相を合わせ、飽和塩化ナトリウム溶液(5 mL×2)で洗浄し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、ろ液を減圧濃縮し、得られた残留物を薄層クロマトグラフィーにより展開溶媒系Bで精製し、表題生成物4(2.5 mg、収率:80.9%)を得た。
MS m/z (ESI): 548.0 [M+1]。
H NMR (400 MHz, CDCl): δ 7.73-7.62 (m, 2H), 5.75-5.62 (m, 1H), 5.46-5.32 (m, 2H), 5.26-5.10 (m, 1H), 3.30-3.10 (m, 1H), 2.43 (s, 3H), 2.28-2.20 (m, 2H), 2.08-1.84 (m, 8H), 1.69-1.58 (m, 2H), 1.04-1.00 (m, 2H), 0.89 (t, 3H)。
【0128】
実施例1-5
N-((1S,9S)-9-エチル-5-フルオロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-1-イル)-1-(ヒドロキシメチル)シクロプロパン-1-カルボキサミド 5
【化25】
【0129】
1b(2.0 mg、3.76 μmol)に1 mLのN,N-ジメチルホルムアミドを加え、氷水浴で0~5℃に冷却し、1滴のトリエチルアミンを滴下し、反応液が清澄になるまで撹拌した。反応液に1-(ヒドロキシメチル)-シクロペンタンギ酸5a(0.87 mg、7.5 μmol、特許出願「WO201396771」に開示された方法で調製された)及び4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(2 mg、7.24 μmol)を順に加え、添加完了後、0~5℃で2時間撹拌しながら反応させた。反応液に水5 mLを加えて反応をクエンチし、反応液を酢酸エチル(8 mL×3)で抽出し、有機相を合わせ、飽和塩化ナトリウム溶液(5 mL×2)で洗浄し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、ろ液を減圧濃縮し、得られた残留物を薄層クロマトグラフィーにより展開溶媒系Bで精製し、表題生成物5(1.0 mg、収率:50%)を得た。
MS m/z (ESI): 533.9 [M+1]。
H NMR (400 MHz, CDCl): δ 8.07 (s, 1H), 7.23-7.18 (m, 2H), 6.71-6.64 (m, 1H), 6.55-6.51 (m, 1H), 5.36-5.27 (m, 2H), 4.67-4.61 (m, 2H), 3.53-3.48 (m, 1H), 3.30-3.22 (m, 2H), 3.18-3.13 (m, 1H), 2.71-2.61 (m, 2H), 2.35-2.28 (m, 1H), 2.04-1.91 (m, 4H), 1.53-1.40 (m, 3H), 0.91-0.75 (m, 4H)。
【0130】
実施例1-6
N-((1S,9S)-9-エチル-5-フルオロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-1-イル)-1-(ヒドロキシメチル)シクロブタン-1-カルボキサミド 6
【化26】
【0131】
1b(3.0 mg、5.64 μmol)に1 mLのN,N-ジメチルホルムアミドを加え、氷水浴で0~5℃に冷却し、1滴のトリエチルアミンを滴下し、反応液が清澄になるまで撹拌した。反応液に1-(ヒドロキシメチル)シクロブタン-1-ギ酸6a(2.2 mg、16.9 μmol、「Journal of the American Chemical Society, 2014, vol.136, #22, p.8138-8142」という文献に開示された方法で調製された)及び4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(4.7 mg、16.9 μmol)を順に加え、添加完了後、0~5℃で1時間撹拌しながら反応させた。反応液に水5 mLを加えて反応をクエンチし、反応液を酢酸エチル(10 mL×3)で抽出し、有機相を合わせ、飽和塩化ナトリウム溶液(5 mL×2)で洗浄し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、ろ液を減圧濃縮し、得られた残留物を薄層クロマトグラフィーにより展開溶媒系Bで精製し、表題生成物6(2.1 mg、収率:67.9%)を得た。
MS m/z (ESI): 548.0 [M+1]。
H NMR (400 MHz, DMSO-d): δ 7.85-7.62 (m, 1H), 6.88 (br,1H), 5.87-5.48 (m,2H), 5.47-5.33 (m,1H), 5.31-5.06 (m,1H), 4.25-3.91 (m, 2H), 3.25 (br, 1H), 2.60-2.32 (m, 3H), 2.23 (t, 1H), 2.15-1.95 (m, 3H), 1.70-1.56 (m, 2H), 1.41-1.17 (m, 9H), 1.03 (s, 1H), 0.95-0.80 (m, 2H)。
【0132】
実施例1-7
N-((1S,9S)-9-エチル-5-フルオロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-1-イル)-1-ヒドロキシシクロブタン-1-カルボキサミド 7
【化27】
【0133】
1b(3.0 mg、5.64 μmol)に2 mLのエタノール及び0.4 mLのN,N-ジメチルホルムアミドを加え、氷水浴で0~5℃に冷却し、0.3 mLのN-メチルモルホリンを滴下し、反応液が清澄になるまで撹拌した。反応液に1-ヒドロキシシクロブタンギ酸7a(2.0 mg、17.22 μmol、供給元:薬石)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(2.3 mg、17.0 μmol)及び1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(3.2 mg、16.7 μmol)を順に加え、添加完了後、0~5℃で10分間撹拌しながら反応させた。氷水浴を撤去し、室温で2時間撹拌した。反応液を減圧濃縮し、得られた残留物を薄層クロマトグラフィーにより展開溶媒系Bで精製し、表題生成物7(2.5 mg、収率:83.1%)を得た。
MS m/z (ESI): 534.0 [M+1]。
H NMR (400 MHz, DMSO-d): δ 8.28 (d, 1H), 7.75 (d, 1H), 7.29 (s, 1H), 6.51 (s, 1H), 6.12 (s, 1H), 5.59-5.51 (m, 1H), 5.41 (s, 2H), 5.20-5.01 (m, 2H), 3.27-3.17 (m, 1H), 3.15-3.05 (m, 1H), 2.71-2.63 (m, 1H), 2.37 (s, 3H), 2.12-2.05 (m, 1H), 2.03-1.94 (m, 2H), 1.92-1.78 (m, 4H), 1.50-1.42 (m, 1H), 0.90-0.83 (m, 4H)。
【0134】
実施例1-8
1-(((S)-7-ベンジル-20-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)-3,6,9,12,15-ペンタオキソ-2,5,8,11,14-ペンタアザイコシル)オキシ)-N-((1S,9S)-9-エチル-5-フルオロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-1-イル)シクロプロパン-1-カルボキサミド 8
【化28】
【0135】
ステップ1
1-((2-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)アセチルアミノ)メトキシ)シクロプロパン-1-カルボン酸ベンジル 8c
【0136】
1-ヒドロキシシクロプロパン-1-カルボン酸ベンジル8a(104 mg、0.54 mmol、特許出願「US2005/20645」に開示された方法で調製された)及び(2-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)アセチルアミノ)メチル酢酸エステル8b(100 mg、0.27 mmol、特許出願「CN105829346A」に開示された方法で調製された)を反応フラスコに加え、5 mLのテトラヒドロフランを加え、アルゴンガスで3回置換し、氷水浴で0~5℃に降温し、カリウムtert-ブトキシド(61 mg、0.54 mmol)を加え、氷水浴を撤去し、室温まで昇温して10分間撹拌し、氷水20 mLを加え、酢酸エチル(5 mL×2)及びクロロホルム(5 mL×5)で抽出し、有機相を合わせて濃縮した。得られた残留物を3 mLの1,4-ジオキサンに溶解し、水0.6 mLを加え、炭酸水素ナトリウム(27 mg、0.32 mmol)及びクロロギ酸-9-フルオレニルメチル(70 mg、0.27 mmol)を加え、室温で1時間撹拌した。水20 mLを加え、酢酸エチル(8 mL×3)で抽出し、有機相を飽和塩化ナトリウム溶液(20 mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、ろ液を減圧濃縮し、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより展開溶媒系Bで精製し、表題生成物8c(100 mg、収率:73.6%)を得た。
MS m/z (ESI): 501.0 [M+1]。
【0137】
ステップ2
1-((2-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)アセチルアミノ)メトキシ)シクロプロパン-1-カルボン酸 8d
【0138】
8c(50 mg、0.10 mmol)をテトラヒドロフランと酢酸エチル(V:V=2:1)の混合溶媒3 mLに溶解し、パラジウム炭素(25 mg、含有量10%)を加え、水素ガスで3回置換し、室温で1時間撹拌しながら反応させた。反応液を珪藻土でろ過し、ろ過ケーキをテトラヒドロフランですすぎ、ろ液を濃縮して、表題生成物8d(41 mg、収率:100%)を得た。
MS m/z (ESI): 411.0 [M+1]。
【0139】
ステップ3
(9H-フルオレン-9-イル)メチル(2-(((1-(((1S,9S)-9-エチル-5-フルオロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-1-イル)アミノカルボニル)シクロプロポキシ)メチル)アミノ)-2-オキソエチル)カルバメート 8e
【0140】
1b(7 mg、0.013 mmol)を反応フラスコに加え、1 mLのN,N-ジメチルホルムアミドを加え、アルゴンガスで3回置換し、氷水浴で0~5℃に降温し、1滴のトリエチルアミンを滴下し、8d(7 mg、0.017 mmol)の0.5 mLのN,N-ジメチルホルムアミド溶液を加え、4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(7 mg、0.026 mmol)を加え、氷浴で35分間撹拌しながら反応させた。10 mLの水を加え、酢酸エチル(5 mL×3)で抽出し、有機相を飽和塩化ナトリウム溶液(10 mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、ろ液を減圧濃縮し、得られた残留物を薄層クロマトグラフィーにより展開溶媒系Bで精製し、表題生成物8e(8.5 mg、収率:78.0%)を得た。
MS m/z (ESI): 828.0 [M+1]。
【0141】
ステップ4
1-((2-アミノアセチルアミノ)メトキシ)-N-((1S,9S)-9-エチル-5-フルオロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-1-イル)シクロプロパン-1-カルボキサミド 8f
【0142】
8e(4 mg、4.84 μmol)を0.2 mLのジクロロメタンに溶解し、0.1 mLのジエチルアミンを加え、室温で2時間撹拌した。反応液を減圧濃縮し、2 mLのトルエンを加えて減圧濃縮することを2回繰り返し、3 mLのn-ヘキサンを加えて叩解し、上層のn-ヘキサンを注ぎ出すことを3回繰り返し、減圧濃縮して、粗製品である表題生成物8f(2.9 mg)を得て、生成物を精製せずにそのまま次のステップの反応に使用した。
MS m/z (ESI): 606.0 [M+1]。
【0143】
ステップ5
1-(((S)-7-ベンジル-20-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)-3,6,9,12,15-ペンタオキソ-2,5,8,11,14-ペンタアザイコシル)オキシ)-N-((1S,9S)-9-エチル-5-フルオロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-1-イル)シクロプロパン-1-カルボキサミド 8
【0144】
粗製品8f(2.9 mg、4.84 μmol)を0.5 mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶解し、アルゴンガスで3回置換し、氷水浴で0~5℃に降温し、(S)-2-(-2-(-2-(6-(-2,5-ジオキソ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサンアミノ)アセトアミノ)アセトアミノ)-3-フェニルプロピオン酸8g(2.7 mg、5.80 μmol、特許出願「EP2907824」に開示された方法で調製された)の0.3 mLのN,N-ジメチルホルムアミド溶液を加え、4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(2.7 mg、9.67 μmol)を加え、氷浴で30分間撹拌しながら反応させ、氷浴を撤去し、室温まで昇温して15分間撹拌した。反応液を高速液体クロマトグラフィーで精製し(分離条件:カラム:XBridge Prep C18 OBD 5 μm 19*250 mm、移動相:A-水(10 mmol NHOAc)、B-アセトニトリル、勾配溶離、流速:18 mL/min)、その対応する成分を収集し、減圧濃縮して、表題生成物8(2 mg、収率39.0%)を得た。
MS m/z (ESI): 1060.0 [M+1]。
H NMR (400 MHz, DMSO-d): δ 9.01 (d, 1H), 8.77 (t, 1H), 8.21 (t, 1H), 8.08-7.92 (m, 2H), 7.73 (d, 1H), 7.28 (s, 1H), 7.24-7.07 (m, 4H), 6.98 (s, 1H), 6.50 (s, 1H), 5.61 (q, 1H), 5.40 (s, 2H), 5.32 (t, 1H), 5.12 (q, 2H), 4.62 (t, 1H), 4.52 (t, 1H), 4.40-4.32 (m, 1H), 3.73-3.47 (m, 8H), 3.16-3.04 (m, 2H), 2.89 (dd, 1H), 2.69-2.55 (m, 2H), 2.37-2.23 (m, 4H), 2.12-1.93 (m, 4H), 1.90-1.74 (m, 2H), 1.52-1.38 (m, 4H), 1.33-1.11 (m, 5H), 0.91-0.81 (m, 4H)。
【0145】
実施例1-9
N-((2R,10S)-10-ベンジル-2-シクロプロピル-1-(((1S,9S)-9-エチル-5-フルオロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-1-イル)アミノ)-1,6,9,12,15-ペンタオキソ-3-オキサ-5,8,11,14-テトラアザヘキサデカン-16-イル)-6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサンアミド 9-A
N-((2S,10S)-10-ベンジル-2-シクロプロピル-1-(((1S,9S)-9-エチル-5-フルオロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-1-イル)アミノ)-1,6,9,12,15-ペンタオキソ-3-オキサ-5,8,11,14-テトラアザヘキサデカン-16-イル)-6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサンアミド 9-B
【化29】
【化30】
【0146】
ステップ1
2-シクロプロピル-2-ヒドロキシ酢酸ベンジル 9a
【0147】
2a(1.3 g、11.2 mmol、特許出願「WO2013/106717」に開示された方法で調製された)を50 mLのアセトニトリルに溶解し、炭酸カリウム(6.18 g、44.8 mmol)、臭化ベンジル(1.33 mL、11.2 mmol)及びテトラブチルヨウ化アンモニウム(413 mg、1.1 mmol)を順に加えた。反応液を室温で48時間撹拌し、珪藻土でろ過し、ろ過ケーキを酢酸エチル(10 mL)ですすぎ、ろ液を合わせ、減圧濃縮し、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより展開溶媒系Cで精製し、表題生成物9a(2 g、収率86.9%)を得た。
【0148】
ステップ2
10-シクロプロピル-1-(9H-フルオレン-9-イル)-3,6-ジオキソ-2,9-ジオキサ-4,7-ジアザウンデカン-11-酸ベンジル 9b
【0149】
9a(120.9 mg、0.586 mmol)及び8b(180 mg、0.489 mmol)を反応フラスコに加え、4 mLのテトラヒドロフランを加え、アルゴンガスで3回置換し、氷水浴で0~5℃に降温し、カリウムtert-ブトキシド(109 mg、0.98 mmol)を加え、氷水浴を撤去し、室温まで昇温し、40分間撹拌し、10 mLの氷水を加え、酢酸エチル(20 mL×2)及びクロロホルム(10 mL×5)で抽出し、有機相を合わせて濃縮した。得られた残留物を4 mLのジオキサンに溶解し、水2 mLを加え、炭酸水素ナトリウム(49.2 mg、0.586 mmol)及びクロロギ酸-9-フルオレニルメチル(126 mg、0.49 mmol)を加え、室温で2時間撹拌した。水20 mLを加え、酢酸エチル(10 mL×3)で抽出し、有機相を飽和塩化ナトリウム溶液(20 mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、ろ液を減圧濃縮した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより展開溶媒系Cで精製し、表題生成物9b(48 mg、収率:19%)を得た。
MS m/z (ESI): 515.0 [M+1]。
【0150】
ステップ3
10-シクロプロピル-1-(9H-フルオレン-9-イル)-3,6-ジオキソ-2,9-ジオキサ-4,7-ジアザウンデカン-11-酸 9c
【0151】
9b(20 mg、0.038 mmol)をテトラヒドロフランと酢酸エチル(V:V=2:1)の混合溶媒4.5 mLに溶解し、パラジウム炭素(12 mg、含有量10%、乾式)を加え、水素ガスで3回置換し、室温で1時間撹拌しながら反応させた。反応液を珪藻土でろ過し、ろ過ケーキを酢酸エチルですすぎ、ろ液を濃縮して、粗製品である表題生成物9c(13 mg)を得て、生成物を精製せずにそのまま次のステップの反応を行った。
MS m/z (ESI): 424.9 [M+1]。
【0152】
ステップ4
(9H-フルオレン-9-イル)メチル(2-(((1-シクロプロピル-2-(((1S,9S)-9-エチル-5-フルオロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-1-イル)アミノ)-2-オキソエトキシ)メチル)アミノ)-2-オキソエチル)カルバメート 9d
【0153】
1b(10 mg、18.8 μmol)を反応フラスコに入れ、1 mLのN,N-ジメチルホルムアミドを加え、アルゴンガスで3回置換し、氷水浴で0~5℃に降温し、1滴のトリエチルアミンを滴下し、粗製品9c(13 mg、30.6 μmol)を加え、4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(16.9 mg、61.2 μmol)を加え、氷浴で40分間撹拌しながら反応させた。10 mLの水を加え、酢酸エチル(10 mL×3)で抽出し、有機相を合わせた。有機相を飽和塩化ナトリウム溶液(10 mL×2)で洗浄し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、ろ液を減圧濃縮した。得られた残留物を薄層クロマトグラフィーにより展開溶媒系Bで精製し、表題生成物9d(19 mg、収率:73.6%)を得た。
MS m/z (ESI): 842.1[M+1]。
【0154】
ステップ5
2-((2-アミノアセチルアミノ)メトキシ)-2-シクロプロピル-N-((1S,9S)-9-エチル-5-フルオロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-1-イル)アセトアミド 9e
【0155】
9d(19 mg、22.6 μmol)を2 mLのジクロロメタンに溶解し、1 mLのジエチルアミンを加え、室温で2時間撹拌した。反応液を減圧濃縮し、1 mLのトルエンを加えて減圧濃縮することを2回繰り返した。残留物に3 mLのn-ヘキサンを加えて叩解し、放置後に上清液を注ぎ出し、固体を保留した。固体残留物を減圧濃縮し、オイルポンプにより乾燥させて粗製品である表題生成物9e(17 mg)を得て、生成物を精製せずにそのまま次のステップの反応に使用した。
MS m/z (ESI): 638.0[M+18]。
【0156】
ステップ6
N-((2R,10S)-10-ベンジル-2-シクロプロピル-1-(((1S,9S)-9-エチル-5-フルオロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-1-イル)アミノ)-1,6,9,12,15-ペンタオキソ-3-オキサ-5,8,11,14-テトラアザヘキサデカン-16-イル)-6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサンアミド 9-A
N-((2S,10S)-10-ベンジル-2-シクロプロピル-1-(((1S,9S)-9-エチル-5-フルオロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-1-イル)アミノ)-1,6,9,12,15-ペンタオキソ-3-オキサ-5,8,11,14-テトラアザヘキサデカン-16-イル)-6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサンアミド 9-B
【0157】
粗製品9e(13.9 mg、22.4 μmol)を0.6 mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶解し、アルゴンガスで3回置換し、氷水浴で0~5℃に降温し、8g(21.2 mg、44.8 μmol)の0.3 mLのN,N-ジメチルホルムアミド溶液を加え、4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(18.5 mg、67.3 μmol)を加え、氷浴で10分間撹拌しながら反応させ、氷浴を撤去し、室温まで昇温し、1時間撹拌して反応させて化合物9を生成した。反応液を高速液体クロマトグラフィーで精製し(分離条件:カラム:XBridge Prep C18 OBD 5 μm 19*250 mm、移動相:A-水(10 mmol NHOAc)、B-アセトニトリル、勾配溶離、流速:18 mL/min)、その対応する成分を収集し、減圧濃縮して、表題生成物(9-A:2.4 mg、9-B:1.7 mg)を得た。
MS m/z (ESI): 1074.4 [M+1]。
【0158】
単一配置の化合物9-A(比較的短い保持時間):
UPLC分析:保持時間:1.14分間、純度:85%(カラム:ACQUITY UPLC BEHC18 1.7 μm 2.1*50 mm、移動相:A-水(5 mmol NHOAc)、B-アセトニトリル)。
H NMR (400 MHz, DMSO-d): δ 8.60 (t, 1H), 8.51-8.49 (d, 1H), 8.32-8.24 (m, 1H), 8.13-8.02 (m, 2H), 8.02-7.96 (m, 1H), 7.82-7.75 (m, 1H), 7.31 (s, 1H), 7.26-7.15 (m, 4H), 6.99 (s, 1H), 6.55-6.48 (m, 1H), 5.65-5.54 (m, 1H), 5.41 (s, 2H), 5.35-5.15 (m, 3H), 4.74-4.62 (m, 1H), 4.54-4.40 (m, 2H), 3.76-3.64 (m,4H), 3.62-3.48 (m, 2H), 3.20-3.07 (m, 2H), 3.04-2.94 (m, 1H), 2.80-2.62 (m, 1H), 2.45-2.30 (m, 3H), 2.25-2.15 (m, 2H), 2.15-2.04 (m, 2H), 1.93-1.78 (m, 2H), 1.52-1.39 (m, 3H), 1.34-1.12 (m, 5H), 0.87 (t, 3H), 0.64-0.38 (m, 4H)。
【0159】
単一配置の化合物9-B(比較的長い保持時間):
UPLC分析:保持時間:1.16分間、純度:89%(カラム:ACQUITY UPLC BEHC18 1.7 μm 2.1*50 mm、移動相:A-水(5 mmol NHOAc)、B-アセトニトリル)。
H NMR (400 MHz, DMSO-d): δ 8.68-8.60 (m, 1H), 8.58-8.50 (m, 1H), 8.32-8.24 (m, 1H), 8.13-8.02 (m, 2H), 8.02-7.94 (m, 1H), 7.82-7.75 (m, 1H), 7.31 (s, 1H), 7.26-7.13 (m, 3H), 6.99 (s, 1H), 6.55-6.48 (m, 1H), 5.60-5.50 (m, 1H), 5.41 (s, 2H), 5.35-5.15 (m, 2H), 4.78-4.68 (m, 1H), 4.60-4.40 (m, 2H), 3.76-3.58 (m, 4H), 3.58-3.48 (m, 1H), 3.20-3.10 (m, 2H), 3.08-2.97 (m, 2H), 2.80-2.72 (m, 2H), 2.45-2.30 (m, 3H), 2.25-2.13 (m, 2H), 2.13-2.04 (m, 2H), 2.03-1.94 (m, 2H), 1.91-1.78 (m, 2H), 1.52-1.39 (m, 3H), 1.34-1.12 (m, 4H), 0.91-0.79 (m, 3H), 0.53-0.34 (m, 4H)。
【0160】
実施例1-10
N-((2S,10S)-10-ベンジル-2-(((1S,9S)-9-エチル-5-フルオロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-1-イル)アミノカルボニル)-1,1,1-トリフルオロ-6,9,12,15-テトラオキソ-3-オキサ-5,8,11,14-テトラアザヘキサデカン-16-イル)-6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサンアミド 10-A
N-((2R,10S)-10-ベンジル-2-(((1S,9S)-9-エチル-5-フルオロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-1-イル)アミノカルボニル)-1,1,1-トリフルオロ-6,9,12,15-テトラオキソ-3-オキサ-5,8,11,14-テトラアザヘキサデカン-16-イル)-6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサンアミド 10-B
【化31】
【化32】
【0161】
ステップ1
3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロピオン酸ベンジル 10a
【0162】
3a(1.80 g、12.5 mmol)を100 mLのアセトニトリルに溶解し、炭酸カリウム(5.17 g、37.5 mmol)、臭化ベンジル(4.48 mL、37.5 mmol)及びテトラブチルヨウ化アンモニウム(231 mg、0.63 mmol)を順に加えた。反応液を60℃まで加熱して5時間撹拌した。反応液を室温に冷却し、ろ過し、ろ液を減圧濃縮し、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより展開溶媒系Cで精製し、表題生成物10a(980 mg、収率:33.5%)を得た。
H NMR (400 MHz, CDCl): δ 7.43-7.36 (m, 5H), 5.34 (s, 2H), 4.53 (s, 1H), 3.44 (s, 1H)。
【0163】
ステップ2
1-(9H-フルオレン-9-イル)-3,6-ジオキソ-10-(トリフルオロメチル)-2,9-ジオキサ-4,7-ジアザウンデカン-11-酸ベンジル 10b
【0164】
8b(63 mg、0.17 mmol)及び10a(80 mg、0.34 mmol)を反応フラスコに加え、3 mLのテトラヒドロフランを加え、アルゴンガスで3回置換し、氷水浴で0~5℃に降温し、カリウムtert-ブトキシド(38 mg、0.34 mmol)を加え、氷水浴を撤去し、室温まで昇温し、20分間撹拌し、10 mLの氷水を加え、酢酸エチル(20 mL×2)及びクロロホルム(10 mL×5)で抽出し、有機相を合わせて濃縮し、得られた残留物を2 mLのジオキサンに溶解し、0.4 mLの水を加え、炭酸水素ナトリウム(19 mg、0.23 mmol)及びクロロギ酸-9-フルオレニルメチル(49 mg、0.19 mmol)を加え、室温で1時間撹拌した。水20 mLを加え、酢酸エチル(10 mL×3)で抽出し、有機相を飽和塩化ナトリウム溶液(20 mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、ろ液を減圧濃縮し、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより展開溶媒系Cで精製し、表題生成物10b(51 mg、収率:55.3%)を得た。
MS m/z (ESI): 559.9 [M+18]。
【0165】
ステップ3
1-(9H-フルオレン-9-イル)-3,6-ジオキソ-10-(トリフルオロメチル)-2,9-ジオキサ-4,7-ジアザウンデカン-11-酸 10c
【0166】
10b(15 mg、0.28 mmol)をテトラヒドロフランと酢酸エチル(V:V=2:1)の混合溶媒3 mLに溶解し、パラジウム炭素(15 mg、含有量10%)を加え、水素ガスで3回置換し、室温で1時間撹拌しながら反応させた。反応液を珪藻土でろ過し、ろ過ケーキをテトラヒドロフランですすぎ、ろ液を濃縮して、粗製品である表題生成物10c(13 mg)を得た。
MS m/z (ESI): 452.9 [M+1]。
【0167】
ステップ4
(9H-フルオレン-9-イル)メチル(2-((((3-(((1S,9S)-9-エチル-5-フルオロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-1-イル)アミノ)-1,1,1-トリフルオロ-3-オキソプロパン-2-イル)オキシ)メチル)アミノ)-2-オキソエチル)カルバメート 10d
【0168】
1b(10 mg、18.8 μmol)を反応フラスコに加え、1 mLのN,N-ジメチルホルムアミドを加え、アルゴンガスで3回置換し、氷水浴で0~5℃に降温し、1滴のトリエチルアミンを滴下し、10c(13 mg、28.7 μmol)の0.5 mLのN,N-ジメチルホルムアミド溶液を加え、4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(11 mg、39.7 μmol)を加え、氷浴で30分間撹拌しながら反応させた。10 mLの水を加え、酢酸エチル(10 mL×3)で抽出し、有機相を合わせ、有機相を飽和塩化ナトリウム溶液(10 mL×2)で洗浄し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、ろ液を減圧濃縮し、得られた残留物を薄層クロマトグラフィーにより展開溶媒系Bで精製し、表題生成物10d(16 mg、収率:97.8%)を得た。
MS m/z (ESI): 870.0[M+1]。
【0169】
ステップ5
2-((2-アミノアセチルアミノ)メトキシ)-N-((1S,9S)-9-エチル-5-フルオロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-1-イル)-3,3,3-トリフルオロプロパンアミド 10e
【0170】
10d(16 mg、18.4 μmol)を0.6 mLのジクロロメタンに溶解し、0.3 mLのジエチルアミンを加え、室温で2時間撹拌した。反応液を減圧濃縮し、2 mLのトルエンを加えて減圧濃縮することを2回繰り返した。残留物に3 mLのn-ヘキサンを加えて叩解し、放置後に上清液を注ぎ出し、固体を保留することを3回繰り返した。固体残留物を減圧濃縮し、オイルポンプにより乾燥させて粗製品である表題生成物10e(12 mg)を得て、生成物を精製せずにそのまま次のステップの反応に使用した。
MS m/z (ESI): 647.9 [M+1]。
【0171】
ステップ6
N-((2S,10S)-10-ベンジル-2-(((1S,9S)-9-エチル-5-フルオロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-1-イル)アミノカルボニル)-1,1,1-トリフルオロ-6,9,12,15-テトラオキソ-3-オキサ-5,8,11,14-テトラアザヘキサデカン-16-イル)-6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサンアミド 10-A
N-((2R,10S)-10-ベンジル-2-(((1S,9S)-9-エチル-5-フルオロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-1-イル)アミノカルボニル)-1,1,1-トリフルオロ-6,9,12,15-テトラオキソ-3-オキサ-5,8,11,14-テトラアザヘキサデカン-16-イル)-6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサンアミド 10-B
【0172】
粗製品10e(12 mg、18.5 μmol)を1.0 mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶解し、アルゴンガスで3回置換し、氷水浴で0~5℃に降温し、8g(14 mg、29.6 μmol)の0.3 mLのN,N-ジメチルホルムアミド溶液を加え、4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(15 mg、54.2 μmol)を加え、氷浴で30分間撹拌しながら反応させ、氷浴を撤去し、室温まで昇温し、1時間撹拌して反応させて化合物10を生成した。反応液を高速液体クロマトグラフィーで精製し(分離条件:カラム:XBridge Prep C18 OBD 5 μm 19*250 mm、移動相:A-水(10 mmol NHOAc)、B-アセトニトリル、勾配溶離、流速:18 mL/min)、対応する成分を収集し、減圧濃縮し、表題生成物(2.7 mg、2.6 mg)を得た。
MS m/z (ESI): 1102.0 [M+1]。
【0173】
単一配置の化合物(比較的短い保持時間):
UPLC分析:保持時間:1.18分間、純度:91%(カラム:ACQUITY UPLC BEHC18 1.7 μm 2.1*50 mm、移動相:A-水(5 mmol NHOAc)、B-アセトニトリル)。
H NMR (400 MHz, DMSO-d): δ 8.97 (d, 1H), 8.85-8.76 (m, 1H), 8.37-8.27 (m, 1H), 8.12-8.02 (m, 1H), 8.02-7.95 (m, 1H), 7.80 (d, 1H), 7.31 (s, 1H), 7.26-7.10 (m, 4H), 6.99 (s, 1H), 6.66 (br, 1H), 6.52 (s, 1H), 5.65-5.54 (m, 1H), 5.41 (s, 1H), 5.37-5.25 (m, 3H), 5.23-5.13 (m, 1H), 4.81-4.68 (m, 2H), 4.51-4.41 (m, 1H), 3.78-3.45 (m, 6H), 3.21-3.13 (m, 1H), 3.02-2.93 (m, 1H), 2.77-2.63 (m, 2H), 2.45-2.29 (m, 3H), 2.24-2.05 (m, 3H), 2.04-1.93 (m, 5H), 1.90-1.75 (m, 2H), 1.52-1.38 (m, 4H), 0.90-0.78 (m, 5H)。
【0174】
単一配置の化合物(比較的長い保持時間):
UPLC分析:保持時間:1.23分間、純度:90%(カラム:ACQUITY UPLC BEHC18 1.7 μm 2.1*50 mm、移動相:A-水(5 mmol NHOAc)、B-アセトニトリル)。
H NMR (400 MHz, DMSO-d): δ 9.05 (d, 1H), 8.97-8.88 (m, 1H), 8.35-8.27 (m, 1H), 8.11-8.03 (m, 1H), 8.02-7.95 (m, 1H), 7.80 (d, 1H), 7.34 (s, 1H), 7.29-7.13 (m, 4H), 6.99 (s, 1H), 6.66 (br, 1H), 6.54 (s, 1H), 5.64-5.55 (m, 1H), 5.43 (s, 1H), 5.36-5.20 (m, 3H), 4.92-4.85 (m, 1H), 4.82-4.72 (m, 2H), 4.52-4.42 (m, 1H), 3.77-3.48 (m, 6H), 3.21-3.14 (m, 1H), 3.03-2.95 (m, 1H), 2.79-2.65 (m, 2H), 2.47-2.28 (m, 3H), 2.25-2.05 (m, 3H), 2.05-1.94 (m, 5H), 1.91-1.76 (m, 2H), 1.52-1.37 (m, 4H), 0.92-0.77 (m, 5H)。
【0175】
実施例1-11
1-(((S)-7-ベンジル-20-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)-3,6,9,12,15-ペンタオキソ-2,5,8,11,14-ペンタアザイコシル)オキシ)-N-((1S,9S)-9-エチル-5-フルオロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-1-イル)シクロブタン-1-カルボキサミド 11
【化33】
【化34】
【0176】
ステップ1
1-((2-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)アセチルアミノ)メトキシ)シクロブタン-1-カルボン酸ベンジル 11b
【0177】
1-ヒドロキシシクロブタン-カルボン酸ベンジル11a(167 mg、0.81 mmol、文献「Journal of Medicinal Chemistry, 2013, vol. 56, # 13, p. 5541-5552」に開示された方法で調製された)及び8b(150 mg、0.41 mmol)を反応フラスコに加え、5 mLのテトラヒドロフランを加え、アルゴンガスで3回置換し、氷水浴で0~5℃まで降温し、カリウカルボニルムtert-ブトキシド(92 mg、0.82 mmol)を加え、氷浴を撤去し、室温まで昇温して10分間撹拌し、20 mLの氷水を加え、酢酸エチル(5 mL×2)及びクロロホルム(5 mL×5)で抽出し、有機相を合わせて濃縮し、得られた残留物を3 mLのジオキサンに溶解し、0.6 mLの水を加え、炭酸水素ナトリウム(41 mg、0.48 mmol)及びクロロギ酸-9-フルオレニルメチル(105 mg、0.41 mmol)を加え、室温で1時間撹拌した。水20 mLを加え、酢酸エチル(8 mL×3)で抽出し、有機相を飽和塩化ナトリウム溶液(20 mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、ろ液を減圧濃縮し、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより展開溶媒系Cで精製し、表題生成物11b(37 mg、収率:17.6%)を得た。
MS m/z (ESI): 514.6 [M+1]。
【0178】
ステップ2
1-((2-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)アセチルアミノ)メトキシ)シクロブタン-1-カルボン酸 11c
【0179】
11b(37 mg、71.9 μmol)をテトラヒドロフランと酢酸エチル(V:V=2:1)の混合溶媒3 mLに溶解し、パラジウム炭素(15 mg、含有量10%)を加え、水素ガスで3回置換し、室温で2時間撹拌しながら反応させた。反応液を珪藻土でろ過し、ろ過ケーキをテトラヒドロフランですすぎ、ろ液を濃縮して、表題生成物11c(35 mg、収率:82%)を得て、そのまま次のステップに進んだ。
【0180】
ステップ3
(9H-フルオレン-9-イル)メチル(2-(((1-(((1S,9S)-9-エチル-5-フルオロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-1-イル)アミノカルボニル)シクロプロポキシ)メチル)アミノ)-2-オキソエチル)カルバメート 11d
【0181】
1b(10 mg、0.018 mmol)を反応フラスコに加え、1 mLのN,N-ジメチルホルムアミドを加え、アルゴンガスで3回置換し、氷水浴で0~5℃に降温し、1滴のトリエチルアミンを滴下し、11c(13 mg、0.031 mmol)の0.5 mLのN,N-ジメチルホルムアミド溶液を加え、4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(25 mg、0.091 mmol)を加え、氷浴で40分間撹拌しながら反応させた。8 mLの水を加え、酢酸エチル(5 mL×3)で抽出し、有機相を飽和塩化ナトリウム溶液(8 mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、ろ液を減圧濃縮し、得られた残留物を薄層クロマトグラフィーにより展開溶媒系Aで精製し、表題生成物11d(19 mg、収率:73.9%)を得た。
MS m/z (ESI): 842.3 [M+1]。
【0182】
ステップ4
1-((2-アミノアセチルアミノ)メトキシ)-N-((1S,9S)-9-エチル-5-フルオロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-1-イル)シクロブタン-1-カルボキサミド 11e
【0183】
11d(19 mg、22.6 μmol)を2 mLのジクロロメタンに溶解し、1 mLのジエチルアミンを加え、室温で1.5時間撹拌した。反応液を減圧濃縮し、1 mLのトルエンを加えて減圧濃縮することを2回繰り返し、4 mLのn-ヘキサンを加えて叩解し、上層のn-ヘキサンを注ぎ出すことを3回繰り返し、減圧濃縮して、粗製品である表題生成物11e(15 mg)を得て、生成物を精製せずにそのまま次のステップの反応に使用した。
【0184】
ステップ5
1-(((S)-7-ベンジル-20-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)-3,6,9,12,15-ペンタオキソ-2,5,8,11,14-ペンタアザイコシル)オキシ)-N-((1S,9S)-9-エチル-5-フルオロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-1-イル)シクロブタン-1-カルボキサミド 11
【0185】
粗製品11e(2 mg、3.22 μmol)を0.5 mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶解し、アルゴンガスで3回置換し、氷水浴で0~5℃に降温し、8g(1.5 mg、3.17 μmol)の0.3 mLのN,N-ジメチルホルムアミド溶液を加え、4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(2.7 mg、9.67 μmol)を加え、室温で30分間撹拌した。反応液をオイルポンプで回転乾燥させ、DMFを除去し、残留物をDCMで溶解した後に薄層クロマトグラフィー法により2回直接精製し(展開溶媒の極性:DCM/MeOH=10/1)、表題生成物11(1 mg、収率:28.8%)を得た。
MS m/z (ESI): 1073.6 [M+1]。
H NMR (400 MHz, CDCl): δ 8.70-8.60 (m, 1H), 8.28-8.19 (m, 1H), 8.13-7.91 (m, 3H), 7.79-7.71 (d, 1H), 7.29 (s, 1H), 7.25-7.09 (m, 4H), 6.98 (s, 1H), 6.71-6.62 (m, 1H), 6.55-6.47 (m, 1H), 5.64-5.54 (m, 2H), 5.40 (s, 1H), 5.35-5.27 (t, 2H), 5.17-5.10 (m, 2H), 4.60-4.51 (m, 1H), 4.51-4.35 (m, 2H), 3.93-3.78 (m, 3H), 3.71-3.59 (m, 3H), 3.01-2.88 (m, 3H), 2.70-2.64 (m, 2H), 2.44-2.30 (m, 3H), 2.28-2.14 (m, 3H), 2.11-1.92 (m, 6H), 1.90-1.76 (m, 3H), 1.51-1.39 (m, 4H), 0.92-0.75 (m, 6H)。
【0186】
実施例1-12
(S)-3-シクロプロピル-N-((1S,9S)-9-エチル-5-フルオロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-1-イル)-2-ヒドロキシプロパンアミド 12-A
(R)-3-シクロプロピル-N-((1S,9S)-9-エチル-5-フルオロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-1-イル)-2-ヒドロキシプロパンアミド 12-B
【化35】
【化36】
【0187】
ステップ1
3-シクロプロピル-2-ヒドロキシプロピオン酸 12b
【0188】
12a(0.5 g、3.87 mmol、供給元:Adamas)を水と酢酸(V:V=4:1)の混合溶剤35 mLに溶解し、氷水浴で0~5℃に降温し、亜硝酸ナトリウム(0.53 g、7.74 mmol)の2 M水溶液を滴下し、室温まで昇温して3時間撹拌しながら反応させた。反応液に固体塩化ナトリウムを加えて水相を飽和させ、酢酸エチル(8 mL×8)で抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、濃縮して、表題生成物12b(0.45 g、収率:89.3%)を得た。
【0189】
ステップ2
(S)-3-シクロプロピル-N-((1S,9S)-9-エチル-5-フルオロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-1-イル)-2-ヒドロキシプロパンアミド 12-A
(R)-3-シクロプロピル-N-((1S,9S)-9-エチル-5-フルオロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-1-イル)-2-ヒドロキシプロパンアミド 12-B
【0190】
1b(45 mg、0.085 mmol)に1.5 mLのエタノール及び1.5 mLのN,N-ジメチルホルムアミドを加え、アルゴンガスで3回置換し、0.1 mLのN-メチルモルホリンを滴下し、反応液が清澄になるまで撹拌した。反応液に12b(90 mg、0.691 mmol)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(34 mg、0.251 mmol)及び1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(49 mg、0.256 mmol)を順に加え、添加完了後、室温で3時間撹拌しながら反応させた。反応液を減圧濃縮し、得られた粗製品である化合物12を高速液体クロマトグラフィーで精製し(分離条件:カラム:Sharpsil-T C18 5 μm 21.2*250 mm、移動相:A-水(10 mmol NHOAc)、B-アセトニトリル、勾配溶離、流速:18 mL/min)、表題生成物(7 mg、15 mg)を得た。
MS m/z (ESI): 547.9 [M+1]。
【0191】
単一配置の化合物(比較的短い保持時間)
UPLC分析:保持時間:1.345分間、純度:72%(カラム:ZORBAX Ecliphase Plus C18 1.8 μm 2.1*50 mm、移動相:A-水(5 mmol NHOAc)、B-アセトニトリル)。
H NMR (400 MHz, DMSO-d): δ 8.42 (d, 1H), 7.78 (d, 1H), 7.30 (s, 1H), 6.51 (s, 1H), 5.60-5.50 (m, 2H), 5.42 (s, 1H), 5.19 (q, 2H), 4.02-4.00 (m, 1H), 3.21-3.11 (m, 2H), 2.39 (s, 3H), 2.21-2.07 (m, 2H), 2.05-1.95 (m, 1H), 1.92-1.68 (m, 4H), 1.53-1.41 (m, 1H),0.87 (t, 3H), 0.48-0.34 (m, 2H) , 0.14-0.01 (m, 2H)。
【0192】
単一配置の化合物(比較的長い保持時間)
UPLC分析:保持時間:1.399分間、純度:88%(カラム:ZORBAX Ecliphase Plus C18 1.8 μm 2.1*50 mm、移動相:A-水(5 mmol NHOAc)、B-アセトニトリル)。
H NMR (400 MHz, DMSO-d): δ 8.36 (d, 1H), 7.77 (d, 1H), 7.31 (s, 1H), 6.51 (s, 1H), 5.58-5.51 (m, 1H), 5.48 (d, 1H), 5.42 (s, 1H),5.20 (q, 2H), 4.09-4.02 (m, 1H), 3.22-3.11 (m, 2H), 2.39 (s, 3H), 2.27-2.06 (m, 2H), 2.05-1.95 (m, 1H), 1.93-1.81 (m, 2H), 1.65-1.43 (m, 2H), 1.32-1.21 (m, 1H), 0.87 (t, 3H), 0.48-0.33 (m, 2H) , 0.14-0.01 (m, 2H)。
【0193】
実施例1-13(参照例)
N-((1S,9S)-9-エチル-5-フルオロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-1-イル)-2-ヒドロキシアセトアミド
【化37】
表題化合物13は、特許「EP2907824A1における明細書のページ147のExample 76」に開示された方法で調製されて得られた。
【0194】
実施例1-14
N-((2R,10S)-10-ベンジル-2-(シクロプロピルメチル)-1-(((1S,9S)-9-エチル-5-フルオロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-1-イル)アミノ)-1,6,9,12,15-ペンタオキソ-3-オキサ-5,8,11,14-テトラアザヘキサデカン-16-イル)-6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサンアミド 14-A
N-((2S,10S)-10-ベンジル-2-(シクロプロピルメチル)-1-(((1S,9S)-9-エチル-5-フルオロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-1-イル)アミノ)-1,6,9,12,15-ペンタオキソ-3-オキサ-5,8,11,14-テトラアザヘキサデカン-16-イル)-6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサンアミド 14-B
【化38】
【化39】
【0195】
ステップ1
3-シクロプロピル-2-ヒドロキシプロピオン酸ベンジル 14a
【0196】
12b(200 mg、1.54 mmol)を20 mLのアセトニトリルに溶解し、炭酸カリウム(1.06 g、7.68 mmol)、臭化ベンジル(0.16 mL、1.34 mmol)及びテトラブチルヨウ化アンモニウム(28 mg、0.07 mmol)を順に加えた。反応液を室温で48時間撹拌し、珪藻土でろ過し、ろ過ケーキを酢酸エチル(10 mL)ですすぎ、ろ液を合わせて減圧濃縮し、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより展開溶媒系Cで精製し、表題生成物14a(140 mg、収率:41.3%)を得た。
【0197】
ステップ2
10-(シクロプロピルメチル)-1-(9H-フルオレン-9-イル)-3,6-ジオキソ-2,9-ジオキサ-4,7-ジアザウンデカン-11-酸ベンジル 14b
【0198】
14a(94 mg、0.427 mmol)及び8b(130 mg、0.353 mmol)を反応フラスコに加え、10 mLのテトラヒドロフランを加え、アルゴンガスで3回置換し、氷水浴で0~5℃に降温し、カリウムtert-ブトキシド(79 mg、0.704 mmol)を加え、氷水浴を撤去し、室温まで昇温し、10分間撹拌し、氷水20 mLを加え、酢酸エチル(10 mL×4)で抽出し、有機相を飽和塩化ナトリウム溶液(20 mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、ろ液を減圧濃縮した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより展開溶媒系Cで精製し、表題生成物14b(50 mg、収率:26.8%)を得た。
MS m/z (ESI): 529.2 [M+1]。
【0199】
ステップ3
10-(シクロプロピルメチル)-1-(9H-フルオレン-9-イル)-3,6-ジオキソ-2,9-ジオキサ-4,7-ジアザウンデカン-11-酸 14c
【0200】
14b(27 mg、0.051 mmol)を酢酸エチル3 mLに溶解し、パラジウム炭素(7 mg、含有量10%、乾式)を加え、水素ガスで3回置換し、室温で1時間撹拌しながら反応させた。反応液を珪藻土でろ過し、ろ過ケーキを酢酸エチルですすぎ、ろ液を濃縮して、粗製品である表題生成物14c(23 mg)を得て、生成物を精製せずにそのまま次のステップの反応を行った。
MS m/z (ESI): 439.1 [M+1]。
【0201】
ステップ4
(9H-フルオレン-9-イル)メチル(2-((((3-シクロプロピル-1-(((1S,9S)-9-エチル-5-フルオロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-1-イル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)オキシ)メチル)アミノ)-2-オキソエチル)カルバメート 14d
【0202】
1b(22 mg、42.38 μmol)を反応フラスコに入れ、3 mLのN,N-ジメチルホルムアミドを加え、アルゴンガスで3回置換し、氷水浴で0~5℃に降温し、トリエチルアミン(4.3 mg,42.49 μmol)を滴下し、粗製品14c(23 mg、51.1 μmol)を加え、4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(17.6 mg、63.6 μmol)を加え、氷浴で40分間撹拌しながら反応させた。15 mLの水を加え、酢酸エチル(8 mL×3)で抽出し、有機相を合わせた。有機相を飽和塩化ナトリウム溶液(15 mL)で洗浄し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、ろ液を減圧濃縮した。得られた残留物を薄層クロマトグラフィーにより展開溶媒系Bで精製し、表題生成物14d(29 mg、収率:79.9%)を得た。
MS m/z (ESI): 856.1[M+1]。
【0203】
ステップ5
2-((2-アミノアセチルアミノ)メトキシ)-3-シクロプロピル-N-((1S,9S)-9-エチル-5-フルオロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-1-イル)プロパンアミド 14e
【0204】
14d(29 mg、33.9 μmol)を0.8 mLのジクロロメタンに溶解し、0.4 mLのジエチルアミンを加え、室温で1.5時間撹拌した。反応液を減圧濃縮し、1 mLのトルエンを加えて減圧濃縮することを2回繰り返した。残留物に3 mLのn-ヘキサンを加えて叩解し、放置後に上清液を注ぎ出すことを3回繰り返した。残留物を減圧濃縮し、オイルポンプにより乾燥させて粗製品である表題生成物14e(22 mg)を得て、生成物を精製せずにそのまま次のステップの反応に使用した。
MS m/z (ESI): 634.1[M+1]。
【0205】
ステップ6
N-((2R,10S)-10-ベンジル-2-(シクロプロピルメチル)-1-(((1S,9S)-9-エチル-5-フルオロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-1-イル)アミノ)-1,6,9,12,15-ペンタオキソ-3-オキサ-5,8,11,14-テトラアザヘキサデカン-16-イル)-6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサンアミド 14-A
N-((2S,10S)-10-ベンジル-2-(シクロプロピルメチル)-1-(((1S,9S)-9-エチル-5-フルオロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-1-イル)アミノ)-1,6,9,12,15-ペンタオキソ-3-オキサ-5,8,11,14-テトラアザヘキサデカン-16-イル)-6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサンアミド 14-B
【0206】
粗製品14e(22 mg、33.9 μmol)を2.5 mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶解し、アルゴンガスで3回置換し、氷水浴で0~5℃に降温し、8g(24 mg、50.8 μmol)、及び4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(14 mg、50.6 μmol)を加え、氷浴を撤去し、室温まで昇温し、1時間撹拌して反応させて化合物14を生成した。反応液を高速液体クロマトグラフィーで精製し(分離条件:カラム:XBridge Prep C18 OBD 5 μm 19*250 mm、移動相:A-水(10 mmol NHOAc)、B-アセトニトリル、勾配溶離、流速:18 mL/min)、表題生成物(2 mg、2 mg)を得た。
MS m/z (ESI): 1088.4 [M+1]。
【0207】
単一配置の化合物(比較的短い保持時間):
UPLC分析:保持時間:1.18分間、純度:88%(カラム:ACQUITY UPLC BEHC18 1.7 μm 2.1*50 mm、移動相:A-水(5 mmol NHOAc)、B-アセトニトリル)。
【0208】
単一配置の化合物(比較的長い保持時間):
UPLC分析:保持時間:1.23分間、純度:96%(カラム:ACQUITY UPLC BEHC18 1.7 μm 2.1*50 mm、移動相:A-水(5 mmol NHOAc)、B-アセトニトリル)。
【0209】
実施例1-15
1-((S)-9-ベンジル-22-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)-5,8,11,14,17-ペンタオキソ-2-オキサ-4,7,10,13,16-ペンタアザドコサン)-N-((1S,9S)-9-エチル-5-フルオロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-1-イル)シクロプロパン-1-カルボキサミド15
【化40】
【0210】
ステップ1
1-(10-(9H-フルオレン-9-イル)-5,8-ジオキソ-2,9-ジオキサ-4,7-ジアザデシル)シクロプロパン-1-カルボン酸ベンジル 15b
【0211】
8b(500 mg、1.35 mmol)を反応フラスコに入れ、6 mLのテトラヒドロフランを加え、1-ヒドロキシメチルシクロプロパン-1-ギ酸ベンジル15a(233 mg、1.13 mmol、特許出願「EP2862856A1の明細書のページ262のExample 22-2」に開示された方法で調製された)をフラスコに入れ、アルゴンガスで3回置換し、氷水浴で0~5℃に降温し、水素化ナトリウム(54 mg、1.35 mmol)を加え、氷浴を撤去し、室温まで昇温して40分間撹拌し、零度まで降温して20 mLの氷水を加え、酢酸エチル(5 mL×2)及びクロロホルム(5 mL×5)で抽出し、有機相を合わせ、飽和塩化ナトリウム溶液(20 mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、ろ液を減圧濃縮し、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより展開溶媒系Bで精製し、表題生成物15b(15 mg、収率:2.5%)を得た。
MS m/z (ESI): 515.2 [M+1]。
【0212】
ステップ2
1-(10-(9H-フルオレン-9-イル)-5,8-ジオキソ-2,9-ジオキサ-4,7-ジアザデシル)シクロプロパン-1-カルボン酸15c
【0213】
15b(15 mg、0.029 mmol)を2 mLの酢酸エチルに溶解し、パラジウム炭素(3 mg、含有量10%、乾式)を加え、水素ガスで3回置換し、室温で4.5時間撹拌しながら反応させた。反応液を珪藻土でろ過し、ろ過ケーキを酢酸エチルですすぎ、ろ液を濃縮して、表題生成物15c(11 mg、収率:89%)を得た。
MS m/z (ESI): 425.2 [M+1]。
【0214】
ステップ3
(9H-フルオレン-9-イル)メチル(2-(((1-(((1S,9S)-9-エチル-5-フルオロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-1-イル)アミノカルボニル)シクロプロピル)メトキシ)メチル)アミノ)2-オキソエチル)カルバメート 15d
【0215】
1b(10 mg、0.021 mmol)を反応フラスコに入れ、1 mLのN,N-ジメチルホルムアミドを加え、アルゴンガスで3回置換し、氷水浴で0~5℃に降温し、1滴のトリエチルアミンを滴下し、15c(11 mg、0.026 mmol)を加え、4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(10.7 mg、0.039 mmol)を加え、添加完了後、室温で60分間撹拌しながら反応させた。10 mLの水を加え、酢酸エチル(5 mL×3)で抽出し、有機相を飽和塩化ナトリウム溶液(10 mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、ろ液を減圧濃縮し、得られた残留物を薄層クロマトグラフィーにより展開溶媒系Bで精製し、表題生成物15d(19 mg、収率:87.0%)を得た。
MS m/z (ESI): 842.2 [M+1]。
【0216】
ステップ4
1-((2-アミノアセチルアミノ)メトキシ)-N-((1S,9S)-9-エチル-5-フルオロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-1-イル)シクロプロパン-1-カルボキサミド 15e
【0217】
15d(19 mg、22.56 μmol)を2 mLのジクロロメタンに溶解し、1 mLのジエチルアミンを加え、室温で1.5時間撹拌した。反応液を0℃で減圧濃縮し、1 mLのトルエンを加えて減圧濃縮することを2回繰り返し、3 mLのn-ヘキサンを加えて叩解し、上層のn-ヘキサンを注ぎ出すことを3回繰り返し、減圧濃縮して、粗製品である表題生成物15e(13.9 mg)を得て、生成物を精製せずにそのまま次のステップの反応に使用した。
MS m/z (ESI): 620.1 [M+1]。
【0218】
ステップ5
1-((S)-9-ベンジル-22-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)-5,8,11,14,17-ペンタオキソ-2-オキサ-4,7,10,13,16-ペンタアザドコサン)-N-((1S,9S)-9-エチル-5-フルオロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-1-イル)シクロプロパン-1-カルボキサミド 15
【0219】
粗製品15e(13.9 mg、22.4 μmol)を1 mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶解し、アルゴンガスで3回置換し、氷水浴で0~5℃に降温し、8g(15.8 mg、33.4 μmol)を加え、4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(9.3 mg、33.6 μmol)を加え、室温まで昇温し、60時間撹拌しながら反応させた。反応液を高速液体クロマトグラフィーで精製し(分離条件:カラム:XBridge Prep C18 OBD 5 μm 19*250 mm、移動相:A-水(10 mmol NHOAc)、B-アセトニトリル、勾配溶離、流速:18 mL/min)、その対応する成分を収集し、減圧濃縮して、表題生成物15(2.5 mg、収率10.3%)を得た。
MS m/z (ESI): 1074.2 [M+1]。
H NMR (400 MHz, DMSO-d): δ 8.51-8.37 (m, 1H), 8.22 (t, 1H), 8.14-8.02 (m, 2H), 8.011-7.94 (m, 1H), 7.82-7.73 (m, 1H), 7.29 (s, 1H), 7.26-7.10 (m, 3H), 6.98 (s, 1H), 6.53-6.47 (m, 1H), 5.62-5.50 (m, 1H), 5.45-5.36 (m, 1H), 5.35-5.23 (m, 2H), 5.13-5.02 (m, 2H), 4.61-4.50 (m, 2H), 4.42-4.28 (m, 2H), 3.76-3.61 (m, 3H), 3.60-3.45 (m, 3H), 3.27-3.23 (m, 1H), 3.20-2.81 (m,7H), 2.75-2.61 (m, 3H), 241-2.28 (m, 3H), 2.23-2.13 (m, 2H), 2.11-2.01 (m, 1H), 2.03-1.94 (m, 1H), 1.90 (s, 1H), 1.87-1.74 (m, 2H), 1.53-1.36 (m, 3H), 1.29-1.08 (m, 4H), 0.90-0.68 (m, 4H)。
【0220】
実施例1-16
1-((S)-9-ベンジル-22-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)-5,8,11,14,17-ペンタオキソ-2-オキサ-4,7,10,13,16-ペンタアザドコサン)-N-((1S,9S)-9-エチル-5-フルオロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-1-イル)シクロブタン-1-カルボキサミド 16
【化41】
【化42】
【0221】
ステップ1
1-(ヒドロキシメチル)シクロブタン-1-カルボン酸 16b
【0222】
エチル1-(ヒドロキシメチル)シクロブタンカルボキシレート16a(250 mg、1.58 mmol、供給元:Alfa)をメタノール(2 mL)及び水(1 mL)に溶解し、水酸化ナトリウム(126 mg、3.15 mmol)を加え、40℃に昇温し、3時間撹拌しながら反応させた。常温まで冷却し、減圧濃縮して有機溶剤を除去し、エーテル(10 mL)で逆抽出し、水相を収集した。水相を6 Nの塩酸水溶液でpH3~4に調整し、減圧濃縮して固体を得た。3 mLのトルエンを加え、減圧濃縮して回転乾燥することを3回繰り返した。オイルポンプで乾燥させ、粗製品である表題生成物16b(206 mg)を得て、生成物を精製せずにそのまま次のステップの反応に使用した。
MS m/z (ESI,NEG):129.2 [M-1]。
【0223】
ステップ2
1-(ヒドロキシメチル)シクロブタン-1-カルボン酸ベンジル 16c
【0224】
粗製品16b(206 mg、1.58 mmol)をアセトニトリル(15 mL)に溶解し、無水炭酸カリウム(1.09 g、7.90 mmol)及びテトラブチルヨウ化アンモニウム(29 mg、78.51 μmol)を加え、臭化ベンジル(216 mg、1.26 mmol)を加え、室温で一晩撹拌した。ろ過し、ろ液を減圧濃縮し、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより展開溶媒系Cで精製し、表題生成物16c(112 mg、収率:32.1%)を得た。
MS m/z (ESI): 221.1 [M+1]。
【0225】
ステップ3
1-(10-(9H-フルオレン-9-イル)-5,8-ジオキソ-2,9-ジオキサ-4,7-ジアザデシル)シクロブタン-1-カルボン酸ベンジル 16d
【0226】
16c(77 mg、0.35 mmol)及び8b(100 mg、0.27 mmol)を反応フラスコに入れ、3 mLのテトラヒドロフランを加え、アルゴンガスで3回置換し、氷水浴で0~5℃に降温し、カリウムtert-ブトキシド(61 mg、0.54 mmol)を加え、氷浴で10分間撹拌した。20 mLの氷水を加え、酢酸エチル(5 mL)及びクロロホルム(5 mL×5)で抽出し、有機相を合わせて濃縮した。得られた残留物を3 mLの1,4-ジオキサンに溶解し、水0.5 mLを加え、炭酸水素ナトリウム(27 mg、0.32 mmol)及びクロロギ酸-9-フルオレニルメチル(71 mg、0.27 mmol)を加え、室温で1時間撹拌した。水20 mLを加え、酢酸エチル(10 mL×3)で抽出し、有機相を飽和塩化ナトリウム溶液(20 mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、ろ液を減圧濃縮し、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより展開溶媒系Cで精製し、表題生成物16d(24 mg、収率:16.7%)を得た。
MS m/z (ESI): 551.3 [M+23]。
【0227】
ステップ4
1-(10-(9H-フルオレン-9-イル)-5,8-ジオキソ-2,9-ジオキサ-4,7-ジアザデシル)シクロブタン-1-カルボン酸ベンジル 16e
【0228】
16d(12 mg、22.7 μmol)をテトラヒドロフランと酢酸エチル(V:V=2:1)の混合溶媒1.5 mLに溶解し、パラジウム炭素(5 mg、含有量10%)を加え、水素ガスで3回置換し、室温で2時間撹拌しながら反応させた。反応液を珪藻土でろ過し、ろ過ケーキを酢酸エチルですすぎ、ろ液を減圧濃縮して、粗製品である表題生成物16e(10 mg)を得て、生成物を精製せずにそのまま次のステップの反応に使用した。
【0229】
ステップ5
(9H-フルオレン-9-イル)メチル(2-((((1-(((1S,9S)-9-エチル-5-フルオロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-1-イル)アミノカルボニル)シクロブチル)メトキシ)メチル)アミノ)-2-オキソエチル)カルバメート 16f
【0230】
1b(7.5 mg、0.014 mmol)を反応フラスコに入れ、1 mLのN,N-ジメチルホルムアミドを加え、アルゴンガスで3回置換し、氷水浴で0~5℃に降温し、1滴のトリエチルアミンを滴下し、粗製品16e(10 mg)の0.5 mLのN,N-ジメチルホルムアミド溶液を加え、4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(6 mg、0.026 mmol)を加え、氷浴で30分間撹拌しながら反応させた。10 mLの水を加え、酢酸エチル(10 mL×3)で抽出し、有機相を飽和塩化ナトリウム溶液(10 mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、ろ液を減圧濃縮し、得られた残留物を薄層クロマトグラフィーにより展開溶媒系Bで精製し、表題生成物16f(10.6 mg、収率:87.8%)を得た。
MS m/z (ESI): 856.2 [M+1]。
【0231】
ステップ6
1-(((2-アミノアセチルアミノ)メトキシ)メチル)-N-((1S,9S)-9-エチル-5-フルオロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-1-イル)シクロブタン-1-カルボキサミド 16g
【0232】
16f(10.6 mg、12.4 μmol)を0.6 mLのジクロロメタンに溶解し、0.3 mLのジエチルアミンを加え、室温で2時間撹拌した。反応液を減圧濃縮し、2 mLのトルエンを加えて減圧濃縮することを2回繰り返し、3 mLのn-ヘキサンを加えて叩解し、上層のn-ヘキサンを注ぎ出すことを3回繰り返した。減圧濃縮して粗製品である表題生成物16g(8 mg)を得て、生成物を精製せずにそのまま次のステップの反応に使用した。
MS m/z (ESI): 634.1 [M+1]。
【0233】
ステップ7
1-((S)-9-ベンジル-22-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)-5,8,11,14,17-ペンタオキソ-2-オキサ-4,7,10,13,16-ペンタアザドコサン)-N-((1S,9S)-9-エチル-5-フルオロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-1-イル)シクロブタン-1-カルボキサミド 16
【0234】
粗製品16g(8 mg)を1 mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶解し、8g(8.8 mg、18.6 μmol)を加え、4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(5.2 mg、18.8 μmol)を加え、室温で30分間撹拌しながら反応させた。反応液を高速液体クロマトグラフィーで精製し(分離条件:カラム:XBridge Prep C18 OBD 5 μm 19*250 mm、移動相:A-水(10 mmol NHOAc)、B-アセトニトリル、勾配溶離、流速:18 mL/min)、表題生成物16(1.0 mg、収率:7.2%)を得た。
MS m/z (ESI): 1088.0 [M+1]。
【0235】
実施例1-17
(1r,4r)-N-((S)-7-ベンジル-1-(1-(((1S,9S)-9-エチル-5-フルオロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-1-イル)アミノカルボニル)シクロプロピルオキシ)-3,6,9,12,15-ペンタオキソ-17,20,23,26,29,32,35,38,41-ノナオキサ-2,5,8,11,14-ペンタアザトリテトラコンタン-43-イル)-4-((2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)メチル)シクロヘキサン-1-カルボキサミド 17
【化43】
【化44】
【0236】
ステップ1
1-フェニル-2,5,8,11,14,17,20,23,26,29-デカオキサヘントリアコンタン-31-酸tert-ブチル 17b
【0237】
1-フェニル-2,5,8,11,14,17,20,23,26-ノナオキサオクタコサン-28-オール17a(0.34 g、0.67 mmol、供給元:畢得)を10 mLのジクロロメタンに溶解し、酸化銀(0.24 g、1.01 mmol)、ブロモ酢酸tert-ブチル(0.16 g、0.81 mmol)及びヨウ化カリウム(0.07 g、0.40 mmol)を順に加え、室温で3時間撹拌しながら反応させた。ろ過し、ろ液を減圧濃縮し、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより展開溶媒系Bで精製し、表題生成物17b(0.42 g、収率:100%)を得た。
MS m/z (ESI): 636.3 [M+18]。
【0238】
ステップ2
29-ヒドロキシ-3,6,9,12,15,18,21,24,27-ノナオキサモンタン-1-酸tert-ブチル 17c
【0239】
17b(417 mg、0.67 mmol)をテトラヒドロフラン15 mLに溶解し、パラジウム炭素(110 mg、含有量10%、乾式)を加え、水素ガスで3回置換し、60℃まで昇温して3時間撹拌しながら反応させた。反応液を珪藻土でろ過し、ろ過ケーキをテトラヒドロフランですすぎ、ろ液を濃縮して、粗製品である表題生成物17c(357 mg)を得て、生成物を精製せずにそのまま次のステップの反応を行った。
MS m/z (ESI): 546.2 [M+18]。
【0240】
ステップ3
29-アジド-3,6,9,12,15,18,21,24,27-ノナオキサモンタン-1-酸tert-ブチル17d
【0241】
17c(357 mg、0.675 mmol)を10 mLのトルエンに溶解し、ジフェニルリン酸アジド(279 mg、1.014 mmol)及び1,8-ジアザビシクロウンデカ-7-エン(206 mg、1.353 mmol)を加え、アルゴンガスで3回置換し、室温で2時間撹拌しながら反応させ、そして105℃まで昇温して19時間反応させた。反応液を室温に冷却し、濃縮し、20 mLの水を加え、酢酸エチル(10 mL×4)で抽出し、有機相を飽和塩化ナトリウム溶液(20 mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、ろ液を減圧濃縮した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより展開溶媒系Bで精製し、粗製品である表題生成物17d(412 mg)を得た。
MS m/z (ESI): 571.3 [M+18]。
【0242】
ステップ4
29-アミノ-3,6,9,12,15,18,21,24,27-ノナオキサモンタン-1-酸tert-ブチル 17e
【0243】
17d(230 mg、0.415 mmol)を8 mLのテトラヒドロフランに溶解し、パラジウム炭素(58 mg、含有量10%、乾式)を加え、水素ガスで3回置換し、室温で2時間撹拌しながら反応させた。反応液を珪藻土でろ過し、ろ過ケーキをテトラヒドロフランですすぎ、ろ液を濃縮して、粗製品である表題生成物17e(220 mg)を得て、生成物を精製せずにそのまま次のステップの反応を行った。
MS m/z (ESI): 528.2 [M+1]。
【0244】
ステップ5
1-((1r,4r)-4-((2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)メチル)シクロヘキシル)-1-オキソ-5,8,11,14,17,20,23,26,29-ノナオキサ-2-アザヘントリアコンタン-31-酸tert-ブチル 17f
【0245】
(1r,4r)-4-((2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)メチル)シクロヘキサン-1-カルボン酸(98.5 mg、0.415 mmol)を10 mLのジクロロメタンに溶解し、2-(7-ベンゾトリアゾールオキシド)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート(190 mg、0.500 mmol)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(162 mg、1.253 mmol)を加え、アルゴンガスで3回置換し、粗製品17e(220 mg、0.417 mmol)を加え、室温で1時間撹拌しながら反応させた。15 mLの水を加え、ジクロロメタン(8 mL×3)で抽出し、有機相を合わせた。有機相を飽和塩化ナトリウム溶液(15 mL)で洗浄し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、ろ液を減圧濃縮した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより展開溶媒系Bで精製し、表題生成物17f(122 mg、収率:39.2%)を得た。
MS m/z (ESI): 747.2[M+1]。
【0246】
ステップ6
1-((1r,4r)-4-((2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)メチル)シクロヘキシル)-1-オキソ-5,8,11,14,17,20,23,26,29-ノナオキサ-2-アザ-31-酸 17g
【0247】
17f(122 mg、0.163 μmol)を0.8 mLのジクロロメタンに溶解し、0.4 mLのトリフルオロ酢酸を加え、室温で1時間撹拌しながら反応させた。15 mLのジクロロメタンを加えて希釈し、減圧濃縮し、10 mLのn-ヘキサンを加えて減圧濃縮することを2回繰り返し、更に10 mLのトルエンを加えて減圧濃縮し、pHが7に近くなるまでn-ヘキサン:エーテル=5:1の混合溶剤10 mLで3回叩解し、濃縮し、オイルポンプで乾燥し、表題生成物17g(98 mg、収率:86.8%)を得た。
MS m/z (ESI): 691.2[M+1]。
【0248】
ステップ7
2,4-ジメトキシベンジル-1-((2-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)アセチルアミノ)メトキシ)シクロプロピル-1-カルボン酸エステル 17h
【0249】
8d(164 mg、0.40 mmol)をジクロロメタン(5 mL)に溶解し、2,4-ジメトキシベンジルアルコール(81 mg、0.48 mmol)、1-エチル-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジヒドロクライド(115 mg、0.60 mmol)及び4-ジメチルアミノピリジン(5 mg、0.041 mmol)を順に加え、添加完了後、室温で1時間撹拌しながら反応させた。20 mLの水を加え、振とうした後に分層させ、水相をジクロロメタン(8 mL×3)で抽出し、有機相を合わせた。有機相を飽和塩化ナトリウム溶液(20 mL)で洗浄し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、ろ液を減圧濃縮した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより展開溶媒系Cで精製し、表題生成物17h(124 mg、収率:55.4%)を得た。
MS m/z (ESI): 583.1[M+23]。
【0250】
ステップ8
2,4-ジメトキシベンジル(S)-1-((11-ベンジル-1-(9H-フルオレン-9-イル)-3,6,9,12,15-ペンタオキソ-2-オキサ-4,7,10,13,16-ペンタアザヘプタデカン-17-イル)オキシ)シクロプロピル-1-カルボン酸エステル 17j
【0251】
17h(39 mg、69.6 μmol)を0.6 mLのジクロロメタンに溶解し、0.3 mLのジエチルアミンを加え、室温で1時間撹拌した。反応液を減圧濃縮し、2 mLのトルエンを加えて減圧濃縮することを2回繰り返し、3 mLのn-ヘキサンを加えて叩解し、上層のn-ヘキサンを注ぎ出すことを3回繰り返し、減圧濃縮した。得られた粗製品を2 mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶解し、(((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)グリシル-L-フェニルアラニン17i(35 mg、69.8 μmol、特許出願「CN108853514Aの明細書のページ13の実施例7~12」に開示された方法で調製された)を加え、4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(23 mg、83.1 μmol)を加え、室温で1時間撹拌した。10 mLの水を加え、酢酸エチル(10 mL×3)で抽出し、有機相を合わせた。有機相を飽和塩化ナトリウム溶液(10 mL×2)で洗浄し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、ろ液を減圧濃縮した。得られた残留物を薄層クロマトグラフィーにより展開溶媒系Bで精製し、表題生成物17j(48 mg、収率:83.9%)を得た。
MS m/z (ESI): 822.0[M+1]。
【0252】
ステップ9
(S)-1-((11-ベンジル-1-(9H-フルオレン-9-イル)-3,6,9,12,15-ペンタオキソ-2-オキサ-4,7,10,13,16-ペンタアザヘプタデカン-17-イル)オキシ)シクロプロパン-1-カルボン酸 17k
【0253】
17j(48 mg、58.4 μmol)を1.4 mLの3%(v/v)のジクロロ酢酸のジクロロメタン溶液に溶解し、氷水浴で0~5℃に降温し、トリエチルシラン(21 mg、180.6 μmol)を加え、氷浴で3時間撹拌しながら反応させた。氷浴下で減圧濃縮して有機溶剤の半分を除去し、5 mLのエーテルを加え、自然に室温まで昇温して叩解し、白い固体を析出し、ろ過し、ろ過ケーキを収集し、オイルポンプで乾燥し、表題生成物17k(33 mg、収率:84.1%)を得た。
【0254】
ステップ10
(9H-フルオレン-9-イル)メチル((S)-7-ベンジル-1-(1-(((1S,9S)-9-エチル-5-フルオロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-1-イル)アミノカルボニル)シクロプロピルオキシ)-3,6,9,12-テトラオキソ-2,5,8,11-テトラアザトリデカン-13-イル)カルバメート 17l
【0255】
1b(20 mg、42.4 μmol)を反応フラスコに入れ、1 mLの10%(v/v)のメタノールのジクロロメタン溶液を加え、アルゴンガスで3回置換し、氷水浴で0~5℃に冷却し、1滴のトリエチルアミンを滴下し、1bが溶解されるまで撹拌した。17k(33 mg、49.1 μmol)を1 mLの10%(v/v)のメタノールのジクロロメタン溶液に溶解し、そして上記反応液に滴下し、更に4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(17.6 mg、63.6 μmol)を加えた。室温まで昇温して、1時間撹拌しながら反応させた。10 mLのジクロロメタン及び5 mLの水を加え、5分間撹拌し、放置して分層させ、有機相を収集し、水相をジクロロメタン(10 mL×3)で抽出し、有機相を合わせた。有機相を飽和塩化ナトリウム溶液(10 mL×2)で洗浄し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、ろ液を減圧濃縮した。得られた残留物を薄層クロマトグラフィーにより展開溶媒系Bで精製し、表題生成物17l(37 mg、収率:80.2%)を得た。
MS m/z (ESI): 1090.1[M+1]。
【0256】
ステップ11
(1r,4r)-N-((S)-7-ベンジル-1-(1-(((1S,9S)-9-エチル-5-フルオロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-1-イル)アミノカルボニル)シクロプロピルオキシ)-3,6,9,12,15-ペンタオキソ-17,20,23,26,29,32,35,38,41-ノナオキサ-2,5,8,11,14-ペンタアザトリテトラコンタン-43-イル)-4-((2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)メチル)シクロヘキサン-1-カルボキサミド 17
【0257】
17l(15.5 mg、14.23 μmol)を0.6 mLのジクロロメタンに溶解し、0.3 mLのジエチルアミンを加え、室温で1.5時間撹拌した。反応液を減圧濃縮し、2 mLのトルエンを加えて減圧濃縮することを2回繰り返し、3 mLのn-ヘキサンを加えて叩解し、上層のn-ヘキサンを注ぎ出すことを3回繰り返した。減圧濃縮し、そしてオイルポンプで乾燥した。得られた粗製品を1 mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶解し、17g(11 mg、15.92 μmol)を加え、4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(6.0 mg、21.68 μmol)を加え、アルゴンガスで3回置換し、室温で30分間撹拌しながら反応させた。反応液を高速液体クロマトグラフィーで精製し(分離条件:カラム:XBridge Prep C18 OBD 5 μm 19*250 mm、移動相:A-水(10 mmol NHOAc)、B-アセトニトリル、勾配溶離、流速:18 mL/min)、その対応する成分を収集し、減圧濃縮して、表題生成物17(6 mg、収率27.4%)を得た。
MS m/z (ESI): 1556.4 [M+18]。
H NMR (400 MHz, DMSO-d): δ 8.98 (d, 1H), 8.76 (s, 1H), 8.20 (br, 1H), 8.12-7.95 (m, 3H), 7.93-7.76 (m, 2H), 7.75-7.66 (m, 2H), 7.24 (s, 1H), 7.20-7.05 (m, 6H), 6.97 (s, 1H), 6.64 (br, 1H), 6.55 (d, 1H), 6.47 (s, 1H), 5.61-5.52 (m, 2H), 5.37 (s, 1H), 5.33-5.23 (m, 2H), 5.18 (s, 1H), 5.13 (s, 1H), 5.05 (s, 1H), 5.00 (s, 1H), 4.65-4.55 (m, 2H), 4.53-4.45 (m, 1H), 4.38-4.28 (m, 2H), 3.84 (s, 2H), 3.67 (d, 3H), 3.60-3.40 (m, 33H), 3.18 (d, 1H), 3.15-3.08 (m, 3H), 2.28 (s, 3H), 2.00-1.92 (m, 3H), 1.85 (s, 2H), 1.82-1.73 (m, 2H), 1.68-1.52 (m, 4H), 1.29-1.15 (m, 3H), 0.86-0.76 (m, 5H)。
【0258】
実施例1-18
(1r,4r)-N-((2R,10S)-10-ベンジル-2-シクロプロピル-1-(((1S,9S)-9-エチル-5-フルオロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13,15ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-1-イル)アミノ)-1,6,9,12,15,18-ヘキサオキソ-3,20,23,26,29,32,35,38,41,44-デカオキサ-5,8,11,14,17-ペンタアザテトラヘキサデカン-46-イル)-4-((2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)メチル)シクロヘキサン-1-カルボキサミド 18
【化45】

【化46】
【0259】
ステップ1
(R)-2-シクロプロピル-2-ヒドロキシ酢酸ベンジル 18a
(S)-2-シクロプロピル-2-ヒドロキシ酢酸ベンジル 18b
【0260】
2a(7.4 g、63.7 mmol)を200 mLのアセトニトリルに溶解し、炭酸カリウム(35 g、253.6 mmol)、臭化ベンジル(9.3 g、54.4 mmol)及びテトラブチルヨウ化アンモニウム(500 mg、1.36 mmol)を順に加えた。反応液を室温で16時間撹拌し、珪藻土でろ過し、ろ過ケーキを酢酸エチル(10 mL)ですすぎ、ろ液を合わせて減圧濃縮し、得られた残留物4.1 gをシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより展開溶媒系Cで精製し、更にキラル分割して精製し、表題生成物18a(1.1 g)及び18b(1.2 g)を得た。
【0261】
ステップ2
(R)-10-シクロプロピル-1-(9H-フルオレン-9-イル)-3,6-ジオキソ-2,9-ジオキサ-4,7-ジアザウンデカン-11-酸ベンジル 18c
【0262】
8b(3.1 g、8.41 mmol)をテトラヒドロフラン(55 mL)に溶解し、18a(2.0 g、9.70 mmol)を加え、氷水浴で0~5℃に冷却し、カリウムtert-ブトキシド(1.89 g、16.84 mmol)を加え、氷水浴で10分間撹拌した。酢酸エチル(30 mL)及び水(20 mL)を加え、放置して分層させ、水相をクロロホルム(30 mL×5)で抽出し、有機相を合わせた。有機相を減圧濃縮し、得られた残留物を1,4-ジオキサン(32 mL)及び水(8 mL)に溶解し、炭酸ナトリウム(1.78 g、16.79 mmol)及びクロロギ酸-9-フルオレニルメチル(2.18 g、8.42 mmol)を加え、室温で2時間撹拌した。反応液に水(30 mL)を加え、酢酸エチル(50 mL×3)で抽出し、有機相を合わせた。有機相を飽和塩化ナトリウム溶液(30 mL×2)で洗浄し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、ろ液を減圧濃縮した。得られた残留物をカラムクロマトグラフィーにより展開溶媒系Cで精製し、表題生成物18c(1.3 g、収率:30.0%)を得た。
MS m/z (ESI): 515.2[M+1]。
【0263】
ステップ3
(R)-10-シクロプロピル-1-(9H-フルオレン-9-イル)-3,6-ジオキソ-2,9-ジオキサ-4,7-ジアザウンデカン-11-酸 18d
【0264】
18c(1.29 g、2.51 mmol)を酢酸エチル(15 mL)に溶解し、パラジウム炭(260 mg、含有量10%、乾式)を加え、水素ガスで3回置換し、室温で5時間撹拌しながら反応させた。反応液を珪藻土でろ過し、ろ過ケーキを酢酸エチル(20 mL)及びメタノール(20 mL)ですすぎ、ろ液を濃縮し、粗製品である表題生成物18d(980 mg)を得て、生成物を精製せずにそのまま次のステップの反応を行った。
MS m/z (ESI): 425.1 [M+1]。
【0265】
ステップ4
2,4-ジメトキシベンジル(R)-10-シクロプロピル-1-(9H-フルオレン-9-イル)-3,6-ジオキソ-2,9-ジオキサ-4,7-ジアザウンデカン-11-エステル 18e
【0266】
粗製品18d(980 mg、2.31 mmol)をジクロロメタン(15 mL)に溶解し、2,4-ジメトキシベンジルアルコール(777 mg、4.62 mmol)、1-エチル-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジヒドロクライド(664 mg、3.46 mmol)及び4-ジメチルアミノピリジン(28 mg、0.23 mmol)を加え、室温で1時間撹拌した。減圧濃縮して有機溶剤を除去し、20 mLの水を加え、酢酸エチル(50 mL×3)で抽出し、有機相を合わせた。有機相を飽和塩化ナトリウム溶液(30 mL×2)で洗浄し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、ろ液を減圧濃縮した。得られた残留物をカラムクロマトグラフィーにより展開溶媒系Cで精製し、表題生成物18e(810 mg、収率:61.1%)を得た。
MS m/z (ESI): 575.0[M+1]。
【0267】
ステップ5
2,4-ジメトキシベンジル(R)-2-((2-アミノアセチルアミノ)メトキシ)-2-シクロプロピル酢酸エステル 18f
【0268】
18e(33 mg、57.4 μmol)を0.6 mLのジクロロメタンに溶解し、0.3 mLのジエチルアミンを加え、室温で1時間撹拌した。反応液を減圧濃縮し、2 mLのトルエンを加えて減圧濃縮することを2回繰り返し、3 mLのn-ヘキサンを加えて叩解し、上層のn-ヘキサンを注ぎ出すことを3回繰り返し、減圧濃縮して、粗製品である表題生成物18f(21 mg)を得て、生成物を精製せずにそのまま次のステップの反応に使用した。
【0269】
ステップ6
2,4-ジメトキシベンジル(11S,19R)-11-ベンジル-19-シクロプロピル-1-(9H-フルオレン-9-イル)-3,6,9,12,15-ペンタオキソ-2,18-ジオキサ-4,7,10,13,16-ペンタアザエイコサン-20-酸エステル 18g
【0270】
粗製品18f(21 mg、57.4 μmol)を3 mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶解し、17i(29 mg、57.8 μmol)を加え、4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(19 mg、68.7 μmol)を加え、室温で1時間撹拌した。10 mLの水を加え、酢酸エチル(10 mL×3)で抽出し、有機相を合わせた。有機相を飽和塩化ナトリウム溶液(10 mL×2)で洗浄し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、ろ液を減圧濃縮した。得られた残留物を薄層クロマトグラフィーにより展開溶媒系Bで精製し、表題生成物18g(37 mg、収率:77.1%)を得た。
MS m/z (ESI): 853.0[M+18]。
【0271】
ステップ7
(11S,19R)-11-ベンジル-19-シクロプロピル-1-(9H-フルオレン-9-イル)-3,6,9,12,15-ペンタオキソ-2,18-ジオキサ-4,7,10,13,16-ペンタアザエイコサン-20-酸 18h
【0272】
18g(37 mg、44.3 μmol)を1.4 mLの3%(v/v)のジクロロ酢酸のジクロロメタン溶液に溶解し、氷水浴で0~5℃に降温し、トリエチルシラン(15.4 mg、132.4 μmol)を加え、氷浴で3時間撹拌しながら反応させた。氷浴下で減圧濃縮して有機溶剤の半分を除去し、5 mLのエーテルを加え、自然に室温まで昇温して叩解し、白い固体を析出し、ろ過し、ろ過ケーキを収集し、オイルポンプで乾燥し、表題生成物18h(24 mg、収率:79.1%)を得た。
MS m/z (ESI): 708.2[M+23]。
【0273】
ステップ8
(9H-フルオレン-9-イル)メチル((2R,10S)-10-ベンジル-2-シクロプロピル-1-(((1S,9S)-9-エチル-5-フルオロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-1-イル)アミノ)-1,6,9,12,15-ペンタオキソ-3-オキサ-5,8,11,14-テトラアザヘキサデカン-16-イル)カルバメート 18i
【0274】
1b(30 mg、63.6 μmol)を反応フラスコに入れ、1 mLの10%(v/v)のメタノールのジクロロメタン溶液を加え、アルゴンガスで3回置換し、氷水浴で0~5℃に降温し、1滴のトリエチルアミンを滴下し、1bが溶解されるまで撹拌した。18h(65 mg、94.8 μmol)を1 mLの10%(v/v)のメタノールのジクロロメタン溶液に溶解し、そして上記反応液に滴下し、更に4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(27 mg、97.6 μmol)を加えた。室温まで昇温して、1時間撹拌しながら反応させた。10 mLのジクロロメタン及び5 mLの水を加え、5分間撹拌し、放置して分層させ、有機相を収集し、水相をジクロロメタン(10 mL×3)で抽出し、有機相を合わせた。有機相を飽和塩化ナトリウム溶液(10 mL×2)で洗浄し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、ろ液を減圧濃縮した。得られた残留物を薄層クロマトグラフィーにより展開溶媒系Bで精製し、表題生成物18i(25 mg、収率:35.6%)を得た。
MS m/z (ESI): 1104.4[M+1]。
【0275】
ステップ9
(S)-2-(2-(2-アミノアセチルアミノ)アセチルアミノ)-N-(2-((((R)-1-シクロプロピル-2-(((1S,9S)-9-エチル-5-フルオロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-1-イル)アミノ)-2-オキソエトキシ)メチル)アミノ)-2-オキソエトキシ)-3-フェニルプロパンアミド 18j
【0276】
18i(12 mg、10.9 μmol)を0.6 mLのジクロロメタンに溶解し、0.3 mLのジエチルアミンを加え、室温で1.5時間撹拌した。反応液を減圧濃縮し、2 mLのトルエンを加えて減圧濃縮することを2回繰り返し、3 mLのn-ヘキサンを加えて叩解し、上層のn-ヘキサンを注ぎ出すことを3回繰り返し、減圧濃縮して、粗製品である表題生成物18j(10 mg)を得て、生成物を精製せずにそのまま次のステップの反応に使用した。
MS m/z (ESI): 881.0 [M+1]。
【0277】
ステップ10
(1r,4r)-N-((2R,10S)-10-ベンジル-2-シクロプロピル-1-(((1S,9S)-9-エチル-5-フルオロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-1-イル)アミノ)-1,6,9,12,15,18-ヘキサオキソ-3,20,23,26,29,32,35,38,41,44-デカオキサ-5,8,11,14,17-ペンタアザテトラヘキサデカン-46-イル)-4-((2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)メチル)シクロヘキサン-1-カルボキサミド 18
【0278】
粗製品18j(10 mg)を1 mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶解し、17g(8.5 mg、12.3 μmol)を加え、4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(4.6 mg、16.6 μmol)を加え、室温で30分間撹拌した。反応液をろ過し、高速液体クロマトグラフィーで精製し(分離条件:カラム:XBridge Prep C18 OBD 5 μm 19×250 mm、移動相:A-水(10 mmol NHOAc)、B-アセトニトリル、勾配溶離、流速:18 mL/min)、その対応する成分を収集し、減圧濃縮して、表題生成物18(9.5 mg、収率:56.2%)を得た。
MS m/z (ESI): 1570.2 [M+18]。
H NMR (400 MHz, DMSO-d): δ 8.77 (d, 1H), 8.59-8.55 (m, 1H), 8.42 (d, 1H), 8.37-8.28 (m, 1H), 8.25-8.06 (m, 2H), 7.96-7.86 (m, 1H), 7.86-7.70 (m, 2H), 7.32-7.28 (m, 1H), 7.25-7.14 (m, 3H), 6.67 (m, 1H), 5.96 (s, 1H), 5.80-5.72 (m, 1H), 5.62-5.52 (m, 2H), 5.43-5.30 (m, 3H), 5.28-5.17 (m, 2H), 5.12-5.08 (m, 1H), 4.72-4.35 (m, 8H), 3.95-3.70 (m, 13H), 3.35-3.22 (m, 14H), 2.42-2.32 (m, 3H), 2.05-1.98 (m, 4H), 1.88-1.82 (m, 12H), 1.47-1.39 (m, 3H), 1.32-1.18 (m, 11H), 0.90-0.80 (m, 4H), 0.52-0.37 (m, 3H), 0.32-0.18 (m, 2H)。
【0279】
実施例1-19
(1r,4r)-N-((2S,10S)-10-ベンジル-2-シクロプロピル-1-(((1S,9S)-9-エチル-5-フルオロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-1-イル)アミノ)-1,6,9,12,15,18-ヘキサオキソ-3,20,23,26,29,32,35,38,41,44-デカオキサ-5,8,11,14,17-ペンタアザテトラヘキサデカン-46-イル)-4-((2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)メチル)シクロヘキサン-1-カルボキサミド 19
【化47】
【0280】
ステップ1
(S)-10-シクロプロピル-1-(9H-フルオレン-9-イル)-3,6-ジオキソ-2,9-ジオキサ-4,7-ジアザウンデカン-11-酸ベンジル 19a
【0281】
18b(252 mg、1.22 mmol)を反応フラスコに入れ、4 mLのジクロロメタンを加え、アルゴンガスで3回置換し、氷水浴で0~5℃に降温し、リチウムtert-ブトキシド(98 mg、1.22 mmol)を加え、氷水浴で15分間撹拌しながら反応させ、清澄になると、8b(300 mg、814.3 μmol)を加え、氷水浴で2.5時間撹拌した。水(10 mL)を入れて、分液し、水相をジクロロメタン(8 mL×2)で抽出し、有機相を合わせた後に水(10 mL×1)で洗浄し、飽和食塩水(10 mL×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過濃縮して粗製品を得た。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより展開溶媒系Cで精製し、表題生成物19a(282 mg、収率:67.2%)を得た。
【0282】
ステップ2
(S)-10-シクロプロピル-1-(9H-フルオレン-9-イル)-3,6-ジオキソ-2,9-ジオキサ-4,7-ジアザウンデカン-11-酸 19b
【0283】
19a(280 mg、0.554 mmol)を8 mLの酢酸エチルに溶解し、パラジウム炭素(84 mg、含有量10%、乾式)を加え、水素ガスで3回置換し、室温で3時間撹拌しながら反応させた。反応液を珪藻土でろ過し、ろ過ケーキを酢酸エチルですすぎ、ろ液を濃縮して、粗製品である表題生成物19b(230 mg)を得て、生成物を精製せずにそのまま次のステップの反応を行った。
【0284】
ステップ3
2,4-ジメトキシベンジル(S)-10-シクロプロピル-1-(9H-フルオレン-9-イル)-3,6-ジオキソ-2,9-ジオキサ-4,7-ジアザウンデカン-11-酸エステル 19c
【0285】
粗製品19b(230 mg、541.8 μmol)を7 mLのジクロロメタンに溶解し、2,4-ジメトキシベンジルアルコール(136.7 mg、812.7 μmol)、1-エチル-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジヒドロクライド(155 mg、808.5 μmol)及び4-ジメチルアミノピリジン(6.6 mg、53.5 μmol)を順に加え、室温で16時間撹拌した。反応液を10 mLのジクロロメタンで希釈した後、水(10 mL×1)で洗浄し、飽和食塩水(10 mL×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過濃縮して粗製品を得た。得られた残留物を薄層クロマトグラフィーにより展開溶媒系Bで精製し、表題生成物19c(159 mg、収率:51.0%)を得た。
【0286】
ステップ4
2,4-ジメトキシベンジル(S)-2-((2-アミノアセチルアミノ)メトキシ)-2-シクロプロピル酢酸エステル 19d
【0287】
19c(60 mg、104.4 μmol)を1 mLのジクロロメタンに溶解し、0.5 mLのジエチルアミンを加え、室温で1時間撹拌した。反応液を減圧濃縮し、2 mLのトルエンを加えて減圧濃縮することを2回繰り返し、3 mLのn-ヘキサンを加えて叩解し、上層のn-ヘキサンを注ぎ出すことを3回繰り返し、減圧濃縮して、粗製品である表題生成物19d(21 mg)を得て、生成物を精製せずにそのまま次のステップの反応に使用した。
【0288】
ステップ5
2,4-ジメトキシベンジル(11S,19S)-11-ベンジル-19-シクロプロピル-1-(9H-フルオレン-9-イル)-3,6,9,12,15-ペンタオキソ-2,18-ジオキサ-4,7,10,13,16-ペンタアザエイコサン-20-酸エステル19e
【0289】
粗製品19d(36 mg、102.2 μmol)を4 mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶解し、17i(52 mg、103.6 μmol)を加え、4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(34.6 mg、125.0 μmol)を加え、室温で1時間撹拌した。10 mLの水を加え、酢酸エチル(10 mL×3)で抽出し、有機相を合わせた。有機相を飽和塩化ナトリウム溶液(10 mL×2)で洗浄し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、ろ液を減圧濃縮した。得られた残留物を薄層クロマトグラフィーにより展開溶媒系Bで精製し、表題生成物19e(70 mg、収率:80.2%)を得た。
【0290】
ステップ6
(11S,19S)-11-ベンジル-19-シクロプロピル-1-(9H-フルオレン-9-イル)-3,6,9,12,15-ペンタオキソ-2,18-ジオキサ-4,7,10,13,16-ペンタアザエイコサン-20-酸 19f
【0291】
19e(70 mg、83.7 μmol)を2.5 mLの3%(v/v)のジクロロ酢酸のジクロロメタン溶液に溶解し、氷水浴で0~5℃に降温し、トリエチルシラン(29 mg、249.4 μmol)を加え、氷浴で3時間撹拌しながら反応させた。氷浴で減圧濃縮して有機溶剤の半分を除去し、5 mLのエーテルを加え、自然に室温まで昇温して叩解し、白い固体を析出し、ろ過し、ろ過ケーキを収集し、オイルポンプで乾燥し、表題生成物19f(57 mg、収率:99.2%)を得た。
【0292】
ステップ7
(9H-フルオレン-9-イル)メチル((2S,10S)-10-ベンジル-2-シクロプロピル-1-(((1S,9S)-9-エチル-5-フルオロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-1-イル)アミノ-1,6,9,12,15-ペンタオキソ-3-オキサ-5,8,11,14-テトラアザヘキサデカン-16-イル)カルバメート 19g
【0293】
1b(30 mg、63.6 μmol)を反応フラスコに入れ、1 mLの10%(v/v)のメタノールのジクロロメタン溶液を加え、アルゴンガスで3回置換し、氷水浴で0~5℃に降温し、1滴のトリエチルアミンを滴下し、1bが溶解されるまで撹拌した。19f(57 mg、83.1 μmol)を1 mLの10%(v/v)のメタノールのジクロロメタン溶液に溶解し、そして上記反応液に滴下し、更に4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(26 mg、93.9 μmol)を加えた。室温まで昇温して、1時間撹拌しながら反応させた。10 mLのジクロロメタン及び5 mLの水を加え、5分間撹拌し、放置して分層させ、有機相を収集し、水相をジクロロメタン(10 mL×3)で抽出し、有機相を合わせた。有機相を飽和塩化ナトリウム溶液(10 mL×2)で洗浄し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、ろ液を減圧濃縮した。得られた残留物を薄層クロマトグラフィーにより展開溶媒系Bで精製し、表題生成物19g(56 mg、収率:79.8%)を得た。
MS m/z (ESI): 1103.1[M+1]。
【0294】
ステップ8
(S)-2-(2-(2-アミノアセチルアミノ)アセチルアミノ)-N-(2-((((S)-1-シクロプロピル-2-((1S,9S)-9-エチル-5-フルオロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-1-イル)アミノ)-2-オキソエトキシ)メチル)アミノ)-2-オキソエチル)-3-フェニルプロパンアミド 19h
【0295】
19g(4.6 mg、4.16 μmol)を1.5 mLのジクロロメタンに溶解し、0.75 mLのジエチルアミンを加え、室温で1.6時間撹拌した。反応液を減圧濃縮し、2 mLのトルエンを加えて減圧濃縮することを2回繰り返し、3 mLのn-ヘキサンを加えて叩解し、上層のn-ヘキサンを注ぎ出すことを3回繰り返し、減圧濃縮して、粗製品である表題生成物19h(4.0 mg)を得て、生成物を精製せずにそのまま次のステップの反応に使用した。
【0296】
ステップ9
(1r,4r)-N-((2S,10S)-10-ベンジル-2-シクロプロピル-1-(((1S,9S)-9-エチル-5-フルオロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-1-イル)アミノ)-1,6,9,12,15,18-ヘキサオキソ-3,20,23,26,29,32,35,38,41,44-デカオキサ-5,8,11,14,17-ペンタアザテトラヘキサデカン-46-イル)-4-((2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)メチル)シクロヘキサン-1-カルボキサミド 19
【0297】
粗製品19h(4.0 mg)を1 mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶解し、17g(2.9 mg、4.2 μmol)を加え、4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(1.5 mg、5.4 μmol)を加え、室温で40分間撹拌した。反応液をろ過し、高速液体クロマトグラフィーで精製し(分離条件:カラム:XBridge Prep C18 OBD 5 μm 19×250 mm、移動相:A-水(10 mmol NHOAc)、B-アセトニトリル、勾配溶離、流速:18 mL/min)、その対応する成分を収集し、減圧濃縮して、表題生成物19(2.1 mg、収率:32.4%)を得た。
H NMR (400 MHz, DMSO-d): δ 8.71-8.62 (m, 1H), 8.59-8.51 (m, 1H), 8.34-8.26 (m, 1H), 8.14-8.02 (m, 2H), 7.95-7.86 (m, 1H), 7.83-7.69 (m, 2H), 7.35-7.31 (m, 1H), 7.29-7.11 (m, 3H), 7.01 (s, 1H), 6.72-6.50 (m, 3H), 5.59-5.50 (m, 2H), 5.42 (s, 2H), 5.38-5.18 (m, 3H), 4.79-4.69 (m, 2H), 4.61-4.42 (m, 3H), 3.91 (s, 2H), 3.79-3.65 (m, 4H), 3.63-3.44 (m, 13H), 3.41-3.30 (m, 2H), 3.26-3.09 (m, 5H), 3.08-2.84 (m, 4H), 2.81-2.64 (m, 3H), 2.42-2.28 (m, 3H), 2.24-2.12 (m, 2H), 2.05-1.93 (m, 4H), 1.89-1.77 (m, 2H), 1.72-1.56 (m, 3H), 1.53-1.38 (m, 3H), 1.34-1.10 (m, 11H), 0.94-0.78 (m, 5H), 0.52-0.35 (m, 3H)。
【0298】
実施例1-20(参照例)
【化48】
表題化合物20は、特許「CN104755494A」における明細書のページ163の実施例58」に提供された方法により合成された。
【0299】
次の抗体は、抗体の通常の方法により調製され、例えば、ベクターを構築した後、HEK293細胞(Life Technologies Cat. No. 11625019)などの真核細胞をトランスフェクションし、発現して精製した後に得られてもよい。
【0300】
以下は、Trastuzumabの配列である。
軽鎖
【化49】
重鎖
【化50】
【0301】
以下は、Pertuzumabの配列である。
軽鎖
【化51】
重鎖
【化52】
【0302】
以下は、B7H3抗体1F9DSの配列である。
軽鎖
【化53】
重鎖
【化54】
【0303】
実施例1-21 ADC-1
【化55】
【0304】
37℃の条件下で、抗体トラスツズマブ(Trastuzumab)のPBS緩衝水溶液(pH=6.5の0.05 MのPBS緩衝水溶液、2.5 mL、9.96 mg/mL、0.168 μmol)に、配合されたトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィンの水溶液(10 mM、0.082 mL、0.82 μmol)を加え、水浴振とう機に置き、37℃で3時間振とう反応させ、反応を止め、反応液を水浴で25℃に降温し、5.0 mg/mLに希釈し、2.0 mLの溶液を取り出して引き続き反応させた。
【0305】
化合物10-比較的短い保持時間化合物(2.1 mg、2.02 μmol)を0.10 mLのDMSOに溶解し、上記2.0 mLの溶液に加え、水浴振とう機に置き、25℃で3時間振とう反応させ、反応を止めた。反応液をSephadex G25ゲルカラムで脱塩精製し(溶離相:pHが6.5である0.05 MのPBS緩衝水溶液、0.001 MのEDTA含有)、FADC-1の一般式の例示的な生成物ADC-1のPBS緩衝液(5.0 mg/mL、1.1 mL)を得て、4℃で貯蔵した。
【0306】
UV-HPLCにより平均値を算出した:n=5.09。
【0307】
実施例1-22 ADC-2
【化56】
【0308】
37℃の条件下で、抗体トラスツズマブ(Trastuzumab)のPBS緩衝水溶液(pH=6.5の0.05 MのPBS緩衝水溶液、2.5 mL、9.96 mg/mL、0.168 μmol)に、配合されたトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィンの水溶液(10 mM、0.082 mL、0.82 μmol)を加え、水浴振とう機に置き、37℃で3時間振とう反応させ、反応を止め、反応液を水浴で25℃に降温し、5.0 mg/mLに希釈し、2.0 mLの溶液を取り出して引き続き反応させた。
【0309】
化合物10-比較的長い保持時間化合物(2.1 mg、2.02 μmol)を0.10 mLのDMSOに溶解し、上記2.0 mLの溶液に加え、水浴振とう機に置き、25℃で3時間振とう反応させ、反応を止めた。反応液をSephadex G25ゲルカラムで脱塩精製し(溶離相:pHが6.5である0.05 MのPBS緩衝水溶液、0.001 MのEDTA含有)、FADC-1の一般式の例示的な生成物ADC-2のPBS緩衝液(4.95 mg/mL、1.1 mL)を得て、4℃で貯蔵した。
【0310】
UV-HPLCにより平均値を算出した:n=7.39。
【0311】
実施例1-23 ADC-3
【化57】
【0312】
37℃の条件下で、抗体トラスツズマブ(Trastuzumab)のPBS緩衝水溶液(pH=6.5の0.05 MのPBS緩衝水溶液、2.5 mL、9.96 mg/mL、0.168 μmol)に、配合されたトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィンの水溶液(10 mM、0.082 mL、0.82 μmol)を加え、水浴振とう機に置き、37℃で3時間振とう反応させ、反応を止め、反応液を水浴で25℃に降温し、5.0 mg/mLに希釈し、2.0 mLの溶液を取り出して引き続き反応させた。
【0313】
化合物8(2.1 mg、2.02 μmol)を0.10 mLのDMSOに溶解し、上記2.0 mLの溶液に加え、水浴振とう機に置き、25℃で3時間振とう反応させ、反応を止めた。反応液をSephadex G25ゲルカラムで脱塩精製し(溶離相:pHが6.5である0.05 MのPBS緩衝水溶液、0.001 MのEDTA含有)、FADC-3の一般式の例示的な生成物ADC-3のPBS緩衝液(5.24 mg/mL、1.1 mL)を得て、4℃で貯蔵した。
【0314】
UV-HPLCにより平均値を算出した:n=7.36。
【0315】
実施例1-24 ADC-4
【化58】
【0316】
37℃の条件下で、抗体トラスツズマブ(Trastuzumab)のPBS緩衝水溶液(pH=6.5の0.05 MのPBS緩衝水溶液、3.74 mL、13.38 mg/mL、0.338 μmol)に、配合されたトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィンの水溶液(10 mM、0.173 mL、1.73 μmol)を加え、水浴振とう機に置き、37℃で3時間振とう反応させ、反応を止め、反応液を水浴で25℃に降温し、6.7 mg/mLに希釈し、1.3 mLの溶液を取り出して引き続き反応させた。
【0317】
化合物9-比較的短い保持時間化合物9-A(1.0 mg、0.93 μmol)を0.10 mLのDMSOに溶解し、上記1.3 mLの溶液に加え、水浴振とう機に置き、25℃で3時間振とう反応させ、反応を止めた。反応液をSephadex G25ゲルカラムで脱塩精製し(溶離相:pHが6.5である0.05 MのPBS緩衝水溶液、0.001 MのEDTA含有)、FADC-4Aの一般式の例示的な生成物ADC-4のPBS緩衝液(1.72 mg/mL、2.36 mL)を得て、4℃で貯蔵した。
【0318】
UV-HPLCにより平均値を算出した:n=7.39。
【0319】
実施例1-25 ADC-5
【化59】
【0320】
37℃の条件下で、抗体トラスツズマブ(Trastuzumab)のPBS緩衝水溶液(pH=6.5の0.05 MのPBS緩衝水溶液、3.0 mL、6.70 mg/mL、0.136 μmol)に、配合されたトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィンの水溶液(10 mM、0.067 mL、0.67 μmol)を加え、水浴振とう機に置き、37℃で3時間振とう反応させ、反応を止め、反応液を水浴で25℃に降温し、0.614 mLの溶液を取り出して引き続き反応させた。
【0321】
化合物9-比較的短い保持時間化合物9-A(0.5 mg、0.42 μmol)を0.031 mLのDMSOに溶解し、上記0.614 mLの溶液に加え、水浴振とう機に置き、25℃で3時間振とう反応させ、反応を止めた。反応液をSephadex G25ゲルカラムで脱塩精製し(溶離相:pHが6.5である0.05 MのPBS緩衝水溶液、0.001 MのEDTA含有)、FADC-4Aの一般式の例示的な生成物ADC-5のPBS緩衝液(3.08 mg/mL、0.82 mL)を得て、4℃で貯蔵した。
【0322】
UV-HPLCにより平均値を算出した:n=3.16。
【0323】
実施例1-26 ADC-6
【化60】
【0324】
37℃の条件下で、抗体トラスツズマブ(Trastuzumab)のPBS緩衝水溶液(pH=6.5の0.05 MのPBS緩衝水溶液、3.74 mL、13.38 mg/mL、0.338 μmol)に、配合されたトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィンの水溶液(10 mM、0.173 mL、1.73 μmol)を加え、水浴振とう機に置き、37℃で3時間振とう反応させ、反応を止め、反応液を水浴で25℃に降温し、6.7 mg/mLに希釈し、0.75 mLの溶液を取り出して引き続き反応させた。
【0325】
化合物9-比較的長い保持時間化合物9-B(0.68 mg、0.63 μmol)を0.10 mLのDMSOに溶解し、上記0.75 mLの溶液に加え、水浴振とう機に置き、25℃で3時間振とう反応させ、反応を止めた。反応液をSephadex G25ゲルカラムで脱塩精製し(溶離相:pHが6.5である0.05 MのPBS緩衝水溶液、0.001 MのEDTA含有)、FADC-4Bの一般式の例示的な生成物ADC-6のPBS緩衝液(1.78 mg/mL、1.78 mL)を得て、4℃で貯蔵した。
【0326】
UV-HPLCにより平均値を算出した:n=3.94。
【0327】
実施例1-27 ADC-7
【化61】
【0328】
37℃の条件下で、抗体ペルツズマブ(Pertuzumab)のPBS緩衝水溶液(pH=6.5の0.05 MのPBS緩衝水溶液、5.0 mL、10 mg/mL、0.338 μmol)に、配合されたトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィンの水溶液(10 mM、0.173 mL、1.73 μmol)を加え、水浴振とう機に置き、37℃で3時間振とう反応させ、反応を止め、反応液を水浴で25℃に降温し、5.0 mg/mLに希釈し、1.0 mLの溶液を取り出して引き続き反応させた。
【0329】
化合物8(0.65 mg、0.6 μmol)を0.1 mLのDMSOに溶解し、上記1.0 mLの溶液に加え、水浴振とう機に置き、25℃で3時間振とう反応させ、反応を止めた。反応液をSephadex G25ゲルカラムで脱塩精製し(溶離相:pHが6.5である0.05 MのPBS緩衝水溶液、0.001 MのEDTA含有)、FADC-7の一般式の例示的な生成物ADC-7のPBS緩衝液(1.42 mg/mL、2.15 mL)を得て、4℃で貯蔵した。
【0330】
UV-HPLCにより平均値を算出した:n=6.91。
【0331】
実施例1-28 ADC-8
【化62】
【0332】
37℃の条件下で、抗体ペルツズマブ(Pertuzumab)のPBS緩衝水溶液(pH=6.5の0.05 MのPBS緩衝水溶液、5.0 mL、10 mg/mL、0.338 μmol)に、配合されたトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィンの水溶液(10 mM、0.173 mL、1.73 μmol)を加え、水浴振とう機に置き、37℃で3時間振とう反応させ、反応を止め、反応液を水浴で25℃に降温し、5.0 mg/mLに希釈し、1.6 mLの溶液を取り出して引き続き反応させた。
【0333】
化合物10-比較的短い保持時間化合物(1.04 mg、1.0 μmol)を0.1 mLのDMSOに溶解し、上記1.6 mLの溶液に加え、水浴振とう機に置き、25℃で3時間振とう反応させ、反応を止めた。反応液をSephadex G25ゲルカラムで脱塩精製し(溶離相:pHが6.5である0.05 MのPBS緩衝水溶液、0.001 MのEDTA含有)、FADC-8の一般式の例示的な生成物ADC-8のPBS緩衝液(2.14 mg/mL、2.31 mL)を得て、4℃で貯蔵した。
【0334】
UV-HPLCにより平均値を算出した:n=6.58。
【0335】
実施例1-29 ADC-9
【化63】
【0336】
37℃の条件下で、抗体ペルツズマブ(Pertuzumab)のPBS緩衝水溶液(pH=6.5の0.05 MのPBS緩衝水溶液、5.0 mL、10 mg/mL、0.338 μmol)に、配合されたトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィンの水溶液(10 mM、0.173 mL、1.73 μmol)を加え、水浴振とう機に置き、37℃で3時間振とう反応させ、反応を止め、反応液を水浴で25℃に降温し、5.0 mg/mLに希釈し、0.8 mLの溶液を取り出して引き続き反応させた。
【0337】
化合物9-比較的短い保持時間化合物9-A(0.55 mg、0.5 μmol)を0.1 mLのDMSOに溶解し、上記0.8 mLの溶液に加え、水浴振とう機に置き、25℃で3時間振とう反応させ、反応を止めた。反応液をSephadex G25ゲルカラムで脱塩精製し(溶離相:pHが6.5である0.05 MのPBS緩衝水溶液、0.001 MのEDTA含有)、FADC-9Aの一般式の例示的な生成物ADC-9のPBS緩衝液(2.27 mg/mL、1.11 mL)を得て、4℃で貯蔵した。
【0338】
UV-HPLCにより平均値を算出した:n=3.16。
【0339】
実施例1-30 ADC-10
【化64】
【0340】
37℃の条件下で、抗体トラスツズマブ(Trastuzumab)のPBS緩衝水溶液(pH=6.5の0.05 MのPBS緩衝水溶液、10.0 mg/mL、0.574 mL、38.78 nmol)に、配合されたトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)の水溶液(10 mM、19.76 μL、197.6 nmol)を加え、水浴振とう機に置き、37℃で3時間振とう反応させ、反応を止めた。反応液を水浴で25℃に降温した。
【0341】
化合物14-比較的短い保持時間化合物(0.64 mg、588 nmol)を40 μLのDMSOに溶解し、上記反応液に加え、水浴振とう機に置き、25℃で3時間振とう反応させ、反応を止めた。反応液をSephadex G25ゲルカラムで脱塩精製し(溶離相:pHが6.5である0.05 MのPBS緩衝水溶液、0.001 MのEDTA含有)、FADC-10の一般式の例示的な生成物ADC-10のPBS緩衝液(5.48 mg/mL、1.03 mL)を得て、4℃で貯蔵した。
【0342】
UV-Visにより平均値を算出した:n=6.25。
【0343】
実施例1-31 ADC-11
【化65】
【0344】
37℃の条件下で、抗体トラスツズマブ(Trastuzumab)のPBS緩衝水溶液(pH=6.5の0.05 MのPBS緩衝水溶液、10.0 mg/mL、0.646 mL、43.64 nmol)に、配合されたトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)の水溶液(10 mM、22.24 μL、222.4 nmol)を加え、水浴振とう機に置き、37℃で3時間振とう反応させ、反応を止めた。反応液を水浴で25℃に降温した。
【0345】
化合物14-比較的長い保持時間化合物(0.72 mg、662 nmol)を40 μLのDMSOに溶解し、上記反応液に加え、水浴振とう機に置き、25℃で3時間振とう反応させ、反応を止めた。反応液をSephadex G25ゲルカラムで脱塩精製し(溶離相:pHが6.5である0.05 MのPBS緩衝水溶液、0.001 MのEDTA含有)、FADC-10の一般式の例示的な生成物ADC-11のPBS緩衝液(2.13 mg/mL、1.87 mL)を得て、4℃で貯蔵した。
【0346】
UV-Visにより平均値を算出した:n=7.03。
【0347】
実施例1-32 ADC-12
【化66】
【0348】
37℃の条件下で、抗体トラスツズマブ(Trastuzumab)のPBS緩衝水溶液(pH=6.5の0.05 MのPBS緩衝水溶液、10.0 mg/mL、0.726 mL、49.05 nmol)に、配合されたトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)の水溶液(10 mM、25.0 μL、250.0 nmol)を加え、水浴振とう機に置き、37℃で3時間振とう反応させ、反応を止めた。反応液を水浴で25℃に降温した。
【0349】
化合物15(0.81 mg、754 nmol)を40 μLのDMSOに溶解し、上記反応液に加え、水浴振とう機に置き、25℃で3時間振とう反応させ、反応を止めた。反応液をSephadex G25ゲルカラムで脱塩精製し(溶離相:pHが6.5である0.05 MのPBS緩衝水溶液、0.001 MのEDTA含有)、FADC-12の一般式の例示的な生成物ADC-12のPBS緩衝液(3.34 mg/mL、1.45 mL)を得て、4℃で貯蔵した。
【0350】
UV-Visにより平均値を算出した:n=6.93。
【0351】
実施例1-33 ADC-13
【化67】
【0352】
37℃の条件下で、抗体トラスツズマブ(Trastuzumab)のPBS緩衝水溶液(pH=6.5の0.05 MのPBS緩衝水溶液、10.0 mg/mL、0.287 mL、19.39 nmol)に、配合されたトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)の水溶液(10 mM、9.88 μL、98.8 nmol)を加え、水浴振とう機に置き、37℃で3時間振とう反応させ、反応を止めた。反応液を水浴で25℃に降温した。
【0353】
化合物16(0.32 mg、294 nmol)を20 μLのDMSOに溶解し、上記反応液に加え、水浴振とう機に置き、25℃で3時間振とう反応させ、反応を止めた。反応液をSephadex G25ゲルカラムで脱塩精製し(溶離相:pHが6.5である0.05 MのPBS緩衝水溶液、0.001 MのEDTA含有)、FADC-13の一般式の例示的な生成物ADC-13のPBS緩衝液(2.37 mg/mL、0.88 mL)を得て、4℃で貯蔵した。
【0354】
UV-Visにより平均値を算出した:n=6.53。
【0355】
実施例1-34 ADC-14
【化68】
【0356】
37℃の条件下で、抗体トラスツズマブ(Trastuzumab)のPBS緩衝水溶液(pH=6.5の0.05 MのPBS緩衝水溶液、10.0 mg/mL、0.592 mL、40.0 nmol)に、配合されたトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)の水溶液(10 mM、20.38 μL、203.8 nmol)を加え、水浴振とう機に置き、37℃で3時間振とう反応させ、反応を止めた。反応液を水浴で25℃に降温した。
【0357】
化合物17(0.92 mg、598 nmol)を40 μLのDMSOに溶解し、上記反応液に加え、水浴振とう機に置き、25℃で3時間振とう反応させ、反応を止めた。反応液をSephadex G25ゲルカラムで脱塩精製し(溶離相:pHが6.5である0.05 MのPBS緩衝水溶液、0.001 MのEDTA含有)、FADC-14の一般式の例示的な生成物ADC-14のPBS緩衝液(0.30 mg/mL、12.0 mL)を得て、4℃で貯蔵した。
【0358】
UV-Visにより平均値を算出した:n=7.61。
【0359】
実施例1-35 ADC-15
【化69】
【0360】
37℃の条件下で、抗体トラスツズマブ(Trastuzumab)のPBS緩衝水溶液(pH=6.5の0.05 MのPBS緩衝水溶液、10.0 mg/mL、0.592 mL、40.0 nmol)に、配合されたトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)の水溶液(10 mM、20.38 μL、203.8 nmol)を加え、水浴振とう機に置き、37℃で3時間振とう反応させ、反応を止めた。反応液を水浴で25℃に降温した。
【0361】
化合物18(0.93 mg、599 nmol)を40 μLのDMSOに溶解し、上記反応液に加え、水浴振とう機に置き、25℃で3時間振とう反応させ、反応を止めた。反応液をSephadex G25ゲルカラムで脱塩精製し(溶離相:pHが6.5である0.05 MのPBS緩衝水溶液、0.001 MのEDTA含有)、FADC-15の一般式の例示的な生成物ADC-15のPBS緩衝液(0.32 mg/mL、11.8 mL)を得て、4℃で貯蔵した。
【0362】
UV-Visにより平均値を算出した:n=7.89。
【0363】
実施例1-36 ADC-16
【化70】
【0364】
37℃の条件下で、抗体トラスツズマブ(Trastuzumab)のPBS緩衝水溶液(pH=6.5の0.05 MのPBS緩衝水溶液、10.0 mg/mL、0.53 mL、35.8 nmol)に、配合されたトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)の水溶液(10 mM、18.25 μL、182.5 nmol)を加え、水浴振とう機に置き、37℃で3時間振とう反応させ、反応を止めた。反応液を水浴で25℃に降温した。
【0365】
化合物19(0.83 mg、534 nmol)を35 μLのDMSOに溶解し、上記反応液に加え、水浴振とう機に置き、25℃で3時間振とう反応させ、反応を止めた。反応液をSephadex G25ゲルカラムで脱塩精製し(溶離相:pHが6.5である0.05 MのPBS緩衝水溶液、0.001 MのEDTA含有)、FADC-16の一般式の例示的な生成物ADC-16のPBS緩衝液(0.32 mg/mL、12.0 mL)を得て、4℃で貯蔵した。
【0366】
UV-Visにより平均値を算出した:n=7.43。
【0367】
実施例1-37 ADC-17
【化71】
【0368】
37℃の条件下で、抗体トラスツズマブ(Trastuzumab)のPBS緩衝水溶液(pH=6.5の0.05 MのPBS緩衝水溶液、10.0 mg/mL、2.0 mL、135.12 nmol)に、配合されたトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)の水溶液(10 mM、43.2 μL、432 nmol)を加え、水浴振とう機に置き、37℃で3時間振とう反応させ、反応を止めた。反応液を水浴で25℃に降温した。
【0369】
化合物9-比較的短い保持時間化合物9-A(2.22 mg、2067 nmol)を175 μLのDMSOに溶解し、上記反応液に加え、水浴振とう機に置き、25℃で3時間振とう反応させ、反応を止めた。反応液をSephadex G25ゲルカラムで脱塩精製し(溶離相:pHが6.5である0.05 MのPBS緩衝水溶液、0.001 MのEDTA含有)、FADC-4Aの一般式の例示的な生成物ADC-17のPBS緩衝液(1.32 mg/mL、12.0 mL)を得て、4℃で貯蔵した。
【0370】
UV-Visにより平均値を算出した:n=5.42。
【0371】
実施例1-38 ADC-18(参照例)
【化72】
【0372】
37℃の条件下で、抗体トラスツズマブ(Trastuzumab)のPBS緩衝水溶液(pH=6.5の0.05 MのPBS緩衝水溶液、10.0 mg/mL、1.5 mL、101.3 nmol)に、配合されたトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)の水溶液(10 mM、51.7 μL、517 nmol)を加え、水浴振とう機に置き、37℃で3時間振とう反応させ、反応を止めた。反応液を水浴で25℃に降温した。
【0373】
化合物20(2.0 mg、1934 nmol)を100 μLのDMSOに溶解し、上記反応液に加え、水浴振とう機に置き、25℃で3時間振とう反応させ、反応を止めた。反応液をSephadex G25ゲルカラムで脱塩精製し(溶離相:pHが6.5である0.05 MのPBS緩衝水溶液、0.001 MのEDTA含有)、FADC-18の一般式の例示的な生成物ADC-18のPBS緩衝液(0.79 mg/mL、13.0 mL)を得て、4℃で貯蔵した。
【0374】
UV-Visにより平均値を算出した:n=7.23。
【0375】
実施例1-39 ADC-19
【化73】
【0376】
37℃の条件下で、抗体トラスツズマブ(Trastuzumab)のPBS緩衝水溶液(pH=6.5の0.05 MのPBS緩衝水溶液、10.0 mg/mL、1.36 mL、91.9 nmol)に、配合されたトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)の水溶液(10 mM、46.9 μL、469 nmol)を加え、水浴振とう機に置き、37℃で3時間振とう反応させ、反応を止めた。反応液を水浴で25℃に降温した。
【0377】
化合物9-比較的短い保持時間化合物9-A(2.0 mg、1862 nmol)を100 μLのDMSOに溶解し、上記反応液に加え、水浴振とう機に置き、25℃で3時間振とう反応させ、反応を止めた。反応液をSephadex G25ゲルカラムで脱塩精製し(溶離相:pHが6.5である0.05 MのPBS緩衝水溶液、0.001 MのEDTA含有)、FADC-4Aの一般式の例示的な生成物ADC-19のPBS緩衝液(0.73 mg/mL、13.0 mL)を得て、4℃で貯蔵した。
【0378】
UV-Visにより平均値を算出した:n=6.26。
【0379】
実施例1-40 ADC-20
【化74】
【0380】
37℃の条件下で、抗体トラスツズマブ(Trastuzumab)のPBS緩衝水溶液(pH=6.5の0.05 MのPBS緩衝水溶液、10.0 mg/mL、1.5 mL、101.3 nmol)に、配合されたトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)の水溶液(10 mM、51.7 μL、517 nmol)を加え、水浴振とう機に置き、37℃で3時間振とう反応させ、反応を止めた。反応液を水浴で25℃に降温した。
【0381】
化合物10-比較的長い保持時間化合物(2.0 mg、1815 nmol)を100 μLのDMSOに溶解し、上記反応液に加え、水浴振とう機に置き、25℃で3時間振とう反応させ、反応を止めた。反応液をSephadex G25ゲルカラムで脱塩精製し(溶離相:pHが6.5である0.05 MのPBS緩衝水溶液、0.001 MのEDTA含有)、FADC-1の一般式の例示的な生成物ADC-20のPBS緩衝液(0.73 mg/mL、13.0 mL)を得て、4℃で貯蔵した。
【0382】
UV-Visにより平均値を算出した:n=7.43。
【0383】
実施例1-41 ADC-21(参照例)
【化75】
【0384】
37℃の条件下で、抗体トラスツズマブ(Trastuzumab)のPBS緩衝水溶液(pH=6.5の0.05 MのPBS緩衝水溶液、10.0 mg/mL、1.86 mL、125.4 nmol)に、配合されたトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)の水溶液(10 mM、63.9 μL、639 nmol)を加え、水浴振とう機に置き、37℃で3時間振とう反応させ、反応を止めた。反応液を水浴で25℃に降温した。
【0385】
化合物20(2.07 mg、2001 nmol)を150 μLのDMSOに溶解し、上記反応液に加え、水浴振とう機に置き、25℃で3時間振とう反応させ、反応を止めた。反応液をSephadex G25ゲルカラムで脱塩精製し(溶離相:pHが6.5である0.05 MのPBS緩衝水溶液、0.001 MのEDTA含有)、FADC-18の一般式の例示的な生成物ADC-21のPBS緩衝液(2.91 mg/mL、4.44 mL)を得て、4℃で貯蔵した。
【0386】
UV-Visにより平均値を算出した:n=7.23。
【0387】
実施例1-42 ADC-22
【化76】
【0388】
37℃の条件下で、抗体トラスツズマブ(Trastuzumab)のPBS緩衝水溶液(pH=6.5の0.05 MのPBS緩衝水溶液、10.0 mg/mL、1.88 mL、127.2 nmol)に、配合されたトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)の水溶液(10 mM、64.9 μL、649 nmol)を加え、水浴振とう機に置き、37℃で3時間振とう反応させ、反応を止めた。反応液を水浴で25℃に降温した。
【0389】
化合物9-比較的短い保持時間化合物9-A(2.1 mg、1955 nmol)を150 μLのDMSOに溶解し、上記反応液に加え、水浴振とう機に置き、25℃で3時間振とう反応させ、反応を止めた。反応液をSephadex G25ゲルカラムで脱塩精製し(溶離相:pHが6.5である0.05 MのPBS緩衝水溶液、0.001 MのEDTA含有)、FADC-4Aの一般式の例示的な生成物ADC-22のPBS緩衝液(3.56 mg/mL、3.98 mL)を得て、4℃で貯蔵した。
【0390】
UV-Visにより平均値を算出した:n=6.79。
【0391】
実施例1-43 ADC-23(参照例)
【化77】
【0392】
37℃の条件下で、抗体トラスツズマブ(Trastuzumab)のPBS緩衝水溶液(pH=6.5の0.05 MのPBS緩衝水溶液、10.0 mg/mL、345 mL、23.31 μmol)に、配合されたトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)の水溶液(10 mM、11.89 mL、118.9 μmol)を加え、水浴振とう機に置き、37℃で3.5時間振とう反応させ、反応を止めた。反応液を水浴で25℃に降温した。
【0393】
化合物20(362 mg、350 μmol)を7.12 mLのMeCN及び3.56 mLのDMSOに溶解し、上記反応液に加え、水浴振とう機に置き、25℃で3時間振とう反応させ、反応を止めた。反応液を限外ろ過膜バッグに通して2%(v/v)のMeCN及び1%(v/v)のDMSOを含むPBS緩衝水溶液(pH=6.5の0.05 MのPBS緩衝水溶液)、コハク酸緩衝水溶液(pH=5.3の0.01 Mのコハク酸緩衝水溶液)で順に脱塩精製した後に、スクロースを60 mg/mL、Tween 20を0.2 mg/mLまで加え、フラスコに入れて凍結乾燥した後、FADC-18の一般式の例示的な生成物ADC-23の凍結乾燥粉末試料を得て、4℃で貯蔵した。
【0394】
UV-Visにより平均値を算出した:n=7.05。
【0395】
実施例1-44 ADC-24
【化78】
【0396】
37℃の条件下で、抗体トラスツズマブ(Trastuzumab)のPBS緩衝水溶液(pH=6.5の0.05 MのPBS緩衝水溶液、10.0 mg/mL、332 mL、22.43 μmol)に、配合されたトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)の水溶液(10 mM、11.44 mL、114.4 μmol)を加え、水浴振とう機に置き、37℃で3.5時間振とう反応させ、反応を止めた。反応液を水浴で25℃に降温した。
【0397】
化合物9-比較的短い保持時間化合物9-A(241 mg、224 μmol)を13.76 mLのMeCN及び6.88 mLのDMSOに溶解し、上記反応液に加え、水浴振とう機に置き、25℃で3時間振とう反応させ、反応を止めた。反応液を限外ろ過膜バッグに通して4%(v/v)のMeCN及び2%(v/v)のDMSOを含むPBS緩衝水溶液(pH=6.5の0.05 MのPBS緩衝水溶液)、コハク酸緩衝水溶液(pH=5.3の0.01 Mのコハク酸緩衝水溶液)で順に脱塩精製した後に、スクロースを60 mg/mL、Tween 20を0.2 mg/mLまで加え、フラスコに入れて凍結乾燥した後、FADC-4Aの一般式の例示的な生成物ADC-24の凍結乾燥粉末試料を得て、4℃で貯蔵した。
【0398】
UV-Visにより平均値を算出した:n=7.07。
【0399】
実施例1-45 ADC-25
【化79】
【0400】
37℃の条件で、抗体B7H3抗体1F9DSのPBS緩衝水溶液(pH=6.5の0.05 MのPBS緩衝水溶液、10.0 mg/mL、2.14 mL、144.60 nmol)に、配合されたトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)の水溶液(10 mM、73.7 μL、740 nmol)を加え、水浴振とう器に置き、37℃で3時間振とう反応させて、反応を止めた。反応液を水浴で25℃に降温した。
【0401】
化合物9-比較的短い保持時間化合物9-A(3.0 mg、2793 nmol)を150 μLのDMSOに溶解し、上記反応液に加え、水浴振とう機に置き、25℃で3時間振とう反応させ、反応を止めた。反応液をSephadex G25ゲルカラムで脱塩精製し(溶離相:pHが6.5である0.05 MのPBS緩衝水溶液、0.001 MのEDTA含有)、FADC-25の一般式の例示的な生成物ADC-25のPBS緩衝液(1.28 mg/mL、13.0 mL)を得て、4℃で貯蔵した。
【0402】
UV-Visにより平均値を算出した:n=6.87。
【0403】
実施例1-46 ADC-26(参照例)
【化80】
【0404】
37℃の条件で、抗体B7H3抗体1F9DSのPBS緩衝水溶液(pH=6.5の0.05 MのPBS緩衝水溶液、10.0 mg/mL、0.89 mL、60.14 nmol)に、配合されたトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)の水溶液(10 mM、30.1 μL、300 nmol)を加え、水浴振とう器に置き、37℃で3時間振とう反応させて、反応を止めた。反応液を水浴で25℃に降温した。
【0405】
化合物20(1.0 mg、967 nmol)を100 μLのDMSOに溶解し、上記反応液に加え、水浴振とう機に置き、25℃で3時間振とう反応させ、反応を止めた。反応液をSephadex G25ゲルカラムで脱塩精製し(溶離相:pHが6.5である0.05 MのPBS緩衝水溶液、0.001 MのEDTA含有)、FADC-26の一般式の例示的な生成物ADC-26のPBS緩衝液(1.61 mg/mL、4.0 mL)を得て、4℃で貯蔵した。
【0406】
UV-Visにより平均値を算出した:n=6.15。
【0407】
実施例1-47 ADC-27
【化81】
【0408】
37℃の条件で、抗体B7H3抗体1F9DSのPBS緩衝水溶液(pH=6.5の0.05 MのPBS緩衝水溶液、10.0 mg/mL、0.89 mL、60.14 nmol)に、配合されたトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)の水溶液(10 mM、30.1 μL、300 nmol)を加え、水浴振とう器に置き、37℃で3時間振とう反応させて、反応を止めた。反応液を水浴で25℃に降温した。
【0409】
化合物9-比較的短い保持時間化合物9-A(1.02 mg、950 nmol)を100 μLのDMSOに溶解し、上記反応液に加え、水浴振とう機に置き、25℃で3時間振とう反応させ、反応を止めた。反応液をSephadex G25ゲルカラムで脱塩精製し(溶離相:pHが6.5である0.05 MのPBS緩衝水溶液、0.001 MのEDTA含有)、FADC-25の一般式の例示的な生成物ADC-27のPBS緩衝液(1.94 mg/mL、3.5 mL)を得て、4℃で貯蔵した。
【0410】
UV-Visにより平均値を算出した:n=6.11。
【0411】
実施例1-48 ADC-28(参照例)
【化82】
【0412】
37℃の条件で、抗体B7H3抗体1F9DSのPBS緩衝水溶液(pH=6.5の0.05 MのPBS緩衝水溶液、10.0 mg/mL、2.36 mL、159.47 nmol)に、配合されたトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)の水溶液(10 mM、81.3 μL、810 nmol)を加え、水浴振とう器に置き、37℃で3時間振とう反応させて、反応を止めた。反応液を水浴で25℃に降温した。
【0413】
化合物20(3.0 mg、2901 nmol)を150 μLのDMSOに溶解し、上記反応液に加え、水浴振とう機に置き、25℃で3時間振とう反応させ、反応を止めた。反応液をSephadex G25ゲルカラムで脱塩精製し(溶離相:pHが6.5である0.05 MのPBS緩衝水溶液、0.001 MのEDTA含有)、FADC-26の一般式の例示的な生成物ADC-28のPBS緩衝液(1.29 mg/mL、13.0 mL)を得て、4℃で貯蔵した。
【0414】
UV-Visにより平均値を算出した:n=7.46。
【0415】
実施例1-49 ADC-29
【化83】
【0416】
37℃の条件で、抗体B7H3抗体1F9DSのPBS緩衝水溶液(pH=6.5の0.05 MのPBS緩衝水溶液、10.0 mg/mL、0.80 mL、50.06 nmol)に、配合されたトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)の水溶液(10 mM、28.6 μL、290 nmol)を加え、水浴振とう器に置き、37℃で3時間振とう反応させて、反応を止めた。反応液を水浴で25℃に降温した。
【0417】
化合物9-比較的短い保持時間化合物9-A(1.29 mg、1201 nmol)を100 μLのDMSOに溶解し、上記反応液に加え、水浴振とう機に置き、25℃で3時間振とう反応させ、反応を止めた。反応液をSephadex G25ゲルカラムで脱塩精製し(溶離相:pHが6.5である0.05 MのPBS緩衝水溶液、0.001 MのEDTA含有)、FADC-25の一般式の例示的な生成物ADC-29のPBS緩衝液(2.63 mg/mL、2.4 mL)を得て、4℃で貯蔵した。
【0418】
UV-Visにより平均値を算出した:n=7.24。
【0419】
実施例1-50 ADC-30(参照例)
【化84】
【0420】
37℃の条件で、抗体B7H3抗体1F9DSのPBS緩衝水溶液(pH=6.5の0.05 MのPBS緩衝水溶液、10.0 mg/mL、0.86 mL、58.4 nmol)に、配合されたトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)の水溶液(10 mM、29.1 μL、290 nmol)を加え、水浴振とう器に置き、37℃で3時間振とう反応させて、反応を止めた。反応液を水浴で25℃に降温した。
【0421】
化合物20(1.0 mg、967 nmol)を100 μLのDMSOに溶解し、上記反応液に加え、水浴振とう機に置き、25℃で3時間振とう反応させ、反応を止めた。反応液をSephadex G25ゲルカラムで脱塩精製し(溶離相:pHが6.5である0.05 MのPBS緩衝水溶液、0.001 MのEDTA含有)、FADC-26の一般式の例示的な生成物ADC-30のPBS緩衝液(1.61 mg/mL、4.0 mL)を得て、4℃で貯蔵した。
【0422】
UV-Visにより平均値を算出した:n=6.15。
【0423】
実施例1-51 ADC-31
【化85】
【0424】
37℃の条件で、抗体B7H3抗体1F9DSのPBS緩衝水溶液(pH=6.5の0.05 MのPBS緩衝水溶液、10.0 mg/mL、0.89 mL、60.14 nmol)に、配合されたトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)の水溶液(10 mM、30.1 μL、300 nmol)を加え、水浴振とう器に置き、37℃で3時間振とう反応させて、反応を止めた。反応液を水浴で25℃に降温した。
【0425】
化合物8(1.0 mg、943 nmol)を100 μLのDMSOに溶解し、上記反応液に加え、水浴振とう機に置き、25℃で3時間振とう反応させ、反応を止めた。反応液をSephadex G25ゲルカラムで脱塩精製し(溶離相:pHが6.5である0.05 MのPBS緩衝水溶液、0.001 MのEDTA含有)、FADC-31の一般式の例示的な生成物ADC-31のPBS緩衝液(1.47 mg/mL、4.5 mL)を得て、4℃で貯蔵した。
【0426】
UV-Visにより平均値を算出した:n=6.33。
【0427】
ADC原液の薬物負荷量の分析
実験の目的及び原理
ADC原液は抗体架橋剤類薬物の1つであり、その疾患を治療するメカニズムとしては、抗体の標的指向性により毒素分子を細胞に送達し、更に細胞を殺す。薬物の負荷量は、薬効に決定的な役割を果たしている。紫外線法によりADC原液の薬物負荷量を測定した。
【0428】
実験の方法
コハク酸ナトリウム緩衝液が入ったキュベットを、参照吸収セル及び試料測定吸収セルにそれぞれ置き、溶媒ブランクを差し引いた後、供試品溶液が入ったキュベットを試料測定吸収セルに置き、280 nm及び370 nmでの吸光度を測定した。
【0429】
結果の算出:紫外線分光光度法(使用機器:Thermo nanodrop 2000紫外線分光光度計)によりADC原液負荷量を測定し、その原理は、ある波長下でのADC原液の全吸光値が細胞毒性薬とモノクローナル抗体の当該波長での吸光値の和に等しいことであり、即ち、
( 1 ) A280nm=εmab-280bCmab+εDrug-280bCDrug
εDrug-280:薬物の280 nmでの平均モル吸光係数が5100であり、
Drug:薬物の濃度、
εmab-280:トラスツズマブ原液又はペルツズマブ原液の280 nmでの平均モル吸光係数が214600であり、
mab:トラスツズマブ原液又はペルツズマブ原液の濃度、
b:光路長は1 cmである。
【0430】
同様に、試料の370 nmでの全吸光値方程式を得ることができ、即ち、
( 2 ) A370nm=εmab-370bCmab+εDrug-370bCDrug
εDrug-370:薬物の370 nmでの平均モル吸光係数が19000であり、
Drug:薬物の濃度、
εmab-370:トラスツズマブ原液又はペルツズマブ原液の370 nmでの吸光係数が0であり、
mab:トラスツズマブ原液の濃度、
b:光路長は1 cmである。
【0431】
(1)と(2)という2つの方程式により、モノクローナル抗体及び薬物の2つの検出波長での吸光係数と濃度データと合わせて、薬物の負荷量を算出することができる。
薬物負荷量=CDrug/Cmab
【0432】
生物学的評価
試験例1-1:本開示の化合物による腫瘍細胞へのインビトロ増殖阻害試験
【0433】
一、試験の目的
本実験は、本開示の薬物化合物による、U87MG細胞(中国科学院細胞バンク、Catalog # TCHu138)及びSK-BR-3腫瘍細胞(ヒト乳がん細胞、ATCC、製品番号HTB-30)へのインビトロ増殖阻害活性を検出することを目的とする。異なる濃度の化合物によりインビトロで細胞を処理し、6日間培養した後、CTG(CellTiter-Glo(R) Luminescent Cell Viability Assay、Promega、製品番号:G7573)試薬を用いて細胞の増殖を検出し、IC50値に基づいて当該化合物のインビトロ活性を評価した。
【0434】
二、実験の方法
以下、U87MG細胞へのインビトロ増殖阻害試験の方法を例として、本開示における本開示の化合物の腫瘍細胞へのインビトロ増殖阻害活性試験を行う方法を例示的に説明する。この方法は、同様に、他の腫瘍細胞へのインビトロ増殖阻害活性試験に適用されるが、これらに限定されない。
1、細胞の培養:U87MG及びSK-BR-3細胞をそれぞれ10%のFBSのEMEM培地(GE、製品番号SH30024.01)及び10%のFBSを含むMcCoy’s 5A培地(Gibco、製品番号16600-108)で培養した。
2、細胞の用意:対数増殖期のU87MG及びSK-BR-3細胞を取り、PBS(リン酸塩緩衝液、上海源培生物科技株式会社)で1回洗浄した後、2~3 mLのトリプシン(0.25%のTrypsin-EDTA(1x)、Gibico、Life Technologies社)を加えて2~3分間消化し、細胞が完全に消化された後、10~15 mLの細胞培養液を加え、消化された細胞を溶離し、1000 rpmで5分間遠心分離し、上清を捨てから、10~20 mLの細胞培養液を加えて細胞を再懸濁し、単細胞懸濁液に調製した。
3、細胞のプレートへの播種:U87MG及びSK-BR-3の単細胞懸濁液を均一に混合し、細胞培養液で生細胞密度をそれぞれ2.75×10 cells/mL及び8.25×10 cells/mLに調整し、密度が調整された細胞懸濁液を均一に混合し、180 μL/ウェルで96ウェルの細胞培養プレートに入れた。96ウェルプレートの外周ウェルには、200 μLの培地のみを加えた。培養プレートをインキュベーターで24時間(37℃、5%のCO)培養した。
4、化合物の用意:DMSO(ジメチルスルホキシド、上海泰坦科技股▲ふん▼有限公司)で化合物を溶解し、初期濃度が10 mMの原液に調製した。
小分子化合物の初期濃度は500 nMであり、薬物の調製方法は下記の通りである。
96ウェルのU底配合プレートの第1列に、異なる試験すべき試料30 μLをそれぞれ加え、試料濃度を100 μmとし、第2~11列の各ウェルに20 μLのDMSOを加えた。第1列の試料10 μLを取って第2列の20 μLのDMSOに加え、均一に混合し、10 μLを取って第3列に加え、このように、第10列まで類推した。配合プレートにおける薬物を、ウェル毎に5 μL取って95 μLのEMEM培地に加え、均一に混合して使用に備えた。
ADCの初期濃度は10 nM又は500 nMであり、薬物の調製方法は下記の通りである。
96ウェルプレートの第1列に、異なる試験すべき試料100 μLをそれぞれ加え、試料濃度を100 nM又は5 μmとし、第2~11列の各ウェルに100 μLのPBSを加えた。第1列の試料50 μLを取って第2列の100 μLのPBSに加え、均一に混合し、50 μLを取って第3列に加え、このように、第10列まで類推して3倍希釈した。
5、試料添加操作:1つの試料当たり2つの二重ウェルであるように、培養プレートに異なる濃度に配合された測定すべき試料20 μLを加えた。培養プレートをインキュベーターで6日間(37℃、5%のCO)インキュベートした。
6、発色操作:96ウェルの細胞培養プレートを取り出し、各ウェルにCTG溶液90 μLを加え、室温で10分間インキュベートした。
7、プレートの読み取り操作:96ウェルの細胞培養プレートを取り出し、マイクロプレートリーダー(BMG labtech、PHERAstar FS)に置き、マイクロプレートリーダーにより化学発光を測定した。
【0435】
三、データの分析
Microsoft Excel、Graphpad Prism 5によりデータを処理して分析した。実験結果は下記の表1を参照する。
【0436】
【表2】
【0437】
結論:本開示における小分子断片は、SK-BR-3細胞とU87細胞に対して顕著な増殖阻害活性を有し、キラル中心は、化合物の阻害活性に一定の影響がある。
【0438】
試験例1-2:本開示の抗体薬物複合体によるHER2標的の腫瘍細胞へのインビトロ増殖阻害試験
【0439】
本実験は、HER2を標的とする本開示の抗体薬物複合体の、SK-BR-3(ヒト乳がん細胞、ATCC、製品番号HTB-30)及びMDA-MB-468(ヒト乳がん細胞、ATCC、製品番号HTB-132)へのインビトロ増殖阻害活性を検出することを目的とする。異なる濃度の化合物によりインビトロで細胞を処理し、6日間培養した後、CTG試薬を用いて細胞の増殖を検出し、IC50値に基づいて当該化合物のインビトロ活性を評価した。
【0440】
試験例1の試験方法によって、試験細胞をSK-BR-3及びMDA-MB-468とし、細胞培養液をそれぞれ10%のFBSを含むMcCoy’s 5A培地(Gibco、製品番号16600-108)、10%のFBSを含むEMEM培地(GE、製品番号SH30024.01)、及び10%のFBSを含むL-15培地(ThermoFisher、製品番号11415-114)とした。細胞培養液で3株の細胞をそれぞれ、生細胞密度が8.33×10個の細胞/mL、8.33×10個の細胞/mL及び1.39×10個の細胞/mLになるように調整し、密度が調整された細胞懸濁液を均一に混合し、180 μL/ウェルで96ウェルの細胞培養プレートに入れた。関連化合物を試験し、得られた結果を下記の表2に示している。
【0441】
【表3】
【0442】
結論:HER2を標的とする本開示の抗体薬物複合体は、HER2陽性細胞SK-BR-3に対して明らかな増殖阻害活性を有すると共に、HER2陰性細胞MDA-MB-468への増殖阻害活性が弱く、良好な選択性を有する。
【0443】
試験例1-3:Her2-ADCの血漿安定性実験
【0444】
ADC-19試料、ADC-18試料、ADC-20試料、ヒト血漿、サル血漿(上海美迪西生物医薬股▲ふん▼有限公司)、及び1%のBSA(Sigma) PBS溶液(上海生工)をそれぞれ0.22 μmのフィルターでろ過して除菌した。ADC-19、ADC-18、ADC-20をそれぞれ200 μg/mLの最終濃度で上記滅菌血漿又は1%のBSA PBS溶液に加え、37℃の細胞インキュベーターに置いてインキュベーションし、インキュベーション当日を0日目と記し、その後、それぞれ7日目、14日目及び21日目に試料を取り出し、遊離毒素の検出を行った。
【0445】
25 μLの試料を取って96ウェルプレートに入れ、50 μLの内部標準作動液(100 ng/mLのカンプトセシンアセトニトリル溶液)及び150 μLのアセトニトリルを加え、ボルテックスで5分間混合し、10分間(4000 rpm)遠心分離し、5 μLをLC/MS/MS(米国アプライドバイオシステムズ社)で分析した。
【0446】
その結果、図1Aに示されるように、ADC-19はヒトとサル血漿、及び1%のBSA PBS溶液の何れにおいても非常に安定しており、遊離毒素の放出率が最大2.1%を超えず、且つ14日目で安定する傾向が示された。
【0447】
ADC-18は、ヒト及びサル血漿において安定性が低く、遊離毒素の放出率が最大それぞれ14.5%及び8.10%であった。図1Bに示されるように、1%のBSA PBS溶液においては比較的安定した。
【0448】
ADC-20は、ヒト血漿、サル血漿、及び1%のBSA PBS溶液の何れにおいても安定性が低く、遊離毒素の放出率が最大それぞれ21.7%、29.7%及び21.7%であった。、また、図1Cに示されるように、1%のBSA PBS溶液においては常に分解状態であった。
【0449】
試験例1-4:JIMT-1担腫瘍マウスへの薬効の評価
【0450】
1、試験の目的
nunuヌードマウスを試験動物として、Her2-ADC抗体T-DM1、ADC-21、ADC-24が腹腔内に注射投与された後のヒト乳がん細胞トラスツズマブ(Trastuzumab)薬剤耐性株(ハーセプチン)JIMT-1移植腫瘍ヌードマウスに対する治療効果を評価した。
【0451】
2、被験薬及び材料
2-1、被験薬
T-DM1(US20050169933を参照して調製した)
ADC-21:3 mg/kg
ADC-21:10 mg/kg
ADC-24:3 mg/kg
ADC-24:10 mg/kg
ブランク対照(Blank):PBS
2-2、調製方法:何れもPBSで希釈して調製した。
2-3、試験動物
北京維通利華から購入されたnunuヌードマウス。
【0452】
3、試験の方法
マウスの右側肋骨部の皮下にJIMT-1細胞(南京科佰)(5×10/匹、50%のマトリゲル付き)を接種し、腫瘍を8日間成長させ、203.09±11.94 mmになった後に8匹/群で合計6群になるように動物をランダムに群分けした(d1)。
腹腔内注射投与により、合計2回投与した。腫瘍の体積と体重を週2回計測し、データを記録した。
データの統計は、Excel 2003統計ソフトウェアにより、平均値をavgで算出し、SD値をSTDEVで算出し、SEM値をSTDEV/SQRTで算出し、群間差異P値をTTESTで算出した。
腫瘍体積(V)の計算式:V=1/2×L×L
相対体積(RTV)=V/V
腫瘍阻害率(%)=(CRTVーTRTV)/CRTV(%)
そのうち、V、Vは、それぞれ実験開始時及び実験終了時の腫瘍体積である。CRTV、TRTVはそれぞれ、実験終了時のブランク対照群(Vehicle、PBS)及び実験群の相対腫瘍体積である。
【0453】
4、試験の結果
実験の結果は図2に示されるように、腹腔内に2回注射投与し、34日目まで観察した時に実験を終了した。T-DM1(10 mg/kg)は、腫瘍に対して阻害作用がなく、ADC-21は、3 mg/kgの腫瘍阻害率が46.22%(P<0.01)、10 mg/kgの腫瘍阻害率が56.77%(P<0.001)であり、ADC-24は、3 mg/kgの腫瘍阻害率が62.77%(P<0.001)、10 mg/kgの腫瘍阻害率が76.32%(P<0.001)であった。同等の用量である場合、ADC-24の腫瘍阻害効果は、明らかにADC-21より良かった。
【0454】
試験例1-5:SK-BR-3担腫瘍マウスへの薬効の評価
【0455】
1、試験の目的
nunuヌードマウスを試験動物として、Her2-ADC抗体ADC-21、ADC-22が腹腔内に注射投与された後のヒト乳がん細胞SK-BR-3移植腫瘍ヌードマウスに対する治療効果を評価した。
【0456】
2、被験薬及び材料
2-1、被験薬
ADC-21:1 mg/kg
ADC-21:6 mg/kg
ADC-22:1 mg/kg
ADC-22:6 mg/kg
ブランク対照(Blank):PBS。
2-2、調製方法:何れもPBSで希釈して調製した。
2-3、試験動物
北京維通利華から購入されたnunuヌードマウス。
【0457】
3、試験の方法
マウスの右側肋骨部の皮下にSK-BR-3細胞(ATCC)(5×10/匹、50%のマトリゲル付き)を接種し、腫瘍を20日間成長させ、153.34±11.73 mmになった後に8匹/群で合計5群になるように動物をランダムに群分けした(d0)。
腹腔内注射により1回投与した。腫瘍の体積と体重を週2回計測し、データを記録した。
データの統計は、Excel 2003統計ソフトウェアにより、平均値をavgで算出し、SD値をSTDEVで算出し、SEM値をSTDEV/SQRTで算出し、群間差異P値をTTESTで算出した。
腫瘍体積(V)の計算式:V=1/2×L×L
相対体積(RTV)=V/V
腫瘍阻害率(%)=(CRTVーTRTV)/CRTV(%)
そのうち、V、Vは、それぞれ実験開始時及び実験終了時の腫瘍体積である。CRTV、TRTVはそれぞれ、実験終了時のブランク対照及び実験群の相対腫瘍体積である。
【0458】
4、試験の結果
実験の結果は図3に示されるように、腹腔内に1回注射投与し、28日目まで観察した時に実験を終了したところ、ADC-21は、1 mg/kgの腫瘍阻害率が15.01%、6 mg/kgの腫瘍阻害率が77.4%であり、ブランク対照と比べて大きな有意差がある(P<0.001)。ADC-22は、1 mg/kgの腫瘍阻害率が19.82%、6 mg/kgの腫瘍阻害率が98.38%(P<0.001)であった。用量が同じく6 mg/kgである場合、ADC-22の腫瘍阻害効果も、明らかにADC-21より良かった。
【0459】
試験例1-6:血漿安定性
【0460】
試料ADC-25を100 μg/mLの最終濃度で、それぞれヒト血漿、サル血漿、及び1%のBSA PBS溶液と均一に混合した後、ろ過して除菌した後に37℃の水浴に置いてインキュベートし、インキュベーション当日を0日目と記し、その後、それぞれ7日目、14日目及び21日目に試料を取り出し、遊離毒素の検出を行った。
【0461】
異なる時点での試料を取り出した後に室温に放置し、ボルテックスで均一に混合し、25 μLの試料を取って96ウェルプレートに入れ、50 μLの内部標準作動液(100 ng/mLのカンプトセシンアセトニトリル溶液)及び150 μLのアセトニトリルを加え、ボルテックスで5分間混合し、10分間(4000 rpm)遠心分離し、上清液5 μLを取ってLC/MS/MS分析を行った。
【0462】
その結果、図4に示されるように、ADC-25はヒトとサル血漿、及び1%のBSA PBS溶液の何れにおいても非常に安定しており、遊離毒素の放出率が最大2%を超えず、且つ14日目で安定する傾向があった。
【0463】
試験例1-7:ヒト脳星状膠芽腫U87MGヌードマウス移植腫瘍に対するADCの治療効果の評価
【0464】
1、試験の目的
本実験は、BALB/cA-nudeヌードマウスを試験動物として、ヒト脳星状膠芽腫U87MGヌードマウス移植腫瘍に対する本開示のADC化合物の治療効果を評価した。
【0465】
2、被験薬及び材料
2-1、被験薬
ADC-27 (3 mg/kg)
ADC-26 (3 mg/kg)
ブランク対照(Blank):pH7.4のPBS緩衝液。
2-2、調製方法:pH7.4のPBS緩衝液。
2-3、試験動物
BALB/cA-nudeヌードマウス:上海杰思捷実験動物有限責任公司から購入された。
【0466】
3、試験の方法
6~7週齢で雌の実験用BALB/cA-nudeヌードマウスに、ヒト脳星状膠芽腫U87MG細胞(ヒト脳星状膠芽腫、中国科学院細胞バンク、Catalog # TCHu138)を皮下接種した。細胞接種後の10日目に、動物を1群あたり8匹でランダムに群分けし(D0)、腹腔内に週1回注射投与し始め、合計3回投与し、1週ごとに腫瘍体積及び体重を2~3回測定し、データを記録した。腫瘍体積(V)の計算式は、次の通りである。
V=1/2×a×b
そのうち、a、bはそれぞれ長さ、幅を示す。
相対体積(RTV)=V/V
腫瘍阻害率(%)=(CRTVーTRTV)/CRTV(%)
そのうち、V、Vは、それぞれ実験開始時及び実験終了時の腫瘍体積である。CRTV、TRTVはそれぞれ、実験終了時の対照群(ブランク)及び実験群の相対腫瘍体積である。
【0467】
4、試験の結果
週1回腹腔内注射(i.p.)投与し、合計3回投与し、22日目まで観察した時に、ADC-27による3 mg/kgの腫瘍阻害率は63.3%(P<0.0001)、ADC-26による3 mg/kgの阻害率は49.1%に達した。ADC-27は、ADC-26よりも強い抗腫瘍効果が示された。
投与中に、各群の動物の体重は正常であり、ADCに明らかな毒性や副作用がないことが示された。検出の結果は、表3及び図5に示される通りであった。検出された抗体は、担腫瘍ヌードマウスにおけるU87MG移植腫瘍の成長を効果的に阻害することができると共に、用量依存性が示された。
【0468】
【表4】
【0469】
試験例1-8:ヒト咽頭がん胸水転移細胞Detroit 562ヌードマウス移植腫瘍に対するADCの治療効果の評価
【0470】
1、試験の目的
本実験は、BALB/cA-nudeヌードマウスを試験動物として、ヒト咽頭がん胸水転移細胞Detroit 562ヌードマウス移植腫瘍に対する本開示のADC化合物の治療効果を評価した。
【0471】
2、被験薬及び材料
2-1、被験薬
ADC-29 (3mg/kg)
ADC-28 (3mg/kg)
陰性対照ADC(3 mg/kg):非B7H3標的抗体と化合物20を複合して形成した抗体薬物複合体。
2-2、調製方法:何れもPBSで希釈して調製した。
2-3、試験動物
BALB/cA-nudeヌードマウス:常州▲か▼文斯実験動物有限責任公司から購入された。
【0472】
3、試験の方法
6~7週齢で雌の実験用BALB/cA-nudeヌードマウスに、ヒト咽頭がん胸水転移細胞Detroit 562細胞(ATCC、Catalog #ATCC(R) CCL-138TM)を皮下接種した。細胞接種後の10日目に、動物を1群あたり8匹でランダムに群分けし(D0)、腹腔内に週1回注射投与し始め、合計3回投与し、1週ごとに腫瘍体積及び体重を2~3回測定し、データを記録した。腫瘍体積(V)の計算式は、次の通りである。
V=1/2×a×b
そのうち、a、bはそれぞれ長さ、幅を示す。
相対体積(RTV)=V/V
腫瘍阻害率(%)=(CRTVーTRTV)/CRTV(%)
そのうち、V、Vは、それぞれ実験開始時及び実験終了時の腫瘍体積である。CRTV、TRTVはそれぞれ、実験終了時の対照群(陰性対照)及び実験群の相対腫瘍体積である。
【0473】
4、試験の結果
週1回腹腔内注射投与し、合計3回投与し、28日目まで観察した時に、被験ADCの腫瘍阻害率はそれぞれ、ADC-29による3 mg/kg(3 mpk)の腫瘍阻害率が72.27%(P<0.001)、ADC-28による3 mg/kg(3 mpk)の腫瘍阻害率は56.2%(P<0.001)に達した。ADC-29は、何れもADC-28よりも強い抗腫瘍効果が示された。
投与中に、各群の動物の体重は正常であり、ADCに明らかな毒性や副作用がないことが示された。検出の結果は、表4及び図6に示される通りであった。検出された抗体は、担腫瘍ヌードマウスにおけるDetroit 562移植腫瘍の成長を効果的に阻害することができると共に、用量依存性が示された。
【0474】
【表5】
【0475】
試験例1-9:U87-MG担腫瘍マウスへの薬効の評価
【0476】
1、試験の目的
Balb/cヌードマウスを試験動物として、そのヒト神経膠腫細胞U87MG移植腫瘍模型においてB7H3-抗体薬物複合体を腹腔内注射した後の治療効果を評価した。
【0477】
2、被験薬及び材料
2-1、被験薬
ADC-30 1 mg/kg
ADC-30 3 mg/kg
ADC-31 1 mg/kg
ADC-31 3 mg/kg
ブランク対照(Blank):PBS
2-2、調製方法:何れもPBSで希釈して調製した。
2-3、試験動物
BALB/cA-nudeヌードマウス:上海斯莱克実験動物有限責任公司から購入された。
【0478】
3、試験の方法
マウスの右側肋骨部の皮下にU87MG細胞(ヒト脳星状膠芽腫、中国科学院細胞バンク、Catalog # TCHu138)(2.5×10/匹)を接種し、腫瘍を14日間成長させ、167.49 mmになった後に8匹/群で合計5群になるように動物をランダムに群分けした(d1)。
週1回腹腔内注射投与により、合計3回投与した。腫瘍の体積と体重を週2回計測し、データを記録した。
データの統計は、Excel 2003統計ソフトウェアにより、平均値をavgで算出し、SD値をSTDEVで算出し、SEM値をSTDEV/SQRTで算出し、群間差異P値をTTESTで算出した。
腫瘍体積(V)の計算式:V=1/2×L×L
相対体積(RTV)=V/V
腫瘍阻害率(%)=(CRTVーTRTV)/CRTV(%)
そのうち、V、Vは、それぞれ実験開始時及び実験終了時の腫瘍体積である。CRTV、TRTVはそれぞれ、実験終了時のブランク対照群(Vehicle)及び実験群の相対腫瘍体積である。
【0479】
4、試験の結果
実験の結果は図7に示されるように、週1回腹腔内注射投与し、合計3回投与し、18日目まで観察した時に、被験ADCの腫瘍阻害率はそれぞれ、ADC-30による1 mg/kgの腫瘍阻害率が0.31%、ADC-30による3 mg/kgの腫瘍阻害率が45.23%(P<0.0001)、ADC-31による1 mg/kgの腫瘍阻害率が39.22%(P<0.01)、ADC-31による3 mg/kgの腫瘍阻害率が80.24%(P<0.0001)に達した。同等の用量である場合、ADC-31の腫瘍阻害効果は、明らかにADC-30より良かった。
【0480】
二、調製プロセスの最適化
次の実施例の例示的な生成物は、下記の式で示される構造を有する。
【化86】
【0481】
実施例2-1
0℃の条件下で、2.5 mMのEDTAを含む20 mMのヒスチジン-塩酸緩衝液(pH5.6)において、61.71 mgのトラスツズマブを含む抗体原液(0.0004251 mmol、トラスツズマブを20 mMのヒスチジン-塩酸緩衝液で抗体最終濃度15 mg/mLに希釈した)と0.7311 mgのトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩(Sigma、0.002550 mmol)を恒温水浴で3時間撹拌しながら反応させ、中間体I溶液を生成した。
【0482】
化合物9の比較的短い保持時間化合物9-A(3.196 mg、0.002975 mmol)を0.2062 mLのDMSOに溶解し、化合物9-AのDMSO溶液を生成した。上記中間体I溶液に0.2052 mLのDMSOを予め添加し、更にDMSOが予め添加された中間体I溶液に上記化合物9-AのDMSO溶液を加え、水浴で25℃で1時間撹拌しながら反応させ、過剰のシステインを加えて反応をクエンチした。FADC-4Aの一般式の例示的な生成物ADC-2-1を得た。
【0483】
逆相クロマトグラフィー-質量分析法により平均値を算出した:n=5.45。
【0484】
実施例2-2
13℃の条件下で、2.5 mMのEDTAを含む20 mMのヒスチジン-塩酸緩衝液(pH5.6)において、61.71 mgのトラスツズマブを含む抗体原液(0.0004251 mmol、トラスツズマブを20 mMのヒスチジン-塩酸緩衝液で抗体最終濃度15 mg/mLに希釈した)と0.5118 mgのトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩(Sigma、0.001785 mmol)を恒温水浴で3時間撹拌しながら反応させ、中間体I溶液を生成した。
【0485】
化合物9の比較的短い保持時間化合物9-A(3.196 mg、0.002975 mmol)を0.2062 mLのDMSOに溶解し、化合物9-AのDMSO溶液を生成した。上記中間体I溶液に0.2052 mLのDMSOを予め添加し、更にDMSOが予め添加された中間体I溶液に上記化合物9-AのDMSO溶液を加え、水浴で25℃で1時間撹拌しながら反応させ、過剰のシステインを加えて反応をクエンチした。FADC-4Aの一般式の例示的な生成物ADC-2-2を得た。
【0486】
逆相クロマトグラフィー-質量分析法により平均値を算出した:n=5.49。
【0487】
実施例2-3
25℃の条件下で、2.5 mMのEDTAを含む20 mMのヒスチジン-塩酸緩衝液(pH5.6)において、61.71 mgのトラスツズマブを含む抗体原液(0.0004251 mmol、トラスツズマブを20 mMのヒスチジン-塩酸緩衝液で抗体最終濃度15 mg/mLに希釈した)と0.4021 mgのトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩(Sigma、0.001403 mmol)を恒温水浴で3時間撹拌しながら反応させ、中間体I溶液を生成した。
【0488】
化合物9の比較的短い保持時間化合物9-A(3.196 mg、0.002975 mmol)を0.2062 mLのDMSOに溶解し、化合物9-AのDMSO溶液を生成した。上記中間体I溶液に0.2052 mLのDMSOを予め添加し、更にDMSOが予め添加された中間体I溶液に上記化合物9-AのDMSO溶液を加え、水浴で25℃で1時間撹拌しながら反応させ、過剰のシステインを加えて反応をクエンチした。FADC-4Aの一般式の例示的な生成物ADC-2-3を得た。
【0489】
逆相クロマトグラフィー-質量分析法により平均値を算出した:n=5.39。
【0490】
実施例2-4
28℃の条件下で、2.5 mMのEDTAを含む20 mMのヒスチジン-塩酸緩衝液(pH5.6)において、61.71 mgのトラスツズマブを含む抗体原液(0.0004251 mmol、トラスツズマブを20 mMのヒスチジン-塩酸緩衝液で抗体最終濃度15 mg/mLに希釈した)と0.3899 mgのトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩(Sigma、0.001360 mmol)を恒温水浴で3時間撹拌しながら反応させ、中間体I溶液を生成した。
【0491】
化合物9の比較的短い保持時間化合物9-A(3.196 mg、0.002975 mmol)を0.2062 mLのDMSOに溶解し、化合物9-AのDMSO溶液を生成した。上記中間体I溶液に0.2052 mLのDMSOを予め添加し、更にDMSOが予め添加された中間体I溶液に上記化合物9-AのDMSO溶液を加え、水浴で25℃で1時間撹拌しながら反応させ、過剰のシステインを加えて反応をクエンチした。FADC-4Aの一般式の例示的な生成物ADC-2-4を得た。
【0492】
逆相クロマトグラフィー-質量分析法により平均値を算出した:n=5.44。
【0493】
実施例2-5
37℃の条件下で、2.5 mMのEDTAを含む20 mMのヒスチジン-塩酸緩衝液(pH5.6)において、61.71 mgのトラスツズマブを含む抗体原液(0.0004251 mmol、トラスツズマブを20 mMのヒスチジン-塩酸緩衝液で抗体最終濃度15 mg/mLに希釈した)と0.3778 mgのトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩(Sigma、0.001318 mmol)を恒温水浴で3時間撹拌しながら反応させ、中間体I溶液を生成した。
【0494】
化合物9の比較的短い保持時間化合物9-A(3.196 mg、0.002975 mmol)を0.2062 mLのDMSOに溶解し、化合物9-AのDMSO溶液を生成した。上記中間体I溶液に0.2052 mLのDMSOを予め添加し、更にDMSOが予め添加された中間体I溶液に上記化合物9-AのDMSO溶液を加え、水浴で25℃で1時間撹拌しながら反応させ、過剰のシステインを加えて反応をクエンチした。FADC-4Aの一般式の例示的な生成物ADC-2-5を得た。
【0495】
逆相クロマトグラフィー-質量分析法により平均値を算出した:n=5.46。
【0496】
実施例2-6
13℃の条件下で、2.5 mMのEDTAを含む50 mMのPBS緩衝液(pH6.5)において、55.02 mgのトラスツズマブを含む抗体原液(0.0003790 mmol、トラスツズマブを50 mMのPBS緩衝液で抗体最終濃度15 mg/mLに希釈した)と0.4563 mgのトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩(Sigma、0.001592 mmol)を恒温水浴で3時間撹拌しながら反応させ、中間体I溶液を生成した。
【0497】
化合物9の比較的短い保持時間化合物9-A(2.850 mg、0.002653 mmol)を0.1839 mLのDMSOに溶解し、化合物9-AのDMSO溶液を生成した。上記中間体I溶液に0.1829 mLのDMSOを予め添加し、更にDMSOが予め添加された中間体I溶液に上記化合物9-AのDMSO溶液を加え、水浴で25℃で1時間撹拌しながら反応させ、過剰のシステインを加えて反応をクエンチした。FADC-4Aの一般式の例示的な生成物ADC-2-6を得た。
【0498】
逆相クロマトグラフィー-質量分析法により平均値を算出した:n=5.39。
【0499】
実施例2-7
25℃の条件下で、2.5 mMのEDTAを含む50 mMのPBS緩衝液(pH6.5)において、55.02 mgのトラスツズマブを含む抗体原液(0.0003790 mmol、トラスツズマブを50 mMのPBS緩衝液で抗体最終濃度15 mg/mLに希釈した)と0.3477 mgのトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩(Sigma、0.001213 mmol)を恒温水浴で3時間撹拌しながら反応させ、中間体I溶液を生成した。
【0500】
化合物9の比較的短い保持時間化合物9-A(2.850 mg、0.002653 mmol)を0.1839 mLのDMSOに溶解し、化合物9-AのDMSO溶液を生成した。上記中間体I溶液に0.1829 mLのDMSOを予め添加し、更にDMSOが予め添加された中間体I溶液に上記化合物9-AのDMSO溶液を加え、水浴で25℃で1時間撹拌しながら反応させ、過剰のシステインを加えて反応をクエンチした。FADC-4Aの一般式の例示的な生成物ADC-2-7を得た。
【0501】
逆相クロマトグラフィー-質量分析法により平均値を算出した:n=5.50。
【0502】
実施例2-8
37℃の条件下で、2.5 mMのEDTAを含む50 mMのPBS緩衝液(pH6.5)において、55.02 mgのトラスツズマブを含む抗体原液(0.0003790 mmol、トラスツズマブを50 mMのPBS緩衝液で抗体最終濃度15 mg/mLに希釈した)と0.3259 mgのトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩(Sigma、0.001137 mmol)を恒温水浴で3時間撹拌しながら反応させ、中間体I溶液を生成した。
【0503】
化合物9の比較的短い保持時間化合物9-A(2.850 mg、0.002653 mmol)を0.1839 mLのDMSOに溶解し、化合物9-AのDMSO溶液を生成した。上記中間体I溶液に0.1829 mLのDMSOを予め添加し、更にDMSOが予め添加された中間体I溶液に上記化合物9-AのDMSO溶液を加え、水浴で25℃で1時間撹拌しながら反応させ、過剰のシステインを加えて反応をクエンチした。FADC-4Aの一般式の例示的な生成物ADC-2-8を得た。
【0504】
逆相クロマトグラフィー-質量分析法により平均値を算出した:n=5.47。
【0505】
実施例2-9
25℃の条件下で、2.5 mMのEDTAを含む20 mMのヒスチジン-塩酸緩衝液(pH5.6)において、127.4 gのトラスツズマブを含む抗体原液(0.88 mmol、トラスツズマブを20 mMのヒスチジン-塩酸緩衝液で抗体最終濃度15 mg/mLに希釈した)と0.83 gのトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩(Sigma、2.90 mmol)を恒温水浴で3時間撹拌しながら反応させ、中間体I溶液を生成した。
【0506】
化合物9の比較的短い保持時間化合物9-A(6.6 g、6.14 mmol)を0.43 LのDMSOに溶解し、化合物9-AのDMSO溶液を生成した。上記中間体I溶液に0.43 LのDMSOを予め添加し、更にDMSOが予め添加された中間体I溶液に上記化合物9-AのDMSO溶液を加え、水浴で25℃で1時間撹拌しながら反応させ、反応を止めた。
【0507】
上記反応液をCapto S Impact(GE)カチオンクロマトグラフィーカラムにより精製し、9つのカラム体積以上の10%(v/v)のDMSOを含む0.05 Mの酢酸緩衝液(pH=5.5)と6つのカラム体積の0.05 Mの酢酸緩衝液(pH=5.5)でそれぞれ洗浄し、更に0.05 Mの酢酸緩衝液(pH5.5、0.39 Mの塩化ナトリウム含有)で溶離し、反応液における遊離毒素と残留溶媒を除去した。25℃で、カチオン溶離液を7倍体積等体積限外ろ過(30 kdの限外ろ過膜パッケージ)で0.01 Mのコハク酸緩衝液(pH5.0)に置換し、FADC-4Aの一般式の例示的な生成物ADC-A1を得た。上記方法により4ロットの試料を調製した。
【0508】
逆相クロマトグラフィー-質量分析法により測定して上記4ロットの試料の薬物担持量が何れも5.7であった。4ロットの収率はそれぞれ100.8%、、98.9%、、97.4%及び99.0%であった。
【0509】
実施例2-10
37℃の条件下で、トラスツズマブのPBS緩衝液(pH=6.5の0.05 MのPBS緩衝水溶液、10.0 mg/mL、164 mL、11.08 μmol)に、配合されたトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)の水溶液(10 mM、3.55 mL、35.5 μmol)を加え、水浴振とう機に置き、37℃で3.5時間振とう反応させ、反応を止めた。反応液を水浴で25℃に降温した。
【0510】
化合物9の比較的短い保持時間化合物9-A(185 mg、172 μmol)を3.88 mLのアセトニトリル及び1.94 mLのDMSOに溶解し、上記反応液に加え、水浴振とう機に置き、25℃で3時間振とう反応させ、反応を止めた。反応液を限外ろ過膜バッグに通して2%(v/v)のアセトニトリル及び1%(v/v)のDMSOを含むPBS緩衝水溶液(pH=6.5の0.05 MのPBS緩衝水溶液)、コハク酸緩衝水溶液(pH=5.3の0.01 Mのコハク酸緩衝水溶液)で順に脱塩精製し、小分子を除去し、FADC-4Aの一般式の例示的な生成物ADC-B14の試料を得て、4℃で貯蔵した。
【0511】
逆相クロマトグラフィー-質量分析法により平均値を算出した:n=5.3。
【0512】
試験例2-1 薬物負荷量分布試験
1. RP-DAR測定方法
1.1. 次の測定条件下でRP-DAR分析を行った:
UPLCシステム:Waters H-Class超高速液体クロマトグラフUPLCシステム
検出器:TUV検出器(測定波長:280 nm)
カラム:Waters ACQUITY UPLC Protein BEH C4(2.1 mm×150 mm、1.7 μm)
カラム温度:80℃
流速:0.3 mL/min
試料室の温度:20℃
作動時間:25 min
移動相A:0.1%のジフルオロ酢酸(DFA)水溶液
移動相B:0.1%のDFAアセトニトリル溶液
勾配プログラム:27.0%B~44.0%B(0.00 min~12.00 min)、44.0%B~100%B(12.00 min~13.00 min)、100%B~100%B(13.00 min~20.00 min)、100%B~27.0%B(20.00 min~20.04 min)、27.0%B~27.0%B(20.04 min~25 min)
注入試料量:1.0 μL
1.2. データの分析
薬物と結合しない抗体の軽鎖(L)及び重鎖(H)に比較すると、薬物と結合する軽鎖(1つ薬物と結合する軽鎖:L)及び薬物と結合する重鎖(1つ薬物と結合する重鎖:H、2つの薬物と結合する重鎖:H、3つの薬物と結合する重鎖:H、4つの薬物と結合する重鎖:H)の場合は、疎水性が薬物と結合する数に比例して増加すると共に、保持時間が長くなる。従って、L、L、H、H、H、H及びHの順に溶離した。
薬物リンカーがUVを吸収するので、次の式に従って、軽鎖、重鎖と薬物リンカーのモル吸光係数を利用し、結合する薬物の数によって、得られたピーク面積を補正した。計算式は、次の通りである。
軽鎖(εLC-280)/(εLC-280+連結薬物数×ε薬物-280)
重鎖(εHC-280)/(εHC-280+連結薬物数×ε薬物-280)
備考:εLC-280:軽鎖の280 nmでのモル吸光係数、
εHC-28:重鎖の280 nmでのモル吸光係数、
ε薬物-280:毒素の280 nmでのモル吸光係数。
【0513】
【表6】
【0514】
2.測定結果
【表7】
【0515】
結果から示されるように、同じ緩衝系、異なる還元反応温度で調製された試料は、還元反応温度の低減につれて、試料の薬物負荷量分布の均一さが明らかに高くなり、同じ還元反応温度、異なる緩衝系で調製された試料は、ヒスチジン-塩酸緩衝系を使用した試料の薬物負荷量分布がより均一であった。
【0516】
試験例2-2:遊離毒素試験
1.遊離毒素の測定方法
1.1. 次の測定条件下でHPLC分析を行った:
HPLCシステム:Waters H-Class超高速液体クロマトグラフUPLCシステム
検出器:TUV検出器(測定波長:370 nm)
カラム:Waters ACQUITY UPLC Petide BEH C18(130 Å、2.1 mm×150 mm、1.7 μm)
カラム温度:40℃
流速:0.3 mL/min
試料室の温度:10℃
移動相A:0.1%のトリフルオロ酢酸(TFA)水溶液
移動相B:0.1%のTFAアセトニトリル溶液
勾配プログラム:25.0%B~25.0%B(0.00 min~1.00 min)、25.0%B~55.0%B(1.00 min~17.00 min)、55.0%B~25.0%B(17.00 min~17.10 min)、25.0%B~25.0%B(17.10 min~20.00 min)
注入試料量:5.0 μL
1.2. データの分析
毒素のLOD限度の計算式は、次の通りである。
毒素限度(ppm)=0.1×4×1000/C
注記:
a)0.1は毒素LOD溶液濃度(μg/mL)、4は試料の前処理時の希釈倍数、1000は単位換算係数、Cは測定試料のタンパク質濃度(mg/mL)である。
b)供試品中の遊離毒素のピーク面積はLOD溶液のピーク面積よりも小さいと、限度より小さい、又は未検出であると判定される。
【0517】
2.測定結果
ADC-A1(ロット1~4)及びADC-B14について遊離毒素を検出した結果(表7参照)、カチオンカラムクロマトグラフィーの使用は、大量調製に適用されるだけでなく、遊離毒素も顕著に低減されることが示された。
【0518】
【表8】
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【配列表】
2023521956000001.app
【手続補正書】
【提出日】2023-05-09
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本願は、2020年3月25日に提出された中国特許出願(出願番号CN 202010219311.2)及び2021年3月19日に提出された中国特許出願(出願番号CN 202110297397.5)の優先権を主張する。
本開示は、抗体薬物複合体の調製方法に関し、特に、抗体薬物複合体の調製方法の合成工程及び精製工程に関する。


【国際調査報告】